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全41種 キャラ20種 マジック21種 キャラカード 武藤遊戯 海馬瀬戸 闇マリク インセクター羽蛾 涼宮ハルヒ 長門有希 古泉一樹 泉こなた 柊かがみ 高町なのは スパイダーマッ キーボードクラッシャー リョウ・サカザキ ハートマン軍曹 天海春香 水銀燈 削除番長 闇サトシ アナゴ DIO やる夫 マジックカード 俺の忘れ物 みくるビーム アンインストール ウッディ 嘘だッ! 富竹フラッシュ 少し楽しくなる動画 ドアラ 見ろ、人がゴミのようだ びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛ くそみそテクニック スクラップ&スクラップ ワンモアセッ 夏休み子供科学電話相談 僧侶のアクエリオン アッフン 高らかにオナニー 新君が代 真っ赤な誓い ぬこ くり。
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泉 こなた なぜこなたが一番上かだって?それはここの管理人が一番愛してるからさ 出身地:埼玉県 誕生日:5月28日(ふたご座)←星座だけは俺と一緒だーーーーー 血液型:A型←俺と一緒だーーーーうれすぃーーーーー((( 身長:142cm 利腕:両手利き 私立陵桜学園3年B組所属 兄弟:一人っ子←同じーー 趣味:ゲーム、アニメ、マンガ 好きな物:チョココロネ、萌え 嫌いな物:もずく、スポーツ中継 好きな色:赤、黒 得意教科:体育 苦手教科:理系教科全般 クラブ、委員会:無所属 親友:柊かがみ、柊つかさ、高良みゆき
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罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(前編) ◆wYjszMXgAo ――――――――――KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL! KILL―――――――――――――! 「う、くぅ……っ!」 ――――頭の中に響き続ける殺意のオーケストラ。 柊かがみがそれに耐えかねて呻きを洩らしたのは放送の直後だった。 もちろん原因はたったの一つ。 ……ラッド・ルッソの記憶が、殺意の上昇を抑えきれなくなったからだ。 もちろんかがみに殺人嗜好などないし、理解はできない。 ……だが、『食った』となれば話は別だ。 不死者を『食う』とは、相手の全てを身の内に取り込むということなのである。 記憶も、経験も、知識も、知恵も、趣味も、思考も――――人格の情報でさえも。 それが理解できるか理解できないかはまた別の問題なのだ。 ある不死者の男は、 『自身に催眠術をかけておけば、たとえ誰かに食われたとしても、 何らかのきっかけで食った人間と食われた人間の人格を交代できるかもしれない』 という可能性に思い当たった。 ある日突然、食ったはずの人間に体を乗っ取られると言うわけである。 『食う』事のリスクはそれだけに留まらない。 エニスは『食った』事により人間らしい感情を得て、同時に善悪を判ずる意識に悩まされることになった。 フィーロ・プロシェンツォは『食った』事により自我の境界に疑問を持ち、自身の存在に不安を抱いた。 チェスワフ・メイエルは『食った』事により、人からの感情を信じられなくなった為にあらゆる人間を道具とみなし。 ――――そして、この度再度『食う』事により、自身の罪深さに苦しむようになった。 セラード・クェーツでさえも、感情のベクトルは真逆とはいえ、その行為に心動かされたのは事実なのである。 『食う』事は、確実に食った人間に影響をもたらすのだ。 尤も、その記憶に踏み込まなければそこまで悩まされるわけではないのだが―――― しかし、かがみは放送とラッドの記憶を照合して情報を得るために、敢えて彼の記憶を遡っていたのだ。 彼の記憶の殺意のゲージを一瞬で極限まで引き上げた要因は、二つの名前がそこに存在しないことにあった。 Dボゥイ。 鴇羽舞衣。 彼らの生存が確定したことで――――ラッド・ルッソの殺意はかがみに抑えきれない所まで上昇したのである。 ――――それを食い止めたのは、一つの声。 「……どうした? 不死身の」 衝撃のアルベルトの、こちらを気遣うような声。 それがかがみを殺意の大波から引き戻す。 「……ん、なんでもないわ。それよりこれからの方針についてなんだけど」 彼の顔に似合わない声色に苦笑しながら、かがみはとりあえず話を進めることにする。 ――――ギルガメッシュの生存などについて、アルベルトがそれを洩らさなかったことにかがみは不満を感じてはいた。 が、いざ文句を言おうとするとどんな言葉を選べばいいのか分からないので、それに関しては黙っておくことにする。 今は文句を言うより先にアルベルトに有益な情報を渡しておかねばならない。 「……ラッドの仲間については言ったわよね? そいつ等が調べたところによると、“螺旋力”とかいうものがこの“実験”の鍵になってるみたい」 ――――螺旋力。 幾度となく聞き覚えのある言葉だ、とアルベルトは記憶のダイブに取り掛かる。 文字通り螺旋王が幾度となく告げた言葉だ。 成程、と納得する。 実験と称していたかの王の言葉は真実だったのだろう。 心当たりはある。 先刻のかがみの発した緑色の光。 あの輝きは間違いなく、個人の能力を引き上げるものだ。 それ以外にも何か秘密があるかもしれない。 ……つまりは。 「……その力。持ち帰るに値する力ではあるやもしれんな」 顎に手を当て思考に沈むアルベルトに、かがみも頷き返して続きを述べる。 「……まだ、詳しいところは分かっていないみたい。 だけど……」 一息。 「……刑務所の面子は、相当頭の切れる人間ばかりみたい。 ラッドの記憶もあることだし、協力関係を築いて損はないと思う」 怯えも躊躇いもなくまっすぐにアルベルトを見据えるかがみ。 その心根に満足しながら、アルベルトはそれを肯定することにする。 「……うむ。手駒も欲しい所ではあるし、螺旋の王に立ち向かうには数が必要だ。 いくらワシが十傑集とはいえ、体は一つしかないのだからな。 そ奴らとの利害の一致もありえるだろうし……と、どうした? 不死身の」 見れば、かがみは自身の体を抱くように両腕を互いに掴み、ぎゅうっと縮こまっている。 まるで自身の体が動き出すのを怖れ、どうにか抑え込んでいるかのように。 アルベルトの言葉で生じた、猛烈な衝動をかろうじて制しているかのように。 アルベルトの脳裏に一つの言葉が蘇る。 『――――梯子は足りているのか?』 言峰と名乗った神父。 その真意は測りかねたものの、敵対するどころかむしろ友好関係にあると言っていいだろう。 ならばその言葉が意味するものは、忠告なのか。 不安が心中の何処とも知れない場所から染み出て止まらない。 まるで、楔を穿たれたかのように……どこかに穴があるような気がしてやまないのだ。 らしくない、とアルベルトは思う。 不安に思うことなどない。 自分は十傑集であり、目の前にいるのは信頼できる協力者なのだから。 天をも貫く梯子。互いの背を預けながら、そこをひたすら進めばよい。 否、進む先にあるものは梯子などではなく、雄とした泰山なのだ。 それを強く強く信じ込み――――霧靄を払うかのように不敵な笑みを浮かべてみせる。 「食らった事により何か体調に異常でも感じたのではあるまいな? いずれ螺旋の王を食らう時の為にも、貴様に不調があっては困るのだぞ?」 ――――だが、彼は気付いている。 このような台詞を向けることこそ、言峰の言葉に強く囚われているのだという事を。 気付きながらも、それを払いのけようと気遣いの言葉を重ねれば重ねるほど強く強く、更に強く纏わりついてくるその言葉。 完全なる底無しの沼に浸かっていることを知りながら―――― 今のアルベルトには、柄にも合わない言葉を吐く事しかできなかった。 「う、うん……大丈夫、アルベルトが心配する程の事じゃないわ。 ……私の、内面の問題だから……うん」 気丈な言葉を気弱な表情で告げるかがみ。 が、それではいけないと思ったのか。 不意にプルプルと首を振り、話題を変えようと周囲を見渡すことにする。 と、都合のいい物を見つけたので、とりあえずそちらに向かって駆けていくことにした。 「……さて、あっさり気絶しちゃったけど。 こいつをどうにかしないとね」 目線の先にある物は結城奈緒。 恐怖に引きつった顔で気絶したその姿を見て、自分に持たれているイメージに複雑な想いを抱くも、 とりあえず気にしないことにして意識を切り替える。 まあ、まずやる事は一つだ。 ……目覚める前に、身包みを剥いでおくことにする。 以前遭遇した時にあらかた持ち物は没収していたはずなのだが、いつの間にか新たな装備を手に入れていたのだ。 その衣装はラッド式本気の全力全壊パンチを繰り出した時に砕け散ったとはいえ、まだ何か持っているかもしれない。 デイパックを取り上げ、奈緒の体を調べるとその手に指輪が嵌っているのに気がついた。 見覚えがなかったのでこれも新しく手に入れたアイテムなのだろう。 「はい、ボッシュート」 クイズ番組の口調を真似て指輪を外し、自分の指に嵌めたまさにその時。 「う、んん……」 ――――声とも言えない声を漏らしながら、結城奈緒が眼を覚ました。 指輪を外した時に体を動かしたせいか、自分が起こしたのと同じかもしれない。 そう言えば、よくよく放送を聞き逃す子だと苦笑する。 自分のせいばかりとはいえ気絶ばかりしている印象を奈緒に抱いてしまっていた。 「――――金……ぴか……」 自分でもなにを言っているのか分からないのだろう、呆けたままの奈緒を尻目にアルベルトの方を向けば、彼は無言で腕を組むだけだ。 ……何を彼が望んでいるのか。 察し、かがみも無言で改めて奈緒に向き直る。 座り込んだままの彼女が次第に覚醒していくのと同時。 ――――かがみも、自身のスイッチを入れていく。 頭蓋の横に指を当て、それを確認するかのようにあえて行動しながら口ずさむ。 「……パチリ」 指を弾きながら、呟く。 何度も。 何度も何度も。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。 「パチリ。パチリ。パチリパチリパチリパチリパチパチパチパチリパチリパチパチパチ パチパチパチリパチパチパチリパチパチパチパチパチパチリパチパチパチパチリパチ パチパチパチパチパチチパチパチパチパパチパパパパパパパパパパパパパパパパパパ」 ラッド・ルッソの記憶にある通り。 殺意のスイッチを入れていく。 一個の。五個の。十個の。百個の。千個の。一万個の。十万個の。 ――――何百万個の! 何千万個の! それ以上の数のスイッチを! 