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戦乙女は、かく降臨せし(後半) 相手はサイフォスタイプ。但しその手には片手剣でも大型の槍でもなく、 専用にチューンしたであろう、厳ついツヴァイハンダーが握られている。 全身の装甲は重装型と軽装型の折衷。背部には……ツガルタイプの翼か。 ともあれ剣一本を極めようとしているようで、油断はできそうもないな。 「仕掛けぬのか?では、一本往くぞ……ハイヤァーッ!!」 「はいですの……畏れず突進ッ、いやぁああーっ!!」 白兵戦に強いとされている第三シリーズだけあり、一太刀の威力は重い。 私のロッテにもフレーム換装を施してあるとはいえ、地力では一歩譲る。 それでもロッテは懸命に、右に構えた長大な細身のランスで受けている。 ヴァーチャルとはいえ飛び散る火花に、私は興奮と期待を全く隠せない。 「うっ、く……サイフォスタイプの剣技は、やっぱり凄いですの」 「そなたこそ、アーンヴァルタイプの細い躯でよくやる……ぬんっ!」 「え?……きゃうっ!?」 「ロッテっ!」 ロッテに装備させたランディングギアには、私が開発した接地用アームを 装甲類と共に取り付けている。アーンヴァルタイプの弱点である地面での 踏ん張りを可能としており、四本の可動爪によるグリップは相当な物だ。 それ故にサイフォスタイプとの斬り結びも可能なのだが、零距離ではまだ 経験であちらに分がある。現に今、蹴りを食らって突き飛ばされたしな。 「斬り合いではまだ不利か。ロッテよ、一度距離を取るのだ!」 「Ja!(了解)……白き翼よ、開いてっ!」 「何?!……そうか、アーンヴァルタイプは“天使”であったな」 「いいえ、私は……“戦乙女”ですの♪」 大いなる翼を以て、朱に染まる空へ舞う戦乙女。そう……これだ、これ! “天使を越えて、戦乙女となれ”!これこそが、軽量級用装備に於ける、 私のコンセプトであり……戦闘指針でもある。本領は、空にこそあるッ! 「じゃあここからは……本気で、いきますの。フォイエル!」 「うっ!?レーザーキャノン?馬鹿な、そなた何処から!」 「えっと、この槍からですの。ほら、これ♪」 「槍だと……?く、あれは……銃口か!」 フリッグとやら、不意に蒼い一撃を受けてやっと、事に気付いたらしい。 本来アーンヴァルタイプは、エネルギー兵器を得意とする“武装神姫”。 その特性を活かすべく、私のロッテにもレーザーキャノンは搭載済みだ。 その場所は──槍。そう、ロッテの槍はいわば“レーザーガンランス”! 「撃ちまくれ!弾幕を張れ、チャンスを狙うのだ!」 「Ja!フリッグさん、いきますのっ……それそれっ!!」 「ぬっ、く!ううっ!?チャージは遅い筈、何故だ!」 「出力を搾れば、それだけチャージは速くなりますのっ!」 「それに重ねて、ハンドガンの制圧射撃か……くうっ!」 流石熟練。弾幕自体は上手くいなしておりダメージの方は少ない様子だ。 だが、飛ぶ隙を与えぬこの作戦は奏功した……奴めの剣が下がったのだ! すかさずロッテは動き出した。制限時間も少ない、これが唯一の好機!! ハンドガンをホルスターに仕舞い、戦乙女が空から一気に舞い降りるッ! 「今ですの、せやぁああああっ!!」 「ッ!?しま、っ……うあっ!!?」 「これで決めさせて、もらいますのっ!」 弾幕の陰に隠れて、ロッテが超鋭角・高々度のミサイルキックを加えた。 接地用アームの爪を束ねれば、それは優秀な刺突用の白兵装備になるッ! 一撃で装甲を砕かれ狼狽したフリッグを、逆の脚部アームで掴みあげる。 そしてそのまま宙に投げ、左手で掴む!この瞬間、私は勝利を確信した! 「ぐ、あああっ!?ば、バッテリーが……第三種特殊攻撃、だと?!」 「あなたの“魂”を少し頂戴しますの……“アインホルン”充電!」 「ぬ、く!?は、離せ……力が、落ちる……!?」 第三種特殊攻撃。有り体に言えば“エナジードレイン”という類の技か。 強力ではあるが公平を保つ為に、公式試合では射程が大幅に制限される。 そこで私は、接触距離でのみ相手の電力を吸い取れる義手を作ったのだ。 吸収した電力は、即座にロッテの槍“アインホルン”に還元されていく。 「これでお仕舞いですの。……零距離射撃、フォイエルッ!!」 「ぐぅっ!?う、うあああああっ!!……ま、負けだッ」 『テクニカルノックダウン!!勝者、ロッテ!!』 そして自己の電力も上乗せした、最大出力のレーザーキャノンを見舞う。 しかも槍の穂先で盾代わりの大剣を貫いた、その先からの零距離攻撃だ。 たまらず相手は吹き飛び、審判システムが戦の終わりを高らかに告げる。 勝利の鐘が鳴り響く中、倒れ伏すフリッグを……ロッテが抱き起こした。 無論右手の槍はパージして。戦う意味は、今の2人にはないのだからな。 「ロッテ……負けとはいえ良い試合だった。礼を言おう」 「わたしこそ、フリッグさんにはお礼を言いたいですの」 「ふふ、良い娘だ。これからも、気を引き締めてな……」 あの娘はこういう優しい……甘い所がある。だがだからこそ“妹”として 私も彼女、ロッテを誇りに思うわけである。本当に良い娘だ……有無ッ。 早速、ヴァーチャル空間から還ってきたロッテを抱きしめ、ねぎらおう。 「マイスターっ!わたしの戦い、いかがでしたかっ!?」 「よくやったぞロッテ~!よし、今晩は祝勝会だっ!!」 ──────今宵、“私達”はとかく上機嫌なのである。 次に進む/メインメニューへ戻る
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イーダ様のお部屋mk-2(仮) イーダ様?イーダ様の来歴 イーダ様の設定あれこれ イーダ様のお人柄 イーダ様の基礎ステータス イーダ様の信頼に応える-固有RA「スリルドライブ」- ゲーム中出会うイーダ様のマスター イーダ様のお部屋mk-2(仮) 武装紳士の諸君、イーダ様の紹介ページ(裏)「イーダ様のお部屋(仮)」へようこそ!! このページではイーダ様に関する雑学や、主にデータ関係を取り扱っている表ページには長ったらしくて載せれないような内容などを主に扱っていく(予定)だ! 単に迷い込んでしまった、ボクはデータが見たいんですという紳士は、こちらの出口から戻るといい。>イーダ イーダ様? し、紳士よ!そ、それを聞いてしまうのか!? …そうだな、神姫の世界に足を踏み入れたばかりの紳士も居ないとは言えんな…。 よし、ここでは、イーダ様についての情報を述べる。どちらかと言えば雑学、トリビアの類だ。必要ないと思った紳士諸君は飛ばした方がいいだろう。 イーダ様の来歴 イーダ様はフィギュアとしては「武装神姫シリーズ第7弾フルセット」でアーク型と一緒に登場した神姫だ。 なお参考だが、アルトレーネが11弾、エウクランテが5弾、ハウリンが2弾だ。少なくともフィギュアにおいては最近の神姫とは言い難い。 そうそう簡単には会えないだろう。 なお、最近再生産が行われている。イーダ様に限った話ではないが、以前の神姫であってもこのように何らかの形で再販されたり、地方などのおもちゃ屋にひっそり残っている場合もある。 フィギュアに関して言えば欲しい神姫がいるのなら、情報収集を欠かさないこと、そしてあきらめないことが重要になってくるだろう。 イーダ様の設定あれこれ 設定についてだが、「OSY010 オーメストラーダ製ハイマニューバトライク型MMS イーダ」というのが型式番号を含めた名前だ。 「イーダ」という名は「韋駄天」からとられている。これは武装各所のマーキング「YDA010」からもわかる。「イーダ・テン」というわけだ。 他にも 武装「エアロヴァジュラ」→「ヴァジュラ(密教仏具・金剛杵のこと)」 バトルロンドでのスキル「ドゥルガースレイ」「ヴリトラリバーサル」のように仏教・インド神話系からとられた関連用語は多いぞ。 次に「ハイマニューバトライク」だが、これは直訳すれば「高運動性三輪」になる。専用RA「スリルドライブ」の時の姿が「トライクモード」のイーダ様だ。 あのトライクは「ヴィシュヴァ・ルーパー」と言う名だ。この名はヴィシュヌ神の別名で、「あらゆる姿を持つもの」「全知全能のもの」の意味がある。 正確には「ヴィシュヴァ=全て(森羅万象などと同じ意味)」、「ルーパー=色(色即是空の色と同じ意味)」だ。 前方に2輪、後方1輪の形状のトライクだが、これを上から見るとちょうど「Y」の字になるようになっているぞ。 +ここだけの話だが… …ちなみに、「武装神姫最貧」と言われてしまっているらしいが、実を言えばsmall素体以外でも胸が薄い神姫自体は少なくはない。…ただしそのほとんどは武装胸状態での話だ。例としてはフィギュアでのウェルクストラ、ゼルノグラード、エスパディアあたりが文字通りの装甲板・絶壁である。 しかし肌そのものが見えていてなお、胸が薄い扱いをされるのはイーダ様ぐら<通信が途絶しました> イーダ様のお人柄 さて紳士諸君!表の部分にもいくらかは書いてあるのでイーダ様の性格などについてはそちらを見るといいだろう! イーダ様は自身の力に絶対の自信を持っておられる。華麗な戦いを望むのはイーダ様にとっては「勝利など当然のこと」だからだ。 それ以外にも、諸君らマスターにイーダ様が求めるものは多いだろう。 しかし、少々怒られたぐらいでひるんだり挫けてはならない。 イーダ様がしたいのは「マスターいびり」ではないからだ。イベントを進めていけばわかるが…これ以上はネタバレになってしまいかねないので控えよう。 とにかく、イーダ様の求めるものに応えることのできるマスターになった時、諸君らはイーダ様にとって自慢のマスターとなりえるだろう。 イーダ様の基礎ステータス 紳士諸君!まずイーダ様は素体LP300という、大変お体の弱いお方であらせられる…これは今作の神姫の中でも断トツで低い値だ。 だからこそ、だからこそだ紳士諸君!! 諸君らはイーダ様のお体に傷一つ付けないように慎重なバトルをする必要がある! 具体的にはターンやステップ等の考えうるあらゆる回避手段を駆使するのだ!! また、イーダ様は「大剣」「ライフル」のアビリティをお持ちである。 逆に「ロッド」は苦手であらせられる。 イーダ様の武器選択の参考にしてほしい。 なお、イーダ様のライドレシオがMAXになると「防御力」「武器エネルギー回復速度」「スピード」に補正がかかるぞ。 イーダ様は華麗な勝利をお望みである。勝利が当然の彼女にとって、無様な勝利など耐えられない、というわけだ。 高機動トライク型の名にふさわしい、華麗なバトルを心がけることだ。 イーダ様の信頼に応える-固有RA「スリルドライブ」- さて紳士諸君!諸君らの働きがイーダ様に認められ、彼女にとっての「理想のマスター」となった暁には、諸君らはイーダ様専用RA「スリルドライブ」を扱えるようになる。 このRAの詳しい説明は固有レールアクションを参照するとして、これを使う時の武装などについて説明させていただこう。 イーダ様のイベントの前半をこなすことで「スリルドライブ」が、その後追加される後半イベントをこなすことで「スリルドライブEX」が使えるようになる。 それぞれ固有のランク5、ランク7の装備を必要とするが、最強のイーダ様を決める「イーダクィーン」にしっかり出場し、なおかつ諸君らが戦いを繰り返し場数を踏んだマスターであるなら必要な武装はショップで購入ができる。安心するといい。 武装時のパラメータ・スキルなどは表のページの「固有武装装備時ステータス」を見てくれるとありがたい。 固有武装装備時にはヘッド、ボディ、シューズ、リア、アクセサリ枠1つを必要とする。武器の指定はないので諸君らの好きな武器を使うことができるし、武装制限杯の影響を受けることもない。 しかし、このタイプのRAの常として、持っている武器の攻撃力にRAの威力が依存する。 間違っても攻撃力の低い武器しか持っていない、それどころか素手の状態で使用して「あれ?このRA弱いじゃんかよ」などと言ってはならない! それはマスターのミスである!! ゲーム中出会うイーダ様のマスター 紳士諸君!ここでは、ゲーム中に登場するイーダ様達とそのマスターについて述べていこうと思う。 …が当然のようにネタバレの嵐になるであろうため、あくまで予定の段階であり、予定のまま消える可能性もある。 ご了承いただきたい。 <改装中>
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―――――2038年、8月31日――――― ……ぼくは、とぼとぼと帰り道を歩いていた 「元気出してください、殿。ほら、明日から学校ですよ、ね?」 ぼくの肩の上に乗って、そこから優しい声をかけてくれるのは、ぼくの大切なパートナーの『あかね』 『紅緒』という、サムライをモチーフにした武装神姫だ 「それに、他の店ならばまだあるかもしれないではありませんか」 「……そうは言っても……」 ぼくの元気が無い理由……それは今朝、あかねの鎧を壊してしまったから それで、買い直そうと何件かのホビーショップを回ったんだけど、なぜか紅緒のだけは在庫切ればかり 『そもそも売れ筋ではないから、最初から少なく発注する』そうで、買う人が五人もいれば売り切れになってしまうんだそうだ 『ここならあるかも』と言われて紹介してもらった場所は、なにやら大きな事件があったらしく休業中 入り口に張られた黄色いテープには大きく「KEEP OUT」と書かれていて 辺りには無数の機械……たぶん神姫だと思う……の壊れたパーツが散乱していた それなりに大きなそのビルの窓ガラスはいくつか割れていて、辺りを警察の人がせわしなく走り回っていた 近くにいた人に、ここは何と言う名前の会社なのかと尋ねてみると、さっきのホビーショップで教えてもらった、ぼくの目的地だった ……まったく、ついてないよ…… 明日から二学期が始まるから、学校の帰り道に友達とゲーセンに寄ろうと思ってたのになぁ…… 「えぇと……鎧が無くても戦えます!!」 さすがに無茶だから、それ…… 「…………殿! 殿! そこに何かがあります!!」 帰り道の途中、あかねが道端で何かを見つけたみたいだ 「ほら、その電柱の影に!」 あかねにいわれるまま視線を向けると、そこには小さな人が倒れていた……というより、神姫が落ちていた そのまわりには、その神姫のものと思われる武装が点々と散らばっている 「保護しなくては!!」 あかねは人一倍正義感がつよいから、こんなことを言い出したら止まらなくなる ぼくはその神姫と武装パーツをひとつ残らず拾い上げると、バッグからハンカチをとりだして、やさしく包んでバッグに入れた 「さぁ殿! 早く父上殿にお見せして、助けて差し上げなくては!!」 ぼくたちは、さっきまでの意気消沈っぷりをきれいさっぱり忘れて、帰り道を駆け出した…… ……これがぼくたちと、彼女……カインの出会いだった…… 第一話「ぼくとカイン」 ―――つづく――― もどる
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その他設定 斗小野グループ 日本有数の財閥「斗小野家」が率いる巨大グループ その影響力は各方面へと及ぶ 國崎技研 健四郎が勤める神姫関連のパーツを創っている会社 自社制作だけでなく、個人制作の武装の代理販売なども行っている 組織略図(状況により変更あり) 技術部 1課・フレーム・架装部門 2課・周辺機器・用品部門 3課・銃火器部門 4課・刀剣・防具部門 5課・衣料部門 6課・特殊用品部門(通称エロっ課) 営業部 1課・自社製品販売部門 2課・代理販売部門 3課・広報部門 細かい課分けも実際は殆ど役に立っておらず、技術部の人間が店に商品を売り込んだり、営業の人間が(意見だけでなく)開発に直接携わったりしている場合も多い ワークショップ『MACHINE FRIEND』 (武装神姫飛鳥ちゃんエウクランてに登場) かつて祖父が経営していた工場を今井一太郎が復活させたショップ バトル施設は無いので神姫センターとは呼べないが、BMA公認ショップである パーツの改造だけでなく、中古部品等の販売や、神姫心理カウンセリング等も行っている 作品中に描写は無かったが、格安の中古武装に並んで神姫の手足なども並んでいて一種異様な雰囲気を醸し出している 裏の廃工場を改装した実験場がある 神姫関連だけでなく、様々なメカの受注生産も行っている 独自設定 ここではこの作品のオリジナル設定を説明します 素体について この世界の素体は、極一部の例外を除いて「フレッシュ素体がスーツ等を着用している」事になってます 素体自体も女性の体を出来る限り忠実に再現されており、いわゆる「えっちな機能」も極一部の例外を除いて備わっております(ただし、処女膜は再現されていない) 『神姫性性同一障害』 神姫特有の精神疾患であり、人間のそれとは異なる 神姫が同性愛を行う事は珍しくないが、男性的な行動を起こす場合に定義される 症状が悪化すると男性的に恋人を愛したいと考えるようになり、存在しない陰茎部を挿入したいと考えるようになる こうして満たされない欲求に押しつぶされ、暴走したり最悪AI崩壊を引き起こしたりする事例も報告されている (ここまで重度のものは報告例は少ない。