約 40,421 件
https://w.atwiki.jp/flightglide/pages/335.html
操舵手ヘボンの受難#28 『馬賊・ラーヂ』 朝焼けに染まる空を天高く上っていくグランヴィナスの真下と側面にぴったりと計四機のグランビアが食らい付く。 それはまるで獲物を追う猟犬の様に機敏で、そして残忍な様子を思わせた。 だが、機体性能に幾ら差があるといえど、ここまでグランヴィナス一機で持ち堪えている様は既に奇跡的とも言える。 上昇速度も旋回性能もグランヴィナスがグランビアより劣っていることなど、軍務に就く者ならば大体知っている。 だからこそ、その異様な光景にコアテラの銃座にて上空を見上げる三人は、周囲の状況に注意しながらもそれから目が離せなくなっていた。 「一体、どうなってるんだ。 まだ墜とされねぇとは、彼奴ら遊んでやがるのか?」 ニールが唖然としつつも、ヘボンに顔を向けてくる。 その顔には明らかな疑問の色と何処か興奮する色が浮かび、状況に対して理解が追いついていないような節を見せるが、そこには古の騎士物語に興奮する少年の面影さえある。 そして、その質問に対してヘボンが返答に困っていると、脇からエーバ准尉が口を開いた。 「いや、連中も必死だ。 生体音を聞けばわかる…相当、無茶を掛けているが…グランヴィナスの音色はまだ余裕だ…まだ、昇る」 彼女は傷口を今更痛むかのように抑えながらも、頭を上空へ向けている。 その言葉を聞いたとおりヘボンは空へ耳を澄ました。 高い空へと遠ざかっているというのに、戦闘機達の生体音は一層はっきりと響いてくるような気がする。 グランビア四機の喧しいまでの生体音の合唱は、何処か悲鳴にも似た感触をヘボンに与えてくる。 確かに彼女の言うとおり、黒翼隊のパイロット達は必死でグランヴィナスへ食らい付く為に生体器官に無茶を掛けているらしい。 だが、そのグランビア達の生体音に混じって響いてくるグランヴィナスの生体音は、四機もの大音量にかき消されるわけでもなく、透き通るまでの凜とした調子を保って響いてくる。 (…落ち着いている) ヘボンは咄嗟にそう思った。 この様な状況においても、あのグランヴィナスは微塵も取り乱してはいないのだ。 長い間、操舵手を勤めた者にとって、生体音の多少の乱れについて、幾らかは許容してしかるべき物であったが、それは巨大な艦船だからこその寛大さからなるもので、戦闘機にとっては生体音の乱れは命取りだ。 敵機と入り乱れている際に、一瞬でも生体器官が操縦手の命令に反して動きを乱せば、それが大きな隙となる。 その点アーキル連中との空戦に対しては、自由自在に動く三次元戦闘で帝国軍は翻弄できるのであるが、これが同軍同士となると、その隙の探り合いが要点となってくる。 そんな隙を晒し始めているグランビア達ではあるが、これは多勢という利点と、追撃陣形の有利さから、辛うじてグランヴィナスの反撃を受けないでいるような始末だ。 「生体器官の個体差だ…だが、中尉のグランヴィナスをあそこまで巧みに扱うとは…中尉以外誰にもアレは乗りこなせなかった筈なのに…」 ヘボンの耳に、エーバ准尉の呻く様な声が聞こえてくる。 「もしかすると…奴はあの技まで知って…いや、知っている筈だ…月ならば…」 彼女は何か意味深な事を呻きながら、痛みを堪えて視線を空へ向け続ける。 その瞳には薄らと何か光る物が滲んでいる事を、ヘボンは脇目に見た。 「技でありますか?」 「…そう、姉も私も中尉にはよく教わったが、大半は習得すら出来なかった」 彼女は痛みを堪えながら、少しわざとらしく薄ら笑いを浮かべた。 そして、ヘボンは彼女の言葉をしっかりと聞くに、彼女も戦翼乗りであることがこの時点でわかった。 あれほど白兵戦で大暴れしておきながら、操縦手でもあるのだとわかると少々薄ら寒い物を感じる。 「…軍曹、よく見ておけ。 始まるぞ」 その薄ら笑いを彼女はすっとかき消して、真剣な眼差しを再び空へと向けた。 言われたとおりにヘボンは息を呑んでまた空へ視線を向かわせると、機体群にある程度の変化が起きていた。 随分な高度まで上昇したせいか、四機のグランビアは真っ直ぐと上昇を続けていたせいにより、幾らかの生体器官に痙攣を起こし始めていた。 人で例えるとすれば、ちょうど息切れを起こしているような状態であり、少しずつであるが上昇速度も僅かに衰えを見せてきている。 いい加減に包囲陣形に痺れを切らしたのか、逃げおおそうとするグランヴィナスに最も近い機が散発的に搭載機銃を見舞っているが、その射線を躱すグランヴィナスは鮮やかに舞う。 そして、遂に准尉の言う『ソレ』が始まった。 距離を詰めようとするグランビアの前から、突如グランヴィナスが姿を消した。 雲の中へ潜った訳でも、朝焼けの日光を盾にした訳でもない。 文字通りコアテラの銃座から死闘を眺める3人の目からは消えたように見えた。 一同は少しの間当惑したが、それはグランヴィナスを追っていたグランビア達も同様であり、追撃陣形が大きく乱れ、四機はその場で一旦散らばった。 そして、散らばった途端に陣形の最も後方にいたグランビアに赤く光る亀裂が入ったように見えた瞬間。 機体の筋という筋から爆炎を吹き上げて、機体が炎上した。 「なんだ?!」 ニールが驚愕の叫びを上げると同時に、今度はその付近にいたグランビアが後を追うようにこれと言った動きを取る前に爆発する。 何が起きているのか一同は理解できなかったが、ヘボンの目が朝焼けの光の中で煌めいた光の様な筋を作った曳光弾の射線を捉えた。 その射線は下方からグランビアを狙い撃ったようであり、その射撃を加えた主は散開するグランビア達の遙か下方にいた。 それは勿論、ミュラーの曹長が操るグランヴィナスに違いなかったが、その射撃姿勢はあまりにも異様でヘボンは何度も自分の目を疑ってしまった。 射撃を加えたグランヴィナスは機首を天に向けたまま高速で降下しているのだった。 「落ちながら撃ってやがるのか?」 ニールもその珍事に気付き、再び驚愕の声を上げながら、目を丸くして空を睨んでいる。 まるで狐に摘ままれたような調子だった。 グランヴィナスは確かに落下しているが、その機体姿勢は揺らぐことも無く、上昇姿勢のまま落下するという矛盾した動きを見せている。 そして、追撃を加えんとばかりに、その姿勢のまま機首を少しだけ揺らし、上方のグランビア達へ搭載された三連22mm機関砲を見舞う。 敵機達もようやく、グランヴィナスの巫山戯た動きに気付くと、算を乱して逃げだそうとしている。 「…一旦、生体器官の動力源を強制停止させてから、重力に任せて落下する。 これによって追撃してきた連中の死角を縫って後方に付けるが、射線を一定に保ち、再起動するまでの合間は無防備となる…」 エーバ准尉が傍らで、思い出すかのように呟いている。 「だが、再起動までのプロセスを短縮させることにより、即座に追撃が可能…」 そんな彼女の呟きを形にするかのように、上空からグランヴィナスの生体音が鋭く鳴り響いた。 あれだけの合間に生体器官を強制停止させておきながら、すぐに再起動を行ったのだ。 本来なら幾ら早くても数分は掛かる作業を、あの曹長はたった数十秒の内にやってしまったのかと、ヘボンは人間離れした技術に戦慄を覚えた。 再起動が行われた時の生体音は今までに溜まりに溜まった怒りが爆発するかのように、雷鳴が朝焼けの空に轟いたかのようにヘボンに思えた。 「…月が使った対帝国機対策の離脱戦法…。 奴に出来ないわけも無いか…」 満足げにエーバ准尉はそう言葉を締めると、瞼をゆっくりと閉じて銃座の縁に項垂れるようにして動かなくなってしまった。 化け物じみた動きで反撃に転じたグランヴィナスに対して、グランビア達は為す術も無く、瞬く間に二機を失ってしまうと、戦意が喪失したと見えて逃げに転じた。 この様子を幾らか離れていた位置から伺っていた黒翼隊のドゥルガ級もすぐさま、その巨躯を反転させていく様が見える。 逃げるときだけはグランビアの速度が頼りになったか、追撃姿勢にグランヴィナスが移る頃には生き残った二機は反転するドゥルガ級を護衛するようにぴったりとその周囲を飛んでいた。 流石にしっかりと対空防御を固められては、曹長も手が出せないのか少し手を拱くように、距離を取っている。 その様子を見てなんとか生き残ることが出来たとヘボンとニールは確信したが、問題は山のように残っていて、それが現在丘の方から土石流の様に襲ってきていた。 「…ヴァ型共が動いたっ。 こっちに来るぞ」 銃座より視線を地上へ戻せば、先程から黒翼隊のドゥルガ級へ対空射を加えていたヴァ型達が丘の中央から二機此方へ跳ねながら接近してくるのが見える。 しかも、朝焼けが目映い丘の頂上からは先程の無線で傍受した内容通りの、騎兵と思わしき集団がヴァ型の後に続いてこっちへ向かって真っ直ぐに向かってきていた。 「真っ黒けの次は馬賊ときたもんだ…」 ニールは絶望したように呻きながら、それでも動かなくなってしまったエーバ准尉の容態を見るように傍らに蹲った。 幸い准尉の容態とは一時的な失神状態であると、言葉少なにニールは言ったが、今はそんなことよりも迫る危機に対処する必要がある。 しかし、現状では抗うことはおろか、逃げ出すことも出来そうになく。 ヘボンは准尉の容態に少し安心したような顔をしたと同時に、正面から迫る危機に対して顔を歪めることしか出来なかった。 「ヘボン…すげぇ言いにくいことなんだが」 ふと、そんな弱々しい声でニールがヘボンへ話しかけてきた。 差し迫った状況により、彼の声は恐怖と興奮に震えていて、それはヘボンも同様ではあったものの、彼が何を言いたいかは今までの経験からしてすぐに察する事が出来る。 「俺は准尉と逃げるから…お前は「嫌だ!!」 弱々しい調子ではあったが明らかに図々しい色が言葉に見えたヘボンは、ニールの発言を喰い気味に遮った。 「まだ何も言ってねぇじゃないか」 「『囮』になれと言いたいんだろう? 今更、私が一人出たって、どうしようもないよ」 「てめぇの面なら、きっと馬賊も逃げ出すぜ」 「んな馬鹿なことがあるか」 危機的状況に判断能力も参ってしまったのであろう、ニールの世迷い言を震える声で一蹴しながら、ヘボンは迫ってくる馬賊達に対して、何かする手はないかと考えた。 降伏の証として白旗でも振ってみようかとも思ったが、連中にとっては別に白い旗だろうと赤い旗だろうと皆殺しにするのであろうことは、ニールの話から察しが付いたので無駄な事だと諦めた。 なら、せめて帝国軍人らしく抵抗してみせようかとも一瞬思いもしたが、それをするにしても武器が無い。 肉体が武器のような准尉は失神してしまっている。 そんな考えが全く纏まらないうちに馬賊達のヴァ型が一機、先頭をきって走り寄ってくる。 ヴァ型の櫓に備えられた四連対空機銃が朝焼けに輝く様は、死刑執行人が振り下ろさんとする斧の輝きに似ていた。 「もう終わりだ! 殺されるんだ!」 ヘボンはそう絶望に満ちた悲鳴を上げ、頭を抱えて銃座の上に無様に蹲った。 ヴァ型がその機銃をいつ放つか、それとも殺戮者が銃座に剣や小銃片手にいつ乗り込んでくるのかと思うと、ヘボンの体から力が一気に抜けていく。 頭を銃座の縁に押しつけては、最期の瞬間をこの目に焼き付けたくないという、全力で現実逃避したいという意思が表れている。 だが、その瞬間は中々訪れなかった。 意外とこういう場合においては時間の流れが緩慢になるものだと、ヘボンの脳裏にぼんやりと何処かで読んだような話が過ぎるが、幾ら待ってもその時は訪れない。 「軍曹!」 その際に誰かが、ヘボンの事を呼んだ。 しかし、恐怖のあまりにヘボンは身を震わしたまま面を銃座の縁に押しつけたままである。 「軍曹、何をしているのでありますか?」 再度誰かがヘボンの事を呼んだ。 だが、きっと面を上げた途端に顔に鉛玉をぶち込まれるんで無いかという、途方もない被害妄想に恐怖したヘボンはまだ顔を上げない。 「俺です。 ベルンです」 また誰かの声がした。 だが、半ば錯乱状態に陥ったヘボンは、その名前が誰であるのか少々理解に苦しんでいた。 何処かで聞いた名前であると言うよりは、数刻前に会話にも出た名であると思ったが、それでも恐怖が先行していてヘボンは体を丸めたままであった。 「俺です。 ベルン・シュタリット軍曹です」 再度誰かは名を名乗った。 しかも、今度は名乗るだけではなく銃座に軽く身を入れると、ヘボンの肩を柔らかく掴んで、少々強引に其方へ顔を上げさせた。 その時のヘボンの表情がどのような物であったかは、文章で表現するには困難を極めるものであり、思わずその誰かも一瞬小さく戦きながら半歩ほど後退った程だった。 だが、ようやくの事で恐る恐るヘボンが瞳を開くと、眼前には少々呆れたような顔をしているベルン軍曹の傷だらけの顔があったので、ヘボンは体内に溜まった恐怖を排出するように大きく息を吐いた。 「ご無事で、軍曹」 ベルン軍曹はそう物騒な顔には不釣り合いなほどに、優しい面持ちだった。 産業塔の騒ぎにおいて駆けつけた彼の姿は、まるで天使の様だとヘボンはあの時感じたが、ここまで来ると彼が女神の様にすら思えてくる。 そして、不気味さまで覚えるような彼の顔から、ヘボンが少し視線を逸らすと、銃座の隅でニールが失神しているエーバ准尉の巨躯を盾にしていた。 「…なんとか、間に合って良かった。 黒翼隊は曹長がなんとか撃退しました」 「でも、ラーヂがすぐそこにっ!」 此方を落ち着かせようとするベルン軍曹に対して、ヘボンは泣き崩れる少女のような見苦しいまでに哀れな声を出したが、彼はそれを不敵な笑みで一蹴した。 「あぁ、それはいいんです。 連中は味方です」 そうベルンは答えると、ヘボンの肩を持って立ち上がるように促してきた。 それに対してヘボンは腰が抜けていたものの、彼の力を借りながらなんとか銃座から立ち上がって、外の様子を恐る恐る見てみると、そこには准尉と同じようにヘボンを失神させるほどの光景が広がっていた。 あまりにも恐怖に怯える時間が長すぎたせいか、コアテラの周囲にはヴァ型が一機どころか四機も集まって四方を囲み、更にその足下には50程の騎兵と思わしき連中が屯っている。 眼前のヴァ型の櫓には変わった装いの人間達が佇んでいる。 彼等は全身を包帯で覆い、胸部や脚などを何か生物性の皮で作ったと思われる鎧で固め、頭には皆同じような形をした兜の様な頭巾の様な不思議な帽子を被っている。 腰には皆一様という訳ではないが、装飾の施された鞘に収められた曲刀を下げ、背中には歪な形をした小銃を背負い、中には槍を携えた者までいる。 そんな異様な武装集団に包囲され、ヘボンは戦き呻いたが、不思議なことに周囲を囲む連中も驚いたように呻いて見せた。 いや、呻くどころではない。 下手をすればさっきのヘボン程見苦しい様を見せる者までいた。 ヴァ型の櫓に立っていた男は、ヘボンの顔を遠目に見た途端に悲鳴を上げて後退り、勢い余ってヴァ型から落下しそうになっている。 中には低く泣き声をあげて地面に蹲って土下座している者も見えた。 その異様な光景にヘボンは舌を巻いて、どうしたものかとラーヂ達を見回す事しか出来なかった。 コアテラの銃座を一周するようにヘボンが見回してから、ヘボンは当惑した眼差しをベルン軍曹へ向けた。 困り果てるヘボンに対し、ベルン軍曹の顔は至って落ち着いた様子で、少し銃座の縁に腰掛けてから口を開いた。 「…連中は軍曹達に対して、危害を加える者達ではありません。 挨拶して迎えにきただけです」 「挨拶?」 ヘボンは阿呆のように口を開けたまま、思考が停止していた。 一体ベルン軍曹が何を言っているのか言葉の一つ一つを飲み込んで咀嚼するように理解することが、今はあまりに困難なことにすら思えた。 「兎に角、移動しましょう。 ここは危ないですし、説明は移動中にするであります」 ヘボンが放心状態からそう簡単に復帰できないことを察すると、ベルンは小さく溜息を吐いてからコアテラを取り囲むラーヂ達へ何かの合図であるのか、大きく手を振った。 4機のヴァ型に引きずられるコアテラの姿は、まるで捕食生物に巣穴へと連れ去られるような哀れな獲物の様にも見えたし、もっと穏やかな母に引きずられる子の様にも見えなくもなかった。 ラーヂ達はヴァ型に備え付けてあったワイヤーでコアテラを素早く固定してから、少しだけ生体器官を浮上させ『ソリ』替わりなのであろうか、彼らの乗っていた騎馬といえばいいのか、甲殻生物特有の硬そうな外皮で身を覆った平たい生物をコアテラの下にやんわりと敷いた。 そして、そのままコアテラが牽引されていく様子をヘボンは銃座から見ていた。 傍らには彼と同様に呆然とした表情で突っ立っているニールがいる。 「…それで、説明をお願いしたいのでありますが…ベルン軍曹殿」 ある程度の時間を置いてから、ヘボンは依然とした当惑した眼差しをベルンへと向ける。 彼は暫くの間、前方を眺めていたが、まるで観念したかのように此方へ振り向いて口をゆっくりと開いた。 「…まず、何から話せばいいかわからないですが…、ヘボン軍曹殿。 正直な話、俺はラーヂ…いや、『ラッシジア』の出なんです」 彼は重たげな面持ちでそう言うと、少し目を伏せた。 何処か感傷めいたその表情に対して、ヘボンはまだ阿呆の様な面を向ける事しか出来ないでいた。
https://w.atwiki.jp/partenopea/pages/141.html
