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アイドルノイトコリョウ【登録タグ ID IM PRカード バニラ 三瓶由布子】 autolink IM/S07-115 IM/SE04-09 IM/S21-095 カード名:アイドルのいとこ涼 カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:3000 ソウル:1 特徴:《音楽》?・《女装》? PR:見てて、律子ねーちゃん! ねーちゃんみたく、 立派なアイドルになってみせる! C RE:うう、すごく不安だけど、いつかイケメンに なるためだっ。がんばろー! うん! レアリティ:PR C RE illust.田宮清高 THE IDOLM@STER DREAM SYMPHONY 02 秋月涼 初回封入特典 何の変哲も無い0/0バニラ。 同作の緑の0/0バニラと比べると、《女装》?が追加されている点が異なる。 ペルソナ4にて、《男装》・《女装》パンプ及び専用回復、THE IDOLM@STER Dearly Starsで涼パンプなどが登場し、サポートカードに恵まれるようになった。 ・関連ページ 「涼」?
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3.役割 イライラするような、それでいて情けないような気持ちで1日の授業を終えた俺は、部室にハルヒの鞄を取りに行った。 どうせこれから1週間、SOS団は休業だ。団長不在だし、長門と古泉は学校自体を休んでいる。 朝比奈さんは登校するだろうが、部室によるくらいならまだハルヒの病室でメイド服を着るだろう。 あの優しいお方ならそうするさ。 受験生だと言うのに、冬のこの時期に毎日部室に通ってくださっているくらいだしな。 さすがにほとんど勉強しているけど。 朝比奈さんは今のところ、卒業後も時間駐在員としてとどまると言っていた。 朝比奈さん(小)が朝比奈さん(大)になるまでに、本人にはどれくらいの時間が過ぎているんだろうね。 そう思いながら部室の扉を開けた。 「キョンくん」 そこにいたのはまさに今俺が考えていた、かつての部室専属メイドであったお方だった。 ちょっと予想外だった。今回の事件に、未来的な事柄は絡んでいない。 何故朝比奈さん(大)がここに? 「少し久しぶり、かな? 私にとってはそんな前じゃないんだけど」 にこやかな笑顔で朝比奈さんは挨拶した。 「お久しぶりですね、俺にとっては。何故ここに? 今のハルヒの状況はご存じなんでしょう」 そう言うと、朝比奈さん(大)は顔を曇らせた。 「ええ、もちろん。今、わたしも病院に向かっているはずですから」 そう言って顔を上げて俺を見た。 「でも、この時間のわたしにできることはないの。 いえ、このわたしにできることもないと言っていいわ」 うつむいて目を伏せたまま、話を続ける。 「今後どうなるか、詳しく話して頂くのは、やっぱり禁則事項なんですよね」 聞くまでもない。未来的なヒントをくれたことはほとんどないのだ。 むしろヒント無しでやらされたことばかりだった。 未来へのヒントとして暗示されたものは、あの『白雪姫』くらいなものか。 「その通り。禁則事項です。どうしても伝えたいことがあってわたしはここに来ました」 「せめてヒントだけでも……ですか」 あのときの言葉を思い出しながら言った。俺にとっては恥ずかしくも懐かしい記憶だ。 「ヒントというよりは、キョンくんにお願いです」 お願い? 意外な言葉だ。 「ええ、お願い。キョンくんは、キョンくんの気持ちに正直に。それだけです」 俺の気持ちに正直に? 「詳しく言えないのは解ってくれてると思う……だけど、これだけは伝えたかったの。 あんまり考えすぎないで。自分に正直に、ね」 俺は自分を偽っているつもりはないが、今後、何か気持ちを無視した選択が起こりうるということか。 「これは未来人としてのお願いじゃないの。 キョンくんと涼宮さんの友人である、朝比奈みくるとしてのお願いです」 これには驚いた。朝比奈さん(大)は規定事項を優先してばかりだと思っていた。 そんな気持ちが顔に出てしまったらしい。朝比奈さん(大)はくすりと笑って言った。 「わたしはこの時間のわたしと、ちゃんと繋がってます。 だから、今のわたしだってSOS団を大事に思う気持ちはあるんです」 「いや、俺はそんなつもりじゃ……。」 頭を掻くしかない。 「それではもう時間だから。その鞄を届けに行くのでしょう?」 そう言いながら部室の外に向かっていった。もちろんそのつもりです。 「がんばってね」 何を、と聞こうと振り返ったときには、もう誰もいなかった。 俺はしばらく朝比奈さん(大)の言ったことを考えていた。 俺の気持ちに正直に。 これは未来人としてではなく、朝比奈みくるとしてのお願い。 俺の『気持ちに正直に』動かないと、朝比奈さんの未来には良くないというのは考えるまでもないだろう。 そうでないと、朝比奈さん(大)はここに来られないはずだ。 それでも、朝比奈さん(大)は未来人としての立場よりも、俺とハルヒの友人、つまりSOS団の一員としての言葉としていった。 『この時間のわたしにできることはないの』 ああ、そうか。確かに朝比奈さん(大)は朝比奈さん(小)と繋がっている。 朝比奈さん(小)は今かこれからか、俺と同じような無力感にさいなまれているのかもしれない。 「そういうことか」 つぶやいて苦笑する。俺も同じだ。さて、朝比奈さんを慰めなくてはならないときが来るのかね。 今は考えていても仕方がない。 ハルヒの鞄を持つと、俺も入院したことのあるあの病院に向かった。 病院では、相変わらず長門がベッドの側の椅子にちょこんと腰掛けていた。 傍らで朝比奈さんがハルヒを見つめていたが、俺が入ると頭をぴょこんと下げてくれた。 「こんにちは。ハルヒのお袋さんはいないんですか?」 「お仕事があるから、と今日はお帰りになりました。 目が覚めたら直ぐに連絡すると伝えてあります」 そうか。娘がこんなことになってさぞかし心配だろうな。 「長門、ハルヒの様子は?」 最大の懸案事項を聞いてみる。 「変わらない。情報生命素子は検索を中断することはない。 現在、約9.8%終了していると考えられる」 およそにしては細かい数字だが、長門からしてみればコンマ10桁くらいの精度で予測できるのかもしれない。 「お前は休まなくていいのか」 ずっとつきそう気らしい長門に聞いてみる。 「このインターフェースは睡眠・休憩を必要としない。行動の模倣のみ」 なるほど。人間の振り、か。でも長門は人間らしいと思うがな。ところで飯は? 「本来は必要ない。わたしという個体が要求すれば、機を見て接種する」 空腹と食欲ってやつかな。まさに人間的だ。 「食べたいものがあったらおっしゃってくださいね。用意しますから」 朝比奈さんが長門に言う。長門を苦手としている朝比奈さんでも、何かがしたいのだろう。 「わかった」 長門も短く答えた。 自分にできること、か。朝比奈さん、あなたはたぶん十分役に立っていますよ。 むしろ俺が居心地が悪い。 ここにいてもどうしようもないからだ。 ハルヒについていたいというのは単なる俺のわがままだ。 「それでも、涼宮さんはキョンくんに側にいて欲しいと思ってますよ」 朝比奈さん、モノローグを読まないでください。 そう、確かに側にいてやるくらいしかできないよな。 例え俺の自己満足であっても、な。 数日、そんな日が続いた。 俺と朝比奈さんは、毎日面会時間終了までハルヒの病室に行った。 機関関係だから、面会時間なんかどうでもなりそうだったが、どこかで切り上げないと離れられなくなりそうだった。 長門は朝から晩までずっとハルヒの側にいた。 本も読んでいないので、持って来るか聞いたが、わずかに首を横に振るだけだった。 長門なら、ハルヒの状態を観察しながら読書するなんて朝飯前だろう。 そんな気にならない、ということか。 ハルヒが倒れて4日目、古泉が現れた。 心なしかやつれた気がするが、今はニヤケ面が戻っていた。 「深刻な顔をしていても事態が好転するわけでもありませんからね」 そう言ったが、平常心を保とうとするポーズなのは俺にもわかった。 かなり辛い日々だったんだろう。 「休んでなくて大丈夫なのか」 いくら俺でも、この状況なら古泉にだって労りの言葉くらいかけてやる。 「ええ、ある程度の休息は取れています。やはり涼宮さんが気になりますので」 そうか。さすがは副団長だな。 「それに、あなたと少しお話がしたかったので」 俺と? 何かわかったのか。 「ええ、少しいいですか」 朝比奈さんと長門のいる病室じゃまずいのか、エレベータの前にある椅子に移動した。 「以前、僕が涼宮さんの精神状態がある程度わかる、とお話したと思いますが」 そりゃ、お前はハルヒの精神分析の専門家だろうが。さんざん聞かされたぞ。 「今回は特殊な例でして、さすがに僕たちにも良く解らなかったんですよ。 ただ、凄いストレスを感じている、としか」 そうだろうな。今ハルヒが置かれている状況なんて、凡人の俺には想像もつかん。 ハルヒはどんな苦しみに耐えているのだろう。 「それでも、涼宮さんはまだ自我を失っている訳ではないので、 やはり感情という物があります」 ああ、それで? 「ここ最近、今まで解らなかった涼宮さんのある感情がはっきりしてきているのですよ。 僕の中でね」 「もったいぶらずに言え。それは何だ?」 「不安、です」 「不安?」 「ええ、涼宮さんは今、とても不安を感じています。無理もありませんが」 そりゃそうだよな。何か訳のわからないものに自分の精神構造を解析されているわけだ。 外界との反応を遮断されてな。いや、反応できなくなっているだけか。 不安を感じない訳がない。 「ええ、そうなんですが、もうひとつ僕に判ることがあるんです」 ハルヒの精神でか。何だ? 「閉鎖空間に入ると強く感じられるのですが……はっきり言いましょう。 彼女はあなたを呼んでいます」 は? 俺をか? 閉鎖空間にか?? 「閉鎖空間は涼宮さんの精神活動によるものです。 別に、彼女はそこにあなたを招待したいというわけではないでしょう。 おそらく、彼女はあなたなら自分の不安を取り除けると思っているのでしょう」 おいおい、随分買いかぶってくれた物だな、ハルヒよ。 お前の不安の原因を取り除けるのは、SOS団の中では長門だけだ。 しかも1回限りのチャンスだぜ。長門なら大丈夫だろうけどな。 「僕以外のいわゆる超能力者たちも涼宮さんが誰かを求めていることは気づいています。 それがあなただと判るのは、僕がSOS団の副団長だからでしょう」 古泉が続ける。しかし何故俺なんだ? 