約 854,565 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/20526.html
へいこうせかい【登録タグ InterLude へ 初音ミク 曲】 作詞:比奈(InterLude) 作曲:比奈(InterLude) 編曲:比奈・saku(InterLude) 唄:初音ミク 曲紹介 「囚われの身、終わらない日常」 比奈氏 と saku氏 によるユニット InterLude の2作目。 ちょっと冒険ファンタジー!?的な感じを妄想しました。(作者コメ転載) イラストは 月子氏 の描き下ろし。 歌詞 何気ない日常を救うには程遠い 大層な非日常、僕らは逃げた 終わりを告げる十字架と砂時計 脆く崩れる、笑顔の欠片も無く・・・ 「消える・・・」 嵐が砂へと還らす 君はメギドの丘へ、僕はただ一人 君と約束果たす為、堕ちよう・・・ 天と地を分ける、あの世界の果てへと 剣と剣の日常、安息は程遠い 星空は非日常、涙ぬぐった 始まり告げる鐘の音と砂時計 脆く崩れる、涙の欠片も無く 「堕ちる・・・」 雨が悲しみを消してく 君は囚われの身で、僕はただ1人 君を救い出すため、差し出そう 僕の小さな命、景色が霞む 僕は君の腕の中で眠る 2度と覚めること無い、安息の夢 僕は君の幸せを願おう 歪む君の姿、帰る場所へと・・・ コメント 追加乙! -- 名無しさん (2012-02-16 03 30 26) すき -- 名無しさん (2021-07-27 13 50 36) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/59939.html
【検索用 へいこうせかいにうそふたつ 登録タグ 2024年 Synthesizer V UTAU mucell へ 曲 曲は 重音テト】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:mucell 作曲:mucell 編曲:mucell 唄:重音テト(UTAU・SV) 曲紹介 曲名:『平行世界に嘘二つ』(へいこうせかいにうそふたつ) コンピCD『ウソのつきかた』収録曲。 歌詞 (「ウソのつきかた」XFD動画概要欄の配布歌詞より転載) 暗い瞼の奥に潜む 私を呼ぶ声 懐かしい声の音 「どこにいるの?」 見渡しても影形もない 「君はまぼろし?」 湖の水面を見てみたり 井戸の奥まで叫んでみたり その存在を確かめようと 不意に振り返ってみたり 背中合わせに聞こえる 何か引っ掛かる 温もりと綺麗なまでに 並んだ音 反芻した声に呼びかける 「君は誰だ、一体何者なんだ」 ぼやけて映る声が反射する 「僕は僕だ、君こそ一体誰なんだ」 見えない影と瓜二つの声 喉の真上から「君」の声 重なる音に手と手繋ぐように 探るの、君の行方を 生み出されたものを並べて 気づけば溢れていた音 そうか君の声はここから 聞こえていたんだね もし、目の前に現れたら 「初めまして、僕の声」 そんな妄想もほら、音と共に 歌にしてしまおうか 反芻した声と声を合わせ 重なるメロディライン 君とのボーダーラインを 消し去るように歌いあげる 嘘みたいな未来がきっと 生まれるはずだから 見えない影と瓜二つの声 喉の真上から「君」の声 重なる音に手と手繋ぐように 探るの、君の行方を 不可能だって分かっても その「もし」を信じちゃってさ 高らかに声を張り上げて 音を重ね手と手合わすように 「そんなこと考えるなんて 君はじつに馬鹿だなあ!」 コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4574.html
あの日、使い魔召喚の日。 私の運命は変わった。 目の前にはひとつの星色のお守り袋。 え、失敗?…でも、なにかしらこれ。 それに触れたとき、私は気を失った。 気がついたら、儀式の場には私以外誰もいなかった。 もしかしてみんな帰ったのだろうか、と思い私も帰る事にした。 「あなた、誰よ?」 疲れを癒そうと思って自分の部屋にはいったら、黒い猫を連れた見知らぬ誰かがいた。 「あんたこそ誰よ。ここは私の部屋よ」 「何言ってるのよ。ここはわたしの部屋よ。さっさと自分の部屋にもどりなさいよ。さ、 さあわたしのカゲネコ。夕食をとりに行きましょう」 その誰かは出て行き、私は改めて部屋を見渡した。私の部屋と何一つ変わらない。いや、 位置から見ても私の部屋でもあるはずなのに!! 部屋を出た。走った。そして最初にモンモラシーに会った。でも、私の事は知らないみたい。 ギーシュに会った。あいつはいきなりナンパしてきた。いつもはゼロだと軽蔑したように からかってくるのに。 マリコルヌにあった。あいつは何かを食っていた。私を見ても何も言わなかった。 みんな、みんな、私の事を知らない。 タバサに出会った。ドラゴン…うらやましい。ふとお守り袋に目をやった。 なにも起こらない。 コルベール先生に会った。わたしのほうを訝しげに見たが、何か思い出したらしく足早に 去っていった。 ミス・ロングヒルにあった。話しかけたら同じく訝しげに見られた。 どうしてみんな私の事を知らないの?こんなのじゃ、私は、私は… 「あら、あなた誰?どこのクラス?」 いいところにツェルプストーが現れた。しかも生意気にもサラマンダーなんて連れている。 まあいいや、こいつに聞こう。少し癪だけど。 「ツェルプストー!!いったいこれはどういうことよ!あんたまで私の事を知らないとい うの!」 「ちょっと、大声出さないでよね!あんた、誰よ」 「わ、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール!誇り高き「まさか! あのこは十年前に死んだはずよ」…え?」 死んだ?私が?ピンピンしてるじゃない私。この前までギャンギャン言い争ってたのに何 寝ぼけてんのコイツ。 「本当に、ルイズ?なら証明してみせなさいな」 「う…ヴァリエール家に行けば「公爵家は没落したわよ。公爵は行方不明、公爵夫人も病 で死亡。あと二人の娘達は…ああ、屋敷も不審火で燃えたらしいわね。そうそう、そうい えば、ルイズは魔法がなんでも爆発になるんだったかしら。みせてちょう…あら、いなくなった」 「キュルケ、今の人が持ってたもの」 「あら、タバサ。…今度は何を読んでるの?教えてちょうだい」 「『もし、自分がもう死んでいた世界に飛ばされたら』という内容の物語」 「で、あの自称“ルイズ・ド・ヴァリエール”の持っていたお守り袋がどうかしたの?」 「主人公が持っていた、死んだ世界と元の世界を行き来するための道具にそっくり」 「……………………まさか、本物?」 「知らない。これはフィクション」 「ま、そうよね。そんな事あるはずないもの」 うそよ!! 父さまが、母さまが、ちい姉が、エレオノール姉さまが!!! この眼で確かめないと気がすまない!!! ……………………お金は少しぐらいなら手持ちである。行こう。帰るんだ、なんとしてでも… やっと、公爵領についた。あとすこしでヴァリエール家だ。 今までが散々の道のりだった。 馬車を出してもらおうと王宮を守る兵士にヴァリエールの名で王女様に謁見を申し出たの だが、一蹴された。「没落貴族ごときが」、と。 仕方ないから平民が乗る粗末な荷車に無理矢理乗りこんでしばらく行き、途中で降りて徒 歩で向かう。手持ちのお金はもう尽きた。平民に貰うのも癪だったからそこらの食べれそ うな草や木の実を食べた。泉の水も汲んで飲んだ。 そのせいかお腹を壊して動けなくなった時もあった。山賊に襲われたときもあった。まし てやそのお陰で一日中身動きが取れなくなるときもあった。 そんな時気づいた。失敗の爆発はこんなにも役に立つものなんだって。 その内風の便りでアンリエッタ王女様が亡くなられた、と知った。なんでも服毒自殺との ことだった。真相は、知らない。 ワルド様も行方不明になった、と聞いた。 もう、頼れるのは家族しかいない。誰も私の事を知らない。もう誰も私のことを“ルイズ” と呼ばない。知らない。 頬に何か生暖かいものが伝ったので触ってみた。涙のようだ。貴重な水分がぬけてしまう のはもったいない。そういえば肌も荒れ放題だし、頬もこけた。あれほど気にしていた胸 も気にならなくなった。 それでも私は向かう。 だって、私という存在を知っているのは、もう家族しかいないもの。 私を“ルイズ”と呼んでくれるのは。“ルイズ”と知っているのは。 うそよね。ツェルプストーが言った事なんて。帰ったら父さまが笑っていらして、母さま がボロボロな格好をして帰った私をいつものように怒って… けれども、歩けど歩けどヴァリエール家は見えてこない。 門は見えた。でも、あんな大きな屋敷はない。 なぜないのか。それは門をくぐってハッキリした。 炎の勢いを物語るように黒焦げになって崩れ落ちた柱。無残にも飛び散った瓦礫。 も う わ た し を 知 っ て る 人 は だ れ も い な い 「……………もう、私には帰る場所がない。寂しい…寂しすぎるわよ……………こんなに なってまで帰ったのに。私を誰も知らないなんて…… 王女さまも、ワルド様も、父さまも母さまも、エレオノール姉さまもちぃ姉さまもいない。 ツェルプストーも私を知らない。みんな私を知らない。こんな世界に、居たくない」 その後、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエールがどうなったかはこの ハルゲキ二アでは誰も知らない。知ることはなかった。 やがて、世界は滅びた。 時の流れの底から時を喰らい続ける“時喰い”と呼ばれるもの、エルフ達が“シャイター ン”と呼ぶものによって。 だがなんどもその歴史が繰り返されるうち、時喰いは何者かによって“開放”された。 インテリジェンス・ソードを持った彼と仲間の彼らはこう語る。 その化け物の内なる身には、金髪の少女と桃色髪の少女が取り込まれていたという事を。 クロノクロス・星色のお守り袋を召喚 戻る
https://w.atwiki.jp/toho/pages/4743.html
東方 靈知的二胡信仰 東方二胡 - 文文音誌 東方絲竹夢
https://w.atwiki.jp/bar41/pages/225.html
