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「…見たトコバッテリー切れだな。一応ちまちま充電した形跡はあるが、満充電まではしてないね。おおかた古い型式のクレイドル使ってたんだろうさ。」 ホビーショップ『165-DIVISION』。 中央線沿線でありながら、イマイチ開発が行き届いていない某駅の南口の古いビルの地下にその店を構える、武装神姫中心のダーク系ショップだ。 大して広くも無い店の中は壁から床から真っ黒に塗られ、時々返り血を模したものか真っ赤な塗料をブチ撒けてある。 商品にしても、これまた隅から隅まで店オリジナルと思しきオノだ鉈だチェーンソーだスパイク付き首輪だ(しかも全てご丁寧に返り血ペイント付き)と、アングラ系アクセサリーで満載。 それも全てが神姫向けだというのだから呆れるというか徹底しているというか。 ……まぁよく見れば正規部品も半々ぐらい置いてあるので、一般客も考慮はしてるんだろうが。 これで実は公式公認店舗なんだという。 入り口には蜘蛛の巣やらドクロやらのステッカーに混じって、公式小売店舗を示すラベルが燦然と浮いていた。 なんでも秋葉原の専門店や、その筋じゃ有名なコギトだかエルゴだかいうホビーショップに比べれば規模は小さいものの、そこそこのバトルスペースまで確保しているってんだから驚きだ。 …一体どこにそんな金があったのやら… そして目の前では、カウンター越しにオーナー兼店主である高校時代の友人がこっちをジト目で睨んでいた。 片目に刀傷みたいな珍妙なメイク。服のあらゆる所にチェーンだのリベットだのじゃらじゃらつけたその姿は一種異様で、当時の真面目そうな雰囲気はカケラも残っちゃいなかったが。 「…で、慎。十年ぶりの再会だっつのに、挨拶もそこそこに「神姫直せ」てのはいくらなんでも酷くない?しかも営業時間外だぜ?」 「……あぁ。悪かった。スマンな縁遠。」 俺のあんまりといえばあんまりな返しに、友人…縁遠は溜息をついて苦笑した。 「まぁキミらしいっちゃらしいけどさ。とりあえずあの子だったら大丈夫だよ。中途半端な充電繰り返したせいで電池ヘタってただけだと思うから。」 当時から変わらずこっち方面の腕は確かなようだ。見た目はどうあれ、専門ショップを開いているのは伊達じゃないらしい。 「あとは…ホコリとかで結構汚れていたからクリーニングしてあげて、新しい電池に換えてきちんと充電してあげれば問題はないよ。…それで、こっから本題なんだけどさ。」 来た。握った手に嫌な汗を感じる。 「あの子はキミの神姫じゃないな?どこで拾った?」 縁遠はまっすぐにこっちを見た。 そこだけは昔と変わらない、澄んだ目をしていた。 「…実はな」 ここで俺は、サムライに逢ってからの事を包み隠さず話した。 そして、一つの頼み事も。 「……そりゃ本気で言ってんの?」 「冗談で言えるかこんなこと。実際、お前くらいしか頼れないんだよ。」 しばし睨み合い。 最初に目線を外したのは縁遠だった。 「わぁかったよ頑固モノ。できる範囲でやってやるさ。」 「……済まない。」 「でも、僕ができる事は調べるだけだ。そっから先は関与しない。いいね?」 「ああ。」 …と、一息ついたら腹が鳴った。 そういや晩飯食ってなかったなぁ… 「飯も食わずに来たのか。」 「うっせーよ笑うな。」 「まぁちょっと待ってな…ドリュー、ステーシー、お茶ー」 縁遠が呼ぶと、カウンターの奥の方からかたかたと…紅茶とスコーンを持った神姫が二体出てきた。 片っぽは浩子サンのモモコと同じゾンビ型。 もう片っぽは、ゾンビ型と同時に発売されたという処刑人型だ。 ゾンビ型同様ビジュアル面での問題があり、全くと言っていいほど出回らなかったという。 …こうもちょくちょく見かけるんじゃ、レアリティもクソもないんだがな。 店の雰囲気にやたらマッチした二体は、ゾンビ型の『ステーシー』は縁遠へ。処刑人型の『ドリュー』は俺の方へと背中につけた大きな腕で、器用にお茶の準備をした。 店の雰囲気にまるで合わない、上品なティーカップの中身を一口すする。美味い。 一応礼を言うとドリューは照れたのか、頭につけたホッケーマスクを目深に被って、ギギギだかゲゲゲだか金属を擦り合わせたみたいな音を立てた。 ……やっぱり笑ってんだろうかコレは。 「どうだ、可愛いだろ?」 カカカカカと笑うステーシーを前に、心底得意げに言う縁遠。 …すまん。やっぱ俺にはよく解らん。 その後、サムライの処置が一通り終わる頃には終電も過ぎ。 おまけに「遅ればせながら開店祝いだー!」とか喚く縁遠にしょっ引かれて、朝まで飲むハメになる。 まぁ久々に会ったことには違いないので、なんだかんだで日が昇るまで飲んで語り明かした。 翌朝。調べがついたら連絡するというので、俺はサムライと充電用クレイドルを持ち家へ帰った。 …ちなみに言うまでも無く、補修代及びクレイドル代はしっかり取られたが。商売人め。 --- 「……ん?」 「お、起きたか。どっか痛いとことか動ないとこむぐゃ」 問答無用で蹴られた。 「いきなり何しやが…!」 「なんで助けた。」 硬い口調だった。……まぁ当然か。 「今までだってアタシ一人でやってきたんだ。いつでも野たれ死ぬ覚悟くらいはあった!手前ぇなんぞにお情けもらう謂れは…!」 「だったら俺の前で倒れんじゃねぇよ。」 今度はサムライが黙った。 「…俺はな。お前さんがどこの誰かは知らんし、どこで野たれ死のうが知ったこっちゃねぇさ。」 「………」 「でもな。助けられんのが嫌なら俺の見てる前で倒れんな。目の前で死なれたりしちゃ寝覚めが悪ぃっつーか、飯がマズくなるんだよ。」 「………」 お互い黙り込む。沈黙が痛い。 「……ンだよ。なんか言えよ。」 「偽善者。」 「否定はしねぇ。」 「何様だってんだ。」 「俺様だ。文句あるか。」 「馬鹿だろ手前ぇ。」 「男は大体、馬鹿なモンだ。」 「青瓢箪。」 「職業病だ。」 「唐変木。」 「それがどうした。」 「甲斐性なし。」 「…関係ねぇだろ。」 「種無しカボチャ。」 「ぶっ壊すぞガラクタ!」 また沈黙。 そして、サムライは堪え切れずに吹き出しやがった。 「………くっせぇ台詞。」 「…………うっせ。笑うな。」 何故か笑うサムライに、耳まで真っ赤になった俺がいた。 ……多分これが一生の不覚ってやつなんだろうか。 エピローグへ
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神姫ちゃんは何歳ですか?第二十八話 天使の舞い降りた夜 書いた人 優柔不断な人(仮) 「おーい香田瀬、悪いけどコレを運んでいってくれ」 商品開発を終え、割と暇な年末を過ごしていると不意に営業の富士田部長からお呼びがかかった 技術部と違って営業部は戦場のような忙しさだった これから年末年始にかけ、各店舗では大規模なセールが行われる 今日日、在庫一掃セールだけでは客は来ないので、新商品や定番商品なども大量に店頭に並べる必要がある その為、我が社としても大量に発生する受注を処理しなければならない 基本的には取引をしてる運送屋に依頼するのだが… 「…全く。なんで伝票を見落とすんだ!…」 どうやら、午後の発送が終わった後に伝票が出てきたらしい 「すいません、白雪関連の伝票だったもので、分けておいたのですが…」 営業の新人が言い訳するも 「置き忘れてどーする!…全く、近くだから良かったものの…」 と一喝される 「まぁ、富士田部長、そのくらいに…彼もまだ慣れてないのですから」 「すまんな香田瀬、そういう訳でコレを『エルゴ』まで運んでいってくれるか?」 と言って俺に小さな箱を渡す富士田部長 「白雪用の補修パーツですね」 「夕方に引き取りに来るそうだ。まだ時間はあるが、道も混んでるだろうし、気を付けてな」 「分かりました、行くぞユキ!」 俺はユキをナビシートに乗せ、車を走らせた ユキのナビゲーションにより(といっても、GSPやVICS等から受けた情報をユキが教えてくれるのだが)比較的すんなりとエルゴに辿り着いた といっても、店の近くは渋滞しており、少し離れたコインパークに車を停めたのだが 「こんにちわー」 「あら、いらっしゃい」 迎えてくれたのはこの店の看板娘のうさ大明神様だ 「誰がうさ大明神ですか」 「心を読まないでくださいよジェニーさん。それより、頼まれてた物を持ってきました」 「それじゃあ、中身を確認しますので、開けていただけますか?」 俺は、ジェニーさんに言われた通りに箱を開ける 「…っと、はい大丈夫です」 ふよふよと浮きながら中身を確認するジェニーさん …いつ見てもシュールだ 「それじゃ、ハンコお願いします」 「わかりました、よいしょっと」 ぽん 伝票の上に着地するジェニーさん 再び浮くと、そこに判が押されていた 「確かに。有り難うございました」 「こちらこそ、急な発注でごめんなさいね」 「それにしても混んでますね」 さすがにシーズンなだけあって、店内は混雑していた 人も、神姫をクリスマスという事で楽しい気分になっているようだった ささやかながらも装飾された店内が、その気分を一層盛り上げてるようでもあった 「そうなのよ。売り上げも好調で、在庫が足りなくなってきそうだから、他にも色々追加で発注したのよ」 「日暮さんも無事に新年を迎えられそうですね」 元々ジェニーさんと二人でやっていたこの店も、いつのまにか自称オーナーの高階さんと彼女の神姫のオウカちゃんが増えて賑やかになっていた 「すごい賑やかになりそうですが…」 困った口調とは裏腹に、嬉しそうな顔のジェニーさん 「楽しそうですね」 「あら?香田瀬さんも大変じゃない?」 「そうですね」 「そっちも楽しそうじゃない?」 「そうですね。楽しみです」 等と話してると 「ジェニーは~ん、何時までもサボってないで、はよレジ打ちに戻ってや~」 「すいませんジェニーさん、引き留めちゃって」 「いえ、いいんですよ」 「それじゃあ俺はこれで。ユキ、帰るぞ」 俺は店内のスペースで他の神姫達と話していたユキを呼び寄せた 「あ、はーい。それじゃ、またね」 ユキが神姫達に別れを告げた後、俺達は店を出た 「うわ、変わってねぇ…」 あいかわらず駐車場は満杯、外の道も渋滞が発生していた 「離れた所に停めてよかったね…」 「そうだな…」 うっかり店の前まで来てたら出られなくなるトコだった 見れば遠くに運送屋の人も見える 俺達のように離れた所に停めて荷物を店まで運ぶようだが… 「重そうだね」 神姫のパーツだけだった俺達と違い、彼らが持っているのは大きなダンボール箱であった 箱にはラインバレル・ロボティクス社のロゴが入ってる 「神姫のフルセットか」 俺達は狭い車の隙間を歩いてくる運送屋をやり過ごす為、その場で待っていた しかし ブロォ~ン! 脇道から、一台のスクーターが飛び出してきた 「うわっ!」 ダンボールで死角となり脇道が見えなかったのか、運送屋が気づくのが遅れた 「やべっ!」 慌ててブレーキレバーを握り、急停止をするスクーター キキーッ さらに車体を倒し避ける ドスン ギリギリ当たらなかったものの、驚いた運送屋は倒れてしまった。そして… ガン! 持っていたダンボール箱がガードレールへと当たる バラッ ダンボールが破れ、中に入っていた黄緑と朱色の箱が飛び出し、イルミネーションが施されている民家の塀に当たる グサッ! 箱は二つ共、もっとも薄いウインドウ部分にプラスティックの星が当たる バチィッ! 電飾がショートし、切れる プスプスと音を立て、焦げた臭いを立てる二つの箱 「なんや?何があった…」 「来ちゃダメだ凛奈さん!」 物音を聞き店の外を窺おうと出てきた凛奈さんに俺は叫んだ 彼女にはこの光景を見せたくなかったからだ いや、神姫には見せたくなかった 出来るならユキにも見て欲しくなかった 何故なら 神姫が産声を上げることなく『死んだ』瞬間だったからだ 「すいません、ウチの方で弁償しますので…」 ペコペコと頭を下げる運送屋 結局あのままスクーターは逃げてしまい、運送屋は日暮さんに平謝り 目の前には焦げた箱が二つ並んでいる 金銭面の問題はカタがつく。運送屋もこういう時のために保険に入ってるのだから しかし、心情面での問題は… 『もし、こんな事にならなければ、どんなオーナーの元へと行ったのだろうか?』 ふとそんな事を考え、彼女達を見る 外装スキンの一部は溶け、内部骨格まで見ている ティグリースの方は右腕が、ウィトゥルースの方は両足が砕け、痛々しい 頭の方はこんなに綺麗なのに… ふと、技術者としての俺がこう考える 『まだ、直せる』 「ねぇ…お兄ちゃん…」 ユキの声に我に返る 「…なんだ?」 「この子達、直せないのかな?」 ユキも同じ事を考えていたようだ そんな俺達の会話に運送屋が割って入る 「直すって言ってくれるのは嬉しいですが、傷物になっちゃ売り物にはなりませんから…」 「いや、そういう事じゃ無いんだ」 「へ?」 俺の返事に戸惑う運送屋 「日暮さん、この子達を俺に売ってくれ」 「センパイ!こっちです!」 日暮さんを説得し、二人を引き取った俺は大急ぎで会社へと戻った 商売人として壊れた神姫を売ることに難色を示していた日暮さんだったが、思いは俺と同じなのか最後には応じてくれた ちなみに原価で譲ってくれると言ってくれたが、丁重にお断りして定価で売って貰った。安く譲って貰うと、彼女達がまるでジャンク扱いでもされるようだったからだ 勿論、日暮さんにそんな意図はないのだが 戻る途中、ユキに皐月へ連絡して貰い、緊急手術の準備をして貰っていた 「皐月、準備は出来てるか?」 