一応聞いてみた。 「今更それをおっしゃるのですか? この間のあなた達の行動を僕が知らないとでも?」 いや、お前らが覗いていたのは知ってるよ畜生。聞いてみただけだよ。 だがな。 「俺にどうしろって言うんだ」 吐き捨てるように言った。俺は無力だ。古泉のような事後処理すらできない。 「今は知っておいて欲しい、と言うのが僕の希望です。涼宮さんがあなたを求めていると」 「誤解を招くような言い方はよせ」 「失礼。でも事実ですから。では僕はこれで」 俺の反論を軽く流して、古泉はそのままエレベータに乗って行ってしまった。 病室に戻っると、長門が何か食べていた。カレーパン? 「わたしが作ったんです」 なんと朝比奈さんお手製のカレーパンであった。 カレーが好きな長門が病室でも食べやすいようにと考えたのだろう。 本当に愛らしいお方だ。 そんな朝比奈さんを見ながら、朝比奈さん(大)の言葉を思い出していた。 『わたしにできることはないの』 そんなことありませんよ、朝比奈さん(大)。 このカレーパンは、長門にとって嬉しい物に違いない。 朝比奈さんの存在は、ちゃんと俺たちを支えてくれている。 今度朝比奈さん(大)に会ったらそう伝えよう。 今回の事件が終わったら、朝比奈さん(大)は現れるのかなと考えながら、俺はハルヒのそばに立った。 相変わらず眠っているだけのような顔。 しかし、その内部はかなり疲弊しているんじゃないだろうか。 疲れすら表に出せない程。 思わず俺はハルヒの手をとって握った。 「……ハルヒ」 呼びかけても答えはない。 「辛くないか?」 辛くないわけがない。その結果が閉鎖空間だ。 「俺は何ができるんだ……?」 「キョンくん……キョンくんがいることは、涼宮さんに伝わってます、きっとです!」 振り返ると、長門と朝比奈さんが俺を見つめていた。 長門は何も言わなかったが、俺を案じてくれているのはその瞳から感じられた。 俺は何も言えなかった。 家に帰ってからも、俺は色々と考えていた。 朝比奈さん(大)の注意事項とも取れるような『お願い』。 古泉は、ハルヒが俺を呼んでいると言った。 だが、ハルヒは俺の呼びかけに答えない。 聞こえているのかどうかもわからない。 俺の気持ちに正直に。 朝比奈さんのセリフを思い出す。 正直な気持ち? そんなの分かり切ってるさ。 ハルヒのために、SOS団のために何かしたい。 長門はハルヒの容態変化を観察しつつ、根本的な原因を排除しようとしている。 古泉は今回のことで大量発生してしまう閉鎖空間で闘っている。 朝比奈さんは、主に長門を、そしてできれば俺や古泉も支えようとしている。 みんな、自分でできることをやっている。 俺はどうだ? 「情けねぇな」 俺にできることなんか何もないんだ。 ただ、長門が助けてくれるのを待っているだけだ。 格好つけてみたってあがいてみたって結局それだけ。 「すまん、ハルヒ。やっぱり俺は雑用しかできないみたいだ」 自嘲気味に言った。 みんな頑張ってるのにこんなマイナス思考で悪いな。 4.窮地へ
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涼州関係資料 ★採集場所★ -鉱石採集- 座標 場所 採集物 採集量/1BP 4-15 鉄鉱石・石灰石 5-7 五色砂・琥珀 6-11 煤炭・金剛石の原石 6-12 銀鉱石・琥珀・金鉱石 7-6 煤炭・金鉱石 8-4 煤炭・金剛石の原石 9-11 鉄鉱石・石灰石 10-8 銀鉱石・琥珀・金鉱石 11-4 五色砂・琥珀 14-5 煤炭・金剛石の原石 -木材採集- 座標 場所 採集物 採集量/1BP -薬草採集- 座標 場所 採集物 採集量/1BP -発掘- 座標 場所 採集物 採集量/1BP 3-13 鱗片:黒羽:白玉 30:30:15 4-7 珍獣皮:霊石片 26~33:40~45 5-11 上質獣皮:巨獣牙 39~48:10~16 6-2 上質毛皮:緑玉原 27~31:13~14 7-10 珍獣皮:緑玉原石 27~32:12~16 8-14 鱗片:黒羽:白玉 30:30:15 10-13 上質毛皮:緑玉原石 27~31:13~14 11-2 珍獣皮:霊石片 26~33:40~45 13-5 上質獣皮:巨獣牙 39~48:10~16 ★MOBデータ★ 名前 Lv 場所 経験値 お金 アイテム 涼州ヘビ 42 12-7 荒砂鷲 43~44 12-7・5-10 荒砂サソリ 42 12-7 馬襲い狼 43 8-8 赤砂ヘビ 44 8-8 発光核・滋養獣肉 砂屍狼 42 8-8 大砂クモ 44 6-10 涼州サソリ 42 6-10 流砂サソリ 42 5-10 西風団手下 40 5-8・8-6 赤鉄鉱石・軍用茶・砂竹簡 董卓軍精兵 40~41 5-16 西域の材木・砂竹簡 董卓軍重兵 40~41 5-16 董卓軍弓兵精鋭 40~41 5-16 砂地獄 44 10-7 蜘蛛糸・西域の材木・軍用漢方材・砂竹簡 砂嵐サソリ 43 10-7 発光核
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「ただの人間でも構いません!この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者に興味のある人がいたらあたしのところに来なさい!以上!」 これはハルヒの新学期の自己紹介の台詞だ それを俺が聞くことができたのはハルヒと同じクラスになれたからに他ならない ハルヒが泣いてまで危惧していたクラス替えだったが俺は相変わらずハルヒの席の前でハルヒにシャーペンでつつかれたり、その太陽のような笑顔を眺めたりしている どうやら理系と文系は丁度いい数字で分かれるようなことはなく、クラス替えであぶれた奴らがこの2年5組に半々ぐらいで所属していた 教室移動で離れることもあるが、大半の時間をハルヒと過ごすことができる これもハルヒの力によるところなのか定かではないが、この状況が幸せなのでそんなことはどちらでもよかった 「キョン!部室にいくわよ!」 放課後俺はハルヒと手を繋いで部室に向かう やれやれ、こんな幸せでいいのかね 「いやはや、やっと肩の荷が降りましたよ、これで涼宮さんの精神も安定するでしょう」 放課後の文芸部室で囲碁の真っ最中、見事なウッテガエシを決めた俺に対し、にやけ面が盤面の状況など興味ないと言いたげに口を開く 認めたくはないが、今回の出来事の発端としての発言をしたのはこいつだ 図らずともこいつの言ったようにことが動いていて癪に触る ちなみにハルヒは長門、朝比奈さんを連れて新入生に勧誘のビラ配りをしている 長門と朝比奈さんはそれぞれ、去年の文化祭で着たウェイトレスと魔法使いの格好でだ また問題にならなければいいが 「末長くお幸せに」 古泉の含み笑い3割、いつもの微笑1割、谷口が今朝俺に対して見せたニヤニヤが6割のムカツク面にどんな嫌味や皮肉を言ってやろうかと考えているといつかのデジャヴのようにドアが勢い良く開いた 「いやぁー!ビラ全部はけたわよ!やっぱりSOS団の一年間の活動は無駄じゃなかったわね!!」 相乗効果で100万Wにも1億Wにもなりそうな笑顔でハルヒが部室に戻ってきた 無駄じゃなかった…か、そうだな、俺もそう思うよ…もちろんいろんな意味でな 「ハルヒ」 俺の呼び掛けにその笑顔のまま俺の方を向く この笑顔がずっと俺のものだなんてまだ実感がわかないな 「これからもよろしくな」 その俺の一言に笑顔に少し赤みがかる そして最高にうれしそうな笑顔で 「当ったり前じゃないの!あたしを幸せにしなかったら死刑なんだからね!!」 びしっと差した指は真っすぐ俺に向けられている いつか俺とハルヒが結婚した時にでも俺はジョン・スミスの正体とSOS団の連中の肩書きでも話してやろうかな、と思った FIN
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「…私キョンが好き。好きなのよ!」 涼宮はいきなり抱きついてきた。 俺はいきなりのことに驚きそのまま後ろに倒れてしまった。 まずい、かなり動揺している。それに頭痛が酷い。 告白された瞬間なにかが頭に流れ込むような。 しかし、この状況はどうだろう。 涼宮は俺の眼からみても十分に可愛い。 いや滅茶苦茶美少女だ。そんな子に告白されて、押し倒されてみろ。 佐々木、すまん。 「…よく解らんが、なんで俺なんだ?」 と俺は混乱する頭を少しでも、落ち着かせようと涼宮を離した。 「あんたじゃなきゃ駄目なの…」 俯いた顔を見ると、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。 だけど、今の俺にはどうしてやることも出来ない。 「すまん…。俺には涼宮を想ってやることは出来ないんだ。 俺には今彼女がいるんだ。だから、すまん。」 俺の目の前にいる女の子は、この世に絶望したかのような顔をしていた。 震える口を無理矢理開き、消え入りそうな声で喋り始めた。 「…か…彼女って…、もしかして佐々木さん…?」 あぁ、そうだがなんで知っているんだ?高校も違うし、面識はないはずだが。 俺がそういうと、涼宮はいきなり立ち上がり、部屋を飛び出していった。 俺が唖然としていると。 「キョンくん、ハルにゃん泣いてたよ?喧嘩したの?」 妹がやってきたが、俺は妹にお前にはまだはやい!といって部屋から追い出した。 しかし、どうしたもんだろうね。 学校に行きづらいじゃないか。 翌日、涼宮ハルヒは休んでいた。 ほっと胸を撫で下ろし俺は席に着いた。明日は土曜日、佐々木とデートだ。 何か最近は色々ありすぎたが、まぁ明日は忘れて楽しもう。 この日、特に変わったことはなかったが。 帰り際、古泉が遠めから俺を見ていた気がする。 体に包帯をかなり巻いていたのは気のせいだろうね。 そして、土曜日になった。俺はいつもより早く起きれた為、 久しぶりの朝食とコーヒーを堪能していた。 妹が眠そうな目を擦りながら、 「キョンくんが早起きするなんてめずらしいー」 といっていたのは聞き間違いではない。 俺はこいつに毎朝叩きおこされているのである。 でも、そんな妹がなついてくれていることは兄にとっては悪い気はしないのである。 俺はいつものように自転車で駅前に向かった。あれ、いつものように? あぁ、いつもの待ち合わせ場所に。ってあれ…違和感があるな。 そんな変な違和感を抱きつつ、待ち合わせである喫茶店に入った俺は。 佐々木を見つけるや、適当に挨拶を交わし。また俺の奢りか、と言った。 佐々木は苦笑いをしていたがいつもは100Wの笑顔と怒った顔で、 「遅い!罰金!」 と言っていたような気がするのは気のせいだろう。