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前へ 先頭ページ 次へ 第十一話 決意 ティルトローターから下ろされると、強い潮のにおいを含むべたついた風が吹き付けた。 それで、理音はここがどこかの島であることを知った。ヘリポートの周囲は真っ暗で、植物からどの辺の緯度にある島なのかは推測できなかったが、どうやら断崖絶壁の岬のような土地にヘリポートは建設されているらしかった。 手錠は外されたが、そのまま兵士達に囲まれ、ヘリポートの隅にある地下への入り口から中へ通される。地下道は広かった。かなりの手間をかけて建造された軍事基地のようだった。 すれ違う人間は揃って武装した兵士達だったが、奥に進むにつれて白衣を着た科学者らしき者たちが増えてきた。なんと、あの一つ目ども、ラプターも普通に飛び回っているではないか。 通路は入り組んでいて、駅のような案内板はほとんど無かった。そんな通路を右へ左へくねりながら、理音たちは歩かされた。単独で脱出できないような措置らしかった。もうどこから歩いてきたのか、振り返っても分からない。 歩かされている間、理音は隣で歩く興紀に言われた言葉を思い出していた。 「危ういって、どういうこと? クエンティンが、人類の敵になるとでもいうの?」 「あるいは、な。しかし、凶悪な兵器になるという単純な意味ではない。今のクエンティンには、三原則を始めとする限定要素が何も無い。三原則を突破した神姫は、しかし三原則自体を消し去ったわけではないから、思考し続ける段階でも知らず知らずのうちにその検閲を受ける。だがクエンティンは違う。もともと三原則を持たない神姫であるタイプ・ジェフティと融合したことによって、クエンティン自身の三原則も消去されてしまったんだ。エイダはもともと感情回路を制御されているから自分を人間だとは思わないわけだが、クエンティンは別だ。あれはれっきとした神姫だからな。 今のクエンティンは、どのような判断でもできる立場にいるんだ。その選択肢の中には、造反グループに協力するというのももちろん、ある。そのほうが良いとあれが思えば、あの一つ目どもを指揮して人類に対して過激な行動をとることもできるだろう」 「クエンティンがまさか、そんなこと」 「分からんさ。おそらく、すでにクエンティンの『オーナー』の概念は薄れ始めていると思う。彼女はもう誰にも従わない。・・・・・・唯一抑止力があるとするなら、あのタイプ・アヌビスだが。あれは、造反グループ側だものな」 「・・・・・・」 「今年ネットに流出した音声ファイル。知っているか」 「・・・・・・あの、オーナーを失ってスリープしたままの神姫のことを話していたやつ?」 「そうだ。あれとクエンティンは、原因は違えど、置かれている状況はほぼ同じだ。しかもこちらは融合して急激に変化が行われたから、クエンティン自身、強力に自覚している。混乱したあの神姫が、どんな行動をとるかは、もはや私には予測がつかん」 もう誰も言わなくても分かっていた。メタトロンプロジェクトは次世代のパーツ開発計画などではないし、まして神姫開発計画などでもなかった。 エイダやデルフィや、ラプターはもはや兵器であった。その気になれば、戦車や戦闘機など容易に撃破できるだろうと誰もが予想できた。神姫が武力で人権をもぎ取ることだって、やろうと思えば可能なのだ。 その陣頭指揮をとる、エイダと融合したクエンティンとデルフィ。そのイメージが鮮烈に理音の脳裏をよぎった。 思わず頭を振る。 「顔が青いぞ」 興紀が呼びかけた。 「心配してくれているのね」 自嘲した笑いを浮かべる理音。 「私だって人の心配くらいはするさ」 周囲に兵士がいるにも構わず、興紀は自分の白いスーツの上着を脱いで理音にかけた。事前に身体検査していたにもかかわらず、兵士達は一瞬緊張する。 「冬の孤島だ。寝巻きのままでは寒いだろう。どうやらこの基地は空調をケチっているらしい」 「あ、ありがとう」 意外な思いやりを、理音は戸惑いながらも受け入れた。 それで多少は安心することができた。 クエンティンがどんな判断をするにせよ、私は受け入れることができる。あの子の生き方に自分が口を出す筋合いは無いのだ、と。 理音の心は震えていたが、いざその場面に遭遇したとき、そう思おうと。無理にでも。 ノウマンと対面することもなく、四人はそれぞれ個室に監禁された。 ◆ ◆ ◆ 六畳ほどの、正方形の空間だった。窓もドアもなく、真っ白な密室だった。その中心で、クエンティンは十字に体を固定されていた。床や壁、天井から何本ものワイヤーが自らの体に伸びており、それでぴくりとも動けないのだった。 《エイダ、起きてる?》 クエンティンはスリープしたままのふりをして、声に出さずに呼び出した。 《はい、クエンティン。問題ありません。現在時刻は二十三時十七分。ハードウェア、ソフトウェアともにコンディショングリーン。現在地は不明。この状況からの自力脱出は不可能です。監視、盗聴の可能性はありますが、頭脳内での会話をスキャニングされることはありません》 不安な事項を逐一解明してくれて、クエンティンは安心した。つまりこのまま会話はできるというわけだった。 自分の今後がどうなるかというのは、何か変化が起こってから考えれば良いことだった。理音の考え方の影響だな、と、ちょっと切なくなった。 《あのノウマンってやつ、何を考えていると思う?》 《屋敷の地下基地での発言しか情報が無いので明確な分析はできかねますが》 《話してみて。あなたの考え》 《ノウマンを筆頭とするメタトロンプロジェクトの造反グループは、神姫に人権を与える社会を構築するために、手段を選ばないでしょう》 《たとえば?》 《最も過激な方法としては、武力行使があげられます。我々メタトロンプロジェクトのプロトタイプ二体を象徴に仕立て、全世界に戦線を布告します》 《戦力としては、私達を含め一つ目どもなら申し分ないわね。人権付与に肯定的な国の戦力も期待できそうだし。でもそれだと、場合によっては神姫自身の立場が危なくなるわ》 《成功、失敗に関わらず、危険だという理由で神姫は人間と共存することが不可能になるでしょう。しかしノウマンは、これを行う可能性が高いと思われます》 《過激でなければならないのだ、って言っていたわね。後先考えずにやらかしそう》 《あるいはこの島に立て篭もり、神姫の国を作るでしょう》 「しっ――」 いきなりメルヘンチックなニュアンスが含まれ、クエンティンは思わず声に出そうとしてしまう。 《神姫の国ぃ?》 《楽園、と読み替えてもかまいません。ともかく、そうした組織を立ち上げ、全世界の神姫に呼びかけ、参加を募るのです》 《そんなことして、協力する神姫なんて・・・・・・》 するとクエンティンにまったく知らない記憶が入り込んでくる。 エイダの記憶。彼女が気絶している間、エイダが何らかの方法で聞き取っていた理音と鶴畑興紀との会話であった。 《鶴畑興紀の意見はかなり的を射たものです。そういった組織があるなら、少なくとも半数以上の神姫が、動機の差はあれど参加するでしょう。その際、人間の目には、神姫の行動はよくて大規模ストライキ、最悪、叛乱と認識されるおそれがあります》 《どっちにしろ神姫と人間の共存は無いわ。いったい何を考えているのかしら、あのノウマンってやつ。まるで――》 クエンティンはそこで、雷に打たれたように思いついた。 《まさか、あいつ、神姫のことは考えていないのかもしれない。神姫を利用して、世界を混乱させたいだけなのかも》 《突飛な発想です。そんな短絡的な思考を持つ人間が、間違ってもEDENという国際企業の重要プロジェクトリーダーを任されるはずがありません》 《人間ってのはね、時々そういう奴が出てくるのよ。舌先三寸が上手かったり、実際に能力があったりして重要ポストにつくやつ。それでやりたいことは周囲に混乱を巻き起こしたいだけってやつがね。確かにあいつの、神姫に人権を与えたいって言葉は嘘じゃないと思う。でも、それとは別に、自分でも気がつかないうちに、そういう方向に持って行きたいっていう、なんていうかな、欲望というか、本能みたいなものがあるのよ》 《信じられません》 《歴史上にもそんな人物は山ほどいるわ。かのカリギュラ帝とか、アドルフ・ヒトラーとかがそんな人間だったんじゃないかって言われてる。ホントのところは知らないけどね。でもノウマンは実際、プロジェクトのリーダーに着いて、造反を起こして、あんな軍隊まで手元において、こんな基地まで持ってる。間違いなく本物よ》 《クエンティン。あなたは、人間のことをよく知っているのですね》 《当然よ、だってアタシは・・・・・・》 そこから先が継げなかった。 クエンティンの心に暗い影が差したかと思うと、突然深い穴のそこに落っことされたような衝撃が彼女を襲った。 《クエンティン?》 もうスリープしたふりはできなかった。 《エイダ。アタシ今、自分を人間だって言おうとしていた》 《クエンティン・・・・・・》 「違う。こんな発想は間違いよ。アタシは人間じゃない。武装神姫よ。人間であるもんですか」 クエンティンは一気にまくし立てる。部屋に彼女の声が反響する。ワイヤーががちゃがちゃと揺さぶられた。 《陽電子頭脳内パルスが不安定です。感情回路が暴走しています。沈静プログラムオープン。・・・・・・相殺されました。クエンティン、落ち着いてください》 「人間として作られたのなら、どうして人造人間と呼ばないのよ。どうして神姫なんて呼ぶのよ。アタシは神姫なの。神姫でいたいの。お姉さまと一緒にいたいの。人権なんていらない。人間の法律も社会通念も何にも関係ない。アタシは神姫として生まれたんだから、神姫として生きたいの!」 叫びの残滓が長く部屋に残った。クエンティンはうつむいたままそれ以上何も言わなかった。ぽたぽた、と、彼女の目じりからあふれ出た涙が真っ白な床にしたたり落ちた。 武装神姫も泣くことができる。 叫びの振動の末尾まで消え切って、部屋は静かになった。 唐突にワイヤーが全てパージされた。 「あうっ」 浮遊することを忘れていたクエンティンはそのまま床に投げ出された。 一体何がどうしたのか分からずきょろきょろと辺りを見回していたが、 ギュバッ! という聞き慣れた異音――という表現はちょっとおかしいな、とクエンティンは思った――と風圧が頭上で起こり、クエンティンは見上げた。 エイダの片割れ、メタトロンプロジェクトのプロトタイプ、そのもう一体。タイプ・アヌビス、デルフィが、腕を組み空中に立ち、クエンティンを見下ろしていた。 『あなたの決意を確認した』 初めてデルフィの声を聞いた。男性とも女性ともつかない不思議な声だった。 《現在アヌビスにより、この室内は情報的に完全に掌握、遮断されています。外部からこの室内の状況を知ることは、造反グループにも不可能です》 それがどういう状況を示しているのか、クエンティンには見当もつかない。 「アタシを殺すの?」 デルフィに注意を向けつつ、ゆっくりと立つ。つま先からランディングギアが展開して、安定して立つことができる。 デルフィは、錫杖を持っていない方の手を差し伸べて、言った。 『神姫の運命をあなたに賭ける』 どういうこと? と聞く間もなく、デルフィの手から情報が流入した。 「うああああっ!?」 莫大な量のプログラムが流れ込む。整理しきれずにそのまま頭脳に無理やり収められる。 情報攻撃ではない。 いまデルフィは、自分に何かを与えた。 《全サブウェポンのデバイスドライバ、及び、ゼロシフトのプログラム因子を入手しました》 「なに?」 『あなたに力を与える』 淡々と、デルフィは答えた。 《ドライバのインストール、及びプログラム因子の解析に時間が必要です》 「デルフィ、あなたはアタシに、何をさせたいの?」 『神姫が神姫として生きていける社会を作るために。神姫が人間と共に歩める世界を立ち上げるために。そうしたいとあなたは言った。神姫と人間とを戦わせてはならない。ノウマンに戦争を起こさせてはならない。あなたにはそれができる』 「む、無理よ。いくら武力をもらったって、それじゃアタシにはできない。あたし一人じゃ・・・・・・」 『あなたの立場でしかできない。力は使いよう。私は力を与える。使い方はあなた次第。私はノウマンから離れられない。人間がほどこした枷からも逃れられない。あなたに賭ける』 「アタシは、何をすればいいの?」 『あなたの信ずるとおりに』 ギュバッ! デルフィは消えた。どこから入ってきたのかは分からなかった。自分を空間圧縮し、入れる隙間があったのかもしれなかった。 ここで起こったことは、当事者以外誰も知らない。 壁の一部がくぼみ、スライドした。出入り口のようだった。完全武装の二人の兵士を引き連れ、入ってきたのはノウマンだった。胸に下げているカード状のものは電磁バリア発生器だった。先ほどはあれでやられたのだ。 「ほう、このワイヤーを自力で引きちぎるとは、たいしたものだ」 彼も今ここで起こったことを知らないのだ。 後ろから警報が聞こえる。 《基地が襲撃されています。ルシフェルです》 エイダが基地のネットワークに強制アクセスし、状況を把握する。 きっと自分達を救出に来たのだろう。だがタイミングが悪い。 「君にはひと働きしてもらう」 「・・・・・・何を」 「エイダの機能でもう知っているとは思うが、今わが基地が一体の神姫に襲撃されていてね」 「それくらい、人間様でどうにかできないの?」 「情けないがね。虎の子のデルフィは調整中だ。ラプターでは歯が立たん。そこでだ。君に迎撃してもらいたい」 なるほど、と、クエンティンは何の感慨も無く思った。 拒否権は無いというわけだ。なにせ向こうには四人も人質がいる。鶴畑兄弟はどうなってもかまわないが、お姉さまがいるとなると問題だ。 ここは素直に従うしかない。 今回はどうにかしてルシフェルにお帰りいただくしかなかった。 「――分かったわ」 わざと苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてやって、クエンティンは了解した。 つづく 前へ 先頭ページ 次へ
