約 514,032 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2583.html
コメントログ3 はじめまして、にゅうと申します。深み填りを一章から外伝まで読ませていただきました。蒼貴が章が進む毎に成長していき、第一章の自信無さげな雰囲気が無くなっていくあたり、読んでいて上手いと思いました。武装神姫を知ったのがもうバトルロンドが終了決定した後だったので現在はバトルマスターズをプレイしていますが脳内で妄想が溢れ返っておりこんな風に文章に出来る方たちがうらやましいですね。外伝終了してから今度は新章になるのか分かりませんがどんな形であれ楽しみにしています。 -- にゅう (2011-07-30 22 25 12) にゅうさん> こちらこそ初めまして。この『深み填りと這上姫』を書いている夜虹です。感想をありがとうございます。 この物語は蒼貴と紫貴の成長物語なのでそういった感想が聞けて何よりです。蒼貴はオーナーを得て、技や装備、相棒と友達を少しずつ得ていく事でそれを表現してみました。 ここには書いてみようと頑張っている人もいるので、にゅうさんも妄想があるのでしたらまずは実践してみるといいと思いますよ。何事も回数を重ねてこそですしね。 外伝が終わって、その中でやってみた事が何とか形になってきたので、次章ではそれを実践してみようと思います。期待に応えられるよう頑張ります。 -- 夜虹 (2011-08-01 13 11 55) 夜虹さんがこんな面白いものを書いていたなんて知りませんでした、これからも読ませていただきますね^^ -- 竹 (2011-08-19 00 55 24) 竹さん> 読んで頂きありがとうございます。 非常に長い文章になっているとは思いますが、読んでいただければ幸いです。 僕も感想を励みに今後の神姫小説を頑張っていこうと思います。 -- 夜虹 (2011-08-20 00 25 42) 初めまして、クロムという者です。 最初から外伝まで読ませて頂きましたが、読んで行く内に物語に、そして登場するキャラ達に引き込まれとても面白くて読む手が止まりませんでした! いきなり出てきてアレですが、これからも楽しみにしておりますので無理せずに頑張ってください。 そして、恐縮ですがもし宜しければこちらの作品の設定を、自分の作品にも使いたいと思っているのですが宜しいでしょうか? 長々と長文、失礼いたしました。 -- クロム (2011-09-04 01 36 01) >クロムさん こちらこそ初めまして。作者の夜虹です。 最初から外伝まで読んで頂き、ありがとうございます。一人一人、 楽しく読んでいただけて光栄です。期待に応えられる執筆していきたいと思います。 作品の設定に関しては上の方に書いてある通り、コラボ可能となっており、 設定もキャラも使用可能ですのでどうぞお使いくださいませ。 クロムさんの作品を楽しみにしております。 -- 夜虹 (2011-09-05 05 36 53) 桐皮町にいらして下さったようで、ありがとうございます。真那ちゃんも尊くんも、機会があればお酒飲みに来て下さい(笑)! -- ばるかん (2011-09-12 22 21 27) 新章読ませていただきました。技術面でも精神面でも蒼貴、紫貴共に確実に成長していますね。これから話がどう進んでいくのか楽しみにしています。 -- にゅう (2011-09-14 12 56 18) ばるかんさん> こちらこそ、武装食堂を設定をお借りしています。ありがとうございます 武装食堂のキャラの性格を上手く引き出せるように頑張ります。 食堂は五話で出していましたねw ビールのほかにも何かありそうな予感がしますw 特に真那は色々とのむでしょうね……w にゅうさん> 読んで頂きありがとうございます。 武装が無い分、それらが磨かれていく事になりますね。 第一章の「知恵と勇気で何とかする」という考えは変わらない訳です。 それ以上に尊の精神面の強さが彼女達をここまで引っ張るのが大きいですね。 今後もその成長を上手く描き、期待に応えられるよう、頑張っていこうと思います -- 夜虹 (2011-09-16 20 14 23) 久しぶりに紙媒体で読みたく成る程面白いです。 紫貴と蒼貴が二人共可愛過ぎる!! これからも頑張ってくださいm(_ _)m -- 焦げかぼちゃ (2012-04-04 23 57 57) >焦げかぼちゃさん こんにちは。作者の夜虹です。紙媒体で読みたいとまで言っていただけて光栄の限りです。 社会人になって更新のペースがだいぶ落ちてしまいますが、今後も蒼貴と紫貴の活躍を見ていただければと思います。 次の尊と真那の決着もまた、お楽しみにしていただければ幸いです。 -- 夜虹 (2012-04-08 11 14 01) 最新話、待ってました! 前話のバトルの決着もとてもよかったのですが、尊と真那のその後がとても気になっていたので、すぐに読ませていただきました(^^) 落ち着くところに落ち着いたようで、よかったですねぇ、尊くん(笑) 私も社会人なので、執筆時間の捻出には苦労しています。今後の展開も楽しみにしておりますので、お互いに頑張りましょう! -- トミすけ (2012-04-24 22 45 06) >トミすけさん 待っていていただけて何よりです。 ミコちゃんはついにやりましたね。たぶんこれからも真那に振り回される日が続くことでしょうw 公開告白をしてしまったのでもう逃げられませんしねw お互い、社会人で苦労しますな。僕もトミすけさんの今後の小説の展開を楽しみにしております。 今後もまた、頑張りましょう。より良い物語を書ける様に -- 夜虹 (2012-04-28 15 18 25) 最初は尊くんはヲタ嫌いならなんで神姫やるんだ…と思いましたが、読み続けるに連れて好感度がぐんぐん上がってましたw 凄く面白いです!応援してます! -- 名無しさん (2012-05-18 10 37 15) 久々に来たら最新話出とるし 久々に爆発して欲しくないカップル出来とるWW -- 焦げかぼちゃ (2012-05-21 21 08 54) 名無しさん> ありがとうございます。応援にこたえられるように頑張っていこうと思います。 偶然が重なって深みに填る事となる人ですからね。そこから色々と広がるのがミコちゃんです(ぉぃ 今後もまた、お楽しみにしていただければと思います。 焦げかぼちゃさん> お久しぶりです。爆発して欲しくないカップルと言っていただけるのは光栄の限りです。 この二人はこの先、どういう付き合い方をするのか……w -- 夜虹 (2012-05-23 03 03 32) 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2142.html
ウサギのナミダ ACT 1-22 ◆ ギャラリーにはどう見えているだろうか。 おそらくは、力と技がぶつかり合う、真っ向勝負に見えているだろう。 確かに、雪華は正々堂々、真っ向勝負を挑んできた。 逃げない。揺らがない。 ミスティ得意のレンジに踏み込んでまで勝負を挑んでくる。 その姿勢を貫き、勝利を目指す。 それこそが『クイーン』の二つ名の由来であり、神姫プレイヤーから人気を集める理由だった。 だが、バトルの当事者は思い知る。 真っ向勝負? とんでもない。 劣勢とか、そう言うレベルじゃない。 『そこでリバーサル! 二連撃!!』 菜々子の指示が飛ぶ。 もう何度目かの得意技。 この間合い、このタイミング、この速度、そして身体をロールさせながら繰り出す二連撃。 熟達したアーンヴァルでも、このリバーサル・スクラッチはかわせない。 だが。 雪華は、これを紙一重でかわす。手にした剣で反撃すらしてみせる。 「くっ……!」 正々堂々? 真っ向勝負? 違う。 これは「練習」だ。 こっちの本気を練習台にしてしまう、圧倒的実力差。 ミスティは敵を見上げる。 空中に浮かび、羽を広げた雪華は、まるで降臨した大天使のようだ。 その美しい姿に、ミスティは戦慄した。 「本身は抜かないのかよ!?」 「あれは、そう簡単に抜けるもんじゃないのよ!」 虎実の叫びに、菜々子は応える。 虎実は、ミスティの攻撃が雪華に全く効いていないことを見抜いているようだ。 『本身を抜く』には、試合前からしっかり心構えをする必要がある。 バトル中に切り替えるような便利な使い方はできない。 それに、たとえ本身を抜いたところで、食い下がれるかどうか。 (……まさか、これほどとは) 菜々子は戦慄する。 正々堂々のバトルロンドで、こうもあしらわれるのは初めての経験だった。 どうすればこれほどの実力が身につくというのか。 だが、諦めるわけにはいかない。 せめて一矢報いなくてはならない。 『エトランゼ』の名に賭けて。 そして、遠野とティアにつながなくてはならない。 菜々子は絶望と戦いながらも、ミスティに矢継ぎ早に指示を出していく。 ■ 帰りの電車の中、わたしはずっと考えていた。 マスターのこと。 マスターがわたしを守るために、すべてを賭けてもいいと、言ってくれたのだという。 エルゴの店長さんがそう言っていた。 わたしには、マスターの想いが分からない。 わたしの過去が暴かれたせいで、あれほど酷い目に遭わされたというのに。 それでもなお、わたしを自分の神姫にするために、全力を尽くしてくれている。 マスターのその想いが伝わって、店長さんを動かし、刑事さんを動かし、風俗のお店がなくなって、多くの風俗の神姫が救われた。 それほどの大きな想いをわたしに向けてくれている。 なぜですか? なぜ、それほどまでに、わたしにこだわるんですか? わたしはそんな価値のある神姫ですか? わからない。 わかりません。 わたしにできることなんて、マスターのそばにいて、マスターの指示通りに走るこくらいなのに。 シャツの胸ポケットから、マスターを見上げる。 マスターは物思いに沈んでいるようだった。 この間までのつらそうな表情でないのは救いだったけれど。 わたしはマスターの心に寄り添えないままだった。 刑事さんはわたしに、素晴らしいマスターの神姫であることを忘れてはいけない、と言った。 それはもちろんなのだけれど。 そのマスターのために、わたしは何がしてあげられるんだろう……? □ 時間がないので、昼食は電車の中でパンをかじった。 一度アパートにとって返し、ティアの武装一式を手にして駅前に戻る。 ゲームセンターに着いた時には、久住さんの電話から、もう二時間以上が過ぎていた。 久々のゲームセンターの入り口。 俺は少し感傷的になる。 一歩を踏み出すのが少し怖い。 俺は店の出入りを拒否されているわけで、躊躇するのも分かって欲しいところだ。 久住さんはいるだろうか。 自動ドア越しだと、奥の様子は分からない。 彼女がいてくれないと、俺は針の筵なんだが。 それでも俺が足を進められたのは、今朝方の出来事があったからだろう。 すくなくとも、もう店に黒服の男たちが現れることはない。 自動ドアが開く。 まず俺の耳に聞こえてきたのは、神姫の怒声だった。 「なぜだっ!! なぜあんな淫乱神姫にばっかりこだわるんだ!?」 叫んでいるのはハウリン。 その声を受け流しているのは、銀髪のアーンヴァルのようだ。 「迷惑なエロ神姫なんかより、あたしの方がよっぽど強いのに!!」 「随分とご挨拶だな、ヘルハウンド」 俺が静かに言うと、武装神姫コーナーにいた全員が俺を見た。 「黒兎のマスター……」 ヘルハウンドは怒りの眼差しを俺に向けてきた。 憎悪すら込められていそうだった。 「……遠野くん!」 ギャラリーから抜け出して、久住さんが駆け寄ってきてくれた。 いつものようにジーパン姿のラフな格好。俺は安心したような、残念なような、複雑な気分になった。 「連絡ありがとう。……遅くなってごめん」 「ううん。来てくれてよかった」 いつもよりも微笑みが弱々しく見えるのは気のせいだろうか。 そのとき、ギャラリーの一角から、声があがった。 「おいっ! 黒兎のマスター!! ど、どの面下げてここにきたっ!!」 三強の一人、『ブラッディ・ワイバーン』のマスターがこちらを指さして喚いている。 俺にはそれほどショックはなかった。 こうした中傷は予想の範囲内だったので、心構えもできている。 と、いきなり久住さんがワイバーンのマスターを睨みつけた。 「わたしが呼んだのよ。文句ある?」 耳が凍傷になってしまいそうなほどに冷たい声。 ワイバーンのマスターはそれだけで、急に黙り込んでしまった。 ギャラリーも、何か言いたげな表情だが、黙ったままだ。 ……いったい、どうなっているんだろうか。 俺が驚きを隠せずにいると、久住さんの後ろから、さきほどの銀髪のアーンヴァルを肩に乗せた青年が近づいてきた。 「あなたが、ハイスピードバニー・ティアのマスターですね?」 人が良さそうに微笑む青年と、真剣な面もちの銀髪の神姫。 その後ろに、カメラ用のベストを着用した、年上の女性がいる。 「……遠野くん、彼らがティアを助けてくれたの」 「高村優斗です。こちらは僕の神姫で、雪華」 青年とその神姫は、礼儀正しく会釈した。 それから、後ろの人物を示し、 「それから、この人は、僕らの取材をしている、『バトルロンド・ダイジェスト』の三枝めぐみさん」 「よろしく~」 三枝さん、というその女性は、ひらひらと手を振った。 俺も挨拶する。 「遠野貴樹です。それと、俺の神姫のティア」 「は、はじめまして……」 「ティアを助けてもらって……助かりました。