約 82,689 件
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/636.html
水銀燈「う…な、何…!?この感じ…!?」 その日、水銀燈は奇妙な体験をした。 ベッドで気持ちよく寝ていたときに、いきなりその体がずしんと重たくなった。 例えていうのなら、誰かが上に乗っているような感じ…それが金縛りではないかと気づいた時、水銀燈の頭の中に色々な考えが交錯した。 「20歳を超えたら、金縛りに遭わないというのは嘘だったの…?」とか、「目を開けたら、お化けがいたらどうしよう…」とか…。 しかし、最終的にはこういう結論に達した。 「いくらお化けだろうと何だろうと、この私の寝込みを襲おうなんて、いい度胸してるじゃない…!」と。 その刹那、ほとんどマウントポジションを取られているような状況にもかかわらず、相手に殴りかかろうとする水銀燈。 それをかわすと、水銀燈の上に乗っていた『モノ』は、こう言った。 ?「あ、ビッチ…じゃなくて、『水銀燈さん』…。おはようございます。」 そこには、この頃の水銀燈にとって最大の敵であった、雪華綺晶の姿があった。 水銀燈「…あなた、影で私の事…そういうふうに呼んでたのね…!?」 雪華綺晶「ええ、妹にも怒られましたが、あなたにはお似合いでしょう?」 全く悪びれる様子の無い雪華綺晶。そんな彼女に、水銀燈はこう切り替えした。 水銀燈「…あなたって、ホントむかつくわね…。人に嫌われるタイプでしょ?」 雪華綺晶「…ビッチさんには負けますよ…。」 その言葉に舌打ちをすると、水銀燈はこう言った 水銀燈「あっそ。…まあいいわぁ…。それよりも、私の部屋で一体何をしていたの…!?それと、あのうるさい妹はどうしたのよ…!?」 雪華綺晶「妹は、風邪でお休み…。で、6時45分になったらあなたを起こしてって言われたから、時間まで待っててあげ…」 水銀燈「…そう。じゃあ、仕方ないから学校に行かないとね…。」 それは、雪華綺晶にとって意外な反応だった。 あの水銀燈なら、これ幸いとばかりに学校を休みそうなものだが…。 そんなことを考えながら、じっと水銀燈の顔を見つめていると、それに気がついた水銀燈はこう言った。 水銀燈「…何見てるのよ…。だって、あのクラスは私のものでもある訳だから、薔薇水晶が休んじゃったら行かなきゃしょうがないじゃない…。」 しかし、その発言を聞いて雪華綺晶の頭はますます混乱した。 そして、ちゃんと規定の時間前に登校する2人。 その2人から薔薇水晶が病欠だと聞くと、真紅はすぐに他の先生を代わりに授業に出すことを決めた。 その白羽の矢が立ったのは、ほかでもない水銀燈だった。 水銀燈「…何で、私な訳ぇ?」 真紅「いいじゃない。あなたは、2時間目と6時間目が空いてるんだから。それに昔、社会科系の授業全てを受け持っていたんだから、薔薇水晶の代わりに授業を進めることも出来るでしょう?それで、他のところは空いてる者が自習時間を見張るということでいいと思うの。」 水銀燈「やぁよ。薔薇水晶のことは薔薇水晶に任せるのが一番よぉ。今更、私が入っていく余地なんて無いわぁ…。」 真紅「貴女らしくないわね…。まさか、去年の失敗を未だに引きずっている訳ではないでしょう?」 水銀燈「…何とでも言いなさぁい…。とにかく私は、授業なんかするつもりは無いわぁ…」 その後も、水銀燈は頑としてその意見を変えようとしなかった。 その後、自習時間は、何の問題も無く終わった。 が、雪華綺晶にはどうしても確かめておきたいことがあった。 真紅はさっき『去年の失敗』と言った。しかし、あの水銀燈…1度私に謝罪したくせに、性懲りも無く何度もちょっかいをかけてくる水銀燈が、なぜたった1度の失敗で、あんなに尻込みしていたのか…。 それだけが、どうしても気になっていた。 そして、放課後…雪華綺晶は意を決して、真相を問い詰めた。 すると、水銀燈はようやく重い口を開いた。 「…まあ、薔薇水晶の身内であるあなたには、話しておいたほうがいいかもね…。」と言いながら…。 水銀燈「ほら、あの子って自分にコンプレックス持ってるって言うか、どこか自分に自信が無いようなトコがあるのよね…。それでいて、打たれ弱いし…」 雪華綺晶「うん…だから、私が守ってあげなきゃって思ってる…。」 それを聞き、「素敵な姉妹だこと」と茶化すと、水銀燈は続けてこう言った。 水銀燈「…だから、下手に私が授業なんかやっちゃうと、後の反応が怖いのよ…。ほら、人間十人十色なわけだしぃ、もし万が一…薔薇水晶より私の授業のほうがいいなんて言い出す生徒が出たら、それこそ大変なことでしょう?」 雪華綺晶「…うん。」 水銀燈「…それに、風邪の症状は軽そうだしぃ…2・3日すれば大丈夫だろうから、替えの授業なんて必要ないと思ったのよぉ。」 雪華綺晶「え…?何でそんなことが分かるの…?」 水銀燈「…あなたが、この学校に来てるからよ。もし、熱が40度近くまであったら、あなた薔薇水晶のそばを離れないでしょう?だから、大したこと無いって分かったの。」 それは、雪華綺晶にとって意外なことだった。 あれほど敵だと思っていた相手が、まさかこれほどまでに愛する妹のことを気遣ってくれていたとは…。 おそらく、公然と他人を『糧』と言ってはばからない彼女にとって、人の心…ましてや思春期の男子生徒の心をつかむくらい簡単な事だろう。 それを使って、元の自分の地位を取り戻すことも出来るはずだし、まして今回はそのビックチャンスだったはず… …でも、彼女はあえてそれをせず、それどころか嫌っている真紅に『負け』を認めてまで…己のプライドを捨ててまで、妹を守ってくれた…。 雪華綺晶「…お姉さま…」 水銀燈「…え?」 そう、水銀燈が答えるより早く、雪華綺晶は水銀燈の背中におぶさった。 雪華綺晶「お姉さまぁー…♪」 水銀燈「な、何なのよ!?気持ち悪い!!早く離れなさい!!」 その後、雪華綺晶は決して水銀燈の背中から離れようとせず、水銀燈は仕方なしに薔薇水晶へ助けを求めた。 そんなことが起こっているとは露知らず、玄関のチャイムの音を聞き、苦しそうに咳をしながら表へ出る薔薇水晶。 そこに現れたもの…それは、かつてあれほど嫌っていた水銀燈に甘える雪華綺晶と、困った顔をしながらも、何故か少し嬉しそうな水銀燈の姿…。 そんな2人を、薔薇水晶は最高の笑顔で出迎えた。 完 翌日
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/521.html
