約 146,258 件
https://w.atwiki.jp/jojotoho_row/pages/188.html
その部屋は一言で言えば「漫画家の作業部屋」だった。 整理された机の小物入れには執筆の為のペンやインクが置かれ、棚には画材が幾つも置かれている。 びっしりと置かれたノートは恐らく『ネタ帳』のようなものだろうか。 机の前に置かれた椅子に座っているのは銀色の髪が特徴的な半妖の青年。 窓から外を眺めながら、ただ無言に静かに物思いに耽っている。 「………。」 動かない古道具屋、森近霖之助。 半人半妖のハーフであり、古道具屋「香霖堂」を営む店主だ。 といっても、どちらかといえば「商売人」というよりもある種の「蒐集者」と称する方が近い人物だが。 そんな彼は、この場における自らの行動方針を決め倦ねていた。 ―――あの人間達は、僕らに「殺し合いをしろ」と。 ―――あの人間達は、あれ程までの人数を巻き込む程の力がある。 それは当然理解している。あの山の神様…秋穣子、と言ったか。 彼女の死を目の当たりにした。見せしめ、というべきか…殺し合いに逆らったものの末路をまざまざと見せつけられた。 正直に白状しよう。あの時の僕は、ほんの少しだけ「恐怖」していた。 自分達の命が手中に握り締められているということをはっきり思い知らされたのだから。 同時に、こんなことに巻き込まれた自分の不幸を大いに呪っていた。 「僕の役割は、『やられ役』ってところかな」 窓際で頬杖をつきながら、自嘲気味に呟く。 最初に断っておくと、僕は荒事は苦手だ。蒐集の為に危険な場所までちょっとした散歩に行くことはある。 自分が危険に近付くことなんて精々それくらいだ。 幻想郷の妖怪達が起こすような喧騒は苦手だし、戦闘能力があるワケでもない。 評価出来る点と言えば、妖怪の血が混ざってることで「人間よりちょっぴりしぶといこと」くらいだ。 精々その程度。はっきり言って勝ち残れる気なんて無い。 この惨劇において、殺人者と運悪く出会ってあっさり殺される『やられ役』くらいの役割でしかないだろう。 「…やれやれ」 盛大に溜め息をつきながら霖之助はぼやく。 柄にも無くネガティブになってしまっているのが自分でも解る。 そりゃあ、そうだ。何の脈絡も無く殺し合いなんてことに巻き込まれてしまったのだから。 幻想郷とは「理解できないこと」に満ち溢れているとは解っているが、此処まで来ると理不尽な程だ。 その上、あの主催者たちに立ち向かうことも絶望的と見える。 曰く「下手に逆らえば頭部を爆破する」と。…何だか笑えてくる。やっぱり、圧倒的なまでに理不尽だ。 僕の知識を持ってしても、あの二人に対抗出来るかどうかは怪しいだろう。 こうやって一人打開策を考えようとしても一向に浮かばない。 諦観というものを嫌になってくる程に堪能している所だ。 あの主催者には逆らえないとは思うし、かといって殺し合いに乗った所で勝ち残れる気もしない。 将棋で言う所の詰み、外来品のチェスで言う所のチェックメイト。そう表現するに相応しいかもしれない …そう言えば、支給品や名簿をまだ確認していない。 机の上に放置していたデイパックをおもむろに開き、まずは支給品をを取り出す。 閉じられた紙の中から道具が飛び出すと言うのは流石に驚いたが、マジックアイテムの一種なのだろうか? ともかく、僕は自らの支給品を確認してみることにした。 「…『スタンドDISC』?」 その手に持った円盤をまじまじと眺めながら彼は呟く。 「道具の名称と用途が解る能力」により、手に取った円盤の名前は理解することが出来た。 用途を調べてみた所、このDISCとやらは「スタンド能力を封じ込める道具」と。 …スタンド能力とは一体何なのか?同封されていた説明書によれば、このDISCは「頭に挿入して使用する」らしいが… そのスタンドとやらが何なのか解らないし、そもそもこれが頭に挿入することが出来るというのがいまいちピンと来ない。 それに…何だろうか。この円盤からは言い寄れぬ「不安感」のようなものが感じられる。 蒐集者の心持ち故に好奇心で使ってみたい気持ちもあるのだが、それ以上に僕の中の警戒心がこれを拒絶する。 …得体の知れない物には触らぬが吉だな。一先ず僕はそれをデイパックにしまうことにした。 さて、もう一つの支給品を確認しよう。次は――― 「……。」 賽子。賭け事に使うような六面体の賽子が3つセット。 …だからどうした。こんなものを殺し合いでどう使えと。用途を調べてみても、何の変哲も無いただの賽子でしかない。 結論を述べれば、僕の支給品に「武器」は一つも入ってなかったのだ。ますます気合いが抜けてくる。 呆れた気分になりながらも、とりあえず名簿も確認してみることにした。 ざっと見た所、どうやら90名もの人物がこの殺し合いに巻き込まれているらしい。 記載されている名前を見る限りでは参加者に幻想郷の住民が何人もいることが解る。 紅魔館の主。白玉楼の姫君。スキマ妖怪。永遠亭の医者――― 幻想郷においても別格レベルの実力者達の名が幾つも見受けられた。 いよいよあの主催者達の格が凄まじく見えてきた。彼らは幻想郷において名だたる猛者ですら手中に収めてしまう程の実力なのか? 同時に、そんな中何故自分のような非戦闘者まで混じっているのかが疑問だった。 この場においては支給品や制限があるらしいが、それを込みにしても戦闘経験皆無の自分に勝てる気はしない。 相変わらず諦めのような感情を抱いている中で、彼は「よく見知った名前」を発見した。 『博麗霊夢』 『霧雨魔理沙』 「………。」 …あの二人まで、この場に巻き込まれているのか。 霊夢。しょっちゅう僕の店に訪れる博麗の巫女。 いつも用も無く店に入り込んでは勝手に商品を持っていったり、勝手にお茶を淹れてたり。 横柄ではある物の、時に世話になることもあり関わりの深い相手であることは確かだ。 魔理沙。僕の昔馴染み、かつての修業先の娘さんだ。 霊夢と同じようにしょっちゅう店に顔を出す。冷やかしにくることも多々あるが、個人的な付き合いもかなり多い。 ある意味、僕にとっての妹分のような奴かもしれない。 