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卒制日記 寺山先生へ 「しっくり」きてるかどうかについて 今まで作りながら感じていたのは、これらのどんなものも、どこかシュッとしないということ。それはなぜか。 自分の境界線が拡張することずべてに共通する「核」みたいなものがわかっていなかったからだと思う。 ver2.0ではっきりしたのは、境界線の拡張と行為の責任(思い入れ)の関係があること。これを「核」にして考えると今まで作ってきたものが繋がる。 さて、ここからどう表現しようか。 ver2.0は結構いい感じにしっくり来ていると思うけど、なにか物足りない。行為の責任(思い入れ)の表現って感じで、自我境界の拡張って感じではないかもしれないなと思う。自分の作ったものが誰かの手で変形していく、切ないような変な感じを体感させるver2.0は、感情に訴えかける形で体感させることに大きな特徴があるけど、その分視覚的な境界の拡張感・自分の一部感がしない。それまでのは視覚的に自分の一部感がしていたが、感覚・感情に訴えかける力は無かった。と感じていた。 この「視覚的な自我境界線の拡張」と、「感覚・感情的な自我境界線の拡張」を同時に感じさせられる作品になってくれば「しっくり」くるんじゃないかなぁと思う。…思います。 ふくちゃんへ 以下への感想 僕が聞きたいのは説明ではなくて、それをつくっている本人にしっくりくるかどうかっていうことなのだけれど?「しっくり」というのは微妙な言い方かもしれないけど、説明、理由よりも自分がどうかっていうのが今は重要な時期なのではないですか?別の言い方をすると「人に伝える手応えを君はどこに感じているのか」ということなのだが 「理屈じゃないのよ。涙は」 (井上陽水) terayama 今までつくったものを整理する。 ver1.0_不透明な厚手ビニールの、体感できるくらい巨大な迷路 意図_形がわかりづらいが、確かに人がそこにいると感じられる空間をつくることで、自分と人の境界線を感じさせたかった。 ver1.1_肌質感のつばの巨大な帽子・爪質感の使い辛いスプーン 意図_身体が拡張するように道具を感じさせたいところから、他のものにぶつかって歩きにくい帽子や、慣れないと使えないスプーンなどを考えた。質感を人体の一部にしたのは、見た目にも説明を加えるべきだと判断したから。 ver1.2_マジックテープで体に取り付け可能な立方体(プレ展示に出したやつ) 意図_身体の拡張は無限に広がる。ありとあらゆる拡張の可能性を表現したかった。 ver1.3_視界を限定することにより視力が上がる筒 意図_感覚に訴えかけるような拡張を表現したかった。視覚は(それ以外の感覚も)その視界が狭くなればなるほど繊細になることを利用した。 ver1.4_両端に磁石のついたスティックを持って、両壁に磁石を貼付けまくった細長い通路を通過する体験 意図_磁石の「引き合う」「反発しあう」という感触を肌に感じる事で、壁と自分との磁界という境界を感じさせたかった。 ver1.5_完全に真っ暗な部屋の中で、超微弱なライトを持ち、壁にある何かを触りながら知覚していく部屋 意図_真っ暗な中での微弱なライトは、すべてのものの境界線がなくなって、自分がいること以外がわからなくなった状態に近いと思った。そんな中でライトを持った他の人間を認知する時、その微弱な光が他の人間として認知させる。真っ暗な中で、視覚以外の感覚により何かを知覚することが意識の中で「自分以外の何か」を感じさせることを狙った。 ver1.6_完全に真っ暗で、一度入ったら別の出口を見つけるまで出れない部屋。(壁には出口へ誘導する微妙な凹凸がついているが、なかなか見つからない。) 意図_ver1.5と同じだが、出口の位置を感じさせる「自分以外の何か」を指で感じさせたかった。 ver1.7_完全に真っ暗な部屋で、壁中にスイッチがついていて、触っている間だけスイッチとそれに反応する電球が点灯する 意図_真っ暗な空間で、いきなり電球がつくことによって、そこに誰かが居ると感じさせる。 ver1.8_かなり暗い部屋で、床や壁には砂が撒いてあって、その上に溶けかけた机、いす、服、靴、コンピュータなどがその砂に埋もれている。その中を微弱なライトを持って歩く。 意図_砂は物質を構成する原子がバラバラになって溜まっている状態を示す。それは全てのものの境界線がなくなった状態。机もいすも何もかも分解しだしている空間。その中を微弱なライト(すべてのものの境界線がなくなって、自分がいること以外がわからなくなった状態を感じさせる)を持って歩くという体験をすることで、作品体験後にものの感じ方が変わる事を狙った。 ver1.9_ドライバーや拳銃などのモノを持った腕のシルエットを板でいくつもつくり、それを組み合わせて、腕だけの千手観音のようなものをつくる。 意図_あらゆるものが手と融合し、自分の一部となることを表現する狙い。 ver2.0_箱形の部屋で壁にはびっしりクリップ(取り外せる)があり、部屋の真ん中にはクリップを取り付けられそうな物体がある。 その物体を四方からライブカメラで撮影し、画像をリアルタイムにwebで観る事が出来る。客にはそのクリップを物体にいくらでも取り付けられるように、また楽しめるように誘導し、URLもちゃんとアクセスできるように誘導する。 客は自分で作った(参加した)その作品が、その後どうなったかをwebで観る事できる仕組み。 意図_私たちがよく感じている「自分の作品が自分の子供のように感じられること」は、まさに自分の一部がそこ(作品)にあると感じていることだと思う。この感覚を客に体験してもらうことが狙い。 現在(ver2.0)に至までの、境界線についての考察。 「境界線とは?」→「この世に境界線など無い」→「人間は境界線を無理矢理引いている」→「境界線は拡張するもの」→「境界線の拡張は無限に続く」→「境界線がないと世界は混沌としてしまう」→「境界線の拡張をどこかで断ちながら人は生活している」→「境界線の拡張とは行為の責任をどこまでとるかということ」 06/12/03 02 27
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ふぁみれすいこうよ【登録タグ 2017年 NexTone管理曲 ふ サイゼP 初音ミク 曲 殿堂入り 音街ウナ】 作詞:カルロス袴田(サイゼP) 作曲:カルロス袴田(サイゼP) 編曲:カルロス袴田(サイゼP) 唄:初音ミク、音街ウナ 曲紹介 カルロス袴田氏の14作目。 歌詞 (動画より書き起こし) 1! 2っ わんっ ファミレスいこうよ!! なんで~? ファミレスいこ~よ!! マジで? ファミレスいって ちょっとだけ 元気出そ? オシャレもプライドも おっぺけぺーのぺーだ!! そこまで言うなら なんだか キニナル(/・ω・)/でしょでしょ? ハイ!(はい!) 発生源は例のストレッサー 圧倒的スピードで進撃中ッ…! このままじゃヤバい! ワレワレの未来 巨人とゴ○ラのコラボ並み パッターンパターン 真っ青な使徒(シット) 心の中枢(メンタルドグマ)にガシンガシン ガッシーン!!! 逃げたくないの! 逃げられないの! ホータイまみれで生存中! 「いのちだいじに」って だれかが言った キミがキミのパーティの 勇者だ!!! わかってんの!? で~もさ(´・ω・`) やってもやっても足りない 経☆験☆値 レベルアップまで あと何回???? たまには逃げるのも 戦略さ…☆ (せえええええええんりゃくさーーーー!!!!) DAKARA☆ ファミレスいこうよ!! おっけー☆ ファミレスいこうよぉ↑↑ 乗ったァ! ストレスマッハジェットで 飛んでっちゃえば!(飛んでっちゃエヴァ) ねんりょーは切らしても ドリンクバーが あー るー さー!! だれかに合わせないで 飲み物えらぶよッ DAKARA☆ ファミレスいこうよ!! さいこ~☆ ファミレスいこ~よぉ↑↑ 無敵ッ('ω')ノ ファミレスいって ちょっとだけ い~感じ!(うぃ~感じィ!) メニューを ひらいたら ワンダーランドぉ! だ~~い!!! ひとりも家族づれも niconico でしょでしょ? Hoiッ!!!