「ヒャ、ハ……ヒャハハハハハハ、ヒャァハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!! ハァハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!! ヒャハハハハハハハハハハハッ!!」 ――――ラッド・ルッソの戦闘スタイル……いや、殺人スタイルは独特だ。 トークで昂り、テンションを極限まで上げ、殺戮の悦楽に浸れば浸るほどその動きは切れ味を増し、力は増加してゆく。 『柊かがみ』なら、そんな事は理解しえないし、いざ戦いに臨んでも彼の記憶を活かしきる事はできはしない。 『不死身の柊かがみ』でも、殺人嗜好はないし、ラッド・ルッソほどテンションを高める事もできはしない。 今までのかがみのままでは、ラッドの力を完全に運用するのは無理なのである。 だが、ラッド・ルッソを食らった今なら可能だ。 不死者を『食う』とは、相手の全てを身の内に取り込むということなのである。 記憶も、経験も、知識も、知恵も、趣味も、思考も――――人格の情報でさえも。 一つスイッチを入れるたびに、『柊かがみ』と『ラッド・ルッソ』を切り替えていく。 記憶を、経験を、知識を、知恵を、趣味を、思考を――――人格を。 単なる物真似ではない。自らのうちにあるデータを表に引っ張ってくるだけだ。 それ故に――――それはもはや再現などというレベルにすら留まらない。 柊かがみの『意思』で、ラッド・ルッソという『人格』を行使する。 まるでデスクトップの壁紙を変えるかのように、表に見える人格を切り替える。 中に納まった『意思』というデータに変更はないままだ。 とある男は言った。 信じる心があればテンションはどこまでも上げられる。 そして、自らが出来ると信じたことに限り、あらゆる出来事は実現すると。 不死身の柊かがみはラッド・ルッソという人格を行使できることを信じた。 それだけの話だ。 「……え、あ……? ちょ、なんなの? ……なんなのよぉっ!!」 ――――目が覚めるなり、怯えに満ち満ちた表情を見せる結城奈緒。 いきなりただでさえトラウマを持っている相手が、恐ろしい恐ろしい殺人鬼の笑みを浮かべているのだ、当然だろう。 ……この子には実に悪いけど、と上がり続けるテンションの裏で冷静さの残るかがみは思う。 ――――ラッド・ルッソの力を使いこなす、叩き台になってもらう。 問題は、ラッド・ルッソが奈緒に殺意を抱いていないこと『だった』。 ……だが。 「……よう、お目覚めかいナオちゃんよぉ! 気分はどうだい? 最高かい? 最低かい? 生きたいかい? 死にたいかい? 安心したかい? 不安かい? そこんとこどうなのよ、ギルちゃんが生きていることを知ってよぉ!!」 ――――ラッドは、知らなかった。 衝撃のアルベルトによりギルガメッシュと奈緒が引き離されたその過程も、彼らの絆も。 戦場の中で、ただただ何となく感づいた程度のものでしかなかった。 だから勇敢にも自分に立ち向かってきた奈緒への殺意は薄まり、関心がなくなったのだ。 ――――だが、かがみは知っている。 彼らの間柄を、ギルガメッシュがいなくなった後の奈緒の表情を。 そして、ギルガメッシュの奈緒への関心を。 ――――殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。 殺す!! もちろん奈緒自身にそこまでの殺意を抱いているわけではない。 ……だが。 「ク、ククク、ヒャァハハハハハハハハハハハッ!! ……どう思う? どう思うよナオちゃんよぉ! 私がテメエをじっくりじっくり嬲り殺して! ギルちゃんに伝えてやったその時! あのクソ王様ぶった金ピカ野郎がどんな顔をするのかってなあ!!」 それを想像するだけで今のかがみは歓喜に包まれる。 ラッド・ルッソの嗜好が、確かにかがみの中に存在している。 それを空恐ろしく思いながらも、しかしかがみは敢えてそれを否定しない。 ……たとえ異常者のものとはいえ、力は、たしかにここにあるのだから。 目の前にいるのはあのギルガメッシュが入れ込んでいる人間だ。 そこから引き出されるギルガメッシュへの殺意。 そしてDボゥイと鴇羽舞衣の生存の際に滾り溢れ抑えきれない程に膨れ上がった行き場のない殺意をミックスし、束ねあげる。 膨れ上がった殺意のとりあえずのぶつけ所として、結城奈緒に貧乏籤を引いてもらうのだ。 ついでに約束を破ったという事もあるし、全くもって都合がいい。 どこまでも、どこまでも。どんな状況でも。 理不尽な災禍は。殺意という名の暴力の塊は。 ――――たとえ食らわれようとも一切合切混じりけなく、ラッド・ルッソがここにいた証として。 その誰にも止められない力の渦は遥かな高みまで到達し、天元を突破する。 ラッドでもあるかがみの体に緑色の光が渦巻き始める。 ――――螺旋の力に覚醒した、ラッドの力。 たとえ相手が線路の影をなぞるものであろうと英雄王であろうと、変わらず自身であらんとするその力。 殺意とテンションが上がれば上がるほど、それは強く強く煌めきを増していく。 そして、それだけではない。 あまりにも純粋で巨大な暴力を制し、やはり自身であらんとする少女の意思もそこにいる。 その力を自らのうちに納めながらなお、螺旋王を食らい前に進まんとする少女の力。 殺意が膨れ上がるたびにそれに呑まれまいと抗う、少女自身の輝きもまた存在するのだ。 二つの螺旋の力が鬩ぎ合い、癒合しあい……やがてそれは莫大なる二重螺旋となる。 あまりにも眩いその力は、アルベルトを以ってさえ感嘆の息を洩らさせた。 「おいおいおいおいおいおいおいおいマジかよおいおいおいおい!! すげえ、すげえなオイ!! これが私かよ、なんなんだよこれはよ! これが螺旋力ってやつか!? テンションあがってきたぜ! ようし殺す! ぶち殺す! この力の実験台になってもらうぜナオちゃんよぉ、グチャグチャになるまでなあ! んでそいつをギルちゃんに真心込めてプレゼント! かぁっ、最高だよオイ! ヒャハ、ヒャハハハハハハハハハハハハ、ヒャァハハハハハハハハハハハハハハッ!!」 高まり、高まり、高まる。 螺旋の力はとどまる事を知らない。 やがて、その力は少女の指に嵌った指輪にも注ぎ込まれていく。 ――――Dボゥイが勝利すべき黄金の剣に己が螺旋力を注ぎ込んだように。 クラールヴィントに注ぎ込まれた螺旋の力は――――かがみを核として、一つの姿を形作っていく。 青く、薄い服。 何の特徴も面白みもない簡素すぎる服はしかし、それ故に異常なほどの威圧感を醸し出していた。 それも当然である。 何故ならその服は――――囚人服だったのだから。 凶悪犯罪者の中でも選りすぐり、イカれた人間の中でも特にキレた連中が集う史上最大の刑務所、アルカトラズ。 脱獄不可能と呼ばれた刑務所の囚人服を、かがみはその身に纏っていた。 ――――幾つも存在する多元世界。 その中の、ラッド・ルッソという存在そのものに刻まれた属性。 『ここ』のラッドに記憶がなくても、確かにそれはこうして顕現した。 彼を食らった柊かがみの――――バリアジャケットとして。 変化はそれにとどまらない。 かがみの左手に、更なる螺旋の力が纏わりつく。 極限まで圧縮された緑色は、やがて物質化するほどの密度を蓄え実体化していく。 鋼鉄の義手。 ――――正確には篭手ではあるのだが、義手と言ったほうがずっとしっくりくるだろう。 指もまともに動かないそれはしかし、フック船長の鉤爪を幾分マシにしただけの代物なのだ。 緑の螺旋に包まれる中、フック船長の鉤爪をした時計ワニが夜空に笑う。 遠くまで、遠くまで、声を響かせて。 肉食獣のそれより更に凶悪で理性的な、殺人鬼の歓喜の表情を浮かばせながら。 「ん? おうおうナオちゃんよぉ、どうしたよ、私と殺り合うつもりかよ」 ――――笑いを収め、かがみは奈緒に向き直る。 気がつけば奈緒は冷静さを取り戻し、既に両腕を構えていた。 記憶にあるエレメントの行使。それに間違いないと判断し、かがみは笑みながら悠然と歩み寄る。 最早それが虚勢なのか、ラッドの人格に呑まれているのかすら判然としない。 ただ言えるのは、今の彼女は確かに殺人に悦楽を感じているということだけだ。 「……あんた、いったいどうしたっての? まるで……」 ごくりと唾を飲み込み、震える体を奮い立たせるもかがみの接近に後ずさるを得ない奈緒。 その両手には既にエレメントが顕現していた。 いつでも襲い掛かられてもいいように即座に糸を発生させられる体勢の彼女に、かがみは両手を体の横に突き出し、笑みを濃くする。 尤も、鋼鉄の義手のついた左手はだらりと垂れ下がったままだったが。 「知りたいかい? 知りたいのかい? そうだよなあ、私が! 体はともかく精神的には平凡だったはずの、この私が! 突然『俺』みたいに豹変したんだからよお! ハハハハハハハハッ!!」 ずい、と身を乗り出すかがみ。 エレメントを出しても全く怯えないその様は、単に不死者だからというだけではない。 ……明らかに、あのラッドの立ち振る舞いと同じだった。 おそらく、という言葉がつくが、奈緒には大体のところが既に予測がついている。 ……だが、 「じゃあ教えてやるよ! 耳の穴かっぽじってようく聞け! まずは不死者についての説明だ、不死者ってのは文字通り死なな」 ――――奈緒の顔面に右ストレートが突き刺さった。 鼻がひしゃげ、木っ端のようにいとも簡単に民家、コンクリートの壁に叩き付けられる。 「――――!?」 「ヒャァハハハハハハハッ!! 説明の間は手を出さないと思ったか? おいおいおいおい油断しすぎだぜナオちゃんよぉ! んじゃまあ、説明続けてやるよ、ぶん殴りながらだがなあッ!!」 一気に10メートル弱離された間合いを、かがみはボクシングのフットワークを用いながら砲弾のように突っ込んでくる。 右手にはいつの間にか剣が握られており、凶器が狂気を加速させていた。 本来ならば女子高生のかがみではありえない動き。 ――――それを可能とするのは、ラッド・ルッソ同様、テンションを上げながらの彼の記憶の行使。 そして、異常なほどの密度を誇る螺旋力の産物によるものだ。 「くぅ……っ!!」 鼻血を噴き出しながらも奈緒は即座に位置取りを変更し、両掌のエレメントから糸を周囲に展開。 対象を捕らえる為の弾幕を張る。触れるだけでかがみは捕らわれ、動けなくなることだろう。 奈緒とて何も考えなかったわけではないのだ。 ――――これが二度目の対峙なのだから。 相手が不死身なのは分かっている。 もしかしたら、倒しきる事はできないかもしれない。 ……だが。 殺せはしなくとも、相手を捕らえる事はできる。 以前の戦闘では糸による切断を攻撃の軸に据えていたからこそ遅れを取った。 冷静に考えてみれば、瞬間的に再生する相手に切断攻撃なんて相性が悪すぎるのだ。 だから、今度は捕縛に徹する。 