約 220,419 件
https://w.atwiki.jp/battle_communication/
武装神姫 BATTLE COMMUNICATION@wikiへようこそ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2410.html
同日 20:00 アフガニスタン南部 パキスタン国境付近 ポイント216 “テキサス『特技兵』” 《合流はせずに、予定通り建物の中を確認しろ》 モンタナちゃんがチラッとこちらに視線を向けると手を振ってきたので、思いっきり振りかえしてあげる。 《テキサスちゃん……もしかして、わざとやってる?》 もう一度、振り返ったモンタナちゃんが一瞬驚いたような顔をしたあと。なんだろう、とってもげんなりした感じ。 「えっ、何?」 《もういいよ。とにかく、そっちの明かりが漏れてる建物から順に調べてね》 そういうとモンタナちゃんは崩れた土壁の隙間に体を滑り込ませる。 「変なモンタナちゃん」 相棒がどこか変なのはいつものことだし。とりあえず土壁をよじ登り、明り取りの窓から中を覗くと…… 「ハイヤー! フナドゥカスーヤ」 「ヒュー、サィーダンコンブゥラ」 見るからに怪しいおじさんたちが、机の上に爆弾っぽいものを並べていた。 「えっと、ここにいるのは六人。あと爆弾がいっぱい」 《物騒ね、こっちにも何人かいるはずなんだけど、暗くてよくわからないの。もう少し調べてみるね》 モンタナちゃんとじょーほーをきょーゆーして、人数と爆弾のことを軍曹さんに報告して窓から、よっ、とばかりに飛び降りる。 「わぁ、お月様が大きい!」 上空のシャドーとのシステムリンクで、周辺の情報がリアルタイムで送られてくるんだ。 土壁くらいなら彼が透視してたりするのでボクがちょっと中を見たのは、彼が見ている机の周囲に集まっているのが、兵隊なのか偉い人なのか、というチェックだよ? 難しいことはわからないけど、それがわかればこうげきたいしょうが定まってくうぐんがくうばくするんだって。 《テキサス、そこはもう大丈夫だ 次は3ブロック先の集会場の熱源を探れ》 「はいっ!」 元気よく答えボクは走り出す。 なんだかわからないけど、軍曹の声を聞くと元気になるし力がわいてくる。ボクが武装神姫だからだと思うけど。モンタナちゃんも軍曹も。別の何かとして扱ってるんだと思う。やっぱり難しいことはわからないけどそれは…… 《嘘でしょ?》 急に、モンタナちゃんの声が無線から聞こえて振り返ったけど。それっきり何も聞こえなかった。 前へ/TOP/次へ
https://w.atwiki.jp/busou_bm2/pages/149.html
[部分編集] パーティオ ケモテック製神姫、フェレット型パーティオ。語尾は「なの」。素体は出ていないがDL武器だけが登場している。(ウィンディツインズなど)パーティオとポモックはイベントやコナミスタイルで発売されたプロトタイプバージョンの素体はMMS 1stであり、一般販売の素体はMMS 3rdになっている。 パイルバンカー 炸薬や電磁加速装置などを使って杭を突出させ攻撃する武器。原理的には大砲と同じだが、杭は前進するだけで飛んで行かないのが特徴。某最低野郎ロボットアニメをルーツとする架空の兵器。ドリルと並ぶ漢の浪漫とも。判定が強く、威力もある単発攻撃のためゲーム序盤でランクが低い頃はありがたい武装。 ハウリン ケモテック製神姫、犬型ハウリン。マスターには従順で可愛らしいが、一方で相手には非常に攻撃的な態度を取るのでそのギャップには戸惑うかもしれない。アーンヴァル ストラーフがMk.2に代替わりしているので、本作ではマオチャオと並んで最も古い神姫だが、それだけに愛用するマスターも多いようである。 バズーカ 現実世界では、携帯型のロケット弾発射装置のことで、連射できない単発式であり、そもそもカテゴリ名ではなかったりする。フィクションの世界では、発射するものがロケットだろうがミサイルだろうがビームだろうが、「とりあえず手持ちのぶっとい武器はバズーカって言っとけ」みたいな扱いであるゲーム中ではその「長もの」の役割はランチャーに譲っており、実際の使用感はグレネードランチャーという感じで、高い威力を持つが独特のクセがあり、上手く使うにはコツがいる。ぜるのん「分類上仕方ないかもしれないけど、1.2mm滑腔砲やハフ・グーファもバズーカにされているのは違和感を拭えないよ」むるちー「いや、少なくともハフ・グーファ(パンツァーファウスト)はバズーカの親戚みたいな関係だからあながち間違いじゃないぞ」 裸ナイフ アークのLOVE20イベントでの装備制限バトルの通称。装備しているのが特定のダブルナイフのみ、レールアクションすら無し、そして敵は通常通りという非常に厳しいハンデを課せられる。負けてもフル装備でリベンジできるが、ナイフだけのままで倒すと称号を獲得できる。同様の武装制限を課されるバトルはあと2つ(アークにもう一つとアルトレーネ)あり、どちらも「裸○○」と呼ばれる。(アーティルシナリオでは武装制限どころか全武装不可というバトルがあるが、これは相手も同じ素手というバトルなので、特に問題は起こっていない)どのイベントも無印・Mk2で「あるレールアクション」を獲得するためにはクリア必須。この戦闘でストレスを爆発させてソフトや本体をみぎぃさせた人もいる、らしい…。Mk2では敗北時即リトライとレールアクションの仕様変更が入っているので、難易度は前作より一応下がっている。 葉月 神姫マスターにして前回F1チャンプの竹姫葉月の事。独特な立ちポーズの為にネタにされたり。パートナーはアーンヴァルMk.2のアルテミスだが、その名前はバトロンのあるイベントで登場したラスボスと同じである・・・まったく関係なかったが。敵として戦う場合は非常に強いが、何故か仲間として戦う場合は極端に弱い印象がある。もちろん、ガイアさんをボコボコにしてる場合もあるが、そっちの印象は薄い。自分と共感する部分があるという理由だけで、赤の他人である千歳の保釈金を払っちゃう辺り、かなり裕福な家庭の娘と思われる。…両者とも所持神姫の方が常識がありそうなところは確かに似ている。バトマス2シナリオでは、主人公に協力を依頼して事件の核心へ誘導し、その上面倒な相手との戦いは全て主人公に丸投げするという見事な黒幕っぷりを披露してくれる。ガイアや四凶、千歳(inヴァルハラ)のような濃い面々の陰に隠れがちだが彼女自身も発言などを見る限り結構な変人の部類である。 バッカルコーン+E83 マリーセレスさんの専用RA。バッカルコーンは、クリオネが補食時に展開する6本の触手のことである。ネットで探してみると動画も見つかるであろうが、「流氷の天使」というネーミングにロマンを感じている人は見ないことをお勧めする。技の発動時に、あの特徴的なリアパーツをばっと広げるところが、バッカルコーンの展開を思わせるところからのネーミングであろう。後ろに付いている+E83については、O.P.F.からの公式発表はないものの、ファンの間では「イヤミ」の語呂合わせだという説がある。 バトコミ/バトコミュ モバゲーの「武装神姫 BATTLE COMMUNICATION」の略称。バトロンの終了と同時に発表された。バトロン、バトマスどちらとも違う世界観を持ち、神姫・装備の強化に他の神姫素体や武装が必要(強化素材用の素体としてNAKEDがあるが)、ベタな感じの悪の組織の存在など、ノリは他二つとは結構異なっているので注意。一時期はやけにイベントが多く行われており、イベント限定仕様(クリスマス・正月仕様など)の神姫も登場している。現在1~5弾およびそのリペイントと、ベルン姉妹、プロキシマ&マリーセレス、ビックバイパーコンビが参戦済み。Mk.2コンビやツガル・リぺアルト姉妹もいるが、これらはキャンペーン期間限定の神姫(期間終了済み)なので注意。あと、ガチャメインのソーシャルゲームの常として、他二つ以上にリアルマネーを吸い込む可能性が高い事には、特に注意されたし。一応課金ガチャさえ使わなければ基本無料なのでそこだけで楽しむこともできる。余談だが、神姫の素体カラーの違うエレガンス仕様・スポーツ仕様(要は体操服とかスク水とかそういうの)等のタイプが複数用意されている。…何か力の入れどころがおかしいような気もしないでもない。バレンタイン以降、ひな祭りと言う女の子の一大イベントにも関わらず何も起きないと思っていたら、2012年5月22日にサービスが終了することが発表(3/22更新)されてしまった。結局こっちでも出番のなさそうな神姫たちが不憫である。さらにこれによりバトマスMk.2DLCも全公開済み、フィギュアのMk.2リペイントフルアームズも発売済みなため神姫関連は公式による新しい情報も話題も無く、先が見えない状態になってしまっている。武装神姫の実際の市場規模や損得勘定はユーザーの立場からでは知る由もないが、ファンとしては今回のアニメ化が最後の打ち上げ花火にならないことを祈るばかりである・・。 バトマス PSPゲーム武装神姫バトルマスターズ(本作および前作も含む)の略称。バトロンで培った驚異の声優陣もあり、全神姫が登場するバトマス完全版を望まれていたりもする。UMDの容量では無理だと思われるため、ヴィータかPS3になるはずである。とはいっても、バトマスMk.2の全DLC神姫を入れても全神姫の半分くらいしか登場していないにも関わらず、16GBのメモリースティックが要求されるほどのボリュームとなっていることを考えると、完全版が実現したら一体どれくらいのものになることやら…。ちなみに現時点でバトマスに登場していない、武装のみ登場の神姫は以下の通りである。(一部武装・武器が登場しているものを含む)簡略化のためリペイント版とリニューアル版は除くが、書籍とバトロンのみ登場のものは含む。フィギュア発売済み/発売予定の神姫天使型アーンヴァル、悪魔型ストラーフ、兎型ヴァッフェバニー、騎士型サイフォス、侍型紅緒、砲台型フォートブラッグ、イルカ型ヴァッフェドルフィン、寅型ティグリース、丑型ウィトゥルース、建機型グラップラップ、蝶型シュメッターリング、カブト型ランサメント、クワガタ型エスパディア、天使コマンド型ウェルクストラ、悪魔夢魔型ヴァローナ、ナース型ブライトフェザー、シスター型ハーモニーグレイス、サソリ型グラフィオス、コウモリ型ウェスペリオー、忍者型ミズキ、フェレット型パーティオ、リス型ポモック、和風箸型こひる、スプーン型メリエンダ、忍者型フブキ弐型、忍者型ミズキ弐型、剣型フランベルジュ、斧型コルセスカ、鴉型アラストール、白鳥型キュクノス、MMS NAKEDバトロンに登場した神姫:イベントに登場しボスキャラを務めた。共に正確にはMMSだが神姫とは少々異なる存在全能なる者“root”、アルテミス(バトマスに同名のアーンヴァルがいるが別物)書籍(デジコミ/武装神姫マスターズブック)に登場した神姫:大半は「武装神姫 Forget-me-not」に登場狐型レラカムイ、人馬型クーフラン、犀型ディアドラ、羊型ベルスーズ、バッカルー型レイディ3、ハツカネズミ型マイキー・イースタン、舞妓型小桜、電気型リカ バトロン PCオンラインゲーム武装神姫バトルロンドの略称。2009年7月開始、2011年10月末に惜しまれつつ全サービス終了。神姫ライドシステムは無く、事前の指示を基に神姫自身が考えて行動する。そのためか、神姫所持者はオーナーと呼称されることが多い。マスターと一体化しバトルフィールドを縦横無尽に走り飛ぶバトマスと比べ、バトロンは最初にオーナーの指示を受けてからそれを基に神姫の判断で1対1で最大10ターンの攻防を順番に繰り返すというもので、ずいぶんと趣の異なるものであった。(そのため、互いの武器の射程次第では時間いっぱい追いかけっこで終わったりもした)そのせいか、同じ神姫でもバトマスとは微妙に性格・態度の違いがあったりする。(基本的なところは同じであることが多いが)神姫周りの基本的な設定は共通するが、神姫の意識をネットに送り込む技術の存在、MMS管理機構という組織、サーバー上での神姫バトルや軍事衛星をハッキングして乗っ取った神姫がいたりとバトマスとは同一世界ではないようだ。ちなみに上述の 全能なる者“root”とアルテミスはゲームでのイベントボスで、rootは神姫の武装パーツのみを寄せ集めた姿をした軍事用MMSのプロトタイプ。アルテミスは試作型の神姫の意識のみがネットワーク上に残ったもので、「軍事衛星をハッキングした(うえに街一つをサイバーテロでダウンさせた)」のは彼女。共にネットワーク上の存在として登場。 花子 花型ジルダリアの俗称の一つ。 パパン 各神姫達をデザインを行ったデザイナーたちの総称。浸透度も高いが、あくまでネットスラング。相手が神姫オーナーだからといって通用するのが当たり前と思わないこと。ちなみにママンも居る。 バルキリースカート アルトアイネスの鎧、ノインテーターの(スカート部分の)通称。元ネタは漫画(アニメ化もされた)「武装錬金」に登場するヒロインの武器から。専用RA「シザーズ・ガリアス・ドミニオール」で見せるスカート部が展開しクローが飛び出す挙動が似ているのと、アイネスが戦乙女(バルキリー)型であるという符合も相まって、すっかり定着した感がある。バトロン時代はアルトレーネのニーベルングも同じくバルキリースカートと呼ばれていたのだが、バトマスではレーネにスカート攻撃がなくなったので、アイネスの専売特許と化している。余談ながら、元ネタの方の中の人も武装神姫に砲台型フォートブラッグ役で出演しているのだが、本作には残念ながら未登場である。アイネスにも「はらわたをぶちまけろっ!」と叫んで欲しかった。まあ神姫がぶちまける事ができるのは…。 バレットカーニバル ゼルノグラードの固有レールアクション。前作での使い勝手の悪さを必要武装的な意味では改善した。でもモーションの関係上今作でも結局は…いたいッ ハンデ戦 一人で2,3人を相手にする戦闘のこと。死角からの攻撃や立っている暇もないほどの連続攻撃など、多くのマスターが苦しめられた。木を見て森を見よの精神を忘れずに、ビットで動きを止めたり速攻で頭数を減らすことが出来れば勝機はある。特に前作からあるハンデ戦の大半はメールでアレな集団に誘い出されて数に任せてフルボッコにされるという展開なため、本作のみぎぃの原因、本作に対する愚痴の代表例である。ひとまず放置して武装ランクを上げてからお礼参りに行くのが通例である。 パンドア 武装神姫世界における神姫製造メーカーのひとつ。ガブリーヌと蓮華のメーカー。