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春の足跡も聞こえてきそうな二月の下旬 暖冬だ? つってもまだまだ寒いんだよ! と、いうわけで冬に向かって逆ギレしながらベッドの中でぬくぬくと惰眠を貪る事にしていた俺なのだが… いきなり俺の部屋に入ってきた香憐ねぇに毛布までひっぺがされたかと思うと「兼房様がお呼びです」の一言と共に香憐ねぇの愛車で朝の国道を突っ走り、腕をつかまれて引きずられるがままに鳳条院グループ本社ビルまで拉致られていた 社員用とは別の特殊エレベーターまで俺を押し込むと最上階である四十階のボタンを押す香憐ねぇ まだ少し寝ぼけていた俺の頭もゆっくり覚醒し始め、ある疑問に行き着いた 「なぁ、香憐ねぇ…最上階は社長室だろ?」 「はい、そうですが」 「いや、俺を呼び出したのは御袋じゃなくてジジイなんじゃなかったか?」 普段社長室にいるのはジジイじゃない ジジイはグループの総帥であり、社長は別にいる では誰が鳳条院グループの社長なのか 今の会話からもわかるかもしえないが………俺の母親だ つまり社長室は俺の母親のオフィスとなっているはずなのだ 「伊織さん…いえ、社長はただ今会議中です。ですから兼房様は社長室をお使いになるのだろうと…」 最上階に到着 社長室の扉を開け、俺を中に入るよう促しながら香憐ねぇは先ほどの言葉を続ける 「ここ、鳳条院グループ本社においても博士の研究フロアと会議室と社長室の三つは最重要箇所です。他とは別格のセキュリティーですからね…」 …つまり俺を呼び出したのは結構重大な話があるって事なのだろうな 「んで、肝心の爺さんがいないんだが…」 「そう…ですね…」 香憐ねぇも困惑気味である 社長室は見事なまでにもぬけの殻と化していた 「わしならここにおるぞ?」 部屋を見渡していた俺たちに聞こえたジジイの声 しかし今だ姿は見えない 「ふぉふぉふぉ、ここじゃよ。ここ」 と聞こえた瞬間、部屋の奥にある社長椅子がぐるりと回る しかしそこにも爺さんの姿はない だがその椅子には景色が揺れるような違和感があった 「もしかして………ステルスか?」 「正解じゃ♪」 まるで椅子の上に転送されたかのように爺さんが現れる SFじゃないんだからよ…… 「どうじゃ? わが社の新技術、『ミラージュコロイド』じゃ!」 ついにボケたかこのジジイ… 「……なにが新技術だ。思いっきりパクッてんじゃねぇか…」 「心配するな。ちゃんとあちらさんには許可を取っとる。それに斗小野グループの國崎技研との共同開発品じゃ」 ほぅ、斗小野グループ…國崎技研…… 斗小野グループといえば昔、俺がまだ本家にいるときに無理やり出された社交界かなんかで斗小野会長に挨拶したことがあったな たしか俺より少し年上の孫娘を連れて来てたっけ… それに國崎技研… ファーストランカーの國崎 観奈ちゃんには俺も面識がある 彼女のお父さんの会社だ 「バーチャルとは違う。つまりはリアルリーグでも使えるというのが売りじゃ!」 「………そんで? それを自慢したかっただけなんて言うなよ。もしもそうなら実の祖父といえど、すぐさま葬式屋のお客にしてやるぜ?」 「心配するな。わしが棺桶に入るのはお前がこの会社を継いだ後じゃからな。ふぉふぉふぉ!」 口の減らないクソジジイが…… 俺が本気で仏様にしてやろうかと思っていると可憐ねぇがため息混じりに俺達の仲裁に入った 「兼房様…そろそろ本題に入られては…」 「香憐ちゃん、続きは私が話すわ。呼び出したのはお父さんだけど用事があったのは私だからね…」 そう言ったのはいつの間にか俺と香憐ねぇの後ろにいた… 「社長」 ここのトップである俺の母親、鳳条院 伊織 その人であった 「久しぶりね、明人……」 俺の母親だ、実際の年齢はソコソコになるんだろうが…どう見たって香憐ねぇより年下に見える 下手すりゃ葉月より少し上程度…我が母は若々しいの度を越えて…子供っぽかった (何故かマイスターを連想するのは俺だけか?) (いえ、社長には申し訳ないですが…私もです明人様…) 「もぅ明人! 聞いてるの?」 「ああ…っても、葉月の誕生日のときに顔出しただろう?」 「だってだって! あの時は私に挨拶もしてくれなかったじゃない!」 ぷんぷんという擬音が恐ろしいほど似合うような頬の膨らまし方をする御袋… ヤメテクレ…マジデハズイデス… 小学校のときの参観日の記憶がフラッシュバックする 「だったらそっちから挨拶でも何でもしてくりゃいいじゃねぇか…」 …なんだか頭が痛くなってきて俺は左手を額に当てた 「それは……はづちゃんの邪魔しちゃ…悪いじゃない…」 今度は小さな声でブツブツと何かを言いながら拗ねだした アンタホントに俺の親ですか? 「社長、お話がそれていますよ…」 またしても新たな声 その声の主には俺も香憐ねぇも予想はついていた そりゃそうだ、御袋とこの人はワンセットだからな… 「桜さん」 「お母さん」 「お久しぶりです若様。香憐も…」 香憐ねぇのお母さん、水無月 桜さんである 御袋よりも歳を取って見えるものの、それでも十分に若く見える(御袋が幼すぎるんだ…) 着ているレディーススーツも香憐ねぇの母親なだけあってバッチリ似合っている(ちなみに香憐ねぇもレディーススーツだがパンツスタイル、桜さんはスカートスタイルだ) 香憐ねぇの実家である水無月家は昔からウチの家、鳳条院家に仕えてくれている 香憐ねぇのお父さんも爺さんの専属執事として働いてくれているんだわ まぁ昔といっても爺さんが事業に成功してからなのだが…それでも両家の関係は深い 俺と香憐ねぇも姉弟のような関係だが… 「あ、いつの間に…ごめぇ~ん。ありがとね、桜」 「はぁ…いつものことですから」 この二人の関係も主人と従者と言うより無二の親友という風に見える そりゃそうだ 生まれたときからの幼馴染で小中高、さらには大学まで一緒というほどの年月を共にしているんだからな この母親の性格でこのどデカイ会社のトップを切り盛りできているのは有能な秘書である桜さんのサポートあってこそなのだろうとしみじみ思うぞ… ホントお世話になってます…桜さん… 「オホン! それでは本題に入ります…」 いまさら社長っぽく締めようとしてもムダな気がするぞ御袋 「明人、この時期になって貴方を呼んだことに思い当たる節はない?」 いきなりの質問である そう言われてもこちとら朝っぱらから香憐ねぇに拉致られてクタクタな訳だ いきなりそんな漠然とした質問されても答えがすぐに出るわけがない 「なんだよ藪から棒に…わかるわけねぇだろ…」 ぶっちゃけ俺、ただ今不機嫌 それにより口調がいつもより二割り増しで厳つい… 「う~ん…それじゃぁヒント。武装神姫関係」 「…………『武装神姫お花見ツアー』の企画会議?」 やる気なさげに思いついたことを言ってみる 言っておいてなんだがここは技術会社…そんな旅行ツアー計画あるわけないよな… 「…………あなたホントにファーストランカー? ってかホントに我が愛しの息子で鳳条院の次期跡取り?」 がっくりと肩を落とす御袋 「ずいぶんな言い草だなオイ…それにその二つは関係ないだろうが」 だいたい俺は継ぐ気なんかねぇし…… 「あるわよぉう;知ってるでしょ? 鳳凰カップ!」 痺れを切らして答えを述べる御袋 最初からそうしろよ…… ん? 鳳凰………どっかで聞いたような……… 「…………………………あぁ、アレね」 「そう、アレよアレ………」 《鳳凰カップ》 2035年から始まった鳳条院グループ主催の武装神姫バトルカップだ 会場は鳳条院グループ本社ビルから近いイベント広場 春と秋の年二回開催されていてそれぞれ〈春の陣〉と〈冬の陣〉と呼ばれている 会議中、発案者であるジジイがグループ役員に『何でこの時期なんですか?』との質問に対して… 『夏コミと冬コミに被らないからじゃ!!!』 …と、高々と宣言して全員を納得させたエピソードは社内や身内でも印象深かった それはさておき バトル形式は全試合バーチャルバトル 抽選によりA~Pまでの十六組に分かれての予選リーグ そこからは予選リーグを勝ち抜いた者達による決勝トーナメントだったっけ 毎年上位優勝者には多額の賞金と豪華副賞が送られる 確かテレビ中継もやっていて特番も組まれたりするんだっけかな? なんにせよメディアからの注目をバッチリ受けるもんだからランカーとして名声を受けることに憧れる神姫ユーザーや神姫にとっては登龍門となっているとか何とか… 武装神姫関係の各企業や研究所、私営の神姫ショップなんかと協力して企業ごとのブースを設けることで、バトルをしない神姫ユーザーにとってもお祭り気分で楽しめることもイベントの売りのようだ… 何にせよ鳳条院グループ社内総動員の一大プロジェクトなわけで、それも今年で三回目の〈春の陣〉を迎えようとしている ちなみに〈春の陣〉の日程は三月の中頃だそうだ 「そうえば若様は前年度も前々年度も鳳凰カップには参加しておいでではなかったですね…」 と桜さん 「確かにそうですねぇ…」 とうなずく香憐ねぇ 「なんでぇ!? なんで明人は出てくれないのぉぉぉ!!?」 「そうじゃそうじゃ!!」 「あぁ~止めろ! 御袋、抱きつくな!! ジジイは煽るな!!」 俺は腰の辺りにへばり付いて喚く御袋に悪戦苦闘中… 俺がこの大会に出ない理由は至極簡単 あれだよ、夏祭りで自分の家が出した夜店に誰が客としていくと思う? そりゃ誰もいかねぇわな普通… 「つか、そういうのって関係者は参加禁止だろうが」 「そんなもん関係ないわい!!」 ………い、いやいやいやいやいや!! 関係あるだろ!!? 「無論、香憐も葉月も昴もじゃ。ついでにアル嬢ちゃんとエリー嬢ちゃんもええぞ?」 ジジイの一蹴で俺、以下、いつものメンバーの参加は許可されてしまった…… それでいいのか鳳条院グループ!! 「と、いうわけで私たちの鳳凰カップ参加が許可されました」 時間は飛びに飛んでお昼前 あれから香憐ねぇは俺を引きずり二十二階、博士の研究所フロアへ移動 パソコンでデータ整理をしていたアルティと博士にお茶を出していたエリーの二人を拉致るなり俺共々自分の愛車に乗せて、来た道を華麗なるドライビングテクニックでスピード帰宅したのだった 途中で四輪ドリフトかましたときは流石に死ぬかと思ったぞ… んで、我が家に帰ってみると何故か昴と葉月がリビングで茶を飲みながら話していた 二人とも香憐ねぇに呼び出されたのだとか 何がなんだかわからないうちに俺の家にはマスターとその神姫たち…(葉月の前なのでインターフェイス組も全員神姫素体)が勢揃いしているこの状況…それから 「あっ」 っという間に香憐ねぇはアルティ達に今までのことをズバッと説明 「面白そうじゃねぇか」 話が一段落してから始めに口を開いたのは昴だった 「香憐ねぇ、言うなればお祭り騒ぎ&腕試しってこったろ?」 