切断は牽制、フェイントに。最初に一発当てて、次の攻撃も切断だと誤認させる。 不死身の体を持っているのだから、二段構えなら同じ攻撃の連発だと錯覚して受け止めるだろう。 それからどうするかは未定だが、捕らえさえすればどうにかなる。 アルベルトと交渉してとりあえずこの場を離れさえできればいいのだから。 無意味。 その全てが、無意味。 「……当たらな――――!?」 何故なら、不死身の柊かがみの動きがあまりに以前と違いすぎるからだ。 不死身の体に頼りきって攻撃回避を全く考えていなかったあの時とはまさしく別人。 最小の反応で糸を見極め。 最小の時間で行動を決定し。 最小の動きで弾幕を回避し。 最小の隙で次の糸に意識を移す。 明らかに不死の体などには全く頼っておらず、自身の思考と反応のみを信じているかがみ。 更に言うならバリアジャケットを展開しているのに、それすらも全く楯にしていない。 それはどう考えても、『死を意識し、向こう見ずな行動を取らない人間』の動きだった。 不死者でありながら、奈緒の一挙手一投足全てから匂う死の可能性を意識し油断しない。 奈緒の放つ糸の全てを掻い潜りながら―――― 名前に矛盾しているはずの行動を取りながら―――― 不死身の柊かがみは、笑う。 ただ、笑う。 奈緒の左側面に深く沈みこんだかがみの振るう剣の峰が、両手に叩き込まれていた。 一瞬でエレメントが破砕し、只の一撃にしては異常なほどの体力の喪失が訪れる。 ――――剣の名前は、ヴァルセーレの剣。 力を吸い取りその刀身に蓄える、魔物アースの剣だ。 エレメントの力を吸収されて、奈緒は完全に力が抜ける。 当たったのは峰とはいえ、ダメージは大きい。 右手はまだ動きそうだが、左手はしばらく使い物にならないだろう。 おそらく骨が折れているのは間違いない。 「……不死者と言ってもよぉ、会場内なら死ぬかもしれねえんだわこれが」 片手で振るわれたその剣はすっぽ抜けてあらぬ方向へ落ちていったが、 しかしラッド……いや、かがみの戦闘スタイルに大して影響はない。 即座に右手を振り上げ、片腕だけの歪なボクシングスタイルを取る。 左手の鋼鉄の腕はやはりだらりとぶら下がったままだ。 「これは嬉しいことだよな、そうだよなあ!? 螺旋王サマはよ、不死身の人間でもぶっ殺せる機会を与えてくれた訳だ!!」 ――――つい先刻のラッドの動きを、かがみはほぼ完全にトレースする。 ジャブ。ジャブ。ジャブ。小刻みな右拳の連打。女の細腕でかがみは拳を刻む。 鼻血が流れる瞬間の、ワサビを食べた時にも似たツンとする感覚。そして、直後に溢れる血の感覚。 痛みもそうだが、それよりも思いっきり鼻をかみたくなるようなその感触がいやだなぁ……と、奈緒は思う。 「そしてそいつには私も該当する! 少なくとも、だ! この会場にいる限りは私は死ぬかも知れねえワケだ!」 ショートストレート。モーションを最小限にした射る様な拳。ジャブからのコンビネーションでそれを打つ。 バシッという小気味よい音と共に頬肉が腫れ上がり、頭の中にミシリという音がはっきりと響き渡る。 耳を脳も頭蓋骨の中にあるからか、顔面への打撃は思いのほかよく響く……と、奈緒は思う。 「だからよぉ! とりあえずしばらくはテメエ自身については考えないことにした!」 右フック。反射的にあがったガードを迂回するように拳を叩き込み、逆の頬を打つ。 柔らかい頬に拳がぶち当たって口の中が圧迫され、拳と口内の歯に挟まれた内頬が鋭い痛みとともに切れる。 しかし、それより勘弁して欲しいのは歯医者から出てきた直後の様な奥歯の鈍い痛みだ……と、奈緒は思う。 「ギルちゃんやらタカヤ君やらを殺しやすくなったのは不幸中の幸いってトコか!」 ボディアッパー。続けて、がら空きのボディへと右のストマックブローをめり込ませる。 ポンプの様に潰された胃から、食道を通じて酸味の強い液体が逆流し舌と鼻の粘膜に嫌な刺激を与える。 気持ち悪さにすら全く慣れない。それ以上に、胴を持ち上げられて足をピンと伸ばしている格好が恥ずかしい……と、奈緒は思う。 「そうそう不死者の説明だったなあ! んで、不死者には死なねえって事以外にもう1つ能力がある!」 ショートアッパー。落ちてきた無防備な顎を拾うように半径の狭いアッパーカット。 ガチンという音と共に半開きだった口が無理やりに噛み合わされ、上下それぞれの歯の付け根にじんわりとした痛みが発生する。 それに加えて、突き抜けた力が額に得もいえぬ感触を残す。それを、カキ氷を急いで食べた時みたいだ……と、奈緒は思う。 「他の不死者を……食えるんだよ! そいつの記憶も趣味も思考も人格も何もかもなあぁッ!!」 右フック。頭の真横。耳の上を叩き、そしてそのまま振りぬいて顔の向きを90度以上変える。 耳の中で圧縮された空気が反響を起こし、頭蓋の中を駆け巡り脳を――思考を揺らす。 ブレブレに見える視界に一瞬思考を奪われ、ああ、こういうのはいけないな……と、奈緒は思う。 「おいおい聞いてんのか? テメエが聞きてぇっつったんだろナオちゃんよぉええオイ!?」 ボディブロー。頭を揺らされふらつき無防備なところへ再度のボディ。今度の狙いはレバーだった。 突然、身体の中に鉄の錘が出現したんじゃないかと思うような感触。決して外に逃げ出してゆくようなものではない痛み。 あまりの違和感に四肢が痺れ身体が砕けそうになる。今のところ、これが一番クる……と、奈緒は思う。 「つーわけで、説明終わり! よし、理解したら死ね!」 ストレート。一時的な不明の状態へと落とし込んだところで、渾身の右ストレート! ついさっきの様に、再び鉄拳――いや狂拳が、音を立て骨という面をきしませ頭の表面を吹き飛ばしてく。 目が眼窩の奥へと押し込まれそうな感覚に、背筋が凍る。一応は女の力と解っていても目や指は怖い……と、奈緒は思う。 殴られながら、奈緒は次第に壁際へと追い詰められていく。 最早恐怖の感情すら麻痺してまともに頭が動かない。 ただ、死になくても死ねないなあ、という事だけを思っていた。 目の前の少女はこんなのよりも凄い攻撃に耐えていたのかと感心すら湧き上がってくる。 ……不意にこつり、と背中が壁にぶち当たる。 その瞬間、不死身の柊かがみはニィ、といっそう笑みを深くした。 ゆっくり、ゆっくりとかがみの全身が動いていく。 それを見てすぐに奈緒はこれから起こることを悟った。 ……ああ、止めをさすつもりなんだな、と。 色々なものが脳裏に浮かんでいく。 舞衣やなつき、静留といったHiMEの面々。 自身のチャイルドであるジュリア。 強盗に殺された家族。 唯一そこから生き延びた母。 ……そして。 「――――金、ぴか」 いつの間にかその名詞が漏れていた。 名前で呼ぶような親しさはなく、部下と上司なんてのもお断り。 ただ、不思議な信頼関係を築いた男を指す自分だけの呼び方を、口にする。 すでにかがみはソレを振りかぶり終えていた。 これまで一度も使わなかった左手。 無慈悲な無慈悲なフック船長の鉤爪を、時計ワニが暴力に変えていく。 普段ならただだらりと垂れ下がるだけの重たいそれは、全身のあらゆる筋肉を行使して砲弾よりもなお力強く撃ち出されていく。 あたかも普通のパンチのように。 しかし、断じて普通などではない。 かがみは、全身のあらゆる箇所の筋と血管を断裂させ、血飛沫を撒き散らしているのだから。 ゆっくりとゆっくりと迫り来る柊かがみの鋼鉄の拳という光景を最後に―――― 結城奈緒の意識は閉じられた。 時系列順で読む Back 第四回放送 Next 罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(後編) 投下順で読む Back 第四回放送 Next 罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(後編) 238 ディナータイムの時間だよ(食後) 結城奈緒 242 罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(後編) 238 ディナータイムの時間だよ(食後) 柊かがみ 242 罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(後編) 238 ディナータイムの時間だよ(食後) 衝撃のアルベルト 242 罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(後編)
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鏡の世界 後編 http //www40.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/44.html 前編 1 かがみはひとりぼっち 7/1 (日) 「あの頃は良かった」 柊かがみは常々そう思っていた。 退屈な大学生活。ここは私のいるべき場所ではない。 家への帰り道、この苛々とした気分をどう晴らそうかと考えていた。 イライラしている理由の一つに9日から始まる試験がある。 まだ何の試験対策もしていないし、過去問を貰うあてもない。 私は大学内に気軽に話せる相手が居ないからだ。 別にそれでも良かった。ここは私のいるべき場所ではないからだ。 しっかり授業には出ているしレポート課題もしっかり期限以内に提出している。 来年、私はここには居ない。 だから薄っぺらい人間関係など必要なかったのだ。 ひとりぼっちでも何の問題もない。 そう、思っていた。 2 日常 7/5 (木) 今日は4限まで講義がある。 試験前のまとめが中心になる。 全授業中、一番大切な授業とも言える。 「ヴ~~、ヴ~~」 耳障りな音、携帯のバイブレーションだ。 そういえば私も一応携帯は持ってるけど 最後のメールはいつだったけ? 電話だったらしく携帯の持ち主は教室を抜けた。 かがみ(・・・おいおい、試験直前の大切な授業だぞ。聞いてなくていいのかよ・・) まぁこーゆー奴って「過去問」とかもらったり 優秀な人に講義の重要なポイントを教えてもらったり そんな感じで単位はしっかり取るんだろうなぁ・・なんて事を考えていた。 教授「~・・は試験に出ますのでしっかり復讐しておくように~」 かがみ(はっ、やばい聞き逃した。) 周りを見るとみんな何やらノートに書いてる様子・・ 焦る私・・ 教授「では今日の講義はここまでで。試験の範囲はしっかり復讐しておいてくださいね。」 ガラガラガラ・・ みんな教授が話し終わる前に席を立ち昼食に向かう。 かがみ(あっ・・結局、試験範囲って・・) ――誰にも聞くことができなかった・・。 3 昼食 昼食の時間になった。 柊かがみは毎日一人で昼食を食べる。 充1「俺ww今期の単位まじやべーよ。取れそうな単位9だよ9wwもうほぼ留年確定ジャン!?」 