約 129,198 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2354.html
キズナのキセキ ACT0-3「アイスドール」 ◆ 右の武装脚を踏み込み、ほんの少しだけ身体を宙に浮かせる。 間髪入れずに、背部の増設バーニアを噴射。 地を這うように滑空し、猛スピードで対戦相手に肉薄する。 「くそっ!」 小さなつぶやきと同時、対戦相手のジルダリア型のハンドガン「ポーレンホーミング」から、弾丸がばらまかれてくる。 それを錐揉みしながら回避、逆にこちらも機関銃を構え、撃った。 ジルダリアは防御の姿勢。 数発着弾。花びらを模した装甲に阻まれ、ダメージにはほど遠い。 だが、足は止まった。 間合いを取ろうとしていたピンクのジルダリア型は、その場で相手を待ち受けざるを得なくなった。 両腕にマウントされた剣「モルートブレイド」を構える。 そこに白亜の神姫が飛び込んできた。 背後から伸びるサブアームを前方でクロスし、そ のまま体当たりしてくる。 「くうっ!」 たまらず声を上げたのはジルダリア。 力任せの体当たりを防御するも、弾き飛ばされる。なんとか空中で姿勢を制御した。 背面に取り付けられたリング状の武装は、花びらを模した武装が取り付けられており、推進器の役割も持つ。 その「フローラル・リング」はジルダリアの代名詞とも言える武装だ。 姿勢を取り戻したジルダリア型だったが、しかしこのタイミングは、迫る白亜の神姫にとって得意のパターン。 さらに踏み込んできた白い神姫は、サブアームを振り抜いた。 鋭い指を揃え、突いてくる。 この抜き手は狙いを外さない。 反射的に身をよじったジルダリアの身体をかすめ、背後のフローラルリングを打ち砕いた。 「しまった……!」 ジルダリア型の驚きを気にも留めず、白い神姫は間髪入れずに、逆の副腕で抜き手を放つ。 狙いは胸部。その奥のCSC。 あやまたず放たれた抜き手は、無慈悲にもジルダリア型の胸を貫いていた。 勝利したのは、白いストラーフ型。 その名を、ジャッジAIが画面に表示する。 『WINNER ミスティ』 ◆ 「いやー、まいったまいった」 頭を掻きながら筐体から離れた男が言う。 先ほどの、紅とピンク色にリペイントされたジルダリア型のマスター・花村耕太郎である。 彼の神姫・ローズマリーも、今は彼の肩の上でうなだれていた。 「今日はいいところまで行ったのに……」 ここのところ、ミスティとの対戦は連敗である。彼女は急速に力を付けてきていた。 「強くなったなぁ、久住ちゃん」 「いえ……わたしなんてまだまだ……」 セミロングの髪を上げ、花村を見る少女は、まだ中学生である。 控えめな口調で謙虚な言葉を口にする。 『七星』の一人を破ったというのに、久住菜々子は笑わない。むしろ、せっぱ詰まっている様子さえ見て取れる。 実際、菜々子はこの対戦に満足してはいなかった。 ローズマリーはノーマルのジルダリア型だ。各部の調整と細かなメンテナンスでポテンシャルを引き出し、知略戦略で戦う。 そのバトルスタイルについては、菜々子は大いに花村を認め、参考にもしていた。 菜々子はまだ中学生で、ミスティを満足にカスタムしてあげられない。わずかに、強襲用の背面ブースターを追加したのみだ。 だから、ノーマルでも強い花村は、今菜々子が目指すべき神姫マスターと言える。 だが、実力があるかどうかは話が別だ。 花村も『七星』の一人ではあるが、まだ二つ名もなく、他のメンバーに比べると実力は劣っている。 カスタムを施された神姫たちがひしめく、他の『七星』たちに勝つためには、現状で満足しているわけには行かない。 もちろん、この時の菜々子は、後に花村たちが『薔薇の刺』の異名を取るなどとは知る由もなかった。 とにかく、菜々子はバトルロンドで強くなることに必死だった。 それには理由がある。 「菜々子、絶好調じゃない」 「あおいお姉さま」 菜々子はそこでようやく、ほっとしたように微笑んだ。 『七星』一人・桐島あおい。 彼女の側に居続けるために。 彼女のパートナーであり続けるために。 菜々子はどうしても強くならなければならなかった。 ◆ 久住菜々子が想像していた以上に、『ポーラスター』における桐島あおいの人気は絶大なものだった。 ゲームセンター『ポーラスター』の神姫マスターの間で、『七星』のメンバーであれば、それだけで羨望の的だ。 彼らは『ポーラスター』に集う神姫マスターの代表である。バトルの実力ももちろんだが、それぞれのやり方で『ポーラスター』の対戦レベルの向上を図っている。 たとえば花村は、ノーマルあるいは公式装備にこだわるマスターたちのまとめ役である。彼を中心に研究グループができ、日夜ノーマル装備の可能性を探っている、という具合だ。 桐島あおいは、バトル初心者を見つけては声をかけ、バトルの講習を行い、対戦の面白さを知ってもらう活動を行っている。 そして、ゲームセンターへの定着をはかり、仲間を増やしていこう、という魂胆だ。 菜々子はあおいの魂胆にまんまとはまってしまったわけだ。 だが、その魂胆にはまったのは菜々子一人だけではない。まだ初級者に分類されるマスターたちの半分以上が、あおいの受講生だと言うから驚きである。 楽しく優しくレクチャーしてくれるあおい先生が、人気がないはずがない。 受講生たちはほとんどが桐島あおいのファンだ。特に女の子たちは、あおいの取り巻きとなっている。 もちろん、彼女の人気は女子だけに留まらない。 あの美貌、あの気立てのよさ、である。あおいとお近付きになりたいと思う男性マスターは大勢いた。 そんなわけだから、ゲーセンにいるときのあおいは、常に人に囲まれていると言っても過言ではない。 つい先日まで、あおいがその輪から離れることはなかった。 そう、久住菜々子と出会うまでは。 菜々子が『ポーラスター』に現れて以来、あおいは菜々子との時間を優先するようになった。 対戦していないときは、もっぱら菜々子の側にいる。 バトルロンドでは、ツー・オン・ツーのタッグバトルでコンビを組んでくれるし、対戦を希望すれば必ず相手をしてくれる。私的な練習にも、まめに付き合ってくれる。 しかも、タッグバトルのパートナーは、『七星』のメンバー以外では、菜々子とだけしか組まなくなった。 菜々子をひいきする理由をあおいに問いただしても、笑ってはぐらかされる。 当然、あおいの取り巻きをしている少女たちは面白くない。 彼女たちの矛先は、自然、菜々子に向けられた。 菜々子に対する「特別扱い」をやっかむ陰口は毎日のことだった。 また、ことあるごとに……いや、何もなくても、あおいの取り巻きたちは菜々子にしょっちゅう難癖を付ける。直接不満をぶつけに来る。 「いい気にならないで! あおいお姉さまはあなたのものじゃないのよ!?」 「……あなたたちのものでもないでしょう」 「みんなのものよ!」 「……お姉さまは、お姉さまのものだと思うけど」 「まあっ、生意気に言い返すつもり!? だいたい、あんたなんか、お姉さまのタッグパートナーに不釣り合いなのよ!」 「じゃあ、誰だったら、お姉さまと釣り合うの?」 そう言われると、取り巻きたちは声を詰まらせざるを得ない。 『七星』や上級者の常連ならともかく、初級者に毛が生えた程度の取り巻きマスターたちでは、タッグマッチでルミナスの足を引っ張るのがオチだ。 そう言う意味では、今一番の成長株と目される菜々子は、あおいのパートナー候補になりうる。 また、それなりの美貌がなければ、あの桐島あおいの隣に並んでも見劣りしてしまう。 本人が考えたことはないが、その点でも、菜々子は及第点をクリアしていると言えよう。 だからといって、やっかみの声が静まることはない。 菜々子は表立って反論するようなことはしない。そんなことをすれば、火に油を注ぐだけだとわかっている。 では、どうするか。 実力で黙らせる。 バトルの実力で、お姉さまの側にいるのにふさわしいことを証明してみせる。 『七星』なれるほど強くなれば、きっと誰もが、自分をあおいお姉さまのパートナーとして認めざるを得ないだろう。 だから、菜々子は最短距離で強くなろうとした。 その結果、彼女のバトルスタイルは、相手の弱点を容赦なく突き、勝ちばかりを求めるものになっていた。 だが、そんな菜々子のスタイルに、当のあおいお姉さまは難色を示す。 あおいが菜々子に求めるバトルスタイルは、勝ちばかりを意識したものではない。 それは「魅せる戦い」だとあおいは言う。 しかし、菜々子にはその意味が、よく分からない。 ◆ 「久住ちゃんも強くなったよな。そう思わないか、お姉さま?」 あおいと花村は並んで、観戦用の大型ディスプレイを見上げていた。 ディスプレイには、ミスティの戦いぶりが映し出されている。 現在、三連勝の表示。 「……まだまだね」 「手厳しいな。君の妹分だってのに」 「自分の身内に対しては、容赦しない主義なの」 「それは久住ちゃんがかわいそうだ……また勝つぜ」 その言葉とほぼ同時、ミスティは必殺の抜き手を放ち、相手神姫を撃破した。 連勝表示が一つ増え、四を示す。 「ほら。もう、常連の中でも頭一つ抜きんでてる感じだ。相手になるのは『七星』ぐらいじゃないか?」 「そうかもね」 「……だから、みんなに提案がある。俺は久住ちゃんを『七星』に推薦したい」 「え?」 あおいは花村を見た。 そして、その場にいた、『ポーラスター』の『七星』のメンバーたちも。 その時点での『七星』のメンバーは、花村とあおいを含めて六人だった。 「今日、招集をかけたのはそれか、花村」 「そうだよ」 武士型のマスターである『七星』メンバーの言葉に、花村は頷いた。 『七星』のメンバーに加入できるか否かは、メンバーの合議によって決まる。 といっても、堅苦しいものではない。誰かが推薦して、「いいんじゃない?」といった感じで決まることがほとんどだ。 「『七星』は今六人。久住ちゃんが加われば、人数的にもちょうどいい。 それに、彼女の向上心は、他のプレイヤーたちにもいい刺激になるんじゃないかな」 「なるほど」 「確かに」 「異議なし」 他のメンバーも、花村の意見に頷いている。 確かに、最近の菜々子とミスティの成長には、目を見張るものがある。 