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第三話 「バトルフィールド・砂漠地帯。おーなーノミナサマハ神姫ヲすたんばいシテクダサイ」 ジャッジAIが無機質な声で会場の準備が整ったことを伝える。 神姫同士の戦い、すなわちバトルロンドは大きく分けてバーチャルバトルとリアルバトルの二種類がある。 バーチャルバトルは文字通り「仮想現実空間でのバトル」で、常に最高の状態で戦えるのが特徴だ。 何より神姫が壊れることもない。ただし、バトル中に味わった恐怖をトラウマとしてそのまま引きずることもあるので一概に安全とは言えないが、これの普及も武装神姫がここまで流行った理由の一つである。 逆にリアルバトルではふつうに実弾が飛び交い、神姫も実際に損傷する。 しかし、こっちはこっちでバーチャルにはないスリルが楽しめる。 さらに、バトルの公正さを保つために個々の神姫にはランクというものが与えられている。 これは一定のポイントをためるとランクが上がるというモノで、勝てば成績に応じてポイントが与えられ、負ければその分相手に奪われる。さらに、格上の相手に勝てばたくさんポイントがもらえ、逆に格下に負けてしまった場合、最悪降格もあり得る。早い話が弱肉強食だ。 全部で五段階あり、上からプラチナ>ゴールド>シルバー>カッパー>ブロンズの順に低くなっていき、上に行けば行くほどリアルバトルが数を増してくる。 ちなみに優一のアカツキはシルバーランクの中堅どころをキープしている。 そしてスペックが異常な違法パーツや反則行為は厳しく規制するレギュレーションもそれに一役買っている。 しかし、中にはルールギリギリのヒールファイターもいるものである。 「アカツキ、危なくなったらギブアップもして良いぞ」 「「最後まで諦めるな」って教えたのはマスターでしょう?絶対勝ってきますよ」 「そう来なくっちゃな。それでこそ俺の神姫だ」 クレイドルのハッチが閉じられ、ロードが始まる。その間に優一は可能な限り情報を集めにかかった。 「障害物と呼べるのは岩場とサボテンくらい・・・、サバが地面に刺さっているのはギャグとして受け取っておこう。 とれるレンジは自ずと離れざるを得ないからアカツキにとっては有利だな」 そうこうしているうちに互いの神姫がバーチャル空間に転送されてきた。 アカツキはアーンヴァルのデフォルトである白い翼のようなフライトユニット・リアウィングAAU7を背中に、 左腕にはガードシールド、頭にはヘッドセンサー・アネーロ改を装備している。 これは天使コマンド型・ウェルクストラのデータをフィートバックした最新鋭モデルだ。 いや、アカツキ自身もアーンヴァルの上位機種である「アーンヴァルトランシェ2」と呼ばれるモデルだ。 当然性能も並のアーンヴァルのより少しは上である。 武装は右手に標準的なアサルトライフルを持ち、M4ライトセーバーを両腰のホルスターに収めている。 予備の武装であるLC3レーザーライフルと2種類のカロッテ、蓬莱壱式を改造したロケットランチャーとMVランスは まとめてサイドボードに格納されている。 対するジャンヌは漆黒の鎧に身を包んでいるが、装備している武器は火器ばかりだ。 あれでは完全にサイフォスの特徴を完全に殺してしまっている。 自分ならバランスのとれたヴァッフェバニーのバックパックにランスと二本の剣に加えて補助でサブマシンガンか、ハンドガンを1,2丁持たせる。 「バトルロンド、セットアップ。レディ・・・ゴー!!」 「さあジャンヌ、あの天使型の子を血祭りにあげておやり!!」 「イエス・マスター!」 試合開始のブザーが鳴ったと同時にジャンヌが全身の砲を一斉にぶっ放してきた。 「あの神姫、スポーツマンシップってモノが無いんですか?」 「神姫に罪は無い。それと避けないと木っ端微塵だぞ!」 「わかってますよもう!」 アカツキはアウターバーナーを噴かして急上昇し、辛うじて回避する。こうなると戦術は一つ。 「アカツキ、回避に専念しろ。レーザーライフルを使う」 「いきなりそれですか。」 「相手のウィークポイントに一撃当てたら接近戦だ。とはいえ、相手はサイフォスだから簡単には行かないかな」 「簡単に進むことほどショボイことはありませんて。」 「よく言った!」 優一はサイドボードの武装とメインボードの武装の入れ替えの準備を始めた。アカツキの右手にあったアサルトライフルがポリゴンの塊となって消滅し、代わりにアカツキの身長ほどはあろうかというLC3レーザーライフルが転送された。 「そんなモノ、出してきたところでムダですわ!ジャンヌ!!」 「イエス・マスター!」 ジャンヌは再び全身の火器を撃ってくる。今度は一撃必殺を狙った収束ではなく、けん制目的の拡散発射だ。 しかし、アカツキはこれらを紙一重でかわして行く。 「エネルギー充電完了、システムオールグリーン、ターゲットロックオン!いっけえええぇぇぇぇぇ!!」 腰だめに構えたレーザーライフルの砲口からプラズマ球が発生し、一拍おいて閃光が迸る。 それは真っ直ぐジャンヌへと向かい、彼女の体を包み込んでゆく。 そして照射が終わった頃にはジャンヌがいた場所は巨大なクレーターができあがっていた。 「やった?撃った?勝った?」 「お前はシーザーか。・・・?!いかん!!まだだ!!」 「え・・・きゃあ!!」 勝利を確信しかけたその次の瞬間、グレネードの一撃がリアウィングに着弾し、根元から折れてしまった。 その結果、揚力を失ったアカツキは落下するも、脚部のブースターを使って辛うじて着陸する。 「装備を・・・。マスターから授かった私の装備を・・・、許しませんわ!!」 「ぐふぅ!!」 