2人のシナリオを見る限り、神姫のAIに自分のことを神様とか地獄から来たとか、さらに人間と同じ食べ物を欲しがらせたり、と妙な初期設定を入れる傾向があるようだ。 ハンドガン 拳銃、ピストルとも。片手で撃てる銃、というのが一般的な認識だが、米国などの法律では撃つ時に肩に付ける銃床という部分がない銃とされている。ちなみに日本ではハンドガンを所有できるのは50人まで、と定められている。また、所有する銃も競技以外の非使用時は警察署に保管され、自宅に持ち帰ったりはできない。 轢き逃げアタック 装備しているパーツを分解して支援機体に変形し、体当たりを行うRAの総称。中でも特に、「地上を高速走行する」RAがこう呼ばれることが多い。現状のバトマスでは、バイク型およびトライク型の独壇場といえる。 ぴぎゅうっ クリア前ヴァルハラの伊庭寛二初戦にて、プレイヤーが負けた場合に見られるイベントのセリフ。どうなるかは「みぎぃ」を参照。 ビックバイパー コナミの名作シューティング「グラディウス」シリーズに登場する宇宙戦闘機。英語の綴りはVicViperなのでビッ「ク」バイパーである。(ちなみにVicはV字編隊のことで、オプションを引き連れて飛ぶ姿を編隊に見立てている)登場作品によって細かい形状はリファインされているが、先端が2つに分かれた形状と、白と青のカラーリングは共通である。コナミそのもののイメージキャラクター的な存在でもあり、数多くのコナミゲームに登場している。バトマスにおいても、前作の頃から主人公の部屋に模型が飾られており、さらに本作ではDLCでビックバイパー型神姫まで登場している。 ビット 某宇宙世紀ロボットアニメをルーツとする架空の兵器。遠隔操作の「飛ぶ銃」を使って攻撃する。便利な反面、制約もある。神姫的にはケモテック勢のプチマスィーンズ、アーンヴァルMk.2のリリアーヌ ココレットなどが該当する。射出前後に多大な隙が生じるものの、一度出してしまえば後はビットが勝手に相手のところまで飛んでいって射撃をしてくれる便利兵器である。マスターにニュータイプだとか特殊な空間把握能力だとかが無くても問題なく使えるが、漫画ではプチマスィーンズには自律式のAIが積んであるような描写があったり、神姫には分離変形した武装で構成される独立稼働するサポートユニットというものが結構あったりするので神姫自身そういう制御は得意なのかもしれない。ゲーム中ではこれを撃っているだけでNPCを倒してしまえるほど強力だが、ライバルに使われると非常に面倒な武装。相手を拘束するのに有用。 ひらいたりとじたり 股クールの別称。 貧乳 軽量省スペースをステータスと主張する胸部武装のこと。バトマスには未登場だがホボペタンAA(ポモックのアーマー)とかホボフラットAA(パーティオのアーマー)なんていう奥ゆかしい名前の胸部装甲もある。これら肌の見えるものとは別に、いかにもな装甲板な胸部パーツもある。「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」というセリフが有名。本作ではハウリンが似た台詞を言うが、彼女は貧乳よりも幼児体型と言う方が正しい気も フォートブラッグ アームズインポケット製神姫、砲台型フォートブラッグ。素体は未登場だが武装(アサルトライフルやバックパックなど)だけは登場。製品では素体が付属しないEXウェポンセットであるため、同梱品だけで組むと通称「オーストリッチ」と呼ばれるクリーチャーが完成する。やめてあげてよ最近リペイントが発売された。やはりアメリカのノースカロライナ州フォートブラッグから取った名前なのだろうか(デルタフォースの基地がある)。 武装神姫 1:2006年から始まったコナミの可動フィギュアシリーズ。島田フミカネをはじめとするデザイナーや漫画家を起用して有名になった。しかし2011年にバトロンが終了し、それに続いて発表されたバトコミが2012年にサービスの終了が発表され、アーンヴァルMk.2テンペスタ フルアームズパッケージとストラーフMk.2ラヴィーナ フルアームズパッケージ以降の新作の発表がない時点でエストリル、ジルリバーズ、フランベルジュ、コルセスカが本当に発売するのか危ぶまれる状況に陥っている。コナスタがツイッターでエストリルとジルリバーズは現在発売の予定はないと公表してしまった。フランベルジュ、コルセスカも同様と思われる。このまま終了への道を・・・と思いきや、2012年にTBS系でTVアニメ化が発表され、2012年10月に放送した。今後の展開がますます混迷を極めていたが、そのアニメも放送が終わり、公式ページも縮小(ツイッターのアカウントも削除された)され、2013年6月に発売したBlu-ray DVD第7巻で有終の美を飾った。今後、武装神姫の復活はもうないと思われたが、2017年12月に再起動プロジェクトが始動。コトブキヤと角川との共同による再起動プロジェクトとなる。2:神姫という製品のうち娯楽としての戦闘ゲームを行うことを想定して設計されたモデルの総称。しかしオーナー次第なので必ず神姫バトルに使用されるとは限らない。 武装神姫 Moon Angel 「武装神姫 BATTLE MASTERS Mk.2」のゲーム用に配信されているアニメ。作中劇といった位置付けと思われる。コナスタでブルーレイディスク&DVDが発売中。もちろん、コナスタではアーンヴァルMk.2とストラーフMk.2のリペイントフルアームズとのセットのコナスタ限定商品もあったりする。いろいろ組み合わせているので無駄に高額。本作に登場する神姫であるアーンヴァルMk.2のかぐや(01)とストラーフMk.2の02は、神姫を模した自立戦闘用オートマトンであり神姫ではない。本作のオリジナルとしてかぐやと02のCSCを制御ユニットとした自立式汎用人型兵器アテナ(人間と同サイズ)が出てくる。 武装紳士 武装神姫のオーナーの総称でありスレ住人はその一部に過ぎない。武装神姫のもじりから。公式SS中のオーナー名で使われていたため定着し、そちらが発祥元という説もある。女性の場合は武装淑女と指す事もある。浸透度が高いとはいえあくまでネットスラングであり、神姫スレを知っているかバトロンのオーナー以外の人間は知っているとは限らないため知っていて当たり前と思ってはいけない。 フブキ グループケーツー製神姫、忍者型フブキ。もともとはバトロンオリジナルの初期神姫だったが、何度かフィギュア化もされた。デザイナーはコナミの中の人らしく公表されていない。パッケージイラストの人は名前は出ているが、デザイナーとは書かれていない。ジャンクショップに売っても不死鳥の如く帰り道に現れる現代版呪いの人形。それを売るなんてとんでもない。 フブキ弐型 グループケーツー製神姫、忍者型フブキ弐型。デザインは島田フミカネであり、アーンヴァル/ストラーフMk.2のようなフミカネ的意匠が随所に見られ(特に腕部は共通のデザインである。)、フブキとは印象が大きく異なっている。バトマスには素体は登場していないが、その武装セットがDLC第13号で登場する。そのため、「フブキ弐型装備のフブキさん」が再現可能。 フブッホ 忍者型フブキの俗称の一つ。元ネタは漫画「武装神姫2036」から。 ふぶにー フブキ弐型のこと。 フミカネ神姫 神姫デザイナー島田フミカネがデザインした神姫を指す。アーンヴァル(Mk.2)、ストラーフ(Mk.2)、飛鳥、ムルメルティア、ジールベルン、オールベルンなど最多。 フラッシングブレード エストリル専用レールアクション。バイクで走りつつ、刃物を地面にこすり付ける行動は一昔前の海外映画の悪役と同じ行動である…。まぁ、バイク使い神姫で唯一、轢き逃げアタックではないというのは、まだ良心的とも取れるが、単に「体当たりなんかして、万一バイクが壊れたら、スピード出せなくなるっしょ」ということかもしれない。 プラントプラネット 武装神姫世界における神姫製造メーカーの一つ。ジュビジー&ジルダリアのメーカーである。 プロキシマ O.P.F製神姫、ケンタウロス型プロキシマ。DL神姫。今まで居なかったタイプのヅカ系クールビューティーで、凛とした佇まいである。名前はケンタウルス座に存在する太陽系に最も近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」に由来し、ラテン語で「最も近い」という意味である。また、武装の名称はケンタウルス座を構成する星々の名称などから取られている。イベントでニトロヂェリー(Nitro+と描かれたアークのヂェリカンのこと。ちなみに酒類のような効果を持つ嗜好品が入っているらしい)を呑んでいる場面があるが、これはデザイナーがニトロプラスの社員であることに対するスタッフのお遊び。 プロメテウス事件 本作で追加されたメインシナリオで扱われた事件の一般的な呼び名。事件の詳細についてはプレイしていただきたい。 フロントライン 武装神姫世界における神姫製造メーカーのひとつ。シンボルマークはFとLを組み合わせたものを図案化している。主な神姫はアーンヴァル・ストラーフ系列とそのヴァリエーション、のみならずムルメルティアや飛鳥のような局地戦用神姫も開発している。神姫の種類が最も多いため、武装神姫世界においては最大手メーカーと思われる。フブキ弐型、ミズキ弐型はフミカネデザインだがグループケーツー製になっている(ただし、弐型の開発にはフロントラインが協力している、という設定あり)ため、それ以外のフミカネ神姫はほぼここ。実はここが出した神姫は全てリペイント版が存在している。 ブンドド 一種の業界用語で、フィギュアやプラモデル同士でバトルごっこをして遊ぶことを指す。語源は遊ぶときに思わず口に出してしまう擬音「ブーンドドド」からとされている。子供の頃であれば、誰しも一度はやってみたことがあるであろう。武装紳士達の中にも、入手した神姫でブンドドするのを楽しみにしているのが少なからずいる。それ自体は趣味の範疇であるが、いい歳をしたオトナが神姫を手に「ブーンドドド」とやっているところを理解のない人に見られると、社会的に問題が発生するので、遊ぶときは周囲によく気をつけていただきたい。 ベイビーラズ アヴァンフィジーク製神姫、エレキギター型ベイビーラズ。DL神姫。語尾は「じゃん」。ゲーム中では何というか、マスター運に恵まれていない。 ヘビーガン神 武装収集により得られる称号の一つ。取得により専用RAを入手できる。このRAは対人戦ではすぐに見切られてしまうが、NPC相手なら大活躍。ランチャーさえ装備していれば武装ランク、LOVE、神姫の種類に関係なく使えるという汎用性の高さも魅力。意識して早めに取得すれば、やり込みや育成をする際の大きな力になるだろう。…DLCランチャー「被虐の女神」を所持していたり、専用RAでの使用武器とか考えると、ガイアはこの称号を持っているのかもしれないという気がしてくる。 ヘリッシュクレイドル ジルリバーズの専用レールアクション。ただ単純に突撃して跳ね飛ばすアーク、イーダの専用レールアクションとは違い、ヒットするとそのまま相手の上でジャックナイフ状態で一回転した後、跳ね飛ばすという非常にえげつない技であり、ジルリバーズのヒールさ、ダーティさを垣間見れる技。バイク系レールアクションの中では唯一の多段ヒットするレールアクションでもある。 ベルン姉妹 剣士型MMSのオールベルン3種類、ジールベルン3種類を総称した名前。ただし、公式の呼称ではないので注意されたし。全て宝石の名前を冠しており、オールベルンはパール、ガーネット、ルナーリア、ジールベルンはオブディシアン、サファイア、アメジストがいる。ただし、パールとオブディシアンはそれぞれのシリーズの最初の機体であるため、宝石名ではなく単に「オールベルン」「ジールベルン」と呼ばれることが多い。このネーミングから、「宝石姉妹」とか「宝石戦隊」とか呼ばれることも。 砲子 砲台型フォートブラッグの俗称の一つ。 咆哮 ガイアがランチャーを使って放つ固有RAその1。実質NPC戦専用といっていい。対人戦で使うと、ACで至近即発できればまだしも、後退してから発射するためジャストガードの的、もしくはジャンプなどで回避される事にしかならない。 ポモック ケモテック製神姫、タヌキ型リス型ポモック。語尾は「ぽも」。素体は未登場だがDL武器だけは登場している(まんが肉)。ちなみに前述のタヌキ型というのは持っているアイテムがまんが肉なのとどことなくタヌキっぽく見えることによるが、もちろんこのネタを不快に思う人もいるのと、ちょっとしたゴタゴタが過去に起こったので注意が必要。BLADE氏によればまんが肉を持たせたのは無意識だとか。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/213.html