充2「もう諦めんのかよwwおめーまだ諦めんなよ試験これからだろーw」 充1「過去門ある奴以外無理だからーw 毎回出題傾向変わるやつとか 授業ほとんど出てねえし」 充3「はぁ?おめーの代辺何回してやったと思ってんの?」 充1「いや、レポートもやってねえのwwバンドの練習マジハードすぎてやる暇なかったw」 充2「出してないの何?先輩の過去レポいる?加工して出せ、まだ間に合うから」 充3「やばい科目どれよ。俺のノート貸すから大体出るとこ教えてやるよ」 充1「うぉ 二人ともマジ神w ちょ、ここは俺に奢らせてくださいよー」 かがみ(うぜぇ・・) 充1「そーいやさっきの授業の出題範囲ってどこなん?聞いてなかったんだけど」 かがみ(!!?) 充3「~~と~~の論述 ~~とか~~は出ない」 かがみ(・・・GJ!!) 4 英語 3限は英語Speakingだ。 この授業はきつい。他人と話さなくてはいけないからだ。 講師「Please make pair」 この授業では学生同士で英会話をしてどんな事を話したかを紙に書いて提出しなくてはいけない。 かがみ(やばいどうしよう。やばいってマジやばい。) 他人には聞こえないようなごく小さい独り言をブツブツと・・ 焦る自分を落ち着かせるための防衛本能だった。 ―ふと後ろを見ると仲間が居た。 女A「・・・」 周りが会話を始める最中、取り残された者・・ぼっち仲間 かがみ(・・よし。) かがみ「あの・・」 女B「君、よかったら一緒にやらないか?」 女A「あ、はい・・」 かがみ(・・・もういいや) 男「あの・・一緒にいいスか?」 かがみ「あっ・・はい」 ―――助かった・・ 5 無人 7/6 (金) 今日は1限の1コマのみ 来週からは試験期間、試験が終われば夏休み 夏休みにやることなんて何一つ無い 大学生の夏休みは友達と旅行に行ったり、彼氏を連れて夏祭りに行ったりするものだと思ってた。 友達を作るのは簡単な事だ ちょっとしたきっかけさえあれば、メールアドレスを交換して、遊ぶ約束を取り付けて・・ 現在携帯に登録されているのは高校時代の友達と家族だけ 最近は携帯電話なんて目覚まし時計以外に使った覚えがない。 今日を逃したら友達を作るチャンスは夏休みまで無いだろう。 でも友達なんていらない。独りでいい 実家には帰ろうと思う。でもすぐには帰らない それじゃあまるで私に友達が居なくて何もやる事がないみたいじゃない。 夏休みは図書館で勉強したり、本を読むとか有意義なことに使うべき 独りで困る事なんて何もないじゃない でも、ちょっと期待していた 友達が出来ることに・・ だって、明日は・・・・私の・・ 1限は大ホールで開講されているはずだ。 大ホールの扉を開けた・・誰も居ない 教授も生徒も誰一人・・ 誰も居ないホール 無音に包まれる。 私独りだけが居る まるで私以外の他人が全て消え去ったかのような錯覚・・ ああ、でもこれは私が望む世界そのものじゃないか・・ 6 急行 急いで外の連絡掲示板を確認しに行った。 休講案内 かがみ「・・・・・」 あるある。 私みたいな友達居ないやつには連絡が回ってこなくて休講になってる事知らないとか、 補講はどこでやるんだろう・・・書いてないし、 こんな時、気軽にメールできる友達が居たら便利なんだけど。 無駄足だった。帰ろう・・ 酷く自分が惨めに感じた。 アパートに着きベットに倒れこんだ。 私は、泣いていた・・なんで・・? 泣く理由なんてないのに・・ 馬鹿な期待をしてたからかな、友達ができるなんて、 だって、明日は・・・・私の・・誕生日なのに・・ 誕生日を独りで過ごすなんて初めてだった。 誰も私が生まれてきたことを祝ってくれない。 明日どうすればいいんだろう。独りでケーキを買ってきて食べようか。 そんな惨めな思い出を作らなきゃならないなんて・・ でも独りぼっちには当然の報い はぁ・・まだ涙が止まらない。 去年も一昨年もこなたとみゆきと誕生会やったんだっけ・・ 今年もこなたたちと誕生会をやりたい。 連絡したいけど電話する勇気が出ない・・もし断られたら・・ 怖い怖い怖怖いい怖怖い嫌だ怖い怖怖嫌怖い嫌だ怖い怖嫌だい怖いい怖い 寝よう・・寝れば全て忘れられる・・ 7 此方より鏡まで いきなりドアのチャイムが鳴った。 こなた「やっほー かがみん誕生日おめでとう!」 つさか「おねえちゃん 久しぶり~」 みゆき「お久しぶりです。かがみさん お元気でしたか?」 かがみ「みんな!着てくれたの」 こなた「かがみん大学生活は順調?」 つかさ「おねえちゃん 大学どう?」 みゆき「かがみさん大学生活は楽しいですか?」 かがみ「えっ? なんでみんな同じこと聞くの? じ、順調だけど」 携帯「pppppppp」 こなた「あれ?友達からかな?それとも男?」 かがみ「男じゃないって 友達から誕生祝いの電話かな」 こなた「そう?じゃあ私たちは必要ないね。ばいばいかがみん」 つかさ「ばいばい~ おねえちゃん」 みゆき「さようなら かがみさん」 かがみ「えっ? ちょ、なんでみんな 待ってよ なんで・・」 ――――――夢? 携帯「pppppppp」 嫌な夢だった。酷い夢だ。こなたは私のアパートなんて知らないのに 携帯「pppppppp」 かなり長い時間寝ていたようだ 外は夕焼けに染まっていた。 携帯「・・・・」 ハッと目が覚めた。今までまったく鳴る事のなかった私の携帯が今確かに鳴っていた。 恐る恐る着信を確認してみる。間違い電話じゃないことを祈って・・ 着信はつかさからだった。ほっと、自分が安心したのが分かった。 即、リダイヤルキーを押してかけ直した。久しぶりに聞く妹の声・・ ?「やっふー かがみん」 !!? 電話に出たのは予想外の人物だった。 8 かがみより此方まで かがみ「え?こなた?」 こなた「ふっ 声だけで分かるなんて・・まだ俺の事が忘れられないみたいだな」 かがみ「バカ・・笑 忘れるわけないじゃない?」 こなた「あれ?いきなりデレモード?これは予想外の展開だ!」 かがみ「ぷっ、いいから、つかさ、居るの? 代わってよ」 つかさ「お姉ちゃん? 久しぶり~元気?」 かがみ「つかさ、久しぶり。ふふ いきなり馬鹿の声が聞こえたからつかさが馬鹿になったかと思った」 こなた「あの~聞こえてるんですけど、馬鹿の声とは失礼な」 つかさ「ひどい~ こなちゃんがかわいそうだよぉ~」 こなた「男が出来たとたん親友に冷たくなるなんて事はよくある話だがね」 つかさ「ふぇ?」 かがみ「居ないっての 笑 こなたもつかさも変わってないわね~」 こなた「怖いお姉ちゃんのガードがなくなったから良い子だった妹は毎晩夜の街に出かけるようになってしまったよ」 つかさ「そそそ、そんなことないよ! お姉ちゃん、明日の事なんだけど・・」 かがみ「うん。明日は私たちの誕生日だよね。」 つかさ「ゆきちゃんの家で誕生会する事になったの。お姉ちゃん来れそう?」 かがみ「えっ? それはまた、急な話ね・・もちろん行けるけど」 つかさ「よかった~ ごめんね。急な話しで」 こなた「最初はがかみん家に突撃するつもりだったんだけど予想外の事態が・・」 つかさ「じゃあ明日10時ゆきちゃん家に来て欲しいんだけど」 かがみ「分かった~ 明日10時、みゆきの家に集合ね!」 こなた「かがみの男連れてきてね フラグ立ったとこから聞かせてね」 かがみ「だからいねーよ 笑 しつこいなぁ」 .・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ その後、馬鹿話は20分ほど続いた。 9 誕生会 7/7 (土) 昼寝をしすぎたせいかあまり寝付けなかった。 今日は私とつかさの誕生会をみゆきの家でやることになっている。 みんなに会えるのが楽しみだった。 最近は大学へ行って帰って、休みはゲームやネットをして時間を潰す。 そんな毎日だった。私は全く変わっていない。いつもの 柊かがみ だ。 こなた、つかさ、みゆきはやっぱり変ってるかな? どんな風になってるんだろう・・ そう私はてっきりいつもの4人で誕生会をやるんだと思ってたんだ。 ピンポーン かがみ 「おはようございますー 柊の姉です。」 みゆき 「おはようございます。かがみさん。玄関が開いていますので上がってください。」 かがみ 「おわ、みゆきか おじゃましまーす。」 ガチャ ??? 「ハッピィヴぁーすディッッ!! ひいらぎぃ~」 10 誕生会2 ゆたか「ハッピーバースディ かがみ先輩」 みさお「すっげー久し振りじゃん 元気してたか? まあ上がれよ。」 予想外の2人のお出迎えに驚いてしまった。 かがみ「ありがとうゆたかちゃん・・と日下部。んで、なんであんたがいるのよ?」 みさお「あっれー?ちびっこから聞いてねーの?あやのも来てるぜ~ 今、柊妹とケーキ作ってる。」 足元を見ると結構な量の靴があった。 かがみ「もしかして岩崎さんも来てるの?」 ゆたか「はい、田村さんやパトリシアさんも来ているんですよ。」 みさお「お茶も用意してある。主役なんだから早く来いって。」 リビングに入ると目に入ったのはテーブルにカップを並べるみゆきと岩崎さん、キッチンでケーキを作るつかさと峰岸。 そして・・・ニコニコ動画鑑賞中の3人・・ 皆から誕生祝いの言葉を貰い、礼を返す。つかさには誕生祝いの言葉を。 とりあえず無礼な奴らに絡むことにする。 かがみ「おい、主役登場ってのにお出迎えもなしにニコニコ動画とはいい御身分ですな。」 こなた「かがみ来るのはやすぎ~、まだ9時半だよ 45分になったら出迎えの準備始めようかと思ってて。」 ひより「あまりに面白いMADだったんで見入ってたなんて言えないっす。」 パティ「フランスオランダチベットキョウトロンドンロシアオルレアン 知ってマスカ?」 かがみ「魔理沙は大変なものを・・って奴でしょ? ってそうじゃなくて」 こなた「みんなに会えるのが楽しみで早く来たけどみんなのお出迎えがなくて拗ねてるかがみん萌えー」 かがみ「べ、別に全員で出迎えて欲しかったとか、そ そーゆんじゃないてば、みんな働いてるんだから手伝うとかそーゆー気はないの?」 こなたひよりパティ「ニマニマ」 かがみ「ええぃ、その顔やめんか!」 みさお「そうだ、ひいらぎの言うとおりお前ら怠慢だぞ手伝うとかそーゆー気はないのか!」 こなた「っていうかみさきちもさっきまで一緒に盛り上がってたよね。」 みさお「なっ、私を陥れる気か?」 かがみ「ゆたかちゃ-ん、こいつ今まで何してた?」 ゆたか「えぇーっと、あの、お姉ちゃんたちと一緒にパソコン見てたと・・思います。」 みさお「ひいらぎ、これは罠だ! 騙されてるんだ!」 そこに確かに私の居場所はあった。すごく居心地のいい場所。 かがみ「ゆたかちゃんが嘘言うわけないでしょ!」 こんな感じに仲間と馬鹿げた冗談を言い合うなんてこと、大学に入ってから一度もなかった みさお「いや、私はテーブル拭いたんだって!