約 6,030 件
https://w.atwiki.jp/clockgrail/pages/148.html
◆ ◆ ◆ 『復讐、それこそがこれからは光よりも、食べ物よりも大事なものだ』 ――――メアリー・シェリー フランケンシュタイン ◆ ◆ ◆ 今日は曇りで良かった――――雪村鉄志はそんなことを考えながら、冷たいアスファルトの上を歩く。 東京の五月は、暑い。……東京に限った話でも、五月に限った話でもないが。 ここ数年で跳ね上がった気温は、五月という春の季節であっても容赦なく猛暑で地上を焼きにかかる。 熱の籠るアスファルトの上ともなれば、もはや鉄板焼きの様相で人類を苛むようになって久しい。 それでも今日のように雲が太陽を阻んでしまえば、随分と過ごしやすくなるのは幸いなところか。 『――――くえすちょん。ますたー』 先ほどまで実体を伴って歩いていた少女は、霊体となって付き従いながら念話を送っている。 そう命じたのは、他ならぬ鉄志だ。 なにも意地悪でそう命じたわけではない。 気まぐれか気晴らしか、しばしの間実体化した彼女と散歩をしていたわけだが、冷静に考えて両手足が機械でできたギリシャ人の少女など、聖杯戦争に関わるものが見れば一発でサーヴァントかなにかだと判別できる。他の聖杯戦争参加者にサーヴァントの存在が露見するリスクが大きいのだから、あまり長時間彼女と連れ立って歩くべきではない。 それもある。 が、それ以上の理由として―――― 『今は、どのような手掛かりを求めているのでしょうか? 例の、ええと……………………やまかがし!』 『…………惜しいな。ニシキヘビだ』 『………………そ、それです。はい。知ってました。いいまちがいです。……ほんとです』 鉄志は思わず、噴き出してしまいそうになる。 確かにニシキヘビもヤマカガシも同じ蛇だが、言い間違えるには音が違い過ぎるだろう。 けれどそれはあまりに少女――マキナに悪いだろうから、どうにか嚙み殺して。 『いや――――“奴”ならこんなわかりやすい手掛かりは残さねぇ。だから多分、これは別件だ』 表情を引き締め直して、そう答えた。 手掛かり……そう、手掛かりだ。 鉄志は今、街に残る魔力の痕跡を調査し、その主を追跡している。 だから、マキナには霊体化してもらったのだ。 気晴らしの散歩の時間が終わり、鉄志の“戦い”が始まったから、控えてもらったのだ。 現在鉄志が捜索を行っているのは、世田谷区。 より具体的に言うならば、二子玉川――――世田谷区南西部、多摩川沿いに位置するエリアである。 駅前を中心に広がる商業地と、都内としては緑の残る住宅地で構成されたこのエリアは、普段は中々の活気に満ち溢れ……しかしこのところは、鬱屈とした緊迫感に包まれていた。 世田谷区は都内としては自然が豊かで、田畑も多い。 それはつまり、数多の英霊集うこの仮想東京においては――――“蝗害”という前代未聞の大災害の被害を、色濃く被る地区ということに他ならない。 二子玉川周辺はまだ蝗の群れの被害を受けずに済んでいたが、その悍ましき災害はほんの目と鼻の先で繰り広げられており、決して他人事であってはくれなかった。 なにせ同区内の北西方面は、既に蝗の大群によって壊滅的打撃を受けているというのだ。 もしもかの蝗の軍勢が、多摩川を下ってこちらまでやってきたら? その危惧は決して荒唐無稽なものではなく、確かな実感を伴う眼前の脅威として、住民たちの心を苛んでいた。 原因不明で正体不明。 けれどあまりに具体的な、終末の災害であった。 聖杯戦争の参加者である鉄志は、もちろんこの災害の正体に見当はついている。 なにをどう考えても間違いなく、サーヴァントによる侵略行為―――― あるいはこの空間が仮想であるのをよいことにリミッターを外した魔術師の大魔術かもしれないが、ともあれ聖杯戦争参加者の仕業には違いない。 聖杯とは別の目的を持つ鉄志であっても、生活基盤を揺るがす大規模な侵略攻撃を無視するわけには行かない。 スーパーの食料は高騰し、そのことについて、道行く主婦たちが不安そうに話しているのを聞いた。子供たちが、それを見上げていた。 ……かつては警官であった頃、確かに存在したなけなしの正義感というやつが、まだ自分の中で燻っているのかと自嘲する。 ともあれ鉄志は、聖杯戦争を無視できないのだ。 本当の目的が、別にあるとしても。 鉄志の目的は、宿敵“ニシキヘビ”の正体を突き止め、辿り着くことである。 もちろん鉄志も、ニシキヘビがこの聖杯戦争に参加している……などと都合のいい想像をしているわけではない。 ただ、先ほど会った知人・根室清がそうであるように――――この仮想の東京には、仮想なりに忠実に、そこに住む人々が再現されている。 つまり、あるはずなのだ。 ニシキヘビの犯行と目される失踪事件は、全国各地で発生している。 しかし東京は、東京には、いるはずなのだ。あるはずなのだ。 東京に住む後輩・山里が独自に調査を行い、奴に“散らされた”以上は。 ニシキヘビの手掛かりは、この東京に存在しているはずなのだ。 この、仮想の東京であっても、確実に! そして奴がこの東京にいるのなら、いたのなら、奴もまた聖杯戦争を無視できないはずだ。 必ず、なにがしかの影響を受けている。 鉄志の勘は、ニシキヘビからある種の傲慢さを嗅ぎ取っていた。 敵対者を嘲笑い、じわりじわりと絞め殺し、かと思えば時に興味を失くしたように雑に蹴散らしていく、玩具で遊ぶ子供のような君臨者。 そしてそれほどの傲慢さの持ち主が、己の“庭”の惨状を無視するとは思えない。 舌なめずりをして好機を待つことはできても、どこかで尻尾を出す可能性は高い。意識的にせよ、無意識的にせよだ。 故にこそ鉄志にとって、この“聖杯戦争”という変数を調べ上げることには意味があった。 その先に、己の宿敵の尻尾が見つかるかもしれないのだから。 ――――そういうわけで、鉄志は二子玉川エリアで発見した魔力の痕跡の調査を行っている。 気になったのだ。 魔力の痕跡の濃さ……推定される術者の魔力量に対して、杜撰すぎる後処理の拙さが。 気になったからには、調べずにはいられないというのが鉄志の性分である。 『戦闘痕……ともまた違うな。場所もある程度決まっていて、定期的……恐らくはなんらかの訓練……戦闘訓練か? いや、多分もっと初歩的な……』 マキナに対する念話は、説明というよりは思考の整理に近しい。 そのマキナ自身、要領を得ない相槌を返すだけなのは都合がいいところだった。 ……シンプルに話をよく理解できていないのだろう。理解させるつもりで話していないのだから仕方ないが、少々罪悪感が芽生えた。 状況を整理する意味でも、一度ちゃんと説明してやるのもいいか。 そう思いながらも、ひとまず―――― 『……痕跡分布の中心部は、この付近』 鉄志が辿り着いたのは、ほとんどの遊具が撤去されて久しい広めの公園。 周辺は住宅街であり……目を引く施設と言えば、少し離れたところに教会があるぐらいだろうか。 日本人にとっては少々馴染みのないその建物には、信者と思しき人々で賑わっているのが見えた。 なにかのイベントでもあるのか、と一瞬思ったが……彼らの表情が一様に不安げなそれであることを確認して、状況は理解できた。 東京を襲う蝗害、聖杯戦争の余波、それらによる姿なき緊張感――――そういったものに襲われた市民たちが、救いを求めて神への祈りを捧げに集まっているのだろう。 下らない――――とは、思わなかった。 善良な神などこの世に存在しないと吐き捨てる鉄志だったが、神に救いを求める気持ち自体は、彼にもよくわかるからだ。 「……………祈ったって、助かるもんじゃねぇだろうけどな……」 その呟きは、ほとんど無意識に漏れたもの。 「いえす、のん。ますたー。彼らの崇める神は救済装置として普遍的な性能を持たず、縋る対象としては不適格な旧式と呼ぶべきでしょう」 ……だから霊体化を解いて現れた機械四肢の少女に対し、しまったな……と頭を抱えることになる。 一瞬驚いて、それが“二回目”だから理由に思い至って、己の落ち度であることを遅れて把握したのである。 「故に、より完璧で完全な最新の救済装置――――即ち当機の完成が必要なのですよ、ますたー」 無表情に、しかし心なしか誇らしげにそう語る少女は……多分“わかる話題”が出て来たから喜んで飛びついたのだろうな、と予測できた。 あんな旧式の“神”よりも、自らが目指す“機械仕掛けの神”の方がずっとすごいんだぞ、と。 こういうところは実に、子供っぽい。 こういうところでなくとも、子供っぽい……子供らしいと、普段から思ってはいるのだけれど。 「……なぁ、嬢ちゃん」 「? はい、なんでしょう」 「俺が肉声で喋ったからって、別に肉声での会話を求めてるわけじゃない……いやまぁ、出て来るなって言いたいわけじゃないんだが……」 「?」 伝わっていない。 しかしこの悪意無き少女に、目立つとマズいから出て来るな……とそのまま伝えるのは、いくらか良心が咎めた。 結局のところそう伝えなくてはならないのだが、できるだけ彼女が傷付かない言葉を選ぶ必要がある。 頭ごなしに否定せず、彼女がわかりやすいように。 ――――昔、娘を育てている時はどうしていたっけ…… ちくりと走った胸の痛みを、押し出すようにため息をひとつ。 それから、視線を公園の入り口に向けて―――――――― 「――――――――ま、そういうわけだ。そろそろ出てきてもいいぞ、アンタら」 ――――物陰からこちらを伺っていた“彼ら”に、声をかける。 「……流石に、気付いてはいたか」 「斥候じゃねぇしな、俺達。こんなもんだろ」 物陰から姿を現したのは、長い前髪を右に流した、半袖のワイシャツを着た少年――恐らくは高校生だろう――と、革ジャンを着た栗毛の伊達男。 伊達男の方は、サーヴァントだろうと鉄志は判断した。 彼が地中海系の人種である、というのも判断の一因ではあったが――――なによりも、その目だ。 自信に満ちた不敵な笑みを浮かべながらも、その瞳は油断なく鉄志を、マキナを、そして公園全体を観察している。 獲物を前にした肉食動物の如き、威圧を伴う静寂。 戦士の瞳だ。 それも、ただの戦士ではない。 幾度となく戦場を駆け、駆け抜けて、栄光を勝ち取って来た、将の瞳だ。 真っ当な現代人が、これほどに戦場に慣れることはまずありえない。 まず間違いなく、ひとかどの将として名を馳せた英霊――――多くの犯罪者との戦いを繰り広げて来た鉄志だからこそ、ひと目見ただけでそこまでを看破していた。 「! ま、ますたー、下がって……」 現れた“敵”を前に緊張感を滲ませるマキナを、鉄志は無言のまま手で制した。 マキナは、尾行者に気付いていなかったのだろう。 彼らの尾行はそこまでレベルの高いものではなかったが、最低限息をひそめる程度のことはできていた。 だがもちろん、鉄志は早い段階で彼らの存在に気付いている。 なにせ彼は、尾行に関してはまさしく本職なのだ。素人の尾行程度、気付けないはずがない。 気付いた上で、ここまで泳がせていたのは…… 「――――それで? 俺達になんか用かい、お二人さん」 ……その目的を探るため、だったのだが。 調査もひと段落し、見るからにサーヴァントであるマキナも出てきてしまった。潮時だろう。 問いを投げ、ポケットに手を突っ込みながらも……鉄志は油断なく尾行者を見据えている。なにか妙な動きをすれば、即座に“撃つ”つもりだった。 その殺気を、この二人は十分に感じ取っているのだろう。 自然体を装いつつも、特有の緊張感が場を包んでいく。 「別に」 と声を発したのは、伊達男の方だった。 場を包もうとする緊張感を、緩めるようなタイミングで発された言葉だった。 “間”を外された――――これ以上沈黙が続けば、沈黙を破ることそのものが口火となりかねない状況を、意図して回避したのだろう。 「用ってほどじゃねぇんだが、お前の目がな」 「…………目?」 「そ。目だよ、目。 ほとんど縋るみてーに、“何か”を探してる目だ。……ちょいと気になってな」 伊達男が、僅かに目を細める。 ……警官として数多の犯罪者を見て来た鉄志とはまた異なる、観察眼。 恐らくは、将としてのそれ。 数多の兵を率い、数多の兵を相手取って来た者が持つ、人を見る能力。 「……ランサーの言葉に従って後を追ってみれば、魔力の痕跡…… それも貴方が残したものではなく、元々あった痕跡を貴方が追跡しているのだということはすぐにわかった。 用は何かと問うのなら、むしろ貴方にこそ目的を問うことが僕達の目的のひとつだ」 少年が言葉を引き継いだ。 やはりというか、少年の方がマスターであり、伊達男の方がサーヴァント――――クラスはランサーであるらしい。 「なるほどね……なら、悪いがそう面白いものじゃねぇよ。 街中で魔力の痕跡を見つけたから、気になって調査してる……それだけだ。大したことじゃない」 追跡調査の様子を他の参加者に見咎められ、接触を受ける。 これ自体は、十分に想定していたことだ。むしろ、ある程度望んでいたことでもある。 どうやら彼らもこの魔力の痕跡の主とは別口のようだが、それはそれとして交渉の目はあるか。 少しでも他の参加者から情報を引き出し、この戦争の全容を……と、鉄志が思考を回していたところで。 「そうか――――――――なら、もうひとつ」 少年が一歩、コンパスのように円を描きながら、足を引く。 深く腰を落とし、開いた両の掌を上下に、前へ。 その動きと同時に、公園一帯を魔力の“波”が打ち――――人払いの結界が張られたことを鉄志は理解する。 これでこの公園は、認識的に外界から隔絶される。 魔術の心得無き者が踏み入ることはできないし、少し遠くで教会に集っている人々は、ここで何が起ころうとも気付かない。 ――――これ即ち、宣戦布告。 少年の視線が真っ直ぐに、鉄志を射竦めた。 その両腕、肘から先のテクスチャが溶けるように剝がれていき、中から神秘を伴う木製の義手が現れる。 傍らのランサーは革ジャンを脱ぎ捨て――――次の瞬間には、重装歩兵の鎧を真紅の外套で覆った、戦士の姿をしていた。 鉄志と並ぶマキナもまた、無言のままに鋼鉄の両碗を複雑に肥大化させ、展開したバイザーがその瞳を覆い隠す。 「貴方が魔術師か魔術使いか……そうである以上、問わねばならないことがある」 「……それが人にものを聞く態度かよ、坊主」 「そうだ。こうしなければ、問えないこともある」 交渉の目は、果たしてあったのだろうか。 いいや、これは聖杯戦争だ。 たったひとつの聖杯を求め、魔術師と英霊が殺し合う、神秘の戦争だ。 参加者同士が出会えば、優勝というひとつしかない椅子を巡って戦う運命にある。 ……という、それ以上に。 鉄志は少年の瞳に宿るそれに、どこか覚えがあった。 カタチは違えど、本質として燃えるそれに、覚えがあった。 「……この身は高乃家次男、高乃河二」 交渉など、最初から不可能だったのだ。 彼は最初から、こうするつもりだったのだから。 「問おう、魔術師――――――――――――この技に、覚えはあるか」 少年は明確な覚悟と殺意を伴って、問いと共に大きく踏み込み―――― 「――――――――点火(シュート)」 その“出がかり”を、鉄志は撃ち抜いた。 「っ!?」 ポケットに突っ込んでいた手の、早抜き。 中から現れた“杖”はボールペン。 爆竹が炸裂するかの如き轟音。瞳を焼く閃光。噴き出す硝煙。 魔力が巡る速度が異常に早い特殊な魔術回路と、歴戦の戦闘勘が実現した究極の“後の先”。 『速射回路』による必殺最速の早撃ちは、しかし咄嗟に危機を察した少年、河二の手首の返しで弾かれる。 覚えはあるかと問われるまでもなく、彼の流儀たる技術には予想がついた。中国拳法だ。 それも、宙を撫でるように構えたその手は、受けを得手とする太極拳のそれだろう。 大きく踏み込みつつも防御に備えたその構え故に、少年は鉄志の不可避の早撃ちを防いで見せた。中々の反応速度と言っていい。 高威力のガンドを難なく弾ける辺り、当然あの木製の義手は相応の性能を持つ魔術礼装と見るべきであろう。 だがいずれにせよ、彼の突進は出がかりを潰されて停止を余儀なくされた。 「――――――――嬢ちゃん」 「いえす、まい、ますたー。――――お覚悟を」 そしてそれは、絶好の隙であり――――ごう、と。 背部のスラスターから魔力を噴射させて急加速したマキナが、巨大な鉄拳を振りかざして突撃する。 躊躇なく接近戦を挑もうとした辺り、少年にもそれなり以上の心得と自信はあるのだろうが……それは決して、サーヴァントの膂力に抗しうるほどのものではあるまい。 機械仕掛けの剛腕が、少年の防御ごと押し潰さんと迫り―――――――― 「させねぇなァ!!」 ――――当然の権利とばかり、割って入ったランサーの盾が拳を防ぐ。 大気を揺るがし鳴り響く轟音。 遅れて吹きすさぶ衝撃波。 大地に刻まれるクレーター。 槍と盾で武装したランサーが、拳の重さを確かめるように、ニィと笑みを見せた。 「お前の相手はこの俺さ、お嬢ちゃん! 光栄に思ってくれてもいいんだぜ?」 「…………――――のん。押し切ります」 力と力の押し合い。 しっかと大地を踏み締めるランサーと、魔力を推力に変換するマキナに大きな差異は無い。……この瞬間だけは。 スラスター、出力上昇。 勢いを増した魔力の奔流が、瞬間的にマキナの腕力を引き上げる。 魔力放出。 そう、彼女の推力は、魔力を変換して発生している。 ならばつぎ込む魔力の量を増やせば、推力が上がるのは当然の帰結。 故に成される剛力一閃。 均衡が崩れる。 天秤が傾く。 大柄なランサーが、盾の防御ごと大きく吹き飛ばされる。 もちろんこれだけでランサーを撃破できたわけではないが、彼のマスターを守る者がいなくなった。 この隙に改めて追撃を、と視線を少年へとスライドさせて――――その視界の端から、槍の一撃が振るわれた。 「!?」 防御は間に合う。 マキナの体は鋼鉄であり、その装甲は極めて分厚い。 反射的に槍を払いのけ……遅れて気付く。 槍に担い手がいない。 それは宙に浮き、追撃を阻むように浮かぶ盾と共に、独立してマキナを狙っている。 「これは…………」 宝具、あるいはなんらかのスキル。 宙に浮かんで自立駆動する“子機”、ということか。 そしてそれが、気付けばマキナを囲むように、三対。 槍と盾がそれぞれをカバーし合うように、合わせて六つ浮かんでいる。 これでは、敵のマスターを狙いに行けない。 どうする。 どうする。 どうする。 マキナは高い性能(スペック)を持つサーヴァントである。 名のある英霊と切り結ぶことになっても、そのパワーとスピード、そして装甲を押し付けていくことで、十分戦いになるだろう。 だが、英霊デウス・エクス・マキナの依り代になっているのは、年端もいかないただの少女である。 デウス・エクス・マキナ自体、強制的に物語をハッピーエンドに導く“舞台装置”であり、戦士ではない。 彼女は、戦士では無いのだ。 故に、迷う。 判断が遅れる。 優れた躯体を十全に操作することはできても、適切な対処を咄嗟に考えるのは不得手な少女。 どうする。 どうする。 どうする。 思考が堂々巡りを起こし、暗闇に包まれかけ―――― 「こっちは俺が片付けるッ!! 時間はかけねぇ、サーヴァントの方を頼むッ!!!」 ――――その暗闇を切り裂いたのは、マスターたる鉄志の声。 見れば彼は既に、少年との間合いを詰めている。 マキナとランサーが交差する一瞬で、既に接近を行っていたのだろう。 時間はかけない――――自身が敵マスターを打破する、という宣言。 使い魔たるサーヴァントからしてみれば、屈辱すら感じてもいい宣言。 