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考えている、アタシこと豊嶋神無は考えている。誰の事を? それはまあ、彼女・・・じゃなくて彼の事を。 「だってさあ、男の子なんだよ?」 数学の吉田先生の方程式をガードするようにノートを立て置き、そんなふうに呟く。はっきりとしない感情。窓際席ゆえの暖房と、意外に暖かい冬の日差しの二重奏にぼんやりするのとはまた別の、良いような悪いような心地。 微音、叩。 「神姫って普通、女の子じゃないの・・?」 ロウの姿を思い浮かべる。顔の造形は女性的。あまり詳しくはないけれど、普通の神姫と変わりはないように見える。けれど、胸はない。父さん曰く「強化改造の影響」ということらしいけれど、そうじゃない気がする。まあ、男か女かなんて、“下の方”を調べてみればわかるはずなんだけど・・ 「できる訳、ないじゃない・・・」 ただ“その辺り”を見つめるだけだって何か恥ずかしいから、わざわざロウ用のショートパンツ作った位なのに、そんな事したら恥ずかしくて死んじゃうよ。 微音、叩、叩。 「大体、触るのだって怖いのに・・・」 ロウは普通の神姫より頑丈らしいし、その手足、後【背中の手】は大きいけど、首とか二の腕とかなんてちょっと触ったら折れちゃいそうなほど細い。すぐ痛がらせちゃいそうで触れない。でも、あの髪くらいなら触っても大丈夫かな? でも、何かヘンな事言われそうで、それが、また、怖い。 「・・・でも、今日手に触っちゃったんだよね・・・。あんな事くらいで喜んじゃって。そう言えば、ショートパンツあげた時もバカみたいに喜んでて・・・」 微音、叩、叩。軽音、叩、叩。快音、叩叩叩叩叩。 「・・・ってうるさいなあ、さっきか・・・ら?」 その音がした方を振り向く。それは窓の方、よく考えればアタシが窓際、しかもここ3階、つまり人がいる訳ない方向。振り向いたら確かに人は居なかった。でも、“居た”。 快音、叩、叩叩。 「・・カンナっ!」 「・・・え、ロウっ!?」 直ぐさま窓の鍵を外して、そっと開く。と・・・ 「カンナぁっ!!」 「うわっ!?」 急、飛込。回避。 「おりょ!?」 通過落下転倒、横転横転、巻込横転薙倒横転転倒横転、横転横転横転。 「きゃあっ!?」 「なんだぁ!?」 「うわ、机が!?」 横転激突、停止。 「ううううぅう・・・」 「・・・ロウ、あんたって・・・」 窓からアタシ目掛けて飛びかかってきたロウを避けたら、ロウはそのまま教室の中に突っ込んで机を吹っ飛ばし、クラスメイトの足を引っかけ、ホコリを巻き上げながらすごい勢いで転がって、教室の反対側の壁で止まった。ノートも教科書も机も椅子も薙ぎ倒されて、教室はメチャクチャ。クラスメイトのあびきょーかんの声。どういう勢いで飛んできたの、あんた。 「豊嶋さん! これは一体なんです!?」 「あ、吉田先生! ええと、まあ、うちの犬です」 「犬ぅ?」 「あー、いたかった。カンナよけるなよ~」 「犬って、神姫じゃん、これ」 クラスメイトが指摘する。いやまあそうなんだけどそうじゃないと言うか・・・。 「・・・ところでさ、ロウ、何しに来たの?」 「カンナのべんとーとどけに!」 確かに大きな手の中にアタシのお弁当箱が握られてる。とりあえず近づいてそれは渡して貰う。 「・・・で、用が済んだなら早く帰る!」 「は~い!」 疾走、跳躍、飛込、消。 また同じ窓から、ロウは北風みたいに飛び出していく。あんまりに唐突な出来事に、誰も声が出せないみたい。 「・・・ええと、まあ、ごめんなさい」 残りの授業時間は、お説教と教室の片づけだけで終わった。 「まったく、あいつったら・・。夕飯ヌキにしてやる」 「まあ、そのお陰で神無はお昼抜きにならなくて済んだんじゃない」 「このぐっちゃぐちゃの寄り弁見てもそんな事言うの?」 机を向かい合わせにしていた秋子にそう言い返す。ご飯とミニハンバーグとポテトサラダとオレンジが混ざっててすごい味がするんだよ、これ。 「でも、神無が神姫持ってるなんて知らなかった。あ、でも犬飼ってるって言っていたね。それがあの神姫?」 「うんまあ・・・。でもあの武装神姫っていうの? あれはしてないよ」 でも、神姫の事であんまり騒がれるのが嫌だったので、秋子も含めて学校では誰にもロウの事は言ってなかった。神姫って高いらしいから、知られると特に男子が騒ぐんだよね。大体あいつみたいなやっかい者の事を人に知られたら恥だし・・・って遅いかもう。 「確かに、神無がそういう事するようには見えない。まあ、私もそうなんだけど」 「え? 秋子にもいるの、神姫?」 「ええ。兄のお下がりみたいなものが、1人」 「どんな性格なの?」 「可愛いよ、人なつっこくて。でもちょっと頑固な所がある」 「ふうん、うちのロウよりはまともみたい」 「そうでもないのだけど・・。でもそんなに変なの、あの神姫?」 「うん、すごく変。だって“男の子”なんだよ? それに騒がしいしものは壊すしごはん犬食いだし・・・」 「男の子? そんな事もあるの?」 「あるみたい」 「ふうん。でもそう、“男の子”ね・・」 「?」 「なあなあ!! あの神姫って豊嶋のものなんだろ? カッコイイな!」 「へ!? あ、うん?」 突然、甲高い声が耳元を直撃。見上げると居たのはクラスメイトの男子。ええと確か相原武也君(男子の名前なんて全員は覚えてないや)。いきなり馴れ馴れしく話しかけられて、ちょっとびっくりする。 「俺も神姫持ってるんだけどさ、あのハウリン、見た事もない武装だよな? 何処で手に入れたんだ? バトルやらないか?」 「いや、あれ父さんが会社から連れてきた試作品?だから売ってないし、そのバトルってのもちょっと出来ないんだよね。アタシはマスターとか言うのじゃないし」 「え!! 豊嶋の親父って神姫メーカーに勤めてんの? 嘘!? 何か非売品パーツとかも貰えるの!? いいな、俺にも少し分けてくれないか?」 あ、やばい言っちゃった。だから神姫の事言わないでいたって言うのに。 「いや、そういうのはちょっと・・・」 「じゃあ、バトルだけでもしない? レギュレーションがマズイならフリーバトルでいいしさ。あ、もちリアルバトルは無しな、今修理中のパーツがあるしセッティングも・・」 「いやだからムリなんだってば・・・」 なんかよくわかんない単語の連続と、そもそもよくわかんない男子に話しかけられるウザさでちょっと嫌になる。けど相原君のこの勢いをどうやって止めれば・・・ 「・・・私の神姫で良ければ、会わせてあげてもいいわ。直接、バトルは無理だけれど、装備やバトルデータ共有で参考にはなると思う」 「何? 法善寺も神姫持ってるの!? だったら・・今度お前んちに行ってもいい?」 「え、あの、いやそれは・・・」 「お~い武也、体育館行こうぜ!」 「ああ、今行く! じゃあ、法善寺また後でな!」 そう言って、友達に呼ばれた相原君は教室から走り去って行った。 「う~ん、言うだけ言って帰るし。でも、良かったの秋子? あんな事言っちゃってさ」 「・・・私の神姫、ちょっとバトル嫌いなだけだから」 「いやそうじゃなくって相原君を家に呼ぶって話。秋子って、男の子と遊ばないでしょ普段。神姫の事も隠してたんだから、そっちに興味ある訳でもなさそうだし。アタシを庇ったって言うなら後でアタシが断るよ?」 「そうじゃないの。ただ、ちょっと相原君に興味があるだけ」 「・・・あ、なるほど。秋子って相原君好きなんだ」 「・・ちょっと、興味があるだけだって」 クールな秋子が珍しくしおらしい顔を見せる。そういうのまだ興味ないんだって思ってた。でもそんな事も無いよね。 「うん、わかった。出来る事があったら応援するよ」 「それはいいけれど、神無は、自分の事も考えた方が言いよ」 「へ? どういう、意味?」 「え!神姫での犯行だったんですかあの窃盗!!」 豊嶋甲の裏返った声が、BLADEダイナミクス第4研究部に木霊する。周りの部下に変な目で一瞬見られるが、部長が変なのはいつもの事と、すぐに視線は消える。 『ああ、私がずっと犯人を追っていたんだ。そちらの方は処理出来たんだが、それよりちょっと気になる事があってな』 甲がパソコンに写した複雑な面持ちを知ってか知らずか、ボイスチャットの相手は少し重い声色に変わる。 「気になるって、もしかして犯行に使われた武装神姫の事ですか、“ファナティック”さん?」 甲は画面の向こうの低い電子音の主、ネットハッカー“ファナティック”に問いかける。“彼”はハッカーとは言え通常のそれとは毛色が違い、メーカー等関係者への有用な情報提供、ネットに漂う違法神姫サイトのクラッキングなど、MMS、特に神姫を守護する存在として有名だった。甲自身も研究の支援を受けた経緯があり、“彼”には無二の信頼を寄せていたのだ。 『いや、それを破壊した者の事だ。お前の神姫、確かロウ、と言ったな』 「ええまあ。ってロウがどうかしたんですか?」 『そのロウが、犯人の神姫を破壊した』 「へ!? ロウが!? そういえば庭に何か居たとか・・・でも何も無かったしなぁ・・・」 『それは私が回収した。犯人を追跡する途中で、その現場を目撃したんだ。どうもお前の家に盗みに入る所を、ロウが阻止したらしい』 「うちに盗みに? 本当に入ってたのかよ・・・」 『問題は其処じゃない。その神姫が、“自分の同類である神姫を何の躊躇いもなく破壊した”と言う事だ』 「・・・どういう、事ですか? 大体ロウはそんな凶暴な訳ないし・・・」 『その神姫は、“神姫を認識していない”。認識していなければただの人形と同じように“壊せる”。それどころか下手をすれば人間にも危害を加える可能性がある』 「う、嘘でしょ!?」 思わず甲は画面にかぶりつく。 『その神姫は、論理プロテクトが外れている可能性がある。いや・・適応されなくなった、とでも言った方が正しいか。確かその神姫は、自分の事を“男”と思っていると言っていたのだったな?』 「変な話だと思うけど、別にいっかと思ってたんですが」 『・・・普通はもっと怪しむがな。ともかく、そいつにお前は「留守中の家を守れ」と言ったのだったな』 「ええまあ、犬だし、昼間うちは蒼とロウしかいないから、家を守るのはお前の役目だって言ったけども確か」 『つまりはその“家を守る”為なら誰を傷つけても何とも思わないという事だ』 「そんな! そんな事、出来る訳・・・」 『“人間”ならば家族を守る為になりふり構わず、なんて事は普通だろう? いや、もっと残酷な手段であろうと日常茶飯事ではないか? “G・L”に感染しているとすれば、そんな事も有り得るんだろうな』 「へ? “G・L”って何のことで?」 『後で話す。まずは確認してからだ。