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「ちょっと違った未来35」 ※原作IF 京介×桐乃 <第三部・桐乃の精神世界> 「――貴、――貴!!」 …。 「――貴、――貴!!」 …。誰かが俺を呼ぶ声がする…。 ――そんなに必死にならなくても。じきに目が覚めるわ。 ――あんた…京介は本当に目をさますんでしょうね?!もしこのまま、 ――あらあら。『自分』を相手に嘘なんてついてどうするのかしらね。 ――く! …。長い…長い夢を見ていた気がする…。長い長い誰かの夢を…。俺のではない誰かの夢を…。 「桐乃…か…」 「京介!」 うっすらと目蓋を開く。どうやら長い間熟睡していたみたいだ。 「京介!大丈夫?!どこか変なとこはない?!」 「…。なんともないけど…?」 何を俺の妹はこんなにあせっているのだろう?もう見慣れた光景。朝いつも走っているこいつは俺より早く起きることが多いから俺を起こして…こいつが帰ってくるまでに朝食を作り終えて…。 少し癖のある明るく染めた茶色の髪。意思の強そうな目。だけどあの冷戦が溶けてからここ4年の間に見せるようになったその笑顔。俺にしか見せない甘えた顔もある。 一体どうしたってんだ?大学生にもなって。また人生相談か?そういえばあのフレーズも懐かしいな。中学の時はよくこの言葉をこいつは使ってたもんな。まあ今でも面倒事があるとあの時と同じように奔走してるわけだからやってることは全く変わってねえけどよ。 「よかった…!よかった…!あたし、どうしたらいいのかわかんなくって…!」 …? 何を言ってるんだこいつ? 「だって…だって…こんなことって…こんなことって初めてなんだもん…。こんな場所でこんな…」 …? 『あたしが目の前に二人も居るなんて』 「ッ!」 その言葉で俺の身体に電気を流すようで脊髄反射的に飛び跳ねた。 そうだよ!俺は何をこんなところで暢気に寝てやがる! 確かあの時桐乃と俺が事故にあって、桐乃が記憶喪失になって…。 瑠璃が倒れて、その病院の帰り…。 「あ…」 情報が瞬く間に俺の脳内にスパークするように広がっていく。脳細胞に電気を流されているみたいだ…。記憶が蘇る。 「くぅ…」 脳のシナプスに電気信号が乱電するようにジグザクに走る。俺の意思など関係なしに疾走する。 「あの時…痛ぅ…」 瑠璃が運び込まれた病院の非常用階段を桐乃が落ちたこと。それに助けに向かったこと。そして…。 「…この世界…」 さらさらと流れる砂のような記憶。それ以外何もない暗い静かな世界。 「桐乃の…世界…」 現実の俺達が落ちた後、目を覚ました先はこの桐乃の内面の精神世界だった。信じられないことだが人の精神に俺という個人の精神が入り込んでいる状態なのだ。いや、それだけじゃない。 「どう?具合の方は?気分はどうかしら?」 俺の恋人と全く同じ姿をした者が二人いた。一人は、 「まあ良い気分では無いでしょうけれど必要なことだったから。現状を理解するための情報は充分に伝わったんじゃないかしら?」 「あんた…!あんな強引なやり方で!京介が死んじゃったらどうするつもりなのよ?!」 「物理的にどうこうしているわけではないもの。精神体に記憶を流し込んだところで死ぬわけがないわよ。それにあなたのように時間をかけてゆっくりと流し込んでいたら日が暮れるもの。なにより…」 その『魂の座』と自らを名乗った桐乃は、目線を『もう一人』に向けた。 「なにより…もうあの子がもたない」 「…」 「桐乃…」 そこにいるのは桐乃だった。『もう一人の世界』の桐乃だった。 「…」 桐乃はじっと俯いている。俺より先に目が覚めていたのだろう。ぺたんと地に座っていた。黒髪が地面に向かって下に流れていて顔が見えなかった。 「…」 「桐乃…」 高坂桐乃。俺の妹。もう一人の…黒髪の俺の妹。別の世界においての俺の妹。 彼女の過去の記憶を全て見た俺は目の前の黒髪の妹が一体どのような人生を送りどのような思いを抱き、そしてどのような結末を迎えたのかを知っていた。 「…あんなことって…」 桐乃が呟く。その顔は先ほどまで俺が、俺達が見ていた彼女の過去の回想の全てを知っている顔だった。この世界の桐乃もあの黒髪の妹の過去の記憶を俺同様に見ていたというのか。 今まで見たのは目の前に静かに佇む黒髪の妹、桐乃の過去だった。電流のように流れる映像、奔走する記憶、ありえない『IF』の世界。 そこには今の俺と全く違った過酷な人生を送り最後に非業の死を遂げた俺ではない俺。そしてもう一人の俺の幼馴染みと聞かされ今までその恋心を胸に秘めて生き、しかし実は血の繋がった兄妹であるという真実を聞かされお互いの為にその恋に終止符を打ったもう一人の桐乃。 今の俺と全く違った俺に成長し、今の桐乃と全く違った桐乃に成長し…。そして今その桐乃は…。 「…」 ずっと俯いていてその表情は伺い知れなかった。 一体今彼女は何を思い何を考えているのだろう? 今まで過ごしてきた記憶の一切を失い、顔だけが同じでも『知らない』人達の住む世界に送り込まれ、そしてそこで過ごしてきて…。 それでも親父やお袋、瑠璃や沙織にあやせ達のおかげでようやく一緒に心の底からの笑顔で暮らしていくことが出来そうな気がした。 なのに、なのに突然こんなことになって…。 「…」 黒髪の桐乃は動かない。ずっと顔を伏せたままだ。そこへ。 「貴方達が…」 『魂の座』が俺と桐乃に向かって口を開く。 「貴方達が…恋人になれる可能性は限りなく低かった」 「え?」 「もう理解しているでしょうけれど、世界は1つだけではない。これは気の利いた観念でもないし慰めの為の抽象論でもない。物理的なレベルで現実に世界は無数に存在する。それこそ数え切れないくらい」 「…」 「…」 「少し踏み込んだ話になるけれど、世界というのは個々の魂毎に存在するものでもある。世界の中に貴方達が存在する、ではないのよ。貴方達が文字通り世界を構築しているの。ほら、自分が死んだ後、ってどうなるのか考えたことないかしら?死んだ後の自分の行き先ではなくて死んだ後の残してきた世界のこと」 「…」 「…」 「『死』というのはね、個の存在の終わりではないのよ。その人だけの黄泉路への旅立ちではすまされない。その『世界の終わり』なの。これは貴方達が考えているよりずっと大きい意義を持つ」 「…」 「…」 「その中でも…」 「?」 「その中でも貴方達の絆はとても強い。とてもとても強い。貴方達の『兄妹』という縁はどの世界でも絶対に途切れることはなかった。お互いのお互いが顔も知らない全くの他人、なんて世界は私がいくら探しても、いくら見渡しても存在しなかった」 「…」 「…」 「そして今の貴方達のように血の繋がらない義理の兄妹で恋人同士にまで成れた、という例はこの数多のパラレルワールドの中でも格別に確立が低い…」 「…」 「…」 「わかる?今の貴方達は数え切れないほどの世界を踏み台にして存在しているのよ」 「…」 「どちらかが死亡する世界も珍しくない。戦争になっている世界も存在するし核によって人がもはや生存できない世界すら存在する。平和な世界においてさえ仲睦まじく暮らすこともあればいがみ合ったままもう会えなくなった世界も存在する」 「…」 「そして…」 『桐乃』は黒髪の桐乃に目を向ける。 「あの子のような世界も存在する」 「桐乃…」 「…」 「どうして…」 俺の妹の桐乃が『魂の座』に向かって尋ねる。 「どうして…あの黒髪の違った世界のあたしがこの世界に?」 「…」 「そして、どうしてあたしの身体の中に…?」 「…」 『魂の座』はすぐには答えなかった。それは自分の口から言ってもいいのだろうか、というある種の逡巡が能面のような顔から少しだけ見えていた。 そして…。 「この子のあの時の『もう一度やり直したい』という想いがこの結果を生んだとしか…」 そう、何か核心を隠すような言い振りで俺達に告げた。 「…」 横に居る桐乃は納得していないような顔をしている。当然だ。俺でさえこいつが何か言い難いことを言い含んだまま今の発言をしたんだな、ってわかるんだし。『同じ人間』である桐乃が気づかない筈がなかった。 それでも桐乃は彼女の言いたくても言えない、といった表情から解る意図を汲み、すぐに反論することもなく、何も言わず次の句を待った。 「この子は死んでしまった『おにいちゃん』ともう一度やり直したかった。絶対に結ばれることの無い兄と妹ではなく今度は血の繋がらない他人として一から出会いたかった」 「…」 「だから京介、貴方に関する記憶は全て消えていたのよ」 「ッ」 「けれど…」 「貴方達の『兄妹』の絆は凄く凄く強い。これは呪いといってもいいわね。この子もその『兄妹の呪縛』から逃れることは出来なかった。それでもこの子は大好きなおにいちゃんとどうしても結ばれたい。その結果が…」 「血の繋がらない兄妹だった俺と桐乃の世界…」 「そう…。数多の平行世界においても高坂京介と高坂桐乃が『兄妹』でなかった世界は一つとして存在しない。だけれども極低い確率において血縁のない義理の兄妹だった世界は存在する」 「だからあたし達のこの世界に来たんだ…」 桐乃がそう呟いた。 「そう。悪い言い方だけど貴女の身体の中に『空き』が出来たのよ。こちらの世界のトラック事故のあと、桐乃の意識は深く深く潜り込んだ。そこへ貴方達のあのトラックによる衝突事故に乗じた。びっくりしたでしょう?いきなり自分の身体が乗っ取られた形になっていたのですものね」 「そりゃびっくりしたっつーの。あんなわけわかんない部屋に閉じ込められてさ。でもなんでかしんないけど外でのあたしの身体が何やってるかだけは把握出来てた。はじめはわけわかんなかった。だからいつもいつも叫んでた。それ以外何も出来なくて、どうしようもなくて」 「…」 「桐乃…」 「それでも…」 桐乃は俺の顔を見て。 「それでも、兄貴が、京介がいつもと変わらずあたしの事を…記憶を失ったこの子のことを大切に思ってくれているのは…嬉しかったよ」 「桐乃…」 「それが例え本当のあたしじゃなくても…。いつもと変わらずあたしに接するあんたが愛おしかった」 「…」 「ありがとね、兄貴」 「…おう」 俺はぽりぽりと頬をかく。彼女の、桐乃の気持ちがストレートに伝わってきたからだ。…いつまで経っても慣れねーな。こういうの。 