「まぁ、そのようなものですね」 それを聞くとニヤリと笑いランを見ながら昴は言った 「その鳳凰カップとやら、俺とランは参加するぜ。ラン、いいよな?」 「ええ、昴さんがそういうのなら……」 まずはアッサリと参戦決定の昴&ランスロット ペア 「ランスロットが出るとなれば手前も出ねばなりますまい…よろしいか、姫君殿?」 「う~ん…私は本来、会場運営を手助けしなければならないんですが…」 少し考え込む香憐ねぇ………だが 「お許し…いただけませんか?」 「………でも、兼房様からの折角のお許しが出ましたし………出てみますか、孫市」 少ししょんぼりした孫市の視線に数秒で陥落、香憐ねぇ&孫市ペア、参戦決定 「レイア、私達はどうする?」 「え?…あ、その………私は…参加してみたいです」 少し赤くなりながらも控えめなレイア 「そだよね! 燃えるよね! よっしゃ! いいトコ見せるぞ!!」 誰に? と聞きたくなったが香憐ねぇに拍手されている葉月はいつの間にか熱血お嬢様キャラと化していた…… これほど我が妹に声を掛けづらかったことはなかったぞ 世間で言う『妹萌え』ならぬ『妹燃え』とはコレいかに… 葉月&レイア ペア、参戦決定 「ふっ、負けてはおれんな。ミュリエル、私達も…って…ミュリエル?」 いつの間にかいなくなっているミュリエルを探し周りを見わたすアルティ そりゃいないわな…だってお探し中の相棒は何故か知らんが俺の前にいるんだから… 「ど、どうかしたのか? ミュリエル」 そう問いかけてみた俺にミュリエルは自分の小さな拳を頭の上に掲げ 「………ミュリエル…勝つ…」 と、気合満々の意気込みを見せてくれた それはいいんだが……え~っと………何故俺に? 「ミュリエル…お前…」 その一部始終を黙って見ていたアルは困惑気味の表情 アルの声に振り返り、ミュリエルは一言… 「…アル…戦場はいつも非情…」 なんだか少し挑発的に感じたのは俺の気のせいなんだろうか… アルティ&ミュリエル ペア参戦決定 「エリー、お前はどうするんだ?」 「ん~、僕らはいいよ。あの子達はあんまりバトルは…ね。それよりもお祭りを回らせてもらおうかな。他の企業の新作とかも出るみたいだし」 にっかりと白い歯を見せながら笑うエリー 「明人はバトルカップに出るんでしょ?誰でエントリーするの? やっぱりノア? それともミコ? あ、ユーナの経験値稼ぎにはいいかもしれないね~」 なにやら一人で勝手に話を進めておられますな… 「いや、俺は出る気はない」 と、言うことで明人&ノアールorミコorユーナ チーム、不参加決…… 「「「「え、ええぇぇぇ~~~~~!!!??」」」」 一斉に騒がしくなる橘家リビング… 「ちょ、待てよオイ! どういうこった明人?」 「何故だ! 何故お前らが出んのだ!?」 「明人様…まさか、メンドクサイ…なんて言いませんよね?」 昴には詰め寄られるわ、アルには胸倉つかまれるわ、香憐ねぇはお説教モードになりかけるわで散々だなぁ俺… つぅかアル! ちょ、顔近いって!! 「どういうことだ? アニキ」 「私もバトル大会でたいよぅ~;」 「私は別にかまいませんが…」 三人それぞれの意見を述べる我がかしましシスターズ ………ネーミングセンスが微妙? うっせぇ!! 「実家主催の大会に出るのはなんだかなぁ~って感じだからな。バトルカップ参加はパスだ」 俺は社長室で思ったことと同じ理由を述べた たとえ上位に入ったってあんまり嬉しくないような気がするんだよなぁ…… 「じゃあ…兄さんは大会に来てくれないの?」 いつの間にか『燃えモード』の熱が冷めている葉月が悲しそうに訊ねてくる 昴達もさっきまでのテンションはどこえやらと言った感じ… そんなに俺達が出ないことが残念なんだろうか? と少しの罪悪感を感じる 「いや、大会には行くつもりだ。御袋からバトルカップの解説者役を頼まれてるしな」 「あ、そう言えばそうでしたね…」 大体、今日本社まで呼び出されたのはそのためだったのだ ついでに知り合いのショップや関係者に宣伝してくれって言われたけど…どうしたもんかねぇこりゃ… 「でも明人様…たしか伊織さんにはお断りしてらしたじゃありませんか…本家の手伝いは遠慮するって…」 そりゃそうなんだがなぁ…… 自分の母親に泣きつかれて(子供の様にだがな…)聞かなかったことにするほど俺は鬼畜じゃねぇし… 「まぁ、ちょっとした気まぐれだよ、気まぐ…うわぁ!! むぐぅ…」 気がつくと俺は香憐ねぇに抱きしめられていた 「明人様…ご成長なされて…香憐は…香憐はうれしゅうございますぅぅぅ!!」 (ちょ、香憐ね…ぇ…息…息ができ…ねぇ…!!) 香憐ねぇは美人な上にスタイルもいい その大きめのバストに顔を押し付けられて俺と葉月は何回呼吸困難に陥ったことか… あれはちょっとした恐怖だぞ、死の恐怖… 「むぅ! むぐぐぅ!!」 早めに香憐ねぇの背中にタップして危険な状態であると必死のアピール 俺のSOSに香憐ねぇは我に返り、慌てて俺を解放すると「申し訳ありません…」と小さくなった 香憐ねぇは感動すると毎度コレをやる 被害者の俺や葉月はこのパターンにけっこう慣れてしまっているのだが 「ゴホッ、ゴホッ……あぁ~それにだな。皆が行くのにコイツラだけお預けってのも…なぁ」 涙目になりながらも三人のイベント参加を許可してやる 「よかったですね。お姉様方」 「私達は観戦だけどちゃんと見させてもらうわねレイア、ラン」 「は、はい! ノア御姉様!」 「おう、頑張れよ孫市!」 「は! ユーナ姉上、見ていて下され」 それから皆で大会についての雑談に花を咲かせる そんな中、突然ミコが俺に向かって走って来たかと思うと… 「うにゃぁ~~~ご主人様ダイスキ~~~!!」 という絶叫とともにテーブルから俺目掛けての大ジャンプ 避けるわけにもいかない俺の胸に両手でガシッとしがみ付いた 「あ、コラァ! アネ……キ……」 ミコに怒鳴ろうとしたユーナの声が何故か途中から小さくなっていく 不思議に思いその視線を辿っていくと… 「……え~っと…ミュリエル?」 俺の右肩に座り、俺の頬に体を預けてもたれかかっているミュリエルに行き着いた いつの間に………ってかなんで?? 「…ミコ、ユーナ……戦場はいつも非情…」 ミュリエルが放つ、またしても挑発的で勝ち誇ったようなニュアンスの台詞にショックを受けていたミコとユーナであった… 追記 「ご主人様、参加者募集活動をするんですか?」 「ん? あぁ、まぁな。集めるのはバトルカップ参加者とブース出展参加者の二通りだ。まぁ、ちらっと知り合いでも声かけてみるだけでいいんだとさ…なんとかなるだろ」 「………少し楽天的過ぎませんか?」 「それは俺じゃなくてジジイに言ってくれ」 続く メインページへ このページの訪問者 -
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レイドボスバトル 概要 マップ 難易度設定 攻略初級編近接攻撃の立ち回り 遠距離武器の立ち回り 上級編近接攻撃の立ち回り 遠距離武器の立ち回り WAVE1 WAVE2 WAVE3 バグ・ボス情報小型バグ初級 上級 中型バグ初級 上級 大型バグ(レイドボス)初級 上級 報酬 アップデート履歴 コメント レイドボスバトル 2021.08.18~09.06 9 59(14日)の期間限定イベント。 全国のプレイヤーとオンラインで協力バトルできる。 ロケテストやカードゲーマーでは、一人プレイだけどボスを倒してスタンプを集めるオフラインレイドモードの存在が確認されたが、今回は実装されず。後のレイドボスバトル(常設)にて実装された。 オンラインレイドのマッチングは1分。見つからなかった場合は、その人数分COMが充当される。 最初の30秒は店内でマッチングを開始し、30秒間一人も見つからなかった場合、全国にマッチング範囲を切り替える。ただ必ず店内同士マッチングできるわけではないとのこと。 店内で一人でもマッチングした場合、全国にマッチング範囲は広がらない。 要はエンジョイジェムバトルと同じマッチング仕様。 概要 「ほぼすべてのインフラを支える神姫netに謎の障害が発生! その原因は武装神姫Rの世界から送られてきた謎の電子生物バグが確認された。 生活インフラからゲームセンターまでマスター達の生活を守れ! 最大4人のマスターと協力して、「バグ」と呼ばれる敵と戦う。 60秒+120秒にわたって襲来する集団を撃退した後、続いて240秒の時間内にボスを討伐する事が出来れば勝利となる(つまりゲーム時間は420秒)。 WAVE1は小バグ×8体、WAVE2は中バグ×8体、WAVE3は中バグ×4体+大型バグ(レイドボス)×1体。 青いバグは近接武器、赤いバグは遠距離武器が有効。 いずれも倒されるとリスポーンするが、通常のジェムバトルで神姫を倒した場合と同様、 倒された後も当たり判定が数秒ほど残っている。 小型バグ中型バグのサーチ範囲は片手ライトガンの射程(0.20)と同じくらいの模様。 ターゲット変更ボタンは通常のジェムバトルと働きが違い、 基本的にレバー上側が最も近い相手、下側が最も遠い相手からそれぞれロックオンしていく。 ボスには5箇所の部位があり、うち4箇所は破壊すると一定時間ダウン(行動不能)する。 部位によって有効な武器種が異なる事に注意。 攻撃範囲が広い武器で攻撃すれば、一度に複数の部位にHITする。 仲間の神姫と同じ敵をロックオンすると、攻撃にダメージボーナスが追加される。 (2人で+20%、3人で+40%、4人で+60%) 回復・補助武器で仲間に攻撃を当てると、仲間のLPを回復させる事が出来る。現状では… 「オルフェウス」(イーアネイラ) 「マルレーン712[C]」(シュメッターリング) 「ホーリーエコー」(ハーモニーグレイス) の追加武器3種となっている。 (ブライトフェザーのバスターシュリンジやスタンショッカーも適合しそうなものなのだが……) バグ、ボス共に「防御力ダウン」等のデバフ系スキルの効果を受けるが、効果がどれくれいかは不明。 「状態異常スタン」等一部のスキルは効果を受けない。 なお、このバグは「武装神姫R」の世界から流入してきたものである事が判明している(エーデルワイスの項も参照)。 集団の姿はプチマスィーンに、ボスの姿は「グラディウス」シリーズのダッカーに類似する。 ビジュアルイメージに対し体躯がかなり大きいのは、おそらく誤射防止のためか。 NPCとして「謎のエーデルワイス型」が登場。参加プレイヤーが一人か三人の時に戦場に姿を現す。 ステータスはLV60かLV100の模様。AIは他のジェムバトルと同じ。 なお、武装神姫Rの設定もあり、エーデルワイス用武装の防御力に少量のバフが掛かっている。 