今からその神姫に会う』 「ロウに会うって・・・」 『お前の家が近いと判ったからな、もう家の近くに来ている。もうすぐ・・・』 「もうすぐ・・・ 来たわね」 塀の上を歩いて来る影を見つけ、アニーはボイスチャットを一旦保留する。【玉座】を操作して、緩い速度で、その影へと近づく。 「ガッコってとこ、おもしろそーだな、カンナもいるし。もっといたかったけど、でもカンナがかえれっていうし・・・」 「はあい、あなたがロウ君ね」 「? あんただれだ? ロウとおんなじか? おんなじみたいなにおいがする」 「・・ふうん、自覚もあるんだ。それにジャミング無しでも“2次感染”もしない、本物ね、“G・L”だわ」 「だから、あんただれ?」 「ああ、ごめんなさい。あたしはアニーちゃんって言うのよ。あなたに大事な事を教えに来たのよ」 「え!! それってセンセってやつか! ガッコでいろんなことおしえてくれるひと!」 「先生? まあ、そうとも言えるかもね」 「やったー! これでおれもガッコにかよえる~!!」 「え!? いや、そういう事じゃないんだけど・・・」 「そうすれば、ずっとカンナといっしょだ!」 彼女、いや彼の名はロウ。それは「狼」ではなく、「浪」でもなく、「桜」でもなく、「Law」でもなければ、「Low」でもない。「ろー」、それはただ家族の為にある名。 ・・・“男”としての誇りに満ちた名。 “女性”を失い、同族を握り潰し、そして己が身すら省みる術を知らない。だが、家族があり、誇りがあり、・・・そして“愛するもの”が居る。 その“心”の何処が、劣ると言えるか? その心の何処が、狂っていると言えるだろうか? 答えを出せる“人間”は居ない。 ―第1章 狂犬 終― 目次へ
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キズナのキセキ ACT1ー5「北斗七星」 □ ホームに電車がゆっくりと滑り込んでくる。 最寄りのT駅が始発の、折り返し電車である。 平日の朝は、人であふれかえる時間帯だが、今朝は日曜日のためか、電車から降りる人も、これから乗り込む人影もそう多くはない。 のんびりとした雰囲気がホームに漂っている。 朝七時。 冬の朝は空気がピンと張りつめていて、眠たい頭に心地よい。 俺は昨晩のことを思い出しながら、開いた扉をくぐり、列車に乗り込む。 長い一夜は、眠りに落ちたところで終わりではなかった。 夜中に叫び声を聞いて、飛び起きた。 ティアの叫び声に、深く眠っていても反応してしまうのは、我ながら過剰反応なのではないか、と思う。 電気をつけて、ティアの様子を見ると、やはり泣いていた。 ティアにはひどく辛い過去があり、ときどきそれを夢で見るという。 今回もそれかと思っていたのだが、しかしティアは涙を拭うと、決然とした表情で言った。 「マスター、お話しなくてはならないことがあります」 ティアの真剣な眼差しに、寝ぼけ眼の俺は気圧された。 そして、彼女の話を聞くにつれ、眠気は飛んでいった。 ネット上で、先代のミスティに会った、というのはかなり突飛な話だった。 だが、ミスティのコアは先代のものを使っていると聞いた。戦闘データとプログラムも引き継いでいるという。 だからこそ、今のミスティは、先代と同様に、ストラーフに近い戦闘スタイルなのだ。 クレイドル上でティアとミスティのデータが混線し、そのネットワーク上で……つまり、俺のPCとクレイドルの間で、二人のAIが覚醒したのだとすれば。 仮説に過ぎないが、あり得ない話ではないと思う。 それに、他でもないティアがそう言うのだから、俺は信じるしかない。 ティアがもたらしてくれた情報は、非常に重要なものだった。 桐島あおい、マグダレーナ、狂乱の聖女、すべてを回避する戦闘スタイル、そして、マグダラ・システム……。 断片的な情報に過ぎないが、ようやく具体的な手がかりが現れた。 ティアの話が終わってもまだ日は昇っていなかった。 そのまま眠る気にもなれず、それらの単語についてネットで調べてみた。 結果は空振りだった。 それらしき神姫の存在は匂うものの、はっきりとした情報となると皆無だった。 裏バトルで活躍する神姫とはいえ、こうもネット上に情報がないものだろうか? ただ、マグダラ、聖女、といった単語は、聖書に関連するのではないかと考えられる。 聖書、キリスト教、教会、信者、修道女……そういえば、シスターをモチーフにした神姫も発売されていたな。 俺の貧困な想像力では、せいぜいその程度の連想が限界だった。 まだ情報が足りない。 どちらにしても、今朝一番に赴くところは、そうした調べものを依頼するのにうってつけだと思った。 行き先はホビーショップ・エルゴである。 □ ホビーショップ・エルゴは、個人経営の神姫専門ショップである。 見た目は普通の、町のホビーショップ。店舗規模は秋葉原などの大型ホビー専門店や、各地の神姫センターとは比べるべくもない。 だが、店内に一歩踏み込めば、神姫の魅力が凝縮された空間に圧倒され、そして夢中になることは間違いない。 いや、大げさではなく。 二階にある対戦フロアは連日賑わっている。 名のある強者も多く集まり、毎日のように豪勢な草バトルが繰り広げられている。 ホビーショップ・エルゴには、ティアとの一件以来、何度か足を運んでいた。 頻繁に行くことができないことが本当に悔しくてならない。 だから、近所のホビーショップでは事足りないときには、片道二時間近くかかっても、電車賃がかかっても、エルゴまで行くのだった。 もちろん、今日の用件は、そんな自己満足の為ではない。 エルゴの店長・日暮夏彦氏は、神姫の修理やカスタムの腕に定評のある人物だ。 大破してしまったミスティであるが、主要部分が無事な今の状態であれば、なんとか修理してもらえると思う。 また、彼は神姫専門の探偵業のようなことを副業にしているようだ。 「正義の味方」などとうそぶいていたが、彼なりの照れ隠しなのだろう、と解釈している。 ともかく、俺よりもはるかに広くて深い情報網を持っていることは間違いないから、『狂乱の聖女』について調査を依頼するつもりだった。 □ 朝九時ちょっと過ぎに店の前に到着した。 いつみても、ごく普通のホビーショップの店構えだ。 開店直後だというのに、店の前にはいくつも自転車が停まり、今もお客が扉の奥へと吸い込まれていく。 俺はゆっくりと店内に入った。 目当ての人物は、カウンターの中に立っていた。 彼は、いらっしゃい、と言った後、俺に向かって相好を崩した。 「おお、遠野くんじゃないか」 「おはようございます、店長」 「こんなに朝早くから、どうしたんだい?」 「神姫の修理をお願いしようと思いまして」 「修理って……ティアちゃんに何かあったのか?」 本気で心配そうな表情。 神姫に対して親身になれる日暮店長を、俺は好ましく思っている。 「いえ、ティアは無事です。この神姫の修理をお願いしたいんです」 俺はハンカチにくるんだ、その神姫を差し出した。 かすかな既視感がある。以前もこれに似た状況があったからか。 日暮店長は、俺に一度目配せすると、そっとハンカチを開いた。指先が慎重なのは、きっと彼も既視感を感じているからに違いない。 「っ……イーダ型か……これはひどいな……」 さすがの店長も眉をしかめている。 四肢がなく、包帯代わりのマスキングテープをぐるぐる巻きにされた神姫を見れば、誰だっていい気分はしないだろう。 そして、俺はとっておきの一言を放つ。 「久住菜々子さんのミスティです」 「な……!?」 その時の日暮店長の表情は見物だった。 少ししかめていた顔が、一瞬で驚愕に変わっていた。 おそらく、日暮店長はミスティの戦いぶりを知っているだろう。だからこそ、ここまで大破したミスティに驚くのだ。 この人も、俺が知らない菜々子さんの過去を知っている。 店長は真顔になり、ちょっと声を細めて、言った。 「……何があった?」 「……それを話すと長くなりますが」 うーむ、店長はと考え込んでしまう。 そして俺の方を上目遣いで見た。 俺は店長の逃げを許さない気持ちで、じっと彼の顔を見つめる。 すると、店長はがっくりと肩を落とした。 「しまったなぁ……今忙しいんだが」 そう言いながら、もう一人の女性店員さんに店を任せる旨を伝えると、俺を手招きした。 この女性の店員さんは神姫で、胸像の姿をしている。聞けば、店長がなぜかボディを与えないという、かわいそうな話だった。 俺は日暮店長に続いて、店内の奥に入った。 店奥にある事務スペースに入ったのは何ヶ月ぶりだろう。 あのときも、ハンカチにくるまれた神姫のボディを挟んで、日暮店長と話し込んだものだ。 日暮店長は、どっかりとPCの前のイスに座ると、小さなテーブルの前のパイプイスをすすめた。 遠慮なく座る。 「で、俺に何をさせたいんだ?」 単刀直入な問い。 俺は店長を見据えつつ、口を開く。 「まずは、ミスティの修理を。できれば早急に」 「それはまあ、引き受けよう。重要パーツに問題がなければ、直るはずだ」 「そこはチェック済みです」 「……こっちも商売なんで、修理代がかかるが?」 「大丈夫、今回はスポンサーがいるので」 店長は少し笑って頷いていた。 「それから、調べてもらいたいことがあります」 「調べもの?」 「はい」 俺はバッグからメモ帳を取り出すと、いくつかの単語を書き込んでいく。 桐島あおい、マグダレーナ、狂乱の聖女、マグダラ・システム……。 日暮店長はこの単語の羅列に首を傾げる。 「これは?」 「菜々子さんと対戦し、ミスティを破った相手を示す言葉です。おそらくは、彼女が放浪し、戦い続ける理由です」 「ネットで調べたか?」 「調べました。ですが、芳しい成果はなかった。だから、ここに来たんです」 日暮店長は、深いため息を一つつく。 「こういうのは依頼料がかかるんだが……」 「菜々子さんを助けてやってくれ、と言ったのはあなたのはずですが」 彼は再び、がっくりと肩を落とす。 どうやら覚えていたようだ。 俺と店長は、以前、約束をした。 いつか、菜々子さんが戦い続ける理由を知り、手助けをする、と。 「今がその時だと思います。彼女を助けるために、少し手伝ってくれてもいいと思うんですが」 「まいったなぁ……。今、ちょっと仕事が立て込んでてな」 「……探偵の、ですか?」 「うん、まあ……ちょっとやっかいな神姫が動き出していてね……ああ、君らには関係ないことだよ、うん」 「俺も店長に無理なお願いをしようってわけじゃありません。店長が調べられる範囲で、これらの言葉について調べてもらえれば」 店長は、うーむ、と唸ったが、結局は首を縦に振ってくれた。 「それから……」 「おい!? まだあるのかよ!」 「ええ……まあこれは店長がご存じのことなので」 「……何だ?」 