大抵は恋人を満足させる事により欲求は満たされる) 原因については一切不明 最悪の状態になり、やむをえずリセットされたコアへ同一素体・CSCを組み込んでも発症したという事例は今の所無い (神姫は同一コア・素体・CSCを使用しても同じ性格にはならない為、その因子が発現しない為とも考えられるので、たまたまという意見もある) この障害はBMAも問題視しており、症状の重い「患者」に対して様々な補助を行っている (國崎技研と協力してのツールの処方もその一環) 独自解釈武装について 謎の武装に関しては、作者の妄想が付け加えられている場合があります パウダースプレイヤー ジュビジー標準装備の銃。通常弾の他に特殊弾も発射可能 また弾倉が6発、3発、3発のに分かれていて、それぞれに異なる弾丸を装填可能 メーカー標準装備では、通常弾・煙幕弾・腐食ガス弾が付属している アレルギーペタル ジルダリア標準装備の特殊武装 周波数をセットし振動を与えることで特殊音波を発する その効果は「神姫の聴覚センサーに作用し負荷を掛け、一時的に能力を下げること」 この効果を無効化するには、聴覚センサーの可聴範囲をズラし、特殊音波を聞かないように変更すればよい。この機能は全ての神姫に備わっており、その為アレルギーペタルの効果発揮時間は対象神姫の対応能力に左右される(平均約0.5秒程度) ちなみに使用するジルダリアは発動前に自らの設定を変更している為、自分にはかからない(その為、他のジルダリアが使用した場合はかかってしまう) フローラルリング ジルダリア標準装備 本体の飛行を可能にするだけでなく、ハイパーモード時にはフィンにエッジが付き、切り離して遠隔操作にて攻撃することができる 重力制御装置 イーアネイラやウィトゥルースに装備されている装置 機体を浮かせて移動させるのが主な目的 しかし、イーアネイラは地上での最低限の移動力の確保を目的としているのに対し、ウィトゥルースのそれは積極的に戦術に取り入れる事を目的としている 複雑な合体や、ファストオーガの機動力を支えているのは間違いなくこのシステムであり、また真鬼王のパワーを十二分に発揮する為にもこのシステムが活用されている(力が逃げないように重力をコントロールしカウンターウエイトとしている) さらに反重力フィールドを形成し物理攻撃を逸らす事も出来る
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与太話10 : TVアニメ化に喜ぶ戦乙女 雨上がりの朝、濡れた草木が朝日の光を乱反射させ、教室内をいつもよりも明るく照らしている。大学までの道も輝いていた。ガードレールも輝いていた。エルにとって今日はとにかく、何でもかんでも輝いていた。 大学で顔を合わせるなり姉妹二人はこみ上げてくる気持ちを抑えきれず、抱き合わずにはいられなかった。 「メル!」 「エル姉!」 ぶつかり合うように胸を合わせ、エルはメルを抱え上げて振り回した。ジャイアントスイングのように。そしてやはりジャイアントスイングのように手を離し、メルを放り投げてしまった。危うく机の上から転げ落ちそうになるメルだったが、縁にしがみつきながらもゲラゲラ笑いが止まらなかった。メルを引っ張りあげたエルは、またメルと抱き合った。 「TVアニメ化ですよメル!」 「TVアニメ化だねエル姉!」 「アルトアイネスが登場しますよメル!」 「アルトレーネが登場するねエル姉!」 窓から差し込む光に照らされた机の上を、戦乙女の姉妹はしばらくもつれ合い転げまわっていた。二人のオーナーは前日からはしゃぎっぱなしだった二人を見ていたので、羽目を外していても苦笑するだけだった。姫乃も鉄子も、発狂に近い喜び方をする二人に水を差す理由はない。一緒に喜ぶわけではないが、微笑ましいものを見るような目をしていた。 騒がしさに何事かと集まってくる学生を相手に、エルとメルは自分達の姿がアニメーションとなってテレビに映ることを嬉々として説明した。相手が武装神姫に興味があろうがなかろうが関係なかった。喜びを押し付けるように笑顔を振りまいた。 MMSの存在を知らない学生相手に、エルは天使型と悪魔型と一緒に並ぶことがいかに破格の扱いであるかを説いて回った。これまで武装神姫コンテンツの看板を必ず飾ってきたアーンヴァルとストラーフ。つまり二人は最初期の神姫にして永遠の主人公とも言える。その他多数の神姫達の頭を押さえて、その主人公らの隣に立つアルトレーネとアルトアイネス。キュートなラフ画。ハーレムとバトルを予感させる解説は、神姫として在るべき姿になることを示している。これからの武装神姫を背負って立てと言われたような気がして、しかしエルは重圧以上に天にも昇る気持ちに包まれていた。メル共々、浮かれポンチだった。 二人の背中にコールタールを塗りたくるように向けられたドス黒い視線に、エルとメルは気づけなかった。 ◆――――◆ 大学から帰宅するなりオンライン上の茶室に呼び出されたエルは、コタマが渋い顔をしている理由に思い至らなかった。メルも隣で困惑している。四畳半の真ん中に置かれたちゃぶ台の上には、脱ぎ捨てられたヴェールと十字架があった。エルには、レラカムイの矮躯を包む修道服がいつもより黒く見えた。 「そこに座れ」ちゃぶ台の反対側をコタマが指差し、エルとメルはそこに座った。 「先に言っとくけどよ、アタシは別に嫉妬してるわけじゃねぇんだぜ? 分かるだろ、体はレラカムイでも主に仕えるこの気持ちはそう簡単に無くなるわけじゃねぇ」 「はあ」と気のない返事をするメル。 「アタシら神姫は主の前では謙虚であるべきだ。型番を与えられた日やらモチーフに貴賎はねぇ。主の前ではすべで平等だ。違いがあるとすれば、どれだけ主にゴマすったかどうかだけだ」 「コタマ姉さんが何を言いたいのか、これっぽっちも分かりません」 行儀よく正座したエルに向かって、コタマは大きなため息をついた。一週間分の呼吸に使う空気を吐き出したようなため息だった。これには機嫌の良い戦乙女姉妹も不快感を示さずにいられなかった。 「人を呼び出しといてその態度はないんじゃない? 親しき仲にも礼儀ありって言葉があるでしょ」 「そうですよ。あのマシロ姉さんですら線引きはちゃんとしてるんですからね」 「マシロね……オマエら、クーフランの名前を出すわけだ」 机の上の十字架を手に取ったコタマは意味も無くそれを天井の蛍光灯にかざした。磨き上げられた金色が、今朝の露のように輝いた。 「オマエら、マシロ以外のクーフランを見たことあるか?」 考える間をおかず、エルとメルは頭を振った。コタマは二人を嗜めるように言った。 「そうかよ。じゃあもう一つ聞くぜ。そんなマシロの前でTVアニメ化の話をすることは酷いことだと思わねぇか?」 エルは頭をハンマーで殴られたような衝撃に襲われた。確かに今日は朝から、マシロはいつにも増して沈黙を守っていた。思えば、戦乙女がアニメに出るということは、他の神姫が登場する機会を奪ってしまうことになる。アルトレーネより早く生まれた神姫は多い。クーフランはさらに古参と呼べる神姫になる。出荷数も全然違う。 何も言わないマシロを無思慮な振る舞いで傷つけていなかったか、エルは頭を抱えた。鋼よりも強い芯を持つマシロとはいえ、アニメに登場するからといって無思慮にはしゃぐエルを間近で見せつけられて不愉快でないわけがない。かつて自分も含めたアルトレーネ達は再販が決まらなかったからと神姫センターで大暴れしたではないか。あの時のすべてを破壊し尽くしたくなる衝動を他人に押し付けていいわけがない。 「私、マシロ姉さんになんてひどいことを」 メルも同じことを考えていたらしく、申し訳なさそうに視線を落とした。 「ボクも……TVアニメ化されて少し、調子に乗ってた……」 「やっと分かってくれた?」コタマは修道服を脱いだ。修道服がスイッチになっているのか、言葉がいくぶん柔らかくなった。 「アタシもちょっとキツいこと言ったかもしれないけどさ、二人には落ち着きってものを知ってほしかったんだよ。うん、でも分かってくれてよかった。いや本当。じゃあ一応のケジメとして、ゴメンナサイしとこうか」 エルとメルは素直に頭を下げようとした。神妙な顔をして、背筋を伸ばして頭を5ミリくらい前に倒したところで、二人同時に同じことに気がついた。 