約 488 件
https://w.atwiki.jp/deruta_sanbaka/pages/144.html
「じゃあそろそろパーティーの開会の挨拶をしましょうか。というわけで飾利ちゃん、よろしく!」 「ええええええっ! そ、そんな、私なんかが……」 「パーティー立案者にして一番頑張ってた飾利さんが私的には一番相応しいと思うけどみんなは~?」 パーティー主催者達は詩菜の言葉に力強く頷く。 それを見た初春は嬉しくて涙が出そうになったが何とか堪え、深呼吸をしてから開会の挨拶を始めた。 しかしこの時、初春の裏モード(恋愛や幸せに妥協無し状態)が入ってることには本人も気付いていなかった。 「みなさん、今日は私達主催のパーティーにお集まりいただき、本当にありがとうございます。このクリスマスにこうして巡り会ったのも運命だと思います」 「そしてこれだけの皆様に祝福を受ける5組のラブラブカップルの皆さんに数多くの幸運が舞い降りることを切に願います。その祝福を受けるラブラブカップル、それは彼らです!」 そして初春が右手をかざすと5組のラブラブカップルにスポットライトが当てられる。 いきなりの紹介に5組とも何も言えなかったが、少しして揃って絶叫する。 「「「「「「「「「「な、なんだってーーーーーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」 「あらら、土御門のそのようなお相手がいたことに驚きを隠せずなのよ。いとめでたきことなるな♪」 「ほう、あれが上条当麻の想い人の美琴か。成程、良き相手を見つけたのである」 (いいなぁ、私だってウィリアムとラブラブなのに……) 「これはこれは。祝うべき相手がこれだけいると盛り上げる甲斐があるというものだな」 驚く主賓五組の気持ちなど知らずに招待客は暢気に、しかし楽しげに彼らを見ていた。 主賓五組の気持ちが落ち着いた(初春視点で)のを確認すると、初春が笑顔で挨拶を続ける。 「今宵この時、五組の皆さんがこのパーティーを良い思い出としてくれるなら私を含む主催者一同、それはとても喜ばしいことです」 「五組の絆がこの先もずっと強くあって欲しい。そう思い、私達はこのパーティーを企画しました」 「ふむ、あの花飾りのメイド、なかなかだな。うちで働かせてみたいものだ。連れて帰ろうか」 「母上、それは立派な誘拐だから止めといた方がいいんじゃねーの?」 「なら了解を取ればいいだけでしょ。それなら母上が誘拐したことにはならないんだから」 英国王室の面々の無茶な発言に突っ込みを入れたい騎士団長だが、初春の挨拶が終わっていないので黙ることにした。 「ではそろそろ最期の言葉をと言いたい所ですがここで私達、というより私から注意事項があります。よーく聞いて下さいね♪」 初春の雰囲気が変わった瞬間、とてつもないプレッシャーを主賓達と招待客は肌で感じ取った。 そんな初春から今までの挨拶を台無しにしかねない注意事項が告げられる。 「招待客の皆様はこの主賓の五組のカップルを祝福してくれる、そう信じてます。というか絶対ですね」 (な、何なのであるかこのプレッシャーは! これがあの幼き女子から発せられたものだというのか!) 「で・す・か・ら♪ パーティーを台無しにするのは勿論、カップルの仲をこじれさせる、最悪、この日を以って破局なんてことはタブーですよ?」 (こ、怖いな……。持ち帰りは保留とした方が良さそうだ……) 淡々と発せられる初春の言葉に招待客、ひいては主賓達は得体の知れない恐怖を感じていた。 そんな雰囲気を発してるとはこれっぽっちも思っていない初春は無邪気に、しかし残酷な言葉を告げる。 「もしそんなことをしたら社会的に抹殺……というのは冗談ですけど、こちら側からのお仕置きをプレゼントします♪」 (何ですの、初春の冗談が冗談に聞こえませんの……) 「でも安心して下さい。お仕置きといっても軽いもので『メッ!』程度ですから♪」 そう言って初春が紹介したのは戦闘態勢を取っている(服はメイドと執事)神裂、建宮、そして絹旗だった。 ちなみに3人が3人とも、意外とノリノリだということは秘密だ。 「七閃か唯閃、どちらかは選ばせてあげましょう(もし最大主教がやらかしたら迷わず唯閃です)」 「飾利姫の邪魔をするってんなら仕方ねぇ、今日がお前さん方の命日だ(見てるのよね飾利姫! この建宮斎字の雄姿を!)」 「相手が誰でも病院送りは超覚悟してもらいます(どさくさに超紛れて浜面と建宮を……)」 この三人なら全員で抑えれば大丈夫だと普段ならそう思えるのだが、それが出来ない何かを主賓達と招待客は感じ取っていた。 そんな重苦しい雰囲気を壊したのは、この雰囲気を作り出した初春だった。 「ですがっ! それ以外なら何をやっても構いません! カップルを弄るも良し! いちゃつくのも良し! のろけまくるのは大歓迎です!」 「「「「「「「「「「おいっ!!!!!!!!!」」」」」」」」」」 「最期に私の乾杯の音頭をもちまして挨拶と代えさせていただきます。今宵、皆様に最高の祝福と幸せな時間があらんことを。カンパーーーーイッ!!!」 「カンパーーーーーーーーイッ!!!」×全員 そして世界で一番騒々しいクリスマスパーティーの幕が上がる! 数分後 「さあって、美琴ちゃんと当麻くんの歴史を語ってもらいましょう♪」 「ん?それは是非とも聞きたい物だ♪」 「私も聞くにつき~!!」 「私も気になるしー!!」 「こう言うのは聞いた方が面白いのよね」 「一応聞いておくか…」 ウィリアムはただ単に、このいちゃいちゃ空間に馴染めないから逃げたいだけである。 「…ウィリアムが聞くなら私も聞きます。」 「ちょっと待てい!!話す前提になっているのは何故でせう!?」 「「「「「気になるから♪ただそれだけ♪」」」」」 英国女王もいるので下手に答えられない。 「「不幸だーーーー!!」」 上条は記憶喪失なので結局は美琴がこの間と同じ 『5秒で終わる上琴史』 の講義にして終わらせようとしたのだが。 「なんか足りないわね~。そうは思わない皆さん?」 「あらあら美鈴さん的にはこういう話題はじっくりとっくりと?」 「私もそう思う。のう騎士団長。」 「たしかに。英国女王陛下の諮問に対する回答としては不十分かと。」 「騎士団長!?なんでそこでノるの!?」 「上条当麻。騎士たるもの正々堂々とだな…」 「俺は騎士じゃねぇっ!」 すると英国女王が怪しげな細長い包みを手にして言った。 「英国女王の名に於いて命ずる。包み隠さず話せ♪さもなくばこの包みを解かねばならぬ。」 「「「「「「ちょっと待てぃ!!!」」」」」」 上条と3王女、騎士団長に神裂が叫ぶ。 「女王陛下!!まさかのカーテナですかっ!!??」 「いやなに、この国の刀工になオリジナルとの戦闘で出来たひびを直せるものがいると聞いてな。」 「言い訳にしか聞こえませんのことよ!!だってさっき楽しんでたから!!」 ちなみに男性陣は(特に青ピの)格好がすさまじ過ぎるということで普通の服に戻っている。 上条達がぎゃあぎゃあ騒ぎおわると。 「あれ?美琴何処行った?」 「月夜もいないぜい。」 「黒子はん??」 「滝壺?………っ!!絹旗!!貴様何か知ってるだろっ!!!」 「超何を言ってるんですか?超知りませんよ。」 「嘘つけ!!今笑ってただろっ!!」 「まさか最期に着てもらおうと思ったウエディングドレスと白無垢を見つけられるとは……」 「仕方ないですよ神裂さん。アホ毛ちゃんのような小さな子の行動力を侮っていたのが悪いんですから」 ウエディングドレスと白無垢を隠していた部屋に、上琴新居を探検していた打ち止めが偶然入って今に至っている。 打ち止めは自分のサイズのウエディングドレスを見て目を輝かせている、それはもう盛大に。 「ウチの子が何やら迷惑をかけてしまって申し訳ないじゃんよ」 「いいえ、謝ることじゃないですから。アホ毛ちゃんは悪いことは何もしてないんですから。ね? アホ毛ちゃん」 「ヨミカワは気にしなくていいんだよってミサカはミサカはむしろこんな素敵なものを隠してた初春おねーちゃんをジト目で見つめてみたり」 打ち止めの横ではアンチスキルの緊急出動に駆り出されて遅れた黄泉川が打ち止めの頭を抑えていた(芳川は抜け出した一方通行の相手)。 そこへ打ち止めだけ先取りは不公平だと思った初春が残る主賓の女性陣を呼んでもらうように頼んだ佐天が戻ってきた。 「あ、お疲れ様です佐天さん。美琴お姉ちゃん達は?」 「うん、ちゃんと連れて来たよ。でもいいの初春? ここでそれのお披露目をしちゃってさ」 「まあこの程度のズレなら大丈夫ですよ。それにこうゆうのもパーティーの楽しみと思えばいいんですから♪」 「初春、わたくし達に見せたいものとは一体何ですの? まさかさっきのようなコスプレでは無いでしょうね?」 「やだなー白井さんったら。私がそんなことするわけないじゃないですかー。それに皆さん、昨日でさんざん恥ずかしい格好してましたし♪」 昨日の自分達のコスプレを思い出した美琴、黒子、月夜は顔を真っ赤にして恥ずかしがる。 そんな3人の反応を楽しみながら、初春はウエディングドレスと白無垢が置いてある部屋へと通す。 「うわぁ、すっごく綺麗……」 「初春、もしかしてこれをわたくし達に?」 「うそ、夢みたい……」 「すごいでしょーってミサカはミサカはとっても喜んでみる!」 「この白無垢、とっても素敵」 主賓の女性陣の予想以上の反応に初春、佐天、神裂は心の底から喜びを感じていた。 感動してる5人を見た初春は意を決して佐天と神裂に指示を出す。 「佐天さんは詩菜さんと美鈴さんを呼んで来て下さい。神裂さんは白雪さんのお色直しをお願いします」 「りょーかいっ! 絹旗も呼んでこよっか?」 「そうですね。それに男性陣も着替えてもらう必要がありますし。絹旗さんには○○さんと浜面さんをあの部屋に運ぶように言っておいて下さい」 「しかし初春。奥方お二人と私を入れても3人です。二人足りませんが?」 「そうゆうことなら私も手伝う。それに桔梗も呼べば5人じゃんよ。打ち止めは桔梗で浜面の彼女はあたしに任せてもらえるじゃん?」 その場にいた黄泉川が芳川と一緒に手伝ってくれると言ってくれたことに初春達は感謝した。 いきなりのことに頭がついていけない主賓の女性陣の代表として美琴が初春に尋ねる。 「あの、初春さん、一体何を?」 「大したことじゃありませんよ美琴お姉ちゃん♪ 今から皆さんにそれぞれが選んだ衣装を着てもらうんです♪」 「(否定してもらいたいけど……無理よね)き、着てもらうってそれってつまり私がこのウエディングドレスを着てと、当麻の前に……?」 「その通りです! 皆さんの最高に綺麗な花嫁姿を皆さんに見てもらうんです!」 初春の宣告に打ち止めと滝壺以外の面々は顔を真っ赤にさせて嫌がったが、初春はそれが心のからの嫌悪ではないと見抜いていた。 当然、彼女達をその気にさせる言葉も用意済みだ。 「でも皆さん。それを着た皆さんを見て、男性陣がより一層惚れてくれたら嬉しいですよね?」 「「「うんうん!!!」」」 「そして皆さんと同じくお色直しをして素敵になった男性陣の雄姿、見てみたくないですか?」 「「「見てみたい!!!」」」 「なら決まりです♪ 最高に可愛い花嫁さんになって皆さんの前でお披露目ですよー!」 「「「「「オーーーーーーーーッ!!」」」」」 数分後 「初春さん、ちょっときついかも…」 「美琴お姉ちゃん、私のことは飾利ちゃんって呼んでください。」 「え、ああ…えーっとさすがにちゃんづけは恥ずかしいから飾利さんじゃダメ?」 「う~ん…まあ良いですけど。じゃあ美琴お姉さんって呼びますね。」 「うん、そっちの方がいいわ。ってウグ!!キツイって言ったのに何でさらに締める?」 「あっ、ゴメンナサーイ。」 「きぬはた、何悩んでるの?」 「いや~、超悩んでるんじゃなくてですね。超意外に滝壺さんってスタイルいいなーって思いまして。」 「…ありがとう。」 「こら打ち止め!!動いちゃだめじゃんよ!!」 「だって早く見せたいんだものーってミサカはミサカは膨れて動こうとしてみたり。」 「動いたら逆に時間かかるじゃん。」 「はーいってミサカはミサカは落ち着いてみる。」 「黒子さん似合ってるー」 「そういう月夜さんだって。」 確認のため。 ウェディングドレス:美琴/月夜/打ち止め 白無垢:黒子/滝壺 女性陣が着替えているころ男性陣はというと…… 「なあ土御門、一方通行。青ピと浜面は?」 「ありゃりゃ? あの二人もいつの間にか居なくなってるぜよ」 「どうせトイレだろ。……ったく、こっちは予想外のことで疲れてンだから下ンねェことで呼ぶンじゃねェよ」 青ピと浜面はすでに絹旗に気絶させられ(『窒素装甲』での手刀で)、お色直し部屋へと運ばれていた。 ちなみに一方通行はさっきまで芳川に勝手に抜け出したことで色々と問い詰め&からかわれ、疲労状態である。 「あー、3人とも。ちょっと話を聞いて欲しいのよな」 「建宮……。まさかさっきのコスプレをもう一度しろって言わねえよな?」 「違うのよな。実はみんなに着替えて欲しい服があるのよね」 「もう騙されないにゃー! そうやってまた俺らを玩ぶつもりだろ!」 初春から残る三人の説得を任された建宮だったが、早速難航していた。 絹旗一人でこの三人を相手にするのは無理だと判断した初春の人選だった。 しかし先程、もの凄い恥ずかしいコスプレをさせられた彼らの不信感は相当なもので心を開いてくれない。 「信じて欲しいなら証拠を見せてくれ! 証拠を!」 「そうだそうだー。服がまともなモンならこの場で見せてくれてもいいはずだぜい」 「そ、それは出来ないのよな……。飾利姫の頼みで、ちゃんとしたお披露目をしたいという願いなのよ」 「ハッ、何だそりゃ下ンねェ。だったら俺達は協力しねェ。大体、頭に花が生えてるバカっぽいガキの考えてることなンざ……っ!」 一方通行の初春に対する暴言にさすがに当麻も土御門も止めようとしたが、その前に一方通行が言葉を詰まらせた。 三人はフランベルジェを一方通行の喉元に突きつけ、殺気を纏った建宮に身を竦ませた。 ちなみに残りのパーティー参加者はアックア以外、そんな彼らの様子を特に気にも留めていなかった。 「調子こいてんなよクソ餓鬼共。飾利姫たっての願いだ黙って従え。特に白いの、貴様は後で飾利姫に詫び入れろ」 (建宮、口調忘れてるけど、突っ込んだら俺達、間違いなく殺されるな……) (ここまで怒ってる建宮は初めてだな。今は下手に動かない方が良さそうだ。ま、後で弄れそうなネタはゲット出来たし♪) 「だ、誰がテメエなンぞの言うこと聞くかよォ! いいぜ、こうなったらこの家もろともテメエをグッ!」 建宮の殺気に恐怖しながらも一方通行は怒りに任せてチョーカーの電源を入れようとしたが、その前に崩れ落ちた。 そのことで我を取り戻した建宮が見たものは、騎士団長が当麻と土御門を気絶させている場面だった。 「自分を取り戻したようだな建宮。気持ちは分かるがまだまだ修練が足りないぞ。私一人で3人は重いからお前は土御門を運んでくれ」 「申し訳ないのよ騎士団長。ところで二人を運んでるということは騎士団長、まさか……」 「ああ、パーティーの為だ、私も手伝おう。安心しろ、下手な真似はしないさ。そうしたらお前の姫君が悲しむだろう?」 騎士団長にからかわれながら、建宮は騎士団長と一緒に男性陣のお色直し部屋へと向かった。 その際、パーティー会場のことは建宮は対馬を筆頭にした天草式メンバーに、騎士団長は何故かアックアに任せた。 その頃、気絶から回復した青ピと浜面の前には刀夜と旅掛が立っていて…… 「はっ!!カミやん父!!ここはどこや!!」 「絹旗め…」 「まあまあ、落ち着いて落ち着いて…」 「で、その衣装はどうかな?」 そういって鏡をとりだす旅掛 「「おお!!」」 「なんでボクはさっきの蝶エレガントなスーツじゃないんや!!」 「つっこむ所違うだろ!!」 「君達の彼女は白無垢だからそれに合わせたんだが…」 「「…」」 己の彼女の白無垢の姿妄想中… そして、鼻からどろっとしたものが流れた。 「うさみみ付けるとさらにグット!!」 「同感や!!」 この子達を育てた親の顔が見たいとおもった刀夜と旅掛だった。 と、そこに健宮と騎士団長に担がれた上条、土御門、一方通行の姿が…。 「なっ!!??カミやんが負けたぁ!?」 「学園都市最強まで!!??」 「いやなに峰打ちをくらわせただけだよ。なあ建宮?」 「そうなのよな。それと上条達を着替えさせるのを手伝って欲しいのよ。」 「「了解(でんがな)♪」」 数分後。 「あァ?なんで俺はぶっ倒れてンだァ?」 「あれ?なんか建宮に着替えろと脅されて…」 「にゃー。どうも夢を見てるみたいだぜい。なぜかというと青ピ達が似合わぬ和服姿だにゃー。」 「夢やあらへんで!!」バゴッ 「似合わねえとかひどくないか!!」ボコッ 和服2人が3人をたたき起し、 旅掛と刀夜がにやりと鏡を3人に見せる。 その鏡にうつっていたものとは… 「「「だあああああああああああああああああ!?」」」 「グラサンがないにゃー!!」 「「そっちかよ!?」」 「何をいう!?グラサンは俺のチャームポイントだぜい!?」 にゃーにゃーギャーギャー言ってるとドアが開いた。 「「「「「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」」」 ドアから入って来たものたちを見ると、十六歳の純粋少年達は迂闊にも鼻血がでてしまった。 そこには嫁入り衣装を着た己の彼女の姿があった。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/464.html
9月8日(午後11時45分)、パラレルスウィーツパーク 建宮は、戦いの末傷つきながらも逃走したステイルを追いかけていた。 彼は一緒に居た純白のシスターが大切らしく、自分を盾にしてでも守ろうとしているのが見て取れる。 (そういう戦い方をするヤツは嫌いじゃないが…ローマ正教に味方するなら斬るしかない) だが、ここが戦場だと理解している建宮は、その弱点を遠慮なく狙って攻撃していた。 (ふん。思った通り、相手が常に移動するよう仕向ければ、ルーン魔術なぞ怖くないのよな) (ただ、このままだとタイムリミットが来てしまう) (まったく香焼のやつめ、保護していたオルソラを見失っちまうとは情けないのよな…) 建宮は急いで決着をつけるため、ステイルが逃げ込んだ店舗の壁ごと木っ端微塵に打ち砕いた。 「くっく。なぁにをやっとんのよイギリス清教の神父様」 「おら、英国紳士の誇りはどこ行った? この建宮斎字に見せてみろ」 「いかんよなぁ、そんなんじゃ女の1人も守れんぞ」 挑発に答える事も無く、必死にステイルが立ち上がろうとする。 その横には、何故かオルソラと魔術師ではなさそうな少年――そして意識の無いフルチューニングがいた。 (……) (…レイたちをこいつがやったのか…?) (随分と真っ直ぐな目をしているじゃないの…こういうのは殺したくないんだがなぁ) (だが、ここまで体を張ったレイたちの為にも、オルソラを渡す訳にはいかんのよ) そして、建宮は目の前の少年と幾つか言葉を交わした。 ――彼が魔術の素人で、ほとんど丸腰であると言う事 ――浦上やレイを倒したのが彼で間違いないという事 ――彼が、他の人のために行動できる人間だと言う事 そんな彼が、どうしてローマ正教にオルソラを引き渡そうとしているのかは分からないが… 「けどまぁ、やるってんなら仕方がねえ。今日がお前さんの命日だ」 傷ついた仲間の為、オルソラを救う為、建宮は目の前の少年に斬りかかった。 奇妙な静寂の中、フルチューニングは朦朧としながら意識を取り戻した。 (…静か…) (戦闘が終わっている…?) (天草式は、オルソラさんは?) 状況が分からず戸惑うだけのフルチューニングに、建宮の切り裂くような鋭い声が届いた。 「断言できるなら根拠を言え。できないならば自分の疑念に立ち向かえ!」 「冷静になれば誰でも分かるだろうよ、どちらが本当の敵なのかぐらい!」 霞む目でよく見ると、建宮は体のあちこちにルーンのカードを張られ、拘束されていた。 (まさか、あの建宮さんが負けたのですか!?) (あの酷い少年が、建宮さんに勝った…!?) (でもそれなら、今の言葉はどういう意味でしょうか…) ぼんやりとする頭で2人の会話を聞く限り、どうやらあの少年もオルソラを助けに来たらしい。 天草式に誘拐されたオルソラを、仲間のローマ正教の元へ返すために戦ったという事だ。 (つまり、この馬鹿(現在の友好度:最悪)はアニェーゼに騙されていた、と) (…えー) それでもなお、天草式を信じられない少年に、建宮は自分たち天草式の行動理由を語り出す。 それは、フルチューニングも聞いていなかった思い出。 天草式十字凄教の女教皇が、今は共にいない理由そのものだった。 他人の為にどこまでも優しさを示した女教皇は、その優しさゆえに仲間の死に耐えられなかった。 その仲間の死を全て自分の責任だと思った女教皇は、自らの居場所を捨てて旅立ってしまった。 だが、それに苦しんだのは女教皇だけではない。 他ならぬ天草式十字凄教の仲間こそが、その決断に苦しんだ。 自分たちの未熟さ、弱さ。