だがマキナはその宣言を、優秀な道具として素早く咀嚼した。 「――あい、こぴー」 だから改めて、それを見る。 前を見る。 受け身を取って、眼前へと復帰した、敵サーヴァントを見る。 ランサー。 槍兵のサーヴァント。 顔立ちや装備は、マキナにとって非常に馴染みの深いもの。 きっと、あの時代のギリシャを生きた英霊。 「どうやらお互いの陣形は決まったらしいな、お嬢ちゃん?」 「お嬢ちゃん、ではありません」 自己改造を開始する。 冷静になれば。 目的が決定されたのならば。 それに向けて、この機体のスペックを十全に振るえばいい。 道筋が定まれば、マキナの判断は早かった。 そういうものなのだ。 この、デウス・エクス・マキナという装置は。 「クラス:アルターエゴ。機体銘:機密につき隠匿。製造記号:機密につき隠匿。当機には通称として『マキナ』が設定されています」 「機械(マキナ)、ね……見ての通りってワケだ」 装甲はより分厚く、鉄腕はより力強く。 速度よりも、パワーとタフネスに特化した形態へと、自らを作り替えていく。 既にマスターたちのことは、思考の外へと追い出している。 そんな余分なことを考えながら戦えるほど、マキナは器用ではないからだ。 今この場で、マキナに出来ることは酷く単純だった。 「――――――――これより、撃滅を開始します」 宣言と共に、スラスター加速。 本人たちは露知らずとも、奇しくも同じ時代を生きた英霊が二騎。 懐かしき地中海の香りを、互いに肌で感じ取りつつ。 「おもしれェ――――――――遊んでやるよ、マキナちゃんッ!!」 英霊の戦いが、始まった。 ◆ ◆ ◆ 「盾構えェッ!!!!」 ランサー……エパメイノンダスの鋭い号令と同時に、宙に浮かぶ三枚の盾――――“神聖隊”が重なり合うように、エパメイノンダスの前に移動する。 例え兵としての血肉を失おうと、宝具へと昇華された“神聖隊”は生前と同じく将たるエパメイノンダスの指示に忠実に従う。 エパメイノンダス自身が構える盾と合わせて、四重の防壁。 これに対してマキナが切ったカードは、本当に本当に、あまりにシンプルなものだった。 「スラスター出力全開、噴射時間調整、入射角算出完了――――突撃(チャージ)っ!」 もはやマキナの背丈と遜色ないほどに巨大化したくろがねの右腕。 背部と、右腕部に設置されたスラスターから魔力の噴出炎を吹かして、機械仕掛けの神は突撃を実行する。 そう――――突撃だ。 拳を握って真っ直ぐ駆け出す、正面突破の突撃だ。 それは全身をひとつの砲弾として射出する、あまりに愚直なスペックの押し付け。 あまりにわかりやすいその攻撃は、しかし猛烈な勢いで巨大な弾丸と化す。 前述の通り、マキナは戦士ではない。 けれど、それで十分なのだ。 戦士としての嗅覚を持たずとも、戦士としての手練手管を知らずとも、問題は無いのだ。 凄まじい轟音と共に、鉄拳が四枚重ねの盾に着弾する。 宝具にまで昇華された、“精鋭”の概念を纏う盾だ。 並大抵の攻撃であれば、テーバイ市民の誇りと恋人への愛情を燃料に踏みとどまって防ぎきることができるはずのものだ。 その鉄壁の防御が――――押し込まれる。 弾き飛ばされる。 殴り抜かれる。 競り負ける。 悪夢のような破壊力。 冗談のような推進力。 巨人のような突破力。 結果だけで言えば、先ほどの再演。 エパメイノンダスは盾を構えて突進を受け止め、マキナは強烈な突進力を以てその防御を突破した。 違う点は、互いの戦力。 エパメイノンダスは四重の防御で突進に備えた。 そしてマキナは、突撃に特化したカタチに自らを造り変えて貫いた。 互いに改善を行い、マキナの改善がより上を行った。 エパメイノンダスが勢いよく弾き飛ばされるのと同時に、突進後の隙を突くように浮遊する三本の槍がマキナに襲い掛かる。 だがそれも、マキナは対策済みだった。 肥大化した右腕を乱雑に振り回し、槍を弾いていく。 単純に――――装甲が分厚すぎるのだ。 いかに精兵と言えど、その槍に鋼鉄を切り裂くほどの威力は無い。 精々装甲表面にかすり傷をつける程度で、こうして軽く振り払ってしまえる程度の存在でしかない。 とはいえ、放置すれば急所を狙われる可能性もある。 潰せる内に数を減らして置くべきか――――そう判断し、巨大な手刀を振りかざして槍を狙い、 がん、と。 マキナの側面に、円盾の体当たり(シールドバッシュ)が叩きつけられる。 「っ!?」 ダメージはさほどでもない。 だが、一瞬体勢を崩してしまう。 エパメイノンダスは? まだ遠い。 盾だけだ。 盾だけが最速で、妨害に来たのだ。 エパメイノンダスの指示か? 違う。 気がする。 そうではない気がする。 早すぎる気がする。 宙に浮かぶ槍や盾の速度は、そこまで速いものではない。 突撃で殴り飛ばして、槍を払って、槍を狙うまでの時間は、そこまで猶予のあるものではなかった。 他の盾も来ている。 宙に浮かんだまま、それぞれが1本ずつ、槍を庇うように帰還している。 体当たりを仕掛けてきた盾を、鉄拳で砕こうとして――――今度は槍が割って入る。 まるで盾を守るように、マキナの右肩目掛けて飛んでくる。 再び装甲で弾いたものの、意識がそちらに持っていかれる。 盾は射程内に退避し、槍と共に浮遊している。 「――――…………これは……」 違和感がある。 恐らくは、エパメイノンダスの指示に従い、けれどある程度は自立駆動する子機の軍勢。 そういう性質の武装。 であろうはずなのに――――これらは、そう。 「お互いを、守っている……?」 まるで彼らは意志を持ち、お互いを慈しむように――――お互いを、守り合っている。 そういう動きを、“彼ら”はしている。 意志持たぬ槍と盾に過ぎぬというのに、そうしている。 戸惑いと分析。 分析と戸惑い。 マキナの攻撃の手が止まり、エパメイノンダスが再び、前線に合流する。 「麗しいもんだろ?」 負傷らしい負傷は、見受けられない。 うまく受けているのだろう。 大仰に吹き飛ばされているのも、衝撃を逃がした結果のそれなのかもしれない。 「こいつらは、“愛し合って”たのさ。 そーいう軍隊だったことを、肉体を失っても覚えてんだ」 テーバイの神聖隊。 三百人の恋人たちからなる、ギリシャ最強の歩兵集団。 その伝説は、その愛情は、エパメイノンダスの宝具となって血肉を失ってもなお、機能として残った。 ただの槍と盾となっても、彼らはお互いを愛し守り合うことを覚えている。 エパメイノンダスが心から信を置く、強く美しい軍勢のカタチ。 「今ので、お前の基本戦力はおおよそ把握した。……もうちょっと付き合ってもらうぜッ!!」 裂帛、エパメイノンダスが槍を突き出す。 彼は将にして、一流の戦士でもある。 その鋭い突きはしかし、当然と言わんばかりにマキナの鉄腕に阻まれた。 阻まれて、エパメイノンダスはすぐさま退いた。 槍の間合いを生かし、鉄腕の間合いの外から攻撃して離脱する。 好機だ。 愚策だ。 少なくとも機動力という点で、魔力放出によるスラスター機動を有するマキナはエパメイノンダスのそれを圧倒的に上回っている。 多少距離を取ったところで、マキナにとってそれは突進に必要な助走距離が確保されたことを意味する。 すぐさまスラスターで加速し、再び鉄拳を叩きつけてやろう、 マキナがそう判断したのと同時に、宙に浮かぶ神聖隊が素早く槍を突きこんでくる。 厄介なタイミング。 歯噛みしながら防御し、反撃――――しようとする頃には、その槍は盾に守られながら距離を取っている。 そしてまた別の方向から、槍が。 繰り返し、繰り返し、それが行われる。 三組の神聖隊とエパメイノンダスが、入れ替わり立ち替わりにヒット・アンド・アウェイで攻撃を仕掛けてくる。 反撃・追撃に移ろうとすれば、その瞬間に別の兵が妨害を差し込んでくる。 軍略と呼ぶにはシンプル過ぎる、しかし呆れるほどに有効な、統制の取れた連携。 数と間合いの優位を十全に生かした、集団によるヒット・アンド・アウェイ。 ――――ならば。 マキナは、跳んだ。 正確には、飛んだ。 スラスターの出力を調整し、直上へと飛翔する。 マキナを囲んでいた兵隊たちも、こうなってしまえば全員が“下”の一方向。 宙を浮かぶ神聖隊たちは飛翔するマキナにも問題なく攻撃を加えるだろうが、それが一方向からのそれなのであれば問題はない。 「背部及び脚部スラスターを滞空モードに移行、関節部アタッチメント修正、腕部スラスター出力120%――――!!」 そして今度はいちいち、自ら下に飛び込むようなことはしない。 高所という地の利を、最大限に生かしたまま攻撃を行う。 エパメイノンダスが槍を逆手に構える。投槍の構え。 弓引くように引き絞られたそれはしかし、無意味だ。 これはもはや、そんなものでどうこうできるほどの質量ではない。 そしてもう、間に合わない。 それを察したのか、エパメイノンダスは槍を投げ捨て、神聖隊の盾を重ねて防壁を作る。 それももう、意味を成さない。 「――――――――――――――――発射(ファイア)ッ!!!」 掛け声と同時、マキナの鉄腕が魔力を噴出させる。 肘から先が分離し、スラスターで推力を得て力強く地上のエパメイノンダス目掛けていく。 例えるならば、鋼鉄の彗星。 これ即ち、ロケットパンチ。 高空からの大質量が、無慈悲にも地表へと着弾。 轟音、地鳴り、地揺れと共に、公園の地面に巨大なクレーターができあがり、猛烈な勢いで砂煙を噴き上げた。 例え攻撃目標が城門であったとしても、間違いなく破砕可能であるほどの威力。 帰還した鉄腕を腕部に再連結してからゆっくりと地上に降下したマキナは、勝利を確信し―――――――― 「――――――――――――これで王手(チェック)だぜ、機械のお嬢ちゃん」 ――――――――晴れた煙の中から現れたエパメイノンダスは、不敵な笑みを浮かべていた。 ◆ ◆ ◆ 高乃河二は、苦戦を強いられていた。 「どうした。そんなもんか?」 「ぐ……っ!!」 前蹴り。 掌打。 胸倉への掴み。 裏拳。 タックル。 足払い。 打突。 一切の淀みなく、怒涛の勢いで繰り出される攻撃――――これ全て、雪村鉄志のものである。 すさまじい連撃だ。 河二はそれらをどうにか受け流しながら、舌を巻いていた。 ひとつ受ければそのまま次が。 ひとつ流せばそのまま次が。 ひとつかわせばそのまま次が。 容赦も継ぎ目も猶予もなく、濁流の如き攻め手の数々が河二を追い詰めている。 「中々うまく受けるもんだが、守ってばっかじゃ勝てねぇぞ、坊主」 「よく言う……!!」 通常、攻撃の瞬間とは最も隙が生まれる瞬間でもある。 河二の扱う太極拳は受けを得意としており、敵の攻撃を受け流すと同時に反撃を入れることで敵を制圧することが基本となる戦術。 故にこそ、本来であれば防御と同時に反撃を入れるべきなのだが…… 鉄志の異常なまでの攻性連撃は、河二から反撃の余地を全て奪い尽くしていた。 無いのだ。 反撃の余地となる瞬間が。 もしも河二が反撃を試みようとすれば、その瞬間に鉄志の必殺が河二の反撃ごと意識を刈り取るだろう。 徹底した先制攻撃が、何もさせてくれない。 これこそ、対魔逮捕術の神髄。 公安特務隊が開発した、魔術師を打倒するための格闘技術。 相手に反撃も対応も許さず、先の先を取り続けることで無力化する超攻撃的武術。 この攻撃の嵐を前に、河二はよく持ちこたえている方だと言っていい。 河二の戦闘力は、磨き上げた拳法の技術と、生態義肢礼装『胎息木腕』による高効率の自己強化に由来するものだ。 だがその特性すらも、今は発揮できていない。 呼吸を整える余裕が与えられていないのだ。 通常の三倍の効率で気を練り上げることを可能とする両腕は、しかし呼吸の隙そのものを与えられなければ意味を成さない。 息が詰まる。 怒涛の攻撃を前に、溺れてしまいそうだ。 あるいは敵の攻撃に合わせ、あえて吹き飛ぶように距離を取る手も考えはしたが……初手の速射回路による攻撃が、その選択肢を牽制していた。 今は防御だけに集中しているから、隙を晒すことなく耐えられている。 だが少しでも色気を出そうとすれば、その瞬間を鉄志は見逃さないだろう。 そのイメージを既に、河二は色濃く印象付けられている。 先の先による、反撃の封殺。 後の先による、反撃の棄却。 数多の犯罪者と交戦し、これを無力化してきた鉄志の研ぎ澄まされた戦闘嗅覚は、実戦経験に乏しい河二を完全に封じ込めていた。 強化の魔術を含めた戦闘魔術師としてのスぺック自体は、河二の方が上だろう。 十分に気を練り上げる猶予さえあれば、河二の身体スペックは鉄志のそれを容易に上回る。 しかし、そうはならない。 そうはさせない。 海千山千の魔術師を、その実力を発揮させることなく無力化してきた技なのだ。 しかし同時に――――鉄志もまた、焦っている。 思ったより、粘られている。 一ヵ月前の河二なら、既に鉄志の攻撃を防ぎきれずに倒されていたかもしれない。 だが歴戦の勇将エパメイノンダスとの修行や、予選期間中に経験した魔術師との戦いは、彼に急速な成長を促していた。 元より十分な才と技術を持っていた少年である。 それがこの聖杯戦争という特殊な空間で、短期間に経験を積み重ねているのだ。 例え百戦錬磨の鉄志のそれには遠く及ばずとも、耐えるだけなら可能な程度の実力を今の河二は備えている。 河二はよく持ちこたえている。 対魔逮捕術を前にして、防戦一方と言えどこれほど耐えられていることがまず脅威。 体力勝負となれば、若さと礼装による補助の分、河二の方が有利だろう。 そしてもうひとつの懸念が、サーヴァントである。 鉄志は知っている。 マキナは、恐ろしく燃費が悪い。 サーヴァントとして優秀なスペックを持つ彼女ではあるが、残念ながらそのスペックは短い稼働時間の引き換えに実現しているものなのだ。 長時間の戦闘を、彼女はすることができない。する方法を知らないのかもしれない。する気も無いのかもしれない。 現に今も、躊躇なくなけなしの魔力を吐き出して交戦していることが鉄志にはわかる。 なにせ魔力のパスで二人は繋がっていて、マキナの支払う魔力は鉄志から供給されたものなのだ。 このままでは遠からず、マキナは燃料切れを起こしてしまうだろう。 それを見越して速攻を仕掛けるつもりだったのだが、河二の粘りがそれを許さなかった。 時折捌ききれなかった拳が、河二の肩口を穿つ。 時折受けきれなかった蹴りが、河二のふくらはぎを叩く。 こうして少しずつ、鉄志の攻撃は河二の防御を掻い潜ることがある。 だが、それだけだ。 致命的なダメージに繋がるような攻撃は全て、紙一重のところで捌かれている。 いずれは鉄志の必殺が河二を捉えて勝利を収めるのだろうが、そのいずれが遠すぎる。 河二も必死だということはわかるが、鉄志もまた必死だ。 早急にこの少年の意識を刈り取り、戦闘を終わらせなくてはならないのだ。 「この技に覚えがあるか、と聞いたな坊主」 故に鉄志は、口を開く。 攻め手を緩めないままに、会話によって隙を伺わんとする。 一瞬でも河二が隙を見せれば、そこを突いて勝利を奪えるのだから。 「仮に覚えがあったとしたら、どうするんだ?」 鉤突き。回し受け。 肘打ち。ガード。 掴み。パリング。 攻防の中で、その問いを発した瞬間、河二の心が僅かに冷えたことを鉄志は感じた。 「――――――――父の仇を討つ」 短い返答は、あまりに雄弁だった。 隙には繋がらない。 その殺気は常に、彼の中で研ぎ澄まされているであろうもの。 それを少し鞘から覗かせたところで、隙となるほどのものではない。 むしろ動揺したのは、鉄志の方だった。 長年の実戦で鍛え上げられた戦闘論理は、多少の動揺で鈍らない程度には体に染みついている。 だがそれでも少し、言葉を失った。 父の仇。 殺されたのだろう。 誰かに。 父から受け継いだ武術を、僅かな手掛かりとしているのだろう。 彼の父を殺した者は、きっとその技を知っているはずだから。 やめておけ――――などと、言えるはずもなかった。 愛する家族を失う痛みは、鉄志にもわかった。 なによりたった今殺し合いをしている相手が、そんなことを言っても滑稽なだけだ。 そしてここまで来て、戦闘の手を止めるわけにも行かない。 格闘戦には慣性があり、これをピタリと止めることはとても難しいことなのだ。 故に鉄志はここで、わざと一瞬だけ攻め手を緩めた。 河二はその一瞬を見逃さなかった。 問答による動揺で、隙が出来たものだと判断した。 「――――悪いな」 そしてそれが罠であることに気付いた時には、河二の身体は既に宙を舞っていた。 河二の反撃。 それを掻い潜り、胸倉を掴んで繰り出されるは一本背負い。 美しく淀みない動きで投げられた河二が、勢いよく地面に叩き付けられる。 肺の中の空気が全て飛び出した。 声にならない悲鳴が上がる。 遠くで轟音。 サーヴァントたちの戦いも大詰めなのだろうか。 だがそれも、ここで終わる。 河二の意識を容赦なく刈り取るべく、地面に倒れる河二目掛けて拳が振り上げられて。 ――――――――――――鋭い投槍が飛来し、河二と鉄志の間を切り裂いた。 「なっ!?」 鉄志が距離を取る。 取らざるを得ない。 槍は二人の間を通り抜けた後に減速し、宙に浮かんだままに河二の傍に移動した。 少し遅れて、こん棒の図像が描かれた円盾が河二に侍る。 それはさながら、主を守護する近衛のように。 鉄志は理解した。 これが敵サーヴァントの支援であるということ。 そして、まずいことになったということを。 ◆ ◆ ◆ なんのことはない。 ここまで全て、エパメイノンダスが描いた絵図の通りである。 河二と鉄志は、条件と相性の問題で鉄志が優勢になると把握できていた。 しかしそれが決定的な差ではないことも、エパメイノンダスとマキナの戦いがある程度膠着することも理解できていた。 二つの戦場は互いに膠着し、勢いよく魔力を垂れ流すマキナの魔力が枯渇するのが先か、鉄志が河二を捉えて無力化するのが先か。 ――――というのが、順当に戦う場合の決着になるだろうということを、エパメイノンダスは戦いながらに把握していたのだ。 将とは常に戦場を俯瞰して把握するもの。 不敗の将軍たるエパメイノンダスにとって、戦いながらに二つの戦場を観察するなど児戯にも等しいことである。 そして観察で得た演算結果を元に勝利を手繰り寄せるのが、軍略というものであった。 マキナのロケットパンチを受ける直前、エパメイノンダスが投げ捨てた槍は神聖隊であった。 投棄すると見せかけて河二を援護するよう命令され、そちらへと投げ込まれていたのだ。 河二と鉄志は鉄志が優勢だが、その差は決定的なほどではない。 ならば神聖隊という援護が加わったことで、一気に天秤は河二の方へと傾くだろう。 ちなみに撃ち下ろされるロケットパンチは、盾を重ねて衝撃を分散させ、回避していた。 正面から鉄拳を受けるのではなく、衝撃を分散させるように防御させ、勢いを削いでいたのだ。 あれだけの威力の攻撃、まともに受ければ盾ごと破壊されてしまっただろう。 それでも回避の暇を作る程度のことなら、神聖隊の盾を損なわずとも実行できた。 「これで王手(チェック)だ。お前のマスターは中々の戦士だが、助太刀を二人も加えれば流石にこっちが勝つからな」 「っ、ま、ますたー……!!」 「おっと、逃がしはしないぜ」 咄嗟に救援に向かおうとするマキナを、槍の一撃が阻む。 無防備に背中を晒せば、その背を貫くと言わんばかりに。 「――――――――切れよ、奥の手を」 そして――――不敗の将軍は、唆すのだ。 「…………!!」 「まだ王手(チェック)だ。詰み(チェックメイト)じゃねぇ。