『さぁて、皆さんお待ちかね……第一回全国一斉バトルロワイヤル、開催だぁっ!』 ピンクのシャツに赤いスーツを着込み、眼帯をした、丸刈りで髭の中年司会者が絶叫する。 それがフィールド及び全国の中継会場に木霊。観客もそれにつられてヒートアップしていく。 『まずはルールをご説明しましょう。それはシンプル! 戦って……戦ってぇ……戦い抜いてぇ!勝ち残った神姫が…優勝賞金一億円を、手にするのだぁっ! 』 ワァァァァ!と各地のモニタを介してみている観客たちから、歓声が上がっている。 やがてモニターにバトルフィールドの情景と全体マップが映し出される。 情景はランダムパターンで次々と映し出されてゆく。荒野、市街地、水中ete…… 全体マップの方は一言で言えば南海の孤島、といった感じで半円型、もしくは緩い水滴型をしている。 そしてそのマップには木の年輪のような線が入れられている。 『さて、それでは続いて詳細なルールをご説明しましょう。 まず武装神姫たちはこのフィールドの最も外周に当たる、この第一エリアにランダムに配置されます。 その後の移動及び戦闘は自由。戦い生き抜く過酷なサバイバルに挑戦してもらいます。 それと隠れ続けての不戦勝狙いの防止策として、一定時間ごとに第一エリアから順次、進入不可能エリアと変化。 進入不能エリアになった時点で、そのエリアに存在する武装神姫は全て強制失格になるので注意を』 『それではぁ……神姫ファイトォ……!レディ、ゴー!!!』 ねここの飼い方・劇場版 ~六章~ 『ねここ、雪乃ちゃん、アリア、現状位置把握、OK?』 「うん、みさにゃん。ポイントX154Y658だね」 「こちらはX199Y127です、姉さん」 「X101Y352」 私の指揮下の3人より返答が入る。 ゴーストタウンの廃ビルの内部に潜むねここ。森林に潜む雪乃ちゃん。地底洞窟を黙々と進むアリア。 バトルが開始されたと言っても私たちの目的は違う。 まずはみんなと合流しないといけないのだけれど…… 私はヘッドギアの通信チャンネルを切り替えて、全通話モードに切り替える。 『どうですか、皆さんの位置情報をお願いします』 OK,了解と返答が続き、個人用ディスプレイの全体マップ上にメンバーの位置が表示される。 『……結構バラバラに配置されましたね。店長、突入ポイントの特定は出来ましたか?』 『あと10分……いや5分だけくれ。絶対に割り出す。それとジェニー、いやジェネシスの出現ポイントが確定した、そちらは今データを送る』 『了解……データ来ました、第2エリアの中央辺りですね。各員はそのポイントへ移動を開始してください。 それと戦闘は出来る限り避けて戦力の温存を……みんな気をつけて』 みんなの威勢の良い返事が返ってくる、士気は高い。 『あ、それとねここは十兵衛ちゃんとの合流を優先して。 いくら新型ボディで稼働時間が延びてても、今回のような長期戦では不利でしょうから、当初の予定通りねこことドッキングを』 「わかったの。ポイント確認……いきまーすっ☆」 『あ、ちょっと待てぇ!』 言うが早いかビルの屋上まで飛び上がると、一気にブースターを開いて高速移動を開始するねここ。 屋上を足場に連続ジャンプして最短距離を移動するつもりなのだろうけど 「にゃぁぁぁっ!?」 何処に敵がいるかもわからないのに、そんな轟音を立てて空中をすっ飛んで行けば良い標的と思われる訳で。 案の定ビルの陰、柱の角、その他諸々あらゆる所から、数えるのも馬鹿らしくなるほどの火線がねここに襲い掛かる。 冷静に考えればそんな頭上を高速移動中のに撃ったって無駄弾なのだが、この数では万一の事態もあるので馬鹿にはならない。 『あっちゃぁ……こうなったら逆に吹かして振り切って!』 「りょ、りょうかいなのっ!」 ここぞとばかりにフルパワーを出し、一気に振り切りにかかるねここ。 開始から燃料の大量消費は避けたかったけども、やむを得ない……トホホ。 『十兵衛、無理にリミッター解除はするな。初めから負担が大きくちゃ最後まで持たないぞ』 「大丈夫ですよマスター。この程度なら……いけますっ」 竹林を縫う様に駆け抜ける十兵衛。その背後には多数の神姫が迫っている。 隻眼の悪魔の名は非常に有名であり、倒して名を上げようと、また1対多数で早めに強敵を仕留めてしまおうと考えるものが多いらしい。 また十兵衛の弱点として、近接戦闘の勝率が悪いと言う事が広まっており、五月雨式に多数で攻撃を仕掛ければ倒せるのではないかとの予測もあったと言える。 そして十兵衛は目立つ。ストラーフでレーザーライフルを装備しているのも少数派であるし、何よりその眼帯の持つインパクトは絶大といえた。 それら複数の理由のため、十兵衛には像に群がる軍隊アリのように多数の敵が群がってきていた。 最初は薙ぎ払っていた十兵衛だったが、敵数の多さとエネルギー温存の為に離脱に切り替えた。 しかしそれでも尚、結構な数が追尾してきている。 「しつっこいなぁ……もぅ。こうなったら……」 真・十兵衛に人格を切り替え、まだ食い下がる追跡者たちを一気に蹴散らそうと踵を返した瞬間 「に゛ゃぁぁぁああああああああああああ!!!」 ドガァァァァァン!!! と追跡者たちを音速の衝撃波で吹き飛ばすねここ。 ……単に加速しすぎて止まれなくなっただけなのだが…… 「真・十兵衛、覚s………ぇ」 覚醒したはいいものの、辺りには吹き飛ばされて戦闘不能になった神姫たちが転がるだけであった。 「……戻る……」 ちょっと不貞腐れたように元の十兵衛に戻っていく真・十兵衛。 『……何やってるんだか』 凄いんだか、凄くないのだかよく判らないわね、全く。 「な……なんとか合流できたのぉ」 「ありがと♪ 助かったよ、ねここちゃん」 減速しつつ、やっと十兵衛ちゃんの所に辿り着いたねここ。 『二人とも急いで。他の娘はもうポイントに到着しつつあるから』 「わかったの。十兵衛ちゃん落ちないでねっ」 「うん……おもいっきりやっちゃって!」 再びブースターに点火する。二人は他の仲間のいるポイントへ向けて、まっしぐらに加速してゆく。 「おい、何をする気だ! ぅわ!?」 後頭部を鈍器で殴られ、昏倒するスタッフ。ホストコンピュータのあるこの施設は既にその犯人たちに占拠されていた。 ごく一部の部外者は目の前の男のように既に排除済。 「……よし、始めろ」 奥にいたリーダー格らしい男が指示を飛ばす。 「我等の怨み、思い知るが良い……鶴畑、オーナー、武装神姫どもめ……」 ……そして、狂気の祭典の幕が上がる。 『第一エリア、封鎖、3分前。繰り返す、第一エリア……』 合成アナウンスがフィールドに響き渡る。 と同時にセンターなどの現場スタッフが俄かに慌て出す。予定時刻よりも大幅に早い時点でのエリア封鎖なのだ。 「え、何なに?」 「そんなっ!?」 「うそ、まだ早いよっ」 まだ第一エリアに取り残されている神姫達も狼狽する。戦闘を行っていた者も慌てて第二エリアへと移動を開始する。 「ねぇ、エリナちゃん。早く隣のエリアに移らないと失格になっちゃうよ!?」 密林エリアの中、アーンヴァル型の神姫が、隣に佇むハウリン型の神姫にそう呼びかけている。 二人は友人同士、この大会でも最後まで一緒に戦おうと決めていた。 だが合成アナウンスが流れた途端、突然エリナが夢遊病者のような状態になってしまった。 「エリナちゃん!? 早く行こうよ、ねぇどうしちゃったの!?」 肩を掴んで揺さぶるが一切の反応がない。……いや、それに刺激されたのかエリナの顔が上がる。 「エリナちゃん!よかったぁ、さ、早く行こ!?……ぅ……」 彼女がエリナの手を取って駆け出そうとした瞬間、エリナがその手に装備した蓬莱壱式で至近距離から砲撃したのだ。 それは腹部に直撃、巨大な風穴を作り出していた…… そのまま上半身が千切れ、ドサリと崩れ落ちる。 「ど……ぉ……し……」 驚愕の表情が張り付いたまま、涙を流し、半ば消えかかった意識でそれだけを発する彼女。 エリナはそんな彼女へ歩み寄ると、その頭部に蓬莱壱式の銃口を押し当て…… 降り出したスコールの中、辺りには砲声の轟音だけが響き渡っていた…… 暴走の刻が、来たのだ。 そうした小競り合いがあらゆる所で発生。。エリア離脱を図る神姫たちに暴走神姫が襲い掛かったのだ。 離脱に気を取られすぎていたある神姫はあっさりと倒され、なんとか迎撃した神姫にもタイムリミットが迫っていた…… 中には先程のように友人に対して攻撃を躊躇う内に、逆に倒されてしまったケースも多い。 そして……運命の時刻がやってくる。 「ねここちゃん。あれを!」 十兵衛ちゃんが叫ぶ。高速移動しつつも振り返って状況確認をしようとするねここ。 「何……あれ」 第一と第二エリアの境界に強力な電磁バリアが張られ、完全に行き来を不可能にしていた。 「そんなっ! 後一歩だったのにぃ」 目の前でバリアが発生し、移動不能になってしまったマオチャオ。 「あーあ、こんなとこでおしまいか。ちぇー……ぇ」 愚痴りつつ回収されるのを待っている、と、マオチャオの足元から黒い稲妻のようなモノがバチバチと放電してくる。 とっさに回避するマオチャオ、だがソレは着地地点にも発生し…… 「きゃぁぁぁぁぁ!?」 黒い稲妻がマオチャオの全身を犯してゆく。 やがて稲妻が収まると、そこには感情の一切ない神姫、いや只の操り人形がいるだけだった。 「ちょっと待って、何かバリアから出てきます……望遠レンズ倍率拡大、ズームにして各種センサー展開……」 十兵衛ちゃんが神眼を使い、その正体を暴き出す。 『どうだ、何かわかったか?』 「……どうやら暴走神姫みたいです。あの夢遊病者みたいな表情は間違いありません」 『……って事は、始まったのか』 「はい……しかも敵は封鎖エリアに関係なくやってくるみたいですね」 『バリアを抜けてきてるものね……』 事態は一刻を争う状況になってきたみたい、ね…… 「ねここちゃん、合流ポイントへ急ぎましょう!」 「うんっ」 ……舞台の第二幕が上がろうとしている、悪役の次は、ヒーローの出番! そう信じて。 続く トップへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/656.html
そのさん「良く晴れた日」 とある日曜日。 その日は見事な秋晴れだった。僕は昨日約束した通り、ティキに外に散歩に行こうと告げた。 当然散歩だけではなく、来るデビュー戦に向けてパーツのテストを行うという目的も兼ねている。 ティキはマオチャオで、なのに僕はこの娘に鉄耳装とキャットテイル以外のマオチャオ用の武装を装備させてない。 しかも無理やり自作の情報集積装置とそれに伴い改装した鉄耳装を有線で繋いでしまったものだから、うまく機能するか不安だったんだ。 もちろんそんなのはただの杞憂で、さっさとテストを終えた僕らはダラダラと散歩&日向ぼっこに興じている。 「お外に出たのは初めてなのですよぉ♪」 楽しそうに浮かびながらティキは言った。アーンヴァル用のリアウイングを背中につけているので宙を飛んでいても不思議じゃない。 「あれ? そうなんだ」 「そうですよぉ♪ 旦那さんはマスタたちにティキのことナイショにしてたので、ずっとあの部屋から出た事無いのですよぉ☆」 ……判りにくいので説明すると、彼女の言う『旦那さん』とは元オーナーの僕の亡父で、『マスタ』と言うのが現オーナーの僕の事。 「うにーー……お日様の光って、すごく気持ちイイですぅ……」 うっとりとしてそう言うティキ。 周りを見回せば、多くないとは言え神姫と一緒にこの公園に来ている人間も少なくはない。つまりは当たり前にオーナーと外で日を浴びる神姫がいるって事。 ティキはそんな当たり前を今まで経験してこなかったんだ。 そう考えると少し悲しくなった。 「マスタ、どうしたですかぁ?」 気が付くとティキが目の前で心配そうに僕の事を見ている。 「……いや、なんでもない。それじゃ、せっかく初めての外出なんだからめーいっぱい遊ばないとねっ」 「ハイですぅ♪」 今でこそなんの躊躇もなくティキと外に出たりできるけど、僕がとりあえず便宜上、ティキのオーナーになった時は、それでも僕はティキを所有する事に戸惑いを覚えていた。 何度も言うけど、僕は自分のオタク体質を認めたくなかったんだから仕方が無い。 格好つけもあったと思う。40年以上の昔から今に至るまで、オタクと呼ばれる人たちが世間一般に『カッコいい』と言われた時はわずかで、しかもその時さえも『見ようによっては』という注釈がついたほどだ。 つまり、どこまで言ってもオタク=変人である事には変わりはなかった。 しかしティキに出会ってからというもの、『武装神姫』に対する興味はますます膨らむばかりで。 「いやいやいや……でも、なあ?」 「なにが『なあ?』なんですかぁ?」 「おうわっ!」 我ながらどうかと思う奇妙な声を出して驚く。 その僕の目の前には、ニコニコと笑顔を浮かべたティキの顔。 僕だけに向けられているそんな笑顔を見て、僕は顔が赤くなる。 彼女に振られたばかりで、女の子のそういう表情を見るのがご無沙汰だった僕は、それだけで照れてしまった。 あぁ、今ならわかるよ。武装神姫にのめり込んで溺愛する人の気持ちがっっっ! …………………… って、あ……れ? 何かが天啓のように僕の頭に引っかかった。悪魔の誘惑とも取れるのだけども。 一体今の僕は、何に対して格好をつけなければならないのか? 格好つけて見せるべき対象であった彼女には先日見事に振られ、その彼女と釣り合いが取れるように張っていた見栄やプライドにも、今では何の意味も無いのに、好きだと感じれる事や、興味をそそられる事に遠慮して、一体僕のなにが守られるのか? 今僕が格好つける相手は、目の前の彼女じゃないのか!? 一回でもそんな考えが頭を過ぎると、後は坂道を転がる石の様。 「……そうだね。自分から逃げていてもダメだよね」 多分、世間で言う所の『一般常識人』は、この時の心情から出てくるその言葉に矛盾を感じるんだろうなぁ。 多数意見に寄りかかり、他を排除し、否定してしまう人たちには、『安寧のために現実に逃げるのを止め、夢中になれる自分の本当に目を向ける』という幸せは判らないんだ。……今までの僕がそうだった様に。 「決め、た」 「なにをですかぁ?」 僕はティキを見つめ、宣言するように言葉を紡ぐ。 「ティキ。僕はこれから君と一緒の時間を過ごす事に決めた。……親父の代わりは勤まらないかもしれないけど。それでも!」 「……………………」 「ティキ?」 なんだかプルプル震えるティキ。心配になる僕。 「違うのですよぉ! 誰も誰の代わりにはなれないのですよぉ! 雪那さんは雪那さんなのです! 誰かの代わりじゃないのですよぉ!!」 そして彼女は怒った。 驚いた。そして不覚にも感動してしまった。それこそそれは、たった今自分が決意した事を肯定する言葉なのだから。 そんな僕の心中にティキは気付かず、にっこりと目を糸の様にして笑い右手を差し出す。 「というわけで、これからよろしくなのですよぉ♪」 その言葉を受け、僕はその手に右手の人差し指で応じた。 初めて見る外界。データとして、知識として知っているだけなのと違い、リアルなそれら刺激に対し、ティキは戸惑いながらも楽しんでいるみたいだ。 だからこそ、今日一日は二人で目一杯遊び倒した。初めての外出を、それこそいい思い出にしてあげたいから。 犬にじゃれ付かれそうになって笑いながら逃げ回るティキ。 じっと見ていた昆虫の、突然の行動に驚くティキ。 幼い子供が彼女に手を振るのに、照れ笑いを浮かべながらも手を振り返すティキ。 そんな一つ一つが僕にとっても嬉しい。 ひとしきり遊んで、へとへとになる頃には日がずいぶんと傾いていた。 「それじゃぁ帰ろっか」 僕は頭の上で休んでいるはずのティキに言う。が、ティキから返事は無い。代わりに聞こえてくるのは、 「すぅー…… すぅー……」 と言う寝息だけだった。 僕は頭の上でうつ伏せに寝ているティキを起こさないよう、ゆっくりと立ち上がると、慎重に家路に着く。 途中、少し目が覚めたティキは、小さく何かを僕に言うと再び眠りについてしまった。よくは聞き取れなかったが、まぁ、起こしてまで聞き返す事も無いし。 そのままの格好で帰宅した僕らを見て、母は一言こういった。 「なんだか昔のMMOの頭部アクセサリみたいね」 ……結局母も侮れない。 「マスタと一緒に遊べて、ティキはとっても幸せなのですぅ……」 思わずうれしくなっちゃうその寝言は、僕だけの秘密にしておこう。 終える / もどる / つづく!
