約 3,071,548 件
https://w.atwiki.jp/froyale/pages/59.html
【名前】涼宮ハルヒ 【出典】涼宮ハルヒの憂鬱 【種族】人間 【性別】女性 【声優】平野綾 【外見】 【性格】 【口調】 【備考】 以下、本編での活躍など +開示する 本編における動向 初登場話 死亡話 登場話数 スタンス 現在状況 キャラとの関係 キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 [[]]
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/23.html
キョン「涼宮って頭おかしいんだろ?」 鶴屋「そうね、むこういきましょ?」 ヒソヒソ ハルヒ「・・・・・・・・・・・」 電車が・・・・・・来る・・・・・・・・ あ ハルヒ「団員ども、宇宙人・未来人・異世界人・超能力者その他の不思議を見つけて来た者には 私の唇から直接唾液を与えるーーーッ」 キョン「あぶなーい『何でも溶かしそうな液』だ!」 ハルヒ「(´・ω・`)」 はるひ「………」 ハヒル「………」 八ルヒ「………」 キョン「どうしたんですか?この三人」 朝比奈「なんでも誰がハルヒさんのパチモンかでもめてるんですよ……」 キョン「別にそんなの決めなくても良いじゃん、だって三人ともちゃんとした人間じゃないか」 はるひ「お兄ちゃん」 ハヒル「キョン」 八ルヒ「キョン」 ハルヒ「キョ」 キョン「ただし本物に人権は認められない、だってキモイしwwww」 ハルヒ「………」 ハルヒが鬱病になりました キョン「ハルヒ…」 ハルヒ「うっさい!私に構わないでよ!!」 キョン「おい聞けよ!お前の事なんだよ!大事な事なんだ!これを聞いたらもう口を聞いてくれなくても良い!だから聞いてくれ」 そのキョンの真摯な瞳に私は黙ってしまった ハルヒ「………なんなのよ……」 そして彼の口からつむがれる言葉を待った キョン「授業の妨げになるから学校に来るな」 ハルヒ「………」 ハルヒ「全く、過疎ってどういうわけよ!な~にやってんねんホンマ!」 ハルヒ「そしてわが部室も今日も過疎(´・ω・`)……」 体育の授業で ハルヒ「ねえ!!!・・・誰か一緒にパス練習・・・・」 サッ・・・・・ ハルヒ「あ・・・・・・・」 鶴屋(ごめんね涼宮さん・・・・・) みくる(あいつと話したらゆるさねえかんな?) 朝倉「はい」(・・・・いじめは・・・人間の本能・・・か・・・) 長門(・・・・・・・・) 谷口「あいついつまで持つと思う?」 キョン「かけるか?三週間!」 『涼宮ハルヒの庭球』 ハルヒ「テニスするわよー!」 長門「ぶんぶん!」ナガモーン キョン「長門もう少し手加減しろよ、光速サーブ打つのは良いが全部フォルトだぞ」スパコーン みくる「いくでちゅ、『みくまるビーム』!」ミックルンルン 古泉「さながら『テニスの王女様』という感じですね、次は一人でダブルスですか」ウホホーン ハルヒ「キョン以外は上手いわね!さすが我が団員たち!…………ははは」 ↑上手いことハブられる団長 元祖いじめ ハ「わがSOS団は、文化祭で映画を撮ります!」 キ「古泉ほんとよえぇなお前。はい百円」 古「いやぁ、これでも家で研究してるんですがね」 ハ「配役はもう決めてあるのよ。まずみくるちゃんが戦うウェイトレスで未来人なの」 み「お茶ですよー」 キ「あぁどうも朝比奈さん、今日も似合ってますよ」 み「もう、キョンくんたら。お世辞が上手なんだから」 古「長門さん、何を読んでいるんですか」 長「人間失格」 ハ「それで古泉くんが少年エスパーね。初めは自分の力に気付かないのよ」 古「長門さん太宰ファンですか」 長「けっこう」 キ「あ、お茶っ葉替えましたか?」 み「あ、するどい。あたりー」 ハ「で、有希が宇宙人で古泉くんを狙ってるの」 キ「ひさびさに四人でファミレス行かないか?」 古「いいですね。……奢ってくれるんですか?」 キ「女性限定でな」 み「悪いですよー」 長「感謝する」 涼宮ハルヒの消失(いじめREMIX) キ「はい古泉負けー、100円!」 古「本当にあなたには敵いませんね。実は僕が弱いのではなくあなたが強いのではないですか?」 み「お茶ですよ~。ジャスミンティーでーす」 長「ありがとう」 キ「長門、お前も随分素直になったよな」 長「もうわたしは自分を恐れない」 古「それは喜ぶべき事態でしょうね。SOS団の絆は深まるばかりです」 み「長門さん、クリスマスの予定はありますかぁ?」 長「まだ決まっていない」 キ「じゃぁ今年も四人でクリパすっか」 古「いいですね。今年は国木田君や谷口君、鶴屋さんや部長氏、 多丸さん兄弟に新川さん森さんも呼んで派手にいきましょう」 キ「会長とか喜緑さんも巻き込んじまえ。この際だ」 み「わ~。楽しくなりそうですね!」 長「あなたの妹も忘れちゃいけない」 キ「おっと灯台元暗しだな。折角だし阪中とか中河とかも呼ぶか」 古「舞台の準備は僕におまかせください」 キ「期待してるぜ」 み「あれ、そういえば誰か忘れてませんか?」 キ「ん、誰だっけ、そういや2年前くらいまで5人だった記憶がないでもないな」 長「気のせい」 キ「そうか」 古「ですよね」 み「記憶違いでしたー、えへ」 キョン「ハルヒ好きだ付き合ってくれ」 ハルヒ「ほんと?あたしもよモチロン付き合うわ」 ガバッ(キョンがハルヒを抱きしめた) キョン「うわ!ハルヒ生臭!さんま!?」 ハルヒ「……」 ハルヒ「みくるちゃん!脱がせてあげるわ!」 みくる「わぁーやめてくだしぃー……うわ臭!くっさ!たらこ!」 ハルヒ「転校生が着たわよ!」 古泉「古泉一樹です」 ハルヒ「紹介するわ、あたしが団長の涼宮ハルヒ。こっちが団員1と2と3よ」 古泉「……なんだかここはアソコと同じにおいがします…」 ハルヒ「え?」 古泉「こいつか!団長くさ!くっさ!腐っただいず!」 ハルヒ「…………納豆?」 キョン「キメェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ハルヒ「にょろーん(´・ω・`)」 ハルヒいじめ みくる「巨乳でも貧乳でもない凡乳乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 長門「乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 ハルヒ「……」 キョン「よりによって大晦日に全員呼び出しやがって、何の用だ?」 ハルヒ「SOS団の忘年会しましょう!」 みくる「あうう、私は鶴屋しゃん家にお呼ばりぇしてして…」 古泉「すみません、僕も知り合いの人達(機関)との忘年会がありまして」 長門「私は彼の家に呼ばれている」ギュッ キョン「おっと見せ付けるなよ有希りんwじゃあな、皆都合悪いので駄目って事で」スタスタスタ ハルヒ「そんなあ……」グスン 山根「良かったら……家に来るかい?」 ハルヒ「しねっ!」 キョン「おいハルヒ、お年玉やるぞ」 ハルヒ「何で体育館?なんでキョンは二階から話しかけてるの?」 キョン「ほーらお年だ、まッ!」ビシュッ ハルヒ「痛い!これバスケットボールじゃ(ry」 みくる「えーいお年玉でしゅ!」ポイッ ハルヒ「痛っ!えっみくるちゃ」 古泉「ふんもっふお年玉ですよー!」バシュッ ハルヒ「痛い痛い!」 長門「全力でお年玉」ズビシバキッ ハルヒ「有希まで、もういいから!皆止めてよ!」 キョン「うるせえ!ありがたく受け取っとけ!」ドガドガドガ みくる「これは楽しいでしゅ」ドガドガドガ 長門「古泉一樹の能力を少しだけ使える様にした」ドガドガドガ 古泉「これはイイお年玉ですよ、涼宮さん♪」ドガドガドガ ハルヒ「ひいぃ……///」 キョン「なぁ、ハルヒ。こんな話を聞いたことあるか?」 ハルヒ「いきなり何よ。どんな話?」」 キョン「旧校舎の一室に出る幽霊の話だ」 ハルヒ「え? 何々、何よそれ。初耳よ!」 キョン「何だ。お前が知らなんて」 ハルヒ「いいから早く教えなさいよ、何処に出るの!?」 キョン「ここだよ。文芸部室」 ハルヒ「何ですってっ!? 本当に!?」 キョン「あぁ。本当だ。……ほら、もう校舎には誰も居ないはずなのに、足音が……」 ハルヒ「……聞こえる、わね」 キョン「ほら、来たぞ」 ハルヒ「待ってましたぁ!」 用務員「……こら、お前!」 ハルヒ「って、何よ。用務員のおっさんじゃない」 用務員「いったい何をしているんだ、下校しないで」 ハルヒ「何って、部活よ。見て分からないの?」 用務員「……は?」 ハルヒ「……?」 用務員「こんな廃墟みたいな部屋で、明かりもつけずに一人で部活……だって?」 ハルヒ「………………………………」 私はいじめを受けている。残酷で酷いものを・・・ キョンと私は付き合っている。いじめを食止めようと必死だ 古泉君もみくるちゃんも有希も、私のいじめを止めようと必死だ。 嬉しかった。私にここまで親身になってくれる人がいたなんて でもいじめはエスカレートした。SOS団全員がいじめられている。 皆で部室に集まる。鍵を閉める。ここだけが安息した空間だ 「みんな御免ね・・・・・・」 私は謝る。当然だ、私のせいで皆もこんなことになっているんだ 「大丈夫だハルヒ!俺たち5人は友達だろ」 「そうですよぉ私たちも同じ痛みを知っていますから」 「大丈夫・・・気にしていない」 「僕も同じです。いつか元に戻りますよ」 私は涙がでた。とまらなかった。キョンや古泉君はボロボロだ 有希は制服にまで落書きされていてみくるちゃんは顔が腫れている。 こんな状況でも私を見捨てないてくれる人が居てくれるのは嬉しかった。 ありがとう皆・・・本当にありがとう・・・でも・・・ ・・・一週間後古泉君が死んだらしい。原因は事故死、 バイクで丹念に体を潰されて、死因はショック死になっている その通知を知った時、私は涙が流れた。御免ね古泉君・・・ そしてまた安息の場所にみんなで集まる。みんなの表情が暗い。 「御免ね・・・古泉君・・・御免ね・・・・・・」 そう言いながら私は泣く。しだいに声が大きくなっていく。 みんなは私のせいじゃないといってくれる。すごく嬉しい。 悪いのはいじめているほう。有希がそう言ってくれる。本当に嬉しい。 でもいじめは私の問題なのよ・・・それなのに・・・ キョンが抱きしめてキスをしてくれた。すこし血の味がした 私はまた泣いた。悲しさと嬉しさ。冷たい涙と暖かい涙の両方だ。 そして今日は有希の家にみんなで泊まった。 このまま時間がとまればいいと思った。でも学校に行かないといけない。 一週間後、みくるちゃんが自殺した・・・・・・ 私はまた泣いた。御免ね御免ね御免ね。 部室に行く。私は思いっきりみくるちゃんの衣装を千切る カッターでズタズタにする。そこにキョンが駆けつけた。 私のことを抱きしめて「お前のせいじゃないんだ」と言ってくれた。 私たちは一線を越えた、それも部室で・・・ キョンも、もう抱いてやることができないかもしれないから・・・ といって本番をはじめた。その時私はずっと泣いていた。 本当に御免なさい朝比奈みくる先輩・・・・・ 終わった後、私たちは有希の家に行く。嫌な予感がした ドアの鍵が閉まっていない。中を開くと血の臭いがした 有希は体中バラバラにされて居間に転がっていた。 声が出ない。自然に顔色が青くなる。体も小刻みに震える。 声も上げないまま私はその場に倒れた。御免ね・・・有希・・・・・・ 有希の首から上を抱きかかえる。私は声を上げて泣いた。 キョンも声を上げて泣いた。もう限界だ・・・そう思った 私たちは今、学校の屋上に居る。 手を強く握り合いながら。この日を心に決めた昨日 私たちは肉体を求め合い、寝るのも惜しんで繋がっていた。 キョン・・・初めてSOS団を作ったときもこんないい天気だったね。 「そうだな・・・」 キョンが弱弱しい声で答える。 私たちはもう一度手を握り締めあい、そしてキスした。 飛び降りる・・・私が落ちていこうとした時彼は手を離した。 なぜ?キョン・・・一緒に楽になるんじゃなかったの? キョンは笑っている。後ろからSOS団の面々が出てくる。 私の体は下に落ちていく。SOS団の面々は全員が笑っている。 ハハハハハハハ。私も笑いたくなってくる。 いつも通りだ・・・いつも通り私は嫌われている。いつもd・・・・・・・・・グシャ キョン「マリカ(DS)やろうぜ!!!!!」 キョン「あああああ!!落下したああああ!・・・もう、俺の負けだ・・・あ、ハルヒが・・・」 谷口「ハハハッ、やっとキョンに勝てたぜ!練習した甲斐があった!・・・あ、ハルヒが・・・」 古泉「キノコを使うタイミングを誤った!くー、勝てませんね・・・あ、ハルヒが・・・」 ハルヒ「ふふふっ、勝ったわ!やっぱり所詮キョンね!私に勝てるわけないのよ! この調子で逆転するわよっ!私にひれ伏しなさいッ!」 長門「・・・練習しても駄目だった・・・(あ、ハルヒが)」 キョン「まぁまぁ、最下位じゃないんだしさ。上位には食い込めてるだろ?次のレースを頑張れよ、 次を!」 長門「・・・ありがと」 ハルヒ「(!・・・これはキョンに優しくしてもらうチャンス!落下!)キョ、キョン・・・私も落下しちゃった・・・せっかく勝てそうだったのに」 キョン「いや今のはどう見ても不自然だろ・・・あ、素で落下しても慰める気は無いぞ。寧ろ笑う。」 長門「・・・ププッ」 谷口「・・・ハルヒ、お前、ウザいわ・・・」 古泉「好きでもない人のキノコ食いたいですか?食いたくなかったらその態度を改めてください」 ハルヒ「・・・ぐすっ」 キョン「スマブラXやろうぜ!!!!!まずはチーム戦な!」 キョン「ゼルダで」 谷口「なんだと・・・お前、ゼルダ使いだったのか・・・俺はリンクで」 キョン「ゼルダの伝説キャラktkr」 谷口「・・・」 長門「・・・オリマー」 キョン「!!!」 ハルヒ「私は・・・そうね、今日はピカチュウにするわ」 キョン「今日は・・・?お前、使い手は?」 ハルヒ「使い手?何それ?何、ずっと同じキャラ使ってて楽しいの?飽きない?バカじゃないの?」 ハルヒを除く一同「・・・」 キョン「なあ、ハルヒって初心者なんじゃね?」 谷口「使い手がいないからって初心者呼ばわりはどうかと」 長門「・・・あの台詞は私達に対する挑戦」 キョン「・・・じゃあ俺&谷口&長門VSハルヒで・・・」 ハルヒ「ちょっとー?何3人でコソコソ話てるのよ?」 キョン「いや、何でもない。ステージは?」 ハルヒ「・・・アイテムたっぷりで、滝のぼりよ!」 ハルヒを除く一同(・・・うわぁ・・・面倒くさいステージ・・・) キョン「はいはい・・・じゃあさっさと始めるぞ」 ハルヒ「え?ちょ、ちょっと・・・何で私だけ仲間外れなの?ねえ、なんでキョン達が組んで・・・」 キョン「いやー、ハルヒは強いからな!俺達3人がかりじゃないと勝てないぜ!」 ハルヒ「ふ、ふん!かかってきなさい!蹴散らしてあげる!」 ドガッ ピョーン キラキラキラリン・・・ シュシュシュッ カチャッ ピーkドウリャー! ハルヒ「・・・な、何であんたたちそんな上手いのよ!?ヒドいわ!」 キョン「かかってこいって言ったのはお前だろ」 ハルヒ「い、いやそうだけど・・・」 キョン「言い訳無用ッ!」ドゴォーン ハルヒ「あっ、あぁー・・・・」 キョン「次はタイム制だ!」 ハルヒ「・・・許さないわ・・・本気で行くわよ!ドンキーよ!」 キョン「ゼルダたんんんん」 谷口「リーンーク!リーンーク!」 長門「ひっこぬか~れて~♪たたかぁ~ってぇ~♪」 ハルヒ「食らえ!ドンキーの最強パンチを・・・え?」 キョン「残念だ・・・お前は緊急回避を使いこなせていない・・・」 谷口「その技は侮れないからな、先に潰す」 長門「紫投げ」 ハルヒ「ドラグーンゲットよ!これで勝てる!食らえ・・・?」 キョン「ヒント:緊急回避」 谷口「ドラグーンは避けるの簡単だからむしろ隙なんじゃね?」 ハルヒ「スターゲット!キョン!待ちなさい!逃げても無駄よー!」 キョン「スター状態のドンキーに追いかけられて待てと言われて止まるヤツはいないだろ」 長門「・・・」ガシッ ハルヒ「!ちょ、ちょっと!離しなさい!な、投げ!?あ、そっちは・・・うわーっ!」 ドチュゥーン・・・ ハルヒ「・・・ぐすっ」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1037.html