このままやるなら俺達の勝ちだが、お前たちにもまだ選択肢がある」 自信に満ちた、不敵な笑み。 己の勝利を微塵も疑っていないかのような、不遜な笑み。 例え何が立ちはだかろうと、問題なく対処してみせるという自負に満ちた笑み。 「あるんだろ、お前にも……伝承の核となるような、宝具がッ!!」 歌うように、高らかに。 古代ギリシャ世界において将とは市民であり、市民とは政治家であり、政治家とは弁論家であった。 故にエパメイノンダスは、心得ている。 言葉によって人を動かす技術と、その有用性を心得ている。 「さぁ、見せてみろよッ!!! じゃねぇとお前ら……ここで負けちまうぜ?」 「う、あ、あ、ま、ますた…………っ!!」 どうする。 どうする。 どうする。 切り札は――――ある。 当然ある。 英霊デウス・エクス・マキナの第二宝具。 マスターを鎧う漆黒の外骨格。 燃費問題を解決し、マスターに絶大な力を与える、神機融合モードへの移行。 間違いなくこの状況に適した、強力な宝具である。 だが――――――――いいのか。 それを今ここで切って、いいのか。 わからない。 マキナにはわからない。 視界の端では、鉄志が三対一の戦いを強いられている。 鉄志の攻撃は円盾に阻まれ、そこで生じた隙を槍と河二に突かれて攻撃を受けている。 反撃を許さない怒涛の攻撃も、相手に防御役がいるのであれば意味を成さない。 助けなければならない。 けれど、助けに行けない。 助けに行こうとすると、エパメイノンダスに襲われる。 どうする。 どうする。 どうする―――――――――――― マキナの思考がまた、混乱の渦に飲み込まれそうになったその時に。 「――――――――そこまでだ」 ――――――――――――禍々しき二発の大きな魔力弾が、突如として飛来する。 「うおっ、新手か!?」 戦場の時が止まる。 鉄志を攻め立てていた河二も、マキナを責め立てていたエパメイノンダスも、なんとか攻撃を裁いていた鉄志も、判断に迷っていたマキナも。 それぞれの中間に飛来した魔力弾が地面を抉り、攻防の一時中断を余儀なくされる。 間違いなく、この場にいた四人による攻撃ではない。 ならばこの攻撃の主は何者かと、全員の視線が公園の入口へと向かう。 そこにいたのは、修道服に身を包んだ、黒髪の少女。 傍らにサーヴァントの姿はない。 けれど――――けれど。 ぞわ、と。 得体も知れぬ嫌悪と威圧が、空間に滲みだす。 ぶぶぶ、と音がする。 それはなんだか、蝿の羽音に似ているような気がした。 「君は………………」 戦いの手を止めた河二が、油断なく……否、余裕なく構えを取ったまま、少女を見据えている。 気圧されているのだ。 少女が伴う、悍ましい気配に。 体中から汗が噴き出し、体温が下がっていく感覚。 その感覚を、エパメイノンダスも、雪村鉄志も感じ取っている。 精神干渉を受け付けないマキナだけが、この場で唯一威圧を感じ取っていなかった。 「…………あんたら」 少女が口を開く。 それでわかった。 彼女ではない。 この醜悪な威圧感を振りまいているのは、この修道服の少女ではない。 彼女の声にはいくらかの怒気こそ含まれてはいたが、彼女の周囲に漂う激しい嫌悪を直接孕んではいなかったからだ。 ならば、この威圧感の正体は? そんなこと、少し考えればわかる。 「人んちの前で派手にドンパチやるんじゃない。ここは神の家のお膝元だ……主に救いを求める子羊たちを導くための場所だ」 蝿の羽音が、大きくなる。 嫌悪と威圧が、比例するように膨らんでいく。 「これ以上ここで事を構えようって言うなら…………“アサシン”。次は当てていいぞ」 ――――アサシン。 気配を断ち、彼女の傍らに潜んでいるのであろうサーヴァント。 この嫌悪感の主。 この威圧感の主。 この蝿の音の主。 あの魔力弾の主。 姿を見せぬままに、周囲を威圧するサーヴァントはどのようなものなのだろう。 過大評価はすべきではない。 実態以上に大きく敵を見積もってしまうのは、愚策を呼ぶ。 けれど過小評価は、もっとするべきではない。 実体以上に小さく敵を見積もってしまうのは、破滅を呼ぶからだ。 ……真っ先に矛を納めたのは、雪村鉄志だった。 「――――やめとこう。元々吹っ掛けられた側だしな、こっちは」 両手を挙げて、無抵抗のポーズ。 油断なき瞳は河二や少女を見据えてこそいるが……それは不意打ちに対する当然の警戒であろう。 「退くぞ、嬢ちゃん」 「ま、ますたー。でも…………」 「でもじゃねぇ。……実際、一旦この辺が潮時だろ。これ以上は見せ過ぎだ」 「…………………………あい・こぴー。了解しました、ますたー」 己の従僕を説き伏せて、じりじりと慎重に合流する。 河二もエパメイノンダスも修道服の少女も、そこを狙うようなことはしなかった。 「……高乃っつったか。お前も、それでいいかい」 「…………………恐らく貴方は、高乃の技を知らない。 これが聖杯戦争である以上は本質的に敵だが、優先して戦うべき相手ではないだろう。 だがこのまま退くというのなら、貴方の名ぐらいは聞かせてもらいたいところだが、いかがか」 「……………雪村鉄志。しがねぇ私立探偵だよ」 「当機のことはマキナとお呼びください」 そう言い残して、一人と一機は素早くその場を去って行った。 やはり誰も、その背を撃つようなことはしなかった。 …………最もそんなことをしようものなら、鉄志から手痛いしっぺ返しを受けたのは間違いあるまい。 その程度の用心をしない人物とは、到底思えなかった。 そうして鉄志たちが去った後、残されたのは河二とエパメイノンダスと、修道服の少女と、威圧感の主。 少女と河二はしばらく視線を交わした。 相手の出方を伺うような、緊迫した視線。 どれほどそうしていたか、ゆっくりと……侍らせる威圧感を和らげながら、しかしやはり不機嫌そうに、少女の方が口を開いた。 「こんなところで会うとはな――――――――転校生」 「……僕も相応に驚いているよ、琴峯さん」 修道服の少女は、この公園の少し先に位置する琴峯教会の主、琴峯ナシロであり――――河二はこの少女のことを、知っていた。 ◆ ◆ ◆ 二人の関係を説明するのは、酷く簡単なことである。 いや、正確に言うならば、彼らの間に関係と呼べるほど深いものは存在しない。 ただ、転校生――――その情報が彼と彼女とを繋ぐ情報の全てであった。たった今までは。 高乃の家は本来、山梨県に居を構えている。 これは自然との合一を目指す高乃の魔術にとって、開発された都心部よりも自然の多い土地の方が適しているためである。 故にか、この時計仕掛けの偽りの東京において、河二に与えられた役割(ロール)は“上京してきた一人暮らしの転校生”であった。 四月の新学期という時期故に、このロールはさして違和感もなく周囲に受け入れられた。 そして河二が転校してきたクラスこそ、琴峯ナシロがいるクラスだった。 ただ、それだけのことだ。 二人はお互いが聖杯戦争の参加者などとは露ほども思っていなかったし、この一ヵ月で特に関わることも無かった。 河二はあまり人付き合いをするタイプではなかったし、ナシロは教会の仕事で多忙を極めていたためだ。会話らしい会話など一度もしていない。 その内に学校が聖杯戦争の余波で休校となり、とうとう完全に顔を合わせることもなくなった。 本当にただそれだけの、関係と呼べるほどのものでもない間柄だったのだが…… 「で…………何があったんだよ、転校生。話してみろ」 「転校生、ではない」 「は?」 「僕の名前は高乃河二だ。 一族から受け継いだ大切な姓と、父から与えられた大切な名だからな。 そういった代名詞で呼ばれるのはあまり好きではない。できれば姓名のどちらかで呼んでほしい」 「…………なるほど。そりゃ確かに私が悪いな。すまん、高乃」 「ありがとう。構わない」 そんな前置きを挟んでから、河二は事の経緯をかいつまんで説明した。 鉄志が魔力の痕跡を追っていたこと。 自分たちはそれを追跡したこと。 ここで追跡がバレて交戦したこと…… 「……ちなみにあの魔力の痕跡だが、琴峯さんに覚えはあるか?」 「…………………………………ある」 「そうか……なら気を付けた方がいい。痕跡を完璧に消すのは難しいが、程度問題というものがある」 「ああ……そうだな。次からは気を付けるよ」 魔力の痕跡、とは言ったが……実際のところそれは、大雑把に行使した魔術の破壊痕を、大雑把に形だけ修復したかのようなそれだ。 魔術を使って痕跡を隠すとなると、痕跡を隠す魔術の痕跡が残ってしまう……というような事情はあるが、それにしたって気を付けるに越したことはない。 私は魔力を使ってここを修復しましたよ、という事実を隠す気配もない痕跡は、少し注意深い者ならすぐに気付く。あの鉄志という私立探偵のように。 「で、それより――――――――どうするんだよ、高乃」 ナシロが纏う威圧感は、既に消え失せていた。 だがナシロの瞳は、油断なく河二を見据えていた。 それは十分に、相手を聖杯戦争参加者と認めた視線であった。 「どうする、とは?」 「吹っ掛けたのは、あんたからなんだろ。…………私にも、吹っ掛けるのか?」 ――ならばそれは、いつ戦いになってもおかしくないということ。 ナシロは油断していない。 威圧感を消した彼女のアサシンは、今もどこかに潜んで主の命令を待っているのだろう。 ストレートなナシロの問いは有無を言わせぬものがあり、返答次第では今から殺し合いになるということを、十分に覚悟しているように感じられた。 …………とはいえ、河二の返答は決まっている。 「いや――――遠慮したいところだ」 「へぇ?」 「単純に連戦は避けたい。積極的に戦う理由も無い。……それに、君の言葉は正しい」 河二は両腕の義手に、偽装をかけ直した。 霊木から作られたそれが、リアルな生身のテクスチャを貼ってその正体を隠ぺいする。 偽装をかけたということはつまり、矛を収めるということだ。刀を鞘に入れる行為に近い。 「――――ここは、救いを求める人たちが集まる場所だ。万が一にも飛び火させるわけには行かないだろう」 結界によって、公園の内外を隔てているとはいえ。 激戦の余波が周囲に及ばない保証はどこにもないし、公園の中に“勘のいい”者が迷い込む可能性もゼロではない。 そして、そうあるべきではないと河二は思う。 河二は見ず知らずの他者に手を差し伸べるほどの善人ではないが、見ず知らずの他者が救いを求めることを尊重する程度には善良なのである。 ナシロはその答えにある程度の納得を得たようで、ふぅん、とやや意外そうに頷いていた。 「迷惑をかけたな、琴峯さん。後始末は僕がやっておこう」 「ん。いや、いいよ。流石にあんたにだけやらせるわけにも行かないだろ?」 「大丈夫だ。謝罪の意味もあるし……キミには教会の仕事があるだろう」 「う゛」 それを言われると、ナシロは弱い。 実際問題、昼休憩の延長で抜け出してきてはいるが、琴峯教会の人手は全くと言っていいほど足りていないのだ。 今すぐ戻って教会の仕事ができるのなら、どう考えてもその方がいい。 ナシロからすれば忙しい仕事でしかないそれらは、教会に集う信者たちからすれば耐えきれないほどの苦痛と祈りなのかもしれないのだから。 「…………わかった、任せる。悪いな高乃」 「構わない。気にしないでくれ」 それきり、踵を返して去っていくナシロの背中を、彼女が教会に入っていくまで見送ってから……今まで静かにしていたエパメイノンダスが、口を開いた。 「――――良かったのかよ、マスター?」 「何がだ?」 「あの子がマスターの親父さんの仇である可能性を切っちまって良かったのか、って話だよ」 エパメイノンダスはいつの間にか鎧を脱ぎ、シャツの上に革ジャンを羽織っている。 現世の街を歩きたいと言うエパメイノンダスが、河二に頼んで買ってもらったものだ。 ともあれその問いには、なんだそんなことかと言わんばかりに、多数の破壊痕の残る公園の修復を開始しながら、河二は答えた。 「構わない。……父さんの仇にしては、痕跡の隠し方が杜撰すぎる。彼女がもしそうなら、僕はもっと早く下手人に辿り着けていたはずだ」 色々と理由はあったが、決定的なところはそれ。 あの大雑把な痕跡の隠し方であれば、父の仇はすぐに見つかったことだろう。 そしてまだ見つかっていないのだから、彼女は父の仇では無い。 信者の安全を想い、学校でも真面目な人物として慕われていた彼女が父の仇とは思えない、という部分も無いではないが…… ……人格は判断の際、あまり考慮しないことにしていた。 人は嘘をつき、装うことができるし、例えば教会の代行者などであれば、魔術師であった父と善良なままに敵対していた可能性も十分にあり得るからだ。 同様に年齢なども考慮しない。 魔術の世界では百年を生きる老人が若者を装うことも、十代の若者が恐るべき戦闘能力を持つことも無い話ではない。 故に河二は、太極拳の技で問い、確かめる。 命を賭した戦いの中で、経験にしらを切るのは難しい。 その点、あの鉄志という男は巧みに河二を封じ込めていたが……あれは単に、膨大な戦闘経験で類例的に対応しているだけのように思えた。 直接、高乃家の太極拳と組み合った経験があるようなそぶりではなかった。 手を合わせれば、感覚でそのぐらいのことはわかるのだ。 「……貴方こそ、良かったのか?」 「なにがだよ」 「戦闘自体は、貴方が盤面をコントロールして有利に立ち回っていたように思う。その有利を捨てた形になるが」 一方で、乱入者によって有利を手放す形になったことを、河二は少し気にしていた。 それは勝利を逃したことへの不満というより、エパメイノンダスの奮戦が無駄になってしまったことを残念に思っている、という風ではあったが。 けれどエパメイノンダスはいつものように、からからとそれを笑い飛ばした。 「わはははは!! なぁに、勝負の女神は移り気で、気まぐれに止まり木を変えるもの! あのままやったって、勝てたとは限らねぇよ。ちょいと惜しくはあるがな!!」 惜しいとは言いつつも、特に惜しむほどの後悔も不満も無いというのは明らかである。 こういった大雑把さ、よく言えば豪快さは、この一ヵ月で慣れたものではあるが…… 「…………貴方は生前、不敗だったことを誇っていたように思うのだが」 負けを知らずに死ねたことを喜び、彼は果てたはずだ。 英霊として召喚された今だって、不敗の将軍という栄光を自慢げに語っていたのだが。 けれどエパメイノンダスはやっぱり、それすらも豪快に笑い飛ばす。 「ありゃあ運が良かっただけだよ!! もちろん俺だって負ける気はねぇが、頭のどっかでいい負け方を考えられねぇ将軍は出来損ないだぜ。 だいたい、小競り合いで退くぐらいのことは俺だってやったからな。勝つべきところで勝てばいいんだよ。 向こうはまだ宝具があったからなァ。そこまで見えれば、確実な勝ち筋を組み立てられたんだが……」 「ああ……それで、あのサーヴァントに宝具の使用を煽っていたのか」 「おうとも。敵の手札を見て、対策を立てて、追い詰める。それが軍略ってもんだろう。 だからマスターも、奥の手はちゃんと用意しとけよ。手札が全部割れた時が、そいつが負ける時だからな」 「………………その割には、あの竜牙兵と戦った時には躊躇なく宝具を切ったと記憶しているのだが……」 「あれはしょうがねぇ!! だって竜牙兵だから!!! しかもあれ……“本物”かもしれないんだぜ!?」 「それはもう何度も聞いたが……」 ……そう。 先日、幼い少女が率いる数体の竜牙兵と交戦した時、エパメイノンダスはかなり高揚した様子を見せた。 何事にも執着しない彼にしては珍しい態度だ。 そのまま宝具の展開まで躊躇なく行ったのだから、相当だろう。 後で問い質してみれば、納得はできた。 竜牙兵(スパルトイ)――――神話においてテーバイ建国の王カドモスが創造した、竜の牙から生まれた兵士。 そして彼らスパルトイは子を産み、テーバイ人の祖先となったのだ。 つまりエパメイノンダスからすれば、神話に語られるご先祖様と対面した格好となる。 あれはスパルトイそのものがサーヴァントだったのか……あるいはテーバイ建国の王、カドモスが呼び出したものなのか。 遥けき父祖よ照覧あれと、エパメイノンダスは高揚のままに神聖隊を呼び出した。 果たして、伝わっただろうか。 宝具を開示するということは、その真名を開示するに等しい行為だ。 もしもこの戦争にカドモスがいるというのなら、会ってみたいと彼は思っている。 子供の頃からその神話を聞いて育った、親愛なるテーバイの、敬愛する英雄と会えるかもしれないなんて、なんと素敵なことだろうか。 ……まぁそのために不要な犠牲を払うほどでもないと思っている辺り、やはりエパメイノンダスは何事にも執着しない人物ではあったのだが。 「ともあれ、あの感じなら一時的な同盟も視野に入れてもいいかもしれんな。テツジとマキナとは」 「……この出会い方でそれが可能なのかはやや疑問ではあるぞ」 「別に行けるだろ。俺達のスタンスは明確で、絶対に相容れないワケでもない。 昨日の敵が今日の友になるなんて、戦争じゃ珍しいことでもないぜ。それに、言ったろ?」 雑談とも作戦会議とも反省会ともつかぬ会話を交わしながら、公園の修復を進めて行く。 改めて、凄まじい破壊痕だ。 公園にはいくつもクレーターが発生し、戦いの余波でベンチが粉砕されている。 ……多少は初歩的な魔術で修復することもできるが、流石に限度もありそうだ。 確かにそれほどの攻撃力を持つあのサーヴァントを一時的にでも味方にすることができれば、頼もしそうでもあるし…… 「…………彼の話か」 「そう。お前にもわかったはずだぜ。 目を見りゃわかんだよ大体……多分あれなら、手を組む目はある」 「まぁ…………そうかもしれない。彼のあの瞳は――――――――」 ◆ ◆ ◆ 「……申し訳ありませんでした、ますたー」 あの公園から離れて、すぐに。 手足を元通り、少女の大きさに整えたマキナは、まずその言葉を口にした。 マスターへの謝罪。 ……理由は言うまでもなく、己の不甲斐なさに対してだろう。 「いや……あれは相手が上手だった。俺も場数には自信があったが、流石に本職の将兵となると違うな」 それをフォローするように、鉄志は苦笑する。 悲しげに目を伏せるマキナの頭を……そっと撫でようとして、やめる。 手を伸ばした瞬間、娘の顔がフラッシュバックした。 けれど彼女は、娘ではない……鉄志が失った娘の代わりではないのだ。 行き場を失った手が、誤魔化すように自分の首を掻く。 「…………ま、例の第二宝具……アレを使っちまうハードルはもうちょっと下げてもいいかもしれん。 嬢ちゃん、今ので結構消耗しただろ。大丈夫か?」 「………………………のん、いえす。ごめんなさい……」 参った。 気を遣ったつもりだったが、かえって落ち込ませてしまっている気がする。 泣き出しこそしていないが、かなりショックを受けている様子でもあった。 自認として“道具”である彼女にとって、有用性を示せなかったという事実は相当重いものとしてのしかかるらしい――――役に立たなかったなどと、鉄志はまったく思っていないのだが。 だが、それをどう伝えたものか。 子供の相手は、難しい。 いなくなってしまった娘のことを、どうしても思い出してしまう。 あの頃娘に対しては、どう接していたっけか。 マキナが娘の代わりではないことを理解していても、どうしても、脳裏を過るものはある。 「しかし、収穫もあったな。 あの魔力痕の主は多分、乱入してきたシスターの嬢ちゃんだ。生憎サーヴァントの姿は見えなかったが……」 だから苦肉の策のように、鉄志は聖杯戦争の話題を振る。 