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武官型巡察 獲物一覧蛇 熊 虎 吸血姫 武官型巡察 獲物武力一覧表 文官型巡察拡張 武官型巡察 獲物一覧 蛇 大蛇 出現率 = 30%(1〜5月、11〜12月) 10%(6〜10月) 武力 = 100 + { 0.65 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } - 40 + (1〜10) 「巨大な鎌首を持ち上げて[Player]に襲い掛かる!!」 熊 ツキノワグマ 出現率 = 20% 武力 = 100 + { 0.70 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } - 20 + (1〜10) 「巨大な爪を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 ヒグマ 出現率 = 18% 武力 = 100 + { 0.70 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } - 20 + (1〜10) 「巨大な爪を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 大熊猫(パンダ) 出現率 = 2% 武力 = 100 + { 0.99 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 75 + (1〜10) 「ムクムクお手てを天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 虎 猛虎 出現率 = 14% 武力 = 100 + { 0.75 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } - 1 + (1〜10) 「鋭い爪を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 大虎 出現率 = 10% 武力 = 100 + { 0.75 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } - 5 + (1〜10) 「鋭い爪を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 老虎 出現率 = 6% 武力 = 100 + { 0.75 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } - 15 + (1〜10) 「鋭い爪を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 白虎 出現率 = 20%(6〜10月) 武力 = 100 + { 0.9 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 75 + (1〜10) 「白銀の爪を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 吸血姫 蛇・熊・虎を2ターン以内に倒すと、吸血姫との連戦となる。 これらの吸血姫は名前・台詞・武力補正値が違うだけで、必殺技使用率・アイテム入手率などに差はありません。 〜年〜月 【武官型/巡察】:手早く狩りを済ませて街に戻ってみると今度は吸血姫が出没するという 噂が流れています。話を聞いた[Player]は噂を頼りに吸血姫退治に出かけました。 妖文姜 出現率 = 14% 武力 = 100 + { 0.85 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 15 + (1〜10) 「ふふ・・妾にかなうと思うてか? 汝、[Player]・・冥府魔道の理に従いて諸王へ捧げる贄となれ!」 「左手を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!途端に悪夢のような衝撃波が[Player]に襲いかかる!!」 「念動力が時空をゆがめ[Player]の体を遥か彼方へと弾き飛ばす!!」 妖夏姫 出現率 = 14%~ 武力 = 100 + { 0.85 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 10 + (1〜10)~ 「もう終わり・・ですか?ならば塵となりて現世を漂うがようがよい!」 「血塗られた短剣を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 「血塗られた短剣が風をひき裂き[Player]の首筋めがけて襲い掛かる!!」 妖哀姜 出現率 = 14% 武力 = 100 + { 0.85 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 20 + (1〜10) 「さようなら・・もう会うことも無いでしょう・・」 「左手を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!途端に悪夢のような衝撃波が[Player]に襲いかかる!!」 「念動力が時空をゆがめ[Player]の体を遥か彼方へと弾き飛ばす!!」 妖驪姫 出現率 = 14% 武力 = 100 + { 0.85 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 15 + (1〜10) 「私に逆らう者には死の悲劇が訪れる・・・そう、申生のように・・・。