はぁ、と溜め息を吐きながら顔に軽く手を当てる。 あの二人が殺し合いに乗ることはないと思う。そこそこ付き合いを続けてきて、そうゆう性分だってことを理解している。 だからこそ危なっかしいし、僕は怖いと思っている。 魔理沙と霊夢はこの殺し合いを止める為に無茶をしそうな気がしてならないのだ。 彼女達の名を確認した途端、急に心配が胸の内から込み上げてきた。 僕はその場で暫し考え込む。――どうせ普通に戦った所で自分生き残れないだろうな、と。 支給品には武器さえ入っていない。勝てる訳があるか、と主催者に問い詰めたいくらいだ。 かといって主催者に反抗することも出来る気はしない。…僕の力などたかが知れている。 だからといって、何もかも諦めるのは少し馬鹿らしくなってきた。 あの二人の名を確認してから、いてもたってもいられなくなってきたのだ。 「…どうせ、こんな所でぼんやりとしているくらいなら…な」 せめて、あの二人を捜そう。魔理沙、霊夢のことが心配で仕方がない。 自分に出来ることなんてちっぽけなものかもしれないが、それでも何もしないまま死ぬのは御免だ。 故に僕は「少しだけ」主催者に抵抗してみることにした。やれるだけのことはやってみよう、と。 柄にも無く、そんな気持ちになってきたのだ。 誰が信用出来て、誰が信用出来ないかなんてのは解らない。だが一つだけ確かなこともある。 あの二人なら、確実に信用出来ると言うことだ。 椅子から立ち上がり、霖之助は歩き出し部屋を後にする。 彼は何の力も持たない古道具屋の店主。 それでも、この殺し合いの場で行動することを決めた。 自分が生き残れるとは思えない。だけど、この場には霊夢と魔理沙も巻き込まれている。 そうなると、彼とて黙ってはいられない。少しはこの場で抵抗してみる気になったのだ。 自分なりに――――やれることをやってみるとしよう。 森近霖之助の『バトル・ロワイアル』が、幕を開けた。 ◆◆◆◆◆◆ ―――スタンドDISCを使わなかったのは、彼にとって『正解』だったと言える。 そのDISCに封じられているのは『最弱』であり『最悪』の能力。 使用されなかったとはいえ、DISCが今も尚彼のデイパックに保管されていることも確かである。 果たしてこの力は、そのまま彼のデイパックの中に『封じられる』ことになるのか。 何らかの拍子で使用してしまい、図らずも災厄を呼び寄せてしまうのか。 あるいは、他の参加者に奪われその力を利用されてしまうのか。 今はまだ誰も知らない。 それは邪悪の化身でさえ「手に余る」と称したスタンド能力。 そう、そのスタンドの名は―――― 【E-4 人間の里(岸辺露伴の家)/深夜】 【森近霖之助@東方香霖堂】 [状態]:健康、不安 [装備]:なし [道具]:スタンドDISC「サバイバー」@ジョジョ第6部、賽子×3@現実、基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:自分が生き残れるとは思えないが、それでもやれることはやってみる。 1:まずは人里を探索。出来れば自衛の為の武器が欲しい。 2:魔理沙、霊夢を捜す。 3:殺人をするつもりは無い。 [備考] ※参戦時期は後の書き手さんにお任せします。 <スタンドDISC「サバイバー」> 森近霖之助に支給。 かつてDIOがプッチ神父に渡したスタンド。 対象の脳内の電気信号に影響を与えることで闘争本能を極限まで引き出し凶暴化させる。 能力の影響下に置かれた者達は闘争心の赴くままに殺し合いを始める。 また凶暴化した者達は相手の「最も強い部分」が輝いて見え、ダメージを負った部分が消し炭のように黒く淀んで見えるようになる。 敵味方問わず乱闘を引き起こす能力を持つこのスタンドをDIOは「最も弱いが、手に余る」と評価している。 このスタンドに課せられた制限は現時点では不明。 <賽子×3> 森近霖之助に支給。 卓上遊戯や賭博などに用いられる道具。 何の変哲も無い六面体の賽子3つセットである。 041:迷い猫オーバードライブ! 投下順 043:夜は未だ明けず 040:Missing Powers 時系列順 044:最初のトリニティストーリー 遊戯開始 森近霖之助 072:Trickster ーゲームの達人ー
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/256.html
直リン禁止、内容について詳しく書く事禁止、子供は見ちゃダメ、どこにあるかはググれ、幻想板・ここのコメ欄で質問するな、判らなくても人に聞かない、感想欄は様子見 ウフフのほうはスレごとに イカロはキャラ別でいいのだろうか ウフフ1スレ 2スレ 3スレ 4スレ 5スレ 6スレ 夜伽話(イカロ) ウフフ 1スレ 2スレ タイトル レス番 主要キャラクター 備考 無題 860 霖之助 咲夜 美鈴 無題 911 霖之助 咲夜 美鈴 860の続き 3スレ タイトル レス番 主要キャラクター 備考 無題 262 霖之助 レミリア 無題 832 霖之助 阿求 寂しい道具屋 853 霖之助 文 4スレ タイトル レス番 主要キャラクター 備考 恋の呪文は? 200 霖之助 慧音 無題 311 霖之助 慧音 無題 517 霖之助 レミリア 5スレ タイトル レス番 主要キャラクター 備考 無題 356-359 霖之助 文 無題 386-389 霖之助 文 359のオマケ 6スレ タイトル レス番 主要キャラクター 備考 無題 42-46 霖之助 上海 夜伽話(イカロ) タイトル 作家名 主要キャラクター 備考 紡 鵙 霖之助 紫 天狗と香霖堂 HZE-ZE1033 霖之助 文 天狗と香霖堂【弐】 HZE-ZE1033 霖之助 文 椛 天狗と香霖堂【終】 HZE-ZE1033 霖之助 文 椛 殿堂入り 八雲の巣 はみゅん 霖之助 紫 永琳の半妖研究室 はみゅん 霖之助 永琳 河童の誘惑 04E7 霖之助 にとり ファインダー越しに見えた笑顔 04E7 霖之助 文 男色文学 Jiyu 霖之助 魔理沙 雨の日に跳ねる兎 onecut 霖之助 鈴仙