そう気のせいだ。 俺が考え事をしていると、佐々木が隣に座ってきて手を握ってきた。 「せっかくのデートなのに難しい顔をしているなんて失礼だぞ」 と佐々木は微笑んでいた。思わずニヤケてしまうね。 ニヤケていた俺の顔が引きつるのには時間も掛からなかった。 何故なら、俺の視界の端にSOS団の4人が映ったからだ。 「よ、よぅ」 少し驚いた俺は適当な挨拶をいった。 俺がここに来たことに驚いていたようだが、一人だけ無表情な奴がいた。 涼宮ハルヒだ。 気まずい雰囲気を崩したのは、この男の一声だった。 「こんなところで会うとは、奇遇ですね」 古泉だ、ところどころ体に傷が見受けられるのは気のせいじゃないだろう。 俺が相槌を打つと古泉は佐々木のほうを見て、 「彼を少々お借りしてもよろしいですか?」 何故か佐々木も驚いた顔をしていたが、いいですよ。 と答えていた。 こうして俺はせっかくのデートの日に男二人で散歩を始めたのである。 「で、なんだ用があるじゃないのか?」 と古泉に話を振った。 「それなんですが、実は今日はいつもSOS団の活動の日でしてね。 いつもこの駅前に集合して、あの喫茶店に行くんですよ。 今日はですね、あなたもご覧になられたかと思うのですが。 彼女、いや涼宮さんを元気づけようとしていたのですよ。」 まぁ俺にも原因はあるみたいだし、いや俺が原因だろうね。 だから少しは話を聞いてやってもいいと思っていたんだ。 「そうですか、助かります。実は…彼女は心を閉ざそうとしています」 そりゃまたどうしてそんなことに? 「やはりあなたはお気付きにはならなかったのですか。 確か、先日あなたの家に彼女が伺ったはずです。 そこでなにがあったか詳しくは僕は知りませんが、 あの時から彼女はあのような状態になっています」 あぁ、俺が振ったからそうなったんだなぁと思ったが口には出さなかった。 黙って聞いていると古泉が続けて話し始めた。 「そうですか、いやまさかそんなことになっているとは思っていなかったので。 失礼ですがあなたは本当に全てをお忘れですか?」 あぁ、お前たちのことはなに一つ覚えてない。 そういった俺は肩を竦めて答えた。 「そうですか、それなら僕達以外のことは覚えているのでしょうか」 そういわれてみると、確かに他に解らない、知らないってことはないな。っておい、 なんでお前たちの事だけすっぽりとなくなったかのように俺の記憶からないんだ。 「それです。先日長門さんからお話があったと思いますが、 あなたは記憶を書き換えられた可能性が高いです。 いや、書き換えられたといっていいでしょう。」 そりゃまたなんで俺なんかの記憶を弄る必要があったのか聞いてみたいね。 古泉は更に真剣さを増した顔つきになった。 「それは、あなたが涼宮さんの鍵となる存在故です。 涼宮さんにはあなたという存在が必要不可欠になってしまっているようです」 そうか、そう言われればあの態度も、言葉も、現状も納得できるが。 高々恋愛にここまで大げさになる必要があるのか? 「それがあるんです。涼宮さんには…そう、世界を変えることができる力があるのです。 それも望んだだけでね」 へぇ…そりゃすごい。いや凄すぎるというか度を越えている。 「僕も嘘であると思いたいのですが、残念ながら事実なのです。 実は僕も、彼女の願いのおかげで力を得た人間なんです。 それを望んでない人間でもね。 これまで幾度も彼女が作り出す閉鎖空間に入って我々が呼ぶ神人…失礼、 僕はある機関に所属していましてね。 御察しの通り僕と同じ能力を持った方々を軸としていますが。 その神人というのは機関が付けた名称なのですが、 破壊を繰り返す涼宮さんのストレス発散の為に生み出される巨人です。 僕らはそこでその巨人を倒して閉鎖空間を消滅させなければいけない、 という使命を与えられてしまったのです。 ですが、あなたが記憶を失うまでは彼女の精神は安定していたのです。 今までの彼女からすれば驚くほどに。それも一重にあなたのおかげなんです。 あなたのおかげで僕達も、世界も救われていたのです。」 俺がそんな大役を勤めていたのか、だが俺はごく普通の平凡な一般人だ。 それは間違いない。俺はお前みたいに変な属性なんぞもっていないはずだ。 「そうです、確かにあなたは一般人です。だがしかし、涼宮さんにとっては あなたは一般人ではない」 なんでそうなるんだ?今の俺にはどうしてやることもできないぞ。 記憶を弄られているんじゃしょうがないだろ、と俺は投げやりに返した。 「しかし、事態はそうもいってられない状態なのです。涼宮さんはあなたのいない 世界などいらないと強く願ってしまうかもしれない。そうなったら最後です。 もう、誰にもこの世界は救えません。僕達もお手上げですね」 そういうと古泉は両手を広げ方を竦め、微笑を浮かべた。 「少し考えさせてくれ」 そういうと俺は、喫茶店に戻った。 後ろで古泉が携帯でなにか話していたが、俺には関係ないだろう。 喫茶店に戻るとなにやら険悪なムードが漂っていたのである。 佐々木を睨みつけるような視線を浴びせている長門有季と、 もう一人の愛らしい女性が朝比奈さんだろうか。 涼宮ハルヒはぼーと俯いているだけだった。 佐々木のほうに眼をやると、佐々木は困った表情を浮かべていた。 俺は佐々木の手を取り、料金を支払い店を後にした。 涼宮ハルヒが俺を眼で追っておいたのは気のせいだろう。 「いいのかい、彼女達と話さなくて」 佐々木は俺の表情を伺いながら話しかけているようだった。 別に構わないさ、なにやら俺のことを知っているみたいだったが。 佐々木は、実は私もなんだと言い始めた。 「彼女達のことを知っているようで知らない。おかしいだろ?」 俺とまったく一緒だな。世の中不思議なことがあるもんだな。 俺は佐々木の手を強く握り、歩きを早めた。 その後、適当に買い物をしたり、食事をしたりした。 佐々木は幸せそうな顔をしていた。 俺はどんな顔をしていたんだろうね、 たまに佐々木が心配そうな顔をして覗き込んできた。 辺りも暗くなってきた頃、俺達は駅前まで戻ってきていた。 佐々木に、気をつけてと一言声をかけそこから離れようとしたその時、 後ろから抱きしめられていた。 おい、佐々木。これじゃ帰れないぞ。 「…キョン。今日は一人でいたくないんだ。 こんなこと私がいうのも変だと思うかもしれない。 だけど、不安なんだ。君がいなくなりそうで」 佐々木の顔を見ると、瞳が潤んでいた。 しかし、何故か俺は言葉を失っていた。なにも言うことが出来なかった。 「今からキョンの家にお邪魔してもいいかな」 佐々木が上眼使いで俺を見上げた。やめろ、それは反則だ。 俺は断ることができなく、あぁと答えていた。 でも、彼女の頼みをむざむざ断る必要もないだろうと自分に 言い聞かせていた。 佐々木を自転車の後ろに乗せ、俺は家を目指し自転車をこぎ始めた。 家につくまでの間、佐々木は終始無言で俺の背中に顔を埋めていた。 家に着くと、妹と久しぶりに会う佐々木だったが、妹は大喜びだった。 両親にも久しぶりに会ったことで、会話もはずみ一緒に夕食を取る事になった。 食卓での会話で、おふくろが佐々木さん今日泊まっていったら? 夜も遅いし、などと言い出した。佐々木は笑顔でお邪魔でなければと答えていた。 やれやれ。 風呂から出て部屋にいくと、佐々木が俺の部屋にいた。 少し湿った髪が妙に色っぽい。こんな可愛い子が俺の彼女とは。 別に惚気ているわけじゃないぞ。 「遅かったね、キョン」 微笑む佐々木を見ていると、何故か切なくなるのは何でだろう。 佐々木に、もう時間も遅いから寝たらどうだ?というと。 「君は彼女が目の前にいるのに、なにもしないつもりかい?」 佐々木さんいつからそんなに大胆になったんですか。 「ふふっ私は昔から変わらないよ。 そうだね、変わったといえばキョンには素直になんでも言えるようになったかな。」 そういうと、向日葵のような笑顔で笑いかけてきた、頬をほのかの赤く染めて。 気付いたら俺は佐々木を抱きしめていた。 「…キョン」 甘い声を耳元に囁かれた俺は少し見つめ合った後、佐々木に口付けをした。 断言しよう、それ以上はしてない。する気になれなかった。 何故だろう。古泉の話を聞いたからか、いや涼宮ハルヒの姿を見たからだろうか。 胸を締め付けるこの何かが俺を苦しめる。 隣に寝ていた佐々木が、 「…苦しいのかい、キョン。大丈夫私が側にいるから」 そういうと俺の手を握って体を寄せてきた。 今の俺はそれだけで十分だった。安心したのか、意識が薄れてきた。 意識が途絶える前に佐々木が、 「ごめんね」 と言っていた気がした。
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「・・・・・・・・・・なんでよ?あたしのこと嫌いなの?」 ハルヒが泣いている・・・・いつもの笑顔からは想像も出来ない泣き顔 俺はハルヒを悲しませてしまったのか、あの太陽のような笑顔を守ってやれないのか 「そんなことない!好きだ!・・・・でも今は・・・・・・」 俺がハルヒと付き合い始めてから早1ヶ月。変わったことと言えば毎日一緒に登校してるってことと、日曜日の勉強会が午前になって午後からはデートになったってことぐらいだ ・・・・・・そうそう、どうでもいいことかもしれんが俺にはうれしい変化がもう1つあった。ハルヒのポニーテール仕様率の異常なまでの上昇だ。髪をバッサリ切ってしまう前のポニーの長さには到底届かない、言うなればチョンマゲのようなポニーだが、そこがまた可愛い!抱きしめたくなる衝動に駆られるね、正直言って・・・・・・・俺って変態だな 「・・・・・・・って有希は言うんだけど、みくるちゃんはね・・・・・ってあんた聞いてるの?」 「ん?あぁ聞いてるぞ。で朝比奈さんは何て言ったんだ?」 「なんだ、聞いてたんだ。間抜けな顔してたから回想にでも浸ってたのかと思ったわ」 するどいな・・・・・やっぱり心が読めるんじゃないか? 「なんだかんだ言ってもキョンはあたしの話を聞いててくれるから大好きよ!」 コラ!登校中にそんな大声で「大好き」発言するんじゃありません・・・・・・はぁ、周りの目が痛いぞ 「別にいいじゃない、付き合ってることなんて皆知ってるんだから」 ハルヒのとんでもパワーは今でも健在。古泉の機関の推測である、俺と付き合えば力も消えるってのは大外れで長門曰く増大したそうだ。その証拠がこの「皆知ってるんだから」である 話は遡ること1ヶ月前・・・・・・ 「よう!キョン・・・・・お、嫁も一緒か」 空気の読めない男No.1(俺予想)の谷口・・・・・うわぁ、ハルヒがトマトだ 「だだだだだだだ誰が誰の嫁よ!ぶっ殺すわよ」 言ってることは連続殺人鬼並なのに顔がニヤケてますよ 「いて!