72 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 23 59 52.23 mIvFMKzp0 どこにでもいる普通の高校生の俺は今、修学旅行として京都に来ている。 中学校の時も京都だったが、高校になっても京都とはね、せめて広島あたりがよかったよ。 二日目の今日は班別で自由行動だった。まあ適当に名所と呼ばれる所に行ってきただけだが。 それも終わって旅館に入り、食事だの風呂だの色々済ませ、今は午後10時になっている。 つまり消灯時間なわけで、さっさと電気を消して寝ることにしよう。 中学の時はこのあとエロい話が飛び交ったものだが、そんなことなく部屋は静かだ。 ああ、俺も眠くなってきた。もう考えるのをやめよう……。 73 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 00 20.57 CdefZJDS0 何故か知らないが俺は橋を渡っている。渡っている人間は俺一人で、他にはだれも歩いていない。 橋はどこまでも続いており、向こう岸は遥か地平線の向こうにある。いや、下は川なので水平線になるのか? 俺はもう判っている。これは夢だ。こんな妙な状況になるのは夢しかない。 しかしこれは今まで見た事も無い妙な夢だ。夢だとはいえここは一体何処なのだろう。 何故自分はこの橋を渡っているのだろう、この橋の向こうには何があるのだろう。 そんなことはわからない。とりあえず前に進むか、そのうち目も覚めるだろうし。 74 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 02 23.85 CdefZJDS0 どのくらい歩いたのだろう。いつになっても向こう岸は見えてこない。 これはただ橋を渡る夢なのか、つまんねえ夢だな。 正直こんな夢なら早く目が覚めて欲しい。しかし覚める様子は全く無い。 俺にできることはただ前に進むこと。それだけだ。 ふと、結構先に一つの人影があることに気付く。 その人影はどんどんこっちに近付いてくる。こっちからも歩み寄る。 人影の姿がはっきりしてきた。中肉で特に特徴の無い顔、そして少し平均より低い身長。 あれはまさか……俺? 75 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 03 47.63 CdefZJDS0 間違い無い、あの顔は間違い無く俺だ。 理解不能という言葉が一瞬頭をよぎるが、これは夢だ。何があっても不思議ではない。 そう考えているうちにそいつ、つまりもう一人の俺はもう目の前にいた。 「よう、俺。」 目の前の俺が話しかけてくる。 「お前は誰だ?」 目の前の俺(以下オレ)言葉を無視して俺が返す。 「誰だって?見ての通り、俺はお前だ。」 そりゃそうだろうな。だが、俺が訊きたいのはそんなことじゃない。 「そうじゃない、何て言えばいいのかわからんが、とにかくお前は何者だ?そこにいるってことは、俺と100パーセント同じってわけじゃないだろ?」 「…確かに、100パーセント同じじゃないな。まあ、そのうちわかるだろ。」 オレの方は何か知っているみたいだ。そこで俺は別の質問をする。 「お前、何か知ってるみたいだな。この夢も何かいつもの夢と違うし、どういうことだ?」 「それは知らなくていいことだ。それに、夢なんだから何があってもおかしくないだろ?」 確かにそうだ、さっき俺もそう考えていたじゃないか。そう思うとどうでもよくなった。 「じゃあまたな、俺。いや、もう会うこともないか。」 そういってオレは俺が今まで歩いてきた方向へ歩いていった。 オレの不可解な言動が少し気になるが、どうせ夢だし、俺も歩くか。 1分、2分と歩きつづける。すると、さっきまで全く見えなかった向こう岸が見えた。 82 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 20 12.71 CdefZJDS0 「おい、いつまで寝てんだ?」 友人の声で目が覚める。この声は、渡辺か。 って、まだ起床時間40分前じゃねえかよ。 「さっさと起きろ。それに凄えことが起こってるから。」 凄えこと?何か隣の部屋が騒がしいのはそれが原因か?結構気になるな。 「わかったわかった。今起きる。」 やっと起き上がる俺、どうやら俺が最後らしい。 最後ってことは、まさか顔に落書きとかされてねえよな。 そう思った俺は洗面所へ顔を洗いに行く。 「良かった。何も書かれて無い。」 「何も書かれてないっておまwww厨房かよwww」 「はいはい、どーせ俺の発想は厨房並ですよ。」 適当に話を流しておいて、俺は渡辺に質問をする。 「で、凄えことって何だ?」 83 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 22 15.95 CdefZJDS0 「そうそう、それはだな…いや、実際見せた方が早い。ついて来いよ。」 渡辺に連れられ隣の部屋へ行く。そこには人だかりと明らかにサイズの合わない男物のパジャマを着た少女がいる。 「で、アイツ誰だと思う?」 渡辺が言う。いや、あんな奴俺の知り合いにいねえし。一体誰だ? 「わからん。名前どころか顔すら見た事も無い。」 「そう思うだろ?アイツ冨永だよ。」 さっきの夢じゃないが、また理解不能という言葉が俺のあたまをよぎる。 俺の知ってる冨永は男だ。俺と同じで彼女はいないけど気さくで良い奴なのだが。 「は?どういうことだそれは。」 思わず訊いてしまう。 85 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 23 51.01 CdefZJDS0 「ここまできてわからんのかお前は、女体化だよ。」 女体化?一体何の新ジャンルだよそれ。 「いや、そもそも女体化って何さ。」 「とぼけなくてもいいぜ。16か17の誕生日までに童貞を捨てないと女になるってのは中学の時保健で習っただろ?」 いや、そんなことは習っていない。これでも一応授業は真面目に受けるタイプなのだ。 保健の教科書を読み返したこともあるが、そんなことは何も書いて無かったはずだ。 「そんなこと習ったか?」 「いい加減にしろよ。この間山田が女体化した時お前『中々いいな』とか言ってたじゃないか。」 何を言ってるのか全然わからん。 そもそも山田は昨日俺の横の布団で寝ていたはずじゃないか。 86 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 25 58.03 CdefZJDS0 「そうだったか?全然思い出せん。」 思い出す以前に山田は男じゃないか。 「じゃあ本人に訊いてやるよ。そこにいるしな。おい、山田~。」 渡辺が声を掛けたのは、またもやはじめて見る顔の女子だ。 「なぁ山田、大崎の奴お前が女体化した時『中々いいな』って言ったよな。」 「ああ、言った言った。」 山田と呼ばれたその少女はそう返事をする。 「な?言っただろ?」 どうやら言ったらしいのだが、俺はこの少女を見るのははじめてなのだ。言ったはずがない。 「スマン、ちょっと調子が悪いみたいだ。先に戻ってる。」 「そうか、なら休んでな。」 自分の部屋に戻る。部屋には布団が昨日寝た時のと同じ位置に並べてあったが、一個だけ、俺の隣の布団だけが無かった。 92 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 41 24.35 CdefZJDS0 「これは、一体どういうことなんだ?」 思わず言ってしまう。それもそうだ。 どうも今日の朝から状況がおかしいのだ。 冨永は突然女になっているし、昨日隣にいたはずの山田もいない。 しかもその山田らしき人物は最近女になったらしく、友人達はこの状況をさも当然の如く受け入れている。 おかしい、何かがおかしい。普通に考えれば男がある日突然女になるなんてことがあるはずない。 ましてやそれが日常茶飯事だなんて、絶対におかしい。 夢なのか?これはさっきの妙な夢の続きなのか? …多分夢だろう。こんなことは夢でしかありえない。 93 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 43 33.25 CdefZJDS0 しかし、本当に夢なのか?感覚がいつもと違うなんてこともない。 そうだ、夢なら痛みを感じないはずだ。とりあえず頬を抓ってみるか。 ……痛い。普通に痛い。 痛いってことは、夢じゃないのか?いや、感覚がはっきりしている夢だってあるはずだ、多分。 昔、Webページで見たものを思い出す。 "夢を夢だと自覚できた場合、強く念じれば自分の思い通りになる。" そういえばそんなことが書いてあったな。所詮自分の脳が作り出した世界だしな。 ならば、ここは家だ、と考えればいい。そして家にいればこれは夢だ。 ここは家だ、ここは家だ。いつも俺が寝ているはずの部屋だ。 目を開ける。見えるものは何も変わっていない。 95 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 00 44 20.89 CdefZJDS0 もしかして、これは本当に夢じゃないのか?こんな奇天烈な出来事が起きているのにか? どうも腑に落ちないが、これはどうも現実らしい。 それにしても、冨永が女になったというところまでは単に俺の知識不足として割り切れる。 ならば、山田は一体何なんだ?あいつは昨日俺の隣の布団で寝ていたはずだ。 これが現実だとすると、色々矛盾してきてしまう。しかし、これは夢ではなさそうだ。 解らない。何が起きているんだ?やっぱり夢なのか? 色々考えてみたが、結論は出てこない。 どう考えても矛盾点ができてしまう。 あ、考えるのをやめれば楽になれるかもな。 俺は考えるのをやめ、飾ってあるカレンダーに目を向ける。 平世18年……平世!?平成じゃないのか? 自分のバッグから財布を取り出し、硬貨を見る。 平世5年、平世元年。俺の頭はますます混乱する。 三枚目の硬貨、照和63年……。 何が何だか全然解らない。 何かが違う。昨日までとは絶対に何かが違う。 104 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 01 01 55.58 CdefZJDS0 「おい、何ボーっとしてるんだ?」 渡辺の声で我に帰る。 「い、いや、ちょっと…な。」 