9/8 ユスティニア 最近ますます日誌の更新が無くて少し寂しい管理人ユスティです。さて、今週末の大海戦に向けてせっせと修行中のユス一門3人目の刺客アルトゥリックス君ですが、おかげさまであと一息で戦列艦、といったところです。まあ、レベル的に戦列艦に乗れたとしても、果たして操舵7で船がしっかり取り回し出来るのかははなはだ怪しいわけですが・・・。戦列艦乗るなら素で操舵10は欲しいところです。まあ、こっちは間に合いそうにないので今回は仕方ない、せめてブーストだけはしておくという方針で何とかこなしましょう。 さて、最近どういう訳だか商会内で海事上げが盛んになっておりましてユスティとしては嬉しい限りです。で、ユスティお勧めの船のご紹介。ユスティは対NPC戦に関しては「速力」が一番重要だと思っています。というのも主に狩り取っている敵が、以前書いたように白兵スキー、ラムスキーのタイプだからです。こいつら、動きがアホなので何度でも頭クリを取ることが出来るのですが、こちらの速力が足りていないとどうしても追いつかれてしまって白兵、あるいは衝突という自体になってしまいます。そのためにまず大事なのは速力。火力はそのために犠牲にしてもいい、とさえ思っています。(ただし、砲術系の熟練は砲スロットの数に比例して増えるので、スロットの少ない船でやるのももったいない気がしたりもします) その速力を確保するためには何が重要か。基本的な帆性能も当然ですが、それ以上に重要なのは旋回性能だと思われます。というのも、S字頭クリ戦法を取る場合、どうしても転舵回数が増えそのたびに減速してしまうからです。しかし船の旋回が高ければ、あまりひどく減速せずにさっくり転舵が終わり、そこからの再加速もスムーズに行えます。というわけでお勧めは足が速くて小回りの効く船。ずばり、ガンボート>コルベット>戦闘用ガレオン(-18)の流れをお勧めします。足回りだけでいえばコルベットのままでも良いのですが、やはり砲スロットが少ないと熟練が減ってしまうのがもったいないです。その点最大減量の戦闘ガレオンは足回りもそこそこ良いですし4スロット積めますし、大変バランスの良い修行用の船だと思われます。欠点といえば、白兵には期待できない、というところでしょうか。あっという間に砲撃必要人数を割りこんでしまうために、すぐにフルファイヤできなくなってしまいます。これから海事上げしようかな、という方のご参考になれば幸いです。ユスティでした♪
https://w.atwiki.jp/ggenewars/pages/233.html
スカウト可能キャラユウ・カジマ エイガー フォルド・ロムフェロー ルース・カッセル リョウ・ルーツ マフティー・ナビーユ・エリン キンケドゥ・ナウ トビア・アロナクス スカウト可能キャラ 以下のマスターキャラを選ぶことでスカウト可能になる。 アムロ(1st)→ユウ、エイガー、フォルド、ルース ジュドー→リョウ アムロ(CCA)→マフティー シーブック→キンケドゥ、トビア ユウ・カジマ データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 冷静 310 普通S(390) 60900 諏訪部順一 512 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 23 23 23 23 0 10 A A C B C 20 30 30 30 30 20 55 53 63 81 58 38 45 99 92 95 99 91 75 60 A A C B C アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 蒼い死神 特定のキャラクターアビリティを持つ相手に強くなる 初期 寡黙 守備値と防御力アップ Lv6 練達 ユニット地形適性1段階上昇(適性が無い場合は無効) Lv18 真面目 キャラクター獲得EXPアップ Lv32 見切り キャラクターアビリティ無効化 Lv60 備考 ブルーディスティニーの主人公。初期値はそれほどでもないが、成長率が非常に高く、最終的には今作三位の高ステータスになる強力なキャラクター。 練達・見切りなど有用なアビリティを覚えるので使いやすい。 蒼い死神は使用武器と相手を選ぶが、比較的強力な機体に乗ってくる敵NT等のエース級の相手に大きなダメージを与えられるようになる強力な固有アビリティ。 蒼い死神の対象外に対する攻撃力アップ要素が無い事で、通常時のパンチが少々弱い事が難点。基本的には高い能力と防御アビリティを生かし、じっくり戦うタイプ。 専用機のブルーディスティニーはENが少なくEXAM連発は難しいので、じっくり強化するか他の特殊武器持ちの機体を探すこと。 エイガー データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 普通 310 普通B(320) 51400 中井和哉 427 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 27 13 19 23 0 10 A - - - A 30 15 99 A - - - A アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 射手 射撃値アップ 初期 機械技術 戦艦に帰還したMSの回復速度アップ Lv5 地上戦闘適応 地上戦での戦闘能力アップ Lv18 熱血 テンションの上昇で能力アップ Lv30 スナイパー 射撃武装の射程+1(特殊な射程は除く) Lv50 備考 ジオニックフロントのボスキャラ。能力、アビリティ共に射撃に特化しており支援役として優秀。 最終的なステータスも割りと高めで長射程の機体に乗せればなかなかの活躍を見せる。 整備適性が高く機械技術も持つので、或る程度キャラが揃ってきたらハンガーに回しても良い働きをしてくれる。 フォルド・ロムフェロー データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 強気 350 普通B(320) 48100 うえだゆうじ 425 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 21 20 24 16 0 9 A - - - B 40 15 99 A - - - B アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 無謀 反応値が減少する変わりに攻撃力アップ 初期 熱血 テンションの上昇で能力アップ Lv3 身軽 Mサイズ以下のMSユニット搭乗時、機動力と回避率アップ Lv16 空間戦闘適応 宙間戦闘での戦闘力アップ Lv35 熟練 全武装のEN消費5%減少、命中率アップ Lv45 備考 宇宙、閃光の果てに…の主人公。 初期はそこそこだが、成長率がいいため最終的には比較的高いステータスになる。 無謀で攻撃力補正、身軽で回避補正、熟練で命中率補正と戦闘に必要なものが揃っているため、実戦では数値以上に活躍してくれる優秀なキャラになる。 コストも安めで1年戦争時の外伝キャラの中では最も即戦力になりうる。 ルース・カッセル データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 冷静 350 普通B(320) 47900 増谷康紀 429 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 23 23 20 24 0 9 A - - - C 40 40 10 99 A - - - C データ 名前 効果 取得条件 備考 慎重 反応値と守備値アップ 初期 射手 射撃値アップ Lv4 集中力 回避コマンド選択時、回避率アップ Lv18 空間戦闘適応 宙間戦闘での戦闘力アップ Lv30 底力 HP50%以下で発動、攻撃力・防御力アップ Lv45 備考 宇宙、閃光の果てに…より出演。初期値も悪くなく、序盤からバランス良く成長するため安定感がある。 アビリティはパイロット補正が主なので、基本能力とあわせ強力になる。 ダメージアップを持たないので相棒のフォルドに比べて多少爆発力に欠ける感はある。 リョウ・ルーツ データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 強気 270 普通C(290) 42900 藤原啓治 388 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 21 21 18 21 0 7 A - - - - 20 10 99 A - - - - アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 好戦 格闘値と射撃値アップ 初期 無謀 反応値が減少する変わりに攻撃力アップ Lv8 白兵 格闘値アップ Lv17 怒り HPが減少するごとにクリティカル率アップ Lv35 熱血 テンションで能力アップ Lv45 備考 SENTINELの主人公。能力はあまり高くないが、アビリティが攻撃重視なため単機の無双には向く。 無謀と怒りがあるから、ゲーム中でもやはりALICEの起動プラグ係が適任か。 マフティー・ナビーユ・エリン データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 普通 330 普通A(350) 70000 佐々木望 473 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 23 23 21 24 25 8 A B C A B 99 A B C A B アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 慎重 反応値と守備値アップ 初期 ニュータイプ 反応値・覚醒値が上昇 Lv5 気合 テンションが上がりやすくなる Lv15 熱血 テンションで能力アップ Lv32 統率力 指揮能力アップ Lv50 備考 閃光のハサウェイの主人公。本名はハサウェイ・ノアでブライトの息子。 主人公にしては初期能力が低めだが、成長率が高いのですぐにエース級になる。 アビリティで反応が+30され生存率が高く、熱血も気合と低めの最大MPのおかげですぐに発動するため、補正を含めた能力は最高クラス。 NTで覚醒の伸びも良いので、乗機Ξガンダムのような高機動で覚醒持ちのMSに乗せると良い。 キンケドゥ・ナウ データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 普通 400 普通B(320) 70600 辻谷耕史 467 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 27 27 28 27 30 8 A A C B B 99 A A C B B アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 ニュータイプ 反応値と覚醒値アップ 初期 熟練 全武装のEN消費5%減少、命中率アップ Lv4 反射神経 反応値アップ Lv16 気合 テンションが上がりやすくなる Lv34 見切り キャラクターアビリティ無効化 Lv45 備考 クロスボーン・ガンダムより出演。本名はシーブック・アノー。 F91の主人公と同一人物だが、今作では共に運用する事が可能。 初期能力こそシーブック時より上だが、最終的な能力は少しだけ劣るので注意。 シーブック時と比べると攻撃アップがない分パンチ力に欠けるが、代わりにアビリティによる反応+38で高い生存率を誇る。 トビア・アロナクス データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 普通 280 晩成A(350) 67300 山口勝平 483 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 21 22 22 20 40 8 A C C A A 99 A C C A A アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 身軽 Mサイズ以下のMSユニット搭乗時機動力と回避率アップ 初期 ニュータイプ 反応値と覚醒値アップ Lv4 白兵 格闘値アップ Lv15 熱血 テンションで能力アップ Lv34 怒り HPが減少するごとにクリティカル率アップ Lv45 備考 クロスボーン・ガンダムの主人公。ニュータイプにも関わらずMPが280という脅威の少なさ(他はたいてい400越え)なので戦闘開始後すぐに超強気までもっていける。 ただ、主人公にしてはステータス初期値がやや低めで晩成なので序盤は伸び悩むが最終的には主役NTの中でもトップクラスの能力になる。 身軽持ちなので、高い格闘値と白兵を生かせる愛機クロスボーン・ガンダムX1フルクロスなどMサイズで格闘の強い機体が向くが、優秀なNTなので覚醒持ちに乗せても良い。
https://w.atwiki.jp/ggenew/pages/835.html
スカウト可能キャラ [#t3dc6995] ユウ・カジマ [#baa867c5] エイガー [#m381da9b] フォルド・ロムフェロー [#l512113d] ルース・カッセル [#i625f7aa] リョウ・ルーツ [#pe1665f4] マフティー・ナビーユ・エリン [#d6b71937] キンケドゥ・ナウ [#m7bddf2e] トビア・アロナクス [#l7d81a24] スカウト可能キャラ 外伝キャラをスカウトするには対応した作品をマスターキャラで選ぶことでスカウト可能になる。 1st→ユウ、エイガー、フォルド、ルース ZZ→リョウ CCA→マフティー F91→キンケドゥ、トビア ユウ・カジマ データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 冷静 310 普通S(390) 60900 諏訪部順一 512 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 23 23 23 23 0 10 A A C B C 20 20 55 53 63 81 58 38 45 99 92 95 99 91 75 60 A A C B C アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 蒼い死神 特定のキャラクターアビリティを持つ相手に強くなる 初期 寡黙 守備値と防御力アップ Lv6 練達 ユニット地形適正1段階上昇(適性が無い場合は無効) Lv18 真面目 キャラクター獲得EXPアップ Lv32 見切り キャラクターアビリティ無効化 Lv60 下手なNTや強化人間より強いOT。シミュレーションでアムロを倒した話は伊達じゃない。おそらく今作最強の一角。 成長率はよく、アビリティも優秀、少し鍛えてやれば非常に使い勝手のいいパイロットになる。 蒼い死神の効果でNT等に滅法強い。下手したら本当にアムロより強いかも。 Lv20 射撃44 格闘35 反応52 守備26 魅力21 で覚醒せず。Lv以外必要能力がある模様。 Lv20 射撃37 格闘34 反応32 守備38 魅力25 で覚醒(20)。 エイガー データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 310 51400 中井和哉 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 27 13 19 23 0 10 A - - - A 15 99 A - - - A アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 射手 射撃値アップ 初期 機械技術 戦艦に帰還したMSの回復速度アップ Lv5 地上戦闘適応 地上戦での戦闘能力アップ Lv18 熱血 テンションの上昇で能力アップ Lv30 スナイパー 射撃武装の射程+1(特殊な射程は除く) Lv50 ジオニックフロントから出演。 原作では主人公(プレイヤー)がジオン側のため、敵として登場したガンダムパイロット。 砲撃系モビルスーツとの相性はアビリティやステータスを見ての通り高い。 