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/14.html
凪さん家の十兵衛さん 第一話<出会い> も、もって帰ってきてしまった。 捨て犬ならぬ捨て神姫を。 しかも右腕無し、左目損壊、右足首欠損、左足腿より下は無し。 モデルはストラーフとかいうやつっぽい。 最初は拾う気は無かった。 そう、たまたま夜にごみを捨てに行ったらそこにいたのだ。 ボロボロの状態で無残に捨てられていたそいつが。 かわいそうなもんだ…と玩具にいらん感情を抱きながらも無視して一旦は帰った。 しかしどうもあの姿が脳裏にい焼きついてはなれない。まるで泣いているようなあの悲しそうな表情を。 いや待て、まったくおもちゃなどにこんな感情を抱くなんてどうかしている。しっかりしろ自分…と言い聞かしたのだが…。 何故か目の前にいるんだよなぁ…。 その捨て神姫は今俺の机の上に置いてある。 さてどうしたものか。 てかこいつまだ動くのか?機能停止で捨てられていたのなら拾っても意味がない。 ただの壊れた人形だ。 「…こいつ…スイッチどこだ?」 まず動くのか動かないのかがわからないと拾った意味がない。そこで俺は友人に連絡をとることにした。 そいつはかなりの武装神姫マニアだ。スイッチの一つや二つどこにあるのか分かるだろ。 「ないぞ」 友人の返答はこうだった。 「は?ない???」 「あぁ、箱を開けたら勝手に起動するからな」 「じ、じゃあ動かなくなった神姫はどうしたら動くんだ?」 「う?う~ん??動かない?そりゃ完全に機能停止してない限りは…」 「なんだ」 「バッテリー切れじゃないか?」 「へ?」 「バッテリーだよ。内臓バッテリーの電池切れ、もしくはバッテリー自体がお陀仏か」 「どうしたらいいんだ!」 「な、なんだ急に?」 「いいから教えろ!」 「バッテリーも充電スタンドも取扱店…ま、平たくいえばおもちゃ屋に行けばあるぞ。あとは充電するなりバッテリー交換するなりしろ。後は知らんなぁ…」 「そうか!分かった!ありがとな!」 「え、お、おい!いった…」 そうして買ってきた充電スタンドとバッテリー、そして 「【誰にでも分かる武装神姫】…ね」 とりあえずその参考書を元にバッテリーを交換し、充電スタンドに接続した。なれない作業であったが、さすがは【誰にでも分かる武装神姫】だ。 こんな俺でも順調に作業することが出来た。 「あとは…こいつ次第か」 充電スタンドにもたれかかるようにして接続されているボロボロの神姫。 「お前、一体どうしたらここまでなるんだ?」 そいつは何も答えない。相変わらず悲しそうな表情。 このまま待っていても仕方ないか。 「とりあえず…寝よう」 とベッドに体を滑らせた。 そのときだ 「-充電完了-」 って…早いな!! で、どうなんだ!動くのか!動かないのか! 「あ、目が」 ゆっくりと開いてゆく。左目は既につぶれているので右目だけだが。 「お、お~い。い、生きてるか~?」 恐る恐るたずねる。 右目の淡い光がこちらを捕らえる。 そして 「い、いや…いやぁぁgぼrkjらおjぁ!!!!!」 いきなりそいつが叫びだした。 「うぉぁ!!」 真直で見ていた俺はその声に驚き思わずしりもちをついてしまった。 「いや、いやぁぁぁxぎgkhこそrほks!」 どうやら発声部分にも異常があるらしい。所々何を言っているのか分からない。 ぎぎぎ…といやな音。 なんとそいつは充電スタンドから自分の体を無理やり外そうとしていた。 「ば、ばか!何してんだお前!」 「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」 バキィ!!という音とともに充電スタンドから開放される神姫。しかしそれは外したというよりは剥がしたという感じだ。 その証拠に充電スタンドには神姫の背中の一部が残されていた。 「おい!お前何考えてるんだ!!死ぬぞ!!」 われながら傑作。玩具に死ぬぞ!とか言ってるよ。友人よ、どうやら俺もそっち側に来ちまったみたいだ。 とにかくいまはあいつの暴走を止めなければ。 といっても捕まえるのは簡単だった。 そりゃそうだ、こいつの両足は損傷、損壊してる。歩くどころか立つのも困難だ。 「おい!一体何なんだお前!」 「いやx!離して!もういやkぁ」 「落ち着け馬鹿!!とにかく落ち着きやがれぇぇぇぇぇぇ!!!」 はて、俺ってこんなに声でかかったか? この超特大の魂の叫びに圧倒されたのか、神姫の動きはカチンと固まった。 あれ?もしかしてやらかしたか? 「お、おい?い、生きてるか?すまん、つい大声だして」 しばしの沈黙。 「…ここはdこ…」 「え?」 「ここは…どこなんですか?」 よかった、話がやっと通じた。 「ここは俺の家だよ」 「そう…なんでなんですか…」 「?」 「私はもういやなんです」 「へ?」 「毎日毎日戦って戦って勝っても負けても虐げられてずっとずっと暗いところで戦って…他の皆は明るい所で楽しそうなのに!なんで私だけ…もういやなんです…」 「お、おい…」 なんなんだ?話が読めないぞ…。 「壊してください…」 「は?」 「ここで会ったのも何かの縁です…私を壊してください」 ちょ、待て…何だこいつ…。自殺願望のある玩具なんて初めて聞いたぞ。 てか答えは決まってる。 「いやだ」 「な、なんでですか!わたしはもうこんな場所に居たくないんです!!!」 悲痛な叫びが部屋中に響く。 「いやだ」 「そ、そんな…」 「絶対いやだ」 神姫の表情が一気に曇る 「…戻れというんですか…またあの暗い場所に…」 そういうと神姫は俯いてしまった。 「あんなところに戻るなら壊されたほうがいい…ひっく…あんな…うぅ…地獄のような場所に行くくらいなら…ぐずっ」 今度は泣き出してしまった。 「な、なぁ」 「なんですか…ひぐ」 「俺、一言も戻れとか言ってないんだけど」 「…」 「つか戻んなきゃいいじゃん」 「…そんなの無理に決まってます」 「なんで?」 「だって私達神姫にはマスターがいるんですよ!?そのマスターの命令には逆らえないんです」 「今は?」 「たぶん…まだ私が逃げた事には気付いてなんです…でも気付かれて戻れといわれたら…」 「なぁ?」 「今度はなんですか…」 「そのマスターって変えられないの?」 「無理です。今のマスターが管理権を放棄しないかぎりは…だから私は壊されていなくなりたいんです!」 「ふぅん…じゃあ」 「はい…」 「壊してやるよ」 「…ほ、本当ですか!」 「あぁ、かわいそうだし」 「…有難うございます」 「じゃあ…寝ろ」 「はい…よろしくお願いします」 そして神姫は右目を瞑り、スタンバイモードに入った。 「まったくいきなり来たと思えば無理難題を押し付けるなんて。これは飯驕り一回じゃすまないよ?」 「わりぃ、本当に助かったよ」 「でもこれでよかったのかい?」 「ああ、上出来だ」 「別にこの子にこだわらなければ起動してないコアユニットをあげてもよかったのに」 「いや、こいつじゃなきゃ駄目なんだ」 なんだろう…声が聞こえる…。 光?なんで? 「お、お目覚めだよ?」 「よ、おはよう」 …え?なんで?なんで壊されてないの? 壊してくれるといったのに。 「な、何なんですか一体」 「へ?何が?」 「しらばっくれないで下さい!あの時あなたは確かに言いました!壊してやるって!なのに、なのに」 「コードナンバーg0g1gagen419タイプ【ストラーフ】は昨日の午後23時に完全に機能停止、よって登録抹消。昨日のあいつは確かに壊したぜ?」 そんな、じ、じゃあ私は一体…。 「お前は確かにストラーフだが、ナンバーが違うだろ。しかもお前にマスターいないし」 「ど、どういうことですか!」 「こいつ、いきなりやってきてね、君を壊れたことにして自由にしてやってくれって言ったのさ」 「ば、ばか!余計なことを言うな」 「でもそれだけじゃつまらないから、ボクが持っていた不良品コアから登録コードだけを抜き出して君に移植したんだよ」 そ、そんなことって…。 「だからお前は、昨日のお前であってそうじゃない。今日からお前は自由だ」 う、うそ…。 「な、なんで…」 「さっきからなんでばっかだなお前」 「え」 「とにかくお前は生まれ変わったんだ。ま、まぁ体は前のままだが…」 「これも大変だったんだよ?僕が破損部分を総とっかえして左目は高性能カメラアイに換装。多少見た目がアレなんだけど神姫用のカメラアイを仕込むにはあまりにもひどい破損状況だったから。もちろん発声部分も交換済み」 「ほんと、ありがとな…しかしまるで柳生十兵衛だな」 「どういたしまして。…それにしても…はは!そいつはいい!眼帯の悪魔ってね!」 ど、どうしてこの人は私にここまでしてくれるのだろう。ご友人に頼んでまで…。 「な、なんでこんな…」 「あ、あ~…ごめん…余計なお世話だよな…勝手に…」 「あ、いえ…そ、その!う、うれしい…です」 「え…」 「でも…何でこんなにまでしてくれるんですか?」 「え、う~ん…なんでかな…明るい世界を生きて欲しいから…とか?」 「…」 「それに」 「それに…?」 「君と一緒にいたいって思ったからかな」 「…」 「君がよければ、俺をマスターにしてくれないか?」 う、何だろう…目頭が熱いよ。 「うえっ…ひっく…」 「うお!どうした!」 う、うれしいのに何で…。 「うあぁぁぁぁぁぁぁん!!!」 「なんだ!?何で泣いてるんだ!?」 何で泣いちゃうんだろう。涙が止まらないよお。 「ず、ずびばぜん…ぐすっ…うえぇぇぇぇん」 「え、お、落ち着け!どうしたんだ!とりあえずこれで涙拭け!」 「うえぇぇぇぇぇぇぇん!…」 「先ほどは取り乱してすいませんでした」 「いや、良いよ。落ち着いたなら何よりさ」 あ~びっくりした…なんて感情豊かなんだこいつは。思わず焦っちゃったぜ。 ん、こいつ?こいつか…。 「ねぇ、君の名前って何?」 「名前…ですか?」 「そ」 「ストラーフですが」 「そりゃ商品名だろ?俺が訊いてるのは君自身の名前」 「…すいません、無いんです」 「え、あ…ごめん…」 「いえ、じゃあマスターがお決めになってください」 「え、じゃあ…」 う、う~んさっきからこれしか浮かばない… 「怒らないか?」 「え、えと…どうでしょう?」 「十兵衛」 「え」 「だから…ジュウベエ」 「…」 「あ、ご、ごめん!そうだよな!仮にも女の子型なんだから十兵衛はなぃ」 「良いですよっ」 「よなぁ…って、え!?」 「十兵衛で良いですよ。マスター」 「ほんとに?」 「マスターが私のためにつけてくださった名前ですから」 「そ、そうか…」 う、うれしいものだな…なかなか。 「じ、じゃあ…十兵衛」 「はい、マスター」 「これからよろしくな」 「こちらこそよろしくお願いします!マスター!」 こうして、俺と十兵衛の生活が幕を開けた。 第二話も読む
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1504.html
「天使型チームにしよう」 「ありがとうございます、ご主人様!」 「流石、ダーリン」 俺は天使型チームを選んだ。 やっぱり違法改造武器経験者のアンジェラスがいるからバトルで楽が出来ると思うし、ルーナも前の闘いで楽々勝利してたから余裕があるだろう。 「えー!?アンジェラス達のチームじゃなくて、ボク達のチームを選んでよー!」 「お兄ちゃん、私頑張るから…私達のチームを」 悪魔型チームを選ばなかった事に抗議するクリナーレとパルカ。 気持ちが解らんなくもないが、これは俺が選んだ事だ。 文句は言わせない。 でもまぁ、ここは優し接しって説得するか。 「後で婪に頼んで、バトルをさせてやるから待ってろ」 「でも~」 「クリナーレは大人だろ。頭撫でてやるから大人しく待ってろ」 そう言いながら肩にいるクリナーレの頭を撫でてやると大人しくなった。 純情なものだ。 …でもちょっと撫でずらい。 「お兄ちゃんー私も撫でてください」 「はいはい、パルカも忘れてないよ」 クリナーレ同様、パルカの頭も撫でてやる。 うぅ~、手がつりそうだ。 「ご主人様、頭を撫でるのはご褒美じゃないんですか!?」 「まったくもって、その通りですわ」 「あーもう、しょうがないだろ。クリナーレ達が駄々こねるんだから、少しは多めに見てやってくれ」 「じゃあ、私とルーナには撫でるご褒美より、更に素敵なご褒美をくださいね!」 「わ、解ったよ。バトルに勝ったらな」 「約束ですからね!それじゃあルーナ、頑張ってバトルに勝つよ!!」 「はい、お姉様!」 俺は片方の手を使ってアンジェラスとルーナをバトルを行う筐体に入れる。 はぁ~、アンジェラスの奴はちゃっかりしてるなぁ。 撫でるより素敵なご褒美ねぇ~、何してやればいいかなぁ? あんまり良い案が出ない。 まぁ後で考えるかぁ。 「そんじゃあ頑張ってこいよ、二人共!」 「任せてください!」 「おちゃのこさいさいですわ」 こうして天使型チームのバトルが始まった。 違法改造武器を持たせたからといって、相手を殺す程の威力は無いように設定してあるから大丈夫だろう…多分。 …。 ……。 ………。 アンジェラスの視点 私がバトルを始める筐体に入ってから数十秒が経った。 そして最初に見た風景は浜辺でした。 とても透き通る海に晴天の空。 まるで海に遊びに来た感じです。 周りを見ると敵はいなく、ルーナだけがいた。 調度違法改造武器のインストールが終わった頃でしょう。 「ルーナ、武器の調子はどうですか?」 「う~ん、これといって違和感ありません。でも最初は頭の中がごちゃごちゃになった感じがしましたわ」 「大丈夫です、すぐに慣れますから」 「お姉様はまるで、もう違法改造武器を使った事がある口ぶりですね」 「エッ!?いや、何と無くそんな感じがしてね」 「そうなんですか?」 「そうそう、そうなのよ」 あ、危なかったです。 ルーナに既に違法改造武器を使って手慣れているとバレる所でした。 いつもおちゃらけているルーナは以外と鋭い所がありますからね。 気をつけないといけません。 「じゃあまずは武器を召喚しましょう。やり方はルーナでも解るでしょ?」 「はい、先程インストールされてその中のデータを見ましたから」 どうやら大丈夫みたい。 この調子ならルーナの事は心配なさそうです。 それでは私は自分の事に集中しましょう。 「グラディウス、召喚!」 私が高らかに声をあげると目の前に青白く光る剣が現れた。 アンダーグラウンドで使う剣。 昨日夜、ご主人様は性能はそのままで威力だけ低く設定した、と言っていたから遠慮なく攻撃できます。 私はグラディウスを手にとるといつもと同じ感覚になる。 バトルで殺し合う感覚に…。 駄目! 今回は普通のバトルです! 殺し合いじゃないです! 「沙羅曼蛇、召喚!」 隣で沙羅曼蛇を召喚するルーナ。 目の前に沙羅曼蛇が召喚され手にする。 「これがあたしの武器ですか。他の武器と違って扱いやすそうですわ」 どうやら沙羅曼蛇の事が気にいったみたい。 