あおいの取り巻きたちと比べても、あきらかに一線を画した実力だ。あおいのパートナーを目指すマスターは他にもいるが、実力的にも相性的にも、菜々子に匹敵する者はいない。 他の『七星』に比べれば、まだ見劣りする実力も、すぐに追いつくだろう。 そして、菜々子自身、『七星』になることを望んでいる。 反対する理由は何もないように思えた。 だが。 「わたしは反対」 そう言ったのが、当のあおいであることに、花村は驚きを隠せない。 「どうして? 桐島ちゃんが一番喜んで賛成すると思っていたのに」 「まだ早いわ」 「そうは思わない。彼女は十分に強いじゃないか」 「確かに強くなった……でも、足りないものがあるのよ」 「足りないもの……?」 「あの子はまだ、勝ち負けしか見えていない。強いだけじゃ、ダメなの」 ミッションモードで乱入待ちをしている菜々子を見る。 バトル中の彼女は、いつも真剣な表情でディスプレイを見つめている。何か思い詰めたような様子さえある。 あおいは小さくため息をつき、菜々子の向かい側へと歩み寄る。 「菜々子」 「お姉さま」 「次、対戦、いい?」 「どうぞ……真剣勝負でお願いします」 「わかったわ」 あおいは鮮やかな笑みを見せて、向かいのシートに座った。 肩にいる自分の神姫を、アクセスポッドに寄せる。 「行くわよ、ルミナス」 「はい、マスター」 その後、ものの三分とかからず、ルミナスはミスティを撃破した。 菜々子はいまだに、本気のあおいに一度も勝てなかった。 ◆ 「だから、ただ勝てばいいってものじゃないのよ。もっと楽しまないと」 「それがよくわかりません。勝つこと、イコール、楽しいことじゃないんですか?」 「勝つだけが、バトルロンドの目的じゃないわ」 対戦後、自動販売機のあるコーナーで、冷たい飲み物に口を付けながら、二人は話していた。 幾度となくかわされた会話であるが、お互いの意見は平行線である。 あおいは、武装神姫のバトルには、勝敗以上の何かがあると思っている。 その「何か」を説明するのがなかなか難しい。 たとえば、自分の力を出し切ったときの充足感とか、自分の戦術が見事に当たった瞬間の気分とか、自分と神姫がまるで以心伝心のように意志を伝えあったときとか、自分の成長を感じられたときの嬉しさとか、そういったものだ。 それを感じることこそ、武装神姫の醍醐味、とあおいは思っている。勝利はその延長上にあるものにすぎない。 それを菜々子にも分かってもらいたい。 だが、我が妹は、そのことをなかなか分かってくれない。彼女は勝利を第一優先にしている。 対戦において勝利第一主義が悪なわけではない。ただ、あおいの主義と合わないだけだ。 だからこそ、菜々子の説得が難しい。 あおいはため息をついた。 「だから『アイスドール』なんてあだ名されるのよ」 「アイスドール?」 「あなたの異名。氷のように表情を変えずに、容赦なく弱点を攻撃する。まるで感情のない人形のように。だから『アイスドール』」 二つ名は、尊敬の意味を込めてつけられる場合が多い。 だが、菜々子のそれは、皮肉が込められている。そんな戦い方で楽しいのか、と。 また、ゲーセンでの菜々子は、あおいの側以外では、あまり表情を変えない。それは先日の悲しい出来事に起因しているのだが、知らない人の方が多いのだ。『アイスドール』の二つ名は、そんな普段の様子も揶揄されている。 しかし、菜々子はのんきにコメントした。 「へえ……ちょっとかっこいい、ですね」 そう言って小首を傾げた菜々子はとても可愛い。 あおいはがっくりと肩を落とした。我が妹は、二つ名の裏の意味にまったく気がついていないようだ。 あおいは頭に手を当てて、悩む。 どうすれば菜々子に、自分の考えを分かってもらえるのだろう? ◆ マスターたちの悩みをよそに、ミスティとルミナスはのんきに話をしている。 神姫である彼女たちも、マスター同様、すこぶる仲がよい。 お互いのマスターの肩の上で、マスターたちの話の邪魔をしないように、極長調波の音声で会話をしていた。 「まあ、わたしは『アイスドール』のままでもいいんですけどね。勝てているし」 「そうねぇ。わたしたちと肩を並べるために、まずは勝ちに行くっていう菜々子さんの考えも一理あるわよねぇ」 ルミナスはアーンヴァル型のカスタムタイプである。 本来、アーンヴァルは長距離射撃を得意としているが、マスターであるあおいの趣味で、中距離から近接格闘戦ができるような装備にカスタムされた。 背面の大型ブースターを、小回りの利くバーニアに変更。武装も、ロングレンジライフルを廃し、中距離向けのビームライフルなどに変えている。 コンセプトは最近発表されたアーンヴァルmk2に近い。 ルミナスの戦い方は「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を実現したようなスタイルだ。 最高速度の加速を捨て、機動力重視の推進を手にしたルミナスは、あおいの指示のもと、飛行機のアクロバットさながらの機動を見せる。 そして、急加速による接敵からの近距離戦に移行する動きは鋭い。 こうした機動を緩急つけて行うことで、ルミナスはあたかも空中で舞っているように見えるのだ。 その空中の舞を駆使した戦いぶりは、美しく、そして強い。 あおいとルミナスは、その戦い方から、『月光の舞い手(ムーンライト・シルフィー)』と呼ばれていた。 「わたしたちの戦いぶりと比べると、あおいさんとルミナスの戦い方は真逆ですけど」 「だからこそ、タッグバトルで噛み合うってのはあるわよね」 「わたしもそう思います……あおいさんは、何が気に入らないんでしょう?」 「ミスティに、わたしたちと同じような戦い方をして欲しいんじゃないかな」 「それは無理でしょう……うちのマスターの性格からして」 二人の神姫は、人には聞こえない声で、笑った。 ◆ 「今の、ルミナスとミスティのタッグは、こんな感じね」 あおいは、ルミナスを示す右の指をくるくると回して螺旋を描き、その螺旋の中心を貫くように、ミスティを示す左の指を一直線に動かした。 「コイル……ですか?」 「え? ああ……そうね、電磁石みたいね」 「勝ちがいくらでもくっついてきそうです」 我ながら、つまらないジョーク。 でも、電磁石で何の問題があるのかわからない。 華麗に舞うルミナスと、容赦なく敵を倒すミスティ。 そのミスマッチこそ、このペアの強さだとも思う。 だが、あおいはまた両手の人差し指を動かした。 「わたしが望むタッグバトルは、こんな感じ」 両手の指が、今度は互い違いの螺旋を描く。時に近づき、時に離れ、模様のような立体図形が宙に描き出された。 「二重螺旋……?」 「ああ、なるほど……遺伝子に似ているわね。 そう、二人が一緒に魅せる戦いをすれば、試合はきっと、勝ち以上のものに進化するでしょうね」 そう言って、あおいはにっこりと笑った。 「息のあったパートナー同士のタッグバトルは、すごいわよ? それはバトルなのに、まるでダンスを踊っているように見える……とても美しいの」 「……美しい?」 「そうよ」 自信たっぷりに頷いたあおいに、菜々子は首を傾げる。 菜々子は、そんなバトルをしたことがなかったし、名勝負と語り継がれるような試合を見たこともなかった。 戦闘行動は、その時どきの状況によって刻々と変化する。 それなのに、パートナーと息を合わせて戦うなんて、できるだろうか。 もちろん、菜々子とあおいのコンビは、ここ『ポーラスター』でもトップクラスの実力である。バトルの時のルミナスとミスティは息が合っていると思う。 これ以上、何が足りないというのだろうか。 「きっと、菜々子の戦い方には、個性が足りないんだと思う」 「個性?」 「そう。ミスティは、ストラーフ型の戦い方としてはすごく真っ当だけど、それは誰もがどこかで見たことのあるストラーフに過ぎないわ。サプライズが何もない」 「……でも、わたしは、お姉さまのように華麗な動きを指示できません」 困ったように言う菜々子に、あおいは苦笑した。 「わたしの真似をする必要はないわ。まずは、あなたらしい戦い方を模索してご覧なさい」 「わたしらしい……戦い方……」 それこそが今の戦い方なのではないかと思うが、違うのだろうか。 おそらく違うのだろう。ステレオタイプなストラーフの戦い方は、誰にでもできる、ということなのだ。 だけど、菜々子らしい戦い方、というのは、なんなのだろう? 「それができるようになったら、菜々子を『七星』に推薦するわ」 「えっ……」 「どう? もう少し頑張ってみる?」 「はい!」 微笑むお姉さまに、元気に返事をした。 他でもないお姉さまが『七星』に推薦してくれるというのだ。 そうなれば、誰に恥じることなく、あおいお姉さまのパートナーと名乗ることができる。 菜々子は俄然やる気になった。 その日から、菜々子とミスティの、オリジナルな戦い方を模索する日々が始まった。 □ 「ひとつ疑問があるんですが……」 「何かな?」 「桐島あおいは、なんで久住さんにこだわったんでしょう?」 ここまでの話を聞いて、俺が一番気になったのはそこだった。 ただ仲がいい、とか、お気に入り、と言うレベルを超えている気がする。 長い付き合いの他の常連たちを差し置いても、菜々子さんを特別にかわいがる理由が、何かあるのではないか。 花村さんは、少し考えてから、言った。 「……たぶん、桐島ちゃんは、久住ちゃんに自分を重ねていたんじゃないかな」 「……?」 「桐島ちゃんも、幼い頃に両親を亡くして……祖父母の元で暮らしてるって聞いたことがある。 あの頃の、打ちひしがれた久住ちゃんを見て、桐島ちゃんは放っておけなかったんだと思うよ」 なるほど、と俺は頷いた。 桐島あおいは、自らの境遇を菜々子さんに重ねていた。だからこそ、献身的に菜々子さんを支えていた。 菜々子さんも、桐島あおいの事情をいつか知ることになったのだろう。 武装神姫だけでなく、身の上でも、二人は共通の思いを抱いていたのだ。 二人が急速に惹かれ合い、寄り添ったのにも納得がいく。 それにしても。 花村さんが話してくれる菜々子さんの過去は、実に興味深い。 『ポーラスター』で過ごした菜々子さんの様子は、今の『エトランゼ』の戦闘スタイルが形作られていく過程だ。 スタンダードなストラーフ型のバトルが、いかにしてあのトリッキーかつパワフルなミスティのバトルへと変化するのか? 俺は期待を込めつつ、花村さんの声にまた耳を傾けた。 次へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2286.html
