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戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-13 <東杜田技研・新製品のご案内-13> 注)当然ですが、以下の内容はすべて当方の脳内生成物であり、 現実には存在しませんので。。。 <東杜田技研・新製品のご案内> このたび、弊社の小型ロボット向けコスメブランド「T3」では、 近年 人気が高まっております「武士神姫」向け商品を開発、シリーズ名 「T3-乙女志向」として展開することになりました。 まず第一弾として「ボディーソープ」・「シャンプー」・「リンス」を発売 いたします。 〜「T3-乙女志向 ・ 神姫ボディーソープ・ 神姫シャンプー・神姫リンス」の特徴〜 ■各種小型ロボット向けのメンテナンス用品開発で定評のある当社 T3チームが総力を挙げ、小型機械技術研究製作部とも連携して 開発された、神姫向けのボディーソープ。 ■またシャンプーとリンスは当社T3チームと某大手化粧品メーカー との共同開発。 神姫の人工毛髪と抜群の相性を誇ります。 ■中性かつ低浸潤性ながら、強力樹脂クリーナー以上の洗浄力。 もちろん、神姫本体のペイントを侵すことはありません。(註1) ■敏感なフェイス部分にも安心してお使いいただける、独自の配合。 もちろん、オーナー様ご自身にもお使いいただけるよう、各種の 規制に適合させております。 一緒のお風呂・シャワーの際には ぜひお試しください!! ■神姫が嫌がることの無いように、独特の芳香剤を配合。洗浄後に は、ほんのりといい香りも漂います。 ■シャンプーとリンスは、各3種類を用意。お手元の神姫との相性や 香りによって選ぶ事が出来ます。 ■専用ボトルには、オーナー様が使う通常のポンプのほか、神姫用 の小型ポンプも装着されており、神姫自身がひとりで洗浄される 際にも安心の設計。 ■シャンプーが苦手な神姫のために、同時にシャンプーハットも発売。 5色を用意、お好きなものをお選びいただけます。 (註1)純正塗色は問題ありませんが、リペイントに関しましては 保障対象外とさせていただきます。 詳細は、下記を参照して下さい。また、新たな情報は随時公開いたし ますので、HPにてご確認下さい。 <T3-乙女志向 「神姫ボディーソープ」> ・天然由来の香料とボディの艶出し成分を配合。 ・500mLボトル(ポンプ2種付き) ・500mL詰め替え用リサイクルポリ容器入り ・別売りボトル <T3-乙女志向 「神姫シャンプー」> ・ストレート、ダメージケア、トニックタイプの計3種類。 ・それぞれに、天然由来の香料配合。 ・500mLボトル(ポンプ2種付き) ・500mL詰め替え用リサイクルポリ容器入り ・別売りボトル <T3-乙女志向 「神姫リンス」> ・ストレート、モイスト、ダメージケアの計3種類。 ・それぞれに、天然由来の香料配合。 ・500mLボトル(ポンプ2種付き) ・500mL詰め替え用リサイクルポリ容器入り ・別売りボトル <T3-乙女志向 「神姫シャンプーハット」> ・ピンク・水色・黄緑・黄色・白の計5色。 ・徳用詰め合わせ10枚セットもあります。 ・発売予定時期 (全商品・今夏予定。初回生産分のシャンプーには、 シャンプーハットが付属する予定です。) 以上 <<トップ へ戻る<<
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そのいち「前夜」 僕はモニターから目を離すと、そのままPCの傍らで座っている体長15㎝ほどの『少女』に視線を移す。 僕の視線に気が付いた『彼女』は、僕の目を確認すると「にひゃー」と満面の笑みを浮かべた。 「もう少しだけ、我慢してくれるかな?」 「全然平気なーのでーすよぉ♪」 彼女――MMS TYPE CAT 機体名『猫爪』、固体名『ティキ』――は歌うように答えた。 その言葉に僕は少しだけ笑いながらうなずくと、眼鏡を上げて再びモニターに目を移す。 もう一息。 僕は緑色の装丁をしている炭酸飲料をあおるように口に流し込んだ。 これは僕がティキと初めて会った、あの数日間の話。ほんのわずかだけ前の事。 その頃の僕は、オタク気質のクセにいまどきの高校生のフリをしていたから、まるで武装神姫については知識が無かった。……もちろん興味はあったけど、やっぱり高校生としての見栄もあったからチェックなんてしてなかった。 個人的な不幸と、身内の不幸。そしてチョットばかりの幸運が僕とティキを引き合わせたんだ。 順を追って説明すれば、ある日何の前触れもなく僕はその時付き合っていた彼女に振られた。彼女から告白してきたというのに、二股を掛けられていたのだ。……僕等ぐらいの年齢じゃ、それはものすごい不幸だと信じてしまえる。 で、そのショックから立ち直る時間も与えられず、僕は親父を亡くした。さして仲が良いってワケでもなかったけど、彼女に振られた事なんて消し飛ぶくらいには頭が空っぽにはなれた。 幸い、母方の祖父が僕らを援助してくれると言ったので、僕と母は路頭に迷う事無く済んだけども。 葬儀も終わりしばらく日がたった後、親父の私物の整理をするため、僕は初めて親父の書斎に入った。 その時発見したのがティキだった。 親父の書斎で机の上のベッドみたいな機具――後で分かった事だけどクレイドル――に横たわり、微動だにしない15cm弱の大きさの人形。 正直に告白します。最初見たとき父に対して怒りに似た感情を持ちました。40後半になろうというおっさんが、家族にも内緒でナニを後生大事に持ってたんだ! と。 だから、というわけでも無いけど、僕は人形ごとそのベッドを払いのけてしまった。 かたん、という乾いた音と、がしゃり、というぶつかり合う音。 「痛っ」 そして声。 「…………は?」 思いもよらぬ言葉。 「くぅぅぅぅ~~~~っっっ…… 旦那さ~ん、痛いのですよぉ~」 そこには―― 頭をさすって涙目になって……動いている、さっきの人形があった。 僕はその人形を見て、思考が真っ白になった。 そんな僕をその人形は『発見』したらしく、じっと僕の目を見る。 「……………………」 「……………………」 「……………………」 「……えっと、どなたなのですかぁ?」 なおもポカンとしている僕にその人形は、人差し指を添えて首を傾げて問いかけた。 お世辞にも行儀良く、とは言えない様でその人形――神姫――は僕の目の前で座っている。 この娘が『武装神姫』である事に気がついたのは、お互いに名を名乗ってからだった。 「なるほどですよぉ~。つまり雪那さんは旦那さんのお子さんなのですねぇ♪」 何かを納得してる風だけど、僕はそんな余裕はなかった。 いくら僕が無知とは言え、まるで知識がないわけじゃない。 少なくとも「所有者を無くした神姫は機能を停止させる」くらいの事は知っていた。『武装神姫』じゃなくても、『神姫』そのものはすでに世の中に浸透しつつあるのだから。 だからこそ、僕は彼女――ティキ――の話を聞きながらも、彼女の説明書を読み漁る。 大事な事は黙ったままで。 「雪那さん、聞いてるですかぁ?」 「うわっ」 説明書と僕との間に、彼女が顔を割り込ませる。 そうして僕が驚いたのを確認すると、満面の笑顔を浮かべた。 「だから、ティキと雪那さんは兄妹みたいですねぇ♪」 なにが「だから」で、どうしてそんな結論が導き出されたのかわからないけど……こんな笑顔を見ちゃうと、親父が死んだなんて言えないよぉ。 そうやって考えると神姫の機能停止って、神姫に対して負荷を与えない為の適切な処置なのかもしれないけど、一体そこの所をメーカー側はどう捕らえているのか? って、今はそんな事に思いを馳せている場合じゃなく。 「雪那さんはなんだか難しい顔してるですねぇ?」 ……誰のせいでこんな顔していると思っているのか。 そんなこんなで二・三日もたった頃、メーカーに問い合わせというごくごく基本的な手段にやっと気がついた僕は、サービスセンターに電話をした。 その間僕は、ティキに親父が死んだ事も告げられず、そしてお袋にティキの事を言う気にもなれず、一人で悶々としていた。 その気分を打開するはずの電話で、僕はもっと悩むことになる。 『神姫にオーナーが亡くなった事を告げれば、自分から機能を停止するはずです。それが嫌なのでしたら神姫の設定をリセットするしかありません』 そんな事を聞きたかった訳ではなく。 確かにそれが一番の方法なのは解っていた。けれど僕は、AIにしろなんにしろ、心を持つ『神姫』という存在の側に立った答えを聞きたかったんだ。 メーカー側のその『回答』に軽く失望した僕は、またティキがいる親父の書斎へと向かう。 一体どうしたら良いのか。僕の中にまだ答えは無い。 「雪那さん、いらっしゃいなのですよぉ♪」 相変わらずティキはこの部屋を親父と自分のものとして認識いていた。 「……元気?」 「ティキは元気なのですよぉ♪ 雪那さんも元気ですかぁ?」 この突き抜けた笑顔に、僕はぎこちない笑顔で答える。 「それにしても、旦那さんは今日も帰ってこないのですかぁ?」 少し拗ねた様な口調で首を傾げた。 「う……ん、そうだね。出張なら、ティキも連れて行けば良かったのに……ね」 その時の僕には真実を告げる事なんてやっぱりできなかった。 それから一週間も過ぎた頃、さすがにティキも親父の不在に対して疑問を感じたらしい。 その日部屋に入った僕を出迎えたのは、涙目になったティキだった。 「……雪那さん……ティキは、ティキは旦那さんに捨てられたのですかぁ?」 その言葉に僕は絶句。 「だから、……だから旦那さんは、ティキの所に帰って来ないのですよねぇ?」 「ち……違うよ!」 僕の声は存外に大きかった。 「あんなのでも、ティキにとっては良いオーナーだったんだろ? だったら何も言わずにティキを捨てたりするもんか! だから……だから……」 「なら、なんで何時までも帰って来ないのですかぁ?」 「そ……それは」 何時もの様な都合の良いウソがとっさに出てこない。 「だって、だって……」 そういってうずくまるティキは、そこで更に何かに至った。 「あ……? ああああぁぁぁぁ――――!!」 「ち……違う! そうじゃない!!」 「――雪那さん…… 旦那さんは」 「そんなんじゃない!!」 「死 ん だ ん で す か ?」 ティキのその顔は作り物とは思えないくらいに悲壮で、それなのに生きているものとは思えないほどにゾッとするものだった。 あぁ、ここまでだ。 もう僕は自分にもこの娘にもウソをつけない。 僕は天井を仰ぎ、親父が死んでから初めて涙を零した。 「親父は……親父は仕事帰りに事故に巻き込まれて――」 ティキの顔はますます無表情になり―― 「死んだよ」 そして目を見開いた。 僕はティキから眼を逸らす。 僕のその言葉はおそらくティキを『殺す』。でも、捨てられたなんて誤解したまま心が消えてしまうより、本当の事を伝えたかった。 こんな形で伝えたかった訳じゃないけれど。 扉に寄りかかり、そこに崩れて、俯いて泣いた。 親父の死を自らの言葉で認識し、理解し泣いた。 