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【名前】赤木しげる(19) 【所属】漫画キャラ 【性別】男 【外見】白髪。細身。 【内面】ギャンブルの天才。チンピラ数人を一瞬でのせる程度の能力。自分らしさを大切にし、それを曲げるくらいなら死を厭わない。 一人称は俺。二人称はあんた、あなた。 【詳細】他人に強要される事を嫌い、ロワ転覆のため対主催に。 初対面の加藤鳴海を挨拶がてら攻撃。共に行動し、パピヨンやこなたを含む対主催達と合流。 その後単独でマーダー・勇次郎にナイフを放って逃げ切り、休憩しつつ鬼推理を展開。 津村斗貴子に殺人犯に間違われ、ラオウと闘った後見逃され、ステルス・ジクマールを口八丁で丸め込み、勇次郎に成長を期待される。 つかさを失いマーダー転向した川田に、同行していたこなたを誤殺される。元マーダー・斗貴子をパピヨンと共に禁止エリアに放り出す。 いち早く主催にたどり着き交渉をし、独特の感性から主催に気に入られる。 他参加者には引かれたりするが、他人と自分の命を差別しない冷静さと表面には表れ難い熱い精神で他の対主催と氷解していく。 ヒナギクと行動するが、事故で高所から転落するヒナギクに手を差し伸べるも力及ばず。 最終決戦においての行動を裏切りと受け取られ、パピヨンに致命傷を負わされる。 かがみに生き残るよう言い、その後現れたかがみらしき人物と会話した後に失血死。 ●関連 泉こなた→対主催として一時期行動を共にする。死の際居合わせる。 柊かがみ→最期に会話した相手。 柊つかさ→「ツンデレ」の意味を聞く。 ジョセフ→対主催として行動を共にする。 桂ヒナギク→対主催として行動を共にする。死の際居合わせ、助けられなかった。 パピヨン→対主催として協力。こなたの安否を尋ねた際に嘘をついたため不仲。 川田→川田がマーダー転向後に攻撃を受ける。 村雨良→同じ対主催。メモリーキューブを壊し大首領を呼び出す。
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カード情報 カード名 [よくってよ]水着のお姉さん レア R コスト 3 タイプ 欲 マーク すばる 夏日 琴美 属性 声 スキル 水着の下のホンネ デッキに残っていれば、次にコスト[ 5 ]の台詞を必ず引く 台詞 日が暮れるまでは一緒にいてもよくてよ…? スコア LV スコア LV スコア 1 11 2 743 12 3 13 4 14 5 15 6 16 7 17 8 18 9 19 10 20 入手方法 水着のレッスン 関連ページ 「水着のお姉さん」役カード一覧 「水着のお姉さん」役衣装一覧
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第010話 「5巻表紙のカズキのヤリ持ってない方の腕がヒョロ長くて気持ち悪い。中表紙 じゃ普通なのを思うと頭ん中ザラザラする。あーっ! ザラザラする!」 略して 「レティクルに出会いし銀の星、ルーキーが踏みし銀の土」 「回復次第、残党を再編成するぞ佐藤。浜崎。それまでせいぜい上手くまとめておけ」 薄暗い実験室の片隅。大人がゆうに2~3人は入れそうな巨大なフラスコの中。 逆向はたゆたっていた。顔の修復はゆるやかに進行中。 例の光線の上にパキパキと肉片が乗り、頭蓋骨の復元肯定さながらだ。 「ま、待て。その間にココをかぎつけられたらどうすりゃいい! 戦士が来たら全滅だぞっ!?」 血色の悪いサメのような男が声をありありと震わせた。 さほど広くない部屋に情けない声が響き、逆向の顔が引きつる。 「クズが。そうならないように俺自らが新設してやったんだろうが。いかに桜花の奴がアジトの 所在をハッキングできるといっても、それは過去のデータ。新たなアジトまでは突き止められ るワケがない。いい加減少し考えて喋るコトを覚えたらどうだ? 佐藤」 「ぐ。じゃ、じゃあいま残党狩りにあってる連中はどうすんだ」 「捨て置く。どうせ俺の参集に応じなかったいわば『野良』の連中だ。せいぜい戦士の的にし て時間を稼ぐ。そんなコトも考えられないのか? それからもう一つ」 フラスコを満たす紫色の液体に巨大な気泡がニ、三個ぶわりと浮いた。 「ザ・ブレーメンタウンミュージシャンズの連中も戦士の的にしろ。いいな。俺のライダーマン の右手を真似ていい気になってる盗人野郎はおそらく、部下連中と戦士とのいさかいを避け ようとしているだろう。が、させるな。徹底的に妨害し、否が応でも戦うよう仕向けろ! 互い に衝突(ぶつ)けて消耗させろ! そこを回復した俺と再編成した残党、そして『奴ら』に救出 されたムーンフェイス様とでつく。いいな!」 歯噛みする佐藤の横に、褐色肌と赤刺青の大男が進みでた。 「かしこまりました逆向様。ご心配には及びません。当面はタガが締まるコトでしょう」 「昨日散々クズどもを粛清してやったからな」 物分りの良い回答に逆向は目を細めると、眠りについた。 (次目覚めた時にまだクズがいれば殺してやる。残り少ないL・X・Eだからこそ腐り肉(み)は 徹底的に断たねばならない。断って断って断ち尽くして、バタフライ様の意向に沿う者だけを 残して! 必ずL・X・Eを蘇らせてやる! もう1つの調整体を手に入れ、バタフライ様をも!)) 「お、おい浜崎。逆向の奴に報告しなくいいのか」 浜崎はむっつりと口を結んだ。 「先日、銀成学園裏手の廃工場で早坂秋水たちに倒された調整体か。野良の動向など逆向 様に報告してもお叱りを受けるだけだがな」 「おかしいだろ。バタフライ様しか管理してなかった調整体どもがどうして流出……」 凶悪そうに吊りあがった目を不安そうにきょろきょろさせながら、佐藤は尋ねる。 「滅びかかった組織にはよくあるコト。何者かが持ち出したのだろう」 岩のような表情でまんじりとしない浜崎に、佐藤は怯えの色を隠そうともしない。 「ま、まぁそれもそうだな。分かってる分かってる。怒るなよ。ヘヘ。同期のよしみじゃねェか。 だが俺ァ見たんだ。あの廃工場の地下で」 「独断行動か」 「馬鹿いえや。俺だって命は惜しい。逆向の許可を得て偵察に行ったんだ。そしたら」 と佐藤はサッカーボールぐらいの輪を両手で作った。 「これくらいのホムンクルスの幼体を2ダースぐらい見たんだ。あっただけじゃねェ。俺が見た 限りじゃ他の場所でもかなりの数のホムンクルスが同じ目に」 「ほう。通常ならば5cmもない幼体が。というかあちこち偵察か。