4th RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~3/4』 「こいつらが飛んできたせいで彼女が転んだんです」 警備員にそう言って、動かなくなった武士と騎士 (眠っていてもその顔はやはり濃かった……) を渡した後、こっそりと連れてきたレミリアと白黒神姫二体を人気のない玩具コーナーの箱の影に立たせた。 片腕が破損したアームパーツを外し、レッグパーツだけを装備しているため不自然に足が長くなり見た目のバランスが悪くなったレミリアは、色褪せた “リボルテックせんとくん” の箱に寄り掛かり、クールに腕を組んでいる。 「第三のヂェリーって知ってる?」 見た目はニーキと変わらないはずなのに、甲高い声もフレンドリーな性格もあの偏屈悪魔と大違いだ。 姫乃はどのようにあのストラーフを育てて、あんなへそ曲がりにしてしまったのだろうか。 レミリアの右側では、黒い神姫がいつの間にか武士と騎士から拝借した剣二本を両手に持って、振ったり眺めたりしている。 レミリアを挟んで左側の白い神姫は、さっきからずっとモジモジクネクネと落ち着きがなく、時折俺と目が合ったかと思うとものすごい勢いで顔を背け、またチラリチラリとこちらを向いている。 蒼く丸い瞳を上目に何かを言いたげだが、口を開きかけてもすぐに 「あ……」 と目を逸らしてしまう。 これでは話しかけようにもまともに会話なんてできないだろうと思い、とりあえず白い神姫は放っておいてレミリアの話に乗っかった。 「ヂェリー? なんだそれあぁっつあたた痛い!」 「神姫用の添加剤みたいなものよ。 口から飲むんだけど、神姫にとってのビールみたいなものなんですって」 姫乃は平然と解説してくれるが、血が止まりかけていた切創から再び血がにじみ出るくらい俺の手を握り締めてくれた。 「なにすんだよ! 俺の痛がる姿をそんなに見たいか!」 「ん? あ、うわ!? ごめん弧域くん! なんで私こんなこと――」 パッと手を話した姫乃には本当に悪気は無さそうなのだが、 「んー、でもなんでだろ。 なんとなく弧域くんに裏切られたような気がするのよねぇ」 と首を傾げてワケノワカラナイコトを言う。 「勘弁してくれよ……それで? その第三のヂェリー? がどうしたよ」 「第三のヂェリーって最近になって発売されたものでね、普通のヂェリーに似せてつくられた安物なのさ。 不味くはないし値段も半分くらいで悪いこと無しみたいだけど、ヂェリー好きの神姫にとっちゃあ飲めたものじゃないよ」 「ふうん。 神姫の世界も世知辛いもんなんだな」 「一日中お客さんの相手をしてさ、神姫にイタズラしようとする悪ガキだとか、万引きの見張りだとか、ある意味バトルより大変なんだよ、私達の仕事。 まぁ、だからこそ仕事上がりのヂェリーは格別なんだけどね」 「……まさか、あそこで労働条件がどうとかって叫んでる神姫達の要求って」 「今拡声器で叫んでるアーンヴァルはフランドールって名前で、私と同期でこの仕事も随分長いんだけどさ」 《繰り返す! 店側は第三のヂェリー支給を即刻撤回し、今までどおり普通のヂェリーを支給せよ!》 「新人の時からヂェリーのために生きてるような神姫でね。 いつものヂェリーが第三のヂェリーに変わった途端、他の神姫をまとめ上げてこの騒動、ってわけ」 「す、すごい行動力ね」 「あん? そのヂェリーが変わったのっていつの話なんだ?」 「昨日だけど」 「見切り発車すぎるだろ! もうちょっと作戦とか練れよ!」 「私に言われてもなぁ」 「お兄さんの言うとおりだよまったく。 おかげでボクと、」 黒い神姫は白い神姫を親指でクイッと指差して、面を膨らませている。 「エル姉がとばっちりを受けてるんだから」 見た目だけでなくその仕草もどこか背伸びした子供っぽい。 「どういうこと?」 「私達アルトレーネ型とアルトアイネス型は第三のヂェリーと同時期に発売されて、イメージキャラをやってるんです。 テレビのCMを見たことありませんか? 二人一緒にヂェリーを一気飲みするんですけど」 あ、もちろん私とメルが出てるわけじゃないんですけどね、と白い神姫エルは付け加えた。 「ボクとエル姉は起動されてから、ヂェリー売り場でずっと売り子をやってるんだ」 大学生になってからは部屋にテレビなんてないし (パソコンで十分だ) 、CMも久しく見ていないからそもそもヂェリーの存在すら知らなかったわけだが、それが神姫にとってのアルコールならば、アーンヴァル型のフランドールだったか? あいつが店に反旗を翻したくなるのも分からないでもない。 神姫達の雇用者が安上がりなものを選んだところで、そんな事情を神姫達に理解しろと言っても 「はいそうですか」 とはならないだろう。 ヂェリーの味は神姫にしか分からない。 普通のヂェリーと第三のヂェリーの違いなんて、人間からすれば広告通り 「昨日までのヂェリーと変わらぬ美味しさ」 なのだ。 仮にあのフランドールが立ち上がらなくても、いずれ他の神姫が彼女の代わりとなる運命なのだろう。 「だからボクとエル姉にお客さんの前で第三のヂェリーを飲ませた後、 《なにさこれ不っ味ぅぅうううい!》 って言わせるつもりらしいんだ」 「第三のヂェリーは売れなくなる。 市場から第三のヂェリーが消える。 自分達のヂェリーが元に戻る。 やったあ! ――って寸法なんだってさ。 いくら日本が狭いといっても、どれだけの数のヂェリーが出まわっていると思ってるんだろうね」 やれやれ、と首を振るレミリアの釣り上がった口からは、この状況を呆れているのか楽しんでいるのか区別がつかなかった。 「あなたたち三人だけがこの作戦に反対したの?」 「レミリア姉さんの他にも私とメルを庇ってくれた神姫はいるんですけど……」 「今はあそこでまとめて縛り上げられてるよ。 みんな腕はあるんだけど、いかんせん多勢に無勢ってとこだね」 フランドールを頂点とした玩具箱のピラミッドの最下層に、四体の神姫がガムテープでぐるぐる巻きにされてうな垂れている。 その隣に乱雑に放置されたパーツの山は、剥ぎ取られた武装なのだろう。 「こっちの半過激派は残り三体であっちの過激派は多数か。 俺が行ったとしても警備員に止められるだけだろうし、これは警備員が強攻策に出るのを待つしかないか」 「……そうだねぇ。 それしかない、か」 レミリアの甲高い声にわずかに影が落ちた。 神姫にもこんな表情ができるんだなと思わせるような、ふっ、と遠い目がフランドールへ向けられる。 「なにか、それじゃ駄目な理由があるの?」 「できれば私の手で、そうじゃなくてもせめて神姫達だけで解決したかったんだけどね。 仕方ないか」 「そうだよな。 やっぱ古くからの友人が突っ走ったら自分の手で止めたいもんな」 「……うん。 まあ、それもあるんだけどさ……」 「考えてもみてよ。 もし神姫が暴走したとして、捕まえられた後は何をされると思う?」 レミリアの言葉をメルが引き継ぐ。 それは神姫に限らない話だ。 どんなロボットだろうと、暴走を始めたならばまず緊急停止。 そして安全を確保した上で原因究明。 もし暴走の原因が突き止められなかったとしたら―― 「……リセットされるか、メーカーに送られる?」 「お姉さんは優しいね。 お姉さんみたいな人に買ってもらったストラーフ――私の妹はきっと幸せ者だよ。 リセットされるだけなら、まだいい。 メーカーに送られて身体も心も新品同様になって帰ってきたとしても、まだいい。 お客さんに危害を加える可能性があったり営業に使えない神姫は破棄されるんだ。 ……店のデータが漏れないようにコアとCSCをハンマーで粉々に砕いた後でね。 ま、結局残った素体に新しいコアとCSCを組み込むだけだから、普通にリセットされるのと変わらないんだけどね」 気丈にそう言うが、レミリアが過去に神姫のコア――頭部を破壊されるところを間近で何度も見てきたことが痛いほど伝わってくる。 本人は堪えたつもりだろうが、震えた声でそんなことを言われて、こっちまで……泣きたくなる。 「せめて神姫達だけで解決できたら、店も少しは考えてくれるかなって思ってるんだけどね。 ……甘い考え、かな」 姫乃が俺のシャツの裾を今にも泣き出しそうな、縋るような顔で掴んだ。 「弧域くん……」 俺だってなんとかしたい。 なんとかしたいが。 「もうアイツらは事を起こした後だ。 今からレミリア達だけで解決しても正直、フランドールが無事でいられる可能性は……」 「それでもアイツは私の、たった一人の同期なんでね。 少しでも可能性があるならそれに賭けてみるよ。 申し訳ないね、お客さんにこんな話を聞かせちゃってさ。 これは私達の問題だから、私達で解決してみせるよ」 片腕になったアームパーツを再び背負ったレミリアは軽く背伸びをして、湿っぽい雰囲気を吹き飛ばすように 「さて!」 精一杯の笑顔を見せてくれた。 「あのアル中のこと、いつか殴ってやらないとって思ってたんだ。 いい機会だし、一発ガツンとやってやるか!」 「ボク達も行くよ、レミ姉」 「一人よりも二人、二人よりも三人ですからね」 武士と騎士が持っていた刀と剣をそれぞれ持ったエルとメルが、レミリアの後に続く。 剣一本とはいえ素手よりはマシでも、相手は完全武装した神姫だ。 戦力としては圧倒的に劣る。 「待て待て。 お前ら玉砕覚悟で正面から行くつもりだろ。 さっきはレミリアのアームが折れるだけで済んだけど、今度はそうはいかないぞ」 「もちろん、そんなこと分かってるさ。 ベテランの悪魔型一体に、剣の扱いに長けた戦乙女型が二体。 それでも数の暴力には敵わないだろうね。 それでも私達は――」 「無駄死は許さん。 もう目の前で神姫が壊されるのはこりごりなんだ」 レミリアの話で思い出したくもないことが頭に浮かんでしまった。 こいつらがあのマオチャオのようになるなんて、そんなことは断じて許さない! 