この話題であれば、彼女を娘と重ね合わせることはない。 マキナも落ち込みながら、努めて冷静沈着であろうとして、どうにか態度としては平静を装い始めた。 「……くえすちょん。そうなのですか?」 「ああ、多分な。多分あれは……“試し撃ち”かなんかの痕だろう。 マスターの方は、ありゃ魔術師としては素人だ。雰囲気でわかる」 恐らくは、巻き込まれた一般人。 立ち回りに、神秘の世界を生きる者特有の“欠落”が感じられないのだ。 神秘の世界に生きる者には決まってどこか、非日常を受け入れて暮らすための“欠落”がある。 それはある種の適応であるとか、覚悟とか、場合によっては諦念と呼んでもいい部類のものだ。 その欠落も決して悪性のものであるとは限らないが……端的に言えば、“カタギっぽい”というのが鉄志の琴峯ナシロへの評価である。 「琴峯教会、ね……覚えておいた方がよさそうだな」 拠点となる建物の名前まで把握できていれば、いくらか経歴を追っていくこともできるだろう。 …………明らかに未成年の少女の経歴を追うことに抵抗を覚えないことも無かったが、最低限の備えということで許してほしい。誰が許すんだろう。自分かな。 「後は……あのランサーみたいに、嬢ちゃんに服を買っとくのもいいかもな……」 「? 人目を避けたいのなら、霊体化すれば問題ないと思いますが」 「………………いやそうなんだが……」 だって嬢ちゃん、急に出てくるだろ……とは言い出せない鉄志である。 手を覆うほどに長い袖で、裾の長いワンピースでも着せれば、鋼鉄の手足も誤魔化せるかもしれない。 ……なおさらに娘を想起させそうで、そういう意味では気乗りしない話ではあったが、だからと言ってこういったものに制限をかけるのも何かが違うだろう。 あとは――――あとは、あの少年か。 少年。 高乃河二。 父の仇、と言っていた。 そのことに思うところが無いと言えば、嘘だろう。 そういったものに敏感だったからこそ、鉄志は警官という仕事をやっていたのではなかったか。 またどこかで会えば、戦うことになるのだろうか。 優先して戦う敵ではないと言っていたが、本質的に敵だとも言っていた。 ナシロとは逆に、魔術師として適格な“欠落”の持ち主であった。 敵と味方を切り分け、恨みが無くとも殺傷が可能な精神性――――カタギではない、ということだ。 それこそ年の頃は、ナシロとそう変わらないであろうに。 あるいはその欠落は、平常時よりも大きく広がったものなのかもしれないが。 なにせあの少年の、あの瞳は―――――――― ◆ ◆ ◆ 「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーですか!!!! どうですかナシロさん!!!!! 私、めちゃくちゃ魔王っぽくなかったですか今!!!!! 聖職者に憑りつく超すごい悪魔って感じバリバリじゃありませんでした!?!!? これはもう蝿王様への変態も遠くない未来ですよ!!!!! でへへへへへ…………」 「変態なんだな。進化じゃなくて」 「えっ…………進化は世代を経た変容であって、同一個体が成長の過程で変容するのは変態って呼ぶんですよ? もしかしてそんなことも知らなかったんですかナシロさん? 不勉強ですねぇ。ぷぷっ」 「調子に乗るな」 一旦自宅に帰還したナシロの最初の行動は、初陣の活躍で調子に乗りまくっているハエの頭をはたくことであった。 ぐえ、という蛙が潰れたような声を(ハエなのに)出して、ヤドリバエたる彼女は蹲った。 「うううううう~~~~~~~~……………なにするんですかナシロさん!!!!」 「……お前、今の状況わかってるのか?」 頭を抱えたいのはナシロの方である。 課題と問題は山積みで、そしてそれすらも労働の多忙に流されて行きかねない。 だが今回のこれは、命に係わる――――ナシロのそれだけではなく、教区内の信者たちの命にも。 例えそれが再現された仮想の命であったとしても、それを見捨てることはできない。見捨ててしまえば、もはやナシロは琴峯ナシロではなくなるだろう。 「とりあえず……特訓の場所は気を付けた方がいいな。そうか痕跡が残るのか……」 「ええ~~。もういいじゃないですか特訓とか~~~」 「そういうことは動く的に攻撃を当てられるようになってから言え」 喫緊の問題として……琴峯ナシロは、魔術に関しては素人なのだ。 父が何かと戦っていた光景を、時折夢に見る――――今にして思えばあれは神秘にまつわるなにかだったのだろうが、ナシロに詳しいことはわからない。 ただその程度が、これまでの琴峯ナシロが知る神秘の世界の全て。 つまり、何も知らないということだ。 だから魔力の痕跡が残るという認識もまったくしていなかったし、それを追跡されるともまったく考えていなかった。 考えが甘い、と言うのはあまりに酷だろう。 彼女は聖杯戦争の仕組みによって戦闘力を与えただけの、平和を強く生きる一般人に過ぎないし―――― 「というかお前、後始末は得意だから任せておけって言わなかったか?」 「ぎく」 ……本来はサーヴァントであるこのハエが、その辺りのサポートをしてしかるべきなのだが。 実際、これまで特訓の痕跡はヤドリバエに始末させていた。 限定的ながらも理屈を無視して悪魔の力を振るえるヤドリバエにとって、ちょっとした破壊痕を無かったことにするなど児戯にも等しい。 ハエは食物連鎖における分解者、言わば掃除屋の役割を担う動物であり、その性質がうまくかみ合っていたというのもあるのだろう。 ヤドリバエが軽く手を振るだけで特訓の痕は全て消滅し、ナシロは便利なものだと感心していたのだが…… 「だ、だだだ、だって仕方なくないですか!? 私ちゃんと元通りにしましたし!!! 魔力使ったから痕跡が残ります、とかズルですよズル!!! ていうかそれ追いかける方がキモいです!!!! ストーカーですよストーカー!!!!」 「虫がそれを言うのか? お前らだってフェロモンで追跡とかするだろ」 「うわっそれセクハラですよ。ナシロさんのえっち!!」 「これデリケートな話題なのか……」 どうもヤドリバエにとっても、痕跡がどうこうというのは考慮の外であったようだった。 ……………まぁ、なにせハエである。 能力として悪魔の力を持ち、英霊の端くれとして神秘の知識を持っていても……それを運用するのは所詮、ハエである彼女なのだ。 神秘の隠匿という魔術世界の常識について無知であることを責めることはできまい。反省はしろと思う。 閑話休題。 「ともかく……実際今回は助かったよ。ありがとうな」 彼女の力で、ナシロと教会を守れたのは事実。 そのことについて、ナシロは正直に礼を言った。 昼休憩を終えて仕事に戻ろうかという瞬間に、教会の外で展開された人払いの結界。交戦の気配。 積極的に聖杯戦争に参加する気の無いナシロではあったが、これはいくらなんでも近すぎた。 戦闘の規模によっては、教会にも被害が及ぶだろう。 両親から受け継いだ教会と、そこに集う信者を守らなくてはならない。 故にナシロは即座に出陣を選んだ。 他の参加者を見るのはこれが初めてのことだったが、それは躊躇する理由にならなかった。 問題は、こちらの戦闘力。 聖杯戦争側のシステムで多少の戦闘能力を与えられた一般人のナシロと、スペックはともかく戦闘センスがドブのハエ。 これだけの戦力でまともな介入ができるかは相当怪しいところだったし、割って入ったところで真っ先に殺されてしまう可能性も高かった。 ――――故にナシロは、“ハッタリ”を選んだ。 気配遮断スキルを持つヤドリバエを控えさせ、偽の魔王として放つ威圧感のみを振りまき、最初に見せためくら撃ちの魔力弾を印象づけて両者を牽制する。 まさか転校生……高乃河二がいるとは思わなかったが、作戦は概ねうまくいった。 彼らがどれだけハッタリに騙されてくれていたのかは不明だが、目論見通り戦いを終わらせることができたのだから、上々だろう。 そしてこの作戦は、全面的にヤドリバエの協力が必要なものであった。 彼女はナメた態度を取る怠惰でアホで調子に乗ったクソザココバエではあったが、ナシロの作戦に従って力を貸してくれたことには、素直に感謝している。 「今日の晩飯はいいもの食わせてやる。楽しみにしておきな」 「え……ど、どうしたんですかナシロさん!? なにか悪いものでも食べましたか!? もしかしてさっきのサーヴァントたちになにかされました!? あの悪魔よりも悪魔な鬼軍曹のナシロさんが私にお礼を言って優しくするなんて…… いくら私が真の蝿王様への道を歩み始め覚醒したからといって考えられない異常事態です……!! こ、こうなったら今すぐあのサーヴァントたちを追いかけて、この手で始末してやるしか……っ!!」 「……お前の中で私はどんなイメージになってるんだ?」 これまでも頼んだことをやってくれたら普通にお礼は言っていたはずなのだが。 ……いや、そもそも頼んだことをまともにやり遂げている率がかなり低かったので、トータルで言えばお礼を言った回数はそこまで多くないかもしれない。 いずれにせよ礼を言うべき場面ではちゃんと礼を言うように心がけているので、この評価ははなはだ遺憾である。 「まぁいいや。ともかく私は教会に戻るから、お前は休んでていいぞ。というかここにいろ」 「あ、はい。わかりました」 なんにせよ、いい加減教会に戻らなくては。 休憩の間を任せているシスターに悪いし、信者たちにも悪いだろう。 そう思って改めて支度をして、教会に戻ろうとしたところで、ふと。 「でも、良かったんですか?」 「ん?」 「いや、あの男の子ですよ。お知り合いだったんでしょう? さっぱり別れちゃいましたけど、もうちょっとお話とかしなくても良かったんですか?」 「あー………」 まぁ確かに、あの別れはちょっとさっぱりし過ぎだったかもしれないが。 「いいんだよ。話したいことがあるなら向こうから来るだろうし、知り合いっていうほど関わりがあったわけじゃない」 クラスの、控えめで礼儀正しいが人付き合いの悪い転校生。 ナシロの知る高乃河二はそれで全てだったし、これを知り合いと呼ぶのもなんだか憚られる。 それにまぁ、なんというか。 わかる気がするのだ。 彼の行動原理というか……彼の戦う理由のようなものが。 そしてそれは足早に去って行った、雪村鉄志という中年にも同じことが言えた。 彼らの瞳を見れば、なんとなくわかった。 だってそれはナシロにも覚えのあるものだったから。 きっと彼らの、あの瞳は―――――――― ◆ ◆ ◆ ――――――――愛する家族を失って、その空白を悲しんでいる瞳をしていたから。 ◆ ◆ ◆ 【世田谷区・二子玉川エリア/一日目・午後】 【高乃河二】 [状態]:健康(多少の疲弊はあったが、調息によって回復した) [令呪]:残り三画 [装備]:『胎息木腕』 [道具]:なし [所持金]:それなり(故郷からの仕送りという形でそれなりの軍資金がある) [思考・状況] 基本方針:父の仇を探す。 1:公園の破壊を修復する。余裕があるタイミングで改めて琴峯さんに謝罪を入れるべきだろうか。 2:雪村鉄志は強敵だった。精進しなくては。 [備考] ※ロールとして『山梨からやってきた転校生』を与えられており、少なくとも琴峯ナシロとは同級生のようです。 【ランサー(エパメイノンダス)】 [状態]:疲労(小) [装備]:槍と盾 [道具]:革ジャン [所持金]:なし(彼が好んだピタゴラス教団の教義では財産を私有せず共有する) [思考・状況] 基本方針:マスターを導く。 1:マキナ、ね……中々強敵ではあったな。底を見たい。 2:これからの立ち回りも再検討しなくちゃな。一時的でも味方は大いに越したことはない。 3:カドモスと会ってみたいなぁ! [備考] ※カドモスの存在をなんとなく察しているようです。 【雪村鉄志】 [状態]:疲労(小) [令呪]:残り三画 [装備]:『杖』 [道具]:探偵として必要な各種小道具、ノートPC [所持金]:社会人として考えるとあまり多くはない [思考・状況] 基本方針:ニシキヘビを追い詰める。 1:戦闘方針を話し合うべきかもしれない。マキナは燃費が悪すぎるし、戦闘経験にも乏しいのを実感した。 2:マキナに服を買い与えるか悩んでいる。 [備考] 【アルターエゴ(デウス・エクス・マキナ)】 [状態]:疲労(中) [装備]:スキルにより変動 [道具]:なし [所持金]:なし [思考・状況] 基本方針:マスターと共に聖杯戦争を戦う。 1:有用性を示せなかった。ふがいない、です…… [備考] 【琴峯ナシロ】 [状態]:精神疲労(小) [令呪]:残り三画 [装備]:なし [道具]:修道服 [所持金]:あまり余裕はない [思考・状況] 基本方針:教会と信者と自分を守る。 1:仕事が忙しすぎる。 2:特訓についてはもう少し慎重になる必要がありそうだ。 3:とにかく仕事が忙しすぎる。 [備考] ※少なくとも高乃河二とは同級生のようです。 【アサシン(ベルゼブブ/Tachinidae)】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:なし [所持金]:なし [思考・状況] 基本方針:聖杯を手に入れ本物の蝿王様になる! 1:かっこよく活躍出来て上機嫌。本物の蝿王様になれる日も近い! 2:ばんごはんたのしみだなぁ。 [備考] 【備考】 世田谷区北西方面は、『蝗害』の被害を大きく受けているようです。 前の話(時系列順) 003 十三番目の星座 次の話(時系列順) 005 BERSERK
https://w.atwiki.jp/trpg_summary/pages/3269.html
シナリオ 頒布ページはこちら きのこ 感情とはどのように人々に作用しているのだろうか。あらゆる情報は全て言葉で説明をすることが出来るのだろうか。実際に触れて、見て、聞いて、そうすることで得られる言葉に出来ない感覚とは何なのだろうか。貴方達は、欠落した感情の先を知ることで、何を得るのだろうか。感情 × 思考実験 × 疑似家族 HO喜:貴方は「喜」の感情のみを持っている。貴方は周囲が悲しくて涙を流していてもその意味が理解出来ないだろう。貴方はいつも笑顔を携えている。 HO怒:貴方は「怒」の感情のみを持っている。貴方は何かあればすぐに怒りの感情が露わになってしまう。それによって暴力沙汰を起こした数も多い。 配信 クリック/タップで詳細 KP:スイ 23/01/27 【高生卓】欠落者のレゾンデートル【PL:藍月すりっぷ、高生紳士】
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/32380.html
かんじょうけつらくLV.99【登録タグ Lily か だだ丸 曲 鏡音レン】 作詞:だだ丸 作曲:だだ丸 編曲:だだ丸 唄:鏡音レン、Lily 曲紹介 謎解き付き物語楽曲。 だだ丸が楽曲制作や絵付け、動画など全て手掛けている。 ピアノアレンジはこちら。 歌詞 (ピアプロより転載) 「斯の度は改造して貰い、 感謝してます。」 狂った台詞を吐き出し そして逃げてく もう、お分かり戴けましたか? そう… 奴の名は あの「Overzero」と云います。 どうぞ、優しくしなさい。 斯の世を機械兵器で壊す 乱魁を倒す道具さ 常識と謂う名の 定規で計れない そんな奴も世の中には 存在している やめろよ!お前、 何してるんだよ… 何処でそんなの 覚えたのだろう 包丁(ナイフ)から落ちてく赤 「調子は如何だ、視てくれ…そうか、 欠落してる部分が あるのか。 私の所為と謂うのか?…お前 斯の世の恥と 云いたげだな」 口から出るは 幼稚な喋り 馬鹿にしてるか それとも違うか 判らん…だがな、問題は無い。 何の是式、どうでもいい。 何を企んだか 考えたのだが それでも見えない真実 追いつけないのさ 奴の何処かが 欠けてるなんて 誰も信じてくれないだろう 常識外れなやつだ! あんな奴、徒の人間擬きだ。 少しずれていても 大丈夫だろ? 誰もが信じた その言葉はもう 旧びて通用しないのさ! 一見ただの 若者にしか 見えないけれど 中身はおかしい 此じゃあ、誰の云うことも聞かないだろう 危険なだけだな 「ねえねえ、なんで 貫かれると 中から液が 洩れだすんだろう?」 素朴な疑問 其だけの為 未来を奪い去っていく 奴が来るんだ 狙っているよ 何処で壊れてしまったのだろう …常識外れな奴だ コメント ふりがなのとこですが、アルファベットや数字にふりがなは付けないでください。 -- 名無しさん (2015-07-16 22 00 05) レンとLily!! -- 名無しさん (2017-01-19 21 24 43) ↑2どう言う事なのか理解出来ないです。一体何故? -- 名無しさん (2017-01-19 21 36 22) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/9426.html
根本的な秩序の欠落 C 光文明 (4) 呪文 ■自分の手札を2枚まで、新しいシールドとしてシールドゾーンに置く。その後、自分のシールドを2枚、手札に加える。 作者:テーメノン フレーバーテキスト 時を巻き戻すことはできるだろうか?いや、我らにはその概念を手に入れるだけの文明がないのだ。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/3495.html
Fast Card イレイザー 3F/2C 目標の、≪対戦相手の使用宣言中の[[プロジェクトカード]]または[[ファストカード]]1枚≫を、その[[オーナー]]のデッキに戻し、そのデッキをシャッフルする。その後、目標のオーナーはX[[ドロー]]することが可能。Xは目標の[[コスト]]に等しい。 No,EX0159 Rarity UC Illustrator [[]] Expansion BLAZBLUE カード考察
https://w.atwiki.jp/mtgaa/pages/334.html
, ─ァ===≦三> 、 ∠o_/__>くo\___} ヘ /o.|1/兜/Y`ヽイッ | ッ}ン! _\ {--|-|- /-- /--|一/ー }-、} \/ }1_|1{_リ ※/__リ |@/ l /ラ/! 〈i_i_}1|1|1|1|1/`7ー|-<7/,ノ _ {--i ーf──YV |」/⌒i / /\ {ー| | {` ー ヽ ∨ Y) /. 〈__/_/ | ノ /⌒i / /| 。`¨⌒ i イ ! V⌒⌒ ノ .| ∧ _ { j , ! \ _ノ \ ーr─≦ / \ \_/ ,x< | / > 、 |.`_人´ |. ,`Y´⌒ヽ おお、ヅラなら持っていたとも。 \ (´・ω・`) だが、残念。 (| |) どこかに置き忘れてしまったらしい。 (γ / し \ \
https://w.atwiki.jp/gamecircledaitokai/pages/51.html