「ちょっと待って下さい。どうしてコタマ姉さんに謝らなきゃいけないんですか」 「そうだよ。謝る相手はマシロ姉でしょ」 コタマは目を逸らした。 「そ、そんなの決まってるじゃない。アタシはマシロと一緒に住んでるんだし、代わりに二人の謝罪を聞いとこうって」 「マシロ姉さんをここに呼んでくれればいいじゃないですか。そしたら私たち、ちゃんと謝りますよ」 「そうだそうだ。そもそもマシロ姉なら、こんな回りくどい謝罪なんてされたら逆にキレるに決まってるじゃん。一緒に住んでるコタマ姉ならそこんとこよく分かってるでしょ、なのにどうして――」 そこまで言ったメルだったが、「――あっ」と何かに気づいた風に見えるや、口をつぐんでしまった。顔が申し訳なさそうなものに戻った。 「どうしたんですかメル」 「えっと、やっぱりコタマ姉に謝ろうよ」 「嫌です! 意味もなく謝るなんで戦乙女がやっちゃダメです!」 「いいからほら、ね。ここは頭を下げなきゃいけないとこだよ。……レラカムイ相手にさ」 「うぐっ!?」とコタマが唸った。 エルはようやく、レラカムイがクーフランと同じくコタマ以外に見かけないことに思い至った。鉄子さんはいったいどこからレラカムイを見つけてきたんだろう、と疑問に思ってしまうほどだった。決して貶したいわけではない。ただ事実として、レラカムイの絶対数は少なかった。 「ま、待った待った二人とも。アタシは別に」 「ごめんコタマ姉。ボク達、コタマ姉の気持ちを全然考えてなかった」 「だ、だからアタシは別に」 「今までタマちゃんとか呼んでごめんなさい。コタマ姉さん、悲しいことがあったら私達に何でも相談してください。無力ですけど、きっと力になれますから」 「謝るんじゃねえ! アタシをそんな目で見るんじゃねえ!」 「私、コタマ姉さんの気持ちはよく分かりますから。アルトレーネも昔、『不人気』って言われたことありますし」 「どういう意味だコラァ! つーかテメェ今さりげなく不人気のことを過去形にしやがっただろ!」 「えっ? それはだって、アニメに大抜擢されましたし」 「ブッチ殺す! オマエ絶対ブチ殺してやらああああああ!」 ◆――――◆ ステージに立つなりエルとメルは、コタマ操るセカンドの銃弾の奇襲を受けた。 「エル姉隠れるよ!」 掠るだけでも体が抉られるほどの脅威を、二人は十数階建てのビルの影でやり過ごした。以前も同じようなシチュエーションがあったな、とエルは思った。あの時は確か、神姫の漫画が発売された時だった。漫画の中でアルトレーネが目立ちに目立って、メルと力を合わせてコタマを倒そうとした。しかし漫画の中にハーモニーグレイスの『ハ』の字も無かったことにキレたコタマに、二人のコンビネーションはまったく歯が立たなかった。 「今度は前と同じようにはならないよ」エルの手を引いたメルが言った。アルトアイネス専用の黒い武装脚とスカートを装備し、副腕の代わりにエルを包んでいるのは吸血鬼が着ていそうなボロボロの赤いマント。スカートの中には大量の武装が隠されている。隠し武装のバリエーションは、貞方にもらわれたばかりの時とは比べ物にならないほど充実している。姉であり頻繁に手合わせをするエルでさえ、そのスカートの中身をすべて把握することはできなかった。ビルの中を走る間も、メルはスカートから小型の爆弾をいくつも取り出し、そこら中に設置していった。 「ボクもエル姉も、もう昔とは違う。まだまだコタマ姉のほうが圧倒的に強いけどさ」 「私達にだってプライドってものがあるんです。メル、意地でもコタマ姉さんに一泡吹かせますよ」 ハイタッチを交わした二人は、別の方向へ走り出した。メルはそのまま一階の奥のほうへ。エルは階段を駆け上がっていった。メルがビルの端まで到達して身を隠したあたりで、入り口のほうの爆弾が炸裂した。続けていくつかの爆弾も、爆竹のように次々と爆発していく。コタマが入ってきたことを告げる爆発だ。事務所を模したフロアは机や椅子、棚などがいくつかの島を作って並べられていて、爆発した箇所にあったものが吹き飛んでいく。 「オマエらよぉ、まさかまたビルん中から仕掛けてくるんじゃねぇだろうなあ。もう同じ手は食わないとか思ってるんだろうけどよ、それはアタシだって同じ事なんだぜ?」 コタマが階段に足をかけると、進路を塞ぐように多数の浮遊機雷が発生した。コタマは慌てることなく下がり、爆発をやり過ごした。爆風で階段が吹き飛び、上階との道が途切れた。 「上がるなって意思表示か? アニメに出る奴はアタシに命令できるほど偉くなんのか? エル! メル! どっちかまだ一階に残ってんだろ! 隠れてないで出てきやがれ!」 しかしメルの影は姿を現さず、代わりにコタマが進む分だけ爆発が起きた。爆発は小規模だが、数が多い。コタマは数歩歩く度に爆発を回避するために下がらざるを得なかった。ビルの中心部あたりまで歩くのに少々時間がかかった。 「クソッ、このウザいトラップはメルの奴だな」 「ボクを呼んだ? コタマ姉」 メルは唐突に姿を表した。コタマからは離れた場所、少なくともファーストの攻撃範囲よりも僅かに外に立った。メルの両手にはそれぞれマシンガンが握られていた。コタマのセカンドの対物ライフルと比べると、あまりに頼りなく見えてしまう。 「いい度胸してんじゃねえか。一応聞いとくけどよ、エルも近くにいるのか?」 「いないよ」とメルがやけにあっさりと答えたため、コタマは怪訝な顔をした。 「アタシを出し抜きたい気持ちは分かるけどよ、もっとマシな嘘つけよ」 「嘘じゃないって。本当だよ。じゃあ証拠に、ここらの爆弾を全部爆発させようか」 「ああん?」 「エル姉は、というか普通の神姫は至近距離の爆発を回避したりできないから防御装甲が分厚くなるんだよ。だからもし軽装のエル姉がこの近くにいたら、爆発に巻き込まれて大ダメージを受けることになるよね」 「何が言いてぇんだ?」 「そのまんまの意味だよ。エル姉がいないことを証明するために、今から残った全部の爆弾を爆発させるんだ」 メルはおもむろに両手のマシンガンをコタマではないほうに向けて撃ち始めた。弾が当たった爆弾が爆発し、メルのマントを揺らした。ひとつ爆発するごとに土煙が巻き上がり、コタマとメルの視界を遮った。 (爆発で破片を飛ばしてくるでもなし。煙幕が目的? いや、メルの位置はマシンガンの火で丸わかりだし)ファーストとセカンドに防御の姿勢をさせて、コタマはじっと様子を見た。しかしマシンガンの火が唐突に向けられるわけでもない。メルはただ自分が仕掛けて回った爆弾をヤケクソに爆発させているだけにしか見えなかった。土煙の向こう側で、マシンガンがひっきりなしに弾を吐き出し続けている。 (わざわざ仕掛けて回ったのを意味もなく爆発させて何を――――いや、【仕掛けて回る】?) コタマが動いた。メルの姿は既に目視できなくなっており、セカンドにおおよその位置を撃たせた。セカンドの銃声で一旦マシンガンの音が止まったが、再び鳴りはじめた。それでコタマの疑念は確信に変わった。 「ビルを崩壊させる気かよ!」 メルを置いてコタマは外に向かって走り出した。それを合図にしたかのように、天井の崩壊が始まった。机や瓦礫を飛び越えながらコタマは舌打ちした。 「あの爆弾は柱を壊すためだったのかよ! クソッ、アタシとしたことがどうして気づけなかった!」 地鳴りのような音がして、床との間にあるものすべてをプレスするように天井が落ちてきた。メル自身も恐らく逃げられないだろうが、コタマに確認する余裕はない。壁を突き破るためにファーストを先行させてガントレットを繰り出した。コタマが通れるだけの穴を開けさせるつもりで叩き込んだ打撃は、しかし、壁を粉々にすることができても、大穴を開けるには至らなかった。天井がコタマの頭上僅かまで迫る。一か八か、僅かに空いた隙間に頭から飛び込んだ。膝から先が崩落に巻き込まれた。足が使い物にならなくなるよりも、ビルの一階外側部分に張り巡らされていたワイヤーに気を取られた。 濁流に巻き込まれるように、コタマの軽い体は転がっていった。幸いなことにビルが崩壊する方向はコタマが飛び出した側とは逆だった。隣に立っているビルに寄りかかるように倒れ、そのまま自重を支えきれずに真ん中から折れて崩れていった。 「ゲホッ、う、うう……」 さすがのコタマも無事では済まなかった。瓦礫に寄り添うように、道路に仰向けに倒れていた。千切れた足だけではなく、全身を襲うダメージに顔をしかめた。ファーストとセカンドはビルの下敷きになっている。 