「何だお前、また怪しいオカルトか何かか?」 またって何だまたって。俺はそんな物は全く信じないタチなんだが。 「お前この間、『この世には平行世界がある、その世界では自分と同じ人間が暮らしていて~』とか言ってたじゃないか。」 言ってない言ってない。オカルトを通り越して宗教の勧誘みたいじゃねえか。 「言ってたかそんなこと?」 「言ってた。間違い無く言ってた。昨日なんて『平行世界への行き方が解った』とか言って大騒ぎしてただろ?」 やっぱり何か変だ。俺はそんな性格じゃない。 106 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 01 04 35.11 CdefZJDS0 「全然覚えてねえわそんなこと」 覚えて無いどころか言ってねえよ。 「お前が忘れるのは勝手かもしれないが、延々意味不明な話をされたこっちの身も考えてくれ。」 「覚えてないが、そりゃ悪い事をしたな、スマン。」 「わかればいいんだよ。じゃあ俺、また冨永を見てくるわ。」 渡辺が部屋から出て行く。 しかし、何だ。平行世界?行き方が解った? 平行世界、そうか、それなら説明が付く。 本来この世界にいるはずの"オレ"は何らかの方法を使ってこの世界から見た平行世界、つまり俺のいる世界へ行ったわけだ。で、平行世界の"俺"はこの世界の"オレ"と入れ替わったと。 一応矛盾の無い仮説は立ったが、そもそもそれ自体非現実的だ。 しかし、それ以外の説はありえない。それしか無いはずだ。 ならば、どうやって俺と入れ替わったんだ? そうか、あの夢だ。あの夢で見たオレがこの世界の俺なんだ。 そしてあの橋は平行世界同士を結ぶ橋ってトコか。 599 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00 04 44.22 elyF0XDw0 「えー、皆も知っている通り、冨永は女体化したので、先に帰らせた。」 教師の声が響く。もっとも、俺は考え事をしていて聞いてないが。 何故あの夢を見たのか、何の為に俺とオレが入れ替わったのか。 あの夢が原因だとか、ここは平行世界だとかの証拠は無いが、俺はもうそれしか無いと思う。 「というわけで今日は最終日、班別見学二日目だ。出発は八時、では解散。」 何故かこの声だけははっきりと聞こえる。とりあえず部屋に戻ろう。 600 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00 05 54.91 elyF0XDw0 どこを見てきたのかあまり覚えていない。終始あの夢について考えていたからだ。 新幹線の中、隣の席では友人達がくだらない話でバカ笑いしている。 俺は相変わらずあの夢について考ているが、正直まったく解らない。 とりあえず今考えても解りゃしない。家に帰ってから色々調べてみよう。 何か面白い物は無いかと辺りを見まわす。見えるのは駅のホームとビル街、今は名古屋駅に止まっているらしい。 ある文字が目に入ってくる。「名子屋」 駅名が微妙に違う。 名子屋、閑岡、尾田原と、微妙に違う駅名が続く。 やっぱり平行世界だと地名も違うのか? しかし京都や豊橋、浜松とかは同じだな。 この辺も家で調べてみるか。 601 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00 08 12.86 elyF0XDw0 「ただいま。」 「あ、おかえり、楽しかった?」 楽しいわけがないじゃないか。とはいえ、つまらなかったと言ってしまうと色々面倒なので、適当に楽しかったとでも言っておこう。 「まあね。中学の時も行ったから感動は無かったけど。で、これお土産。」 適当に買った生八つ橋を渡す。 「疲れたから俺もう寝るわ。」 そう言って俺の部屋へ向かう。 602 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00 09 15.88 elyF0XDw0 俺の部屋は以前とあまり変わらない。 本棚の一部が異常なまでのオカルト臭を放ってること以外は違いは無いと思う。 見るとどの本にも、「もう一つの世」とか「もう一人の自分」とか書いてある。 俺ならこんな本まず買わないな。それ以前に近づきもしねえわな。 でも今は状況が状況だ。とりあえず手に取ってみる。 ……サッパリ解らん。何だかよく解らない単語の羅列にしか見えない。 ふと、一冊の本が他の本とは違う雰囲気を放っているのに気付く。 題名は書いていない。いかにもスゴイことが書いてありそうな感じだ。 付箋が付いていることから、この本が"オレ"の愛読書であることがわかる。 これには何か重要なことが書いてあるだろうな。どれ、読んでみるか。 603 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 00 12 04.71 elyF0XDw0 今までの本と同じく、何やら難しいことが沢山書いてあるが、この本だけはある程度理解できる。 状況が状況だからだろうか。要約すれば、こういうことだ。 この世には互いに影響を受けない二つの世界がある。二つの世界は普段繋がりが無いが、 満月の夜にのみ精神とかそういうレベルで繋がりが出来る。その時、あることをすれば、もう一つの世界の自分と精神、つまり意識のみ入れ替わる事が可能。ちなみに月が雲で隠れると駄目らしい。 以前の俺だったら信じるどころか糞食らえとでも言ってしまいそうな内容だ。 そもそも満月の夜って時点で怪しい。だが今は信じるしかない。 820 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00 09 29.93 sHIa57nf0 つまり、満月の夜じゃないと元の世界に戻れない・・・と。ホント馬鹿みてえな話だな。 信じるしかないのは確かだが、やはりそう思ってしまう。 まあ、今日は満月じゃないし、とりあえず寝るか。もしかしたら戻れるかもしれないわけだ。 ん・・・もう朝か。 とりあえず辺りを見回す。本棚には怪しい本が並んでいる。 戻れてないか・・・まあそんなもんだろうな。 今日は月曜日だが、土、日と修学旅行があったので今日明日は休みだ。 821 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00 10 43.56 sHIa57nf0 「おはよう。」 「おはよう。そんなに疲れてたの?もう10時よ。」 色々な意味で疲れてたからな。とはいえそんなに眠ってたのか。 「大事な話があるから。着替えてきて。」 「あ、うん。わかった。」 大事な話ねぇ。まあ元の世界に戻れるかどうかって問題に比べれば大したことないだろうな。 それが一番の問題なわけだし。 部屋に行き、適当な服を着てリビングに戻る。 そこには神妙な顔つきをした母がいた。 822 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00 12 30.61 sHIa57nf0 「唐突にこんな質問だけど、貴方、彼女いるの?」 本当に唐突だな、まあ、本来の世界だといなかったんだけど、こっちだとどうなんだ? まあいるようには思えんが。つうかいないよな、多分。 「いない…けどそれがどうかした?」 「今までに付き合ったことも無い?」 「…無いね。」 一体何が言いたいのだろう。 「ってことは、つまり、童貞ってこと?」 母さんの口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。 正直驚きだ。 「まあ、そういうことだけど、だから何が言いたいのさ?」 「貴方、誕生日まであと一ヶ月でしょ。それまでに彼女作らないと、貴方女になっちゃうじゃない。」 あ~、忘れてた。そういえばこの世界ではそうだったな。戻る事しか考えてなかったから忘れてたよ。 「出来るだけ善処させて頂きます。」 とりあえず適当に返事をしておこう。 823 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00 13 46.63 sHIa57nf0 次の満月は、11月5日か。で、俺の誕生日は8日だから、5日が雨、曇りじゃなきゃ何とかなるよな。多分。 しかし、曇ってる可能性も十分あるな。やっぱり彼女を見つけるべきだな。 でもどうすりゃいいんだ?全然解らん。 一応身だしなみにはそれなりに気を使ってるし、ちょっとVIPやってるけどそれほど変な趣味してはいな・・・ いや、この世界の"オレ"は変な趣味してるな。その変な趣味のせいで俺はここにいるわけだし。 よく見てみると髪もボサボサだし、ニキビ多いし。うん、こりゃモテるわけがないね。 なんだ、まあ、とりあえず髪切りに行って、この手の本を押入れの奥にでもしまうか。 待てよ、まさか、 彼女が出来ない→女体化フラグが立つ→女体化が存在しない"俺"の世界へ逃げる。 こういうことなんじゃないだろうな。いや、ありえるな。他の理由が見当たらないし。 270 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22 24 09.43 RxL9yQhI0 一ヶ月もこの妙な世界で過ごすのか、正直辛いよこれは。 それは仕方ないんだが、やっぱりなあ。 なんつうか、今すぐにこうパッと戻れる方法は無いものかね? 押入れの中から怪しい本を出して適当に読んでみる。 相変わらずよくわからないが、とりあえずそんな方法が無いことだけはわかった。 やっぱここは諦めるしかないのか。一ヶ月待てばいいだけだ。 もういいや、面倒臭え。寝てしまえ。 271 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22 25 44.01 RxL9yQhI0 もう午後2時か、俺はそんなに寝ていたわけか。 あんま腹も減ってないし、髪でも切りに行くか。 本来の世界の俺と同じ髪型にする。何て言う髪型なんだ?これ。 髪を切ったあとは特に予定が無い。 家に帰ってもやることは無いし。どうするかね。 276 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22 41 53.51 RxL9yQhI0 この世界の設定ですが、16、17歳の童貞男が女になるという法則があるため 本来の世界では男でも、この平行世界では女という場合があるわけです。 