蹴るこたぁないだろ・・・・・だって付き合ってるんだろ?」 「あれ?谷口。お前、何でそのこと知ってるんだ?俺は誰にも言ってないぞ?・・・・・・ってまさかハルヒ、皆に言いふらしたのか?」 「そんな非人道的なことあたしがすると思う?」 いや、朝比奈さんに強制わいせつしてるが、あれは人道的行為なのか?他にも挙げたらキリがねぇ 「何ブツブツ言ってるのよ!とにかくあたしは、言いふらしたりなんかしてないわ」 「だよな・・・・スマン、ハルヒ。疑ったりして」 「べ、別にあんたが謝る必要なんてないわよ・・・・あたしを好きでいてくれればそれで・・・・」 「・・・・・・・・・・ハルヒ」 「・・・・・・・・・・えぇっと・・・・・・・・俺、先行っていいか?」 谷口は相当イライラしてるみたいなんだが・・・・・正直スマンかった 「いや待て。誰から聞いたんだ?その付き合ってること」 「・・・・・・ん?そういえばそうだな。特定の誰かから聞いたって訳でもねぇし」 「はぁ?誰からも聞いてないのに知ってる?なんじゃそりゃ」 「いやぁ、俺も不思議なんだが自然とそう思ってたよ」 「不思議?!」 あぁ、ハルヒの目が輝いてる・・・・谷口、ご愁傷様 「ちょっと谷口!その話詳しく聞かせなさいよ」 谷口はネクタイを掴まれて・・・・カツアゲされてるみたいで可哀想で助けてやりたいのは山々なんだが確認しとかないとかけないことも出来たしな 「ハルヒ、先行くぞ」 ・・・・・・不思議となれば俺の言葉も耳に入らないのか?まぁ先行くか 「・・・・・ふんふん、なるほどね。キョンはどう思う?ってあれ、キョンは?」 「先行ったみたいだぞ」 「何で言わないのよ!この役立たず!」 「いてー!蹴るなよ・・・・・殴るのもなしだって」 「長門、いるかー」 「・・・・・・・・・・・・・・・何?」 なんか朝は三点リーダーが多いな・・・・・長門も朝は苦手なのかな? しかし、こんな朝早くから団室にいるなんて、流石長門だな 「ちょっと聞きたいことがあるんだが、いいか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・いい」 やっぱり機嫌悪くないか?昼休みでもいいんだが・・・・ 「・・・・・・・・・怒ってなどいない・・・・・・・・・早く話して」 やっぱり怒ってねぇ?微妙に目が恐いんだが・・・・・ 「そのことについては情報統合思念体も把握している。涼宮ハルヒの力によるもの」 まぁ、想像はしていたが・・・・・で、何でそうなったんだ 「情報統思念体の見解によると、涼宮ハルヒはあなたと恋愛関係にあることを世間に知られることで、あなたを他の女に取られることを防止したと思われる」 「なるほどね・・・・そんな可愛い一面もあるんだな」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ・・・・恐いから睨まないでください 「で、なんでそのことを俺に教えてくれなかったんだ?」 「現実、事実を捻じ曲げた情報の書き換えはなく、また時間が経てば現状と同状態になると予測されたため」 「なるほどな・・・・納得したよ。ありがとよ」 「・・・・・・いい」 「・・・・・・でね、そしたら今度は有希が・・・・・って聞いてる?」 「聞いてるって、長門がなんだって?」 「フフフ・・・・・・やっぱりキョンはキョンね」 「どういう意味だ、それ?」 「そのまんまの意味よ!」 ・・・・・・・・わけわからんぞ、それ 俺とハルヒのラブラブっぷりは自分で言うの変だが常軌を逸している そのことが顕著に現れるのは授業中と団活中、それにデート中だ 「・・・・・・・・・」 授業中はずっと後ろから視線を感じる。まぁ後ろからって時点で視線の元はハルヒで間違いないんだが・・・・・それにしてもこの席順、変わらないな 「・・・・・・・・・何見てんだ?」 「キョンの背中って案外大きいのね。頼りになりそうね」 「そうかい、そりゃぁどうも」 授業中だというのに、こんな惚気た会話をしてて、よく自分が恥ずかしくないよな しかし、この学校の教師はどうなってるんだ?これだけハルヒとお喋りしてるっていうのに注意の一つもしてこやしない ・・・・・・もしかして、またトンデモパワーで「ラブラブ遮蔽シールド」とか張ってるんじゃないだろうな・・・・・いや、ハルヒならやりかねん まぁこのくらいは許せる範囲なんだが、やっかいなのが団活中だ 授業中にいちゃいちゃ出来ないのが不満なのか放課後の団活ではその不満を爆発させる 「ねぇ~キョン~・・・・キョン~・・・・・・」 だー!耳元でそんな甘い声で囁くな!!理性よ頑張れ!! 指定席だったデスクトップの置いてある団長席は今はただのパソコン台に成り下がり、ハルヒは俺の隣に座って、俺を弄ったり古泉とのボードゲームを観戦したり俺を弄ったり雑誌を読んだり俺を弄ったりノートパソコンでネットの世界にダイブしたり俺を弄ったり俺を弄ったり・・・・ つまり何だ・・・・・俺の理性を崩壊させたいだけなのかもしれん。こいつの悪戯心にはまいるよ。こんなこと毎日されてたら理性なんてあったもんじゃないぞ まぁデートの様子なんて実況しなくてもわかるだろうし、実況なんてしたくもねぇ いわゆる唯のバカップルってことだ そんなハルヒもバカップルっぷりを唯一振舞わないのが土曜、つまり今日の不思議探索のときだ クジでの組み合わせ決めで、俺はてっきり毎回ハルヒと2人きりになるとばかり思っていたんだがそうではないらしい。きちんと確率論に則った結果が毎回提示される ここぞとばかりにハルヒパワーじゃないのか?こういうところで力を発揮して欲しいね 「大丈夫。わたしがさせない」 ・・・・・・・・・・長門?! ・・・・・・・・・偶然だよな? 偶然なのかハルヒパワーなのか情報操作なのか規定事項かはしらんが今日の午前のペアはハルヒとだった。でも何かが違った。しいていうなら風邪をひいたハルヒってところか?いつもの猪突猛進さがないというか「キョンとね!じゃぁ行くわよ!」と言って手でも引っ張っていくと思ったんだが・・・・・そういえば付き合い始めてからはペアになるの初めてだな なんだかしおらしいハルヒをつれて街中をぶらぶら・・・・傍から見ればただのデートなんだが、いつのまにか例の川沿いを歩いていた なんかハルヒも元気がないことだしベンチで一休みするか 「なぁ・・・・今日のお前、元気がないな」 「そ、そんなことないわよ!いつも通りよ」 「・・・・・・・・そうか、ならいいが」 「・・・・・・・・・ねぇ、キョン。あたし達って付き合い始めてから1ヵ月経ったわよね?」 「ん?あぁそうだな」 「キスもたくさんしたわよね?」 「・・・・・まぁ・・・・・・・・・・したな」 「あたしのこと愛してる?」 「そりゃぁ勿論愛してるぞ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう」 何が言いたいんだ?やっぱり何処か変だ。少しどころではない。大分おかしい 「キョン・・・・・探索が終ったら家に来て」 「家って・・・・・・・ハルヒの家か?」 「うん」 「そうか・・・・・・・・わかった、行くよ」 「ありがとう・・・・・もう時間ね。皆の所に戻るわよ」 おかしい。おかしいことに間違いはないのだが・・・・・それにしても直接家に呼び出すなんて、よっぽど大事な話があるに違いない・・・・・・・別れ話なんて勘弁だぜ? 「さて、涼宮さんがいなくなりましたので・・・・・大事な話があります」 「お前の、その「大事な話」とやらはどうせ俺を巻き込む事態なんだろ?」 「何故そう思われるのですか?」 「この面子で話し合うことなんざ、どうせ俺が疲れる仕組みになってるに違いない」 「まぁとりあえず話だけでも・・・・」 午前のおかしなハルヒは朝比奈さんを引き連れて午後もおかしなまま2人で人ごみへと消えていった。つまり俺のペアは長門に古泉だ 俺たちはいつもの喫茶店の前で別れる振りをして再度入店した。なんでもこの店は機関のものらしく、聞かれたくない話を存分に出来るらしい。 「端的に申し上げますと、今朝のペア決めで凉宮さんとあなたがペアになられたとき閉鎖空間が発生しました」 なんだと?閉鎖空間ってあの閉鎖空間か?ハルヒがストレスを感じてたってことか? 「いえ、今回はそのような理由ではなく、また通常の閉鎖空間ではないようです。僕は機関からの報告を受けただけで実際に見ていないので詳しいことは分からないのですが、閉鎖空間内を覗ける長門さんに、ここは説明を任せます」 「了解した」 長門はそんなことも出来たのか・・・ 「通常の閉鎖空間と違う点は2つ。1つは空間範囲の狭さと拡大する気配がないこと。2つめは神人の活発な活動が認められない」 あの神人が活発に破壊活動をしていない?想像も出来んな・・・ 「神人は出現してから約3時間の間、ただうずくまって座っているだけ。破壊活動もしなければ身動きすらしない」 「そんな神人が出たのか・・・で機関はどうするんだ?」 「えぇ、そのことなのですが・・・・触らぬ神に祟りなしとも言います。しかし放っておけば何時までも閉鎖空間は消えませんし、何時拡大を始めるかもわかりません」 「そうか・・・・・・で俺はどうすればいいんだ?」 「そうですね・・・・なにか涼宮さんについて変わったこととかはありませんでしたか?」 「変わったところと言えば・・・・・どこか元気がなかったぞ」 「元気がない・・・・落ち込んでいるのでしょうか?」 「そのような感情の観測はなされていない・・・・言うなれば・・・不安になってる?」 不安?ハルヒが・・・本当か、それ 「宇宙人、嘘つかな~い」 長門・・・・キャラ変わってるぞ 「さて、これからどうしましょうか。僕としては探索が終ってからでも充分対策がとれると思うのですが・・・・どうです、長門さん」 「問題ない。探索終了後わたしのマンションで検討会を実施する」 そうかい。頑張ってくれよ 「何を言っているのですか。もちろんあなたにも参加してもらいますよ」 いや、俺はちょっと用事が・・・・ 「世界とその用事とどちらが大事なのですか?」 そりゃぁハルヒも大事だが世界が終ってしまえば元も子もないか・・・・ 「わかったよ」 「わかっていただけてよかったです。では探索終了後、1度別れる振りをして長門さんのマンションに集合ということで」 「はいよ」 「了解した」 「では探索に参りましょうか」 「今日の探索は終了!解散!」 ハルヒの一声で今日の探索とは名ばかりの活動も終了し俺も帰宅する振りを 「さ、行くわよ」 そうでした。呼び出し喰らっていましたね しかし古泉にも言われたとおり世界のほうが優先されるべきなんだろうな・・・・世界崩壊の原因が目の前にいるとは 「あぁ、そのことなんだが。