「店長が知る、以前の菜々子さんについて、教えてください」 日暮氏は、ちょっと驚いたようだった。 すると今度は腕を組み、なにやら少し考えている。 やがて、俺の方に視線を向けた。 「話してもいいが……君は菜々子ちゃんがどうしてストラーフからイーダに神姫を変えたのか知っているかい?」 「……いいえ?」 一体なんの話だろうか。 店長は大きく一つ頷いた。 「そこらへんの事情は俺も知らないんだ。俺が菜々子ちゃんと初めて会ったときは、もうイーダ型のミスティちゃんを連れていたからな」 「それでは、桐島あおいを追いかけていることについても?」 「そう言う名前の神姫マスターを彼女が追っているらしい、ってことくらいかな。詳しくは知らないんだ。本当だぜ?」 「そこを疑ってはいませんが……」 つまり、日暮店長は、菜々子さんと桐島あおいの決別や、ストラーフ型のミスティの敗北については知らないわけだ。 その点を知ってからでないと、日暮店長から話を聞いても、わけが分からないかも知れない。 「それでは、菜々子さんが神姫を乗り換えたことについて知っている人物に心当たりは?」 「うーん……エルゴに菜々子ちゃんを連れて来た神姫マスターなら、知っているんじゃないかな」 「誰です?」 「花村耕太郎くん。『薔薇の刺』ローズマリーのマスターだよ」 □ 店の二階にある武装神姫コーナーは今日も賑わっていた。 ここにも何度も足を運んだから、勝手は知っている。 常連さんたちが溜まっているあたりに足を向けると、目当ての人物が俺に気付いて手を挙げてくれた。 「珍しいね、一人で『ポーラスター』に来るなんて」 「お久しぶりです、花村さん」 花村耕太郎はふくよかな顔に、人の良さそうな笑顔を浮かべている。 彼とは顔見知りだ。 ティアの新型レッグパーツの習熟の時に、菜々子さんから紹介された。 花村さんは、ゲームセンター『ポーラスター』の常連さんの中でも古参の神姫マスターで、『七星』の一人だ。 『七星』とは、『ポーラスター』に通う神姫マスターの実力上位七人に与えられる、名誉称号のようなものである。 彼らは上級者として『ポーラスター』に集う神姫マスターたちを引っ張っていく存在だ。 ただ、『七星』は名誉称号に過ぎないから、何らかの権限があるわけでもないし、定員も七人と決まっているわけではない。 現在、『七星』は五人。 菜々子さんも『七星』に入るよう声をかけられているが、辞退していると聞いている。 花村さんの名前が出たので、エルゴからの帰り道、『ポーラスター』に寄ることにした。 確かに、ポーラスターの長老、などと呼ばれる花村さんなら、過去の菜々子さんや桐島あおいのことをよく知っているだろう。 彼は毎日のように『ポーラスター』に顔を出しているので、おそらく会えると思っていたが、予想通り会うことができた。 「今日は、エトランゼと一緒じゃないのかい?」 「……ええ。今日は訳あって、別行動です」 もちろん、菜々子さんはとても外出できる状態ではないわけだが、嘘は言っていない。 花村さんは人の良さそうな笑みを崩さない。 「へえ。それじゃ、今日はどうしたの?」 「花村さんに話があってきました」 「俺に?」 「はい」 俺は神妙に頷くと、直球勝負で切り出した。 「久住菜々子さんと桐島あおい。二人の過去について教えてください」 俺がそう言った瞬間、あたりの空気が劇的に変化した。 ゲームセンター内の独特の喧噪は背後に聞こえているのに、俺の周りだけ音声が沈殿してしまったかのようだ。 その場にいた常連さんたちは、誰もが息を飲み、その後困惑したような、後ろめたいような表情で沈黙している。 花村さんも、どこか懐かしむような、悲しいような、困惑しているような複雑な顔をしていた。 そして、深いため息を一つつくと、 「遠野くん、ちょっと来てくれ」 そう言って、俺をゲーセン内にある自販機のコーナーへと誘った。 ジュースの自販機で適当な飲み物を二つ買う。 一方を俺に渡し、花村さんはプルタブを開けた。 都合良く、そのコーナーには俺と花村さんの二人だけだった。 ゲーセンの喧噪は時に、会話をする者にとっての仕切板にもなる。 花村さんは手にした炭酸飲料を一口飲むと、また一つため息をついて、言った。 「……君がいつか、その話にたどり着くかも知れない、とは思っていたよ」 「え?」 「『エトランゼ』……久住ちゃんは、随分君に気を許していたみたいだったからね……」 花村さんは正面を見つめ、微笑していた。 遠い目で見る視線の先は、過去を見ているのだろうか。 そして、その微笑みは、苦笑……いや、自嘲のようにも見える。 「懐かしいね、マリー」 「ええ……ルミナスにミスティ……神姫たちも」 花村さんの胸ポケットから応える者がいた。 金髪の神姫。朱とピンクにリペイントされたジルダリア型は、花村さんの神姫・ローズマリーである。 ローズマリーは、花村さんが所有するただ一人の神姫だ。 彼女もまた、ここ『ポーラスター』では最古参なので、事情には詳しいはずだ。 「教えてもらえますか、久住さんと桐島あおいのことを」 「……二人に何かあったのかい?」 「直接見たわけではないですが……二人は対決したようです。そして、久住さんが負けた」 そう言うと、花村さんは今まで見たこともないような、痛ましい顔を見せた。 「……そうか……結局、俺たちも、彼女に何もしてやれないままだったんだな……」 「……?」 「遠野くん……久住ちゃんを助けてあげられるとしたら……その可能性があるのは、もう君しかいないのかも知れない」 「それは……」 「……いや……君に責任を押しつけるとか、そういうのではないんだ。 ただ、君には知っておいてもらいたいし、知る権利がある。 『エトランゼ』に近しい神姫マスターとして……俺たちの仲間として」 随分大仰な物言いだな、と思ったが、こちらを向いた花村さんの目は真剣だった。 「では、話してください、二人のことを」 花村さんは俺の言葉に頷いた。 「今からもう三年近く前の話か……。 桐島ちゃん……桐島あおいという神姫マスターは、『七星』の一人だった。 久住ちゃんは桐島ちゃんの背中を追いかけて、ひたすら腕を磨いてた。 やがて、彼女は腕を上げ、『アイスドール』という二つ名で呼ばれるようになったんだ……」 ◆ 某日、某所。 「……もはや猶予はない」 「でも、わたしたちだけでは手が足りないわ」 「だが、どうする。協力者なぞ望むべくもない」 「……一人心当たりがあるわ」 「……あの娘か?」 「そうよ」 「わからぬ。なぜあんな取るに足らぬ娘に執着する?」 「わたしにとっては……特別なのよ」 「……まあいい。おぬしがいいというならば、反対する理由もない」 「それはよかった」 「引き込む算段はあるのだろうな?」 「それはもちろん。……あなたにも少し手伝ってもらわなくてはならないけど」 「……仕方があるまい。『あの方』がもうすぐいらっしゃるのだ。そのためならば、骨も折ろう」 「それじゃあ、まずは……」 「……」 二人の声は、闇の中に霞んで消える。 次へ> Topに戻る>
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初回ログイン 無料パーツプレゼントKONAMI IDを作成し、武装神姫(バトルロンド・ジオラマスタジオ問わず)に最初にログインした時点で以下のアイテムがプレゼントされます。 忍者型フブキ 一体 忍装備 一式 武器「忍刃鎌“散梅”」 腰装備「忍草摺“紫蘭”」 胸装備「忍装束“紫苑”」 急速バッテリー充電器 10個(使うとなくなってしまう消費アイテム) 武装パーツ試用チケット 3枚(使うとなくなってしまう消費アイテム) その他補足他の忍装備は アチーブメント を達成すると貰えます大手裏剣“白詰草”はアクセスコードを入力すると貰えますhttp //www.shinki-net.konami.jp/info/tgs2006rpt.html 公式ページhttp //www.shinki-net.konami.jp/battlerondo/start/campaign.html
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デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 覚えるパッシブスキル一覧 神姫固有武器補正 神姫考察 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー スティンガー(SOUND VOLTEX) 声優 茅野愛衣(武部沙織/ガールズ パンツァー、暁切歌/戦姫絶唱シンフォギアシリーズ、ダクネス/この素晴らしい世界に祝福を!、菓彩あまね@キュアフィナーレ&ジェントルー/デリシャスパーティプリキュア、他) 神姫解説 SOUND VOLTEXのメインナビゲートシステム。明るく清楚・天然な性格で性別問わず良好な関係を築くことができる。最新バージョンであるNEMSYS Core 6.0により、快適な動作性・優れた機能拡張性を実現している。さらに特殊武奏「EXCEED GEAR」を纏うことにより、そのスペックを最大限に活かすことが可能に。 名称:ナビゲーター型レイシス(なびげーたーがた・れいしす) メーカー 素体:不明(神姫カードのメーカー欄には「SOUND VOLTEX」の表記あり) 武装:(同上) 型番:SVD601(神姫ハウス画面で確認できる。ボルテ第6作の1人目、という意味か) フィギュア発売:存在しない(誕生日は1月18日。初代「SOUND VOLTEX」の稼動開始日でもある) 主な武装:VORPAL EFFECT(双斬撃武器) SV-RA オプティカルHG SV-RA リアクティブアーマー SV-RA ヘキサアーム SV-RA アサルトブーツ 本作稼動2周年が近付いた2022/12/08になって唐突に公式Twitter上にて実装告知された、KONAMIの音楽ゲーム「SOUND VOLTEX」からのゲストキャラ。 HPでの発表は、Twitter上でのそれから2週間近くも空いた12/21になってからだった。 純然たる武装神姫とのコラボキャラとしてはツガルやお嬢様型MMSナギに続く3例目ながら、既に武装神姫そのものを含めたコナミ内製MMS規格フィギュアが作られなくなって久しい本作の時代的背景もあって、唯一可動フィギュア版を持たないキャラクターとなる。 衣装およびボイスは6作目にして最新作「EXCEED GEAR」準拠。ちなみに過去には「pop'n music」にも客演している。 