https://w.atwiki.jp/thvision/pages/1040.html
《森近 霖之助》 No.500 Character <第七弾> GRAZE(2)/NODE(5)/COST(3) 種族:人間/妖怪 (自動α): 〔あなたがプレイするコマンドカード〕のコストは-1される。 (自動α): 〔装備カードがセットされているあなたの場のキャラクター全て〕は「戦闘修正:+1/+1」を得る。 攻撃力(5)/耐久力(3) 「使えるかどうか、じゃない。肝心なのは使うかどうかだ」 Illustration:会帆 コメント 森近 霖之助/1弾のリメイクカード。 能力は自身のコマンドのコストを-1するものと、装備された味方をパンプアップするもの。 一つ目は普通に嬉しく、重複もするため、複数そろえることで離反工作などの高コストコマンドをうち易くなる。 二つ目は装備を多様するデッキと相性がよく、ナズーリン/7弾や蓬莱山 輝夜/5弾、寅丸 星/7弾などと相性がよい。 こちらの効果も重複するので、複数場に出しておきたいところ。 ただし彼自身は人界剣『悟入幻想』で焼かれてしまうなど耐久力に問題があるため、装備などで補完してやりたいところ。 関連 第七弾 Tactical Starter スターターデッキ星 森近 霖之助/1弾 森近 霖之助/12弾
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/182.html
前編へ 【子煩悩】後編 寝付いた霖太郎を見ていた霖之助だが、困ったことに気がついた。 店番に行くと、霖太郎が起きたときに霖之助の姿が見えなくなってしまうのだ。 起きている時ですら、部屋にひとりで残されることを嫌った霖太郎のことである。 目が覚めたときに霖之助がいなければ、本格的に泣き喚くであろう。 少々過保護な気もするが、霖太郎はつい今朝、起きたら親がいなくなっていたという経験をしたばかりだ。 できればそのような思いを日に2度もさせるようなことはしたくない。 悩んだ霖之助だったが、結局すぐに開き直ることにした。 どうせ店番をしていても客など来ないし、知り合いはさっき来て帰っていったばかりだ。 泥棒ならこんなところの店を標的になどしないし、霊夢や魔理沙が品物を取っていくのは店番をしていようがいまいが変わらない。 ならこの子を安心させるためにここにいるのが最善だ。 いつの間にか、霖太郎は霖之助内優先順位決定戦のトップランカーに躍り出たらしい。 しばらくして、霖太郎が目を覚ました。 寝ぼけ眼をこすりながらあたりを見渡すが、霖之助の姿はない。 霖之助に置いていかれたのかもしれないと思って泣きかけた霖太郎だったが、後ろを振り返ると胡坐をかいて寝ている霖之助の姿を発見した。 パアッと笑って、霖之助のところへとことこと歩いていく霖太郎。 霖之助の顔を覗き込むが、どうやら霖之助も朝からの騒動で疲れているらしく、起きる様子はない。 む~っという顔で霖之助の膝をぺちぺち叩いたり、服を引っ張ってみるが効果はなし。 かといって部屋から出て霖之助が見えないところに行くのも嫌。 結局霖之助で遊ぶことにしたらしく、組んだ足に乗ってバランスをとってみたり、そこから飛び降りたり、首につかまってぶら下がってみたりするのであった。 さしもの霖之助も、そこまでされれば嫌でも起きる。眠い目のこすり方まで霖太郎とそっくりだ。 「おはよう、起きたのかい霖太郎」 霖之助が起きたのが嬉しいらしい霖太郎は、にへー、と笑って首に飛びついてきた。 霖之助はそれを落とさないように抱きとめると、さてこれからどうしたものかと思案を巡らせる。 この店には子供の遊具となるようなものが一切ない。 かといって本を読んでもまだわからないだろう。そして自分は歌が苦手だ。 アリスやミスティアには残って貰っても良かったかな、と考えるが後の祭り。 悩みに悩んだ挙句、霖之助はある場所に出かけることにした。 靴を履かせ、霖太郎を連れて歩くこと数十分。 どう見ても親子にしか見えない2人組みは、立派な花畑にやってきた。 「さて……」 霖之助といえども、この花畑に無断ではいるのは少々よろしくない。 まずは話を通しておこうと緑髪の少女を探していれば、向こうのほうから話しかけてきた。 「あら、霖之助じゃない。あなたからこっちに出向くなんて珍しいわね。……その子が例の隠し子?」 まさか幽香まで知っているとは。 文はたった1時間足らずでどこまで噂を広めたのだろうか。 「……一応弁解しておくが、この子は僕の実子でも養子でもないよ。 今朝起きたら、書置きと共に店先で泣いていたから面倒を見ているんだ」 「そう。それで、何の用?」 「なに、大したことじゃない。この子と君の自慢の花畑を鑑賞させて欲しいんだ。 無論ただでとは言わないよ。君の日傘が壊れたら3回まで無償で修理する。 悪い条件じゃあないだろう。もちろん花を摘んだりしないようきちんと見張っておく」 「……まあいいわよ。 その条件なら私のほうに断る理由はないし。 それにしても、どうしてここを? 私が言うのもなんだけど、他にも安全な花畑くらいあるでしょう?」 「それを言うなら魔法の森にいる所から考え直さないといけないよ。 人里なんかと比べれば危険だが、用心していればまず問題はない。君の許可ももらったしね。 それにここの花畑は、規模といい花の活力といい、幻想郷随一だ。 僕はいつまでこの子と居られるかわからないから、行けるうちに僕の知っている最高のものを見せてあげたくてね」 「……そ。まあ好きにするといいわ」 交渉は成立したようだ。 去っていく幽香の背中にありがとうと声をかけ、霖之助たちは花畑を見て歩くことになった。 これほど大量の花を見たことがないのか、霖太郎はずっと口を開けてキョロキョロしている。 さっきから見上げてばかりの霖太郎を見て、霖之助は肩車をしてやることにした。 よほど楽しいのだろう。霖太郎は体をゆすってケラケラと笑っている。 「ほら霖太郎、これは向日葵って言うんだ。言ってごらん。ひ ま わ り」 「い あ ま い?」 小首をかしげる霖太郎に、まあこんなものだろうなあ、と苦笑する。 「そう。