スマン、実は用事があってな」 「・・・・・・なによ、あたしより優先すべきことなの?」 「まぁそういうことだ」 「その優先することってなんなのよ!」 しまったな、言い訳を考えてなかった。まさか本当のことを言うわけにもいかないし、かと言ってハルヒに俺の考えた嘘が通じるとも思えないし・・・・・ 「黙り込んじゃって、ますます怪しいわ」 しょうがない。本当のことを全部言うわけにはいかんが・・・・ 「実は長門の家に呼ばれてるんだ」 「・・・・・え、有希?」 「・・・・・・・なんであたしより有希なのよ」 え?俺の目の錯覚か・・・・ハルヒの大きな目から1滴、2滴と大粒の涙が滴り落ちてゆく 「あたしより有希なの?・・・・・・・・あたしのこと嫌いになっちゃったの?」 「違う!そんなんじゃない・・・・・ハルヒのことは好きだ!」 「そんなの嘘よ!もういい!!」 そう吐き捨てたハルヒは走っていってしまった。こんなの常識的に考えて追いかけるだろ?世界なんて二の次だ 「みっみっミラクル~み~くルンルン!」 「発信者:古泉一樹(グループ:SOS団)」 そう俺の携帯のディスプレイが表示している。いいタイミングだな 「・・はぁ・・・・はぁ・・・・・古泉か?」 「ええ。緊急事態です。閉鎖空間が急速に拡大し始めました」 まぁそうだろうな・・・・・あんなにハルヒが怒って泣いていたんだ 「はぁ・・はぁ・・・・・そうか・・・・・はぁ・・・・悪いが俺は行けそうにない・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・理由は・・・・・・・・・・後で」 「なんとなく状況は察しました。世界崩壊の危機を脱っすることが出来ましたらそのとき・・・では」 話のわかる仲間を持つと助かるぜ 「・・・・・・なんであたしの部屋に入ってきてるのよ」 「おまえが来いって言ったんだろ?」 ・・・・なんてのは嘘で夢中で追いかけてたらハルヒの部屋まで来ちまった 「だってあんたは有希のところに行くんでしょ!」 「いや違うそれは・・・・」 「それは何よ!だいたいあんたはいっつも有希やみくるちゃんばっか見てデレデレしちゃって、あたしのことなんてちっとも見てないじゃない」 「なに言ってるんだ!俺はしっかりお前のこと見てるぞ!」 「・・・・・・そんなの嘘よキョンはあたしのことを見守っててはくれないわ」 「いいや、嘘じゃねぇ!お前のことを守って見せる」 「そんな約束いつまで続くかなんてわからないじゃない!」 「約束する。いつまでもおまえのこと見守っててやる!」 「・・・・・・?!ちょっとキョン、それって」 「俺は世界とハルヒを天秤に掛けてもハルヒをとる!何があってもハルヒを守ってみせる!」 「・・・・・・・・・・本当」 「あぁ、本当だ」 「・・・・・・・・まぁいいわ。今回は信じてあげる」 はぁ、よかった・・・・ってそういえば古泉たちは大丈夫なのだろうか 本当にハルヒの方の天秤をとったわけなんだが・・・・ 「・・・・・・ねぇ、キョン。知ってる?」 何がだ? 「今ね、この家にいるのキョンとあたしだけなのよ?」 そ、それは拙くないか?男と女が二人っきり・・・・・ 「別に拙くなんかないわよ。あんたさっき自分で言ったこと忘れたの?」 さっき言ったこと・・・・なんのことだ? 「はぁ?あんた覚えてないの?あたしを一生・・・・・・まぁいいわ、キョンはやっぱりキョンね」 ・・・・・・・・なんのこっちゃ 「ここは再構築世界とかじゃないよな?」 「えぇ、おそらくは・・・・ですよね?長門さん」 「そう」 ハルヒを泣かしてしまうという事件もようやく一段落ついたその日の深夜、ようやく長門のマンションに来れた。本当はもっと早く来るつもりだったんだが、泣き疲れたハルヒは俺を抱きかかえたまま寝てしまった 別に腕の中から逃げてこられなくはなかったんだが・・・・・気持ちよさそうな顔だったから、つい見とれていこの時間だ 「・・・・・・・・可愛い寝顔だな」 「!?・・・・・Zzz・・・・」 あぁ、こいつ起きてやがる・・・・顔が真っ赤だ 「お前、起きてるだろ」 「・・・・・なんでわかったのよ」 「そりゃぁいつでも見守ってるからな」 「・・・・・・・・キョン」 「そういやぁ親はどうしたんだ?」 「・・・・・あんた雰囲気ってものを知らないの?」 「なんのことだ?」 「はぁ・・・・・・親は親戚の結婚式に行って夜まで帰らな・・・・ってもうこんな時間じゃない!何で起こさないのよ!!」 「可愛い寝顔だったからつい・・・・」 「バカこといってる場合じゃないわよ、本当に帰ってきちゃう。キョン、早く帰る支度して!」 別に「あたしの彼氏よ」とか紹介されてもいいんだが・・・・ 「バカいってないでさっさと帰る!!」 ってな具合に家を追い出されてしまった 「そうか・・・・じゃぁ、今回の種明かしをしてもらおうか」 「種明かし・・・・ですか。結論から言いますと、男には女の気持ちはわからない・・・・でしょうか」 全然結論になってないぞ、古泉。ちゃんと説明しろよ 「僕も男ですし、今回の騒動は長門さんにご説明をお願いいたします」 「了解した」 長門って、その台詞多いな・・・・・ 「凉宮ハルヒが不安になっていな要素はたった1つ。あなたとの関係」 「俺との関係?」 「凉宮ハルヒがあなたにしようとした行為によってあなたとの関係が壊れることを危惧し、その葛藤の中で例の閉鎖空間を発生させた模様」 行為?行為ってなんだ? 「・・・・鈍感」 「いやぁ、あなたがそこまで鈍感とは」 「・・・・・わるかったな」 ハルヒが俺としようとしたことぐらい俺にだってわかるさ。付き合って1ヶ月、キスも充分した、愛してる。でも気づくのが遅かったな。スマン、ハルヒ。やっぱり女の考えてることは男には到底わからないものなのさ・・・・・でもちゃんとわかるように努力はするよ 「・・・・な、なによ!じろじろ見て」 「いいや、別に。俺はただお前を見守ってるだけだ」 「・・・・・・・あんた、よくそんな恥ずかしい台詞が言えるわね」 お互い様だろ 「そんなに見られてたら答え合わせに集中できないじゃない!」 今日は土曜探索の翌日、日曜日だ。予定通り午前中はハルヒと勉強会中・・・・と言っても、もう終るんだがな 「・・・・うん、よし。今日はこれでおしまいね。お疲れ様」 「お疲れ、ハルヒ。いつもありがとな・・・・・午後はどこにデートに行きたい?」 「・・・・・あたしの家に来ない?」 ・・・・・・親に紹介でもするのか? 「んとね・・・今日も家に誰もいないのよ」 「それってまさか・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・バカ」 good end… 「いやぁ今回は出番が結構ありましたね」 「いっぱい喋った。ユッキーがんばった」 「あのー・・・・・わたしは?」 作者「空気乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 「貴様、【禁則事項】で【禁則事項】して【禁則事項】するぞ!」 作者「アッー!!」 bad end…
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俺が北高に入って早2年と5ヶ月、もう高校3年の秋だ。 この坂道もあと半年ほど登ればサヨナラ、何だか秋風のせいか寂しい気分になる。 教室に入ると、すでに受験色。皆、色んな情報を交換し合っている。 勿論俺も母親の期待に応えるべく大学進学を考えている。 まぁ、そうは言っても谷口と競い合った低空飛行のお陰で推薦入試なぞ、今の俺には無縁の話だ。 ハルヒはああ見えて、勉強は出来るゆえに既に六甲大学への推薦を受けている。 一般入試の受験先を考えていると、ハルヒがやってきた。 3年になってからもこいつとは同じクラス、まさかこいつが俺と同じクラスを願ったなんて事は無かろう。 国木田は3年から理系コースへ、谷口も何を思ったか理系に行った。 「キョン、あんた大学はどうすんの?まさか行けないって事はないでしょうね?」 なんだ、藪から棒に。その「行けない」って言い方は癪に障る。 人に進学の事を聞くときは「行くの?行かないの?」でしょうが、やれやれ本当に毎度疲れさせやがる。 「ねぇ、キョン、聞いてる?」 ああ、聞いているとも。勿論俺も進学は考えている。将来はだな、ほら公務員にでもなるか、 あわよくばどこかの上場会社にでも入れればと考えている。 「はぁ?あんたね、そんな人生でいいの?ちっとも楽しくないじゃない。もっと面白い事考えた方がいいわよ。」 俺の人生が面白くなろうがならまいが、お前さんに何の関係があるというのだ。 「SOS団から就職組や浪人は出さないから。団長命令として六甲大学に合格しなさい、わかった?」 おいおい、そんな無理を言うなよ。先日の模擬試験の結果で偏差値が50しかないんだぜ。 どう頑張ったところで、65以上の六甲大学なんか受かるわけが無かろう。 天変地異でも起こらなければありえない話だ。 今のレベルで合格出来そうな大学といえば、船で目下に広がる海を越えた阿波大学か背後に迫る山を5つほど越えた日本海大学ぐらいだな。 しかし、下宿となると親にも負担が掛かる、あと少し頑張って甲陽園大学ぐらいには行きたいものだ。 そんな事を考えているうちに、担任がHRにやってきた。 大学進学の基準にもう一つ気になることがある。 SOS団の団員はそれぞれどこに行くかだ。 古泉は近畿外大を目指すと言っていた。 長門はやはり観察対象が行く大学、六甲大に入るらしい。 まぁ、長門の場合、どこでも希望すれば入れるんだろう。 一学年上の鶴屋さんも六甲大、やはり地元ではセオリー通りの進学コースなんだろうな。 それはそうと今、同じクラスに朝比奈さんがいる。 この朝比奈さんは朝比奈さん(大)でもなければ、朝比奈さん(小)でもない。 朝比奈さん(妹)である。 まぁ、同級なので敬称略でいいのだが、長年呼んだ「朝比奈さん」が抜けない。 朝比奈さんが卒業と同時に、海外の大学へ行き、代わりに朝比奈(妹)が転校してきた。 まぁ、俺は驚かなかったが、ハルヒは鳩が豆鉄砲食らったかのように驚いていた。 もちろん、SOS団に連れ込まれたのは言うまでも無い。 ただこの朝比奈さんはどの時間から来たのか、俺たちと過ごした2年間の記憶は無い。 中身は変わらないのだが。 そして今、俺が一番注目しているのが朝比奈(妹)、ああ、もう面倒だ朝比奈さんで統一。 朝比奈さんが、どこの大学に行くのかそれが一番気になっている。 授業も終わり、いつものように部室へ向かう。 下級生の団員がちらほら、まぁこいつたちの話はまた今度にしよう。 朝比奈さんは先に来て、部室の掃除をしている。 