約 340,922 件
https://w.atwiki.jp/oshitodomero/pages/131.html
スレッド_レス番号 02_088-094 作者 ◆T24RU/jbYI 備考 長編,闇金融と顧客の女 新宿。 銀座のように上品でなく、六本木のように尖ってもいない。さりとて渋谷のように若くもない、あらゆる年齢、国籍、性別を受け入れ、飲み込む雑多な街。人間の欲望全てが上空に渦を巻いているような、そんなエネルギーがこの街にはある。 新宿駅におりると、いつもその空気に眩暈がする。 帰ってきた。 思わずそんな言葉を口にしてしまう。 東口の人込みをすり抜け、新宿通り、靖国通りを越えると、そこが歌舞伎町だ。ここは、新宿の中でもまた独特の空気を持つ。いや、新宿が新宿たるゆえんは、この小さな空間にあるのかもしれない。 俺の仕事場はここにある。 狭苦しい雑居ビルのエレベーターに乗る。チン、と音がして五階でドアが開く。三つしかないオフィススペースの一番奥が、俺の仕事場だ。 「コスモシティファイナンス」 よくわからないネーミングをドアのすりガラス部分にシールで主張している、この事務所に来るのは一年ぶりだった。 「よう」 ドアを開け、中にいる男たちに手を上げて挨拶する。 「部長! おかえりなさい」 中で新聞を読んだり爪を研いだりしている男たちの容貌はどれも、いかにもヤクザ、といったものだ。粗暴さを奥に秘め、表面はデキるビジネスマンを装っているが、いざその瞬間がくれば獰猛な牙をむく。そこまでを一瞥しただけで感じ取らせる男たち。それが俺の部下。 闇金融といわれる金融屋が、俺の仕事だ。 勤めた銀行を辞めてから十年以上、ここで俺は金と人間の欲望を扱ってきた。地方にもう一軒店舗を構えるというので、その立ち上げを手伝いに一年行っていて、今日、また帰ってきた。 「変わりないか?」 座りなれたソファでくつろぎながら、俺は訊いた。 「ええ。人間のやるこたァ、そうそう変わらないですよ」 俺の右腕としてここを取り仕切る、有能な営業マンだ。 「違いねェな」 顧客名簿や帳簿関係をチェックするために、俺は右腕と共に奥の部屋に移動した ぺらぺらとめくっているうちに、ふと気になる顧客情報を見つけて目を留める。 ハタチの女の情報だった。 うちのような店に来る客は、ブラックリスト顧客や、何件もの店で借金を重ねた多重債務者だ。そうでもなければ、普通は闇金など足を踏み入れたいとも思わないだろう。 だがこの女は違った。突然やってきた女には、いくら調べても他での借金は見つからなかった。 男にダマされでもしているのかとプライベートも調べたが、下町にある小さな印刷会社に事務員として働いていて、男っ気はまるでなし。ブランド品を買いあさるなどの浪費癖も見当たらない。 一体なんのためにうちで金を借りたいと言ってきたのか、まったく不思議な女だった。 だが、貸してといわれてダメということもない。今の給料ではそのうち火の車となっていくに違いないと思ったが、そこはそれ。ハタチの女なら、なんとでもなる。 見た目は、田舎から出てきた「イモ姉ちゃん」そのもの。黒い髪の毛をひっつめにして、大きな眼鏡をかけ、ほっぺたはりんごのように赤い。 だが、眼鏡の奥から上目遣いにこちらを伺う怯えた瞳、震える唇、ぎゅっとハンカチを握りしめる細い指は、磨けば光るかもしれないと思わせるものがあった。 コゲつきゃあ、風呂屋にでもいってもらいましょう。 右腕はそう言ったが、女はコゲつくどころか、毎週きっちりと金を返しに事務所へやってきた。 なにもうちで借りるこたァないんですがねえ。右腕も首をかしげるほど、女の返済はしっかりしていた。しかしおかしなことに、もうすぐで返済が終わる、という頃になると、事務所に来て俯いて言うのだ。 「もうお金ありません。また貸してください」 結局、残りわずかな金額をジャンプして、また大金を借りていく。そしてまた毎週事務所へやってくる。そんなおかしな顧客だった。 「この女、まだやってたのか」 「ええ、ですが、ちょうど部長が地方行ってしばらくしてくらいから、マジメに返さなくなりましてね」 今では借金は、数百万に増えていた。さてそろそろ最後の仕上げ、という段階にきているところだという。 「面白ェな。仕事場、どこだっけか」 「部長自らがいくこたァねえっスよ?」 「いい女がいるかもしれねえだろ?」 冗談めかしていうと、右腕は手を振って笑った。 「数人、若い女はいますけど、ほとんどがオヤジとババアの、典型的な下町の工場ですよ」 「ま、復帰戦がてらに、ちょうどいいんじゃねえか?」 またまたあ、という右腕の声を背中に、俺は事務所を後にした。 そろそろ返し始めないと、さすがにまずいかも。 ロッカールームで制服に着替えながら、わたしは頭の中に預金通帳を思い浮かべた。 わたしがあの闇金でお金を借りたのには訳があった。いや、訳というほどのこともない。恋をしたのだ。道ですれ違っただけの、言葉すら交わしたことのない男に。 その男に会うためだけに、わたしはお金を借りた。月に一度、振り込んでくれればいいよと言った営業マンに、毎週持ってきますと思わず答えていた。 そうじゃないと使っちゃうから。そんな下手な言い訳をしながら、わたしは毎週事務所を訪れた。事務所に彼がいれば、そこでお金を返す。いなければ、今日はないからまた明日くる、と言っては呆れられた。 デスクの向こうでじっと客と部下を見つめているその視線を、わたし個人に向けてくれればいいのにと、何度願ったことか。 けれど結局一年間、ただの一度も会話すらせずに、わたしは毎週彼の姿を眺めるだけだった。それだけで幸せだった。 だけど、そんな幸せも一年前に終わってしまった。突然いなくなった彼の姿を求めて、わたしは日参に近い頻度で事務所を訪れた。そしてようやく、地方へ行ってしまったのだと聞きだした。 もう、お金を返す気にも、事務所に行く気にもなれなかった。彼がいないのなら、闇金の事務所など、怖いところでしかなかったからだ。 そうこうしているうちに、あっという間に借金は膨らんだ。もう、どうしていいのかわからなかった。 制服に着替え、いつもと同じ仕事をこなす。うきうきとしていたあの頃に比べ、なんと味気ない生活だろう。もう、借金を苦に自殺してもいいような気がしてきた。 でもその前に。会いたい。一目でいい。前と同じように、会話を交わすことがなくていい。ただ、彼の姿を見たくてたまらなかった。 夕方、もう少しで定時になるという頃。他の事務員の女性はみなそわそわとし出す時間。デートの約束、コンパの予定。 そんなものに縁のないわたしは逆に、いつ、どうやってお金を捻出して持っていこうかと、気ばかりが重くなっていっていた。 そんな時、事務所のドアが開いた。営業マンが帰ってきたのかと、入り口を見たわたしは息を呑んだ。 見るからに高級な生地と仕立てでできているスーツ、ネクタイ。ココからでは見えないが、きっと靴も同じように高級で、そしてピカピカに磨かれているに違いない。さりげなく覗かせているポケットチーフに、袖から見える腕時計までが、キラキラと光って見える。 まるで芸能人のようなオーラを放ちながら、エリートビジネスマンの格好をした彼が、そこにいた。 女性陣はみな唖然として、ドアの前に立つ彼を見つめている。おじさんたちも燦然と輝いている彼を、ただただ眺めている。 「い、いらっしゃいませ」 ようやく、受付当番の女性が上ずった声で彼に言った。 「お約束ですか?」 彼女の熱い視線をものともせず、彼はカウンターごしにわたしの名前を呼び、微笑みかけた。 「やあ。久しぶりだね。営業でこちらのほうにきたので、寄ってみたんだ。チラシや名刺も作りたかったし、ちょうどいいかと思って。