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「迷宮キングダム」の四コマ「小鬼キングダム」より『小鬼小王』クロビスと宮廷メンバー一行 ルイズ・キングダム!!-1 ルイズ・キングダム!!-2 ルイズ・キングダム!!-3 ルイズ・キングダム!!-4 ルイズ・キングダム!!-5 ルイズ・キングダム!!-6 ルイズ・キングダム!!-7
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所変わって、ここは学院長室 オールド・オスマンの仕事場である そこに居たのは学院長オールド・オスマンと血相を抱えたコルベールであった 「それでコルベール君、これが君の疑問の答かね?」 「はい!これがミス・ヴァリエールの召喚した使い魔のルーン、そしてこれが・・・・」 コルベールは右手にスケッチを掲げ左手の指で古文に書かれたルーンを指す 「間違いありません!このルーンは始祖ブリミルの伝説の使い魔、『ガンダールヴ』のそれと同じです!!」 「ふむ・・・・」 オスマンは髭を撫でながら頷く 「確かにルーンは同じじゃ。ルーンが同じということは、ただの平民が『ガンダールヴ』になったということになるんじゃろうな」 「そういうことですな」 「しかし、それだけでそれは早計ではないかのう」 コルベールはさらに何か言いたそうな顔になる 「しかしそれが・・・・」 その時部屋にドアノックの音が響いた 「ロングヒルです」 秘書、ミス・ロングヒルが部屋に入って口を開く 「ヴェストリスの広場で生徒が決闘を始めたそうです。教師が止めに入ったそうですが他の生徒が邪魔で出来ないようです」 オスマンがふうっと溜め息をつく 「まったく、暇をもてあました貴族ほど質が悪い生き物はおらんわい。っで誰だねそれは?」 「一人はギーシュ・ド・グラモン」 「色男だったグラモンのバカ息子か。ではどうせ女の子の取り合いじゃろう。相手は?」 「それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔です」 「えっ!?」 コルベールが目を見開いて驚き、オスマンを促した 「オールド・オスマン!」 「うむ」 オスマンが杖を振ると壁にかかった大きな鏡に広場の様子が浮かび上がる。 ギャラリーは再び騒ぎ始める。 学院にそびえ立つ、あの高き風の塔から突如人が飛び降りた メイジならわかる、「フライ」など自分を浮かせる事ができる魔法であればそれは容易いだろう しかし、飛び降りた男は魔法が使えない平民、しかもあのゼロのルイズの使い魔である 「マスターすまない、遅れてしまった」 ロムはルイズの方に向き謝る 「あ、あんたあんな所から・・・・、ってそんな事より!なんで決闘で遅刻なんかするのよ!!あんな事言っておいて!!」 「すまないがこれが終わってから話す。それより今は俺から離れてくれ」 ルイズは渋い顔をしながらギャラリーに戻る、顔を向けずに言った 「ロム!勝ちなさいよ!主人に恥かかせたんだから!!」 「ああ」(今・・・・初めて名前で呼んでくれたな) 「さてと、決闘に遅れたとは言えよくぞ逃げずにここまで来た」 ギーシュが薔薇をロムに向けながら言う 「ではこれより決闘を行う!!」 うおおー、っとギャラリーに歓声が巻き起こる! 「ナイスよタバサ、ここなら良く見えるわ」「・・・・・・・・」 キュルケとタバサは、タバサの使い魔、ウィンドドラゴンのシルフォードの背中に乗って空から決闘を伺う シエスタは背伸びしながら懸命にギャラリーの向こう側を見ていた 「行くぞ(シャキーンッ)」 ロムの口元がバイザーで隠れる それと同時に拳法の構えを見せる (丸腰か・・・・、騎士のような格好をしているから剣でも持っていると思ったが・・・・。思ったより早く終わりそうだ。 さぁ断罪するがいい・・・・。女の子の心を奪った罪は大きいよ) ギーシュは余裕の笑みを浮かべると薔薇を振った 花弁が一枚宙に舞う、するとそれは甲冑を着た女戦士となった 「・・・・・・・・!」 突然出現した人形に驚くロム 「僕はメイジだ。だから魔法で闘う。」 「・・・・・・・・・・・・」 「言い忘れていた。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」 ワルキューレはロムに向かって突進していく するとロムの腹に向かって殴って来る 「むっ!」っと声を出してそれを避けるロム、今度は横から蹴りが来たがそれも難なく避けた (成る程、見掛けより動きが速いようだ。だが単調だ!) 「ほらほら!避けてばかりじゃ直ぐに疲れるよ!!」ギーシュが勝ち気で言う 上蹴りを避けたロムが右手を腰の位置まで下げる、そして 「天空宙心拳!!」 そう叫ぶとロムの拳がワルキューレの顔を砕く。ワルキューレは膝をつき、そして倒れた 「何だと・・・・」 ギーシュが突然の展開に驚愕する 「どうした、これで終わりか!」 「まっまだだ!まだ終わらんよ!!」 ギーシュがさっきより力強く薔薇を振る、すると六枚の花弁が六体のゴーレムとなる 「行け、あいつを倒せ!」 全てのゴーレムが腰の剣を抜きロムに向かって行く 「ここは同時に倒すのが速いな、ならば!はっ!!」「と、跳んだ!あんなに高く!!」 ギャラリーが空に顔を向ける ロムは宙に舞うと一回転し、ゴーレムに向かって足を向ける 「天空宙心拳!稲妻跳び!!」 すると前にいた一体を蹴りあげ、砕くと同時にアクロバティックのようにまた跳びあがる。そして隣にいる二体目、その後ろにいる三体目、四体目、五、六と。 ロムは跳ぶのを止め、足を地に付ける 「・・・・・・・・・・・・」 無惨に砕けたゴーレム達が倒れている光景にギーシュは声が出ない ロムはギーシュの居る方に体を向けて訪ねる 「さあ、続けるのか?」 「いや・・・・、まっ参った・・・・」 ギーシュの降参と同時に歓声が巻き起こる 「す、すげー!あの平民ギーシュに勝った!!」 「しかもあっという間に終わらせやがった!!」 「丸で蝶の様に舞い!蜂の様に刺す!」 「か、かっこいい!!」 などと交えた声が溢れていた 「ロム!とても素敵じゃない!やっぱり私の見込んだ通りの人だわ!!」 キュルケが手を組んで騒いでいる、タバサはと言うと 「・・・・・・・・・・・・」 無表情ではあったが彼女の握っていた本のページにはついたばかりのシワと彼女の汗のシミが付いていた 「ロムさん・・・・、貴族にかっちゃった・・・・、跳んでいる時、目あった・・・・」 シエスタはというと、あっと言う間の出来事であったので情報処理できずにいたが、その頬には赤みが差していた 「本当にギーシュに勝っちゃった・・・・」 「マスター、勝ってきたぞ」 ロムがルイズの下による 「あんた、そんなに強かったんだ・・・・」 ルイズはまだ驚いていた 「言ったはずだ。天空宙心拳でマスターを守ると」 「・・・・な、何言っているのよ使い魔の癖に!もう昼なんだから日が沈む前に洗濯して来なさいよ!!」 ルイズの頬はとても紅くなっていた 「わかった」 そういうとロムは寮の方へと向かって行った ギーシュが立ち上がって首を振る 「ルイズ、彼は一体何者なんだい?」 「ただの平民でしょ」 「ただの平民に僕のゴーレムが負けるはずがないだろう」 「あんたが弱かっただけでしょ」 所変わって学院長室 「・・・・凄かったですなぁ学院長!」 「うむ!塔から名乗り、突然飛び降りる。そして疾風の様に敵を討つ!! 小僧共の喧嘩とは言え久々に心を熱くさせてもらった!!若い頃を思い出すのお!!」 映画を見ているのと同じなのか二人はとても興奮していた ロングヒルはと言うと (・・・・へぇ中々面白そうな人) 知的な外見からは思えない妖美な笑みで部屋を去った 「ところで学院長」 「なんだね?」 「やはり彼は『ガンダールヴ』のでしょうか」 「うむむ・・・・『ガンダールヴ』は様々な武器を使い、主を守ったと言われるがあの男は素手で闘ったが・・・・」 「いくらドットクラスの作ったゴーレムとは言え、素手や蹴りで砕くなんてありえません!」 「うむむむ・・・・」 「それに彼は人間ではありません」 オスマンが細い目を見開く 「なんと!それは本当かね!?」 「はい、『ガンダールヴ』の姿の記録は残っていません。これにより彼が『ガンダールヴ』である可能性はより高いと思います」 「うむむむむ・・・・、よしコルベール君、このことを王宮に報告するなよ。