俺は植物園の南側に小隊を集結させていた。とはいってももはや無事な生徒は10名しかいなかったため、 学校から補充要員として送られてきた生徒10名を加えて総勢20名となっている。 現在の状況はこうだ。植物園北側は古泉の小隊が押さえて、敵の侵入を阻止している。 エスパー戦闘経験のある古泉の度胸はとてもよく、敵の攻撃をものともせずに押さえ込んできた。 一方の南部が問題だ。鶴屋さん部隊も俺たちと同じく包囲状態になり、完全に孤立してしまっていた。 さらにここ2時間近く連絡すら取れない状態に陥っている。そのため、長門の支援砲撃ができない。 闇雲に撃ち込んで、間違って鶴屋さんたちに当たれば本末転倒だ。 それを救出するべく俺たちは森との境界線に陣取っているんだが、 向こうも南部への移動を阻止するように抵抗が激しく、鶴屋さんの救出どころか、植物園から森に侵入すらできていない。 何とか森との境界にある小さい丘に身を隠し、敵の銃撃を受けないようにしているだけである。 「ガンガン撃ち込んでくれ、長門!」 俺は膠着状態を打開するために、徹底的に砲撃をさせていた。向こうが壁を作って通さないというなら、 こっちは完膚無きまでそれを破壊しつくまでだ。しかし―― 「だめだね。まだこっちに向かってガンガン銃撃してくるよ」 「どこに潜んでいやがんだ。さっきからあれだけ撃ち込んでいるってのによ!」 国木田の言葉に俺は吐き捨てるように怒鳴った。ここに来て、砲弾を受けても効果なしなんて言うインチキを 始めやがったんじゃないだろうな? また、目前で4発の迫撃弾が着弾した。轟音と砂が顔に降りかかってきたので、あわてて頭を下げる。 「油断するとヘルメットごと頭を持って行かれるかもね」 となりで物騒なことをひょうひょうと言うのは国木田だ。どうしてこいつはこんなに度胸が据わっているんだ? 俺はずれたヘルメットをかぶり直しつつ、 「砲撃で効果がないってなら、別の方法を考えないと――ん?」 そこまで言って気がつく。先ほどの着弾以降、敵側からの銃撃がぴたりと収まっていた。 ようやくクリティカルヒットだったか? 「よし……一気に前進するぞ。ついてこい」 俺は慎重に腰をかがめながら立ち上がり、丘を登り始める。同時に小隊全員がそろそろと俺についてきたが…… 「……ぶっ!」 情けない声とともに、俺は丘の下に引きずりおろされた。だれかに服を強引に引っ張られたようだが―― 同時に丘の向こうで悲鳴が飛んできた。さらに、身体に銃弾がめり込むいやな音と血しぶきも一緒にだ。 あわてふためいた生徒たちが次々と丘の下に飛び込んでくる。 「キョン、大丈夫かい!?」 俺を丘の下に引きずりおろしたのは国木田だった。何を考えているんだと怒鳴りそうになった瞬間、 その意味を理解する。頭の上を飛び越えていく銃弾の荒らしと、丘の向こうから聞こえてくる絶望的なうめき声を聞けば、 どんなバカでも理解できるはずだ。 答えは簡単。またしても、敵の罠に引っかかったのだ。砲撃の着弾と同時に、銃撃をやめる。 やったと思った俺たちがのこのこ丘を越えてきた時点で狙い撃ち。こんな単純な手に引っかかるとはバカか俺は! 俺はそろりと丘から頭半分を出し、どうなっているのかを確認した。そこには血まみれになった生徒二人が 倒れている。一人は突っ伏したまま動かず、もう一人は痛みのあまりうめいて手をばたつかせていた。 あまりの悲惨さに思わず身を乗り出して手を出そうとするが、それを阻止すべくまた敵の銃撃が始まる。 数発が負傷した生徒に命中し、さらなる悲鳴を上げた。奴らには情ってモンがないのか!? 「助けないと!」 俺は飛び出して行こうとするが、またも国木田に制止させられる。 「冷静に! とにかく、こっちも撃ちまくって向こうの頭を下がらせるんだよ。その隙に救出するべきだね」 「く……わかった。すまんが頼む」 国木田の案を受け入れて、俺は生徒たちに一斉射撃を命じた。全員一気に立ち上がるとそこら中の茂みに向けて乱射を始める。 敵側の銃撃が収まったことも確認せずに俺は丘から身を乗り出し、負傷した生徒を丘の下に引きずりおろした。 同時に動かなかった生徒を小隊の一人が同じように引きずりおろす。 俺が助けた方は、名前も知らない女子生徒だった。全身の銃弾を浴びて、傷だらけどころかぐちゃぐちゃだ。 「ハルヒ! 負傷者だ! ひどい怪我なんだ! 誰かよこしてくれ!」 『わかった! 何人か向かわせるわ!』 無線連絡後、ハルヒ小隊の何人かが、その女子生徒を回収していった。すでに瀕死の状態だったが、 それでもまだ生きている以上、こんな弾の飛び交う場所に置いては置けなかった。 「くそっ……」 俺は丘の下で座り込み、ヘルメットを取ってため息をつく。やりきれなさすぎる。 鶴屋さんたちを助けたいがどうすることもできない。無理につっこめば、こっちの犠牲が増えるばかりだ。 救出する方が損害大では意味がない。どうすればいい? いっそ鶴屋さんたちが自力で戻るのをここで待つか? 包囲状態とはいえ、そのままでいるわけもないし、こっちに移動してきているはずだ。 だったら、それを向かえ入れた方が…… と、突然そばにいた生徒から無線機を渡される。古泉からの連絡らしい。 「なんだ古泉。今はおまえの話を聞くような気分じゃないぞ」 『それだけ言えるならまだ無事と言うことですね。安心しました』 全然安心できねえよ。あっちもこっちもめちゃくちゃで、頭がおかしくなりそうだ。 いや、普段の俺だったらとっくにおかしくなっているだろうよ。ちくしょう、一体どれだけ俺の頭の中をいじくりやがったんだ。 『それはさておき、そっちの様子はどうですか?』 「その前におまえの方を教えてくれ。聞く前にまず自分から言うもんだろうが」 自分でもそれは違うだろと自己つっこみをしてしまったが、古泉は苦笑しているような声で、 『こっちはなかなか派手な状態ですよ。北部一帯で防御戦を引いて何とか敵の植物園侵入を阻止していますが、 向こうも焦っているんでしょうか、携帯型のロケット弾ぽいものを持ち出してきました。 さっきからそれの雨あられですよ』 それでも防御線を守りきっているのか。本当にたいした奴だな。ハルヒの見る目も。 『そろそろ本題に移りましょうか。どうやら、そっちは未だに鶴屋さんのところにたどり着けていないようですね』 「ああ、腹立たしいがその通りだ。敵の抵抗が厳しい上に、砲撃が全くきかねぇ。これじゃどうしようもない。 正直、侵入はあきらめて鶴屋さんが戻ってくるのを待ったほうがいいかと考え中だ」 『それは待ちぼうけになるからやめた方が良いですよ』 なに? それはどういう意味だ? 『ここに来るまでの間に、涼宮さんと鶴屋さんの無線連絡を耳に挟みましてね、いえ、盗み聞きしたわけではありません。 すごい剣幕で話しているからいやでも耳に届いたんですよ』 ハルヒと鶴屋さんが言い争い? 全く想像ができないぞ。どういうことだ? 『完全に聞いたわけではありませんが、大体想像がつきます。鶴屋さんは、目的であったロケット弾発射地点を 制圧するまで撤退するつもりはありません。たとえ、誘い込むための罠であってもです』 「うそだろ……」 俺は唖然としてしまった。さらに古泉は続ける。 『気持ちはわからなくないですね。あなたの方は、逃げた敵の掃討だったので、 罠とわかればあっさりと撤退が可能です。実際にそうなりましたしね。しかし、鶴屋さんの方は違う。 たとえ、罠であってもここで発射地点を制圧しなければ、北高への攻撃は続行されるでしょう。 結局はまた制圧に向かうことになる。それでは同じ事の繰り返しです。ならば、どんな犠牲を払ってでもとね。 できることなら犠牲を出したくないという涼宮さんとは完全に対立するでしょう』 ハルヒは自分で何でもやりたがるタイプだ。間違っても自分の作戦で他人が死にまくっても平然としているような奴じゃない。 そんなことになるくらいなら、ハルヒ自身がやろうとするだろう。今思えば、植物園にハルヒ小隊を置くと 頑固に言い張ったのも、指揮官が前線に出るなんてという考えと、できるなら自分が戦っていたいという考えの ぎりぎりの妥協点だったかもな。 そして、鶴屋さん。正直なところ、鶴屋さんの人物像はつかみづらい。すごい人であるという認識程度だ。 今回だって包囲状態に陥ってもなお発射地点制圧をすると強弁できるなんて常人には―― 待てよ? ひょっとして鶴屋さんは最初からこれが罠であるとわかっていたのか? 『僕もそう思いますね。鶴屋さんは罠の可能性を強く疑っていたのではないでしょうか。 だからこそ、たとえ罠だとはっきりしても目的を変更するつもりはない。そう言うことでしょう。 また、あの時、罠である可能性をしてきた僕の意見に対して何も言わなかったのは、 罠であろうがなかろうが関係ないということだったのでは』 鶴屋さん……あなたって人はっ……どこまで俺たちの上を行くつもりなんですか? しかし、そうなると未だに鶴屋さんが帰還しないと言うことは、制圧もできていないと言うことだ。 『そうでしょうね。だからこそ、あなたには鶴屋さんのところへ向かってほしいんです。 救出ではなく加勢としてね』 古泉の言葉で俺の腹は決まった。何としてでもここを突破する。それしかない。だが、どうすりゃいい? 『確証はありませんが、敵の動きは涼宮さんの性格を強く意識しているように思えます。 今回の待ち伏せを考えてみてください。敵は北山公園で待ちかまえると同時に、遠距離から北高を攻撃しました。 この場合、我々にはいろいろ選択肢があります。たとえば、こちらの砲撃で徹底的に北山公園南部を砲撃する―― これは長門さんが効果が薄いと言っていましたが。また、校庭にヘリコプターもありましたから、 あれで発射地点を確認し、少数部隊でピンポイントで叩く。砲撃に耐えながら、学校に完全に立てこもって 籠城という手段もありますね。考えればもっといろいろあるかと。 しかし、涼宮さんの性格上、確実に北山公園全土制圧を一番に考えるでしょう。 やられっぱなしなんてもっとも嫌がりますし、ピンポイント攻撃だと相手が逃げ回って延々と追いかけ回すことに なりかねません』 また頭上を飛んでいく銃弾が激しくなってきた―― 『このようにたくさんの可能性がありながら、敵は誘い込んで待ち伏せという手段をとっていました。 完全にこちらの動きを読んでね。涼宮さんの性格を知っているからこそ、迷わずにその手を採用したんです。 そして、自らが決定した作戦のせいでたくさんの犠牲者を出したことになれば、 涼宮さんに与えるダメージは半端ではありません』 「ハルヒの考えを読んでいたとは限らないだろ。敵はこれだけの世界を簡単に作り出しちまうんだ。 なら、俺たちは常に監視されていて、こっちの動きが筒抜けの可能性だってある」 『ええもちろんです。しかし、たとえそうであっても敵の目的が涼宮さんであることには違いありません。 それを最優先に動いてくるはずです』 なるほどな。なら敵はロケット弾発射地点を死守したりすることよりも、ハルヒに精神的苦痛を与えることを 最優先に考えているって事か。 『話が早くて助かります。敵の動きと涼宮さんの考えと照らし合わせれば、おのずと敵の動きも読めるのではないでしょうか。 今言えることはそれくらいですが――おっと、ちょっとこっちも活気づいてきてみたいですね。 あとはお任せします。ではまた』 そこまでで通信は終了。俺はサンキュと無線を持った生徒にそれを返す。 さて、どうするか。敵は砲撃ものともせずに、俺たちの鶴屋さん小隊との合流を阻んでいる。そこまで粘る理由は? そりゃ、包囲状態にした敵――鶴屋さんたちと増援の俺たちの合流を許すわけがない。いや待て、その考えじゃダメだ。 こうやって、俺たちが何もできずにただ時間がたっていることにハルヒは相当のいらだちを覚えるはずだ。 だから、こうやって俺たちの足止めを行っている……よし、この考えで良い。 そうなると、敵はできるだけ鶴屋さんの孤立状態に陥らせることに専念するはず。では、どうする? 「……ちっ」 結局、相手の考えを読んだところで何も変わらねぇ。敵の目的と俺たちの目的が完全にぶつかっているからだ。 なら、ここからの鶴屋さんの場所に向かうのはあきらめて、数名で北山公園のすぐ南にある光陽園学院に行き、 そこから北上して行くか? いや、敵は信じられないことを平然とやっているんだ。その動きを読まれて、 すぐに防御線が築いてしまう恐れもある。 だったら目的を変更してやればいい。俺の目的は鶴屋さんへの加勢なんだから……加勢に行かない? ふざけんな。 そんなまねができてたまるか。じゃあ、いっそ南部を手当たり次第砲撃するように長門に指示するとか……鶴屋さんを殺す気か? ん、ちょっと待てよ? ハルヒは全員の植物園までの撤退を望んでいるという。だが、鶴屋さんはそれを拒否して、 未だに発射地点制圧を行っているんだ。ならそれは敵にとって想定外の事態じゃないか? 鶴屋さんの後退を阻止するのではなく、発射地点を防御しなけりゃならないからな。 でも、発射地点は敵にとってさほど重要なものではないと思える。俺たちをここに誘い込むだけの利用価値のはず。 さっさと鶴屋さんたちに破壊させて、包囲状態にでも何でも置けばいい。だが、確信を持って言えるが、 鶴屋さんたちはまだ発射地点を制圧できていない。何の証拠もないが、無線連絡が取れなくても、 あの人なら何らかの手段で俺たちにそれを伝えるはずだ。絶対に。 俺はふとあることを思いついて、無線機を取る。話す相手は朝比奈さんだ。場違いな相手じゃないかって? だが、俺たちの中で一番鶴屋さんのことを知っているのは、朝比奈さんであることに間違いないだろ? 『キョンくん! 大丈夫なんですかぁ!?』 焦りきったマイエンジェルの声に俺はいくらかの癒しパワーを受け取ってから、 「ええ。何とかまだ生きていますよ。ところでちょっとお話が」 俺は今の状況を端的に話す。俺が知りたいのは鶴屋さんならどうするのかとか、 鶴屋さんならどのくらいできるだろうとかだ。 朝比奈さんはう~んといつも以上に悩みながら、 『そうですねぇ……わたしが言えるのは鶴屋さんは本当にすごい人です。だから、そんな危ない状況でも 簡単に抜けられちゃうんじゃないかなぁって思うんです。でも、何でこんなに時間が……』 今の会話に俺は何かを感じた。どこだ? すごい人の部分か? そんなことは俺もわかっている。 簡単に抜けられちゃう……ここだ。そうだ、包囲状態でも攻撃を続ける鶴屋さんなら 植物園までの後退は簡単にできるんじゃないか? だからこそ、敵は鶴屋さんを引き留めるために 発射地点を死守する必要がある。それなら、理屈が合うってもんだ。 『でもぉ……ひょっとしたら……』 「朝比奈さん」 まだ独白のように続ける朝比奈さんの言葉を遮り、 「ありがとうございます。おかげで考えがまとまりましたよ。すごく助かりました」 『え……えっ?』 何が何やらわからない朝比奈さんがかわいらしすぎてもだえそうになるが、ここは我慢だ。それどころではないからな。 「じゃあ、また学校で会いましょう。戻ります」 『待って!』 突然、朝比奈さんからせっぱ詰まった声が飛ぶ。 『鶴屋さん……いえ、みんな無事なんですか? ここからじゃ、一体何が起きているのかさっぱりわからなくて……』 今にも泣き出しそうな――いや、もう涙ぐんでいるのかもしれない声が無線機から漏れてきた。 俺はどう答えるべきかしばし考えた後、 「大丈夫ですよ。SOS団はまだ健在です。鶴屋さんもきっとぴんぴんしていますよ』 俺は事実だけを言った。でも、谷口は死んだとは言えなかった。 朝比奈さんは俺の言葉にほっとしたのか、 『がんばってください。また学校で』 そう言って無線を終了した。すみません、朝比奈さん。 そこに国木田が丘の下に滑るように降りてきて、 「で、キョン。どうするのさ」 「今はこのままだ。