ジャンヌのボディーブローが脇腹にクリーンヒットし、思わず膝を着くアカツキ。 そこへさらに彼女の顔に蹴りが入り、地面へと倒れ込んでしまう。 「誇り高き鶴畑の神姫たるこの私の装備だけでなく、あまつさえ五体の一つを奪うなど、 身の程知らずも甚だしい!その行為、万死に値しますわ!!」 そう言うとジャンヌはさっきのお返しだと言わんばかりにアカツキを足蹴にし始めた。 火器に誘爆したのか、確かに装甲や火器ははほとんど残っておらず、左前腕が無くなっている。 「そうよジャンヌ、この鶴畑和美に逆らった愚か者はどうなるか、観客に教えて差し上げなさい!」 「イエス・マスター!!」 「うっ、あぐっ、くはぁ!」 和美の指示を受けたジャンヌはアカツキをより一層痛めつける。 しかし、残された力を振り絞ってアカツキはジャンヌの脚をつかんだ。 「まだ抵抗する力が残っていましたの?ジャンヌ、トドメを」 「イエス・マスター!」 「まだ、終わっちゃいない!!」 一本残されたナイフをのど元に突き立てようとしたジャンヌめがけてバイザーに隠されたバルカン砲を放った。 人間で言えば豆鉄砲に当たるので、ダメージには至らないが、怯ませるのには十分だった。 「マスター、今です!MVランスを!!」 「いよっしゃ、受け取れ!!」 アカツキはリアウィングをパージし、転送されてきたMVランスを受け取ると、 少し距離を空けてからジャンヌめがけて突撃した。 「いっけえええええぇぇぇぇ!!」 「悪あがきですわね。ジャンヌ!!」 「イエス・マスター!!!」 ジャンヌも転送されてきたトライデントを手に取ると、アカツキに正面からぶつかっていった。 お互いの位置が入れ替わった。 アカツキは右腕を喪失したが、かわりにジャンヌの胸には深々とMVランスが突き刺さっていた。 「ばとるおーばー。Winner、アカツキ」 「マスター!私、勝ちましたよ!!」 「よくやったなぁアカツキ!!さすがだ!!」 クレイドルから出てきたアカツキは感極まって優一に飛びついた。 ところが、反対側から怒声が聞こえてきた。 「全く!!後一歩だったと言うのに、なんたる失態ですの!!ジャンヌ、それとそこのあなた!!今日の所は許してあげますが、次はこうも行きませんわよ!!!」 そう言うと和美は床を打ち鳴らさんばかりにがに股でその場を後にした。 「何ででしょう、一種の哀れみの感情が・・・」 「まあ、良い薬になっただろう。勝負の世界は勝ち続けるよりもある程度は負けを重ねた方が経験になるからな。それはそうとお疲れさんアカツキ。ちょうど昼時だし、うちに帰って焼きそばでも食うか」 「はい、それじゃあ具は豚コマとニンジンにタマネギ、味付けはソースも良いですけど、偶には酢醤油も悪くないですね」 「酢醤油とは・・・、意外と通だな」 「そんなこと無いですよもう!」 二人の絆は家族とも友人とも、恋人のそれともまた違ったモノがあった。 ~The END~ とっぷに戻る
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西暦20XX年、幾らかの災害こそあれど、3度目の世界大戦も起きることなく今日に至る日本。 今、日本、いや世界中でブームとなっているホビーがあった。ガ○プラだの遊○王だのヴァ○ガー○もメジャーだが。 俗に、「武装神姫」と呼ばれる全高15cmの自律稼動する少女達。 知性と感情を備えた彼女達は、ときに生活のパートナー、ときに友人、ときに小さな家族、ときに戦場での相棒として広く普及している。 なかには小さな嫁だったり主従関係が逆転してたりある意味特殊な事例もあるが… そしてなかには、単なるバトルの道具扱いされるものもいる… これは、ひょんなことから神姫に関わることになった青年と、事情持ちの神姫の話… …の予定だ!内容?続く範囲ってことで。
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メニュー トップページ +『過去ログ』 【2009】 5/12-8/31 9/1-4/30 ジオラマスタジオ 二次創作物 掲示板<ただいま閉鎖中> 公式 神姫NET 管理人の公式掲示板投稿履歴 wiki 武装神姫BATTLE RONDO」スレ まとめwiki リンク 当サイトへのリンクについて 梟遊の無駄書 更新履歴 取得中です。 ここを編集
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戻る TOPへ 次へ? ―――でね、家に戻ってきて、新発売のメープルバナナケーキとアップルティーを食べて、やっと「終わったんだなぁ」って思ったのよ。 結局、私とミラーのバトルは<ダブルノックアウト>って判定になっちゃったけどね。 まぁ特別賞ももらえたし、そこそこ満足かな? それにほら、私の方が最後まで立ってたんだから、試合は引き分けて、勝負に勝った。みたいな? それにしても、なにげ全国大会でもツガルタイプの出場が多かったわね。戦う機会が無かったのは残念だけど。 そんな感じで当初の目的は果たせたし、私は満足かなぁ。 データの損傷? あー、あんなのケガのうちに入んないわよ。一時は私、再起不能とも言われてたらしいわ。確かに喋るのも困難って感じだったけど、メンテナンスルームでマスターが着きっきりでいてくれたしねー。ケガの功名ってヤツかしらん? 何が功名に当たるのかは言うまでも無いわね。 そんな事より再起不能はマスターね。特別賞もらったって言ったわよね? なんでも、大会屈指の名勝負を演じ、さらに全国放送で神姫に対する愛の告白を生中継した神姫バk… もとい、神姫プレイヤーの鑑として表彰されたのよ。