彼女の参戦を記念して、神姫ハウスのオプション画面にBGM「INDEPENDENT SKY」が自動的に追加され、更に彼女を獲得する事でBGM「VALKYRIE ASSAULT」「Resonant Gear」を獲得する事が出来る。 どういう経緯で神姫サイズの存在になっているのかについては、公式より事前に言及が一切なかったため不明だったが、結局「レイシス本人をモチーフに作られた神姫」である事が明らかになった(神姫関節はイラスト上では見えにくいが、CGモデルにはちゃんとある) もちろんコナミ内製のフィギュアとして彼女が作られた訳ではない(おそらく今後もないだろう)が、さしずめMMS2nd系のカテゴリーに該当するだろうか。 稼動2周年を経てなお未実装の神姫達が数多く残る中での彼女の唐突な実装は、本作においては例の「CCJへのコンバート騒ぎ」による大幅減台のさなかでもあり、そもそもお迎え機会を得にくい状況となるであろう事がほぼ確定と相俟って、驚きと共に「それより先に実装すべき神姫がいるだろう」「ボンガに実装じゃなかったのか」といった困惑の声も少なからず寄せられた。 公式もその事を認識していたか、実装直後には年末12/31までという(本作としてはそこそこな長さの)ピックアップ期間が設けられていた。 + ちなみに「ボンバーガール」では… ちなみに「ボンバーガール」では、稼動初期から同作とのコラボで彼女の登場が告知されてはいたのだが、2023年1月現在未だに実装されていない。 これについては、パステルや藤崎詩織といった過去作のキャラ(実装時にはまだバトコンが稼動していなかったツガルもここに該当する)や、過去作をモチーフにしたキャラ(「魂斗羅」「究極戦隊ダダンダーン」等がこれにあたる)ではなく、あくまでも現行最新タイトルのキャラであるため、スナック感覚で脱衣絵を出しにくかったものと考えられる。グリムアロエは…まぁ… 一応、ボディ武装の名称が「リアクティブアーマー」である事に名残がみられる。 性格 ひらがなとカタカナが入り交じる口調は本作でも健在。向上心が高く、随時アップデートを欠かさない働き者だがおっちょこちょいな一面もあり、その意外性に癒されるユーザーも多いとか。 そうした事もあってか、本作ではボルテを筆頭にコナミ製音ゲーの宣伝に余念がない一方で、自らのサイズや慣れないジェムバトルにも楽しんで順応していく姿を見る事が出来る。 前述通り「レイシス本人をモチーフにした神姫」と本人は言うが、元ネタ側のキャラ(「つまぶき」や「烈風刀」など)の存在を言及してたりする一方で、同ジャンルであるはずのBEMANIに言及しておきながら同作出身のツガルとの絡みが一切ない等、その言動は存外ブレている。 レイシス本人が仮想世界のプログラムのような存在としばしば示唆されているため、そういう形で神姫のボディに宿っているという事なのかもしれない。 ちなみに公式HPの台詞は、当初オールベルンのものと同じになっていたが修正されている。 単なるコピペ疑惑か、それとも持ち前のおっちょこちょいなのか。 セリフ一覧 + ナビゲーターだってやれば出来るんデス! ログイン時 通常(朝) おはようございマス!朝からあえて嬉しいデス。がんばりまショウね。 おはようございマス。今日も一緒に、張り切って参りまショウ! 通常(昼) こんにチハ!お昼ご飯は済みまシタか?しっかり栄養を取って、元気にバトルしまショウ! こんにチハ!今日もたくさんバトルしまショウ! 通常(夕) おかえりなさいマセ!準備はばっちりデス!いつでもお呼びくだサイ! こんにチハ!今日は何をしマスか?どこまでもお付き合いしマス! 通常(夜) おかえりなさいマセ!バトル、頑張ってマスね!ワタシも一緒に頑張りマスよ! こんばンハ!晩御飯の時間デスね!良ければ一緒に、ボルテ軒へ行きまセンか?(※)ボルテ軒…元ネタの舞台・コンソール=ネメシスに店舗を構えるラーメン屋 通常(深夜) おかえりなさいマセ!ちょうどワタシも、ナビゲーターのお仕事が落ち着いたところデス。 こんばんはデス!今日1日、いい事がありまシタか?良ければワタシに教えてくだサイね! 年始 あけまシテ、おめでとうございマス。今年も、『武装神姫』と『SOUND VOLTEX』を、よろしくお願いしマス♪ バレンタイン ハッピーバレンタインデス!レフト(※)に教わって、頑張って作って見まシタ。お口に合うと嬉しいデス。(※)レフト…元ネタにおけるレイシスの同僚、嬬武器烈風刀(つまぶき・れふと)のこと ホワイトデー 今日はホワイトデー、デスか?…はわ、私にも!?ありがとうございマス! エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 すっかり夏の空気デスねぇ~。熱中症などにお気をつけくだサイ! 水着キャンペ 七夕 ハロウィン はわぁ~~~!ハッピーハロウィンデス~!お菓子をくれないと、イタズラしちゃいマス! 冬季 はわぁ~…寒いデス。それでも、今日も会えて嬉しいデス。 クリスマス メリークリスマスデス♪プレゼントを用意したのデスが、受け取って…くれマスカ? 神姫の発売日 え?コレをワタシに?はわ〜嬉しいデス〜♪誕生日、覚えていてくれたんデスね!ありがとうございマス♪ オーナーの誕生日 お誕生日おめでとうございマス!ワタシも、自分の事のように嬉しいデス! 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (オーナー名)!呼び方を変更してみませんカ?ふふ、愛称で呼ぶと、仲良し度が上がった気がしマス♪ (→決定後) (オーナー名)デスね。確認いたしまシタ!これからもより一層、快適な生活をサポートいたしマス♪ レベルアップ後 MVP獲得 3連勝後 親密度Lv5後 そういえば(オーナー名)はワタシのコト詳しくご存知でショウか?ワタシは『SOUND VOLTEX』のナビゲートキャラクターをモチーフに設計された神姫なんデスよ♪ 親密度Lv10後 (オーナー名)は『SOUND VOLTEX』はご存知デスか?プレーしてくれていたらとても嬉しいデス…! 親密度Lv20後 はわわ…アナタ、ボルテをプレーしたことないのデスか?でしたら、ナビゲーターのワタシがご案内しマス!是非やりに行きまショウ!! 親密度Lv30後 はわわ、人がいっぱい並んでマス…!後ろに人がいるとプレーするのが恥ずかしい…デスか?でしたら、『おうちボルテ』はいかがデスか?おうちでゆっくりボルテができマス!勿論、ワタシがナビゲートしマスよ♪ 親密度Lv40後 では(オーナー名)。『SOUND VOLTEX』の遊び方を一緒にお勉強しまショウ♪ボルテは3つのアクションを駆使してプレーしマス… 親密度Lv50後 良い感じデス!はわ~、とってもお上手デス!この調子でいろんな曲にチャレンジしまショウ♪ 親密度Lv60後 さすが(オーナー名)、どんどんスキルレベルが上がっていきマス…!はわ、ついボルテに夢中になってしまいまシタ、ジェムバトルも疎かにはできまセン!こちらもワタシがナビゲートいたしマス、一緒に頑張りまショウ♪ 親密度Lv70後 はわぁ~…また負けてしまいまシタ…。全然勝てまセン…。どうすれば勝てるのかわからなくなってしまいそうデス…。 親密度Lv80後 (オーナー名)?ふむふむ、『SOUND VOLTEX』での経験を活かす…デスか?なるほど、わかりまシタ!ボルテのことなら誰にも負けまセン!… はわ…どう活かせば良いのでショウ…??? 親密度Lv90後 はわわ~!やりまシタ!連勝デス!!とっても嬉しいデス♪(オーナー名)の仰った通り、ボルテのような疾走感で勝利することが出来まシタ♪ 親密度Lv100後 はわ~(オーナー名)のおかげでジェムバトルに勝てるようになりまシタ!ふふふ、ここでは(オーナー名)がワタシのナビゲーターですネ!これからも末永く、宜しくお願いしマス…♪ 頭タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) はわ…(オーナー名)は撫でるのがお上手デス。いえ、(オーナー名)だから気持ちいいんデスね…たくさん撫でてくだサイ、(オーナー名)…♪ 胸タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) はわわ!本当は触っちゃいけないところデスよ!…本当は!ダメなんデス! 尻タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) はわわ!もうッ!いくら言っても聞いてくれないんデスね!ほ、他の神姫には絶対にしちゃダメですヨ! 通常会話 はわわ!このサイズなら巨大プリンにダイブできマス…! はわわ!バトルは怖いデスけど…ボルテの疾走感とは違って、走りまわる疾走感も素敵デス♪ (オーナー名)は音ゲーはお好きデスか?BEMANIシリーズはおうちでもプレーできるゲームが多いんデス! つまぶきはツマミの精なんデスよ♪ (オーナー名)はボルテの事どう思いマスか?(オーナー名)にもボルテの疾走感を体感して欲しいデス♪ 好きなコトデスか?もちろん、『SOUND VOLTEX』デス♪(オーナー名)も一緒にやりまショウ~! クリスマス限定 メリークリスマスデス♪プレゼント、ワタシも貰えるでしょうカ…?はわわ…!いい子だから大丈夫?嬉しいデス♪ 年始限定 新年あけまシテ!おめでとうございマス~♪今年もよろしくお願いしマスね♪はわ…!初詣デスか!?モチロン行きマス~!! 武装カスタム 戦闘力Up時 戦闘力Down時 武器LvUP時 素体カスタム 親密度LvUp時 限界突破時 出撃時 キャラ入れ替え バトル開始時 → バトル中 撃破時 コンテナ入手時 被弾時 オーバーヒート時 スキル発動時 (能力強化系) (HP回復系) (デバフ系) (攻撃スキル) (チャーミークリアボイス) 被撃破時 次出撃時 サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 → 2位 → 3位 → 4位 → カラフルコンダクト 快適なプレーをサポートしマス コンテナ獲得時 1位 2位以下 レイド終了時 成功 失敗 LvUP時 神姫親密度 マスターレベル 神姫ショップお迎え時 はじめまして!あなたを全力でサポートいたしマス! ゲームオーバー時 その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 はわ?リセット、デスか? はい を押す はぁ…至らなくて、ごめんなサイ。 はい を押す(二回目) 悲しいけど、考えが変わらないなら仕方ないデスね。今までありがとうございまシタ。さようなら。 