戦争の道具なぞに使われたらこまるからな」 「はっ!」 どたどたと部屋を後にするコルベール、そしてオスマンが呟く 「現代に甦ったガンダールヴ・・・・、人間ではない男、まさか・・・・」 そしてその日の夕方 「ふぅ、マスター洗濯物が乾いたぞ、マスター?」 「あの~ロムさん」 後を向くとシエスタが立っていて焼き立てのパンと手紙を持っていた 「実はミス・ヴァリエールに頼まれてこれを渡しにきたのです」 「マスターが?何々・・・・『ちょっと魔法の練習に行ってくるわ。夕飯までに戻るからそのパンでも食べて待っていなさい。ルイズ』・・・・・・・・」 「あのロムさん、どうしたんですか?」 「あ、いや、考え事をしていてな」 「あと、夕食後に厨房に来て下さいね。マルトーさんなんか張り切っていますし」 「ああ、楽しみにしておくよ」 「私も楽しみです!それじゃまた」 シエスタが部屋から出ていく そしてロムは窓を開けて夕焼け空を見て、今日一日を振り返る 「ルイズ・・・・、君は必ず認められる、そう遠くない内にな」 おまけ シエスタの日記 今日の夜、ロムさんの決闘勝利お祝いパーティーをやりました。賄い食とは思えない美味しい料理をロムさんの隣で食べたりしながら・・・・ (中略) それで皆やマルトーさんはロムさんの事を「我らの剣」と呼ぶようになりました。 そしたらマルトーさん、大奮発してヴィンテージ物のぶどう酒を持ち出してロムさんに飲ましたらもう大変! ロムさん、お酒に弱いらしくてすぐに酔っ払ってしまいまい、突然料理を作ると言って厨房に入ると「このパンを作ったのは誰だぁ!」って言って出てくると (中略) そういうことでモチヅキさんは「もう二度と手を抜いてパンを作らないよ」って反省しました。 めでたしめでたし (中略) ロムさんが来て5日は経ちました。 早朝、ミス・ヴァリエールの衣類を洗濯している所に声をかけようとしたら二年生のマントを付けたセミロングの女の子が・・・・ どうやらロムさんはその人に洗濯を教えて貰って以来、よく話すそうです 可愛らしい容姿をしているのになんだか何時も赤い顔をしているから心配だと言っていました そこでその日の夕方その女の子に・・・・ (中略) っということで今日はとても清々しい一日になりました 明日もロムさんに会えるといいなぁ
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前ページ次ページルイズと無重力巫女さん 「ふぅむ…つまり君はミス・ヴァリエールが召喚したのは伝説の『ガンダールヴ』だと言いたいのかな?」 双月が濃くなり始める時間に学院長のオールド・オスマンはコルベールとある話し合いをしていた。 「はい。何回も何回も調べ直しましたが、あれは間違いなくガンダールヴのルーンです!」 興奮したコルベールがつまりそうな早口で言った。 『ガンダールヴ』とは…伝説の系統である『虚無』の使い魔で、ありとあらゆる兵器や武器を使いこなせるという。 コルベールや長寿のオールド・オスマンでさえ見たこともない伝説の使い魔が召喚されたのだ。 探求心豊富なコルベールが興奮するのは仕方がない。 「まぁまぁ落ち着きたまえミスタ・コルベール。興奮するのは仕方がないがちと声が大きすぎるぞ?」 オールド・オスマンは人差し指で口を押さえてコルベールに静かにするように合図をした。 「とりあえずしばらくは様子見じゃ。どこに耳や目があるかわかんからのう…。」 そう言うとコルベールはハイ、と返事をし。軽く頭を下げて退室した。 彼が退室した後、オールドオスマンは口にくわえていたパイプを机の引き出しの中に入れると右手を地面に置き、足下にいたハツカネズミを手の上に乗せた。 「ふぅむ、今日はこんな時間にまで起きておいて良かったのかも知れんのぉ。」 そういってオスマンはハツカネズミを机の上に置くと軽く頭を撫でた。 「モートソグニル、今日はどうじゃったか?……ふむ、今日のミス・ロングビルは白だったか…いやはや。見るのをすっかり忘れるところじゃったわい。」 そう言ってオスマンは仕事をこなしてきた自らの使い魔にナッツを五つ食べさせた後、寝巻きに着替えて寝ることにした。 ルイズは夕食を食べた後ネグリジェに着替え、霊夢には予備に持ってきていた少々大きめのパジャマを貸してあげた。 一緒にベッドに寝るかとルイズは聞いてヒラヒラが多く付いたパジャマを着終わった霊夢はそれに甘えることにした。 「寝床なら明後日くらいにはなんとかするわ。それじゃあ先におやすみ…。」 そういってルイズはベッドにダイブして目を瞑ろうと思ったがふと目を開けて椅子に座って紅茶を飲んでいる霊夢の方に顔を向けた。 「そういえばアンタは使い魔として扱われるのがいやなんでしょう?だったらどういう風に接すればいいのかしら?」 それを聞いた霊夢はティーカップを机に置くと少し頭をウンウン捻った後に言った。 「そうね…じゃあとりあえず゛同居人゛とかそんな感じでお願いしようかしら」 その言葉を聞いたルイズは同居人ねぇ…、と言って目を瞑った後すぐに寝息が聞こえてきた。余程疲れ切っていたのであろう。 その数分後に霊夢もポットの中に入っていた紅茶を全て飲み終えたので寝ることにした。 「……さい、ルイズ。」 安眠していたルイズは目の前から聞こえてきた声と手で体を揺すぶられる感覚で目を開けた。 「いつまで寝てるのよ。もうすぐ朝食の時間でしょ?」 その言葉遣いにルイズはエレオノール姉さんかと思ったがそれはルイズが召喚した少女、霊夢だった。 既に袖が別離している紅白服(本人が言うには動きやすさを重視した為らしい)を着ていた。 「あぁ、そぉだったわねぇ…。ふぁぁぁ…」 ルイズはまだまだ寝たいという体に鞭打ち、大きなあくびをしてベッドから飛び降りた。 目を擦ってベッドの横に置かれた椅子を見てみると椅子の上に綺麗に洗濯されて畳まれた制服が置いてあった。 恐らく霊夢が朝イチにやってくれたのだろう。その霊夢はというと鏡を見ながら頭につけてるリボンを整えている。 ルイズは霊夢に自分の服を着せようと思ったが彼女は『使い魔』ではなく『同居人』なので、自分で着ることにした。 ルイズの着替えが終わり、丁度リボンを整え直した霊夢と一緒に部屋を出ると隣の部屋のドアが開いた。 その部屋の中から出てきたのは『微熱』の二つ名をもつキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーであった。 「あらおはようルイズ。夕食の時に食堂にはいなかったけどちゃんと夕食は食べたのかしら?」 キュルケはルイズを小馬鹿にするような目で話しかけてきた。 「大丈夫よキュルケ、夕食は部屋で食べたから。」 ルイズはキュルケの小馬鹿にするような目と言葉に耐えて返事をした。 そのあとキュルケはそう、と言って霊夢の顔を見た。 「何よ?何か私の顔に付いてるの?」 負けじと霊夢もジト目でキュルケの顔を睨む。 目には目をの要領で睨んできた霊夢に、キュルケは年下の人間に諭すかのような感じでこう言った 「いやね、こんなかわいい顔なのになんか目が冷たいなーって思っただけよ。」 キュルケの言葉に霊夢は顔を顰め、一言。 「余計なお世話よ。」 その言葉を聞いたキュルケは途端に腹を抱えて笑い出した。 「あははははは!『ゼロ』のルイズと無愛想な『使い魔』!なんかいけるわねこれ!」 キュルケの『使い魔』という言葉に反応した霊夢は人差し指でキュルケの鼻先をつついた。 「勘違いしないで頂戴。私はルイズの『使い魔』じゃないわ。『同居人』よ。」 「……同居人?」 ムスッとした表情を浮かべる霊夢の言葉にキュルケは顔を怪訝にすると彼女の後ろから火を吐くトカゲ、サラマンダーがヒョコッと出てきた。 「確かそれ、アンタの呼び出した使い魔…だっけ?」 ルイズが欲しそうな目でそのサラマンダーを見つめる。 「そうよ、名前はフレイム。これはきっと火竜山脈のサラマンダーに違いないわ。」 キュルケはフレイムの頭を2、3回撫でた後、ルイズと霊夢に手を振ってフレイムと一緒に食堂へと向かっていった。 「フン、なによキュルケのやつ…自慢しちゃって!」 しばらくして、ルイズはキュルケの態度を思い出し、内心の苛立ちを露わにしていた。 霊夢はと言うと、そんなルイズを後ろから冷たい目で見つめていた。 「あんなトカゲの何処がいいの?ただ体が赤くて火を吹くだけじゃないの」 「一応教えとくわ…召喚した使い魔はね、そのメイジの器量と強さを表してるらしいのよ。