Lv30射撃45格闘28反応43守備45魅力34で覚醒(15) フォルド・ロムフェロー データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 強気 350 普通B(320) 48100 うえだゆうじ 425 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 21 20 24 16 0 9 A - - - B 15 99 A - - - B アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 無謀 反応値が減少する変わりに攻撃力アップ 初期 熱血 テンションの上昇で能力アップ Lv3 身軽 Mサイズ以下のMSユニット搭乗時、機動力と回避率アップ Lv16 空間戦闘適応 宙間戦闘での戦闘力アップ Lv35 熟練 全武装のEN消費5%減少、命中率アップ Lv45 備考 宇宙、閃光の果てに…より出演。 サラブレット隊のガンダム5号機パイロット。お調子者系主人公。相棒のルースを失ってからは精神的に成長した姿を見せた。 無謀を早期に習得するので攻撃力補正、身軽で回避補正、熟練で命中率補正と戦闘に必要なものが揃っている、よってアビリティを鍛えれば化ける。 Lv40射撃47格闘51反応51守備45魅力33で覚醒(15) ルース・カッセル データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 冷静 350 47900 増谷康紀 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 23 23 20 24 0 9 A - - - C 10 99 A - - - C データ 名前 効果 取得条件 備考 慎重 反応値と守備値アップ 初期 射手 射撃値アップ Lv4 集中力 回避コマンド選択時、回避率アップ Lv18 空間戦闘適応 宙間戦闘での戦闘力アップ Lv30 底力 HP50%以下で発動攻撃・防御アップ Lv45 宇宙、閃光の果てに…より出演。死亡ルートと生存ルートが存在する、作中におけるキーパーソン。 サラブレット隊のガンダム4号機パイロット。 アビリティはパイロット補正が主なので微妙、とはいえ元々の能力とあわせ強力になる事に違いないが。 Lv35射撃51格闘40反応42守備48魅力38で覚醒10しました Lv37射撃48格闘40反応43守備51魅力45で覚醒10、格闘40が条件か リョウ・ルーツ データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 強気 270 42900 藤原啓治 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 21 21 18 21 0 7 A - - - - 10 99 A - - - - アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 好戦 格闘値と射撃値アップ 初期 無謀 反応値が減少する変わりに攻撃力アップ Lv8 白兵 格闘値アップ Lv17 怒り HPが減少するごとにクリティカル率アップ Lv35 熱血 テンションで能力アップ Lv45 SENTINELより出演。 今回はジュドーを最初のマスターキャラにすればすぐスカウト可能。 このキャラクターの性格を象徴するかのような好戦的なアビリティが揃う。 無謀と怒りスキルの存在から、やはりゲーム中もALICEの起動プラグ係りが適任か。 Lv20射撃36格闘30反応28守備31魅力20で覚醒(10) Lv20射撃30格闘32反応28守備30魅力25で覚醒(10) Lv20が条件か マフティー・ナビーユ・エリン データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 普通 330 普通A(350) 70000 佐々木望 473 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 23 23 21 24 25 8 A B C A B 99 A B C A B アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 慎重 反応値と守備値アップ(初期値+2) 最初から ニュータイプ 反応値・覚醒値が上昇(初期値+3 Lv2-Lv5 +1,Lv6-Lv9 +2,MAX +3) Lv5 気合 テンションが上がりやすくなる Lv15 熱血 テンションで能力アップ Lv32 統率力 指揮能力アップ Lv50 閃光のハサウェイより参戦。本名はハサウェイ・ノア。ブライトの息子である。原作での壮絶な最期はあまりに印象深い。 今作ではハサウェイ・ノアへの容姿変更はなし。 主役級NTにしては成長率が高め、熱血も気合と最大MPのおかげですぐに発動する。 キンケドゥ・ナウ データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 普通 400 70600 辻谷耕史 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 27 27 28 27 30 8 A A C B B 99 A A C B B アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 ニュータイプ 反応値と覚醒値アップ 初期 熟練 全武装のEN消費5%減少、命中率アップ Lv4 反射神経 反応値アップ Lv16 気合 テンションが上がりやすくなる Lv34 見切り キャラクターアビリティ無効化 Lv 45 クロスボーン・ガンダムより出演。 F91のシーブック・アノーと同一人物である・・・がゲーム内ではシーブックと共に運用する事が可能。 シーブック時と比べるとアビリティが落ち着いてしまった感はある。ただ見切りは有用。 「感性」の超強気での爆発力を失った代わりに安定した強さを手にしたシーブック。 トビア・アロナクス データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 普通 280 晩年A(350) 67300 山口勝平 483 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 21 22 22 20 40 8 A C C A A 99 A C C A A アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 身軽 Mサイズ以下のMSユニット搭乗時機動力と回避率アップ 初期 ニュータイプ 反応値と覚醒値アップ Lv4 白兵 格闘値アップ Lv15 熱血 テンションで能力アップ Lv34 怒り HPが減少するごとにクリティカル率アップ Lv45 クロスボーン・ガンダム、およびスカルハート、鋼鉄の七人より出演。 主人公でニュータイプなのにも関わらずMPが280という脅威の少なさ。(他はたいてい400越え)なので戦闘開始後すぐに超強気までもっていける。 もちろん主人公として申し分ない能力をもっているのでかなり使いやすいキャラである。 ただ、ステータス初期値がやや低めなのが難点ではある。
https://w.atwiki.jp/ggenewars/pages/75.html
シナリオ攻略 シナリオ クリア ボーナス CAPITAL ACE POINT CLEAR BREAK1 BREAK2 1位 2位 3位 20000 20000 25000 +70 +60 +50 勝利条件 敵軍ユニットの全滅 敗北条件 マスターユニットが撃破 自軍が全滅 ウッソが撃破 マーベットが撃沈 ロベルトが撃沈 攻略条件 WARS TRIGGER ウッソとカテジナが交戦 ウッソとファラが交戦 初期配置 自軍 機体 パイロット(艦長) 出撃数 備考 ホワイトアーク マーベット・フィンガーハット 1 通信 エリシャ・クランスキー操舵 カレル・マサリク整備 ウォレン・トレイスゲスト マルチナ・クランスキー L M V2アサルトバスター ウッソ・エヴィン 1 出撃済 L ガンブラスター オデロ・ヘンリーク 1 リーダーはオデロ出撃済 ガンブラスター トマーシュ・マサリク 1 リーンホースJr. ロベルト・ゴメス 1 通信 ネス・ハッシャー操舵 オーティス・アーキンズ整備 ロメロ・マラバル L Vガンダム・ヘキサ コニー・フランシス 1 リーダーはコニー出撃済 Vダッシュ・ガンダム フランチェスカ・オハラ 1 L Vガンダム・ヘキサ ユカ・マイラス 1 リーダーはユカ出撃済 Vダッシュ・ガンダム ミリエラ・カタン 1 敵軍 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 リグ・コンティオ クロノクル・アシャー 1 700 ウッソ狙い ゴトラタン カテジナ・ルース 1 700 ブルッケング ルペ・シノ 1 600 連携 ザンスカール兵 2 400 ゾロアット ザンスカール兵(熟練) 4 400 ザンスカール兵 8 300 ゾリディア ザンスカール兵(熟練) 3 400+400 ザンスカール兵 6 300+300 ゲドラフ ザンスカール兵(熟練) 2 400+400 ザンスカール兵 4 300+300 アドラステア アルベオ・ピピニーデン 1 2200 右側のアドラステア ザンスカール士官 1 2200 左側のアドラステア L ゲドラフ ザンスカール兵(熟練) 2 400+400 各艦1機ずつ ザンスカール兵 4 300+300 各艦2機ずつ アマルテア ザンスカール士官 3 800 L ゾロアット ザンスカール兵(熟練) 3 400 各艦1機ずつ ザンスカール兵 6 300 各艦2機ずつ 自軍増援 無し 敵軍増援 WB1 ウッソとカテジナが交戦 MAP下方拡張 ※ザンスカール軍 赤軍として出現。 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 ゲンガオゾ ファラ・グリフォン(強化) 1 900 ウッソ狙い リグ・シャッコー ザンスカール兵(熟練) 2 500 ザンスカール兵 4 400 シュバッテン タシロ・ヴァゴ 1 800 MAP上方拡張 ※クロスボーン軍 第三軍(黄軍)として出現。 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 ベルガ・ギロス(黒の部隊仕様) ザビーネ・シャル 1 700 デナン・ゲー(黒の部隊仕様) クロスボーン・バンガード兵(熟練) 2 400 デナン・ゾン(黒の部隊仕様) クロスボーン・バンガード兵(熟練) 4 400 エビル・S(黒の部隊仕様) クロスボーン・バンガード兵(熟練) 4 400 稀少 WB2 ウッソとファラが交戦 MAP2(前面)が追加(拡張無) MAP2 ※ギンガナム艦隊 黄軍としてMAP2上方に出現。 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 ターンX ギム・ギンガナム 1 1100 プロフィールより性能低下Iフィールド(強)→(弱)に変更月光蝶(通常・MAP兵器)無し バンデット メリーベル・ガジット 1 800 左側 MD 1 700 右側 マヒロー ギンガナム兵(熟練) 4 500 ギンガナム兵 8 400 アスピーテ ギンガナム士官 2 1700 L マヒロー ギンガナム兵(熟練) 2 500 各艦1機ずつ ギンガナム兵 4 400 各艦2機ずつ 攻略 カテジナとクロノクルはウッソとマーベットしか攻撃しない(反撃はする)ので、四方を自軍機で囲んで動きを封じると楽。該当機を範囲に入れなければMAP兵器も使われない。 WB1が発生するとエンジェル・ハイロゥが発動してMAP上に存在する自軍・友軍機のテンションが下がる為、敵ターンにWB1を発生させると弱気~混乱のユニットで戦う事態に陥る。故にWB1は乱戦時には絶対発生させてはならない。 テンションの落ち幅は、WB発生前の気力が高ければ高いほど下がる。超強気以上のユニットは必ず混乱してしまうので、外に出したまま発生させないこと。 万一に備え、慈愛を持つキャラを戦艦クルーとパイロット両方に入れておくと保険になる。テンションが落ちたユニットは一度帰還すれば良い。 戦艦内のユニットには影響がないので、WBを起こす前にウッソ以外を帰艦させるのもよい。 ちなみにゼロシステムの影響や被弾等で弱気になっている場合、逆にMPはバーの強気の50%部分まで上がる。 次のトリガーとなるファラの狙いはウッソとマーベットなので、カテジナ達と同様に対処すればゆっくりWB2を起こす事ができる。 WB2でMOVIE発生後、MAP前面が追加。 エンジェル・ハイロゥを木っ端微塵にしたのに、総スルーされるギンガナム艦隊…。 ここで出現するターンXは、他のステージで出てくる弱バージョンを強化した状態。能力値は多少高いが、月光蝶を気にする必要はない。 面移動が可能になるのでギンガナム艦隊がすべて面移動を終えたら、リーンホースJr.とスペースアークを待避させておけば狙われる心配がなくなる。 基本的にこちらから前面に移動して戦闘する必要はないが、前面では戦闘背景がカイラスギリー付近の専用のものになるので、一度くらいはこちらからギンガナム艦隊に突撃してもいいかも。 アドラステア搭載のゲドラフで無限経験値稼ぎをする場合、ピピニーデンは自軍でなくゲスト狙いなので安全で確実。追ってくることもない。 ギャラリーを埋めるために、エビル・S(黒の部隊仕様)を出せるステージ。 戦闘会話 パイロット vsパイロット 発生数 備考 ウッソ・エヴィン ルペ・シノ 1 クロノクル・アシャー 2 カテジナ・ルース 2 ファラ・グリフォン(強化) 2 ギム・ギンガナム 1 クロノクル・アシャー 任意 1 ウッソ以外クロノクルが先攻 カテジナ・ルース 任意 1 ウッソ以外カテジナが先攻 ザビーネ・シャル 任意 1 ザビーネが先攻 ギム・ギンガナム 任意 1 ギンガナムが先攻 メリーベル・ガジット 任意 1 メリーベルが先攻
https://w.atwiki.jp/flightglide/pages/206.html
操舵手ヘボンの受難#3 『血染めの雲』 朝日に照らされながら、ヘボンは中佐の指示の下、コアテラを全速力で、連絡のあった空域へと向かわせる。 その際に何度も本気でコアテラ一機のみで挑むのかと、中佐へと問いかけたが、その度に彼女は全くヘボンの怯える声音を意に返さずに増援が来なければしょうがないと繰り返すのみであった。 ただそれだけ、ヘボンの精神が限界に達した辺りでの 「...後方より、機影。..喜べ、ヘボン君。君の祈りは天に達したぞ、増援だ」 彼女の冷静そのものな言葉には心が奮い立った。 中佐の言葉と共に、ヘボンの耳にも、接近している生体器官独特の音色が伝わってくる。 ただ、この音色に耳を澄ますと、多少明るくなってきていた、ヘボンの顔が再び曇り始める。 そして疑問は徐々に確信へ変わり、コアテラの操縦席からの視界にその増援機が接近し、彼の視線に入ったとき、ヘボンは思わず小さな溜息を漏らし、それを聞いた中佐すら 「私は増援を頼んだ筈だ。決して地獄への道連れを頼んだわけではないぞ?」 そう彼ほどではないものの、落胆の色を声音に込めていた。 「マコラガが2機に、バルソナが1機か...これまた随分と有り難い増援だな。涙が出るよ」 皮肉たっぷりに彼女が通信機越しに喋ると、コアテラの前方を飛行するマコラガのパイロットが応えた。 その声は随分な男の濁声で、とても特徴的であった。 「中佐殿。お言葉ですが、これでも随分とかき集めて発進したわけですから、勘弁してくださいよ」 現在、ヘボンの操るコアテラの前方に2機のマコラガが飛行している。 これが、増援かと思うとヘボンはそれを認めたくなかった。 これから、敵空母へ強襲を仕掛けるというのに、旧型のしかも護衛機であるマコラガと、一応戦闘機ではあるが、これもまた旧式で速度も装甲も心許ないバルソナ一機では、襲撃はおろか、強行偵察もままなるかどうかわからなかった。 しかも、彼女の話では敵部隊には護衛機としてユーフーも複数艦載しているとの話である。物量でも明らかに負けている。 先ほどの興奮が全くのぬか喜びであったと感じているヘボンを後目に、中佐は通信に耳を傾けながら口を開いた。 「その声はミュラーか...となると、もう片方のマコラガはフレッドだな?バルソナは誰が乗っている?カールか?」 「確かに俺の隣を飛んでるのはフレッドですが、バルソナは違いやす、カールの奴は上に出撃を停められちまって...代わりにグレイソン大尉が乗ってますぜ」 そのミュラーと呼んだ男の返答に、彼女は今までの冷静そうな顔を一瞬憎らしそうに歪めると、こちらにまで聞こえるほどの大きな舌打ちをし、今までにないような怒声を放った。 「グレイソンだと?!何故あんなひよっこの青二才を付けた?!ただでさえ主力の戦闘機に...上の連中は何を考えているんだ!」 「さぁ...奴はきっとお目付け役でしょうよ。俺たちがまとめてくたばるところを報告するのが奴の仕事ですぜ」 怒りを露わにする中佐に対して、ミュラーは至って落ち着いた調子であった。 今の通信会話を聞いていたヘボンは、ミュラーの言葉について幾らか疑問を覚えたが、聞けるような雰囲気ではない。 「...通りで通信を切っているわけだ。