これホント」 もちろんこいつらが手伝う気遣いをする必要がないこと、そもそも手伝えることなんてほとんどないだろう パティ「ダンマクジチョーww」 そんな事、言わなくても分かる 暗黙の了解が分かり合える仲間たち それをネタに話せる仲間たち つかさ「ケーキできたよ」 そんな居心地のいい場所は、仲間がいなきゃ作れないんだ。 11 誕生会3 スイーツタイムも半ばの雑談中、こなたが先週の日曜日に新宿でかがみと見知らぬ男が一緒に歩いているのを見たと言い出した。 こなた「横顔しか見えなかったけどあれは絶対かがみだった。お洒落で背の高いイイ男連れてたよ。話しかけられる雰囲気じゃなかった。」 「ぜひ詳しくお話を」と言われてもかがみにとっては身に覚えがない話だ。 かがみ「どう考えても見間違いだろう・・大体その日新宿になんか居なかったけど」 みさお「へへってことは、あやの以外「全滅」じゃねー?」 .・・・・・峰岸に対して白い目線が集まる・・・・・ あやの「あっそうだ、プレゼントにって思ってクッキー焼いてきたの。」 あやのが空かさず話題を逸らす。 みさお「おっ!ナイスあやのぉ~」 パチッ! 一番にクッキーに手を伸ばしたみさおの手を思わず払ってしまった。 かがみ「日下部!今日は私とつかさが主役なんだよ!ちっとは遠慮しなさいよ!」 あやの「柊ちゃん、実は今日の誕生会はみさちゃんの誕生日祝いも兼ねてるのよ。」 かがみ「えっ?そう、だったの?日下部、あんたの誕生日っていつ?」 みさお「7月20日、しっかり覚えとけよな。ちなみにこの誕生会は私がかがみの為に企画したもので・・」 こなた「いやいや、わ た し が か が みの為に企画したもので、」 みさお「いやいや・・」 つかさ「;・・」 あやの「妹ちゃんには、はいっ どうぞ」 つかさ「うわぁ カプチーノメーカー!峰岸さんありがとう」 かがみも皆からプレゼントを受け取った。 12 プレゼント みゆきからはお洒落なミュールを頂いた。 つかさ「すっごくかわいいー ゆきちゃんありがとう!」 かがみ「ありがとう、みゆき (・・外にお洒落して出る機会がないので使う機会なさそう・・)」 ゆたかちゃん、岩崎さん、田村さん、パトリシアさんの4人からはつかさにエプロン、かがみにはMP3プレイヤーを頂いた。 つかさ「かわいいー えへへ みんなホントにありがとう!」 かがみ「ありがとう、丁度音楽プレイヤー欲しかったの (こーゆー実用性あるものはありがたいわね・・)」 こなたからは謎のDVD6枚・・を頂いた。 こなた「中身は見てからのお楽しみ・・ね」 かがみ「18禁のゲームとか入ってたら許さん!ってか普通に犯罪だろ、そーゆーのは。」 こなた「いや、体験版なら入ってオリマスガ・・気に入ったら自分で買ってくれたまへ、あとエミュとかいろいろ」 かがみ「はいはい、どーせやんないから (でもちょっと興味あったり・・)」 みさお「私からはこれだー!」 かがみ「オカリナ?(あーもうめんどいからツッコミ無しの方向で)」 みさお「なんかプレゼント何にすればいいか分んなかったからその辺にあったのをてきとーに」 あやの「みさちゃん・・柊ちゃんのプレゼントは私が!って意気込んでたのに・・」 みさお「これ、すんごい綺麗な音出るんだてヴぁ ほらー」 ♪~♪~♪~ 確かにみさおのオカリナは綺麗な音色を奏でていた。 かがみ「それ、ゼルダの伝説の時の歌?」 みさお「ん?そうそう~。ほい、かがみも吹いてみ~」 かがみ「どう演奏するのか分からないからいい」 みさお「そんなのリコーダと同じだ。てきとーで、いいからいいから」 みさおがオカリナをかがみの口におしつけようとする。こ、これって間接キs! かがみ「みゆきー布巾貸してくれる? 消毒消毒ーっと」 みさお「うっわ、ひっでー あやのぉ柊の冷たさ現在進行形で進んでね?」 あやの「みさちゃんが気にしなくても柊ちゃんは気にする人なのよ。モラルの問題じゃ・・」 こなた「時オカは名作だよねー」 みさお「おっ、ちびっこもやったのか?だよなー、またやりたいんだけど馬鹿兄貴が勝手に売っちまってさ~ 中古でもなかなか売ってないし」 こなた「パソコンでもできるよー」 みさお「え?まじかー!?どーやんの?」 .・・・みさおから貰ったオカリナは、どのくらいの強さで息を吹きかければいいのかイマイチ分からなかった。 .・・・・オカリナの音色はどこか懐かしいような、そんな哀愁じみた雰囲気の音色だった。 13 パーティタイム みさお「すっげーパソコンでロクヨンが動いてる!ありえねー!」 こなた「このファイルをこうして・・これで起動ね。データ焼こうか? 使ってないコンバータもあるから貸すけど」 みさお「うっひゃー!ありがとう泉さんありがとう!」 かがみ「ホント調子いいヤツね。日下部は。」 .・・・・ こなた「スマブラとマリカーやるならどっちがいい?」 かがみ「マリカーで」 みさお「スマブラ」 ひより「スマブラっす」 パティ「カートはやったコトアリマセン」 こなた「じゃあ多数決でスマブラに決定ね」 かがみ「PSパットならマリカーのが合うのに・・まあいいけど」 「カービィが最強だよなー」「アイテムどーする?」「最下位交替でハンデ有り」「チームは?」「こなた1対3でいいんじゃない?」 「ステージどーする?」「集中攻撃ー」「ありえねー!ぎゃはは」「そこにバクダン!?」「フォックス逃げて~」「ハンマー取ったのに落ちた」 「もったいねー」「私の回復がー」「邪魔すんじゃねー」「おぁ!やめろやめろ」「こえー」「ぶっ飛べー」「あぶねー」「ぎゃー」・・・・ .__________________________________________________________________ 「8月号に載ってた特集の・・」「今結構人気出てる・・」「やっぱ旅行に行くとしたらヨーロッパが・・」「auとdocomoってどっちが・・」 「やっぱあの噂ってホントだったの?」「やっぱり丁寧に手入れしないと・・」「ちょっと高めなんだけどお勧めのコンディショナーが・・」 「最近できた新しいカフェが・・」「コーヒーってどんな時に飲む?私は・・」「ええぇー」「こわいよー」「うそでしょー?」・・・・ かがみ(なんだろう、会話の品の違いというか、あっちの5人とこっち5人の間には見えない線のようなものが・・ ってか私はこっち側の住人なのか!? あっち側の会話に混ざれる気がしない・・)
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新学期が始まり、休みボケもすっかり解消された、ある日曜日の午後。 私は聖地に舞い降りていた。 「アキバか。なにもかも皆懐かしい」 「アンタ、バイトで毎週来てるでしょうが……」 「ふとしたことで~その日、歯車は回り始めた~」 「まったく、ゲーマーズに行きたいって言うから付いて来たら、なんで秋葉腹まで来なきゃいけないのよ?」 「いやぁ、かがみんね。私は全国のゲマズでも手に入るただの特典には興味は無いんだよ。アキバのゲマズでしか手に入らない主演声優さんの生サイン入り特典じゃないとダメなんだよ」 「…私はただラノベが欲しかっただけなんだけど」 「まぁまぁ、せっかく来たんだし、ゆっくりと楽しんで行こうよ~」 私はかがみが引き返さないように背中を押して、無理矢理前に進ませようとする。 「あー、もう分かったからそんなに押すなって!」 やれやれと言わんばかりの表情を見せながらも、かがみはしっかりと私に付き合ってくれる。 二人でアキバの街並みを歩いていると、なんだかデートをしているような気がして、私の鼓動は喜びで高鳴る。 まぁ、実際にそれが今日の目的の半分を占めているんだけどね。 § 楽しい時間はゲーム内の日程を消化する時のようにあっという間に過ぎていく。 その対価が、この両手に抱えた大量の荷物なんだけどさ。 「ふぅ…。今日の獲物は思ったよりも手強かった…」 「私はあんたの金銭感覚に軽く恐怖を覚えたわ…」 「いやぁ~、お陰で財布の中身がスッカラカンだよ。かがみん、悪いけど帰りの電車賃貸してくれない?」 「それは別に構わないけど、あんたねぇ、もうちょっと計画的にお金を遣り繰りしないと将来大変な事になるわよ」 「むぅ…。まぁ、その時はその時で、かがみんに私の手綱を抑えてもらうつもりだから」 「あんたの将来まで面倒見切れるかっ!」 単に、冗談をツッコミで返されただけなんだろうけど、今の一言は私の心をほんのちょっぴり傷付けた。 「ううっ、ひどいやかがみ。私の事は遊びだったんだねっ!」 「ごっ、誤解を招くような事を言わないでよ! ほらっ、荷物半分持ってあげるから」 これ以上公衆の面前で何か変な事を言われるのを嫌ったのだろう、かがみは顔を真っ赤にして、私の左手に持っていた荷物をひったくった。 やっぱり優しいな…かがみは。 「ほら、帰るわよ」 「はーい」 仮想デートというよりも買い出しに近い一日だったけど、その時の私は何物にも変え難い充足感に満ち溢れていた。 何も特別な事は起きない、ただ穏やかな日常が今日も終わりを告げようとしている。 でも、この時既に、私の望む日常を奪い去る“ふとしたこと”が水面下で動き始めていた事に、まだこの時の私は気づきもしていなかった。 § 秋葉から東京地下鉄に乗った私達は北千寿駅で糖武線に乗り換える。 しかし、肝心の北千寿駅でもたついてしまった私とかがみは、連絡待ちだった区間急行に乗り遅れてしまった。 「あー。急行いっちゃったよ…」 「仕方ないわね。次の準急で帰りましょう」 「むぅ…。まぁ、しょうがないね」 早く家に帰って、DVDの特典映像をチェックしたいのに…と私は心の中でごちる。 数分後、ホームに滑り込んで来た準急に私達は乗り込んだ。 「それにしても、このやけに過剰気味な包装紙はなんなのよ?」 「これ? エロゲーだよ」 「なっ! どうして17歳のあんたがそんなの買えるのよ!?」 「いやぁ、店にもよるけど、大抵こういうのは堂々と買えば意外と怪しまれないものなのだよ。かがみんや」 「だとしても、いくらあんたが堂々としてても、小学生にしか見えないと思うけど…」 「うるさいよーっ!」 私がプンスカと抗議した所で、向かい側の座席に座っていた私達と同じ歳くらいの男の子が突然声を掛けてきた。 「…かがみ?」 「へっ?」 いきなり男の子から名前を呼ばれて、キョトンとするかがみ。 「うん。やっぱりそうだ。柊かがみだよな?」 「そ、そうですけど…。あなたは?」 「けんただよ。鏑木けんた」 かがみの知り合いなんだろうか、けんたと名乗るその男の子は爽やかな笑顔でかがみに名前を名乗る。 その途端、かがみの顔が驚愕と喜びと微かに戸惑いの交じった表情へと変化した。 「えっ、けんた…? ホントに?」 「おいおい、嘘を吐いたって仕方ないだろ? 久しぶりだなあ、七年ぶりぐらいか」 「う、うん…。確か千葉に引っ越したのよね?」 