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右のほっぺたがジンジンと痛い。 大きなヘッドフォンで聴覚を遮断したまま、私はうつむいて最終電車に乗り込んだ。 サラリーマン、OL、カップル、学生グループ。 かなり遅い時間なのに車内はそこそこ混んでいた。週末だから、これからどこかに出かける人も多いのだろう。なんとなく浮き足立った雰囲気が伝わってくる。 “出て行きなさい。” 手すりに凭れて窓の外を眺めていると、さっきのお母さんの声が頭の中で反響する。ぼんやり視界が霞んで、慌てて目尻をぬぐっても、あふれ出した涙は止まらない。 こんなにたくさん人がいるのに、泣いている私のことを気にかけている人は誰もいない。視界に入るのは、楽しそうな笑顔のグループ。ケータイをいじるおじさん。退屈そうな女の人。私は一人ぼっちだ。 ヘッドフォンから流れる音楽は、私の今の気分に全く似つかわしくない、甘いボーカルのポップな洋楽。全然気分が乗らないのに、何故か止める気にはなれなかった。 音漏れしたって構わない。私はボリュームを最大限に引き上げて、黙って目的地へ到着するのを待つ。 実家の最寄り駅からたったの2駅が、とてつもなく遠く感じられた。 降り立った駅前はさすがに人気がなく、私は早足でタクシー乗車口へ向かった。運転手さんは、こんな夜遅くに一人でタクシーに乗り込む私をいぶかしげに見ていたけど、行き先を告げると特に追求せずに発車してくれた。 走り出した車の中、私の頭の中は真っ白なまま。自分が今置かれている立場とか、状況とか、考えようとしてもまとまらない。心が思考を拒んでいるかのようだった。 親に殴られたのなんて、初めてだったな。そして、よくわからなかった。私はそれほど、悪いことを言ったのか?ていうかそもそも、何て言ったんだっけ? (・・・だめだ。) 思い出そうとすると、頭にもやがかかってしまう。眠いのに、眠れない。何も感じられない。涙が止まったと同時に、感情まで麻痺してしまったのだろうか。・・・私、大丈夫かな? 「ここでいいです。」 大きな門扉の前でお金を払って、普段はあんまり使うことのない古風な鍵をバッグから取り出す。 私の今の住処――学生寮。 数時間前、今週末は実家に戻るね!と元気にここを出て行ったのが嘘みたいだ。 もうみんな寝ているだろうか。誰かの部屋に集まって、わいわいおしゃべりでもしているのかな。 あまり音を立てないように、そっとエントランスのドアを開ける。照明は最低限に絞られていて、物音はしない。 誰も起きていそうにない。一瞬ほっとした後、私の胸にいきなり寂しさが襲ってきた。思わずその場にうずくまる。 「・・・・栞菜?」 その時、小さな声とともに、肩に誰かの手が置かれた。 顔を上げると、薄暗い照明が見知ったその顔を照らし出していた。 「千聖お嬢様・・・・」 私は声にならないほど小さな掠れた声で、どうして、とつぶやいた。 「わからないわ。でも、待っていたの。栞菜が、戻ってくるような気がして」 まだ微かに痛むほっぺたに、お嬢様の小さな指の感触。哀れむでも問い詰めるでもなく、千聖お嬢様はただ黙って、キラキラと輝く瞳で私を見つめていた。 「お・・・じょぅ様、私・・・」 私は夢中で手を伸ばして、お嬢様の胸にすがりついた。急激に感情があふれ出して、とまっていたはずの涙がボロボロとほっぺたを滑り落ちた。 「私・・・お、お父さんも、おか・・・さんも、私のこと、嫌いにっ・・・なってしま・・・て」 「栞菜。」 抱きつかれるのが嫌いなはずなのに、お嬢様は優しく背中を撫でてくれた。優しいベビーパウダーの香りが私を包む。 私は激しくしゃくりあげながら、お嬢様に身を委ねた。 「わ、わたしなんて、いなくなればっ・・・私、どうすればいいのかっ・・・私は、両親とも大好きなのに・・・私、ひどいことっ・・・言ったから・・・嫌われて・・・・」 「栞菜、大丈夫よ。子供を嫌いになる親なんて、いないのよ。