約 220,412 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2446.html
MMS戦記 コメントログ コメントに書き込みを頂いた過去ログをこちらにまとめました。 たくさんのコメントありがとうございますね。 コメントページ修正しました。お手数おかけして申し訳ございません -- カタリナ (2011-01-15 12 00 26) いつも良いところで墜ちるアオイさん。今度は頑張って!w -- 名無しさん (2011-01-23 20 04 02) チーム名w -- にゃー (2011-01-24 00 18 02) 面白く成ってまいりましたなぁ、艦の沈め方のセオリー通りですなぁ…それにしても、ナウシカを思い出した私は旧い地球人(笑) -- 触神 (2011-01-24 20 17 10) >名無しさま ありがとうございます。まあ、どうなるかはお楽しみに・・・ -- カタリナ (2011-01-25 00 25 23) > にゃーさま 名前が適当なのは仕様ですww -- カタリナ (2011-01-25 00 25 53) > 触神さま なんと脆い船じゃ・・・ はい、実はこのシーン、ナウシカのバカガラス襲撃シーンを参考にしています。大当たりですwww次回もお楽しみに!! -- カタリナ (2011-01-25 00 27 30) 定期便なんて言われて居るからしっかり対策立てられるんだな(笑)、風穴空いたからこその反抗だとしてもね、高度が有ったらアノシーンに成るんでしょうが、爆撃がメインじゃむりか、あぁ楽しきかな大規模戦闘、続きが楽しみです -- 触神 (2011-01-29 12 49 58) >触神 さま 定期便、対策は立てやすいですが、それは向こうも襲撃を予想しているので、なかなかハードな戦いになりますよー大規模戦闘、武装神姫は基本は1対1の戦いがメインですが・・・それだといろいろ縛りが出そうなんで、あえて私は大規模な戦闘を描いてみました。最近のゲーセンもオンラインで10体10とかの戦闘とか普通にあるので、ノリはそんな感じです。戦場の絆とかボーダーブレイクとかww武装神姫も多分、そんな感じで戦うと思うのでなるべくリアルに戦闘とか表現しようと思います。次回もお楽しみに!! -- コメント返し (2011-01-30 22 44 04) 確かにニーズに沿ったサービスですよね、戦艦武装はタイマンでは成立しませんから(笑)こう言った所から発生した需要と考えれば更にリアリティーが増しますねぇ〜、正に大戦略(爆)戦記の名に負けぬ様に頑張って下さい -- 触神 (2011-02-02 14 01 42) > 触神さま 大型の戦艦型神姫、もちろんタイマンでも倒すことは可能です。この戦艦型神姫を単体で倒せるかどうかが、強神姫かどうかの境目ですね。他所さまの神姫の世界観ではこういった大型の神姫は存在しないので、また違った楽しみ方があると思います。次回もお楽しみにww -- カタリナ (2011-02-02 22 34 11) 初めまして。夜虹というものです。話を最初から読ませていただきました。 序盤からコアの性格にとらわれない性格の神姫が多いですね。しかし、その実力は本物。 単純なブラフのために無駄な武器を持ったり、わずかな隙を突いたりと展開が面白いですね そしてチーム名はすごく適当だったり、ちゃんとしたものだったりカオス極まりないですね。それはそれでメンバーの性格が出ていていいものではあります。 それでもそれぞれチームの性格が分かれていていい勝負になっていてよかったと思います。今後が気になるところです -- 夜虹 (2011-02-03 05 39 23) >夜虹さま ありがとうございます。我が家では初期の性格はコアに忠実ですが・・・年月がたってくると変化してくるといった感じです。戦いの流れや戦闘シーンは実際にゲームとか喧嘩、日常のなにげない駆け引きとかそういうのを参考にしています。チーム名や神姫の名前は適当です。特に深い意味はなかったり・・・今後ですが、私はいいかげんであんまり考えていないので、成り行きで物語を進めるので、私も今後どうなるかは決めていませんし、知りません。どうなるんでしょうねーーー -- カタリナ (2011-02-04 23 32 07) にやーと冷たく笑う内野さんに惚れそうです。 この人達は神姫を使い捨てにしているようですが、複数所持していて用途別に使い分けしているのでしょうか。 冷酷に見えますが戦艦型相手ならこの作戦も仕方無いでしょうね。 -- 名無しさん (2011-02-13 01 17 26) >名無しさま 使い捨てではないですよー、我が家の神姫バトルはリアルバトルがメインですが、壊れたりした場合は修理して何年も大事に戦わせています。複数所持しているオーナーさんも多いですし、作戦や戦術によって神姫や武装はもちろん使い分けています。いろいろなオーナーや神姫が登場するので次回もお楽しみに!! -- カタリナ (2011-02-17 22 42 45) 海外の映画的なセリフ回しに痺れます。 -- 名無しさん (2011-02-20 01 03 22) >名無しさん アパーム!!弾を持ってこいーですけどねww -- カタリナ (2011-02-20 01 12 16) 軽白子隊の壮絶な戦いに興奮しました!w我が家の軽白子隊もこういう感じのバトルを想像しているので最高ですw -- ユキナリ (2011-03-24 17 36 51) >ユキナリさま ありがとうございますw結局、ドセットにトドメを刺したのは、名も無き軽白子でした!!そして次の瞬間バッラバラに・・・軽白子は群れるのが前提の設定なので多分、こういう使われ方するんじゃないかなーと思いました。 -- カタリナ (2011-03-26 19 54 27) バトル中にだべりだす…wデボラさん達のイメージが変わりましたwガーリオンの皆さんも普段は普通に可愛い娘さんなのかもしれませんねw -- ユキナリ (2011-04-24 12 14 55) >ユキナリさま まあゲームですし、みんななりきって遊んでいるといった感じですねー遊びゆえにいろいろと真剣ですがww我が家の神姫はみんな可愛いよ! -- カタリナ (2011-04-27 00 12 21) ウォースパイトさん…本当にいつもご苦労様です…。神姫界でヤムチャ的活躍が、すっかり板についているような気がしますw本当は凄い強いと思ってますがw -- ユキナリ (2011-05-05 12 28 29) >ユキナリさま 強いザコ!!強いけどやられるシーンが多いだけです。気にしないでくださいw -- カタリナ (2011-05-05 20 10 10) お疲れ様でした、楽しませて貰いました、時間切れと言うなんともリアルな終わり方でしたなぁ〜でも其処が又良い(笑)、しかしまぁ此処まで壊れたら修理不能な神姫も居るんじゃ無いですかねぇ? -- 触神 (2011-05-07 07 49 48) >触神さま まあ、よくあることですよねーさて、我が家のバトルは基本、リアルバトルで実弾や実剣を用いてガチンコバトルするのですが・・・めちゃめちゃに破壊されてもちゃんと元通りに直してあげるのが、マスターの勤めとたしなみでもなります。後、壊れてもしっかりと修理してくれるサービスや体制が整っているので修理不能で起動できない神姫はほとんどいません。所詮神姫は機械ですし、壊れたら直せばいいだけですし、記憶もコピーして残せますしー -- カタリナ (2011-05-08 12 00 53) 深夜0時に現れるステルス神姫…あの人ですねw今回も同時に大量破壊を示すテロップ列が…w同時破壊によるテロップ列は見ていて爽快ですwでもマスターの方は、いつかへこませたいと言う衝動がwイケメンは敵!w -- ユキナリ (2011-05-09 17 42 05) >ユキナリさま 同時破壊のテロップの元ネタはボーダーブレイクだったり!!!深夜0時に現れるステルス神姫・・・・さてさて・・・イケメンマスターというか、痛いマスターというか・・・とりあえずお楽しみに!! -- カタリナ (2011-05-09 23 35 46) 伊藤勝成さん、格好いいご老人ですね!私も2041年だと、この方と同じぐらいの年齢になっていますw少し下ですがwこんな老人になりたいものです。夜帝討伐隊第2陣と言った感じですが今度はとても優秀な軍師を交えての作戦、楽しみにしています! -- ユキナリ (2011-05-15 11 54 23) >ユキナリさま ありがとうございます。老若男女神姫を持っているという設定です。今回は将校型神姫が参戦です。他の神姫とは一味違う戦いをご覧ください。 -- カタリナ (2011-05-21 19 32 37) これは!w非常に興味を持っていた非公式バトルの話がついに作品化!行為の傍らに残骸となった神姫があると言うシチュエーションが最高ですwそして挿し絵付き!カタリナ様の描かれる女性キャラクターは本当に魅力的です。続編も楽しみにしていますw -- ユキナリ (2011-05-22 12 37 42) 駆逐艦型は無いのですか? -- げしもちゃん (2011-05-22 13 54 28) >ユキナリさま 禁断の非公式バトルロンド・・・実は前から構想は練っていたのですが、中途半端にするのはイヤなのでいろいろなゲームやマンガを見て構想を練り直し、かなりハードで危険な本当の意味での裏の非公式バトルロンドをやってみようと思います。