約 756,914 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/883.html
第7幕「意思の同調状態」 TEPY SAMURAIのボディーを使用してはいるが、コアパーツにはTEPY DOGの物を取り付けている。ならばTEPYで呼称するのであればその神姫はハウリンであろう。 例えその殆どを紅緒のもので武装したとしても、やはり顔がハウリンならばそう呼ぶのが妥当ではないか。 大本がどうであれ、判別する為の材料としてまずコアパーツを見るのであれば、いくらその個体の大部分がTEPY SAMURAI 紅緒だとしてもそれは紅緒になりえない。 結城セツナの所有する武装神姫、焔はそういう位置に立つ神姫である。 そのバトロイは、圧倒的で劇的な、そんな結果を伴って終了に向かっていた。 戦いには相性というものが少なからず存在する。簡単に言ってしまえばジャンケンの様なもの。 グーはチョキに勝てるが、パーには勝てない。 実際はそこまで単純な話ではないのだが、それでも相性というものは戦いにおいて重要だ。 そしてそれは何も相対する敵との相性に限った事ではない。 個体間に差異の大きい武装神姫であるなら、組む相手との相性もまた重要である。 ティキと焔の相性は、元々一つであった何かが再び出会ったのかと言う位良好であった。 M・D・U『シルヴェストル』を装備したティキの姿を見たときは、さすがにセツナも焔も驚いた。 今までのティキとは明らかに違うそのシルエットは、その変化に見合うだけの力を持っていることが窺い知れる。 決して洗練されてはいないのだが、そこには様式美ではない美しさが見て取れた。 一方焔は相変わらずオフィシャルな武装を組み合わせた姿である。それでも今までの装備とは違っていた。 外套を外し、黒き翼、悪魔の翼を装備する事をやめ、ツガルの背部ユニット、レインディアアームドユニット・タイプγに差し替えてあった。起動性能が落ちた分は、鎧の各所にスラスターを増設して補っている。 まるで武者なんとかみたいな有様ではあるが、そこにはある種の洗練されたまとまりが感じられた。 「索敵と援護射撃は任せて欲しいのですよぉ♪」 ゲーム開始直後、焔に自信満々でそう言ったティキは、その言葉を証明して有り余るほどの働きを見せる。 高速で移動し、位置をそのつど変えながらも的確に攻撃。その間にも次の敵を正確に察知する。 その援護を受けながら、焔は自身の得物、斬破刀“多々良”を振るい効率よく敵を殲滅していった。 焔もセツナも、正直二人の成長に驚いていた。もちろん焔は自身の中にある海神の残したデータと比べて、ではあるが。 わずか二月の間に性能任せの力押しはなりを潜め、的確な状況判断の下に行動する姿がそこにはある。 それでも武装は多分に趣味的ではあるのだが。 目の前の敵は、ティキの援護の甲斐もあってか一刀の下に両断された。 焔は初めて実感として経験するティキとの協力プレイに、今まで神姫相手に感じた事の無い頼もしさを得る。 「?」 神姫相手に始めて感じる感情。でもその感情そのものは、決して初めてのものではない。 それに思い至り、焔はしばし動きを止める。 「うに? 焔ちゃんどうかしたのですかぁ?」 不意に動きを止めたパートナーにティキは声をかける。 「あ、あぁ。大丈夫……」 ごく普通の、相手を気遣った当然過ぎるやり取り。 当たり前の反応で、当たり前すぎる行動。 お互いに信頼しあう間柄で交わされる、他愛も無いもの。 だけど だけど……? 『結城さん』 セツナにのみ届けられる雪那の声。インカムを通した、極めてパーソナルな通信。焔にも、ティキにもその声は届いていない。 「……何?」 ゲームが終了した訳でもなく、実際にまだお互いの神姫は他の敵と戦っているが、この調子ならしばらく指示を出す必要もなさそうだった。 実は雪那は最初からこのタイミングを狙っていた。焔やティキに話を聞かれない時機を窺っていたのだ。 『いや、僕で結城さんの力になれるのかな、って』 あまり頼りになりそうには聞こえない、弱気な口調。 セツナは少しだけ逡巡する。 そして少しだけの決意をこめて、言葉を紡ぐ。 「うん、ありがとう。……唐突なんだけど、実はもう海神はいないの」 『…………』 インカムの向こうで、息を呑む音。 「それで、新しく焔を起動したんだけど、私あの娘にどう接して良いのかわからなくて、ね」 『……うん』 「別に、海神の代わりにあの娘を起動させた訳じゃないわ。言い訳に聞こえるかもしれないけど」 わだかまっていた感情が、決壊しそうになるのを感じる。 頭の隅にいる冷静な自分が「無様」と言っている。けど、感情が迸るのを止められない。 「ねえ、私があの娘を好きな様には、あの娘は感じてくれないのかな?」 普段とは違う、少し幼い口調。 「私、焔に嫌われてるのかな?」 声に湿り気が混じる。 常識は「神姫がオーナーを嫌う事はありえない」と告げる。が、焔はあの海神のCSCをそのまま使っているのだ。ならば焔が「オーナーに対して好意的な関係を望む」とは限らない。 海神とは、そういう存在だった。 だから だから……? だけど自分はご主人にその当たり前をしていたのか? だから自分は焔を常に信じ切れなかったのか? ただ決め付けて ただ望みすぎて 本当の意味で、自分の事だけしか思いやれずに 私は ワタシは 『きっと色々思い出して、考えたらそんな事無いってわかるはずですよ』 インカムを通して聞こえる優しい声。 『嫌っている相手のために何かを頑張るなんて事は、人間だって神姫だって出来っこないんですよ? だったら、焔も結城さんも、お互い好き合っているに決まってます!』 そうだ。焔が何で海神のデータを欲しがったのか。 それは焔自身の為ではなかったのだと、セツナはようやく思い至った。 きっとそれは私の為。 「あ……」 「? やっぱりどこか怪我でもしたですかぁ!?」 ようやく焔は思い至る。 「違う。そうじゃない」 ワタシに海神のデータを入れることになんであれだけ躊躇したのか。 それは焔が海神では無いから。焔は焔でしかない。焔にしかなれない。 だからセツナが見せたあの躊躇は、海神の為ではなかった。 それはきっと焔の為。 「本当に、嫌われて無いかな?」 答えは見つかったのに、わざと甘えるように聞く。 自分以外の誰かに、口にして欲しくて。 『当たり前です。こういう言い方は失礼なんですけど、二人とも相手を気遣いすぎなんですよ。……不器用すぎです』 雪那は笑う。 その笑い声も耳に心地よい。 『だから結城さんはいつかのゲームのときに海神に見せた、あの誇らしげな顔で焔を迎えるだけで良いんです』 私はその時どんな顔を彼に見せていたのだろう。 初めて雪那と出会った時の事を思い出しても、うまく思い返すことは出来ない。 『海神の事、信頼していたんでしょ? そして焔の事も信じたいんでしょ? なら考えすぎないで、感じたままに接すれば良いんですよ』 言われて初めて自覚する。 私は海神をパートナーとして信頼を寄せていたんだ…… セツナの目には一筋の涙。 焔、ごめんなさい。私は海神をちゃんと大切に思っていた。 次いでもう一方の目からも涙が零れる。 そして焔。私、貴女の事も負けないくらいに大切に思ってる。 友人として新たな関係を築かねばと、そこに囚われすぎていた。本当はそんな事を深く考える必要など無かった。 「いきなりで申し訳ないが、ティキ。ワタシは焔以外の誰かになれるだろうか?」 振り返り、焔は真っ直ぐティキの目を見る。 「? 焔ちゃんは焔ちゃんなのですよぉ? 焔ちゃん以外の誰かになんて、なっても意味が無いのですよぉ~♪」 意味が解らないながらも、ティキははっきりと答える。 「ティキはそう思うのですよぉ♪ それに……」 ティキは少しだけ間を開ける。 「海神ちゃんも、そう言ってたのですぅ☆」 焔の内に海神の『記録』はあっても『記憶』は存在しない。だから、その『記憶』は焔の中には存在しない。 だが だが、海神がそう言ったのであれば、それはセツナの意思と同じなので、それは焔の中にも受け継がれているのではないのか。 思い至り、そして焔は思い出す。 『正式名称の方はただの飾りだから』 その言葉は一番初めにセツナが言った言葉。 それは何よりも焔が海神とは違う存在だと宣言していた。 セツナが焔に望む事。それは焔が焔でいるという事だった。 「は……ははは。ワタシはただの飾りに振り回されていたのか」 到ってみればその答えはあまりにも単純で。 ゲームの最中だと言うのに焔は声を上げて笑った。 最初から、セツナと焔はお互いを思いやり、大切に思っていた。 そして、だから、どうしても、どうしようもなく、すれ違ってしまった。 絆は初めから判りやすい位に堂々と存在していたのに。 「『ありがとう』」 セツナは雪那に 焔はティキに その同じ刹那に同じ言葉を送る。 雪那は照れたように笑い ティキは満面の笑みを浮かべて 『『まだゲームは終わって無いですよ』ぉ♪』 「そうね」 『その通りだ』 そう、まだゲームは終わっていない。 『敵機確認したですよぉ~♪』 そういうなりティキは再び空へと舞い上がる。 そのティキを確認することなく、焔は迎撃体勢に移った。 セツナと焔はやっとスタートラインに立つ。ゲームは、これから。 トップ / 戻る / 続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/213.html
『さぁて、皆さんお待ちかね……第一回全国一斉バトルロワイヤル、開催だぁっ!』 ピンクのシャツに赤いスーツを着込み、眼帯をした、丸刈りで髭の中年司会者が絶叫する。 それがフィールド及び全国の中継会場に木霊。観客もそれにつられてヒートアップしていく。 『まずはルールをご説明しましょう。それはシンプル! 戦って……戦ってぇ……戦い抜いてぇ!勝ち残った神姫が…優勝賞金一億円を、手にするのだぁっ! 』 ワァァァァ!と各地のモニタを介してみている観客たちから、歓声が上がっている。 やがてモニターにバトルフィールドの情景と全体マップが映し出される。 情景はランダムパターンで次々と映し出されてゆく。荒野、市街地、水中ete…… 全体マップの方は一言で言えば南海の孤島、といった感じで半円型、もしくは緩い水滴型をしている。 そしてそのマップには木の年輪のような線が入れられている。 『さて、それでは続いて詳細なルールをご説明しましょう。 まず武装神姫たちはこのフィールドの最も外周に当たる、この第一エリアにランダムに配置されます。 その後の移動及び戦闘は自由。戦い生き抜く過酷なサバイバルに挑戦してもらいます。 それと隠れ続けての不戦勝狙いの防止策として、一定時間ごとに第一エリアから順次、進入不可能エリアと変化。 進入不能エリアになった時点で、そのエリアに存在する武装神姫は全て強制失格になるので注意を』 『それではぁ……神姫ファイトォ……!レディ、ゴー!!!』 ねここの飼い方・劇場版 ~六章~ 『ねここ、雪乃ちゃん、アリア、現状位置把握、OK?』 「うん、みさにゃん。ポイントX154Y658だね」 「こちらはX199Y127です、姉さん」 「X101Y352」 私の指揮下の3人より返答が入る。 ゴーストタウンの廃ビルの内部に潜むねここ。森林に潜む雪乃ちゃん。地底洞窟を黙々と進むアリア。 バトルが開始されたと言っても私たちの目的は違う。 まずはみんなと合流しないといけないのだけれど…… 私はヘッドギアの通信チャンネルを切り替えて、全通話モードに切り替える。 『どうですか、皆さんの位置情報をお願いします』 OK,了解と返答が続き、個人用ディスプレイの全体マップ上にメンバーの位置が表示される。 『……結構バラバラに配置されましたね。店長、突入ポイントの特定は出来ましたか?』 『あと10分……いや5分だけくれ。絶対に割り出す。それとジェニー、いやジェネシスの出現ポイントが確定した、そちらは今データを送る』 『了解……データ来ました、第2エリアの中央辺りですね。各員はそのポイントへ移動を開始してください。 それと戦闘は出来る限り避けて戦力の温存を……みんな気をつけて』 みんなの威勢の良い返事が返ってくる、士気は高い。 『あ、それとねここは十兵衛ちゃんとの合流を優先して。 いくら新型ボディで稼働時間が延びてても、今回のような長期戦では不利でしょうから、当初の予定通りねこことドッキングを』 「わかったの。ポイント確認……いきまーすっ☆」 『あ、ちょっと待てぇ!』 言うが早いかビルの屋上まで飛び上がると、一気にブースターを開いて高速移動を開始するねここ。 屋上を足場に連続ジャンプして最短距離を移動するつもりなのだろうけど 「にゃぁぁぁっ!?」 何処に敵がいるかもわからないのに、そんな轟音を立てて空中をすっ飛んで行けば良い標的と思われる訳で。 案の定ビルの陰、柱の角、その他諸々あらゆる所から、数えるのも馬鹿らしくなるほどの火線がねここに襲い掛かる。 冷静に考えればそんな頭上を高速移動中のに撃ったって無駄弾なのだが、この数では万一の事態もあるので馬鹿にはならない。 