いわばそのメイジの強さ…魔力…そして才能!!」 そこまで喋ったとき、ルイズの足が止まりその場で悔しそうにギリギリと握り拳を作った。 霊夢はそれを聞きながらも足を止めずそのままツカツカとルイズの前まで来ると、彼女の目の前でこう言った。 「ならアンタの方が強いんじゃないの?」 ルイズがその時見た霊夢の顔は、どこか無愛想漂うがその中に小さな微笑みも混じっていた。気のせいだと思うが。 その言葉を言った当の本人はツカツカと食堂へ向かって歩き出し、ルイズは首を傾げながらもその後を付いていった。 「さぁついたわ、ここがアルヴィーズの食堂よ。」 ルイズはそういって食堂の方を指さした。 そこは正に大聖堂と言って良いほどの大きさで、大きな入り口から多数の生徒が中に入ってゆく。 「ここには有名なシェフ達が働いているからいつもバランスと栄養が整っている食事が取れるの。」 「……なんか食堂にしてはでかすぎない?」 霊夢は頭を上げ食堂を見上げながら言った。 太陽が後ろでサンサンと光っているため誰も言わなければ何処かの大聖堂と間違えてしまうくらいに立派である。 ルイズは霊夢の言葉など無視してさらに説明を続けていた。 「………その外装にさることながら中もすごく、料理人は全て超一流よ!!!」 食堂の入り口で熱弁をふるうルイズに視線を戻した霊夢を含めそれを聞いていた数人の生徒は拍手を送った。 「ねぇギーシュ、あれは何かしら?」 「おおかた、ゼロのルイズが自身の使い魔に熱弁を振るってんだろ?気にするなよ。」 食堂の内部は思ったより大きく、数百人の生徒達が椅子に座って雑談をしている。 そして長いテーブルの上には純白のテーブルクロスがしかれ、その上には綺麗に彩られた料理が置かれている。 ルイズは真ん中のテーブルに行き、椅子を自分で引くと座った。 その後をついてきた霊夢はルイズの足下に置かれている野菜と鶏肉が均等に入ったスープと、湯気を立てているパンと空のティーカップがあることに気づいた。 「料理の方は結構良くしたけど…流石にテーブルの上では食べる事は許されないから床で食べてくれない?」 「まぁ別に良いわよ。元の世界でも椅子に座って食べるとかそんなのはあまり無かったから。」 霊夢は別段何も感じられない瞳でルイズの顔を一瞥してから床に座った。 『………大なる始祖ブリミルと女王陛下よ、今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことに感謝致します。』 (食堂の中も結構凄いけど、食事の味も結構良いわねぇ…) 霊夢は生徒達が呟く祈りをBGMにして一足先に朝食を頂いていた。 生徒達の祈りが終わった後、奥の厨房からメイドが二、三人ティーポットを持ってやってきた。 どうやら生徒達に紅茶を入れているらしい、トクトクトク…という音が食堂のアチコチから聞こえてくる。 やがて一人のメイドがルイズの所にまでやってきて紅茶を入れると地面に座って朝食を食べている霊夢と目が合った。 最初メイドは霊夢を見て不思議そうな顔をしたが何か思い出したのかすぐに笑顔を振りまいた。 「あ、おはようございます。あなたも紅茶が欲しいんですか?」 「うん、入れてくれる?」 そう言って霊夢は空のティーカップをメイドに渡すとメイドは慣れた手つきで紅茶を入れ、紅茶が入ったティーカップを霊夢に渡した。 紅茶は綺麗な色をしており、見ただけで満足してしまう。一口飲んでみたらこれがまた美味しい。 「ありがとう。あなたの入れた紅茶、とってもおいしかったわ。」 メイドは礼をすると隣の生徒のティーカップにお茶を入れていった。 朝食が終わり、霊夢とルイズはとある広場に来ていた。 広場には二年生になったばかりの生徒達と使い魔がおり、今日は召喚した使い魔とコミュニケーションを取る日である。 「いつもなら午前の授業があるんだけどね、今日は使い魔との交流会があるから潰れたのよ。」 「ふーん…」 霊夢は素っ気なく返事をすると紅茶を飲みながら辺りを見回した。 周りは全て哺乳類や爬虫類、鳥類だらけで、その中には目玉の化け物やドラゴン等がいた。 (妖怪…?はたまた悪魔か何かかしら?なんかよくわからないのがいるわね。) 自分やあの目玉と竜以外は蛇や蛙、フクロウといったよく見かける生物がいたがなぜか一匹だけ違和感のある生物が視界に入った。 「………モグラよね?」 霊夢は自身の視線の先にある巨大なモグラを見て思わず呟いてしまった。 それを聞いたルイズは霊夢の視線を追い、そのモグラを見た。 「え?ああ、あれはギーシュの使い魔よ。」 「ギーシュ?誰よそれ。」 「ほら、あのモグラの近くにいる派手な服装の。」 大きさが小熊くらいあるモグラの主人と思われるギーシュは薔薇の造花を片手に持ち、金髪ロールの女子生徒と話しをしていた。 「どうだいモンモランシー、僕の使い魔ヴェルダンデはなかなか可愛いだろう。」 ギーシュはヴェルダンデの頭を膝に乗せて頭を撫でながら言った。 「かわいいけど…今度からわたしと一緒にいるときは出さないでね。」 金髪ロールのモンモランシーは少し引いているような感じでギーシュに言った。 当然である、あんなでかいモグラをかわいいとか言ってる人は普通の人が見れば相当引く。 愛嬌はあるが体の大きさがそれをはね除けていた。普通のモグラサイズだったら万人受けしていただろう。 その後、トイレだからとルイズが席を立って数分後… なにやらギーシュの方から騒がしい声が、霊夢の耳に入ってきた。 「ギーシュ様、はっきりしてくださいよ!!どうして嘘などつくのですか!」 「待ってくれよ、君たちの名誉のために…」 「そんなのはどうでも良いのよ!今大事なのは一年生に手を出していたのかしていないかの事よ!!」 振り返ってみるとギーシュはモンモランシーと茶色のマントを着た女の子に何か言い詰められている。 「僕は二股なんかしていないよケティ、モンモランシー。薔薇は女の子を泣かせないからね。」 「ギーシュ様!それ答えになってません!」 (自分を薔薇と思ってるのかしら…。) 霊夢は聞こえてくるギーシュの言葉に呆れているとふとギーシュの懐から十枚を紐で一束にまとめた手紙が落ちた。 それを見たモンモランシーがその手紙をギーシュよりも早く手に取ると顔を真っ赤にしながらも満面の笑みを出した。 「…ギーシュぅ?この手紙全てに一年や二年なんかの女子生徒の名前が書いてるんだけどこれってイッタイどういう事かしらぁ?」 「そ、そんなまさか…酷いですギーシュ様!!二股では飽きたらず十股していたなんて。」 「え、あ、あのぉ…だからこれは…。」 「「このウソツキ!!乙女の敵!!!」」 ギーシュが言い終わる前に二人の平手打ちが炸裂してギーシュは空中で綺麗に4回転し、地に伏した。 二人の少女が怒りながら広場から姿を消すと他の生徒達がドッと爆笑した。 「ギーシュ!おまえ見事に振られちまったな!?」 太った少年がギーシュに向かって言うとギーシュは立ち上がり服に付いたホコリを払うと一回転した。 「はは、僕にとってはもう慣れっこさ!」 このギーシュという男、たいそうな女たらしであった。ちなみに過去の最高記録は十五股である。 その光景を見ていたルイズは生徒達と同じく笑っていたが霊夢は立ち上がるとギーシュに近づいていった。 そしてギーシュの傍によるとポンポンと肩を叩いた。 「ん?誰だい君は……あぁ確かルイズに召喚されていた娘か。何の用だい?もしかして僕と付き合いたいのか?」 「何勘違いしてるのよ。私はアンタの恋愛運でもあげてやろうと思って来たのよ。」 実際ギーシュは恋愛運が良いとはお世辞にも言えない。むしろ逆に恋愛関係の災難にあう確率が多い。 先ほどの光景を見た霊夢は気まぐれに、たまには巫女らしく御祓いしてやってもいいだろうと思ったのだ。 「僕の恋愛運を?それは有り難い、ならば早速…ん?」 ギーシュは突自目の前に出された霊夢の手に不思議そうな顔をした。 「この手は一体何だい?」 「賽銭よ、あんたの運をあげるんだからアンタもそれ相応の何かを出しなさい。」 ギーシュは頭に?を浮かべて顔を傾げる 「賽銭…何それ?」 彼の反応も当然である、何せこの大陸には賽銭を入れる賽銭箱はおろか、神社すらないのだから。 「知らないの?御祓いをする人にお金などを出して運勢を占ったり祈祷などをしてもらうことよ。」 「金」という言葉を聞いたギーシュは明らかに不機嫌な顔で霊夢を睨んだ。 