戦いはよりハードに、敗北者には相応の代価を、ボリュームたっぷりのスケールで満足できるようなお話をしようと思っていますのでお楽しみに・・・・ -- カタリナ (2011-05-23 23 16 14) >げしもちゃんさま 語るとうるさくなるのですが・・・我が家には多種多様な艦艇タイプの神姫がいます。とりあえず主力と呼ばれる大型艦艇神姫。航空母艦型神姫・戦艦型がいます。そして補助艦艇、潜水艦型神姫や輸送艦型神姫などがいます。また現在新たにオンステージに、コルベット艦型神姫と強襲ホバークラフト型新規と呼ばれる。新型の艦艇タイプの神姫を製作・量産しました。詳しくはブログ等でチェックしてくださいwww -- カタリナ (2011-05-23 23 21 52) カタリナ信者の僕が来ました -- 名無しさん (2011-05-28 20 18 05) 参加する女性への品定め役が居るんですね、確かにこのシステムなら自然に美少女が集まってきますね!その品定め役の醜男さんいい味していますねw私はキモい男が美少女を無理やりとか悪臭で歪む表情とか大好きなので彼のような存在は嬉しいですねwキツい悪臭を嫌がっているルカさん可愛かったですwもし私が参加し勝ったなら、醜男さんと相手オーナーを絡ませじっくり見物したいですw自分は手を出さずにw -- ユキナリ (2011-05-29 11 19 39) >名無しさん様 信者ってwwwありがとうございますww -- カタリナ (2011-05-30 23 27 05) >ユキナリさま まあ、エロゲでもよくいますよねwwこういうキャラwwこおういう汚れ役はいたら便利ですww何かとwww -- カタリナ (2011-05-30 23 29 22) トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1872.html
5.ショッキング・ショッピング 「へえ、結構賑わってるもんだねえ」 土曜日の夕刻、僕達はその筋では有名だと言われている神姫専門ショップへと足を運んでいた。一通りの説明を受けたあと、「やっぱり実際に扱ってる店に行ってみたいな」という僕の要望に応えて、若山さんが連れてきてくれたのだ。品揃えはもちろんのこと、サポート体制も充実しており、若山さんの一押しショップなんだとか。 『ホビーショップ・エルゴ』、それがこの店の名前だった。 「それにしても、年齢層とか性別とか……随分ばらばらだね」 正直に言って、僕が武装神姫に対して若干マニアックなイメージを抱いていたことは否定出来ない。いくら最先端のロボットとはいえ、元々は女の子の形をしたフィギュアなわけだし。だから、こういう店の客層も、もっと野暮ったい……そう、僕みたいな雰囲気の男性客が多いものと思っていた。 ところが実際にはそんなこともなく、下は小学生から上は老齢のお爺さんお婆さんまで、更に家族連れや女子高生、果てはカップルなんかまでいたりする。僕みたいな存在の方が逆に浮いて見えるくらいだ。 「イメージと違ったでしょ~。それだけ神姫の存在が世の中に浸透してきてるってことよね~」 考えてみれば、若山さんだって『女の子フィギュア』の世界からは程遠い人間に見える。即ち、武装神姫はもはやただの『女の子フィギュア』ではなく、小さな友達あるいはパートナーとして、世間に受け入れられているということなのだろう。 「ま、そんなことはさておき……ここに来て最初に見るものといえば、やっぱりアレよね~」 若山さんがスキップしながら店の一角へと向かう。右も左もわからない僕が一人で店を回れるわけもなく、とりあえず彼女の後についていくことにした。大地は「俺は見飽きたからいいよ」なんて手をひらひらさせていたけど、一体何なのだろう。 若山さんがやってきたのは神姫用の服飾売り場だった。人間用のそれに勝るとも劣らない、多種多様なデザインの衣装が所狭しと展示されている。ただし人間の着る服とは違い、一目見て奇抜なデザインのものが多いことがわかった。 「わ~、すごいですね」 初めて見る衣装の数々に、ノエルはミツバチのようにあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりしている。そんなノエルの様子を、若山さんがにこにこしながら眺めていた。 「やっぱり女の子には可愛い服を着せてあげないとね~。さてさて、ノエルちゃんにはどんなのが似合うかしら~……」 若山さんの表情が一変し、職人の顔が現れる。服飾デザインのエキスパートである彼女だ、そのセンスに疑いの余地はない。僕が見繕うよりは遥かに良い物を選んでくれるだろう。 「じゃ~ん、これなんてどうかしら~」 若山さんが誇らしげに手にしたのは、レース生地をふんだんにあしらったふりふりドレスだった。なんというか、すごくふりふりである。徹底的にふりふりである。 ……うん、落ち着け僕。 っていうかこれ、センス云々じゃなくて、若山さんの趣味なんじゃないか? 「うわあ、可愛いです~」 そのあまりのふりふりっぷりに僕が呆然としているにも関わらず、ノエルはきらきらした目でそのドレスを食い入るように見つめている。まあ確かにノエルに似合いそうではある、が……。 「なんというか、すごいね……ノエルはそういうのが好きなのかい?」 ようやく絞り出した僕の言葉に、若山さんがちっちっち、と人差し指を振る。って、何故かノエルまでそれを真似してるんだけど。 「甘いわよ~狩野クン。女の子はね、生まれながらにしてお姫様ドレスに憧れるものなのよ~」 自信たっぷりに言ってのける若山さんに、うんうんと頷くノエル。僕にはよくわからないが、そういうものなのだろうか。 「ほらほら、ぼーっとしてないで狩野クンも選んであげなさいよ~」 若山さんが僕を急かすが、残念ながら僕に女の子の衣装を選べるような器量はない。僕が正直にそう告げると、何故か若山さんはにまーっと笑って僕に耳打ちしてきた。 「最初に買ってあげるものくらい、自分で決めた方がいいわよ~。センスなんかより、女の子にとってはそういう『気持ち』の方が大事なんだから。ノエルちゃんもきっと喜んでくれるわよ」 そう言いながらガッツポーズなぞ決めてる若山さん。どうにも何か企んでるような気がして仕方ないのだが……。 まあそれはともかく、確かに自分で決めるべきだという意見には一理あると思う。僕はない知恵を絞りつつ、ノエルに似合いそうな衣装を考えてみた。 「さ~て、じゃあ私もめろんに新しい衣装買ってあげようかしらね~」 意気揚々と歩き出す若山さんを、その右肩にちょこんと座っていためろんが慌てて止める。 「え、あ、いやご主人。儂はこの衣装が気に入っておる故、他の衣装など……」 「あら~嬉しいこと言ってくれるわね。でもそれとこれとは別なの~。さ、行きましょ」 「ちょ、待っ、みいやーっ!」 首根っこをつままれ、さながら本物の猫のように連行されるめろん。何だろう、そんなに困るようなことなのかな。 「暁人さ~ん、素敵な服がたくさんありすぎて迷っちゃいます~」 困ったような口調とは裏腹に、とっても嬉しそうな顔のノエルが僕の肩に着地する。そんなノエルの頭を、僕は軽く――やりすぎるとまたノエルが脱力して大変なことになってしまうので――撫でてやった。 「まだまだ時間はあるからね。ゆっくり選ぼうか」 「はいっ!」 そんな風に二人であれやこれやと物色しているうちに、一着の衣装が僕の目に留まった。 それは黒を基調にしたシンプルなデザインのドレスだった。煌びやかな装飾こそないものの、各所にさりげなく意匠がこらされており、決して地味さを感じさせない。なんとなくだけど、ノエルに似合いそうだと思った。 「ノエル、こういうのはどう?」 「わあ、素敵……あ、でも私に似合うでしょうか……?」 大人びた印象のドレスを前に、一度は目を輝かせたノエルだが、すぐに不安そうな表情になる。自分に似合うかどうかが、気にかかるのだろう。 「着てみればわかるよ。とりあえず試着してみたら?」 しばし悩むような素振りを見せていたノエルだが、僕がドレスを押し付けるように手渡すと、意を決して神姫用の試着室に飛び込んでいった。『神姫用の試着室』なんてものがある辺り、ここの店主は神姫に対して相当な思い入れがあるんだろうなあ、などと思う。 そんな事を考えていると、不意に後ろから馴れ馴れしく声をかけられた。 「あっれー、狩野先輩じゃん!」 誰だろう、会社の後輩に僕のことを『先輩』と呼ぶヤツなんかいたかな、などと思いながら振り返る。そこには、ボーイッシュな美人顔が目の前にあった……そう、目の前十センチの場所に。 「うわあっ!」 思わず飛びすさり、十センチの距離を二メートルまで引き離す。反射神経っていうのはすごいな、運動が苦手な僕でもこれだけの敏捷性を発揮出来るんだから……じゃなくて! 「おっしーい。もうちょっとで狩野先輩のキスゲット! だったのにー」 僕を脅かした張本人は、唇に指を当てながらそんなことをぼやいている。こらこら、公衆の面前でそんなことを開けっぴろげに言うんじゃない。 こほん、と一つ咳払いをし、冷静さを取り戻そうと努める……心臓が凄い速さで「そんなの無理だ」と訴えてくるが、そうも言っていられない。 「あー……うん、久しぶりだな、三潮」 どうやら心臓の訴えは正しかったらしい。何しろ、なんとか絞り出した言葉がこれだ。目の前の美人はそんな僕の様子にクスクスと笑っている。 「お久しぶり、先輩。