お題 『白崎・雛苺・薔薇水晶』 ?「すいませーん、誰かいらっしゃいませんかー?」 昼休み、水銀燈が職員室で1人、本を読んでいると1人の男が尋ねてきた。 顔はまあ悪く無いわね…と品定めをしながら、水銀燈は応対する。 水銀燈「なぁに?みんな今、お昼だから出払っちゃってるのよねぇ…」 ?「そうなんですか…。あっ!私、教育教材販売の『白崎』と申しまして…」 水銀燈「あらそう…。私、保健体育担当だから、そんなもの必要ないわぁ…」 白崎「そうなんですか!?いやー、だからそんなに健康的で美しいんですね!!」 水銀燈「ふふ…口が上手いのねぇ…。ま、どうせヒマだから、話ぐらいは聞いてあげるわぁ…。」 そう言うと、水銀燈は白崎を椅子に座らせた。 白崎「…というわけで、この商品は他校でも好評でして…」 熱心に商品の説明をする白崎。それとは対照的に、水銀燈は非常に眠そうである。 どうやら、この手の商品にはあまり興味が無いらしい。 水銀燈「ねぇ…そんなのじゃなくて、アクセサリーとか扱ってないのぉ?」 白崎「い、いや…私は教育教材が専門でして…」 水銀燈「つまんないのぉ…。」 白崎「あの…失礼ですが、水銀燈さんはあまり教育にはご関心が…」 水銀燈「んー?無いわよぉ。何で人様の子供のために、一生懸命にならなきゃいけないのよぉ…。自分のことだけで、精一杯だわぁ…。」 そう言うと、水銀燈は独自の教育論をこんこんと語りだした。 水銀燈「…というわけで、自分のことぐらい自分でやれって思うわけ。分かる?」 白崎「なるほど…仰るとおりです。確かに、最近の親は教師にすべてを任せる傾向がありますからねー…。そのくせ、権利ばっかり主張する…。」 水銀燈「あなた…話が分かるわねぇ…。好きになっちゃいそうだわぁ…♪」 その言葉に思わず照れ笑いを浮かべる白崎。 白崎「それは光栄です♪…でも、そうするとあまり学校も楽しくなかったりとか…」 水銀燈「そうね…でもいいトコもあるわよぉ…。色んな出会いや発見もあったしねぇ…」 白崎「例えば、新しいご友人が出来たとか?」 その問いに、「さあね…。」とそっけなく答えると、水銀燈は次の授業の準備をしだした。 そんな水銀燈に、白崎は最後の質問をする。 「…どうしたら、学校が楽しくなると思いますか?」と。 水銀燈「…ふぅ…。少し喋りすぎちゃったわねぇ…。」 普段見せない本心を、一部とはいえ他の人…それも初対面の相手に晒してしまったことを悔いる水銀燈。 そこへ、雛苺と薔薇水晶がやってきた。その表情は、どことなく普段より明るく見える。 水銀燈「どうしたのぉ?何かいいことでもあったのぉ?」 雛苺「うん!!これから1週間、水銀燈はヒナや薔薇水晶と一緒に暮らすのよ!?」 薔薇水晶「そうなの…さっき、教頭先生からのお達しで…」 水銀燈「何言ってるの!?そんなの絶対許さないわよ!!」 予想外のことに、珍しく慌てる水銀燈。 冗談じゃない…雛苺はともかくとして、薔薇水晶なんかと一緒に住んだら、絶対規則正しい生活をさせられるに決まっている…!! 自由を愛する水銀燈にとって、それは拷問以外の何物でもなかった。 水銀燈「とにかく、そんなの絶対にやぁよ。大体、そこまでする権利がどこに…」 雛苺「うー…。水銀燈は、ヒナのこと嫌いなの?」 水銀燈「そ、そう言う意味じゃなくて…」 薔薇水晶「嫌いなの…?」 水銀燈「!?何で、あなたまでそんな目をするのよ!?何なのよ、一体!?」 …こうして、3人は1週間、仲良く一緒に生活することとなった。 薔薇水晶「銀ちゃん!もう12時だよ!!いつも、そんな遅くまでお酒飲んでるの!?」 水銀燈「『午前』12時だから、暦の上ではもう朝よぉ?全然遅くなんて…」 薔薇水晶「そう言うのをヘリクツっていうの!!雛苺を見習いなさい!!」 水銀燈「じゃあ、雛苺のように夜10時に寝ろっていうの!?お馬鹿さん!!」 まるで、修学旅行の夜のように騒ぐ2人。 一方、別の家では、ある男がこんなことを考えていた。 ラプラス「水銀燈は朝に弱い割に、夜遊び歩いているから、よく学校をサボってたんですね…。まあ、仲の良い二人をそばに置いたことですし、これで彼女のさぼり癖も少しは治ればいいのですが…。」 そう、実は今回、ラプラスは白崎という人物に化けて、水銀燈のさぼり癖の秘密を探っていたのだ。 ちなみに、最後の質問に対する水銀燈の答えは、「さあ…誰かがいつもそばにいれば、それはそれで楽しいんじゃなぁい?」と言うもの… それを踏まえたうえで、水銀燈とは仲のよい雛苺と薔薇水晶が1週間、一緒に暮らすようにしたというわけだ。 ラプラス「…次は、翠星石ですか…。これも大変そうですね…。」 ため息混じりに、そう語るラプラス。 彼のこういった陰の努力があるからこそ、この学校が上手く成り立っているのかもしれない… 完
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/335.html
水銀燈先生 水銀燈、JUMとの遭遇 水銀燈×薔薇水晶 薔薇水晶&水銀燈と卒業式 実技試験の前のひととき 蒼星石×水銀燈の百合 病室の木の葉 とある男子生徒の事情 水銀燈の補習 水銀燈の胸 水銀燈と屋上 進路相談:水銀燈の場合 交通事故 北海道の集団旅行 推測と水銀燈 おあ氏とS氏とくんくん人形 白馬の王子様 人は、人生という道を歩んでいる 水銀燈と家庭科 金糸雀先生 金糸雀の音楽(?) 対人兵器 コスプレ大会 進路相談:金糸雀の場合 翠星石先生 翠星石と下宿 翠星石とラーメン屋 翠星石のイタズラ 進路相談:翠星石の場合 蒼星石先生 蒼星石小ネタ? 蒼星石と舞踏会 結婚 ほ し が きレス入り 蒼星石と女子高生2(書き散らし氏ver 進路相談:蒼星石の場合 RPGと蒼星石 蒼星石と屋上と煙草 真紅先生 あずまんが真紅 真紅と賓乳 煙草とくんくん 水銀燈へのプレゼント 真紅とプール 進路相談:真紅の場合 昔の話 Another Sky 雛苺先生 ひなまつり ひなまつりケーキ 雛苺と演劇部 進路相談:雛苺の場合 雛苺の一日 見かけによらない 雪華綺晶先生 ばらきらと胸 ローゼン大掃除 夢 対人兵器金糸雀先生のとこの対人兵器と同じ 進路相談:雪華綺晶の場合 薔薇水晶先生 GTB(グレート・ティーチャー・薔薇水晶) 水銀燈×薔薇水晶水銀燈先生(ry 薔薇水晶の春 薔薇水晶&水銀燈と卒業式水銀燈先生(ry 薔薇水晶の家庭訪問2 薔薇しぃブルマ 薔薇水晶の憧れ マウスの上の日向ぼっこ 薔薇水晶と食堂 進路相談:薔薇水晶の場合 薔薇水晶と新婚生活 複数 おかずの交換 鬼ごっこ 怪談大会 桜田ジュン 怪談大会 その他 おあ氏の衝撃事件簿 ローゼン ローゼン×ラプラス 胆試し大会 ローゼンと不良とパチンコ 痔 ローゼンの日常 入学式 ラプラス ローゼン×ラプラスローゼン(ry ラプラスvs不良 日常 入学式 誰も居ない……更新するなら今のうち…… 新作見たいなwww -- 名無しさん (2008-08-17 20 58 44) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yaranaio/pages/37.html
