約 627,910 件
https://w.atwiki.jp/siika/pages/148.html
その日、土場藩国には腕におぼえのある者が老若男女を問わず集まっていた。 彼らはみな、とある就職活動の真っ最中だった。 この国で新しく開発されるRB、F級フレーム。 そのパイロットになろうと集まってきたのだった。 大変なのは受付係をしていた缶だった。 いや、缶というか藩王のような気もするが、テラ領域の慣例にもれずこの国でも藩王の地位は低い。 とりあえずヒマなやつに受付やらせとけ、という理由で適当に配置されたあさぎだったが、なにせ全能力評価-5の最弱ボディである。 「あーハンコまちがえたーまあいいかー」 大勢の参加者は減るどころか増える一方。設定国民やとったほうがよかったんじゃないかというほどの混雑具合だった。 そんな調子でせっせと処理していた履歴書の中に、ひとつだけ風変わりなものがあった。 氏名:P・E・テレフタレート犬種:ボーダーコーリー性別:オス身長:53㎝体重:20㎏■学歴0歳ネバダ州の片田舎に生を受ける。2歳牧羊犬を目指して弟子入りする。菜食主義に目覚める。3歳地元最大の暴走犬集団「ウォードッグ」に入る。改造手術を受けて変身できるようになる。アニメ(バンバンジー)を見て衝撃を受ける。11歳自宅警備員への就職を斡旋する会社を設立する。ベトナム戦争で南ベトナム解放民族戦線に参加。勲章をもらう。大統領暗殺に失敗する。世界移動後汎銀河大戦に太陽系総軍側で参加。転職を考えはじめる。犬用ウォードレスを研究、開発する。「オーマとのつき合い方」という本を出版する。アイドレスをはじめる。←今ここ そこにいたのはどう見ても犬だった。しかも二本足で立っている。 トレンチコートをかちっと着こなして、サングラスに葉巻というなんとも貫禄のある姿だった。 そんな根源力50万くらいありそうな銘入り犬士っぽいやつは葉巻の紫煙をくゆらせながら 「書類になにか不備でも?」 とたずねてきた。 落ち着いた、渋みのある声だった。 これを見てあさぎは 「うまー棒くれーはらへったー」 なんか適当なことを言っていた。 知識評価-5ではツッコミなどという高等テクニックを使うことは到底無理だった。 /*/ テレフタレートは犬である。それも老犬だった。 昔は漢だったこともあるが、今では隠居して孫との散歩するのが数少ない楽しみというごく普通のじいさんである。 昔は若さにまかせて色々と無茶したもんだとは本人の弁だが、履歴書を見ればわかるように、ちょっと無茶しすぎな人である。 普段は多くを語らないが、酒を酌み交わした者はみな 「ベトナム戦争は地獄だった」 という彼のとつとつとした語りを小一時間ほど聞かせられるのがつねだった。 そんな自由気ままな年金ライフを送る彼には、昔から続けている趣味あった。 ナショナルネットとゲームである。 ちなみに、なんで犬がネット使えるんだなどと言ってはいけない。無名世界観ではよくあることである。 仕事をやめて、これで思い切り徹夜ゲーできるぞと張り切ってた彼が見つけたゲーム。それがアイドレスだった。 そうして彼は知ってしまった。正確にいえば思い出してしまった。 ラウンドバックラーを操るその快感を。 酒もタバコも女もやめた。年を重ね、老いてゆくうちに忘れてしまった。 だが汎銀河大戦で経験したギリギリの緊張感は、あの興奮だけは老いさばらえた今でも鮮明に思い出すことができた。 トポロジーレーダーに映る数え切れない敵機。 握り締めたスロットルに感触。 ウォータージェットによる爆発的な推進と急減速。 バレルロールを決めた時のひねるような横G。 すべてが懐かしかった。 もう一度だけでいい。 この手でRBを駆り、宇宙を飛びまわってみたかった。 そうして彼は土場藩国へとやってきた。 そこにいたのはただの老いぼれ犬ではなく、ぎらぎらとした目を持つ漢だった。 その後、土場に「絶氷の飼い犬」と呼ばれるRB乗りが台頭したとか、しないとか。 真偽のほどはさだかではない。
https://w.atwiki.jp/genericit/pages/26.html
高等学校相当について 既存の学校群なら高専をおすすめします。高専における標準的な総授業時間数は、高校と短大を併せた時間数を大幅に上回り、かつ大学工学部において履修する専門科目の総時間数を上回っています。普通高校は進学予備校的側面が強く、よほど能力が高くない限り勉強が楽しいと思える環境じゃないと思います。地方国立大なら高校の教科書を中心とした勉強で対応できます。難関大の受験は、受験サプリをはじめいろいろな情報がインターネット上に存在していますのでそちらをどうぞ。 高校認定や学位取得を目指すなら自由が丘産能短期大学と放送大学の入学を検討しませんか。自由が丘産能短期大学は資格の単位認定が多く資格は履歴書にもかけるので一石二鳥です。大前研一氏によると、21世紀に必要なスキルは英語、it、会計だそうです。これらの資格は商業高校で奨励されています。 