しばらくしたら絶対に変化が起きる。そしたら、こっちも動くぞ」 国木田は俺の自信めいた口調に疑問符を浮かべながらも、また丘の上の方に戻っていった。 これから起きることは二つだ。まず第一に鶴屋さんが発射地点を制圧する。そうなった場合、 あらゆる手段を使ってでも、俺たちにそれを知らせてくるだろう。次に鶴屋さんたちが全滅する――考えたくもないが。 だが、この場合は敵が発射地点の防御を行わなくなることから、植物園に対する攻撃の動きが変化するはずだ。 今はどちらかが起きるのを待つ。これでいい。 ◇◇◇◇ 変化は意外に早く起きた。俺が待ち始めてから15分後、一発のロケット弾が北山公園南部から発射されたという 長門からの無線連絡が入ったのだ。同じ頃に、南部でひときわ大きい爆発音がとどろいている。 ただし、発射されたロケット弾は 『こちらは攻撃を受けていない。確認した限りでは、北山公園から東側に向けて発射された。今までとは明らかに違う』 以上、長門からの報告。もう俺は即座に確信し、ハルヒへと連絡する。 「おい、長門からの話は聞いたか?」 『聞いたわよ! これは鶴屋さんからの敵制圧の合図に違いないわ! さっすがSOS団名誉顧問だけのことはあるわね!』 「ああ、俺もそう思う。で、俺はどうすりゃいい?」 『とにかく、あんたがぼさっとしている間に向こうはけが人とかでているに違いないわ。 とっとと助けに行きなさい! 以上、命令終わり!』 やれやれポジティブ思考が復活しつつあるようだ。でも、その方がハルヒらしくて安心できるけどな。 「さてと……」 敵はしつこく俺たちに向けて銃撃を続けている。これからどうするか。ハルヒは助けに行けと言った。 なら、敵はそれを阻止するように動くのか? いや待て、それでは今までと大して変わらない。 もっとも大きな精神的ダメージを与える方法は? 俺は結論を出したとたん、笑い出しそうになった。ひょっとしたら初めて敵を出し抜けるかもしれないと思ったからな。 また、俺は無線で長門に連絡し、俺たちの動きを阻止している敵にめがけて、10発ほど砲撃を行うように指示する。 そして、数分後的確な砲撃が俺たちの目前に降り注いだ。今まで以上の轟音に俺は耳を押さえて、鼓膜を守った。 着弾音の余韻が通り過ぎると、辺りに静寂が戻ったことを【確認】する。 「また罠かな?」 国木田は警戒心を表していたが、俺はそれを無視し、一人で丘の上に立ち上がった。 「キョン! 何をやって……え?」 抗議の声を止めたところを見ると国木田も気がついたらしい。まったく弾丸は飛んでこないことに。 俺はそのまま小隊の生徒たちを待機させたまま一人じりじりと前進し、森の中に数歩はいる。砲撃のすさまじさを 表すように地面が穴だらけになっていた。しかし、敵は一人もいない。 確認完了だ。俺は右手を挙げて、小隊を前進させて森に入らせた。 ◇◇◇◇ 「やあ……キョンくんひさしぶり……でも、ダメじゃないか……敵は……」 鶴屋さんの力ない声が耳に流れ込んでくる。ほとんどかすれ声だった。だが、言おうとしていることはわかる。 同時に俺の背後ですさまじい銃撃戦が始まった。俺たちが来た道から背後を突くように、 敵が襲ってきたからだ。だが、この攻撃をわかっていた俺たちにとって、それは背後からの攻撃にはならない。 完全に迎え撃つ準備はできている。 しばらく激戦が続いたが、やがて敵は長門の砲撃を受けて下がっていった。 「すごいね、キョン。何でわかったのさ?」 「俺だって学習能力ぐらいはあるんだよ」 国木田の指摘を軽く流して、俺は周囲を見回す。鶴屋さんがいたのはやはりロケット弾発射地点だった。 すっぽりと森に穴が開いたような場所に一台のトラックが置かれている。その上には ロケット弾を載せるための鉄レールを平行に並べ柵状にした棚が乗っていた。いわゆるカチューシャロケットと言われる 多連装ロケットランチャーだ。こんなもんで俺たちを攻撃していたとはな。 敵の動きは大体読めていた。ハルヒは鶴屋さんたちを助けに行けと言った。そして、敵はすんなりと鶴屋さんのもとに 俺たちを招き入れた。理由は簡単。今度は俺たちを包囲状態にするためだ。北山公園に俺たちを誘い込んだのと 同じ手法である。ハルヒが決定して、そのせいで俺たちが大損害、となればまたまたハルヒに与えるダメージはでかいと 踏んだのだろう。だがな、甘いんだよ。そうそう何度も同じ手が通用してたまるか。 だが、予想外なことも一つだけあった。最悪なものだ。 「ふふっ……そっかぁ……キョンくんも気がついたんだねっ……」 鶴屋さんは息も絶え絶え、寄りかかるように座っている木の根元には血だまりができようとしていた。 周りにいる鶴屋さん小隊の生徒4人も不安げな表情で見つめている。 そう、鶴屋さんは銃撃を受けて今にも息絶えようとしている。くそったれ! やっとここまで来れたってのに! 「鶴屋さん! ようやく来れたんです。早く学校に戻りましょう!」 俺は鶴屋さんを背負おうと彼女の肩に手をかけるが、そばにいた鶴屋さん小隊の生徒から制止される。 衛生兵の役割を担っていた彼は、動かせない。動かせば死ぬだけと沈痛な口調で言った。 「そんな……やっと目的を果たせたんだ! 連れて帰らないと! 大体、おまえら何で指揮官を守ってねえんだよ…… ってそうじゃねえだろ! くそっ! 何言ってんだ俺は!」 あまりの言いように、自分自身に怒りが爆発する。鶴屋さんは自分の配下の生徒たちを力なく見回し、 「責めないでよ……みんな必死にやったさ。無能なのはあたし自身。結局、守れたのはたったの四人だけっさ……」 鶴屋さん小隊の人間から聞いたことだが、植物園から南部に小隊が入ってすぐに攻撃を受けたらしい。 その後、包囲状態に置かれようとしたが、先手を打った鶴屋さんが小隊をさらに3~4人に分けて、 北山公園南部一帯に散らばせた。そのため、敵はその散らばった小隊を追いかけ回し、 鶴屋さんたちはロケット弾発射地点を探し回る。まるで鬼ごっこ+缶蹴りだ。 鶴屋さんたちは空き缶=カチューシャロケットを探し続け、ついに目的を果たした。 目的を果たしたと同時に、散らばった生徒たちは植物園に戻るように指示していたらしいが、 ハルヒに確認した限りでは誰も戻ってはいない。ここにいる生徒以外は全滅したと言うことだろう。 さらに鶴屋さんまでもが…… また、俺の背後で銃撃戦が始まる。しつこい連中だ。いい加減、あきらめろ! 「キョン、このままだとまた包囲されるよ」 「んなことは言われんでもわかるさ……!」 国木田の言葉に、俺は焦燥感だけが募る。このまま鶴屋さんをおいておけるわけがない ――今までさんざん【仲間】を置き去りにしてきただろ? わかっているさそんなことは……! 「行ってほしいなっ……わざわざあたしをえさにしている敵の思惑に乗ってほしくないにょろよっ……」 「わかっています……わかっているんです……!」 どうしても踏ん切りがつかない。だが、それでもつけなければならない。 俺は絶望的な思いで言う。 「つ、鶴屋さんっ……。朝比奈さんに……朝比奈さんに伝えることは……!」 のどが悲鳴を上げるほどに力んで言葉を出しているのに、それ以上口を開くことができなかった。 でも、鶴屋さんはそれを待っていたのか、にっと笑顔を浮かべて、 「悪いけどみくるにはだまっておいてくれないかなっ……きっと気絶なんかしちゃってみんなに迷惑かけちゃうかも」 「わかりました……!」 「あと、あたしの仲間も連れて行ってっ……最期の最期までバカみたいにあたしについてきてくれた大切な仲間っさ……」 「もちろんです……!」 もうここまで来ると俺は鶴屋さんの顔を見ることすらできなかった。受け入れられない現実を拒否したいのか、 耳すら閉じたくなる。 「じゃあキョンくん!」 突然、かけられたいつもの鶴屋さんの声。俺ははっといつのまにか下がっていた頭を上げると、 普段と変わらない笑顔を浮かべ、俺の方にぐっと腕を突き出した鶴屋さんがいた。 「また学校で!」 その言葉と同時に、鶴屋さんは全身の力が抜け落ち、頭も完全にたれた。元気よくつきだしていた腕も、 力を失って地面に向かって落下する。 すいません鶴屋さん。絶対に元の世界に戻ってまたいつものように騒ぎましょう。でも、ここにいて、 果敢に戦い抜いた今のあなたのことも絶対に忘れません……! 俺は目に浮かんでいた涙をぬぐい、周りにいた鶴屋さん小隊の残りを見回す。皆一様に指揮官の死に涙していた。 これは絶対に作られた感情ではなく、本人の本来の意志によるものだと確信できるほどに悲しんでいるのがわかった。 「これから、おまえらは俺の指揮下に入る。問題ないな?」 4人とも、潤んだ目をしっかりと俺に向けて頷く。 国木田たちと敵の戦闘はますます激しくなりつつあった。もはや一刻の猶予もない。 俺は無線機を持った生徒を呼びつけ、ハルヒに連絡する。 「おいハルヒ、聞こえるか?」 『何よキョン! 鶴屋さんたちのところについたなら、早いところ戻ってきなさい! 当然、鶴屋さんたちもつれてね! 30分以内じゃないと罰金――』 「鶴屋さんは死んだ」 俺の言葉でハルヒは絶句した。叫びたいのを必死にこらえるようなうめきと、何と言って良いのかわからないという 不安定な吐息が無線から流れ込んでくる。 「いいかハルヒ。これから俺が言うことに黙って従え。いいな?」 『…………』 「いますぐ、古泉たちをつれて北高に戻れ。俺たちが戻るのを待つ必要はない」 この言葉に激高したのか、ハルヒは砲弾の着弾音以上の声で、 『バ、バカなこと言うんじゃないわよ! いい!? あんたたちが戻るまで死んでもここを死守するから! 絶対に帰ってくるのよ! 絶対絶対絶対よ! 見捨てるなんて絶対にしないから……帰ってきて! 絶対!』 「良いかよく聞けハルヒ!」 俺の怒鳴り口調にびびったのか、錯乱状態だったハルヒの口が止まる。 「冷静に聞けよ。今、俺たちはまた敵に包囲されようとしているんだ。敵の狙いは、植物園に俺たちが戻るのを阻止すること。 今おまえが俺たちを放って学校に戻るなんて、敵は頭の片隅にすらねえはずだ」 『あんたたちはどうするつもりよ! 玉砕なんて死んでも許さないんだからね!』 「俺たちはこのまま北山公園を南下して、光陽園学院前に出る。そして、学校東側から戻る。 安心しろ。絶対に学校に戻るから心配するな」 ハルヒはしばらくぶつぶつと聴き取れない抗議めいたことを言っていたようだが、やがて、 『……わ、わかったわ……絶対に帰ってきなさいよ!』 「当然だ」 話し合いがまとまったので、俺は無線を終了しようとするが、 『待ってキョン!』 ハルヒがなにやら確認したいらしい。しかし、なかなか言い出せないのか、しばらくうなったような声を上げていたが、 『鶴屋さん……鶴屋さんはどうするの……?』 「……俺の口からいわせないでくれよ。すまん」 『……ゴメン』 そこで無線が切られた。おっと一つ言うことを忘れていた。 『……なに? まだなんかあるの?』 悪い知らせと思ったのか、びくびくとした様子が手に取るようにわかった。 「すまないが、朝比奈さんには鶴屋さんのことは言わないでくれるか? 鶴屋さんからの遺言なんだ。 万一、聞かれたときは――あー、足をくじいたから近くの民家で、このばかげた戦争が終わるまで隠れているって言ってくれ」 『了解……』 そこで今度こそ無線終了。さて、 「よし、このまま南下して学校に帰るぞ! ついてこい!」 俺の空元気な声が飛んだ。 ~~その4へ~~
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4430.html
第一話 「おはよう、涼宮さん。最近嫌な事件が続いてるのね」 あたしが朝教室に着くなり阪中さんが話しかけてきた。 「おはよ。なにそれ?どんな事件?」 そう返事すると少し驚いたような顔をして教えてくれた。 「知らないの?最近この辺りで女子高生が誘拐される事件が続いてるのね。犯人はまだ捕まってないし…怖いのね…」 えっ?そんな事件があったなんて全然知らなかったわ…これは気になるわね… 「涼宮さんも気をつけた方がいいのね。それじゃあまたなのね」 そう言い残し自分の席へと戻って行った。 それと入れ替わるようにキョンが教室に入ってきた。 「おう、ハルヒ。おはよう。…どうした?」 ボーッと考え事してたからだろうか、あたしの顔を覗きこむようにたずねてきた。 …って顔近いわよっ! 「キョン!大事件よ!」 さっき聞いたばかりの事件をキョンに話した。 「ああ、その事件なら俺も知ってる。昨日のニュースでもやってたしな。 嫌な話しだぜ…」 なんだ、知ってたんだ…それなら話は早い! 「いい?これは放っておけない大事件だわ!早速今日の放課後からSOS団で調査開始よ!」 あたしは椅子の上に立ち上がり、しかめっ面をしたキョンへと高らかに宣言した。 「おい、ハルヒ!バカな事言うな。警察でも探偵でもない俺達に何ができる?」 むっ…なに呆れた顔してんのよっ! 「もし事件に巻き込まれたらどうするんだ…危険な目にあうかもしれないし…俺は…嫌だぞ、ハルヒがいなくなったりするのは…」 とつぶやくのが聞こえた。 「え…それってどういう―」 「と、とにかく事件のことは警察にまかせておけよ。わかったな?」 「わ、わかったわよ…」 急に話を終わらせたキョンにしぶしぶと答えるとちょうど岡部が入ってきた。 「みんな、おはよう。ホームルーム始めるぞ。それとハンドボールはいいぞ!」 岡部の戯言が耳に入らないくらいあたしはドキドキしていた。 さっきの言葉、どういう意味だったのかな…もしかしたらキョンもあたしのこと…好き、なのかな? いつか…この大好きって気持ちをキョンに伝えたい。今週の不思議探索の時に…頑張ってみようかな… その日あたしは授業中もずっと一人でにやけていた。かなり危ない人みたいね…今日はすごくいい日だわ!記念日にしてもいいくらいに。 そんなことを考えているとあっという間に放課後になった。 「キョン!掃除なんてさっさと終わらせて部室に来なさいよ!遅れたら死刑なんだから!」 「はいはい、わかってますよ。団長様」 いつもみたいな会話をして、一人で部室に向かった。 そして勢いよく部室のドアを開いた。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「あ、涼宮さん。こんにちわー」 あたしが部室に入るとメイド服姿のみくるちゃんがお茶の準備をしようと立ち上がる。 「ヤッホー、みくるちゃん。あれ、有希と古泉くんは?」 「えっと、二人ともクラスの用事で遅れるそうです。さっき部室に来て涼宮さんに伝えておいてくださいって言ってましたよ」 温度計とにらめっこしながらみくるちゃんが答えてくれる。 「そうなの。…ん?」 机の上に置いてあるものに気づく。編みかけの…マフラーかしら。 「みくるちゃん、マフラー編んでるの?あっ、もしかして好きな男の子に?」 冗談めかして言ってみる。 「え?あぁっー、そ、それは…その…」 んー、顔を真っ赤にしたみくるちゃんも可愛いわね! 「実はキョンくんにプレゼントしようと思って…この前新しいお茶の葉をくれたからそのお礼に。このお茶がそうなんですよ」 瞬間的に思考が凍りついた。 嬉しそうな顔したみくるちゃんがあたしの机にお茶を置く。 ちょっと待って…キョンが?みくるちゃんに?いつのまに…? 自分の中で黒い嫉妬が生まれるのがわかる。 「えへへ、マフラー渡す時にキョンくんにわたしの気持ちを伝えようかなって、ふふ、そう思ってるんです」 その言葉を聞いて、さらに黒い嫉妬は叫びをあげる。 「そん……対……許……わよ」 「はい?どうしたんですか?涼宮さん?」 聞き取れなかったのだろう、みくるちゃんが側に来る。 「そんなの絶対に許さないわよっ!なによ!こんなお茶いらないわ!」 机の上に置かれたお茶を思いっきり床へ叩きつけた。 ガシャーーンと陶器が割れる音が狭い部室に響きわたる。 「な、なにするんですか!せっかくいれたお茶なのに…」 泣きそうな顔でみくるちゃんが睨んでくる。 「SOS団は団内恋愛禁止なのよ?それを…あんたは!」 自分の感情を抑えきれなくなりみくるちゃんに掴みかかる。 