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第2部 「ミッドナイトブルー」 第11話 「night-11」 2ヵ月後 西暦2041年 7月21日 15:00 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 お昼の3時のチャイムが公園内に響く。 園内の噴水広場の軽食コーナー、そこでは多種多様な神姫とオーナーたちがお菓子を食べて雑談をしていた。 オーナー1「おい、知ってるか?昨日の夕方、出たらしいぜ」 オーナー2「出たって何が?」 天使型「例の都市伝説ですね」 剣士型「超音速の死神か・・・」 悪魔型「ええーーーほ、本当?」 オーナー3「ついにこの神姫センターにも、来たか」 種型「なんでも物凄い数の神姫が撃破されたらしい」 花型「ひゃーーー恐ろしい恐ろしい」 オーナー5「超音速の死神、あれって実在するのか?よくあるゴーストファイターだろ?」 雑談に花を咲かせるオーナーたち。 軽食コーナーの端でパラソルの下で老人と将棋を打っている黒い軍服を着た将校型神姫がぼつりとつぶやく。 ナターリャ「やれやれ、またなんとかの死神か」 アオイ「死神といえば、あいつを思い出しますねーナターリャ将軍」 ナターリャの将棋を観戦するアオイとツクヨミ。 ナターリャ「そいつの話はするな」 ツクヨミ「ちょっとトラウマって奴ですか?」 茶化すツクヨミ。 軽食コーナーの横の桟橋では航空母艦型のツラギが停泊し甲板を開放し中央では武装をはずして水着姿になった神姫たちがホースを掴んでキャッキャと水浴びして遊んでいる。 ツラギ「あーーあーー、最近なんか張り合いのある奴がいなくてつまんないですねーマスター」 でっぷりと太った金川がカメラを片手に水着姿の神姫を写真に収めて満足している。 金川「いやいやーこういう可愛い神姫たちのキャッキャウフフを愛でるのもいいもんだよ」 ツラギ「なにも私の甲板の上でやらなくても・・・」 金川「オマエの上だったらいろいろと遊び道具とかあるし、便利だろ!艦内にはシャワーもあるし!!」 ツラギ「そういうのに、空母型使わないでくださいよー」 パチン ナターリャ「チェックメイト・・・じゃなかった王手!」 ナターリャが将棋を心地よく打つ。 ナターリャ「うむ!将棋も悪くないな!!面白い!」 ナターリャの対戦相手でありオーナーである伊藤は満足そうなナターリャを見て微笑む。 伊藤「それはよかったですね。ナターリャー」 湖に灰色の数十隻の戦艦型神姫が着水する。 野木「やあ、みんなお久しぶり」 ラフな半そでのTシャツを着た野木が軽食コーナーに顔を出す。 金川「おおー野木ちゃんお久しぶりー」 立花「ノギッチ!キター」 衛山「おひさ」 野木「ナターリャ将軍、おひさ」 ナターリャ「うむ」 ナターリャは手をひらひらと振る。 野木「調子はどうだい?」 ナターリャ「まあまあ、かな?最近はとんと暇している」 アオイ「張り合いのある神姫がいないんだとよ」 野木「まあ、SSS級の将軍に合うようないい娘はなかなかそういないからね」 湖に着水した数十体の戦艦型神姫の灰色の巨体がまぶしく光る。 ナターリャ「灰色艦隊は、すべて復活したようだな」 野木「まあな、マキシマがバラバラになっていて完全に治すのに1ヶ月以上かかった」 マキシマがやれやれと肩をすくめる。 マキシマ「今度、やるときは指揮系統をしっかりとしてくれよ」 ナターリャ「今度か・・・」 ナターリャは遠い目をして湖を見る。 ナターリャ「そういえば、夜帝はどうしている?」 野木「夜帝か、あいつは心斎橋の神姫センターでちょくちょく見かけているって話だ」 2ヶ月前に行われた夜帝との激戦はネットにも動画が公開され、多くの話題を呼んだ。 今まで夜帝の存在はあまり公には知られておらず、都市伝説化していたが二日間にわたる連戦で、夜帝がたった1機で戦艦型神姫を9隻、航空母艦型1隻、艦載機10数機という完全武装の2個艦隊を撃滅したことは多くの神姫たちを震撼させた。 夜帝はナターリャの手によって敗れたが、帰ってその名声を轟かせたことになる。 ナターリャ「そうか・・・またあいつとチェスを、いや・・・神姫バトルをやってみたいな」 ナターリャは感慨深くそういうとパチンと将棋を打つ。 アオイ「神姫バトルって将軍は、基本他人のふんどしで戦うだけでしょwwww」 ナターリャ「・・・」 青筋を立ててナターリャはパチンと指を鳴らす。 アオイ「ちょ」 湖に停泊中の灰色艦隊がアオイに向かって砲塔を向ける。 マキシマ「艦砲射撃ッ!!撃ち方ァーー用意!!」 ヴィクトリア「アオイさんはいつも一言余計なんですよ・・・・」 ナターリャ「これが私のバトルスタイルだ。文句があるならいつもで受け付けるが?」 野木「将軍には誰も勝てないな」 ナターリャ「SSS級でも用意したまえ」 サソリ型「あのお・・・・」 おずおずと一体のサソリ型神姫がナターリャに声をかける。 サソリ型「この間から夕方の5時に超音速の死神って二つ名のSSS級ランカー神姫がこの神姫センターに現れて暴れまくっているのです・・・た、助けてください!ナターリャ将軍!」 野木「はあ?超音速の死神ってあの超音速ステルス戦闘機型MMS「クリスティ」のことかい!?」 野木は目を丸くしてサソリ型の声に耳を傾ける。 サソリ型「はあ、なんでも心斎橋の神姫センターにいたらしんですが、夜帝とテリトリーがかぶるからってこっちに流れてきて・・・ううう・・・もうすでに300機くらいの神姫が、仲間がやられているんですよ・・・」 野木はナターリャに声をかける。 野木「将軍!出番だぜ」 アオイ「おいおい、超音速の死神って・・・確か音速を超える超高速戦闘型の化け物じゃねえか!!」 ツクヨミ「うは、また化け物神姫かよ」 ツクヨミとアオイが唸る。 ナターリャ「ほほう、化け物退治というわけか」 ナターリャはすっと立ち上がり桟橋に停泊している航空母艦型MMSのツラギに声をかける。 ナターリャ「ツラギ!張り合いのある奴が出たぞ!仕留めに行くぞ!!今度は超音速の死神だ!!」 ツラギがきょとんとした顔でナターリャの顔を見る。 ツラギ「ちょ、超音速の死神!!?クリスティじゃないですか!!SSS級の化け物ォ!!」 桟橋にいた灰色艦隊の戦艦型神姫もざわめき出す。 ノザッパ「ひえええええええ!!音よりも速いあのスピード狂ですか!?」 マキシマ「へへっへ、上等じゃねえか」 ヴィクトリア「化け物神姫ですね」 そのとき、神姫センターの上空を真っ黒な槍のようなスマートなフォルムの航空神姫が空を切り裂くように飛び去った。 □超音速ステルス戦闘機型MMS 「クリスティ」 SSSクラス 二つ名「超音速の死神」 姿が見えて、数秒後にショックウェーブが軽食コーナーに巻き起こり、日傘のパラソルが衝撃波で吹き飛び、音が後から付いてくる。 ドゴゴオオオーーーン!!! ナターリャはにやりと笑う。となりにいたサソリ型が悲鳴を上げる。 サソリ型「で、出たァ!!!」 ナターリャ「ふん、あれが超音速の死神か、なるほど化け物神姫め」 アオイ「ひええええ!!お、音が後から来たぞ!」 ツラギ「レーダーに反応無し!!ステルス機だ!!」 ノザッパ「は、速い!!」 ナターリャ「ふはっはっはは!!この間のバトルはまだ続いているぞ!!あのランカー神姫は夜帝のシュヴァルに心斎橋神姫センターを追い出されてここに流れ着いたランカーだ!!俺たちが招いた因果だッ!!!!!!盛大に歓迎してやろうではないか!」 ナターリャは右手を超音速の死神に向ける。 ナターリャ「バトルロンドは戦いの旋律 終わらない戦いの旋律 さあ、私たちも旋律を奏でようではないか・・・」 西暦2041年 その世界ではロボットが日常的に存在し、さまざまな場面で活躍していた。 神姫、それは全高15センチほどのフィギュアロボットである。 :心と感情:を持ち、最も人々の近くにいる存在。 その神姫に人々は、思い思いの武器、装甲を装備させて、戦わせた。 名誉のために強さの証明のために・・・・・・・・・ 名も無き数多くの武装神姫たちの戦い 戦って戦い尽くした先には何があるのか バトルロンドは戦いの旋律 終わらない戦いの旋律 戦いの歴史は繰り返す いにしえの戦士のように 鉄と硝煙にまみれた戦場で 伊達衣装に身を包んだ神の姫たちの戦いが始まる。 第2部 「ミッドナイトブルー」 終わり