遊びの時間は終わりです・・眠りなさい・・永遠に・・」 「左手を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!途端に悪夢のような衝撃波が[Player]に襲いかかる!!」 「念動力が時空をゆがめ[Player]の体を遥か彼方へと弾き飛ばす!!」 妖西施 出現率 = 14% 武力 = 100 + { 0.85 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 15 + (1〜10) 「やはりこの程度か・・。夫差に比べれば赤子も同然。あの世で己の非力さを悔いるが良い!」 「等身大の大槌を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!」 「等身大の大槌が風をひき裂き[Player]の脳天めがけて襲い掛かる!!」 妖褒? 出現率 = 14% 武力 = 100 + { 0.85 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 20 + (1〜10) 「私の微笑みは死への誘い。お遊びは終わりです。あの世で己の非力さを悔いなさい・・。」 「左手を天高く振りかざし[Player]に向かって振り下ろす!!途端に悪夢のような衝撃波が[Player]に襲いかかる!!」 「妖褒?が優しく微笑むと、周囲の闇・・深遠なる虚空より無数の刃が生み出され、[Player]の体めがけて襲い掛かる!!」 妖妹喜 出現率 = 16% 武力 = 100 + { 0.85 * ( 武力ランキング1位の武力 - 100 ) } + 20 + (1〜10)~ 「下賎の者が図に乗りおってからに・・貴様如きに梃子摺ったとあらば桀王様に申し訳が立たぬ。 遊びは終わりじゃ。妾に眠る真なる力、とくと見るが良い!」 「柳葉刀を下段に構えると、左に体転しながら右足を一歩進め、[Player]めがけ逆袈裟状に斬り上げる!!」 「妖妹喜は己の剣に念を込めると、目前の虚空を数回凪ぐ。それより生み出されし無数の剣圧は、 漆黒の鎌鼬となりて[Player]の体を縦横無尽に切り刻む!!」 武官型巡察 獲物武力一覧表 ランダム補正値 +1〜10 追加前の値 武 力No.1 蛇 熊 虎 吸血姫 大 蛇 樋 熊 月輪熊 大熊猫 老 虎 大 虎 猛 虎 白 虎 妖文姜 妖夏姫 妖哀姜 妖驪姫 妖西施 妖褒? 妖妹喜 200 125 150 150 274 160 170 174 265 200 195 205 200 200 205 205 500 320 360 360 571 385 395 399 535 455 450 460 455 455 460 460 1000 645 710 710 1066 760 770 774 985 880 875 885 880 880 885 885 2000 1295 1410 1410 2056 1510 1520 1524 1885 1730 1725 1735 1730 1730 1735 1735 文官型巡察 拡張 農地拡張(国) 1〜6月 農業値が最大であることが条件 最大農業値 +100(200) [都市名]の農地を拡張する。 市場設置(国) 7〜12月 商業値が最大であることが条件 最大商業値 +100(200) [都市名]に新しい市場を設置する。 築城(国) 技術と城耐久が最大値であることが条件 最大城/耐久値 +100(200) [都市名]の城を改修&増築する。 築砦(賊) 条件なし 最大賊砦 +100(200) [都市名]の賊砦を改修&増築する。 ※補足 無所属(国・賊のどちらにも所属していない状態)の場合は、農地拡張・市場設置・築城 が可能となる。 上限上昇値 +100、+200の差は役職の違いによって起きる。どちらも国貢献値、知力経験値に差はない。
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巡察役人 巡察役人とは都市国家の領主が雇う小役人のこと 概要 巡察役人は一年に一度4月ころに地区の領主が領内の村々に派遣する小役人 巡回先の村々の村長がきちんと仕事しているか、村で困った事がないか見て周り領主に報告するのが仕事。 2010年4月の巡察で全体の一部とはいえ多数の巡察役人がマスカレイド化し、横暴な悪代官振りを発揮している。 関連項目 領主
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巡察使 ( )【分類】 分類 価値 重量 特殊効果 - - - - 入手方法 解体にて 取引価格 効果 民忠誠アップ コメント 武田赤備えを解体したら、巡察使(民忠誠アップ)、指導書、紅桔梗立物が出ました。 -- 名前 コメント
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巡察使 ( )【分類】 分類 価値 重量 特殊効果 - - - - 入手方法 解体にて 取引価格 効果 民忠誠アップ コメント 武田赤備えを解体したら、巡察使(民忠誠アップ)、指導書、紅桔梗立物が出ました。 -- 名前 コメント
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巡察使 ( )【分類】 分類 価値 重量 特殊効果 - - - - 入手方法 解体にて 取引価格 効果 民忠誠アップ コメント 武田赤備えを解体したら、巡察使(民忠誠アップ)、指導書、紅桔梗立物が出ました。 -- 名前 コメント
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巡察使 ( )【分類】 分類 価値 重量 特殊効果 - - - - 入手方法 解体にて 取引価格 効果 民忠誠アップ コメント 武田赤備えを解体したら、巡察使(民忠誠アップ)、指導書、紅桔梗立物が出ました。 -- 名前 コメント