出番別長編まとめ - 主人公 やらない夫と最後のデート オリジナル ヒロイン:ゴリラ 真紅 ゴリラ 銀ちゃんとやらない夫 短編連作ものというか、作者の方が作った一連の作品群 ヒロイン:水銀燈 蒼星石は家庭教師になるようです 二次創作:ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』 ヒロイン:蒼星石・水銀燈 やらない夫が怪盗を追いかけるようです ジャンル:オリジナル 完結済み ヒロイン:水銀燈 やらない夫のひとりWW 二次創作:映画『コマンドー』] 完結済み ヒロイン:水銀燈 やらない夫は主に尽くす オリジナル 完結済み ヒロイン:水銀燈 やらない夫で楽しむ世界の童話「騎士と水の精の恋」 完結済み ヒロイン:水銀燈 やらない夫「愛あるエロは、最高にエロい!」 二次創作:カノジョは官能小説家 完結済み ヒロイン:水銀燈 やらない夫はサイコスタッフだったようです 二次創作:サイコスタッフ ヒロイン:真紅 完結済み やらない夫は泥棒を追う様です 二次創作:テイルズオブヴェスペリア ヒロイン:水銀燈 やらない夫がやる夫の内部告発を手伝うようです 二次創作:映画『インサイダー』 完結済み ヒロイン:真紅 やらない夫の大正冒険奇譚 二次創作:パワプロクンポケット7(裏) ヒロイン:水銀燈 やる夫はオペラ座の地下室に住んでいるようです 二次創作:オペラ座の怪人 ヒロイン:真紅 やらない夫の大正冒険奇譚 二次創作:パワプロクンポケット7(裏) ヒロイン:水銀燈 やらない夫でボクと魔王 二次創作:ボクと魔王 ヒロイン:真紅 やらない夫と真紅の恋は大騒ぎ オリジナル ヒロイン:真紅 あっぱれやらない夫 二次創作:戯曲『あっぱれクライトン』 ヒロイン:水銀燈 やらない夫・真紅・金糸雀が北海道の裏グルメを極めるそうです オリジナル 完結済み 続編あり:やらない夫が道東のお菓子事情に介入するようです やらない夫が道東のお菓子事情に介入するようです オリジナル ヒロイン:真紅 水銀燈アフター 〜It's a Wonderful Life〜 二次創作:智代アフター ヒロイン:水銀燈 やらない夫がバトロワに参加させられるようです 二次創作:バトルロワイヤル ヒロイン:真紅 やらない夫は【 あ 】の付く職業のようです オリジナル ヒロイン:真紅 やらない夫とエデンの戦士達 二次創作:DQ7 完結済み ヒロイン:水銀燈 やらない夫が覇道を歩むようです 二次創作:リネージュ2 バックストーリー ヒロイン:真紅 やらない夫が罪を思い出すようです 二次創作:ペルソナ2 罪 ヒロイン:真紅・水銀燈 やらない夫はジャバウォッキー 二次創作:ジャバウォッキー ヒロイン:水銀燈 やらない夫が見果てぬ夢を見るようです 二次創作:ミュージカル映画「ラ・マンチャの男」 完結済み ヒロイン:水銀燈 やらない夫は吸血鬼に成り果てる 二次創作:ヘルシング ヒロイン:水銀燈
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/196.html
興奮した感情を落ち着かせるため水銀燈は細長いタバコを口に運び、ジーンズ のポケットをポンポンと叩きライターを探す。 (おかしいわねぇ、パチンコ屋に忘れてきたぁ? しょうがないわぁ) 水銀燈は周りで取り巻く見物人の中から先ほど声をかけてきた男に近寄る。 「オジ様ぁ~。ねぇ、ライターもってるぅ?」 男はジャケットからライターを出し水銀燈に手渡す。 「あぁ、ライターならあるよ。しかし姉ちゃん強いなぁ」 火をつけ深呼吸するように馴染んだ煙を体内に入れる水銀燈。 「そう?でも本当に強いのは我慢して手を出さずにいたその子よぉ」 そういい目線を地面に座り込む翠星石に向けてニコリと笑う。 「水銀燈・・・す、翠星石は怖かったのですぅ~」 翠星石はそう言い、立ち上がると水銀燈の肩に頬を乗せる。 水銀燈は優しく翠星石の頭に手を乗せなでていると通報されたのか救急車と パトカーがゆっくりと通りに入ってくる。 鼻からしたたる血をハンカチで押さえ救急車に乗り込む男に向かって 水銀燈は翠星石に接してる時と違う笑みを見せて言う。 「運が良かったわねぇ、相手が私じゃなくて金髪のツインテールの子だった らァ、今頃は自分の足で救急車に乗れなくなってるわよォ~、ウフフフ」 水銀燈と翠星石が詳しく事情を話し警察署から出る頃、真紅、雛苺、金糸雀 薔薇水晶の携帯に蒼星石から連絡が行く。 「ふゆぅ~、やっぱり水銀燈はつよいの~。翠星石は大丈夫だったの~?」 「うん、水銀燈が助けてくれたから大丈夫みたいだよ、それじゃ金糸雀に 連絡するよ。バイバイ」 「ランディーを相手にしたエロオヤジの方が災難だったかしら~」 「そうだね、でも真紅が相手だったら今頃もっとヒドイことになってるよ じゃあ薔薇水晶に連絡するから、また明日ね。バイバイ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「あのぉ、薔薇水晶?僕の話、聞いてる? じゃ、じゃあ 真紅に連絡するからまた明日ね、バ、バイバイ」 「病院送りですってェ~? まったく水銀燈は腕力にモノを言わせすぎ なのだわ!」 「そ、そうだね、真紅だったらもっと大人の対応ができてるよね・・・?」 一通り連絡した蒼星石は一息入れ、熱いほうじ茶を口に運んでいると 翠星石が帰って来た。 「今帰ったですぅ~。水銀燈も一緒なのですよッ、今晩は泊まりですぅ」 蒼星石が出迎えると玄関で水銀燈が笑顔で手を振っている。 「翠星石が帰り道が怖いとか言うからぁ、来ちゃったわァ」 「す、翠星石はそんな弱気なこと言ってないですぅ!水銀燈がかってに 犬っコロみたいに付いてきやがったのですぅ」 「ウフフ、じゃぁ翠星石は子ネコみたいに私に引っ付いてたわよぉ」 「なッ、何を言いやがるですかァ」 2人の会話に笑みをこぼす蒼星石。 「水銀燈、今日は本当にありがとう。今夜はゆっくりして行ってよ」 3人は翠星石の部屋で音楽の話やそれぞれこれから一緒に進むであろう 未来の夢や目標について冗談交じりではあるが時に熱く語る部分もあった。 卒業したら薔薇乙女で東京に進出、その後は世界を相手に大暴れ!3人は 冗談とも取れる話で盛り上がった頃、水銀燈が大きく背筋を伸ばすのを見た 蒼星石は水銀燈に風呂を進める。 「僕はもう入ったから水銀燈、お風呂に入っていったら?」 「私は最後でいいわぁ、翠星石が先に入りなよォ」 「覗くんじゃねぇですよッ」 翠星石がそういい残して風呂に行くと蒼星石は水銀燈に改めて礼を言う。 「本当に翠星石を助けてもらって何て礼を言ったらいいのか・・」 「イイわよぉ礼なんてぇ、同じ薔薇乙女っていう仲間じゃないィ」 「ありがとう水銀燈。ところで泊まるって家に連絡しなくていいの?」 「いいわよォ、あんな狭い家に私の居場所なんて無いんだから」 「狭い?水銀燈の家は凄い大きなお屋敷だよね?」 薔薇乙女達が住むこの海沿いの街で水銀燈の家は戦前からの貿易で財を なした祖父の代から続く名門であった。小高い丘に建つ洋館にはいつも 四季を感じさせる花が咲き乱れ道行く人々から羨望の視線をうけていた。 ただ母親は水銀燈を産むとすぐに他界し父親は幼い頃から海外を飛び回り 水銀燈と顔を合わすのは年に1~2回ほどでしかなかった。 