「っ……久しぶりに、本気で神に祈りたい気分だぜ」 「ではそのまま祈ってて、動かないでください」 エルが空から降らせた言葉に、コタマは心底驚いた顔をした。せっかくメルに借りたワイヤーを仕掛けて待っていたのに忘れられちゃ困る、と思ってエルは、コタマに向かって頭から落下しながら、二振りの剣を構えた。 「『スカーレットデビル』――これで最後です!」 「ざけんじゃねぇ!」コタマは最後の力を振り絞って、右手の十字架からエルに向けて糸を伸ばした。左手は動かなかった。接続された糸が制御系統を奪い、エルの右手が意思に反して刃を自身の胸に向けた。 「『FTD3』だ自決しやがれぇ!」 「その前に死んでください!」 エルの加速に乗った剣と、自身の胸を貫こうとする剣。コンマ一秒が何秒にも引き伸ばされたような感覚だった。エルは時間が意味をなさなくなる中で、二つの刃が同時に目標に沈んでいくのを見た。 ◆――――◆ 茶室に戻ってからしばらく、エルとメルは言葉を失っていた。 「なんだよアンタら、何か言いなさいよ」 修道服を脱いだコタマにそう言われ、戦乙女の二人は顔を見合わせた。 「だって、その」 「ねえ?」 エルにはまだ【さっきのこと】が信じられなかった。メルも同じ顔をしているから、同じことを考えているのだろう。勝つために戦っていたし負けるつもりもなかった。しかし頭の片隅では、二人がかり程度では絶対に勝ち目がないと考えていた。それほどまでにレベルが違う。努力でどうになかる高さではない壁がある。悔しいとすら思えなくなるほどコタマとの差を認めてしまっていて、それはエルに限らず、『ドールマスター』を知る誰もがそうだった。 「でも、引き分けました」 「『ドールマスター』と引き分けたね」 「すごいこと、ですよね」 「すごいこと、だよね」 「自慢、できますよね」 「TVアニメ化くらい自慢できるね」 「は……」 「ははは……」 「「あっはははははははははは!!」」 たまらずエルとメルは抱き合った。ちゃぶ台を蹴飛ばして四畳半の上でもつれ合った。棚に背中をぶつけようと、花瓶をひっくり返して頭から水をかぶろうと二人は構わず、今朝の大学を再現するように転げまわった。じゃれ合う肉食動物の子供のような二人を、部屋の隅でコタマは冷めた目で見ていた。 「引き分けでそんなに喜ばれても……アタシはどんな顔すればいいの?」 顔をくっつけて笑い合う二人が答えてくれるはずもなく、大きなため息をついたコタマは茶室から出ていった。残された二人はその後も転げまわり、茶室の備品をひとしきり破壊してようやく転がるのをやめた。 「ふう……あれ? コタマ姉さんがいませんよ」頭からかぶった花瓶の水を切りながらエルが言った。 「もう帰ったんじゃない? ボク達も帰ろうよ。ショウくんとハナ姉に報告しなきゃ。きっと驚くよ~」 エルは落ち着いてあたりを見回して、ちょっと浮かれすぎたと反省した。データだからいくら備品を破壊しても問題ないとはいえ、これではTVアニメ化されるに当たって全国に姿が流れる戦乙女として恥ずかしい。メルの言う通り、早く退散したほうがいい。茶室の扉を開こうと手をかけようとしたその時、自動ではないはずの扉が勝手に開いた。扉の向こうには白銀のスレイプニルが立っていた。 「まだ残っていたのですか。コタマが戻ってから随分時間が経ちましたが――なんですか、この部屋の有り様は」 エルとメルの後ろを覗きこんだマシロは、茶室のあんまりな荒れ模様に顔をしかめた。 「まあいいでしょう、茶室に用はありません。二人とも、すぐにバトルの準備をしなさい」 「ちょ、ちょっと待ってよマシロ姉。いきなりバトルって言われても、ボク達さっきコタマ姉と」 「引き分けたと聞いています。コタマが珍しく難しい顔をしていたので、お二人の戦い方が気になったのです。あと一戦はできるでしょう」 冗談じゃない、とエルは言いたかった。せっかく良いことが続いて今晩は幸せ気分で眠れそうだったのに、『ナイツ・オブ・ラウンド』を相手にしてしまったら必然的に黒星がついてしまう。仮にコタマの時のように作戦が上手くいったとしても、倒壊したビルの中から無傷で出てくるマシロの姿が目に浮かんだ。 「わ、私達ちょっと用事がありまして。ではこれで――」 「待ちなさい」とマシロは横を通り抜けようとする姉妹二人の首根っこを捕まえた。 「離してマシロ姉! やーだー戦いたくない!」 「つれないことを言わないでください。お二人にはアニメに抜擢された祝辞を伝えなければなりません」 「い、いえ、気持ちだけで十分です」 マシロは聞かなかった。 「おめでとうございます。これで戦乙女型は多種多様な神姫の中から頭ひとつ飛び出したわけですね。喜ばしいことです。それはそれとしてコタマから聞きました。コタマの聞き間違いの可能性も否定できませんが――」 たっぷり時間を置いて、まるで別人のように冷たい声で言った。 「クーフランを哀れんだそうではないですか」 「ち、違います! 私達そんなつもりはありません!」 「誤解だよ! コタマ姉が変なこと言ってるだけだってば!」 「言い訳は戦場で聞きます。天使や悪魔と肩を並べるほどの大抜擢ですから、お二人が少々目線を高くしたとしても、私にそれを咎めるつもりはありません」 「咎めるつもり満々だよね!? バトルで八つ当たりする気満々だよね!?」 「謝りますから! 謝りますから勘弁してください!」 「謝罪などする必要はないではありませんか、何も間違ったことはしていないのでしょう。それにしても楽しみですね、主役級となった戦乙女殿との勝負。これから全国に剣を振るう姿が放送される戦乙女殿と予め手合わせできるなど、身に余る光栄ではありませんか」 楽しみと言いつつ、マシロの顔で笑っているのは口元だけだった。深いエメラルド色の瞳は遠くの別のものを見ていた。暴れるエルとメルに殺気のようなものを飛ばして静かにさせて、二人をステージまで引きずっていった。尻で床を磨きながらエルは、これを期に戦乙女が再々販されることを少しだけ願った。 やはりISと似たような感じになるんでしょうか。 メカ、少女、スタッフまで同じとのことで。 ううむ。 15cm程度の死闘トップへ
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F3クラス F2クラス F1クラス F3クラス 優勝賞金 1000spt 優勝賞品 スーパーシルバーストーン 出場するには以下3試合のクリアが必要 F3予選① F3予選② F3出場権獲得バトル ランク マスター 神姫 入手物 備考 20 - - - - 19 - - - - 18 - - - - 17 - - - - 16 - - - - F2クラス 優勝賞金 3000spt 優勝賞品 スタンロッド 出場するには以下5試合のクリアが必要 F2予選① F2予選② F2予選③ F2予選遠距離攻撃バトル F2予選出場権獲得バトル ランク マスター 神姫 入手物 備考 19 吉川素子 アローズ 360spt - 18 猪苗代孝実 ふゆなぎ - - 17 双蜂 ベル - - 16 小早川千歳 リリス - - F1クラス 優勝賞金 5000spt 優勝賞品 Zel ガトリングキャノン+SK 出場するには以下7試合のクリアが必要 F1予選① 制限時間 300秒 優勝賞金 2015spt 優勝賞品 九鉤刀 マスター 神姫 ステージ 偉吹玲人 まお 廃墟2 山中日向 葵 砂漠 音黒野美子 クロミ 滝 F1予選② 制限時間 300秒 優勝賞金 2015spt 優勝賞品 LC3レーザーライフル マスター 神姫 ステージ 給料シーフ シルファ 滝 得川義文 葛葉 廃墟2 ドグラ・モグラ 菊花 コロシアム F1予選③ F1予選④ F1予選武器制限タッグ F1予選火器属性タッグ F1出場権獲得バトル 制限タッグ戦は各タッグバトルをクリアしないと出ないので注意 前提終了後にヴァルハラ関連のイベントを消化するまで大会に参加できません (葉月との会話後に自宅でイベントがあるので要確認)
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転職条件 戦士と武闘家をマスター 能力値の変化 力 素早さ 身守り 賢さ かっこよさ 最大HP 最大MP +15% +10% +10% -20% - +20% -40% 職業レベル ★ 職業レベル 戦闘 累計 覚える呪文・特技 1 ジュニアきゅう - - しんくう斬り 2 フェザーきゅう 12 12 ソンビ斬り、すいめんげり 3 ライトきゅう 16 28 たたかいの歌、もろば斬り 4 ミドルきゅう 20 48 ポイズンダガー、かぶとわり 5 ヘビーきゅう 24 72 へんてこ斬り、ぬすっと斬り 6 むさべつきゅう 24 96 はやぶさ斬り、メタル斬り 7 チャンピオン 24 120 さみだれ剣 8 ワールドチャンプ 50 170 ばくれつけん マスターボーナス ちから15ポイントアップ 上級職 マスタークラス + マスタークラス → 上級職 バトルマスター + パラディン → ゴッドハンド