「もういいかしら」 目の前の『魂の座』は俺達に声を掛ける。 「さっきの話に戻るわ。この子、別世界の黒髪の桐乃は…さっきも言ったけれど…もうもたない」 「…」 「それって…」 あの非常階段での転落。あの怪我。そして『もうもたない』の言葉。そこから考えられるのは…。 「安心なさい。今はまだその命を取り留めているわ」 「え?」 「それじゃあ…」 「ええ。でもこの子の精神その物がこちらの世界に来てしまっていてあちらの世界でのこの子の身体は抜け殻になってしまっている。宿主不在というところね」 そしてやや厳しい声音で。 「だから、もう長くは持たない」 「…」 「桐乃…」 俺は黒髪のもう一人の桐乃の方を見て、彼女の名前を呟いた。 「もうこうして何もかもを明かしてしまっている以上、既にルール違反だからついでに言っておくわね。あのままいけばこの子は失意の内にそう遠くない未来で死亡するはずだった。『彼』の後を追うようにね。…別れたる無限のパラレルワールドの中でそんな世界も未来に確かに存在するのよ…」 「…」 「で?どうするの?本当の記憶が戻ってショックなのはわかるけれど、もう本当に時間が無い」 「…」 そう『魂の座』は黒髪の桐乃に切り出した。 「今、決断して頂戴。この世界に残ってこの世界の高坂桐乃として生きてあの世界の桐乃を終わらせるのか…もう『おにいちゃん』の居ない世界に戻るのか」 「…」 「決断、して頂戴」 「…」 「…」 「桐乃…」 少しの時間が経った。その間ずっと俯いていて動かない。 そして、その長い黒髪が目元を覆って表情が伺えなかったが、ようやく顔を上げ…。 「うん。今までありがとう」 何故かこの状況に似つかわしくない、そして最もするはずのない笑顔を、当の本人の黒髪の桐乃が見せた。 「…」 「桐乃…」 「ごめんね。貴女の手を沢山わずらわせちゃって」 「…」 す、っとした表情で黒髪の桐乃は『魂の座』に声を掛ける。 「ありがとう」 「…」 「それから…京介さん…お兄ちゃんやあたしにも…」 「…」 「桐乃…」 隣のライトブラウンの髪の桐乃は思いつめた顔でもう一人の自分、黒髪の桐乃の顔を見詰めていた。 「お兄ちゃん…今までありがとう。こんなあたしにいつもいつも構ってくれて。今までありがとう。あたしが辛くて耐え切れない時も、全力で助けてくれて」 「桐乃…」 「お兄ちゃんがあたしの事を俺の妹だ、って言ってくれた時は本当に嬉しかった…嬉しかったよ。こんなあたしでもここに居てもいいんだ、って。皆と一緒に居てもいいんだ、って」 「…」 「黒猫さんや沙織さんも…嬉しかったなぁ…。何も出来なくても、何も出来ないあたしでも、皆と一緒に居てもいいんだ、って」 「…」 そして改めて俺に向き直って。 「お兄ちゃん。最後に我がままを言ってもいいですか?」 「…ああ」 「黒猫さん達に…今までありがとう、って。それだけは伝えて欲しいの。だって、だって…あたし…」 ――彼女達の事…本当のお姉ちゃんみたいに…。 そう、言葉にならない声で、彼女はそう言った。 「お願い、出来ますか?」 「…」 「あと、お父さん達や、まなちゃん達。それから…この世界のあやせにも…」 「…」 「あたしの世界じゃあんな事になっちゃったけど…あたし、あやせにこっちの世界でとても助けてもらったから…」 「…」 「いつもいつも気にかけてくれてありがとう、って。あたしとの時間を大切にしてくれて、嬉しかったって」 「…」 「お願い、出来ますか?」 「…わかった。任せとけよ」 俺は涙で前が見えない。言葉が何も出ない。 目の前の桐乃は俺を見詰める。いつもと変わらない、あの事故以来変わらなかった柔和で人懐っこい、穏やかな顔。そして今は…。 「ありがとう、お兄ちゃん」 ただただ感謝に溢れた顔をしていた。去っていくこの世界に対する、別れざるを得ない俺達に対する、今までの目一杯の感謝。 彼女が俺達の住む、ひと時だけ一緒に過ごしたこの世界のことをどれだけ愛してくれてくれていたのか手に取るようにわかったから。 「それから…」 そして黒髪の桐乃は、もう一人の桐乃に向き直って。 「それから…『あたし』にも…」 「…」 桐乃は答えない。じっともう一人の自分の顔を切なそうな顔で見詰めていた。 「今まで長い間、ごめんね?辛かったでしょう?ずっとあの部屋の中に閉じ込められて、あたしは好きなだけ貴女の身体を使う事が出来て…」 「…」 「でも、でも、もう返すね。この身体だってやっぱり本当の持ち主じゃないと喜ばないと思うし…」 「…」 「あはは…何言ってるんだろあたし…。やっぱり瓜二つの自分が目の前に居るっていうのは変な感じだね?自分でも何言っていいのかよくわかんないや」 「…」 「今まであたしのわがままの為に我慢してくれて…ありがとう…」 「ッ!」 そう黒髪の桐乃が笑顔で言った途端、桐乃は耐え切れなくなったのか。 「…」 「あ、あの…痛いよ…?」 強く、強く、目の前の『自分』を桐乃は抱きしめていた。 「もう…無理しないで…」 「え?」 「あんたが…あんたがこの世界の兄貴や黒猫達にどれだけ感謝してるかも知ってる。どれだけ楽しかったのかも知ってる。でも…」 「…」 「本当の記憶を思い出したあんたが…楽しくて心地良かった世界と離れて元の世界に帰らなきゃいけないのに、そんな笑顔ばっかりなわけないじゃない!」 「…」 「もっと…泣いてよ…」 「…」 黒髪の妹は桐乃に抱きしめられたまま。 「あはは…」 少しだけ、困ったような笑顔を見せた。 「やっぱり『自分』には嘘つけないか…」 「あたしを誰だと思ってんのよ?自分の気持ちくらいわかるっつーの。なめんな、ばか…」 「えへへ…」 そしてその困ったような笑顔から、涙をひと筋。そしてまたひと筋と頬を伝わせていく。 「ひえっ…ふぇっ…ふえぇっ…」 「…」 その涙は滂沱のように流れていき…。 「怖い…怖いの…」 黒髪の桐乃は、溜め込んでいた感情を全て吐露した。 「帰っても…あたしには…あたしには何にもなくって…おにいちゃんももう居なくって…!」 「…」 「一体これからどうすればいいの…?あたしこれからどうやって生きていけば…?!」 「…」 「もう…もう…あの人のいない世界なんて…あたし…あたし耐えられないよ…!!」 「…」 「どうして…?どうしてあの時あたしも一緒に連れて行ってくれなかったの?どうしておにいちゃんの傍に最期も居させてくれなかったの?!」 「…」 「もう…無理だよ…限界だよ…。あの人が…おにいちゃんが居ない世界なんて…いっそ…いっそ…!!」 「それは違う!」 泣きじゃくる黒髪の桐乃を抱きしめたまま、そう、桐乃は叫んだ。 「あんたの、あんたの兄貴は最後に何て言ったの?!何て言って眠っていったの?!」 「…ぁ…」 「最後まで…自分が消える最後まで…あんたの幸せだけを願って消えていったんでしょ?!」 「…」 「確かにさ…」 「…」 「確かにあんたの兄貴はあたしの兄貴と違った。同一人物とは思えなかった。平凡で普通で頭も冴えないあたしの兄貴とは大違い」 「…」 「だけど…」 「…」 「だけど、決してスーパーマンなんかじゃないあんたの兄貴も…あんたの…妹のことだけは何よりも大切にしてくれるどうしようもないシスコンで…」 「…」 「そんな『彼』が最期まで願っていたのは…あんたのこれからの幸せで…」 「…」 「ごめん…あたしなんかがこんな事いえる立場にないってのはわかってる…。あんたはとても辛い思いをしてきた。あたしなんかとは比べ物になんないくらい…。あたしだって兄貴が、京介が同じように死んでしまったらと思うと…。きっと耐えられない…」 「…」 「でも…でも…」 「…」 「お願いだから…お願いだから生きて…。この世界は幸せばかりじゃない。ううん、悲しい事、辛い現実の方がたくさんある。何で自分が…っていう理不尽なことの方がたくさんある。だけど…だけど…」 「…」 「だけど生きなくちゃ。だってあたし達は生きてるんだから」 「…」 「それに…あんたにはあんたの帰りを待ってくれている人達がたくさんいる」 「…ぁ…」 「それに…それにもう…あんた一人だけの身体じゃ…ないんだから…」 「あか…ちゃん…」 ぐるりと自分のお腹を撫でさすった。 「あたしと…あの人の…」 「…」 「おにいちゃんとの…あかちゃん…」 ~~~ そうしてあたしは『あたし』に抱きしめられながら、様々な想いを胸の中に去来させた。 いつもあたしを置いていくことなくどこまでも連れて駆け巡った、幼い頃のおにいちゃん。 初めてのプロポーズ。そして、キス。 でも彼と離れざるを得なくなって…。 それからの平凡だった日々。精彩を欠いた中学生活、高校生活。そんなあたしにもやっと出来た大学生活での初めての友達、仲間。そして…。 幼い頃あたしを連れていつも駆け回っていたあの少年。その成長した姿。再会と繰り返した蜜月の日々。 そこに昔友達だったクラスメイトに告げられたあたしと彼が実の血の繋がった兄妹だという真実。 結果、あたし達はお互いが離れあうことを告げた。仲のよかった、ううん、仲の良すぎた兄妹からの互いの自立。それが…。 (もういない) 京介君は、おにいちゃんは…もうこの世には存在しない。 あたしは彼が死んだ日からその事実を認めたくなくて、認めがたくて…。どこかに自らの心を置き去りにして夢中で彼を求めた。 だけどいくら求めても彼に会えるはずがない。そんなこと、出来るわけがなかったんだ。だって彼はもう…死んでしまったのだから。 「…」 世界は残酷だ。神様は本当に残酷な人なのだ。 けれど…。 「…」 ただ…ただちょっとだけ優しくて…。 それがあたし達をいつもいつも迷わせる。 「…」 神様は一体何を考えてあたし達人間という種を生み出したのだろう?何故『恋をする』ということを人間にプログラムしたのだろう。何故兄妹間で愛し合うことを永遠の禁忌としたのだろう。そして何故『死』という別れを創ったのだろう? わからない。あたしにはわからない…。 案外…近親相姦を禁じたのは神様ではなく人間自身かもしれない。だとしたならば何故?生命倫理?古来より通念?家庭内での道義上の問題?優生学的な問題? ならば死は?何故人にこの世で謳歌することを許し、それを死という残酷な結末をもって終焉とさせるのだろうか? …近親相姦を禁じた理由がなんであれ、禁じた者が誰であれ、そして死を創った者が誰であれ、もはやあたし達にはどうすることも出来なかった。