「そうだったんだけど、高校入ってからまた埼玉に戻ってきててさぁ…」 もともと知り合いだったという事もあってか、あっという間に二人の会話は弾みだす。 っていうか、私の存在が完全に蚊帳の外になってるよ…。 良く電車に乗っていると、友達同士で仲良く話をしている所に、片一方の友達が旧友とバッタリ再会して、物懐かしさでその二人の話が弾んでいる横で、ハブられたもう片方の子がとても気まずい空気を漂わせている――なんて光景を時折見掛ける事があるけど、まさか当の私がそんな体験をしてしまうとは…。 「その時のアレがまた臭くて大変だったよなぁ」 「そうそう、あの時のアレは臭かったわよね~」 そうこうしている間にも、横の二人のテンションはどんどん上がっていく。 …それに、あの子と話をしてるかがみの表情がなんだかいつもよりも明るく感じるのは私の気のせいだと信じたい。 ――そのうち私は考えるのをやめて、さっきアキバで購入した漫画を読み始めた。 § 「次は一乃割、一乃割です」 糟日部の一駅前、一乃割駅の到着を告げるアナウンスが流れる。 「俺、次で降りるから。とりあえず、携帯のアドレス交換しておこうぜ」 「あっ、うん。赤外線通信は出来る?」 「出来るぞー。時間も無いし、先にこっちのを送っておくから、後で連絡してくれ」 「じゃあ、そうするわね」 そんな慌ただしいやり取りが終わった直後に電車は一乃割駅に到着した。 「つかさも会いたがってたし、たまにはウチにも遊びに来なさいよ」 「おうよ、任せとけって」 例の子はかがみとそんなやり取りを交わし終えると、「あ~、ようやくこの空気から解放されるよ~」と安堵していた私に不意打ちのように声を掛けてきた。 「ごめんね、折角の百合空間を邪魔しちゃって」 「!? えっ? いやっ、あのっ、その…」 確信をえぐるような一言に、私は思わずメダパニを掛けられたような状態に陥る。 「ちょ、ちょっと! 別に私とこなたはそういう関係じゃ…」 「冗談だって。じゃあ、またな」 タイミング良く駅に到着した電車のドアが開くや否や、彼はそそくさと出ていった。 あとに残されたのは、先程の発言で顔を真っ赤にしたかがみと、そのかがみと全く同じ顔色になっているだろう私と、微妙に気まずい空気だけだった。 「…で、今の彼はかがみのなんなのさ?」 あんな事を言われたからだろうか、つい強張った感じの問い掛けになってしまったことに言い終えてから気付く。 「あっ…ごめん。アイツも悪気があって言ったわけじゃないんだけど…」 そう言われたらそう言われたで、なんだか私がかがみを好きになる事が悪いことのように聞こえて憂鬱になる。 「けんたは昔近所に住んでた同じ年の幼なじみなのよ。小学五年の時に千葉に引っ越しちゃって、それ以来音信不通だったんだけどね…」 「そうなんだ…」 そこでまた話す事が尽きてしまい、私達の間に再び微妙な雰囲気が流れる。 「…あの、ごめんね。本当に久しぶりだったから、つい話し込んじゃって…」 かれこれ三十分近くも放置された事に対して、私が怒っていると認識したのか、珍しくかがみがしおらしい態度で私に謝ってきた。 ――あ~、別に怒ったりとかしてないから、気にしなくていいよ。 そう言えば良いだけなのに、何故か私はそう答える事をためらってしまう。 「…こなた?」 私のレスポンスが予想以上に遅れてしまった事で、かがみの表情に不安という二文字が浮かび上がってくる。 その様子を見た私は慌ててその場を取り繕う。 「ん~。とりあえず、明日の宿題写させてくれれば許してあげてもいいよ」 「うわっ、あんたそういう所は本当にちゃっかりしてるわね…。しょうがない、明日ぐらいは面倒見てあげるわよ」 「あ~ん。だからかがみって大好きっ!」 感謝の気持ちをそのままに私はかがみに全力で抱き付いた。 「あー、もう分かったから、そんなことぐらいで抱き付いてくるなって!」 「まあまあ、そう照れない照れない」 今までと変わらない、何度も繰り返された私達のやり取り。だけど――。 この時既に私達の間に取り巻く運命という名の歯車は、ゆっくりと、確実に動き始めていたんだ…。 実った想い、叶わぬ気持ちへ コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-06-21 07 42 50) オイオイ作者様~、最後の三行は一体? 続編待ってます。 -- kk (2009-02-17 22 31 02) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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―桜藤祭が終わって― 陵桜に転校生としてやって来てから一体どれだけ時間が経っただろうか。 ・・・なんて言うほど実際時間はそんなにたってないのだが、そんなわずかな時間の間に俺は運命の人ってやつをみつけたのだ。 運命の人?そんなこと言っちゃっていいのか?いや、いいのだ。 彼女にはまだ直接言ってないが、俺があの子を幸せにするって決めたらから。 同じクラスの柊かがみ、桜藤祭のクラス出し物をきっかけに俺と付き合うことになった。 星桜の木の下、彼女が告白してきたあの日の胸の高鳴りは今でも忘れることができない。 実際いまだに俺はかがみと付き合っていることを信じきれていないのが現状で、毎日学校でかがみに会うたびに小恥ずかしい感じになる。 まあ、それが初々しくて良いといっちゃあ良いのかもな。 ―月曜日― 「ん・・・、もう朝か。」 目覚まし時計より先に起床。時計のボタンを押す。遅刻魔の俺にしてみればなんて珍しい事でしょう・・・以前の俺だったならな。 俺は今、かがみの彼氏だ。毎朝ギリギリ登校もしくは遅刻で皆に笑われたんじゃ、かがみに申し訳ないだろ?彼氏として。 そういうわけで、俺は何に対してもシッカリしようと決心したのだ。 「さてと、朝食食べて、のんびりと行くかな。」 朝にするべき準備を終え、学校へ向かう。 いつもと変わらない道、青い空、そしてこの季節の朝の独特なさわやかさが気持ちいい。 「そうだ、時間もあるしコンビニに寄って昼食でも買って行こう。昼休みのメシ争奪戦にはもうコリゴリだからな。」 学校へ着き教室へ入る。 「少し早めに着いたな。」 教室にはみゆきさんがいた。 「おはよう、みゆきさん。」 みゆき「おはようございます、○○さん。今日も天気がよくて気持ちいいですね。」 「そうだね、少し寒くなってきたけど、外出するのに絶好の季節だよね。」 みゆき「そうですよね。ところで、もしよろしければ今日のプレゼンの発表練習でもしませんでしょうか。 まだ予鈴までも時間がありますし。」 「あ、そうだ。あれ二時間目から発表だよね。簡単にやっておこうか。」 そう、今日はクラス合同総合学習の一環として、三人一組であるテーマについて調べ、発表する授業があるのだ。 以前から今日のために準備をしてきたし、本当は練習なんかいらないのだけど、なんというか気分の問題で、発表当日に何もしないで本番を迎えるのは何か物足りない感じがする。 みゆきさんもきっとそう感じているのだろうか。 「あ、永森さん来たよ。ちょうどいい。」 「永森さんおはよう。今からプレゼンのリハ!入室早々で悪いけど、いいかな?」 やまと「わかったわ。・・・もう大丈夫だと思うけど。」 今回のメンバーは、みゆきさん・永森さん・俺なわけだが、これはクジで決まった。 かがみと一緒になれなかったのは残念だが、実は今日、どっちのチームが高評価を取れるかで、かがみと賭けをしている。 評価が低かった方が高かった方に遊園地のチケットをおごるという内容だ。 本当ならここは彼氏がおごるべきだが、かがみは恋人とは平等な立場でいたいそうで、そういうのが嫌らしい。 だから今回の賭けを俺から提案したわけだ。 かがみの「負けたーっ!」って顔を拝むのが楽しみな俺であるが、どっちが勝っても、チケットは俺が買ってあげようと思っている。ま、正直今回は負ける気がしないのだが。 「おはよ~!」 とやって来たのが、かがみ、つかさ、こなたの三人だ。 こなた「うおっ、朝から精が出ますねぇ三人とも~。あたしは眠くてモーダメ~。」 つかさ「ねぇ~、いつもより早く起きたから眠くって・・・。」 かがみ「ほら、二人とも。ちゃんと眼を覚ましなさいよ! なんのために早く学校にきたかわかってるの?」 こなた「うぅ、五分だけ寝かせてくださいかがみ様―っ。」 つかさ「お姉ちゃん、あたしも五分だけ~、ほんとに~。」 かがみ「もぅ・・しょうがないわね。 コーヒー買ってきてあげるから、それまでに済ましておきなさいよ?」 そう言うとかがみは俺の方に向かって、ため息まじりの笑顔を向けた。 俺も笑顔で返すと、かがみは売店へと向かい教室を出た。 「相変わらずだね、あの二人は。」 みゆき「睡眠をとることは健康にもいいですし、今日みたいな良い天気だと、うとうとしてきてしまうのは仕方ないですよね。」 やまと「あれはだらしないって言うんじゃ。」 「そだね・・・。ま、かがみもいるし、なんとかなるでしょ。」 こんな感じに少し早めの朝は過ぎていき・・・二時間目。 クラス合同プレゼン発表が始まった。 会場は多目的室。あまり広いとは言えないが、2クラス分の生徒が入るには事足りる。 黒井先生「皆ちゃーんと準備してきたやろうから、期待してんで。 一応念のため確認しとくけど、評価方法は審査員4人の先生方の合計ポイン トで決まるさかい、MAX40点目指して気張りやー。」 発表が始まった。一グループ持ち時間15分で発表する。グループ数も多いので六時間目までずっと続くわけだが、 学生達にとってはいい休憩にもなりそうだ。さっそく舟をこいでいるやつもチラホラいる。 さすがにクラス合同なので黒井先生の鉄拳も今日は飛ばなさそうだ。ラッキーだな、おまいら。 いろんなテーマのプレゼンがされている。出来のよさはピンキリだが、なかなか面白くて退屈しなさそうだ。 平均的な評価は28点ってとこかな。 こうしてる間に、俺たちの発表になった。壇上へと上がると、皆が見える。 特に緊張はしないが、唯一気持ちが高ぶる要因が一つ・・・かがみが見ている。 俺はかがみにチラッと目を向けて、手を軽く振った。 それを見たこなたがかがみをおちょくる。いやー、赤面しているかがみはなんとも・・・、って、俺!ビシッとしなきゃなビシッと! みゆき「礼。・・・それでは、発表をさせていただきます。 今回私たちは、『命』について考え、論議してきました。その中でたどり着いた、 いくつかの答えを、私たちなりにですが、まとめさせていただきました。」 やまと「この『命』が疎かにされがちな現代、 私たちはより深く命の大切さを学び、私たちの将来や未来を担う子供たちのために活かそうと考えています。」 こんな感じに進み、発表は滞り無く終わった。 みゆき「以上です。ありがとうございました。」 俺たちが礼をすると、拍手の音が聞こえる。