約 1,320,782 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3667.html
※ 「うっ……ん……」 小さく声を漏らして、ティアナは身動ぎした。 朝の光が顔に当たる。心地いいが眩しくもあり、目を開けるのが億劫だった。 それ故、寝惚けたティアナの脳が最初に認識したのは触感であり、匂い。 「あ……れ……?」 疑問符を発しながら抱いているものをまさぐり、形を確かめる。 これは何だろう。ごつごつして硬い、それに温かい。鼻腔をくすぐる匂いには、どこか覚えがあった。 差し込む朝日に、徐々に寝相を維持するのが辛くなり、ティアナが目を開くと同時に飛び込んできたのは、広く大きな背中。 同衾しているヴァイス・グランセニックの背中だった。 感じていたものの正体は、両腕で抱いている硬くがっしりとした肉体の感触と、男性特有の体臭。 彼はタンクトップ一枚、どうりでハッキリ体形が分かったはずだ。 徐々に昨夜の記憶が蘇り、起き抜けのティアナの頬に紅が差す。 「ぅわっ――!」 声を上げかけて、ティアナは抱き締めていた両手を放した。 そうだ。ここはヴァイスと逃避行の末、行き着いた安ホテルの一室。 寝惚け眼を擦ると、昨夜の出来事が徐々に思い起こされる。 (そうだ。あたしが我がまま言って一緒に寝てもらったんだっけ……。うわぁ……何言ってたんだろ、あたしったら) 今思い返すと、かなり恥ずかしい。とんでもない内容を口走っていた気がする。 もちろん、一緒に寝ただけで何もなかった。ただただ二人して泥のように熟睡していただけ。 神と聖王陛下に誓って、男女のそれなどあろうはずもないのだが。 だからと言って、ヤバイことに変わりはない。同僚――いや、元同僚か――と同衾して、 ともすれば愛の告白とも取れる世迷言を囁くなんて。 スバルやアルト、ルキノ、シャーリーあたりに知れたらどうなることか。八神部隊長も危険だろう。 いや、しかし、これはいわゆる吊り橋効果と言う奴でして…… 誰も見ていないのに、あたふたと手を振って妄想を振り払う。 暫し一人ではしゃいでから不意に動きを止めると、 「そんなことある訳ないか……」 ふっと寂しげに、自嘲気味に笑った。 何を馬鹿なことを、と。 心配しなくても、どうせもう、笑い合った日々は戻ってこない。六課には二度と戻れないのだ。 自分とヴァイスの関係も、彼らの目には化け物同士が番ったようにしか映らない。 久しぶりの安眠でリラックスしたせいか、まだ幸せだった頃の感覚が戻ってきたのだろう。つい、懐かしんでしまった。 まだ二週間も経っていないというのに。 夢は見なかった。ここ最近は悪夢しか見なかったので幸運と言えた。 六課時代の、スバルやなのはとの夢なら幸せな夢だが、目覚めた時により一層現実が虚しくなるだけ。だから、これが一番いい。 時計はちょうど朝の八時を指していた。眠ったのが二十一時半だから、約十時間も寝ていたことに驚く。 昨日は、とてもよく眠れた気がする。 ベッドだったせいもあるだろうが、きっと何より、一緒にいたのがヴァイスだから。 隣のヴァイスに目を移すと、くかーっと安らかな寝顔を晒している。 「ふふっ」 その寝顔を間近で見て、思わず微笑みが零れた。 バイクのリアシートからずっと見ていた、広く大きく逞しい背中。自分の数少ない同類であり、今は頼れる存在。 それが、こうして無防備に眠りこけている。 なんだか子供みたいで可愛い。胸の奥から、何か温かい感情が湧いてくるよう。 これが母性本能という奴だろうか、それとも――。 「ま、どうでもいいか……」 彼への想いは言葉で言い表せるものではない。ティアナは眠りに就く前からの問いに対する答えを保留した。 一番じゃなくてもいい。どんな形でも傍にいてくれればそれでいい。 それ以上は何も望まないことにした。 ふと気が付くとパジャマ変わりのシャツがぐっしょり濡れていた。よほど緊張したのか、単に暑かったのか、 あれだけ抱き付いて寝ていればこうもなるか。 まだヴァイスはぐっすり寝ている。 「なら今の内に……」 朝からネガティブな方に向かう思考をリフレッシュしようと、ティアナは立ち上がった。 ヴァイスが起きる前に寝汗を流そうとバスルームに入る。 バスルームは狭い個室にトイレと洗面台とユニットバスが詰められた、些か粗末な物ではあったが、贅沢は言ってられない。 手早く服を脱ぐと、シャワーを浴びる。 熱湯が汗と一緒に眠気を洗い流していくようで気持ちいい。次はいつ入れるか分からないので、全身を念入りに洗って浴槽を出た。 裸で髪を拭いていると、ふと洗面台の鏡が目に入った。タオルを首に掛け、鏡に向き直る。 そこには、生まれたままの自分が映っていた。 濡れたオレンジの髪。 きめ細やかで滑らかな肌。小さな傷はあるものの、ほとんど分からないくらい。 体形は鍛えているだけあって引き締まってはいるが、女性的な丸みも申し分ない。 ふくよかなバストは、スバルには多少劣るかもしれないが、それなりに自信があった。 ウエストは言うまでもない。 総括すると、鏡に映る裸身は自分のよく知るティアナ・ランスターそのものだった。 しかしティアナにはそれが自分ではないように思え、触れて確かめようとしたのだろうか、恐る恐る左手を伸ばすが――。 「……ひっ!」 すぐに悲鳴を上げかけて左手を引っ込めた。 かつてのティアナ・ランスターとの絶対的な違いが鏡には映っていたのだ。 そういえば、と思い出す。 三日前の夜、ヴァイスとの劇的な再会の後、服と靴を買ってもらった。 その時、厚手の手袋も一緒に貰い、着けておけと言われた。ヴァイスもだ、バイクを降りてからもグローブを人前では絶対に外さなかった。 この時は然して疑問に思わなかったが、すべては身を守る為だったのだ。一般人なら見た瞬間、悲鳴を上げて逃げるであろう、それを隠す為に。 それは左掌に刻まれた、黒い紋章。 融合体と化した人間であることを示す、逃れられない証。 洗っても擦っても決して消えない悪魔の烙印。 入浴中も寝る時も、無意識に見ないようにしていたそれ。 改めて直視した魔法陣の紋章は、ティアナの楽観的な感情を吹き飛ばした。 衝動的に備え付けのカミソリを手に取る。 皮膚ごと削ぎ取れば、或いは――そんな考えが過ぎった。 痛みも出血のことも完全に頭になく、今はとにかく、この忌わしい紋章を消し去りたかった。 掌にカミソリを押し付け、震える手で引くと、痛みと共にじわりと血が滲む。 こんな身体でも血は赤い。血を見ると、封印していた記憶が蘇る。 危うく殺しかけたエリオのこと。 助けてくれたのに傷付けてしまったジョセフのこと。 自責の念と自分への恐怖で気が変になりそうだった。 その時である。 ドアの向こうから、ゴトッと物音がした。 「ヴァイス陸曹……?」 恐る恐る問い掛けるも、答えはない。 ヴァイスが起きたのだろうか。そうだ、きっとそうに違いない。 いや、だとしたら返事があって然るべきだ。 (まさかXATか局の追手がもう嗅ぎ当てた!? それとも……) この安宿である。治安もいいとは言えない区画だ。もしかしたら強盗でも侵入したのかも。 そもそも、この部屋の扉はオートロックだっただろうか? あり得ないと頭では理解していても、猜疑心は際限なく膨らんで、どうしようもなくなる。 普段の習慣か、手元には常にクロスミラージュがある。特に、三日前からは肌身離さず持ち歩いていた。 ティアナは考えた。 もし仮に、今この瞬間、バスルームに暴漢が乱入してきたら自分はどうするだろう。 逮捕術で取り押さえるか。 それとも、すぐさまクロスミラージュを起動させて突きつけるか。 おそらく、どれも違う。 たちまち思考は恐怖で染め上げられ、数秒後には、引き裂かれ無残な肉塊になった暴漢が転がっているのだろう。 そして狭いバスルームは血の海になっているに違いない。 そう、三日前の雨の日のように。 想像して吐き気を催すと同時に、頭に電流を流されたような激痛が走る。 「くぅっ!?」 頭が割れるように痛い。 動悸が激しくなり、喉が渇いて息が苦しい。 目まいと耳鳴りが酷くなり、しまいには視界が赤く染まってきた。 融合体に変異する兆候である。 (ああ……これはまずい……。これだけは絶対に駄目。分かってる。分かってるのに……) もう三度目だ。少しは制御できるかと思ったが、理性を失うまでの時間が長くなったに過ぎないのか。 むしろ些細な出来事を引き金に、容易くスイッチが入ってしまうようになっている。 ティアナは頭を振って苦悶した。必死に、心を静めろと自分に言い聞かせた。 ここで融合体になったら、ヴァイスの身が危ない。誰より大切な人を殺めてしまいかねない。 (なのに……自分で自分が抑えられない!!) 誰かの嘲笑う声が聞こえる。 許せない。 自制心が薄れ、次第に怒りが込み上げる。 ブラスレイター特有の被害妄想。 最初に見たブラスレイターらしき男にも、ヴァイスの話に聞いたゲルトにも確認されている。 ティアナ自身、幾度となくこれに苛まれ、抗おうとするも最後には必ず屈していた。 スバル、名も知らない一般人、エリオ、ジョセフ――その度に誰かを傷つけずにいられなかった。 「っく……またなの……? また……」 皮膚が強張り、硬化するのを感じる。徐々に胸の痛みと、全身を駆け巡る熱が強くなる。 精神だけでなく、身体の変化まで始まろうとしていた。 自我の喪失と肉体の変異。二つの苦痛に押し潰されながら、ティアナは思わずにいられなかった。 (あたしは何も悪くないのに、どうして、どうしてこんな目に……) この言葉は麻薬だ。 自己を肯定したが最後――自分は悪くない、何をやっても仕方ない、そんな身勝手で独善的な考えを抱いてしまう。 不可抗力だとしても、この身体で散々罪を重ねてきた。本心では自覚しているからこそ、何度でもこの言葉に縋らずにいられない。 そうでもしないと、心がバラバラになりそうだった。 (この笑い声を止めなきゃ、あたしはきっとおかしくなる。そうだ、必要なら殺してでも――) 内なる声、とでも言うのだろうか。自分であって自分でない声が脳裏に響く。 抵抗も空しく声はティアナと同化して、思考が塗り潰される。 赤く染まった目で鏡を見ると、そこに立っていたのは、ついさっきまでの裸の少女だけではなかった。 別の何かが、狂気と恐慌で歪んだ表情のティアナに、影の如く寄り添っていた。 燃えるように逆立って流れる朱色の髪。 髪の間から僅かに覗く捻れた双角。 髪よりも色濃い炎を宿した瞳のない目は、鋭く横に伸び、爛々と光を放っている。 青く縁取られた白いドレスと黒のロンググローブ。黒光りする突起で覆われた獣の下肢。 おぼろげに重なる像は、紛うことなき融合体。三日前のあの日、あの運命の日に鏡の中に見た自身の姿だった。 「あ……ああ……」 わななきながら頬に手を当てると、鏡の中の自分と融合体が同じ動作を取る。 自らの鏡像は全身が赤く発光しており、顔面には光の線が浮かび上がっていた。 知っている。何もかも知っている。 身体が意思に反してデモナイズしようとしている。赤い光が輝きを増した時、自分は隣にいる融合体に乗っ取られるのだ。 この姿を直視するのは二度目だった。今すぐに鏡を叩き割りたい衝動に駆られるが、 そんなことをしても無駄だと今では理解している。 最早、限界だった。 次はもう人間に戻れないだろう。そんな予感がした。 狂乱と絶望の叫びが喉を突き上げる。 それがティアナの、人間としての最後の存在証明――となるはずだった。 「おーい、入ってんのかー?」 声を上げる寸前で、背後のドアがゆっくり開く。 半ばデモナイズしかけていたティアナは、人間をはるかに超えた反射速度で振り向いた。 すると、そこには――。 ヴァイス・グランセニックが、ボサボサの頭を掻きながら立っていた。 上はタンクトップ、下はショートパンツ。つまりは寝巻のまま。 むにゃむにゃと欠伸を噛み殺しながら、目はほとんど開いていない。 どうやら、彼はまだ夢と現実を行き来しているらしい。平たく言えば寝惚けていた。 「……え?」 先ほどまでの極限状態はどこへやら。出ばなを挫かれた悲鳴は引っ込み、心中は別種の混乱に支配される。 状況の把握が追い付かないのが幸いしたのだろうか。嘲笑は耳に入らず、不吉な妄想をする余裕すらなかった。 そのうちに耳鳴りも止み、視界は鮮明に戻る。 それでもティアナは一歩も動けなかった。鮮明になった分、彼の目が自分を直視していると気付いてしまったから。 「ん~…………」 ティアナは呆気に取られ硬直、ヴァイスは変わらず目を細め対象を凝視している。 彼が現実に戻るまでには未だ数秒を要するようだ。 「あ……あう……」 まったく予想だにしなかったアクシデントに、ティアナの口が金魚のようにパクパク開閉を繰り返す。 赤みが差していた視界が正常に戻ると、顔を縦に走っていた光線も消え、代わりに顔中が真っ赤に染まった。 身体中を淡く覆っていた赤色の発光も、吸い込まれたかのように柔肌を染める。 入ってるのかと聞きつつドアを開けるとは、どういう了見なのだろう。 普通はノックの一つもするのがマナーではないのか。 などと思わないでもなかったが、思考がとっ散らかって、それどころじゃなかった。 何故なら――何故なら、今の自分は全裸であるからして。 「――きゃぁ!!」 先に状況を理解したのはティアナ。同時に、ヴァイスの両目が完全に開いた。 目が合った瞬間、ティアナは違う意味で悲鳴を上げ、胸を隠してしゃがみ込む。 「おっと、すまん」 言うが早いか、すぐに回れ右してドアを閉めるヴァイス。 