それほどまでにあたし達はちっぽけで無力で。そして相手は途方も無く大きくて。 何もかもわからない。あたしにはわからない。そして同時に確信する。この答えを得られる日が永遠に来ないということにも…。 でも…。 「…」 それでも生きていかなければならない。だってあたし達は…生きているのだから…。 例え兄妹での恋愛という禁忌を犯し、その罪の対価が死をもって償うものだとしても…あの日おにいちゃんを愛したその気持ちだけは…あの感情だけは…紛れも無い本物なのだから。その気持ちだけは誰にも否定できない、絶対の真実だ。 神様にだって覆せるもんか。 …。 「…ねえ」 「…なに?」 あたしは目の前に居る、もう一人のライトブラウンの髪の自分に声を掛ける。彼女はあたしを強く優しく抱きしめる力を緩めた。 「京介さんの事…お兄ちゃんのこと、よろしくね」 「…」 「桐乃…」 「やっぱり同じ『おにいちゃん』だから…。わかるんだ。この人、『妹』のことになると見境なくなるから…」 「…」 「…」 「あと、案外頼りないところもあるしね…」 「うん。知ってる」 「おい?!」 目の前のあたしの少し笑んだ顔。それに突っ込むお兄ちゃん。それが、それがあんまりにもいつもいつも繰り返してきた光景のように思えて…。それが何故か無償に懐かしくって…。 「『あたし』が居なくちゃやっぱり危なっかしいから。いつまでも…いつまでも傍にいてあげて…」 「…」 「うん、わかった!任せて!!」 そう言って目の前の『あたし』は八重歯をちょこんと出した自信満々の笑顔で頷いてくれた。 …よかった。こんな凄い『あたし』になら、何だって任せられる。 「じゃあ、そろそろ行かないと」 そういって、あたしは『桐乃』の腕の中から離れた。 「…二人とも今まで…ありがとう」 「…」 「…」 二人はあたしの顔を見詰めながら見送ってくれている。その目に涙をためて。 「あたし…忘れない。この世界のこと…。あたし…忘れない。この不思議な世界で皆と一緒にいた日々」 「…」 「…」 「あたし…忘れない。皆のあたしにくれた、優しさ」 「…」 「…」 「いつまでも…忘れない。『大好き』なこの世界のこと」 「…」 「…」 「忘れないから」 二人は。お兄ちゃんと『あたし』は涙だらけ。だけど、去り行くあたしのことを思って、目一杯の笑顔で見送ってくれている。 「じゃあ…お願い…」 「ええ…」 あたしは目の前のもう一人のあたし、『魂の座』に声を掛ける。 それと同時にあたしの身体が光の粒子となって天に昇っていく…。 最初から事の成り行きを静かに見守ってくれ、既にあたしの意を汲んでくれていたのか、彼女はそれに応じる。…もう時間は残されていない。自分の身体のことだからわかる。これ以上はあたしがもたない。そしてあたしの赤ちゃんももたない。 …これで本当にこの世界とお別れだ。 「桐乃!」 目の前の、涙で顔をぐしゃぐしゃにしたお兄ちゃんが大きな声で。 「俺も!俺も忘れないから!」 「…」 「俺も忘れないから!」 「…」 「俺には!大切な!大切なもう一人の妹がいたってこと!」 「…」 「この先十年二十年三十年経っても!例えこの記憶が薄れても!この想いが色褪せても!」 「…」 「絶対に!お前という妹がいた事を!俺は忘れないから!!」 ――『桐乃』 その姿が。 「いつまでも!忘れないから!!」 あたしのことを『忘れない』と言ってくれる、彼のそのあたしへの想いが。 かつての彼とその姿が被る。今でもその想いが途切れることのない、遠い遠い世界の住人になってしまったあの人と。大好きで大好きで今でも愛しているあの人と。 ――『桐乃、帰ろう』 あ…。 この目… ――『おまえはいつまでたっても俺の妹だよ』 この顔… ――『お前の幸せだけを考えていたよ』 この表情… …。 そっか…。 ようやくわかった…。あたしが何故この世界に来たのか。何故この世界での束の間の生活を許されたのか。 ――『今ここにある月の光が、世界の光が粒子となって、目を閉じると波になって色んな想いを光の粒と共に乗せていく…』 彼はここに居た。彼はここにも居たのだ。 彼の想いが、彼の生きた証が、光となって、粒子となって飛んでいく…。色んな世界を旅して色んな世界を構築して…。 彼は死んではいなかった。彼は本当の死を迎えてはいない。 確かに彼の生命は死をもってその終わりを迎えた。そして『魂の座』の言うとおり世界の中にあたし達が存在しているんじゃなくあたし達一人ひとりが世界を創っているのだとしたら…。『彼』の世界は本当に跡形もなく、もう既に終焉を迎えているはずだ。 けれど彼はまだ生きている。『ここにも』生きている。 だとしたら死は終わりだとしても消滅ではない。だって彼の生きた痕跡がこんな遠くにも残っているのだから。 ――『色んな世界の桐乃に、色んな世界の俺に。この世界の、俺達の生きた証を光となって乗せていく…』 所詮人は一人だと生きていけないのだ。人という生き物はとてもとても寂しがり屋で…。 だけど意地っ張りで強がりだから、一人で世界を創ってしまう。 ――『そうやってずっとつながっていくんだ。永遠に…』 けれど、やっぱり一人じゃ生きて行けなくて…。やっぱりとてもとても寂しくって…。だから誰かと繋がりたいって思う。誰かに話を聞いて欲しいって思う。誰かと何気ないことに笑い合って。傷つけ合って。けれどまた笑い合って…。 誰かの、皆の手が合わさってこそ、その人の人生は本当の輝きを見出す。 それは死という個の終焉を迎えても尚、その生きた証は光の粒子というパーツとなって、愛する人の世界を助ける為にその人と一緒に構築する。 不思議な不思議なとても不思議な、生命の連鎖。人と人との、想いの連鎖。 もしかしたら死という現象もちっぽけなあたし達人間から見た物の見方で…。死すらも生の一部で…。それは連綿と繋がる次の生という続きへの新たな出発なのかもしれない。 「ふふ…」 彼は本当に生きていた。光の粒子となってこの世界のお兄ちゃんとなって生きていた。物理的なレベルで本当に生きていたんだ。 だとしたら彼はまだ本当の死を迎えていない。 「本当に…最期の最期までどうしようもないシスコンなんだから…」 いつまでも泣いている妹が気になってしょうがないのだろう。おにいちゃんは。 例えその身がもう二度と触れ合うことの叶わない遠い遠い世界に旅立っても、泣いてばかりいる妹が心配で心配でたまらなかったのだろう。 だからこうして気づかせたかったのかもしれない。 俺はどこにいても元気だぞ、って。俺はいつまでもお前と一緒だよ、って。 生きることの希望を教えたかったのかもしれない。 …それがあたしがこの世界に来た、本当の意味。 ありがとう、おにいちゃん。最後の最後まで…。 …。 「さようなら。あたしのもう一人のおにいちゃん…」 最後のあたしの言葉は目の前の『彼ら』に届いてくれただろうか。 そうしてあたしの存在のすべては光の粒子となってその世界からいなくなった。
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俺はチョン高前にいた。どーせ喧嘩すんなら拐ったりよりタイマン張りたい。自分のわがままだけど俺が始めた喧嘩だ。テメーのケツぐらいテメーで拭きたい。迷ったけどこれが一番だ。信義、ごめん。ワラワラと奴らが出てきた。 「崔出せ。俺一人だ。」 「日本人なんて信用できる訳ねーだろ!素直に頭だすと思ってんのか!」 予想はしてたけどやっぱりそんなに甘くない。その日もボコボコにされた。でも次の日も俺は一人でチョン高に行った。また同じ事の繰り返しだ。次の日も、また次の日も。さすがに5日も繰り返すと奴等も気味悪がって近付いて来ない。おかげで顔中腫れてすごい事になってる。 「…テメーが5日も俺の事待ってた奴か。」 やっと崔が現れた。長かった。 「タイマン張れよ。元々は俺が原因の喧嘩だ。俺とそっちで一番強え奴で決着つけるのが筋だろ。それとも日本人が怖くて喧嘩できねーか?」 わざと逆上するような言葉で言った。だけど崔は至って冷静だった。 「…怪我が治ったら来いよ。それまで停戦しといてやるから。いまお前と喧嘩してもただの弱い者いじめになっちまう。俺達は日本人と違うからそんなカッコ悪い事はしねー。出直してこい。」 なめた事言いやがって。 「じゃー10日後。場所は佐伯水源でどーだ?」 佐伯水源はナイトがよく使う集合場所。チョン高からも近い。 「わかった。ビビって逃げんなよ。」 「テメーこそだ。怖かったら国に逃げ帰ってもいいぜ。」 そー言って俺達は別れた。正直、この崔って奴は当時のヤクザドラフトに引っかかるくらい喧嘩が強くて有名だった。イーグルのマイク先輩、雹のみっ君、ウチの格さんとそしてチョン高の崔。その4強の一人。神風でも吹かない限り勝てそうーもない。我ながらバカな事したと思ったけど俺達みたいなのはマグロと一緒で動いてないと死んじまう。なめられたままじゃー終われない。この頃の俺達、つまんないプライドに命懸けてた。母ちゃん、ごめんな。アンタの息子は想像以上に大バカだ。