「勿論です。ラインバレル・ロボティクス社の方からもデータが届いてます!」 一見無事に見える頭部だが、電気ショックを受けた為、データが飛んでしまっている可能性が高い。したがって、失われてしまったデータを再入力する必要があった 本来、神姫の根幹プログラムのデータは非公開である にもかかわらずこうして寄越してくれるのは、水那岐部長のおかげだろう 「本体の…方も…準備…出来て…ます…」 そう言って水那岐が二つの箱を差し出す 中に入ってるのは、来春発売予定の新型素体『タブリス』だ 『自由意志の天使』の名が付けられたこの素体は、先頃発売されたMMS2ndをベースに、白雪で培った技術を投入し、さらに武装神姫規格のパーツをそのまま使う事が出来るように改良された物である スペック的には通常素体と白雪LMとの間くらいだが、価格は2神姫程にまで下げる事が出来た 「まずは、損傷箇所のチェックからだ」 俺は二人をスキャン装置へとセットする 少しの時間の後、二人のダメージ状況が表示される …やはり状況は真っ赤だ 砕けた手や足は勿論、電撃に晒された本体も内部に大きなダメージを受けていた 「…でも…CSC関連は…なんとか…無事です…コアユニットは…内部に…物理的な…損傷は…ありません…」 しかし、さすがに中枢部は幾重にも保護が為されており、中枢部のダメージは無いとは言わないが思った以上に軽微だった さらにコアユニットに至っては、素体換装をする人もいるため、クレイドルでセットアップを始めるまでは仮止めのみで接続自体されていないのだ 「起動してなかった事が幸いしてますね」 起動していなかった為、過剰な電流が流れずに物理的な被害が最小限に押さえられたようだ もっとも、起動していればこんな事にはならなかったのだが 「これなら、修理すれば問題は無い。あとは頭部の方だな…」 俺は頭部を取り外し、模擬体へと接続する これは本来、初期不良が無いかをチェックする為の物である。コアユニットを作っていないウチの会社だが、白雪のセットアップで神姫を組み立てる場合も多い その場合には、各社からコアユニットとCSC中枢部、武装一式を直接取り寄せて組立て、お客様に発送するのである 「さて、内部のエラーチェックはっと…」 『感情プログラム・エラー、言語プログラム・エラー、バトルサポートAI・8,12,32エラー…』 「さすがに、半分が飛んでるか…」 消えたデータを修復すべく、送られてきたデータを入れようとディスクを探してると… 「あのねお兄ちゃん、ちょっと提案があるんだけど…」 ユキが俺に話しかけてきた 「ん?どうしたユキ?」 「あのね、その壊れちゃったデータ、私から直しちゃダメかな?」 「私からって…自分のデータをコピーして入れるってのか?まぁ出来なくは無いが…」 「ううん、そうじゃなくて、私が直すの。二人の中に入って、教えてくるの」 「…つまり、二人とユキを接続して、デバックしてくるって事か?さすがに無茶だ!一人で二人分のデバックをするなんて!」 ユキの無茶な提案を俺は止めた ユキの体は高性能な白雪のテストモデルだが、コアユニットそのものは普通の物だ。そんな高負荷かけたらどうなるか分かったモンじゃない 「一人じゃなくて、みんなでやればいいのだ」 声に振り返れば、4人の小さな人影があった ミチル、ムツキちゃん、花乃ちゃんにひじりんであった 「あ、あの…健志郎さん、私も頑張りますから」 「私はまだ他人のデバックが出来る程の経験はありませんが、みなさんをバックアップ致します」 「ひじりんも、みんなのお手伝いをするよー」 「ケンシロウ、ここで皆の申し出を袖にしては男が廃るぞよ?」 「みんな…思いは…一緒です…」 「そうですよセンパイ。みんなでこの子達を助けましょ!」 「みんな…有り難う…よし、必ず助けるぞ!」 『おー!』 と言う訳で、コアユニットのプログラム修復はユキ達神姫組が、素体の修復は俺達が行う事にした CSC中枢部の移植は俺が、それ以外の所は観奈ちゃんが行い、それを水那岐と皐月がサポートする 神姫組は模擬体とユキ、ミチル、ムツキちゃんを接続し、外から花乃ちゃんとひじりんがモニターをする 「よし、出来た。ティグリースの方の仕上げを頼むぞ」 「…センパイ、その呼び方辞めません?」 「…は?」 「名前ですよ名前!ちゃんと付けてあげないと!」 「…そうだな。実は考えてあったんだが、セットアップ時じゃ無いとマズイかなって」 「別に…セット…アップ時…じゃなくても…いいんですよ…」 「そうじゃな、ここはやはり、ちゃんとした名前で呼びたいものじゃ」 う…なんか非難されてる俺? 「えーコホン。ティグリースは『ティール』、ウィトゥルースは『ファロン』だ」 「ティールちゃんに」 「…ファロンちゃん…」 「可愛い名前なのじゃ。花乃、火蒔里、ミチル達に教えてやるのじゃ」 「分かりました」 「りょーかいっ!」 「…なんで今?いや別に良いんだが、ユキ達も大変じゃないか?」 「デバックする時には、相手の名前を呼んで上げた方が落ち着くのですよ」 「まぁコレは神姫特有のものだから、ケンちゃんは気にしなくていいよ」 「うーむ、そういう物なのか…っと、ファロンの方も出来たぞ」 「センパイ、早いですよ~」 「まぁこっちも頼む。俺はもう一つやらないといけない事があるんでな」 「もう一つって?」 「コレさ」 と言って俺は作業台の上に壊れたパーツを並べる 「コレって、二人の武装?」 「その通り。真鬼王も直してあげないとな。コッチはデータが飛んでても、神姫から写す訳にはいかないし。ついでに強化もしておこうと思ってな」 「ふえ~、見てる間に分解されていく…さすがセンパイ」 「皐月殿!こっちを忘れては困るのじゃ」 「あっ!ゴメンゴメン…」 こうして、体の方の修理は順調に進んでいった 闇 そこにはただ何もない空間が広がっていた いや、二つの光る物が寄り添っていた 一つは右腕を失った人影。もう一つは両足を失った人影 泣きそうな表情で辺りを窺っている そんな二人に三つの光が近づいた 「あう…」 「もう大丈夫だよ」 光の一つが話しかけてきた その光は人の形へとなった ユキであった 「そっか…話すことが出来ないのだったのだ」 もう一つはミチルに 「でも、私たちが教えてあげます…色々な事を…」 最後の光はムツキへと 「さあ、おいで。ティールちゃん、ファロンちゃん」 二人に手を伸ばすユキ 「え…あ…う…」 「そう。あなた達の名前」 右腕の無い方に向かって 「貴方がティールちゃん」 足の無い方に向かって 「貴方がファロンちゃん」 二人は差し伸べられた手をしっかりと握り 「えう…ちーる…?」 「…はろん…?」 答えてくれた 「これから二人に、色々なことを教えてあげるのだ」 「だから。もうちょっとだけ頑張りましょ」 三人の呼びかけに、二人は顔を見合わせた後 「「…うん!」」 力強く、満面の笑みを浮かべて答えてくれた それと同時に、暗闇に一つの光が現れ、辺りを強烈に照らし始めた 「うーっ、大丈夫かなぁ…」 夜、二人の修理は無事終わり、あとはセットアップをするだけとなった 「センパイ、落ち着いてください」 「…そう…ですよ…診断も…異常なし…なのです…から…」 「そうだな、よし!起動するぞ…」 キーボードを叩き、起動プログラムを実行する 最後に本体の診断プログラムが作動し、チェックを行う 『各部問題無し。これより、セットアップを実行します。貴方がオーナーですか』 「ああ、俺が君たちのオーナーだ。名前は香田瀬健四郎」 『了解しました。それで、オーナーの事は…』 ホっと一安心 「パパと呼ばせて戴きます」 「親父と呼ばせて戴きます」 …はい? 「ちょっと待て!ここは「何とお呼びすれば宜しいのですか?」じゃないのか!?」 そんな俺の言うことは無視して目を閉じる二人 そして再び開いたとき、生気の籠もった目で俺を見つめ 「この度、私をお買いあげ戴き有り難う御座います、私は寅型MMSのティールと申します。これからよろしくお願い致します」 「よっ!あたいを買ってくれてサンキュ!あたいは丑…まぁ見りゃ分かるか。名前はファロンってんだ。ヨロシクな!」 ぽかーん 呆気にとられる一同 「…おかしいですね、デバック時に名前で呼んでも、セットアップ時には忘れているはずなのですが…?」 どうにか正気に戻った花乃ちゃんが言った 「なんで、名前知ってるんだ…?」 「え…そういえば、まだ名前付けて戴いてませんでしたよね…?」 自分の発言に驚くティール 「まぁいいじゃん、細かい事は。んじゃ変える?」 笑いながら答えるファロン 「いや、その名前で良いんだが…」 「ほっ…良かったです。なんかこの名前、とても大切な気がしたので」 「だな。あーは言ったが、実際変えるって言われたらどうしようかと思ったよ」 「大切?」 「ええ。とっても大切な名前です。私たち、夢を見てのです」 「夢?」 不思議に思って訪ねてみる 「…突然まばゆい光に包まれたかと思ったら、深い闇に飲まれそうになって、手をのばそうと思ったら右手が無くて、隣でもがいてるファロンも両足が無くて、だんだん意識が遠のいていったのです」 これってまさか… 「そしたらさ、あたい達を闇から救ってくれたおっきな手があったんだ。とても大きくて、とても暖かい手が」 「その後に現れた光が、私達に名前をつけてくれたのです…そんな夢」 この子達…覚えてるのか? 起動して無くても、自分の身に起こった事を… 俺は二人にそっと手を添え、こう言った 「これからヨロシクな」 「はい…この手…暖かい…」 「ああ…この手だ。あたい達を助けてくれたのは…」 俺は泣いていた いや、みんな泣いていた よかった… この子達を助けられてよかった…
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「俺とティアナの場合」 第2日目「アイドル登場?」 「さあ~今年もやって来ました。交流戦。」 白いスーツに赤いネクタイ。そしてマイクを手にした司会らしき人物がステージに上がる。 「毎年恒例で行われているにもかかわらず情報公開をしないため知名度は低い、しか~し神姫科へ進級した生徒とパートナーの神姫同士の交流を兼ねて行われているバトルトーナメント。公式リーグ参加者とビギナーを分けているので安心の2トーナメント制。どちらのトーナメントも優勝者には副賞として食堂の無料ランチ券1か月分が贈られます。今年は誰が優勝の栄冠を掴むのか!! それでは早速1回戦開始です!!」 けっこう急ぎ足で喋る司会(見たところ1つ上の、大学1年だろうか?)の宣言でいっせいに第1試合のゴングが鳴る。 そして会場(とは言っても体育館なんだが)のメインスクリーンに次々と試合が入れ替わり立ち代りで表示される。 やっぱりずっと前から神姫と一緒にいたヤツもいるみたいで、公式リーグで慣らされた猛者たちも混じっているようだった。 まあ、そういうメンバーは最初からブロック分けされていて、そのブロックのみ試合の迫力が違っていた。 比率的には3対7ってところか。いちおう進学校に分類されるからしかたないけどビギナーの方が多いんだよなウチの学校は。 とはいう俺もバトルに関してはド素人だった。 ティアナの試合はまだまだなのでふらふらと会場を歩いてみる。 で目に留まったのが公式ランカーになっている神姫たちのバトルだった。やっぱり武装神姫と呼ばれるだけあってその能力はすごいと思う。 さっき見た猫型だって広大なフィールドを準備運動かのように駆け抜け、それなのに息一つ乱さないで敵の天使型にぶつかっていく。 爪の一撃を避けられてもすぐにバックステップを行い、プチマシーンズで牽制していた。 やぱりああいう反応は実戦を戦い抜いてこそなんだろうと思う。 ふとティアナはどういう試合が気になるのか聞いてみた。 「ティアナは気になる試合ってある?」 「うーん…このへんで面白そうなのはないわ。言い方が悪いけど正直TVでファーストランカーの試合見てるからそれに比べたらレベルは低いし。」 「じゃあいっそのこと俺たちと同じビギナーの方行くか?」 「ええ、そうしましょう。」 そうして会場の反対側(いちおうマンモス校なので体育館とはいえ結構広い。)のビギナーの試合を見てみる。 おれが巨大スクリーンに目を取られているとティアナが俺のブレザーのすそを引っ張った。 「翔、あの試合が見たい。」 そうしてティアナが指さしたのは、戦闘駆動そっちのけで歌って踊るサンタ…じゃなくて装備はそれだったけど、本体は犬型。 ん?よく見ると髪形がサンタ型のものと酷似してる。あ、犬型もああするとすごくかわいいな~ 「なに見とれてるの?翔」 いつもより少しだけ声のトーンが暗いティアナ…ハッ、心を見透かされる…これからは気をつけよう。 「ああなんでもない、なんか面白そうだから見てみるか」 「あの"犬型"ばっかり見たらダメだからね。 その場合は私服脱ぐから」 そういってティアナは着ているタートルネックに手をかける仕草をする。 ご存知の通り、花形の素体は布面積が少ない。最低限の部分以外はほとんど素肌(この表現が適切かはわからない)だ。さすがに俺もそんな姿のティアナをそのまま学校につれてくれば教師の注意を受けるだろう。もちろん今脱がれれば俺が怒られる羽目になる。それを想像しただけで寒気がした。 「ああ、わかった。」 「よろしい、なんてね。」 そうしておれはその試合が行われているブースに入る。 するとソコだけが別空間だった。