真紅達と出会うまで水銀燈はその広い屋敷の中でいつも独りぼっちの 時間を過ごしていた。そんな水銀燈にとって大きな洋館はただの空洞に 過ぎない。 「ふんッ、あんなのは見せかけの何もない箱だわァ」 やや重い空気が生まれようとした時、いきおい良く翠星石が風呂から 帰ってくる。 「くぁぁ~、サッパリしたですぅ。さぁ水銀燈も入りやがれですぅ」 「じゃぁそうさせてもらうわぁ」 湯船につかる水銀燈は改めて薔薇乙女というバンドを考えてみる。 バンド 仲間 信頼 かけがえのない親友達 そして最高の家族。 「水銀燈、着替えのシャツなんだけど、僕のを置いてるからね」 蒼星石の声に短くアリガトウと答え浴槽から出る水銀燈。 蒼星石のシャツを着て部屋に戻ると蒼星石から羨望の声が出る。 「うわぁ~、やっぱり水銀燈はスタイルいいね。羨ましいよ」 銀色の髪はシットリと濡れて細い湯気が上がり、体温が上がった頬は ほのかな赤みを差し、ウエストは細く括れ、丸みがありやや小ぶりな ヒップから伸びる足はしとやかなツヤを見せてスラリと伸びていた。 「そんなに見ないでよぉ~。恥ずかしいじゃないィィ」 「ヘンッ、水銀燈のどこがスタイルいいのですかッ?翠星石にとったら 水銀燈のオシリなんてただのサンドバックですぅ」 そう言うと翠星石は水銀燈のオシリにパンチを笑いながら打ち込む。 「ちょっとォ、何するのぉ?」 水銀燈は翠星石の手を払い、そのまま覆いかぶさるようなポジションを取り 翠星石の脇に手を伸ばす。 「キャハハハ~、止めやがれですゥ、くすぐったいですぅ。キャハハ」 「乙女のヒップにィ、パンチを入れた罰よォォ」 足をバタつかせて笑う翠星石をくすぐる水銀燈を見て苦笑する蒼星石。 「何をやってんだか・・・まったく子供みたいだね」 その言葉に水銀燈と翠星石は一斉に蒼星石に襲い掛かる。 「うわぁ~、止めてよ。アハハハ~」 ただの仲間から音楽が始まりバンドを組み、そのバンドから生まれる音と メロディーが仲間としての繋がりをより深めていく。 水銀燈、翠星石、蒼星石はそんな絆を明け方まで続いた笑顔と笑い声の 中にしっかりと感じ取っていた。もう独りぼっちじゃない、水銀燈にとって 仲間は家族でありそれ以上の宝物に感じられていた。 その後、停学が解けて登校した水銀燈に担任の梅岡から「退学」の 2文字が告げられた。 停学開けに指導室に呼ばれた水銀燈は突然の言葉に怒りを表す。 「はぁ~? なぜ退学なのよォ!!」 説明を求める水銀燈の言葉に梅岡は苦い表情で説明する。 相手に非があるとはいえ2ヶ所の骨折を負わせた暴力であり先に 手を出したのが水銀燈であること、停学中でありながら夜の街で 警察沙汰になったこと、その際にタバコを所持していた事が上げられた。 「じゃぁ、私が居なかったらぁ翠星石はどうなってたのよォ?それにぃ 私は仲間を見捨てるような腐った女じゃないわァ~」 「翠星石の件に関しては意見の分かれる所だが、お前が起こした暴力や タバコの所持だけでも大問題だ。お前はあの名門の・・」 水銀燈は梅岡が言った言葉に敏感に反応する。 「あんな箱みたいな家なんか関係ないわァ~、こんな学校も同じクソよ!」 そう言い床にペッと唾を吐きかけ、前にある机を蹴飛ばす。 「こんなところ辞めてやるわぁ~」 そう言い残し水銀燈は派手にドアを開けると出て行く。 かなり遅刻気味に登校した金糸雀は校門を出て行く水銀燈とすれちがい 足を止めた。 「ちょっと水銀燈はどこに行くのかしら~?」 「辞めてきたわぁ、こんなバカらしい所は今日でサヨナラよぉ~」 そう言いながら水銀燈は背を向けたまま手を振り駅の方に歩き出す。 授業が終わろうとした時、マナーモードに設定している携帯が細かい振動で 着信メールを真紅に知らせる。金糸雀から来たメールに目を通す真紅。 ガタンッ、真紅が大きな音をだし席を立つと同時に授業終了のチャイムが 響く。そのまま真紅は廊下に出て梅岡の姿を探し出す。 「話があるのだわ! なぜ水銀燈が退学なのか説明して頂戴!」 そういい真紅は梅岡の手を引き近くにある美術室に入る。 梅岡は水銀燈に告げた退学の内容を真紅に説明する。 その梅岡の目を見据えた真紅の口から言葉が出る。 「翠星石を助けたのは考慮してくれないの?」 「それを考慮してもダメだ、職員会議でも決まった事だ。それに」 「それに、何よ、はっきり言うのだわ!」 「水銀燈といい翠星石といい、あんな場所で何をしてたんだか。 お前達バンドをしているとか言いながら本当は違うことをしているん じゃないだろうな?」 「違うこと?それは何のことを言ってるの?まさか・・・」 「最近、この街で援助交際が多発していると聞いている。お前らもその中に 入ってるんじゃないのか?」 ありもしない疑いと疑惑を投げかけられた真紅の表情は怒りの色を見せる。 しかし真紅にとって怒りの色は水銀燈や翠星石、その仲間達を侮辱した梅岡 の言葉と表情に対してだった。 真紅の手が素早く梅岡のネクタイを掴むとそのままグイッと力任せに引く。 梅岡の顔は真紅の顔と数センチまで近づく。 「何ていったの? 今ここで殺してやるのだわ!」 掴んでいるネクタイを締め上げる真紅。梅岡の顔色が変わってきた時、 美術室の扉が開き授業の用意に入ってきた教師に真紅は梅岡から引き離される。 「おい、真紅。何をしているんだ」 真紅から開放された梅岡は床に膝を着き激しく咳き込む。 真紅の肩を押さえている教師の後ろから授業を受けるクラスが入ってくる。 「ねぇ、ナニ、ナニこれぇ。また真紅よ~」 「本当ォ、うわぁ、見て見て。梅岡のヤツ顔色ヤバイんじゃないィ~」 「知ってた?水銀燈ってヤツ退学だって。これで真紅も退学決定ね」 「イイ気味ね、ちょっとバンドで人気があると思ったらツケ上がって」 真紅の耳に生徒のヒソヒソ話が小さく入ってくる。その生徒達を睨む真紅。 「そこをドキなさい、邪魔なのだわ!」 美術室から出て行く真紅の後ろで梅岡が怒鳴る。 「おい、真紅。あとで職員室に来なさい!」 その声など耳に入らないかのように真紅は出て行った。 水銀燈の後を追いかけた金糸雀は駅へと続く橋の上で水銀燈に追いつく。 「ねぇ、水銀燈は本当に辞めちゃうのかしら?」 「ふんッ、退学なんだからぁ、しょうがないじゃぁない~」 (コレももうイラナイわねェ~) 水銀燈は鞄から停学中にまとめたレポートを取り出し橋の上から投げ捨てた。 5月の風に乗ったレポートがヒラヒラと舞いながら海へと続く川に落ちていく のを水銀燈と金糸雀は無言のまま見ていた。 (4)へ戻る/長編SS保管庫へ/(6)に続く
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/514.html