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p和「最初の手ごたえが悪いときは趣味から攻める。基本ね」 和「あとお金はふっかけると引くから、始めは少なめにしたほうがいいのよね」 和「小金をたくさん払わせて大金にする方法ね」 和「さて・・・あと、少し不安なのが澪ね」 和「しっかりしてるけど優しいから、そういうところを狙われるんじゃないかしら」 ――――――――――――――― 【秋山澪の場合】 澪「久しぶり、和」 和「久しぶりね、澪。大学はどう?」 澪「あぁ、みんなもいるし楽しいよ。・・・和がいないのは少し寂しいけどな」 和「そう、楽しんでるなら良かったわ」 澪「今日は一体何の用事だ?何か困ってることでもあるのか?」 和「あぁ・・・それなんだけどね・・・」 和「澪、ちょっと宗教に興味ない?」 澪「しゅ、宗教?」 和「大学に入ってから始めたのよ。澪も興味ない?」 澪「宗教・・・かぁ・・・私はちょっと・・・」 和「別にそんな堅苦しい感じじゃないのよ。気楽に雑談する感じよ」 澪「う、うーん・・・でもそういうのは色々怖いし・・・」 和「何も怖がることはないわ。私だって何も不幸な目にあってないし」 澪「で、でも・・・」 和「・・・そうね。無理を言うのはよくないわね。ちょっと聞いてみただけよ。忘れて頂戴」 澪「・・・」 和「でも、私は宗教を始めてから、すごく世界が広がったの」 和「今まで話したこと無い人と、様々な価値観を共有できたわ」 和「だから澪にも、きっと良い刺激になると思って誘ったんだけど・・・ 無理を言って悪かったわね」 澪「和・・・」 和「色んな人と話すことは、澪の自信にも繋がると思うけど・・・ 別にそれは宗教じゃなくてもいいわよね」 澪「ま・・・待ってくれ、和」 澪「和がせっかく誘ってくれたんだ。頭ごなしに否定するのは・・・良くないよな」 澪「それに、和なら信用できるよ。一回、顔を出してみたいな・・・」 和「・・・いいの?別に無理は言わないわよ」 澪「いや、興味が出てきたんだ。一度行ってみたい。・・・いいかな?」 和「ありがとう、澪。そう言ってもらえると嬉しいわ」 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ 和「なんとか上手くいったわね」 和「押して駄目なら引いてみろ作戦も成功ね」 和「お金は取れる雰囲気では無かったけど・・・それは仕方ないわね」 和「律と一緒で、どうせ後から大金がかかることになるんだから」 和「・・・・・・どうせなら、梓ちゃんにも試してみようかしら」 ――――――――――――――― 【中野梓の場合】 和「久しぶりね、梓ちゃん」 梓「あ、お久しぶりです。和先輩」 和「新生けいおん部はどう?」 梓「はい、順調です。・・・それにしても珍しいですね。 和先輩が二人きりで会いたいなんて・・・」 和「緊張しなくていいわよ。今日は梓ちゃんに話があるの」 梓「話・・・ですか?」 和「梓ちゃん、ちょっと宗教に興味ない?」 梓「えっ」 和「実は私、大学に入って宗教を始めたの」 梓「は、はぁ・・・」 和「で、梓ちゃんも興味が無いかなと思って」 梓「わ、私はそういうのは・・・」 和「別に怪しい宗教じゃないのよ。ただメンバーで集まって雑談するだけ」 和「宗教というよりは、サークルに近いかしら」 梓「・・・」 和「メンバーの中には受験生もいるし、色んな話が聞けるわ」 和「受験の不安とか言い合えば、気が晴れるし、連帯感も生まれるし」 和「無理にとは言わないけど、一度だけでも顔を出してみたらどうかしら?」 梓「え、えーっと・・・」 和「・・・まぁ、梓ちゃんにも梓ちゃんの都合があるわよね。 いきなり変なこと言って悪かったわ」 梓「あ、いえ、その・・・」 和「ただ、興味を持ったらいつでも言ってくれれば、歓迎できるから、考えてみて頂戴」 梓「ま、まぁ一応考えておきます・・・」 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ 和「・・・失敗ね」 和「押しても引いても乗り気じゃなかったわ」 和「梓ちゃんは普段からネットとか使ってるし、警戒心が強いのかもしれないわね」 和「他のメンバーも梓ちゃんを見習って欲しいわね・・・」 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ ~中野家~ 梓「うわー和先輩絶対悪い宗教にはまってるよ・・・」 梓「真面目な人ほどはまりやすいっていうし・・・」 梓「どうしよう・・・」 梓「これは警察に通報したほうがいいよね・・・」 梓「私が和先輩の目を覚まさなきゃ・・・!」 梓「やってやるです!」 ~数週間後~ ドンドンドン 和「はい、どちら様?」 ガチャ 警官「警察だ!もう証拠はあがってるぞ!」 和「え?」 警官「とぼけるな!貴様、宗教を騙り友人から金品を巻き上げていたそうじゃないか!」 和「え?え?」 警官「後輩を名乗る人物からリークがあったぞ!ま、詳しくは署で聞こうか」 和「い、いえ、その、誤解です」 警官「もう逮捕状も出てるんだ。ほら、手を出せ!真鍋和を詐欺容疑で逮捕する!」 和「そんな・・・」 ガチャン 警官「手錠の冷たさを覚えておくんだぞ」 和「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みんな、宗教には気をつけないと駄目よ」 おしまい 突然割り込んで失礼。 次の方頑張ってください。 6
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「ちょっと違った未来17」 ※原作IF 京介×桐乃 黒髪桐乃の過去編 キーンコーンカーンコーン… 大学での朝からの授業を終えたあたしは教室で鞄に教科書とノートを入れている。 この大学での講義説明会に一週間前行った時、担当教授や先輩チューターに受講しなければならない卒業出来ない授業をまんべんなく教えてもらった。 その時に男の先輩チューターがたくさんあたしのところにやって来て色々とこの授業が楽だとかこれはレポート提出だけで出席しなくていいとか教えてくれた。 帰りに食事に誘われたり連絡先を聞かれたりしたが、全て断ってしまった。(だって怖いんだもん) 今日の授業は一般教養科目である英語。特に高校時代と代わり映えのしない授業時間とその内容。大学生はもっと怠惰で遊べるものだと聞いていたんだけれど…カリキュラムを見ればそんなことは全くなさそうだった。 「もう行こっかな」 鞄に教科書類を詰め込んだあたしはまだ人の声が残っている教室を足早に出る。中学、高校とあまり特定の友達と仲良くするということはなかったが大学でもそうなりそうだった。 中学高校では男子は奇異の目であたしのことを見てくるし女子もあたしとどう付き合ったらいいのかわからないといった感じで常によそよそしかった。 結果どっちの社会にも馴染めずじまいのあたしは自然半ば孤立することとなった。だからいつも休み時間は大好きな文庫本や料理の本を見て時間を潰していた。慣れてしまえばどうっていうことはないがそれでもマイノリティがゆえの肩身の狭い思いはそれなりにしていた。 その点大学というのは基本的に自由だ。あたしのような「独り者」はそこら中にたくさんいることがわかったし、誰とも付き合いがなさそうな人も珍しくない。 義務教育の時のように管理体制の下で暮らさなければならなくていいのは凄く開放感がある。 「そろそろお昼ご飯食べなきゃ」 今日は午後は選択科目の欧米宗教論一つだけだ。これを受けたらまっすぐにアパートに帰ってその後の用事の仕度をしよう…。その前に昼食を取らなくちゃだけど。 食事は家で朝起きて作ってきている。教室で食べる人もいたけれどあたしは食堂で食べさせてもらっている。大学の食堂はとても人が多くその比は高校時代の比じゃなかった。 「今日はどこで食べよっかな」 どこも凄く人で溢れ返っていて席が人で埋め尽くされている。なかなか座れる席がない。その中でお弁当を食べる席を探していたら、 「あ、あそこ」 何故かそのあたりは一人の女の人を中心としてぐるりと席が空いており、誰も座っている人がいなかった。まるでドーナッツのようだ、なんて少し思ってしまった。席は誰も使ってないようだしいいよね? そう思いあたしはその女子学生の斜め前に席を取る。その女子学生も誰とも一緒に食べる友達が居ないのか一人でお弁当を食べていた。窓から差し込む太陽に照らされた綺麗な黒髪を片手で押さえながら優雅に切り分けながら食べている…って、 「え?!あ、あやせ?!」 「え?き、桐乃?!」 向かいに座って一人で食事をしている女子学生はあやせだった。あたしの地元千葉の中学の時の同級生。クラスメイトだった女の子。 「桐乃~!!久しぶり~!!」 彼女はあの時と何ら変わることがない弾けるような笑顔を見せた。 「本当に久しぶりだね、桐乃。中学以来だから3年ぶりかな?」 「う、うん。そうだね」 「懐かしいな~。あ、こっち来なよ。一緒にご飯食べよ?」 「う、うん。でもいいの?」 「何が?」 「誰かと一緒に食べてないの?」 一応聞いてみた。するとあやせは、 「あはは。そんな人いないよぉ~」 あやせは中学時代と何ら変わらない屈託のない笑顔をあたしに見せた。 ~~~ 「でも驚いた~。まさか桐乃が私と同じ大学に居ただなんて」 「う、うん。あたしもびっくりしちゃった」 「ね~?中学卒業してから高校生になったら地元でもすっかり会わなくなっちゃったんだもん。まさか東京で再会できるなんて思ってなかったよぉ。地元じゃ全然会わなかったね。なんでだろ?」 「あやせ忙しいしさ…。活躍はいつも聞いてるよ?本屋さんで見かける本でも表紙モデルとしていつも出てるし…」 「あはは、見ててくれてるんだ?ありがとう桐乃」 相変わらず彼女の笑顔は眩しい。あやせは中学の時からティーン向けファッション雑誌の読者モデルをしていた。中学の入学当初から大人びた姿で皆どぎまぎしていたんだっけ。 お父さんも議員さんでお母さんもPTAの会長を務めていたことに加えてあやせ自身も成績優秀、しかも人当たりもよくて人望があったためか、美少女モデル優等生という肩書きは全く嫌味に見えなかった。 「ところで桐乃はどこの学部なの?」 綺麗に切って盛られたアボカドを口に運びながらあやせは尋ねてくる。 「あたし?文学部。英語の学科」 「文学部かぁ…じゃあ私の学部と同じ棟だもんね。会うのも時間の問題だったかもしれないね」 「あやせは?」 「私は政経。政経の政治学科」 「あ…そっか。お父さんの仕事が議員さんだもんね」 「うん」 「やっぱりあやせは頭いいなあ」 この大学は入学試験の偏差値は全体で見ればごく平均的だけど、政治経済学部と工学部はひとつ飛びぬけていた。これは聞いた話なんだけど、この大学は元々戦前からある大学で最初は男女共学だったみたい。つまり戦前男女共学→戦後女子大学→最近再び共学化、という不思議なことになっているわけで…。 戦前の設立当初から平成の現在まで続いているのは政経学部と工学部、そして文学部。政経学部は軍部からの要請での男子への大学教育が行われていた。工学部はこれまた戦前からある理化学研究所からの研究協力をしていたからだ。その中で文学部だけは戦後人が集まらなかった。 何故かと言うと戦時中に英語が敵性言語として認識され海軍以外使われなくなったからだ。その弾圧がこの大学にも来たらしく、当時の学長の抵抗もむなしく一時閉鎖。