約 2,450,505 件
https://w.atwiki.jp/otakugari/pages/16.html
鯖の仕様 (鯖の仕様について説明します) できること (この鯖でできることを紹介します) レシピの追加 (この鯖でレシピが追加されているのでそれを紹介します) mcmmoについて (mcmmoについて説明します) お金の概念について (お金の概念について説明します) 土地購入について (土地購入について説明します) 使用可能コマンド (使用可能なコマンドを説明します)
https://w.atwiki.jp/oreshika_psp/pages/38.html
8復興 商業部門 宗教部門 宗教に投資したときに建立される施設について 娯楽部門 公共部門 商業部門 投資の中では重要度が高い部門です。投資レベルに応じて、商店で取り扱われる装備の質や数が向上していきます。 また、討伐に役立つ薬や道具の種類も増えますので、お金に余裕があるときは積極的に投資していきましょう。 投資LV 累計投資額 投資効果 商品陳列数 備考 武器屋 防具屋 道具屋 飾 剣 薙 弓 槍 拳 槌 筒 扇 頭 体 薬 他 LV1 0 武)剣・薙刀の取り扱い 3 2 0 0 0 0 0 0 4 4 2 2 0 LV2 400 武)弓・槍の取り扱い開始、装飾品屋の開店 4 4 3 2 0 0 0 0 6 6 2 3 2 LV3 2,400 武)拳・槌の取り扱い開始 6 6 6 5 2 2 0 0 7 8 3 6 3 LV4 16,000 武)大筒・扇の取り扱い開始 8 8 8 8 7 5 3 0 10 10 3 7 4 LV5 80,000 10 10 10 9 8 7 7 3 12 12 3 9 6 道具)火渡りの石、雷太鼓の符 LV6 240,000 武) 12 12 12 12 12 9 10 5 14 14 3 11 8 道具)力士水、仁王水 LV7 480,000 武) 14 14 14 14 13 10 14 7 15 15 4 12 10 道具)万金露 LV8 800,000 武) 16 16 16 16 13 14 16 8 16 16 4 15 11 商品の品揃えは、投資LVに応じた範囲の中から陳列数分がランダムに並べられます。 宗教部門 交神時の奉納点が下がるという効果がありますが、神様の階位が低いと効果が実感しにくい程度です。 また、投資LVや時間経過に伴って建立物の建造、祭りの復活確率の上昇などの効果もあります。 投資LV 累計投資額 投資効果 LV1 0 LV2 800 必要奉納点の減少(7/256≒2.7%) LV3 6250 必要奉納点の減少(14/256≒5.5%) LV4 45,000 必要奉納点の減少(21/256≒8.2%) LV5 240,000 必要奉納点の減少(28/256≒10.9%) LV6 480,000 必要奉納点の減少(40/256≒15.6%) LV7 800,000 必要奉納点の減少(52/256≒20.3%) LV8 2,000,000 必要奉納点の減少(59/256≒23%) ※奉納点減少率はそのレベルにおいて建立可能な建立物全てが建立された時の減少率を示す 宗教に投資したときに建立される施設について 1018年4月を37として一ヶ月経過する毎に1を加える。 これに宗教に投資した額を加える。 ※建立物の建造判定(年月定数)が、PS版から修正されています この合計が各定数で割り切れるとき宗教施設が建つ。 1ヶ月に1つだけ建ち、下記のものが優先される。 該当復興レベル以上に2ヶ月前までにあげている必要がある。 そして、座神像などの建立物は、建つのに最低4ヶ月かかる。 条件を満たした状態で月を越えると判定クリア。 その2ヶ月後にイツ花がコメントし、その翌月に実際に建つ。 なので、リメイク版ではゲーム開始直後の4~8月の投資で条件をクリア→11月に座神像建立が最速。 (PS版では年月定数の設定ミスで(1018年4月は40)、ゲーム開始直後の4月の投資で条件をクリア→8月に座神像建立が最速) 建立物ごとの復興レベルと定数は以下の表の通り。 建立物 復興レベル 定数 座神像 2 15 ミイちゃん像 3 12 大橋 4 10 勝利の女神像 5 9 御霊よ神社 6 7 獅子の像 6 6 祈りの塔 7 4 昼子神殿 7 3 凱旋門 8 2 建立させると交神に必要な奉納点が5/256減少する。 復興レベルによる減少と合わせて最大59/256減少する。(約1/4減少) ※たとえば、宗教投資金額が6250以上(復興レベル3)で、 それと年月定数を足し合わせた数が12で割り切れれば、ミイちゃん像の建造が決定する。 娯楽部門 一族の記念撮影ができる幻灯屋やコレクター魂をくすぐる姿絵屋に関係する部門です。 ゲームの進行に直接は影響しないので、余裕がある際に行う方がいいでしょう。 投資LV 累計投資額 投資効果 額縁 備考 LV1 0 1 LV2 800 姿絵屋の開店 2 LV3 4,000 4 LV4 12,000 5 LV5 40,000 6 LV6 120,000 7 LV7 360,000 7 LV8 500,000 ? 幻灯屋の額縁の入手順序や種類は固定です。 公共部門 投資LV 累計投資額 投資効果 備考 公共部門 全部門総計 LV1 0 0 漢方屋開店 LV2 10,000 50,000 相場屋、刀鍛冶の剣福開店 LV3 20,000 100,000 漢方)地黄玉金丸 LV4 30,000 150,000 相場)塩 LV5 40,000 200,000 相場)豆 LV6 60,000 300,000 相場)麦 LV7 80,000 400,000 漢方)東方淫羊根 LV8 120,000 600,000 相場)紙 LV9 160,000 800,000 漢方)神秘陽春湯 LV10 200,000 1,000,000 相場)綿 LV11 250,000 1,200,000 漢方)蛇便毒 LV12 300,000 1,800,000 相場)麻 LV13 350,000 2,000,000 漢方)虎骨竜血 LV14 400,000 2,200,000 相場)炭 LV15 450,000 2,400,000 漢方)女神丁香酒 LV16 500,000 2,600,000 漢方)十全大魔液 公共部門のLVUPには、公共部門への投資だけではなく他3部門への投資も必要となります。 雷太鼓の符 商業lv5で確認 -- (名無しさん) 2011-11-21 00 42 42 商業部門LV8 剣16 薙16 弓16 槍16 拳13 槌14 筒16 扇8 頭防16 体防16 薬4 他15 飾20 道具)春眠散、暗鬼散、退魔の御札 娯楽部門LV7 360,000両 額縁9 娯楽部門LV8 500,000両 額縁10 公共部門LV8 120,000両 相場)紙 公共部門LV9 160,000両 漢方)神秘陽春湯 公共部門LV10 200,000両 相場)綿 公共は備考に"未確認"といれつつ 旧版データちょっぱってもいいんじゃなかろうか。 -- (名無しさん) 2011-11-22 16 44 15 公共部門 LV不明 復興完了 500,000両 漢方)十全大魔液 -- (名無しさん) 2011-11-30 23 43 10 公共部門復興、他部門合計30000両の状態で公共に20000両投資してもレベル上がりました -- (名無しさん) 2012-01-08 05 10 33 宗教部門に、記念物の建設・建設条件についてを追記しました。 -- (名無しさん) 2012-03-07 16 52 02 公共部門のLvアップは公共部門投資額+全部門の総投資額。 Lv1→Lv2だと公共部門に50,000両でも良いので、 他部門総計を全部門総計に変えた方が良いのだろうか? -- (名無しさん) 2012-03-09 10 02 30 公共部門の投資額は他部門の投資総額が2,100,000両に満たない場合、 500,000を超えて投資出来たので他部門総計を全部門総計に変えました。 他部門に一切投資をしなければ2,600,000両まで投資出来るかは未確認ですが、 とりあえず、650,000両までは確認しました。 500,000を超えて投資する意味は無いでしょうが、他部門に投資しなくても良いかもしれない? -- (名無しさん) 2012-03-14 19 09 40 商業部門は復興レベルを上げることでに入手が絶対に不可能になる物品がいくつもある。 全アイテムコンプを目指す人は決して無計画に投資してはならない。 -- (名無しさん) 2015-01-03 19 18 21 姿絵入荷PS版: LV1=100両(14/16)2 500(12/16)3 1000(10/16)4 3000(8/16)5 5000(6/16)6 10000(4/16)7 10000(2/16) -- (名無しさん) 2016-02-19 06 38 59 ロックのタイミングがいまいちわからない…… 商業復興最大にした後にも変わったから、なんとなく公共復興でロックされる気がする -- (名無しさん) 2023-09-06 02 01 44 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/saikouka/pages/18.html
交友関係 靈異伝~怪綺談(旧作)、紅魔郷~地霊殿の登場人物+αに対して、5人まで選んで交友関係を設定できる。 関係をどのように設定するかは自由だが、「物事を頼んだり頼まれたりできる間柄」程度にしておくこと。 肉親などあまり強い関係は不可で、GMの許可を必要とする。 また、PCの立場によっては交友関係を結ぶことを拒否してよい。 PCが交友関係の人物に対してあまりに敵対的な態度を取ったりした場合、GMは交友関係の解消を宣言しても良い。 この場合、後にもう一度関係を修復する機会を提示する方が望ましい。 ここではキャラクターの背景は各キャラの登場作品で最新のものを念頭に置いているが、シナリオ中での時期設定などに応じて適宜修正すると良い。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1091.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/例えばこんな三人の関係 三人の長い一日~対決編~ 時刻はいつの間にか午後7時を過ぎていた。辺りはもう随分暗くなってしまっているが、真っ暗というほどでもない。 そんな中、人気の無い川原で美琴と10039号は対峙している。その距離およそ25m。 当麻は二人の真ん中から10m程離れた土手で心配そうに二人の姿を見ている。 (さっきまであんなに仲良さそうにしてたのになんでこんな事になったんだ…) 先程までゲーセンで勝負勝負といいつつも笑顔を見せていた美琴と初めての経験に戸惑いながらも楽しんでいた10039号。 その二人が今、自分の目の前で激突しようとしている。 (何とかしてやりたいが…) 当麻は10039号を見る。 妹達の行動は本来なら止める必要も無い。彼女達がそれを望むなら影で支えていくのが自分達のすべき事だろう。 だが、ここは学園都市。数多くの能力者がいる都市で絶対に安全という保障はどこにもない。 特に自分や美琴の場合は闇の部分もよく知っている。だからこそ彼女達には少しでも危険な事をして欲しくないというのが正直な所だ。 (でも…) 力の有無なんて関係なく、目の前で困っている人がいたら助けたい、手を差し伸べたいと思うその気持ちが分かるからこそ彼もまた悩む。 今度は二人を交互に見る。辺りの空気は張り詰め、他人を寄せ付けない雰囲気が漂っているのを感じる。 (…今、俺があいつ等にしてやれる事は無い…か…) 苦しむ人々を幾度と無く救ってきたこの右手も、今は何の役にも立たない。その事に歯噛みし、右の拳をきつく握り締める当麻。 自分がどちらかに付いてしまえばこの戦いは避けられるかもしれない。だが、それをしてしまえば二人の絆に傷を付けてしまう可能性がある。 そう考えた彼は対峙する二人を見守る事にする。この戦いがどんな結末を迎えたとしても二人を支えていくという決意と共に。 一方、向き合う姉妹の間には緊張感が漂い、時間が経つにつれて、その表情は真剣な物に変わっていく。 それぞれがここに立つ理由を持っているからこそ二人は一歩も引かず、お互いを見据えたまま動かない。 しかし、両者にはレベル5とレベル3という圧倒的な実力差があり、単純に考えて美琴が本気を出してしまえば10039号に勝機はない。 それが分かっているから、10039号は先手を取る。 「…制限時間は5分、何でも有りの勝負でよろしいですか?とミサカは確認します」 「それでいいわ。…なんなら少しハンデあげてもいいわよ」 その実力差から、あまりにアンフェアな戦いだと感じた美琴は多少のハンデならと考え、10039号に申し出るのだが、彼女は首を横に振る。 「それは魅力的な申し出ですが遠慮しておきます、とミサカは情けは無用だということを伝えます。 お姉様の電撃がミサカに当たった場合はその時点でミサカの敗北で構いません、とミサカは自らハードルを高くします」 10039号の言葉に目を見開き驚く美琴。本気で攻撃できない自分に気を使ってくれたのだろうか?と思う。 確かに『倒す』ではなく『当てる』だけで良いなら戦いやすい上、10039号に強力な電撃を当てる必要も無い。 どんな弱い電撃だろうと、とにかく当てれば良いのだから。その事に対して美琴は、 「万に一つも無いと思うけど、あんたが勝ったら何でも言う事聞いてあげるわよ」 「それは素敵な提案ですね、とミサカはお姉様の提案に奮起します」 「…恨んでくれても構わない、…私はあんた達には安全で平和な日々を送ってもらいたいだけなんだから」 美琴の言葉にピクリと少し反応した10039号。だが、それを振り払うように首を左右に振ると再び美琴を見つめる。 「それはミサカに勝ってから言ってください、とミサカはお姉様を挑発します。 …勝負を始める前に少し準備がありますので時間をいただきます、とミサカはお姉様に少し待って欲しいことを伝えます」 10039号は二人に背を向ける。そして右手でおなかの辺りを押さえる仕草を見せると、大きく深呼吸する。 そして、おでこに着けていた軍用ゴーグルを下げて振り返ると、サブマシンガンを構える。 その様子を見ていた二人は気付く。10039号の纏っている空気が『変わった』事に。 迷いを微塵も感じさせないその姿からは『絶対に負けられない』という気迫がビリビリと伝わってくる。 (本気…なのね…。それだけ強い想いを持ってるって事か…) 普段は見せないその気迫に動揺を隠せない美琴。ここに来て『やめさせないと』『自由にさせたい』という相反する感情が迷いとなって表れる。 (…でもごめん。私はやっぱりあんた達には危険な事をしてほしくない…だから…止める―――!) 迷いを振り払った美琴と10039号が当麻を見ると準備が出来た事を手で合図する。そして、当麻が美琴から借りたコインを二人の中央に向かって高く投げる。 