あんな恥ずかしい台詞を表彰しちゃう開催側もアレだけど。 とにかく、その後のマスター大変だったのよ。全国放送された事を知るや否や、また三日間くらい部屋に閉じこもっちゃって、変な声で泣くわ、枕を抱き締めてゴロゴロ悶えるわ。で、四日目、つまり今日、やっと外に連れ出してもらえたわけよ。 でも、まあ、私は嬉しかったかな。いや、嬉し恥ずかし? え、今後の目標? うーん。まあ、しばらくはセカンドリーグに留まって戦術研究かしら。新しい事に気が気が付いたおれ達なら、今まで見えなかったものも見えてくるだろう。ってマスターが言ってた。だから私に挑みたいセカンドリーガーはビシバシかかってらっしゃい。挑戦者の戦術の穴をほじくり返してあげるわ。もちろん、ツガルだと思って甘く見てると痛い目に合うわよ? むしろ合わすわ。 っとと、マスターが呼んでる。もう帰るのかしら? ツガル戦術論 鏡の試練 後半7 ホビーショップ エルゴの店長に、先日のアドバイスお礼を済ませてきた。 やはりあの時の告白は全国放送で流されており、おれは「ツガルタイプのシルヴィアが大好きな変わり者」《レッド・ホット・クリスマス(熱く過激な聖誕祭)》として注目を浴びてしまった。 三日間のクッションを置いたにもかかわらず店長に散々突付かれて、その上、来店する常連さんにもその都度ツッコまれるのだからたまらない。 適当なところで挨拶を切り上げてシルヴィア用の武装を見繕ってみる。もうツガル武装に拘る必要は無い。これからはシルヴィに自由な武装をさせてやるつもりだ。だが、遠距離と近距離の両極端なスタンスは変わらないだろう。本来の意味の《レッド・ホット・クリスマス》はシルヴィアのお気に入りだからな。武装選択も適当なところで切り上げる。 御影キョウジとマスターミラーは、たぶん今はバトルフロアで対戦相手を探している最中だろう。「対戦してみたい神姫を見つけた」とか言ってたのを思い出す。思えばあの時、御影に対戦を申し込まれなければ、こんな健やかな心境になってはいなかっただろう。 シルヴィアを信じ、そして告白をしたあのとき以来、おれの中で何かが解けてゆくのを感じた。 何ていうか、幸せなんだ。いや、突っつかれるのは恥ずかしいけどな。 ええい、そこの向かいの客。おれの顔を見てニヤニヤするな。全国放送、恐るべし。 今日はもうさっさと帰ってしまおう。 神姫学校で会話に興じるシルヴィアを呼ぶと、周りの神姫から黄色い声が返ってきた。くそう、恥ずかしい事この上ない。 シルヴィアを肩の上にのせ、「お世話になりました、うさ大明神様」挨拶を言った後に彼女がこう呼ばれたがらない事を思い出し、 「いいえお構いなく。アツアツのお・ふ・た・り・さ・ま」 また黄色い声があがる。ええい、恥ずかしい事この上ない。 バイクのエンジンを急速に暖めてアクセル全開。商店街から飛び出し、一路帰宅。 「マスター、今晩のデザートは新発売のストロベリータルトがいい!」 強引にシフトチェンジし爆音でシルヴィアの声を掻き消す。 いちごのタルトだな。まだデパ地下に残ってるかな。等と思いながら。 「なぁジェニーさん。《ミラー・オブ・オーデアル(鏡の試練)》にまつわるファーストリーガーの不文律、知ってる?」 「いえ、存じませんが」 「『鏡の試練に打ち勝ってファースト入りした者はその後、例外無く伸びる』んだとさ。鏡の試練と言う二つ名はファーストリーガーの間から広まったって噂もある」 「へえ、面白い話ですね」 「彼らは一流になったよ。プレイヤーとしても、パートナーとしても」 「ええ。ちょっとだけ、羨ましいです」 「全国放送で告白されるのが?」 「彼らの前に開けた前途が、です。彼らの今後のバトルの話ですからね!」 くだらない事言ってないで補充作業! 三番棚の商品が不足していますよ! ホビーショップエルゴにジェニーさんの指示が響いた。 終わり 戻る TOPへ 次へ?
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ぶそしき! これから!? 4話 『シッパイ』 4-1 「……」 小さめのテーブルに裁縫道具や布が広げられている。 少年が黙々と手を動かし、作業に集中する。 「……」 少年が作業に集中する1室、そこにある勉強机に本棚、パソコンのまわりはきれいに片付いている。 神姫用クレイドルの一画のところのみ、何かのおもちゃのようなものや武装パーツらしきものが転がっている。 「……」 ベッドに座る猫のぬいぐるみが、まん丸な目で佐伯友大少年の姿を見つめている。 彼はここしばらく、友だちの部屋で一緒に作業していた。 「……やった。できた!」 少年が思わず声をあげる。 その手には、布に赤いスパンコールを張り付けたものが握られている。 「本当? 良かったね。佐伯君」 ちょうどその時少年の友だち、成行春澄がお盆にジュースとお菓子、紙おしぼりを載せて持って部屋に戻ってくる。 「お疲れ様。ちょっと休憩しよ?」 「うん、ありがとう!」 成行が笑顔でお盆を置く。 友大はおしぼりを取り、接着剤が付いた手をぬぐう。 「「……」」 ジュースを飲み、お菓子を一つまみする。 「……できあがったね」 成行が自分達が作ったものを眺める。 それぞれ黄色と赤色のスパンコールが貼り付けられた神姫用のスケイルアーマーだ。 ついでに裁縫道具の中に会った材料を使って、小さなベルトも作ってある。 「うん。成行さんのおかげだよ」 友大が朗らかに感謝する。 友だちが道具を貸してくれなければ、こんなに早くは作れなかっただろうと思う。 「そ、そんなことないよ……。そ、そうだ! チャオやヒイロ達を迎えにいって、そこで着せてあげよう?」 