『あっちゃぁ……こうなったら逆に吹かして振り切って!』 「りょ、りょうかいなのっ!」 ここぞとばかりにフルパワーを出し、一気に振り切りにかかるねここ。 開始から燃料の大量消費は避けたかったけども、やむを得ない……トホホ。 『十兵衛、無理にリミッター解除はするな。初めから負担が大きくちゃ最後まで持たないぞ』 「大丈夫ですよマスター。この程度なら……いけますっ」 竹林を縫う様に駆け抜ける十兵衛。その背後には多数の神姫が迫っている。 隻眼の悪魔の名は非常に有名であり、倒して名を上げようと、また1対多数で早めに強敵を仕留めてしまおうと考えるものが多いらしい。 また十兵衛の弱点として、近接戦闘の勝率が悪いと言う事が広まっており、五月雨式に多数で攻撃を仕掛ければ倒せるのではないかとの予測もあったと言える。 そして十兵衛は目立つ。ストラーフでレーザーライフルを装備しているのも少数派であるし、何よりその眼帯の持つインパクトは絶大といえた。 それら複数の理由のため、十兵衛には像に群がる軍隊アリのように多数の敵が群がってきていた。 最初は薙ぎ払っていた十兵衛だったが、敵数の多さとエネルギー温存の為に離脱に切り替えた。 しかしそれでも尚、結構な数が追尾してきている。 「しつっこいなぁ……もぅ。こうなったら……」 真・十兵衛に人格を切り替え、まだ食い下がる追跡者たちを一気に蹴散らそうと踵を返した瞬間 「に゛ゃぁぁぁああああああああああああ!!!」 ドガァァァァァン!!! と追跡者たちを音速の衝撃波で吹き飛ばすねここ。 ……単に加速しすぎて止まれなくなっただけなのだが…… 「真・十兵衛、覚s………ぇ」 覚醒したはいいものの、辺りには吹き飛ばされて戦闘不能になった神姫たちが転がるだけであった。 「……戻る……」 ちょっと不貞腐れたように元の十兵衛に戻っていく真・十兵衛。 『……何やってるんだか』 凄いんだか、凄くないのだかよく判らないわね、全く。 「な……なんとか合流できたのぉ」 「ありがと♪ 助かったよ、ねここちゃん」 減速しつつ、やっと十兵衛ちゃんの所に辿り着いたねここ。 『二人とも急いで。他の娘はもうポイントに到着しつつあるから』 「わかったの。十兵衛ちゃん落ちないでねっ」 「うん……おもいっきりやっちゃって!」 再びブースターに点火する。二人は他の仲間のいるポイントへ向けて、まっしぐらに加速してゆく。 「おい、何をする気だ! ぅわ!?」 後頭部を鈍器で殴られ、昏倒するスタッフ。ホストコンピュータのあるこの施設は既にその犯人たちに占拠されていた。 ごく一部の部外者は目の前の男のように既に排除済。 「……よし、始めろ」 奥にいたリーダー格らしい男が指示を飛ばす。 「我等の怨み、思い知るが良い……鶴畑、オーナー、武装神姫どもめ……」 ……そして、狂気の祭典の幕が上がる。 『第一エリア、封鎖、3分前。繰り返す、第一エリア……』 合成アナウンスがフィールドに響き渡る。 と同時にセンターなどの現場スタッフが俄かに慌て出す。予定時刻よりも大幅に早い時点でのエリア封鎖なのだ。 「え、何なに?」 「そんなっ!?」 「うそ、まだ早いよっ」 まだ第一エリアに取り残されている神姫達も狼狽する。戦闘を行っていた者も慌てて第二エリアへと移動を開始する。 「ねぇ、エリナちゃん。早く隣のエリアに移らないと失格になっちゃうよ!?」 密林エリアの中、アーンヴァル型の神姫が、隣に佇むハウリン型の神姫にそう呼びかけている。 二人は友人同士、この大会でも最後まで一緒に戦おうと決めていた。 だが合成アナウンスが流れた途端、突然エリナが夢遊病者のような状態になってしまった。 「エリナちゃん!? 早く行こうよ、ねぇどうしちゃったの!?」 肩を掴んで揺さぶるが一切の反応がない。……いや、それに刺激されたのかエリナの顔が上がる。 「エリナちゃん!よかったぁ、さ、早く行こ!?……ぅ……」 彼女がエリナの手を取って駆け出そうとした瞬間、エリナがその手に装備した蓬莱壱式で至近距離から砲撃したのだ。 それは腹部に直撃、巨大な風穴を作り出していた…… そのまま上半身が千切れ、ドサリと崩れ落ちる。 「ど……ぉ……し……」 驚愕の表情が張り付いたまま、涙を流し、半ば消えかかった意識でそれだけを発する彼女。 エリナはそんな彼女へ歩み寄ると、その頭部に蓬莱壱式の銃口を押し当て…… 降り出したスコールの中、辺りには砲声の轟音だけが響き渡っていた…… 暴走の刻が、来たのだ。 そうした小競り合いがあらゆる所で発生。。エリア離脱を図る神姫たちに暴走神姫が襲い掛かったのだ。 離脱に気を取られすぎていたある神姫はあっさりと倒され、なんとか迎撃した神姫にもタイムリミットが迫っていた…… 中には先程のように友人に対して攻撃を躊躇う内に、逆に倒されてしまったケースも多い。 そして……運命の時刻がやってくる。 「ねここちゃん。あれを!」 十兵衛ちゃんが叫ぶ。高速移動しつつも振り返って状況確認をしようとするねここ。 「何……あれ」 第一と第二エリアの境界に強力な電磁バリアが張られ、完全に行き来を不可能にしていた。 「そんなっ! 後一歩だったのにぃ」 目の前でバリアが発生し、移動不能になってしまったマオチャオ。 「あーあ、こんなとこでおしまいか。ちぇー……ぇ」 愚痴りつつ回収されるのを待っている、と、マオチャオの足元から黒い稲妻のようなモノがバチバチと放電してくる。 とっさに回避するマオチャオ、だがソレは着地地点にも発生し…… 「きゃぁぁぁぁぁ!?」 黒い稲妻がマオチャオの全身を犯してゆく。 やがて稲妻が収まると、そこには感情の一切ない神姫、いや只の操り人形がいるだけだった。 「ちょっと待って、何かバリアから出てきます……望遠レンズ倍率拡大、ズームにして各種センサー展開……」 十兵衛ちゃんが神眼を使い、その正体を暴き出す。 『どうだ、何かわかったか?』 「……どうやら暴走神姫みたいです。あの夢遊病者みたいな表情は間違いありません」 『……って事は、始まったのか』 「はい……しかも敵は封鎖エリアに関係なくやってくるみたいですね」 『バリアを抜けてきてるものね……』 事態は一刻を争う状況になってきたみたい、ね…… 「ねここちゃん、合流ポイントへ急ぎましょう!」 「うんっ」 ……舞台の第二幕が上がろうとしている、悪役の次は、ヒーローの出番! そう信じて。 続く トップへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1667.html
…… 「零牙、起きてください」 「む……ん。」 主に呼ばれて、我は目を覚ました。 いつもならばその立場は逆であるのに。 「珍しいですね、あなたより先に私が起きてしまうなんて」 「…面目ない、主。」 主はすでに外行き用の服に着替えていた、手には我の武装が入ったボックス。 今日はこの前知り合ったヒカルとのバトルロンドの予定があった。 主の家から一kmほど先に、神姫センターがある。 秋葉原などにある店舗ほどではないが、規模は大きい。 しかし、約束の時間より三十分も早く来てしまう主の癖のせいでヒカルのマスター氏は まだ来ていなかった。 ベンチに腰掛け、来るのを待つ主。 ここのセンターは順番などの関係で、バトルロンドは対戦相手と一緒に申し込む決まりとなっていた。 「遅いですね」 「主の来るのが早すぎるのかと。」 主の笑顔が一瞬引きつった。 「…一応、これでも気をつけている方なのですが…」 後に聞いたのだが、我が来る前は一時間以上前に待ち合わせ場所に居たらしい。 …… 十五分くらいが経過した。 六月中頃の暖かな日差しが、ガラス張り天井のホールに降り注ぐ。 見ると、主はウトウトと睡魔に襲われている最中だった。 誰にでも敬語を使うのと、少しのんびりしているのが主の特徴だか、寝てしまってはヒカルのマスター氏に悪いし。 万が一置き逃げに遭ったら我だけでは対処が出来ない。 「主、炭酸飲料か何かを買ってきましょうか?」 「あなたじゃ大変でしょう。私が行きますよ」 「主がここに居なければヒカルのマスター氏が困ります。それに武装していればその程度、持てます。」 主は少し考え 「…じゃあ、お願いします」 と言って財布の中から百二十円を取り出した。 我はそれを受け取り、自販機があるエリアに走りだした。 ~・~・~・~・~・~・~ ホールにある自販機は故障中で、炭酸を販売している自販機を探すのに苦労した。 見つけたのはバックヤード近くにある、薄暗く人があまり通らない場所でだった。 コーラを抱えて急いで戻ろうとした時 殺気を感じた。 圧縮空気が噴出する音と共に黒光りする物体が飛んできた。 武器は持っていない、飲料缶を盾にした。 ぷしゅっ 何かが缶に突き刺さり、間の抜けた音と共に中身が噴き出た。 我は缶を盾にしたまま、物体が引き戻されてゆく方向に声をかけた。 「…何者だ。」 言った先、ごみ箱の影から現れた影。 その体を漆黒に染め、存在しない青い薔薇を思わせる透き通った髪。 ベースが少女型である花型MMS「ジルダリア」とは思えない程、妖艶な雰囲気を持つ相手だった。 「"蒼穹の猟犬"…で合ってるわね?」 青く塗られた唇が動き、低く、抑揚の無い声を紡ぐ。 その体と同じく、吸い込まれそうな程深い緑の瞳が、我を見据える。 「"蒼穹の猟犬"? …そうだ。」 人違い…ではなさそうだ、"蒼穹の猟犬"とは以前アピールに使用した覚えがあるからな。 「ふぅ…ん。『瞳に瞳孔がある』のねぇ、前見た時は気付かなかったわね」 瞳孔? 我の目には"瞳孔"がある。Kemotech社に勤めている主の父親が、関係者に放出された試作品を貰ってきたからだ。 放出された『目に瞳孔がある頭部』の内の一つが我に使われている。 「…何の用かは知らぬが、バトルの申し込みならば表でやってくれぬか?」 中身の抜けた缶をごみ箱に放り投げる、壁に跳ね返り箱に入って行った。 ジュース代をフイにしてしまったが、まあ仕方があるまい。 そのままジルダリアの横を通り過ぎる…と 空気を切り裂く甲高い音、そして熱気を感じ咄嗟に後方へと飛びのいた。 胸甲の手首が斬りおとされたが、自らの腕は無傷であった。 ジルダリアの右腕に装備されている物に目を落とす。 カッターナイフの刃らしき物が背部コンバータにコードで接続されている。 刃は熱を帯び、紅く輝いていた。 「…ふん、工作用の電熱カッターを改造したものか…。」 斬り口から漏電している、電力の無駄なので胸甲の電源を落とした。 「当たり♪、当然金属も切断できるだけの出力は出せるわよ」 ジルダリアが子供の様に笑う、我が苦しむのを見たいようだな…。 そう思った瞬間、横一文字に斬りかかってきた。 胸甲に大きく切り裂かれた、気付くのか少し遅れていれば本体を切り裂かれていた所である。 ABS樹脂が溶ける際に発する臭気が鼻につく。 「さあ"蒼穹の猟犬"…零牙と言ったっけ?」 切先を我の頭に向ける、熱気が顔の近くまで来ていた。 「武器が無いと戦えないのかしら?少しは芸があるはずよね?」 ふ…む。 機能停止状態の胸甲を排除した後、どうするべきか。 先ほどの銛状飛翔体は背部ユニットと一体化しているようだが、そこを無力化するにしても武器が無い。 五寸釘の一本でも落ちていれば話は別だが。 「考える時間は終わりね、…始めましょう」 刃先を我の顔から離し、振りかぶる態勢で構えた。 さて…風はどちらに吹くかな? 刃先が頂点まで達した瞬間、硝子が割れる音に似た破砕音が響いた。 ふぅむ…我に吹いたか。 本来なら、我に向かって振り下ろされる筈のカッターの刃は、細かい破片となって散らばり床を焦がしている。 突然の事に動揺を隠せないジルダリア、まだ未熟だな。 「誰なのっ!?」 「ちぇえぇぇぇぇぃ!!!」 突然、視界に赤い何かが割り込んできた。 それと同時に目の前に居たジルダリアが五十センチ位奥に蹴り飛ばされていった。 赤い何か。 黒い素体に赤と白の装甲、緑の頭髪。 サンタ型MMS「ツガル」の姿がそこにあった。 しかも、我はそのツガルを知っている。 「ジュラーヴリク、何故お主が?」 「"正義は悪と紙一重"ってところかしらね」 ジュラがフォービドブレードを押しつける。 「…なるほど、"狩人"か」 「そう言う事、…ようやく起き上がったか」 ブレードを握ると、刃の部分が発光し始めた。 「時にジュラ、あのジルダリアの相手は我がしよう。お主は見ているだけでいい。」 「…"蒼穹の猟犬"のお手並み、久しぶりに見させてもらうわ」 さて、と。 リアルバトルは初だが、何とかなるであろう。 「我は零牙、蒼穹の猟犬なり。…ゆくぞ」 ~・~・~・~・~・~・~ 「ようやく乗り気になったわね!」 ジルダリアは銛を二・三本まとめて撃ちだした。 (剣の振りは…右斜め上六十七度からといったとこか。) 零牙は心の中で呟き、流れるような動きでそれを実行した。 振り下ろされたブレードに綺麗に弾かれ、金属音を響かせる。 あらぬ方向に飛んでいき、様々な場所に突き刺さる。 「嘘ッ!? 五ミリの鉄板を貫くのに!」 「ふっ!」 身をかがめ、クラウチングスタートの要領で床を蹴り飛ばす零牙。 一秒もかからずその距離を縮め、大きく振りかぶる。 