「それはつまり…恋愛運を上げてやるからお金をくれという意味かい?」 「そうだけど?でもそんな言い方はしてないわよ。」 その言葉を聞いたギーシュは数歩退くと薔薇の造花を霊夢に向けた。 「このトリステイン貴族にタダで金品を要求するとは…なんたる無礼、即刻僕に謝罪したまえ。」 いきなり大声で叫んだギーシュに霊夢は少し驚きながらも答えた。 「貴族だか平民だかなんだか知らないけど要は…―――ってイタ!」 喋っている最中にいつの間にか彼女の後ろにいたルイズに頭を叩かれ、霊夢は頭を押さえた。 「あんた私がいない間に何してんのよ!?さっさと謝りなさい!」 「貴族がなによ?あいつも魔法を使わないとただの人間でしょ?それに二股してた方が悪いし。」 霊夢はこの世界で貴族という存在がどれ程高位なものとも知らず。ギーシュを馬鹿にするような目で見ている。 「…………どうやら魔法の才能が無い『ゼロ』のルイズに召喚された君は、貴族に対する接待の仕方を知らないようだね。」 ギーシュがそんなことを言った直後、霊夢の左手が闇夜でしか認識できないくらいの薄さで光った後、霊夢が目を鋭くしてギーシュにこういった。 「…………お生憎様、私はあんたみたいな『孤立無援な女の敵』に持ち合わせる態度はないわ。」 惜しげもなく出たその言葉は、ギーシュを激昂させるのには十分な代物であった。 「!?………君に決闘を申し込む!」 完璧に吹っ切れたギーシュは高らかに宣言した。 「別にいいわよ。ティータイムの後には丁度良いわ。」 「ヴェストリの広場で待っているよ!」 ギーシュはそう言うとマントを翻し颯爽と去っていった。 その後霊夢はハッとするとふと左手の甲を見ようとしたがルイズが後ろから激しく肩を揺すった。 「あんたなんて事したのよ!?貴族に決闘を申し込まれるなんて…!」 「わわわわわ……あんた馬鹿にされてたのによく怒らないわね…というか目がまわるぅ~…」 「あんたもしかして私のために……あんなのいいのよ!貴族はあんなことで怒るなってお母様に言われたのよ!」 必死な顔で霊夢をみているルイズは尚も肩を揺する。 とりあえず霊夢はルイズの手を肩から外すと、太っている少年に声を掛けた。 「はぁはぁ………ねぇ、ヴェストリ広場って何処かしら?」 「こっちだ、着いてこい。」 ルイズはほほえんでいる太った少年、マリコルヌに着いていこうとした霊夢の手を引っ張った。 霊夢が苛立ってルイズの方に顔を向けた。ルイズの顔にはうっすらと恐怖の色がにじみ出ていた。 「ねぇ、お願いだからやめて!グラモン家を怒らせたらただじゃすまないわよ!?下手に勝ってしまったら何をされるか…」 霊夢は静かにルイズの手を振り払い少し先にいるマリコルヌの後を着いていった。 「もう………バカァ!!」 ルイズの叫びは、空しくも霊夢の耳に届くことはなかった。 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん
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「ハヤテのごとく!」の綾崎ハヤテが召喚される話 ルイズさんとハヤテくんと-1 ルイズさんとハヤテくんと-2 ルイズさんとハヤテくんと-3 ルイズさんとハヤテくんと-3-2 ルイズさんとハヤテくんよ-4-1 ルイズさんとハヤテくんよ-4-2 ルイズさんとハヤテくんよ-5 ルイズさんとハヤテくんよ-6
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ルイズと幽香は他者と一歩送れて朝食の席を立つ。 これから、幽香を入れての、初めての授業である。 「・・・むきゅー。この本、興味深いわ。ここの世界の魔法も会得して、 絶対に魔理沙をぎゃふんと言わせてやるわ」 第4話 こんどこそ すごい 本領発揮 他の生徒から数分遅れてルイズと幽香が教室に入る。 すると、赤い髪をしたスタイル抜群の女性がルイズの姿を認めると、近づいてくる。 「あらルイズ、おはよう」 「・・・おはよう、キュルケ」 ルイズは心底嫌な顔を、キュルケは悪戯を楽しむような顔をしている。 「この人が貴方の召喚した使い魔?」 「そうよ、幽香こそ「使い魔じゃないわ。あくまでルイズとは対等のつもりよ」ってちょっと」 キュルケの質問に、ルイズが自慢げに答えようとしたところ、幽香の口から驚きの言葉が漏れた。 「ち、ちょっと、前に一応ではあっても敬おうって言ってたじゃない」 「いや、なんかやっぱり慣れない事はするもんじゃないわねって事で」 「余りにも酷いわ・・・」 ルイズの絶望感に満ちた声が漏れる。もちろん、それはキュルケにも聞こえていたわけで。 「あははは、ルイズ、なんだかとんでもないのを召喚したみたいね?」 「ふ、ふん!これでも実力は本物・・・なんだからねっ!多分!」 「多分って何よ、私は本気さえ出せれば分けはあっても負けたことは無いわ」 「ふふ、でもあたしはちゃんとした使い魔を召喚したのよ?おいで、フレイム」 すると、教室で他の使い魔と話して(?)いたオレンジ色のトカゲの様な大きな生き物が歩いてきた。 「あら、火の象徴の生き物?」 微妙に不快そうな顔をする幽香。 「そうよ。この尻尾、素晴らしいと思わない?」 確かに、とルイズは思う。この尻尾から見るに、サラマンダーの中でもそれなりに 高位にあるのだろう。と、容易に想像が付く。 「ふーん・・・知能の割に力はあるのね。花、燃やさないでね」 「ふふ、あたしが指示したりしなきゃ、そうそう火なんて吹かないわよ」 「ふーん、ならいいわ」 完全にルイズは蚊帳の外である。 「ちよっと幽香、せめて他人の前では使い魔らしく振舞って頂戴よ」 「嫌よ、逆にルイズしか居ないんなら・・・考えなくも無いけど、他人の前で使い魔 ・・・と言うより、ルイズより下だなんて思われたくないわ」 「ふふ、ルイズ、貴方、使い魔に忠誠も見せて貰えないようだからモテないのよ・・・」 「私はアンタみたいに他人に媚を振り分けるほど暇じゃないのよ」 ルイズが反論をするが、キュルケは幽香に興味があるようだ。 「ねぇ、貴方はなんて名前なの?」 「あら、こちらの貴族は相手に先に名乗らせるの?」 「そうね、こちらから名乗りましょうか。あたしはキュルケ。微熱のキュルケ。」 キュルケはそこで一旦区切ると、ルイズにあてつけるように胸を張り、幽香に向かって艶かしい視線を送る。 「ささやかに燃える情熱は微熱。でも、世の男性はそれでいちころなのですわ。あなたと違ってね?」 キュルケは視線を幽香の胸に移動させ、その後視線をルイズの胸に固定し、嘲るような笑みを浮かべる。 「じゃ、失礼?」 そのまま、キュルケはさっそうと歩いていく。歩く姿でさえ何か色気のような物があった。 「キィィィッ!くやしいっ!何よ何よ!絶対幽香のほうが使い魔としての格は高いんだからっ!」 「・・・・・・」 「どうしたのよ、幽香?」 「胸で・・・負けたわ。そうそう負けることは無かったのに・・・」 「・・・そう」 幽香は割りと本気で悔しがっているようだ。 そこに何故かキュルケが戻ってくる。 「ルイズ、貴方、タバサの部屋に入った何か、見なかった?」 「・・・? いえ、見てないけど?」 「うーん。やっぱりルイズも見てないか・・・」 「どうしたのよ?」 「ううん、ただ、タバサが後で戻ってはいるとはいえ、本が減ったりしてるって嘆いてたのよ」 「ふぅん・・・普通、生徒ならタバサの部屋じゃなくて図書室に行くと思うけど・・・」 「だから妙なのよ。まぁいいわ。見つけたらあたしに言ってね。それじゃ」 こんどこそキュルケは男性の群れに戻っていく。 「変なの・・・」 「へぇ、この学園、図書室なんてあったんだ」 「えぇ、まぁ、一般生徒じゃ入れないところもあるけどね」 「ふぅん・・・まぁいいわ、前に居るの、先生でしょ?」 「げ、危なかったわ。ありがと幽香」 「どういたしまして」 前に来た先生、シュヴルーズ先生が口を開く。 「おはよう皆様、私はこの季節に召喚された使い魔を見るのが好きなのですよ・・・ 本当に皆さん、色々な・・・色々な・・・」 シュヴルーズはルイズの隣に居る幽香を見て凍りつく。 「・・・えー、本当に色々な使い魔が居るのですね・・・」 「ちょっと、ミセス・シュヴルーズ!人の使い魔みて硬直するのは止めてください!」 「そうよ、使い魔を一通り見てみたけど、私以上の生き物・・・いや、かろうじて対抗できそうなのは、 そこの青もやしの竜しか居ないわよ?」 