ジェム回収ボタンの仕様が変更されており、レイドバトルでは撃破された仲間にジェム回収範囲を当てることで、再出撃までの交代時間を短縮することがでる。 (レイドバトルはジェムバトルより再出撃までの時間が倍近く長くなっている) レイドバトル中は仲間をロックオンできず、画面タッチでのみロックオンすることができる。 また、ロックオンせずともジェム回収範囲が当たればOK。 ジェム回収展開速度は他のジェムバトルと同じ仕様。 チャットボタンのタッチによって他マスターへメッセージを送る事が可能。 メッセージ内容は「よろしんき」「ありがとう」「たすけて」「グッジョブ」「武装神姫」の5種類固定で設定されている。 マップ 神殿に近いが、神殿よりもオブジェクトが減ってほぼ更地と化している。そしてMAP全体が闇に包まれており… 近接バグは上に攻撃できないため、MAP四つ角にある背の高い柱に乗れば近接バグからの攻撃が届かずに済む。 難易度設定 「初級」と「上級」の二種類がある。 ※所属リーグに関係なく、他のバトルモード(マッチング)と共有しない。 「初級」はエンジョイジェムバトルと同じく、武装LVが20に強制統一される。 「上級」には武装LVの強制統一などはない。敵のLVは所属リーグに影響されない。LV100相応。 攻略 同時ロックオン補正があるが、それ以上に武器補正ダメージボーナスの方が大きいです! 例) 誰もロックオンしていない近接バグに遠距離攻撃>4人全員がロックオンした近接バグ(+60%)に近接攻撃 初級編 近接攻撃の立ち回り 元々ハイリスクローリターンなカテゴリーだが、バグ相手ではさらに分が悪くなってしまう。 小型中型の近接バグのDPSがかなり高く、こちらからの武器補正もないのでまずダメージレース負けする。 殴りあうと損害がとんでもなく大きくなるので、基本的に相手にしないのが良いのだが、逃げ切るのは不可能。 報酬は諦めて柱に乗ってひたすらやり過ごすのも手だが、WAVE3では通用しない。 正直レイドボスよりも中型近接バグをどう対処できるかがクリアに繋がっていると言っても過言ではない。 もちろんレイドボスも厄介。どの攻撃も強烈で、長時間殴れることはほぼない。 ウェポンやボディに攻撃が届かない ダメージボーナスがないので、攻撃する箇所はほぼ脚のみとなる。(回し蹴りと後ろ蹴りの軸足になっている左脚が狙いやすい) 遠距離武器の立ち回り このバトルでの大切なダメージ源。遠距離から攻撃できるというだけでどれだけ楽に立ち回れるかが分かるだろう。 とりあえずヴァッサーマン・D-MPやFB256 1.2mm滑腔砲等の射程が長い武器で観察と攻撃を繰り返してレイドバトルの経験を積もう。 ただ射程が長い=DPSが低いなので、ある程度慣れてきたらDPSに優れた片手ライトガンを装備しよう。中でもポーレンホ-ミングがオススメ。典型的なPLには当たり難いがCOMには当たり易いという性質が理由。装弾数を3にすればかなりのDPSになる。 10/7から再開された際にはバグステータスに調整が入り多段hit系の射撃武器は装備構成次第でかなり与ダメージが減少するよう調整されたので考えもなしにポーレンホーミングを使うと泣きを見る羽目になる。近接バグも割りと固まって襲って来やすくなったので爆風付きの腰持ちヘビーガンには追い風となっている。 上級編 近接攻撃の立ち回り 基本は初級と同じだが、よりダメージレース負けしやすい。 初級では他の近接武器カテゴリーでクリアできるが、上級ではほぼ双頭刃斬撃武器一択。 遠距離武器の立ち回り 必要なダメージ量が増えたので生半可な武器ではタイムアップする。 やはり装弾数を3にしたポーレンホ-ミングがオススメとなる。耐近接攻撃があってリロードが高速化するフォートブラッグもオススメ。 しかもお互いにシナジーがあるので、とりあえず困ったらフォートブラッグに装弾数を3にしたポーレンホ-ミングで良い。というかそれ以外だとかなり難易度が上がる。 WAVE1 60秒と短い上に敵が最大6体しかMAPに存在できないので、最大報酬まで獲得するのは結構難しい。撃破したらすぐ別のバグを狙おう。 遠距離バグの攻撃ダメージはしょぼいので無視して良い。 60秒経てば次のWAVEに進む MAP下側に遠距離武器持ちバグが出現しないので、最悪MAP下側の柱の上に乗ってるだけでも良かったり。 約15秒経過すると40秒間MAP左上にスキルポッドが出現する。 WAVE2 120秒間ひたすら近接バグを凌ぐ。 理論上四人でMAP中央に居続ければどのバグも起動させずに済ませられるが、COMが一人でも入るとアウト。 自信がなければやはり柱の上に乗るのが一番。すぐ隣の遠距離バグから常に攻撃されるので、ガードで対処しよう。オススメはMAP左上。 約20秒経過すると40秒間MAP左上にLPポッドが出現する。 約75秒経過すると40秒間MAP左上にスキルポッドが出現する。 WAVE3 240秒の間にレイドボスを撃破すればクリア。 約60秒経過すると40秒間MAP左上にLPポッドが出現する。 約120秒経過すると40秒間MAP左上にスキルポッドが出現する。 バグ・ボス情報 小型バグ WAVE1のみに出現。 WAVE1開始時の近接バグは、開始一秒時点で自身から一番遠かった神姫のみ狙うAIになっている? 増援の近接バグは、サーチ範囲に一番最初に入った神姫のみ狙うAIになっている。 遠距離バグは、サーチ範囲に入った神姫(複数いる場合は一番近い神姫)を狙うAIになっている。 最初に出てくるバグなだけあって火力も耐久も控えめかと思いきや、近接バグが結構油断ならない。 攻撃頻度がこちらの近接攻撃なみに速く、見た目以上のいんちきくさい攻撃範囲を持っている。しかもダメージもそこそこある。 一度取り付かれて攻撃モーションに入られたらダメージは避けられないと思って良い。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.1? 遠距離攻撃 ? 0.25? 80? 上級 ス 体 500? 5000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 300? 0.1? 遠距離攻撃 100? 0.25? 80? 中型バグ WAVE2とWAVE3に出現。 WAVE2WAVE3開始時の近接バグは、バトル開始時点で自身に一番近かった神姫のみ狙うAIになっている。 WAVE2増援の近接バグは、サーチ範囲に一番最初に入った神姫のみ狙うAIになっている。 WAVE3増援の近接バグは、バトル開始時点で自身に一番近かった神姫のみ狙うAIになっている。 遠距離バグはどちらのWAVEも、サーチ範囲に入った神姫(複数いる場合は一番近い神姫)を狙うAIになっている。 小型バグの倍近い耐久と火力。 一回のダメージがそれなりにあり、複数出てくるのもあってダメージが積み重なりやすい。 背丈が神姫とほぼ同じだが、横幅が神姫三人分・空中に浮いているとあって、かなり大きく見える。 複数の攻撃タイプがいるが、中でも近接バグが厄介。 0.3秒~0.5秒とリキャストが速く、見た目通りの判定もあって近寄られると危険。ただし遠近バグ共に地上リアの挙動と同じ為、ホバリングを続けれる限りは近接バグの攻撃は届かない為安全である。 特にWAVE3はMAP真ん中に出現・増援するため、起動させないよう立ち回るのは不可能に近い。 上級をクリアするにはこの近接バグをどれだけ上手く対処できるかにかかっている。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー ? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2ではMAP左下と右下を担当。WAVE3にも出現 ヘビーガン ? 0.25? 60? WAVE2ではMAP右上を担当。誘導が良い ガトリング ? 0.25? 60? WAVE2ではMAP左上を担当 上級 ス 体 500? 7500? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 500? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー 500? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2ではMAP左下と右下を担当。WAVE3にも出現 ヘビーガン 400? 0.25? 60? WAVE2ではMAP右上を担当。誘導が良い ガトリング 100? 0.25? 60? WAVE2ではMAP左上を担当 大型バグ(レイドボス) 3WAVEに出現。 とにかくでかく、その巨体に見合った耐久と火力を誇る。 いずれの攻撃もダメージが大きく、近接攻撃の大半が予備動作がないのでガードは不可能。 しかも位置取りによっては一部の近接攻撃がボディに届かないので、基本的には遠距離武器の射程ギリギリから攻撃するのが安定になる。 「右脚」「左脚」「ボディ」「ウェポン」「頭」の五つから構成されている。「ボディ」以外は破壊可能。 破壊した部位に攻撃を当てると、通常よりもダメージボーナスが入る。 初級 部位 体 備考 右脚 30000? 近接武器でダメージボーナス有り 左脚 30000? 近接武器でダメージボーナス有り ボディ ? ウェポン 30000? 頭 30000? 遠距離武器でダメージボーナス有り 総合体力 120000~200000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 後ろ足で蹴る ? ? 右足で後ろに蹴りを二回。 回し蹴り ? ? 少しため動作をした後、左足を軸に右足で時計回りに一回転回し蹴り。 突進 ? 0.5? ? まっすぐ突っ込む。二回連続で突進する場合も。 レーザー ? 0.25? 80? 頭をかがめる動作をした後、ボディとウェポンの接続部からレーザーを4連射。銃口補正があまりないので、少し離れれば直角に歩いて避けれる。貫通属性 主砲 ? 無限 60? ウェポンから誘導する弾を一発。誘導性能がとても高く、股下にいても飛んでくる。 上級 部位 体 備考 右脚 150000? 近接武器でダメージボーナス有り 左脚 150000? 近接武器でダメージボーナス有り ボディ ? ウェポン 150000? 頭 150000? 遠距離武器でダメージボーナス有り 総合体力 600000~750000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 後ろ足で蹴る 1000? ? 右足で後ろに蹴りを二回。 回し蹴り 1200? ? 少しため動作をした後、左足を軸に右足で時計回りに一回転回し蹴り。 