感謝してます」 もう一度俺はお辞儀をした。 顔を上げると、高村と名乗った青年は、ゆるやかに首を振っていた。 「いえ、大したことではありません。 僕たちも、対戦希望の相手を助けられてよかった」 やはり、そうか。 俺はその一言で確信する。 この青年と神姫は、海藤の家で見た映像の、彼らだ。 「まさか、あの『アーンヴァル・クイーン』がティアを助けてくれたとは、正直驚きです」 「僕たちも驚いていますよ。……ああ、僕たちのこと、もう知ってるんですね」 「……秋葉原のチャンプが俺たちと対戦を希望するなんて……冗談じゃなかったんですか」 「まさか。冗談であんなこと言ったりしません」 高村はそう言って微笑んだ。 やたらと人が良さそうな青年だと思う。 その高村の肩に座る、美貌の神姫が口を開いた。 「あなた方との対戦に、ここまで足を運ぶ価値がある、と考えてのことです。 バトルが所望です。いかがですか、『ハイスピードバニー』のマスター?」 長い銀髪を背に流した神姫の言葉は、威厳すら備わっているように感じられる。 なるほど、『クイーン』二つ名は伊達ではない、か。 俺は雪華の問いに、静かに答えた。答えは決まっていた。 「残念だが、お断りする」 ギャラリーがどよめいた。 全国大会レベル、しかも優勝候補とのバトルだ。対戦してみたいと思う方が普通だろう。 しかも、三強の対戦希望を断ってまで、俺たちとのバトルに集中しようとしているのだから、神姫プレイヤーなら受けて立つのが筋と言うものだ。 久住さんが俺の肩にそっと手をおいた。 「遠野くん、彼らはティアを助けてくれたのよ?」 「わかってる。でも、それとこれとは話が別だ」 その手を、俺は邪険にならないようにそっと、はずした。 そして、俺は雪華に向き直って言い切った。 「ティアを助けてくれたことには感謝してる……本当に、感謝してもしきれない。 でも、君たちとバトルはできない」 「なぜです? 理由を教えていただけますか?」 「……君たちがマスコミの取材を受けているからだ」 高村の背後にいた女性は、きょろきょろと辺りを見回すと。 「あ、あたし……!?」 三枝さんは、自分を指さして、びっくりしていた。 俺は高村に話を続ける。 「対戦を申し入れてくるんだから、今俺たちがおかれた状況は知っているんだろう?」 「あぁ、うん。先週来たときに、どうも様子がおかしかったので、調べさせてもらいました」 「だったら分かると思うけど……いま、こんな風に俺たちがゲームセンターで歓迎されていないのも、雑誌記事のせいでね。 今俺は、完璧なマスコミ不信なんだ」 「……それで、僕たちの挑戦を受けないのと、どういう関係が?」 「『バトロンダイジェスト』の、君たちの記事は俺も読んでる。テレビ放送であんなことを言ったんだ。当然、俺たちとのバトルも記事にするつもりなんだろう?」 雑誌記者の三枝さんは俺の言葉に頷いた。 「だったら、対戦なんて受けられない。結果がどうなるにせよ、何を書かれるか分かったものじゃない。今の状況に拍車をかけられたら、たまらないからな」 「……ちょっと! さっきから黙って聞いていれば随分な言い方ね! うちとあんな低俗雑誌を一緒にしないでもらいたいわ!」 三枝さんがたまりかねたように口を挟んだ。 彼女がカチンときているのももっともだ。 なぜなら、俺自身、わざとひどい言い方をしているのだから。 「俺からしてみれば、大して変わらない。 三枝さん、と言いましたか。 あなただって、バトロンダイジェストの記事を書くにあたっては、俺たちに無様に負けて欲しいでしょう? 『クイーン』の連載記事なら、俺だって雪華の華々しい活躍が書きたい。 俺たちみたいな醜聞のただ中にいる神姫プレイヤーを叩きのめす記事なら、うってつけですから」 「なんてこと言うの……うちに記事が載れば、あなたたちだって、評価があがって、誤解が解けるかも知れないじゃない!」 「随分と上から目線ですね。 俺は取材をしてもらいたいだなんて、一言も言ってない。 むしろ迷惑だ。 だったら、あなた方はむしろ、取材させてくださいとお願いする立場なんじゃないんですか?」 三枝さんは言葉に詰まった。 少し心が痛む。 マスコミへの不信感は本当だ。だが、三枝さん個人に恨みがあるわけじゃない。 三枝さんをダシにして、このバトルを断ろうとしている。だから、彼女に悪いところがあるわけではないのだ。 久住さんの手が、また俺の肩におかれた。 「遠野くん……言い過ぎよ」 「……わかってる」 俺は一瞬だけ、彼女の手に触れた。 久住さんはため息をついただけで、何も言わなかった。分かってくれたのだろうか。 俺と三枝さんが睨み合う。 一瞬の沈黙。 それを破ったのは、雪華の声だった。 「それならば、ティアとの対戦は取材をしないようにしてもらいます」 「って、ちょっとぉ!?」 あわてたのは三枝さんだ。 「あなたたちとは、全国大会までの動向のすべてを取材する契約でしょう!? たとえ草バトルとはいえ、取材しないわけにいかないわよ!」 「ならば、契約を解除します。そうすれば、ティアと戦える」 三枝さんが絶句した。 マスターの高村が口を挟む。 「雪華……『バトルロンド・ダイジェスト』からは、いっさいの取材を断らない代わりに、スポンサードを受けている。そういうわけにはいかないよ」 「スポンサー契約など無くても、わたしたちは全国大会を戦えます。また、契約があるからといって、勝ち抜けるとは限りません。 セカンドリーグの全国大会選手でも、そんな契約をしているのはほんの一握りでしょう。大多数の選手と同様の条件でも、わたしたちは十分に戦えるはずです」 ……何か話が大事になってきた。 雪華の言うスポンサー契約は、神姫プレイヤーが特定の企業や団体と契約を結んで、バトルロンドの活動資金や武装などを出してもらうことだ。 そのかわりに、その神姫はメーカーが提供する武装やパーツを使用したり、ボディなどにメーカーロゴをペイントしたりして、広告塔としての役割を果たす。 通称「リアルリーグ」と呼ばれるファーストリーグは、そうしたスポンサー契約も盛んに行われている。 セカンドリーグではあまりそういう話はない。セカンドリーグ上位の有名神姫プレイヤーくらいだろうか。 雪華は『バトルロンド・ダイジェスト』と契約を結んでいるらしい。 バトルロンド専門誌からスポンサー契約を受けているとは、どれだけ実力があるということなのだろうか。 それにしても、俺たちとの対戦がそこまで重要か? スポンサー契約がなくなれば、資金面で厳しくなる。 そうした契約自体が少ないセカンドリーグとはいえ、全国を勝ち抜くにあたって、資金がないよりはあった方が有利であるはずだ。 それを雪華は、俺たちとの対戦で捨ててもいいと思っている。 いったい、何を考えているのだろう。 「だったら、そんな腰抜けほっといて、俺たちの挑戦を受ければいいじゃねーか。俺たちは取材、大歓迎だぜ?」 その声に、ギャラリーも沸く。 口を挟んだのは、『玉虫色のエスパディア』のマスターだった。 どうも、三強はクイーンに対戦を申し入れて、ことごとく断られたようだ。 にやにやとした笑みを張り付けた顔に、雪華は冷たい一瞥を放った。 「……あなた方との対戦は、意味がありません」 「な……なんだと……!?」 「わざわざここまで足を運んできた意味がないのです。 わたしたちがハイスピードバニーやエトランゼと対戦を望むのは、彼女たちが唯一無二の戦い方をしているからです。 わたしが東東京地区大会のインタビューで挙げた武装神姫は、いずれもそういう戦いを展開し、大会にはエントリーしない神姫ばかりです。 わたしはそのような神姫との戦いを望んでいます。 ただ強いだけの神姫なら、ここまで来る必要がないのです」 高村は、雪華の言葉に、肩をすくめて頷いていた。 なるほど。確かに、ティアの戦い方は唯一無二だろう。雪華はそこに価値を感じているということか。 三強は確かに強いが、大会にでてくる神姫に比べると見劣りがする。戦い方も、標準の域を出ない、というところか。 見れば、玉虫色のマスターは、口をぱくぱくさせながら、怒りの矛先を向ける方向を失っているようだった。 神姫にあそこまで言われたなら、もっと噛みついてきてもいいはずなのだが……何か思うところがあるのだろうか。 そんなことを考えていると、左胸のあたりから声がした。 「マスター……」 「どうした、ティア」 「雪華さんとの対戦、受けてください……お願いします」 突然何を言い出すんだ。 俺は驚いて、ティアを見下ろす。 雪華の様子を見ていたティアは、不意に俺の方へ視線を向ける。 その顔には必死さが滲んでいた。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1942.html
「…慎?…しーん?…おーい」 …あ?誰だ? 「…風邪ひいちゃうよー?ちゃんと布団で寝ろー?」 ぺちぺちと軽く頬を叩かれる感覚。それとなんだか懐かしい声。 思い浮かぶは懐かしき青春時代。 嗚呼、あの頃の君はポニーテールのよく似合う… 「せいっ!」 「ほグッ!」 …鳩尾に重いのが来た。 「起きた?」 「…ウス」 むせながらもどうにか返事を返す。 一瞬前に思い浮かんだ思い出のあの子は、いつの間にやら見馴れた旧友の顔になっており、かつて始発電車が動くまで人間について語り合った新宿3丁目の狭いディスコティックは、気付けば見飽きただだっ広いオンボロ木造平屋建てとなっていた。 「あー。俺また寝てた?」 「寝てた。すげー寝てた。ジュリちゃんがケリ入れても寝てた」 それほどか。そういやなんとなく頭が痛い。ピンポイントで。 「ってジュリ?」 「あれ?さっきまでその辺にいたんだけどな…アイリちゃん知らない?」 見馴れた旧友こと縁遠は、足元の人影に声をかけた。 15センチほどの女性を象った人形に見えるが、その実体は感情豊かな小型ロボット。 一般的には「武装神姫」だの「MMS」だのと言われている、オーバーテクノロジーの塊だ。 当然ながら、一体につき高性能なコンピュータフルセット並の値段が付いたシロモノなんだが… 何故かうちには何体もいたりする。理由は後述。 「なぁ縁遠、ひとつ聞くが」 「ほほぅなんだね慎之介クン」 俺は足元のアイリらしきものを指差し 「コレがアイリか」 「他にどう見えると」 ちょっと考えてから妥当な単語を挙げてみる 「フリルの塊」 「ふむ。まぁ間違ってないかな」 「…なんかあたし馬鹿にされてる?」 フリルの塊から憮然とした声が出た。 「新しい子がいると思わなかったから用意してなくてね。有り合わせで結構考えたんだけどねぇ。髪の色に合うように、とか」 確かに。彼女のくすんだ赤毛に程よく合う色ではあると思うが、なんというか。 「あれだホラ、南北戦争時代のアメリカの田舎貴族の娘」 「おお。言われてみればそれっぽい」 「…やっぱ馬鹿にしてんでしょあんたら」 フリルが大量に付いた大仰なドレスを着ている彼女、名をアイリーンという。 砲台型フォートブラッグと言われるタイプで、髪の色といいそばかすの浮いた顔といい、まさしくアメリカの田舎娘的な顔立ちをしている。 ただ、彼女に限り通常の仕様よりも若干目が細いせいか、微妙に東洋系とも言えるが。 三つ編み糸目に、ドジョウヒゲと額に「中」の字が揃えばまさしくアレに見えるのがチャームポイントであろう。 言うと洒落にならない力で殴られそうだから黙ってるが。 …そういえば顔の落書きが消えているな。 「まあいいけど…で、何?ジュリ姉?その辺にいない?」 「あ?呼んだか?」 ひょこっと扇風機の陰から真っ赤なタテガミが、もとい、真っ赤なタテガミの神姫が顔を出した。 コイツが先述のジュリこと正式名ジュリエット。 タイプは侍型紅緒。純和風な顔立ちと、恐らくは改造によるものだろう、ライオンのタテガミのようなヘアスタイルをしている。 色は鮮やかな赤。ぶっちゃけハデさは否めないが、本人は気に入っているようだし、俺も慣れた。 元は俺が購入したわけじゃないんだが、その辺も後述。 ちなみに服装は金糸で龍の刺繍がされた黒いチャイナドレス。赤いタテガミと相まっていい味を出している。 体のラインが出るほどのタイトさに加えて、深く切れ込みの入ったスリットがまたなんとも… 「いや違ぇよ。そこじゃねぇよ俺」 「なにがだ」 いかん。寝不足がだいぶキているらしい。 「てゆか何やってんだお前」 「パットがまた迷ってたんだよ。危なっかしいから連れてきた」 「で、そのご本人は」 「そこで眠ってる」 なるほど。扇風機の陰にはシンプルな水色のワンピースを着た天使型アーンヴァルのパトリシアが横になって… 「待て。いつ着せた」 「せっかく色々あったからな。アタシらだけ着せ替え人形ってのも不公平だろ」 「ふぅむ、ベリーショートだからボーイッシュな方がいいかと思ったけど、こういう女の子してるのもいいねぇ」 「ま、過剰包装ばかりが華じゃないってことでしょ。ねぇどーでもいいけどコレ脱いでいい?暑いし動きにくいんだけど」 ぎゃーすか周りで騒いでいるが、一向に目を覚ます気配を見せないパトリシア。 暢気な眠り姫は一体どんな夢を見ているのやら。 っと、説明が遅れた。俺の名前は都竹慎之介。売れない物書きをやっている。 住んでいるのは、俺が祖父さんから遺産として土地ごと譲り受けた、東京は西の端にある木造平屋建ての年季の入った一軒家。 ここがまた不思議なことに野良神姫…世間一般で言われる「イリーガル」と呼ばれる連中がやたらと集まってくるのだ。 …当初は偶然だろうと考えていたが、約一年で十数回も同じことがあればさすがに普通じゃないだろう。 噂を聞いてわざわざウチに捨てにきた奴までいたくらいだ。無理矢理持って帰らせたが。 先ほどのアイリーンやジュリ、パトリシアや今家にいない猫型マオチャオ三体も一応我が家の住人なのだが、全員元はどこかから流れてきた連中だ。 しかも一時期は倍以上の数がいたこともあった。 そのほとんどは、神姫関係のサテライトショップを経営している古い友人の縁遠を経由して里子に出した。 ある程度の社会復帰可能なレベルまで、指導やら教育やらをしなければならなかったのがちょいと面倒ではあったが…まぁ安易にリセットしてしまうよりかはマシだったからな。 先述の通り、本来それだけの数が揃うのは金額的に無茶である上、イリーガルなどと呼ばれる以上基本的に合法とは言いがたい。 当然のことながら、全員正規の製品からすればどこかしらの問題を抱えている。 それでも、接し方さえ考えればあまり気になるレベルではない。 一番の問題は連中の充電用の電気代くらいだろうか。 なお我が家は、不本意ながら一部で「神姫長屋」などと呼ばれているらしい。 これはそんな不思議な家で繰り広げられる、不思議でもなんでもない連中の日常を綴ったお話。 御用とお急ぎでない方は見ていってくれるとありがたい。