大丈夫よ・・・お父様も、お母様も、栞菜のことを、愛していらっしゃるわ。大丈夫・・・・」 耳元でささやくその言葉は、私の心に深く深く染み込んだ。 その場しのぎや口先だけの戯言なんかじゃない、本気のお嬢様の気持ちがそこにあったから。 「千聖のお部屋にいらっしゃい、栞菜。温かいお茶を入れてもらいましょう。」 やがて私の呼吸が落ち着いた頃、お嬢様はそっと体を離して立ち上がった。 部屋に戻る気持ちにはなれなかったから、私は導かれるままに、寮を後にした。 月明かりの下を、2人きりで歩く。いつもより大人びて見えるお嬢様の横顔は、今の私にとって、唯一の救いだった。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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「今日はブルーが主役でしたっけ?」 「ええ。私、彼女が一番好きなの」 今放送している戦隊シリーズは“純情戦隊 キューティーレンジャー”という 女の子7人が“ドエーム”という敵に立ち向かう話。 ドエームはこの地球からヒット曲を吸い尽くし、音楽という娯楽を無くすのが目的で それを阻止しようと音楽が大好きなキューティーレンジャーが歌を武器に戦っていく。 その7人の中でお嬢様はキューティーブルーが好きなのだ。活発でトラブルメーカー。 でも、その明るさでメンバー内の空気を盛り上げてくれる。 ――私がお嬢様じゃなかったら、こんな感じだったかもしれないわね。 なんて言っていたことがあった。ちなみに私はグリーンが好きだったりする。 放送時間になり、二人並んでソファーに腰掛けた。 「あの子犬、可愛いわね」 「ラブラドールですね」 公園で子犬を見つけるブルー。 しかし家に連れて帰っても飼うことが出来ず、そのまま公園で飼い始める。 ある日、その公園にドエームが出現。メンバーの到着まで応戦するも手が出ない。 「あぁ、ブルーがっ!!」 「あっ、チッサーが飛び出していきましたよ」 ブルーが倒れドエームが追い討ちをかけようとした時、 “チッサー”と名付けられた子犬がドエームに向かって走って行く。 チッサーの走って行く姿にブルーが勇気付けられ、立ち上がった時にメンバーが到着。 ブルーを中心にした“僕らの輝き”でドエームを撃退する。 「いっさましい~ かっがやきのほうへ~♪」 「お、お嬢様。まだ終わってませんよ」 公園で子犬をこっそり飼っていたことがみんなに知られ、落ち込むブルー。 怒られると身を竦めるもオレンジを中心にみんながブルーを抱きしめる。 その後、ホワイトの提案により子犬はホワイトの家で飼われることに。 正式に“チッサー”と名付けられた子犬は尻尾を千切れんばかりに振って、 ブルーの顔を舐め回すのだった。 「うぅ。チッサー、良かったわねぇ」 「お、お嬢様。涙と鼻水が出てますよ」 お嬢様にティッシュを渡しながら自分も目頭を押さえた。 自分でも不思議に思うんだけど何で戦隊シリーズで感動してるんだろ。 ◇ ◇ ◇ 「お嬢様。朝食を取りに行きましょう」 「そうね。心配させてしまうわね」 少ししてお嬢様も落ち着き、私は朝食の話を切り出した。 「オレンジジャム、楽しみです」 「ウフフ。その後はたくさんお話しましょうね」 「もちろんです。その後はお勉強が待っていますよ」 「もぅ。なっきぃの意地悪! でも今日は頑張るわ。ブルーを見習わないと」 「キュフフ。その意気です」 「じゃあ、行きましょう」 部屋に来る時と同じ様に私の手を取ってリビングへと向かう。 日曜日の朝7時。私とお嬢様の少し幸せな一日が始まる時間。 「二人共、少し遅いですよ。さ、席にどうぞ」 「ごめん、めぐ。わー、すごく美味しそう」 「ごめんなさい。め…村上さん。じゃあ、なっきぃ。せーの…」 「「いただきます!」」 おまけ ノソ*^ o゚)<今日の話は第5話だケロ リ ・一・リ <以下が今まで放送した分のタイトルになります 第1話 誕生?! キューティーレンジャー! 