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アスカ・シンカロン03 ~親過~ 「北斗ちゃん、起きるんだよ~」 「起きなさいよ、北斗!!」 弥涼姉妹は双子で、その外見は瓜二つ、否―――。 ―――完全に同一だった。 起きている時はともかく、眠っていると親でも区別がつかないほどに、彼女達は互いが分身だった。 「えへへ~、あたしはね~、北斗ちゃん好きなんだよ~」 「別に、あたしだって嫌って言ってないでしょ……」 ただし、その性格は大きく違う。 静と動。 陰と陽。 光と影。 二人はまるで一つの人格を分け合ったかのように相対し、融和していた。 「北斗ちゃん」 「北斗」 元々、二人は揃って一つの人格なのだと、いつだったか、理屈っぽい親友が言っていたような気がする。 「起きてってば」 「ああ、分かった。起きるから、起こすな」 とりあえず上半身を起こすと、うきゃぁ~、とか言う声を残して何かが転がり落ちていった。 「あぁん? なんだぁ?」 ベッドの下を覗き込めば、そこで目を回している身長15センチの人形。 「あ~、そういえば神姫買ったんだったけ?」 ひょい、とつまみ上げ、目の前に持ってくる。 「動いたって事は、起動したのか?」 「うにゅぅ~」 左手でぶら下げたまま、目を回している神姫、飛鳥の頬をツンツン突いてみる。 「おい、起きろよ」 「ん~、あ~。北斗?」 「え?」 その呼び方に覚えがあって、北斗はその身を強張らせた。 「……なんで」 いや、それ以前に。 北斗は、その声に聞き覚えがあった。 「どうしたの?」 そもそも、オーナー登録もしていない武装神姫がオーナーを愛称で呼ぶ事などありえないと言う事ぐらい、北斗にも分かる。 「お腹痛いの? 食べすぎ? それとも拾い食い?」 つまり、それは…。 「どういう事だ?」 北斗の頭ではさっぱり分からなかった。 「おまえ、まさか」 ただ、一つ。 死んだ筈の明日香と、この神姫の声が同じ事だけは、はっきりと、分かった。 「…おまえ、まさか。…明日香、なのか?」 「ん~?」 一瞬、首を傾げる飛鳥。 「ん~、多分そうじゃないかな~って思うんだよ」 えへへ、と頭を掻く仕草は、もう何処にもいない明日香のそれ。 それが、今。 北斗の目の前に居た。 「どうなってるんだ、これ?」 とりあえず現状確認。 1.弥涼明日香が自殺して死んだ。 2.武装神姫、飛鳥を買った。 3.その飛鳥が明日香だった。 「訳分からんわっ!!」 「あ~、うん。そうだねぇ~」 うんうんと同意する明日香。 「つーか、確認な。お前は明日香なんだな?」 「うん、そうなんだよ」 にへら~、と。見ている方まで溶けそうな笑顔を浮かべる神姫。 「なんで、武装神姫になってるんだ?」 「え? う~ん、……わかんないんだよ」 首をかしげ、困った顔をする神姫の仕草は、演技や模倣などではありえない、明日香自身のそれだった。 「だいたい、お前。どうして……」 自殺なんか。 そう言いかけて、北斗は気付く。 「まて、その前に確認しなきゃ成らない事がある」 そもそも、この明日香は、『どこ』まで覚えているのか、を。 ◆ 「えぇ、あたし自殺したの?」 した事は覚えていなかったらしい。 尋問開始後3分(早っ)。 逆に口を滑らした北斗は明日香に、彼女が自殺した事を白状させられていた。 「したんだよ。……なんでそんな事しやがったんだ。俺や夜宵がどんな気持ちだったと……」 「……夜宵、ちゃん?」 「ああ、そうだよ。あいつ平気な振りしているけど、そんな訳ねぇんだ……」 半身。 その表現が、この双子に限っては比喩だけでは済まない事を北斗は知っている。 「産まれた時からずーっと一緒に生きてきた姉妹が、突然片方居なくなって平気な訳無いだろう」 「うん。そ~だねぇ」 よしよしと慰められる北斗。 「……って、何で自殺しやがった張本人に慰められなきゃならんのだ」 「あ~、ごめんね~。すっぱり何にも覚えてないんだよ」 「ったく」 そう言って北斗は、飛鳥の身体をした明日香を持ち上げる。 「……大体、なんでこんな事になってるんだ?」 う~ん、と考え込んでみるが、北斗の頭で結論が出るわけも無い。 元々、頭を使う事は苦手なのだ。 「……こういう時は、っと」 神姫に詳しい友人。件の理屈っぽい奴の顔を思い浮かべ、携帯を探す。 「…?」 そして、携帯を置いたテーブルの上に広げられた飛鳥の箱と、墨で書かれた手書きの説明書。 「……まてよ。これってアイツに聞くより、昨日の店の店員に聞いた方が良いんじゃないか?」 とにかく起きている現象が異常なのだ。 普通に神姫に詳しい友人より、どう考えても怪しい昨日の骨董屋に聞く方が良い。 「……出かけるぜ、明日香」 「いってらっしゃいなんだよ」 「お前も行くんだよ!!」 ふえっ? と惚ける明日香をつまみ上げ、北斗は昨日の骨董屋に向かった。 地の文とセリフの間に改行入れてみましたが如何でしょうね? 多少は読みやすいでしょうか? -
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戻る TOPへ 次へ そして、待ちに待った瞬間がやってきた。 サンタ型MMSツガルタイプ 《レッド・ホット・クリスマス》 シルヴィア V.S. 天使型MMSアーンヴァルタイプ 《ミラー・オブ・オーデアル》 マスターミラー ルール:セカンドリーグ基準 バトルフィールド「市街地」 GET READY? 3... 2... 1... GO! ツガル武装で出撃するミラー。彼女は、最初から本気だ。 だが、望むところ。 「今日と言う今日は痛い目に合わせてあげるわ」 ミラーが飛ぶ。 シルヴィアもいつも通りスラスターを開放。 そう。特別な戦法なんて用意してない。いつも通りだ。 雪が降り積もる夜の市街地。同じシルエットのサンタ型と天使型が機動戦を開始した。 ツガル戦術論 鏡の試練 後半6 スクリーンに突然、おれの目を釘付けにする神姫が映しだされた。 「《公式武装主義者(ノーマリズナー)》!?」 公式武装を駆使し、自身が取り得る戦略の限りを尽くして戦う天使型。彼女のマスターの観察力は非常に高く、また彼女自身の何事にも諦めない闘志が時に大胆な戦略を実行させる。武装の着実さと戦略の大胆さを持ち合わせたアーンヴァル。そして、おれの、憧れの神姫だ。 「まさか彼女のホームがこんな近場だったとは思わなかった」 「ふむ、《公式武装主義者》のファンか?」 「ファンも何も、彼女のバトル中継を観てその帰りにシルヴィアを購入したんだ。シルヴィの基本戦略は《公式武装主義者》を仮想敵として組み上げた。彼女のバトルデータからは学ぶ部分が多い」 ほおう、と言う表情のマスターミラー。 「お前は何故神姫と共に戦う?」 出し抜けにミラーが尋ねてきた。 「それは、ツガル武装の高性能を証明するためだ」 「では私と《公式武装主義者》にバトルを申し込まないか? 私はシルヴィの戦術の総てをコピーしているぞ」 「いいや、遠慮しておく。どんなにアイツの戦略を真似たって、心までは真似出来ないだろ」 「ふん、やはりな。ツガル武装の神姫なら何でも良いと言う訳でなく、シルヴィアでなくてはいけないのだろう」 ミラーは我が意を得たり、という表情。 「お前がシルヴィアに対してどんな感情を抱いていようと、私には関係無い。だがパートナーと自分自身に嘘をついた心ではファーストリーグ入りや大会優勝など、ましてやツガル武装の性能の高さを証明するなど、どだい無理な話だ。お前に足りないのは覚悟だ」 「覚悟、だと?」 「そうとも。ここ三日間塞ぎ込んでいたのも、私に成すがままにやられるシルヴィアに対して何もしてやれなかった事が原因といった所だろう。好きな女を守ってやれなかったのがそんなに悔しかったか? それなのに変なプライドで「好きな女」と認識出来てないお前は思考の堂々巡りをしていたんだ。シルヴィアをゲームのキャラとしてでも扱っていたか。んん?」 「神姫はマスターに服従するように出来ている。そんな神姫に好意を持っていたって、それに対するリアクションはフローチャートで導き出された模範解答だろう! それを好きだの愛してるだの言わずにゲーム上のパートナーとして扱って何がいけない」 「我々には意思がある。人工的に与えられたものだが意思を持っている。現にお前と会話している私だってその意思で動いているんだ。意思と意思をぶつけ合うのがコミュニケーションだろう。お前には、自分の意思をシルヴィにぶつける覚悟も無いんだ」 マスターミラーの指摘は実のところ的を射ている。今までおれはシルヴィアと一線を引いて付き合ってきた。神姫は、あくまで機械だ。