お題『雛苺 泥酔』 カラン… スカイラウンジから夜の街を一望しながら、グラスに注がれたウイスキーを飲み干す水銀燈。 店内には心地よいピアノの音色が流れ、カクテルの甘い匂いが鼻孔をくすぐる。 薄暗い店内は… 雛苺「うえー…まっずいのー…」 水銀燈「…ムードをぶち壊してくれて、ありがとぉ…」 ため息をつきながら、水銀燈は頭を抱える。 実は今日、雛苺の「お酒なんて飲めない」という発言を機に、水銀燈がその楽しさを教え込むため、むりやりこんなムードのあるところへ連れてきたのだ。 …もっとも、雛苺を酔いつぶれさせて、みっともない姿を写真に撮ってやろうというのが、本心だったのだが… 水銀燈「…マスター、カシスオレンジでも作ってあげてくれるぅ…?」 結局、水銀燈は作戦を諦め、度数の弱いお酒を雛苺に勧めた。 雛苺「やー!!ジュースのほうが美味しいのー!!」 水銀燈「声が大きい!!全く…連れてくるんじゃなかったわぁ…」 カシスオレンジを吹きだし暴言を吐く雛苺に、ほとほと呆れる水銀燈。 ため息をつきながら、雛苺にある質問を投げかける。 水銀燈「雛苺…。あなた、果物で何が一番好き?」 雛苺「イッチゴー♪」 水銀燈「…マスター、ストロベリーカクテル…。あと、この子をお願い…。」 そう言うと、水銀燈は別の席の男性の下へと行ってしまった。 どうやら、『獲物』はすぐ罠にかかったらしい。 雛苺「…ふーんだ。水銀燈から誘ったくせに…。あ!これ美味しいの!!ますたー、おかわりー!!」 こうして、雛苺もようやくお気に入りのお酒が見つかったようだった。 水銀燈「あなたといると、ホント楽しいわぁ♪ねぇ、今度渋谷とかで会わなぁい?」 蜘蛛が獲物に糸を巻きつけるように、徐々に相手を罠へ陥れようと画策する水銀燈。 あとは、街に出て欲しいものをおねだりすれば、事は済むはずだった。 が、ここで思わぬ邪魔者が入る。 店員「あの…申し訳ありません…。お連れ様が…」 その言葉に雛苺を見ると、そこには見事に床で眠りこける雛苺の姿があった。 元々、夜10時には寝る体質だったのと、カクテルを何度も一気飲みしたのがかなり効いたようだった。 手際よく、先ほど一緒に飲んでいた男性に『仕事用』のケータイの番号を書いた紙を手渡すと、水銀燈は雛苺を起こしにかかる。 水銀燈「ほーら、さっさと起きて!もう帰るわよぉ…ほーらっ!」 しかし、何度ゆすっても雛苺は起きようとしなかった。 仕方なく、水銀燈は雛苺をタクシー乗り場までおぶって帰ることにした。 満天の星空の下、ふらふらと雛苺をおぶって歩く水銀燈。 最初はそれほど苦でもなかったのだが、徐々に歩くスピードも鈍ってくる。 水銀燈「何で…この私が…こんなことを…」 恨みがましい口調で、水銀燈はつぶやいた。 雛苺「…ごめんね…。水銀燈…。」 水銀燈「なぁに?あなた、起きてたのぉ?」 雛苺「うー…」 水銀燈「…といっても、歩けそうにないわねぇ…。仕方ない、今日は特別よぉ…。」 雛苺「ありがとう…。ヒナ、水銀燈のこと…大好きだよ…」 水銀燈「嬉しいわねぇ…。私も、あなたのこと好きよぉ?なーんか、あなたにだけは警戒心が薄らいじゃうのよねぇ…。子供みたいって言うか…。」 雛苺「もー…ヒナはお子様じゃないのよ?お酒だって飲めるし…」 「悪かったわぁ。」と謝ると、水銀燈はあることを考えた。 私も、いつか子供が出来たら、こんな風におぶって歩くようになるのかしら…と。 そして、「それも、悪くは無いかもねぇ…」とも考えていた。 しかし、思うことはそれだけではなかった。 水銀燈の頭の中に、次から次へとまるで滝のように、色々な考えが浮かんでくる いつまでも1人でいるのも気軽でいいけど、やっぱり最終的には覚悟を決めなくてはいけないのだろうか… そして、この先…そんな人が私に現れるだろうか… 昔は、ただ暇がつぶせればそれでよかった…でもこれからは…。 水銀燈「結婚かぁ…」 かみ締めるように、水銀燈はそうつぶやいた。 完 続き(他の人が書いたやつ)
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/101.html
Story ID zOptExS00 氏(14th take) 「Rolero」 Lyrics ID zOptExS00 氏(14th take) いつになく真剣に1通の手紙に目を通す水銀燈の姿が楽屋にあった。 ~こんにちは水銀燈様 私は去年の夏から病院にずっといます。 去年のクリスマスに看護婦さんがくれたローゼンメイデンの 歌が好きになりました。特に水銀燈様が好きです・・~ そのファンレターの差出住所は水銀燈が住むマンションから100mも 離れていない病院からだった「00ホスピタル」口に出してつぶやく。 「あら、どうしたの水銀燈どこか悪いの?」と病院名を聞いた真紅が 心配そうに水銀燈の顔を覗き込む。 「いやぁね~真紅。どこも悪くないわ、それより外の空気を吸ってくるわ」 とレコーディングスタジオから出て行った。水銀燈は知っていた、この 病院は重病患者が多く入っていることを いつもと少し様子の違う水銀燈に気付いた真紅が少し時間を置いて後を 追いかけるとロビーのソファーに深く腰を掛けている水銀燈を見つけた。 「どうしたの水銀燈、あの手紙を見てから様子が変だわ」 無言で手紙を真紅に手渡す水銀燈、真紅も無言で手紙の内容を見る。 水銀燈にこの病院、とくに小児科病棟は重病患者が多いと聞かされる。 「水銀燈、この病院は近いわね、今から行くのだわ」と真紅は水銀燈の 腕を掴みながら言うとそのまま玄関先にあるタクシーに飛び乗った。 「バカねぇ、今消えたらレコーディングはどうなるの?」 「大丈夫よ水銀燈、貴方のパートはほぼ終えてるわ、歌入れは後からでも できるのだわ、それに翠星石は居ないし・・」それを聞いた水銀燈も 「そうねェ」とだけ言うと昼食を食べてくると言い残しフラリと遊びに 出かけた翠星石のことを思い出しているとタクシーは病院前で止まった。 不意に現れた真紅と水銀燈の姿に一時ロビー内が騒然となったが機転を 聞かせてくれたナースがすぐに関係者用のエレベーターまで案内する。 「まさか5分前に貰った電話が本当だったとは・・彼女の病室は」と 案内されたのは一番奥の個室であった。ただ薬で眠っているらしく今回は そっと部屋を覗くだけに留まった。ファンレターどおりのローゼン、特に 水銀燈のファンらしく病室にはポスターやグッズなどが目に付いた。中でも 水銀燈が気に入ってつけているピアスなどが綺麗に枕元に並べてあった。 そこに2人でサインをしそっと病院を後にする。帰りの車内で口にだす。 「水銀燈、あの子は・・」「真紅ぅ、あの子は」2人同時にでた言葉だが 後にはなにも続かなかった。 1週間後メンバーはそろってお忍びで彼女の病室を訪問した。サプライズと いうことで何も知らない彼女は最初は戸惑っていたが水銀燈が彼女のベッド に腰掛て彼女が好きだという曲を弾き他の病室の迷惑にならない程度で 歌った。雛苺がすかさずデジタルカメラのボタンを押す。その後は薬の時間 なので彼女はやがて眠ってしまった。またすぐにメンバーで会いに来る 約束をして・・・・ 3枚目の最新アルバムからハードな曲、可愛いポップス調の歌、切ない バラードを次々と披露していくメンバー。真紅のビブラートと水銀燈の 切り裂くようなチョーキングでステージは終えた。