ストレートな感謝の言葉に、成行は少し気恥ずかしそうにする。 そんな気恥ずかしさをごまかすかのように、成行は自分達の神姫へのサプライズを提案する。 自身のマスター達が武装パーツ作りをしている間、チャオやヒイロは友大の家で遊んでいる筈だ。 「うん、そうしよう」 (ヒイロ、喜んでくれるかな?) 友大は、やんちゃな少年っぽい自身の赤髪の神姫の姿を思い浮かべる。 かわいい衣装を着ている姿は想像しがたいが、鎧などを着ている勇ましい姿は容易に想像できる。 ■ ■ ■ 「むむ、がんばるのだー!」 「よっし、そこだ!」 チャオとヒイロがテレビの前に座り、画面に向かってなにやら応援している。 (あー……、そういえばやっていたなぁ) 自分神姫達の様子をドアから顔だけ出して、こっそり見た友大が思い出す。 (確か……遠未来の火星を舞台にした、ロボットものだったっけ?) 昔にリメイクされたものの再放送が、ちょうどこの時間帯に放送されており、ヒイロがわりと気に入っていたことも思い出す。 「……どうしたの?」 足音を立てないように、こっそりと戻ってきた友大を見て、成行は思わず尋ねる。 「今、テレビに夢中なんだ。ちょうど良いところみたいで」 「そ、そうなんだ……」 声を潜めて話す。 「少し、待ってあげよう」 「うん、そうしよ」 サプライズするために、ある意味自分達の神姫を放っておいたことに引け目もあり、2人はテレビが終わるまで待つことにする。 その間、どんな風に渡そうか話し合ったりもする。 ■ ■ ■ 「ふぅ、明日も楽しみなのだ」 「いいところで終わっちまったな~。次どうなるんだろう?」 テレビを見終えたヒイロとチャオが身体を伸ばして語り合う。 「あ、そういえば、もうすぐマスター達が迎えに来る時間なのだ」 「そういえばそうだよな」 時計を見やり、気づく。 もうすぐチャオが迎えに来た自身のマスターと一緒に帰り、同時にヒイロのマスターが家に帰る。 最近はそんな日が続いていた。 「なあ、チャオ」 「なんなのだ?」 「最近マスター達がなにやっているか知っているか?」 ここ最近、何度もした質問だ。 「あー、うん。……マスター達はチャオとヒイロのためにがんばってくれているのだ! すまぬ、これ以上は勘弁してほしいのだ!」 目を逸らしながらチャオが言い切る。 あやしいことこの上ないが、それ以上の情報をヒイロは得ることはできなかった。 チャオは意外と強情で、マスター関係のことでは口を割ることはなかった。 「そ、そうなのだ! 今日はチャオ達が玄関でマスター達をお迎えしてあげるのだ! あでゅー、なのだ」 「あ、おい。待てよ!」 言い放ち、妙にさわやかな笑顔を顔に張り付かせてチャオが部屋を出て玄関に向かう。 ヒイロもすぐにその後を追う。 「あ、あれ……?」 チャオが急に立ち止まる。 ヒイロはその視線の先を追う。 「あ、マスター! もう帰ってたのかー!」 「「っ!?」」 視線の先には2姫のマスター達がいた。 なぜか廊下におり、声をかけられた瞬間、大きく身体を震わせる。 妙にあたふたとしてなにかを後ろ手に隠す。 「おーい、なに隠してんだ? あ、それよりも最近なにやってるんだ?」 「ひ、ヒイロ……」 いつの間にかヒイロの横に来たチャオが、なぜか腕を引っ張る。 チャオもマスター達と同様、なぜか挙動不審である。 「……ヒイロ」 友大が、意を決して一歩前に出る。 「おう!」 「これ、作ったんだ。着てみて」 元気良く返事をする自身の神姫に、少年は手に持っていた赤いスケイルアーマーを差し出す。 「――っ」 ヒイロは目の前の武装を前に、目を丸くして何度か瞬きする。 「その、店で売られているものほど、出来はよくないけど頑張ったんだ。着てほしい」 「っ! お、おう!」 ヒイロが急に目をこすり、顔を伏せて自身のマスターから武装を受け取る。 「あ、ありがとう! マスター」 いそいそとスケイルアーマーを着用―― 「あ、あれ?」 着用―― 「ま、マスター。どう着たら良いんだ?」 ――着用、できなかった。 ■ ■ ■ 「……」 友大は呆けたように自身の神姫と、そのために作った武装を眺める。 「ま、マスター」 服を着るように着用しようとするが、頭が引っかかってしまって着ることができない。 ただの人形なら、引っかかる頭を一旦外して着用することもできるだろう。 しかし、神姫は一度頭と身体を付けてセットアップすれば、通常の手段ではリセットする以外に外す方法はない。 より正確に言えば、セットアップ後に頭と身体を外してしまえば、それはその神姫にとっての【死】となってしまう。 「あああーーっ!?」 成行が突然声をあげる。 「クロースアーマーの時は、肩ひもを引っ張って下から着せたから頭を通す必要がなかったけど、スケイルアーマーは首周りも固めちゃったから――」 頭を抱える。 スケイルアーマーはその構造上、比較的柔軟性が保たれるが、それはあくまで他の種類の鎧と比べてだ。 布服の柔軟性とは比べ物にならない。 「……」 「頭を通せるように、首周りを断ち切りバサミで…………あ、でも、それだけ穴を広げちゃうと肩から落ちちゃう」 何とか解決策を考えようとするが、成行は良い方法を思いつけない。 頭を抱えて悶えてしまう。 (そ、そんな……) 友大の胸中に、スケイルアーマー作成の間の思い出が過ぎる。 その結果が今回の惨状であることに、身体の力が抜けていくような気分になる。 「ま、マスター……」 ヒイロが心配そうに自身のマスターである少年の顔を見る。 あまりに酷いのか、自身の落胆よりも先にマスターの心配をする。 「……ヒイロ。だめなマスターで、ごめん」 しぼりだすように、ようやくそれだけを口に出す。 もうそれ以上は、少年に気力は残されてはいなかった。 前へ / 次へ トップページ