人為的に操作された意思を持って動作しているんだ。そんな人形は『個人』とは呼べないのではないか。そんな人形に好意を抱くのは独り善がりではないか。何より、もしも意思があったとしても、不器用な自分では彼女と付き合うに値しない。と、こうも考えていた。どちらに転んでもシルヴィアとは一線を引いて付き合わざるを得ないと思っていたのだ。 「違う! 違うさ。ただおれは、おれの意思でシルヴィアを縛り付けるのが恐いだけだ……」 「それは違うぞ青年!」 おれを一喝する熱い怒号。誰だ!? 「ホビーショップエルゴが店長、日暮夏彦だ!」 底抜けに爽やかな笑顔。身体に芯が通るような熱い声。暑苦しいまでのハイテンション。狂気の店の経営者、オタクのサラブレッド、日暮夏彦ここにあり。 「ミラーちゃんと一緒にいる、と言うことは。キミが《レッド・ホット・クリスマス》シルヴィアのマスターだね」 店長の突然の出現に、おれは間抜けな肯定文を返す。 「相手の意思を尊重するのは大切だ。だが、さらに一歩を踏み出す勇気も大切なんだよ。恋愛だってそうだ。相手の気持ちばかり考えてちゃ埒も無い。それは神姫に対する付き合い方でも同じさ。キミは「意思を縛り付けたくない」と言ったね。そうだ、彼女には意思があるんだ。少なくとも意思があるとキミは感じている。なら、結果を考えずに自分の意志をシルヴィアちゃんにぶつけてやればいいのさ! 大切なのは結果じゃない。その過程だ!」 「でも、もしもおれの意思がシルヴィを傷つけたりしたら…」 くわっ、と店長が叫ぶ。 「若さってなんだ!?」 「ふ、振り向かない事さ!」 反射的に応えるおれ。 そして、やわらかな表情で問う店長。 「愛ってなんだ?」 「躊躇わない事、さ」 確信を持って応える、おれ。 店長は無言で頷く。 「彼女を信じてやり、そして彼女のありのままを受け止めてやるんだ。それだけで神姫は強くなる。それはマスターと神姫が最初に覚えるべき事であり、戦場では最強最後の戦力になり得る。彼女を、信じてやれ」 そう言って一階へと姿を消す店長。伝えたい事は総て伝えた。これ以上の言葉は必要無い。と言う背中をしていた。 御影キョウジとマスターミラーは、おれの抱えるこの問題点を指摘するためにエルゴまで案内してきたのか。それ以前に、あの日申し込んできた対戦も、こうなる事を予測しての事だったのだろうか。 今の会話は、バトルフロアの喧騒で離れて位置するシルヴィア達には届いてない雰囲気だった。 店長の活がおれの意識を奮わせるのを感じる。 「ありがとうミラー。いい店を紹介してくれて。ここのサービスは最高だよ」 特別な戦法なんて必要無い。シルヴィアを信じて戦う。 これこそがおれの打ち立てた新戦術だった。 シルヴィアとミラーのバトルは完璧な持久戦へともつれ込んでいた。遠距離で同時に同一の攻撃をし、近距離に寄ればブレードで切り結ぶ。離脱すればまた遠距離射撃。中距離での射撃は致命的な隙に繋がる危険性があるのでお互い控えている。「負けない戦法」がぶつかり合っているのだ。両者のダメージは同じペースで蓄積されて行く。こちらの戦術は完璧にコピーされている。流石は鏡を二つ名に冠するだけはある。だが生憎、幸運の女神はミラーの味方をしていた。シルヴィアのダメージのほうが若干、深刻だ。しかしそれでも諦めないシルヴィア。そして冷静な自分自身。最後の最後にチャンスがあるはずだ。その反撃の糸口をひたすら、じっと待つ。 あまりの長時間に及ぶ拮抗したバトルは試合会場の大型スクリーンにて中継され、何時の間にか全観客の注目となっていた。 だが、ここで再び幸運の女神が敵対する。 遠距離から両者、マグネティックランチャーを発射。お互いに盾で弾くが、シルヴィアの背後に建築物が存在したのは不運だった。跳弾した弾が壁面に炸裂。飛び散る破片でダメージを負い、シルヴィアは崩壊する建物の瓦礫に飲み込まれた。 ミラーはこれを追撃せず、シルヴィアを確認するまで静観する構えであった。一瞬の隙も晒す気は無いらしい。 万事休す、か。 瓦礫に埋もれるシルヴィアの反応は、まだロストしていない。おれはシルヴィアの名を呼びつづける。まだ諦めてたまるか! … … … 。 一瞬、意識が途切れたのを明確に感じていた。 各種センサー、駆動系が速やかに復旧してゆく。 ダメージ確認。瓦礫に飲まれたらしいがボディに損傷は無し。頭部を強く打って一時的な接触不良を起こしたようだ。 だが先ほどの壁面破片のダメージは深刻だった。微々たる数値でも今回の戦闘では絶望的なダメージ。レディアントアームユニット、即ち背面武装ユニットの稼働率が若干下がっていた。 今回も負けちゃうのかな、私。 いいや、まだ負けるわけにいかない。身体が動かなくなる瞬間まで、絶対に諦めない。 憧れの《公式武装主義者》のバトルを観て、そう決めたじゃないか! ああ、でも、私の心は折れかけている。 立ち上がろうにも手が雪にぬれて、瓦礫の頂を掴もうにも滑ってしまう。 マスター、助けて。ただ一言、私の魂を震わせる言葉が欲しい。 あなたの言葉が。 … … … 。 シルヴィ マスター? 「シルヴィ!」 マスター!? 「シルヴィア!!」 「そうだ、おれの意思を総てお前にぶつけてやる。シルヴィア! ずっとお前が好きだった!好きなんてもんじゃない! お前の事は全部抱き締めてやりたいんだ! 購入したときから、いや、購入する前から好きだったんだ! 店頭でお前を見たときから、おれの心はお前の虜になってしまったんだ。好きだって事を、愛してるって事を、今のお前に伝えたい! シルヴィア、お前を、愛しているんだよ! シルヴィアを付け狙う恋敵がいたらおれが相手になってやる! 御影、貴様がシルヴィをデートに誘ったときはよっぽど張り倒してやろうと思ったが、今、ここで、ミラーを張り倒してやる! シルヴィ! お前が望むのならおれの足を開いたり閉じたり、お前に対してパカパカしてやってもいい! だからシルヴィア、立ち上がれえぇぇぇぇ!」 「マスター!」 シルヴィア、起立。 マスターはさらに続ける。 「シルヴィア! 今までツガルのために戦ってきたなんて言ってたが、あれは全部大嘘だ。総ての戦術、総ての戦略はお前自身のために。おれはそんな事を言うのが恥ずかしかったダメなマスターさ。だが今はお前を尊重する。どうかおれの戦術を忘れて自由に戦ってくれ」 「それは出来ない。何故なら私は私の意思でマスターの戦術を選ぶから。マスターの作った戦術を、マスターが私のために編み出した戦略を、この身で駆使して勝ち抜きたいから!」 「シルヴィア!」 「マスター、一つだけお願いがあります。貴方を名前で呼ばせてください」 「…いい事を教えてやる。おれの名前は知ってるよな?」 「ええ、『たつひと』」 「漢字で書くと『達人』、つまり『マスター』になる。ガキの頃のあだ名だ」 …マスター。 「シルヴィア!」 「マスター!」 「シルヴィア!」 「マスター!」 「シルヴィア!」 「マスター!」 「シルヴィア!」 「マスター!」 「シルヴィア!」 「マスター!」 「シルヴィア!」 「マスター!」 「シルヴィア!」 「マスター!」 「シルヴィア!」 「マスター!」 おれはパネルの拡張ポートにモバイルを接続、即席の戦術をパッキング。シルヴィアに転送。 「シルヴィア、突き抜けてこいィ!」 「おおう!」 シルヴィア、完全復活! 迎撃体制のマスターミラー。 すぐさま即席戦術を実行に移すシルヴィ。マグネティックランチャー、低速連射モード。足元からミラーの距離まで地面に連射する。えぐり込まれた質量弾で積雪が舞い上がる。シルヴィアからミラーまで続く雪の煙幕。ここを最短距離で突っ切り攻撃する。もちろん相手はそれを見越して煙幕にマグネティックランチャーを打ち込んでくるだろう。その裏をかく。 すべての武装を切り離し、瞬時にソリ状のキャリアに再構築する。ツガルの変形モードは高い機動力と運動性を誇るが、反面、素体の装備をすべて切り離してしまう事から素体の攻撃力と防御力が激減する。一般のバトルで使う事は躊躇われる機構だ。だが今、ここで使わねば何時使うッ! 「レインディア・バスター!」 スロットル、フルマキシマム。限界出力。舞い上がる雪の煙幕の上を滑るように機動。 読みどおり煙幕の中を素通りする敵の高速質量弾。高速貫通弾の再発射まで時間がある。そこに、レインディアバスターを特攻させる! 直撃すれば必殺の質量。ライフルやフォービドブレイドでの迎撃は不可能。迂闊に回避すれば背後からレインディアバスターの装備するマグネティックランチャーで狙い撃ち。