「二十分――いや十分待て。 突撃はそれからだ」 出鼻を挫かれたレミリア達と姫乃を残して、俺はその場を離れた。 《再々度繰り返す! さっさと普通のヂェリーを渡しなさい! いつまで待たせる気だ!》 痺れを切らしたフランドールがもう天使とは程遠い要求をし始めた頃。 依然その周りを囲む店員と警備員、どんどん増えていく野次馬達に紛れて、俺達はできるだけ囚われた神姫達に近い方向へ回りこんだ。 「そろそろだ。 準備はいいか」 足元の神姫達が頭を立てに振ったその時、フランドールを守るように堂々と立っていた神姫達が俺の放った “それ” に気づいた。 「なんだあれ、こっちに来るぞ」 「あれは……ホイホイさん? 売り場から逃げ出したのだろうか?」 背丈は神姫より幾分低く、3.5頭身の体にピンク色の長い髪と大きな丸い目をつけた顔は常に笑ったまま。 頭に兎の耳のようなリボン。 メイド服のようなエプロン姿に――凶悪な機関銃。 「いけ、ホイホイさん(重戦闘Ver.)! 奴らを蹴散らせ!」 警備員の目を盗んで神姫コーナーに放り込んだホイホイさん(重戦闘Ver.)はピラミッドに陣取る神姫達を害虫と認識し、たった一人でもまるで臆することなくフルオート射撃を放った。 機関銃の反動に身体を震わせながらも変わらぬ笑顔が怖い。 「う、うわぁなんだアイツ!?」 「ガッ!? ク、クソッ被弾した! 十二号より本部! 十二号より本部! 未確認の敵が出現! 指示を!」 「本部てっどこ、う、うわぁ!」 殺虫剤すらものともしない “黒い閃光” を殺傷するほどの弾丸の嵐が神姫達に襲いかかる。 さっきまで雛壇のように並んでふんぞり返っていた神姫達はあっという間にその統率を失い散り散りになった。 「あのホイホイさんどうしたの? まさか、お店の?」 「いいや、十分前に俺の物になったホイホイさん(重戦闘Ver.)だ」 姫乃達と一旦別れた後、ホイホイさん(重戦闘Ver.) と電池を買ってトイレで組み立てたのだ。 もしホイホイさん(重戦闘Ver.)の起動にパソコンが必要だったらアウトだったが、さすが老若男女問わず人気があるだけあって、電池を入れるだけで最低限の機能 (目前の害虫を駆除) は働くらしい。 「くそっ、たかがホイホイさん一体如きに怯むな! おい、そこのお前達も後ろに隠れてな……あ、な、何故お前達が!?」 「それはもちろん、あなた方がホイホイさんと遊んでらっしゃる間にですわよ。 先程はよくもやってくれやがりましたわね」 エルとメルが開放した囚われの身だった神姫達は武装を取り戻し、先頭に立つお嬢様言葉の神姫は景気付けと言わんばかりに最初の一体を吹っ飛ばした。 「ぎゃっ!?」 強烈な打撃を放った後も悠然と歩くお嬢様の後に他の神姫も続く。 「もうエルとメルを庇う必要はありませんもの。 今度は全力で相手をして差し上げますから――全力で後悔なさい!」 助け出された四体とエル・メルがホイホイさん(重戦闘Ver.)の弾幕を前に慌てふためく神姫達に果敢に向かっていき、そこからはカンフーアクション映画のような乱戦となった。 当然神姫の事情など知ったことではないホイホイさん(重戦闘Ver.)は誰彼かまわず攻撃するが、新たに戦場に加わった神姫達はその程度の銃弾などものともしない。 エルとメルも流石は戦乙女型というだけあって、剣で弾を上手く捌きつつ戦っている。 この調子だと、雑魚達はすぐに片付くだろう。 残りは―― 「やっぱり私の邪魔をするのか、レミリアァ!」 「私を助けてくれる、と言ってほしいね。 フラン」 頂点から憤怒の形相で見下ろす天使と、麓から陽気に見上げる悪魔。 二人の間を遮る神姫はいない。 「不味いヂェリーなんて何の価値もない! アンタだってそう思うでしょう!」 「にゃはははそのとーり! コクの無さといい喉越しの悪さといい、第三のヂェリーなんてもはやヂェリーとは呼べないね!」 「だったらどうして私の邪魔を!」 「――でもね、フラン」 諭すように、レミリアは友へ話しかける。 ゆっくりと、一本だけとなった腕を後ろに引いた。 その腕の先には、メルが騎士を殴った携帯 「あれ? あの携帯……」 がある。 「どんな理由があっても、神姫は人に害を与えちゃいけないんだよ」 「黙れ! 一人でいい子ぶって、お前はいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも!!」 フランドールが蹴り飛ばした拡声器が音を立てて落ちた。 閉じていた翼が主の激昂に呼応するように広がる。 戦闘機のような、硬く、冷たい、天使の翼。 柔らかく軽い羽などない。 そこにあるのは、獲物を消し去る鋼鉄の爆薬。 「いつも――――正しいことばかり言う!!」 「悪魔型のくせに、って? そりゃそうだよ。 友が道を踏み外したなら、それを正すのもやっぱり友なんだよ」 フランドールが翼をさらに大きく広げた。 レミリアが身体を大きく捻った。 姫乃がスカートのポケットをまさぐった。 「私を見下すなああああああああああ!!!! 『 禁弾――!』」 「何度でも、何度でも、私が正してやるさ、友よ。 『 神槍――!』」 『 ス タ ー ボ ウ ブ レ イ ク ! ! 』 『 ス ピ ア ・ ザ ・ グ ン グ ニ ル ! ! 』 不規則な軌道を描きながら飛来する幾本ものミサイルを突き破りながら、レミリアの槍(姫乃の携帯電話)はフランドールに直撃し、フランドールは携帯電話と一緒に頂上から落ちていった。 少し遅れて、槍の驚異から逃れた数本のミサイルがレミリアに着弾した。 いくら小型軽量とはいえ神姫にとっては重さがある携帯電話を投げる無茶をしたことで、エネルギーを使い果たしたレミリアはミサイルを防ぐことも躱すこともできず、飛来した全弾を浴びて倒れた。 「わ、私の携帯……」 NEXT RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~4/4』 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1438.html
猛り狂いし、地を灼く竜(前編) その日、私・槇野晶は神姫達が目覚める前から大忙しであった。何しろ、 彼女らが重量級ランクに挑む日なのだ。リサーチしたデータと自己鍛錬の 経験……そして私自身と彼女らの“技術”が、勝敗の全てを握っている。 ノウハウなど存在しないも同義。正直、全員未知の荒野へ旅立つ気分だ。 ならば、出来る準備を可能な限り行うしかない。それが明暗を分けるッ! 「充電完了、システム起動──ふぁ……おはようございますですの~♪」 「む、起きたかロッテ。アルマとクララも、起こしてやってくれんか?」 「はいですの!マイスター、寝ないでずっと準備していましたの……?」 「……仮眠は少々取ったが、結構ギリギリだな。しかし頑張らねばッ!」 そして朝日を迎える内に、前日まで練習尽くしだった“妹”達も次々と 目覚めてくる。それと前後して、“プルマージュ”の最終調整も完了。 本来は“アルファル”も同時使用出来るのだが、今日は敢えて使わぬ。 “プルマージュ”に皆が慣れているか、その力を引き出せるかが肝要。 それを見極めてからでも、決して遅くはないはずだ……という訳でッ! 「よし、皆着替えと洗浄は終わったな?忘れ物も……有無、無しッ!」 「“プルマージュ”達も、コンテナでちゃんと寝てるから大丈夫だよ」 「それじゃ皆、行きましょう?……あたし達の、新しいステージにっ」 「はいですの~♪どんな姉妹達がいるのか、今から楽しみですの~♪」 コンテナの増加で更に巨大化した、キャリアを引っ張りつつ店を出る。 旅行鞄風のコレに、神姫達の武装パーツは無論の事……着替えや相棒の “アルファル”と“プルマージュ”が、更には各種電装機器や充電用の 小型バッテリーまでも搭載されている訳で……流石にデカくて重いッ! 「ふぃぃ……流石に私の背丈に迫る勢いの荷物、骨が折れるな……」 「どうせなら駆動系付けて、マイスターが乗っちゃえばいいんだよ」 「それも手だが、アキバの雑踏では些か危険だろう……だが、ふむ」 「乗れないにしても、モーターで車輪の動きを支えられませんか?」 「電気自転車みたいな感じですの。あ、付きましたのマイスター!」 そんな他愛もない雑談で辛さを紛らわせつつ、神姫センターへ入店する。 流石にこの時期ともなれば、空調は暖房か……快適だな。私はマフラーを 外し、“妹”達のコートも脱がせる。その下にあるのは、“フィオラ”。 あくまでもエントリーは“可憐・華麗”に。その拘りは貫きたいのでな! 「バトルの申し込みは先程終わらせた。誰が一番に来るかは分からぬ」 「い、一番にあたしが来る可能性もあるんですね?……緊張しますっ」 「確率三分の一だから、そこまで気張らなくてもいいと思うんだよ?」 「そうですの~♪対戦相手が何時見つかるかの方が、心配ですの……」 『槇野晶さん、アルマの対戦相手が見つかりました。オーナー席へ~』 「ひゃいっ!?あぅぅ……やっぱり一番でした。気合、入れないとっ」 なんだかんだでアルマは緊張しているのだろう。私は彼女を抱き上げて、 優しくエントリーゲートに降ろし、アルマの武装ケースをサイドボードに 差し込む。リサーチした寸法通りに、箱はピッタリと収まった。完璧だ! 「大丈夫だ。私達が見守っている……存分に、蹴散らしてこいよっ!!」 「は、はいッ!恥じない戦いを、してきます……じゃ、行ってきます!」 私達三人の笑顔に見送られて、アルマはゲートの奥へと降りていった。 彼女の意識は、ヴァーチャルフィールドへと遷移し……戦いが始まる! しかし、見守っていた私は……重要な事実を告げなかったのだ。迂闊! 『アルマvsガルラ、本日の重量級リーグ第4戦闘、開始します!』 「で、出番ですね……」 『なお、ゲートより神姫は高速射出されます。衝撃に備えてください』 「──────へ?」 「そう言えば……アルマ、開始と同時にファフナーを呼ぶのだ!」 「は、はいぃぃっ!?」 『3……2……1……GO!!』 「きゃ、ああぁぁぁぁ~っ……!?」 そう、重量級ランクでは目方のバラツキが大きくなりがちである。故に、 神姫達はリニア射出により、ゲートから一定速度で強制排出されるのだ。 