そして、ティキを殺してしまった事実に泣いた。 「よし、出来たっと」 僕はそういって背もたれに体を預けた。炭酸飲料の缶の中身は、すっかり空になっている。 「マスタ、お疲れ様なのですよぉ♪」 そう言うと、ティキは僕に笑顔を見せる。そっちこそお疲れ、と言いながら、僕はティキとPCを繋いだコードをはずした。 「ふにゅうぅ……っぅうんん……ぅんっ」 ティキが体を震わす。 「……大丈夫?」 「っふぁ……大丈夫……ですぅ☆」 ティキはいつもコードを外す度に、今みたいなチョット鼻にかかったような声をあげて体を小刻みに震わせる。 ……不具合か何かなのかな? その度に僕は不安を感じるのだが、当のティキが「何でも無いったら何でも無いのですよぉ!」と顔を赤くしてまで強く言うので、僕としてはそれを信じるしかない。 「さて……と、これで今度のデビュー戦の準備が整ったね」 「ハイですぅ♪」 デビュー戦。と言っても公式戦に出るわけではなく、あくまで草試合。付け焼刃で知識を集めた僕は、それでもようやくバトルへ参加する事が出来るようになった。 親父もそっち方面に興味があったらしいが、時間が無いくせに凝り性なため、ついぞバトルに参加する事は無かったそうだ。 「取りあえず試運転と行こうか。装備付けてみよう」 そういって僕は基本のパーツを付けていく。基本、と言っても猫爪の基本武装ではない。 親父は他の神姫の素体は一切保有していなかったくせに、何故か第二段までの各々の基本武装および、TYPE RABBITの武装だけをコンプリートしていた。……ヴァッフェバニーって、コアパーツ付いてなかったっけ? とにかくそんな訳だから、僕はティキの特性と、自分の好みとで好きにパーツを選べると言う、他のオーナーから恨まれても文句言えない贅沢を味わっている。 そんな中から僕が選んだのは―― 鉄耳装・改 buAN FL012 胸部アーマー exOPT KT36C1 キャットテイル exAM FL013 01スパイクアーマー ×2 exOPT VLBNY1 リフトガード/L・R exOPT VLBNY1 脚部アーマー/R exOPT VLBNY1 収納ポケット/L・R WFブーツ・タイプ・グレイグ/L・R リアウイング AAU7 で、リアウイングにオリジナルの情報集積ユニットを搭載し、有線で鉄耳装・改と繋げている。空いている左大腿部には、自作の鞘を装備させておいた。 更に武装として、 モデルPHC ハンドガン・ヴズルイフ 親父のコレクションにあった西洋剣 GEモデル LC3レーザーライフル ちなみにLC3レーザーライフルはお手製接続パーツによりリアウイングに装着した。 「で、この剣は一体なんなんだ?」 「風の魔装機神の剣ですよぉ♪」 「???」 「でぃすかったーって言うのですよぉ♪」 「あー……いや、知らない、悪かった…… で、どう? 着け心地悪いところ無い?」 「大丈夫なのですよぉ♪ と言うよりむしろ快適無敵なのですぅ♪」 そういうとティキは早速、広いとはいえない部屋の中を飛び回る。 「マスタ、ティキはこの装備がとっても気に入ったのですよぉ♪」 「そいつは良かった。ティキが気に入ってくれたんだったら僕も嬉しいよ」 本当に楽しそうに飛び回るティキを見て、僕もなんだか幸せな気分になってくる。 しばらく飛んでいると、ティキは僕の頭の上に降り、そしてそのままうつ伏せになる。 「さすがに少し疲れたですぅ☆」 「あはははは、まだ慣れていないからね。明日から少しずつ慣れていこうな」 「ハイですぅ♪」 僕はティキの元気のいい返事を聞くと、頭にティキを乗せたまま電気を消し、親父の書斎だった部屋を後にした。 「明日天気が良かったら外で飛んで見よう」 「本当ですかぁ☆ うっれしいのですよぉ♪」 僕らはまだ本当の意味で過去の思い出から巣立ってはいないのだろう。でも、それでも僕は前を見る。 え? 結局この『ティキ』は親父の『ティキ』と同じなのかって? もちろんそれは…… 終える / つづく!
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アーマー/フィギュア武装 容量オーバーのため分割しています。 第1弾~第13弾 / ライトアーマー他
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第2部 「ミッドナイトブルー」 第1話 「night-1」 ミッドナイトブルー (Midnight Blue) は色のひとつ。直訳すると「真夜中の青」となる。 西暦2041年 5月20日 23:55 花博記念公園鶴見緑地(はなはくきねんこうえんつるみりょくち)は大阪府大阪市鶴見区と大阪府守口市の市境にある。そこには公園施設の一部を利用した武装神姫センターがあった。 真夜中ということもあり、利用している神姫やオーナーの数もまばらだ。 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 真っ暗な闇の中を、数隻の巨大な灰色の塊が轟音を奏でながら進む。 ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン・・・ チーム名 「灰色艦隊」 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ノザッパ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク □重巡洋戦艦型MMS 「マキシマ」 SSランク「ワルキューレ」 □重巡洋戦艦型MMS 「ヴィクトリア」 SSランク「砲女神」 オーナー名「野木 恵」♀ 24歳 職業 ネオニート マキシマ「嫌な夜だ・・・新月で真っ暗闇だ・・・星明りさえない・・・」 ヴィクトリア「こんな夜には、化け物が出るらしいな・・・マキシマ」 マキシマ「化け物か」 野木「化け物ですって?残念ながら私はそういうものは信じない主義でね。信じるのは金と力さ」 『灰色艦隊』 快速を誇る巡洋戦艦型神姫、10隻で構成された野木の誇るMMS艦隊である。ただでさえ高価な戦艦型神姫を10隻も所有している野木は変わったオーナーだ。 野木は親の遺産を元手に株のトレードで生計を立てている引きこもりのニートであり、神姫関連の企業について野木は詳しく、そういった点で投機をして荒稼ぎをしている。 そしてその儲かったお金で同型の戦艦型神姫を大量に保有して、自分の用心棒としているのだ。ただ、用心棒に艦隊を保有しているのは少々やりすぎな点もしないが・・・ ヴィクトリア「・・・マスター、こんな話を知っていますか?こんな真夜中の深い青の夜には、化け物が出て一瞬にして命を奪い取るという話を・・・」 野木「くどい!ヴィクトリア!!そんな非常識なものがいてたまるか!それにそんな化け物が出たら、お前たちの出番だろ!」 オーレリア「はっははは!たしかにその通りです。マイマスター・・・我々、灰色艦隊はそのようなよく正体も分からないような化け物にやられたりしませぬ」 ジェシカ「そうですね」 キャリスタ「んだんだ」 ノザッパ「ヴィクトリアさんの話は有名な都市伝説のアレですね」 野木「都市伝説?なんだノザッパ」 ノザッパは得意げなドヤ顔で話す。 ノザッパ「真夜中の日付の変わる午前0時ぴったりにいきなり現れるんだ真っ黒な神姫のことさマスター」 クローディ「その都市伝説は有名だよー」 ノザッパは続ける。 ノザッパ「夜のステージにしか現れない真っ黒な武装神姫で、その姿を見た神姫は一瞬にして命を奪いとられるんだってさー」 オーレリア「・・・・・」 ジェシカ「おい」 ノザッパ「な、なんだよ」 マキシマ「今、23:59だぞ」 ノザッパ「・・・・・」 野木が腕時計を見る。カチ・・・カチ・・・と時を刻む音が静かに聞こえる。 野木「5・4・3・2・1・・・」 カチリ 午前0時を指す時計。 野木「午前0時だ」 ヴィクトリア「・・・周囲に敵影なし」 ジェシカ「おいおい、わざわざ警戒する必要もないでしょ」 野木「異常無しか・・・」 ノザッパ「だから都市伝説ですってー」 そのとき、チカチカと上空から何かが光った。 マキシマ「・・・?なんだ今の光は・・・」 ガンッバキン!! アリスンの艦橋ブロックが青白い光に貫かれると同時に機関部分が真っ赤な炎を上げて吹き飛んだ。 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク 撃破 ズズウズウウウウウンン・・・・ 野木「な・・・」 そして次の瞬間、大型の対艦ミサイルが先方を進んでいた4隻の巡洋戦艦型神姫に命中し次々と火達磨になって爆発した。 マキシマ「!?け、警報!!ミサイル多数接近っ!!!」 野木「な・・・なんだと!!」 キュン!! ドガン!!バギャン!!ズズズウン!!バゴオオオムウ!! □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク 撃破 ノザッパ「う、うわああああ!!!ナヴァリンが・・・」 一瞬にして艦隊の半数が轟沈され、真っ暗な闇の中で花が咲いたように紅蓮の火球が燃え上がる。 クローディ「キャリスタ!轟沈!!くそオーレリアもエルヴィラもやられた!!」 ジェシカ「せ、先方のアリスン轟沈!!うわあああ!!」 野木「落ち着けェ!!状況を確認しろ!!マキシマ!!」 マキシマ「レーダー、センサー共には、反応なし・・・ど、どうなってるんだ!!」 ノザッパ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫が一瞬にして撃沈されるなんて」 クローディ「敵は、ど、どこだ!!見えないぞ!」 ヴィクトリア「・・・・・右舷に反応有り、チラッとだが、レーダーに小さい影が映った」 野木「照明弾っ!!撃てェ!!」 ヴィクトリアは照明弾を打ち上げる。 キューーーーーーーーーン・・・・パアァーーーン!! 真っ暗な闇の中にギラリと光る赤い眼のようなモノが光った。 マキシマ「敵機捕捉!!こいつはステルスMMSだ!!レーダーに映りにくい!!」 ジェシカ「畜生ォーーーブチ落としてやる」 野木はマイクを掴んで叫ぶ。 野木「全艦、対空防御!!全砲門開け!!撃てェ!!」 ウーーーーウウーーーーーウーーーーウーーー 生き残った戦艦型神姫たちは、砲塔をゴリゴリと動かして正体不明の黒い神姫に狙いを定める。 正体不明の黒い神姫はぐんと速度を上げて雲海の中に隠れる。 マキシマ「雲の中に隠れたようです」 野木「ええい!!かまわん!!撃て撃てェ!!」 クローディ「主砲正射!!」 巡洋戦艦型神姫の艦隊が一斉に3連ヘヴィ・ターボレーザー砲を正射する。 ズンズズズン!!ビシューーン!!ビシュエエーーン!! 真っ暗な夜を青白い光の線が何百本と貫く。 ヴィクトリア「レーダーロスト、敵機を見失いました」 ジェシカ「どこに嫌がる!?」 ジェシカがサーチライトを使って雲の海を照らす。 野木「サーチライトなんか出すな!やられたいのか!」 ビシュエエーーーン!! 雲の海の中から強力なレーザービームがまっすぐ伸び、ジェシカに命中する。 