シルヴィアの決死の必殺技、回避は困難。 だが《ミラー・オブ・オーデアル》はどこまでも冷静だった。ミラーも武装を切り離しレインディアバスターに変形、特攻させ、こちらの特攻を相殺した。衝突の衝撃により弾け飛ぶ両者のレインディアバスター。二機のキャリアはそのまま上空へ飛翔。ドッグファイトを展開する。 レインディアバスターから飛び降りたシルヴィアはその慣性を殺さずミラーとの格闘の間合いに飛び込み、スピードを乗せたボディブローを敵の胸部に叩き込む。だがミラーも同時にボディブローを放ち、シルヴィアの運動エネルギーはお互いのダメージへと変換された。息が詰まる衝撃。だがシルヴィアは怯まず二手、三手とボディブローを連打。それに合わせてミラーも同様の反撃を繰り出し、両者のダメージは急激に跳ね上がる。シルヴィア、力を込めて敵顔面を一撃。ミラーも同じタイミングで、同じ部位に同じ反撃。よろめき、開く両者の間合い。すかさずハイキック。二人同時に身体をひねり繰り出されたハイキックは両者の頭部に吸い込まれ、二人同時にその場に崩れ落ちた。 ジャッジAIが作動しない。二人はまだロストしていないのだ。だがお互い意識を失っている。 神姫が意識を失えば、例えロストしなくてもその神姫の敗北となる。だがこの場合は、先に意識を取り戻し立ち上がったほうが勝利すると言う例外ルールが適用される。 おれに出来る事は、シルヴィアを信じてやる事だけだ。シルヴィアを、信じる。 果たして、先に立ち上がったのはミラーだった。続いて立ち上がるシルヴィア。 二人とも満身創痍で立つのがやっと、と言う有様だったが、互いにファイティングポーズを取る。 今の二人を支えているのは精神力とか根性とか、そんな物ではない。二人に宿る『意思』が、限界を迎えた身体を突き動かしていた。 ゆっくりと振りかぶるシルヴィア。全く同じ動きをするミラー。放たれた緩慢なパンチは、お互いの頬を撫でて、そして。 ミラーが崩れ落ちた。前のめり。 ダウンしたミラーのロストが始まる。最後に受けたダメージがゆっくりと身体を分解してゆくように。 シルヴィアは最後まで立っていた。ミラーの身体が完全にロストするまで。 だが、ジャッジAIは何時までたってもシルヴィアの勝利を宣言しない。 ……まさか!? おれはパネルを操作しサブモニターにシルヴィアのバイタルデータを表示する。 どのデータも、完璧な水平線。 アイツ、立ち往生を果たしやがった! すぐさまシルヴィアを仮想空間から強制的に呼び戻す操作を繰り返す。同時にインカムをひったくりメンテナンススタッフを呼ぶよう要請。 馬鹿野郎。勝ち上がっても死んだら元も子も無いだろう。何度も強制呼び出しをかけるが一向に応答が無い。 やがて技術スタッフが到着し、シルヴィアのサルベージに成功。 そのまま神姫の緊急メンテナンスルームへ移送された。 メンテナンスルームの前には既に御影キョウジがたたずんでいた。マスターミラーのデータ損傷も激しく、二人揃ってメンテナンスルームに担ぎこまれたのだ。 「御影、おれたちは…… おれたちは」 「大丈夫、信じなよ。二人は強い子だからね」 「……ああ。ああ。」 おれたちはメンテナンスルームの前で、待ち続けた。 続く 戻る TOPへ 次へ
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再生され始めた映像は所謂ヒーローインタビューだろうか、そこら中からフラッシュが焚かれている。 背後の横断幕に書かれた日付から、メサイアが行方不明になる直前に撮影された者と判る。 《では、今大会の優勝神姫とそのオーナーにインタビューをしようと思います。優勝、おめでとうございます!》 《ありがとうございます!これも、オーナーの的確な指示と、皆さんの声援のおかげです》 イベントコンパニオンの衣装を着たインタビュアーが男の肩に乗った神姫から彼に話の矛先を変える。 《オーナーの方はどうお思いですか?》 《そうですね・・・、決勝の相手は重武装ながらかなりのスピードを出せていました。パーツ配置を適切に行ったからこそ、つかみ取れた優勝だと思います》 《ありがとうございました》 「アネゴ・・・・・、これは?」 映像が終わり、おずおずと口を開く優一。それを聞いた聡美は端的に事実を述べた。 「記録された日付は西暦2033年の8月6日、メサイアが行方不明になる四ヶ月ほど前よ」 「じゃあ、あのインタビューを受けていた神姫は!?」 「ええ、彼女が『本来の』メサイアよ。どうやら、CSCがウィルスに感染して別の人格が形成されたようなの」 「CSCにウィルス・・・?まさか・・・!?」 そう言うと優一は自分のバッグからモバイルPCを取り出すと、自宅のデスクトップにアクセスし、あるファイルを開いた。 「3年くらい前に壊滅した犯罪シンジゲートがこれと同じ手口をやっていた。それで、神姫を掻き集めて海外に売り飛ばすっていう、言うなれば神姫版・人身売買ですな。けれど2033年の十月以降に生産されたモデルは全てこの手のウィルス対策でワクチンは標準装備、しかも全国の神姫ステーションでそれ以前のモデルにもそれがインストールされているはずだが・・・・・」 「けどそれはあくまで量産型。優一君、あなたシラヌイちゃんをぶつけたわよね?」 「ああ、そうだけど・・・」 「だったら不味いわよ!!すぐにシラヌイちゃんは試作品よ!?ウィルスが入っているかも!」 「わかった!すぐに調べてくる!!」 「日暮さん、どうですか?シラヌイは?」 「うん、とりあえず目に見える異常は見受けられない。安心してくれて良いよ」 「はぁあ良かったぁ」 日暮店長がシラヌイを掌に乗せて奥から出てきた。 聡美に言われて大急ぎでエルゴに駆け込んだ優一は日暮店長にシラヌイの点検を依頼して、その結果報告を受けていた。 「それとそのウィルスのことだけど、こっちでも可能な限り情報を掻き集めておくよ」 「助かります。それじゃあ俺はこれで」 「まいどありー」 「はふぅ。今日は色々なことがあって疲れちゃったなー」 「私も、まだ手の震えが止まりません。あのメサイアとか言う神姫、もしかすると『黒衣の戦乙女』と実力は互角、あるいはそれ以上かもしれません」 「リンちゃんかー。以前ツヴァイが戦ったことが有るって言ってたけど、リミッター付きとはいえCACと互角に戦っちゃうなんてやっぱり凄いよ」 「私はホーリーベルさんと戦ってみたいです。まだまだ至らないところも沢山ありますから・・・・・」 「ふふふ、そうね。『武装』神姫って名付けられるくらいだから、闘争本能は抑えられないわ。ところでシラヌイ、マスターは?」 「えっと、確か『明日は由佳里と出かけるから今日は早めに寝る』って今入浴中ですけど・・・・・・お姉様?」 そこには、某汎用人型決戦兵器のような形相をしたアカツキが完全武装でシラヌイの隣に立っていた。 「マァアアアスゥウウウウタァアアア!!」 「ご主人様逃げてぇええええ!!」 その夜、優一の絶叫がマンション一帯に響き渡った。 次の日の午前10時過ぎ、駅前の待ち合わせ場所に走って現れた由佳里は傷だらけになった優一の顔を見て驚愕した。 「ごめんなさい遅れまし・・・・せっ先輩!?どうしたんですかその顔!?」 「実は昨日ちょっと、な・・・・・。ともかく、俺も今付いた所だ。それじゃあ行くか?」 「はい」 由佳里が優一と合流したちょうどその頃、電柱の影から二人を覗く人影が見える。 「うぬぅううううう、マスターめぇええ!!」 「はぁああ、なんで私がこんな目に・・・・・」 「まあ、いいんじゃないの?面白そうだし」 その影の正体は優一の神姫仲間である御名上 八雲(みながみ やくも)とその神姫である飛鳥タイプのミコトだった。 その八雲の肩の上にミコト共にアカツキとシラヌイが乗っかっている。 「ご帰国早々申し訳ありません。私は止めようとしたんですが・・・」 「いいっていいって。ともかく優一のヤツ、見ないうちに彼女なんて作りやがって!!思いっきり後でつついてやる!そう思わないか?」 「反対の大賛成です!」 「もう・・・ダメですね」 「ホント」 八雲の意見に同調するアカツキ、シラヌイは辟易してしまった。 第壱拾六話へ とっぷへ戻る