相談に乗ってくれるかな?」 全員の視線が、今度はわたしを射るかのようにわたしに向かってきた。 定時がもうすぐだと言うと、彼は「今日でなくてもいいから、新宿で会おう」と言った。それはつまり、事務所へ来い、ということだ。 彼が、わたし個人に会いにくるわけがない。返済が滞っているわたしを威嚇するために、仕事場にきたのだ。それが分かっていても、わたしは胸が高鳴った。 再会できただけではない。初めて。初めて会話を交わせた。それが嬉しくて、舞い上がるようにしてわたしは定時までを過ごした。 女の工場から事務所へ戻り、俺は右腕とふたり、帳簿を囲んで今後のことを話した。 そうこうしているうちに日は暮れていき、事務所の連中みんなで、俺の復帰祝いをしてくれるということになった。なんということはない。単に飲む口実が欲しいだけなのだが、その口実に使ってくれる心遣いが嬉しかった。 若い連中を先に帰し、俺は事務所を閉める役目を請け負った。まだもう少し、店の内情を把握しておきたかったからだ。 「じゃあ、先に行ってます。早くきてくださいね、部長」 「ああ、わかった」 全員が事務所を出ていき、俺はまた書類に意識を集中させた。 気づけばすでに日はとっぷりと暮れており、夜の闇が街を覆っていた。小さく背伸びをし、ブラインドの隙間から街を覗く。 夜になってから、この街は本来の姿を見せる。けばけばしいネオン。耳を塞ぎたくなるほどの喧騒。男と女の欲望と情熱が、ネオンに照らされて露わになる。そんなところは、確かに一年前と変わっていない。 ぞくぞくするような喜びを覚え、俺は書類を片付けた。そろそろ店に向かわないと、と思ったからだ。 その時、街には似つかわしくない空気をまとった女が、このビルを見上げているのが見えた。あの女だった。しっかりとカバンを胸に抱いて、やがて女はビルの入り口に吸い込まれた。 俺は事務所のドアの正面にあるカウンターに座り、煙草を取り出して待った。女は、煙草が半分まで減ったところでやってきた。 小さなノックが聞こえ、俺は煙草をくわえたままドアを開けてやる。ぺこりと女はお辞儀をした。ドアの隙間を塞ぐように俺は立ち、女に向かって言った。 「何しにきた? もう、あんたに貸す金はねえぞ」 「かっ、返しに……。返しにきました」 「ほう……。なら、入んな」 女を事務所へ招き入れる。ドアを閉めてから俺は応接セットのソファにどかりと座った。女はおそるおそる俺の前のソファに腰掛ける。 これを、とカバンから取り出したのは、銀行の封筒。中を見れば綺麗に揃った福沢諭吉の束だ。もったいぶって俺はその枚数を数える。 「百か。あんた、それでもまだ全然足りねェって分かってるか」 「ハイ。だけど、これで元金の半分は――」 「バカ言っちゃ困るな。こっちは毎回耳揃えて貸してやってんだ。なら、返す時も全額まとめてだろ。これは、利息分に当てとくよ」 女は俯き、スカートをぎゅっと握り締めた。 「で? また前みたいに、毎週いくらか持ってくるつもりなのか? もうあんな金額持ってきたって、焼け石に水だぜ。まあ、ないよりはマシだがな」 さっきまで吸っていた煙草を灰皿でもみ消した。すると女が突然立ち上がり、きゅっとこちらを向いて俺を見つめた。磨けば光るかもしれないと思った、綺麗な瞳だった。 「わ……。わたしを……。わたしを買ってください」 かけていた眼鏡を外してテーブルに置き、髪をほどいた。おあつらえむきに、エアコンの風で黒い髪が女の肩のあたりで泳いで、俺を誘う。 「身体で、払います。払いきれない分は――身体で。わたしの身体で払いますから……」 言いながら女は俺のほうへ寄ってくる。俺は黙って女のすることを見守っていた。 女は俺の前で、ブラウスのボタンを外してスカートを床に落とした。地味な洋服とはアンバランスな派手で色気のあるレースの下着が、女の身体を僅かに覆っていた。 恐らくまだ誰も触れたことがないであろう胸は、人並みより少し大きめ。大きな尻に、くびれた腰。股間を隠すレースの下からは濃い茂みがのぞき、その更に奥のことを想像させる。 「だから――抱いてください」 そう言うと、女はかがみこんで、俺の唇に自分の唇を重ねてきた。震える小さな声を発する、赤いふっくらとした唇だった。 キスをしたこともないのか、女の口づけはただ単に唇を重ねるだけだった。俺が小さく口を開くと、はっと気づいたように舌を差し入れてきた。 「んっ……。んん……」 女のあえぎ声と、唾液が絡み合う水音が、薄暗い事務所に響く。ぎこちない、慣れていない舌と唇の動きに、俺の下半身が疼いた。 わたしは少ない知識を総動員して、彼の唇を吸い、口の中を舌でまさぐった。彼は口を薄く開いた以外、何も反応を示さない。思い切ってわたしは彼のベルトに手をかける。 恐怖と興奮とで震える手で、わたしは彼のベルトを外し、スラックスの前を開いた。 ブラジャーの留め金を外して、胸を彼の前にさらけ出す。そうしておきながら、わたしは彼の下着の上から、彼の男根に触れた。触れたそこは下着の中でゆるやかに硬さを持ち始めていた。 彼の首に手を回して、自分の胸を顔に押し付ける。彼の薄い唇が乳房に触れて、わたしの身体に刺激が走る。 だが、彼はそれ以上何もしてこない。わたしは身体を離し、彼の膝に乗ってもう一度口づけた。口づけしながら彼の股間に手を寄せて、硬くなりつつある彼の男根をさする。 わたしの手の中で徐々に固さを増し、大きくなっていく彼の男根。彼の中でそこだけが、わたしに反応してくれていた。ふと下半身に目をやれば、下着の上から見えている赤黒い先端が、てらてらと光っていた。 すると彼はわたしの腰に手を回して、ぐっと引き寄せた。 彼のシャツごしの肌が、わたしの身体に触れている。そう思うだけで、わたしのアソコは濡れてきて下着を汚した。 「抱いてほしいのか?」 耳元で彼の声がした。こくりとわたしは頷いた。 「抱くのは構わねェがな」 彼の男根をさするわたしの手を止めて、彼は続けた。 「あんたがどれだけ俺の上で腰振っても、俺には一銭も落ちてこねェってことは、理解してるか?」 硬さを増していたはずの彼の男根が、元に戻っていく。触れていたはずの肌が、わたしの身体から離れていく。 「身体で払う覚悟ができたってんなら、それなりの店、紹介してやるぜ。そこで客相手に腰振って、稼いで、返してくれ。俺に股ァ開いても、あんたの借金はビタ一文、減らねえんだ」 彼は腰に回していた手に力を入れて、わたしを膝から下ろした。 「服、着ろや。俺が客と、営業時間外にこんなことしてるなんて知れたら、部下どもがうるせえ」 「客……」 ほら、とわたしが脱ぎ捨てた下着や服を手渡してくれながら、彼は頷いた。 「ああ。あんたと俺は、金融屋の店長と客って関係だ。それ以上でも、それ以下でもねえ」 のろのろとわたしは下着を身につけた。初めてつけたこの下着の派手さが、自分の愚かさと浅ましさを表しているようで、惨めでたまらなかった。 彼はソファから立ち上がり、いつも座っているデスクに腰だけ乗せて、煙草をくわえてわたしを見ていた。服をようやく着終わったわたしに、彼がデスクにあった手鏡を差し出した。受け取って、髪を軽く整える。返す時に触れた彼の手の温もりに、胸が震えた。 「すみませんでした」 手鏡をデスクに置いた彼が、ぐいとわたしの手首を掴んだ。 冷たい彼の手の平が、わたしの手首にあった。ごつごつとした指がわたしの腕にくいこみ、そこが熱を持つ。わたしの神経もそこに集中した。もっと触れて。もっと触れていて。もっと強く、もっと優しく。 「あんた、家族や親戚はいないのか」 はっと気づくと、彼が話しかけていた。急いで頭を回転させて、答えた。 「両親は田舎にいます。