兄上はどうした?また、停められているのか?」 「いえ、少佐はなんとかなりそうですが...何分、機体が機体ですから、倉庫から引っ張り出すのに苦労している様でしたぜ。ついでに上からの妨害工作もオマケ付きでさ...果たして間に合うかどうか」 「おのれ、保身派共め...仕方ない。我々だけでも作戦は決行する。グレイソンへ通信を繋げ、大方保身派共の回線を使っているはずだ。割り込め」 「伝言はなんと?」 「こちらの指示に従わないのなら、3機で貴様を撃ち落とすと言ってやれ」 彼女がそうミュラーへ伝えると、彼はさも愉快そうな調子で笑いながら、了解の旨を返してきた。 そして、暫くの沈黙の後、我々の頭上を飛んでいたバルソナが大慌てで降下し、機首を回頭させコアテラの後方へ張り付いた。 「通じたらしいな。ミュラー、グレイソンへ先陣を勤めろと伝言しろ。敵機を発見次第突っ込んでもらう。拒否するようなら即座に撃墜すると言え」 「了解でさ、中佐殿。あっし等はどうすれば?」 「グレイソンを囮にして、お前とフレッドには敵強襲艇をやってもらう...旧型とはいえ戦線を突破してきたような奴らだ。抜かるな」 「了解...中佐殿は?」 「囮と強襲艇をそちらが引きつけたら、下方から空母へ接近し艦載機を抑える。一機でもユーフーを減らさなければ全滅は必至だ」 彼女はそう指示を伝え終えると、少し溜息を付きながら、自身の下で操縦桿を握るヘボンを見据えながら 「兄上程ではないにしろ、こちらには優秀な操舵手がいる...先ほども通信で言ったが、ヘボン軍曹だ」 「夜鳥を撃ち落とした奴ですな?これが済んだら顔を是非、拝ませて頂きてぇですな」 「それはあまり勧めたくないな」 幾らか興味がありそうなミュラーの言葉を、彼女は愉快そうに一蹴すると、意味ありげな視線をヘボンへ向けるのであった。 暫くの間、無謀な一団は飛行を続けた。 ヘボンはその間、何度も敵部隊がとっくに何処か遠くの空域へ逃げ込んでいることを祈ったが、運命は至って残酷であり、巨大な機影が前方2時方向に遠く見えてしまっていた。 「居たな。ミュラー。グレイソンへ突撃しろと伝えろ。奴の目標はあくまで空母だ。対空防御を一手に引き寄せてもらう」 「了解.......。中佐殿?グレイソンの野郎、突撃するのはいいが、一言中佐殿に伝言があるそうですぜ?」 「なんだ?」 「『くたばれ!雌狐!』...だそうで」 「いいだろう。生還できたら、真正面で言ってもらおうじゃないか」 ミュラーの通信を鼻で笑いながら、中佐は愉快そうに銃座へしがみつくような姿勢をとって、今までの薄ら笑いを浮かべていた顔を引き締めた。 「よし、始めるぞ。諸君、連邦の犬共に我が領空へ踏み入ったツケを払わせてやるぞ」 そう覚悟を決めたような彼女の言葉に、ヘボンも思わず操縦桿を握る腕に力を込めた。 ここまで来てしまったからには、もう後戻りもできない。彼も彼なりに覚悟を決めて、深々と息を吸い込んだ。 一団の正面に確認できる連邦の空母は、その手前に浮いている巨大な雲によって、全体を把握することは叶わず、せいぜいその艦尾を目視できる程度であったが、それでもその巨大な機影の機種は容易に判断できた。 「やはりトゥラーヤ級か…。下方に艦載機を発進させるための、フックがあるはずだ。空母とは言え対空銃座及び砲台は強力だが、フックのある下部は火力が薄くなる。ヘボン君、正面の雲へ突っ込め、隙を見てフックを抑える」 「しかし、中佐殿…護衛機が見当たりませんが…」 「なに構うことはない。護衛機達はミュラー達が引き受けてくれる。私達は空母のみに集中していればいい」 そう何も問題はないとでも言いたいような調子で、ヘボンを宥めながら、彼女は正面に大きく広がる雲へ目を凝らしている。 その脇へ目をやれば、指示通りに雲の端から覗いている空母の艦尾へ張り付こうとグレイソンのバルソナが、あの戦闘機独特の歪なエンジン音を立てながら大きく旋回し、突進しており、その背後からミュラーとフレッドのマコラガが続いている。 機体の後方から飛行機雲が浮かび、青空に対し鮮やかな絵筆で描かれたような光景を眺めながら、敵空母の周囲に護衛機が確認できないことにヘボンは不安を募らせたが、既に戦闘の歯車は止まりそうにない。 そして、その歯車が一気に回転を始めたかのように、雲の向こうで散発的に銃声が鳴り響き始め、すかさず通信が入ってくる。 それはミュラーの声であるが、随分と切迫した色がある 「ミュラーから中佐へ…回り込んだ辺りでパノラマノラと会敵!雲の影に隠れてやがった!グレイソンは抜けて、トゥラーヤに切り込みました!」 「夜鳥はどうした?」 「まだ視認できませんが、ハッチが開き始めてやがる!それと、もう一機いるはずのパノラマノラは視認できず!」 「了解、フレッド機と共に引き付けろ。こちらは雲に入る」 通信を一旦終えると、中佐は足元のヘボンを見やりながら、ミュラーと同じように切迫した声で叫び立てる 「一旦、夜鳥を収容しているらしい。ヘボン君。一刻の猶予もならない…全速で雲を抜けるぞ」 それを聞きながら操縦桿を強く引き、コアテラは巨大な雲の中へと吸い込まれるように入っていく。中佐に指示されるまでもなく照明は既に消しておいた。 雲の中は一寸先も正確に視認することはできないが、それでも銃座へ立つ中佐は必死に目を凝らしながら雲の先を睨みつけ、機体へ体を押し付けて、押し寄せる強風を耐え忍んでいる。 その間にも矢継ぎ早にミュラー機からの通信が耳に入っており、彼女は受信機を耳に強く押し付けている。 「敵機炎上を確認!雲の中へ逃げ込みやがった!要警戒されたし!」 「了解した。ヘボン君、上昇しろ。ただし、まだ雲から出るな、炎上しているのなら、ガスに引火して爆発するはずだ。巻き込まれるな」 その指示に応えると、直様操縦桿を引き上げてコアテラを上昇させる。 昨晩にユーフーとやりあった際の動きと同じであるが、一度輸送艦で補給作業をした甲斐もあってか、コアテラは素直にその生体エンジンを唸らせて浮き上がる。すると、いきなり彼女は雲の中に何かを見て取ったか、これもまた補充を済ませてある38連機銃へ素早くしがみつくと、こちらに対して何も言わないまま掃射を開始した。 途端にヘボンの耳に騒がしい銃声が鳴り響き、その音に対して強い興奮と緊張を感じながら、彼は操縦桿に縋るように身を屈める。 その屈めた視線の先に映ったのは掃射される曳光弾の光が薄暗い雲の中で、激しく妖しく輝きながら放射状を描いて飛んでゆき、何かに命中したような炸裂光であった。 そして、それを見てとった瞬間に再び大きい光が広がり、雲の中にて全体に稲妻が走ったかのような閃光が広がる。 その閃光の元が何であるかどうかということは、すかさず掃射を終えた中佐が通信機へ叫ぶ声で分かった。 「…ラーバから、各機。敵パノラマノラ一機に掃射を加え、撃墜を確認した。先程に視認できなかった奴だろう。雲の中に潜んでいたようだ。時期に雲を抜ける、状況を報告せよ」 「ミュラーから中佐へ、トゥラーヤ級の両舷下部が完全に開き切るのを視認!直ぐに夜鳥共が巣立っちまいます!グレイソンの奴はまだ頑張ってますが、フレッド機は機尾に損傷、戦闘継続は困難ですぜ」 彼女の声の後から聞こえてきたミュラーの声からは悲痛なものがあり、その言葉の内には直ぐにでも撤退行動に移りたいとの色が垣間見えるが、彼女はそれを意にも留めずに返事をする。 「各機。こちらはまもなく雲より出る。対空砲火を上部へ集中させろ。その隙に下方より接近し、艦載機を抑える。それまで持ちこたえろ」 力強い声で通信機越しに彼女は激励を浴びせながら、不意に自身の腰に備えてあった将校用のホルスターから自動拳銃を引き抜くと、慣れた手つきで弾倉を引き抜き残弾の確認を始めた。 そのさまを脇目に見ていたヘボンは少し疑問を顔に浮かべると、それを見てとってか彼女は意味ありげな笑みを彼に返してくる。 「何をしているのですか?中佐殿?」 「見てわからないかい?白兵戦の用意さ。移乗攻撃が連邦だけの、お家芸だけでないことを教育してやる」 まるで休日の遠出を楽しみにしている子供の様な調子で、彼女は弾倉の確認を終えると腰のホルスターへ自動拳銃を差し戻した。 その一連の動きを見て、今更ヘボンが彼女に対してどうこう言う気力など湧かなかったが、唯一聞いておきたかった事は己も共に白兵戦を行わなければならないのかということだけであった。 雲を抜けた際には、既にミュラーの戦況報告は必要なかった。 目を走らせれば、どれほどの惨状であるかすぐにわかる。 明るく陽光に照らされる雲の傍を飛行する巨大なトゥラーヤ級は、上方を飛び交う2機のマコラガとバルソナに対して、激しい対空射撃を加えているが、一向にその成果を挙げられそうになかった。 だが、フレッド機は機尾に損傷を受けながらも、なんとか浮遊しているといった具合で雲の中へ退避しようとしているところであった。 生体器官から銃槍より溢れる血が、どこまでも痛々しい。 「正面だけを見ろ、ヘボン君。このまま下降して開放されている両舷へ接近する」 「…接近してからは?」 「敵艦内へ進入し着陸せよ。丁度開ききった両舷が、コアテラが割り込むのにちょうど良さそうだしね…」 既に彼女の独り言にも似た指示に対して、目をひん剥いて何か口をパクパクとさせているヘボンの様子すら見ずに、中佐はただ正面だけを見据え、こちらへ向き始めた曳光弾の嵐の中を突き進むのみであった。 その嵐の中を必死で掻い潜りながら、徐々にトゥラーヤ級へ接近していき、その巨体がまざまざとヘボンの瞳に映る。 雲から抜け出た場所が敵空母の下方になっていた事が幸いし、上方で対空砲火を掻い潜っている味方ほどの苦労はなかった。 だが、中佐の言う一人で、もしくは二人で移乗攻撃など聞いたこともない。 しかし、この中佐なら己で言ったことは何があろうと実行したがる類の人間であるということは、基地から強引に連れられた際から強く感じていたことであり、今更彼女を止められる訳もなかった。 そう思案している内に、コアテラはトゥラーヤ級の下部へと接近していた。 中佐の言うとおり、無謀とも言えるような形でT字型のコアテラを両脇に広がった両舷の隙間へ滑り込ませていく。 それと同時に強い衝撃が機体とヘボンを襲い、彼は体を必死に衝撃に耐えようと座席に沈み込ませたが、それでも尚、彼女は平然とした面持ちで銃座にて堂々と立っていた。 既に、ヘボンの目には開ききった両舷の奥にて発艦作業を行っている敵兵士達の姿が目視できたし、その兵士達の狼狽ぶりもよくわかった。 正面に見える開ききった両舷の先にある、艦載機に指示を飛ばすためにあるのであろう指揮所からも慌てふためく士官達の姿が見える。 「よし。上手くいったな…。君は、指揮所側面の対空銃座を破壊しろ。全弾…撃ち尽くせ」 満足げに微笑む中佐がそう呟いた瞬間、彼女は勢いよく搭載された38連機銃の引き金を引き込んだ。目標は艦載機及び、艦内にて発艦作業を行っている敵兵士。 動く者は全て撃てとの事のようだ。 途端にヘボンの目の前に地獄絵図が広がる。 元々、対地用の弾薬を用いる重機関銃を、人間に対して使用するのだ。 命中した者がどうなるかなど、ヘボンもよく知っている。 耳に轟く爆音と、視界に刻み込まれる曳光弾の輝きが、凄惨たるこの場を残酷に彩る。 そんな光景を半ば現実離れしたような感覚に陥りながらも、彼女に指示されたとおり、慌てふためく指揮所側面に備え付けられた銃座へ、噴進砲の照準を素早く合わせた。 不安定な飛行時と比べ、今は皮肉にも敵の両舷に支えられた形で固定されているような状況のコアテラならば、狙いは付けやすかった。 既に激しい銃声の中で、射撃を加え続けている彼女へ砲撃する旨を叫ぶのも無駄であろうと、ヘボンは慣れた手つきで噴進砲の安全装置を外し、ようやく己の職務を思い出したのか、押取り刀に銃身をこちらへ向け始めた銃座へ照準する。 そして、すかさず発射桿を躊躇いなく強く引いた。 曳光弾に彩られる下を噴進砲から放たれる黒煙が合わさっていく。 それに合わせて轟音と銃声と悲鳴と何かが千切れる音が重なり、正面の銃座が弾け飛ぶ様がヘボンの目に有りありと浮かび上がり、銃座横の指揮所からも誘爆したか、いくつかの窓が派手な爆炎を噴出し共に弾けた。 その様子を眺めながら、咄嗟に自身の上で機銃を撃ち続けている中佐へ目が行くと、彼女は雲の中で見せた面持ちで銃火の先を見据えていた。決して目を逸らすことはなかった。 しかし、視線を中佐へ向けていた際に何か強い衝撃を感じた。 それは彼女も同じく感じたらしく、素早く視線を周囲に這わすと、異変を確認したか、こちらへ怒鳴り込んでくる。 「…左舷生体器官に被弾した!出血してるぞ!下の銃座はもういい、応急処置でいいから上がれ!援護する!」 そう言うやいなや、阿呆の様に口を開けていたヘボンの肩を掴むと、無理矢理に彼女は彼を銃座脇の生体器官上部へと押し上げると、機銃での掃射を再開した。女性にいとも容易く持ち上げられるほどヘボンの痩せぎすさは深刻なものがあったが、今はその軽い体へ必死に力を込めて、強風が吹きつける左舷上部へと乗り移り、押し上げられた際に掴まされた応急処置用の鎮静剤を握り締め、被弾箇所へ這い寄って行く。 「落ち着け!軽傷だ!」 そう言葉も通じない訳であるが、ヘボンは必死にコアテラを宥めすかしつつ銃槍箇所を見つけると、そこへ鎮静剤注射と止血用の資材を宛行う。 まだ、敵の使用した銃弾が小口径の物であったのが助かった。 軽機関銃辺りの弾を喰らえば、その激しく肉を抉る威力に臓腑を撒き散らしていたところであろう。 「大丈夫だ。すぐに良くなる…すぐに…」 そうまるで呪文の様にヘボンは繰り返しながら、応急処置を続けるが、その際においても自身の耳には空気を裂く流れ弾の音が伝わって来る。 全く恐ろしい状況に、肝っ玉が冷えるのを感じたが、なんとしてもコアテラの応急処置を終えねば帰ることも敵わない。ただ、そう考えると今更自分は一体何処に帰れるのだろうかと、ヘボンは場に似つかわしくない自嘲的な笑みを浮かべた。 「中佐!済みまし…」 なんとか一時的ではあるが、応急処置を終えたヘボンが叫ぼうとすると、コアテラの銃槍箇所へ向けていた視界の隅に誰かの爪先が写りこんだ。 一瞬誰であろうと間抜けにもヘボンが顔を上げようとした瞬間、強い衝撃が彼の顔面を襲い、そのまま大きくコアテラの左舷を転がり、その際にようやく現実離れしていた意識は鋭く現実へ引き戻され、我ながら誰であろうなどと疑問に思うとは馬鹿げていると即座に思った。 ここには中佐と己以外、敵しかいないのだ。 面を上げた時に真っ先に目に映ったのは、自身へ真っ直ぐに向けられた銃口と、それを構える連邦の制服をしっかりと着込んだ、まだヘボンよりも若そうな青年兵士であった。 どうやら、中佐が機銃掃射をしている際に隙を見て、機体の背後へ迂回し登ってきたらしい。 一体、どうしてその様な蛮勇をすることになったかは見当もつかないが、こちらとしても他人のことはとやかく言えなかった。 そして、その勇敢な兵士は若く力に満ちた顔を憎悪に歪めながら、ヘボンを見下ろしていた。 不意に中佐はどうなったかとヘボンが視線を素早く横の銃座へ向けると、コアテラの銃座に寄りかかって、力無くうつ伏せになっている彼女の姿が見えた。 「貴様ッ!!」 その姿を見た途端に、兵士と比べれば貧弱そのものであるヘボンの肉体に闘志の様なモノが沸き立ち、気付けば蹲った姿勢のままに兵士が向けてきていた銃へ掴みかかっていた。 怒号と叫び声を上げながら、銃口を己に向けられぬように取っ組み合いとなる。 だが、所詮は力に組み伏せられ、最初の勢いは何処かに消え失せ、取っ組み合いの数秒後には再びコアテラの左舷上部に叩き伏せられてしまった。 そして、再び向けられた銃口は威嚇ではなく、正確にヘボンの脇腹を銃声と共に撃ち抜いた。撃たれた衝撃に軽い身体が吹き飛ばされ、ヘボンの体は左舷の端にまで転がり、滑った体が機体から転がり落ちようとしている。 凄まじい興奮作用により、まだ痛覚が鈍っており激痛とまでは感じていないが、それでも撃たれた実感からか想像絶する痛みに、ヘボンは絶叫しながら、咄嗟に左舷端に薄らと開けてある排熱孔へ細い指をなんとか滑り込ませ落ちまいと必死に指に力を込めるが、その間にこちらへトドメを刺そうと、銃をもう一度構え直した兵士の姿が見えた。 ヘボンの顔からサッと血の気が失せていく。 此処まで出鱈目な出来事に巻き込まれながらも、生きようと抗ったというのに、ここでこの上空から撃ち落とされるのかと思うと、恐怖と絶望で指から力が抜けていくのを感じた。 だが、終わりではなかった。 あまりの恐怖に目を閉じようとしたが、その時にこちらへ銃を向ける兵士の背後に誰か立っているのが見えた。 一瞬またコアテラを登ってきた敵かと思ったが、その者が着込んでいる衣服は己と同じ、朱色に染まる帝国飛行服である。 「中佐っ!」 思わず視線をずらしながら叫び声を上げたヘボンに、背後の異常を感じ取った兵士はすかさず振り向いたが、己のすぐ目の前に自動拳銃を手にして立っている彼女に対して、驚愕の声を上げて彼は一瞬立ち尽くしてしまった。 そして、その隙を彼女が見逃すはずもなく、手にした自動拳銃で素早くその驚愕している面へ、鉛玉を数発見舞ってやる様がヘボンの目に強く焼き付いた。 「…危なかったな。ヘボン君。奴に強かに殴られてしまってね…連邦の中にも骨がある奴がいるようだ。