それこそが女教皇を苦しめた、と自分たちを責めた。 故に彼らは決意した。 誰も傷つかず、誰も悲しまず、誰かの笑顔の為に戦い、その幸せを守るために迷わず全員が立ちあがれる居場所。 自分たちの女教皇が戻るに相応しい、そんな居場所を必ず取り戻して見せると。 (そうだったのですか…だから、レイを助けたときに…) ――だから、我らも救われぬ者に救いの手を差し伸べる ――未熟さというのは辛いのよな (あの時の顔は、悔しさだったのですか) (そんな思いをしても、諦めることなくレイやオルソラを救おうとしていたのですね) (ならば、レイも寝ている訳にはいきません…!) 「た、建宮さん…」 「!」 今まで気絶していた少女の突然の呼びかけに、建宮だけでなく上条も驚いた。 「オルソラさんは…今どこですか?」 「すまないなぁレイ。俺たち以外の天草式メンバーと一緒に、ローマ正教の連中に連れて行かれた」 「!…そうですか、なら助けに行かなくてはいけませんね」 そう言って立ちあがるフルチューニングを見て、上条は愕然とした。 「じゃあやっぱり、天草式はオルソラを助けるために行動してたのかよ…」 「……」 上条が事実を知って後悔するのと同時、静かすぎるほど静かだった夜に絶叫が響き渡った。 そしてそれは、オルソラの出したものに違いなかった。 (どんな事をされれば、こんな声を上げるのですか…!) (早く、助けに行かないと本当に危ない気がします) (…今動けるのは、何故か拘束されていなかったレイだけです) (魔術に詳しくないレイでは、建宮さんに張られたルーンを解除できませんし…) (!) (どうやら、悠長に待っている時間もなさそうです!) 自分の発した電磁波から、敵の修道女たちが近づいてくるのを察知したフルチューニングは、 痛む体を無視して1人で走り去って行った。 9月9日(午前0時30分)、オルソラ教会 フルチューニングは、走りながら電磁性ソナーを発動。 こんな時間に200人以上の人間がいる、この教会が怪しいと判断して踏み込むことにした。 だが、フルチューニングはその扉に『アエギディウスの加護』と呼ばれる結界が用意されているのを知らない。 躊躇せずその扉に触れたフルチューニングに激痛が襲いかかり、彼女は叫び声をあげて倒れた。 「ああああああァァァ!!!」 「おやおや、確か天草式のお仲間じゃないですか」 「あ、ニェー、ぜ…」 「良いザマですねー、こんな結界に引っかかるなんて。流石は聖典も読めない獣、這い蹲る姿がお似合いですよ」 「…オル、ソラさん…は…?」 「ははぁ。罪人同士気が合うんですかね?…良いですよ、見せてあげましょう」 アニェーゼはそう言うと、部下の修道女に命令してフルチューニングを中へ引きずり込んだ。 その闇の中、教会の大聖堂でフルチューニングが見たものは――狂気そのものだった。 数百人の修道女がオルソラ1人を殴り、蹴り、踏みつけ、笑い、蔑んでいた。 そしてそんな状況で尚、オルソラはフルチューニングを見て弱弱しく謝罪した。 「レイさん…本当に…申し訳…ありません…」 「オルソラさん…!」 「私が…天草式の…方々を…あなたを…信じていれば…こんな事には…」 その姿を見て、フルチューニングは建宮に言われた事を思い出した。 「…建宮さんが…言っていました」 「私たちの…やり方は…言葉では何も…伝わらない、と」 「…実際に…助け出すという…行動で示すしかない、と」 「レイも…天草式の、一員。…待っていて…ください…信じさせて…見せます」 「かつて…レイを実際に…救ってくれた、みんなと同じように!」 そして、互いにボロボロの体でありながら、フルチューニングとオルソラは笑い合った。 そんな2人をつまらなさそうに眺めていたアニェーゼが、冷酷に指示を出す。 「オルソラはともかく、こっちの女は生かす理由がありません」 「ただ…めんどいですが、この大聖堂を異教徒の血で汚す訳にはいきませんね」 「奥の倉庫に連れてって、始末しておいてください」 「はい、分かりました」 何のためらいも無く頷いた修道女たちが、フルチューニングを奥の倉庫へ乱暴に連れて行った。 そして倉庫に入った途端、フルチューニングはゴミのように投げ飛ばされる。 続いて中に5人の修道女が入ってくる。最後の1人が、しっかりと扉を閉め鍵まで掛けた。 「……」 「……」 もはや侮蔑の言葉すら投げかけることなく、修道女たちは無力なフルチューニングを踏みつけた。 力も入らず、碌に抵抗できないフルチューニングは、ひたすら踏まれ続ける。 「…ッ」 「……」 徐々に体が冷たくなり、フルチューニングが死を意識したその時。 1人の修道女が、フルチューニングの頭を思い切り踏みつけた。 それが、異変の始まり(キッカケ)であった。 目から完全に光を無くしたフルチューニングから、突然ハッキリと言葉が紡ぎだされた。 「――魔術変換用チップの重大な損傷を確認」 「――自己修復完了まで残りおよそ400秒」 「――魔術使用モードを強制的に終了します」 「――通常モードでネットワーク再接続開始」 「――成功。当個体の現在状況を送信します」 「――危険度A判定。解決方法を受信します」 「――敵対勢力の無力化を最優先項目に設定」 「――有効な解決法:酸素の電気分解と判断」 「――検体番号10032号のデータを受信」 今までが嘘のようにしっかりとフルチューニングは立ちあがった。 そして、彼女の周囲で電気の火花がバチバチと音を立て始める。 だが、修道女たちはそれでも慌てずに構えていた。 「感電攻撃は無意味です」 「すでにシスター・ルチアから、あなたの攻撃方法は電流だと報告を受けています」 「ですから、私たちは電撃を無効化する魔術を構築しています」 「今さら抵抗したところで、あなたに勝ち目など…」 「いいえ。ミサカの勝ちです、とミサカは断言します」 御坂妹が同じ方法を使った時と異なり、ここは狭い密室空間。 しかも今回の使い手は強力なレベル4の発電能力者。 その効果は劇的に現れた。 「…がはっ」 「ごえぇ…」 酸素が分解され、有毒なオゾンが大量に発生。 警戒をしていなかった修道女たちは、それを吸い込んで昏倒した。 フルチューニングは呼吸を止め、その様子をじっと冷たく見ている。 そして全員の無力化を確認すると、倉庫の扉を開けて大聖堂へ向かった。 「…オルソラの救出にいかなくては、とミサカは自分を鼓舞します」 その目に、今まで確かにあった美しい光を宿さないままで。 9月9日(午前1時00分)、オルソラ教会 ボロボロになり、死にかけていたオルソラは、それでも笑っていた。 自分を引き渡した馬鹿どもを恨みながら死ね、とアニェーゼに言われているのに。 なぜなら、彼女は幸せだったから。 天草式やあの少年は、見ず知らずの自分を助けようとしてくれた。 そんな理由も、義務も無かったにも関わらず。 それ以上に素敵な贈り物など、この世界のどこにもないではないか。 だから。 オルソラは朦朧としながらも、アニェーゼの見当違いの言葉に言い返す。 「…こんなにも、素晴らしい贈り物をくださった……方々に…」 「私は…一体、何を恨めば…よいと言うので…ございますか?」 その言葉に答えるように、2億ボルトの電流が周りの修道女たちに襲いかかった。 無警戒のまま強力なエネルギーを受けた修道女が、4,5人ほどまとめて吹っ飛んでいく。 「……」 「はっ、そういう事ですか」 ゆっくりと近づくフルチューニングの姿を見て、アニェーゼは何かを確信したかのように笑った。 「こちらに解析できない“謎の魔術”の正体は…超能力っつー事ですね」 「ですが、そいつは妙な話ですね。能力者に魔術は使えない、って言うのは常識でしょう」 「一体どんな方法で超能力と魔術を両立してるのか、是非とも教えて欲しいもんです」 「それに、何だって学園都市の人間が天草式と一緒に行動しちまってたんですか?」 「……」 フルチューニングは、侮蔑するような態度のアニェーゼに言葉で返答しなかった。 言葉の代わりに、隠し持っていた最後の鋼糸を展開する。それも、アニェーゼを縛るのではなく切り刻むために。 「まだそんだけの事が出来る力があったとは驚きです。…が、無駄ってもんですよ」 アニェーゼは欠片も動じない。 傍に控えていた沢山の修道女たちが、それぞれの魔術で鋼糸を迎撃し、バラバラにしてしまった。 「大体ですね、『アエギディウスの加護』の直撃を食らった上に、体中怪我しちまってるじゃないですか」 「そんな動く死体と変わらねえ様な能力者1人、何も出来やしませんよ」 「……」 「大方、ご自慢の能力とやらで無理やり体を動かしてるんでしょうが、無駄なあがきってもんです」 「…それでもミサカは諦めません、とミサカは端的に告げます」 「…? すでに口調もいかれちまいましたか?」 「いかれてるのはテメーの頭だボケナス、とミサカはあなたをバカにします」 フルチューニングの安い挑発に、アニェーゼは溜息をついた。 「…もう良いですね。ほら、皆さんさっさとコレを始末してください」 「倉庫は使えねえし…しょうがないから、ここでパパッと終わりにしちまいましょう」 「ああ、なるべく血で汚さねえようにに頼みます、掃除が面倒ですからね」 「もう…止めてください…」 「!」 今にも戦闘が始まろうとしたその時、オルソラのか細い声が全員の注意を引いた。 「…レイさん…もう、私は…十分なのです…」 「何を…言っているのですか、とミサカは…!」 「“レイさん”。…あなたたちが、こんな…私の為に…立ちあがってくれた…それで十分です…」 「最期に…あなたたちのような…素敵な方々と…出会えた…それで…満足です…」 「私には…これ以上の…幸せなど…とても…抱えきれませんから…止めてください…」 そう言って美しく微笑むオルソラに、フルチューニングは何も言い返せない。 それでも前に進もうとしたフルチューニングの頭の中で、再び異変が起こる。 「――魔術変換用チップの完全修復を確認」 「――魔術使用モードの再起動を行います」 「――ネットワークの通常接続を強制終了」 400秒経過したことで、チップは修復を完了し、再び魔術を使えるようになる。 だがそれは、もうミサカネットワークへ普通に接続できないという意味でもあった。 フルチューニングは“レイ”を取り戻すと同時、能力の優れた応用法や戦闘知識を参照できなくなる。 (一体、レイは体に何をされたのですか…?) (どうして、レイは妹達と接続できなくなるのですか…!) フルチューニングが愕然とする中、わずかに繋がっている妹達が、最も親しく知る人物の接近を感知した。 (この気配は…あの時の少年…?) 通常の接続が切れるその瞬間、フルチューニングに妹達から次々に寄せられる声(キオク)が届いた。 『俺は、お前を助けるためにここに立ってんだよ!』 『――お前は、世界でたった一人しかいねえだろうが!』 『――今からお前を助けてやる』 それは紛れもなく、あの日実験を止めたヒーローの話だった。 (そうでしたか…あの時役立たずだったレイの代わりに、妹達を救ってくれたのが…) (ならば、今こうして“上条当麻”が来ている理由もきっと…) 事情を知ったフルチューニングは、こんな状況なのに思わず笑いたくなる。 しかも、トドメとばかりに最後に届いたのは、元気いっぱいの末っ子からの応援メッセージだった。 『あなたがアマクサシキから教わったように、ミサカも彼から教えてもらったの』 『ミサカ単体の命にも価値があり、その死に涙を流す人がいるんだっていうことを』 『だから“ミサカ”は、これ以上1人だって死んでやる事はできない』 『あなたはレイだけど、あなたもミサカだから、絶対に死ぬ事は許さない!ってミサカはミサカは激励してみる!』 「ふふ…妹の頼みぐらい、しっかり聞かないといけませんね…」 突然笑い出したフルチューニングに、アニェーゼが怪訝な顔で質問する。 「何がおかしくて、笑ってるんですか?」 「…オルソラさん」 「え…?」 完全にアニェーゼを無視して、フルチューニングは誇らしげに宣言した。 「あなたの、そしてレイの幸福は――まだ止まらないみたいですよ?」 次の瞬間。先ほどレイを痛めつけた『アエギディウスの加護』が、完全に消し飛ばされた。 考えられない事態に動揺するアニェーゼ部隊。 急いで敵を探そうとするが、それよりも早く“敵”が中へ踏み込んできた。 250人の相手。恐ろしい魔術を使う修道女部隊のただ中に、たった1人で。 かつて学園都市最強のレベル5と戦って、妹達を救い出した無能力者(ヒーロー)。 ――“戦う理由”ではなく、“戦い続けたい理由”で行動できる素人。上条当麻その人が。 「ったく、本当に馬鹿も馬鹿、大馬鹿ですね」 「ほら、これが最後のチャンスです」 「自分が何をすべきかぐらい分かっちまってますよね?」 その上条に、アニェーゼは挑発するように近づいて行く。 250人を相手に戦えるはずが無い。だから何も出来ないと確信して。 胸の悪くなるようなその態度に、フルチューニングの怒りが燃える。 (いくら上条当麻とはいえ、1人で良い格好はさせません…借りは返さなくてはいけませんから) 次に上条がとる行動を“本当に確信した”フルチューニングが、アニェーゼに電撃を放つ。 鬱陶しそうにそれを払いのけるアニェーゼが、次に見たものは―― 「何をすべきか、ね」 「確かにこれが最後のチャンスだ。良く分かってるよ」 電撃に反応して、碌にガードも取れない自分の顔を、迷わず右手で殴るド素人の姿だった。 「き、サマら。何の真似だ、これはァ―――!」 アニェーゼの怒りに、フルチューニングと上条は2人そろって答えた。 「「助けるに決まってんだろうが(るじゃないですか)!!」」 「おもしろいですね…この状況で、たかが2人に何が出来るっていうんですか!」 250人の敵が、たった2人相手に武器を構えたその刹那。 「まったく、勝手に始めないで欲しいね」 爆炎を司るルーンの魔術師、ステイルがその象徴である炎剣と共に現れた。 ステイルの話を聞く限り、彼ら魔術師がこの問題を決着させる予定だったらしい。 にも関わらず、もう関係の無くなった上条が1人でここに来てしまった、ということだ。 (やっぱり、上条当麻は妹達を助けた時と変わらないのですね) (誰かの為に、命懸けで戦う事の出来る…天草式のみんなのような人です) (もっともそのせいで、誤解を受けたレイや建宮さんは酷い目に遭いましたが…) (…ん?) (…建宮さん…魔術師が決着…もしかして…?) フルチューニングがある可能性に気付いた時、アニェーゼが苦々しく吐き捨てた。 「2人が3人に増えたところで、何が…!?」 その言葉に答えたのは、フルチューニングが一番声を聞きたい人だった。 「3人で済むとか思ってんじゃねえのよ」 「建宮さん!」 横合いの壁を吹き飛ばし、捕まっていたはずの天草式メンバー全員と一緒に、教皇代理の建宮が姿を見せる。 「待たせてすまんかった、レイ」 「諫早さん」 「ごめんね、レイちゃん」 「…五和さん」 「後はまかせといていいすよ」 「…香焼」 「いやいや。…レイ、お前さんに戦う理由はまだあるか?」 涙で滲みそうになる視界を、ゴシゴシとこすって必死に見つめる。 涙で震えそうになる返事を、出来る限りシャッキリしようとする。 「…はい、教皇代理」 「っ…どいつもこいつも!!」 激昂したアニェーゼがただ一言、殺せ、と250人の部下に命令した。 それに従い飛びかかってくる修道女たち。 「さあさあ、我らがやるべき事はただ一つよな?」 対し、正反対の指示を受けた天草式十字凄教が、果敢に声を上げて迎撃する。 「救われぬ者に救いの手を!!」
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/1246.html
登録日:2012/06/12 Tue 16 15 17 更新日:2024/07/14 Sun 12 26 15 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 P・K・O アオキ アーツビジョン クロダ グイード・ミスタ ストライダー飛竜 フェロ☆メン ユーリ・ローウェル 今泉俊輔 凜雪鴉 名瀬・タービン 声優 声優項目 帽子 愛島セシル 犬塚キバ 犬声優 玉壺 石丸清多夏 神奈川県 胡散臭い役が似合う人 茅ヶ崎市 謎の新ユニットSTA☆MEN 鳥さん 鳥海浩輔 鳥海浩輔(とりうみこうすけ)とは、アーツビジョン所属の男性声優である。 神奈川県茅ヶ崎市出身で1973年5月16日生まれのO型、おうし座。 概要 声優業だけでなく、歌を歌ったり、実写出演していたりと幅広く活躍している。 先割れさんとは、声質が似ているが、関係は不明である。 まあ、ぶっちゃけ本人そのものだが。 鈴木千尋とは『デ・ジ・キャラット』の頃から交流があり、よく弄ったりしている。 ……が行き過ぎて滅多に怒らない彼を怒らせてしまったとか。 テイルズのおまけDVDにて『ぶらり途中下車の旅』のパロディをさせられたことがある。 しかも実写出演である。 他にも小野坂昌也と番組で絡んだりもしている。 テイルズオブフェスティバルでは何度も出演しており、ほぼ常連と化している。 アニメ咎狗の血出演者とは比較的仲が良いようである。 『謎の新ユニットSTA☆MEN』のメンバーであり、そこから諏訪部順一とデュオ『フェロ☆メン』を組んでもいる。 性格はマイペースで天然。 杉田智和氏は自身のラジオなどで鳥海氏の天然エピソードを披露している他、 他人から「天然」と言われると「天然じゃない」と否定する鳥海氏を「本物の天然」と称している。 事務所のプロフィールの趣味・特技のところに料理と書いているが、むしろ息抜きに近いらしい。 料理の腕は和洋中、何でも作れるらしい。 また帽子、特に中折れ帽が好きらしく、顔出しの際は被ったまま登場する事が多い。 一説にはそのデコの広sうわなにするやめ 休みや時間が空いた時は家でぼんやりしてることが多く、ゲームなどはあまりしないという。 「死ね」と直接言うのは嫌らしく、最近は「くるぶし爆発しないかな?」と言っているらしい。 【声優として】 主に青年役やオッサン役が多い。 また、BL系CDへの出演が多い声優でもある。 『テイルズ オブ ヴェスペリア』のユーリや『NARUTO‐ナルト‐』の犬塚キバなど、犬を飼っているキャラクターが多いので、「犬声優」と呼ばれている時期もあった。 【主な出演作品】 〇アニメ・ドラマCD ユーリ・ローウェル(劇場版テイルズオブヴェスペリア) 犬塚キバ(NARUTO‐ナルト‐) キャプテン・アッシュ/アセム・アスノ ※第3部以降(機動戦士ガンダムAGE) 名瀬・タービン(機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ) 三蔵ストライクフリーダムガンダム(SDガンダムワールド ヒーローズ) グイード・ミスタ(ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風) 東晃一(アニメ 君と僕。) アキラ(アニメ 咎狗の血) リク=ハイゼンベルク(デ・ジ・キャラット) アンディ・W・ホール(アクエリオンEVOL) ゴレイヌ(OVA版HUNTER×HUNTER) ジルグ・ジ・レド・レ・アルヴァトロス(ブレイク ブレイド) 建宮斎字(とある魔術の禁書目録) 黒田坊(ぬらりひょんの孫) 冴木氷室(ハヤテのごとく!) ホットショット(トランスフォーマースーパーリンク) オレルド(PUMPKIN SCISSORS) ザエルアポロ・グランツ(BLEACH) 真中要(ダイヤのA) 逆巻シュウ(DIABOLIK LOVERS) カズサ=シン(熱風海陸ブシロード) 朝日奈梓(BROTHERS CONFLICT) 今泉俊輔(弱虫ペダル) カウンセラー(PSYCHO-PASS サイコパス) うろこ様(凪のあすから) 甲賀弦之助(バジリスク~甲賀忍法帖~) ヤス(世界征服~謀略のズヴィズダー~) 椴松鷲(龍ヶ嬢七々々の埋蔵金) 菜月賢一(Re ゼロから始める異世界生活) 陽炎のシヴァ(セイントビースト) 安倍蒼世(曇天に笑う) ジルグ(ブレイクブレイド) 逆巻シュウ(DIABOLIK LOVERS MORE,BLOOD) サニー(アイカツ!) 望月識(枕男子) レイ(北斗の拳 イチゴ味) 閃光のフラッシュ(ワンパンマン) ランスロット(ディバインゲート) アクノロギア(FAIRY TAIL) エルジュイア(エンドライド) 夜叉丸朔太郎(B-PROJECT ~鼓動*アンビシャス~) 協会さん(アクティヴレイド -機動強襲室第八係-) 烏頭(鬼灯の冷徹) 申公豹(覇穹 封神演義) 宇奈月大樹(美男高校地球防衛部HAPPY KISS!) 針生六四郎(アイカツフレンズ!) 林通具(胡蝶綺 ~若き信長~) 井口工(斉木楠雄のΨ難) キバナ(薄明の翼) ソラ(乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X) 玉壺(鬼滅の刃) アオキ(ポケットモンスター(アニメ第8シリーズ)) アークルーラー(シャドウバースF) ジルク・フィア・マーモリア(乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です) 石川啄木(ゴールデンカムイ) 鞍馬春秋(AYAKA -あやか-) 鈴木(変人のサラダボウル) ナレーション(しかのこのこのここしたんたん) ……etc. 