ひ ま わ り」 「いあまいー!」 一点の曇りもない笑顔は、きっと周りの花畑が綺麗だから。霖之助が肩車してくれているから。霖之助と話しているから。 霖太郎は今、幸せに包まれていた 「ああ、ほら掴んじゃダメだ霖太郎。優しく撫でてあげないと」 それから、本当に幸せな日々が続いた。 あれほど一人の時間を望んでいたのに、今ではそんな自分は微塵も見当たらない。 食事は一回一回本当に悩んで献立を考え、全身全霊を持って作り上げる。霖太郎はどれも美味しそうに食べてくれた。 一緒に風呂に入っては、丁寧に体を洗い、湯船で数を数え、2人で歌にもならない歌を歌った。 寝るときは同じ布団で、互いにしっかりと抱き合って眠った。 知り合いに頼み込んで、人里を訪ねた。 神社を、竹林を、冥界を、紅魔館を、大蝦蟇の湖を2人で見て回った。 アリスに人形劇を披露してもらい、慧音に子供用のおもちゃで遊ばせてもらい、ミスティアの歌に聞き入り、妹紅の炎に見とれた。 店に訪れる魔理沙や霊夢、咲夜や美鈴と一緒に遊んだ。 いつも霖太郎は笑ってくれた。いつも霖之助に笑いかけてくれた。 そんな至福の時間。 だが、その時間も永遠には続かなかった。 ある日、慧音が一人の女性を連れてきた。 「……あなたは」 それは数年前、香霖堂に訪れた女性だった。 その顔を見て、霖之助は当時の会話を思い出す。 ―――人と妖怪は幸せに添い遂げることができるか……と?――― ―――はい。こちらの店主様は半人半妖と伺いましたので――― ―――……古来、人とその他の存在が交わった例はいくらでもありますし、あなたに後悔しない覚悟さえあるなら、きっと幸せになれるでしょう。人間だった母からの受け売りですがね――― 「店主様には本当にご迷惑をおかけしました。……申し訳ありません」 事情はこうだ。 妖怪と愛しあうこの女性は、将来に不安を覚え、妖怪と人のハーフである霖之助に相談しに来た。 自分と同じ存在を生み出すことに抵抗はあったが、今は自分の頃とは時代が違う。そう考えた霖之助は、肯定的な意見を述べた。 その霖之助の言葉がきっかけとなり、妖怪と女性は目でたく結ばれ、霖太郎が生まれることになった。 不幸だったのは、女性の家が由緒ある名家だったこと。そして、その妖怪が人と偽って婿入りしたこと。 ある日、霖太郎の父が妖怪であることを知った当主は酒の席で不意を打ち、妖怪は半死半生で打ち捨てられた。 流石に幼子である霖太郎を傷付けるのは忍びなかったらしく、女性の隙を狙って連れ出し、腕利きを雇って魔法の森まで捨てに来たらしい。 霖之助が相談を受けたということは、霖太郎の父について調べる内に知ったようだ。 責任を取れという置手紙は、妖怪の血を引く子供が生まれるきっかけとなった責任を取れという意味で書いたということだった。 今回のことで、女性は生家と縁を切ることにしたらしい。 今日まで迎えにこれなかったのは、霖太郎の父が一命を取り留めるまで看病していたからだそうだ。 「あまり人里と付き合いのない家のことで、私も気付かなかった。……すまない」 「……随分勝手な話だ」 「もちろん知っていればなんとしても止めました。しかし、まさか彼のことが知られるとは思っていなくて……」 「……そうじゃない。 僕の言った覚悟とは、隠し通す覚悟のことなんかじゃない。 周りに妖怪と添い遂げることを打ち明けて、反対されても引かない覚悟だ。 生家を追われ、妖怪と子供、3人で暮らすことになっても、後悔しない覚悟だ。 生家での生活のために、妖怪と惹かれあったことを隠すような覚悟で……妖怪の子が欲しいなど……」 彼女にも事情があっただろうことはわかっているが、怒りをこらえきれない霖之助。 「……」 反論は無意味だとわかっているか、女性も何も言い返してこない。 そして、動いたのは霖太郎だった。 「……うー」 女性の前に立ち、通せんぼをするように手を広げる霖太郎。 霖之助が母をいじめているのだと思ったようだ。 それを見て、霖之助の胸に去来した思いは、霖太郎に選ばれなかった悲しみでもなく、怒りでもなく、……安堵だった。 少なくとも自分は霖太郎に好かれている。自惚れではなくそう確信している。 だが、霖太郎はその自分を睨みつけてきた。誰でもない、母を守るために。 それは、この女性が霖太郎を大切に育ててきた証拠だ。 いくら優しくされても、本心から愛されていなければ子供はここまで母を慕うことはないだろう。 「……どうやら、僕は振られてしまったようですね」 「店主様……」 「この子を見ればわかります。あなたがどれほどこの子を大切に育ててきたか。 だから、もう僕から言うことは何もありません。 ……ただ、約束してください。もう2度とこんなことは起こさせないと。 そして、この子が大きくなったら伝えてください。 ……この子のことを、実の子のように大切に思っている男が、ここにいることを」 「……ありがとう……ございます」 そして、女性は霖太郎を抱き上げる。久しぶりに母に抱かれ、霖太郎は嬉しそうに笑った。 だが、女性が霖太郎を抱きかかえたまま去ろうとすると、その顔は不安そうなものに変わった。 あー、あー、と叫んでは霖之助に向かって体を乗り出し、届かぬ手をそれでも届けといわんばかりに伸ばしてくる。 女性が香霖堂から遠ざかるにつれ、その声は悲痛な泣き声へと変わっていった。 「……っ」 火がついたように泣きつづける霖太郎の姿に、胸がつぶれそうに痛む。 この数日、いつも笑っていた顔がゆがんでいるのに耐えられない。 許されるなら今すぐ駆け寄って抱き寄せてやりたい。 力づくで霖太郎を奪い返して、自分が育てるのだと叫んでしまいたい。 だが、そんなことはできるはずもない。なぜなら、親と暮らす幸福を霖之助自身も知っているから。 だから、まるで振り切るかのように、泣き喚く霖太郎に背を向けた。 そんな霖之助の姿に、霖太郎はさらに強く泣き叫ぶ。 そして、無限にも思える地獄のような数分間が過ぎ去り、後には慧音と霖之助が残された。 「霖之助……」 肩を震わせている霖之助に声をかけるが、霖之助は振り向かない。 「すまない……今だけは……そっとしていてくれ……」 向こう側を向いているため、霖之助が泣いているのかどうか慧音にはわからなかった。 抱きしめてやることもできたが、今の霖之助は慰めを求めてはいないだろう。 霖太郎と分かれた悲しみを、誤魔化すことなく受け止めようとしているはずだ。 霖之助の握り締めた拳から、赤い雫が一滴地面に滴り落ちた。 それから数十年の後、香霖堂を頻繁に訪れる、店主に良く似た若者の姿があったという。