その時から政府に対して敵愾心を抱いていた学長は女子教育の近代化を目指して完全女子大学化。 でも再開したときには時すでに遅しで優秀な人材は全てよそに行ってしまっていた…ということだった。 閑話休題。 「でもよかった。こうしてまた同じ学校に一緒に通うことが出来て」 「うん。あたしも」 「桐乃は今日の授業まだ午後から何かあるの?」 「う、うん。宗教論が一つだけ…」 説明会で教えてくれた先輩チューターによると毎回出席の確認を取られる上に小テストまである厄介な授業だけれど、サボりさえしなければ期末テストもなく単位取得は容易らしい。 「そうなんだ」 「あやせは?」 「ん?あたしはこの後は何にもない、かな。仕事も昨日までがスケジュール煮詰まってて…。今日からは当分基本フリーなの」 「そっか。売れっ子学生モデルだもんね凄いなあ。そのお弁当も自分で作ったの?おいしそうだね」 サラダの上に鳥のささ身が綺麗に盛り付けられている。体炭水化物で高食物繊維。モデルだからか食事には気を使っているらしいことがすぐにわかった。 「おいしそうって…私に料理を教えてくれたの桐乃じゃない」 「え?」 「覚えてないの?中学の時に私に料理の作り方を教えてくれたじゃない。私が料理作れるようになったのって桐乃のおかげなんだよ?」 「あ、そっか…そういえばそうだったね」 中学の時の懐かしい思い出。放課後の家庭科室を借りて少しの間二人で一緒に作ったんだっけ。そしてそれはあたしとあやせの出会いにも大いに関係があった。 ――ねえ、何の本を読んでるの? 休憩時間に教室の隅っこでいつも通り料理の本を一人で読んでいたあたしにあやせが声をかけてきた。あやせの事はいつも遠くから見ていたけれど、こうして声をかけられるなんて思いもしなかった。 ――私仕事上体型管理しないといけないんだけど、いざ作るとなったらどうもうまくいかなくって…。どうせなら美味しく作らないとストレスにもなるから。高坂さんよかったら私に教えてくれないかな? そうしてあやせとの交流が始まった。もっとも彼女は学校一の人気者、あたしはその他大勢の内の一人だからそう多くはなかったけれど。それでもあやせの方が何かと気にかけてくれていたのはとても嬉しかった。 「ねえ、桐乃。授業終わったら一緒にどこかに遊びに行かない?」 「え?」 「私もオフだし…それに久しぶりにこうして桐乃と再会出来たしこんなに嬉しいことってないよ。ね、一緒にどこか行こうよ。ウインドウショッピングとかしよ」 「あ、実はね、その後用事が…」 「あ、ごめん。何かあったんだ」 「サークルにね、行かなくちゃ…」 「サークル?桐乃サークルに入ってたんだ。何のサークル?やっぱり料理とか読書とか?あ、もしかして何かスポーツとか…」 あやせは興味津々といった感じで笑顔で尋ねてくる。それを受けてあたしは、 「ゲ、ゲームサークルなんだけど…」 あたしが答えたその瞬間、あやせの顔は凍りついた。 「ゲーム?ゲームってあのゲーム?テレビでする…」 「う、うん。まだわかんないけど…」 「…。桐乃…ゲームなんて好きだったんだ…」 「え?ううん。入学式の勧誘の時色々あってそれで行くことになって…」 「…ふぅん」 あやせは光彩をなくした瞳で鳥のささ身を器用に切り分けている。その切り分け方が食肉を捌く人みたいで妙に怖い。明らかに雰囲気が変わったと思うのはあたしの気のせい? 「ねえ桐乃?何があったか知らないけどそこに行くのはやめにしない?大体桐乃にはゲームなんて似合わないよ」 「そ、それは買いかぶりじゃないかなあ…」 「ちっとも買いかぶってなんかないよ。桐乃はダイヤなんだよ。それも磨けばどんどん光る。学生時代って長い様で短いんだから有意義に使わなくちゃ。ね?そんなサークルなんて断って私と一緒にどこか行こうよ」 「で、でも…」 あの時、赤城と名乗る女の先輩と真壁と名乗る小柄な男の先輩に助けてもらったんだし…。それに二人ともあやせが言うような悪い人には決して見えなかった。 「や、やっぱり約束は約束だし…」 「そう…」 あやせはコップに注いでいた残りのミネラルウォーターを勢いよくぐいっと飲み干すと、何かを決意したみたいに、 「じゃあ、私も一緒に行く」 「ええ?」 何故かそんなことを言い始めた。 「い、いいけどあやせこそゲームなんて好きじゃないんじゃないの?」 さっきの口ぶりからどうしてかは分からないが、あやせがゲームに対して嫌悪感を持っているのは明らかだった。 「ううん。これも大事な友達を守るためよ」 あやせはそのつぶらな大きな瞳に(無駄に)闘志をメラメラと燃やしている。 「心配いらないよ、桐乃。この前千葉に帰った時に色々あって…その時の反省から防犯グッズをたっぷり取り揃えてるんだ」 机の上に鞄からズラーーと取り出す。ブザー、催涙スプレー、小型警棒、手錠にスタンガン…って手錠にスタンガン?! 「あ、あの…あやせ?」 「そんな怪しい所に大事な友達を一人っきりで、桐乃一人でなんて行かせないから」 「もしもーし?」 「何かあったら即刻通報するから!!」 今をときめく学生モデルは拳を握り締め高らかにそう宣言した。
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143 名前:1/2[sage] 投稿日:2015/08/26(水) 21 43 55.65 ID FNCLe0CO0 [2/3] 報告はさっさとしちゃって良いんだな、次なんてないことを願ってるけどあった時のために覚えておこう 俺がいるオンセサークルは、登録とかしなくても希望出せば自由に参加できるタイプ だから問題とか起きることも多いものの、プレイヤーが皆良心的だから上手くやってきた それで俺がその困(Aとする)と同卓したのは、CoCのキャンペーンでの話だ Aは他の卓で使ってたキャラを使おうとしてたんだが、まずそのキャラが問題だった GM「職業技能値余りまくりじゃん」 A「170くらい余ってるかな。見習いって設定なので……」 Aはどうやら、見習い設定でポイント全振りするのが納得できなかったらしい 結局、そのキャラの年齢を20歳増やして技能を割り振ることにしていた Aはそんな感じの、それだけ見れば小さな困要素がすごく多かったんだ たとえばやたら誤字脱字が多いとか、そのせいか日本語や常識がおかしいとか PCが不真面目だからとネタ行動するとか、さっさとPCロストしてほしいって言うとか クライマックス戦闘に入ったら、シナリオの目的の達成も無視して全力で逃走を図るとか 144 名前:2/2[sage] 投稿日:2015/08/26(水) 21 44 58.96 ID FNCLe0CO0 [3/3] そうして第一話が終わって、GM側からの提案でAは新しいキャラを作ることになった この時点ではまだAを許せない範囲ではなく、改善するなら続けようという話に 続く第二話でも、上に書いたような困要素は治ることもなく見られた 加えて、事前連絡のない遅刻や、無断離席でセッションの進行を妨げるようなこともした そういうのが積もり積もって、最終的にGMが毅然とした態度でAに最後通牒を出したんだが Aはあっけらかんとした態度で、まるで他人事のように考えているみたいだった こうしてGMがAに最後通牒を出した同日、セッションの進行中にAが言ったんだ A「ちょっとあした早いのでうちます」(原文ママ) A「すみまsん」(原文ママ) GMはAに対して、今日は終わりにしたいということか、と訊いたんだけど その時、Aは既にどどんとふの部屋から消えていて、この後二度と帰ってくることはなかった それからGMと俺含めたPL2人は新しいPLを入れ、無事にキャンペーンを終えましたとさ 145 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/08/26(水) 22 02 12.92 ID YabUTtKX0 143 144 そいつひょっとしてリアル中学生か何かだったのかな… 非常識なPLが散々迷惑かけた後「パソコン使ってるの親にバレたから落ちる」と言い残してそのまま消えた、って報告昔あったよな 146 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/08/26(水) 22 25 49.94 ID cMp4kPYB0 [2/2] 自分がそうだけど躁鬱の人はタイピングをよく間違えるらしい もしかしたらそいつもそうだったのかもしれない 147 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/08/26(水) 22 42 59.07 ID HLk13SQO0 いや只の頭がおかしい子だと思うが 他人の気持ちがわからない、自分のしたいことしか出来ない、 怒られてるっぽかったら全て無視してどっか行って終わり 理解できない病気なんでどうしようもない 148 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/08/26(水) 22 49 32.25 ID r33H9KxM0 [5/5] 143 はあからさまに子供というか、画面の向こうに人間がいることが理解できてない系の感じがする 140 こっちもアレだが、直結ってことはAとBは異性ってことでいいんだな? スレ422