変わってないねえ、色々と」 「お前の方こそ相変わらずだな。その何かにつけて人をからかう癖、いい加減直したらどうだ?」 「却下。先輩からかうの楽しいんだもん」 僕はこめかみを押さえて呆れた様子をアピールするが、全く意に介してないようだ。本当に、全然変わっていない。 彼女は三潮環(みしお たまき)、僕の大学の後輩だ。知り合ったきっかけは、確か研究室見学か何かで彼女が僕のところに来たことだったと思う。第一印象は「落ち着いた雰囲気の真面目そうな女性」だった。もっとも、その印象はわずか三十分で崩されたわけだが。 「それはそうと、お前何でこんな所にいるんだ?」 僕の疑問は、僕の立場からすれば至極当然のものだった。何しろ僕達が卒業した大学は、ここから特急を使っても四時間以上はかかる場所にあるのだ。 僕の出身はその大学がある地方なのだが、就職先がこちらだったので引っ越してきた。決して大きな大学ではないので、大半の卒業生は地元あるいは近郊都市に就職するのが常であり、僕みたいに遥か遠方へと出向く人間は極めて少ない。無論、可能性はゼロではないにせよ、この町に僕と同じ大学の卒業生がいるというのは非常に考えにくいことだったのだ。 「先輩を追いかけてきちゃいましたー」 「嘘をつくな。それから似合ってない」 語尾にハートマークでも付きそうな可愛らしい声でそうのたまう三潮。実際のところ、その様子は反則的なまでに可愛いのは事実であり、大抵の男はこの笑顔にころっと騙されてしまうだろう。だが、この笑顔に散々苦渋を舐めさせられてきた僕にはもはや通じない。 僕はすかさず斜め三十度の角度で三潮の前頭部にチョップを叩き込んだ。彼女を黙らせるにはこの角度が最適であるということも、大学で学んだことだ。いや、そんなことを学ぶ為に大学へ通っていたわけではないんだけど。 「いったー! ちょっと先輩、女の子に手上げるなんて酷いんじゃない!?」 「お前は例外だし、僕はもっと酷い目にあってるからいいんだ。で、本当の理由は?」 「だってアタシの家、この近所だもん。春に大学卒業して帰ってきたのよ」 恐ろしいことをさらりと言ってのける。 つまり何か、僕はこれからこの悪魔の棲息圏内で生活しなければならないわけか? 大学を卒業してから今日までの二年と数ヶ月は、仮初めの平穏に過ぎなかったということなのか? 瞬間的に脳内を妄想が駆け巡り、その直後、僕は彼女に向けて右手を掲げていた。 「じゃ、そういうことで」 「こら、逃げるな」 逃走失敗、僕の首は三潮の両腕でがっちりと絞められていた。く、苦しい……っていうか、体を密着させるな、背中にむ、胸が当たっ……! 「狩野クン~、こっちは終わったわよ~……って、あら?」 僕の意識が色んな意味で飛びそうになったその時、買い物を終えたらしい若山さんが戻ってきた。僕と三潮の様子を不思議そうな顔で眺めている。ちょっと待て、もしかして変な誤解をされてるんじゃないか。 「……ん? んんー?」 一方の三潮は何を思ったのか、僕を解放するとつかつかと若山さんに歩み寄っていった。前から横から若山さんを眺めては、「むー?」などと唸っている。一体どうしたというのだろう。 「ひょっとして……成海?」 「そうよ~、たまちゃん」 「その呼び方はやめてー!」 どかーん、と効果音でも出そうな勢いで両の拳を突き上げる三潮。そんな三潮のことなどお構いなしに、若山さんはニコニコといつもの笑顔だ。というか、何なのだろうこの展開は……。 「何、二人ってひょっとして知り合い?」 「高校の同級生なのよ~」 のんびりと答える若山さん。一方の三潮は、何を言ったものかといった様子で口をぱくぱくさせている。普段から怖いもの知らずの彼女がこれだけ動揺するとは珍しい。二人の過去に何かあるのだろうか。 「あ、あのー……」 控えめな声に振り返ると、ノエルが試着室から顔だけ出してこちらを見ていた。いかんいかん、三潮のペースに乗せられて彼女のことを忘れるところだった。 「どう、ちゃんと着れた?」 「はい……ちょっと、恥ずかしいですけど」 おずおずと姿を現すノエル……その姿に、僕は思わず息をのんだ。 僕が選んだドレスは、僕の想像以上にノエルに似合っていた。白の素体と淡い金髪が、その漆黒の生地によって一段と際立っている。蝶を模したリボンが幻想的な雰囲気を醸し出し、その姿はさながらファンタジーの世界から飛び出した妖精のようだった。 「へえ……狩野クン、なんだかんだ言ってセンスいいじゃない。ノエルちゃんの魅力がしっかり出てるわよ~」 「そ、そうかな」 まさか若山さんからそんなことを言われるとは思っていなかったので、僕は思わず恐縮してしまう。三潮も若山さんの言葉にうんうんと頷いている。よかった、とりあえず悪いチョイスではなかったみたいだ。 「よく似合ってるよ、ノエル。じゃあそれを買っていこうか」 僕がそう言うと、ノエルはちょっと恥ずかしがりながら、でもとても嬉しそうに頷いてくれた。 「折角だからさ、ちょっとバトルしていかない?」 暇そうにぶらついていた大地も合流して、一通りお互いを紹介しあった後、三潮がそんなことを提案してきた。彼女の言うバトルというのは、神姫関連のアミューズメントの一種である『神姫バトル』のことだ。ノエルもそうなのだが、『武装』の名を冠するだけあって、彼女達はそれぞれのモデルに応じた武器などを装備し、戦闘を行うプログラムが組み込まれている。この戦闘用AIと各種武装を用いて、多くのオーナーと神姫が力を合わせて戦う……それが神姫バトルと呼ばれるものの本質なんだとか。 「僕は構わないけど……ノエルはそういうの大丈夫なのかい?」 どれだけ説明を受けても、この小さな女の子達が武器を手にして戦う姿というのが想像できない。恐怖とか、そういうのはないんだろうか。そう思って問いかけた僕の言葉に、ノエルは意外にも胸を張って答えた。 「任せてください! 私も武装神姫として、戦いに赴く覚悟は出来てます!」 おお、頼もしい言葉だ。まあ、本人がやる気を出してるのを無理に止める必要もないだろう。バーチャルシステムによるバトルらしいから、怪我をする心配もなさそうだし。 「ま、案ずるより産むが易し、ってね。それじゃ、行こっか!」 意気揚々と歩き出す三潮の後についていく。正直に言えば、全くの新しい体験に、僕自身も心が浮かれているのを感じていた。僕の小さな天使は、一体どんな戦いを見せてくれるんだろうか……。 「あれ、そういえばめろんは?」 ふと、あの騒々しい猫侍の姿がないことに気付く。すると若山さんは、とても楽しそうな、それでいて何かを企んでいるような笑顔で、手に持ったケースを指差した。 「大丈夫、この中にいるわよ~。後でお披露目してあげるから~」 かくして、全身をふりふりの衣装にコーティングされた――大袈裟ではなく、そう表現するのが適当なくらいのふりふり具合だった――めろんの姿を目の当たりにしたのは、その五分後のことであった。 4.猫侍、見参 TOP
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2425.html
第2部 「ミッドナイトブルー」 第1話 「night-1」 ミッドナイトブルー (Midnight Blue) は色のひとつ。直訳すると「真夜中の青」となる。 西暦2041年 5月20日 23:55 花博記念公園鶴見緑地(はなはくきねんこうえんつるみりょくち)は大阪府大阪市鶴見区と大阪府守口市の市境にある。そこには公園施設の一部を利用した武装神姫センターがあった。 真夜中ということもあり、利用している神姫やオーナーの数もまばらだ。 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 真っ暗な闇の中を、数隻の巨大な灰色の塊が轟音を奏でながら進む。 ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン・・・ チーム名 「灰色艦隊」 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ノザッパ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク □重巡洋戦艦型MMS 「マキシマ」 SSランク「ワルキューレ」 □重巡洋戦艦型MMS 「ヴィクトリア」 SSランク「砲女神」 オーナー名「野木 恵」♀ 24歳 職業 ネオニート マキシマ「嫌な夜だ・・・新月で真っ暗闇だ・・・星明りさえない・・・」 ヴィクトリア「こんな夜には、化け物が出るらしいな・・・マキシマ」 マキシマ「化け物か」 野木「化け物ですって?残念ながら私はそういうものは信じない主義でね。信じるのは金と力さ」 『灰色艦隊』 快速を誇る巡洋戦艦型神姫、10隻で構成された野木の誇るMMS艦隊である。ただでさえ高価な戦艦型神姫を10隻も所有している野木は変わったオーナーだ。 野木は親の遺産を元手に株のトレードで生計を立てている引きこもりのニートであり、神姫関連の企業について野木は詳しく、そういった点で投機をして荒稼ぎをしている。 そしてその儲かったお金で同型の戦艦型神姫を大量に保有して、自分の用心棒としているのだ。ただ、用心棒に艦隊を保有しているのは少々やりすぎな点もしないが・・・ ヴィクトリア「・・・マスター、こんな話を知っていますか?こんな真夜中の深い青の夜には、化け物が出て一瞬にして命を奪い取るという話を・・・」 野木「くどい!ヴィクトリア!!