長門は2年以上居座った同じ場所で本を読んでいる。 俺は朝比奈さんがお茶を淹れて、テーブルまで運んできたときに聞いてみた。 「朝比奈さんは進学はどうするんですか?行くの?行かないの?」これが正しい質問の仕方だ。 「えっとですね、ふふ、禁則事項です。」 え?俺は口に含んだお茶を食道ではなく気管に流し込みかけた。 「冗談です。六甲大学を受けようかと思っています。」 それってやっぱ上からの命令?俺は廻りに聞こえないように聞いてみた」 「それは本当に禁則事項なの。」 そうか、みんな六甲大目指すのか。 この朝比奈さん、my sweet angelと逢えるのも半年か・・・l 少しまどろっこしい悩みをしていると、いつものようにハルヒがドアを開けて入ってきた。 団長席に座るや否や、俺に向かって言い放った。 「いい、今日からSOS団は特別戦闘体制に入るから。目指せ六甲大よ!」 はぁ?なんだそれは?俺に構うな、今から頑張っても六甲大は到底無理だ。 「あのねキョン!やらずにウダウダ言っても仕方ないの。あんたは六甲大に行かなくちゃならないの!」 何ゆえに?何ゆえに俺が六甲大を目指さなければならんのだ。 そりゃ確かに女子にもモテるし、就職も良いかもしれん。だがなハルヒ、人間には身分相応って言葉がある。 背伸びしても届かないものは届かないんだぜ。 「キョン、あんた本当にそれでいいの?みんな六甲大行くのにあんただけ片田舎の三流大で満足なの?」 勝手に三流大に決めないでくれ。 「それにね、あんたが六甲大に来なければSOS団が作れないじゃないの!」 what?大学でSOS団だと。何を言ってるんだ、こいつは。 大学に行ってまでお前と馬鹿やりたくねぇよ。大学に入ったらな、遊びサークルでも入って、夏は海、冬はスキーでも行って 学園祭は出店でもやってだな・・・・・あれ?なんだ?今と変わらないな。 「つべこべ言わず六甲大にあんたが受かる学力が付くまで、毎日ここで補講するから、わかった?」 「それから下級生は今日からキョンが六甲大に受かるまでコンピ研の部室を占拠すると良いわ。じゃ、今から開始!」 ハルヒの号令とともに下級生はコンピ研の部室へと移動した。 それから毎日、俺はハルヒとの受験勉強が始まった。 11月の終わりにはハルヒと長門、朝比奈さんまでもが推薦入試で六甲大に合格した。 初雪が降る頃、全国模試で俺の偏差値は60ぐらいまで上昇していた。 もう少しか・・・大森電気店で貰った電気ストーブが今日も悴んだ手を緩めてくれる。 入試過去問題を解き終え、ハルヒがそれを採点してくれる。 そして、俺を見つめて嬉しそうに 「キョン、この点数なら去年の合格点よ。あと少し頑張れば確実に六甲大にいけるわよ」 それから、来週から冬休みになるから、部室はやめて自宅で勉強ね。 キョンの家は妹さんが居て気が散るから、学校が始まるまで私の家でやるから、毎日9時にくる事。」 ハルヒは嬉しそうに解答用紙を俺に付き返した。 終業式も無事終わり、明日からハルヒの家で朝から猛勉強か・・・ そういえば、俺はハルヒの家に行ったことが無い、どこにあるんだ? 「あんた来た事無かったっけ?あのね・・・」 ハルヒは丁寧に地図を書いてくれた。 翌朝、吐息も凍るような寒さの中、俺は参考書をカバンいっぱいに詰め込み、家を後にする。 歩いて30分、ハルヒの家に到着。 奇抜な家を想像したが、どこの町にもある普通の家であった。 しかし、何か嫌な予感がする。 一呼吸おいて、呼び鈴を押す。直ぐに勢い良くドアが開く。 「さぁ、上がって。あんたの為に特別に部屋を用意してあるから」 ハルヒは嬉しそうに俺を家に招きいれた。 通された部屋は机以外何も無い。時計すらない。カーテンは閉じられ、いや、きっとその窓の向こうの雨戸も閉まっているのではないか? 電気を点けなければきっと真っ暗なはず。 「いい、キョン。今日から2週間ここで頑張るのよ。それとあなたの行動は全て私の管理下に置かれているから勝手に人の家をウロウロしない事。トイレも許可を受けてからね。あと、携帯は没収。」 おい、俺は刑務所に入った覚えは無いぞ。それに時計すら無いとはどういう事だ? 「時計が有ったら、昼飯とかお茶とか言い出すでしょ!だから無くしたの。私の時間配分どおりやれば良いから。」 予感は的中した。が、この怪力女から逃げられない事は既に学習済み。俺は嫌々ながらもこの状況を受け入れざるを得なかった。 ハルヒの言うままに、問題を解いたり、解法を聞いたり。 何時間ぐらい経ったのだろうか、時間概念を消されたこの部屋では己の腹具合だけで全てをさとらなければならない。 ハルヒが一旦、部屋から出て行った。 問題を黙々と解く俺。ふとペンを止め、考え込んだ。 俺はこれで良いのか? ハルヒに半強制的に針路を決められている。 もしかすると、他の大学に行くと俺の人生の伴侶が居るかもしれないというのに。 大学に入って、就職までハルヒに言われるがまま・・・ まてまて、そんな事は絶対にありえん。 俺の自由意志はどこに行った?俺は一体何者なんだ?いや、者ではなく物なのか? 段々と自閉的な思考の渦にはまっていったその瞬間、ドアが開いた。 ドアから顔だけ覗かせたハルヒは 「キョン、その問題が解けたら休憩にしましょう。」と。 おお、昼飯か。腹も減ってきていた、腹時計は正確だった。 「今日はオムライスね」 何度かハルヒの作った飯を食ったことがあるが、こいつの飯は美味い。そこらの定食屋顔負けの美味さである。 問題を解き終え、テーブルを片付ける。ハルヒがトレーを持って再び入ってきた。 余程腹が減っていたのであろう、特盛サイズのオムライスを余すことなく食べきった。 いつもならココから気だるい気分で、昼寝をする訳だが、今はそうもいかない。 何せ目の前にハルヒが居るわけで・・・ 「キョン、ご飯が済んだら少し休憩して続きを始めるわよ」 また囚人の始まりだ。 そう考えると同時に問題が配られる。それをまた黙々と解く。 人間の思考というのは不思議なもので、必死に問題を考えているにも拘らず、瞬間的に他の事を考えたりする。 そういえば、さっきからハルヒ以外の声や足音が聞こえない。親は居ないのか? しかし、この事を尋ねたら、きっとハルヒは集中力が足りないと俺を批難するだろう。 俺は再び、問題に集中した。 途中、一度だけトイレに経ったが、トイレは部屋の前にあり、窓は暗幕で閉ざされていた。 「開けるな」 ご丁寧にも俺に太陽を拝ませないつもりの様だ。 廊下もこの場所からは日は差さない。 淡い黄色を発色する電灯だけが俺の存在を明らかにしている。 そして廊下には俺を閉ざしたかのように椅子が置かれている。 単調ながらも次から次へと襲い掛かる英単語や数式、年号をバッサバッさと切り倒し LVが上がる音が聞こえそうなぐらい俺は打ち込んだ。 さて、今何時だ? 昼飯で満たされた腹はまだ空いていない。 夕食は家で食べられるんだろうな。このまま監禁なんてまっぴら御免だぜ。 そんなことを考えたのがいけなかったのか、ハルヒが俺に問いかける。 「晩御飯はパスタでいい?」 本当は別のことを言いたかったのだが、何故か二つ返事してしまった。 そして昼飯と同じくハルヒが大盛パスタを運んできた。 ハルヒも一緒に食事を取るのだが、今日は物静かだ。何も語らない。 こうもハルヒが静かだと気味が悪い。 「何?足りない?おいしくない?」 いやいや、このパスタは絶品だ、俺は久しくこんなパスタを食った覚えが無いとゴマをする訳ではないが、本音じみた事をこれ以上は無理というぐらいの笑顔で答える。 「あっそ、ならもっと美味しそうに食べなさいよ」少し不機嫌なハルヒ。覚られたのか? 俺がパスタを平らげて少し安穏とした時を過ごしていると、遠くでチャイムが聞こえる。 ハルヒは直ぐに部屋を飛び出して行った。 親でも帰ってきたか? 数分後、俺はドアから入ってくる奴に驚愕する。 いや、人に驚愕したのではなく、俺が置かれた状況に驚愕したのだった。 「どうも、元気そうで何よりです」、ドアの向こうになんと、古泉が居た。 古泉は大きなバッグを二つ携え、部屋に入ってきた。 「涼宮さんに頼まれて、あなたの家まで行ってたのですよ。」 何をだ?何しに俺の家に行ったんだ?俺の家が神人にでも潰されそうになったか? 「いえいえ、実はこれあなたの荷物です。お母様に頼んで着替え用意してもらいました。」 おい、なんで着替えがカバン二つも必要とする? 「さぁ、それは涼宮さんに聞いていただかないと何とも・・・・」 目を細め、溢れんばかりの笑顔で古泉は答えた。 そして、コーヒーカップを3つトレーに乗せたハルヒが入ってくる。 「古泉君にキョンの家から着替え貰ってきた。とりあえず1週間分ぐらい。お正月は帰ってもいいから」 なんですと?何故俺は今日からお前ん家に泊まらねばならんのだ?答えろハルヒ。 「行き帰りの時間が無駄でしょ。往復で1時間、そんな時間が有れば問題10問はこなせるわ。 だから今日からキョンはここで勉強よ」 おいおい、これって軟禁だよな?古泉、俺の人権はどこに隠した? 「あなたには是非、六甲大に行って貰わなければならないのです。分るでしょう?」 何故だ? 「決まってるじゃない、SOS団の為よ!」とコーヒーを啜りながらハルヒが横槍を入れる。 すかさず古泉が「まぁ、そういうことですね、あなた自身が一番分っている事です。」 ハルヒの機嫌を損ねないためにも俺は六甲大へ行かなければならなくなった。 色調の存在する閉鎖空間で俺は問題と格闘している。 一体、今が何日の何時か分からない。 多分、6日目のはず。 何故多分とかといえば、俺が5回眠ったからである。 太陽が恋しくて堪らない。 しかし、ここから出てゆくことは許されない。 脳のバックグラウンドでそんな事を考えつつ、問題を解く。 ハルヒが切り出した。 「キョン、模擬試験するわよ。いっとくけど、模擬だけど実戦だとおもってやるのよ。」 今からかよ!飯はどうした?お茶は出ないのか? ここに軟禁されてから俺の楽しみはそれしかない。 「試験が終わったら食べさせるわよ。だから頑張って。」 そうハルヒは俺を見据えて呟いた。 「いい、今から60分づつ3教科のテストよ。休憩は15分づつ。もし、これで合格点を取れなかったら 後半の合宿はもっと厳しくするから」 おい、今でも充分なぐらい厳しいと思うんだが? 「じゃ、はじめるわよ」 そういって、ハルヒは俺に問題と解答用紙を配った。 「時間は60分、30分過ぎて出来たら休憩してもいいわ。名前は必ず書く事。じゃ、国語からはじめ!」 ハルヒの声と同時に俺は鉛筆を走らせる。 お、この問題は前にやったことがある。あ、これもだ・・・・。案外、記憶に残っているもんだな。 次から次へと問題を解いてゆく、まだどこも躓いていない。 