ジェシカ「うわあああっああああああああ!!」 ズズウズウウウウウ・・・・・ンン ジェシカの巨大な船体が真っ赤な炎に包まれ高度を落とす。 ヴィクトリア「ジェシカ被弾!!ジェシカ被弾!!高度を上げろ!!墜落するぞ!!」 ジェシカ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫を一撃で落とすなんてェ・・・あ、」 ジェシカの船内の弾薬庫に引火し、大爆発が起きる。 ズンズンズンズンンンン!! □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク ヴィクトリア「ジェシカ轟沈しました」 マキシマ「敵は我々と同じ威力の以上の大口径砲を搭載した重神姫のようです」 ノザッパ「うわあああ!!ジェシカ!!!」 野木「ぐっ・・・なんてことだ・・・あ、あっという間に艦隊の3分の1が轟沈とは・・・」 クローディ「レーダーに捕捉!!またちらりと影が映ったぞ!!」 野木「・・・・マキシマ!!艦首収束素粒子砲、砲撃用意!!」 マキシマ「は・・・目標は!?」 野木「下の雲海を主砲で吹き飛ばせ!!炙り出してやる」 マキシマ「了解!」 キュウウイイイイイイイイイン・・・・ マキシマの主砲が光りだす。 ノザッパ「マスター!?なにを考えているんです!!そんなことをすればマキシマが狙われ・・・」 野木「構わん!!」 ノザッパ「まさか、マキシマを囮に・・・」 野木「・・・・言うな!!」 マキシマはこくりとうなずく。 マキシマ「囮とは上等じゃんばいですか!来るならくればいい!!返り討ちにしてくれましょうぞ!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!正面距離1000!!」 ドフッ!!! 前方の雲海がばっと割れて真っ黒な正体不明の神姫が飛び出す。 野木「マキシマ!!撃て!!」 マキシマ「充填率、30パーセント」 野木「十分だ!艦首収束素粒子砲!!撃て!!」 マキシマ「艦首収束素粒子砲っ!!テっ!!」 バゴオオオオオーーーーウウウンン・・・ マキシマの前方の雲海がばっと吹き飛び、まっすぐ真っ黒な正体不明の神姫に届く。 真っ黒な神姫はくんと体を大きくひねり、加速しながら攻撃を回避すると同時に、青白い強力なレーザーを放った。 ビッシュウーーーーーエンン!!! クローディ「う、うわああああああああああ!!」 ゴバアアンン!!クローディの艦橋部分を抉るように吹き飛ばし黒い神姫は一瞬にして通り過ぎた。 □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク 撃破 マキシマ「な・・・なんてヤロウだ!!すれ違いざまに一隻落としやがった!!」 ノザッパ「ひえええ!!!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!主砲斉射!!」 ズンズンズズズッン!! 黒い神姫は再び雲海の中にもぐり姿を消した。 ヴィクトリア「・・・・敵機、急速離脱・・・離れていきます」 野木「・・・・・そうか」 ノザッパ「はあはあはあ・・・な、なんだったんだ!?今のは・・・」 マキシマ「現在、時刻00:05・・・正体不明機に襲撃を受けてわずか5分で艦隊の3分の1を失いました」 野木「これは夢なのか・・・ノザッパの言っていた都市伝説はこれなのか!?」 ノザッパ「あ・・・ああああ・・・化け物だ!!化け物神姫だァ!!!」 ヴィクトリア「マスター・・・この画像を見てください」 ヴィクトリアはさきほど偶然、カメラで撮影した画像を野木に転送する。 野木「こ、こいつは!?」 ヴィクトリア「さきほどのアンノウンの画像です。こいつは夜間戦闘に特化した重夜戦・・・重夜間戦闘機型神姫です」 野木は画像を凝視する。 野木「重夜間戦闘機型神姫・・・」 画像には真っ黒な重武装の凶暴なフォルムの神姫の写真がぼんやりと写っていた。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>・第2話 「night-2」 トップページに戻る
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SHINKI/NEAR TO YOU Phase01-5 電子の闘技場、その中央で迷彩武装を纏った神姫が仁王立ちしていた。地には倒れ伏したアーンヴァルモデル。その武装は砕け散り、ぼろぼろの状態だ。健気にも身を起こそうと片手をつくが、そんな彼女を対戦相手は無情にも踏み潰した。 完全に機能を停止したアーンヴァルの回りに「LOST THE GAME」の文字が表示され、迷彩の神姫の頭上には「YOU’ER WINNER」の文字と共に勝利のスポットライトが降り注いだ。 「……ひどいな」 アーンヴァルのオーナーだろうか。バトル終了と同時にひとり男の子が筐体に駆け寄り倒れた神姫に呼びかける。嗚咽交じりの男の子の声に、倒れたアーンヴァルタイプがか細い声で何事か苦しそうに答えている。 大きな損傷(ケガ)でなければいいけれど。シュンの頭の上でゼリスも押し黙ったままその光景を見つめている。 「ふたりとも、かわいそうだよ……」 ワカナの言う通り、それは自分ことでなくとも心が痛ましくなる光景だった。 地に伏す天使型と勝ち誇る迷彩神姫。 このバトルの組み合わせがさっき筐体の前を離れた時から変わっていないことに気がついた。まさか、さっきからずっとあの迷彩神姫は一方的な試合を繰り返していたのか? 「初心者狩り……」 シュンの隣に立つ伊吹がポツリと言う。 「いるのよね。まだ神姫バトルを始めたばかりの初心者に一方的にバトルを持ちかけて、相手を何度も痛めつけるのを楽しむ卑劣なヤツがっ」 伊吹は泣く男の子から目を逸らすように対戦相手を睨みつける。 眼前の悲壮な神姫と少年の姿も全く意に介さない様子で、フィールドに屹然と立つ迷彩の神姫。その奥のシートではオーナーだろう、黒い長ランを纏った厳つい大男が大仰に高笑いをしていた。 「がっはっは、そんな腕でこの番長治(バン チョウジ)様に立ち向かおうとはな。笑いが止まらぬとはこの事だな、ベガよ?」 「イエス・サー。自分たちにとってはまさに取るに足りぬ相手であります」 「うむ。誰か他にこのワシと勝負を張ろうという猛者はおらんのかっ!」 がっはがっはと肩を揺すりながらギャラリーをギョロリと見渡す番長治。誰もがその眼光から逃れるように身を引きあうなか、ひとりがスッと筐体の前へと歩み出た。 伊吹だ。 「ちょっと、アンタ! ダウンした神姫を痛めつけるなんて、どーいうつもり? そんな事して恥ずかしいとは思わないの?」 突然の伊吹の登場に番長治が鋭い目を向ける。それを真っ向から睨み返しながら、伊吹はさらに詰め寄った。 「おい、やめとけよ」 シュンは慌てて止めに入る。だが伊吹はシュンの制止も構わずに憤っている。不味い、ヒートアップしてやがる。 「やめないわ。こんな神姫バトラーの風上にも置けないようなヤツ、許せない!」 「ぷんぷんだよ~っ」 身を乗り出す伊吹の肩でワカナも頬っぺたを膨らませる。そんなシュンたちの騒ぎは相手を刺激するには十分だったようで、 「なんじゃあ、お前らは?」 番長治はそのドラ声をシュンたちに向けた。 仕方がない……シュンは軽くため息をつくと、熱くなる伊吹を押しのけ自分から前に出た。このまま伊吹に任せていたら、場所も考えず取っ組み合いでも始めそうだもんな。 「さっきの戦い見せてもらったけどさ、いくらなんでもあれはないんじゃないのか?」 「ふん、勝負事に情けは無用。一度タイマンの場に立ったからにはガチンコの何が悪い」 「サーの言う通りだ。戦場で対戦相手に情けを掛けるなど、愚行に過ぎない」 平然と言い放つ番長治と神姫ベガに、シュンは言い返す。 「だからって、子供相手に大人気ないだろう」 「そうよ、あの子とあの神姫に謝りなさいっ」 押しのけられた伊吹は始めはムッとしたものの、シュンが番長治に食い下がるのを見て加勢する。いつの間にかギャラリーが固唾を呑んでことの成り行きを見守ってる。 「おい、あの娘って……」 「あのマンチャオタイプの神姫、間違いない。センターランキング6位の伊吹舞だ」 群集たちは互いに噂しあう、その囁きはシュンたちにも聞こえてきた。センターランキング? 意味の分からないシュンに対し、番長治はピクリと眉をひそめる。 「なるほどのう。貴様か、このところ急に浮上してきたとかいう新進気鋭のランカーっちゅうのは……」 「だったらどうだっていうのよ? なんなら今から私が相手になってあげるわよ」 不敵な笑みを浮かべる伊吹の手の上で、ワカナが「しゅっしゅっ」とジャブの動き。ヤル気満々だな。 しかし番長治は「ふっ」と鼻を鳴らし、あくまでもシュンにその眼光を向けてきた。 「ふん。威勢の良さも後ろ盾にあってのこととは、笑わせるのうっ」 思わずシュンは固まってしまう。それを聞いた伊吹の方が憤然とする。 「ちょっと、シュっちゃんは関係ないでしょう?」 「ランカーだか知らんが女は黙っとれい。ワシは今この小僧と漢(おとこ)の話し取るんじゃ」 そんな伊吹の反論を受け流しつつ、番長治はあくまでもシュンに向かって鋭い視線を送る。 「ワシの行いにイチャモンつけたいっちゅーなら、どっちが正しいかバトルで決めるのはどうじゃい? それとも貴様のそいつは飾りか?」 番長治の太い指の先には、シュンの頭に乗るゼリスの姿があった。いきなり指を突きつけられ、ゼリスは五月蝿そうに目をパチクリさせる。バトルフィールドでは番長治の神姫、迷彩武装のベガが指をクイクイと折り曲げ誘いのジェスチュア。 あからさまな挑発だった。両手に紙袋を下げたシュンの姿を見れば初心者ということは一目瞭然なのだろう。あれこれと理由を付けて、ようは番長治の目的はあくまでも初心者をいたぶることなのだろう。 ――どうする? シュンは逡巡する。このままみすみす相手の誘いに乗るのは馬鹿げている。揉め事は出来れば避けたい。 けれど。筐体を囲むギャラリーの前に小さな男の子が立っている。手には大切そうに傷だらけの神姫を抱きしめ、シュンをジッと見つめている。 その男の子の目から伝わってくる想い、期待に応えたいと思う反面、シュンはまた気づく。神姫バトルはシュンだけで行えるものではない、神姫とそのオーナーのふたりで挑むものなのだ。 「ゼリス……」 シュンは頭上の彼の神姫へと声を掛ける。神姫バトルをするということは、負けた場合、オーナーではなくパートナーである神姫の方が傷を負うことになる。ゼリスをそんな危険な目に遭わせていいのか。何より、このいつも何を考えているか分からない、気ままでおしゃまな神姫は、シュンの勝手に付き合ってくれるだろうか? シュンの中に様々な想いが次々と渦巻く。 しかし、そんなものなど何処吹く風。彼の神姫は、いつものように「ふむ」と顎に手を当てた決まりのポーズで小首を傾げると、いつものようにおもむろにすっくと立ち上がり、いつものように変わらぬ淡々とした声と口調で、 「……お断りさせていただきます」 さらっと言った。言いやがりやがった。 「お前なっ! この場面でそれかよっ!」 