なんとなく達成感を感じて、評価する先 生達のほうへ眼を向ける。・・・さて、評価は・・・。 左から、9・10・9・10・・・てことは、38点だ。 教室中の生徒たちが「おおぉ」と唸る。それだけ高い評価なのだ。 よしっと小さくガッツポーズをひとつ。かがみの方を見て、ニヤッとしてやる。 かがみの顔からは少し焦りの表情が見て取れる。こなたとつかさは相変わらずいつもの通 りだ。 ちょうどお昼休みに入って、俺たちは昼食をとることにした。いつものメンバー、かがみ・つかさ・こなた・みゆき・俺の五人だ。 永森さんはいつも誰かと一緒に食べているようだ。 こなた「いやぁ、さすがみゆきさんだねぇ。38点だってさ。すごいって~。」 「あの、俺は?」 こなた「君も良かったよ~、でもさぁ、発表中ずっとかがみんのこと見てたでしょ~。 あまりにも露骨っていうか、それがなければ良かったのにねぇw。」 「え、そうだったっけかなだっけ??」 つかさ「あ~、これが図星の反応なんだよね~。しゃべり方がちょっと変になってるし。」 こなた「ぬっふっふっふ、二人は相思相愛、うらやましいねぇかがみんw」 かがみ「二人とも、そこまで!さっさと食べる!」 こなた「ぐふふふ、かわいいのうかわいいのう~。」 なんというか、毎日こんな感じなんだが、やっぱり恥ずかしいことに変わりは無い。 なんとか話を変えようとネタを探していると・・・。 「ねぇ、これなに?写真かな?」 つかさ「あ、これね、この前こなちゃん達と髪型をポニーテールにして遊んだときの写真なの。焼き増しできたから、今日こなちゃんにあげようと思って。」 「おお~、みんな似合ってるよ。髪形ひとつで雰囲気変わるもんだね。」 こなた「でしょ~、かがみのやつ見てよ。」 かがみ「あっ、ちょっとこなた!」 そう言ってこなたはかがみの写真を俺に見せる。 「か・・・」 こなた「かっこいいでしょ~なんか、武士みたいでw」 「かぁいい。」 こなた「おや?」 「かわいいなこれ。まじで。」 かがみ「ちょ、ちょっと、なに言ってるのよ!・・・でも、本当?」 「いや、本当に。実は俺、ポニーテール萌えなんだ。」 みゆき「ごちそうさまです。」 と言ったのはちょうど昼食を終えたかららしい。 こなた「いやいや、本当にごちそうさまですwていうか何、このバカップル。」 こなたはあいかわらずニヤニヤしながら言う。 かがみ「バ、バカップル言うな。普通よ普通!」 こなた「これが普通だったら今頃世界のカップルのせいで地球温暖化が末期になっちゃうんじゃないの?熱いだけにw」「誰が上手いことを言えと!・・・とにかく、そろそろ昼休みも終わりだし、かがみ達は 次の時間発表なんだから一応準備くらいはしといたほうがいいんじゃないの?」 つかさ「そうだね~、あたしセリフ覚えてるかなぁ。」 かがみ「はぁ・・今更ですかい。朝から練習した意味あるのか・・・。」 「ま、とにかく頑張ってよ、期待してるからさ。」 みゆき「そうですね、発表、楽しみにしてますね。」 こなた「じゃあ多目的室にいこーー!」 「おk。」 机上を整理して、皆で多目的室へ向かう。つかさは歩きながらセリフ練習をしていて、 こなたは何やらかがみの耳にヒソヒソと喋っている。どうもニヤニヤしているし、 かがみは赤面している。一重に、怪しい。5時間目が始まって、俺はかがみ達の順番を待った。やはり俺たちの38点以上を出すグル ープは未だ現れていない。 ――― 結局、かがみ達の点は32点だった。これはかなり健闘したと思う。 32点も38点も、どちらにしろA判定もらえるので実質大して変わらないわけだ。 あとはチケットのこと。あとでかがみに話しておかなきゃな。 「やっと終わったな。皆、一緒に帰ろうよ。」 こなた「あ、ごめーん。あたし用事があって今急がなきゃいけないんだよね。だからお先に~。」 つかさ「あっ、そうそう、実はわたしもなの~。ばいば~い。・・・こなちゃん待ってよ~。」 みゆき「私も今日は急な用事がありまして・・・今日は早めに失礼させていただきます。」 「あ、ちょっと。」 という間も無く皆は教室から出て行ってしまった。何か様子がおかしい。 とそこへ、教室に入ってくる女の子が一人。・・・かがみだ。 「おっす、お疲れ!なんかみんな急ぎの用があるっていって先に帰っちゃったんだけど・・」 かがみ「バカ。空気少しくらい読みなさいよね。あたしたちに気をつかってくれたのよ。」 「アッー。」なるほど、昼休みのこなたがヒソヒソ喋ってたのはこのためだったのかもしれないな。 みんな、グッジョブだ。 「ごめん。じゃ、帰ろうか。」 そう言って俺たちは学校をあとにした。 学校の帰り道、辺りはすこし夕日の色に染まっていて、気温も昼間より下がり、すこし 肌寒く感じる。かがみとこうやって二人きりで帰るのは、桜藤祭の日以来か。 俺たちは、皆に気を遣わせるかもしれないと思って、あれ以来俺たちから皆を誘って下校 していたのだ。 かがみ「なんか・・・こうやって二人きりで帰るのも久しぶりだね。」 「そうだね。やっぱり改まって二人きりになると緊張するな。」 かがみ「・・・あたしは結構嬉しいんだけどね。」 「え、なんだって?」 かがみ「な、なんでもないわよっ。」 なんでもなくないかがみなのだが・・・実は何て言ってたかわかりますよ。 そうだ、チケットのことを話さないと。「・・・あのさ、今日の発表のことだけど。」 かがみ「あー・・・。降参、負けたわー。やっぱみゆきがいると違うわよねぇ。 というわけで、約束通りチケット、あたしがおごるわよ。」 「いや、その必要はないよ。」 かがみ「え?なんでよ。あたしが負けたんだから、おごるわよ。」 「実はさ、俺、今回勝っても負けてもチケット俺が買ってあげるって決めててさ。」 かがみ「はぁっ?それじゃ賭けの意味ないじゃない!」 意外に折れないかがみ。さて、どうやったら俺に払わせてくれたものか。 「その通り!でも何か賭けたほうがお互い発表を頑張るかなと思ってさ。」 かがみ「確かにそうだけど・・・だーめ。約束したでしょ?あたしが払います。」 「いや、それは困る!俺が払うって。」 かがみ「あたしが払うってば。」 「俺が払います。」 かがみ「いやあたしが。」 「いや俺が。」 かがみ「あーっもう!これじゃあいつまでたっても変わらないじゃない!あたしに払わせなかったら、あんたのこと嫌いになっちゃうからね!」 そう来るか・・・。もちろん冗談のつもりなのだろうが、ここはあえてこう答えてみる。 「それは困る。 でも、俺に払わせなかったら、かがみのこともっと好きになるからな!」 かがみ「・・・本当に?」 「本当さ。時間がループしちゃうくらい本当さ。これが嘘つく眼に見えるか?」 かがみに眼を近づける。が、かがみの態度が急変したおかげで 自分のやっていることが一気に恥ずかしくなって眼を逸らす俺。かがみ「・・・本当に本当?」 もはや両者赤面状態。これはいいさくらんぼ。 かがみ「それじゃぁ、あんたに払ってもらおうかな・・・。 そしたらあたしのこと・・・・その・・もっと好きになるんでしょ?」 この反応には意表をつかれた。くぅ、なんだこいつは。可愛すぎて死にそうだ。 もはや反射的に 「かがみ、大好きだ!」 といってかがみを抱きしめる。 かがみ「ちょ・・・ちょっと!抱きつくなら抱きつく前に言いなさいよ!びっくりするでしょ・・・。」 学校の帰り道、抱き合う二人を夕日が照らす。それもドラマのワンシーンさながら。 まわりには人影もないし、ここでしばらく抱き合ってても大丈夫だろう。多分。 かがみ「・・・暖かい。」 「しばらく・・こうしててもいいかな。」 かがみ「・・・うん。」 しばらく俺たちはこのままでいた。会話はなかったが、何故か不思議と安心できた。 「かがみ。」 かがみ「なに?」 「今さ・・・・・この時期限定のポッキーが売ってるの知ってる?」 かがみ「ちょっと・・・なんでいきなりポッキーが出てくるのよ。 ・・はぁ、雰囲気台無しじゃない。・・・で、それがどうしたの? 練乳イチゴムースのこと?」 と言ってかがみは俺から離れた。 「違いますよかがみさん、それは前回のね。夕張メロンムースのこと。」 かがみ「えっ、知らない。いつ出たの?」 「知らないのも当たり前。今日からコンビニに並ぶ新商品だからね。 ・・・食べたいでしょ。」 かがみ「もちろん。・・・あ、どうせこなたみたい『かがみんはこれだから太るんだよ~』 なんて言ってからかうつもりじゃないでしょうね!?」 「ちがいます~。いくら太ろうが痩せようが、かがみはかがみだろ?俺が愛する対象としてなんら変わらないよ。」 なんて言ってみる。 かがみ「え・・あ・・ありがと。 えっと、あたしも・・その、あの・・・あんたと同じ気持ちだから。」 意外な反応だったのには驚いたが、俺は嘘を言うつもりはさらさらない。 そしてこう言われちゃうと・・・正直、たまりません。 「ほんとに?俺って幸せ者ですね、かがみ様!」 かがみ「はいはい、こなたみたいに呼ばない。」 ・・・そうだ、今日はとっておきがあるんだった。 俺は自分のバッグに手を突っ込み、あるものを探す。 「はい、ところでこれなーんだ?」 かがみ「あ、ポッキー。『夕張メロンムース』・・・? あーっ!これって!」 「そう、今日発売の夕張メロンムースポッキー。 実は今日の朝学校行く前に買っておいたんだよね。・・・はい、かがみにあげるよ。」 俺はかがみの手にポッキーを持たせてやる。 かがみ「え、いいの?」 さすがにびっくりしたようだ。しかし、かがみのポッキーを見つめる眼は輝いて見える。 ・・・よほど好きなんだな。 「うん、かがみのために買ったんだし。」 かがみ「なんか・・・本当にありがとう。・・・あのさ、・・・お礼ってほどじゃないけど、・・・明日、お弁当作ってこよっか・・・?」 「おっ、いつぞや話してた手作り弁当!実はけっこう前から待ってたんだ。」 かがみ「そ、そうだったの?そうなら早く言ってくれれば作ってきたのに・・。」 「お願いしていいかな?」 そうきくと、かがみは髪をいじりながら恥ずかしそうな表情を浮かべた。 かがみ「いいけど・・・味は期待しないでよね。」 「最高だー!」 かがみ「・・・なんか、あたしが幸せ者かも。」 「ん、なに?」 かがみ「ん、あぁなんでもない!独り言よ独り言。」 「んじゃまぁ、家まで送ってくよ。少し寒くなってきたから・・・ほいっと。」 俺はかがみの腕を俺の腕に組ませた。恥ずかしそうに笑うかがみがなんともかわいい。 「普通に歩くより、こっちのほうが暖かいだろ?」 かがみ「・・・うん。」 そんなこんなで俺たちは柊家に着き・・・ 「それじゃ、また―。風邪ひかないようにな。」 かがみ「○○こそ。・・・今日はいろいろありがとう。それじゃね。」 「おう、遊園地でのデート詳細はあとでメールするから!じゃーな~。」 こうして俺たちは別れて、俺は自宅へと向かった。 もう日も落ちかけて暗くなりはじめた空、いつもと何一つ変わらない帰り道、一人家に 向かう俺の頬を少し冷たい風が打つ。 それでも、俺はいつもより何倍も暖かかい気持ちだった。