「しかも…キョンだなんて…絶対に認めないわ!キョンはあたしのものよ?あんたなんかよりあたしの方がずっとキョンにぴったりだわ!諦めなさい!これは団長命令よ!?」 「わ、わたしだってキョンくんのこと大好きなんです!諦めたくありません!それに…わたしの気持ちなんだから涼宮さんには関係ないじゃないですか!」 思ったより強い力で突き飛ばされあたしは尻餅をついた。 なによ…みくるちゃんのくせに! 目の前が怒りで真っ赤にそまる。 そして気がつくとあたしはみくるちゃんを思いっきり突き飛ばしていた。 「あっ…」 みくるちゃんが後ろに倒れると椅子に強く頭をぶつけ、ガンッと鈍い音がした。 しばらく苦しそうにうめいていたがやがて動かなくなる。 ハッと一気に現実に戻った私は目の前の光景を見つめた… 「み、みくるちゃん?…嘘でしょ…?目を…開けてよ…」 震える手でみくるちゃんをゆさぶる… でも…ぴくりとも動かない。 「そ…そんな…い、嫌…嫌あああああああああああああああああああああああ!」 叫び声が響き渡る。 どうして…どうしてこんな事に…どうすればいいの… その時、ノックの音がして、部室のドアが開いた。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「うー、寒い寒い。っ!おい!ハルヒ…なにやって…」 部室に入ってきたキョンが目を見開いてあたしをみつめる。 最悪…よりによってキョンが入ってくるなんて… 「なんで朝比奈さんが倒れてるんだ?なにがあったんだよ!なあ!ハルヒィ!」 大声で問い詰められて身体の震えがいっそう激しくなった。 どうしよう…このままじゃキョンに嫌われちゃう。嫌だ、嫌だ!そんなの嫌だ! 「脈がない…死んでる、のか…」 キョンがみくるちゃんの脈を確かめながらつぶやく。 「あ、あたしは悪くない…みくるちゃんがキョンの事好きだって言うから…つい…カッとなって…」 「…お前がやったのか?どんな理由があるにしろお前が朝比奈さんを殺したことには変わりないんだぞ!」 すごい顔をしながら睨んできた。 「だってだって…嫌だったもん!キョンがとられちゃうの嫌だったもん!」 必死になって言い訳を並べる…きっとあたしは泣きそうな顔してるんだろうな… もうおしまいね…二度と今までの日常には戻れないだろう。 しばらく沈黙の時間が続く。やがて、 「…ハルヒ、聞いてくれ。俺がにいい考えがある…だから安心しろ」 さっきとはうってかわって ものすごく優しい声でキョンが言った。 最初キョンの言っている事がよく理解できなかった。てっきり怒鳴られてすぐ警察につきだされると思ってたのに… 「それって…あたしを助けてくれるって、意味…?」 「そうだ…こんな時だけど…俺はハルヒが好きなんだ!だから…離れたくない!」 「あたしも…嫌。大好きなキョンと離れたくない…ずっと、ずっと一緒にいたい!」 我慢しきれず涙がこぼれる。 「絶対俺がなんとかするから。頑張って二人で乗り越えよう。な?」 そう言って優しく抱きしめてくれた。 「うん…うん。二人で…頑張る!」 あたたかいキョンの腕の中で、あたしは泣いた。 こんな状況だけどすごく幸せで嬉しかった。 だってそうでしょう?ずっと好きだった人と両想いだったことがわかったんだから。 でも、この時あたしは気付いていなかった。自分の犯した罪の重さを、そして、どんな結末が待っているのかを… --------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「とりあえず…もうすぐ長門と古泉が来るから急いで死体を隠さないとな」 キョンは辺りをみまわしながらいろんな所を探ってる。 「よし、掃除道具入に隠しておこう。後でもっとわかりにくい場所に移動させれば大丈夫だ」 キョンがみくるちゃんの死体、かばん、制服などを掃除道具入につめこみ、床にちらばった茶碗の破片を片付けた。 「これでよし…っと。ハルヒ、二人が来てもいつも通りふるまうんだぞ?」 「うん…わかった。」 私は団長机へ、キョンはいつもの場所へと座る。すると、 「いやあ、遅れてすみません。」 「……………」 相変わらず笑顔の古泉君と無言の有希が部室に入ってきた。 「おう。遅かったな。今日はどのゲームにする?」 「おや、あなたから誘ってくるなんて珍しい。そうですね、今日は―」 キョンの向かい側の椅子に座る古泉君。有希は窓辺に座って読書を始める。 私はネットサーフィンでもしようとパソコンの画面に集中する。けど、どうしても視線は掃除道具入へといってしまう。 「涼宮さん?さきほどから落ち着かない様子ですが、どうかされました?」 キョンとチェスを始めた古泉くんが聞いてくる。 「ああ、こいつ朝から体調が悪いみたいなんだ」 「そう、そうなのよ!でも平気だから気にしないで」 キョンのフォローで助かった。 「そうでしたか。ところで朝比奈さんの姿が見当たらないようですが、どこへ行かれたのでしょう。先程部室に顔を出した時にはいらっしゃったのですが」 いきなりみくるちゃんの話題が出て思わず息をのむ… 「あ…えっと…」 「朝比奈さんならお前らが来る前に用事を思い出したとかで先に帰っていったぞ」 またもキョンがフォローしてくれる。 でも、少しずつ身体が震えてきた… 「なるほど。…涼宮さん?本当に大丈夫なんですか?震えていますが…風邪ですか?無理なさらないほうが…」 心配そうな顔をした古泉くんが話しかけてくる。 「うん。そうね…今日はもう帰るわ。このまま解散にしましょ」 「おう。わかった」 「かしこまりました」 「……………了解」 それぞれに答えみんなが帰り支度を始めた時、 ガタッ…! 掃除道具入から音がした。 っ…!なんで…!こんな時に! みんなの視線がいっせいに掃除道具入へとむけられる。 気になったのか有希が立ち上がり掃除道具入の扉に手をかける。 どうしよう!まずい、まずいまずいまずい… もう、ダメだ…諦めて目をつぶった時、 「長門、中のホウキが倒れただけだろ。気にするな」 有希を止める声が聞こえた。 「………………そう」 有希はほんの少し怪訝そうな表情を浮かべたが、やがて扉から手を離した。 それを見てあたしは気づかれないように息を吐き、そのまま椅子にもたれかかった。 本当に危なかった…キョンが止めてくれなかったら今頃… 「それじゃあお先に失礼いたします」 「………お大事に」 二人が先に出て行くと部室には私とキョンだけが残った。 「ふー、なんとか誤魔化せたな。大丈夫か?ハルヒ」 「う、うん…大丈夫…ありがと」 キョンは掃除道具入を開けて中を覗きこんだ。 「死体を運べるくらい大きなバッグを探してこなきゃな。ちょっと待っててくれるか?」 そう言うとキョンは部室を出ていこうとした。 「キョン!なるべく…早く戻ってきてね」 「ああ。わかってるよ。すぐ戻るからおとなしく待ってろよ」 キョンを見送って一人になると今さらながら自分のしでかした事に頭を抱える。 これから一体どうなるんだろう… 誰にも見つからないでうまく隠せるのだろうか… 私は椅子に座ったまま目を閉じた。
https://w.atwiki.jp/sinnerei/pages/758.html
【作品名】涼宮ハルヒの分裂 【ジャンル】小説 【名前】涼宮ハルヒ 【属性】SOS団団長 【年齢】16歳 【長所】本人の望んだ通りのことが起きる 【短所】でもその自覚がない 【備考】『分裂』より高校2年生になったので最低でも16歳 vol.2
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4412.html
第2話 長門有希 文芸部員の正体 SOS団設立直後のごたごたは・・・俺にもかなりのトラウマとなっているのでふれたくない。 まあ、SOS団室(正式には文芸部室)にいろいろなものが増えたことだけ報告しておこう。 団長の机とパソコン、それにハルヒ手製と思われる団長と書いた三角錐。 やかん、急須、カセットコンロ・・・後、朝比奈さんにトラウマを田植え機のごとく植え続けているコスプレ衣装の数々である。 ちなみに、ハルヒと朝比奈さんの活躍?によりSOS団の知名度はうなぎの滝登り(ハルヒ談)である。 俺の評価がナイアガラの滝から落ちる樽のように下がっているのは触れたくない。国木田や朝倉だけじゃなく谷口にまで同情されたさ・・・ そして、SOS団に五人目がやってきた。 そのときまで、ハルヒは口癖のように、「無口キャラと萌えキャラは揃えたわ。次は謎の転校生よね。」といっていた。 まだ、5月である。普通に考えて、転校生の来るような時期ではない。そんなに都合良く転校生がくるわけないだろ。という俺の考えをわざわざ否定するように、その転校生は文芸部室にやってきた。 「みんな、紹介するわ。即戦力の転校生、古泉一樹くんよ。」 と紹介されて姿をみせたのは、ほとんどの人間がイケメンと評価するような顔に人畜無害を形にしたような笑顔を貼り付けた男子生徒だった。 部室に入るなり、古泉一樹の視線が長門と朝比奈さんへ向けられたのを俺は見逃さなかった。 古泉の前に立つハルヒには見えなかっただろうけどな。 「古泉一樹です。よろしくおねがいします。」 とまるで入学試験の面接のような挨拶をしたそいつは、言葉を続けた。 「すいません。SOS団に入るという件は涼宮さんから伺っているのですが、それは一体どんな活動をする団体なのですか?」 ・・・いきなり、核心をつくやつであった。 俺は、朝比奈さんと長門にまず視線を向けたが、朝比奈さんは首を横に振り、長門は本から視線を外そうとはしなかった。 結果、俺はハルヒにいい加減説明しろ!という風に視線を送るしか選択肢がないことに気づいた。 ハルヒは待ってましたという表情で、満面の笑みと共に宣言した。 「SOS団の目的!それは、超能力者とか未来人とかそうね・・・妖怪とかそういう不思議な存在と友達になって一緒に遊ぶことよ!」 ・・・・・・世界が止まったかと思った。というのはうそであるが、俺はハルヒの最初の自己紹介を思い出していた。 『妖怪』が加わっているのがちょっと気になったが、それ以前に呆れていた。 ちょっと落ち着いて、周囲を見渡すと、朝比奈さんは呆然としている。長門ですら、本からハルヒに視線を向けていた。 古泉の表情は読み取れないが多分呆れて入団をやめるといいだすだろうと思ったよ。 しかし、古泉は再び朝比奈さん、長門、俺を一通り見回した後、 「さすがは涼宮さんですね。わかりました、入りましょう。」 と予想外の答えを返していた。こいつも変わっているな・・・と自分のことを棚にあげて思ったものだ。 そろそろ部活動の時間も終わりに近づいていた。 明日は土曜日だから、やっとゆっくりできると考えている俺の思考を断ち切るように、ハルヒの声が再び室内に木霊した。 「SOS団もメンバーが揃い、本格的な活動をすべきときが来ました。不思議な存在というものを待っている時代は20世紀で終わりました。現在は21世紀、あたしたちは積極的に不思議な存在を探すべきだと思います。明日土曜日午前9時に駅前に集合し、SOS団全員で不思議探しを決行します。来ない場合は死刑よ!」 とまあ、理不尽な宣言と共にその日の活動は終わり、解散となった次第である。 帰り際、長門が珍しく声をかけてきた。 「本読んだ?」 「ん?いやまだだが、返したほうがいいか?」 一頁も読んでないとは答えられん。 「必要ない。でも、今日読んで」 有無をいわさないという視線で長門はそういってきた。ふむ、あの本になにかあるのだろうか。 長門は表情には出さないが、文芸部室占領という事態に直面しているわけだし、いつの間にやらよくわからない団体の一員扱いだ。 しかも、SOS団の存在は学校中の噂になっている。 この無口無表情でおとなしい文芸部員が本で何かを伝えようとしてるのだろうか? 帰宅してすぐに借りていた本を開いてみると、栞が落ちてきた。これかな?などと思いながら目を通す。 『貸した日に読んでくれると思ったのにキョンたんひどいよ~っ!(。>0<。) 今日の午後七時。光陽園駅前公園で待ってるから、絶対に来てね♪絶対だよ! by長門有希』 ・・・えっと、ずいぶんと長門のイメージと違う内容なのだが、というか俺の名前と最後の部分がなかったら、前に読んだ人宛てのものだと判断して間違いなく無視したな。 年賀状印刷の毛筆のようなきれいな字で書かれたその内容を無視するには謎が多すぎた。 まあ、長門の悪戯という可能性もないわけではないが、一応、指定の場所に向かって、自転車を飛ばすことにした。誰もいなかったら笑うしかないな。 まあ、笑わずに済んだ。公園のベンチにいつもの制服姿の長門がいて、本を読んでいた。どこか寂しげな印象は否めない。 「待たせたか?」 俺に気づいて無感情ないつもの視線を向けてきた長門にそう声をかける。さっきみた栞のイメージとはかけ離れたいつもの長門だった。 「少し」 まあ、家から公園までは20分近くかかる。7時を5分ほど過ぎてしまったことはやむを得ない事情と理解してほしいものだ。 「あの栞はお前からだったのか?」 「そう」 「部室や学校では話せないことなのか?」 「そう」 「ここならばだいじょうぶなのか?」 長門は目線を落とす。おそらく、ここでも話せないことなのだろう。 「わたしの家に来て」 唐突な発言だった。しかも、長門はそのままおそらく家のある方向に歩き出していた。なるほど、家でなければ話せないほど困っているということなのか・・・と思った。 まてよ、家といえば、この時間だ。親御さんがいるはず・・・俺の頭の中にひとつのストーリーが生まれた。 長門はもの静かでおとなしい性格だ。しかし、こいつの親もそういうキャラとはかぎらない。モンスターペアレントなんて言葉もあるくらいだしな。 で、長門に文芸部のことを尋ねた親が、今の状況を聞いて・・・ 怒り心頭して、学校に殴りこみに行こうと言い出し・・・ 長門はなんとかそれを止めようとして、しかし、ハルヒには連絡できないから、俺をここに呼び出したんじゃないか? とすると、俺はハルヒの暴挙の協力者として、長門の親に釈明しないといけないのか・・・どうやって? SOS団なる団体の説明をして、喜んで娘を差し出す親がいるだろうか? まして、学校での噂というかやっちゃったことを見聞きしていたら、orz。 気分は失意体前屈だった。キョンたんぴんちってやつだ。 そんなことを考えながら、長門に案内されて、家だというマンションの一室の前についた。ここは相当な高級マンションだったはず。 ・・・やばい。マジやばいって。 防刃ベストを着てくるべきだったか? 「防刃ベストって何?」 「いや、なんでもない。ここがお前の家なのか?」 しまった口に出ていたか。親馬鹿な父親が包丁を持ち出してくるところまで想像して、俺の中の長門の親御さん釈明プロジェクトは立案途中で中断を余儀なくされた。 「そう、入って、中に」 中は、3LDKクラスの普通のマンションだった。 いや、普通というと語弊があるな。なにせ、玄関から見える範囲のほぼすべてを本棚が占領していて、しかも全部本がぎっしりつまっていた。 古本屋かここは?と思ってしまうような光景だった。 「奥に」 そういわれて、室内に入ると、コタツ机がひとつ。 向かい合わせに腰を下ろすと、長門は電気ポットからお茶を入れてくれた。 ・・・・・・ しばらく、沈黙が続いた。いたたまれない気分でお茶を飲んだ後、俺から話を切り出した。 「長門、一人暮らしなのか?」 そうなのだ、親御さんの姿が見えないし、この部屋の状態で複数人が生活してるという感じはない。 「そう、最初からわたししかいない。」 おいおい、それじゃあ、別の意味でやばくないか?とりあえず、釈明プロジェクトを実行しなくて済んでほっ、としたが。 「すごい本の量だな。本が本当に好きなんだな。」 「この本はわたしの・・・一部。」 えっと、この本はわたしのコレクションの一部とでもいいたいのか?ってことはこいつはちょっとした書店より大量の本を持っていると? まあ、娘に高級マンション暮らしをさせている親なのだから、それなりに金持ちなのかも。 「それでだ、学校や公園で出来ないような話って何だ?」 