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2chテンプレ 1 2 3 1 武装×美少女×アクションバトル 神姫たちの新たな戦い!舞台はPSPへ! フィギュアとPC用ゲームの連動で展開している『武装神姫』シリーズ。 その独自の世界観とキャラクターが、3Dアクションゲームとなってついにゲーム化!! ゲームは、物語が進むアドベンチャーパートと、神姫を操作して戦う3Dバトルパートを繰り返すことで展開。 武装パーツの購入やカスタマイズ、神姫との会話によるコミュニケーションなど、お楽しみ要素も満載! 心を通わせ、「神姫バトル」に勝利せよ! タイトル:武装神姫 BATTLE MASTERS(バトルマスターズ) 発売日:2010年7月15日 メーカー希望小売価格 UMD版 5800円[税込] ダウンロード版 4800円[税込] コナミスタイル通販 ※特別版とサントラを扱うのはコナミスタイルのみ 【送料無料】 武装神姫 BATTLE MASTERS 特別版+サントラセット 22,740円(税込) 武装神姫 BATTLE MASTERS 特別版 19,800円(税込) 武装神姫 BATTLE MASTERS (PSP) 5,220円(税込) 武装神姫 BATTLE MASTERS オリジナルサウンドトラック 2,940円(税込) 対応機種:PSP 仕様:UMD1枚(ダウンロードコンテンツあり) ジャンル:アクション プレイ人数:1~4人(アドホック通信対応) CERO審査区分:B(12歳以上対象) 武装神姫 BATTLE MASTERS公式サイト(PSP版ゲーム公式サイト) http //www.konami.jp/products/bs_psp/ 武装神姫シリーズ ポータルサイト http //busou.konami.jp/ コナミスタイル 武装神姫 BATTLE MASTERS特設コーナー http //www.konamistyle.jp/sp/busou_psp_sp/ ※コナミスタイルはメーカー直販サイトです。 武装神姫_BATTLE_MASTERS wiki http //www35.atwiki.jp/busou_psp/ 【PSP】武装神姫_BATTLE_MASTERS>>PART_16 http //jfk.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1279430556/ 関連スレ オンラインサービス関連はネットゲーム板の該当スレへ ■武装神姫_BATTLE_RONDO>>PART_348 http //jfk.2ch.net/test/read.cgi/netgame/1279385889/l50 武装神姫のフィギュアの話題はおもちゃ板の該当スレへ ■コナミ_武装神姫_>>PART343 http //hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/toy/1279297027/l50 次スレは 900が立ててください。宣言や立てられない場合は指定を忘れずに。 2 ◆新機軸バトル「神姫ライドシステム」 神姫にライドし、LOVEパワー全開で必殺技やコンボ発動! ◆多彩なカスタマイズ! 豊富な武器や防具で、自分だけの神姫にカスタマイズ! ◆神姫たちは、人気声優によるフルボイス! LOVEの変化でイベント発生!神姫の個性に合わせたイベントが展開。 ◆最大4人での通信対戦バトル! アドホック通信により、タッグマッチやバトルロイヤルが可能。 ◆やり込み要素が満載 多彩なライバル神姫とのバトル/個性的なシナリオ/武器や武装が充実。 ◆充実のダウンロードコンテンツ配信予定 武装神姫の作家による書き下ろし武器など、続々登場。 コナミスタイル以外の特典付き店舗 いまじん http //imaginenext.shop21.makeshop.jp/shopdetail/003001000149/order/ http //www.imagine-group.jp/magicalpack/2010/07/15_010000.php ソフマップ http //www.sofmap.com/product_detail/exec/_/sku=11407535/-/gid=GF04030000 http //www.bokuaki.com/tokuten/main.php?id=67150382389931ttwgiazfzk 3 DL版とUMD版のロード時間比較 DL版の方が早い ~UMD版~ 全体→自宅へ 10秒 (自宅)神姫データ→武装エディット 2秒 (自宅)武装エディット→神姫データ 5~7秒 自宅→全体へ 3 秒 (ゲーセン)相手選択→会話開始 15秒前後 (ゲーセン)会話終了→戦闘開始 20秒前後 戦闘終了→賞金表示 6秒前後 賞金表示→会話 15秒前後 ~DL版~ 全体→自宅へ 5~7秒 (自宅)神姫データ→武装エディット 2秒 (自宅)武装エディット→神姫データ 4~5秒 自宅→全体へ 1秒(というかほぼ一瞬) (ゲーセン)相手選択→会話開始 6,7秒 (ゲーセン)会話終了→戦闘開始 6,7秒
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二次予選にて待ち構える一桁ランカーは、いずれもセカンド級の実力を持つ強豪揃いである ランカー9位、背負った二本の折りたたみ式実砲とジャンプ戦術のストラーフ「ジルベノウ」 8位、無武装素手で闘うNINJAファイター、フブキの「ホークウインド」 7位、青竜刀の武神、カスタムハウリンの「仁竜」 6位、怒涛の勝ち上がりを見せた修羅神姫、限定版アーンヴァルの「G」 5位、全身これ武器の塊、ミサイルと銃弾の芸術家、ヴァッフェバニーの「タスラム」 4位、クレバーな狙撃スタイル、インビジブルハンマーの異名を取る砲撃神姫、フォートブラッグの「ストリクス」 3位、音速の女神、可変機構搭載の高速神姫、最早タイプに意味は無い「ズィータ」 2位、白い閃光、万能の非公式武装主義者、アーンヴァルの「リフォー」 対する「ナインブレイカー」は 元ランカー10位、ローラーダッシュによる高速移動とパイルバンカー、ヘビーマシンガンによる凄まじい攻撃力がウリの特攻神姫、サイフォスの「テスタ」・・・強さ評価値9 延長し、可動範囲も拡張したパワードアームを装備した格闘神姫、マオチャオの「ヤンギ」・・・評価値5 精緻にて多彩な銃器操作の銃撃神姫、ストラーフの「ニビル」・・・評価値6 圧倒的な空中機動力と速さで勝ち上がってきた元「ナイン」、アーンヴァルの「ウインダム」・・・評価値10 新製品の変則性を生かした花、種ミキシングビルド神姫、ジュビジーの「モア」・・・評価値7 機銃装備によって弱点である中距離を補い、隙の無い戦闘を展開する鉄板神姫、ツガルの「サチ」・・・評価値8 独特の戦術でならす注目の新人、ハウリンの「ヌル」・・・評価値3 そして、同じく新人、剣闘神姫(ナイブス・ロッテ)紅緒の「華墨」・・・評価値4である スイスドロー方式で、強さ評価に応じた「ナイン」と戦い、それぞれに勝利した8名で、真の「槙縞ランキングチャンピオンカップ争奪戦」・・・それは『クイントス』への挑戦権を掛けた戦いとも言える・・・が行われる 実質、下位ランカーが『クイントス』に挑むにはこの方法で勝ち上がるしかないというのが槙縞ランキングの現状だ (厳し過ぎやしねぇか・・・?この方式) 言っては何だが、「雑魚の中で一番強い奴」と、「ランカーの中で二番目に強い奴」との差は天と地、月と鼈なのではなかろうか? 今回は、そんな状況でも勝ち抜いていけそうな『ウインダム』が居るには居るが・・・ 其処までして本当に強い奴を選定しなけりゃならん理由でもあるのだろうか? (余程「弱い奴とは戦いたくない」んだろうなァ・・・『クイントス』ちゃんは) なら、振り向かせるだけの力を示してやろうじゃねーか 正直、俺も華墨も、自分達に下された「強さ評価4」がかなり気にいらなかった 「俺達はもっと強い筈だ」という思いがかなりあった 「上でふんぞり返っている奴らに目にもの見せてやろうな、華墨!」 「応!!」 第拾幕 「G」 「姉さま!二次予選の対戦相手が決定したらしい」 ヌルに急かされるまま、自身に下された評価値と、対応する「ナイン」を見比べる 「・・・『G』って・・・あの『メイ』ちゃんよね」 「そうらしい・・・凄い戦績で一気にここ迄ランクを伸ばしたと聞いてるが・・・知ってるの?姉さま」 「・・・貴女が私の所に来る前からは想像も出来無い・・・そういえばランクを伸ばし始めてから一回も会ってないわ」 「どんな子なの?」 「おとなしい・・・というかあがり性気味の可愛い子よ?」 