お前意外にマメだな」 浜崎の表情は柔らかい物に変わった。佐藤は血色の悪い肌を赤らめた。 「るせェ。褒めんな。つーかおかしかねェか? たぶんブレミュの奴らの仕業だろーがな」 「だろうな。が、なぜ奴らは殺さなかった? 殺すコトそのものが目的ならば、章印を攻撃す ればいいだけだ。『殺さず、敢えて中途半端な幼体の形態に留める』、か。その辺りから能 力を暴けば、逆向様に報告する価値を帯びるが……」 「フ。鐶の奴は順調に『集めて』いるようだな」 サッカボールほどあるホムンクルスの幼体を見ると、総角は認識票に手をかざした。 「出でよ! 弓矢(アーチェリー)の武装錬金、エンゼル御前!!」 高速射出の矢が放たれ、幼体は粉砕された。 「お見事! 鐶どの操る武装錬金はゼロにできないのが欠点ではありますが、されどされ ど斬りつけられた幼体どのはダメージゆえに半日は身動きが取れないのであります! そし て本来フラスコの中以外にて生存は絶・望・的っ! この大きさではもって半日、ゆえにダメー ジから回復する頃には消滅であり、道行く方に悪影響を及ぼさぬコト必定。けれど見つけた 以上、念のために倒されるのがもりもりさんなのであります。なーむー」 木立を縫って砂利に金色の光が注ぐ。あたりは鬱蒼とした林道だ。 そこにいるのは学生服姿の総角と、いつもの格好の小札(シルクハットも修復済み)だ。 「むむっ? というコトは鐶どのは半日ほど前にここへ来られたのでしょーか?」 小札はマシンガンシャッフルを口元から離すと、横の総角に聞いた。 「そうなる。まぁ、基本的に夜から朝にかけて『集める』よう命令してあるしな。ついでにもう 1つ、別の物を取るように命じてある。といっても対象の正体はいってない。表情に出ると 厄介そうだからな。ま、俺の求める武装錬金かどうかは五分五分だが」 「よく分かりませぬが……しかし鐶どのがココに来られたとなると、不肖たちが探す必要はな いのでは?」 「確かに鐶の奴も探しただろうな。『もう1つの調整体』の隠し場所」 「いかに割符を揃えようとも、それを供える隠し場所が分からねば無意味ゆえ、こうして探して おりますが……環どのが探されたのならば他を当たるできではないでしょーかっ」 総角はまっすぐに降ろしてある金髪を払った。ふぁさりと。 「甘いな。表層に見えなくてもそれ以外の場所にあるのが基本だ。割符がそうだっただろう?」 「そうでありました! 割符探しは見えざる場所を当たる苦難の連続! 貴信どの香美どの 鐶どのと不肖と無銘くん、そしてもりもりさんが一丸となり苦難を重ねた冒険譚! 思い出す だけでも懐かしゅう……」 総角は気障ったらしく目をつぶり、小札の騒ぎを聞いた。 (フ。いま世界でお前の声を聞いているのは俺だけだろうな) 変な独占欲を充足している。 (もし俺が最悪の状況に立たされても……まぁ、そうならないよう色々講じておくのが俺だが、 最悪の状況に置かれていても、お前の声さえ聞ければ奮い立てるだろうな。10年前、ブレ ミュを創った時もそうだった) 瓦礫に埋まる建物の中。出口の扉までは5m強。しかし出るコトは叶わない。 動きを封じているのは手だった。全身甲冑そのままの、巨大な手。 落下してきたそれが天井ごと自分の足を潰して動けない。 ただの瓦礫ならば即座に回復し脱出できた。だがその手は武装錬金であり、回復は不能。 様々な激情にもがく総角の耳を叩いたのが、繰り返し彼の名を呼んだのが──小札の声。 (まぁ、思い出に浸るのはほどほどにしてだ) 「苦労して集めた割符とお前のマシンガンシャッフルの特性を応用したら、もう1つの調整体 の隠し場所を探し当てるのも可能だろうさ。これ俺の仮説」 「おお、また昔の口調」 「お前相手でない限り使わない口調」 総角と小札は顔を見合わせると、照れくさそうに笑った。 「確かに不肖の武装錬金ならばそれも可能! でもやる前にトランプ占いをば!」 小札はトランプを勢いよく取り出すと、気合充分でシャッフルし始めた。 「よーし頑張れ小札。クイーンが出ればきっと見つかるぞ」 小札はきぇぇ!と藁束のような髪を揺らしてカードを引き抜いた。それは…… 「Q、すなわちクイーンであります!」 「よっしゃ!」 総角は小札のテンションに合わせるようにガッツポーズを取った。 平素の彼からはかけ離れた挙動である。 「いますぐ隠し場所を発見できましょう!!!」 割符にロッドをかざすと、一瞬緑色に光ってそれから消えた。 「きゅう……」 小札は露骨に肩を落としてしょんぼりした。 「なさそうです」 「根気よくやればいい。そう落ち込むな」 総角は小札のシルクハットを取ると、クセっ毛をくしゃくしゃと撫でた。 「……」 くすぐったそうに小札は目を細めているが、総角に撫でられるのは嬉しいようだ。 「ちなみにマシンガンシャッフルに探索方法を昨日試さなかったのは」 「のは?」 ほんのり赤い顔を上げると、総角もつられてちょっと赤くなった。 「お前の体力回復を待つためだ。例のセーラー服美少女戦士との戦いで少し武装錬金を使 いすぎたからな」 「前々から思ってるけどさ、もりもりの奴、あやちゃんには過保護じゃん」 『ああ全く!! しかし男とはそういう生き物だぞ香美』 「そーいやご主人も昔は私に過保護だった。うん。呼吸が早いだけで獣医連れてったり」 『はーっはっはっは! 確か夏場でしんどかっただけだったな! だが心配だったぞ!』 「ありがと。まーそれはともかくとしてさ、もりもりの奴、さっきまでどこ行ってたのさ?」 『お前のいうさっきは数日前のコトだな! 皆神市への出張はだな、戦力になりそうなホムン クルスを引き入れるためだともりもり氏はいってたぞ!! 仮に仲間にならなくても、僕たち が潜伏できるような武装錬金の使い手ならブレミュで使えるようにしたいとも!!』 「へぇ。で、そいつ来てないけどどーなったの?」 『死んだ!! 上司をなんかスゴい理由で殺したせいで、錬金の戦士に殺された!!』 「うげ、弱い者イジメした感じの奴だけど、殺されてちゃ悪くもいえないし……フクザツ」 『そして結局、僕たちが潜伏できそうな武装錬金の使い手でもなく、振り出しだ!!』 「でも本当にそんな武装錬金あんの? まーどっちでもいいけどさ。で、後ろの奴は?」 『敵ながら天晴れ! ちっとも速度が落ちないな!!』 香美は木々の中を俊敏に飛びながら「ありゃー」と呆れた。 その背後10mほどの箇所では。木々が先ほどからばりばりとスゴい音を立てている。 まるで香美たちを追うように。 (しかし一応、もりもり氏から命じられた撹乱自体はできてるな!!) 「うわ、ちょっと速くなった。スゴい執念じゃん。追いつかれたらマズいかも」 斗貴子は歯軋りした。 彼女が割符の探索をしていると、香美が現われた。 最初は割符を優先し放置に務め……られる斗貴子ではなかった。 見るなりフルスロットルで襲い掛かり、処刑鎌(デスサイズ)を縦横に振りかざした。 が、香美はそれを軽々と避けて逃走。 樹上5mにおける追跡劇が幕を開けた。 4本の可動肢と4本の処刑鎌からなるバルキリースカートで木々をブチ叩き、人智を超えた 速度で飛びすさる斗貴子。 とはいえ香美の速度はそれ以上。 昨日はヴィクトリアを抱えたままで斗貴子の吶喊を避けたほどだ。 『素で跳べばあの戦士が追いつける道理はない!! だが!!』 「そっ、ご主人のいうとおり!」 たんっ! と木の幹を蹴り上げると、豊満な胸がゆったりと揺れた。 (ははは! この感触! 香美をヒットアンドウェー用に教育してよかったと思える瞬間!!) 貴信がアホみたいなコトを考えてる間に、香美は木の枝に手を伸ばした。 「どーりとかそーいうの、執念で結構ひっくりかえるのよねー。だから念の為」 香美の手に触れた木の枝がバシュゥ!と小気味よく消えた。 と同時に、斗貴子めがけて突き出した手から、細かい木片が無数に射出される。 「くっ!」 斗貴子はとっさに2本のバルキリースカートで目を守る。 守りながらも、残り2本で木を叩いて追跡が途切れぬよう務めるが…… 「ざんねん。いー判断だけどさ。前だけに気をとられるのはマズいじゃん」 「!!」 香美は斗貴子の背後にいた。一体どういう方法を用いたのか。 『はーはっは! 僕の武装錬金を使えばこれ位は朝飯前!!』 「あ、よく見たらあたし好みのうなじじゃん。つーワケでちょっと味見」 香美はちろりと舌を出すと、斗貴子の首筋からうなじをゆっくり舐め上げた。 (ははは! この感触! 香美が女のコ好きでよかったと思える瞬間!!) 「ひああっ!?」 斗貴子は瞳孔を見開いて、いやに情けない叫びを上げた。 首筋にザラっとした感覚が走った。それが舌だと気付くと凄まじい怒りが沸いた。 「っの! カ、カズキですら触れたコトのない場所をよくもォォォォォ!!」 「カズキって誰かしんないけどごちそうさま。そしてくらえカラミティエンドォ! てりゃ!」 首すじに食い込んだのは力のない手刀。 破壊力はないが、中空で硬直していた斗貴子を地上に落とすには充分だった。 「ほんとは耳たぶも噛みたかったけど、なんかやばそうだから退散」 『さらばだ!!』 夕方。寄宿舎管理人室。 「今日だけで3回目、か」 「すみません」 「気にしないで。うち2回は私が撒かれちゃったし」 「そーだぞツムリン。むしろよく追いかけた方だって」 御前と桜花は気落ちする斗貴子を笑って諭した。 「しかし、こう行く先々に出てくるとなると困ったな」 防人はため息をついた。 「そうね。戦士・斗貴子ですら追いつけない相手となると、捕獲もできないし」 千歳も同意だ。 「それでなくとも元々手一杯。せめてもう1人ぐらい欲しいところだが……」 戦団はヴィクター討伐の余波で慢性的な人員不足。 手一杯なのはどこも一緒だし、5人もの戦士(正確には桜花は違う)がいるだけ恵まれている。 防人が悩んでいると、突然千歳の携帯電話が鳴った。 彼女はかけてきた者の名をみると、細い眉毛を疑惑に細めた。 「誰からだ?」 「火渡君からだけど……」 実に珍しい。かつては千歳や防人と同じチームだったとはいえ、7年前の惨劇以来、個人的 な親交はほとんどない。。 しかもこの夏、火渡は意見の対立から結果としてではあるが、防人を殺しかけた。 以来、任務上でも顔を会わすコトはない。 そんな彼が何故? 千歳は得体の知れない不安を覚え……やがてそれは現実の物だと知る。 電話に出た彼女は、かすかに色めきたった様子でヘルメスドライブを発現した。 それから何かを探したようだが「見つからない」と電話口に述べ、2、3やり取りをしてから 一座にこう告げた。 「……結果から、いうわね。もうすぐこちらに戦士が1名派遣されるわ」 「なーんだ。そういう連絡ならラッキーじゃねーの?」 「待って御前様」 桜花は千歳の様子がおかしいコトに気付いた。 美しい顔からは血の気が引き、言葉を紡ぐのにも躊躇している。 「結果から……? では、その原因になったコトが?」 「第一、そういう指示は大戦士長の領分だ。なぜ火渡が?」 斗貴子と防人の問いに、千歳は意を決したように言葉を放つ。 秋水は、斗貴子が寄宿舎にいる間だけ部活に出るコトを許可されている。 彼は昼ごろからいつものように、他の部員に稽古をつけていた。 稽古をつけるというのは、相手の動作をつぶさに観察するというコトだ。 ただ打ちのめすのではなく、相手の性質を知った上で対処する。 いわば基本ともいうべき戦い方を徐々に彼は知りつつある。 先日の逆向との戦いでにもそれは出た。 そして稽古を積むたび、以前まであった強さへの停滞感は晴れていく。 部活が終わると、彼は寄宿舎に戻った。 管理人室に入ったのは、千歳が電話の内容を告白した数分後。 だから彼は、なぜ一座が異様な緊張感に包まれているのか理解できなかった。 そんな彼に、千歳はもう1度口を開いて説明した。 「大戦士長が何者かに誘拐されたの。同時にムーンフェイスが脱獄」 その頃、火渡赤馬は怒っていた。 「赤馬」などという放火犯の隠語を名に持つこの男は年中何かに怒ってはいるが、今回ばか りは実に凄まじい。 昔で言う「総髪」を乱雑にアレンジした豊かな髪を後ろで散切りに結わえて、眉は太く、怒ると すぐに犬歯をむき出す所はとても人々の安全を守る戦士に程遠い風情だが、一応は防人と 同じく「戦士長」。戦士を束ねる立場である。 もっとも束ねる戦士というのは、かの根来忍や楯山千歳のように性格や前歴に瑕疵があり、 とても正規の作戦に組み込めない者ばかりである。 いうなれば彼は、厄介な者を力づくで抑える役目を負っている。 彼もそれを、天に賦された自身の圧倒的な能力でしか成せないと自負している。 だからこそ目の前の惨状には、怒りを禁じえない。 顔面が陥没し目玉をどろりと流す戦士の死体。 獣の爪で腹を抉られ、辛うじて皮一枚で上半身と下半身が繋がっている戦士の死体。 腰を万力のような物でぐちゃぐちゃに潰れされて制服に血を滲ます物もあれば、明らかに毒 物を注射されたとみえる疱瘡まみれの紫死体もある。他にも酸鼻を極めたものが5~6体。 総て、照星の護衛につけられた戦士である。 