うん、感心したよ」 そう彼女は何事も無かったかのように平然と頷きながら、ヘボンを軽々と引き上げ、その感心した相手である青年兵士の亡骸を左舷から勢いよく蹴落とした。 既に彼の顔は親でも判別のつかないほどに無残なものとなっていたが、それでも上空から落下していく内に、その顔が恐怖と断末魔に歪んでいくように、反対に引き上げられていくヘボンには見えた。 「…なんだ?負傷したのか?ヘボン君」 左舷上部へ引き上げられていくうちにも、二人を狙う銃弾が空を切る音を何度か聞いたが、最早そんなこと二人共意に返していなかったし、中佐に至っては声音の調子も先程と全く変わらなかった。 「まぁいい。君は銃座に座っていろ、既に機銃は撃ち尽くしてしまった。艦載機は既に破壊した…後は飛び去るだけだ」 彼女はヘボンを先程まで自分が立っていた銃座へ下ろすと、素早く操縦席へ潜り込んでいく。 銃座に座らされたヘボンは薄らと開いた目で、ぼんやりと周囲へ目を向けた。 あれだけ無茶苦茶に機銃を撃ちまくっただけに、コアテラに搭載されている38連機銃の銃口からは煙が激しく立っており、銃身が熱暴走してしまっていることがわかる。 おまけに先程の被弾した自身の腹部から流れる血と、機体左舷から伝ってくる生体器官の血液が混ざり合い異臭が彼の鼻を突く。 そして、少し先へ目を向けると、この異臭が素晴らしき花の匂いであると錯覚させるほどに、無残な艦内の様子が垣間見え、ヘボンはそれをこれ以上見たくないと上半身を深く倒して、その身を機体へ預けた。 徐々に意識が薄れてくる。 きっと、腹部から血を流し過ぎたのであろう。 そんな風に霞がかった意識の中で、体が浮くような感覚を覚え始めた。 どうやら、機体が挟まっていた空母両舷から離れ出したらしく、力無く視線を上にやると炎上を始めている空母の姿が確認できた。 これは浮いているといるより、降下していると言ったほうが良さそうだ。 確かに下手に上昇して苦し紛れの対空砲火を味わうよりか、こちらのほうが賢明であろう。 先程からしきりに中佐のものと思われる声が聞こえてくるが、何を言っているのかまではよくわからない。 耳までおかしくなってしまったかとヘボンは、手を耳に当てて、気付かぬうちに千切れ飛んでしまったのではないかと錯覚したが、幸い耳はあった。 だが、最もそれを確認した腕は、自身の血で真っ赤に染まっていたが... 何やら中佐が撃沈だの、大戦果だのと叫んでいる姿が目に入るが、ヘボンはそれを力無く目に映す事が精一杯で、徐々にその視界すら暗くなり始めている。 そして、視界が暗転する最後に目に映ったのは、こちらの顔を覗き込み、必死に何かを叫び立てる彼女の顔であった。
https://w.atwiki.jp/flightglide/pages/550.html
操舵手ヘボンの受難 『最終話』 全てが終わりへ向かっていた。 最後の晩餐にも等しい食事を終えてから、一同はそれぞれの持ち場に就き始め、ヘボンは足を引きずるようにしてマグラートへと歩を進めた。 ヨダ地区の船着き場はその全てを遣われているかのような忙しさを見せており、次々とドッグから離陸していく艦船の数々を見送る暇すら与えなかった。 ヘボンが搭乗するマグラートはその内の一つであるアクアルア級へ搭載されるが、持てるだけの火力を結集するために、その空母の甲板には本来であれば艦載機が乗るところを、大量の戦車群が陣取っていた。 艦船の火砲だけではあの邪龍の装甲を破るのは難しいと判断したものと思われたが、その数は異様な程の物で、最早、空母と呼ぶには相応しくないまでの針山のような砲が満載されていた。 「此ぐらいの砲を景気よく使えれば、戦争なんてすぐに終わるのだろうぜ」 マグラートに覚束ない足取りでなんとか辿り着き、操縦席に収まったヘボンを迎えたのはニールの皮肉であった。 機体の通信士である彼は既にヘボンの座席下後方に居るらしく、ヘボンはその皮肉を頭に取り付けた受信機から聞いた。 膨らんだ硝子張りから見える景色は、前代未聞の朱色に塗られた帝国艦船の群れが飛び立つ様を写していた。 一生のうちでこれ程までの艦船の数を同時に見たことはヘボンには無かったし、きっと此からも無いであろう。 仮にあるとしても一片も見ようと願いもしない。 「各員、点検しろ」 一頻りこの光景にも見慣れてくると、ヘボンより遅れてマグラートに乗り込んだ大佐が送受信機を頭に被せつつ、自身の回りに並ぶ計器の確認をしている。 ヘボンの方も指示に従ったが、概ね機体の計器群はコアテラの物を流用している部分が多く、確認は比較的容易かった。 無論、見慣れぬ新式計器のような物も多少はあったが、機体を操縦する分には支障はなさそうであった。 マグラートの見た目は異形の代物であったが、その中身は今まで押し込められてきた機体群の集大成と言えるように感じられる。 慣熟訓練は一切行えていないが、コアテラと運用法が変わらなければ問題はなさそうに思えた。 「飛行系統は君に任せるが、艦船に取り付く際は私が代わる。その際、君は砲手の補助になれば良い。心配することはない。これ程の火砲で攻めれば、奴も必ず墜ちる」 大佐は少ないながらも、ある程度、操縦系統の確認などを口頭で行い、僅かな励ましの仕草も見せたが、先程まで彼女が大演説を奮っていたことを思えば、それは気休めにもならない些細な物に思えた。 「…不安そうだな、ヘボン君?」 彼女は自分の言葉が全くヘボンに届いていないことを、飛行帽越しにでも感じとったのか、そう指揮席から聞いてきたが、不安で無いわけが無いとヘボンは小さく頷いた。 今までも彼女の弁舌でその気になったことは少ない。 少なくとも他の言葉に熱狂した兵士達も、もう既にここ数週間で大半が消えたであろう。 しかし、言葉自体は特にこの段階まで達した結果、必要性は希薄になっていた。 邪龍を墜とす事だけが生存への拙い約束であったのだ。 「安心したまえ、これが最期なのだ。約束しよう」 彼女は幾度も言った言葉をヘボンに吐いた。 その声音に皮肉な調子も無ければ、真剣な色合いも薄かった。 飛び立った艦船群はヨダ地区から遠ざかり、群雲の中へと突入していく。 各々の艦船から通信が飛び交うことは無く、無線管制が敷かれていた。 敵の座標は一定の時刻に一度だけ陽動艦隊から送られる。 それを一度だけ受信し他艦船に伝えたら最期、後は邪龍の元へ突っ込むだけであると、至極明瞭且つ中身もへったくれもない作戦説明を数刻前にヘボン達は聞いていたが、ここまでくると小手先の作戦も不要なのであろう。 機体を飛ばす中、ヘボンは搭乗員達が一言も発しない沈黙の中に居た。 大佐自体は幾ら演説好きであっても、もう喋ることは何も無いと言った具合に満足そうに指揮席に収まっていて、その姿は既に仕事を終えたような雰囲気すら感じさせる。 しかし、それは半分、当たっていることなのかも知れない。 彼女自身は大佐にまで昇進したが、それはあくまで死人への手向け同然の物だと自ら言っていた。 それは、この作戦において彼女は指揮する権限が突入隊への指示程度に収まっていて、階級と実際に指揮をする差が開きに開いており、実態として彼女は一小隊長の力しかもう無くなっていたのだ。 その為、弁舌を振るって策謀の限りに思いを巡らす事に彼女は興奮を覚えていたことも有り、今の立場は一兵卒と何ら変わりがないものであった。 そんな晴れない彼女の心情を写すかのように、機体の周囲は暗い雲が漂っていて、ヨダ地区を離陸する際には晴天であったものが、心情の暗さを曇天が表現していた。 「…ヘボン。本当にこれで終わるのか?」 出撃してから数時間ぶりに耳に聞こえた声はニールの重そうな声であった。 「始まったからには終わる。終わらないにしても、一区切りはつくんじゃないか?」 その声にヘボンも同様な調子に返した。 しかし、暗澹とした感情の膨張は、一度の声で破裂した。 「座標が出た」 ニールが耳に押し当てていた受信機から発せられる指示を受け、ヘボンはその針路へと機体を捻り始め、周囲を飛んでいた友軍機達もそれと同様に向きを変えている。 各々が吐露した心情は作戦行動への集中に変わっていった。 曇天の中で一点に空いた隙間から、晴れ間が差し込んでいる空域がそこに確かに広がっていた。 しかし、その神聖とも感じられる光景の中央に陣取っている巨体は、あまりにも冒涜的で形容しがたい邪悪な存在に思える。 「本当にいやがった!」 そう叫んだヘンシェルデの声には出来れば、そこに居てほしくなかった心情も感じ取れたが、それはヘボンとて同様であった。 「針路このまま!有効射程距離に入るまで、反転行動は許さん!突っ込め!」 大佐の声は恐怖よりも興奮が押し勝ったような具合で、今にも指揮席から立ち上がらんばかりに盛り上がっている。 その言葉にヘボンは操縦桿をじっと正面に据えることで、それに応え、マグラートと共に冒涜的な人工的に作り上げてしまった『邪龍』へと友軍機達と共に突っ込んでいく。 友軍機共々に機首が邪龍へ向かう頃には支援砲撃が始まっていた。 アクアルア級の甲板からは後続の友軍戦闘機も離陸し、その傍らには追加の火砲として無理やりに積載した戦車群の砲が火を噴いた。 単純な砲だけでなく噴進砲の類や多様で雑多な火砲が、一斉に邪龍へと向かって放たれていた。 その暴力的な流星群を脇目に、ヘボンはマグラートの操縦席で小さく慄きの様な呻きを漏らしながら、操縦桿を強く引くことしか出来なかった。 操縦系統はほとんどコアテラからの流用であったから、さほど難は感じられなかったが、あまりにも視界の広い丸状硝子天板は、様々な情報が一度に目に入ってきて彼の脳を酷く混乱させる。 邪龍へとの距離が狭まってはいる筈なのだが、周囲に飛び交う砲弾と銃火が一秒一秒を長く感じさせ、気の遠くなるような距離にすら思える。 しかし、それでも一歩ずつ等という悠長な物とは比べ物にならない速さで、攻撃隊は邪龍に迫りつつあったが、その辺りで相手からの対空射撃が始まった。 先に砲撃を開始したのは此方からであったが、あの化け物に対する恐怖がそうさせたのか、有効射程範囲外からの砲撃を誰ともなく始めてしまったのである。 その為、支援砲撃自体は此方の艦隊と攻撃隊の居所を、敵に派手に知らせているだけに過ぎなかった。 流星群のような砲弾の群れが邪龍の付近へと炸裂し、辺りは黒煙と白煙に包まれ、龍の対空射を幾らかでも防ごうという意図もあってか炸裂した砲弾の中には濛々と煙を発生させる物も幾つかあった。 しかし、それも焼け石に水といった具合に煙を銃弾や砲撃が貫き四散させ、攻撃隊の数機が近くで直撃を喰らって撃墜される様が尻目に見えた。 「突撃!突撃!」 指揮席に収まる大佐は既にそれぐらいしか言うことが無く、ヘボンに一切速度を緩めるなと圧を送ってくる。 ここ数週間で何度も経験した死線の数々が一斉にやってきたような感覚にヘボンは襲われたが、機体に直撃しない限りこれはまるで花火を見ているようだと暢気な思いも脳裏を過ぎっていた。 だが、不意にその残酷な花火の最中に、ヘボンの脳に不快な響きが伝わり始めた。 この様な極度の緊張状態であるにも関わらず、一定の落ち着いた音色が頭に鳴り出し、これが何を意味するのか彼はすぐに察しが付いた。 (あの娘が見ている) まるで、徐々にその異形を見せつける邪龍の表面に無数に浮かぶ目玉の群れが、一点にヘボンを見透かしているような気配を感じる。 あの邪龍の主はヘボンに対して並々ならぬ憎悪を持っている。 ここ数日で様々な者達から怨みを買ってきたヘボンではあるが、超常現象的な力でヘボンにその意志を伝えに来ようなどと言う者は後にも先にも、その化け物だけであろう。 「…奴は君を狙っている。だが、手頃に外で叩き墜とそうなんて思っていないだろう。必ず自らの手中でひねり潰すことを望んでいるはずだ」 不意にヘボンの思いを察してか、大佐が指揮席から満足そうな声を出した。 「攻撃隊各機へ!密集隊形を取れ!」 彼女はそう通信士のニールへ伝えながら、また無謀な陣形を取り始めた。 ただでさえ対空射の精度が嫌でも高くなる程に距離が近くなっているというのに、敢えて的にするかのように攻撃隊を一塊に集めようとしているのだ。 「火力を集中させるぞ、目標は敵空母砲撃口!照準しろ!」 彼女の無謀な指示が今に始まった訳でも無いが、それに素直に従う攻撃隊の面々も如何なものかと思うが、それでもマグラートを中心にして多種多様な戦闘機が群れを成し、その機首に備えられた機関砲や榴弾砲を邪龍へと向け始めた。 マグラートの砲手であるベルンも、ヘボンの足下で素早く照準作業を行っている様子が見える。 だが、照準作業をしているのは味方だけではない、ヘボンは脳に響く音色が強まるに連れて、邪龍も攻撃隊へ巨大な砲口を向けているのが目視できた。 「向こうから向いてくれれば言うことは無いな!各機、一斉射の指示を待て」 大佐は指揮席に収まりながら、興奮が徐々に昂ぶり始めた調子に通信士へ叫んでいる。 その際にも邪龍と攻撃隊の距離は更に縮まり、まるで大きく黒い壁のように見え、その時は近付いていた。 「ヘボン!お前に通信を回せって!」 その時、ニールの声が聞こえたと思った瞬間に、ヘボンの受信機に通信が入った。 本来なら、大佐の方に個別で通信が回る物かと思ったが、それは何故かヘボンに対してだった。 「いよいよだ。大佐を頼むぞ、ヘボン」 「──移乗攻撃に移ったら、彼女から離れないでください」 「…姉より長く生きて」 「お前とは初めてだが、良い腕をしているとは聞いている、頼むぜ」 とかなんとかいう通信が一斉にヘボンの耳に入ったので、彼はどれも聞き取ることが出来なかった。 「はい?」 思わず幾多の通信に聞き返すのが精一杯で、誰が何を喋っているのかもヘボンはわからなかった。これは後に判明したことでニールが通信士として未熟であったせいと、戦闘時の混乱で回線を一斉にヘボンに繋いだ事による物であった。 「何か?」 もう一度、ヘボンは阿呆のように聞き返したが、妙な話、通信を返された者達はそれで十分だったのかも知れない。 「今だ!全弾撃ち尽くせ!」 それと同時に大佐の怒号が響いて、慌ててニールがまた通信を繋ぐと、攻撃隊の各機に備わった火砲が一斉に火を噴いた。 照準した火砲は、砲撃口から黒い霧を吐き出し掛けていた邪龍の元へと狙い澄まされ、凄まじい火線が吸い込まれるようにその口へと入っていった。 それと同時に邪龍の口から目映いまでの閃光が迸り、一瞬、ヘボンは眼前に広がる光に視力を奪われるかと恐れた。 そして、僅かの合間で視界が晴れたときにはもう既に邪龍の口は大きく開け放たれ、まるで口を開きすぎて顎が外れてしまったかのようだった。 「先発攻撃隊は速度を落として張り付け、残りは後続隊の援護だ」 大佐は各機に指示を出しながら、ヘボンに着陸態勢を取るように命令してきた。 今までコアテラで散々やって来た胴体着陸とも不時着とも付かない動作が、ここに来て功を成したかそのヘボンの動きは身体に染みついたような物で、とてもスムーズだった。 マグラートに備わる腕のような翼は後部の浮遊ガスを吐き出しながら、確実な動きで飛行姿勢を崩さずに曲がり始め、邪龍の黒い肉壁を岸壁登りのような具合で爪を立てて着地する。 それと同時にベルン曹長が橋頭堡を築く為の制圧射を開始した。 着地した邪龍の砲撃口は薄暗く人工的な物体は確認できないが、兎にも角にも牽制射撃を加えることに戸惑いはなかった。 ある程度、射撃を暗闇に向けて放ってから、照明弾を撃ち出すと、その場はまるで大凡人間が造り出した兵器の中とは思えないほどの空間であった。 それは喩えるなら人体の内部と言ったものが適当で、周囲には赤黒い肉壁とその表面には脈打つ血管の様な物が浮かんでいる。 正しくここは邪龍の口であった。 「各機降機しろ、マグラートを先頭に前進する」 大佐の言葉と同時に、その口内を更に進むべく、マグラートが先頭に立ち、7・8機程口内へ着陸が出来た攻撃隊の面々が、素早く戦闘機から降りてきて、各々の手には自動小銃から爆薬に加え、歩兵携帯用の噴進砲まで引っ張り出してきている者までいる。 飛行帽をまだ深く被っている者も居れば、煩わしくなり脱ぎ捨てている者もあり、その中には何度か見たことのある人物も混じっていることをヘボンは脇目に見た。 「随伴歩兵から離れないように、慎重に進め。不審な者は全て攻撃しろ」 誰が誰であるか思い出そうとした矢先に、大佐は声に興奮振りを残しながら、ヘボン西地を飛ばしてきたので、彼はその言葉通りにマグラートをゆっくりと進ませ始めた。 如何に帝国人が生体器官のような代物に見慣れていようとも、ここまで生物めいた戦艦の内部などは見たことが無かったであろう。 あくまで邪龍はシヴァ級の改造船であるという儚い認識が、この脈打つ赤黒い肉壁の空間に吸い込まれていくようであった。 正しくこの戦艦は生きており、なんらかの意志が明確に働いていた。 そして、それが攻撃隊の進行を阻もうとでも言うかのように、肉壁はうねりながらその形を変容させていく。 「二時にトーチカ!」 大佐がそう声を荒立てながら、砲手に命令する。 しかし、トーチカと不意に彼女が形容した物は床の肉が浮かび上がって、小さな人二人分ほどの山の事であった。 マグラートの機首を素早く捻ったヘボンではあったが、一瞬、砲手が発砲に戸惑った間に小さな山のような肉の塊は、まるで大佐の言葉通りの砲台に似た形へと姿を変えていた。 