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純「今度は、本当の本気です!」 唯「よし、それじゃあその本気やらを今見せて貰おうか?」 純「やっぱ、明日からで…」 唯「だめだ、今すぐ本気を出せ」 純「いきなり、本気出せと言われても具体的に言ってくれないと…」 唯「お前さっき梓より自分のほうが勝ってるって言ってたよな」 純「当然です!梓なんかに負けるはずありませんから」 唯「じゃあお前、梓の代わりに演技してみろ」 梓「ちょっと何言ってるんですか!平沢さん、ここでキャスト変更なんて ちょっと酷くないですか?」 唯「今更、この映画でのメインキャラクター変更なんてやるわけないだろう」 梓「だって今、純に私の代わりに演技してみろって…」 唯「純があまりにも梓にライバル心を燃やしてるから、その演技とやらが どんなものか見定めてやろうってだけだ」 梓「本当にそれだけですよね?」 唯「そもそもキャステングを決めるのは監督だしな 今回の映画は無理だとしても今後キャストの変更もありうるだろうし 今のうちから新人の演技を見ておくのも悪くないだろう?」 梓「見るだけならいいですけど…」 純「もしかして梓、私に嫉妬してるの?」 梓「はぁ?誰が純なんかに嫉妬するって言うの?」 純「ヒロイン役を私に奪われたくないんでしょう?」 梓「奪うもなにもまだ何も決まって無いし…」 純「まぁー見ててよ。私の本気の演技を見せつけてあげるからさ」 唯「それじゃあ、まずは海に行こうか?」 純「こんな猛吹雪の中海に行くとか冗談でしょう?」 唯「私が冗談を言った事があるか?」 純「本気で言ってるとしたらどうかしてますよ!なんの嫌がらせですか!」 唯「よく、考えてみろ。本来の季節は夏なんだぞ 台本読めばわかると思うけど、当然海に行くシーンもある」 純「だからってあんな猛吹雪の中、海に行っても撮影になりませんよ」 唯「なにも、無理に行けとは言わない。当然お前にも断る権利はあるからな」 純「そんなの断るに決まってるじゃないですか。なにバカなこと言ってるんです」 唯「そうか、お前の本気はその程度だったんだな」 純「ですから、私の本気と言うのはですね…」 唯「梓ならこんな状況でも断らないよな?」 梓「え?私ですか?」 純「こんな悪条件での撮影、梓みたいなヘタレじゃもっと無理ですよ」 梓(なん…だと。純の奴…) 「ええ、もちろん。私なら断りませんけどね。 いやー見損なったよ純。あんたの本気がこの程度だったとはね…」 唯「残念だなー、純には次期エースとして期待してたのに 口だけで終わってしまうとは…」 純「口だけって…」 唯「こんなことでは純が監督の目に止まることは一生ないだろうな」 純「誰が口だけですか!」 唯「私は真実を言ったまでだが」 純「それじゃあ口だけじゃないことを証明してみせましょう。 猛吹雪だろうとなんだろうとかかってこいですよ!」 律「いいのかそんなこと言って?」 純「私に二言はありません!」 唯「それでこそ私が見込んだ純だ。よし、早速海へ行こう」 純「はい!」 澪「おいおい、本当に大丈夫なのか?」 律「なんやかんや理由付けて生意気な新人を締めたいだけだろうな…」 梓「一回痛い目に遇ったほうがいいんじゃないですか?」 紬「つ、冷たいのね。梓ちゃん…」 純「ほら、みんなも早く来なよ!私の勇姿を見せてあげるよ」 澪「どうする行く?」 律「まぁ暇だし行ってみるか」 梓「どんな按配になるのか見てみたい気もしますね」 紬「なんだか楽しそうね」 律「それじゃあ私たちも見るだけ見てみるか」 海岸にて 監督「この天気じゃ海のシーンの撮影なんてできないな」 AD「どうします?」 監督「もう、ロンドンのシーンも日本で撮るか」 AD「イギリスの海と全然違いますけどね」 監督「仕方がないだろう。天候だけはどうにもできないし」 唯「おーい、監督!」 監督「これはこれは、平沢さん。こんなお寒い中わざわざお越しいただかなくても 呼びつけていただければ私がホテルまで行ったのに」 唯「それがさ、新人の鈴木純が監督に本気の演技とやらを見て貰いたいって言うんで 今、連れて来たんだけどさ…」 監督「平沢さんともあろう人があんな新人相手にすることないですよ 純は私に任せて平沢さんはホテルで待機していただければよろしいかと」 唯「おもしろそうだから、私も見てやろうと思ってさ」 監督「平沢さんがそうおっしゃるのなら構いませんが」 唯「おーい、監督からOKでたぞ」 純「私の本気を見て下さいよ監督!」 監督「君、この糞寒い中その格好でやるつもりなのかい?」 純「だって、海といえばやっぱり水着でしょう!」 監督(バカもここまで来たか…) 「君がその気なら構わないけど。私は一切責任を取らないからね」 純「ええ、わかってますよ。あくまでも私の判断ですから」 唯「それじゃあ、Fパートのシーン5からやってみろ」 純「海に到着したシーンですね。任せて下さい!」 律「うわー本当にやってるよ」 澪「この寒さで水着とか…」 梓「もはや、お笑い芸人ですね」 紬「風邪ひかなきゃいいんだけど」 純「わーい!海だー…」(ガタガタブルブル) 唯「声が震えてるぞ」 純「そんなこと言われても…」 唯「もう、一回!」 純「てか、なんで平沢さんが監督みたいになってるの?」 監督(さては、純ちゃん平沢さんの逆鱗に触れたな。 まぁ、風邪でもひいてもらったほうが静かでいいけどな) 純「へっくしょん!」 唯「カットカット。くしゃみをするシーンなんかなかっただろう」 律「散々乗せられて、やってることはお笑い芸人っていうのがなんとも滑稽だな」 澪「よくやるよ」 梓「本当私じゃなくてよかったですよ」 2時間後 純「もう、ダメ…」 唯「まだ、撮影は終わってないぞ!」 監督「あの平沢さん…」 唯「なんだ?」 監督「お言葉ですが、その辺にしておいてたほうがよろしいかと 脇役とはいえ共演者になにかあったら映画の公開にも響きますんで」 唯「それもそうか。よし、今日はこの辺にしておいてやろう」 純「あ~、やっと終わった」 翌日 ロンドンの空港にて 律「天候が悪かったせいで結局なにも撮影できなかったな」 澪「せっかくロンドンまで来たのに観光も出来なかった」 梓「ロンドンのシーンも日本で全部撮るらしいですね」 律「夏って設定なのに冬の風景だとおかしいからな」 梓「なんのために来たんだか」 唯「みんなお疲れ」 律澪紬梓「お疲れ様で~す!」 唯「今回は残念だったな。撮影もロクにできなくて」 律「天候はどうにもできないですからね」 澪「日本に帰ったら頑張りましょう」 梓「結局やったのは純の模擬撮影だけでしたね」 純「だけとはなによだけとは!それは私のステップアップの 第一歩なんだからね!」 澪(お笑い芸人になるためのステップアップか?) 唯「この通り、純も風邪をひくこともなく元気いっぱいだからな いいことだよ…」(苦笑) 純「芸能人たるもの体が資本ですからね!」 梓「バカは風邪ひかないって本当だったんだ…」 純「なにか言ったかしら?梓さん?」 梓「いえ、なにも」 日本の空港到着 澪「吹雪の中でのフライト怖かったな」 律「あれぐらいの揺れ大したことないだろうが」 純「あー、楽しかった。日本での私の出番も楽しみだな!」 梓(あれが、楽しかったとかどんな神経してるんだ…) 唯「それじゃあ今日はこの辺で解散するか」 澪「それじゃあ、また明日お会いしましょう」 唯「ああ、休んだら承知しないからな」 律「平沢さんこそ休まないで下さいよ!」 唯「お前も言うようになったな」 律「エヘヘ…」 律「あー、やっと解放された!」 澪「四六時中平沢さんと一緒じゃそりゃ緊張もするよな」 梓「いつ私がターゲットになるんじゃないかとヒヤヒヤしてましたよ」 紬「みんな何事もなくてよかったわね」 律「あれ?そういえば純の姿が見えないんだけど」 梓「もういいですよ純なんか放って置いて。 あの子に付きあっていたらいつ帰れるかわかったもんじゃない」 律「純も子供じゃないんだし、最悪一人でも帰れるか」 紬「みんな、冷たいわね」 唯のマネージャー「平沢さん、次はウジテレビでのバラエティー番組の収録です」 唯「帰国して早々収録か…だるいな」 純「その荷物私が持ちましょうか?」 唯「ああ、頼むよ…ってなんで純がいるんだ!?」 純「空港からずっと着いて来てたのに気がつかないなんて。 平沢さん、相当お疲れのようですね」 唯「なんの用だ?」 純「嫌だなぁー、私は、平沢さんの付き人じゃないですか!」 唯「あれは、ロンドン限定での話だ。もはやお前は付き人でもなんでもない」 純「そんなこと言わずに私を付き人として雇って下さいよ」 唯「お断りだ!」 純「お願いしますよ~」 唯のマネージャー「平沢さん、もう時間が…」 唯「わかってるが、こいつがうるさくて…」 純「その収録、私も着いて行きます!」 唯「もう、しょうがないから勝手にしろ!」 純「やったー平沢さんの付き人だ!」 唯「なんで私がこんな目にあわなきゃならないんだよ!」 こうして、純は平沢唯の付き人として活躍することになり 日本での映画けいおん!の撮影も順調に終わったのでした。 ーおわりー 戻る
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・このSSには漢字を使って喋るゆっくりが出ます、違和感を感じる方は読まないほうがいいかも ・一部原作設定がある部分があります ・色々とパロディした部分があります ・作者に都合のよい独自設定があります ・これを書いたのはHENTAIあきです!一番重要だから注意してください! ・それでもいいというひとはゆっくりよんでね!!! どうも皆さん初めまして、私は清く正しいしゃめい丸です。 実は最近お家で一緒に住んでいるもみじのことで少し悩みがあるんです。 「もみじちょっとお外に取材に行きませんか?天気も良いですしきっと楽しいですよ!」 私の言葉にもみじは私の方を向いてくれました。 「あやさん、もみじは今金バッジ試験さんのお勉強中なんです。出来れば一人で行ってください。」 これなんです!最近のもみじは私にすごく冷たいんです! 胴付きになってきちんと喋れるようになって、最初はお兄さんと一緒ですごく嬉しかったんです。 でもそれから急に私に対して冷たくなっちゃったんです。 「そんな~、昔はいつでも一緒に取材に行ってくれたじゃないですか。」 「今と昔は違うんです。もみじは今お勉強さんで忙しいんです。」 今じゃこんなこと言って取材にも付いて来てくれないんです。 昔は・・・、といっても胴が無い時はいつも一緒に取材に行ってくれて嬉しそうに尻尾を振っていたのに。 おかげでまったくもみじをモフモフすることも出来ないんです。 「まあまあ、もみじは勉強で忙しいから今日はしゃめい丸だけで取材に行ってきなよ。」 「お兄さんまでそんなこと言うんですか、おおかなしいかなしい。」 お兄さんにまでそんなことを言われてしまい、つい頭をシェイクしてしまいます。 きめぇ丸みたいで嫌なんですけど、これをすると何だか気分がはれるんですよね。 それにいつの間にか私にも人間さんみたいなお耳が生えてきてしまいました、でも何だかとんがっていて少し形が違いますけど。 