(ほい!) オーマイゴッド 今週のハンター 休載中でテンション下がっちゃった ちまなこベイベー!いいことハンター! さがせどさがせど どツボにゴール! やっべーなんかめんどっちFC やる が き お願いだから! まだ負けないで! ライフは(おそらく)残ってる! ガンガンいこうぜ!って 誰かが言った。 暗い部屋の奥に 宝箱!! のこってんの!? ど~にか えっちらおっちら 生きてる 状☆態☆で たまに! エンカウント! してみりゃほら! モンスター図鑑も うまるのさ…☆ (うまああああああああるのさぁぁぁあああ!!!!) DAKARA☆ ファミレスいこうよ!! oh yeah ファミレスいこうよ!!!!! アッフゥン マジレスばっかじゃ CHOT!(ちょっと!) つまんないの!! 深夜のテンションで くーだらない話を!! 常識キャストオフで 今夜は無敵さ (*´з`) (しー よー おー よっ!!) ファミレスいこうよ!! なんか… ファミレスいこうよ!!!!! 最高☆ ファミレスいって ちょっとだけ ぜいたくしよ! サラダと ステーキに アイスクリームぅ!! だぁぁぁーー!! カロリーも 財布も今夜は 仲良し でしょでしょ? HEY!!(へい!) 人生はパフェだって 僕ら決めた(*´з`) 甘い!すっぱい! いろいろまざっても ごちそうだー!! そーして! ドッキリすっきりだらけの 伝☆説☆に… まずは! お城の外へとほら! ひろがる世界が 見えるハズ( ゚Д゚)(見え~~~~!!!!るはずっっ!!) ファミレスいこうよ!! なんか… ファミレスいこぉよ!! ハッピー☆ ファミレスいって ちょっとだけ 元気だそ。(元気だそ!) おいしいもの食べたら… どんな日でも一等賞!!!! いまこそ MAX最強 しあわせ こんにちわ。 ファミレスいこうよ!! りょーかい☆ ファミレスいこぉ~よぉ↑↑ おっけー('ω') ファミレスいって 今日から 元気出そう!(提案)(元気だそっ!) きのうまで つかれた日々に 乾杯を!!!!! 今夜は ビールも コーラも ルイボスティーも なかよし! ファミレスいこうよ!! ぜったい ファミレスいこぉぉよぉ↑↑ ハッピー(*´з`) こんがらがった 悩みが あってもね! スパゲッティに からめて ひとくちで どーーーーん!!!! そのあと アイスクリームもあるから アップルパイとかあるから!!! 最後はきっとわらえるよ。(さいごはきっとわらえるよ!!) でしょでしょ。(でしょでしょ!!) ハイ!(はい!) せんきゅ! コメント 新曲来たーッ★なんか曲名がすごい -- 名無しさん (2017-01-31 23 43 50) 早すぎ‼ -- 名無しさん (2017-02-01 00 28 12) 今回の曲も,めちゃ元気でた‼ -- SOÄ (2017-02-01 02 50 55) やっぱりミクと自演ズ最高 -- 好きな事だけがいいです (2017-02-06 20 32 06) ぼくディメと比べるとすごく会話が早くなってますね、だがそれがいい。相変わらず励まされてます。 -- ガンガンいこうぜ (2017-02-23 17 40 22) 一瞬「ガ○トいこうよ」に見えたのである -- 名無しさん (2017-02-28 01 10 49) とりあえず動画から書き起こした方にGJ -- 名無しさん (2018-04-15 11 53 29) どの曲でも絶対「でしょでしょ」入れてくれるの元気出る -- 名無しさん (2022-06-11 02 31 00) サイゼに行きたくなる曲 -- うなねぎ (2023-05-23 23 07 21) 名前 コメント
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「王様的フラグ」の続編です。 夜空を照らす金色の月の下で、1組の男女が向かい合って佇んでいた。 彼の目の前にいる少女は可愛かった。 大きな瞳に、締まりっ気のない猫のような口。風に乗って遊ぶサラサラの青い髪。頭の上にちょこんと出ている大きなアホ毛も、彼女のキュートさをさらに引き出している。 そしてもちろん、泣きボクロもチャーミングだ。 「遊戯君……?」 声は、どことなく人のやる気を削ぎ、落ち着かせる効果があるように感じられる。顔に見合った、可愛い声。 「上ってみる?大人への階段……」 彼を見上げる幼げな顔。少し赤みがさしている。 いつもの元気なものとは違うしおらしい表情は、彼女的にいう萌え要素というやつか。 「別にいいよぉ?私は……」 言うと、ゆっくりと眼を閉じる少女。 「いっ……」 彼は言葉が出せなかった。かわりに震える手が、彼女の肩を掴んだ。 細い。女の子の肩とはこんなに細いものなのかと彼は初めて知った。それに制服の上からだというのに、手のひらにはほのかな体温が感じられる。 腕に力をこめ、彼女の体を引き寄せる。 そして彼自分も体を少し曲げて、ゆっくりと彼女と自分の顔を近づけて行き…… 「寝ている時ぐらい静かにできんのかこのウニ野郎!!」 「お、ぉうわ!?」 鼓膜を破らんばかりの大声が木霊し、遊戯は反射的に飛び起きた。 驚いた表情であたりを見回す。暗い部屋。月なんてどこにもない。 横を向いて見ると、ハートマンの怒り顔が。反対方向を見ると、阿部や古泉、リョウなど男性陣が布団に身を包んで眠っている。 (夢か……) 遊戯は大きなため息をついた。 ここは月夜に照らされたロマンティックな場所なんかじゃない。ここはタイガーモス号船内のとある1室。男性陣のための5人部屋だ。 自覚することで、圧倒的なリアルが夢を覆い潰していく。 背筋を伝う冷や汗が気持ち悪い。まるで悪夢を見た直後のようだった。いや、遊戯が見た夢は、彼にとっては一種の悪夢と言えるもjのだった。 「……ふぅ…」 いい年こいてまだママが恋しいか、と、普段よりいくぶん音量を落としたハートマンの説教を聴いてから、遊戯は部屋から出た。 背筋を伝っていた汗が、強風によってあっという間に引いていく。 目の前には、夜闇。 暗い。天上で気ままに輝く月でさえ、視界の果てまで照らし出すことが出来ないでいる。 ただただ広がる金と白と黒。 遊戯の心は、これらの何色でもなかった。 暗いのか、明るいのか。手のひらに未だに残る夢の名残は、何も答えてはくれない。 心は無色だ。問答を繰り返すだけで色気づく様子が一つもない。 彼女と出会ったのはつい2,3日前のことだ。 なんてことはないはずだ。魔王を倒すため、相棒を取り戻すための旅の途中の、ほんの一時の仲間。ただの仲間だ。旅が終われば、お別れだ。 そう、旅が終われば、もう会えなくなる。もう話せなくなる。遊べなくなる。触れることも、一緒にいることも…… 確かめるため握り締めた拳から、彼女の温もりがすり抜けていった。 震える手は、彼女ではない自分の肩を抱いていた。 声は出ない。代わりに出たものも、悲しみか嘆きか分からない小さなうめき声。 抱きしめた自分の肩は冷たかった。 彼女は、どう思っているだろうか? こんな所で震えている自分のことなんか、きっと知らないだろう。 その方が良い。知らないほうがいいんだ。今まで通りの仲間でいい。それだけでいい。 それだけでいいはずだ。 ただそれだけで。 ぶるり、と遊戯は肩を大きく震わせた。の独特の肩を出した服装では、この風の中は寒すぎる。 「寒いな……」 遊戯は声を出すことで、先ほど自分の中で目まぐるしく揺れ動く感情を紛らわそうとした。 「……すぐには寝られそうに無いな……」 完全に眼が覚めてしまった。再び寝床に入っても、まず寝られないだろう。 何よりも眼を閉じてしまうと、また悪夢が襲ってくるかもしれない。 遊戯は顎に手を当てしばし思案すると、海馬のことが頭に浮かんだ。 ここ最近、船の操縦は海馬に任せっぱなしだ。特に以前の『アレ』以降は、ブリッジにさえあまり近づいていない。 (手伝ってやらなきゃな……) 2人でさえそれなりに大変な仕事である。最近海馬がやつれているように感じられるのも、1人で頑張ってくれているせいかもしれない、と遊戯は思った。 (その前に、トイレに行っとくか……) 冷える場所に出たせいか、急にもよおして来た。 「さぶっ」と小声でぼやきながら、遊戯は歩き去って行った。 カチ……キィ――…… 「行ったか?」 「行ったようですね」 遊戯が通路の角を曲がり姿を消した数秒後、ドアが開いた。 開いたドアから顔を出したのは、ハートマン、リョウ、阿部、古泉の4人。 「よし……では、打ち合わせ通りだ。すみやかに任務を遂行しろ……」 「じゃぁオレは、あっちのほうを任せろと言わざるを得ない……!」 「よし、遊戯のヤツは俺たちが犯る、おっと……やるとしますか」 「では、2人で行きましょうか、阿部さん。んふふ……」 「そうだな。ふふふ……」 ハートマンが指示をだすと同時に、リョウ、阿部、古泉が動いた。 リョウは船内のとある一室を目指して。阿部と古泉は、遊戯が消えた方向へ。 「おっと、ハートマン」 「なんだ?時間が無いんだぞ!」 通路の角から顔だけ出して、阿部はハートマンに言って投げた。 「思った以上に優しいんだな。ますますいい男じゃないか」 「!!……さっさと言ってこい!この……!」 「ふふふ……」 ハートマンの怒声を背中に浴びながら、阿部はその顔に妖しい笑みを浮かべた…… 続く 名前 コメント