開始時の相対距離をある程度一定に保つ事で封殺を防ぐ、等の名目でな。 だが生身でそれを受ければ、障害物や床に激突してしまうのだ……むう。 「ひゃあぁ……ファフナーッ!?」 『グルル……グルォォォオンッ!!』 「きゃっ!?ふぅ、た……助かりました」 しかし気の利く様になった“相棒”が、即座に彼女をピックアップする! そこへ、近くの岩山から対戦相手となる神姫の声が響いた。今回は誰だ? 「無様ね。貴女、この戦場は初めてなのかしら?」 「ッ!?貴女が対戦相手のガルラさん、ですね?」 「そう、苛烈なる鳥の女帝……それが私、ガルラ!」 少々ナルシストの入ったその神姫は、“神姫パーツ流用組”らしかった。 来年発売の限定バージョン・エウクランテ及びイーアネイラを意識した、 黒と紅に彩られた第五弾のリペイントパーツ。更に、それを覆う様にして 全身に纏ったティグリースとウィルトゥースの装備……頭部は、禍々しい アレンジのバイザーに覆われており、口と金のポニーしか見えぬ作りだ。 だが改造パーツとは言え、その娘は紛れもなく公式パーツを用いていた! 「ふぅん。通常ランクでは一応セカンドなのね、貴女……?」 「お陰様で……でも、そんな“常識”が通用しない事は弁えてます」 「そう。なら話が早いわ……ここでの流儀、見せてあげましょうッ!」 「手合わせ、願います……行きましょう、ファフナー!」 『“W.I.N.G.S.”……Execution!』 『グルォォォォォォンッ!!!』 “朱天”由来の大剣を振るう鳥の女王を目の前に、アルマは怯まない。 “フィオラ”から追加パーツ付きの“シルフィード”に姿を変えた上、 ファフナーの背中に己の太腿から下を“合体”させた。これが、第一の 戦闘形態。竜騎士の型……“ドラグーン・シルエット”である!付属の “センチュリオン”と“ティンクルスター”を携えて、彼女が構えた。 「なるほど、騎乗型なのね……しかし、その程度見飽きたわ!」 「あたし達を、普通に見ない方が良いですよ……参りますッ!!」 『グルォォォオンッ!!』 ──────竜の騎士として、誇り高くあろうね。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/608.html
その御名は、誇りと想いと麗しの 今日は良い日だった。アルマは自らの忌まわしい過去をほぼ清算して、 クララは己の武器を見つけ、良い師にも出会った。本当に素晴らしい。 というわけで今日の祝勝会は、少し奮発して“エルゴ”近所の喫茶店を 訪ねる事とした。日暮にクララの戦闘ログを見せるのも目的だが……。 「いらっしゃい……あらあら貴女、エルゴさんに通ってる女の子ね?」 「有無。私の“妹”が此処の評判を聞きつけたのでな、来てみたのだ」 「初めましてですの。人間一人と神姫三人ですけど、大丈夫ですの?」 「ああ。神姫の為のコーヒーなら任せろ、大火力で相手してやるぞッ」 喫茶店“LEN”と言ったか?なんでも看板娘の神姫・レンが淹れる コーヒーは店主の物に負けず、食事が出来る一部神姫に好評らしい。 ……些か“大火力”の意味を測りかねるが、信頼は出来そうだった。 というわけで、コーヒーを四人分と人間用のパフェを一つ。それから 各々が好きな軽食を一品ずつ注文した。心地よいアロマが広がるな。 「はい、お待たせしました。そっちの娘、こんなに食べられるかしら」 「ああ、少々大食いでな……この程度ならどうにかなるか、アルマ?」 「大食いなんてひどいですマイスター!……でも、おいしそうかもッ」 「……アルマお姉ちゃん、行儀良くしようって話じゃなかったかな?」 その言葉で、ハッと息を呑むアルマ。そう言えば、無邪気に食べ出す 以前までとは違い、なんだか三人の行儀は……妙に良くなっている。 “いただきます”の挨拶も普段からするとは言え、今日はより丁寧。 「はむ……はむ……このチキンサンド、とってもジューシーですの♪」 「あむ……こっちのコブサラダ、スパイシーで凄く美味しいんだよ?」 「はむはむ……カツサンドが、とっても柔らかくて……大好きですッ」 流石に各々の好物を食べる時は、堅苦しさを微塵も感じさせないが。 何というか、そうだな……“雰囲気”に気を配っている様子だった。 一体何があったのか、私は聞いてみる事にした。答えは意外な物だ。 「ん。だって今日から、わたし達は正真正銘“戦乙女”ですの」 「ヴィネットさんの妹が“舞姫”である様に、責任は重いもん」 「うんと……なら、せめて立ち居振る舞いからしっかり、って」 “ヴィネット”。ここから割と遠くにある硝子工房、“Moon”の 看板神姫の名だな。確か私・槇野晶が、常連のオーダーで非戦闘用の ドレスを作る際、そこの硝子工芸品を利用したくて訪ねた事がある。 流石に上質な硝子細工を、あの地下室だけで作り上げるのは無理だ。 というわけで、その時はロッテを伴い直接交渉に赴いたのだが……。 『……貴女ね、名前には相応しい振る舞いって物があるのよ?!』 『きゃっ!?な、名前……ですの?えっと、“戦乙女”……って』 『そう名乗りたいなら、それらしいスタイルを心がけなさいッ!』 工房主・リカルドとの会話に割って入ったのが、ヴィネット嬢だった。 ロッテは当初から、外見よりも多少幼い印象を周囲に与えがちな娘だ。 自由奔放が過ぎる彼女の生活態度を、ガツンと一発叱ったのだったな。 そして叱責を受け止め反省したロッテを、ヴィネット嬢は撫でていた。 『フェスタの事もあり、つい言わずに居られませんでした』 『……ううん、気付かせてくれるのは有り難い事ですの♪』 『よろしい。じゃ、マスターの作品を少し見ていきなさい』 フェスタとは、ヴィネット嬢の“妹”である“舞踏の天使”たる神姫。 ヴィネット嬢がその霊妙なる歌声をもって“歌姫”と呼べるのならば、 フェスタ嬢のダンス映像を見た感想は、クララの言葉通り“舞姫”だ。 呼ぶ名・呼ばれる名に相応しい姿を、力を持つ言霊に負けぬ生き様を。 それは“神姫”という単語の段階で始まっている、彼女の信念なのだ。 「そうか。既にあの一件、アルマとクララに話したのだな?ロッテや」 「はいですの。今日からは二人も“戦乙女”……そう名乗りましたし」 「……あれだけの大見得を切ったのだから、ボクらも自覚しないとね」 「はいっ。今すぐ、あのお二人みたいになれなく……ならなくてもッ」 その出会い以来神姫同士投合したのか、メールでの交流が続いている。 優しくも厳しいヴィネット嬢の言葉は、ロッテ達三姉妹にもいい刺激。 そして今日は三人がその真名……二つ名を、堂々と名乗り上げた日だ。 再び逢えた時、誇らしくその名を口に出来る様に……堅い決意だった。 「それなら応援するが、焦らずともいいぞ?お前達はお前達だからな」 「はいですのッ!マイスターの“妹”として……“戦乙女”として!」 「大仰な二つ名に恥じないだけの、“神姫としての魂”を会得するよ」 「HVIFを使っていても……その志、大事に生きていこうかなって」 彼女らの想いが単なる憧れだけでない事は、私がよく実感していた。 ある時は私が見繕ってきたMMS用の楽器を鳴らし、またある時には 三人で机に向かい何かを特訓した……思えば、全部“コレ”の為だ。 疑念が解けた瞬間、私は皆の頭を撫でてやらずにいられなかったッ! 「……よく言った。成長を期待しているぞ、お前達ッ!」 名乗る権利を謳うからには、相応の義務と生き方を……という信念。 それは私自身の二つ名……“マイスター(職人)”にしても同じ事だ。 故に自らを奮い立たせる意味も込めて、私は某巨大掲示板を覗いた。 ウェアラブルPCを起動させPHSを接続、眼鏡に情報を映し出す。 「ふむ。お前達の事が、“三色の戦乙女”と話題になっているな」 「え、えっと……うん、もう引き返せない。引き返さないですよ」 「……アルマお姉ちゃん、真っ赤。大丈夫、この調子で行こう?」 「今日は二人ともとっても格好良かったですの。大丈夫ですの!」 ──────貴女達ならきっと、間違いない“戦乙女”になれるから。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/46.html
各種設定集 ~人物編~ 岡島 士郎(おかじま しろう) 当SSの主人公(一応)。25歳。国立大学出身の首都圏に位置する某県某市役所職員、 いわゆる普通の公務員。 近隣の市に両親が在住、姉(未登場)と妹(優衣)がいる5人家族3人姉弟の真ん中っ子。 性格は見た目温厚、でも熱血漢という、まさに主人公の典型である。でもやっぱり健全な20代男子。 現在、4体のMMSを所有し、神姫バトルの世界ではリアルリーグと称される1stリーグの中位に位置する。 最近は、近所の大学に通うために居候してきた妹、優衣に振り回されることが多い。 岡島 優衣(おかじま ゆい) 士郎の妹。18歳。士郎の住むアパートの近くの某私立大の一年生(予定)。 性格は、ハ○ヒ(某の憂鬱)と智ち○ん(某あ○まんが)とシンタ○ー(某P○PUWA)を足して2で割って5倍に 濃縮したような超絶アタシ系暴走少女である。これでも3年間生徒会書記を(あくまでも推薦狙いで)勤めた。 四月からは士郎の住んでいるアパートへ(母が無理矢理に押し進めて)居候することとなるわけだが…。 また、学校説明会の日、五人目の神姫であった天使型MMSビアンカを半ば強引に実家に連れて行き、 実質、新たなマスターとなる。勿論バトルの経験はなく、今後の成長は未知数である。 ○鶴畑家の人々 長兄 興紀(おきのり) 表では好青年を演じているが、実は冷酷かつ残虐な性格を持つ。でもやっぱり健全な(ry 六大学と言われる某大学の3年生。20歳。 神姫バトルにおいて天才的な戦術眼と指揮能力を発揮し、その能力を生かして、父には内緒で ベンチャー企業を立ち上げている。 7歳の時に実の母を事故で亡くし、現在の母である元側室の子の大紀と和美とは腹違いの兄妹である。そのため、 大紀と和美を兄妹として見ていない。 究極の神姫を育て上げることを信条としており、所有MMSは[ストラーフタイプ]の「ルシフェル」のみ。 現在リアルランキング54位。 