ヘボンはその様子を薄暗い中で確かに見て、絶句したが生々しい防衛設備の出現はそれ一つだけでは無かった。 ちょうど、その脇の床や壁からも銃眼めいた物が浮かび出ては、これらが散発的に発砲してきたのである。 すぐさま、砲手が立て続けに砲撃を見舞い、肉壁トーチカの幾つかは肉片となって飛び散った。 マグラートについてきた歩兵隊も攻撃を開始し、機体の脇から発砲を加え、時折、手榴弾めいた物が投げ入れられてはトーチカと銃眼を潰していく有様で、その様子自体は大佐が作戦説明の際に話したような城塞攻略といった物に違いなかった。 ヘボンも操縦席の足下脇に備わった搭載機銃の発射ペダルを踏み込みながら、肉壁の中に火線を走らせる。 そのままマグラートの二本足を這うようにして、邪龍の体内へと歩を進めていく。 「こいつは今までと勝手が違うぜ」 そう足元から聞こえた声は狼狽するヘンシェルデ兵長の呻きであった。 それが周囲の状況を指している言葉とは察せられたが、今更、この邪龍の胎内ともいえる空間に足を踏み込んで生きて出られるかは誰もわからなかった。 ヘボンの脳裏には依然として不快な音色が響いていたが、それから彼を守るかのように周囲に響く銃声と爆音と、兵士たちの怒声がその不協和音を彼の頭から遠ざけていた。 「大佐、後続隊も橋頭保に入りました。装甲車が来ます」 抵抗してくる腫瘍の様なトーチカを沈黙させながら、歩兵達が展開を始めると、ニールが通信内容を告げてきた。 一斉に数で責め、邪龍の砲撃口を封じた事が功を奏したらしく、強襲揚陸艦が二隻、対空射を黙らせながら、着陸に成功したらしい。 現に後方から空輸可能な空挺戦闘車両が唸りをあげて向かってくる音が聞こえてくる。 火力こそがこの作戦の要であることは誰しもわかっていたが、如何に邪龍の素体であるシヴァ級が巨大であるとはいえ、揚陸戦闘機マグラートに加え、戦闘車両が3個小隊と歩兵部隊が中隊規模で展開している様は、あまりにも邪龍の無法な改造が巨大であるかを物語っていた。 「よし、合流次第、装甲部隊を正面に立てろ。我々は突入部隊の援護に入る」 そう大佐は指示を出しながら、辺りを見回そうとマグラートの硝子天板を開いた。 外気に有毒な物が含まれていれば、とっくに歩兵達に影響が出る筈で、彼女は飛行帽を取っ払って士気の鼓舞を図ってかその姿を兵達に見せようとした。 そして、そうなってくると元来の演説好きの悪癖が首をもたげたか、マグラートに搭乗していた際は脇に押しやっていた軍刀を手元に引き寄せるとそれを抜刀して立ち上がり、高らかに掲げだした。 「臆するな、諸君!」 そう声高に叫び始めた彼女を見て、ヘボンはトーチカからの銃火がまだ完全には沈黙していないことを鑑みて、彼女を機内へと引っ張り込もうとした。 砲手のベルンも通信使のニールも最も彼女から距離の近いヘボンに、中に戻すようにと顔で合図を送ってくるので、これに従うしかなかったが、若干ヘボンの負傷した足に対する応急処置をした人工筋肉はまだ動きが滑らかでなく、動きにもたつきが出た。 少し動きが遅れているとヘボンが思った瞬間、大佐の身体が不意に浮いた。 いや、浮いたというよりは吸い込まれるような調子に体が指揮席から機外へ昇ったのだ。 一体何が起きているのかと視線を上げると、彼女が高く掲げた軍刀に何か肉塊の様な人ほどの太さはあろうかという触手が巻き付いていた。 この段階でまだ彼女が軍刀から手を離せばどうということは無かったのかもしれないが、元来に荒っぽい彼女はそのまま触手に気付いた段階で切り払おうとしたのかもしれない。 しかし、思いの外、触手の肉が厚かった為か切断はおろか、振り払う事も出来ずに軍刀を伝って彼女の腕を肉塊が包み込んで上へ引っ張り上げていたのだ。 「ヘボン君っ…」 大佐がそう咄嗟に声を張ろうとしたときには、既に彼女は天井の肉壁の中へと姿を消していた。 それはほとんど一瞬の出来事であり、ヘボンは勿論の事、機外の歩兵達ですらその有様を見た時は酷く狼狽した。 「大佐殿が喰われたっ」 思わずヘボンは呻いたが、かといってどうすればいいかもわからない。 それと同時に他の兵士たちも恐怖と混乱に飲まれそうになった。 この邪龍の胎内じみた悪夢の真只中にあって、大佐の姿はある程度の理性を保つことに寄与していたらしく、それが怪異とも取れる物に奪われた結果、それが崩壊しかけた。 「──狼狽えるなっ!肉壁に注意しながら前進しろ!指揮は俺が取る!」 しかし、鋭い声が士気崩壊を防いだ。 声のした方に目を向ければ、後続隊から戦闘車両に乗って駆けつけた野戦服に身を包んだキベ大尉の姿があった。 彼とはレリィグの防御戦闘時に命を助けて貰った恩人であり、更にその前の艦隊戦においても名を聞いた事がある歩兵隊の隊長であった。 丸顔で中背中肉な容姿は変わりようがないが、髭だけはしっかりと剃ってあった。 「マグラートを脇に寄せろ、進行方向を塞ぐな!」 戦闘車両の車列がそのまま近付いてくると、大尉は歩兵達に防御隊形を組むように叫びながら向かってくる。 ヘボンも気が動転しかけていたが、この言葉に慌てて機体を脇に寄せ、マグラートの傍を通り抜ける戦闘車両を見下ろした。 「このまま、前進する!車両、前へ!」 キベ大尉はそう叫び立てながら、兵士達を鼓舞し始めた。 今まさに攫われた大佐のこと等、眼中に無いようであったが、他の兵士達もキベ大尉の頑なな前進命令に逆らうわけでも無く、よくよく訓練された兵隊の動きで従った。 彼等にとって大佐はシンボル的な存在であることに変わりは無いが、すぐに彼女を救出するために行動を変更するほどの余裕が無いことは理解していたし、それが大佐の本意で無いこともわかっていたのだ。 ヘボンも目の前で彼女が肉壁に攫われ天井の暗闇に消えた様を目の当たりにしてはいたが、キベ大尉の姿勢に逆らう気も起きず、言われるがままに歩兵隊の支援に就こうとした。 「曹長、君達は大佐を探してくれ」 しかし、不意にマグラートの足下まで来た大尉は下から不意にそう叫んだ。 「?…探すと言っても何処をでありますか?」 「歩兵隊に随行して各所をだ。マグラートは橋頭堡に残しておけ、確認した艦内図ではあれが入り込む隙間を広げるのは至難だ」 大尉はそう言うと、ヘボン達に機体から下りるように命令した。 これにはヘボンも面を喰らったが、立場上、大佐から指揮を引き継いだ彼からの命令に背くわけにも行かず、ヘボンも兵隊らしくそれに従うほか無かった。 それでも、大佐を探すことについてはヘボンとニールしか不服を示さず、ベルンとヘンシェルデの方は既に歩兵携帯の装備をマグラートから降りて受け取っている。 「…結局、こうなるのかよ」 ニールは苦々しく吐き捨てながら、ヘボンと並び、近くに居た歩兵から拳銃や小銃を借り受けた。 元々、邪龍を攻撃するに当たっては歩兵一人一人が相当な量の火器弾薬を携行しており、その重量に根を上げかけている歩兵達が嬉々としてヘボン達に武装を渡してきた。 その御陰で四人の装備は自動小銃に始まり携行噴進砲からと、ひどく重武装になってしまった。 かといって、ヘボンがその多種多様な火器を扱えるわけも無く、概ねはニールと同様にその火器や弾薬を、これまた借りた雑嚢に只管に詰め込んで、最も経験豊富なベルン曹長を先頭にして、その後ろに運搬役として随行することとなった。 これがまた酷い重量で、如何に今までの負傷した脚の銃創や骨折などを生体筋肉で補強したとしても、これは相当な苦行であった。 「行きましょう、曹長殿」 重量に呻くヘボンをベルンは励ましながら前進を促し、ヘンシェルデに至っては此方を嘲笑うような笑みを浮かべていた。 だが、先頭を行く二人とてヘボンとニールが担いだ量に近い物を背負っており、これが野戦畑の者と空暮らしの者との違いかと、ヘボンは数日ぶりに肉体の頑健さの相違を味わった。 そこは肉の湿地帯と形容するに相応しかった。 脚を僅かにでも踏み込めば肉に飲み込まれ、前進しようともう一歩進むためにまた酷い労力を要する。 前進した戦闘車両の車輪もこの肉に飲み込まれ、何度も歩兵達がその後ろを力任せに押し込む作業にヘボン達も加わった。 だが、邪龍の体内の抵抗らしい抵抗はそれぐらいのもので、橋頭堡を確保する際に現れた肉塊のトーチカや銃眼は疎らに現れはするが、その度に戦闘車両に搭載された機関砲の一掃射で消え失せる。 逆により熾烈な抵抗を見せると皆が思っていたのと比べれば、拍子抜けと言って良いぐらいであった。 「これで奥まで辿り着いて爆破するのは構わねぇが、脱出するのが骨だぜ」 ヘンシェルデが弾薬を運搬してきて息も絶え絶えなヘボンとニールに囁いた。 「脱出を考えるのはその時で良いですよ。今更、退路についてなんて…」 ふと、その囁きを聞き取ったようで、此方の傍に歩兵が一人立っていた。 それは黒く長い髪を後ろで束ねて、不気味なほどに痩せた女だった。 腰や肩には多大な量の爆薬をぶら下げ、正に人間爆弾と言った具合のフレッド准尉であった。 「大尉に此方に合流するように言われましてね…。爆薬班は人手が足りているそうで…」 彼女はそうどことなく悲しげに笑ってみせるが、ヘボンはこの顔を見ると不思議と総毛立つのであった。 「准尉殿は揚陸艦で?」 しかし、彼女に対して見慣れているベルンは気軽にそう声を掛け、紳士然として細い身体に巻き付けた爆薬の類いを背負おうとしたが、それを静かに彼女は手で制した。 「いえ、私の仕事ですので…、橋頭堡にはマコラガを着けました。外では黒翼隊の護衛が引き返してきたそうで、大空戦のまっただ中ですよ」 彼女はそう微笑んで見せたが、ヘボン達は橋頭堡まで辿り着いてから、外の様子を知る術が無かった。 肉壁は厚く、振動も吸収しているのか、外の様子など何一つわからず、ここが空を飛ぶ空中艦の中だという自覚は希薄で、酷くグロテスクな洞窟の中を押し進んでいるような感覚の方が強かったのだ。 「護衛艦隊の大半は近衛艦隊が引きつけたようですが、陽動だと気付いた連中も居たようでして…奴等も馬鹿ではないようで…」 彼女は薄ら笑いを浮かべていたが、ヘボンは精々それになんとも気弱な笑いを返すことしか出来なかった。 行くも地獄、戻るも地獄とはこのことだと思った。 そう思った時には、一旦肉の沼に嵌まった車両が押し出され、歩兵隊が前進していた。 それを見てベルンがそれに続くように手振りでヘボン達を促した。 すぐにそれに従おうとヘボンが歩み出した途端に、今度は一歩後の位置にあった肉の床が小さく弾け飛び銃声が鳴り響いた。 それは先程から喧しく鳴いていた車両に搭載された機関砲のソレではなく、小火器の者と感じたが 「伏せろっ!」 ヘボンよりも先に吹き飛んだ床を見たニールが、彼を突き倒す形で素早く共に肉の床に倒れ込んだ。 顔に感じる肉の感触は生暖かく、邪龍の身体の一部に身を寄せると、ずっと前から脳裏に響く不協和音が一層強まる気がする。 「また、トーチカか?!」 身を伏せたニールが怯えたが、ベルンとヘンシェルデは素早く周囲を警戒する姿勢を取り、フレッド准尉は此方と同様に身を伏せていた。 歩兵隊は前進したまま肉壁の向こうへと姿を消していて、その後方にいたヘボン達は、運悪く取り残される形となってしまっていた。 「今のは拳銃だろう」 冷静にベルンがそう返すと、ヘボンの伏せていた近くの床がまた小さく弾け飛んだ。 「曹長を狙っている様ですな」 身を屈めて辺りを探る彼が自動小銃を素早く構え、発砲してきたと思わしき方向へ連射を喰らわしたが、手応えがあったようには見えなかった。 すると、今度は伏せていた脚の付け根近くに弾が飛んできたらしく、また肉が弾け太股に当たる肉片の感触にヘボンはおののいた。 「どっから、撃ってきやがった!?」 ニールもすかさず、目見当で携えた小銃を発砲したが、でたらめに撃とうとする彼を伏せていたフレッド准尉が制した。 「…相手は一人ですよ。複数いるなら、とっくに交差射撃で死んでいます」 彼女は冷静なうえにまだ笑っていた。 「どうも、我々をいたぶりたいようですね。…曹長、そんな相手に覚えがあるのでは?」 「多すぎてわからないであります」 身を伏せながら、ヘボンもニールと同じように小銃を手許に抱えようとしたが、その小銃が何処からか弾かれたようにヘボンの手から離れた。 小銃だけを狙って撃ったらしく、銃尻に小さな穴が空いているのをヘボンは見て取って青ざめた。 「──今のは、ほんの小手調べだ!空鬼!」 不意に肉壁の何処からか声が反響していた。 聞き覚えのある声のような気がヘボンにはしたが、それが誰であるか思い出せない。 「──雑魚に用はない!そこの化け物だけ置いていけば、他は見逃してやる!」 また何者かの声が聞こえてくるが、間違いなくヘボンだけに狙いを絞っているいることは明らかだった。 その声の出所がハッキリとしないまま、ヘボンは身を伏せながら辺りを見回したが、周囲を囲う肉壁以外に何も見ることは出来ず、天井の方は暗く様子が窺えない。 「誰なんだ」 ヘボンは間の抜けた顔でそう呟いたが、この数日間であまりに多くの敵を作りすぎたために、いまいち見当が付かなかった。 「──産業塔と言えば思い出すか?あの時の借りは返させて貰う!」 また何処からか声が聞こえたと思った瞬間に、ヘボンの動きを封じたいのか周囲に肉片が飛び散った。 舞った肉はヘボンの身体に掛かると、その肉は尋常でない早さで破片達が身近な物と結合し始め、瞬く間にヘボンの脚や腕の上に肉塊を形成し始めていた。 このままじっとしていれば身体を肉壁や肉の床に取り込まれてしまうとヘボンは危機感を抱いたが、その肉沼を抜け出そうとすれば此方を動かせないようにとまた射撃が加えられる。 「ああ言っていることだし、置いていくか。このままだと俺達まで肉に取り込まれるぞ」 そのヘボンの窮地を見て、憐憫の色もなく吐き捨てたのはヘンシェルデだった。 ヘボンはそれを聞いて、顔を青くしたが、特に誰もヘンシェルデに反論しようとする者はいなかった。 一同の顔を困惑した表情で見回しながら、ヘボンは置いていかないでくれと叫びたかったが、その声は出そうとしても出なかった。 表情を見ると薄暗い状況でありながらも、ベルンとニールの顔には冷酷そうな色が見えず、逆に此方に安堵するように励ますような気配が感じられた。 この数日間でヘボンは様々な人間の表情や声を間近で感じたが、その感応力が彼等は決して自分を見捨てないと言う信頼を与えていた。 少なくとも、何度も窮地を救って貰ったベルンに至っては絶対的とも言って良い信頼があった。 そう思うとヘボンは哀れらしい声を上げつつも、彼等を肉壁の向こうへと見送った。 途端に今まで身体に纏わり付いた肉片がヘボンを拘束するかのように、四肢を締め上げてきた。 それと同時に暗闇から低い笑い声が響いて、近くの肉壁が盛り上がったかと思うと、そこから異形の怪物が姿を現した。 それは人間より一回り大きく、肉塊に丸く包まれていたが、蜘蛛の様な骨張った脚を持っていて、ヘボンから見て肉塊の正面から、まだ人間の者らしい脚が他の脚によって支えられるようにして立っている。 その怪物が此方へある程度近寄ると、肉塊から人の腕のような物が飛び出てきて、その腕は既に大半を肉に飲まれているものの唯一の文明的な生体式拳銃の銃口を此方へ向けてきた。 「…久しぶりだな、空鬼。俺が誰だか、ようやくわかっただろう?」 怪物は男性らしい声音で此方に喋り掛けたが、その声質は酷く濁った物で、大凡、人間の出せる物とは違っていた。 「…申し訳ないのですが、さっぱり…」 それを聞いてヘボンは恐怖が勝ってはいたが、なんとも申し訳なさそうに言うしか無かった。実際にあんな姿をしていては肉親であろうとわからないだろう。 その返事を聞いて、怪物は怒ったらしくまたも射撃を加え、ヘボンの周囲を弾き飛ばして、更に彼の身体に肉片を浴びせてきた。 「…リュッカーだ。耳目省の産業塔では後れを取ったが、今度はそうはいかん」 ある程度、此方をいたぶると怪物は満足したのか、そう名乗った。 言われてみると確かに、あの産業塔の螺旋階段で出くわした事のある黒翼隊の拳銃使いであることがヘボンは漸く思い出せたが、別にだからといってなんなのかとも思った。 「お前だけはこの手で仕留めねば気が済まん」 「しかし、何もその様な姿にならなくても…」 拳銃を向けながら、異形の姿で一歩一歩と距離を詰めてくるリュッカーと思わしい怪物に対し、ヘボンは頭だけを向けながら、震える口先で呟くのが精一杯だった。 あの彼が身につけていると言うより取り込まれている肉塊は、きっと生体防護服の一種であろうが、それは如何にも人間性を犠牲にしている代物と思われた。 大方、アルブレヒトが着込んでいた物よりも何段か質の悪い物で、一度着込めば肉体が一体化してしまうような物であろう。 そこまでして自分に復讐を果たしたいのかと、ヘボンは怪物の姿よりも、その執念を恐れた。 「あの雑魚共と一緒くたに始末されてはつまらないからな。今頃、のこのこと奥へ行った歩兵共は殲滅されているだろうさ」 リュッカーは不気味な声音で低く笑うと、銃口をしっかりとヘボンの顔へと向けてくる。 しかし、一発で済ませるつもりはないのであろう。 異様な形をした腕だとしても、長い年月を掛けて鍛えた腕は健在なのか、そのグロテスクな腕で彼は器用に生体式拳銃を何度も何度も素早く回転させた。 それを見てヘボンは身の毛がよだったが、四肢に幾ら力を込めても自身だけではどうしようもなかった。 