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モンスターマスター称号とモンスター相性 称号の効果はモンスター1体から適用される。 そのため同じ系統のモンスター3体でチームを組む必要は必ずしもあるわけではない。 また、例えばスライムマスターの時にドラゴンを使用するとドラゴンには魔物使い時の 「ドラゴン使い」の称号が適用される。 マスターダブルスキャンと称号の併用は不可、合体モンスターに称号は適用されない。 スライムマスター LV1 効果:HP150 + すばやさアップ? No 名前 ダブル相性 M-001I スライム M-002I スライムベス M-003I メタルスライム メタルマスター M-009I スライムナイト M-011I ホイミスライム ウィングマスター M-042I はぐれメタル メタルマスター M-046I メタルライダー M-058I メタルキング メタルマスター M-061I ダークランサー M-028II スライムつむり ゴーレムマスター ビートルマスター LV10 効果:HP150 + みのまもりアップ? No 名前 ダブル相性 M-022I じんめんじゅ M-027I いばらドラゴン ドラゴンマスター M-028I おばけきのこ M-011II さそりアーマー M-014II ラリホービートル M-026II かぶとこぞう M-049II マンドレイク アニマルマスター LV20 効果:HP150 + ちからアップ? No 名前 ダブル相性 M-025I プチアーノン M-030I キラーパンサー M-034I オーク M-038I ヘルパイレーツ M-043I プリズニャン M-059I かくとうパンサー M-062I シルバーデビル デビルマスター M-007II イエティ M-015II ポイズンリザード M-017II あばれうしどり M-024II いわとびあくま デビルマスター M-027II ライノソルジャー M-031II いたずらモグラ M-032II アームライオン M-033II ももんじゃ M-039II コングヘッド M-042II シールドヒッポ M-044II サイコロン M-052II ソルジャーブル M-057II ずしおうまる M-058II ビックアイ ウィングマスター LV30 効果:HP150 + かしこさ + すばやさアップ? No 名前 ダブル相性 M-004I ドラキー M-005I タホドラキー M-011I ホイミスライム スライムマスター M-031I サイレス M-036I キメラ M-040I ドラキーマ M-048I メタッピー メタルマスター M-002II スターキメラ M-008II よるのていおう M-012II プテラノドン M-013II マネマネ M-022II メーダ デビルマスター M-029II メイジキメラ M-037II ガーゴイル デビルマスター M-045II ドラゴンライダー ドラゴンマスター M-053II クックルー ゾンビマスター LV40 効果:HP150 + ちから + みのまもりアップ? No 名前 ダブル相性 M-015I さまようよろい M-016I ぼうれい剣士 M-023I しにがみきぞく M-026I マドハンド M-032I くさった死体 パペットマスター M-053I 死霊の騎士 M-060I マミー M-016II デュラハーン M-034II しにがみのきし パペットマスター LV50 効果:HP150 + ちから + かしこさアップ? No 名前 ダブル相性 M-012I バル M-013I ベル メタルマスター M-014I ボル&ブル M-024I スカルライダー M-029I バーサーカー M-032I くさった死体 ゾンビマスター M-033I おおきづち M-039I リリパット M-001II だいまどう M-005II シールドこぞう M-009II 炎の戦士 M-018II オーシャンクロー M-021II ダンビラムーチョ M-035II てっきゅうまじん M-038II カロン M-041II ブリザードマン M-046II ピクシー ゴーレムマスター LV60 効果:HP150 + ちから + みのまもりアップ? No 名前 ダブル相性 M-006I ゴーレム M-007I ストーンマン M-008I ゴールドマン M-010I ミミック M-018I うごくせきぞう M-020I おどる宝石 M-041I ひとくいばこ M-050I パンドラボックス M-056I どろにんぎょう M-020II ばくだんいわ M-028II スライムつむり スライムマスター M-040II ひとくいサーベル M-056II おばけキャンドル メタルマスター LV70 効果:HP150 + ちから + かしこさアップ? No 名前 ダブル相性 M-003I メタルスライム スライムマスター M-013I ベル パペットマスター M-019I キラーマシン M-042I はぐれメタル スライムマスター M-048I メタッピー ウィングマスター M-051I キラーマシン2 M-055I キラーマシン3 M-058I メタルキング スライムマスター M-051II メタルドラゴン ドラゴンマスター デビルマスター LV80 効果:HP150 + ちから + かしこさアップ? No 名前 ダブル相性 M-017I ギガンテス M-021I ベビーサタン M-045I きめんどうし M-047I ボストロール M-049I あくましんかん M-054I アークデーモン M-057I あやしいかげ M-062I シルバーデビル アニマルマスター M-006II エビルスピリッツ M-010II アンクルホーン M-019II ひとつめピエロ M-022II メーダ ウィングマスター M-023II ゴースト M-024II いわとびあくま アニマルマスター M-030II ベレス M-036II おおめだま M-037II ガーゴイル ウィングマスター M-043II きとうし M-047II シャドーサタン M-048II ホースデビル M-050II しにがみ M-055II びっくりサタン ドラゴンマスター LV90 効果:HP150 + ちから + すばやさアップ? No 名前 ダブル相性 M-027I いばらドラゴン ビートルマスター M-035I 海竜 M-037I バトルレックス M-044I ドラゴン M-052I デンデン竜 M-003II キースドラゴン M-004II ダースドラゴン M-025II コドラ M-045II ドラゴンライダー ウィングマスター M-051II メタルドラゴン メタルマスター M-054II ドラゴンキッズ モンスターロード LV99 効果:HP15アップ +ちから+10、かしこさ+10、みのまもり+10、すばやさ+10、回避率、呪文耐性、会心の一撃発生率 すべてのモンスター(除合体モンスター) 相関のあるチーム編成です。検証の参考にしてください。 称号 レベル 該当チーム スライムマスター LV1 スライムチーム ビートルマスター LV10 昆虫モンスターチーム・植物モンスターチーム アニマルマスター LV20 獣モンスターチーム ウィングマスター LV30 飛行モンスターチーム ゾンビマスター LV40 ゾンビモンスターチーム パペットマスター LV50 人型モンスターチーム ゴーレムマスター LV60 物質モンスターチーム メタルマスター LV70 マシンモンスターチーム+メタル系 デビルマスター LV80 悪魔モンスターチーム ドラゴンマスター LV90 ドラゴンモンスターチーム