〇ゲーム ユーリ・ローウェル(テイルズ オブ ヴェスペリア) アーチャー(EXTRA)(緑)(Fate/EXTRA) カーチス(ディスガイアシリーズ) カラス(バテン・カイトス) 三科栄吉(ペルソナ2) 伊織順平(ペルソナ3) 向坂雄二(ToHeart2) 石丸清多夏(ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生) ストライダー飛竜(ストライダー飛竜2、NAMCO×CAPCOM、PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD) ストライダー飛燕(NAMCO×CAPCOM) 藤井蓮/カール・クラフト=メルクリウス(Dies irae ~Amantes amentes~) 天魔・夜刀(神咒神威神楽 曙之光) 斎藤一(薄桜鬼) ブラッキー(ポケモン不思議のダンジョン マグナゲートと∞迷宮)※PV ゴルドー(UNDER NIGHT IN-BIRTH) ドゥバン・オーグ(第2次スーパーロボット大戦OG) リトル・マック(大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/Wii U、大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL) 愛島セシル(うたの☆プリンスさまっ♪) 李典(真三國無双シリーズ(7~)) ヘクトル、ナーシェン(ファイアーエムブレム ヒーローズ) 三日月宗近(刀剣乱舞ONLINE) タケシ、キバナ(ポケモンマスターズ) ティエン・ザオ(Call of Duty Black Ops 2) ガイア・アルベリヒ(原神) ……etc. 〇その他 バッファローロード(仮面ライダーディケイド) エイサイヤミー(仮面ライダーOOO) 傷害犯ボーグ(未来戦隊タイムレンジャー) ヴァンナイン(海賊戦隊ゴーカイジャー) ライノダブラー(特命戦隊ゴーバスターズ) ナレーション、レインボーライン総裁(烈車戦隊トッキュウジャー) ヒドケイワルド(機界戦隊ゼンカイジャー) クロダ(王様戦隊キングオージャー) 凜雪鴉(Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀) 夢水清志郎(夢水清志郎) 追記修正は縦だか横だかわからないステーキを完食してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 鳥海さんが悪いわけじゃないけどバッファローロードはキャスティングミスだと思う -- 名無しさん (2013-09-20 09 35 54) 鳥海さん嫌いじゃないけどメルクリウスはやり過ぎだと思う -- 名無しさん (2013-09-20 09 43 20) けど声カッコよかったよバッファロー。その他好きなキャラと言えばトリコのマッチ -- 名無しさん (2013-09-20 12 20 25) 先割r……いや何でもない -- 名無しさん (2013-09-20 12 32 24) 凸の後退が… -- 名無しさん (2013-11-09 22 58 31) やはり夜刀様の演技が素敵。 -- 名無しさん (2013-11-24 18 48 50) そろそろ戦隊でレギュラーとして出て欲しい -- 名無しさん (2013-11-24 18 51 18) ↑の続き それもカッコいい系の敵幹部で -- 名無しさん (2013-11-25 00 49 56) ↑の続き 無理かもしれんがトッキュウジャーに追加幹部役で -- 名無しさん (2014-02-14 19 12 43) 意識して知ったのがそうだからっていうのもあるが、ユーリかな。見た目で一瞬男女のどっちか迷ったのに答えをくれた声だった -- 名無しさん (2014-02-14 19 47 47) ↑2ナレーションになりました -- 名無しさん (2014-02-16 17 47 01) ↑まさかホントに出るとは思わなかった(汗) -- 名無しさん (2014-02-16 18 44 16) 凪のあすからのうろこ様と、弱虫ペダルの今泉も同じだね。薄桜鬼の斎藤もだ。ゴーバスのEDや悪役から、トッキュウのナレーションで一気に出世したと思った。 -- 名無しさん (2014-02-20 03 32 27) もしかして15美少女漂流なんとかにも出てた? -- 名無しさん (2014-03-24 21 30 54) 確か電王にも出てなかったっけ? -- 名無しさん (2014-06-09 01 32 53) 確かに青年役はよくやってるけどオッサン役なんてめったになくないか? -- 名無しさん (2014-06-11 10 23 11) 自分のキャラと出たシリーズには愛着湧く人なんだろうな、いい声優さんだ -- 名無しさん (2014-06-11 12 46 21) ラジオで、ガオガイガーでエキストラ出演したのがデビューだそうだ。 -- 名無しさん (2014-06-15 18 59 38) この人のナルホドくん好きなんだけどイマイチ評判悪いね -- 名無しさん (2014-06-15 19 21 34) この人は声優で成娯味トいなかったら、どうなっていたことやら -- 名無しさん (2014-06-15 21 26 48) 何気にガンダムパイロットもやってるや味謔ネ -- 名無しさん (2014-06-15 21 31 58) 最近穏やかになったよなこの人 -- 名無しさん (2014-06-29 15 31 32) 絶対トッキュウジャーでレギュラー化しそう。謎の声=レインボーライン上層部のメンバーとして。 -- 名無しさん (2014-07-12 01 32 08) イグゾーション=サンやってたな -- 名無しさん (2014-10-12 17 32 43) ↑10アントホッパーイマジンのアリの方だな。俺は結構好きだった -- 名無しさん (2014-10-12 21 15 17) 居合い・竜王一刀両断!! -- 名無しさん (2014-11-19 01 23 19) もしかして、テニプリの千石はこの人? -- 名無しさん (2014-11-19 07 06 27) ↑5大当たり!! -- 名無しさん (2014-11-19 09 51 35) たまにゴツ目のキャラやるけど、元々の声質が軽いせいか無理に押し殺してるように聞こえる -- 名無しさん (2015-07-20 08 38 37) 帽子を取りなさい -- 名無しさん (2016-02-07 13 32 30) ↑2スマブラのマックとか? -- 名無しさん (2016-02-10 14 46 01) この人が上手いせいだからなのか、声あててるキャラが嫌味いう時はなんか真剣に腹立たしくなる時がある。ユーリ然り千石さん叱りジュリオ兄様然り…逆にカッコいい時はイケメンすぎてやばい。個人的にストライダー飛竜がナンバー1! -- 名無しさん (2016-07-12 18 14 36) フロムの某鬼畜ゲーシリーズから生まれた「騙してわるいが…」の元ネタとなったキャラの声を担当してたりもする -- 名無しさん (2016-07-27 12 34 02) この人、声優になった動機が凄かった記憶が・・・。 -- 名無しさん (2016-07-27 21 30 25) てーか実写出演って何出てるの⁇ -- 名無しさん (2017-02-03 19 01 44) ちなみにデビュー作は家なき子レミだそうな -- 名無しさん (2017-02-09 14 00 44) 去年サラリーマンやラノベの編集者役だけど、色っぽい声でこんなサラリーマンいないだろうと -- 名無しさん (2018-03-02 20 54 32) 遊佐さん石田さんとともに一緒に胡散臭い声やらせたら右に出るものはいないのではないかな -- 名無しさん (2019-11-08 09 23 51) 凜雪鴉はハマリ役だった -- 名無しさん (2020-08-14 21 20 55) 名瀬タービンで惚れた -- 名無しさん (2021-09-24 01 11 17) ガッ………ガイアッッッ!!(人違い) -- 名無しさん (2022-01-27 05 58 12) 久々にジョジョ5部見直してたらミスタとトリッシュが入れ替わったところで爆笑したわ -- 名無しさん (2022-12-02 15 38 10) 本家wikiの情報がどんどん減っているからこっち見てほっとした!何があったんだあっちは -- 名無しさん (2022-12-31 21 47 59) 変な役しかこないとイジられてて今回もそんなキャラを担当する事に。 -- 名無しさん (2023-02-03 22 06 52) 情けない役に色っぽい役、オネエ系もやれて格好良い役もやれる方、凄いと思うんだけれど…しかも中々締まる役やられるから結構印象にも残るのになぁ -- 名無しさん (2023-02-03 22 52 13) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/139.html
(7) 「で?総司令!学園都市に一体どんな危機が迫っているんだ?」 「…………え?」 「何が『えっ?』だ! まっ、まさか。実は何も無いってオチじゃねえだろうな?」 「なっ、何を言うのかな?ちゃんと危機は迫っているんだから ってミサカはミサカは額に吹き出した汗を拭いつつしどろもどろに反論してみる」 「……………………」 「そうだ、学園都市に宣戦布告してきた秘密結社からの脅迫ビデオが届いていたの ってミサカはミサカはすっかり忘れていたことを微塵も悟られないようさりげない 仕草でビデオの再生ボタンを押してみたり」 すると上条達の右側の壁が開き出てきた巨大モニターに脅迫ビデオが映し出された。 黒い画面には映画のように③、②、①と数字がカウントダウンされていく。 そして海岸の岩に荒波が打ち寄せる映像がドドーンと映し出される。そして 「ジャッ、ジャッジャーーン」とジングルが鳴り終わると一人の男が画面に映し出された。 しかし口元をスカーフで隠した男は正面を向いていなかった。 その男は手鏡をのぞき込みクワガタみたいに黒光りするツンツンした黒髪を整えている。 どうやら撮影が始まったことに気付いていないようで横から小さな声が掛けられた。 「建宮さーん。もうキュー出しちゃいましたよ」 「なにっ!?ウォッホン。我々は謎の秘密結社キシサクマアであるのよな! 我々は学園都市に宣戦布告する!恐れおののけ!科学を盲信するものどもよ」 宣戦布告する謎の人物を見て上条の肩が小刻みに震えだした。 「…………ゴォら!天草式!テメーらまで一緒になって何遊んでやがる!」 「何を言う。我々は天草式とは何の関係もないのよな」 「そんなちゃちな変装で何言ったって……って、おい!お前今オレに返事したんじゃ?」 「ビデオに問いかけても無駄なことなのよ。ウワッハッハ!」 「おい!総司令。何が脅迫ビデオだ!キッチリ生放送してんじゃねえか!」 「むむっ!ここまでこちらの反応を読み切ってビデオを作っていたとはこの組織は侮れな いかも、ってミサカはミサカは追求するあなたから目を外しつつ敵の強大さに驚愕した りして」 「…………もういい。追求する気も失せた」 「あーっ、取り込み中すまんが本題に入っても良いかな?」 「もう好きにやってくれ!」 「では改めて、ウォホン。 我々は学園都市に制裁を加えるために恐怖の新兵器を開発したのよな」 「はあ?新兵器?」 上条がやる気のなさ100%の声で繰り返すと謎の男はフリップボードを持ち上げて黒い マジックをキュキュキューッと走らせる。 クワッ!!と男の目が開かれると男はそのフリップボードをドン!と提示した。 「そう、それは恐怖の『ヒヨコ爆弾』ッッッ!!」 「……………………」 「どうだ?恐ろしさのあまり声も出ないか?」 「あのー、総司令。やっぱ俺帰って良いですか?」 「いまさら怖じ気づいて逃げだそうっていうの! ってミサカはミサカは男らしくないあなたにプンプン憤慨してみる」 「いや、そうじゃなくて。こいつらもう放っといても良いんじゃないかと……」 「お前達、このヒヨコ爆弾の恐ろしさを判っておらぬな。見よ!この勇姿!」 画面が切り替わるとドーンとヒヨコ爆弾のアップが映し出された。 「見よ!このまんまるフォルム、フカフカの質感、そしてラブリーな表情。 これほどの出来映えのヒヨコ爆弾を見たことあるまい。どうだ恐れ入ったか。 我々はこのヒヨコ爆弾を第13学区のとある小学校のヒヨコ小屋にセットしたのよな。 爆破時刻は12:30だ。 貴様達に本物のヒヨコと我々のヒヨコ爆弾が区別できるかな? 早くしないと何の罪もないヒヨコ達が巻き込まれるぞ。 せいぜい慌てふためくがよい!ウワッハッハッ!」 ここでビデオ(?)はブチンッと切れてしまった。 上条達は呆れてものが言える状態ではなかった。一人を除いて。 「なんて恐ろしい兵器なんでしょう、とミサカは全身の震えを押さえきれずに呟きます。 あんなまんまるでフカフカでラブリーなヒヨコ達が爆弾にされてしまうなんて………… ミサカはあなた達の非道を許しません! ミサカのラブリーなヒヨコ達はミサカが必ず守り抜いてみせます! とミサカは力強く宣言します」 一人熱く燃える御坂妹に上条達はヤレヤレって感じで顔を見合わせた。 「まあ確かに。ヒヨコ達には何の罪もない。」 「そうね。それにたまにはフカフカでまんまるでラブリーなヒヨコ達に囲まれるのも楽 しいかもね」 「仕方ねえな。それじゃあ皆さん、行きますか!」 (8) 学園都市の某所にて 「カーーット!」 「お疲れ様でした。建宮さん」 「皆もご苦労であった。しかしこれからが本番なのよな」 「しかし上条さん(あの人)怒ってましたよ。本当に大丈夫なんですか?」 「それは心配せずともよいことなのよ。 我らは学園都市(ここ)の統括理事長からの依頼で動いておるのだからな。 今回のことも例の件の遂行に不可欠だということで統括理事長(あやつ)に認めさせた。 例の件さえ遂行しておけば我らが多少脱線しても大目に見るという約束になっておる。 しかも必要な費用も全て学園都市(あちら)持ちだ。 我らは外の連中の目を逸らすためにも、奴らが監視する気も起こらぬほど派手に馬鹿 馬鹿しく振る舞えば良いのよ」 「でも学園都市の依頼だっていっても統括理事長って本当に信用できるんですか?」 「ふっ、そんなもの信用できるハズ無かろう。 だがな、こちらでもウラを取ったが今回の依頼に怪しい所は見つからなかった。 ならばこの依頼を断る理由は無いのであるのよな」 「まあ、あの人に関連する依頼ですからねぇ」 「我ら天草式十字凄教は上条当麻殿からひとかどならぬ恩義を受けておる。 我らはその恩義に報いるためにもこの依頼は完遂しなければならんのよ」 「そうですね。 女教皇様(プリエステス)ですらどう恩返ししようかと未だに悩んでいる位ですから」 「上条当麻殿(あの方)は皆も知っての通りその右手に神をも凌駕する力を備えておる。 しかしそれ以外は一般人と何も変わらないのよな。 いや、防御術式や補助魔術が一切効かない分、一般人より危ういかもしれん」 「それでもあの人は他人を守るために真っ先に飛び込んでいきますからね」 「だからこそこの建宮斎字は秘密戦隊を装ってあの5名を集めたのよな」 「えっ?あの5人を選んだのは建宮さんだったんですか」 「その通り。この学園都市で最も信頼でき頼りになる5人なのよ」 「信頼できる5人ですか……」 (9) 「まず『一方通行』は言うまでもなく学園都市最強の超能力者だ。 きやつは自分のことを悪党だとうそぶいておるがその性根には一本筋が通っておる。 一度約束を交わせばそれを反故にすることは絶対にあり得ん。 だからこそ信頼することができる」 「そういうもんですかねえ?」 「学園都市第三位の『超電磁砲』は第二位が所在不明の今事実上のNo.2だ。 その真っ直ぐな性格は十分に信頼できる。 しかも我らの独自の調査によればあの方にホの字のようなのだよ。 もっとも本人は否定しておるがな。 全くあの方の懐の広さには恐れ入るばかりなのよ」 「羨ましいというか何というか……」 「次に『癒之御使』は世界で唯一あの方を治癒できる存在だ。 故にあの方を狙うものからすればその存在は不都合極まりない。 つまり真っ先に狙われる可能性が高い訳よ」 「だから我々の目が届くようにメンバーに誘ったんですね」 「あのーっ」 「残る『欠陥電気』『最終信号』は学園都市が造った『超電磁砲』の体細胞クローンだ。 彼女たちもオリジナルの『超電磁砲』と同様に信頼できる。 残念ながらその能力はオリジナルの1%にも満たぬが『一方通行』の能力に深く関わっ ているから外すことはできん。 さらに『欠陥電気』には9968名の姉妹がいて全員があの方に惚れているようなのだ。 全くあの方の器は我々常人では計り知れぬほど大きいのよな」 「競争相手がざっと1万人ですもんね。五和も大変だな。こりゃ」 「えーっとですね……」 「とにかく学園都市においてあの方と共に戦ってもらう能力者を集めることはできた」 「建宮さーん!」 「しかし彼女らは魔術について疎すぎるのよな。 魔術を理解する必要は無いが超能力とは違う力がこの世界に存在することをこの機会に 肌で感じて欲しいのよな。 その経験があれば魔術的な配置や魔術が発動する予兆をいち早く感知できるかもしれん。 そうすれば対魔術師戦において足下をすくわれる危険性は格段に下がるはずなのよ」 「ホントは聞こえてるんでしょ!」 「次は右方のフィアンマですか?」 「ふん、それどころかひょっとするとエドワード=アレクサンダーとも闘い(やり)合う かもしれんぞ」 「その人って確か史上最高の魔術師でしたよね。でもずいぶん前に死んだんじゃ?」 「ものの例えだよ。気にするな」 「無視しないで下さい!建宮さん!!」 腕を引っ張られた建宮は初めて気づいたとでも言う風に声の主である五和へ顔を向けた。 「ん?どうした、五和」 「私、ホントにこんな格好しなきゃならないんですか?」 「いまさら何を言う。最近の戦隊ものはヒロインの露出が少ない代わりに 悪の組織の女幹部は露出度が大幅にアップしておるものなのよな」 「だからってなにもこんなビキニ装甲(アーマー)じゃなくても…………」 「五和、我らの話を聞いていなかったのか? 我らの受けた恩義はもう『堕天使エロメイド』と『大精霊チラメイド』のツープラトン アタックぐらいでは返済できぬ程膨れあがってしまったのよな」 「そっ、そんなァ……」 「だからこそ、その小悪魔エロキャットの出動なのよ」 五和の持っている衣装は黒革製のボンデージ風コスチュームであった。 ただし服の面積は体表面の25%もなく、しかも生地の大半が膝下をカバーするブーツと 肘から先の手袋と鼻から上を隠す猫耳の付きマスクに費やされているため、 ボディーラインを隠すための生地はビキニ程度分しかない。 かろうじてそれがビキニでなくワンピースだと主張するものはチョーカーとブラとパンツ を「とりあえず形だけは繋いどきました」と言っているヒモ状の生地のみである。 そのくせ背中とお尻には悪魔のような小さな羽と尻尾のオブジェが付いている。 「こんなのを着てあの人の前に出なきゃなんないんですか?わたし」 「仕方あるまい。お前がもっと早く大精霊チラメイドを使っておればここまで利子が 膨らむことは無かったのだからな」 「だっ、だからってこんなことして遊んでて良いんですか?」 「ふっ、遊べるのは今の内だけだ。 本物の闘いが始まればこんな軽口をたたくこともできなくなるのよ。 五和は今の内に青春を謳歌していればよいのよな」 「はーっ、コスプレに命を燃やす青春か…………やだなーっ」 (10) 「出発するのは良いけど、第13学区のとある小学校まではどうやっていくのよ? ラストオーダー、専用の車両とか航空機でもあるのかしら?」 「専用車両はあるんだけど、ってミサカはミサカは歯切れの悪い口調で返答してみる。 ちなみにオリジナルは運転免許を持ってるの?って逆に問い返してみたり」 「うっ、そんなの持ってる訳無いでしょ!」 「たとえ学園都市を守る秘密結社であっても学園都市のルールは守らなきゃいけないの ってミサカはミサカは独り言のように呟いてみる」 「……ってことはひょっとして」 「そう最寄りの公共交通機関を使ってもらうの ってミサカはミサカは今までの会話から当然導かれる結論を当然のように言ってみる」 「この格好のまま電車を乗り継げっていうの!?」 「心配ご無用!そのスーツの右手にはSU○CAの機能も備わっているからお姉様達がお金 を払う必要はないの、ってミサカはミサカは小さな胸をドンと叩いてみる」 「そんなことじゃなくて!この格好のまま電車に乗れだなんて私達を晒し者にする気? これってもしかして何かの罰ゲーム?」 