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戻る トップへ 黒の絵具を塗り固めた様な暗さがそこには満ちていた。 一歩踏み入れば自らの指は愚か、一寸先にあるものさえ見る事が出来ない暗さ。押し固めた様な黒が、その部屋には沈澱している。 夜では無い。初夏の日差しが射す快晴の元にも関わらず、そこには光一筋たりとて射す事は無い。人が生活する上で、どんな時も付き纏う暗いもの。それを集め、濃縮したような黒。 只管に、黒い。 只管に、暗い。 空間自体が黒く色づいてしまったかの様な、暗さ。光を遮断した、無明に近いその暗さも、完全な闇では無い。 人が作り出せる闇など、多寡が知れているからだ。 現に、部屋に光源は存在する。教室中に並ぶ、四十数台のPCの中の一つが、ぶぅん、と低く唸りながら光を発しているのだ。 青白く発光する画面には、文字と数字と記号とが無秩序に踊っている。 その光を浴びるのは、二人の少女と二人の神姫。 PCの前に座る少女は田端 神楽。短めで余り手入れの行き届いていない髪が、少し地味な印象を与える文学少女という言葉が似合う少女である。 そして、その神楽の後ろから覆い被さる様に抱き付きPCの画面を覗き込む少女、国崎 茜だ。茶色がかった髪を肩口で揃え、闇に映える赤いネクタイを結んでいる。白衣でも似合いそうな少女である。 その二人ともが、眼鏡をかけている。神楽はフレームの無い楕円の眼鏡を、茜は角ばった黒ぶち眼鏡である。 その二つともがPCの画面を反射して、二人の瞳を外から隠していた。 「……結構な量ですね」 ヴォッフェバニーのウィンが、PCの目の前に座りながら言った。その隣、微妙な距離を置いてアーンヴァル型のロンが座っている。二人とも、PCから伸びるケーブルが背中のコネクタに刺さっていた。 気弱そうな表情を浮かべるウィンに対し、ロンは全くの無表情であった。ロンの無表情はそれなりの時間を経験してきた神姫にしては、没個性とも見える。 「問題ありません」 そのロンが短く答えた。人の声と全く同じそれは、酷く無機質で機械的な音を含んでいる。 茜はロンのいつも通りの声に満足そうな笑みをその口に浮かべた。もちろん、神楽に抱き付いたままである。 茜は神楽の首に回していた両手の内、右手を伸ばすとマウスを神楽の手ごと握った。茜は恐らく、からかい半分で頬を擦り寄せたりしているのだろうが、神楽の方は気が気では無かった。 昔から本を友としていた神楽は、人と触れ合うのが苦手だ。例えそれが同性であっても、こういう時は赤面してしまうのが神楽という少女の性分なのだ。 「じゃあ、頑張ってね二人とも」 茜がそう言うのと同時、かちり、と音がした。マウスの音である。 直後、ウィンとロンが軽い呻き声を上げた。PCから伸びるケーブルから大量のデータを送り込まれた余波だ。 武装神姫は高性能のロボットである。その小さな身体には人間と同等の精神活動を可能とする演算回路が内蔵されている。神姫の脳と言えるだろう。 それは同時に、超高度な計算回路でもある。並のPCを遙かに凌駕するスペックを誇る神姫は演算装置としての面をも併せ持つのだ。 「……主要空港を使用した形跡は……ありません」 「地方空港の検索を開始します」 その処理能力を以てして解析しているのは、空路を用いた出国記録だ。過去半年分の出国記録ともなれば数は尋常では無い。神姫の力を借りなければならない程に。 茜と神楽は、探していた。 膨大な出国記録の中に、たった一人の人間の名を探していた。 その人間とは、茜にとっては先輩であり、神楽にとっては隣人であった。 「っ……?」 不意に、ロンが呻いた。無表情だった顔に、確かな苦痛の色が浮かんでいる。 それは想定外の出来事であった。 想定外ではあるが、予想外では無かった。 「ウィルスね……性質の悪いのじゃなければ良いけど。ウィンは平気?」 「はい……今のところは問題ありません」 僅かな緊張を孕むウィンに対し、茜は何時も通りの口調であった。そして、落ち着き払った様子で、神楽の背中越しにキーボードを叩き始めた。 「ウィンは解析を続行。何か問題が生じた場合は即時報告を」 「了解です」 コンピューターウィルスの脅威は、神姫に対しても驚異だ。そのウィルスが神姫を害するものでないとしても、それが神姫を害さないとは限らないからだ。 神姫の演算回路は高度にして複雑であり、繊細だ。何がどう作用してどの様な結果になるのか、全く分からない。 だから、PC用のウィルスにすら、気を配らねばならない。 だから、暗がりの中で神楽はこんなにも表情を固くしているのだ。 「……ふぅん」と、茜は対して面白くなさそうな声で言った。 「先輩?」 「ウィルスには違い無いけど、神姫にはそれほど悪さもしなさそうねぇ」 それを聞いて、神楽は僅かに安堵した。その顔をすぐ横で眺めながら、茜は続けた。 「これ、家電とかのリミッター取っ払って、熱暴走させるモノねぇ。最近見ないと思ったけど」 家電製品にも簡易的ながらコンピューターは積まれている。当然ながら、それらはコンセントに刺さっている。そのコンセントを通じ、感染するウィルスが存在する。 通常のウィルスの様に、PCに感染したウィルスは、PCのコンセントを通じ、電気配線を通じて家電製品に感染するのだ。 この手のウィルスは、暴露ウィルスの様な情報流出などはしない代わりに、家電製品の出力の上限を無くしたり、電源を切っても稼働させ続ける。 情報流出はプライバシーの問題はあっても、命に関わりは無い。だが、このウィルスは人命に関わる。 例えば、洗濯機。洗濯機には槽を回転させるモーターが積まれているが、ウィルスに感染するとこれが異常に稼働する。そうなれば最低でも故障するし、最悪なら発火し、火災に繋がる。 洗濯機だけではない。冷蔵庫、電子レンジ、オーブントースター、テレビ……。このウィルスは身近にあるモノを凶器に変質させる、悪意の塊の様なウィルスなのだ。 「……ロンは、大丈夫なんでしょうか」 未だ顔をしかめ、苦痛に耐えるロンを見ながらウィンは言った。暗闇の中に浮かび上がるロンの表情はより一層、深刻に見える。 「そうねぇ……このウィルス、やたらと雑で質の悪いウィルスだから……と」 かたかたとキーボードを叩いてた茜の指が止まった。その直後、ロンの顔から苦痛が消え、元の無表情に戻っている。それを見たウィンも、ほっと胸を撫で下ろした。 「ロン、気分はどう?」 と、茜の問いにロンは 「……悪くないです」これまた無表情に答えた。 そして、ロンは作業を再開していた。 暗い部屋に、沈黙が降りた。 ぶぅん、とPCの音しか聞こえない。 後は、規則正しい茜の呼吸と、若干早い神楽の呼吸の音くらいだろうか。 微かな音のみが響く暗がりの中、時間だけが静かに過ぎ去っていた。 真っ暗い部屋に突如、光が射した。やや乱暴に開け放たれた扉の奥に見える蛍光灯の光である。 「……何してんの、あんたら」 教室の入り口には、少女が立っていた。 見るからに運動をやっていそうな、そういう雰囲気が漂う少女である。 ツリ目がちの目元も、短めの髪形もその印象に拍車をかけている。 彼女こそがこの部屋の影を払った張本人であるが、しかし彼女は呆れ顔だった。 