第2話 寝るのがお好き? オレンジは天然娘 第3話 得意料理は枝豆カレー イエローは意外にも家庭的? 第4話 新聞を読んで世情の確認 早くもグリーンは苦労人… 第5話 子犬と一緒 心優しきブルーの秘密 ノソ*^ o゚)<ちなみに次回の話はというと リ ・一・リ <“第6話 携帯片手に何してる? ホワイトの株式投資” ノソ*^ o゚)<……タイトルからして内容が子供向けじゃないですよね リ ・一・リ <他のメンバーの誰一人として話についてこれないわね ノソ*^ o゚)<時代……ですかね リ ・一・リ <時代……でしょうね 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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三日目 裏側 トンッ。 テーブルに置かれた一皿の炒飯。 中島早貴作。人参をふんだんに使用した『埼玉のチャーハン』 「せ~~の」 「「「「「いただきま~~す!!」」」」」 小皿に各自で小分けして一斉に口へと炒飯を運んだ。 「型抜きを使って可愛さアップか…」 「緑色もいいけど橙色も彩りがいいね」 「私てっきりみかん缶のみかんでも使うのかと思ったよ」 「お嬢様に食べて頂くんだからそこまで冒険しないでしょ」 「……何だろう。いつか作ってきたのを試食するんじゃないかって気になってきた」 「……だ、大丈夫だよ。私達への愛もあるはずだから」 みかんチャーハンを作るかもしれない可能性に一抹の不安を感じてしまう五人だった。 「「「「「ごちそうさまでした~~!!」」」」」 「お粗末様でした」 三日目。『埼玉のチャーハン』 総合評価……10点中7点(持点一人2点) ノソ*^ o゚)<みかんチャーハン……作ってみるケロ♪ リl|;´∀`l|从;・ゥ・从州;´・ v・)(;・v・)ノk|;‘-‘)<試食しないから! 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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「さ、栞菜。明日に備えて今日は寝ましょう。篭城は体力勝負なのよ。」 「体力・・・ですか?」 私が首を傾げると、お嬢様はなんとも微妙なスマイルで説明してくれた。 「私が部屋に篭るとね、寮の皆さんがいろいろな意地悪をするのよ。めぐ・・・村上さんも、味方だと思っていたら裏切られてしまったり。」 子供みたいにぷっくりほっぺたを膨らますのが可愛くて指で突っつくと、お嬢さまの唇からぷひゅっと空気が漏れた。 「それでいつも私が根負けして、1日篭城できたことはほとんどないの。でも今回は、栞菜がいるから戦えるわね。」 「はい、それはもちろん。みんなをギャフンと言わせてやりましょう、お嬢様!」 それから私達は、順番こにお風呂に入って(洗面所で待たされたから、覗いたら怒られた・・・)ベッドに入った。 もちろんこうして添い寝するのは初めてじゃないけれど、今日はわくわく感もひとしおだ。 「栞菜・・・あの、手をつないでもいい?」 珍しいこともあるもんだ。上目遣いでおずおずと手を差し出されて、つい嬉しくなってしまった。 「お嬢様♪」 「きゃっ!」 ふざけて覆いかぶさると、お嬢様は思いっきり体をひねって抵抗してきた。 「いいじゃねぇか千聖、ぐふぇふぇふぇ」 「もうっ・・・何をするの、栞菜!」 「いだだだ」 わき腹でもくすぐってみようかと手をわきわきさせていたのだけれど、意外に手ごわい。あっというまに変な関節技で仕留められてしまった。 「栞菜ったらひどいわ!」 「・・・調子コキました、すみません。」 追い出されるかと思ったけど、お嬢様はクローゼットから大量の枕を取り出して、あっという間にバリケードを作った。 「栞菜はこちら側で寝てちょうだい。千聖はこっち」 「ええっ!それじゃ手をつなげませんよ」 「だって、変な事しようとするじゃない!」 