「私は。巫女装束(このまま)でも別に構わないけど」 「秋沙(あなた)は黙ってて!」 「お姉様はそんなことを心配していたの?ってミサカはミサカは呆れ顔で返答してみる」 「悪かったわね!」 「そのスーツは学園都市の最先端技術が詰め込まれているの、ってミサカはミサカは説明 を続けてみる。 カーボンナノチューブと光学素子を含んだ特殊高分子で織りあげたそのスーツは高い 防弾・防刃・耐爆性能を持つだけでなく、特定の周波数に対応して形と色を変えること ができるの、ってミサカはミサカは少し鼻高々な感じで説明してみる」 「特定の周波数?」 「百聞は一見にしかず。お姉様、『チェンジ!ノーマルモード!』って叫んでみて ってミサカはミサカはお姉様にキラキラした目でお願いしてみる」 「何なのよ、それ?……分かったわよ。……チェンジ。ノーマルモード」 御坂美琴が恥ずかしげに叫ぶとスーツは直視できないほど眩しく発光しだした。 一瞬だが強烈な発光が収まるとそこには常盤台中学の制服を着た御坂美琴がいた。 「えっ、これって常盤台中学(ウチ)の制服?」 「常盤台中学の制服みたいでしょ。でもそれはさっきのスーツが変形変色したものなの。 もっとも防弾・防刃・耐爆性能は元のままだから手触りだけは本物と違っているの ってミサカはミサカは『どう?どう?すごいでしょ!?』って感じで感想を聞いてみる」 「本当だ。手触り以外は本物そっくり。学園都市ってもうこんなのも開発してたんだ」 「素足に見える部分だって実は透明なスーツだし靴もリボンもお姉様愛用の短パンだって スーツが変形したものだから個別に脱ぐことはできないの、ってミサカはミサカは注意 してみる」 「なんで私が履いている短パンまで忠実に再現されてる訳?誰?データをリークしたのは」 「ミサカはこの件には関係ありません とミサカは怒り指数17ポイントUPのお姉様とは視線を合わせずに言い放ちます」 「お姉様はいつもスカートをヒラヒラさせて上条当麻(この人)に短パンを見せてるんだ からそんなに目くじらたてること無いのに、ってミサカはミサカはブウたれてみる」 「ひとを露出狂みたいに言うんじゃない!」 「ボディースーツに戻すときは『チェンジ!バトルモード!』って叫べばいいの ってミサカはミサカはお姉様を無視して説明をまとめてみる」 「もう。わかったわよ」 (11) 「でも気を付けてね。お姉様。 このスーツには口にしてはならない『破滅の言葉』というものがセットされているの。 不用意にその言葉を放つと装着者に恐ろしいことが起こるの。ふふふっ ってミサカはミサカは意味深に警告してみる」 「なっ、何よ!まさか自爆するとか言わないでしょうね?」 「自爆はしないけど機密漏洩防止のため5秒後にスーツは分子単位にまで分解されるの ってミサカはミサカは衝撃の事実を告白してみる」 「それはつまり…………」 「そう。お姉様は素っ裸ってこと!ってミサカはミサカはストレートに話してみたり」 「馬鹿じゃないの!もし何かのはずみでその言葉を言っちゃったらどうすんのよ!」 「大丈夫!『破滅の言葉』はスーツ毎に異なっていてその人が絶対口にしない言葉になっ てるの。例えばお姉様ならこうなの、ってミサカはミサカはお姉様を手招きしてみたり」 近づいた御坂美琴の耳元でラストオーダーが何かを呟くと御坂美琴は顔を真っ赤にした。 御坂美琴は上条を一瞬チラっと見ると「そりゃあ確かにそんなことは絶対に言わないけど……」 などと小声でゴニョゴニョといっている。 「御坂、いったい何だったんだ?」 「うっさいわね。それを今私が言ったら破滅(素っ裸)でしょうが! (まさか破滅の言葉が『当麻を愛してる』だなんて。スーツを脱いでたってアイツに 言える訳ないでしょ……ラストオーダー、憶えてなさい!) ハーッ、やっぱりこんなふざけたスーツを着る気無くしちゃったかも」 「お姉様。慌てる乞食はもらいが少ないの、ってミサカはミサカはことわざを引用してお 姉様を説得してみたりして」 「乞食で悪かったわね」 「そのスーツには身体から発するAIM拡散力場や赤外線や電磁波などを一時的に隠して くれるステルスモードも備わっているの、ってミサカはミサカは追加説明してみる」 「ステルスモード?」 「ステルスモードならお姉様の身体から常にでている電磁波だって一時的に遮断できるの ってミサカはミサカはそれが何を意味するか分かってるでしょって感じで尋ねてみる」 「そのこころは?」 「ヒヨコ触り放題!」 「それを早く言いなさい。 さあ、みんな!すぐ出発するわよ!何ボケーッとしてんのよ。 ヒヨコ達が私達の到着を首をながーーくして待ってるのよ!」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/359.html
「「「「ご飯できたぞー!!」」」」 「「「「「「はーい!!」」」」」」 これが最近の5バカップルの日常である。 ご飯を作るのは女子の仕事なのだが打ち止めは危なかしくって包丁を持たせられないため 一打カップルのは美琴が作っている。 ちなみにパーティーにきた客やその他もろもろはと言うと、 まずイギリス女王ご一行は当たり前だかイギリスに帰った。…アックアも何故か連れていかれたが 次に天草式は五和が大量出血でヤバイらしいので看病だかなんだからしい。 最後に義妹三人組はと言うと、初春は一度学園都市に戻って実家に帰るらしい。佐天はパーティー翌日に帰った。 そして絹旗は…… 「この人が例の五和さんですか。見た目は美人なのに本当に超残念な人というのは」 「絹旗、いくら本人が寝てるからといって本当のことを言うのは良くありませんよ」 5バカップルの邪魔になると思い、天草式十字凄教学園都市支部(仮)と共に行動している絹旗。 念の為、天草式十字凄教学園都市支部(仮)のメンバーは神裂、建宮、五和、対馬、浦上の5名である。 女教皇たる神裂が絹旗を咎めながらも、五和についての印象を否定しないのは何気に酷い話である。 「そもそも絹旗。お前さんがどうしてここにいるのよ? ホントは上条・御坂両家の所で年末年始を過ごすはずだったんだろ?」 建宮の言う通り、絹旗は上琴の両親達にしばらくここにいて年始まで一緒に居ないかと誘われていた。 しかし絹旗は本当は申し出を受け入れたかったのだが、初春と佐天が実家に帰ることを聞いて已む無く断ったのだ。 ―パパさん達とママさん達には超申し訳ないですけど、飾利と涙子が帰ってくるまで学園都市で超待っていたいんです。 そう言った絹旗を見て上琴の両親は残念ではあったが、彼女の意思を尊重した。 でもまあ、二人が帰ってきたら一度遊びに行くとの約束だけは取り付けてはいるが。 理由を話したくない(特に建宮)絹旗は建宮に寂しさを紛らわすと言う名の八つ当たりを始める。 「建宮のくせに超生意気です。私は大事な姉妹にして超親友の飾利を建宮の超いやらしい魔の手から守るために監視してるんですよ」 「ちょ、いやらしいとは失礼なのよな! 俺の飾利姫に対する愛に邪まな感情など……少ししか入ってないのよ」 「建宮、その少しが初春に少しでも害を及ぼすものなら私は迷わずあなたを唯閃で沈めますのでそのつもりで」 「私もプリエステスや絹旗と同じ意見です。建宮さんのようなバカに初春は勿体ないですし」 残る浦上なんかはジト目でこっちを無言で睨んでおり、五和の病室で建宮は女性達による四面楚歌状態だ。 ちなみに絹旗が初春のことを名前で呼んでいるのは一時の別れの前に三人でお互いを名前で呼び合うことを決めたからである。 建宮の相手に飽きた(というか無駄と悟った)神裂は絹旗に尋ねる。 「ですが絹旗。どうせなら初春か佐天、どちらかの実家でご厄介になるくらいは良かったのでは?」 「……実は二人からも超誘われてたんですよ。でも飾利も涙子も超優しいですからきっと気を遣わせるんです。本人達にその気は無くても。それに」 「それに?」 「私は何だかんだで学園都市が超好きなんです。だからここで飾利と涙子が帰ってくるのを待ちます。姉妹として超親友として」 絹旗の頭を優しく撫でてやる神裂はまるで本当の母親のように優しい笑みを浮かべていた。 その姿に感動してボロボロ泣く建宮を絹旗が『窒素装甲』でボッコボコにしてるが見てみぬ振りだ。 とそんな所に…… 「ふぇーやっと風紀委員の仕事終わりましたよ……」 「「「初春(飾利(姫))!?何でここに(超)いるんですか!?」」」 「やだなー皆さん、私一回学園都市に戻るっていってませんでしたっけ?」 言ってた気がする…… 「しずりでぃにたなた!!」 「「だから(超)手を出すなって言ったでしょうが!!」」 「私は蚊帳の外ですか……」 そこで先程まで眠っていた五和が目を覚ます。 五和が目を覚ましたことで初春と五和、二人の出会いを一番恐れていた対馬が五和から離れて残る皆に小声で言う。 「初春、悪いことは言わないから今日の所は回れ右して実家に帰りなさい。あのお姉さんとは目を合わせるのも危険だから」 「つ、対馬、それは五和に対して失礼です……。ですがそうした方がいいかもしれませんね。建宮同様、五和も初春には刺激が強い危険物ですし」 「ちょ! プリエステスそれはあんまりなのよな! 五和と同じはいくらなんでも傷つくのよね! ですが飾利姫、安心するのよ! この建宮斎字が貴女への愛のゲフッ!」 「そうゆう所が超建宮なんですよ。でも皆さんの超言う通りです。飾利は超今すぐ……って飾利は?」 「初春さんならもう五和と顔合わせてますよ」 4人が五和から初春を遠ざけようと話し合いみたいなものをしてる間に浦上の指摘通り、初春は五和の前に立っていた。 5人は緊張した面持ちで二人を見ていたが、二人の空気は思った以上に穏やかだった。 「初めまして五和さん。初春飾利といいます。当麻お兄ちゃんや神裂さん達には良くしてもらってます(この人が当麻お兄ちゃんと美琴お姉さんの障害!)」 「こちらこそよろしくお願いします初春さん。(当麻さんをお兄ちゃんですって! この女も私の敵、隙を見てひねり潰します!)」 表面上は和やかそのものだが、内心では互いに対する敵対心を沸々を燃え上がらせている。 神裂達は初春に何かあったらすぐさま五和を入院延長させる覚悟(つまり攻撃すること)を決めたが、そんなことにはならずに事態は収束する。 「お近づきの印といってはなんですがチョコレートです。どうぞ」 「(チョコレート……怪しいけど、あんな無害な小娘に薬を盛ることなんて出来るわけがありません)ありがとうございます。では早速、モグモグ……グーグー……」 「油断してくれて助かりました。いざという時の為に象も3秒で眠らせる睡眠薬入りのチョコを用意した甲斐がありました♪」 初春の裏モードの恐ろしさを改めて思い知る神裂達だったが、五和が罪を重ねずに済んだことだけは安堵している。 五和が眠ったことを確認した初春は裏モードを解くと、神裂達に実家へ帰る前の挨拶を済ませる。 「実家に帰る前に皆さんの顔を見られて良かったです。来年の3日には帰りますので。ではよいお年を」 「飾利、帰ってきたら涙子と皆で超いっぱい遊びましょうね♪」 「初春、体には充分気をつけて。知らないおじさんに付いていってはいけませんよ。困ったことがあったらいつでも私を呼んで下さい」 「本当なら俺も飾利姫に付いて行きたかったのよ。でも忘れないで欲しいのよな。心はいつでも飾利姫、貴女とあだだだだっ!」 建宮が変な妄言を言い始めたと察した神裂はすぐさま建宮をワイヤーで縛り上げ、対馬、浦上と共に粛清という名のフルボッコを敢行。 粛清をやり終えた三人の晴れやかな笑顔に返り血が付いていたが、耐性が出来た初春と絹旗は気にも留めていなかった。 初春は病室を出ようとするが、何を思ったのか建宮の傍まで歩み寄ると頭を撫でるという行動に出た。 「建宮さん、みなさんのことお願いします……って何でみんなして私の頭を撫でるんですかーーーっ!」 「特に超意味はありません。飾利の頭を超撫でたくなった、それだけです♪」 「わ、私は初春の頭がちょうど撫でやすい位置にあったから撫でただけであって、べ、別に邪な気持ちは……ですよね? 対馬、浦上」 「「その通りです♪」」 目の前の初春を前に絹旗は改めて、対馬と浦上は初めて、神裂は若干の照れは残しつつも初春いじりの楽しさを覚えるのだった。 それを神裂達の粛清で動けない建宮は皆に悟られないように顔を伏せながら、 (ちくしょおおおおおおっ! この体が動けるのならば今すぐ飾利姫の頭を優しく撫でて、そして抱きしめるところなのよ!) 血涙を流しつつ、皆に聞かれたら殺されかねない欲望を胸に抱いていた。 初春が病室を出て実家に向かった頃、4バカップル+打ち止めによるここ最近の通例行事の一方通行いじりが始まっていた。 「にゃー一方通行、お前さん目にくまが出来てるぜい?」 「いつもの事やけど打ち止めちゃんに興奮してたんか~?」 「テメェら殺ス!!」 「俺の右手を無視して能力使えるならな?」 「クッソォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 一方通行が弄られる時には必ず上条の右手が添えられる。 「正真正銘ロリコンですわ~ああ~いやらしい!!」 「本当だよね~♪」 「うちの妹に手を出したら承知しないからね♪」 「ろりこん……」 「貴方にあんなことやこんなこと更にはそんなことまで♪ってミサカはミサカは興奮してみたり♪」 「おいおいみんな、その辺にしとこうぜ。一方通行はロリコンじゃねーんだからよー」 一方通行いじりを諌めた浜面に一方通行は不覚にも泣きそうになったが、それは幻想だと思い知る。 「こいつはな、一方通行はな、そこのチビっ子が好きなんだぞ! そこのチビっ子しか愛せないんだぞ! いわば真実の愛の体現者ってやつだ!」 「「「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」」」」」 「改めてあなたへの愛を感じるってミサカはミサカは頬を染めて見つめてみたり♪」 「がああああああああああっ!! テメエらああああああああああっ!!」 浜面に止めを刺されるという屈辱を味わった一方通行は怒り狂うが、当麻に能力を消されてる状態なので何も出来ない。 しかし一方通行いじりもここまでで、矛先は土御門と青ピへと向けられる。 「でも一方通行君はいいと思うよ。誰かさんは付き合う前はメイドと妹なら何でも萌えてたし、○○くんの守備範囲は異常だったもんね~」 「ちょっと待って欲しいぜよ月夜! もしかしてまだ初春ちゃんの『生粋のシスコンさん』を根に持ってるのか? あんなのデタラメだぜい!」 「でも初春ちゃんの言うことだから信憑性は高いでしょ。その辺もきっちり突き詰めたいのよ、この際」 「つっちーご愁傷様。まあ、その点ボクは安心してええで黒子はん……黒子はん?」 月夜の矛先が土御門に向いたことにより、青ピは完全に油断していた。 しかし今の黒子は噴火する前の火山のようなものだということを彼は知らない。 「○○様。○○様の『異常な』守備範囲について黒子に説明して下さいますか? 場合によっては黒子の良さを年越しで教えて差し上げますわよ」 デルタフォースの2人、大晦日に最大最悪の試練と対峙することに。 「青ピの異常な守備範囲は俺から説明しても良いんだけどさ。」 「にゃー、長すぎてあれを言いきるのは青ピだけだぜい。」 「そうですか。それでは○○様。守備範囲を言ってくださいまし♪」 「黒子こわー」 「お姉さま、茶化さないでくださいまし。ああそれと○○様嘘はお吐きなさらぬようお願いしますの。」 「何でや??」 「学園都市謹製の『嘘発見器』を持ってきたのですが♪どうも嘘を吐くと電気が流れるような仕様になってますの。残念ながら♪」 「全然残念そうじゃないやん!!」 「それいいね~黒子さんあとで元春に使ってもいい?」 「にゃーっ!?」 「もちろん♪喜んでお貸しいたしますの。」 「あっ、黒子そのあと私にも貸して♪」 「美琴サン!?」 「私も使うーってミサカはミサカは言ってみたり♪」 「なンだとォ!!??」 悲劇は拡大する。 使うと言わなかったのは滝壺だけ。 そして5分後。 「さてと、準備が出来ましたし、○○様始めますわよ♪」 「ちょっと黒子はん、ホンマでっか?」 「ええ、○○様の秘密を全て暴き出してみせますわ……ぐふふ♪」 「ひー!?」 「でわ早速質問ですの。」 「ちょっと待って!!ボクまだ死にとうない!!」 「嘘を吐かなければいいんですの。でわ最初の質問ですわ。」 『○○様の守備範囲を全て答えなさい。』 「こんなの屁でもないで?」 かなり余裕の青髪ピアス 「いくで!!」 息を思いっきり吸う青髪ピアス 「ボクぁ落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生教師幼馴染みお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護士さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様二ーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力を持っているんよ??!!」 「一つ明らかに女性ではないのが混ざってますが……?」 『本当』 「ほう……つまりわたくしを一応は迎え入れてる訳ですか……」 複雑な白井だった……。 「じゃあ次は元春の番ね♪」 「にゃにゃ!?」 あっという間に取り付けられる。凍らせて取り付けたのは言うまでもないが。 「さ~てと、全部『いいえ』で答えること。」 「……わかったにゃー。」 「『仕事』で関わりのあった女性で心惹かれた人はいましたか?」 「いいえ。」 土御門に電流は流れるのか!? 「にゃーーーーー!!」 電撃は… 電撃は…? 電撃は…!? 「電撃は流れなかったぜい!!これで月夜一筋だって事が証明されたぜい!!」 「元春~!!疑ってごめん!!」 「にゃー、月夜が分かってくれたならそれでいいぜい!!」 「元春~!!」 「月夜~!!」 そう言ってお二人はお約束のキスをする。 「はまづら、熱い……」 「本当だぜ、全くよお……」 「じゃあ次は当麻ね。」 「本当にやるんですか美琴サン!?」 「男なら文句言わないの!!」 「ひえ~!!分かりました~!!」 「美琴サン?一体ここまでして何を聞きたいんでせうか?」 「え?な、何ってその……//////」 「何で顔赤くしてるんだよ!?」 「いいからこっち来なさい!!装置も持って!!」 「ええ!?人前では話せない質問かよ!?」 そう言いながらも上条は二人の部屋に引きずられるのであった。 「それで美琴さんは一体何を聞きたいんでせうか?」 「えっと、あの、ね。と、当麻はむ、胸の大きなじょ、女性にドキッと……する?」 「(何を言ってるんだ……でも最近は)いいえ。全然。これっぽっちも」 美琴の問いを不思議に思いつつも、当麻は最近の自分を振り返って素直に否定する。 実は当麻、美琴と恋人になってからというもの、他の女性にときめくことが全くと言っていいほど無く、美琴にしかドキドキしなくなっている。 当然ながら電流が流れるわけなど無いのだが、美琴はジッと当麻を見つめる。 「嘘、電流が流れてこない……。じゃあ神裂さんのパーティーの時のメイド姿にも全くドキドキしなかったの?」 「神裂? 何でそこで神裂が出て……ああ、そうゆうことか。美琴、ちょっとこっちに来てくれ」 美琴が答える間も無く当麻は彼女を情熱的に、しかし優しく抱きしめる。 急なことで美琴はドキドキしてしまうが、そこで当麻の早鐘を打つような鼓動をハッキリと感じ取る。 「美琴はもしかしなくても俺がフラグ立てまくりで、他の女にも目が行くとかそんなこと考えてたんだろ?」 「……うん」 「そりゃあまあ、上条さんも健全な男の子ですからそんな時期もありました。でも今は美琴さんにしかドキドキ出来なくなってしまったわけです、この通り」 「ホント? ホントに私にしかンむっ! ふあっ……♪」 変な所で自信が持てない自分の恋人の唇を当麻は自分の唇で塞ぐ。 少しして唇を離した当麻は顔を真っ赤にさせながらも、同じく顔を真っ赤にさせている美琴に言う。 「もう余計な心配は今日で止めよーぜ。俺は美琴にしかドキドキしません! 美琴がいないと寂しくて死にます! 美琴を世界中の誰よりも愛してうわっ!」 「私もっ! 当麻にしかドキドキしない! 当麻がいないと寂しくて死んじゃう! 世界中の誰よりも当麻を愛してる!!」 当麻の言葉が嬉しかった美琴は当麻を部屋のベッドに押し倒し、同じく自分の気持ちを改めて伝えた後でキスをした。 美琴の今年一番と言ってもいい大胆なアプローチに当麻はドキドキしっ放しだが、更なる追い討ちか掛けられる。 「ねえ当麻。私とHなことしたいって思ってくれてる? も、もちろん、そうゆうのはまだ先のことなんだけどさ。私って当麻から見て、その、魅力的?」 「ああああああ当たり前のことを聞かないで下さい! そんなの四六時中考えてますが! もちろん、そうゆうことは時期が来てからだからな?」 「うんうん♪ でもこれで浮気の心配はしなくて良さそう。いやー、今年最後でこんな嬉しいことが聞けるなんて思わなかったわ♪」 「上条さんは今年最後でこんなにドキドキさせられるとは思いませんでしたよ。……そろそろ戻ろうぜ、みんなが心配してるだろうし」 当麻と美琴は腕を絡め合って、4バカップルの待つリビングへと戻っていった。 ちなみに彼らが今いるのは上琴新居で、パーティー以降ずーっとここで年始まで暮らすことになっているのだ。 リビングに戻ってきた上琴が見たものは月夜特製の氷の枷で身動き出来ない一方通行と電話を掛けている打ち止めの姿だった。 「やめろおおおおおおおおおおっ! クソガキテメェあいつに電話したらロクなことになンねェんだぞォ!」 「あ、もしもし初春おねーちゃんってミサカはミサカはあの人の心を一番知れちゃう質問は何かを尋ねてみたり♪」 『アホ毛ちゃん、急にどうしたん――――』 ツーツーツー…… 「何でいきなり圏外に!?ってミサカはミサカは驚いてあちこちに電波を探してみたり!!」 実はこれ、一方通行の仕業である。皆さんご存じ通り一方通行の杖には妨害電波を出すことができる。電話の電波も例外ではない。 「あっ!!何その杖!?ってミサカはミサカは変な電波が出ている杖に興味を持ってみたり!!」 念のため書いておくが打ち止めの能力は電気系である。 「これかァ?仕事の関係で使うンだよォ」 「妨害電波を使う仕事って何!?ってミサカはミサカは貴方の仕事場大丈夫?って心配してみたり!!」 「つっても、一方通行の場合には妨害電波の妨害電波だにゃー。一方通行はどっかからの電波を受信して演算してるからにゃー。」 「へー、どうしてチョーカー使わないと能力使えないか疑問だったんだけどそう言うことか~」 「つまり自分では頭が回らないバカって事だにゃー!!」 カチン 「にゃー?今の音は……?」 「今の音は俺が頭にきた音と電極のスイッチが入った音だァ!!」 「にゃーーーーーーーーー!!」ゴキィ!! 今の音は土御門の首の音である。