https://w.atwiki.jp/9chiruno9/pages/18.html
森近霖之助 名前 森近霖之助 |主使用武器|M4・AK・TRG・G36K | 得意マップ パワープラントの以外ないの 不得意マップ 特に無い…重いステージは勘弁してください プレイスタイル M4・AK・TRG AKのTRGの神武器 マウス感度 12の16 クロスヘアー 何でも使ってみるの FPS暦 そろそろ一年半。何でこんなに下手なの? リンク http //rerorerorero.blog18.fc2.com/ \  ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ` ー ´ ○ とか妄想する店主であったの O o  ̄二つ )、_ _,. - " `ヽ、____ ,. " < , γ 、 -、 、 `, ., ノ_ ハ ハヽ、ヽ i ハ i ゝ i く レ イ,.--=.、ハノ_イ、ハノイ´ i i ヘイハ ゜ _ノ⌒i Lォ.!ハ ノ ハ |  ̄ 、`ー- l | |,.イ λ ゝ. -_- ハ リ レヘハ イiヽ、 /iノ __,.-.イ V L_ゝ、ニT´、!/ γ ヽ \ \_ _/ / i `゙r、 / i〉 \ y / |/ _.〉_ i _,,...--...,,ヽ / / /| Y ,. ,.イ、 / / / .|、 , ハ! ._ヽ!イ__イ____/___yゝ、ヽ, , r "´ ` , , , ヽ! i, ,.イ l l l i |ハ ......... | | | イ PCスペック OS Microsoft Windows XP Home Edition CPU 3.06GHz うん メモリ 512.50 MB カスメモリ HDD 221.66 GB カス要領 ビデオカード カスオンボ サウンドカード カスオンボ モニター パクってきた マウス 拾った マウスパッド 拾った キーボード PS/2小型キーボード&ElecomのMULTIFUNCTION5 ヘッドセット ください インターネット環境 ラディカルグッドスピード /l /⌒ヽ// "⌒) ⌒ヽ ,..イ i⌒ヽ〉 . ,.ィ " 八 i ヽ ! (__) ハ \ (__) l,..-‐ ´ ̄ `丶r‐-.、 `ー1ソr-、___ノ、l^ヽ、 / ! lル| /^ヽ__ソ___マ ⌒`K´ i ト、 |ル! } γ / / /`广卞⊥_ ! ノ_ ヽ Vヘ く_/ ,/ Tヽ/ ! | l_ ヽムヽ f´ ソ ̄`丶、 Vハ レ / ,ィ ムハ l ト、`ヽ l`了ヽ ヽ 〉 糞スペックとか乙かレーヴァテイン! Vハ/ 〈 l / ! /fハ lハ ノ,斗ミ ! L乙_ / ___ lル!. ル lハ ヒリ ! 匕〉ハ {. ヽ/ r ´ .,ヘ ヽ._\ r┴ t‐、{ ,イハ人 i  ̄`i ゙ー/ | ヘ. ヽーイ / ∧ . \ f ‐-}J リ ト、ト>‐┬ イィ l ! ハ \,! / / ` ̄ ̄ l 、_ソ _l_ノ丁了/´ ̄ヽル , ヽ \ ノ /___ | |ソ|l f´ ,仏fこ!_ノ ̄二ヽ , ヽ、\ l. ヽ_\ Vルハ r‐ ___,/ / ^lヘ、__,ィ┘ ヽr ‐ , ム,/ \i ! |ル! V^ヽ,/ / ; ト、 / V⌒! / i ヽ \ | . |ソl. / / i ヽヽ, -‐,、=-} K / ヽ.〉 ` . |ソ|ヽ--イ /^|___| /丁ソ( rー ヽ_〉 ヽ / PCスペック OS Microsoft Windows XP Home Edition CPU E8600 3.00GHz メモリ DDR2 4GB(2G×2) HDD 1TB ビデオカード 9800GTX サウンドカード オンヴォード モニター NEC F17R61 マウス マイクロソフトレーザーマウス6000 これでいいの マウスパッド steelseriesのなんか2000円ぐらいのあれ キーボード なんだっけこれ ヘッドセット 2000円の安物のヘッドフォン。首からぶらさげてるどっかのヘッドセット使ってるの インターネット環境 全反射を利用したetc... 「\___/ヽ. / こ // ヽ >---───--- 、..,, / の ,. "´  ̄ `ヽ. ゝ "´ `ヽ. i. ス / ヽ! 、 ヽ.i. な ペ ./ ,ー‐`--、/´ ̄`ヽ、二ヽ、_,.ィ , ら ッ 7 問 |ヽ、____,/-‐/´` 、 `ー、 `ヽ、 ヽ. ク 、.| | / / | 、 ヽ.___,.ヘ、___` ー--------- _」 題 | ハ i | |ヽ. ヽ.`ヽ. /ヽ. ,. - . .| ./ iヽ`ゝ、ハ ハ_,.!イヽ. , Y___/ / は !ヽ! アi " ̄`iヽヽ. / アi  ̄`Tヽ. | !/ / / ハ 〈 !、__ r! V ! 、_ r! 〉ヽ! , // _,/ !/!ヘ ,ゝ- `ー" / , ヽ. // 無 「´/ / !从" ` ___ "/! i !/ | ハ . i iヽ、 ヽ ̄ ン // _ハ /! | ,!.イ ! ,イ/ `>.、.,_ ̄_,,..イ イ` r `ヽ/〈 _,,..-、 い |,.イ ヽ、 ! !、 ヽ.二/ .| ノ `ヽ. ヽ._,ゝ-‐ " ノ ! i レ 7 Lヽ、∴/!___!ヽ∴!/」, ハ _,,..-r " / !、 ,イ ゝ、Y/ ハ Y , ! ヽ〈___,.ノ、 / / ,ゝ 7 / i ヽ. ! __ゝ、 ヽ、__ノ,/ ___,,.. -‐ "〈 イ、` ァ Y rく / ハ 、 !