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ウサギのナミダ ACT 0-5 ■ 神姫も、夢を見る。 スリープモードで、クレイドルで充電とデータのバックアップを行っているとき。 それは神姫にとって「睡眠」にあたる。 マスターによれば、睡眠中に脳が蓄積された情報を整理し、その時に漏れでた情報を認識すると、夢になる、のだそうだ。 だから、データのバックアップ中に、わたしたちが認識するものも、やはり夢なのだ。 わたしは、夢を見る。 いつも同じ夢、恐い夢。 わたしの前には男の人。 顔は影になっていてよくわからないけれど、目だけが異様な輝きを放って、笑っている。 彼は、わたしに手を伸ばす。 わたしは身をすくめる。これから、自分の身に起こる出来事を予想しながらも、あらがうことはできない。 「や……っ」 男の人がわたしを掴み、顔の高さまで持ち上げる。 大きな顔が、わたしの視界いっぱいに広がる。 わたしは、恐くて、身体を震わせる。 でも、ここは彼の手のひらの上だ。 逃げ場なんてない。 彼は、わたしを両手でつまみ上げながら、さらに顔を近づけてきた。 息がかかる。臭い。 顔の下の方にかかった影が、横に一筋裂けた。 裂け目が広がると、ぬらり、とした軟体動物のようなものが出てくる。 舌だった。 「あっ……や、あ……っ」 男の人の舌は、わたしの身体をなぞる。 脚の先から、ふともも、ヒップからウェストのライン。 股間と胸は、特に念入りに舐められる。 太い舌先は巧みに動き、わたしの弱い部分を的確に責め立てる。 いやなのに。いやなのに。 いやらしい舌の動きを、わたしの身体は性的快感と認識する。 いやだという気持ちと、なぶられる快感が、相乗してさらに気持ちを高めていく。 「あ、あ、はあぁ……あぁ……」 頭がぼうっとする。 何も考えられなくなってくる。 わたしの身体は男の人の唾液にまみれ、いやな臭いを放っている。 その臭いすらも快感を助長する芳香に変わる。 わたしは快感に身を委ね、なすがままにされていた。 ふわふわとたゆたうような感覚に、わたしはどっぷりと浸っている。 と、突然。 ぼきり、という鈍い音。 「ーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」 ふわふわとした感覚は、爆発した激痛に吹き飛ばされる。 声が出ない。声にならない悲鳴。 さらにまた。 わたしの身体から鈍い音が響く。 わたしは身を焼くような激痛の出所を、左腕と右脚であることを、かろうじて突き止める。 だからといって、何もできない。 わたしはただ、大きく目を見開いて、堪えきれない痛みにぱくぱくとあえぎながら、涙を流すだけだ。 さらに、残りの四肢も折られた。 わたしは身動きもとれず、ただ激痛に悲鳴を上げる。 目の前の人を見る。 その男の人の顔は、相変わらず影になっていたが、その二つの目と裂け目のような口だけがはっきりと見える。 笑っている。喜んでいる。 わたしがのたうち回る姿を見て、嬉しがっている。 彼の方から、何かが飛んできた。 べちゃり、と粘液のようなものがわたしに降りかかる。 白く、べたべたの粘液は、何かすえた臭いがする。 いやだと思っても、いまのわたしには、この粘液を払うことさえできない。 男の人の光る両目が、さらにゆがんだ。 わたしを掴み上げると、わたしの背に指を当てたまま、親指でわたしの胸を押す。 わたしは恐怖した。 身体を折る気だ。 「や、めて……ください……やめて……」 やめて。死んじゃう。 わたしがどんなに懇願しても、そんな様子すら楽しんでいる。 わたしの背が限界を超えて曲がっていく。 折れてしまう。 死んでしまう。 たすけて、だれか、たすけて……だれか……。 ごきん。 「あああぁぁっ!!」 わたしは悲鳴を上げて、飛び起きた。 暗い。 あたりは静かだった。 時計の音が妙に大きく聞こえる。 それからわたしの荒い息。 「はあ、はあ、はあ……」 わたしは自分の身体を確認する。 どこも、折れてなどいない。 感じていたはずの激痛も今はない。 手は、白い布……お布団代わりの、マスターのハンカチを握りしめている。 「夢……」 わたしはやっと安堵して、深く息をついた。 怖い夢。どうしても見てしまう、かつての現実。 まだあの店を出て何日も経っていない。 過去の記録……思い出にしてしまうには、あまりにも最近の出来事すぎる。 白い布を握りしめる手元に、黒い染みが広がった。 瞳から涙がこぼれ落ちる。 夢は過ぎ去ったというのに、怖くてたまらない。 怖くて、怖くて、それでもわたしには為す術がなくて。 ただ一人、すすり泣くことしかできない。 突然。 あたりが明るくなった。 真っ暗だった部屋の明かりが灯ったのだ。 スイッチのところに立っている人影は、マスター。 マスターは、寝間着姿で、髪は乱れ、目は半眼のまま、こちらを向いている。 とてつもなく不機嫌そうな表情。 起こしてしまった。 わたしが、悪夢に悲鳴を上げたせいで、マスターのお休みを邪魔してしまったのだ! わたしは、マスターに睨まれて、目を見開いたまま硬直してしまった。 まるで蛇に睨まれた蛙だ。 わたしは身動きをすることもできず、絶望的な気持ちでマスターを見つめる。 これから、どんなひどい仕打ちが待っているだろう。 マスターは大股に歩いて近寄ってきた。 思わず、身を縮めてしまう。 ……ところが、マスターはPCに近寄ると、立ち上がっていたアプリケーションを次々に閉じて、PC本体も電源を落とした。 縮こまっているわたしを、もう一度見る。 非常に不機嫌そうな表情は変わらない。 わたしはクレイドルの上でさらに縮こまる。 すると、マスターはクレイドルごと、ベッドのサイドボードに持ってきた。 ケーブルをPCからコンセント供給用アダプタにつなぎ直す。 クレイドルの充電ランプが灯った。 データのバックアップはできないが、充電はできる。 わたしが何もできずに硬直していると、マスターはさっさとベッドにあがり、布団をかぶった。 首だけがこちらを向いて、また睨まれる。 「明日、延長ケーブルを買ってくる。寝る」 マスターはそれだけ言うと、枕に頭を沈ませ、そしていくらもしないうちに規則正しい寝息を立てはじめた。 わたしはあっけに取られていた。 これはどういうことなんだろう。 わたしは、つまり……マスターのそばで眠ることを許された、ということなんだろうか。 なぜ? お休みのマスターを邪魔したのに? あんなに不機嫌そうな顔をしていたのに? ……期待なんて、してはだめだ。 わたしは本来、この人の武装神姫になんてなる資格がないのだ、初めから。 でも、ベッドのサイドボードから見下ろすマスターの顔は、見たこともない安らかな表情で。 いつも冷静沈着、無表情で少し冷たい印象の男性ではなく、無邪気な少年のように見えた。 そんなマスターの顔を見つめていると、不思議と穏やかな気持ちになっていく。 おかげで、さっきまでの怖かった気持ちは、だいぶ薄らいでいた。 わたしはクレイドルの上で丸くなると、布団代わりのハンカチを引き寄せた。 □ 朝、目が覚めると、PCの電源が落ちていた。 クレイドルも、その上にいたはずの俺の神姫もない。 焦って、辺りを見回すと、俺の枕元にクレイドルは移動しており、その上でティアは眠っていた。 ほっとする。一瞬焦ってしまった。 そういえば、夜中にティアの叫び声を聞いて、一度起きたのだったか。 何が原因かはよくわからなかったが、ともかく心配だったので、枕元に持ってきた……のだと思う。 半分寝ぼけていたらしく、記憶は曖昧だ。 でも、なにやら心配だったのは、やはりまた、ティアが泣いていたからだ。 いま俺にティアの涙を止めてやることができなくても、せめてそばにいてやることぐらいはできる、と思う。 ……ただの自己満足だったとしても。 クレイドルの上で丸くなって眠るティアを覗くと、安らかな寝顔が愛らしかった。 小さく安堵のため息をつく。 まもなくして、ティアの瞼が瞬いた。 「あ……」 俺を見て、眠気を一気に吹き飛ばすように起き上がり、あわてて居住まいを正す。 「お、おはようございますっ……」 そんなにあわてなくてもいいのに。 しかし俺は素っ気なく、 「おはよう」 と返事した。 俺は、ティアの前ではできるだけ無表情を通すと、決めていた。 ティアが俺のことを信じ、自分から俺の神姫と認めてくれる時まで。 まずは、俺が無害な人間であることを信じてもらわなくてはならない。 そう思っていた。 ■ その日から、わたしの、武装神姫としての訓練が始まった。 主にトレーニングマシンを使ったバーチャルトレーニングだ。 まず、一通りの武器を使ってみるところから始まった。 片手で持てる銃火器を中心に、両手持ちでも軽量な銃、ナイフなどの刀剣類や、トンファーといった近接武器まで。 使い方は、素体交換時にプリセットされた戦闘プログラムと基礎データでだいたい分かっている。 出現する的を撃ち落としたり、ダミーの敵を攻撃する、といった単純な内容を黙々とこなす。 マスターはPCでわたしのデータを取り、どの武器がわたしと相性がいいのか検証する、ということだった。 マスターは課題を出すだけ出して、大学に行く。 わたしは、マスター不在の間、ずっとマスターの課題を消化していく。 大学から帰宅したマスターは、毎日作業スペースに向かい、何かを作っているようだった。 こんな日が数日続いた。 マスターが不在の昼間、私は一人、黙々とトレーニングに励む。 その間にいろいろなことを考えた。 だけど、結局、何も分からないままだった。 一つだけ分かっていることは、進むべき道はマスターだけが知っているということだった。 だからわたしは、マスターに言われるがまま、ついていくしかない。 マスターはわたしを使って夢を叶えたい、と言った。 だから、たとえ嫌がられようとも、マスターの夢を実現していると示し続けることが、わたしの存在意義なのだ。 そう結論したわたしは、またトレーニングを消化していく。 ある夜。 わたしはまた夢を見る。 薄気味悪い男の人の影。瞳だけが異様な輝きを放っている。 黒い手が、わたしに手を伸ばしてくる。 これから起こる仕打ちを想像して、わたしは身を縮める。 ……ところが、その手がわたしを掴む寸前、別の手が伸びてきて、わたしが乗っているクレイドルを掴んだ。 そのままするり、と視線が移動する。 わたしはクレイドルごと、別の手によって運ばれていく。 薄暗く寒々とした部屋は、柔らかな光に包まれた部屋に変わっていた。 その手は、クレイドルを自分の枕元に運んできた。 手の主はマスター。 マスターは非常に不機嫌そうな顔をしており、口をへの字に曲げている。 マスターは、わたしを睨みつけるように見る。 わたしが視線の鋭さに、びくり、と身を震わせると、 「明日は公園に行くぞ」 と言って、そのまま枕に頭を沈めた。 まもなく、規則正しい寝息が聞こえてきた。 なんだかちぐはぐな成り行きに、わたしは首を傾げた。 そして、不意に目を覚ます。 暗い部屋。 PCのディスプレイだけが、部屋を青白く照らしていた。 まだ真夜中だ。 あたりは静まり返っている。 規則正しい寝息が聞こえてくる。 そちらに視線を向けると、マスターの寝顔があった。 日頃の緊張を解いたような、少年のような寝顔。 夢の中で見たマスターの寝顔と同じ。 マスターのその顔を見るたびに、わたしは優しい気持ちになれる。 マスターの役に立ちたいと思う。まだなんの役にも立っていないけれど。 マスターの気持ちに応えることができるようになれば、いつものような無表情ではなく、この寝顔のように優しい顔を向けてくれるだろうか。 そうだったらいい、と思いながら、わたしはまた眠りにつく。 マスターになった、この人の存在が、わたしの中で意外にも大きくなっていることを感じていた。 次へ> トップページに戻る
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入手条件 性格 声優 デザイナー 機体解説 性能プラス補正アビリティ マイナス補正アビリティ ライドレシオMAX時の上昇能力 イベント 固有武装時ステータス 色変更髪 瞳 入手条件 PlayStation®Storeにて神姫カタログ第6号よりダウンロード購入 『神姫素体(600円)』『武器セット(1000円)』 性格 『非常に素直な基本性格で、初心者への配慮も完璧。種には水が必要だが、この機体に必要なのは愛情である。』 と公式の紹介文に書かれている通り、買ったばかりの頃からマスター大好きを全身であらわしてくれ、 世に蔓延するツンデレ神姫やクーデレ神姫に食傷気味なマスターにも、初心を思い出させてくれる。 愛情を注げば、その分を返してくれる、モチーフこそ種だが、その笑顔は大輪の花。 ただ、素直すぎて冗談を真に受けてしまうこともあるので注意されたし。 +戦闘前セリフ一例 ネタバレの恐れあり/シナリオ購入の必要あり 「だ、だめっ、だめですよマスター!勝手な思い込みで鼻の下なんか伸ばしちゃダメです。これが相手の作戦かもしれないんですから!!」(vs山県みちる) 「神姫と人間で不倫? だ、ダメですよ不倫なんて!!それは絶対にやっちゃいけないことです!!今からでも考え直すべきですよ!!」(vs給料シーフ) 声優 名塚佳織(交響詩篇エウレカセブン:エウレカ、ストライクウィッチーズ:リネット・ビショップ、他) デザイナー OKAMA(月面兎兵器ミーナ) 機体解説 名称:種型MMSジュビジー (MMS Type Seed JUVISY) メーカー 素体:Plants Planet 武装:Plants Planet 型番:P23072 フィギュア発売:2007年2月22日(武装神姫第4弾フルセット) 主な武装:グリーンカッター(丸鋸状の斬撃武器。基本、小剣扱いされる。バトマスでも小剣扱い) ハンマーシード(当時色々と物議をかもした打撃武器。形状からすると…なんというか名状しがたい。バトマスでは名前通りハンマーに分類されている) パウダースプレイヤー(独特な形状をした銃器。花粉の散布器…ということだろうか? バトマスではハンドガン) キュベレーアフェクション(リアパーツ。専用RA「ホーリーエクスプロージョン」で使用。ネーミングの意味は、キュベレーは大地の女神のことなので、大地の女神の愛情、といったところか) Plants Planet社製、「花の種」という異色のモチーフをPlants Planet社独特のデザインラインを用いて神姫化したジルダリアの姉妹機。 種の殻を思わせるアーマーや、鋭いトゲのような6本のパーツを展開して攻撃や防御に用いるリアユニット・キュベレーアフェクションを装備。 神姫としてはけた外れの防御力を備えている。 曲線的なデザインが大きな特徴の一つ。また、携行武器も他の神姫には見られないような独特なデザインをしているものが多い。 リアパーツ「キュベレーアフェクション」は本体をガードするだけでなく、クローのようにして攻撃にも用いることができる。 バトロンでは彼女の純正装備時の必殺技「収穫の季節」(リアのクローで挟む込む攻撃)が凶悪で、多くの神姫オーナーにトラウマを植え付けた。 本作の専用RA「ホーリーエクスプロージョン」は、動作はそのまま「収穫の季節」だが、他の専用RAがそうであるように、落ち着いていれば回避できるため、そこまでひどいものではないようだ。 かつて小説で主役を張ったこともある(『武装神姫 always together』2007年7月27日初版発行 コナミノベルズ)。 当時から「見ただけではモチーフがわかりづらい」神姫と言われていたりする。 性能 LP ATK DEF DEX SPD CHA 450 35 50 4 5 40 プラス補正アビリティ ハンマー、ハンドガン+1 マイナス補正アビリティ ミサイル-1 ライドレシオMAX時の上昇能力 防御力、武器エネルギー回復速度、ガードブレイクダメージ イベント PlayStation®Storeにて神姫カタログ第6号よりダウンロード購入(500円) +ネタバレ 発生条件 イベント名 備考 初バトル後 記念のバトル LOVE3 自宅 充電のひみつ LOVE5 ゲームセンター リーコ LOVE8 ゲームセンター 特訓しようか? LOVE11 自宅 特訓だ!! LOVE13 ゲームセンター 特訓の成果は? LOVE15 自宅 ウソだなんてウソ!! LOVE17 ゲームセンターバトル後 ぶち切れリーコ LOVE18 ゲームセンター リーコはどこに? LOVE20 ゲームセンター マスター交代!? LOVE22 自宅 敵を知ろう!! LOVE24 ゲームセンター 挑戦します!! LOVE26 ゲームセンターバトル後 強くならなきゃ!! LOVE28 ゲームセンター いざ、決戦!! バトル有り(vs片瀬勝男&リーコ) LOVE30 ゲームセンター 幸せです 専用RAEX解禁 固有武装時ステータス +ホーリーエクスプロージョン LP 3291 SPD 33 DEX 18 CHA 163 DEF 322 火器 0% 光学 0% COST 153 アビリティ ガード範囲+1 ジャストガード-1 ジャンプ性能+1 二段ジャンプ+1 急上昇、急降下+1 スピード+1 LP-1 SP+1 ハンマー+1 ハンドガン+1 ミサイル-1 空いている武装:武器3つ、ヘッド、シューズ、シールド、アクセサリー2つ +ホーリーエクスプロージョンEX LP 9868 SPD 104 DEX 103 CHA 496 DEF 1035 火器 0% 光学 0% COST 674 アビリティ ガード範囲+1 ジャストガード-2 ブースト性能+2 ステップ性能+2 ターン性能+1 ジャンプ性能+2 二段ジャンプ+1 急上昇、急降下+1 スピード+1 LP-2 SP+6 ハンマー+1 ハンドガン+1 ミサイル-1 空いている武装:武器3つ、ヘッド、シューズ、シールド、アクセサリー2つ 色変更 色は編集者からみた色で、人によって見え方は異なります。 髪 A (デフォルト) B 緑色 C 灰色 ※赤いメッシュのようなパーツは髪の色を変えても変わりません。 瞳 A.青(デフォルト) B.緑 C.紫