そのコインが地面に落ちた瞬間、美琴と妹達の真剣勝負はその幕を開ける――― ――――――――――――― ―――――― (先手必勝です―――!) コインが落ちると同時に10039号は美琴に向かって真っ直ぐ走り出す。 (な!?正面から!?舐められたもん…ね!!) 5分間逃げればいい筈の彼女が開始と同時に正面から向かってきた事に少なからず驚く美琴。 バチィ!っと電撃を発生させた美琴は10039号の足元目掛けて槍を放つ。 だが、それを読んでいたかのように10039号はサッと横に飛んで回避する。 続けざまにバチ!バチィ!と足を狙って電撃を放つが左右に軽く飛ぶだけで回避されてしまう。 (なるほど、こっちの狙いはお見通しって事ね、ならこれはどうかしらね!) ザァァっと地面から砂鉄が舞い上がり、10039号の前に壁を作る。 10039号がその足を止めると、そのまま砂鉄を制御し、彼女を砂鉄の檻に閉じ込める。 開始早々10039号はその動きを封じ込められてしまう事となった。 「さー捕まえた。それに触れると怪我するかもしれないからもう降参しなさい」 「まだまだ、この程度ではミサカは諦めませんよ、とミサカは降参の意思が無いことを告げます」 10039号の言葉を聞いた美琴の表情は曇る。 「…お願いだから降参して?私はあんたに怪我なんてしてほしくないの」 その言葉に俯き唇を噛み締める10039号。彼女は美琴の気持ちなんて最初から分かっている。 自分達の幸せを望んでくれている事も、その為にこうして止めようとしてくれている事も… でも、それが分かっていてもここでやめるわけにはいかない。 10039号は顔を上げ、砂鉄の檻の中からゴーグル越しに美琴を真っ直ぐ見つめると、 「いつまでも守られるだけの存在ではいられません、確かにお姉様に比べればミサカは弱いです、足元にも及ばないでしょう。 でも!それでも!お二人の過ごすこの世界を守りたいという気持ちは絶対に譲れないのです―――!!」 「!!」 バチィ!!叫ぶように放たれた言葉と同時に10039号が電気を発生させる。 (っ!私は…) 10039号の言葉を聞いた美琴は激しく動揺する。そしてその思考は混乱し、砂鉄の制御が大きく乱れる。 その隙を突き、砂鉄の檻に自分の電気を流して一部の制御を奪った10039号は檻から抜け出す。 (くっ…迷うな美琴…今は止める事に集中するのよ!) 先程の10039号の言葉を振り払うように首を振った美琴は前を見る。 すると、タタタタ!とサブマシンガンから弾丸を打ち出す10039号が見えた。 放たれた弾丸は2m程先の地面に数発打ち込まれ、更に頭上に向かって放たれる。 (これは…ゴム弾?それにこの軌道は…?) 足元に転がってきた弾丸がゴム製であることに気付き、その銃口の向きから当てる気は無いと直感したが狙いが分からない。 視線を戻すといつの間にか10m付近まで接近されている事に気付く。よく見ればその左手は強く握られ、帯電している。 (私を倒すつもりなの!?…これ以上は近寄らせない!) 電撃自体は当たってもダメージにはならない。だが先程のパンチ力を見る限り、左手とはいえ、直撃したら勝負が決まってしまう可能性がある。 接近戦は危険だと判断した美琴は砂鉄剣を作り出し、そのリーチの差で牽制しようと考える。 しかし、砂鉄剣を生み出す為に周囲の砂鉄を集め始めた瞬間、10039号は接近を止めるとバックステップで距離を取り始めた。 (もう下がっていく!?…時間稼ぎって事?) あっさりと引き下がっていく彼女にますます混乱した美琴は出来上がったばかりの砂鉄剣を急遽霧散させる。 伸ばして襲うことも出来るが、それはあまりにも危険すぎると判断したからだ。 そして、少しずつ距離を取っていく彼女に向かって電撃を数発放つ。だが、威力を目一杯落としている事もあり、簡単に相殺されてしまう。 (くっ!もう少し威力を上げて…でも…!) 一撃入れれば勝ち―――その事が手加減をしている美琴の能力を更に制限する。今からでも威力を上げて行動不能に追い込むのは容易いかもしれない。 だが、出来ることなら無傷で決着をつけたいと思う彼女は迷ってしまう。 (まさか…こっちがハードルを上げられてたなんて……) 今更ながらあの時、10039号が放った言葉の真意に気付いた美琴だが、もう遅い。その迷いは決定的な隙を作る事になる。 (隙ありです―――) バチィ!と10039号の全力の電撃が美琴に向かう。威力を上げるかで迷い、一瞬目を閉じてしまった彼女は反応が遅れる。 (くっ!) バチィ!美琴が反射的に相殺しようと電撃を放つ。だが、電撃を放った瞬間に彼女は気がついた。 10039号の放った電撃は自分を狙った物ではなく、2m程横を通過する軌道を取っていた事に。 (なっ…嘘でしょ!?) 相殺を狙って放った電撃は、10039号の電撃に当たる事なく真っ直ぐ彼女に向かって行く。 あんな高出力の電撃が彼女に当たってしまえばただで済むはずがない。 目を見開き、自分の電撃の行方を追う美琴の顔からは血の気が引いていく。 ――だが、その電撃の先、10039号との間に何か飛んでいる事に気付く。 (あれは…?…サブマシンガン!?) 美琴がそう気が付いた時、電撃はサブマシンガンに直撃する。更に一瞬遅れて10039号の電撃がそこに打ち込まれた。 すると、バチィィン!!っと言う甲高い音と共に美琴と10039号の電撃がぶつかった場所から眩い紫電の光が放たれる。 美琴は咄嗟に顔を逸らし、右手で前を覆う。同時に周囲の電磁波も乱れてしまい10039号の姿を完全に見失ってしまった。 (くっ、こんな事してくるなんて…でも良かった…何とかやり過ごしたみたいね…) 電撃を上手くやり過ごした事にひとまず安堵した美琴。 だが、おかしいとも思う。何故なら10039号が自身の最大の武器であるサブマシンガンを捨てたからだ。 (このタイミングでサブマシンガンを捨てたって事は、私が見失ってる内に勝負を決めに来るはず) 次の一手を予想した美琴は周囲に意識を散らしながら右手を除け、前を見る。 (何処から来――……え?) 目に飛び込んできた光景に思わず固ってしまう。 接近戦で自分を倒しに来ると予想していた彼女が予想に反して土手に移動していた上、当麻の後ろから腕を回して抱きついていたからだ。 そのあまりにも予想外の事態に口をパクパクさせていると、いつの間にかゴーグルを元の位置に戻した10039号が当麻の後ろからひょっこりと顔を覗かせる。 「勝負有りですね、とミサカは勝利宣言をします」 「…え?何?…どういう事?」 「心理戦という奴ですよ、とミサカはお義兄様に抱きつきつつ返答します」 実は距離を取り始めた10039号は徐々に当麻の方へ近づいていた。 そしてあの瞬間、美琴が見失った隙を突いて一気に接近し、当麻の後ろに回り込んでいたのだ。 美琴は状況が分からず、試しに雷撃の槍を放つと、当麻が右手でかき消す。 「おいぃ!いきなり撃ってくるなぁ!!」 「ひっ、怖いです、とミサカはわざとらしい悲鳴を上げつつ強くしがみついてみます」 そう言うと10039号はぎゅっと当麻の背中に隠れながらしがみつく。 「どわぁ!?こら!あんまり強く抱きつくなっての!?」 なんか柔らかいのが当たってるー!といった顔で10039号に抱きつかれている当麻だが、振りほどこうとはしていない。 そんな様子を見ていた美琴は俯くとブルブルと震え出した。 「…ふ…ふ……」 「み、美琴?」 「おや、限界のようですね、とミサカはお姉様の心境を冷静に分析してみます」 何やら言葉を発する美琴。バチィ!バチィ!っと強烈な空気を鳴らす音が辺りに響く。そして、その体は青白く浮かび上がり、髪の毛は逆立ち始めた。 二人はそんな彼女の様子を見てこれから自分達を襲うであろう事態に気付いてしまう。そして文字通り雷は落ちる… 「ふ・ざ・けんなぁぁぁあああ――――――!!!!!」 「どわぁぁああああ―――――!!!」 バチバチバチィィン!!と本気を出した美琴の電撃が次々と襲い掛かる。当麻は必死でかき消しているが、10039号がしがみついている所為で結構危ない。 「やめろー!死ぬ!死んじゃう!」 「お義兄様、しっかり守ってください、とミサカはお義兄様を鼓舞しつつも抱きつく手は緩めません」 「人が真剣にやってるっていうのに…何なのよアンタは――!!」 「離して!?右手が追いつかないー!!」 「お義兄様から離れたらミサカは消し炭になってしまいます!とミサカは生命の危機を感じている事を告げます!」 「うがぁぁああ!!いいから離れろやコラ――!!」 バチィ!バチィ!バチィィン!!っと連続攻撃の手を緩める気配の無い美琴。 散々その心を弄ばれた彼女は本気で怒ってしまったらしくもはやお手上げの二人は生き残る為に必死だ。 その猛攻をギリギリの所で耐えていると、ピピピ!ピピピ!と電子音が鳴る。…それは勝負が始まって5分たった合図だ。 その音を聞いた三人はピタリとその動きを止めると、 「…ミサカの勝利ですね、とミサカは勝ち誇ります」 当麻を開放した10039号はえっへんと胸を張ると勝利宣言をする。そんな彼女の姿に美琴は噛み付く。 「ちょっと!?おかしいでしょ!当麻を盾にするなんて卑怯よ!」 「ですから最初に『何でも有り』と確認したではありませんか、とミサカはしれっと言ってのけます」 美琴の言葉を素知らぬ顔で受け流す10039号。すると今度は当麻が驚いたように反応する。 「なにぃ!?じゃあ始めから俺を盾にするつもりだったのか!?」 「当然です、でなければこんな無謀な戦いはしません、とミサカはぶっちゃけてみます」 更に、前半は美琴を混乱させて隙を誘い、当麻という盾を手に入れるための動き。 そして無事盾を手に入れたら今度は美琴の冷静さを奪い、残り時間をやり過ごすという作戦を暴露する。 それを聞いた当麻は自分が戦闘に巻き込まれる…というか始めから10039号の作戦に組み込まれていた事実に唖然とし、 美琴はというと膝と両手を地面に付き、ガックリとうな垂れる。 「納得いかない…こんな…この私が始めから手の平で踊らされてたなんて…」 美琴にとって5分とは手加減しても余裕のはずだった。 だが、こうして終わってみれば10039号の言葉と動きに惑わされ、終始主導権を握られていたという事実にショックを受けているようだった。 と、そこに10039号が歩み寄る。 「…ミサカの力は大体分かってもらえたはずです、ミサカとしてはこのまま活動を続けたいと考えていますが、 お姉様の意見を聞かせてください、とミサカはお姉様に聞いてみます」 自分の持つ頭脳と力を全て発揮して勝負には勝った。だが、それはあくまで限界まで手加減していた美琴だ。 もし、彼女が本気で戦っていたら10秒と持たなかった事くらい理解している。 だから、この戦いでおおよその実力を把握したであろう彼女に意見を求める。すると、美琴は顔を上げて言葉を発する。 「…勝負に勝ったあんたが何でそんな事聞くのよ?」 勝負に勝ったら活動を続ける。そう言った10039号が意見を聞いてきたことを不思議に思った美琴がそう返すと、 「勝敗などどうでもいいです。ミサカはお姉様の意見が聞きたいのです、とミサカは再度お姉様に聞いてみます」 「……」 真剣な眼差しで美琴を見つめる10039号。 美琴は10039号のその言葉を聞き、立ち上がると、自らの疑問を口にする。 「…ねぇ、あんたはさっき二人の過ごす世界を守りたいって言ったわよね?その為に風紀委員みたいなことをしてるの?」 美琴の心を大きく揺さぶったその言葉。その真意が知りたい彼女は真っ直ぐ10039号を見つめ返す。 そして、美琴の問いに首を傾げ考えるような仕草を見せる10039号。自分達が人助けをする理由… 「勿論それもありますが、最近それとは別に、ミサカの力で困ってる人が笑顔になるなら、それはとても素晴らしい事ではないのか? と思いましたのでああいった活動を続けています、とミサカはお姉様の問いに答えます」 10039号の言葉に目を瞑る美琴。彼女が迷う事無く立ち向かってきた理由、その強い想いの根源を知った美琴は目を開き、10039号を見据える。 「…分かった。じゃあ私からはもう何も言わないわ。でも危ない事だけはしないでね? もし危ないと思ったら遠慮なく私を呼んでよね?すぐに助けに行くから」 もし、自分達の為に危険な事をするのであれば突っぱねている所だった。 だが、10039号…いや、妹達の答えを聞いた美琴は胸が温かくなる感覚を得ると、その考えを尊重し見守ることを決意する。 それでも不安は残る。だから念のため釘を刺しておくと共に、妹達の後ろには自分が付いているという事を教える。 そしてその言葉を聞いた10039号はコクリと頷くと、 「約束します、とミサカはお姉様を真っ直ぐ見つめ返答します」 元々危険な事をするつもりは毛頭ないのだが、この戦いで自分達がどれほど大切に思われているか再認識した10039号はそう答える。 すると安心したかのように美琴が息を付く。 「…あんたはちゃんと自分の力を把握してるみたいだし、当麻みたいに無茶しないだろうから大丈夫だとは思うけどね」 先程の戦いと、昼間の動きを思い出した美琴はそう呟く。 先の戦いは褒められたものではなかったが、自分の勝利条件を満たすために組み立てられた戦術、 それを実行できる力、そして無闇に突っ込まずに相手の動きを冷静に分析していた事からそう結論付けた。 その美琴の言葉を聞いた10039号は当麻の方をチラッと一度見ると美琴に言葉を返す。 「当然です、怪我をして入院などしてしまっては元も子もないですから、とミサカはしょっちゅう入院していた誰かさんの事を思い出します。 おや?ですがミサカは病院で生活していますので毎日入院している事になるのでしょうか?とミサカは混乱してみます」 首を傾げ、むむーっと唸り始めた10039号。その様子を見てふふっと笑う美琴。 …とそこに、今まで二人の様子を見守っていた当麻が近づいてきた。 「無事に終わったみたいだな。はぁ~…本当に心臓に悪かったんだぞ?」 心底安心した様子で息を付く当麻。 「心配かけてごめん。私もこの子の気持ちは分かってたんだけどね…」 当麻の言葉を聞いた美琴の顔には影が差し、そのまま俯いてしまう。 (馬鹿だなぁ…この子達の事を一番側で応援してあげなきゃいけなかった筈なのに…) きっと妹達もそうして欲しかったのだろうと思う。だが彼女達の無事を願うあまり、その前に立ち塞がる事になってしまった。 それどころか、彼女達が新しく歩き始めた道を閉ざしてしまうところだった。そう考える美琴の表情はどんどん暗いものになっていく。 その時、美琴の頭の上にぽんと手が置かれた。そして、優しく声が掛けられる。 「仕方ないだろ?誰だって自分の大切な人には平和に過ごして欲しいと思うもんなんだから。 それに、勝とうと思えばいつでも勝てたはずだ。それをしなかったのは…出来なかったのはあいつ等の気持ちを汲んでたからじゃないのか?」 「……」 「美琴は妹達の事を大切にしたかっただけなんだろ?それは決して悪いことじゃない。それに、あいつ等だって美琴の気持ちは分かってるはずだ。 だからそんな顔してないで、あいつ等の行く道を見守ってやろうぜ?なっ?」 「…うん」 右手で頭をぽんぽんとしてくる当麻の言葉とその笑顔に心が軽くなった美琴は顔を上げて10039号を見る。 