ブース内は明らかに今世紀初頭のアイドルっぽい曲、これどこかで聞いたような… 「あ、あれだ。」 俺より先にティアナが曲名にたどり着いたらしい。 「なんて曲だ?」 「ほら、アレ! この前放送してた、全然敵が動かないガンダムの桃色電波の影武者のヤツ」 …なんでこんなにもややこしい言い回しをするんだ?と思いつつ、俺も曲名にたどりついた。 「あ、ガンダム種のアレね~えっと英語で「感情」ってやつだろ。」 「そうそう、♪エモーシふぐぅ」 あわててティアナの口を塞ぐ俺、たしかこういうSSとかでも歌詞を引用したら"あの"ジャ●●ックに請求されるんだってな、それはなんとしても避けないと中の人に怒られてしまう。 それはいいとして、実際に歌を歌っている犬型はというと…ダンスまで完璧。声も透き通ってる感じ。いい線いってると思う。 いや、ロボット目当てでガンダムを見ていたはずなのにあんなシーンが出てきたからなんか印象に残ってるだけだぞ。 しかも敵の攻撃なんて完全に無視してるし、相手の騎士型は相当怒ってるっぽいな~ 「貴様、ちょこまかと!!」 騎士型は助走をつけて飛び込んでいく。しかし 「♪~~~~~」 踊りつつも、背中のブースターでそれをまさに華麗という形容詞が似合う動きで回避。そのまま歌い続ける。 そして曲もクライマックスに。 「♪♪~~~ ♪~」 そうして最後のフレ―ズに入る。 「いい加減にしろ!!!貴様ぁ!!!!!!!!!!!!」 相手の騎士型は完全にキレてる…あれだけ無視されればああなるわな。で右手にランス、左手に片手剣の突撃形態だ。 そのまま勢いをつけて向かっていく。そしてまずはランスをあの犬型に向かって投げつけた。 「ゲイボルグのまねっこ?」 ティアナ、お願いだからさらっとそいいうオタっぽい知識を披露しないでくれ。 休み中はCSで見放題だったからって1日中アニメ系チャンネル見てたもんな~~って、結局マスターである俺の責任になるのか… ランスは犬型のバックパックのブースターを直撃。さすがにあの速度で飛来する大きなランスは避け切れ中ttらしい、犬型はどんどん高度を下げていく、そして騎士型は剣を握り締めて着地地点に飛び込む。着地より数秒早く犬型の歌は全フレーズを歌いきっていた。着地と同時に振り返って騎士型を見る、犬型は笑っていた。 そして激突。激突の衝撃がステージに生えている草木を吹き飛ばす。その草木が再び地面に降りるとき、立っていたのはあの犬型だった。 右手には1振りのライトセイバー…あれはマイクだったものだろう。 もしくはマイクのふりして使っていただけかもしれない、だがそれは確実に相手の騎士型の油断を誘ったはずだ。 騎士型のマスターがへこんでるのを尻目に、犬型はユニットから出てきて挨拶をする。 「私の名前はニーナ、ニーナです! 私の歌は楽しんでいただけましたか~」 何人かの生徒が拍手を送る、でも彼らの見た目は明らかにオタクだった…まあそれにつられてほかの生徒たちも拍手をしてるので俺も混ざってみる。 「私は神姫アイドルナンバーワンを目指してます、いまはまだ無名ですが…きっと一番になって見せます。なのでもしよかったら次のステージも来てくださいね。chu♪」 これで先ほどのオタどもは確実に堕ちたな…俺でも次も見ようって思ったぐらいだし。 「翔、あの子おもしろいわ。あの子と戦ってみたいな。」 ティアナもあの犬型の子…ニーナが気に入ったらしい。 「じゃあ俺たちもそれなりにがんばらないとな、そろそろ俺たちの試合のあるブースに向かうか。」 「ええ、私の力を見せてあげる」 「おお、せめて1回戦ぐらいは勝ってくれよ。」 「もちろんよ、そのためにパーツを取りに帰ったんでしょう!」 「そうだったな、がんばろう。」 そうしてそのブースから立ち去る俺たち2人を見つめる少女が一人。 「木ノ宮君…」 その視線に俺は気付かないでいた。 続く
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「ほら、ここだよ!」 そう華凛が指差す建物は、看板が綺麗なイルミネーションで彩られていて、いかにもな建物だった。 周りには、神姫を持った人がちらほら見える。 ある神姫は笑い、またある神姫は、マスターに対して怒っているように見えた。 (ホントに人間みたい……) 昔のアニメで、神姫のようなロボットが出ていたのを思い出す。あのアニメは相当昔の物だったが、当時の人からしたら、15cmのロボットが現実になるとは考えもしなかっただろう。 「樹羽~、行くよ~?」 と、気が付くと、華凛は建物の入り口付近まで行ってしまっていた。 「あ、うん」 私は多少急ぎ足で華凛の後を追った。 建物の中は、様々なゲーム機器の音が混じりあい、酷いタバコの臭いが立ち込めていた。華凛に導かれるままに、歩いて行くと、そこに辿り着いた。 数台のテーブル状の筐体を挟んで、神姫のマスター達が椅子に座って瞑想していた。 ……少なくとも、無知な私の目には、変な機械を頭に着けてただ目を瞑っているだけにしか見えなかった。 「我慢大会?」 「違うわよ、筐体の中を良く見なさい」 言われるままに筐体の中を目を凝らして見てみた。 良くみたら、筐体の上にはうっすらとホログラムが展開されていた。その中で、赤と水色の点が動き回っているのが見える。 「あの点が神姫たちよ。これがヴァーチャルバトルね」 「リアルもあるの?」 いちいちヴァーチャルバトルと区別するのだから、リアルバトルもあるのでは? 「ああ、それはあることはあるんだけど、スペース的に難しいわね。本で読んだと思うけど、神姫は15cmあるの。その神姫が、ヴァーチャルバトルと同様に、縦横無人に動くには、だいたい10×10㍍もの大きさのバトルフィールドが必要になるわ」 確かに、このゲームセンターに10×10㍍ものフィールドをこの台数だけ置こうと思ったら、全てのゲームを取り出さなくてはならないだろう。 「あ、ほら、樹羽。あのスクリーンにバトルの状況が出てるよ!」 私は華凛が指差す観戦用の大型スクリーンを見た。 天井から吊されたそれは、現在行われているバトルの様子が、リアルタイムで表示されていた。左上と右上には、それぞれの神姫の種類と登録名、そして残存HPが記されていた。さらに左下と右下には、その神姫が使っている武装が記載されている。 左はマオチャオ型の「こなべ」。見た感じ、猫をイメージした神姫のようだ。 残存HPは1036/3096。使用武器は、ナックルが2つにドリルが1つ。全て近距離用の武器だ。ウェポンプール(多分、予備武装みたいなもの)にはビットと書かれている。 対する右はジルリバーズ型の「リエラ」。背中から飛び出ている2本のタイヤと大きなスカートパーツが印象的な神姫だ。 残存HPは3640/3640。つまり無傷。使用武器は、ライフルとショットガンが1丁ずつに小剣が1本。さらにウェポンプールには、サブマシンガンが一丁。 「うわ、あの神姫無傷だよ」 周りのギャラリーから、そんな呟きが聞こえる。確かに、戦い方を見ていれば、無傷な理由がよくわかった。 ステージは、建物などが立ち並ぶ廃墟ステージ。 その建物の陰から、ショットガンとサブマシンガンで弾幕をはり、ライフルで的確に狙撃する。近付かれたら後退しながら弾幕をはる。卑怯ともとれる戦法だが、相手が近接武器しか装備していないのが悪い。 いや、ビットを装備していたようだが、とっくに壊されていたらしい。ウェポンプールのビットの欄に破壊と赤い文字で書かれている。 「結構厳しいね」 「…………」 その時、マオチャオはショットガンのリロードの隙に、一気に距離を詰めた。ジルリバーズも後退しながらライフルで狙撃するが、元々そんなに誘導性能は高くないようだ。うまくかわしながら進むマオチャオ。ジルリバーズも下がるのをやめ、相手の出方を見る体制に入った。と同時に、ライフルの欄の赤いゲージが伸びる。 「ダメ、今じゃない」 「え?」 そのタイミングじゃない。今見たマオチャオの移動速度的に、ジルリバーズの元につく前にショットガンのリロードが完了するだろう。 待て、何故相手は打つのをやめた? 先程のようにサブマシンガンをばらまいて逃げることも可能だろう。 それをしないのは何故だ? 考えられるのは…… と、その時マオチャオの姿が消えた。正確には、消えたように見えるほど早く動いたのだ。観戦用のスクリーンには、青いラインと点が表示される。多分マオチャオの動きだろう。そうなると相手の左から襲撃するルートだ。 ジルリバーズの右には建物がある。逃げ道は、後ろか前のどちらか、しかし、前には瓦礫。 ということは、逃げ道は後ろ。それも予想しているのだろう。恐らく、相手の回避に合わせて別の一撃を加える気なのだ。 「それじゃダメだ、カウンターが来る」 「あの、樹羽?」 ジルリバーズが建物の方に向き直る。突っ込んでくる相手に背中を見せる形になった。ギャラリーから戸惑いの声。しかしその声は、次の瞬間驚嘆の声に変わった。 ジルリバーズのリアからブースターがふき、建物の壁を蹴りあげる様に上がる。 マオチャオの拳が空を切った。 「バカ」 見事に宙返りを決めたジルリバーズは、ライフルを敵に向け、引き金を引く。先程よりも大きい光弾はマオチャオを包みこむ。残りHP438。 さらにジルリバーズは、ライフルの上部につけられていた小剣を掴み、分解。落下と同時に一閃。マオチャオは悲鳴もなく、データの塵となった。 ブザーが鳴り、画面には『Winner ジルリバーズ型 リエラ』のテロップ。ゲーム終了。ジルリバーズも悠然とデータの塵になっていく。 「だからダメだって言ったのに。射撃武装での遠距離戦が主体の相手が突然撃つのをやめたら、不信に思わなきゃ。そこをチャンスと見るかトラップと見るかが、プレイヤースキルなのかな……」 「樹羽~、帰ってきて~」 「はっ……」 あれ? 私は何を? 「大丈夫? なんかブツブツ呟いてたけど」 「あ、いや、なんでもない……」 答えながら、私は考える。 何故、あんなに考えたんだろう。 昔から不意に考え込んでしまうのはよくあることだった。でも、口に出すことはなかったはずだ。 (それにすら気付かないほど、夢中になってたってこと?) はっきりとしない感覚は、考えが伴って確信に変わる。 (私は……) 第2戦の開始を告げるブザーが響いた。 第一話の2へ 第二話の1へ トップへ戻る
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は ま や ら わ 英 数 用語集 (は~わ・英・数) は [部分編集] バッカル マリーセレスのリアである、「アーク・E・トゥージス[A]+ハフ・グーファ」を装備することで使用可能なアクティブスキル。 大量の弾を敵に向けてバラまく。公式曰く、「当たればでかく、逆転できるロマンスキル」。 だがロマンスキルというだけあって、誘導がかなり弱い。具体的には横に歩いただけで簡単に弾が神姫の横をすり抜けるレベル。 一方硬直狩りに使うなら、非常に高い打点を「レーザー」などより安定して、タイミングさえ合えば確実に当てることが出来る。そのため、「体力回復」や「ゴールデンエンジェル」等モーション付きのスキル対策、あるいはスキル時に敵味方の神姫が動かないAIタッグバトルでの火力源として使われている。 この場合、アセンはバッカル無しでも戦える程度までチューニングする形が人気。体力回復を使えばバッカルを当てられ、使わなければそのまま倒されるという二択を押し付けられるからである。 なおバッカル時の硬直に対してもバッカルを当てることが出来るため、バッカルを持つプレイヤーが同時に二人以上居るならどちらがバッカルを後出しするかというバッカルメンコチキンレースが始まる。 バニーガール武装 卯年の2023 1/1に実装された武装。網タイツとスーツの質感が艶かしさを醸し出している。 バニートレーはクリティカルとブーストゲージの回復が秀でた投擲武器、マスクステータスは優秀だが、遅い弾速と短めの射程、適正神姫の数に難があるカテゴリである為、人は選ぶか。 防具はヘッドのバニー耳、ボディ・レッグ・アームの一式のスーツ、リアのしっぽの三ヶ所で構成されている。 性能的は若干ダッシュスピードが早く、かつCHAが高めなのでスキルを用いた運用では非常に心強い。但し、若干ジェム攻撃力は下がってしまうので一式で運用する際は注意が必要。とはいえ総合的に見てもとてもバランスがよいので武器と比べるとかなり実用性が高い。 レイドボスバトル(第八回)では、レイドボスのバニーミラージュから赤いバニー耳とスーツ、金色のバニートレー(と、ついでに通常版と同じ仕様の尻尾)を手に入れる事が出来る。 バリステ、バリブレ アーティルの攻撃リア装備、バリスティックブレイズ[RW]の事。人によって略称のブレはあるが同義。 コンボ前提になるが発射数2発×2の高速でそこそこ威力の高いホーミングミサイルを放てるので、レイドボスバトルにおいてはWAVE1~2の雑魚散らしに甚だ有効。アセンさえしっかりしていればボスにも有効打を与えられる。 そうした事から(発射軌道の癖の強さと度重なる(レイドでの)ナーフにもかかわらず)、今でも愛用しているマスターは多い。 勿論ジェムバトルでも厄介で、中距離で足を止めようものならミサイルの雨が降ってくるので中々曲者。誘導の限界で近距離は安置なので、遠距離+このRW持ちと対峙した場合さっさと距離を詰めよう。 バレンタイン武装(2021) 2021年バレンタイン期間限定武装。 