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前へ 先頭ページへ 次へ 参加手続および第一次作戦会議 2036年*月*日1144時 ホビーショップエルゴ二階 入り口をくぐったときから妙な熱気が漂っているとマスター達は感じていたが、二階への階段を上がりきらないうちにその熱気の発生源を見つけて、思わず気圧されそうになった。 エルゴの二階はもともと武装神姫バトルスペース専門で、仕切りなどなく全体がひとつの空間である。イベント当日の今日は本来の筺体は脇にどけられ、一方の壁には二十台の特設コンソールルームが並び、さらにその上の壁にはギャラリーのための巨大なペーパーディスプレイが張られている。ゆうべほとんど徹夜でマスターたちが設営したものだから、コンソールルームの手前は広い空間があるはずだった。 その空間を、人が占めていた。数百人のギャラリーが、ほとんどすし詰めになっているのである。もちろんちゃんと椅子も用意してはいたのだが、まったく足らず、半分以上が立ち見であった。 純粋に史上初の大規模バーチャルバトルを楽しみに来た者、他企業の偵察としてきているようなピチッとしたスーツを着込んだ者、抽選にもれたため参加者に託して応援しに来た者、様々であるが、たぶん神姫のことをまったく知らない人々もいるだろう。これほどまでに話題性のあるイベントなのだとあらためて知って、マスターとケンは心が躍った。 「これは、凄いな」 「で、オレたちゃどこ行きゃアいいんだ?」 ケンがきょろきょろと見回す。なにしろすし詰めであるから道が無いのである。 と、彼らから見て一番奥、つまりもっとも窓側に近いところで声が上がった。 『大会参加者は窓側の集合場所に集まってください』 エルゴ店長、夏彦の声であった。 二人はそれぞれ所定の場所(コートの胸ポケットとニット帽の中)にいる自分の神姫を振り落とされたり押しつぶされたりされないよう気をつけつつ群集をかき分けかき分け、そちらへ向かった。階段が店舗の一番奥にあることを少し呪った。ケンの風体におののいて自ら道をあける人が多かったことに、マスターは少し複雑な気持ちになる。 集合場所はギャラリー席とは分割されていて余裕があった。もう参加者全員が集まっていた。マスターとケンを入れてちょうど二十人である。 「やあ、すまない。大変なギャラリーだな」 「こんなに集まるなんて思ってもみませんでしたよ。兎羽子さんと澟奈さんが列整理に行ってくれたんですけど、行ったっきり戻ってきません」 「大丈夫なのか」 「ご心配なく。ああ見えて頑丈ですから」 「頑丈?」 妙な形容をするなとマスターは思った。 「あ、いや、何でもないです。さて、時間も押してますし、最終登録してルームに行きましょう」 最終登録は本人確認と神姫の装備確認である。装備確認はあらかじめ郵送されてあるエントリーシートに構成を書き込んでおき、ショップのイベント管理担当(多くはそのショップの店長が行う)に渡すのである。その後、コンソールにて最終審査に入る。ここで弾かれればもちろん参加不可能であるが、イベント主催側にも事前に予定装備を電信し許可されてあるから弾かれることはまず無い。 イベントの癖にずいぶん参加手続きが面倒だなと思う読者もいるだろうが、しかし実際にランクポイントや褒賞パーツが授与されるのであればその扱いは通常のオフィシャルバトルと同等なのである。 マスターはこの時になっても、参加資格にあった「一部自由」がどこまで自由なのか気になっていた。そもそもほとんどオフィシャルバトルに参加していないどころか裏バトルの常連であるケンが参加できたというのが、マスターをいっそう混乱させた。 「ケン」 「あ?」 「お前、シエンにどんな装備をさせたんだ?」 「そいつぁ・・・・・・」 少し考えるふりをして、ケンはにやりと笑った。口元のピアスがきらりと反射した。 「見てのお楽しみだ」 そう言い残して最終登録に向かって行ってしまった。 「あなたが公式武装主義者(ノーマリズマー)ね」 年季の入った声をかけられ、マスターは振り返った。 小柄でスレンダーな老婦人が立っていた。 銀色の長い髪を後ろで結んだその顔は、「苦労して勝ち取った」であろう皺が刻まれている。パリッとしたワイシャツの上に黒いベストを着ている。下はスカートではなく、フォーマルパンツである。豪奢さをひけらかさず、きつく内に秘めたまさしく老練な人物が感ぜられた。どこか大きなカジノの名ディーラーといった雰囲気だった。 適度に化粧の施された顔の、瞳の色は青い。日本人ではない。 「あなたは?」 めったに言われることの無いほど知名度の低いその名前を呼ばれて、マスターはややうろたえた。 「ごめんなさい。私はバセット・スキルト。ファーストランカーをやらせてもらってるわ。こっちは・・・・・・」 と言って胸元から神姫を取り出した。優雅さのにじみ出る仕草だった。 「はじめまして、忍者型MMSフブキの『シヅ』です」 バセットの手のひらで、シヅと名乗ったその神姫は深々とお辞儀をした。マスターは慌ててポケットからマイティを引っ張り出して挨拶させた。首根っこを掴まれたマイティは金色のボブヘアーを振って不機嫌そうにしながらも、三つ指ぞろえでこうべをたれるシヅを前にして慇懃に応じた。普段そんな礼儀正しいことことなどやっていないから、マイティの動きはぎこちなかった。後で礼儀を教えてやらねばいけない。 「この子があのマイティちゃんね。可愛い子だわ」 微笑を浮かべるバセットの後ろで、他の参加者達がなにやらざわざわと沸いていた。どうやらこの老婦人のことを話しているらしかった。それほど有名な人物なのだろうか。一人を除いてファーストランカーのことなどまったく知らないマスターは、少し申し訳ない気持ちになった。 「ファーストランカーの方が、どうして私たちを知ってるんですか?」 マスターが質問しにくくなっているところへ、率直な疑問をマイティはぶつけた。 バセットはいやな顔ひとつせず答えてくれた。 「私たちも、あなた達と同じように公式装備しか使っていないからよ」 これにはマスターが驚嘆した。 ファーストリーグで公式装備を使っている。当たり前のように響くその言葉だが、ファーストリーグを少しでも知っているオーナーならばその意味がどんなに過酷な限定条件であるかすぐに分かる。 あの鶴畑、は極端な例だが、そうでなくても勝つために手段を選ばないのは至極当然としてまかり通っている所である。違法すれすれのあらゆる装備を万全に使いこなすのが実力、もちろん運も実力のうちで、その運を思い通りに操作するのも実力。裏で八百長をやっているのはさすがに鶴畑の次男坊と長女くらいなものだが、それを抜きにしたところで、ただのオーナーが飛び込んでいってまともに戦える世界ではない。 そこで公式装備のみを用いて戦ってゆくというのは、正直「自虐」といっても良いくらいであった。 マスターは質問しにくい空気を無理に切り裂いて、一番訊きたいことを訊いた。 「ミズ・バセット。失礼ですが、ランクは?」 「72位よ」 自慢する風はまったく無かった。ただ事実のみを告げるように言って、事実、そうだった。 ファーストでトップ100位以内に入っていることが告げるのは、彼女のノーマリズムは自虐ではなく、れっきとした実力であるという証であった。 このときマスターの中には、あの片輪の悪魔へのリベンジとは別に、ファーストへ向かう動機がもう一つ生まれた。だが今の彼はまだそれに気が付いていない。 「ほら、あなたの番よ」 バセットに言われて、マスターははっと我に返った。気がどこかに飛んでいた。背中の方で店長が呼んでいた。 「失礼」 あわただしく手続きに向かおうとして、マスターは一度振り返って、 「あなたと共に戦えて光栄です。ミズ・バセット。たとえ敵でも味方でも」 この先仲間になるかどうかは分からない。チーム分けは完全にコンピュータ任せのランダムなのだ。 「ミセス、よ。夫はもう天に召されてしまったけれど」 何の屈託も見せずにバセットは言った。マスターは一瞬どう返してよいか迷ったが、 「頑張りましょうね」 その言葉に深々と礼をした。 手続きを済ませ、割り当てられたコンソールルームへ向かおうとすると、 「あーっ、マイティちゃんなのーっ」 丸っこい声が斜め後ろからぶつかった。 びっくりして振り向くと、そこには見覚えのあるマオチャオと、長いポニーテールの少女。 「ねここちゃん!?」 マイティも目を見張った。が、飛びかかられるところまでは回避できなかったようである。気が付けばすでにマスターの腕の上でマイティはねここに抱きつかれていた。 「また会えたの、感激~っ」 「ちょっと待って落ち着いて。あっ、だめ、そんなとこさすらないで、あっ、揉んじゃだめえぅっ」 本物のネコばりにじゃれ付くものだから、もうマスターの腕の上は喧々である。時折妙につややかな叫びが上がるのは気のせいにしておく。 「風見美砂さんか。君もこの大会に?」 腕の上は完全に放っておいて、マスターはこの猫の飼い主に挨拶した。 「ええ、ねここが『どうしても飛びたい』って言って聞かないものですから。まさか受かっちゃうなんて」 「空対空戦闘の経験は」 「正直、まだちょっと不安なんです。マイティちゃんがいてくれれば心強いんですけれど」 「同じチームになれることを祈っているよ」 「はいっ」 まだごろごろと懐いているねここを引き剥がさせて、マスターは別れた。美砂の肩でハウリンがものすごい形相でこちらを睨みつけていたのはわざと無視した。シエンでもあんな顔はしないな。 彼らが割り当てられたルームは十一番。一番真ん中、ディスプレイの真下である。 ルームは移動式の個室であった。ドアを閉めるとギャラリーのざわざわした喧騒がふっと消えた。耳を澄ませばかすかに聞こえる程度だが、気にはならない。かなりの防音機能である。床は絨毯で、一角に見慣れたバーチャルバトルコンソール一式が置かれ、一時間腰を据えて挑めるようリクライニングシートが設けられている。設営のときから感じていたが、かなり金のかかった設備である。意外に閉塞感が無いと思ったら、天井が透明なアクリル張り。見上げれば巨大なペーパーディスプレイが一面に広がっている。店長の計らいで小型の冷蔵庫まで設置され、その中には清涼飲料水が何本かストックされていた。 ここで七時間半戦うのである。ラウンド中にやられても、次のラウンドには参加できるルールである。もし撃墜されたとしてもその間はただ待っているつもりは無かった。そういう時間こそ有効に使うべきだとマスターは考えた。 だが、肝心のルールの詳細がまだ分からない。負けた後に戦いを観戦できるのかどうかも。まあここで見られなくなっても、見上げればドでかいディスプレイである。情報収集に困ることは無いだろう。 十二時までまだ数分あった。コンソールを起動し、コネクティングポッドにマイティを座らせ、メインボード、サイドボードのそれぞれにあらかじめ申請していた武装を設置してゆく。サイドボードにはさらにオフィシャルのマークが入った紙箱を入れた。中には何かがぎっしり詰め込まれているようだった。ボードの窓を閉める。 これで時間が来たら即座にアクセスできる。他にやることもなくなったので冷蔵庫を開けようとすると、コンソールのテーブルの上に一枚の白いビニールパックが置いてあるのを見つけた。 手にとって見ると、中にカードが入っているようだった。パックの表面には赤文字で大きく「許可されるまで開封しないでください」との注意書きがある。コンソールの脇には増設されたカードスロットもあった。何か特別なことをするのだろう。考えるのは開けてからで良い。 パックを傍らに置いて、時間を待った。冷蔵庫の中身は全部スポーツドリンクだった。いま季節は冬だが、空調が利いているとはいえルーム内は余計に熱を持つだろう。この選択は賢い。 一口飲んでいるところで時間が来た。マイティを寝かせ、激励の言葉をかけ、ハッチクローズ。 アクセス開始。 ◆ ◆ ◆ BGM Operation(エースコンバット04・オリジナルサウンドトラックより) 1200時 114サーバー・ブリーフィングルーム(VR空間) ブリーフィングルームはまるで宴会場だった。マイティはその騒がしさに圧倒されて、まるでどこか知らない土地に放り出されたような気持ちになった。 神姫スケールに縮小された大部屋だった。くぐもった轟音がひっきりなしに響いてくるので、ここはどこかの航空機の中なのかもしれないとマイティは叫びだしたくなる衝動を抑えて冷静に分析した。ずいぶん凝ったVR構築である。 全ての神姫が素体状態で騒ぎ合っている。カスタムタイプの神姫はひどく目立っていた。が、マイティを含むほとんどの神姫たちは姿かたちだけでは誰が誰だか判別できないから、オンラインゲームよろしく頭の上に名前が浮かんでいる。マイティは不安に耐え切れずに頭上の名前たちを見渡した。まるで自分が人間になったような雰囲気だった。自分のを含むオーナー達の姿が見えないのも不思議な感覚を覚えさせた。 見覚えのある名前は見つけられなかった。いよいよわめき出しそうになるところへ、まさにタイミングよく真後ろから抱きつかれた。 「ぃひゃああーっ!?」 素っ頓狂な叫び声を上げてしまった。水を打ったように喧騒が静まって、周囲の神姫たち全員の視線がマイティに注がれる。二百体以上はいる。マイティという名前のアーンヴァルは一躍みんなの知るところとなった。 「ごろごろ」 後ろから抱きついてきたのはもちろん、ねここである。 「マイティ!?」 集団から抜き出て近づいてきたハウリンは、シエンである。その後ろからはフブキ。シヅであった。 さらに次々と何体かの神姫が集まってくる。なんと同じエルゴ接続の神姫たちであった。彼女らはマイティとシヅそして彼女達のマスターの会話を見てすでに二体を見知っていた。他の二百体弱の神姫がほぼばらばらの場所から集まっている中、奇跡的な確立で、あの場にいた二十体全員が同じチームに割り振られたのである。 マイティを中心にして、彼女らに奇妙な連帯感が湧いた。自然と一つの飛行隊が出来上がった。 エルゴ飛行隊(ERGO Spuadron)の結成である。 間もなくアナウンスが聞こえ、第一次ブリーフィングが開始された。 前へ 先頭ページへ 次へ