この話だと、冨永と山田ですね。 この二人はあまり問題が無いのですが、父親に当たる人間が女になっているということもありえなくないわけです。 その場合、本来その父親の子供にあたる人間は存在できなくなるわけです。 しかし「すべての人間に”もう一人の自分”がいる」という設定になっているのでそれはありえません。 平行世界の人間関係は本来の世界の人間関係に近いが、同じではない。となります。 つまり、親や親戚が別の人物だったりすることがあるということです。ハイ 主人公の場合はそれが偶然にも無かったわけですよ。 ご都合主義みたいな設定ですが、なにぶん後付け設定なので 278 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22 47 23.32 RxL9yQhI0 人物の性格について、平行世界の人物は、本来の世界の人物の性格と同一ではありません。 主人公の例もありますが、本来の世界では目立たない人物が、平行世界ではムードメーカーになってたりもします。 かなり後の(オカルトな)研究によれば本来の世界では普通な人物ほど平行世界では変わった人物かもしれないとか 281 名前:鳩 ◆kLJfcedqlU 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/31(佐賀県警察) 22 54 06.20 RxL9yQhI0 歴史の流れは基本的に一緒なのでそれは無いかもしれません。 ただし、名前が微妙に違う場合もあるので一概に無いとは言い切れません。 とりあえず平行世界ではアステカ文明をワクテカ文明に改変しときますわ。
https://w.atwiki.jp/sekainosentaku/pages/336.html
外伝~平行世界奇譚~ 外伝コミュで行った外伝のあらすじをまとめるページです。・・・しかしまだまとめるかどうかも不明です。
https://w.atwiki.jp/souku/pages/4305.html
《公開済》SNM002443 シナリオガイド 公式掲示板 夜長の秋の上映会 担当マスター 夜月天音 主たる舞台 イルミンスール魔法学校 ジャンル 学園生活 募集スケジュール 参加者募集開始日 参加者募集締切日 アクション締切日 2013-09-11 2013-09-13 2013-09-17 リアクション公開予定日 募集時公開予定日 アクション締切後 リアクション公開日 2013-10-01 2013-10-03 2013-09-27 サンプルアクション (シナリオ参加者の方にお願い、サンプルアクションの具体的な内容を補完していただけないでしょうか)(サンプルアクション名の下の四角をクリックするとでてくる「部分編集」をクリックすると登録できます)(もしくはサンプルアクション登録用掲示板へお願いします。) 上映会に参加 + ... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 現実と平行世界とのギャップを楽しみたい ▼キャラクターの目的 上映会に参加 ▼キャラクターの動機 暇だから参加する ▼キャラクターの手段 人と話すのが苦手な私が社交性抜群な人で多くの友人に囲まれて楽しく実験をしている姿を見る。それを見た私は羨望の眼差し。団子を食べながら楽しみ、相席となった人と感想を言い合う。 「……この子……私なのに違う感じ……平行世界だから?」 送り主を探る + ... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 上映会の裏で奮闘したいから ▼キャラクターの目的 送り主を探る ▼キャラクターの動機 アーデルハイトの危惧に共感出来るから ▼キャラクターの手段 映像を見て世界の様子を確認したりカードや目録を読み取ったり少しでも送り主についての情報を得ようと頑張る。 「まぁ、アーデルハイトが気になるのも分かる。イルミンでは色々あったからなぁ」 その他補足等 [部分編集] 【タグ:SNM イルミンスール魔法学校 夜月天音 学園生活 正常公開済】
https://w.atwiki.jp/miyanagake/pages/122.html
1/8 971 霞さんの平行世界の話 私と彼の出会いは、高校最後のインターハイだった。 私は小蒔ちゃんの付き添いとして、インターハイまでやってきたの。 高校最後の麻雀として結果を残せず、少し消沈したいたわ。 清澄高校。全くのノーマークから勝ち進んだダークホース。 2位抜けすら出来ず二回戦敗退。 本当の目的は小蒔ちゃんの個人戦とはいえ、不甲斐ないわね。 そう感じながら少し席を外して歩いている時に、それは起こった。 / / | | | | | l l | | | | | / / | |__ | | | | | l l /| | | | |. /// | |\ |‐\八 | | | |__,l /-|‐ リ リ | | / / - 、 | x===ミx|‐-| | `ー /x===ミノ// / ∧{ / | .八 _/ { { 刈`| | l /´{ { 刈\,_| イ /ー―‐ ..__. / / | |/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } / . . . . . . . . . . `「⌒ .. // /| l、 ー‐ \{ | / ー‐ j/ /}/ . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . / _,/ . ..| | \ ! j/ ′/ . | . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . . 「咲! さっきの試合凄かったぜ!」 / . . . . { |\ハ_, ノ ,___/{ . .| . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . .∧. / . . . . . . . ′ | . .|\圦 / j/l/. . ′ . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . .∧. /. . . . . . . . . . ′_,ノ⌒ヽ | 、 、 _ -‐' / . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . / . . / . /\ . . . . . . r‐ ' ´ ∨\/ ̄ )  ̄ ̄ / /. ./ . . . . . . . . . . . . . . / . / . . ./ . . / . . . . . .\ . .ノ ----- 、 ∨/ / 、 / ,/ . / . . . . . . . . . . . . . . / . / . / . . . . . . . . . . . . . / ‘, ‘, ./、 \ / /. . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . // . . . . . . . . . . / . . . . .{ ---- 、 ‘, } / . . } ̄ \ ̄ ̄ ̄/ ̄ / .{/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -<⌒ . . . . . ./ . . . . ./ ‘, ‘,「l /⌒^\________/}/ . . . . . . . . . . . . . . . . . /´ \ . . . . / . . . . . .{ . . ‘, 人U{ . . . . . . .| \ / .| . . . . . . . . . . . .―‐┐ / \ . . . . . . . . } -- /\ . ノ r/ / . . . . . .| . . . \ ,/ . . . | . . . . / . . . . . . . . . . . ./ _____ ... ´ ` .. / 、 / \ 丶 / \ \. ′ |. .| ヽー'⌒ | i i l i l\ | | | | ∧ | . l .i l⌒ヽ. .| | | |匕Ⅵ /ト、 /从 | | | 八 .i | { V ノ ∨ ,ィ | | 「えへへー!」. ヽ 从 _ ≠⌒ Ⅵ /} \ {⌒\ .{ r==ミ , Y 乂 \r' uノ 丶、 _ー‐、 r‐ ー' フ / _ヘr─ァ、ー ┬ 、 ≦-─、 /⌒ヽ\ \ } ノ}\――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2/8 . . -―━━━━―-. . . . ´ ` .. / \ / \ ′ ./ ‘, . | . . .. | | | |‘, | | . | | | l | | ' |. | | | | l | | l| | | | | | | |/jノ l| | /. | 八 | | 斤i「 ノ|/}/. | /|\八人 | ヒリ | | { | |\| 乂_. | \| | `` / 「……えっ!?」. | | | , j | | | /. | / | | . .__/ | _/ | |/⌒| | | /⌒゛┃ |-、从 |. | / | | | ト、\ . | -‐く ‘ ト、j_j \\ ._ | / ゚'*。 ‘ | ゚'*。 ヽ⌒\ | / ゚'*。‘ | ゚'*。 ', } | / -- 、 | ‘ | ゚'*{ \\ | / \ l ‘ |゚'*。 ゚'*。\\ l/ 丶 ', l | ゚'*。 ゚'* \\ そう、それは運命の出会いだった。 彼が話している相手は、私と戦った宮永咲さん。同じ高校の人なのかしら? いえ、そんなことはどうでもいいわね。 そんなことよりも、彼を見てから私の調子がおかしい……? 胸がドキドキして、動悸が治まらない。 落ち着くのよ、霞。六女仙たるものいついかなる時でも冷静に、冷静に……!