約 3,091,537 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1239.html
考えている、アタシこと豊嶋神無は考えている。誰の事を? それはまあ、彼女・・・じゃなくて彼の事を。 「だってさあ、男の子なんだよ?」 数学の吉田先生の方程式をガードするようにノートを立て置き、そんなふうに呟く。はっきりとしない感情。窓際席ゆえの暖房と、意外に暖かい冬の日差しの二重奏にぼんやりするのとはまた別の、良いような悪いような心地。 微音、叩。 「神姫って普通、女の子じゃないの・・?」 ロウの姿を思い浮かべる。顔の造形は女性的。あまり詳しくはないけれど、普通の神姫と変わりはないように見える。けれど、胸はない。父さん曰く「強化改造の影響」ということらしいけれど、そうじゃない気がする。まあ、男か女かなんて、“下の方”を調べてみればわかるはずなんだけど・・ 「できる訳、ないじゃない・・・」 ただ“その辺り”を見つめるだけだって何か恥ずかしいから、わざわざロウ用のショートパンツ作った位なのに、そんな事したら恥ずかしくて死んじゃうよ。 微音、叩、叩。 「大体、触るのだって怖いのに・・・」 ロウは普通の神姫より頑丈らしいし、その手足、後【背中の手】は大きいけど、首とか二の腕とかなんてちょっと触ったら折れちゃいそうなほど細い。すぐ痛がらせちゃいそうで触れない。でも、あの髪くらいなら触っても大丈夫かな? でも、何かヘンな事言われそうで、それが、また、怖い。 「・・・でも、今日手に触っちゃったんだよね・・・。あんな事くらいで喜んじゃって。そう言えば、ショートパンツあげた時もバカみたいに喜んでて・・・」 微音、叩、叩。軽音、叩、叩。快音、叩叩叩叩叩。 「・・・ってうるさいなあ、さっきか・・・ら?」 その音がした方を振り向く。それは窓の方、よく考えればアタシが窓際、しかもここ3階、つまり人がいる訳ない方向。振り向いたら確かに人は居なかった。でも、“居た”。 快音、叩、叩叩。 「・・カンナっ!」 「・・・え、ロウっ!?」 直ぐさま窓の鍵を外して、そっと開く。と・・・ 「カンナぁっ!!」 「うわっ!?」 急、飛込。回避。 「おりょ!?」 通過落下転倒、横転横転、巻込横転薙倒横転転倒横転、横転横転横転。 「きゃあっ!?」 「なんだぁ!?」 「うわ、机が!?」 横転激突、停止。 「ううううぅう・・・」 「・・・ロウ、あんたって・・・」 窓からアタシ目掛けて飛びかかってきたロウを避けたら、ロウはそのまま教室の中に突っ込んで机を吹っ飛ばし、クラスメイトの足を引っかけ、ホコリを巻き上げながらすごい勢いで転がって、教室の反対側の壁で止まった。ノートも教科書も机も椅子も薙ぎ倒されて、教室はメチャクチャ。クラスメイトのあびきょーかんの声。どういう勢いで飛んできたの、あんた。 「豊嶋さん! これは一体なんです!?」 「あ、吉田先生! ええと、まあ、うちの犬です」 「犬ぅ?」 「あー、いたかった。カンナよけるなよ~」 「犬って、神姫じゃん、これ」 クラスメイトが指摘する。いやまあそうなんだけどそうじゃないと言うか・・・。 「・・・ところでさ、ロウ、何しに来たの?」 「カンナのべんとーとどけに!」 確かに大きな手の中にアタシのお弁当箱が握られてる。とりあえず近づいてそれは渡して貰う。 「・・・で、用が済んだなら早く帰る!」 「は~い!」 疾走、跳躍、飛込、消。 また同じ窓から、ロウは北風みたいに飛び出していく。あんまりに唐突な出来事に、誰も声が出せないみたい。 「・・・ええと、まあ、ごめんなさい」 残りの授業時間は、お説教と教室の片づけだけで終わった。 「まったく、あいつったら・・。夕飯ヌキにしてやる」 「まあ、そのお陰で神無はお昼抜きにならなくて済んだんじゃない」 「このぐっちゃぐちゃの寄り弁見てもそんな事言うの?」 机を向かい合わせにしていた秋子にそう言い返す。ご飯とミニハンバーグとポテトサラダとオレンジが混ざっててすごい味がするんだよ、これ。 「でも、神無が神姫持ってるなんて知らなかった。あ、でも犬飼ってるって言っていたね。それがあの神姫?」 「うんまあ・・・。でもあの武装神姫っていうの? あれはしてないよ」 でも、神姫の事であんまり騒がれるのが嫌だったので、秋子も含めて学校では誰にもロウの事は言ってなかった。神姫って高いらしいから、知られると特に男子が騒ぐんだよね。大体あいつみたいなやっかい者の事を人に知られたら恥だし・・・って遅いかもう。 「確かに、神無がそういう事するようには見えない。まあ、私もそうなんだけど」 「え? 秋子にもいるの、神姫?」 「ええ。兄のお下がりみたいなものが、1人」 「どんな性格なの?」 「可愛いよ、人なつっこくて。でもちょっと頑固な所がある」 「ふうん、うちのロウよりはまともみたい」 「そうでもないのだけど・・。でもそんなに変なの、あの神姫?」 「うん、すごく変。だって“男の子”なんだよ? それに騒がしいしものは壊すしごはん犬食いだし・・・」 「男の子? そんな事もあるの?」 「あるみたい」 「ふうん。でもそう、“男の子”ね・・」 「?」 「なあなあ!! あの神姫って豊嶋のものなんだろ? カッコイイな!」 「へ!? あ、うん?」 突然、甲高い声が耳元を直撃。見上げると居たのはクラスメイトの男子。ええと確か相原武也君(男子の名前なんて全員は覚えてないや)。いきなり馴れ馴れしく話しかけられて、ちょっとびっくりする。 「俺も神姫持ってるんだけどさ、あのハウリン、見た事もない武装だよな? 何処で手に入れたんだ? バトルやらないか?」 「いや、あれ父さんが会社から連れてきた試作品?だから売ってないし、そのバトルってのもちょっと出来ないんだよね。アタシはマスターとか言うのじゃないし」 「え!! 豊嶋の親父って神姫メーカーに勤めてんの? 嘘!? 何か非売品パーツとかも貰えるの!? いいな、俺にも少し分けてくれないか?」 あ、やばい言っちゃった。だから神姫の事言わないでいたって言うのに。 「いや、そういうのはちょっと・・・」 「じゃあ、バトルだけでもしない? レギュレーションがマズイならフリーバトルでいいしさ。あ、もちリアルバトルは無しな、今修理中のパーツがあるしセッティングも・・」 「いやだからムリなんだってば・・・」 なんかよくわかんない単語の連続と、そもそもよくわかんない男子に話しかけられるウザさでちょっと嫌になる。けど相原君のこの勢いをどうやって止めれば・・・ 「・・・私の神姫で良ければ、会わせてあげてもいいわ。直接、バトルは無理だけれど、装備やバトルデータ共有で参考にはなると思う」 「何? 法善寺も神姫持ってるの!? だったら・・今度お前んちに行ってもいい?」 「え、あの、いやそれは・・・」 「お~い武也、体育館行こうぜ!」 「ああ、今行く! じゃあ、法善寺また後でな!」 そう言って、友達に呼ばれた相原君は教室から走り去って行った。 「う~ん、言うだけ言って帰るし。でも、良かったの秋子? あんな事言っちゃってさ」 「・・・私の神姫、ちょっとバトル嫌いなだけだから」 「いやそうじゃなくって相原君を家に呼ぶって話。秋子って、男の子と遊ばないでしょ普段。神姫の事も隠してたんだから、そっちに興味ある訳でもなさそうだし。アタシを庇ったって言うなら後でアタシが断るよ?」 「そうじゃないの。ただ、ちょっと相原君に興味があるだけ」 「・・・あ、なるほど。秋子って相原君好きなんだ」 「・・ちょっと、興味があるだけだって」 クールな秋子が珍しくしおらしい顔を見せる。そういうのまだ興味ないんだって思ってた。でもそんな事も無いよね。 「うん、わかった。出来る事があったら応援するよ」 「それはいいけれど、神無は、自分の事も考えた方が言いよ」 「へ? どういう、意味?」 「え!神姫での犯行だったんですかあの窃盗!!」 豊嶋甲の裏返った声が、BLADEダイナミクス第4研究部に木霊する。周りの部下に変な目で一瞬見られるが、部長が変なのはいつもの事と、すぐに視線は消える。 『ああ、私がずっと犯人を追っていたんだ。そちらの方は処理出来たんだが、それよりちょっと気になる事があってな』 甲がパソコンに写した複雑な面持ちを知ってか知らずか、ボイスチャットの相手は少し重い声色に変わる。 「気になるって、もしかして犯行に使われた武装神姫の事ですか、“ファナティック”さん?」 甲は画面の向こうの低い電子音の主、ネットハッカー“ファナティック”に問いかける。“彼”はハッカーとは言え通常のそれとは毛色が違い、メーカー等関係者への有用な情報提供、ネットに漂う違法神姫サイトのクラッキングなど、MMS、特に神姫を守護する存在として有名だった。甲自身も研究の支援を受けた経緯があり、“彼”には無二の信頼を寄せていたのだ。 『いや、それを破壊した者の事だ。