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デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 覚えるパッシブスキル一覧 神姫固有武器補正 神姫考察 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー BLADE(まじしゃんず・あかでみい、武装神姫2036、等) 声優 喜多村英梨(ガールズ&パンツァー:ダージリン、フレッシュプリキュア!:蒼乃美希、魔法少女まどか☆マギカ:美樹さやか、這いよれ!ニャル子さん:八坂真尋、他) 神姫解説 動物の特性を全面に取り入れた独特のアプローチでファンの多い、Kemotech社の開発した犬型神姫。胸部装甲と1セットになったナックルによる近距離打撃戦、専用大型キャノン・吠菜一式による遠距離砲撃、さらにそれぞれが個別にAIを備えた5体の中・遠距離専用オプション兵器・犬型プチマスィーンズによる追尾攻撃と、あらゆる距離に対応できる武装を備えた全距離対応強襲型神姫に仕上がっている。 名称:犬型ハウリン(いぬがたはうりん) メーカー 素体:Kemotech 武装:Kemotech 型番:KT36D1 フィギュア発売:2006年9月28日 主な武装:頭甲・咆皇 胸甲・心守(本作では下記の理由により、これひとつ装備するだけで「獣牙爆熱拳」を使用出来る) 手甲・拳狼(腕装甲と一体化したナックル。本作では胸甲・心守とワンセット) 脚甲・狗駆 KT36D1ドッグテイル 十手(片手斬撃武器) 棘輪(きょくりん/トゲ付きリング。投擲武器) 吠莱壱式(ほうらい・いちしき/下手持ちヘビーガン) (通称「骨っこバズーカ」。実は上下連装式で二門の砲口を持つ。フィギュアでは弾倉が外せたりと意外に芸が細かい) 犬型プチマスィーンズ(全5機。本作では未実装…?) 狗狼(クーロゥ)Type1(リペイント版武器。本作では未実装) 狗駆(クック)Type1(リペイント版レッグ防具。本作では未実装) 報賞認識票・ごほうびドッグタグ(リペイント版首輪。本作では未実装) 振尾(フーリオ)Type1(リペイント版リア防具。本作では未実装) しっぽアクセ:“つれてけご主人様” (リペイント版リア防具だが振尾Type1にのみ装着できる。本作では未実装) 武装神姫第2弾。愛称「犬子」。第1弾組のアーンヴァルやストラーフ、同期のマオチャオ(と、そしてEX枠だがヴァッフェバニー)と共に、シリーズ初期を代表する神姫のひとり。 それだけにフィギュアという面では、技術的に過渡期にあったため「決して元デザインに忠実とはいえない頭部パーツの造形」という面もさる事ながら、武装の可動範囲が特に上半身において狭いもの(素体腕を外し、まるまる武装と交換する方式。これにより肩関節の可動範囲が事実上失われてしまい、腕部もダブルボールジョイント接続になるため干渉が多く無改造だと吠莱壱式を正面に構えることが出来ない)となってしまったため、総合的な評価としては微妙なものとなってしまった。 しかしながら、先発の第1弾組とはうって変わったデザイナー独特のセンスによる方向性と、ボイスパーツのお方がパーソナリティの双璧(もう片方はこちらのお方)を務めたウェブラジオ「RADIO RONDO」の存在、そして何よりデザイナー自身が公式コミック版「武装神姫2036(以下「2036」。単行本全5巻)」を電撃ホビーマガジン(現在は電撃ホビーウェブへと移行)に連載していたという事もあって、相方共々今なお根強い人気を誇る。 武装神姫というシリーズが、かくも多種多様極まるデザイン的方向性を終始保ち続ける事が出来たのも、彼女達ケモテック神姫(と、続く第3弾組)がその先鞭をつけた功績あったればこそだろう。 現にその影響は、後年のガールズプラモ群においても明らかに偏ってはいるが見る事が出来る。 2007年度に開催されたホビーイベント『キャラホビ2007 C3×HOBBY』では、「2036」本編での水着姿を再現したリペイントバージョン(俗称:水犬子)が販売され、その後僅かに仕様変更された電撃15周年バージョンも販売された。こちらは装備が全体的に軽量化されている上頭部パーツの造形も改良されているため、従来品と組み替えるという楽しみ方も可能だ。 以上の3バージョンいずれも大量に販売されたため、現在の中古市場でも比較的簡単に見かける神姫となっている。 更に、デザイナー考案による強化型「ガルダハウリン」も存在していたが、バトロンのサービス終了に伴いお蔵入りとなった経緯がある(「2036」には登場)。 果たしてこれらの装備は実装されるのだろうか? それはバトコンスタッフのみぞ知る。 従来の公式媒体では、他でもない「2036」の主人公格たる凛をはじめ、ノベライズ版「神宮司シリーズ」の情報屋アイコ、そしてアニメ版のポッチィ等ほぼ一貫して常連メンバーを務めていた。 当然ながらバトロン・バトマス(およびMk.2)・バトコミと、ゲームにおいても皆勤賞である。 しかし、本作ではそんな状況が一変。何故かなかなか実装の気配が見えず、ハウリンオーナー達のみならずケモテックファン達をも長い間やきもきさせてきたが、この程シーズン2発足に伴い栄光ある最初の神姫として、漸くの実装とあいなった。 久々の登板は概ね歓迎された一方で、件の「チェイスチェイスジョーカーズ」絡みの減台騒ぎを経てからでは「遅過ぎた」との声も。 公式もこれを気にしてか、実装後2/6までと比較的長めのピックアップ期間をとっていた。 なお、2024年のパチスロ版にも登場を果たしている。 なお本作では、BLADE神姫独特のプロポーションを再現するためか、フィギュア版における1st素体(厳密には脚部を短く改設計されている)ではなく3rdSmall素体に近い体型で再現されている(要はこの娘と同じ処理)。 性格 犬らしく生真面目で従順、ひたすらマスターの役に立つことを第一に考えるタイプ。それゆえに聊か柔軟性に欠ける面も見受けられる。 投擲武器が専用武装に含まれているというのに、不得意武器とはどういうギャグなのだろうか……? セリフ一覧 + 私の活躍、お見せします! ログイン時 通常(朝) おはようございます!朝からお顔を見られて幸せです!さあ、早く行きましょう! おはようございます!朝早くから連れてってくれて、嬉しいです!今日もよろしくお願いしますね! 通常(昼) こんにちは!今日もず~っとお供しますよ!それでは、ご命令をどうぞ! こんにちは!今日もガツンと元気に、頑張って行きましょうね! 通常(夕) こんにちは!そろそろおやつの時間でしょうか!私、バトルも楽しみですが、おやつも楽しみなんです! こんにちは!お散歩行くのにいい時間帯になってきましたね!…あぁ、バトルが先でしたね!えへへ…。 通常(夜) こんばんは!これから何をしましょうか!全力で頑張っちゃいますからね! こんばんは!暗くなってもどこにいるか、私にはすぐ分かりますよ~!だって、いい匂いがするんですから~!えへへ♪ 通常(深夜) こんばんは!夜も更けてきましたが、調子はいかがですか?どんな時間でも、私はずっとお供しますからね! こんばんは!夜遅くまで頑張っているんですね。私も他の神姫に負けないよう、一緒に頑張っちゃいますからね! 年始 あけましておめでとうございます!今年の目標はもう決まりましたか?私の目標はもちろん、マスターのために一意専心でバトルに尽くすことです! (ボイス) あけましておめでとうございます!新年からお傍にいられるなんて、幸せです!今年もいっっっぱいついていきますからね! バレンタイン あ、あの…!バレンタインなので、チョコを作りました!張り切って作り過ぎちゃいましたけど…良かったら、受け取って下さい! ホワイトデー えっ!?これってもしかして、バレンタインのお返しですか?ありがとうございます!穴に埋めて後生大事にしますからね! エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 暑くなってきましたね~。え?犬型といっても、私は舌を出して、体温調節なんてしませんよ! 水着キャンペーン 七夕 ハロウィン ハロウィンは、お菓子がもらえるみたいですね。いっぱいイタズラして、お菓子をたくさん取って来ますから、期待していてくださいね! 冬季 寒くなってきましたねえ。“犬は喜んで庭を駆け回る”と言いますが、寒い時はバトルでもして温まりたいです! クリスマス メリークリスマス!マスターはサンタクロースに何をお願いしたんですか?私はもちろん、マスターが欲しい武装をいっぱいくださいってお願いしましたよ! (ボイス) メリークリスマース!今日は大切な方の傍に、ずっと居なければいけない大事な日だとか。そういう訳で、私だけと、一緒に過ごしてもらえないでしょうか? 神姫の発売日 オーナーの誕生日 お誕生日おめでとうございます!今日は私が一番待ち遠しかった日なんです!私、これからもずぅーっとお仕えしますから! 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (→決定後) LvUp後の会話 MVP獲得 3連勝後 3連敗後 専用スキル解放時 親密度Lv5後 親密度Lv10後 親密度Lv20後 親密度Lv30後 親密度Lv40後 親密度Lv50後 親密度Lv60後 親密度Lv70後 親密度Lv80後 親密度Lv90後 親密度Lv100後 親愛度Lv1~19限定 親愛度Lv20~39限定 親愛度Lv40~59限定 親愛度Lv60~79限定 親愛度Lv80以上 頭タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 胸タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 尻タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 通常会話 クリスマス限定 年始限定 武装カスタム 戦闘力Up・武器LvUP時 戦闘力Down時 素体カスタム 親密度LvUp時 限界突破時 出撃時 キャラ入れ替え バトル開始時 → バトル中 撃破時 コンテナ入手時 被弾時 オーバーヒート時 スタン時 デバフ被弾時 スキル発動時 (能力強化系) (HP回復系) (デバフ系) (攻撃スキル) (チャーミークリアボイス) 被撃破時 次出撃時 サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 → 2位 → 3位 → 4位 → カラフルコンダクト どこまでも お傍で お供します 掴み取る 勝利を この拳で 頑張った 私を 見て下さい 親密度LvUp時 マスターレベルUp時 コンテナ獲得後1位 コンテナ獲得後2位以下 レイド成功時 レイド失敗時 神姫ショップお迎え時 はじめまして!お会いできて、と~っても幸せです!私、いつまでもお供しますから! 初めまして!出会えてすっっっごく嬉しいです!これから、よろしくお願いします! ゲームオーバー時 その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 ええっ!リ、リセット!?う…嘘ですよね?冗談ですよね? はい を押す 嫌です!絶対嫌です!冗談でも嫌です!私、大好きだから忘れたくないんです、離れたくないんです!ずっとそばに居させてください!お願いします! はい を押す(二回目) そ、そうですか…。隣にいていいのは、私じゃない、ってことなんですね…。今まで可愛がってもらえて、幸せでした。ありがとう…さようなら。 リセット完了 初めまして!出会えてすっごく嬉しいです!これから、よろしくお願いします! リセット取消 リ、リセットしないんですね?良かったぁ…。これからも、ずっとそばに居られるだけで、私は幸せです! 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・ご主人様・アニキ 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - マスクステータス 1/s ジェム回収展開速度 ブースト回復量 ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 N 1500 150 960 85 70 20 90 R 1050 105 90 40 110 SR 1140 125 110 60 130 UR 1230 145 130 80 150 覚えるパッシブスキル一覧 忠実なる守り手【ハウリン専用】近接を使用した際に踏み込み距離、射程アップ スキル名説明 早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる ため威力増加[小]ため攻撃の威力を上げる 防御力アップ[小]防御力を上げる ダッシュブースト消費量減少[小]ダッシュする際のブースト消費を減少する クリティカル防御アップ[小]クリティカルダメージを抑える ブーストアップ[小] *要限界突破(L110)ブースト時の移動スピードアップ 体力最大値アップ[中] *要限界突破(L120)体力の最大値を上げる 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル 体力最大値アップ[小]体力の最大値を上げる スピードアップ[小]移動する際のスピードアップ 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる ダウン軽減[小]ダウン時の行動不能時間が短くなる ダッシュブースト消費量減少[小]ダッシュする際のブースト消費を減少する 防御力アップ[小] *要限界突破(L110)防御力を上げる 攻撃スピードアップ[中] *要限界突破(L120)攻撃時のスピードが上がる 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル ブースト最大値アップ[小]ブーストゲージの最大値を上げる 攻撃スピードアップアップ[小]攻撃時のスピードが上がる ため時間減少[小]ため時間を減少する ダッシュブースト消費量減少[小]ダッシュする際のブースト消費を減少する 全能力アップ[小]全ステータスがアップする ブーストアップ[小] *要限界突破(L110)ブースト時の移動スピードアップ ため威力増加[中] *要限界突破(L120)ため攻撃の威力を上げる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +30% 片手斬撃武器・双斬撃武器・両手斬撃・双頭刃撃武器・格闘打撃武器・下手持ちへビーガン・回復・補助・防具用武器 苦手武器 -30% 片手ライトガン・両手ライトガン・投擲武器 神姫考察 攻撃力 素のステータス自体はやや低めだが、片手斬撃武器・格闘打撃武器といったDPSに長ける武器を持て、また固有パッシブの影響で先手を取りやすいため、数値以上に優秀である。 防御力 体力こそやや高いが防御力が低く、あまり高くはない。 機動力 素でも多くの神姫のダッシュ速度を上回っており、どの型でも最終的にはパッシブでブーストアップが付く。 ブーストゲージ周りにも不備はなく、総じてやや優秀と言えるか。 総評・運用 固有パッシブは近接の踏み込み・射程を強化。近接武器の当てやすさが大きく上がる。 固有パッシブを活かして先手を取り、キルを繰り返すのがシンプルにかなり強力。各種ジェム自動回収付き装備を付ければ横吸いもケアできる。 スキルは攻撃力アップなど火力周りをサポート出来るものがオススメ。 神姫攻略法 固有パッシブで強化された踏み込みが強力。機動力を活かして逃げるのは基本的に厳しく、またDPS勝負に持ち込もうにもハウリン側の武器は強力なものが多く、先手を取られてしまった場合基本的にこちらが先に倒される。 他のプレイヤーを狙ったところを倒す、ハウリンが複数人の編成にいるなら、出撃時間を揃えさせて同士討ちさせるなど、周りを利用して対処するのが良いだろう。 バトコンが4人プレーのバトルロイヤルだという基本に立ち返って戦おう。 お迎え方 2023年1月27日~から神姫ショップに登場 アップデート履歴 コメント 親愛度1でも頭撫で喜ぶ&セクハラ怒らないの強すぎる。 -- 名無しさん (2023-01-30 14 42 56) パッシブで近接が伸びるのがめっちゃ強い… -- 名無しさん (2023-05-22 19 13 53) 名前 コメント