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鋼の心 ~Eisen Herz~ インターミッション07:おしまいの日 彼女が只一つミスを犯したとすれば、それはその時だけに違いない。 ◆ (最近は真紀の調子も良いみたいだし、神姫の開発も上手く言っている。……言うこと無しね……) 今にもスキップしそうな足取りで京子は階段を上る。 京子も参加して設計された“武装神姫”、アーンヴァル。 そして正反対のコンセプトで設計されたストラーフ。 Kemotech社サイドでも格闘特化型と汎用型の神姫がロールアウトし、それぞれ『マオチャオ』、『ハウリン』と名づけられた。 武装開発に協力したVulcan Lab社も独自にヴァッフェバニーと名づけられた神姫を開発し、5機種同時販売が決定されている。 狙撃タイプ2機種や植物型、鳥型等のトライアルに敗れたタイプも、この後に参入する企業へ開発ベースとして提供される方針で話がついた。 テストが全て終わったカトレアのマスターとなった少年が開発した、筐体システムも予定以上の性能の獲得に成功しており、全く新しい事業の滑り出しとしてはこれ以上無い状況であると言えるだろう。 (ふふふ。真紀が聞いたら喜ぶかしら?) 夜中なので足音を殺しながら、京子は病院の廊下を急ぐ。 「?」 そして、京子は足を止める。 501号室。 土方真紀の病室の戸が、ほんの僅かに開いており、そこから、室内の光と声が漏れていた。 それに気付き、足を止めたが故に。 真紀が京子に気付くことは無く。 京子は、それを―――。 聞いてしまった。 『私の名は土方真紀。CSCを製作し、全てのMMSの心を作った存在です―――』 (……真紀?) 『―――ですが、私が作ったのは人のパートナーとしての存在。……決して、戦う為の神姫ではありません―――』 (―――!?) 『―――ゆえに、私は全ての神姫を否定し、これを破壊します―――』 「………ぇ?」 『―――その為に、全ての神姫の中枢たるCSCに、私はウイルスを仕込みました。このウイルスは“とある場所”にあるメインコンピューターからの指示で一斉に活性化し、全ての神姫を死に至らしめるでしょう―――』 (CSCにウイルス?) 製品用にCSCがバージョンアップし、Ver1.1に更新されたのは、他ならぬ真紀の提案によるもの。 そして勿論。それを行ったのも真紀本人だった。 『―――あなた方の中には、闘いを通じて神姫との――――――』 京子は、一歩、二歩と後ずさる。 (真紀が? どうして? ……人のパートナー……? 神姫を、破壊する?) 逃げるように。 京子は廊下から走り去った。 ◆ 「……けふっ、くふっ!!」 胸を押さえて真紀が身を捩る。 「主っ!!」 「……大、丈夫」 真紀はそう言って、その身を案じる“彼女”に手を翳す。 (……後、10時間位……) それが、彼女に遺された時間だった。 (……姉さん……) 扉は未だ開かない。 京子は、未だ戻らない。 「……ごめんね、姉さん」 真紀は、もう京子に会えないことを何となく、理解していた……。 「主、これ以上はお体に障ります。一先ず休まれては……?」 「ダメ。今寝たら、もう起きられない……」 「……主」 心を持つ『神姫』であるが故に、“彼女”は真紀の、主の死期を悟ってしまった。 「……最後まで終わらせよう。……私に出来る最期の事だから……」 「………………………はい、主」 10秒と言う葛藤の時間は、『神姫』である“彼女”にとって長いのか、短いのか……。 だがしかし、結局は頷くしかないのだ。 そして。 「―――、貴女に最後の命令を下します」 真紀は“彼女”の名を呼び……。 「メインコンピュータを守り、そこを訪れる全ての神姫を倒しなさい!!」 最期の使命を与えた。 ◆ 翌日、土方真紀が死んだ事を、京子は病院からの電話で知った。 インターミッション08:天使は滅びの笛を吹くにつづく 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る アーリヤ無ぇ(怒)!! 地元、池袋、秋葉原、合計20以上のプラモ取扱店を巡りましたがアーリヤは発見できず。 この間まで何度か見かけてたのに(泣)。 悔しいのでナインボールを買って来た。 ……予想の遥か上を行く出来でビックリだった。 最近のプラモマジすげぇ。 うぅっ、ナインボールでこんなに凄いなら、アーリヤはどれだけ……。 再入荷は何時なのでしょうか? ついでに発見したBLOODALONEの5巻を読んで悲しみを癒す今日この頃。 GWも仕事です(泣)。 ALCでした。 -
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天使のたまご (作:Taka ) ――CSC認識、起動シークエンスを開始します ――駆動系、スキャン開始……クリア ――感覚センサー、スキャン開始……クリア ――人格プログラム、スキャン開始……クリア ――プログラム展開……基礎人格の設定を完了 ――シークエンス、オールグリーン 天使型アーンヴァル、起動します―― 目覚めの時が来た。 起動シークエンスの完了と同時に、私の中に自我が宿る。 これから私は、どのような人生を辿るのだろうか。 ……いや、きっと人生という表現は正しくない。 私は武装神姫。 人に在らざる物でありながら、人の心を与えられた者。 それ以上でもそれ以下でもない。 さあ、目を開けよう。 マスターと呼ぶべき人物が、私の目覚めを待っている。 