そんな非常識なものがいてたまるか!それにそんな化け物が出たら、お前たちの出番だろ!」 オーレリア「はっははは!たしかにその通りです。マイマスター・・・我々、灰色艦隊はそのようなよく正体も分からないような化け物にやられたりしませぬ」 ジェシカ「そうですね」 キャリスタ「んだんだ」 ノザッパ「ヴィクトリアさんの話は有名な都市伝説のアレですね」 野木「都市伝説?なんだノザッパ」 ノザッパは得意げなドヤ顔で話す。 ノザッパ「真夜中の日付の変わる午前0時ぴったりにいきなり現れるんだ真っ黒な神姫のことさマスター」 クローディ「その都市伝説は有名だよー」 ノザッパは続ける。 ノザッパ「夜のステージにしか現れない真っ黒な武装神姫で、その姿を見た神姫は一瞬にして命を奪いとられるんだってさー」 オーレリア「・・・・・」 ジェシカ「おい」 ノザッパ「な、なんだよ」 マキシマ「今、23:59だぞ」 ノザッパ「・・・・・」 野木が腕時計を見る。カチ・・・カチ・・・と時を刻む音が静かに聞こえる。 野木「5・4・3・2・1・・・」 カチリ 午前0時を指す時計。 野木「午前0時だ」 ヴィクトリア「・・・周囲に敵影なし」 ジェシカ「おいおい、わざわざ警戒する必要もないでしょ」 野木「異常無しか・・・」 ノザッパ「だから都市伝説ですってー」 そのとき、チカチカと上空から何かが光った。 マキシマ「・・・?なんだ今の光は・・・」 ガンッバキン!! アリスンの艦橋ブロックが青白い光に貫かれると同時に機関部分が真っ赤な炎を上げて吹き飛んだ。 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク 撃破 ズズウズウウウウウンン・・・・ 野木「な・・・」 そして次の瞬間、大型の対艦ミサイルが先方を進んでいた4隻の巡洋戦艦型神姫に命中し次々と火達磨になって爆発した。 マキシマ「!?け、警報!!ミサイル多数接近っ!!!」 野木「な・・・なんだと!!」 キュン!! ドガン!!バギャン!!ズズズウン!!バゴオオオムウ!! □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク 撃破 ノザッパ「う、うわああああ!!!ナヴァリンが・・・」 一瞬にして艦隊の半数が轟沈され、真っ暗な闇の中で花が咲いたように紅蓮の火球が燃え上がる。 クローディ「キャリスタ!轟沈!!くそオーレリアもエルヴィラもやられた!!」 ジェシカ「せ、先方のアリスン轟沈!!うわあああ!!」 野木「落ち着けェ!!状況を確認しろ!!マキシマ!!」 マキシマ「レーダー、センサー共には、反応なし・・・ど、どうなってるんだ!!」 ノザッパ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫が一瞬にして撃沈されるなんて」 クローディ「敵は、ど、どこだ!!見えないぞ!」 ヴィクトリア「・・・・・右舷に反応有り、チラッとだが、レーダーに小さい影が映った」 野木「照明弾っ!!撃てェ!!」 ヴィクトリアは照明弾を打ち上げる。 キューーーーーーーーーン・・・・パアァーーーン!! 真っ暗な闇の中にギラリと光る赤い眼のようなモノが光った。 マキシマ「敵機捕捉!!こいつはステルスMMSだ!!レーダーに映りにくい!!」 ジェシカ「畜生ォーーーブチ落としてやる」 野木はマイクを掴んで叫ぶ。 野木「全艦、対空防御!!全砲門開け!!撃てェ!!」 ウーーーーウウーーーーーウーーーーウーーー 生き残った戦艦型神姫たちは、砲塔をゴリゴリと動かして正体不明の黒い神姫に狙いを定める。 正体不明の黒い神姫はぐんと速度を上げて雲海の中に隠れる。 マキシマ「雲の中に隠れたようです」 野木「ええい!!かまわん!!撃て撃てェ!!」 クローディ「主砲正射!!」 巡洋戦艦型神姫の艦隊が一斉に3連ヘヴィ・ターボレーザー砲を正射する。 ズンズズズン!!ビシューーン!!ビシュエエーーン!! 真っ暗な夜を青白い光の線が何百本と貫く。 ヴィクトリア「レーダーロスト、敵機を見失いました」 ジェシカ「どこに嫌がる!?」 ジェシカがサーチライトを使って雲の海を照らす。 野木「サーチライトなんか出すな!やられたいのか!」 ビシュエエーーーン!! 雲の海の中から強力なレーザービームがまっすぐ伸び、ジェシカに命中する。 ジェシカ「うわあああっああああああああ!!」 ズズウズウウウウウ・・・・・ンン ジェシカの巨大な船体が真っ赤な炎に包まれ高度を落とす。 ヴィクトリア「ジェシカ被弾!!ジェシカ被弾!!高度を上げろ!!墜落するぞ!!」 ジェシカ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫を一撃で落とすなんてェ・・・あ、」 ジェシカの船内の弾薬庫に引火し、大爆発が起きる。 ズンズンズンズンンンン!! □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク ヴィクトリア「ジェシカ轟沈しました」 マキシマ「敵は我々と同じ威力の以上の大口径砲を搭載した重神姫のようです」 ノザッパ「うわあああ!!ジェシカ!!!」 野木「ぐっ・・・なんてことだ・・・あ、あっという間に艦隊の3分の1が轟沈とは・・・」 クローディ「レーダーに捕捉!!またちらりと影が映ったぞ!!」 野木「・・・・マキシマ!!艦首収束素粒子砲、砲撃用意!!」 マキシマ「は・・・目標は!?」 野木「下の雲海を主砲で吹き飛ばせ!!炙り出してやる」 マキシマ「了解!」 キュウウイイイイイイイイイン・・・・ マキシマの主砲が光りだす。 ノザッパ「マスター!?なにを考えているんです!!そんなことをすればマキシマが狙われ・・・」 野木「構わん!!」 ノザッパ「まさか、マキシマを囮に・・・」 野木「・・・・言うな!!」 マキシマはこくりとうなずく。 マキシマ「囮とは上等じゃんばいですか!来るならくればいい!!返り討ちにしてくれましょうぞ!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!正面距離1000!!」 ドフッ!!! 前方の雲海がばっと割れて真っ黒な正体不明の神姫が飛び出す。 野木「マキシマ!!撃て!!」 マキシマ「充填率、30パーセント」 野木「十分だ!艦首収束素粒子砲!!撃て!!」 マキシマ「艦首収束素粒子砲っ!!テっ!!」 バゴオオオオオーーーーウウウンン・・・ マキシマの前方の雲海がばっと吹き飛び、まっすぐ真っ黒な正体不明の神姫に届く。 真っ黒な神姫はくんと体を大きくひねり、加速しながら攻撃を回避すると同時に、青白い強力なレーザーを放った。 ビッシュウーーーーーエンン!!! クローディ「う、うわああああああああああ!!」 ゴバアアンン!!クローディの艦橋部分を抉るように吹き飛ばし黒い神姫は一瞬にして通り過ぎた。 □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク 撃破 マキシマ「な・・・なんてヤロウだ!!すれ違いざまに一隻落としやがった!!」 ノザッパ「ひえええ!!!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!主砲斉射!!」 ズンズンズズズッン!! 黒い神姫は再び雲海の中にもぐり姿を消した。 ヴィクトリア「・・・・敵機、急速離脱・・・離れていきます」 野木「・・・・・そうか」 ノザッパ「はあはあはあ・・・な、なんだったんだ!?今のは・・・」 マキシマ「現在、時刻00:05・・・正体不明機に襲撃を受けてわずか5分で艦隊の3分の1を失いました」 野木「これは夢なのか・・・ノザッパの言っていた都市伝説はこれなのか!?」 ノザッパ「あ・・・ああああ・・・化け物だ!!化け物神姫だァ!!!」 ヴィクトリア「マスター・・・この画像を見てください」 ヴィクトリアはさきほど偶然、カメラで撮影した画像を野木に転送する。 野木「こ、こいつは!?」 ヴィクトリア「さきほどのアンノウンの画像です。こいつは夜間戦闘に特化した重夜戦・・・重夜間戦闘機型神姫です」 野木は画像を凝視する。 野木「重夜間戦闘機型神姫・・・」 画像には真っ黒な重武装の凶暴なフォルムの神姫の写真がぼんやりと写っていた。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>・第2話 「night-2」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/368.html