迫る銃口は微動だにせずヘボンへ向けられ、何度ともなく味わった死の恐怖をまざまざとヘボンは感じた。 しかし、その恐怖に対して抵抗しようという気概は本能的にまだヘボン備わっていて、四肢は確かに肉片によって封じられていたが、負傷した足に装着させられていた人工筋肉がまだ完全に同化しきっていなかった。 ヘボンが必死に脚に力を籠めると肉片と人工筋肉が共に剥がれ、勢い余って肉から飛び出したヘボンの脚が怪物の銃口を僅かに蹴り上げた。 あまりの恐怖と興奮にヘボンの脚は負傷していた痛みも忘れていたし、まだ鎮痛剤の効能もあってか足に力を籠めると腕の拘束もなんとか脱せられた。 兎に角、少しでも怪物から遠ざかろうと体は肉の沼を這い出し、僅かながらリュッカー少尉であった物から距離が出来た。 「往生際が悪いぜ」 怪物はくぐもった笑い声をあげたが、その笑い声をかき消すかのように、何処からかポンっと間の抜けた音が響いたかと思うと、怪物の胸元に何かが刺さった。 そして、その何かが何処からか飛来したものだとヘボンが思った瞬間に、怪物の胴体が炸裂して、辺りに肉片が飛び散った。 「擲弾か…」 ヘボンはそう呻きながら、今の攻撃は自分を助けるために小銃から放たれた擲弾であると認識した。 「曹長殿!ご無事で」 力なくその場にヘボンがまたへたり込むと、暗闇から肉壁の先へ姿を消したと思っていた、ベルン曹長たちが声を上げながら引き返してきた。 「相手が見える位置まで出てくるまで、引きつけたのが良かったですな」 他人事のようにベルンは言いながら、擲弾を放ったばかりの自動小銃を肩に担ぎながら、ヘボンを抱き起して肉から脱するのを手伝い始める。 「俺達がバカ正直に逃げたと思うとは、経験が足りねぇな」 此方が立ち上がる頃には、ヘンシェルデ兵長が脇に立って、真っ先にヘボンを置いていこうと言い出した割にはいけしゃあしゃあと言っていた。 「黒翼隊の奴等は若い士官ばかりだ。無理もないだろう…無駄死にだ」 ベルンがそう珍しく憐れみを込めた様な声音で呟いたが、それを一同から少し離れた位置に立っていたフレッド准尉が遮った。 「驚きましたね。まだ、生きていますよ?形だけは…」 彼女はそう言いながら、肉の床を指さすとそこには怪物の肉片から、人間の上半身が転がっていた。 リュッカー少尉の残骸であろうと思ったが、その残骸は千切れた個所が床の肉と結合し、四肢が無くなり身動きは取れなそうだが、肩で息をしている。 擲弾を胸元で炸裂したというのに、その物体にはまだ意識があるようだった。 「どういうことだ!どういうことなんだ!これは!」 そう叫んでいるのはリュッカー少尉自身であった。 その顔は苦痛や激痛に歪むわけでもなく、酷い困惑した調子であった。 「…邪龍が生かしているのか?」 あまりに異様な光景に慄きながら、ニールが小銃を少尉へと向けていた。 「いえ、残り滓まで搾り取ろうというのでしょう…」 フレッドが小銃を構えたニールを制し、様子を見るように促すと、リュッカー少尉は激しく何かを喚きたてていたが、まもなくその言語は理解不能な呻きに変わり、上半身を包んでいた肉が少尉の全てを飲み込んだ。 「ここは大きな消化器官なのか?」 ニールが顔を青くしながら呻いた。 「邪龍の内部は全てそうなのかもしれません。すると、大佐ももう…」 フレッドはそう言葉を切ったが、今更一同は逃げ出すことも出来なかった。 ヘボンは人工筋肉の一部が剥がれて、足取りは先程よりも重くなっていたが、辛うじて行軍についていくことは出来た。 一行は先行した歩兵隊の後を追おうとしたが、暫く進むと肉壁がそびえたち、通路の様な物が見当たらない。 「先行部隊の足取りが途絶えた…と、いうよりは塞がれたぞ」 先頭に立っていたベルンが肉の上に僅かに残る痕跡を確認しながら言った。 引き返すにしても無事に戻れるかどうかは見当もつかなかったし、連絡を取ろうにも通信機をヘボンとニールで持ってはいたが、この邪龍の胎内でマトモに通信が出来たことは一度もなかった。 「…どのみち、通路は作る事になると思っていましたから…」 ベルンを肉壁から下がらせると、フレッドが素早く前に立って、全身に括りつけていた爆薬の一部を設置し始めた。 彼女は卓越した動きで、肉壁の厚みが薄そうな個所見当をつけ、素早く爆薬を肉へ張り付けると一同に下がるように指示してから起爆した。 それなりの爆音から察するに相当な量を仕掛けたに違いないが、それでも黒煙が止むと肉壁に開いた穴は人二人分程度の大きさでしかなく、近付いてみてみるとこの穴も徐々に塞がろうとしている。 これは邪龍の自己回復力が凄まじい事を物語っていて、ヘボンは改めてこの邪龍と言う化け物が生きているのだと感じえなかった。 その空いた穴を一同は肉に飲み込まれないように、素早くも慎重に潜り抜けると、肉壁が通路を塞いでいて、フレッド准尉の持ってきた爆薬以外にも、ヘボンとニールが背負っていた分も使いながら、何度か隔壁を爆破し邪龍の奥へと進んでいった。 進むたびに戦闘の跡が見受けられ、ヘボンがリュッカー少尉に襲われている間に先行部隊は更に奥へと血を流しながら進み続けたらしく、各所に爆薬で潰されたと思わしい肉のトーチカや銃眼に加えて、リュッカー程ではないにしろ一部を生体防護服に身を包んだ黒翼隊兵士の死体や、友軍歩兵の後送も出来ずに捨て置かれた死体があったが、これ等はほとんどが肉に飲み込まれていて、大凡、もっと数があったのであろうが、それらは既に完全に肉の中に取り込まれたのであろうことが窺えた。 そして、一行は歩測にして邪龍の最奥と思わしい個所の壁を爆破して、そこへ侵入した。 肉壁の向こうには同じような臓器めいた空間が広がっていたが、そこはまだ全てが肉と言う訳ではなく何か鉄骨とも動物性の骨とも形容できる妙な柱に覆われた場であった。 「これは…」 最も先に穴を潜ったベルンはその場に立ち尽くし、空間を見て絶句した。 ヘボンは重たい脚を必死に動かして、辛うじて一行の最後に穴を抜けたが、その空間を見てベルンと同じように狼狽えた。 先行部隊はこの空間で全滅してしまったように見えた。 肉の床に半ば覆われるような形で戦闘車両群は擱座(かくざ)していたし、随伴歩兵達も死体となって肉に飲み込まれ、腕や足やその一部が床からはみ出ていた。 しかし、キベ大尉の率いた部隊はそれでも果敢に戦ったのだろう。 リュッカー少尉達のあの怪物めいた歩兵部隊の死骸も辺りには散らばっていて、それらも肉に飲み込まれる様な、半ば相打ちめいた状況になっていた。 凄惨な戦場は何度も見てきたが、ここまでグロテスクな物は初めてだった。 肉に飲み込まれた負傷者たちは、先程のリュッカーの様に何か呻いていたが、それもやがて聞き取れない言語に成り果てて、肉に完全に飲み込まれる様子をヘボン達は数歩前で目撃した。 思わず吐き気を催すような光景にヘボンは前屈みになり、隣にいたニールも同様であったが、彼との違いはヘボンの脳裏に響き続けている不協和音がより一層増していると言う事だった。 「あの娘が…あの娘が呼んでいる…」 ヘボンは譫言を呟きながら、その場に突っ伏してしまった。 頭が重くなって痛みを訴えている。 「ヘボン!しっかりしろ!」 そうニールの励ましが聞こえてきたが、ヘボンの意識は薄くなり始めている。 正常な脳が働いていれば、このような光景から気を遠ざけようとするのは当然の摂理なのかもしれないが、だとしてもヘボンは自身の意識が沈む前に、周りの光景自体が沈んでいくような感覚を覚えていた。 そして、それは現実に起きていることでヘボンが突っ伏している間に、周囲の肉が意思を持つが如く、一同の脚をその肉の中へ引きずり込み始めたのだ。 誰しもが肉から抜け出そうとしたが、それは敵わない。 精々、ヘボンを当初の内に起こそうとしていたニールが彼に寄り添っていた位であったが、何故かフレッド准尉もヘボンの傍で彼の身体を起こそうとしていた。 それを感じる頃には意識がまた遠のいていった。 次に意識が醒めた時には辺りは暗闇に包まれていた。 今まで居た邪龍の胎内でも朧げな照明弾の明かり等はあったが、それが全く無い真の暗闇にヘボンは放り出されていた。 体は依然として重たいものの、まだ自らの脚で立てることはハッキリしていた。 「フレッド准尉!ベルン軍曹!ニール!…みんなっ…」 ヘボンは皆を探して叫んだが、返答はない。 ただただ体が重たい感覚と、脳裏にひりつくような既視感が身を蝕んでいた。 これは、この状態は今まで、時折見てきた悪夢の一環であることが、ヘボンは瞬時に理解できた。 だが、ここまで来て、自分は呑気に眠りこけてはいないだろう。 遂に、その悪夢が現実となってその最奥たる地点へ自分は到達してしまったのだと、ヘボンは痛感すると同時に全身が恐怖に震え始めた。 そして、すぐに暗闇からの違和感を感じ取って、それから身を守るようにその場にしゃがみ込みたくなってしまった。 (あの娘が見ている!) 暗闇からの視線を感じて、ヘボンはその方向を見ようとも思わなかったが、痛烈なまでに自身に向けられる視線から逃れる事は出来なかった。 不意に空間が真っ黒な瞼の様に見開かれた。 そこには人間の何倍があろうか定かではないが、巨大な瞳が存在して、それがヘボンを見つめていたのだ。 突如として襲い来る怪異にヘボンは声にもならない恐怖を吐き出そうとしたが、その瞳に睨まれては意識が遠のく事すら許されないようであった。 その瞳が何であるのか、ヘボンは理解していたし、瞳は名乗るまでもなく、頭に直接響く様な不協和音を声として彼に語り掛けてきた。 「───」 それは言葉にならない冷たい憎悪の嵐であった。 言語として理解する前に、圧倒的な敵意と破壊衝動がヘボンの体全体に向けられている様だった。 今にもこの体を引き裂いてやろうという意思が感じられ、暗闇の中で強烈な力がヘボンの四肢に伝わった。 今までの悪夢の中で味わった物の中で最も現実的な痛みだ。 大方、暗闇の中で肉の触手の様な物が大佐を攫ったときの様に、ヘボンを磔にするかのような力で引っ張っているのだろう。 だが、そんな事が思いついても、ヘボンは文字通り手も足も出なかった。 邪龍は、あの娘は、言葉にならない言葉で憎悪をヘボンに伝え、圧倒的ともいえる力でその復讐を果たそうとしている様だった。 先程のリュッカー少尉の様に全身を千切られるのであろうと、ヘボンは凄まじい恐怖の中でもどこか間の抜けたことを考えていた。 ここが自らの終着点なのだという自覚が強くあった。 様々な者たちの助けを借りて、全てを終わらせに来たというのに、最後はたった一人で彼女の復讐心を満たしながら肉片へと変わるのかと思った。 せめて、そう思うと復讐者の姿だけを見てやろうという気が起きた。 今更、どのような名状しがたい化け物が出てこようと、死に行く己は何も怖くないと、激痛の中で開き直る意思が芽生えた。 そう思うとヘボンは巨大な瞳を睨みつけた。 暗闇でぼんやりとはしているが、その光輝く瞳は、形こそすれ目玉のようであるが、それは半透明の巨大円状の海月みたいに見えた。 その海月部分中央の瞳部分には何か脳味噌のような物があることがわかり、それに幾重にも細い線が繋がっている。 「これが…これが、お前の正体か」 ヘボンは自嘲気味に呟いた。 ここにきて、ヘボンの肉体は痛みに慣れ始めていた。 この数週間で拷問の様に味わい続けさせられたことが、彼の身体というよりも精神をふてぶてしくさせていた。 「夢で逢った時は、幼気に見えたが、実情は生体器官と一緒なんだな」 それは素直な感想だった。 「漸く、今になって、私のあの機体に入っている物がなんだったのか、わかった気がする…お前と一緒だ…」 その呟きを口にすると、不思議と四肢を引きちぎろうとしていた力が弱まるのを感じた。 邪龍の脳はヘボンの様子を見て、当惑ともいえる反応を示している気がヘボンにはした。 だが、此方の頭は何故か澄んだような爽やかな感慨がある。 今まで不思議だったことが全て結びついて、言葉に出来ない問いの答えがようやく出た様な気がしていた。 「お前に出来るなら、私にも出来る」 そう口が勝手に動いた辺りから、顔全体が厚く火照る様な熱気を帯びだしていることにヘボンは気付いた。 それは先日に近衛兵達の前で、起きた現象に酷似していた。 顔に刻まれた模様がきっと遂に何かの意味を持ったのであろう。 ヘボンが生存するために強く念じれば『ソレ』は応えた。 途端に目の前の暗闇に瞳以上の光がヘボンの背後から差し込んだ。 差し込んだというよりはねじ込んだと言った方が正しいかもしれない。 この空間は邪龍が起こす悪夢ではなく、現実での出来事であったが、光をその空間へねじ込んできたのはマグラートであった。 その機体は肉壁をその前足の様な翼の先端に備えられた鋭利な三本爪で、肉壁を手術するかのような要領で切り裂き、その鼻先にある主砲を邪龍の瞳へと向けていた。 何が起きているのかヘボンは不思議とも思わなかった。 この時ばかりは理性的な判断が一切つかず、ただ、強く生きることを念じるがままであった。 その念じる行為がヘボンの中で最高潮に達した瞬間、マグラートは主砲を器用にヘボンの身体をすり抜けるようにして邪龍の瞳へ向け、発射炎の被害などお構いなしに、その瞳へと砲撃を行った。 一度の砲撃で片は付いた。 邪龍の瞳は一瞬にして粉々に飛び散り、あの瞳の中にあった脳味噌は小指の先ほども破片を残してはいないだろう。 そして、瞳が飛び散った瞬間にまるで心臓を止められたかのように、邪龍は動きを止めたらしい。 今までヘボンの四肢を掴んでいた触手は力をなくして、彼を肉の床へと落とした。 彼はまだ意識が半分ハッキリとしていたが、もう半分の今起きた事はほとんど、どうでもよくなっていた。 辺りは今までの暗闇が嘘かの様な具合で、グロテスクな事に変わりはないが、旧式の生体器官室の様な雰囲気にまで落ち着いていた。 この空間にはヘボンとマグラートだけしか、もう居ないように思われたが、ヘボンが辺りを見回すと肉に半ば埋め込まれて意識を失っているベルン達が見えた。 「おい!大丈夫か!」 不意にヘボンはマグラートの股下から声を掛けられた。 振り返ると、重武装の歩兵達が何人か束になって機体の下から此方へ向かってくる。 「橋頭保の確保に残っていたのだが、この機体が急に動き出したから追ってきた」 兵士の内の一人がヘボンを抱き起しながら、酷く狼狽した表情でそう言ったが、ヘボンは返答のしようもなかった。 既にマグラートは今までと同じ半無機物の様に固まっていたし、今いる場所が不可解なだけで、その姿はドッグにある様と何ら変わらなかった。 「…よくわからんが、もう、邪龍は動かないだろう。早くここから出よう」 ヘボンは起きた事は脇に置いておいて、兵士にそう呼びかけた。 実際に邪龍がこれで死んだのかは、脳裏にもう不協和音が響いていないことが、その証拠に思えた。 どちらにしても兵士たちはこの場に長居するつもりはなかった。 無駄なお喋りに耽る時間などはもうなく、ベルン達もお互いに肉の中から這い出すと、ヘボンの周りに集まり言葉を掛けあう訳でもなく、マグラートの様子を見ていた。 一行は既に理解不能な事が立て続けに身の回りで起きていたものだから、邪龍の中から飛び出して現実世界へと帰りたくなっていた。 肉の床に半ば埋まっている兵士達を引きずり出さねばならなかったが、その行為は手早く終わらせることが出来た。 邪龍の活動が停止したことにより、肉が兵士を飲み込むことを止めたらしかった。 だが、それは一概に安堵できる状態ではない。 邪龍の活動が停止したと言う事は、既に浮遊することが出来ないという事ではないかという危惧がどの兵士の頭の中にもあったのだ。 当初は数人ほど見るからに息のある者を肉の床から救出していたが、徐々に救出活動よりも脱出することが優先され、この邪龍の心臓部ともいえる空間に残る兵士は僅かになっていった。 「──ヘボン君」 誰かヘボンを呼び止める者があった。 声のした方へ咄嗟に顔を向けると、ヘボンは思わず口を小さく開けて驚いた。 それは、攫われたラーバ大佐に違いなかったが、彼女の半身は肉の壁に埋まっていた。 「よくやったね。これで勤めを果たせたわけだ」 彼女は体が半分飲みこまれていても、そんなことな意に介していない様子で、普段の陽気な調子をまだ保っていた。 「奴は…奴はもう確実に死んだだろうが、君を引き裂く様を特等席で私に見せようと思ったんだろう。不思議な事に、あれだけ君と夢で見た奴の姿はもうどこにもなかったんだ。声も思念も私にはか細くしか感じられなかった…」 どんな状況においても彼女はお喋りが好きなのだと、ヘボンは半ば呆れながら大佐の言葉を聞いた。 「あまりにも強すぎる憎悪の肉に、奴も飲み込まれたんだ。…そして、私も…」 「大佐…」 「ヘボン君。君には散々、付き合ってもらったが、任務から解放するよ」 そう彼女は寂し気に言って、目を伏せたが、近寄ったヘボンの片足を、まだ肉に飲み込まれていない片腕で強く握っていた。 その手を離してヘボンを見送ろうなどと言う意思は、そこからは感じられなかった。 「大佐…」 「今までご苦労だった。原隊に戻れるかは今更言うまでも…」 「大佐、お手を…」 目伏せたままで何やら喋っている彼女に対し、ヘボンはなんとも申し訳なさそうに腕を離してもらえるように促したが、その腕は固く握られていた。 