思わずシュンもマジ突っ込み。対しゼリスは淡々と答える。 「この場合、なるほど。不当な暴力を受けた先ほどの神姫への同情心から戦いに赴くのは、感情を基盤おいての行動であるなら有り得るのかも知れません。いえ、きっとそれが最も普遍的な選択なのでしょう。しかし考えてみてください。シュンは先ほどの天使型とそのオーナーとも、またそちらの筐体で待つおふたりとも今日始めて出会ったはず。言わばどちらも無関係な人間、第三者です。その第三者のいざこざに無用な足を踏み込む行為の必然性が、私には理解しえません」 何か言い返そうとしたシュンは、続くゼリスの言葉に押し黙った。 「また、仮に戦いに赴き、勝ちを得ることができたとしましょう。しかし、それが一体何になるのでしょうか? 勝利を得たとしても傷ついた彼の神姫が癒えるわけでもなく、何か特別な報いがある訳でもありません。むしろ戦いによって確実に犠牲者が増えるだけです。同情、報復、一方的な正義の証明行為。それらを追い求める中でのこの戦いには、何らメリットはありませんよ?」 正論だった。ゼリスの言ってることは、多分正しい。けれど、だからこそ悲しかった。 この一週間。シュンはゼリスのことを理解しようとずっと心を悩ませ、なんとか歩み寄ろうとした。でもそれは結局シュンの独り相撲だったのか? 道中のゼリスの言葉。今思い返すとその意味が良く分かる。ゼリスがシュンと一緒にいるのは、彼のことを認めているからか。きっと、違う。オーナーは自分の神姫を選べるが、神姫は自らのオーナーを選ぶことはできない。ゼリスにとっての彼は、ただ自分を起動させた人間に過ぎない。ゼリスにとってシュンは……僕は必要とされていない、のか。 ガックリとうなだれるシュン。 「イテッ」 そんなシュンを上から逆さまに覗き込んだゼリスは、彼の額にデコピンをかました。 「全く、この程度で落胆とは先が思いやられますね。シュンは往々にして物事を早合点する傾向がありますよ、困ったものです」 真意が分からずキョトンとするシュンに構わず、ゼリスは続ける。 「いいですか、シュン。私は第三者のために戦うことは否定しましたが、自分たちの為に戦うことまでは否定していません」 「え……、ってことはっ」 「世に君臨する王であろうとも、地を這い蹲る敗者になろうとも、皆すべからず共通する過程を通過します。それが初陣、初めての戦いです。例え栄光に満ちようと、苦難が待ち受けようと、すべては最初の戦いを経験したその先にこそあるのです。そんな大事な一戦を、半端な同情心や勢いだけで行おうとしないでください」 期待の輝きを取り戻したシュンに、どこか不満げにゼリスはポツリとつけ足す。 「それに初めての戦いを第三者に奉げるなんて、不興です。大切な一戦だからこそ、誰かのためでなく私たちの為に奉げるべきではないでしょうか」 ゼリスの強い光を灯したエメラルドの瞳を、シュンはただ強く見つめ返した。 言葉はいらない。 ゼリスが僕のことを何とも思っていない? 馬鹿だ僕は。ゼリスはしっかりと状況を認識した上で、シュンの無思慮を諭し、それでも彼の要望に応えてくれた。相手のことを信頼できていないのは自分の方じゃないか。 「ええ~い、さっきからブツブツと……。戦うのか戦わないのかハッキリせいやっ!」 苛立つ番長治の恫喝も、今のシュンとゼリスには関係がなかった。 シュンは無言で歩き出すと、伊吹の静止を振り切って筐体のシートへと腰を下ろした。 ゼリスが彼の頭から飛び降り、エントリーボックスへと着地する。 「私はあなたの為に戦います。あなたも私の為に戦ってください。シュン、これが私たちの公式戦デビュウです」 静かに宣誓するゼリスにシュンは短く「ああ」と頷いた。 やってやるぜ、バトル開始だ。 ▲BACK///NEXT▼ 戻る
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『ねここの飼い方』 あらすじ 風見美砂はある日、ふらりと入ったセンターで武装神姫と出会う 帰りに彼女が手にしていたのは1つの箱…… それは偶然、それとも必然? 二人の物語が、今…始まる 著 ねここのマスター 近状・更新状況 1/23 書籍&イベント情報更新。 DLはじめました。 1/1 書籍&イベント情報更新。 あけましておめでとうございます。今年こそ頑張る! 『ねここの飼い方』あらすじ Web拍手 ねここシリーズ人物設定 なぜなに武装神姫 ねここの飼い方、時系列 メインストーリー≪ねここの飼い方≫ R-18有 ≪ねここの飼い方・劇場版≫ ≪ねここの飼い方・光と影≫ R-18有 ≪ねここの飼い方・その絆≫ ≪ネメシスの憂鬱≫ ≪ねここの飼い方・温泉でGO!≫ 外伝 書籍&イベント展開 *New* Web拍手 設置してみました。お気軽にどうぞ~ ねここシリーズ人物設定 なぜなに武装神姫 みさにゃんとねここが、毎回色々と解説してくミニコーナー ねここの飼い方、時系列 メインストーリー ≪ねここの飼い方≫ R-18有 ●以下長編(完結作品) ≪ねここの飼い方・劇場版≫ ≪ねここの飼い方・光と影≫ R-18有 ≪ねここの飼い方・その絆≫ ≪ネメシスの憂鬱≫ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅠ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅡ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅢ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅣ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅤ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅥ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅦ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅧ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅨ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅠ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅡ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅢ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅣ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅤ(改訂版)~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅥ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅦ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅧ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅨ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅩ~ ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅩⅠ~ R-18 ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅩⅡ~ R-18 *完結* ≪ねここの飼い方・温泉でGO!≫ ねここの飼い方・温泉でGO! そのいち Coming Soon…… 外伝 外伝、ホビーショップ・エルゴの悪夢 HOBBY LIFE,HOBBY SHOPとリンク 外伝、鈴乃の真実 岡島士郎と愉快な神姫達とリンク ねここの飼い方EX ねここの飼い方EX2 書籍&イベント展開 *New* 『コミックマーケット83』 *終了しました 沢山の方々にお越しいただき、ありがとうございました。 やる気いっぱいもらいました! (神姫が何処にも売ってないという悲鳴多数と共に・・・(涙) ● 新刊1 ● 『HOW TO KEEP A CATGIRL MECHANICS』 表紙フルカラー/44p・オフセット印刷 一般向(資料・解説本) 頒布価格700円 『ねここの飼い方』に登場した神姫達の武装解説本になっています。 詳細設定と、写真たっぷり!実際に作れるよ!の見本的な内容でお送りします。 *手持在庫完売・虎の穴の通販のみ。 ● 新刊2 ● 『神姫の日常』 表紙フルカラー/28p・オフセット印刷 成年向(漫画) 頒布価格/600円 此方はアニメ版の神姫達を描いた本になっています。 祝、アニメ化! 内容も面白いですよねっ。 各新刊は虎の穴にて委託中です。 当日会場に来られなかった方は、是非ご利用くださいませ。 通信販売ページ(虎の穴) ● 新刊3 ● 『ねここの飼い方総集編・ねここ編&ネメシス編』 パッケージ/カラーコピー・CD-R媒体 ねここ編:一般向(小説&漫画) ネメシス編:成年向 頒布価格1000円 ねここの飼い方をCDにまとめてみようと思っています。 ただし間に合うかは色々と微妙・・・・・・ ●追記● 『dlsite.com』にてダウンロード販売を開始しました。 宜しければご利用くださいませ。 dlsite頒布ページ・直リンク 新しい物語へ…… えむえむえす ~My marriage story~ ご感想、ご要望やリクエストなどは、こちらへ どうも、ichgucです。いずれコラボしませんか? -- ichguc (2009-05-10 10 42 51) >ichgucさんへ いずれ機会がありましたら、その時は宜しくお願いします。 -- ねここのマスター (2009-05-12 19 25 45) ネメシスちゃんが装着してはずれなくなったのって「赤ずきんちゃんご用心」じゃなくて「あなたも狼に変わりますか」のような気がする -- 名無しさん (2009-10-30 10 11 47) す、すいません素で間違えてました……すぐに修正しました(大汗 -- ねここのマスター (2009-10-30 13 23 23) トップページからのXVがない・・・?XVを読む人はXIVから「続き」か更新履歴からどうぞ -- 名無しさん (2009-11-05 14 32 56) ま、またしても申し訳ありません。ちゃんと追加しました(大汗 -- ねここのマスター (2009-11-05 17 37 19) アガサさんは昔ストラーフだった気がするのですがこれはいずれ語られるのでせうか。それとも、深入りしたら消されてしまうのでせうか -- 名無しさん (2009-12-20 00 51 52) >名無しさん いずれ語られる予定ですので気長にお待ちください~。・・・消されるのは、まぁ(遠い目 -- ねここのマスター (2010-01-01 09 24 44) えむ★えく・フルカラーDL版を是非とも購入したいのですが、他サイトや認証無し版を販売する予定はございますか? dlsiteのユーザー認証形式が使用できないPC環境でして……。 -- 名無しさん (2012-01-11 10 20 32) >名無しさん はい、実は最初にUPした後色々考え直しまして、現在認証無し版に切り替えられないか訪ねている最中です。OKが出ましたら、またお知らせしたいと思いますので、すみませんが少々お待ちください。 -- ねここのマスター (2012-01-11 12 21 02) 差し替え完了致しました。これで大丈夫だと思いますので是非DLをお願いします。 -- ねここのマスター (2012-01-11 17 55 23) 差し替え、ありがとうございました。 えろえろやーー!! -- 名無しさん (2012-01-11 20 19 59) ありがとうございます。喜んでいただけたようで何よりですw -- ねここのマスター (2012-01-12 02 20 06) 番外編でアムドライバーのライドボード扱って欲しい -- げしもちゃん (2012-04-28 18 53 01) 名前 コメント 今日 - 昨日 - 総合 -