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/128.html
デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 覚えるパッシブスキル一覧 神姫固有武器補正 神姫考察 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー BLADE(まじしゃんず・あかでみい、武装神姫2036、等) 声優 橋本まい(TVアニメ武装神姫:タマミィ、To LOVEる -とらぶる-:九条凛、アルカナハートシリーズ:犬若なずな、アニたま:たまタン、等) 神姫解説 ハウリンと同時期に開発された、Kemotech社製の猫型神姫。胸部装甲と1セットになっているナックルをはじめ、大型クロー・研爪、巨大ドリル・旋牙と近距離格闘戦に特化されているのが大きな特徴。AIは天真爛漫で無邪気な性格付けがなされ、バトルでも思いつきで動くことが多いが、その親しみやすいキャラクターと戦略を迷わずにすむ格闘戦特化という組み合わせは、初心者にはぴったりである。 名称:猫型マオチャオ(ねこがたまおちゃお) メーカー 素体:Kemotech 武装:Kemotech 型番:KT36D1 フィギュア発売:2006年9月28日 主な武装:裂拳甲(リークアンジア/腕装甲と一体化したナックル。本作では争上衣とワンセット) 防壁(ファンビー/拳を覆うナックル) 研爪(ヤンチャオ/クロー付きのナックル) 旋牙(シャンヤ/巨大ドリル。本作では2本バージョンも存在し、共に装備するだけで『ふぁいなるドリドリあたっく』を使用できる) 鉄耳装(ティエアールツァン/ヘッド防具) 争上衣(ツェンシャンイー/ボディ防具) 天舞靴(ティアンウーシェ/レッグ防具) KT36C1 キャットテイル 猫型プチマスィーンズ(全5機。本作では未実装…?) 子猫球&子旋牙(チーマオクゥ&チーシャンヤ/リペイント版武器。本作では未実装) 散歩(サンプー/リペイント版レッグ防具。本作では未実装) しっぽアクセ:蝶舞(チーウー/リペイント版リア防具。KT36C1キャットテイルに装着する。本作では未実装) 武装神姫第2弾。愛称「猫子」「まおちゃお」「まお(後述)」「まいちゃお」。ハウリン(とヴァッフェバニー)の同期にして、言うまでもなくシリーズ初期を代表する神姫のひとり。 当初発売されたフィギュア版は技術的に過渡期の産物だったためか総合的評価は微妙だったという点、にもかかわらずデザイナー独自のセンスと親しみやすいキャラ性そしてごっついドリルがユーザー層に広く受け入れられた結果、今なお根強い人気を誇る神姫であるという点においても相方と共通する。 ついでに本作では「3rdSmall素体に近い体型で再現されている」という点も同じ。 2007年度に開催されたホビーイベント『キャラホビ2007 C3×HOBBY』では、「2036」本編での水着姿を再現したリペイントバージョン(俗称:水猫子)が販売され、その後僅かに仕様変更された電撃15周年バージョンも販売された。こちらは装備が全体的に軽量化されている上頭部パーツの造形も改良されたため、従来品と組み替えるという楽しみ方も可能だ。 以上の3バージョンいずれも大量に販売されたため、現在の中古市場でも比較的簡単に見かける事が可能な神姫となっている。 更に、デザイナー考案による強化型「チャオマオチャオ」も存在していたが、バトロンのサービス終了に伴いお蔵入りとなった経緯がある(「2036」には登場)。 果たしてこれらの装備は実装されるのだろうか? それはバトコンスタッフのみぞ知る。 タオニャオ?さて、知らない子ですね… 従来の公式媒体では、他でもない「2036」の主人公・自称“全国85億のマオチャオの代表”まおをはじめ、アニメ版のタマミィ等ほぼ一貫して常連メンバーを務めていた(ただ、流石に「神宮司シリーズ」には、そのキャラ性と作品自体のイメージ的齟齬が大きくなるためか登場していない)。 当然ながらバトロン・バトマス(およびMk.2)・バトコミと、ゲームにおいても皆勤賞である。なんだったら、前述まおはバトマスMk.2にゲスト出演までしている。 しかし、それから10年程が経過した本作においては、その間にボイスパーツの方が声優活動を実質的に休止していた事情もあってか実装の気配がなかなか見えず、全国85億のマオチャオオーナー達のみならずケモテックファン達をも長い間やきもきさせてきた…というか、もはや絶望視すらされていた節もあったのだが、この度相方に遅れる事3ヶ月にて「みんな大好きマオチャオが遂に登場!(公式・談)」とあいなった。 (ちなみにその後、2024年のパチスロ版にも登場を果たしている) 往年のマオチャオマスターもそうでないマスターも、是非「猫まっしぐら」でお迎えしよう。 性格 「だからまおが言ってやったのにゃ~」 天然元気系、好奇心旺盛だが飽きっぽく、専ら語尾に「にゃ」または「~なのだ」を付けて喋る(前者はバトロン&「2036」期、後者はバトマス&アニメ期以降に多用している) 基本的に「おバカで可愛いアホの子」という認識でOK。 尤もバトマスにおいてはこれに限らず、様々な性格の個体が見受けられた。ついでにシナリオの都合で爆破されたりも… 複雑な武器や飛び道具よりは、直接的な肉弾戦武器を好む。というかデホルト装備の時点で飛び道具が(本作では実装されてないが)プチマスィーンズくらいしかない潔さである…。 セリフ一覧 + おちゃのこさいさいなのだー! ログイン時 通常(朝) お・は・よ~!朝から顔が見られて嬉しいのだ~。今日もいい1日になりそうなのだ。 おはよ~。今日もいっぱい遊んでくれるの?それじゃ、最高の1日にしちゃうのだ! 通常(昼) こ~んに~ちは~!これから一緒に遊んでくれるの~?それじゃあ早速、いっぱいい~っぱ~い遊ぶのだ~! こんちは。今日もたくさん傍にいていい?いいよね?それじゃ、遠慮なく傍にいちゃうのだ~! 通常(夕) こんちは~!今日は何して遊ぼっか?遠慮なく気軽に、何でも言うといいのだ。 おかえりなのだ。これから何するの?何でも遊んであげちゃうから、遠慮はご無用なのだ♪ 通常(夜) こんばんは!時間はた~っぷりあるから、いっぱい遊ぶのだ!それじゃあ、レッツゴー!なのだ! はいは~い!連れてきてくれて嬉しいのだ~。夜もいっぱい遊ぶのだ~。 通常(深夜) こんばんは~。夜遅くまで、あたしと遊んでくれるなんて、嬉しすぎるのだ~! こんばんは。顔を見たら眠気も吹っ飛んだのだ~。それじゃ、眠くなるまで、遊び倒すのだ~! 年始 あけましておめでとうなのだ!今年の目標は決まったかって?そんなのずーっと前から決まってるのだ。今年もマスターがあたしをいっぱいかわいがりますように!これしかないのだー! (ボイス) あけましておめでとうなのだ!お年玉もらったら、一緒に遊ぶおもちゃを買っちゃうのだ~。 バレンタイン はい、これどうぞ!がんばって作った、マタタビチョコなのだ!嬉しくって、メロメロになる事間違いなしなのだ! ホワイトデー にゃにゃっ!?これって……バレンタインの、お返し?やーったぁー!嬉しすぎるのだぁー!お礼にゴロゴロしちゃうのだ♪ エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 暑くなってきたのだ。こういう時期は、涼し~い部屋で、日向ぼっこを楽しむという、贅沢なシチュエーションを満喫するのだ~。 水着キャンペーン 七夕 ハロウィン とりっくあーんどとりぃーとぉー!お菓子を貰って、イタズラもしちゃう。あたしだけの大サービスなのだ! 冬季 寒くなってきたのだ~。“猫はこたつで丸くなる”って言うけど、あたしは大好きな人の上で丸くなりたいのだ~! クリスマス メリークリスマスなのだ!ねぇマスター。あたしのところにもサンタさんは来る?来るよね!?欲しい物いっぱいあるから靴下もいっぱい用意したのだ!わくわくが止まらないのだー! (ボイス) メリークリスマスなのだ!今日は、大切な人とふたりっきりで遊ぶ日らしいので、ず~っと一緒にいるのだ! 神姫の発売日 メリークリスマスなのだ!ねぇマスター。あたしのところにもサンタさんは来る?来るよね!?欲しい物いっぱいあるから靴下もいっぱい用意したのだ!わくわくが止まらないのだー! オーナーの誕生日 お誕生日おめでとうなのだ。猫らしく、今年1年分の福を招き寄せちゃうのだ。 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (→決定後) LvUP後 MVP獲得 3連勝後 3連敗後 専用スキル解放時 親密度Lv5後 親密度Lv10後 親密度Lv20後 親密度Lv30後 親密度Lv40後 親密度Lv50後 親密度Lv60後 親密度Lv70後 親密度Lv80後 親密度Lv90後 親密度Lv100後 親愛度Lv1~19限定 親愛度Lv20~39限定 親愛度Lv40~59限定 親愛度Lv60~79限定 親愛度Lv80以上 頭タッチ(親密度1~19) うにゃ!急ににつつかれたら痛いのだ!もっとやさしくなでなでするのだ。 (親密度20~39) 何なのだ?別にボーっとしてたわけじゃないのだ。 (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 胸タッチ(親密度1~19) ふぎゃぁああ!マスター!いきなりそんなとこつつくんじゃないのだ! (親密度20~39) ふぎゃぁああ!ちょっと!いくらカンヨーなあたしでも怒っちゃうのだ! (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 尻タッチ(親密度1~19) ふぎゃぁああ!ちょっとマスター!いきなりそんなとこ触ったらダメダメダメなのだー! (親密度20~39) ふぎゃぁああ!もう!マスター!次やったら絶対ひっかくから覚悟しとくのだー! (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 通常会話 クリスマス限定 年始限定 武装カスタム 戦闘力UP・武器LvUP時 戦闘力Down時 素体カスタム 親密度LvUP時 限界突破時 出撃時 キャラ入れ替え バトル開始時 → バトル中 撃破時 コンテナ入手時 被弾時 オーバーヒート時 スタン時 デバフ被弾時 スキル発動時 (能力強化系) (HP回復系) (デバフ系) (攻撃スキル) (チャーミークリアボイス) 被撃破時 次出撃時 サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 → 2位 → 3位 → 4位 → 親密度LvUP時 マスターレベルUP時 コンテナ獲得後1位 コンテナ獲得後2位以下 レイド成功時 レイド失敗時 カラフルコンダクト 神姫ショップお迎え時 はいは~い!お迎えしてくれてありがとなのだ~。これからい~~~っぱい仲良くするのだ~。 ゲームオーバー時 その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 はい を押す はい を押す(二回目) リセット完了 リセット取消 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・ご主人様・お兄ちゃん 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - マスクステータス 1/s ジェム回収展開速度 ブースト回復量 ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 N 1500 150 960 85 70 20 90 R 1050 105 90 40 110 SR 1140 125 110 60 130 UR 1230 145 130 80 150 覚えるパッシブスキル一覧 猫の気まぐれ【マオチャオ専用】瀕死になった際にジェム攻撃力・ジェム防御力アップ。