幽香は青もやし・・・いや、タバサを指差して言う。 タバサは反応しない。それに対してキュルケが反応する。 「ちょっとそこの使い魔、タバサをもやし呼ばわりとは、 礼儀がなってないんじゃない?」 「あら、すいませんね。昔、そこのタバサ、だっけ? に似た人が紫もやしと呼ばれて居たので、つい呼んでしまいましたわ。 非礼をお詫びします」 「くっ・・・わ、わかればいいのよ!」 周りからは明らかに喧嘩を売りに行ったキュルケを上手く受け流すほどの知慧を 見せた幽香に控えめながらも感嘆の声が漏れる。 ルイズは幽香の耳元でささやく。 (よくやったわ幽香!) 「ゃん!」 「え?」 しかし幽香はそれに気づかなかったようで、ルイズの息が幽香の耳に入り、 思わず嬌声を上げてしまう。 その声はやけに色っぽく、何人かの男子生徒が反応してしまう。 その耳を押さえて甘い声を上げながら顔を赤らめるという動作を 幽香のスタイルとルックスを見ていたギーシュは直視してしまった。 「・・・可憐だ。薔薇たる私が、あの花を手に取らない?そんなことはあり得ない。そんなことは―――!」 ギーシュは、ルイズの最初の召喚、そう、コルベール場外ホームラン事件を見ているのだ。 もちろん幽香の名乗り上げも聞いている。 「そうだ、花だ!全ての美しい花は私の物、ならば私が薔薇である必要は何処にもなくて―――!」 気障なギーシュがなにやら叫んでいるが関係ないことである。 しかし、ミセス・シュヴルーズ先生は耐えられなかったらしい。 「ふがっ!」 「しばらく黙っていなさい。では授業を始めましょう」 「ふがふぐふもっふー!」 ギーシュの喚く声が五月蝿いので生徒達によって窓から落とされる。 これは痛い。 「では、今日は使い魔を召喚して皆さん疲れているでしょうし、土魔法の基本、錬金 のおさらいをしましょう。それでは・・・」 シュヴルーズ先生が錬金の理論を説明している。 しかし、ルイズにとっては実技が出来ない分、座学はかなり優秀な方である。 そんなルイズにとっては、非常に退屈な授業である。 しかし、幽香はしきりに頷きながら、その授業の内容を咀嚼している様であった。 「幽香、意味わかるの?」 「うーん、分からないわけじゃないんだけど、どうにもピンと来ないわ。 せめて、一回でも実技が見れれば・・・」 「・・・貴方、実は頭良い?」 「・・・伊達に数百年生きてないわ」 「うそっ!貴方、そんなに生きてたの!?」 「言ってなかったかしら?妖怪は軽く千年は生きたりするわよ。 ま、種族にもよるけどね」 「・・・何か、常識が崩れて来たわ」 この時、ルイズは不覚にも大きな声を上げていてしまった。 「ミス・ヴァリエール!」 「はっ!はい!」 「随分と余裕のようですね。では、私がやるつもりだった 錬金の魔法を実演していただきましょう。大丈夫です。 貴方はとても優秀な生徒と聞いています。さぁ」 途端に周りがザワザワと騒ぎ始める。 「あの・・・先生、やめさせた方がいいと思います」 「もう爆発は見たくありません!」 「触ると爆発する技ってあったわね」 周りの生徒達が口々に止めろ止めろと騒ぎ立てる。 その様子を見て、なおルイズはその指名を受けた。 「やります!」 ルイズのこの宣言で、生徒達が隠れようとした。 「―――静かにしてくださらない?」 しかし、ルイズの隣に居た女性、いや、使い魔の幽香が、 この喧騒の中でもやけに響く、重く、低く、人間の本能に直接語りかけるような 声を、いや、もはやこれは号令だ、を掛ける。 「ミセス・シュヴルーズ?」 「は、はい?」 幽香が、非常に優しい声でシュヴルーズに声を掛ける。 周りの喧騒は、幽香の先ほどの一声で静まり返っていた。 「普通は生徒の前に、先生が手本を見せる物じゃなくて? ―――ミセス・シュヴルーズ?」 幽香の、「異論は許さない」と言う、確固とした感情の籠められた言葉は、 それは言霊となってシュヴルーズの考えを侵食する。 「え、えぇ、そうですね。わかりました。では私が手本を見せます」 そう言ってシュヴルーズは、土を出すと、それに魔法を掛ける。 するとその土は、金の輝きを放つ金属に変化する。 「あら、凄いですね先生。それは金ですか?」 幽香は心底感心した風でシュヴルーズを見て、声を掛ける。 それに対してシュヴルーズは自嘲したような 笑みを浮かべながら言葉を紡ぐ。 「いえ、これは真鍮です。私は二つしか属性を掛け合わせられませんから。」 シュヴルーズの自分を見下すような言葉に、幽香はポツリとつぶやく。 「ふぅん―――なんだ、これなら、まだ魔界の人形の魔法の方が高度だわ」 「え?」 幽香のぽつりと言った一言は、近くに居たルイズにしか聞こえていなかった。 「ミセス・シュヴルーズ?」 「は、はい、何でしょうか・・・?」 「よろしければ、私に一度やらせて戴けません事?」 「え?」 シュヴルーズは、不思議そうな表情をしながら、疑いの念の篭った声を上げる。 その幽香の申し立てに、ルイズが反応する。 「や、やめてよ幽香!私が恥かいちゃうじゃない!」 「見てなさいルイズ―――これが、私の実力って言う物よ」 幽香は、あたかも自分がこの空間の支配者のごとく、 いや、事実そんな状況だ。誰もが、学園長室に居る三人ですら、 遠見の鏡を使ってこの状況を覗き見ている。 「行くわよ―――」 幽香の宣言に、全員が息を呑む。 そして―――幽香の魔法、土を真鍮に変える魔法が使われた。 それは、貴族の使う杖と言う、それなりの長い時間を掛けて作られる杖と言う 魔法媒体無しで振るわれた。 「―――出来たわ」 そして、その土は見事金の輝きを放つ別の金属、真鍮に成り代わっていた。 「――――――!!」 その歓声は、どこまでも無音であった。 ただ、ルイズを初めとする、学園全員を、震わせ、叫ばせる物であった。 そして、幽香は言う。 「ルイズ?」 幽香の突然の呼びかけに、ルイズは驚く。 「な、何よ?」 「ルイズ、こっちにいらっしゃい。もしかしたら、 貴方に魔法を使わせられるかも。」 「なっ!」 「「「なっ!?」」」 教室のほぼ全員が驚きの言葉を上げる。 もちろん、校長室の三人も、である。 「どうするの?ルイズ?私のやり方―――やってみない?」 「当然、やるわ!」 ルイズは、もしかしたら今までの自分の評価をひっくり返せるかもしれない その考えだけで、走ってやってきた。 それはそうだろう。幽香は、完全に魔法の素人の筈なのだ。 その幽香が一発で魔法を成功させた。つまり、それは自分にも 魔法が使えるのではないか―――? そう、考えさせるのに十分であった。 「偉いわねルイズ・・・よく来てくれたわ」 ただ、ルイズには、一つ心配なことがあった。 何故か、幽香に良く解らない迫力と言うか、 周りの人に、一切の反論を許さない、ナニかが渦巻いていたのだ。 「待ってね・・・」 幽香は、またシュヴルーズの用意した土に何処からか 出した種を蒔き、宣言する。 「フラワーマスターの名において宣言するわ。 ―――咲きなさい」 すると、ルイズ、この中で最も博識なタバサですら見たことの無い花を咲かせる。 その花を、ルイズの花に近づけると、ルイズは意識を失った。 「ふふ、いいわ。さぁ―――!」 その光景を見ていたオールド・オスマンと、コルベールは、ほぼ同時に叫んだ。 「いかんっ!」 すぐさまその幽香の行動を止めに行くが、幽香の鏡越しの視線と、 満面の笑みを見ると、一瞬でそんな考えが吹き飛ぶ。 元々、動くことすら出来なくなっていたロングビルは、「ひっ」 と言う声を上げて、失神した。 使い魔は、そのメイジと実力差があると、メイジから主従の関係を取り除こうとする。 幽香は、正にそれをしようとしていたのだ。 幽香は、嬉しそうに叫ぶ。 「さぁ、これで私の使い魔生活も終わり―――よっ!」 光が走った。