最後の漢文問題で一瞬筆が止まったが、解答用紙を見るとペンが動き出す。 なんだこれは?この鉛筆はホーミングモードにでもなっているのか? そして問題を全て解き終えた。 顔を上げるとハルヒがこっちを見ている。 「あんた、カンニングしていないでしょうね?」 へへ、ハルヒにしては面白い冗談だ。俺とお前以外に誰がここに居るというのだ。 「じゃ、解けたんで休憩するわ」という俺にハルヒはこういった。 「あんた、確認し直しなさいよ、それにまだ20分しか経ってないから。」 なんですと?まだ20分・・・・信じられん、いつ俺に時間を止める能力がついたんだ。 仕方が無い、見直すか。 もう一度、問題を解く。間違いない。これはもしかすると満点じゃないか? ハルヒ、この調子なら一気に出来そうだ、あとの2教科を直ぐに配ってくれ。 やる気が出た俺をもう誰も止められやしない。 なんだこのやる気は。 今まで感じたことの無いやる気だな。 そうして俺は残り2教科を解き始める。 うーん、自画自賛ではないが俺の学力は飛躍的に伸びているのかも知れん。 問題を解き終え、ハルヒに渡す。 ハルヒは直ぐに採点に入る。 少しの間の沈黙、赤ペンを走らせるキュキュという小刻みな音だけが響く。 そして、顔を上げたハルヒが俺に言った。 「やっぱ教える人間が良いとこうまで変わるものね。キョン、3教科で288点、合格よ!」 おお、やった! ん?俺は喜んでいる。たぶん心の底から喜んでいる。 何故だ?合格すればハルヒとまた4年間一緒なんだぞ。 いいのか俺?本当にいいのか? 得体の知れぬ葛藤が続く・・・・ 「キョン、カーテン開けてもいいわよ。それから雨戸も。」 言われるまま俺は窓を開け、外の景色を楽しんだ。 綺麗な夕焼けが見える。 「キョン、晩御飯は外で食べましょう。今日はSOS団全員集まる事になっているから」 ほー、早速俺の合格祝いか、いいねー 「ここまでみんなの協力があったからこの点数なのよ、あんたが全部出しなさいよ!」 なんだと?俺は懲役を喰らった上に罰金まで払わされるのか! なんだかなぁ・・・・ 「さ、いきましょう!」ハルヒは席を立った。 いつもの駅前に到着すると、長門、朝比奈さん、古泉が居た。 「みんな、今日はキョンのおごりだからしっかり食べなさいよ」 ハルヒは駅前のすし屋に入る。 おい、ここの寿司は廻ってないぞ!こんな所で俺が全額とか無理だろ! すると古泉が俺に耳打ちした。 「心配しないで下さい。ここも我々の管轄内なので大丈夫です。」 そうなのか?それを聞いて俺はほっとした。 「それにここ数日間、あなたが涼宮さんと一緒にいる間、閉鎖空間は一切発生しませんでした。 組織も今回の事を非常に評価しています。なので、もしあなたが白紙で答案用紙を出しても 六甲大には合格できると思いますよ。ま、その必要もなくなりましたが・・・・」 結局俺は人類のためにペンを持っていたわけか。ペンは剣より強し、誰かが歌ってたな。 そして、俺達は腹いっぱいの寿司を頬張った。 店を出てから古泉が切り出した。 「私と長門さんは少し話がありますので、ここで失礼します。」 朝比奈さんも今日は他の用があるらしい。 「じゃ、ここで解散ね。明日は大晦日なんで23時に集合よ!初詣に行くから。」とハルヒ。 今日は30日か・・・・やっと時間が戻ってきたぜ みんな頷き、笑顔で別れる。 俺とハルヒは寒空の下を並んで歩いた。 「ねぇ、キョン。やれば出来るって分かった?」 ああ、俺は超人だからな 「あんたね、そんな風に思っていると足元掬われるわよ」 冗談だ。でもハルヒ、ありがとうな。 「はぁ?何言ってんの!私は団のためにやっただけだから!」 そういうハルヒの頬は少し赤く染まっていた。ような気がした。 「ねぇキョン、六甲大に合格できそうで嬉しい?」 え?そりゃまぁ良い大学に行けるってのは嬉しいさ。 「六甲大に行ける事が嬉しいの?それとも私と同じ大学に行ける事が・・・・」 ん?なんだって?聞こえないぞ? 「聞こえてるのに聞こえないふりするなんて卑怯よ!」 そう言いながらハルヒは俺を肘でつっつく。 いつもなら俺の息が止まるほどの強さなのだが・・・ 「ああ、お前と一緒にまた4年間居られると思うだけで俺は嬉しいぜ」 その一言を言い終えたとき、ハルヒの頬を小さな星の欠片が伝い流れたように見えた。 「キョン、本当に頑張ったね。良かった。」 ありがとう、お前のお陰だ 「まだ、合格したわけじゃないんだから。気を抜かず頑張るのよ」ハルヒは反対を向いて呟く。 ああ、分かっているさ。 「ねぇ、キョン、これ合格のお守り」 そういうとハルヒは俺に抱きつき背伸びをした・・・・ 閉鎖空間から開放されるときのスイッチはいつもこれだ・・・・ 空にはいつもより多目の星が輝いていた。 涼宮ハルヒの補習 おわり
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『涼宮ハルヒの進路』 3月。鶴屋さんと朝比奈さんはそろって卒業し、鶴屋さんは地元の大学へ合格した。 朝比奈さんは・・・試験当日、高熱を出して文字通り昏倒し、結果、一年を棒にふった。 おかげでというか、卒業後も文芸部室のマスコットを継続していただけることになった。 予備校とか、いいんですか?と控えめに聞いた俺に対し朝比奈さんは泣きそうな声で 「私は! 試験に落ちたんじゃないですから!」 と叫んだ後なにやら呪うようにつぶやいていた ウケテサエイレバ ウケテサエイレバ ウケテサエイレバ 聞かなかったことにしよう 4月がきて、俺たちは最上級生へと進級した。このままいけば来年で卒業であり 本格的に進路を考えざるを得ない状況に追い込まれたわけだ。 職員室の岡部のところまで日誌を届けに行くと、先客がいた。ハルヒだ。 聞くともなく聞いた内容によると、ハルヒは進路調査を白紙で出したらしい。 「どうしたんだハルヒ。お前の成績ならどこでもすきなとこ選べるだろ」 「うっさい、余計なお世話よ。だいたいアンタ、他人の心配してる余裕あんの?」 とりつくシマもない 受験生となっても団活に休みはない。 新年度最初の不思議探索。くじ引きは古泉と二人組みになり、このところ閉鎖空間が頻発していると聞かされる。 なぜだ?進路希望を白紙で出したりするからには悩んではいるのだろうが、閉鎖空間を創るほどのことだろうか? それとも、進路とは関係ないのか?理由がわからない。 掃除当番を終え、いつもの文芸部室にやったきた俺を迎えたのは卒業後も律儀にメイド服に着替えている朝比奈さんと、 いつものように本を開いている長門、そしてマウスをぐりぐり動かしているハルヒだった。 てっきり俺が最後だとおもったが 「9組はホームルームが長引いてるみたい。どうせ進路がらみでしょ。アンタ…進路は考えてるの?」 「んー・・・そうだな。私立に行く金も県外に出る金もないし、地元の国立がベストだな」 「そんなの奨学金とればいいだけじゃない。ちゃんとやりたいことのできるとこ選ばないとダメよ!」 珍しいこともあるもんだ。ハルヒがまともなことを言っている。 じゃぁベストは模索中ってことで、いまんとこ地元国立だ。 「へぇ…偶然ね」 ハルヒがつぶやいた。パソコンのモニターで顔は見えない。 なんと、ハルヒも同じ進路らしい。偶然だと信じたい。 それにしてもアンタ、国立志望できるほど成績よかったっけ? 安全圏には程遠いな。家庭教師をしてくれるって、前に言ってたよな? あったり前よ!SOS団団員が浪人したなんていったら団長の恥よっ! 東大でもケンブリッジでもオックスフォードでもMITでも、トップ合格できるくらい叩き込んであげるわ! 頼りにしてるぞ。 久しぶりな気がする、100Wのハルヒの笑顔だった。 ふふん。覚悟しなさい? ところで、朝比奈さんがうつろな目をして何かつぶやいてるぞ。 ワタシハローニンジャナイ ローニンジャナイ ローニンジャナイ 聞かなかったことにしよう それから毎日、団活後はハルヒが家まで押しかけてきて家庭教師をしてくれるようになった。 数日後、古泉から閉鎖空間の発生が嘘のように落ち着いたと聞かされる。 はて、俺は何もしていないぞ。 礼を言うな。気持ち悪い。 土曜はもちろん不思議探索があった。 探索後、ハルヒは我が家で家庭教師をしてくれている。 明日の日曜は丸々朝から家庭教師をしてくれることになった。 自分の勉強は大丈夫なのか あたしの頭脳をもってすればNASAだって余裕よ! NASAは大学じゃないような気がするが 飲み干したコップやらを台所に返しにきたら ハルヒさんに夕飯食べていってくださいって伝えてね 現物支給か? と俺を頭のてっぺんから足元までしげしげと眺めた後、 現物支給で受け取ってもらえるくらい高い子だったら、母さん苦労しないわよ ため息交じりでのたまった。どういう意味ですかお母様。 日曜日、妹 ハルヒタッグの襲撃により起床を余儀なくされ 文字通り あさめし前 の課題を消化していると玄関のチャイムが鳴った 今日は朝から客の多い日だと思いつつ、出された問題と格闘していると パタパタとスリッパの音が近づいてきて、ノックが響いた。 どうぞー 誰の部屋だ うっさい。問題に集中しなさい。それ終わるまで朝ごはんはおあずけよ! おじゃまします 入ってきた人物を見て、ハルヒがぽかんとしている。 俺も驚いた。なぜ佐々木が? 橘さんの強い勧めでね 『佐々木さんも勉強会に参加するべきですっ!』 ってうるさいのよ。 どこで二人の勉強会のことを知ったのやら あたしとしてはあまり気が進まないんだけど、橘さんがしつこくって。 二人の睦言を邪魔しても悪いし、顔を出したけど断られたといえば彼女も納得するでしょう。 じゃ、あたしは帰るわね。 ドアを閉めようとする佐々木をハルヒが呼び止めた ちょっと待って! そうね、確かに一人じゃ面倒見切れないかもしれないわ。 佐々木さんが手伝ってくれるなら私も助かるわ。 おいおいおいおい そう?なら、あたしも協力させてもらっていいのかしら。 えぇ。よろしくお願いするわ。 ちょっと待てハルヒ 佐々木もなぜ女言葉で話してる。 部屋の主は俺だ。当然、話しかけるべきは俺で、話し言葉は男言葉ではないのか というか、ハルヒが断れないように挑発しただろう。睦言なんぞとは無縁だぞ と、いうわけだ、キョン。 東大でもケンブリッジでもオックスフォードでもMITでも、トップ合格できるくらい叩き込んであげよう。 覚悟したまえ。 そこで男言葉か。 …………4月とはいえまだ肌寒い陽気だというのに、汗がつたう。 ここは俺の部屋だというのに、なぜこんなにも居心地が悪いのだろう ふとみると、時計は21 30を回っていた。もうこんな時間か。 今日はこの辺にしないか? 今日はいろいろな意味で疲れた そうね 佐々木と二人頷きあい、ハルヒが宣言した 今日はここまでにしましょう 二人を送るために自転車を引っ張り出した。