次男 大紀(ひろのり) 兄の威を狩る狐…もといピザ。私立男子高校1年。15歳。 実力は大したことはないが、兄の威光と恵まれたパーツ、洗練された神姫育成環境の下、金を積んでの八百長試合で上位に上がる。 負けた時は、腹いせに下位リーグの連中をいたぶるのが趣味。 所有MMSは[アーンヴァル]タイプの「ミカエル」、同タイプの「アラエル」他 現在リアルランキング144位 長女 和美(かずみ) 鶴畑家の末娘でピザ小学生。12歳。 高飛車で見栄っ張りで傲慢という可愛さの欠片もない性格。 神姫バトルデビュー前の新人で、所有MMSは[サイフォス]タイプの「ジャンヌ」。 各種設定集 ~神姫編~ -主人公側- ヴェル(犬型素体) 主人公、岡島士郎の所有する一体目の神姫。 名前の由来は、イタリア語の「緑色」から。 性格は気だてのいいお姉さんタイプで、他の神姫のまとめ役である。 また士郎に対する愛情も人一倍であり、美人を見て鼻の下を伸ばす士郎に嫉妬する事も多い。 一番長く神姫バトルの世界に居るので、戦闘経験は一番豊富。また、過去に「ルシフェル」と呼ばれていたノワル、「ミカエル」と呼ばれていたビアンカと戦い、いずれも撃破している。 ノワル(悪魔型素体) 士郎の二体目の神姫。 名前の由来は、イタリア語の「黒」から。 元々は鶴畑興紀の所有している「ルシフェル」の名を冠する13番目のMMSであったが、三年前、ヴェルとの試合に於いて敗北を喫し、 廃棄処分にされる所を士郎に引き取られる。 「ボク」の一人称で話すノー天気な性格だが、感情が負の方向に高ぶると元の冷たい口調が出る事がある。 元々、興紀の元で徹底された訓練を積んでいたため、バトルにおいてはかなりの実力を誇る。 ジャロ(ネコ型素体) 士郎の三体目の神姫。 名前の由来は、イタリア語の「黄色」から。 性格は天然気質のお気楽キャラだが、リアルリーグで馴らしたバトルの腕は確かである。 好物はシュークリーム。 マタタビ酒を飲むと、性格が清楚な箱入り娘キャラと化す。 コニー(兎型素体) 士郎の四体目の神姫。 名前の由来は、イタリア語の「兎」から。 元々、武装パーツに付いていた頭部ユニットだったので、士郎の経済状況から、なかなかボディを貰えず、使役ユニットである プチマスィーンスetc...に馬鹿にされる事が多々あり、一時はひねくれた性格だったが、藤堂亮輔の所有するリンとのバトルで吹っ切れる 事が出来た。しかし、そのバトルの際に付けられた「乱射魔(トリガーハッピー)」の二つ名で呼ばれることを極端に嫌っている。 現在は、崇拝する「BL○CK L○GOON」のレ○ィの口調&性格etc...を真似ていて、いつかは「二丁拳銃(トゥーハンド)」の二つ名で 呼ばれる事を夢見ている。 現在、セカンドクラスで戦っており、実はバトルにおいては5人の中では一番未熟だったりする。 好物はニンニク煎餅。 ビアンカ(天使型素体) 士郎の五体目とされる一番新しい神姫。 名前の由来は、イタリア語の「白」から。 元々は鶴畑大紀の所有する神姫「ミカエル」の№1であったが、ノワル同様ヴェルとの試合に於いて敗北を喫し、廃棄処分にされる所を 士郎に引き取られる。ノワルと違うのは、修復の際、全ての記憶をリセットしている所であり、以前の大紀と居た記憶は無い。 なお、第11話の際に、士郎の妹である優衣に半ば強引に実家に連れて行かれ、現在優衣が新たなマスターとなっている。 性格は非常に素直な優等生タイプ。 まだデビュー前ではあるが、鶴畑家の訓練を受けているために、戦闘スキルはかなり高い(ハズである)。 -鶴畑兄妹- ルシフェル(悪魔型素体) 鶴畑興紀の所有する神姫。 名前の由来は、キリスト教における「サタン」の別称「ルシフェル」より。 究極の神姫を育て上げることを信条とする興紀の考えに則り、興紀自身の立てた戦略や指示に付いてこられなくなった同型素体は、戦闘データを 採取された後廃棄され、前回のデータを周到し、改良された新たな別の素体である「ルシフェル」が誕生する。 そのため、興紀のデビューからの通算敗北数(非公式含む)である"30番目"に登録された悪魔型MMSが現在の「ルシフェル」の名を冠している。 また、岡島士郎の所有する「ノワル」や陽元治虫の所有する「エル」は、"廃棄された"「ルシフェル」シリーズの内の1体である。 興紀に絶対忠誠を誓う「機械」のような性格であり、「エル」の様な性格が設定されたのは極めて稀である。 ミカエル(天使型素体) 鶴畑大紀の所有する神姫。 名前の由来は、キリスト教における四大天使の一人である「ミカエル」より。 戦闘能力に於いては、鶴畑家の訓練を受けているため、最高水準の能力を誇るが、如何せんマスターがアホなので付いていけていない。 また、大紀が興紀の真似をし、敗北を喫した同型素体は尽く廃棄されている。士郎の「ビアンカ」はその中の一体である。 興紀の「ルシフェル」同様、大紀に絶対忠誠を誓う「機械」のような性格。 アラエル(天使型素体) 前スレ208氏の「アラエル」の頁を参照。 ジャンヌ(騎士型素体) 鶴畑和美の所有する神姫。 名前の由来は、中世ヨーロッパの英雄「ジャンヌ・ダルク」から 本来、近接・突撃戦闘を信条とする騎士タイプだが、和美の美学から、中~遠距離を主体とした実弾装備を多く持たされることが多い。 その姿は、さながら「難攻不落の要塞」である。 興紀の「ルシフェル」、大紀の「ルシフェル」他同様、和美に絶対忠誠を誓う「機械」のような性格。
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/77.html
概要 運用 ステータス情報Lv1 Lv60 アップデート履歴 コメント 概要 運用 ピックアップ ステータス情報 太字はマスクステータス Lv1 Lv60 武装 本来の装主 レア度 攻 防 ス 体 ブ 展開 回復 走速 走費 跳費 浮費 防費 パッシブスキル 備考 防具名 神姫名 N 20 40 0 250 50 ため時間減少 ため時間を減少する R 20 50 0 400 100 SR 20 55 0 550 150 UR 20 60 0 700 200 武装 本来の装主 レア度 攻 防 ス 体 ブ 展開 回復 走速 走費 跳費 浮費 防費 溜時間 溜倍率 射程 アクティブスキル 備考 近接武器名 神姫名 N 0 100 0 0 0 スキル名 R 0 100 0 0 0 SR 0 100 0 0 0 UR 0 100 0 0 0 武装 本来の装主 レア度 攻 防 ス 体 ブ 展開 回復 走速 走費 跳費 浮費 防費 リキャスト リロード 溜時間 溜倍率 射程 弾速 弾数 アクティブスキル 備考 遠距離武器名 神姫名 N 0 0 0 0 0 スキル名 R 0 0 0 0 0 SR 0 0 0 0 0 UR 0 0 0 0 0 アップデート履歴 日時:2000.0.0 内容: コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/739.html
麗しき戦い──あるいは予選その一(前半) “鳳凰カップ”は周辺イベントやブースの賑わいも勿論目玉だけど、 一番のウリはやっぱり“聖杯”を目指した、神姫達の戦いだもんね。 だから今年は、ボク達MMSショップ“ALChemist”の面々も全力全開。 その一環としてボク……クララである所の“槇野梓”は、この会期中 お姉ちゃん・槇野晶の全権代理人として、バトルを担当するんだよ? 「梓ちゃんっ、わたしもなんだか“ニキニキ”してきましたの♪」 「……どこで覚えたのかな、ロッテ……ちゃん?それはさておき」 「うん。極力“コレ”を脱がない様に、頑張って戦ってきますの」 「でも、いざって時は迷わず脱いで本気を見せてね。相手も必死」 「もちろん分かっていますの。でも、やっぱりスタイルも大事!」 “神姫”として戦いに出るのは、次女でありボクらの精神的支柱である ロッテお姉ちゃん。ボクは“仮初めのマスター”として、戦局を分析。 本当なら晶お姉ちゃん……“マイスター(職人)”の役目なんだけれど、 今回は物販ブースも展開してるから、晶お姉ちゃんは自由に動けない。 だからフェレンツェ博士に、ボクのマスター参加をお願いしたんだよ。 『それでは、予選Hブロック第一回戦・11試合目を開始しまーす!』 「……出番だよ、ロッテお姉ちゃん。行こうか?戦いの“舞台”へっ」 「はいですの!こういう大会は初めてですから“ゾワゾワ”ですの~」 ……テレビの見過ぎかな?ともかく、ロッテお姉ちゃんは普段通りに “Heiliges Kleid”を装着し、エントリーゲートに入っていったよ。 ボクも手順を教わった通り、“SSS”をサイドボードにセットして オーナー用の席に座って……準備OKっ。開始の合図をじっと待つ。 今回のバトルフィールドは、どうもダンスホールが舞台みたいだよ。 『ロッテ・ヴァーサス・ミモザッ!!レディ──────ゴー!!』 「ミモザ……梓ちゃん、相手の神姫ってマオチャオタイプですの?」 「そうだけど……あ、そう言えば!?だとすると、リハビリかな?」 「みたいですの。でも、遠慮はしませんし出来ません……さぁっ!」 ロッテお姉ちゃんは勿論、ボクも伝聞でその名前は知っていたんだよ。 裏バトルの犠牲となってデータを“拉致”され、眠っていた猫型神姫。 ついこの間ホビーショップ・エルゴの日暮さんから返却されたばかり。 まだ一ヶ月も経っていないはずだから……多分これが、復帰の第一戦。 でも、そこで手加減するのは却って失礼。二人ともそれを知ってるよ。 『やっちゃえミモザ!運動不足だったろ、駆け回ってこいっ!!』 「うにゃーっ!!あ、アーンヴァル……なのに、装備がないにゃ?」 「お久しぶりですの、ミモザさんっ!ほら、“ALChemist”の♪」 「ロッテにゃんにゃ!?……その格好、今日の売り物にゃ?」 ロッテお姉ちゃんは肯く。事実、現在天使型の神姫が着込んでいるのは “Heiliges Kleid”ではなく、今回展示ブースで販売している神姫用の トータルコーディネイト“フィオラ”の……エクストラエディション。 実際の製品を微調整して、ロッテお姉ちゃんに最適化したバージョン。 