どうもお嬢様を見てると、私の中に眠るガチレズ栞菜が鎌首をもたげてしまう。困ったことだ。 「もー、わかりましたよぅ。」 これ以上刺激すると、本当に叩き出されかねない。とりあえず今日は、このままバリケード越しに添い寝することにした。 「・・・どうしても苦手なの。」 「え?」 しばらくの沈黙の後、お嬢様が小さな声で話し出した。 「強く抱きしめられたり、触れられるのが苦手なの。小さい頃から、私はだっこやおんぶを拒む子供だったみたい。私の家族はみんなスキンシップを好むから、両親には本当に心配をおかけしたわ。」 「それは・・その、何か、原因が?」 「いいえ。・・・・こういうのは、何て言えばいいのかしらね。先天的に、駄目みたい。」 なるほど、そういう話は聞いたことがある。生まれたばかりの友達の弟も、ママの抱っこが苦手だとか何とか。 「ごめんなさい、私。お嬢様の気持ちも考えずに」 「あ・・・いいの、気にしないで。私の妹も弟も、たまに顔を合わせると遠慮なくぶつかってきたり、べったりと甘えてくるから、これでもだいぶ免疫がついてきたのよ。」 顔と体は枕で隠したまま、お嬢様の小麦色の腕がニューッと伸びてきた。丸っこい指を握ると、安心したように力を入れ返してくる。 「手だけですか。」 「そう、手だけよ。」 手だけ、とやまびこするのが何だか楽しくて、2人で何度をも声を重ねて笑い合う。 そのうちにだんだんと睡魔が襲ってきた。今日は本当に慌ただしい一日だったから、やっと体の疲れに心が追いついてきたみたいだ。 「お嬢様?起きてる?」 「・・・」 返事がない。ふざけっこしてたらお嬢さまも疲れてしまったらしく、スピースピーと小さい寝息が聞こえてきた。 そっと体を起こすと、私の方を向いたまま、深く寝入った可愛らしい顔が目に入る。寮のみんなは、最近お嬢様は大人っぽくなったと口をそろえて言うけれど、寝顔はむしろ実年齢より幼く見える。 大人のようで、子供。子供のようで、大人。複雑な家庭環境がそうさせるのかもしれないけれど、本当に不思議な人だと思う。 「明日、頑張ってストライキしましょうね、お嬢様。」 つぶやいて、ぷっくりしたほっぺたにチュッと唇をくっつけた。・・反応がない。よかった、起きてたらいがいにたくましい御腕で殴り殺されてたかもしれない。 バリケードのすぐ下まで移動して、再びベッドに横たわる。つないだままの手に少し力を込めて、私も目を閉じた。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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前へ 「じゃあ先に帰ってるからねー」 軍団の部室を確保できたことによるのか、満足感あふれる表情の熊井ちゃん。 彼女は僕にそう言うと、このサークル室を後にする。 ♪何だか 困ってるあなた~ 今日は 私の BIRTHDAY~♪ とても機嫌がいいのだろう。鼻歌交じりに去っていく、もぉ軍団自称リーダー。 お疲れ様でした。 このようにして熊井ちゃんが占領したアイドル同好会のサークル室。 そこを半分もぉ軍団の部室として使うため、彼女が帰ってしまったあと僕は一人残ってその仕切り設置作業を行っていた。 これが意外と大変な作業だということに、着手してから気付くことになったのだ。 そんな建材、入手するのにどこまで行けばいいんだよ・・・なんて思っていたら生協に売っていた。 この大学の生協は品揃えがとてつもなく豊富だとは聞いていたけど、そんなものまで売っているのか。 (ちなみにコ○ドームも各サイズ取り揃えて売ってるよ) 一応領収書を貰ったけど、これはどこに提出すればいいんだろう。 これ、経費としてちゃんと落ちるんだろうね? その購入した資材をサークル棟へ搬入するだけでも大変だったのだが、それを更に5階のこの部屋まで運び込むのが、これが一仕事だった。 狭い階段しかないこのサークル棟。予想以上に時間がかかってしまう。 