すると、二人のやり取りを少し羨ましそうに見ていた10039号と目が合う。 「ミサカを差し置いて目の前でいちゃいちゃするとは…見せ付けてくれますね、とミサカはちょっぴり寂しさを感じます。 まあそれはいいとして、お二人がミサカの身を案じてくれるのは嬉しいのですが、ミサカはお二人を守れるくらい強くなりますよ、とミサカは目標を語ってみます」 胸を張り、自らの目標を語る10039号を見て、美琴はため息を一つ付く。 「…手に負えなくなりそうだから…それ以上強くならなくていいわ…」 やれやれといった感じで発した言葉に、少し笑いながら「そうだな」と言った当麻は「でもさ」と続ける。 「1万人のレベル5とかになったら凄いと思わないか?」 「おお、それはいいですね、とミサカはお義兄様の発言にノッてみます。1万人のレベル5…フフ…フフフ…」 残った妹達のレベル5移行計画を頭の中で展開する10039号は不気味に笑う。 その様子を見ていた二人は顔を見合わせ、笑みを零す。 暫くそうしていると、10039号がふと思い出したかのように美琴の顔を見る。 「そういえば、ミサカは見事勝利をもぎ取りましたので、お姉様に何を要求しましょうか、とミサカはお姉様に何をさせるか考えます」 その言葉にビクッと一度体を跳ねさせた美琴の額から冷や汗が流れる。 「うぐっ…忘れて無かったのね…。あんまり無茶な要求はしないでくれると助かるわ…」 「敗者は黙ってミサカのいう事を聞けばいいのです、とミサカはバッサリ切り捨てます」 「うぅぅ――――!」 敗者という言葉に唇を噛み締める美琴。悔しさと敗北感から再び膝を突いた彼女だったが、自分で言った手前撤回することも出来ない。 10039号は口元をニヤリと吊り上げると腕を組み、美琴を見下ろす。少しの間を置いて、では…と声を掛ける。 美琴はその言葉にゴクリ…と喉を鳴らす。この後、何を言われたとしても聞く以外に道は無い。 当麻絡みなら却下したい所だが、敗者の自分に拒否権は無い為、不安と恐怖でその表情は青ざめていく。だがそんな思考はすぐに解消される事となる。 「お義兄様とお姉様とミサカで『プリクラ』とやらを撮りに行きましょう、とミサカはお姉様に要求します」 そのあまりにも以外…というか普通の要求に暫く沈黙する美琴。そして目をパチパチさせると、 「……は?そんなんでいいの?」 「はい、とミサカは即答します。お二人と映っている写真等は持っていませんので欲しいのです、とミサカは要求の理由を述べます」 さあさあ早く、と言わんばかりに美琴を立ち上がらせると二人の手を取ってそのまま引きずる様に歩き出す。 10039号の要求に拍子抜けした美琴は薄く笑みを浮かべると、 「わかったから引っ張らないでよ!それと、当麻の手をさり気無く掴むのはやめなさいっての!」 「む、今日くらい良いではありま」「あんたの『今日くらい』は多いのよ!駄目ったら駄目!」 「敗者の癖に生意気な、とミサカは」「あんた、調子に乗るのも大概にしときなさいよ?」 「ひ、怖いです、とミサカは白々しい事を言いつつ」「はいはい、その手はもう通用しないわよ~」 「「………」」 何とかして当麻に引っ付こうとする10039号の思考を先読みして阻止する美琴。 暫く睨み合って(?)いると10039号はしょうがないですねといった感じで当麻の手を離す。 「なんだ、お前等もうすっかり元通りじゃないか、良かった良かった」 いつものやり取りを聞いて当麻がそう漏らすと、10039号が当麻の方を見て、胸を張りながら言葉を返す。 「当然です、お姉様とミサカの絆はそう簡単には壊れないのです、とミサカは誇らしげに語ります」 そう言うと10039号は美琴の右側に移動し、そのまま右腕に抱きつく。 そして、当麻の方を見て羨ましいかーといった視線を送る。すると、 「もー、暑苦しいから抱きつくなー」 と邪険に扱う美琴だが、先程の10039号の言葉が嬉しかったのか、その顔は笑っている。 「む、その言い方はあんまりです、とミサカはショックを隠しきれませんがそういう事でしたらミサカにも考えがあります」 「?」 そう言うと10039号は絡めた腕を美琴から外し、突然彼女を強く押す。 「きゃっ!」 「っと…」 10039号に押され小さく悲鳴を上げた美琴を当麻がしっかりと抱きとめる。 美琴を押した後、当麻の左側へ移動した10039号は受け止めた彼に対してグッジョブですと言わんばかりに右の親指を立てると、 「では行きましょう、とミサカは己のアシストを賞賛しつつ抱き合うお二人を促します」 「もう!突き飛ばさなくてもいいじゃない!」 「その割りに顔はニヤ付いてますが、とミサカは指摘します。 それと勝者の権限でゲーセンに付くまでは腕を組んで歩きなさい、とミサカはお姉様に命令します」 先程の言葉に加え、更に当麻に抱きとめられた事で一層顔を緩めていた美琴だが、突如放たれた追加命令に驚き、妹の方を向く。 「勝者の権限って…あんたいくつ要求する気よ!?」 「…少しは空気を読んでください、とミサカはお姉様の対応に嘆息します」 美琴の慌てぶりにため息を付いた10039号。そのくらい分かれよといった顔でふるふると首を振る。 だが、確かにあの言葉で気付けというのも酷だと思った為、仕方なく言葉を続ける。 「そこは『し、しょうがないわねぇ~』とか適当な事言ってお義兄様にしがみ付いとけばいいのです、とミサカはお姉様の真似をしつつ適当に流します」 その言葉を聞いてようやく妹の言葉の意味に気付いた美琴は顔を少し赤くする。 (全く…余計な気なんて遣わなくてもいいのに…でも…) 恐らく妹の前では過度に甘えないようにしていた自分に対してのメッセージだったのだろう。 そう考えた美琴は10039号にウインクをして『ありがとう』と合図すると、彼女も『どういたしまして』と言わんばかりに右の親指を立ててそれに答える。 そして、それを見届けた美琴は当麻の右腕に遠慮なく抱きつく。 「み、美琴!?突然引っ付かれると色々と困るのですが!?」 「命令なんだからしょうがないでしょ!ほら、行くわよ!」 「こらこら引っ張るな!それと、御坂妹もニヤニヤすんな!」 「ここにはミサカしか居ませんし、そんなに照れなくても良いのです、とミサカはもっと密着するのを心待ちにしてみます」 さあさあ遠慮なくいちゃつくのです!といった感じのオーラを醸し出す10039号。 その圧力を感じ取った美琴は、思わずたじろぐと、 「そんな期待しなくていいわよ…」 とそのオーラを受け流そうとするのだが、10039号がそれを許さなかった。 彼女はニヤリと口元を吊り上げると、『即席!お義兄様&お姉様密着作戦』を発動する。 「仕方がありません、ではお姉様の替わりにミサカがお義兄様に抱き付きま」「だから駄目だって言ってんでしょ!」 当麻の左腕にスッと近づき、抱きつこうとした10039号から当麻を遠ざけるように腕を強く引き寄せた美琴。 先程よりも密着し、その腕に美琴の柔らかさを強く感じた当麻は更に真っ赤になると、 「どわあ!?だからそんなに強く抱きつくなって!」 「おやおや、そこまでされては手が出せませんね、とミサカは抱きつくのを諦めます」 狼狽する当麻を無視し、わざとらしくため息を一つ付いた10039号は内心で自分に親指を立てる。 そしてその表情を緩めると、それを見た美琴が声を掛ける。 「…あんたもしかしてわざとやってる?」 「はて?何のことでしょう?それより遅くなるといけないので早く行きましょう、とミサカはシラを切りつつお二人を促します」 二人の対応に満足した10039号は二人の少し前を歩き出す。そして、腕を組みながらその後に付いていく当麻と美琴。 すっかりいつもの調子を取り戻した三人はゲーセンから歩いてきた道を再び歩く。 そこには賑やかな会話と、確かな笑い声が響き渡り、一度離れてしまったように見えたその心の距離もしっかりと縮まっていた。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/例えばこんな三人の関係
https://w.atwiki.jp/howlingdog/pages/31.html
アイドレス聨合通信 0416号より るしにゃん王国の彼のものによる土壌汚染や、同地でISSが治安維持活動を行っていることを受けて、るしにゃん王国政府が国土回復、およびライフラインの回復に乗り出した。 国土の回復には、リワマヒ国で栽培されている"ひゅーがあおい"を研究して生まれた同国の最新技術である生態系回復植物や、高原アララ氏お手製の土壌回復のための肥料が使用された。 これらにより、400年かかるだろうと推測されていた国土の回復を約4週間までに縮めることに成功、再び農作業が出来る土壌に戻るまでは4週間と予測され、それまでは藩王自ら国民のための炊き出しを行い、食糧の供給を行うことで何とか凌ぐことができた。 一番問題視されていた治安の回復には、政府による非常時下における犯罪行為の不問を確約する臨時法令を施行し、藩国内に出回っていた武器の没収や、乱立されていた反政府派の野党、および暴徒と化した自衛団を解体することで、暴走していた国民の沈静化に成功した。 また、国土荒廃による衛生面の悪化や治安悪化に比例するように増え続けていた病人や負傷者の救援と、連日それら国民の治療行為を行っていたISSのサーラ氏・トラオ氏の支援のために、政府による国民のための医療講習会も同時に開かれた。 講習会により正しい医療知識が広まるにつれ、病人や負傷者の絶対数も少なくなり、サーラ氏・トラオ氏の負担を軽減させることに成功、また健常な人が多くなったことで労働力の回復も達成された。 この数週間のるしにゃん王国政府による内政により、国内は一時落ち着きを見せ始めたが、インフラや施設の復旧に約2000億にゃんにゃんもの資金が必要であり、完全復興にはまだ遠かった。 アイドレス聨合通信 0503号より 「なりそこない事件」が発生して藩国内の治安低下と土地の荒廃にみまわれたるしにゃん王国、および海法よけ藩国の復興のための函ゲームが共和国の有志により行われた。 この函ゲームに向けて、アトリエメッセージという絵による復興応援活動や募金を目的とした組織が発足し、共和国全体で荒れた各藩国の国土の回復に取り組む強い姿勢がうかがわれた。 函ゲームでは、全国に向けたISSのサーラ氏のインタビューを放送。 森国人の実態を刻々と説明したことにより、森国人への他国民の意識改革が進んだ模様で、森国人に対する差別もひとまずは鎮静方向へと誘導することに成功した。 またFEGや各国からの歩兵派遣による支援も続けられており、土木関連の仕事が増えたことにより雇用機会が増えて労働人口が上昇、インフラ整備により衛生環境の改善などが図られた模様。 加えて子どもたちの教育改善も同時に行われたようで、順調に国としての機能を取り戻しつつある。 被支援国であるるしにゃん王国や海法よけ藩国でも、藩王のるしふぁ氏による復興活動やよけ藩国の主部である秘密戦艦を開放して仮居住区にするなどの努力が続けられており、国民も国の姿勢を応援している。 これらの活動を函ゲームで行い、るしにゃん王国と海法よけ藩国の復興に必要な資金を4000億にゃんにゃんから、599億にゃんにゃん+資源256万tに圧縮することができ、アトリエメッセージからの100億という巨額の募金も今回の復興の資金に充てられた。 復興に必要な支払いは資源確保等に参加する冒険隊や、各国の設定国民からの寄付から賄われることになっており、共和国政府としての動きではないため、政治的威信は大きく下がるものとみられる。 しかし、このゲームでもう一つ戦争に関する事も行う予定であったが、復興に時間がとられてしまい、目前まで迫っている天領共和国軍のtera進攻についての対応をすることはできなかった。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1066.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/例えばこんな三人の関係 三人の長い一日~尾行編~ 「今日はあの子を尾行してみない?」 とある休日、いつもの喫茶店で美琴は呟いた。 先程、さも当然のようにデートの待ち合わせに遅れてきた当麻を説教した彼女はくるくるとコップを回しながら今日の行動について提案をする。 そんな唐突な提案に当麻は目を丸くする。 「は?なんだいきなり?」 「…最近知らない人からお礼言われたり、子供から『ときわだいのおねーちゃんこのまえはありがとー』って言われたりするのよ」 「んーと?それは美琴の普段の行いが良いからでは?」 「心当たりはないのよねー。それで思ったんだけど、これってあの子達が何かやってるんじゃないかと思うわけよ」 「なるほど…それはあり得るな」 あの子達…妹達かと予想した当麻はうんうんと頷く。すると美琴はコップを置いて身を乗り出すと、 「で、よくよく考えたら普段あの子達が何してるのか全然知らないのよね」 「あー、そう言われるとそうだな」 「だから、今日は妹の素行調査をするって事でどうかな?」 「お前なぁ…別に探らなくても良いだろ?」 「いいじゃない、当麻だって気になるでしょ?」 「そりゃ…でもなぁ…」 確かに普段妹達が何をしているのか知らない当麻としても気にはなる。だが、コソコソと後を付けるのはどうかと考え、悩んでいる。 「私はあの子の姉として、学園都市でちゃんと生活出来てるのか見たいわけよ」 「そんな心配しなくても大丈夫だろ、あいつ等はしっかりしてるし」 「…たまには『お礼』したいのよ!いつもいつもからかわれてばっかなんだから!」 「おいおい…結局それかよ…んで?具体的にはどうするんだ?」 「気付かれないように後を付けるだけよ。あの子の電磁波センサーに引っかかるかもしれないから当麻に協力して欲しいんだけど、ダメ?」 美琴のお願いにため息をつく。もう何を言っても無駄だと感じた当麻は仕方なくお願いを聞くことにする。 「…で?どうやってあいつ等を探すんだ?…先に言っとくけどあの手は駄目だぞ?余計な心配かけるだろうし」 「何でよ~、別に良いじゃない。元を言えばあの子が先にやったんだから」 他に妹達を呼ぶ有効な手段が思い付かなかった為、結局例の餌を使って妹を呼び出す事にした美琴は、渋る当麻を引きずるようにして喫茶店を後にする。 公園に向かって歩いていた二人だが、その途中、偶然にもお目当ての人物が姿を現した。その人物は黒い猫を抱いている。 そして、その胸元にはキラリと光るネックレスがある事から彼女が御坂妹(10032号)だと二人は理解する。 御坂妹も二人に気付き、ペコリと頭を下げる。軽く挨拶を済ませた三人はそのまま雑談へシフトする。 「こんな朝早くから散歩か?」 「いぬの散歩です、とミサカは回答します。フフ、フフフ…」 「その言い方は語弊が…というか表情が怖いぞ…」 黒猫(いぬ)を抱いた御坂妹は不気味な笑みを浮かべる。当麻はそんな彼女を見てやや引き気味にそう呟いた。 美琴はというと、いぬに心を奪われ、そわそそわと落ち着かない様子で御坂妹といぬを交互に見ている。 「猫…、ねぇ…ちょっと抱っこさせてくんない?」 「良いですよ、とミサカは即答します」 「ありがと!