撃破されたらLPを1残す スキル名説明 早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル 防御力アップ[小]防御力を上げる クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる 追加ダメージ軽減[小]敵からの追加ダメージを軽減する ブーストアップ[小]ブースト時の移動スピードアップ スピードアップ[小]移動する際のスピードアップ ため威力増加[小] *要限界突破(L110)ため攻撃の威力を上げる 攻撃力アップ[中] *要限界突破(L120)攻撃力を上げる 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル 防御力アップ[小]防御力を上げる 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる 体力最大値アップ[小]体力の最大値を上げる よろけ軽減[小]よろけの行動不能時間が短くなる 攻撃スピードアップ[小]攻撃時のスピードが上がる ため時間減少[小] *要限界突破(L110)ため時間を減少する 防御力アップ[中] *要限界突破(L120)防御力を上げる 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル ブーストアップ[小]ブースト時の移動スピードアップ スピードアップ[小]移動する際のスピードアップ ダッシュブースト消費量減少[小]ダッシュする際のブースト消費を減少する ため威力増加[小]ため攻撃の威力を上げる 攻撃スピードアップ[小]攻撃時のスピードが上がる ブースト最大値アップ[小] *要限界突破(L110)ブーストゲージの最大値を上げる 体力最大値アップ[中] *要限界突破(L120)体力の最大値を上げる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +30% 槍斬撃武器・格闘打撃武器・投擲武器 苦手武器 -30% 片手斬撃武器・双斬撃武器・両手斬撃武器・双頭斬撃武器・片手ライトガン・片手ヘビーガン・肩持ちヘビーガン・腰持ちヘビーガン 神姫考察 攻撃力 防御力 機動力 回収力 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 2023/4/12~から神姫ショップに登場 アップデート履歴 コメント その話はやめるのです! シナリオの都合で爆破 -- 名無しさん (2023-04-13 18 02 19) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2307.html
アスカ・シンカロン04 ~審寡~ 「おかしいぞ」 本屋を出た帰り道に立ち寄ったのだ。 繁華街の一角だった事も確か。 なのに。 「無い」 いつも通る道の何処にも、件の骨董屋は見つからない。 「無い訳無いだろう!?」 昨日の帰り道は、特に意識しては居なかった。 それは逆に言えば、何時もと同じ道を通ったからだ。 「なのに、なんで何処にも無いんだよ!?」 繁華街の入り口まで戻り、神姫センターを通って、昨日立ち寄った本屋へと辿り着く。 そして、その帰り道に古びた建物を見つけた筈だった。 「左の方だったんだ、間違いねぇ」 「北斗ちゃん、そっち右なんだよ」 「……」 「……」 「い…、いいんだよ。『こっち』側なのは確実だ!!」 本屋から繁華街の入り口まで戻る道を辿る。 右側と、念の為に反対側も確認しながら、ゆっくりと歩くが、該当する建物に巡り合わぬ内に、繁華街の入り口まで戻ってしまった。 「無いんだよ」 「んな訳無ぇ」 肩の上に腹這いになりながら寛ぐ明日香に、北斗は余裕の無い声で返す。 「なんで無いんだ。この通りなのは絶対に確実だ!!」 「あのさぁ、北斗ちゃん」 「んだよ」 「神姫を取り扱っているお店なら、神姫センターで聞けば分かるんじゃない?」 「……」 ぽん。と一つ手を打って、北斗は神姫センターに向かって走り出した。 「―――無いですねぇ」 大型神姫センターの店長である女性が、パソコンで検索しながらそう応える。 「んな訳無ぇだろ!!」 「でも、この近くで神姫を取り扱っているのは、ココとパソコンショップ、それにおもちゃ屋の3店だけです」 パソコンショップは場所も違うし、独立した大型店舗でどう間違っても骨董屋に間違えるわけが無い。 おもちゃ屋は、北斗も時折ゲームソフトなどを買いに行く行きつけの店だ。そこでもない事は確実だった。 「小さな店でよ、骨董屋みたいな雰囲気なんだ。このすぐ近くの筈なんだよ」 「そう言われましても……」 流石に店長も困った顔をする。 「あの……」 「はい?」 北斗の肩の上から店長に話しかける明日香。 「個人経営の小さな店だと、ココに登録されていない事ってありますか?」 「オーナー登録は必須だし、出荷や、ユーザー管理の観点からも、本社が把握していない小売店なんか存在しないわね」 「そうですか」 とりあえず礼を言って、二人はカウンターを離れる。 しかし、これで八方手詰まり。 こうなって来ると、昨日の記憶を疑う方が正しい気もするが、それが記憶違いでない事は今もポケットの中にある、あの墨で書かれた手書きの説明書が証明している。 「それ以外の可能性ね~」 「北斗ちゃん、携帯貸してほしいんだよ」 「…? どうするんだよ」 「骨董屋さんの検索をするんだよ」 テーブルの上に携帯と明日香を置いてやると、明日香は器用に掌でボタンを押し込みながらその操作を始めた。 「どうだ?」 「う~ん、該当件数3件なんだよ。……でも全部遠いね」 「違うか」 一番近い店でも徒歩で30分以上掛かる。 候補に上げる事は出来そうに無かった。 「…狐にでも化かされたかな?」 冗談めかしてそう言った後、背もたれに寄りかかり、仰け反って転地逆の真後ろを見る北斗。 さかさまの視界に、蝙蝠型ウェスペリオーのCMが流れていた。 「…何やってるのよ、北斗」 「んあ? 夜宵?」 本来なら天井からぶら下がっているのだろうその神姫のCMとの間に、割り込んでくる見慣れた少女。 「…んあ、じゃないわよ」 肩の上に白いストラーフを載せた夜宵が、北斗のすぐ後ろに立っていた。 「…って北斗、神姫買ったんだ?」 テーブルの上で正座する明日香を見つけ、夜宵が視線を動かす。 「あ、ああ、そうだ!! 夜宵―――」 「―――マスター、自己紹介ぐらい自分で出来ます」 「え?」 明日香の事を説明しようとした北斗を遮り、明日香自身が立ち上がって夜宵の前に進み出る。 「始めまして。……私、マスターの武装神姫になりました、明日香です」 「……っ!!」 その名に、弾かれた様に硬直する夜宵。 「……お、おい明日香……」 「……………………北斗、あんた趣味悪いわよ……」 一瞬、気持ちの悪い物でも見るような目で明日香を見て、夜宵は一歩後ずさる。 「……姉さんはもう居ないって、言ったでしょ? それなのにっ!!」 「大丈夫ですカ、マスター」 夜宵の肩の上でその頬に手を置きながら、彼女の神姫、パールが主を気遣った。 「……帰る……」 「では、これで失礼させていただきまス。北斗。……それから、明日香さン……」 北斗を、そして明日香に視線を這わせてから、パールが頭を下げた。 「……北斗。……姉さんは、もう死んじゃったんだからね……。……もう、何処にも居ないんだよ……」 そう言い残し、夜宵は踵を返して小走りに走り去った。 「明日香、お前どういうつもりで!?」 「えっと、夜宵ちゃんには、しばらくナイショしようと思うんだよ……」 「…なんでだよ」 何か考えがあるらしいと悟り、北斗は声を落した。 「ほら、あのさ。少なくとも私が何で神姫になってるのか。その理由を説明できないと、信じて貰えないかもしれないんだよ」 「夜宵なら大丈夫だって!!」 「……でも、ずっとこのままじゃないかもしれないし……。夜宵ちゃんには、心配かけたくないんだよ……」 「……ぁ」 確かにその通りだった。 弥涼明日香は生き返った訳ではない。 例えば、神姫の素体に明日香の魂みたいなものが憑依したのだとしても、ずっとこのままという保証も無い。 或いは、次の瞬間に明日香の魂が消えて、飛鳥がただの神姫に戻る可能性だってあるのだ。 「だから、少なくとも。私がどうしてこうなったのかが分かるまでは、他の人には秘密にして欲しいんだよ」 「……ああ、分かった」 頷くしかない。 もしも、明日香のこの状態が長く続かないのだとしたら。 心の整理をつけた夜宵に、もう一度別離を味わわせる事も無いのかもしれない。 「……でもよ、そのまま明日香って名乗ったのは不味くないか?」 「だって北斗ちゃんには、咄嗟に別の名前で呼ぶような演技は無理なんだよ」 「……はい、出来ません。演技力ゼロです。そういう機転も利きません。ゴメンなさいでしたぁ」 「うん、分かれば宜し~んだよ」 にへへ、と笑うその顔が、生前のものと同じ事に、北斗の胸が少しだけ痛んだ。 -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2272.html
2nd RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~1/4』 「隠してたわけじゃないんだけど、その…………ね?」 「ね?」 と言われても、俺には何のことだか皆目見当がつかない。 キィキィと軋むオフィスチェアの上で体育座りをした姫乃は、苦笑いのような、バツの悪そうな、形容し難い顔を俺の目から背けた。 服装は昨日と似たり寄ったりの、というか年間を通してカッターシャツにロングスカート(夏は半袖、冬は野暮ったいダッフルコートを追加装備。 日ごとに色が変わるだけ)、肩甲骨のあたりまで伸ばした髪は後ろで一つにまとめ、細身のシルエットによく似合っている。 姫乃がこの狭く汚くボロく散らかった六畳一間 (フロ・トイレ別!) にいてくれるだけで空気が綺麗になったように思う。 いや、事実姫乃がいると、玄関からベランダの窓際まで幸せな香りで満たされる。 小説やドラマでよく見かける 「風に運ばれてくる彼女のいい香り」 とはこのことだったのか。 付き合い始める前から度々、講義と部活を終えた後はこうして俺の部屋を訪ねてきてくれるわけだが、未だこの幸香(造語)に飽きることはない。 それとも、慣れることはない、とでも言おうか。 人間、己が身に過ぎた幸せを恐れるものである。 手を伸ばせば触れられる所に姫乃がいることが、怖いのである。 だってそうだろう? 晴れて大学生となって一人暮らしを始めて、借りたボロアパートの隣室に俺と同じ新入生の女の子が越してきて、しかもその子は可愛さと美しさを足して二を掛けたような容姿で、さらに目が眩むほどの笑顔で俺に微笑んでくれて、そんな子が友人になってくれて、今は俺の部屋で体育座りをしてくれているなんて、今この瞬間も 「これは究極の悪夢じゃなかろうか」 と自分の正気を疑ってしまうほどだ。 ――幸福が過ぎる夢は、目覚めてしまえば重荷にしかならないのだから。 「そうか。 ならば私がその重荷を降ろしてやろう」 いつの間にか俺の肩によじ登っていた姫乃の神姫 『ニーキ』 はそう言うや俺の頬を抓った。 いや、神姫の手のサイズだと、抓るというよりは、 「痛い痛い痛い痛い痛い痛いっての!! お前のサイズでほっぺつねりやるとなあ、蟹に挟まれるみたいに痛いんだぞ!!」 「ニ、ニーキ駄目! どうしたのよいきなり弧域くん攻げ……あああああほら内出血してる!」 椅子から転げ落ちそうになるくらい慌てふためく姫乃とは対照的に、ニーキはあくまでクール(?)に 「そんなもの唾でも付けておけば――ヒメ、君の唾である必要はないんだぞ」 と言い放った。 くそ、もう少しだったのに余計なセリフを吐きやがる。 というかハナコといいニーキといい、神姫ってやっぱり読心機能ついてないか? 「いくらコアセットアップチップが高性能だからって、人の心が読めるわけないだろう。 それと弧域、君はヒメに舐められたいのか?」 「ばっちり読んでるじゃねぇか!!」 姫乃の神姫だから持ち主に似て可愛らしいものだとばかり思っていたのだが、よくよく考えると “神姫は持ち主に似ない” ことは貞方とハナコが一片の矛盾も無く証明していた。 「しかし、どんな男かと思えばこんな奴だったとはな。 ヒメが毎日のようにこ――」 「あー! わー! もうニーキ、少し大人しくしてて!」 姫乃に掴み上げられ、パソコンを常備している机の上に降ろされたニーキは言いつけ通り、澄まし顔で大人しくなった。 黙ってさえいれば、悪魔型神姫・ニーキは武装がなくとも神姫としての魅力に溢れている。 空色の髪をツインテールにして、身体は黒を基調とした悪魔色が鈍く光る。 引き締まった顔に尖った耳がよく似合い、バトルの時は氷のような眼差しと凄惨な微笑みが鉄槌を下すのだろう。 フィールドに立つ、ただそれだけでストラーフ型はオーディエンスへのパフォーマンスとなる。 ……それを姫乃が分かっているかは別の話だが。 「なあ姫乃。 なんで神姫を買おうと思ったんだ?」 「それはもう可愛いもの。 すんごく可愛いんだもの。 工大駅前のヨドマルカメラで電球探してたら、おもちゃコーナーの前でストラーフ型神姫がこう、手を振ってくれてね、一目惚れしちゃったの」 貯金はだいぶ減っちゃったけどね、にはは。 と苦笑いする姫乃に、ニーキを買ったことを後悔する素振りはまったく無い。 「ヨドマルなら神姫に呼び込みさせたりもするだろうな。 ――誰かに誘われて買ったり、じゃなくて?」 「ん? 私の周りはホイホイさんばっかりよ。 神姫持ってるのは鉄ちゃんくらいかな」 「ふうん、そうかそうか。 