「何って、ちゃんとアリカに頼まれたことやってるのよ?」 アリカの視線の先には、神楽と茜がいる。正しくは、神楽に抱き付いた茜が。 呆れ顔を向けられた茜は、さも当然と言わんばかりの顔をしている。抱き付かれた神楽は最初、びくりと身体を震わせて以来完璧に俯いてしまっている。その顔は完全に下を向いてしまっているので表情は見えない。しかし、耳が真っ赤になっていることからどんな表情かは予想がついた。 「ホントにあんた、見境無いわね」 神楽の泣きそうな顔を想像して、アリカは軽い溜息を吐いた。ついでに茜に対しても溜息を吐いた。思い起こしてみれば、今の神楽の様な事をされたのも一度や二度では無い。ましてや、それ以上の事もされた記憶がある。 だからと言って、別に嫉妬する訳でも無しに、アリカは明かりを付けた。神楽にとっては暗いままの方が良いかもしれないが、それはそれで困った事になりそうだ。 部屋は直ぐに明るくなった。大教室に所狭しとPCが並べられている。暗いままだったら足くらいぶつけていただろう。 全く、微塵の危なげもなくアリカは茜と神楽の元へと近づいた。手頃な椅子を引っ張り出すと、それに座った。普段座っている木製の固い椅子ではなく、キャスターと背もたれのついた柔らかい椅子だ。 「あんたは座んないの」 と、今でも神楽にひっ付いている茜に言った。言外に神楽から離れてやれ、という意味も含ませていたのだが、それはアリカにとっては墓穴だった。 「じゃあ、座るわ」 少しの間考える様に神楽に頬を擦り寄せていた茜は、あっさりと立ち上がった。ようやく茜から解放された神楽は随分ほっとしているようだ。アリカと神楽はこれが初対面ではあるが、神楽がどんな気分かは分った気がした。 「……ま、良いけどね」 そして茜はというと、アリカの膝の上に座っていた。椅子にではなく、アリカの膝の上に。椅子なら腐るほどあるし、それが嫌だとしても行儀が悪いが机の上でも良い。それなのに、アリカの膝の上を茜は選んだ。 アリカはなんかもう色々どうでも良くなったので、茜の脇を掴み一旦持ち上げると自分の負担のならない位置に座り直させて後ろから抱えてやった。別にこう言う事態は初めてじゃない。最初の内は怒りもしたが、暫くしたら怒る気も失せていた。それに、こうやって人の温もりを感じるというのも……悪くない。そう思えた。 多分、茜もそれを見越してアリカの膝の上に座ったのだろう。もしかすると、神楽に抱き付いていたのもそれを見越しての事だったかもしれない。 「で、どうだったの?」 「結論から言うと、見つからなかったわ。ね、神楽」 急に話を振られた神楽の意識は完全に飛んでいた。アリカがこれに慣れてると言っても、神楽にとっては刺激が強すぎたのだろう。 数秒、完全に停止していた神楽であったが、ようやく脳内で音声が処理されたのか真っ赤になった顔を俯けて、二人の姿を視界に入れない様にしながらゆっくりと喋りだした。 「……主要な空港と地方空港。過去半年分のデータを洗いましたが、該当するものはありませんでした。恐らく、海路を用いた物と思われます」 耳まで赤い神楽の、しかし発声だけはしっかりとした報告は、アリカにとってあまり良いものでは無かった。だが、落胆はしなかった。 心のどこかでそうなるだろうと考えていた。 諦めでは無い。 調べる前から諦めていたのでは、見つかる者も見つからなくなる。 アリカは感じていた。何かが違うと。 今の探し方では見つからない。何か他に正しい探し方があるのではないか? と。 だから、今までは一人で新聞を読みあさったり、インターネットを駆使して探したりもした。それで見つからないから、今こうして茜に頼っている。 「見つかったのはウィルスだぁけ……ちゃんちゃん」 「……ウィルスって、大丈夫だったの?」 おどけて流そうとした茜であったが、アリカは目敏く……いや、耳聡くそれに気付いた。 それもそうだろう。神姫にとってウィルスというのは百害でしか無い。アリカがそれに食いつくのも当然と言えた。 「マスターが直ぐに対応した。よって問題無いです」 ロンの無機質な返事。アリカはその無機質な瞳を数瞬眺めていた。そして「なら良いわ」と短く答えた。ロンは確かに感情の起伏は少ないし、無口な方だ。しかし、オーナーの茜とは違い必要な事はしっかりと端的に伝える神姫だ。アリカはそれを十分承知している。 「ウィンはどう?」 と、アリカはウィンに話しかけた。まさか自分に振られるとは思っていなかったウィンは、オーナーの神楽同様に完全に停止し、オーナーの神楽以上に思考がフリーズしていた。 そのウィンを少し不思議そうに眺めるアリカ。楽しそうに眺める茜。心配そうに見つめる神楽。見ていないロン。 その状況がウィンの思考回路に更なる熱を与え、ウィンはどうしようもなく固まっている。 何か言わなければ、何か喋らなければ。そう思うと余計に何も言えなくなる。 堂々めぐりの思考回路は疑似的な熱を帯び、そして正常な思考を諦める。それを感じ取った神楽が動く前に、ロンが動いていた。 「感染したのは私だけ。ウィンには無害」 ウィンの目を、ロンの無機質な目が見つめていた。その目は同意を促す目であった様に思えたので、ウィンは不格好ながらも首を縦に振った。 「オーナーに似て、引っ込み思案みたいね。加奈美の言う通りだわ」 そんなウィンを眩しそうにアリカは眺めている。その口元は確かに微笑んでいた。アリカに抱きかかえられている茜からはその表情は解らなかったが、想像は出来た。 「そういえばアリカ、トロンベは?」 アリカがこの部屋に入ってからずっと気になっていた事だ。いつもはアリカの肩か頭の上に居る筈のトロンベが今日に限ってはいなかった。茜の思いつく限り、アリカがトロンベを連れていない事は極稀であり、今のこの状況は珍しい様に思えたのだ。 「宗太とパーシの相手してるわ」 「トロンベ一人で?」 「うん」と、アリカは短く答えた。トロンベはこの高校の頂点に立つ神姫だ。茜はそれを十分に分っている。しかし、その強さはアリカがいて初めて発揮される強さであり、神姫単体では実力の半分も出せないのだ。 だから、茜にはそれがどういう状況か容易に理解出来た。 「……そんなにあれなのかしら?」 「超弱い」 身も蓋も無い言い方である。茜の口から思わず苦笑が漏れる程に。茜がオブラートに包んで言ったのに関わらず、アリカは端的に、そして痛烈な言い方をした。たぶん、宗太が聞いたら傷つくだろう。見れば神楽も珍しく困ったような顔をしていた。 そこで茜はある事に気付いた。 「……加奈美と知り合いなの?」 「この前アパートに行ったら偶然ね……そろそろ私は行くわ。陽光ちゃんにお礼言っとかなきゃ」 茜を膝の上から立たせながら、アリカは適当に応えた。それが茜にとっては至極残念であった。 そして、アリカも立ち上がってから、神楽を見ながら言った。 「そういえば自己紹介して無かったわね。私は水野 アリカ。よろしくね、神楽」 神楽は差し出された右手を不思議そうに眺めてから、ゆっくりと握手を交わした。すると、アリカは満面の笑みを浮かべると、ブンブンと腕を振ってから手を放した。神楽は突然の事態に目を丸くして腕をさすっている。その脇で、アリカはウィンの頭を撫でた。 「よろしくね、ウィン」 俯きながら何度か頷くのが精一杯のウィンをこれまた満足そうに見終えると、アリカは颯爽と教室を後にした。 「ありがとね」 扉を閉める寸前に、アリカはそう言った。 トップへ 進む? 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「今日はどこに行くの?」 道中、華凛にそう尋ねた。よくよく考えたら行き先を聞いていない。華凛はその問いに対する答えをあらかじめ用意していたようだ。すぐに答えが返ってくる。 「あたしと樹羽が初めて一緒に行ったプレイス」 それだけで、これからどこに行くのかがわかった。 私は華凛の手を握ぎり直した。あのときは手を引かれて行ったけど、今度は並んで行きたい。華凛ももう一度確かめるように手を握り返してくれた。 駅前に行き、電車に乗る。そこから歩いて数十分、目的の場所が見えてきた。 夏休みが故に沢山の人で賑わうそこは、一年前に来たばかりの場所。長いレールの上を、猛スピードで駆け抜けるコースターや、大きな観覧車。 