親戚も」 「二本だ。二百万、親や親戚に頭下げて借りてこい。今日のその百に足しゃあ、あんたの借金の半分になる。それで勘弁してやる。その代わり、今月中だ。あと二週間のうちに、三本まとめて持ってくるんだ」 彼の言っていることの意味が分からず、わたしはぽかんとして彼を見つめた。 「あんたの綺麗な裸に免じて、半額で許してやろう。間違っても他の金融なんかで借りてくるんじゃねえぞ、いいな?」 煙草を灰皿に捨てた彼が、掴んでいたわたしの手を持ち上げ、手の甲に小さくキスをしているのが見えた。自分の手にされているのだと、気づいたのは一瞬後だった。 「分かったか?」 頷くと、彼はふっと口元に笑みを浮かべて、じゃあ帰れ、と言った。再び頷くと、わたしの手首を掴んでいた彼の手が、離れた。 宙に浮いた腕をやっとのことで自分の身体に引き寄せて、わたしはソファに置いてあったカバンに手をかけた。慌てていたためか、カバンの中身を床にばら撒いてしまい、わたしはそれを拾い集めた。 彼はテーブルの上のお金を封筒に入れなおして、わたしのカバンの中に入れた。お辞儀をして、わたしはドアへ向かう。彼は後ろをついてきて、ドアを開けてくれた。 「あの――」 「返済が終われば、あんたはもう俺の客じゃなくなる」 ありがとうございました、と礼を言おうとしたわたしの言葉を、彼は遮った。 そうだ。返済が終わる時は、わたしが彼に会えなくなる時でもある。なんのためにこんなに借金を重ねてきたのか、結局、わたしは恋のひとつも実らせることができないままに、両親を泣かせることになる。 バカみたいだと、わたしは自嘲した。彼を見るためだけに、計画的に借金をしていたはずなのに。借金がなくなるのは助かるし、嬉しかった。けど、もう会えなくなってしまう。 「客じゃないってことは、俺とあんたの関係も、男と女になるってことだ。――待ってるぜ、あんたが借金返し終わって、ひとりの女になるのをよ」 じゃあな、気をつけろよと彼はわたしの頬をひと撫でして、額に軽くキスをしてくれた。呆然としているうちに、彼はドアを閉めていた。 それからわたしはエレベーターに乗り、ドキドキと高鳴る一方の胸を押さえて街に出た。いつもは怖いと思う街の喧騒やネオンの光が、何故か今日は心地よかった。 わたしは携帯電話をカバンから取り出し、実家の番号をメモリーから呼び出した。 彼女が出て行った後の事務所には、女の匂いが漂っていた。それを消そうとして俺はまた煙草をくわえた。 「部長」 ドアが開き、右腕が現れた。 「おお、遅くなって悪ィな。今出るところだ。あとな、あの女――」 「ええ、立ち聞きするつもりはなかったんですが、聞いてました。三百なら、いいんじゃないんですかね。どうせ元は百にも満たないんですから」 なかなかつかないライターを苛立ち紛れにゴミ箱へ放り投げると、右腕が近づいてきてライターの火を貸してくれた。俺はそれに顔を近づけて煙草に火をつける。 「部長、女の趣味、変わりました?」 冗談めかして右腕が笑いながら言った。俺はふっと煙を吐き、首を振った。 「似てんだよ」 「は? 似てるって、誰に?」 「――この業界くる前に、借金、苦にして死んじまった女房によ」 俺がそう言うと、驚きと憐憫とが混ざりあった、なんともいえない表情を右腕は作り、俺から目をそらした。 「さあて。早く行かねえと、酒も肴もなくなっちまいそうだな」 ソファの脇に彼女が落としていった、口紅を拾いながら俺は言った。 事務所を出て鍵をかけ、エレベーターにふたりで乗り込む。 「部長も案外、ロマンチストだったんスねえ」 「冗談だろ。ただでさえこの一年忙しくて女どころじゃなかったんだぞ。あと二週間も女日照りが続くのかと思うと、泣けてくるぜ」 「アッレエ? 彼女が来るまで、他の女抱かないんですか?」 「どこに気軽に抱ける女がいるんだ。残念ながら一年も俺を待っててくれる健気な女はひとりもいなかったよ」 「部長相手ならいくらでも、って女、山ほど知ってますよ」 俺は右腕の肩を抱いて、わざとニヤニヤ笑いながら答えた。 「愛のないセックスはいらねェな」 今までの俺の行状を知っている右腕は、ぷっと吹き出した。 「知らなかったなあ。部長がそんなにロマンチストな上に貞操観念発達してたなんて」 お前たちに合わせてたんだよ、と茶化しながら、俺たちは街を歩く。知り合いの黒服や不良どもが軽く頭を下げてくる。 ああこれだ。ここが俺の街だ。 「彼女、明日あたり、三本耳揃えて持ってきたりして?」 「ああいいねえ。そしたら俺はその時点で仕事あがるぜ。明後日も休むから、頼むぞ?」 「どんだけヤるんですか」 「一年分」 「股、裂けちまいますよ、彼女」 街にふさわしい下世話な会話をしながら、俺たちは部下が待つ店へと向かった。 「ねえ、部長?」 「あん?」 「さっきの話、本当なんですか? 奥さんに似てるって――」 おそるおそる右腕が訊いた。俺はニヤリと笑い、煙草のパッケージを胸ポケットから取り出した。 「――さあな」 「まったく、部長にはかなわねえな」 たどり着いた店のドアを開けて、右腕が笑った。 俺はポケットの中の口紅にそっと触れた。それは、彼女らしいノンブランドの地味なベージュの口紅だった。 明日、デパートの化粧品売り場で、同じような色の口紅を買おうと思った。プレゼントと言えば、箱に詰めてくれるだろう。 箱にかけるリボンは赤い色がいい。彼女のうぶな唇とほっぺたの色だ。 俺は、いつの日か来るであろう彼女のことを思いながら、店のドアをくぐった。 ――了 戻る スレッド別 / 作者別 / シリーズ別 バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/oshitodomero/pages/122.html
スレッド_レス番号 01_801-811,02_003 作者 備考 長編,ホラーな医師 <注意> ホラー表現あり 彼は夜半に目を覚ました。 自室は暗い。ありふれた六畳一間の1K。安物のカーテンは外の明かりを たやすく透過させ、数少ない家具の輪郭が朧に浮きあがっていた。 カンカンカン、と遠くで踏み切りの音がする。とすれば時刻はまだ終電前だ。 夕方、二十四時間耐久レースのようなバイトから戻って、食事もそこそこに 万年床へ倒れこんだ。六時間ほど眠った勘定になるが、彼は結構寝汚い。 いまだ覚醒しきらない頭でぼんやりと、どうして目が覚めたのだろう、と思った。 踏み切りの音はまだ続いている。元が警報音であるために、よく響く上 やたらと癇に障る音だ。ましてや随分遅くまで鳴るものだから、近くの住居が 嫌われるのも無理はない。おかげで相場より随分安く借りられて、フリーターの 彼にはありがたい話だった。睡眠中の雑音は気にならないタチだ。だからたぶん、 この音が原因ではない。 まぁいいか、と彼はこだわりもなく思考に見切りをつけた。たまたま目が覚めた、 答はそれで十分だ。 彼はもう一度眠るべく寝返りを打つ。否、打とうとして、異状に気づいた。 体が動かない。 金縛りか、と思った。少々息苦しさを感じたが、彼は構わず寝ようとした。 踏み切りの音は止んでいる。静けさの戻った室内で、彼が再度まぶたを閉じたとき、 ふと、かたん、と小さな音がした。 それは六畳間のドアの向こう、玄関の方から聞こえたように思えた。夜中と いってもまだそう遅くはない。同じアパートの住人が、何かしている音が壁を 伝わってきたのだろうか。 彼はぼんやりとしながらそう思って、続いて聞こえてきた、ずるり、という何か 濡れたものをひきずるような音に眉をひそめる。今のは、なんだか明らかに 台所から聞こえた気がした。 訝しさに耳をそばだてていると、一定の間隔で、ぺたり、ずるり、と音は続く。 