DX3@アカデミアの自作キャンペーン『欠落の楽園』第1話。 =1話今回予告&ハンドアウト= 文化祭を一か月後に控え、にわかに活気づく学園。 PCたちのクラスでも、クラス企画の話し合いが行われていた。 しかし、オーヴァード生徒と一般生徒の間に生まれた亀裂により、話し合いは進まず。 遂には、クラス委員長八幡鏡子が教室を飛び出す事態に発展し、その日の話し合いは終了となった。 しかし、その翌日からクラスの様子が一変した。 PC達は、クラスの異変を解決し、無事にクラス企画の準備を進めることは出来るのか? ダブルクロスキャンペーン第1話 『隔絶のキョウ』 ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。 PC1水瀬夏芽 ロイス:八幡鏡子 クラス委員長の八幡鏡子は、真面目で責任感の強い、まさに“委員長”である。転校生であるキミにも色々と世話を焼いてくれている。ただ、鏡子はオーヴァードと距離を置こうとしているらしい。何か厄介ごとにならなければよいのだが。 PC2古明地紫音 ロイス:蟹沢珠美 蟹沢珠美は明るく元気なクラスのムードメーカーだ。一般生徒もオーヴァード生徒も分け隔てなく接する珠美は、キミにも声をかけてきた。文化祭に向けて、クラス全体で仲良くしたい、と。 PC3新羅空幻 ロイス:草薙明乃 草薙明乃は、少し(?)ズレた所のある剣道少女だが、親友である委員長との友情は本物だ。そんな明乃は、委員長の悩みを解決するために、キミに協力してほしいと言ってきた。 PC4駿銀次 ロイス:文化祭実行委員会 毎年の風物詩、文化祭。しかしながら、今年のキミのクラスは雲行きが怪しい。無事に話し合いがまとまるといいのだが。 == サクサクシナリオ開始。 鏡子に連れられて、夏芽とリンが学園内を案内される。 GM/鏡子:「そういえば、来月は学園祭なんですよ。クラスごとの企画もそろそろ決めないといけないんです。夏芽さんはどんな企画がいいと思いますか?」 夏芽:「ねこ喫茶!」 GM/鏡子:「ね、猫喫茶ですか?」 夏芽:「うん。ねこ可愛い」 GM/鏡子:「ま、前向きに考えて善処します」……そんな鏡子は、オーヴァードと距離を取ろうとしているようだ。通路で意図的に避けたりとか。 紫音がいつも通り教室で読書をしていると、珠美が声をかけてくる。 GM/珠美:「紫音ちゃんってさ、いつも本読んでるよね。何読んでるの?」と本を覗き込みます。 紫音:無視しますw 読んでるのは、波動関数による何とかかんとかの本。 GM/珠美:「む、難しい本読んでるね……あたしはどっちかっていうとマンガ派だからなー」 空幻:むしろマンガしか読まないタイプだろw GM/珠美:「くーちゃんはたまに厳しいこと言うよね」とシーン外に返事しつつ、「きょーちゃん……委員長の鏡子ちゃんは、いわゆるブンガクってやつが好きなんだけど、それとはまた違うタイプの本だね。読書もいいけど、そろそろ学園祭だしさ。せっかくだから、みんなで協力して盛り上がろうよ!」 紫音:「分かった。できる限り努力する」とやる気なく返事します。 その日の放課後、クラス企画を何にするかの会議が行われた。 しかし、話はなかなか進まない。 GM:残念なカルロ君が「いや、もっと美しく、芸術的にすべきだ!」とか騒ぎ…… 夏芽:「なんだと、ねこが可愛くないだと!」 GM/カルロ:「いや、そういうわけではないが、よりビューティフルにペガサス喫茶とか!」 空幻:私は黒板に向かって出た意見をまとめてます。で、あまりにひどい意見に「却下」と。 銀次:机に足を乗せてやる気なく見ています。 紫音:読書中。 GM こいつら……w オーヴァード生徒たちは、より派手な企画にしようと無茶を言い続け、鏡子がそれに反論する。 「でも、安全性の確保とか、いろいろ問題が……」 「いやいや、だいじょーぶだって!」 「何か問題が起こった場合に……」 「多少の怪我ならエフェクトで何とかなるっしょ?」 空幻:「却下よ、そんなの」 GM 「うるさいな空幻、俺は委員長と話してるんだ!」 空幻:私も委員長なんですがw GM えっ?w 徐々に口論はエスカレートし、遂には誰かがこんなことを言った。 「まったく、これだから一般人ってのはさー」 ……その発言の直後、水を打ったように場は鎮まった。 GM 一気に教室の空気が冷め、険悪なムードになる。小声で、「おい、誰だ今の?」「お、俺じゃねーよ」と言っているのが聞こえなくもない。 一方、鏡子は一瞬硬直し……直後、涙目で教室を駈け出して行った。 空幻たち一部の生徒が慌てて追いかけようとするが、運悪く相撲部らしき集団の校内ランニングに巻き込まれ、鏡子の追跡には失敗。 空幻:くっ、クリスタル囲碁相撲部め!w 教室では、微妙な雰囲気のまま会議は終了し、解散となった。 数分後。もう一人のクラス委員長(笑)であるところのマスターマスコット空幻は、教室で後片付けをしていた。 そこに、鏡子の友人である草薙明乃が声をかけてきた。鏡子が教室に残して行った鞄を手に、帰る準備をしている。 空幻:「あ、ソレガシだ」 GM/明乃:その呼び方はスルーし、「空幻殿。鏡子のことについてなのだが……その、何だ、某は口下手でな、鏡子に何を言ってやればいいのか、分からんのだ」 空幻:「で、わたしに聞きに来たってこと?」明らかに人選ミスだろw GM/明乃:「空幻殿は、鏡子と同じ委員長だからな、一応。何か鏡子の悩みに心当たりがあるのでは、と思ったのだ」 空幻:「う~ん、分からないな」一般人なんて……とか思ってるけど口にはしません。 マスターシーン。 一人、俯いて帰路に就く鏡子。 「……あ、鞄、置いてきちゃった」 「……でも、もう、どうでもいいか……」 GM そんな暗い雰囲気で歩いていく鏡子。その姿は、まるで『魔法少女になる前の暁美ほむら』のようだw 彼女の脳内に、何者かの声が響く。 「……汝の願いは何だ?」 「な、何なの、この声は!?」 「恐れることはない。我が名は“ペルソナマスター”。汝を救いに来た。我と契約して、汝にふさわしい仮面を身に纏うがよい」 銀次:『ボクと契約して仮面を纏ってよ!』w その声と共に、鏡子の脳裏には、走馬灯のように様々な過去の場面がフラッシュバックする。 「やめて……私の頭の中に、入ってこないで……!」 「……なるほど、これが汝の願いか。汝の纏う仮面は決まった。受け取るがいい、これが汝の抱える欠落だ」 GM ここでペルソナマスターがEロイス【愚者の契約】を使用、鏡子が光に包まれ……仮面が現れます。 空幻:何そのソウルジェムw 仮面は鏡子に張り付き、そのまま一体化した。 翌日の朝。 サボる気満々で寝坊している銀次を、舎弟の猿飛が起こしにきた。 銀次:「おい猿飛ぃ!俺の安眠を妨害するとは、いい根性してるじゃねーか!」 GM/猿飛:「銀次さん、さすが寝起きは狂暴っすね!」 空幻:それは違うゲームw GM/猿飛:「なんか変なんすよ、クラスの他の奴らが。どう言っていいのかよく分からないんで、教室まで来てもらっていいっすか?」 銀次:「ちょっと待ってな、リーゼントをセットすっからよ!」w リーゼントをバリバリにキメた銀次がたどり着いた教室内は、異常な雰囲気に包まれていた。 一般生徒たちは、一見普通の学生生活をしているが…… GM/猿飛:「ほら、ヒロシ!銀次さんが来たっすよ!」と猿飛が声を掛けた一般生徒は、「だから、銀次って誰だよ……って、誰もいねえじゃないか」 と、猿飛の隣にいるはずの銀次をスルーしている。 教室をよく見ると、一般生徒たちは、オーヴァード生徒の存在を認識していない。 オーヴァード生徒が一般生徒に声をかけても、全く反応が返って来ない。 GM たとえば、カルロがいつも通り女生徒をナンパしてると完全スルー……っていつものことじゃないか!w 紫音:特に異常はないんで読書してますw GM まぁ、カルロはどうでもいいとして。この異常性を見た全員がSANチェック……じゃなくて衝動判定。目標値6でいいよ。 この判定は全員が成功するが、それはそれとして浸食率上昇。 夏芽:リンが、みんなに声をかけてスルーされてから、「銀次君、何が起こってるの?」 銀次:「よく分からねぇが、事件のにおいがするぜ!」 GM/猿飛:「……銀次さん誰と話してるんすか?」と、猿飛には銀次しか見えていないらしいです。 夏芽:……そういう話か。PCにはわかってないけどw 空幻:「……なるほど、そういう仕組みね」……ところで、私の浸食率上昇がここまでずっとD4なんですがw GM:去年はD6だったはずなんだけどなーw 混乱の広まる教室に、珠美と明乃が登校してきた。 GM/珠美:「まったく、きょーちゃんが『遅れるから先に行ってて』なんて珍しいね。槍でも振るんじゃないかな?」というと、明乃は「槍か……某としては飛来する槍を用いて修行をすることは、やぶさかではないが、珠美や鏡子は危険ではないのか?」 夏芽:そーいう意味じゃねーからw 空幻:「相変わらず、ソレガシはソレガシだね……」 GM/珠美:「おはよう、みんな!……って、何なのこの雰囲気?」と、彼女たち2人は普通にオーヴァード生徒を認識できているらしく、皆さんの方に質問してきます。 困惑するオーヴァード生徒をよそに、珍しくギリギリの時間に鏡子が登校してきた。 彼女は、鞄を仕舞ってすぐ、教壇に立った。 GM/鏡子:「朝のホームルームまで、少し時間があるので、昨日決定できなかった企画についての多数決を取りたいと思います。猫喫茶という案でいいでしょうか?」w 夏芽:「賛成しまーす!」 w 鏡子は、オーヴァード生徒たちを無視して会議を進める。 一般生徒は、特に異常を認識していないので、特に問題にはならない。 鏡子の友人2人……珠美と明乃が色々と反対したが、それを適当にあしらって議決を行った。 GM 40人クラスで、半分が一般人。13人で過半数だよね!w 「……過半数なので、猫喫茶に決定します」 鏡子は、オーヴァードをスルーしている・……が、夏芽の方を見ると、鏡子は少し表情を曇らせた。 夏芽:「今、私のこと見た?」 GM それを問いただす前に、空気を読まない教師がやってきてしまう。……というところでシーン切るね。 この日の授業は、たまたま一般生徒とオーヴァード生徒は完全に別の場所に割り当てられていた。 1限目は、体育だ。 GM じゃあ、熱血体育教師が「まずは準備体操からだ。よーし、お前ら2人組作れ~!」と死刑宣告をw 紫音:……死刑宣告だわーw 銀次:って、オーヴァードって準備体操居るの? GM 居るよ!エグザイルが関節を伸ばすとかw ぼっちな紫音に声をかけたのは、高等部の体操着を着た、小柄な少女。 GM/蜜柑:「おはよう、紫音。とりあえず、準備体操のペアを組むのが、今のあなたの望みね?」 紫音:「……そうね。蜜柑ちゃん」 GM:では、一緒に準備体操をしながら「あなたのクラスで異常があったと聞いたのよ。で、直接聞きに来たわけ」 紫音:「……雰囲気は変だったけど、特に異常はなかったと思うけど」w どうせいつもスルーされてるしw GM 蜜柑は、『あー、聞く相手間違ったわー』な表情を浮かべているw 夏芽:登場します。「おいお前、ここは高等部だぞ!」w GM/蜜柑:「あら、失礼ね。変わった転校生が居るとは聞いていたけど、こんな失礼な転校生だとは思わなかったわ」 夏芽:「なんだと、お前の方が失礼だろ!」 空幻:登場。「……あら、“取次屋”のクエン酸、だったかしら」 GM/蜜柑:「その呼び方は止めて……って、これは大物が来たわね。あなたのような有名人に覚えてもらえているなんて光栄ね。初めまして、“縁側の狐(シエスタ)”さん?」 空幻:くっ、コイツ……w 「私も、準備体操のペアが居なくて」 夏芽:「私にはリンがいるからな」 GM ……もうさ、空幻はドルジと戯れてればいいんじゃないかな、キツネ形態でw 空幻:できれば人間のまま準備体操したいなーw 銀次:じゃあ、俺はドルジを追って登場する。柱の陰から見てる。 GM そして空幻と、目と目が合う瞬間――w 銀次:「ヤベェ」と逃げ…… 空幻:「逃がさないわよ」とハヌマーン能力で追いつく。 銀次:「何すんだこのキツネ女!」 夏芽:銀次を見て「ものすごいリーゼントだな、お前、バカなのか?」 空幻:「あ、それ言っちゃダメ!」 銀次:「ああん?俺様のリーゼントを馬鹿にするつもりか?」 そんなグダグダな会話をしつつ、授業は進んでいくが……蜜柑は、準備体操が終わると、いつの間にかいなくなっていた。 授業の合間に、PCたち……というか事態を重く見ている夏芽と空幻の2人は情報収集を行っていく。 結果、以下のことが分かった。 ◎八幡鏡子 H1-Dの一般人クラス委員長。 蟹沢珠美、草薙明乃とは幼馴染。1年前、外部の中学校から転校してきた。詳しくはこの2人に聞いた方が良いだろう。 幼馴染2人と共にセントジョージ寮に住んでいるが、鏡子のみ別室。 最近、クラスをうまく纏められないことで悩んでいたらしい。 ◎H1-Dクラスの一般人生徒の異常 オーヴァード生徒を認識できず、存在しないものとして扱っている。オルクス能力の影響らしい。 ただし、ロイスを持っている相手ならば、オーヴァードであっても認識できるらしい。 徐々に他のクラスにも異常が広がっている。これほどの規模であれば、能力を増幅させるための端末があるはずだ。 空幻:なんだよセントジョージ寮って!w GM 残念ながら、公式設定だw 夏芽:確かに書いてあるわーw 空幻:まぁ、調べたことを他の皆にイージーエフェクトで伝えて……ソレガシ達に会いに行くか。 御昼どき。珠美と明乃は2人で弁当を食べていた。鏡子は用があると言ってどこかに行ってしまったらしい。 彼女たちも、鏡子に何があったか知りたいらしい。 空幻:「委員長のことを聞きたいな……言いたくないなら、無理にとは言わないけど」 GM/明乃:「……どうやら鏡子は、“れねげいど”事件に巻き込まれている様子。であれば、詳細な情報があった方が良いだろう」 夏芽:いま、“れねげいど”って平仮名だったよなw ということで、珠美たちが話出す。 「あたしたち3人は幼馴染で、田舎の中学校に通ってたんだ。全部で数十人しかいない、小さな学校でさ。でも、ある日、クラスメイトの一人が急に暴れだして……ジャーム化、したの。それで……」 言いよどむ珠美の話を、明乃が続ける。 「……奇跡的に無事だったのは、某たち3人だけだった。他の生徒は皆瀕死の重傷を負い、ジャームは、UGNによって……処理、された」 「表向きは事故、ってことになった。でも、それからが大変だったんだ」 「うむ。周囲の人間から、憐みや、嫉妬……そういった感情を、向けられることになった」 「で、あたしたち3人も困っちゃって。そこで、UGNの人から、この学園のことを教えてもらって、転校することになった。でもさ、今でも思うんだ。ジャームになったクラスメイトのあの子は、いつも教室で独りぼっちだった。あの子を、あたしたちがもう少し気遣ってあげていれば、こんなことにはならなかったんじゃないか、って」 「特に鏡子は、色々と自分で抱え込むからな。一般人である自分たちでも、何かができると証明したいのだろう。そう考えていたのに、先日のクラスでのあの発言だ」 夏芽:じゃあ、途中から話を後ろで聞いていたんですが、「蟹沢!草薙!」と声をかけて、「委員長は絶対に私が何とかしてみせる!委員長は大丈夫だ、私はそう思う!」 空幻:「……要するに、猫のカンだよね?」 夏芽:「ねこじゃない、夏芽だ!……実は、わたしも3人と同じような境遇だ。だから、助ける。くーちゃん、みんなに連絡してくれ!」 空幻:「……分かった」と、PCと……蜜柑にも連絡しておくか。 その後、空幻の呼び出しで、伝説の桜ケラススの下で待ち合わせ。 空幻:実はまだ調べてない情報項目があるんだよね。 GM/蜜柑:「それは私が調べておいたわ……という演出にするから早く判定しなさい」w 紫音:メタいw GM いやー、メタ発言して許されるNPCっていいよねw 空幻:ところで、情報:FHで振るんですが、その演出でいいんですか?w GM/蜜柑:「まぁ、私がコネで調べたことにすればいいのよ。コネ:FHってFHアイテムだった気がするけど気にしないわ。蛇の道は蛇よ」w 夏芽:「≪猫の道≫はヘヴィー?」w 分かったのは以下の2つ。 ◎新たな“仮面” FHエージェント“ペルソナマスター”が、“ディオゲネスクラブ”での研究結果から作り出したと見られる。 “心の欠落”を持つ相手と契約し、仮面という形でレネゲイドの力を与える。契約者は一般人でも良い。 契約者の“心の欠落”が広がるにつれて仮面の力は増し、最終的には契約者をジャーム化させる。その前に仮面を破壊すれば、契約者は元に戻るはずだ。 ◎端末 いずれかの校舎の屋上に、能力を増幅させる装置が設置されている。 ただし、オルクス能力によって隠蔽されているため、現場で直接探す必要がある。 GM 仮面については、具体的には『契約者とロイス枠を共有。ロイスがタイタス化するたびにEロイスになる』だと思ってくれればいいよ。 そこで、話を聞いていた明乃が口を開く。 「……ふと疑問に思ったのだが、なぜ某たち2人には、その“領域”の効果が及んでいないのだ?」 領域の範囲から考えて、領域の作成者は意図的にこの2人を外しているはず。 空幻:「あなたたちに知ってもらいたいんじゃないかしら?」と呟きます。 取りあえず、領域の拡大を防ぐためにPCたちは端末の破壊に向かうことにする。 「じゃあ、あたしたちはきょーちゃんを探しておくよ。確かに危険かもしれないけど、あたしはきょーちゃんを信じてるから」 空幻:……ところでGM、ここまで登場が9d10振って21しか増えてないんですがw GM だからd4は止めろよw 端末へ向かったPCたちは、紫音の圧倒的な知覚力により、すぐに領域を発見。 端末へたどり着くと、端末の影響で操られている一般生徒たち、そして端末そのものが襲いかかってきた! ……が、紫音と銀次の攻撃で端末は破壊。その場の生徒は元に戻った。 生徒の証言により、今回の事件の領域を展開しているのは鏡子であることが確定する。 そして、一部の生徒は未だに鏡子の支配下にある。 GM ここで、珠美から連絡が来ます。……空幻に対してかな。ちなみに、明乃は電子機器が苦手な子だw 鏡子とまだ操られている生徒は、セントジョージ寮に戻っていることが分かった。 「うちの寮には、よく分からないホールがあるんだけど、そこにいるみたい」 「……そこで、某たちも向かってよいか?」 空幻:「危険だよ。怪我したり、死んじゃうかもしれない。それでも行くの?」 GM/珠美:「オーヴァードのみんなにしかできないことがあるみたいに、あたしたちにしかできないこともあると思うんだ。ほら、親友だし!……それに、あたしはきょーちゃんを信じてるから」 空幻:「分かった。でも、私たちが行くまで待っててね。私たちの手の届かないところで危険なことはしないで」 夏芽:「くーちゃん、委員長みたい」w 空幻:「みたい、じゃなくて委員長なんだけど。一応」w GM/珠美:「え、そうだっけ?」w ……そんな感じでクライマックスね。 セントジョージ寮、ホール。 鏡子と、操られた一般生徒が待ち構えていた。 鏡子の顔には、仮面が張り付いていた。その仮面は、不快な表情……他者への嫌悪を浮かべている。 空幻:「遊びに来たよ、委員長」 GM/鏡子:「空幻さん。……私、気づいたんです。他人の話を聞かず、他人を理解しようとしない……そんなオーヴァードたちが居るから、悲劇が起こるんだと。だから、私はオーヴァードを否定します。あなたたちも、そして、こんな力を持ってしまった、私自身も!」 そう宣言する鏡子の後方上部、ホールの2階には、奇妙な機械が置かれていた。 機械が唸りを上げると、周囲のレネゲイドが沈静化していく。 GM/鏡子:「この装置の影響下では、オーヴァードは十分な力を発揮できません」 空幻:≪カームダウン≫? GM:そんな感じ。「それに、あの装置はエフェクトによる攻撃への耐性を持っています。