――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3/8 / / | ハ | | i 、 ヽ \ \_. i / | | | | | |、 i ゙、 、 \_ _>←霞視点 | i | i | | | | ハ ハ _i!_ i \ ヽ` ̄ ̄ | | |+--|、_|! | | i! ,/.ィ'|"i´ ハ | i ヾ 、 ヽ キラーン! | | |.|ヽ |、_|王!ー |./i .;"´/=、!/ | ! | \ 、i 人. !. r| i.|、!,,ィ'" ._iミi! |/ /彳 r !ヽ,| ,イ | 、_ \ `Y´. | |^!. N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ ! | i、i、 ゙、 ` ̄ ̄ メ( /^|イ `、| ノi \ヾi .、、 i! i ノリ ` | ヽ__i |イ|/ ヽ i、 i ____...., |/ ヽ!、 i\ `ー-- ―'´ /、! i !i 、 \  ̄´ /!/ 人 |ハ,i、! 、 \ / ./.| `Y´ ト、! ゙、 `ー---'′ /|V. ′ ′ ′ | / ' . \ | l | | ′ ' . | l | | /| ′ ' | | | | l | l l i-l l‐ | | ---| |l | | | l | l l |八 | l | |__, | |l | | | l |l |\从 l __}八{ l ノ 从 リ 八 j | l 八 | ,,xぅ斧笄ミ\ |斗ぅ斧x )/ / / ノ | l \ | 《 h __j刈 `ー┘ h__j_| 》厶イ イ | | 个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′ | | | | , ,′ | | ┃ | `` `` ,′ | 「(わぁ……! かっこいい!)」 | ‘ |\ r‐ ┐ 人 | | ‘ | | ` ´ イ _ _ __ 八 | ‘ 「 | ` .... | l / / /^Yヽ | ‘ |八 T7^\ | / / / /Y^, | ‘ |\\ // `丶/ / / / | ! | -‐ ‘ | \\ .//. / / / / .八 | -‐'^´ ‘ | \\ // / / / / / ト、 うん。冷静になるなんて無理よ! 思えば、出身地や霧島神社にはお爺様しかいなかったから、若い男の人と会ったのはこれが初めてだったの。 私の男性観は少女漫画くらい。 それも、当時は知らなかったのだけれども比較的描写が軽めの物ばかりだったわ。 そんな中、高身長で体ががっしりとした彼に出会って、一目惚れしてしまった。 一目惚れなんて漫画の中の世界だけだと思っていたわ。 でも実際に会った私は、帰った後も胸がドキドキして、ずっとあの男性の顔が浮かんで、ボーッと過ごすことが多くなった。 名前も知らない男の人。それが最初の接点だったわ。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4/8 でも、彼との出会いはそれで終わりだった。 彼は宮永咲さんととても仲が良さそうで、もしかしたら付き合っているのかもしれない。 そう考えるだけで胸が締め付けられてとっても辛かった。 本当はここを飛び出して会いに行きたいけれども、そんな勇気もなかった。 第一、見ず知らずの人にいきなりそんなことをされたら引いちゃうわよね……。 何もできず悶々としている私に妙案が降りてきたのは、次の日だった。 \ \ ト、 \ . l | \ | . l l / l |-―‘ | l | / / l | | ‘ | | l | / l/ / / l | l __, ‘| | l l l'´| / / | /l/ ´ ,,____| | l l l l l /l / | / ,x≦斧⌒| | l |八{ l/´|/,,_ノ´ h_刈 | | l | x≦芹⌒` 辷ソ | | 「神様の力を借りましょう!」 l l /{h_j刈 ''' | |八从{ 乂_少^ 、 | |ー || 八 `ー ||、 _ / / l| \ ‘’ / / 今の何もできない状況からは何かが変わるはず! 初美ちゃんや巴ちゃんに相談しても呆れられるばかりで何も進展しなくて、私は焦っていたの。 私が降ろせるのは悪神様。例え、それでも構わない。 何か一歩前に進めるのならば、私に迷いはなかった。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5/8 , ' . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ..ヽ /. . . . . . . . . . . . . . . .;、 . . . . . . ヽ .. .ヽ // . ./.. /. ; / ';. . . . . . . . . . '; ....; /,' . ;'. /. l! ;' .'; l l . . ..i /.i | lL -亠 l  ̄丁T! ‐! l l . . |. i ! 、 l l!、 _」L l l --+HL_ l .;リノ . . ...| ! .l トゝ !´__ _ヽ 川 ,,z=-zy/j;イ .| | .l . lv'筰 卞 ヽ. ´ b jヽ .!l .| l l! .辷.ノ ー.― ll .| l l. ,,, ' ''' 'l . .| l l /l .| 「神様! 私はどうすればいいのでしょうか!」. l .l. ャー‐ッ / l / .l l ... イ / l. l >.....___ < | l / .. ' l . / l / . /. l .. /{ | / . / l . . / ゝ´ll /,' ./> 、 l . /// ! / / イ./ ヽ. l . / ,' / / ;.' / | .i. l=;/ l / ,; ,' / ! l ,' l ./ i / / / l! .l / 丿, ' /! ;' / / ! _、ー 、_,. -- 、 > ` \ ∠ " ゙ ヽ /. " " " " ノヘ ゙ ゙ ゙ ゙ l ←降りてきた神様. イ ." " ,イ ,イ|||l| ト、i、゙ ゙ ゙| lイ."ノlノ|レH|||||N||Nヘ.゙ ゙ | h | === u _ === ||^i│ |f.|| `ニ゚´ |.| `゚ニ´ ||リ| l 「知らん、寝ろ」 ヾl| u , r|」、 、 |レ'/ !ヽ、l ──- | ,.イ '/ `ヘl\ = / | \ / | `ー ´ | ヽ、_ _,. -‐'''"´| l / | ``'''‐- 、.._. | ヽ. / | | | ,' | . | _;; -┐| | ト、 _ | . ´ | | | 〉 | 「`` ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6/8 私は神様の言う通り、床についたわ。 早く眠らなければと思えば思うほど焦って寝付けない。 あの人のことを考えれば考えるほど胸がドキドキして眠れない。 逸る気持ちを抑え、何とか眠りについた。 ―――そして私は、平行世界の存在を知ることになる。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 7/8 …… … そこに広がるのは、彼との毎日。 『霞さん。フランス語わかります?』 『い、いえ、まったくわからないです……』 『ですよね。どうしたもんかなぁ』 たくさん辛いことがあって、多くのものを切り捨ててきた。 『ジェスチャーでもなんとかなるもんですね』 『京太郎さんはすごいですね! 海外の人ともすぐ仲良くなっちゃうんですもの!』 『い、いやァ、照れますよ』 それでも、一歩一歩進んでいって、本当に欲しいものだけは手を離さなかった。 『霞。行ってくるよ』 『京太郎さん。行ってらっしゃい。 お怪我はしないでくださいね?』 『うっ、でもハンドボールって接触競技だからさ』 『もう。私と娘で泣いちゃいます』 『そ、それは困る! 絶対勝って、怪我しないで帰ってくるよ!』 『はい……っ! お待ちしております!』 だから私は、幸せです!――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 8/8 ...-―――-... / \ / / ト \ \ / / / l l |l l i‘ ヽ ト、 . l l l l l リ ハ リ-‘ | |l |i| | l l从/i // } /__ l | リ |i| | l |,斗≠ト 厶イ,斗=ミル |i| l 八 l〈 V炒 V炒 〉|l リ | 「神様、こういうことだったのですね!」 | 个ト、 ,, 、 ,,, ,小 / !. ‘ i ∧ __ // / ノ ‘ i 分、 ` ' ... i/ /i ‘ ∨ i〕i=- -≦ / / | ‘ i l |∧ l ∨ / | /‘ l | ∧_// ∨ / | / /‘卅li ∨/ Ⅳ ト 、 ∠ i | i l|\ / |‘ | \. ∧ `ヽ l _| l リ_ヽ./ / ‘ |\ i‘. ′'. V´ ノ / / ̄\/ ‘ \\i i. \ // / / /⌒ヽ ゞ===ニ≧ミi i \ / / / ∨/ ∨ノ i -==ミヽ /_ / }' ‘. | 〃 / ̄ `丶 i i 〈 {i 〈 ,ィ 、 \ ノ ノ |\八 ∨⌒ト、 〉 ! ! i/ /{ | \\ ヽ }/}_j_j_,ノ⌒>=-- -=≦ | そして全てを悟った私は、しばらくお布団の中から出なかったわ。 初美ちゃんや巴ちゃんが何度も起こしにきたけれども、決して起きなかった。 お父様やお母様が心配してくれていたけれども、私は平行世界を見ることに夢中になっていた。 私と京太郎さんが結ばれた未来を見て、起きればそれを忘れないようにすぐにノートに記述。 その作業に慣れてからは自分で理想の世界の記述も始めた。 白望ちゃんと出会ったのもその時。 そして家を出た私は小説家としてデビューし、今に至るの。 それから10年間。咲ちゃんや白望ちゃん、玄ちゃんとも仲良くなれたわ。 今がとっても充実していて嬉しいわ。 ……今回はこんなものかしら、今度はもっと詳しく、平行世界のお話をしましょうね。カン!