そして、それを設置し終わったとき、もうすっかり日は暮れていて。 大体改装の終わった部屋を見つめているのはアイドル研の部長さん。 被害者といえる立場なのに、搬入を手伝ったりしてくれて。この桃ヲタさん、意外といい人である。 「このたびは災難でしたね。でも、これも運命なんだと思いますよ。あきらめてください」 どことなく放心状態に見える部長さんに声をかけると、部長さんは乾いた笑いをあげた。 「ははは。そうだな、まぁ別にいいよ。これはこれで楽しそうだし」 「そうです。そう前向きに捉える方が精神的にも負担にならないですみますよ。これからもいろいろあると思いますし」 固定するアンカーを打ち込んでいる僕に、部長さんが語りかける。 「それにしても、彼女、何者なの?」 「彼女は、・・・熊井ちゃんです」 この説明で通じるようになるところが正に大きな熊さんの真骨頂。 部長さんもその言葉の意味するところをはっきりと感じてくれたようで、何か悟ったかのような表情を浮かべた。 「少年も大変そうだな」 「そうでもないです。部長さんがさっき言ったのと同じように、僕もこれはこれで結構楽しいですから」 そう。 大学生活はまだ3日目だけど、何て刺激的な毎日なんだろう!(いい悪いは別にして・・・)、と本当に思うよ。 そしてその刺激はあの大きな熊さんの横にいられるからこそ経験できることで。 大学っていうところは面白いところなんだろうなとは思っていたけれど、ここまでとはね。 はい。これも全て熊井さんのおかげですから。 「もうこんな時間か。思ったより時間がかかっちゃいました。もう間に合わないかな」 「何か用事でもあったのか?」 「えぇ。いま知り合いの誕生パーティーをやってるんですよ。これが終わったら行こうと思ってたけど、思ったより時間がかかっちゃったんで」 そう、今日は梨沙子ちゃんの18歳の誕生日。 もぉ軍団プレゼンツの誕生パーティー。まさに今それを行っているはずだ。 りーちゃん、18歳の誕生日おめでとう。 高校生活も残るところあと1年だね。そんな梨沙子ちゃんの18歳の毎日が素敵な日々になりますように。 梨沙子ちゃんの誕生パーティー。軍団長の考えたサプライズ企画は上手くいったかな? サプライズで登場した雅さんの姿に、りーちゃん喜んでくれたかな。 そして、いきなり始まるBuono!ライブを楽しんでくれたかな。 僕もその場にいるはずだったのに。 18歳になった梨沙子ちゃんにお祝いの言葉をかけてあげるつもりだったのに。 同じ軍団員(僕は舎弟部門だけど)とはいえ、僕が梨沙子ちゃんとお話し出来る機会は少ないんだ。 でも、今日ならりーちゃんに話しかけたりしても何もおかしくない。今日なら気兼ねなくお話しすることができる。 軍団の中で唯一僕の心を癒してくれる、あのりーちゃんとお話しをするひととき・・・・ そしてそして、今日はBuono!の皆さんもお見えになるのだ。 だから、りーちゃんとお話しをしたあと、きっと今頃僕は愛理ちゃんの隣りに座って、そのかわいらしい笑顔を見ながら彼女とのお喋りだって楽しんでいるはずだったのに。 ・・・なーんて言ってみたけど、実際は愛理ちゃんの横に座るなんて恐れ多すぎて絶対ムリ。 実際はいざ彼女を前にしたら、緊張で意識は飛んでしまい体は硬直して固まってしまうだけで。いつものことだ。 でも、妄想の中の僕は愛理ちゃんの隣りに座る度胸もあるのだ。 ぎこちないながらも会話を交わすことで次第に僕らの心が通じ合っていくのが分かる。 そして、見つめあう2人・・・ そのように、僕は愛理ちゃんと。りーちゃんはもちろん雅さんの隣りで。それぞれ至福のひとときを過ごすはずだった。 (桃子さんと大きな熊さんは、お2人でどうぞごゆっくり) それなのに、僕はまだ大学のサークル室で作業中。 これから行っても、もう間に合わないだろう。 あぁ、愛理ちゃん・・・・ さようなら、愛理ちゃん。 でも、しょうがない。自分のやるべき仕事が終わらなかったんだから。 男だったら何よりも仕事が優先だ(涙目)。 うん。