「そのブレードにこのタイミング…」 風切り音、そして異臭。 直撃は避けたものの、ダーツ発射器を兼ねるリアパーツを斬りおとされるジルダリア。 「まさかあんたは!?」 「ハァッ!!」 右手の短刀で止めようとしたが、刃と刃がぶつかった瞬間短刀の刃が割れ落ちた。 「イリーガルハンター!?」 「当たりよ。…ようやく来た」 出入り口側から悠々と歩いて来た人物。 センター職員の制服に身を包み肩にはアーンヴァル、胸のネームプレートには「長瀬」と書かれていた。 「祁音遅い!」 「別に急がなくたってたも良かったみたいだしな、被害者はピンピンしてるし」 「くそっ!」 脚部ユニットのロケットモーターが点火し、飛び上がるジルダリア。 「逃がさないわよ…精密射撃技術をなめなさんな!」 両手で構えたホーン・スナイパーライフルが火を噴き、弾丸がジュビジーに襲い掛かる。 「ガぁッ!?」 正確無比な銃撃により右脚を吹き飛ばされ、バランスを崩すジルダリア。 「追え、ラスター!」 男の肩から飛び発ったアーンヴァルが、ジルダリアを追う。 本来の性能では考えられない加速で飛んでゆく。 「覚えていらっしゃい零牙! いつかまた会いましょう!」 曲がり角を曲がり、見えなくなった。 零牙はここで、ようやく息をついた。 「大丈夫かい?、零牙」 男がしゃがみこんで、零牙と視線を合わせて言う。 「長瀬氏、"狩人"だとは聞いてはおらぬぞ?」 「違法行為だから普通は教えないさ、それより一応検査をしよう」 我はメンテナンスショップの中にいた。 念の為に検査されているのだ。 主が長瀬氏から説明を受けている、傍らには忙しく歩き回るショップ所属の修理用MMS達。 …と、説明が終わり、主がこちらに来る。 「零牙、大変でしたね」 そう言う主の目は、この騒ぎの真実を知っている事を語りかけていた。 「心配を掛けてしまい、申し訳ありません。」 「大丈夫ですよ。…形人さんとヒカルさんに多少迷惑を掛けましたが、納得してくれました」 「二人は人が良いですからな…。」 …… ジュラの説明によると、あのジルダリアは以前我と公式戦で戦い、敗北した神姫だと言う。 マスターについては調査中で、今の所ターゲットは我だとしか判っていないらしい。 「神姫をあんなにしちゃうなんて、きっとマスターが病んでるのよ」 ややオーバーアクションで呆れるジュラ。 「ジュラ、そう言えばあやつの名は…何とゆうのか?」 「確か…んー。確か"ダイアトニック"って名乗ってたかしら」 「ダイアトニック…、音楽用語だな。」 「話は済んだかい?、二人とも」 長瀬氏が会話が詰まった隙を見て、話に参加してきた。 「祁音、アイツの脚の調査結果は?」 「公式戦なんて問題外の改造だね。フレームはチタン製で電熱カッターが仕込んである、並の神姫なら一蹴りで一刀両断だな」 「下半身電熱カッターって事ね、アイツ…」 「オマケに電圧が高いのなんの、あんなの外部電力無しだと二秒でバッテリー切れさ」 「あの…」 完全に置いていかれてる…どうしようか。 まあ、ひとまずは良しとするか…。 ~・~・~・~・~・~・~ 深夜。 某マンションのベランダで煙草を吹かす影ひとつ。 長瀬祁音(ながせけいん)は思案に暮れていた。 (目にはつけていたが…本当に立ち向かうとはね) 零牙の実力の凄さを改めて知り、それがこの町の"裏神姫"をどう動かすかを考えていた。 ここで言う"裏神姫"とは、長瀬が"動向が怪しい"と見た神姫をまとめた物であり、決して確実なものではない事を留意してもらいたい。 「キャプテン」 そう言って、アーンヴァルが彼の右肩に乗る。 「どうだったか? ラースタチュカ」 ラースタチュカは、首を横に振り 「駄目でした。規格外のロケットモーターを使用したと思われます」 「そうか」 「すみません…」 「仕方がないさ、待てばいいさ。また零牙に挑戦する時を」 「しばらく姿を現さないと思うね、私は」 ジュラーヴリクが話に割り込む。 「それまでヒマだなぁ…」 「本当なら、俺達が動くような事件など、起きてほしくないんだがな…」 そう言って、長瀬は銜えていたケントを床に落とし、踏み消した。 2037年、武装神姫を悪用した犯罪が増えてきているという。 そういった犯罪に、"同じ力で"対処する人達も居る。 しかし、それは別のお話である。 無頼4を読む 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2783.html
そりゃ、私達にだって不満はあります。あの子達と組んだおかげで神姫マスターアイドルとして有名にはなれました。最近じゃ神姫センター関係のイベントだけじゃなくて地方のイベントとかにも呼んでもらえます。実は小さなハコですけどライブの開催も決まったんですよ。でもね…ステージでお客さんの歓声をいくら受けても、それはあの子達へのものばかりなんです。一生懸命歌ってるのは私たちなのに聞こえてくるのがあの子達の名前だけっていうのは結構堪えるんですよ。お客さんにしたらいつまでたっても結局私たちはアイドル神姫のマスターなだけ、おまけでしかないんです。 -武装神姫マガジン6月号「特集:突☆撃!オトメを支える神姫達」より抜粋 連続神姫ラジオ 浸食機械 16:マジックドール 背後から襲い来るビームソードの斬撃を頭のアンクルブレードでいなすとストラーフは後ろに飛び下がる。いつの間にか接近した清四郎が追撃を仕掛けようとするが茂みの影から飛来したドングリに行く手を遮られる。 「もういいだろ。お前のマスターは沈黙した。無理に命令を遂行することはない」 そう言って茂みから姿を現したのは白髪交じりの老人だった。手には紐と布で作られたよく分からないものを持っている。老人に声をかけられた清四郎は抵抗をやめる。その顔には安堵の表情が浮かんでいた。 「さて、お前達、大丈夫か」 先ほどのストラーフが僕たちに手をさしのべてくる。その手を取って立ち上がった僕たちは彼女達に礼を述べる。 「事情は色々あるのだろうがまあ深くは聞かないさ。この島では色々あるからな」 そう言ってストラーフは豪快に笑った。 「そうだな、人の事情まで詮索している暇はない。待ち合わせに遅れないよう行くぞ、零」 「まあ、そう言うわけで送ってやりたいんだがこっちにも事情があるんだ。行こう火狩。」 零と呼ばれたストラーフはすまなそうに笑うと老人の肩に飛び乗る。 「コウガのことは俺たち大人に任せておけ。きっと君と神姫を家に帰してやる。だから無茶はするなよ」 「お前達みたいな優しい奴にはこんな役目はして欲しくないんだ」 立ち去る前に老人と神姫は僕たちにそう語りかけ、茂みの中に消えていった。 <無茶はするな、か。ひょっとしたらその方がいいのかもしれないね、プルミエ> 「マスター・・・」 プルミエが不安そうに声をかける。僕の考えを悟って心配してくれているのだ。 <でも僕はやっぱりコウガにあって彼女を止めたい> コウガの生い立ちを知ってから僕はずっとそう考えていた。子供のわがままかもしれない。英雄願望なのかもしれない。でもこのままで終わっていいはずはない。あの人達はどんな事情があってもきっとコウガを壊す。そんな終わり方を僕は避けたかった。 次回:届かぬ思いに続く・戻る
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/101.html
デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 覚えるパッシブスキル一覧 神姫固有武器補正 神姫考察攻撃力 防御力 機動力 運用・総評 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー 島田フミカネ(ストライクウィッチーズ、メカ娘等) 声優 阿澄佳奈(ひだまりスケッチ:ゆの、WORKING!:種島ぽぷら、這いよれ!ニャル子さん:ニャル子、ささみさん@がんばらない:月読鎖々美、他) 神姫解説 アーンヴァルMk.2の武装搭載量を強化した攻撃タイプの神姫。追加された大型ウィングと脚部バランサーにより中低速域での飛行安定性の向上を実現。また大量の武装を効率的に管理するためヘッドセンサーは一回り大型の物に換装された。AIはノーマルモデルに比べ、ややおとなしめの性格という印象だが、戦闘時にはその強化されたスペックを遺憾なく発揮できるよう調整されている。 名称:天使型アーンヴァルMk.2テンペスタ(てんしがたあーんゔぁるまーくつーてんぺすた) メーカー 素体:FRONT LINE 武装:FRONT LINE 型番:FL016/T (FLO16/Tとする記述もある) フィギュア発売:2011年3月17日(通常型)/2012年3月15日(フルアームズパッケージ/以下「FAP」) 主な武装:アーンヴァルMk.2に準じる(名称の末尾にテンペスタ用を示す「/T」が付記される)ため、明らかに変更されたもののみを記載する。 アルヴォPDW11/T(本作において、元モデルでは片手ライトガンだったがこちらでは双ライトガン) GEモデルLS9レーザーソード/T+アルヴォBD1バトルダガー/T(本作では当初、レイドボスバトルの闇神姫報酬として実装) GEモデルLC7レーザーキャノン/T(GEモデルLC5レーザーライフルのパーツを使用したレーザーキャノン) ※GEモデルLS7レーザーソード/T(GEモデルLC5レーザーライフルのパーツを使用したレーザーソード) ※ヘッドセンサーユニコーン改(ブレードアンテナ部を中心に、ひと回り大きくなっている) ※RU・シンペタラス改、RU・コーリペタラス改(リアユニット。翼を大きなタイプに変更) ※LGコレオプテール改(爪先部分が大きく延長されている) ※※ヘッドセンサーラシュヌ(FAPで追加。額部からサイド方向に短く2本のアンテナが伸びている) (※)その後、元モデルのFAPに導入。結果的にテンペスタFAPにも実装された。 (※※)元モデルのFAPで導入された後、テンペスタFAPに実装された。 通称「テンペ」「てんぺったん」。アーンヴァルMk.2のリデコリカラー品(そのややこしい経緯は元モデルの項を参照)。 通常版の白を基調としたカラーリングに対し、こちらは黒と青紫を基調にしたクールなものに変更されている他、アップグレードモデルとしてFAPが存在。 一般販売品ではあったものの、もともとが人気機種である事から、中古市場では通常型/FAP問わず結構なプレ値が付いている。エアパスタ不可避 上記した経緯から、武装一式は基本的に元モデルと同じものだが、後に元モデルのFAPにも逆輸入される事になる各種武装が追加されて印象を一新している。 ちなみに「GEモデルLS9レーザーソード/T」は元モデルのFAPから追加され、テンペスタFAPにも実装されたもの。 本作では性格設定の若干の変化を反映してか、素体および武装の性能も微妙に変更されている他、ボイスも新録。更に2021/01/11のアップデートで、FAPの武装も完全実装されるに至る(地味な事だがレアリティRのイラストはFAPのものとなっているため、おそらく実装当初からの既定事項だったのだろう)。 初代と元モデルと一緒に揃えば、アスミス神姫祭りだ! なお、素体のサイズにはSSがなくLLがある。元モデルは泣いていい。 彼女(及びストラーフMk.2ラヴィーナ)のFAPは、コナミ内製武装神姫フィギュアシリーズの最後を飾った存在である。 そんな彼女だが、リデコリカラー品であるためか過去の公式媒体各作品には一切登場しておらず、本作が初登場となる(バトマスMk.2及び関連作品に出てきたのは「アーンヴァルMk.2黒」というゲームオリジナル神姫)。 またOVA作品MoonAngelにおいては特殊改造が施された個体であるアーンヴァルMk.2の「かぐや」が戦闘中に暴走した事でテンペスタ風のカラーリングになる演出も存在している。 しかしその実装については、既に早期から筐体の誤作動によるアクシデントでその名が出ていた事が一部プレイヤーから報告されていた他、レイドボスバトルの時点で専用装備が出現していたため、かなり早い段階で予測されてはいた。 BXツガルのように装備として実装されるのでは?という声もあったが、ユーザー人気の高さもあってか、実際には元モデルとは別枠の神姫として、本作稼動1周年の節目をもって実装に至っている。 なお2024年のパチスロ版では、通常個体を「リミッター解除」した姿として本個体が登場。というのも、カラーリングの他性格まで変化しておりどこからどう見ても本個体のはずなのだが、あくまでも「通常個体と同一機」という扱いになっているあたり、件のアーンヴァルMk.2黒およびOVA作品MoonAngelにおけるかぐやの存在が参考にされた節が見られる。 性格 冷静沈着気味で愛嬌は少なめながらも、元モデル由来のマスターへの強い想いは色濃く感じられる。 上記の通り、公式作品への出演が長らくなかったためか、公式設定とは別個に叫び顔で「んぺー」と鳴き声めいた台詞を放ったり、チロルチョコをこよなく愛したり…といった、ユーザー層によるインターネットミームが根強く存在する。 