https://w.atwiki.jp/miyanagake/pages/227.html
1/8 【違和感】(平行世界) どこかふわふわとした感覚。 まるで夢を見ているようだ。 自分は『小瀬川白望』という中で、自分とは別の『小瀬川白望』がすることを覗いていた。 「京、だるい」 「はいはい。ちょっと待ってくださいねー」 京は私の言う通りにお茶を入れてくれて、コタツに入っている私の背中に毛布をかけてくれる。 すぐに飲もうとする私に『まだ熱いですよ』、なんて注意をして、ゆっくり背中をさすってくれる。 「京」 「今取ってきますよ」 声をかけると、今度はみかんを持ってきてくれた。 持ってきてくれたみかんをじっと見つめる。 京と目を合わせて、すぐに視線をみかんに戻す。 「仕方ないなー」 そんなことを言いながら、京はみかんを剥いてくれる。 私はまるで妹や娘にするような扱いを甘んじて受けていた。 「はい、あーん」 「あー……」 それはちょっと恥ずかしい。 だけど嬉しいから食べてしまう。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2/8 ボーッとしながらもいつもの無表情。 京はそんな私を見ながら、ニコニコしている。 「ゴミ捨ててくるよ」 「うん……」 そろそろ動かなくては、なんて思っても京が先に動いて全て終わらせてしまう。 言ってはなんだが、すごく楽だ。 『小瀬川白望』のあるべき姿とは、こちらの方が正しい気がしてくる。 (ずっとそうだったな) 塞や胡桃に何度注意されたかわからない。 いつもこうしてだるだるしていて、自分から行動なんて滅多にしない。 二人ともなんだかんだ言いつつ私のフォローをしてくれるから、それに甘えてしまうんだ。 「シロ姉、お風呂湧いたよ」 「おぶって……」 「さすがにそれは危ないって」 私はこんなことを言えたっけ。 京と密着するなんてなったら真っ赤になってしまう気がする。 でも、こっちの私の方が正しい私な気がする。 わからない。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3/8 「シロ姉、どうしたの?」 「ん」 「?」 「なんでもない」 そんな私に気づいたのか、わざわざ回り込んで私の表情を確認する。 私はいつも通りコタツに突っ伏して、顔を横にそらす。 京はその顔が見える位置にまで移動してこちらを見てくる。 なんだか気恥ずかしい。 「シロ姉お風呂ー」 「京が先に入っていい……」 「俺、他にもやることあるんだけど……」 「じゃあ入る……」 私はダルそうに立ち上がると、京をじっと見つめた。 『どうしたの』なんて表情を浮かべる京に、一言付け加える。 「一緒に入る?」 「バッ、何言ってんだよ」 京が顔を真っ赤にする。 わずかな優越感が胸に飛来する。 挑発するように上着を脱ぐと、京はそそくさとその場を離れた。 それをぼーっと見つめる。 特に何か考えていたわけではなかった。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4/8 それからも、京に料理をしてもらったり、髪を梳いてもらったりと至れり尽くせりを味わった。 私の知っている京は料理なんて出来なかったと思うけれど、とても美味しい料理が出てきた。 何より、京に料理をしてもらっているだけで嬉しいかもしれない。 「今日は自信あるんだけど」 「美味しい」 ちょっとは女の子として危機感を覚えた方がいいはずなのに、私はそれを享受する。 「あっ、お味噌汁おかわりする?」 「する」 パタパタと主夫のように動く京。 高身長も相まって違和感を覚える。 それでも、だるがりの私にとっては関係ないらしい。 私をお世話してくれる京が、とっても可愛らしかった。 「シロ姉、機嫌いいね」 「そう?」 「表情変わらないけど、わかる」 「んー」 ちょっと恥ずかしいから顔を背ける。 自分を理解してくれているということは嬉しいものだ。 ただ、それを直球で外に出すのは難しい。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5/8 「明日の講義は俺出られないんだから頑張ってよ」 「だるい……」 「そんなこと言うなよ。 シロ姉はやればできるんだから」 「生意気」 「実際成績いいんだもんなー。 かなわないよ」 「……そんなことない」 「なんだかんだ言ってなんでもできるし」 「だるい」 「だるがりなんだもんね」 「うん」 「俺がいなかったらどうなっていたことやら、なーんて……」 「きっと大変だった」 「そ、そっか?」 「うん。 だからお世話して」――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6/8 思えば、小さい頃からこんなことを夢見ていた気がする。 誰かが自分のお世話をして、自分は何もしない。 出来れば好きな人にやってもらいたい。 そんな小さな乙女心は誰にだって話したことはない。 だるいから何もしないで生きていたい。 そんな考えが払拭されたのは……。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 7/8 …… … 「変な夢」 朝から変な気持ちで目が覚めた。 それは今が夢か幻かわからない感覚。 本当に目が覚めたのか、さっきのは夢なのかが判断できない。 じっと自分の掌を見つめて、ちょっと摘んでみる。 (こんなことをしても、わからないけど) 鈍い感覚。 リアルな夢ではそういうものを感じることもある。 それでも、だんだん目が覚めてきた。 そうだ。 自分にはやらなければいけないことがいっぱいある。 「朝食と、京のお弁当」 頭の中でやるべきことを整理していく。 横を見れば京はまだ寝ている。 ギリギリまで寝かせてあげたい気持ちが強いから起こさない。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 8/8 (京が、主夫?) 先ほどの夢を思い出す。 意外と細かい性格だし、責任感も強い。 でも、自分の前の子供っぽい部分を思い返して、それはないなと結論づける。 何より、女の子として色々としてあげるのは、嬉しいし楽しい。 それに、主夫に収まるような人でもないなと、何となく思っていた。 お嫁さんに文句を言われながらもいい旦那さんをして、仕事をしている姿が浮かぶ。 なんだかんだで男の子だし、プライドもあるから。 そのお嫁さんは自分であることは譲らないけれど。 そこまで考えて顔を赤らめる。 自分がお嫁さんで、京が旦那さん。 … 全く、京は卑怯だ。 寝ているだけで人の感情を動かす。 こんなことを考えている場合ではない。早く朝食を作ろう。 (……?) 体が重い。 無理に起き上がってふらつく。 ダメだ。もうちょっと頑張らないと。 「……シロ姉?」 後ろから声をかけられる。 京に支えられたとわかった途端、安心して脱力した。 続く
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1598.html
あなたはもう一人の自分を信じますか? いえ、もし、世界がもうひとつあったとしたら、 そこに自分を取り巻いていたはずの世界とは似て非なる世界があったなら。 あなたはどう思うでしょうか? そしてどういった行動を取るでしょうか? 質問しているわけではないのです。 ただ、あなたがこの物語を読んで、彼の立場に置かれたら。 どう思うか。つまりそういうことです。 もうひとつの世界―。 ―列島を器にして季節はずれのかき氷を誰かが食ってるんじゃないかってくらいの寒さだった。 だが俺が体験した事件で感じだそら寒さといったら、その比じゃなかったんだ。 話はハルヒが帰ってきたほんの数日後から始まる。 何かあちこちがほころんで、わやになっている、そんな気配。 俺は坂道をいつものように登っていたし、谷口が例によって横を歩いていた。 だがこいつはらしくないことに風邪のひき始めで、会話の合間合間に鼻をすすっていた。 「あー、だるいったらないぜ。学校をちょこっと休んで一発復帰したほうが いいような気がするんだがな…」 「休めない理由でもあるのか?確か微熱があるんだろ」 「親父が休ませてくれねぇんだよ。40度超えたら許可するとかぬかしやがって。」 ずずっ。と谷口はまた鼻をすすった。 「今年の風邪は鼻から喉に来るらしいぞ、気をつけろよ」 朝のニュースの受け売りを俺は言ってやった。 「気をつけろっつってもなぁ。もう風邪な上に休めないんじゃ、 水も持たずに砂漠の真ん中に降りたっちまったようなもんだぜ」 俺も気をつけよう、と、珍しく気を引き締めて教室に入った。 