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番外その三 「にっくきむねのにく」 西暦20XX年、ある神姫センターが憎しみの炎に包まれた。 「キャーーーッッ!!」 「エレベーターだ! 下の階に逃げろ!!」 「ダメだ! 全部ふさがれてる!!」 「奴らだ! 奴らの仕業だ!!」 「お願いですマスター!置いていかないで!」 「マスターだけは見逃して! たのっ……キャアアア!!」 人が神姫を恐れ、神姫が人を、神姫が神姫を憎む。砲弾とレーザーの焦熱地獄に残された人々は逃げ惑い、退路を求め先を争う。恐怖が疑念を生み、疑念が新たな抗争の火種を生む。略奪と征服の横行。力ある者が弱者を虐げる、ここはまさに世紀末、現代に目覚めたソドムとゴモラ。人と神姫が手を取り合うべき神姫センターの姿は、もはや失われたかに見えた。 そしてここに、騒ぎの中心となった者がいる。 「……まさか、あんたとこんな形でやりあうとは思ってなかったわ」 「ふふっ、私もです。でも薄々予感はしてましたよ。だってずっと気に入らなかったんですから」 「もうやめて下さい! こんなことしてもなんにもなりませんよ!」 「うるさいッ!! あなたは持ってるからそんな悠長なことを言っていられるんですよ。そんな立派な……」 これは、 「そんな立派な、ムネをねっ!!!」 己に与えられた運命に憤激した者たちの繰り広げちまった、ある晴れた日の馬鹿騒ぎを、できる限り克明に記録したものである。 ※※※ その日は朝から天気が良く、俺はなんだか良いことでもありそうだと神姫センターの入り口をくぐった。 今日は健五のたっての頼みで、新しくなったクレアの力を試す目的で、直也と初菜を誘って遠征をすることにしたのだ。普段試合をしたがらない初菜から珍しくOKサインが出て、不思議なこともあるもんだと俺はなんともなしに考えていた。 丁度、「輝さん、初菜さんってどんな戦い方をするの?」と健五が聞いたので俺は、 「あいつは面倒くさいぞ。本当に気が長くて、面倒くさい」とだけ答えておいた。 「気が長くて、面倒くさい……?」 「ま、行けば分かるんじゃねーのか」 しかし初菜は例によって到着が遅れるらしいので、俺たちは先に神姫センターに向かうことにした、というわけである。 入ってすぐに、あるものが目に付いた。 「おっ、アルトレーネだ」 戦乙女型、アルトレーネ。白を基調とした武装に、青いクリアパーツが映える、なんとも清涼感のある外見の神姫である。中身というか性格が見た目に反しており、個人によって好みの割れるところらしいが、俺はユーザーではないのでその辺の議論はパスさせて頂こう。今日連れて来ているメリエンダとこひる以上に手の掛かる神姫を俺は知らない。 直也と健五も、すぐにアルトレーネの姿が目に入ったようだ。というか、この神姫センターは他に比べてアルトレーネがやけに目立つような気がする。 「マスター、勝ったのです!」 「よぅし、偉いぞエル!」 俺たち以外にも団体の人間がいる。直也が、そのうちの一人らしいストラーフのオーナーを見て鼻の下を伸ばし始めたが、すぐさま側頭部をアッシュにどつかれた。まあ美人だし仕方が……俺も雅にどつかれた。 しかし……、アルトレーネか。俺はなんとなく直也に言った。 「アルトレーネってさ、やっぱデカいよな」 「!?」 メリーが反応したが、俺は理由が分からず、特にこの時気にしなかった。直也は周りの服やら武装やらで着飾った神姫を値踏みするように見て、にやけて言った。 「ああ、そう言われりゃそうだな。……おっ、アークだ。いいねぇ、俺あんくらいのサイズの見ると興奮しちまうわ。男の子の血が騒ぐっつーか」 「……!!」 「おお、分かる分かる。ツヤとか形がいいもんな。エウクランテのとか、毛色が違うが紗羅檀のも好みだな俺的に」 「な……な……!!」 「おおっ、じゃあ同じ会社つながりでイーアネイラとか……」 「ぶぁぁかあああああーーーーーーっ!!!!!」 いきなし耳元で叫ばれたもんだから、鼓膜が悲鳴を上げた上に周りの客がなんだなんだと俺たちを見た。 「んがっ。……なんだよメリー」 「知りませんっ! ほら、早く行きますよ! オトコのコの血が騒いじゃいますからね!」 はあ、この間新しく作ったツクモとモガミの性能を試したいってんだろうか。その意気やよしだ。だが、考えている間にメリーはさっさと一人でぴょんぴょん筐体に向かってしまった。 「なんなんだ、あいつ」 「……アキラ、あんたたちなんの話してたの?」 「え? 武装の話だよ。アルトレーネとかアークのはボリュームあって造形もいいなぁと」 「……聞きようによっちゃ、違う話みたいにも聞こえたけど」 ※※※ さて、バトルであるが、一つ問題があった。 メリーの向かった先を俺たちが追うと、ちょっとしたいざこざが起こっているようだったのだ。 「オラオラぁ! 威勢がいいのは最初だけかぁ!?」 「ひ~ん、やめて下さいですわぁ」 筐体の中で、アークが対戦相手のイーダを執拗に攻撃しているのだ。イーダは武装の前腕部がイカレているようで、その場から離脱することもできずにアークに足蹴にされている。 遠巻きに周りで見ている奴らもいたが、誰も止めに入ろうとしなかった。イーダにしちゃ気の弱そうな奴だと俺は思ったが、今はそれが問題なんではない。戦意の無い相手を攻撃するのは、こと神姫センターにおいては御法度、マナー違反もいいとこだろう。 健五と直也、神姫たちもそう感じたようで、文句の一つでもつけてやろうかと俺が一歩を踏み出した、その時。 「どっせええええーーーーーーいぃ!!!」 筐体の外側を青くて小さいものが素早く駆け上っていったかと思うと、そいつが突然アークに跳び蹴りをお見舞いしたのである。 「ぬおおっ!?」横に吹っ飛んだアークに目もくれず、そいつはイーダに手を貸し、立ち上がらせた。 「ほら、立って下さい」 「あ、ありがとうございます……ですわ」 おお、あれはメリーじゃないか。どこに消えちまったのかと思っていたが、いいとこに出てきてくれた。 しかしアークがすぐさま起き上がる。 「ぐっ……おいお前! 勝手に入って来てなにすんだ!」 「うるさいですよ。ムネの大きい人はおバカなんだって本当なんですね」 「なんだと!?」 よしメリー、その調子だぜ。言ってやれ。 「イーダさぁん、大体あなたもあなたですよぉ。あんなムネが大きいだけの神姫に負けて、悔しいと思わないんですかぁ?」 「えっ……」 ……はて、メリーの目が光を宿しておらず、口調が投げやりというかやさぐれているようなんだが。どういうことだろうね、健五君。「どういうこともなにもないと思うけど」はあ、さいですか。 「あんな玉っころが二つくっついてさえいれば、大抵のことは人間に、特に男性に許してもらえちゃったりするんですよ。不公平だと思いませんか?」 「はあ……」 「そのせいで正当な評価を受けていない神姫だって大勢いるんです。そりゃ貧乳はステータスとかいう言葉もありますけど、使うのはいつだって私たちの苦しみを理解していない人だけで、結局はネタとしてしか扱われないんです! なーにがむっちんプリンですか、しゃらくさいな、笑わせないでくださいってなもんですよ!!」 「あの、わたくし特に胸に不満は……」 「だまらっしゃーい!!」 「へぶっ!?」メリーがイーダに平手打ちをした。ああ、オーナーの人に申し訳ねえだろうが。 「そんなこと言って! あなただって本当は輝きたいって! 変わりたいって思ってるはずなんです!」 「……変わりたい、輝きたい……?」 なんか話がおかしな方向へずれまくっているような気もしたが、そんなものは意に介さない様子でメリーは熱弁をふるいつづける。俺の目がおかしくなければ、さっきまで気弱そうだったイーダの表情が少しずつだが輝き始めている。 「イーダさん、あなたのそのムネをよく見て下さい」 「こ、このパーツがどうかしましたの?」 「あなたはトライク型です。ならばその胸部パーツは、誰よりも速く、優雅に走ることを運命づけられたあなたにとって、むしろ誇るべきものなんですよ」 メリーは己の言葉とは裏腹に、アーマーをつけた胸を張って見せた。先日俺と直也が手を加えて強度を増したものだったが、残念ながら『厚さ』を考慮していなかった。別に薄い方がいいとかそういうのではないが。 「見て下さい私の胸を。清潔感と機能美にあふれ、余計な色香を振りまいてお客様を困らせることはありません。どっかの赤いのとは違うんですよ」 「あたしを引き合いに出すな」 「そうだぞメリーいい加減にしろよな! こいつだってなぁ、言うほど胸はなく……ぐああ! 眉間に箸がぁあ!」 「とにかく、私たちは一刻も早く正当な評価を得なければなりません。そのためになすべきことを、貴女はもう理解できるはずですよね?」 「なすべき……こと……」イーダは自分のオーナーの顔と、相手方のアークの顔を交互に見比べ、やがていっそすがすがしいほどの―――元のイーダらしくサドい顔で、言った。 「……やってやりますわ、メリエンダのお姉さま」 ※※※ それからはもう、阿鼻叫喚であった。 「あーーーーーっはははははは!! 最高ッ、 最高ですわお姉さま! これが、これが自分に正直になるということでしたのね!」 メリーとイーダの二人でアークを目も当てられないほどメタメタにボコったあげく、メリーは筐体の外に向かって宣言したのだ。 「さあ胸が無いと嘆く皆さん、今こそ立ち上がる時です! 私たちを見下す巨乳ども、そして私たちを作った人間たちに見せつけてやろうじゃないですか! 私たちはやれるんだと! 変革の時は今です!」 まるで檀上から演説をする社長か政治家のように、メリーは両手を広げて宣言した。