数万の「アンコール」 が数分間続いた後に真っ暗に照明を落としたステージに一人スポットライト の中に水銀燈の姿があった。手にはアコギを持って。 「Rolero」 ~1stアルバムからの曲~ Lyrics Music 水銀燈 ブラインド越しの外は 時の渦に飲み込まれて 銀のピアス 薔薇のシルエット ガラスの微笑み チープな夢に踊らされ 堕ちた天使の羽は折れ 何かを求め 夜の街で舞おう 崩れた天秤の上で Oh 傷だらけの言葉よ Oh 迷路のような魂よ Oh Oh Ah ウソを付いた傷口が奏でる 涙のように 刹那のキラメキに癒されて 黒い羽が遊ぶ 瓦礫の町並みに 微妙なジョークからませて 誘惑に濡れて 月明かりに揺れる私のフィクション シルクの波と ワインの海に 酔わされて Oh 光と影が世界を映し Oh 夢の狭間で消えていく Oh Oh Ah 廻る世界は 出逢いと別れ 背中合わせの物語 いつもならこの曲は薔薇水晶の暗く神秘的なイントロで始まり水銀燈のギター と翠星石のドラムが一気に入る激しくも幻想的な曲なのだが、今回は 水銀燈がアンプラグドで歌っている。元々が幻想的な曲が少し哀愁と 悲しみをミックスさせたような雰囲気を出し、ホール内を満たした。 後にこのコンサートを収めたライブCDのジャケットには雛苺が取った 病院のベッドに腰掛て優しい顔をした水銀燈の写真が使われた。 そのアルバムにはそっと「この曲が好きだといってくれた私たちの 親友に贈ります」とのメッセージが書かれていた。 コラボ作品保管庫へ
https://w.atwiki.jp/rozen-yuri/pages/4.html
「退屈ねぇ。どこか出かけましょうか」 ベッドから起き上がって提案をする。 それは日常茶飯事であって唐突でもあった。 水銀燈はいつだってそうだ。 前触れもなく好きなときに自分の欲求を満たす。 それでもそんな水銀燈に引かれて今は傍にいる。 「水銀燈、どこに行きたい?」 野暮なセリフだったかもしれない。 きっと水銀燈はこういうって分かっているからだ。 「蒼星石に任せるわぁ」 手のひらをひらひらと倦怠感をあらわにしながら再びベッドに身を任せる。 どこに行こうかななんて考えながらカップにお茶を注いで外を眺めた。 昨日まではしとしと降る雨に文句をいう水銀燈の相手をしていたことを思い出した。 「梅雨ももう終わり・・・・なのかな?」 この島国の独特ないやな季節をどこか懐かしげにぽつりとつぶやく。 ふと何かを思い出し、蒼星石はポケットの中の2枚の紙切れを握り締めた。 雨上がりの日中は少し湿っぽい。 バス停の前で照り返してくる陽射しをうっとおしそうに水銀燈は目を細めた。 「ごめんね、でも向こうに着いたら空調も聞いているだろうし・・・・」 日傘を少し前のめりに水銀燈へ差し出しながら申し訳なさそうに蒼星石は笑う。 そういうちょっとした心遣いが水銀燈は気に入っている。 「平気よぉ。だって太陽は蒼星石の命で活動しているわけじゃないもの」 時々見せる猫のような水銀燈の表情が愛しい。 水銀燈はそのまま周囲の目を憚ることなくそっと蒼星石の頬へ口付けをした。 温かく心地よい感触が頬にあたり、頬が少しカッと熱くなるのが分かる。 生憎、手は日傘を持つことに専念しているため水銀燈にされるがままなのである。 「やっとバスがきたわぁ。行きましょう、蒼星石」 「うん・・・・」 日傘を畳んで一緒に乗り込む。 水銀燈が窓側に、蒼星石が通路側という形で二人掛けの椅子に座った。 映り行く景色に水銀燈は相変わらず目を細めて眺めている。 最近分思うことだが、彼女は何もつまらないからそうしているわけではない。 これは蒼星石の考察でしかないが、水銀燈はこうしていることで自分に興味を持って欲しいのではないかと思う。 「水銀燈は僕がどこに連れて行こうか分かるかい?」 「フフ、蒼星石が連れて行ってくれるところですもの。きっと素敵なとこよぉ」 翠星石の愚問に水銀燈ははにかんで答えた。 「とても・・・・素敵ねぇ」 水銀燈から感嘆の言葉が漏れる。 彼女なら喜んでもらえると分かっていても胸がくすぐったくなってくる。 「(マスターから頂いた水族館のチケット、持っていてよかったな)」 「今度はあっちを見てみましょう」 子どものように目を輝かせる水銀燈に胸が熱くなってくる。 蒼星石は水銀燈に手を引かれて見て回る。 繋いでいる手に目をやって一人頬を赤く染めた。 「ここは少し暗いね。夜の海の雰囲気を出しているのかな?」 「ええ、そのようね。ここはゆっくりと観て回りましょう」 今度は蒼星石がエスコートをする。 握り返される水銀燈の手のひらが心地よい。 周りを見るとこのスポットはやたらカップルが多い。 彼女たちと同じ考えて涼を得ながらのデートスポットとしては最適なのであろう。 ところどころに座って観れるようにベンチが設置してあるのは館の憎い演出なのだろうか。 「なんだか落ち着くわねぇ」 うっとりとしながら立ち止まり、二人で水槽を見つめる。 魚たちはこちらを気にするでもなく優雅に泳ぎまわっていた。 ふと視線を水銀燈へ視線を移す。 不意にその視線の先に見えるベンチに座ったカップルが抱き合ってるのが見えた。 「フフ・・・・あっちが気になる?」 正直、ローザミスティカが口から飛び出てしまうかと思った。 「蒼星石、落ち着いたかしら?」 空いているベンチに二人で座る。 水銀燈は首から提げていた水筒から温かい紅茶を注いでまだ落ち着かない蒼星石に差し出す。 「あはは、みっともないところ見られちゃって・・・・恥ずかしいなぁ」 紅茶をコクコク喉を鳴らしながら飲み干す。 こんな痴態を晒してしまっては冷静でなんていられない。 紅茶の香りだってまともに感じることなんて出来なかった。 「あら、好き同士が抱き合ってお互いを感じてるところを見るのが恥ずかしいの?」 「え?いや・・・・あの・・・・あんなにまじまじ見ちゃってでばがめっていうか・・・・あはっ、僕、何言ってるんだろう」 「正直に答えてちょうだぁい。蒼星石はそれを見てどう思っちゃったのかしらぁ?」 蒼星石の考えなんて知っているくせにわざとらしく水銀燈が尋ねる。 当の本人は顔を赤く染めながら俯き、可愛らしく自分の膝の上で手をぎゅっと握り締めて耐えていた。 水銀燈は愉しそうに表情を変える蒼星石を見ながら返答を待っている。 「あのっ、その・・・・」 素直に口に出せない自分がもどかしい。 それでも水銀燈は笑みを絶やさず見守っている。 「えっと・・・・僕・・・・僕も水銀燈と・・・・」 「ごめんなさぁい。意地悪な質問だったわね」 フッと視線をそらして空いたカップへ少し紅茶を入れる。 それをすっと蒼星石の目の前にまた差し出す。 「私に紅茶、飲ませてくれるぅ?」 猫なで声で水銀燈が微笑む。 水銀燈には正直敵わないなぁと思わずはにかんだ。 ベンチから立ち上がり、口に紅茶を含む。 今度はその香りと温かさがじんわりと蒼星石の口の中に広がった。 水銀燈がゆっくり目を閉じてこちらへ顔の角度を変える。 再びドキッとなりながらその頬へ手を当てゆっくり顔を近づけていく。 