__,.r " 7`ヽ. ヽァ- ヽ., ` <ヘ/ ヽヘ二rへ_「ヽ_r、ン /ヽ. / ` r " 「\___/ヽ. / // ヽ >---───--- 、..,, / し で ,. "´  ̄ `ヽ. ゝ "´ `ヽ. i . て は 本 ヽ! 、 ヽ.i. や 教 物 ,ー‐`--、/´ ̄`ヽ、二ヽ、_,.ィ , ろ 育 の |ヽ、____,/-‐/´` 、 `ー、 `ヽ、 ヽ. う 闘 吸 | / / | 、 ヽ.___,.ヘ、___` ー--------- 争 血 | ハ i | |ヽ. ヽ.`ヽ. /ヽ. ,. - と .鬼 | ./ iヽ`ゝ、ハ ハ_,.!イヽ. , Y___/ / い . の !ヽ! ア ヽヽ. / ア ヽ. | !/ / う / ハ 〈 V ( ;О; ) 〉ヽ! , // も _,/ !/!ヘ `ー" / , ヽ. // の 「´/ / !从 /! i !/ を . | ハ . i iヽ、 // _ハ /! ! | ,!.イ ! ,イ/ `>.、.,_ _,,..イ イ` r `ヽ/〈 _,,..-、 |,.イ ヽ、 ! !、 ヽ.二/ .| ノ `ヽ. ヽ._,ゝ-‐ " ノ ! i レ 7 Lヽ、∴/!___!ヽ∴!/」, ハ _,,..-r " / !、 ,イ ゝ、Y/ ハ Y , ! ヽ〈___,.ノ、 / / ,ゝ 7 / i ヽ.. ! __ゝ、 ヽ、__ノ,/ .〈 イ、` ァ Y rく / ハ 、 !__,.r " 7`ヽ. ヽァ- ヽ., ` <ヘ/ ヽヘ二rへ_「ヽ_r、ン /ヽ. / ` r " "の"って使いすぎるとすごく馬鹿に見えるよ もっと考えて使おうbyゴールデンエクスペリエンス "の"って逆に使いすぎたら逆に可愛くみえない? どうだろう by褌
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/282.html
機織とは、好機であるにも関わらずそれを逃す行為、フラグブレイク(旗折り)を指す。 フラグ自体はある出来事(恋愛の成就、死亡など)の前触れとなる起点を指す。 幻想郷はファンにとってまさしく理想郷であり、登場人物の少女達もまた理想である。 そんな少女に囲まれるというのは羨ましい限りのことだが、現在唯一東方世界で実態を伴った存在が確認されるのは霖之助のみである。 境遇だけならばハーレムと捕らえる輩もいるであろう中、少女達の思わせぶりな態度を流すように裁ききった霖之助はしばしばフラグブレイクの達人と称される。 と言っても原作中で明確に霖之助に思いを寄せる少女の描写は皆無である。 そもそも霖之助が相応の態度しか見せなかったのは当たり前とも取れるが、二次創作における「鈍感」のような設定に生かされる要素にもなっている。 ちなみに死亡フラグは何故か折れない。
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/245.html
前の話へ 【彼女の葛藤】後日談 霖之助とめでたく結ばれて以来、紫は香霖堂に生活の場を移すことになった。 これから記すのは、2人の幸せな日常の一幕である。 朝、霖之助はいつもどおりの時間に起床した。その傍らでは紫が霖之助の腕を抱きしめ、安らかな寝息を立てている。 紫と暮らすようになって以来、布団は2人用の大きなものを購入し、毎晩こうして仲良く寄り添って眠っている。 霖之助は紫を起こさぬようそっと腕を抜き取ると、艶やかな金髪に手を滑らせ、額に軽く口付けた。 振られたり立ち直ったり一芝居打ったりする間にどうも感覚がずれたらしく、今ではこういうことも恥ずかしげもなくできるようになってしまった。 着替えて顔を洗った霖之助は朝食の支度を始める。 そろそろ完成という頃合になって寝室に戻ると、まだ半分眠っている紫は目を閉じたまま、 「ん~……」 と切なそうな声を上げ、霖之助が眠っていたあたりを手で擦ったり叩いたりしている。 起きた瞬間霖之助がそばにいないのが寂しかったようだ。 そんな紫の様子に苦笑しつつ、もぞもぞしている紫の体に手をかけて上半身を起こす。 それでもぼや~っとしている紫の顔を真っ直ぐ見つめ、朝の挨拶を告げた。 「おはよう、紫」 紫はしばらく眠い目を瞬いていたかと思えば、もそもそと霖之助の首に手を回して抱きついてきた。 そんな紫の背中をさすりつつ、朝食が出来たことを伝える。 「紫、朝ごはんが出来たから起きてくれないか」 「いやぁ~、もっとこうしてるぅ~」 寝起きだからかやたらと甘えてくる紫が微笑ましいが、折角作った朝食を冷ますのも勿体無い。 「ちょっと失礼……よっと」 しがみついて離れない紫の背中と膝の裏に手を回し、いわゆるお姫様抱っこで居間へと運ぶ。 座布団の上に降ろそうとするものの、紫はいまだに離れようとしない。 「紫、御飯が冷めてしまうよ」 「……まだ離れたくないんだもん」 「やれやれ、全く仕方ないな」 ちっとも仕方なさそうに見えない霖之助は、そのまま胡坐をかいて紫を横向きに抱く格好を取った。 紫は霖之助の腕と胸に支えられ、何とか座っている状態だ。 「ん」 目を閉じて口を開ける紫。迷いがないところを見ると、こんなことを割りと頻繁にやっているらしい。 霖之助はさながら小鳥に餌をやる親鳥のように、朝食を紫の口に運んでやった。 最初の一口で紫の目はほぼ完全に覚めているのだが、二人ともやめる気配は微塵もない。 紫は満面の笑みを浮かべて愛する人の手料理を食べさせてもらい続けた。 朝食を全て食べさせてもらうと、今度は紫が箸を取って霖之助の口に料理を運ぶ。もちろん霖之助の上に座ったまま。 「「ご馳走様でした」」 「それじゃあ、僕は食器を片付けてくるよ」 「ええ、よろしくね霖之助さん」 チュッと軽いキスを交わし、霖之助は食器の片付けに台所へ、紫は着替えや洗顔などの身繕いを済ませに別れた。 霖之助は片づけが終わると開店準備を始め、紫はエプロンをきて掃除に取り掛かる。 朝の様子とは打って変わり、今度は紫が霖之助の世話を焼いていた。 