見た目は、春らしく淡い空色のジャケット姿。でも、能力は確かだよ? 「ええ。でも、戦いだって手抜きしませんの!さ、踊りましょうっ?」 「うにゃ!ずっと縛られてて遊べなかったから、一杯遊ぶにゃっ!」 「行きますっ!……“フェンリル”、頑張ってくださいですの♪」 サイドボードに収納していたのか、ぷちマスィーンズが周囲に現出。 でもそれに頼るよりも速く、ミモザさんはロッテお姉ちゃんに突進! “研爪”を両手に嵌め込んで、猫科動物らしい俊敏さで迫るんだよ。 対してロッテお姉ちゃんは……動く事なく、二挺拳銃を構えるだけ。 でも余裕のある微笑から、何をしたいかはボクにも分かったんだよ。 「こっちから攻めるにゃーっ!!えやーっ!!!」 「よい……しょっ!」 「あにゃ!?」 煌めく爪が空を切る!……けど、ロッテお姉ちゃんはそこにはいない。 折角補助アーマーを着込んでるんだもん。急速移動用ブースターだって 使えないと勿体ないんだよ……というわけで、後退用のそれを駆使して ロッテお姉ちゃんは数smの距離をバック・ステップ。“フィオラ”の エクストラエディションって、補助アーマーを活かす工夫の事だもん。 「さ、まだまだ来てくださいの!」 「う、ううう~。ちょこまか逃げるにゃー!!」 「ふふ……えいっ!」 『ビビーッ!!』 「あにゃ、ぷち一号っ!?」 華麗にバク転を決めながら、お姉ちゃんは“フェンリル”を曲撃ち。 アーンヴァルタイプの姿勢制御力を活かして正確に撃たれた鉛玉は、 そんな状況でも正確に一機のぷちを撃ち抜いて、射撃を殺すんだよ。 ボクらには武装が多く与えられているけど、だからって個々の武装を 疎かにはしない。これだって、マイスター流教育の賜物なんだもん。 「にゃううう……撃て、撃つにゃーっ!!」 「そうです!もっと楽しみましょうっ♪」 ──────舞い踊る様に、優雅に戦う。それがボクらの使命だもん。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1152.html
蒼天にて、星を描きし者(前編) そしてその日はやってきましたの。わたし達三姉妹がセカンドに向けて、 ついに扉を通る日がッ!……あ、申し遅れましたの~♪わたしはロッテ。 “マイスター(職人)”槇野晶お姉ちゃんと共にある、神姫が一人ですの♪ 今は皆、準備でてんてこ舞いですの。武装は用意出来たんですけど……。 「クララや、躯の洗浄が終わったなら服を選んでおくれ!時間がない!」 「分かってるんだよマイスター、ボクのは決まってるけど……大丈夫?」 「あうぅ……これも可愛くていいんですけど、こっちも棄てがたいです」 「わたしの予定時刻まで、もう一時間弱ですのアルマお姉ちゃん~!?」 わたし達は“服を着る神姫”、素体のまま外に出る習慣はないですの。 だから今日は下着と戦闘用補助アーマードレスに、お気に入りの一着を 着込んで、近所の秋葉原神姫センターに赴く事になったんですけど…… わたし達はマイスターのブランド“Electro Lolita”を背負う看板娘、 生半可なファッションセンスではいられませんの!だから、つい……♪ 「そういうロッテちゃんだって、決まってないじゃないですか~!?」 「こっちの水色のワンピースもいいんですけど、白のドレスも……♪」 「……こっちは大忙しだもん……マイスターの服選びも、大丈夫かな」 「む?う、有無……ストラップレスと長袖のどちらにしようかとな?」 「今日も四十度近くになるらしいし、日焼け対策次第だと思うんだよ」 どうしても皆、服選びや躯の洗浄には拘ってしまいますの。わたし達の オーナーであるマイスターは女の子ですし、わたし達もその辺の影響を いっぱい受けていますから、しょうがない所ですの。そんなこんなで、 準備が出来て皆で住居代わりのビルを出たのは、四十五分前でしたの。 「ふぅ……今日も街が灼けるな、水分補給しないと死んでしまうぞ」 「……ボクらも、熱暴走しない様こまめに冷却水を補給するんだよ」 「そうですね~……大事な日ですし、コンディションは大切ですッ」 「バッテリー充電率98.16%……他の機能も全部問題ないですの~♪」 そうですの、今日は高みに昇る日……昇進を賭けた試合の予定日ですの! この日の為に用意した“アルファル”他の装備も、バッチリカートの中。 ここ数ヶ月は、全て今日この時の為に使ってきたとさえ言えますの~っ♪ その割に、神姫センターで受け付け出来たのは刻限五分前ですけど……。 「サードの槇野晶様……神姫はロッテ、アルマにクララの三機ですね?」 「有無。事前に昇進試合への予約を通してあるはずだ、マッチメイクを」 「畏まりました……三機が応募してます。ランダムでよろしいですか?」 「構わぬ。どんな相手でもこの娘らならば、打ち倒してくれるだろう!」 「はいっ……では皆さんの試合をこれから準備します、お待ちください」 どうやら今日セカンドを目指しているのは、わたし達を含め六人ですの。 誰と戦う事かはわかりませんけど、マイスターの為に勝ってみせますの! ……と一人で集中していた時、マイスターの呼び出しが掛かりましたの。 『槇野晶さん、ご希望のバトルが開始出来ます。オーナー席にどうぞ』 「よし……さ、まずはロッテだ。姉妹達に、しっかり見せるのだぞ?」 「ロッテちゃん!……頑張ってくださいね、勝てると信じてますっ!」 「……大丈夫。これまでの積み重ねを大事にすれば、必ず行けるもん」 「はいですのっ!!皆、見ていて下さいですの……わたしの、戦い!」 マイスターに促されるまま、エントリーゲートを降下していきますの。 サイドボードへの武装装填完了を示すシグナルを確認して、準備OK! 選んで身につけた水色のワンピースを翻して、発進位置へと付きます。 ここで“意識”がヴァーチャルフィールドに投影される仕組みですの。 降下を完了したわたしの意識は、ゲートの閉鎖と同時に揺らいで……。 『ロッテvs狛恵、本日のサードリーグ第7戦闘、開始します!』 「ヴァーチャル化完了……では、行きますの~っ!!」 次の瞬間には、水平なレールを電磁加速する様に打ち出されていました。 そうして駆け出していったのは、最初の戦いでも使った古戦場でしたの。 ただ今度は、バトルのダメージを反映してか剣が突き立っていますけど。 でもじっと見ている暇はないですの!空を切る様な砲弾の音が、すぐ側を 切り裂いて……直後にわたしの躯は軽く吹き飛ばされましたの……痛ッ。 「きゃっ!?遠距離からの砲撃、でもフォートブラッグ程じゃ……!?」 『これは……ロッテ、相手は砲撃特化のハウリン系列だ!!』 「“砲狗の”狛恵、行きますッ!ドラドラドラドラドラァッ!!」 「く、確かに……大きな姿が見えていますの!」 「むむ、見つかりましたか!でもアタシは、破壊するのみですッ!」 「きゃあああっ!?く、このままじゃ……!」 カメラアイで見たのは、四肢……自分の脚とパックパックの補助脚……を 地に降ろし、両手・両肩・胸・背中の火器でわたしを撃つ神姫でしたの! 短くカットされた榴弾砲やミサイル、ガトリング……実弾ばかりのそれは 質より量という勢いで、わたしの服を灼き焦がしていきますの……でも! 「……でも数撃てば当たる、という悠長な結果は待てませんのッ!」 「そんな丸腰の姿で何が出来ますかっ!一気に殲滅してあげますッ!」 「黙ってやられはしませんの……“フィオナ”ッ!」 『Yes,sir(強襲します)』 わたしがその名を呼んだ時、夜闇の空に逆三角形状のラインが生まれ、 それに沿って“妖精の騎士”が、UFOの姿で飛び出してきましたの。 下部に据え付けられたのは、二挺のビームガトリング“セイバー”…… 青き流星は、そのまま戦場へ降下して狛恵さんに威嚇射撃をしますの! 「うあぁぁっ!?あれはぷち、いや……レインディア・バスター!?」 「そっちがオリジナルの砲撃支援システムなら、こっちは……!」 『“W.I.N.G.S.”……Execution!』 「変身、した!?聞いてた姿と違います、その服と剣は一体……!」 「蒼天の旋姫(セレスタイン・ヴァルキュリア)の、真の姿ですのッ!」 フィオナが作り出した一瞬の隙を使って、わたしは戦闘の為にある姿を 呼び出しましたの。それは即ち、アーマードレス“レーラズ”と魔剣! 煤けたワンピースは消えて、手先や足首まで覆う青のドレスがわたしを 包んで、両の腰にライナストとフェンリルが光の中で装着されますの。 シンプルな“変身”で驚かせましたが、ここから“本番”ですの~っ♪ 「虚仮威しでしょう、春の大会でのマグレには騙されませんッ!」 「マグレかどうかは……これから貴女に確かめてもらいますのッ!!」 ──────さぁ、ここからが天国への階段ですの! 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2487.html