良かったですね、ご主人様。 「ルーナ、準備はいい?」 「はい。大丈夫ですわ、お姉様」 「それじゃあ…行きます!」 私は掛け声とともに空に飛ぶ。 ルーナも私の後を追っ掛けて飛んでくる。 空へ飛び、敵を探すが中々見つからない。 ヘッドのセンサーを使っても反応は無し。 これでは時間が刻々と過ぎていくだけ。 その時だった。 「ヤァアアアアーーーー!!!!」 「「!?」」 私達よりも上空から大声が聞こえた。 声がする方向にすぐさま振り向くと。 「ッ!?」 敵は太陽の背にいたので眩しくて直視できなかった。 おかげで目がやられ、敵に隙を見せてしまった事になる。 「クラエェーーーー!!!!」 ドカッ! 「グハッ!?」 私の腹に敵の蹴りがクリティカルヒットした。 そのまま敵の落ちる勢いで急降下する。 ダメージが高く、身体が動かす事が出来ない私は何も出来ないまま地面に落ちた。 ズドンー! 浜辺の砂に落ち砂煙が舞い、地面に落ちた衝撃で背中にもダメージをくらう。 強いです。 これまでバトルしてきた敵とレベルが違い過ぎます! 「まだ終わりじゃないよ!」 「エ、ゥッ!?」 敵の足がどかれたと思えば、今度は首を掴まれ持ち上げられてしまった私。 なんなの、この力は!? 「ハァーッ!」 敵は私を野球ボールのように投げ、近くにあった岩に投げつけられた。 ズガン! 「カハッ!」 さらにまた背中にダメージをくらう。 岩は私がぶつかった衝撃でガラガラと音をたてながら崩れおち、そのまま私も地面にズルリと落ちる。 この圧倒的な力の差。 はがたちません。 既に私のHPも半分以上削れています。 力なく私は後ろを見ると、リアウイングM‐88対消滅エンジンは使えない状態だった。 あれだけ地面や岩にぶつけらればボロボロにるのは当然。 これでもう空中に飛ぶ事はできません。 「こんなモノなの?弱いね、あんた」 敵が余裕を見せながら近づいて来る。 「…ハウリン型ほう…ですか」 私はよろめきながら立ち上がり相手を見据える。 「藍、よ。マスターの恋人の神姫と聞いてどれだけ強いのか期待していたけど、期待ハズレだったみたい」 「クゥッ!」 藍は鼻で笑うように私に挑発してくる。 ムカつきますけど、相手の方がレベルが高い。 ここは敵の挑発を我慢して次にどうやって攻撃するか考えないと。 あ、そういえば! 「ルーナ、大丈夫なのかしら?」 チラッと空を見上げる。 するとルーナはマオチャオ型と闘っていました。 苦戦しているみたい。 あのルーナが顔を苦しそうに歪めている。 あんなルーナの姿、初めて見ました。 バシ! 「アウ!?」 いきなり後ろから攻撃され右腕を羽交い絞めされ地面に倒される。 「敵が目の前にいるのに余所見するとはね。弱すぎて話にならない」 藍は心底残念そうに言う。 いつの間に私のバックを取っていたの。 確かに余所見をしていたとはいえ、一秒以下です。 どれだけ速く動けるのよ、こいつは! 「そんなにそのルーナという奴が心配ならここで見ていればいい。その間、アンタは私にこうやって捕まりながら何も出来ないけどね」 不敵な笑みしながら藍は私の右腕をギリギリと痛みつける。 クッ、これでは本当になにも出来ないまま負けてしまう。 いったいどうすれば…。 <I hope to transform into the person type> 左手に持っているグラディウスが私の心の中で言ってきた。 人型、変形? 何言ってるかさっぱり解らない。 けど、こんな状態で何も出来ない私よりもグラディウスが出来るというならそれに頼るしかないです! 「お願いグラディウス!」 <I understood!> 私がグラディウスにお願いするとグラディウスは白く光出した。 眩い光によって私と藍は思わず瞼を閉じる。 その瞬間左手に持っていたグラディウスに違和感を感じた。 いままで握っていた剣の感触が柔らかい人の手の感触になったのだ。 そう感じたらすぐに私の手から離れてしまった。 「ッキャアアァア!」 藍の悲鳴が聞こえた同時に眩い光が消えた。 するとそこにいたのは見たこともない武装神姫がいました。 容姿は顔が小さく銀髪のツインテックにアホ毛が二本で目の色は赤、体系は私と同じくらい。 そしてなんとも特徴的なのは八本の銀色に輝く翼に、右手に持っている巨大な剣。 持つ場所は真ん中にあって左右に鋭い両刃がある。 剣の種類では無い剣の形をしているのでなんて言えば解らない。 <Does not the master have the injury?> 「あ、あなたはグラディウスなの?」 <Yes.You are my master!> これまた凄い展開です。 私の剣が武装神姫になってしまいました。 ご主人様が改造したに違いありません。 あ、そういえば藍はいったいどうなったのかな。 さっきの悲鳴は藍の声だと思うけど。 <She is sleeping there> グラディウスが左手で示す先を見ると、そこにはグッタリと倒れている藍がいた。 いったい何の攻撃をしたらあの強敵な藍をあんな状態に出来るのやら。 「ていうか、『寝ている』という表現はちょっとオカシイよ、グラディウス。それにちょっとやりすぎよ、ここは殺し合いする所じゃないんだから」 <Apology> 「謝罪じゃなくて『ごめんなさい』て、言えばいいのよ」 <ゴメン、なさ、い?> 「そうよ。今度、日本語教えてあげる。さて、それよりもルーナの事が心配だわ」 空を見上げると、まだルーナはあのマオチャオに苦戦していました。 早く助けないと! でも私のリアパーツは使い物になりません。 これではルーナを助けるどころか、空を飛ぶ事もできません。 どうしよう。 するとグラディウスが自分の剣をプログラム化して白い光となって消え、手ぶらとなった右手を私に向けた。 まるで『こっちに来て』みたいな感じで。 <Please hang on to my back> 「え?背中につかまるの??あっそうか!」 右手はそいう誘いだったのね! グラディウスがルーナの所まで運んでくれる! なら迷う必要はありません。 私は二つのM4ライトセイバーを取り出し、一つ右手に持ってもう一つを口に咥える。 そしてグラディウスの左肩を左手で掴む。 「準備OKだよ、グラディウス!」 <I fly toward the enemy!> 「GRADIUS、GO!」 <GO!> 銀色の翼を羽ばたかせ空へと飛ぶグラディウス。 待っててルーナ! 今すぐ助けに行くから! ルーナの視点 「クッ!?しつこいですわよ!貴女!!」 「へっへ~んだ。もっとアタシと遊ぼうよ!」 「御免こうむりたいですね!」 「そんなこと言わずに、サァ!」 ズガン! アタシの右わき腹にマオチャオの錬の拳がクリティカルヒットする。 苦痛に顔が歪む。 圧倒的なレベルの差ではがたちませんわ! ダーリンから渡された沙羅曼蛇の力を発揮できないままこのまま負ける訳にいかない! 「一か八か!沙羅曼蛇、頼みますわよ!!」 <…神機妙算> 沙羅曼蛇だがそう言った瞬間。 アタシの身体は勝手に動く。 しかもかなり無理矢理な体勢で沙羅曼蛇の剣が敵の錬に向かって振り下ろされる。 ブオン! 「おっと~。危ない危ない。君、かなり無理矢理な攻撃にでたね、ちょっと驚いたよ」 「チッ!外れましたか!!」 「そうだね。しかもさっきの攻撃で身体が動かないじゃない?」 「…畜生、ですわ」 錬の言っている事は正しい。 先程の無理矢理な攻撃のせいで身体に負担を掛けてしまったのです。 身体の節々が痛くて空を飛ぶのもやっとのこと。 これでは空に浮かんでいる的。 「もっと遊びたかったけど、そろそろ残り時間がないからトドメいくね♪またね♪♪」 「…ごめなさい、ダーリン。アタシ、負けるかも」 「バイバイ!」 突撃してくる錬。 アタシは目を瞑り覚悟を決めた。 ズバッ! 攻撃音が聞こえ身構える。 けど、身体には痛みは走らなかった。 しかも攻撃音は打撃の音というより何かを斬るの音でした。 恐る恐る目を開けると、そこにはとても不思議な光景がアタシの目に飛び込みました。 アンジェラスお姉さまが二刀流のM4ライトセイバーで錬を攻撃していたのです。 それともう一人は銀色の翼を生やしている見たこともない武装神姫がいました。 「妹には手出しさせないわ!これで終わりよ!!」 「そんなのアリなのかニャ~!?」 「落ちなさい!」 ズバン! 「フニャ~…」 浜辺近くの海に落ちていく錬を一瞥して私は安心して溜息をはく。 と、その時。 「落ちる~!誰か助けてー!!」 アンジェラスお姉さまがヒュ~、と落ちていく。 あれ、よく見るとリアパーツを装着していません。 そりゃ落ちますよ、飛ぶものが無いのだから。 て、納得してる暇じゃなかった! お姉さまを助けないと! 「お姉さ…あら」 アタシが助けよとしたら、もう一人の知らない武装神姫がお姉さまをお姫様だっこで助けました。 ふぅ~、もうお姉さまたら、心配かけるんだから。 でも、あの神姫はいったい誰なのかしら? アタシに向かって飛んでくる謎の神姫にお姫様抱っこされているお姉さまが来る。 「大丈夫、ルーナ?」 「えぇ、大丈夫ですわ。所で、今お姉さまをお姫様抱っこしているの誰ですか?」 「あ、あぁ~。この人はね」 <Hello. I am Gradius> 「グラディウスなの!?この神姫が!?!?」 驚きの真実! さっきの剣が今私の目の前にいる神姫だというの!? <I have surprised you.I'm sorry> 「…う~ん、確かに驚いたけど。でもまぁ、いいです。アタシは助かって、しかもバトルに勝てたのですから」 先程からいかにも機械音で作られた女の人の声が『Battle end』の声が聞こえる。 バトルの終了をつげる指示だ。 はぁ~でも今回はかなりきついバトルになりました。 「ルーナ、ご主人様の所へ帰りましょう♪」 「はい、お姉さま。でもその格好のままで行くとダーリンは多分笑うでしょうね」 「格好?は、はわわわわ!グラディウス、今すぐ離しなさい!!」 <With what?> 「お姫様抱っこのままだとマズイからです!」 <Really good?Master fall on ground> 「あうぅ~そうでした!?今の私は飛べないだったんだ!」 グラディウスの両手に抱かれながら慌てるお姉さま。 あまりのお姉さまの慌てっぷりに言うのが遅れてしまい言うタイミングが無くなってしまったけど、ご主人様はこのバトルをズーッと見ているハズです。 つまり、今どんなに騒いでも時既に遅しです。 でもそんな事に気づいてない、お姉さまが可愛いです。 「もういい、このまま帰るよ!」 「そうですね♪」 <? The reason why the master panics is not understood why> グラディウスが疑問に思いながらアタシとアンジェラスお姉さまはご主人様の所に帰った。 …。 ……。 ………。 天薙龍悪の視点 「よっ!お疲れさん。よく勝てたなぁ、最初は冷や冷やしたぜ」 俺は両手を横に添えながらアンジェラスとルーナを手の平に移動させる。 おっとと、フラフラと手の平の上で女の子座りをしてしまう。 あぁ~、これは相当疲れてるな。 でもまぁ相手が相手だからなぁ、なにせファーストランカーの神姫だからね。 「ほら、ご褒美だぞ」 二人の頭を撫でててやった。 ルーナは満足そうな顔をしていたが、アンジェラスは少し不満そうだった。 「やっぱり、頭を撫でるだけですか…」 「え?いやだっていつもこうして…あ、そっか!」 「私がバトルする前に言いましたよね」 「そうだったな。頭撫でるよりももっと凄いご褒美が欲しいと」 すっかり忘れてた。 と、言っても、なにかご褒美するものがウムゥ!? チュ~~~~ 「チュッ…これで一応、満足しときますね」 「ナッ!?オマッ!キスを…」 アンジェラスが俺が褒美を考えてる隙に俺にキスしやがった。 あ~ビックリした。 しかし、アンジェラスの奴も大胆な行動にでるようになったものだ。 成長した、と言うべきかな? 「あちゃ~、負けちゃいましたよ先輩」 自分の髪の毛を弄りながらこっちに来た婪。 胸の両ポケットには不貞腐れてる藍、それと対照的にニコヤカに笑っている錬。 「でも先輩~オリジナル武器は卑怯ですって~。しかも武器が武装神姫に変身するなんてきいてませんよ~」 おやおや、プク~ッと頬っぺたを膨らます婪。 珍しくご立腹みたいだ。 「あぁ~残念です~。もし先輩が負けたら、あんなことやこんなことをお願いしようかな~と思ったのにぃ」 「あは、あはははは…」 アンジェラス、ルーナ、勝ってくれてありがとう。 マジでありがとう。 俺の貞操が守れた。 「アニキ~、早くボク達にバトルさせえてよー!」 「そうですよ、お兄ちゃん」 「痛い、痛い。解った、解ったから耳を引っ張るなって!」 両肩にいるクリナーレとパルカが俺の両耳を引っ張る。 結構痛いです。 「なぁ婪もう一度バトルしてくれないか?クリナーレとパルカがだだこねちゃってさぁ~」 「いいよ♪条件付だ・け・ど♪♪」 ウッ…なんか嫌な予感。 どうせ先程言った『あんなことやこんなことをお願い』のとかじゃないだろうなぁ~。 「先輩が負けたら『先輩がアタシにエッチな事をいっぱいしてもらう』という条件ならいいですよ♪」 ウワ~ッ!? 余計にたちが悪い条件になりやがった! これはなんとしてもクリナーレとパルカに勝ってもらわないと! 「クリナーレ、パルカ。絶対に勝てよ!負けたら俺が婪に食べられちゃうんだからな!?」 「大丈夫だって。ボク達を信用してって」 「婪さんの思い通りにはさせませんから!」 気合十分な二人。 うん、これなら大丈夫だな。 「よし!じゃあ二人とも頑張ってこい!」 「「はい!」」 二人を筐体の中に入りバトル開始を待つ。 アンジェラスとルーナは俺の右肩で一緒に見学する。 今日一日中はバトルするのもいいだろう。 それに久々に婪と遊べたんだ。 こんな日もたまにはいいだろう。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2781.html