私と華凛が初めて一緒に行った場所、それがここ、遊園地だった。 その日は目一杯遊んだ。もう遊び倒した。 定番のジェットコースターや、失神者続出のお化け屋敷。他にも沢山のアトラクションを回った。 樹羽はああ見えて怖がりで、お化け屋敷なんてもうあたしの腕にしがみ付いて大変だった。ジェットコースターも以下同文。 それでも、樹羽は笑ってくれた。あんなに楽しそうに笑う樹羽を、あたしは今まで見たことがなかった。 やっぱり、シリアと樹羽を会わせたのは正解だった。あの子も、あんな風に笑えるようになっていた。あれが、彼女の本当の姿なのだろう。後は、樹羽の頑張り次第ってところかな。 神姫バトルの方でも、樹羽の成長は素晴らしかった。絵美ちゃんに勝ち、東雲に勝ち、楓さんに勝ち、朱野くんにも勝ったと聞く。おまけに宮下さんに斬鉄剣を出させたと聞いた。この半月、よくここまで成長したものだ。それも、シリアがいてこそだろう。 樹羽とシリアは最高のパートナーだ。この二人ならあるいは、もしかしたら大会なんかでも名をはせることが出来るかもしれない。ちょっと高望みし過ぎかな? 樹羽はもう一人で友達を作れるだろう。そこには、あたしが介入する余地なんか無いはずだ。 ああ、もう日が沈んでいく。楽しい時間はいつも急ぎ足で去っていくのだ。 でも、もう大丈夫だ。あたしはもう十分楽しんだ。 だから―― 「今日は楽しかった」 遊園地からの帰り道。私たちは公園を通っていた。既に日は傾き、地平線の彼方に差し掛かっている。 今日はとても楽しかった。ジェットコースターやお化け屋敷は怖かったけど、華凛と一緒だったから楽しかった。 「あたしも楽しかった」 華凛は本当に満足そうに言った。気付けば、その足を止めて笑っていた。 「華凛?」 笑顔でいる華凛の後ろに沈んでいく太陽が映る。その姿は、今にも消えてしまいそうで、とても不安定だった。 「樹羽、周り見て、何か違和感ない?」 華凛が突然そんなことを言い出す。言われた通り周りを見てみたが、木があったり遊具があったり、いたって普通の光景のように思えた。 しかし、そこには何かが足りなかった。本来そこにあるべき、声。子供たちの笑い声が、無いのだ。 子供たちの声だけじゃない。ありとあらゆる声が、消えていたのだ。まるで、この世界には私と華凛しかいないかのように。 「誰も、いない?」 「うん、今のこの世界には、あたしと樹羽しかいないわ」 「……え?」 私と、華凛だけ? 「樹羽、あたし幸せだった。樹羽に出会えて、樹羽の親友になれて、一杯遊べて、幸せだったの」 「華凛?」 「だから……」 華凛は独白するように呟いた後、とびきりの笑顔を浮かべた。 「もう、満足」 次の瞬間、世界から色が消えた。 緑が一杯だった木からも、真っ赤に染まった町並みからも、私と華凛以外の色が消えてしまったのだ。 それだけではない。太陽があった場所。そこからまるで崩れるように漆黒が、闇が、無が広がっていった。これは、真夏の雪なんかよりも異常な事態だった。 なのに、華凛は笑ったまま動かない。 「何……どういうことなの華凛っ」 華凛は私の問いに静かに答えた。その存在感は、かなり希薄なものになっていた。 「ここはね、あたしのわがままで出来た世界なの」 「わがまま……?」 「そう、樹羽が一人でもちゃんと友達が作れるようにって言うあたしの願いで出来た世界。言わば講習期間とでも言うのかな?」 華凛が言った言葉は、私には理解出来なかった。まるで、小説のような話。華凛から伝えられた真実は、とても信じられる内容ではなかった。 今日、8月1日に華凛の家は炎に包まれた。原因はわからない。問題は、華凛は逃げ遅れてしまったと言うこと。 「周りは炎だらけでね、煙吸っちゃって倒れたのよ。で、薄れていく意識の中、あたしは自分のことより、暗い部屋で独りぼっちの親友のことを心配したって訳」 華凛は自重気味に笑う。そんな状況になってまで、私のことを? 華凛の話は続く。それは、今日と言う日から、華凛が久しぶりに私の元に現れた7月1日までの話。 そして、今日に至るまでの話だった。 炎に包まれながら、あたしは樹羽のことを想った。あの子の繋がりはあたしだけ。あたしが死んじゃったら、樹羽はもう二度と立ち上がれないかもしれない。だから、あたし以外の繋がりを見付けてあげなければいけなかった。 あたしは叫んだの。心の中で。 そしたら、何かが応えてくれた。それは段々と膨れ上がっていって、あたしを飲み込んだ。 気が付いたらあたしは立っていた。もう過ぎ去ってしまったはずの7月1日に。 そこであたしは理解した。この世界がどんな世界なのか。どんなことを目的として創られたのか。 これから、何をすればいいのか。 あたしは真っ先に樹羽に会いにいった。元の世界ではしなかったことを、あたしはこの世界でやった。 樹羽に、あたし以外の繋がりを作ってもらうために。 その手段として、あたしは神姫を選んだ。一番伝え易かったし、一番の近道だった。放って置くわけにはいかない訳ありの神姫を樹羽に託すことで、樹羽の成長を促した。 あたしの思惑通り、樹羽はどんどん人と繋がっていった。 そして、何の問題もなく、今日と言う日を向かえた。 雪が降っていた。積もることの無い世界の終わりを告げる雪は、世界を白く染めていく。 今語られた内容は、とても頭に入ってはこなかった。だが、この現状を説明するには十分だったのかもしれない。 つまり、この世界は私の知る世界ではない。 信じられない、なんて言っている暇はない。既に地平線の彼方、そして空から世界の終わりが近付いているのだ。 「最後に樹羽と話したくて、周りの人消してさ、やっと時間作って、あと何話せばいいのか、わからないや」 華凛は笑っている。困った様に、それでも笑っている。 「この世界は、消えるの?」 「でしょうね、あと数分ってところかしら」 「華凛も、消えるの?」 「元々死にかけだったしね。消えるって表現であってるかも」 「……それはもう、どうにもならないの?」 「……ならないわ、残念だけど」 華凛はまるで他人事の様に淡々と、そして笑っている。 「なんで……笑っていられるの?」 「……だって、笑ってなきゃ、樹羽が安心して前に進めないじゃない」 華凛は笑い続けている。そんな顔を見ていたら、痛々しくて、見ていられなくなる。 怖いわけがない。この世界の消滅=死、なのだ。 なのに、華凛は私のためを思って、必死になって自分の想いを押し殺している。 「かり……」 「来ちゃダメ」 私は駆け出そうとした。それを、華凛に止められる。 「樹羽は前に進まないといけないの。私の分まで、ちゃんと進んで」 「華凛……」 私はその場に蹲って泣いた。親友を救うことができない自分が、情けなかった。すぐ目の前にいるのに。手を伸ばせば、届きそうなのに。 何もできない自分が、惨めだった。 「嫌……嫌だよ……」 想いがとめどなく溢れる。それは決してどうしようもないことなのに。言っても、華凛を困らせるだけなのに。 「もっと……もっと華凛と一緒にいたいよ……もっと華凛と話しがしたいよ……もっと……もっと……」 視界が涙で歪む。拭っても拭っても、涙は涙腺から溢れてくる。 「……まったく、最後まで世話がかかるわね」 「だって……だってぇ……」 「あのねぇ……」 気付けば華凛はまたハンカチを差し出していた。顔をあげれば、そこには華凛の顔がある。 涙でくしゃくしゃになった華凛の顔が。 「あたしだって……あたしだって樹羽ともっと一緒にいたいのよ! もっと沢山話したいのよ! なのに何で死ななきゃいけないの! ワケわかんないわよ! 理不尽よこんなの!!」 押さえていた感情が、漏れ出すを通り越して溢れ出す。一度に大量の感情が吐き出され、後はすすり泣く声が辺りに響いた。 「華凛……」 「……もう、時間よ」 落ち着きを取り戻した華凛が言う。気付けば黒と白はすぐそこまで迫っていた。 私は、前に進まないといけない。ここで消えてしまう華凛の分まで、しっかりと。 「……私は、泣いてちゃだめだよね? 前に、進まなくちゃ、だめなんだよね?」 「そうよ、元の世界であたしがいないからって、死んだりしたら許さないから」 その時、意識が遠くなるのを感じた。世界が消える時が来たのだ。 もう一度華凛の顔が見たくて、顔をあげた。私は何かを言った。