セリフ一覧 + 私が全ての敵を薙ぎ払います… ログイン時 通常(朝) おはようございます…。今日も1日頑張ります…。 おはようございます…。朝早くから連れてきてくれて、ありがとうございます…。 通常(昼) こんにちは…。調子はいかがですか…?ではご指示をどうぞ…。 こんにちは…。勝利のために尽力します…。では、ご命令をどうぞ…。 通常(夕) こんにちは…。私でお役に立てる事があれば、何でもどうぞ…。 おかえりなさい…。これからいかがいたしましょうか…。何なりとどうぞ…。 通常(夜) こんばんは…。バトルが盛り上がってくる時間帯ですね…。楽しみです…。 おかえりなさい…。これからどんなプランで行きましょうか…。 通常(深夜) こんばんは…。夜も更けてきましたね…。無理せず行きましょう…。 こんばんは…。夜遅くまで頑張るその姿に、私も応えなければいけませんね…。 年始 あけましておめでとうございます…。今年の抱負ですか…?うーん…。バトルに勝利する…、以外に何かあるのでしょうか…? (ボイス) あけましておめでとうございます…。今年もどうぞよろしく…。 バレンタイン つまらない物ですが、こちらをどうぞ…。バレンタインですからね…。 ホワイトデー え、これを私にですか…。バレンタインのお返しですね…。ありがとうございます…。 エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 暑くなってきましたね…。ご自身の体調管理も…、しっかりしてくださいね…。 七夕 水着 ただいま期間限定イベント開催中です…。特別に水着を着るそうですが…、あまり期待し過ぎないでくださいね…。 ハロウィン ハロウィンですか。派手な催しは苦手なので、私は遠目で見ておきますね。 冬季 寒くなって来ましたね…。人は体を冷やすと良くないようですね…。ご自愛下さい…。 クリスマス メリークリスマス…。パーティー…、しますか…?私と一緒では盛り上がらないかもしれませんよ…? (ボイス) メリークリスマス。今日くらい二人っきりだと…嬉しいな…。 神姫の発売日 え…?これを私に…?私の発売日を覚えてくれてたんですね…。ありがとうございます…。 オーナーの誕生日 今日は誕生日ですね…、おめでとうございます…。よい1年を…。 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (→決定後) レベルアップ後 MVP獲得 3連勝後 親密度Lv5後 親密度Lv10後 親密度Lv20後 親密度Lv30後 親密度Lv40後 親密度Lv50後 親密度Lv60後 親密度Lv70後 親密度Lv80後 親密度Lv90後 親密度Lv100後 頭タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 胸タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 尻タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 通常会話 武装カスタム 戦闘力Up時 戦闘力Down時 武器LvUP時 素体カスタム 親密度LvUp時 限界突破時 出撃時 キャラ入れ替え バトル開始時 私の活躍を見ていただければ…。 → いきます…。どこからでもどうぞ…。 バトル中 撃破時 コンテナ入手時 被弾時 オーバーヒート時 スキル発動時 (能力強化系) (HP回復系) (デバフ系) (攻撃スキル) チャーミークリアボイス 行きます…あなたは 勝てない 私の 方が 上だから 被撃破時 次出撃時 サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 勝ちました、1位です…ありがとうございました。 → お褒めの言葉、ありがとうございます…勝った甲斐がありました…。 2位 → 3位 → 4位 → コンテナ獲得時 1位 2位以下 LvUP時 神姫親密度 お近付きになれたようで…嬉しいです…。 マスターレベル 神姫ショップお迎え時 はじめまして。これからよろしくお願いします。私なりに頑張ります。 はじめまして。性能には自信がありますが、扱いにくいかも知れません。今後ともよろしくお願いします。 ゲームオーバー時 バトルお疲れ様でした。また私を連れて出撃してもらえると…嬉しいです…。 その他 カラフルコンダクト 性能に 少しは自信あります 冷静に 分析 撃破します 愛嬌は ないけど大好きです スキル使用時 私の本気…見せます…! 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・先輩・姉さま 神姫ハウス内コミュニケーション LV60~LV69 頭 LP 胸 防御 ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N 40 40 110 300 100 R 45 45 120 350 120 SR 50 50 130 400 140 UR 55 55 140 450 160 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - マスクステータス 1/s ジェム回収展開速度 ブースト回復量 ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 N 1750 160 960 95 60 20 70 R 1050 115 80 40 90 SR 1140 135 100 60 110 UR 1230 155 120 80 130 覚えるパッシブスキル一覧 モード オブ エンゼル テンペスタ ver.一定の確率で攻撃を無効化、LP回復 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる ため威力増加[小]タメ攻撃の威力を上げる 早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル 防御力アップ[小]防御力を上げる 追加ダメージ軽減[小]敵からの追加ダメージを軽減する ため時間減少[小]ため時間を減少する 体力最大値アップ[小] *要限界突破(L110)体力の最大値を上げる ダッシュブースト消費量減少[中] *要限界突破(L120)ダッシュする際のブースト消費を減少する 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル 体力最大値アップ[小]体力の最大値を上げる クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる 射撃弾数+1射撃時の残り弾数を増やす ブーストアップ[小] *要限界突破(L110)ブースト時の移動スピードアップ 体力最大値アップ[中] *要限界突破(L120)体力の最大値を上げる 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル 攻撃力アップ[中]攻撃力を上げる 攻撃スピードアップ[小]攻撃時のスピードが上がる ダッシュブースト消費量減少[小]ダッシュする際のブースト消費を減少する 全能力アップ[小] *要限界突破(L110)全ステータスがアップする 射撃弾数+2 *要限界突破(L120)射撃時の残り弾数を増やす 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +40% 防具用武器・回復補助 +30% 片手斬撃武器・双斬撃武器・両手斬撃武器・双頭刃斬撃武器・片手ライトガン・双ライトガン・肩持ちヘビーガン・腰持ちヘビーガン・下手持ちへビーガン 不得意武器 -30% 格闘打撃武器・両手打撃武器 神姫考察 攻撃力 神姫自体のATK値は低めだが、必ず覚える攻撃力アップとため威力増加でダメージを底上げできる。 総じて平均クラスの攻撃力は最低でも確保できる。 防御力 神姫自体のATK値は低めで、防御寄りの早熟型の補正込みでも全体の中では低い方…だったのだが2023/6/12のアップデートにより突然DEXと射撃耐性の強化、そして専用スキルの回復量増量が行われた。 その為アップデート以前よりは脆さがある程度改善されている。 機動力 ダッシュスピードが遅い方で、補助スキルも晩成型に申し訳程度にしかない。 しかも燃費が少し悪い方なので、総じて最下位クラスの機動力となる。 運用・総評 専用スキルの発動率は約20%。回復量は10%。攻撃自体無かったことにするのではなく、ダメージ表記のない0ダメージにする。0ダメージの攻撃を受けているので、ガード成功時にも発動し、その分ブーストも消費する。 発動してしまえばどんな攻撃も0ダメージにするうえに回復まで行う超強力なスキルだが、あくまで確立。発動すればラッキー程度の認識で。これを当てにした戦法は取らないこと。 燃費の代わりに全体的な性能がアップしたアーンヴァルMk.2といった印象。基本的な運用も変わらない。 というよりも高速化していく戦闘、燃費の悪化、相変わらず受身の専用スキルと、後手に回らざるを得ない、と言った方が正しいか。 だが得意武器の増加と燃費と引き換えに上がった性能で取れる選択肢や戦術が大幅に増えているのは流石といったところ。 基本に忠実に、かつその場に合わせた柔軟な対応が求められる。 解放パターンは早熟型は防御寄り型、通常型はバランス寄り型。、晩成型は攻撃特化型となっている。 神姫攻略法 基本は元となったアーンヴァルMk.2と同じ対応で良いが、専用スキルでさらに撃破に時間がかかるようになったのは気をつけたい。 機動力が実質低下しているのが弱点。高火力攻撃で一気にしとめたい。専用スキルが発動しなければ撃破自体はアーンヴァルMk.2より早い。 設計思想通りアーンヴァルMk.2より火力がかなり上がっているので、カウンターには気をつけよう。 お迎え方 2021/12/24~から神姫ショップに登場 アップデート履歴 日時:2022.1.11 内容:FAPで追加された武器・防具を実装 日時:2023.6.12 内容:DEXと射撃耐性上昇、専用スキルの回復量増加 コメント 呼び名は マスター 先輩 姉さま -- 名無しさん (2021-12-27 12 43 19) テンペスタ通常型lv110ブーストアップ小 -- 名無しさん (2022-03-30 20 35 59) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1488.html
春音、楽ね、狐 綾季、暢気、狸 夕暮れの境内は少しの寂しさ漂う不思議な空間ですね。こんばんわ、結です。 今日はご奉仕(他の神社のお手伝い)の為お知り合いの所に居ります。 いつもの場所とは違いますが何度か訪れているので慣れたものといったところで。 本日はこの神社で神前結婚が行われたのでそのお手伝いをしていたのです。教会での式が多い中でもやっぱり神前が良いとされる方って結構いらっしゃるのですよ? 三々九度用のお神酒を準備したり、雅楽の演奏家さん達のお世話、両家の方々への説明、等々一日中忙しかったですが充実していました。それに今日はご主人も一緒でしたしね。やはりマスターと共にあるのは嬉しいものなのですよ神姫は。 「ゆ~い~」 「はい?」 拝殿を向けばそこにはここにお住まいの神姫、忍者型の春音(はるね)さんが手招きしていました。 「どうしたのですか?」 「お茶にしようとね。綾季がお茶請けも用意するって」 「それはそれは。ご伴侶に与ります」 彼女は忍者型には珍しく表情豊かで気さくな方で、キャットテイルに手を加えたフォックステイルを常装しておられます。 そのフサフサの愛らしい姿に付いて母屋へと。中では種型の綾季(あやき)さんが準備万端待っておられました。 「待ってたよ~」 のんびりとした口調とポヤポヤした微笑みの癒しさんです。でも、とある禁句を口にすると・・・止めておきましょう自ら窮地に向かうなんて事は。所謂「普段温厚な方程怒ると恐い」それは神姫にしても同じって事です。 そうそう彼女も春音さん同様で、狸やアライグマを連想させる丸みを帯びた茶色い尻尾を常装してらっしゃるのですよ。お二人合わせて「狐狸神姫」、 私も加えれば「狐狗狸神姫」となる!とは彼女達のマスター談でして。 「縁側いく?今日は暖かいし」 「いいね~」 「では運びますか」 小さなお盆に乗せて縁側に行くとご主人と彼女達のマスター近藤直子さんが寛いでおられました。更に部屋に宮司さん達が宴会状態に。 「お疲れ様でした。結さん、春音、綾季」 「「「お疲れ様でした」」」 大学生の近藤さんは物腰穏やか、本職の巫女さんですし私の目標とさせて頂いている方です。 「狐狗狸さんも頑張ってくれたおかげで滞りなく式も進んだし、両家の方々もお喜びになったし、今日は良い日だね。