当麻、ちょっと右手で背中触ってて?この子が怯えちゃうから」 美琴のお願いに頷いた当麻だが、彼女が要求した背中ではなく、その頭の上に右手をぽんっと乗せる。 彼女は少し驚いた様だったが、御坂妹からいぬを受け取った為か、何も言わなかった。 「もふもふしてて気持ちいい…あ~幸せー…」 「…」 当麻に頭を撫でられながら猫を抱っこする美琴はふにゃふにゃになった顔でいぬに頬ずりを始める。するといぬが『みゃー』と鳴く。 それを聞いた美琴は『ほふっ…』という声と共により一層顔を緩める。幸せオーラを漂わせる美琴と頭を撫でながら見守る当麻。しかし… (…これは正直面白くありませんね、とミサカはお姉様に嫉妬の炎を燃やします。 …物は試しです、とミサカは咄嗟に思いついたプランを即実行してみます) 当麻はともかく、いぬまで独占され一人になってしまった御坂妹は、寂しさと共に目の前で展開される幸せオーラの発生源に嫉妬する。 その思考が1つの答えを瞬時に弾き出と、彼女はスッと当麻の左隣に立ち、こっそっと耳打ちする。 (お義兄様、ミサカは面白くないのでお姉様の真似をさせていただきます、とミサカは宣言します。 声を出すと気付かれて死ぬかもしれませんので動かない方が良いです、とミサカは釘を刺しておきます) (は?お前何言って…?…!!!!) 御坂妹は当麻の左腕にしがみつき、そのまま腕に頬ずりを始める。すると、当麻がその身を硬直させた事に気付く。 これは面白い、と考えた御坂妹は擦り寄るように身を寄せ、目を細めながら気持ちよさそうに頬ずりを続ける。 一方美琴はというといぬに夢中で全く気付いていない。 美琴がいぬの鼻をつんつんすれば御坂妹が当麻の頬をつんつんする。頭を撫でれば頭を撫でる。いぬが『みゃー』と鳴くと… (みゃー、とミサカはいぬの鳴き真似をしてみます) 上目遣いに囁かれたその言葉に不覚にも萌えてしまった当麻は、顔を真っ赤にしてしまった。 慌てて視線を逸らす当麻だが、逸らした先で見てしまった…美琴がいぬにキスをしている所を。…という事は… (仕方がありません、とミサカはお姉様の真似をする事にします) (まてまて!早まるな!落ち着け御坂妹!) 慌てる当麻を他所に御坂妹は当麻の顔に近づいていく、当麻の視線は御坂妹に釘付けとなり、動く事ができない。 そしてあと数センチ、御坂妹の唇が触れる―――そう思った瞬間にスッと顔が遠ざかり、クスクスと笑い声が発せられた。 「フフ、本気ですると思いましたか?とミサカはお義兄様の慌てっぷりにほくそ笑みます」 「へ!?お、お前なぁ…マジでするかと思ったじゃねぇか…」 「そこはミサカの演技力の勝利という事ですね、とミサカは己の演技力の高さを自画自賛してみます」 「はぁ…もういいから離れてくれないか?」 御坂妹の悪戯にしてやられた当麻はげんなりしながらも御坂妹に離れるように言う。しかし、未だにその顔は赤く、心臓はバクバクと高鳴ったままだ。 だが次の瞬間、その顔は真っ青になる事となる。何故なら… 「そうね、とりあえず離れなさい。で?今度は一体何やってんのかしら」 「はっ!み、美琴!?こ、これは違うんだ!」 「へぇ…何が違うのかしら?なんか顔が真っ赤なんだけど、何で?」 声を出したことで美琴に気付かれてしまったようだ。その状況は御坂妹に抱きつかれて真っ赤になっているという最悪の状態。 必死に言い訳しようとする当麻だが、美琴の低い声で放たれた言葉と突き刺すような視線に死を覚悟する。とその時、横から更に燃料が投下される。 「幸せのおすそ分けを貰っています、とミサカは回答します。 更に詳しく言いますと、ミサカは先程までお姉様がいぬにしていた事をお義兄様にしていただけです、とミサカは懇切丁寧に状況を説明しました」 「待て!それはちょっと違うんじゃないか!?」 「な!?ちょっと待って…っていう事は―――あ、あんた等ぁ――――!!!」 先程の行為をさらっとカミングアウトした御坂妹に慌てる当麻。 そしていぬにしていた事を思い出した美琴は真っ赤になってその怒りを爆発させる。 そんな二人の反応に満足した御坂妹はニヤリと口元を吊り上げると、 「キスはしていませんので安心してください、とミサカは重要事項を述べます。 それでは『ごちそうさまでした』とミサカはおすそ分けのお礼を述べつつ撤退を開始します!」 サッと当麻から離れた御坂妹は流れるような動きで、美琴に抱かれているいぬの首根っこをひょいっと掴み、そのまま走り出す。 「あ!この!待て―――!!」 「待てと言われて待つミサカいません、とミサカは―――――!!」 美琴の制止を無視して御坂妹は全速力でその場を離脱する。 「~~!やられた!!当麻!」 あまりの素早さに対応が遅れてしまった美琴は当麻を睨みつけるように見て、強い口調でそう言った。 すると当麻はビシィ!っと姿勢を正す。その顔は青ざめ、若干引きつっているようにも見える。 「はい!なんでしょうか姫!?」 「言い訳は後で聞くからとにかく追っかけるわよ!折角向こうから来てくれたのにこのまま逃がしたらからかわれ損だわ!」 「え!?尾行するんですか!?」 「い・い・か・ら!早くしなさい!あんにゃろう…笑ってやがった…」 真っ赤になった顔であの一瞬、いぬを掴んだ時の妹の顔を思い出す。あの一瞬で彼女が見たのは薄ら笑みを浮かべた妹の顔だった。 あの顔を見せるときは決まって悪戯が成功した時だ。そう思うと、上手い具合に乗せられてしまった事に腹が立つ。 『ふふふ…見てなさい』っと邪悪な笑みを浮かべた美琴は、直立不動になっている当麻の右手を左手で掴むと、逃げた御坂妹の追跡を始めるのだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「いたわね…あの馬鹿妹…。ふふ…」 電柱の影で美琴はそう呟いた。追跡開始から20分程たった頃、二人は御坂妹を発見することに成功する。 一旦見失ってしまった為、半ば諦めていた美琴だったが、運よく発見出来た上、妹には気付かれていないと言う事に思わず怪しげな笑みが零れる。 「美琴さーん、オーラが怖いですよー?」 「誰の所為だと思ってんのよ、ったく…毎度の事とはいえ腹立たしいわ。それに当麻も少しは抵抗しなさいよ」 「ゴメンナサイ」 「そんなに妹が好きなのかしら?」 「そんな事は無いぞ!?…ただ美琴と同じ顔で『みゃー』は正直効いた。今までのあいつ等の中で一番の破壊力だったかもしれないのは認める。 というか、あんな不意打ち食らったらどうしようもないですよ?」 冷ややかな目で見つめる美琴に言葉を返す当麻だが、先ほどの出来事を思い出し、少しだけ赤くなる。 そんな反応を見た美琴はぷくーっと頬を膨らまし、そのまま俯いてしまった。 「み、美琴?どうした?」 突然俯いてしまった美琴に慌てる当麻。左手を自分の額に置き、しまったー、まずい事言ったかなーと思っていると美琴が顔を上げた。 が、どうも様子がおかしい。少し赤くなった顔、そして上目遣いに見つめてくる視線。なんだろう?と考えていると、彼女は思いがけない言葉を放った。 「に、にゃー」 「――――――――」 予想外の事態に当麻は完全に固まった。その瞳には真っ赤になり、ちらちらと反応を窺う美琴の姿が映っている…のかどうかは怪しい。 「ちょ、ちょっと!何とか言いなさいよ!?恥ずかしかったんだからね!?」 いつまで経っても当麻の返事が無かったのが心配になった美琴は叫びながら当麻を揺する。すると、 「――――――は!?今何が起こった!?もう一回頼む!!」 「な!?出来るわけ無いでしょこの馬鹿!」 「そこを何とか!なんか凄い光景を見てしまったような気がするんだ!!」 「~~!それよりあの子を見失っちゃうから早く尾行続けるわよ!!」 意識を取り戻した当麻はその原因=にゃーをはっきりと覚えていなかった。 ただ頭には凄いものを見た!という感覚だけが残ってしまい、もう一度見たいと懇願するが却下されてしまった為、ガックリと肩を落とす。 真っ赤になっている美琴がそっぽを向いてしまった事もあり、仕方なく御坂妹を尾行する為に歩き出すと、少し歩いた所で右手が少し強く握られた。 「…そ、そんなに言うならまたいつかやってあげるわよ…」 「!!」 俯きながら小声で囁かれたその言葉に当麻のテンションは一気に跳ね上がった。美琴の方は耳まで真っ赤になってしまっている。 先ほどまでの嫉妬は何処へやら、二人は仲良く手を繋いだまま御坂妹の尾行を開始する。っとその時、御坂妹が不意に振り向いた。 「ヤバッ!」 咄嗟に看板の陰に隠れた二人は顔を覗かせて様子を窺うと、小首を傾げながらも再び歩き出した御坂妹がいた。どうやら気付かれていないようだ。 「危な所だったわね…、でも結構スリルがあって面白いわ」 「おいおい、あんまり感心できるような事じゃないからな?」 「…今日だけ目を瞑って?ね?」 美琴のお願いにため息を付いた当麻たったが、実際彼も同じ事を思っていた。 二人は付かず離れずの距離を保ちながら尾行を続ける。暫く歩くと、当麻がいつもお世話になっているスーパーの前に到着する。 御坂妹は立ち止まると、入り口の横にいぬを下ろし、そのまま店内へ入っていった。 「どうしよう?」 「中に入ると見つかるかもしれないし、いぬがそこに居るから戻ってくるの待つか」 「そうね、…それにしても大人しいわね~あのいぬって子。あ!前足舐めてる~可愛い~」 美琴は主人の帰りを大人しく待ついぬの一挙一動に釘付けになっている。そんな彼女の緩みきった表情を見て当麻も笑みを零す。 そして10分程そうしていると、御坂妹がスーパーから出てきた。その左手には小さな袋を持っている。 彼女はしゃがみ込み、右手でいぬを抱くと立ち上がり歩き出す。っと… 「うわ!こっち来た!?」 「ど、どうする!?隠れる所は―――――こっちだ!」 御坂妹の接近に気付いた二人は電柱の影から路地の狭い通路へ素早く身を隠す。そこで御坂妹が通り過ぎるのを待つ事にするのだが… 「ふー、危ない所だった…な…?」 咄嗟に美琴の体に手を回し、路地裏に連れ込んだ当麻は自分が彼女を壁に押し付け、手を繋いだまま覆いかぶさるようにしている事に気付く。 彼女の顔との距離は10cmもなく、繋いだ手からは相手の鼓動が伝わる。それは少しずつ早く大きく脈打っていく。 「ぁぅ…」 突然の事態に顔を真っ赤に染め上げた美琴は、右手を胸の辺りできゅっと握り細い声を漏らしていた。 この後一体何をされてしまうのだろう?そんな事を考えていた美琴だったが… 「わ、悪ぃ!すぐにどくから!」 「う、うん…そ、それよりあの子はもう過ぎたのかしら?」 「そ、そうだったな。え~とあいつは~」 結局何もせずに距離を取る当麻。彼は美琴の視線から逃げるように入り口の方を見る。 すると丁度御坂妹が通過する所だった。何とか見つからずに済んだのだが、思わぬハプニングにその心臓はバクバクと高鳴り、繋がれたままの手は少し汗ばんでいる。 視線を戻すと、ちらちらとこちらを見てくる美琴と目が合った。その瞬間、彼女は恥ずかしそうに俯いてしまった。 (ど、どうしたらいいんだこの状況!?しかもこんな場所で!?) なにやらもじもじしている美琴を見た当麻は、場所が場所なだけにこの空気に耐えかねていた。一旦離れて仕切り直したい所だが、 手を離せないという状況なのでそれも出来ない。無い頭をフルに活用し、打開策を考えていると――― ~♪~~♪ っと携帯電話の着信音が響き渡る。どうやら当麻の携帯電話のようだ。 (誰だか分からないがナイスタイミング!) この妙な雰囲気をぶち壊す着信音に心の中で感謝する当麻。メロディからメールだと判断した彼はポケットから携帯電話を出すと送り主と中身を確認する。 「えーっと…お?番外個体からか、何だろう?」 空気を変える助力を得た当麻は、わざとらしくそう口に出すと内容を確認する。するとそこには… Time 2010/ ×/○□ 11 25 From 番外個体 Sub Re 78 ――――――――――――― やっほう 例のスーパーで豆腐と野菜が 驚きの価格だったよ! 豆腐は一丁40円! 大根は一本45円! これは買いでしょ! 情報のお礼は今度お姉様に内 緒で…むふふ~ 「ちょっと待てぇ!最後の一文は何だぁー!!」 「ちょっと!急に大きな声出さないでよ!それでなんて書いてあったの?」 「あ~、ああ~…うん、俺も男だ。たまには潔くいこう」 「はあ?なにワケ分かんない事言って…」 あまりの内容に思わず叫んでしまった当麻。隣で覗き込もうとする美琴を見て逃げられないと感じ、メールの中身を見せる事にする。 そして差し出された携帯電話を見た美琴は固まる。すると空気が一転、緊張したものに変わる。美琴は当麻をジト目で見ると尋問を開始する。 「何これ?」 「番外個体からのメールです。今日のスーパーの目玉商品情報」 「…この返信数の78ってのは?」 「中身を見れば分かりますが概ね激安情報です。後はたまに雑談とか近況報告みたいな感じです」 「…まあいいわ、じゃあ最後の一文についてなんだけど、私に内緒で何するつもり?」 「それは分からん。というか今までそんな話一回も無かったんだが…嘘だと思うなら履歴見てもいいぞ」 「…私に何か隠してない?やましい事は何も無いって信じてもいいの?」 「信じてもらうしかないです」 当麻を真っ直ぐ見つめて言葉を続ける美琴。当麻もまた美琴を真っ直ぐ見つめて答えていく。 すると美琴は『ふー』っと軽く息を付くと、険しくなっていた表情を元に戻す。 「分かった。じゃあ今回のは不問にしてあげるわ」 「中身は見なくて良いのか?」 当麻の言葉に対して、美琴はクスッと薄く笑みを零す。 「そんな必要ないわよ。さっきはああ言ったけど、当麻と妹達の事は信じてるから」 「そっか、ありがとな」 「というかミサカネットワーク使って激安情報のやり取りってどうなのよ?」 「俺としては凄い助かってるぞ?あいつ等がいろんな店の情報くれるから何処で何が安いか分かるんだ。おかげで家計は安泰ですよ」 「むー、私だって当麻の役に立ちたいのにー」 「美琴にはこうして側にいてくれる。それだけで十分幸せを貰ってるから、気にしなくていいんだよ」 「そう言って貰えると素直に嬉しいわ。…そんじゃ、気を取り直してあの子の追跡を再開するわよ…ってもう居ないかもしれないわね…」 当麻の言葉に少し気恥ずかしくなった美琴は繋がれた手を一度だけぎゅっと強く握ると、御坂妹の追跡を続ける事にする。 しかし、今までのやり取りで随分時間をロスしてしまった為、もう居なくなってしまったのではないかと考える。 とにかくそれを確認する為に、路地裏から顔を出してみる。すると、かなり距離は離れてしまっているが、御坂妹の後ろ姿を見つけた。 そのまま路地裏から飛び出すと、その遠ざかっていく後ろ姿を追いかけるのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 尾行を始めて1時間が過ぎ、時刻は12時になろうとしていた。 「ちょっと腹減ってきたな」 「私も。何か食べたいわね…」 「御坂妹は昼飯どうすんだろうな?やっぱり病院か?」 「ここからだと結構距離あるからそれは無いと思うけど…」 そう考える美琴は、ふと何かを思い出したかのように当麻を見つめる。 「ねえ、やっぱこういうのってアンパンと牛乳がしっくり来ると思わない?」 