ゆっくりと開けた視界に最初に写ったのは、三角にとがった耳と横に長くのびた白いヒゲ。 そして私をじっと見つめる、まんまるの瞳だった。 本日: - 昨日: - 累計: - 1.武装神姫、里親募集中 2.目覚めは猫の鳴き声で 3.僕と彼女とコーヒーと 4.猫侍、見参 5.ショッキング・ショッピング リンク・コラボ大歓迎です。 許可は不要ですが、報告していただけると中の人が飛び跳ねて喜びます。 ご意見・ご感想など御座いましたら、こちらへお願いいたします マルチみたいですね、ノエルさんってw …こういう日常を書くはずだったのに、どこで道を間違えたのだろう… -- 第七スレの6 (2008-05-05 21 26 56) 大変良い日常でした。ぬことノエルさんの絡みとかポイント高いです。……ほんわか日常書ける人って頭おかしいと思う(褒め言葉) -- 神姫愛好者 (2008-05-08 09 37 09) 名前 コメント
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【武装神姫 MMS,Type FLOWER】 【ZYRDARYA】 「美しい花には棘があるって、ご存知?」 ジルダリアは第四弾としてジュビシー、フォートブラッグと共に発表された武装神姫だ、 副次効果のある武装群、ハイパーモードと呼ばれるパワーアップ等、他の神姫には存在しないトリッキーな装備が多いのが特徴。 その従来の系統と全く違う物を使いこなせるマスターは少ないものの、モノにした場合圧倒的な戦闘力をもたらす。 装甲は平均的に薄めだが、胸部から腹部にかけて完全に装甲版に覆われているなど改善点も多い。 ハイパー・モード時には【フローラルリング】が大型化し、圧倒的な機動力をもたらす。またこの葉をモチーフにしたフィンは非常に硬度が非常に高く、武装としても使用可能である。 【基本能力】 ジルダリアは特殊戦闘のプロフェッショナルである。 そのため戦闘基本値に以下の修正を得る。 【射撃基本値】(+2) 【格闘基本値】(+2) 【回避基本値】(+2) 【特殊】ハイパー・モード 『花粉』3HEX以内に存在する全ての敵の【各基本値】(-1) 【技能】 ジルダリアはキャラクター製作時に、以下のリストから技能を3つ習得できる。 また経験を積んでキャラクターレベルが上昇した場合、3で割り切れるレベル(3,6,9,12……)に到達する度、新しい特殊技能をひとつ、修得できる。 ジルダリア 技能リスト 《追加HP》 《一斉発射》 《ウェポン習熟》 《緊急回避》 《逃走》 《シールドブロック》 《追加SP》 《反射神経》 《連携攻撃》 《タフネス》 《突撃》 《不死身》 《SP回復》 《間接砲撃》 《複数目標攻撃》 【基本性能】 【射撃修正】(±0) 【センサー性能】(±0) 【速度】(5) 【格闘修正】(±0) 【装甲値】 ( 5 ) 【旋回】(3) 【回避修正】(+2) 【HP】 ( 24 ) 【パワー】 ( 5 ) 【シールド値】 ( 1 ) ○ジルダリア(ハイパー)(*1) 【基本性能】 【射撃修正】(+3) 【センサー性能】(±2) 【速度】(6:VTOL) 【格闘修正】(+3) 【装甲値】 ( 5 ) 【旋回】(3) 【回避修正】(+5) 【HP】 ( 24 ) 【パワー】 ( 6 ) 【シールド値】 ( 1 ) 【格闘武器】 名称 /威力/格闘補正/使用回数 格闘 / 6/ ±0 / ∞ モルートブレイド / 8/ ±0 / ∞ グラースプアイビー(1~2) / 9/ -1 / ∞ アレルギーペタル(*2) / 9/ -4 / 3 【射撃武器】 名称 /威力/~5/~10/~15/~20/使用回数/間接/連射 フレグランスキラー(*3) / 6/+4/ - / - / - / 10 / × / × ポーレンホーミング / 8/+5/ +2/ - / - / 8 / ○ / × フローラルリング(*4)/ 10/+3/ +3/ -10 / - / 6 / × / × (*1)HP50%以下で発動 (*2)命中した場合、ダメージを受けた側は1D10を振る。 パワー値以上だった場合、以後(1D3)ターンに渡って【各修正】(-1D6) (*3)命中した場合、相手の装甲を(1D3)減少させる。 再度命中した場合は、前回より1段階減少となる。但し累計が3を超えることはない。 (*4)ハイパーモード時のみ使用可能 【カスタムデータ】 ○ジルダリア(ノーマル) 【部位】 /【CP】/ 【名称】 /【効果】 頭部 / (0)/ / 胸部 / (1)/ トランクチェストアーマー+リーフガントレット /《装甲+2》 《シールド(1)》 脚部 / (1)/ ルートグリーヴ /《回避+2》 背部U / (2)/ フローラルリング /《HP+4》 《ハイパー化》 武装 / (2)/ フログレンスキラー&ボーレンホーミング 計 /( 6 ) ○ジルダリア(ハイパー) 【部位】 /【CP】/ 【名称】 /【効果】 頭部 / (0)/ / 胸部 / (1)/ トランクチェストアーマー+リーフガントレット /《装甲+2》 脚部 / (1)/ ルートグリーヴ /《回避+2》 背部U / (2)/ フローラルリング /《HP+4》 《射撃+3》 《格闘+3》 《回避+3》 《速度+1》 《VTOL》《パワー+1》《追加武装》 武装 / (2)/ フログレンスキラー&ボーレンホーミング 計 /( 6 )