そう簡単には壊せませんよ」とフラグを立てると―― 「……ならば、某の刀であれば、斬れるというわけだな」 いつの間にか装置の横に移動していた明乃の一閃が、機械を両断する。 GM 白兵判定、一般人だからエフェクトはないけど≪Dロイス:伝承者:白兵≫で達成値30くらい。 その横について行った珠美が、話を続ける。 「きょーちゃん、あたしはみんなを信じてる。だから、きょーちゃんも、他の人のことを信じようよ!」 GM/鏡子:首を横に振り「……私はもう、誰も信じない。もう誰にも頼らない」 紫音:だれか鹿目まどかを呼ぶんだ!w GM まど神様ー、早く来てくれー! 戦闘開始。 10m先に鏡子、間のエンゲージに重装(防具着用)の生徒モブ1、一般人(バットとかで武装)モブ2。 鏡子は、セットアップに≪ソルジャーコネクト≫で配下の行動値を増加させる。 「みなさん、私の指示に従ってください!」 そして、最初のイニシアで鏡子が≪加速する刻≫で追加行動。 ≪ライトスピード≫からの2回攻撃。 まずは≪振動球≫を軸とした範囲攻撃、にDロイス超侵食で命中とダメージ上昇。 さらに、当たるとダイスペナ5個。 銀次:≪フラッシュゲイズ≫でその判定を10d減らします。 GM うおー、3dしかない!しかもライスピだからCT8……クリティカルせず、超侵食込みで命中22。 この攻撃を、紫音は楽々回避。ダイスペナを食らうと致命傷の夏芽は、≪妖精の手≫で強引に回避。 残り2人に命中だが、夏芽の≪領域の盾≫で空幻に銀次を庇わせる。 空幻がリザレクト3LVし、一気に120%まで上昇。 GM ライスピからの2回目は≪狂乱の一声≫その他の交渉攻撃を4人に。「あなたたちも、私のことを否定するんでしょう?私が邪魔なんでしょう?」この攻撃が当たったら、BS憎悪+放心ね。 だが、こちらも達成値振るわず。先ほどと同様、紫音が普通に避け、夏芽は≪妖精の手≫で回避。銀次はタイタス蘇生。空幻は普通に耐える。 イニシア割り込みが終わり通常手番へ。 紫音は拳銃で重装モブを攻撃するが、大部分が止められる。 銀次は憎悪の影響で鏡子へ攻撃。リーゼントからビームが飛ぶ。 鏡子への攻撃は、しかし、周辺に発生した防壁によりはじかれた。 それは、鏡子の心が示す、拒絶の意志。 「……私は拒絶します。オーヴァードを、全てを!」 GM Eロイス【拒絶の結界】で30点以下のダメージ無効。蘭学でいうATフィールドであるw 一度突破されると、以降は効果を発揮しない。 空幻:辛いなー。 だが、鏡子はもはや範囲攻撃がない。通常手番の夏芽への攻撃は空幻を≪領域の盾≫にして防ぎ、配下たちの攻撃は普通に回避。 夏芽の手番、≪ジャミング≫妨害を紫音の≪援護射撃≫で相殺し、≪雨粒の矢≫≪アニマルテイマー≫シーン攻撃。ドルジが万軍撃破の大活躍し60点を超えるダメージでモブを壊滅させる。 GM 喰らうとバリア割れるから≪空蝉≫。残像で回避。 が、直後の空幻は≪究極獣化≫から≪一閃≫で攻撃。この時点で浸食率154であるw GM ボスより浸食率高いんだけど、アイツw ≪知恵ある獣≫で人の姿を保ったまま、空幻は圧倒的な膂力で攻撃。(ちなみに≪究極獣化≫装甲値10点は『モフモフの毛皮』によるものらしい) “悪霊の主”は、出目が振るわないとか言いつつ60点近いダメージを叩き出す。 その一撃により、鏡子の心の障壁……【拒絶の結界】は砕け散った。 鏡子にもはや防御手段はないが、≪歪みの領域≫で地味に相打ちを狙いつつ、ついに夏芽に攻撃を命中させる。 夏芽:「……倒れてなんていられない、絶対に助ける!」とタイタス復活。攻撃します。 GM 「思いなんてものに、何の価値があるんです?」と……Eロイス【否定の壁】で『自分への攻撃のタイタス打消し』があるが、使うタイミングないなー。なんで1ターン目に夏芽に攻撃当たってないんだよー。あー、リア充だったらなーw 空幻:確かに≪想い人≫のカバー不可は強いですけどね!w 最後の一撃を受け、鏡子の仮面が砕け、塵となって消える。 残された鏡子は、その場に脱力しながら、穏やかな表情を浮かべている。 「……ありがとうございます。皆さんのおかげで、人を信じる気持ちを思い出せました」 クライマックス終了、“倒した敵”のEロイスは3枚相当。 154の空幻に一瞬期待が集まるが、全員普通に1倍で帰還。エンディングへ。 事件解決後、後処理は空幻が何とかして、鏡子もすぐに復帰した。 教室では、今度は全員で、クラス企画の話し合いが行われている。 空幻:私は『働きたくない』のアイマスクをして寝ていますw GM キツネが?w 空幻:キツネがw 今度こそ、クラス中の合意を得て、『猫喫茶』に決まった。 ……この時、セッション参加者数名が、『ちくわ喫茶』という単語を胸の奥にしまっておいたのは秘密。 夏芽:説得用に、ドルジを教室に連れてきています。 GM オーヴァード生徒も、ドルジに魅了されたのか、反対意見はないw 銀次:「なぁ、あのドルジで芸でもすればいいんじゃねぇか?」 夏芽:「ドルジは大切な友達だ!芸人でも、芸ねこでもない!」w 紫音:私は後ろでドルジと戯れています。 空幻:あれ、私のマスコットの座が危うい……?w 鏡子と珠美と明乃、3人の仲も一層良くなったらしい。 空幻:「そうだ、鏡子ちゃん。あの仮面をつけてる時のこと、覚えてる?」 GM/鏡子:「はい、はっきりと。……他人への嫌悪感が湧き上がって来て、悪いことだと思っているのに、止められなくて……」 空幻:「そう……まだ、オーヴァードは嫌い?」 GM/鏡子:「いいえ。色々なオーヴァードが居ることが分かりましたし、皆さんから、誰かを信じる大切さを教えてもらいましたから」 こうして、H1-Dクラスの危機は無事解決したのだった。
https://w.atwiki.jp/gamecircledaitokai/pages/53.html
DX3@アカデミアの自作キャンペーン『欠落の楽園』第5話(最終話)。 =最終話今回予告= 遂に文化祭が始まった。 細かいハプニングはありつつも、1日目は順調に終了した。 だが、その夜。世界は変貌した。 “ペルソナマスター”の仮面が学園全体に拡散し、『苦痛の無い世界』が生まれる。 昨日と同じ、だが確実に変貌してしまった世界を変革するため、立ち上がる5人と1匹――リトルバスターズ! 再戦の舞台を待ちわびていたマスターブレードの放つ必殺技とは!? 【究極存在】と化したペルソナマスターを倒す、たった1つの冴えたやり方とは!? ダブルクロスキャンペーン最終話 『アカデミア 野球編』 ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。 == ハンドアウト(全員共通) シナリオロイス:なし 無事に開催された文化祭。キミはその初日を満喫した。 しかし、2日目には全てが変貌してしまった。 果たして、あの人物は無事なのだろうか? ※ロイスに関するギミックがあるので、ロイス欄が3つ空いた状態でシナリオ開始します。 == PCたちの今回のカヴァー:成長報告 夏芽/リトルバスターズキャプテン: 芸術:野球 取って20点余り 紫音/図書委員(参謀):120%エフェクト≪ブリッツクリーク≫ 空幻/委員長(キャッチャー):ドラマCDデータ『アリアドネ』で全ダメージ-10 銀次/番長(セカンド):≪ピンポイントレーザー≫ シナリオ開始。 文化祭初日の早朝の教室。 夏芽たちは、長い準備を経てようやく開店準備が整った。 看板に衣装、猫の準備も万端だ。 GM/カルロ:「いやー、空幻さんに大量の仕事を押し付けられた時は死ぬかと思ったけど、何とかなるもんだね!さすがボク」と、メイド20人から称賛されているカルロ。 空幻:「どうにか間に合ったみたいね」 GM/鏡子:「空幻さんに任せておいた衣装の注文数がずれている気がしましたが、そんなことは無かったみたいですね」 夏芽:「誰がこんな大量のメイド服を用意したんだ?」 空幻:「1着足りなかったけれど、UGNの偉い人が何とかしてくれたわ」w GM/珠美:「流石きょーちゃんとくーちゃんだね。こんなにかわいい衣装を準備できるなんて。あ、リトルバスターズのみんな、明日の野球大会は頑張ってね!応援に行くよ!」そこで、更衣室で着替えた明乃が遅れてやってくる。「しかし、こういった装飾過多な衣服は、某には似合わないのではないか?」と、メイド服に帯刀した明乃。 銀次:「その刀、似合わないんじゃねぇか?」 GM/明乃:「だが、刀は武士の魂……手放すことはできぬのだ」 そんな会話をしていると、教室に誰かが駆け込んでくる。 「紫音お姉さま、マーベラスな喫茶ですわね!」 なんだかよく分からないが、戦士風のファンタジーな服装の朱夏が現れる。 夏芽:何故か右肩が無駄に露出している左右非対称な鎧? GM そんな感じ。「あら、お姉さま方、このファンタジックなコスチュームが気になりますの?」と、自信満々に「これは、ライトニングの異名を持ちグラビティを自在に操る、永遠なる女騎士、エターナルキャバルリーのアーマード・コスチュームですわ!」w 夏芽:ブラックドッグ/バロールかーw 紫音:「……寒くないの?」 銀次:「防御力低そーだなおい」 GM/朱夏:「お姉さま方、私のクラスの『エターナルキャバルリー喫茶』にも来ていただけますか?当喫茶は、誰でもウェルカム、ですわ」ちゃんと企画名もそう書いてあるよ、字数制限の都合で半角カタカナだけど! 銀次:「つーか、エターナルキャバルリーって何なんだよ」 空幻:「……あなたのリーゼントと同じようなものよ、きっと」 以降、各自1シーンほど、学園祭を満喫するシーン。 紫音は夏芽と空幻を引き連れて、朱夏の案内でエターナルキャバルリー喫茶へ。 教室は一見普通の喫茶店だが、その一角にファンタジーな空間が展開され、いかにも小さなメダルが入っていそうなタンスや壺が置かれている。 紫音:「……メニューは普通ね」 GM:調理担当まで手が回らなかったんだよ! 紫音の妹の深音が、朱夏を調子に乗らせて企画名まで発展させたけど。 空幻:「じゃあ、この『神王エニアパフェ』お願い」w GM:とか言ってると、蜜柑が「……妙な名前の喫茶店があると思ってきてみたけれど、やっぱりあなた達だったのね」と来店する。 紫音:「他にこの名前を使う人はいないと思う」 GM/蜜柑:「いや、私は 情報:噂話 は判定できないから」【生来の狂気】のペナのせいで。 夏芽:「……もしかして、実はあっちの普通の喫茶店の方がエターナルキャバルリー喫茶なんじゃないか?」 GM/朱夏:「そ、そこに気づくとは!流石夏芽お姉さま、私も気が付きませんでした!」 空幻は、一休みするために、アニマルオーヴァードのショーを見ていた。 そこに、声がかかる。 「あなたも混ざったらどうです、マスターレイス?」 空幻:「その冗談……流石の私も怒るわよ、プランナー?」 GM/プランナー:「もちろん冗談です」と、例のメイド服を着て登場。「そろそろペルソナマスターに動きがあるかと思ったのですが……まだのようですね。折角ですから、あなたのクラスの手伝いでもしていましょうか」と、いそいそとネコ耳を装備するw 空幻:「な、何をするつもり?」 GM/プランナー:「あなたのクラスの猫喫茶を救うべく、『ぷらんにゃー』が颯爽と登場するつもりですが」 空幻:「そ、そう。ありがとう」と遠い目をして返事をw GM で、ぷらんにゃーは立ち去っていく。 紫音:登場します。「今の子、知り合い?」 空幻:「ええと……ノイマンシンドロームの子で、すごく頭が良くて……で、“デザイナー”って呼ばれてるわ」w 続けて夏芽は、リンと回って色々と食べ比べ。 GM/リン:「これでイチゴサンデー10個目だね!」 夏芽:「そうだな。いくら食べて辛くなったとしても、明日になれば大丈夫だ!」……『イチゴサンデー7つ』って、普通に一つ680円とかだった気がする。 GM:樋口一葉が飛ぶな……。「次は、あの『かき氷早食い』に行ってみようよ!」 銀次:じゃあ、全力で食べてます。「うおー!」 紫音:ここも食べてる。 空幻:ぷらんにゃーを見てショックを受けたので、「少し、頭を冷やそう……」と食べに来ますw 銀次:俺はリーゼントを発光させることにより熱を発生させ、頭が痛くなるのを防ぐぜ!w GM:そんなことを知らずにリンは一気に食べて「うう……夏芽、頭が痛いよ。生きるのってつらいね」w 夏芽:「若くして真理に到達したな」w 銀次が祭りを満喫していると、企画を荒らしている不良が。 GM/不良:「おいおいねーちゃん、この俺様たちがレッドスコルピオだと知らねーのか?もっとサービスしてくれよ!」と何人かが。 空幻:「あら、見過ごせないわね」と見ていよう。 銀次:「おいお前」と肩に手を置く。 GM/不良:「ああん、なん……」と振り向いて硬直。 銀次:「このリーゼント、忘れたとは言わせねぇぞ!」 夏芽/不良:「お、お前は、“ライトキャノン”!」 GM:何この時代劇w 銀次:「くーさん、懲らしめてやりなさい!」w 空幻:「はーい!」と敵を倒してから「……って、何でよ!」と突っ込むw 紫音:それを撮影するしねま。 GM:不良に絡まれていた生徒が、「あ、ありがとうございます!」とお礼をしつつ(……やだ、このリーゼントの人カッコイイ)的な目で見てくるw 銀次:ドヤ顔で返すぜ!w その夜。学園全体に、重々しい声が響いた。 ある者は夢の中で、ある者は徹夜作業に追われながら、その声を聴いた。 「汝ら、学園祭は楽しめているか?」 「たとえ今日が楽しかったとしても、明日がそうだとは限らない。世界は、不条理な苦痛に満ちている」 「ならば、世界から苦痛を取り除いてしまえば、世界はより平和になるだろう」 「汝らは何も失うことは無い。ただ、苦痛を外に押し付けるだけでよい。そう……仮面に」 「汝らもすでに知っていよう。自分の欠落を埋め、不要な苦痛を受け持ってくれる仮面の存在を」 「『苦痛の無い世界』で、楽しいことだけを行い、変わらない日常を送り続ける。それこそ、汝らの望みではないか?」 「汝らの真の顔を、願いを守ろうではないか、我という仮面、ペルソナが。そして汝らは、仮面の主、ペルソナマスターとなる」 GM:そう言って、各人に仮面を受け入れるように誘ってくる。仮面を否定する場合、衝動判定9。受け入れるなら、ロイス欄に『ペルソナマスター』を書くこと。 空幻:「そんな世界、絶対にお断りよ」 銀次:「苦痛が無いってことは、その分勝利の喜びも少ないってことだろ?つまんねーじゃねーか、そんな世界」 等の理由でPC全員が拒絶。 しかし、多くの学園一般生徒はそれを受け入れ―― 翌朝。世界は変貌した。 一見、昨日と変わらない世界。 だが、生徒たちは仮面を受け入れ、自分にとって不都合な行為や感情を、仮面に背負わせる。 それは、平穏な、苦痛の無い世界だった。 空幻:ああ、腐女子の衝動:妄想が止まったりするのかw GM 確かに平和かもしれないな、学園祭2日目w 空幻:2日目……って、その2日目じゃねーからw GM 3日目は大変なんだろーなー。 空幻:風紀委員会の監視が厳しいんだろう、きっと。 GM:というわけで、2日目は、情報収集したり、ロイスを持っている相手に会いに行くことになる。このキャンペーンに出たNPCならロイスが取れるよ。 まずは紫音と空幻が蜜柑に会いに行った。 “取次屋”の店舗はいつもと変わらず、異常を察している蜜柑が待っていた。 ここで行った情報収集の結果は以下の通り。 ◎ペルソナマスター FHのマスターエージェント。 ≪オリジン:レジェンド≫のレネビであり『仮面』という都市伝説そのもの。 都市伝説が存在する限り、ペルソナマスターが滅びることは無い。Eロイス【究極存在】によって、あらゆるダメージが無効化される。 ◎『苦痛の無い世界』 ペルソナマスターによって作り出された状態。Eロイスなどの作用ではない。 不都合や苦痛を、各人の心に宿った(=ロイスとして習得している)『仮面』に押し付けることで実現している。 現状、特に混乱は起こっていない。 こういった現象に詳しそうな人物ということで、プランナーを呼び出そう、と考えたところでプランナーが登場。 詳しい話をしたいので、夏芽と銀次も呼ぶように要求。 夏芽:「お、お前、ぷらんにゃーじゃないか!」 空幻:「“デザイナー”さんよ」w 全員の前で、説明を始める。 GM/プランナー:「苦痛の欠落した世界。さしずめ、『欠落の楽園』と言ったところでしょうか。皆さんは、この世界を否定するのですね――さて、一見完璧に見える計画ですが、ペルソナマスター自身も気づいていない穴がありますね。私が皆さんにプランを授けましょう」……すっ、とリンを指さし、「切り札はあなたです、リンさん」 夏芽:「えっ、リンが?」 「あなたは、島の外にいる時点から微弱な意志を持ち、この島のレネゲイドによって目覚めた存在。この島に適合しつつも、外の世界の理……『常識』をその身に宿すもの。この島にとっての獅子身中の虫、というわけです」 「みなさんが、『仮面を着けた相手の正体が分からない』などのこの島の理に囚われなかったのは、全て彼女の影響です」 「彼女の影響力を全生徒に広げ、彼らに『仮面』の存在を否定させることができれば、この状況を変えることができるでしょう。そのためには、彼女の存在を、全生徒に知らしめる必要がありますが……ところで、今日は野球大会があるらしいですね」 夏芽:「ああ……そうか、そこでリンが活躍して優勝すれば!」 GM/プランナー:「ええ、それが良いでしょう。ですが、注意してください。目論見に気づいたペルソナマスターが妨害してくるかもしれませんし、何よりこれまでにない規模で学園内部の理を『常識』で否定することになるのです。島からの反発を一身に受けることになるリンさんに、何が起こるか未知数です。場合によっては、消滅する可能性もあります。文字通り、『たった一つの冴えたやり方』になるかもしれません」 空幻:「……その手段を選ぶかは、あなた達に任せるわ」 夏芽:「リンと会ってまだ1ヶ月くらいだけど、最初に会った時から懐かしい感じがしてたんだ」 GM/リン:「うん、たった1ヶ月だけど、みんなとこんなに仲良くなれたのは、楽しいことだけじゃなく、辛いこともあったからだと思う。だから……あたしは『苦痛の無い世界』を否定する!」 というわけで、クライマックス1はFS判定、ただし人数が少ないとペナルティになる。 そこで、チームメンバーを集めるPCたち。 GM ちなみに、プランナーは参加しない。蜜柑は選手として数えないけど、以下のスキルが使える。 =久縁蜜柑:≪こんなこともあろうかと≫= 調達目標値30までのアイテム1つを調達。即座に誰かに装備させても良い。シナリオ1回。 == 次は、クラスに戻って鏡子、珠美、明乃に声を掛け、事情を説明してチームに引き込む。 =八幡鏡子:≪適切な助言≫= 判定直前、+2dしCT-1(下限9)、ラウンド1回。 =蟹沢珠美:≪マンガ知識≫= マンガ知識が役立つ判定直前、+4d、ラウンド1回。 =草薙明乃:ゲスト扱い= 【肉体】6 白兵 6 回避 4 【感覚】3 知覚 2 【精神】2 意志 2 【社会】1 行動値8 【Dロイス:伝承者(白兵)】 自身の 白兵 判定直前、達成値を+3d10、シナリオ1回。 == 銀次:某は相変わらずだなーw あ、しねまも呼んでおこう。 GM/しねま:「実況の仕事があるので、チームには参加できないのでありますが、知り合いに頼んで、責任を持って全校放送するであります!」