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「俺たちは一体どこで間違ったんだ……?」 データ 名前 相原才人 あいはらさいと 異名 階級 中忍/下忍 流派 ハグレモノ 信念 情 性別 男 年齢 24/9 表の顔 天川機関構成員/小学生 PL はすが 概要 天川機関後方支援部隊所属。 現在は消息不明。 奥義 《パニッシュメント・イン・サイト》 エフェクト:範囲攻撃/乱れ/回数制限 右目の魔眼の力で、視界に入ったもの全てに裁きを与える。 関連シナリオ センチメンタル・ヒストリア 関係者 昏原流香 間桐正一 マキナ 赤マント 城戸颯太 歯車螺子男 台詞集 相原 才人:これからはさー 相原 才人:困ったことあったらすぐ言った方がいいぜー マキナ:えー大丈夫だよー 相原 才人:なんで言い切れるんだよー! マキナ:でもありがとうね、才人君! 相原 才人:まあいいけどさー 相原 才人:お腹いっぱいだぜ モブ:カレーは最高だったな 相原 才人:毎日でもいいくらいだよなー モブ:世の中には「カレー大使」なる称号を持つ者がいるらしいぜ 相原 才人:まじかよ…… 相原 才人:カレー大使になれば毎日カレー食べ放題なんかな…… モブ:駅前のカレー屋は半額になるって聞いたぜ 相原 才人:すげー! 相原 才人:おれもなってみてえなー モブ:俺も将来カレー大使になるわ…… 相原 才人:お互いがんばろうぜ! モブ:おう! 相原 才人:あのセイイチでもさすがに毎日カレーじゃなかったもんな…… 相原 才人:すごいぜカレー大使…… モブ:まじか……
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ルイズ imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 【来れない日時や曜日、時間帯等】 【称号/階級】 【好きなカード】 【使用デッキ】 【自己紹介】
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__ _, '"´ `丶、 / \ / ,' / / / ヽ `ヽヽ l l j __ // ,イ 、ハヽ }! ハ l l 「 j_从7ヽハ !七大 ` } リ }/ | l Vf゙仡圷/ jl ノィアト、ヘ// / j l l V_ ソ ´ V リ /jイノ ,' ハ ヘ. ' ` ,' l ! / / l ヽ ー ‐ .厶 |ハ //' ∧ 弋ト 、 __ , r<7 l ヽ / / / ∧ Vー、 Kヽ{ ヽ ヽ / /./ /¨} ',__∧_j_l ハ \ }/ ,′ l { / / / ヾ ☆Y ハ X { V r' / / \__j 入xぅ/ \ ヽ l { / / V //∠ ', } ! j/ / ! ∧V _二} ヽ / / / { 〈 l / | j/ -ーソ ノ / / / |ヽ \ l /∠/j rテ' 〃 ( ヽ ,. / / 、__jノ ∧{ / ,/ { _/ ハ `ー彡 / 〃 、__ > / ;>'´ /! ∨ヘ ヾ \ < _ ヽ {{ =ァ 彡< / { く{ ヽ ヽ ユ=―'´ ○━・━・━・━・━・━・━・━□━・━・━・━…━・━・━・━☆━・━・━・━・━・━・━・━◇ 【ルイズ】 LV:50 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール♀ 個体値 06 こうげき / 18C ぼうぎょ / 24B すばやさ / 29A- とくこう ./ 44S- とくぼう / 35A うんせい / 吉 初登場4スレ951 にとりんの牧場時代の親友 ツンデレで氷系呪文を得意とする たぶん、戦うことになるだろう…
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朝からルイズはそわそわしていました。いつも寝坊するのにおとーさんが来る前から起きていました。もっとも殆ど寝てないという方が正解ですが。 いつものように支度を済ませ朝食をとり・・・と行動したかったのですが手が震えます。それでも着替えはおとーさんがいつも通りに手伝ってくれるおかげでなんとかなりました。 食堂に行くとおとーさんに色々な人が話しかけてきました。コック長のマルトーはおとーさんの事を我等が剣と言い、メイド達はなぜかおとーさんを触りまくっています。 ルイズはちょっと怒りながらおとーさんをメイド達から引き離しましたが、今度は生徒達が触りまくっています。 「な、何なのよいったい・・・」 ルイズが不審に思っているとギーシュが現れました。 「やぁ、ミス・ヴァリエール。君の使い魔は・・・あぁ、やはりそうか」 指で顔を掻きながらギーシュが少し困ったような顔をしています。 「ギーシュこれはどういうことよ?」 この事態の原因がギーシュだと直感したルイズは詰め寄ります。 「おお。怒らないでくれミス・ヴァリエール。実はあの決闘の後、僕はモンモランシーに許してもらえてね仲直りする事が出来たんだ。 君の使い魔に負けたことで真実の愛がわかったんだ!!僕はモンモランシーをこれからもずっと愛していく!!」 いつの間にかギーシュの横に来ていたモンモランシーが頬を赤く染めています。そんな彼女をギーシュは優しく抱き寄せるとこう言いました。 「君の使い魔は僕たちのキューピットなんだよ」 「ふんふん、それを皆に言いふらしたのね」 ルイズはすこし眉をひくつけせながら言いました。 「あ・・いや、言いふらしたつもりは無いんだが・・・どうも違った方向に話しが広まった・・・かな?」 ギーシュはもみくちゃにされているおとーさんを見ながら弁解しました。 「と、とにかく僕は君の使い魔を憎んだりとかは一切無いよ。むしろ感謝してるくらいなんだ。このお礼は改めてさせてもらうよ」 ギーシュはそう言うとバスケットを持ったモンモランシーとどこかへ行ってしまいました。 取り残されたルイズは、ほとほと困っていましたが先生達が騒ぎを治めてくれたおかげでなんとか落ち着きました。 ルイズは朝食を取ろうとした時、おとーさんの食事を昨日と同じ質素な食事のままにしている事を思い出し自分の食事を分けようとしました。 ところが、おとーさんの食事はなぜかはしばみ草のフルコースでした。 (ななな、何よこれ!! 完全な嫌がらせじゃないの~~~!!) ルイズは真っ青になっていましたが、目の前からタバサが声をかけます。 「それは私から」 ルイズはタバサを睨み付けましたが、タバサは涼しげにこう言いました。 「喜んで食べてる」 ルイズは何を言ってとばかりにおとーさんを見ますが嬉しそうに食べてました。 (なんでタバサがおとーさんの好みを知ってるのかしら・・・) 腑に落ちないルイズでしたが、おとーさんが嬉しそうなので今度からはしばみ草をメインにしようかなとか考えていました。 朝食が終わってまた騒ぎになる前にさっさと部屋に戻ったルイズとおとーさんは扉の前に立っています。 「じゃぁ、おとーさん案内してもらうわよ」 朝の緊張もどこへやら、ルイズは貴族の威厳をかもし出しながら扉を開けました。 「え?靴を脱ぐの?なんで???」 おとーさんから靴を脱ぐように言われたルイズは困惑してしまいましたが、そういう風習なのかと考えて渋々扉の前で靴を脱ぎました。 扉の向こうは色々変わった部屋でルイズの興味を大いにそそりました。 草を編んだ物を敷き詰めた床 足が低く丸い形をしたテーブルとその周りに置いてある四角いクッション 木組みに白い紙を張っただけの扉 食料と冷気を中に閉じ込める白い鉄の箱 小さなドアノブの様な物を捻るだけで火が出る台 ネジの様な物を捻ると水が出る管 ジリリリリリリ~ン 黒いものが突然音を出すとおとーさんが近づき徐にその一部を持ち上げ耳に当てています。しかも何やら独り言を言っているようです。 「お、おとーさんそれなに??」 ルイズは訝しげにおとーさんに尋ねましたが「デンワ」と答えて終わりでした。 (黒い物の名前だと思うけど、どんなものだか教えてくれないとわからないじゃない) ルイズが少し不機嫌になっていると、おとーさんがテーブルの前のクッションに座るように言いました。 飲み物を持ってくるから待ってて欲しいとの事でした。おとーさんはさっきの白い鉄の箱を開けると何やらグラスに注いで持ってきました。 「お、おとーさんこれ飲めるの??」 グラスの中の液体は真っ黒でブクブク泡が出ています。以前にコルベール先生の授業で見せてもらったビンに入った液体を思い出したルイズは飲むのをためらっていました。 おとーさんから美味しいからと説明され意を決したルイズは一気に飲もうとして口と鼻から盛大に吹き出してしまいました。 「ゴホッゲホッ・・・やっぱり飲めないじゃないのよ!!!!」 咳き込みながら目から涙と鼻からコーラをたらしおとーさんに詰め寄るルイズでした・・・ その頃、キュルケは「犬が・・・破裂・・・触手・・怖い・・」と魘されていました