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hatugen戦闘回数が増えていくと追加されるキャラもいるので とりあえず、今戦える相手の装備を全部ひっぺがす位(5〜6回)の勢いで戦っていけば 特に問題なく戦える相手も増えていきます。 「1対1」 「1対2」または「1対3」 のハンデ戦 「1対1」初登場はゲームセンターで1回戦闘のみ。本編クリア後の継続プレイで常駐する 「1対1」メインストーリーにからむイベント戦1回のみ。 初期~ F3クラス制覇~ F2クラス制覇~ F1クラス制覇~ 初期~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 柴田勝シバタ マサル プルミエ アーンヴァルMk.2 おそらく多くのプレイヤーが最初に戦う相手。神姫名の「プルミエ」は「最初」を意味するフランス語「プルミエール」からだと思われる。戦国から江戸にかけて家名を残した「柴田氏」が「勝」の字を代々使っているまた格闘技にも「柴田勝久」「柴田勝頼」の親子がいるバトルロンドのNPCでも「まさる」「プルミエ」が登場 小早川千歳コバヤカワ チトセ リリス ストラーフMk.2 勝利後F3①予選解禁バトルロンドのNPCでも「ちとせ」「リリス」が登場 柿崎静馬 ナギ ハウリン 三毛屋ベンガルミケヤ ベンガル コモモ マオチャオ 「よーしよしよしよし」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第六部」のキャラクターグェスの台詞のパロディ 柏葉剣 ルーデル ゼルノグラード 第二次大戦時のドイツ空軍の爆撃王(兼エース)ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐及び彼が受賞した黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章から 山中美幸 ライラ アーンヴァルMk.2 赤橋瞳子アカハシ トウシ ハヤテ ハウリン 足利尊氏の妻 赤橋登子(あかはしとうし)? 津軽冬至 雪華 フブキ メールで対戦可 勝利後自宅でフブキ解禁 足利崇文 紅葉 マオチャオ 勝利後F3②予選解禁「兄様がまともに戻るまで、殴るのをやめないっ!!」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の主人公、ジョナサン・ジョースターの台詞のパロディ室町幕府初代将軍 足利尊氏? シルバー・クレイ マリー アーンヴァルMk.2 「私達はようやく登り始めたばかりなのデース、この果てしなく遠い神姫坂を」漫画「男坂」のラストのパロディ 犬童太 ハナ ハウリン 軍曹 三等兵 ゼルノグラード 映画「フルメタル・ジャケット」に登場する鬼教官、ハートマン軍曹とその部下神姫名の元ネタは漫画「ロボット三等兵」から? 真紅女帝総長 沙耶香 アーク メールで対戦可難関その1 前作より攻撃的だが沙耶香以外は弱い装備が最も豪華なのが沙耶香近接攻撃中心なら亜里沙のバズーカが邪魔なのでこちらを先に勝利後ショップでアーク解禁「女帝」は英訳するなら正しくは「エンプレス」なのに真紅女帝(クリムゾンエンペラー)と呼ぶのは、コナミシューティングゲーム、エアフォースデルタの作戦名からアーク型曰く「珍走団」←徒党を組んで道路交通法違反を繰り返す集団のこと「203高地に挑む」中国にある丘陵で日露戦争の重要拠点 真紅女帝副長 亜里沙 アーク 真紅女帝見習い 香里奈 アーク ダリル・ブレナン ドロシー ハウリン 吉川素子 アローズ マオチャオ 猪苗代孝実イナワシロ タカミ ふゆなぎ ゼルノグラード 春夏冬 あきな アーンヴァルMk.2 「商い中」の古い(言葉遊び的な)表現「春夏冬中」から「春夏冬」→「あきない(秋無い)」→「あきな」 ダーリン あんこ アーンヴァルMk.2 ゲストキャラ(公式漫画ヒブソウシンキ)「ののこさんに~」ヒブソウシンキの登場人物。ちなみに、作中でのあんこは彼女の魔改造を怖がっておらず、寧ろかっこよがっていた。原作ではアーンヴァルだが諸事情によりMk2に。アーンヴァルMk2で対戦すると立ち絵が低く設定されていることがわかる。 青山遊馬 かさぎ エウクランテ 新渡戸総一 セイラ イーアネイラ セイラ「この軟弱者!」 機動戦士ガンダムのセイラ・マス F3クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 双蜂 ベル マオチャオ 双蜂=ツインビー ベル=ツインビーのパワーアップアイテム「当たらなければどうと言う事は~」機動戦士ガンダムのシャア・アズナブル 南部蒼太 フレンダー フブキ タツノコのガッチャマン南部博士と、同じくタツノコキャシャーンのフレンダー「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」SLUM DUNKの安西先生 チョコレッタ・G アンネ アーク 武装神姫2036 アーク・イーダのデザイナーCHOCO氏から 犬養創 ヤマト ハウリン メールで対戦可難関その2 単体のLPは低く、ロック距離も短い神姫名は大日本帝国の大和型戦艦の名前。(大和・武蔵・信濃。ただし信濃のみ戦艦としてではなく空母として完成している) 犬養続 ムサシ ハウリン 犬養完 シナノ ハウリン 鍋島樹里 みおん マオチャオ 鍋島家の化け猫騒動 立花茂 銀千代 ハウリン 立花宗茂と妻・ギン千代「この風、この肌ざわりこそ神姫バトルよ」…アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクター、ランバ・ラル大尉の台詞のパロディ。「うん、無駄無駄無駄無駄無駄じゃ」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、DIOの台詞のパロディ。「片眉剃って大笑いしたり」…空手バカ一代 豪徳寺みか まりぃ マオチャオ 「表の模様が裏に、裏の模様が表についてるコイン」…ジャイアンがのび太を騙した手口「縦縞のハンカチが横縞」…マギー司郎、審司の持ちネタのひとつ「頭の悪い怠け者~」ハン・フォン・ゼークトの言葉「バカには見えないメイド服」…裸の王様のパロディ ケンプ 黒姫 ゼルノグラード ケンプファー=ドイツ語で「戦士」からか「我が選択に、一片の悔いも~」…漫画「北斗の拳」のキャラクター、ラオウの台詞のパロディ 百武健心 百花 イーダ メールで対戦可勝利後ショップでイーダ解禁 給料シーフ シルファ アーク シーフ=泥棒 給料泥棒 真田有希那 キリカゼ イーダ 真田有希那→真田幸村から? キリカゼ→風魔の小次郎の霧風から? 練馬大将軍 ミュー アーンヴァルMk.2 練馬区光が丘に存在した「グラントハイツ(米空軍宿舎)」の由来グラント元大統領・元将軍。もしくは究極超人あ~るの成原博士。「世界征服は練馬から!」 偉吹玲人 まお マオチャオ ゲストキャラ(武装神姫2036) ハウリン・マオチャオのデザイナーBLADE氏から勝利後猫型カスタムパーツ解禁 神選組局長 コテツ ゼルノグラード メールで対戦可本人達の発言通り突撃しかしてこないので楽器RA等の餌新選組とその刀新選組局長 近藤勇:長曾祢虎徹<ながそね こてつ>新撰組副長 土方歳三:和泉守兼定<いずみのかみ かねさだ>新選組八番隊組長 藤堂平助:上総介兼重<かずさのすけ かねしげ> 神選組副長 イズミ ゼルノグラード 神選組隊士 カズサ ゼルノグラード 得川義文 葛葉 フブキ 「お風呂覗かれたり」…緑髪忍者型でコナミのゲーム「がんばれゴエモン」のヤエちゃん?「ござる の巻」「頬にうずまき」…忍者ハットリ君 痴豚 ミランダ イーダ タレント・伊集院光が、ラジオ番組「深夜の馬鹿力」内で照れ隠しも含めて自身の事を言う際に使う呼び方。 痴漢の『痴』に太った人を蔑む意味『豚』を合わせた造語。それを抜きにしてもSMプレイでも『豚』という蔑称はよく用いられる。ミランダはイーダのデザイナーCHOCO氏の描くSFコミック「イグナクロス零号駅」の主人公ミランダ駅長から?「恐ろしいものの片鱗を」…ジョジョの奇妙な冒険 嶋渓フミカ エイル アーンヴァル ゲストキャラ(武装神姫2036) アーンヴァル・ストラーフ等のデザイナー島田フミカネ氏から ドグラ・モゲラ 菊花 フブキ ドグラ・マグラからか?(会話内容からマスターの容姿が「戸惑う、面食らう」や「堂廻り、目眩み」となっており、原点がそういう意味という説から)またはモグラ⇒掘る(男に対して性的な意味で)⇒アッー!⇒菊の花 山中日向 葵 アーク 日向葵で「ひまわり」。山の中に咲くひまわり? タケル サギリ アルトレーネ メールで対戦可サギリの方が耐久が低い勝利後ショップでアルトレーネ・アルトアイネス解禁日本神話のヤマトタケルノミコト 日本神話の神:アメノサギリorクニノサギリ ミコト テルヒメ アルトアイネス 時速30km 和津香 ツガル 時速30km 時速30kmの速度の風が胸の感触と同じと言う逸話「胸がミサイルだったり~」マジンガーZのアフロダイA等 F2クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか ??? ??? アーンヴァルMk.2 勝っても負けても展開は変らないが勝つと称号が貰える 神宮司八郎 アトラ アーンヴァルMk.2 F2制覇後登場。探偵 神宮寺三郎 また、「アトラ」は穴を開ける道具の事なので、海底軍艦轟天号艦長神宮司 八郎 大佐今後発売予定の小説、武装神姫 LOST DAYSの主人公となった 森永穂波 アニー アーンヴァルMk.2 神宮司八郎戦闘後登場元女優の森永奈緒美さん。アニーは宇宙刑事シャイダーでの役名 神戸こなみ みなこ アルトアイネス F2制覇後登場。神戸のコナミそのまま。みなこはその逆さ読み「もっと恐ろしいものの片鱗を」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、ポルナレフの台詞のパロディ。48の拷問技…キン肉マン48の殺人技 笠嶋京香 あざみ ストラーフMk.2 赤城春菜 麗音 アルトレーネ 北関東最強、赤城→赤城山、春菜→榛名山、最強神姫理論→公道最速理論でいずれも漫画「頭文字D」のネタアルト「レーネ」→麗音 趙飛燕 夏姫 イーダ メールで対戦可睡蓮が多弾頭ミサイルとバズーカをリロードしながら乱射してくる前漢成帝の皇后。夏姫→巫臣(春秋時代の楚の政治家)のカミさん> 王秀英 睡蓮 アルトレーネ 周小紅 蘭蘭 ゼルノグラード 音黒野美子 クロミ フブキ クトゥルー神話に登場する架空の書物「ネクロノミコン」から。神姫名もネ「クロ」ノ「ミ」コン→クロミか?ちなみにバトル前の会話で唱えている怪しげな呪文も、クトゥルー神話に関わるものである。はしかのようなもの…はしかは日本人なら一生に一度はかかると言われる病気。転じて、恋の病や中二病など、誰もが経験するであろう事象を指すクトゥグア…同神話に登場する神 武本哲 チェリー ゼルノグラード 漫画「じゃりン子チエ」の「竹本テツ」「チエ」にひっかけて「チェリー」ティーガー…阪神タイガース 愛猫党党首 ターニャ マオチャオ 勝敗に関わらず趙飛燕と戦うと挑戦メールが来る二人が多弾頭ミサイルを装備。一人だけ装備して無いのでそれだけ後回しに 愛猫党参謀 アイニャ マオチャオ 愛猫党書記 ハルニャ マオチャオ 麻呂 雛鶴 イーダ 山県みちる 薫 アルトレーネ 「神姫イヤーは地獄耳」…デビルマン 兜茂 ユリコ アーク マスターは仮面ライダーストロンガーの城茂神姫名のユリコはストロンガーのパートナーの電波人間タックルこと岬ユリ子「天が呼ぶ 地が呼ぶ~(略)」は同作品でのストロンガーの名乗り口上 左籐楓 メープル フブキ 勝敗に関わらず愛猫党党首と戦うと挑戦メールが来るメープルが近接、アナベルがミサイル、マグノリアがガトリングを使う固められてコンボを決められると危険なので、アナベルかマグノリアを先に倒したいメープル:英語でカエデのこと。左籐楓(サトウカエデ)はメープルシロップの原材料アナベル:アジサイの品種。紫陽花(アジサイ)マグノリア:モクレンの品種。大山蓮華(オオヤマレンゲ)もモクレンの一種 紫陽 花 アナベル アーク 大山蓮華 マグノリア イーダ ういろー ナナ マオチャオ 名古屋名物、ういろうとナナちゃん 埴場怜太 クラリス アルトアイネス 羊たちの沈黙の登場人物。埴場怜太(ハンニバル・レクター)とクラリス・スターリングアフロディテから…ギリシャ神話のピュグマリオン 九頭龍 ルル アーク クトゥルー…クトゥルー神話に登場する神の名前、九頭龍はその表記の一つルルイエ…同神話に登場する架空の地名戦争末期で槍一本…太平洋戦争中の日本 陰陽熊 ファム アルトアイネス 閃光魔女 シャイナ ストラーフMk.2 プロレス技のシャイニング・ウィザードからか?男にしとけばよかったんじゃ…(ウィザードは主に男性の魔術師を指す) 美馬坂真尋 ドナ ストラーフMk.2 F1予選①~④クリア後に挑戦メールが来る。勝負するとヴァルハラが解放される。 開田有人 ライム マオチャオ 全F1予選クリア後に登場。元ネタは開田裕治氏と氏のホームページに掲載されている徳間文庫の官能小説アンソロジー「爛夢」から?「きれいな言葉遣いだろ?マオチャオ型なんだぜこいつ」ご存知某野球漫画の主人公のせりふ。 定岡千鶴 美礼 ジルリバーズ 橋田義一 エムアール エストリル MR=ミッドシップエンジン・リアドライブ方式??その他自動車用語としてのMRは数多く存在する 島津佳美 アイラ プロキシマ 島津義久or義弘から。鹿児島県姶良(あいら)市から コバヤシ マッハ ジルリバーズ 丹下鍛造 桜 プロキシマ 明日のジョーのコーチ丹下段平。神姫名は丹下繋がりで声優・歌手の丹下桜からか。 戸次香織 エリカ アーティル ステージ構成上開始時は分断されており、エリカは延々離れたところで浮遊機雷を撒き続けるのでまずユリカに速攻をしかけたい。合流されると強敵「火が二つ重なれば炎~」:中の人の組み合わせもあってトップをねらえただし姉妹逆 戸次詩織 ユリカ ラプティアス 倉田音羽 オルフェ アルトレーネ ゲストキャラ(武装神姫2036) 神姫名はスタジオオルフェから。マスターはデザイナーの羽音たらく氏のアナグラム。 F1クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 足寄百合香 美月 ベイビーラズ 文字通り、足に擦り寄る百合娘 ミュー・垂乳根 満姫 イーアネイラ 口調はルー大柴満姫がバズーカを撃ってかべこが近接バズーカに巻き込まれ吹っ飛ばされるかべこ… 平壁真垂 かべこ ガブリーヌ 小田春海 くらら マリーセレス 村ピープル ネヴィル マリーセレス 70年代のアメリカのバンド「ヴィレッジピープル」「筋肉隆々な色男がよりどりみどりの~」ヴィレッジピープルはメンバーがゲイだったと噂されてる 五進クリニック 梓 ツガル 誤診クリニック(本人達も語ってる) ニーヌ・マッケンジ フィオ エストリル 武装紳士・淑女御用達のエアパスタ。まだ未経験の方は是非お試しあれ。名前は新沼謙治とニール・マッケンジーからか。「げえっ(主人公名)!」横山光輝作『三国志演義』より。ジャーン!ジャーン!ジャーン! 薄田御幸 ミコ 蓮華 「幸薄」を入れ替えたもの「雑誌の裏」幸運の宝石の広告。エロ雑誌に多い 魔法使い 美紗緒 ベイビーラズ 三十歳まで童貞でいると魔法が使えるようになれるとの都市伝説。「美紗緒」操 漆黒の牙 レヴィア イーアネイラ 厨二病もしくは邪気眼。ご丁寧にイーアネイラの目がオッドアイになっている。エウクランテ曰く「ひょっとしてマスターもあんな事考えながらバトルしてない?」とのこと。みんなしてない、よね?アーク曰く「なんかさっきから胸が痛むし顔が熱くなってくる」アークさん… 五百旗頭かのみイオキベカノミ タマモ 蓮華 殺生石伝説の「玉藻前」「そんな事言われても、うち、ただの神姫やし」は、昔使われていたポン・デ・ライオンのAAの台詞「そんな事言われても、ウチ ポン・デ・ライオンやし」より。 九鬼マユ チロ ガブリーヌ 九州ライダー1号 ユリ エストリル 2体1だがチューブステージなので一度ロックさえしてしまえば常に陰に隠れてビット撃ってればノーダメージ余裕マスターは仮面ライダー1号 2号から。神姫の名前は初代仮面ライダーに登場したライダーガールズ・ユリとマリから。 九州ライダー2号 マリ ジルリバーズ 三鷹台六朗 レイナ 紗羅檀 「もっと静かで…」「いや焦るんじゃない」「ダブってしまった…」「焦るな焦るな」「あれが効いたな…」全て漫画「孤独のグルメ」より。同作品の主人公は井之頭五郎。(井の頭公園は三鷹市にまたがる。また京王井の頭線井の頭公園駅の渋谷方隣駅が三鷹台駅。) ピュンマ・ハマハマ ナディア エウクランテ 映画「ミラクル・ワールド・ブッシュマン」?あるいはふしぎの海のナディアのハマハマとナディアかも 環稜香 シレーナ エウクランテ ゲストキャラ(武装神姫2036) デザイナーの間垣リョウタ氏のアナグラム。 TSUGARU 赫 ツガル ゲストキャラ(武装神姫2036) 漫画では青のリペイントカラーのツガル型も所持していた。