神姫狩りシリーズ 04 ORIGIN 篠房財閥。 古くは華族の旧家であり、貿易で財を築いた一大グループである。最近は電子産業にも力を入れており、篠房技 研が武装神姫市場への参入も表明している。 その参入第一弾として、騎士型MMS「サイフォス」と武士型MMS「紅緒」のロールアウトも決定している。 今までの神姫とはまた違うコンセプトの元に作られた神姫である。 「で。その篠房財閥のお嬢様が、何の用なんだ?」 マンガかなにかのよーなバカげた大きさの篠房邸に三人はそのまま招待された。ちなみに鶴畑の使いはそのまま トンズラしたことも追記しておく。 これまたバカみたいな応接間に通された静真たち。その正面に、篠房留美那は腰掛けて優雅に紅茶を飲んでいる 。 「何の用、と申されましても……」 「用件が無ければ、俺たちみたいな庶民もド庶民をあんたみたいな金持ちのお嬢さんが招待する理由が無いだろ」 警戒していう静真に、ベルは静かに言う。 「そういう風に身構えていると、底の浅さが露呈するわよ。コンプレックス丸出しだし」 「やかましい。お前はちっとは黙ってろ」 ベルを一喝して静真は向き直る。 「何が目的だ。あんたも香織さんの店を狙ってんのか?」 「まさか」 留美那はその問いに笑顔で否定する。 「神姫をレンタルする事業、というのは私たちも面白いと思っています。応援こそすれ、あの人たちのように邪魔 に思って排除する、なんてことはいたしません」 「……本当か?」 「はい」 「ならいいが……だったら何のつもりかますますわからん。鶴畑へのあてつけか?」 「そんな意味の無い幼稚なことをするように見えますか?」 「人間は外見じゃ判断できないだろ」 「偏見やねぇ」 香織が茶請けのクッキーをかじりながら口を挟む。 「人間不信……?」 恋も口を挟む。 「だから黙ってろお前ら。」 「……お話どおり、面白い方たちですね」 「……俺たちを知ってるのか」 「はい。失礼かとは思いましたが、貴方のことは調べさせていただきました、桐沢静真さん」 「何?」 「上媛学園高等部、16歳。ロボット研究部所属。成績は中の下、運動神経はいい。過去に補導暦あり。両親は海外 出張で現在、島田重工勤務の兄と二人暮し」 「……天下の篠房財閥ってのは、他人をこそこそと嗅ぎ回るのが趣味なのか?」 さらに警戒心を強め、椅子から腰を浮かせる静真。留美那はそれを気にせずに言葉を続ける。 「所持神姫は……タイプストラーフ、ベル・ゼ・ヴァイス、いえ……」 一呼吸置き、静香に、はっきりと言った。 「ロストナンバーズ。00d――――悪魔型『タイプベルゼブブ』ジ・オリジン」 その言葉に、静真とベルの表情が変わる。「警戒」から「敵意」のそれへと。だが、留美那がやんわりとそれを 手で遮る。 「どうこうするつもりがあるのなら、とっくにしてます。信じてください。私には貴方たちに害意はありませんか ら」 「どうだかな。余裕の裏返し、ってこともある」 「……じ・おりじん……?」 恋のつぶやきに、香織が答える。 「ジ・オリジン。簡単に言えば、神姫のオリジナルと呼ばれるMMSよ。開発過程で生まれたプロトタイプやテス トタイプ。市場には流通するはずのない、開発元に保管・管理されるか、あるいは廃棄されるはずの……伝説のM MSや」 「ええ。もっとも、「オリジナル」というのも多少は語弊がありますが……ともあれ、そのベルさんは、ストラー フの原型として生み出された幾つものMMSのひとつ、で――間違いはありませんね?」 しばし、場を沈黙が包む。その静寂を破ったのはベルのため息だった。 「そうね。そこまでどうやって調べたのか知らないけれど。貴女の言葉は正しいわ」 「おい、ベル」 「ここでの圧倒的弱者は私たちよ、静真。なら弱者らしく開き直りましょう?」 余裕の表情すら浮かべ、ベルは言う。 「弱者って台詞かよ、そのツラ。まあ確かにな、ここまできたらジタバタしたって仕方ねぇ。 だけどなお嬢様。たぶんあんたはひとつ、大きな勘違いしてるぜ」 「勘違い……ですか?」 「ああ。「ジ・オリジン」って奴は、別に「超強力な神姫のプロトタイプ」なんかじゃねぇ。そもそも要するに、 だ。「商品にならない」って理由で却下されたモデルにすぎないんだよ」 静真は肩をすくめていい放つ。 確かに、「試作品」というものはまず作られて試用され、規定に合うかどうか、要求されるスペックを満たして いるかどうか、バグはないかどうか――などを文字通りに「試す」ためのものだ。 どこぞの前世紀の国民的アニメに出てくる白いモビルスーツのように、「持てる技術の粋をこめて試作しました 、でも量産型はそれに遥かに劣ります」などというものはまず存在しないと思っていいだろう。 「コイツだって基本スペックは十分に正規流通品の、武装神姫バトル管理協会のレギュレーションの範囲内だよ。 あんたらが何を聞きつけて何を調べたのかは知らないが、利用しようとしたって価値なんかないぜ」 どうにでもなれ、という表情で椅子に深くこしかけて静真は言う。 「価値なら、ありますわ」 留美那は笑う。 その笑顔に、静真は身構える。 「サインください☆」 そして全員がこけた。 「…………………………………………………………は?」 「だってだって、普段では絶対に見れないレア中のレアですよ!? 数千数万と存在する神姫の中でも超レア! これでサインを貰おうとしないなんて神姫オーナーの沽券にかかわる問題です!!」 力説であった。 「ああ、そうですか……」 気圧されながら静真は敬語で答える。 「で、どこにサインすればいいのかしら」 まんざらでもないという感じでサインしてあげる気満々のベルであった。 「それではエクエスの鎧に……いやまってください、鎧だと戦ってキズモノになる可能性が……うん、それは駄目 ですわ。仕方ないですわね、オーソドックスに色紙にお願いするしか……」 ぶつぶつと自分の世界で悩む留美那を前に、 「……俺、なんでここにいるんだろ……」 「お金持ちって変な子多いんやなあ」 「……帰ったら駄目なのかな……」 静真たちは呆れるしかなかった。 「また来てくださいね」 「ええ、気が向いたらお邪魔させてもらうわ」 笑顔で送り出す留美那に、笑顔で答えるベル。 その後ろで静真は「二度とこねー」とか言っているがその意見はおそらくは確実に黙殺されるだろう。 「桐沢静真さん」 「あ?」 留美那が真っ直ぐに静真を見据える。 「……私が彼女を見つけたと言うことは、いずれは他の誰かも彼女に辿り着くことでしょう。あなたの言うとおり に、彼女に特別な力がないとしても……それでも、マニアはその希少性に目をつけ、彼女を求めるはずです。 今のまま、ランク外の無名のままでは……」 「裏バトルで手を出しやすい、ってか? だから公式リーグで力をつけて名を上げろ、か。あんたもうちのクソ兄 貴と同じ事言うんだな」 「ええ。ベルちゃんの華麗な戦いをもっと見たいと言う個人的欲望が大半ですが」 「……大半つーか全部だろ。ま、考えとくよ。だけどな、俺はあんたらの都合よく動いてやる気はねぇからな」 「都合よく動けるだけの能がない、のまちがいでしょう」 「黙れ」 「仲がよろしいんですね」 「「何処が!」」 見事なパーフェクトハーモニーであった。 「ふふ。それではまたいずれ。今度は公式の場で」 「気が向けばな」 言い捨てて静真は香織たちの所へと歩く。その姿が消えるまで、留美那は笑顔で見送った。 「――よかったのですか、姫」 静真たちの姿が見えなくなった後、肩に乗っていた黒い騎士型MMS、「エクエス」が問う。 「何がですか?」 「戦えば、勝てました」 「でしょうね。ですが、貴女が戦いを挑んだ場合、あの女の子の神姫も戦いに入ったでしょう。二対一では……」 「勝てぬ、とおっしゃりますか」 「いえ、美しくありません」 エクエスの言葉に、留美那は笑顔で返す。 「狩りはエレガントに行うものでしょう? 表舞台であれ裏舞台であれ、相応に華やかに」 「御意にございます」 エクエスは頭をたれる。 「表舞台に立たぬなら、立たせるまでです。その経過で倒れるなら、それもまたよし。いずれにせよ、最高の舞台 を用意しましょう、彼女と、貴女のために」 「は。お心遣い感謝いたします。このエクエス、一命をとして姫の願いを叶えてご覧にいれましょう」 「期待しています、エクエス」 留美那は踵を返し、屋敷へと戻る。エクエスもまたそれに続く。 「――ジ・オリジン。いずれ必ず私のものにしてみせます。 この私、篠房留美那――――いえ」 振り返る。 その彼女の頭には、猫耳が装着されていた。 「世界征服を企む悪の秘密結社、ねこねこ団が」 続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1929.html
{アンジェラスとGRADIUS} 「ここが…アンジェラスがいる所か…」 今の俺はあるシャッターの目の前に立っていた。 そのシャッターは今までの…クリナーレ達のシャッターとは比べれものにならない。 頑丈・セキュリティー、何もかもレベルが違うのだ。 シャッターには『One』と書かれていて、そこにクリナーレがリアパーツに付いてるチーグルで殴りまくっても傷一つつかない。 クリナーレ達のシャッターと同様にシャッターの横にあるIDカードを通す機械があったが、カードを機械に差し込み引いても拒否されてしまった。 俺が持っているIDカードではセキュリティーレベルが低くて通れないのか、もしくは俺が奪った事が敵にバレてIDカードの使用を停止させたと考えた方がいいだろう。 どちらにせよ、このシャッターを開けなければアンジェラスを助け出す事が出来ない。 実は先程からルーナがネット能力を使ってIDカードを通す機械から侵入し、なんとかセキュリティーを解除しようとしているのが、如何せん苦戦している。 その間は立ち往生。 俺は何もする事が無くてただ突っ立てるだけ。 クリナーレとパルカは警戒しながら敵の偵察。 畜生。 こうも何もできないと自分が腹ただしい。 「…アンジェラス」 シャッターを見つめ、小声でそう言った。 後はお前だけを助け出せば終わるんだ。 こんな所でくすぶってなんかいられない。 …やっぱり『アレ』を使うべきなのか……。 徐にズボンの後ろにくくり付けてるコンバットナイフみたいな形をしている物に手が触れる。 これは出来れば使いたくない武器だ。 この武器は全てのシステム・プログラムを真っ白に消してしまうナイフなのだ。 