……第三生徒会のエナが≪タッピング&オンエア≫持ってるからな! 紫音:あ、カルロにも声を掛けます。 GM/カルロ:「いやー、前のPVで『もう二度とあんなことはしないよ』って言ったばかりだからね。仮面を受け取るわけにはいかなかったんだよ」 夏芽/メイド:「流石です、坊ちゃま」w =カルロ・クリスピアーノ:ゲスト扱い= 【肉体】3 【感覚】5 芸術:彫刻 4 【精神】2 RC 1 【社会】2 行動値12 侵食率80% (ダイスボーナス+2d) ≪コンセ:サラマンダー≫2 ≪氷神の悲しみ≫3(メジャー/リアクション、感覚を用いた判定に+4dし、更に達成値+3(ランク効果)) == 続けて、朱夏と深音のエターナルキャバルリー喫茶へ。 昨日よりも例の一角のファンタジー成分が強化されているが、他のクラスメイトは完全にスルーしている。 GM:“痛み”を仮面に押し付けているからな! 夏芽:そんなに“イタい”のかあの空間w 紫音:「朱夏ちゃん、野球やらない?」 GM/朱夏:「お姉さまと一緒なら、オフコースですわ!ああ、昨日お姉さまがここに来ていただいてからテンションが上がりっぱなしで、もう120%ですわ!」w =蘭堂 朱夏(侵食率120%):アージエフェクト≪生命の大樹≫2= クリンナップに使用、シーン(選択)のHPを20点回復、シナリオ1回。 == GM ちなみに、深音は特に特殊効果なし。 更に、銀次が舎弟の猿飛に声を掛けて、人数を確保。 GM:猿飛も能力なしの『人数』ね。 空幻:あと誰かいたっけ……あ、『クリスタル囲碁相撲部』!w GM:「ライバルのピンチと聞いて、手助けにきたでごわす!」w ……まぁ、人数で。……仲間集めは以上でいい? 夏芽:もういいかなー。 GM 一応、名前付きのNPCとして、『ヒロシ』とかいるけどw 空幻:誰だよ!w GM ほら、1話で出てきた猿飛の知り合い。「何言ってんだ猿飛、誰も来てねーだろ」って言った奴w 銀次:いたなぁ、そんな奴w GM あとはクラス担任の先生。一応、「授業始めますよー」くらい喋ってるはずw そんなこんなで準備が完了し、野球大会へ。 マスターシーン。 順調に勝ち上がっていくリトルバスターズを、何処とも知れぬ闇の中で見ている者たちが居た。 その1人、マスターブレードが問いかける。 「ペルソナマスターよ。俺は貴様の正体や計画などに興味はない。だが……先日言っていた『リトルバスターズとの決着の機会』とは、よもやこの野球大会ではあるまいな」 「その通りだと言ったら、どうする?」 「ぐぬぬ……」 夏芽:ぐぬぬ、じゃねーよw 言いよどむマスターブレードに、ペルソナマスターが話を続ける。 「落ち着け、マスターブレード。奴らとの決着がつけられなかった貴様は、もはや奴らを倒さなくては前に進めないのではなかったか?」 「い、いや、そのようなことは……」 「なにを躊躇う。貴様の欲望に正直になるがいい」 そう言ってペルソナマスターが【愚者の契約】を行い、舞台の準備は整った。 空幻:正しいけど、正しくない使い方だw クライマックス1 野球大会も遂に決勝戦。しねまの実況にも熱が入る。 「さあ、決勝戦出場チームは『リトルバスターズ』対『ディオゲネスクラブ』!因縁の対決であります!まずはリトルバスターズ、入場!」 夏芽に連れられて、一同が入場する。 GM えーと、メイドが20人と、クリスタル囲碁相撲部が10人弱いて、合計40人くらい?w 「続いて、ディオゲネスクラブの入場であります!」 マスターブレードと、仮面を着けた数人、そしてペルソナマスターの仮面を着けた犬が入場する。 バットを振るい、マスターブレードが高らかに宣言する。 「前回は油断したが、今回は初めから全力で行くぞ!」 言葉と共に、マスターブレードが4人に分裂する。 「なんとディオゲネスクラブは、1番から4番まで全員がマスターブレードという超攻撃的な布陣!リトルバスターズはこれをしのぎ切ることができるのか!この試合から目を離せないであります!」 夏芽:これが……レネゲイド野球……w ……この映像は、学園中に生中継されている。 街頭の巨大モニターから、携帯用の端末まで、様々な媒体に映像が映る。 しかし、ほとんどの生徒たちは、『苦痛の無い世界』からそれを眺めている。 先攻はディオゲネスクラブ。 「まずは俺から行かせてもらうぞ」 そう言ってバッターボックスに立つ、マスターブレード1番。 圧倒的な殺気を放ち、ただ球場に立っているだけで体力が消耗させられる。 GM ……という演出だが、普通に毎ラウンド攻撃する。バット一振りするだけで、≪スプリットアタック≫で8人に≪かまいたち≫が飛ぶ、『バット1振りするだけで8人が倒れた』w セットアップのハプニングチャートの結果は、『FS判定すると1d10ダメージ』。 空幻:アリアドネで10点止まるから関係ないぜ!w FS判定は、5ラウンド以内に25貯めればOK。最大達成値30。 =FS1 猛攻を凌ぐ= 判定8:肉体orガード値 == GM この判定は、特例としてガード値を算出して達成値扱いにできるとする。それはそれとして、行動値21でマスターブレードの攻撃ね。 この攻撃で全員がリザレクト(ちなみに、PC以外はカルロのメイド(エキストラ従者)がエキストラカバーリングしてる扱い)。 PC側は、明乃まで他全員が待機。明乃が判定してファインプレーして1アウト。 だが、マスターブレード達は落ち着き払っている。 「1番がやられたようだな」 「だが、奴は我らマスターブレードの中でも一番の小物」 「我らの実力はこの程度ではないぞ!」 しかしこの直後、空幻がファインプレーを見せ、3アウト。攻守交代。 その頃。 巨大モニターで生中継の映像を見ている生徒の1人が、ポツリと言った。 「なぁ、なんであのリトルバスターズって連中は、ボロボロになってまで野球やってるんだ?」 「さあな。面白ければどーでもよくね?」 そう言いつつ、映像を見続けている。 1回裏、リトルバスターズの攻撃。相手のピッチャーは、マスターブレード4番。 これまで黙っていた明乃が口を開く。 「……夏芽殿、まずは某に行かせてほしい」 夏芽:「いいけど、どうしたんだ?」 GM/明乃:「あのマスターブレードとやら、先日の仮面舞踏会で会った時から、どこかで会ったような気がしていたのだ」 バッターボックスに入った明乃が呟く。 「……この気配、御剣部長……いや、まさかな」 「ふむ……俺は、一般人が相手でも手加減はしない。貴様の全力を出して当たってくるがいい」 「……そうさせてもらう」 明乃は、正面に向き直ると、バットを捨てて愛用の竹刀を正眼に構えた。 空幻:それ野球だったらルール違反……だけどレネゲイド野球だから関係ないかw それを見て、マスターブレードは不敵に笑う。 「良い構えだ。だが……」 大きく足を振り上げ、投球する。砂煙を巻き上げて飛来するボール。 対する明乃は、確かにボールを捉えるが、しかしボールは勢いを失わず、そのままキャッチャーのミットに収まった。 驚愕する明乃。 「馬鹿な、確かに手ごたえはあったはず……」 「今のが、俺が編み出した、吸引力の変わらないただ1つの魔球、名付けて『マスターボール』。この魔球から逃れることはできん」 GM と、般若の面の下でドヤ顔をしているマスターブレード。 空幻:確かに吸引力は変わらないけどさ、『マスターボール』w 夏芽:人のものをとったら、どろぼう! =FS2 魔球の正体を見抜く= 判定12:知覚or『知識:魔球』に類する技能 == 夏芽が 芸術:野球 で判定、更にHPが低くてFS判定したくない紫音が手番を使っての援護と、≪支援射撃≫を行い、鏡子の効果を使いつつカルロが判定。 GM/珠美:「あの投球フォーム、どこかで見たことがあると思ったんだけど、大リーグボール2号ね。いわゆる消える魔球よ。でも、球はちゃんと見えてるし……」 空幻:やっぱりそれかw GM/鏡子:「見えている球が囮、という可能性は無いですか?」 紫音:≪支援射撃≫で魔球の砂煙を晴らします。 =FS3 魔球の弱点を探る= 判定9:『知識:魔球』に類する技能 == GM/マスターブレード:「なるほど、早くも『マスターボール』の秘密に気付いたわけか。だが、それで打ち破ることが可能になるわけではあるまい」 空幻:≪我が魔球は破れず≫w 再び投げられる『マスターボール』。 通常の軌道を描くボールと、土煙の中を飛ぶボール、その数は合わせて8個。 「8つ全てが実体を持つボールだ。原理が分かっても、打ち返すことはできまい」 GM 演出上は≪スプリットアタック≫のちょっとした応用。 ここで、銀次が珠美の効果を使ってFS判定。 GM/珠美:「テニスマンガで見たことがあるよ、増える魔球。あれは、全部まとめて打ち返せばいいんだよ!」 夏芽:テニヌw GM/鏡子:「もしくは、実体とはいえ、本物のボールは1つのようです。それを識別できれば……」 と、対策を思いついたところで、進行値12で1ラウンド目終了。 2ラウンド目、ハプニングチャートは1ラウンド目と同じく、FS判定するとダメージ。 マスターブレードの攻撃でリザレクトしたところでPC側のターン。 =FS4 魔球を打ち返す= 判定10:任意の技能による命中判定 ただし、メジャーの直前に知覚15(リアクション扱い)の判定を行う。 成功すると、通常通り部分判定可能。失敗した場合、部分判定後、7分の8の確率で部分判定達成値0になる。 ただし、範囲以上を対象とする攻撃の場合、通常通り達成値を算出する。 == 紫音の援護を受けた銀次の範囲攻撃がボールを打ち返す。 銀次:「うおー!リーゼントマシンガン!」 更に、カルロが≪氷神の悲しみ≫をフル活用して本物のボールを見切って打ち返す。 遂に動揺するマスターブレード。 「馬鹿な、魔球マスターボールが破れるとは!」 「……どうしたマスターブレード、貴様の欲望はこの程度ではないだろう?」 「当然だ!」 「では、その欲望にふさわしい舞台に変更しようではないか」 ペルソナマスターの言葉と同時に、球場が蠢き、選手に襲いかかる。 ≪C エグザイル≫≪無機なる四肢≫≪細胞侵食≫≪異形の祭典≫。17dでCT7、ダメージが入ったら重圧と邪毒5。 銀次:じゃあ、フラッシュゲイズするぜ! GM だと……1個だけクリティカルして―― 夏芽:≪支配の領域≫! GM ですよねー。命中16。 夏芽と紫音が回避、空幻が銀次を庇ってノーダメージ。 ――球場は、一面の荒野と化した。 その様子も、街頭の巨大モニターに映っている。 「あいつら、あんなにボロボロなのに、まだ続けるつもりかよ」 「苦しいだろうに、何であいつらは止めねぇんだ。馬鹿じゃねえの?」 「……でも、あいつらを見てると、何か思い出さねぇか?」 「何かって、何だよ」 空幻:ワクワクを思い出すんだ!w 「良くわかんねぇけど、何か、とても大切なものを忘れちまってる気がするんだよ」 モニターには、ボロボロになりながらも立ち上がる、夏芽とリンの姿が映っていた。 GM/リン:「夏芽、大丈夫?」と心配するリンだが、その体の一部が一瞬半透明になる。 夏芽:「大丈夫だ。リンこそ無事か?」 GM/リン:「さっき言われた『島からの反発』ってやつかな。まだ大丈夫だけど、時間がかかると厳しいかも」 球場に、ペルソナマスターの声が響く。 「……ほう、まだ立つか。だが、汝らの力は奪わせてもらう」 周囲にレネゲイドの力が沈静化する物質が散布される。≪カームダウン≫4で、オーヴァードの行う全判定-8d。 GM カルロがふらつき、それを支えようとするメイドの動きも緩慢になっている。状況を察した鏡子が、「大丈夫ですか、皆さん」と心配している。珠美が「マンガでよくある展開だけど、ラスボスが直接動いたってことは、もう後がないってことだよ!きっと、あと一息だよ!」と励まし、隣の明乃も頷く。どうやらカームダウンの影響はマスターブレードにも及んでいるらしく、魔球の切れ味が鈍っているようだ。魔球の本物を見抜く判定目標値が10に減少。 次の手番は、明乃。カームダウンの影響を受けていないので、どうにか知覚判定を通し―― 夏芽/明乃:「魔球、見切ったり!」……伝承者込みで達成値33! これでカウントは24。あと1。 空幻:で、難易度は10で、私の基準値は9なので、普通に範囲攻撃しまーす。 夏芽:「決めろ、くーちゃん!」 空幻:……≪一閃≫! 空幻がまとめて打ち上げたボールが、勢いよく場外まで飛んでいく。 「試合終了!魔球マスターボールを打ち破り、リトルバスターズの勝利であります!早速ヒーローインタビューを行うでありますよ!」 カメラに映るのは、傷だらけになりながら戦い、勝利を収めたリトルバスターズ。 映像の中央に、笑顔のリンが映る。度重なる攻撃と『島からの反発』の影響で足元はふらつき、実体化が解除されかけているが、その顔には満面の笑顔。 その様子を、モニター越しに学園中の生徒が見つめている。 紫音:「行ってきなさい」 空幻:「あなたたちは、二人で一人でしょう?」 夏芽:「そうだな……行くぞ、リン!」 GM/しねま:しねまがマイクをそちらに渡して、「では、一言お願いするであります!」 夏芽:「マスターブレードは強敵だったけど、楽しかった!」 GM/リン:「辛いことや痛いこともあったけど、だからこそ、勝ててうれしいよ!だから、これを見ている皆も、嫌なことから目を反らさないでほしいな。ね、夏芽!」そう言って、夏芽へともたれかかるリン。 夏芽:「そうだぞ、辛いことの後には楽しいことがあるんだ!」 GM で、リンは「ごめん、疲れちゃった……ちょっと、休むね」と呟くと同時、元のボールに戻り、その場に落下する。 夏芽:「大丈夫か?」とボールを拾います。 その映像を見つめる生徒たちは、憑き物が落ちたように穏やかな表情になる。 「そうか……俺たちは、『苦痛』から逃げていたのか」 「あいつらが、あんなになるまで戦ったんだ。俺たちが逃げたら、あいつらに見せる顔が無いよな」 「ああ、『苦痛』から逃げるための仮面なんて必要ない」 「だって、俺たちみんな――」 GM 夏芽:「「仲間だもんげ!」」w 生徒たちは、次々に心の中の仮面を捨てて――タイタス化していく。 その影響を受け、【究極存在】であったペルソナマスターの仮面が揺らぎ、ヒビが入る。 クライマックス1・終了。 クライマックス2……に入る前に、朱夏の効果で全員を回復、HPをそこそこ残した状態で戦闘へ。 ペルソナマスターの仮面が揺らぎ、ヒビが入る。 「な、なぜ『苦痛の無い世界』を否定する!それこそが人間たちの願いではないのか!?」 夏芽:「苦痛が無い世界じゃ、楽しいことも楽しくないだろ!」 空幻:「……あなたは『苦痛』を無くすのではなく、私たちの『心の一部』を否定したのよ。そんな『世界』、欲しいわけがないでしょう?」 GM/ペルソナマスター:「汝ら人間は弱く、脆い存在だ。その宿命から解放されたくはないのか?我が、貴様ら人間を新たなステージ、『欠落の楽園』へと導いてやろうというのに!」 夏芽:「確かに、昔のあたしは弱かった。けど、みんなが居てくれたから、強くなれたんだ!」 ここまで、その様子を黙って見ていたマスターブレードが口を開く。 「……興が乗らんな。苦痛から逃れ続けた先には、俺が望む闘争の場は存在しない。弱い者がどうなろうと、興味はない。だが……強敵との決着は、邪魔の入らぬ場所で行いたいものだな。この場は預けるぞ、リトルバスターズ!」 風と共に去っていくマスターブレード。 「……か、勘違いするなよ。手負いの貴様らを倒したとて、俺の衝動は収まらん。ただ、それだけだ」 銀次:ツンデレかw 残されたペルソナマスターは、気を取り直して話を続ける。 「我を否定するならば見せてやろう、汝ら人間の心の奥底に潜む負の感情を。そして、我の存在が必要であると思い直すが良い!」 ひび割れた仮面から、黒い闇が広がり、全長10 mを超える巨大な人型生物の形になる。 GM イメージ的には、『千と千尋の神隠し』のカオナシ暴走状態。 夏芽:うわー…… 全身に無数の仮面があり、それぞれが負の感情を示している。 それらの仮面を見ることで、忌まわしい記憶が湧き上がってくる。 衝動判定、目標値12。Eロイス【堕落の誘い】と【原初の恐怖】により、衝動判定に失敗すると即座に浸食率が100%になり、さらに上昇する侵食率は『1D10+覚醒の基本値』に変更される。 GM まぁ、既に全員100%超えてるから【堕落の誘い】の方は無意味なんだが。それぞれ、自分の覚醒時の記憶を呼び覚まされる、という演出。 空幻:「……嫌なことを、思い出させてくれたわね……」って、意志判定は29で成功。「大人しくしてなさい、衝動。お前を統べるのは、私よ」 GM:さすが【悪霊の主(マスターレイス)】、結局衝動判定はキャンペーン通して全部成功か。 紫音:膝をついて……判定失敗。このままだと回避できなくなるんで、≪勝利の女神≫で成功させておきます。 銀次:「うっ……おふくろ……」と失敗。 敵はペルソナマスターと、その端末5体。 端末はそれぞれ、これまでにリトルバスターズが倒してきた仮面……嫌悪、恐怖、妄想、飢餓、破壊の仮面を身に着けている。 「我が再構成した仮面だ。元の仮面よりも性能は落ちているが、貴様らを倒すには十分だ」 セットアップにEロイス【孤高の超人】で、ペルソナマスター以外全員の浸食率ボーナスをラウンドの間打ち消す。 「これが、レネゲイドを操作するということだ」 空幻:「それがどうしたの?」と、Dロイスとトレイルデータでダイスとエフェクトレベルは増えるから大して効かないぜ!w ペルソナマスターは、イニシアで≪ブリッツクリーク≫を補助役の妄想に飛ばそうとする。4d10エフェクトを使用するので、マスターエージェント専用トレイルデータ『狂気の沙汰』でシーン中全達成値+5、ダメージ-10。 空幻:そっちもかー。 紫音:その前にこちらも≪ブリッツクリーク≫!誰が行動します? 夏芽:……ここが≪拡散する世界≫を習得してシーン化させよう。HP回復したから20点消費しても大丈夫。「行け、くーちゃん!」 空幻:「じゃあ、行かせてもらうわよ」と、フルコンボ。こちらも4d10エフェクト使ったんで―― GM はいはいw これがマスターエージェント同士の戦闘か……w まだこっちは使用してないからダメージ軽減とか入ってないんだよねー。 空幻:達成値は……100!シーン攻撃! 夏芽:福音発生!w GM:う~ん、避けられないんで適当に庇った。ボスと妄想以外にダメージ入って戦闘不能。(言いつつポーンを片付ける)。で、ボスの≪ブリッツクリーク≫の処理は、妄想が残りに強化して終了。蘇生エフェクトは積んでないんだよなー。 紫音の通常手番。とりあえず達成値が出ないので、マイナーでエンゲージを切ってから残った妄想に攻撃を仕掛けるが―― GM:≪シャッフル≫で対象をボスに変更。≪リフレックス:ノイマン≫≪言葉の盾≫で交渉回避。成功したので≪朧の旋風≫追加行動。 「我は仮面として拡散することにより、我は貴様ら人間の力というものの一端を得た。それを見せてやろう」 行動は、メイン開始時に『ムーンドッグ』でダメージ+5(重複する)、マイナーで≪オリジン:レジェンド≫≪オリジン:ヒューマン≫≪オウガバトル≫≪螺旋撃≫から、前のシーンと同じ8体攻撃に≪レネゲイドスマイト≫でダメージ上昇。 銀次から≪フラッシュゲイズ≫が飛んでダイスが減って達成値は51に留まるが、クリティカル上昇効果と【孤高の超人】の影響もあり、全員に命中。重圧と邪毒(5)が入る。 