リセット完了 初めまシテ、レイシスデス。これからよろしくお願いしマス。 リセット取消 はわ~!やっぱりまだ一緒にいたいデス!もうそんな事言わないでくだサイね? 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・アナタ・お兄サン 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - マスクステータス 1/s ジェム回収展開速度 ブースト回復量 ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 N 1500 150 960 85 70 20 90 R 1050 105 90 40 110 SR 1140 125 110 60 130 UR 1230 145 130 80 150 覚えるパッシブスキル一覧 ナビゲートしマス!【レイシス専用】応援中に一定の確率で瀕死になった神姫の攻撃を当たりやすくする(射程延長、攻撃スピードアップ) スキル名説明 早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる ブースト最大値アップ[小]ブーストゲージの最大値を上げる よろけ軽減[小]よろけの行動不能時間が短くなる ため時間減少[小]ため時間を減少する ブーストアップ[小]ブースト時の移動スピードアップ 防御力アップ[小] *要限界突破(L110)防御力を上げる 攻撃力アップ[中] *要限界突破(L120)攻撃力を上げる 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル ダッシュブースト消費量減少[小]ダッシュする際のブースト消費を減少する 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる ブースト最大値アップ[小]ブーストゲージの最大値を上げる ため威力増加[小]ため攻撃の威力を上げる 体力最大値アップ[小] *要限界突破(L110)体力の最大値を上げる スピードアップ[中] *要限界突破(L120)移動する際のスピードアップ 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル ため威力増加[小]ため攻撃の威力を上げる ブースト最大値アップ[小]ブーストゲージの最大値を上げる 攻撃スピードアップ[小]攻撃時のスピードが上がる スピードアップ[小]移動する際のスピードアップ 全能力アップ[小]全ステータスがアップする クリティカル発生アップ[中] *要限界突破(L110)クリティカルが出る確率が上がる ブースト最大値アップ[中] *要限界突破(L120)ブーストゲージの最大値を上げる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +40% 回復・補助・防具用武器 +30% 片手斬撃武器・双斬撃武器・双頭刃斬撃・双ライトガン 苦手武器 -30% 格闘打撃武器・両手打撃武器・肩持ちヘビーガン・腰持ちヘビーガン・下手持ちへビーガン 神姫考察 攻撃力 防御力 攻撃時に僅かなジェム自動回収の特性が付いている為かジェム防御及び近距離耐性と遠距離耐性がかなり低く設定されていた為、 ジェムを多く落とす上に打たれ弱いという性能であったが2023年7月12日のアップデートにより上方修正が行われた。 遠近両耐性については有志検証によると以前の10倍に跳ね上がったと言われている。 機動力 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 2022/12/22~から神姫ショップに登場 アップデート履歴 日時:2023.7.10 内容:ジェム攻撃力、ジェム防御力、近接耐性、射撃耐性を上方修正 コメント 誕生日は元のゲームの設定の1月18日にされているっぽい。 -- 名無しさん (2023-01-14 21 02 48) 名前 コメント
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第一話:仮装姫 俺の学生としての朝は早い。授業がだいたい、一限目からあるのもそうだが、蒼貴、紫貴のメンテもしなければならないからだ。不本意ではあるが、杉原からそれに関する知識を学んで、それから日課にしている。工業大学所属の俺としては精密機械をいじれるのは授業の助けになっており、非常にプラスに働いている。二人を整備できて成績アップになるのだから苦にはならない。 蒼貴と紫貴とああだこうだ雑談しながらそれを終えたら、大学に行くべく、スマートフォンやら財布やらの常備品や道具を詰めた通学用のカバンを持って、二人に見送られながら部屋を出る。ここからは大学生 尾上辰巳として活動するのだ。 家の外へと出たら、大学へと向かう。通学には電車を使っている。その気になれば時間はかかるものの、自転車でも通えるのだが、電車の方が帰りの飲み会などの時に都合がいいからだ。 「今週の週刊バトルロンドを見たか?」 「ああ。また双姫主の尊がランカーをぶっ倒したらしいぜ? これだけの事をやっていて何で素性を隠すんだろうな?」 「さぁ……? 闇バトルをぶっ潰したこともあるとか、バーグラーに結構、因縁つけられているとか黒い噂もあるからじゃね?」 「ほんと、すげぇよな。憧れるぜ……」 大学へ行くための電車の中で何やら中二病でも患ってそうな残念な二人組が俺の噂をしている。誠に申し訳ないが、実際には学生生活でそれがバレると人間関係上、非常に好ましくない事になるからだし、ランカーとかバーグラーに関しては倒す必要のあったり、止むを得なかったりする相手がたまたまそうだっただけだ。十中八九、お前らのヒーロー像を台無しにするだろう。 内心、軽い謝罪やら、憧れの否定やらが混ぜこぜになった気持ちでそいつらをスルーして大学のある駅を降りる。駅を降りて、徒歩十分の所に俺の大学がある。少しは名の知れた工業大学で中堅に位置するまぁまぁな大学だ。ちなみに男性八割、女性二割のむさ苦しい環境にある。工業大学にはよくある事である。 そうそう、『尾上辰巳』と『尊』の時は髪型のセットを変えたり、伊達眼鏡の有無でかなりの差をつけている。俺を知るヤツでもない限りはバレる事はない。 十分間、通学路を歩いていく。今回も例によって気づかれる事なく、通り過ぎることができた。 「尾上~。授業行こうぜ~」 振り向くとチャラ男のテンプレの様なファッションの男がいた。 樺符 守。それが彼の名前だ。高校時代からの友人で大学でもよく同じ授業を取るため、大学に行くと高い確率で会える奴だ。 「ああ。確か、今日の一限は埴場先生の心理学だったな」 「メンドくせぇんだよな。あの先生の神姫の心理とかの話はよ。神姫なんてキモいだけじゃん。オタクの最新アイテムってだけだしさ」 「そう言うな。授業に出れば単位はもらえる」 「ははっ。それもそうだ。今日も寝てそうだぜ」 この様に神姫はオタクのフィギュアと同列と認識している。神姫には心はあるが、彼の場合は実際の女性と遊ぶことの方が遥かに楽しいし、神姫など所詮はロボットだし、フィギュアの延長線としか思っていない。それが真っ当だと思っているのである。 勘違いしないでほしいが、俺は神姫マスターになっても彼を嫌ってはいない。普段の守は根は優しいし、面倒見はいい。サッカー部ではエースストライカーを任されるほど、しっかり努力をしている。普通の人間としては恰好を除けば極めてまともなのだ。そして、彼の神姫への認識は別に大衆的な観点から言えば、間違っていないのだ。 神姫は確かにオタクが多くもっており、アレな衣装を着せて好き勝手やっている様は野郎がお人形遊びしている様にしか見えないという偏見は少なからずある。そもそも俺もその一人だったのは蒼貴と出会ったばかりの時の通りだ。 彼女と出会う前は工業大学で剣道をしながら、守を初めとする友人達と遊ぶ神姫とは無縁の生活をしていたのである。 「そういや最近、お前は忙しいのか? いや、誘っても頻繁には来なくなったからよ」 「バイトが忙しくなったのと、友達が増えてスケジュールが埋まるからだな。お前も結構、増えたんじゃないか? もう俺達も大学二年の後半だ」 「確かにそうだな。すまねぇな」 「気にするな。プライベートは人それぞれさ」 蒼貴と会ってからは、こうして嘘もついている。大学生活と神姫生活の二重生活のためにな。 後は守と適当な雑談をしながら、教室へと入って席に付く。周りを見てみると神姫たちが見え隠れしているのがわかった。 デブがマリーセレス型と戯れていたり、生きていられるのかと不安になるほどガリガリでビン底の様な度の凄そうな眼鏡をかけた奴は他の人達に目もくれずにラプティアス型とボソボソと話をしていた。 「うっへぇ。相も変わらずってもんだなぁ……」 彼らは極端な例だが、こうした光景を見ると守が気味悪がるのもわからないでもない。こういう光景が珍しくないのが現状の神姫のイメージと思われても仕方のない事のなのかもしれない。城ヶ崎玲子や藤堂亮輔の様な金持ち美人や若い妻帯者が神姫をやっているというのが少しでも見られれば少しは守のイメージは変わるかもしれないが、この場でそういった類の事は……あまり期待できない。 何も返事をすることのできない俺はその言葉を無視して、筆箱やら、ノートを自分の前に出して準備をする。 「お前は本当に真面目だよな。この授業ってテストあるけど、受けていなくても取れるって先輩の話だろ?」 「だからといってやらないのもな。ものは考えようで楽しめるさ」 呆れ半分、感心半分な口調で俺のその行動を守は授業の事を言ってきた。その返事は表側はそう答えたが、本当は埴場先生の神姫を交えた心理学の授業はなかなか興味の持てる内容であり、蒼貴と紫貴に出会って以降、後期の授業で取ろうと決めていたのだ。 「変わってるなぁ。まぁ、いいや。俺は寝るぜ……」 「また、夜遅くまで起きていたのか。よくやるなぁ」 「大学の奴とSkipeでダベっていたら結構な時間になってな……」 「そうか。まぁ、ゆっくり休んどけ」 「おう……」 適当に納得した守はSkipeで寝なかった時間分を補うためにすぐに机に突っ伏して眠りに入った。俺は彼をそっとしておく事として、授業の開始するまでスマートフォンを使った情報収集をする。イリーガルマインド関連の噂、有名なオーナーの噂と色々と調べ物をする。 十分後、教壇に埴場玲太先生が自分の神姫であるクラリスと呼んでいるアルトアイネスと一緒に立った。 「やあ。こんにちは。これから授業を始めるよ。