うん、そうだよなあ」 「?」 ツマラナイことで頭を抱える必要など無かったのだ。 姫乃が浮気? 無い無い無い無い断じて無い。 先程までの杞憂は、そう、ちょっと貞方に遅れを取った焦りから生まれたものだったのだ。 ……と強がってみても、心配など皆無、と言えば嘘になる。 一ノ傘姫乃の魅力があれば男なんて選び放題好き放題だろうに、何故俺なんかを選んだのか、姫乃が隣にいる時はそんな不快な考えばかりが頭を過ぎってしまう。 たかが人形一体で勘繰ってしまうほどに。 姫乃の裏の顔を想像してしまうほどに。 「どうしたの弧域くん。 顔が怖くなってるよ?」 そんな俺の一人相撲を知ってか知らずか、姫乃はまた椅子の上に戻って体育座りしている。 裏の顔、ね。 そんなものがあっても俺はすべてを受け入れる、なんて歯の浮くような台詞を吐くつもりはないけれど、ドス黒い姫乃というのも、それはそれで悪くない。 「しかし姫乃も神姫マスターだったとはね。 俺も買おうかなあ。 んでもってニーキと勝負してみたりさ、楽しそうだぜ」 「え? ……あ、うん、そう……かな」 姫乃の顔が再び、なんとも形容し難いものに戻った。 さっきからどうも様子がおかしい。 分かり易過ぎるほど神姫の話題を避けているようだが、その割にはヨドマルでの出会いをあっさりと白状(告白?)してみせたし、目を逸らすのは決まってどうでもよさそうな話の時ばかりだ。 思えば、俺が神姫の話をしようとした時も、興味がないフリをして話題を避けているようだった。 俺が小一時間ほど “不出来なCDほどフリスビーに向いているのは何故か” を語った時も話に乗ってくれた (というより説教された) 姫乃が、何故こんな話題に口ごもる必要がある? 思い当たるふしは……あー、カツカレーの食べ過ぎだろうか。 「カツカレーで何かが変わると思っているのか。 ヒメ、君の彼氏は馬鹿だぞ」 「心を読むな! そしてもうちょっとオブラートに包めよ!」 「否定はしないんだな」 「お前、人の揚げ足取るの大好きだろ」 「君が見下げ果てた野暮天だからヒメが困っているんだ」 「ちょ、ちょっとニーキ、あんまり――」 「たまには言葉で真っ直ぐ伝えてやるのもこの男のためだぞ、我がマスターよ」 「~~~~っ」 ニーキは言いたいことを言い終えたのか、再び元の寡黙な人形に戻った。 その隣で椅子をキイキイと揺らす姫乃は自分の膝に顔を埋めて――黒髪の間からのぞく耳を真っ赤にしていた。 「言い難い事、あるのか?」 こくり。 頭を縦に動かした。 「怒ってる、とか?」 ふるふるふる。 頭を左右に振った。 「悲しい事だとか」 ふるふるふる。 「あー、じゃあ恥ずかしい事だとか」 こくりこくり。 恥ずかしいこと? 今までの会話のどこに恥ずかしがる要素があった? ますますわけがわからない。 一人で混乱していると、くぐもった声が聞こえてきた。 「……だって、神姫なんだもの」 「うあん?」 「弧域くん、神姫――欲しい?」 「え、くれるの? でもなあ、ニーキはちょっとキツいしなあ、」 「ニーキは駄目。 そうじゃなくて、自分の神姫、買いたい?」 欲しいかと問われれば、そりゃあ欲しい。 着せ替えのように武装させてみたいし、バトルだってさせてみたいし、この隙間風が寂しい部屋に神姫がいれば少しは寒さも和らぐのかもな。 だが、物はいつか壊れる。 熱力学第二法則(第一だったか?)がある限りどんな物でも例外ではないし、神姫だってもちろんその例に漏れない。 負担が掛る可動部はメンテナンスをしていても取り替えが必要になるし、バッテリーも技術が進んだとはいえ充電を繰り返すごとに容量が減っていく。 これらはまだ取り替えが効くからいい。 だがCSCなんて、外部からの衝撃でどんな影響を受けるか分かったものではない。 ――ホイホイさんになぶり殺しにされたマオチャオがそうだったように。 未だあのマオチャオが、持ち主だった弓道部部長の泣き叫ぶ顔が、頭から離れないのだ。 ……あんな別れ方をするくらいなら、最初から神姫なんて持たないほうがいい。 「どうだろうな。 欲しいような気もするし、欲しくないような気もする」 「どっちよ。 欲しい? 欲しくない?」 「俺にもよく分からないんだ。 神姫で遊びたくもあるし、なんつーかほら、犬とか猫とか、死に別れが嫌だから飼いたくないってよく聞くだろ。 あんな感じ」 「弧域くんっていつもはハッキリしてるのに、たまにものすごく優柔不断になるよね」 何故俺は責められてるんだ? 「いいだろ別に。 ハッキリさせなきゃいけないことでもないし」 「よくない」 「いいだろ」 「よくない」 「なんで」 「だって…………よくないんだもん」 姫乃が何を言いたいのか分からないが、少なくとも二人の間うっすらと見える溝をゼネコンが本腰を入れて掘り始めたことだけは確かだった。 俺にどうしろってんだよ、ゼネコンは誰の命令を受けて着工したんだ。 国か? 国なのか? 国土交通省のせいで俺達は付き合ってから初となるケンカをしようとしているのか! 「何がよくないんだよ。 俺が神姫を買っちゃ駄目なのか?」 「駄目っ! ……じゃない、けど……」 「なら買わないほうがいいのか? そりゃあ神姫は高いからな、そう簡単には買えないけどさ」 「そうじゃなくて、そうじゃないの!」 「どっちだよ! 俺は買うべきなのか、買っちゃ駄目なのか!」 「だって! ……だって……」 「だってだって、さっきからそれば――」 言いかけて無理矢理口を噤んだのだが、もう遅かった。 さっきよりも顔を真っ赤にした姫乃が、目に涙を浮かべて俺を……敵のように、睨んでいる。 怒った顔も可愛いんだなあ、なんて考えてる暇があれば謝罪の言葉の一つでも出せばいいものを。 何が悪かったのか皆目見当もつかない俺はどう謝っていいかも分からない。 言葉が出ない。 ぐぅの音も出ない。 希望も何も出てきやしない。 ああ、こりゃもう駄目だ、嫌われたな…………短い春だったな………… 「だって…………だって…………神姫だって、女の子なのよ!!」 「……………………は?」 「神姫はずっと持ち主の側にいるのよ! 弧域くんがもし神姫買ったら、弧域くんはずーっとその神姫と一緒なのよ! わ、私がいない時も!!」 「……………………」 「そんなの! ……そんなこと………………嫌なの」 「……………………」 「ごめんね。 幻滅したよね。 私、すごく嫉妬深いんだ」 「……………………」 「嫌いに、なったよね」 「ンナワケねぇだろおおぉぉぉおおがあぁぁぁああぁぁああああ!!!!」 椅子の上で丸くなっていた姫乃を抱え、ベッドに放り投げた。 「きゃっ!?」 ああもう、悲鳴も可愛い! あっけにとられた顔も可愛い!! こんなに可愛いのに? こんなに愛くるしいのに? 頼まれても嫌いになれるものか!! 「ちょ、ちょっと、弧域くん? 落ち着こう、ね?」 「安心しろ。 俺の頭は今、一面のコバルトブルーだ」 「晴れてる! 頭が晴れてる!」 目を丸くした姫乃に覆い被さるように手をついた。 アルミ製のベッドがギシギシと今にも崩壊しそうな音を立てた。 このベッドもついにシングルからダブルに昇格する時が来たか(?)。 自分の呼吸がどんどん荒くなっていくのが、他人事のように感じる。 体が、心臓の鼓動が、自分のものでないような感覚。 だがそれでも俺は、自分を見失うわけにはいかない。 俺は今、姫乃の目やら唇やら何やらを凝視するのに忙しいのだ! 「あ、あの、私まだ心の準備といいますか、心臓がドキドキして苦しいんですけど……」 「安心しろ、俺もだ。 だがそんなもの、勢いだろう?」 「い、勢い? そ、それにね……その……」 「まだ何かあるのか。 そうだな、今の内に全部言っておくといい」 「まさかこうなるなんて思ってなかったから……」 「うん、そうだな」 「………………今日の下着、あんまり可愛くないの」 「さらば理性ィ!!」 カッターシャツのボタンを一つ一つ外すのも間怠っこしい!! 安心しろ姫乃、今直ぐ全ボタンを引きちぎって、その可愛くない下着とやらを拝んで―――― 「獣め、そんなに規制されたいか。 レールアクション『血風懺悔』」 ずっ。 そんな音が眉間の辺りから聞こえたかと思うと、勢い良く赤いものが飛び出してきた。 「うおおおおおおお!?」 なんだこれ、なにがあった、興奮しすぎて血管が切れたか!? とにかく止血しようと、ベッドに頭を押し付けた。 「きゃあああああああ!? 弧域くん大丈夫!? え~っと、え~っと、そうだ、頭より心臓を高くしないと!」 「『血風懺悔』――受けた者は血風を撒き散らしながら許しを乞うように頭を地になすりつける」 私の得意技だ。 と勝ち誇るような声が聞こえる。 腹立たしいくらいニヒルに笑っているのだろうが、今は視界一面が血で濡れたベッドカバーだ。 「ニーキ!! 弧域くんに恨みでもあるの!? 初対面でしょ!?」 「ヒメも案外野暮天なのかもな。 君達は君達が思っているよりもずっとお似合いの仲だ」 「おいコラ、マジで血が止まらねぇぞ!」 「どういうことよ」 「さっき自分で言っていただろう、 “神姫だって、女の子なのだよ”」 「こ、このやろう人様の眉間に穴空けといて無視かよ……上等じゃねぇか、この借りは神姫バトルで返してやる!!」 叫んだことで穴が広がり、ベッドのシミはさらに広がっていった。 このとき俺は、絶対に武装神姫を買ってニーキを同じ目に合わせてやることを、固く心に誓った―――― NEXT RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~2/4』 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/810.html
マリー・ド・ラ・リュヌ、と彼女は頑なにそう名乗る。 フランス語の名前を持つ彼女の容姿は、やはりというかなんというか、フランス人形に似ている。 いつも右手には日傘を欠かさず、この間着せてあげた夏用のドレスにはリボンとフリルが惜しみなくあしらわれていた。もちろん、そのドレスは彼女が選んだものだ。もし私がこんなのを着たら家中の大笑いになるに違いない。 言葉遣いは、最初のころは普通だったものの、気づいたらいつの間にかニセお嬢様口調になっていた。これはこれで面白いけど、明らかに私の愚兄の仕業だ。まあ、お兄ちゃんは彼女にとってもう一人のオーナーなのだから仕方ないかもしれないけれど。 ああ、フランス人形に似てると言ったけれども、実は彼女はそんなに可愛いものじゃない。いや、可愛いんだけど、そんなに単純じゃない。 マリー・フォン・ディー・モンディン(Marie von die Mondin)、マリーア・デッラ・ルーナ(Maria della luna)、マリア・ルナエ(Maria lunae)、マリール・キアソル・クアソル(Marír ciasol cuasol)、月夜(つくや)のマリア...戦ってきた人の数だけ彼女には名前がある。というか私がマリアと彼女のことを呼ぶと、他の人は勝手に余分なものまで付けて彼女をそう呼ぶ。本当は全部同じ意味なんだけど。 それでも彼女は頑なにこう名乗る。 マリー・ド・ラ・リュヌ(Marie de la lune)。 私がそう呼んだから。彼女がそう望んだから。 今日も日傘を模ったウェポンで戦う彼女は、"人形型MMSノートルダム"の武装神姫。 そして彼女のオーナーである私の名前は、月夜のどか。ただの高校一年生です。 マリーとの出会いの日、六月十日。 「へえ、藤井も神姫買ったのか。いいなあ、金持ちは!」 「バーカ。お年玉とバイト代全部つぎ込んだに決まってるだろ」 放課後、帰り支度をしていると、帰宅部の藤井君とブラスバンド部でサックスを担当している豊田君の会話が聞こえた。普段なら聞き流してしまうような全く普通の会話なんだろうけど、そのときの私はどうも「神姫」という言葉に敏感だったらしい。 というのも、最近、大学院生のお兄ちゃんが神姫にどっぷりと浸かっていたからだ。前々から流行っているということは知っていたし、剣道部の先輩や友達でも持っている人はけっこういる。ただ私のお兄ちゃんがはまってしまうとは思ってなかった。 だってあの人が興味あることと言ったら、オカルト――それこそUFOから幽霊まで――と語学しかなかったのに、それが急に神姫でバトルの毎日。引きこもりがちだった兄が、外に出るようになったのは妹として嬉しいけれど、どこか変な感じ。 うん。まあ、簡単に言えば、私もかなり神姫に興味が湧いてきたわけだ。 というわけで、今日は部活をサボって家に帰り、お兄ちゃんの部屋に直行する。 「お前さ、思春期だろ?青春時代の真っ只中だろ?部活行けよ、友達とカラオケ行って来いよ、親父と兄貴を避けろよ」 「えー?だって稽古はどうせ家でもやるし、カラオケなら先週行ったし、パパもお兄ちゃんも師範代だから一応尊敬しなきゃだめでしょ?」 お兄ちゃんは机で何か作業をしながら私をテキトウにあしらった。 私はお兄ちゃんの後ろから覗き込む。 「暗い」 確かに私が後ろに立ったせいで、机にはほんの少し影が映った。ライトスタンドの角度を少し変えてあげる。 「ねえねえ、お兄ちゃんの神姫見せてよ」 「うーん?ちょっと待て」 それからかちゃかちゃと忙しくドライバや名前も知らない工具を二分くらい動かした後、お兄ちゃんは机の上の、丸いお皿の中で眠っていた神姫に呼びかけた。 「おはよう(ドーブラヤウートラ)、アーニャ」 紫色のボディの神姫はゆっくりと目を開ける。ペイントこそされているものの、この神姫――アーニャはアーンヴァルのようだ。いや、ただのカタログ知識だけど。 