「お前…漫画の読みすぎだ…」 「な、なによぅ!ちょっと言ってみただけよ!」 図星だったのか美琴は少し赤くなって慌てる。そんな彼女から視線を御坂妹に移す。 すると御坂妹が街の一角にあるお店へ真っ直ぐ向かっていく所だった。 「お、なんか御坂妹に動きが…?あ、あれは!?」 「どうしたの?」 当麻の言葉に御坂妹の方を見ると、彼女が何かを買っている。 なるほど、当麻が驚くのも頷けると美琴は思った。何故なら彼女が買っているのは例の2000円もするホットドッグだったからだ。 「つか、あの子の手震えてないかしら?どうしたのかな?」 「そりゃ2000円のホットドッグなんてどこぞの上流階級のお嬢様しか食べれませんからね。貧乏人が無理して買えば手くらい震えますよ」 「いや、無理して買う理由が分かんないんだけど…」 「それもそうか…御坂妹の奴もお金持ちだったのかーショックだ…」 「何で当麻が落ち込むのよ。んで、どうする?私達も食べようか?」 「へ?何を?」 「ホットドッグよ。あの子はあっちのベンチに座って食べてるみたいだから今の内に買って、見やすい位置に行きましょ? ちゃんと奢ってあげるから心配しなくて良いわよ?あ、遠慮もしなくて良いからね。今日は無理やり付き合わせちゃってるからさ」 「まあ俺も結構楽しめてるから無理やりって事は無いけど、今日は美琴たんの言葉に甘えようかな」 「美琴たん言うな、んじゃ早速買いに行くわよ」 見つからないうちに…といった感じでサッとお店に近づく。 手早く注文を済ませた美琴は右手で器用に財布からお金を取り出すと、商品を当麻に持たせる。 そして道路を挟んで反対側のベンチに座っている御坂妹を見やすい位置へと移動する。 「ん~、座れると良いんだけどさすがに無理ね」 「仕方ないな、っと悪い、左手じゃ上手く取り出せないから頼むわ」 「しょうがないわね~、はい、どうぞ」 「さんきゅー、うん、やっぱ美味いわこれ…」 美琴からホットドッグを受け取った当麻は早速一口かじる。そして涙目…とまではいかないが、歓喜の声を漏らしている。 「普通でしょ?…ん~あの子が持ってた買い物袋の中身っていぬの餌っぽいんだけど、当麻はどう思う?」 普段余程良い物を口にしているのか大げさねと美琴は呟く。 そして妹を見ると何やら買い物袋から缶詰っぽい物を出している所だった。はっきりと見えなかった為、当麻に問いかけると、 「すまん、ちょっと飲み物取ってくれないか?」 自分の話を完全に無視した言葉が返ってきた。 「人の話を聞け!全く…」 その態度に文句を言いながらもドリンクのカップにストローを挿した美琴。 当麻の手が塞がっているため、飲ませてあげようと考えて、カップを近づける。その時、通りに男の声が響き渡る。 「引ったくりだ――!誰か捕まえてくれ―――!!」 「…当麻!」 「ああ!」 通りの反対側、御坂妹が座っているベンチの左側20m程の所に逃げる男の姿が目に入る、二人は言葉を掛け合い動き出そうとする。が、既に動いている者がいた。 それは自分達が今まで尾行していた人物。のんびりとした雰囲気を放っていた彼女がいつの間にか犯人の前に飛び出していた。 彼女は持っていたドリンクのカップを男に投げつける。すると男は顔を守るべく左手を盾にする。 御坂妹は相手の動きを見て能力者ではないと判断したのか、男に向かって走り出し、一気にその距離を詰める。 カップから飛び出した液体が男の左手に掛かると、御坂妹は男が怯んだその一瞬の隙を突いて姿勢を低くし、すれ違いざまに右の拳を男の腹に叩き込む。 男はビクン!と一度大きく跳ねるとそのままその場に倒れ、御坂妹はふぅっと息を付くと、倒れた男を見下ろしている。 その一部始終を見ていた二人は、御坂妹の鮮やかな動きに驚いていた。 「おー、御坂妹の奴すげぇな。一瞬の出来事ってこういうのを言うんだな。それにしても腹への一撃で落とすってどんな威力だよ…」 「動きに迷いも無駄も無かったわね。それとあのパンチだけど、電撃入りだと思う」 「うへぇ…相手大丈夫かよ…」 「私の電撃に比べたら可愛いもんよ。私だったら槍で打ち抜いてたわ」 「それも怖いな…、あれ?でもそれだったら何で最初から電撃使わなかったんだろうな?」 「さあ…大々的に能力を使う所を見られたくなかったとか?ん~こればっかりは本人に聞かないと分からないわ」 「お?御坂妹の周りに人が集まってきたな」 「当然でしょ?あの子はひったくり犯を捕まえた本人なんだから。…って、なんか困ってるような顔してるわね。 あ、逃げた…全くあの子は…もうちょっと愛想よくしてあげても良いのに…」 男を倒した御坂妹は投げつけたカップを拾いゴミ箱に捨てていた。そこに被害者の女性や協力者や野次馬やらが集まり、女性からは頭を下げられている。 礼には及ばないと言った様子で両手で頭を上げるように促す彼女だったが、 人が集まりすぎてしまったためか、ベンチにいるいぬと袋を手に取るとそのまま走り去ってしまった。 残された人たちは突然逃げ出した彼女に呆然としていたが、風紀委員が到着すると同時に野次馬は蜘蛛の子を散らすように去り、通りはいつもの風景に戻っていった。 「げ、あれは黒子…当麻、逃げるわよ」 「確かにあいつに見つかると色々面倒だ!それに御坂妹も追わないとな!」 「はっ!?そうだった!ってかいつの間にか当麻もノリノリじゃない!」 風紀委員の中に白井黒子の姿を確認してしまった二人は颯爽とその場を後にし、走り去った御坂妹を追いかける。 程無くしてターゲットを見つけた二人は、その後も街中を歩き回り、 風紀委員顔負けの治安活動や困った人を助けるといった御坂妹姿を見て、感心しつつも尾行を続けていく。 そして午後3時を回り、公園の近くまで戻ってきた御坂妹はおやつの時間だと言わんばかりにクレープを買い、公園に向かって歩いていく。 その姿背中は時折立ち止まり、手を動かしている。どうやら歩きながら食べているようだ。 「うー、ねえ当麻」 「はいはい、何にする?」 「さっすが!分かってんじゃない!」 「あれだけ物欲しそうな目してたら誰でも分かるって。ほら、早くしないと見失うぞ?」 「えーっと、じゃあね~…」 美琴の様子からその心中を読み取った当麻は彼女を促す。 すると彼女は待ってましたと言わんばかりにクレープを買い始める。そして、当麻にもクレープを強引に買わせ、御坂妹の後に続いて公園内に入っていく。 御坂妹は公園内のベンチに腰掛けると、いぬをベンチの上に降ろし、殆ど減っていないクレープを食べ始めた。 二人は御坂妹から10m程の距離にある茂みの中から顔を出して様子を窺っていた。 「ちょっと遠いわね…それに横からだから表情が見えづらいわ…」 「他にいい場所無いからな…正面だと絶対見つかっちまうし…」 「それにしても、さっきも思ったんだけど、あの子食べるの遅いわね。半分も減ってないじゃない…」 「んむ?ふぉふふぁ?(ん?そうか?)」 「行儀悪いから食べながら喋らないの。それよりそっちのちょっと貰っていい?」 「ん、ほれ。あ~ん」 「ちょ、ばか…そんなこと言わなくてもいいから…」 当麻のあ~んと言う単語にちょっぴり恥ずかしくなった美琴は、ごにゃごにょ言いつつも差し出されたチョコクレープをぱくっと食べる。 「ん、おいし。それじゃあ今度はこっちの番ね!はい、あ~~ん」 「お、おう…」 満面の笑みでいちごクレープを差し出す美琴。その仕草、言動にドキっとした当麻が一口食べようと顔を近づけた時… 『ガサガサ!』という音が聞こえた。それに驚いた二人は慌てて音のした方を見る。すると… 「みゃー」という鳴き声が聞こえてきた。どうやら猫だったようだ。その事に二人は胸を撫で下ろす。 美琴は改めてあーんを実行しようとしたのだが、当麻の頬にクリームが付いてしまっていることに気付く。どうやら先程驚いたときに付いてしまったようだ。 (えーと、単純に拭き取るべきなんだけど、手は塞がってるし、拭く物も無いわね。 …………えーっと?これってチャンス?いや、でもさすがにそれは…普通ここは指で掬って舐め取るのがセオリー…なんだけど…よし!) なにやら考え込んだ美琴は、1つの答えを出す。そして意を決すると当麻に少しずつ近づく。 「当麻、頬にクリームが付いてるから取ってあげる。そのまま動かないでね」 「!」 瞬間、美琴はスッと当麻の顔に自分の顔を寄せ、頬に付いたクリームをペロッと舐め取る。 するとその感触に気付き、美琴の方を向いた当麻と目が合う。そして二人は揃って顔を真っ赤にさせると… 「な、何をしているのですか美琴サン!?」 「だ、だって手塞がってるし他に方法無かったし…それに…ちょっとやってみたかったし…」 「…超恥ずかしいのですが…」 「…嫌だった?」 「嬉しいのですが、あまり精神衛生上よろしくないので程々にしてください」 「私も自分でやってみて恥ずかしくて死にそうだからそうするわ。でも、美味しかったわよ」 「ぶふー!な、なんつー事言い出すんだ!」 美琴の発言に驚いた当麻は口に含んでいたクレープを噴出してしまった。 「へ!?ち、違う違う!美味しかったのはクリーム!勘違いしないでよね!?」 「あ、ああ…そっちか…びっくりした…」 先ほどの行為ですっかりテンパっていた美琴は自分の言った事を理解し、慌てて誤解を解く。 当麻も自分が勘違した事を理解し、ほっと胸を撫で下ろすが、勘違いするような言い方すんなよ…と内心で突っ込むのであった。 そして気恥ずかしいおやつタイムが終了すると、改めて御坂妹の様子を窺う。すると猫じゃらしのような物でいぬと遊んでいる所だった。 左右に走り回り、ピョンピョン飛び跳ねるいぬだったが、暫く遊んでいると疲れたのか御坂妹の膝の上に乗って丸くなり、そのまま寝てしまったようだ。 そんないぬを優しく撫でる御坂妹の様子を微笑ましく見つめる二人だったのだが… 「あの子はいつもこんな事をしてたのかな…」 「…」 「ごめん、あの子に謝ってくるね。仕返しなんて考えてた私が馬鹿だったわ」 「…だな、俺も一緒に行く」 二人は尾行中に見てきた御坂妹の行動やいぬを見つめるその優しげな表情に罪悪感を感じ、尾行した事を打ち明けて、謝罪する事を決意する。 ガサガサと茂みの中から出ると、そのまま御坂妹の元に歩いて行く。そして目の前に立つと深々と頭を下げる。 「ごめんね、今朝あんたと別れてからずっと後付けてたの」 「悪かった、御坂妹」 頭を下げたまま平謝りする二人。この後何を言われるか分からない、何を言われてもおかしくは無いと不安になっていると… 「…ミサカを尾行して何が面白いのですか?とミサカは怒りを露にします」 「ご、ごめん。いつもからかわれてばっかりだから…それで…」 「そうですか、お姉様はミサカを尾行して弱みを握ろうと考えていたのすね、とミサカはお姉様の狙いを予測しつつ睨みつけます。 それでお義兄様も一緒になって面白がっていたのですか?とミサカは問いかけます」 「…すまん」 「待って!当麻は止めようとしてくれたの!悪いのは私だから当麻を怒らないで!」 「いや、実際俺も楽しんでたし、美琴だけの所為じゃないから。怒るなら一緒に怒ってくれ」 「目の前で庇い合いですか…、とミサカは嘆息します」 あまりにも冷たい妹の視線と態度に美琴は涙目になり肩を震わせている。そんな彼女の盾になるように当麻は少しだけ前に出る。 すると御坂妹は先ほどまでの険しい表情をスッと緩めると、口調を先程より柔らかくした。…いや、ニヤリと怪しい笑みを浮かべている。 「では、今日は楽しめましたか?とミサカはお二人に問いかけます。 とは言ってもお二人がミサカを尾行しながら楽しんでいたのは知っていましたが、とミサカは重大な事実を打ち明けます」 「…?」 「どういう事だ?」 先程と打って変わって怪しげな笑みを浮かべるその姿に二人は状況が理解できずにいる。 そんな二人をあざ笑うかのように御坂妹は言葉を続ける。 「ミサカは始めから気付いてました、とミサカは報告します。 その上でわざと尾行させてお二人の様子を窺いながらデートのお手伝いをしていたのです、とミサカは懇切丁寧に説明しました」 「…え?」 目を点にしている美琴を見た御坂妹はもうこれ以上無いというくらいニヤニヤした笑みを浮かべると、 「ミサカとしては先程の茂みの中での痴態(頬舐め)は正直驚きましたが、とミサカはお姉様の大胆さに頬を赤らめます」 「ちょ、ちょっと!何でそんな事知ってるのよ!?」 「フフ…どうやらお二人は気付いていないようですね、とミサカは勝ち誇ります。 ではあちらをご覧ください、とミサカは自販機を指差します」 二人は御坂妹が指差した方向を見るとそこは先程自分達がいた茂みのすぐ横だった。 そしてそこにある自販機の後ろから顔を半分だけ出した御坂妹(10039号)がじぃ…とこちらを見ているのが見えた。 「み、御坂妹!?まさか俺達つけられてた!?」 「嘘…全然気付かなかったわ…。!!もしかしてさっきの猫の鳴き声って!?」 「あのミサカ(10039号)です、とミサカは報告します。では今度はあちらをご覧ください、とミサカは更に指差します」 今度は高層ビルの屋上を指差す御坂妹。するとそこから強烈な電撃が発せられた。 「あの力…番外個体!?」 「はい、とミサカは返答します」 「なんだってあんな所に?」 「10039号は集音、番外個体は双眼鏡で映像の入手と担当があったためです、とミサカは種明かしをします」 つまり、声と映像の入手方法が別々であっても彼女達にはミサカネットワークで記憶の共有をしているので頭の中で合成してしまえば良いという事だ。 完全に予想外の事態、そして事の詳細を聞いた美琴はその場に力なく座り込む。 「…は、はは…はぁ~…よ、良かったぁ…嫌われたのかと思ったわよぉ~」 「申し訳ありません。少々悪戯が過ぎたようです、とミサカは先程の演出を謝罪します」 尾行した二人が謝罪しに来ることを10039号の情報から知っていた御坂妹は、ちょっとした意地悪をしてみたかったようだ。 だがその裏で、こういう流れにすることで自分達の尾行を有耶無耶にしようというしたたかな考えがあったりもする。 「なあ御坂妹、一体いつ気付いたんだ?」 「朝、お二人が看板の裏に隠れたときにお義兄様の髪の毛が見えましたので、とミサカは返答します」 「うぅ…もしかして全部見てたの…?」 「ええ、全部見ていました、とミサカはミサカネットワークに配信された痴態を思い出します。フフ…フフフ…」 「はぅぅ…」 尾行中のやり取りを全部見られていた上、妹達全員に知られたという事実に真っ赤になって小さくなってしまった美琴。 だが、元々自分の所為というのもあって怒ることもできない。それを知ってか知らずか…御坂妹が畳み掛ける。 「お姉様が能力を封じたおかげで動きやすかったですよ、とミサカは追い討ちをかけてみます」 「くぅぅ…」 自分の能力を封じることで尾行に気付かれないようにしていた事が逆手に取られてしまうなんて考えていなかった。 完全敗北を喫した美琴はガックリとうな垂れるが、「はは…」と小さく笑うと吹っ切れたかのように顔を上げる。 「あ~もう!あんた達には敵わないわ!ねえ、この際だからいくつか聞きたいことあるんだけどいいかな?」 「なんでしょう?とミサカはお姉様の質問事項を待ちます」 「えっと、私達があんたを見失わなかったのって、私達が来るのを待ってたの?」 