「・・・」 「もう、むくれないの。別にコナかけたりなんかしてないから・・・この子には大好きなマスターが居るんだから」 「・・・姉さまはたらしだ・・・」 「何?何か言った?」 「・・・何でもない。それよりも、どうなの?勝てる?」 「記録があんまり無いのよねぇ・・・ただ、『ホークウインド』と『仁竜』を瞬殺したらしいわ」 「『仁竜』を・・・瞬殺・・・!?」 驚くのも無理は無い。『仁竜』は『タスラム』の一斉射撃にも耐えた事があると噂される、槙縞ナイン中最高の装甲の持ち主だ その仁竜が、現在の戦闘スタイルに落ち着いてから、一桁秒間無いし一撃で倒したのは『G』を除いては『ストリクス』の狙撃と『クイントス』の音速剣のみである 確かに、「アーンヴァル」は仁竜の苦手な超遠距離から、現存する神姫中最大威力の砲撃を行う事が可能な神姫ではある (・・・何にせよ、戦闘能力はともかく、攻撃力はこの両者に匹敵するって事ね) どうも私の中でも、不気味な戦力を発揮する『G』と、可愛らしい『メイ』が一致していない (・・・『当たる』迄にデータをなるべく集めた方が良いな) だが、サイドボードや強化パーツを使った戦術は、私には・・・厳密には私のマスターには・・・出来無い 戦闘がどうなっているのか見えないのでは、正直話にならない そもそもうちのマスターは余りバトルには興味が無いのだろうし、今迄も私はマスターサポート無しで闘ってきた それが武装神姫にとって相当な戦力ダウンになる事は判ってはいるのだが (いつかは解決しなければならない問題ではあるなぁ・・・) それは、マスターである私と闘う可能性も孕んだヌルにも言える問題ではある (マスターの為に闘うだけが武装神姫ではないでしょう) それが私の下した結論だ 少なくとも私は、私自身がそう望んでいるから闘っているし、いずれはプロの格闘家の様に、ファイトマネーで自活したいと思っている(勿論何人も可愛い神姫をはべらせて・・・だ) 正直、この感覚は私が嫌う『クイントス』と全く同じである (川原さんの影響なのかなぁ・・・?) クイントスの本来のマスターである、長髪の好青年の笑顔が脳裏をよぎった 「貴女は今はそれよりも、『ジルベノウ』との闘いの事を考えた方が良いわ。彼女、貴女の苦手なタイプよ?」 「・・・そっか・・・姉さまのサポート無しで『ナイン』と闘わなきゃならないんだな・・・」 「そうよヌル。準決勝で会いましょ」 「これが『G』の戦闘データだよ」 師匠にもらった「『G』vs『仁竜』」の映像データを見て、私は只ひたすらに驚愕していた そこには私が想像していた「高出力レーザーで砲撃するアーンヴァル」は写っておらず (正気なの・・・!?) 左腕と胸、両脚に装甲を履いた状態で、武器すらその身に帯びていない黒いアーンヴァルが写っていた 素手による白兵戦・・・武装神姫の闘いでは、必ずしも絶無とは言えず、現にそれを極めんとする『ホークウインド』の様な神姫もゼロでは無いと聞く 聞きはするが・・・ (アーンヴァルでそのスタイルとは・・・たまげたわ) 『仁竜』が動く。得意の大刀を振りかざし、きらびやかな甲冑を輝かせながら走るその姿は、まさに古式ゆかしい武人そのものだ 彼女と『クイントス』との闘いが非常に盛り上がると言われた理由を、私は今更ながらに噛み締めていた 対する『G』は・・・目を、閉じている・・・? 構える気配すら見えない 唸りを上げて殺到する大刀・・・斬られる!と私が感じたその瞬間、『G』は目を見開いた ・・・恐怖を、感じた 『クイントス』の戦闘映像を見ている時にも、こういうのは感じた事は無い その目は、私が知っている「あがり性のメイ」のものでは在り得ない 獣・・・狂気を孕む程に血に飢えた魔獣だ そして、大刀の刀身は真ん中から真っ二つにへし折れていた 「な・・・っ!?」 自分のあげた声に一瞬びっくりしてしまった 見えなかった?何をしたんだ今? 「大刀の刀身に斜めから拳をあわせたのさ・・・そして粉砕した、一種の交差法だね」 そして・・・ 『G』の右拳が握りこまれた 右脚を引いて、露骨な逆突きの構え だが、そんなテレフォンパンチを、『仁竜』は回避出来なかった・・・理由は簡単 パンチの速度が、弾丸より速かったからだ 『G』の拳は、『仁竜』の胸を甲冑ごとぶちぬいていた・・・ 「・・・」 沈黙は、バトル映像が終了してから、実に30秒以上も続いていた 「判っただろうニビル。メイは手に入れたのさ・・・あんたと同じオーバーロード、『Gアーム』をね」 大会当日になって、急にスケジュールの変更が告げられた 「ナインブレイカー」と「ナイン」の闘いは、全て同じタイミングで、店内の8つの筺体全てを使って行われる筈だったのだが、七台が故障したとかで、一台だけを使って一試合ずつ行われる事になった 明らかに不自然な理由だが、逆に言うと他の試合をじっくり見る事も出来る訳だから、それ程に動揺はなかった 「華墨の試合は・・・6番目・・・大分先だな。少し休んどくか?」 「否・・・マスター。少なくともこの試合は私は見ておきたい」 「・・・あぁ、ニビルか」 「そうだ。彼女がどんな闘いをするのか、しっかり見ておきたい」 「そうだな。おっけい!あそこの席のまわりだけ何故か空いてるから、見ようぜ」 座る時に、隣に居たロン毛+ミラーシェードのにーちゃんに会釈する・・・肩に何か蒼い神姫が座ってた様な・・・ ステージは、円形闘技場だった 異様な軽装で佇む『G』 いつもの防弾マントで身を包み、相変わらず装備が判然としないニビル 「軽装同士か・・・面白そうだぜ」 「そうだな。殆ど素体に近い格好で何処までやれるのか・・・実に興味がある」 フッ・・・と言う様な声が、隣のにーちゃんから漏れた 「何が可笑しいんだよ?にーちゃん」 「失礼。ただ、あの二人は軽装なんかじゃない」 「?」 「二人とも、超絶の武器を持っている・・・すぐに判るさ」 皆川さんが店の奥から現れる 「第二次予選にようこそ!全ての神姫達はその全力をもって闘いに臨んで欲しい・・・最強の神姫を決定する為に・・・!」 その挨拶の直後に、バトルスペースから開始十秒前のコール 皆の視線が一気に皆川さんから画面に釘付けになる中、何故か隣のにーちゃんだけが皆川さんの方を見ていた ミラーシェードで表情は読めないが。その口元は硬く引き締められている つられて俺も皆川さんの方を見る 去り際の横顔しか見えなかったが、何故かその時の表情が、俺にはひどく禍々しく見えた 『バトル、スタート』 二人の神姫は、同時に地を蹴った・・・! 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ
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前幕。 どうか、もう哀しまないで下さいマスター・・・いえ。 それは無理な事であるとは私自身解っているつもりです。だから、今は、涙だけは。どうかお収め下さい。 この命・・・。 貴女が選んでくださった心の種。 いつしかそれが芽を生やし、私がどのような者であるかを自覚し、理性が理解を受け入れた時から・・・この日この刻が来る事は識っておりました。ただ、それが思ったよりも早かっただけ・・・どうか、お解りください。貴女と共に過ごした時。所の皆様と笑いあった日々。 それを私は忘れたくはないのです。 あら? まぁ、ダメですよ? 皆様まで泣いてしまっては。皆様は、これからも泣き虫なマスターを支えなくてはならないのですよ? ・・・・・・。 えぇ、そう。そうですね。私は幸せでした。きっと。 ここで過ごした僅か数年。決して長くは無い・・・それでもたくさんの想いの詰まった数年。この大切なメモリーを『想い出』と言うのであれば。それを抱いたまま私は旅立ちたいのです。 えっと・・・。 そう、ゼリスは。 ・・・ふぅ・・・、ふふふ。自分の名前を思い出すにも、少し時間がかかるようになってしまいましたね。 大切な物が消えていきます・・・それは霧のように。 このまま、全てを忘れていく事は耐え難い苦痛です。いつしか自分が何であったかさえも忘れてしまうでしょう。 そして・・・この暖かな日々があった事も。 皆様の名前。マスターの声。 忘れたくない『記憶』・・・この我侭、お許しくださいませ。 えっ? 『願い』ですか? マスター・・・ありがとうございます。 それでは・・・。 ・・・・・・。 まぁ、そんなに驚いた顔をしないでください。ずっと前から決めていました。 