お前の神姫、確かロウ、と言ったな』 「ええまあ。ってロウがどうかしたんですか?」 『そのロウが、犯人の神姫を破壊した』 「へ!? ロウが!? そういえば庭に何か居たとか・・・でも何も無かったしなぁ・・・」 『それは私が回収した。犯人を追跡する途中で、その現場を目撃したんだ。どうもお前の家に盗みに入る所を、ロウが阻止したらしい』 「うちに盗みに? 本当に入ってたのかよ・・・」 『問題は其処じゃない。その神姫が、“自分の同類である神姫を何の躊躇いもなく破壊した”と言う事だ』 「・・・どういう、事ですか? 大体ロウはそんな凶暴な訳ないし・・・」 『その神姫は、“神姫を認識していない”。認識していなければただの人形と同じように“壊せる”。それどころか下手をすれば人間にも危害を加える可能性がある』 「う、嘘でしょ!?」 思わず甲は画面にかぶりつく。 『その神姫は、論理プロテクトが外れている可能性がある。いや・・適応されなくなった、とでも言った方が正しいか。確かその神姫は、自分の事を“男”と思っていると言っていたのだったな?』 「変な話だと思うけど、別にいっかと思ってたんですが」 『・・・普通はもっと怪しむがな。ともかく、そいつにお前は「留守中の家を守れ」と言ったのだったな』 「ええまあ、犬だし、昼間うちは蒼とロウしかいないから、家を守るのはお前の役目だって言ったけども確か」 『つまりはその“家を守る”為なら誰を傷つけても何とも思わないという事だ』 「そんな! そんな事、出来る訳・・・」 『“人間”ならば家族を守る為になりふり構わず、なんて事は普通だろう? いや、もっと残酷な手段であろうと日常茶飯事ではないか? “G・L”に感染しているとすれば、そんな事も有り得るんだろうな』 「へ? “G・L”って何のことで?」 『後で話す。まずは確認してからだ。今からその神姫に会う』 「ロウに会うって・・・」 『お前の家が近いと判ったからな、もう家の近くに来ている。もうすぐ・・・』 「もうすぐ・・・ 来たわね」 塀の上を歩いて来る影を見つけ、アニーはボイスチャットを一旦保留する。【玉座】を操作して、緩い速度で、その影へと近づく。 「ガッコってとこ、おもしろそーだな、カンナもいるし。もっといたかったけど、でもカンナがかえれっていうし・・・」 「はあい、あなたがロウ君ね」 「? あんただれだ? ロウとおんなじか? おんなじみたいなにおいがする」 「・・ふうん、自覚もあるんだ。それにジャミング無しでも“2次感染”もしない、本物ね、“G・L”だわ」 「だから、あんただれ?」 「ああ、ごめんなさい。あたしはアニーちゃんって言うのよ。あなたに大事な事を教えに来たのよ」 「え!! それってセンセってやつか! ガッコでいろんなことおしえてくれるひと!」 「先生? まあ、そうとも言えるかもね」 「やったー! これでおれもガッコにかよえる~!!」 「え!? いや、そういう事じゃないんだけど・・・」 「そうすれば、ずっとカンナといっしょだ!」 彼女、いや彼の名はロウ。それは「狼」ではなく、「浪」でもなく、「桜」でもなく、「Law」でもなければ、「Low」でもない。「ろー」、それはただ家族の為にある名。 ・・・“男”としての誇りに満ちた名。 “女性”を失い、同族を握り潰し、そして己が身すら省みる術を知らない。だが、家族があり、誇りがあり、・・・そして“愛するもの”が居る。 その“心”の何処が、劣ると言えるか? その心の何処が、狂っていると言えるだろうか? 答えを出せる“人間”は居ない。 ―第1章 狂犬 終― 目次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1528.html
戻る トップへ 空は青く、そして高く。 流れる雲は、ただ白く。 冬の陽射しは柔らかく。 それをぼんやりと、どこか嬉しそうに眺める少女が、一人。 古ぼけた、二階建ての大きな図書館、その中で。 どれもこれも飾り気の無い、年季の入った本棚に囲まれて。 少女は二階にある、長机の上に座っていた。窓越しの空を嬉しそうに仰ぎ、古ぼけた本棚を楽しそうに眺めながら。 彼女はくすりと笑った。小さい身体を小さく揺らして。小さな、15センチ弱の身体を、小さく揺らして。 彼女は武装神姫。彼女にとって、人の世界は余りに大きく、人の世界は余りに遠い。 身長15センチ程しか無い彼女にとっては、この長机でさえ広大な大地と言える。 「レミン、決まった?」 少女の背後、陽射しをまるで避ける様に、神楽はそこに立っていた。平均的に言えば、決して大きく無い彼女も少女―――レミンからしたら大きな人間だった。 「司令官、自分はあれが読みたいッス!」 レミンは砲台型特有のバイザーを上げながら、屈託無く言った。その指で本棚の一角を指差しながら。 「……ん」 神楽は本棚へと向かい、迷う事なく一冊の『武装神姫と散弾銃』を手に取った。 顔に当たった日差しに目を細めながら、神楽はレミンに本を渡した。 「図書館では、静かに」 二人以外、本しかいない空間を見渡しながら神楽は言った。 「了解ッス、司令官!」 その忠告を理解しているのかいないのか、レミンは元気一杯に言った。 しかし、そんなレミンの声に眉をひそめる人間は、ここには居ない。 神楽も一応はそれを分かっているので、何も言わずに席に着き、自身の本を開いた。 何の音もしない、静かな図書館にぱらり、ぱらりと二つの音が木霊する。 ぱらり。 ぱらり。 革表紙の英語で書かれた本を、神楽は読んでいる。 無表情に、人から見ればある種不機嫌そうな顔で黙々と文字を追っている。 ぱらり。 ぱらり。 レミンは少し寂れた白い文庫を読んでいる。 楽しそうに、嬉しそうに。まるで子供が絵本を読むように、笑顔で読んでいる。 「やっぱりショットガンと言えばレミントンッスよね! 隊長はウィンチェスターが良いって言うッスけど、司令官はどう思うッスか?」 満面の笑顔で、レミンは言った。 子供が動物園で好きな動物を聞くように、楽しそうに言った。 その言葉は、子供が言うのなら少々不適切だが。 「SPAS」 本から目を離す事無く、神楽はぽつりと答えた。 「司令官、ウィンチェスターかレミントンかって聞いてるッスのに、それは無いッス!」 静かな図書館に、レミンの大声が小さく響いた。 小さな身体から発せられたそれは、人間からすれば普通かちょっと大きい程度の声だ。それは身体のサイズ云々よりも、機械的な制限の方が大きいのだろう。 それでもそれは、水を打った様な静けさに浸るこの場所に確かな波紋を投げ掛けた。 「図書館では、静かに」 レミンの声に引き寄せられる様に、風が吹いた。 窓をぎしりと軋ませるそれは、しかし神楽の声に掻き消された。 「SPASなんてダメダメじゃないッスか! ポンプ・セミ切り替え出来ても故障ばっかじゃ何の意味も無いッス!」 眉をひそめて、出来る限りの大声でレミンは文句を口にした。 その声を浴びせられている神楽は、端から見れば我関せず、右から左に受け流しに見えるだろう。 しかし、彼女を見慣れている人間は、前髪に隠れた眉がぴくりと動くのを見抜くだろう。 「SPASは人間工学に基づいた設計により兵士の負担を軽減している」 「いくら持ちやすくても重すぎッス! 変な機構詰むからそうなるッス! ショットガンはシンプルがイチバンッス!」 今まで、一定のタイミングでページをめくっていた神楽の指が止まった。 そして、無表情なその瞳がレミンを捕らえた。 「な、なんスか」 「……SPASは制圧力に優れるセミオートと確実性に優れるポンプアクションを導入している。これによってあらゆる任務に対応できる。それによって機構が複雑化し、重量が増大しているがそのおかげで安定した射撃が可能。装弾数の多さも利点の一つ」 全くの無表情、全くの無感情さで神楽は一気に言い切った。 しかしそれは一字一句正確無比な機械の発音であり、そしてそれは感情の籠った人間の発音でもあった。 「うぐぐ……SPASなんて旧世紀のイブツッス! そんなん使うならレミントン使うッス!」 「確かにSPASは古い。しかし、それはレミントンも同じ」 つい先刻まで静寂に包まれていた図書館はもう無い。 今あるのは二人の声が渦巻く、喧騒に巻き込まれた図書館だ。 「古ければ悪い訳じゃ無いッス!」 「それは認める。しかし、その発言、先とは矛盾している」 人と神姫、二人分の声は二人の注意力を削いでいた。 現に、階下から響く音に二人とも気付いてはいない。 ぎしり、ぎしり、と。 木製の古い階段を上ってくる足音に、気付いてはいない。 「レ、レミントンは今もパトカーに搭載されてるッス! SPASは大昔に生産終了してるッス!」 ぎしり、ぎしり。 その音は緩やかに、そして確かに近付いている。 二人の視界の外側から、ゆっくりと。 「……SPASの軍用銃は確かに生産が終わっている。