「おはようございます、時裕さん、のどかさん」 私はアーニャに会うのは久しぶりだけれど、彼女はちゃんと私のことを覚えていてくれた。相手が電子の頭脳を持つロボットだとわかっていても、少し嬉しい。 アーニャはクレードルから降りて、お兄ちゃんの右手のほうにあるノートパソコンに登った。そこから机の反対方向、つまり私たちから見て左を眺めて言った。 「時裕さん、あの箱はもしかして」 アーニャが指差したほう、ライトスタンドの真下に確かに箱があった。 「ああ、神姫だよ。素体が安かったから。アーニャの妹にしようと思って」 「まあ、本当ですか?嬉しいですわ、ありがとうございます。私、丁度妹が欲しいと思っていたところですわ」 変なお世辞は致し方ない。彼女が喜んでいるのは事実だ。それよりも、それを見てさらに喜ぶお兄ちゃんもちょっとアレだと思う。 私はそっと、箱に手を伸ばした。 お兄ちゃんの言葉一つ一つにアーニャは丁寧な相槌と素晴らしい表情を返し続ける。それでお兄ちゃんはもっと喜ぶ。 見事な平和サイクルだ。 「タッグマッチとかも楽しそうだしね」 「そうですね、きっと楽しいですわ。でもよろしいのですか?のどかさんが組み立てていらっしゃいますけど」 おっと、お兄ちゃんはアーニャとの会話で彼女のほうを向いていると思ってたけれど、こんなに早く見つかるとは、アーニャもちょっと余計なことを言ったなあ。悪気は無かったのだろうけど。 「の、のどか!勝手に何やってるんだ!」 「へへ、結構組み立てるの簡単だね、神姫って」 カチリ、と素体の胸に、てきとうに選んだCSCを埋め込む。 私が右のほうを向くと、呆気に取られて口が開いたお兄ちゃんの顔と、嬉々として希望に満ちたアーニャの顔が芸術的なコントラストを形成して私と私の手の中の神姫に向けられた。 ちょっと前のアーニャと同じように、私の手の中の小さな女の娘は、ゆっくりと瞼を上げていく。 そして私を見据えて言う。 「オーナーのお名前は?」 正確に言えばその一言ではなく、その言葉の前と後にも声は続いていて、どうやらいろんな言語で同じ内容を尋ねているようだった。 私が答えられずにいると、我に返ったお兄ちゃんは急いで「トキヒロ・ツクヤ」と叫んだ。けれど彼女は私を見据えたまま反応しない。その様子を見てお兄ちゃんはとうとう声も出なくなり、半ば諦めたような表情になってしまった。 「...ノドカ・ツクヤ」 ゆっくりと、私は外国人に自己紹介するように自分の名前を発音した。 「ノドカ・ツクヤ。では私のマスター・ノドカ、私の名前は?」 「マリー!」 今度は即答した。マリーという名前は代々私が小さいころから猫やフェレット、大切なものに付けてきた名前だったからだ。 私はもう一度お兄ちゃんのほうを向いて笑う。 「ちょっと早い誕生日プレゼントをありがとう、時裕お兄様」 「お前...」 お兄ちゃんはまだ言葉が出ないようだった。それもそうだろう。だって妹に神姫を強奪されたんだから。 作品トップ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1551.html
神姫ちゃんは何歳ですか?第二十九話 奇跡、偶然、それとも…? 書いた人 優柔不断な人(仮) 『新年、明けましておめでとう御座います』 といった挨拶も終わり、特にする事も無く家でゴロゴロしている俺達 去年の正月はユキと二人だけだったのだが、今は観奈ちゃん、皐月、水那岐、ミチル、ムツキちゃん、花乃ちゃんにひじりん、そしてティールにファロンとかなりの大所帯となっていた 親父が遺してくれたこのやたら大きい家に感謝しないとな 台所で片づけ物をしているユキと水那岐とティール リビングでお笑いの特番を見て笑ってる皐月とムツキちゃんとファロン ノーパソを広げ、なにやら難しい顔をしながら打ち込んでいる観奈ちゃんとミチル 「お、観奈ちゃん。宿題?」 訪ねてみる俺 「ケンシロウ、宿題なぞとっくに終わってるぞ」 「あれー?んじゃ?なにやってるの?」 そんな観奈ちゃんの返事をわきで聞いていた皐月が振り返って訪ねてきた。どうやら番組の方はあまり好きじゃない芸人になったようだ 「次の大会の日程がズレるかもしれないとの事なのじゃ…」 街場の小さな大会なら日程が変更になってしまう事も少なからずある が、観奈ちゃんが出るような規模の大会で変更になるなんて事は滅多に無い 「あー!この前あった事故のせいじゃない?」 「あの事故か…」 「年末の大会のフィールド陥没事故の影響じゃな。検査を行って安全性が確認されるまで設営工事が中断されるとの事じゃ」 リアルフィールドで行われるリアル戦でのフィールド崩壊事故は、実は結構発生している 勿論、ビル破壊程度の損壊程度ならば想定内のことだが、床(ここでいう床とは、フィールド基部の事)が抜けたり、防護スクリーンが割れたりといった本来壊れないように作ってある物の事である 「あの事故って、手抜き工事が原因だったってニュースで言ってたわよね。しかも隅っこの方がちょっと沈下しただけだったのに…」 「仕方無い事じゃ。万一その手抜きでもっと大きな被害が出たら大変じゃからな」 「被害って…あっ!ごめん…」 観奈に謝る皐月 実は観奈はその手抜きが原因でフィールドそのものが崩壊し、ミチルが中破・対戦相手は再起不能になるという事故に巻き込まれた事があった 「皐月殿が謝る事では無い。それより、これで延期してしまうと、わらわのような学生オーナーはともかく、社会人オーナーで参加出来なくなる者が続出してしまうのが…」 と話してると、ファロンが割り込んできた 「え?ミチルかーちゃんって、バトルするん?」 「そうなのだ。こう見えても日本でもトップクラスなのだ!」 えっへんと胸を張るミチル 「すげー!見てみてぇ!」 「私も見てみたいです」 ふと気づけば片づけ物が終わったのか、ティールも戻ってきていた 「ふむ、それならこの間の大会のが、コレに入ってるぞよ」 ついっとノーパソを指す観奈ちゃん 「あ、それならテレビに繋いで見ません?」 「いいのか?この後『果糖機関』が出てくるぞ?」 「う…いいんですっ!可愛い娘の為です!…あとでルンルン動画で見ます…」 グっと拳を握り、涙しながら言い切る皐月 「…アップされるといいな」 「ありがとう、皐月ママ」 「さっすがかーちゃんだぜ!」 という訳で、俺達はこの前の大会でのミチルの闘いを鑑賞する事になった 「すげーミチルかーちゃんすげー!」 「ママ…すごい…」 相手の神姫は、自分が何型かわからなくなる程の重武装を施し、的確な弾幕を張って主導権を握るタイプだったようだ さすがのミチルもこの防御を突破するのは困難を極めたようだが、リロードの為にわずかに弾幕が薄くなった瞬間を狙って急接近し、空牙を叩き込み勝利した 「あたいもバトルしてみたいなぁ…」 「私も…」 やはり武装神姫の本能なのか、二人共バトルに興味があるようだ まぁユキやムツキちゃんみたいにバトルに興味無い方が珍しいのだが 「んじゃ、明日『エルゴ』に行ってみるか。二人を日暮さんにも会わせたいしな」 「「わーい」」 「…そう…ですね…二人を…見れば…日暮さんも…きっと…喜んで…くれます…」 という訳で、俺達は明日、エルゴへと向かう事にした 一方、皐月は 「…一体、相手神姫は何型だったのかしら?」 と首を傾げていた 「いらっしゃーい…あ、香田瀬さん。あけましておめでとうございます」 エルゴに来た俺達を出迎えてくれたのは、うさ大明神様ではなく、秋月兎羽子さんであった …まぁ同一人物なのは知ってるけど、皐月達には内緒だ 「あ、兎羽子さん、明けましておめでとうございます」 「やぁ香田瀬さん、今年も宜しくお願いします」 「こちらこそ、宜しくお願いします」 奥から出てきた日暮さんにも新年の挨拶をする 一通り挨拶が終わった所で 「この子達があの二人か。えーと、ティールちゃんとファロンちゃんだっけ?」 「ああ、そうだぜオッサン」 「あの…何で私達の名前を知ってるのですかおじさん?」 グサグサっと、何かが刺さったような音がした気がした 「香田瀬さんから、二人が無事に起動したってメールを貰ったのですよ。その時に名前も教えて貰ったんです」 なにやらヨロめいている日暮さんに代わって兎羽子さんが答えてくれた 「…しかし、二人とも無事起動してなによりだ…」 どうにか立ち直り、二人をマジマジを見つめる日暮さんは 「あの…恥ずかしいですからそんなに…」 「ん?なんだ?あたいのないすばでぃにメロメロなのか?」 恥ずかしがるティールと、大きなの胸を揺らすファロン 「あ、ゴメン」 と顔を赤くしながら目線を逸らす日暮さん 「ダメですよ。女の子をそんなにジロジロ見ちゃ」 「なんか兎羽子さん、怒ってません?」 「いや…二人の素体が、通常のとも白雪系とも違うみたいだったからつい…」 さすが日暮さん。一発で見抜いたようだ 「残念ながら、素体の方は殆どダメだったから、タブリスに換装したんですよ。本当は出来るだけ残しておきたかったのですが…」 「タブリス!これが!新型の!」 タブリスと聞いた瞬間、日暮さんは再び二人を凝視した 「あの…恥ずかしい…」 とモジモジするティール 「やっぱアタシに興味があるのかオッサン」 と色々ポーズを取り始めるファロン 「すげぇ!こんな滑らかに!可動範囲もこんなに!」 うーむ、色んなポーズを取る丑型神姫とそれを見て興奮する男 分かっていてもちょっとアレな光景だ 「ほーら、こんな…あ」 ぽろっ さすがに無茶なポーズを取りすぎたせいか、インナースーツから胸がこぼれてしまった 「おおっ!」ぶはっ! 今まで『タブリスという製品』としてファロンを見ていたがのに急に『女の子』としての面を見せられた日暮さんは、鼻血を吹いてひっくり返ってしまった 「なんだオッサン、純情だなぁ」 腰に手を当て、カラカラと笑うファロン 「だ、ダメだよファロンちゃん。女の子なんだからもっと慎みを持たないと」 慌ててユキが窘めるも 「いーじゃん、減るモンじゃないし」 とまるで効果無し ユキがスーツ上げて胸を納めるも、ファロンが胸を張ってる為、再び露わになる 「…こりゃインナー買い換えないとな。兎羽子さん、もう少し大きなスーツあるかな…?」 「え…あ、はい」 なんか兎羽子さんが羨ましそうな顔をしてたのは気のせいだろう …たぶん 「んじゃユキ達はティールとファロンの服を見てやってくれ」 「え?私も?ファロンのだけで良いのでは?」 「ティールだってユキ達のお下がりだけじゃなくて、自分の服が欲しいだろ。行って来い」 「は、はい!」 嬉しそうに返事をするティール ユキ達がティールとファロンの服を選んでる間に俺は日暮さんと話をする事にした 「…それじゃあやっぱり、素体はほぼ全損だったのか」 「ええ。素体中枢も26・37チップが逝ってましたので交換を。あと8・16回路に損傷があったので修理を」 「よくまぁそんな所を直せるもんだ」 「…それと、奇妙な事があったんです」 「奇妙な事?」 「あの子達、覚えてるんですよ、あの事を」 「あの事って…まさか!」 「視覚回路は繋がってませんでしたからおぼろげではありますが、事故の事を知ってます」 「そんなバカな!CSCも入ってない、電源さえも入ってない状態でか?」 「…電源はありました。あの子達をボロボロにした家庭用電気が。それで一時的に仮起動したのだと思います。その時に『本能的』に致命的なダメージを受けないように自ら回路を切断し、重要チップを保護したと考えられます」 「…信じられん…」 「壊れた回路の先にはCSCシステムがあります。もしそこに、回線内から高電圧を受けてたら…」 「完全に、終わりか」 「…今回の事は、EDENも興味を持っています。単なる偶然とかで片づけるには納得出来ない点が多すぎます」 「だろうな」 「ですので、この事は内密にお願いします」 「だったらなんで俺に話したんだ?」 「…日暮さんも知りたいでしょうから。何故彼女達が助かったのか。それに貴方も当事者です。聞く権利はあります」 「そっか、ありがとな。聞かれなきゃ言う必要も無いだろうに」 キャッキャと店内を物色している彼女達を見ながら、俺達は暫く話を続けた 服を選んでいたはずだったが、いつの間にか武装コーナへと来ていた 「うへーっ、イッパイあるなぁ」 感嘆の声を上げるファロン 「パパの部屋よりもたくさんの武器があるんですね」 とティール 「そりゃ、お兄ちゃんの持ってるのは研究用のだけだから、お店とは比べられないよ」 「あっちに試用コーナーがありますね」 とムツキちゃん 「二人とも、試してみるのだ」 何時見繕ったのか、いくつかの銃や剣の試用品をカゴに入れたミチルが言った 「「はーい」」 試用コーナーでミチルから剣を渡され試し振りをするティール 「とりゃぁ~」 可愛らしい声とは異なり、なかなか鋭い剣さばきを見せるティール 「うわ~っ、ティールちゃんすごい~」 と喜ぶムツキとは異なり、難しい顔をしているミチルとユキ 「よっしゃ。次はあたいだな。せいっ!はっ!」 渡された短銃をビシッと構えるファロン 「きゃ~!ファロンちゃん凛々しい~!」 とまたしても喜ぶムツキと、またしても難しい顔をしているミチルとユキ 「…どうしたんですか、二人とも?」 ムツキは怪訝そうな顔をしているミチルとユキに訪ねる 「うん…悪くは無いんだけど…なんか、ね」 「まだ基本プログラムだから…だけじゃない?…なんか違和感があるのだ」 ユキとミチルだけでなく 「ですわね。基本プログラムは直ってるはずなのですが…」 「なーんか、ピっと来ないんだよねー」 花乃と火蒔里までもが首を傾げてる 「もしかしたら…」 とミチルが言いかけたその時 「お前達、何をしている?」 