突進 1000? 0.5? ? まっすぐ突っ込む。二回連続で突進する場合も。 レーザー 1300? 0.25? 80? 頭をかがめる動作をした後、ボディとウェポンの接続部からレーザーを4連射。 主砲 1500? 無限 60? ウェポンから誘導する弾を一発。誘導性能がとても高く、股下にいても飛んでくる。 報酬 バトル参加報酬として初級は【Rネジ】×10個、上級は【Rネジ】×20個獲得できる。 WAVE1の小バグ、WAVE2の中バグを撃破する事で、一定の確率でご褒美(コンテナ)が貰える。 WAVE3は中バグの撃破数は関係なく、レイドボスの部位を破壊するごとに(最大4つ)、レイドボスを早く討伐するほど(残り150秒を切ると10秒毎に-1つ?)多くのご褒美が貰える。 レイドボスを倒せなくとも、WAVE1WAVE2に獲得した報酬と、レイドボスの部位破壊をした数の報酬は貰える。 この時点で噂されていたバトコンオリジナル神姫「闇神姫」については、レイドボスバトル(常設)にて実装された。 アップデート履歴 日時:2021.08.18 内容:期間限定イベントとして追加実装。 今回はオンライン初級・上級のみで、オフラインの実装は見送られている。 日時:2021.07.16~18 内容:公式ロケテスト。なおこれに伴い、飛鳥の先行参戦が発表されている。飛鳥とレイドボスの関係はまったくないとの事。 コメント ソロならN SR SRかな。NPCの一人編成にスキルのカーテンコールは有効なのか? -- 名無しさん (2021-08-19 04 30 09) 有効みたいですよー。控えがシュメッターリング2人ならURでも最出撃までの時間が4秒になるので、かなり有効ですよ。 -- 名無しさん (2021-08-19 07 19 59) 期間限定のイベントであってもこれ常時実装させるなら一部の武装とスキル見なおさないと其一択になるような…と言うか協力プレーだから成果は全体で共有であっても一人が大暴れする流れはもうそれオンラインでやる必要性がないようなと思える -- 名無しさん (2021-08-31 23 20 32) 名前 コメント
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左腕と左脚、左の乳房のみを「サイフォス」ベースの装甲で覆った姿でエルギールはヴァーチャルスペースに現れた 金管楽器の様な凄まじく派手な銀色の装甲は、今回のフィールドである湖畔の風景を見事に天地逆さまに写している 『随分軽装だな?まぁホントの白兵戦になりゃぁ神姫用の武器は「避けられない」方がヤバいって言うし、ある意味ありっちゃありか?でも所詮そんだけだろ?ビシッとキメてやろうぜ!華墨』 (確かに軽装だ・・・が・・・・) 武士の台詞を華墨は半分聞き流している ここ数回のバトルで、華墨は少しずつではあるが自らのデフォルト武装の取捨選択を始めていた 初戦の教訓と「どうせ相手に密着するのだから」という事で、十字戟もメインボードから外し、主力武装は腰の大小に、やや肩周りの可動を阻害する肩当を捨て、ジョイントを介して「垂れ」の部分だけを直接装備、鬼面と喉当ても外していた 最後の二つは今回のバトルに際して急遽実行したのだが、それというのもポッドに入る前にちらりと、エルギールの主力武装とおぼしきものを目にしたからだ それは剣呑な黒い刀身に、禍々しい朱い模様がうねうねと描かれた、非常に大振りなダガーだった(殆どショートソードと言っても良かったかも知れない) 神姫が外出する時に、手持ちの得物の中から携行に便利な物を選んで持ち歩くというのは聞いた事があるが、華墨には何故だか判らないがそれが「護身用の武器では無い」という強迫観念めいた確信があった それで、視界と装甲の二択に(勝手に)迫られて、結果折衷案で、「兜は残して仮面は外す」という結論に至った訳だ いずれにしても、未だに胸の奥をざわざわと撫でられる様な感覚はおさまらず、目の前の軽装な姿を、武士程楽観視出来無いのだった 第伍幕 「Merciless Cult」 自分と相手の戦力差がどの程度なのか?正確に把握するには結局ぶつかってみるのが一番良い。華墨は覚悟を決めた ざくざくいう足音と共に、バーチャルの下生えが踏み潰されてゆく。(いける、いつもの私だ)ポニーテールを地面に水平になるくらい迄浮かせながら華墨は走る。右手で太刀を抜き放ち、気合一閃、一気にエルギールに斬りかかる! 白刃が虚空に白い影を描き、華墨の天地は逆転する。遅れて知覚される苦痛 「ハン!速さと装甲にモノ言わせて真っ直ぐ突っ込んで殴るだけの、単なるゴリ押しじゃない!?案の定大した事無いわね?」 (なんだ!?何をされたんだ?今!?) 地面を抉る程に叩き付けられた華墨だったが、即座に立ち上がり、エルギールから距離をとる 「どうしたの?躓きでもしたのかしら?ホント情っさけ無いわね」 憎まれ口を叩くエルギール。その手に武器らしきものは握られていない。華墨が警戒していた短剣も、まだヒップホルスターの中だ 「・・・」 「つば」を鳴らして太刀を構え直す。いつもの様に、加速をつける為の攻撃型ではなく、切っ先を相手に向けた防御よりの型だ 「・・・アタシってそんな気が長い方じゃ無いのよね・・・来ないんなら」 ヒップホルスターから短剣を抜き放つエルギール。一瞬、朱色の模様が生物の様にうねった・・・様に感じた 「こっちからブン投げてやるまでよォ!!」 「!!」 明らかに短剣が届く間合いではなかった、が、エルギールの剣は鋼線で接続されたいくつかの節に別れ、異様な動きでもって華墨の左腕に巻き付いたのだ。食い込んだ刃が、華墨の人工皮膚を・・・裂く 「くそっ!!」 鋼鉄の毒蛇に腕を拘束されたまま切り込む華墨。だが、引き手を殺されたへたれた斬撃は、あっさりとエルギールの腕甲でいなされ、挙句そのまま首を掴まれる (・・・ぐっ!) くぐもった呻きが漏れる。それは人間的な条件反射だが、神姫が「人がましく」振舞う為に動きの基礎に組み込まれている 「けだものを捕らえるには罠を使うでしょう?アタシはその罠。さぁ、ホントのアタシのフルコンボってやつを見せたげるわ!!」 首を掴んだ左手が捻られる、同時に右足が払われ、左腕の拘束を引き外す動きでそのまま吊り上げられる (これが・・・!?) 「まずは天(転)」 異様な体勢で転ばされ、なんとか残った右腕で受身を試みる 「間に人(刃)」 ぞぶりだかどすだかいう様な汁っぽい音と共に、引き抜かれ空を舞っていた刃が右腕に突き刺さる たまらず、そのまま顔面から地に倒れ付す華墨。打撃系の衝撃が、装甲ごしにでも強烈なダメージを全身に及ぼした 「最期は地に血の花を咲かせて逝きなさいな!アンタの名前に相応しい幕切れじゃない!!」 エルギールの哄笑、無理矢理体を起こそうとする華墨だが、最早戦闘能力が無きに等しいのはいかなる目で見ても明白だ (立ち上がる・・・ちから・・・) 武士が何かを叫んでいた、残念ながら華墨には何を言っているのか全く判らなかったが・・・ (ここで立ち上がる・・・ちからが・・・) だが、そんな力は華墨の中には無かった。愛も、怒りも、不屈の意思も、未だ華墨は本当の意味で理解など出来て居なかった 虚ろに過ぎるジャッジのマシンボイスを、ヴァーチャルスペースに全く意識があるままに、華墨は聞いていた 「華墨・・・負けちまったのか・・・?」 武士は腰を浮かせて、呆然とディスプレイを見ていた その肩に琥珀の小さな、冷たい手が掛かる迄、武士は彼女が入ってきた事にすら気付いていなかった 「ね、判った?闘うってこういう事なんだよ。体はヴァーチャルでも、彼女らが感じる恐怖は本物なんだ。」 小さな、だがはっきりした声だった 「だって・・・武装神姫って、バトルする為に創られたんだろ?」 のろのろと首を回す武士。琥珀の、多分名前の由来なのだろう琥珀色の瞳は、感情を深い所に隠していて、思考を読み取る事は今の武士には不可能だった 「確かに彼女達は闘う為に創られた。でもね、闘争本能を持たされていても、彼女達が本当に闘いを望んでいるかどうかは判らないんじゃないかな?」 「・・・え?」 「判らない?君は彼女のマスターだけど彼女は本当の意味で『君の神姫』になっているのかな?」 「当たり前だ!神姫は登録した人間をマスターとする様に出来てるんだろ?」 語気を強める武士、だが琥珀の口調にも表情にも、僅かな変化も見られなかった 「プログラムされた知性、プログラムされた感情、なら、忠誠心だってプログラムされたものなんだろうね」 「・・・」 にこりともしない、が、別に怒りも悲嘆も、いかなる色も彼女の表情には現れないのではないかと、武士は思った 「・・・」 「プシュ」と空気の抜ける様な音がして、華墨のバトルポッドが開く ゆっくり顔を上げる華墨に一瞬目をやってから踵を返す琥珀 「じゃ、するべき事はしたから・・・縁があったらまたね・・・」 視線だけ二人に向けて言い放つと、もうそのまま、むにむにと柔らかい足音だけ残して琥珀は去っていった 「・・・負けてしまったよ・・・マスター・・・」 「・・・あぁ・・・」 ここで取って付けた様な労いの言葉を吐く事が出来るのか?吐く資格があるのか?労ってやるべき存在?神姫は・・・? 玩具にそれをするのか?人間にそれをしないのか? 「・・・無事でよかったよ」 武士は恐ろしくばらばらな表情でようやくそれだけ吐くと、華墨を抱え上げポケットに入れ、無言でブースから出るのだった 「見事な『壁』役だったね」 「僕は厭だよ。本当はこんな役なんて」 「買って出た苦労だろう?私は何も頼んじゃいない」 「・・・・・」 「・・・君にとってはどうなんだい?」 「何がさ?」 「神姫とは高性能な知性を持った玩具なのか・・・?身長15センチの人間なのか・・・?君が佐鳴武士に叩き付けた問いについて・・・だよ」 「・・・そういう話は川原さんとでもしてなよ。帰ろうか?エルギール」 主よりも遥かに派手な神姫を肩に乗せて去る少女を見ながら、皆川はいかにも意味ありげに不気味に微笑んで見せるのだった 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ
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戻る 先頭ページへ ネリネ。 私の可愛い神姫。 私の初めての神姫。 ネリネ。 まさに天使の様なその笑顔は、私にとってかけがえのない宝物だった。 貴女がくれたものを、私は生涯忘れはしない。 ネリネ。 でも、貴女は居なくなってしまった。 私が悪かったの? 興味本位で、神姫バトルを貴女にやらせたのが。 違う。 悪いのは、あいつらだ。 神姫には心がある。 神姫は唯の玩具じゃない。笑いもすれば、泣きもする。 それなのに、神姫をただのバトルの道具にしか見なかったあいつら。 私は、絶対許さない。 ネリネ。 私は今日、貴女の仇を取る。 轟―――。 朽ち果てた戦場に、真紅の影が躍った。 それは、血染めの鎧を身に纏う、白髪赤眼の悪魔。 「そんなんじゃぁボクは殺せないよぉ!」 真っ赤な瞳を狂気に揺らし、どす黒い軌跡と共にロケットハンマーを振り下す。 カーネリアンと同じく赤黒いそれは、打突部後部の推進装置を作動させ、その破壊力を数段上へと昇華させる。 直撃すれば神姫であればひとたまりも無い。まさに一撃必殺。 「……五月蠅い」 戦場の体裁を保っていない戦場を奔るのは白い影。 それは、雪の様に白い鎧で武装する、白髪青眼の悪魔。 ロケットハンマーの一撃を軽いステップで回避し、空かさずカーネリアンとの距離を詰め、チーグルで握ったアンクルブレードを大上段から降り下す。 音さえ遅れる白い斬撃は、しかしカーネリアンの赤い片のチーグルに阻まれた。 アンクルブレードはチーグルに傷を付けこそ、それ以上は無い。カーネリアンのチーグルの耐久性は異常だと言えた。 「カーネリアンのチーグルとサバーカは装甲板厚くしてある。並大抵の刃は文字通り刃が立たないぞ……カーネリアン、ギロチンを使え」 壊れたバトルマシンを眺めながら、恵太郎が口を開いた。 カーネリアンはそれに応じ、手に持ったギロチンブーメランでアリスを狙う。 「……フルストゥ・クレイン」 恵太郎の問いかけられた一方―――カーネリアンは応えた。しかし、もう一方の君島ましろは応えずにアリスへと指示を出した。 背部に備え付けられた白刃を抜き放ったアリスは即座にギロチンブーメランへと打ち当てた。 全く同じ相貌の、しかし色と得物だけが違う悪魔が、対峙した。 膠着状態、しかし確実にアリスは押し負けている。 アリスのサバーカとチーグルはカーネリアンのそれが装甲板を厚くしているようにアクチュエータを強化してある。 その結果、重装甲でありながらもマオチャオ型と同格の機動性を有している。 しかしそれは機動性に限ったことであり、馬力は変わっていないのだ。 一方、恵太郎は口にしてはいないがカーネリアンのそれは馬力をも強化されている。 デフォルトの1.2倍程度の強化だが、それは同タイプのアリス相手の場合、地味ながら大きな差となっている。 「アリス、掴み合いでは、勝ち目が無い」 君島は即座にそれを判断し、命令を下した。 短絡的な命令だが、アリスはそれを完璧に理解した。 即ち、高機動での撹乱、である。 がきん、と鋼の地面が鳴いた。 固い地面を鋭く捉えたアリスの脚が初動以外全く音も立てず、カーネリアンから距離を放した。 ロケットハンマーで攻撃を加えようとしていたカーネリアンの身体が、揺れた。 再び、がきん、という床が鳴った。 瞬きする間もなくカーネリアンとの距離を詰めたのだ。 カーネリアンの目前で急制動、前傾姿勢のまま右足を大きく踏み込ませ、両のチーグルで握るアンクルブレードを交差させる。 そしてそれを左右に薙ぐ。 音すら遅れてくる斬撃は、確かにカーネリアンの両のチーグルを捉えた。 だがやはり、アリスの白刃は赤いチーグルに浅傷を残す事は出来たが、両断する事は願わなかった。 刹那、空気を叩き潰す様に空間を軋ませながら、赤い左のチーグルが突き出された。 巨大な指を揃え、掌を反らし手首付近を打点とし、対象の顎を狙う突き技。 掌底と呼ばれる突き技の一種だ。 この技は一般に拳での打撃よりも威力が高いと言われている。 そして、今それを成しているのは神姫の武装の中でも近接戦闘に特化したチーグルなのだ。 その質量、その馬力。そして使い手の技量。 それらが揃った掌底をただの掌底と侮る事無かれ。 それは、それだけで必殺の威力を孕む。 「んもぉ、連れないなぁ」 しかし当たらなければ、意味は無い。 掌底の一撃を数度のバックステップで避けたアリスはフルストゥ・クレインを投擲した。 応じる様に、カーネリアンは両の手に持つギロチンブーメランを接続、同様に投擲する。 風を裂く白刃。大気を潰す斬首刀。 刃の衝突を待たず、アリスは再び地を蹴った。 軌道を左右に大きく揺らしながら跳ねる。カーネリアンを撹乱する考えだ。 最中、チーグルで握るアンクルブレードを横に寝かせて突きの構えを取る。 向かって右に跳び、その着地点をカーネリアンの至近に着地。 その瞬間、サバーカの膝を折り衝撃を吸収させ即座に攻撃態勢へと移り、必要最低限の動きでアンクルブレードをカーネリアンの頭部目掛けて刺し出した。 「んふふぅ」 突き出されたチーグルを、しかしカーネリアンは無造作に左のチーグルで掴み、アンクルブレードを止めた。 そして、右のチーグルで握るロケットハンマー。それの柄をアリス目掛けてさながら槍のように突き出した。 回避しようにもチーグルは未だ掴まれたままだ。 それを振り解き、回避に映るには時間が足りない。 だから、アリスは強引に身体を捻り、即座にフルストゥ・グフロートゥを抜き、カーネリアンの首目掛けて突き出した。 「……ぅぐ」 アリスの脇腹をロケットハンマーの柄が微かに抉った。 それが本来の用途で無い事と、十分な予動が出来なかった事もありダメージは大したものではない。 しかし、カーネリアンはフルストゥ・グフロートゥを完全に捌き切れなかった。 首は胴と繋がっている。しかし、刃が左目の付近を掠め斬っていた。 それは、カーネリアンにとって、恵太郎にとって予想外だった。 恵太郎は、アリスがこの攻撃を一旦防ぎ、隙を見て脱出し間合いを離し仕切り直す。 そうとばかり考えていた。 しかし、実際は違った。 半ば、捨て身に近い今し方の攻撃は、アリスの、そして君島の心情を暗に物語っていた。 「これはびっくり」 アリスの眼に映るのは、純粋な憎悪。 姉を殺したカーネリアンへの無垢で純粋な殺意なのだ。 掠っただけにしても、目に程近い場所を刃が通過するのは思いの他、隙が出来る。 その隙はカーネリアンの拘束の緩みを生み、アリスはその隙にチーグルを強引に振り払った。 返すチーグルで一旦アンクルブレードを離し、カーネリアンが投擲し、返ってきたギロチンブーメランを掴み裏拳の要領で叩き付ける。 完全に虚を突かれたカーネリアンは、咄嗟の反応が出来なかった。 右のチーグルはロケットハンマーの突きの反動で防御には回せない。 残る、ついさっきまでアリスを掴んでいた左のチーグルで無理やりギロチンブーメランを受け止める。 刹那、ギロチンブーメランから手を放したアリスは、アンクルブレードを再び執ると距離を放した。 「やるぅ」 カーネリアンの左のチーグルの掌部分は完全に破壊された。 ギロチンブーメランの刃はチーグルの先端に深く食い込んでいる。 それを抜こうとしたカーネリアンだが、素体の腕では抜き切れなかった。 仕方なくギロチンブーメランの連結を解除。片方を手に取るとアリスへと向き直った。 アリスは先刻投擲したフルストゥ・クレインを左手に、フルストゥ・グフロートゥを右手に、アンクルブレードを両のチーグルで執り、静かに構えている。 損傷はカーネリアンの方が上だ。 主武装であるチーグルの片手が使用不能とあっては、絶大なロケットハンマーもその威力の全てを出し切れない。 それでも、カーネリアンはそれを手放さない。 赤黒い金属の塊である、それを。 かつて、数多の姉妹を屠ったそれを。 カーネリアンはロケットハンマーの柄の中程を握る様に持ち直し、構えた。 それが、カーネリアンなりのけじめなのだ。 「ぼくさぁまどろこっしいの嫌いなんだよねぇ」 カーネリアンの赤い瞳が、アリスの青い瞳を捉えた。 まるで本物の人形の様な無表情。 しかし、それは違うのだ。 白く、負の熱が燃えているのだ。 それは感情を殺し、心を殺し、全てを殺して、ようやく成り立っているのだ。 復讐の為。それだけの為だけに生きるアリスにとっては。 「だからさぁ、次の一撃で終わりにしようよ」 カーネリアンはギロチンブーメランを捨て、ゆっくりと右のチーグルを上段に構えた。 無造作に、武骨に、しかし全ての力をそれに込めて。 カーネリアンは立ち構えた。 「どうだ? 君島」 怪しむ君島に、恵太郎が声をかけた。 思考は、一瞬だった。 「……いい、でしょう」 アリスはその言葉に反応し、左のチーグルで握るアンクルブレードを捨てた。 右のチーグルを大きく引き、顔に沿うようにアンクルブレードを構える。 脚は開き、腰は落とす。突きの構えだ。 一瞬の静寂。 音だけが、世界から消え去った様な幻覚。 しかし、それは一瞬だ。 次の瞬間には、アリスが地を蹴っていた。 どこまでも真っすぐに、どこまでも純粋に、どこまでも只管に。 アリスは翔けた。 全身全霊の力を込めて。 全身全霊の憎悪を込めて。 全身全霊の、全てを込めて。 アリスは、白刃を突き出した。 カーネリアンもまた、全身全霊で応じた。 鉄槌を振り下す機械の腕。 背中で吠える推進剤。 それを力へと変換する為に回す腰。 脚は地を抉るように踏ん張る。 全てが、完璧に重なった、 恐らくは、カーネリアンにとって最高唯一の一振り。 立ちはだかる者全てを、一切合切を打倒し、破壊し、終焉さし得るモノ。 それに相応しい、最後の一撃。 白刃と鉄槌が、終に衝突した。 鉄槌の中心を捉えた白刃は、一瞬にして全身に罅が這入った。 しかし、アリスは力を緩めない。むしろ増していく。 全てを、カーネリアンへの復讐の為に捧げた日々を、今この白刃一本に込めているのだ。 だがカーネリアンも負けはしない。 片腕ながら、打突部後部の推進装置を起動させ、白刃もろともアリスを砕こうと力を込める。 カーネリアンもまた、この日の為に全てを捧げてきたのだ。 まるで、走馬灯の様にカーネリアンの脳裏をそれが過った。 刹那、ロケットハンマーに亀裂が奔った。 それは、瞬く間に全体に広がり、そして砕けた。 白刃は破片を搔き分け、潜り、蹴散らしながら止まらない。 それは、赤いチーグルを砕き。 カーネリアンの右腕をも砕き。 そして、右胸に達した時、ようやく止まった。 「神姫の力は……心の力ってねぇ」 動力部に近い部位に損傷を受けたカーネリアンは、砕けた二つの右腕と共に崩れ落ちた。 傷はCSCの付近まで達していた。 「……終わり、です」 君島が、静かに告げた。 それは試合が終わった事を告げる言葉ではない。 それは、カーネリアンの終わりを告げる言葉なのだ。 「分ってるよぉ……」 上体だけ起こしたカーネリアンは、弱弱しく自らの胸部装甲を唯一無事な左手で掴み、引き千切った。 神姫の心臓たるCSCが、顔を見せた。 「ふふ、腕が残ってて良かったよぉ」 胸部装甲を投げ捨てながら、カーネリアンは言った。 「……覚悟は」 まるで、死刑執行人だ。 カーネリアンはアリスを見上げながらそう感じた。 「そうだねぇ……」 暫く、逡巡する素振りを見せたカーネリアンは、顔を上げ言った。 「ましろちゃん。これが済んだらアリスを可愛がって上げてね」 全く、予想外な言葉。 その言葉に、君島は一瞬呆気に取られ、次の瞬間激しい怒気を発した。 「一体、どの口が、そんな事を……!」 その怒気は、アリスへと伝達した。 「……」 全くの無表情。 その無表情のまま、アリスはボロボロのアンクルブレードを素の右腕に持ち替えた。 そして、地面に座り込んでいるカーネリアンに合わせるよう、膝を折った。 「さぁ、やるならここだよ。ボクが生き返らないように、確実にね?」 自身の赤い三つのCSCを指さしながら、カーネリアンは言った。 「……これで、終わり」 アリスが、アンクルブレードを軽く引いた。 そして、鋭く突き出した。 「マスター。私は幸せでした」 あっさりと、それはカーネリアンのCSCを貫いた。 「ああ……ナル、俺もだよ」 カーネリアンの身体が、まさに糸を切った人形のように、倒れた。 先頭ページへ 進む