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ロス級巡察艦 概要 星界軍の952年においての最新鋭艦。 主力の巡察艦とされているビルシュ級巡察艦に比べ、その性能を維持しつつも小型化に成功している。 ただし、本格的に量産される前にカウ級巡察艦に主力を譲ったため、建造数は少ない。 巡察艦 通常空間戦における星界軍の主力戦闘艦。 単艦で惑星を溶岩の塊にできるほどの攻撃力と強固な装甲を全長1キロ少々の細長い艦体に秘める。 攻撃兵器としては、艦首と艦尾に電磁投射砲を持ち、機雷および可動式反陽子砲、凝集光砲を装備し、船体を包む防御磁場と船体表面を覆う結晶陶質が強靱な防御力を発揮する。 巡察艦は偵察分艦隊(ヤドビュール・ウセム)の主戦力をつとめる。 軍事にうとい者は軽武装の補助部隊を思い浮かべがちだが、その実態は大きく異なる。 偵察分艦隊は敵意に満ちた領域を力任せにのぞきこむのを使命とする、強行偵察を任務とした艦隊である。 鈍重な戦列艦(アレーク)や非力な突撃艦(ゲール)は足手まといになるだけで、作戦部隊はすべて巡察艦(レスィー)で編成される。 随伴する補給艦(ディーホスフ)も、巡察艦並に小型のものでそろえられており、機動性、破壊力ともにすぐれている。 戦列艦や突撃艦、護衛艦中心の艦隊が偵察分艦隊の突撃を許すと一方的な展開となりやすく、これを蹂躙戦と呼ぶ。 設計・運用思想 前級のビルシュ級よりも質量において約2割減している。 平面宇宙では艦の質量のみが機動性に影響する以上、これは非常に重要な点である。 ただし、性能はビルシュ級に劣らず、機雷搭載数など一部項目はビルシュ級を凌駕している。 電磁投射砲はビルシュ級から引き継ぎ、外装式としている。 そのため、長大な電磁投射砲はかなり目立ち、後発のカウ級巡察艦との外見上の大きな違いとなっている。 構造 従来型の巡察艦と同様に居住性を考慮された構造となっており、突撃艦のような小型艦と比較して乗員にストレスを与えにくい。 なお、巡察艦のような大型艦の共通の特徴として、員数外乗員が取り込むことを見込んで居住施設には多数の余裕を見込んだ設計がされている。 装甲 巡察艦の装甲は分厚い結晶陶質にて構成される。 結晶陶質とはアーヴの宇宙艦船に広く使われる装甲材のひとつで、いわゆるセラミックと粒子化された炭素繊維の複合材である。 結晶化されたセラミックはレーザーの照射を受けると、装甲の内部で結晶構造体がレーザー光を回折・散乱させ吸収することでレーザーによる被害を減衰させる。 普段は塗料に隠れて見えないものの結晶陶質自体は強い光をあてると複雑に色合いがかわる(いわゆる宝石やシャボン玉のような構造色である)のが確認できる。 ある程度厚さがないとレーザー減衰効果は期待できないものの、それを抜きにしても軽量さと堅さ、耐熱性をあわせ持っている。 電磁投射砲(irgymh イルギューフ) 巡察艦の主砲は電磁投射砲(irgymh イルギューフ)であり、このロス級巡察艦も例外ではない。 弾頭を光速の1%にまで電磁加速して射出する。 射出された弾頭は無秩序噴射で弾幕をかわした後、残りの推進剤で最終加速して目標に衝突する。 弾頭はデータリンク機能を持ち、味方艦や同時発射された弾頭と情報交換することでより精緻で高度な敵艦の分析による目標捕捉がおこなえる。 弾頭を使い分けることができるのも特徴で、反物質を起爆剤に利用した純水水爆の核融合弾、主に対地精密攻撃に使われる質量弾、演習弾がある。 反動が大きいため、発射時は艦内に警告音が鳴る。 本級では艦首方向に4門、艦尾方向に2門設置している。 機動時空爆雷 時空泡発生機関と対消滅機関を備える無人兵器。 通常宇宙、平面宇宙問わず移動でき、対消滅による爆発で攻撃目標を破壊する。 反物質をいつも搭載していては保守上の危険があるため、使用の度に燃料を磁気閉込容器に供給する。 一旦艦外に射出すると回収がほとんど不可能になるため、帝国軍では射出に関して細かい規定を設けている。 所持できる弾数は限られており、多用はできないものの巡察艦のもっている武器のなかでもっとも強力なもののひとつ。 防御磁場を装備して耐久力も高く、巡察艦の対空砲や副砲も耐えるときがある。 対空迎撃能力が限らている突撃艦級なら2基差し向けることでほぼ確実に葬ることが可能で、巡察艦級でも迎撃に失敗し直撃すれば蒸発は免れない 本級では前級ビルシュ級より増えて、10基となっている。 機関 主機関には対消滅炉を使用している。 水と反物質を衝突させて、物質の質量をエネルギーに変えている。 巡察艦の機動力、打撃力、耐久力すべての要である。 対消滅炉自体は帝国全体で広く使用されているものと変わらない。 防御磁場 艦の周囲に磁場をはることで光学兵器や粒子兵器のエネルギーを偏向・分散させる防御兵装。 凝集光砲や反陽子砲に対して有効であり、巡察艦も一撃で沈める威力を持つ大出力の反陽子砲さえ被害を限定的なものにとどめることができる。 ただし、完全に攻撃を防御しきることは難しく、防御磁場が作動している段階でも艦体に多少の被害を受けることがある。 攻撃を受け続けると防御磁場は臨界をむかえて消滅する。 艦体制御 思考結晶と呼ばれる、いわば鉱物状の光子量子コンピューターを使用する。 艦内にコンピューターネットワークを張り、艦体を制御する。 [武装] 356cm電磁投射砲×4 可動型反陽子砲×1 12.7cm可動型凝集光砲×40 機動時空爆雷×10 [推進機関] 反物質反応炉 [装備] 重力制御装置 防御磁場 [艦載機搭載機数] 短艇 連絡艇 バリエーション ロス級巡察艦 分艦隊旗艦向け仕様 巡察艦にはそれぞれ分艦隊旗艦用に司令部施設を増設した専用の巡察艦が生産されている。 ロス級巡察艦にも分艦隊向け仕様のものがある。 艦名は不明。 ロス改級巡察艦 HWVD搭載型波動エンジンとその関連技術を導入された巡察艦。 平行宇宙航行能力を持つ以外に超長距離連続ワープによる銀河間航行も可能である。 UPW向けにも建造されており、それはUPW側からは金剛級戦艦として区別されている。 詳細はリンク先を参照