「はい、番外個体の情報を元に距離を把握していましたので、とミサカは回答します」 「なるほどね、じゃあ次だけど、ホットドッグ買った時に手が震えてるように見えたんだけど何で?」 「…それはミサカのバイト代が大幅に消えてしまったからです…、とミサカは涙ながらに語ります」 「は?じゃあ何であそこで買ったんだ?」 「雰囲気作りという奴ですよ、とミサカは返答します。それにあの近くには他に店がありませんでしたので、とミサカは学園都市の不便さに嘆息します」 「それよりあんたバイトなんかしてたの?全然知らなかったんだけど、何してるの?」 「夜の労働です、日によって忙しさは違いますが、意外に儲かります、とミサカは答えます。 ですが妹達が日替わりで働いているので分け前は少ないのです、とミサカは貧乏人であることを赤裸々に告白します」 いつまでも冥土返しのお世話になるのもどうかと考えた彼女達は自分の維持費を稼ぐことにしたのだが、クローンである彼女達には正規の働き口は無い。 そこで冥土返しに仕事の紹介をしてもらい、その仕事を交替でこなし、 維持費を抜いたお金を学園都市組みで均等に割って、小遣いとしていた事を説明するのだが… 「夜の労働!?あんた変なことしてないわよね!?」 美琴は細かいことを聞き流し『夜の労働』という単語に反応する。 そんな彼女の反応に呆れた御坂妹は大きくため息を付くと補足説明を始める。 「正確には昼間出来ない学園都市内の工事や修復、発電設備の替わりに電気を供給するといったような内容です、とミサカは懇切丁寧に説明しました。 お姉様が考えているような事は無いです、とミサカはお姉様の盛大な勘違いっぷりをせせら笑います」 「そ、そうなの?私はてっきり『実験』の時みたいな事をしてるんじゃないかと思って…」 「そっちですか!とミサカは予想の遥か上空を通過したお姉様の発言に戦慄しつつも突っ込みます」 「あんたは何だと思ったのよ?」 「それは後でお義兄様にでも聞いてください、とミサカはお義兄様にパスします」 「変なところで振らないでくれますか!?それすっごい困るから!」 「それが目的ですから、とミサカはお義兄様の慌てっぷりにほくそ笑みます」 「??」 狼狽する当麻をニヤニヤ見つめる御坂妹。当麻はぬおーと唸っているが、美琴は何の事か分からずに?マークを浮かべている。 心の中で『このお子様め』と吐き捨てた御坂妹はいぬを抱きかかえると立ち上がる。すると10039号、番外個体が近づいてきた。 「ミサカの華麗な隠密スキルはどうでしたか?とミサカ10039号は己の尾行術を誇ってみます」 「ミサカもいいポジション確保の為にあちこち飛び回ったよ」 10039号は親指を立て、番外個体はVサインをもって挨拶をする。すると美琴は一気に疲れたような顔をする。 「あんた等が悪戯する時のその異常なまでの団結力には恐怖すら感じるわ…」 「…それは褒め言葉として受け取っておきましょう、とミサカ10039号は強引に褒められた事にしてみます」 「いや、どう考えても褒めてないから…というか今日はあいつ(19090号)は一緒じゃないのか?」 もしかしたらまだどこかに潜んでいるのか!?という考えに思い当たり、キョロキョロと辺りを見回す当麻。 その明らかに挙動不審な動きになってしまっている彼を見かねた番外個体が当麻に言葉をかける。 「ああ、あの個体はチェック中だからここには居ないよ、 ミサカとそのミサカ(10032号)もこれからチェックがあるからそろそろ病院に戻る事にするよ」 そう言うと御坂妹&いぬと番外個体は「では」「じゃあねー」と別れの挨拶をすると、背を向けて歩き出す。 その場に残された当麻、美琴、ミサカ10039号は二人の背中を見送る。そして二人が視界から見えなくなった所で美琴が口を開く。 「さて、私達はどうしようか?私としてはゲーセンに行きたいんだけど」 ここまで散々弄ばれた美琴は暴れたいーというオーラを周囲に撒き散らしている。 それを当麻と10039号は敏感に感じ取る。 「俺は構わないぞ?御坂妹はどうする?」 「そうですね…お二人のお邪魔でなければご一緒します、とミサカは行きたい気持ちを押さえ気を使ってみます」 「遠慮すんなよ、御坂妹なら大歓迎だ」 「そういう事。それと覚悟しなさいよ?ゲーセンでボコボコにやり返してあげるから!!さー行くわよ!」 「…ミサカは早くも後悔しています、とミサカは…」 こうして二人の尾行劇は終わりを告げる。 結果として、『また』妹達に遊ばれてしまった二人。美琴はリベンジを宣言をすると、 10039号の腕を掴み、半ば強引に引きずりながらゲーセンへと連行していくのであった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/例えばこんな三人の関係
https://w.atwiki.jp/sinsetsuz/pages/74.html
『3、2、1!どっかーん!!わ~い!! なぜなにZEUTH~出張ライブ~』(ナレーション:キラキラコンビ、題字:ブライト艦長) キラ「ぱっぴー♪キラキラコンビのツッコミことキラ・ヤマトです」 キラケン「オッス!!キラキラコンビボケ担当の吉良謙作こと、キラケンじゃい」 キラ「逆だよね?普通キラケンこと吉良謙作じゃないの?」 キラケン「はっはっは、早速ツッコミが入ったのう」 キラ「ハイ、という訳で始まりましたねキラケンさん。なぜなにZEUTH出張ライブが」 キラケン「うむ、歌で思いを伝える、実に素晴らしいことだわい」 キラ「テレビの前の皆にも伝わってるかな~今僕たちはザフト特設ライブ会場にいます。 ステージではなぜなに~の黒ウサギ君とお姉さんが新曲を熱唱しています!!」 黒ウサギ『破壊せよ破壊せよ破壊せよ破壊せよ破壊せよ破壊せよ破壊せよ破壊せよ破壊せよ!!』 お姉さん『粉砕しろ粉砕しろ粉砕しろ粉砕しろ粉砕しろ粉砕しろ粉砕しろ粉砕しろ粉砕しろ!!』 黒ウサギ・お姉さん『『運命をぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!』』 キラケン「うむぅ…二曲目にして既に凄い盛り上がりじゃのう…」 キラ「あ、黒ウサギ君がギターを破壊した…えっと、今二人が歌ってるデスメタルは今度リリースされるアルバムに収録されてる一曲 『HAKAI☆HUNSAI☆デスティニー』で~す」 キラケン「おうぅ、興奮したカツがステージに昇ったぞ」 キラ「あ、シ…黒ウサギ君のネリチャギが綺麗に入った…」 黒ウサギ『僕は君を信じたから~』 キラケン「おお…一転して甘いめろでぃーになったのう」 キラ「リクエストから『飴玉の唄(黒ウサギ君カバーver)』に入ったみたいだね」 黒ウサギ『困るでしょうって更に泣く あんまり困らないよ飴玉あげる~』 キラ「うわ、黒ウサギ君今観客に向けてウインクしたッ」 キラケン「うむ、このライブの熱気にあてられて、奴もまた黒ウサギといういつもの殻を脱ぎ捨てて、 一人の男になったんだのう…熱いわい!!」 キラ「ていうか黒ウサギがいつもの彼の殻なのッ!?」 黒ウサギ『僕は嫌だよ、君がいいよ離れたくないな~』 セツコ(ウルウル…////////) キラ「振り付けで指差し、ウインク、投げキッス、サービスのオンパレードだね…」 キラケン「ほほう、見てみい相棒。セツコちゃんの顔を」 キラ「うわぁ…真っ赤になって涙ぐんでる。大人数のライブ会場で自分一人の為だけに歌ってくれるって結構クるんじゃないかな」 黒ウサギ『飴玉食べた君が笑う~』 セツコ(/////////) キラ「カッコイイね~(ウサギだけど)」 キラケン「かっこいいのう(ウサギじゃが)」 キラ「でもさ、キラケンさん」 キラケン「うむ?なんじゃい相棒」 キラ「何でセツコさんの周囲の女の子達も黄色い声上げてるんだろ?」 キラケン「うむぅ…ようわからんのう。もしかして、自分に送られた歌だと思うておるんじゃないのかのう」 キラ「あっはっは!!まさか、そんな都合の良い思い込みするような人がZEUTHに……」 キラケン「……相棒、ていくいっといーじーじゃい。なるようになるじゃ」 キラ「そうだね、何かあっても黒ウサギ君の問題だしね!ちなみに、今日ライブに来れなかった人もご安心。 今ならラクスが良心価格1万円でライブDVDを販売する予定で~す!!」 キラケン「うむ、まぁはぐれ機械獣あたりを撃墜すれば済む金額じゃのう」 キラ「なんかはぐれメタルみたいだね。では、実況のキラ・ヤマトと」 キラケン「みんなのキラケンの」 キラ「キラキラコンビがお送りしました~」 キラキラコンビ「まっ種~♪」 前へ戻る 次へ進む
https://w.atwiki.jp/etcranking/pages/1999.html
J1 2001年 年間総合 順位と得失点差の関係 2001年参加チーム(16チーム) 去年から引き続き参加チーム 鹿島アントラーズ ジェフユナイテッド市原(現 ジェフユナイテッド市原・千葉) 柏レイソル FC東京 東京ヴェルディ1969(現 東京ヴェルディ) 横浜F・マリノス ジュビロ磐田 清水エスパルス 名古屋グランパスエイト(現 名古屋グランパス) ガンバ大阪 セレッソ大阪 ヴィッセル神戸 サンフレッチェ広島 アビスパ福岡 今年から参入 コンサドーレ札幌 浦和レッドダイヤモンズ ランキング表 順位表 順位 クラブ名 順位と得失点差の関係 順位 得失点差 順位と得点の関係 順位 得点 順位と失点の関係 順位 失点 1 鹿島アントラーズ 得失点差は下位 3 15 得点は下位 6 57 失点は下位 2 42 2 ジュビロ磐田 得失点差は上位 1 37 得点は上位 1 63 失点は上位 1 26 3 ジェフユナイテッド市原 得失点差は下位 6 6 得点は下位 4 60 失点は下位 12 54 4 清水エスパルス 得失点差は上位 2 17 得点は上位 2 62 同じ 4 45 5 名古屋グランパスエイト 同じ 5 11 得点は下位 7 56 失点は上位 4 45 6 柏レイソル 得失点差は上位 4 12 得点は上位 5 58 同じ 6 46 7 ガンバ大阪 同じ 7 2 得点は下位 8 50 失点は下位 9 48 8 FC東京 得失点差は下位 9 0 得点は下位 9 47 同じ 8 47 9 サンフレッチェ広島 得失点差は上位 8 1 得点は上位 3 61 失点は下位 15 60 10 浦和レッドダイヤモンズ 同じ 10 -2 同じ 10 44 失点は上位 6 46 11 コンサドーレ札幌 同じ 11 -7 同じ 11 43 失点は上位 10 50 12 ヴィッセル神戸 同じ 12 -11 同じ 12 41 失点は上位 11 52 13 横浜F・マリノス 同じ 13 -12 得点は下位 16 32 失点は上位 3 44 14 東京ヴェルディ1969 同じ 14 -19 同じ 14 38 同じ 14 57 15 アビスパ福岡 同じ 15 -21 同じ 15 35 失点は上位 13 56 16 セレッソ大阪 同じ 16 -29 得点は上位 12 41 同じ 16 70 トップページ ねーむ コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/530.html
2020年8月9日 出題者;従業員よっしー タイトル:「偽りの関係」 【問題】 よっしーは、せっかくコシノからもらった絵をポイしてしまった。 一体どうしてだろう? 【解説】 + ... コシノ「いらっしゃーい!本日オープンの居酒屋『てすてすと』でーす。 よろしくお願いしまーす!」 コシノは居酒屋の店員。店の前でビラ配りをしている。 ビラは、手書き風のメニューで料理や飲み物の絵がたくさんかかれている。 よっしーは取り敢えずビラを受け取りメニューに目を通したが、 まったく興味がなかったのでそのままビラをゴミ箱へポイしたのであった。 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/47263.html
登録日:2021/02/10 Wed 11 55 20 更新日:2024/09/26 Thu 21 12 05NEW! 所要時間:約 21 分で読めます ▽タグ一覧 ナレーション メタ発言 不自然 創作 富山敬 説明 説明しよう! 説明セリフ 説明台詞 説明役 都内某所にて、電話の着信音が鳴った。 「はい、もしもし、アニヲタです。 あ、冥殿さん。23時に、家でくつろいでる俺のスマホに電話してくるなんて、どうしたんですか? え?アニヲタWikiに『説明台詞』の項目を立てて欲しい? そんな、ただのWiki篭りの俺が、あの4万以上の項目を持ち、10年以上の歴史を持つアニヲタWikiに項目建てなんて… たしかに、半年以上ROMり、さらに1年間追記・修正してきましたけど、まだ早いかな…って。 え?冥殿さんのアナルを?わかりました、やってみます!」 そう言って、彼は満面の笑顔で電話を切った。 説明台詞(せつめいゼリフ)とは、↑こういう感じのセリフである。 目次 ■概要 ■説明台詞の種類1. 解説型説明台詞 2. 復唱型説明台詞 3. 伏線的解説台詞 4. ナレーション・天の声 ■説明台詞の問題点 ■解説キャラ ■有名な説明台詞&解説キャラ ■無知キャラ ■余談 ■概要 我々は「常識」というものを持ち、それを利用することで会話をスムーズにしている。 例えば、筆者が「クリスマスの日、東京スカイツリーに一緒にいかない?」という問いかけをした時、日本人の女性なら「あ、その日は用事があるので無理です」と即答してくる。 これは、この問いかけにどういう意味があるのか、固有名詞である「クリスマス」や「東京スカイツリー」とは何なのか、お互いに常識により分かっているからである。 しかし、常識を共有できない相手、例えばイスラム圏の子供に同じことを言えば、 「クリスマスとはいつだ?東京スカイツリーとは何だ?どこにある?どうやって行く?いつ発動する?」 と返してくるだろう。 この場合、「グレゴリオ歴で12月25日にあたる日に、日本国の東京都墨田区にある高さ634メートルの電波塔、東京スカイツリーに飛行機や電車を使って一緒にいかない?」と説明を交えて問いかける必要がある。 常識を共有できない相手としゃべる場合、こういった説明的な話し方が必要になるのだが、これはマンガ・アニメに登場するキャラと、我々現実世界の人間にも同じことが当てはまる。 架空の世界の人間と現実の人間とでは、常識にズレが生じるのは当たり前だからだ。 また、コンピュータゲームでゲーム内で操作などの説明にも使用される。 そのため、「作中世界では当たり前で省略すべきこと、あるいは、発言する必要のない・発言すべきではないことなのに、読者・視聴者に説明するためにあえて追加された発言」つまり説明台詞が登場するのである。 ■説明台詞の種類 国語学によれば説明台詞は9種類に分類できるそうだが、分かりにくい分類や廃れた文化もあるため、当項目では下記のように分類し、それぞれ説明していくこととする。 なお、これらの説明台詞は併用されることもある。 1. 解説型説明台詞 初めて読んだ漫画に A「おい、氷帝が不動峰に負けたらしいぞ!」 