しかし、民間向けなら未だに根強い人気を誇る」 ぎしり、ぎしり。 そして今、それは二人の視界の内側へと、侵入した。 「レミントンだって狩猟銃としてなら今でも大人気ッス!」 ゆっくりと、しかし確実に。 それは二人を目指して歩いてくる。 ぎしり、ぎしりと音を鳴らして。 「狩猟銃としてなら、確かにそう。でも、一般的な知名度はSPASの方が上」 ぎしり。 それは、もう二人の傍らに立っていた。 お互いに意識を向けすぎて、気付きもしない二人の傍らに。 そして、口を開いた。 「二人とも、図書館では静かにね」 二人はここに至って、ようやく彼女の存在に気付いた。 そこに立つ、戸坂 加奈美の存在に。 そこまでされてようやく気付いた神楽は 「…………」 絶句し、同じくそこまでされてようやく気付いたレミンは 「び、びっくりしたッス!」 と、大いに驚いた。 「二人の声、下まで響いてたわよ?」 そんな二人の様子を楽しげに眺めながら、加奈美はそう言った。更に続けて言う。 「あんなに大きい神楽の声、久しぶりね」 傍らに立つ加奈美の視線から逃げるように、神楽は顔を背けた。 その頬が赤かったのは言うまでもない。 「不意打ちなんて、加奈美姉さんも人が悪いッス!」 「そんなつもりは無かったんだけど、二人が楽しそうに話してるのを見てたら、ね」 悪戯っぽく笑いながら、加奈美は言った。 そうして、神楽の隣の席に腰を下ろした。その時、神楽は内心、レミンの比では無いほど驚いていた。少なくとも、会話すら出来ないほどには。 「そう言えば加奈美姉さん、昨日風邪で寝込んでたって聞いたッスけど、もう大丈夫なんスか?」 「ええ、神楽とウィンのお陰でね」 「そりゃ何よりッス!」 和気藹々と会話を交わす加奈美の隣、神楽はようやく平常心を取り戻していた。 そして加奈美はそれを見計らった様に、神楽へと声をかけた。 「そういえば、神楽。探したのよ。何時もみたいに教室にいると思ったのに」 「……そう」 少し拗ねた様なニュアンスを含む加奈美の言葉に対し、神楽は未だ俯き加減で一言だけ返した。 「お陰で学校中探し回る事になっちゃったわ」 「……そう」 少しおどけた様に喋る加奈美に対しても、神楽は俯き加減で一言だけ返すに留まった。 加奈美はしかし、それに対し不満を言うことは無い。代わりに、楽しげに神楽の顔を眺めているだけだ。 「司令官、加奈美姉さんの前でくらい明るくするッス!」 二人のやりとりを見ていたレミンは、そう言って立ち上がると手を腰に当てた。 「お婆ちゃんが言っていたッス、好きな人と話すときは明るく笑顔で話すッス!」 そう言いながら、神楽を責めるような視線を送る。 お説教のつもりだろうが、神姫であるレミンがそれをやっても可愛らしいだけで凄みも何もない。 現に加奈美はそれを微笑みながら見守っているだけだし、当の神楽も何の反応も示さないのだから。 「……レミンにお婆ちゃんはいない」 「物の例えッス!」 神楽は溜息ついでに言葉を吐き出し、こめかみを軽く押さえた。 彼女の心情を知ってか知らずか、レミンは相変わらず元気に返答している。 元気なのは良い事だが、元気なだけというのも考え物だと神楽は痛感していた。 「レミンはいつも元気ね」 「女の子は元気が一番ッス!」 図書館とは、本来静かな空間の筈だが、今やその影も形もありはしなかった。 形だけとはいえ、騒ぐ二人を戒めていた加奈美でさえも、お喋りに加担しているのだから。 神楽はそんな事を考えながら、少し音量を下げて口を開く。 「加奈美、何か用?」 先程、加奈美が神楽を探していたような言い方をしていた。 それが気になった神楽はそれを聞くために、そう問いた。 「ええ、探したわ」 それを聞いた加奈美は、にこりと笑った。 それを見た神楽は、内心胸を撫で下ろした。 神楽の心情を知らないままに加奈美は次にこう言った。 「昨日は、ありがとう」 一言、加奈美はそう言った。 神楽の目を真っ直ぐ見つめて、そう言った。 「……ん」 「司令官!」 神楽は無愛想にそう言った。 すぐ脇でレミンの叱責する声を上げたが、それすらも神楽の耳には入っていなかった。 今の神楽は、自分でも分かるほどに赤くなった顔を鎮めるのに精一杯だった。 「ウィンにもよろしく言っておいてね」 「加奈美姉さん、任せてくださいッス! 自分がしっかりと伝えておくッス!」 俯く神楽を横目で見ながら、レミンは元気にそう言った。 そして、一通り言いたいことを言い終えた加奈美は口を閉じた。 一瞬、図書館が図書館本来の静寂に包まれたが、それはレミンによっていともたやすく破られた。 「そういえば加奈美姉さん、神姫を買ったって聞いたッスけどホントッスか?」 「ええ、本当よ」 「なら是非とも会いたいッス!」 まるで、子供の様にはしゃぎだすレミンを見つめながら、加奈美はこう言った。 「そう言って貰えると嬉しいわ……そろそろ、かしらね」 加奈美が意味深な事を呟き、その瞳を大きな窓の方へと向けた。 それに釣られたレミンも意識を窓へと向ける。 しかし、そこにあるのは真っ青な空と白い雲ばかり。可笑しなものなど何も無かった。 「……加奈美姉さん、何がそろそろなんスか?」 レミンは何の変哲もない空を眺めながら小首を傾げた。 しかし、加奈美は何やら楽しそうに微笑むだけで、レミンの言葉には答えなかった。 「司令官……」 次にレミンは神楽に声をかけた。しかし、神楽は未だに俯いたままなので、応答は無い。 レミンは、仕方なしに再び窓へと視線を移した。 「……?」 何の変哲も無い空。 近所には高層ビルの類など無い、余計なものなど鳥くらいしか有り得ない空。 だが、レミンはそこに何かを見た。 しかし、鳥では有り得ないもの。 青い空に溶け込むような群青色のもの。 背中に白い羽を生やすもの。 人の形をしたもの。 それは桃色の髪をしたもの。 それは、武装神姫だった。 武装神姫が、窓の向こう側を飛んでいたのだ。 そして、こちらに向かって飛んできていたのだ。 「……!………!」 それは、窓に張り付くと何かを叫んだ。 しかし、それはガラスに阻まれ、レミンらの所にまでは届かなかい。ただ時折小さな声が届く以外は。 「エウクランテ……スか?」 レミンは半ば呆然としながらも、そこにいる神姫を認識した。 そして、その神姫が加奈美に向かって叫びかけている事に気付いた。 だが、加奈美の方を仰いでみても加奈美は何が楽しいのか、心底楽しそうに笑っているだけだ。 「姉さん、なんか叫んでるッスけど、開けなくていいんスか?」 「そぉねぇ……そろそろ可哀相だから開けてあげましょうか」 レミンに言われ、加奈美はようやく腰を上げた。 そして、やったらにこにこしながら窓を開けた。 その瞬間、静かだった図書館に神姫のモノとは思えないほどの怒鳴り声が満ち渡った。 「主、何故直ぐに窓を開けて下さらないのか!?」 窓を開けたままの体勢、そのままの加奈美に対してシルフィは開口1番怒鳴り付けたのだ。 「なんでかしらねぇ?」 「なんで、ではあるまい!明らかに楽しんでおられたろう!?」 怒鳴られながらも加奈美は平然とした様子で窓を閉め、もとの席に腰を下ろした。 「あら、分かっているんじゃない」 「主……!」 背中に翼を背負っただけのシルフィが加奈美の前、レミンに背を向ける形で長机の上に降り立った。 そして、それを見計らった様に口を開いた。 「そ・れ・よ・り、何か私に用があったんじゃなくて?」 「……ああ。ああ、そうだとも主。何処かに行かれる時は一声かけてくれとあれほど……!」 「だってぇ、シルフィったらパーシと楽しそうにおしゃべりしてたから邪魔したら悪いかしら、って」 「何度も言わせて頂くか、例えパーシとの会話であろえと神姫バトルであろうと、主の事とは比べるまでも無いと……!?」 「あら、お友達とのおしゃべりは大切よ」 「……それはそうだが!」 「シルフィはまだお友達が少ないのだからダメよ?」 「それとこれとは関係が無かろう!」 そう一喝されて、加奈美は一瞬押し黙った。 「ああ、そうだわ」 「……少しは反省なされたか?」 「ここは図書館だからあんまり大声出しちゃダメよぉ?」 「……主は……いつもそうだ……!」 なんかすごいもんみちゃったなぁ。と、神楽は内心思っていた。 凄まじい形相で怒鳴っていたシルフィ。それを涼しげに、むしろ楽しそうに受け流す加奈美。 そしてそれを呆然と眺めているレミン。 修羅場ってこういう事を言うんだなぁ、と神楽は考えていた。 「主よ、私がこうして怒っているのも主を案じての事と分かっておられるのか……!」 「シルフィが泣いて叫んで探し回ってくれれば私も少しは考えるわ」 「何をどう考えるのだ……!」 「どうやったらシルフィがもっと泣き叫ぶか」 「主ッ!」 「そんな事より、レミン。この子が私の神姫、シルフィよ」 唐突に、いきなりに話を振られたレミンは 「ふぇ?」 という妙な音声を発してしまった。 「……シルフィだ。