「バレンタインツインドリル」「バレンタインスーツ」「バレンタインパフスリーブ」「バレンタインシューズ」「チョコペン銃(両手ライトガン)」。 スキルゲージが溜まりやすくなったりジェム回収の展開速度が上がる等、マスクステータス面は優秀なものの稼動初期のイベント武装だけに目に見える数値面では控えめなスペックで、後から出てきたホワイトデー武装の陰に隠れてしまったが、2022年期間限定復刻時以降は対バグ補正が追加されている模様。 …だったのだが、どういう訳かレイドボスバトル(第六回)においては、他のイベント武装にプラス補正が付いたのとは対照的に下方されてしまった(これはバレンタインクラシックも同様。他に下方されたのは15th装備のアーンヴァル側くらい)。 バレンタイン武装(2022) 正式名称「バレンタインクラシック武装」。 2022年バレンタイン期間限定武装で「バレンタインキャンディツイン」「バレンタインクラシックスーツ」「バレンタインクラシックパフスリーブ」「バレンタインクラシックスカート+バレンタインクラシックシューズ」「バレンタインクラシックシューズ」からなる。 チョコレート色の、ウェイトレス服かメイド服を思わせるロングスカートが中心となるコーディネート。ダッシュスピードが若干速くなり、スキルチャージ・ジェム回収展開速度が上がる。対バグ補正を持つと明言されている……が、第六回では削除された。 頭と足の装備で発動できるスキル「私のチョコだけ受け取って!」は、自分以外のダッシュ・ジャンプ速度を大きく下げることができる。 周りのステータスを下げてこちらが追いやすい/逃げやすい状況を作るという点では「攻撃スピードダウン」に近い性能を持つが、発動モーションがある代わりに素の機動力で劣る相手への追いつきやすさはこちらの方に分がある。 武器はないが、前年度及び復刻のチョコペン銃が適切か。 なお、スカート+シューズ武装とシューズ武装は排他関係にある。RW装備を重視したい場合は後者で。 余談だがバレンタインシリーズのシューズで唯一クラシックのみガーターにナイフ(護身用?)が仕込んである。スカート付きだと分かりづらいがシューズ単品だと一目瞭然。セクハラが過ぎると投擲される…かも? バレンタイン武装(2023) 2023年バレンタイン期間限定武装。 「ビターパンクハートヘア」「ビターパンクハートヘア・オリジナル」「ビターパンクスーツ」「ビターパンクアーム」「ビターパンクブーツ」「ビターパンクスカート」。 どちらかといえばガーリー寄りの可愛さが追求されてきたバレンタイン武装シリーズだったが、今回はデザイン面でパンクな方向へとシフトしている。 性能は他神姫撃破時のオートジェム回収機能がある事をはじめジェムバトル寄りだが、スカートの半分がレザーバンド仕立てとなっているため“見える”のが最大のポイント。 ジェムバトルに持ち込むなら高火力射撃と相性が良いかもしれない。 なお実装当初武器は含まれていなかったが、ホワイトデー武装(2023)の実装時にこの武装と適合する色のネジバットが改めて実装されている。 ハロウィン武装(2021) ハロウィンイベント(2021年10月11日10 00~同11月1日10 00)限定配布武装。 マジカル★パンプキンヘッド3種類(Pink、Blue、Green)からなり、いずれも有用なアクティブスキルを持っている。こちらも参照。 某閃光のハサウェイの余韻冷めやらぬ時期に実装されたため、そちらにちなんで偽マフティー呼ばわりされることも。 ハロウィン武装(2022) 2022年のハロウィン(10月31日10 00 ~2022年11月21日9:59)限定配布武装。「まじょっこ」衣装はLP及びDEX高め、状態異常補正に微量のブースト回復と、全体的に耐久に振った性能。 武器は3発誘導弾を放ち、ダメージ系アクティブスキル付きの片手ライトガン「キャンドルロッド」。こちらもホワイトデー(2022)武装と同様、「ハロウィン武装に武器が存在しない問題」を解決している。 更に死神の鎌や前年のマジカル★パンプキンヘッド各色を持っていれば、それらしいコーデで楽しめる事だろう。 偶然なのかもしれないがこの時期に注目を浴びたアニメは昨年の偽マフティーと同じあのロボットアニメシリーズかつ名前は「水星の魔女」である。 ハロウィン武装(2023) 2023年のハロウィン(10月16日10 00~11月6日10 00)限定配布武装。前年の「まじょっこ」衣装のカラーバリエーションでDEFとCHAに振ったピンク、DEXに振ったブルー、ATKと近接耐性に振ったグリーンの三色。 武器はそれぞれの色の「パンプキンハンマー(両手打撃武器)」。 時を同じくして前年及び前々年のハロウィン武装も復刻されているので、全部集めるのはとても大変。 環境では「まじょっこ」ブルーの低レアが、ジェム自動会収能力の高さから大暴れしている。 武装貴族 ぶそうきぞく。e-passカードを作る時に設定する事が出来るが、どういった人々なのだろうか? 謎は尽きない……。 武装淑女 ぶそうしゅくじょ。武装神姫の女性マスターの通称。 これも、e-passカードを作る時に設定する事が出来る。 武装紳士 ぶそうしんし。武装神姫の男性マスターの通称で、一番良く知られる。 勿論これも、e-passカードを作る時設定する事が出来る。 ただ、ここで勘違いしてはならない点は、武装紳士といっても必ずしもその全てが「紳士」であるとは限らないという事。 本来はあってはならない事のはずだが、武装神姫界隈にも「紳士」の風上にも置けないような振る舞いをする者は数多い。派閥作りからの神姫関連商品の買い占めや転売行為、揚げ足の取り合いや蹴落としあい、誹謗中傷などがこれにあたる。 そして対戦ゲームである以上、残念ながら本作のマスター層もこうした悪しき風潮と、決して無縁とは言えないのだ… だからこそ「紳士」とは自ら名乗るのではなく、その品格を持って人から呼ばれて初めて得られる称号なのだという事を心に刻みたい。 その意味で、アニメ版の理人さんは立派な武装紳士といえよう。 ヘイト管理 現在のジェム数・スキル・次の神姫から、自分がどれほど狙われやすいかを把握し、ジェム回収量や相手との距離を調整すること。 基本的に、終盤順位が高いプレイヤーやガンガン攻撃するプレイヤー、戦場に近いプレイヤー、強力なスキルを持っているプレイヤーが、よく狙われる傾向にある。 最終的にアクティブスキルで逆転したい場合は、こちらのスキルで逆転可能な範囲のジェム数差で2位以下に付くようにすると、ヘイトを抑えて上手く逆転する準備ができる。 自分の編成では倒しにくい神姫がいる場合、そちらに高い順位を取ってもらって他のプレイヤーに倒してもらう……という風に応用することも出来る。 また敢えて棒立ち無抵抗になるなどでヘイトを高め、順番調整を試みる場合もある。 ホワイトデー武装(2021) 2021年ホワイトデー期間限定武装(2022年にも期間限定で復刻)。別名「バレンタイン武装リペイントVer」。 その名の通りバレンタイン武装のカラーバリエーションでブルーとグリーンの2種類が存在するが、数値上の性能的にはオリジナルを総じて上回る。 但し、マスクステータスでは青はスキルゲージの溜まりアップが削除、緑は若干とはいえジェム回収展開速度が下がるペナルティが付与されてる為一長一短か。 対バグ補正についてはバレンタイン装備同様付与されている。 ホワイトデー武装(2022) 2022年ホワイトデー期間限定武装。基本的にはバレンタインクラシック武装のリペイント版(青・緑)だが、髪飾り「ホワイトデードーナツツイン」にはピンクカラーが追加されて3種類になっている(キャンディツインまたはツインドリルと、どれを選ぶかはお好みで)。 頭と足の装備で使えるアクティブスキル「お返しは私だけ!」は、「私のチョコだけ受け取って!」のデバフ効果をターゲットしている神姫にのみ掛かるようにしたもの。 特定の一人を全員で倒さないといけない局面なら、ターゲット以外の神姫の機動力はそのままなのでより強い効果を発揮できるだろう。 一方自分が逃げ切る局面だと一人にしか効果を及ぼせない+発動モーションがあるのでイマイチ。攻めきるためのスキルと割り切ろう。 また、「キャンディハンマー(両手打撃武器)」が武器として追加された。こちらにも青・緑の他ピンクが追加されており、バレンタインクラシック武装の「武器が存在しない」という問題を補完している。こちらのアクティブスキルは全方位攻撃。 ホワイトデー武装(2023) 2023年ホワイトデー期間限定武装。 基本的にはバレンタイン武装(2023)のリペイント版(青・緑)で、ジェムバトル寄りの性能も“見える”事もそのまま。名前は原典の「ビター」を「スイート」に変更している。 ただし、こちらは撃破時ではなく攻撃命中時に自動回収(青・緑共通)である為、より汎用性が高い。この効果は複数箇所装備すればより高くなるが、この武装シリーズ自体ジェム攻撃力に少しマイナス補正があるので、装備しすぎると却ってジェムが取れなくなるという罠がある。 よって、一式装備せずに1~2箇所くらいで抑えるといいかもしれない。 更に、釘ならぬ「ネジバット」が武器として追加。こちらはジェム自動回収能力はないものの、レアリティごとに色が異なる変則的バリエーションモデルとなっており、バレンタイン武装(2023)のカラーも含まれている。 ま [部分編集] 捲り ジェムバトルの勝ち方のうち、逆転されないようなタイミングに(特に攻撃・強化スキルで)ジェム数を変動させ、そのままゲーム終了を迎えるものの総称。 この勝ち方をしたいのなら、最後の神姫出撃時間〜スキルを使うギリギリの時間まで、自分チームは2位以下かつスキル1発で1位を追い越せるようなジェム数になるようジェム回収量を調整しよう。 まこしら ミズキの片手斬撃武器「忍刃刀"風花"(金)」とレッグ「忍脚絆"白鳳"」を装備することで発動できるアクティブスキル、「秘剣・真白拍子」のこと。 攻撃内容は目の前を一段攻撃で斬りつけるシンプルなもの。威力もかなり低いのだが、最大の特徴は恐ろしく早い発生。 スキル発動の表示が出るか出ないかのタイミングで判定が出るため、基本見てからだと対処が間に合わない。この特性から、特に初見殺しとして強く働く。 判定自体も横方向には神姫2〜3体分ほどあるので、格闘戦中の他プレイヤーをまとめて巻き込むことも出来る。 欠点は突進距離の短さと威力の低さ、また武器自体のスキル回収率の低さ。神姫1〜2人分しか踏み込まないので、近寄らないと打ちにくい。また威力が低いので、相手を撃破して撃破時の放出ジェムを回収しないと一発辺り4〜500ジェムしか稼げないこともザラ。装備と出撃順を工夫しないと低レアリティならろくに打てないこともある。 対策としては、まこしらを持っているプレイヤーがいるときはあまり密集しない(ジェムを一人占めしやすい状況を作らない)、打つことを読んで事前にガードしておく、体力に余裕のある状況で詰めてまこしらを吐かせる、まこしらで誰かが撃破される状況を作らないなどがある。 ちなみに「武装神姫BATTLE RONDO」では、長めの貯めの後踏み込み3回斬りつけるというアクションだった。 ちなみに上の記述は2回下方修正がなされたあとの話。元々は攻撃力も高く、武器のスキル回収率も高かった。 2022/08/03に3度目の下方修正をされた。巻き込みの範囲が狭くなり、攻撃力と武器自体のジェム攻撃力が低下。一人に当てただけだと150ジェム程度しか回収できなくなり、また慣性移動で飛び込んでスキルを当てることが難しくなった。 水着シリーズ グリアロ・シリーズから派生した、どこからどう見ても水着。 2020年夏実装の「悪魔の黒ビキニ」「天使の白ビキニ」に始まり、2021年夏には「キューティドットフリルビキニ」「キューティフリルビキニ」「スポーティストライプビキニ」「スポーティビキニ」「セクシークロスワンピース」「プリティフリルワンピース」、更にアニメ版から主役級神姫4人が着た水着がそれぞれ実装された。アームとレッグは同時期に実装されたネイキッドが良く似合う。レッグはグリムアロエの靴も良いだろう。 特筆すべきは、アニメ版"ヒナの水着"の派生版である「○○の水着」。なんとニックネーム(デフォルトなら神姫名)が胸に印字される紳士仕様。更にbodyサイズも反映される(オリジナルはヒナのbodyサイズ準拠) なお、日焼け肌になれるビキニ3種はミラージュ武装にあたる。 ミラージュ武装 レイドボスバトルにおいて、ミラージュ・シリーズを撃破するとドロップする武装の事。いずれも強力だが癖が強い。 公式曰く「ミラージュではないので本来の力は発揮出来ない(要約)」と公言されている。 + ジャンルとしてかなり巨大化したため、ここに折り畳む。 レイドボスバトル(第三回)にて2022/3/9より武器のみ実装されたのが最初。[W(ホワイト)]と[B(ブラック)]の二色で各色のミラージュを撃破すると対応した色の武装をドロップする。始めから出しとけよというツッコミは野暮か… リューベック・シュタインは一見太い槍に見えそうだがこん棒(両手打撃武器)である。こちらはアクティブスキルが[B]で両手打撃で唯一攻撃スピードアップが使える位で、大して特別感もなくごくごく普通で全方位攻撃が使えるキャンディハンマーの方が個性が立っている…と思われていたのだが、 お散歩モード実装による研究において白の場合NとR、黒の場合SRとURが見た目に反して叩きつけにインチキめいた広い横方向への攻撃判定が存在している事が判明。 