https://w.atwiki.jp/deruta_sanbaka/pages/153.html
「「「「ご飯できたぞー!!」」」」 「「「「「「はーい!!」」」」」」 これが最近の5バカップルの日常である。 ご飯を作るのは女子の仕事なのだが打ち止めは危なかしくって包丁を持たせられないため 一打カップルのは美琴が作っている。 ちなみにパーティーにきた客やその他もろもろはと言うと、 まずイギリス女王ご一行は当たり前だかイギリスに帰った。…アックアも何故か連れていかれたが 次に天草式は五和が大量出血でヤバイらしいので看病だかなんだからしい。 最後に義妹三人組はと言うと、初春は一度学園都市に戻って実家に帰るらしい。佐天はパーティー翌日に帰った。 そして絹旗は…… 「この人が例の五和さんですか。見た目は美人なのに本当に超残念な人というのは」 「絹旗、いくら本人が寝てるからといって本当のことを言うのは良くありませんよ」 5バカップルの邪魔になると思い、天草式十字凄教学園都市支部(仮)と共に行動している絹旗。 念の為、天草式十字凄教学園都市支部(仮)のメンバーは神裂、建宮、五和、対馬、浦上の5名である。 女教皇たる神裂が絹旗を咎めながらも、五和についての印象を否定しないのは何気に酷い話である。 「そもそも絹旗。お前さんがどうしてここにいるのよ? ホントは上条・御坂両家の所で年末年始を過ごすはずだったんだろ?」 建宮の言う通り、絹旗は上琴の両親達にしばらくここにいて年始まで一緒に居ないかと誘われていた。 しかし絹旗は本当は申し出を受け入れたかったのだが、初春と佐天が実家に帰ることを聞いて已む無く断ったのだ。 ―パパさん達とママさん達には超申し訳ないですけど、飾利と涙子が帰ってくるまで学園都市で超待っていたいんです。 そう言った絹旗を見て上琴の両親は残念ではあったが、彼女の意思を尊重した。 でもまあ、二人が帰ってきたら一度遊びに行くとの約束だけは取り付けてはいるが。 理由を話したくない(特に建宮)絹旗は建宮に寂しさを紛らわすと言う名の八つ当たりを始める。 「建宮のくせに超生意気です。私は大事な姉妹にして超親友の飾利を建宮の超いやらしい魔の手から守るために監視してるんですよ」 「ちょ、いやらしいとは失礼なのよな! 俺の飾利姫に対する愛に邪まな感情など……少ししか入ってないのよ」 「建宮、その少しが初春に少しでも害を及ぼすものなら私は迷わずあなたを唯閃で沈めますのでそのつもりで」 「私もプリエステスや絹旗と同じ意見です。建宮さんのようなバカに初春は勿体ないですし」 残る浦上なんかはジト目でこっちを無言で睨んでおり、五和の病室で建宮は女性達による四面楚歌状態だ。 ちなみに絹旗が初春のことを名前で呼んでいるのは一時の別れの前に三人でお互いを名前で呼び合うことを決めたからである。 建宮の相手に飽きた(というか無駄と悟った)神裂は絹旗に尋ねる。 「ですが絹旗。どうせなら初春か佐天、どちらかの実家でご厄介になるくらいは良かったのでは?」 「……実は二人からも超誘われてたんですよ。でも飾利も涙子も超優しいですからきっと気を遣わせるんです。本人達にその気は無くても。それに」 「それに?」 「私は何だかんだで学園都市が超好きなんです。だからここで飾利と涙子が帰ってくるのを待ちます。姉妹として超親友として」 絹旗の頭を優しく撫でてやる神裂はまるで本当の母親のように優しい笑みを浮かべていた。 その姿に感動してボロボロ泣く建宮を絹旗が『窒素装甲』でボッコボコにしてるが見てみぬ振りだ。 とそんな所に…… 「ふぇーやっと風紀委員の仕事終わりましたよ……」 「「「初春(飾利(姫))!?何でここに(超)いるんですか!?」」」 「やだなー皆さん、私一回学園都市に戻るっていってませんでしたっけ?」 言ってた気がする…… 「しずりでぃにたなた!!」 「「だから(超)手を出すなって言ったでしょうが!!」」 「私は蚊帳の外ですか……」 そこで先程まで眠っていた五和が目を覚ます。 五和が目を覚ましたことで初春と五和、二人の出会いを一番恐れていた対馬が五和から離れて残る皆に小声で言う。 「初春、悪いことは言わないから今日の所は回れ右して実家に帰りなさい。あのお姉さんとは目を合わせるのも危険だから」 「つ、対馬、それは五和に対して失礼です……。ですがそうした方がいいかもしれませんね。建宮同様、五和も初春には刺激が強い危険物ですし」 「ちょ! プリエステスそれはあんまりなのよな! 五和と同じはいくらなんでも傷つくのよね! ですが飾利姫、安心するのよ! この建宮斎字が貴女への愛のゲフッ!」 「そうゆう所が超建宮なんですよ。でも皆さんの超言う通りです。飾利は超今すぐ……って飾利は?」 「初春さんならもう五和と顔合わせてますよ」 4人が五和から初春を遠ざけようと話し合いみたいなものをしてる間に浦上の指摘通り、初春は五和の前に立っていた。 5人は緊張した面持ちで二人を見ていたが、二人の空気は思った以上に穏やかだった。 「初めまして五和さん。初春飾利といいます。当麻お兄ちゃんや神裂さん達には良くしてもらってます(この人が当麻お兄ちゃんと美琴お姉さんの障害!)」 「こちらこそよろしくお願いします初春さん。(当麻さんをお兄ちゃんですって! この女も私の敵、隙を見てひねり潰します!)」 表面上は和やかそのものだが、内心では互いに対する敵対心を沸々を燃え上がらせている。 神裂達は初春に何かあったらすぐさま五和を入院延長させる覚悟(つまり攻撃すること)を決めたが、そんなことにはならずに事態は収束する。 「お近づきの印といってはなんですがチョコレートです。どうぞ」 「(チョコレート……怪しいけど、あんな無害な小娘に薬を盛ることなんて出来るわけがありません)ありがとうございます。では早速、モグモグ……グーグー……」 「油断してくれて助かりました。いざという時の為に象も3秒で眠らせる睡眠薬入りのチョコを用意した甲斐がありました♪」 初春の裏モードの恐ろしさを改めて思い知る神裂達だったが、五和が罪を重ねずに済んだことだけは安堵している。 五和が眠ったことを確認した初春は裏モードを解くと、神裂達に実家へ帰る前の挨拶を済ませる。 「実家に帰る前に皆さんの顔を見られて良かったです。来年の3日には帰りますので。ではよいお年を」 「飾利、帰ってきたら涙子と皆で超いっぱい遊びましょうね♪」 「初春、体には充分気をつけて。知らないおじさんに付いていってはいけませんよ。困ったことがあったらいつでも私を呼んで下さい」 「本当なら俺も飾利姫に付いて行きたかったのよ。でも忘れないで欲しいのよな。心はいつでも飾利姫、貴女とあだだだだっ!」 建宮が変な妄言を言い始めたと察した神裂はすぐさま建宮をワイヤーで縛り上げ、対馬、浦上と共に粛清という名のフルボッコを敢行。 粛清をやり終えた三人の晴れやかな笑顔に返り血が付いていたが、耐性が出来た初春と絹旗は気にも留めていなかった。 初春は病室を出ようとするが、何を思ったのか建宮の傍まで歩み寄ると頭を撫でるという行動に出た。 「建宮さん、みなさんのことお願いします……って何でみんなして私の頭を撫でるんですかーーーっ!」 「特に超意味はありません。飾利の頭を超撫でたくなった、それだけです♪」 「わ、私は初春の頭がちょうど撫でやすい位置にあったから撫でただけであって、べ、別に邪な気持ちは……ですよね? 対馬、浦上」 「「その通りです♪」」 目の前の初春を前に絹旗は改めて、対馬と浦上は初めて、神裂は若干の照れは残しつつも初春いじりの楽しさを覚えるのだった。 それを神裂達の粛清で動けない建宮は皆に悟られないように顔を伏せながら、 (ちくしょおおおおおおっ! この体が動けるのならば今すぐ飾利姫の頭を優しく撫でて、そして抱きしめるところなのよ!) 血涙を流しつつ、皆に聞かれたら殺されかねない欲望を胸に抱いていた。 初春が病室を出て実家に向かった頃、4バカップル+打ち止めによるここ最近の通例行事の一方通行いじりが始まっていた。 「にゃー一方通行、お前さん目にくまが出来てるぜい?」 「いつもの事やけど打ち止めちゃんに興奮してたんか~?」 「テメェら殺ス!!」 「俺の右手を無視して能力使えるならな?」 「クッソォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 一方通行が弄られる時には必ず上条の右手が添えられる。 「正真正銘ロリコンですわ~ああ~いやらしい!!」 「本当だよね~♪」 「うちの妹に手を出したら承知しないからね♪」 「ろりこん……」 「貴方にあんなことやこんなこと更にはそんなことまで♪ってミサカはミサカは興奮してみたり♪」 「おいおいみんな、その辺にしとこうぜ。一方通行はロリコンじゃねーんだからよー」 一方通行いじりを諌めた浜面に一方通行は不覚にも泣きそうになったが、それは幻想だと思い知る。 「こいつはな、一方通行はな、そこのチビっ子が好きなんだぞ! そこのチビっ子しか愛せないんだぞ! いわば真実の愛の体現者ってやつだ!」 「「「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」」」」」 「改めてあなたへの愛を感じるってミサカはミサカは頬を染めて見つめてみたり♪」 「がああああああああああっ!! テメエらああああああああああっ!!」 浜面に止めを刺されるという屈辱を味わった一方通行は怒り狂うが、当麻に能力を消されてる状態なので何も出来ない。 しかし一方通行いじりもここまでで、矛先は土御門と青ピへと向けられる。 「でも一方通行君はいいと思うよ。誰かさんは付き合う前はメイドと妹なら何でも萌えてたし、○○くんの守備範囲は異常だったもんね~」 「ちょっと待って欲しいぜよ月夜! もしかしてまだ初春ちゃんの『生粋のシスコンさん』を根に持ってるのか? あんなのデタラメだぜい!」 「でも初春ちゃんの言うことだから信憑性は高いでしょ。その辺もきっちり突き詰めたいのよ、この際」 「つっちーご愁傷様。まあ、その点ボクは安心してええで黒子はん……黒子はん?」 月夜の矛先が土御門に向いたことにより、青ピは完全に油断していた。 しかし今の黒子は噴火する前の火山のようなものだということを彼は知らない。 「○○様。○○様の『異常な』守備範囲について黒子に説明して下さいますか? 場合によっては黒子の良さを年越しで教えて差し上げますわよ」 デルタフォースの2人、大晦日に最大最悪の試練と対峙することに。 「青ピの異常な守備範囲は俺から説明しても良いんだけどさ。」 「にゃー、長すぎてあれを言いきるのは青ピだけだぜい。」 「そうですか。それでは○○様。守備範囲を言ってくださいまし♪」 「黒子こわー」 「お姉さま、茶化さないでくださいまし。ああそれと○○様嘘はお吐きなさらぬようお願いしますの。」 「何でや??」 「学園都市謹製の『嘘発見器』を持ってきたのですが♪どうも嘘を吐くと電気が流れるような仕様になってますの。残念ながら♪」 「全然残念そうじゃないやん!!」 「それいいね~黒子さんあとで元春に使ってもいい?」 「にゃーっ!?」 「もちろん♪喜んでお貸しいたしますの。」 「あっ、黒子そのあと私にも貸して♪」 「美琴サン!?」 「私も使うーってミサカはミサカは言ってみたり♪」 「なンだとォ!!??」 悲劇は拡大する。 使うと言わなかったのは滝壺だけ。 そして5分後。 「さてと、準備が出来ましたし、○○様始めますわよ♪」 「ちょっと黒子はん、ホンマでっか?」 「ええ、○○様の秘密を全て暴き出してみせますわ……ぐふふ♪」 「ひー!?」 「でわ早速質問ですの。」 「ちょっと待って!!ボクまだ死にとうない!!」 「嘘を吐かなければいいんですの。でわ最初の質問ですわ。」 『○○様の守備範囲を全て答えなさい。』 「こんなの屁でもないで?」 かなり余裕の青髪ピアス 「いくで!!」 息を思いっきり吸う青髪ピアス 「ボクぁ落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生教師幼馴染みお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護士さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様二ーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力を持っているんよ??!!」 「一つ明らかに女性ではないのが混ざってますが……?」 『本当』 「ほう……つまりわたくしを一応は迎え入れてる訳ですか……」 複雑な白井だった……。 「じゃあ次は元春の番ね♪」 「にゃにゃ!?」 あっという間に取り付けられる。凍らせて取り付けたのは言うまでもないが。 「さ~てと、全部『いいえ』で答えること。」 「……わかったにゃー。」 「『仕事』で関わりのあった女性で心惹かれた人はいましたか?」 「いいえ。」 土御門に電流は流れるのか!? 「にゃーーーーー!!」 電撃は… 電撃は…? 電撃は…!? 「電撃は流れなかったぜい!!これで月夜一筋だって事が証明されたぜい!!」 「元春~!!疑ってごめん!!」 「にゃー、月夜が分かってくれたならそれでいいぜい!!」 「元春~!!」 「月夜~!!」 そう言ってお二人はお約束のキスをする。 「はまづら、熱い……」 「本当だぜ、全くよお……」 「じゃあ次は当麻ね。」 「本当にやるんですか美琴サン!?」 「男なら文句言わないの!!」 「ひえ~!!分かりました~!!」 「美琴サン?一体ここまでして何を聞きたいんでせうか?」 「え?な、何ってその……//////」 「何で顔赤くしてるんだよ!?」 「いいからこっち来なさい!!装置も持って!!」 「ええ!?人前では話せない質問かよ!?」 そう言いながらも上条は二人の部屋に引きずられるのであった。 「それで美琴さんは一体何を聞きたいんでせうか?」 「えっと、あの、ね。と、当麻はむ、胸の大きなじょ、女性にドキッと……する?」 「(何を言ってるんだ……でも最近は)いいえ。全然。これっぽっちも」 美琴の問いを不思議に思いつつも、当麻は最近の自分を振り返って素直に否定する。 実は当麻、美琴と恋人になってからというもの、他の女性にときめくことが全くと言っていいほど無く、美琴にしかドキドキしなくなっている。 当然ながら電流が流れるわけなど無いのだが、美琴はジッと当麻を見つめる。 「嘘、電流が流れてこない……。じゃあ神裂さんのパーティーの時のメイド姿にも全くドキドキしなかったの?」 「神裂? 何でそこで神裂が出て……ああ、そうゆうことか。美琴、ちょっとこっちに来てくれ」 美琴が答える間も無く当麻は彼女を情熱的に、しかし優しく抱きしめる。 急なことで美琴はドキドキしてしまうが、そこで当麻の早鐘を打つような鼓動をハッキリと感じ取る。 「美琴はもしかしなくても俺がフラグ立てまくりで、他の女にも目が行くとかそんなこと考えてたんだろ?」 「……うん」 「そりゃあまあ、上条さんも健全な男の子ですからそんな時期もありました。でも今は美琴さんにしかドキドキ出来なくなってしまったわけです、この通り」 「ホント? ホントに私にしかンむっ! ふあっ……♪」 変な所で自信が持てない自分の恋人の唇を当麻は自分の唇で塞ぐ。 少しして唇を離した当麻は顔を真っ赤にさせながらも、同じく顔を真っ赤にさせている美琴に言う。 「もう余計な心配は今日で止めよーぜ。俺は美琴にしかドキドキしません! 美琴がいないと寂しくて死にます! 美琴を世界中の誰よりも愛してうわっ!」 「私もっ! 当麻にしかドキドキしない! 当麻がいないと寂しくて死んじゃう! 世界中の誰よりも当麻を愛してる!!」 当麻の言葉が嬉しかった美琴は当麻を部屋のベッドに押し倒し、同じく自分の気持ちを改めて伝えた後でキスをした。 美琴の今年一番と言ってもいい大胆なアプローチに当麻はドキドキしっ放しだが、更なる追い討ちか掛けられる。 「ねえ当麻。私とHなことしたいって思ってくれてる? も、もちろん、そうゆうのはまだ先のことなんだけどさ。私って当麻から見て、その、魅力的?」 「ああああああ当たり前のことを聞かないで下さい! そんなの四六時中考えてますが! もちろん、そうゆうことは時期が来てからだからな?」 「うんうん♪ でもこれで浮気の心配はしなくて良さそう。いやー、今年最後でこんな嬉しいことが聞けるなんて思わなかったわ♪」 「上条さんは今年最後でこんなにドキドキさせられるとは思いませんでしたよ。……そろそろ戻ろうぜ、みんなが心配してるだろうし」 当麻と美琴は腕を絡め合って、4バカップルの待つリビングへと戻っていった。 ちなみに彼らが今いるのは上琴新居で、パーティー以降ずーっとここで年始まで暮らすことになっているのだ。 リビングに戻ってきた上琴が見たものは月夜特製の氷の枷で身動き出来ない一方通行と電話を掛けている打ち止めの姿だった。 「やめろおおおおおおおおおおっ! クソガキテメェあいつに電話したらロクなことになンねェんだぞォ!」 「あ、もしもし初春おねーちゃんってミサカはミサカはあの人の心を一番知れちゃう質問は何かを尋ねてみたり♪」 『アホ毛ちゃん、急にどうしたん――――』 ツーツーツー…… 「何でいきなり圏外に!?ってミサカはミサカは驚いてあちこちに電波を探してみたり!!」 実はこれ、一方通行の仕業である。皆さんご存じ通り一方通行の杖には妨害電波を出すことができる。電話の電波も例外ではない。 「あっ!!何その杖!?ってミサカはミサカは変な電波が出ている杖に興味を持ってみたり!!」 念のため書いておくが打ち止めの能力は電気系である。 「これかァ?仕事の関係で使うンだよォ」 「妨害電波を使う仕事って何!?ってミサカはミサカは貴方の仕事場大丈夫?って心配してみたり!!」 「つっても、一方通行の場合には妨害電波の妨害電波だにゃー。一方通行はどっかからの電波を受信して演算してるからにゃー。」 「へー、どうしてチョーカー使わないと能力使えないか疑問だったんだけどそう言うことか~」 「つまり自分では頭が回らないバカって事だにゃー!!」 カチン 「にゃー?今の音は……?」 「今の音は俺が頭にきた音と電極のスイッチが入った音だァ!!」 「にゃーーーーーーーーー!!」ゴキィ!! 今の音は土御門の首の音である。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1776.html