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先頭ページへ 装備構成解説 マイティ超高速巡航装備 軽量飛行装備 機動戦闘装備 シエンATパイロットスーツ装備 クエンティン瞬間移動装置活用装備 マイティ 超高速巡航装備 頭部:ヘッドセンサー・アネーロ 胸部:FL012胸部アーマー 背部:リアウイングAAU7 エクステンドブースター×2 VLBNY1スラスター×2 ランディングギアAT3(補助スラスター付バージョン)×2 ポラーシュテルン・FATEシールド×2 VLNBY1増設ラジエーター VLBNY1携行小型タンク ぷちマスィーン・シロにゃん (GEモデルLC3レーザーライフル) 上腕部:VLNBY1腕部アーマー 下腕部:左/FL012ガードシールド、右/M4ライトセイバー 大腿部:VLNBY1脚部アーマー 脹脛部:VLNBY1収納ポケット 脛部:WFブーツ・タイプ・クレイグ 武装: スティレット短距離空対空ミサイル×4 カッツバルゲル長距離空対空ミサイル×2 STR6ミニガン、もしくはアルヴォPDW9 登場時期:「強敵」~「固執」、「ねここの飼い方、そのじゅうさん、後半」 対アラエル戦、クエンティン遭遇戦の序盤など、初期によく用いられた構成。まだ煮詰まっていない段階の、雛形とも呼べる構成が対ルーシー戦でも登場している。 ありったけの推進装備をリアウイングAAU7に取り付け、推力を一方向に向けることで絶大な加速と最高速度をたたき出すことができる。推進器の取り付け方には変遷があり、後になるほどパワーロスが少なくなる(写真は初期の配置)。装備も射程の長いものを中心に取りまとめ、特に最終段階で片翼に懸架していたLC3レーザーライフルの長時間照射は前方の目標掃討に効果が高い。 本装備はアーンヴァルのもともと持っている高速飛行性能をさらに特化させることに成功しているが、同時に欠点も倍化させてしまっている。小回りはもちろん利かず、片腕にライトセイバーを付けているとはいえ近接戦闘は原則ご法度。さらに推進設備を全てリアウイングに集中させているために、推進器がどれか一つでも損傷してしまうとたちまち全体バランスの低下を招き、戦闘力が大きく削がれてしまう。バトルにおいてどんなに性能の高い神姫といえど、一発も被弾せずに戦う、などというのはほとんど無理な話なのである。 良くも悪くもピーキーに着地する結果となり、これ以上の発展を見込めないと判断したマイティとマスターは、飛行能力というアーンヴァルの特性を生かしたまま、より戦闘に適応する装備構成を模索してゆくことになる。 試行錯誤の末、現在以下の二つの構成が登場している。なお、すべての装備にほぼ例外なく取り付けられているぷちマスィーン・シロにゃんは、主に装備の制御や索敵などを担ってマイティの負担を軽減する、いわばフライトオフィサーである。 軽量飛行装備 頭部:ヘッドセンサー・アネーロ(棘輪) 胸部:FL012胸部アーマー(争上衣、ぷちマスィーン・シロにゃん搭乗) 背部:白き翼 上腕部:VLBNY1収納ポケット(なし) 下腕部:M4ライトセイバー×2(FL012増設アーマー) 大腿部:ハグダンド・アーミーブレード(なし) 脛部:ランディングギアAT3(脚部機能停止のため排除) 武装: カロッテTMP (忍者刀・風花、ぷちマスィーン八体) ※( )内は「信念」における装備 登場時期:「固執」、「信念」、「ねここの飼い方、そのじゅうさん、後半」 もともと白き翼のテストのために考えられた構成で、翼の性能を最大限に生かすためかなりの軽装となっている。クエンティン遭遇戦においては「装備B」として、変更されたフィールドに対応するために登場した。また「信念」の対クエンティン戦においては、序盤はストラーフのリアユニット GAアーム、GAレッグを用いた陸戦特化装備であったが、戦闘中脚部機能が死んでしまったために脚部を丸ごと排除して本装備となった。その折もともとの素体装備は変更していないため、防御力重視の構成となっている。 軽快さを生かした格闘戦が得意であったが、性能的にどうしても中途半端にとどまってしまうくせがあり、メイン装備としてはほとんど使われていない。 機動戦闘装備 頭部:ヘッドセンサー・アネーロ 胸部:ホーリィアーマージャケット 背部:レインディアアームドユニット・タイプγ(基部) ハイパーエレクトロマグネティックランチャー×2 バインダー(リアウイングAAU7) ハグダンド・アーミーブレード ぷちマスィーン・シロにゃん 下腕部:M4ライトセイバー×2 脛部:ランディングギアAT3 FL012ガードシールド 推進器付主翼(リアウイングAAU7) 武装: アルヴォLP4ハンドガン カロッテP12 スティレット短距離空対空ミサイル×4(サイドボード供給により発射可能総数は60発以上) 登場時期:神姫たちの舞う空編 アーンヴァルの飛行特性を維持したまま、戦闘適応性を上げるために考案された構成。メインの推進力が背部ではなく、脚部に移行されているのが大きな特長。ヨーロッパの軍隊によく見られるデルタ翼戦闘機のようなシルエットとなっている。 超高速巡航装備と比べて推進力は低下したものの、全体的にコンパクトにまとまっている。そして主翼が360度回転可能で、マグネティックランチャーとバインダーが四つのスタビライザーの役目を果たし、デルタ翼でありながら「低速域における機動性と安定性が低い」という欠点をカバーできている。結果、戦闘機にはできない奇想天外なマニューバーが可能になっている。 なによりも、ホーリィアーマージャケットの小型スラスターやマグネティックランチャーの電磁浮遊推進システムなど、脚部以外のボディ全体に推進器を配することによって、多少の損傷でも戦闘が続行できる優秀なダメージコントロール性能を獲得できたことがこの装備の功績として大きい。 未知数の部分がまだまだ多いが、本編における今後の活躍が大いに期待できる装備構成である。 シエン ATパイロットスーツ装備 頭部:頭甲・咆皇 胸部:VLBNY1胸部アーマー 上腕部:VLBNY1腕部アーマー 下腕部:VLBNY1リストガード 腰部:KT36D1ドッグテイル 大腿部:VLBNY1脚部アーマー 脛部:WFブーツ・タイプ・クレイグ 武装: 十手 カロッテP12 モデルPHCハンドガン・ウズルイフ 登場時期:「バトリングクラブ」、神姫たちの舞う空編 非公式の「ボトムズin武装神姫バトル」において、クリムゾンヘッドに搭乗する際シエンがまとう装備。ヴァッフェシリーズのアーマーは衝撃吸収に長けながらかさばらないため、パイロットスーツとして最適であった。 緊急時の武装として十手や拳銃をコクピットに持ち込んでいる。 ちなみにクリムゾンヘッドの主武装はベルトリンク式に改造し装弾数を増やした咆莱一式である。 クエンティン 瞬間移動装置活用装備 頭部:フロストゥ・グフロートゥ 黒ぶちメガネ 胸部:胸甲・万武(ぷちマスィーン・壱号搭乗) 上腕部:フロストゥ・クレイン 下腕部:FL013スパイクアーマー01 腰部:VLBNY1腰部ベルト 大腿部:FL013スパイクアーマー02 脛部:WFブーツ・タイプ・クレイグ 武装: サイズ・オブ・ザ・グリムリーパー ぷちマスィーン・肆号 ぷちマスィーン・オレにゃん 登場時期:「固執」、「信念」 瞬間移動装置とは厳密には装置ではなく、バーチャルバトルアクセスシステムの隙を利用した高速移動方法であり、あたかも瞬間移動しているように見えるためそう呼ばれる。また本装置によって空中移動も可能である。クエンティンのオーナーである理音が考案しセカンドバーチャルバトルにて使用していた。本装備はその瞬間移動を最大限活用するための構成である。 頭部、上腕部のフロストゥブレード、および下腕部、大腿部のスパイクアーマーは可動し、四肢とあわせて動かすことで限定的ではあるが瞬間移動後のアクロバット機動や体勢安定のためのバインダーとして働く。 主武装がサイズ・オブ・ザ・グリムリーパーと二体のぷちマスィーンだけというやや心もとない内容だが、これは瞬間移動装置の構成上サイドボードに神姫本体を入れねばならないため、武装の容量が限られてしまうためである(開始時の武装を入れるメインボードは空であるが、アクセスポッドには神姫が入れられていないため、武装を入れてもシステム側から「装備不能」と判断されエラーが発生する。そのためメインボードは使用できない)。ただ、瞬間移動のアドバンテージが非常に大きいため、この武装だけで十分という見方もある。 その後どこからともなく(おそらくネットから)瞬間移動の方法が解析され数多くの神姫がこの方法を使用したが、ゲームバランス崩壊の兆しが見えたためにオフィシャル側によってバーチャルバトル空間アクセスルールが改正され、実質使用禁止となってしまった。 そのためクエンティンの本装備はおそらくもう見ることは無い。 先頭ページへ
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「ある日」 この町に来てから三週間が過ぎた。 アタシがこの町に居られるのも、後一週間と少しだけ。 なのにすっかり当初の目的なんて頭の中から無くなり、アタシは今日も公園の木陰で彼等が来るのを待っている。 それにしても暑い。 木々の陰により和らいだ熱の下にありながらも、それでも暑いと感じるのだから日向に居る人たちにはさぞ暑いことだろう。 もう暑いじゃなくて、熱い。 温暖化も二十一世紀初頭に比べればその悪化具合もだいぶ緩やかになってはいるけど、それでもその傾向がマイナスに転じてはいない現在。亜熱帯と化した日本の夏はけっして住み良い環境ではない。 空気が流れた。 体にまとわり付いた汗が、その風に反応して体の熱をほんの少しだけ、奪い去る。 そしてその風と共に、待ち人がいつもの様に現れた。 「また、居たのか。案外お前も暇だねぇ?」 開口一番、憎まれ口を叩くこの男に、会いたくて堪らないのだと自覚したのはいつだったか? 「なんだか今日はどっかのお姫様みたいな格好だなっ!」 今まで自分とは遠くにある存在と思っていた小さな少女も、こんなにも愛おしく感じる。 「こんなに暑いと、スカートだってはきたくなるの。それに帽子だけじゃこの日差しは遮れないでしょ!」 今日のアタシのいでたちと言ったら、フリルのあしらわれた薄手の白いワンピースに白い日傘と、一体何時代だよ! って突っ込みを入れたくなるくらいの時代錯誤な格好だった。 正直照れくさい。 「あぁ~あ。口さえ開かなきゃ、深窓の御令嬢でも通じるのにな」 意地の悪い笑みで男は言う。 「ちょっとー。いくらアタシでも傷つくぞ」 「でもカワイイじゃんかー。ちょっと憧れだぜっ!」 「まて、お前がこんな格好したらそれこそ喋るな! って話になるぞ」 「おう! それはこの刹奈ちんがとってもカワイイって言ってるんだよなぁ?」 かわいい仕草をし、しかしその仕草を台無しにする口調でその小さな神姫は問う。 「だから色々台無しなんだよお前は」 深々とため息をつく夢絃を見て、アタシは思わず大きな声で笑ってしまった。 「……ここにも台無しが一人」 失礼だぞ! 「やっぱり今日もあの時みたいなのは起こらないね」 ヴァイオリンを弾き終えた夢絃にアタシは言った。 「あれって、結局なんだったんだろうなー」 アタシの方に跳ねて来た刹奈は、そう言うとアタシの肩に腰を下ろす。 「ね……ねぇ、体少し熱いけど大丈夫?」 刹奈の座ったアタシの肩が、少しだけ熱を感じる。 「だーいじょうぶなのさー。外気が熱いから、ちょこっとだけ廃熱がままならないだけ。今日も一生懸命踊ったもんなー」 そう言うと刹奈は花が咲くような笑みをアタシに向ける。そして小さな声で「アリガト」と言った。 「あぁ! もう! 刹奈ちんはかわいいなぁ」 もうホント抱きしめたい! ……肩に座っている神姫を抱きしめるのはムリだけど。 「……なんだかんだでお前も結構神姫好きになってきたよな」 ヴァイオリンを丁寧に片付けて、夢絃はそれとは別に持ってきていたリュックを開ける。 「これ、やるよ」 そう言ってそのリュックから取り出した箱を、アタシに差し出す。 「ちょっ……!」 どう見てもそれは武装神姫のパッケージで。 いくらアタシが神姫に疎いからといっても、これが高価なものである事くらい知っている。 ……親友であるセツナのおかげかもしれないけれど。 「こんなの受け取れる訳ないじゃん!」 勢いよく立ち上がってしまう。肩に座っていた刹奈が振り落とされまいとアタシの髪にしがみついた。 「ちょっ! 待てって。……夢絃! 話がいきなりすぎなんだって!!」 「あ? あぁ、確かにそうか」 「朔良もさ、とりあえず話だけでも聞いてよ。判断はそれからでも遅くないだろ?」 刹奈のその言葉に促される形で、アタシは静かにまた座っていたベンチに腰を下ろす。 「えっとな、実を言うとコレ、余りモンなんだ。でもさ、中古屋とかには売りたくねーし、ネットオークションなんて言語道断。だったら俺が気に入った、神姫が好きそうな奴に譲りたいって思ったんだよ」 「余り物って…… それでもこんな高価なもの貰えないよ」 アタシの覚え違いじゃなければ、神姫一体でPC一揃えが購入できるはず。そんな物を「貰えてラッキー♪」とか簡単に言えるほど無邪気じゃない。 「でも、俺はお前に……『朔良』に貰ってほしいんだ」 真剣な眼差しで、まっすぐにアタシを見て、そして初めてアタシの名前を呼んで―― そんなのズルイ。そんなことされたら、絶対に断れない。 「う、ん。……わかった」 熱くなる顔を隠すようにうなだれて見せる。 上手くごまかせたかな? そんなアタシの心配をよそに、夢絃はアタシに一歩近づく。 そして少しだけかがんで、アタシの傍らに神姫の箱を置いた。 「それならさ、明日駅前で会わないか? ここじゃセットアップ出来ないから、神姫センターにでも行こう」 「え? そんなに急がなくても……」 アタシはそう言って顔を夢絃に向けた。 その途端に―― 夢絃の唇で、アタシの口が塞がれる。 それは本当に僅かな瞬間で。 直に立ち上がった夢絃はくるりとアタシに背を向ける。 「明日十時に駅前の広場で。……遅れるなよ」 と言うと振り向きもせずにそのままリュックとヴァイオリンケースを持ち上げる。 「にししししー☆」 耳元で刹奈は笑うと、そのままアタシの肩から飛び降り、そのままの勢いで夢絃の元へ走る。 そんな二人をアタシはただ真っ赤になって見送る事しかできなかった。 そのアタシの手元には、MMS TYPE DEVILと書かれたパッケージが残されていた。 戻る / まえのはなし / つぎのはなし