いつの間にかデモナイズの進行は止まっていたにも関わらず、心臓は変わらず早鐘を打っている。 全身を覆う熱も同じ、特に顔は今まで以上に熱い気さえして、いつまでも引く気がしなかった。 何秒か待ってもヴァイスの側から声は掛からない。だが、気配はある。ドアの向こうにはいるようだ。 せめて、向こうから何か言ってくれれば気も楽なのに。 さて、何から話せばいいのか……混乱する頭で考え、ティアナが最初に発した台詞は、 「お、おはようございます……」 何とも間抜けなものだった。 「ああ、おはよう。悪いな、鍵が掛かってなかったもんだから」 「い、いえ……こちらこそ……」 「着替えは持って入ってるのか? 何なら外に出てても――」 「いえ、大丈夫です! すぐに出ますから!」 早口で捲くし立てて、一方的に会話を打ち切る。 「はぁ~……」 ティアナは裸でうずくまったまま、深々と溜息を吐いた。 奇妙な感覚だった。 つい今まで誰かが乱入してきたらなどと恐怖しておきながら、それがヴァイスだと認識した瞬間、 波が引くように恐怖が治まり、想像だにしなかった感情が湧き起こった。 その瞬間、ティアナの胸に湧き起こったのは恐怖ではなく羞恥。 自分自身、戸惑っていた。 しかも驚くべきことに、腹が立ったのはたぶん裸を見られたからではない。 いや、無論それもあるだろうが、一番の理由は、裸を見たヴァイスが何ら動揺した素振りを見せなかったことだった。 こっちは狼狽して声が震えて仕方なかったと言うのに。 そういえば、と今更ながらにティアナは考える。ドアに背を向け、裸でうずくまった格好で。 何故、自分はヴァイスに襲いかからなかったのか。ヴァイスだと認識した途端、精神が安定したのか。 考えに考え、 (そうか、もしかして――) やがて一つの結論に至る。 (あたしは、こんな壊れかけた精神状態でもヴァイス陸曹のことを……) 仲間、家族、同胞、庇護者……どんな言葉を当てはめればいいのか迷って、 (唯一の味方として、本能で認識している……?) 或いは、その点に措いてのみ制御が利いているのか。 だから攻撃衝動が起こらなかったと考えれば、一応の辻褄は合う。 それだけじゃない。彼の存在がリミッターとなっているのだ。 これまでを思い起こしてみても、それは明らか。ヴァイスは自分の精神の安定に必要不可欠となっている。 だからジョセフもヴァイスとの合流を急いだ。 「は……はは……」 気の抜けた笑いが漏れる。いつしか頬を涙が伝っていた。 様々な感情が溢れて心の整理が付かないが、最も大きな感情は安堵だった。 彼だけは傷つけずにいられる。一緒なら人間として生きていける。それが嬉しくて嬉しくて堪らなかった。 恐る恐る左手の紋章を見たが、今は何ともない。これが確かな証拠。 ヴァイスがいれば精神は安定するが、それは同時に、彼なしでは生きられないことを意味している。 ティアナは、これまで以上に彼に依存している自分を改めて自覚した。 でも、今はそれでいい。 今はただ、この幸福を噛み締めていたい。 外ではヴァイスがトイレを待っているとも知らず、ティアナは一人、嬉し泣きに浸っていた。 前へ 次へ 目次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3022.html
『むかし、むかし……」 美術史家エルンスト・ゴンブリッジが書いたように、全ての物語は「むかし、むかし」で幕を開ける。 故に、今から語られる物語もまた、「むかし、むかし」で幕を開けるのさ。 むかし、むかし、次元世界の中心地、ミッドチルダは首都クラナガンで、空に穴が開いたことがあった。 前触れもなにもなく、周囲の者が気がついた時には、虚空に黒い小さな穴が開いておった。 その穴は風やら稲妻やら巻き起こして、周囲はあっという間に混乱したそうじゃ。 そんな時、風や光とともに、穴の中からミッドチルダに飛び込んできたものがあった。 小さく、素早くて、その時にはだれも気づかんかったが、ソレは確かにやってきおった。 ソレは、一匹のフクロウだったそうな。 なんでソレがミッドチルダにやってきたのか、それは誰にも分からん。 たまたま次元断層に巻き込まれた漂流者だったのか、誰かが意図的に送り込んだもんだったのかも、全く分からん。 ただ、そのフクロウは一つのルールを持っておった。 そのルールによって、ミッドチルダは恐怖のどん底に落とされたのじゃ。 どんなルールかって? 簡単じゃよ。簡単で単純で、抗いようもないルールじゃ。 そのルールというのは―― ―――――即ち【見られると、死ぬ】 それが起こった時、事態を正確に理解した者はおそらく居なかったであろう。 突如として虚空に開いた穴、それを見物にきた野次馬の一人が唐突に――死んだ。 口から、耳から、鼻から、目から。 全身の穴から鮮血を噴き出して、虚空でもがく様にして、死んだ。 死者が噴き出した血を浴びる羽目になった周囲の者たちは、しかしパニックに陥ることもなかった。 次の瞬間には、周囲にいた全員が、等しく血を噴き上げて死んでいたからだ。 死んで、死んで、死んで、死んだ。 その時外を出歩いていた者は、人も動物も区別なく、ことごとく死に絶えた。 建物の中にいて第一の災禍から免れた者も、異常を察し、それを確認しようと外を覗きこんだ瞬間、死んだ。 車の、列車の、飛行機の、様々な乗り物を運転していた者も息絶え、制御を失ったそれらはあちこちに激突し、さらに多くの死をまき散らした。 何が起こっているのか、理解できるものなどいなかった。 理解できないことが、益々の恐慌を招いた。 人々は恐怖に耐えきれず、事態の説明を求めてわけも分からず外へと飛び出し、そして死んだ。 虚空に穴が開き、フクロウが飛び込んできてから3日後。 その街は、完全な廃墟と化していた。 道路には積み重なるように死体が倒れ、制御を失った車が突っ込んだ店舗では火災の名残り火がチロチロと空気を舐めている。 物音一つしない、死んだ街。 その中に二つだけ、生きたモノが立てる音があった。 一つは、その翼の構造から低く抑えられた、鳥の羽音。 もう一つは、何かに呼びかけるように響く、甲高いフクロウの鳴き声だった。 クラナガン一区画が、生存者一人残さずに壊滅。 そんなことになって、平和の管理者だと名乗っている時空管理局が黙っているはずもなかった。 何度も何度も調査隊を派遣して、ようやっと、その破滅の原因が、一匹のフクロウじゃということに気がついたんじゃ。 派遣された調査隊、その全員の死と引き換えにの。 数千、数万の人間が死に、街一つが枯れ果てた。 その原因がただ一匹の鳥だということを知った時の時空管理局の狼狽は、そりゃあ見るに堪えんもんじゃった。 上に下にの大騒ぎ。こんな時まで、下らん利権争いをする連中というのは絶えんもんでな。 ようやっと決まった方針は、前例の無い生物に対するSオーバー級ロストギア指定。 殲滅指定じゃった。 中には生かしたまま捕獲して、そのルールの仕組みを解析したい、ゆうもんもおったそうな。 解析して理解できたら、兵器か何かに転用する気だったのかもしれん。 だが結局、生かしてとらえるなんぞ考えんと、即座に始末するべきじゃという意見が通った。 アレが生きておっては、人はその地で生きてゆかれん、ということじゃな。 人間が手ぇ出すべき力じゃないと、それが分かったのかもしれんわ。 そうして、対策班が作られた。 何せ相手はフクロウだからの。 管理局がこれまで相手しとったのは、人間の犯罪者やら、大昔の遺産やらで、フクロウじゃあない。 しかも、フクロウはフクロウでも、街一つ殺し尽くすフクロウじゃ。 どうやって対処したらいいか、管理局はそりゃあ困った。 そして結局は、総力を上げて戦力を集中させて、一気に片を付ける、という方法を取ったわけだ。 兵隊を片端から集めての、装備やらなんやらも揃えての。 或いは、世界にはまだこんな脅威があるのだと、そう教えたかったのかもしれん。 なんにせよ、時空管理局の持っとる人間やら戦力やらが勢ぞろいしたわけじゃ。 そう、あのエースオブエースや金の閃光、夜天の主もそこにおった。 そして、対策会議じゃな。 まずは目標を確認しようと、遠隔視の魔法が、死に絶えた街にかけられた。 全員がモニターやテレパシーで、死んだ街を見た。 積み重なった死体を見た。 壊れた建物を見た。 そして、その空を飛ぶ、一匹のフクロウを見た。 ――或いは、フクロウに見られた、というべきなのかもしれんの。 それで、終わりじゃった。 見られると死ぬ。 ようやく理解されたその単純明快で絶対のルールは、ミッドチルダ全土に一瞬にして浸透した。 管理局局員の8割、およびクラナガン住民の5割の死という対価のもとに。 そのルールに例外はなく、モニター越しでも、魔法による映像投影でも、その視線にさらされた者は、ことごとく死んだ。 もはや、ミッドチルダの住人にとって、空を見上げるということは恐怖の対象でしかなかった。 なるべく外には出ず、窓からも離れて家の中で暮らす。 外を歩く時は視線を低くし、なるべく空の覗かない場所を縫うようにして走る。 そして、フクロウの時間である日没以後は、家の中でひたすら震え、朝まで恐怖に耐え続ける。 社会は麻痺し、組織は立ち行かず、クラナガンの都市機能は、完全に停滞していた。 混乱期に乗じて街を牛耳ろうとする犯罪組織、あるいは管理局の実権を握ろうとする権力者なども少なからずいたが、精力的な動きを見せるものは、その動きの過程でどこかでフクロウの目に留まり、血を吐いて死に絶えた。 そして、フクロウはそのような地上の些事など気にも留めず、ただ空中を舞い続ける。 フクロウに悪意は無かった。 フクロウに敵意は無かった。 そのフクロウはただそういうルールともって生まれたという、それだけの存在であり、あくまでも一匹のフクロウでしかなかったのだ。 そのあり様に、ジェイル・スカリエッティという名の狂科学者は狂喜にも似た憧憬を抱き、混乱状態の管理局から抜け出すと、歓喜の表情を浮かべたまま、その身をフクロウの視線にさらした。 歓喜の表情のまま血を噴き上げ、死に絶える狂科学者。 それを、同じ視線によって殺された彼の娘たちがどう感じたかは誰にも分からない。 フクロウは宙を舞う。ただひたすらに宙を舞う。 虚空を切り裂く、甲高い鳴き声。 鳥の羽音に怯え、空から目をそらす日々に、人々の疲弊が極限に達しようかという時。 動いた者たちがいた。 それは、たった4人の人間じゃった。 たった4人で、時空管理局を壊滅させたフクロウを撃ち落とそうというのじゃ。 だが、何人おってもアレの視線の前には壁にもならんのだから、いっそ丁度良かったのかもしれんがの。 一人は、クロノ・ハラオウンというての。 若いのに、提督なんぞをやっとった奴じゃ。 フクロウがやってきた時はたまたま他の次元世界で任務中での、助かったらしいわ。 もう一人はシャリオ・フィノーニ、シャーリーとか呼ばれておっての。 こっちはまあ、メカニックだの。 対フクロウ戦用の装備やらなんやらを整備しとって、モニターを見とる余裕もなかったから助かったんだと。 ん? あと二人か? あとの二人は、正にフクロウの視線が映し出されたモニターの正面におったわ。 正面にいながら、それぞれの理由で助かったんじゃ。 この4人、一人が指揮官で、一人がメカニックなら、残る二人は。 一人が狩人で、一人はまあ、そうさな、希望、といったところだな。 「……で、戦闘機の最大速度でフクロウ相手に一気に接近。 相手の軌道と直線状に重なったところで、戦闘機上から狙撃。 そのまま相手を撃ち落とす、と……」 バカだ、バカ作戦だ、と闇夜にそびえる戦闘機の機影を見上げながら、男が呟いた。 色濃いサングラスに覆われた顔は、感心と呆れのない交ぜになった表情を浮かべている。 と、そんな男に背後から近づく影があった。 「そんなにこの作戦に不安があるなら、降りてもいいんだぞ、ヴァイス陸曹」 クロノ・ハラオウンである。 若き青年提督はその身をフライトジャケットで包みながら、からかうようなな咎めるような、微妙な視線で男を見ている。 「降りる気はありませんよ、クロノ提督。 とりあえず今生き残ってる連中の中じゃ一番マシな腕を持ってるつもりですし。 それに、この役目を誰かに譲ろうって気は起きません」 「なら愚痴など漏らすな。士気が下がるだろう」 クロノの言葉に軽く返しながら、男――ヴァイス・グランセニックは肩を竦めた。 その目を隠す黒いサングラスによって視線は覗えないが、表情には苦笑の色がある。 この状況でもあくまで生真面目な自分より年下の提督の言葉が、どこかおかしかったらしい。 「はいはい、一先ずお話はそこまでにしておきましょう」 そこへ、クロノに続いて歩いてきたシャーリーが、ヴァイスに歩み寄った。 手のひら程のプレート――待機状態のストームレイダーを、ヴァイスに手渡す。 「言われた通りの改修は行いました。動作確認も入念に行ったので、誤作動の可能性は少ないはずです」 「お、サンキュー」 「……本当に、平気なんですか? 相当無茶なチューンだと思うんですけど」 手渡しながらも、シャーリーは不安そうな声を出す。 彼女がヴァイスから要請された改修は、とにかく他の機能一切をオミットしてでも、弾速を向上させる、というものだった。 結果、ストームレイダーはその弾速と貫通性ならば他の追随を許さないが、軌道操作も誘導も一切効かない、という魔法にあらざる特性を持ったデバイスと化している。 これで殺傷指定の弾を撃ち出すのだから、質量兵器のライフルとなんら変わらないだろう。 「構わねえさ。 