風邪ひきばっかりね。もう休み始めてる人もいるし…」 後ろの席、風邪とは地球最後の日まで無縁であろう涼宮ハルヒは、 だらしないわねと言わんばかりにクラス一帯を眺めてから、 「阪中、あんたも風邪なの?」 横を通りがかったショートカットにぶっきらぼうに言った。 「そうなの。注意してたんだけどね…コホッコホッ」 苦笑しつつマスクのしたからくぐもった声を出した。 どうやら坂中の風邪は喉に移行したらしい。 「お大事にね。さっさと治しちゃった方がいいわよ」 そりゃそうだが、そんな自由自在に風邪が治せたら、ノーベル賞を 何回か受賞できそうだし、この世から医者の悩みのひとつが根絶するぜ。 「気合さえあれば風邪なんか引かないの。あたしは生まれてこの方 風邪を引いたことなんかないわよ!」 坂中の後ろ姿を見ながら俺に怒鳴るという無駄な器用さを見せ、 「SOS団から風邪ひきがでなけりゃいいけど…」 と、団員を気遣う一面を見せた。なら俺も気遣ってくれよ。 「アンタは健康そのものでしょ!気遣って何になるのよ」 そう言われればそうだな。俺はハルヒにお大事にとか言われても何も嬉しくないし。 「バカ」 やり取りに詰まるとハルヒはたいていそう言って会話を終了する。 この日も俺らは普通のやり取りをしていた。あぁ、そのはずだ。 さて、部室に場所を移す、時間は放課後のこと。 「クリスマスねぇ…」 ハルヒは団長机でブツブツつぶやいていた。 何だ?これ以上メジャーなのはないイベントじゃねぇか、 いつものように消火不可能な炎になるんだとばかり思ってたが…。 「どうもメジャーすぎると思わない? あたしはあんまり大勢が好む行事は素直に喜べないのよ」 校庭に落書きしたり校舎にペンキぶちまけたり呪詛の書かれた札貼ったりするくらい アブノーマルな趣味だもんなお前は。 「ずいぶんと余計よ。たまには団員らしく減らず口は閉じなさい!」 意見を出せと言ったり黙れと言ったり、どっちかにできんのか。 「今は黙ってて!」 ハルヒはその後も何やら怨念めいたお経まがいの声を出していたが、 それはもう気にしないことにして、俺は机に突っ伏す。 古泉はハルヒの願いもむなしく早退したそうだ。 体育の授業中にクラリと来たらしいが、想像するだに俺の方が 体内に数十のウィルスを宿しそうだったので即座に取りやめる。 長門は風邪をひくわけもない。一見して何も変哲はない。 たまには観察に時間をかけてみようかと思い、次の瞬間に気がついたことがあった。 「長門…?お前眼鏡またかけてるのか?」 あの文芸部室での邂逅から数日ばかりの記憶が蘇る。 あの時の長門はこのように眼鏡っ娘だった。 違いと言えばどことなく丸くなったというか…いや体形じゃないぞ。 金属的な無機質なイメージがほんのり温度を帯びたような、そんな気がしていた。 黙って長門はうなずきを返した。 何故今頃になって眼鏡をかける気になったのか分からんが、 こいつにも気の移り変わりがあるのだろうと思って俺は視線を移動。 春夏秋冬を通じて無償の癒しを下さるアイポーション、朝比奈さんは 風邪にかかることもなく今日も健気にお茶を汲んでいた。 そういえばお茶の色がまた元の緑に戻ってくれて、俺としては嬉しい限りだ。 果たしてハルヒはクリパを実行するのか謎のまま、 長門が本を閉じる音と終業チャイムを同時に聴いて、この日の部活は終了。 俺は帰途に着く。下駄箱で偶然鶴屋さんにあった。 「やぁキョンくん!元気かな。風邪なんか引いてないにょろ?」 えぇ大丈夫ですよと俺は答え、こっちが同じ質問をする必要はないかと思っていると、 「ところでキョンくん、最近何かヘンな感じがしないっかい?」 …と、言いますと? 「何て言えばいいのかなー。何かこう、色んなものがちょろ~んと 震えちゃってる感じっていうのっかなー?」 風邪をみんながひいていることの鶴屋さん的比喩表現だろうかと思っていると、 「まぁうまくは言えないんだけどねっ!キョンくんも気をつけたほうがいいよっ。 ほんじゃぁねー!」 ハルヒは大型台風が来る確率くらいにメランコリーになることがあったが、 鶴屋さんは元気じゃなかったことなど、俺の知るかぎりにおいてない。 世のなか彼女のような人ばかりならば、もうちょっと地球は スムーズに自転できるんじゃないかと思うね。いや関係ないか。 俺は家に着いた。 俺の部屋ではシャミセンと妹がベッドでじゃれあっていた。 だから俺の部屋を使うのはやめてくれよ…。 「キョンくーん、おかえり!」 妹はつい最近変えた兄の呼び名を言うとともに、 同じく最近我が家の住人となった猫を抱き上げた。 ふたつのことの成り行きはこうである。 文化祭の準備のあの日、SOS団は俺の部屋に集まって会議なんぞをしていた。 まぁ、あれで出来上がった産物は思い出したくもないし、 会議初日に決まった事などないに等しかったが、 まさにその夜部屋に来た妹によって、俺が学校で何と呼ばれているのか 聞かれてしまった…ということである。 妹はたいそう面白がり、その日一日中「キョンくん」「キョンくん」と わめき騒いで何を言っても静まらなかった。 孤島での一件と同じように、妹は言い出すとそれを変えない面がある。 間違ってもハルヒみたいな女にはなるなよ。頼むから。 もうひとつはシャミセン。この猫は三毛猫でオスなのだ。 ひょっとしたらこの珍しさに驚かない人も多いかもしれないが、まぁ気にしない。 ある日コンピ研部長が部員とともに訪ねてきて、猫をもらってくれる人はいないか というようなことを困り顔で言っていた。何でもその部員君が両親の都合で 海外に行ってしまうんだとか何とか。で、ハルヒは世話が面倒だからと拒否、 古泉はやんわりと猫が好きじゃない的なハッタリを言ってかわし、 長門のマンションはペット禁止、朝比奈さんは恐らく現代に同居する 存在を置くことに困っていたが、それを見かねて俺が申し出た、という次第である 説明が長くなったな。まぁそんなわけで、 俺が望んだわけでもないのに成り行きの力は恐るべし、と言わんばかりに 妹は「お兄ちゃん」と言わなくなり猫は俺のベッドを定位置に指定したのだった。 これは序章、つまりプロローグ的第一章、いや前半で、それを兼ねているわけである。 翌日に俺はとんでもない事態という言葉では全然片づかないくらいの 仰天な状況に陥るわけである。 さて、今度ばかりは笑えないぜ。 ふぅ。 朝起きて洗面、食事、歯磨き、着替え、などもろもろのルーティンワークを終え、 俺は妹と一緒に玄関を出て学校に向かった。 例のハイキングコースはすっかり慣れっこだったが、 坂の中盤で肩をどつかれた人物を見てもすぐにはそれを受け入れられなかった。 「よっ!キョン」 谷口である。まったくもって元気そのもの、 数日前までと相違ない無駄な元気のよさでスマイルする。 「いよいよ近付いて来るなぁ?例の日がよ!」 「何のことだ?」 「とぼけんじゃねぇぜ。昨日言ったばっかじゃねぇか。 いくらショックだったからって、忘れたとは言わせねぇーよっ!」 谷口は俺の額を爪でぱしっと弾き、ご機嫌に歩を進める。 「何の話かさっぱり分からん」 事実をそのまま言った。こいつは一体どうしたんだ?そもそも風邪は治ったのか? 「風邪?それこそ何のことだ?…まぁいい。楽しみだなー、ク・リ・ス・マ・スがよっ!」 何故そんなにクリスマスを心待ちにするんだ? お前はいまだにサンタ伝説を信仰する稀有な人間なのか? 「そんなんじゃねーよ。マジで忘れちまったのか?」 忘れたも何も、もともと知らなかったんだからそれは忘れたという言葉に属さないぜ。 「かぁ~、そんなに衝撃だったんだな。まぁムリもないぜ」 「早く言えよ」 少し腹が立ちそうになってそう言った。 「クリスマスにデートすんだよ。光陽園の一年女子とな」 俺は立ち止まって口を開けた。谷口に彼女? それで一気に風邪が治ったんだろうか?というかお前… 「そんな話、今まで一度もしなかったじゃないかよ」 「何言ってんだ。だから昨日したばっかじゃねーか」 …?こいつは何を言ってるんだ。 「お前は寂しく涼宮たちと鍋パーティだもんなー。かわいそうに」 鍋パーティ?ハルヒたちと? 俺はここ数日部室に顔を出さない日はなかったが、それは何の話だ。 「お前が昨日言ったんだぜ。あのSOS団だかいうくだらん連中と、 クリスマスに鍋をつつき合うってな」 くだらんは余計だと一瞬思って、すぐにそんなことは重要じゃないと考えを切り替える。 何かおかしいぞ。谷口の風邪回復に彼女出現、そしてSOS団のパーティ…。 谷口とろくに意思疎通できぬまま俺は教室に入った。 驚くべきは谷口だけでなく全員の風邪が回復していたことだった。 このクラスの人間は夜のうちに急に免疫力が10倍にでもなったのか? ぼんやりと席に着くと、後ろの席にもう来ていたハルヒはこう言った。 