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アイコン編集 巡察の証 集めると「巡察勲章」を合成できるかけら 入手先(ドロップ) ノーマル:1-2ハード: 入手先(ミッション) ノーマル:ハード:
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提灯巡察 タイトル:提灯巡察 作者:しーゆ 掲載号:2013年文化祭特別誌「色硝子」 ゲロゲロゲロ、ゲロゲロゲロ…… 蛙の鳴き声が辺りを覆い尽くす午前零時、私は決まって起きだして、よれよれのパジャマを着替え始める。ちなみに秋はキリギリスやらコオロギやらが辺りを覆い尽くしているわけだが、まあともかく毎年この時期は蛙がうるさい。 周りに田んぼやら畑やらが広がってれば、当然のことだ。さっすが田舎。 動きやすいナイロン素材の七分丈のズボンと、吸水性の高い半そでシャツを身に纏う。これぞ動きやすくて汚れてもイイ服装である。 そして襖をそっと開けて閉め、木の廊下をなるべく音をたてずに歩いてゆく。この寺が古いことには変わりはないから床がギシギシと軋む音はしてしまうが、これくらいで家族は起きやしない。 風でガタガタと戸が揺れる音がして、怖い。毎日のことだが慣れない。なんかトトロに出てくるさつきちゃんたちの家みたいよね、とため息をついた。 「おや優奈、もう行くのかい?」 「ひいっ!」 思わずビクッと肩を竦める。しかしすぐに声の主が自分の祖父だと気づき、盛大に息を吐いて肩の力を抜いた。 「おじいちゃん……驚かせないでよ」 「いやあ、すまないねえ」 カラカラと笑うこの祖父、絶対に反省などしていない。三日後には同じ手口で優奈の前に現れるはずだ。まったくもって迷惑である。 「気を付けて行くんだぞ、怪我はしないように」 「うん、行ってくる」 頷いてから小さく笑って、優奈は祖父に手を振り玄関へと歩いた。 祖父は二年前に亡くなった。心臓発作だった。祖父が倒れた時は優奈も傍にいたから、その時のことを鮮明に覚えている。母も祖母も取り乱していて、しかし兄と父は冷静だった。男と女の違いはこういう時に現れるのか、と優奈は一人夢心地で思ったのを覚えている。 そしてみんなで泣いたのも束の間、葬式の日に祖父は現れた。自分の棺桶の上に正座をして、なかなか二枚目な顔で寝ておるわ、などと満足げに笑っているのを、父と兄と私は呆然と見ていた。母と祖母は霊感がないのだが、私が教えてあげると「おじいちゃんらしいわね」「ほんとに」なんて呑気に二人で笑い合っていた。 しかし実際はそうもいかない。祖父の後を継いで寺の住職となった父は、祖父をどうにか捕まえて葬式の合間に「さっさと成仏しろよ親父!」なんて必死に説得をしていたのだが、「まだやることがある」の一点張りで結局現世に残ってしまった。そして今は生前のように家で暮らしている、というわけだ。 玄関に座り裸足のままスニーカーを履いてから、靴棚の脇に靴べらと一緒に立てかけてあった竹刀を手に取って家を出た。 コウモリたちの甲高い声がどこからか聞こえる。寺の敷地内には障害物がないので直に夜風が吹き付けていて、少し肌寒い。夜の寺は少し怖いが、どこか神秘的だ。今日は雲も少なく、上弦の月が寺の瓦屋根や文様の彫られた柱などをぼんやりと照らしている。昔の人がこんな情景を見ていたのだとしたら、確かに和歌をよみたくなるのもわかる気がした。 そのまま寺の敷地から出て、広大に広がる田園風景を横目に見ながらしばらく歩く。時々人影に驚くが、大体カカシだ。この辺りのカカシはやけにクオリティが高く、少し離れれば十分人間に見えるのだ。昼間はいいが夜中は勘弁してほしい。あと蛙うるさい。 (それにしても、) ラフな格好に裸足でスニーカーをつっかけて、右手には竹刀を持ちつつ夜中の町を徘徊。文字面だけ見ればとんだ田舎の不良である。盗んだバイクで走り出したりは、しません。夜の校舎の窓ガラスを割ったりも、しませんから。 そんなことを考えながら歩いていくと、一つの赤い鳥居の前にたどり着いた。森の中にある神社の鳥居で、向こうに石段が上の方まで続いているのが見える。 優奈は鳥居をくぐった──わけではなく、その鳥居の正面に向き合った場所からきっかり右に五歩、後ろに三歩下がって、空中にくるりと三回円を描いた。 すると優奈の目の前には真っ黒な穴がぼっかりと開き、優奈は臆することなくその中へと足を踏み入れた。 * 優奈が目を開けた先に広がっていたのは、京都のような古くて雅な街並みを形成している、いわば妖怪の町だった。容姿もなにもかもが異なった、いろいろな種族が好きなように騒いでいる。店の呼び込みを大声でしたり、はたまた道端で談笑していたり。人間の町と同じくらい活気があった。 「今日も賑やかだなあ……」 ふっとため息を吐いて、優奈は巡察するべく歩き出した。 そう、彼女の夜中限定の仕事は、妖怪の世界の八番街の巡察だった。優奈はいわば、八番街にたった一人の警官みたいなものだ。 「あら、優奈ちゃん。こんばんはあ」 にゅっと優奈の目の前に江戸時代のような髪結いをした美人な女の顔が現れて、するっと離れていく。長い首をとぐろのように巻いて体の上に顔をおさめた女を見て、優奈はにこやかに笑った。 「こんばんは、ろく姉さん」 ろくろ首のろく姉さん。何かと気にかけてくれる、人情に溢れた下町気質の女性だ。 