何も言わずにふらふら歩き回り見つけたところで反省も何もしないオーナーの神姫だ」 シルフィは顔だけを後ろに向けて、そう言った。その顔に浮かぶ憤りを隠そうともせずに。 「わ、私は神楽の神姫のレミンッス!」 そんなシルフィの様子に尻込みしながらも、レミンは勇猛元気に挨拶をした。 「ああ、よろしく」 しかし、シルフィは素っ気なく答えただけで再び加奈美へと顔を向けてしまった。 残されたレミンは涙目で、小さな声で神楽に訴えかける事しか出来なかった。 「……司令官……シルフィさん……超怖い……ッス」 「……運が悪かった」 だが、神楽は神楽で読書を再開していた。レミンを慰められるのは、今や加奈美だけだった。 「姉さん……」 「そういえば、神楽。さっきは何の話をしていたの?」 「主、私の話はまだ終わっていないぞ!」 加奈美だけだった。 だけだったが、当の加奈美は平然と神楽に会話を振っており、レミンの声は聞こえていない様子だった。 「……散弾銃について」 神楽はレミンを一瞥したが、それだけだった。 「あら、そうなの。確か神楽はスパスが好きなのよね」 「……そう」 「私は断然モスバーグなんだけど、レミンはどう思う?」 今までスルーされていたのに、唐突に話を振られたレミンは一瞬驚き、しかし直ぐに目を輝かせながら口を開いた。 「自分はレミントン一筋ッス!」 「……主よ、どうやら主は私を本当に怒らせたいらしいな」 一方シルフィは額に青筋を浮かべて笑っていた。 「今日という今日は言わせてもら……!」 全く聞く耳を持たない加奈美に、シルフィがキレかけた。 神楽は読書しながら巻き添えを食わないよう微妙に距離を離し、レミンは再び半ベソになって、加奈美はシルフィを見ながら笑っていた。 まさにその時、だ 「みなさーん、図書館では静かにお願いしますよー」 階段の脇、にこやかに笑う図書委員、眼鏡の似合う女子高生、国崎 茜が警告を発したのは。 茜の容姿は学校指定のブレザーとスカート。胸元には真っ赤なネクタイを締めている。 茶色がかった髪は肩口で揃えられ、黒ぶち眼鏡をかけていた。 それはまさに図書委員であり、どこにでもいそうな高校生だった。 「「……ごめんなさい」」 眼鏡の奥にある目は僅かに細められていて、それは見る人間に悪い印象を与えないはずだ。 だがこの場、彼女と対峙した二人は何故か茜に戦慄した。 それは図書館で騒いでいた後ろめたさが大きいが、その奥底にはもっと根源的な感情が存在している。 「二度目は無いですからねー。次は食べちゃいますからねー」 にこやかに言い放つ茜の言葉は、恐らく額縁通りの意味だったのだろう。 トップへ 進む -
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/21063.html
バブルマスター(ばぶるますたー) 概要 レジェンディアに登場した称号。 登場作品 + 目次 レジェンディア 関連リンク レジェンディア ノーマの称号。 取得者 ノーマ 取得条件 ボーナス ▲ 関連リンク
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1924.html
出会い&登校2 アンジェラスの視点 遅刻にならないように、軽く走り続ける私達。 先頭はクリナーレがランニング気分で走っている。 あの子は何でも楽しむような思考回路してるから少し羨ましい。 それに比べて私はいつも気苦労ばかりで疲れる一方。 今日だってそうです。 いきなりシャドー=アンジェラスが出てきたり、いきなり遅刻になりそうになったり…。 いやいや、こんなネガティブな気持ちじゃ高校生気分を味わえません! 何事にも前向きに考えなければいけない! 私がそう決意した時、クリナーレがちょうど十字路に差し掛かった。 その時だ。 ドンッ! 「ウワッ!?」 「……むぎゅ」 クリナーレが誰かとぶつかりました。 あーもう、前方不注意ですよ。 「これで相手がパンを口に銜えていて、尻餅をついてドライがウッカリ相手のパンツを見てしまったら、まるでラブコメみたいね♪」 シャドーが何処かの漫画にでてきそうなシチュエーションを言う。 ていうか、そのシチュエーションは古くない? それにラブコメなのかなぁ? 更に言えば百合になっちゃうよ、クリナーレは女の子だし、相手の声からして女の子だし。 …今思えばなんで武装神姫には男性がいないのでしょうか? って、そんな事を考えてる場合じゃありません! 倒れた女の子を大丈夫かな! 「大丈夫ですか!?」 私は女の子に近づき喋る。 ぶつかってしまった女の子はクリナーレと同じ悪魔型ストラーフ。 白黒のブレザーを着ていて無表情。 「……痛かった」 そう言いながら立ち上がるストラーフ。 …あれ? 何処かで会った事があるような気がする。 「大丈夫ですか? アイゼン」 「そちらの方も、お怪我はありませんか?」 他の人も居たみたい。 犬型ハウリンと砲台型フォートブラッグでした。 彼女達は青色のブレザーを着ていてストラーフに対して心配そうに接する。 それに思い出しました、アイゼンは前にバトルした事がある神姫でした。 バトルは残念ながら途中で私は気を失ってしまい、気がついたら負けていました。 「あなたは確か…アンジェラスでしたっけ?」 「あ、え~と、サラ…ですよね。こんにちは。七瀬都さんの妹の神姫ですよね?」 「一応そうです。あなたとは少ししか会っていませんが」 砲子のサラ。 前回の企画でバトル参加した神姫。 あの時のバトルでは顔しか会わせていませんでしたが、サラは私の事を覚えてくれてたみたいです。 なんだか少し嬉しいです。 「ところでサラ、アイゼンと犬型ハウリンは誰ですか?初めて会うお方だと思うのですが」 私が視線を変えながら言うとサラは察してくれたのかニッコリ笑って答えてくれた。 「紹介します。こちらのストラーフはアイゼン、あとその犬型はそのまんま犬子ですね」 サラが私達に二人を紹介していく。 こちらも紹介した方がいいのかな? 「お願いします。正直ハルナから何も知らされていないのですよ。…まったく、ハルナもハルナです。いきなり都にわたしごと強制連行されて、その挙句がこんな状況ですし…帰ったらシュールストロミングの刑ですね」 「シュールストロミングの刑…ですか…。あ、では今度はこちらから紹介していきますね」 私は軽くクリナーレから順に紹介していった。 …。 ……。 ………。 そして最後のシャドー=アンジェラスの順番になって紹介に困った。 彼女あまりにも危険な存在。 どー皆に説明したらよいのでしょうか? 「アタシ自ら紹介するよ♪コッホン…どーもこんにちは♪♪アタシはもう一人のアンジェラス、シャドー=アンジェラスでーす♪アンジェラスという名前が二人いるからシャドーって呼んで」 バシン! 突如と響く拳を受け止める音。 シャドーの自己紹介中にアイゼンが左ストレートパンチをはなったのだ。 それを軽やかに受け止めるシャドー。 アイゼンの無表情が少しだけ変化し怒ってるように見える。 「お久しぶり~、アイゼンちゃん♪会えて嬉しいわ♪♪」 「……来るんじゃなかった」 場の空気が…険悪なムードなっていく。 このままでは駄目です。 折角の上機嫌のシャドーが不機嫌にでもなったらヤバイ。 この場に居る全員を惨殺しかねないですし、ここは私が張り込んで! 「あ~ん♪本当に可愛い♪♪抱きついちゃお♪♪♪」 「……むぎゅっ!?」 素早くアイゼンの後ろに回り込み抱き着くシャドー。 あ、あれ? 不機嫌にならない? というか…アイゼンに抱き着き、いい子いい子しながら頭を撫でています。 アイゼンも怒っていた表情から無表情になっています。 困った顔はしないのですね。 「アイゼン可愛いよアイゼン」 「……邪魔、……すごく邪魔……」 何処かで聞いた事があるセリフを言うシャドー。 とりあえず、ジャレついてるのなら大丈夫そうですね。 …アイゼンにはかなりお気の毒ですけど。 ごめんないさい、アイゼン。 「う~ん…」 「な、なんでしょうか?」 クリナーレが腕組しながら犬子さんを凝視する。 それに対して犬子さんはなにやら困り顔。 「ボクさぁ、前から思ってる事があるんだけどー」 「はい?」 「犬型と猫型はどうして尻尾を随時装備していないのかなぁ~と思うだよね」 そう言いながらクリナーレは犬子さんのスカートを捲くりあげる。 ちょっ、なにやっちゃってくれてるのよクリナーレ! 「ハワワワワッ!?」 いきなりスカートを捲り上げられた事によって犬子さんが驚愕する。 そりゃそうですよ。 誰だってあんな恥ずかしい事をされたらビックリしますよ。 ていうか止めなさい! 私がクリナーレを止めようとした瞬間。 「姉さんの馬鹿!」 「タワバッ!?」 クリナーレの妹、パルカが右踵落しをかました。 命中と同時にメリッという鈍い音が聞こえ、脳天を直撃した事によって地面に倒れ悶絶するクリナーレ。 