知り合いのハンターに聞いた話じゃ、野生動物ってのはこっちの殺気に反応して、弾が来る前にその弾道から逃げちまうらしい。 こっちの狙った位置を事前に察知されるんじゃ、誘導も何も意味がないからな」 「とにかく、相手が反応する前に打ち込む、以外に処方がないわけだ」 やれやれ、とばかりにため息を吐くクロノ。 こんな無茶な作戦、本来なら彼の好むところではないのだろう。 「まあいい。 そろそろ作戦時間だ。最終ブリーフィングといこう」 「そうですね。 それじゃあ……ええと、ヴィヴィオ」 そこで、ヴァイスはクルリと振り返った。 その場に立っていた最後の一人、金髪の輝くオッドアイの少女に声をかけた。 自分に寄り添うようにして立つ少女の縋るような視線に、心が痛むのを感じながらも、口を開く。 「俺達はちょっと秘密の話があって向こう行ってるから。 シャーリーの姉ちゃんの言うこと聞いて、ちゃんと待っててくれな?」 彼女は高町ヴィヴィオ。 エースオブエース、高町なのはの娘。 モニター越しにフクロウの視線の猛威が吹き荒れた瞬間、本能的に危険を察知したなのはが身を呈して庇ったことによって生き残った、なのはの忘れ形見だった。 少女が素直にコクンと頷くのを見て、安心させるように微笑み、ヴァイスはクロノに続いて歩きだそうとする。 その背に、小さな声がかかった。 「お兄ちゃん……」 思わず、足が止まる。 お兄ちゃん。 その呼びかけは、ヴァイスにとって特別なものだった。 「ヴァイスのお兄ちゃん、帰ってくる?」 不安そうな問いかけ。 幼いながらも、自分が母を失ったことを理解しているのか。 これ以上何かを失いたくないという、それはそんな悲痛な問いかけだった。 「……大丈夫だ」 ヴァイスは答える。 例え実際の作戦の成功率がどれほどでも、ここで口ごもることは許されなかった。 「安心して、いい子にして待ってろよ」 振り返る。 そして、安心させるように、微笑んだ。 「良かったのか?」 と、そう尋ねたのは、クロノ・ハラオウンじゃったそうだ。 「何がですか?」 と、そう返したのはヴァイス・グランセニックじゃな。 男二人は、狭い戦闘機のコックピットの中におった。 その作戦では、クロノが戦闘機の操縦を、ヴァイスが狙撃を担当することになっとったからな。 「ヴィヴィオと、もっとちゃんと話しておかないで良かったのか? これが最後になる可能性だって……」 「さっき自分で『士気が下がるようなことは言うな』とか言っておいて、いきなりテンション下がること言わんで下さいよ」 無駄話、というわけではなかった。 ようするに、無理やりにでも神経を緩めとったわけだな。 二人とも、必要以上の緊張が害にしかならんゆうことを知っとったからの。 「俺がなんか言わなきゃいけない、てことはないでしょうよ。 俺に父親役なんてできませんし、ましてや高町隊長の代わりなんてのは務まりません」 「そうとも思わないがな」 クロノは、戦闘機の計器を確認しとっての。 ヴァイスは展開したストームレイダーを抱えるように持っておっての。 互いに、緊張の糸を張りつめさせとった。 「それより、すみませんね、クロノ提督。 管理局始まって以来の若き天才提督に運転手やらせるなんざ、本来は言語道断なんでしょうけど……」 「それこそ下らないことを言うな。 管理局自体が、もはやガタガタな状態なんだ。今さら階級も何もないだろう。 それに、先刻君が言った言葉、あれは僕にも当てはまる」 「は? 何のことで?」 「この役目を誰かに譲ろうという気はない、ということだ」 その言葉に、どれほどの情念が篭っとったのか、想像もできんがの。 「妻を、母を、妹を、友人を。無数の部下や同僚を。 ことごとく奪った相手との、直接決着だ。 外から見ているだけなど、だれがそれで耐えられるか」 つまりは、そういうことなのさ。 「……報いをくれてやる」 「クロノ提督、ヴァイスさん、頑張って……」 飛び立った戦闘機の機影を見つめながら、シャーリーは祈りの言葉を呟いた。 同時に、自分の無力が嫌になる。 デバイスを改修し、戦闘機を使用可能なまでに整備し――しかし、自分が関われるのはそこまでだ。 何の力もない自分では、前線に立つことが出来ない。 こうして行うべきことを終えてしまったら、まだ戦いは終わっていないというのに、既に祈ることくらいしか許されない。 こんな時なのは達なら、自分から前線に飛び出し、もっと色々なことが出来るのに。 いっそ、彼女らの代わりに自分が死んでいたら―― 「……ってダメダメっ!」 自分の思考が止め処なくネガティブな方向に沈んでいくのを自覚し、シャーリーは首を振ってそれを払った。 これでは、作戦が失敗したようではないか。縁起でもない。 クロノもヴァイスも、作戦を成功させて、無事に帰ってくる。 ならば、それを盛大に迎えてあげるのが、自分の仕事だ。 そもそも、今に限ったって、自分の仕事はこれで終わりではない。 二人から頼まれた、大事な仕事が残っている。 「さーて、ヴィヴィオちゃん。 それじゃ、お姉ちゃんと一緒に隊舎の中に……」 そうして、シャーリーが最後の仕事――ヴィヴィオを安全な建物の中に移動させようと、周囲を見回した時。 彼女はようやく、自分の周囲に、誰もいないことに気がついた。 あの綺麗なブロンドが、どこを見回しても、見当たらない。 「え? ヴィヴィオちゃん……?」 思わずポカンとして、二度三度と辺りを見回す。 闇に包まれた無人の飛行場に、シャーリー一人が取り残されていた。 飛び立った戦闘機の機内で、クロノはGに負けないよう怒鳴るように告げた。 「そろそろ上昇を始めるぞ! 相当なGが来る! 気絶するなよ!!」 「現役A級ヘリパイロットに向って何言ってんですか!!」 ヴァイスの返答を聞くと同時にハンドルを引き、機首を上げる。 急上昇。下方向へのGが、体をシートに押し付ける。 「ハッハァ! お月さんに向かって飛べぇってな!!」 後部座席で、ヴァイスが興奮したように叫んだ。 全方位へ広大な視野を誇るフクロウ、その飛行中の唯一の死角が、上である。 フクロウの頭上を獲った上で一気に急降下し、なるべく至近距離からその身を撃ち抜く。 それが、今回の作戦の全容だった。 ヴァイスの言葉通り中天に達した月めがけて一直線に飛び、十分な高度を取ったところで水平軌道に戻る。 急造されたレーダー――シャーリー謹製の、フクロウの羽音の周波数のみを拾い上げるパッシブ・ソナーによって、宙を舞うフクロウの、更に直上へ達したことを確認する。 「さて……それじゃあ、準備はいいか?」 「よっしゃ、行けるか、相棒?」 「OK.No Problem,Master」 起動状態に戻したストームレイダー――自分の唯一無二の相棒に声をかければ、力強い返事が返ってくる。 シャーリーの整備は、やはり適切かつ綿密だったらしい。 自分の体の延長のように馴染む銃身を抱えながら、ヴァイスは声を上げた。 「うっし、いつでもいいぜ! クロノ提督!」 「ならば、行くぞ!!」 クロノが、ハンドルを倒した。 機首が一気に下を向き、戦闘機が一直線に降下する。 自由落下より更に速い加速によりマイナス方向のGがかかり、体の内側が持ち上げられるような違和感がわき上がった。 「か、はっ! そろそろだな、キャノビー開けろ! ツラ見られんなよ!!」 「分かってる! そっちこそ、しくじるなよ!!」 急激に迫る地面。この数日で一気に明かりの数が減った夜景。 それを見つめながら、クロノはコックピットの一角に備え付けられたボタンを押しこんだ。 シャーリーによって設置された炸薬が点火され、破裂。 コックピットを覆うキャノビーが吹き飛び、クロノとヴァイスは夜の空気に直に曝された。 「グ……ガァ……!!」 一気に吹き荒れる風圧、叩きつけられる大気の壁に、クロノが思わず呻きを漏らす。 ――こんな風圧の中で……狙撃なんて出来るのか!? 思わず脳裏に走る疑問。 その答えを確かめようとした瞬間、後部座席から、長大なデバイスの銃身がクロノの頭上に被さった。 一瞬だけ視線を後ろに走らせれば、そこには悠然とストームレイダーを構えるヴァイスの姿。 向かい来る風も地面も一切関係ない、とばかりに不動を貫くその姿勢は、最初からこの戦闘機に備え付けられていたかのようだった。 どうやらこの陸曹は、自分が想像していたよりも遥かに優秀なスナイパーであったらしい。 その事実に心強さを感じつつ、視線を前へ。 本来の自分の仕事である操縦に専念しようと、レーダーに目を向けたその時。 「……! まずい! 気付かれたぞ、ヴァイス!!」 そのレーダーの光点に、動きがあった。 それまで周回していた軌道から大きく外れ、そのまま真上へと昇り始めている。 「こちらへ向かっている! このままじゃ……!!」 「問題ねえよ! それより、ツラ見られねえように頭下げとけ!!」 クロノの焦燥の混じった言葉を、ヴァイスの叫びが遮った。 既にクロノの言葉を聞くまでもなく、ヴァイスはこちらに向かって一気に突き進むフクロウの存在を察知している。 まだ耐えろ。 まだ撃つな――……。 「……来たっ!!」 クロノの叫びが響いた。 戦闘機の真下、既に肉眼でも確認できるほどの距離に、一羽のフクロウが現れる。 クロノは咄嗟に頭を下げ、ヴァイスは逆に悠然と体を起こした。 フクロウの視線から放たれる呪が、まるで風のようにヴァイスに向かって迸り―― 「――無駄だぁっ!!」 瞬間、ヴァイスの両目を覆っていた黒いサングラス、それが呪を受け止めたかのように砕け散った。 濃い黒ガラスの奥から見えたのは、眼球ではなく、その眼球二つを抉り抜いた、生々しい傷痕。 あの瞬間。 管理局内のモニターにフクロウの視線が映り、局員の大半が死に絶えたあの時。 ヴァイスは咄嗟の本能に従い、自分の目を抉り抜いていた。 そうすることで、他の局員たちがことごとく死に絶えた中、彼は生き残ったのだ。 咄嗟に、目を抉る、という選択肢が脳裏に浮かんだ理由。 それが彼の過去、自分の妹の左目を誤射した、あの記憶に根ざしていることは間違いなかった。 自分の腕で、妹の左目から永遠に光を奪ったという事実。 幾度も、自分の目もまた抉ってやろうかと考え続けた日々。 それにより、『目を潰す』という行為が、ヴァイスの中に色濃く残っていたのだ。 それは間違いなくヴァイスのトラウマであったが、そのトラウマ故に、ヴァイスは命を救われていた。 妹に、ラグナに救われたのだと、彼はそう思っている。 ――そのラグナも、もういない。 あの日。 管理局内にてモニターにフクロウの視線が映し出された、あの日。 同じ映像をライブ中継していたテレビによって、クラナガン全土で、死者が溢れた。 その中には、兄の仕事を心配して病院のテレビを見つめていた、一人の少女も含まれていたのだ。 「――――お、嗚呼ああぁぁぁぁっ!!」 赤熱する脳内。 それを隠すことなく、ヴァイスは吼えた。 フクロウの呪いは、視線とともに放たれて、相手の目から潜り込む。 その目が隙間なく潰されていたことにより、呪いは一瞬だけ弾け、ヴァイスの前から退いた。 無論、一瞬である。 その身がフクロウの視線の下にある限り、例えその目が潰れていようと、今度は呪いは耳から入りこむ。 盲目程度で防げるほど、そのフクロウの持つルールは甘くない。 稼げたのは、ほんの一瞬の時間に過ぎないのだ。 ――そして、ヴァイスにはその一瞬で、十分すぎるほど事足りた。 彼が行うのは呪文詠唱でも魔法発動でもない。 ただ、その引き金を引き絞るだけなのだから。 この距離ならば、如何にフクロウの回避能力を持ってしても回避など不可能だ。 シャーリーによってチューンされたストームレイダーの放つ弾速は、質量兵器のライフルのそれを凌駕する。 故に、今ここでこのフクロウは墜とされる。 ヴァイス・グランセニックの命と引き換えに。 「―――駄目ええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」 瞬間、夜空に声が響き渡った。 「な!?」 「んなぁっ!?」 クロノとヴァイスの驚愕の声が重なった。 二人が声の方向に視線を向ければ、狭いコックピットのどこに隠れていたのか、そこには金髪にオッドアイの少女の姿がある。 「ヴィヴィオ!? 君は、なにを……!」 「ダメ! ダメなの! ヴァイスのお兄ちゃんは死んじゃだめ! クロノのお兄ちゃんも死んじゃだめ! もう、もう誰も死んじゃだめなの!!」 クロノの声にも答えず、ヴィヴィオは叫ぶ。 瞳に涙を浮かべ、拒絶するように頭を振りながら、それでも、強く、強く。 「もう誰も死なせないって、私が皆を守るって…… なのはママと約束したんだからあああぁぁぁぁぁっ!!!」 瞬間、戦闘機が光に包まれた。 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。虹色の極彩色の光が周囲を包み、フクロウと戦闘機との間を遮る。 「……聖王の、鎧」 クロノが、呆然と呟いた。 ベルカに古来より伝わる、聖王を守る絶対の盾、聖王の鎧。 まさか、これが…… 「……っ! そうだ、ヴァイス、奴は!」 「問題ねえ」 焦りを帯びたクロノの言葉に、ヴァイスは落ち着いた声で答えた。 ヴィヴィオの登場には驚愕した。聖王の鎧にも仰天した。 しかし、このストームレイダーを構えている時の彼はスナイパーであり、全ての感情はその事実の下に統制される。 全ての驚愕から瞬き一つの時間もかけずに復帰し、ヴァイスはそのスコープの向こうにフクロウの姿を捉えていた。 絶対の盾である聖王の鎧をもってすら、このフクロウの呪いは完全には防げない。 虹色の光の隙間から、その呪は染み出すようにしてにじり寄っている。 