「最近湿気が多くてねえ、首が絡まりやすいのよ」 困ったわあ、と頬を手に当てるろく姉さんを見て、「ひと月の辛抱ですよ」と励ました。すると優奈とろく姉さんの横を素早い何かがすり抜けた。ろく姉さんはあっ、と呟いて首を凄まじいスピードで伸ばし、その何かを首で縛って優奈のもとに運んできて、降ろした。 優奈の目の前には、なんなんだよもうっ、と文句を言っている男の子が一人いた。柄のない赤い和傘をかぶり、右手にほんのりと光る提灯を持っている。 雨降小僧の雨太君だ。 「雨太君こんばんは」 「え、あれっ、優奈さん?」 「雨太ぁ……」 「げっ、やっぱりろくろ首のババァ! 何すんだよ!」 雨太君は口が悪い。だから親分の雨師様、雨の神様によく怒られているそう。現に今もろく姉さんの逆鱗に触れた。「ババァですってえ!?」と怒り狂って首を躍らせる彼女をなんとか宥めた。 「てか何の用だよ」 「ああ、あんたアレよ、今年は雨少なくしなさい」 「は? やだよ。作物が枯れるだろ」 「だからって降らせすぎも良くないでしょうが! アンタ、十年前に降らせすぎて東にある川を氾濫させたの、覚えてないの?」 「う、アレは、悪かったよ」 算段を間違えたんだって、と言い訳をぶつくさとする雨太君を、ろく姉さんが叱りつける。種族は違うけどまるで親子みたいで微笑ましいなあ、と微笑みながら見守っていると、遠くから「喧嘩だ!」という声と騒がしい声が聞こえてきたので、優奈は「仲良くしてね」と言い残してその場を去った。 提灯で照らされた石畳の街を、妖怪たちの合間を縫って駆けてゆく。するとちょっとした人だかりというか妖怪だかりが出来ていた。怖いわ、などと言いながら遠巻きに動向を窺っている雪女やら猫又やらを横目に、妖怪だかりに入っていく。体が小さいのを生かしてどうにかそれを抜けると、広く開いたスペースで鬼と天狗が喧嘩をしていた。というより、一方的に鬼が天狗に殴られていた。 ああ、なんてこと。 優奈は盛大にため息吐いて、それからすうっと息を吸い込み、竹刀を地面に叩きつけた。 「やめなさい!」 すると天狗はぴたりと殴るのを止めて、鬼の胸ぐらを掴んでいた手を慌てて話した。 「嬢ちゃん、どうしてここに!?」 「どうしてもこうしても、巡察の時間だっての。どうしたのよこの騒ぎ」 「こ、コイツが俺の女を誑かしやがって……!」 天狗が、手をついて上半身を起こし口元の血を拭っている鬼を指し示した。すると鬼は喉を鳴らすように低く笑い、馬鹿にしたような笑みを浮かべながら天狗を見つめた。 「別に俺は何もしてないっての。ただ目が合っただけで、お前の女が俺に近づいてきたんだよ」 「てんめ……っ!」 振り返ってまた鬼に殴りかかろうとした天狗に、優奈は竹刀を天狗の背中に振り下ろした。パァン、と甲高い音が鳴って、天狗が地面に蹲る。妖怪たちにとってはただの竹刀ではなく、力を封じ込め尚且つ痛みを与えるものだ。仏様の力が込められたものだから。 それにしても、と優奈はため息を吐いた。かたやがっしりした体つきに長い鼻、そして山伏みたいな格好の男。かたや、サラサラの黒髪に整った顔付き、細身だけどしっかりとした体つきの浴衣姿の美青年。鬼は実際はアニメの中のように恐ろしい姿ではなく、女を誘惑して食うために美しい男の姿をしているのだ。 だからまあ、確かに鬼の方にフラッと行ってしまう女もわからなくはない。だから天狗に同情はする。だがせめて喧嘩は人の居ないところでやれ。 「とにかく騒ぎを起こさないでください。良いわね?」 はい、とうめき声のような返事が聞こえたので良しとする。優奈はもう一度ため息を吐いて、散った散った、と妖怪たちに告げてからその場を抜け出した。 どこからか良いにおいが漂ってきて、お腹空いたなあとぼんやり思った。が、こちらの世界の食べ物といったらロクなものがない。イモリの燻製とか、高級泥団子とか。たまに美味しそうな、特製ヨモギもちとかも売っていたりはするけれど、仕事中なのでむやみに買い食いは出来ない。 あずきあらいのおばさんが歌を歌いながら軽快に小豆を洗っているのを見つつ前を通り過ぎようとしたとき、不意に後ろから抱きつかれた。 「わっ!」 「優奈、こんばんは」 「……こんばんは」 さっき会ったけどね、と口を尖らせて首に巻きついた腕を引っぺがすと、抱きついてきた男は上機嫌で優奈の横に立ち歩き始めた。 「さっきはサンキュ。さすが俺の女」 「あんたを助けるためにやったわけじゃないし、第一あんたの女でもない」 つれねえな、と肩を竦めるのは、先ほど喧嘩をしていた鬼のアオ。さっきの喧嘩で痣になっていた目元や頬は、綺麗に治っていた。 優奈が巡察を始めた三年前に、アオが今のように盛大に喧嘩をしていたのを、喧嘩両成敗ということでアオともう一人を殴りつけたのが出会いだ。最悪な出会いのはずなのに、何故かそれから気に入られて付きまとわれている。……マゾなんだろうか。マゾの鬼だったら希少価値があると思う、すごく。 「でも、今回はちゃんと手ぇ出さなかったぜ?」 得意げに笑って見せるアオにくすりと笑い、ハイハイえらいえらいとテキトーに言いながら手を伸ばして頭を撫でてやる。馬鹿にすんな、と二倍返しで頭をぐしゃぐしゃにされたが、もう何も言うまい。 「だ……誰か! 引ったくりよ!」 そんな声が響いて、慌てて振り向くと、誰かが向こうの方へ走っていくのが見えた。 「待て!」 反射的に竹刀を片手に駆け出していた。相手は大柄なので人混みの中を走るには分が悪いらしく、いろいろな人にぶつかっては怒鳴られていた。その点優奈は小柄なため、某アメフト漫画の主人公のごとく妖怪たちの隙間をくぐって走り、とうとう追い付いた。 「待ち、なさい、っての!」 勢いのまま飛び蹴りをかますと、相手はそのまま前に盛大に転けた。 「ハイ逮捕、というわけにはいかないのよねえ、これが。あんたどこのもんよ?」 