与太話13 : あぶないマシロ刑事 注意! TVアニメ武装神姫、第八話のネタバレを盛大に含みます。 もう一度言いますが、 TVアニメ武装神姫、第八話のネタバレを盛大に含みます。 カウントダウンTVをご覧の皆さん こんばんは、エルです。 アニメからの情報ですがどうやら最近、神姫のアップデートと偽ったウィルスが蔓延しているそうです。 侵食された神姫は強制的にスリープモードにされ、AIを侵食されるとのこと。 MMSメーカー各社からも注意喚起のメールが届いています。 最悪の場合、二度と目を覚ますことなくマスターとお別れをしないといけないなんて、まったく恐ろしい限りです。 ですが、少なくとも私のまわりの神姫たちはこのようなウィルスには引っかかりません。 怪しげなアップデートはしない、という情報リテラシーがばっちり浸透しています。 それというのも、過去に同じ手口で罪を犯した神姫が身近にいるのです。 ◆――――◆ 「過去と同様の手口を使う度胸だけは褒めてやろう。では死ね」 身柄を拘束されて口をテープで閉じられたカグラは何度も首を振って、マシロ姉さんに必死に命乞いをしている。 両眼から溢れ出る涙の滝を貫こうとするランスがかろうじて留まっているのは、私たちが必死になってマシロ姉さんを止めているからだ。 「落ち着いてマシロ姉! まだカグラが犯人って決まったわけじゃないんだから! 冤罪だったらどうするのさ!」と叫びながらマシロ姉さんの右腕にしがみついているメルに対して、マシロ姉さんはまったく悪びれる様子もなく言った。 「その時は前科のある神姫が一体消えるだけのこと。竹櫛家へ害をもたらす可能性を僅かでも摘むことができればそれでいい」 「よくねーよ! 竹櫛家の中でオマエが一番危ないっつーの!」 メル同様、コタマ姉さんまでもマシロ姉さんの腰にしがみついている。 ちなみに私は後ろから尻尾を引っ張っていて、両足をアマティ姉さんとほむほむ姉さん「俺の名はホムラだ」が止めている。 ハナコ姉さんは怯えながらも必死にカグラを庇おうとしている。 これだけの人数でやっと制止できるのだから、『ナイツ・オブ・ラウンド』の名は伊達じゃない。 「お願いですから待ってくださいマシロ姉さん! せめてまず取り調べを! ほ、ほら、昼ドラの刑事さんが犯人に牛丼とか食べさせたりしてるじゃないですか」 ほむほむ姉さんが「牛丼? 普通はカツ丼だろう」とつっこむのを聞いたのか聞かなかったのかはともかく、「昼ドラ」という言葉にピクリと反応したマシロ姉さんは唐突に力を抜いた。 そのおかげで全力を振り絞っていた皆がつんのめって転んでしまった。 「なるほど、取り調べですか――ええ、そうですね、その通りです。私としたことが重要な手順を忘れていました」 急に機嫌を良くしたマシロ姉さんはランスを収め、ひたすら泣くことと首を振ることしかできないカグラの口からテープを剥がした。 「ブハッ」と息を吐き出した後も、カグラの呼吸はフルマラソン完走後のように荒れていた。 マシロ姉さんを取り押さえていた皆とカグラを庇っていたハナコ姉さんが固唾を飲んで見守る中、取り調べが始まった。 「正直に答えろ。貴様がアップデートに見せかけたウィルスをネットにばら撒いたのだろう?」 「ち、違うにゃ! ワガ、ワガハイ、そんなことしてないにゃ! 考えてもみるにゃ、前にワガハイがやった時は誰にも気付かれずに神姫たちのAIをいじるのに成功してるにゃ! アニメみたいにすぐ注意喚起が出たり対策されたりするようにゃ下手な手口は――」 「犯人は必ず嘘をつく。嘘つきは泥棒の始まり、という言葉を知っているな。だから犯罪者は未然に消しておかねばならない。では死ね」 取り調べが終わった。 私を含むみんな予想していたのか、マシロ姉さんが動き出すのと同時に元の格好に戻った。 「マシロ、オマエ昼ドラでなに勉強してたんだよ! オマエが見てるドラマじゃ取調室で銃弾が飛ぶのかよ!」 「コタマ、これは妹君を含む竹櫛家のためなのです。恐れ多くも私たちは神姫でありながら竹櫛家の家族として迎えられています。私はその恩義に報いるために平穏を守ろうとしているまでのこと。あなたも守護の対象になっているのですよコタマ。あなたがいなくなることで妹君を悲しませたくはないでしょう」 「オマエが起こす事件のほうが鉄子ちゃんにとって迷惑に決まってんだろうが! 身内から神姫殺しが出るとか嫌すぎるわボケ!」 「フッ、そのようなことは想定済みです。家を出る前に兄様のオーナー登録抹消を済ませましたから、今の私はただの野良神姫です」 こんなことを平然とやってのけるのがマシロ姉さんだ。 身内のためならば自分を含む他のすべてをゴミ同然に扱う。 私は時々、マシロ姉さんと友達になれてよかったと心の底から思う。 もし赤の他人だったら、白銀のランスがいつ私に向けられるか分かったものじゃないから。 コタマ姉さんは「またやりやがったよコイツ」と呆れ顔だ。 「オマエそれで何回鉄子ちゃんと隆仁に迷惑かけたよ、ええ? あのなぁ……ああクソッ、こっ恥ずかしいこと言わせやがって……オマエだって家族の一人なんだろ! アタシの許可なく勝手に家出してんじゃねーよクソが!」 今のセリフ、鉄子さんに聞かせてあげたい。 あのコタマ姉さんがこんなに感動的なことを言うなんて。 マシロ姉さんにとっても意外だったのか、再び力を緩めてくれた。 そのおかげで再びつんのめって転ぶ私たち。 カグラはもう放心状態だ。 「ふむ……………………まぁ、いいでしょう。今日のところはコタマに免じて引くとします。そこの猫、次に何かあった時は命がないと思え」 すごい勢いでカグラが頷くと、マシロ姉さんはプイと回れ右して帰っていった。 エメラルド色の豊かな髪をなびかせたクーフランの後ろ姿に、私たちは呆れや苛立ちや殺意なんかを込めた視線を送った。 「あの性格、どうにかならないんですかコタマ姉さん。よく一緒の家で生活できますね」 「自分でも不思議に思うぜ。アタシがレラカムイとして起動した時から性格全然変わってないし」 「ワ……ワガハイはもういいにゃ? 解放されたのにゃ?」 今回ばかりは可哀想なカグラを慰めようとした、その時。 「クソねこぉぉぉおおおおおおおお!!」 髪の長い飛鳥型神姫が突然、空から降ってきてカグラの前に着地した。 「ヒィィッ!?」と後ずさるカグラに詰め寄った飛鳥、最近よく名前を聞くようになった『セイブドマイスター』はカグラの状態なんてお構いなしにまくし立てた。 「あんたAIパッチとか作れるのよね!? 今すぐあのアニメのやつ作りなさい、人間とデートできるやつよ! 作れるんでしょう!? この際ウィルスでも何でもいいわ、ノーとは言わせないわよ!」 カグラの厄日はまだ続きそうだった。 ハムスターは? ねぇハムスターはなんで出ないの? ハムスター見れないと寂しいよ? 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2721.html
『マッドサイエンキャット』-1/3 ※ 念のための注意書き ※ 第二章でも同じ注意書きをしましたが、インダストリアル・エデン社製神姫をご存知ない方はおりますまい。 ◆――――◆ バトルをするわけでも、他に用事があるわけでもなく、私はオンラインの茶室を借りることがあった。 月に一度か二度、お金はかからない。 静穏な雰囲気を壊さない程度の和風にしつらえられた四畳半で、ただ時間の過ぎるままにまかせる。 ちゃぶ台を部屋の隅によせて、部屋の中心に仰向けに寝転がって、小窓から、あるいは壁を伝って聞こえてくる自然の音に耳を澄ませる。 竹林を撫でるように流れる風に揺れる音。 絶え間なく水が溢れる池では時々、魚が跳ねた。 私の知る限りここは、最も贅沢に時間を使うことのできる場所だった。 勿論、ここはディジタル信号によって作られた場所であり、本物の自然とは真逆の存在であると言ってもいい。 小窓からは確かにあるがままの自然を見つけることができるが、簡素な戸を開いた先に通じているのは、銃弾飛び交うバトルステージか、もしくはクレイドルに横になっている自分の体だ。 それでも、私を含めたすべてを電子データで作られたこの場所を、私は独占したくなるくらいには気に入っていた。 だから、 「失礼する。我は『清水研究室 室長兼第一デスク長』ゴクラクだ。ふむ? セイブドマイスター殿は休養中であったか。邪魔をしてしまい申し訳ない」 招待した覚えのない奴が戸を開けて踏み込んできて、ましてそいつが顔見知りでなく、さらに清水研究室の関係者とあっては、安らかだったところから堪忍袋の緒が切れるところまで一瞬で到達するのも仕方のないことだった。 機関砲を具現化し(茶室を予約する際のアカウントがバトル用だから、武装も一緒に登録される)マズルの火花が直接当たる至近距離で一発ぶっ放した。 しかしこの侵入者は部屋に入ってきた姿勢のまま右に『ずれた』。 ずれた、という言葉が適切かどうなのか分からないが、少なくとも私には信号機の黄信号が赤信号に変わるように、一瞬の間にこいつの立ち位置が変わったように見えた。 腰まで届くほど長く、羊毛のような癖がある灰色の髪は戸から入ってきた時のまま、少しも揺れ動いていない。 髪は早く動けば動くほど頭に置いていかれるようになびくはずなのに。 弾丸とマズルから出た火花のどちらも侵入者の横を通り過ぎ、戸の向こうへと消えていった。 「そう邪険にされるな。今日は戦いに来たのではない」 しかも全然動揺してない。 見たこともない型式の神姫は戸を閉め、隅にあったちゃぶ台を部屋の真中に置いて、どっかりと胡座をかいた。 「これはつまらぬものだが」とちゃぶ台の上に出された草色の包を私は無視して、ふてぶてしい神姫を観察した。 切れ長の目の奥で、金色の瞳が私をサーチするように怪しく光っている。 無言のうちに試されているような不快感が肌にまとわりついた。 私にはその金色が、濁って濁って濁り切った果てにできた色のように思えてならなかった。 まだ出会って間もないにもかかわらず、こいつは私程度では手に負えないことを直感で理解してしまった。 油断すれば腰が抜けそうになるのを、相手には見えないように必死にこらえなければならなかった。 もし畳の上にへたり込んでしまったら、私は恐らく、この型式すら分からない神姫に屈服してしまう。 戦闘力は疑う余地もなく普通の神姫の枠で測れないレベルにあるだろう。 しかしこの神姫は強さ以上に危険な何かを隠している。 ゴクラク(極楽)なんてものが本当あるとしたら、恐らくこいつが歩く道とは逆方向にあることだろう。 少しでも目をそらそうと、シルエットを全体的に眺め回した。 まず目に入ったのは額からそそり立つ、太くて硬そうな黒い角。 神姫が頭にとんがったものを立てるのは珍しいことではない。 カブトムシやらクワガタなどの神姫は当然のこと、私にだってうさぎのような耳がある。 でもこいつの角は私達の飾りやセンサー、アンテナとは違う、正しい意味での角だと感じた。 威嚇するため、あるいは貫くため。 ポケモンじゃあるまいし、まさか本当に主武装ではないのだろうけど、それだけの威圧感があった。 角の次に目に入ったのは、顎の先端から真っ直ぐ下に降りた先にある肌の谷間だった。 谷間に何かを差し込めば力を入れることなく挟めてしまいそうだった。 盛ってやがる。 ムカつく。 腕や足、首元、カーディガンはすべて緑の濃淡で描かれた迷彩柄で統一されている。 密林に飛び込む気満々であるようだが、ボリューム過剰の髪と誇張されまくっている胸元を見れば、どんな場所であっても小賢しく隠れることを良しとしない性分であることが分かる。 関わる気になれず、できることならゴクラクを無視して茶室から出ていきたかった。 しかしゴクラクには、有無を言わせない雰囲気があった。 「一躍有名になられたセイブドマイスター殿と話がしたかったのだ。唐突な訪問であったことはご容赦願いたい」 「私がこの場所にいることは誰も知らないはずよ。どうやって潜り込んだのかしら」 これには答えず、ゴクラクは話を続けた。 「先日の一戦はさすがだった。強者を相手取っても冷静に策を巡らせ勝利してしまうとは、凡百の神姫にできることではない。我が研究室の者共にも見習わせたいものだ」 「ふん、いくら褒めたって私が清水研究室に出すものなんて何もないわよ。あんた室長だって?」 「そうだ」 「なら部下のしつけくらいちゃんとしなさいよ。ギンが節操無く勧誘し回ってるのは研究室の方針?」 「失敗を表に晒してしまったのは研究室として手痛いことだ。ギンの武装がジョーカーのようなものであることはご存知であろう。『大魔法少女』を引き入れることができれば儲けもの、程度に考えていたのだがな」 芽のない欲を出してしまった、と言うゴクラク。 しかしこいつの表情から後悔する気持ちは欠片も読み取れなかった。 すべての感情が瞳の金色の中に混ぜられ、押し殺されているようだった。 「我が清水研究室は強い神姫を求めている。今は第七デスクまで【それなり】の神姫を揃えたつもりだが、まだ不足している。我に匹敵するレベルとまではいかずとも、そうだな、少なくともギン程度の神姫をあと数体は揃えたい」 ギン程度。 その言葉を聞いた私は心を揺らさずにはいられなかった。 「何と戦ってんのよアンタは。世界大会の賞金でも狙ってんの?」 ゴクラクは答えなかった。 まあ、こいつらの目的なんて興味無い。 本当に賞金目当てなら、私の知らないところでどうぞご自由に荒稼ぎしてくださいって感じだ(目の前の神姫がお金なんて俗なものに興味を持つとは思えないけど)。 気になったのは、清水研究室が第七デスクまであるということと、ゴクラクがギンをずいぶん格下に見ているってことだ。 ちゃぶ台を挟んでゴクラクと向かい合うように、私も座った。 セイブドマイスターは具現化したまま傍に置いた。 ゴクラクが持ってきた包の中身が少しだけ気になった。 「第七デスクまであるってことは、他のデスク長もギンみたいに勧誘して回ってんの?」 「そうだ。しかし我は『強い神姫を集めよ』としか命令していない。収集対象と手段は各々に任せてある」 七という数字にいや~な予感がする。 私が目下挑戦中の人間になるための勝利ノルマが七人。 清水研究室のデスク長も七人。 アリベは清水研とは無関係だし、次の対戦相手はマオチャオのリーダーともう決まっているらしいけど、残り四人の中に清水研の連中が含まれないとは限らない。 いや、あのひねくれた神様のことだし、絶対にあと一人くらいは入ってくる。 そのあと一人の最有力候補は今、目の前に座っている。 改めてゴクラクの姿を見た。 刺さると痛そうな額の角、肩幅よりも大きく膨らんだ灰色の髪、無駄にミリタリー仕様の服、そして金色の両眼。 この神姫を相手にして、私に勝つ可能性はあるのだろうか。 「もう一つ質問。あんたの型式は?」 「インダストリアル・エデン社製犀型MMSディアドラ。飛鳥型とは比較にもならないマイナー神姫だ。しかしその性能、特に我の強さはそこそこだと自負している。今日はセイブドマイスター殿に我の能力を伝えるために来た」 「なっ、何よいきなり。教えてって頼んだ覚えはないわよ」 「ディアドラは元来、重火器による制圧を得意としている」 ゴクラクは勝手に話しはじめた。 「しかし我は室長であるが故に雑務が多く、ペンより重い物を持たぬものでな、セイブドマイスター殿が愛用されるような重火器は勿論のこと、ハンドガンのような小型武器であっても携帯するのは億劫だ。武装は最小限まで減らしたい。ところでセイブドマイスター殿は【共振】という現象をご存知か?」 「共振? 共鳴みたいなもの?」 「そうだ。あるシステムにそのシステムの固有振動数で力を加えると、その振動は増幅される。振り子を想像するといい。