通称、フォーマットナイフ。 読んで字の如く、このナイフに刺された機械類は全てがフォーマットされてしまう。 何も機能しないただの固まりにしてしまう訳だ。 例えば、パソコンの何処にでもいいからこのナイフを突き刺す。 するとパソコンのデータやシステム、何もかも全部消えてしまう。 そのようなシステムがこのナイフにプログラムされているのだ。 勿論、精密機械で出来ている武装神姫にも有効。 ただし、使用回数は二回。 二回以上使ってもただのナイフでしかない。 だから慎重に使わないといけない。 もし使い所を間違えれば、自分が命取りになるのだから。 「…躊躇しすぎかな」 もし、これは本当に『もし』の話だが…ルーナが今やってるセキュリティー解除の手伝いが出来るかもしれないのだ。 IDカードを通す機械にフォーマットナイフを刺し込めばセキュリティーは消えるだろう。 だが、それと同時にシャッターを上げるシステムを消してしまうかもしれない。 そうなるとシャッターを開ける事が出来なくなり結果的にアンジェラスを助け出す事が出来なくてしまう。 そしてそうなる予想は十中八九。 考えたくないが、一緒にシステム事消してしまうなのだろーよ。 でもこのままルーナにネット能力を使わせるのもマズイ。 ネットの能力を使うと必要以上に疲労してしまい、神姫の内臓電池がすぐに切れてしまうのだ。 一応、特殊な神姫としてそこら辺の対策はされてると思うが、そうなってしまう話もなくはない。 さぁ、今はこの場で使うべきか、使わざるべきか…。 …フッ…何迷ってんだが、俺らしくもない! 「どけ!ルーナ!!」 俺は決意し迷わずズボンの後ろに付けているフォーマットナイフを取り出す。 取り出したフォーマットナイフを右手に持ちかえる。 「ダーリン、何する気!?」 「セキュリティーを消滅させる!お前が接続したままナイフを使うと、お前まで消してしまう!!だからドケ!!!」 ルーナは俺の言葉を信用してさっきまで接続していた機械から退く。 完全にルーナが離れた事を確認すると、俺はIDカードを通す機械にフォーマットナイフを突き刺した。 その瞬間、機械から煙と火花が噴出す。 火花で俺の右手と右腕が軽い焼けどを負ったが、こんなの怪我のうちに入らない。 さて、効果は果たしてあるのか少し不安感を持ちながらフォーマットナイフを引き抜く。 「ルーナ!すまないが、またネットに侵入してくれないか?」 「任せなさい!」 ルーナは再び機械に右手を触れさせ侵入する。 するとどうだ。 さっきまでビクともしなかったシャッターが開いていくではないか。 どうやらセキュリティーだけのシステムをフォーマットできたみたいだ。 これでアンジェラスに会えに行ける。 「クリナーレ、パルカ戻って来てくれ!ルーナもだ!!シャッターが開いたから入るぞ!!!」 俺の右横にクリナーレとルーナ、パルカは左横に来た。 ちゃんと戻って来たか確認すると俺は全速力でシャッターの中へ駆け出して行った。 シャッター中の部屋はクリナーレ達の部屋とはレベルが違う構造だった。 精密機械のコンピュータ、ケーブル、パイプ管などなど。 そして部屋の真ん中には大きな試験管、その中には見た事のない真っ白の武装に身をつつんだアンジェラスが目を瞑っていた。 「アンジェラスー!」 俺は大声を出しながらアンジェラスに走り駆け寄る。 その時だった。 視界に一人の人間の後ろ姿が入る。 女の人で白衣を着ていた。 その女の人は俺がガキの頃から知ってる人間だった。 「姉貴!?」 足を止めて自分の姉に声を掛ける。 女の人は振り返り、困った顔をしながら俺を見た。 「タッちゃん。…やっぱり来ちゃったのね」 斉藤朱美、俺の実の姉その人だった。 「姉貴がどうしてここにいやがる!」 「それはこっちのセリフよ。タッちゃんこそ、こんな大事…いえ、犯罪を犯してまで来たの?」 俺は姉貴に睨みつけながらゆっくり歩みよる。 姉貴は悲しそうな声で俺に言う。 「アインを取り戻しに来たの?」 「アイン?俺はアンジェラス達を取り戻しに来ただけだ!」 「病院で手紙見なかったの?」 「手紙を見たからこそ来たんだ!…ッザケンジャねぇーぞ!!俺の神姫達を処分するなんてよ!!!」 「タッちゃんの神姫じゃないわ。名実とともに我が社の神姫よ。…九年前にタッちゃんが偶然アインのオーナーになっただけ」 「九年前だろうが、この会社のだろうが知ったこっちゃねー!アンジェラス達は俺の武装神姫だ!!」 「はぁ…相変わらず頑固ね」 「ほっとけ。それより今すぐアンジェラスをあそこから出しやがれ!」 俺は姉貴の首元にフォーマットナイフあてがう。 すると姉貴には俺が今まで見た事のない顔をした。 冷徹で人を見下すような顔だ。 「実の姉である私を武器をむけるの?」 「…ウ、五月蝿い!即刻処分を中断し、アンジェラスを解放しろ!!」 「もう遅いわ」 「エッ…!?」 低い声で言った姉貴の声から聞きたくない言葉が耳に入った。 もう遅いわ、だと? もう既に処分したという事なのか? もう間に合わなかったのか? もう…。 「そ…そんな……嘘だ!ハッタリだ!!」 「私は嘘をつかないわ。ほらこの通り」 姉貴は近くにあったパソコンのディスプレイに指差す。 そこにはデリートコンプリート、という文字が点滅していた。 デリートコンプリート…消去完了…。 おいおい…まさかそんな! 頭の中がグチャグチャになっていく。 現実を認めたくない。 否定、拒否…受けとめたくない。 理解したくない。 信じたくない。 「姉貴!アンジェラスの何を消しやがった!!」 フォーマットナイフを首元からどけて胸倉を掴みかかる。 「タッちゃんが今、頭の中で否定しているそのものよ」 「ッ!?」 姉貴の奴は澄ました顔でいいやがった。 こ、この女ァ! 今まで怒りを溜め込んでいた袋がブチ切れてような感じが身体全体に走る。 「畜生!」 ズガン! 俺は姉貴の胸倉を掴んでいた手を一度放し、その手で殴った。 殴られた事によって姉貴は派手にフッ飛び壁に当たりズルズルと倒れる。 実の姉に暴力を振るったのは生まれて初めてだった。 「アンジェラス…嘘だろ?」 ヨロヨロとアンジェラスが入った容器に近づく。 大きな試験管の容器に姉貴を殴った手が触れる。 ここまで来て…そんな終り方…ねぇだろ? おい、こんなバッドエンドなんかあるかよ。 「アンジェラス…俺だよ。お前のご主人様だぞ。迎えに来てやったんだぞ。笑えってくれよ。微笑んでくれよ」 「………」 俺が声を掛けてもアンジェラスは何も言わない。 目を瞑ったまま何も…。 「俺さぁ、お前と最初に会った時、幼かったけど…お前の事が好きだったんだよ。…その時のお前はアインだったみたいだったけど、俺はお前に名前をつけてやったよな、アンジェラスって。もう俺の中ではアインなんて関係ないんだよ。アンジェラスというお前が好きなんだよ!」 「………」 「そして、九年後に再開してまた同じ名前をつけてやったよな。ショックで昔の事を忘れてたみたいだけど全部思いだしたから…だから…だから俺はここまで来たんだ!お前の事が好きだから!愛してるんだ!!!」 「………」 「お願いだから…目を開けてくれよ!アンジェラスーーーー!!!!」 涙が出しながら限界まで発声器官を使い大声で叫ぶ。 喉が潰れてもかまわない程に。 ズルズルと大きな試験管にもたれかかるように膝をつき嗚咽する。 ここまでなのか…そう思ってしまった。 もうあの頃には戻れないのか、と…。 何もかも俺の心に絶望に満ちた瞬間。 「泣かないで…私の大好きなご主人様…」 声が聞こえた。 ははっ…とうとう幻聴まで聞こえてきやがったのか。 脳が壊れたのか耳が壊れたのか…もうどうもでいい。 「悲しまないで…私はここにいます」 「……あっ…」 涙でよく見えなかったけど、その光景は俺の記憶という名の細胞に焼き付ける光景だった。 容器の中にいるアンジェラスの身体全体が光っていたのだ。 その中でも一番白く光輝いてるいたのは右胸だった。 あの場所は武装神姫の一番大事な部分…CSCの部分。 「そんな…ありえないわ。全てのデータを消去したはずなのに」 後ろで驚いた姉貴の声が聞こえたがどうでもいい。 俺は立ち上がり涙を袖で拭う。 その時、大きな試験管の容器に亀裂が生じた。 亀裂の隙間から容器に入っていた液体が音をたてながら出てくる。 今にも容器が破裂しそうな勢いだ。 「アンジェラスーーーー!!!!」 俺は両腕を広げて叫んだ。 その瞬間、容器はガシャーンという強烈な音ともに破裂し四方八方に飛び散る。 白い光も飛び散る。 液体も飛び散る。 でも俺は気にしないでそこに立っていた。 何故なら…。 「ご主人様ーーーー!!!!」 アンジェラスが俺に向かって飛び込んできたからだ。 笑顔で目にはいっぱい涙をためながら…。 胸に飛び込んできたアンジェラスはしっかりと俺の服を掴み、二度と離れまいと力をいれる。 俺も同じ気持で両手でアンジェラスを優しく包み込む。 「会いたかった!会いたかったです、ご主人様!!」 「俺も!俺もだ!!」 「ボクもだよ!」 「お姉様!よかったですわ…無事で!!」 「アンジェラス姉さんー!」 皆で激しく抱きしめ合う。 あぁー、これで…これで全てを取り戻せたんだ。 やっと…やっとだよ。 「そんな…こんなバカなことが…データがまだ残ってたというの?」 後ろの方で今この状況を受け入れることが出来ない姉貴が驚愕したままだった。 「ありえない!ありえないわ!!」 「じゃぁかーしぃー!姉貴は少し黙ってろ!!」 