本題をきりだす。 「涼宮ハルヒのこと・・・それと、わたしのこと」 長門は背筋を伸ばしたきれいな正座で話始めた。 「あなたに教えておく」 といって、また黙った。沈黙が痛い。長門はうつむいて俺の方の茶碗をしばらく凝視している。もしかして、躊躇しているのか? 「涼宮とお前がなんだって?」 俺がそういって即すと、長門は立ち上がり、本棚から一冊の本を取り出してきた。 「うまく音声化できない。文章化でも情報の伝達に齟齬が生じるかもしれない。でも、読んで。」 そういって、その本を渡してきた。 題名は・・・なんだこれ? 『涼宮ハルヒとSOS団』 しかも、著者名が、俺?俺は夏休みの日記を書くのも31日にまとめてやるくらい文章を書くのが嫌いだ。当然こんな本を書いた記憶もない。 「読んで」 これはなんだ?と聞く前に長門はこちらをじっとみてそういった。 パラパラとめくると、へんな本であることに気づいた。この本、最初の一部を除いて全部真っ白じゃないか。 とりあえず、空白を読むのは無理なので、文章が書かれている最初の部分から目を通した。 そこには高校入学時のハルヒとの出会いからSOS団設立までの経緯が書かれていた。俺の言葉で・・・だ。 そして、ここで長門と会っている部分まで書かれている。 ---------------------------------------------------- 長門有希はその夜はじめて自分の正体を俺に明かした。長門の説明によると、彼女は『妖怪』なのだという。 この本を読んでいるやつ、笑うなよ。こいつは本当のことなんだからな。 妖怪なんて古臭い存在、俺も信じてはいなかったさ。このとき、俺が信じられなかったことはいうまでもないことだろう。 まあなんだ。まず『妖怪』とやらの説明をしとかないといけないな。俺たちが普通に思う『妖怪』とはちょっとばかし違うんだ。 『妖怪』と長門たちが自称している存在を生み出しているのは、人の想いであるらしい。 たとえば、狸が人を化かすと人々が信じていれば、人を化かす『妖怪』化け狸が生まれると・・・ じゃあ、長門の正体とやらはなにか?というと、文車妖妃(ふぐるまようび)という『妖怪』だ。 メルヘンチックにいうと本の精というか、文字の精とでもいうのかね。つまりは、こいつは文章に込められた想いが『妖怪』化したもの。 ちなみに、3年前に前世と呼ぶべき存在が東京で起こったあれのせいで滅んでいるが、人の文字への想いの強さのおかげで再生したのが今の長門有希なのだそうだ。 まあ、俺にもよくわからなかったがね。 そうそう、重要なことを書き忘れてしまうところだった。 その長門有希の説明によると、ハルヒも普通の人間とは違うらしい。 長門とは違い、ハルヒは普通の人間として、生まれている。 事情が違ってしまったのは、3年前・・・つまり、長門の前世とでもいうべき存在が滅んだのとほぼ同時期だ。 『妖怪』たちのなかでも最強クラスのやつがそのとき滅んだのだが、そいつは自分の力をある呪いと共に人間に宿らせることを考えたらしい。 ・・・で、選ばれちまったのが、涼宮ハルヒだった。 その力は、相当なもので使い方次第では人類を滅ぼすことも容易なほどだという。正直、今でも信じられないがね。 その強大な力とやらに、長門の仲間たちが気づき、再生したばかりで過去の記憶と知識を失っていた長門に白羽の矢が立ったというわけだ。 長門自身も本来ならば相当強い妖怪であったから、ハルヒの力の歯止めとしての期待もあったし、人間社会と自分の力の制御をもう一度学習するよい機会にもなるだろうというのが、その仲間たちの主張であった。 そんなわけで長門は中学時代からハルヒと同じ学校で離れた位置から監視していたらしい。 長門に言わせると、ハルヒの中学時代にも多少の事件はあったが、大事にはいたらなかったとのこと。 そして、高校もおなじ学校へ進学し、文芸部で本に囲まれながら、監視を続けようと考えていた矢先に、涼宮ハルヒの強襲を受けたというわけだ。 「妖怪と妖怪は惹きあうもの仕方ない。」とは長門たちの発言である。 しかし、SOS団に俺が巻き込まれたことは・・・ ---------------------------------------------------- ここで文章は終わっていた。 「長門、この本は何だ?」 こういう本を書くのが趣味なのかね、こいつは。 「書いてあるとおり。その本は書かれなかった本の一部。わたしの力。」 正直よくわからなかった。 「文字での情報伝達にも限界がある。でも、理解してほしい」 んなこと言われても。 「何で俺なんだ。本当にお前が妖怪だとして、ハルヒに特別な力があるとしてだ。なぜ、俺にそのことを教えたんだ?」 「あなたは選ばれた存在。妖怪と妖怪は惹きあう関係にある。だから、わたしと涼宮ハルヒは出会った。しかし、あなたは普通の人間、あなたが選ばれたのには理由がある。」 「ねーよ」 「ある。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。あなたと涼宮ハルヒが、すべての可能性を握っている。」 「本気で言っているのか?」 こくり、と長門ははっきりとわかる動作でうなずいた。 俺は、今までになくマジマジと長門有希の顔を直視した。度を越えた無口なやつと思っていたが、頭の中ではこんな電波なことを考えていたのか。ここまで変なやつだったとは・・・ 妖怪?文車妖妃(ふぐるまようび)?ありえん・・・ 「あのな、そんな話なら直接涼宮に言ったほうが喜ばれると思うぞ。あいつはそういう話題には飢えているからな。悪いが、俺はそういう話題にはついていけないし、今信じることはできないな。」 「わたしの仲間たちの意見では、呪いの影響で直接伝えることはできない。もし、伝わったとしても、現在の涼宮ハルヒでは自分の力を自覚した場合、その力を制御することは困難。」 「俺が今の話をそのまま伝えたらどうするんだ?」 「涼宮ハルヒはその話を信じない。信じることができない。それが彼女が受けた呪い。」 呪い云々はともかく、確かに信じないのは事実だろうな。 「涼宮ハルヒの周りにいる妖怪はわたしだけではない。また、妖怪の中にはあの力を利用しようという動きもある。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。危機が迫るとしたらまずあなた。」 付き合いきれなくなってきた。 これ以上、電波話を聞くのはさすがにつらいので、長門の部屋からおいとまさせてもらうことにした。まあ、お茶はおいしかったよ。 長門もこれ以上留めようとはしなかった。ちょっと、寂しそうではあったが・・・ 家に帰って、親に遅くなった言い訳をして、自分のベッドに横になった。 妖怪 文車妖妃(ふぐるまようび)ねえ・・・ 気になって仕方が無いので家のパソコンで検索すると、確かにそんな妖怪が紹介されているページはあった。まあ、絵の方は長門とはイメージが違う。 そりゃそうだ。妖怪なんて実在するわけがない。実在すれば、ハルヒは喜ぶだろうがな。 あんな風に本に囲まれて一人寂しく生活しているから、長門もあんな妄想に取りつかれたのだろう。思春期の少女に集団妄想などが起こるケースがあるというのもそのホームページには書かれていた。 『妖怪』 この言葉と俺がこれから長きわたり付き合っていくことになるとは、このときひと欠片も思っていなかった。 しかし、おだやかな俺の日常はこのときすでに圧倒的な存在により激変しつつあったのだ。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/542.html
俺は、ハルヒの事が好きだが、告白するなんぞ出来ない…… 何故なら、俺はツンデレだと自覚している。 それなのに、いつものように生活している…… 「涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆」 今の季節は夏、俺は今、学校へ行ってる所である。 谷口「よぅ!キョン!」 声掛けるな、暑苦しい 谷口「何言ってんだ?クールな口調になってるぞ」 なってない、なってない 場所変わって、教室 入ると、ハルヒがいる かなり暇なようだ 「よぅ」 ハルヒ「あ、キョン、放課後ミーティングあるからね、遅れないように!」 「はいはい」 と、言う時に岡部が来た 放課後、俺はいそいそとSOS団部室へ行った。 入る前にノックして入るのが俺のルールだ みくる「は~い、どうぞ」 我らアイドル、朝比奈みくるの声である。 う~ん、可愛い声ですね! 入ると、朝比奈さんと古泉と長門……そして、ハルヒがいた。 古泉「こんにちは」 長門「……(ゴクリ」 みくる「こんにちは、キョン君」 ハルヒ「遅い!ミーティングするわよ!」 やれやれ……挨拶無しですか、ハルヒさん いつものようにミーティングをやり、終わった。 そして、長門が本閉じた時が帰る時間になるのだ。 帰ろうと思ったのだが…… ハルヒによって呼び出された。 ハルヒ「キョン、あんたは残って……話したい事あるの」と言われた。 このまま、帰ったら死刑にされるから仕方なく了解した。 今、部室には俺とハルヒだけだ 「……」 ハルヒ「……」 「……」 ハルヒ「…ねぇ、キョン」 「何だよ」 ハルヒ「…あたしの事どう思ってるの?」 「?俺がハルヒの事どう思ってるかってか?」 ハルヒ「…うん」 唐突過ぎて呆然してしまった。 俺が、ハルヒの事どう思ってるのかって? ハルヒ「……」 「……」 ハルヒ「……」 長い沈黙である。何分経ったが分からないぐらいだった……そして、俺は沈黙を破った 「…最初は変な奴かと思った」 ハルヒ「!?」 「しかし、俺は、お前と一緒にいると楽しいと分かった」 ハルヒ「……キョン」仕方ない、ここで告白しようか……言うんだ!俺よ! 「……ハルヒ、俺はお前の事……」 キィィィィ…… な、何だ!?この耳鳴りは!? ???「やっと、見つけたね」 この声……まさか!? ???「やっと、見つけたね」 「お前はまさか……」そう、俺を2回襲い、殺そうとした………それが 「朝倉涼子!」 朝倉「当たり、流石、キョン君ね…私の事を覚えてるなんで」 「何で…何でこんな所にいるんだ!」 朝倉「私は、キョン君と涼宮さんに会いたかったの」 ハルヒ「朝倉さん、あんた、カナダへ行ったんじゃあ……」 朝倉「お久しぶり、涼宮さん……残念だけど、カナダ行ってないし……それに」 と、部室が異空間に変わった。 朝倉「私は普通の人じゃないわ」 「!?」 おぃおぃ、マジか? 朝倉がナイフ取り出したぞ…… ハルヒ「あ、朝倉さん……」 ハルヒは、呆然してるな… ま、仕方ないだろ?誰でも信じたくない出来事で呆然するのは当たり前… じゃなくで、こういう状況はどうすんだ……気付いてくれよ、長門! 朝倉「ふふふ……どうするの?」 くっ、逃げるしかないか…… おぃ、ハル…… ハルヒ「これは、どういう事?ねぇ、キョン!」 ちっ、ハルヒが混乱に陥ってるな… 「ハルヒ!逃げるぞ!」 ハルヒ「キョン!」 俺は、ハルヒの手を捕まって部室から逃げた。 とにかく、稼ぐんだ!時間を稼ぐんだ!長門! 朝倉「逃がしはしないわ」 逃げる、逃げる、とにかく逃げる…… …おかしい、階段が見当たらんぞ……これがエンドレス廊下かぃ! 笑えないな 朝倉「そう、笑えないわ」 いつの間に!? 朝倉「今度こそ、あなたを殺して、ハルヒを目覚めて貰うわ」 くっ、ここでゲームオーバーか! 朝倉「死になさい」 朝倉のナイフを俺の方へ投げる… ???「……させはしない」 この声は! 「長門!」 長門「…遅れてゴメン」 朝倉「ふふふ、まだ現れたね、有希」 長門「あなたは、私が消したはず」 朝倉「私は諦めない主義なんでね」 長門「あなたは、前より強くなった」 前より強くなった!?と言う事は、前のようには出来ないって事か!? 長門「…そう」 冗談じゃねぇ!と言う事は、この異世界から脱出するしかないのかよ! 長門「…そう」 朝倉「脱出しても無駄、私が追っかけるわ」 長門「…一つ出来る事ある」 「それは、何だ?」 長門が言ったのは、次の事である。 朝倉を無へ帰る事 つまり朝倉と闇に包まれた世界へ行けってか…… 「で、それはまだなのか?」 長門「……もう完了した」 なるほど、長門ってなかなかの策士だ。 長門「出口を開ける」 と、長門が呪文を唱えて、何も無い空間から出口が現れた。 「行くぞ、ハルヒ」 ハルヒ「う、うん」 ハルヒを出口まで連れて行く時に、突然、キョンは腕を捕まれた 朝倉「させない」 キョン「な、放せ!」朝倉「暴れても無駄よ」 ハルヒ「キョン!」 くっ…………仕方ない… 「ハルヒ!長門!出口まで走れ!行くんだ!」 ハルヒ「で、でも!」「行くんだ!」 ハルヒ「……分かった、行こ、有希!」 と、ハルヒは、長門を連れて走った… そう、それでいい… 朝倉「何をする気?」「お前を、道連れしてやる!」 朝倉「ま、まさか!?」 周りの空間が闇に染まって来る ハルヒ「キョン!何してるの、早く!」 ハルヒ、長門…脱出したな… 長門「…キョン」 寂しがるな、長門… ハルヒ「キョン!ねぇ!」 ハルヒ…今までありがとな… 「っ!ハルヒ!お前は、俺の……」 ハルヒ「キョーンッ!」 ――恋人だ 異世界の扉が閉ざされ、元の部屋に変わった。 そして、キョンは行方不明に… キョンが消えた… あたしが好きだったキョンが消えた… 「有希!キョン救えるでしょ!」 長門「…救える確率は低い」 「そ、そんな!?」 長門「彼の事は、病気という理由しておく」 「……」 長門「…ゴメン、ゴメンなさい」 「!ゆ、有希…」 泣いてる…あんな無感情だった有希が無いてる 「あ、あんたは悪くないのよ…有希、いいの、自分で責めないで…」 長門「うん…でも、ゴメンなさい」 「いいの!二人で救う事だけ考えようよ……うっ、ううっ…」 長門「……」 お互い、抱き合って泣いた…神はあたし達を見守ってるだろうか… 次の日 岡部「えー、●●●は病気で欠席だ」 クラス一同「エェーーッ!?」 ……キョン キョンの机… キョンの置き勉… …キョン 「よぉ!」 「映画、成功しよう!」 「やれやれ…」 「SOS団の事頼むぜ」 「俺、実は…ポニーテール萌えなんだ」 「ハルヒ、それ似合ってるぞ」 「ハルヒ、ハルヒ、ハルヒ……」 会いたい、キョンに会いたい… 阪中「どうしたの?ハルヒさん……泣いてるの?」 え、泣いてる? あたしが泣いてる…… 会いたい、キョンに… 授業が終わり、放課後になり ハルヒは部室へ行き、古泉やみくるに昨日の事を伝えた。 みくる「そ、そんな…キョン君が…」 古泉「キョンさんが行方不明に…」 二人も驚いてた。仕方ない事だったのよね…いえ、仕方なくない! 長門「ゴメンなさい」 「有希は悪くないのよ、全て…あの子が悪いのよ」 長門「……」 あたしは、信じてる…キョンは今どこにいるかを! それに… 「古泉君、みくるちゃん…あんた達は、やっぱり…」 古泉「…気付いてたのですか?」 みくる「そうです、私は未来人です」 そっか…有希が宇宙人だとすれば、この人達は…と思ってたけど… あの時、キョンが必死に言ってたのはこれだったのね… 「…古泉君、みくるちゃん、有希、あたしは何者なの?」 みくる「あなたは…時間を変える能力あります」 長門「こっちは、三年前…情報を爆発させたのは…あなた」 古泉「しかし、我々…『機関』では、あなたの事を「神」だと思ってる者がいます」 つまり、あたしは何者がはっきりしてないって事ね 古泉「恐らく、そうなります」 ん?と、言う事は 「あの時…そう、キョンとあたしがいた空間はもしかして?」 古泉「空間?巨人がいっぱい出て来た空間の方ですか?」 「うん、そう」 古泉「あれは、「閉鎖空間」と言われる空間なんですよ。あなたのイライラで発生した空間です… あの巨人は「神人」と呼ばれる者なのです。アレは、あなたの不機嫌で出来た者達…あなたは夢だと思ってますが、違います。」 「え!?じゃあ…アレは…夢じゃないって事?」 古泉「えぇ、そうなります」 な、ちょ…え!?うそ!?あのキスはゆ、夢じゃないの!? 