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「どう? 仁さん」 とある建物のとある一室。華凛はパソコンを横から覗きながら言った。パソコンを操作している青年は眼鏡を直しながら呟く。 「思った通り、改造神姫ですね。それも、重度の」 青年はそれだけ言って、再びキーボードを打ち始める。 私は、クレイドルで眠る神姫を見た。武装は全て外され、静かに眼を瞑っている。その安らかな寝顔を見ていると、さっきまでこちらに銃口を向けてきたとは思えない。 「店長、こっちの武器も違法改造が施されてます」 そう言って改造神姫の武器の入ったダンボールを抱えて現れたのは、別の神姫だった。たしか、アーンヴァルMk.2型。 「そうですか。ご苦労様です、エリーゼ」 「いえ、そこまでのことは……」 「いえいえ、いつも助かってます」 「もう、店長ってば大袈裟ですよ~」 エリーゼと呼ばれた神姫と青年は、仲良さげに会話している。とても微笑ましい。 することのない私は、椅子に座ってここに来た経緯を思い出した。 「止まった? 壊れた? どっちでもいいけど」 「エネルギー不足だって」 神姫が止まってしばらく経ち、私達は神姫を調べた。虚ろに開かれた瞳は、何も映さない。口は半開きで、まったく動かない。刑事ドラマで出てくる死体と似たような感じだ。 頬を伝う涙が、妙になまなましい。 「って、華凛。何してるの?」 見れば華凛は携帯を取りだし、どこかへ電話しようとしていた。 「う~ん、ちょっと待ってて」 携帯を耳に当てる華凛。まさか、警察にでも連絡しているのだろうか? 「あ、仁さん? あたしよ。うん、ちょっと興味深い物を見つけてね?」 違うようだ。警察相手にこんなにフレンドリーに会話出来る人はいないだろう。いや、いるかもしれないが、それは華凛ではないはずだ。 「ううん、こっちから行くからいいわ。うん、それじゃ」 ピッと通話を切った華凛は、神姫を手に取る。 「樹羽、もう少し付き合ってもらえる?」 「どうするの?」 華凛は神姫をちらつかせるように振る。 「調べるのよ。この神姫を」 そして来たのが、このホビーショップな訳だ。華凛が話していた、知り合いが経営している店とはここの事らしい。 店長である柏木仁(かしわぎじん)さんは、若いながらも相当なエンジニアであるらしく、今もあの神姫を全力で調べてくれている。 その助手でもある神姫、アーンヴァルMk,2型のエリーゼは、オーナーである柏木さんのことをとてもよく慕っている。 (神姫は小さな人、か……) まったくもってその通りだと思う。人と同じように笑う神姫。人と一緒に笑う神姫。しかし、あのエウクランテ型の神姫は、はたしてそうだったのだろうか? 昔は、あのエリーゼのように笑っていたのだろうか? 最後に見せた涙は、彼女の本当の意識なのだろうか? さっき柏木さんに聞いたが、あの神姫は重度の改造で暴走してしまっていたらしい。誰がそんなことをしたのか、まではわからなかったが。 「こんなこと、絶対おかしいよ」 「ぎりぎりセーフね、今のセリフ」 パソコンを見るのに飽きたのか、華凛はこっちに近付いてきた。 「別に飽きた訳じゃないわ。樹羽が暇そうにしてるから来たの」 「そう……」 華凛は私と反対側の椅子に座る。 「樹羽、大丈夫? 肩とか」 「肩?」 ああ、そういえば被弾していたんだっけ? 肩口を見てみる。軽く痣が出来ているが、重傷じゃない。 「大丈夫、痛くない」 「そう、ならいいの。それじゃあ、あとはあの神姫のことね」 華凛がクレイドルに眼を向ける。そこには相変わらず神姫が眠っていた。 「ホント、さっきまであれに撃たれそうになったなんて思えないわ」 私は被弾しているが。 「ねぇ、樹羽。実はね……」 華凛が何か言おうとした時、柏木さんが大声をあげた。 「よし! プロテクト解除成功です!」 「……ごめん、樹羽。また後で」 華凛は柏木さんの元へ戻っていく。私も同行した。 「なんのプロテクトですか?」 「この子の記憶ファイルのだよ。悪いとは思ったんだが、犯人特定のために仕方なくね」 「記憶ファイル……」 パソコンの画面を見ると、いくつかファイルがあった。それぞれ日付がふってある。 「ん?」 よく見てみると、昨日と一昨日の分がない。それどころか、3日前のファイル以外、全て×印がついている。どうやら破損しているようだ。 「とりあえず、この3日前のファイルを開いてみよう」 柏木さんがマウスを動かし、ファイルをクリックする。神姫にもよるが、数日の記憶ぐらいなら、映像で保管されているという。 ファイルが開かれ、ムービーが再生される。 暗い部屋の中だ。デスクの上のパソコンのディスプレイしか光源のない小さな部屋。神姫の前には、男の姿があった。顔は写っていない。 『駄目ですよ! そんなこと!』 『うるさいっ! マスターに指図するな!』 突然の怒鳴り声。さらに、視界が目まぐるしく回転し、衝撃とともに止まる。多分、デスクの上から落とされたのだろう。 『もう俺には後がないんだ! もうこれしか方法がないんだよ!!』 『だ、だからって、改造は違法行為です! そんなの、間違ってます! 目を醒まして下さいマスター!』 『黙れぇっ!!』 何かを蹴る音とともに、視界が暗転する。 『もういい、お前は徹底的に改造してやる! そしてもう二度と俺に指図出来なくさせてやる!』 声が近付いてくる。うっすらと開かれる視界。大きな人の足が写る。視界は急に浮上し、天井が写る。多分、今は移動中。 『絶対に見返してやるんだ……あいつらを……俺は……』 マスターらしき男の呟きを最後に、神姫の意識が途絶えた。 「…………」 ムービーもそこまでで終った。辺りには重たい空気が流れる。 「酷い……」 思わず呟いた。会話からして多分、神姫バトルで一向に勝てないさっきの男が、最終手段で改造に走った。 そして改造した結果、神姫は暴走。逃げ出されたのだろう。 「……この記憶は、消してしまった方がいいのかもしれません。この子のためにも」 柏木さんがパソコンを操作する。 「待って、仁さん」 華凛がそれを制止する。あたかもその行動を予測していたかのような速さだ。 「ちょっとそれは待って。それより、それ以外の箇所クリーニングできる? 改造された部分と、マスター登録も含めて」 華凛が質問する。その表情は、いつになく真剣だ。仁さんは怪訝そうな顔をしたが、一応頷く。 「人格が破損している場合、厳しいですが……多分、なんとかなると思いますよ」 「そう、よかった」 華凛は私の方に向き直る。いつもと違う雰囲気に、私は少し戸惑った。 「樹羽、さっき言いかけたこと、言うね?」 「う、うん」 華凛は目を瞑り、しばらくしてから、開けた。 「この子の、新しいマスターになってくれないかな?」 「えっ?」 それは、頭の片隅で予想していた質問だった。願ってもない質問。しかし、私は気が動転していた。 「べ、別に私じゃなくてもいいはず。華凛がマスターになればいいし、それに私、引きこもりだよ」 それに、何故記憶を消さないのかが気になる。 「あ~、それは重要だけど、あたしからは言えないわ」 「……?」 ますますわからなくなった。記憶を消すなと言っておいて、理由は言えない?私が考えている間に華凛は私の肩に手を置く。 その目には、強い覚悟が見て取れた。 「ねぇ樹羽、今の状態がいつまでも続くとは思ってないでしょ?」 「…………」 今の状態――。 高校にも通わず、ただ家にいるだけの日々。引きこもりとしての人生。 徐々に言葉のピースが埋まっていく。 つまり、そういうことか。 この神姫には、新しいマスターが必要で。 私は華凛以外の繋がりが必要で。 二人の条件が重なる。 「樹羽」 そう。私だって、今の状態をよしとしている訳じゃない。どこかで変えなければと思っていた。 ただ、取っ掛かりが見えなかっただけで。きっかけがなかっただけで――。 「……わかった」 変わるタイミングは、今しかない。 「私、マスターになる」 こうして私、奏萩樹羽(かなはぎみきは)は、神姫のマスターとなった。 第二話の1へ その夜の話 トップへ戻る
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登録日:2011/12/21(水) 03 10 43 更新日:2022/01/09 Sun 17 57 49NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 おっぱい グラフィオス サソリ 本田貴子 武装神姫 褐色 間垣リョウタ グラフィオスとは武装神姫第10弾に登場する神姫である。 フィギュアは2008年11月20日発売/定価5460円 デザインは間垣リョウタ氏。 神姫世界ではMagicMarket社製という設定。 バトルロンドでの担当声優は本田貴子さんである。 素体は1stの物を使用。 シリーズ初となる褐色の素体となる、以降登場する褐色神姫はヘルハウンド型ガブリーヌのみとなっている。 またスタイルが良いのも特徴で、同デザイナーが手掛けたマーメイド型イーアネイラのようなセクシーさが目を引く造形となっている。 美少女の多い神姫達の中でも珍しい、美女というにふさわしい風貌である。 彼女のように年上らしい外見の神姫と言えば、イーアネイラやプロキシマなどが挙げられる。 本機の武装は他に見ない特徴が付加されている。 先ず、素体と分離した武装が蠍型ビーグルユニット「ウィリデ」に変形し、サポートメカとなる事だ。 これは間垣神姫(というかMagicMarket製)に多い機能であり、メカニック感溢れる神姫第二世代のトレンドともいえるだろう。 長所か短所か悩むところだが、武装のほとんどがリアユニットに集中しているという特徴もある。 武装は大型クローとテイルが目立ち色と相まってかっこいい、単体でサソリメカに組むこともできる。 