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無題 ◆9.99ilhlDA 今、かがみの周囲には建物もなく、木々もなく、ただ夜空が広がっていた。 はるか下に地面、殺戮の舞台となる島が。 つまり彼女は…………空にいた。 強くはためく衣服の音、そして、その身に受ける風により目を覚ましたその時、 彼女は何故か上空にいて、あの世へと直行ダイブの真っ最中という状況であった。 何の手違いで起こってしまったのかは不明だが、現在、猛スピードで落下中なのは間違いのない事実である。 「なああああああああああっ!!」 彼女には悠長に状況を整理している暇などなかった。 リミットはおそらくあと十数秒程度。 このまま地面に激突すれば、目を背けたくなるような悲惨な最期は明らかだ。 かがみは必死に手足をばたつかせるが、もちろん何の効果もなく、無駄な抵抗に終わる。 ふと気付く。この左手に握られているのはなんだろうと。 それは、見た目は何の変哲もないデイパックであった。 「ぱっ、パラシュートとかっ」 わずかな期待を込め、突っ込んだ手で掴んだ『なにか』を引っ張り出す。 だが、期待もむなしく、出て来たのはサーフボードのような板きれであった。 『なんでこんな物が? つーか、どう考えてもデイパックより大きいだろ』 普段の彼女ならそんなつっこみを入れる所だが、今はそれどころではない。 「もう、ダメっ」 もはやこれまで、というその時、ボードの後部、左右についた一対の小さな翼が羽ばたきだした。 錬金術によって生み出されたフライングボード。 その不思議な力が発揮され、地面への激突をギリギリの所で回避。そのまま地上を悠然と滑空する。 「うそ…………助かっ……た?」 だが、九死に一生と気が緩んだ彼女は、バランスを崩してボードから落っこちてしまう。 低空飛行であったため、落下による怪我はなかったが、その場所が傾斜になっている草原であったため、ごろごろと転がり、陸地の終点を越えて海へと落水してしまった。 「ぷはっ、げほっ」 しばらく打ち寄せる波と格闘していたが、なんとか無事に岸に上がると、気の抜けたようにその場に突っ伏した。 海水でぬれた制服が、べしゃっ、と音を立てる。 「もう、なにがなんだか」 しばしぐったりしていたが、ふと脳裏にゆたかの姿がフラッシュバックし、閉じかけた目をカッと見開いた。 そして、茫然自失の妹や、叫び声を上げる親友たちの姿が脳裏に映ると、勢いよく上体を起こし、立ち上がった。 (こんなことしてる場合じゃない……私がしっかりしなきゃいけないのに) 「みんな無事でいてよ! すぐ行くから!」 【一日目深夜/F-5 岸辺】 【柊かがみ@らき☆すた】 [装備]なし [支給品]支給品一式 、ランダム支給品0~2 [状態]健康 [思考・行動] 1:つかさ達を捜す。 2:あれ? そう言えばなんか色々不可思議な現象が……。 [備考] ※フライングボード@ヴィオラートのアトリエ、の所在は以降の書き手に任せます。 時系列順で読む Back 光と亀 Next 二人の秘め事 投下順で読む Back 光と亀 Next 水銀燈と奇妙な良子 柊かがみ 040 また逢いましょう
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糞スレ量産器。 別ハンネは坂本龍馬という噂があるが、本人は否定している。。 最近は野球とチャットモンチーにハマっているらしい。 夢診断を勉強している。 根は真面目で、人の相談は真摯に聞き止めるがネタのセンスがちょっと寒い。親父が親父ギャグ連発してるくらい寒い。でもたまに面白いときがあるから侮れない。でも基本寒い。 きっとリアルでもこんな感じ。 ぐぴこに求愛中だけど相手にされてない。頑張れ乳製品! 本人曰くみちかが怖いらしい。 数年前までらき☆すたの柊かがみを溺愛していたが、今はアニメからは抜け出し真面目な生活をしているという ID a27De0WiIxeO13uK
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作者別一覧>本家アナあき 作ったぐぬコラ一覧 作品をすべて表示 332枚(211-332) 2012-6-23 01 02 小岩井フローラ 皐ユリーシア プリマ・アスパラス 結城ノナ 七瀬成恵 ベア子 黒百合ちゃん XP pro 音々ちゃん 天宮椎菜 桜坂葉月 七城那波 乃木坂春香 乃木坂美夏 アリス・ゲーハビッチ コレット・ブラウゼ 真山巧 山田あゆみ ニース 澤ラギキョーカ マイサンシャイン メガネコ01 芹沢茜 メカドジラ(来栖柚子) 渡良瀬準 三千院ナギ_01 魔王・ザ・グレート(ry 東聡莉 アリス・L・マルヴィン 山田 園崎魅音 ヒロ おまもりんごさん01 おまもりんごさん02 ソフィー ぽぷり ヴィクトリア・パワード グレーテル ネル フェル プリンセスチュチュ テスタロッサ01 リンプー クマ 白鐘直斗 アイギス 山岸風花 花村陽介 天城雪子 巽完二 久慈川りせ ドクロちゃん ナタネ サラ・ギャラガー 織部麻緒衣 菊川雪之 エトナ エーネウス クラン・クラン 銀河 スバル・ナカジマ01 ティアナ・ランスター01 ウーノ ドゥーエ トーレ クアットロ01 クアットロ02 チンク01 チンク02 セイン セッテ オットー ノーヴェ ディエチ ウェンディ ディード フェイト02 八神はやて 宮崎のどか02 蒼葉梢 安藤まほろ 周藤汐音 梅ノ森千世 霧谷希 佐藤さん 鈴木さん 芹沢文乃 石馬隆顕 稲森弓弦 鼎藤一郎 桐奈々美 志木絢璃 祇堂鞠也 汐王寺茉莉花 宮前かなこ 桃井さち 寮長先生 藤堂志摩子 ケイコ 南夏奈01 ネーヤ01 鬼丸美輝 てんぺらスミ 制服の少女 呂布子02 パルス・アベル 小岩井よつば プリエ 小神あきら 田村ひより パトリシア=マーティン 柊かがみ 柊つかさ 岩城りぜる ハープ・ノート りる 水銀燈01 蒼星石02 城戸舟子 トロン・ボーン カノン 六瓢 01 02 +確認用 +更新順 小岩井よつば 久慈川りせ 片岡優希 メローナ 逢坂大河 片桐優姫 ヴィクトリア・パワード 三千院ナギ 神楽02 シャナ 岩城りぜる 秋月律子 袁術 - 美羽 メルセデス ルフィール 山岸風花 トモエ 乃木坂春香 ティファニア・ウエストウッド 小山田耕太 アリス・ゲーハビッチ 四方茉莉 大庭月夜 近衛史菜 嘉村令裡01 宗方名瀬 周藤汐音 ヘカテー リモネ01 天羽雅音(発動後) No.27-宮崎のどか02 閻魔あい01 城戸舟子 藤堂志摩子 菊川雪之 塚本八雲 アンゴル・モア03 アンゴル・モア02 七瀬成恵 メイ(COYOTE RAGTIME SHOW) 高菜キリコ 和泉香 涼宮ハルヒ 律子・キューベル・ケッテンクラート 蘭堂りの 乱崎凶華 葉月 野上椒子(子供) 名橋ルチア1 夢野歌 麻生夏海 宝積寺れんげ02 宝積寺れんげ01 風見まほ 氷室風 柊つかさ 柊かがみ 怪盗クローバー 八神はやて&リインフォースⅡ 南夏奈01 藤林杏 藤沢やよい 東原ののみ 制服の少女 東聡莉 渡良瀬準 田辺涼 田村ひより 天誅戦士ウマ仮面 天枷美夏 天子(蒋麗華) 中野梓 蒼葉梢 第4ドール-蒼星石02 赤ずきん 星井美希 瀬戸燦 水無灯里 第1ドール-水銀燈01 真城りま&クスクス 真紅果林 森宮蒼乃 新藤千尋 織部麻緒衣 小鳥桃葉 小神あきら 小春野白絹 死神三番 ドクロちゃん 皐ユリーシア ラジあき(黒百合ちゃん) 黒城舞夏 葉山小十乃 黒01 カレン・シュタットフェルト 向坂環 佐々森ユウキ 朝比奈あかね 犹守望 源ちずる +作成順 高菜キリコ 佐藤さん 鈴木さん 霧谷希 梅ノ森千世 芹沢文乃 住之江りこ 住之江あこ 山田 六瓢 カノン 城戸舟子 トロン・ボーン 第4ドール-蒼星石02 第1ドール-水銀燈01 りる ハープ・ノート 岩城りぜる プリエ 小神あきら パトリシア=マーティン 田村ひより 柊かがみ 柊つかさ 小岩井よつば パルス・アベル 呂布子02 制服の少女 てんぺらスミ 鬼丸美輝 ネーヤ01 南夏奈01 藤堂志摩子 汐王寺茉莉花 祇堂鞠也 宮前かなこ 周藤汐音 安藤まほろ 蒼葉梢 No.27-宮崎のどか02 Numbers No.12 - ディード Numbers No.11 - ウェンディ Numbers No.10 - ディエチ Numbers No.9 - ノーヴェ Numbers No.8 - オットー Numbers No.7 - セッテ Numbers No.6 - セイン Numbers No.5 - チンク02 Numbers No.5 - チンク01 Numbers No.4 - クアットロ02 Numbers No.4 - クアットロ01 Numbers No.3 - トーレ Numbers No.2 - ドゥーエ Numbers No.1 - ウーノ 銀河 ティアナ・ランスター01 スバル・ナカジマ01 八神はやて&リインフォースⅡ フェイト・T・ハラオウン02 クラン・クラン エーネウス 織部麻緒衣 菊川雪之 サラ・ギャラガー ナタネ ドクロちゃん 白鐘直斗 クマ 久慈川りせ 巽完二 天城雪子 花村陽介 アイギス 山岸風花 リンプー テレサ・テスタロッサ プリンセスチュチュ(あひる) ネル フェル 寮長先生 グレーテル ヴィクトリア・パワード ぽぷり ソフィー おまもりんごさん02 おまもりんごさん01 ヒロ(ひだまりスケッチ) 園崎魅音 東聡莉 アリス・L・マルヴィン 魔王・ザ・グレート・ステイジアン・オブ 阿部(仮) 三千院ナギ 渡良瀬準 芹沢茜 メカドジラ(来栖柚子) メガネコ01 ニース・ホーリーストーン 真山巧 山田あゆみ コレット・ブラウゼ
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もどる 海外に住む海外ってコテですがラジオします 1 名前:海外 ◆Kaigai/DjU [kagamin] 投稿日:2011/03/11(金) 23 09 36.87 ID 6PeMkvHm0 ?2BP(9425) sssp //img.2ch.net/ico/anime_nurupo_ga_1.gif http //std1.ladio.net 8020/evaita.m3u 柊かがみ 1 名前:海外 ◆Kaigai/DjU [kagamin] 投稿日:2011/03/10(木) 12 27 14.01 ID u/yYASSe0 ?2BP(9425) sssp //img.2ch.net/ico/anime_nurupo_ga_1.gif かわいい