無言で助けを求めているのだと言う事は、ヘボンには痛いほどよくわかったが、あの時の様に彼女を引っ張り上げる事が出来るとは思えなかった。 いっそのこと、彼女と心中してしまうのかとも脳裏に一瞬過りそうになったが、そこまでの義理はもうないだろうと冷めた考えがヘボンを狂気と冷静の半々と言ったところの具合にした。 「フレッド准尉!」 ヘボンは後ろで既に大佐の墓前を前にして黙祷しているかのような死神に声を掛けた。 彼女は声を掛けられると、伏せていた顔を持ち上げたが、此方が何を求めているのか察したらしい。 「綺麗に千切ることは出来ますでしょうか?」 彼の口調は平静であったが、その言葉を聞いて大佐は伏せていた目をひん剥いた。 彼女も此方が何をしようとしているのか理解したのだが、今まで平静さを保ち続けた表情が俄かに揺らいだ。 ヘボンとしてはこの数週間というもの彼女に振り回され続けた事を鑑みれば、この程度はまだ忠義者の範疇に収まると算段した。 「綺麗にとは言いませんが…、少なくとも4割は生きれるでしょうね…」 そう答えたフレッド准尉の笑みにヘボンは初めて同意するように微笑む事が出来た。 「ヘボン君っ!准尉!何を…」 大佐は遂に狼狽した声を出した。 しかし、ヘボンはそれに答えず、数歩後へ引きさがると、後はフレッド准尉が爆薬を彼女の肉に取り込まれた半身から出来る限り離して少量の爆薬を設置した。 炸薬をギリギリの量にまで調整し、大佐を爆圧で殺さない程度の量にする必要がある。 その手の事についてフレッド准尉は専門家であり、少なくともこの邪龍攻略作戦においては、肉の隔壁を破る際にその能力を存分に発揮していた。 ヘボンよりも遥かにフレッドとの付き合いの長い大佐の方が、彼女の腕前をよく知っているとは思うが、それを自らで試すことになろうと流石に思わなかったらしい。 「准尉…」 大佐は流石に、泣き喚いて部下を制止させようとまでしなかったが、それでもこの極限の状況で張り詰めた表情を彼女へと向けていた。 「大佐殿…貴女は何があっても皆の元に戻って、我々の身の振り方についてお指図して頂かねばなりません…。まぁ…四肢についてはあの者を頼ればよいかと…」 准尉は囁くように微笑みながら、爆薬を起爆した。 肉の血飛沫と小さな爆炎がほぼ同時に上がったように、ヘボンには見えた。 ヘボン達はそのままマグラートに搭乗し、機体を始動させると、文字通り這うようにして邪龍から脱出を図った。 経路は既に歩兵やこのマグラートが勝手に作ったのであろう物を利用し、迷路のようにも感じられた邪龍の胎内を一直線に突っ切る事が出来た。 途中で生き残っていた歩兵隊や後続の車両部隊とも合流したが、不思議な事に邪龍の胎内には敵の姿がもう誰一人も確認することは出来ない。 まるで邪龍が死んだと同時に、艦内の全ての生き物が死んでしまったかの様にすら思える。 いや、正確に言えばヘボン達と味方以外に敵対する者として生きていたのは邪龍だけだったのかもしれない。 そんな感慨に耽りながら、ヘボンは操縦席から橋頭保の強襲揚陸艦に歩兵隊や車両が慌ただしく離脱する様を見ていた。 彼らが先に逃げ出さない限りは、マグラート一機が抜け出る隙間すらそこには無かったからだ。 「…本当に信じられないぜ。終わったんだな」 通信席からニールが困惑と歓喜が織り交ざったような調子で、ヘボンに話しかけてくる。 ヘボンは力強く頷いたが、本当にこれで終われるのかと何処か腑に落ちない物があった。 「護衛艦隊は邪龍の動きが止まったことを知って、六王湖方面へ撤退しているそうだ。邪龍護衛の黒翼隊も同様だそうだ」 そんな不安を抱えるヘボンを他所に、ニールは嬉々として通信を読み上げている。 全てが上首尾に進んだのであろう、通信機からも歓喜が漏れ出してくる気配がする。 しかし、そうであっても何かをヘボンは忘れている気がした。 先日に感じたどす黒い物がまだなにか心に残っている気がする。 「…気付いたか、ヘボン君」 不意に、指揮席から声が降ってきた。 振り仰げば、そこには両足を失った大佐がそこへ収まっている。 彼女の両足は既に肉に飲み込まれており、ヘボンの脚に付けられた人口肉腫の様な物を爆風によって千切れた個所へ応急処置的に張り付けて失血を防いだ。 それでも通常の人間ならとっくに意識を失っていそうなものだが、大量の戦闘興奮剤を彼女へ打ち込み、半ば朦朧として顔色も土気色ではあるが、なんとか彼女は生きている。 本来なら強襲揚陸艦に乗った衛生兵に担ぎ込まれるべきなのだが、意地でも彼女はマグラートから離れないと意志を明確に示してきた。 「まだ私達には決着を付けねばならぬ奴がいるのだが…それがいないのだよ」 彼女はぼんやりとした声音でそう言いながら、視線は虚ろに機外へ向けられている。 「レマ・ニエン少佐の事でありますか…?」 「そうだ。奴が出てくれば近衛艦隊も多大な損害を被っただろう…。しかし、そんな報は受けていないし、かといって邪龍の周りにも、あの女はいなかった…」 「…きっと、六王湖の方面へ脱したのでは…?」 彼女の危惧はヘボンの言葉にならない不安をズバリ言い当てていた。 確かに、あの黒い海月の様な魔物に駆った復讐鬼と出くわしていない。 別にヘボンにとっては居ないなら居ないで好都合であったので、意識の外に捨てようとしていたのであろう。 それが彼女の虚ろな言葉で意識内に蘇ってきていた。 「どうかな…。邪龍の中に居た黒翼隊の連中はもう人間ではなかった。取り込まれ、手足のように操られていたが…あの女は…」 彼女は思い返すように、自分に言い聞かせるように言葉を反芻していた。 それを聞くとヘボンの背中にゾクリと冷たい物が走る気がした。 「…ベルン軍曹、主砲はまだ使えますか?」 警戒に越したことは無いと思い、ヘボンは既に悪寒じみたものを感じながら、足下のベルンに聞いてみた。 「問題ありません。どうしました?」 「いえ、装填を…」 そう言いかけて、ヘボンは悪寒の波が一斉に自分の身体に襲い来るような感覚を覚え、本能的な恐怖に反応するかのように首を横に捻った。 後方を確認することは出来ないが、機体側面外に何か黒い触手の様な一瞬見えた。 「装填!装填!装填!」 それを感じた瞬間にヘボンは半狂乱となって叫びながら、マグラートの機首を後方へと反転させようとした。 途端に目の前に黒い触手の群れが群がって、マグラートの機首が無理やりにねじ上げられる。 とてつもない力に機体は大きく揺らぎ、機内のそこら中に体をぶつけた為に、痛みに呻く誰かの声が聞こえた。 「…やはり…まだ…」 指揮席で腕に必死に力を込めながら、席から落ちまいとする大佐は、自身の目の前に広がる黒い翼に唸った。 それは黒い触手を全身から生やした、先日に艦隊を襲った黒い海月の化け物であったが、その体面は今にも朽ちかけようとしている様子が、なんとか体を上に押し上げるヘボンの目にも飛び込んできた。 邪龍の肉壁の中から、最後の力を振り絞って這出てきたそれは、触手を幾重にもマグラートに絡めて、此方を逃すまいとしがみ付こうとしてくる。 「主砲を放て!早く!」 指揮席にしがみつきながら、大佐は何振り構わず、鎮静剤の薬効が全て吹き飛んだかのように叫びたてた。 「往生際の悪い女だ…。お前には渡さんぞ!」 大佐は叫ぶだけでは物足りなくなったのか、片腕で拳銃嚢から拳銃を振り抜いて、無駄に見える発砲を繰り返した。 あの黒い化け物を駆る少佐であった者のしぶとさに驚くが、此方の脚を失ったばかりでまだ尚、暴れたりない様な大佐の姿にもヘボンは呆気にとられた。 その際に黒い化け物の表面から触手に包み込まれながらも、何か人影の様な物が這い出して来るのをヘボンは確かに見た。 それが本当にあの少佐であるのか、ヘボンは確認しようと目を凝らそうとしたが、その前にマグラートの主砲が、器用に機首を捩じりながら化け物へ砲口を向け、唸りを上げた。 閃光が目の前に走ったと同時に、今まで橋頭保の肉の上に爪を喰い込ませていたマグラートが不意にバランスを崩して落下し始めた。 既に朽ちようとしていたあの黒い化け物の肉体を砲弾が貫通し、更に死んだ邪龍の最も薄い底部を貫いたらしい。 床が抜けるようにしてマグラートは空に放り出された。 しかし、両翼をヘボンは素早く開き切り、飛行体型に切り替えながらこの窮地を脱する事が出来た。 邪龍の底部から空へ飛び去るまでの合間に、周囲に邪龍の素体であるシヴァ級の残骸とも肉片とも取れない物が落ちていき、その中にはあの黒い化け物と思わしきものも見えたが、ヘボンはこうなってしまってはいちいち目にとめようとも思わなかった。 今はこの状況を切り抜ける事だけが全てであった。 暫くして、ヘボンは辺りを夕焼けが包む様な草原の上にマグラートを着陸させ、機体から吐き出されるように機を降り、地に足を付けて漸く安堵した。 ヘボンも他の者と同じように機から下りようとしたが、マグラートの構造上、指揮席の大佐から降りないと、ヘボンは操縦席から外に出ることが出来ない構造となっていた。 こうして地面に足を置けると、一日掛けて起きた、あの戦いが何でもなかったかのように思えないでもないが、ヘボン達の着陸した位置からでも墜落した邪龍の残骸から吹き上がる黒煙が、山脈の麓でまだ濛々と上がっている様が戦いを物語っている。 その黒煙の上空では勝利した近衛艦隊と、ヨダ地区艦隊がちょうど二つに分かれるようにして、それぞれの母港へと戻ろうとしている様であった。 その光景を一同は見上げていると、マグラートの近くへ同じように邪龍の難を脱した戦闘機や強襲揚陸艦が次々に着陸してくる。 そんな彼らを出迎えるようにして、大佐はマグラートの指揮席の天板を開き、まだ意識がハッキリしているのか敬礼を着陸する生還者たちへ向けていた。 「ヘボン君、終わったね」 彼女はそう短く発し、夕焼けの空に歓喜とも哀愁とも付かない表情を向けている。 「この騒乱はきっと、帝国の長い歴史の中に記されることは無いだろうね」 彼女の呟きを聞きながら、ヘボンは煙草を吸おうと此方も天板を僅かに開けた。 長い事、煙草をまともに吸っていなかったような気がした。 「我々の存在も公に記される事も無いだろう…。ベルン達はラーバ家の私兵として吸収出来るが…、君はあまりに多くの事を知ってしまったからね。原隊というより、帝都にも戻る事は出来ないだろう」 火を点けて紫煙を吸い込み始めた時に聞こえてくる彼女の言葉に、ヘボンは特に驚く事も無かった。 多分、この言葉はレリィグの一室で彼女の言葉を飲み込んだ辺りで予想していた結果だった。 「…どうだね?君さえよければ…」 紫煙を吐き出しながら、同じように空を見上げるヘボンにラーバは問いかけてきたが、ヘボンはその顔に対して煙草の吸い口を差し出していた。 彼女はその対応に僅かながらに戸惑った色を浮かべたが、すぐに陽気に微笑むとその吸い口に口を付けて紫煙を同じように吐き出した。 夕闇になりつつある空を紫煙が彩り、二人は迫る夜が凄惨な戦いの跡を隠してくれることを祈った。 「…良い夜になるぞ」 ツェツェーリエ・フォン・ラーバ大佐のそんな呟きを聞いて、ヘボンはその言葉に聞き覚えを感じて、緩く笑みを浮かべた。 終
https://w.atwiki.jp/ggenew/pages/864.html
スカウト可能キャラ [#qb3c203d] バーナード・ワイズマン [#ka4b8e91] クリスチーナ・マッケンジー [#x68faca1] スカウト不可キャラ [#a634cbb9] ハーディ・シュタイナー [#o1342d57] ミハイル・カミンスキー [#b6b18fab] ガブリエル・ラミレス・ガルシア [#yb497b6f] スカウト可能キャラ バーナード・ワイズマン データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 弱気 250 超晩成 49200 辻谷耕史 510 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 16 16 13 17 0 8 A C C A A 20 99 99 99 65 93 69 85 A C C A A アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 底力 HP50%以下になると攻撃力と防御力アップ 初期 機械技術 整備能力アップ Lv 10 集中力 回避コマンドを選択した時の回避率アップ Lv 18 無謀 反応-5、攻撃力アップ Lv 30 熱血 テンションの上昇によって格闘・射撃・反応・守備が上昇 Lv 40 備考 パイロットとしての能力は低めだが、整備操舵共にAなので戦艦のクルーとしては優秀。 初期地も低ければ、伸びもよくないと使いにくい彼だが、それが彼の持ち味なので悪しからず。 集中力と熱血が無謀のデメリットを打ち消しているので、吶喊させて無双させてもけっこう行ける。 Lv60で覚醒(20)。超晩成型の成長なので、最終的に能力値の合計は非常に高くなる。そこまで育て上げるのが大変だが。 クリスチーナ・マッケンジー データ 性格 MP 成長 COST CV Lv99の総合能力 280 49400 林原めぐみ ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 18 18 16 19 0 12 A B B C B 40 20 99 A B B C B アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 幸運 回避率とクリティカル率アップ 初期 集中力 回避選択時回避率上昇 Lv4 真面目 キャラクターの獲得経験値増加 Lv19or20 身軽 Mサイズ以下のユニット搭乗時に機動力と回避率増加 Lv34 鉄壁 Lv45 備考 反応の初期値はそれほど高くないが、幸運、集中力、身軽と使える回避アビリティを持ち合わせている。 最終的には鉄壁も覚えるので、まさに避けつつ受けることのできる壁役にもってこい。 Lv41射撃46格闘36反応46守備37魅力37で覚醒(21) Lv40射撃36格闘43反応41守備47魅力33で覚醒(20)Lv40が条件か スカウト不可キャラ ハーディ・シュタイナー 性格 MP 成長 CV 330 秋元羊介 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 23 22 22 24 0 8 A A - - - アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 練達 ユニット地形適正1段階上昇 初期 熟練 全武装のEN消費5%減少、命中率アップ 初期 備考 ミハイル・カミンスキー 性格 MP 成長 CV 250 島香裕 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 18 24 20 15 0 6 A - - - - アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 気分屋 テンション変動がバラつく 初期 豪傑 攻撃力アップ 初期 備考 ガブリエル・ラミレス・ガルシア 性格 MP 成長 CV 250 島田敏 ステータス Lv 射撃 格闘 反応 守備 覚醒 魅力 パイ 艦長 通信 操舵 整備 1 20 20 17 22 0 6 A - - - - アビリティ 名前 効果 取得条件 備考 好戦 格闘と射撃アップ 初期 怒り HPが減少するごとにクリティカル率アップ 初期 備考
https://w.atwiki.jp/utamacross/pages/19.html
ロックされた楽曲名 解除に必要な楽曲名 縦軸がロックされた歌姫 横軸が解除に必要な歌姫 ミン バサ ミレ シェ ラン フレ 美雲 カナ レイ マキ ミンメイ バサラ ミレーヌ シェリル ランカ フレイア 美雲 カナメ レイナ マキナ Name 初代 ロック楽曲 必要歌姫 必要楽曲 愛・おぼえていますか 天使の絵の具 小白竜 7 ロック楽曲 必要歌姫 必要楽曲 TRY AGAIN Frontier ロック楽曲 必要歌姫 必要楽曲 アナタノオト ダイアモンド クレバス 星間飛行 アイモ 私の彼はパイロット ねこ日記 What bout my star? トライアングラー ニンジーン Loves you yeah! インフィニティ Welcome To My FanClub s Night! ユニバーサル・バニー ノーザンクロス ギラギラサマー(^ω^)ノ Delta ロック楽曲 必要歌姫 必要楽曲 ルンがピカッと光ったら 不確定性☆COSMIC MOVEMENT いけないボーダーライン 一度だけの恋なら 恋! ハレイション THE WAR AXIA~ダイスキでダイキライ~
https://w.atwiki.jp/utamacross/pages/17.html
ここに書き込まれた情報は誰かが反映していきます。 【ロックされた】歌姫/楽曲 【解除に必要な】歌姫/楽曲 と入力してもらえるとわかりやすいかもしれません。 例:【ロック】ランカ/恋ハレ 【解除】レイナ/ノーザンクロス ※名前欄の記入は特に必要ありません。 名前 コメント