俺は四人の神姫を抱き、姉貴の方に振り返り宣言した。 「愛だ!俺達の愛でアンジェラスは消されなかったんだよ!!」 歯の浮いた事を言った。 木っ端恥ずかしいがそう宣言したかったのだ。 だって今の俺は嬉しくてたまらない状態なのだから。 奇跡としか言えない状況でもあるけど、俺は愛の力だと信じたい…いや、信じているのだ! 「アニキ…恥ずかしくないのか?」 「かなり恥ずかしいと思いますわ。でも、ダーリンらしいかも」 「お兄ちゃん、今はいいですけど今度から周りの事も考えてくださいね。恥ずかしいです」 「お前等、恥ずかしいって言うなよ!俺は本当にアンジェラスの事を愛してるんだから!!なぁ、アンジェラス!!!」 「はい!はい!!私も愛しています!!!」 「うわっ…アンジェラスも平気で恥ずかしい事を言うよ…」 クリナーレがアンジェラスの発言にビックリするけど、すぐに満更でも表情に戻る。 「さぁ帰ろうぜ。俺達の家に」 「「「「はい!」」」」 でも俺はこれだけの事をしでかしたんだ。 人を殺し、会社に損害を与えた。 充分犯罪者になりえる。 例え無事に家に帰れなくても悔いは無い。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!! 「ナッ!?」 足場がいきなり揺れだしバランスを崩しそうになる。 でもなんとか両足で踏ん張りバランスを保つことができた。 地震か? と、一瞬頭の中で過ぎったが地震にしちゃあ揺れの現象が少しおかしい。 「…まさか!?」 アンジェラスは俺の腕から抜け先程のパソコンに行く。 いったい何が起こってるんだというのだ。 俺もアンジェラスの後を追いかけパソコンのディスプレイを見る。 画面表示されていたのは一つのウィンドに0、1の羅列がダラダラと書かれていて次々に映し出されていく。 これが俗に言う機械語というヤツか? で、その数字を瞬時に把握しながら読み飛ばしていくアンジェラス。 流石、というべきなのか、凄いというべきなのか? まぁアンジェラスも一応機械だしそのぐらいの事ができるのかな。 「ウ~ッ。何書いてるのか全然分からないよ~…」 「姉さん…情けないです」 あ、分からない神姫もいるのね。 「!? ご主人様!早くこの場から離れま―――」 ゴゴゴゴ!!!! さらに地震が酷くなり右膝をついてバランスをとる。 しまった! これでは走ること、いや、立つことすらできないぞ! 畜生、いったいなにが起こっているのだというのだ! 「(c) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。」
https://w.atwiki.jp/gikojr122/pages/6.html
更新履歴 @wikiのwikiモードでは #recent(数字) と入力することで、wikiのページ更新履歴を表示することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_117_ja.html たとえば、#recent(20)と入力すると以下のように表示されます。 取得中です。
https://w.atwiki.jp/gikojr122/pages/3.html
更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/gikojr122/pages/5.html
まとめサイト作成支援ツールについて @wikiにはまとめサイト作成を支援するツールがあります。 また、 #matome_list と入力することで、注目の掲示板が一覧表示されます。 利用例)#matome_listと入力すると下記のように表示されます #matome_list
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2429.html
第2部 「ミッドナイトブルー」 第2話 「night-2」 西暦2041年 5月21日 12:00 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 お昼のチャイムが公園内に響く。 園内の噴水広場の軽食コーナー、そこでは多種多様な神姫とオーナーたちが昼飯を食べて雑談をしていた。 オーナー1「おい、知ってるか?昨日の夜出たらしいぜ」 オーナー2「出たって何が?」 天使型「例の都市伝説ですね」 サソリ型「12時の死神か・・・」 悪魔型「ええーーーほ、本当?」 オーナー3「ついにこの神姫センターにも、来たか」 種型「なんでも灰色艦隊の巡洋戦艦型神姫が半数以上撃沈されたらしい」 花型「ひゃーーー恐ろしい恐ろしい」 オーナー4「あの成金艦隊か?実力は低いだろ」 スプーン型「ですが、腐っても戦艦型神姫、それをわずか数分で半滅させたのですから・・・」 オーナー5「12時の死神、あれって実在するのか?よくあるゴーストファイターだろ?」 雑談に花を咲かせるオーナーたちに1枚のぼやけた写真が投げ込まれた。 オーナー1「!?なんだこりゃ」 野木「奴は実在する。これがやつの写真だ。私の重巡が撮影した」 野木が生き残った艦隊を引き連れてテーブルに座る。 ゴーンゴーンゴーン・・・ 低いエンジンを唸らせて灰色艦隊で生き残った3隻の戦艦型神姫が噴水広場の上空に現れる。 悪魔型が目を細めて艦隊を見上げる。 悪魔型「1、2、3・・・たった3隻?おいおいまじかよ!!」 オーナー4「ぶっ・・・ほ、本当か?」 野木は手に持った缶コーヒーを飲む。 野木「一瞬だった、時間にして5分もかかっていなかったな、みんな一撃で撃沈された」 ワシ型「これがその写真ですね」 野木から渡された写真を囲んで数体の神姫が騒ぐ。 天使型「ぼやけていてよく分からないですね」 サソリ型「真っ黒な武装神姫だ」 スプーン型「こんな神姫見たことないです」 ワシ型「私もです」 建機型「戦艦型を一撃で破壊できるんですから、有名な神姫ではないのですか?」 オーナー5「おい、お前知ってるか?こいつ」 オーナー2「ノン」 野木「そいつは戦艦並の大口径砲と強力な大型ミサイルを装備していた。レーダー、センサーには映らないステルス機だ」 ヴィクトリア「こいつは夜間戦闘に特化した重夜戦、重夜間戦闘機型神姫です」 マキシマ「すれちがいざまにドカン!!速度も速い」 ノザッパ「姿さえさだかじゃねえ!!あいつは化け物だ!!」 生き残った3隻の戦艦型神姫たちは周りによってきた神姫たちに戦闘の様子を話す。 悪魔型「ひええ・・・」 戦闘機型「これは夜中のバトルロンドは出ないほうがいいですね」 犬型「夜中の12時に出没する神姫・・・どこかで聞いたことがあるような・・・」 ???「そいつは夜帝だよ」 軽食コーナーの端で老人とチェスを打っている黒い軍服を着た将校型神姫がぼつりとつぶやく。 □将校型MMS 「ナターリャ」 SSSランク「演算」 オーナー名「伊藤 勝成」♂ 70歳 職業 古物商店主 天使型「夜帝?」 オーナー2「なんだそりゃ?」 サソリ型「ナターリャさん、知っているんですか?」 ナターリャはマスターとチェスをしながら答える。 ナターリャ「夜間重戦闘機型「シュヴァル」 SSSランク 二つ名 「夜帝」・・・バトルロンドでは彼女は夜中にしか出没しない、相手をほとんど一撃であっという間にすれ違いざまに撃破していくので姿を見ることも難しく。倒された神姫は相手の姿を見ることが出来ない・・・貴様らの話を聞いて、こいつしか思い浮かばないな・・・カタリナ社製の重夜間戦闘機だ」 一人のオーナーが慌ててノートパソコンで夜間重戦闘機型MMSと検索する。 オーナー7「夜間重戦闘機型!出たぞ!!こいつだ!!」 オーナーや神姫がノートパソコンを覗き込む。 カタリナ社の公式MMSカタログに画像とスペックが載っていた。 :夜間重戦闘機型MMS「ブラック・セイヴァー」 カタリナ社 第3開発局製 主兵装 3.5mm素粒子砲 2門 レーザーバルカン砲 6門 マイクロミサイルランチャー 2基 思考性巡航ミサイル 4発 チャフフレア 夜間戦闘を主軸に置いたステルス重戦闘神姫。モチーフは第二次世界大戦中の双発の大型夜間戦闘機群。運用方法も参考に開発。 強力な素粒子エンジンを5基搭載し武装は非常に強力、リアパーツ部に長大な素粒子砲を搭載。素粒子砲は熱量が高いので抑えることができるように特殊な液冷却装置が組み込まれ、高い威力を持ちながらも連射することが可能。一撃で戦艦クラスの神姫も撃沈可能な高い命中率を誇る神姫サイズの大型思考性巡航ミサイルを最大4発搭載可能。それらの強力な火器を正確に命中させることができるように全身にレーダーやセンサーが点在しており、電子戦も得意。全身真っ黒なのはステルス塗料を塗ってあるため。 重武装、高速航行、重装甲の戦闘可変航空神姫であったが、重量級の機体のため旋回性能は劣悪で、ドックファイトを挑まれると、どうしても大回りになってしまい横転性能も鈍い、本機は一航行戦闘の一撃離脱戦法に徹した戦い方を行うことを想定している。 本MMSは、完全受注生産MMSです。ご発注の際は最寄のMMSショップ、もしくはMMS取り扱いのある機械工具商までお問い合わせ下さい。 画像には全身真っ黒で強力な武装を多数備えた凶悪なフォルムの神姫の写真が写っていた。 悪魔型「な、なんじゃこりゃあああああ!!!」 天使型「完全受注生産型の高級神姫じゃないですか」 種型「こいつですかーうわーーーこれは、ちょっと・・・」 ワシ型「こんな神姫がいるんですか・・・」 オーナー3「野木、こいつか?