ねぇ宗司さん?」 「んー、まぁな。しかし久々に神事の手伝いしたせいか肩こった」 コキコキと肩を鳴らすご主人、いつものお仕事と違う作業にお疲れのようです。 「ま、俺等よりも親父達の方が忙しかったろうけど、」 そこで言葉を切り振り替えられます。そこには混沌とした酒宴が・・・あっ、苦笑してますねご主人。 「疲れてる様子はねーな」 「ですね」 クスクスと微笑む直子さん。楽しそうです。 宮司さん達が大宴会をしている居間に戻りご飯を摘みつつ時間は過ぎていきます。 春音さんは直子さんの膝の上で寝そべり、綾季さんはその横でウトウトと、私はのんびりお茶に和んでます。 「ところで宗司さん、お願いしていたものは出来てますか?」 「完成したから持ってきてる。今から試す?」 「はい。春音、綾木準備して。結さんも手伝ってくれる?」 母屋の二階に直子さんのお部屋にて装備の品評会となりました。 「ほれ」 「ありがとう御座います。じゃっ、早速] 受け取った箱から出てきたのは武器でした。 「一応オーダー通りに造ったけど調整はまだだから。今からやる?」 「お願いします。先ずは春音からね」 言われた春音さんがテーブルの上へと、片方の武装を手にされます。 忍者刀[風花]くらいのそれは棍のような物、でも握りの部分に切り目が見えるので刃物らしいです。 「炎刀[狐火]。レーヴァテインの改造品でな、放熱を切っ先だけに限定してあるから刃自体の切れ味と強度は既存品以上」 見詰める私達にご主人の説明が入ります。 抜刀して振るうとその切っ先が少しずつ色付きやがて放熱、陽炎と炎が立ち上がります。 成る程、正に狐火です。それにこの陽炎が切っ先の炎と共になって間合いが取り難い、攻撃力と合わせてこれは強力ですね。 「良い感じ。でも納刀の時はどうするの?」 「一緒にこの篭手使ってくれ」 差し出されたそれは防寒用の手袋に似た代物です。 「うんうん、これなら熱くないね」 満足そうですね。ただ手袋装備では他の武装が制限されてしまいますが格闘戦主体の彼女ですし投擲は使えるので問題無いみたいです。 「次は綾季よ」 「は~い」 彼女の物はなんとも大きな槌でした。身の丈程ある柄に円柱の頭、見た目からして豪快な一品です。 「大槌[狸鼓]。衝突面に連動して内部で薬室(チャンバー)が作動、炸薬の爆発で対象にダメージを与えるようになってる。炸薬は5発でマガジン式だからバトル中でもリロードは可能で、頭の側面にそのスロットがあるから。排出もキャッチを押し込むだけにしてある」 何やら凶悪な仕様ですね。使う方が雅季さんなだけにミスマッチに見えますが彼女の戦法はパワー派なので合っているのですよこれが。 「見た目より軽いね~。ここにマガジン入れればいいんだね?」 「そうそう。キャッチはその横な」 「判ったよ~」 試し打ちに珈琲の缶を垂直に叩くいてみれば「ガァァン!」と轟音を発てて半分位の高さになってしまいました。・・・・確かこれってスチール缶ですよね?こ、これはなんともはや・・・・ 「一撃はデカイけど隙も相応だから使い所は難しいかな」 「ん~、そこは何とかするよ~」 ブンブンと重量武器を振り回す彼女、いつもの笑顔なのに癒されませんねぇ。 お二人とも満足されたご様子で何よりです。直子さんもご満悦のですし。 「流石ですね。いい仕事をされます」 「一応本職だし。それに趣味だとどうしても懲りたくなる性分なんでな」 最終調整とメンテ法の説明を済ませ評価会は終わりに。そのまま雑談の流れとなります。 「しかし、もう直ぐセカンド入りか」 「そうですよ。結構頑張っているのです」 直子さんとお二人はバトルに参加されていて現ランクはサードで次の公式戦で入賞(1~3位)すればセカンドに昇格となるそうです。 「新装備はその為?」 「流石にセカンド間際になると強さも高くなってくるもので。今使っているものでは辛くなってきたんですよ。既存の武装で勝てる方々はスゴイですよ」 ですね。武器という括り、格闘では殴る、斬る、突く、投射戦では撃つ、投付ける等行動としては同じでも自分だけの物を使えばその「力」が強くなるものですから。それが既存とオリジナルとの違い、でもどちらも一長一短です。それに使うには双方共に修練しなければいけないのは同じ事ですからその選択は当人次第です。 「それにオリジナリティーを出して活きたいですからね」 「そこがミソか」 周りとは違う装備という事での感情、衣服に対するそれと同じですね。 「で、公式戦はいつだ?」 「来週末ですね。秋葉原の神姫センターで行われるんです。良かったら見に来て下さいね」 「そうだな」 帰宅した頃には既に23時を過ぎていました。 「遅くなりましたね」 「親父達のせいだ。全く飲兵衛どもめ」 軽く呆れるご主人。あの後完全に酔ってらした宮司さんは奥さんと共にお泊りに。ご主人と私は明日の為に帰宅となったのです。 ・・・宮司さんご夫婦がいらっしゃらないので明日の神社はどうなっているのか気になりますか? その辺はご安心を。お昼過ぎには戻られるそうですから。 自室で寝間に着替えた私は机の上でネットを始めます。 来週末にあるという公式戦をHPから検索します。お友達の彼女達が出場するのですから気になってしまいまして。 「これですね」 朝方から始まるサードランクとお昼からのセカンドランク、日曜日にはファーストランクの試合もあるようです。 「結構早くからやるんだな」 「あ、お帰りなさいませ」 お風呂から戻られたご主人がマウスを操作し更に情報を。そのお顔は楽しそうです。 「見に行かれるのですか?」 「そのつもり。当日はお前さんも連れてくから」 試合を見たいのはやまやまですがお勤めがありますし・・・ 「休め。それでなくても毎日働いてるんだから偶には羽伸ばしても問題ない」 「ご主人が言われるのでしたら」 そう言いつつも尻尾は嬉しさにパタパタと振れていました。 「それに友達なんだろ?それの試合見に行くんだ神様も文句はないだろうさ」 言葉を締め括るご主人に深々と礼します。 「それではご一緒させて頂きます。沢山応援しますよ」 「そうそう。楽しみにしてな」 そんな会話をしつつ夜は更けていくのでした。 当日は早朝から願掛けをしておきましょう。 現在装備 巫女服 ×1 仕込み竹箒 ×1 玉串ロッド ×1 御籤箱ランチャー(改) ×1
https://w.atwiki.jp/busou_bm2/pages/156.html
とにかく、新作を出してほしいな・・・ -- (名無しさん) 2015-07-08 00 06 54 コンマイは全てのユーザーを敵に回した以上、次回作を望むのは無理と見るべし。 -- (名無しさん) 2015-07-08 17 41 41 全てのユーザーってなんかあったっけ? -- (名無しさん) 2015-10-12 00 03 50 武装神姫のゲームによるブーム復活、 その先駆けとして、バトマス最新作が出たら、買う。 -- (名無しさん) 2016-01-26 17 02 52 仮にリメイク版が出るなら最初から黒子を使わせてほしい…あんばるが最初からいるのに対がF2後って… -- (名無しさん) 2016-03-25 16 08 41
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2227.html
ウサギのナミダ・番外編 少女と神姫と初恋と その2 ◆ 美緒は不安で沈んだ気持ちのまま、待ち合わせのM駅に降りたった。 彼と最寄り駅で待ち合わせ。 彼の家に初めてのお呼ばれ。……理由が何であっても。 心の準備が整う間もなく、放課後はやってきて、あわただしく下校して、家で大急ぎで私服に着替え、最速で身支度を整えて、パティと神姫の装備とメンテナンス用具が入っているカバンをひっつかみ、そのまま自宅を飛び出した。 肩まで掛かる髪を撫でつけながら、思う。 もっと気の利いたおしゃれができるように、なっていればよかった。 梨々香の言うことをもっと聞いていれば、こんなときに困ることもなかっただろうか。 美緒は正直に言って、おしゃれが苦手だった。 きれいな容姿や可愛い格好には、人並みに興味はある。 だが、ファッション誌に載っているような服やアクセサリーが自分に似合うとは、どうしても思えない。 その原因は、自分の身体にあると、美緒は思っている。 やはり、少し太っているから、あんなモデルのように細身の人が似合うような服は、わたしは着られないのだ。 そう思いこんでいる。 梨々香は「そんなことないよ!」と力説するが、それは親友に対する気遣い、あるいはお世辞というものだろう。 そんな思いこみの結果、美緒は何とも無難で地味な服しか持っていないのだった。 こんなおしゃれの欠片もない、地味な女の子を、安藤はどう思うだろうか。 それが不安で仕方がない美緒だった。 改札を出て、左手の出口に向かう。 「おーい、八重樫!」 安藤はもうそこにいた。手を振っている。もう逃げられない。 美緒はもう、不安でどうにも爆発しそうだった。 ◆ 「それじゃ、行くか。今日は頼むな」 「うん……」 安藤は笑っている。 美緒の私服姿を気にもとめていないように、いつもどおりに。 美緒はほっとするのと同時、なんだか不満だった。 安藤ももちろん私服姿である。シャツにジーパン、スニーカーというシンプルな格好だが、異様にかっこいい。 彼の背を見ながらついていくだけでドキドキが止まらない。 なのに、彼は、美緒の姿を見てもいたって普通だ。 もちろん、自分に魅力がないのは分かっているけれど……。 不公平だ、と美緒は思う。 わたしばっかりドキドキしたり不安になったりで、彼はちっとも普段の様子を崩そうともしない。 その原因が、自分のあか抜けなさにあることは百も承知なのだけれど。 ……もし、自分がもっときれいでおしゃれな女の子だったら、彼と一緒に歩いても、釣り合いが取れるだろうか。彼も少しくらいドキドキするのだろうか。 美緒は歩きながら、そんなことを悶々と考えていた。 駅から一〇分ほど歩いた住宅街の中に、安藤の家はあった。 安藤の招きに応じ、門構えをくぐって玄関に入る。 「ただいまー」 「お……おじゃまします……」 美緒が挨拶を言い終えるより早く、 「お、おかえり」 ハスキーな女性の声が聞こえた。 玄関から奥へと続く廊下に、長身の派手な女性が立っていた。 髪はカールをかけたロングヘア、軽く化粧をしているだけのようなのに、目鼻立ちがとても派手である。 細身の長身はプロポーション抜群。肩をむき出しにしたスパンコールをちりばめたトップスが、異様に似合っている上に、目のやり場に困るほどセクシーだった。 「姉貴……いたのかよ」 「いちゃ悪いのかい、弟」 (お姉さん!?) 不機嫌そうな姉弟のやりとりの脇で、美緒は驚愕した。 安藤に姉がいるのは知らなかったし、たとえ知っていたとしても、予想とは全然違っているように思う。 あのさわやか系で通っている安藤の姉が、ギャル系ファッション誌のトップモデルみたいな女性だと誰が思うだろうか。 安藤姉は二人をじろりと睨む。 「姉のいぬ間に女を連れ込もうってか……まったく、浅はかだねぇ」 「姉貴っ! オレの客の前で失礼なこと言うな! 八重樫には、オレから頼んできてもらったんだ」 「はぁん? オマエに女を連れ込む度胸があるとは思っちゃいないが、どういう用件だい」 怒り出した安藤に対し、姉の方はニヤニヤと笑いながら余裕の表情である。 美緒は誤解を解こうと口を挟んだ。 「あ、あの……安藤くんに、神姫のことで教えてほしいことがあるって、相談されて、それで……」 「神姫ィ?」 呆れたような声で言った安藤姉は、前屈みになって、美緒の前に顔を突き出した。 近すぎる派手な美人顔に、思わず後ずさる。 ふーむ、と五秒ほど顔を値踏みするように眺められた。 そして、 「弟、お茶用意しな。彼女はアタシがアンタの部屋に案内しとく」 「なんでオレが……」 「文句言うな! いいからさっさとやる!」 安藤は頭を掻きながら、不満顔のまま玄関を上がった。 「八重樫、とりあえず上がって……姉貴についてってくれ」 美緒にそう言うと、廊下の奥のキッチンに足を向けた。 どうも姉の命令には逆らえないらしい。 美緒はもう一度、おじゃまします、と言って靴を脱いだ。 安藤宅に上がり、改めて安藤姉を見る。 不敵に笑う彼女の存在感に圧倒される。 初対面のはずなのだが、なぜか美緒には、その不敵な笑顔に見覚えがあった。 弟の背がキッチンに消えると、不意に安藤姉の雰囲気が柔らかくなった。 「そんじゃ、ついてきて」 「あ、はい」 姉の先導で、右手にあった階段を上る。 意外なことに、安藤姉の方から美緒に話しかけてきた。 「ヤエガシちゃんも神姫やるんだ?」 「はい……あんまり強くないですけど」 「ああ、バトロンもやってんのね。アタシも少しはやるけど」 「え? お姉さんも……神姫のオーナーなんですか?」 「そうだよ。……ヴィオ、挨拶して」 そう言うと、長い縮れ髪の間から、薄紫のパールカラーのバッフェバニー・タイプが顔を出した。 メイクされた顔立ちは妖艶で、その雰囲気もどこかオーナーに似ている。 「ヴィオレットです。