ジェムバトルやレイドのWAVE1〜2では思わぬ巻き込みを狙えるポテンシャル自体はある様だ。 注目すべきはFB256 1.2mm滑腔砲二挺。元々は腰持ちヘビーガンである物を二挺持ちするという見た目のインパクトも凄いがなんとこの武装、[W]は元武装に同じく爆風が付き、[B]はボレアスよろしくレーザーが放てる。威力は流石に双ライトガン相応に抑えられているがどちらも元々は隙の大きい武装なので、それを双ライトガンのモーションで撃てるのは唯一無二であり、射程もボーンスナイパーライフル程度あるので、活かせれば強い。 但し、装弾数が4しかないのとリロードが他双ライトガンより若干遅いので注意。 第四回ではホワイトミラージュに代わって登場したナイトミラージュから「バルムンク(夜)」「ケイローン(夜)」のどちらかがドロップ(特に後者は本来プロキシマの装備であるため、彼女の参戦フラグとも推察されるが…)。 更に2022/06/08のアプデで「ナイトマント」が追加された。 ちなみにブラックミラージュは引き続き登場するため、第三回での“入手激渋問題”は解消されている。 第五回では新たに登場したサマーミラージュから、多彩な武装がドロップするようになっている。必見はピンク・青・緑と3種ある水着で、装備すると日焼け肌になるおまけ付き。 しかし、そもそもこのサマーミラージュ自体が前回のナイトミラージュ同様レア枠な上、全体的にコンテナの出現率が渋くなったため、装備集めがより苦行となってしまった(通常枠になったナイトミラージュのドロップが楽になったのは、せめてもの幸いか)。 第六回では実装当初はホワイト&ブラックミラージュ、アプデ後はサマーミラージュの装備を入手できるようになったが、他のレイドボスとの兼ね合い上出現率がどうしても低くなるため、特にサマーミラージュのドロップ品集めについては相変わらず苦行のままである。 第七回では新たにオータムミラージュが登場。これまた体操服装備をはじめ多彩な装備をドロップするので全部網羅するのは大変。 更にサマーミラージュがレア枠で続投となったはいいものの、こちらも相変わらずの苦行っぷりだったりする。 第八回に登場したバニーミラージュは、2023年正月のバニー武装のカラバリをドロップする(バニーガール武装を参照)。このミラージュ自体かなり煩わしい相手であり、苦行ぶりも健在。 第九回に登場したフレッシュミラージュは、春めいたワンピースとパラソルを中心にした武装を落とす。こちらも最初からなかなかの苦行ぶりだったが、2023/06/12のアプデで更にPink Ver.が追加されて苦行ぶりに拍車が掛かっている。 なお、ミラージュではないが第十回(復刻)に登場した大型バグ・オメガは、フレッシュ装備のYellow(前半)及びBlue Ver.(後半)を落とすが、もう一方のボスである闇神姫ばかりが出るような事もあったりするので、集めるのはやっぱり大変。 愛で専 公式による特定のプレーヤー層への呼称。字面から(神姫を)愛でる専門のマスター達と推測される。 武装変更によるコスチュームの着せ替えを楽しんだり、神姫ハウスでセクハラコミュニケーションを楽しんだり。フォト機能でお気に入りのショットを撮ったり…と、何もバトルで勝つばかりが全てではない。 神姫を扱うゲームの性質上、こういう楽しみ方もあるのである。 や [部分編集] 浴衣アーマー 2022年夏季限定武装。全身装備の「ゆかたアーマー」4種(爽・涼・葵・雅)と対応するヘッド装備「髪飾り」、片手斬撃武器「バトコンうちわ」3色からなる。 モーションにより浴衣の柄が著しく伸びる事もあるが、気にしてはいけない。 ちなみに「ゆかたアーマー」各種は、嘗てワンダーフェスティバル2010[冬]の折、実神姫用として公式販売されたもの(うちわと下駄も付属するが、塗装などの作業が必須となる。今ならバトコンうちわを作れるかも!?)。 横吸い 他のプレイヤー同士が争っている所に向けてジェム回収を行い、被弾・被撃破で放出されたジェムを他のプレイヤーに回収される前に回収する技術・戦術。 この戦術の強いところは、他プレイヤーに攻撃のリスクを一方的に背負わせて、自分はジェムを回収し勝ちに近づくことが出来る点。 CPU相手にこの戦術を取ってみると分かりやすい。他CPUの被撃破表示がどんどん出るにもかかわらず、自分の神姫はノーダメージで首位になることが出来る。 近接武器でも横吸いは出来るが、ある程度近づく必要があるため被弾リスクの軽減幅が小さい。一方、回収範囲が円形のため、近距離で横吸いした際のジェム回収量は射撃と比べてかなり大きい。 射撃武器は距離をおいてジェムを回収することが出来るため、こちらが攻められても時間を稼ぎやすい。しかし回収範囲が扇形のため、横吸いで回収できる量に関しては近接に劣りがち。 横吸い自体はどんな武器・編成でも行えるが、横吸いに特化した編成にすることも出来る。そうした場合の難点は、直接戦闘力に欠けるため徹底してロックオンされるか、それでなくても他プレイヤーに戦闘を控えられるとジェム回収能力が大きく落ちるところ。 N×3の編成は横吸いに重点を置いている可能性が高いので、相手取る時はある程度意識しておこう。 ら [部分編集] 零神 本来は「れいじん」と読む。しかし実装当時からプレイヤー間では「ぜろしん」と読ばれ、運営も「れいしん」と言ったりと、中々本来の名前で呼んでもらえない。 スカイガールズとのコラボイベント(2021.2/1~2021.3/31)中に配布された武器。 その実態はかなり特殊で、装備するとヘッドパーツから武器まで全て専用の武装に置き換わるというもの。これを装備中に他の武装を装備することはできないと、実装から現在までここまで大掛かりな武装はステクロ武装程度。 かなり特殊な武装が、近接タイプと遠距離タイプの二種類同時実装されたが、めでたくそのどちらも実装初日から環境トップを飾ったが、その後のひと騒動を経て現在はすっかり影が薄くなっている。 + その経緯はこちら まず零神本体の性能だが、まず圧倒的ダッシュスピードが挙げられる。空中を飛べば他の飛行リアの二倍近いスピードを叩き出す。現在はこれと同等かそれ以上のスピードは念入りに準備すれば出せるが、稼動して二ヶ月ちょっとのゲームバランスでこのスピードを武器一つ装備するだけで出せるんだから当然零神以外置いてけぼりになった。 機動力以外のステータスも優秀で、今でこそインフレによって相対的に平均クラスに落ちてしまったが、実装当時は(以下略) 肝心の武器も優秀で、まず近接タイプのMVソードだが、カテゴリ中当時最高クラスの性能を見たまんまの当たり判定で、超機動力で振り回しに来るのだから当然逃げ切れないし他の近接武器全てをお蔵行きにした。 ただ武器以外の性能は遠距離版と全く同じなので、ゲームシステム上遠距離版に全く対抗できなかったが、零神以外の遠距離武器には問題なかった。 そして遠距離タイプのアンチマテリアルライフルだがこれもご丁寧にカテゴリ中当時最高クラスの弾を、当時最長射程で、両手ライトガンの感覚で撃ってくるのだからそりゃ(略) しかも低いレアリティ程コスパが良い調整をされている&NNN編成がまだ強かった次代なので、倒してもたいして美味しくないとそりゃ(ry マスクステータスにマイナスがほぼなく、そのマイナスも被弾した際に出るジェムの量がかなり多いというもの。当たらなければどうということは無いができる零神にはあってないような調整で、当時は「零神に対抗できるのは零神のみ」とも大真面目に言われるほど。 さらに他の部位を内包してるシステム&武器カテゴリーなので、これ一つ強化すれば全部位強化されるというお財布にも優しい仕様(この仕様自体は現在も変わらずある)。 そんな実態なのでみんなこぞってプレイするが、これがまたイベント特有の超低ドロップ率かつ理論上レア度Nのアンチマテリアルライフル一択なので、当然入手できなかった大多数の人が零神に狩られる状況がしばらく続くことになり、持ってない→入手しに行く→零神に狩られる→低順位で報酬が少なく零神が手に入りにくいと負の連鎖。 「持って居なければ試合にすらならない」と大荒れ。 そんな中運営が「最強武装なので是非手に入れよう!」とtwitterで宣伝するもんだから軽い炎上騒動に。 それもあってか、まさかのイベント期間中に下方修正という自体に。火力面が大幅に下方されたので、せっかく手に入ってもただ速くて強化が楽なだけの武装と化してしまう。 さらにゲームのインフレや全体調整によるマスクステータスなどもあってより一層出番が無くなってしまい、過去の栄光も何処吹く風となってしまった。 ロケテストバージョン神姫カード 本稼動前に全国各地で開催されたロケテストにて「お迎え」する事が出来た神姫カード。 エーデルワイスを除く初期実装組の各レアリティが存在。枠のデザインはJAEPO限定プロモーションカードと同じで、イラストは現バージョンと微妙に異なる者がいる。 当然ながらこれも試作仕様のため、本稼動バージョンの筐体で使用する事は出来ない。 ちなみにお迎え1枚の時は無料だった。ぶっちゃけこの仕様で良かったんでね?という声も… わ [部分編集] 英 [部分編集] AUTO COMに操作を任せるモードのこと。公式では「俺と神姫で戦うボタン」の略とされているどこが略なんだか。 バトル中いつでも画面左下から切り替え可能。 COMは基本的にNPCと同じ判断基準で動くが、ターゲットの指定、及びジェム回収はこちらから指示が可能。 神姫の種別ごとに大まかなAIの傾向が設定されており、ある程度の調整も可能である(詳細は戦術・テクニックの「AUTOボタンを活用してみる」の項にて)。 BAN 英単語としては「禁止」を意味する単語 ゲーム的には垢BAN、つまりゲームアカウントの停止として使われる事が多い。 同KONAMIのボンバーガールにおいてはゲーム内にも通報機能があり定期的に迷惑行為を行うユーザーへの警告、もしくは利用停止処分が行われた事を告知している。 本作においてはそういった処置を行った事が告知された事はない…が現在サブモニターには表示されていないものの規約文が存在していた事はあり迷惑行為は禁止されている為いずれこういった処置が行われる事があるかもしれない。 EXUR 限定プロモーションカード=EXUR。 性能としてはURと同等。ただし武装は当初から設定・固定されており、変更出来ない。 JAEPO限定プロモーションカード 2020年2月、JAEPOで配布された限定プロモーションカード。 すべてURでアーンヴァルMk.2、ストラーフMk.2、隠し要素でシュメッターリングの合計2+1種類が存在。 当然ながら試作仕様のため、本稼動バージョンの筐体で使用する事は出来ない。 LP 神姫の「体力」のこと(Life Pointの略?)。 数 1V 個体値1個付きカードのこと。 2V 個体値2個付きカードのこと。 5V 個体値5個付きカードのこと。ちなみに3Vとか4Vというのはない。 6V 個体値5個付きカードに稀に現れる、武装Costが+10されたカードのこと。 5Vと6Vは、表だけ見るならまったく同じに見える。識別するには、カードの裏面を確認する必要がある。 15th武器 武装神姫15周年記念として頒布されたアーンヴァル及びストラーフ用装備の専用カラーバリエーション。 2021年9月7日10 00~同12月24日09 59限定配布武装。 期間がそこそこ長かった事や、同時期に開催されていたレイドボスバトル(第二回)においては対バグ特効を持っていたためもあって、使用するマスターはそこそこ多かった。 レイドボスバトル(第六回)では何故かストラーフ側は特効付与され、アーンヴァル側は逆に下方されている。 その後目立った話は出ていなかったが、レイドボスバトル(第十回)では久々に闇神姫と雑魚バグ各種が(エラーと言う体ではあるが)復刻され、ほぼ時を同じくして復刻されたこちらの武装が再び脚光を浴びている。 [部分編集] は行以前はこちら>用語集 (あ~な)