一定の間隔で押してやれば振れ幅は増幅するだろう。その時の間隔が固有振動数であり、この現象を共振という」 さすが研究室にいるだけのことあって、小難しい理屈を出してきた。 たとえ話で分かりやすく説明しようとしてんのは分かるけど、私のような一般人は専門的な単語を出されるだけで思考回路をフリーズさせてしまうことをゴクラクは知るべきだ。 振り子とか言われても、それを思い浮かべるのに数秒かかってしまうわけで。 「乱暴な言い方をすれば共振とは力の乗法だ。物の思わぬ破損を招く厄介なものだが、我はそれを武器として扱う術を持っている」 「ふ、ふうん」 私はたぶん、すごく重要な情報を聞かされている。 自ら戦術の情報を公開するなんて「バトルでカモにしてください」って言ってるようなもので、そうでなければジャンケンで「私はチョキを出す」と宣言するくらい程度の低い揺さぶりだ。 でも私にはゴクラクの言っていることに嘘はないという確信があった。 にもかかわらず、ゴクラクの短い説明を半分以上聞き流してしまった。 だって難しいんだもん。 【共鳴】を武器にする(あれ? 共振だったけ?)ということは分かった。 でも共鳴を具体的にどうするのかサッパリ分からない。 他には……そう、振り子がどうとか言ってた。 じゃあゴクラクの武装は振り子なのか。 振り子でできることなんて、「あなたはだんだん眠くな~る」の催眠術しか思いつかない。 つまりゴクラクの技は催眠術――いやいや共鳴はどこ行った。 どうしよう、もう一度説明を頼んでみようか。 聞かぬは一生の恥って言うし、清水研の神姫を相手に恥かいたって別になんとも思わないし。 よし、聞こう。 見下されるかもしれないけど、それならそれで早々にお帰り願えばいいじゃない。 さあ聞けセイブドマイスターホノカ。 素直な心でお願いするんだ。 「……で、どうして私にあんたの情報を?」 だめだった。 飛鳥型ホノカさんはちっぽけなプライドと引き換えに重要な情報を逃した。 「ほう、ご理解頂けなかったようだがご質問は無しか。さすがはセイブドマイスター殿、潔くて助かる」 しかも理解してないことがバレてた。 自分の顔がみるみる赤くなっていくのを感じた。 魔法少女になった時くらいの恥ずかしさと自殺願望を抱えきれず、機関砲を再度手に取り弾の限りぶっ放した。 部屋中に何度も炸裂音が反響し、備え付けの調度品が被弾した箇所からひしゃげていく。 ちゃぶ台の上にあった包の中身は一口サイズのヂェリ缶詰合せだったらしく、弾が当たってヂェリ缶が弾け飛んだ。 破片が部屋中に舞って、トリガーを引いても弾が出なくなった頃にはあらかたの物を壊し尽くしていた。 全弾避けきったゴクラクを除いて。 「錯乱されるな。涙が出ているぞセイブドマイスター殿」 「じゃかあしいっ! さっさと答えなさいよ、なんで私に能力ばらしたっ! ええ!? 私を嘲笑うためか! 小難しいこと言いやがってインテリぶりやがってえっ!」 「違う。我が戦闘スタイルを開示したのは、セイブドマイスター殿の信頼を得るためだ。我はセイブドマイスター殿を我が研究室の第一デスク長に――」 「出てけ! 二度と来んな! 次そのツラ見せたら額の角と尻の穴を連結しちゃるかんね!」 「やれやれ、曲がりなりにも『大魔法少女』と肩を並べる御身であろうに。まあよい、一度の謁見で心が掴めるとは思っていない。今日のところは挨拶にとどめておこう」 そう言うとゴクラクは穴が空いて歪んだ戸を強引に、しかし力を込めた感じもなく開けて外に出た。 「そうだ、もう一つ」 いかにも【今思い出したという演技をした風に】ゴクラクは足を止めてこちらを向いた。 「我が研究室の第六、第七デスクの者らが近いうちにセイブドマイスター殿を訪ねると言っていた。その時はよろしくご相手願いたい」 返事の代わりに機関砲を投げつけた。 ゴクラクはここに来た時のように瞬きの間にその場から姿を消し、今度はどこにも現れることはなかった。 ◆――――◆ 「『清水研究室 第六デスク長』クロカゲ」「並びに『第七デスク長』シロカゲ参上!」 今ほど不愉快な気分で茶室から帰ってきたのは初めてだった。 癒しを求めたはずの茶室で、なぜこんなにも嫌な思いをせにゃならんのか。 難しい説明を一方的に聞かされた混乱、悶絶したくなるほどの羞恥、戦力差を忘れさせるほどの殺意、それらの感覚が、ネットワークから帰って目を覚ますことで頭痛に変換されたようだった。 頭痛薬、そうでなければニトロヂェリーが欲しい。 今更になってゴクラクの手土産が惜しくなった。 確か冷蔵庫にはヂェリーがまだ残ってた。 でもクレイドルから動く気になれず、目覚めた時の体勢のまま窓のほうを見た。 「今日は貴様の命」「を頂戴しに参った!」 開け放たれた窓の縁に黒と白の小人が立っていた。 腕を組んで背中合わせに立ち、景観が荘厳なわけでも雷鳴が轟いているわけでもない外をバックに、謎めいた登場を演出している。 黒と紫の忍装束、青いオカッパが少々幼く見えるフブキ。 白と赤の忍装束、赤い長髪を後ろで一本にまとめたフブキ。 二人とも首元にスカーフを巻いていて、外から室内に入り込んでくる湿っぽい風に僅かに揺れている。 忍者のくせに忍ぶ努力すら見られない。 ところで忍者型といえば、最近は『和』の心を捨ててしまった弐式とかいう神姫がいるけど、そういった意味であの二人は古き良きを守る正統派と言えた。 初代フブキとミズキの純正装備を身につけている。 私は和風神姫には、型式を超えた切り離し難いつながりがあると考えている。 紅緒に始まり、飛鳥、フブキ&ミズキ、こひる、蓮華、他少数。 『和』というコンセプトが武装の幅を狭めてしまうきらいがあるものの、単純な性能では語れないひとつの信念と少数精鋭であるというシンパシーは、私たち和風神姫にとって捨てがたいものとなっている。と思う。 それに、忍者型には個人的な思い入れもある。 なにせ忍者型は――唐突に告白するが――私のご先祖様なのだ。 詳しく知っているわけではないが、忍者だった私はホノカゲという爆弾魔で、尋常ならざる理由あって、かの有名な『ドールマスター』に弱者を装い近づいたそうな。 戦闘スタイルは爆弾魔の名に違わぬ卑怯卑劣なもので、バトル開始前からステージ全域に遠隔操作型の爆弾を仕掛けておくというものだ。 バトルの混戦の最中に誰も気付かないうちに仕掛けておいた風を装って、これで何人もの神姫を屠った。 同様の手口で『ドールマスター』を破壊しようとした、が、あっけなく撃退される恥さらしだったという。 せめてもの救いは、そんなご先祖様の噛ませ犬的な姿がWikiに晒される前に、歴史がデータの海に溶けて消えた(ボツになったとも言う)ことだった。 こんな情けないご先祖様でも、私のベースになっていることは間違いない。 そういったわけで私は、忍者には一目置くようにしている。 困っている忍者がいたら積極的に助けようとも思う。 私にできることであれば、漫画を読むことと天秤にかけたうえでお願いをされたっていい。 しかし今日ばかりはタイミングが悪かった。 寝そべったまま手を伸ばしてセイブドマイスターを掴み、セイフティを解除、ハンドルを引いてチャンバーに弾を送り込み、床と肘で大きな図体を固定してファイア。 「「あびゃあっ!?」」 命中したような悲鳴をあげる忍者二人。 しかしちゃんと狙わなかったため、弾は二人の頭上を通り過ぎて窓の外へ消えていった。 舌打ちして、もう一度構えた。 次は当てる。 「お、おい待て! いき」「なり何をするんだ貴様!」 忍者は二人で一つの文をしゃべるという、とても面倒なことをしていた。 黒い方が半分まで喋り、白い方が残り半分の文を引き継いている。 私に向けて手を付き出した「待て」のポーズは二人一緒だ。 焦った表情も一緒。 その芸風は私を馬鹿にしているように思えてならなかった。 いや、絶対馬鹿にしてる。 さっきのゴクラクといい、あいつらといい、どこまでもふざけた連中だこと。 清水研究室、死すべし。 「「ひえええっ!!」」 今度はしっかり狙ったのだが、忍者二人はそれぞれ両側へ跳んで回避した。 ゴクラクのような余裕綽々の避け方ではない、それはどちらかというと逃げる動作だった。 清水研のデスク長だからって、全員がゴクラクやギンのようにずば抜けて強い神姫とは限らないらしい。 まあ、そんなことは私にとっちゃ関係のない話なわけで、まずは黒いほうを屠る。 「ま、待てセイブドマイスター! 分かった、我ら」「が悪かった! だからまず話をしようではないか!」 「あんたらと話すことなんてないわ」 砕けろCSC。 「うっひょお!? だから待てというに! このままリアル戦闘行」「為を続ければ警察沙汰になるぞ! それは本意ではあるまい!」 「む」 それもそうだ。 こんなところで死なれちゃったらこの家が家宅捜索されてしまう。 それはちょっとマズい。 でもあいつらは私の命を取りに来たとか言ってたし、正当防衛じゃなかろうか。 ならば何も問題ない。 「爆ぜろCSC」 黒い方に銃口を向け直すと、とうとう両手を上げた。 黒い方だけでなく遠く離れた白い方まで同じく両手を上げた。 「分かった降参だ! 降参、マジで参りまし」「た! だからその銃を下ろしてください!」 ◆――――◆ 「自分らだって本当はこんな悪役」「みたいなことやりたくないんスよ」 とっちらかったマスターの机の上に忍者二人を呼んで正座させた。 私は二人の前に仁王立ちして、自分はいったい何をやっているんだろうと疑問に思った。 忍者達は、聞いてもいないのに勝手に身の上話を始めた。 「それなのに室長のヤツ、勝手に自分らを第六、第七」「デスク長にしといてこき使うんスよ。酷くないスか」 「知らないわよ」 私のご先祖様もそうだけど、忍者型ってこんなに情けない神姫だったっけ。 忍者のみんながみんな、こうじゃないはずだけど。 きっとフブッホとミズキッチョムの呪いとかそんな理由なんだろう。 「それに自分ら仲良しじゃないスか。だからせめて一緒のデスクに」「してくれって頼んだのに聞く耳持たないんスもん、あの迷彩巨乳」 「プッ、迷彩巨乳ね」 「あれ、姉さん知って」「るんスか、自分らの室長」 ついさっき会ったばかり、とは言わないでおいたほうがいいような気がした。 この二人は迷彩巨乳(的確な呼び名だ)の動きを知らないみたいだし、変に話を持ち出してややこしくなるのは避けたい。 「まあ、ちょっとね」 「マジっスか、すげぇな姉さん。室長って神姫センターと」「か普通の場所じゃ絶対にお目にかかれないレア神姫スよ」 「なんで?」 「そりゃあ強す」「ぎるんスもん!」 二人の眼の輝きが増して、表情に自慢の色が濃く表れた。 なんだかんだ言って自慢の室長なんだろう。 「ここらの地域って実は結」「構スゴいんスよ。知ってます?」 「さあ」 「日本代表レベルの神姫が五人も集まってるんスよ。五人とも公式戦みたいな表には出」「ないだけでガチっスもん。海外の筋肉ムキムキMMSとか一捻りスよ。スゴくないスか」 私のような平凡神姫が日本の頂点と聞くと、まず頭に思い浮かぶのは現日本一のアルテミスだ。 アルテミスは動画でしか見たことないけど、そのバトルは私の理解を超えた異次元にあった。 もし勝負したら十秒以内に撃墜される自信がある。 あんなのが身近に五人もいるんだ、恐ろしい。 海外の、特にアメリカのMMSも動画で見たことがあった。 ごくまれに神姫センターでも外国人マスターがバトルさせている。 一応同じMMSということで同じ筐体を使えるのだけれど、当然ながら彼らは武装神姫ではない何かで、普通の神姫バトルのようにはいかない。 アメコミヒーローみたいな筋肉塊が腕力にものを言わせて、比較的小さな建造物くらいなら軽々と放り投げたかと思うと、他のところではSWATみたいな装備のイカついMMSがプロの市街戦を見せつけていたり、文化の違いを感じさせた。 戦場は女子供が立ち入っていい場所ではない、それが彼らの言い分だった。 「あのイカついMMSとは関わりたくないわね。私達と同じ規格で作られてるってことが信じられないわ」 「あんなモンスターは室長みたいな」「バケモノに任せとけばいいんスよ」 「尊敬してるわりに薄情ねあんたら。――ちょっと待って。日本代表レベルってもしかして迷彩巨乳のことを言ってる?」 「そう」「っス」 あっさり頷く忍者。 私は急に気が遠くなり立っていられなくなって、クレイドルに座り込んだ。 「ど、どうした」「んスか姉さん」 「なんでもない。ちょっとめまいがしただけ」 忍者二人が来る前の出来事が、まるで映画のテープをめちゃくちゃに繋ぎ変えて再生したように次々と思い返されていく。 武装神姫の頂点に立つレベルの神姫と茶室で二人っきりになった。 武装神姫の頂点に立つレベルの神姫から土産を出されたのに無視した。 武装神姫の頂点に立つレベルの神姫に向けて機関砲を撃ちまくった。 武装神姫の頂点に立つレベルの神姫の強さの秘密を聞かされた。 【次そのツラ見せたら額の角と尻の穴を連結しちゃるかんね!】 人間で言うならば、おでん屋台で隣に居合わせた方が天皇陛下とは知らずに馴れ馴れしく愚痴ったり肩を組んだりしてしまうような感じだと思う。 手が震えてきた。 CSCが勝手にオーバークロックを始めて、思考が暴走しかかっている。 頭の中を迷彩巨乳の存在感あふれる姿が、最近お会いしていない【あの人】の姿と交互に走馬灯の影絵のように駆け巡った。 どうでもいいけど「死の直前に走馬灯が見えた」って言い方をすると、人生の最後に見たものが風流な灯籠だった、って意味になっちゃうから注意してねフフフ……。 「姉さん落ち着いて。走馬灯」「のたとえは大袈裟すぎっスよ」 「な、なななんで私の考えてること、分か、わか」 「姉さんの顔に書いてあるんスもん。室長と会った時に何やらかしたか知ら」「んスけど、気にしすぎっスよ。いくら強くても所詮は迷彩巨乳なんスから」 「そ、そうよね。あんな胸を見せびらかすようなヤツにわ、私、なに動揺してんのかしら」 慎ましい自分の胸に手を当てて、ゆっくりと落ち着きを取り戻していった。 そう、バトルの強さに関係なく迷彩巨乳は迷惑な清水研のリーダーで、それ以上でもそれ以下でもない。 クールになれ『セイブドマイスター』。 強さのインフレが止まってよかったと考えればいいじゃないか。 世界にはもう迷彩巨乳を超える神姫は出てこないんだ。 15cm程度の死闘の天井が見えたことは喜ぶべきことよね。 「ふう。もう大丈夫。そうよ、みんな同じ規格で作られた神姫なのよ。強い神姫、弱い神姫、そんなのマスターの勝手。大切なのは自分が武装神姫であることに誇りを持つことよ」 「うっは。さすが姉さん」「言うことがハンパないス」 「まぁね。それで? この地域にいる残り四人の強い神姫って誰なの?」 「一人は姉さんがよく知って」「るっスよ。『大魔法少女』ス」 「あばばばば……」 「うわあ姉さん」「が泡ふいたー!」 『マッドサイエンキャット』-2/3 トップへ戻る?