説明書には書かれてないが脚部用ジョイントパーツが入っておりこれを使うと脚が丸ごと尻尾になったり多脚になったりと組み換えの幅が広がる これらを縦横無尽に駆使した格闘戦を主なスタイルとしている。 同時発売のウェスペリオーの武装と先述した蠍型サポートメカを合体することでドラゴン型ロボ「ゼオ」を作ることができる。 フィギュアだとスタンディング(直立)モードの他に飛行モードであるライドモードへの変形が可能。 ちなみにドラゴンの頭はグラフィオスに付属しているので手甲として取り付ける事が可能である。 余談ではあるがもともとドラゴン型だったのをコウモリとサソリに分けたようなことが武装神姫マガジンに書かれているらしい(確かな情報ではない)。 AIは非常に好戦的な性格づけがなされており、ことバトルになるとマスターすら蔑ろにする傾向がある。 その様子は、今は廃止されたバトルロンドで振舞われた。なぜ廃止したし。 素直な性格の神姫が多かった当時としてはなかなか毛の色が違うタイプであった。 今となっては、一風変わり過ぎな性格の神姫も増えてきて彼女の傲慢さもさほど珍しくなくなっただろう。 だが女王様然としたその立ち振る舞いに惹かれたぶt……紳士達も少なくない筈。 余談だが、BLADE先生の漫画「武装神姫2036」にも登場する。 マスター竜柿珠代を仰ぐグラフィオス「ルギ」は、カタログが嘘かのように無口でおとなしい。 追求・修正お願いします △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 蠍座の女 -- 名無しさん (2016-08-06 17 02 29) 名前 コメント
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前へ 先頭ページへ 次へ 第十六話 共鳴 着地する。 よく整備された滑走路のアスファルトが、その下の整地用に敷かれた土と一緒に飛び散る。小さなクレータがひとつ出来上がった。 長大な滑走路の向こうには、飛行船が発進した森があって、滑走路のところだけが開いている。終端部にはやはり、地下の格納庫へとつづくであろう大きなエレベータハッチが口を開けていた。 ――開いている? “前方ハッチより反応多数。ラプターです” エイダの警告。 直後、いくつもの光点がハッチから飛び出してくる。十、二十、三十、四十――、まだまだ増える。 「いまだあれほどの戦力を隠し持っていたとはな」 ビックバイパーアタッチメントを纏ったルシフェルが後方から追いついた。その後ろにはファントマⅡを装備したネイキッドの部隊。 「こっちの戦力は」 「私とお前を除いて三十だ。数だけなら圧倒的に足りないな」 話している間にも、ハッチからは次々とラプターが出てくる。 「エイダ、奴らの総数は」 “聞かないほうが賢明です” 人間くさい答えをするようになったな、とクエンティンは思う。 “単純物量差は十倍以上です” 「聞かなきゃよかったな」 「どっちにしろ、ぶっ倒さないと進めないんでしょ」 スラスターの出力を溜める。青白い余剰出力が羽の間からこぼれる。 「やるわよ」 「ふっ」 口の端に笑みを浮かべて、ルシフェルも構える。 「この場での戦力は正直に言って、私たち二体だけだ」 「一人頭だいたい一五〇体潰せば良いわけね」 クエンティンの背中の空間が展開し、細長い板状の物体がトランプを広げるように現れる。ホーミングミサイルである。エイダがあらかじめ解除しておいてくれていた。 左手を前方に掲げ、複数の標的をロック。 ミサイルの発射が引き金になった。三十二体と三百体超の神姫が、同時に突撃を開始する。 ◆ ◆ ◆ 「おかしい」 命令や報告がひっきりなしに飛びかう潜水艦のCICで、全戦域の概況を一括表示する正面スクリーンを凝視しながら、鶴畑興紀はつぶやいた。彼は指令席に座り、デスクに両肘をついて顔の前で手を組んでいる。 「どうしたの」 その傍らに立っていた理音が訊く。 状況は素人目に見ても順調であるはずだった。いや、順調すぎて気持ち悪いくらいであり、何か突拍子もないことが起こるのではないかという予感が理音にはあった。 「上手く行き過ぎてるのが怖い?」 「そうじゃない」 興紀は首を振る。眼鏡を取り、眉間を抑えて深呼吸を一つすると、いつのまにかいなくなっていた執事がタイミング良く戻ってきて、湯気の立つブラックのコーヒーを置いた。 コーヒーを冷まさず一気にあおる。興紀が飲めるくらいの温度にしてあるのかもしれない。空になったコップを執事が持ってゆく。 「向こうの戦力の浪費が激しい」 それが自分の問いに対する答えであると理音が気づくのには少し時間がかかった。興紀の動作に見とれていた。 「それは……、良いことなんじゃなくて?」 「そうなんだが」 トントン、とデスクを指で叩く。 「引っかかるんだ。向こうが全力で抵抗していないように感じられる」 「切り札があるとか――」 「これは段取りの決められたアクション映画じゃない。切り札があるなら最初から使う。最初から全力でやる」 「突入部隊からは。人間のほうの」 「まだこれといった報告はない。多少の交戦はくぐっているが、おおむね順調だ。さしたる抵抗もせずに敵兵があっさり降伏したところもあった。調べた結果が先ほど来たが、敵兵士はそのほとんどがはした金で雇われた傭兵だったそうだ」 「じゃあ、虎の子の飛行船団が落ちたからかしら」 「たしかにあれは奴の作戦の要だが、それならば撃墜された時点で全面降伏するはずだ。いまもって抵抗を続ける意味の方が不明瞭になる」 つまり、抵抗を続けている理由が立つと抵抗の弱さが疑問になり、抵抗を止める理由が立つと今度は抵抗を続けている事実に首をかしげざるをえない、ということである。 「現に抵抗が続いているのだから、まだ諦めていないんじゃないの」 「アーマーンを動かすのか。だがジェフティがこちらの手にある以上、起動することはできないだろう。できたとして、先日捕獲した折にやっているはずだ。おそらくクエンティンと融合していることが起動を阻んでいる要因だ。だから私もクエンティンを戦力として送り込めたんだ。人為的に分離させることは不可能なようだからな」 顔の前で手を組み、ふたたび正面スクリーンを見つめる興紀。 「向こうの行動がそれぞれ、微妙に噛み合っていない。何かがおかしい」 息をつく。今度はため息だった。 「ただの時間稼ぎか? 私は何か思い違いをしているんじゃないのか……?」 デスクに置かれた書類を取る。 例のジェフティ、アヌビス、そしてアーマーンの関係を描いた簡略図であった。狼、アヌビス神のアイコンとヒヒ、トート神のアイコン、その真ん中にある、円形の、島らしきアイコン。アーマーン。中心には逆三角形の中抜きがあり、さらにその中にこちらを睨むような半円がある。半円の周囲には円周が一本引いてあって、その円周上には点が一つある。 興紀の背筋を悪寒が走った。 「これは、島ではないのか――?」 『D部隊がアーマーンの指令センタードア前へ到達!』 オペレータの一人が興奮した面持ちで声を張り上げ、反射的に興紀は疑問を脇にやった。 「突入しろ。ブービートラップに注意だ。ノウマン以下中心メンバーの身柄は全員確保。不可能なら――射殺しろ」 すばやく命令を出す。オペレータが一字一句そのまま部隊へ通達。スピーカから部隊長の復唱が聞こえた。 予定よりも非常に早いクライマックスを、理音たちは迎えていた。 ◆ ◆ ◆ ミサイルの直撃を喰らったラプターがエレベータハッチの奈落へ墜落してゆく。 “進行エリアの敵、全滅。味方残存、十二” 「戦力の三割以上の損害。戦略的にはこっちも全滅ね」 二百メートル以上はあろうかという格納庫の穴をクエンティンは見下ろす。 ナトリウムランプの煌々とした照明がくまなく照らすが、飛行船はともかく、待ち受ける敵の姿がない。 「突入部隊が指令センターに到達した。メンバーは全員拘束されたそうだ」 戦闘後の斥候を終えたルシフェルが降り立つ。 「あれ、じゃあ、もうおしまい?」 「あっけなさすぎるがな」 ものすごく歯切れが悪いが、案外こんなものなのかもしれない、とクエンティンは思った。現実はそうドラマチックにはいかないものだ。 今までが劇的すぎたのだ。夜食を買いに出た道端で新型のプロトタイプと運命的な出会いをして、武装神姫の今後を揺さぶる大事件に巻き込まれて。 全てが終わった今となっては、貴重な体験をさせてくれた皆々様に感謝、そんな気持ちだった。 特にエイダに対しては。 「ねえ、エイダ」 無言。 「エイダ、さっきから戦闘サポートばっかりで一言もおしゃべりしてないけど、どうしたの?」 エイダは答えない。 すると、まったく唐突に、全チャンネルで通信が繋がった。 『こちら司令室。全員警戒態勢。非常事態だ』 「マスター?」 ルシフェルが眉に疑問符を浮かべて応答する。 「どうしたんです。中心メンバーの身柄は確保したのでは?」 『ノウマンが自殺した』 首の後ろのあたりに寒さが走ったような感覚をクエンティンは覚えた。 「ちょっとちょっと!」 通信に割りこむ。 「じゃあ別にいいじゃない。肝心の首謀者が死んだんでしょ? 警戒態勢しく必要なんてどこにも――」 『アヌビスの行方が分からなくなっている』 今度こそクエンティンはぞっとした。 『アヌビス、つまりデルフィのオーナーはノウマンに設定されている。オーナーが死亡、またはその他の理由で神姫とのコミュニケーションが恒久的に不可能になった場合、安全のために神姫のAIは機能の一切を停止して強制スリープモードに移行する』 そんなことは知っている。オーナーが知らなくても、武装神姫なら誰でもデフォルトで組み込まれている機能であり、知識だ。 『だが、デルフィが機能停止した痕跡がない。現在アーマーンの全階層を総動員で捜索しているが、まだ発見されていない』 「それってまさか、デルフィが自律駆動しているってこと?」 オーナーの束縛なしに。 『その可能性は非常に高い』 そんなことがありえるのだろうか。 オーナーの存在は、人間が考える以上に神姫にとってかけがえのないものだ。たしかに人側から見れば、「オーナーが死ねば神姫は強制スリープモードに移行する」だけなのだろうが、神姫にとってオーナーを失うということは即座に自らの存在理由の否定に繋がる。原則として、オーナーのいない神姫はありえない。神姫は神姫である以前にロボットであり、ロボットは人間に命令されることで存在理由とアイデンティティを発生させる。 命令する人間のいないロボットは発狂するのだ。 AIのなかった時代ならば、そうした人間とロボットの関係はあいまいで確立しておらず、ゆえにロボットの発狂などという現象は起こることもなかった。 しかし、AIは自ら考え行動する、意思を持ったロボットである。AIの誕生とともに、命令する人間との関係の確立はなくてはならない事項であった。