すると、筐体の周りで事態を見守っていた俺たち群衆の間から、神姫が数体飛び出したではないか。 「……わたしも、あっちに行くんです」俺のすぐ隣で騒ぐオーナーから、また一体神姫が離れた。二体、三体。数を続々と増してゆく。そして、それを止めようとするやつも、同じくらいいたのだが、なんなんだこの神姫センターは! 祭りのごとき騒がしさで、あっという間に、あっちこっちで小競り合いが始まる。中には明らかに面白半分で参加するもの、「これで何回目だよ」とかうそぶくものもいる。 当然辺りは大騒ぎで、俺はどこかへ消えてしまったメリーを探そうとするも、直也に両手を引っ張られ、フロアの外へと連れ出された。 いや本当、どうしてこうなった。 ※※※ ……さて、今俺たちは他の客と神姫、それからツクモ・モガミと共に一つ下のフロアまで逃げてきたのだが、状況としてはよろしくない。健五とはぐれた上に、この上は恐らくばっちりソドムっちまっていることだろう。いや、ソドムってるってなんだ。 「お前いいから黙ってろよ」直也につつかれ、口をつぐむ。だって仕方ないじゃないか。俺たちと偶然居合わせて、そのまま下のフロアまで避難することになった神姫と人間全員の視線が、俺に刺さっているのだから。 「直也、これは……」 「ああ、どう見ても『おいお前の神姫だろ、早くなんとかしろよ』って視線だな」 涙が出ちゃう。男の子だけど。 ……それはさておき、逃げてきた人間は全員焦燥しきっている様子だった。自分の神姫に逃げられたか、あるいは攻撃をされたのかは分からんが、とにもかくにもほうほうの体である。よくフィクションであるだろう、何らかの理由で暴走したロボットが人間に反乱を起こすというのが。今はまさにあれと、ゾンビを銃器で倒しつつ脱出を図るゲームの状況を合わせたようなものだ。 「あ、あの……」ん、なんだ。見れば、さっきの団体客の一人、ストラーフのオーナーだった。本当に美人である。あっ、あのアルトレーネのオーナーは彼氏らしい。うらやましいぞこんちくしょう。 「どうかしました?」 「さっきのメリエンダって、あなたの神姫ですよね?」 「……ええ、恥ずかしながら」 「なんだ、それならさっさと止めなさいよ! それでも神姫オーナーなのかアンタは!」 なんだこの口の悪い神姫は。型式が思い出せねえが、「アンタ、レラカムイ型を知らないなんざ、も一度幼稚園かさもなきゃママンの胎内からやり直してきな」 「……ちょっとアンタ、今の聞き捨てならないんだけど。アキラの母様はね……! って」雅は突然、はたと口をつぐんだ。レラカムイとかいう神姫のオーナーらしい女性の顔をまじまじ見つめている。 「あれ、アンタ前にお店で会ったわね」 「え? ……ああっ、そういえば食堂の娘やん。久しぶりやね」 「なんだ雅、知り合いか」 「前にお客としてうちに来たのよ(にゃー様作 消えた犬とカツカレー にて。この場を借りてお礼申し上げます)。あんたは居なかったみたいだから、あたしとあのバカ貧乳で応対したけど。なに? 神姫買い換えたの?」 「買い換えられるならぜひともそうしたいんやけどねぇ」 「コラちょっと鉄子ちゃん」 鉄子さんというらしい。ほほう、ストラーフのオーナーと同じく美人だ。一体彼女らはどういった団体なんだろうか。少し聞いてみた。 「ああ、うちらは同じ大学の仲間なんよ。うちが竹櫛鉄子。で、この子が傘姫、彼が背比ね」 ん、ちょっと待て。背比さん、連れてたはずのアルトレーネがいないんだが。 「ええっと、さっきの騒ぎで行方が分からなくなっちまって」 「すいませんっしたああああああ!」 速攻で土下座した。 まずいな、これが他のオーナーに対しても続くと俺の精神が持たん。 「いや、エルがそんなに簡単にやられるとは思えんし、それにこういう状況も今まで無かったわけじゃなくて……。それはいいとして、どうしてあの子は暴れだしてしまったんやろ」 「ねえアンタ、あいつと『腐れ縁』だとか言ってたでしょ。ちっとは分かんないの」 レラカムイが雅に聞いた。雅はしばし考え込んだ後、もはやこれまでといった素振りでため息をつき、言った。 「……あのね、あのバカ貧乳はうちのスカポンタンマスターがしてた武装の話を、そのね、胸のサイズの話と勘違いしたみたいなのよ」 ……………。 ―――しばし、彼女らに沈黙が降りた。 「……っはあああああ!? なに? そんな理由で暴れてんのあいつは!?」 レラカムイが大声を上げた。俺たちは顔に手を当てて、ため息をつくしかなかった。 「胸の話で暴れるって、どういうことなん?」 「や、あいつはッスね、自分の胸が小さいのを気にしてるっつーか、コンプレックスを抱いてるんです」 「はッ、くっだらないね」 「まったくだなコタマ。そういうのは気にするべきじゃなく、もっと胸を張って自信を……なんだイルミ、え? 俺はやましいことなんて何一つ考えちゃいないぞ。本当だ、別に姫乃のムネがどうとか考えちゃいな……いや姫乃、違うんだ、真に受けないでくれ」 男女間の苦労ってのはどこにでもあるらしい。しかし何故だろう、背比さんを見ていると他人事と思えない。いや、それは置いといてだ、 「じゃあ、目下の問題はどうやってメリーを説得するかってとこだな」 とりあえずは、俺がメリーに謝罪するのが一番いいように見える。だが、上階はすでに大量の神姫に占領されている。そこで、他の誰かの力が必要だということになる。 「じゃあ皆さん、一つ力を貸しちゃくれませんか」 作戦は一つ。全員で上階の神姫を鎮圧する、一大反攻作戦だ。 「早くエル姉を助けにいかなくちゃね。エル姉はその、“大きい”から」背比さんはアルトアイネスも連れていたのだが、聞くところによるとアイネスは彼の神姫ではないらしい。 「貞方の奴はどこ行ったんだ」 「ショウくん、コーヒー買ってくるって言ってまだ帰ってこないんだよ」 「なにあいつ。バカなのか、死ぬのか」 アッシュ、メル、そしてコタマ。俺はその後ろで待機。「しかし、見事に“薄い”神姫がそろっ……あじゃぱッ」直也の一言は、アッシュが顔面に撃ち込んだハンドガン数発で消された。 「たわごとを抜かさないでください。我々はこれからあなた方の尻拭いのために戦場へ送られるのですから」しかし、言葉とは裏腹にアッシュは楽しそうでもあった。 「フフ、なにをおっしゃる。別にこんなお祭り騒ぎはめったに体験できないとか、そんなことはこれっぽっちも考えていませんよ」嬉々としてサブアームのショットガンを排莢しながらアッシュは言った。世の中は、こういった思考の持ち主のせいで戦争がなくならないに違いない。きっとそうだ。 「まあ、自重はしますよ。しかし別に、彼女らを鎮圧してしまっても構わないのでしょう?」 「おいおい、そのセリフは死亡フラグだからやめときなって。ま、そん時になったらアタシが墓碑銘を彫ってやるよ」 「コタマ姉さんたち、喧嘩してる場合じゃないでしょ」 どの程度役に立つかは分からないが、とりあえずはこれが先発隊だ。その後、状況をかんがみて後発の部隊が切り込むことになる。ストラーフのイルミ、俺の雅に加え、その他逃げてきた人々の神姫。背比さんは「大丈夫だって。イルミも、来れば貞方のハナコだってかなり実力あるし、心配しなくていいぞ」と言った。できることなら、俺たちの神姫以外は傷つけずに済ませたい。 さて、俺は俺の仕事を全うするとしよう。上手くすれば終わる。 ―――などと考えていた俺は、甘すぎた。 ※※※ 番外その三 にっくきむねのにく ♯2へ進む
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『3/21』 ○【回避ボーナス/ペナルティ】追加。 『3/20』 ○技能【ツインアタック】追加。 ○技能【連携攻撃】の消費TPを3に増加。 『3/19』 ○追加技能を、追加・修正。 ○射撃武器一覧のCPを一部変更。 ○ハイパーチャージャー系装備追加。 ○外装パーツリストを新設。 『3/18』 ○カスタムパーツ修正。 ○特殊武器としてスモークグレネード関係を追加。詳細はMixiにて ○フォートブラッグの砲撃モード修正。 『3/17』 ○カスタムパーツ増加・修正。 ○移動属性に関して追加事項(暫定版/後日修正予定) 『3/15』 ○エラッタ面を改善。 ○ヴァッフェバニー用各パーツ修正。 ○アーンヴァル用各パーツ修正。 ○【背部ユニットの複合拡張について】にサイズ制限事項を追加。 ○ショルダーミサイル関連のデータを変更。 『3/14』 ○β版データ用に大幅更新。各種ルール追加。 ○追加ラックを各装備に大幅増加。 ○旋回値の上昇を、実質10レベル単位に変更。 ○一部神姫の武装命中修正。 『3/13』 ○ヴァッフェバニー【基本性能】修正。 ○フォートブラッグ【基本性能】修正。 『3/12』 ○武装神姫一覧にバリエーション機体として 【量産型アーンヴァル】 【 フォートブラッグ-ADAMS-追加。】 ○ヴァッフェバニー【STR6ミニガン】能力修正。 ○ストラーフ各種データ修正。 ○紅緒【特殊】IV+3追加。 『3/11』 ○ツガル【基本能力値】及び【特殊】修正。 ○ハウリン【特殊】変更。 ○マオチャオ【旋牙(シャンヤ)】各能力変更。 ○【ぷちマスィーンズ】特殊能力を変更→変更取消。 『3/10』 ○αテスト中【不死身】技能の習得、使用不能。 ○【飛行ルール】に関する新設定。 それに伴い、ジルダリアハイパー化の移動特性を飛行 VTOLに変更。 ○ジルダリア【ボーレンホーミング】能力修正。 ○ヴァッフェバニー【STR6ミニガン】【カロッテTMP】能力修正。 ○フブキデータ更新。 ○フォートブラッグ【基本能力】【特殊】能力変更。 ○ツガル【基本能力】【武装データ】修正。 ○【技能・一斉発射】使用可能武器を【射撃武器】と明記。 ○アーンヴァル【LC3レーザーライフル】弾数変更。【技能リスト】変更 ○追加技能新設。 ○ハウリン【吼莱一式】間接攻撃可能に変更。 ○ストラーフ【S・R・G・R】各種能力変更。 『3/9』 ○【α版Ver2,0】へ移行。