ひったくり現行犯の男の上から退いて、男が離した梅の花柄の鞄を拾う。すると男は呻いて体を起こし、頭をボリボリと掻いて盛大に舌打ちした。 「うるっせえなあ、」 「は?」 うるさいとは何事か。一言文句を言ってやろうと顔を上げると、驚愕した。顔がなかったのだ。いわゆるのっぺらぼうという妖怪は優奈も見たのがこれで初めてだった。 「なに見てんだよ」 「え、ああ、ごめんなさい」 慌てて謝る。じろじろ見てしまったのは確かに失礼だった。だがそれとひったくりは別だ、と優奈はもう一度眉を寄せた。 「のっぺらぼうの……名前は、なに?」 「…………」 「なに、って聞いてるんだけど」 脅しとして竹刀の先を男の首に突き立てると、う、と怯えたように身動ぎしてから、わかったよ話すって! と何回もしきりに頷いた。竹刀の威力絶大! 「の、乃羅だよ。乃木坂の乃に、森羅万象の羅!」 「乃羅ね。はい、了解」 じゃあ貼り紙は町中に貼っておくから、と言うと乃羅は項垂れた。 「なんでひったくりなんてしたの」 「か、金が欲しかったんだよ」 「働けばいいじゃない」 「働くにしてもこの顔じゃ雇ってもらえないんだよ!」 顔は人間で体は虎だったり、はたまた歩く猫だったりとこの世界は様々な姿の妖怪がいる。しかし、のっぺらぼうのように顔がないとなると気味悪がられてしまい営業にならず、同僚からも遠巻きにされて終いにはクビになるんだとか。 表情がわかんないから不気味だと言われる、と乃羅は呟いた。なるほど確かにのっぺらぼうにとってこの世界は生きにくく、だから優奈も今まで一人も見掛けなかったのだろう。 「わかった、なら私が知り合いの宿屋を紹介してあげる」 「え……」 「その代わりおばあさんに謝りなさい。ちょっと来て」 優奈は乃羅の手首を掴んで無理矢理立たせ、そのまま元居た場所へと歩き出した。 戻れば、まだそこには鞄をひったくられた化け猫のおばあさんとおばあさんの話し相手になっているアオがいた。乃羅を力いっぱい引いておばあさんの前に立たせ、ついでにおばあさんの鞄も持たせた。乃羅は項垂れたままモジモジとしていたが、不意に無い顔を上げて鞄を差し出し、「すみませんでした!」と謝った。 「オレ、金に困ってて、つい……でもやっちゃいけないことでした、すみませんでした!」 おばあさんは頭についた猫耳をピクリと動かしてから、鞄を受け取って「顔を上げなさい」と静かに呟いた。乃羅が顔を上げるとおばあさんは細い目を更に細めて、乃羅を見つめた。 「あなたがやったことは、犯罪よ。悪いこと。あなたの犯した罪は、償えるわ。私は許しますから、今後このようなことをしてはいけませんよ」 「は、……はい! ありがとうございます!」 もう一度頭を下げた乃羅の声は震えていて、表情がわからなくても反省をしていることはちゃんとわかった。表情がなくても、きっと大切な感情は伝わるのだ。おばあさんも柔らかく微笑んでいた。 「あの、おばあさん!」 「あら優奈ちゃん、鞄をどうもありがとうねえ。どうかしたの?」 「あの、こいつ乃羅っていうんですけど、仕事を探しているみたいで。良かったらおばあさんの宿屋で働かせてやってくれませんか?」 化け猫一族が営んでいる宿屋は、八番街でもだいぶ有名だ。あちこちから妖怪が来るからのっぺらぼうにもある程度耐性があるだろうし、大所帯だから従業員が一人くらい増えても平気なはず。懇願するように口を引き結んで見つめると、おばあさんは薄紫色の扇子で口元を隠してコロコロと笑った。 「構わないわよ、この子も反省しているようだし。それにしても優奈ちゃんも面倒見がええねえ、乃羅、感謝しなさい」 「あ、ありがとう、ございます」 それから幾度も感謝の念を伝えてくる乃羅にもう良いからと笑うと、最後にもう一度だけ会釈してからおばあさんと共に行ってしまった。なんだか憑き物が落ちたみたいに素直になっていたが、あれが本来の姿なのだろう。 ちなみに貼り紙は貼らないであげて欲しいとおばあさんに頼まれてしまったので、貼らないことにした。犯罪を犯しましたという貼り紙を貼ると、みんながみんなお互いの顔を知り尽くしているこの町において犯罪をすることが出来なくなってしまうのだ。だから、逮捕が出来ない代わりに写真付きの貼り紙を貼る。そうすることで治安を保ってきた。 「お人好し」 声がした方を見ると、案の定アオがくすりと笑って立っていた。群青色の着物を着こなして腕を組んで壁に寄りかかっている姿がまた絵になっていて、ムカついた。 「……あんたまだ居たの」 面倒くさい、と歩き始めるとアオはまた優奈の隣にきた。何処からか祭り囃子の笛や太鼓の音が聞こえてきて、ここは年中祭りなのかと軽く心の中でツッコんだ。 「そういうとこも気に入ってるんだけどな」 「え? なにが? 祭り?」 アオを見ると、一瞬目を丸くして爆笑し始めた。お腹を抱えて盛大に笑いながら歩くので、人目を集めて仕方がない。三つ目なんか、三つ全ての目がじいっと優奈とアオを見つめていた。うぐっ、と眉を寄せて三つ目の目を見返し、肘でアオをつつく。 「なによ」 「いやっ、だってお前、俺の話全然聞いてない……! ははっ、こんな女初めて会った」 「はあ?」 なんだそれ、自慢か。思い切り横目で睨んでやると、頭を撫でられた。馬鹿にされているようにしか思えないが、手つきがやけに優しかったので文句も言えずに優奈は唇を尖らせて黙り込んだのだった。 「ゆうなちゃん!」 パタパタと数人の子供が走り寄ってきて、優奈の足にまとわりついてきた。雪女の子供たちだ。彼らの周りは冬のように寒くて、彼らの体温はひどく低い。まとわりつかれた優奈の足も凍えたが、構わずに道端に寄って座り込んだ。 「どうしたの?」 「あ、あのね、雪菜が……」 しゃがんだことにより同じ目線になった長男の白斗が優奈に何かを言おうと口を開くが、チラリと斜め上を見て口を閉じてしまった。 「どうしたの?」 