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前ページ次ページルイズの魔龍伝 6.ブルドンネ街 決闘から三日、ルイズの周囲は少しずつ変わっていった。 まず表立って馬鹿にする生徒が少なくなったのである。 メイジについて表す言葉に「メイジの実力を見るなら使い魔を見ろ」というのもあり 「ギーシュのゴーレムを圧倒的かつ一瞬で葬り去ったのはルイズの使い魔」 という衝撃的事実はあっという間に学院内を駆け巡っていた。 元々魔法以外の成績はトップクラスであり、家系もトリステインの中では相当に有名な部類に入るので 「あのルイズがとうとう」と感心する者もいたという。 「どうせ嘘に決まっている」「ルイズが凄いのではなく使い魔が凄い」 人づてに話を聞いた者や、ルイズを侮蔑目的でからかっている心無い者もいたものの 決闘の当事者であるギーシュとルイズ、更にこの決闘を見ていた彼女らのクラスメートも多く 何より使い魔の名前が「ゼロ」であったためルイズのクラスでは「ゼロ」とルイズを馬鹿にする者は一人もいなくなった。 「アンタが名前をゼロゼロ言うから私の二つ名が“ゼロ”のままじゃないのよーーーーーーー!!!!」 当人はこんな感じで相変わらずご立腹であったが。 「買い物に行くわよ」 その日の夜、ルイズから提案があった。 話によると明日は休日にあたる虚無の曜日なので街へ買い物に行くとの事らしい。 「それで、アンタの寝具と…剣ね、それを買うわ」 「…どういう風の吹き回しだ」 「あんたがボロっちぃマントで寝てるのがみっともないからよ! 使い魔の管理をするのも私の仕事!それに…私が受けた決闘で剣、壊しちゃったみたいだし…」 今までの待遇からするとあり得ない提案とちょっとしおらしくなった言動に疑心暗鬼になるゼロ。 この娘の事だ、何か物を買わせてまた雑務を押し付けるに違いないと彼は思ってしまった。 「物で釣っても俺は着替えの手伝いもしないし顔は洗わんからな」 使い魔が出来て色々と雑務をさせようというルイズの企みは事実失敗に終わっていた。 呼び出して2日目の朝は何とかなったものの、それ以降は着替えと洗顔に関しては 「そのぐらい自分でやれ」と断固として断られたのだ。(水は朝の鍛錬のついでに汲んでくれているようだが) 更に部屋の掃除と洗濯は率先してシエスタがやるようになってゼロをこき使う機会も無くなってしまった。 着替えと洗顔をやらないなら飯を抜こう、とは思い立ったがシエスタの話では 決闘で気を良くした厨房の人達がご飯を出してくれており、ゼロも 「俺の飯と、シエスタがルイズの世話をしている礼だ」 と薪割りや物の持ち運びなどの力仕事や使い魔への餌やり(使い魔達がゼロに妙に懐くかららしい)を 行っているので「言う事聞かないから飯を抜く」とはとても言い出せなかった。 しかし決闘で見事圧倒的な力の差を見せ勝利した使い魔、 褒美で何か買ってやろうという気持ちも無い訳ではなかった。 それがゼロの一言で見事に打ち砕かれた。 ゼロの鈍感な言葉にルイズの心に火が灯り、それは徐々に炎を形作る。 「あー…っそ! アンタ異世界から来たなら当然この世界のお金ってのは持って無いわよね?」 「そういえば…そうだな。元々流浪の身だから手持ちは殆ど無かったが…」 「いくら強くても騎士たるもの、剣を持ってないと駄目よねぇ…!」 「確かに…いや、向こう側にいた頃のように魔物を退治をして路銀を…」 「私がそんな事許可すると思う?それより何より、アンタの種族はこの世界でアンタだけ。 信用されるどころか下手すると魔物扱い、追う筈が追われる立場にねぇ…」 「くっ!」 この世界での路銀と、決闘で使い物にならなくなった剣の調達。 食事と寝床が保障された学院に数日いたおかげでそこまでゼロの考えが回っていなかった。 実を言えば雷龍剣には剣を使わない技もあるのだが、的確な指摘をされたゼロは すっかりルイズのペースに呑まれてしまいぐうの音も出なかった。 「まぁ、別に物を買い与えて働けって訳じゃないのよ? 私は決闘ですっごい活躍したゼロになんか買ってあげようかなーって思っただけ。 でも、そう思ってたのにガンダムが「物で釣っても働かない」って勝手に決めつけちゃって…」 「ぬぬ…」 「あー傷ついたなー、ご主人様すっごい悲しいなー」 あからさまな演技なのは分かっているのだが、もはや言い返す言葉が見つからないゼロ。 彼女が「あの言葉」を要求しているのは何となく感じてはいるが自分の意地がそれを言わせまいとしていた。 「ガンダムがもうちょっと素直ならねぇ…」 「(迂闊に疑ってしまった俺にも非がある… 仕方が無い、背に腹はかえられん…)」 「疑り深くなって…すまなかったな、ルイズ」 「もっと分かりやすく簡潔に」 「何?」 「反省しているんでしょ?じゃあもっと分かりやすい言葉がいいわ」 ルイズの顔はとてもにんまりしていた。 しかしそれはクックベリーパイを前にした時のような無邪気なものではなく、 何か黒いものが奥底にあるような邪悪なにんまり顔。 その顔を前にゼロはその言葉を言わざるを得なかった。 「……ごめんなさい」 「よろしい、じゃあ明日はお買い物ね」 ルイズ、召喚して以来初めてゼロより優位に立った瞬間であった。 「…プフッ」 「何がおかしい」 明くる朝、魔法学院前の正門前。 馬に乗ったゼロを見てルイズは思わずちょっと吹き出していた。 ゼロの身長こそルイズよりも大きいとはいえ、ゼロの頭身は大体2.5~3頭身であり 馬に乗っているゼロの姿はルイズの目にはなんともユーモラスに映っていたのだから。 「何でもないわよ……ックク」 「昨夜か!?昨夜のアレか!?俺はもう謝ったぞ!」 「じゃあ私が先導するから付いてらっしゃいな」 「おい!」 昨夜のやり取りの事かと思ったゼロが話しかけても、どこ吹く風といったルイズは ゼロをよそに楽しそうに馬を走らせていった。 ブルドンネ街、トリステイン王国で一番の大通りである。 休日で人がごった返すそこを窮屈そうに歩くルイズと、それに付いてくる フードを目深にすっぽり被った何か…もといゼロ。 何があったかというと、街に近づくちょっと前に馬を止めたルイズから 「ゴーレムにしてはかなり例外な見た目だし喋るから目立つわよね…」 という懸念から来る提案で表向きは「自分で喋る珍しいゴーレム」という扱いで行動することになった。 無論ゼロも余計な騒ぎは好かなかったので 「ルイズにしては中々真っ当な考えだな」 と彼女に蹴りを入れられるような感想を返しつつ素直に承諾した。 街の入り口にある駅で馬を預けた時も最初は駅の者に珍しい目で見られたが それだけだったので一安心で街へを繰り出せたのである。 「ん~と、確かこの路地を入って……四辻を抜ければ近くに武器屋だったかな…」 記憶を辿りながらルイズは人ごみを外れて街の裏路地へと入ってゆく。 建物の間に位置する日の差さない路地は昼間でも薄暗く、そこらに汚物やゴミが散らかっており ゴロツキやならず者の溜まり場になっていた。 昼間はそこまでたむろしている訳でもなく、壁にもたれかかったり地べたに座ってる者が ほんの少しいるぐらいでここを通るルイズとゼロを一瞥するとまた視線を元に戻していた。 「おいお嬢ちゃん」 が、もうすぐ四辻に出ようという所で道端に座っていた男に声をかけられてしまった。 そいつがすっくと立ち上がって前に立ちふさがると同時に、後ろからも男が三人ほど こちらに向かって歩いてきておりちょうど挟まれた形になる。 「…ちょっとそこを通して欲しいんだけど」 「通して欲しいってかお嬢ちゃん!げひゃひゃひゃ!」 前にいる男の片方が卑下た笑いをし周りの男達もニヤニヤと笑いを浮かべる。 しかめっ面で対峙しているルイズをよそにゼロは男達の観察をする。 後ろから来た男達はちらつかせてはいないものの腰元に短剣をぶら下げていて いつでも抜けるような態勢になっており、前の男はというと何も持っておらず 腰にも何かぶら下げている様子は無かった。 「(……後ろ三人はともかく前の奴は何も持っていないな、一体どういう事だ?)」 「ここは俺達の縄張りって奴でな、通る奴には通行料を頂いてるんだ」 「で、いくらたかろうってのよ」 「お嬢ちゃん可愛い見た目して言い方キツいねぇ、じゃあ金貨20枚って所だな」 ルイズが買い物に持ってきた金額は新金貨300枚。