掃除が終わったかと思えばお茶と茶菓子をそっと置き、霖之助の目が疲れる頃を見計らっておしぼりを渡す(目に当てると非常に効きます。念のため)。 さらには洗濯ものなどを干しつつ、1時間に一度は霖之助のそばに来て肩をもんだりお茶を入れ替える。 そして大体午前11時頃になると、紫は包みを1つ拵えて霖之助に渡した。 「それじゃあ、結界の点検に行ってくるわね。はい、お弁当。 夕方には帰るけど、晩御飯は何か食べたいものはある?」 「別になんだって構わないよ」 そっけない言葉に困ったような笑みを浮かべ、紫は霖之助に近づく。 その頬を両手で掴み、おでことおでこをコツッとぶつけた。 「もう、そういうのが一番困るっていつも言ってるじゃない」 「僕もいつも言っているが、君の作る料理に優劣なんか付けられないよ。どれも最高さ」 鼻がつくほどの近さにある紫の顔を見つめて言い返すと、霖之助は本を置いて紫の背中に手を回し、その体をグッと引き寄せた。 「んんっ」 霖之助の舌に口内を蹂躙され、紫はわずかに悲鳴を上げたが、がっちりと霖之助に掴まれているので逃れられない。 もちろん逃れる気などないが。 たっぷり数分間そうした後、やっと霖之助は紫を解放した。紫の頬は薄っすら上気し、目は潤んでいる。 「いきなりなんて随分ひどいんじゃない?」 「夕方まで君にあえないんだ。こうでもしておかないと寂しくて死んでしまうよ」 「それは大変ね。じゃあもっとしておこうかしら」 今度は紫のほうが霖之助を抱き寄せる。 結局、紫が香霖堂から出て行ったのはさらに十数分が経過してからのことだった。 夕刻。 霖之助がちょうど本を読み終わり、ぐうっと伸びをした瞬間、目の前にスキマが開いて紫が膝の上に降りてきた。 「ただいま霖之助さん。今日も疲れちゃった~」 紫は霖之助の首に手を回し、霖之助は体を傾け、紫が自分にもたれやすい姿勢をとる。 「お疲れ様。夕飯にはまだ少し早いし、ゆっくり休むといい」 「うん」 紫が夕食を作り始めるまで30分強、2人はただ互いの体温を感じていた。 そして、夕食。 この日の献立はうなぎ、にらたま、ニンニクの蜂蜜漬け、レバ刺しなどなど。 「……いくらなんでも露骨過ぎないか?」 「あら、霖之助さんはお嫌?」 「まさか。むしろ望むところさ。今晩は覚悟しておくといい」 その後見事に完食してみせた霖之助と紫。 この日香霖堂のそばを通った者は、なぜか皆顔を真っ赤にして帰ってきたそうな。 終われ 前の話へ
https://w.atwiki.jp/pmvision/pages/2740.html
《森近 霖之助》 No.1927 Character <第二十弾> GRAZE(2)/NODE(5)/COST(2) 種族:人間/妖怪 (自動γ): 〔あなた〕は自分のターン中にコマンドカードをプレイした場合、ターン終了時に1ドローする。この効果は重複しない。 攻撃力(5)/耐久力(3) 「記念に使わないで取っておいてやろうかな」 Illustration:もちぬ コメント 収録 第二十弾 関連 森近 霖之助/1弾 森近 霖之助/7弾 森近 霖之助/12弾 森近 霖之助/16弾 森近 霖之助/20弾
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/225.html
前の話へ 次の話へ あらすじ 休日に香霖堂へ向かった後、様子がおかしくなった美鈴。 事情を聞いたレミリアに張本人が何とかしてくれと言われ、何とかした霖之助だった。 美鈴はその過程でほめ殺されて撃沈。 霖之助の説得が効いたのか、普段の調子を取り戻した美鈴。 例の件のショックはもう感じさせず、むしろいつもより元気がよい。 また、昼寝が減ったのはレミリアや咲夜にとって嬉しい誤算と言えた。 そして、休日に香霖堂を訪れるのが、最近の美鈴の楽しみとなった。 雨降って地固まる。2人の心の中で、徐々にお互いの存在が大きくなっていく。 基本的には美鈴が商品を物色し、たまに霖之助が解説する。 いつも邪魔をしているからと、昼食や夕食は美鈴が中華の腕を存分に振舞い、毎回霖之助に絶賛される。 ある日は美鈴の服のすそがほつれているのを霖之助が直し、料理の腕に比して裁縫の苦手な美鈴が手取り足取り教わった。 ある日は霖之助の体が硬いことに気付いた美鈴が半強制的に柔軟運動をさせた。 どちらも教わるときは普段より接近する相手に緊張し、その割りに教えるときは集中していてそのことは気にならない。 結果、お互いに『もっと異性ということを気にして欲しい』と願いあう、奇妙な関係が出来上がる。 少し変わってはいるが、お似合いの上に相思相愛。 しかし、2人ともこれ以上お互いの仲を進展させる行動に出ることはない。 霖之助はこう考えている。 美鈴は紅魔館の門番であること誇りに思っており、自分などその誇りの前では小さなものだ、と。 だから、好意を寄せてくれていることは確信しているが、自分のために紅魔館での生活を捨てることはないだろう、そう諦めていた。 そんな霖之助の考えとは裏腹に、美鈴にとって霖之助はすでに恋愛の対象にまで昇格している。 実際、霖之助のパートナーとして生きる道を真剣に考えたことは1度や2度ではない。 しかし、その度に何か違和感を感じるのだ。 何か大切なことを忘れている、そんな違和感を。 その違和感が、なんとなくだが積極的になることを阻んでいた。 「こんにちは!」 「おや、今日はお休みかい? 美鈴」 「はい、また来ちゃいました」 そして、いつもどおりの一日が始まる。 今日の話題は、2人の中が進展するきっかけとなった例のものだった。 「霖之助さん」 「なんだい?」 「例のブルマなんですけど、たしか『外の女性が運動するときに穿くもの』って言ってましたよね? 上に着るものはないんですか?」 「あるにはあるよ。君には必要ないと思って言わなかったが、こちらは体操服というらしい。 確かこの辺にしまったはずだが……。お、あったあった」 体操服の入った箱を持ち出す霖之助。 中を覗き、そのうちの一着を手に取る美鈴。 「こっちも不思議な素材ですね……」 「何なら着てみるかい? それなりに数はあるから進呈しても良いよ」 「え……ええっと……」 興味がなくはないが、やはり気恥ずかしいようだ。 