しかしその速度は遅く、ヴァイスの命を奪うには、あと数秒の時間が必要だったろう。 それは、今度こそ、十分過ぎる時間だった。 「これで、終わりだ」 引き絞られる、引き金。 その銃口から、超高密度に凝縮された魔力弾が音も無く放たれ、大気を、虹色の輝きを割いて直進する。 そして。 ボン、という呆気ない音とともに、フクロウの額に穴が開いた。 「終わった、か」 低空で水平飛行に移った戦闘機、その後部座席で、ヴァイスは呟いた。 その腰には、しがみつくようにして寄り添うヴィヴィオの姿がある。 さて、これは怒るべき場面なのか、とヴァイスは苦笑した。 自分の言いつけを聞かず、勝手に戦場まで紛れ込んだのは、間違いなく問題だ。 しかし、結果としてそれに助けられてしまったわけで、どうにも怒りづらい。 どうしていいか分からず、誤魔化すように、ヴァイスはヴィヴィオの髪を撫でた。 「……ちょっと待て、これは、奴が落ちてこないぞ? それどころか、今も羽ばたいて…… まさか、まだ生きているのか!?」 レーダーを覗いていたクロノが、唐突に叫んだ。 焦った動きで、キャノビーが吹き飛んだコックピットから頭上を見上げる。 「……問題ねえよ」 なんだか、この夜の間に何度も口にしている気がする台詞を吐きながら、ヴァイスもまた、上を見上げた。 潰れた目に、視界は無い。 しかし、それでもヴァイスは見えた気がした。 呆れるほどの星空と、大きな月。そして、そこを羽ばたく黒い影。 「今思い出したんだが、昔、狙撃仲間のハンターに聞いたことがあった。 野生の鳥の中には、致命傷を負ってもなお羽ばたくことを止めずに、そのまま飛び続ける奴がいるんだそうだ」 「……それじゃあ、奴は死んでいるのか?」 「ああ、間違いねえ。確実に、頭を撃ち抜いた」 そうして、後部座席から立ち上がると、そのまま後ろに体を反らす。 「何がしたかったのか知らねえが、こんだけ殺しまくったんだ。 いい加減、満足しただろうよ」 「違うよ」 ぼそりと宙に投げた言葉には、しかし否定の返事が返ってきた。 怪訝に思って視線を下せば、こちらの腰にしがみついたヴィヴィオが、その目でこちらの顔と、月を泳ぐフクロウの影を追っている。 「違うよ、ヴァイスお兄ちゃん。 あの子は、誰かを殺したかったんじゃない」 ふるふると、悲しげにその顔が振られた。 「あの子はただ、飛んでいたかっただけ。 飛んで飛んで、どこまでも飛んで。いつか、自分と一緒に飛んでくれる人を見つけたかっただけだよ」 一人ぼっちは、悲しいから。 そう呟いたヴィヴィオの脳裏には、どんな思いが渦巻いているのか。 それを想像しようとして、すぐに止めて、ヴァイスは改めて上を見上げた。 見えない目に、浮かぶ光景。 目も眩むような金の月光の中を、どこまでも泳いでいく、フクロウの影。 「……一人ぼっちは寂しい、か」 ぼそりと呟いた言葉にどんな思いが篭っていたのか、自分でも分からない。 「いいさ、飛んでいけ。 悪いが、俺達はお前とは一緒に飛べない。 だから、どこまでも、どこまでも飛んでいけ」 その言葉が宙に消えるのと同時に、空高く昇ったフクロウの影が、月の光の中に融けて消えた。 「本当に行くのか? 僕としては、出来れば残ってほしいんだがな」 「ま、仕方ないでしょう。クロノ提督には、本当迷惑かけるとは思ってますけど」 数日後、クラナガン。 時空管理局の正門前で、4人の人影が向かい合っていた。 クロノ・ハラオウン。シャリオ・フィノーニ。ヴァイス・グランセニック。高町ヴィヴィオ。 あの夜、フクロウと戦った4人である。 その後、ヴァイスが時空管理局を辞職し、ヴィヴィオを連れて何処か旅に出る、というので、その見送りに出ているのだ。 「まあ、確かにこれ以上残っていると、流石に抜け出すこともできなくなるわよねぇ」 シャーリーが、溜め息交じりに呟く。 現在、クラガナンが急激な復興ムードが漂っている。 クロノにより、脅威の原因であったフクロウの撃退宣言が為されてから数日。 はじめの内は、半信半疑で外を窺っていた人々だが、何日たっても特徴的な甲高い鳴き声が聞こえないことで、ようやく脅威が去ったことを受け入れたらしかった。 とはいえ、それで完全に事態が元通り、とはいかない。 なにせ、秩序の中枢であった時空管理局は、未だに機能停止状態なのだ。 これ幸いとばかりに火事場泥棒に手を出す犯罪組織。 時空管理局になり変って次元世界の支配権を握ろうと動き出した各組織。 ある種の抑止力となっていたフクロウが消えたことで、これらのきな臭い動きが、僅か数日のうちにあちこちで漂っていた。 ある意味でフクロウとの戦いより遥かに厄介な、誰が悪で誰が敵なのかも判然としない、ドロドロとした戦いの気配が色濃く成りだしている。 そんな中で、この二人は間違いなくキーとなり得るだろう、とクロノは冷静に思う。 片や、各地のベルカの民が待ち望む、現代に蘇った『聖王』 片や、時空管理局を壊滅させた怪物をその手で撃ち落とした『英雄』である。 彼らを象徴としてプロパガンダを行えば、民衆の心を掴むのは遥かに容易になるだろう。 しかし、だからこそ―― 「まあ、これ以上ここにいると、ヴィヴィオに見なくていいもん見せちまいそうだからな。 ヴィヴィオも、まあいつかはそういうのを知って、背負って行かなくちゃいけないんだろうが、流石に今はまだ早い。 俺も、政治の道具にされんのは嫌だしな」 ――その通りだろう、とクロノはヴァイスの言葉に頷いた。 確かに、ヴィヴィオは政争の切り札となり得る。 しかしそれは、この10にも満たない少女の肩に凄まじい重荷を背負わせることなのだ。 人造兵器として生まれ、ようやく母を得て、しかし今回、その母を失って。 これ以上、この少女に何を背負わせ、何を奪うというのか。 それならば、『聖王』も『英雄』も、最初からまとめていなかったことにした方がよほど良い。 彼らの分も、自分が血を吐き、泥を被ればいい話なのだ。 ――若くして提督などという地位について、それなりに私情と仕事を切り離して考えられるようになったつもりだったけど。 なんだかんだで、仕事よりヴィヴィオという少女を優先している自分に、苦笑が漏れる。 だが、それが悪いとは思わない。 彼女は、自分の幼い頃から友人や義妹の忘れ形見なのだ。 そんな彼女すらも仕事の道具として見るようになっては、人としての破綻だろう。 人の導き手になるのであれば、その者もまた、確かに人であらねばならないはずだ。 「まあ、その通りだな。これから先のことは、ヴィヴィオには明らかに悪影響だ。 フクロウの相手は君に任せたんだ。人間の相手は、僕に任せろ」 「……本当に、すみませんね、提督。 情けないけど、よろしく頼みます」 「しおらしいことだな。 あの夜みたいに、ため口でも構わないんだぞ?」 「勘弁してください……」 フクロウと戦った、あの夜。 途中から精神が昂りすぎたのか、ヴァイスの口調は明らかに乱暴なものになっていた。 クロノとしては大して気にも留めていないのだが、ヴァイスにとってはばつが悪いらしい。 表情をしかめて顔を逸らすヴァイスに、クロノは他意のない笑みを浮かべる。 「……それじゃ、そろそろ行きます。 あとはよろしく頼みます、クロノ提督。シャーリーも」 「クロノお兄ちゃん、シャーリーお姉ちゃん、ありがとうございました」 「ああ、任せろ」 「ヴァイスさんもヴィヴィオちゃんも、体に気をつけてね」 クルリと背を向けて、ヴァイスとヴィヴィオが歩き出す。 二人の手が自然と重なり、更にヴィヴィオが、目の見えないヴァイスを先導するように数歩前に出た。 重なるように歩きだす二人を、クロノは目を細めて見る。 「……一人ぼっちは寂しいから、か」 或いは、それは代償行為なのかもしれない。 自分を守ってくれる、母親を失った少女と。 自分が守るべき、妹を失った青年と。 互いの抱えていた欠損が似通っていたから、それをお互いの存在で埋めているだけなのかもしれない。 ――だが、それの何が悪い。 クロノはそう思う。 彼らは生きているのだ。そして、これからも生きていくのだ。 そのために互いの存在が必要ならば、寄り添うことを躊躇う理由などあるはずがない。 寄り添えるなら、やはり人は誰かと寄り添って生きていくべきなのだ。 誰だって、一人ぼっちは寂しいのだから。 「行っちゃいましたね」 角を折れて見えなくなった二人の方向を見つめたまま、シャーリーは呟いた。 「ああ、そうだな」 「また、会えますよね」 「いつかは会えるだろうさ。別に今生の別れというわけでもない」 そういって、クロノは大きく背伸びをした。 背骨が、ポキポキと音を立てる。 「さて、いい加減戻ろう。 仕事はまだまだ山積みなんだ」 「そうですね、私たちは、私たちのやるべきことをやらなきゃ」 そう言って、クロノとシャーリーが踵を返した時。 ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ 唐突に、クロノの通信素子が甲高い音をたてた。 エマージェンシー。緊急通知だ。 「……なんだ?」 クロノが、疑問符を浮かべながら通信に出る。 「ああ、僕だ……なに? 何を言って……まさか………間違いないのか?」 その応答を横から聞いていたシャーリーは、話が進むごとにクロノの表情がどんどん引き攣っていくのが分かった。 やがて通信が切られると、引き攣りすぎてなんだか半笑いになった表情で、クロノがこちらを見つめてきた。 「……あのー、クロノ提督? 一体なんの通信で……」 「……フクロウに続いて、今度は狐だそうだ」 「は?」 訳が分からず間の抜けた声を出すシャーリーに、クロノは引き攣った半笑いのまま説明する。 「ミッドチルダ郊外で、九本の尻尾を持つ巨大な白い狐が暴れていて、周囲一帯が破壊し尽くされているらしい」 「……えーと、それで」 「僕らに、応援に駆け付けろ、だそうだ」 チーン。 クロノとシャーリー、二人の間に沈黙が横たわり、乾いた風が駆け抜ける。 「…………あの二人を呼び戻せっ! 僕は装備の用意をしてくるっ!!」 「は、はいぃ!!」 バタバタと、クロノとシャーリーは駆けだしたのだった。 『むかし、むかし……」 美術史家エルンスト・ゴンブリッジが書いたように、全ての物語は「むかし、むかし」で幕を開ける。 故にこの物語もまた、「むかし、むかし」のお話なのさ。 むかし、むかし、次元世界の中心地、ミッドチルダが大混乱になったことがあっての。 何の因果か知らんが、立て続けにとんでもなく厄介なことが起きていたのさ。 見られただけで人が死ぬフクロウが現れたり、九本の尻尾が化け物に変化する巨大な狐が出たりの。 謎の病気をまき散らす人形のサーカス団が出現したり、火を吹くバネ足の怪人が町を騒がせたりの。 おとぎ話の中の登場人物が、現実で暴れだした、なんてこともあったわな。 いちばん最初の事件、いま語った、視線で人を殺す『邪眼のフクロウ』の事件で、時空管理局はもうガタガタじゃったから、そりゃあ大変なことになった。 しかしの、そんな中で、事件の中におって、事件を解決しようとドタバタしとった連中がおったんじゃ。 一人は、黒い髪の、生意気な青年将校。 一人は、眼鏡をかけた、穏やかなメカニック。 そんでもう二人が。 そうじゃな、盲目の狩人と、幼い金髪の聖王じゃ。 そう、『四英雄』なんぞと呼ばれとる、そんな連中じゃよ。 今のお話は、その4人が、初めて4人でぶつかった事件。 『四英雄』の初めての事件なのさ。 4人の、始まりの物語だよ。 さ、これで、お話はお終いだ。 ……ん? なんだ? まだ、お話を聞きたい。 ……ふふ、しかたないの。 なら『邪眼のフクロウ』の次の事件、『九尾の白面』のお話でもしてやるかの。 よく聞きなさい。 むかし、むかし………… 時空管理局 元帥 クロノ・F・ハラオウンの昔語りより
https://w.atwiki.jp/asrivival/pages/264.html