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罪の代償 書いた人 優柔不断な人(仮) ※微エロ注意・ややダーク? 黒子(仮称)は後悔していた ほんの軽い気持ちだった。ただ色んな武器を使ってみたい、それだけだったはずだ 最初は家にある物を試した やがて家中の物に飽きると、他の神姫から借りるようになった やがてその欲求は抑えられない物になり、人の物に手を付けるようになってしまった マスターは知らない。とても言えない 自分が世間を騒がせている『武装強盗神姫』だなんて いつものように良い感じの武器を見つけ、こっそりと忍び寄る 『こんな事やってちゃ駄目だ』 解っていても押さえられない。そっと手を伸ばす カチャリと音を立て武器が外れた 相手が振り返る。その相手の容姿に恐怖する 『鬼』 データでは知っていたが、まさかこの目でお目に掛かろうとは 「やばい!」 大急ぎで逃げる。駆動部分が悲鳴を上げる だが 「グオォーーーー!」 咆哮。そして跳躍 神姫の限界を超えた私の走りは、たった一瞬で無となった ガシィ! 「きゃああ!」 うしろから羽交い締めにされる ミシッ!ミシッ! 機体が悲鳴を上げる。ふりほどくどころじゃない ああ…このまま破壊されちゃうのかな… 「おい、なにやってるんだ?」 人の声だ。この鬼の所有者だろうか? 「グルルルルゥ…」 「なるほど、いきなりコイツに武器を取られた、と」 ああ、やっぱりケーサツに通報とかされちゃうのかな 私が廃棄処分になるのは自業自得だけど、マスターまで窃盗罪で捕まってしまう… やっぱりこんな事するんじゃなかった… 「コイツが噂の『武装強盗神姫』か。可愛い顔してよくやるよ。マスターの顔が見たいもんだ」 「マスターは関係無いです…全部私が勝手にやった事です…お願いです、ケーサツには…」 「言うなってか、随分ワガママだな」 「う…」 相手の尤もな言い分に何も言えなくなる 「まぁ…考えて上げない事もない」 「え?」 相手の意外な提案に驚く 「キミがちゃんと誠意をみせてくれたら、だけどね」 相手が卑下た笑いを浮かべながら言った もし断れば… 選択肢は無かった 「はい…あの…どうすれば…?」 「とりあえずそこに横になって」 言われたとおりにする 「こ、こうですか?」 「そうそう。あ、初号機、暴れないように手を押さえちゃって」 押さえつけられ、動けなくなる 「さぁてと、んじゃ楽しませて貰いますか」 そういって私の足を持ち、左右に開き始めた 抵抗する事は許されなかった 「…イヤ…」 「…開いたり…閉じたり…開いたり…閉じたり…」 「はうう…恥ずかしい…」 「っと、こんなもんでいいか。もう泥棒みたいなマネをしちゃ駄目だぞ」 「…くすん、わかりましたぁ…」 神姫にとってマスター以外に開いたり閉じたりされるのは最大の屈辱である! みんなも人の物を盗ったら駄目だよ!
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{ストラヴァル&ストレガの誕生だぜ} アンジェラスの視点 「…ムニャムニャ…ンゥ~?」 クレイドルで寝ていた私は目が覚めて、いつもの天井が見える。 部屋は薄暗く目を細めながら時計を見ると小さい針は三時をさしていた。 なんでこんな中途半端な時間に起きてしまったのか分からないけど、何故か起きてしまった。 ふとベットの方を見るとご主人様が寝ていなかった。 正確に言うと居なかった、というのが正しい。 ご主人様、何処に行ったのでしょうか? 私は起き上がり、窓の下を覗き込んでみる。 うん、ご主人様の愛車はあるっと。 外に出ている、というわけではなさそう。 家の中の何処かにいるはずです。 私は机から飛び降り、武装神姫用のドアを開けて一階に行った。 台所・お風呂・トイレ・リビングにも、ご主人様は居なかった。 やっぱり外に行ったのかぁ~? 玄関に行ってみてご主人様の靴があるか捜してみる。 「…靴はありますね。じゃあいったい何処に、あ!」 まだ行っていない場所がありました。 地下の部屋です。 そうと決まれば善は急げです! 私は走って地下に向かった。 …。 ……。 ………。 天薙の視点 「ヨッシャー!遂に完成したぞ!!試作型だけど…」 俺は小躍りしながら喜んでいた。 このアイテム開発に二月間は掛かったからなぁ。 眠気を振り払い作り上げたかいがあったというものだ。 「さて、と。作り終わった事だし、寝るとするか」 欠伸をしながら背筋を伸ばす。 景気に煙草に火をつけ一服する。 と、その時だ。 「あー!やっぱりここに居たー!!」 「なっ!?アンジェラス!?!?」 地上に通じる階段を下りて来たのはアンジェラスだった。 なんで起きてるんだ? オカシイなぁ、ちゃんと俺が確認した時は寝ていたのに。 まぁいいか。 「あっ!そうだ、丁度いい。お前、新しいアイテムを使ってみる気はあるか?」 「新しいアイテム?」 「そう。主にアンダーグラウンドで使うモノだな」 そう言いながら俺はアンジェラスを右手の平に乗らせる。 「そしてこいつ等がそのアイテムだ」 作業用の机に置かれている試作型戦闘機が二機。 一つは戦闘機らしい格好した軽装備の戦闘機。 もう一つの片方は武装神姫の部品で作られた重装備の戦闘機。 「アイテム補充偵察戦闘機、ストラヴァル。敵殲滅戦闘機、ストレガ。どっちも出来たばかりだが、それなりに使えるはずだ」 アンジェラスを作業用の机に下ろす。 するとアンジェラスはマジマジと二機の戦闘機を見る。 どの戦闘機も武装神姫より少し大きい。 歩きながら戦闘機にペタペタと触るアンジェラス。 「ねぇ、ご主人様。この大きさじゃ、座る場所がないじゃないですか」 「あぁん?誰が操縦席を作った、て言ったんだ?そんなモノはいらんねぇ~んだよ」 「じゃあどうやって操縦するのですか?」 