口は開いたが、何を言ったのか、自分でもわからない。華凛は最後ににっこりと笑った。 「ありがとう、樹羽。さよなら」 その言葉だけが、意識の闇の中に響きわたった。 「あ……」 暗い部屋で、私は一人目が覚めた。一ヶ月はカーテンを閉めきったままの真っ暗な部屋。そこは、私が歩んできた、外と切り離された世界だった。 体を起こす。埃っぽい机の上にある時計の日付には、こう書かれていた。 8月1日(月) 戻ってきたのだ、私は。華凛のいない世界へ。 「うっ……」 また視界が歪んだ。華凛はもう、いない。もう二度と、会えない。 もう二度と、声を聞くことすらできない。 声をあげて泣いた。小さな子供のように、大声で泣いた。布団に顔を埋めて、泣いた。涙が枯れてしまうまで、私は泣いた。 やがて涙は枯れてきた。私は、前に進まないといけない。華凛の分まで、歩いていかないといけない。 それが、親友の最後の願いだから。 「前に……進むんだ……」 私は自分のベッドから出た。一ヶ月まともに動いていなかったため、それだけでも大変な作業だった。 私は部屋の扉の前に立った。その取っ手に手をかける。 一人でも、歩いてみせる。華凛の願いを、叶えてみせる。 私は、部屋の扉をゆっくりと開けた。 第十二話の2へ 引きこもりと神姫 Fin? トップへ戻る
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ぐむるすぶ カテゴリ:文化系 キチガイ系 規定に書かれてることを極端に解釈し、行動する思想。 簡単にいうとマニュアル主義者もすくは機械人間。 規定で何かをしてはならないというものを現代に置き換えて、それも禁止することがある。 例えば、日本ではつい最近(2013頃)までインターネットを活用した選挙運動は禁止だった。 が、それ実は厳密に異なり、公職選挙法ではインターネットで選挙活動してはならないとは書いておらず、書いてないことだからしてもいいことになる。 しかし、原理主義者だったとむ、選挙法は結構厳しい規定が多いので、その中ん、いずれかを適用し、事実上インターネット活用は選挙法違反だった。 で、ネット選挙が解禁する法整備が施行され、インターネット活用の自由化がされた反面、候補者を偽ることや、なぜか知らんが「応援しましょうコール」などができなくなるなど制約が付いてきたおおおおお。 さて、原理主義というものは解釈と御都合主義で出来ているのがわかっただなど。 イスラム原理主義 イスラム教は基本的に「ラマダンの断食、豚や酒を摂取しない、露出は極力少なくする」の原則でそれ以外は自由である。 イスラムにはスンニ派とシーア派の2大派閥があり、イスラム教は原則、偶像崇拝が禁じられてるため銅像がなかったり、顔写真がなかったりる、開祖・ムハンマドの顔すら隠することが多い。マネキンですら頭がないからねぇ。 一方で、シーア派は開祖・ムハンマドの子孫である指導者の顔を掲げたり、結構寛容なほうである。 こうみと、スンニ派のが原理主義者に近い思想である。ただ、開祖の跡継者は開祖の親戚か他人であるかの違いであるのに・・・ インドネシアはイスラム教徒が多い国であるが、政府直属の地元警察とは別に宗教警察がおり、味の素の調味料に豚由来の成分が入ってたとして現地にいる関係者を逮捕した。逮捕したのは政府直属でなく、宗教警察である、のちにと大統領が調査し、調味料には豚由来成分が入ってないという結果になり解決した。 このようにイスラム教徒は成分にまでこだわるということだ。これん、原理主義入門編である。 ちなみに何らかのパーティーでイスラム教徒が招かれても宗教上の理由でワインとかがジュースか水、紅茶になったり、豚入り料理が別の料理に変わったりと、最悪何もパーティだけ楽しんで他人が美味しそうに食べてるよこで食べたそうな眼差したくなるのは無理もない。 トンコツラーメンとか食ってる横で食べ終わるのジッと待つだけってねぇ? 人にもよるけど豚を食べるのは抵抗あるんだろうね。豚食ったやつを見下すやつがいたり、軽蔑したりとな! ただ豚や酒を食べないだけでなく、基本的に彼らはハラール認証を表示した食品を無抵抗で食べるだろう。調理法や材料となる肉の処理方法まで決められており、なるべく苦しまないようにという規定があるっぽい。 タリバンがアフガニスタンを統治したころ、映画や漫画は偶像崇拝になるから没収され、捨て焼られ、^堅苦しい生活が続いた。でもタリバンが政権とって治安が改善したのは公然の秘密?もはや漏れてるよ。 イスラム過激派というものいるが、実はあれも原理主義を掲げてるのかなと思われる民族だん。彼らは必要とアラバ殺戮を繰り返してるが、理由は「自分達を守るため」としてる。このため、同じイスラム教徒からは「人間のクズ」「カス」「恥さらし」などと揶揄される。なお、イスラム原理主義者とイスラム過激派は切り離して見なしていただきたい。 原理主義者も迷惑だが、過激派はもっと迷惑である。 キリスト原理主義 キリスト教には離婚の概念がない。そのため、キリスト教を国教とするフィリピンやトンガではキリスト教に順ずる法律が存在し、離婚できない。一方で、裁判所を仲裁に結婚取り消しということができるものの中々容易でないらしく、結婚したまま別のやつと結婚した場合、浮気となり、通姦罪に処されるらしい。*で、トンガでは安息の日がありと、その日は労働は禁止であるのだが、何故かスポーツなど運動も労働と見なされるので事実上外出禁止、外出する人はいないことになってるん。宿泊客はホテルに滞在できるがホテルから外に出ることができない。こっそり外出してもまずトンガは島国で、海上を走る国際列車はないし、国際船や国際飛行は動かないため、その日だけ島*閉じ込められることになるん。 で、【トリビア】:トンガではスポーツゥしていた人を警察官が逮捕し、翌日、その逮捕した警察官も労働したとして逮捕された。 【補足】そもそも安息の日なのに働けないことは警察官は知ってるはずなのにこのざまである。 ユダヤ原理主義 ユダヤ教の教えを極端に信仰する思想だ。例えばユダヤ教には断食期があり、その間は異宗教者と一緒にいられなかったり、モノが飲み食いできなかったり、労働すらせず、ただ暗い部屋の中でジッとするだけの、もはや我慢大会である。 その中で電気を点消することが労働とされるのでよ、これは昔は火を点けることすら労働だったが、それを現代に置き換え、電気を付けたり消したりすることが労働になってしまう。このように置き換えや、それに辻褄が合う禁止規定を別件で適用によって全く無関係なことが禁止になってしまうんだとふ。 ちなみに食品は(OK)表示の食品を無抵抗で食べます。 著作権原理主義 著作権と言う権力を持ち上げ、規定をゴリ押しする迷惑な思想。詳しくは該当項目を参考。 関 ウィキペディア化以外全部、空リンク。 マニュアル 規定 堅苦しい ウィキペディア化
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防音部屋を作りたい!けどプロの任せるとお金が・・・ だったら、DIY(日曜大工) で防音部屋を自作しよう! というわけで、始めての方にもわかりやすく、手順を書いておきます。 ①どこからの遮音したいのか考える。 →組み立てる順番が違います。 ②どういう風に仕上げるか考える。大まかな完成イメージ、絵を書いてみる。 ③部屋の壁のサイズを測り、材料のサイズを測り、しっかりとした、設計を書いてみる。 ④材料を集める。材料のサイズをちゃんと把握する。 ⑤再度組み立て設計を見てみる。 ⑥これからやる事、手順をを紙に書いておく、材料の注意についても書いておく ⑥材料の性質に注意しながら、紙を見て組み立てる。 こういう感じです。 各項目しっかりと勉強しましょう! ①どこからの音を遮音したいのか、させたいのか 考える。 音楽用、楽器用の小さい部屋を作るのか それとも、アパートの隣の部屋がうるさいので、隣から来る音を抑える壁を作りたいのか アパートの隣に迷惑にならないように 自分の部屋の音を抑えるのか 広い部屋を区切って二つにしたいのか 下からくる音、上からくる音 色々あります。あなたの用途はどれでしょう。 組み立てる順番を間違えると、例えば、隣の部屋の音を抑えたいのに 自分の部屋の音を押さえちゃっているなんて、事もありえます。 部屋が発生する所から、 順に吸音材 → 石膏ボード → グラスウール → 板 としましょう ②イメージ図を書いてみる。