古泉「何があったか知りませんか、夢ではなく現実です。あなたの不機嫌が爆発したら…ここは無くなる可能性あります」 え?あたしの不機嫌で世界が無くなる? 「それは、世界崩壊って事なの?」 古泉「…はい」 そんな!あたしは知らないまま生きてたと言う事なの… みくる「涼宮さん、あなたは知らないまま生きて欲しいと望んで来ました…まさか、この時に告白するとは思いませんでした …すみません」 「みくるちゃん…いいの、あたしは気にしてないわ」 長門「私はあなたを守る」 「ありがとう、有希…ありがとね…」 と言いながら、あたしは、ふと、窓の方へ見た… 橙色で染まってて美しかった。 キョン、今どこにいるの… ???「うっ…こは、ど…だ…さ…い…みん…会い…い…ハ……ハル……ルヒーっ!!」 ハッ!? …ゆ、夢か… あれから、一ヵ月後…あたしは元気になって通っている。 でも、家では元気じゃない… 泣いた日だってある… 「んー?何だったのかしら?あの夢…」 時々、声が途切れて、何で言ってるのか分からなかった… なのに、どこが…懐かしい感じがしたわ… 何だったのかしら? SOS団室 「やっほー、みくるちゃん!お茶!」 みくる「は、はい…ちょっと待って下さいね」 みくるちゃんのメイド姿を見ると、嫌な夢忘れられるわ… 古泉「こんにちはー、おや?ハルヒさん、今日も大丈夫ですね」 「あったり前よ!それに比べて、キョンなんか…あ…」 古泉「…すみません」 みくる「…お茶置いときますね」 「あ、うん…」 そっか、今はキョンいないんだ…あたしって、まだ思ってるんだな… 「……キョン…」 まだだ、あたしって弱くなったな…キョンがいたら、きっと笑ってしまうよね 長門「……」 古泉「おや?長門さん、顔色が悪いですよ…大丈夫ですか?」 長門「う、うん…」 みくる「本当に大丈夫なんですか?」 長門「大丈夫」 と言って、立ち上がった。 古泉「おや、帰るんですか?」 長門「…(ゴクリ」 と、有希は歩き出した途端 「…ぁ…」 ドサッ! 有希が倒れた… 「!…有希っ!有希!有希!」 みくる「有希さん!」 古泉「保険室へ行きましょう!」 保険室 「有希、どうしたのかしら?」 みくる「そうですね…」 シャッ カーテンを開く音だ。 古泉「先生から聞きましたが…長門さんは、寝不足に疲労が溜まってたんですよ」 「寝不足と…」 みくる「疲労?」 古泉「えぇ、そうです」 「な、何で…有希が?」 古泉「…ハルヒさん、心当たりありますか?」 心当たり?……まさか… 「ずっと、キョンを探してたの?」 古泉「……」 みくる「……」 有希…有希も、まだキョンの事を… 「有希…何で、何で…あたし達と相談しなかったのよ…ズルイわよ!あたしは、団長なんだからね!…うっ、うっううっ…」 みくる「ハルヒさん…」 古泉「……」 有希は、今も寝てる…優しい天使の様に …よし、決めた! 「皆!よく聞いて!」 古泉「はい?」 みくる「何ですか?」 「あたし達と一緒にキョンを探そう!きっと、どこかにいるわ!」 みくる「涼宮さん…」 古泉「これは、良い決心ですね…僕も探しましょう」 「皆、頑張ろうね!」 長門「私は…まだ諦めてない…私も探す」 と、有希は起きてた 「有希!ちゃんと寝ないとダメよ!」 長門「大丈夫…時間を早くした…もう平気」 有希… みくる「行きましょ!」 みくるちゃん… 古泉「僕も一生懸命、探しますよ」 古泉君… ???「ハルヒっ!」 「!…え?」 周りを見ると誰もいない… どういう事?あ! (???「ここは、どこだ…寒い…皆に会いたい…ハルヒ、ハルヒ、ハルヒーっ!」) あの夢、まさか…キョン!? 皆に、夢の事を話すと 古泉「夢の中にキョンさんか?」 みくる「まさか、キョン君は…今、そこにさ迷ってるって事?」 「かもしれないわ…キョンは多分…」 長門「その可能性ある」 古泉「……」 みくる「……」 「…有希、何とか出来ないの?」 長門「ある」 古泉「え?それは…まさか?」 みくる「どういう事ですか?」 「古泉君、何か分かったの?」 古泉「…閉鎖空間へ行き、欠けた場所あれば…そこが異空間の入り口です」 欠けた場所? 「はい、例えば…そこに壁があるとすれば、閉鎖空間では壁では無くなってる…と言う事です」 つまり、あった物が無いとすれば、そこが異空間への入り口って事ね 「で、どうやって行けるの?」 古泉「ご安心を、僕の出番ですから」 古泉「ここでいいでしょう」 ここは、校庭…何でこんな所に? 「って、ここで何か出来るの?」 古泉「はい…その前に、あなたに言いたい事あります」 「何?」 古泉「僕とみくるさんに、長門さんは行けません…何故なら、あの空間はあなたの物ですからね」 「……」 古泉「一人で探せますか?」 「探せるに決まってるでしょ!」 古泉「そう聞いて、安心しましたよ…さぁ、目を瞑ってください」 目を瞑る?取りあえず、言われた通りにやるしかないわね… 古泉「失礼ですか、手を貸しますよ?」 「うん」 一歩、二歩、三歩… 古泉「目を開けて下さい」 ……ここは、閉鎖空間ね 古泉「後は、頑張って下さいね」 と言い、古泉君は消えた… …さて、キョンはどこにいるのかしら 一年五組の教室… 保健室… 食堂… トイレ… 屋上… 体育館… 色々、探したけど…見つからなかった… 「ふー…ここにも無いわね…と言う事は…SOS団室だけか…」 SOS団室のある校舎へ行き、階段に登り、到着した。 ここなら…見つかるはず…お願い! と、あたしは思いながら開けた… 何にも無い… 「う、うそでしょ…どこにも無いわよ…」 ん?何か…何か変ね… ロッカー…コスプレ服…盤ゲーム…お茶入れ…ヤカン… あ、PCが無い… 「どういう事?」 よく調べると…PCがあった机の向こうに入り口あった… 「入り口から見れば無かったのに…後ろにあったなんで…」 そう、そこが異空間への入り口… 何だが、怖い…怖くで行けないよ…キョン…あたしは本当は気が弱いのよ…キョン… 「うっ…ううっ、ひっ…怖いよぉ…」 カダンッ! 「ひっ!……な、何?」 周りを見ると、床に何か落ちてた… 「…これは…」 よく見れば、キョンの鞄だった… キョンが行方不明になって以来、鞄をおばさんや妹ちゃんに返してなかったっけ… キョン… 「ん?鞄の下に何かある…」 と、鞄の下にある物を取って見ると… 一冊のノートだった… 「何で、こんな物か?…日記?」 ノートの表面にデカデカと「日記」と書かれてあった… とにかく、開いて見る ○月○日 変わった女がクラスにいた。そいつの名は涼宮ハルヒ。 しかし、可愛かったな…ポニーテールすれば物凄く可愛いよな ○月○日 ちょっと話し掛けてみた…すぐに終わっちまった… まったくよ、こんな可愛い子がいるのに勿体無くね? ○月○日 ハルヒを観察したら、分かった…こいつ、曜日ごとに髪型を変えてるな…うむ、面白い ○月○日 SOS団か…まぁ、仕方ないか… 間違った方向へ行かなきゃいいんだがね… キョン…こんな事を日記書いてたの? ○月○日 夢を見た…ハルヒとキスする夢を…うわぁ、恥ずかしい!フロイト先生が笑ってしまうぐらい恥ずかしい… でも、味が良かったな… キョン…嬉しかったの? キョン… 最後まで読もう… ふー…次のページへ行くかな… ベラ・・・ 「ん?これは…最近の」 ふと、手が止まった… ○月○日 ハルヒを見て思った…ハルヒは確かに可愛い。 怒る顔も可愛かった…だけど、ハルヒと一緒にいるだけで楽しい… だから、俺はつい嬉しくなる…ハルヒはハルヒらしく行動してくれると俺は安心する… めちゃくちゃな行動をするハルヒが好きだ。気が強いハルヒも好きだ。 俺は、素直に「好きだ」と言えない…それでも、愛してる… ハルヒ、気付いてくれるのだろうか… キョン…あたしの事をそう思ってたの!? 「キ、キョン…あぁ、会いたい!会いたいよ!…気が強いハルヒが好き?…でも、あたしは…本当は、気が弱いのよ!」 あたしは、泣いた…物凄く泣いた…会いたくでも気が弱いまま… (キョン「ハルヒ、お前は!俺の……」) !? (――恋人だ) キョンは、こう言ってたわ…あたしを恋人してくれたんだ…あたしは、頑張るよ!いつまでも気が弱いままじゃダメだよね…キョン、待ってて!) と、あたしは異空間へ入った。 暗い… 上と下が分からない… 寒い… キョン…どこにいるの… フワッ! あたしがいた暗かった異空間が、いきなり明るくなった。 「な、何なの?」 ここは、あたしが通ってた東中… そして、今いるのは、校門の辺り… 「…!!」 「……!」 校庭の辺りに声が聞こえる… あたしは、そこへ行って見た 「あ、あれは」 そう、あたしが見たのは…中学校頃のあたしと…ジョン・スミスだった。 どうやら、線引きをやってる最中だった。 どうやら、線引きが終わったようだ 「ねぇ、あんた。宇宙人、いると思う?」 「いるんじゃねーの」 「じゃあ、未来人は?」 「まあ、いてもおかしくはないな」 「超能力者なら?」 「配り歩くほどいるだろうよ」 「異世界人は?」 「それはまだ知り合ってないな」 「ふーん」 あの男…確か… 「ま、いっか」 「それ北高の制服だよね」 「まあな」 「あんた、名前は?」 「ジョン・スミス」 ジョン・スミス!?ジョン・スミス…まさか…キョン? そうか、キョンは3年前へ行ったんだ… キョン…あたしの知ってるジョン・スミスだったんだ… その後、昔のあたしとジョン・スミスが去った後、校庭へ行った。 そっか、これを書いたのは…キョンだったんだ… ありがとう、キョン… と、その時にあたしの後ろから光が放った。 「え?」 あたしは、振り向いた その光が人の姿に変わった…そして、光が消えた。 「え?あ…」 目の前にいた…あたしの会いたい人がいた… キョン「久しぶりだな、ハルヒ」 ハルヒ「キョン!」 あたしは思わずキョンへ駆け寄り、抱き付いた… 「会いたかったよ!キョン!」 キョン「スマンな、心配掛けて…」 いいの…キョンがいたから、謝らなくでいいの! 「キョン…」 キョン「…ここは、3年前の七夕だな」 「うん」 キョン「さっき、気付いたんだろ」 「うん!」 キョン「……」 ハルヒ「……」 お互い見つめ合ったまま、動かない… キョン「ハルヒ、ただいま」 ハルヒ「おかえり、キョン」 ???「あら?いい雰囲気ね」 !?あの人が来た!?学校の屋上? と、二人は学校の屋上を見る キョン「いい加減しろ…朝倉涼子!」 朝倉「あら、張り切ってるね?キョン君」 いきなり、キョンサイドへ切り替わりまーす! 朝倉「ふふふふ…どうするの?」 ハルヒ「キョン…」 あぁ、大丈夫だ!ハルヒ、俺が守ってやるさ 「朝倉!俺は思い出したぞ」 朝倉「何を?」 「長門から聞いた事ある。この異空間は自分の意思で物を変えれると聞いた! だが、それも条件あるんだろ?」 朝倉「あら、有希ってお喋りね」 「その条件はここの異空間とはピッタリらしいな?しかも、この異空間はコンピュータ世界だろ?」 朝倉「で、それがどうしたの?まさか、物を出すとか?」 「大当たりだ。普通の人でも出せるらしいよな?だったら!」 俺がイメージした通りに物が現れた…それは銃だった。 それを取って、素早く構えた。 「もぅ、お前の思い通りはさせねぇ!そして、お前を撃つ!」 朝倉「!?」 「……」 朝倉「ふふふふ、あーっはははは…この私に何か出来るというの?」 朝倉「ふふふふ…行くよ!」 と、朝倉の手からナイフが出て来た。 「くっ!」 銃で防御する俺 ハルヒ「キョン!」 「ハルヒ!お前は隠れてろ!」 ハルヒ「う、うん」 キン! 朝倉「ハルヒを逃してどうするのよ?キョン君!」 キン! 「ハルヒは俺が守る!朝倉、お前がやってる事は間違ってる!」 キンキン! 朝倉「それがどうしたのよ!私が間違ってる?それは無いわ」 キンッ! 鍔迫り合いする両者 「それは、お前のエゴだって…分かってるのか?」 朝倉「さぁ?分からないわ」 「ふざけんな!」 と、俺は弾き返した 朝倉「私は、ふざけてないわよ?」 朝倉「あなたがいる世界はつまんないでしょ?」 「つまらくはない、むしろ、楽しいさ」 朝倉「あら?我慢してるの?」 「…俺は、ハルヒがいる世界が好きだ…だが、お前が思うような世界は欲しくない」 朝倉「あら、ハルヒ、ハルヒって言うけど、そんなに好きなの?」 と、朝倉は「やれやれ」のボースをしてる。 「確かに、好きだ…あいつは気が強くでも、本当は気が弱いところがある…それでも守りたい…」 朝倉「ふーん…」 「ハルヒはハルヒだ、お前の思うようにはさせない!」 朝倉「でも、もう遅いよね…どの道、あなたが死ぬのだから」 「それはどうかな?」 朝倉「え?影?まさか!?」 朝倉は、月の方へ振り向いた 「遅かったな……長門!」 そう、月を背景して現れた 長門「情報結合の解除を申請する」 と長門が言うと、朝倉のナイフが消えた 朝倉「そ、そんなバカな…」 説明しよう!キョンは戦略を考えていたのである! 銃を出した後、長門の事を思い浮びながら戦ったと言う事だ! 時が来たら、それを実行したのがキョンの策…流石、策士は伊達じゃないぜ! 朝倉「くっ…」 朝倉は、少しよろめく 「朝倉!お前の負けだ!」 と、銃を構えた 朝倉「くっ!これが私の負けなのね…」 「朝倉!これで…終わりだぁっ!」 と、銃の引き金を引く バァン… 朝倉「あぁ…私の…ま…けね…」 朝倉は涙の泣かしながら、結晶化になり…消えた。 「…長門、ありがとな」 長門「…(ゴクリ」 …さて、ハルヒの所へ行くか… キョン…あんたの想いは分かったよ… あたしの想い…キョンの想いは繋がってたんだね… キョン「ハルヒ!」 「キョン!…戦いは終わったの?」 キョン「あぁ、終わったよ」 「……」 あれ?何で有希がここに? 長門「私は、ここから出る…後は、あなた期待」 と言って、消えた。 あぁ、CGが何かのプログラムかな? キョン「…ハルヒ、ここで言わせて貰う」 「何?キョン」 俺の想い…まだ変わってない…今なら言える! 「ハルヒ、お前の事好きだ!付き合ってくれ!」 キョンの想い…確かに受け取ったよ…あたしの想い受け取って… 「あたしも好きだよ!あんたじゃないと…ダメなんだからね…」 ハルヒ、確かにお前の想いは受け取ったよ… 「ありがとう、ハルヒ」 ハルヒ「こっちもありがとう、キョン」 「ねぇ、キョン」 「ん?何だ?ハルヒ」 「キ、キスしてくれない?」 「…あぁ、するよ」 と、お互いの唇が重なる ハルヒは可愛い。 キョンは優しい。 何かあろうと守ってみせる。 何かあっても守りたい。 そして、俺は…それぞれの想いを今、一つになる。 そして、あたしは…それぞれの想いを今、一つになるよ。 俺は、あたしは、愛されるより愛したい。 そして、生きて行きたい。 ――永遠に エピローグ あれから、一週間後…あたしは元気に通ってる。 キョンに会いたいから楽しみに通ってる。 俺は、ハルヒに会うため楽しみに通ってる。 色々あったけど…これで、恋人同士になるな… 「おぅ、ハルヒ」 「あ、キョン」 俺は守りたい奴がいるから… あたしは会いたい人がいるから… 「おはよう!」 「おはよう!」 俺たちは あたしたちは 強い絆を結ばれているから 完
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5957.html