B「おいおい、嘘だろ?」 という会話があったとしよう。 この会話だけを聞いても、読者は「氷帝とかいう存在は、不動峰とかいう存在に負けるのがありえないくらい実力差があるらしい」ということが何となく伝わってくるぐらいが精々で、ほぼ何も分からないのが普通だろう。 なぜなら、それらのことも、この世界の常識についても、読者は何も知らないからだ。 ↑上記の会話を解説型説明台詞に変換すると ↓こうなる A「おい、中学テニスの地区予選で氷帝学園が不動峰中学校に負けたらしいぞ!」 B「あの、200名以上の部員数と圧倒的な予算を持ち全国大会常連の氷帝学園が、毎年地区予選敗退で部員数もギリギリの不動峰中学に敗北しただって?!冗談だろ?」 おぉ、分かりやすい。これなら何があって、それがどういうことなのか、我々にもばっちり分かる。 この、読者に状況を分かりやすく解説するために意図的に追加・延長されたセリフが解説型説明台詞である。 本来こういった前提知識は、本編とは別の場所で解説すべきことであろう。 しかし、マンガやアニメではページ数や放送時間に限界がある上、文字だらけのページや単調な解説は読者や視聴者に見向きもしてもらえないことが多い。 そこで、こういった会話を含めることで、わざわざ解説のためのページを設けたり、設定資料集を買わせたりすることなく、世界観を読者に伝えることができるのである。 吉本新喜劇ではこの解説型説明がギャグとしても使われる。 よくある例としては 借金取りが催促に来ると、舞台になる場所(喫茶店や旅館など)の買い上げを狙う不動産屋が買い上げを前提に借金の建て替えを相手に提案 相手から何らかの形で矛盾(借金取りと不動産屋は初対面のはずなのにお互いの名前を知っている等)を指摘される 最終的には借金取りが「あ~これ以上言うな!言うと我々と不動産屋がグルになってこの土地の買い上げを狙ってることがバレてしまう!」と長々説明台詞をしゃべりバレる というものがある。 他にも逃げてきた相手を隠す際、匿った場所の前に立ち「ここには絶対におらん!!」と叫ぶネタもあり、これも解説型の派生と言えよう。 2. 復唱型説明台詞 アニメにて、Aに電話がかかってきたとする。 A「はい、もしもし……え、なんですって!?……それで場所は?!分かりました、すぐに向かいます!」 こう応答したとしよう。 内容が完結していないが、電話なので片一方の話しか伝わっていないため、特におかしいことではない。 しかし、これだけ聞いたとしても、視聴者は「何かとんでもないことが起きて、Aはどこかに行くんだな」くらいしか分からない。電話の相手が何をしゃべっているか聞こえないからだ。 ↑上記の内容を復唱型説明台詞に変換すると ↓こうなる A「はい、もしもし、毛利です。え、なんですって?!犯人から『暗号つきの爆弾を仕掛けた』との犯行声明が届いた、ですって?!なるほど、そこで名探偵である私、毛利小五郎の力を借りたい、というわけですね。それで場所は?!米花シティービルですか…分かりました、すぐに向かいます!」 おぉ、分かりやすい。聞こえていないにもかかわらず、電話の相手が何を言ったか、手に取るように分かる。 こういった「電話の相手が言ったことを復唱する」ことで、何を話していたかを読者にも説明させる現象が復唱型説明台詞である。 相手が何をしゃべったか、を視聴者に伝えたいのであれば、電話の内容をそのまま視聴者に伝えればそれですむのだが、以下の理由で度々用いられる表現でもある。 編集の都合 相手が何をしゃべっているか、いちいち電話相手にシーンを切り替えたり、相手の声を編集で差し込むのが面倒くさい、または技術的に難しい場合に。 演者の都合 しゃべっている相手の俳優・声優をまだ出演させられない(させたくない)場合。 演出の都合 電話の話し相手やセリフの内容を隠したり、読者・視聴者に想像させたい場合などに。特定のセリフを強調する効果もある。 逆に言えば、会話の内容を吹き出しで簡単に入れられるマンガでは、この表現はあまり見られない傾向にある。 なお、電話で聴いた内容をリアルタイムで周囲にいる人間に伝えるため、あえて復唱型説明台詞を使うのは現実にもよくある話だったり。 一昔前までは、こういった説明台詞は電話(稀に手紙も)でしか用いられなかったが、平成期以降急増しているのが主人公が喋らないゲーム作品におけるパートナーのセリフである。 主人公のセリフを表示できない関係上、主人公の相棒やヒロイン、会話相手が主人公の言った内容を要約した上で復唱することが増えてきているのだ。 A「え?一人じゃ危険だから私にもついてきて欲しいって?しょうがないわね、つきあってあげるわ!」 こんな感じである。 普段は主人公の言ったことをほぼ全部復唱するクセに、先のストーリーのネタバレ防止のため、大事な部分だけははぐらかすパートナーにイライラした人もいるのでは? また、電話を切った後に他の登場人物に説明をするパターンもある。こっちの方が自然である。 3. 伏線的解説台詞 巨大な氷を目の前にしたA達 A「この氷、リザードンの火炎放射で溶かせないか?」 B「こんな巨大な氷、リザードンだけじゃ何時間もかかる。それじゃ間に合わない」 こんなシーンを想像して欲しい。 『リザードン』という存在は火炎放射を使えるようだが、どうやら力不足らしいことが分かる。 これを1.で紹介したような解説型に変換することもできるが、この項で紹介するのはそうではない。この会話に伏線としての解説を仕込むのである。 ↑上記の会話を伏線的説明台詞に変換すると ↓こうなる A「この氷、リザードンの炎で溶かせないか?」 B「こんな巨大な氷、例え 伝説の炎ポケモン、エンテイがいたとしても何時間もかかる。それじゃ間に合わない」 言っている内容は全く同じだが、『エンテイ』なる新たなる存在を読者に提示している。 エンテイが何者なのか、どんな能力なのかはAやBは常識として知っているようだが、読者には分からないし、この場合、分かってもらう必要もない。 しかし、このセリフ一つで、読者の中では「エンテイってのはリザードンよりも強いのか、どんな存在なんだろう」と想像を膨らませることができ、 また、実際にエンテイが登場した際には「あ、こいつがBの言っていたエンテイか!」と伏線のような役割を果たすのである。 この伏線の便利なところは、必ずしも回収する必要がないことである。 普通であれば、伏線を用意したのに回収しないと「あの意味深な会話はなんだったの?」「結局、あの手紙はなんだったんだ」とモヤモヤが読者に残るが、伏線的説明台詞であれば最後までエンテイとやらが登場しなくても、おかしな話ではない。 この点で、伏線としては気軽に扱いやすい部類に入る。 もちろん伏線として用意した以上、後で「リザードンよりすごい炎を出せるポケモンはいない!」なんて矛盾した説明をしてしまわないようには気を付けなければならない。 4. ナレーション・天の声 「え、これが?」と思う人もいるかもしれないが、実はナレーションも説明台詞の一種である。 本来、作中で A「日本中を旅している我々ですが、ご隠居、そろそろ紀伊の国に入りますよ」 という解説型説明台詞が入るところを、 ↑これをナレーションに変換すると ↓こうなる ナレーター「日本行脚の旅を続けるご老公様一行は、紀伊の国に足を進めている所であった」 こんな感じの文章が、作中の人物ではなく、ナレーターによって語られるのだ。 我々は表現として慣れ切ってしまっているので違和感は無いものの、こんな説明がどこからともなく、誰の声かもよくわからないままされているのは、冷静に考えればおかしいだろう。 作中の登場人物がナレーションが流れていることに気づきもしないのも、改めて考えれば不気味に思えてくる。 実際、生活水準があまり高くない国の貧しい人たちにテレビの映像を見せると、口の動きと声が合っていないこと、人が映っていないにもかかわらず声が聞こえてくることに混乱・恐怖することも少なくないという。(*1) 小説では地の文やト書きになるところも、映像作品では画面に文章を表示して視聴者に読ませる、という表現はとりにくいのである。 しかし、何でもかんでも作中の人物に説明させていたのでは演者の負担が大きくなる上、セリフが増えるにつれ、重要なセリフの印象が薄くなる問題がある。 取るに足らないようなことであれば、ナレーションでサラッと流してしまうのも致し方ないだろう。 また「その時点では、登場人物の誰もその事実を知らない」ような内容を解説する場合、作中の人物に話させるワケにもいかないため天の声の出番になる。 ■説明台詞の問題点 読者・視聴者に分かりやすく状況や物事を説明してくれる説明台詞だが、なんといっても「不自然」という大きな問題がある。 キャラが「あの鍛冶師の悪事を王様に報告しよう!」と言えば済むところを、 「やっぱり鍛冶師のホルグレンは、貴重な鉱石エルニウムを横領していたので、今すぐミッドガルド国 首都プロンテラの北にある王城へ行って、王様であるトリスタン3世様に報告しなければならない!」 などと長ったらしい説明台詞を喋り出せば、受け手としては違和感が拭えなくなってしまう。 1回だけなら「説明乙!!」というツッコミが入るくらいで済むが、何回もやると「なんで登場キャラは、みんな読者を認識していちいち説明を入れているんだ?」とメタ発言として扱われ、いっきに白けてしまうことになるだろう。 とある漫画家も自身の著書で、 キャラクターとしてではなく作者として、読者にこびへつらう様なことをしゃべらせた途端、作品全体からリアリティーやキャラクター性が失われていく。 そのキャラが言わないような説明くさいセリフや、とってつけたようなカッコツケたセリフは逆に読者に何も伝えられない。 と綴っている。 また、文章量、あるいは発声量が増えることで、読者・視聴者がかえって理解しにくくなる場合もあるだろう。 説明しすぎた結果、読者の想像の余地がなくなったり、逆に説明不足な部分が浮き彫りになる弊害もありうる。 こういった問題を抱えないためにも、過度な説明台詞の使用はできる限り控えたいところである。 ■解説キャラ 説明台詞は基本的に忌避されているが、説明台詞をしゃべっても違和感のないキャラ、つまり解説キャラを出すことで解決できる場合もある。 彼らは主人公に説明するという体で、間接的に読者に分かりやすく状況を説明してくれるのだ。 解説キャラとしては、以下の様な人物がなりやすい。 理系や物知り、オタク自分の知識をひけらかすのが好き。時には誰も聞いてないにもかかわらず、ぶつぶつと独り言を言ってでも読者に解説してくれることも。 先生やコーチ人に物を教えるのが仕事であり、読者・視聴者すらも教育対象の例外ではない。 冒険者ギルドの受付や異世界ではじめて出会った人異世界転生モノに多い。親切でおせっかい焼きな彼らは、主人公と読者にその世界のことを快く案内してくれるだろう。 口数が少ない人物の周囲の人状況や心境を誰かが慮らなければ、物語が進まない。 味見役 参謀・知恵袋ポジション 言動の全てがメタ発言のキャラクター ■有名な説明台詞&解説キャラ ナレーター しゃべるセリフが全て説明台詞。 ヤッターマンの様にわざわざ「説明しよう!」と前置きしながら語りかけてくるパターンも存在。 基本的にはナレーターはナレーターでありキャラ付けはされないのが基本だが、中には馴れーションの様に、妙な人気を確立することもある。 一方、ナレーターのしゃべりが視聴者にウケず、作品自体の評価が下がることもある。 ロバート・E・O・スピードワゴン 吉良の同僚 (共に『ジョジョの奇妙な冒険』より) やめとけ!やめとけ! 荒木先生は説明台詞を使わないんだ! 「どういうこった」って疑問に思ってもネタバラシが遅れるんだか遅れないんだか… 『ロバート・E・O・スピードワゴン』25歳 独身 説明は基本モノローグでそつなくこなすが今ひとつ違和感のない手段…… なんか一人で理解してるっぽい気配ただよう顔と態度をしているため結局敵には勝てるが スピードワゴンだけは(*2)大声で解説ばかりさせられているんだぜ 悪いやつじゃあないんだがこれといって特徴しかない……印象の強い男さ ゲンスルー(HUNTER×HUNTER) 説明台詞としては特殊なパターン。作中、突然に自分の能力について説明をはじめる。しかし、これは読者のためなどではなく、彼の能力「命の音」の発動条件であるため。 このように説明台詞であっても、何かしらの理由をつけることで不自然さを軽減することができる一例。 とはいえ、HUNTER×HUNTERは1ページ丸ごと説明台詞で埋め尽くす、とかやったりもしているのだが… カードゲーマー、デュエリストのみなさん(遊戯王等) カードを使うたびにその効果を口で説明している。 説明は義務ではないし、カードの効果について質問することもない。でも説明する。その習性を逆手にとって、あえて効果を説明しないのは勿論、嘘の情報を流して相手デュエリストや視聴者に騙し討ちを行ったキャラすらいる。 遊戯王のデュエルディスクにはカードの効果を確認する機能が無いわけではないようだが、その機能が適切に利用されたことは数少ない。 逆にデュエルディスクで効果確認をしようとしたところ、わざと効果を隠したりしたことも。隠した当人いわく「余興」。よって任意で隠したり公開できるようだ。 また、「自分の作戦を説明するセリフないしモノローグが入ると、結局それを実行できずに負ける」というジンクスもある。 いわゆる「説明はフラグ」。 HA☆GA「これでお前のモンスターは全て攻撃終了! ポイズン・バタフライの効果でお前のライフはゼロだwwwヒョーッヒョッヒョッヒョwwwwヤッターwwwww俺の勝ちだー!!!」 ATM「何勘違いしているんだ?」 ミスト・レックス 「教会についたぞ」←周囲には誰もいません ザ・テリーマン 「そういえば聞いたことがある」 ……とはあんまり言ってないが、アニメ版の影響もあって「テリーマンといえば解説」という印象を持つ方も多いだろう。 雷電&民明書房(魁!!男塾) 「ぬうっ、あれは薛瞑是の理符!よもや現存していたとは…」 「知っているのか雷電!?」 清の初代皇帝である太祖ヌルハチは武道を貴び、盛んに天覧試合を行った。 それに名乗りを上げた当代の達人、薛瞑是(せつ めいぜ)は並み居る武芸者をただ一撃のもとに破って名を挙げたのだが、そのあまりにも鮮やかな動きを見た者は誰しも目を丸くし、何が起きたのか分からない有様であった。 試合での動きを太祖に問われた薛瞑是は自分がいかにして相手の攻撃をさばき、急所に打撃を加えられたのかを的確によどみなく答えた。 太祖はこれを聞いて大いに喜び、高禄をもって薛瞑是を近衛兵の教官に召し抱えた。 薛瞑是は自らの武術の要諦を理符(りふ)と呼ばれる書簡に書き残した。これは武術を鍛錬する者に伝えるものとして簡潔にして過不足ない文言であり、こうして鍛え上げられた精兵により太祖は清帝国の繁栄の礎を築き上げたのである。 清帝国はその後の歴史の動乱の中に滅んだが、時宜に合った情報を間違いなく伝えることを良しとする薛瞑是の理符の精神は現代を生きる我々の中にも確かに息づいている。 