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暗い部屋に一人、PCの画面を見つめる狐顔の男と画面に映る男がいた。 その部屋はまるで学校のようで、PCは教壇の上に、生徒達の座る机を見るように置かれ、その最前列に狐顔の男は座っていた。 「それでは、時間跳躍を始める前に授業を始めようか、稲荷崎」 「先生、それ時間跳躍前にやる話なん?もう過去の話は大体調べ終わってるし、どう動くかも粗方決めとるんやけど…」 「必要はある、聞いておきたまえ──」 「時間というのは三つの言葉で表される、一つは過去、二つ目に現代、最後に未来だ、この内の過去と現代については説明する必要も無いだろう…今回の話で重要なのは未来だ。 では、未来とは何か?これを知るには未来予知というファンタジーな能力が必要となるが、多くの人間はこの未来予知を可能としている…例えば、コイントスにおいて最初に表を向け、力を一定量調整して弾くことで特定の回数回転させ狙った面を出す……これも未来予知の一つであるが、これは正確には知識と経験と技術で構築された未来予測でしかなく、人間はこの予測する力で時に未来を予知するのだ──」 「だが、この予知はあくまで予測であり絶対では無い、限りなく予知に近い領域まで辿りついた人間が昔いたが、それも昔の話だとも… ここでいう未来予知は、漫画などにある決して変えることの出来ない絶対の未来予知を指すものとしよう、そしてこれが存在するのであれば、既に未来は決まっていて、変えることが出来ない運命ということになる…となると、だ。 時間というのは生まれてから死ぬまでの行動が全て記された一つの動画データということになる、そしてこれは人だけでなく世界にも同じことが言える──」 「……なら、ウチが過去に行く意味無くないか?未来は既に決まっていて、それなのに過去に行っても何も変わらんのやろ? 未来の自分が過去の自分に話しかけようとしても、話しかけてる未来の自分にその記憶が無いってことは、それは失敗するって決まっとるようなもんやろ?」 「流石だな稲荷崎、その通り、既に完成している動画データを後から改竄することは出来ない、これを俺は"歴史の修正力"と呼んでいる、異世界からの侵入者を排除し、イレギュラーの辻褄を合わせて本来の歴史を維持する為の防衛機能が存在する。 つまり我々の世界は既にどうにもならないということだ、何もしなくても未来は決まっている……が、歴史の修正にも限界は存在し、対処が可能だ。 一つ、時間干渉能力、これは言わば"世界に認識されない"能力だ、これを持つ人間は時間を超えても侵入者として認識されない、世界から排除される対象とならない。 二つ、その時間にその人間がいないこと、時間干渉能力はデータは存在するが一覧に乗ってない状態と言っても良い、しかし存在する以上検索は可能だ、それを回避するにはその時代に同一人物が存在してはならない、同じ名前に複数のデータが存在するならば世界は時間干渉能力者を認識できてしまう。 三つ、大量のイレギュラーを発生させる、人に関しては回避可能だ、しかし物はそうはいかない、アニマギアを持ち込む以上それは修正対象となり排除される…だが、異物を排除するには大きな力が必要となる、故に物量で処理落ちを促しその機能を制限させるという対処を取る…先程も言ったが世界はイレギュラーに対し辻褄を合わせようとする、排除出来ないならばそれを使えなくすることで影響を減らすがそれも他のイレギュラーと重ねることで対応出来ないレベルまで持ち込んでやれば良い──」 「……世界がフリーズするんか?そうなったら無法地帯になるってことか…」 「そう上手くはいかないだろう、世界は維持でも辻褄を合わせに来る…問題だ、修正できないレベルで破壊された動画データを元に戻すにはどうする?」 「…………バックアップがあると仮定するならバックアップを読み込む…けど、それが出来るなら最初からやる筈や…同じ理由で削除もしないなら、新しく作るわな…壊れたデータを別にして元データと分けて作る…壊れたデータを平行世界として新しく動画データを作れば解決や」 「正解だ、平行世界として新しくデータを作るならば、そこまでのデータを元にして未来を作成し別の世界として処理させれば良い、後は世界の方が辻褄を合わせてくれるさ」 「なるほど…つまりウチらの最初の行動はそこやな、先ずは世界のシステムを壊して、それから先生の命令を果たせばええわけや」 「その通りだ、では今日の授業を終わろう、では健闘を祈る────」 そうして一人でに切れるPCの画面を眺めながら狐顔の男は呟く、変わらぬ笑顔で── 「馬鹿らし、アンタの目的は何や…世界以外に何が欲しいんよ」
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――宝石乙女は、マスターの命令に逆らえない。 少なくとも、彼女はそう教え込まれてきた。 彼女自身、主のために仕えるのは苦手だと自覚していた。 だから何も言わない。たとえどんな罵声を浴びせられようとも、何も言えない。 彼女は笑顔で耐えていた。自分の意見など、人間には関係ないのだから。 この後自分を襲う理不尽な苦痛すら、逃げることを許されない。 でもその苦痛に耐えれば、その日の糧を得られる。 ――宝石乙女は、マスターなしには生きられない。 少なくとも、彼女はそう教え込まれてきた。 彼女に妹ができたのは、それからしばらくしてからのこと。 同じ10月の誕生石の名前を持つ少女。金髪の癖毛が、とても可愛らしい少女。 彼女は、宝石乙女の言いつけを少女には教えなかった。 「電気石は、電気石らしく生きればいいんだよ」 「……生きる……なぁに?」 「生きるっていうのはね、鳥さんのように自由な生活を送るってことだよ」 自分と同じ運命は歩ませない。 彼女の心に芽生えた、一つの決意……。 その決意すらも、人間たちには関係ない。 少女の自由も、人間たちには関係ない……。 ――宝石乙女は、マスターを傷つけることを許されない。 少なくとも、彼女はそう教え込まれてきた。 たとえ主に憎しみを持っていても、彼女にはどうすることもできない。 それでも、彼女は自分にできる限りの方法で少女を守り続ける。 少女は彼女の背中を見てどう思っただろうか……。 ……生きていない。そう思ったかもしれない。 それは正しい。彼女自身の教えに反する、自由のない生活。 「ごはん、美味しい?」 「うん……姉様、あーん?」 「ううん、私はいいよ。全部電気石が食べていいからね」 だが、それでもよかった。 彼女は、少女を生かすことに全てをかけていたから。 「……お腹」 「大丈夫だよ、後でマスターにご飯もらうから」 マスター……それは彼女の最も嫌いな言葉。 彼女にはその言葉が、とても冷たく感じられたから……。 宝石乙女の言いつけを守りながら、彼女は生きる。 たとえそれが何十年、何百年と、彼女を苦しめようとも。 暗い部屋の中、時を数えるのもやめてしまおうかと思うほど、彼女は変われなかった。 だが、彼女を変えようとする力は、月日を重ねるごとに成長する。 「姉様……あーん」 「だから電気石が全部食べていいってば」 「めっ……あーん」 「うぅ……あ、あーん」 少女と過ごす時間、その時だけ彼女は生きていた。 その時だけ、偽りの自由を得ていた。 だがそれも長い時の流れに生まれた刹那の瞬間。 彼女の願い……刹那の瞬間が、永遠の時になること。 彼女自身が、生まれること。 やがて、力は動き出す。 最愛の人が傷つけられる事への怒りが、力を動かす。 「電気石っ、ダメ!」 「姉様……いじめた」 その力はあまりにも強大だった。 当時の人間には計り知れない、雷の力。 少女はそれをたやすく操る。 そして、その力を以て最愛の人を解放する。 「どうして、あんな無茶したの?」 「……めっ?」 「ダメだよ……人を傷つけちゃ、いけないのに……」 「……ごめん、なさい」 二人は、人気のない森で涙を流した。 最愛の人への謝罪、言いつけを破ったことへの罪悪。 まったく違う、二つの涙。 