やられたのは」 野木「・・・・ああ、こいつだ、間違いない」 マキシマ「そうだ、こいつだ!!」 ノザッパ「こいつにみんなやられたんだ!!!」 ヴィクトリア「うううむ・・・」 画像を見た神姫たちは口々にうなる。 ナターリャ「この界隈でそいつを使いこなして、真夜中に暴れまれ廻っている神姫といえばSSS級の強ランカー神姫、『夜帝』だな・・・そいつは夜中の12時にしか現れない」 ナターリャは、すっとワインを口に運ぶ。 野木「情報ありがとう」 ナターリャ「気にするな、その程度のこと」 オーナー2「こんな奴が夜中に出るんじゃ、深夜のバトルロンドは出ないほうがいいな」 オーナー3「というか、深夜の12時ってバトルロンドの利用数が一番少ない時間帯じゃね?あんまり被害って・・・ないような気が・・・」 スプーン型「ですよねーほっておいてもいいような気が・・・」 ワシ型「うん、私もそう思います」 ナターリャは、すっとチェスの駒を指す。 ナターリャ「・・・夜の12時は彼女の統べる世界か・・・噂は本当だな」 野木「・・・どういう意味だ?」 ナターリャ「そのままの意味さ、奴の二つ名は『夜帝』・・・夜の帝王だ。普通の神姫たちは視界が良好な日中や遅くて夕方の戦闘に慣れており真っ黒闇の真夜にはヨタヨタと彷徨うのが精一杯が関の山。それに大して彼女は最初の設計開発の段階から夜間戦闘を念頭に置いた武装構成で優秀なレーダー電子装置とステルス装備を搭載しており、彼女に夜間戦闘を挑むのは自殺行為に等しい。だから誰も奴が出ると噂される夜の12時には出歩かない・・・本当に強い神姫ってのはな、戦う前から相手を力で潰すんだ・・・戦闘行為自体を思いとどまらせる力・・・抑止力という見えない力を持っている・・・・言っている意味分かるか?」 野木「くっ・・・ずいぶんと辛口だな」 ナターリャ「事実を言ったまでさ、実際、そのとおりだしな」 野木は周りを見るとほとんどのオーナーや神姫たちが戦う前からコイツには勝てない、夜中には出歩かないようにしようと騒いでいる。 野木「ふん、いまいましい!!」 ヴィクトリア「さてと・・・私たちはどうしますか?マスター」 野木「どうするとは?」 ヴィクトリア「このまま、コソコソと夜中の12時以降に出歩くのをやめますか?」 ノザッパ「それこそ、奴の強さを証明してしまう」 マキシマ「奴の手口が分かった!!反撃だ!」 野木「まて、落ち着け・・・そう簡単には・・・」 野木は躊躇する。やみくもに攻撃しても勝つ見込みは少ない、頭のいい参謀が考えた作戦がいる。 野木「・・・・ナターリャ」 ナターリャはマスターともくもくとチェスを打ち続けている。 ナターリャ「貴様が何を考えているか私は知っているが、私は力を貸さないぞ。私はこの通り、なんの武装も持たない・・・ただのチェス好きの神姫だ」 野木「力ではなく知恵が欲しい」 ナターリャ「らしいですが?閣下」 ナターリャのマスターの伊藤は重く口を開く。 伊藤「ナターリャ、このお嬢さんに協力して差し上げなさい」 ナターリャ「・・・失礼ですが、理由を教えてください」 伊藤「怖気づくほどの強い神姫がいる。それを倒すことに理由がいるのでしょうか?」 ナターリャ「了解しました。そして・・」 ナターリャはナイトをすっと動かしをクイーンを取る。 ナターリャ「チェックメイトです。閣下」 伊藤「クイーンが落ちたか、やはり切り札はナイトということで」 ナターリャ「チェスにおいてクイーンは最強ですが、ナイトは効果的に使えばクイーンを狩れます。駒が必要ですが・・・」 野木「バトルロンドはチェスのようにはいかないぞ」 ナターリャ「試してみますか?」 野木はニヤリと笑う。 野木「あは・・・あはっははっははは!!!面白い!!!!駒は私が用意しよう!!奴は今日も出ると思うか!?」 ナターリャ「・・・でますね」 野木「なら今日の夜11時、ここに集合しよう。駒は何がいる?」 ナターリャ「あなたの生き残りの重巡洋戦艦型神姫が2隻、完全装備の航空母艦型神姫が1隻とベテランの飛鳥タイプの戦闘機型が2機、ステルス戦闘機型が2機・・・あとはなんでもいいから8体ほどの武装神姫・・・こんなところか」 野木「1個機動MMS艦隊をまるごと用意しろというわけか」 ナターリャ「そういうことだ。おおげさだと思うか?」 野木「思わないな、奴を倒すにはそれくらいの覚悟がいるということだな」 ナターリャはうなずく。 ナターリャ「覚悟があるからといって勝つとは限らない。気合や根性で勝てるほど戦いは甘くない。勝つためにはなんでもやる。戦い方を教えてやろう・・・」 ナターリャはきゅっと深く帽子を被る。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>・第3話 「night-3」 前に戻る>・第1話 「night-1」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1840.html
鋼の心 ~Eisen Herz~ インターミッション07:おしまいの日 彼女が只一つミスを犯したとすれば、それはその時だけに違いない。 ◆ (最近は真紀の調子も良いみたいだし、神姫の開発も上手く言っている。……言うこと無しね……) 今にもスキップしそうな足取りで京子は階段を上る。 京子も参加して設計された“武装神姫”、アーンヴァル。 そして正反対のコンセプトで設計されたストラーフ。 Kemotech社サイドでも格闘特化型と汎用型の神姫がロールアウトし、それぞれ『マオチャオ』、『ハウリン』と名づけられた。 武装開発に協力したVulcan Lab社も独自にヴァッフェバニーと名づけられた神姫を開発し、5機種同時販売が決定されている。 狙撃タイプ2機種や植物型、鳥型等のトライアルに敗れたタイプも、この後に参入する企業へ開発ベースとして提供される方針で話がついた。 テストが全て終わったカトレアのマスターとなった少年が開発した、筐体システムも予定以上の性能の獲得に成功しており、全く新しい事業の滑り出しとしてはこれ以上無い状況であると言えるだろう。 (ふふふ。真紀が聞いたら喜ぶかしら?) 夜中なので足音を殺しながら、京子は病院の廊下を急ぐ。 「?」 そして、京子は足を止める。 501号室。 土方真紀の病室の戸が、ほんの僅かに開いており、そこから、室内の光と声が漏れていた。 それに気付き、足を止めたが故に。 真紀が京子に気付くことは無く。 京子は、それを―――。 聞いてしまった。 『私の名は土方真紀。CSCを製作し、全てのMMSの心を作った存在です―――』 (……真紀?) 『―――ですが、私が作ったのは人のパートナーとしての存在。……決して、戦う為の神姫ではありません―――』 (―――!?) 『―――ゆえに、私は全ての神姫を否定し、これを破壊します―――』 「………ぇ?」 『―――その為に、全ての神姫の中枢たるCSCに、私はウイルスを仕込みました。このウイルスは“とある場所”にあるメインコンピューターからの指示で一斉に活性化し、全ての神姫を死に至らしめるでしょう―――』 (CSCにウイルス?) 製品用にCSCがバージョンアップし、Ver1.1に更新されたのは、他ならぬ真紀の提案によるもの。 そして勿論。それを行ったのも真紀本人だった。 『―――あなた方の中には、闘いを通じて神姫との――――――』 京子は、一歩、二歩と後ずさる。 (真紀が? どうして? ……人のパートナー……? 神姫を、破壊する?) 逃げるように。 京子は廊下から走り去った。 ◆ 「……けふっ、くふっ!!」 胸を押さえて真紀が身を捩る。 「主っ!!」 「……大、丈夫」 真紀はそう言って、その身を案じる“彼女”に手を翳す。 (……後、10時間位……) それが、彼女に遺された時間だった。 (……姉さん……) 扉は未だ開かない。 京子は、未だ戻らない。 「……ごめんね、姉さん」 真紀は、もう京子に会えないことを何となく、理解していた……。 「主、これ以上はお体に障ります。一先ず休まれては……?」 「ダメ。今寝たら、もう起きられない……」 「……主」 心を持つ『神姫』であるが故に、“彼女”は真紀の、主の死期を悟ってしまった。 「……最後まで終わらせよう。……私に出来る最期の事だから……」 「………………………はい、主」 10秒と言う葛藤の時間は、『神姫』である“彼女”にとって長いのか、短いのか……。 だがしかし、結局は頷くしかないのだ。 そして。 「―――、貴女に最後の命令を下します」 真紀は“彼女”の名を呼び……。 「メインコンピュータを守り、そこを訪れる全ての神姫を倒しなさい!!」 最期の使命を与えた。 ◆ 翌日、土方真紀が死んだ事を、京子は病院からの電話で知った。 インターミッション08:天使は滅びの笛を吹くにつづく 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る アーリヤ無ぇ(怒)!! 地元、池袋、秋葉原、合計20以上のプラモ取扱店を巡りましたがアーリヤは発見できず。 この間まで何度か見かけてたのに(泣)。 悔しいのでナインボールを買って来た。 ……予想の遥か上を行く出来でビックリだった。 最近のプラモマジすげぇ。 うぅっ、ナインボールでこんなに凄いなら、アーリヤはどれだけ……。 再入荷は何時なのでしょうか? ついでに発見したBLOODALONEの5巻を読んで悲しみを癒す今日この頃。 GWも仕事です(泣)。 ALCでした。 -