最近、イリーガルマインドの偽物が出回っているらしいから気を付けてね。そういう違法パーツに惹かれる心理というのはだね……」 「教授。必要な事は伝えたんだから授業」 「そうだね。では始めよう」 埴場先生は心理学的な興味から神姫を始めた人で、そこからはまり過ぎてFバトルと呼ばれるライドオンシステム形式のバトルロンドの大会において、F0クラスで上位ランカーになったことがある程の実力を持つほどになったらしい。 ただ、××××という青年がF0にやって来ると、彼は二十位からあっさり先生のランクまでたどり着き、すぐに先生を超えて、一位をかっさらってしまったとの事だ。 ××××は違法DLアプリ事件と謎の連続爆発事件を解決し、長きに渡り、F1チャンピオンだった竹姫葉月をも超えたトップランカーだ。最強の名を欲しいままにする彼はいったいどうしているかはその事件以降はわからない。だが、「お人よし」だの「どんな神姫も認めるマスター」だの様々な言葉で多くの人に認められている彼の事だ。決して迷うことなく、正しいと思う道を行くだろう。 「……この様に相手の都合の悪い秘密を知ってしまうと、ギャップが生じてしまうんだ。簡単に言えばイメージが崩れたとか、こんなのは彼なんかじゃないとかそんな感じだね。あいどるなんかの知らない一面を見たときなんかにそれを感じたことはないかな? 他の人の神姫なんかでもいいかもしれないね」 今回は秘密、隠し事による気持ちの変化の授業であるらしい。皮肉にもそれは俺は大きく該当することになる。もし、守に自分が神姫を持っていることがバレれば、神姫を、そのマスターのイメージを嫌悪している彼はイメージとは違う俺を見て、拒否するかもしれない。 そうなれば、これまでの友情が壊れてしまうだろう。それどころか、噂が広まって大学での自分を見る目を皆は変えてしまうかもしれない。だからこそ、俺は神姫を持っていることを隠し通している。これまでの自分の繋がりを失わないために、な。 全く、何が『双姫主の尊』か。あるのは対戦で勝った事実だけで、大衆のイメージには無力だ。 「それを利用して悪さをする人もいる。脅迫ってヤツだね。そういうのは一度、応じてしまうとそうした人達はもっともっととやるのは映画なんかでもよくあるシチュエーションだ。チョコレートをあげたら今度はケーキをって具合にね」 問題はこういう所だ。必要に応じて選択していく必要があるだろう。当然、金銭やら物品を要求してくるならほっとくか、状況に応じてこちらもバラせない状況を作る。単純なバラす事だけをしたいというなら何かしらの勝負をして黙らせるだけで十分だろう。 もっとも、そういう事が無い様にわざわざ変装をしているのだからそんな状況に陥らないのが一番なのだが。 「さて、これで授業を終わりにしよう。来週は先週言った中間レポート提出があるから忘れないように頼むよ」 クラリスにたしなめられながらの埴場先生の授業が進むと、チャイムが鳴った。そうするとキリの良い所で埴場先生は授業を終わらせ、来週の連絡事項を伝えると教室から出て行く。 「ん……。辰巳、授業は?」 それと同時に周りの人達が雑談を始め、その多くの声で守が目を覚ました。 「もう終わった。来週はレポートらしいから忘れるなよ」 「先週の連絡のか……。わかった……。あ~、ねみぃ……」 「……俺は次の授業に行く。お前も遅刻しない様にな」 「結構、遠いとこの教室だったな。お互い、頑張ろうぜ」 「ああ。またな」 簡単に連絡事項を伝えると、お互い違う授業であるため、俺は守と別れて次の授業へと急ぐことにした。 次の授業はC言語のプログラミングだった。その辺りは蒼貴や紫貴のシステムチェックで覚えた知識が活かせるのでさほど、苦戦する授業ではなかった。 俺は授業以上の事はしなかったが、その手の変態の物となると神姫のオリジナルスキルプログラムを作ったり、他のロボットプログラムを作ったりと多種多様な専門的な話が行き交っていた。 武装神姫を初めとするロボット分野のシステムの幅の広さには内心、驚くものがある。オタクがなんだろうが、こうしてとんでもない技術をもっているのなら、問題はないはずなのだが、彼らは趣味がアレな方向に突っ走っている。そのため、他の人からはちょっと変な目で見られがちだ。バカと天才は紙一重とでもいうのだろうか。 授業が終わると昼休みに入る。俺は食堂で食事を取っていると、神姫関連の噂が飛び交っているのを耳にすることができた。それは狂乱の聖女やイリーガルマインドという実際にあった事例のある噂から、『異邦人(エトランゼ)』や『大魔法少女』といった通り名持ちの有名なオーナーの話まで非常に種類が豊富だ。 神姫オーナーになってみると毎日の様に聞ける訳の分からない単語も理解できるようになってきている。それだけ自分も武装神姫を知ることができているという事か。 食事が終わった後は後半の制作実習を神姫のメンテ技術を活かしてこなす。かなり基礎的なものであり、いつものメンテに比べれば楽な授業だった。 最後は部活だ。剣道部に所属をしていて、子供の頃から祖父の教育で様々な武術を習わされた経験の積み重ねから二年で指導する立場にあった。 「身体全体を使え。身を固くせず、柔らかく、円を描くようにだ」 俺は指導をしながら、後輩の連続攻撃を避ける、いなすと攻撃を見切った上での防御をしてみせる。 「そしてそれを闇雲にやるんじゃない。必中の気持ちでやれ」 後輩の攻撃は直線的であり、あまりフェイントもしてこないため、読みやすい。これでは勝てる試合も勝てない。 「わ、わかりました!」 今度は俺の隙を見計らうつもりか、闇雲に攻撃してこなくなった。いい傾向だ。 しばらく、狙いを定めるかの様に俺をにらみつけた後、面を仕掛けてきた。いい攻撃ではあるが……。 「胴! ……っと」 大振りのそれを素早い胴で切り抜け、一本を取ってみせる。一歩遅れて後輩の面も放たれたが、既に俺のいない場所の空を裂くだけだった。 「良い攻撃だったが、大振りだ。もう少し素振りをして、無駄なく触れるようにするといいだろう」 「はい!」 後輩のアドバイスをすると、彼は自分からそれを実践し始めた。これでこの後輩への指導のキリはいいと考え、別の後輩を捕まえるべく動こうとすると何やら二、三人が固まって議論しているのをみつけた。 「それにしても尾上先輩が神姫に指導をしたらどうなるかなぁ?」 「何かその神姫は化け物になりそうだよね。先輩、教え方上手いし、戦略ゲームを携帯ゲーム機でやってるのを見たことがあったけど、簡単にクリアしてたし」 「戦い方も超厳しいお爺ちゃんから、子供の頃から様々な武術を叩き込まれてて、わかっちゃってるからなぁ。マスターのスペックがそのまま、神姫に反映されたらすさまじいだろうさ」 「ああ。だから、この部活に多く来ているわけじゃないのに、あんなにすごく強いんだなぁ」 半ば本気、半ば冗談で俺が神姫に技を教えたらどうなるかが議題ならしい。 実際に持ったまでは現実になっているが、化け物にはなっているとは到底思えんのだがね。それに神姫で必要なのはパートナーとなる神姫との連携だ。それを幾千幾万通りと考えられる発想力があれば、特に武術やら才能やらがなくても、努力次第で違ってくるはずだ。どっかの雑誌じゃ、努力と友情と勝利という三つのキーワードを掲げているが、割とそんなものなのではないだろうか。 「おい。何話してんだ? 今は稽古中だぞ?」 「あっ!? すいません!!」 「先輩って神姫は知ってますか?」 「……周りで聞く程度にはな」 「それに先輩が戦い方を教えたらすごくなるんじゃないかって話していたんです。先輩、神姫をやってみませんか?」 「すまんが……時間がないから難しいだろうな。それより、稽古だ。ここで話をしている暇があるなら練習するぞ」 せっかくの誘いだが、俺は隠し、断る。それを了承することはない。尊の時もそうだ。こいつらでは尊が俺だと察してしまう。心苦しくはあるが、隠し通すしかなかった。 話題を稽古に無理やり切り替え、後輩達の指導をつづける事、一時間前後。剣道部の稽古が終わり、俺は帰路に付いた。 今日は一旦、家に帰って、蒼貴と紫貴を連れて、真那のバトルロンドの練習に付き合う事になっていた。少々早めに帰る必要があるだろう。あいつは遅れると色々とうるさい。 「ねぇ」 そんな中だった。駅に着く前に突然、肩を叩いて呼び止められる。その声の方を向くと女性がいた。彼女は……確か、弓道の竹櫛鉄子さんだった。 「何だ?」 「君が双姫主の尊君?」 「尊? 誰だか知らんが、人違いだ」 ポーカーフェイスな返事とは裏腹に竹櫛さんの言葉に俺は内心、驚愕した。変装をどうやって見破ったというのだろうか。 「そうなん? 君、『あのイベント』におったでしょ?」 「いや、いなかった」 「ああ、まどろっこしい奴だな。鉄子ちゃんよぉ。写メ見せてやんなよ」 突然、カバンからキツネ耳が特徴的な確か……レラカムイ型の神姫が出てきた。そいつは確か、コタマと遠野のイベントでは呼ばれていたのを聞いたことがある。 そして、彼女に促され、鉄子が携帯の画像を俺に見せてきた。 ……そこには俺がVRマシンで対戦をしている様子が写されていた。 動かぬ証拠だった。確かにこれだけしっかり撮れていれば、こうして偶然見つけたらわかってしまうだろう。ここまでの物を撮られているとは予想していなかった。いや、気づかれないと高をくくっていた自分の油断だったのかもしれない。 いずれにせよ。これ以上は言い逃れはできそうになかった。 「……場所を変えようか」 これ以上の正体バレを防ぐため、俺は彼女を別の場所……通学路から大きく外れた喫茶店へと誘う事にした。 それに対してコタマは少々不服そうだったが、二人は了承し、俺に付いて来てくれた。現状はこれでこの二人だけが知っていることになると考えられる。その後はこいつらとどう話を付けるかだ。 これは……面倒なことになった。 トップへ 次へ