その為のメッセージも残しているんですよ? ・・・え? マスターのPCの中です。「ZF」というファイルがあるはずです。 あぁ、そういえば・・・って。もう・・・見えやすい所に置いてるんですから、少しは怪しんでください。 けど、そう。そんなマスターだからこそ。私を作ってくださったのですよね。 ? ふふっ・・・意味は、秘密です。 それではマスター、そして皆様。私はこれよりCSCを停止させ眠りにつきます。 ・・・たくさんの心を、ありがとうございました。 皆様と、これから生まれてくる全ての神姫達・・・そのマスターの頭上に光と幸福があらん事を。 ・・・どうか、お伝え下さい。 全ての妹、娘達に。 貴方達を愛しています、と。 そして・・・ 2035年12月24日クリスマス。 千葉峡国神姫研究所において、研究所所長の神姫でもある言語能力特化型神姫「クラリネット」のテスト機・・・コードCRZR-C003の全機能が停止された。 彼女の名を、ゼリスという。 彼女のみに搭載された最初期試作型CSCは記憶中枢とのリンクが不完全であり、可動寿命は僅かに約5年であったと伝わっている。寿命を迎える前に、『哀れに思った研究所の者たちが機能を停止させた』。そう、報道された。 クラリネットタイプの美貌と美声は有名であった為、しばらくは『聖夜に死を選ばされた悲哀のヒロイン』との如き扱いで彼女の名前はマスコミに取り上げられはした。 ・・・が、それもまた一瞬。時代は小さな名前を飲み込み、やがて忘却の彼方に押し流していった。 翌年。大プロジェクトである武装神姫シリーズがスタート。 「クラリネット」をはじめ、「ミネルバ」「エレティリス」などの旧来の神姫を核として設計された最新型シリーズ。 本来は一つの派でしかなかった『神姫バトル』を当初よりコンセプトに投入している彼女達は一躍神姫界を席捲し、急激な勢いでバトルは神姫界の主要を占める重要なジャンルとして成り立っていく。 表では毎日のように公式バトル結果がネット上に溢れ、新製品が売り出され。 そして同時に神姫関連の犯罪件数も増加。闇バトル、違法改造や盗難・・・裏もまた賑やかに。 目まぐるしく神姫の周囲は変遷していった。いつしか、神姫と武装神姫はイコールで結ばれるようになる。 風が嵐が如く吹く西暦2036年。 全てが忙しなく流れ往き、歴史の波濤が全てを覆い尽くす時代。 そんな中でも時として。 草色の風が舞い、緩やかな『想い』が彼女達の髪を梳き・・・流れる事があった。 上幕。 第一幕
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聞いた所によると今日は小さい大会があるらしい。 そこで実力を晒そうと言うのか 「まずは大会以前に神姫登録からしないとな」 俺は再び受け付けに向かった。 「新規登録ですね。名前はどうされますか?」 俺は一呼吸おいて答えた。 「…『可凜』でお願いします。」 「隆斗…それって…」 「あぁ、君の新しい名前だ。俺の神姫になってくれるんだろ?それにこっちの方が呼びやすいし」 「隆斗…うん。その方が嬉しい」 登録完了 「さて、試合までに装備を揃えなきゃな」 「それなら、少し希望があるんだ。トレーニングとパラメータも」 それから試合まで、俺は可凜の希望通りに行った。 俺の試合は第二試合だった。 俺は闘いにおいて全くの素人だ。 実戦においての即時判断は可凜に任せ、思いの岳をぶつけてこいと言った。 しかし 俺が思っていたよりも可凜は冷静だった。 試合開始 ステージは廃墟市街地 相手のハウリンは通常の武装状態 代わりに左腕は素体、手にはあまり見掛けない。神姫NETに売っていたような両刃の剣を持っている。飛び道具は吼莱壱式…だったか ごついキャノンが着いている。いかにも威力のありそうな装備だし、ますぃーんずがいるのも必至だ。 しかしこちらにマスィーンズは勿論ついていない。 向こうはいつでも撃てるよう壁を背にして交差点の前に立っている。 「さぁこいよ…」 相手がニヤリと待ち構えていると ガッ ゴンッ ボンッ 上空から何かを殴る音と爆発音 ガシャッ 何かが落ちてきた。 マスィーンズである。 相手も相手の神姫も一瞬何が起こったのかわからない。 -その後に可凜が着地。 先にマスィーンズを倒す作戦だったようだ。 そして可凜の装備は マオチャオの武装ボディのアームなしで足にはハウリン本来の装甲、頭には何もつけず 両手には十手が二本 …だけである。 周りのざわめきを無視して一言 「これで一対一で闘える…。」 冷静な 憂いを秘めた目で 相手を見据えていた。
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登場人物紹介 如月幸人(きさらぎゆきと) 物語の主人公。一月前に神姫をはじめた、大学一年男子生徒。 パートナーのヒルデガルドの二面性に悩んでいた。一人暮らし。 相棒との関係は現在概ね良好。 ヒルデガルド(ヒルダ)(ヒルデ) 幸人の神姫。ハイマニューバトライク型、イーダ・ストラダーレ。 両手首に袖状のパーツを装備しているほかは通常のイーダ型と使用する武装は変わらない。 顔面保護兼センサーバイザーであるルナピエナガレットを一日おきに着用している。 ヒルダ、ヒルデという二つの人格を持つ多重人格者。『仮面の白百合(ヴァイザード・リリィ)』の異名を持つ。 ヒルダ ルナピエナガレット装着時の人格。 イーダ型にしては物腰が低く、丁重で相手を慮る性格。 むしろちょっとおどおどしすぎている気もしている。 『仮面つき(ヴァイザード)』と呼ばれることも。 ヒルデ ルナピエナガレット非装着時の人格。 イーダ型らしく尊大で高飛車だが、本来のイーダ型以上にその傾向は強い。 ヒルダと比較して『仮面なし(ヴァイザレス)』と呼ばれるようになった。 峰山愛(みねやまあい) 幸人とは小学校時代からの腐れ縁の少女。巨乳。幸人に神姫を勧めた張本人。 ガサツで色気はまるでない。よく幸人の部屋に遊びにくる。 リーヴェ 愛の神姫。戦乙女型、アルトレーネ。 ほわほわした喋り方で掴みどころがないが、話す内容は筋が通っており、説得力がある。 ニーベルングをスカートモードとフリューゲルモード同時に装備しており、全て副腕として作動させることもできる。 プッツンすると声に抑揚が無くなる。ある意味この子も二重人格。 クズハ・狐ノ宮 幸人の小、中学時代の友人。飛び級で大学を卒業し、特許による収入で悠々自適な生活を送っている天才。 一応幸人と同じ大学に在籍はしているが、卒業に必要な単位数はすでに取得済みであり、めったに顔を出さない。 ハンドメイド武装メーカー【ミラージュフォックス】の代表兼主任開発者。 トップへ
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ぶそしき! これから!? 第3話 『キエン』 3-1 「「……」」 握手を交わす友大と成行に、1人のマスターとその神姫が近づく。 2人はまるでそのことに気づいていない。 神姫達も、じゃれ合って気づいていない。 「やあ」 「「ひゃっ!」」 声をかけられた2人が同時に驚き、短く悲鳴のようなものをあげる。 その際に、握手していた2人の手が離れる。 「だ、誰――あ」 友大が気づく。 「は、葉々辺さん?」 「うん、こんにちは」 友大や成行と同じくらいの背丈だが、高校生である葉々辺誠志郎(はばのべ せいしろう)の姿があった。 どことなく人の良さそうな顔に笑みを浮かべ、以前会ったときと同じ薄く青みの付いた眼鏡をかけている。 「こんにちはぁ」 少年の肩に乗っている神姫も笑顔であいさつする。 ヒイロとは同じエウクランテ型だが雰囲気はずいぶんと異なる、小鳥のような印象と服装の神姫、クラハだ。 「知り合い?」 「うん、成行さん。僕たちが初めて対戦した人たちだよ。 ちなみに僕たちより年上だから、同じくらいの背丈だけど高校生だから、葉々辺さん」 尋ねる成行に、友大が自分達より年上であることを強調しつつ紹介する。 「……ぇ?」 「あははは……」 驚きに目を丸くさせ、絶句する成行に葉々辺は乾いた笑いを浮かべる。 「まあ、それはさておいて……今のバトル見ていたよ」 「え?」 葉々辺の発言に、友大が思わず聞き返す。 脳裏に先ほどのバトルが再生され、その時にやらかしてしまったことも思い出される。 「面白かったよぉ♪」 「あう……」 クラハの素直な感想に、何故か打ちのめされたような気分になる。 