「…で、本当に高校生なのか?」 「高校生です! ほら、ちゃんと学生証にも書いてあるでしょ。」 翔太が財布から出した学生証をじっと見ているショチトル。 すると、納得したような顔で今度は結標を見た。 「次の質問だが、本当にこいつはお前の彼氏なのか?」 「失礼ね、翔太は私の紛れも無い彼氏よ。」 「まあ、ショタコンな結標にはお似合いな相手だにゃー」 土御門が茶々を入れた瞬間、土御門のみが発火した。 「淡希を悪く言うなら…容赦しないよ、土御門君」 「にゃーぁぁぁあ!!!」 「うわ~、人ってこんな風に燃えるんだーってミサカはミサカは感心してみたり!」 「今のは元春が悪いから…反省しなさい!」 「つーかよォ、翔太、能力コントロールしてねェか? 燃えてンの土御門だけだしな」 「それは愛の力だよ!ってミサカはミサカは主張してみたり!」 「そういやエツァリもショチトルも練習のほうはどうなってるんだにゃー?」 「偵察のつもりですか?自分たちの現状を敵に伝えるわけ無いでしょう?」 「やっぱだめかにゃー。あ、そうだそっちはどんな制限があるんだにゃー?」 「「制限?」」 「(そんなものありましたか、ショチトル?)」 「(あるわけ無いだろう。………そういえばクラスの奴が言ってたな。高レベル者には特別ルールを設けるとか)」 「(本当ですか!?そんな制限があるなら一方通行もそこまで厄介でなくなる!)」 「(そもそも私たちは魔術だから制限を受けなくてすむ!)」 二人は思ったこの勝負もらったと しかし二人の思惑どおりにことは運ばない。なぜなら…… 「…………もしかしてお前ら……制限ねェな?」 「「(!!!!!!!!!!??)」」 「まじかにゃー!?魔術使い放題なんて!勝てるわけないぜよ!!」 「それってちょっとずるくない?ね、元春?」 「「月夜(コイツ)の言うとおりだにゃー(なァ)」」 「(ちょっとまずいんじゃないんですか?これって)」 「(いやしかし。魔術に対して学園都市の競技で制限をかけるなど…)」 「土御門…一体何をしているんですか?」 「小萌せんせーに電話だにゃー。あ、つながった」 『土御門ちゃんですかぁ~?一体なんのようでしょう?』 「いやーじつはだにゃー………」 土御門は留学生の二人がものを分解する能力を持っているので球技大会で制限をかけてほしい。というむねを伝えた。 『そういうことですか。わかりました、ほかの先生とも相談してできるだけ早めに決めるのですよ~練習にも影響しますからね~。』 「頼んだぜい。小萌せんせい!」 「「「「…………………………………………………………………………」」」」 「「チクショォォォォおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」 「「ざま(ァ)みやがれ(ェ)ええええええええええええええ!!!!」」 とにかくみんな、勝負は公平に正々堂々やろうね! ………実は制限がかかっていないものがいる。みなさま上条を思うメイド(より正確には見習い)を忘れていないだろうか? 上条当麻にためにも何も起きなければいいがたぶん無理だろう。結局不幸が待っているハズだ……… 「土御門さん、あなたって人はまったく……」 「ありゃりゃ? さっきの反応から堪えてるかと思ったがそうでもなさそうだにゃー」 「それはそうですよ。自分たちは元からトラウィ(以下略)はバッティングの時しか使うつもりはありませんでしたから」 その言葉に土御門はちょっと驚いていた、何せエツァリのことだからトラウィ(以下略)を当麻に平然と向けると思って小萌に電話をしたのだから。 エツァリの心変わり(?)をカミやん効果の一つと思った土御門、安心したのか月夜を伴って席を立つ。 「じゃあオレらは今から冥土帰しの所へ行ってくるぜい。パパっと診てもらって明日の練習に備えたいからにゃー」 「じゃあお先に~」 月夜が操作している雪に冷やされながら、土白は自分たちの食事代を置いて冥土帰しの病院へと向かった。 一方通行が土白の置いていったお金が足りるかどうか確認していると、彼の携帯が鳴ったので面倒臭そうにしながらも出た。 「アァ? いったいどこのどちら様で」 『こっの馬鹿アクセラーーーーーーーーっ!! 美咲華連れてどこほっつき歩いてるじゃんよーーーっ!』 「~~~~~~~~~っ! よ、黄泉川かァ? 何バカでけェ声張り上げてンだァ!」 『でかい声にもなるじゃんよ! 今日は桔梗の食事当番だから早く帰って来いって言っといただろ! 桔梗、そろそろマジで美咲華の捜索願い出しそうなんだぞ!』 電話越しの黄泉川の大声に耳を押さえながら一方通行はしまったという表情をした、芳川が食事当番の日は絶対に寄り道してはいけないのだ。 打ち止めを養子にした芳川、母親としての今の生活が大層気に入っており、打ち止めこと美咲華とのふれ合いが楽しくてしょうがない現状である。 自分のキャラじゃないと思いつつも、一方通行も打ち止めと芳川の親子の雰囲気はとても気に入っていたりする。 「……悪ィ、今からすぐ帰っからよォ、芳川にあと少しだけ待つように伝えとけ」 『さっさとしろよ! ったくこの不良息子が』 「だ、誰か不良息子だコラァ! ……クソッ、切りやがった。つーわけだ、俺らも帰らせてもらうぜ」 「じゃーねーってミサカはミサカは後でどうお母さんに謝ろうか真剣に考えてみたり」 一打も自分たちの食事代をテーブルの上に置くと、家族団欒の為に大急ぎで自分たちの家へと帰るのだった。 そして翔太も淡希との別れを名残惜しそうにしながらも自分の寮へと帰って行った。 「みんな行ってしまいましたね。ところで結標さん、貴女には制限はかかっていないんですか?」 「かかってるに決まってるでしょ。相手への【座標移動】使用禁止、【座標移動】による得点は12点まで、マッチポイントでの【座標移動】使用禁止。以上よ」 「まあ淡希の場合は能力が能力なだけに当然の措置だろうな。だが他の高レベル能力者も条件は同じ、何とかなるだろう」 ショチトルは知らない、厳しく制限をされているのはごく一部の生徒でそれ以外の高レベル能力者は相手に対する直接使用を禁止されてる程度だということに。 前者に当てはまるのは一方通行、結標、月夜、心理掌握、真夜、赤音、数名の一年生程度、残りは後者である(翔太も)。 現状把握出来た結標、エツァリ、ショチトルは10分ほどゆっくりした後で帰ろうとしていたのだが、 「よかった~探してたんですよエツァリさん!」 エツァリが野球の助っ人に要請した五和がファミレスに入ってきた、メイド服で。 「ちょ、ちょっとエツァリ、あんた人の許可無く助っ人なんで頼んでたの! どう言い訳するつもりよ! しかもこの女、確か魔術師よね?」 「ああ、貴女はヴィリアン様が教会にお越しになられた時に居た方ですね。心配無用です。繚乱家政女学校の実地研修の下見ってことで話ついてますから」 「結標さん、天草式は身体能力は非常に高く魔術使う必要も無い、制限も無いということです。これ以上無い助っ人ですよ。ところで五和さん、何か用ですか?」 「(当麻さんと愛のベースボール……うふふっ♪)……はっ、そ、そうでした! お願いです、誰かキャッチャー出来る人を用意して下さい!」 目の前のメイドが図々しいことを言ってるなぁと思った3人だが、ピッチャーを進んで買って出てくれたので文句は無かったりする。 エツァリが五和に頼みごとの理由を尋ねる前に五和自らここに至るまでの経緯を語り出した。 「実はエツァリさんから要請があった後、私は相棒となるキャッチャーを天草式学園都市支部のメンバーに頼みに行ったんです」 「必要悪の教会の皆さんには要請しようと思わなかったんですか?」 「インデックスさんは暴食しか取り柄無さそうですし、ステイルさんは体躯は素晴らしいですけど肺は真っ黒、シェリーさんは初春さん派、闇咲さんは教師で当日は忙しいでしょうから……」 闇咲以外の理由に色々と突っ込みたい結標、エツァリ、ショチトルだったが話が長そうだったので黙認することに。 「それでまずは頼みやすい対馬さんと浦上さんの所へ行ったんですけど……私が何か言う前に二人揃って『断る、帰って』ですよ! あんまりです!」 「(おそらく普段の行動、それとそのメイド服から嫌な予感がしたんだろうな)それで? お前はすごすごと帰ったのか?」 「いえ、ちゃんと聞いてくれましたよ。気のせいか物凄く嫌そうな顔をしながら、ですけど。そうしたらちゃんとした理由を言ってくれたから諦めましたよ」 対馬と浦上が断った理由、それは自分たちを見て元・常盤台の一年女子が怯えて球技大会に専念出来ないだろうという配慮ゆえである。 エツァリとショチトルは二人の天草式魔術師を脅威と思うことにした、理由はかなりしょうもない気はするが。 「となると残るは教皇代理の建宮斎字と女教皇の神裂火織ですね。お二人は“ダンッ!”ど、どうしたんですか?」 「あの二人は……あの二人は……あー! 思い出しても納得行きません! ウエイトレスさん、カツ丼とオムライスとチャーシューメンとペペロンチーノとドリア!」 怒りに震えながらも注文してる五和に引きながらもエツァリは神裂と建宮が断った理由を尋ねたがそれは五和に少なからず同情する内容でこのような感じである。 ―五和、それは無理です。当日私はその球技大会を飾利と一緒に見学するのですから♪ 当然でしょう、飾利のお姉ちゃんたる私にとって貴女の頼みごとは優先すべき事項ではありませんから。 ―悪いな五和、当日の俺は飾利姫のお弁当を作り、姫をお守りするという重要任務があるのよ。まあ約束はしてないが貴重な飾利姫との一時とお前さんの頼み、秤にかけるまでもなく姫を選ぶがな。 とまあ、同じ天草式十字凄教の仲間より初春を選んだ神裂と建宮だった。 もっとも、初春のことを無しにしたとしても当麻絡みでの五和は信用を置けないのも事実であり、おそらく何かしらの理由をつけて断っていただろうが。 「あーもうっ! 初春さんが羨ましいっ! 天草式のアイドルポジションを奪ったあの人に取って代わりたいっ! それより料理とキャッチャーはまだですか!」 (厄介なのを引き込んじゃってくれたわね、エツァリの奴。……そういえば土御門が言ってわね、五和って女は腕が立つって。となるとキャッチャーもそれなりの奴を用意しないと) 「どうするんだ? 淡希。私もエツァリもあのメイドの要望に応えられる人物に心当たりが無いぞ」 ショチトルに急かされる結標、どうしようか本気で悩み始めた時にふと外を見やると都合のいい人物が視界に入る。 結標はエツァリ、ショチトル、五和に少し待ってもらうように言った後で【座標移動】で店外に居た白い学ラン姿の少年の前へと躍り出るのだった。 「ん、誰だ?」 「久しぶりね、削板軍覇。 サバイバルの時以来かしら?」 白い学ランの姿の少年こと、削板軍覇はいきなり現れた結標の顔をじっと覗き込んだ。 そして何かに気付いた様にこう言った。 「お前は………誰だ!」 その瞬間、結標は盛大にずっこけた。 「…覚えてなかったのね…」 結標はそう呟くとすぐに削板に軽く自己紹介をし、頼みごとを言った。 ちなみに、途中で削板が聞いてなかったりしたため、説明は何度もしていたのであった。 「……はぁ…はぁ……わかったかしら……」 「なるほど、要約すれば野球のキャッチャーとしてでてほしいというわけだな。 頼まれたら仕方ねえ、やってやるぜぇぇぇ!!!!!」 ようやく、交渉が成功したと思い、結標はホッと胸をなでおろした。 しかし、彼女は気付かなかった。 彼女のクラスメイトたち(エツァリやショチトル、五和も含む)は今日から球技大会までずっと根性の話をさせられ、ろくに練習ができなくなることを… ―――――――――― 「はいっ、終わりましたよ火織お姉ちゃん」 「ありがとうございます飾利。ああ、貴女に髪を洗ってもらうことがこんなに幸せだとは思いがけない発見です」 所変わってこちらは教会寄宿舎の大浴場の女湯、いい年した神裂が初春に髪を洗ってもらっていた。 ちなみにこれは神裂がねだったわけではなく初春が寄宿舎入りして以来、すすんでやってくれていることで既に湯船に浸かっているシェリーも洗ってもらっている。 体も洗い終わっている二人は先客がいる湯船へと身を沈めようとすると、 「飾利ー、いつもありがとな。さ、こっちにおいで♪」 「シェリー、どうやら貴女はのぼせてしまったようですね。早く上がって冷水を倒れるまで浴び続けなさい」 「……神裂テメェこの野郎、そうやって飾利を独り占めにする気だろ。魂胆が透けて見えんだよ、この老け顔エロ女教皇」 「老け……っ! 飾利が年相応に見え、世界一可愛いお姉ちゃんと褒めてくれた私の顔を……! 金髪ガングロ婆やのくせに」 初春バカの神裂とシェリーによる、初春を巡る喧嘩が勃発するが内容自体はただのガンの飛ばし合いなので至って平和的だ。 当の本人の初春はというと神裂の脳内補正に苦笑しつつ、その場を離れてもう一人の先客の隣に腰を下ろす。 「インデックスさん、すみませんけどお二人のじゃれ合いが終わるまで避難させて下さい」 「私は全然構わないんだよ。それにしてもかざりも大変だね、かおりとシェリーの喧嘩の原因にされて。少し同情するかも」 「もう慣れっこですよ、あれくらいなら。それよりインデックスさんは少し元気無さそうに見えますけど……あのこと気にしてます?」 そう、インデックスは第一七七支部でのある出来事に少し落ち込んでいた。 とはいってもステイルが張り切って作り過ぎた料理を平気で食べ切る辺りは流石だが。 「それってみいの事?」 「他に思い当たる節がありませんよ。牛乳プリンとムサシノ牛乳の件は泣く泣くですけど固法先輩が許してくれたから気にしなくても」 「うん、そのことは悪いとは思ってるけどみいも許してくれたから気にはしてないんだよ。それに私一人じゃなくてさいあいとつしまも同罪だし」 実は巡回を終えた後で訪れた第一七七支部、そこにあった固法専用冷蔵庫の牛乳プリン20個とムサシノ牛乳4パックを空にしてしまったのだ。 ただし今回はインデックスだけでなく、胸のことを気にしている絹旗と対馬もこの件に荷担している。 あまりのショックに怒りを通し越してさめざめと泣き出した固法の哀愁漂う姿を初春はしばらくは忘れられないだろう。 「え? それじゃあインデックスさんはキャッ! な、何するんですか!」 「むむ……。かざり、かざりは私より少し大きい程度の胸の大きさなのにどうしてみいの胸に理不尽を感じないの? あれは格差社会の象徴なんだよ!」 「か、格差だなんてそんな大げさな……。確かに固法先輩の胸は時々はずるいって思いますけど私もインデックスさんもこれから成長するんですから気にし」 初春が全て言い終わる前にインデックスが彼女の肩に両手をそっと置くと、首を横に振って厳しい現実を突きつける。 「そうは言ってもねかざり、成長してる人は成長してるんだよ。私たちと同じくらいの年で成長してるみこととるいことはもう一線を画す寸前かも」 「だ、大丈夫ですよ! 私達だってこれから身長も胸もおっきくなります! 何事も諦めたら全て終わりなんですよ! だからインデックスさんも元気出しましょう!」 「……かざり、ありがとうなんだよ。そうだよ、私たちだってこれからが勝負なんだよ! そしていつかはかお…………つきよくらいには成長してるかも」 初春の言葉で完全に元気になったインデックス、自分の成長の目標を神裂ではなく月夜に置く辺りは現実的かもしれない。 その後、喧嘩を終えた神裂とシェリーが合流するとインデックスと初春は二人に胸が大きくなるコツなどを聞き始めるのだった。 ―――――――――― 4人のガールズトーク(?)を大浴場の外でステイルと建宮が聞いていた、顔を真っ赤にさせながら。 しかし二人は覗きをしてるわけではなくステイルはインデックス、建宮は初春を覗きの魔の手から守っている最中なのだ。 だが今、二人の想い人のインデックスと初春(ついでに神裂とシェリー)が胸のことでワイワイと話しているとあって警備どころでは無くなりつつある。 「……………」 「………」 風呂場の前で立ちすくんでいるステイルと建宮。 風呂場の中の会話を聞いてしまい、二人とも真っ赤になっていた。 「あの二人は……」 「ああ、女教皇様とシェリーの事よな… どちらかに男ができればな……」 そう呟いた建宮につられて神裂とシェリーが男と歩いている姿を想像してみるステイル。 「………思いつかない!」 後日、この話が神裂とシェリーにばれてボコボコにされてしまうのはまた別の話。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2708.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第3章 ①シスターと天草式 第六学区のアミューズメント施設での激闘が終わってから一週間、あれほどの騒ぎがマスコミなどで取り立たされることはなかった。 被害者が一人もいなかったこともあるかもしれないが、それにしたって全く情報が出てこないのはおかしい。 やはり学園都市の上層部が情報規制を敷いたことに間違いはなさそうだった。 だが上条と美琴にとってそのことが特に害があるわけではないので 無事に退院した上条は恋人でパートナーである美琴と共に平穏で幸せな時を過ごしていた。 そしてこの日も上条は美琴と一緒に夕飯の買出しに出掛け、上条の寮に戻るところだった。 しかし二人の平穏な時間は長く続くことはないらしい。 「ねえ、当麻…」 「…いいのか、関わったら十中八九碌な目に遭わないぞ」 「でも当麻は手を差し伸べたいと思ってるんでしょ。 大丈夫、私はそんな当麻のことを愛してるんだから…」 「美琴…」 完全に二人の世界に入ってる上条と美琴だが、二人の先には真っ黒な修道服に身を包んだ女性が辺りをキョロキョロと見渡している。 宗教関係者…上条と美琴が共通で知っているのは銀髪のシスターと赤髪の神父だけだが、二人とも所謂裏の世界に通じる人間だった。 そのせいか二人、特に上条にとって宗教関係者は鬼門であり自分から関わるのには少し勇気がいる人間である。 それは完全に上条の偏見なのだが、恋人である美琴が傍にいる状況なのでどうしても慎重にならざるを得ない。 しかし前方にいるシスターが纏っている気配は特に邪なもの感じさせない、何というか本当に神職者を思わせるものだった。 「ハ、ハロー」 「あら日本人のようにお見受けしますが、英語で話したほうがよろしいのでしょうか?」 「の、ノー!!」 思わず片言の英語で返事をしてしまう上条だったが、明らかな外人であるシスターが日本語を喋れることに安心する。 何故か上条に関わりがある外人は日本語が話せる者ばかりなのだが、上条にとってそれに越したことはない。 「あの困ってるように見えたんですけど、何かあったんですか?」 「やはり日本語のほうがよろしいんですね?」 「あっ、はい」 「しかし学園都市というのは凄いところでございますね。 街中を自動で掃除する機械が徘徊しているなんて」 「外から来たなら珍しく感じるかもしれないですね」 「ええ、実は少々立て込んだ事情に巻き込まれておりまして…」 少し前の質問に答えるシスターの会話の独特のテンポに戸惑いながらも、 上条はやはり何かにシスターが巻き込まれていることに少し辟易としながらも詳しい事情を聞こうとする。 「何かあったなら話してもらえませんか? 力になれるかもしれないですから…」 「やはり学園都市の技術は進んでいるのでございますね」 「だー、何だこのシスター!? 会話のリズムが掴みづれー!!」 「と、当麻、落ち着いて!!」 今まで何となくシスターが放つ雰囲気に敬語を使っていた上条だったが、シスターの会話のリズムに頭が混乱し始める。 「実は私、追われているのでございます」 その言葉に上条と美琴の緊張感が高まる。 そして宗教関係者の人間を追っていると聞くと、何となくだが思い当たる節は一つしかなかった。 「追われてるって、もしかして魔術師にか?」 「魔術師のことをご存知なのですか?」 やっと会話が追いついたシスターの表情を見据えて上条は答えた。 「少しばかり縁があってな。 それよりも魔術師に追われて学園都市に来たなら、まあ回答としては間違いじゃない。 だけど思っているよりも学園都市の警備はザルだ。 何か当てはあるのか?」 「当てでございますか? てっきり学園都市に逃げ込めば安全とばかり思っていたもので…」 「…学園都市に入る許可証は持ってるよな?」 「許可証でございますか?」 「…これは思ったよりも厄介ごとになりそうだ」 「とにかく立ち話もなんだし、部屋で詳しい話を聞きましょう」 「えっと、私はあなた様たちを頼らせていただいてもよろしいんでしょうか?」 「ここで会ったのも何かの縁だしな」 そしてオルソラ=アクィナスと名乗ったシスターと共に上条と美琴は二人の住む寮へと向かうのだった。 夕食の準備を始めた美琴をオルソラも手伝うと言って二人は狭い上条の部屋のキッチンに並んで夕食の仕度をしていた。 美琴がオルソラの料理のスキルに若干の劣等感を覚える中、上条は一人今後どのような行動に出るべきか思案している。 学園都市に入る許可証がないとなると、いずれ学園都市の治安組織の尋問に遭うかもしれない。 そうすればあっという間にオルソラはお縄につくことになる。 魔術師に追われているなら却ってその方が安全なのかもしれないが、 得体のしれない闇を持つ学園都市にオルソラを預ける気にはならなかった。 となると一番確実なのは信用できる外部の人間にオルソラを預けることだった。 しかしながらオルソラを追っている魔術師の正体が分からぬ以上、下手に他の魔術師に連絡を取るのは危険である。 とにかく行動の指針を決めるのはオルソラの話を聞いてからだと上条が考えていると、夕食の準備が終わった。 「いただきます!!」 目の前に並んだ料理を上条は口に運ぶ。 すると上条は少し料理の味に違和感を覚える。 「あれ、味付け変えた?」 「…どうかしたの?」 