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第7幕「意思の同調状態」 TEPY SAMURAIのボディーを使用してはいるが、コアパーツにはTEPY DOGの物を取り付けている。ならばTEPYで呼称するのであればその神姫はハウリンであろう。 例えその殆どを紅緒のもので武装したとしても、やはり顔がハウリンならばそう呼ぶのが妥当ではないか。 大本がどうであれ、判別する為の材料としてまずコアパーツを見るのであれば、いくらその個体の大部分がTEPY SAMURAI 紅緒だとしてもそれは紅緒になりえない。 結城セツナの所有する武装神姫、焔はそういう位置に立つ神姫である。 そのバトロイは、圧倒的で劇的な、そんな結果を伴って終了に向かっていた。 戦いには相性というものが少なからず存在する。簡単に言ってしまえばジャンケンの様なもの。 グーはチョキに勝てるが、パーには勝てない。 実際はそこまで単純な話ではないのだが、それでも相性というものは戦いにおいて重要だ。 そしてそれは何も相対する敵との相性に限った事ではない。 個体間に差異の大きい武装神姫であるなら、組む相手との相性もまた重要である。 ティキと焔の相性は、元々一つであった何かが再び出会ったのかと言う位良好であった。 M・D・U『シルヴェストル』を装備したティキの姿を見たときは、さすがにセツナも焔も驚いた。 今までのティキとは明らかに違うそのシルエットは、その変化に見合うだけの力を持っていることが窺い知れる。 決して洗練されてはいないのだが、そこには様式美ではない美しさが見て取れた。 一方焔は相変わらずオフィシャルな武装を組み合わせた姿である。それでも今までの装備とは違っていた。 外套を外し、黒き翼、悪魔の翼を装備する事をやめ、ツガルの背部ユニット、レインディアアームドユニット・タイプγに差し替えてあった。起動性能が落ちた分は、鎧の各所にスラスターを増設して補っている。 まるで武者なんとかみたいな有様ではあるが、そこにはある種の洗練されたまとまりが感じられた。 「索敵と援護射撃は任せて欲しいのですよぉ♪」 ゲーム開始直後、焔に自信満々でそう言ったティキは、その言葉を証明して有り余るほどの働きを見せる。 高速で移動し、位置をそのつど変えながらも的確に攻撃。その間にも次の敵を正確に察知する。 その援護を受けながら、焔は自身の得物、斬破刀“多々良”を振るい効率よく敵を殲滅していった。 焔もセツナも、正直二人の成長に驚いていた。もちろん焔は自身の中にある海神の残したデータと比べて、ではあるが。 わずか二月の間に性能任せの力押しはなりを潜め、的確な状況判断の下に行動する姿がそこにはある。 それでも武装は多分に趣味的ではあるのだが。 目の前の敵は、ティキの援護の甲斐もあってか一刀の下に両断された。 焔は初めて実感として経験するティキとの協力プレイに、今まで神姫相手に感じた事の無い頼もしさを得る。 「?」 神姫相手に始めて感じる感情。でもその感情そのものは、決して初めてのものではない。 それに思い至り、焔はしばし動きを止める。 「うに? 焔ちゃんどうかしたのですかぁ?」 不意に動きを止めたパートナーにティキは声をかける。 「あ、あぁ。大丈夫……」 ごく普通の、相手を気遣った当然過ぎるやり取り。 当たり前の反応で、当たり前すぎる行動。 お互いに信頼しあう間柄で交わされる、他愛も無いもの。 だけど だけど……? 『結城さん』 セツナにのみ届けられる雪那の声。インカムを通した、極めてパーソナルな通信。焔にも、ティキにもその声は届いていない。 「……何?」 ゲームが終了した訳でもなく、実際にまだお互いの神姫は他の敵と戦っているが、この調子ならしばらく指示を出す必要もなさそうだった。 実は雪那は最初からこのタイミングを狙っていた。焔やティキに話を聞かれない時機を窺っていたのだ。 『いや、僕で結城さんの力になれるのかな、って』 あまり頼りになりそうには聞こえない、弱気な口調。 セツナは少しだけ逡巡する。 そして少しだけの決意をこめて、言葉を紡ぐ。 「うん、ありがとう。……唐突なんだけど、実はもう海神はいないの」 『…………』 インカムの向こうで、息を呑む音。 「それで、新しく焔を起動したんだけど、私あの娘にどう接して良いのかわからなくて、ね」 『……うん』 「別に、海神の代わりにあの娘を起動させた訳じゃないわ。言い訳に聞こえるかもしれないけど」 わだかまっていた感情が、決壊しそうになるのを感じる。 頭の隅にいる冷静な自分が「無様」と言っている。けど、感情が迸るのを止められない。 「ねえ、私があの娘を好きな様には、あの娘は感じてくれないのかな?」 普段とは違う、少し幼い口調。 「私、焔に嫌われてるのかな?」 声に湿り気が混じる。 常識は「神姫がオーナーを嫌う事はありえない」と告げる。が、焔はあの海神のCSCをそのまま使っているのだ。ならば焔が「オーナーに対して好意的な関係を望む」とは限らない。 海神とは、そういう存在だった。 だから だから……? だけど自分はご主人にその当たり前をしていたのか? だから自分は焔を常に信じ切れなかったのか? ただ決め付けて ただ望みすぎて 本当の意味で、自分の事だけしか思いやれずに 私は ワタシは 『きっと色々思い出して、考えたらそんな事無いってわかるはずですよ』 インカムを通して聞こえる優しい声。 『嫌っている相手のために何かを頑張るなんて事は、人間だって神姫だって出来っこないんですよ? だったら、焔も結城さんも、お互い好き合っているに決まってます!』 そうだ。焔が何で海神のデータを欲しがったのか。 それは焔自身の為ではなかったのだと、セツナはようやく思い至った。 きっとそれは私の為。 「あ……」 「? やっぱりどこか怪我でもしたですかぁ!?」 ようやく焔は思い至る。 「違う。そうじゃない」 ワタシに海神のデータを入れることになんであれだけ躊躇したのか。 それは焔が海神では無いから。焔は焔でしかない。焔にしかなれない。 だからセツナが見せたあの躊躇は、海神の為ではなかった。 それはきっと焔の為。 「本当に、嫌われて無いかな?」 答えは見つかったのに、わざと甘えるように聞く。 自分以外の誰かに、口にして欲しくて。 『当たり前です。こういう言い方は失礼なんですけど、二人とも相手を気遣いすぎなんですよ。……不器用すぎです』 雪那は笑う。 その笑い声も耳に心地よい。 『だから結城さんはいつかのゲームのときに海神に見せた、あの誇らしげな顔で焔を迎えるだけで良いんです』 私はその時どんな顔を彼に見せていたのだろう。 初めて雪那と出会った時の事を思い出しても、うまく思い返すことは出来ない。 『海神の事、信頼していたんでしょ? そして焔の事も信じたいんでしょ? なら考えすぎないで、感じたままに接すれば良いんですよ』 言われて初めて自覚する。 私は海神をパートナーとして信頼を寄せていたんだ…… セツナの目には一筋の涙。 焔、ごめんなさい。私は海神をちゃんと大切に思っていた。 次いでもう一方の目からも涙が零れる。 そして焔。私、貴女の事も負けないくらいに大切に思ってる。 友人として新たな関係を築かねばと、そこに囚われすぎていた。本当はそんな事を深く考える必要など無かった。 「いきなりで申し訳ないが、ティキ。ワタシは焔以外の誰かになれるだろうか?」 振り返り、焔は真っ直ぐティキの目を見る。 「? 焔ちゃんは焔ちゃんなのですよぉ? 焔ちゃん以外の誰かになんて、なっても意味が無いのですよぉ~♪」 意味が解らないながらも、ティキははっきりと答える。 「ティキはそう思うのですよぉ♪ それに……」 ティキは少しだけ間を開ける。 「海神ちゃんも、そう言ってたのですぅ☆」 焔の内に海神の『記録』はあっても『記憶』は存在しない。だから、その『記憶』は焔の中には存在しない。 だが だが、海神がそう言ったのであれば、それはセツナの意思と同じなので、それは焔の中にも受け継がれているのではないのか。 思い至り、そして焔は思い出す。 『正式名称の方はただの飾りだから』 その言葉は一番初めにセツナが言った言葉。 それは何よりも焔が海神とは違う存在だと宣言していた。 セツナが焔に望む事。それは焔が焔でいるという事だった。 「は……ははは。ワタシはただの飾りに振り回されていたのか」 到ってみればその答えはあまりにも単純で。 ゲームの最中だと言うのに焔は声を上げて笑った。 最初から、セツナと焔はお互いを思いやり、大切に思っていた。 そして、だから、どうしても、どうしようもなく、すれ違ってしまった。 絆は初めから判りやすい位に堂々と存在していたのに。 「『ありがとう』」 セツナは雪那に 焔はティキに その同じ刹那に同じ言葉を送る。 雪那は照れたように笑い ティキは満面の笑みを浮かべて 『『まだゲームは終わって無いですよ』ぉ♪』 「そうね」 『その通りだ』 そう、まだゲームは終わっていない。 『敵機確認したですよぉ~♪』 そういうなりティキは再び空へと舞い上がる。 そのティキを確認することなく、焔は迎撃体勢に移った。 セツナと焔はやっとスタートラインに立つ。ゲームは、これから。 トップ / 戻る / 続く
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少しづつ暖かい風が吹き始め、街路樹も少しづつ別の色を枝先に宿し始めている。 「次はあかばね~。次はあかばね~。・・・・・・next station is akabane」 次の到着駅を伝えるアナウンスが車内に流れる。電車はあと20分そこそこで目的地に到着する。 外は見る限り無機質なビル群ばかり。そんな電車で一人の青年が座り目的地への到着を待っている。 テレビ番組の気象情報では気象予報士が花粉飛散情報をバックに「今年の花粉の飛散量は平年並みと予想されます。」と が毎年恒例の花粉情報を流している。そんな春先にはよくあるような光景。 (河野家にて) 「あわわわわわ・・・・早くしないと早くしないと。」 あわてた様子でアーンヴァルmk.2型神姫アテナがテーブル上でそれぞれの場所にフォークを運んでいる。 「少しは落ち着きなさいアテナ。メールと手紙にも書いてあったでしょう。電車の到着まではまた余裕はあるのよ。」 「そのとおりだ。あんまりあわててまた取り返しのつかない失敗するようでは、マスターが用意したせっかくの料理を台無しにすることになるぞ。」 フォークを運んでいたフブキ型の神姫与一とスプーンを運んでいたストラーフmk.2型神姫キュベレーがそろってアテナと呼ばれた神姫をさとす。 アテナは依然同じような状況でつまづき顔面直撃を避けようと目の前に出てきた皿を体重をかけて両手で押してしまい、てこの原理で皿の中身をまいてしまったことがあるのだ。 すると、さっきまで駆け回っていたアテナはとたんに蝋燭のようにびたっと止まり、ネジのきれそうな人形のようにぎこちなく動き出す。 「まったくアテナは全然成長していない。このぐらいのこともいまだに満足にできないようでは、義弘様はなんというか。」 「キュベレーも、いちいちアテナに突っかかるのはやめなさい。」 「与一姉(ねぇ)。私はアテナと違い受け持ちは終わっている。」 「終わったのなら、私と一緒にアテナを手伝うのよ。」 皮肉ばかりのキュベレーを与一は引きずるように連れて行く。 キュベレーのアテナいじりは今に始まったことではないが、マスターが変わってからというもの、そのやり方が少しきつくなってきているような気がする。 