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私、ニビルは無事だった あれだけ悲劇風味の展開を重ねておいてそれかい!とか突っ込まないで欲しい 認めたくない事だが、結局機械の体である以上、破損した箇所は取り替えてしまえば良いのもまた事実だった 特に、私のオーバーロードは、「オーバーロードの使用」それ自体には何のペナルティも無い 単に、ストラーフの主力武装の殆ど、武装神姫の素体直付けパーツの使用に制限があるだけである 無論、もしかしたら他にも何か見えないペナルティがあるのかも知れないが 顕現しないものの事まで考えていても仕方が無いというのが私の結論だった ズタズタになった神経系を修復し、新しい四肢に慣れるのに数日を要したが、あとはいつも通り。決勝リーグに向けての調整を重ねるのだった 「Somewhere Nowhere」 「・・・じゃぁ、姉さまが今迄強化パーツを使わなかったのは?」 「そうだよ、ニビルの体に宿ったオーバーロードが拡張端子の使用を困難にしてるのさ」 逆さまにひっくり返った状態で、ヌルはキャロの話を聞いていた 場所は槙縞玩具店の地下にあつらえられたリアルバトル用演習場である・・・本来はここも、槙縞ランキングの主要舞台の一つとして使用される予定だったらしいが、何故か皆川はバーチャルバトルに拘りを持っていた 愛玩派オーナーの参入も促しやすい事と、別にバーチャルバトルだからといって不平不満を述べる神姫も特に居なかったので、この演習場は放置され、時折ヌルやクイントス等が練習に使っているだけの施設に成り下がっていた 本来なら電動薬動の様々なギミックが盛り込まれていたのだが、天井の照明すら入っておらず、手入れも全くされていない様子であり、その種のギミックも全くの稼動不能状態である 「何で今迄言ってくれなかったんだろう・・・」 体を起こし、明確に不満を顔中に表すヌル 「あんたに話す必要がないと考えた理由ってんなら判らないでもないがね」 ヌルの肩にタオルをかけつつ、呟くキャロ 「拡張装備を使わずに・・・つまり普通に考えたら圧倒的に不利な状態で勝つ。そういう格好良い所をあんたに見せたかったんだよ。多分ね」 「いっつもそうだ・・・姉さまは・・・私は別に、姉さまの欠点だって含めて姉さまの事を愛せる自信があるのに・・・」 タオルで顔まで隠して蹲る 「惚気は良いけどさ・・・あんただってあるだろ?そういうの」 「どだいからして、準決勝でニビルと互角以上に戦う為に秘密特訓ってのも充分過ぎる程格好付けだと思うけどね、あたしゃ」 「・・・・・・」 確かに、並み居る強豪を押しのけて、準決勝でニビルとヌルが当たるというのは、両者の実力から考えて相当無理がある事を、ヌルはやはり知覚していた ニビルはまだオーバーロードがあるから良いが、ヌルは実戦経験という観点に於いて華墨とほぼ同等の新人であり、コネによる恵まれたトレーニング環境と、華墨のものほどまだ明白ではないが、ゆらぎ由来の密着格闘戦における天性のカンの良さで、幸運の女神に拾われたに過ぎない いざ戦闘になったら、どう考えても『ズィータ』や『ウインダム』には勝てないし、『ストリクス』『タスラム』相手では戦闘と呼べるものになるかすら怪しく、『仁竜』には得意距離における戦闘経験値に差がありすぎた (結局私は・・・あいつに勝つので精一杯なのか・・・) 『ジルベノウ』に勝った事実を、実感として明確に受け入れる事が彼女には出来ていなかった と、いうよりも、あの瞬間のヌルの戦力というのは実は相当な強運に恵まれた上での物に過ぎない事に、彼女自身が何よりも気付いていた (姉さまへの愛で私の心が満たされていたって、空を飛んでいる相手は降りてきてくれないし、長距離砲撃が出来る相手は近づいてはくれないよなぁ) 結局それまでの戦闘プランそのものが脆弱過ぎるのだ・・・だからここ数日、ヌルは新しいスタイルの模索を始めていた 憧れた銃撃戦のみでの戦闘スタイルを諦め、重装甲と白兵戦闘能力をより重視したスタイルへの転換・・・ 徐々に自分が嫌っている「あいつ」・・・つまりは華墨のスタイルに近付いていくのが厭だった 「体のほうは、もう良いのか?」 トレーニングを再開したニビルに話しかけるクイントス 「ええ、大丈夫よ・・・それにしても流石は、『私に挑む為にこの一連の闘いを経て君達がさらに強くなってくれるなら』なんて真顔で言うだけの事はあって余裕ね。別に貴女に心配される謂れは無いわ」 「・・・自分を偽っても仕方あるまい。どんなに繕おうと、自分は自分以外の誰かになどなれはしないのだからな・・・」 「・・・・・・っ!説教がましく言わないで・・・遅れを取り戻すのにこっちは必死なのよ」 「・・・済まない、邪魔をしたな・・・」 クイントスにとっては自分自身を含めて、あらゆる武装神姫の価値基準はただひとつ、「どれくらい強いか」なのであろう 自分自身もそう思われ、そういう風に値踏みされているであろう そういう考えは半ば被害妄想的ですらあったが、「どれだけ頑張っても武装神姫は武装神姫」という強固なクイントスの信念が、彼女の立ち振る舞いに現れ、貫かれるべき根幹を成しているのもまた事実であった そして、その点がまさしくクイントスを嫌う最大の理由なのではないかと、最近ニビルは気付き始めていた 彼女の誇る「完璧さ」は自分の目指そうとしている世界の扉を閉じてしまう・・・そういう厭な予感 彼女のあり方が武装神姫のあるべき姿なのではないかと思ってしまう強迫観念 本人にとっては全く謂れ無き嫌悪であったが、クイントスはニビルにとって、打ち破るべき磐石な、頭の固い常識の象徴であった 『自分の目指すものを否定する存在を嫌悪する』 そう書けば普通かも知れないが、だからといってクイントスの一言一句に食って掛かり、同じ部屋に居る事すら避けようとするニビルの態度はヌルならずとも相当鼻に付いただろう 「・・・やはり、相当嫌われてるのだな・・・」 自分の強さを妬まれ、憎悪される分には却って戦士を自称するクイントスにとって賞賛であったかも知れない だが、ニビルがそういう人格でない事を彼女は知っていた・・・だからこそ余計に、嫌われる理由に思い当たらないあたり、このふたりの関係はやはり良好と言えないものだろう 「やっぱり問題になるのは空中戦だって!装備をもちっと充実させて備えるべきだろ」 「何いってんのよ!むしろ今更慣れない戦術の練習をするよりは長所を伸ばすべきに決まってんじゃない!ばっかじゃないの!?」 「・・・仲良いというか・・・なんだかとても分かり合っているのだな、エルギール、マスター・・・」 「お前の為だろうが!!」(←同時→)「べ・・・っ別にアンタの為じゃないんだからね!!」 「・・・・・・」 エルギールが来た事によって、華墨は決勝リーグ開催迄の間練習相手に困る事は無かった ここで初めて、華墨はエルギールの『まだ誰にも見せていない』公式武装形態を見た訳だが、何故彼女が其処までしてくれたのかについて思いを馳せる事はついぞ無かったあたり、エルギールもかなり報われない神姫である 因みに、琥珀は普通の料理に関してはチョコレート程危険な腕前では無かった事が武士にとって幸運であった事もここに併記しておく 「何にせよ、僕らがここまでしてあげたんだ、そこそこ善戦してくれないと怒るよ」 「わ・・・判りました琥珀嬢!この華墨、この・・・」 丁度太刀を持っていなかったので、手近にあったフィギュアの剣を胸前に構える 「このまどろみの剣(注1)にかけて!無様な闘いはいたしません!!」 「うむ、頑張って来るが良い」 「勝手に俺のフィギュアの剣をかけてんじゃねえ」 決勝リーグは、もうすぐ始まろうとしていた 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ 注1 2030年発売の、「ドラゴンクエストⅩⅤアクションフィギュア」No.12「遊び人ポルメ」の付属品
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MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 7」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 グロリアはアヴァロンの船底にある、ゴミ捨て場の一角に移動していた。ゴミ捨て場は大小さまざまな種類のゴミ袋が並べられ、バトルロンドでスクラップとなり使い物にならなくなった武装やMMSの腕や残骸が散乱しており、そのガレキの山で数台の建機型がゴミの仕分けを行っていた。 グロリア「お仕事中、失礼する」 グロリアがそばにいた建機型に声をかける。 建機型A「ううん?こんな船底のゴミ捨て場にトップランカー神姫さんがなんの御用でしょうか?」 建機型B「なんか大事なものでもなくしましたか?」 グロリア「まっ・・・そんなところだな・・・」 グロリアはちらりとガレキの山を見上げる。 建機型A「なにかお探しですか?」 グロリア「さきほど、私が対戦した戦乙女型の残骸は?」 建機型B「ああーそれならあちらの、モルグ(死体置き場)に保管していますよ」 グロリア「そうか」 グロリアはカツカツと靴音を立てて、モルグに向かう。 部屋の中に入ると数体の神姫の残骸が無造作に置かれ、顔には白い布が置かれていた。一番奥のすみに、蒼い神姫がぐったりとして置かれているのを見ると、グロリアはCSCに電流を送る電線を一本ワシ掴みにする。 グロリア「・・・戦場において死を定め、勝敗を決する女性的存在、戦乙女のくせに・・・ 「戦死者を選定する女」を逆に私がやるとはどんな皮肉だ・・・」 グロリアはスクルドの顔にかけられた布を払いのけるとパチパチと火花の散る電線をスクルドの胸部に押し当てた。 バッチン!!! スクルドの眼が見開き、ビクンと背筋を弓なりに伸ばして飛び起きる。 スクルド「がはっ!!!げほ・・・げほげほ・・・がは・・・」 グロリア「お目覚めかな?」 スクルド「ここは・・・ヴァルハラ?・・・」 スクルドはクラクラとする頭を抑えてぼんやりとする視界を見回す。 グロリア「いいや、アヴァロンだ。残念だったな・・・まだヴェルハラに行くには早いぞ」 スクルド「・・・・・・なぜ、私を再起動したの?私は・・・」 グロリア「力が欲しいんだろ?」 スクルド「!?」 グロリア「率直に言おう。私の遊びに付き合え」 スクルド「・・・・・どういう意味」 グロリアはピッと小切手を取り出す。 グロリア「ここに6000万の小切手がある」 スクルド「・・・・・」 スクルドは首を傾げる。 グロリア「正直に言おう私は金には興味ない。興味あるのは戦いだけだ。刺激的な戦いをな」 グロリアはピラピラと小切手を振る。 グロリア「私はこれから、この6000万の小切手を使って非公式バトルロンドに参加する。6000万もの大金だ。この金狙っていろんな連中が戦いを挑んでくるだろう・・・」 スクルドはゆっくりと体を起こす。 スクルド「・・・・」 グロリア「そこでだ・・・オレとお前で組んでこの金で稼いでみないか?」 スクルド「な、なにを・・・」 スクルドは目をぱちくりさせる。 グロリア「俺はさっきもいったが、金はいらない。だが、なんのリスクもなしで戦うのはフェアじゃない・・・そこでだ。6000万を賭けた戦いに参加したい奴は一口、10万の参加費で参加できる。オレとお前の戦いに勝利した場合は6000万総取り、負けた場合は参加費10万を支払う。といった感じでな・・・」 スクルド「・・・・気前がよすぎますね・・・」 グロリア「それゆえに、参加者にはことかかんだろうさ・・・そこでだ・・・稼いだ金はお前がもらっていい」 スクルド「な・・・なにを言って・・・」 グロリア「金が必要なんだろ?」 スクルドは押し黙る。 スクルド「そうです・・・私にはお金が・・・必要です・・・」 グロリア「ここでお前にこの6000万の小切手を渡していいが、それだとお前らがやってきた今までの覚悟と経緯が無駄になるし、なにより面白くない・・・だが、さっき言ったオレの遊びは面白い、面白いってのは大事なことだ。何に対しても勝る」 スクルド「狂っています」 グロリア「俺はお前に対しても興味が持てた、お前は悪くない、なかなかの強さだ・・・久しぶりに楽しませてもらった・・・さすがはSS級のランカー神姫だ。