「ハッ! クソッタレどもめ! あの老頭児(ロートル)を過信するからこうなんだよ!!」 けして死んだ者を悼んではいない。 自分たちのいる場所は錬金術という不条理の世界。 生きる不条理も死ぬ不条理も、それは当然のコト。 苛立っているのは、それを踏まえぬ連中の無能の姿勢。 ここは捉えたホムンクルスを収監する施設。 かつては基地内にあったが、火渡にとって因縁深いホムンクルスの脱走により、こちらへ独立。 そしてココにはL・X・Eや『もう1つの調整体』の全容を吐かせるために、ムーンフェイスという 謎めいた月顔の男が収監されていた。 だが彼はなかなか口を割らず、意を決した照星がわざわざ尋問に出向き。 現在に至る。 火渡は、ここに出向く直前の照星と会話をしたが、周りにいた護衛の顔つきをよく覚えている。 安心と油断に緩みきっていた。 どいつもこいつも本来護衛すべき対象の力を信じきり、自分たちの出番などないと最初から 決めてかかっていた。 不条理の世界にいるコトを理解せず、才覚も力量も覚悟もない分際で、重大な任務が果たせ ると思い込んでいた。 火渡が怒る部分はそこだ。 7年前まで彼は自らの才能によって世界を救えると信じていた。 だが結果は違った。世界どころか小さな島の小さな集落すら救えなかった。 火渡の才能を以てすらその結果だというのに、いま死体になっている連中は…… 「火渡様。犬飼と円山が到着しました」 毒島華花という小柄なガスマスクの少女の呼びかけにも答えず、火渡は手から炎を放った。 紅蓮に輝く奔流の目標は──…戦士の死体。 「燃え尽きちまえよてめェら。失敗して勝手にくたばった連中の埋葬なんざ知るかよ!」 「お、おやめ下さい火渡様!!」 毒島は大慌てでガスマスクを操作し、排気筒からガスを炎に吹きかける。 ガスマスクの武装錬金・エアリアル=オペレーター。特性は気体の調合。 彼女はとっさに二酸化炭素を作り、炎の周りに吹きかけた。 「てめェ。何勝手なコトしてんだ。殺すぞ」 「ででで、ですが、戦士の死体は正規の手続きを踏んできちんと埋葬しないと。痕跡から敵 の情報を得られる可能性も、あの、その……」 「ああ?」 サラマンダーのような凶悪な瞳で睨まれ、毒島は声が出なくなった。 その横を不気味な顔の風船の群れがゆるやかに通りすぎ、死体の上で弾けた。 「まぁまぁ戦士長。死体の処理なんて、私の武装錬金を使えばすぐ済むわよ」 中世的な声がするとどうだろう。死体たちは一回りもニ回りも小さくなっていく。 風船爆弾(フローティングマイン)の武装錬金・バブルケイジ。 紫とピンクの半円を組み合わせてできた輪郭に、唇を上に剥いた垂れ目の顔をあしらった やや大きめの風船だ。これが当たったものは1発につき15cm身長を吹き飛ばされる。 「でも死体なんて汚いモノ持つ趣味、私にはないのよねぇ。ゴミ捨てとかトイレ掃除嫌いだし」 艶やかな短髪と三白眼の美人(※男)は円山円(まどか)。 彼はしばらく考え込むと後ろの男に声をかけた。 「というコトで犬飼ちゃん。やっといて頂戴」 「ぐ。何で僕がそーいう下らない作業を!」 こちらはやや端正な顔立ちの長髪青年。名を犬飼倫太郎という。 眼鏡をかけて亜麻色の髪をあちこちではねさせている所はオシャレだが、けして美形に見え ないのは内面の卑屈さや劣等感がにじみ出ている証拠だろう。 「そう騒ぐな。どうせ少し摘んで箱にいれる程度の作業。俺がやろう。たまには人間の臓腑を 見るのも悪くはない」 じゅらり、と肉食動物じみた舌なめずりに、円山・犬飼は驚いた。 「え」 「意外ね。あなたも来てたの?」 「というよりこの異変を戦団に通報したのが彼です」 十文字槍(クロススピアー)の武装錬金・激戦を携えてのっそり出てきたのは戦部厳至。 陣羽織を羽織った野武士のような長髪の大男だ。 「騒ぎを聞いて来てみればこれだ。残念ながら敵はすでに去っていた」 「集まったな」 火渡は一座を見渡すと、くわえ煙草で作戦概要を述べ始めた。
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壱 弐 参 極 名前 [水着!]月の兎 (みずぎ! つきのうさぎ) セリフ 壱 「潮の満ち引きって、どうして起きるか知ってます?」 弐 「月の引力が、大きく関係してるんですよ♪」 参 「遠く離れているようで、結構影響してるんです☆」 極 「潮風が気持ちいい☆」 解説 月に住むと言われる幻の兎。月表面の陰影が、楽しげに餅をつく兎の姿に見えることから語られるようになったと言われる。 レアリティ 必要法力 攻 防 知 壱 SR 20 2710 2560 2730 弐 2930 2820 3010 参 3200 3110 3310 極 3490 3420 3650 術式名 属性 MAX Lv 効果 専:月ぱわー☆ 水 7 味方単体の攻防アップ お邪魔戦術式 発動率 攻撃力アップ 中 備考:
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御前は次から次から出来(しゅったい)する異様な光景に呆れかえっていた。 「無茶苦茶だアイツ。何でもアリじゃねーか」 「……なんで俺との戦いで忍法使わなかったんだ?」 それはともかく、と桜花は瞳を薄桃の光にさらっと輝かせた。 「これで勝負の瞬間までこちらが攻撃されるコトはなさそうね」 「で、でも、どうするの?」 千歳は半泣きで路上を指さした。 見れば辺りに満ちた鏡のせいで、鐶の姿が十も二十も蠢いている。 「これじゃどこに向かえばいいか分からないよ!」 「いや、お前のヘルメスドライブならば本体のところへ俺達を運べるだろう」 「あ」 「後は彼が瀕死直前に追い込むのを待つだけだ」 斗貴子の期待を読んだかの如く、根来はいま一つの核鉄を突き出した。 それはシリアルナンバーLXXXIII(83)。元は貴信の物である。 「ダブル武装錬金。……」 (飛刀を増やし……私を追い込むつもりでしょうか) 短剣をびっと一振りし警戒する鐶をよそに核鉄は旧態依然、まるで変化を見せぬ。しかし根 来のするコトだ。作動不可に乗じて飛び込んだ所に無音無動作の抜き打ちのような刃を浴び せるコトも十分にありうる……。 そんな逡巡も一瞬だけ鐶をよぎったが、彼女は構わず駆けた。単純で放胆すぎる行為といえ るが根来に流れを作らせないという点では合理的であろう。 (攻めてみれば……分かるコト) 対する無数の虚像のいずこからくぐもった舌打ちが響いた。 「使用不可のようだ」 そのまま彼はぱっと核鉄から手を放しポケットに滑り込ませた。 (ダメージを受けているから……恐らくそのせい) 貴信戦でハイテンションワイヤーが負った傷は現在でも完治していないとみえ、貴信の核鉄 はまだまだヒビが残っている。使用不可もむべなるかな。そういえば、と鐶は思い返した。根 来の突き出した核鉄は、心持ち色艶や輝きさえくすんでいた。それこそ核鉄が使えぬという 根来にとっては重大な、鐶にとっては幸運な、何よりの証拠ではないか? 転瞬、鐶は胸を細い息にすうっと膨らませた。 (刀が一本だけなら真・鶉隠れを突っ切るコトが……可能。だから今から忍者さんの所在を突 き止めます。……狙うは『顔の右半分に前髪がある』忍者さん) ビデオの一時停止を解除したかのごとく再び乱舞し始めた無数の根来と無数の金の忍者刀 を鐶は縫っていく。虚像をすり抜け刃を物ともせず駆ける少女は、足取りこそしなしなと軽やか であるが一種の魔人めいたおぞましささえ漂っている。 やがて鐶は首を一回転させ、虚ろな瞳にわずかな光を灯した。。 果たして目指す根来は右斜め後方六メートルの電柱の影にいた。 『顔の右半分に前髪がある』根来。それが忍びの水月を生み出したただ一つの本体。 鐶は返す踵を地にねじこむようにしながら怪鳥のように飛びあがり、根来を唐竹割りに斬り 下げた。 「……恐らく、ここまではあの人も予想済みの……展開」 柔らかな物を斬った感触がふわりと鐶の手首を行き過ぎると、両断された根来が白い布地も 一瞬露に、あろうコトか二体に分裂した。 忍法陽炎乱し。ヴェールのように薄く剥がした衣服の一部が術者の姿となり、相手を幻惑す る恐るべきわざである。 遠巻きの戦士たちにまでその術功は届かぬと見え、彼らはただただ地に足つけてそよぐ根 来のマフラーと、それに斬りかかった鐶に首を傾げるばかりである。 そして「……恐らく、ここまではあの人も予想済みの……展開」と鐶が呟くころにはすでに本 物の根来が背後から稲光とともに現われ、高々とシークレットトレイルを掲げていた。 (忍びの水月が破られるのも予想済み。かつて病院の地下で私にこの術を見せた鳩尾無銘 が早坂秋水に敗れた以上、貴様たちも破り方を心得ているだろう。かの変幻自在の地下壕に 潜みながら観戦しない道理はない) 「だから、『顔の右半分に前髪がある』分身を……配置して…………誘い込んだ。……ですね」 中空で根来の顔がやにわに歪みそのままびったりと静止したのは、振り返った鐶が根来の 喉首を当然という顔で掴んでいたためである。 「考え抜いた不意打ち……お見事です。けれど、あなたが忍びの水月を破られるのを……予測 していたのは予測済み…………。きっと囮を使い…………亜空間から不意打ちを仕掛けてくる と……思っていました……」 口調の静かさとは裏腹に、鉤に曲がった五指はめりめりと万力のような力で根来の喉首に 喰い込んでいく。 憎悪によってそうしているのではなく、たとえば猛禽類が暴れる獲物にトドメを刺すような必 要最低限の事務作業であるコトが限りない無表情から見てとれた。 ただでさえ根来の生白い顔がさらに血色を失い、失った分の血色を現すように口からあぶく まみれの血が滲み出る。金に輝く忍者刀も手から転がり落ちた。 「クジャクの足には……地震などを感知するヘルブスト体という器官があります。……それを あなたたちに見えぬよう…………皮膚の下に生やし…………大気や地面の微妙な振動を察 知すれば……亜空間から飛び出すあなたを感じるのは……難しいコトでは……ありません」 やがてぐなりと力の抜けた根来に向って短剣が向かい──… 「それも予想済みだ」 会心の笑みに歪む根来の口から咳とともに吐き出される物があった。 それは赤い塊であった。赤くはあるが血ではない。紙を何枚も貼り合わせて丸めたような小 さな塊である。 根来はやや下方を見ていたにも関わらず、塊だけは顔と水平に飛びだし鐶のすぐ頭上でふ わりと静止した。 そして同じ塊──今度は一回り小さな──が、根来の視線を追うように斜め下へ。 ああしかし、既にクロムクレイドルトゥグレイヴは根来の腹に深々と突き刺さり、彼の体をみ るみると縮小させている! 刺さったのはただの短剣ではない。 『斬りつけた深さに比例し年齢を吸収する』おぞましき魔剣。 かくて根来は少年の姿から幼児を経て……すり抜けた再殺部隊の制服の上に落ちる頃に はまごうコトなき胎児と化していた。 年齢とはそもそも出産日より起算する。母体から産声上げて生まれた日から一年経てば一 歳、二年経てば二歳と増加する。 そんな年齢を奪うのが、他ならぬクロムクレイドルトゥグレイヴなのである。 人間から全ての年齢を奪った場合、「零歳」、つまり母体からの出産直後の姿たる胎児にす るらしい。厳密にいえば胎児ではなく乳児かも知れない。 根来はこの点、判別できぬほど異様な姿になっている。 産声は立てていないのに微かに自発の呼吸は行っている。ヘソの尾は切られているのに全 身粘液に濡れそぼって青白く、丸々と太った赤子特有の腹をしわくちゃにしながら外気に震わ せている。ぐずりもせず動きもせず、あたかも産室だけを除かれた胎児のように存在する根来 なのに、そのくせ髪だけはうっすら伸び、逆立ち、顔半分だけは三角形の直垂に覆われている からおぞましい。これは胎児なのか乳児なのか。錬金術、いや年齢吸収を生業とする天外の 短剣などまったく考慮できぬまま発達した医療の定義に於いていやはや何とも判断し辛い。 筆者などは便宜上、その短剣に年齢を吸いつくされた形態を「胎児」と呼ぶが、むろん読者の 皆様に置かれてはお好きなように呼んで頂いて構わない。 その胎児の彼方上空で、赤い塊が確かに花開いた。 「忍法紙杖環。(しじょうかん)……」 誰がいったか分からないが、鐶も戦士一同も低くつぶれた声を確かに聞いた。 根来の口から離れた粘塊は鐶に至るまでにバラバラと分解し、伸び広がり、大小様々の環 (わ)になった。しかも意志あるがごとくそれらは飛び、あたかも鐶が輪投げの景品であるよう 細い肢体へ被さり、落ち、つま先から太ももの半ばまでをぎりぎりと締め付けた。かくて少女の 弾力に満ちた瑞々しい筋肉は、環(わ)の喰い込む傍で艶めかしく隆起し血色を失った。その 青白さはこの世の物ならざる幽玄な美しさだ。そしてびっちりと柔肉を擦り合わせ強引に閉じた 両足を環(わ)は互いに向って緩やかに動く。すると盛り上がった生白い絹のような肉がむろ むろと真赤な環(わ)の周囲で悩ましく転がり、水を打ったような無表情にわずかな赤みと薄く 甘味かかった呻きをもたらした。