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G・L外伝 ~Gene Less~ 外伝1 解体屋 「しっかし、なかなかセカンドに上がれないよな。まあ仕事の合間に行く位じゃこんなもんか」 「マスター、私の持つような西洋剣は、どちらかと言えば“斬る”ではなく“壊す”なんですよね?」 「ん? ああ、そうらしいな。侍型の持つ日本刀と違って、重さで斬るからそうとも言えるな。あっちの方がいいか? なら変えるぞ」 「いえ、だったらマスターのお仕事と同じだな、と思いまして。いいですよね、ああいうお仕事」 「いい仕事かねえ。きついし汚れるし、割に合わないぞ。まさかそういうのがいいのか、シビル?」 「はいっ! 親方!!」 「親方言うな親方」 瓦解、崩壊、崩落。落下轟音、大粉塵。 「うにゃぁ!?」 崩れ落ちたビル。巻き起こした土煙はにゃーごと世界を茶色に変える。視界を確保するのに大きく後ろへ飛び退く、つーか思いっきり逃げる。だって怖いんだもんあいつ! なんでにゃーより先に建物ばっかり攻撃するにゃ!? それも、も~満面の笑みで。訳わかんないにゃ!! 跳躍、反転逃避。爆砕、粉砕、崩壊。 「にゃあっ!!! 追っかけてくるにゃ~!?」 三角跳びの足場に使った家屋がどちゃっと一瞬で粉塵に飲まれる。当たり前だけど、敵は思いっきし追っかけて来てるにゃ! にゃーことマオチャオのにゃーの助は、そのなんだか良くわかんない対戦相手から逃げるだけでいっぱいいっぱい。え、マスター? 逃げてにゃいで戦えって? ムリムリムリムリ! にゃーの本能が無理って言ってるもん! いや戦うのが武装神姫だろって? そんなコト言うならマスターが戦ってみるにゃ! 「きっとヘタレはちびっちゃうにゃ・・・ってにゃぁあ~!!!」 崩壊崩落、落下、轟音。 「いたたた・・・なんでにゃーがこんな目にぃ・・・!?」 マスターと口ゲンカしてる内に今立ってた足場までなくなっておっこちたにゃ。あ、危なかったにゃ~。目の前にでっかい鉄骨刺さってるしぃ。 「早く逃げにゃいと・・・ にゃ!?」 なんと気づけばそこはステージの端っこ。もう逃げ場にゃし? そーいえばこのステージ中に響いてた破壊音がもうしてないにゃ。静かになって、ちょっとづつ土埃もおさまって来る。にゃんとそこに広がってたのはガレキだらけのまったいらな荒野。つーかサラ地。ここってゴーストタウンステージだったハズにゃーのにー? 「ぐぐぅ・・こーにゃったら少々見苦しいのも仕方ないにゃ。伏兵に忍ばせておいたぷちを結集してフクロに・・・ あれ? ぷち? オマエラどこにゃ?」 「お探し者は彼等? 駄目じゃないか、現場に子供(?)を連れて来ちゃあ」 「うにゃ!?」 声に振り向くと、そこには下僕(ぷち)たちがくるくる目を回して転がってる。逃げる途中で巻き込まれてたっぽいにゃ、しかも敵に助けてもらうなんて役立たずぅ。 「さて、解体する構造物も無くなったことだし・・」 そういって、煙の向こうから、1歩、また1歩と近付いてくる対戦者。黄色い重甲冑のサイフォス。建物を壊しまくってたのは、左手のドリルと、あと右手に持ったパイルバンカーらしいにゃ。あ、パイルバンカー捨てて、背中のなんかでっかいエモノに持ち替えてる。あれは・・ツルハシぃ? 「そろそろ・・・最後の仕上げと行きますか」 その破壊魔の足音、ひどくゆっくりと近づいて来る。 「・・けど、にゃーだって!」 跳躍、急襲、爪。 勇気を振り絞って飛びかかる。そうだ、きっと怖かったのは、相手がよく見えなかったのと、モノ壊すってヘンな行動のせいにゃ。でもそれが無いなら、理屈から言って残るのは重そーな鎧だけ。なら、あーゆーカタブツなんてすばしっこいにゃーの敵じゃにゃい! 見えるっ! 動きが見えるにゃっ!! 「反撃にゃああああ!」 「ふんっ!」 「にゃ?」 急剛投、穿孔。轟、掠。 「ドリル投げるにゃんて!? ・・でも、そのくらい!」 「隙あり!!」 轟振、打突。飛飛飛飛、子猫。逸、逸、直撃、縺絡。 「にゃあにぃ!? ・・ぶにゃ!!」 にゃんと更に、敵はツルハシでゴルフみたいにぷち達を打ち飛ばす。その内の黒ぷちがにゃーの顔面にぶち当たって視界を塞ぐ。ま、まっくらぁ・・・。 「うにゃあっ! 自分で助けといて、りふじ・・」 「問答無用!!」 剛振、粉砕。 「にゃああん!?」 歩、歩、歩、寄。歩、歩、歩、逃。 「ううぅ。にゃあぁ・・・ 来るにゃぁ・・!」 また、ゆっくりと近付いてくる、黄色いアイツ。なんとか最後の一撃は避けたけど、にゃーの爪はツルハシに壊され、武器がないにゃ。もう後ずさりする場所もないにゃ・・。 無防備で涙目のにゃーを見て、それでもにじり寄ってくるまっ黄色の重鎧。その姿はまるで・・・で・・・で・・・、う~んとえっと~なんていうんだっけかにゃあーゆーの。えっとこーノドモトまで出掛かってるんだけどにゃ~。黄色くって~、なんか重そ~で~、そんでもって色々ぶっこわしてムダムダとか言って~・・・ 「あっ! ロードローラー!」 「せめてバックホーに例えなさ~い!!」 轟打粉砕、昏倒。 『勝者、“サイフォス”シビル!!』 騒、歓声、歓声。 「親方、勝ちましたよ。ファーストリーグ初勝利です! ・・って嬉しくありませんか」 「・・・まあな」 「どうしてですか?」 「お前・・・どうして毎度相手よりフィールド壊すんだよ!? しかも今回はファーストだからリアルフィールドだって言うのに!」 「だって、親方の仕事と同じじゃないですか?」 「同じなわけあるか! 俺は仕事で壊すの! 金貰うの! だけどお前のは一銭にもならないだろ!」 「なりますよ! ファイトマネー貰えるじゃありませんか!!」 「モノ壊したのは報酬に関係ないだろう!!」 「そうです、むしろ赤字です」 「ほらこう言う人だって・・・ え?」 「私、当神姫センターのバトル運営者なんですが・・・」 「はい?」 「ぶっちゃけ出入り禁止」 「はうっ!!」 こうして破竹の勢いでファーストリーグに上り詰めた“破壊王”ことシビルとそのマスターは、初日ソッコーでリーグ参加権剥奪されるという伝説を残しましたとさ。 ちゃんちゃん。 目次へ
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前を見た少女と、煌めく神の姫達(その二) 第四節:真心 楽しかった夕餉も終わり、私達は電車で次の場所へと向かった。そこは、 冬のお台場である。バレンタインには相当早い為か、夜と言ってもさほど カップルの数は多くない。私達の邪魔をされないという意味では、上等! 「とりあえず、観覧車にでも乗るか?街の夜景を見るのも、いいだろう」 「はいっ!あたし達も、こんな所に来るのは初めてですから緊張します」 「……多分それは、マイスターも同じなんだよ?だって頬が、紅いから」 「マイスターも来た事無かったの?大丈夫かしら……でも付いていくわ」 「折角のデートですから、デートコースはマイスターにお任せですの♪」 民放キー局が遠くないこの場所にあるのは、湾岸地区の夜景を楽しむには 最適と、午前中に買い求めた雑誌の記事で書かれていた大観覧車である。 なるほど……目の前にしてみれば、小さな私の躯にはかなり大きい。更に 躯の小さな神姫達ともなれば、天を突く程の巨大な風車なのかもしれん。 「……ふむ、どうだ。これに乗って、今から暫く皆に話をしたいのだが」 「う、うん。良いわよ……アタシには何がどうとか、まだ分からないし」 「きっと東京の夜景が、煌めく無数の宝石みたいに映るはずですの~♪」 「楽しみ、かな。さぁ、マイスター……行こう?邪魔のされない領域に」 「どんな時間が過ごせるのか、楽しみですね……ええと、大人一枚です」 訝しむ受付嬢に“大人一枚”と復唱して、私達はゴンドラへと乗り込む。 デートスポットに一人で来る、こんな外見の私を不審に思うのも当然か。 だが無闇にそれを怒るよりも、今は大切な“妹”達との時間を尊重する! 「ほう……これが、東京の夜景か。どうだ皆、自分達が住まう街の灯は」 「うん、綺麗!凄く綺麗よ……世界がこんなに輝いてるのに、アタシっ」 「それ以上は言いっこ無し。エルナちゃんも、この光景を楽しむんだよ」 「そうですよ。ほらアレ見て下さい!東京タワーですよ、東京タワー!」 「夜空の星はちょっと見辛くても、夜の灯火はまた綺麗ですの~……♪」 その自制が奏功し、皆は輝く夜の街並みに釘付けとなっている。無論私も 東京の美しさを再認識して、荒み気味の“心”が満たされるのを感じる。 陳腐とは思うが、こういう些細な事さえも……今なら大事に思えたのだ。 そして最上部へ差し掛かった辺りで、私は話を切り出してみる事とした。 「……さてと、まずは今日の修理で何をしたか。それを告げねばならん」 「修理、ですか?あたし達は全身のモーターと、電装機器が不調で……」 「とても立ってられなくて、セーフティが起動したんだよ。大丈夫かな」 「有無。それらの交換・修理は無論だが、CSCへの負荷が大きかった」 正直、今告げて良いかは悩んでいた。だが、この後にもっと重大な告白を せねばならん以上は、この程度なら『大事の前の小事』と言えるだろう。 私は、少し不安げに見つめる四人を膝に乗せて“治療”の内容を告げる。 「そこで損耗が軽微な“プロト・クリスタル”の情報を利用したそうだ」 「利用?それって、データの補強に別のCSCを用いたって事ですの?」 「そうだ。現行型CSCの論理ダメージは、そうして修復したらしいぞ」 そして物理的な傷は、Dr.CTaが持つマイクロマシン用の技術で回復した。 その辺をどうやって直したのかは、私には分からぬが……恐らく彼女なら 後顧の憂いがない程度に“傷”を修復してくれた、そう私は信じている。 「そしてエルナ。お前の“CSC”も、同様の方法で修復したと聞いた」 「えッ!?ちょっと、CSCって……アタシにそんなのが入ってたの?」 「有無。当然、現行型CSCではない。もう一つの“プロトタイプ”だ」 「じゃあ……これでエルナちゃんは、正真正銘“神姫”になれたのかな」 「更に言えば、本当の意味であたし達の“妹”にもなりましたね……♪」 それはロッテのCSCが正式に認可される程度に、CSCと酷似した珠。 神姫の試作品が源流ならば、それも必然だったのだろうが……エルナに、 “心”が宿るのを拒む者が居なかったのは、これで確かとなったのだッ! 「やっぱりエルナちゃんは、愛されてましたの。そしてこれからもっ♪」 「う、うん……アタシにも“心”……“真心”が、宿ったのかしら?」 「無論だろう。四人とも、各々の“真心”を得て蘇ったのだ。大丈夫!」 恐らく同じ修理法は何度も使えぬだろう。それだけの“離れ業”なのだ。 だが、Dr.CTaがそうして皆を蘇らせた事は……私達にとって特別な意味を 持つだろう。“魂”が神姫にあるならば、その繋がりがより強固な物へと 進化したという事が、言えるのだからな。私にとっても、誇らしい事だ! 「そっか……じゃあ、アタシもお姉ちゃん達の大切な“妹”になれる?」 「勿論ですの!エルナちゃんは、これからもずっと大切な存在ですの♪」 「ボクらも……アルマお姉ちゃんも、ロッテお姉ちゃんも……なのかな」 「それは、マイスターの“告白”を聞けば分かると思いますよ……うん」 「そうだな。では今こそ、言おうではないか……っと!?ちょっと待て」 そして“様態”の説明が一区切り付いた所で、皆の視線は私へと集まる。 そう、いよいよ告げねばならぬ時が来た……と思ったのだが、見ると外の 風景は、輝く夜景から元居たビルの谷間へと戻ってきていた。そう、今は 観覧車の中……一周してしまえば、降りなければならない。迂闊だった。 「う、うぅむ……時間が来てしまった。場所を変えて、そこで話そうか」 「それがいいですの。ちょっといい雰囲気だったのに、残念ですの……」 「ぅぅ……じゃあ何処に往きますか?あたしは何処でも大丈夫ですけど」 「やっぱり、ロマンチックな場所がいいと思うんだよ。大事な事だから」 「アタシは……胸が熱くなる感じがしてたから、助かるわ。少し怖い位」 ──────私も怖いけど、だけど……とても胸が暖かいよ。 第五節:約束 場所の選定ミスによって、告げるタイミングを逃した私達。だが、ここで 諦めるつもりはない。という訳で、観覧車を後にした私達は海浜公園へと やってきた。潮騒の音が、優しく夜闇を揺らす……そんな静かな場所だ。 だが、どうも仕切直しとなった空気は重苦しい。何から話せばいい……? 「……ところでさ、マイスター。なんでアタシの名は“エルナ”なの?」 「む。いきなりだな、エルナや……そうか、名前の由来が知りたいのか」 「そうみたいなんだよ。ボクは、お店の名前からもらったんだけど……」 「あたしもですね。“ALChemist”から一文字もらってます……あっ!」 そんな雰囲気を撃ち払ったのは、エルナだった。そう、“妹”の名前には しっかりと意味がある。店名から、ドイツ人女性の名を導き出したのだ。 “Alma”と“Lotte”、そして“Clara”に“Erna”。不思議か?だがッ! 「そう。エルナの“r”と“n”は、“m”を分解して捻り出した物だ」 「つまり“錬金術師”の名を冠する大切な神姫、って事になりますの♪」 「アタシも、同じ存在なのね……じゃあ残りの字は、どうするのかしら」 私の考えを聞いて、エルナは嬉しそうに……しかし、少しだけ不安そうに 私を見つめる。彼女の純粋な問いに対する答えは、私の胸にある。それは 少し照れくさい言葉となるが、“告白”の切っ掛けとしては上等だろう。 「まず、“ist”は“Christiane”……クリスティアーネから取った物」 「……なら残りの“h”はどうしますの?それが、気になりますの……」 「そうだな。“Herz”……ドイツ語で、“心”や心臓を意味する単語だ」 『え……?』 そうだ。皆の中心には“心”が……私の“心”がある。今から告げるのは それを確固たる物とする為の、誓いの儀式だ。言葉は、選ばねばならん。 「エルナ。新しく私達の“妹”となる、気高き紫の姫君よ」 「な、何?……マイスター、何でもいいわ。話して……」 「お前を解き放った以上は、終生まで側にいてもらうぞ?」 「これ……首飾り?お姉ちゃん達と、お揃いの……?」 私は、答えを待たずポケットから一つのペンダントを取り出して、彼女に 付けてやった。そう、私の……歩姉さんのペンダントを元に作り上げた、 五人お揃いのペンダント。これがエルナに与える、“約束の翼”である。 何れは此処に神姫バトルの階級章を嵌め込む。そうして完成する逸品だ! 「……クララや、静かなる翠の姫君よ」 「何、かな?マイスター……」 「智恵と、秘められた優しさ。