しばし悩んだ末、美鈴は霖之助に一つ聞いてみることにした。 「霖之助さんは……私がこれを着ているところを見てみたいですか……?」 顔を赤らめて探るようにこちらを見る美鈴。 こんな美鈴も久しぶりだな、などと考えつつ霖之助は率直に言ってみる。 「そうだね、運動するための服だし、君ならさぞ似合うだろう」 美鈴はその言葉が最後の一押しになったらしく、 「……わかりました。奥の部屋を借りますね」 むん、と小さくガッツポーズをして気合を入れ、店の奥へと上がっていった。 数分後、着替えたのであろう美鈴の足音を耳にした霖之助が顔を向けると、顔だけを出してこちらを伺っている美鈴と目があった。 「「……」」 とりあえずこのままにらめっこをしていても仕方がない。 自分が折れることにして声をかける霖之助。 「やはり恥ずかしいのかい?」 「だ……だってこの服、いつも着ているのと比べてすごく露出が多くて……足なんて腿の付け根まで丸出しなんですよ?」 「そんなことを言ってももう着てしまったんだろうに……。 ここまできたらもう観念して見せてくれないか?」 「うぅ~、わ、わかりました」 ついに腹をくくったのか、美鈴はおずおずとその全身を見せる。 「ほう……」 思わず見とれてしまった。 スタイルは抜群で、すらりとした白い足がまぶしい。 恥ずかしいのか体操服のすそを引っ張って隠そうとしているのが微笑ましく、 なにより全身から放たれる健康的な魅力が霖之助をひきつけてやまなかった。 「そ、そんなにじろじろ見ないでくださいよ~」 困惑したような美鈴の言葉が耳に届くと同時に、不躾に見ていた自分に気付く。 「あ、ああ。すまないね。いやしかし、思っていた以上に似合っているよ。 思わず我を忘れて見とれてしまったくらいにね」 「そ、そうですか? えへへ……」 恥ずかしいとは思っていても褒められると嬉しいようだ。 その後、2~3回ほど立て続けに霖之助が褒め続けたためか、危うく今日はブルマで過ごすことになりかけたが。 昼食をとり、再び定位置に戻る霖之助。 すると、美鈴があるものをもってきた。満面の笑みの中に、何か企んでいるような雰囲気が見て取れる。 霖之助はその能力を使うまでもなく、美鈴が握っているものの名前を思い浮かべた。 すなわち、耳かき。 「……君が次に何を言うか確信している僕がいるんだが、聞きたいかい?」 「はい、是非」 「『霖之助さん、耳掃除してあげましょうか』だろう?」 「ちょっと惜しいですね。正解は『掃除してあげましょうか』、 じゃなくて『掃除してあげるので横になって下さい』、です」 「つまり僕に拒否権はないと」 「よくわかってるじゃないですか」 「さっきまで恥ずかしがってた割には少々積極的な気がするんだが?」 「流石にあの格好じゃ無理ですけど、今は普段の服ですし。 それに霖之助さんには散々恥ずかしい思いをさせてもらいましたので、このあたりでお返しを、と」 これ以上何を言ったところで彼女の意思は曲がらないだろうし、どうせ腕力では彼女に適わない。 なまじ力づくで抑え込まれるよりは、進んで受け入れたほうがマシだ。 男としてのプライドが傷つく感覚に既視感を感じつつ、美鈴の腿に横たわる霖之助だった。 「はい、終わりましたよ。……霖之助さん?」 見れば霖之助は安らかな寝息を立てている。 「んー、寝ているなら眼鏡は邪魔ですよね。 よ……っと。 ふふ、こうしてみると霖之助さんって結構かわいいですね」 母性本能が刺激されたのか、優しく微笑んで霖之助の髪を撫でる。 すると、霖之助は小さな声で、しかしはっきりとこうつぶやいた。 「……母さん」 きっと母の夢でも見ているのだろう。 一筋流れた涙をそっとぬぐい、美鈴は霖之助の髪を撫で続ける。 やはり自分は彼に好意を抱いているようだ。 最初はありえないと思っていたが、やはり彼と生きていくのも悪くないかもしれない。 紅魔館との生活を天秤にかけるほどに男性と親密になるなど、考えたこともなかった。 そう思った瞬間だった。最近感じていた違和感の正体を思い出してしまったのは。 忘れていたのは、かつて自らに科した誓い。 すでにどれほど前のことかも定かではないが、荒んでいた自分を救い上げてくれた主に、確かに告げた。 ――これからの一生の全てを、あなたに尽くして生きていきます―― ザァッ、と言う音が聞こえるほどに血の気が引く感覚。 例え他の誰かから見ればくだらない誓いでも、この誓いと引き換えに全てを失うことになっても、……例え主が忘れていたとしても。 この誓いだけは守り通すと決めたはず。 それなのに、今の自分はなんだ? なぜ忘れていた? そして今、 自 分 は 何 を 考 え て い た ? 美鈴の顔が悲痛なものへと変わる。 起こさないように霖之助の頭をゆっくりと退かせ、起きたときに体が痛まないよう、慎重に体勢を整えて店の外へ。 寂しそうに店を見つめた後、一度だけ頭を下げると、美鈴は紅魔館へ戻って行った。 それから3週間、美鈴は香霖堂に姿を見せなかった。 前の話へ 次の話へ
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/277.html
聖典とは、主にひらふみ氏のサイト「ホットドックチャック」より発行されている、 霖之助を主人公とする同人誌を指す。 ちなみにその要素を求めて買う人は少ないだろうが、成年向け要素も含まれる。 そもそも同人界隈における霖之助の人気度は低く、二次設定の産物であるこーりんの使用頻度の方が高い始末であった。 そんな中、しっかりと霖之助らしい霖之助と紫らしい紫の色事を流れのままに書き連ねた作品が登場し、 センセーショナルを巻き起こした。 以後、霖之助×紫のカップリングの代名詞的存在になっている。 霖之助がメインとなって登場する作品は以下の通りだが、氏の作品はいずれも(色んな意味で)素晴らしい作品ばかりである。 「心の隙間に咲く華」 「ハルヨコイ!」 「名をさがす旅」(霖之助?×メリー描写も) 「Ride on Shooting Star」(上記三作品+解説を収録) 「君に捧げるカノン」