水銀燈の柔らかい頬が心地よい 「―――んんっ・・・・んふぅ・・・・」 できるだけ優しくゆっくりと口付ける。 このベンチの後ろには観葉植物があり、多分見られていないはず。 それでもドキドキしながら口の中の紅茶を少しずつ水銀燈へ流し込んでいった。 コクコクと喉を鳴らす水銀燈がとても愛しくて堪らなくなる。 「んっ!」 蒼星石の身体がちょっと激しく反応する。 口移しで紅茶を飲み干した後も水銀燈はキスを続け、さらに深く口付けた。 「んふぅ・・・・んんっ・・・・」 進入してくる柔らかい水銀燈の舌が絡んでくる。 下から蒼星石の頭を抑える形で少し長い口付けを愉しんだ。 不意にポトっと蒼星石の帽子が転がるが二人は気にすることなく続けた。 「んっ・・・・ぷはぁ・・・・フフ、おいしかったわよぉ。蒼星石の紅茶」 「・・・・はぁ・・・・すごく照れるけど・・・・嬉しかった」 再び腰掛けて一息つく。 静寂な時間が今の二人にはとても心地よかった。 ふと帽子を落としたことを思い出し席を立つ。 「あれ、これ蒼星石の帽子なのー」 「ほんとですぅ。蒼星石、どこにいるですか?」 「二人とも、隊列を乱してはいけないのだわ!」 どこかで聞いたことのある声が二人の耳に届く。 水銀燈と見つめ合って、二人は席を立った。 「ごめんごめん、帽子落としちゃったよ。拾ってくれてありがとう」 「あー蒼星石と水銀燈なの~わーい」 たたっと雛苺が二人にまとわりつく。 とても柔らかい表情で蒼星石は雛苺の頭を撫でてあげた。 雛苺もとても嬉しそうに撫でられている。 「ちょっと、水銀燈何かあったですぅ?蒼星石のやつなんだかいつもより肩の力抜けてるっていうか・・・」 「あら、私は何もしてないわぁ。逆にされたけど・・・・フフ」 「?」 「二人とも、隊列を乱さないで!ここであったのも何かの縁なのだわ。水銀燈たちも一緒に見て回りましょう」 プリプリとしながら真紅がくんくんの絵が描かれた旗をぱたぱたさせる。 どうやら真紅を先頭に色々見て回っていたようだ。 「じゃあ、一緒にいこうか」 「そうねぇ。せっかくだしぃ、愉しそうだから付き合ってあげるわぁ」 無邪気な水銀燈の笑顔に蒼星石もふわりと笑う。 水銀燈と蒼星石は皆に見えないように背中に隠し手を絡め繋いで皆と歩いていった。 「ゴボボボボ、そうくるのね~。ゴボボ、水銀燈もやるようになったわねぇ」 たまたま水族館の水槽の掃除に来ていためぐさんが水中用デジカメ片手にドールの様子をみていた。 「ゴボボ、今度水銀燈に口移しで紅茶を飲ませて貰わないといけないわ~」 後日、言葉どおり、水銀燈はめぐに呼ばれて弄ばれるのだった。 おしまい
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/643.html
水銀燈「先生…どうして…?どうして、私じゃいけないの…?」 教師「うーん…はっきり言うと、君より真紅君のほうが面接に受かる可能性が高いんだ…。推薦入試の特待生枠は1名だけだからね…。少しでも可能性のあるほうを推薦したいんだよ…。」 それは、水銀燈が中学生の時の出来事…。家の事情を考えると、水銀燈が高校に進むためには学費免除の特待生を狙うしか方法がなかった。 しかし、教師が下した決断は『真紅』…。 こんなことは、過去に何度もあった。力だけなら私のほうが上のはずなのに、みんな真紅、真紅、真紅…。 そう…あの子は、私の全てを奪い…そして、私に無いもの全てを持っていた。 例えば、それは玩具だったり、洋服だったり…そして父親の存在であったり…。 愛するお父様に捨てられ、いわば『いらない子』として生まれた自分とは違い、蝶よ花よと可愛がられ育つ真紅の姿は、その頃の水銀燈にとって憎しみの対象でしかなかった。 その後、必死に勉強し、一般入試の部で見事特待生の座を射止めた水銀燈。 しかし、そんな彼女を待っていたのは、一部の女子による陰湿ないじめだった。 顔と頭が良い事もさることながら、他人と決して深く接しようとしない水銀燈の姿は、彼女たちにとって『生意気な存在』だった。 最初は陰口から始まった行動も次第にエスカレートし、ついには物を捨てられる、机や黒板にひどい落書きをされる、高層階から物を投げられるといった事が1日に何度も行われるようになっていった。 面と向かってなら決して他人に負けない自信を持つ水銀燈も、姿の見えないものからの暴力には何度も心が折れそうになった。 しかし、そんな時に真紅が声をかけてくれたおかげで、水銀燈は何とか持ち直した。 その時の哀れみの表情…そして弱者をいたわるような同情の言葉…。 そんな言動をしてくれた、真紅への憎しみによって…。 …そして、運命の日は訪れた。 少女A「…しっかし、アイツもよくこの状況で学校に来るよねー。あ…そういえば、言った通りちゃんとやってきた?」 少女B「うん。あいつのノートとか、全部トイレの中に捨ててきちゃった♪」 水銀燈「A…?」 それは、ある昼休みの出来事…水銀燈が行くあても無く、廊下をさまよっていた時の事…その時、不意に何名かの女子が階段の上で、何かについて話しているのが聞こえてきた。 A…それは水銀燈が高校に入って、初めて出来た友達の名前だった。 会話の内容に、胸を締め付けられるような感覚に陥る水銀燈。 『アイツもよくこの状況で学校に来るよね』…?『言った通りちゃんとやってきた?』…?まさかそんな…!? 祈るような気持ちで、水銀燈は彼女たちの会話に耳を傾ける。 …しかし、その思いは天に届くことは無かった…。 少女C「…でもさー、アンタもよくやるよねー。本当の事知ったら、アイツ自殺しちゃうんじゃない?」 少女A「いいのいいの。だって、面白いんだもん。アイツが…あの生意気な水銀燈が苦しんでるトコ、間近で見られるの…♪」 水銀燈「…そっか…。そういう事ね…。なるほど…」 陰に隠れながら、ポツリとそう呟く水銀燈。 この時、彼女の中の何かが…大切な何かが音を立てて崩れ去っていった。 水銀燈「A…ホント、私に近寄らないほうがいいわよ…。あなたまで酷い目にあわされるわよ…」 次の日の放課後、全ての真実を知りながらも、水銀燈はAという少女と一緒に廊下を歩いていた。 少女A「でも…私、水銀燈の事…ほっとけないからさ…。ほら、私たちいつまでも友達だって約束したじゃん?」 白々しくも演技を続ける彼女。 そんな彼女に、水銀燈は優しく微笑みこう言った。 水銀燈「ありがとぉ…」 少女A「水臭いなー、そんなんでいちいち感謝しないでよー。あ、そろそろ次の授業始まるよ!?急がなきゃ!」 そう言って、急いで階段を駆け下りようとする少女。 その背中を、後ろから力いっぱい押すと、水銀燈は小さくこう呟いた。 「…そして、さようなら…」 と。 その瞬間、派手な音を立てて階段から転げ落ちる少女。その少女に向かって、水銀燈はクスクスと笑いながら、こう言った。 水銀燈「あらぁ?意外と丈夫なのねぇ…。ま、そうじゃなきゃ、つまんないけどぉ♪」 少女A「な…何するの…水…」 水銀燈「気安く呼ばないでくれるぅ?