よろしく、ヤエガシさん」 「よろしく……って」 その神姫の名を聞いて、ひらめくものがある。 そう、バッフェバニーのヴィオレットと言えば…… 「もしかして……お姉さんは、Tomomiですか!?」 「あれ、知ってるんだ。そりゃ光栄」 驚愕している美緒に、安藤姉はこともなげに肯定した。 知っているどころではない。 女性の神姫オーナーで、Tomomiの名を知らぬ者はないだろう。 それどころか、美緒と同じ年頃の女の子なら、大半は知っているはずだ。 Tomomiは女性たちの憧れ、カリスマモデルである。 女性向けのファッション誌での活躍はもちろんであるが、彼女には他のモデルにない特徴があった。 神姫を連れていることである。 彼女の神姫・ヴィオレットもまたモデルである。 時にヴィオレットは、Tomomiを飾るワンポイントであり、時にTomomiとお揃いの服を着こなす。 その様子が、新しもの好きの少女たちに受けた。 Tomomiの影響で、おしゃれのパートナーとして神姫のオーナーになった女の子は、決して少なくないだろう。 そんなTomomiとヴィオレットを、神姫業界の方でも放って置くはずがない。 いまや神姫専門誌やら神姫の情報サイトやらでもひっぱりだこだ。 Tomomiとヴィオレットは、非武装派の神姫オーナーたちのカリスマにもなっている。 そんなTomomiが安藤のお姉さんだったなんて……美緒にしてみれば、思いも寄らぬ展開に驚愕するばかりだった。 ふと、美緒は疑問に思う。 お姉さんが神姫オーナーならば、神姫のことを少なくともそれなりに知っているはずではないか? 「あの……Tomomiさんは、神姫に詳しいですよね?」 「うん? まあ初心者に毛が生えた程度のもんだけど」 「だったら、安藤くんは、神姫のことをお姉さんに聞けばいいのでは……?」 「ヤツはアタシのこと毛嫌いしてっからさぁ。 ……あ、ここね」 Tomomiは無造作に、その部屋の扉を開けた。 美緒の目に映るのは、きれいに片づいた、あまり飾り気のない部屋だった。 あまり広くない部屋に、ベッド、机、キャビネット、本棚が機能的に配置されている。 ポスターなどの装飾は見られない。 そんな中、机の上に置かれた武装神姫のパッケージが異彩を放って見えた。 「それに、アタシは絶対教えないね。男だったら自分で神姫の立ち上げくらいやれっての」 美緒を部屋に入れると、安藤の姉はそう言ってからからと笑う。 そしてまた美緒に向き直り、 「まあ、智哉はそんな感じで、気が小さくて、全然頼りないヤツなんだけどさ。よろしく頼むよ」 そう言って派手なウィンクを美緒に寄越した。 美緒は目を白黒させながら、それでも考えている。 頼りないって……安藤くんが? 美緒にはとてもそうは思えなかったが、とりあえず、こくりと頷くしかなかった。 「それと、もし智哉に襲われそうになったら、大声で助けを呼びな。アタシがヤツをぶっちめてやっから」 そう言って不敵な笑みを浮かべた。 その表情が、彼女の派手な顔立ちに異様なまでに似合っていた。 美緒が驚くばかりで固まっていると、 「こら姉貴! 八重樫に何吹き込んでるんだ!」 安藤がお盆を抱えたまま、横合いから姉をどついた。 「神姫オーナー同士、友好を深めてたんだよ。オーナーじゃないオマエには関係ないだろ」 「つか、関係ないのは姉貴だろ! とっとと出てけ! それに、もうすぐオレもオーナーになるんだからな」 「へいへい」 安藤姉は、艶やかな笑顔で美緒に手を振ると、部屋から立ち去った。 安藤は深い深いため息をつきながら、部屋の扉を閉める。 「……姉貴が帰ってきてるとは不覚だった……」 がっくりとうなだれつつ、部屋の真ん中に置かれた小さなテーブルに、お盆を置く。 お盆の上には、コーヒーカップが二つ載っていた。 どうぞ、と差し出されたカップを素直に受け取る。 湯気の向こうの安藤は、まだうなだれていた。 そんなに姉が在宅だったことがショックなのだろうか。 「で、でも、お姉さんが、あのTomomiだなんて、全然知らなかった」 「学校じゃむしろ秘密にしてるぐらいなんだよ……あんなのが姉貴って、ありえないだろ」 「そ、そうかな……」 美緒も年頃の女の子なわけで、あのカリスマモデルが姉だなんてメリット以外には思いつかない。 安藤もようやく落ち着いたのか、深いため息を一つ吐くと、顔を上げて微笑んだ。 「まあ、あんなヤツのことはどうでもいいから……神姫のセットアップ、はじめようか」 美緒はその微笑にドキリ、と胸を高鳴らし、小さく頷いた。 ◆ 「……それで、ここに小さなチップを三つ、セットすればいいんだな?」 「そうそう。三つのチップの組み合わせで、その神姫の得意なこととか性格が決まるから、チップ選びは慎重にね」 アルトレーネのパッケージを開けた頃から、美緒の緊張も薄らいできていた。 安藤は素直で真面目な生徒だった。美緒の指示をよく聞き、滞りなく作業を進めていく。 「でも、気に入らなかったら、チップの配置をやり直せばいいんじゃないか?」 「うん……そうではあるんだけど」 美緒は眉根を寄せて表情を曇らせる。 「わたしはあんまり好きじゃない……チップの配置を変えると、その前に設定された『心』も消えてしまうの。人間の都合で、何度も何度も神姫の心を消してしまうのは、かわいそう」 「そっか……俺たちだって、誰かの都合で無理矢理性格変えられたりしたら、イヤだもんな」 「うん。だから、はじめに配置したCSCの設定を大事にしたいの」 「そうだな。オレもそうするよ」 安藤は三つのチップを慎重に選び出す。 「八重樫はやさしいな」 「えっ……!?」 視線を合わせずに呟く言葉は、まさに不意打ちだった。 やっと緊張がほどけてきたのに、また心臓が爆発しそうになる。 「そんなこと、ないよ……」 美緒が呟くいつもの言葉は少し震えている。 そう、神姫の心を大切にしたいなんて思うことは、普通、普通だ。 美緒はそう自分に言い聞かせながら、ドキドキが収まらない胸を手で押さえた。 (やだもう、どうしてそんなに、ずるいことばっかり言うのーーーーっつ!?) そのさわやかな顔立ちさえ、美緒には憎らしく思えてくる。 しかし、チップをCSCに慎重にはめ込むときに見せる、真剣な表情に、どうしても見とれてしまうのだった。 「よし、できた」 そんな複雑な乙女心を知るはずもなく、安藤は美緒の方に笑顔を向けた。 美緒は彼の顔をまともに見られず、やっぱりうつむいてしまう。 「そ、そしたら……クレイドルの上に載せて、PCに出てくるメッセージに従って進めればいいから」 「わかった」 安藤が神姫の胸部パーツを閉じ、ボディをクレイドルの上に載せる。 すると、PCが神姫との接続を認識、神姫管理用ソフトを自動的に立ち上げ、初期設定のセットアップに移行する。 いくつかのメッセージに対し、『はい』の解答を行う。 そして、 「武装神姫・アルトレーネ 初期登録モードで起動します」 神姫の口から出た言葉に、安藤は少し動揺した。 その安藤の目の前で、神姫はぱちりと目を見開く。 大きな瞳に、安藤の顔が映っている。 「ユーザーの登録と認証を行います。ユーザーの名前を音声で入力してください」 安藤が振り向き、美緒に目配せしてきた。 美緒は大丈夫、と小さく頷いた。 「あ……安藤智哉」 安藤は少し緊張している。 誰でも初めての神姫の起動の時は緊張するものだ。 大きな期待とひとつまみの不安。 美緒も、パティを起動したときの緊張を思い出す。 「あんどうともや、様で登録しました。安藤様を何とお呼びすればよろしいですか? 音声で入力してください」 「……マスター」 このあたりの入力は、どの神姫でもそうかわらない。 入力項目について、あらかじめ決めておくように、美緒から言い含められていた。 「最後に、神姫の名前を音声で入力してください」 「オルフェ」 抑揚のない神姫の問いに、安藤は即答する。 神姫は黙り込み、空中を見つめているように見えた。 それも一瞬のこと。 「登録完了しました。 オルフェ、通常モードで再起動します」 事務的な口調のメッセージが流れた後、神姫は一度目を閉じ、全身から力を抜いた。 一瞬の後、再び顔を上げ、ぱちりと瞳を見開く。 そこに宿るのは、感情の色。先ほどの事務的で無機質な視線とは明らかに違って見える。 神姫は、安藤を見上げた。 視線が交わる。 安藤は少し驚いて、肩を震わせた。 そんな安藤に、彼の神姫はにっこりと笑いかける。 「はじめまして、マスター。今日からあなたの神姫になりました、オルフェです。これからよろしくお願いします!」 元気のいい、さわやかな声が響いた。 にっこりと笑うオルフェ。 「ああ、よろしく……よろしくな、オルフェ」 「はい!」 少し戸惑いつつも挨拶した安藤に、オルフェは明るく応えた。 美緒はほっとする。オルフェは明るく元気な性格のようだ。きっと安藤とうまくやれるだろう。 CSCの再設定を否定しておきながら、神姫の性格が良くなかったらどうしよう、と密かに心配していたのだった。 「……パティ」 「はい」 持ってきていたバッグから、美緒の神姫が顔を出した。 美緒はパティを手に取り、机の上に立たせる。 安藤は彼女をじっと見つめた。 「へえ、この子が八重樫の神姫かあ」 「あの、マスター。この方は……?」 オルフェにしてみれば、見るもの出会うものすべてが初めてだ。 彼女は美緒とパティを見比べながら、安藤に問う。 安藤はほほえみながらオルフェに説明した。 「彼女は八重樫美緒さん。オレのクラスメイトで……神姫のことをいろいろ教えてもらっている、先生だ」 「……よろしくね、オルフェ」 安藤にフルネームを(特に下の名前を!)呼ばれるのは、なんだかとても気恥ずかしい気がした。 美緒の挨拶に、オルフェは満面の笑みで応えた。 「それから、この子はわたしの神姫で、パトリシア」 「よろしくお願いします、オルフェさん」 礼儀正しくお辞儀をしたパトリシアに、オルフェも頭を下げた。 「こちらこそ。わたしは起動したばかりなので、いろいろ教えてくれると嬉しいです。パトリシアさん」 「もちろんです。……それから、わたしのことはパティと呼んでください」 「はい、パティさん」 二人の神姫はすぐに打ち解けたようだった。 オルフェの相手をパティに任せ、美緒は安藤に講義を続けた。 神姫の扱い方や、メンテナンスソフトの使い方、装備の使用方法や役に立つ情報サイトまで。 教えているうちに二人とも夢中になってしまい、気がつくととっぷりと日が暮れてしまっていた。 ◆ 「今日はありがとな。助かった」 「ううん。気にしないで」 駅での別れ際。美緒は微笑むことができた。ようやく安藤と二人で話すことにも慣れ、楽しいとさえ感じられるようになっていた。 安藤は、頭を掻きながら、ちょっと照れたような表情で言った。 「なあ……八重樫の……その……ケータイの番号とメアド、交換してくれないか」 「……え?」 「またいろいろ相談に乗ってほしいんだ。……神姫に詳しい姉貴があんなだろ? 周りに詳しいヤツもいなくてさ……だめかな?」 それは願ってもない話である。 安藤智哉の携帯番号とメールアドレスなんて、クラスメイト女子が一番ほしがっている個人情報だ。 それを彼の方から交換して欲しいと言ってきている。 美緒はすでに夢心地ですらあった。 夢遊病者のような手つきで、安藤に携帯端末を差し出す。 意識はふわふわと宙を漂っており、ことの成り行きを全く理解していなかった。 数分後、二つの携帯端末を操作し終えた安藤は、片方を美緒に差し出した。 美緒はまた夢遊病者の手つきで端末を受け取る。 安藤ははにかむように笑った。 美緒もつられて笑ったが、なんだか不自然に不気味な笑いになっていたような気がする。 安藤はそれを気にもしない。 「今度は、八重樫たちが行ってるゲーセンに連れてってくれないか?」 「え、ゲーセン?」 「そう。バトルロンド……オレもやってみようと思うんだ」 屈託なく言う安藤を美緒は見つめてしまう。 もちろん、美緒に断れるはずもないし、断る理由もない。 「うん。わたしでよければ、案内するわ」 「やった」 にっこりと笑うと、彼は身を翻した。 「それじゃあ、八重樫。また明日な!」 「うん、また明日」 彼の背に向かって、美緒は小さく手を振った。 美緒の胸はいまだドキドキが止まらない。 ◆ 夢のような怒濤の一日が過ぎてゆく。 美緒は自室のベッドに寝ころび、天井を見つめながら、今日あったことを振り返る。 安藤智哉は憧れだった。 あんな人が彼氏だったら、きっと素敵だろう、そう思って、遠くから見ていただけだった。 彼の素敵なところを見つけては思いを募らせても、決して手の届かない人だと思っていた。 それが今日一日で一変した。 いま美緒が手にしている携帯端末のアドレス帳、その一番最初に「安藤智哉」の名前が表示されている。 美緒はため息をつく。 これはなんという夢なのだろうか。 このまま安藤と仲良くなれば、親しい友達になれるだろうか。 ひょっとして恋人になんて、なれる可能性もあるだろうか。 軽く頭をふり、そんな妄想を打ち消す。 でも、せめて、今のわたしと陸戦トリオの遠野さんくらいには近い関係になることを望んでも、罰は当たらないと思う。 そんなことを考えていると、 「安藤さんは……美緒のことが好きなのではないですか?」 彼女の神姫・パティが大砲を放った。 美緒はその場で転げ回る。 がば、と上げた美緒の顔は、これ以上ないほど真っ赤だった。 「んなっ……何言っちゃってんの、パティ!?」 「美緒と一緒にいるときの安藤さん、とても楽しそうでしたし……憎からず思っているのではないかと」 「そんなこと……安藤くんがわたしを好きだなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないわ」 そう、あり得ない。 その可能性を、賢い美緒が考えなかったと言えば、嘘になる。 だが、美緒はそれを自ら強く否定した。 彼と自分とでは、何もかも違いすぎるのだ。釣り合いが取れないし、なによりそんなことを考えること自体が厚かましい。 だが、パティは首を傾げる。 どうして自分のマスターは、こう自分を過小評価するのか、と。 神姫である彼女の贔屓目を差し引いても、美緒は美人であると思う。 もっと自信を持てばいいのに。 それに、気のない女の子をわざわざ自宅に呼んでまで、神姫の相談をするだろうか。 別れ際に連絡先の交換なんて、気になる相手でなければしないのではないか? パティは冷静に、そう分析していた。 マスターと神姫の思いは平行線をたどりつつ、夜は更けていった。 続く> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/570.html