そうしてやがて環(わ)は寝袋のようにびっしりと密着し足の 肌を覆いつくした。 根来を捉え、そして短剣を差し向けた手にも環(わ)は絡みついた。 彼の年齢退行に伴う体積減少によって手と短剣を逃れずり落ちたその瞬間に、赤い環(わ) がいくつも不自然な軌道で跳ね上がった。しかもそれらは元の直径の五倍とも十倍とも見える 大きさにまで一瞬拡大し、内側に鐶の両手をくぐらすやいなや、びちぃっ、と濡れた鞭を打ちつ けるような速度を響かせながら一気に縮んだ。 ……かくて少女の弾力に満ちた瑞々しい筋肉は──… で、筆者が先ほど「鐶」と区別をつけるべくしつこくしつこく「環(わ)」と表記している忍法紙杖 環はただ重なっているだけではない。振りほどこうとした鐶は気付いた。環(わ)同士がびった りと癒合し、なかなか容易に斬れそうにないのだ。しかも先ほどの忍法月水面同様、皮膚に 粘っこく吸いついているから脱出をいよいよ困難な物にしている。 それに戸惑う間に脇腹を掠めた金色の刃があり、さしもの鐶もやや慄然とした。 真・鶉隠れ。 脇腹を斬られた! そう思う頃には忍者刀が最後のあがきとばかりに周囲を荒れ狂い無数 の傷を鐶に与えているから、いやはや根来の執念恐るべしといえよう。 剛太は茫呼として根来を見た。 (俺に負けた時と逆の戦法をとりやがった) 彼と戦った根来は勝利を確信したところに思わぬ反撃を受け敗退した。 今度は逆だ。勝利を確信した鐶に、根来が思わぬ反撃を浴びせたのだ。 だがそれによる個人的勝利がないのは、胎児と化した根来を見れば明白。 むしろ彼は後に控える戦士の勝利のために敗退を選んだ。それが剛太にはやはり不可解……。 金の刃はまったく紙杖環を妨げぬよう荒れ狂い、環(わ)なき腹部や胸部、二の腕やスカート 間際の太ももなどとを切り刻む。カットフレアーのスカートを模した青い羽毛もティンダル現象 の中に影をさらさらと落としながら辺りに散った。それを追うように忍者刀も核鉄になり地面に 転がり落ちた。さしもの根来も胎児と化しては武装錬金を継続できぬと見える。 (本当の狙いは私の……拘束…………? あ、でも傷は十分負っているから……) 鐶の両脇腹を二枚の戦輪が轟然と薙いだ。 刀傷も真新しい腹部と胸部に無数の矢が針山地獄のように突き立った。 うっすらと霞みだした視界の中、鐶は見た。 核鉄を突き出し、何かに備える防人を。 投擲を終えた姿勢で厳然と彼女をねめつける剛太を。 その後ろで最後の力を使い果たしたとばかりに息せく桜花を。 同時にヘルブスト体は中空に充満する巨大な殺気を感知し、鐶の視界を空へと吊り上げた。 「本体はこの真下。根来くんの分までお願いね!」 上空に瞬間移動した千歳が、切り札を投下した。 鐶の背中で一瞬何かが煌いたかと思うと、四本の羽根が対空迎撃とばかりに飛んだ。 「貴様は何も知らない人たちに調整体をけしかけ、あまつさえ人混みの中で将棋倒しにした」 身じろぎもせずそれらが四肢の遥か外をすり抜けるのを認めると、斗貴子は静かに言葉を 継いだ。 「まかり間違えば死人が出ていたかも知れない真似を、貴様は自分たちの都合だけで」 よく観察すると鐶の三つ編みが微かに揺れている。羽根は髪から変化して飛んだのだろう。 「……拘束され、苦し紛れの反撃しかできない相手を斬り刻むのはいささか趣味に合わないが」 山吹色の光を鈍く反射する四本の処刑鎌がいったん後ろに引き、バネで弾かれたように轟 然と振り下ろされた瞬間、鐶は足の拘束も忘れよろりと体を捩らせ…… そんな鐶が耳を覆いたくなるほどの感情が、斗貴子の口から迸った。 「いま斃せない以上、相応の報いは受けてもらうぞ!」 バンダナごと鐶の頭部が×字に刺し貫かれた。 首の根元は鉈で水平に殴られたように右から三分の二ほど叩き割られ、下顎から後頭部ま で斜めに飛びだすバルキリースカートもある。 着地と同時に素早くそれらを引き抜いた斗貴子は、鐶を防人たちめがけて弾いた。 しばらく飛んだ鐶は肩から墜落し、アスファルトを痛々しく削りながら防人たちに向う。 その距離はおよそ五メートルばかりか。緊縛にもめげず立ち上がろうとした鐶だがその上体 はもはや力尽きたようにがくりと地面に落ちた。それでも彼女はなお逃れようと地面を這う。ま るでイモ虫のように。または翼を猟銃で貫かれ地面に堕ちたオオワシのように。 やがて防人たちに足を向けたまま、鐶は動かなくなった。 「さあ、今です戦士長!」 絹を裂くような斗貴子の叫びに応答して、防人はシリアルナンバーXIII(13)の核鉄を展開。 シルバースキン・アナザータイプ。 大航海時代の海軍の制服を模した防護服が無数の細かなヘキサゴンパネルに分解し、鐶 へと向かっていく。 (すまないな戦士・根来。だがお前のおかげで勝機が見えた) 瀕死状態の鐶が回復に転ずるその隙にリバースを当てる。 回復自体は一瞬だから、それを終えてもすぐに攻勢ないしは回避に転ずるコトができぬよう、 鐶の姿勢を崩した上で「瀕死」に追い詰める。 その条項がすでに満たされているのは、防人ならずともすでに明白。 (必ず奴を捕らえて──…) 誰が見ても鐶は「瀕死」だ。根来が「瀕死の一歩手前」まで追い詰め、そこに斗貴子が攻撃 を加えたのだから、「瀕死」に決まっている。 第一、攻撃した斗貴子自身が「今です戦士長」といっている。 だから自分の判断は正しい。正しい筈。 そう思いながら、防人は違和感を払拭できない。 しかし既に賽は投げられている。リバースは鐶に向っている。 違和感があろうとなかろうと、当たりさえすれば全てが決まるのだ。 (……?) いつの間にか鐶が防人に頭を向け、地面に寝そべったまま静かにリバースを見ている。 瞳はひたすら虚ろだ。名前に「光」を頂いているのに何ら感情が見えない。 一瞬それを見逃しかけた防人だが、決定的なおかしさに気づいた。 (いつの間にこちらを向いた!?) 必然性がない。先ほどは足を向けていた。今は目を向けている。何のため? いやそもそも 地を這うだけで精いっぱいだけだった鐶がどうして体を百八十度反転できる? 例の回復をも たらす瀕死直前の鐶が、なぜ? そもそも……彼女は回復の気配がない。「瀕死」の筈なのに。 そんな鐶は左手から何かを引き抜いた。右手はひらりとひらめいた。 短剣は赤い光で弧を描くように迸る。 根来に拘束されていた筈の両手が動いている! 防人の違和感は答えを紡ぐと同時に唇をつんざいた。 「まさか」 「違う!! 今のは私の声じゃない!! 奴の……奴の声です!」 甲高い斗貴子の叫びとともに、鐶とリバースの間で巨大な影が膨れ上がった。 