台所だか通路だかわからない狭い空間を、ゆっくりとこちらに向かっているように。 ―――いやいやいや。俺、ユーレイとか見たことないし。 心の中で自分を笑う。とはいえ、耳を澄まさずにはいられなかった。動悸が 激しくなるのを感じる。 ぱたり、ずるり。 ぺたり、ずるり。 いつの間にやら息を潜めて聞き入っていた音は、ちょうどドアの向こうで止んだ。 もしも幽霊なら、そのまま帰ってほしい。単なる音ならこのまま止んでくれ。 彼は身動きのきかないまま、布団の中でそう願う。こんなおかしな『単なる音』を たてるのがどのような現象なのかは不明だったが、それはもはやどうでもいいこと だった。 あらゆる神経がドアの方へ向かう。しばしの静寂。 ―――終わっ、た? 何事もなくある程度の時間が過ぎて、彼はほっと息を吐く。顔が動くなら、はにゃ、 と気の抜けた笑いを浮かべたことだろう。変な音だったが、気のせいだ。あるいは 起きているつもりで寝ぼけていたのかも。 やれやれ、と彼は思う。思ったところで、こん、こん、とゆっくり二回、ドアが鳴った。 油断していた分、心臓が跳ね上がった。 ―――いや。いやいやいやいやいや。 意味もなく心中で『いや』を繰り返す。 ほら、俺今動けないし。だからノックされても困るし。おとなしく帰ってくれ、な? 必死で音にそう願う。また、しばらくの沈黙。 やがてしくしくとすすり泣く声が聞こえてきた。痛いよ、と合間に洩れる呟き。 若い女―――おそらくは高校生くらいの、少女の声。 ―――ちょ、マジ本物!? いまだに体の自由はきかない。ほんの少し枕元に手を伸ばして、ケータイで 誰か友人にでも電話すればすべてが消える気がするのに、指先はぴくりとも 動かなかった。 恐怖が背筋を這い上がってくる。それでもどうすることもできずにいると、不吉に 濡れた音が再開する。 ぺたり、と。 それは部屋の中から聞こえた。 どっと冷たい汗が噴き出す。ドアは開かなかった。間違いなく開かなかった。 なのに音は六畳間に侵入して、いまや泣き声がはっきりと耳に届く。 部屋の隅で寝ている彼のもとまで、もう距離は幾らもない。普通に歩けば三歩か 四歩、たったそれだけのわずかな隔たり。 彼は必死で首を巡らそうとした。見えないからこんなにも恐いのだ。見てしまえば 何もないに違いない。常と変わらぬ部屋の様子だけがそこに在って、拍子抜け することだろう。 が、どれほど力を込めようと、やはり体はほんのわずかすらも動かなかった。 ひゅー、ひゅー、と自分の荒い呼吸が耳に届く。 ずるり、ぺたり。 「……痛いよ……痛いよ……」 ずるり、ぺたり。 「……あたしの脚……どこいっちゃったの……」 ―――この生臭さはなんだろう。打ち捨てられ錆びた鉄の、つんと鼻にくる臭い。 ずるり、ぺたり。 「……どこを探してもないの……」 ―――そういえばこの音、一体何をひきずっているのか。 ずるり、ぺたり。 「……だからお願い……」 強ばりきった頬に、ひやり、と冷たい手が―――そう、人の手としか思えない ものが触れる。彼の視野に、ついに泣き濡れた少女の青白い顔が現れた。 鼓動も呼吸も、限界まで高まる。一方で咄嗟に、低い、と思った。彼は床に 寝ている。なのに少女の顔の位置が。座高ほどしか。 ほんのわずか、首が動いた。違う、少女の両手が彼の頬を挟んで、彼女の 方へ向けたのだ。視界が巡って、彼女の全身が見えるようになる。 ―――床に、血の川が流れていた。 そこに浸かるようにして、少女の体がはえている。ドアからまっすぐにつながる 川の両側には、点々と赤い手形がついていた。 一瞬で彼の脳裏に、少女の移動の様子が描かれる。両手を前に出して、 体を支え、胴体を引きずって、ずるり、と前進する姿が。 彼は歯の根も合わないほど震えていた。少女の唇が笑みの形に釣りあがる。 「お願い……あなたの脚を、あたしにちょうだい……」 瞬間、激痛が太股のつけねに走った。途端に呪縛が解ける。 彼は、声の限りに絶叫した。 「こちらです」 「どーも」 大家の五十嵐が開けてくれたドアをくぐり、木下祐は問題の部屋に足を 踏み入れた。人のいない部屋は寒々しい。家具や生活用品の類がひとつも ないともなれば、なおさらだった。冷え切ったソフトフローリングの床が、靴下 越しに体温を奪っていく。 狭い台所を抜け、祐はドアを開けて六畳の部屋へと入った。そのまま窓辺に 寄って、がたがたと雨戸を開ける。 「電気と水道は使えるようにしてあります。……あの、本当にガスはなくて よろしかったんですか」 「コンロもないのにガスが使えても仕方ないでしょう。大丈夫、一晩くらい コンビニ食でなんとかなりますから」 「はぁ……」 祐は越してきたわけではない。そう長いことこの部屋に留まるつもりもなかった。 五十嵐は落ち着かない様子で部屋を見回すと、祐に部屋の鍵を渡し、 それでは……、と頭を下げそそくさと立ち去った。祐はやれやれと肩をすくめ、 窓を開ける。寒いが、前の住人が引越してからしばらく閉め切られた部屋は、 陰気な気配がしていた。空気は入れ替えた方がいい。 そうして、下の駐車場に止めた車のトランクから、さしあたって必要なものを 運び入れる。電気ストーブ、電気コンロ、やかん、寝袋。途中のコンビニで 調達した食料、トイレットペーパー、ロウソク、その他こまごましたもの。何度か 往復するはめになってしまった。 ひととおり今晩を過ごす準備が整うと、ベランダに出て一服した。細く煙を 吐き出していると、カンカンカン、と踏み切りの音が聞こえてくる。周囲の下見は してあった。踏み切りからこのアパートまでの距離なら、電車の走行音も聞こえる はずだ。案の定、さほど時間を置くことなく、電車が走り去っていった。確認して、 祐は一人頷く。 祐のもとへ五十嵐がやってきたのは、三日前のことだった。しどろもどろに、 アパートに少女の霊が出る、と言う。五十嵐はこのアパートには住んでいない。 しかし、姪が受験のためこちらでしばらくの間滞在することになったので、ちょうど 空いていたアパートの部屋を貸したのだという。 「数日経って、姪が二時過ぎに半狂乱になって電話をしてきました。幽霊が出た、 と泣きじゃくり、私が車で迎えに行く間、電話を切ることも嫌がりました。仕方ないので、 妻がずっと電話口で慰めている有様で」 祐は無感動に相槌を打つ。都内のある喫茶店でのことだった。 「行ってみると、姪は立ち上がれもしませんでした。なんとか家に連れ帰り、 よくよく話を聞いてみると、金縛りにあって、じっとしているうちに女の子の霊が 出たと言うんですわ。脚がなくて、両手で体支えて近づいてきた、と。そんで、 おまえの脚をくれと言われた途端、両脚のつけねがものすごく痛んだと」 祐は軽く手を挙げて五十嵐の言葉を遮った。 「姪御さんはその日の日中、試験じゃありませんでしたか。あるいは翌日辺りに 試験を控えていたとか」 「あ……はぁ。確かに、最初の試験があった日の夜でした」 「ならばそれは、おそらく心霊現象ではないと思います」 「いや、そんなはずは」 五十嵐が不満そうに言うのを、祐は宥めるように笑ってみせる。 「金縛りというのは、簡単に言うと体が寝ていて頭が活動している状態です。 これをレム睡眠といい、この状態のときに夢を見ることがわかっています。 このとき、なんらかのきっかけで半端に意識状態が覚醒してしまうことがある。 これが金縛りです。日中激しい運動をして体が疲れているとか、神経が興奮 していたりするとなりやすい」 「いや、しかし」 「本人は起きているつもりでも、実際はまだレム睡眠中なものだから夢を見る。 しかもこの状態の夢は五感にかなり鮮明なものになりやすい。