空幻:まぁ、全ダメージ減少20があるから、邪毒15点は効きませんけど。 GM:お前は何を言っているんだw ボスは、次のイニシアにアージエフェクト≪天上からの誘い≫。ラウンド中、全達成値+25。 これで命中は14dCT7の基準値57、回避は11dCT7基準値45。 銀次:当たる気がしないが、とりあえず範囲攻撃。……達成値38。 GM:ボスは11dでファンブルチェックだけど……何か使う? 銀次:≪フラッシュゲイズ≫はさっき使ったんですよ。 GM Sロイスがあるじゃないかw 夏芽:確かに、≪支配の領域≫まで入れれば確定で当たるけど…… 銀次:止めておこう。雑魚には当たるだろうし。 これで取り巻きは全滅。残りはボス1体。 次のボスの攻撃は達成値78。全員に命中し、ダメージは89点。 空幻:じゃあ、ガードして弾きました。 GM 何アイツ、ラスボスより固いんだけどw 空幻以外はタイタスと≪領域の盾≫で凌ぐが、そろそろ浸食率が厳しい。 次はアージエフェクトで加速した空幻の手番。 空幻:命中97! GM ……回避は68。ダメージどうぞ。 空幻:ダメージは94点、装甲-5扱い。 GM:だと、装甲とトレイルデータで止めて……半分弱削れた。 銀次:これで半分弱かー。 夏芽:次はここの手番だけど、あの達成値相手だとなー……とりあえず、このままだと邪毒で倒れるから、タイタスで解除して―― 銀次:そうだった、ここもタイタスで解除しておこう。 紫音:あ、ここ170%超えてタイタスも少ないんで、このターンの毒で倒れます。 夏芽:……紫音のエンゲージまで移動して終了。次のターンの攻撃+『止めを刺す』を行動放棄で庇う予定。 1ラウンド目終了、2ラウンド目へ。 「どうにか凌ぎ切った、とでも思ったか?真の絶望はここからだ」 ペルソナマスターの巨体が、周囲のレネゲイドを吸収していく。トレイルデータ『眠れる獅子』により2ラウンド以降の全判定+3d。 紫音が倒れているので、銀次の手番。 銀次:「オラァ!≪マスヴィジョン≫!」……達成値は42。リアクションに≪フラッシュゲイズ≫で12dペナ。 GM まだ160%未満か。なら『眠れる獅子』で14dになったから、2dは振れる!CT7で―― 出目は9と3。 夏芽:……何かあると嫌だから、今のうちに≪支配の領域≫で9を1に! GM:だと達成値23。……≪勝利の女神≫で+21して44で回避! もう片方が3で助かった。タイタス昇華の達成値上昇はする? 銀次:……無しで。 次のボスの攻撃で、空幻以外が戦闘不能に。空幻も残りHPが少なくなってきた。 そして空幻の手番。 今や戦場に立っているのは、たったの2人。 悪霊の主(マスターレイス)と仮面の主(ペルソナマスター)。 マスターエージェント同士の、欲望と欲望の対決である。 空幻:命中は74! GM 回避は……63。≪勝利の女神≫はこのラウンドもう使えない! 空幻:さっきのダメージで半分弱か……Sロイス切ろう。タイタス化してあるペルソナマスターをSロイスにして昇華、ダメージ+5d10。 GM 来いよマスターレイス、俺はダメージ打消しや蘇生エフェクトなんて持ってないぞー!w 空幻:ダメージは……122点、装甲マイナス5! GM だと……97点抜けて、HPはマイナス8!Sロイス分が無ければ……! 最後の一撃を受け、漆黒の巨体が倒れ伏す。 「馬鹿な……我が、人類を苦痛から解放し、新たなステージ……欠落の楽園へと進ませる欲望が、このようなところで潰える、だと……」 しかし、ペルソナマスターの仮面は、邪悪な笑みを浮かべた。 「だが、これで終わりではない。人類が苦痛から逃避しようとする限り、必ずや第2、第3の我が発生するだろう。我はただ、その時を待つとしよう……」 空幻:「いいえ、それまでに人類は進化する。あなたの出番はもうないわ、ペルソナマスター」 バックトラック。 Eロイスは6つ相当。 銀次と、余裕で180%とか行ってた空幻が2倍で成功。 夏芽と紫音も3倍で成功。 エンディングへ。 『苦痛の無い世界』は終わった。 痛みも苦しみもある、けれど、昨日と変わらない世界が戻ってきた。 リンも無事に復活したが、疲労でしばらくはまともに動けないらしい。 文化祭2日目は、事件の後処理で終わってしまったが、どうにか文化祭最終日である翌日の3日目には復旧が完了。 予定通り、最終日が行われることになった。 銀次の活躍を見て、かつては敵だった不良たちが集まってきた。 パンチパーマやアフロやモヒカンなど、様々な髪型の不良が集合している。 「銀次さん、感動したッス! 俺たちにそのカッコよさの秘訣を教えて下さい!」 銀次:「秘訣……?それは、リーゼントだ!」 GM/猿飛:「流石銀次さん、マジパネェっす!」……こいつ、このセリフしか言ってないなw 銀次:「いくぞお前ら、目指すは関島制覇だ!」 空幻がクラスに向かうと、ぷらんにゃーが居た。 空幻:「あら、まだいたの?もう帰ったと思ってたわ」 GM/ぷらんにゃー:「ええ、幾つかあなたに話しておきたいことがありましたから」と。「マスターレイス。ペルソナマスターはいつの日か復活するでしょう。その時までに『人類は進化する』とあなたは言いましたが、何か具体的なプランは?」 空幻:「……実は特にないんだけど。別に、間に合わなかったらまた倒せばいいんでしょ?」 GM/ぷらんにゃー:「確かにそうですね。ペルソナマスターの目指した『欠落の楽園』、それ自体は非常に興味深いモノでしたが、やはり、人間の……いえ、人間だけではなく、レネゲイドビーイングも含め、心ある者たちの間に生まれる“絆”の力は、時として全てを超える、ということでしょうか」 空幻:「まぁ、そういうことよ」 GM/ぷらんにゃー:「さて……焦らずに次の『進化』を楽しみに待つとしましょうか。私には無限の時間があるのですから」 紫音は、蜜柑と会話していた。 GM/蜜柑:「この世界は、楽園じゃない。苦痛に満ちた、残酷な世界。けれど……いえ、だからこそ、この世界は美しく、価値がある。だから、『この美しい世界を守りたい』……それが、やっと私の見つけた願い」 紫音:「願い、見つかったんだ。良かったわね」 GM/蜜柑:「この願いを叶えるためには色々と学ぶべきことがある。……というわけで、明日からクラスメイトよ。よろしくね、紫音」 夏芽:そういや、何歳なの蜜柑? GM:14か15。 一応、キミらの一つ下かな。同じクラスに転入するように調整してるけど。 紫音:「そうだ。私も、“取次屋”の手伝いをしたいんだけれど、良いかしら蜜柑ちゃん?」 GM/蜜柑:「ええ、もちろんよ。頼りにしてるわよ」……まずは、大量注文されたリーゼントをどうにかする作業だw 夏芽は、リンを連れてクラスまで来た。 リンは、会話には支障はないが、疲労の影響で手足を動かすのも大変らしい。 移動については、ボールに戻って運んでもらうことで何とかなった。 夏芽も疲れているので、暫くクラスで休憩中。 GM/リン:「夏芽、そろそろお腹空いてきちゃった。あ、一昨日行ったエターナルキャバルリー喫茶のメニュー美味しかったよね」 夏芽:「じゃあ、行くか」と、ボールに戻ったリンを連れて向かいます。 GM すると、我が物顔でドルジがついていく。 夏芽:「ねこ喫茶から猫が減るのは……ぷらんにゃーが居るから別にいいか」w 向かった先では、滞りなく注文した料理が届く。 GM/リン:「夏芽、そのイチゴサンデーおいしそうだね!」と口を開ける。 夏芽:「ほら、あーん」 GM 足元では、ドルジが同様の動きをしている。「なーん」 夏芽:「何だ、お前も食べるのか?」とドルジにも。 GM/リン:「やっぱり平和が一番だよねー、ドルジもそう思うでしょ?」と聞くと、「なーん」 夏芽:「そうだな。色々あったけど、こういうのが一番だな」 ――こうして、学園での『仮面』騒動は一応の決着を見せた。 しかし、リトルバスターズの戦いはこれから……であります! ~蜷川しねま先生の次回作にご期待ください~
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1377.html
309 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 26 36.24 ID 55Hq5p4Z 「お兄ちゃん」 「うぅ・・・」 「早く起きてってば~」 「・・・ぐぅ」 「・・・まだ寝てるんだよね?」 「・・・・・・では」 「何をしようとしてるのかな?」 「・・・ちっ」 「舌打ちはいいから状況を説明してくれるかな?場合によってはこの手が唸るかもしれない」 「普通の兄妹でよくあるスキンシップだけど?」 「兄妹のスキンシップなら仕方ないな・・・それでズボンを下げてるのか~」 「兄妹ならお兄ちゃんの寝顔を見てたらムラムラしてきて襲っちゃう事あるよね」 「・・・てい」 びしっ 「あぁん」 俺の妹はかなりおかしい。 常識外れ、天然、ブラコン。 そして何より――――――――― 「・・・ねぇ、お兄ちゃん・・・・・・もう一回だけ叩いて?」 変態だ。 310 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 28 49.58 ID 55Hq5p4Z 「はぁ~」 「何で溜息なんて吐いてるの?」 「毎朝あの手この手で嫌がらせしやがって・・・」 「でも色々試してみたけどやっぱりお兄ちゃんの一番好きなシチュが反応いいよね。一昨日もやったやつ」 「・・・はぁ」 「20回目にしてこの威力!やっぱり朝起きたら隣に裸で添い寝してくれる妹がいると興奮するでしょ?襲ってこないのが不思議でしかたない」 心底不思議そうに首を傾げる歩。 確かに反応はしてしまう。男の子だもの。 岸川 歩。高一。まだ幼さの残る童顔に黒のツインテール。 年相応の身体のライン。可愛いのは否定出来ない。 だが、妹だ。 兄妹という関係が崩壊しかける理性を止める最後の砦だ。 歩は兄妹という関係を破壊する気満々だが。 「やだなぁ、お兄ちゃん。妹兼お嫁さんが私の最終目標だよ」 「心を読むな、心を」 「今日もお兄ちゃんテレパシーは絶好調なのでした~」 歩は本当にテレパシーでも持っているのかと思うぐらい勘が鋭い。 特に俺の異性関係に関しては常に監視されてるかと思うほどだ。 「そろそろ学校行くぞ」 「は~い」 でもそろそろ兄離れをしないといけないよな。色んな意味で。 311 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 33 13.69 ID 55Hq5p4Z 学校までは二人で徒歩15分。 歩はまだ新入生だがかなり有名になってしまった。 ブラコンシスコンの岸川兄妹としてだが。 今だって当然の様に腕を組んでくるし。 周りの視線なんてお構いなし。鼻歌までしてやがる。 「何故か知らんがご機嫌だな」 「ふふん。この時間はお兄ちゃんが私のモノと周りに分からせるためにあるからね」 「さいですか」 あぁ戻りたい。一年前の高校生活に。 一年と三年は校舎が違うので校門で歩と別れる。 一人で歩いていても視線は感じる。 歩が来る前までは普通に過ごしてたのに・・・ 今ではすっかり注目の的だよ。 自分の席に着き、ようやく落ち着く。 クラスの奴等は今の状況が歩からの一方的な愛情だと分かっているのでありがたい。 「おはよう岸川」 「あぁ、おはよう結花」 「まったく・・・毎朝見せつけてくれるね」 「俺としては今の状況を何とかしたいんだけどな」 「無理無理。どう見てもシスコン野郎だよ」 「だよな・・・」 悪態を吐いてくるこいつは荒井 結花。 ずっと腐れ縁の幼馴染。 クラス内のシスコン疑惑を解いてくれたりして意外と良い奴。 後、歩の女性フィルタリングを通り抜けた数少ない人物。 休日や放課後遊べる女友達はこいつ位だ。 312 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 37 54.61 ID 55Hq5p4Z 「なぁ・・・結花。今日は空いてるか?」 「ん、別にいいけど何で?」 「ちょっと相談があってな」 「りょーかい。んじゃ放課後ね」 よく馬鹿にも付き合ってくれるし、結花は本当に良い奴だ。 「で?何の相談があってあたしを呼んだわけ?」 放課後に教室でちょっと話をする位でよかったのだが駅前のファミレスまで連行された。 結花曰くそれ位は奢れだそうだ。 別に奢るのはいいが、時間が無い。さっきから携帯が震え続けている。 確認するまでも無い。歩だ。 ここも直ぐに見つかるだろう。 313 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 42 35.40 ID 55Hq5p4Z 「単刀直入に言う。俺と付き合ってくれ!」 「・・・・・・ふぇ!?」 「お前とならいける気がして・・・」 「そ、そんな急に言われても・・・あたしにも心の準備ってもんが・・・」 一瞬で結花の顔が真っ赤になった。 しまった焦り過ぎた。これじゃあまるで告白じゃないか。 「あ、すまん。言い方間違えた。正確には・・・」 「やっと見つけたっ!お兄ちゃんこんな所にいた~!」 「早っ!?」 最初に携帯震えてから五分も経ってないぞ!? さっきの発言を結花に説明すら出来て無い。 「たとえ結花先輩でも女の子と出かける時は私が一緒じゃないと駄目だからね!」 「・・・すまん」 歩はそのまま俺の隣に座り延々と説教をしてるし、もう相談どころじゃないな・・・ 「結花先輩、どうかしました?さっきから呆けてるようですがお兄ちゃんに何かされましたか?」 「・・・う、ううん何でも無い!・・・ただ、少し整理がついてないだけだから」 「・・・?それではそろそろ私達は夕食の買い物に行かないといけないので。お兄ちゃん行きますよ」 「・・・あぁ。また明日な、結花」 「・・・う、うん。また明日ね」 314 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 44 47.01 ID 55Hq5p4Z 歩に引き摺られて店を出る。 結花には後で電話しておかないと・・・ 歩に俺を諦めさせる為に恋人の振りをして欲しいと伝えるつもりだったのに。 そりゃあ本当に付き合えたら嬉しいけど結花は告白を片っ端から断ってるし無理だよな。 何とか今日の夜に誤解を解けば明日に蹴り一発位ですむかな。 「御馳走様でした」 「はい、お粗末さまでした」 歩が作った夕食を食べ終える。 両親は二人とも外国へ長期出張しているためずっと歩と二人暮らしだ。 その所為で益々歩が暴走しているのだが。 「少し自分の部屋にいるからな」 歩は俺の傍から離れないので電話が出来ない。 何とか一人にならないと・・・ 「・・・その前にお兄ちゃんに話があるから聞いて欲しいな」 「なんだ?」 「お兄ちゃん最近女の人にだらしないよね?」 「そ、そんな事はないだろ」 「ちょっと手を後ろに組んで?」 ガチャリ 「歩、何故手錠なんてするのかな?そもそも何で手錠を持っているんだ?」 「手荒な事はしないから大丈夫だよ。でもこれを見てもし彼女さんなんて見つかったら・・・」 歩が俺の携帯を取り出す。何時の間に盗ったんだ。 315 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 47 05.86 ID 55Hq5p4Z 「う~んこれなら大丈夫そうかな~。結花先輩とのメールが多いのと女子のメアドが二人増えてるのは気になるけど。とりあえずこの二人のメアドは消しておくね」 あぁ・・・折角仲良くなったのに・・・ 歩のチェックが時々入るため俺の携帯には殆ど女の子のアドレスは残らない。 残っているのは母さん、歩、結花、歩の友達くらいかな。 「全く・・・お兄ちゃんは女の子にデレデレしすぎ!」 「そんなつもりは全然無いけどな・・・」 「罰として今日はこのまま一緒に寝ようね」 「ちょっと待て。その理屈はおかしい」 「何もしないから!本当に何もしないから!!」 女が言うセリフじゃない。 いつもの様に歩の勢いに負けて一緒に寝る事になるんだろうな・・・ 携帯も返してもらってないし、結花には明日直接言うしかなさそうだ。 「それじゃあ、おやすみお兄ちゃん」 「一緒に寝るのはいいがせめてこの手錠は外してくれないか」 「嫌」 「・・・はぁ」 「それにしてもお兄ちゃん良い筋肉してるよね・・・この腹筋とか私大好きだもん」 「寝巻に手を入れて撫で回すな!・・・さっさと寝ろ!」 「おや?妹に触られてここもガチガチになって・・・ないか。・・・ちっ」 「何処触ってんだ!?」 結局一晩中セクハラから耐え続けた。 316 名前:妹としての常識が欠落している。 ◆rhFJh.Bm02 [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 20 49 35.17 ID 55Hq5p4Z 「おはよう。お兄ちゃん」 朝、起きると歩が満面の笑みでこっちを覗きこんでいる。 歩の猛撃を耐えきったから寝不足で頭が重いな。 「やっぱりお兄ちゃんは朝弱いよね。でもそろそろ気付くでしょ?」 そう言われてまず、口元に違和感。口に何か挟まれてる。 手足も自由に動かない・・・って縄で縛られてるし。 歩が鏡を出した。見ると口にはSMでよく見る様なギャグボールが付けられてた。 「今日、お兄ちゃんは風邪でお休みになりました」 状況を聞こうにも、うめき声しか出せない。 「今朝早くに結花先輩が家に来てね・・・あはは。何て言ったと思う?『孝弘君と付き合う事になりました』だって。本当なの?」 血の気が引く。かなり不味い。 「お兄ちゃんを名前で呼んでる女の人は初めてかなぁ。今までは私がさせなかったのにね」 ギャグボールを外されながら俺は全力でこの場を乗り切る事を考える。 「もし・・・これが本当なら今すぐお兄ちゃんを・・・」 歩は本気だ。もう止められない。 「犯すよ?」 恍惚とした表情を浮かべる歩。 俺は口が自由になっても、何も話せなかった。
https://w.atwiki.jp/pricone/pages/619.html
《人格の欠落 言峰 綺礼》 キャラクターカード コスト4/青/CP5000/RANK1 【教会】/【魔術師】/【マスター】 ボーナスアイコン RANK+1 [コネクトアタック(6)] このカードがコネクトアタックをした場合、 相手のキャラ1枚をバックに移す。 ターン終了時にバックに移したそのキャラ1枚をフロントに移す。 自分のキャラが登場するごとに、 相手のデッキの上のカード1枚を捨て札にすることができる。 この名前……聞き覚えがあります。かなり危険な人物だとか。 Fate/Zeroで登場した青色・【教会】・【魔術師】・【マスター】を持つ言峰 綺礼。 コネクトアタック6と、コネクトアタックをした場合、相手キャラ1枚をターン終了時までバックへ移すテキストを持つ。 また、自分キャラが登場するたびに、相手のデッキトップ1枚を捨て札にするテキストを持つ。 プリズムコネクト初のデッキ破壊テキストを持つ。 しかし、デッキ破壊の性能としては微々たるものでしかなく、むしろ捨て札を肥やす結果になってしまう。 相手のデッキが少ない場合には、強制的にリフレッシュさせることで、コネクトゲージをなくすことができる。 2013年05月08日付の今日の1枚として公開された。 関連項目 言峰 綺礼 収録 Fate/Zero 01-032 SR