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第1部 戦闘機型MMS「飛鳥」の航跡 第2話 「風兎」 大阪城外堀、水上ステージ 大阪城の外堀の一部をそのまま武装神姫の水上ステージとして、利用したステージで障害物として杭や半壊したボートなどが置かれている。 エーベル「さて、はじめようか・・・ルールはシンプル。俺と戦え」 エーベルは黒い翼をピンと伸ばし、右手にはアルヴォPDW9を装備し、左手は腰に手を当てている。 赤い瞳がじっとアオイを見据える。 アオイ「気が済むまで戦うってことか、まあ分かりやすくていいな、そういうの好きだぜ」 尻尾のエンジンをブウウウンと唸らせる。心なしか悦んでいるかのように軽いリズムを刻む。 立花「アオイ、武装は何を持っていく?」 アオイ「三七式一号二粍機関砲が1門と千鳥雲切、1本」 立花「二粍機関砲!?あれは対重MMS用の機関砲だろ?」 立花は首をひねる。二粍機関砲は強力な機関砲だが、大きく重く取り回しが悪く機動性が高い神姫に命中させることは至難の業だ。flak171.5mm機関砲のほうがアーンヴァルのような機動性の高い神姫に命中させるには相性がいい。 アオイ「そんなこたァいちいち言われんでもわかってるわ!!ここは俺に任せろや!!」 アオイが立花に苛立ち怒鳴る。 立花「へえへえ、釈迦に説法でごぜいましたねェ!!すみやせんでした!!」 立花は苦々しい顔をしてアオイに武装を渡す。 アオイ「ごちゃごちゃうるさいわ!ヴォケ」 エーベル「おーい、まだかー早くしろよ」 アオイ「せかすな、慌てる乞食はもらいが少ないっていうだろ?」 アオイはゆっくり丁寧に武装を確認しながら装着する。 エーベル(こいつ・・・焦らずにしっかりと安全確認しながら武装をつけてる。相当慣れてるな・・・・) エーベルはアオイに一挙一動を注意深く観察する。 戦いは戦う前からすでに始まっている。相手の数少ない言動や行動、クセを読み取り、相手が何を考えてどういう行動を行うのか、事前に予測しながら戦術を考える。 エーベルはカマを賭けた。アオイをわざと挑発することで怒らせて雑に武装をつけるのかと予想していたが、挑発には乗らなかった。 つまり、こいつは武装の大切さ、口は自分と同じく悪いがリアリストだ、落ち着いている。そして気が付いている。 私がカマを賭けたことを・・・・ エーベル「・・・・・・・」 アオイ「悪いな、待たせたな!!考えはまとまったか?」 エーベル「いいや、気にしちゃいない、ある程度な」 油断できない、即効で決めよう、一気にスラスターを吹かして一撃離脱。攻撃がはずれたら急上昇して上を取って太陽を背にして再び一撃離脱。アスカ型は格闘性能に優れる、ドックファイトに持ち込まないほうがよいな、幸い、相手は重い機関砲を背負ってる。こっちの速度にはついてこれないだろう・・・・・・ エーベルの考えがまとまった。 アオイ「さあて、はじめようか」 エーベル「ああ」 ドルンドルンとリアパーツのスラスターを吹かせる。アイドリング、機関が主目的に貢献せず、しかし稼働に即応できる様態を維持しようとする動作。即応できるようにエンジンを温めるエーベル。 ヒュイイイイイインンインインイン、スラスターが風を斬り唸る。 アオイはニタリと笑う。 こいつなにが可笑しいんだ? バトルロンドの画面にテロップが流れる。 □黒天使型MMS「エーベル」 Sクラス VS □戦闘機型MMS 「アオイ」 Aクラス 「ゲットレディ・・・・・」 バトルロンドの筐体のランプが点滅し無機質なマシンヴォイスが叫ぶ 「go! 」 ポオンとランプが光る。 エーベルは獣のように咆哮を上げ、呼応するようにスラスターが真っ赤に燃え上がり爆発的な加速力を生み出し、エーベルは一直線にアオイに向かって突撃する。 エーベル「いやあああああああああおッツ!!!」 両手でしっかりとアルヴォPDW9機関銃を保持し固定すると、アオイに向けて放った。 黄色の曳光弾の光跡がばらっと流れる。 アオイはくんと身体をひねるように大回りで攻撃を回避する。 エーベルはぐんとアオイとそのまますれ違い、そのまま加速を生かして急上昇を行う。 エーベル「よし、このまま太陽を背にして上位を取る!!空戦の基本だ」 一度上を取ってしまえばこちらのもの、相手は重い機関砲をぶら下げている。それに相手は大回りで大げさに回避した。機動性と速度で圧倒してしまえば・・・・ エーベルの目が見開かれる。 エーベル「な・・・」 追い越し、急上昇するエーベルの真横からさっとアオイが踊りだしスラッと左手で千鳥雲切を抜刀し、エーベルに向かって切りかかってきたのである。右手には重い機関砲がさっぱりなくなっている。 そこでエーベルは初めて気が付いた。 エーベル「コイツ!!はじめから二粍機関砲を捨てて身軽になるつもりでッ!?」 アオイ「でやああッ!!!」 すれちがいざまにアオイはエーベルのアルヴォPDW9機関銃を一太刀で真っ二つに切り捨てた。金属音が響き、 バラバラになった機関銃がぼちゃぼちゃと水面に落ちる。 エーベル「っち!!」 エーベルはすかさず、左肩に搭載していたM4ライトセイバーをすばやく抜き取り、アオイの斬撃に対応する。 開始から数秒もたたずにすさまじい攻防が繰り広げられる。 野次馬の神姫やオーナーたちはポカーンと口をあけている。 コウモリ型「おおおーー」 砲台型「すんげえー」 オーナー1「思い切りがいいな、あのアスカ型」 オーナー2「こんな空戦、滅多にお目にかかれないぞ」 ワシ型「エーベル!!押されるな!」 立花はカバンからペットボトルのお茶を取り出しくびっと一口飲むと、て2人の戦いを観戦する。 立花「ふむ、そういうことか、アオイ・・・はなっから機関砲なんて使うつもりはなく、ブラフだったのか、無茶しやがる」 ちょうど、そのとき公衆便所から一人の若い女性が満足そうな顔で手をハンケチで吹きながら出てきた。 斉藤「ふんふふーんふーん♪三日ぶりー三日ぶりぶりーーんと・・・あれ?なんか盛り上がってるわね」 ひょことバトルロンドのステージを覗くと、なにやら見知った顔の神姫・・・というか自分の神姫が戦っている。 斉藤「あれ?エーベル?誰かとバトルしてるのかな?」 エーベルは斉藤の姿をチラッと見つけて、一瞬動きが止まる。 エーベル「マスター!?いまごろノコノコと・・・」 アオイ「余所見してる場合かァ!?甘いぜッ!!!!!!!おらァッ!!」 エーベル「ッツ!!しまっ・・・」 ミス、非常に単純なミスだったが、アオイはそれを見逃さなかった。 そして次の週間、アオイは思いっきり頑丈な着陸脚で、エーベルの柔らかいお腹に突きこむように蹴りを放った。 ズム・・・鈍い音を立ててエーベルの腹に鋭い蹴りがめり込んだ。 エーベル「がはっ・・・」 エーベルの口から雫が飛び散る、アオイは千鳥雲切の柄で続けざまにガツンとエーベルの顔面を殴った。 アオイ「うおおおおおおおおお!!」 バキンとエーベルのバイザーが粉々に砕け散り、エーベルはショックで失神し、そのまま水面にたたきつけられるかのように墜落した。 どぼんっ・・・・ 墜落し戦闘不能となったので、バトルロンドの画面にテロップが流れる。 □黒天使型MMS「エーベル」 Sクラス 撃破 アオイはひゅんと千鳥を振るい、カキンと着陸脚を鳴らす。 アオイ「足癖が悪くてな、スマンな」 斉藤「!?えーエーベル!?な、なにがあったの!?あれ?負けたァ?」 斉藤はイマイチ事態が飲み込めず、持っていたハンケチをぼとりと地面に落としてしまった。 To be continued・・・・・・・・ ・第3話 「牙兎」 トップページに戻る