民明書房刊『中国史に学ぶ文武両道の達人たち』より エックス(ロックマンX3) きみは ゆくえふめいに なっていた マックじゃないか これに限らず、関連作品を含め、X3のエックスは説明台詞が多い。 「オイオイオイ」「死ぬわアイツ」(グラップラー刃牙) 「それにしても第1話だというのにこれだけ状況をわかりやすく説明できるのは 改変素材として優秀というほかはない」 ■無知キャラ このように「解説キャラ」というのは便利なものだが、これにも限界はある。 まず、「解説できる内容は、ある程度他の人物も知らないような話題に限られる」という問題。 いくら物知りで自己顕示欲の強い人物でも、(読者・視聴者は知らないが)作中で誰でも知っているような常識をペラペラと話し始めるような奴はいない。 それは解説キャラを通り越してただの変人・奇人である。 また、キャラ付けの一環となってしまうため、その人物に強く依存してしまう問題もある。 そのキャラを常時同行させるのも展開が縛られすぎるが、かと言って別の解説キャラを作るのも難しい。 何よりキャラクターのアイデンティティーに関わる部分であり、必ず解説キャラを入れるとなるとキャラの性格付けの幅が狭まってしまう。 そのため、よく見られるのは「何も知らなくて当然のキャラクター」を作ることである。 何らかの理由で作中で知っているはずの事柄を知らないとなれば、周りの人間がフォローのために教えてやるというシチュエーションも不自然でなくなる。 「解説キャラ」と呼ばれてしまうような作為的なキャラクターを入れずとも、適当な周囲の誰かに言わせればよいので展開の幅も広げられる。 説明に「なんだ、お前そんな事も知らねぇのか?」などと前置きを付けてやれば、それがその世界の常識であることが強調でき、キャラ付けにも繋がってなお良い。 無論、無知キャラと解説キャラが両方見られるような作品も少なくない。 具体的には以下のようなキャラクター、シチュエーションが挙げられる。 記憶喪失 ド定番。 その人物の正体などの伏線を残すことができるので、ストーリーも広げられる。 特定の時期だけの記憶が失われていたり、唐突に治ったり、「実は記憶喪失だった」と後付けで使ったりと自由に使える超便利要素。 「記憶喪失ってこんなに都合よく行くものなのか?」という皆が思う疑問も、何せ複雑な脳の働きなのでそんなこともあるのだろうと何とかなる。 異世界・異国・異星の人物 記憶喪失に次ぐ定番。 あくまでその世界の人物である記憶喪失に対して、世界自体が違うため根本的な常識も知らないという設定にしやすいのが利点。 いわゆる異世界モノの隆盛も、「どんな世界観も主人公=我々と同じ世界にいる人間に説明させることで早い段階で受け入れられるから」というメリットは間違いなく重要な要素だろう。 異世界・異国とは違うが、タイムスリップやコールドスリープで異なる時代に行くパターンもしばしば使われる。 異世界から来たと言うと色々問題が起きるので、記憶喪失を装って教えて貰うという複合パターンも割とある。 新人 物語のメインテーマである物を新たに始めたばかりの人や、舞台となる場所に入ってきたばかりの人。 能力バトル、競技、お仕事、学園などあらゆるジャンルでよく見られる。漫画のみならず小説、ドラマ、ゲーム等媒体も選ばない。 新人故に何も知らないのも、周囲が説明してくれるのも自然な展開であり、新人を通して読者はメインテーマのみならず、登場人物の人間関係なども知ることになる。読者も感情移入しやすいため主人公の設定としては王道中の王道。 逆に主人公がその道のベテランの場合、もうひとりの主人公や二番手に新人キャラを配置し、主人公が解説役を務めるパターンが多い。 ゲームのチュートリアルでは、説明役が主人公に説明するという形式をとっているパターンも見られる。 おバカ、劣等生キャラ 少年向け作品の主人公やコメディリリーフキャラでよく見られる。 本来なら立場上知っているべき知識もバカなのでわからない、忘れたというのも不自然ではない。 また自然な描写なら小難しい説明になりかねない所も、おバカキャラのために「バカにもわかる説明」にしてもらう描写にすれば、読者にも分かりやすく説明してもらえる。 新人は物語が進むと新人ではなくなり説明してもらう必要が無くなってしまうが、バカならいつまでもバカなので無理がない。 熱血、直情系キャラ ひと昔前のアニメやホビーアニメ等でよく見られるパターン。 とにかく目の前の実戦にしか興味がないため、情報を得ようとしないので本来なら知っているような業界の常識も知らない。 理論派のライバルに比べて主人公は直情型というキャラ付けにされることも多いので、その流れで行けば無理がない。 子供 無知と言えば子供。生きている年数が少ない子供なら色々なことを知らなくて当然。 ……なのだが、このパターンは比較的少ない。 まともに常識も知らない子供となると相当幼い子供になるし、そのようなキャラクターを物語の主要人物に据えるとなるとストーリーにも大きく影響が出る。 そもそも子供に教えるのでは伝え方も変わって来たりと、説明の機会を作るどころの話ではなくなってしまう。 とはいえ、大まかな舞台設定を説明される役として序盤にだけ同行させる、ゲストキャラとして登場させる、回想シーンに幼い頃の人物を出す等、一時的な無知キャラとして出しやすいため、結局は作品によりけり。 生まれてすぐに文明から離されたり、培養器に入れられていたり、肉体だけ成長させられるなど、「精神的・知識的にだけ子供」というパターンでこの役を務める例もある。 人工知能や人造生物 子供パターンの亜種。言語能力はあるが知識がない、特定方面の知識はあるが常識は欠けている、またはその逆等の設定を調整しやすいのが特徴。 ワトソン 名探偵シャーロック・ホームズの親友にして、その物語の語り部となる伝記作家ジョン・H・ワトソン。 彼は無知どころか医学博士号を持つ聡明な人物だが、名探偵であるホームズに比べると、その思考力はあくまで常人の域を出ない。 そんな彼が側にいることで、ホームズは「よくわかっていない相棒に説明してやる」という体で自然と推理の解説に入れる。いわば「相対的な無知キャラ」である。 彼のような「読者の目線に近い探偵の相棒」キャラは推理小説ではとても有用であり、多くの推理小説で踏襲され、ワトソンはその代名詞になっている。 ■余談 ちなみに、国語学上、他に説明台詞に分類されるのには以下のものがある(一部は説明しにくいため省略)。 ただ、アニヲタの間でこれらが説明台詞と呼ばれることはあんまりない(全くないわけではない)。 自分が行っている行動(技名)を叫ぶ 例:リュウ「はどーけん!」 ケン「しょーりゅーけん!」 ザンギュラ「スーパーウリアッ上!!」 キャラが何をしているかを説明するため。たまに、技名と違う技を繰り出して、相手と読者を混乱させるヤツもいる。 新聞やニュース画面を映す 例:ニュースキャスター「臨時ニュースをお知らせいたします。ばいきんまん氏殺害の疑いでアンパンマン容疑者が逮捕されました」 画面にこういった要素を含めることで、事件の詳細を視聴者に伝える。まるで狙ったかのように、ちょうどいいタイミングで臨時ニュースが流れるのは、もはや様式美。 表現を変えての繰り返し 例:サイタマ「俺はアイツの顔を軽く殴っただけだ。握った拳をアイツの顔面にそっと叩きつけてやった、それだけなんだ」 同じ内容の文章を表現を変えて記述すること。確実に読者に何が言いたいかを説明したい時に。 言葉の活用形を変えることで身分や関係性を表す 特定の単語を用いることで、時間や性別を表す 古文において用いられた表現…らしい。外国語では現代でも使っている所は多いとか。 Wiki篭り「追記・修正お願いします」 ↑このセリフを説明台詞に変換すると ↓こうなる Wiki篭り「この説明台詞の項目は未だ不完全であり、足りない情報を補う『追記』や、誤った情報を訂正する『修正』が必要なので、今この項目を閲覧しているあなたにもご協力をお願いしています。」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 知っているのか、雷電!? -- 名無しさん (2021-02-10 12 00 26) ナレーションのお株を奪うメガトロン様(トリプルチェンジャーの反乱より) -- 名無しさん (2021-02-10 12 07 48) アニメ版ジョジョ波紋編という説明セリフの聖地 -- 名無しさん (2021-02-10 12 18 54) 最近はアニメ化でナレーションの説明ゼリフが登場人物のモノローグに変更されるパターン増えたような。呪術とか -- 名無しさん (2021-02-10 12 40 16) 虚淵玄作品に多め。長台詞シーンを如何に退屈させずに演出するかが監督の力量を問われる -- 名無しさん (2021-02-10 12 41 13) 「実は、かくかくしかじかで……」「ええ!?○○さんが××で△△!?」「なんで分かるねん!」(吉本新喜劇) -- 名無しさん (2021-02-10 12 43 54) 説明をする前に別の説明をする必要があるという入れ子説明 -- 名無しさん (2021-02-10 13 10 07) ジョジョのスピードワゴンは? -- 名無しさん (2021-02-10 13 17 17) 真剣は切れ味がある分あつかいやすいし素人から玄人まで幅広く使われている武士の基本武器 対して研無刀は見た目なんかは真剣とほとんど変わらねぇがあえて斬れない様に鋭く研がない分 硬度と重量をかなり増加させて斬るより破壊を目的とした玄人好みのあつかいにくすぎる刀 使いこなせねぇとナマクラ刀より弱いただの鉄クズみてぇなもんだってのに何であのガキは? -- 名無しさん (2021-02-10 13 21 50) 初稿が高校なのを編集の時はスルーしちゃったけど、テニプリってあの貫禄・ビジュアルでも中学生(あんだけ暴れる連中が集まってても中学校の大会)なのよね… -- 名無しさん (2021-02-10 13 22 59) なお富野由悠季 -- 名無しさん (2021-02-10 13 25 42) 説明台詞の拗さを皮肉った五十嵐ワタル -- 名無しさん (2021-02-10 13 35 08) 富野監督は長ったらしい台詞がないから観やすくていい。 -- 名無しさん (2021-02-10 13 37 21) ↑7 だからって麻婆を挟んでぐるぐる歩かんでもええやろがい -- 名無しさん (2021-02-10 13 38 11) 個人的に印象的なのはオメガマンディクシアの登場時のセリフ -- 名無しさん (2021-02-10 13 43 55) 紙芝居形式のゲームだと説明臭い言い回しになるのは仕方がない所がある -- 名無しさん (2021-02-10 13 55 15) 金沙羅舞踏団! -- 名無しさん (2021-02-10 14 17 34) チュートリアルもキャラの説明台詞で行うマリオRPG系のゲーム。これに文句言ってる者はマリオの世界にリアリティを求めるな -- 名無しさん (2021-02-10 14 46 10) 浦沢義雄はテンポのいい説明台詞(説明しなくても視聴者的にも作中人物的にも当然の事項)を差し込むギャグが頻繁にある -- 名無しさん (2021-02-10 15 18 05) ハスタキック(槍攻撃) -- 名無しさん (2021-02-10 15 41 54) 旧キン肉マンの説明セリフの多さは異常 -- 名無しさん (2021-02-10 21 39 39) 渡る世間がめっちゃ淡々とした喋り方で説明口調なのは家事してる主婦にもわかりやすくするためだとか -- 名無しさん (2021-02-10 21 42 05) キャッ党忍伝てやんでえでナレーターが声優の顔写真付きで島流しにされてたな -- 名無しさん (2021-02-10 21 55 32) ゲームの他にも、主人公が喋らないASMR作品でも使われやすい。「…何?耳かきをしてほしい?」 -- 名無しさん (2021-02-10 23 43 52) アメコミ翻訳での④は、自身も含めた天の声での解説を「全能の語り部」と呼ぶ -- 名無しさん (2021-02-11 09 53 52) やりすぎるとサムライ8みたいになる -- 名無しさん (2021-02-11 10 59 30) 相談所で反対意見が無かったため、削除審議を外しました。 -- 名無しさん (2021-03-10 00 55 49) 台詞で言われてたかどうか忘れたけど、忍たま乱太郎では本来あってはいけない忍術学園の看板が読者の為にあえて置いてあるって設定だっけ -- 名無しさん (2021-03-10 18 44 55) 美味さや巧さ、映像だけで表現できないものは解説なしに成り立たない -- 名無しさん (2021-03-18 20 08 34) 浦沢義雄作品だと長ったらしい正式名称をいちいちフルで復唱するギャグが頻繁にみられる -- 名無しさん (2021-03-18 20 32 45) 自作の小説に「通信機を隠し持っていて本国に情報を送るためしょっちゅう説明台詞を言う」というキャラを書いたことあるがあまりの扱いの難しさにシレっと自然にやっているプロの腕前に唸ったことがある -- 名無しさん (2021-07-03 20 38 55) ニンジャスレイヤー:1minビフォアtheタヌキの「そんなっ、説明は!?」「せぬ!!」「が、読者の方々にはそうはいくまい(以下地の文=サンによる説明)」の流れは説明導入の極北だと思う -- 名無しさん (2021-07-03 20 50 03) 能力バトル物だと「無知キャラ」のひとつとして「まだその世界に足を踏み入れたばかりの新参者」がよく出てくる…というか主人公の王道だよね -- 名無しさん (2022-08-16 23 34 49) 冒頭でしれっと筆者がフラれてるの笑うべきなんだろうか -- 名無しさん (2023-07-20 13 22 24) 「スレイヤーズ」のガウリイは説明の為に「魔法に疎い奴」として作られたんだけど、そのうち「記憶力全般がやばい奴」になってしまったというな。 -- 名無しさん (2024-01-11 22 19 14) 遊戯王6巻の10万円チャンス回もなかなかの説明台詞の宝庫。 -- 名無しさん (2024-01-11 23 08 03) 都合よく 違和感なく説明ニュースを流すならSNSのタイムラインとプッシュ通知が使えそう -- 名無しさん (2024-07-13 12 55 11) 忍殺の「ニンジャ同士が顔を合わせたらアイサツをする(敵味方全員がお互いの名前を知れる」、呪術廻戦の「術式開示(自身の能力を説明すると効果が上がる」あたりもできるだけ自然な形で説明をすますための努力だよなあ -- 名無しさん (2024-09-18 15 26 01) 個人的にはFEシリーズ(特に昔の)が印象的かなあ。ゲームの性質上、国際情勢やキャラ同士の関係性といった複雑怪奇な情報を超圧縮して幕間の会話シーンに詰め込んでるから、改めて見ると説明台詞の量が本当にすごいんだ…… -- 名無しさん (2024-09-26 20 01 07) 名前 コメント