命令する人間がいるからこそ、AIは安心して行動できるのである。 特に武装神姫はそのシステム上、オーナーと神姫、という図式で、他のどんなAIよりも「命令する人間」と「命令されるロボット」との関係を密にする。だからこそ複雑でフレキシブルな命令をこなすことができ、自ら学んで成長する、まるで人間のようなAIが生まれたのである。 オーナーの死亡等によるコミュニケーション不可能から行われる強制スリープモードは、発狂しないための安全策なのである。もしもこのプロセスが何らかの原因で実行されなかった場合、神姫は発狂する。 ではなぜ、オーナーのいない野良神姫がいるのか? これは、その神姫がオーナーのコミュニケーション不可能状態を観測していないからである。神姫の中では、オーナーが不在=オーナーの死亡とはならないのである。これが神姫のAIが画期的たるゆえんで、つまり解決しない問題(タスク)をほうっておくことができるのである。普通のコンピュータはタスクが解決しない場合、無限の思考ループに陥って大抵フリーズする。神姫にはそれがない。野良神姫はとどのつまり、命令待ちの状態で自ら判断して行動しているわけである。そしてオーナーとの密な関係のために他の人間の命令を聞かない(「命令を聞いた方が都合がよい」と判断した場合、命令に従うこともある)。まさに野良である。 発狂した神姫を、幸か不幸かクエンティンはまだ見たことがない。もしも自分のオーナーが、理音が死んだら――。そうふと思うだけで、たとえようのない不安と恐怖が押し寄せてくる。 では、エイダは? 彼女には―― オーナーがいない。 ではエイダは発狂しているのだろうか? どうもそうとは思えない。 「エイダ、アンタってさ――」 足元の奥深くから殺気を感じた。 「ひっ!?」 思わず短く悲鳴を上げてしまい、数センチほど浮いてしまう。 「どうした?」 傍らのルシフェルが手を伸ばす。 バシッ! 「っ!」 クエンティンの体に触れる寸前、ルシフェルの手は見えない何かに弾かれる。 ルシフェルは目を疑った。 クエンティンの全身のエネルギーラインが赤く明滅している。 「最下層、バラストタンク……」 独り言のようにぼそりとつぶやくのを、ルシフェルは聞いた。 「なに?」 「共鳴してる。エイダとデルフィが。すっかり忘れてた。二人は双子みたいなものだって」 寒さに震えるように、自らの身体をかき抱くクエンティン。 「アイツ、呼んでるわ。ちょっと行ってくる」 バースト。そのまま爆発的な急加速。衝撃波で吹き飛ばされるルシフェル。 「クエンティン!」 ルシフェルの静止も聞かず、格納庫の穴へ急降下。バラストルームへと続くルートがヘッドアップで表示。深い。地下七六〇メートル。島の底辺から太いシャフトでぶら下がっている、四つの丸い大きなタンクが立体映像で映る。 デルフィはそこにいる。クエンティンにはそれがわかる。 不可解なのは―― そこに、ノウマンの反応もあったことだ。 つづく 前へ 先頭ページへ 次へ
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ホビーショップ『165-DIVISION』 都内某駅前の古いビルの地下にある、武装神姫中心の公式公認小売店舗。 店の雰囲気及び商品は、全体的に暗黒系でまとめられている。 店員の格好なども似たり寄ったりなのでおそろしくとっつきにくいが、初心者にも親切に対応し、購入後のサービスも行き届いている。 純正パーツは大手店舗には及ばないものの、基本的なメンテや簡単な修理に使う部品は一通り揃っている。 年に2回、割引セールがある。 リアルなら1対1。バーチャルなら2対2まで対応可能なバトルフィールドあり。時折、小規模ながら大会も開いている。 店長は大概あまり表におらず、ほとんど店員2名で対応している。 交通手段は周辺ではJR線一本のみで、更に休日は各駅停車しか停まらない、駅周辺に駐車スペース、駐輪スペースがないなど交通の便はイマイチ良くない。 しかも店のある場所が目立たず、先述の通り店の雰囲気が独特すぎて客を選ぶため、さほど繁盛しているわけでもないらしい。 店長:エンリコ 備考: 常にパンクとメタルの混ざったような格好をしている。 ただ、実際話してみると意外に気さくで面倒見がよく、特に初心者には親切に対応してくれる。 言うまでも無く、趣味はひたすら濃い。 エンカウント率は低め。 細身ですっきりとした顔立ち。 『エンリコ』はあくまで店内での呼び名。本名は不明。 店員一号:ヨル 備考: 黒メインのゴスロリファッションに身を包んだ女性。肩口までの銀髪で赤い目。片目に眼帯。 笑顔で明るく元気な人。そのため接客と、大会の際のアナウンスなども担当する。 やっぱり趣味は濃い。 『ヨル』はあくまで店内での呼び名。本名は不明。 店員二号:ハネ 備考: 白メインのゴスロリファッションに身を包んだ女性。腰までの銀髪。目が隠れるほどの前髪。 無口で物静かな人。そのためか品だしやレジ打ちなどの裏方作業が主。大会の際にはジャッジも担当する。 同じく趣味は濃い。 『ハネ』はあくまで店内での呼び名。本名は不明。
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入手条件 性格 声優 デザイナー 素体性能プラス補正アビリティ マイナス補正アビリティ ライドレシオMAX時の上昇能力 イベント 固有武装装備時ステータス 色変更髪 瞳 入手条件 DLC「武装神姫 Moon Angel」全話DLでショップに追加 性格 基本的にはアーンヴァルMk.2と同一。 カラーリングこそアーンヴァルMk.2のリペイントテンペスタと似ているが、ペイントが違うため別物らしい。 ただし、戦闘前の掛け声(神姫決定時)等、性能以外でも細部が通常のアーンヴァルと異なっている。 また、内部的には別の神姫として扱われているためか、手作りの髪飾りでヘアエクステが消失したり、 ヘッドセンサーラシュヌ、ユニコーン改などを装備すると後頭部の描画が軽くバグったりする。 声優 阿澄佳奈(ひだまりスケッチ:ゆの、WORKING!:種島ぽぷら、他) デザイナー 島田フミカネ(ストライクウィッチーズ、メカ娘等) 素体性能 LP ATK DEF CHA DEX SPD 400 45 42 40 20 4 プラス補正アビリティ 攻撃力+3 小剣、大剣、ランチャー+1 マイナス補正アビリティ 防御力-3 斧、浮遊機雷-1 ライドレシオMAX時の上昇能力 防御力、武器エネルギー回復、スピード イベント アーンヴァルMk.2と同じ 固有武装装備時ステータス 色変更 色は編集者からみた色で、人によって見え方は異なります。 髪 A.淡紫(デフォルト) B.赤 C.青 瞳 A.赤(デフォルト) B.紫 C.黄
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登場人物 木ノ宮 翔(きのみや かける) 16歳。勉強よりバイトを重視しているためか成績はちょっと危ない高校生3年。 あまりこういったロボットに興味は無かったが、武装神姫はなんかピンとキタらしく購入を決意。 晴れてティアナのマスターとなる。 なお彼の住む町は首都から遠く離れた地方都市の一角。 なので新発売の神姫は県中から人が集まる「ヨド○シ」とかに発売日に並ばないと買えないというか、並んでいても買えるかわからない。それほどの競争率。 イメージCV 鈴村 健一 ティアナ 新発売のジルダリアタイプ。 気さくな性格設定のためか翔とは対等な関係で接しているが、本当はもっと甘えたいと思っている。 第4弾の見た目は"武装"神姫としては従来のモデルより"貧弱そう"なのだが実際に戦闘になれば"スゴイ"らしい… イメージCV 榊原 ゆい * 大地 文典(おおち ふみのり) 翔の幼馴染…というよりは腐れ縁である。 中学の2年時に少し遠い町に引っ越したが高校で翔と再開する。その後はずっと同じクラス。 テストもクラスで10番以内には入るし、勉強を教えるのが上手い。 翔がバイトに勤しんでも落第しない理由はテスト前に文典の講義を受けているからである。 イメージCV 荻原 秀樹 沙耶 文典の神姫でハウリンタイプ。 ただ特殊モデルで瞳が深緑色、さらに長髪なので1度見ただけではハウリンタイプと気が付かない人もいる。 無邪気な性格で人当たりも良い。それでも人の迷惑になることだけはしない。 本物の妹のように文典と接しているが近頃はそれでは物足りない様子。 イメージCV 成瀬 未亜 小野 香住 翔、文典と同じクラスの生徒。 2人と面識は全く無かったが、トーナメントをきっかけに仲良くなる。 自分の神姫のニーナの野望達成のために毎日踊らされるすこし損なキャラ。 綺麗な黒髪のショートヘアーが特徴。 イメージCV 名塚 佳織 ニーナ 犬型だが基本的にいつもツガル装備を好んで装着している。 そして神姫アイドルのナンバーワンを目指して日夜活動している。 しかしいまのところスカウトに引っかかるということは無い。 それでも止めないのが彼女の負けず嫌いな性格を如実に表していると言っていいだろう。 ヘッドにツガルのミニツインテールを付けている為、ぱっと見は通常より可愛く見える。 イメージCV 野川 さくら 神代 鈴莉 2人が3年で進級した「神姫科」の教諭。翔たちのクラスの担任である。 基本的に神姫科は単位さえ取れていれば進級に評定の数値と言った要素は必要ない。 しかし、2年時までの成績が悪かろうと彼女の授業を1年受ければある程度の技術者になれるだけの基礎が身に付く。 それだけの実績を持つ名教師である。 イメージCV 北都 南 シロガネ 鈴莉の神姫でアーンヴァルタイプ。 とても礼儀が良く、優しく、時には厳しくと正に教師の鑑といえる神姫であり、神姫科の生徒の神姫が目指すべき目標でもある。 基本的に学校内では素体状態だが"生徒"に危険が迫れば"力"を使うという噂がある。 しかし真偽のほどは定かではない。 イメージCV 日向 裕羅 独自設定 「星林学園」神姫科 翔の通う「星林学園」は3年次の専攻コースに「普通科」「理学科」そして「神姫科」を儲けている。 神姫科は全国でもまだ数の少ない科であるが、プロフェッッショナルを講師に雇い、本物の神姫をパートナーと一緒に勉強をする。 神姫科でMMSの基礎構造からプログラミング、その他もろもろの基礎を学び、エスカレーター式で大学に進学してさらに細かな専攻の勉強をするという「高-大一貫校」という試みを日本で始めて採用した学校である。 今では都市部にも同じような大学が増えており、この学園が地方の郊外にあるため入試の志願者数は近年下降気味。 それでも生徒数は県で一番多い。 その下部組織として小-中一貫校の付属校も存在する。