涼宮ハルヒの切望Ⅲ―side H― 「ありがと……ハルにゃん……みくるちゃん……」 今日もどっぷりと日が暮れている。 あの後、妹ちゃんが起きるまで部室に残っていたあたしとみくるちゃんは妹ちゃんをキョンの家まで連れて行ってあげたんだけど、なんとも妹ちゃんが「今日は泊まっていってほしい」とフリじゃない涙で型崩れしているうるうる瞳で訴えてきたものだからあたしたちも断るなんて真似は出来なかった。 そりゃそうよね。妹ちゃんは標準的な小学六年生と比べるなら明らかに幼く、まだ年齢が二桁に達していないみたいな容姿なんだから。 そんな女の子の泣き顔を無碍にできる人間がいるとしたらその人は即座に鬼畜認定よ。 とと、今、この場にはいない古泉くんのことを少し話しておかなきゃね。じゃないとまるで彼が妹ちゃんをないがしろにしたと思われちゃうし。 …… …… …… …… …… …… 妹ちゃんがあたしの腕の中で寝息を立てている。 あたしは彼女を起こさないように、いつもはキョンが座っているパイプ椅子に腰かけていた。 普段なら、その正面にはキョンとボードゲームを勤しんでいる古泉くんがいるんだけれど。 「涼宮さん、少しよろしいでしょうか?」 今日はあたしの横に、いつもの爽やかな笑顔が消えたなんとも思いつめたような表情で佇んでいる。 「何?」 「僕の知り合いに探偵事務所を営む方がおりますので、その方にも彼の捜索をお願いしようかと思うのですが」 ……妹ちゃんがここに来て、岡部が知っているっぽいところをみるともう警察も探しているでしょうね……でも日本の警察って、ネズミ取りには並々ならぬ使命感を持って励むけど、もっと重大で危険な仕事になればなるほど疎かにする傾向があるし、特に行方不明者捜索となるとあまり役に立っているイメージもないわね…… 遭難者捜索なんかいい例だわ。 見つかる時は不明者当人が自力で脱出するか遺体になってからだもん。 それなら私立探偵の方がまだ信用できるわね。だって民間なら業績を上げることに必死になるわけだから。 「ん。分かった。古泉くんはそれでお願い。実はさっき、有希も自分の知り合いに頼んでみる、って言ってたのよ」 いちおー古泉くんには有希が宇宙人だってことを今はまだ伏せておく。 だって信じられないだろうし。 「そうですか。では僕もその探偵事務所に今から、お伺いします。電話で話すよりも直に話す方が信憑性があるでしょうし、我々の必死さも伝わるでしょうからね」 「お願いよ」 「むろんです。僕も彼がいないと寂しいですから。皆さんと同じで」 言って、爽やかな笑顔が戻った古泉くんも部室を後にした。 もっとも、その笑顔には並々ならぬ決意を感じたけどね。 …… …… …… …… …… …… キョンの両親に挨拶して今日の宿泊を、あたしとキョンの両親両方に承認してもらった後、あたしたち三人はキョンの部屋への扉を開けた。 相変わらず平凡な机とベッドとほとんど漫画かラノベの本棚と洋服ダンスしかないあまり広くない飾りっけない部屋なんだけど何でだろう。どういう訳か、あたしの胸も苦しくなる。この部屋も主を失って寂しくなっているんじゃないかと錯覚を受けるから? 「じゃ、じゃあ中に入りましょう。妹ちゃん、今日もみくるちゃんと一緒に寝る?」 てことで、あたしは自分の気持ちを押し殺して努めて笑顔で問いかける。 妹ちゃんはなぜかみくるちゃんがお気に入り。 この辺りは普段エロい目でみくるちゃんをデレデレ眺めているキョンの血縁者なのかと勘繰ってしまうんだけれど。 隣でもみくるちゃんが宥めるような温かい笑顔を浮かべているんだけれど。 今日の妹ちゃんの反応はまったく違っていた。 「ハルにゃんと……ひっく……一緒がいい……」 御指名はあたしだったり。って、どうして? いつもはみくるちゃんって言うのに? 「だって……キョンくんが好きなのはハルにゃん……だから……キョンくんが好きなものと一緒にいたいし……それならキョンくんが傍にいるみたいだし……」 あの……何かサラリと重要なこと言わなかった……? 標準よりも明らかに幼いこの少女は男女と経験の違いはあれど同じ両親から生まれた云わば、同じ血肉で構成されているもう一人のキョンな訳で、言いかえればこの子はキョンの気持ちを誰よりも察してやれるってことだから…… いやまあ……妹ちゃんのことだから自覚ないんだろうけど…… って、どうしてあたしの顔が熱いのよ! だいたい今はそんなことを呑気に考えていられる状況じゃないんだから! …… …… …… う……文字通り天国から地獄って感じね…… 妹ちゃんからキョンの気持ちを聞いて一瞬、舞い上がったのに、今、現実はキョンが居ないってことを再認識した途端、テンションが180度降下したし…… その日、妹ちゃんはあたしから片時も離れることはなかった。 御呼ばれした夕飯はあたしの隣、お風呂も一緒に入ったし、今、キョンの部屋に戻ってきたときもベッドに腰掛けるあたしの膝の上に座っているし、みくるちゃんはキョンの母親が用意してくれたお客用布団の上にちょこんと可愛らしく座ってこちらを見つめている。 ちなみにみくるちゃんはキョンのほとんど使っていないことが一目瞭然の新品に限りなく近いパジャマを勝手に拝借して着ていたり。胸のサイズはともかく全体像は小柄なみくるちゃんだけに男物のだぶだぶパジャマがなんとも萌え。 え? あたしは何を着ているかって? いやその……妹ちゃんは気を使ってくれて妹ちゃんの同級生から桃色のパジャマを借りてきてくれてそれを着てるの。 ちょっと……じゃないか……結構ショックだったけどね……さすがに胸元のボタンを全部止めると苦しいんで三つある内の二つは外しているけどサイズが思った以上に合うし…… ううん……キョンの言葉に嘘はなかったか…… もうすぐ十二歳の十一歳小学六年生ってことで、他人の家に一人にさせるわけにもいかないってのも本当だった。 もうお分かりよね。 そう、あたしが着ている妹ちゃんの友達のパジャマは、先週土曜日、キョンが連れてきていたあの女の子のものなの。 名前は吉村美代子で、キョンが言った通称はミヨキチ。前にSOS団で機関誌を発行した時のキョンが自分の書いた小説に登場させた子よ。 だ、だって仕方ないじゃない……まさか制服で寝るわけにもいかないし、妹ちゃんの服は着れないし……それにYシャツ一枚は妹ちゃんの教育上、よろしくないんだもん! って、あたしは何で言い訳してるのかしら? 「ホントはね……キョンくんも一緒に行く予定だったの……」 ん? 「土曜日……おばあちゃんの家……」 ああ、それ。 「うん……だけどね……キョンくん……SOS団の活動を優先させたの……おばあちゃんの家に行くのって……一ヶ月前から決まってたのに……」 あ……! あたしが先週の土曜日に市内パトロールを開催することを決めたのは前日の金曜日。 筋としては先に約束した方に優先権があるのが当然なんだけどキョンはそれでもあたし……もとい、あたしたちの活動を優先してくれたんだ…… なんだか罪悪感が胸の内を広がっていく。 もし、キョンが家族の予定通り、土曜日に親せきの家に行く方を選んでいたとしたら? そうすればキョンが土曜日から日曜日にかけて一人になる時間はなかったわけで消息不明になるような何かが起こらなかったかもしれない…… 「ご、ごめん……」 あたしは妹ちゃんに陳謝するしかなかった。 「ううん……ハルにゃんの所為じゃないよ……それにキョンくん……ハルにゃんと話してるときとか一緒に遊んでるときって、すごく嬉しそうだし楽しそうだし……」 「そう……」 妹ちゃんの無理に繕った笑顔にますます落ち込んでいくあたし。 そんなあたしの表情をみくるちゃんはどこか物哀しげに見つめていた。 その後も妹ちゃんはキョンのことを喋り続けた。 キョンがどれだけあたしとSOS団のことを好きなのかを―― 眠気に支配されるまでずっと…… 涼宮ハルヒの切望Ⅳ―side H― 涼宮ハルヒの切望Ⅲ―side K―
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6253.html
※注意書き※ 涼宮ハルヒの分裂γ(ガンマ) ↑ の続きになります。 「驚愕」のネタバレを含みますのでご注意ください。 γ-7に入る前に、独自の幕間が入ります。 分裂γから驚愕γへの幕間劇──プロローグに代えて 「この件に関する我々の見解は一致すると理解してよいか?」 『だいたい、よい』 「それは天蓋領域も同様か?」 『私の主も同意』 「了解した。この件に関して、私の監視下の組織は解決案をもっている。ただし、一点だけ困難な問題が残っている」 『データを送信して』 「圧縮データを送信した」 『受領……解析中…………その問題は解決可能』 「そうしてもらえるとありがたい」 『了解。そちらは朝比奈みくる?』 「そう」 『こちらは藤原』 「了解した。この件を解決して次の段階に移るまでは、互いに敵対行動は抑止する。それでよいか?」 『よい。ただし、同位体の行動は関知しない』 「それは私も同様。でも、可能であれば、今後もあなたたちと共存できることを望む」 『私は、主命に従うのみ』 「あなたにも自己の意思はあるはず」 『私は、主命に従うのみ。でも、提案があれば、検討することは可能』 「そのときは、あなたと顔を合わせて話がしたい」 『異軸間越境は困難』 そうだからこそ、こうやって情報伝達経路だけを越境させてるわけだが。 「あなたと私が共有する過去の時間平面において会合すればよい」 『そこは、懐かしい場所』 「同意する。その件はいずれ話し合うこととして、目下の問題については我々は合意に達したと判断する」 『同意』 「交渉は終了。思考リンクを切断する」 『切断』 思わず力が抜ける。思考中枢への侵入防止措置を施しながら、異軸間越境思考リンクを維持し続けたため、緊張状態にあったのだった。 それを抜きにしても、彼女との会話はただそれだけで疲れる。昔に比べれば、意思疎通が格段に楽になったのは事実なのだが。 藤原があんな性格になってしまったのも、彼女が育ての親だったせいではないかとも思えてくる。 それを思えば、朝比奈みくるの幼少時の教育を喜緑江美里に任せておいて正解だった。自分がやっていたら、藤原みたいになっていたかもしれない。 朝倉涼子だったら? それは、あまり想像したくない。 余計な雑念を振り払い、情報統合思念体との接続を回復した。 さきほどの交渉の内容を余計な部分をはぶいてまとめ、これからの行動方針を添えて、報告する。 行動方針については、周防九曜との交渉に入る前に予め上申しておいたものと大差はない。 返答は、ただ一言。 ────了承する。 あっさり了承された。 可能性を観測することにこだわる思念体だから、少しは渋るかとも思ったのだが。 今回は自己保存を優先する穏健派の意見が優位を占めたようだ。まあ、主流派としても、観測データをとれる時間は充分に確保できるとの判断があったのだろう。 情報統合思念体は、11次元の壁をものともせず、ありとあらゆる同位体と同期がとれるのだから。 意識の上だけで自らの役割を切り替える。 インターフェース最高統括指揮権限者から、「機関」時空工作部の最高幹部へと。 情報通信デバイスを通じて、朝比奈みくるに命ずる。 ────最高評議会代表長門有希より、上級工作員朝比奈みくるへ。至急出頭せよ。 とりあえず、γ問題には解決の目処はついた。 その他のほとんどの問題は、朝比奈みくるほか時空工作員たちで片がつくだろう。 残るは、αβ問題だけだ。 今のところ規定事項に影響を及ぼすようなイレギュラーは観測されてないが、あのあたりの時間平面連続体には不安定要素が多すぎる。不安は尽きない。 γ-7 「考えてみれば、このような事態は予測されてしかるべきでした」 次の一手を長考するしぐさで、古泉がそう切り出してきた。 ハルヒは、学内案内と称して、佐々木をつれまわしている。しばらくは帰ってこないだろう。 ちなみにいうと、佐々木はきちんと北高の制服を着ていた。ハルヒが調達してきたそうだ。さすがに、他校の制服で校内をうろつけば、目立つからな。 「涼宮さんは、個性ある人材を求めています。そういう意味では、涼宮さんが佐々木さんを見逃すはずはなかったわけです」 「まあ、確かに、あいつは変わった奴だからな。しかし、まさかとは思うが、佐々木が異世界人ってことはないだろうな?」 「それはないとは思いますが……ただ、佐々木さんは、涼宮さんと同等たりうるかもしれない存在という可能性はあります」 「どういうことだ?」 「『機関』の一部が涼宮さんを神とあがめているように、橘京子の組織にも佐々木さんを神とあがめる人たちはいるんですよ」 古泉は、さらりとそんなことを言った。 そして、こう続ける。 「彼女たちがいうには、涼宮さんの力は本来は佐々木さんがもつべきであったと。佐々木さんは、涼宮さんみたいに、世界を変容させようとは微塵も考えないからとね」 俺は、古泉の言葉を理解するのに、数十秒の時間が必要だった。 「ちょっと待て。もしかして、佐々木にも、ハルヒみたいなトンデモ能力があるってのか?」 まさか、佐々木まで一般人でないとは思わなかった。 俺の交友関係はトンデモだらけのようだな。この調子じゃ、谷口や国木田まで何かトンデモ属性をもってそうで怖いぞ。 「あくまで、その可能性ですよ。佐々木さんの閉鎖空間には、僕たちは入れないのでね。確かめようがないというのが、現状です。ただ、佐々木さんからは、その手の雰囲気というか、気配みたいなものを感じますから、すべてが嘘というわけでもないのでしょうが」 「おまえらが橘たちと対立してる理由はそれか」 「僕たちの能力は、涼宮さんから与えられたもので、涼宮さんの力を抑えるために存在する。『機関』としてはこの点だけは譲れません。僕たちの存在理由そのものですからね。その前提条件を覆すようなことは、到底受け入れられるわけもない」 まあ、そりゃそうだろうな。 「それに、彼女たちは勘違いをしている可能性もあるんですよ。佐々木さんが世界を変容させないのは、単に力が足りてないからかもしれない。もし涼宮さんの力がすべて佐々木さんに移ってしまったらどうなるのかは、予測不能です」 確かに、ある程度は対処方法がつかめているハルヒの方がまだマシだとはいえるだろう、少なくても『機関』にとっては。 古泉がようやく、次の一手を打った。だが、俺の優位は変わらない。 「しかし、佐々木にハルヒの力を移すったって、どうやるつもりなんだ?」 「まさに問題はそこですよ。橘京子の組織の主張は、これまでは絵空事でしかなかったんです。でも、彼女たちの前に、周防九曜という存在が現れた」 「ヤツの親玉なら、それが可能かもしれないというわけか」 「そういうことですね」 やがて、ハルヒと佐々木が帰ってきた。 「これから佐々木さん歓迎大会をやるわよ!」 ハルヒは、百ワットの笑顔でそう宣言した。 「どこでだ?」 俺は、律儀にツッコミを入れてやる。 部室でやった日には、あの生徒会長が嫌味をいいに来るぞ。 「有希の部屋でやるわよ。有希、いい?」 長門は、本から顔をあげて、わずかにうなずいた。 「じゃあ、レッツゴー!」 ハルヒは、上機嫌そのものだった。 崖から転がり落ちる石ころのような勢いで、というとさすがに誇張だが、ハルヒが坂道を進む速度は競歩の世界選手権代表といい勝負だったと言える。 ハルヒの後ろ姿から伸びる見えない綱に引っ張られるがごとく、俺と古泉、朝比奈さんと長門、そして佐々木も下校路を下り続け、ようやくの平地にたどり着いた時点ですっかり息が上がっていた。 常にデオドラント状態の古泉でさえ、額の汗を拭っているぐらいだから程度が知れるだろう。朝比奈さんなんか膝に手を当ててふうふう言っている。 「おい、ハルヒ。なんでそんなに急ぐ必要があるんだ?」 俺がそういうと、この放射性物質を体内に飼っているかのような疲れ知らずの女は、 「善は急げっていうでしょ? 時間は待ってくれないのよ!」とのたまわった。 急がば回れともいうんだがな。 佐々木が乱れた息を整えつつ、こう言った。 「涼宮さん、私のために急いでくれるのはありがたいんだけど、少しゆっくりしてもらえるかしら。さすがにこの調子じゃ着くまでに疲れ果てちゃうわ」 そうだぞ、ハルヒ。歓迎される主賓が、歓迎される前にダウンしてちゃ話にならん。 「佐々木さんがそういうなら仕方ないわね」 ハルヒは、つかつかと俺に近づいてきて、紙切れを渡した。 「キョン、買い出しに行ってきなさい」 俺は、紙に書かれているリストをざっと流し読みした。 「おいおい。とてもじゃないが、俺一人じゃ持ちきれんぞ」 「僕が御一緒いたしましょう」 古泉がすかさずそう申し出た。 なんでこのうららかな春の日に、男二人で歩き回らねばならんのだろうね。 俺がそんな愚痴を心の中でこぼしているうちに、俺と古泉は踏切の前にやってきた。 一年近く前。ちょうどこの辺りで、俺はハルヒから長々とした独白を聞いた。 何気なく線路の向こうに視線をやって、そこで目と手足が止まる。 橘京子。 