「……あのね、」 くいっと小さな手にシャツの袖を引っ張られ、笑顔のまま耳を白斗の口元に近付けると、小さな声で「あのひと鬼でしょ?」と訊かれた。顔を戻すと、前には神妙な顔つきの白斗が立っていた。やはり鬼は本気を出せば妖怪たちの中でもトップクラスの力を持っているから、怖いのだろう。あなたたちのお母さんだってスゴいのにねえ、と優奈はくすくす笑いながらも、そうだよと頷いた。 「でも怖くないよ。アオ、座って。怖がってる」 あ? と言いつつもきちんと座ってくれるところが彼の優しさだと思う。アオはヤンキー座りをしたまま白斗たちを見て、ふっと頬を弛めた。 「これで怖くねえか」 うん、うんと必死で頷く彼らを見て、優奈はまた笑った。 「で、どうしたの?」 「あ、雪菜がね、なんか黒くなっちゃったの」 「黒く?」 「うん」 どれ、と言うと姉の玖白に連れられて雪菜がモジモジとしながらそっと白斗の後ろから姿を現した。兄の青い着物を掴みつつも全身を優奈の前に現した白髪の彼女の顔は、右頬が黒く変色していた。 「あらら、悪い気にアてられちゃったね。心辺りある?」 あ、と白斗が呟いて、言いづらそうに眉を下げつつ優奈を見てきた。優奈はなるべく優しく微笑みながら、言ってみ、と先を促した。 「狐に会ったんだ。しっぽがいっぱいある狐。いっしょに遊ぼうと思って近づいたら、黒いかげがぶわっとおそってきて、ボクはよかったんだけど雪菜が、」 う、と泣きそうになってクシャリと顔を歪めた白斗の白い頭を撫でて、優奈は「雪菜ちゃんは大丈夫だからね?」と諭した。小さいながらにも兄としての責任を感じているのだろう。それにしてもおそらく二人が遭遇したのは九尾狐だ、悪質な九尾狐の噂なんて聞かないが……要注意しなければならない。 「雪菜、なおる?」 心配そうに見つめてきたのは、白斗の妹で雪菜の姉の玖白だった。真っ直ぐに切り揃えられた黒い前髪と大きな猫目が可愛らしい子。ちなみに白斗と雪菜の白髪は雪男の父親譲りで、玖白の黒髪は母親譲りだ。 「……治るよ」 優奈は笑って玖白の頭も撫で、それからズボンの右ポケットに入れていた黒い数珠を取り出した。数珠は町を照らしているいくつもの提灯の光を受け、黒を基調とした橙色に光っていた。数珠を右手で握りしめ、そのまま右手を雪菜の右頬に持っていく。びくりと震えて怯える雪菜を怖くないからね、と宥めながら頬を数回撫でると、黒い染みはなくなって元通りの綺麗な白い肌に戻っていた。 「ゆうなちゃんありがと!」 わっ、と抱き着いてくる白斗と玖白の体温は冷たかったが、構わずにギュッと抱き締めた。なんかもう、この子たちが可愛くて仕方がないのだ。雪菜はまだ遠慮があるのか、少し離れたところで唇を噛み締めて優奈たちを見つめている。優奈が左腕で二人の背中を叩きながらくすりと笑って小さく手招きをすると、雪菜もちょっと躊躇ってからトテトテと走り寄ってきて、抱き着いてきた。 三人にぎゅうぎゅうに押されながらも一通り抱き締めてから、優奈たちは離れた。寒さに思わずぶるりと震えると、心配そうな白斗たちと目が合ってしまった。 「……ゆうなちゃん、やっぱりボクたちといると寒いよね」 しゅん、と落ち込んだ様子の白斗たちを見て、優奈は眉を寄せてもう一度三人を抱き締めた。 「寒いよ、寒いけど私がみんなと一緒に居たいしぎゅーってしたいから、いいの!」 わかった? と訊くと三人が嬉しそうにうん! と頷いたので、優奈は満足げに笑って三人を離した。それから、「あったかいもの食べよっか?」と訊けば雪菜以外の二人はまた元気よく返事をした。美味しいことで有名な狸の肉が入った肉まんを買いに行こうと決めたは良いものの、この人混みではちびっこたちとはぐれてしまう。抱っこしていかなければ。 「アオ、白斗を……」 抱っこして、と振り向くとアオは膝の上に肘をおき、頬杖をつきながら優奈を見ていた。その表情がひどく優しげで、さすがの優奈もたじろいだ。 「な、なんデスカ」 「ん? いや、優しいよなあと思って」 「は? 別に私は、私が好きだからやっているだけであって、」 「だからそれが優しいってことだろーが」 カラカラと笑われて、優奈はくすぐったさに眉を寄せて口をへの字に曲げた。それから感情を隠すように立ち上がって、玖白と雪菜を抱き上げた。 「……アオは、白斗を抱っこして」 「ハイハイ。つか、それだったら俺が二人抱えるから」 じゃあ、と立ち上がったアオに玖白を渡して、優奈は肉まん屋の方に歩き出した。肉まん屋は確か、宿屋とは反対の、あっちの方だったよなあ。と曖昧な記憶だけで歩き進めると、どうにか到着した。 良いにおいが辺りに充満していて、優奈は自然と頬をゆるめた。腕の中の雪菜は身を乗り出してまで肉まんを見つめて、目をキラッキラに輝かせていた。白斗と玖白も同じような状態で、白斗に至っては「涎垂らすなバカッ」とアオにたしなめられていた。 無事、アオにお金を払わせて(文句は言われたがなんだかんだ出してくれた)肉まんを三つ買って、少し行った所にあった広場のイスに座り込んで肉まんの袋を開けた。ふわりと湯気が立ち上ったが、三人にはまだ触らせない。優奈はもう一度数珠を持った手で肉まんの袋を触り、おまじない、と呟いて気を込めた。 「何してんだ?」 「ああ、気をこめてあったかいまま食べられるようにしてるの」 まだ状況をうまく掴めていないアオの隣に座っていた白斗が、アオの着物を引っ張った。 「ボクたちがさわるものは全部冷たくなっちゃうんだけど、ゆうなちゃんはあったかいもの食べさせてくれるんだ。ゆうなちゃんと会った時だけあったかいものが食べれて、あったかいってこういうものなんだなってわかるの!」 「……そういうことか」 「はい、どうぞ!」 優奈が一人に一つ、肉まんを渡した。数回目の白斗と玖白は嬉しそうに食べ始めるが、雪菜はびっくりして手を引っ込めてしまった。 