乗っていくためではなく、荷物運搬用だ。 うぉ?おい、佐々木、やらく重たくないかおまえのカバン?何が入ってるんだ。 女性の持ち物を詮索するものではないよ、キョン。 そうよ。まったくデリカシーに欠けるんだから お前の口から『デリカシー』なんて単語が出るとは驚きだ なんか言った? なんも しかしこの重い荷物をかかえて駅から家まで?誰か駅まで迎えに来るとか? 歩いて帰るつもりだよ。たいした距離でもないしね。 わかった。佐々木は家まで送ってやる。 ハルヒは駅まででいいか? ………… ハルヒ? いいわよ送ってもらわなくても ハルヒは自分の荷物をひったくるように言い 駆け出して行ってしまった 翌日の月曜日、教室に入るとハルヒが机に突っ伏していた 体調でも悪いのか? 別に なぁ、昨日は何でいきなり帰ったりしたんだ? どうでもいいでしょ ほら岡部来たわよ。さっさと前向きなさい ハルヒは一日中ダウナーモード全開でおとなしく、 シャーペンで背中をつつかれることは一度もなかった 放課後、文芸部室にハルヒはいなかった 今日はおやすみだそうですぅ お休みなのにお茶を淹れてくれるってことは、何かあるんですね? ハルヒに聞かれては困るような。 えぇと、私にはないんですけど、古泉君が… えぇ。察しがよくて助かります 昨日から、閉鎖空間の発生頻度が一気に増えました。まるで中学時代の頃のように あなたに原因があるのではありませんか? すまんが心当たりがない もしよろしければ、昨日のことを教えていただけますか? 俺は昨日のことを話してやった。 そうですか・・・佐々木さんが それでは、僕たちにはどうすることもできませんね 耳にたこでしょうが、『あなたに期待する』としか言いようがありません そろそろ帰ったほうがよいでしょう お引止めしてすみませんでした 家にはハルヒと、もしかしたら佐々木もいるかもしれない なんとなく、早く帰らないといけないような、帰りたくないような・・・ 玄関には、女物の靴が二足あった。 おかえりーーキョンくんー お兄さんと呼びなさい 君たち兄妹は相変わらずだね。くくっ 遅かったわね。今までなにやったてのよ お前こそ、なんで急に休みなんだ …気が乗らなかったのよ 古泉の言うとおりだ。確かに、こいつはおかしい はい、これ どかっという擬音がしっくりくるほどの紙の束。まさかこれ全部・・・? 当然でしょ。ほらさっさとやらないと朝になるわよ カリカリカリカリパラパラ カリカリカリカリパラパラ うぅぅぅまだ半分残ってるぞ。ちょっと多すぎないか? 普段からやってればたいしたこと無いわよ。 なぁハルヒ、ここちょっと教えてくれないか? どこ?はぁ?なんでこんな結果になるのよどんな計算してんの? どれどれ? あぁなるほど。キョン、この公式に当てはめる数字はこちらだよ。 なぜかというとだね、、、 佐々木の解説はとても丁寧でわかりやすかった サンキュ。助かったよ …… カリカリカリカリパラパラ ハルヒ、ここな「佐々木さんに聞いて」んだが・・・ ハルヒ? あたし帰る。悪いけど、佐々木さんあとお願い。 私はかまないけど、いいの? 待て。帰るなら送っていくぞ アンタは課題を片付けなさい! ハルヒは何を怒ってるんだ? …今ばかりは、君の鈍感さに感謝するよ…… 教室に入ると、空気がピリピリしていた。 昨日はダウナーオーラだったが、今日のそれは一触即発の地雷そのものだ。 どうしたんだ? あたし今日から行かないから なんだって? 志望校変えたの。 あたしはあたしの勉強するから、キョンにかまってるヒマは無いの。 ちょっと待て。どういうことなんだ? 今言ったでしょ。勉強の邪魔しないで。 放課後、厭な予感を振り払うようにSOS団アジトへ向かった俺は 厭な予感が当たってしまったことを知った。 ハルヒは今日も休みだった。 急いで帰ると、玄関には女物の靴が一足だけ。 佐々木、すまないが待っててくれるか? ハルヒを迎えに行ってくる なぜ? 涼宮さんには涼宮さんの事情があるでしょう? 勉強ならあたしが見てあげられるし、無理に呼ばなくても。 それとも、あたしでは不足? それは違う。何が違うのか、どう違うのか俺にもよくわからないが、違うんだ。 佐々木は俺の言葉を噛締めているようだった。 俯き、 こうなると思っていた。いや、わかっていたといってもいい。 だが、確かめずにはいられなかったんだ。悪かった。 もう来ないから安心したまえ。短い間だったが楽しかった。 顔を上げて これで…これであたしも一歩踏み出せると思う。 ありがとう… 佐々木の別れの言葉は、女言葉だった。 俺は佐々木を見送らなかった。 俺は携帯電話をとりあげ、ハルヒに電話をした 出ない。だが、俺は確信していた。ハルヒは絶対に携帯を手にして睨んでいる。 留守番電話が6度。7度目の正直はノーコールで繋がった。 しつこいわよ!わからないところは佐々木さんに聞けばいいじゃない! あたしはもう行かないんだから! まてハルヒ!頼むから切らないでくれ。 一度しか言わないからな。よく聞けよ。 お前が来てくれないなら、俺は一切勉強なんかしない。学校へも行かない。 明日からニート一直線に突き進む。 あ、あんたバカじゃないの?ナニふざけたこと言ってるのよ あぁ俺はバカだ。自分でもあきれるくらいだ。だからお前が必要なんだ あたしじゃなくても、佐々木さんがいるでしょう… 佐々木は帰った。もう来ないそうだ。 …そう…… そんなわけで、俺の将来はおまえにかかっている 俺たちは駅に近い、ちいさな公園を待ち合わせに定め、電話を切った。 俺が自転車を疾駆して公園に着いたとき、ハルヒはすでに来ていて 小さなブランコを窮屈そうに揺らしていた。 俺が隣に立つと、ハルヒはぽつぽつと語り始めた。 あたしね、卒業するのが怖い。 卒業して、みんな自分の進みたい道へ進んでいくのよね。 あたしは…自分がどんな道に進みたいのかぜんぜんわからない。 SOS団のみんなと離れ離れになって、自分ひとりになって、また中学のときみたいに? そう考えたら、立っていられないくらい怖かった。 だから、キョンと同じ大学に行くことにしたの。 ほかの誰がいなくても、キョンがいればきっと大丈夫。そんな気がしたから… まるでストーカー。迷惑よね… どうして?中学生のときのあたしは平気だったのに どうして今のあたしはこんなに怖いの? キョン…キョンは、あたしのことどうおもってるの? もし…あたしが特別でないなら、もうかまわないで。もうやさしくしないで。 やさしくされたら、キョンに頼ってしまう。 頼ったら、あたしは弱くなる。一人で立っていられないほど、弱くなってる。 それで、俺を無視したりSOS団をほっぽったりしたのか? ごめんなさい… こんなに弱気で素直なハルヒは初めてだ 『俺にとってハルヒは何なんだ?』か いつぞやの、灰色空間での自問が甦る ハルヒは俺にとって特別な存在なのか?今でも正直よくわからん だが、ハルヒが頼ってくれるなら俺はうれしい こんな俺でよければ、いくらでも頼ってくれ。 それって 俺を見上げるハルヒの顔には期待と不安、歓びがにじんでいた 反則的にかわいい顔にうろたえた俺は、地雷を踏んだ。 俺だけじゃない。長門も、古泉も、朝比奈さんも、鶴屋さんもいる。 ……っっっ!ばかぁっ! ハルヒはブランコからはじける様に立ち上がり、俺に詰め寄った アンタのせいよ!あたしは強かった!独りでいることなんてなんでもなかった! あたしが弱くなったのはアンタのせい! 有希でもみくるちゃんでも古泉君でもない、アンタのせいよ! 涙?ハルヒが泣いてる? アンタが優しいせい! あたしのわがままを許してくれるせい! あたしをっ!あたしをこんなに弱くして…すこしは責任取んなさいよ………っ 泣き崩れるハルヒを、俺は抱きしめていた。 泣いているハルヒなんて見たくなかった ハルヒを泣かせたくなかった 俺は懇願するようにハルヒにつぶやいていた 俺はここにいる。お前が望む限り、お前が望んでくれる限り。 キョン… あんたは?あんたは、あたしがあんたの隣にいることを望んでくれる? あたしは あんたの隣にいて いいの? 涙を湛えた目で見上げるのは反則だ。ちくしょう。かわいいじゃねーか。 ああ。いてくれ。 目の届かないところにいられると落ち着かん。 ん…いいわ。いてあげる…… 俺たちはその後しばらく抱き合っていた。どれだけの時間がたったのか ハルヒのぬくもりが名残惜しいが、いつまでこうしてはいられない。 俺たちにはやるべきことがまだまだ数多く残されている。 安らぐのは今ではない。 ハルヒ、今夜はもう遅いから勉強は明日にしよう。家まで送っていくから。 ハルヒは頷き、俺たちは自然と手をつないで歩き始めた。 明日のために。二人で。 fin.
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名前 涼城 武 コードネーム “影針” シンドローム エンジェルハィロウ/ノイマン/キュマイラ ワークス/カヴァー UGNエージェント/朝倉の客人 身長/体重 181cm/75kg 性別/年齢 ♂/28 設定 朝倉 順二が個人のツテをたどって招いた遠方の支部で働いていたエージェント。涼城という家がそもそも裏のよろず荒事屋のような素性の血統であり、20年前に発生したレネゲイドに武力として目を付けた涼城と、伝え鍛えられた素地としての戦闘技能の高さに目を付けたUGNアクシズの利害が一致した形で長年UGNと提携して活動してきた。その中でも彼は安定した能力と高い戦闘能力を持つ第一の使い手であり、彼自身が単なるエージェントではなくアクシズからの命令を直接受けて動くオフィサーエージェントである。 彼が那珂沢にやってきたのはかつて能力を暴走させて“脱落者”の烙印を押されて処分されかけた涼城 智を改めて処分するという大目的があったため。朝倉 順二とはコネがある相手として滞在場所の確保と“口実”のつじつま合わせ(あくまで朝倉 順二の要請で来たという形を取りたかった)、情報提供の代わりになにかあった時の戦力を提供するという約束だった模様。 現在、UGN那珂沢支部に身柄を確保されている。かなりの手傷を負ったため少しの間は動けないかも知れないが、果たして…… コメント一覧 名前 コメント すべてのコメントを見る
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キョン 秋ソフト2 涼宮ハルヒ 春パステル、夏クリア 朝比奈みくる 春パステル2 長門有紀 夏スモーキー3 古泉樹 春パステル2 朝倉涼子 夏スモーキー 鶴屋 春ビビッド 喜緑江美里 夏クリア キョンの妹 春パステル