誇り高きストラーフ型ゆえのことなのか。今はアテナは自分のことに集中しているからいいが、いつもはけんかに発展している。今の与一の悩みの種だった。 配置がようやく終わって、しばらくあと、台所からサンドイッチ満載の大皿を両手にもった青年河野隆明がエプロン姿で現れる。 「3人ともお疲れ様。」 最初は全部自分で用意するつもりでいたが、「できることだけでも。」と3人に半ば拝み倒されるような形で、卓上のセッティングを手伝ってもらったのだ。 「いいえ、これ位のこと。ほとんどのことをマスターにやっていただいて。」 「はい。アテナ頑張りました。」 「あたし達のかかればこれぐらい簡単なことだ。」 「うん。ありがとう。」 三者三様の返事に隆明も笑顔とともに礼をで返す。 「時間的にそろそろだと思うんだけど。」 壁掛けの時計を見ながら隆明は時間を確認する。今日の主賓は時間に正確に行動する人物であることを隆明は子どものころから知っている。 「ピンポーン」 はかったかのようにインターホンが鳴り、住居内に来客があったことを伝える。 「噂をすればだ。はーい。」 一人と三体が玄関を開けたその先には。 「わりぃ。遅くなっちまった。」 「ごめんですぅ~。」 ガクッと全員が崩れる。そこにいたのはマオチャオ型の神姫たま子を肩に乗せた大柄な青年。大木戸甚平だった。 「なんだ甚平かぁ」 「何だとは何だ。準備には確かに遅れはしたが、折角主賓と来たというのに。」 「そうですぅ。そこでばったりあっちゃったんです~。」 そう言って。半分に明けれれ多ドアを全開にしたそこに立っていたのは。 「ただいま。隆明。少し背が伸びたかな。」 「そして与一、アテナ、キュベレー、久しぶりだ。その様子だとみんな元気そうでよかった。」 スーツ姿に身を包んだ青年。加藤義弘がたっていた。 少し恥ずかしそうに隆明は鼻をかきながら 「そうかな。とにかくお帰りなさい。」 「義弘様こそお元気な様子で何よりです。」 「おかえりなさい。義弘様♪」 「久方ぶりです。義弘様。」 3人の神姫たちは長く不在だったのがウソのようにそれぞれの笑みで出迎える。 春先のある日加藤義弘は半年ぶりに帰還した。これによりいくつかの神姫たちの物語が始まる。 製作後記 まずは別れていた元のマスターが戻ってくるところを描きました。これから日常的なことや、その中でその他の設定について 少しづつ描写と公開していこうと思います。 つたない文章でありますし、このような駄文を読んでいただいた方心から感謝です。 主要なキャラ以外の登場人物・神姫に関しまして、「BATTLE MASTERS」の神姫やキャラを出していきます。ほとんどが一回きりのキャラの予定なのですが、 複数回登場(準レギュラー)予定のキャラなどは後々登場人物・神姫の項目を作成し掲載していく予定です。 前から更新遅いのが悩みの種です。精一杯努力しますが、温かく見守っていただけると幸いです。 最後に今年の風はひどいですよ。これを掲載する前日まで完全ダウンしていました。今も抜けきらず、ひどい頭痛に悩まされています。 皆さんも身体に十分気を付けてください。
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スペルマスター(すぺるますたー) 概要 ファンタジアに登場した称号。 登場作品 + 目次 ファンタジア 関連リンク関連称号 ネタ ファンタジア その作品中での説明 アーチェの称号。 呪文を全て修得すると取得できる。 取得者 アーチェ 取得条件 全ての呪文を習得する ▲ 関連リンク 関連称号 ウィッチ メイジ ソーサラー ウィザード ネタ 名前は「呪文を極めた者」という意味。
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「・・・・ねぇ、彩女」 「なんですかアメティスタ・・・よいしょっと」 「・・・・二人っきりだね」 「そうですね・・・・っと」 「バトルなんかやめてさ、二人でどっかいこうよ。ほらあそこ、ホテルあるよ」 「そうですか・・・・・・・よっと」 「・・・・・・・・おっぱい揉んでいい?」 「駄目です」 * ホワイトファング・ハウリングソウル * 第十三話 * 『黒衣の死神』 『都市ステージ』を、彩女とアメティスタは歩いていた。 ・・・いや、正確には歩いているのは彩女だけである。アメティスタは歩いていない。 ならば彼女はどうしているのか。 彩女におぶさっているのである。 「・・・いくらなんでもですね。・・・・よっと、こういう時くらい二本足にしたらどうですか・・・・っと」 「ヤだ。だってこのヒレはボクのトレードマークだよ? アイデンティティなんだよ? それに二本足にするには声を魔女にあげないといけないし」 そういうアメティスタの足は今もイーアネイラの装備であるティティスだった。これでは陸上で歩けないため彩女が背負って水場まで運んでいる。 「そもそも水中戦でもないのにイーアネイラ装備なのがおかしいんです。・・・っと。エウクランテだって水中専用じゃないんですよ。・・・よいしょ」 「知ってるけどさ。でもこれは外せないね。ある意味ボクの決意の証みたいなもんだし」 「だからって・・・っと。今襲われたらどうするつもりですか・・・っしょっと」 「大丈夫だよ。ボクらが敵に遭遇するのはピッタリ五分後、彩女がボクを公園の池に運び終わるのが今から二分後。三分の余裕があるよ」 「・・・便利ですね予知能力・・・・っと」 そう、今彩女とアメティスタは公園を目指している。 アメティスタが入れて戦えるような場所がそこしかなかったからだ。 ・・・余談だが戦闘用に武装をしたアメティスタは結構重い。今こうしている間にも、彩女の体力は削られ続けているのだ。 「便利とはいっても、このバトルの結果は見ないようにしてるよ。だってつまらないじゃん」 「それもそうですね・・・・よいしょっと」 彩女は掛け声と共にアメティスタを背負いなおす。 公園はもう少しだった。 「・・・・うん。ヴァーチャルとは言えやっぱり水に浸からないとね」 無事公園に着き池に入ったアメティスタはそういいながら水をすくった。 彩女はとっくの昔に公園を出て、敵を探している。 あと一分もすれば天使型の一撃を食らうだろう・・・・どうなるかはあえて予知しなかった。その方が面白いからだ。 「~♪」 彼女は鼻歌を歌いながらプチマシィーンズに指示を出す。その数凡そ十三。 公園中に散ったプチたちはそれぞれのポジションにつき、情報を送ってきた。 「・・・・ふぅん。西から来たか。とりあえず公園に入ったから・・・結界をはるか。あとはボクの闘いだね」 アメティスタがそういうと同時に、公園内に霧が立ち込める。 なんてことはないただの霧だ。 「・・・煙幕のつもりかしら?」 と、その霧の中、アメティスタのものではない声が響く。 声のしたほうへとアメティスタは顔を向け・・・一瞬その顔が強張る。 「煙幕じゃないんだけどね。・・・まぁ、似たようなもんかな? 始めまして、ボクはアメティスタ。キミは?」 「わたしの名前はルシフェル。悪魔型のルシフェルよ」 軽く霧が晴れ・・・ルシフェルの異形が姿を現す。 足はザバーカが装備され、素体の両腕はチーグルを装備している。その両手には巨大なリボルバーキャノンを持ち、腰にはデスサイズがマウントされていた。しかしなんといっても目を引くのは背中に取り付けられた巨大な羽であろう。 蝙蝠を思わせるそれは、正しく悪魔型たる彼女のために作られたかのように存在していた。その漆黒の羽は夜の闇を思わせる妖しげな色だった。 「・・・・いい趣味してんじゃん」 「それはどうも。それよりもそろそろ始めない? わたし達今日中にあと三回も戦わなくちゃいけないの」 ルシフェルはそういって、リボルバーキャノンの撃鉄を上げる。 「・・・いいよ。それじゃぁ・・・始めようかっ!!」 武装神姫・イレギュラーキャンペーンバトル アメティスタ対ルシフェル・・・開戦 前・・・次
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第一話「くまさん」 午後7時ごろ 「ただいま~」 「あ、おかえり。形人」 全身で器用にコントローラを操作し、エースコンバットゼロをプレイしていた鳥子がこちらを見る 「今回はおみやげ付きだぞ」 「お母さんに買ってもらったんでしょ?、サイフ置きっぱなしだもん」 「ぐ・・・。あのなヒカル、小遣いが安い一高校生の僕にどうしろと」 言っておくが、月の小遣いがたったの3000円だ。 「100円でしょそれ?ダイソーの袋だよ、それ」 以前買った食玩のF-14の尾翼を弄りながら鳥子―ヒカル―は言う よく見ているな、おい 「それよりも、ホレ」 そう言いながら袋の中身を差し出す それはクマのキーホルダーだった。 神姫と比べると人間換算で一メートルはある 「!? ・・・くまさん?」 可愛らしい反応するじゃないかヒカル。普段の戦闘機バカはどこにいった? 「貴方に言われたくありません!エリパチファン!」 「んー?いつぞや寝言で「神田さん好きです」って言ってた神田ラヴァーはどこのどいつかなぁ!?」 「!!?そ、そんなこと言ってたんですかっ!?」 あ~顔真っ赤にしてまぁ… 反則的に可愛いじゃないかコンチクショウ 「…あ、すまない…言い過ぎた」 「……」 黙っちゃった…どうしよう 「形人~!ご飯できたよ~」 あ、メシか、早くしないと怒られる… 「ヒカル、本当にすまない。明日はやて(マウンテンバイク)とばして着れそうな服買ってくるから…」 「……」 ヒカルは黙り込んだままだった 母がうるさいのでやむなく一階に下りていった ――三時間後 「あー・・・肉の後にスプラッタ描写のある映画を観るもんじゃないな・・・」 部屋に戻ると、ヒカルの寝息が聞こえてきた 「寝ちゃったのか・・」 すまないと思いつつ、机を見ると一枚のB5用紙が置いてあった 『くまさんのキーホルダー、ありがとう。あと服、楽しみにしてる』 描画用の2Bシャープペンで書かれた少し汚い文字 ふと見ると、ヒカルはクマのキーホルダーを抱いて眠っていた 起こさないようにクレイドルに運び、タオルをかけてやる 「おやすみ…ヒカル…」 エリア88第二話のセリフを流用しつつ、デスクトップの電源を点ける 夜は始まったばかりである。 おまけ 「何でタマネギばっかり?」 「タマネギは色々使えるだろ」 玉葱ばっかり野菜室に入ってるウチの冷蔵庫(実話) 次回予告 ヒカルが一日中寝ている間に、形人はダイソーまで行っていた。 そこで買ってきた物って、何? 次回「服」…ってまんまじゃん(N:形人) 武装神姫でいこう!?に戻る トップページ