幻視、幻聴、 幻触なんかがメジャーですが、まぁ寝ぼけているだけです。実際に金縛りに あっている人間を観察すると、目を閉じたままであることの方が多いんですよ。 科学的に認知されている事実です」 「だが理恵の脚が動かないんです!」 いつものとおりの説明をした祐に、五十嵐は焦れたように叫んだ。え、と祐は 口を噤む。 「私だって、幽霊やらなんやらを頭から信じたわけじゃない。受験生ともなれば 結構なプレッシャーもあるでしょう。まして、慣れない環境で生活しているわけ ですしね。疲れているだけだと慰めて、その夜は妻と一緒に寝かせました。 しかし、翌日になって脚が動かないというんです。医者に連れて行きましたが 異常はないという。それでも精神的なものだと思いました。受験が嫌で、逃避して いるんじゃないかとね」 「……正しいご判断だと思います」 同意した祐を、五十嵐は睨めつける。 「けれども、同じ頃不動産屋から電話がありました。以前部屋を貸していた若者が、 引越すにあたって『幽霊が出た』と洩らしていたというんです。こういう商売は、 悪い噂が立つと何かと差し障りがある。大丈夫かと問い合わせてくれたんですわ」 「はぁ」 「それで、アパートの住人にそれとなく話を聞いてみました。……十五人全員、 同じ体験をしていた」 祐は目を丸くする。 「単身者用アパートで、こんなご時世ですから、住人同士の交流なんてないに 等しいでしょう。そんな状態で皆が判で押したように同じ話を語るのです。これは もう何かあるとしか」 「ちょっと待ってください」 祐は話を遮る。 「皆さん脚が動かないんじゃ困るでしょう。どうしてるんです?」 「脚が動かないのは、次の犠牲者が出るまでの期間だけです。大体二日から三日、 長い人で一週間。怖い思いもしたし、おかしな体験でしばらくは怯えていたけれども、 仕事や学業がある中で、そうそう引越すこともできんでしょう。人に話して信じて もらえるものでもないし、後遺症もなくなった。だから黙っていたというんですな」 「……なるほど」 「恐らく、引越した若者が最後の遭遇者でした。夢かと思っても、脚が動かない 証拠があるんじゃそりゃあ怖いし、何より生活できないでしょう。そうして引越した ところに、しばらくして姪が入ったのではないかと」 「一度来た人のところには、二度は来ない?」 「今のところ、そうです」 「ご近所で似たような噂は」 「聞きません。……が、おおっぴらに話される内容でもないと思います」 「わかりました」 祐は頭を下げる。 「早合点で不快な思いをさせて申し訳ない。お引き受けします」 祐は持参した灰皿に吸いさしをねじこんだ。五十嵐の妻に協力してもらって 噂を集めたところ、この近辺では半年ほど前から似たような事例が起こっている らしい。よく今まで表沙汰にならなかったものだ、と思う。 その現象は踏み切りの音から始まる。しかし、電車の音を聞いたという者は いなかった。時刻は大概夜中の二時頃。非常にスタンダードな時間で泣けてくる。 確かにその時刻では、電車は終わっているだろう。実際には聞こえないはずの 警報音。 しかしまぁアレだね、と祐は心の中で呟く。 五十嵐の家はここから車で十分ほどだ。歩けば駅からそれなりの距離になる、 客室がない、親戚の家は何かと窮屈だろう……といった諸々の理由でこの アパートに滞在を決めたらしいが、短期間とはいえ何もない部屋で生活するのと どちらがマシなのだろう。一応、小さな机と寝具くらいは入れたらしいが。結果として、 理恵は今受験に支障をきたしている。 おとなしく最初から世話になりゃよかったのになぁ、と思うのは、自分が祖母に 育てられたせいだろうか。とはいえその心情を考えるとやっぱり可哀相なので、 早く解決してやりたいと思う。 ―――それに、霊の方も。 祐は部屋に戻ると、コーヒーを入れてから商売道具一式をとりだす。筆、文鎮、 フェルトの下敷き。岩塩でできた盆の上に硯。床が冷たいので寝袋を広げて座る 場所を作る。大きく深呼吸して、墨をすりはじめた。 * ケータイのアラームで仮眠から覚める。午前一時半。よっこいしょ、と伸びを して部屋の様子をうかがった。まだ異常はないようだ。 外の明かりと電気ストーブの光でそれなりに物は見えるが、ライターを探って 用意していたローソクに火をつける。一本、二本、三本。眠気覚ましにもう一度 コーヒーを入れて一服すると、正座をして再度墨をすりなおす。心静かにその時 を待った。 ―――カンカンカンカンカン 来た、と祐は小さく呟く。立ち上がって六畳間と台所を隔てるドアを開け放った。 玄関に向かって座り直す、その膝の前には書道具がある。 ことん、と小さな音がするや、滲むように少女の上半身が扉から湧いて出た。 祐と目が合って、ぽかんとした表情を作る。―――理性があるのだ。 よかった、と祐は息を吐く。これなら大分楽に済みそうだ。よぉ、と話しかけた。 「こんばんは」 「……こ……こんばんは……」 少女は戸惑ったように言った。その下、腰と床が接している部分に、じわりと 赤い血が滲む。 「痛そうだな。可哀相に」 祐が言うと、じわりと少女の目に涙が浮かんだ。うん、と頑是なく頷く。 「痛いの。とても痛い……」 「だろう。だから、俺に診せちゃくれまいか。治してやれると思う」 少女は瞬く。 「あなた……誰?」 「俺ぁこう見えて医者でね。ただし、幽霊専門」 「お医者さん……?」 「おぅ。いや、ちょっと人間の医者とは治し方が違うが、実際治してやれるん だから医者と言っていいと思う。あんたは患者で、医者のところに来た。札を 見ただろう?」 少女は小さく頷く。夕刻、最初にすった墨は玄関に貼り付けた札と、祐自身に 使った。両手にくねくねと黒い文字が書かれているのが少女にも見えるはずだ。 札は少女をスムーズに招くもの、祐のは霊の影響を避けるためのものだ。 金縛りにあっては治療ができない。 「でも……あたしの脚、見つからないの」 「大丈夫だ。名前を聞かせてくれるか?」 「斎藤……亜紀、です」 「了解。俺は木下祐だ。で、斎藤さん。俺に治療させてもらえるかい?」 「は……はい」 「そこじゃちょっと不便だな。動くのが辛けりゃ俺が運ぶが、どうだろう。傷口擦る のは痛いだろう」 「あたしに、さわれるんですか?」 「何言ってんだ」 祐は笑う。 「聞いた話じゃ、斎藤さんは人に触ってるんだろう? そっちから触れるもんが、 こっちから触れないわけあるかい」 「え? あ……うん? そ、そうなんですか?」 しきりに首を傾げる少女に、そういうもんだ、と断言して祐は立ち上がる。 近づいて、背後にまわった。脇の下に腕を入れる。 「あとちょっとの辛抱だからな。頑張れよ」 はい、と頷いた少女を抱き上げる。ぱたた、と赤い液体が床を叩いた。 痛ましさに祐は眉をひそめる。少女の体は体温がなく、ひんやりと冷たかった。 「あ……あの、あたし重くないですか」 「軽い軽い。気にすんな」 六畳間までは五、六歩の距離、あっさりと体を運んで床の上に寝かせる。 そうして、文字の書かれた手の甲を見せた。 「これ、見えるか?」 「はい。何ですか?」 「お経」 「……へぇ」 「これと、同じじゃないけど似たようなものを斎藤さんの体に書く。やることは それだけだ」 「なんか……耳なし芳一みたいなんですけど……」 「うん、まぁイメージとしてはそんな感じだ」 「……あたし、お経なんか書かれて大丈夫なんですか。なんか苦しんじゃいそう」 祐はぽんぽん、と少女の頭を撫でた。 「うん、なんかオカルトっぽいマンガとかだとそんなイメージだよな。でも、仏さん はこの世のすべてのもんが幸せになるよう願ってる人……いやヒトじゃないけど、 願ってるんだ。