それからパルカは踵落しをした後、捲くられたスカートを丁寧に戻し犬子さんに頭を下げる。 …たまに思うのだけれど、ときどきパルカの事が怖くなる。 いつもは怯えてるというか、ビクビクしてるけど非常時になる行動が大胆になりますね。 特に姉のクリナーレに対する行動が。 「パルカはあぁ見えてもヘタレのくせに度胸がありますから」 「…それ、矛盾してない?」 「それとお姉様、言いづらい事が一件あるのですが…」 「うん?何??」 「学校…遅刻しますわよ」 「…アアアアァァァァーーーー!?!?」 私が叫んだ事によって、皆が私を注目する。 私はすっかり忘れてた事をルーナに言われて思い出したのだ。 学校のことを…。 慌てて腕時計を見ると時刻は八時半過ぎになっていた。 「ヤバイ!みんな、談笑してる暇はないよ!!全速力で学校まで走りますよ!!!」 「因みに学校の方角はあっちよ♪」 私とシャドーが皆さんに伝えると一目散に学校へと走る。 「アイゼン、どっちが学校に先に着くかボクと勝負しろ!」 「……ん」 「ウッシャー!負けないぞ!!」 「……!!」 アイゼンとクリナーレは学校まで競走するみたい。 まったく、少しは遅刻の心配してよね。 「制服で走ると汗が出るからイヤですね」 「別に私は気にしませんけどね。…あぁ。そういえばハルナが気にしてましたっけ。夏場は胸が蒸れるとか」 ルーナとサラは仲良く喋りながら走る。 にしてもちょっと内容が生々しいよ。 汗とかさぁ…もっと女の子らしい会話をしてください。 「パルカさん、よろしくお願いいたします」 「あ、はい、パルカです!よろしくお願いします!!先程は姉さんが失礼な事をしてしまい申し訳ありません」 「いえいえ、気にしないでください。少し驚いたぐらいですから」 パルカと犬子さん達は普通に挨拶しながら走ってるから大丈夫でしょう。 うん、これが普通。 普通の会話だよね。 ルーナがおかしいのよ。 いきなり汗の話しをするなんておかしい。 サラに迷惑だと思わないのかな? 「迷惑だと思ってないんじゃないの♪」 空中を飛びながら私に言うシャドー。 本来なら筺体のプログラムによって飛べないはずなのですけれど、シャドーがプログラムを書き換えた事によって飛行を可能した、こんな所かな。 大方、シャドーの周辺だけ重力数値を変えて飛べるようにしたんでしょう。 ていうか、勝手に人の思考を読まないでよね! いくら同じ存在だからって、これではプライバシーもへったくれもない。 少しは自重しろって言いたい。 「飛んでるとパンツが見えるよ」 「見せたって減るもんじゃないしぃ♪アタシ達は素体なんだからパンツなんかはいてないじゃん、今はスカートをはいてるけど♪♪」 「羞恥心というものが無いの?」 「一応あるけど別にいいじゃん♪女の子達しかいないんだから♪♪」 「あーもう!私と同じ身体なんだから、私が恥ずかしいの!!ご主人様や他のオーナー達からも見られているのよ!!!」 「イィーじゃ♪マスターは見れて嬉しいし、他のオーナー達もアタシの魅力にメロメロ♪♪パンチラでポイントゲットよ♪♪♪」 「何がポイントゲットよ!ポイントなんか無いし!!と、とにかく降りなさい!!!でないと、無理矢理に私もネット能力を使って貴女を落としますよ!!!!」 「お~怖い怖い♪そういえば『私』は『アタシ』だもんね♪♪同じ能力が使えるの道理。分かったよ、降りるわ♪♪♪」 私が注意してるにも関わらずニコニコしてるシャドー。 本当はネット能力をシャドー並には使用出来ませんが、重力数値ぐらいのプログラムなら書き換え変える事ができます。 もしシャドーが降りて来なかったら即座に重力数値を書き換えて、地上に叩き落としてましたよ。 ズカーン、とね。 「酷い扱い。同じアインなのにね♪」 「だ・か・ら!私の思考を読まないで!!」 私は怒りながら地上に下りたシャドーの右手を掴み引っ張りながら走る。 シャドーと喋りながら走ってしまったせいで、他の皆より出遅れてしまい随分と差がひらいてしまっています。 …あぁ~あ、無事に遅刻せず学校にたどり着く事ができるのかな。 こんなにも先行き不安だらけで学校に向かう私は何処の世界を探しても…私だけじゃないのだろうか。 …。 ……。 ………。 一方、その一部始終を見ていたオーナー達は。 「「「「…………」」」」 沈黙を守っていた。 特に話す事も無く、ただ自分達の武装神姫が学生生活を見守るだけ。 けど一つだけ四人のオーナー達は一致した思いがあった。 それは…。 「「「「気・マ・ズ・イ・!(心の叫び的な感じに)」」」」 ただそれだけである。 「(c) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2600.html
少しづつ暖かい風が吹き始め、街路樹も少しづつ別の色を枝先に宿し始めている。 「次はあかばね~。次はあかばね~。・・・・・・next station is akabane」 次の到着駅を伝えるアナウンスが車内に流れる。電車はあと20分そこそこで目的地に到着する。 外は見る限り無機質なビル群ばかり。そんな電車で一人の青年が座り目的地への到着を待っている。 テレビ番組の気象情報では気象予報士が花粉飛散情報をバックに「今年の花粉の飛散量は平年並みと予想されます。」と が毎年恒例の花粉情報を流している。そんな春先にはよくあるような光景。 (河野家にて) 「あわわわわわ・・・・早くしないと早くしないと。」 あわてた様子でアーンヴァルmk.2型神姫アテナがテーブル上でそれぞれの場所にフォークを運んでいる。 「少しは落ち着きなさいアテナ。メールと手紙にも書いてあったでしょう。電車の到着まではまた余裕はあるのよ。」 「そのとおりだ。あんまりあわててまた取り返しのつかない失敗するようでは、マスターが用意したせっかくの料理を台無しにすることになるぞ。」 フォークを運んでいたフブキ型の神姫与一とスプーンを運んでいたストラーフmk.2型神姫キュベレーがそろってアテナと呼ばれた神姫をさとす。 アテナは依然同じような状況でつまづき顔面直撃を避けようと目の前に出てきた皿を体重をかけて両手で押してしまい、てこの原理で皿の中身をまいてしまったことがあるのだ。 すると、さっきまで駆け回っていたアテナはとたんに蝋燭のようにびたっと止まり、ネジのきれそうな人形のようにぎこちなく動き出す。 「まったくアテナは全然成長していない。このぐらいのこともいまだに満足にできないようでは、義弘様はなんというか。」 「キュベレーも、いちいちアテナに突っかかるのはやめなさい。」 「与一姉(ねぇ)。私はアテナと違い受け持ちは終わっている。」 「終わったのなら、私と一緒にアテナを手伝うのよ。」 皮肉ばかりのキュベレーを与一は引きずるように連れて行く。 キュベレーのアテナいじりは今に始まったことではないが、マスターが変わってからというもの、そのやり方が少しきつくなってきているような気がする。 誇り高きストラーフ型ゆえのことなのか。今はアテナは自分のことに集中しているからいいが、いつもはけんかに発展している。今の与一の悩みの種だった。 配置がようやく終わって、しばらくあと、台所からサンドイッチ満載の大皿を両手にもった青年河野隆明がエプロン姿で現れる。 「3人ともお疲れ様。」 最初は全部自分で用意するつもりでいたが、「できることだけでも。」と3人に半ば拝み倒されるような形で、卓上のセッティングを手伝ってもらったのだ。 「いいえ、これ位のこと。ほとんどのことをマスターにやっていただいて。」 「はい。アテナ頑張りました。」 「あたし達のかかればこれぐらい簡単なことだ。」 「うん。ありがとう。」 三者三様の返事に隆明も笑顔とともに礼をで返す。 「時間的にそろそろだと思うんだけど。」 壁掛けの時計を見ながら隆明は時間を確認する。今日の主賓は時間に正確に行動する人物であることを隆明は子どものころから知っている。 「ピンポーン」 はかったかのようにインターホンが鳴り、住居内に来客があったことを伝える。 「噂をすればだ。はーい。」 一人と三体が玄関を開けたその先には。 「わりぃ。遅くなっちまった。」 「ごめんですぅ~。」 ガクッと全員が崩れる。そこにいたのはマオチャオ型の神姫たま子を肩に乗せた大柄な青年。大木戸甚平だった。 「なんだ甚平かぁ」 「何だとは何だ。準備には確かに遅れはしたが、折角主賓と来たというのに。」 「そうですぅ。そこでばったりあっちゃったんです~。」 そう言って。半分に明けれれ多ドアを全開にしたそこに立っていたのは。 「ただいま。隆明。少し背が伸びたかな。」 「そして与一、アテナ、キュベレー、久しぶりだ。その様子だとみんな元気そうでよかった。」 スーツ姿に身を包んだ青年。加藤義弘がたっていた。 少し恥ずかしそうに隆明は鼻をかきながら 「そうかな。