神姫ちゃんは何歳ですか? 登場人物&登場神姫設定 登場人物 香田瀬 健四郎 (かたせ・けんしろう)22歳 本編の主人公。大学でロボット工学を専攻していたところを水那岐にスカウトされ、大学を中退して國崎技研へと入社する 所属は技術部1課。入社時に頓挫していた「白雪姫計画」を完成へと導いた功労者 所有する神姫「ユキ」を家族として接し、甘すぎる生活を謳歌している幸せ者 斗小野 水那岐 (とおの・みなぎ) 27歳 國崎技研技術部部長にして國崎技研の所属する斗小野グループの会長の孫娘 女子高生にしか見えない容姿とノンビリとした言動からは想像出来ない程の切れ者 人形師として有名だった國崎氏を説得し、國崎技研を設立させた立て役者でもある 健四郎の才能を見抜き、学生だった彼を当時頓挫していた「白雪姫計画」の実現の為にスカウトした 本来なら専務以上に就任しているはずだが、本人の「…部長って…いい響き…ですよね…」との発言により部長となっている。が、実際は社長以上の発言力がある 最近コスプレにハマってるらしい 愛澤 祐太 (あいざわ・ゆうた)25歳 健四郎の同僚。入社時期は同じだが、大学を卒業してからの入社な為、年上である 元々1課に属していたが、「第一期白雪姫計画」終了後、自らの提唱する「神姫と人とのコミュニケーション」を実現するために6課を設立した 新道 皐月 (しんどう・さつき)20歳 技術部1課に所属する健四郎の後輩 強烈なマシンガントークを繰り出す為、ツッコミチョップで失神させられること多数。微妙に不幸 健四郎に惚れ込んでいて、いつかお嫁さんにしてもらうことを夢見る乙女。ついに恋人に! 健四郎の恋人としてユキを認めている数少ない人(会社の人も殆ど認めているが) 以前は営業3課に所属しており、その頃は香田瀬を神姫の敵と嫌っていた。しかしムツキを通じて関わっているうちに、自分でも気付かないうちに香田瀬の本質を理解し、惹かれていっていた 南山(みなみやま)25歳 健四郎の同僚。名前を覚えてもらえない可哀想な人 國崎 観奈 (くにさき・かんな)12歳 國崎技研の社長、國崎悠人の娘 黒葉学園中等部に編入した 非常に明るくて活発。水那岐に懐いている 健四郎に思いが伝わり恋人になった 時代劇が好きで、それが言動にも現れている 國崎技研専属マスターでもあり、NY大会を制し世界ランキング72位になった実力者 永守 瑞歌(ながもり・みずか) 技術部2課所属。神姫用システムキッチン「グレーテル」の開発責任者 新道の技術1課への移動を推薦した一人 那俄世 良介 (ながせ・りょうすけ)30歳 技術部4課所属。源八郎の親戚筋 特殊武装を得意とするが、レギュレーション違反で使えない物が多い。主に警察に卸す対神姫犯罪用の特殊装備を制作している 三都衣 太牙 (みつい・たいが)29歳 技術部5課所属。衣装を作らせたら彼の右に出る者は居ないと言われている しかし、その衣装のデザインは彼に趣味に偏っている 香田瀬のそっち方面の師匠でもある 富士田 利之 (ふじた・としゆき)33歳 営業部部長。昔は相当モテたらしい 富士田 亜果梨 (ふじた・あかり)33歳 営業3課課長。利之の妻 國崎 悠人(くにさき・ゆうと)38歳 ※未登場 國崎技研の社長。元々は代々伝わる伝統工芸である人形を創る「人形師」であったが、水那岐に説得・出資されて会社を立ち上げた モノ創りにはこだわるが、基本的に大ざっぱな性格で、それが社風にもなっている 病気の妻、魅鈴(みすず)と元気一杯な愛娘の観奈(かんな)を抱える苦労人 那俄世 源八郎 (ながせ・げんぱちろう)享年88歳 ※未登場 現代に残る名刀工の家系の一人。昨年この世を去った。彼が作った刀のうち、特に優れた物は「ムラサメ」と呼ばれ、その切れ味はガーベラストレートさえ凌ぐ程だという 昨年に観奈の為に二振りの斬姫刀を鍛えそれを授けた。これが彼の最高傑作となったという。その切れ味は彼女の神姫の技量と相まって、切られたことにさえ気付かないと言われている。 今は息子源九郎が、師を超えるべく厳しい修行に励んでる 九羅侘 小百合 (くらた・さゆり)12歳 幼稚舎から黒葉学園に通っている少女。観奈の黒葉学園での最初の友達 立花 圭祐 (たちばな・けいすけ) 16歳 黒葉学園高等部2年・神姫競技部部員 次期部長候補の一人とも言われてたが、鳳凰カップに出場した5人のリーダーとして参加したが、全員予選落ちという結果にその地位が危ぶまれている 斉藤 (さいとう) 16歳 黒葉学園高等部2年・神姫競技部部員 腕は良いのだが、気の弱い性格が災いして立花にいいようにコキ使われている 内藤と工藤と合わせ「三藤トリオ」と呼ばれていたが、近接型の斉藤と違い射撃での支援を得意とする内藤と工藤に出世で置いて行かれてしまった 佐渡 魔琴(さわたり・まこと)13歳 黒葉学園中等部2年・神姫競技部部員 わがままでお調子者 腕は抜群に良いのだが、お調子者な性格が災いして立花におだてられていいように使われている よくミシオに窘められているが、反省が見られない 登場神姫 ユキ(マオチャオ型) 本編のもう一人の主人公。実験用素体として健四郎から様々な仕打ちを受けてきた可哀想な神姫 その後色々あって健四郎から認められ、家族として迎えられ、現在は恋人となった えっちを積極的にはしたがらない割りに、攻めるのが好き 事故で大破した為、素体を換装されている 純バトル用フレームパーツ「白雪姫シリーズ」をフル装備したその体は、主に健四郎との愛の確認に使われている 再生の際使われた素体がヴァッフェバニーの物だった為、通常のマオチャオとは異なり標準神姫サイズとなっている マイちゃんのもう一つの顔(M属性)を、愛澤以外で知る唯一の人物となったw ティール(ティグリース型)剣王(真鬼王)ファロン(ウィトゥルース型) 通常時 武装状態 武装分離状態 ティール 香田瀬の新たな神姫。起動前の事故で素体が大破してしまった為、『タブリス』へと換装された 香田瀬を父親と認識している。また、ユキ、ムツキ、ミチル、皐月、観奈、水那岐をママと呼び、花乃と火蒔里をお姉ちゃんと呼ぶ 多くののティグリースに見られる性格とは異なり、物静かな性格をしている バトルスタイルは銃撃メインであるが、ガン・カタのようなスタイルでの素早さを生かした格闘戦も得意 短時間なら炎機襲を使って飛行も出来る 必殺技は全火器による一斉射撃『ファイナル・シューティング』 ファロン 香田瀬の新たな神姫。起動前の事故で素体が大破してしまった為、『タブリス』へと換装された 香田瀬を父親と認識している。また、ユキ、ムツキ、ミチル、皐月、観奈、水那岐をお袋やかーちゃんと呼び、花乃と火蒔里をアネキと呼ぶ 多くのウィトゥルースに見られる性格とは異なり、少々大雑把な性格をしている バトルスタイルは二枚の防御シールドと重力制御による堅牢な防御、そしてサブアーム(炎虎甲)と怪力を駆使し7本の剣を操る超近接戦 離れていても炎虎甲を駆使し、一気に詰め寄る事が出来る 必殺技は『朱天煉獄堕とし』 ちなみにこの技を使えるのはビル☆サンダース(果糖機関)のランディを始め数人、真鬼王を装備しない状態で使えるのはファロンだけである ※事故に遭った際の電流のせいでか、二人は不思議な感覚で繋がっている 剣王(けんおう) 香田瀬がティール・ファロンと共に修復した武装 定番の組み替えにより単独で真鬼王形態となる事も出来る バトルフィールドに立てない香田瀬に代わって二人を守るのが役目。名前の「剣」は健四郎の「健」と掛けている 頭部にはぷちますぃ~ん程度の知性を持つAIが内蔵されており、会話も可能。分割時には各パーツに設けられた簡易AIによって独立して二人をサポートする 主な強化点は、各パーツの郡体ネットワークシステム、搭載バッテリーの変更、電磁ドライブの強化(超電磁ドライブ化)、炎虎甲への防御シールド発生装置の追加である バトルのサポート時には分割して『炎機襲・弾撃』と『インパルス・ディフェンサー』となり、二人を守る 背面武装は分離して支援機として使用可能。シングル戦の時には、装備されなかった方サポートメカとして随伴させ、必要に応じて組み替えたりもする マイ(ハウリン型) 愛澤の神姫。口数が少ない。 黒髪ロングにカスタマイズされていて、主に青紫のリボンでポニーテールにしている 基礎フレームを白雪姫シリーズの廉価版「白雪LMシリーズ」に換装されている 剣術とぷちマスィーンズによる戦闘を得意とし、その方面のテストに使われる マスターである愛澤を「祐太」と呼び捨てにしている。が、勿論ラブラブである えっちになると性格が変わるらしい(M属性) ムツキ(アーンヴァル型) 新道の神姫。髪型はショート 非常に大人しく、バトル不可能なほどである その割りにえっちの時は積極的 飛行特性がズバ抜けており、その方面のテストで大活躍している 背中のブースターが通常品から國崎技研製のイオンブースターに変更されている マスターである皐月を「さつきちゃん」と呼ぶ マスター同様、健四郎の事が大好きであり、めでたく恋人となった ※作者注・最初は健四郎の事を「センパイ」と呼んでいましたが「健四郎さん」と呼ぶようになりました(皐月の台詞と混同してしまう為)。いちいち修正してageるのもなんなのでそのままにしてあります ミチル(ストラーフ型) ※画像は作者手持ちのパーツで再現されたイメージです。実際は多少異なります(翼とか空牙とか) 観奈の神姫。マスター同様、明るくて活発な性格。そして容赦無い しかしえっちの時は受け身だったりする 健四郎と繰り広げていたドツキ漫才は彼女の愛情表現だったりする。現在マスターと共に健四郎の恋人となった 「白雪姫シリーズ」に換装され、かつ6枚の白い翼を持っている為「白い翼の悪魔」と恐れられている ミラージュコロイドが備わっており、ジャミング無しで相手から「消える」事が可能 画像投影機能を使い残像を出して相手を翻弄することも可能 (現在作品中では未使用だが、画像投影機能を使っての変身も可能) 基本装備として國崎技研製のライトアーマーとブーツ、そして後述の『ムラサメ・ディバイター』を使用している サブウエポンとして『苦内』を10本程度携行する事も多い(超硬合金製の物と爆薬が仕込んであり時限装置で爆発する物の2種類) 「ルシフェル」と言われると怒る。(水那岐以外に)「ちるちる」といわれるともっと怒る ライダー系装備をした神姫がさんざん時間掛けて準備しライダーキックを放った際、「さんざん時間掛けてキックかよ!」とキれ、逆にキックを放ち真正面から相手を粉砕した話はあまりにも有名 斬姫刀『ムラサメ・ディバイター』 観奈命名の特殊武器。名前の由来は「なんかカッコよさげだから」 二振りのムラサメブレードとセンターポールから成る。ブレードはそのまま使ったり、柄を連結してツインランサー状にして使ったり出来る。本来の形態はブレードの刃を外側に向け平行に配し、それをポールで接続してブレードスタッフとする。ブレード基部はフレキシブルに可動し、変幻自在な攻撃を繰り出す事が出来る ぷちマスィーン『ジャガー』 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (新ジャガ.jpg) (写真は後述の『ネオ・ジャガー』) ミチルが使う犬型プチマスィーン。2弾発売後からずっとミチルと共に戦って来ている戦友 電子戦のスペシャリストで、ミチルの勝利を影で支える縁の下の力持ち 通常は小型四脚戦車のボディを持つが、現在は陽電子リフレクターのテストの為にやや大型のボディ(ネオ・ジャガー)へと変えられている このボディは、ビースト・ヒューマン・フライヤー・バードと4形態への変形が可能(フライヤー形態はジャガーと分離しても行動可能。