「ねぇ、みくるちゃんのコスプレだけじゃ不十分よね!何かいいアイディアない?」 目はキラキラと打ち上げ花火を条例に引っかかるくらい打ち上げすぎたように 輝いていて、それがどうも昨日までのこいつとは結びつかなった。 「何の話だよ。コスプレって何だ?新しい衣装を用意したのか?」 ハルヒは一瞬いぶかるような顔になり、すぐに元に戻って、 「寝ぼけてんのね、バカキョン、早く目を覚ましなさい!」 と俺の耳元で叫んだ。うるさいことこの上ない。 確かに多少眠い事は認めるが、それくらいで俺の現状認識能力が使えなくなるとは思えない。 何が変なのか洗いなおそうとして、次の瞬間また俺はマヌケな表情をした…だろう。 担任岡部が入ってきた。いや、それ自体はまったくどこをどう表現しても普通だが、 肝心なのはそのてっぺん、頭頂部。いや頭部。 何一つ不自由ないかのように髪の毛が頭皮を覆っている…。 待ってくれよ。ヅラか?とうとうスキンヘッドに嫌気がさしたか? というか何故誰も驚かないんだ、それまでツルリンだった男に 突如として密林よろしく髪が生えているんだぞ? 俺はショックに言葉が出ず、HRの間中ずっと岡部の頭ばかりを見つめていた。 何かおかしい…。 俺のあるはずもない第6感、いや第7感くらいが嫌な感じに警戒警報を発していた。 そろそろおうちに帰りましょう、いや、どうでもいいんだそんなこと。 放課後…俺は悄然として部室に向かっていた。 昼休みに谷口や国木田と色々話してみたし、もちろんハルヒにもいくつか 訊いてみたが何一つ俺の事実認識と一致する意見は得られなかった。 「岡部ははじめっからフサフサだったよ」「だから俺はちゃんと昨日言ったろ、デートだデート」 「みくるちゃんには昨日あたしからプレゼントをあげたじゃない」 これは何だ?新手のイタズラか?随分とクオリティの高いドッキリだな。 こんな俺だけが困るようなことをハルヒが望んだりするのか? …するかもしれない。いや、にしては手口がらしくない。 意識が半分以上どこかに行ったまま、俺は部室のドアを開いた。 ノックを見事に忘れ、俺は目の前に今は待っていませんでしたとばかりに 登場した下着姿の朝比奈さんを見て即行で赤面。 3倍速逆回しの要領で外に出て「失礼しましたぁ!」とわやくちゃな声をあげた。 数分して俺は彼女が手に持っていた衣装を思い出していた。 真っ赤な生地に白い縁取り、垂れた帽子の先には同じ色の球体… 今までの俺以外の奴の意見からして、どうやらサンタ衣装で間違いなさそうだった。 いつの間にそんな計画が進行してたんだ?俺には秘密だったのか? 何だか力が抜けて、気付けば座り込んでしまっていた。 おかげで次の瞬間に背中の感触が消えた時に、俺はまた慌てる羽目になった。 「ふわぁ、ふっ!」 異様に白い太ももが見えたが、それ以上何も分からなかった、 多いかは分からないがどっかの誰かに誓う、他には見えなかったぜ。 「こら!キョン!また覗いてるの!!?」 廊下に現れたのは不都合にもハルヒで、俺は弁解の余地もなく部屋の飾りつけ 強化の刑を言い渡され、そのようにして壁にモールを取り付けていた。 反論しようもないので黙っていたが、俺はまた疑問を抱いた。 「…また?」 俺は朝比奈さんのサンタ衣装を見たの自体今日が初めてだぜ? なぜ『また』などという副詞がつくんだろうか。 ふと目をやると、長門は虚ろな瞳で虚空を見つめ、 そして俺は考えるより早く訊いた。 「長門、眼鏡もうやめたのか?」 いや、まぁそれはもちろんいいんだけどな、ないほうが。 だが1日で眼鏡をやめる理由に思い当たらなかったがゆえの質問だった。 長門は何も答えず、首も傾けず、瞳の暗黒度が心なしかかつてないほどに 強まっているように感じた。どうしたんだこいつも? かちゃりとドアが開いて古泉が入ってきた。 「どうも、遅れてすみません」 それ以外は何も問題がないという風な装いだった。 「風邪はもう平気なのか?」 「風邪?何のことですか?」 「何って、お前昨日授業中に倒れたんじゃなかったか?」 「冗談ですか?あなたにしては乱暴な冗談ですね」 と言って古泉は流麗な動作で椅子に座った。健康にしか見えん。 部活はクリスマス一色なムードで、だが俺はちっともクリスマス気分にはなれなかった。 ここは何かおかしい。どれにも誤差がある。 いや誤差の集合はもはやその範疇にない。明らかに異常事態だ。 だが俺が何かを言っても疑問を持たれるだけで、ひいては変人扱い、 もっと行けば精神病の診断を下されるかもしれん。 俺は会議のほとんどを生返事で答え、 気がつけば朝比奈サンタが行く地域奉仕ツアーにおけるトナカイの役、 なるものを押し付けられていた。 「さぁ、買出しに行くわよ!衣装を作らなきゃね!」 ハルヒ先導の元俺は覚束ない足取りで廊下に出た。 団員は列になって歩き、俺はしんがりをよたよた歩いている…。 これはどうなってるんだ?ここに俺がいていいのか? ひょっとしたら世界は元からこうだったのか? 意識は脳からまろび出て、俺は完全に階段を廊下の続きだと思って一歩を踏み出した。 重心を左足に全て移動し、何もない空中を空振りさせた直後―。 俺は全身を強打する感覚を連続で感じた後、後頭部に強い衝撃を受けて 意識がまるごと消失した―。 夢を見ている。夢の中でそう自覚できる事があるとしたら、これは夢なのか。 印象的な場面だった。俺は真っ暗な空間を歩いていた、 大きな窓だけが両壁に続き、広間とも廊下とも言える場所をまっすぐ、 何かに向かい歩いていた。 ふいに現れた人影は、長門有希のもので間違いない。 それだけは視覚的情報によらずはっきりしている。 長門はまっすぐこちらを見ているが、まばたきひとつしない。 そして瞳に光りはない。そんな事は以前にもあったが、そういうのとは違う。 何か、意思というか、前に向かう力というか、そういうものがまるごと消えているような闇色である。 「長門…?」俺は語りかけた。 「…」長門は何も言わない。 「何か言ってくれ」俺は話を続ける。 「…」やはり何も言わない。 「助けてくれよ。俺を元に戻してくれ、お前も何だってこんなところにいるんだ。 元の世界に帰ろう。なぁ、長門。何か言ってくれ」 「…」長門はやはり黙ったままで、しかし視覚上の変化が俺の瞳に映った。 真っ黒なだけの長門の瞳から、真っ白な雪のひとひらが舞い降りた。 それは通常の雪より大きく、宝石のような輝きと結晶のようなはかなさを併せ持って はらりと長門の足元に降った。途端にそれは消えてみえなくなった。 「長門…?」 俺は一瞬のフラッシュバックを得た。ついさっき。 長門は部室の椅子で虚ろに座っていた。 乱暴に例えてしまえば、電源の入っていない機器、魂のない人形。 急に俺は恐怖と悲しみを感じ、泣けも怒りも、もちろん笑えもしない状態になった。 俺の世界で長門は特別問題はなかった気がする…。 今まで着かず離れずじゃあないが、頼りすぎるなんて事はなかったはずだ。 じゃぁここにいる長門は何なんだ?この宇宙の暗黒をより集めたような、 底なしの表情は何なんだ!? 「長門…!俺だ、大丈夫か?しっかりしろ!」 何も答えない。誰も返事しない。俺は一人きりだ。 「長門!俺はお前を目覚めさせなきゃならないんだ! SOS団の誰も欠けるわけにはいかないんだ!目を覚ましてくれ…頼む」 俺はひざまずいてうなだれた。どうしてこんなに悲しいんだろう。 そんな感情とは無縁のところに俺はいなかったか? 誰がこんな状況を作り上げたんだ? 「長門…ごめんな」 「…」 「俺一人じゃどうにもできないのかもな。 どうしてこんな…ごめんな。ごめん」 謝るしかできなかった。誰のせいにすればいいかも分からない。 「ハルヒ…」 俺は今までのSOS団での毎日を思い返していた。 入学式、SOS団結成、朝倉vs長門、二度の閉鎖空間、ハルヒとの帰還。 梅雨時の野球大会に七夕の時間旅行。夏場の体育祭。孤島でのデキレース。 十五夜の満月、アナザーハルヒとの一日デート、文化祭、雨のハルヒ消失…。 走馬灯ってのはこのことなんだろうか。 俺は今最後の夢を見ているんだろうか。 なぜだ?…ごめんな。ハルヒ、長門、古泉、朝比奈さん…。 … …… もう一度SOS団に会いたい。 俺はまだまだ、やり残したことがたっくさんある。 もう何も拒んだりしない。 だから帰らせてくれ。 一緒に帰ろう。 長門…。 ハルヒ。 視界が真っ白になる。 長門が俺を細い腕で抱き起こそうとしている…。 見上げた長門の顔には…光?雪?表情? すべてが光り輝いた。 俺は何だか幸福な夢をみた気がした。 ベッドに寝ていて、そこでSOS団の皆に囲まれている… あれは夢…? ハルヒ… みんな… キィィィィィィィイイン かくて平行世界は消失する―。 ―また、お会いしましょう。 ―いつか、どこかで。