とにかくお帰りなさい。」 「義弘様こそお元気な様子で何よりです。」 「おかえりなさい。義弘様♪」 「久方ぶりです。義弘様。」 3人の神姫たちは長く不在だったのがウソのようにそれぞれの笑みで出迎える。 春先のある日加藤義弘は半年ぶりに帰還した。これによりいくつかの神姫たちの物語が始まる。 製作後記 まずは別れていた元のマスターが戻ってくるところを描きました。これから日常的なことや、その中でその他の設定について 少しづつ描写と公開していこうと思います。 つたない文章でありますし、このような駄文を読んでいただいた方心から感謝です。 主要なキャラ以外の登場人物・神姫に関しまして、「BATTLE MASTERS」の神姫やキャラを出していきます。ほとんどが一回きりのキャラの予定なのですが、 複数回登場(準レギュラー)予定のキャラなどは後々登場人物・神姫の項目を作成し掲載していく予定です。 前から更新遅いのが悩みの種です。精一杯努力しますが、温かく見守っていただけると幸いです。 最後に今年の風はひどいですよ。これを掲載する前日まで完全ダウンしていました。今も抜けきらず、ひどい頭痛に悩まされています。 皆さんも身体に十分気を付けてください。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/641.html
「俺とティアナの場合」 第2日目「アイドル登場?」 「さあ~今年もやって来ました。交流戦。」 白いスーツに赤いネクタイ。そしてマイクを手にした司会らしき人物がステージに上がる。 「毎年恒例で行われているにもかかわらず情報公開をしないため知名度は低い、しか~し神姫科へ進級した生徒とパートナーの神姫同士の交流を兼ねて行われているバトルトーナメント。公式リーグ参加者とビギナーを分けているので安心の2トーナメント制。どちらのトーナメントも優勝者には副賞として食堂の無料ランチ券1か月分が贈られます。今年は誰が優勝の栄冠を掴むのか!! それでは早速1回戦開始です!!」 けっこう急ぎ足で喋る司会(見たところ1つ上の、大学1年だろうか?)の宣言でいっせいに第1試合のゴングが鳴る。 そして会場(とは言っても体育館なんだが)のメインスクリーンに次々と試合が入れ替わり立ち代りで表示される。 やっぱりずっと前から神姫と一緒にいたヤツもいるみたいで、公式リーグで慣らされた猛者たちも混じっているようだった。 まあ、そういうメンバーは最初からブロック分けされていて、そのブロックのみ試合の迫力が違っていた。 比率的には3対7ってところか。いちおう進学校に分類されるからしかたないけどビギナーの方が多いんだよなウチの学校は。 とはいう俺もバトルに関してはド素人だった。 ティアナの試合はまだまだなのでふらふらと会場を歩いてみる。 で目に留まったのが公式ランカーになっている神姫たちのバトルだった。やっぱり武装神姫と呼ばれるだけあってその能力はすごいと思う。 さっき見た猫型だって広大なフィールドを準備運動かのように駆け抜け、それなのに息一つ乱さないで敵の天使型にぶつかっていく。 爪の一撃を避けられてもすぐにバックステップを行い、プチマシーンズで牽制していた。 やぱりああいう反応は実戦を戦い抜いてこそなんだろうと思う。 ふとティアナはどういう試合が気になるのか聞いてみた。 「ティアナは気になる試合ってある?」 「うーん…このへんで面白そうなのはないわ。言い方が悪いけど正直TVでファーストランカーの試合見てるからそれに比べたらレベルは低いし。」 「じゃあいっそのこと俺たちと同じビギナーの方行くか?」 「ええ、そうしましょう。」 そうして会場の反対側(いちおうマンモス校なので体育館とはいえ結構広い。)のビギナーの試合を見てみる。 おれが巨大スクリーンに目を取られているとティアナが俺のブレザーのすそを引っ張った。 「翔、あの試合が見たい。」 そうしてティアナが指さしたのは、戦闘駆動そっちのけで歌って踊るサンタ…じゃなくて装備はそれだったけど、本体は犬型。 ん?よく見ると髪形がサンタ型のものと酷似してる。あ、犬型もああするとすごくかわいいな~ 「なに見とれてるの?翔」 いつもより少しだけ声のトーンが暗いティアナ…ハッ、心を見透かされる…これからは気をつけよう。 「ああなんでもない、なんか面白そうだから見てみるか」 「あの"犬型"ばっかり見たらダメだからね。 その場合は私服脱ぐから」 そういってティアナは着ているタートルネックに手をかける仕草をする。 ご存知の通り、花形の素体は布面積が少ない。最低限の部分以外はほとんど素肌(この表現が適切かはわからない)だ。さすがに俺もそんな姿のティアナをそのまま学校につれてくれば教師の注意を受けるだろう。もちろん今脱がれれば俺が怒られる羽目になる。それを想像しただけで寒気がした。 「ああ、わかった。」 「よろしい、なんてね。」 そうしておれはその試合が行われているブースに入る。 するとソコだけが別空間だった。ブース内は明らかに今世紀初頭のアイドルっぽい曲、これどこかで聞いたような… 「あ、あれだ。」 俺より先にティアナが曲名にたどり着いたらしい。 「なんて曲だ?」 「ほら、アレ! この前放送してた、全然敵が動かないガンダムの桃色電波の影武者のヤツ」 …なんでこんなにもややこしい言い回しをするんだ?と思いつつ、俺も曲名にたどりついた。 「あ、ガンダム種のアレね~えっと英語で「感情」ってやつだろ。」 「そうそう、♪エモーシふぐぅ」 あわててティアナの口を塞ぐ俺、たしかこういうSSとかでも歌詞を引用したら"あの"ジャ●●ックに請求されるんだってな、それはなんとしても避けないと中の人に怒られてしまう。 それはいいとして、実際に歌を歌っている犬型はというと…ダンスまで完璧。声も透き通ってる感じ。いい線いってると思う。 いや、ロボット目当てでガンダムを見ていたはずなのにあんなシーンが出てきたからなんか印象に残ってるだけだぞ。 しかも敵の攻撃なんて完全に無視してるし、相手の騎士型は相当怒ってるっぽいな~ 「貴様、ちょこまかと!!」 騎士型は助走をつけて飛び込んでいく。しかし 「♪~~~~~」 踊りつつも、背中のブースターでそれをまさに華麗という形容詞が似合う動きで回避。そのまま歌い続ける。 そして曲もクライマックスに。 「♪♪~~~ ♪~」 そうして最後のフレ―ズに入る。 「いい加減にしろ!!!貴様ぁ!!!!!!!!!!!!」 相手の騎士型は完全にキレてる…あれだけ無視されればああなるわな。で右手にランス、左手に片手剣の突撃形態だ。 そのまま勢いをつけて向かっていく。そしてまずはランスをあの犬型に向かって投げつけた。 「ゲイボルグのまねっこ?」 ティアナ、お願いだからさらっとそいいうオタっぽい知識を披露しないでくれ。 休み中はCSで見放題だったからって1日中アニメ系チャンネル見てたもんな~~って、結局マスターである俺の責任になるのか… ランスは犬型のバックパックのブースターを直撃。さすがにあの速度で飛来する大きなランスは避け切れ中ttらしい、犬型はどんどん高度を下げていく、そして騎士型は剣を握り締めて着地地点に飛び込む。着地より数秒早く犬型の歌は全フレーズを歌いきっていた。着地と同時に振り返って騎士型を見る、犬型は笑っていた。 そして激突。激突の衝撃がステージに生えている草木を吹き飛ばす。その草木が再び地面に降りるとき、立っていたのはあの犬型だった。 右手には1振りのライトセイバー…あれはマイクだったものだろう。 もしくはマイクのふりして使っていただけかもしれない、だがそれは確実に相手の騎士型の油断を誘ったはずだ。 騎士型のマスターがへこんでるのを尻目に、犬型はユニットから出てきて挨拶をする。 「私の名前はニーナ、ニーナです! 私の歌は楽しんでいただけましたか~」 何人かの生徒が拍手を送る、でも彼らの見た目は明らかにオタクだった…まあそれにつられてほかの生徒たちも拍手をしてるので俺も混ざってみる。 「私は神姫アイドルナンバーワンを目指してます、いまはまだ無名ですが…きっと一番になって見せます。なのでもしよかったら次のステージも来てくださいね。chu♪」 これで先ほどのオタどもは確実に堕ちたな…俺でも次も見ようって思ったぐらいだし。 「翔、あの子おもしろいわ。あの子と戦ってみたいな。」 ティアナもあの犬型の子…ニーナが気に入ったらしい。 「じゃあ俺たちもそれなりにがんばらないとな、そろそろ俺たちの試合のあるブースに向かうか。」 「ええ、私の力を見せてあげる」 「おお、せめて1回戦ぐらいは勝ってくれよ。」 「もちろんよ、そのためにパーツを取りに帰ったんでしょう!」 「そうだったな、がんばろう。」 そうしてそのブースから立ち去る俺たち2人を見つめる少女が一人。 「木ノ宮君…」 その視線に俺は気付かないでいた。 続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1692.html