と声をかけられた 声のする方を向くと、そこにはセイレーン型神姫がいた 「何って…服を選んでるついでに武器を見に…」 「キャッキャウフフ仕様の連中が、武器を見てどうしようって言うのだ?なんだそのヘッピリ腰は?」 「ふ~ん。あたしを見てキャッキャウフフ仕様とは」 「お前なんか知らん。ここでは見かけない顔だな。悪魔型は口が悪いというのは本当のようだな…なんだその笑いは」 少なくともファーストクラスでは見かけない彼女。それなのにミチルを知らないという理由は 裏バトルで馴らしている為に、表での高LVランカーのミチルを倒して名を上げようとして知らないと挑発している まだ始めたばかりでランキングまで知らない のどちらかである ミチル程になれば、見れば相手がどの程度の実力があるかは大体分かる。彼女は後者だ セイレーン型の口調に失笑するミチルに、当のセイレーン型ご立腹のようだ 「き…き…貴様ぁっ!」 今にもミチルに殴りかかりそうなセイレーン型。すると 「エル、何を騒いでいるの?」 とまた別の声がした 「あっ、リーゼ…」 セイレーン型-どうやエルと言うらしい-が声のする方へと振り返る そこには人魚型神姫が居た 「いやコイツラが試用コーナーを占拠してたから…」 そう言われ辺りを見渡す人魚型-リーゼ- 可愛い服を着た天使型と猫型。微妙に武器を持つ手が様になってない丑寅。そしてあきれ顔をしている悪魔型 「…全く、愛玩用にコーナーを占拠されたぐらいで騒がないの」 「む、むう…その通りだ。すまん、リーゼ」 「判ればよろしい」 リーゼに頭を下げるエル 「ってちょっとまて!」 そんな二人を怒鳴りつけるファロン 「あら貴方達、まだ居たの?」 「謝るんあら、あたい達にじゃ無いのかよ!」 「エルは『愛玩用に場所を占拠された程度で騒いで私に不愉快な思いをさせた事』を謝ったのよ。貴方達愛玩用に謝る事なんて、何もないでしょう?」 「ムッカー!なんだコイツ等!大体アタシ達は愛玩用じゃねぇ!」 「あらあら、とてもそうには見えませんけど?特に貴方の銃裁き、まるでなってません事よ?」 「そんな事言っても、私達まだ起動したばかりで、初めて武器を持ったのですから…」 ティールもおどおどしながらも抗議の声を上げる 「基本プログラムだけでももうちょっとマシな動きをするだろう。お前達どっかおかしいんじゃないか?」 エルのこの言葉が、二人を完全に怒らせた 「な、な、てめーら!あたい達だけじゃなく、親父とかーちゃん達までバカにしたな!ぜってーゆるさねぇ!」 「そうです!パパとママの悪口なんて、私、許せません!」 「な、なんですか貴方達は…で、許さなかったらどうするつもりなのです?」 二人の気合いにちょっと驚きながらも平静さを装いつつ訪ねるリーゼ 「てめーらに、決闘を申し込む!」 続く…
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2515.html
姫は魔女のキスで目を覚ます 最後の記憶は薄暗く、騒がしいまでに不快な音だけが鮮明だった。 体の電池残量は限界を迎え視界を警告が埋めアラートが悲鳴を上げていた。 何故こんな目にあったのかは、今となってはさしたる問題ではない。 廃棄られたその時、神姫にとっての過去は総てが無意味と帰す。 それが玩具としてこの身が生まれた時から決められた運命。 最後に祈るのは、せめて生まれ変わる事が可能ならば…人間になりたいとも思わない。 せめて、意味のある思い出を… ふたりは数学教師のはげに終わったと告げると、そのまま颯爽と神姫部の部室の戸を開けた。 「あ、マスター!おかえりなさい!」 明るい声が聞こえる、主人の帰りを今か今かと待ち望んでいたのか声の主は机の上で神姫サイズのモップを片手に 主人にその存在を主張するよう懸命に両手を振っている。 声の正体は蘆田の神姫の一人、犬型ハウリンタイプのフィラカスである。 ぷっ、と言う音に反応して蘆田がそちらを向くと鼻血を吹いた神奈がティッシュを求めてふらふらとしている。 「ふぐぅ、やっぱりケモテック社総帥自らデザインしたシリーズは破壊力高いわぁ…」 「「黙れ変態」」 「あぁん、ひどぅい」 二人して罵倒され神奈は一歩たじろいでしまう。 しかし本当に引きたいのは紛れもないこの二人であろう事は言うまでもない。 「フォーマットは完了済み…まぁ有り難くはあるけども、随分と念入りなことねぇ」 再起動の為に起動コードを入力し、神姫のメモリー容量を確認する。 しかしその中身はほとんど白紙で、恐らくは前の主人が棄てる前に後ぐされが無いようメモリーをフォーマットしたであろうことが容易に解った。 神姫のCSCは主人との繋がりを感情回路に大きく影響させる構造になっているらしい、もしかしたら誰かに拾ってもらえる可能性を考えてあんな所に棄てたのかもしれない。 少なくとも仮に神姫が不要になった、あるいはやむをえない事情があって神姫を手放さなければならない場合であればジャンクショップに売るだけで公式的にフォーマットは可能だし確実に神姫との別れが可能である。 しかしそれをしないであえて捨てるという選択肢を選んだと言う事は、余程やむをえない事情があったのか、あるいはこの神姫を主人が憎んでいたのか… 「それにしても気分のいい話じゃないな」 「…まぁ、おかげで助かったわ」 神奈はにやけてキーボードに手を滑らせると、基本設定が凄まじい速さで組み込まれていく。 流石に戸三神姫部の技術屋をやっている訳ではないと言うことだろうか。 神奈の好みに合わせて変わって行く各種パロメータ―を見て蘆田も口を挟む。 「ん?この素体は見た所アークタイプのようだが、この設定だと高機動型のイ―ダの方が合ってないか?」 「ちょっとやって見たい事があってね…汎用性が高いに越した事は無いのよ」 CSCのセッティングを終えて、胸部パーツをつけ直す。 するとガチンと大きさの割に重い音が鳴り、人の鼓動のようにビクリと神姫の躯が震える。 鋭い眼光を宿した目が開き、神奈をオーナーと認識して口を開く。 「オーメストラーダ製、HST型神姫アーク…起動します オーナーの事はなんとお呼びすればよろしいでしょうか…?」 「おぉ、なんとか動いたみたいだな」 フィラカスとはまた違う意味で、耳に心地いい歌うような声でオーナー登録を行おうと質問をする神姫に、神奈は答える。 「私の名前は神奈 流、呼び方はそうね…どういう呼び方があるのかしらん?」 「マスター・アニキ・アネキ の三種です」 あらあら、と頬に手を添え神奈は決める。 「兄貴と呼ばれるのもどうかと思うし、マスターと呼ぶのも何か面白みがないわねぇ…じゃあ、アネキで♪」 「了解しました…最後に、私の名前を登録してください。」 会話の中で徐々にインプリンティングして行くのだろう、無機質だった神姫の瞳に光が宿って行く。 神奈は神姫の頭を指で撫でながら、最後の質問に答えた。 「名前は最初から考えているわ、キサヤ…貴女の名前は今日からキサヤよ」 「キサヤ…うん、良い名前だ…ありがとう」 此処まで来るとマニュアルによる機械的な口調ではなく、アーク型特有の個性(キャラクター)の口調になっていた。 キサヤと名付けられた神姫は神奈に手を伸ばし、神奈はその手に添えるように小指を立ててキサヤの手に触れさせる。 「よろしくな、アネキ!」 「よろしくね、キサヤ♪」 二人で呼びあい、CSCに刻まれた絆を確認する…そして今ここに、新しい神姫が誕生したのである。 「ふ…ふふふ… フゥ―ハハハハハ!!!!」 「「「!!??」」」 突然高笑いを始めた神奈にその場に居た明日とキサヤ、さらに台所でえっちらおっちらとコーヒー牛乳を混ぜていたフィラカスはビクッとそちらを振りかえる。 この女は一昔前のムァッドサィエンティストの血でも引いているかと見紛うばかりの見事な高笑いである。 「良い、好いわ、実にイイ!!! アークはスケバン系の性格と聞いていたけど、更に妹分キャラまでつくなんて!! しかも姉妹か義理の姉妹か微妙に解らないくらいがもどかしい、あぁなんて素晴らしいのオーメストラーダ!!」 自分の世界に浸りながらアーク型への萌え的な賛辞を重ねる神奈を先ほどとは全く違う汚物を見るような目で見つつ、滝のように汗を流しながらキサヤは蘆田に問う。 「な、なぁ…ひょっとしてあたし、とんでもないマスターに当たっちまったのかい?」 「あぁ、あれは少し不良で百合趣味でオタクで腐女子で性格螺旋くれまくってるくらいなだけだ、俺はすぐに慣れた」 蘆田の説明を聞きキサヤはますます顔を青く染めていく。 「これ、絶対にはずれマスターだああぁぁあああ!!!」 部室にキサヤの絶叫がこだました。 「さてー、初戦に丁度いい相手はいるかしらねぇ~♪」 早速と言わんばかりに神奈達はキサヤを連れてゲームセンターへと赴いていた。 ゲームセンターには神姫バトルの為の筺体がほぼ標準的に設置されており、いつでも気軽に神姫バトルを楽しむ事ができるようになっている。 神姫を戦う武装神姫として育てるなら、まずゲームセンターで戦って神姫ポイント―ここでは神姫と神姫関連商品に飲みオーナーが使うことのできる電子マネーの事― を溜めるのが一般的である。 しかし… 「ねぇアネキ、もうちょっとまともな装備ないの?」 キサヤが装備しているのは簡易的なローラーシューズとナイフ、そしてハンドガンのみである。 確かにそれは起動したてでも文句を言うには十分な有様であった。 「まぁうちの部はそれ程無駄遣いできる訳じゃないからねぇ、それに今は勝とうが負けようが貴女の体の具合を調べないといけないからねぇ♪」 「カスタムパーツの製作には実費を大いに消費するからな、一昔前までは違法だったがパーツのカスタムくらいまでならOKになった現在だからこそ このバトルは必要なのさ。」 神奈の言い方に一々背筋を這う不気味な淫靡さを感じつつ、蘆田の解説に相槌を打つキサヤだが これがキサヤの人生初のバトルである。キサヤが武装神姫である以上、初めてのバトルに対する期待感は決して無視できるものではなく 結果、今は仕方なく神奈にしたがう事にした。 「がまんがまん…もし碌でも無かったら、あのもう一人のオーナーに乗り換えてやるかんな」 「ひひひ、まぁ失望させない程度には頑張るわ♪」 「俺としても歓迎したいところだけどな」 キサヤははぁ、とため息をつき…ん?とふと神奈の言動の違和感に気付く。 「なぁアネキ、アネキはオーナーとして指示を飛ばすだけだよな?」 神奈は筺体の座席に座り、キサヤの機体を筺体のリフト上に置く。 「私はライドシステムっての、一度やって見たかったのよ♪」 ゾクっとキサヤは背筋をこわばらせる、キサヤも神姫である以上基礎的情報としてライドシステムの情報もインプットされている 神姫バトルには二つのスタイルが存在している、一つは通常のバトルロンドスタイル、通称指示式。 一つはオーナーの指示に従い神姫が自分の意思で動き戦う形式のバトルスタイルである。 もう一つはオーナーが神姫に憑依(ライドオン)して人機一体となって戦うバトルマスターズスタイル、通称ライド式。 指示式に比べて一度に一体の神姫しか操れないが、その分バトルにマスターの癖が強く反映される、まさに個性が強さとなるスタイルである。 しかし神奈は神姫を見て押し隠す事も無くハァハァと身をよじらせる変態である 正直に言ってそんなマスターに身を預ける事に危機感を感じない神姫は恐らく居ないのではないだろうか、居るとしたら相当に鈍感である。 しかしキサヤは世の中に武装紳士と呼ばれる連中がごろごろいる事を知らない。 「ひゃははははは!!そうそこで股を開くのだ!!」 「ひぐっ…ひっく、もうやだよぉ」 「!!?」「あら世紀末」 突然に聞こえた如何にも世紀末な笑い声に丁度選ぼうとしていたとなりの筺体を見ると、キサヤは顔を赤くして驚愕し、神奈はぷふっと鼻血を吹く前にティッシュを鼻に詰める。 隣の筺体ではカメラを持った男が、何故かあられもない恰好をしているアルトアイネス型の神姫を惜しげもなく撮影していたのである。 「くそぅ、赦してくれミミコ…僕が戦闘前に約束してしまったばっかりにっ」 「うぅ…何でマスターまでガン見なのさぁ」 「約束したのだから仕方ないさなぁ!!さぁ次はもっと恥かしい下からのアングルだ!!」 「さぁさぁもっと誘うように、媚びて媚びて!!」 しかし状況は特に犯罪的ではなかったようだ、バトル前に約束したのであればそれは合法である。―神姫本人の意思はどうとして― しかも何故かいつの間にか神奈も混ざっておりアルトアイネスにポージングの指示を飛ばしている始末である。 そのような―良識人から見て―狂った状況下で、キサヤは流石にオーナーの頭の上に昇り、飛びあがって脳天に強烈なかかと落としを喰らわせた。 ガッ「みぎぃ!!」 「そこのカメラ男!!あたしとバトルしろ!!そんな神姫が泣くようなことを皆の前で平然とやるなんて、オーナーとして恥を知れ!!」 悲鳴をあげてうずくまる自らのマスターをよそにビシッとカメラを持った男を指さしてキサヤは宣戦布告した。 「あ?そっちのオーナーは同志じゃねぇのか?」 「ん~同志ではあるけれどキサヤが言うなら仕方がないわねぇ~ どう?あなたたちがやったのと同じ条件でバトるというのは♪」 神奈もウィンクして相手をバトルに誘う、同じ条件という事は即ち、負けたら神姫に恥かしいポーズをさせて撮影会と言う事である。 「ちょ…!!待ってそう言う意味じゃなくて」 「あら、喧嘩を売るならこっちにもそれなりのリスクが無いとね♪」 うぐ…と押し黙るキサヤ、カメラ男もキサヤの躯をじろじろ見て、思う所あったようだ。 