~レムリア大陸・トレーラー周辺~ 炎の中から現れた駆動鎧。背中には羽のようなパーツがついており、機械的なアングルフの姿とは異なり全身的に丸みを帯びた有機的なデザインへと変貌している。 アルバド「……」 頭部内のモニターを確認するアルバド。 アルバド「操作系統はそのまま。武装が大きく変わっているようだな」 モニター内に映し出される武装はアングルフのものとは大きくかわっていた。各武装にはそれぞれその用途と名前まで記されている。これもAISの仕業なのだろうか。 アルバド「これがAISの力なのか」 ガドゥ『AISがあなたに感応し、今までの戦闘データをもとにアングルフに搭載された未元獣とレーヴェンズの細胞を変化させこの姿になったと思われます』 未元獣とレーヴェンズの細胞による自己修復機能を変異させ、姿を変えたということらしい。 アルバド「機械が人の心を読んだだと…」 にわかには信じがたい事態だ。人工知能といえどここまでの力を発揮するとは… アルバド「原因はどうでもいい。奴らを始末さえできればな」 アングルフのモニターが3人の人物を捕らえる。 アルバド「今回ばかりはお前に感謝するAIS。テロリストをせん滅する!」 シュウ、レイジ、ヴァイスに向かって突進するアルバド。 レイジ「あれはアルバドなのか?あの駆動鎧が変化というのか?」 突然の事態に驚くレイジ。 シュウ「他に駆動鎧はいませんでした。そう考えるのが妥当でしょう(まさか私の黒球でも倒せないとは…少々驚きましたね)」 ヴァイス「進化する駆動鎧なんて…そんなのあり!?」 シュウ「考えても仕方ありません。今はあれを倒すほかありませんよ」 ヴァイス「そうよね。『シュルゲン・イェーガー』!」 ヴァイスの手に長銃が出現する。 ヴァイス「これで!」 バン! 長銃から放たれる銃弾。それはアングルフに向かって真っすぐに放たれる。 バゴン! アングルフへと命中する銃弾。だがアングルフはそれをものともせず3人へと突進してくる。 ヴァイス「効いてない!?」 ビキビキビキ! アングルフの装甲が銃弾を受けた直後に修復していく。 シュウ「修復の速度も先ほどより上がっているようですね」 ドゴォン!! 3人へと突撃するアングルフ。その衝撃で地面は砕け、あたりに土塊が宙を舞う。 レイジ「ちっ!」 3人はその突撃をすんでのところで躱す。 ブゥン! 怪しく光るアングルフのセンサー。それはレイジを捕らえている。 アルバド「くらえ!」 右手を突き出すアルバド。 ガキン!ガキン! アングルフの右腕が変形していく、それは巨大な銃へと姿を変える。 アルバド「UW(アトモス・ウェポン)!!」 ギュィィン!! 銃の銃口へとエネルギーがたまっていく。 バシュゥゥン!! レイジに向かって放たれるエネルギーの塊。 レイジ「狼の眼(ウォルフス・アーケ)!」 レイジはその目でアルバドの動きを正確にとらえる。『狼の眼』は全ての動きをスローモーションのように見ることができる能力だ。それによりエネルギーの塊を避けるレイジ。 レイジ「ん?」 アルバドの姿を捕らえるレイジ。アングルフが何か力をためているような格好をしている。 レイジ「何をする気だ…」 アングルフの背部の羽のような装備の部分からブースタ―の炎が点火している。 グググ!! レイジ「まさか!」 アルバド「レイジ。お前の『狼の眼』は強力な能力だ。だがそれにも弱点はある!」 バシュン! 羽部分のブースターが勢いよく点火する。 シュン!シュン! レイジをかく乱するように高速で移動するアルバド。 レイジ「くっ…」 アルバド「どんなに動きを眼で追えても、体が反応しなければついてこれまい!」 ヴァイス「レイジ!」 シュルゲン・イェーガーを構えるヴァイス。 アルバド「ウイングカッター」 ガキン! アングルフの背中の羽部分が外れる。それはブーメランのようにヴァイスへと飛んでいく。 ガキン! ヴァイス「きゃぁ!」 シュルゲン・イェーガーへと突き刺さるカッター。 アルバド「お前はおとなしくそこで見ていろ」 レイジに狙いを定めるアルバド。 アルバド「レイジ!これで終わりだ!」 爪のように鋭いアングルフの手をレイジに突き刺そうとするアルバド。 レイジ「くっ!(だめだ。回避が間に合わない!)」 バシュン! アルバド「なに…?」 アングルフの爪先が消失する。それはレイジの眼前に現れた黒い球体に触れたためだ。全てを呑み込む黒い球体それを作り出したのは。 シュウ「危ないところでしたね」 レイジ「シュウ!」 アルバド「やはりお前は危険だ。その得体のしれない能力。味方であれば頼もしい限りだが敵となれば非常に厄介な能力だ」 ビキビキビキ! アングルフの消失した指が修復していく。 シュウ「私が用があるのはあなたではありません」 アルバド「お前の用事のためにここにいるわけではない」 シュウ「私は彼に真意を問うためにここに来ました。あなたの相手をしている場合ではないのですよ」 アルバド「自分勝手な理屈を。お前の用など…」 「お前が用があるのは私だろう」 アルバドの声を遮るように現れた人物。それは… シュウ「おや。あなたのほうから出向いていただけるとは」 オウリギン「それはこちらのセリフだ」 オウリギンがトレーラーの中から姿を現す。 オウリギン「アルバド。お前はその2人を始末しろ」 アルバド「ですがこの男の能力は未知数。あなたといえど…」 オウリギン「私に意見するのか?お前は任務をこなしていればいい」 アルバド「…了解」 アルバドはレイジとヴァイスへと攻撃を仕掛ける。その場に向かい合うオウリギンとシュウ。 オウリギン「さて…」 シュウ「私と対面してその余裕。なにか手があるのですか?」 オウリギン「ふふふ…」 不敵に笑うオウリギン。 オウリギン「グリンツ・ゴードンと裏で手を組んでいた来未柊(なび・しゅう)」 シュウ「…」 オウリギンの言葉を冷静に聞くシュウ。 オウリギン「本名を当てられたくらいでは取り乱さないか。未来からの来訪者」 シュウ「…ずいぶんと博識のようですね」 オウリギン「お前の正体など私にとっては些細なことだ。今の私にとって重要なのはお前という存在イレギュラーだ」 シュウ「どういう意味です?」 オウリギン「私の為すEGOの道。それを邪魔するおまえという存在が今の私にとっては一番の害悪だ」 シュウ「ずいぶんな物言いですね。ならばどうするというのですか?」 オウリギン「お前を消し去る」 シュウ「ふふふ。そんなことができるとお思いですか?」 オウリギン「おまえは自身の力を過信している。それは自身と対等またはそれを超えるものに出会ったことがないからだ」 シュウ「それがあなただとでも?」 オウリギン「いいや違う」 シュウ「?」 オウリギン「おまえを倒すのは…」 「私です」 バッ! シュウの眼前に突如現れるスーツの男。 ライアード「ここであなたの命は尽きるのです」 ジャキン! 両手の指に複数のナイフを挟み構えるライアード。 シュウ「誰が来ようと変わりません」 ボン! 宙に舞うライアードの両腕。ライアードの両腕の付け根に黒い球体が出現している。それにより腕が吹き飛んだようだ。 ライアード「これがあなたの力ですか」 シュウ「所詮はこの程度。さぁあなたは用済みです」 ライアードに向け手をかざすシュウ。 ライアード「くくく…」 両腕を吹き飛ばされたライアードはその顔に笑みを浮かべている。 シュウ「両腕を吹き飛ばされて気でも狂いましたか?」 ライアード「いいえ。あなたに後悔させてあげましょう!私を一撃で葬らなかったことを!」 ブン! 宙に舞うライアードの両腕からナイフがシュウに向け放たれる。 シュウ「!」 ライアードにかざしていた手をナイフに向けるシュウ。 バシュン! シュウが手の前に作り出した黒い球体に吸い込まれ消滅するナイフ。 シュウ「姿が消えた…どこに」 シュウの眼前から姿を消すライアード。 ライアード「後ろです」 シュウの背後から聞こえる声。そこにはライアードが失ったはずの両腕をつけその場にたたずんでいた。 シュウ「そうですか」 ゴゴゴゴ!! ライアード「これは…」 ライアードの体が何かに吸い込まれるように身動きをとることができない。ライアードが上空を確認するとそこには黒い球体が出現していた。 シュウ「どこに現れようが関係のないことです。もうあなたは逃げられませんよ」 ライアード「うぉぉ…」 ライアードの体が宙に浮く。 シュウ「おしまいです」 黒い球体に吸い込まれるライアード。 バシュン! 黒い球体はライアードを吸い込み消滅する。 シュウ「これで…」 ライアード「あなたの力の限界を知ることができました」 シュウ「なっ!」 先ほど黒い球に吸い込まれ消滅したはずのライアードがシュウの目の前に姿を表す。 ザシュ! シュウの体に複数のナイフが突き刺さる。 シュウ「ごふっ…」 口から血を吐くシュウ。 ライアード「因子を持っていたとしてもそのACT(アクト)を引き出せなければ意味はありませんよ」 シュウ「因子…ACT…なるほどそういう…ことですか…」 何かに気づくシュウ。 ライアード「さぁ終幕です知りたがる羊。」 右手をシュウにかざすライアード。 バシュン! 直後黒い球体がシュウへと放たれ、シュウは消滅する。 オウリギン「うまくいったようだな」 ライアード「えぇ。これでシュウを始末することはできました」 オウリギン「お前のおかげでEGOに仇名すテロリストは始末できた」 ライアード「それでは私はこれで」 オウリギン「お前の協力には感謝する」 ライアード「利害が一致すればいつでも協力しますよ。必要となればいつでも及びください」 そういうとライアードは風のようにその場から姿を消した。 オウリギン(ライアード…真意の読めないやつだ。奴の目的はディサイブ・ラウズレイと来未柊と戦うことだった。そのためにEGOと協力すると。それを終えた今奴はもうEGOには協力する気はないということか) ~~ レイジ「くっ!」 アルバドの猛攻に苦戦するレイジとヴァイス。 ヴァイス「このままじゃやばいよ!」 そこに現れるオウリギン。 オウリギン「まだ始末し損ねていたか。それとも元部下への愛着が捨てられないか」 アルバド「…関係ありません。こいつらは今はテロリスト。始末するだけです」 レイジ「オウリギン…奴が現れたということは」 ヴァイス「まさかシュウが…」 最悪の事態を想定する2人。 オウリギン「ならば即刻始末してみせろ」 アルバド「はっ!」 レイジ「くっ…作戦は失敗だ…プランDへ」 ヴァイス「…わかったわシューちゃん!」 シュルゲン・イェーガーを構えるヴァイス。 バババ!! 地面へと放たれる無数の弾丸。それによりあたりは砂煙に包まれる。 アルバド「ちっ!逃走か!」 レイジ「ヴァイス!目的地は覚えているな!」 ヴァイス「もちのろん!」 砂煙の中逃走する2人。2人が向かう先そこは… ~モゴラ大陸・クリュセルス港~ 結利「やっとついたね」 ツバメ「えぇ。長い航海だったわ」 港に着く結利とツバメ。 2人は陸路を避け、船でクリュセルスへと向かったのだった。2人はクリュセルスの町に入ると違和感を感じる。 結利「なんだか町の人たちが騒がしいね」 ツバメ「なにかあったのかしら」 町の人に聞き込みする2人。 クリュセルスの女性「なんだか武装したEGOの人たちが町の奥にある研究所へと向かったそうよ」 結利「え!それって…」 ツバメ「まずいわね…まさかEGOはあそこを…」 クリュセルスの奥の研究所。そこは… 結利「リオ研(リオルクラフト研究所の略)が危ない!」 ツバメ「急ぎましょう!」 to be continued
https://w.atwiki.jp/kerberos04/pages/92.html
[SCI] ルナソル・L・ゴッドスピード 「ルナ ソルです。回復はお任せください、フフ。」 「せんせぇ…い、いじわるはやめて下さい…」 ♀ 300? like: アウトブレイク、ヴァイス hate: 酸っぱい食べ物 [SCI]所属。アビゲイルの実妹で、ヴァイスの遠い親族。学生のヴァイスに部屋を貸し、ヴァイスがアークスになるまで同居していた。同居中家事は全てルナソルが行っていたせいか、ヴァイスの家事能力は現在も尚向上が見られない。 同じ[SCI]所属のDr.アウトブレイクは、彼女の上司であり、恋人。普段は冷静沈着な彼女であるが、彼の前だけでは態度が変わる。また瀕死の彼女を救い[SCI]に勧誘したという彼のことは童話眠り姫の王子様のように思っており、しばしば妄想に耽る癖がある。内容は彼との夫婦生活や間に生まれる子供のことなどがほとんどで、その全てにおいてアウトブレイクは普段の冷酷な彼とは違う温かく優しい人物となっているらしい。また「普通の人間の家族」を夢見ているためか登場人物は自身含め皆、ツノや尻尾は生えておらず肌や瞳も一般的なヒューマンの色をしているという。 Dr.アウトブレイク imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 「キミの身体は、なかなか興味深いね…」 「さあ、俺の、俺だけの…手術の時間だ。」 ♂ 300? like: 手術 hate: 原生生物、欠陥、非効率 非公式衛生兵集団[SCI]リーダー。半ば精神が崩壊しているが、医師としての腕は確かであり、衛生兵としては優秀。しかし時折ではあるが、患者が「改良」を受けることがあり、何度か被害が報告されている。アウトブレイク本人は「元々が不十分な個体であった。付け足すべきであり、これは最も適切だ。」と話している。 ルナソル・L・ゴッドスピードは彼の助手であり、恋人。恋人とは言うものの、彼女の好意に気付いた彼が彼女を利用するのに便利だと考えて交際を始めたものであり、彼女を駒のように扱っていることが多い。 戻る
https://w.atwiki.jp/librastra/pages/326.html