「・・・・ねぇ、彩女」 「なんですかアメティスタ・・・よいしょっと」 「・・・・二人っきりだね」 「そうですね・・・・っと」 「バトルなんかやめてさ、二人でどっかいこうよ。ほらあそこ、ホテルあるよ」 「そうですか・・・・・・・よっと」 「・・・・・・・・おっぱい揉んでいい?」 「駄目です」 * ホワイトファング・ハウリングソウル * 第十三話 * 『黒衣の死神』 『都市ステージ』を、彩女とアメティスタは歩いていた。 ・・・いや、正確には歩いているのは彩女だけである。アメティスタは歩いていない。 ならば彼女はどうしているのか。 彩女におぶさっているのである。 「・・・いくらなんでもですね。・・・・よっと、こういう時くらい二本足にしたらどうですか・・・・っと」 「ヤだ。だってこのヒレはボクのトレードマークだよ? アイデンティティなんだよ? それに二本足にするには声を魔女にあげないといけないし」 そういうアメティスタの足は今もイーアネイラの装備であるティティスだった。これでは陸上で歩けないため彩女が背負って水場まで運んでいる。 「そもそも水中戦でもないのにイーアネイラ装備なのがおかしいんです。・・・っと。エウクランテだって水中専用じゃないんですよ。・・・よいしょ」 「知ってるけどさ。でもこれは外せないね。ある意味ボクの決意の証みたいなもんだし」 「だからって・・・っと。今襲われたらどうするつもりですか・・・っしょっと」 「大丈夫だよ。ボクらが敵に遭遇するのはピッタリ五分後、彩女がボクを公園の池に運び終わるのが今から二分後。三分の余裕があるよ」 「・・・便利ですね予知能力・・・・っと」 そう、今彩女とアメティスタは公園を目指している。 アメティスタが入れて戦えるような場所がそこしかなかったからだ。 ・・・余談だが戦闘用に武装をしたアメティスタは結構重い。今こうしている間にも、彩女の体力は削られ続けているのだ。 「便利とはいっても、このバトルの結果は見ないようにしてるよ。だってつまらないじゃん」 「それもそうですね・・・・よいしょっと」 彩女は掛け声と共にアメティスタを背負いなおす。 公園はもう少しだった。 「・・・・うん。ヴァーチャルとは言えやっぱり水に浸からないとね」 無事公園に着き池に入ったアメティスタはそういいながら水をすくった。 彩女はとっくの昔に公園を出て、敵を探している。 あと一分もすれば天使型の一撃を食らうだろう・・・・どうなるかはあえて予知しなかった。その方が面白いからだ。 「~♪」 彼女は鼻歌を歌いながらプチマシィーンズに指示を出す。その数凡そ十三。 公園中に散ったプチたちはそれぞれのポジションにつき、情報を送ってきた。 「・・・・ふぅん。西から来たか。とりあえず公園に入ったから・・・結界をはるか。あとはボクの闘いだね」 アメティスタがそういうと同時に、公園内に霧が立ち込める。 なんてことはないただの霧だ。 「・・・煙幕のつもりかしら?」 と、その霧の中、アメティスタのものではない声が響く。 声のしたほうへとアメティスタは顔を向け・・・一瞬その顔が強張る。 「煙幕じゃないんだけどね。・・・まぁ、似たようなもんかな? 始めまして、ボクはアメティスタ。キミは?」 「わたしの名前はルシフェル。悪魔型のルシフェルよ」 軽く霧が晴れ・・・ルシフェルの異形が姿を現す。 足はザバーカが装備され、素体の両腕はチーグルを装備している。その両手には巨大なリボルバーキャノンを持ち、腰にはデスサイズがマウントされていた。しかしなんといっても目を引くのは背中に取り付けられた巨大な羽であろう。 蝙蝠を思わせるそれは、正しく悪魔型たる彼女のために作られたかのように存在していた。その漆黒の羽は夜の闇を思わせる妖しげな色だった。 「・・・・いい趣味してんじゃん」 「それはどうも。それよりもそろそろ始めない? わたし達今日中にあと三回も戦わなくちゃいけないの」 ルシフェルはそういって、リボルバーキャノンの撃鉄を上げる。 「・・・いいよ。それじゃぁ・・・始めようかっ!!」 武装神姫・イレギュラーキャンペーンバトル アメティスタ対ルシフェル・・・開戦 前・・・次
https://w.atwiki.jp/nekokonomasuta/pages/23.html
武装神姫 MMS,Type ANGEL ARNVAL Mass-production model 『量産型アーンヴァル』 「我々は、大儀のために戦うのです」 【基本能力】 量産型アーンヴァルは集団戦闘の専門家である。 そのため戦闘基本値に以下の修正を得る。 【射撃基本値】(+2) 【格闘基本値】(+2) 【回避基本値】(+3) 【特殊】《フォーメーション効果》を受けた場合【効果】(+1) 【技能】 量産型アーンヴァルはキャラクター製作時に、以下のリストから技能を2つ習得できる。 また経験を積んでキャラクターレベルが上昇した場合、3で割り切れるレベル(3,6,9,12……)に到達する度、新しい特殊技能をひとつ、修得できる。 量産型アーンヴァル 技能リスト 《追加HP》 《一斉発射》 《ウェポン習熟》 《緊急回避》 《逃走》 《シールドブロック》 《追加SP》 《反射神経》 《連携攻撃》 《タフネス》 《突撃》 《不死身》 《SP回復》 《狙撃》 《複数目標攻撃》 《一斉掃射》 ○量産型アーンヴァル(ソルジャー) 【基本性能】 【射撃修正】(±0) 【センサー性能】(+0) 【速度】(6) 【格闘修正】(±0) 【装甲値】 ( 5 ) 【旋回】(3) 【回避修正】(±0) 【HP】 ( 24 ) 【パワー】 ( 5 ) 【シールド】 ( 2 ) 【格闘武器】 名称 /威力/格闘補正/使用回数 格闘 / 5 / ±0 / ∞ ライトセイバー / 8 / +1 / ∞ 【射撃武器】 名称 /威力/~5/~10/~15/~20/使用回数/間接/連射 アルヴォLP4ハンドガン / 7 /+3/ - / - / - / 8M / ×/ × アルヴォ PDW9 / 9 /±0/ -2/ - / - / 9M / ×/ ○ ○量産型アーンヴァル(ガード) 【基本性能】 【射撃修正】(±0) 【センサー性能】(±0) 【速度】(4:VTOL) 【格闘修正】(±0) 【装甲値】 ( 8 ) 【旋回】(3) 【回避修正】(-6) 【HP】 ( 24) 【パワー】 ( 6 ) 【シールド】 ( 2 ) 【格闘武器】 名称 /威力/格闘補正/使用回数 格闘 / 6 / ±0 / ∞ ライトセイバー / 8 / +1 / ∞ 【射撃武器】 名称 /威力/~5/~10/~15/~20/使用回数/間接/連射 アルヴォLP4ハンドガン / 7 /+3/ - / - / - / 8M / ×/ × アルヴォ PDW9 / 9 /±0/ -2/ - / - / 9M / ×/ ○ 【カスタムデータ】 ○アーンヴァル・ソルジャー 【部位】 /【CP】/ 【名称】 /【効果】 頭部 / (0)/ ヘッドセンサー・アネーロβ /《センサー+1》 胸部 / (1)/ buAM_FL010アーマー /《HP+2》 《装甲+1》 《シールド(2)》 脚部 / (1)/ AT2レッグパーツ /《HP+2》 《装甲+1》 背部U / (1)/ リアウイングAAU3 /《速度+1》 計 /( 3 ) ○アーンヴァル・ガード 【部位】 /【CP】/ 【名称】 /【効果】 頭部 / (0)/ ヘッドセンサー・アネーロβ /《センサー+1》 胸部 / (2)/ buAM_FL011フルアーマー /《HP+2》 《装甲+3》 《回避-4》 《シールド(2)》 脚部 / (2)/ ホバリングギアAT4 /《HP+2》 《装甲+2》 《回避-2》 《速度-1》 《VTOL》 背部U / (0)/ / 計 /( 4 ) (*1)以上の装備はアーンヴァルが装着しても【CP-1】のボーナスが適用される。
https://w.atwiki.jp/busoushinkibc/
今のところこのゲームの始め方しかまともなページがないけど許してくれェーッ! このwikiはAC「武装神姫アーマードプリンセス バトルコンダクター」の非公式wikiです。 【公式】:https //p.eagate.573.jp/game/busoushinki/bc/ ※当wikiは非公式の攻略wikiです。情報の妥当性や正確性について保証するものではなく、一切の責任を負いかねます。 ※当wikiを利用することによって生じるいかなる損害も当サイトでは補償致しません。 ※ご利用につきましては自己責任となりますのでご注意ください。 ※また、当wikiおよびwiki管理人は運営様とは一切関係がありません。wiki管理人にゲーム内のエラーなどについて問い合わせないようお願いします。 ゲームに関する問い合わせに関してはこちらから ※文章の著作権は当wikiにあります。内容の複写、転載を禁じます。 ※当wikiで使用している画像、情報等の権利は、コナミホールディングス株式会社に帰属します。 ※ぶっちゃけwiki作成慣れてなさすぎるので協力者募集してます。誰ぞ頼む…