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考えている、アタシこと豊嶋神無は考えている。誰の事を? それはまあ、彼女・・・じゃなくて彼の事を。 「だってさあ、男の子なんだよ?」 数学の吉田先生の方程式をガードするようにノートを立て置き、そんなふうに呟く。はっきりとしない感情。窓際席ゆえの暖房と、意外に暖かい冬の日差しの二重奏にぼんやりするのとはまた別の、良いような悪いような心地。 微音、叩。 「神姫って普通、女の子じゃないの・・?」 ロウの姿を思い浮かべる。顔の造形は女性的。あまり詳しくはないけれど、普通の神姫と変わりはないように見える。けれど、胸はない。父さん曰く「強化改造の影響」ということらしいけれど、そうじゃない気がする。まあ、男か女かなんて、“下の方”を調べてみればわかるはずなんだけど・・ 「できる訳、ないじゃない・・・」 ただ“その辺り”を見つめるだけだって何か恥ずかしいから、わざわざロウ用のショートパンツ作った位なのに、そんな事したら恥ずかしくて死んじゃうよ。 微音、叩、叩。 「大体、触るのだって怖いのに・・・」 ロウは普通の神姫より頑丈らしいし、その手足、後【背中の手】は大きいけど、首とか二の腕とかなんてちょっと触ったら折れちゃいそうなほど細い。すぐ痛がらせちゃいそうで触れない。でも、あの髪くらいなら触っても大丈夫かな? でも、何かヘンな事言われそうで、それが、また、怖い。 「・・・でも、今日手に触っちゃったんだよね・・・。あんな事くらいで喜んじゃって。そう言えば、ショートパンツあげた時もバカみたいに喜んでて・・・」 微音、叩、叩。軽音、叩、叩。快音、叩叩叩叩叩。 「・・・ってうるさいなあ、さっきか・・・ら?」 その音がした方を振り向く。それは窓の方、よく考えればアタシが窓際、しかもここ3階、つまり人がいる訳ない方向。振り向いたら確かに人は居なかった。でも、“居た”。 快音、叩、叩叩。 「・・カンナっ!」 「・・・え、ロウっ!?」 直ぐさま窓の鍵を外して、そっと開く。と・・・ 「カンナぁっ!!」 「うわっ!?」 急、飛込。回避。 「おりょ!?」 通過落下転倒、横転横転、巻込横転薙倒横転転倒横転、横転横転横転。 「きゃあっ!?」 「なんだぁ!?」 「うわ、机が!?」 横転激突、停止。 「ううううぅう・・・」 「・・・ロウ、あんたって・・・」 窓からアタシ目掛けて飛びかかってきたロウを避けたら、ロウはそのまま教室の中に突っ込んで机を吹っ飛ばし、クラスメイトの足を引っかけ、ホコリを巻き上げながらすごい勢いで転がって、教室の反対側の壁で止まった。ノートも教科書も机も椅子も薙ぎ倒されて、教室はメチャクチャ。クラスメイトのあびきょーかんの声。どういう勢いで飛んできたの、あんた。 「豊嶋さん! これは一体なんです!?」 「あ、吉田先生! ええと、まあ、うちの犬です」 「犬ぅ?」 「あー、いたかった。カンナよけるなよ~」 「犬って、神姫じゃん、これ」 クラスメイトが指摘する。いやまあそうなんだけどそうじゃないと言うか・・・。 「・・・ところでさ、ロウ、何しに来たの?」 「カンナのべんとーとどけに!」 確かに大きな手の中にアタシのお弁当箱が握られてる。とりあえず近づいてそれは渡して貰う。 「・・・で、用が済んだなら早く帰る!」 「は~い!」 疾走、跳躍、飛込、消。 また同じ窓から、ロウは北風みたいに飛び出していく。あんまりに唐突な出来事に、誰も声が出せないみたい。 「・・・ええと、まあ、ごめんなさい」 残りの授業時間は、お説教と教室の片づけだけで終わった。 「まったく、あいつったら・・。夕飯ヌキにしてやる」 「まあ、そのお陰で神無はお昼抜きにならなくて済んだんじゃない」 「このぐっちゃぐちゃの寄り弁見てもそんな事言うの?」 机を向かい合わせにしていた秋子にそう言い返す。ご飯とミニハンバーグとポテトサラダとオレンジが混ざっててすごい味がするんだよ、これ。 「でも、神無が神姫持ってるなんて知らなかった。あ、でも犬飼ってるって言っていたね。それがあの神姫?」 「うんまあ・・・。でもあの武装神姫っていうの? あれはしてないよ」 でも、神姫の事であんまり騒がれるのが嫌だったので、秋子も含めて学校では誰にもロウの事は言ってなかった。神姫って高いらしいから、知られると特に男子が騒ぐんだよね。大体あいつみたいなやっかい者の事を人に知られたら恥だし・・・って遅いかもう。 「確かに、神無がそういう事するようには見えない。まあ、私もそうなんだけど」 「え? 秋子にもいるの、神姫?」 「ええ。兄のお下がりみたいなものが、1人」 「どんな性格なの?」 「可愛いよ、人なつっこくて。でもちょっと頑固な所がある」 「ふうん、うちのロウよりはまともみたい」 「そうでもないのだけど・・。でもそんなに変なの、あの神姫?」 「うん、すごく変。だって“男の子”なんだよ? それに騒がしいしものは壊すしごはん犬食いだし・・・」 「男の子? そんな事もあるの?」 「あるみたい」 「ふうん。でもそう、“男の子”ね・・」 「?」 「なあなあ!! あの神姫って豊嶋のものなんだろ? カッコイイな!」 「へ!? あ、うん?」 突然、甲高い声が耳元を直撃。見上げると居たのはクラスメイトの男子。ええと確か相原武也君(男子の名前なんて全員は覚えてないや)。いきなり馴れ馴れしく話しかけられて、ちょっとびっくりする。 「俺も神姫持ってるんだけどさ、あのハウリン、見た事もない武装だよな? 何処で手に入れたんだ? バトルやらないか?」 「いや、あれ父さんが会社から連れてきた試作品?だから売ってないし、そのバトルってのもちょっと出来ないんだよね。アタシはマスターとか言うのじゃないし」 「え!! 豊嶋の親父って神姫メーカーに勤めてんの? 嘘!? 何か非売品パーツとかも貰えるの!? いいな、俺にも少し分けてくれないか?」 あ、やばい言っちゃった。だから神姫の事言わないでいたって言うのに。 「いや、そういうのはちょっと・・・」 「じゃあ、バトルだけでもしない? レギュレーションがマズイならフリーバトルでいいしさ。あ、もちリアルバトルは無しな、今修理中のパーツがあるしセッティングも・・」 「いやだからムリなんだってば・・・」 なんかよくわかんない単語の連続と、そもそもよくわかんない男子に話しかけられるウザさでちょっと嫌になる。けど相原君のこの勢いをどうやって止めれば・・・ 「・・・私の神姫で良ければ、会わせてあげてもいいわ。直接、バトルは無理だけれど、装備やバトルデータ共有で参考にはなると思う」 「何? 法善寺も神姫持ってるの!? だったら・・今度お前んちに行ってもいい?」 「え、あの、いやそれは・・・」 「お~い武也、体育館行こうぜ!」 「ああ、今行く! じゃあ、法善寺また後でな!」 そう言って、友達に呼ばれた相原君は教室から走り去って行った。 「う~ん、言うだけ言って帰るし。でも、良かったの秋子? あんな事言っちゃってさ」 「・・・私の神姫、ちょっとバトル嫌いなだけだから」 「いやそうじゃなくって相原君を家に呼ぶって話。秋子って、男の子と遊ばないでしょ普段。神姫の事も隠してたんだから、そっちに興味ある訳でもなさそうだし。アタシを庇ったって言うなら後でアタシが断るよ?」 「そうじゃないの。ただ、ちょっと相原君に興味があるだけ」 「・・・あ、なるほど。秋子って相原君好きなんだ」 「・・ちょっと、興味があるだけだって」 クールな秋子が珍しくしおらしい顔を見せる。そういうのまだ興味ないんだって思ってた。でもそんな事も無いよね。 「うん、わかった。出来る事があったら応援するよ」 「それはいいけれど、神無は、自分の事も考えた方が言いよ」 「へ? どういう、意味?」 「え!神姫での犯行だったんですかあの窃盗!!」 豊嶋甲の裏返った声が、BLADEダイナミクス第4研究部に木霊する。周りの部下に変な目で一瞬見られるが、部長が変なのはいつもの事と、すぐに視線は消える。 『ああ、私がずっと犯人を追っていたんだ。そちらの方は処理出来たんだが、それよりちょっと気になる事があってな』 甲がパソコンに写した複雑な面持ちを知ってか知らずか、ボイスチャットの相手は少し重い声色に変わる。 「気になるって、もしかして犯行に使われた武装神姫の事ですか、“ファナティック”さん?」 甲は画面の向こうの低い電子音の主、ネットハッカー“ファナティック”に問いかける。“彼”はハッカーとは言え通常のそれとは毛色が違い、メーカー等関係者への有用な情報提供、ネットに漂う違法神姫サイトのクラッキングなど、MMS、特に神姫を守護する存在として有名だった。甲自身も研究の支援を受けた経緯があり、“彼”には無二の信頼を寄せていたのだ。 『いや、それを破壊した者の事だ。お前の神姫、確かロウ、と言ったな』 「ええまあ。ってロウがどうかしたんですか?」 『そのロウが、犯人の神姫を破壊した』 「へ!? ロウが!? そういえば庭に何か居たとか・・・でも何も無かったしなぁ・・・」 『それは私が回収した。犯人を追跡する途中で、その現場を目撃したんだ。どうもお前の家に盗みに入る所を、ロウが阻止したらしい』 「うちに盗みに? 本当に入ってたのかよ・・・」 『問題は其処じゃない。その神姫が、“自分の同類である神姫を何の躊躇いもなく破壊した”と言う事だ』 「・・・どういう、事ですか? 大体ロウはそんな凶暴な訳ないし・・・」 『その神姫は、“神姫を認識していない”。認識していなければただの人形と同じように“壊せる”。それどころか下手をすれば人間にも危害を加える可能性がある』 「う、嘘でしょ!?」 思わず甲は画面にかぶりつく。 『その神姫は、論理プロテクトが外れている可能性がある。いや・・適応されなくなった、とでも言った方が正しいか。確かその神姫は、自分の事を“男”と思っていると言っていたのだったな?』 「変な話だと思うけど、別にいっかと思ってたんですが」 『・・・普通はもっと怪しむがな。ともかく、そいつにお前は「留守中の家を守れ」と言ったのだったな』 「ええまあ、犬だし、昼間うちは蒼とロウしかいないから、家を守るのはお前の役目だって言ったけども確か」 『つまりはその“家を守る”為なら誰を傷つけても何とも思わないという事だ』 「そんな! そんな事、出来る訳・・・」 『“人間”ならば家族を守る為になりふり構わず、なんて事は普通だろう? いや、もっと残酷な手段であろうと日常茶飯事ではないか? “G・L”に感染しているとすれば、そんな事も有り得るんだろうな』 「へ? “G・L”って何のことで?」 『後で話す。まずは確認してからだ。今からその神姫に会う』 「ロウに会うって・・・」 『お前の家が近いと判ったからな、もう家の近くに来ている。もうすぐ・・・』 「もうすぐ・・・ 来たわね」 塀の上を歩いて来る影を見つけ、アニーはボイスチャットを一旦保留する。【玉座】を操作して、緩い速度で、その影へと近づく。 「ガッコってとこ、おもしろそーだな、カンナもいるし。もっといたかったけど、でもカンナがかえれっていうし・・・」 「はあい、あなたがロウ君ね」 「? あんただれだ? ロウとおんなじか? おんなじみたいなにおいがする」 「・・ふうん、自覚もあるんだ。それにジャミング無しでも“2次感染”もしない、本物ね、“G・L”だわ」 「だから、あんただれ?」 「ああ、ごめんなさい。あたしはアニーちゃんって言うのよ。あなたに大事な事を教えに来たのよ」 「え!! それってセンセってやつか! ガッコでいろんなことおしえてくれるひと!」 「先生? まあ、そうとも言えるかもね」 「やったー! これでおれもガッコにかよえる~!!」 「え!? いや、そういう事じゃないんだけど・・・」 「そうすれば、ずっとカンナといっしょだ!」 彼女、いや彼の名はロウ。それは「狼」ではなく、「浪」でもなく、「桜」でもなく、「Law」でもなければ、「Low」でもない。「ろー」、それはただ家族の為にある名。 ・・・“男”としての誇りに満ちた名。 “女性”を失い、同族を握り潰し、そして己が身すら省みる術を知らない。だが、家族があり、誇りがあり、・・・そして“愛するもの”が居る。 その“心”の何処が、劣ると言えるか? その心の何処が、狂っていると言えるだろうか? 答えを出せる“人間”は居ない。 ―第1章 狂犬 終― 目次へ
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キズナのキセキ ACT0-3「アイスドール」 ◆ 右の武装脚を踏み込み、ほんの少しだけ身体を宙に浮かせる。 間髪入れずに、背部の増設バーニアを噴射。 地を這うように滑空し、猛スピードで対戦相手に肉薄する。 「くそっ!」 小さなつぶやきと同時、対戦相手のジルダリア型のハンドガン「ポーレンホーミング」から、弾丸がばらまかれてくる。 それを錐揉みしながら回避、逆にこちらも機関銃を構え、撃った。 ジルダリアは防御の姿勢。 数発着弾。花びらを模した装甲に阻まれ、ダメージにはほど遠い。 だが、足は止まった。 間合いを取ろうとしていたピンクのジルダリア型は、その場で相手を待ち受けざるを得なくなった。 両腕にマウントされた剣「モルートブレイド」を構える。 そこに白亜の神姫が飛び込んできた。 背後から伸びるサブアームを前方でクロスし、そ のまま体当たりしてくる。 「くうっ!」 たまらず声を上げたのはジルダリア。 力任せの体当たりを防御するも、弾き飛ばされる。なんとか空中で姿勢を制御した。 背面に取り付けられたリング状の武装は、花びらを模した武装が取り付けられており、推進器の役割も持つ。 その「フローラル・リング」はジルダリアの代名詞とも言える武装だ。 姿勢を取り戻したジルダリア型だったが、しかしこのタイミングは、迫る白亜の神姫にとって得意のパターン。 さらに踏み込んできた白い神姫は、サブアームを振り抜いた。 鋭い指を揃え、突いてくる。 この抜き手は狙いを外さない。 反射的に身をよじったジルダリアの身体をかすめ、背後のフローラルリングを打ち砕いた。 「しまった……!」 ジルダリア型の驚きを気にも留めず、白い神姫は間髪入れずに、逆の副腕で抜き手を放つ。 狙いは胸部。その奥のCSC。 あやまたず放たれた抜き手は、無慈悲にもジルダリア型の胸を貫いていた。 勝利したのは、白いストラーフ型。 その名を、ジャッジAIが画面に表示する。 『WINNER ミスティ』 ◆ 「いやー、まいったまいった」 頭を掻きながら筐体から離れた男が言う。 先ほどの、紅とピンク色にリペイントされたジルダリア型のマスター・花村耕太郎である。 彼の神姫・ローズマリーも、今は彼の肩の上でうなだれていた。 「今日はいいところまで行ったのに……」 ここのところ、ミスティとの対戦は連敗である。彼女は急速に力を付けてきていた。 「強くなったなぁ、久住ちゃん」 「いえ……わたしなんてまだまだ……」 セミロングの髪を上げ、花村を見る少女は、まだ中学生である。 控えめな口調で謙虚な言葉を口にする。 『七星』の一人を破ったというのに、久住菜々子は笑わない。むしろ、せっぱ詰まっている様子さえ見て取れる。 実際、菜々子はこの対戦に満足してはいなかった。 ローズマリーはノーマルのジルダリア型だ。各部の調整と細かなメンテナンスでポテンシャルを引き出し、知略戦略で戦う。 そのバトルスタイルについては、菜々子は大いに花村を認め、参考にもしていた。 菜々子はまだ中学生で、ミスティを満足にカスタムしてあげられない。わずかに、強襲用の背面ブースターを追加したのみだ。 だから、ノーマルでも強い花村は、今菜々子が目指すべき神姫マスターと言える。 だが、実力があるかどうかは話が別だ。 花村も『七星』の一人ではあるが、まだ二つ名もなく、他のメンバーに比べると実力は劣っている。 カスタムを施された神姫たちがひしめく、他の『七星』たちに勝つためには、現状で満足しているわけには行かない。 もちろん、この時の菜々子は、後に花村たちが『薔薇の刺』の異名を取るなどとは知る由もなかった。 とにかく、菜々子はバトルロンドで強くなることに必死だった。 それには理由がある。 「菜々子、絶好調じゃない」 「あおいお姉さま」 菜々子はそこでようやく、ほっとしたように微笑んだ。 『七星』一人・桐島あおい。 彼女の側に居続けるために。 彼女のパートナーであり続けるために。 菜々子はどうしても強くならなければならなかった。 ◆ 久住菜々子が想像していた以上に、『ポーラスター』における桐島あおいの人気は絶大なものだった。 ゲームセンター『ポーラスター』の神姫マスターの間で、『七星』のメンバーであれば、それだけで羨望の的だ。 彼らは『ポーラスター』に集う神姫マスターの代表である。バトルの実力ももちろんだが、それぞれのやり方で『ポーラスター』の対戦レベルの向上を図っている。 