「ここさ」 俺は左手の人差し指で自分の前頭葉を示した。 アンジェラスはこの意味が解らないのか、首を傾げて悩む。 しょうがない、説明してやるか。 「よーわだなぁ。戦闘機が搭乗してる神姫の脳波を感知し、その神姫が何処に行きたいかで戦闘機が動く。勿論、その神姫が戦闘機を自由自在に動かせる事もできる。脳波というより、電気信号を感知する感じだ」 「へぇ~、凄いですね。ご主人様って頭いいんですね」 「ん?それはちょっと違うかなぁ。ストラヴァルは姉貴の会社からデータをパクリ、改造したもので。ストレガに関してはストラヴァルとグラディウスをベースにし、武装神姫の部品で作ったものだ」 「…大丈夫ですか?会社の方から怒られちゃいますよ??」 「大丈夫。俺が作ったコンピュータウイルスは自分でも自負できるぐらいの出来さぁ。98%はバレねぇよ。それよりさぁ、まずはストラヴァルを試してみてよ。データも取りたいし」 「分かりました、ご主人様」 アンジェラスはストラヴァルの腹の部分の中に入る。 あ、ちょっと不服そうな顔をした。 「あの…ご主人様」 「なんだい?」 「あんまり居心地が…良くないのですけど」 まぁ、しょうがないだろうな。 下半身だけ固定して上半身だけはハダカの状態だからなぁ。 「ど~感じが悪い?」 「お腹を圧迫して痛いです。腰にも負担があって痛いです。常に顔を上げていないと前方が見えないので首が痛いです。それから」 「ストップ!…さっきから『痛い痛い』って、少しは我慢してくれよ~」 「だって、痛いだもん」 「だもんって…はぁ~、こりゃあストラヴァルは改善し直しかー。所詮、補充偵察戦闘機だからなぁ」 「もう出ていいですか?すでに首が痛いです」 「あぁ。すぐに降りていいぞ」 アンジェラスはストラヴァルを降りて右手で首を摩る。 そんなに痛かったのか? こんな調子だとストレガも駄目おしされそうだぜ。 でもストレガはリアパーツに似ているから多少は違うと思う。 …ストラヴァルより、かなり重いけど。 「それじゃあ今度はストレガを装着して」 「装着ですか?」 「こいつはヘビー級のリアパーツだと思ってくれ」 「はい。では装着しますね」 「おう」 「んっしょっと」 『んっしょっと』はないだろ。 女の子としてちょっとどーかと思うぞ。 「ウッ…ちょっと重いですね」 「ストレガは地上用の『足』がついてる。ちょっと操縦してみ」 「はい」 アンジェラスは目を閉じ、ストレガに『足』を出すように命令する。 すると機械音をだしながら二つの『足』が出でてきて、しっかりと地面に固定させる。 「フゥー、これでいくらかマシになりました」 「安定性は大丈夫みたいだな。居心地の方はどうだい?」 「悪くないです。ですが、両方に付いてるミサイルランチャーのトリガーに手を伸ばすのが少し辛いかもしれません」 あぁ~、それはあるかもしれない。 ノーマルのストレガはミサイルランチャーの改善っと。 ふむ、よし次だ。 「アンジェラス。次はEXストレガだ」 「EXですか?」 「あぁ、こいつにはEXというさらに改良した機体になることが出来るんだ」 「じゃあ、一回装着を外しますね」 「いや、そのままでいい。俺がパーツをつけるから」 俺はストレガのEXパーツを次々に取り付ける。 これで格段に重くなったが『足』があるおかげで大丈夫だろう。 そして最後にアンジェラスにホーンスナイパーライフルを二丁渡した。 「どうだ?」 「う~ん、かなり武装が強くなりましたけど。ちょっと不恰好じゃないですか、これでちゃんと飛べるんですか?」 「飛べないと意味がない。安心しろ、ちゃんと飛べる」 「でも、この戦闘機が撃墜された時はどうするんですか?」 「その時も大丈夫。ヤられた時はストレガの全パーツがバラバラに分解され、お前のリアパーツは自動的に装着されるように作ってあるから」 「ホントに大丈夫ですか?それでー」 「だから大丈夫だって」 少しは信用してくれよう。 これもお前等のために作ったんだぜ。 アンダーグラウンドのバトルはただでさせ危険が沢山あるからな。 「サンキュー、かなりデータを取れた。もう外していいぜ」 「はい」 アンジェラスはストレガの装着部分を外し、ホーンスナイパーライフルを置く。 うん、一応完成したものの…まだまだ、改善する必要性はまだありそうだ。 こいつはもう少し時間がいるな。 「あ、そうそう。EXの場合、神姫が装着していな状態だと、こんな感じだ」 白い槍と風除けのパーツをつけた。 これでちょっと戦闘機ぽく見えるだろう。 「でも、この飛び出してる白いやつを抜いてくれないと私の頭が…」 「おっといけねぇー。説明するのを忘れていたぜ、今の状態は独立状態だったんだ」 神姫が装着していな時は体当たり攻撃用の槍が装着されているんだった。 すっかり忘れてたぜ。 独立状態は主に神姫のバックアップ専門をする戦闘機になる。 「今日はこんなもんだ、壱階に行くぞ」 「はい、ご主人様」 俺は右手の手の平にアンジェラスを乗せて地下の部屋を出ようとした。 するとアンジェラスが口を開いてこう言った。 「なんで、あんな物を作ったのですか?」 「俺はお前やアイツ等を危険な目に合わせたくないだけだ」 「危険だなんて。大丈夫ですよ、ご主人様。私達は強いですから」 「…そうだな」 確かにアンジェラス達はノーマルの神姫よりは強いと思う。 でも『上には上がいる』という、ことわざがある。 実際、現実的にそいう奴等はいる。 これからのバトルに何が起きるか解らない。 だから今のうちにバックアップを用意しとかないといけない。 …出来れば、あの二機の戦闘機を使う日がこない事を祈るだけ。 そう思いながら俺は地下の部屋の電気を消して一階に戻った。