出典 グランブルーファンタジー/ヒューマン(※独立mlt) 種族 【人間】 プロフィール 【哨戒隊】の分隊長を取り仕切る総隊長。 【哨戒隊】に集う勇士の頂点として正義感は当然人一倍大きく、治安の維持に全力を尽くしている。 趣味はそんな多忙な日々を合間縫って往くスイーツ巡りであり、 運が良ければ勤務中では視られない可愛らしい笑顔が見ることが出来るだろう。 その他プロフィール ● [運命変転]回数残り:1回 ●{キルオに対しての感情}:両側一段階補正 {年齢}:026歳 童顔に見えるが成人をとうに超えている年齢。 「お嬢さんというような歳ではない」とは本人談。 {異性耐性}:019 {ちしき}:02 その年齢で無知ってどういうことだ。 理由を説明すると幼少期に自身の胸に対し"牛"と称された事にコンプレックスを感じ取ってしまい、 其れ以降そういった知識を極力避けた故の事故であるらしい。 尚、自身の裸を見られると謝るが逆に直接モノを見てしまった場合は顔真っ赤にはするとか。 {CG回収(意味深)} 第〇四七話:http //yarufox.sakura.ne.jp/test/read.cgi/FOX/1699281202/112-179 第〇四八話:http //yarufox.sakura.ne.jp/test/read.cgi/FOX/1699281202/257-274(雑談枠) 第〇五一話:http //yarufox.sakura.ne.jp/test/read.cgi/FOX/1699281202/839-859 第一一六話:http //yarufox.sakura.ne.jp/test/read.cgi/FOX/1705320174/2782(雑談枠) 第一七五話:http //yarufox.sakura.ne.jp/test/read.cgi/FOX/1713533734/746-750(雑談枠) キャラクタースペック ├(0):モニカ・ヴァイスヴィント├【戦闘力】:100│┣―――【体】08 〔1〕【力】09 〔2〕【技】09 〔3〕【魔】14 〔4〕【速】13│┣―――[CS]〚秩序の風〛 [CS]〚コマンダー〛│┣―――[AS]〚鎖撃電閃〛/〔CT〕00 [AS]〚紫電一閃〛/〔CT〕00│└――…z...._______________________├【体】08:([St.R]"0")□□□□□ □□□__├【力】09:([St.R]"0")□□□□□ □□□□_├【技】09:([St.R]"0")□□□□□ □□□□_├【魔】14:([St.R]"1")□□□□_ _____└【速】13:([St.R]"1")□□□__ _____ 装備【アイテム】 一枠目 ┌〘スカイエース+++++〙├①:【体】の【スペック】を"13"〔上昇〕。├②:【力】の【スペック】を"16"〔上昇〕。├③:【技】の【スペック】を"16"〔上昇〕。├④:【魔】の【スペック】を"22"〔上昇〕。└⑤:【速】の【スペック】を"22"〔上昇〕。 ニ枠目 ┌〘エメラルドブローチ+++++〙├①:【魔】の【スペック】を"13"〔上昇〕。└②:【速】の【スペック】を"12"〔上昇〕。 三枠目 なし [キャラクタースキル] ┌〚秩序の風〛├①:〔[ターン]開始〕時、〔自身〕に〔【回避】状態を付与〕する。├②:〔相手〕による〔味方〕へのダメージや【状態異常】の付与をその[ターン]中、一度だけ〔自身〕に変更する。├この処理に対して〔自身〕の【回避】状態を適用し、ダメージや効果を〔無効化〕する事が出来る。├③:【回避】状態を〔貫通〕されずに【回避】状態が〔解除〕された場合、〚紫電一閃〛を〔発動〕する。│ 「味方の前に即座に飛び出し攻撃を防ぎ、返す刀で得意技〚紫電一閃〛を放つ技能。└ 人一倍の正義の前で味方や同士が倒れることは、彼女の剣を砕かぬ限り到底起こり得ない。」 ┌〚コマンダー〛├[属性スキル]├①:〔味方〕の"兵士"及び〔自身〕と同陣営に所属している〔キャラクター〕一人に付き、├〔自身〕以外の〔味方〕の"兵士"及び〔自身〕と同陣営に所属している〔キャラクター〕の├【体】以外の【スペック】を"10"〔上昇〕させる。├②:〔"指揮"・"戦闘"・"逃走"に関する判定にボーナス値〕を加える。│ 「戦況を分析し戦術を組み立て、味方に的確な戦闘指示を送る素質。└ 〚カリスマ〛と違う点は味方への鼓舞というより、如何に効率良く駒を進めるかという面にある。」 [アサルトスキル] [LV.1] ┌〚鎖撃電閃〛├(必要[AG]:"030")├〔CT〕06├◎:【技】・【速】が〔選択〕された時に〔発動〕する。├①:〔相手〕に"02"のダメージを与える。├②:この[ターン]の〔味方〕の〔【スペック】の敗北〕による【体】の〔減少〕を〔自身〕の【体】〔減少〕にする。│ 「鎖が繋がっていく様な雷撃を横へと薙ぎ払う様に放つ【スキル】。└ 隙が大きく見える一撃を敢えて敵前で放つことで、相手の注意を引き付ける。」 [LV.2] ┌〚紫電一閃〛├(必要[AG]:"030")├〔CT〕05├◎:【力】・【魔】が〔選択〕された時に〔発動〕する。├①:〔相手〕全員に"01"のダメージを与える。├②:次の[ターン]、〔選出〕された〔相手〕の被ダメージを"01"上昇させる。│ 「稲妻が駆け抜けたかのような一閃にて敵全体を切り裂く【スキル】。└ モニカの代名詞の技であり、一発自体は大きな火力ではないが回転率が高い。」 [LV.3] ┌〚エアスト・ヒルフェ〛├(必要[AG]:"050")├[回復スキル]/〔CT〕03├◎:〔自身〕が〔選出〕されなかった場合に〔発動〕する。├①:〔味方〕全員の【体】を"01"〔回復〕。├②:〔味方〕全員の【状態異常】を1つ〔回復〕。│ 「体内の異常を取り除く【魔力】を、風に乗せて全域に届ける【回復魔法】。└ 苛烈な攻め手を得意とする彼女だが、こういったサポートも総隊長として得意分野である。」
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/2976.html
【元ネタ】史実 【CLASS】バーサーカー 【マスター】 【真名】イヴァイロ 【性別】男 【身長・体重】190cm120・kg 【属性】混沌・善 【ステータス】筋力A 耐久B 敏捷C 魔力E 幸運D 宝具B 【クラス別スキル】 狂化:EX 全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。 狂化を受けたバーサーカーは会話は行えるが、 思考は"神は与えたもうた"、"外敵、内敵を確実に排除すべし"に固定されており 意志疎通が不可能なことに変わりはない。 【固有スキル】 信仰の加護:A+++ 一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。 加護とはいうが、最高存在からの恩恵はない。 あるのは信心から生まれる、自己の精神・肉体の絶対性のみである。 高すぎると、人格に異変をきたす。 反骨の相:B 貧農の出でありながら、皇帝位を簒奪した事から。同ランク以下の「カリスマ」を無効化する。 貧者の見識:E 相手の性格・属性を見抜くスキル。言葉による弁明、欺瞞に騙され難い。 しかしながら、真に狡猾なる人間に対しては意味を持たない。 【宝具】 『萵苣群をなす(トヴァーリエッツバルドコヴァ)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:- バーサーカーが受けた神の啓示の具現。 発動には高貴な生まれ者一名を「生贄の動物のように」殺す事を要す。 発動と同時にバーサーカーの全ステータスを一段階増加する。敵対する者が、高貴な者や侵略者の素質を持つものであればこの限りでなく、上方修正されていく。 【Weapon】 『無銘・剣』 13世紀のブルガリアにて用いられていた剣。 彼が天に剣先をかざせば、それはどのような者も討ち滅ぼす魔剣となる。 【解説】 13世紀ブルガリアにおいて、他人の豚を世話するだけの貧農でありながら最終的に皇帝となった男。ブルガリア版ジャンヌ・ダルク。 彼は豚小屋にて、ブルガリアを侵略者の手から救えと神の啓示を受ける。その後、自身の啓示を仲間の豚飼いに伝導していき、最終的には彼の支持者で構成された農民軍のみでモンゴル帝国(ジョチ・ウルス)の大軍を数度撃退する。 時のブルガリア皇帝コンスタンティン・ティフは、イヴァイロの軍に恐れをなし、討伐を行おうとするが敗北し、処刑された。 その後、コンスタンティンの妻であったマリアと和解、婚姻し皇帝に即位する。 隣国の東ローマ皇帝「最も狡猾なるギリシア人」ミカエル8世パレオロゴスは、イヴァイロの勃興に危機感を抱き、 皇位継承者であるイヴァン・アセンを支持し、イル・ハン朝(モンゴル)と共同で攻撃を行うも、イヴァイロはこれを撃退。 しかしながら、イヴァイロが首都を留守している間に貴族らはイヴァン・アセンを迎い入れ、皇帝位を勝手に譲渡させた。乗っ取られた首都に戻るも、 イヴァン・アセン派の武装解除に至らなかったイヴァイロはその後パレオロゴスの軍を蹴散らすも 最終的にイヴァン・アセンの義兄弟であるゲオルギ・テルテルの軍に破れ、かつての古敵であるジョチ・ウルスへ亡命。亡命先のジョチ・ウルスにてパレオロゴスの策謀により暗殺され、その苛烈な生涯に幕を閉じた。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2650.html
「そろそろかな」 暗い中ヴェロッサが機動六課の面々にそう告げた途端に皆の前に光が広がっていく。 それはバスが暗いトンネルを抜けて外に出た証である。 バスから外を見ると、外は一面の雪景色であり、あまりの美しさにスバル達は驚きで声も出ない。 「それでは間もなく目的地に到着するよ。温泉にね…」 第11話 激闘! グラヴィトン温泉!! 何故ヴェロッサ達が温泉に来ているのかと言うとそれには深い訳がある。 それは3日ほど前に、ヴェロッサ達が今行こうとしている温泉の近くにある火山にゼラバイアがやって来たのだが、ゼラバイアは破壊活動を一切行わず火山の中に入ったきり出てこない。 それどころか何もしてこなかったのだ。それでもゼラバイアが何もしないわけではないとクロノ達は監視を続けていたが、何もしてこない。 調べていくと、ゼラバイアがいる火山の近くには温泉があり、ゼラバイアが活動を再開した時に備えて兼慰安旅行で機動六課の主要メンバーは温泉旅行に来たのだ。クロノを除いて………。 クロノは自分はゼラバイアの監視の為に行かないと言い、一人聖王教会に残ったのだが、内心は行きたがっていた。しかし監視は大事だと言うことで残った。 「はあ、皆温泉楽しんでるんだろうな~~~」 クロノが一人、主要スタッフのいない聖王教会でぼやく。 温泉宿に着いた一向はすぐに温泉に入る準備をして、早速露天風呂温泉に入りに行った。 「いやっほーーーーーーーーー!」 スバルが誰もいない温泉に向かって勢いよく飛び込む。 その勢いでとんだしぶきがティアナにもろに命中した。 「スバル、あんたね! マナーを考えなさい!」 「ええ~、いいじゃんティア。今はあたし達しかいないんだから……」 「うんもーーーーーーーーーー!!」 ティアナは怒りながら温泉に入り、スバルのほっぺの両側をつねる。 「痛い、痛い」 「何だが楽しそうだね」 「うん、そうだね」 二人のいつものやり取りと温泉を見てなのはとフェイトは和む。 いつものやり取りをしている二人だが、突然何かが自分達の胸を触れた感触に襲われる。 「「きゃ!」」 「どうしたの!?」 なのはとフェイトが急いでスバル達の駆け寄ろうとするが、スバルは止める。 「大丈夫です! 犯人は何となくわかりますから……」 「「「?」」」 なのはとフェイト、隣にいるティアナもスバルの発言に疑問を持つ。 しかしその疑問もすぐに晴れる。スバルは神経を研ぎ澄ますようにして湯船に座り込む。 そして、スバルの胸がまた何かに揉まれようとした時、スバルは自分の胸を揉んだものを自分の手で掴み一気に立ち上がりその正体を見る。 「やっぱり、ウェンディ…」 「ばれちゃったっス」 スバルとティアナの胸を揉んだ犯人はウェンディであった。しかし何故ウェンディが下にいたのかと言うと犯人はもう一人いるのだ。 「セイン…」 「はいはーい」 ウェンディの下、つまり湯船の下からはセインが突然現れたのだ。 「まったくお前達は先に行ったと思ったら何をしてるんだ」 「あ、チンクさん」 なのはとフェイトの後ろにチンクの他に、ヴィヴィオ、シグナム、シャマル、ドゥーエ、マリー、ノーヴェがやって来ていた。 「あれ? そう言えば、ノーヴェもチンクさんもセインもウェンディも何でいるの?」 「それはな……」 「あたし達、福引に当たったんっスよ!」 ウェンディが元気に答えた。まあ詳細はセインが教えてくれた。 数日前、たまたま部隊の食料などの買出しにセインとウェンディが街に出かけ、そこで福引券をもらい、福引の特等の温泉旅行に当たったのだ。 そして上司と掛け合って特別休暇をもらい、ノーヴェとチンクも誘いこの温泉旅館にやって来て、スバル達が宿にやって来るのを見て、からかうつもりでスバル達の虚位をついたのだ。 「まさか、ここでまた会える何て思わなかったよ」 「さあてそれじゃあ、他の人のも揉もうっスかね」 『え?』 一方男湯の露天風呂温泉ではユーノともう一人キャロやルーテシアと同い年くらいの少年が入っていた。少年の名はエリオ・モンディアル。 この少年は最近まで武者修行と称して外に旅出ていて、慰安旅行の2日ほど前に帰ってきて、エリオの大事な友であるキャロとルーテシアの押しに負け、 半ば慰安旅行に強制参加していたのだ。 「いい湯だね、エリオ」 「はい、そうですね」 ユーノとエリオが男二人であったかい湯船に浸かりながら外を見る。 「ここから見る眺めも綺麗だよね」 「うん……」 エリオはボーっとしながら答えたが、今の声がユーノのものではなくキャロのものだと気付いた。 エリオはまさかと思い振り向くとそこには何とキャロとルーテシアがタオルを巻かず、裸で男湯に入っていたのだ! 「キ、キャ、キャ、キャロ! ル、ル、ル、ルーもなんでここに!?」 まさか二人が男にいるとは思わずエリオは気が動転する。 「さっき従業員に聞いたの」 「ここ12歳以下の子供はどっちでも入っていいって言ってたの」 「だから、キャロと話してエリオと一緒に入りたいと思って来た」 「だ、だからって……」 エリオは急いでタオルを腰に巻いて、湯船から上がり、竹の壁に背中を貼り付ける。 「エリオ君」 「エリオ」 「「背中洗ってあげる(ね)」」 キャロとルーテシアがエリオに迫る。キャロとルーテシアの二人はエリオに好意を持っており、この行動に悪意はまったく無い。 エリオはその事を知っているが故に余計に恐ろしく感じている。 