「でも……姉様、姉様らしく……生きてない。そんなの……や」 ……彼女が生まれた瞬間。 それはあまりにも唐突で、あまりにも悲しくて。 そして、あまりにも嬉しくて……。 『これからは、姉様じゃなくて蛋白石って呼んでね』 『……姉様じゃ、ないの?』 『うん、生まれたのは私の方が後だから。だから電気石は、私のお姉様』 『んー……』 ◇ ◇ ◇ 昨夜の夜ふかしが効いたみたいで、僕はいつもより遅く目を覚ました。 「マスター……おはよ」 「あぁ、おはよー……ごめんね、遅くなっちゃって」 「ご主人様遅いですよー。殺生石が代わりにご飯作っちゃったじゃないですかぁ」 「何ですかその言い方は。妾の料理を食べたくないということですか?」 「そ、そうじゃないよぉ。殺生石のご飯だって、すっごーく美味しいよっ♪」 朝から賑やかな食卓に、苦笑いが浮かぶ。でも一日の始まりが明るいっていうのはいいものだよね。 「ご主人様ぁー、早く一緒にご飯食べましょうーっ」 「わ、分かったから手引っ張らないでってばー……ちょっ、胸、胸当たってる!」 「? 胸がどうかしましたか?」 「だから胸が僕の腕に……あーもぉ、顔洗ってくるから離してよぉ」 「だーめーでーすっ、ご飯が先に決まってるじゃないですかっ」 僕を無理矢理こたつに引きずり込み、ご飯山盛りの茶碗などを目の前に用意してくれる。 「食べられるうちにいっぱい食べないと、めーですからねっ」 はぁ……今日はすっかり蛋白石のペースだなぁ。 「……いただきます、しよ?」 「はは……じゃあ改めて、いただきます」 朝の始まりはいただきますから。今日もいい一日になりますように……。
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ラクーン市壊滅事件 ラクーン市壊滅事件のボスに関してはこちらを参照。 ラクーン市壊滅事件ラクーン市壊滅事件CP1 ラクーン市壊滅事件CP2 ラクーン市壊滅事件CP3 瀕死CP1 The 4th survivorCP1 ラクーン市壊滅事件CP1 ファイル 1.「ジルの日記」 クロウ前、門を通ってゾンビ3体いるところで飛び降りる水路寄りの右下コーンを破壊。 2.「カルロス・オリヴェイラ」 燃える道路から入った重機のある工事現場。出口のドアの右にある箱。 3.「U.B.C.S.」 分岐合流後、暗い倉庫を抜けてケルベロス×3の後、左にドラム缶がある場所の右側奥の箱。 4.「ラクーンシティ」 分岐で左を選択。道路に昇った後、最初のゾンビの集団との戦闘時、画面右下(自機の一番手前側)にある自動車を破壊 5.「新聞記者の手帳」 左ルート。トラックイベント後、建物内に入って階段で降りてく途中の右に見える縦長の電灯(2つ目)。 6.「コンテナに残された遺言」 左ルート。5.の階段を下り終えた直後の消火器。 救急スプレー 1.の直後、水路の窪みにある。 隠し武器 アサルトショットガン 1.のコーンの反対側(左側)の箱 ネオンがある店の後、ゾンビ群の後ろにある箱(その後の燃えゾンビの右側) 工事現場に入った直後、ゾンビの後ろにある箱 暗い倉庫を抜けた後、ゾンビ群の右にたくさん積まれてる箱 カラスがいる狭い路地を抜け、階段を上がった先。正面の緑の箱 サブマシンガンHP 地下道から梯子で上がった直後、正面のホテルの小さな立て看板(入り口の右側の照明の右下) 工事現場、重機前のカラスの後、橋の向こう左にある箱 3.の場所。ドラム缶の右にある箱 選択武器 ホテルの向かい側の店。左のネオンのガラス(武器は見えてる) 分岐 ファイル集めなら左ルート一択。 右ルートの方が短いのでSランク狙いならこちらの方が有利かも。 右ルートで最初に出てくるハンターは、出現後しばらく無敵なのでムダ弾を撃たないよう注意。 ハードSランクのために クリティカルは71以上でSランクのため、諦めた方がよい。 56でもAランクだったので、クリティカルはこれくらいで妥協し、 後は爆発物を利用してガンガン進んで他をS狙いにすれば良い。 ラクーン市壊滅事件CP2 ファイル 1.「グレイブディガー」 トイレ上の照明破壊。 2.「リッカー」 トイレ内、女性の死んでる個室の右の個室のドア破壊。 3.「イビー」 ゴキブリが現れた廊下で上のライトを破壊。 4.「ラージローチ」 リッカーが2体出てくる場所で『入る』コマンドで入った暗い部屋。 ゾンビが死体食べてるアングルの中央ちょい左、ベンチ上のカバン?を破壊。 5.「監視員」 ゴキブリの巣窟直前、階段降りて左上隅にある縦に細いライトを破壊。 救急スプレー トイレに入ってすぐの正面奥の照明を破壊。 攻略TIPS 停電になると真っ暗になって本当に何も見えなくなる。 リモコンでポイントしてる辺りはライトで明るくなるが、暗いところは本気で暗い。 ライトが当てられてない部分にゾンビが潜んでることある。 ラクーン市壊滅事件CP3 ファイル 1.「作戦本部からのFAX」 最初の自販機のある通路。自販機の左に観葉植物が2つ置いてあるうちの左側(小さい方。暗くて見えにくい) 2.「ネメシス-T型(追跡者)」 救急スプレーがあるところの壁際下の照明(スプレーとほぼ同じ場所)。 3.「バイオハザード3 ダイジェスト1」 地下に降りる階段の手前のリッカーの出てくるとこのオブジェ、直線の通路を直進しているときの突き当たり。 通路の右側のガラス窓あたり。 4.「バイオハザード3 ダイジェスト2」 霊安室を出て犬×2の後、通路を左に曲がった突き当たり左下の照明(駐車場へのドアの向かい側)。 5.「バリー・バートン」 駐車場の左奥の茶色の車の後ろにあるコーン(車を破壊するとコーンも壊れる)。 6.「作戦報告書(抜粋)」 警察署玄関(外側)扉の左横のライト、庭のようなところを進んでいるときに壊す。 7.「ラクーン市警」 ネメシスがロケラン撃って来る所の警察署ホールの中央デスクにあるPC。 8.「署長宛のメール」 ホール二階から入る待合室、入って正面に見える壁の小さい絵画。 9.「ブライアン・アイアンズ」 ボス直前の非常口のマーク。 救急スプレー 最初のネメシス後、ゾンビが大量にいる部屋を抜けたら死体の後ろにある。 隠し武器 手榴弾 霊安室の左端中段(右端中段にハーブ) サブマシンガンHP 2回目のネメシス後、屋内に戻ってすぐのドアを破壊 霊安室の左から2列目上段 瀕死CP1 ファイル 1.「エイダ・ウォン」 地下道から梯子で上がった直後、正面のホテルの小さな立て看板(入り口の右側の照明の右下)。 ホテルから出てきたときでも取れる。 2.「バイオハザード2 ダイジェスト1」 ホテル内カウンター正面の柱にかけてある絵 3.「バイオハザード2 ダイジェスト2」 ボス前の階段を登りきったところの扉上の非常口電灯。 4.「G」 タイラントR倒した後のハイウェイで最初に見える左側の車の右にある箱を壊す。 (すぐに視点が変わるのでグレネード推奨) 救急スプレー ボス前の階段を昇り終えた出口にある。 隠し武器 ショットガンSA 地上に上がってホテル前で犬と戦う場面、マンホールの横にある箱 グレネードランチャーHP ワイヤーで上った後、ドラム缶の手前に積んである箱 攻略TIPS 開始時は体力が少ないので注意。 一つ目のハーブは下水道を抜けた先にあるので、そこまで頑張れ。 The 4th survivorCP1 ファイル 1.「ハンク」 駐車場出口(留置場側)の扉上のライト、駐車場を出るときに最後振り向くタイミングで。 2.「アンブレラ特殊工作部隊」 チェックポイント寸前のグリーンハーブ(ハードではない)のある下の棚。 3.「署長の手記」 警察署のオフィス出口あたり。 救急スプレー 最初のドアを開ける直前、振り向いたところにある。 隠し武器 ハンドキャノン 正面玄関から見て左手前の扉(玄関からのゾンビ後、移動中正面に見える大きな扉)を破壊(マシンピストルもある) 攻略TIPS 入手できる武器は少ないので注意。サブマシンガン系の弾が大量にある場合はそれを持っていこう。 ゾンビラッシュが多い。クリティカル連発できないとキツイかも。無理ならサブマシンガンを。 正面玄関から見て左手前の扉は破壊して進入可能(武器とゾンビラッシュ)。 ボスは存在しないので武器温存の必要は無し。