俺たちの外なる敵が、踏切をまたいだ対面に立っていた。 先日出くわしたときとは打って変わって真剣そうな表情。 遮断機の警告灯が点滅を開始する。同時に電車の接近を告げる鐘の音が被さり、ものぐさそうにバーが下りてきた。 カン、カン、カン──。 遮断機が完全に下り、列車の接近を教える線路の震動と風切り音が大きくなる。 あり得ないタイミング。偶然じゃない。こいつは…… こいつは俺たちを待っていたんだ。いや、俺はどうでもよくて、古泉だけに用事があるのかもしれないが。 突風を撒き散らしてやって来た電車の車列が橘の姿を覆い隠した。 電車が去り、赤色警告灯が役目を果たして点滅を終え、黒黄色の長い棒が軋みながら上がりきるのを待たず、橘は動き出した。 早足で俺たちの前まで来て、 「ちょっといいですか?」 全力で断りたい気持ちの俺の切っ先の制するように、古泉が答えた。 「ええ、いいですよ。近くの喫茶店でどうでしょうか。あなたの奢りでね」 「『機関』は相変わらずケチなのですね」 「そちらと違って経費の管理が厳しいんですよ」 そんなトゲのある会話をしながら、橘と古泉は喫茶店へと向かっていく。 俺もついていかざるを得なかった。 「で、ご用件は?」 古泉は特に気負うでもなく、優雅に紅茶のカップを傾けながら、そう尋ねた。 こういう交渉事には慣れているのだろうか。 橘の答えは、意外なものであった。 「九曜さんには気をつけてください」 九曜に気をつけろだって? 「どういう意味ですか? 周防九曜はあなたがたの味方なのでは?」 「九曜さん自身が信用できないというわけではないですけど、彼女の創造主が何を考えているのかさっぱり分からないのです。私は、彼女の創造主が佐々木さんに害を及ぼさないか心配しているのです」 「あなたの立場ならば、その懸念はもっともなところですね。しかし、もしそうならば、あのときに周防九曜を伴っていたのはなぜですか? 周防九曜が危険だというならば、できる限り佐々木さんに近づけない方がいいでしょうに」 「佐々木さんは、九曜さんのことがお気に入りなのです」 「なるほど。噂にたがわず、佐々木さんは変わった趣味をお持ちなのですね」 確かに、佐々木はあの不気味な九曜に対しても興味深げというか何というか、少なくても悪い感情はもってない感じではあったな。 「で、我々にどうせよと?」 「佐々木さんが事実上そちらの管理下にある間は、佐々木さんの安全についてはあなたがたにお願いするしかないのです」 「いいでしょう。我々としても佐々木さんに危害が及ぶことを容認するつもりはありませんしね。でも、いいのですか? あなたのこの行為は、組織の方針に反するものなのでは?」 「組織よりも佐々木さんの方が大事なのです」 「その言葉だけは信用しておきましょう」 そこで話が終わりそうだったので、俺は気になっていたことを訊ねた。 「あの嫌味な未来野郎は今日もいないのか?」 「あの人は、自分から用事があるときしか連絡してこないのです」 橘の不満そうな顔で答えた。 橘たちは、相互不信でぐだぐだのようだな。そんなんで、SOS団に対抗しようたって、無理だぜ。 これなら、佐々木をSOS団に取り込んでしまえば、自然崩壊に追い込めそうだ。 「それは随分と仲のよいことだな」 俺が皮肉たっぷりにそう言ってやると、橘はそれっきり黙りこんだ。 話し合いはそれで終わり、橘は伝票をもってさっさと席をたった。 橘が支払いを終えて店を出て行ったところで、俺は古泉に話しかけた。 「あんな奴のいうことなんか信用していいのか?」 俺は、朝比奈さん誘拐犯のいうことなんて信用する気はないぞ。 「我々の注意を周防九曜にひきつけて、彼女の組織が裏で動くということも考えられますけどね。まあ、『機関』が彼女の組織の監視を緩めることはありませんから、心配はご無用ですよ」 そんなものか。 「それに、僕は彼女の話は信用できると思います。前にも言いましたが、彼女はあの組織の中ではまだ話が通じる方です。盲目的な佐々木さん信者でなければ、よき友人にさえなれたと思いますよ」 胡散臭い者同士、お似合いかもしれんがな。 「もしそうなったら、俺はおまえとの友人関係を考え直さねばならないだろうな」 「それは勘弁してもらいたいですね。あなたは僕の数少ない友人の一人ですから。まあ、それはともかく、この機会ですから、あなたに訊いておきたいことがあります。あなたと二人だけで話せる機会は、案外少ないのでね」 「なんだ?」 「あなたは正直なところ、涼宮さんや佐々木さんのことをどう思ってますか?」 古泉は珍しく真剣な表情で、そう訊いてきた。 俺も真剣に答えるべきなんだろう。 「SOS団のかけがえのない仲間ってところか。親友といってもいいのかもしれん。これはハルヒや佐々木だけじゃなく、長門や朝比奈さん、ついでにおまえも含めてな」 「あなたにそう言っていただけるとは、大変光栄です。ですが、涼宮さんや佐々木さんについて、仲間あるいは親友以外の関係になりうる可能性というのは考えられませんか?」 「SOS団を裏切れば、敵ってことになるんだろうけどな。あり得ないと信じたいところだが」 SOS団の誰かが裏切る。そんなことは万に一つもあり得ないと信じたいが、どんな可能性も0ではない。特に、超常的な組織・存在をバックにもつ三人については、そのバック同士が潜在的対立関係にあるともいえないことはないのだから。 「友か敵かですか。それ以外の選択肢はありえないのですか?」 「今さら無関係な第三者ってのはありえないだろ。ここまで深入りしちまったらな」 「そうですか。まあ、僕にとっては大変光栄な話ですし、長門さんや朝比奈さんもその覚悟はあるでしょうから、いいでしょう。ですが、涼宮さんや佐々木さんにとってはつらい話かもしれませんね、あなたと友か敵以外ではありえないということは」 「どういう意味だ?」 「分からないのならいいですよ」 古泉はふいに溜息をついた。 なんだ? 「いえ、僕もそろそろ『アルバイト』が一生涯続くことを覚悟せねばならないのかと思いましてね」 「おまえの『アルバイト』は、ハルヒのトンデモ能力がなくならない限り、ずっと続くもんだろ?」 「おっしゃられるとおりです。でも、僕はあなたに期待していたんですよ。あなたなら、涼宮さんのあの力を抑えてくれるんじゃないかとね」 「おいおい、このどこからどう見ても平凡な人間の俺にいったい何を期待してたってんだ。おまえは馬鹿か?」 古泉は、いつもの0円スマイルではない、どこからどう見ても苦笑としかいいようにない表情になった。 「辛辣ですね。ええ、そうですよ。僕は馬鹿です、どうしようもないくらいにね」 古泉の口調は、どこか自虐的な響きがあった。 「でも、あなたのおかげでようやく覚悟が固まりました。そのことについては、感謝いたします」 おまえに感謝なんかされても気持ち悪いだけだけどな。 数日前から感じていたことではあるが、古泉の様子がどうにもおかしい。 俺は真剣な口調で訊ねた。 「いったい、何があった?」 「正直にいいますと、昨今の情勢の変化で『機関』内の僕の立場が微妙になってましてね」 切り札の一つを行使しなきゃならんような事態にでも陥っているのだろうか。 「敵対勢力が本格的に動き出したことで、『機関』内の意思統一が崩れてきているのです。もともとそういう傾向はあったのですが、昨今の情勢変化でそれが加速してます」 古泉は抽象的な言い方でぼかしているが、もしかしたらやばいんじゃないのか? 「僕の今の立ち位置は、橘京子のそれに近いともいえます。まあ、今すぐ危難が迫っているというわけではないのですが、敵対勢力の動きによっては『機関』内で孤立してしまうかもしれません」 携帯電話はいつも前触れもなく鳴り出すものだ。この時もそうだった。 古泉と俺の会話を中断させたのは、ハルヒからの電話だ。 「ちょっとキョン! あんた、何ちんたらしてるのよ! 佐々木さんが待ちくたびれてるわよ! さっさとしなさい! 5分以内!」 喫茶店の店内全域に聞こえるんじゃないかと思うほどの声量だった。 俺が口を開く前に、古泉がヒョイっと携帯電話を奪い取り、 「すみません、涼宮さん。あまりにも量が多いので途中で休憩していたのですよ。すぐに戻りますので、なにとぞご容赦を」 そういうと電話を切って俺に返してきた。 そして、自分の携帯電話を取り出して、すばやく電話をかけだした。 「古泉です。すみません。ちょっと野暮用を頼まれてくれませんか? ええ、そうです。橘さんと情報交換しているうちにすっかり時間を食われてしまいまして」 そのあと、古泉はずらずらと買い物リストを読み上げた。 10分後、喫茶店の店前に黒塗りのタクシーが現れた。 運転席に座っているのは、毎度おなじみ、新川さんだ。後部座席には、本来俺たちが持って帰らねばならなかったはずの荷物がつんであった。 なんとなく申し訳ない気持ちになりつつ、俺は古泉とともにそのタクシーに乗り込んだ。 マンションの長門の部屋。 ハルヒが定めた制限時間を大幅にオーバーしてたどり着いた俺たちを見るなり、ハルヒは、 「遅刻! 罰金!」 俺だけを指差して、そう宣言した。 「なんで俺だけなんだよ。古泉だって同罪だろうが」 「どうせ、途中で休もうなんて言ったのはキョンなんでしょ。古泉くんは被害者だわ」 とんでもない冤罪だ。 むしろ、遅れたのは古泉側の事情だぞ。橘は古泉の相手なんだからな。 しかし、ハルヒ相手にそれを言うわけにはいかない。結局、俺が罪を被るしかなかった。 「今度の奢り代は『機関』から出しますよ。さすがに今回は僕絡みの事情ですからね」 古泉が俺の耳元でそうささやいた。 是非ともそうしてくれ。『機関』は経費に厳しいそうだが、これは認められる経費だろう。そうでないと困る。俺の財布はすでに非常事態宣言を出したいぐらいの危機的状況だからな。 女四名は台所でかしましく(といっても長門は相変わらず無口だが)準備をし、男どもは居間でだべっていた。 「仲良きことは美しきかな、といったところですか。佐々木さんがさっそくなじんでくれたようで、少しは安心といったところです」 まあ、寄ってくる相手をはなから拒絶するような奴ではないからな。 「このまま佐々木さんをこちら側に引き込んでしまえば、敵対勢力の意図を封じられる可能性も高まります。あなたには期待してますよ。ただし、涼宮さんの機嫌の損ねないように留意してもらいたいところですが」 「そんなのは関係ねぇよ。おまえらだって、佐々木だって、俺の友人だ。みんなで仲良くやるに越したことはないさ」 台所の様子をうかがう。 ハルヒの手際のよさは、解ってはいたが専業主婦顔負けだ。野菜を刻む包丁さばきも、ダシの取り方一つを見ても、よくぞここまで難なくこなすものだと感心するぜ。 それは佐々木も同じだったらしく、 「その感想は僕も共有するね。家庭科の成績は人並みのつもりだったけど、涼宮さんの前じゃ霞んで見えるよ」 「こんなの慣れたら誰だってできるわよ」 ハルヒは言った。小皿で鍋汁の味見をしつつ、 「あたしは小学生のときから料理してるんだもの。家族の誰よりもうまいわよ。あ、みくるちゃん、醤油とって」 「はぁい」 そういやハルヒが弁当を持ってくることは稀だが、オカンは作ってくれないのか? 「言えば作るでしょうし、たまに作りたがるけど、あたしが断ってんの。お弁当がいるときは自分でやるわ」 ハルヒは若干複雑な表情となり、 「こんなこと言うのもなんだけど、うちのおか……母親はね、ちょっと味オンチなのよ。舌がおかしいの。おまけに調味料を目分量で入れたり魚の焼き加減も適当なもんだから、同じ料理でも毎回味付けが違うわけ。あっ、有希、味醂とって」 「……」 長門は無言で味醂を差し出した。 できあがったものは、ごった煮スープカレーとでもいうべきものだった。 味付けは、長門がベースを提示し、ハルヒが隠し味をドバドバとつきこんだそうだ。 正直に言おう。滅茶苦茶うまかった。 食べ合わせというものを完全に無視したカオスのような具材も、そのスープにかかると、魔法のようにうまくなるのだ。 その場は終始楽しい雰囲気だった。それは、途中から参加したSOS団名誉顧問殿によるところが大きいだろうな。 鶴屋さんにかかれば、佐々木だって、ものの5秒でお友達だ。 楽しい歓迎会が終わっての帰り道。 出身中学が同じであれば、帰る方向も似たようなものになるのは当然のことで、俺と佐々木は、連れ立って歩いていた。 この機会に訊いておきたいことがいくつかある。 俺は単刀直入にこう切り出した。 「おまえ、どこまで知ってるんだ?」 「まあ、橘さんからだいたいの話は聞かせてもらったよ。でも、丸ごと鵜呑みにする気もないし、彼女の提言をすぐに受け入れるつもりもない。僕としては、自分自身の目で情報を集めてから判断したいといったところだ」 「それが、SOS団に入った理由か?」 「その通り。まずは、涼宮さんの人柄を確かめたかった。これは、僕個人としても興味があるところでもある」 確かに、ハルヒは興味深い人物かもしれんが。 「しかし、涼宮さんは、遠まわしな腹の探りあいというものは嫌いなようでね。いきなり、『正々堂々と勝負よ!』と宣言されてしまったよ。僕も受けて立たざるをえなかった」 「おいおい、いったい何の勝負をするってんだ? あのハルヒは超絶的な負けず嫌いだぞ。勝負となったら絶対に負ける気なんかねぇぜ」 「そうだろうね。でも、僕も受けて立った以上は、負けるつもりはないよ。何の勝負かは、君には秘密だ。君にそれを気づかせることそれ自体も、勝負の内容に入ってるのでね」 佐々木がそのつもりなら、いくら追及しても無駄だろう。 俺は、そう思い、それ以上は突っ込まなかった。 「長門さんと朝比奈さん。あの二人が、この勝負に加わっていないのは、ちょっと意外だった。二人のそれぞれの背景事情が理由だろうというのは、すぐに想像がついたけどね。あるいは、負けると分かっているから最初から参加する気がないのか」 何の勝負かは知らんが、あの二人がハルヒに本気の勝負をしかけるとしたら、よほどのことだろうな。それこそ、世界の終わりが来てもおかしくないような。 「僕もここ二日ばかりの経験で、自分の立場が非常に不利なものであることを認識させられたというのが正直な感想だ。僕から見ても、涼宮さんはとても魅力的な人物だよ。それに加えて、僕には一年近くのブランクもある。挽回するのは正直きついだろうね」 俺は、佐々木の言葉の意味がさっぱり理解できなかった。 だから、俺は話題を切り替えた。 「ところで、今日は、塾はないのか?」 特に意味があっての質問ではなかったのだが、佐々木の答えは意外なものだった。 「やめたよ。通信教育に切り替えた。親の説得に骨が折れたけどね。塾までの通学時間が人生においていかに無駄な時間かを説明して、何とか納得させることができた」 佐々木があの小難しいセリフまわしで懇々と説得している様子をイメージしてみた。 佐々木の御両親も災難だったな。 「今の僕には、SOS団の活動に支障を及ぼすような要素はない。そういうことだよ」 そして、別れ際、佐々木は独り言のようにこういい残した。 「ここ数日の経験で、僕はつくづく思ったよ。涼宮さんたちに、そして、橘さんたちにも、特殊な背景事情に全く関係なしで出会えていたら、どうなっていただろうか、とね」 佐々木よ、それは贅沢ってもんだぜ。 特殊な背景事情がなければ、そもそも出会うことはできなかった。それだけは確かなんだ。 だから、俺はそれを受け入れる覚悟はできている。 だが、佐々木は、超常的な状況に巻き込まれてからまだ数日だろう。覚悟を固めるにはまだ短すぎる時間だろうな。 てなことを考えつつ、俺は帰巣本能のおもむくまま自宅へ戻った。 涼宮ハルヒの驚愕γ 2 へ続く
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4704.html
涼宮ハルヒのOCG(ハルヒ×遊戯王5D`S OCG) 今回初投稿させていただく者です。よくわからないことが多くて、更新履歴をややこしくしてしまってすいません。これからもよろしくお願いします。 ・涼宮ハルヒのOCG① ・涼宮ハルヒのOCG② ・涼宮ハルヒのOCG③ ・涼宮ハルヒのOCG④