これからも大事にしてほしい」 「……大事に?……それは……」 クララは答えを紡ぎ出そうと俯き何かを思うが、私は更に皆へと告げる。 四人もいるのだ、一々区切るよりは一遍に告げてしまった方が楽だろう? 「アルマよ。陽の如き、明るき紅の姫君」 「は、はいっ!?」 「お前の暖かさと“姉”としての矜持は、皆を支えていくだろうな」 「ぁ……支えるだけじゃ、ダメなんです……その……」 アルマは反論しようとしたが、そこで一端言葉を句切った。そのまま私は 残った一人へと、そして皆へと想いを告げる事とする。血が沸騰しそうな 感覚を堪えて、私は言葉を絞り出す。最早、隠す事は出来ないのだから。 「……そしてロッテ、澄み切った蒼の姫君よ」 「はいですの♪」 「お前は、純粋な“心”で私の……皆の力となった」 「……そう言ってもらえると、光栄ですのっ」 「そして、皆……今だけは、私の『本当の言葉』を伝えたい」 『はい……』 それは、遠い昔に棄ててきた私の“弱さ”。しかし、完全に捨て去る上で 彼女らに、それを伝えないといけなかった……ううん、伝えないとダメ。 私の弱い所も強い所も、全部……何もかも皆に見せないといけないから。 「コホン……皆、とても大切。『好き』とか『愛してる』だけじゃない」 「ま、マイスター……?」 「もっともっと純粋な『大切にしたい』って想いが、私にはあるんだよ」 「……マイスター、その口調……」 「でも、それを一言にしちゃうなら……やっぱりこうなっちゃうかな?」 「ずっと前、お店を立ち上げるより前の……弱かった頃の言葉ですの」 「だから、私は言うよ。アルマ、ロッテ。クララ、エルナ……四人とも」 「う、うん……何?」 そう……これは私が弱さを棄てる前に、歩お姉ちゃんと話していた言葉。 今この時は、この言葉で語りたい……だって、止められない想いだもの。 それはたった一言。陳腐でも、飾らなくてもいい。偽れない大切な言葉。 「“大好き”だよ……皆」 『あ……!?』 その言葉と共に、私は皆の小さな……とても小さな唇と、優しく触れる。 堅い殻の躯だけど、それでも“心”はとても甘く切なくて……暖かいの。 だけど、それを認識したから……私はやっぱり、素直になれないのだな。 「……は、はは。今更生き様は換えられぬが、雰囲気もあるしな?」 「マイスター……」 「だから今だけは、あの言葉で想いを……な、何だクララや?」 そう言い、照れながらも調子を戻した私の掌に乗るのは、クララだった。 彼女は、心なしか潤んだ様に映る“琥珀色の瞳”で、私を見つめている。 「異形を抱えて消えかかったボクを救ってくれたのは、貴女なんだよ」 「……う、うむ。そうだったな」 「その時から、ボクの“心”にはずっと貴女がいたもん」 「クララ……?」 「だから、ボクも言うよ……掛け替えのない大切な人に“大好き”って」 「んむ……ん、ぷは。クララ……むぐぅ!?」 そして私の唇に押しつけ返される、クララの小さな唇。そっと抱きしめる 私の手中で、彼女は身を退き……アルマへと、身を譲った。彼女もまた、 私の唇を奪い……そして、泣きそうな儚い笑顔を浮かべつつ言ったのだ。 「ん、ん……あ、アルマっ?」 「支えるだけじゃダメです。あたしも、皆を愛して……愛されたいから」 「アルマ、お前……」 「だって貴女の“心”が、あたしを暖かくしてくれたから……だから」 「……有り難うな、本当に」 「いいんです、一生お返しするんですから。“大好き”な人に……ね?」 涙が零れる。だが、皆の思いが籠もった“琥珀色の瞳”を見逃すまいと、 私はずっと皆を抱きしめながら、その想いに応えていくのだ。次に、私の 前に現れたのはエルナ。彼女は、頬を真っ赤に染めながら上目で告げた。 「……正直ね?まだ、何もかも信じ切れたわけじゃないの」 「エルナ……それは、そうだろうな」 「だけど、貴女達なら……お姉ちゃん達と貴女なら、信じてみたいわ」 「……そうか」 「“命”と“心”を掛けて救ってくれた皆を、“大好き”って言いたい」 「──────ッ!」 「それが、アタシの“真心”。素直じゃないけど、赦してね?……んっ」 「ん、む……んぅぅ!?」 エルナの告白と共に、私の唇は三度……そして四度塞がれる。最後に私へ “純潔”を捧げたのは……他ならぬロッテだった。彼女は、とても明るく 私に微笑みかけて、そして紅潮する顔をそっと抱きしめてきたのだ……。 「人と神姫では、歩いていける時間が違いますの。永遠は無理です」 「ロ、ッテ……?」 「だけど、全ての時間を“大好き”な人と共に使いたいですの♪」 「あ……ロッテ、皆……ッ!!」 「だって、本当に“大好き”なんですから……貴女の事が」 「……ぐす、みんなぁ……ッ」 「だから万一人間の恋人さんが出来たって、問題ないですの~♪」 「ッ……ばかぁ、っ!」 ロッテの“告白”を受けて、四人が私を見上げる。堪らなく、愛おしい。 私は優しく抱きしめた。小さな殻の躯に詰まっているのは“空”ではなく 純粋で穢れのない“心”。その眩しさで、また私の視界は潤んでしまう。 私は、ずっと……愛しい“妹”達を抱きしめて、歓喜の涙を流していた。 彼女らも、その想いは同じだろう……それがまた嬉しくて、微笑むのだ。 「ぐす……私の“弱さ”を見せたのはお前達だけだ、そして……だなっ」 「今後“弱さ”を見せる事は多分無いだろう……って言いたいのかな?」 「それでも大丈夫ですよ。今の……マイスターの“心”は、皆の中に!」 「ちゃんと刻まれたわ……大丈夫、忘れない。貴女の全てと共に歩むの」 「だから、もう一回だけ。皆で“告白”しますの♪いっせーのーせっ!」 『マイスター……“大好き”ですッ!!!!』 ──────私も、“大好き”だよ……。 ──武装神姫……小さな戦乙女。人と機械の垣根を越えて、そんな君達に 出会えた喜びは、ずっと朽ち果てない宝物だよ……小さな私の“妹”達。 皆で、ずっと一緒に歩んでいこうね。それが、皆の“願い”だから──。 妄想神姫:本編 / Fin. メインメニューへ戻る
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項目 読み 意味 まお まお 猫型マオチャオのリペイント版のこと。電撃ホビーマガジンで第2弾デザイン担当のBLADE氏が連載する「武装神姫2036」に登場するキャラクターがリペイントVer.として登場した。フィギュアの頭部は表情や形が異なっているが、バトルロンドでのコアは通常版と同一である。故に「まお」という個体の名称よりも、水猫の方がメジャーである。 マオチャオ まおちゃお 第2弾神姫、猫型MMSマオチャオ。猫子の愛称で呼ばれる。リペイントモデルのまおは水猫と呼ばれる。名前の由来は「猫爪」の中国読み。犬型ハウリンとセットでまおりんとも呼ばれる。 まおりん まおりん 猫型マオチャオと犬型ハウリンの2体を同時に指す言葉。デザインを担当したBLADE氏がそう呼んでいる。巷では、りんまお、と呼ばれることもある。マオハウは死語。 マジョーラ まじょーら 魔法(マジック)やオーロラのように、色相を光によって変化させる日本ペイントの塗料のこと。同社の登録商標であり、由来は前述の発色に因む。武装神姫2036で「マジョーラバカ」という言葉が使われ、(マジョーラと同じくらい心ゆさぶられる程のバカの意)以来、武装神姫関連のスレでは「感動的なほど~」の意で使われている。作者BLADE氏は「仮面ライダー響鬼」のボディカラーのことを指している。 股クール またくーる 神姫の股を開いたり閉じたりして気持ちを落ち着かせること。決して卑猥な意味ではない。 マタンゴ またんご アーマー『シイタケ・シールド』を複数装備した神姫の事。人によって若干の違いはあるが大抵4個以上装備している神姫に対し使われる事が多い。他オーナーの神姫に対して使う用語ではない。場が荒れたりスルーされたりする。数回の弱体化とディゾナンスの追加により、主流からはほぼ去った。 マッシブ猫 まっしぶねこ ミッション『エクストラミッションVI:マッシブに』の相手神姫。シェシェという名前があるにもかかわらず、この呼び名のほうがよく使われる。 魔法盾 まほうたて 魔法ダメージダウンLv2を持つアーマー『マジックシールド』のこと。コナミ繋がりの某おとぎ銃士のクローバーの紋章がモデル?ちなみに魔法攻撃を受けると魔法陣が展開され、ジオラマスタジオでもこれを使用可能。 マルチ まるち アクセサリー『マルチセンサーゴーグル』のこと。多くのユーザーによって熱望されていた新型ゴーグル。そのセンサーの形や、公式の紹介でアークが装備していることから、別の「マルチ」のことも意識しているのではないかと疑われているとかいないとか。 みこーき みこーき 戦闘機型飛鳥のこと。デザインが巫女+飛行機なのでこう呼ばれることもある。 水犬 みずいぬ 犬型ハウリンのリペイント版「凛」のこと。水着ペイントの効果で水中適性が高い為。正確には湖南高校神姫研究会特製超強力耐水ペイント。 ミズキ みずき 忍者型MMSミズキ。白忍子の愛称はあまり使われず、そのまま「ミズキ」「ミズキさん」と呼ばれることが多い。フブキから派生したブランチモデルのため、外見や音声はほぼ同じの色違いモデルになっている。SF 08でラスボスとして初登場し、後にフィギュア化・データ販売も開始された。バトロンで使えるモデルは、試作型とは言語処理ロジックが異なり、わらわ言葉が特徴的。SF 08およびWF 08に登場した「ミズキ試作型」、ふくびきカウンターに居る「受付担当ミズキ」(ふくびきの人、福引の女、フクビキなどと呼ばれる)、シークレットミッションに登場する「ミズキ」は、それぞれ名前が違うことから全て別の個体である。 水猫 みずねこ 猫型マオチャオのリペイント版「まお」のこと。設定は水犬と同じ。以前は猫相手に水中ステージ(苦手)で「勝った!」と思ったら水猫だったというオチがよくあった。しかしブルマ等の実装や、そもそもの素体数の増加により、素体の判別が出来ないのも水猫に限った話ではなくなった。 味噌/ミソ みそ ミッションバトル、もしくは小ミサイルや中ミサイルのこと。前後の文脈と流れから判断する必要がある。 味噌漬け みそづけ 適正距離の修正やスキルの習得のためにミッションを何度も繰り返すこと。 緑字 みどりじ シミュレーターのマッチング時に相手が居ない場合に呼び出される、名前が緑色のNPCのこと。その時点でログインしていないプレイヤーのデータを借りている。 無課金 むかきん バトルロンドをお金をかけないで楽しむこと。また、縛りプレイの一種。フィギュア課金を含むか含まないかで議論になることがあるが、含まないことが一般的。アチ装備、GEM装備も無課金忍子で揃えるのが通。 虫足 むしあし アーマー『インセクティア・ブートギミック』のこと。 虫腰 むしこし アーマー『インセクティア・ウエストギミック』のこと。 虫羽 むしはね リアパーツ『インセクティア・リアギミック』のこと。同じ虫モチーフのリアパーツ『グラスパピヨン』のことではない。 夢魔子 むまこ 悪魔夢魔型ヴァローナのこと。軽黒子とも呼ばれる。 ムラクモ むらくも メインウェポン『天叢雲剣』のこと。読みはアマ(アメ)ノムラクモノツルギ。「むらくも」で変換しても出ないせいか、こう表記されることがある。なお「叢」は「くさむら」で変換出来る。 ムル子/ムルチー むるこ/むるちー 戦車型ムルメルティアのこと。 ムルメルティア むるめるてぃあ 第8弾神姫、戦車型MMSムルメルティア。ムル子、ムルチーの愛称で呼ばれる。名前の由来はドイツ語でリス科の「マーモット」より。 命中会議 めいちゅうかいぎ 誰かが2chバトロンスレにて「命中回避」を「命中会議」と誤って記載・投稿、ニュアンスが受けてAA、派生AAが即時作られた。→AA倉庫また、命中率10%の攻撃が連続ヒットしたりする気まぐれで読めない命中判定を揶揄して、「六体の猫子による命中会議」などと例えられる。 メギン めぎん アーマー『メギンギョルド』(旧名、メギンギョルドベルト)のこと。 メタ めた 時々の流行を分析して対抗すること。類義語は「アンチ」。元々は「高次の(な)~」などを意味する接頭語であり、本来の用法としては「メタゲーム」のように使うのが正しいが、「メタ」と略したり、動詞化して「メタる」といった形でも使われる。「デッキ」と同様にカードゲーム用語からの影響を受けているのか、時折この表現も見かけられる。 メッキ めっき ミッションやイベント等で繰り返しアチを達成していると簡単にオーナーグレードが上がるため、グレードと実力が釣り合わなくなり、安っぽくて脆い「お飾り」になってしまったことを指す。上辺のごまかしを「メッキ」、ごまかしが効かなくなり本性が現れることを「~が剥がれる」と呼び、またグレード自体が金属の名前を冠しており、語感も良いために定着したと思われる。相手を指す言葉としては好ましくないため、自虐ネタとして用いられることのほうが多い。 モナーテ もなーて アクセサリー『モナーテ・LRSSゴーグル』のこと。以前は、ゴーグルと呼ばれていた。代替のない有効な武装であったため装備している神姫も多く、それゆえに忌避される武装だったが、マルチセンサーゴーグルの実装により、使用用途によって使い分けられるようになった。 上へ戻る