「ぼ、僕は、べ、別に………」 エリオが何とか断ろうとした時、突然エリオの後ろにある竹の壁が突然エリオを中心に両端が折れたのだ。 「え、え、うわあああああああああ!!」 エリオは仰向けになったまま竹のソリに乗ってがけを滑り降りる。 「エリオ君……」 「シャイ」 「違うと思うよ」 ユーノはルーテシアの言葉に苦笑いしながらつっこんだ。 戻って女湯ではウェンディにほとんどの人が胸を揉まれた後、皆でのんびりと入っていた。 「はあ~~~~~~」 「さあて、そろそろ返しかな」 スバルが手をいやらしく動かしてウェンディの前に出る。 「お、来たっスね」 「うりゃ!」 スバルは掛け声と同時にウェンディの胸を掴み、胸を揉む! 「うお! やったっスね~~~~~~~。うりゃああああ!!」 ウェンディも負けじとスバルの胸を掴んで揉みかえす。 「あらら、スバルとウェンディったら……」 「まあ、平和でいい事じゃない」 傍らでは前回のピクニックでの件を忘れたかのように、お酒を持ち込んで一緒に飲んでいるドゥーエとシャマルがスバルとウェンディの楽しそうなやり取りを微笑みながら見る。 「そうね、今はこのひと時を楽しみましょうか」 「…………ああああああああ!!」 ドゥーエとシャマルがお酒を飲みながらスバル達の方を見ていると突然自分達の後ろの方から声が聞こえてくる。 二人は思わず声のするほうを振り向く。そして振り向いた瞬間その声の主が竹の壁を突き破り、姿を現した。 そうその声の主は、上の男湯から滑り降りていたエリオのだったのだ。 「……ってぐわっあ!!」 エリオはなのはやフェイト達のタオルを巻いていない美しい裸体を目の前にしたために思わず、のけぞり鼻から血を出してしまった。 そして顔がのけぞったままエリオは女湯を通過してまたどこかにと滑って行ってしまった。 「エリオ、ひょっとしてこっちに来たかったのかな?」 「もしかしてあたし達の体目的!?」 「きゃあああ、エッチいっス!」 「「「違うだろ(でしょ)」」」 スバルとセインとウェンディの冗談にノーヴェとチンクとティアナが突っ込んだ。 「どこまで行くのーーーーーーーーーー!?」 竹ゾリがなかなか止まってくれず、エリオは嘆いていた。 エリオが竹ゾリで女湯を通過して、道路を滑ってる頃機動六課の面々(+ウェンディ達)が宿泊している宿の前に一台のバスが止まる。 「さあて着きましたぜ」 その団体の先陣としてヴァイスが皆を引率するかのように先にバスから降りて皆を案内する。 「やっと着いたか」 バスの中で寝ていたヴィータが起き上がって、バスから降りる。 ヴィータに連れられる感じでバスに乗っていた他の三人の男女もバスから降りてくる。 一人はメガネをかけてマジメそうな青年。一人はまあまあ胸が大きくなかなかかわいらしい少女。 そしてもう一人は男の子のように見えるがイマイチ判断がつかない中性的な顔立ちでズボンをはいていた。 「ここのようだね、ディード」 「そうね、オットー」 ディードと呼ばれた少女とオットーと呼ばれた子は無表情な顔で周りを見回す。 「お前達な、ここでもそんな顔じゃダメだぜ。折角のかわいこちゃん顔が台無しだぜ」 「ヴァイス陸曹、それは少し問題あると思いますよ。でももう少し笑ったほうがいいのは僕も思いますよ」 「だったらお前も楽しそうにしろよな、グリフィス」 メガネの青年グリフィスもいつもの癖で、休暇であろうとも常に仕事のように冷静であまり感情を出さなく、固い青年であった。 (オットーとディードも似たようなものだが、グリフィスと比べると感情を出す方である) それとは対照的なヴァイスにとってグリフィスは苦手なタイプなのだが、今は同じ部隊のメンバーなので交流を深めようと考えている。 そしてあまり人と接しようとしないヴィータとも……。 「とりあえず、宿でチェックインを……」 「……うわあああああああああ!!」 ヴィータがさっさと行こうとすると突然自分の上空から声が聞こえてきたので空を見上げる。 ヴィータの上には竹ゾリで崖を滑ってきたエリオがいた。そう声の主はエリオである。 エリオは飛んだ勢いで竹ゾリから落ち、そしてヴィータ目掛けて落ちた。 「いてて、何だ!? 手前は!?」 ヴィータが怒鳴りながら上にいるエリオをどかそうとするが、ヴィータはあることに気付いた。 そして上にいるエリオもどこうとする。 「いてて、ごめんな……、あ!!」 何とエリオの両手はもろにヴィータの平らな胸を触っていたのだ。 「ご、ご、ご、ごめんな……」 「さっさと離れろーーーーーーーー!!」 ヴィータは自身のデバイス「グラーフアイゼン」を起動させ、そのハンマーでエリオの頭をおもいっきりどついた。 「大丈夫?」 エリオはヴィータにどつかれから数分後、温泉から戻ってきたキャロとルーテシアの優しい看病を受けていた。 「何とかね…、いてて」 エリオは大丈夫だというが頭の上に出来たタンコブはそう簡単に引くものではない。 「でも酷いね。胸を触っただけでそんなに怒るなんて…」 「私たちはそんな事されても気にしないからね」 (少しは気にして……) ルーテシアの言葉に心の中で密かにツッコミを入れるエリオだった。 夜になり、機動六課のメンバーとウェンディ達は温泉と言えばと言う定番で浴衣姿で卓球を楽しんでいた。 その卓球台はほぼ機動六課の貸し切り状態であったが、その卓球場に一人の男がやって来た。ヴァイスである。 「おうおう、いいねえー。かわいこちゃん達が卓球なんて…」 「あなたは確か…」 「ヴァイス・グランセニックだ。よろしくな」 ヴァイスは初めて会う機動六課の面々に自分の名前を教えるが、皆ヴァイスの名前と顔はわかっていたのであまり気に留めない。 「おいおい、そんなつれない態度を取らないでくれよ。それはそうと俺も卓球に混ぜてくれない?」 ヴァイスの突然の話に皆どうしようかと話し合った結果、ヴァイスも入れてのダブルストーナメントをする事に決まり、優勝チームにはこの旅館の豪華混浴温泉にご招待券のプレゼントとなった。 チームはなのは&フェイト、スバル&ノーヴェ、エリオ&ルーテシア、ティアナ&セイン、ウェンディ&チンク、ヴィヴィオ&アルト、シャーリー&マリー、シャマル&ルキノ、ドゥーエ&ヴァイスとなった。 どのチームもすごい接戦と強さを誇ったが、優勝したのはドゥーエ&ヴァイス組みだった。 「やったわね!」 「ああ、俺と姐さんが組めばこんなもんですよ!」 「…、なら僕達と勝負しないかい?」 ドゥーエとヴァイスが勝ち誇っている中、卓球場に浴衣姿のヴェロッサとリインがやって来た。 「え? 僕達って…リインもですか?」 「そうだよ。なあに勝つのは僕達さ」 リインは戸惑うが、ヴェロッサはすでに勝利宣言。その様子を見てドゥーエとヴァイスは対抗意識を燃やす。 「へえ、もう勝利宣言とは自信がお有りのようで……」 「へ、だったらさっさとラケットを取りな!」 ヴァイスはヴェロッサに向けて卓球のラケットを投げ渡すが、ヴェロッサは手でものすごい勢いで払いのける! 「な!?」 「何!?」 ドゥーエとヴァイスは驚く。 「君達くらい……」 ヴェロッサは自分の履いていたスリッパを片方脱ぎ始め、手に持ち構える。 「これで充分!」 そしてそのまま乱入トーナメントとなり、ヴェロッサ&リインペアとドゥーエ&ヴァイスペアのダブルスが始まる。 「サーブはまずこちらからだ! いくぜ!」 ヴァイスのスピンのかかったサーブがヴェロッサチームのコートに入り、ヴェロッサの目の前に飛んでいく! 「はああああああ!!」 ヴェロッサはスリッパでそれを打ち返す! しかもその打ち返された球はヴァイスのかけたスピンをさらに上回るスピンと速さで ヴァイス達のコートを目にも止まらない速さで着いた後に窓ガラスに向かって飛んで行き、強い球を受けた窓ガラスにひびが入る! 「な、何て奴だ…」 「さあ、ゲームを続けようか……」 (本気だ。絶対本気でやってる) 戦いの様子を見ている皆そう思った。 「さあ、次はこちらのサーブ。いくよ!」 ヴェロッサがサーブを打つ! その球は先ほどよりも速さと回転を増しており、ドゥーエとヴァイスは少しも反応できなかった。 「は、速過ぎるぜ」 (戦闘機人の私でも追いつけない!?) ヴェロッサの強さにヴァイスは愚か戦闘機人のドゥーエでさえお手玉のように取られていく。 (スバル、ノーヴェ、チンク、セイン、ウェンディもヴェロッサの球を見切れていない) ヴェロッサの猛攻は勢いを留まる事を知らない。そしてついにマッチポイント。 「これで決まりだね!」 ヴェロッサはものすごく速いサーブを繰り出した。 「これくらいなら!」 ヴァイスが粘って球が次に飛ぶであろう場所に先回りをして待ち構える。しかしその予想はとんでもない事で崩れる。 「マッガーレ」 ヴェロッサがなにやら独り言を言うと突然球がストレートではなくカーブし、ヴァイスの顔面目掛けてものすごいスピードで飛んでいく! ヴァイスはかろうじて自分の顔面に飛んでくる球をラケットで防ぐものの、ラケットは粉々に砕け、球はわずかに勢いを落としながらもヴァイスの顔面に命中。 ヴァイスはその衝撃で後ろに吹っ飛んだ。ヴァイスの顔面を当てた球は上空に飛んでいき、残ったドゥーエがそれを逃すまいと高くジャンプする。 「ヴェロッサがダメなら………」 ドゥーエはせめて一矢報いたいと思い、狙いをコートやヴェロッサではなくリインに絞ったのだ。 「はああああああ!!」 ドゥーエの強烈なスマッシュがリイン目掛けて飛んでいく! 「リイン!」 ヴェロッサが急いで救援に行こうとするが、間に合わない。 「きゃっ!!」 リインは自分が狙われている事を知り、とっさに自分も手に持っていたスリッパでドゥーエのスマッシュを防ぎ、防がれた球は幸運にもドゥーエ側のコートに入り、勝敗が決した。 「勝者! ヴェロッサ、リインペア!」 「ふ、当然だね」 ヴェロッサが当然とばかりの笑みをこぼすと突然クロノから通信が入った。 「ヴェロッサ、ゼラバイアが活動を再開した!」 『!!!』 機動六課の面々に緊張が走る! 「今僕がグランフォートレスでそちらに向かっている。グランディーヴァも収容済みだ」 「わかった」 クロノの通信が切れ、ヴェロッサは皆に指示を出す。 「グランナイツの諸君、出撃だ!」 『了解!』 スバル達は走って外に向かう。 その様子を風呂上りのヴィータが目撃する。 「あいつら、あんなに走って…、どうしたんだ?」 ヴィータが後をつけようとし、卓球場を横切ろうとした時、卓球場で倒れているヴァイスを発見した。 「あいつ……、何してんだ?」 仕方ないのでヴァイスを起こすヴィータ。 「おい! 起きろ! 起きろーーーーー!」 ヴィータの怒鳴るような声が何度も倒れているヴァイスを呼びかけ、5度目でようやくヴァイスは目を覚ました。 「あ、ヴィータ隊長」 「何が隊長だ! お前何で倒れてんだ!?」 「……ああ、それは………」 ヴァイスが先ほどまでの事を説明しようとしたが、グリフィスが慌てた様子でヴィータとヴァイスを見つけ、報告する。 「ヴィータ隊長、ゼラバイアが現れました」 「!?」 「何だって!? …そうかだからあいつら……」 ヴィータはグリフィスの報告を聞いて、なのは達が走って卓球場を後にした理由がわかった。 「くそ! 先越された!」 「「え?」」 ヴィータが悔しがってる間に他の機動六課の面々やウェンディ一行も卓球場を後にして、貸し切りの宴会場に行く。 スバル達は急いでクロノと合流、グランディーヴァに乗り込み、ゴッドグラヴィオンに合神して火山に向かう。 「皆聞こえてる?」 宴会場に移動したクロノとマリーがスバル達に通信を入れる。 「敵は火山と直結している。そのまま敵を倒せば、火山も同時に爆発して、周囲に危害が及ぶ」 「ゴッドグラヴィオンと言うよりグランカイザーはマグマ何か問題ないけど、他のグランディーヴァには限界があって、限界時間は90秒だからね」 「90秒……」 「それ以上越えるとグラヴィオンよりも先になのはさん達が暑さで死んじゃうから気をつけて…」 「わかりました! だったらすぐに火山から出してやりますよ!」 スバルが答えてすぐに通信を切る。 「あたし達はここで見ることしかできないのか!?」 「くやしいっスね!」 ノーヴェとウェンディ、それにセインやチンクだけでなく、シャーリー達オペレーター陣も今回は自分達も手伝いができることが無いと悟り、苛立ちを隠せない。 そんな時、ヴェロッサは宴会場の舞台のスポットライトの光をつけ、そしてマイクを持ちながら皆に呼びかける。 「皆、その熱い思いをマイクにぶつけるんだ」 『え?』 皆が戸惑った。 「歌の力でグランナイツの皆に力を上げるんだ。それが今僕達が出来る最大の後方支援だよ。そして君達の熱い思いを彼女らに届けるんだ!」 その言葉にいち早く乗ってきたのは以外にもノーヴェだった。 「おもしれえ、やってやろうじゃんか!」 「おお、ノーヴェノリノリっスね」 「さあて、セインさんも張り切っちゃうよ!」 「少しでも力になれるのなら私も…」 「皆、やろう!」 『はい』 「私達もやろう!」 『うん!』 ウェンディ、セイン、チンク、マリー、シャーリー、アルト、ルキノ、キャロ、ルーテシア、ヴィヴィオも決意を固め、皆で手を合わせてマイクを手に取る。 「ふん、いい結束だな」 「シグナム、私達もよ」 「な、何?!」 「エリオ君もね…」 「え!?」 シャマルもいつの間にか手にマイクを持ち、無理矢理シグナムとエリオを誘い舞台に立つ。 そしてヴェロッサ以外のメンバーが皆マイクを持ちステージに集結した。 