あなた…この私に、随分舐めた真似してくれるじゃなぁい?次は、屋上から飛んでみる?」 少女A「…え…!?い、いや…殺さないで…。も…もう、しないから…」 水銀燈「何言ってるのぉ?私がこの半年、どんな思いをしてきたか…あなたが一番良く知ってるじゃなぁい?本当に、今すぐ殺してやりたい気分だわ…でも…」 そう言うと、水銀燈は少女の前髪をつかみ、その顔を引き寄せてこう言った。 水銀燈「…でも、刑務所とか行くの嫌だしぃ…今は殺さないであげる…。でも、死にたくなるように手助けしてあげるわぁ…。さぁ、何日持つかしら…?せいぜい楽しませてねぇ♪」 もはや、痛みと恐怖で失神寸前の少女。そこへ、彼女にとっての救世主がその場に現れた。 真紅「水銀燈…!?あなた、一体何をしているの!?」 水銀燈「…真紅?」 誰かの救いの手…ただの哀れみや同情ではなく、行動を伴ったもの…それは自分が十数年もの間、心の中で求めていたもの…そして誰も差し伸べてくれなかったもの…それが、この裏切り者にはわずか数分で現れた… それは、水銀燈にとって決定的な出来事だった。 水銀燈「…どうしてあなたは、いつも私の邪魔ばかり…。私が苦しんでいる時は何もしてくれなかったくせに、この子の時は随分素直に現れるのね…?」 真紅「な…何を言って…!?私はいつもあなたを救おうとした…!でも…」 水銀燈「そう…なら私を助けようとすることで、優越感を得ていたんでしょう?さぞかし楽しかったでしょうね…。私より、真理的な面で上に立てるんだから…」 真紅「違う!決してそんなつもりじゃ…」 水銀燈「あ…そうそう…。ちょうどいい機会だから、これ返すわね…。」 そういって水銀燈が取り出したのは、バラバラにされたクマのブーさんのぬいぐるみ… それは真紅が以前、水銀燈にプレゼントしたものに他ならなかった。 あまりの事に、真紅も半ば呆然としてしまう。 水銀燈「…もう、私は人の力なんか当てにしない…。全部自分ひとりでやってみせるわ…。そして、全てを叩き潰してあげる…。その間…あなたは、せいぜいお友達と仲良く遊んでなさぁい…。」 そう言うと、水銀燈は真紅に背を向け、その場を後にした。 …この日以来、彼女は他人に対し、ずっと心を閉ざし続けた。 数年後…彼女の運命を変える人が現れる、その日まで…。 完 その数年後のお話
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/49.html
前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集 レイ「今戻った……。すまん、今日はシンも怪我をしているから何時もの激しいのは無しだ」 水銀燈「おかえり……って、シン! どうしたのその怪我は!?」 シン「ああ、ちょっと戦闘でな。大丈夫、額が少し切れただけだ。 やっぱりインドの戦場はかなり厳しいな。数がうじゃうじゃ居る」 水銀燈「額って頭から血が滲んでるじゃない!……大丈夫なの?」 レイ「コーディネイターは治癒能力が高いし、この位なら数日で傷は塞がる」 薔薇水晶「……貴女随分取り乱すのね」 水銀燈「(かあああっ)おだまり! 別に心配しているんじゃないわ! ただ、主が怪我をしてしまったら何かと大変だし それが気になってアリスゲームに集中出来なくなるから他人事じゃないのよ!」 レイ「それを簡潔に言うと心配と言うんだ」 水銀燈「なんですって! 違うわ!」 シン「あーー、もぅ。解った解った。水銀燈、前の主が如何だったか知らないが 俺たちは軍人だ。戦場に出れば怪我なんて幾らでもするし、死ぬ事もある」 水銀燈「死…死ぬ。死ぬのは」 薔薇水晶「……そこでブロックワードとかダメ。キャラが違う」 水銀燈「おだまり!(ちぃっと舌打ち)」 レイ「そんなに心配なら着いていけば良いだろう。此処で騒がれても困る」 シン「……おいおい、そんな簡単に」 シン「……で」 水銀燈「なぁに?」 シン「何でお前がコックピットに居るんだ」 水銀燈「着いて来たのよぉ。幻じゃないわぁ」 シン「いや、それは見て解る」 水銀燈「なら良いじゃない」 シン「良くない!」 水銀燈「なんで?」 シン「それは、その……危ないし」 水銀燈「マスターとは一蓮托生よぉ。貴方が死んだら私が困るものぉ」 シン「それはそうなんだろうけど……ええいぃ、何と言うかその……邪魔」 水銀燈「なんですって! 人が…いや、私は人形だけど 貴女がイザという時助けられる様に乗り込んで上げたのに」 シン「……いや、心配なのは解るけどさ」 水銀燈「(かぁああっ)心配してなんてしていないわ」 シン「ああ、もぅ解った。だから、さっさと降り――」 メイリン「準備できました。インパルス発進どうぞ」 シン「え、ちょ、今水銀燈をおろ……ってうわぁあああーーっ」 水銀燈「や、そんな抱き締めても」 シン「違う、コレはGだ! 今すごい速度で飛んでるから引力が!」 水銀燈「??? 何を言って……やっ、そんなにされたら潰れちゃ」 シン「だ、大丈夫か!」 水銀燈「んっだめ …もっとゆっくり……優しくしてくれないと壊れちゃ……」 シン「いや、スピードはコレ以上落とすと落ちる! ちょっと待って……って敵が!」 水銀燈「きゃああっそんな持っていかれると」 シン「しっかり捕まって……くっ、相手もやる!」 水銀燈「んっ、イヤァ目が回ってきて……」 シン「普段飛んでるんだろ!」 水銀燈「そんなしょっちゅうアクロバットな事はしてないわぁ!」 シン「くっ、モロに被弾……って、熱上昇させる弾か!(アーマードコア?)」 水銀燈「シン……あ、熱いの……くぅっ」 シン「パイロットスーツも着てないから!? すぐ終わらせてやる。我慢してくれ!」 水銀燈「やっ、息も暑くて……」 シン「うぉぉぉぉおぉおおおおっっ!!!」 ―戦闘終了後 レイ「……凄かったな」 シン「ん? そうかいつもどおりと言うかむしろヘマってたけど」 レイ「いや、通信が」 シン「へ?」 レイ「敵味方全員に聞こえてたぞ。皆ラブコメに吹いてる最中に お前が落としていった居たがあれは新しい戦術……ではないよな?」 シン「(青ざめて首を横にフルフル)……マジで? 何処から」 レイ「最初から。しかもメイリンが取っていて皆、聞いてるぞ」 シン「……orz」 薔薇水晶「……激しい」 水銀燈「じゃ、ジャンクにしてやるわ! そんなものぉ」 薔薇水晶「……貴女、コンピューターって奴が弄れるの?」 水銀燈「知らなくても壊せるわ!」 薔薇水晶「モノを壊したらシンが怒る」 水銀燈「……じゃあ、どうすればいいのよぉ! こんなの流されたらもう」 薔薇水晶「……お嫁さんで永久就職って逃げ道とか」 水銀燈「(赤面)そんなの出来たら苦労しないわ!」 薔薇水晶「……したいの?」 水銀燈「(超赤面で頭から湯気が出て)……くっ!!」 薔薇水晶「……否定しないのね」 水銀燈「!!! お、おだまりぃ!(と言いつつ脱兎で逃げ)」 前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集