バード形態はジャガーと分離しての活動のみとなる) ミチル同様ミラージュコロイドを装備。戦闘能力は無いが、情報収集能力が非常に高い 魔操剣『空牙』 (剣は紅い花の誇りとリンク) 鳳凰カップで対戦したクイントスに紹介して貰った魔剣匠「神浦 琥珀」に鍛えて貰った魔剣 刀身にルーン文字が刻まれたフォールスエッジの長剣に、蝙蝠の翼をイメージしたやや大袈裟な鍔を持つ 高速飛行能力があり、ミチルの意志により遠隔操作が出来る 剣自身も明確な意志を持ち、自立行動や会話も可能 「魔剣とはこうあるべき」という思考の元、やや威圧的な事を言ったりする。が、根はいい奴だったりする 花乃(かの) (ジルダリア型) 水那岐の神姫。普段は礼儀正しく大人しい性格 ただし、なんらかの理由により裏の高飛車な性格へと変わる事がある(ハイパーモード時は必ず) その原因はCSCの相性と言われているが、真偽の程は定かではない 基本的にデフォ装備で戦う 火蒔里(ひじり) (ジュビジー型) 水那岐の神姫。活発で明るい性格。自分の事を「ひじりん」と呼び、他人にもそう呼ぶ事を要望(強要)する 他人に変なニックネームを付けるのが好き 訓練中の事故により小破した為現在療養中。白雪LMへと換装されパワーアップ中。キュベレーアフェクションも形状こそ一緒だが、外殻は超硬合金へ置き換え、中身も一新しトータル的なパワーアップが図られる予定 砂姫(さき) (紅緒型) 神姫競技部部員・斉藤の神姫 鋭い剣筋が売りの侍らしい神姫 決して弱い訳では無いのだが、マスターの気弱さから強さを十分に発揮しきれない可哀想な所がある 神姫競技部の神姫には珍しく、斉藤に対し「仕えるべき主君」以上の感情を持っている ちなみに名前の由来は、作者が~姫って名前を考えてふと思ったもので、天獄の砂姫とは何の関係もない 立花の神姫 (サイフォス型) たぶん内藤と工藤の神姫同様、一発キャラのつもりなので名無し 本来はサイフォス型らしく剣術に秀でた神姫 特にパワーに優れ、並の相手なら防御した相手をそのままねじ伏せる事が出来る だが立花の作戦で重火器を装備させられる事が多く、その能力は搭載量の多さにしか生かされない場合も多い(射撃能力は並以下) 神姫競技部の神姫らしく、立花に対する感情は「仕える主君」止まりである ミシオ (ハウリン型) 神姫競技部部員・魔琴の神姫 普段は大人しめながらしっかりした性格から、魔琴におばさん臭いとか言われている(物腰が上品と言ってください) バトル時はGFFレジェンドガンダム流用の装備をしている (頭部は使ってない為、イーゲルシュテインは無い) 射撃、格闘共にこなすオールラウンダー 通常、そういうタイプは決め手に欠ける場合も多いが、ドラグーンを用いた戦闘により共に高いレベルを誇る 必殺技『ドラグーンストリームアタック』もトドメは相手に応じて射撃か格闘かを選択出来る ただし、この装備は膨大な電力を消費してしまう為、戦闘時間は短めである 目下の悩みは、せっかくドラグーンを隠しても、魔琴に叫ばれてしまう為バレバレになってしまう事
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1265.html
花は、散り逝く瞬間が最も美しいという。 例え我が家の燃える姿であろうと、巨大な炎に人は惹かれる。 兵器は、破壊される瞬間、最も誇らしいと謳われる。 死に幻想を抱く人間は尽きない。 崩壊、それは美しきもの。 降雨、流雨、冷雨、泪雨。 「しゅーこちゃん、だって、つーが大好きだと、みんな、壊ちゃうですよ? それなら、つーが壊れた方が、まだ・・・」 「ツクハっ!!」 どうしてこうなる?誰が悪い?何が悪い? 泣きそうに問いかけても、誰も答えない。雨がツクハを虚ろにしていく― 第2章 月下美人 「・・秋子、それでさ、その変な神姫、一昨日も昨日も夕飯にまで居座ってさ、人の作ったご飯に文句ばっか言うクセに殆ど食べないし」 「神無・・、神姫とは言え、そんな怪しい人をほいほい家に上げていいの?」 「・・・いや、そうなんだけどぉ、番犬代わりのロウが懐いちゃってるもんだから追い出すに追い出せなくて」 神無の話を要約すると、一昨日の騒ぎの後、家に帰るとその見知らぬ神姫が主人も連れず我が物顔で居座っていたという事らしい。しかもそれから毎日来ているという。 「それで、結局その神姫は何者なの?」 「さあ? ロウが言うには“先生”なんだって。でも何教わっているかは秘密だっ!って言って教えてくんないし。あいつ最近ナマイキなんだから」 「じゃあ、誰の神姫なのかも判らないの?」 「あ、それは八木内科だって」 「隣町の? そういえば、最近賑やからしいって聞いたけれど・・その神姫の事かな?」 「多分」 兎にも角にも、私の親友はまた面倒事を抱え込んでしまったみたいだ。 「ねえ、ところでさ、この前言ってた秋子の神姫ってなんて名前なの?」 「何? 騒がれたら、神無も武装神姫に興味が沸いたの?」 「いや、そういう訳じゃないよ。ただ秋子が連れてる娘ってのが、気になっただけ」 「・・・まあ、いいわ。でも、少し覚悟してね」 「へ?」 放課後の教室には静かだった。それでも少し前までは、神無に神姫の事を聞きに来た男子達が居たけれど、あまりのしつこさに激怒した神無に気圧され、今はもう誰も残っていない。一応もう一度周囲を確認して、鞄に手をかける。 「ツクハ、起きて」 「・・ふわぁ~。あれ? しゅーこちゃん、もう家ですかぁ? それともまたあの犬ヤロー?」 鞄から這い出る小さな影、眠そうに目を擦る。白緑色の髪、緑系で統一されたボディカラーのジュビジータイプ。それが私の神姫、ツクハ。 「え・・・これが秋子の神姫? っていうか真面目な秋子が学校にこんなの持ち込んでたなんて・・・」 「事情で、家に置いていたくないの。ツクハ、ここはまだ学校。友達が貴女に会いたいって言うから起こしたの」 「え!? 友達って、もしかしてカンナちゃん!?」 「あれ? アタシの名前知っているの?」 「うん! しゅーこちゃんの友達で、しかも美少女の名前、忘れるわけ無いですよ! 初めまして! つーはツクハです! お友達になって欲しいです♪ てゆーかお友達から初めてねです♪」 「え? あの・・うんまあ」 「こら、ツクハ。神無が困っているからそれ位にしなさい。神無、これが言い辛かったから隠していたのだけど・・・」 ツクハは限定品カラーらしいけれど、普通の神姫と変わらない。ただ、一つを覗いて。それは・・・ 「ツクハって、女の子好きなの、ものすごく」 「れ、れずっこ!?」 「うんっ♪ あ、でもつーのはプラトニックだから安心です♪」 「いやどう安心なの、それ」 ツクハの“左手”に振り回された神無の右人差し指が、困惑して語る。無理もない。私もツクハには振り回されっぱなしなのだから。 「あれ? もしかしてそれが法善寺の神姫? 学校に持ってくるなんて勇気ある!」 「わっ!? いつの間にいたの!?」 「あ、相原君・・・」 突然飛び込んできた笑顔。動揺してしまう。しどろもどろに言葉を見つけられずに居ると、急にツクハが躍り出て、“右手”で彼を指差す。 「あ~!! もしかしてうちのしゅーこちゃんをたぶらかそってゆーのです!? しゅーこちゃんは渡さないですよ!」 「ちょ・・ちょっとツクハ!」 「な、なんか意外に激しい性格の神姫だな。俺のフォトンと気が合えばいいけど」 食いかかるツクハに、意外にも怯まず、相原君が携帯の画像を見せる。映っていたのはフォートブラッグタイプ。・・と、一瞬前まで私の前で立ちはだかっていたツクハがすぐさま画面にかぶりつき、画像を覆い隠してしまう。現金ね。 「え!? この子がアンタの神姫ですか!? かーわい~♪」 「ん? 俺のフォトンを気に入ってくれたのか?」 「フォトンちゃんかあ・・。まあ、しょうがないですねえ、ちょっと位なら、しゅーこちゃんとのオツキアイ認めてあげてもいいですよ」 「ちょっ!? ツクハっ!!」 “お付き合い”の言葉に、声を張り上げてしまう。すぐに恥ずかしくて相原君から目を背ける。きっと今顔が強張っている。変な子と思われた。 「本当か! フォトンも喜ぶよ!!」 でも、相原君はその言葉の意味に気づかなかったらしい。・・・でも私は・・・。 「それじゃあさ、何時法善寺の家に行こう? 家近いの?」 「いや、あんまり・・・」 動悸が止まらない。 「じゃあ休みのほうがいいよな。今週末空いてる?」 「・・ええ、でも、私の家、散らかっているし親もうるさいから・・・」 上手く話せない。 「あ、じゃあ外で会う方がいい? 隣町のヒメガミ神姫センターとか。場所判るだろ?」 「・・・うん」 目を合わせられない。 「じゃ、日曜な。時間は後で教える。それじゃ!」 「あ、ちょっと相原君! 秋子がツクハちゃん持ってきてるのは内緒だよ! 事情が・・」 「判ってるって豊島。じゃあまた明日な!」 「言うだけ言って帰っちゃったよ・・・。でも相原君の方もさ~、秋子に気があるよね。アタシも神姫持ってるって言ったのに秋子しか呼ばないし」 「うんうん。でもいきなりデートなんてフトドキモノですよ!!」 「デートだなんて、そんな・・・」 彼の笑顔が焼きついて、まだ、頬が熱い。 帰宅するまでの間中、胸のざわめき治まらない。ツクハはまた寝かせておいて良かった。起きていたら「まだしゅーこちゃんがふやけてるです~!! あんのスケコマシ~!!!」なんて五月蝿そうだから。 ・・・そう思っている内にもう自宅前。惚けていた割にバスは乗り間違えなかったようだ。我ながら可愛げがない。そうだ、神無やツクハはあんな事を言っていても、相原君はきっとそうは思っていない。だって私に可愛い部分なんて無い。目が悪いからいつもしかめっ面をしているし、最近笑った覚えも無い。それなら、ずっと神無の方が可愛い。だから、そんな事は無い。ただ神姫に興味があるだけ。 「可愛くなんて・・・」 「秋子、遅かったな」 身の毛が弥立った。玄関の先に居た、悪夢に。 掻き切られ気味に取り戻した理性が、声の主を凝視する。醜い、醜い、醜い、男。私の兄、法善寺冬次。どうして・・こんな時間に家に居る? 「仕事が、早く上がった。それに、おまえに用があったからな。また、神姫が1“台”調子悪くなったんだ。貸せよ、お前の神姫」 「・・・もうツクハは戦わせない、絶対に」 「はあ? 戦わせるのが武装神姫の使い方だろ? そいつが居れば、負けは無いんだ、貸せ。今週の日曜だ」 低く崩れた声が強制する。けれど絶対に屈しはしない。日曜は相原君との約束の日。それだけじゃない。この男が私とツクハにしてきた事を思えば、従う理由はひとつも無い。 この男はツクハを捨てた、ひどくモノのように。けれど私が彼女を拾えば、卑しい強欲で返せと叫ぶ。それだけでは済まなかった。私がツクハを置き学校に行っている間に、この男はツクハを連れ去って、そして戦いを強制した、何度も、何度も。きっと私に何かすると脅迫したのだろう。昔、私にしたのと同じに。私がその事実に気付いた時、彼女が右腕を失って帰ってきたその時には、何年かぶりに嗚咽した。だから・・・ 「お前の言う事なんて、聞けないっ!!」 ツクハの入った鞄を抱えて階段を駆け上がる。鍵は三重に閉めて、そして、力が抜けて蹲る。 「ううっ・・・」 出来れば、この身の全ての血を抜いて、取り替えて、あれと他人になりたかった。 「それは尾行ね絶対。初デートなんて面白・・重大なイベント、影ながら助けてあげるのが親友ってモノじゃない? あ、このフライドチキン、下ごしらえ足りないわね。ハーブ少し刷り込むだけで、違うものよ?」 「むぐむぐむぐ」 「・・・アニーちゃん、絶対面白がってるでしょ。それから味に文句があるなら手伝ってよ、小食のただ飯食らいサン」 何故かすっかり定着しちゃった、この銀髪中性神姫(オカマとは違うんだって)を含めた我が豊島家の夕食。ロウと2人よりは間が持つとは言え、毎回ヒトの味付けにとやかく言われるのは的確なだけに結構ストレス。・・と、それはともかく。 「そんなにしたいなら、アニーちゃんがすればいいでしょ、尾行」 「う~ん、そうしたい所だけど、場所が神姫センターじゃ無理ねえ」 「どうして? 神姫センターなら神姫が居たって平気じゃないの?」 「こっちには、こっちの事情があるのよ。金、土・・あと丸2日じゃロウの【ジャミングパック】も出来上がらないし、神無ちゃんしか出来ないのよ。準備はしてあげるから」 「むぐむぐむぐ」 よく判らないまま言いくるめられてしまう。そりゃあまあ、アタシだって秋子と相原君がどうなるのかは知りたい。秋子って男の子にはアタシ以上に免疫少なそうだし、心配な気持ちも確かにある。 「・・・まあ、日曜は晴れるし暇だから、いっかぁ・・・」 「むぐ・・ごくん。カンナっ! にくっ! おかわり!!」 「もう無い!」 その時は、漠然とした気持ちだけで、結果なんて見えてなかった。想像も出来なかった。 目次へ