マリー特性のカラオケモニターとスピーカーが用意され、スピーカーからイントロが流れ、それはグラヴィオンのコックピット内にも流れていく。 「シスターの諸君、合唱せよ!!」 ヴェロッサが舞台にいる皆を一まとめに「シスター」と称し、合神承認と同じポーズをとり、合唱承認をした。 それと同時にモニターからはグラヴィオンの現在の状況がリアルタイムで映し出され、画面下のほうには自分達が歌う歌の歌詞のテロップが現れ、皆が一斉に歌いだす。 「♪~~~~♪~~~」 エリオとシグナムは歌うのに最初は戸惑いを見せたが、皆が歌っているのを見て覚悟を決め、自分達も歌う。 その頃グラヴィオンは敵ゼラバイアを発見し、ゼラバイアを急いで火山から追い出そうとゼラバイアに攻撃を仕掛ける。 敵がなかなか火山中から離れようとしないので、スバルは一か八かと言う思いでグラヴィオンの腕を使って無理矢理ゼラバイアを持ち上げた。 それと同時に歌もサビに入ろうとするところでヴェロッサは叫んだ! 「ゴッド、グラヴィオーーーーーーーーーーーーーーン!!」 グラヴィオンはその持ち上げたゼラバイアを遥か上空へと放り投げる。それでも火山の外までは届かない。 スバルは「これでもか!」っと言う勢いで、グラヴィオンのパンチのラッシュをゼラバイアに浴びせる。 パンチのラッシュと同時にグラヴィオンも火山の外に向かってブーストを上げる。 パンチとブーストの勢いによりゼラバイアはようやく火山の外に姿を出し、グラヴィオンは追撃の一撃としてゼラバイアを蹴り上げ、 そしてヴェロッサの承認により現れた超重剣を手にゼラバイアを切り裂く! 「超重、ざーーーーーーーーーん!!」 ゼラバイアを空間ごと切り裂き、ゼラバイアは消滅した。 その様子をグラントルーパーのメンバーは皆固唾を飲んで見ていた。 「やっぱかっけえなグラヴィオン。生で見るとますます…、抱きしめたいなーーーー!」 「それはさすがにまずいですよ」 ヴァイスの興奮をグリフィスが冷静に突っ込む。 「へ、やるじゃねえかグラヴィオン…」 ヴィータもそのグラヴィオンの強さを初めて生で見て少々興奮した。 (なのは、今回はお前達に先を越されたが今度はそうはいかないぞ) そして1泊の慰安旅行を終え、教会に戻った機動六課のメンバー。 留守番をしていたクロノにリインはあるものを渡した。それはヴェロッサとリインが卓球勝負で得た「豪華混浴温泉」のチケットであった。 卓球で得たチケットはヴェロッサに渡されたが、ヴェロッサは卓球をしたかっただけで景品にはあまり興味が無かったのでチケットをリインに渡し、リインはいつもお世話になってるお礼と言うことでクロノに渡したのだ。 「ありがとう、本当にありがとう………」 クロノは仮面の下から波だ滝のように出てきた。その涙は30分ほど止まらなかったとか……。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/940.html
一見派手なイメージの第六課。 でも、それは違う。 派手なのはあくまでテレビだからである。 刑事もののドラマのように毎日大捕り物があるのかと言われるとそんなわけが無いのと同じである。 つまり派手な非日常が流れるのであり、日常は地味なものなのである。 そして、シン・アスカは今、その日常をこなしている。 コーディネイターならではのブラインドタッチは唸る唸る。 具体的に言うならば、魔法で破壊された始末書、報告書。 そして、壊された機械類の修理の手伝い。 コンピューターの調整。 まさしく忙殺。 忙しさに殺されると書いて忙殺。 「シ……シンさん……こちらの報告書…終わりました……」 「ご苦労さん…エリオ…」 よろよろと駆け寄って報告書の束を持って来る弟分に涙が出そうになる。 多分、訴えたら勝てるんじゃないかなぁ…とシンはエリオの年齢と労働時間を思い描きながらそれでも指先はキーボードを叩く。 そこにふらりとチョイワルなお兄さんが現れる。 「おうおう、見事な指捌きだねぇ~~こりゃ女泣かせな指だ♪」 そういってケラケラ笑うのは、「俺には事務仕事はむかねぇや」と言って一向に手伝う気配を見せないヴァイス。 シンの兄貴分である。 ヴァイスは暢気にコーヒーを啜りながらシンの頭に手を乗せる。 口元にはニンマリとした笑み。 「で?どうなのよティアナとの進展は?それともフェイトか?お前金髪で胸でかいの好きだもんなぁ~かぁ~あの身体は犯罪だぜ、なぁ?」 ぽんぽんと頭を叩くヴァイスに、徹夜四日目のシンの紅の瞳がどんよりと光る。 ゆっくりと立ち上がり、ヴァイスをそっとイスに座らせるとシンはその後ろに回る。 「せいッ」 チョークスリーパー。 裸絞めとも言う。 人間は一定時間脳に血流がいかないと意識が無くなる。 ヴァイスの身体が糸の切れたマリオネットのようにずしゃりと、生々しい重みを伝える音と共に崩れ落ちる。 エリオも既に三日目の徹夜を迎えており、特にそれを責め立てるような事はしない。 ただ、シンと同じく床に崩れ落ちたヴァイスをでろりとした瞳で見下ろす。 シンはそっとエリオの肩に兄が弟にするように手を乗せる。 「エリオは脚を持って。俺は頭の方を持つから」 「わかりました」 息もぴったりに、ヴァイスの身体を持ち上げると、シンとエリオはこの崩れ落ちている『ズダ袋』を無かったことにするべくゆっくりと持ち上げていき、窓から放り投げた。 ちなみに仕事をしているのは五階の空いている………というか頼み込んで貸してもらった、だって瓦礫が酷いんだもん。……会議室だ。 ゆっくりと、まるでスローモーションの様に落下していくヴァイスをシンとエリオはどんよりとした瞳で見下ろす。 大丈夫。 きっと大丈夫。 だって非殺傷設定だもん。 でも念のためヴァイスの飲みかけのコーヒーは流しに捨てて、手袋を嵌めた手で窓の外に紙コップは破って捨てることにする。 一連の証拠隠滅を終えると、シンとエリオは頷きあって仕事を再開する。 今さっきようやく魔王の破壊した諸々の物品に関する始末書、及び必要な機材の発注、陳情書、報告書を終えたのだ。 そしてこれから取り掛からなければならないのは夜天の王に関する始末書等だ。 「これって女難になるのかなぁ?」 「少なくともアイドルの面倒をみたりよくわからない世界で女の子とイチャイチャするよりは確実に女難ですよ……」 気分を紛らわせる為に言った言葉にエリオは熱くなる目頭を抑えながら呟く。 その言葉にシンはふっと遠くを見つめる。 それにしては女っ気無くね? 男しか出てね? ていうか世知辛くね? 声にならない叫びを上げる。 「なぁ、このポジションって俺じゃなくても良くないか?」 「いえ、そんなメタな事言われても……」 「だって最近俺結構空気じゃん?」 「ストップです。それ以上は色々な人に怒られますから…」 それは事実なだけに言ってはいけないことだとエリオは目で訴える。 シンはそれに黙って頷く。 少なくとも、こうして真面目に働いてくれる、それだけでシンは無くてはならない存在だ。 そうエリオは感じる。 しかし、それが一体何の慰めになると言うのだろうか。 それを言えばきっとシンはこう答える。 「ラブコメが……平和なラブコメがしたいです……安○先生……」 とエセサイコガンの虎ボイスで切々と訴えかけるだろう。 例えシンが空気であっても。 シンにかこつけて、他のキャラが書きたいんだろうとしても。 平和に勝るものはない。 「ほら……シンさん…見てください…とっても良い天気ですよ…」 シンもエリオにつられて窓の外を見る。 ヴァイスを放り投げた窓の外だ。 「ああ……そうだ、仕事が今週中に終わったらさ、ピクニックにでも行くか。俺車出すよ」 「免許取ったんでしたっけ、そういえば」 「ああ、こっちの世界でバイクの免許取り直しになったからさ、ついでにと思って」 「じゃあキャロとヴィヴィオと……あとティアナさんも誘いませんと」 「そ、そうだな、ティアナも、その必要だよな。保護者が俺一人じゃ心許無いだろうし/////」 テンプレ的ツンデレ台詞に苦笑しつつ「シンさん…バレバレですよ」そう言おうとしてエリオは言葉を呑み込んだ。 今、もしこの場で「やっぱティアナさんが本命すか?三馬鹿スルーとかシンさんマジぱねぇっす」 とでも言おうものならフラグが立つ。 具体的には彼の保護者である便乗とか、その友達の喫茶店の魔王とか夜天の王yagamiとか。 たまには穏やかな日々を彼にプレゼントしても良いだろう。 ほのぼのでいったって、それでシンが幸せならいいじゃないか。 エリオは少し大人になった顔でそっと頷いた。 その後に更にぱねぇ女難が待ち受けていたとしても。 「ホント、風も暖かくなってきたな…」 「そうですね」 その時はせめて自分も巻き込まれよう。 止める事の出来ない女難であるなら、あえて巻き込まれよう。 シンはそれを望まないだろうが、せめて兄のように慕うこの青年に自分がしてやれる事はそんな事くらいだ。 暖かくなった風に、春の足音が近付くのを感じつつ、エリオはそっと微笑んだ。 二人とも既にヴァイスの事は頭になかった。 ツンつん×デレでれ 5話へ進む 一覧へ
https://w.atwiki.jp/fedic/pages/636.html
ツヴァイ 聖戦の系譜 終章でフリージ城を制圧するとバーハラ城から出陣する十二魔将の一人。クラスはフォーレスト。 銀の大剣を振り回し追撃・突撃・必殺と物騒なスキルを持っているので、間接攻撃で削った上で反撃を受けないように確実に仕留めたい。 トラキア776 最終マップ「誓いの剣」で北の塔の結界を護る魔戦士の一人。クラスはマーシナリー。 流星剣・月光剣に再行動☆☆☆☆☆と明らかにガルザスそのものである。 故にかなりの強敵で「流星剣」の発動は確実な死を意味している。 マスターソードにマスターアクス、炎の剣を所持していて、壁や扉越しでもマスターアクスや炎の剣で攻撃してくるので気は抜けない。 なおガルザスが加入してない場合、魔戦士にされてしまったのか顔グラが彼のものになるおまけ付。
https://w.atwiki.jp/jyutsugakuen/pages/118.html
-認証、データを表示します。 エヴァンジェリン・ヴァイスハウプト 性別 女性 年齢/所属 14歳/英国魔法省秘密情報課/大和山学園外部教員/上二級術師(仮設定) 容姿 緩いウェーブのかかったブロンドヘアに碧い瞳、ゴスロリファッションの少女 性格 年齢に反してやたらと上から目線な発言をする。一方で年齢相応の感情もありそのギャップが激しい。所属部署の属性上臨機応変かつ多少の無理も厭わない行動スタイル。 能力 『術式獣・バガブー』 イギリスのウェールズ地方などに伝わる妖精の一種の名を持った術式獣。高度な自律性を持っており普段は黒いリボンをつけた白熊の子供の姿をしてエヴァンジェリンのと常に一緒にいる。戦闘時は2m半ほどまでに巨大化しその巨躯や鋭い爪と牙を使って相手を蹂躙する。またエヴァンジェリンから供給される霊力によって戦闘能力アップや部位再生を行える。とはいえ術式である以上エヴァとのパス(霊力供給)は必須でありある程度離れてしまうと動きを止めて消滅してしまう。・OVER-LOADバガブーという器に収まりきらない霊力を一気に流し込み、周囲に発散、放出させる力技。暴走した霊力はまるで炎のように周囲と敵を焼き払う。・PROPAGATIONPON!というファンシーな音とピンク色の煙と共にバガブーが無数に分裂する。サイズは戦闘前の小熊の状態で当然個々の戦闘能力は低下する。・BARRIERバガブーを中心として半球状の簡易結界を発生させる。防御のみならず相手を閉じ込める事も可能。 『絶象・偽典顕現-仮想怪異・馬句部阿度/Last Spell・Pseudepigrapha-Imaginary・Back beard 』 ウェールズの妖精、バカブーを再解釈し日本期限の仮想大怪異〝バックベアード〟へと再構築する。バガブーがバックベアードの原型であるという噂に起因する。バックベアードは表面に赤い巨大な一つ目がありまるで細胞組織のように幾重にも触手が出現しては消えるという動作を繰り返す10メートルほどの黒い球体として顕現する。その巨大な眼から超火力の呪力エネルギーを放出する事が出来るがそもそもの維持に莫大な霊力を必要とするため攻撃すれば即術式が解けてしまう。 概要 英国魔法省内部の諜報機関に所属する少女。再び『戦争』を勃発させない事を目的として様々な工作をしておりその一環として近年急速に悪化している日本国の霊的環境の調査を名目に祓魔省へと派遣された。あまり歓迎はされていない。外部教員というポジションで大和山学園に所属はしているが教鞭を振るう事はなくゲストとして少し授業に参加する程度。異常量の霊力をその身に宿しておりバガブーのバックアップをしながら同時に汎術の使用が可能。日本国内では仮設定として上二級の権限が与えられている。腕 克綺【丑】とは彼が数年前に英国で活動した時からの知り合いだが、スタンスの違いでそれほど仲は良くない。ある魔女とそれが生み出した偽神との闘いで自身の生命力をかけた術式を発動し死亡した。遺体は即座に英国大使館に引き渡されている。 追記 【英国魔法省秘密情報課】魔法省内部においても特殊な部署。国内外における呪術、黒魔法によるテロなどを未然に防ぐための工作を主に行うが非合法な方法を取る場合も多い。故に魔法省内部でも鼻つまみ者とされている。何故目立ちまくるエヴァンジェリンがこの部署に所属しているかというと彼女の出自による厄介払いなところが大きい。【古の血】エヴァンジェリンの出自に関するもの。詳細不明。