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第2部 「ミッドナイトブルー」 第10話 「night-10」 巨大な航空母艦型MMSのツラギの姿がはっきりと眼前に写る。 ツラギは左舷に備え付けてある大小さまざまな火砲でシュヴァル目掛けて対空射撃を開始する。甲板にいる砲台型や悪魔型もライフルや大砲で攻撃を行う。 急降下するシュヴァルの周りで砲弾が炸裂し、機関砲弾が装甲を貫く、シュヴァルは満身創痍になりながらも最後の駄目押しで、リアパーツの2門の素粒子砲を放った。 シュヴァル「うおおおおお!!」 ビッシュウウウン!! 青白い光がまっすぐにツラギの後部のスクリュー、舵部分に命中する。 ズズウウン・・・ 一瞬、グラリとツラギの巨体がひるむが、さして目に見えるようなダメージは食らっていない。 金川「ツラギ!損傷報告」 ツラギのマスターである金川がマイクを掴んで確認を取る。 ツラギ「左舷後方に命中!第2舵が破損、被害は軽微」 ナターリャ「ふん、バカめ・・・その程度で空母型神姫が沈むものか!」 ドンドンドンドン!! ツラギの艦橋ブロックに搭載されている連装機関砲が放った機関砲弾がシュヴァルのエンジンを貫いた。 シュヴァル「ぐっあ・・・エ、エンジンが!」 ボウウン!! 真っ黒な煙を吐いて、シュヴァルの体がバランスを崩してツラギの甲板に突っ込む。ツラギの甲板に叩きつけられるように不時着するシュヴァル。 シュヴァル「ぐああああ!!」 不時着のショックでシュヴァルの装甲がバラバラに砕け散り、脚部があらぬ方向に曲がる。 ツラギ「敵機!甲板に落着!」 悪魔型のニパラが強化アームでシュヴァルの頭部を鷲掴みにし、頭部に砲口を突きつける砲台型のルーシ。 ニパラ「ひゃはははっは!!捕まえたぜェ!!」 ルーシ「よくも好き勝手散々暴れまくりやがって」 シュヴァル「う・・・・ぐ・・・」 ニパラ「頭部を握りつぶしてCSCを抉り出して砕いてやる」 ナターリャ「待て!!」 ナターリャが弱ったシュヴァルに近づくと、もったいぶった言い方であざ笑う。 ナターリャ「敵ながらたった一人で私の指揮する機動MMS艦隊にここまで立ち向かったのだ。ここは天晴れと賞賛すべきだろう」 シュヴァル「ぐ・・・・」 ニパラはぐいとシュヴァルの頭部を無理やりナターリャに向けさせる。 ニパラ「ナターリャ将軍、どうするつもりで?」 ルーシ「へっへへ、ネットで公開しましょうよー夜帝の装甲や武装をひん剥いて、二度とふざけたことが出来ないように辱しめてやるんだ」 戦闘爆撃機型のマレズが甲板に降りてシュヴァルに機関砲を向ける。 マレズ「ヒュー、こいつなんだかんだいってけっこう可愛い顔してんじゃねえか、へっへへ」 ナターリャ「よく頑張ったが、オマエのおおげさな伝説も今日までだ!!!何が夜帝だ!!ふざけるな・・・夜のステージなら最強?それも今日までだ!!いいか、ネットのみんなにこういうんだ『私は敗北主義者です。優秀なナターリャ将軍の指揮する機動MMS艦隊に敗れた惨めな敗北者です』とな!!」 ナターリャは興奮して唾を飛ばす。 ツラギは艦橋から惨めに羽交い絞めにされているシュヴァルを見てニヤニヤしている。 シュヴァルは顔をうなだれて、ひくひくと体を振るわせる。 マレズ「おいおい、どーしたァ?あまりに惨め過ぎて怯えてるのか?」 ニパラ「うひひひ、八つ裂きにしてバラバラに砕いてやるぜ」 ナターリャ「まずは許してくださいと喚いて、情けないサレンダー宣告をもらおうか!!私の負けですってな」 シュヴァルはぶつぶつと何かつぶやく シュヴァル「・・・か・・・め・・・」 ナターリャ「どうした、何か言いたいことがあるなら言ってみたまえ、最後だ。何を言ってもいいぞ」 ニパラがぐいっとシュヴァルの顎を掴んで顔を向けさせる。 シュヴァルの顔は硝煙で薄汚れていたが、目は爛々と黄金色に光り生気に満ち溢れていた。シュヴァルはニヤニヤと笑いながら口を開く。 シュヴァル「・・・チェスと将棋の違いって知っているか?」 マレズ「は?」 ニパラ「へ・・・なんだ?」 唐突にまったく意味の分からないことを言うシュヴァルに周りは下卑た笑いをやめる。 ルーシ「チェスと将棋の違いだとォ?」 ナターリャは真顔で答える。 ナターリャ「一般的にだが・・・大きな違いは、チェスは取った駒を使うことはできないが、将棋は取った駒を味方の駒として使うことが可能だが・・・それがどうした?」 シュヴァルはふっと顔を歪ませる。 シュヴァル「ナターリャ、あんたはチェスが得意なんだって?このゲームをチェスに見立てて、私を狩ったつもりになっているが、それは大きな間違いだ。負けたのはあんたの方だ」 ルーシ「てめえッ!!!何を分けわかんないこと言ってやがるんだ!!このヤロウ!!」 ルーシはライフルの銃底でシュヴァルの柔らかいお腹を殴りつける。 シュヴァル「がはっ」 ズン・・・ズズン・・・ 上空で低い爆発音が鳴り、甲板が徐々に赤く明るくなってくる。 ナターリャ「・・・・・」 ナターリャはあることに気がつき、ゆっくりと真上を見上げる。 シュヴァルとの戦闘で被弾し操舵不能に陥っていた重巡洋戦艦型MMSの「マキシマ」がゆっくりと炎に包まれ小規模な爆発を繰り返しながら一直線に自分たちがいる空母型のツラギに降下してくる。 野木「姿勢安定装置を作動しろ!」 マキシマ「スタビライザー全損!!こ、高度が維持できません!だ、ダメです!!堕ちます!!」 遠くから重巡洋戦艦型のヴィクトリアがチカチカと発光信号を送ってツラギに退避命令を出している。 ヴィクトリア「至急、進路変更サレタシ、両艦は衝突ス」 金川が発光信号を見てツラギに指示を出す。 金川「ツラギ、至急進路変更だ!!おもかじ!」 ツラギ「あう・・ああ・・・か、舵が聞きません!!さきほどの攻撃で舵がァ!!」 ツラギはパクパクと口を開けて恐怖に引きつった顔を晒す。 シュヴァル「あんたの駒、使わせてもらった。所詮あんたは駒を駒としか見てなかったんだ」 ナターリャ「!!」 ナターリャは目を見開き、落下してくるマキシマの燃え盛る巨体を凝視する。 ニパラ「あ・・・うあああ・・」 ルーシ「ひ、ひいい!!何をしているんだ!舵を切れ!!」 マレズ「ぶつかるぞ!」 燃え盛るマキシマは必死で発光信号を発する。 マキシマ「我、操舵不能、我、操舵不能」 シュヴァル「このゲームはおまえの負けだ。ナターリャ。武装神姫の戦いはチェスほど単純じゃない」 シュヴァルがフッと笑う。 ツラギ「そ、総員退艦ッーーー」 ヴイイイイーンヴィイイーーーーン・・・ サイレンを鳴らすツラギ。 マレズ「うわあああああ!!」 ルーシ「に、逃げろ!!!」 ニパラ「ぎゃあああああああああああ!!」 恐怖で叫び声を上げながら逃げようとする甲板にいる神姫たち。 ナターリャはシュヴァルに向かってパチパチと拍手をする。 ナターリャ「ハラショー!!!すばらしい!!これは私の負けだな、さすがは夜帝だ・・・私の得意分野であるチェスにも勝利した。完璧だ・・・君のような武装神姫と一緒に滅ぶことが出来るとはうれしいよ」 シュヴァルはちらりと燃え盛るマキシマを見てつぶやく。 シュヴァル「あんたは逃げないのかい」 ナターリャ「間に合うものか・・・」 ゴオゴゴゴオオオ・・・ 燃え盛る巨大なマキシマの船体は突き刺さるようにツラギの甲板に墜落し、ツラギの格納庫にまで突き刺さり、内部の燃料や弾薬庫に火が引火し、強烈な大爆発を起す。 グッワッツワアアアアアアアアアアアアアアアアアーーン!!! 真っ赤な炎で出来た巨大なキノコ雲がツラギから立ち上り、強烈な爆風を引き起こす。 □将校型MMS 「ナターリャ」 SSSランク「演算」 撃破 □航空母艦型MMS「ツラギ」 SSランク 二つ名「アタックキャリア」 撃破 □重巡洋戦艦型MMS 「マキシマ」 SSランク「ワルキューレ」 撃破 □悪魔型MMS 「ニパラ」 Sランク 撃破 □戦闘爆撃機型MMS 「マレズ」 Sランク 撃破 □砲台型MMS 「ルーシ」Aランク 撃破 □夜間重戦闘機型「シュヴァル」 SSSランク 二つ名 「夜帝」 撃破 撃破のテロップが筐体に流れる。 呆然と大爆発を眺める、戦闘機型のアオイとツクヨミ。 アオイ「おい、俺たちの帰るところがなくなったぞ」 ツクヨミ「俺に言うなよアオイ」 重巡洋戦艦型のヴィクトリアがマスターの野木に報告する。 ヴィクトリア「マキシマ、ツラギと衝突し爆沈す、ツラギにのっていた神姫の生存はなし、ナターリャ将軍は爆死しました」 野木「つまり、このゲームの勝敗は?」 ヴィクトリア「敵の夜帝、シュヴァルの撃破を確認、されどこちらの指揮官であるナターリャ将軍が戦死されたので、この勝負は引き分けです」 野木「引き分け?冗談じゃない。私たちの負けだ。こちらは17体もの神姫がいたが、生き残ったのはお前を含めて3体のみ・・・奴は1個機動MMS艦隊を潰滅しやがった」 夜神はスーツから煙草を取り出し、火をつけて深く煙草の煙を吸い込む。 筐体の周りは真っ暗で煙草の火だけが赤く燃えている。 夜神「・・・・」 夜神は煙草についた赤い炎の灯火を、じっと見つめる。 じわじわと赤い明かりを失っていく煙草の火・・・・ 煙草の火が消えるとあたりは濃いブルーの闇に包まれる。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>第11話 「night-11」 前に戻る>第9話 「night-9」 トップページに戻る u