「いや、今日の料理も滅茶苦茶美味いんだけど… 何ていうか、いつものほうが安心するっていうか」 「今日の味付けは私がしたのでございますよ」 「ご、ゴメン。 決して美味しくないというわけじゃなくて、少し違和感を感じただけというか…」 「謝ることはございませんよ。 それだけ大事な恋人の味付けが恋しいということなのですから。 フフフ、お若いのに既に夫婦のようでございますね」 オルソラの言葉に美琴は嬉しさと恥ずかしさで顔を真っ赤にする。 そして上条はやはり自分は美琴がいないと駄目なんだということを、改めて自覚するのだった。 食事を食べ進めながら上条はオルソラに追っている魔術師について改めて質問する。 「大変申し上げにくいのですが、実は私二つの組織に同時に追われているのです」 「二つの組織?」 「私は主に魔道書などの暗号を解読することを生業としているのでございますが、 先日ある曰くつきの魔道書の暗号を解読することに成功してしまったのでございます。 その結果、所属していた組織から危険分子として追われる形になってしまい…」 「その所属していた組織がオルソラ追ってる組織の一つってわけか…。 そしてその組織の名前は?」 「…ローマ正教」 「ローマ正教ですって!?」 オルソラの言葉に美琴が驚いた声をあげる。 「何だ、魔術師の組織なのに知ってるのか?」 「…当麻はもう少し勉強しないとね。 ローマ正教っていうのは十字教旧教における最大の宗派よ。 私が知っているのは別に魔術結社とかそういう団体じゃなくて、普通の宗派として有名だからよ」 「仰る通りでございます。 ローマ正教は世界113ヶ国に教会を持ち、実に20億を数える教徒を従える大組織です」 「ちょっ、20億人ってそんなの逃げ切れるわけ…」 「だから少し頭を使いなさいって。 もし20億人も魔術師だったら世界の人口の四分の一以上が魔術師ってことになっちゃうわよ。 その中でも魔術に関わる人間はほんの一握りってことよね?」 美琴はオルソラに確認するように言う。 「そうなのですよ。 あなた様は随分と聡明な恋人をお持ちなのですね」 地味に美琴に頭が悪いことを指摘された気がして、上条は項垂れながら頷く。 「でもあなた様の心配はある意味、当たっているのでございます。 いくら一握りといっても教徒の数は20億人。 私を追ってる部隊の人数も200人を超えていますから」 「200人の追跡部隊って、よく逃げ切れたな」 「いえ、私は一旦他の組織に攫われたのでございます。 そして追跡部隊とその組織が戦闘を行っている隙を見て逃げ出したのでございます」 「何か話が大事になってきた気が…」 「あなたを追っている組織のもう一つがあなたを攫った組織ってことでいいのかしら?」 「はい」 「だけど流石に学園都市の中にそんな大規模な魔術師たちが侵入することは出来ないだろうし、 取り合えず追手といっても時間を稼ぐことくらいは…」 上条がそう言い掛けた時… 「ところがそうもいかんのよな」 何処からかともなく聞こえてきた声と共に、上条の部屋の窓ガラスが叩き割られた。 上条は咄嗟に飛び散らばったガラスから美琴とオルソラを庇うように二人を押し倒す。 ガラスの破片が上条の頬を少し切ったが、それ以外は美琴にもオルソラにも怪我はなかった。 上条が割れた窓ガラスの方を見るとそこから一人の男が土足で上がりこんでくる。 クワガタのような髪型に赤十字が染め抜かれたぶかぶかのTシャツにだぼだぼのジーンズを履いている。 そして何よりも異様なのは刀身が波状になっている巨大な剣を担いでいる。 上条はガラスの破片が届いていないベッドの上に美琴とオルソラを担ぎあげると二人を庇うように男に向かって対峙する。 「一時的にだが学園都市はローマ正教に対してオルソラ嬢を捕まえるために学園都市内での行動の自由を許可した。 まだ学園都市には辿り着いていないが、後一時間もしないで追跡部隊がやって来るぞ。 オルソラ嬢が我々に対して不信感を抱いてるのは承知しているが、グズグズしてる暇はないのよな」 「…そりゃ他所様の部屋の窓ガラスを叩き割って部屋の中に土足の中に進入するような男は信用できないよな」 「時間がないと言ったはずだ。 それとも名乗れば部屋の中に招きいれてくれたのか?」 「…」 「ウチのもんが命がけでローマ正教の足止めに徹している」 男がそう言った瞬間、オルソラの顔が青褪めたものに変わる。 その心境は誰かの心配をするというよりも自分のした軽はずみな行為を悔いるものだったのだが上条には分からない。 「命がけで戦ってるって、そこまでして魔道書の力が欲しいのかよ!?」 「それは…」 男が何か言いかけた時、オルソラが上条の言葉を否定するように言った。 「違うのです。 天草式の皆さんは恐らくローマ正教に処刑されるであろう私を救うために 全ての原因である法の書諸共私のことを攫ってくださったのです」 天草式と法の書という新たな言葉に上条は少し戸惑うが話の流れからして天草式というのが目の前の男が所属する組織、 そして法の書というのが魔道書のことで間違いないだろう。 しかしオルソラの言葉には明らかに矛盾することがある。 「でもだったら何で天草式からも逃げるような真似を?」 美琴に聞かれてオルソラの代わりに男が答える。 「所詮俺達も魔術師ってことなのよな。 いくら口で助けると言ったって簡単に信じられる人種じゃない。 それに人を信用できなくなるくらい法の書っていうのは危険な代物なのよな」 「どうしてそこまでしてオルソラのことを助けようとしたんだ?」 「…救われぬ者に救いの手を。 それが俺達が女教皇様から受け継いだ精神だからな」 何故か聞き覚えがある言葉が上条の胸に突き刺さる。 そして目の前の男が嘘を言っているようにも感じられない。 オルソラとは恐らく特殊な立ち位置からすれ違いを起こしてしまった。 「オルソラ、俺はこの男が信用にたる人物だと思う。 オルソラはどうするべきだと思う?」 「私は、私は私のために戦ってくれている天草式の方々を助けたい!!」 「だな」 「だなじゃないのよな!? それじゃあ本末転倒…」 「救って終わりじゃ駄目なんだ、物語の終わりは誰一人欠けちゃいけない。 天草式の人間を放っておくことは却下だ。 それよりもオルソラの身の振り方について、何か頼る当てはあるのか?」 「それは…」 「俺は魔術師の世界にあまり詳しいわけじゃないけど、イギリス清教を頼ることは出来ないのか?」 「なっ、まさかお前さんイギリス清教にパイプがあるのか?」 「パイプってほどじゃないが個人的な知り合いがいるんだ。 もしかしたら力になってくれるかもしれない」 「お前さん、一体?」 「天草式とローマ正教が戦っている場所に急ぎましょう。 大覇星祭で警備が甘くなっている今なら、外に出るチャンスが…」 美琴がそう言い掛けた時、上条と美琴の携帯が同時に鳴った。 何事かと思って二人が携帯を見ると、それは学園都市の住民のみに発進される緊急のメールだった。 そしてメールの中身を見て上条と美琴が固まる。 そこにはオルソラと目の前の男…建宮斎字がテロリストとして指名手配されたことを告げる、 二人の写真が添付されたメールだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/625.html
その頃の白雪は何が起こったのか考えていた。 (一体どうなっているの?どう見ても向こうがテレポートしているようじゃないし) 「あら、さっきまでの意気込みはどうしたのかしら?」 「うるさい。ちょっと考え事よ(あいつのテレポートは離れていても物や人をテレポートできるから……離れている人も?)」 「そんな余裕与えると思う?」 「ないね(なるほどね。さっきは自分をテレポートさせたんじゃない。私をテレポートさせたんだ。)でも、同じやり方は通用しないよ。」 「ほーう。ならやってみれば。」 「言われなくてもそうするつもりだよ!!」 そう言うと、白雪はさっきと同様、氷の翼を羽ばたかせ、結標目掛けて突撃をかけた。 そして、結標はさっきと同じように『座標移動』で白雪を遠くにテレポートし、そしてまた白雪は突進をし、さっきと同様に白雪を近づけ、警棒で頭を強打させようとした。 しかし、 「だから、同じやり方は通用しないって言ったでしょ♪」 「何!!(右手が動かない。)」 白雪は結標が自分の近くにテレポートさせた時に、すぐさま警棒を持っていた右手を右肩から瞬間冷凍で凍らせたのだ。 「これはさっきのお返しよ!!」 「ぐはぁ!!」 白雪は結標の腹に蹴りをいれた。 「これで終わりよ!!」 白雪は氷の剣を構え、結標を蹴ったほうに突っ込んだ。 そして、結標を切り付け、そのまま倒れた。 「ふう、やっと倒せた。他のメンバーの手助けしに行こっと。」 白雪が他のメンバーを倒しに行こうとした時!! 白雪の右足に違和感があった。 白雪が右足を見ると、少し大きな氷の剣が白雪の足を貫いていた。 「なんで、なんで私に氷の剣が刺さっているの?まさか!!」 白雪はなんで氷の剣が刺さっているのかすぐに分かったので、すぐさま結標の方を向いた。 「なるほどね。私が最後に捨てた氷の剣をテレポートで刺したわけか。」 「そうよ。でも、ただの悪あがきにしかならなかったけど、これなら他の援護にもいけないからね。」 「要するに引き分けにしただけか。」 「そういうこと。私もこの状態じゃ動けないし、そっちも今歩けないでしょ。」 「そうね、これ以上やっても意味無さそうだし、リタイヤしますか。にしても、君ってスゴイね。」 「そりゃお互い様でしょ。」 よって両者が動けないので白雪vs結標は引き分けだった。 また、この二人がこの戦いが終わるとかなり仲良くなるんだが二人はまだ知らない。 だが、白雪は知らない。 彼女の敗北とリタイア、そして負傷を知った金髪グラサン男が。 怒り、ぶちぎれ、 それでこの建宮に攻撃するとは理不尽なのよなーっ!!!! と至極ごもっともな事を言う建宮に対して。 あの技を。 そう エンゼルフォールをも吹き飛ばしたあの技を繰り出すことを。 そしてその結果。 教師やステイル、シェリーに一方通行をも巻き添えにして。 島を半分消し飛ばすことになることを。 「へへっ、ざまーみろ、にゃー……」 激情に駆られた土御門は魔術を使った代償で血まみれになり、近くの木を背に座り込んだ。 『肉体再生』が始まってるのを確認した土御門は目を閉じようとしたが、目の前に広がる光景に驚くことに。 「なっ……! た、建宮、ど、どうしてガハッ、ぶ、無事なん、だ……?」 「あ、あのな、どこを、ど、どう見たら、このボロッボロのす、姿を無事だと、に、認識す、するのよな……」 「ど、どう考えたって、ぶ、無事だ、ゲホッゲホッ! あれであ、歩けるなんて、ど、どうかしてるとしか、思えガフッ!」 「……あー、まずは喋れるようにな、なるまで、か、回復を待つのよね。わしもは、話すのはチト、き、きついからよ……」 五体満足とは言い難いが、フランベルジェを杖代わりにして歩いてきた建宮に土御門は驚愕した。 すぐにでも理由を聞こうとしたが、満足に話せる状態ではなかったので建宮に促されるまま、回復を待つことに。 そして滞りなく話せるようになった二人は、今の現状について話し合った。 「まずどうしてわしがお前さんの術を食らって動けるかだが、答えは簡単だ。戦いのさなか、肉体の強化と衣服の強化、この2つの防御強化でこうしていられるってわけだ」 「なるほどにゃー。天草式の魔術は日常動作の中に紛れ込ませて使う。しかも俺が気づけないレベルってやってのけるとはやっぱりアンタはねーちんよりもやり辛いぜい」 「お前さんに褒められるとはくすぐったいのよね。しかし辺り一帯の地表にあるもの全てを焼き払う……強化してなかったらと思うとゾッとするよな。……さて」 島半分を消し飛ばすといってもそれはあくまで地表のみ、だからこそ建宮も無事だったのだ。 現状を話し終えた建宮は大人の顔になると、土御門の頭に拳骨を落とす。 いきなりのことに怒ろうとする土御門だが、自分のしたことを思い返し、建宮からの言葉を待つことに。 「どうやらその顔から察するに土御門、お前さんは自分のした過ちを分かってるみたいだな」 「ああ……。まったく情けないったらないぜよ。月夜のことで頭に血が上ってやったことがこれだ。魔術師として、土御門元春としてあるまじき失態ぜよ」 「分かってんならそれでいい。そうゆう時こそ怒りを力に、思考は冷静にしなくてはいかん。悔やみ、悲しむのなら全てが終わってからにしろってことよな」 「おっさんの年季の入った忠告、まことに痛み入るぜい。これからは暴走しないように心を鍛えなおす所存ですたい」 土御門の晴れやかな笑顔に満足した建宮は、ボロボロの土御門を背負うと月夜と結標が居たと思われる場所へと歩みを進める。 背中に負ぶさった土御門は、気持ち心配そうに他の心配を建宮に洩らした。 「カミやん達、大丈夫かにゃー? 俺がやったこととはいえ、他にもとばっちりが行ってないか心配ぜよ」 「上条当麻達が居た場所にはお前の術は届いてないはずよな。ステイルのルーンは地中に埋まってるからイノケンティウスは健在だし、シェリーも白いのも心配いらんのよ」 「にゃ! シェリーまで来てたのかよ! ……なあ建宮、お前らをここに派遣した張本人って」 「飾利姫に決まってるのよ。ちなみにこの戦いの助言もあのお方から頂いた。勉強熱心な飾利姫もまた素敵と思わんか?」 この戦いでいつの間にか裏で動いていた初春に、土御門はますます裏の世界に馴染んできた少女に一抹の不安を覚えるのだった。 土御門元春VS建宮斎字。結果:引き分け。 そのころ。 ほんの5分前に移動していた教師陣は土御門の暴走に気付かずに(ちょうど後ろ側で見ていなかった) 「ほほう。さすが本職を集めただけの事はある。」木山が言う。 「にしても白雪がまたすごい技を身につけてたじゃん。」 「む、結標ちゃんやりすぎなのですよー。白雪ちゃんの足がーっ!!!」 「まあ大丈夫じゃん?」 教師たちは大いに満足していた。 なにせハンター投入までいろいろあったが脱落0名だったのがすでに6名も脱落させている。 残るは3名。 上条当麻 一方通行 打ち止め このうち打ち止めが残っても遠泳は決定なので実質2名のみ。 そして彼らの戦いは。 文字通りのサバイバルとなっていた。 そして、文字通りのサバイバルバトルをしている一方通行はと言うと、巨人達の修復機能に苦戦していた。 「何なンだよォ。その修復機能はよォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!」 「そんなこと、僕達が教えると思うか。」 「ありえないなァ(でも、本当にどうすればいいンだァ?)」 「そんな暇与えると思うか。」 一方通行は考え事をしていたらステイルがイノケンティウスで攻撃しようとしたが!! (イノケンティウスの様子がおかしい。) ステイルはイノケンティウスの大きさが小さくなっていることに気づいた。 理由は、土御門が使った赤の式で多くのルーンが燃えてしまったのだ。 そして、ステイルも周りが土御門の赤の式で変わっていたのを思い出し、ルーンが燃えたのではないかと思った。 (土御門の奴、よりによって魔術を使いやがって!!) 「おいステイル、一体どうしたんだ?どう見ても貴様のイノケンティウスが小さくなっているでは無いか。」 「土御門のせいだ。あいつが魔術を使ったせいでルーンがほとんど燃えてしまったんだよ!!」 「なら、できる限り私が相手しているから、ルーンを貼りに行って来い。」 「わかった。」 そう言うとステイルはルーンを貼りに行った。 だが、 「そうはさせねェぞ!!」 一方通行は、打ち止めを一回離し、全てに反射を発動し、ステイルに攻撃をした。 「がはぁ!!」 そしてステイルはそのまま倒れ、気絶した。 ちなみに一方通行はこれが土御門のおかげなので、すごく感謝していた。 「ちっ、間に合わなかったのか。」 シェリーはエリスで一方通行が殴ろうとしたが反射で効かなかった。 「さてと、打ち止めは………何処行ったァ?」 一方通行が後ろを向き、打ち止めを置いたところに向かったが、打ち止めがいなかった。 「打ち止めならここに居るよ。」 とシェリーが言ったのでシェリーの方を見ると、打ち止めはエリスに捕まっていた。 「本当ならこんなことはしないんだけど、貴様の本気を見たくてね。」 「きィィィィィィィィィィさァァァァァァァァァァまァァァァァァァァァァ!!」 その時、シェリーは驚いた。 なぜなら一方通行の後ろに黒い翼が生えていたから。 そこからの一方通行はまさに圧倒的で、黒翼による攻撃はゴーレム・エリスの修復など追いつかない速度で攻撃を続ける。 そしてゴーレム・エリスを塵芥に変えた一方通行は黒い羽を一つ、シェリーの額目掛けて打ち放った。 普段なら頭が吹き飛ぶ威力なのだが、打ち止めの手前、そして当麻達の影響を受けて、気絶するレベルの威力で止めた。 「ガッ……!」 シェリーは黒い羽が当たる前に打ち止めを巻き込まないように離すと、人質を取った報いとして素直に喰らい、気絶した。 体力もチョーカーのバッテリーも限界な一方通行はシェリーの最後の行動に怒りを収めると、息も絶え絶えに打ち止めを探す。 「ぜェ、ぜェ……。ったく、手間ァ、と、取らせやがって、よォ……。お、おい、無事かァ? ク、クソガキィ……」 シェリーが倒れることを見るのに集中してしまい、打ち止めから目を離してしまった一方通行は懸命に辺りを捜す。 そこに、やや緊張感に欠ける自分の大切な少女のちょっと変わった悲鳴が聞こえてきた。 「きゃーーーーエッチーーーーってミサカはミサカは生まれて初めてアダルティな体験をしたことを叫んでみたり!」 声のした方に視線を送ると、そこには浜面達を災誤に引き渡した後で駆けつけた闇咲と縄で縛られた打ち止めの姿だった。 ただ縛られただけだと安心した一方通行だが、闇咲の縄縛術の縛り方は人によってはエッチに見えるもので、それが彼にも当てはまってしまうことに。 「ブハッ!!(ク、クソガキのくせにエロいとか反則だろ、ちっくしょうがァ……)」 打ち止めの縛られた姿に邪な願望を抱いた結果、一方通行は盛大に鼻血を噴出し、そのまま意識を失ってしまう。 一方通行がどうして鼻血を噴いて倒れたのか理解出来なかった打ち止めは唖然とするが、後にミサカネットワークで原因を知ることに。 「む……。とりあえずこちらも私以外は戦闘不能と伝えておくとしよう。残るはあの少年か。急ぐか、最後の戦場へ」 闇咲も打ち止め同様、自分の縄縛術であのような現象が起きたことが理解出来なかったが、今は小萌に連絡するのが先なので電話連絡をする。 額から血が今も流れ続けてる闇咲はフラフラになりながらも、当麻と削板が戦っている場所へと向かうのだった。 一方通行(おまけで打ち止め)VSステイル・マグヌス&シェリー・クロムウェル。勝者:一方通行(&打ち止め)。その後、二人とも戦闘不能に。 「だァァァらっしゃァァァああああああああああああああああああああああ!!」 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 拳が交差するたび男達は力を振り絞る。 神の奇跡(システム)さえ打ち消す右手を持つ男。 それが誰であろうと己の根性だけで戦う男。 この男達に信念違いは無い。だが戦い方が違うだけ。 だからこそ男達は拳を固める。 お互いの拳で語り合う。 ―――自分の信念を。 「だァァァらっしゃァァァああああああああああああああああああああああ!!」 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 上条は自分の拳を削板の胸ぐらに叩きつける。 だが、根性の男はそれだけでは倒れない。 削板は自分の出来る限りの能力を拳に注ぐ。 上条もただただ拳を固める。 ―――これで決める!! お互い同じ瞬間に拳を叩きつける。 二人の体がぐらついだ。 根性の男は倒れ、根性という幻想を殺せる男は決して倒れない。 ―――それが最強の信念を持つ男の象徴かのように…… 上条VS削板 結果:上条の信念の勝利 だが、上条の戦いは終わっていなかった。 「久しぶりだな上条当麻。」 「テメェは……………………誰だっけ?」 「本当に忘れているとわな。まあ、そっちの方がやりやすそうだから。『透魔の弦』!!」 そう言うと闇咲は浜面達の時と同じように『透魔の弦』を使い、姿を消した。 そして『透魔の弦』と聞いた上条は少し経つと誰だか分かったんだが遅かった。 「しまっt」 「本当に私を忘れていたんだね。」 闇咲がそう言った後、『衝打の弦』と言い、『衝打の弦』を上条の足(脱臼した方の)に叩き込んだ。 そして上条は、合宿してから3度目の悲鳴をあげた。 「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」 上条はまたもや脱臼してしまい、その場に倒れた。 「おいおい、普通なら脱臼しないはずだけどな。まさか、私が『衝打の弦』で当てた足の方って脱臼したばっかりか?」 「そうだよ、そうです、そうなんですよ。昨日、うちのクラスにやられてね。昨日は無理やり治したんだよ。あと闇咲、名前忘れててすまんな。」 「そんなことはいいよ。とりあえず、先生を呼ぶから。」 