「でもそんなにお勉強ばかりしちゃ体に毒です!だから私と一緒に気分展開に行きましょう!」 「大丈夫です、昨日お友達のにとりちゃんと一杯遊んできましたから。」 なん・・・だと!私に内緒でそんなお友達と遊ぶなんて! 「おのれえええええ!おのれえええええええええええ!」 「煩いです、それとキモいから頭を振るなら外でやってください。」 「おお・・・、おお・・・。」 悲しくて言葉も出ません。 しかたないので今日は寂しく一人で取材に行ってきます。 「頑張ってきてねしゃめい丸。あんまり危ない所や遅くなったら駄目だからね。」 「ありがとうございますお兄さん!それでは今日も張り切って取材に行ってきます!」 お兄さんに買ってもらった大事なカメラを持って取材へと出かけてきます。 「なあもみじ、最近しゃめい丸に冷たすぎないか?」 「そんなことないですお兄さん!もみじはお兄さんよりは大事じゃないですけどあやさんも一応大事ですよ!」 お耳が生えてきたせいかそんな会話がお家から聞こえてきました。 お兄さんより大事じゃないのは分かりますが、何だか私のこと馬鹿にしてません? ちょっとだけブルーな気持ちになりましたがネタを探しに街を飛んでみます。 とりあえず来たのはやっぱりスクープがある公園ですね! 野良生活をしているゆっくりはいつも事件と隣り合わせですから。 「ヒャッハー!虐待だ!」 「やめてね!どうしてこんなことするのおおおおおおおおおおおおおお!」 どうやら虐待お兄さんがれいむさんを虐待してますね。 特に珍しいことでもありませんから写真には撮りませんけど。 「んほおおおおおおおおおおおおお!まりさのまむまむとかいはだわああああああああああああああ!」 「やべでええええええええええええええええええええ!」 こちらではレイパーがまりささんをれいぽぉしてます。 これも野良ゆっくりには日常であり、特に珍しいことでもありません。 もっと面白いことでもありませんかね。 「しゃむい・・・、もっちょゆっきゅりしちゃ。」 「おちびちゃああああああああああああああああああん!」 おや?なにやら珍しい虐待でもしてるんでしょうか、こんな暖かい日に寒がる赤ゆがいるようです。 気になったので声のする方に行ってみましょうか。 「どうしてこんなことするのおおおおおおおおお!おちびちゃんがかわいそうでしょ!」 「大丈夫!あたいは最強だからすぐに戻してあげるから!」 なんと胴付きのちるのさんを見つけてしまいましたよ。 残念ながらバッジが付いてますから何方かに飼われているようです、野良だったら連れて帰ったのに・・・。 「今からお水に漬けて解凍すれば元通りになるのよ!あたいってば物知りね!」 「だったらはやくもどしてあげてね!ゆっくりしないでね!」 どうやらちるのさんが悪戯で野良れいむさんのおちびちゃんを氷漬けにしたようです。 はたしてどうなることやら、あまり頭が良くないちるのさんは一体何をするんでしょう? 固まったれいむさんのおちびちゃんである赤れいむさんを公園の中央にある噴水まで持って行きましたよ。 「にゃんだかあっちゃかくなっちゃよ・・・。」 「おちびちゃん!げんきになったの!?」 手に持った赤れいむさんを噴水に落とすちるのさん。 どうやら上手く解凍されたのか赤れいむさんが意識を取り戻してきました。 大喜びで飛び跳ねているれいむさんでしたがここでちょっとした事件が起こりました。 「ゆわあああああああああああああ!れいみゅのからだしゃんがとけりゅうううううううううううううう!」 「おちびちゃんがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 ・・・解凍されたのは良いですがそのまま噴水の水に溶けてしまいました。 そしてそのまま短いゆん生を終えてしまい、れいむさんが大泣きしてます。 「どうしてくれるのおおおおおおおおおおおおお!れいむのかわいいおちびちゃんがとけちゃったでしょおおおおおおお!」 怒ったれいむさんがちるのさんのあんよさんに体当たりしています。 バランスを崩したちるのさんが転んで、ケロちゃんがプリントされた可愛らしいおパンツが! 気づいたらカメラさんに撮っていました、おおおたからおたから。 「ゆっくりしないではんせいしてね!」 「いたいいたい!わざとじゃないから許して!」 そのままちるのさんのやわらかいお腹の上で飛び跳ねているれいむさん。 死にはしないと思いますがちるのさんが痛がってるので助けに行きましょうか、でももう少し写真を撮っておかないと。 「会長、ちるのを発見しました!」 あやや?何やら黒服にサングラスさんをかけた怖そうなお兄さんたちが来ちゃいました。 すぐさまれいむさんを捕まえてちるのさんを立たせてあげると、少ししてから車いすに乗って和服姿のお爺さんまで来ました。 「はなしてね!れいむはおちびちゃんをころしたゲスをせいっさいしてるんだよ!」 「貴様!人間に飼われているゆっくりを傷つけてただで済むと思ってるのか!」 その言葉を聞いてれいむさんの顔色があっという間に青ざめていきます。 どうやら自分がやったことの重大さに気づいたようですね。 「ごめんなさいいいいいいいいいいいいいいいいいい!あやまりますからゆるしてくださいいいいいいいいいいいいいいい!」 「許すわけないだろ、お前らゆっくりの謝罪は泣き声だからな!」 「まあそんなことを言うんじゃない。」 和服を着たお爺さんがそう黒服のお兄さんをたしなめます。 れいむさんみたいに青ざめたお兄さんはすぐに口を閉じました。 「お前は本当にすまないと思っているのか?」 「おもってますううううううううううう!あやまりますからいのちだけわああああああああああああああ!」 「そうか、ならばその誠意を見せてもらおうか。」 お爺さんがお兄さん達に何か言うと、慌ててお兄さん達は何処かへ走って行きます。 その間お爺さんはまたれいむさんに話しかけます。 「今からお前には詫びてもらうが、もしちゃんと詫びれば許してやろう。」 「ほんとうに!れいむなんでもやるよ!」 「ほっほ、どうやらやる気もあるようじゃな。」 嬉しそうにお爺さんが笑っていると、さっき何処かへ行っていたお兄さんたちが何か持って戻ってきました。 平べったくて何やら重そうにそれを持ってくると、いそいそとセッティングしてます。 「なんなのこれ?」 「お前さんには今からこの上で土下座をしてもらう、分かりやすく言えば顔をそこにつけてもらえば良い。」 「そんなことでいいの!れいむならそんなことかんたんだよ!」 そんなことを言っている間にどうやら準備ができたようです。 どうやらお兄さんたちが持ってきたのは鉄板のようですが、何やら火をつけて鉄板さんを温めてますよ・・・。 「ではさっそくやってもらおうか。」 「むりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!こんなあつそうなところにおかおなんてつけられないいいいいいいいいい!」 「本当にすまないという気持ちで胸がいっぱいなら、どこであれ土下座はできる。例えそれが肉焦がし、骨焼く、鉄板の上でも。」 すごく嬉しそうにお爺さんはそんなこと言ってますが、あれ絶対無理ですよね? どう考えてもあんなことしたら永遠にゆっくりしちゃいますよ。 「しかたがない、お前たち手伝ってやりなさい。」 「やだああああああああああああああああ!」 無理やりお兄さんに掴まれて熱い鉄板の上に顔を押し付けられるれいむさん。 苦しいのか必死に体を暴れさせてます。 「ゆぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!」 「苦しそうだの、ワシも鬼ではないから顔はやめて足にしてやりなさい。」 「っっっ!!!」 顔を焼かれて口がくっついてますが、お爺さんの言葉にれいむさんは激しく拒否しようとしてます。 でもそんなことには気づかず、というより気づいてますがお爺さんはお構いなしです。 お兄さんがれいむさんを鉄板から引き剥がすとこんどはあんよの部分を押し当てます。 「もう良いじゃろ、これでワシのちるのを傷つけたことは許してやろう。」 ようやくれいむさんが鉄板から離されました。 酷い姿で顔は焼きただれてあんよさんも焼かれてますから、もうあれでは長くはないでしょう。 「おじいちゃんありがとう!」 「フン!別にお前さんを助けたんじゃないぞ!あくまでワシの所有物を傷つけた野良に制裁を加えただけだじゃ!」 お礼を言われて照れてるのかお爺さん顔を赤くしてます。 ですけどちるのさんはそんなお爺さんに体をくっつけて親愛のすーりすーりをして感謝を表してます。 「ええい!そんなに体を擦りつけるな!帰ったらワシの作ったゆっくり用のデザートの試作品を食って貰うぞ!」 「やったー!あたいおじいちゃんのおやつ大好きだよ!早く帰ろうね!」 お爺さんとちるのさんは黒服のお兄さん達と一緒に公園から出て行きました。 後には焼きただれたお饅頭さんになったれいむさんが取り残されてます。 特にスクープはありませんでしたが、ちるのさんのおパンツが取れただけで満足です。 公園でスクープが無かったのであてもなく色々と飛び回っていると懐かしい場所を見つけました。 まだもみじが胴がなくて私にべったりだった時に一緒にスクープを見つけた路地裏です。 取材に協力してもらった子まりささんのおかげで見事に発表会では一位になれましたが、まりささんは今頃どうしてるんでしょうね? 「そこのきめえまる!ゆっくりしないでこっちをむくんだぜ!」 せっかく楽しい思い出に浸っていたのに誰ですかまったく。 まあ分かってますが一応確認してみましょうか。 「やっぱりまりささんですか、一体何の用ですか?」 いたのはやっぱりというかまりささんでした。 口調といい身なりといいどう見ても野良ですね。 「まりささまはおなかがすいてるんだぜ!だからごはんさんをよういするんだぜ!」 「何で私がそんなことしないといけないんですか?」 「ゆぷぷ!きめえまるはそんなこともわからないの!まりささまはいだいなぷらちなバッジなんだぜ!」 虐待お兄さんがゲスを愛でるぐらいありえないですね。 プラチナバッジって言ったら金バッジよりも難しくて、取得したゆっくりは人間さんと同じ権利と義務が発生するバッジなのに。 