その仏さんの言葉が、苦しいようなことは絶対にない。 ……信じられるか?」 「えぇと……あたし、仏教徒でもないんですけど……」 「問題ない。大丈夫だ」 言い切った祐に、少女はしばらく迷ったようだったが、頷いた。 「お医者さん、なんですよね? じゃあ、お任せします」 「任された。……でな?」 「はい」 「若い娘さんには言いにくいんだが、服、脱がさせてもらう」 少女は言葉に詰まったようだった。 「俺は医者だ。人間の場合も手術衣に着替えるだろう? 変な意図はない。 斎藤さんは俺にとって……なんつーか、女じゃなくて患者なんだ」 少女は顔をうつむけて、恥じらいながら小さく、お任せします……と呟いた。 はいよ、と返して、祐はなるべく優しく着衣を剥いでいく。 「恥ずかしかったら、目をつぶってるといい」 囁いて、前ボタンをはずすと、背中を支え、腕を抜いた。そのままブラのホック を外し、これも取り去る。優しい手つきで寝かせた。 「ちょっと辛抱してくれな」 腰に手を伸ばし、なるべく傷に触らないよう、血に染まった腰周りの布も外した。 少女の白い裸身が、ロウソクの赤みを帯びた光に浮かびあがる。 祐は筆をとりあげた。 まずは少女の額に、ゆっくりと筆先を下ろす。ひやりとしたのか、少女は一瞬 体を強ばらせた。 「なるだけ楽に。力を抜いて」 続いて頬に穂先を滑らせる。 「……あ。痛くなくなった……」 「そうか、よかった」 首に筆が下りると、くすぐったそうに肩をすくめた。 「はいはい動かないでねー。字が崩れるから」 右腕から右の手の甲まで。左腕も同じように。筆を硯に戻して、再度書き始める ときに、ぴくんと少女の体が震える。冷たいのだろう。 鎖骨から胸元へ。徐々に少女の体に熱が戻ってくる。 胸を筆が撫ぜたとき、あっ、と小さく少女の唇から言葉が零れた。ぎゅっと強く 目をつぶる。 「なんか苦しいか?」 「いえ……大丈夫です……。もっと……続けてください……」 恍惚を帯び始めた口調に、祐は心の中でだけ、やっぱこの方法にはいささか 問題があるよなぁ、と呟く。だが表面上は何も気づかぬふりで筆を進めた。 わき腹、臍の上。 そうして丹田に最後まで経文を書ききる。筆を置いて、静かに合掌した。 と、すぅっと文字が薄くなる。白い肌に吸い込まれるように消えて、よし、と祐は呟いた。 「斎藤さん、目を開けて」 「……?……」 少女はうっとりとした表情で目を開く。 「どこか痛いところはないか? 大丈夫? ……じゃ、ゆっくり起き上がってみな」 少女が体を起こす。拍子に、脚がわずかに動いた。 「あたしの脚……!」 「おうよ。お疲れさん。……治ったから言うが、自分の脚がないからって、他人の 脚をとろうとするのは感心しないぞ」 感激したように瞳を潤ませていた少女が、その言葉にしゅんと肩を落とした。 「ごめんなさい……どうしても、痛くて。耐えられなくて……」 「あぁ。でもやっぱ他人の脚じゃ治らなかったろ?」 「うん。ごめんなさい……」 「わかりゃいい。一応、合わないとわかったら返してたみたいだしな。でも、それで 迷惑したり悲しんだりした人がたくさんいたってことは、ちゃんと覚えておいてくれ」 「……はい」 「いい子だ。さて、そいじゃ斎藤さん」 「……あの、亜紀って呼んでください、先生」 「……亜紀ちゃん。もう心残りはないな?」 言う祐に、少女は頬を染める。いつの間にか、少女の肌には血の気が戻って いた。もじもじとうつむいて、やがて思い切ったように顔を上げる。 「……あの」 「ん?」 「その……あ、あたし……先生に、抱いてほしい、です」 いまやすっかり生前の姿を取り戻した少女は、揺れるロウソクの火影に美しい 裸身を照らされていた。まだ少し青さの残る、けれど十分に丸みを帯びた体。 まろい胸の形から腰がくびれて、なだらかにのびやかに脚へと続く芸術的なライン。 大きな瞳は零れそうに潤んで、ぽってりとした赤い唇をしている。取り戻した脚が、 もじもじと擦りあわされていた。 「こ……こんなこと言うなんてはしたないけど、でもきっともう、あたしに残された 時間って多くないし。その……このまま、色々経験しないで消えちゃうのって、 すごく悲しい気がして……。それに、なんだかさっきから、すごく体が熱くて」 恥らってうつむく首筋から、におやかに立ち上るものがある。祐は天井を仰いだ。 「亜紀ちゃんは、魅力的な女の子だよ」 なるべく優しく囁く。 「でもな、亜紀ちゃんの言うとおり、体を取り戻した以上、亜紀ちゃんに残された 時間はもうそんなにない。それを、知り合ったばっかの、いわば行きずりの男の ために使っちまうのは、俺は賛成できない」 「先生はあたしの恩人です!」 「うん、そう言ってもらえるのは嬉しいけどな」 祐は荷物からバスタオルを取り出して、少女の肩にふんわりとかける。 「俺ぁ医者だ。亜紀ちゃんを助けるのが仕事だった。だから助けた。そんだけなんだよ」 「でも」 「それよりも、会いたい人がいるだろう? 家族とか、友達とか……恋人とか。 思い出せるか?」 肩に手を置いて覗き込むと、少女は大きく目をみはった。 「お母さん……お父さん……」 「うん。今まで亜紀ちゃんを愛してくれた人たちに、最後の別れをしておいで。 きっと皆、すごく悲しい思いをしていると思う。亜紀ちゃんが今まで、とても 辛かったように。亜紀ちゃんが望めば、夢枕に立てるから」 少女の目から涙が零れる。 「そっか……あたし、本当に死んだんだ……」 「うん。とても残念で、悲しいことだけどな」 祐は少女の頭を撫でた。 「亜紀ちゃんはよく頑張った。よく痛みに負けず、辛さに耐えて、正気を手放さず にいたな。それはとてもすごいことだ。だから、皆に会っておいで。それが、 神様がくれたご褒美だ」 少女は泣きながら笑う。 「お経を使ったのに、神様なの……?」 「いやまぁ、なんかそんな感じで」 「いいかげんだなぁ……」 少女は笑って、次々に涙を溢れさせながら、祐に腕を伸ばした。祐が逆らわず にいると、ぎゅっと腕に力を込めて、額に口づける。 「……これで我慢する」 祐は笑った。 「うん。いい子だ」 「……あたし、もう行きます。次は絶対、もっと幸せになる……」 「あぁ」 「先生、本当にありがとう」 頬を滑り落ちる涙が零れてはじけて、そうして少女は姿を消した。 静寂を取り戻した部屋で、祐は大きく伸びをする。 「……やれやれ、サービス業も楽じゃないぜ」 そううそぶいて、ベランダに出る。煙草に火をつけ、大きく煙を吸い込んだ。 明日には理恵―――五十嵐の姪も、脚の自由を取り戻しているだろう。 この空の下、どこかである両親が、涙に暮れることだろう。 祐は目を細めて、静かに紫煙を吐き出した。 END 戻る スレッド別 / 作者別 / シリーズ別 バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/4065.html