と言うと闇咲は先生と電話をし、電話を切った後から5分後、先生達が来た。 上条VS闇咲。勝者:闇咲の勝利 また、これにより上条、土御門グループは全滅となった。 ハンターにより当麻&土御門グループも脱落したことにより全生徒罰ゲームの遠泳が決定。 しかし中には遠泳が出来ない状態の者が数名現れた、主にハンターのせいで。 「上条ちゃんは足の脱臼が酷いことになってますし、本人も体中に酷い怪我を負ってるから無理ですねー」 「白雪もだ。足に刺さった自身の氷の剣の傷の深さは相当なものだ。遠泳などしたらそれこそ悪化するだろう」 「土御門もダメじゃん。あいつ、何をしたか知らないけど他の誰よりもボロボロだったじゃんよ。建宮は何か知ってるみたいだけど教えてくれなかったな」 当麻、月夜、土御門の3名は怪我の度合いがかなり酷いことから遠泳を免除(しかし後で別の罰ゲーム有り)。 滝壺は体が弱いことを配慮して、罰ゲームは一週間、小萌のお手伝いに変更。 浜面、半蔵、郭は闇咲の手加減のおかげ(?)で、遠泳開始の14時には回復してると見込まれ遠泳に。 「あとは一方通行だけですが……芳川先生、やつの具合はどうですか?」 「鼻血による失血、ならびに原因不明の高熱。ちょっと危険ですね。私としては泳がせるのも悪くないと思いますが、判断は災誤先生にお任せします」 「(芳川先生、怖い人だなぁ……)そのような危険な状態なら遠泳は控えるべきでしょう。上条、土御門、白雪同様に罰ゲームは日を改めて別のものを考えましょう」 打ち止めの縛られた姿からイケナイ妄想をしてしまうおかげで知恵熱のようなものを発してしまった一方通行もまた罰ゲームは後日に。 その一方で闇咲はこのサバイバルバトルでネセサリウス入りが決定するわけだが、すでに結果は出たようなものだった。 「合格だよ闇咲逢魔。君の戦闘力、判断力、どれを取っても申し分無かった。ようこそネセサリウスへ。僕たちは君を歓迎するよ」 「ま、あいつらの大半を倒したんだ。誰も文句は無いだろうよ。あんたの活躍、期待してるよ」 「感謝する。組織に入るのは初めてのことだから至らないことがあるかもしれないが、その時はよろしく頼む」 文句無しの成果を挙げた(中には偶然もあるが)闇咲逢魔、無事にネセサリウス入りを果たす。 そこへ体のあちこちに包帯を巻きながらも比較的元気な建宮がステイルに尋ねる。 「しかしステイル。この闇咲はどこに配属されるのよ? こいつの大切な人は学園都市の病院にいるわけだからイギリスというのは酷よな」 「それならすでに最大主教から指示を受けている。彼が無事に合格したら学園都市に配属するようにとね」 闇咲が学園都市に配属されることが決まったが、表の職業がまだ決まっておらず、それで初春が力を注ぐことになるのだがそれは先の話。 そこへ小萌が悩んだ表情でステイルに罰ゲームのことを相談する。 「ステイルちゃんにお聞きしたいんですけど上条ちゃん、白雪ちゃん、土御門ちゃん、一方通行ちゃんに課す遠泳に変わる罰ゲーム、いい案はありますかー?」 「ぼ、僕にですか? そう言われても……(待てよ、この4人は魔術の事情を知っているじゃないか!)」 遠泳免除の4人に『魔術側の事情を知ってる』という共通点を見つけたステイルは自分に全て任せるように告げると、シェリーに相談を持ちかける。 シェリーはステイルの提案を聞いて、かなり乗り気で受け入れると3人(一歩通行は寝込んでる)の所へ向かい、代わりの罰ゲームを発表する。 「あんたらさ、遠泳免除なんだろ? じゃあさ、学園都市に帰ったら私の新型モトハルと新型エリハルの性能テストに付き合え。休憩無しで5時間程度だけどさ」 「「「えええええええええええええええ!!!!」」」 三人とも驚いていた。(特に土御門が) 「なんで魔術には関係ない合宿なのに魔術関連を罰ゲームになるのでせうか?」 「そうだにゃ。どうしてこうなるにゃ。しかも、自分を元にしたゴーレムの相手なんだにゃ。」 「それは、罰ゲームを受ける四人が魔術の事を知っているからだ。」 「でも、やるとしたら何処でやるのでせうか?」 「それは、一週間以内にはできないだろうから、また後日。」 そう言うと、シェリーは三人から離れた。 「それでは上条ちゃん、土御門ちゃん、白雪ちゃん、一方通行ちゃん、滝壷ちゃん以外の皆さんは罰ゲームですので、泳いで着てください。」 と言うことで、上条、土御門、白雪、一方通行、滝壷以外のみんなは遠泳しに行った。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2127.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説 5日目 後編 この世は何が起こるか分からない。 人生の転機とは唐突にやってくるものだ。 とある不幸な少年は、魔道書を記憶しているという少女を助けた事で、科学と魔術の抗争に巻き込まれていく事になった。 最強を求めた少年は、今まで殺してきた人形と瓜二つな少女を助けた事で、学園都市の更なる闇へと堕ちていく事になった。 チンピラだった少年は、たった一人の愛する少女を助けた事で、学園都市を敵に回す事になった。 突然死神のノートを拾う事もあるかもしれない。組織の新薬の実験台にされ、子供になる事もあるだろう。 実家の蔵の地下に、大妖怪とそれを滅する槍が封印されている事だって、十分にありえるのだ。 だから驚くべきことじゃない。 「昨日までそんな素振りを全く見せなかった男から、突然告白される」なんてことは。 たとえそれが意中の相手だったとしても。 その二人が唐突に恋人同士になったとしても、別に驚くことではない。きっとよくあることなのだ。 そんなよくある二人の上条と御坂。 たった今恋人となった二人は、同じベンチに座っている。ただそこには、大分距離がある。 まぁ確かに告白直後だ。気まずいのも無理はないだろう。 そんな二人はそれぞれ思いにふけているようだ。これからのことを考えているのだろう。 (どどどどうしよう!!! すごくうれしいけどアイツの顔まともに見れない~~~!!! こんな時はどうすればいいんだっけ!? えっとえっとたしか、相手の顔に「人」って書いてカボチャを三回飲み込めばいいんだっけ!? あ~も~!! 全然頭が回らない~~~!!!) みさかは こんらんしている! わけも わからず じぶんを こうげきした! 少々テンパリすぎな感はあるが、御坂の反応は分かる。 問題は上条だ。 「ついに ねんがんのカノジョを てにいれたぞ!」なはずなのに、何だか浮かない顔をしている。 彼は御坂とは全く違う事を思っているようだ。 彼氏彼女の事情は違うのかもしれない。 (恋人役はこれでいいとしても、これからどうするかだな…… とりあえずその場しのぎにはなるが、根本的な解決にはなっちゃいねぇ。 かと言って、動きようにも情報が少なすぎる。 手がかりといえば、精神系の魔術師か能力者。一度に大勢を操れる。……それくらいか。 しかも目的が全く読めないのも厄介だよな。 女の子を使って俺に告白させて何のつもりだ?俺の純情弄ぶやん? せめて魔術に詳しい味方がいればいいんだが…… あ~くそ! 土御門がやられてなきゃな~!!) 君は一体何を言うとるのかね。 彼は架空の敵を勝手に作り、勝手にピンチに陥っている。 つーか純情弄んでんのはお前なんだが。 「おーいたいた! 久しぶりなのよ上条当麻! ……ってそれほどでもないか」 迷走中の上条のもとに、ある男が話しかけてきた。 その光沢のあるクワガタのような特徴的な髪型の男は、 「た、建宮!? 何で学園都市【ここ】に!?」 「まぁちょっと野暮用なのよな。」 そう言いながら、建宮は御坂の方をチラリと見る。 (んー…この子が上条当麻のことを好きなのは間違いなさそうなのよ。 けどこれくらいなら、女教皇様と五和にもまだまだチャンスがあると見た!! お嬢ちゃんには悪いが、恋ってのは奪ってナンボの世界なのよ!!) なにやら燃えている建宮。 お願いだから、これ以上事態をややこしくしないでくれないか。 「野暮用って?」 「あー…実はアレなのよ。みんなしてお前さんに会いに来たんで、俺はその付き添いみたいなものなのよ。」 みんな、というワードに上条は嫌な予感がした。 「誰が来てんの……?」 「女教皇様に五和。それにオルソラ嬢、シェリー、アニェーゼ、レッサー。あとはステイルなのよ。」 言いながら建宮はケータイを取り出した。 「もしもしステイルか? ああ、上条当麻を発見したのよ。 そうそう……えっ?違う違う。 その猫地蔵の呪いにかかったって人は別人なのよ。 うんそう、似てるだけ。」 どんな会話してんだよ、と思いながらも、上条は益々嫌な予感を募らせる。 (まさか、神裂達まで!? 学園都市の中だけの問題じゃねぇのか!?) 事態はさらに深刻化する。主に上条の頭の中で。 すると反対側から、ちょいちょいと右腕の袖を引っ張られた。 「どうかしたのか?美琴。」 「ぅえっ!? あ、い、いや、その…誰なのかなって……」 やはりまだ会話がぎこちない。 ただし、ぎこちないのは御坂側だけで、告白した張本人は実にあっけらかんとしている。 「そう言えば美琴は会ったことなかったな。 アイツは建宮斎字っつって、まぁ、あっち側の人間だ。」 「…あっちって……魔術師ってこと…?」 「まぁな。けど仲間だから大丈夫。いいヤツだから安心しろって。」 「そう……」 御坂は魔術師に対して、あまりいいイメージを持っていない。 初めて触れた魔術が、「ガラスの靴」や「森の住人」だったのだから無理もないが。 これがもし「竜破斬【ドラグ・スレイブ】」や「光の白刃」だったら、また違った印象を受けたかもしれない。 いや、どちらにせよ、いい印象は受けないか。 「もうすぐ来るみたいなのよ。」 電話をし終わった建宮は、自販機に寄りかかりながら話しかけた。 (さて、みんなが来る前に、ある程度情報を引き出しとくとするか。) 尋問開始。 「まず聞きたいんだが、二人は付き合ってるのか?」 その質問に御坂はビクンと跳ね上がるが、上条は冷静に答えた。 「……何でそんなこと聞くんだ?」 「ただの興味……と言いたいが、こっちにも事情があるのよ。」 事情。その言葉に、上条は「やはりか」と先程の嫌な予感を確信へと変える。 「待て建宮。 そのことは全員揃ってから説明しよう。 ステイルも来てるんだろ? アイツにも協力してもらいたい。」 「………?」 上条の目は真剣だった。 建宮はこの目を何度か見ている。 法の書を巡る事件の時、アドリア海の女王に乗り込む時、そして後方のアックアと戦った時。 上条はいつも、何か大切なものを守る時にこの目をしていたのだ。 冷やかしに来た建宮だったが、その目を見て何かを感じ取り、仲間達の到着を黙って待つことにした。 (まさか、学園都市で何か起きているのか? だとしたらこんなことしている場合じゃないのよ……) こうしてまた、めんどくさい誤解が広がっていくのであった。 しばらくしてステイルらと合流した上条と御坂は、今はそれぞれ男子チームと女子チームに別れている。 「精神操作か……随分と厄介だね。」 「本当に右手は反応したのよな?」 ステイルと建宮は、神裂達が操られていないことを知っている。 上条の教室で起こった事だけを聞けば、神裂達同様、御坂への嫉妬心から起こした行動であろうことは予測できる。 しかし、それでは絹旗に幻想殺しが発動したことが説明できない。 やはり何か事件がおきている事は間違いなさそうだ。 全く、食蜂さんが余計なことをしなければ…… 「ああ、間違いねぇ。 しかもその絹旗って子とはほとんど面識が無い。ほぼ無関係だ。 つまり敵は、俺の近くにいる人間なら、誰彼構わず平気で巻き込むようなクソ野郎だってことだ。」 「お前さんがハワイで戦り合った魔術師はどうなのよ? 確かグレムリンの中にそういう魔術を使うヤツがいたはずよな。」 「いや、サローニャじゃないと思う。 アイツは大勢の人間を一度に操れないし、そもそもこんなことできる状態じゃないからな。 ステイルは何か心当たり無いか?」 「その手の魔術師なら何人か知っているが……学園都市に来ているとは考えにくいね。 それ以前に、土御門すら簡単に操るヤツが動いているなら、必要悪の教会に何の情報も入ってこないのはおかしい。 となると犯人は………」 「能力者…か?」 「その可能性が高いと言っているだけさ。 犯人が意図的に情報を遮断しているかもしれないから、断定はできないけどね。」 「結局は何も分からないってことか……」 「とりあえず僕は、吸血殺しの子に、魔力の痕跡が無いか調べてくるよ。 魔術を使ったのなら何か分かるはずだ。 ただ、もしこれが能力によるものなら僕にはお手上げだけどね。」 「なら俺は、怪しそうな能力者を洗い出しておくのよ。 心配しなさんな。隠密行動は天草式の十八番なのよ。」 「じゃあ俺は、引き続き美琴と恋人のフリをしながら、敵の出方をうかがう。 二人とも、くれぐれも気をつけてくれよ!」 「……その前に、本当にあの子とは恋人の『フリ』なのよな?」 「ああ、美琴もそれを承諾してくれてる。」 「それを聞いて安心したのよ。(後で女教皇様と五和に言ってやろう。)」 上条はそこで二人と別れた。 (それにしても、あの神裂まで洗脳するとは……敵がそれだけ強力ってことか。 もしこの状態が、魔術や能力なんかじゃなかったら、上条さんはどれだけ幸せ者か…… なんて、あるわけ無いよな……ははは…不幸だ……) 確かに、お前の鈍感さは不幸だよ。 現実を幻想と勘違いし、その幻想すらもぶち殺すあたり、流石はフラグメイカーにしてフラグブレイカーである。 一方、男子チームとはまた違った緊張感に包まれている女子チーム。 とても気まずい。 御坂は、五和とレッサーは知っているが、他のメンバーは知らない。 というか、レッサーが上条と知り合いだったというのは驚きだが、今はまぁいい。 6人中3人の乳がデカイのもどうかと思うが、それもまぁいい。 御坂が上条から頼まれたことは、「この女性陣に事情を説明してくれ」というものだった。 上条の考えは、 「今、神裂達が抱えている感情は、何者かによる洗脳で植え付けられたモノ。 だからまずはそれを説明して、それでもダメなら『御坂が上条の彼女だ』と暴露して、諦めてもらう。」 というものなのだが、洗脳云々を知らない御坂にとって事情を説明するということは、 「上条の友人達に、『自分が上条の彼女です』と自ら自己紹介する」 ということなのだ。 最終的にやることは変わらないのだが、モチベーションが大きく違う。 (でででできるわけ無いでしょうがっ!!! どんな羞恥プレイなのよっ!!!) まぁ、御坂の性格なら当然こうなるだろう。 いつまでもマゴマゴモゴモゴしている御坂に痺れを切らしたのか、この中で一番男らしいシェリーが、 誰もが聞きにくかったことを直球で聞いてきた。 「………なぁ、お前は上条当麻のコレか?」 そう言いながら小指を突き立てるシェリー。 それを見て御坂は、真っ赤になりながらも小さく頷いた。 「ぁ…あの……その…えと………はい………」 それを聞き、大なり小なりショックを受ける乙女達。 (何だ…やっぱりか……来て損したわね………) (そりゃそうですよね……彼になら、彼女の一人くらいいてもおかしくねぇってな話ですよ………) (や、やはり祝福するべきですよね……しかし、何故こうも胸が痛むのでしょう…?) (諦める…べき……なので…ございましょうか………) (あー!! 私の完璧な「人類イギリスに補完計画」がぁ~~~!! ……ん? それなら彼女さんも一緒に働いてもらえばいいんじゃないですか? すごい閃き!! レッサー天才!!) 一部さほどショックを受けていない人物もいるが、それはまぁ特例だ。 特に、「上条のためなら死んでも構わない」と本気で思っている五和などは、 「あ……は……ははは…は………」 完全に放心状態だ。そして危険な状態でもある。 アックア戦を思い出してもらえばお分かりになると思うが、彼女はヤンデレになれる才能を秘めている。 が、別になって欲しい訳ではない。 彼女には、殺した両親を埋めるために巨大な穴を掘ってほしいわけでも、 腹を掻っ捌いて、妊娠しているかどうか確認してほしいわけでもないのだ。 と、そんな状況の中、男子チームから一人になった上条が、ノコノコ歩いて来やがった。 コイツのせいでえらい騒ぎである。 上条は神裂達の顔を一通り見るが、やはり様子がおかしい。 (やっぱりダメだったか……) ダメなのはお前の頭なのだが。 上条は絹旗の例もあるため、一人一人の頭を撫でてみた。 しかし、彼女たちが顔を赤くするばかりで、幻想殺しは一向に反応しない。 今回も姫神たちの時のように不発したらしい。 上条は溜息をついた後、御坂の肩に手を回しこう言った。 「みんな、もう聞いたとは思うが、俺はこの美琴と付き合っているんだ。 だからみんなの気持ちには応えられない。本当にゴメンな。」 あの鈍感だった上条からは、想像もつかないような衝撃の言葉が、その本人の口から出てきた。 御坂から聞いたのとは訳が違う。 想い人である上条本人から聞くというのは、先程とは比べ物にならないくらいショックなのだ。 アニェーゼはうっすら涙を浮かべ、五和は走り去ってしまった。 奇しくも教室で起こったことを、そのまま再現する形になったのだ。 これが全て勘違いによるものなのだから、彼女たちも浮かばれない。 「ま、まぁそういうことらしいので、今日はもうお開きってことでいいんじゃないですか!?」 重い沈黙に耐えかねて、レッサーがこの場を何とかしようとする。 ここで「人類イギリスに補完計画」がどうとか言わないあたり、流石のレッサーも空気を読んだようだ。 レッサーの言葉を聞き、一人、また一人と彼女達はこの場を離れていく。 最後に神裂が、 「幸せに……なってくださいね………」 と言っていたのが、妙に印象的だった。 取り残された二人はしばらく沈黙し、再び思いにふけていた。 (今のってやっぱり、みんなコイツのことが好きだったってことよね……… あたしなんかで本当にいいのかな……ううん! コイツが選んでくれたんだもんね! 自信持たなきゃ!! か、か、彼女として!!!) 一方、上条も思うところがあるようだ。 (教室のことといい、さっきといい……明らかに俺を狙ってるよな…… となると美琴を巻き込むのはやっぱ危険か? いやでも、美琴が一緒にいないと「恋人がいる」って言い訳はできないし………) 悩んだ上条は、改めて御坂に決定権を委ねることにした。 断られたらその時はその時だ。 「美琴!」 「ひゃ、ひゃいっ!!?」 突然呼ばれて御坂は飛び上がった。 「こっちから頼んでおいてなんなんだけどさ……その、本当にいいのか? 俺の恋人(役)なんて……色々危険なこともあるしさ。」 危険。その言葉に御坂はピクッとする。 この男がいままでどれだけ危険な戦いをしてきたのか御坂は知っている。 自分の命を省みず、どれだけ多くの人を救ってきたのかを知っている。 かくいう御坂だって、その中の一人なのだから。 記憶を失おうが、右腕をぶった切られようが、何度死に掛けても彼は足を止めなかった。 そんな彼だからこそ、多くの女性が心惹かれたのだろう。 「もし美琴が嫌だったらさ、今からでも考え直して―――」 「いや!!!」 それまでのおどおどした態度とは一変し、御坂は自分の気持ちをはっきりと言葉にした。 「考え直せって何よ!! アンタがあたしのこと、ひ、必要って言ったんじゃない!! アンタの性格なんて百も承知なのよっ!! これからだってアンタは危険なことに首を突っ込むんでしょ!? ホントは止めたいけどアンタは止まんないんでしょ!? 分かってんのよそれくらい!! だからあたしが支えてやるっつってんの!! そういうところも受け入れてアンタのか、か、彼女になるって言ってんのよ!!! それくらい分かりなさいよこの馬鹿!!」 息を切らしながらも御坂は自分の気持ちを曝け出した。 それは全く嘘偽りの無い、純粋な彼女の想いである。 素直になれない彼女がここまで言うには、相当の勇気が必要だっただろう。 それを聞いた上条は、 (美琴……そこまで俺を心配してくれてたのか………俺はいい友達を持ったなぁ……) などと、もうお前マジで死んだ方がいいんじゃないかと言いたくなるような感想を述べているが、 上条自身も気付いていない。 赤くなりながらも自分への想いをぶちまけた御坂を見て、 自分の頬もほんのり赤みを帯びていることに、彼は気付いていない――― 「よ、よし! じゃあ何の問題も無いってことで、気を取り直してこれからちょっと街をぶらつくか!! (ステイル達の連絡はまだだ。 俺達にできるのはカップルのフリして敵の出方を待つことだけだもんな。)」 「そ、それって、デ、デートって…こと?」 「そりゃそうだろ。恋人(役)なんだから、デートしない方が不自然だろ?」 「そ、そうよね!! ここ、恋人だもんね!!」 こうして二人は公園を後にした。 この何ともいえない、アンジャッシュのコント状態はまだまだ続くようだ。 「あっ、ポケットに入れっぱなしだったけど……いちごおでん食べるか?」 「…いや、いらない………」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説