第2部 「ミッドナイトブルー」 第7話 「night-7」 真っ暗な屋内スタジアムに逃げ込むかのように集まる神姫たち。 航空母艦型MMSのツラギが発光信号でチカチカと合図を送る、すると少し離れた所で重巡洋戦艦型のマキシマとヴィクトリアが発光信号を返答する。 ツラギの艦橋ブロックに将校型のナターリャが寄りかかる。 ナターリャ「発光信号は送ったか?」 ツラギ「送りましたよ、しかしあんな所に配置してどーするつもりですか?こんなに散開してちゃ・・・」 ナターリャ「かまわんさ、それよりも甲板にいるあのバカ共に対空警戒を厳にするようにいっとけ」 ツラギ「アイアイサー・・・」 ツラギが甲板に目をやると、大砲を抱えた悪魔型と砲台型がびくびくと怯えている。 ニパラ「ああーーもうだめだ!みんなあの夜帝にぶっ殺されるんだ」 ルーシ「さっき、巡洋戦艦型のノザッパが巡航ミサイル喰らって一撃で轟沈したぞ!あの巡航ミサイルが空母に命中したら、弾薬や燃料に引火して大爆発を起こして爆沈するな」 ニパラ「縁起でもない!」 ルーシ「どーすんだよ」 ツラギの上空では生き残った艦載機の神姫たちがぐるぐると周回する。 アオイ「スタジアムに着いたぞ」 ツクヨミ「ここからどうするんだ?奴は袋のネズミの俺たちをいつでも好きなように料理できるぞ」 フェリア「奴のレーダー、センサーは優秀だ。共に暗闇の中でも俺たちをはっきりと捕捉できるだろうな・・・さっきの戦いでも戦艦型神姫の砲撃を軽く回避しやがった。フクロウのように目と耳がいい」 戦闘爆撃機型のマレズもうなずく。 マレズ「おまけにあいつはステルス性能も持ってる、この暗闇じゃ奴を捕らえられないし、レーダーやセンサーにも映らねえ・・・どーやって戦うんだよ」 ステルス戦闘機型のアネットが口を開く。 アネット「俺も一応はステルス能力を持ってる神姫だから・・・なんとなく奴の弱点というか欠点はわかるんだけどなあ・・・」 アオイ「なんだよ、教えろよ」 アネット「まあ、奴は夜間戦闘を専門にしている重戦闘機型だ・・・明るいところに引き摺りだせば、怖くねえ」 ツクヨミが呆れた顔で言う。 ツクヨミ「バカ、それが出来れば苦労しねえぜ、今何時だと思ってるんだ?世の中の12時だぜ?夜明けまで戦えって言うのかよ」 アオイ「それまでに全員ぶっ殺されるのがオチだな」 フェリア「・・・・」 バトルロンドの筐体の前にいるオーナーたちはナターリャの行動に疑問を持っていた。 わざわざ、逃げ場のないだだっぴろいスタジアムに逃げ込み、確たる対処方法もない。今現状の情勢を見る限りでは勝機がないことは誰の目にも明らかだ。 野木はたまらずナターリャに問いかける。 野木「おい!!!ナターリャ!ここからどうするつもりだ!!このままでは奴が来て全員嬲り殺されるぞ!」 ナターリャ「そうだな、全員、奴に撃沈されるだろうな・・・このままではな・・」 チカチカと暗闇で青白い光が瞬く。 キュイン!!! シュヴァルはリアパーツの素粒子砲を2連射する。 オタリア「ぐわぎゃあ!」 ドゴオオオン!!! ツラギの前方に護衛としてついていた戦乙女型のオタリアがバラバラに爆散して砕け散る。 □ 戦乙女型MMS「オタリア」Sランク 撃破 爆発したオタリアの爆炎でスタジアムに逃げ込んだ神姫たちを一瞬照らす。 アオイ「き、きたァ!!!」 ツクヨミ「ひいい!」 スタジアムの正面入り口から真っ黒な禍々しいフォルムをした武装神姫が飛び出す。 シュヴァル「敵機動部隊を捕捉しました」 夜神がふっと口元を歪ませ叫ぶ。 夜神「勝ったな!!!この暗闇の中で俺のシュヴァルに勝つことは不可能だ!!!!俺のシュヴァルが夜間戦闘では一番最強だァ!!!!!!!」 ナターリャ「暗闇の中ではな・・・」 ナターリャはパチンと指を鳴らす。 ガコン! スタジアムの巨大な照明がすべて一斉に照らされる。 屋内スタジアムの中はまるで昼間のように明るく照らし出される。 パッといきなり照明がつき明るくなりシュヴァルの暗視センサーは機能を失い、またその真っ黒な機体はくっきりとシルエットを照らし出していた。 シュヴァル「ぎゃああああああああああ!!!」 夜間戦闘を専門に行うシュヴァルのセンサーは優秀だった。精度を極限まで高めていたために急激な光源の変化に耐え切れなかった。シュヴァルはまるで化け物のような声で悲鳴を上げる。 夜神はぽかんと口を開けている。 夜神「なあァ?な、なんで照明が」 砲台型のルーシが思い出す。 ルーシ「あああーーもしかしてさっきノートパソコンでメール送ったのって・・・」 ナターリャ「なあに・・・ちょっと暗かったんで照明をつけただけさ」 ナターリャはくいっとスイッチをつけるマネをする。 ルーシ「す、スタジアムの照明システムにハッキングしましたね!ナターリャさん!」 ナターリャは肩をすくめる。 ナターリャ「さあ?なんのことかなーたまたま照明がついたようだな」 野木「しめた!奴の動きが鈍った!おまけに奴は今、はっきりと目視で捕捉できるぞ!!」 ナターリャはツラギの無線を奪い取って叫んだ。 ナターリャ「重巡洋戦艦型MMSのマキシマ!!!ヴィクトリア、待たせたなヘヴィー級のパンチを喰らわせてやれ!全神姫!一斉攻撃!!!!」 スタジアムの両脇に配置されていたマキシマとヴィクトリアがエンジン音を鳴らして砲口をヨタヨタと飛ぶシュヴァルに照準をつける。 マキシマ「このヴェンパイア野郎めッ!!!!ノザッパや他の連中の仇だ!!ブチ落としてやる!」 ヴィクトリア「主砲一斉発射、ミサイル1番から10番まで発射、ファイヤ」 戦艦型神姫の2人は強力な艦砲射撃をヨタヨタと飛ぶシュヴァル目掛けて行う。 3連ヘヴィ・ターボレーザー砲 4基 2連装ターボレーザー・キャノン 3基 艦首ミサイル発射管 4門 対空ミサイル砲 8門 三連装小型ミサイル発射筒 4基 後部ミサイル発射管 8門 通常の神姫とは比べ物にならない強力な武装による一斉砲撃が行われる。 ビリビリとスタジアムの空気が震えあがり、大気を焦がすレーザーの匂い、ミサイル発射缶が吹き上げる硝煙が充満する。 ズンズン・・・ズズウウズン!!ビシュウーーーーンビッシュウエエーーン!! シュヴァル「う、うああああああ!!!」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>第8話 「night-8」 前に戻る>第6話 「night-6」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/30.html
カード右下のアイコンについて 攻撃力(ATK) 防御力(DEF) スピード(SPD) 体力(LP) ブースト(BST) 個体値加算表 神姫固有武器補正 個体値の排出率 アップデート履歴 コメント カード右下のアイコンについて 個体値と呼ばれる。 いわゆるプラスアビリティ。 常時発動でマイナス補正は無い。 神姫やレア度は関係なく、アイコンの分だけ加算される模様。 ◆ or ◆◆ or ◆◆◆◆◆ 現在1個、2個、5個のパターンが確認されている。 5個パターンには武装Cost+10されているもの(通称6V、キャパオバ)が存在する。ステータスに差はない。 0個、その他のパターン、同アイコン複数パターンはない。 基本的にどのパターンも合計で+100の値がステータスに加算されるよう割り振られる。 正確ではないが単純な例として、 1V=100 2V=50 50 5V=20 20 20 20 20 つまり必ずしも5Vが強い訳では無いということ。 詳しい値はページ下部へ。 1Vにおいて以下は確認されていない。 黄色の足(スピード) 2Vにおいて以下の組み合わせは確認されていない。 黄色の足(スピード) + その他アイコン 赤色の剣(攻撃力) + 灰色のLP(体力) 緑色の盾(防御力) + 水色の円(ブースト) ※ただし期間限定で印刷出来た謹賀新年「ストラーフ」のみ黄色の足(スピード) +水色の円(ブースト)かつコスト+10の変則仕様、無論通常の神姫購入では存在しないパターンである。 【本当は武装Cost+10カードなのに裏面の印刷に反映されていないカードが存在する】 例:ゲーム内では武装Cost80表記なのにカード裏面では武装Cost70表記。 稼働初期、武装Cost+10(6V)神姫なのにカード裏面の印刷に反映されない不具合があったが、 これは2021年1月7日のアップデートで修正された。 プレイヤー達は「仕様」なのだと思っていたが修正で「不具合」だと理解。 1/6以前に印刷した手持ち神姫やフリマサイトの5Vが「本当は6Vなのかも知れない」と留意しておこう。 攻撃力(ATK) 一番左、赤色の剣のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「攻撃力」 ATKのみ ATK+α 5つ全て +100 +50 +25 防御力(DEF) 左から二番目、緑色の盾のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「防御力」 DEFのみ DEF+α 5つ全て +250 +125 +50 スピード(SPD) 左から三番目、黄色の足のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「スピード」 現在5つ全てのアイコンが揃う場合にのみ出現。単体、これと他セットでの出現は確認されていない。 例外で期間限定で印刷出来た謹賀新年「ストラーフ」はBSTとの組み合わせである。 SPDのみ SPD+α 5つ全て なし +30 +25 体力(LP) 左から四番目、灰色のLPのアイコン ゲーム内での正式な呼称は「体力」 LPのみ LP+α 5つ全て +500 +250 +125 ブースト(BST) 左から五番目、水色の円のアイコン ゲーム内での正式な呼称は「ブースト」 BSTのみ BST+α 5つ全て +500 +250 +125 個体値加算表 ATK値は神姫/レアリティによって補正がかかっているため、表の通りではない。 ATK DEF SPD LP BST ATK (100) 0 0 0 0 DEF 0 250 0 0 0 LP 0 0 0 500 0 BST 0 0 0 0 500 ATK/DEF (50) 125 0 0 0 ATK/BST (50) 0 0 0 250 DEF/LP 0 125 0 250 0 LP/BST 0 0 0 250 250 SPD/BST 0 0 ? 0 250 ALL (25) 50 25 125 125 神姫固有武器補正 得意武器を装備するとATK値にプラス補正が、苦手武器を装備すればATK値にマイナス補正がかかる。 マスクデータだが、実際に装備した時のATKの上がり方や、神姫ハウスでの台詞、2021.1.28発売のカードゲーマーでおおよその判断ができる。 当wikiでは各神姫に個別で掲載。 個体値の排出率 この数値でほぼほぼ間違いなさそうである。 個体値 排出率1V 48%(12% 12% 12% 12%)2V 48%(12% 12% 12% 12%)5V 3%6V 1% 出典:5ちゃんねるバトコンスレ「武装神姫 バトルコンダクター part11」 479 アップデート履歴 日時:2021.5.26 内容:ATK以外の個体値の上方調整。当wikiは最新のもの。過去のデータは公式お知らせ参照。 コメント 名前 コメント