379 :1:2009/12/18(金) 14 12 20 0 この流れなら書き捨ててもいいかw 嫁さんの妹が所謂ヒモと同棲してる まぁそのヒモも俺自身ゲーム友達で知り合いなんだが 大学卒業してから正社員で働いた期間は半年 後はフリーターはヒキニートで生きてた 嫁の妹とは大学からの友達で3年位前から付き合いだし 流れで同棲することになった 同棲するに当たり家を借りる事になったとき 嫁の妹から電話が来てお金貸してくれって言われた どうもヒモが引っ越し直前にバイトやめたらしく 敷金礼金が少し足りないとの事 貸すのはかまわないが借用書書いてくれというと拒否 つまり金くれって事だったらしい 380 :2:2009/12/18(金) 14 13 16 0 無期限無利子で借用書を書くって言っても拒否 仕方が無いので義理の親に相談しろと促すと 今度は泣き落とし そんなに金無いならもっと家賃安いとこに住めばと助言しても 彼が気に入っているからとウダウダ 身の丈にあったことしろと嫁がきつく叱ると 「お姉ちゃんが俺さんを私から奪ったからこうなってるんじゃない」 と身に覚えの無い事まくし立てる いつ俺が嫁の妹に手を出したって言うんだorz 俺嫁の妹紹介されたの結婚式の3ヶ月前でそれまで海外出張だったんだぞorz もうこの時点で嫁と俺激怒 金貸さんで連絡たって放っておいたら ヒモの方から俺に連絡がきた 「30万貸してもらえないですか?」 381 :3:2009/12/18(金) 14 14 06 0 金額倍になってね?と問い詰めると 「ちょっと欲しいゲームとかがあったからつい買っちゃって」 もうねこいつ駄目だろと思い嫁の妹にヒモからきたメール全部原文のまま転送したら 「このこと親に言わないで彼に30万貸してあげて」 だとよ ここまできたら俺ら夫婦の手には負えないんで 義理のお父さんお母さんにメール印刷して渡してきた そこからは義理のお父さんお母さが嫁の妹回収して同棲を白紙 実家で週末デートに切り替えさせられ ヒモの方は当てにしてた金蔓がいなくなったからさっさと他の女に鞍替え 「あんた達のせいで結婚できなくなった!!!」 と逆恨みもどんだけぇな事わめき散らされたが おいおい面倒なことが起こる前に別れられたんだし嫁妹もかわいいからすぐ男できるってと慰めて一応収拾ついた 何がDOQかっていうとだ ヒモが鞍替えした女も俺のゲーム友達で 前々からヒモにちょっかい出したくてうずうずしていたのを めっちゃさポートしてヒモとくっつけたこと 嫁の妹には悪いが彼女の知らないヒモを知っている俺としてはこれでよかったと思ってる 嫁の妹は今嫁の紹介したイケメンといいところまでいってるらしいのでこのままイケメンに頑張ってもらいたい 382 :補足:2009/12/18(金) 14 15 50 0 嫁の妹の所にヒモが転がり込んで同棲してたのを 結婚前提のちゃんとした同棲にシフトしようとしてたっていうのが最初に抜けたorz すまん 383 :名無しさん@HOME:2009/12/18(金) 14 17 04 0 鞍替えした女がかわいそう。 クズ男って分かってるならサポートするなよ。 387 :名無しさん@HOME:2009/12/18(金) 14 19 43 0 >前々からヒモにちょっかい出したくてうずうずしていた 身代わり女が↑だったんだから、いいんじゃないの? 388 :名無しさん@HOME:2009/12/18(金) 14 21 07 0 鞍替えされた女のほうはヒモのくずっぷりはよーーーーーーく知ってる その上で 「自分が彼を更生させてあげるの」 って周りの意見も聞かないもんだから ギルメンと相談して本人がそれでいいならと後押ししたんだが・・・ だめだったかorz 413 :名無しさん@HOME:2009/12/18(金) 16 10 56 0 379 あえて言おう。GJ! 男女を入れ替えたら コウトがタカリ体質のビッチと同棲→ビッチが高級マンションに住みたいっていうから金クレ →ダンナがきつく叱ると「義姉さんを奪ったくせに!」(事実無根の言いがかり)→ビッチから金クレと連絡 →ウトメに全てをばらしコウトは義実家強制送還→ビッチは他の男に鞍替え→コウトはダンナ紹介の美人といい感じ 普通にGJの嵐になる物件でしょ 414 :名無しさん@HOME:2009/12/18(金) 16 19 10 0 いやあ379はGJだよ。 紐も飼いたければ飼えばいいんだよ。金があればね。 私も若いころにはバンドマンに入れあげて金貸して 誕生日に下手な自作の歌をプレゼントされたよ。 カス押し付けたことを突っ込んでる人もいるけど、本人は楽しいからいいんだよ。 415 :名無しさん@HOME:2009/12/18(金) 16 32 45 P 知らずにのぼせ上がってる女に押し付けたなら叩かれても仕方ないけど 不良債権と知ってて引き取りたいってならいいんじゃないの。 更正に成功するならよし、失敗したとしても自己責任だ。 次のお話→416
https://w.atwiki.jp/sengokuarian/pages/22.html
アマツ島、クトウ島北部、ホントウ西端にまで及ぶ版図を誇るネヴァーフの大名、オオヤマネ・ユキヒサが最大勢力。 コクカなど主要な港湾都市を押さえ、セーリア大帝国や西方との積極的な交易による潤沢な財力を背景に、 中央進出への野心を隠さない。 しかし足元の小大名たちは完全に心服しておらず、彼らの対策と中央へ工作の両立に手こずっている。
https://w.atwiki.jp/akatonbo/pages/2651.html
お嫁においで 作詞/GWスレ59 颯爽風切って 歩くきみ 少し遅れて歩く僕 振り返っては 立ち止まらせて ため息なんかも つかせたりして 五月の風切って 歩くきみ 少し足取り 重いよう 肩を並べて 手を差し伸べて 頭なんかも なでていいかな 甲斐性ないからさ 3か月分じゃまずいよね 甲斐性ないからさ 任せとけなんていえないよ それでもきみが疲れたならば 僕のところにお嫁においで
https://w.atwiki.jp/hinata5rioshi/pages/18.html
アドベンチャーモードでは、戦後の時間軸でナルト、サクラ、ヒナタの三人での任務ストーリーがある その内容はヒナタの為にサクラが任務をセッティングしナルトとの恋を応援するものだった。中には、死亡したネジをダシに使いイチャつく内容もある 蓋を開けてみれば不自然にヒナタを持ち上げるヒナタの為のストーリーで、サイにヒナタは天使、サクラやいの、テンテンは悪魔と言わせる 同期との焼肉会でもナルトを小馬鹿にする同期達、その後にお腹を空かせてるナルトを見たヒナタが食事に誘おうとするもナルトの言葉で遮られ自分から誘うことはできなかった しかしヒナタはそれが嬉しいらしく頭に♪マークを浮かべ一人浮かれる アニメオリジナル演出の告白回のヒナタを「ヒナタはすげー!」とナルトが発言するシーンもある(原作は瞬殺されヒナタの活躍は告白のみ) サクラがお節介してヒナタのための任務セッティングスクショまとめ http //imgur.com/a/1G95A ペイン戦のアニメオリジナル演出ゴリ押しスクショまとめ http //imgur.com/a/5EwNK 同期との焼肉会と浮かれるヒナタスクショまとめ http //imgur.com/a/cqxTA http //imgur.com/a/Q576K 自分では何もしていないのに健気アピール発言か決意込めたような発言ばかりなヒナタ http //i.imgur.com/gGB5QRB.jpg http //i.imgur.com/D2AtKSf.jpg http //i.imgur.com/ih8vwrL.jpg http //i.imgur.com/ZAPqk4j.jpg http //i.imgur.com/SW1q1pP.jp 天使と悪魔ストーリーの任務前と任務後の画面 http //i.imgur.com/jm2BDnul.jpg http //i.ytimg.com/vi/ioS8HMUsT0E/maxresdefault.jpg サイが感動するほどヒナタをべた褒めする天使と悪魔ストーリー http //i.imgur.com/jm2BDnul.jpg http //imgur.com/a/OI8kv http //i.imgur.com/VcUdFVul.jpg