しょうがないことなんだ。いさぎよく諦めよう。 「じゃあ俺はもう帰るけど、頑張ってな。最後に戸締りだけしっかり頼むよ」 「はい、お疲れ様でした」 そう言って部長さんが帰ってしまうと、部室には僕だけとなった。 窓の外はもう真っ暗。一人だけになるとやけに寂しい。 作業もだいたい目処がついたし、ちょっと一休み。改装も終わりつつある部屋を見渡してみる。 我ながらなかなか綺麗にまとまったじゃないか。 いま設置したこの仕切りの向こう側は、アイドル研究会の部室なんだ。 さっき見たとおり、そこには大量の写真集やらDVDがある。 いまここにいるのは僕一人。他に誰もいない。 どれどれ、どんなのがあるのかちょっと見てみようか← 手にとってみたのは、「MIZUKI」というタイトルの写真集。 表紙には上品そうな女の子。 ページをめくってみるとアイドルの写真集らしくそこには水着の写真が。 うわー、マシュマロみたいだ。やわらけー・・・ 思わず食い入るように見てしまったが、そんな写真集やらDVDがここには大量にあるのです! これは何という宝の山。ここと共用の部室なんて素晴らしすぎる!! 思わずテンションが高まってしまったが、まぁもちつけw いま手にした写真集。慌てて見るのも勿体無い。じっくりと見たいな、これ。 そして、この付属のDVD。これはぜひ見てみたいという気持ちを抑えられない。 この写真集ちょっと借りていこうかなw 1日ぐらい借りてもいいよね。いいんじゃないかな。たぶんいいと思う。 よーし、これ借りちゃおう! お持ち帰りするつもりでその写真集を手にしたまま、更に本棚へと目を戻す。 目がとまったそのタイトルは、ファーストソロ写真集「千s 僕がそれに手を伸ばしたとき、ケータイの着信メロディーが鳴った。 この着メロ、熊井ちゃんからの電話だ。 伸ばした手を戻して、すぐに着信ボタンを押す。 「もしもし? いまどこ?」 いきなり用件のみ手短に聞いてくる。 そんなせっかちなところはいかにも彼女らしい。 「どこって、サークル室で作業中だけど」 「え?まだ大学なの? まだ作業してるの?」 「ちゃんと作業してるって! ほ、本当だから!」 「なにあせったような声だしてんのさ?」 「いや、あの、その、別に・・・」 「まぁいいや。それで、作業はもう終わりそう?」 「結構手間取っちゃったけど、でも丁度いま終わるところ」 その答えを聞いた熊井ちゃんの次のセリフは僕にとって予想外のものだった。 「それなら、まだ間に合うから急いで来て。待ってるんだからさ。まだ来ないのかって桃とも言ってたんだよ」 なんということでしょう!! 僕のことを待っててくれたりしていたのか! 熊井ちゃん、わざわざ電話をしてきて、そんなことを言ってくれるなんて。 仕事をしている僕のことを気に掛けていてくれたんだ!! さすがリーダー(自称)さんじゃないか。その彼女の心意気を感じて。 なんか胸に熱いものが一気にこみ上げてきたよ。 感激のあまり、思わず言葉に詰まってしまった。 「・・・・・・・」 「ちょっと!聞いてるの?」 「分かった!! フルスピードで向かうから。ごめん、もうちょっとだけ待ってて」 「大丈夫だよ。まだライブ終わるまでは時間あるから。でも早く来て。待ってるからね」 「熊井ちゃん・・・・」 みなさんが僕を待っててくれてるんだ・・・・ 心が暖かいもので満たされてきている僕の耳に、熊井ちゃんの明るい声はなおも続いた。 「だってさ、支払いをする人が来てくれないと困っちゃうでしょ? 分かった? だから早く来てね」 次へ TOP