「なんか、へん」 「大丈夫だよ、もっかい触ってみな」 雪菜は恐る恐るもう一度その小さな手を肉まんにくっ付けて、そのまま肉まんを両手で持った。 「たべものが、あったかい……お母さんといる時みたい」 雪女の子供たちでも、同種族と触れ合う時にはあったかさを感じるらしい。雪菜は母親や兄弟のそれに同じものを感じたのか、嬉しそうに肉まんを食べ始めた。あったかいものを食べられないことが普通なんだろうけど、やっぱりそれは寂しいような気がしたから。 良かった、と微笑みながら三人の様子を見ているとアオとまた目が合って、笑われた。優奈はもう一度眉を寄せて、オーバーに目を逸らしたのだった。 三人が食べ終わるのと同時に、三人のお母さん、つまり雪女の雪子さんが現れた。 「あらやだ、あなたたちそこに居たのお!」 「お母さん!」 三人が雪子に走り寄って、足にしがみついた。 「雪子さん、こんばんは」 「こんばんは優奈ちゃん! やだわあ、またこの子たちったらお世話になっちゃって! いつもありがとねん、優奈ちゃん!」 「ああ、いえ、好きでやってますから」 「ほんとにいーい子ね! ほら、あなたたち、ちゃんとお礼言ってバイバイしなさい!」 三人は口々にお礼を言って手を振ってきたので、優奈はまた遊ぼうね、と手を振り返した。それじゃあ今度家にでも寄っていってね、あ、寒かったら厚着してくるのよオホホホ、と笑いながら雪子さんは子供を連れて去っていった。嵐の後の静けさといった状態で優奈とアオはしばらくベンチに座っていた。 「……な、なんか、いろいろ予想外だった」 「いつも通りのマシンガントークだったわ」 「俺、雪女ってもっとこう、物静かで優美なイメージがあった……」 ショックを受けているらしいアオを横目で見て笑い、優奈はベンチから立ち上がって伸びをした。 「さて、と。もう少しお仕事しなきゃねえ」 「じゃあついてく」 もう一度歩き出した優奈の後を追うように立ち上がるアオを一瞥してから、威勢よく呼び込みをする一反もめんの親父さんを眺めつつ呟く。 「なんで付きまとうの?」 「おまえを気に入ってるから」 「気に入ってるってなに」 「それにさ、」 優奈の言葉を遮ったアオは、屋根の上に座り込んでいる一つ目小僧が吹いたシャボン玉をフッと吹き飛ばし、笑った。 「おまえはあんまこっちに居られないだろ? だからだよ」 おまえはあまりこっちに居られないから、なるべくなら一緒に居たい。そんな風に聞こえた。普通なら赤面したり慌てたりするところなのだろうが、優奈は違った。 「乙女か」 「はあ?」 「いや、遠距離恋愛してる彼氏と会った時の女の反応みたいな感じだったもので」 「おまえさ……もういいよ別に、それで」 呆れ半分に笑って、風に乗ってやってくるシャボン玉をつつくアオ。優奈は横目でそんな彼を見て、軽く目を伏せた。 「ごめん、慣れてなくて。でも嬉しい、ありがとう」 「……!」 驚いたのか、アオがそのままシャボン玉を割ってしまった。飛散した細かい液が顔にかかったらしく、彼は目を瞑って舌打ちをしていた。優奈はそれを見て吹き出した。 「あはは、間抜けすぎる!」 「うるせえ、おまえが珍しく感謝を口にするのが悪い」 「私のせいなの?!」 眉をつり上げてアオを見つめると、彼も優奈を見つめ返してきて。数秒の間があってから、同時に二人は吹き出した。 現世のいろいろなことを忘れて妖怪たちと過ごすのは、すごく楽しい。だけど私は所詮人間で、彼らは妖怪。本来なら関わってはいけない私たちは、夜中にだけ会うことが許される。だから夜中になるのが毎日楽しみだったりするのは、内緒だ。 だけどいつか、離れなくてはならなくなる。私は所詮人の子で、妖怪たちの世界には住めないから。私のお役目である巡察が次の世代に交代するまで、きっと三十年もかからないだろう。三十年なんて妖怪たちからすれば欠伸をするくらいの時間でしかなくて、きっと彼らはその長い寿命の中で私を忘れてしまうのだろう。 例えば白斗たちやろく姉さん、雨太やおばあさん、それに、アオでさえも。 それは当然の摂理だし、寂しくないと言ったら嘘になるけれど、私はずっと覚悟はしているのだ。今目の前にいるひとたちだって私を忘れてしまうのだろう、という覚悟。 (それを言ったらアオが怒るから、絶対言わないけどね) チラリと横目で見ると、なんだよと軽く睨まれる。優奈は、何でもないよと小さく笑って竹刀を持ち直した。 この提灯だらけの町並みも、活気のある賑やかな妖怪たちも、立ち込める食べ物やお香のにおいも、頭上を覆う夜空と星と月も、全部全部好きだった。だから今見ているものを目に焼きつけて、精一杯今を楽しもう。妖怪たちを愛そう。なるべく別れが辛くならないように。それが私に、出来ること。 「食い逃げだ!」 「あっ、待ちなさい! アオ追い掛けて!」 「俺かよ!」 ひったくりに食い逃げに強盗に殺人、人間の世界みたいにいろいろ起こる妖怪たちの世界ですが、まあそれなりに私は楽しんでいるのです。 あなたの町にももしかしたら妖怪たちの世界への入り口があるかもしれませんね。 信じるか信じないかはあなた次第、なーんてね。 おわり
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巡察官(じゅんさつかん) +目次 登場作品ベルセリア 関連リンク関連項目 類似項目 登場作品 ベルセリア 聖寮において、王国各地を回り対魔士やその職務を検める役目を担う対魔士。いわば憲兵のような存在で、筆頭対魔士アルトリウスに直属する精鋭。その為、就任には高い実力が求められる。 当初はオスカーが巡察官に内定していたが、エレノアがこの任務を強く希望していたためオスカーは内定を辞退。その結果、彼は監獄島タイタニアの管理に回された。その為、後に聖寮を「裏切った」彼女にオスカーの姉のテレサは怒りを覚える。 ▲ 関連リンク 関連項目 エレノア・ヒューム オスカー・ドラゴニア テレサ・リナレス ▲ 類似項目 ▲