http //i.imgur.com/q1mRWY3l.jpg http //i.imgur.com/fTUoGCwl.jpg http //i.imgur.com/FRXPPNvl.jpg http //i.imgur.com/yuwv27sl.jpg http //i.imgur.com/JE6fBB0l.jpg http //i.imgur.com/IkaB6CZl.jpg http //i.imgur.com/Pqz7xsNl.jpg http //i.imgur.com/kumdLGAl.jpg 死亡したネジをダシにいちゃつく様子を強制的に見せられるストーリーとカカシ、ハナビを使ったヒナタ持ち上げとハナビのカットインを横取りし美味しいところを奪うスクショ一覧 ※DLC版ではない http //i.imgur.com/fBEwilMl.jpg http //i.imgur.com/0KZXuMEl.jpg http //i.imgur.com/id5nEuMl.jpg http //i.imgur.com/q7QrOdSl.jpg http //i.imgur.com/EF6MRJkl.jpg http //i.imgur.com/n67kGvgl.jpg http //i.imgur.com/xKNAk8Rl.jpg http //i.imgur.com/qokiuKYl.jpg http //i.imgur.com/FcrshH7l.jpg http //i.imgur.com/CYVTLTMl.jpg http //i.imgur.com/jQaDjzTl.jpg http //i.imgur.com/3Ta0A9ml.jpg http //i.imgur.com/QK6vdial.jpg http //i.imgur.com/l3ZHWWbl.jpg http //i.imgur.com/8Yzkp6cl.jpg http //i.imgur.com/xeMCrThl.jpg http //i.imgur.com/MQI7HHOl.jpg http //i.imgur.com/h0nTb1Tl.jpg http //i.imgur.com/lk6Xo4Dl.jpg http //i.imgur.com/fb8Evdfl.jpg http //i.imgur.com/8UYdV1L.jpg http //i.imgur.com/g3NaGfr.jpg http //i.imgur.com/Gr5L0vM.jpg http //i.imgur.com/z6rAWHp.jpg http //i.imgur.com/ngaxZRv.jpg http //i.imgur.com/EH6jj0L.jpg http //i.imgur.com/3wYQHqR.jpg http //i.imgur.com/eqwpjhe.jpg http //i.imgur.com/0sG8PdS.jpg http //i.imgur.com/8ieZQQL.jpg http //i.imgur.com/6jdQwJy.jpg http //i.imgur.com/cOE3mxQ.jpg http //i.imgur.com/xJrHA3Q.jpg http //i.imgur.com/SThQWy4.jpg http //i.imgur.com/xaq1dLW.jpg http //i.imgur.com/aPdKSjB.jpg http //i.imgur.com/Snehq7x.jpg http //i.imgur.com/LrrDyJV.jpg http //i.imgur.com/MJAxZr2.jpg http //i.imgur.com/yJeDFkE.jpg http //i.imgur.com/mI8MCDh.jpg http //imgur.com/a/LVryu http //imgur.com/a/8QQup http //41.media.tumblr.com/375f01d7dfd3da7145ae6b85fe1327d3/tumblr_o2da7srdM71s160kmo1_1280.jpg http //i.imgur.com/ACFoyMO.jpg http //i.imgur.com/OusHT9n.jpg http //i.imgur.com/4vcJDzs.jpg http //i.imgur.com/guCWm5Q.jpg http //i.imgur.com/fBEwilMl.jpg http //i.imgur.com/0KZXuMEl.jpg http //i.imgur.com/id5nEuMl.jpg http //i.imgur.com/q7QrOdSl.jpg http //i.imgur.com/UWIPSWT.jpg http //i.imgur.com/EFWcktc.jpg http //i.imgur.com/l2LAROT.jpg http //i.imgur.com/V8T4bq8.jpg http //i.imgur.com/O7Bkthl.jpg http //i.imgur.com/5Rz4toT.jpg http //i.imgur.com/xZvStz3.jpg http //i.imgur.com/mQwbgzd.jpg http //i.imgur.com/QDFDlIv.jpg http //i.imgur.com/nAoLJOJ.jpg http //i.imgur.com/J7lg9o9.jpg http //i.imgur.com/obzGmOC.jpg http //i.imgur.com/Q5CS0Yv.jpg http //i.imgur.com/r0qUWlW.jpg http //i.imgur.com/6LwK33Y.jpg http //i.imgur.com/TvmITH5.jpg http //i.imgur.com/zjQsn5d.jpg http //i.imgur.com/jPWL3Xs.jpg
https://w.atwiki.jp/hyakukami/pages/586.html
依頼主 プシュケー 出現条件 プシュケー解放 クリア条件 以下のアイテムを持ってくるナツメグ 3 成功報酬 薬草+貢物値30 依頼時 私、お菓子を作るのが好きなんです。材料のナツメグが少し足りないので、調達していただいてもいいですか~? クリア時 これでおいしいものが作れそうです~。ありがとう~。
https://w.atwiki.jp/trader-in-love/pages/68.html
#blognavi 35930で4枚買い入れた。 トレーリングストップでついて行くつもり。 カテゴリ [商品先物] - trackback- 2005年10月28日 16 00 48 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/purin/pages/413.html
https://w.atwiki.jp/hazama/pages/905.html
昔過ぎてちゃんと思い出せないのでノートをそのままテキスト化しました。 適当に修正したり、追加したりしてください。 -- (aza) 2009-08-30 23 04 11 おお、助かります。後日少し足させていただきますね。 -- (ののの) 2009-09-01 10 15 39 少し追記しました。 -- (ののの) 2009-09-02 20 35 22