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カリ カリ カリ カリ カリ カリ…… 夕食後の落ち着いた時間。私は明日の予習をしていた。えっ? シャーペンの芯? もちろん、0.3 mmだけど? カリ カリ カリ カリ カリ カリ…… それにしても許婚か。あの三人は憤慨してたけど私は少し理解しているつもり。 立場に関しても恋愛観に関しても。 直接言われた事はないけれど私の元にもそういう話はちらほら来るから。 カリ カリ カリ カリ カリ カリ…… だから私は理解者として接していくつもり。 ノートの隅に小さく河童のイラストと『fight!』の文字を書き込む。 「よし。頑張ろう」 州*´▽v▽)<似た者同士の保全です。ケッケッケッ。 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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40 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/07/31(土) 21 57 07.53 0 ――自分の目を疑うってこう言う事なんだと初めて知った夜 * * 七月なのに茹だる様な暑さが続き精神も殆んど降参状態。 明日も仕事があるけれど誘惑に負けてコンビニで一缶買って帰宅する。 「お帰りなさい」 「?!」 聞きなれない……でも聞き覚えのある声。玄関から一直線にあるリビングにいるのは思っ た通りの人だった。 「な、何でいるのッ!?」 「居たら何か不都合な事でも?」 「ま、全く無いけど状況が掴めない」 「そんな事はいいから座って下さい。あ、先に手洗いとうがいを」 戸惑いながらもその言葉の通りに動き隣に座る。 お嬢様化している、そして何故かこの家に居る千聖はコンビニの袋の中身を確認すると冷 蔵庫に向かって歩いて行き冷凍室からある物を取り出して再びリビングに戻って来た。 42 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/07/31(土) 21 58 43.83 0 名無し募集中。。。:2010/07/30(金) 16 23 39 「これ……凍らせたグラス?」 「はい。お父様がこれでビールを飲んでいるので」 「ふ~~ん」 グラスを見ていると千聖が何で此処に居るのかという事よりも早く喉の渇きを潤したくな ってきて袋から取り出しプルタブを開ける。「プッシュ」という小気味良い音を聞いて注 ごうとした瞬間に彼女からストップが掛かった。 「私がお注ぎします」 「え、でも……」 「私が注いだお酒は飲めないと?」 「い、いえ。……じゃあお願いします」 真剣な顔でグラスを支えビール缶を持つ千聖に微笑ましさを感じた少し特別な夜。 ……………何て妄想をブログを読んでした方、いらっしゃるんじゃないですか? 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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五日目。 トンッ。 目の前に置かれた夕食を見て、私は夕食を置いた張本人を見る事なく溜め息を吐きました。 中華スープとれんげが置かれた時点でもう分かり切っているもの……。 「……………」 「……………」 「め…村上さん」 「何でしょうか? 千聖お嬢様」 「今日はどちらの名産品なの?」 「今日は『埼玉のチャーハン』です。お下げしますか?」 「……いいえ、食べるわ。ちなみに何チャーハンなのかしら?」 「蒟蒻をふんだんに使用した蒟蒻チャーハンです」 「蒟蒻って埼玉県より群馬県のイメージがするのだけれど」 「料理人の好きな都道府県が群馬県だと伺っています」 め…村上さんの対応を軽く流しながら私は『埼玉のチャーハン』を頂く事にしました。 好きな都道府県が群馬県って一体どんな料理人さんなのかしら? (何故かしら? 一瞬、誇らしげな舞の顔が浮かんだ様な気が……) ( ▼v▼)<『群馬県』って響きがいいんでしゅよ 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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