「気に入った!!ならその条件で行こうじゃねぇか!!」 「同意感謝するわ、同志!!♪」 「人間って…人間って……」 バトルをする相手とはいえ、異様な程意気投合しているカメラ男と神奈を見てキサヤは頭を抱える。 そのまま不安げな表情でゴウンゴウンと下がって行くリフトに連れて行かれるキサヤを神奈はいひひと悪戯魔女のように嗤いつつ見送った。 「…っ、たくもう!なんなんだよあのオーナーは!」 下りていくリフトの上でいくつものレーザースキャンを浴びながら、キサヤは準備運動を始める。 初めてのバトルに対する不安を少しでも払拭するためである 只でさえ元々隠しごとやはっきりしない事が大嫌いな性格のアーク型神姫にとって、神奈のような不可思議な人間の有り方は非常に不快なのだろう。 「今は、バトルに集中だ…ッ」 元々アーク型は速さのみを求めて作られた機体である。それは即ち戦車型等と同じように純粋に戦う為に生れて来た神姫と言う事である。 ―というより、殆どの神姫はそう言った戦う為に作られた神姫である事が殆どだが― その為神姫はバトルこそが数ある存在理由の一つであり、他者との関わりを最も円滑にするための手段でもある。 「「さぁて、お手並み拝見と行きましょうか…!」」 奇しくもキサヤと神奈、筺体の中と外とで互いに呟くと同時に神奈は専用のヘッドセットを装着し…一言、唱える。 「ライド…オン!!」「っ!?」 すると神奈のヘッドセットの眼前と、キサヤの胸の上にヴォン、と『RIDE ON』というシステムウィンドウが開き キサヤは其処から何かがぶつかり、そのまま突き抜けたような感覚を覚える。 「…ふむ、自分の身体じゃないって言うのは中々不思議な感覚ね」 『これが、ライドオンの感覚…』 ザッ…と対になる方向から筺体の白い地面を踏みしめる音が聞こえる。 「装備から言ってまだペーペーの初心者か…今日は勝ち星頂きだな」 『戦う前からそう言う事を言うものではないでありますよー、それ死亡フラグであります』 うるせぇ、と神姫AIの映るメッセージウィンドウに悪態をつくのはゼルノグラード型の神姫…にライドした相手マスターだろう。 ゴウン、と筺体内部の障害物レーンが上がり、立体映像や特殊微粒子でコーティングされ白い無機質な空間が自然の川辺へと変換されていく。 「漫才は良いけど早く始めないかしらん、私もキサヤを早く知りたいしねぇ♪」 キサヤの体で喋り、相手を挑発する神奈の言動に相手もカチンと来たのか、舞台が完成すると同時に身構える。 「そっちもそっちで余裕こいてると…」 『READY…』 やがてシステムアナウンスが… 「死亡フラグだぜ!!」 『FIGHT!!』 バトルの開始を告げた。 『「!!」』 同時に飛びかかって来た相手のゼルノグラード、その手には柄の長いハンマーが握られている。 当たれば短期決着は間違いないだろう。 しかしキサヤと神奈は地面を蹴り間合いを取って初撃を回避する。 『もう一撃来る!』 「大丈夫、あなたは速いわ♪」 キサヤのアラートを聞き流して今度は相手の懐に飛び込みナイフに手をかけ、そしてキサヤがボディに伝えるサポートモーションに従いヒュン、とナイフを×に振りきる。 「っ!!んの!!」 ドッ!!と相手はハンマーを地面にたたきつけて反動で後ろへと跳んだ。 しかしキサヤは攻撃の手を休めない、ハンドガンをとり間合いを無効化すると言わんばかりに発砲しながら接近する。 (こいつ、初心者じゃねぇ!!) 『マスター!!』 ゼルノグラードの警告に動かされるまま相手もライフルを構えるが… 「速さが…」『足りない!!!』 キサヤは既に銃身の間合いの内側に入り込んでいた、脚に装着したローラーブレードはキサヤのスペックを十二分に底上げしていた。 「がっ…!!」 『凄い…でも……?』 称賛は神奈のセッティングに対するものであった、しかし神奈が繰り出す極めて攻撃的かつパターン化された戦法はキサヤ自身も驚愕させていた。 キサヤも神奈は初心者だと思っていた、現に神奈はライドバトルは初めてだったはずなのだ。 しかしキサヤは自らの身を操る事に違和感を感じていた、それは神奈だけではなかったのだ。 神奈が絡めてキサヤが斬る、そして神奈はイメージしている。速く、強い…嘗て何処かで見た動きを真似るように 相手は二人、自分も二人、しかしてその実キサヤの体は三人分のイメージが操っている。 「……こりゃあ好い♪」 『これで止めだ!!』 ガギン!!と一撃、回し蹴りで相手の顎を蹴り飛ばす。 斬り揉みしながら機体は飛んで行き、やがて川の中へ落ちていき、筺体がピリリリリリ!!!!と終了のアラームを鳴らした。 『WINNER、キサヤ&神奈』 「……ふぅっ」 ノイズと共に神奈の意識が元の肉体へと戻り、深呼吸をしながら神奈はヘッドセットを外した。 「参った、完敗だよ…あんた程完璧な武装淑女は初めて見たぜ」 「あなたも立派に武装紳士よ♪」 マスター同士で互いの友情を確かめ合う、それはある意味では健全な交流と言えよう。しかし… 「さて、ゼルノちゃんの恥かしエロス撮影会開始ねぇ♪」 「うおぉ!!恥かしい恰好では飽き足らずエロスとくるか!!やっぱりすげぇぜあんた!!」 「い、いやああぁぁぁ!!」 そう言いつつ何故か機械製品にも安全なグリスローションを手にゼルノグラードへと手を伸ばす神奈の顔に キサヤの見事なとび蹴りがめり込んだ。 戻る トップ 続き
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/638.html
花は咲き乱れて ※注意!18禁です! 登場人物 パンジーのマスター 友人に勧められ、神姫を初めて購入した男 うっかりさん パンジー 花型MMSタイプジルダリアの神姫 大人しい性格 書いた人:優柔不断な人(仮) ちらっ…ちらっ… 「どうしたのです、マスター?」 昨日ウチに来たばかりのパンジーが俺に言った 「いや…なんでもない…」 友達に勧められて初めて買った武装神姫 パッケ絵に惹かれて中身を良く見ずに買ってしまったのだが、まさか中身があんなにえっちなカッコだったとは… 「心拍数及び呼吸数が異常に上昇してるようですが、どこかお体の具合でも悪いのですか? 「いや、大丈夫だ…」 武装させればマシになるのだろうが、武装させる為には直視しなければならない マスター設定をするまでは耐えられたのだが、動き出したらもう恥ずかしくて恥ずかしくて… 「もしかして、私に何か到らぬ点でも?」 「そんなことはないよ」 「でも私が起動してから、ちっとも私の方を見て話して下さらないのですね…」 う…俺が悪いのに…罪悪感が… 「…クスン、申し訳ありません。私が到らないばかりにマスターに不愉快な思いをさせてしまって…」 「そんな事ないぞ!キミがとっても魅力的すぎるから、俺の気持ちが昂ぶるだけだ!昂ぶりすぎるから怖いだけだ!」 ようやく彼女を見ながら、思いをぶつける 「…ホントですか?」 「ああ、本当だ。キミは俺になんか勿体ないくらい眩しすぎるのさ」 「そういうことでしたら相談していただければ良かったのに。私、良い対処法を知っております」 「何?ホントか?」 「はい。古くから伝わる気持ちの昂ぶりを押さえる方法です」 俺の前に来る彼女、そしてちょこんと座り、足を上げ顔を真っ赤にしながら言った 「私の足を持ってゆっくりと『開いたり、閉じたり』してください…」 彼女の言うとおりにしてみる俺 「開いたり…閉じたり…開いたり…閉じたり…」 彼女の透き通るような白い肌、それが微妙に赤みを帯びている… その肌を隠すのはわずかばかりの白い布… 「なんか余計に昂ぶってくるような…」 「ヘンですね…昔から伝えられている方法なのに…?」 彼女のカラダを弄ぶように開いたり閉じたりする俺… …やば…理性が…ぷち… 「パンジー!」 俺はとうとう欲求に負け、彼女の胸へと指を伸ばした 「あっ…」 弱々しく抵抗する彼女。しかし神姫と人間の力の差は歴然だ むにゅ… 「柔らかい…」 「マスター…ダメです…」 彼女の抗議を無視し、胸をいじり続ける くいっ ブラを上にずらす。彼女の胸が丸見えになる 勿論その先端のピンクの突起まで 「あっ…恥ずかしい…」 彼女のささやかな抵抗が、俺の淫らな欲望を増大させる 「キミが悪いんだ…」 「え…?」 俺の言葉に目を丸くする彼女。体が硬直し、抵抗も収まる そんな彼女の体に顔を近づけ ぺろっ お腹から胸、顔まで舐める 「はうっ…私が…いけないんですか…」 「そうだ、キミがいけないんだ…」 もう一度舐める 胸の先端を刺激する 「はうっ…私の、どこがいけないんですか…」 ぺろっ 答えずに舐め続ける 「私が…悪いんですか…申し訳…ありません…」 ぺろっ 不意にしょっぱい味がして驚く俺 ふと見ると彼女は… 「申し訳ありません…マスター…私が…到らないばかりに…」 その小さな体を震わせて、泣いていた …俺は何をやっている? 今俺はなにをしている? 彼女の何が悪いんだ? 悪いのは俺だ 自らの欲望に負けた俺だ 「…マスター、泣いておられるのですか?」 俺は泣いていた 自分の愚かさに 自分の勝手さに 彼女を傷つけた事に… 「…ごめん」 胸から手を離し、箪笥へと向かう 「…あの」 引き出しを開け、ハンカチを取り出す 「ごめん、最初からこうすれば良かったんだ」 彼女にハンカチを掛ける 「…あ」 ハンカチで体を隠す彼女 「ごめん、キミは悪くない。悪いのは俺だ。恥ずかしがりながらも、キミの肌をみたかった俺の…」 「マスター…」 「俺はマスター失格だ。キミを守らなきゃいけないのに、キミを傷つけた。キミを汚そうとした。自分の性欲を満足させるためだけに!」 「そんなことないです…」 「…え?」 「マスターにそんな感情を起こさせた私が悪いんです…」 そういって立ち上がる彼女 「だから…」 顔を真っ赤にし 「私で鎮めてください…」 ハンカチを下に落とし、全てをさらけ出して 「私を…汚してください…」 彼女が言った 「…わかった」 彼女を優しく持ち、テーブルの上へと乗せ、仰向けに寝そべらせる そして、彼女に残った最後の砦…パンティを脱がす 「…あ」 彼女の秘部からはキラキラと光る物が… 「濡れて…いる…」 「恥ずかしい…」 「もっと濡らしてあげるよ」 そう言って秘部に舌を這わせる 「はうぅ…」 熱い吐息を漏らす彼女 そんな彼女の秘部を執拗に攻める俺 だんだん彼女の息づかいが荒くなってくる 「あっあっ…はぅ…あん…あうう…あっ…ああっ!…もう…ダメッ!」 そんな彼女の秘部に最後の一撃を与える 「ああ~~~~~っ!」 背中をピンと反らせ、達する彼女 「ふぅ、ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ…はぁ…」 そんな彼女の頭を、優しく撫でる 「…申し訳ありません…マスターを鎮めなければ…いけないのに…私だけ…」 「…じゃあ、休憩したらこっちも…」 「あ…大丈夫です…」 彼女の返事を聞き、立ち上がりスボンをおろす 「…あ…これがマスターの…おしべ…すごい…」 この表現を聞いて、ああ、やっぱりこの子は花型なんだなと思ってしまった 膝を付き、テーブルの上にいる彼女に男根を近づける 「それじゃ、頼むよ」 「…はい」 そういって男根に手を伸ばす彼女 「…うっ」 触れた途端に快楽が… 「あっ…大丈夫ですか?」 「大丈夫、気持ちよかっただけだから。だから続けて」 「はい…」 そう言って男根を撫で始める彼女 「うう…きもちいい…もうちょっと…強く…早くして…」 しゅっ…しゅっ… 彼女の擦る力が強くなり、速度も上がる しゅっしゅっしゅっしゅっ 「ああっ…先端も舐めて…」 ぺろっ…ぺろっ… 舌による刺激も加わる 先走りの液体と、彼女の唾液とで男根はすっかりビショ濡れになった ぬちゅっぬちゅっ… 濡れた卑猥な音が響く もっと刺激が欲しい… 「ちょっとストップ」 「…はい」 彼女を止める俺 「もう一回寝そべって」 いわれるままに寝そべる彼女 その上に男根を乗せる 「足で締め付けて」 「あ…恥ずかしい…」 そういいつつ足を絡め、締め付けてくれる彼女 「じゃあ、動くから。体をしっかりと固定してね」 テーブルに手を置き、動きに備える彼女 それを確認し、ゆっくりと腰を降り始める ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ… 足で締められた男根は、彼女の秘部とお腹へと擦りつけられる 「おっ…おおっ…すごいくもちいい…」 「んっ…はんっ…私も…ですっ…あん…」 腰を振るスピードを上げる俺 「おっ…おおっ!…もう…そろそろ…」 「はうっ…私もっ!…また…あううっ!…」 「はぁっ!…くっ…くぅっ!でるっ!でるぅっ!」 びゅくっ! 「はうっ!…はあああああっ!」 ビクン! 同時に達し、嬌声を上げる彼女の体へと精液をぶちまける俺 びゅくっ!びゅくっ!びゅくっ! 「うううっ…ううっ…はううっ…」 「ああん、マスター…スゴかったです…」 彼女の体は、俺の放った精液で全身ズブ濡れになった… 「そうしてあなたが生まれたのよ、菜種」 パンジーは目の前にいる種型MMSタイプジュビジー…菜種に向かって話しかける 「ふーん。パパとママって、出会ったときからラブラブだったんだ」 「おいおいパンジー、嘘を教えるなよ」 「えー、嘘なの?」 「一部だけよ」 「どこが嘘なの?」 「それはね───」 終わる あとがき エロ妄想スレに投下したネタを大幅加筆修正してみました ジルダリアの足って、めしべなんだそうで そこにかけたら… とここまで書いて、武装させてなかった事に気付く俺うっかりさん