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2550.html
第2部 「ミッドナイトブルー」 第11話 「night-11」 2ヵ月後 西暦2041年 7月21日 15:00 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 お昼の3時のチャイムが公園内に響く。 園内の噴水広場の軽食コーナー、そこでは多種多様な神姫とオーナーたちがお菓子を食べて雑談をしていた。 オーナー1「おい、知ってるか?昨日の夕方、出たらしいぜ」 オーナー2「出たって何が?」 天使型「例の都市伝説ですね」 剣士型「超音速の死神か・・・」 悪魔型「ええーーーほ、本当?」 オーナー3「ついにこの神姫センターにも、来たか」 種型「なんでも物凄い数の神姫が撃破されたらしい」 花型「ひゃーーー恐ろしい恐ろしい」 オーナー5「超音速の死神、あれって実在するのか?よくあるゴーストファイターだろ?」 雑談に花を咲かせるオーナーたち。 軽食コーナーの端でパラソルの下で老人と将棋を打っている黒い軍服を着た将校型神姫がぼつりとつぶやく。 ナターリャ「やれやれ、またなんとかの死神か」 アオイ「死神といえば、あいつを思い出しますねーナターリャ将軍」 ナターリャの将棋を観戦するアオイとツクヨミ。 ナターリャ「そいつの話はするな」 ツクヨミ「ちょっとトラウマって奴ですか?」 茶化すツクヨミ。 軽食コーナーの横の桟橋では航空母艦型のツラギが停泊し甲板を開放し中央では武装をはずして水着姿になった神姫たちがホースを掴んでキャッキャと水浴びして遊んでいる。 ツラギ「あーーあーー、最近なんか張り合いのある奴がいなくてつまんないですねーマスター」 でっぷりと太った金川がカメラを片手に水着姿の神姫を写真に収めて満足している。 金川「いやいやーこういう可愛い神姫たちのキャッキャウフフを愛でるのもいいもんだよ」 ツラギ「なにも私の甲板の上でやらなくても・・・」 金川「オマエの上だったらいろいろと遊び道具とかあるし、便利だろ!艦内にはシャワーもあるし!!」 ツラギ「そういうのに、空母型使わないでくださいよー」 パチン ナターリャ「チェックメイト・・・じゃなかった王手!」 ナターリャが将棋を心地よく打つ。 ナターリャ「うむ!将棋も悪くないな!!面白い!」 ナターリャの対戦相手でありオーナーである伊藤は満足そうなナターリャを見て微笑む。 伊藤「それはよかったですね。ナターリャー」 湖に灰色の数十隻の戦艦型神姫が着水する。 野木「やあ、みんなお久しぶり」 ラフな半そでのTシャツを着た野木が軽食コーナーに顔を出す。 金川「おおー野木ちゃんお久しぶりー」 立花「ノギッチ!キター」 衛山「おひさ」 野木「ナターリャ将軍、おひさ」 ナターリャ「うむ」 ナターリャは手をひらひらと振る。 野木「調子はどうだい?」 ナターリャ「まあまあ、かな?最近はとんと暇している」 アオイ「張り合いのある神姫がいないんだとよ」 野木「まあ、SSS級の将軍に合うようないい娘はなかなかそういないからね」 湖に着水した数十体の戦艦型神姫の灰色の巨体がまぶしく光る。 ナターリャ「灰色艦隊は、すべて復活したようだな」 野木「まあな、マキシマがバラバラになっていて完全に治すのに1ヶ月以上かかった」 マキシマがやれやれと肩をすくめる。 マキシマ「今度、やるときは指揮系統をしっかりとしてくれよ」 ナターリャ「今度か・・・」 ナターリャは遠い目をして湖を見る。 ナターリャ「そういえば、夜帝はどうしている?」 野木「夜帝か、あいつは心斎橋の神姫センターでちょくちょく見かけているって話だ」 2ヶ月前に行われた夜帝との激戦はネットにも動画が公開され、多くの話題を呼んだ。 今まで夜帝の存在はあまり公には知られておらず、都市伝説化していたが二日間にわたる連戦で、夜帝がたった1機で戦艦型神姫を9隻、航空母艦型1隻、艦載機10数機という完全武装の2個艦隊を撃滅したことは多くの神姫たちを震撼させた。 夜帝はナターリャの手によって敗れたが、帰ってその名声を轟かせたことになる。 ナターリャ「そうか・・・またあいつとチェスを、いや・・・神姫バトルをやってみたいな」 ナターリャは感慨深くそういうとパチンと将棋を打つ。 アオイ「神姫バトルって将軍は、基本他人のふんどしで戦うだけでしょwwww」 ナターリャ「・・・」 青筋を立ててナターリャはパチンと指を鳴らす。 アオイ「ちょ」 湖に停泊中の灰色艦隊がアオイに向かって砲塔を向ける。 マキシマ「艦砲射撃ッ!!撃ち方ァーー用意!!」 ヴィクトリア「アオイさんはいつも一言余計なんですよ・・・・」 ナターリャ「これが私のバトルスタイルだ。文句があるならいつもで受け付けるが?」 野木「将軍には誰も勝てないな」 ナターリャ「SSS級でも用意したまえ」 サソリ型「あのお・・・・」 おずおずと一体のサソリ型神姫がナターリャに声をかける。 サソリ型「この間から夕方の5時に超音速の死神って二つ名のSSS級ランカー神姫がこの神姫センターに現れて暴れまくっているのです・・・た、助けてください!ナターリャ将軍!」 野木「はあ?超音速の死神ってあの超音速ステルス戦闘機型MMS「クリスティ」のことかい!?」 野木は目を丸くしてサソリ型の声に耳を傾ける。 サソリ型「はあ、なんでも心斎橋の神姫センターにいたらしんですが、夜帝とテリトリーがかぶるからってこっちに流れてきて・・・ううう・・・もうすでに300機くらいの神姫が、仲間がやられているんですよ・・・」 野木はナターリャに声をかける。 野木「将軍!出番だぜ」 アオイ「おいおい、超音速の死神って・・・確か音速を超える超高速戦闘型の化け物じゃねえか!!」 ツクヨミ「うは、また化け物神姫かよ」 ツクヨミとアオイが唸る。 ナターリャ「ほほう、化け物退治というわけか」 ナターリャはすっと立ち上がり桟橋に停泊している航空母艦型MMSのツラギに声をかける。 ナターリャ「ツラギ!張り合いのある奴が出たぞ!仕留めに行くぞ!!今度は超音速の死神だ!!」 ツラギがきょとんとした顔でナターリャの顔を見る。 ツラギ「ちょ、超音速の死神!!?クリスティじゃないですか!!SSS級の化け物ォ!!」 桟橋にいた灰色艦隊の戦艦型神姫もざわめき出す。 ノザッパ「ひえええええええ!!音よりも速いあのスピード狂ですか!?」 マキシマ「へへっへ、上等じゃねえか」 ヴィクトリア「化け物神姫ですね」 そのとき、神姫センターの上空を真っ黒な槍のようなスマートなフォルムの航空神姫が空を切り裂くように飛び去った。 □超音速ステルス戦闘機型MMS 「クリスティ」 SSSクラス 二つ名「超音速の死神」 姿が見えて、数秒後にショックウェーブが軽食コーナーに巻き起こり、日傘のパラソルが衝撃波で吹き飛び、音が後から付いてくる。 ドゴゴオオオーーーン!!! ナターリャはにやりと笑う。となりにいたサソリ型が悲鳴を上げる。 サソリ型「で、出たァ!!!」 ナターリャ「ふん、あれが超音速の死神か、なるほど化け物神姫め」 アオイ「ひええええ!!お、音が後から来たぞ!」 ツラギ「レーダーに反応無し!!ステルス機だ!!」 ノザッパ「は、速い!!」 ナターリャ「ふはっはっはは!!この間のバトルはまだ続いているぞ!!あのランカー神姫は夜帝のシュヴァルに心斎橋神姫センターを追い出されてここに流れ着いたランカーだ!!俺たちが招いた因果だッ!!!!!!盛大に歓迎してやろうではないか!」 ナターリャは右手を超音速の死神に向ける。 ナターリャ「バトルロンドは戦いの旋律 終わらない戦いの旋律 さあ、私たちも旋律を奏でようではないか・・・」 西暦2041年 その世界ではロボットが日常的に存在し、さまざまな場面で活躍していた。 神姫、それは全高15センチほどのフィギュアロボットである。 :心と感情:を持ち、最も人々の近くにいる存在。 その神姫に人々は、思い思いの武器、装甲を装備させて、戦わせた。 名誉のために強さの証明のために・・・・・・・・・ 名も無き数多くの武装神姫たちの戦い 戦って戦い尽くした先には何があるのか バトルロンドは戦いの旋律 終わらない戦いの旋律 戦いの歴史は繰り返す いにしえの戦士のように 鉄と硝煙にまみれた戦場で 伊達衣装に身を包んだ神の姫たちの戦いが始まる。 第2部 「ミッドナイトブルー」 終わり