「まあ、プラモから分捕ってのアレは珍しくないことだから」 「ああいうことから学んでいくんだよねー」 「ぅぅっ」 何故か、相手のフォローが逆に心に突き刺さるような気持ちになる。 「お! また、会ったなぁ」 「おっす! こんにちはなのだ!」 葉々辺達に気づいたヒイロとチャオが、じゃれ合うのを中断してあいさつに来る。 「こんにちはぁ。また会ったね」 あいさつを交わし、クラハが自身のマスターを見る。 「ああ、行っておいで」 察した葉々辺が頷く。 それを見たクラハは自身のマスターの肩から軽やかに降りて、神姫達の輪に入る。 「バトル見たよぉ。凄い飛ばしっぷりだったねー」 「おっ! 見てたのか? いやー、スカッとしたぜ!」 「ぬぬぬ……、次はチャオがジェットなアッパーでやり返してやるのだ!」 「……」 葉々辺が微笑ましそうに神姫達の様子を眺める。 (そう言えば葉々辺さんって、僕たちより神姫のことに詳しいよね? 見た目はそうは見えないけど、高校生だし) そんな葉々辺の横顔を見ながら、ふと、友大はそんなことを考える。 「あの……」 思い切って尋ねる。 「ん?」 「武装って、どうにか手に入れられないですか? その、お金あまりなくて、ヒイロに大した武装をあげられなくて……」 今回のチャオとのバトルでは勝った。 しかしやはり武装のことが――特に防具がないことがゲーム的な有利不利の意味でも、見た目的な意味でも――少年の気にかかる。 「ん~……。お店で売っているのを買うのが一番無難なんだけど、お金ないんだよね?」 「……はい。パーツを買うには足りなくて、買ってあげられないんです」 自分の神姫を少し見やり、友大は少し情けなさそうに手持ちが少ないことを伝える。 「足りなければ、頭を使って工夫すると良いよ。自分で作るとかね。成行……ちゃんで良いかな? みたいに」 「「え?」」 葉々辺の発言に2人の声が重なる。 1人は今の話に自分の名前が出たところに、もう1人はチャオのクロースアーマーを思い出して、思わず声を出してしまう。 「え、ええ、でもあれ……」 成行は自分の神姫の言葉を思い出し、顔をうつむかせて恥ずかしそうに言葉をにごす。 「見たところ、あのアーマーはフェルト製みたいだから、打撃とかにはある程度有効なんじゃないかな。 単に防具として使用するだけなら、ああいう形と材質でも効果あるからデータチップもいらないし。手近なものを利用するって良いことだと思うよ」 葉々辺があのクロースアーマーを評価する。 その言葉には偽りはない。 「後はできるだけ動きの妨げにならないように、自分の神姫と一緒に調節していくと、もっと良いんじゃないかな」 「は、はい! ありがとうございます」 (――あ。見た目には触れていない) アドバイスにお礼を言う成行を見ながら、友大はそんなことを思う。 「そう言えば佐伯君。君達はどんな武装が一番ほしいのかな?」 話に一区切りつけて、葉々辺が友大に向かって尋ねる。 「え? どんな武装が一番、ですか?」 「っ!」 「う~ん……」 思わず考え込むマスターとは対照的に、その神姫は即座に叫ぶ。 「剣! オレかっこいい剣がほしい!!」 いつのまにか話を聞いていたヒイロが、手を挙げかつジャンプをしながら全身で主張する。 その様はある種の必死さと、幼い子どもがオモチャをほしがるような微笑ましさを感じさせる。 「君の神姫はそう言ってるけど、君自身の意見は?」 「……」 先ほどのバトル、そして今までのことを振り返って友大は考える。 「隙あり! 次の鬼はヒイロなのだ!」 「あ! てめ――」 自身の主張をしていたヒイロが後ろに忍び寄っていたチャオに気づかず、鬼にされる。 いつの間にか卓上で鬼ごっこをしていたらしい。 チャオたちを追ってヒイロが猛然と追いかける。 「……僕としては、アーマーがほしいです。 今のろくにアーマーがない状態だとダメージも大きいし。その、ヒイロになにか、かっこいいのを着せてあげたいし……」 ヒイロ達を眺め、友大が考えた末に自身の意見を出す。 「胴体部分のアーマーってことかな。そして、格好良いと」 「あ、でも。僕は裁縫もパーツを作ったりするような技術はとても……」 「お、お裁縫なら一緒に勉強しよ! クロースアーマー、次はちゃんとしたの作りたいから」 裁縫という言葉に成行が反応する。 「クロースアーマー。布……あっ」 友大達でもできそうなアーマーについて考えをめぐらしていた葉々辺が思いつく。 「ちょうど良い方法があるかも。スパンコールって知ってるかな?」 「え?」 「はい。服やかばんとかに付けるキラキラしたもののこと、ですか?」 怪訝そうにする友大とは対照的に、成行はすぐにその存在に思い当たる。 「そうそれ。服とかを飾るための材料の一種で、光を反射させるために使うものだよ。穴の空いた金属やプラスチックの小片のような形をしている」 葉々辺が友大にも分かるように説明する。 「それを使ってスケイルアーマーを作ったらどうかな? スケイルアーマーは知っているよね?」 「「うん」」 プレートアーマーほどではないが、ゲームや漫画などで見かけることもできるため、2人はその鎧の存在を思い浮かべることができる。 「スケイルアーマーは、丈夫な布や革の下地に金属や革などの小片を紐やリベットで鱗状に貼り付ける鎧なんだ。 その要領で、布かクロースアーマーにスパンコールを付けていくと作れるんじゃないかな?」 「あ、そうか! ……あ、でもスパンコールって、どうやって付けたら……」 友大は喜び、そしてすぐに出てきた疑問に消沈する。 「スパンコールは縫い付ける以外にも、手芸・布用接着剤で貼り付けていくと良いよ。 頻繁に洗濯しても取れない強力なやつがあるから、バトルでも大丈夫じゃないかな」 「接着剤でいいんだ」 友大の疑問に葉々辺がすぐに答える。 自分でも作れそうなことに、友大の表情が明るくなる。 「あ、うちにその接着剤があるから、もし良かったら、その、一緒に作らない、かな?」 「え、良いの? うん、一緒に作ろう」 「スパンコールは手芸用品店や均一でも売ってるよ。 特に均一では色々と安く手に入るかもしれないから、他に何か武装になるような物を手に入れられるかもしれないね」 盛り上がる友大と成行を笑顔で見ながら、葉々辺がさらにアドバイスをする。 そんな彼らに声がかけられる 「おーい。ハバネローー!」 ジーンズにハイネックのパーカー付きのジャケットといった服装の少年が、友大達の方に向かって手をふって呼びかける。 背は友大達よりずっと高く、年上だ。 少し伸びた髪を後ろで結んでいる。 顔立ちは整っている方だが、どこかやんちゃな雰囲気で2枚目になり切れない印象を受ける。 「ごめん。待ち合わせてしているんだった」 呼びかける人物の存在に気づき、葉々辺がクラハを呼び戻す。 「あ、マスタァが呼んでる。ごめん、また遊ぼうねー」 寸での所でひらりと身をかわしつつ、クラハはバイバイと手をふる。 「にゃ、またなのだ!」 「おう! またな!」 寸での所でかわされて卓上にダイブしたままのチャオと、ヒイロもまた手をふる。 「それじゃまた」 肩にクラハを乗せて、葉々辺が友大達のもとから去る。 「あ、はい。それじゃまた」 「ありがと。葉々辺さん」 先ほど声をかけてきた少年に向かって手をふる葉々辺を見ながら、友大はふと思う。 (ハバネロって、葉々辺さんのこと? ……あだ名?) ■ ■ ■ 「ねー、マスタァ」 「うん?」 待ち合わせの相手の1人である少年のもとに向かう葉々辺に、クラハがささやく。 「ヒイロがね、【剣】が欲しいって言ってたよぉ」 「はは……」 葉々辺の脳裏に、武装で何が一番欲しいかという話題に真っ先に【剣】と答えたヒイロのことが浮かぶ。思わず苦笑がもれでる。 「どんな剣が欲しいって、言ってたのかな?」 「熱く燃え盛る、炎の魔剣みたいなのが、欲しいんだってー」 気軽に世間話をするかのように、クラハはヒイロが望む剣のことを話す。 「まるであの子自身だねー。うん、きっとすごく良く似合うよぉ♪」 「……ああ。ぴったりだ」 以前の対戦でレーヴァテインを装備していたこともあり、ヒイロが炎の剣を持つ姿を想像するのは容易い。 その姿は、まるで違和感なく自然に思い浮かぶ。 「――っ」 閃きが迸る。 少しだけ足を止めて、刹那に思索する。 葉々辺少年の顔に、何か面白いものを見つけた子どものような、何かををたくらむようないたずらな笑みが浮かぶ。 「~♪」 ふとクラハの方を見やる。 いつもと変わらないかのような屈託のない笑みを浮かべている。 その頭を優しくなでてあげてから、再び歩き出す。 前へ / 次へ トップページ