どうみても野良のまりささんが取得出来るものじゃない品物です。 「すいませんがまりささんがプラチナバッジである証拠を見せてくれませんか?」 「しょうがないんだぜ!まりささまのおぼうしについてあるバッジさんをみるんだぜ!」 そう言われたのでさっそくまりささんのお帽子を見せてもらいました。 やっぱりと言うか、付いてたのはプラスチックを適当に切りぬいてぷと書かれた偽物ですね。 「まりささん、これ偽物ですよ?」 「うそつくんじゃないぜ!さっさときめえまるはごはんさんをもってくるんだぜ!まりささまはすぃーつがたべたいんだぜ!」 「うぜぇ・・・。」 つい下品な言葉が出ましたが偽りのない本音です。 このまりさにはちょっと反省してもらいましょうか。 「うぜぇ丸!きめぇ丸!」 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああ!ゆっくりできないいいいいいいいいいいいいいい!」 まりさを捕まえて目の前で頭を高速シェイクさせます。 何だかテンション上がってきましたよ! 「清く!正しい!しゃめい丸!」 「もうやべぢええええええええええええええええええええええええ!」 おお軟弱軟弱。 これぐらいでへこたれるとは本当にまりさ種は駄目ですね。 さらに加速させましょうか。 「もっとゆっくりしたかった・・・。」 餡子さんを吐いちゃいましたよ、おお汚い汚い。 すっきりしましたしそろそろお家に帰りましょうか。 「お帰りしゃめいま、どうしたんだ!顔がきめぇ丸になってるぞ!」 「おおひどいひどい、お兄さんどうしてそんなこと言うんですか?」 帰ってくるとそんな酷いことお兄さんに言われてしまいました、おお悲しい悲しい。 「どうしたんですかお兄さん?あやさん顔が!?顔がきもくなってますよ!」 「やめてください泣いてしまいます。もみじまでどうしてそんなこと言うんですか?」 そうしているとお兄さんが手鏡さんを持ってきて見るように言ってます。 まったく私の顔はいつもどうりですよ? 「おお・・・、おお・・・。」 鏡に写っていたのは人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべているきめぇ丸がいました。 どこにも私の顔は写っていません。 「落ち着くんだよしゃめい丸、きっとストレスで顔が引きつっているだけなんだ。」 「そんな・・・、私は清く正しいしゃめい丸なのに・・・。」 信じられなくて手鏡から顔を背けました。 茫然としている私にもみじが抱きついて来ようとしますが、私はもみじから体を引いてしまいます。 「あやさん、もみじはあやさんが大好きですよ!だから逃げないでください!」 そのもみじの言葉に私は動けなくなってしまいました。 あんなに私のことを嫌がっていたのにもみじはきもくなってしまった私をギュッと抱きしめてくれます。 「あれ?しゃめい丸の顔が戻ってる?」 それを聞いてついもみじを突き飛ばしてしまい急いで手鏡を覗きこみました。 写っていたのはいつもどうりの私の顔です。 「やった!元に戻りましたよ!やっぱり私は清く正しいしゃめい丸なんですよ!」 嬉しくてつい部屋の中なのに飛び回ってしまいました。 気づくともみじがすごい剣幕でこっちを見てます。 「よかったですねあやさん!それじゃあもみじはお勉強をしますからお部屋に行きます!絶対入ってこないでくださいよ!」 付き飛ばしたことを怒っているのかもみじは私と共同のお部屋に行ってしまいました。 「まぁ元に戻って良かったよ。ところで今日はもみじの為にちょっと豪華に外に食べに行こうか。」 もみじの機嫌のためなのかお兄さんはそんなことを言ってくれます。 さすがにあのままじゃ気まずい夕食になりますからね・・・。 「じゃあさっそくもみじを読んできますね!お兄さんちょっと待っててください。」 怒ってましたがもみじは別に私のことを嫌いになってたわけじゃないんですね。 きめぇ丸になってた私に大好きって言ってくれたんですから! おまけ しゃめい丸のことを思うもみじはつい・・・ 「ううー!またやっちゃいました!本当はあんなこと言いたくないのに!あやさんの枕の匂いを嗅いで落ち着かないと。」 「もみじー!お兄さんが今日の夕食は外で食べようと・・・。」 「あやさん!?さっき部屋に入ってこないでって言ったのに!」 「あやや、私の枕に顔を埋めて何をしてるんですか?」 「それは・・・、いいから早く出て行ってください!」 「別にまくらじゃなくて私を直に嗅いで良いんですよ?ほら脱ぎたての私のこれでどうです?」 いつまで経ってもやってこないしゃめい丸ともみじを心配した飼い主が部屋に行ってみると、 そこには全裸のしゃめい丸と四つん這いでしゃめい丸の服に顔を埋めて尻尾をすごい勢いで振っているもみじがいた。 とりあえず写真を撮ってから飼い主はしゃめい丸ともみじに少しだけお説教をした。 後日飼い主は自身が所属している「しゃめい丸・きめぇ丸を愛でる会」にもみじによってきめぇ丸化が治ったことを会員に伝えた。 その日会の人間は一斉にもみじを求めてゆっくりショップやネットサイトをしらみつぶしにしたのだった。 後書き あやもみは永遠のベストカップル、そう考えていた時期が俺にもありました・・・。 新作さんでまさかそんなに仲が良くなさそうなのには驚きました。 途中出てきたちるのの飼い主さんのお爺さんはてゐっあい!の会長さんだよ! ちるのに変なことしようとすると、豪華客船でリッチなカジノ大会に出場させられたり地下王国に無料で招待されます。 よく考えたらバカルテットでりぐるだけSSに出していないのに気づいたHENTAIあきでした。 最近書いたもの anko1434 みょんな一日 anko1450 ゆっくりが泣く部屋 anko1471 春?冬? anko1491 ゆっくり院 anko1509 妬ましい anko1519 ゆっくりトラブルを解決するよ! anko1550 胴付きの謎 anko1605 胴付きパーティー anko1647 ゲスゆうか
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平成22年6月2日(水曜・雨) さっき綱吉が買い物に言ったんだけどちゃんと傘持っていったかな・・・? 取り合えず少し待ってみて外で待っていたら・・・・ 帰ってた綱吉は傘も差さずに全身ずぶぬれだったよ・・・ すぐにそばに駆け寄って家に連れて入って無理やりシャワーをかけて 暖かい格好をさせて・・・ とりあえず今は僕が変わりに料理を作っているけど・・・ あの子結構風邪とか引きやすいから本当に心配・・・・ 戻る -
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ちょっとそことおりますよ【登録タグ GUMI こそあどP ち 曲】 作詞:こそあどP 作曲:こそあどP 編曲:こそあどP 唄:GUMI 曲紹介 「ちょっとそこ通りますよ」 ふわふわした不思議な雰囲気のある曲。 歌詞 ちょっとそこ通りますよ ちょっとそこ通りますよ ちょっとそこ通りますよ ちょっとそこ通りますよ いつも影から 見てるだけ 素敵なアナタの 後ろ姿 でも触れたいの 感じたいの アナタのぬくもり アナタのオーラ ふれるために 込み合ってる時 アナタのそば 通るふりして そっと触れるの ちょっとそこ通りますよ ちょっとそこ通りますよ 歩いていると 見かけたの 一瞬だけど すぐに分かる 雑踏の中でも 感じ取れる あなたの姿 あなたの魂 すれ違う 瞬間に分かってほしいのよ 私の気持ち 甘い想い 常に遠くで 見つめてる 輝きを放つ あなたの姿 ああもう! 我慢が出来ないの 早く嗅ぎたい あなたの匂い 触れてもらう 向こうから来る あなた目指し 倒れるふりして 抱きつくの ちょっとそこ通りますよ (あなたに) ちょっとそこ通りますよ (触れたい) ちょっとそこ通りますよ (あなたに) ちょっとそこ通りますよ (抱きつきたい!) ちょっとそこ通りますよ コメント 大変遅くなりましたが、記事を書いて頂きありがとうございました。 -- こそあどP (2010-11-17 08 54 53) ↑本人!? てか、可愛い曲gj -- 名無しさん (2012-03-18 00 12 35) 名前 コメント
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「残念ながらお前はもー休めない。病気でも怪我でも。それはわかってるよな?」 「…もったいつけねーでさっさと言え。」 「そろそろ夏の大会だよな。」 「何の?」 「野球。そんな事もわかんねーのかよ!?」 「スポーツに興味ない。そんで?部員足りないから野球やれってのは勘弁な。」 典がニヤっとした。 「実は応援団が足りないんだ。それ、頼むわ。」 …ふざけんな、できる訳ねー。 「バカじゃねーの!?やるわけねーだろ!そんなら学校辞めるわ。そこまでして飼われたくねーよ。」 「…わかった。吉永もそれでいいの?コイツ辞めるって。」 隣の香織を見る。今にも泣きそうだ。 「…お願い。学校残って。」 「…そんな生き恥晒してまで残りたくねー。」 「私が寝過ごしたのが悪いんだよね。わかった、私も学校辞める。」 いきなり何を言い出すんだこのバカは! 「ふざけんな、お前はちゃんと学校出とけ!俺はどーにでもなるからいいんだよ!」 「嫌。アンタが辞めるなら私も辞めるから。」 コイツの頑固は筋金入りだ。何を言っても通じない。覚悟決めるしかない。 「…わかった。学校残るよ。そんでいいだろ?」 香織の顔が明るくなった。しょうがない。我慢する。 「じゃーお前が團長な。」 ふざけんな、空気嫁wwww 「誰がそんなのやるかよ!応援団だけって言っただろーが!」 「だって誰もやる人がいないんだもん。」 「だもんじゃねぇ、他のメンバーはいねーのか?」 「まだいない。お前が探してこい。」 頭が痛くなった。これができなきゃ一人で生き恥かく様なもんだ。 「…わかった。その代わり全部俺が決めるからな。」 「團長はお前なんだから勝手にしな。必要な物があったら言え。それは買ってやるから。」 こーして俺は学校に残る代わりに羞恥心って大事な物を失った。