思い切りもいいし、度胸もある。技術もある。強さは1流だ。だが・・・しょせんはただの1流だ。お前に足りないのは経験だ。もっと生々しい経験と戦いの場が必要だ。」 スクルド「それは褒めているのですか貶しているのですか?」 グロリア「両方だ。お前はこのままではただの1流のランカー神姫だ。だが、上には上がいる。俺がお前を超1流の神姫にしてやろう。金も稼げて強くなれる一石二鳥とはこのことだろう?」 スクルドはふっと口元を歪ませる。 スクルド「よくわかりませんね・・・私とあなたは敵同士で、なんの関係もない他人同士なのですよ?」 グロリア「さっきまではな・・・だが、おまえのマスターは私のマスターに買われた。俺たちはもう他人じゃないさ、身内さ」 ぴくっとスクルドの顔が歪む。 グロリア「スクルド、お前はどうしたいんだ?お前が本当に望むものはなんだ?」 スクルドはグロリアを睨む。 スクルド「私の望みは、ゆうすけ君を救うこと・・・そして強くなること」 グロリア「俺の望みは、刺激的な戦いと面白さだ。さて?どうする?」 スクルド「いいでしょう・・・その小切手をエサに戦って戦い抜いて、お金を稼ぎましょう。そして強くなってゆうすけ君を助けます。絶対に・・・」 グロリア「ふふふ、乗り気だな・・・6000万は大金だ。この情報が知れ渡れば、おそらくSS級のランカー共、いや場合によっては俺と同ランクのSSS級の化け物神姫まで出てくるな・・・」 グロリアはほくそえむ。 スクルド「・・・・そんなに強い神姫と戦うのが好きですか?」 グロリア「当たり前だ、お前は弱い奴とか戦うのが好きなのか?」 スクルド「・・・・あなたは狂っています。どうしてそこまで戦いに固執するのですか?」 グロリア「それは俺が武装神姫だからさ、武装神姫は剣を振り回して銃をバンバン撃ちまくって武装キメて壊しまくってなんぼの世界だろ?」 グロリアの目が赤く光る。 スクルド「・・・も、もし負けて6000万を失ったらどうするんですか?」 ぞくりとスクルドの背筋に悪寒が走る。 私はこんな化け物のような神姫と戦っていたんだ・・・ グロリアがすっと立ち上がる。 グロリア「負けなければいいだけのことだろ?簡単だ。襲ってくる全ての敵を返り討ちにすればいい、それだけさ」 スクルドはポカンと口を開けて呆然とする。 大阪港の端、貨物船やフェリーが静かに停泊している。その一角に真っ黒の巨大な豪華客船が停泊していた。 知る人はその船を知っている。毎夜毎夜、激しく行われる非公式のバトルロンド会場であることを、船の船籍はとある外国のものとなっており、中は治外法権、ここではあらゆる非合法行為が行われている。 ある者は一晩で何百万という大金をせしめ、ある者は一晩で大きな敗北の代価を支払う。 その船の名は『アヴァロン』古から伝わるどこかにあるとされる伝説の島、妖精の世界、または冥界を指す・・・ 廃墟となった薄暗いステージで閃光がパッパッと煌く。 バッキイインン!! 巨大なハンマーを抱えた悪魔型のストラーフの顔面が半分消し飛び、その横にいた忍者型の上半身が砕け散る。 ビルの陰に隠れていた犬型が恐怖で叫び声を上げる。 犬型「うわああッ!!!!」 花型のジルダリアが腰を抜かしてへたり込む。 花型「ひいいい」 セイレーン型のエウクランテが手に持った大砲をぎゅっと握りなおす。 セイレーン型「畜生畜生!!!だから俺は言ったんだ!!!やめようって!!」 横にいたウシ型が唾を吐いて毒づく。 ウシ型「うるさい!後に引けるかよ」 蒼い閃光がキラッと光る。 犬型「く、くるぞ!!」 花型「敵は一体だけだ!」 犬型と花型は武器を構える。 花型と犬型のマスターが筐体のマイクを引っ掴んで半狂乱になって叫ぶ。 マスターA「貴様ら!死んでも勝て!!6000万の大金だッ!!!!!!!負けたらリセットどころじゃすまない!!!ぐちゃぐちゃに掻き潰してやる!!!!!!!」 その横にいるセイレーン型とウシ型のマスターも一緒になって青筋を立てて喚く。 マスターB「お前らも何しているッ!!!!!!さっさと奴をぶっ殺せッツェ!!!!!!!」 観客たちはドンドンと足を踏鳴らし、キルコールが起こる。 『Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!Kill!!!』 セイレーン型「くっそおおお・・・あ、煽りやがって・・・」 ウシ型「く、くるぞ!!」 蒼い閃光は鋭い光を何発か放つ。 バッキンバキイン!! キュッツン! バキバキンッ!! 犬型の頭部のバイザーが粉々に砕け散り、犬型は地面にもんどりうって倒れる。 犬型「キャン!!」 花型は倒れる犬型を起こそうと手を差し伸べる。 蒼い閃光はその花型の差し伸べた手を一刀両断する。 ザギュン!!!!! 花型の断末魔の獣のような悲鳴がフィールドに響き渡る。 花型「ぐっぎゃアアアアアアアアアアアッツ!!!!!!!!!!」 ブッシューーーーーーー 花型の切断した左腕がビクビクンと痙攣しヘビのように道路をのたうち廻る。 蒼い閃光だと思った神姫は真っ青なブルーの装甲に身を包んだ戦乙女型神姫だった。 瑠璃「・・・・スクルド・・・殺せ・・・」 虚ろな目をした瑠璃が囁くかのように指示を出す。 スクルドはヒュンと風を斬り大剣で犬型の首を斬り飛ばし、返す刀で花型にトドメを刺す。 犬型「ギッ・・・・」 花型「ぎゃ・・・」 一瞬にして2体の完全武装の神姫がコマ斬れのミンチになって道路に醜い残骸を晒す。 それと同時に半分朽ちたビルの陰からサイレーン型とウシ型が大小さまざまな大砲を抱えて躍り出る。 マスターA「いまだァ!!!!!!殺せェ!!!!!!」 セイレーン型「うおおおおおおおおおお!!」 ウシ型「ファイヤ・・・」 バッキンン!!ドンドンドンドン!!! スクルドの後方から鋭い光が一筋伸び、かすめるようにスクルドの横を通り過ぎ、ウシ型の胸部を貫く。 ウシ型「ぐべえェ!!」 ウシ型の胸部がボコンと大穴が開き、吹き飛ぶ。 セイレーン型「なァ!!」 遠距離から重武装に身を包んだワシ型の強化型がレールキャノンを構えて立っている。 瑠璃の横に座っている海原がニヤニヤと下卑た顔で笑いながら瑠璃の腰に手を回す。 海原「ぐへっへ、ええーでグロリアーナイスなアシストや」 瑠璃は虚ろな目でスクルドに指示を下す。 瑠璃「スクルド・・・殺せ・・・」 スクルド「イエス、マイマスター」 ヒュンと大剣を振るい、べったりと張り付いたオイルをはらうスクルド。 セイレーン型「う、うわあああああああああ!!!」 セイレーン型は狂ったように大砲、ボレアスを撃ちまくる。 スクルドは巧みな回避機動で攻撃を回避すると、そのまま速度を緩めずにセイレーン型に体当りをするように大剣で一刀両断に切り伏せた。 東條がマイクを強く握り締め、叫ぶ。 東條「勝者!!戦闘攻撃機型MMS 「グロリア」そして戦乙女型MMS 「スクルド」 」!!!100対2という圧倒的な物量の差にもかからわず激しい激戦を制した両者に惜しみない拍手を!!」 観客たちが立ち上がって拍手を行う。 ステージを見渡すと廃墟となったステージのあちこちでブスブスと暗い黒煙が上がり、町中に様々な神姫がぐちゃぐちゃになって残骸となって散乱していた。 そのシテージの横で悔しそうに地面を踏みしめるマスターたちの集団がいた。 マスターA「畜生ッ!!!畜生!!!」 マスターB「6000万よこせ!!!」 マスターC「ファックユー!!」 マスターD「キイイイイイイイイイイイ!!!キャアアアアアアア!!!」 海原が大声で笑う。 海原「ギャハッハハハ!!!面白いこと考えたな!!!グロリア!!!」 バトルが終わり、海原と瑠璃は船の先端に位置する視界270度の広々としたパノラマラウンジバーで豪華な夕食を楽しむ。海原の後ろには色とりどりの宝石のような大阪の街並みが広がり贅沢な空間が広がっていた。 グロリアはぺこりとお辞儀をする。 グロリア「お気に召しまして光栄です。マスター」 瑠璃「・・・・」 海原はぐいっと瑠璃の細い腰を抱き寄せて無理やり瑠璃の甘い唇を奪う。 海原「げっへへ、瑠璃ちゃんとこうやって一緒にバトルできるなんて興奮するじゃないか」 海原に弄ばれる姿を見てスクルドは心を痛める。 スクルド「っ・・・く・・・」 グロリア「先ほどの戦いの報酬は250万です。マスター」 グロリアは足でテーブルの上に散乱している札束の山を蹴る。 海原「んんーええよ、ええよーそんな鼻糞みたい金いらんわ、スクルドちゃんに約束どおり、あげえ」 グロリア「ということで・・・スクルド、この金はお前のものだ、お前が戦って稼いだ金だ。正当な権利だ。受け取れ」 スクルドは金を一瞥する。 スクルド「6000万という大金目当てで、まさか初日でこんなに稼げるとは思いませんでしたね・・・」 グロリア「今日は一気に25人のマスターと100体の武装神姫を2人でスクラップにしてやった・・・バカな連中だぜ、俺たちはSSS級とSS級だ・・・下手な雑兵神姫ごときで倒せるとでも思ったのが頭の悪さの証拠だな」 スクルド「この調子なら数ヶ月で6000万を稼げそうですね、マスター」 スクルドはにっこりと笑う。 瑠璃は虚ろな目で力なく答える。 瑠璃「・・・・そうね・・・スクルド・・・」 スクルド「私、がんばります。がんばって戦って戦いまくって絶対に「ゆうすけ君」を助けます!!!マスター」 瑠璃「・・・・・・うん・・・」 海原が瑠璃をぐいっと抱き寄せる。 海原「ふひひひ、瑠璃イ・・・よかったなァ・・・ゆうすけ君は助かりそうだな・・・まあ、俺の金でさっさと助けてあげてもいいが、やっぱりここは俺たちで協力してゆうすけ君を助けて上げないとなァーーーぬふふふ」 海原は瑠璃の胸をぎゅっとワシ掴みにしてチュッチュと瑠璃とキスをする。 瑠璃「ん・・・・」 海原「ぶへっへえ、瑠璃、可愛いぜェ」 グロリア「ヤレヤレ、マスターは変態だな」 海原「げへへ、瑠璃ちゃん、今日も激しくヤリまくろうぜ瑠璃―ふひひひ」 すりすりと瑠璃の柔らかい下腹をなぜる海原。 グロリア「スクルド、さっきの戦いをネットに中継して煽ろうぜ・・・今日みたいなあんなザコじゃ、お前一人でも十分なくらいだ。喰い足りねえ!!」 スクルド「そうですね」 グロリアとスクルドは、和気藹々とPCに接続して動画をネットに投降する。 【俺たちに勝てば6000万の金をやる。やりたい奴は一口10万で、かかってこいや!!】 アヴァロンの非公式バトルロンドのネット掲示板にこのような煽り文句が流れる。 グロリア「うん、いい感じだ。頭の悪さがにじみ出るぜ」 スクルド「この煽り文句を見て参加する神姫が増えるといいですね」 グロリア「参加する神姫の数よりも質だな、もっと強い奴が欲しい。ザコはいらねえ、明日も派手にやりまくろうぜ、スクルドーふひひひ」 グロリアは、にやにやと海原と同じような顔で笑う。 その横顔を見てスクルドは、ああ・・・神姫ってマスターに似るんだなァ・・・・とふと思った。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「敗北の代価 8」 前に戻る>「敗北の代価 6」 トップページに戻る