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敗者復活戦終了!! 第四回戦闘記録 トーナメント表 三回戦 第一試合上弦VS六花 三回戦 第二試合マリーシVSアンリ・マユ 三回戦 第三試合エクスVSTITANIA 三回戦 第四試合来希VSルゼ 準決勝 第一試合上弦VSアンリ・マユ 準決勝 第二試合エクスVSルゼ 三回戦 第一試合 上弦VS六花 HP 20 16 3632 13 16 1226 13 8 3464 4 -4 上弦Op2『ビッグバイパー』機能停止 六花、Op1『雷神』機能停止 勝者「上弦」 サラ(仮)「さて、三回戦の緒戦は防御タイプの上弦さんと、回避タイプの六花さんのバトルです」 犬丸「結果は上弦さんの勝ち。上弦さんの強さ、運のよさが際立った戦いでしたワン」 テッコ「……上弦は回避タイプにとても強い。相性の時点で六花はかなり不利だった……」 サラ(仮)「今回もハウリングサンダーが光ってました。……なんか本当に良くハウリングサンダーが出ますね……」 犬丸「上弦さんのハウリングサンダーは、オプションありだと攻撃力12点、命中値6点(!)という異様なダメージが出ますワン」 テッコ「……回避型ではまず歯が立たない」 サラ(仮)「その上で非常に頑丈でもありますし、実質HPが25点あるようなものですし……」 犬丸「これだけの耐久力を削る間、高命中、高威力の攻撃に耐えねばなりません。非常に強力な神姫だと言えそうですワン」 テッコ「……とにかく、上弦はベスト4に進出。おめでとう」 三回戦 第二試合 マリーシVSアンリ・マユ HP 18 20 4321 6 20 アンリ・マユ、A11『キュベレーアフェクション』を突破 5315 -6 19 勝者「アンリ・マユ」 サラ(仮)「ALC的に超イチオシだったマリーシさん、流石に相手が悪すぎました」 犬丸「1ターン目に今まで数々の強敵を葬り去ってきた必殺の『キュベレーアフェクション』を使用しますが、アンリ・マユさんの攻撃は難なくその防御を突破。一撃で7割近くのHPを奪われましたワン」 テッコ「……アンリ・マユの攻撃の中で、マリーシの『キュベレーアフェクション』で跳ね返せるのは僅かに一つだけ」 サラ(仮)「つまり、5/6の攻撃は10点以上のダメージと言うことですね……」 犬丸「正に破壊神と言う他無い攻撃力ですワン」 テッコ「……その攻撃が、命中値5で飛んで来る恐怖」 サラ(仮)「ちょっと勝てる気がしませんね……」 犬丸「ベスト4に進出したのも頷ける性能ですワン」 テッコ「……次は防御タイプの上弦と勝負。盾と矛、どちらが勝つか見もの……」 三回戦 第三試合 エクスVSTITANIA HP 18 25 3156 18 16 エクス、『レールガン「ロンゴミアント」』クリティカル 5333 13 9 3353 4 1 エクス、Op1『複合ブースターパック「アヴァロン」』機能停止 1154 4 -5 勝者「エクス」 サラ(仮)「このクラスの戦いになると運が大きく勝敗を分けるようです」 犬丸「今回は特にエクスさんの運の良さが勝利に繋がりましたワン」 テッコ「……命中率も良いし、『ロンゴミアント』でクリティカルも出た」 サラ(仮)「一方でTITANIAさんは、1ターン目に『チーグル』を外したのが痛いですねぇ……」 犬丸「それが命中してさえいれば勝敗が逆転していただけに無念かも知れませんワン」 テッコ「……もちろん、どちらも強いのは明白。今回は運がエクスを選んだみたい……」 サラ(仮)「ですが、エクスさんの攻撃力と回避力はこの先も活躍しそうですね」 犬丸「しかし、HP18のエクスさんが一番耐久力低いと言うのも凄い話ですワン」 テッコ「……ん。まあとにかく、ベスト4進出おめでと」 三回戦 第四試合 来希VSルゼ HP 20 20 3156 20 19 1626 20 19 6611 18 19 2551 11 17 2151 4 15 来希、逆境発動 3331 1 11 2133 -2 9 来希、特殊能力発動 4252 -9 4 ルゼ、逆境発動 勝者「ルゼ」 テッコ「……まずは来希さんのお名前を間違えていた件について謝罪を致します。ごめんなさい」 サラ(仮)「珍しく殊勝ですね、テッコさん」 犬丸「何でも、リアルの知人にそういう名前の人が居るそうですワン」 テッコ「……無理も無い話?」 サラ(仮)&犬丸「いや、ダメでしょう。それは」 サラ(仮)「では、解説に戻りますよ。三回戦の最終バトルは戦闘力の差がそのまま結果に現れた戦いでした」 犬丸「むしろ来希さんが良く喰いついたと言う感じですワン」 テッコ「……攻撃力が不足気味で、ルゼの防御に阻まれてまともなダメージが入らなかったのに、良く頑張ったと思う」 サラ(仮)「特典無しの神姫でありながら、ここまで勝ち進んだ事こそを褒めるべきでしょうね」 犬丸「そしてルゼさんは見事ベスト4進出ですワン」 テッコ「……次の相手はエクス。面白い勝負になりそう……」 準決勝 第一試合 上弦VSアンリ・マユ HP 20 20 1453 12 15 1636 12 15 4613 2 15 上弦、Op2『ビッグバイパー』機能停止 2556 2 11 3544 -8 5 アンリ・マユ、Op2『ビッグバイパー』機能停止 勝者「アンリ・マユ」 サラ(仮)「さすが準決勝!! 素晴らしいバトルでした!!」 犬丸「互いに攻撃/防御型、攻撃力でアンリ・マユさんが、防御力で上弦さんが勝るため、どちらが勝つか予測できませんでしたワン」 テッコ「……結果、勝ったのはアンリ・マユ」 サラ(仮)「アンリ・マユさんの攻撃力は上弦さんの装甲をも貫きました」 犬丸「その分、防御では劣っているので、上弦さんの攻撃も防ぎきれず、どちらもボロボロになりますワン」 テッコ「……今回も勝利に一役買っているのは『ミサイル』」 サラ(仮)「リスクもありますが、この攻撃力は非常高く、命中率も相まって実に凶悪です」 犬丸「次はいよいよ決勝戦。この『ミサイル』がどう勝敗を分けるか、見所になりそうですワン」 テッコ「……惜しくも敗れた上弦さんも、三位決定戦で頑張って欲しい」 準決勝 第二試合 エクスVSルゼ HP 18 20 1551 10 12 3423 2 4 エクス、Op1『複合ブースターパック「アヴァロン」』機能停止 ルゼ、逆境発動 4634 -6 4 勝者「ルゼ」 サラ(仮)「これも素晴らしいバトルでした。……結果としてはルゼさんの勝利となります」 犬丸「勝敗を決めた要因は多々ありますが中でも大きなものはルゼさんの防御力ですワン」 テッコ「……ルゼの命中率も高いため、勝負がHPの削り合いになった」 サラ(仮)「そうなると防御力の無いエクスさんが圧倒的に不利です」 犬丸「攻撃力では勝っていたものの、防御力の差を詰めるには到りませんでしたワン」 テッコ「……逆境がダメ押しだったかも……」 サラ(仮)「ルゼさんが、Op装備でない為、ダメージを受けても弱体化しなかったのも要因の一つだと言えそうです」 犬丸「さて、これで決勝戦のカードが決まりましたね。アンリ・マユさんVSルゼさんです」 テッコ「……エクスも三位決定戦で上弦と対戦。いずれにせよこの四人は『うきうきバトル四天王』に認定」 読者参加企画『武装神姫うきうきバトル』へ戻る 過去ログ1 過去ログ2 過去ログ3 過去ログ4 文責:ALC
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ホワイトファング・ハウリングソウル 第十九話 『砕かれた未来~The broken future~』 時は少し遡る。 ぽつりと、アメティスタの頬に水滴が当たる。 それが都か或いは自分の涙か、それとも雨か・・・アメティスタにはわからない。 「・・・・言いたいことは、それだけ・・・?」 都は、そういうと右手を大きく振りかぶる。 「駄目だ! マスター!!」 「マイスター!!」 都がやろうとしていることを理解したハウとノワールが止めようとするが、もう間に合わない。 大きく振りかぶられた右手は、ほんの一瞬、躊躇するように止まってから 「――――――――――――――!」 勢いよく、振り下ろされた。 ・・・・・・・・アメティスタは、ゆっくりと目を開ける。 自分の体がまだ無事であることに疑問を覚え、横を見る。 そこには都の手があった。 「・・・・壊さないの?」 その手をみながら、彼女は言った。 都は何も言わない。 「・・・・ボクは、キミになら壊されてもいいと思ってたんだけど」 「・・・・・・・・・・いだろう」 と、都が何かを口にする。 「・・・・殺せるわけ、無いだろう・・・!」 都は・・・都は泣いていた。 雨の中でも判るくらい、泣いていた。 「どうして? ボクは武装神姫・・・ただのオモチャだ。それに殺すんじゃない。壊すんだ」 「・・・私は、ハウとノワールを家族だと思ってる。・・・・サラとマイは友達だ・・・!」 「ボクたちを人間と区別していないのか。それは単なる誤解と錯覚だ。ボクたちとキミ達じゃ根本的に・・・・」 「そんなことは判ってる」 都はそういって、アメティスタを押さえつけていた左手を離す。 「・・・・・でも、殺せない」 「・・・・なぜ?」 「・・・・そんな泣いてる奴を、殺せるか」 言われてアメティスタは始めて気づく。 彼女の頬は・・・涙で濡れていた。 「・・・・・・・・・どうして」 「そんなもの私が知るか・・・畜生ッ!」 そういうと都は持っていた石を川に向かって投げつける。 大きな音がして、小さな水柱が上がった。 「・・・よかった。マスター・・・」 「・・・・ん」 と、都を止めようとしていたハウとノワールが溜息をつく。 「・・・悪かった。ついかっとなってな」 その様子を見て都はすぐに謝った。 間違いを起こす前に本気で止めようとしてくれたからというのもあるが、やはり心配をかけたからだろう。 都が謝り、発言するものがいなくなり場を静寂が包む。 その静寂を破ったのはやはり都だった。 「・・・・お前、壊れてなんていないだろう」 その言葉はアメティスタに向けられたものだった。 「・・・・どうしてそう思うのかな?」 都の言葉にアメティスタはそう返した。 「簡単だ。お前、私を怒らせようとしてたな? 昔の事を思い出させて怒らせて・・・自分が真犯人だって言って。そんなことを言われたら私がどうなるか、判っていたんだろう? 小さな予言者さん」 今までのお返しとばかりに皮肉たっぷりに都は言う。 「どうなるか判ってて何故私にそんなことをするのか。何故罪の告白がしたいのに、相手を怒らせるのか。それが判らなかったが・・・お前、もしかして殺して欲しかったんじゃないか」 アメティスタは答えない。 しかしそれは肯定と同義の無言だった。 「さっきの話だと“壊れてるからアシモフコードを無視できる”はずだ。だったら自殺だって・・・できるはずだ。じゃぁなんで私に殺させようとする? それは・・・お前が壊れてないからだ」 「穴だらけで推理とも呼べない。それは殆どがキミの妄想と傲慢と身の程知らずから来た考えにしか思えないね」 ようやくアメティスタが口を開く。 「そもそもボクが自殺したがってるって根拠は何さ。それにボクは衛にぃを・・・殺した。これで壊れていないわけが・・・」 「アシモフコードが未来予知とか、そんな事にまで対応できるわけ無いだろう。元々コードには抵触しないんだよ。・・・・衛のことはな」 「・・・・ボクが見た程度の事じゃ、マスターの死に直結するとは判断されなかったってこと?」 「そうだ」 都は肯く。 アシモフコードは今更言うまでもなくロボット三原則の事だ。その第一条・・・『ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危害を看過することによって人間に危害を及ぼしてはならない』にアメティスタの予言は抵触するか否か。 するわけが無い。 それはまだ起こっていない事、起こるかどうかすらわからないこと。 そして何より・・・予知は果たして神姫のアシモフコードに認識されているかということ。 「アシモフコードに認識されなければそれはプログラム的には“無い”ことにされるんだろう。もともと予知そのものがイレギュラーな要素だから認識されないのはある意味当然といえる」 「・・・つまり、あれは不幸な事故だったというの?」 「そうだ。アイツが死んだことで、誰か悪者を作り出すなら・・・車の運転手以外にだれもいやしないってことさ」 都はそういって黙る。 雨は、少し酷くなってきていた。 「・・・キミはそれで、納得できるの?」 「理解できないものに何か理由をつけ、理解した気になる。それが悪いこととは言わないがね。納得するさ。だってあそこで・・・私の目の前で起きた出来事には、お前が介入する余地なんかないんだから」 都は迷い無くそういいきった。 それは・・・アメティスタの罪を、許すといっているのと同義だ。 「・・・はぁ。また死に損なっちゃった。いい加減、衛にぃの所に行きたいんだけどな」 「やっと本音を言ったなこの馬鹿魚」 アメティスタのその言葉に、都はキシシと笑う。 その笑顔に偽りは無く・・・本当に楽しそうだった。 「・・・なぁ。お前、今何処に世話になってるんだ」 「山下りたとこにある神社だよ。・・・・ボクを引き取るってんならお断りだよ。ボクは今のこの生活が気に入ってるんだ」 「お見通しか」 「・・・ま、たまには遊びに行ってもいいけど」 「・・・・クク、素直じゃないな」 そういって更に笑う都。 雨はもう・・・・降っていなかった。 前・・・次