ルイズが200枚、ゼロが100枚持っており 出せない金額ではないもののカツアゲとあっては貴族のプライドが黙ってはいなかった。 「ゴロツキに出すものは何も無いわ、そこをどきなさい」 いつもの調子でルイズが言い放つとやはり男達は卑下た笑いを浮かべた。 「よぅし分かった、じゃあ払わない場合どうなるかご覧頂こうか」 前に立ちふさがる男が後ろのズボンをまさぐると短い棒――即ちワンドを取り出した。 「悪いが俺はこのブルドンネの裏通りじゃちょいと有名でね」 そう言った片方の男がワンドを壁に向け呪文を唱える。 小さな炎がワンドの先に発生しそれは膨れてあっという間に火球へと変貌してゆく。 ファイヤーボール、火球を発生させそれを放つ火系統の魔法である。 杖を向けた瞬間から身構えるルイズとゼロに余裕ありげに男が話す 「おっと今は当てないから大丈夫、い・ま・は」 そう言うと発生した火球が二個、三個と増えてゆく。 「兄貴を怒らせると痛い目に遭うぜぇ!」 「何せトライアングルだからな兄貴は!治療が追いつかねぇほど爛れちまうかもなァ!」 「悪いが後ろへ逃げようとしても、呪文を唱えようとしても、俺達がブスリ!といくぜぇ…」 後ろにいた男達が腰の短剣を抜いて構える。 「(ゼ、ゼロに何とかしてもらわないと…って剣使えないじゃない! 壊れたからって学園内に置いてきてたんだった!でも壊れてるからあの技は使えないんだし 持って来てもしょうがないって言うか…えーっとえーっと…)」 目があちこちに泳ぎどうしようもないルイズの様子に「カモれる」とふんだ男達がにじり寄ろうとしていたその瞬間であった。 「お待ちください!我々とて争いは好みません、金貨はお支払いしますので 袋から金貨を取り出すまでお待ちいただけないでしょうか!」 ゼロは確かにそう言い放った。 それを聞いて唖然とするルイズと、話がまとまったと思い返事をする男。 「従者さんは賢い事で!おい、お前らそこで止まっときな!何か怪しい素振りをしたら俺が始末する」 「ちょっと!何言っ…」 「お嬢様申し訳ございません!ここはひとつ彼らに!」 ゼロはそう言うとルイズの手を掴み引き寄せる。ファイヤーボールが周囲を照らしているものの 薄暗い場所なので鼻先まで近づかないと深くフードを被ったゼロの顔は見えない。 鼻先までゼロの顔が近くに来た時、小声でゼロが喋った。 「いいか、俺が合図をしたら後ろの三人の男の誰でもいい、手に持ってるナイフを錬金してみろ」 「いきなり何なのよ、そこまで正確に狙いつけてやった事無いし」 「これも経験だ、前のメイジは俺がやる」 「アンタ剣無いじゃない」 「心配するな、手はある」 「手だけあってもしょうがないじゃない!」 「そういう意味の手じゃない!」 「おい従者さんよぉ!いい加減早くしてもらえねぇかなぁ!何なら従者さんから先に焼いちまってもいいんだぜ!」 「申し訳ありません!早速お金を…」 「とにかくお前を信じてるからな」と言いルイズの前に立ち金貨の詰まった袋を前に掲げる。 ひゅぅ、と男が袋を確認しゼロ達に向けていた杖を下ろしたその時。 「今だ!」 ゼロの袋を持ってない空いた片手が男の方に向くのと、ルイズの杖が後ろの男達に向いたのはほぼ同時だった。 「錬金ッ!」 「雷電破(サンダーエレクトロン)!」 ゼロの手から稲妻が男に向かって迸る、それは杖を向きなおした男にとってあまりにも早すぎる攻撃であった。 火球を飛ばす間もなく稲妻が男の体を貫き、火球が虚しく掻き消えながら男が崩れ落ちる。 ルイズの錬金は狙いを外す事無く、見事真ん中の男のナイフに作用しいつもの失敗のようにナイフが爆発した。 「武器屋に走るぞ!」 「う、うん!」 ゼロの呼びかけにルイズが走り二人はその場を走り去ってゆく。 倒れた男の手に持っていた杖が走ってゆく二人に踏まれ、虚しく軽い音を立て割れた。 余談だが、そのほんの少し後に爆発音に気づいた通行人が様子を見に行った所、気絶している男と 何かに吹き飛ばされたかのように壁に打ち付けられて気絶した煤だらけの男三人が発見された。 男達は「貴族のガキとフードを被った従者にやられた」と証言しているものの ここらへんで顔の知れたゴロツキであるのと証言のみで信用に乏しく、この件に関しては 「内輪もめの喧嘩」として処理されたそうだ。 閑話休題 ゼロとルイズは何とか武器屋の前まで辿り着いていた。 周囲を見回しているゼロに対し、恐らくはあまり運動をしていないであろうルイズは すっかり息を荒くしており肩で息をしていた。 「…この様子だと奴らは全員気絶していると見て間違いないだろうな、上手くやったな」 「アンタ…さっき…かっ……雷を…ぜぇ…手から撃ってなかった…?」 「あれも雷龍剣の技だ。まぁかなり加減はしてあるが」 「なんなのよもう…なんでもありじゃない…」 「しかしこれぐらいで息が上がるとは鍛えが足りないな、少し運動しろ」 「う…うっさ…い!」 「店の前で何だいあんたら!買うなら買うでさっさと入りな、冷やかしならさっさと…」 「買うわ!買うわよ!」 いつの間にか武器屋の入り口に立っていた五十がらみの男が、パイプを片手にうっとおしそうに二人へ話しかけてきた。 しかし勢いよく買うわと答えながら振り向いたルイズの胸に紐タイ留めに描かれてある五芒星を見て 「これはこれは貴族様でございましたか!」 と、彼はころっと態度を変えつつ、もみ手しながら二人を店まで案内したのであった。 その頃、魔法学院内の学院長室―――――― 「ミス・ロングビルや」 「はい、なんでしょうオールドオスマン」 「おっぱい揉みたい」 「今度は折りますよ」 いつものようにオスマンのセクハラな質問を書き物をしているロングビルが無慈悲な返答で返す。 「…ちょっと位ケチケチせんでもええのに、まーええわい。ミス・ロングビルや、この間宝物庫の目録を作りたいと言っておったの。 今用事があって宝物庫に入るところでな……行ってみるかえ?」 「えぇ、是非」 施錠の魔法がかかった引き出しを開錠し、大人の掌ほどの頑丈そうな鍵を一つ取り出したオスマンとロングビルは学院長室を後にした。 オスマンの後ろを歩くロングビルの顔が今までにない、歪んだ笑みを浮かべていたのには 前を歩いていたオスマンが気づくはずも無かった。 「ここが…宝物庫」 箱に収められているアイテムが大半であるが、様々な杖がかけられている一画があったり また別の壁に目をやれば見た事も無い剣や鎧などが置かれておりそれらが一体となって 尋常ではない空気をかもし出していた。 「わしはちょっと探し物をするから、ロングビルは目録を頼むぞい」 「はい」 宝物庫の奥へと進むオスマンを見届けると、ロングビルは目録を記しつつ保管している箱や 飾られている鎧をやけに丁寧に眺めた。 「…飾ってあるのは大体かさばるような大きさで…箱は魔法で施錠…流石に今ここで…ってのは無理、ね」 「何か言ったかのー!」 「い、いえ、なんでもありませんわオールド・オスマン!」 「…お、あったあった」 オスマンの方から声が聞こえ、つい声に出してしまったとハッとするロングビル。 しばらく目録を作る作業に打ち込んでいるとオスマンがレビテーションの魔法で大きな箱を三つほど浮かせて持って来た。 「よいしょと、ふぃー…長らくしまっておると出すのにもひと苦労じゃわい」 「それは何ですか?」 「聞きたい?」 宝物庫の開けた場所に置かれた三つの箱を前に、オスマンの手がいやらしくわきわきと動く。 「一揉み100エキューはいただきましょうか」 「…しゅ、しゅみません」 にっこりとした顔でオスマンの襟を締め上げるロングビルにどうしようも出来ず、 素直にオスマンはこの箱について話す事にした。 「これは三つ合わせて「三獣の武具」とワシは呼んでおる。 それぞれ獅子と、梟と、竜をあしらった武具じゃから三つ纏めて“三獣”という訳じゃな」 「三獣の武具…思い出しました、宝物庫に納められている物の中でも指折りのものだと聞いております。 確か斧・杖・盾の三つでしたわね。しかしそのような代物を何故?」 「これを受け取るべき者が現われた、とでも言うておこうかの」 「受け取るべき…者…」 「これでいつでも武具は渡せる準備は整ったの、ではここから出るぞい」 「はい」 オスマンの後に続いて部屋を後にするロングビル。 閉じてゆく扉の向こう側にある三つの箱を見ている眼差しはいつもとは違う、獲物を定める狩人の眼差しであった。 ――――――――――――三獣の武具、今度の獲物はこいつに決まりだねぇ 前ページ次ページルイズの魔龍伝