たとえば花村は、ノーマルあるいは公式装備にこだわるマスターたちのまとめ役である。彼を中心に研究グループができ、日夜ノーマル装備の可能性を探っている、という具合だ。 桐島あおいは、バトル初心者を見つけては声をかけ、バトルの講習を行い、対戦の面白さを知ってもらう活動を行っている。 そして、ゲームセンターへの定着をはかり、仲間を増やしていこう、という魂胆だ。 菜々子はあおいの魂胆にまんまとはまってしまったわけだ。 だが、その魂胆にはまったのは菜々子一人だけではない。まだ初級者に分類されるマスターたちの半分以上が、あおいの受講生だと言うから驚きである。 楽しく優しくレクチャーしてくれるあおい先生が、人気がないはずがない。 受講生たちはほとんどが桐島あおいのファンだ。特に女の子たちは、あおいの取り巻きとなっている。 もちろん、彼女の人気は女子だけに留まらない。 あの美貌、あの気立てのよさ、である。あおいとお近付きになりたいと思う男性マスターは大勢いた。 そんなわけだから、ゲーセンにいるときのあおいは、常に人に囲まれていると言っても過言ではない。 つい先日まで、あおいがその輪から離れることはなかった。 そう、久住菜々子と出会うまでは。 菜々子が『ポーラスター』に現れて以来、あおいは菜々子との時間を優先するようになった。 対戦していないときは、もっぱら菜々子の側にいる。 バトルロンドでは、ツー・オン・ツーのタッグバトルでコンビを組んでくれるし、対戦を希望すれば必ず相手をしてくれる。私的な練習にも、まめに付き合ってくれる。 しかも、タッグバトルのパートナーは、『七星』のメンバー以外では、菜々子とだけしか組まなくなった。 菜々子をひいきする理由をあおいに問いただしても、笑ってはぐらかされる。 当然、あおいの取り巻きをしている少女たちは面白くない。 彼女たちの矛先は、自然、菜々子に向けられた。 菜々子に対する「特別扱い」をやっかむ陰口は毎日のことだった。 また、ことあるごとに……いや、何もなくても、あおいの取り巻きたちは菜々子にしょっちゅう難癖を付ける。直接不満をぶつけに来る。 「いい気にならないで! あおいお姉さまはあなたのものじゃないのよ!?」 「……あなたたちのものでもないでしょう」 「みんなのものよ!」 「……お姉さまは、お姉さまのものだと思うけど」 「まあっ、生意気に言い返すつもり!? だいたい、あんたなんか、お姉さまのタッグパートナーに不釣り合いなのよ!」 「じゃあ、誰だったら、お姉さまと釣り合うの?」 そう言われると、取り巻きたちは声を詰まらせざるを得ない。 『七星』や上級者の常連ならともかく、初級者に毛が生えた程度の取り巻きマスターたちでは、タッグマッチでルミナスの足を引っ張るのがオチだ。 そう言う意味では、今一番の成長株と目される菜々子は、あおいのパートナー候補になりうる。 また、それなりの美貌がなければ、あの桐島あおいの隣に並んでも見劣りしてしまう。 本人が考えたことはないが、その点でも、菜々子は及第点をクリアしていると言えよう。 だからといって、やっかみの声が静まることはない。 菜々子は表立って反論するようなことはしない。そんなことをすれば、火に油を注ぐだけだとわかっている。 では、どうするか。 実力で黙らせる。 バトルの実力で、お姉さまの側にいるのにふさわしいことを証明してみせる。 『七星』なれるほど強くなれば、きっと誰もが、自分をあおいお姉さまのパートナーとして認めざるを得ないだろう。 だから、菜々子は最短距離で強くなろうとした。 その結果、彼女のバトルスタイルは、相手の弱点を容赦なく突き、勝ちばかりを求めるものになっていた。 だが、そんな菜々子のスタイルに、当のあおいお姉さまは難色を示す。 あおいが菜々子に求めるバトルスタイルは、勝ちばかりを意識したものではない。 それは「魅せる戦い」だとあおいは言う。 しかし、菜々子にはその意味が、よく分からない。 ◆ 「久住ちゃんも強くなったよな。そう思わないか、お姉さま?」 あおいと花村は並んで、観戦用の大型ディスプレイを見上げていた。 ディスプレイには、ミスティの戦いぶりが映し出されている。 現在、三連勝の表示。 「……まだまだね」 「手厳しいな。君の妹分だってのに」 「自分の身内に対しては、容赦しない主義なの」 「それは久住ちゃんがかわいそうだ……また勝つぜ」 その言葉とほぼ同時、ミスティは必殺の抜き手を放ち、相手神姫を撃破した。 連勝表示が一つ増え、四を示す。 「ほら。もう、常連の中でも頭一つ抜きんでてる感じだ。相手になるのは『七星』ぐらいじゃないか?」 「そうかもね」 「……だから、みんなに提案がある。俺は久住ちゃんを『七星』に推薦したい」 「え?」 あおいは花村を見た。 そして、その場にいた、『ポーラスター』の『七星』のメンバーたちも。 その時点での『七星』のメンバーは、花村とあおいを含めて六人だった。 「今日、招集をかけたのはそれか、花村」 「そうだよ」 武士型のマスターである『七星』メンバーの言葉に、花村は頷いた。 『七星』のメンバーに加入できるか否かは、メンバーの合議によって決まる。 といっても、堅苦しいものではない。誰かが推薦して、「いいんじゃない?」といった感じで決まることがほとんどだ。 「『七星』は今六人。久住ちゃんが加われば、人数的にもちょうどいい。 それに、彼女の向上心は、他のプレイヤーたちにもいい刺激になるんじゃないかな」 「なるほど」 「確かに」 「異議なし」 他のメンバーも、花村の意見に頷いている。 確かに、最近の菜々子とミスティの成長には、目を見張るものがある。 あおいの取り巻きたちと比べても、あきらかに一線を画した実力だ。あおいのパートナーを目指すマスターは他にもいるが、実力的にも相性的にも、菜々子に匹敵する者はいない。 他の『七星』に比べれば、まだ見劣りする実力も、すぐに追いつくだろう。 そして、菜々子自身、『七星』になることを望んでいる。 反対する理由は何もないように思えた。 だが。 「わたしは反対」 そう言ったのが、当のあおいであることに、花村は驚きを隠せない。 「どうして? 桐島ちゃんが一番喜んで賛成すると思っていたのに」 「まだ早いわ」 「そうは思わない。彼女は十分に強いじゃないか」 「確かに強くなった……でも、足りないものがあるのよ」 「足りないもの……?」 「あの子はまだ、勝ち負けしか見えていない。強いだけじゃ、ダメなの」 ミッションモードで乱入待ちをしている菜々子を見る。 バトル中の彼女は、いつも真剣な表情でディスプレイを見つめている。何か思い詰めたような様子さえある。 あおいは小さくため息をつき、菜々子の向かい側へと歩み寄る。 「菜々子」 「お姉さま」 「次、対戦、いい?」 「どうぞ……真剣勝負でお願いします」 「わかったわ」 あおいは鮮やかな笑みを見せて、向かいのシートに座った。 肩にいる自分の神姫を、アクセスポッドに寄せる。 「行くわよ、ルミナス」 「はい、マスター」 その後、ものの三分とかからず、ルミナスはミスティを撃破した。 菜々子はいまだに、本気のあおいに一度も勝てなかった。 ◆ 「だから、ただ勝てばいいってものじゃないのよ。もっと楽しまないと」 「それがよくわかりません。勝つこと、イコール、楽しいことじゃないんですか?」 「勝つだけが、バトルロンドの目的じゃないわ」 対戦後、自動販売機のあるコーナーで、冷たい飲み物に口を付けながら、二人は話していた。 幾度となくかわされた会話であるが、お互いの意見は平行線である。 あおいは、武装神姫のバトルには、勝敗以上の何かがあると思っている。 その「何か」を説明するのがなかなか難しい。 たとえば、自分の力を出し切ったときの充足感とか、自分の戦術が見事に当たった瞬間の気分とか、自分と神姫がまるで以心伝心のように意志を伝えあったときとか、自分の成長を感じられたときの嬉しさとか、そういったものだ。 それを感じることこそ、武装神姫の醍醐味、とあおいは思っている。勝利はその延長上にあるものにすぎない。 それを菜々子にも分かってもらいたい。 だが、我が妹は、そのことをなかなか分かってくれない。彼女は勝利を第一優先にしている。 対戦において勝利第一主義が悪なわけではない。ただ、あおいの主義と合わないだけだ。 だからこそ、菜々子の説得が難しい。 あおいはため息をついた。 「だから『アイスドール』なんてあだ名されるのよ」 「アイスドール?」 「あなたの異名。氷のように表情を変えずに、容赦なく弱点を攻撃する。まるで感情のない人形のように。だから『アイスドール』」 二つ名は、尊敬の意味を込めてつけられる場合が多い。 だが、菜々子のそれは、皮肉が込められている。そんな戦い方で楽しいのか、と。 また、ゲーセンでの菜々子は、あおいの側以外では、あまり表情を変えない。それは先日の悲しい出来事に起因しているのだが、知らない人の方が多いのだ。『アイスドール』の二つ名は、そんな普段の様子も揶揄されている。 しかし、菜々子はのんきにコメントした。 「へえ……ちょっとかっこいい、ですね」 そう言って小首を傾げた菜々子はとても可愛い。 あおいはがっくりと肩を落とした。我が妹は、二つ名の裏の意味にまったく気がついていないようだ。 あおいは頭に手を当てて、悩む。 どうすれば菜々子に、自分の考えを分かってもらえるのだろう? ◆ マスターたちの悩みをよそに、ミスティとルミナスはのんきに話をしている。 神姫である彼女たちも、マスター同様、すこぶる仲がよい。 お互いのマスターの肩の上で、マスターたちの話の邪魔をしないように、極長調波の音声で会話をしていた。 「まあ、わたしは『アイスドール』のままでもいいんですけどね。勝てているし」 「そうねぇ。わたしたちと肩を並べるために、まずは勝ちに行くっていう菜々子さんの考えも一理あるわよねぇ」 ルミナスはアーンヴァル型のカスタムタイプである。 本来、アーンヴァルは長距離射撃を得意としているが、マスターであるあおいの趣味で、中距離から近接格闘戦ができるような装備にカスタムされた。 背面の大型ブースターを、小回りの利くバーニアに変更。武装も、ロングレンジライフルを廃し、中距離向けのビームライフルなどに変えている。 コンセプトは最近発表されたアーンヴァルmk2に近い。 ルミナスの戦い方は「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を実現したようなスタイルだ。 最高速度の加速を捨て、機動力重視の推進を手にしたルミナスは、あおいの指示のもと、飛行機のアクロバットさながらの機動を見せる。 そして、急加速による接敵からの近距離戦に移行する動きは鋭い。 こうした機動を緩急つけて行うことで、ルミナスはあたかも空中で舞っているように見えるのだ。 その空中の舞を駆使した戦いぶりは、美しく、そして強い。 あおいとルミナスは、その戦い方から、『月光の舞い手(ムーンライト・シルフィー)』と呼ばれていた。 「わたしたちの戦いぶりと比べると、あおいさんとルミナスの戦い方は真逆ですけど」 「だからこそ、タッグバトルで噛み合うってのはあるわよね」 「わたしもそう思います……あおいさんは、何が気に入らないんでしょう?」 「ミスティに、わたしたちと同じような戦い方をして欲しいんじゃないかな」 「それは無理でしょう……うちのマスターの性格からして」 二人の神姫は、人には聞こえない声で、笑った。 ◆ 「今の、ルミナスとミスティのタッグは、こんな感じね」 あおいは、ルミナスを示す右の指をくるくると回して螺旋を描き、その螺旋の中心を貫くように、ミスティを示す左の指を一直線に動かした。 「コイル……ですか?」 「え? ああ……そうね、電磁石みたいね」 「勝ちがいくらでもくっついてきそうです」 我ながら、つまらないジョーク。 でも、電磁石で何の問題があるのかわからない。 華麗に舞うルミナスと、容赦なく敵を倒すミスティ。 そのミスマッチこそ、このペアの強さだとも思う。 だが、あおいはまた両手の人差し指を動かした。 「わたしが望むタッグバトルは、こんな感じ」 両手の指が、今度は互い違いの螺旋を描く。時に近づき、時に離れ、模様のような立体図形が宙に描き出された。 「二重螺旋……?」 「ああ、なるほど……遺伝子に似ているわね。 そう、二人が一緒に魅せる戦いをすれば、試合はきっと、勝ち以上のものに進化するでしょうね」 そう言って、あおいはにっこりと笑った。 「息のあったパートナー同士のタッグバトルは、すごいわよ? それはバトルなのに、まるでダンスを踊っているように見える……とても美しいの」 「……美しい?」 「そうよ」 自信たっぷりに頷いたあおいに、菜々子は首を傾げる。 菜々子は、そんなバトルをしたことがなかったし、名勝負と語り継がれるような試合を見たこともなかった。 戦闘行動は、その時どきの状況によって刻々と変化する。 それなのに、パートナーと息を合わせて戦うなんて、できるだろうか。 もちろん、菜々子とあおいのコンビは、ここ『ポーラスター』でもトップクラスの実力である。バトルの時のルミナスとミスティは息が合っていると思う。 これ以上、何が足りないというのだろうか。 「きっと、菜々子の戦い方には、個性が足りないんだと思う」 「個性?」 「そう。ミスティは、ストラーフ型の戦い方としてはすごく真っ当だけど、それは誰もがどこかで見たことのあるストラーフに過ぎないわ。サプライズが何もない」 「……でも、わたしは、お姉さまのように華麗な動きを指示できません」 困ったように言う菜々子に、あおいは苦笑した。 「わたしの真似をする必要はないわ。まずは、あなたらしい戦い方を模索してご覧なさい」 「わたしらしい……戦い方……」 それこそが今の戦い方なのではないかと思うが、違うのだろうか。 おそらく違うのだろう。ステレオタイプなストラーフの戦い方は、誰にでもできる、ということなのだ。 だけど、菜々子らしい戦い方、というのは、なんなのだろう? 「それができるようになったら、菜々子を『七星』に推薦するわ」 「えっ……」 「どう? もう少し頑張ってみる?」 「はい!」 微笑むお姉さまに、元気に返事をした。 他でもないお姉さまが『七星』に推薦してくれるというのだ。 そうなれば、誰に恥じることなく、あおいお姉さまのパートナーと名乗ることができる。 菜々子は俄然やる気になった。 その日から、菜々子とミスティの、オリジナルな戦い方を模索する日々が始まった。 □ 「ひとつ疑問があるんですが……」 「何かな?」 「桐島あおいは、なんで久住さんにこだわったんでしょう?」 ここまでの話を聞いて、俺が一番気になったのはそこだった。 ただ仲がいい、とか、お気に入り、と言うレベルを超えている気がする。 長い付き合いの他の常連たちを差し置いても、菜々子さんを特別にかわいがる理由が、何かあるのではないか。 花村さんは、少し考えてから、言った。 「……たぶん、桐島ちゃんは、久住ちゃんに自分を重ねていたんじゃないかな」 「……?」 「桐島ちゃんも、幼い頃に両親を亡くして……祖父母の元で暮らしてるって聞いたことがある。 あの頃の、打ちひしがれた久住ちゃんを見て、桐島ちゃんは放っておけなかったんだと思うよ」 なるほど、と俺は頷いた。 桐島あおいは、自らの境遇を菜々子さんに重ねていた。だからこそ、献身的に菜々子さんを支えていた。 菜々子さんも、桐島あおいの事情をいつか知ることになったのだろう。 武装神姫だけでなく、身の上でも、二人は共通の思いを抱いていたのだ。 二人が急速に惹かれ合い、寄り添ったのにも納得がいく。 それにしても。 花村さんが話してくれる菜々子さんの過去は、実に興味深い。 『ポーラスター』で過ごした菜々子さんの様子は、今の『エトランゼ』の戦闘スタイルが形作られていく過程だ。 スタンダードなストラーフ型のバトルが、いかにしてあのトリッキーかつパワフルなミスティのバトルへと変化するのか? 俺は期待を込めつつ、花村さんの声にまた耳を傾けた。 次へ> Topに戻る>