宙を飛んでいたヘキサゴンパネルは、その影が爪を振り下ろすと同時に一気に纏わりつき、 ひどく歪で大きな形にみるみると膨れあがっていく。 「喰わせろォ~」 着崩れたシルバースキンアナザータイプが、まるで知性のない声とともに揺らめくのを見るや 戦士一同の満面に切迫がありありと浮かんだ。 「な…………!?」 ヒビ割れた三角頭の大男。形容するなら正にそれが覿面(てきめん)の怪物が、防護服を纏 いながらもがいている。 「また調整体!?」 斗貴子が目を見開く遥か対角線上で桜花と御前が口々に叫んだ。 「それを強引に割り込ませたっていうの……!?」 「確かにこの前ゴーチンが割りこんで破ったけど!」 シルバースキンリバースは細かい遠隔操作までは不可能である。例えば、射出時に割り込 む者がいればそちらを優先的に拘束する。つまり、「防人の決めた相手を必ず拘束」するので はなく、「射出した先にいる物体を必ず拘束」するだけなのである。 「っていうか、調整体なんかどこからどうやって!? さっきまで気配は微塵も──…」 「とにかく拘束は失敗だ! 今は動け!」 唖然とする戦士の中、斗貴子だけが弾かれたように鐶へ走った。 それに誘発されるように防人も拘束を解くべく逞しい右腕を突き出した。 「……なるほど」 いつしか片膝をついた鐶の背中を鋭い五本の爪がどうっと薙いだ。 「回復……完了」 虚ろな表情を保ったまま少女の肢体が前のめりに倒れた。 桜花は見た。鐶の背後に突然現れた調整体が勝ち誇ったような咆哮を上げるのを。 そして倒れた体が回復の光を帯び、彼女が飛びあがるのを。 「待──…」 待て、そういい放たとうとした斗貴子の背後で何かが落ちる音がした。 振り返るとそこには目を見開いたまま気絶する千歳がいた。 一目でそうと分かるほど呼吸は荒い。頬に熱が昇り、ぴくぴくと痙攣する肢体はあまりに常 軌を逸している。しかも手につけたヘルメスドライブはスパークを上げながら核鉄に戻った。 「根来に続いて……あなたまで?」 いったい何が彼女の身に起こったのか。首を傾げる斗貴子の背後から二体の調整体(拘束 を解かれたのと鐶を攻撃したのとで計二体)が躍りかかったが、その程度の相手にやられる 斗貴子であろう筈もなく。振り返りもしない彼女の背後で無造作に斬り刻まれた。 そして、風が吹いた。面頬を向ければ息がつまりそうな圧倒的な強風が。 周囲の民家のガラスががたがたと打ち震え、電線が縄跳びのように揺らめき、いつしか解除 された忍びの水月の乾いた粘液を電柱や塀や樹木の枝葉からびゅらびゅらとさらっていく。 風は斗貴子をも吹き飛ばした。 気絶した千歳と胎児の根来をも枯草のように転がした。 剛太と桜花と御前は防人にうながされるまま彼にしがみついた。 ただ一人岩のように吹き飛ばぬ防人は斗貴子を掴み、千歳と根来を拾い上げながら風の出 所に鐶を求めた。なぜなら風は恐らく鐶の羽ばたき……。 「擬傷……。子を持つ鳥が巣に近づいた外敵を遠ざけるため、傷ついたフリをして……誘導す る行為をいいます。行動学によれば……これは愛情ではなく……子を守ろうとする理性と、外 敵から逃げたいという……本能との葛藤がもたらす行為……です。主にヒバリやチドリが…… コレをします。ヒバリやチドリができるなら、当然、私も……。これで『瀕死』が近いのを偽り、 あなたたちが切り札を出すタイミングを、私の回復より……早く……しました」 淡々とした声に続いて何か金属的な物が斬られる音がした。 「声は、いうまでもなくオウムの能力。真似てみました。……切り札は銀の人ですから……促 せば反射的に…………切り札を出すと思ったので……。そう、擬傷によって『瀕死の手前』に 見せかけた私を目の前にすれば……声真似にかかりやすいかもと……賭けました」 八つの視線と二つのライトが同時に同じ一点を見た。 「調整体は……ポシェットから出した幼体に年齢を与え、元の形にしました。……身代わりに する為に。あなたたちの切り札を…………私の代わりに受けさせるために。ちなみに忍者さん の拘束は自力で強引に……破りました。皮膚も羽毛もたくさん剥がれ……痛かったです」 鐶は電柱の上に寂然と佇んでいる。 ただ佇んでいるのではない。左手には切断した電線を握り、青白い火花のもたらす衝撃に 軽く打ちふるえている。 「もう……切り札は把握しました。だから次は私の攻撃……」 呟く鐶はそれまでの姿から一回り小さくなっていた。いや、幼く、というべきか。 およそ四歳ほどの姿になった彼女は口を開けた。 「皆さんの力を使い、勝ちます。すでに無銘くんのように囮を使いました。だから次は貴信さん たちの特異体質を真似し、小札さんのように……強烈な攻撃をして……勝ちます」 鐶の口は、まさに開いたのだ。 まるで裂けたように、後頭部にちょうつがいがついていると思えるほどに、あんぐりと。 彼女の上顎は常人の及ぶ可動範囲の二倍ほどに傾斜し、扁桃腺も赤く炎のようにうねる舌 も白日に晒された。 そんな彼女の口の中に、人間とは異なる器官が覗いていた。 いつの間にか歯が消失した代わりに四つの青い珠が鮮やかな粘膜の中で光っている。 それが上唇の両端に二つ。同じく下唇の両端にも二つ。 ……南太平洋諸島に生息するセイコウチョウのヒナの口に同様の物が存在する。 一説には親鳥の給餌衝動をかき立てる器官らしい。 同様の物はセイタカシギやワシなどのヒナにも見受けられ、こちらは口中に蛇の目のような 不思議な模様が浮き出ている。(そして成長とともに消える) 俗に未熟な物を評して「嘴が黄色い」というが、ヒナの嘴の黄色さも鳥にとっては給餌を促す 特殊な要素があるという。しかし…… (私は……別の用途にコレを使います) 貴信のように穴が開いた左手──本来、動物型ホムンクルスの鐶の人間型のような掌の穴 があるのはおかしいが、これは特使体質によって貴信と香美のエネルギー操作能力もろとも 真似たらしい──から体に流れ込む電流が青い珠に収束。 本来は給餌に必要な器官もホムンクルスなら兵器の一部と化すらしい。 「時は満ちた。熱いデュエルのゴングが響く……運命のカードが光る……」 青い四つの珠が電子音を奏でながら光の粒子を吸いこんで、密集する防人たちめがけて青 白い光線を当たり前のように吐き出した。 最初は四本だった光線はすぐに交わり一つの直線的な光芒──ただし威容はかつて小札 が秋水に用いた「ライドオンザバック・シルバードラゴン」をも遥かに凌ぐ──に化した。 すなわち、直径八メートルはあろうかという大口径の疑似荷電粒子砲が戦士一同を薙ぎ払 ったのである。 熱で飴のようにとろけた電柱が中ほどから折れ、ブロック塀が舞い飛び家宅は光熱に焙られた。 道路のアスファルトはおよそ三メートルほどの深さまで抉られ下の地面はおろか埋め込み式 の電線や電話線を切断し、チーズのようにとろけた銅をただ地下に向って垂れ流した。円周の 四分の一ほどが欠けた下水道の配管からは臭気の強い蒸気がもうもうと立ち上り、不幸にも 切断されたガス管は倒れ込む電柱との、いや、それから伸びる火花付きの電線との接触で大 爆発を起こした。 「リーダーからの伝達事項その五。残る戦士六名をただちに無力化し、最後の割符を奪還せよ」 どこかで再び爆発がした。その爆風にあぶられ赤く長い三つ編みが揺れた。 「私の回答は……了承」 あちこちを燃やす灼熱の炎に頬を赤く焙らつつ、あくまで表情を崩さぬ鐶が防人たちめがけ疾駆 した。