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1324.html
SHINKI/NEAR TO YOU 良い子のポニーお子様劇場・その2 『Over the Rainbow』(前篇) >>>>> Higher higher higher! Higher higher higher! 色鮮やかなレーザービイムとスポットライトに照らされて、ステージに三体の神姫が躍り出た。 彼女たちの登場と共に、ステージを取り囲むビジターから一際大きな歓声が上がる。 右手から跳ね出るのは、お団子頭と可愛らしい八重歯が特徴のストラーフ型神姫。こちらは白い衣装に、頬に星型シール。朗らかで元気いっぱいの踊りを見せる。 ステージの左手からは、短い雪のような髪が特徴のフブキ型神姫。白い衣装に、頬に雫形のタトゥーシール。優雅な力強さを思わせる踊りを披露する。 さらにステージの中央、ライトに照らされて長い銀髪の神姫が舞い降りる。ステージライトの下、色取り取りに輝く純白のドレス、頬にはハート型のシール。白フブキと白ストラーフのふたりの神姫の真ん中から優雅に登場した、妖精のごとき白い神姫。 彼女たちは熱狂する歓声に両手を広げ応えると、華やかに舞いながら歌い出した。 1 関東有数の学術研究都市である摩耶野市。 そのほぼ中央に位置する摩耶野駅近縁にある大型商業施設、神姫センター摩耶野市店。 その上階を占める業務エリア内――神姫スタッフルーム(センター内のさまざまな業務活動に関わっている武装神姫たちの待機室)に彼女たちの〝楽屋〟は設けられている。 「ふみゅ~、今日のステージも盛り上がったね~☆」 大きく伸びをしながらチェアーに腰掛ける神姫、白夜。 お団子状のヘッドセットでまとめた髪、白に黒のラインが入ったボディカラー、限定モデルのストラーフ(悪魔型)。 「そうだね、集まったビジターの皆さんも楽しんでくれていた」 舞台メイクのタトゥーシールを外し片手でもてあそぶ神姫、白雪。 雪のように白い肌と、通常とは違う白を基調に鎖帷子を模した意匠、リペイントモデルのフブキ(忍者型)。 「でもその代わり、ワタシたちもより精進せねばならないということ。多くの人が集まってくれるということは、それだけ期待も大きいよ」 「ふみゅ~、人気者はツライぜってことだにゃ~ん。ふるふる」 そう口では言いながら、あっけらかんとした白夜。白雪はそれを横目で見つつ、雫形シールをテーブルに置いて、後ろを振り向く。 「フィはどう思う?」 『Ah...目覚めて...Ah...ひとりサヨナラを越える勇気抱いて...♪』 白雪に呼ばれ、先ほどから脱いだ舞台衣装をひらひら、楽しそうに歌を口ずさむ少女が振り返った。 「簡単なことよ。期待が寄せられるということは、それだけ多くの人たちが喜んでくれているということだもの」 光を浴びて薄紫に輝く銀糸の長い髪に、純白のボディカラーと艶のある真紅の瞳、先行生産型スペシャルモデルのテイタニヤ(妖精型)。 朝日のような微笑みを浮かべる白い神姫、フィシス。 「素敵じゃない? フィはとても素晴らしいことだと思うの」 そのグループのリーダーを務める少女の当然といった返答に、白雪と白夜はあきれ半分親しみ半分といった表情。 「やはりフィシスは心の臓の強さが我々と違うようだ。いや、この場合CSCの強さといった方が適切」 「さっすがぁ、フィたんはエッライね~ん☆」 「そんなことないわ、ごく自然なことよ。ビジターを楽しませ、喜びを伝える。それがフィたちの役目だもの」 この神姫センターのキャンペーンガール、訪れるビジターたちをショーで楽しませるアイドル神姫。センターに所属する神姫スタッフたちの花形にして、『センターの顔』という重大な役目を課せられた存在。 それが彼女たち三人、摩耶野市店の擁するアイドルユニット――ブルーメンヴァイス。 「でもでもぉ! フィたんもタマ~には、みんなみたいにフツーにしてみたいと思わにゃい? フツーフツー」 「……? 普通って?」 「白夜が言いたいのは、このセンターを訪れる一般の神姫たちのこと。彼女たちのようにマスターと共にバトルを楽しんだり、一緒のひと時を過ごす」 「そうそう、フツー武装神姫ってのはそういうもんだよねー」 「別に、そうは思わないけれど?」 フィシスは少し小首を傾げる。 「ひとりのマスターに奉仕するのも、大勢のビジターに奉仕するのも、同じことじゃないかしら? 他の神姫たちにとっての〝普通〟がマスターに尽すことなら、フィたちにとってこれが〝普通〟なのよ」 不思議がる二人に、フィシスは得意気に胸を反らして答える。それはこのセンターのアイドルとして自分たちにとって当たり前のことだ。 「はにゃ~。どう思います、白雪隊員。ユウトウセイですよ~」 「ふむ、完璧ともいえる思考ロジック。さてその我々とは違うポジティブさの秘訣とは?」 「白雪隊員! 白夜隊員はCSCの他なんたらかんたら、小難しすぃデリケートな部分が怪しいと思いますです。具体的に言うとあのふたつの丸く膨らんでる丘の辺りぃ!」 「ちょっ――ちょっと何するのよ、白夜!?」 にゅっとつかみ掛かってくる白夜の手に、フィシスが身をくねらせる先には別の魔の手が…… 「なるほど、さすが最新世代ボディ……」 「ちょっ、ちょっとぉ――!? 白雪もっ……やめてっ」 フィシスは慌ててその……いろいろと大事な部分を両手で隠しパッとふたりから離れる。 それを見て、白夜隊員と白雪隊員は「ギュピーンッ」と妖しくアイコンタクト。 フィシスは頬を紅く染め、両手で体を抱きしなりと「な、何?」。 「これはこれは、けしからんですみゃ~☆」 「姫よ、よいではないかよいではないかよいではないか」 「ちょっとやめっ! きゃああああ――っ!?」 ばったんきゅ~~ん☆ 「イタタタタ――ッ!×3」 しな垂れ掛かる重みに耐え切れず、三人は揉みくちゃになって盛大にフロアーと手痛いスキンシップをした。 「もう……白雪も白夜もいい加減にしてっ」「……少し調子に乗りすぎたみゃ~」「面目ない……」と三人――ギリギリまで頑張ったんだけど、やっぱりダメだった~、ばたんっ……と倒れた組み体操状態。 「……バカじゃないの?」 ぶつけた肩を擦るフィシスはハッとする。いつの間にか休憩ブースの区画先に、他の神姫スタッフたちがやってきていた。 ふいに湧いてくる羞恥心を抑えて、フィシスは自然を装い立ち上がる。「ほら、ふたりとも。いつまでも寝ていてはダメよ」 フロアーに這いつくばる同僚をせっせと助け起す。 「アイドル風情が、おだてられて調子に乗ってんじゃない?」 つかつかと歩きながら、楽屋に入ってきた神姫たちのひとりが呟く。調整された声量。さり気なく、だがワザと確実に聞こえるよう計算された音強。 ムゥ~ッとする白夜を手で制し、フィシスは相手に微笑を返す。 「どういうことかしら?」 対する神姫スタッフの一団。 色素の薄い髪に黒と赤の戦闘的に塗られたカラー、限定モデルのアーンヴァル(天使型)。 濃緑色の髪に真っ赤なボディスーツ、リペイントモデルのツガル(サンタ型)。 いずれもこのセンターの中でイベント時に巧みな空中ショーを披露する、アクロバットチームのメンバーたちだ。 「あら違った? ああ、そっかー。アンタらはキレーイに飾りたてられた案山子だものね」 一団の中から進み出るアーンヴァル。フィシスたちに挑発的な笑みを向ける。 身構える白夜と白雪のふたり、しかしフィシスはその笑みを真っ直ぐに受け止め、平然といった様子で思案する。 「……フィがブリキのきこりだとしたら、案山子が白雪で、きっとライオンが白夜ね」 くすくす笑っていたアクロバットチームの面々が「?」となる。にっこりと微笑えんで、フィシスは「うん」と納得したように頷く。 「だとしたら、きっと――フィはみんなを包む愛を、白雪はみんなを幸せにする知恵を、白夜はみんなを明るくする勇気を手にすることができるわ。とっても素敵じゃない?」 あっけに取られるアクロバットチームの前で、フィシスは屈託のない笑顔。 そんな彼女にアクロバットチームの神姫たちは毒気を抜かれ、「今に見てなさいよ」と舌打ちしながらチームリーダーのアーンヴァルが立ち去る。 戸惑いながらリーダーの後を追いかける神姫たち。 それを見送るフィシスの後ろで、白雪と白夜はこっそり「イエイ」と手を合わせ、ニンマリした。 2 「新しい試みのステージショー?」 ブルーメンヴァイスの三人は、マネージャー役を務める業務スタッフから次のステージ内容を聞かされた。どうやら、今度からステージイベントにアクション要素を取り入れることになるらしい。 「そうと決まったからには、頑張らなくちゃね?」 新イベントと聞いて明るく前向きなフィシスに比べ、白雪と白夜の足取りは重い。 「ふみゅ~、どうしてウチらのショーにアクションシーンが入ることになったのきゃなー? はてはて」 「確かに急な話だ。リスクも増える」 白夜はおチャラケた態度で誤魔化す。白雪は冷静を繕う。それが如実に語る、ふたりの新イベントについての不安と疑問。 「仕方ないわ、それがフィたちの〝もうひとつの役目〟なんだもの」 ふたりの不安を断ち切るようなフィシスの宣言。 センターのアイドル――ブルーメンヴァイスにはもうひとつ課せられた役目がある。 それは各種イベントやキャンペーンという形を通して、神姫センター内の様々なサービス、それを支える新技術の発展と実用試験を行うこと。 摩耶野市店のトップガン。 最新技術を用いた武装神姫であるフィシスたちだからこそ務まる、重要な役目だ。 「で、こーいうオチになりますきゃあ……」 練習用のステージに向かい、ブルーメンヴァイスの三人は各々の武装に身を包んでいた。 フリルを模した装飾のついた白亜の鎧に、ふわりと広がったドレススカートが華美な妖精武装を纏ったフィシス。 白磁の装甲に金の角と生やし、無骨な巨腕が重厚さと無邪気さをアピールする悪魔武装を装着した白夜。 白桃に染まる装束に白い狐の面を下げ、すらりとしたシルエットが軽やかで可憐な忍者武装を駆る白雪。 三人の前に居並ぶ神姫たち。黒い装甲黒い翼――それは限定アーンヴァル+リペイントツガルで構成された空中アクロバットチームだった。 「きーてにゃいよー」 「なるほど得心納得。だから先ほどはこちらに挑発的な態度を……」 ジトーッとうんざりした顔の白夜の隣で、嘆息する白雪。 新しいショーに取り入れるアクション要素……つまり、アクロバットチームと競演してステージイベントを行うのだ。 「あ~ら、アイドル様が今度は仮装大会でもやるつもりなのかしら?」 髪を肩で払い、すれ違いながらアーンヴァルリーダーが嘲る。取り巻きのアクロバットチームの揃って押し殺した笑いが続く。 フィシスはあくまでも笑みを絶やさず、通り過ぎる彼女らに声を掛ける 「みんなで一緒に、イベントが成功するよう頑張りましょう」 嘲笑されながら、嫌悪を微塵も出さずに語りかけるフィシスがおもしろくなかったのか。アクロバットチームはそのまま無視して練習ステージへ行ってしまった。 「な~んだか、おもしろくないみゃ~」 「そんなこと言ってないで、みんな同じ神姫センターの仲間でしょう?」 「あっちはそうは思ってなさそうだ。不倶戴天、敵意満々といったところ……」 白雪、歩き去った神姫たちに向け、無表情に中指を立てジェスチュア……びしっ! 白夜、同じくステージ入り口に向け、目の下に指を当て舌を出す……あっかんべー☆ 「……あっちはあっち、こっちはこっちよ。ほら、フィたちも早くしないとマネージャーに叱られてしまうわ」 相方ふたりの分かりやすい反応をやれやれと思いながら、フィシスは練習ステージへの入り口をくぐる。 歌や踊りでビジターを楽しませるブルーメンヴァイス。華麗な空中ショーでビジターを楽しませるアクロバットチーム。……どちらもセンターを訪れるビジターに喜んで欲しいという気持ちは、同じはずだ。 「そうよ。だったら、一緒になればもっと楽しいはずだわ」 小さく呟いた、その言葉をかみ締めながら、フィシスはゲートを抜けた。 『Over the Rainbow』(前篇)良い子のポニーお子様劇場・その2//fin 戻る