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P「夏は水着の季節か」 執筆開始日時 2012/07/30 元スレURL ログ速URL 概要 P「水着…」 春香(もしかしてプロデューサーさんに水着姿を見せれば) 千早(…くっ) P「でもアイドルのは見慣れてるからなぁ」チラッ P「アイドルのはなぁ」チラッ 小鳥(はぁ、夏は露出が多くて嫌だなぁ) P「…」 タグ ^音無小鳥 まとめサイト えすえす SS保存場所 週刊少年SS プロデューサーさんっ!SSですよ、SS!
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水着ウンディーネ 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 獣 魔法 氷 ★5 18 1737 906 2498 1069 1072 海の仲間with歌姫 【全】氷属性攻撃2.2倍 ★6 25 2258 952 3372 1206 1176 氷精霊の魔術師 【全】氷属性攻撃2.2倍+ダメージ限界値20%アップ 詳細 覚醒 35 水中ランデヴー 【個】氷属性攻撃1.3倍
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水着メアリー 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) ドラゴン 攻撃 火 ★5 25 2012 2051 933 821 689 太陽の王女 【全】攻撃力1.7倍+通常攻撃全体化 詳細 【2016年7月】太陽のサマーチャレンジ交換報酬 【2017年7.8月】モンスター討伐イベント報酬
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ディーラーの勝負"水着" 読みでぃーらーのしょうぶ"みずぎ" カテゴリー:Set 作品:Rio RainbowGate! 【セット】〔自分の手札の OS:Rio RainbowGate! のカード1枚を控え室に置く〕 [自動]このセットカードが OS:Rio RainbowGate! のパートナーにセットされた場合、自分の控え室の OS:Rio RainbowGate! のイベントカード1枚を手札に加えてもよい。この能力は【裏】でも発動する。 勝負を楽しみましょう? illust: Rio-PR002 収録:ChaosTCG アップデートキャンペーンPRパック
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とりあえずは水着セラフページ編集。 カートリッジは通常セラフと全く同じで構わないのだろうか? とりあえずはγのページのみ編集し、後日水着…というかワンピース画像がアップロードされた際にα、βも作成しようと思う。 -- (名無しさん) 2011-02-03 04 36 11 上 お疲れ様。 カートリッジはコスト30のクイックスイムが追加されているんだが、ショトブとクイジャンの間にあるのでLv6以上かどうかが分からない。 一応持ってはいるんだが、解体でのスロットリセットを考えているから育成していないんだ・・・。 -- (名無しさん) 2011-02-03 07 06 23 微力ながら画像をアップロード。 しかし他のセラフ同様転生前の色を引き継ぐ為、転生前後共に一切色をいじっていないが これは「クリムローゼの純正カラー」であって、「セラフクリムローゼ(水着)の純正カラー」と呼べるのかは少々疑問。 クリム及びセラフの象徴でもある赤い目も白っぽいので、間に合わせ程度に思ってくれると幸い。 要望・意見ページの説明を見て上げたは良いが、適正サイズとやらが分からないのでお手数おかけする。 -- (名無しさん) 2011-02-03 07 33 57 協力に感謝致します。 カラーに関しては了解しました。 現状このWikiの利用者数自体が多いとは言えず、賛否その他の意見が集まりにくい事もありますので、一応1ヶ月程度間を持ち、その間に反発や我こそはと言うよりそれらしい画像のアップロード等がなければ、この画像でα・βのページも編集することに致します。 ただ、当然ながらWikiの編集は利用者全てに認められている権利ですので、他の誰かが編集する自体も十分考えられ、あくまで自分個人はそのように対応する、と言うお話です。 少なくとも1ヵ月後にはそちらのページも完成している、程度に認識して下されば幸いです。 -- (名無しさん) 2011-02-04 05 55 55 クイックスイム情報感謝。 今更だが他の水着系もちび含め概ね水着にはクイックスイム、それも無開放からと相場が決まっているように思える。 以上から憶測に過ぎないが、一応Lv5開放なしで取得可能と表記した。 何方かに確認をお願いしたい。 -- (名無しさん) 2011-02-04 06 05 38 このセラフは他のセラフと違い、HDとBSにスロットがそれぞれ3つあるため、ジアス特有のスロット不足に悩まされることがない。それにより、全体パーツが微妙でも、LGからBSを増設してスロットを増やすといったコスト消費もないので、切り詰めたチューンをすれば、ノーマルセラフに肩を並べる機体にもなりうる…と思う。それとあまり大して気になることでもないので蛇足だが、ウィング展開中は無音飛行になる。 -- (名無しさん) 2011-02-05 20 10 14