TOEIC600 英会話・ぜったい・音読 【標準編】【挑戦編】 國弘正雄、千田潤一 英単語ピーナツほどおいしいものはない 銀・銅メダルコース 清水かつぞー TOEIC公式問題集 中学英語だけでも500前後はいくそうですが、実際は大学生でも。普通高校では単語、文法だ語法だと断片化された問題集をやり、欧米の文化とか様々な話題の長文を読まされますが、英語もわからんマテリアルもわからんでちっとも身につきませんでした。話題の限定された限定されているほうが取り組みやすいと思います。TOEIC600は理系なら履歴書にかけるライン。TOEICは就職や大学院入試で活用されているので改めて対策する手間がはぶけます。 基本情報処理技術者 イメージ クレバー方式でよくわかる栢木先生の基本情報技術者教室 栢木厚 地方国立大学の情報工学科で取得率半分程度のようです。計算機の基礎理論とアルゴリズムを学ぶのが目的なので選択問題は表計算でもいいです。rubyとかpythonは試験にはでないから。 簿記3級 スッキリわかる 日商簿記3級 滝澤ななみ 2級のほうがいいかもしれないけどとりあえず。 理数科目 高専の数学1-3 田代嘉宏 難波完爾 図解入門 微積で楽しく高校物理がわかる本 田原真人 為近の物理ノート(必修編)為近和彦 原点からの化学 化学の計算 石川正明 高校数学でわかるシリーズ (ブルーバックス) 竹内淳 数学を最優先で進めてください。普通高校の数学の教科書は大学入試を意識しているためか、まどろっこしいです。佐藤優氏が学びなおし用として高専の教科書を勧めていたので手にしてみましたが、なぜ数学を学ぶのか目的がしっかりしているため普通高校の教科書よりすっきりした記述が特徴です(扱っている内容は高専の方が上で高校から大学教養課程まで含まれています)。高校物理だと微積を学ぶ前に物理の履修が始まるので暗記する公式も多くなりがちです。数学がかなり進んでから物理に手を付けるとよいです。化学はモル計算、気体の状態方程式の計算になれる程度でいいと思います。 教養図書 フリー<無料>からお金を生みだす新戦略 クリス・ アンダーソン MAKERS―21世紀の産業革命が始まる クリス・ アンダーソン 限界費用ゼロ社会 ジェレミー・リフキン シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき レイ・カーツワイル スモール イズ ビューティフル アーンスト・シューマッハー 経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか ダグラス ラミス キロワットアワー・イズ・マネー エネルギーが地域通貨になる日 村上敦 食卓の安全学―「食品報道」のウソを見破る 松永和紀 銃・病原菌・鉄 上下 ジャレド ダイアモンド 新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか (ブルーバックス) 村上陽一郎 科学の方法 (岩波新書) 中谷宇吉郎 人間にとって科学とは何か (新潮選書) 村上陽一郎 生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫) シュレーディンガー 物理学とはなんだろうか 朝永振一郎 疑似科学と科学の哲学 伊勢田哲治 高校数学+α :基礎と論理の物語 宮越忠 いかにして問題をとくか G. ポリア オイラーの贈物 吉田武
https://w.atwiki.jp/kikanjuugyouin/pages/63.html
【募集要項について】人材会社からの応募と直接応募と何か違いますか? 入社時期によって月収が変わりますか? 【選考について】私服でも大丈夫ですか? 履歴書は手書きしなければいけませんか? 【給与について】契約期間満了後は満了金がありますか? 【仕事について】楽な工程はどこですか? 工場勤務経験がないですが大丈夫でしょうか? 【待遇について】社保完(社会保険完備)とは何を指しますか? 雇用保険って何ですか? 労災保険って何ですか? 健康保険って何ですか? 厚生年金保険って何ですか? 【期間満了について】契約期間を満了したら退職しなければいけないのですか? 【募集要項について】 人材会社からの応募と直接応募と何か違いますか? 人材会社経由の場合は人材会社での面接があることが多いようです。 直接応募できるなら直接応募した方がいいと思います。 他の仕事も紹介してほしい、面接が不安など聞きたいことがあれば人材会社経由をお勧めします。 入社時期によって月収が変わりますか? 大量募集などの場合は入社祝い金などの手当がついたり、過去の勤務経験などにより給与ベースが変わったりすることがあるようです。 【選考について】 私服でも大丈夫ですか? 私服の受験者が多い場合もあるようですが、持っていればスーツが無難です。 私服でマイナス評価されることはあっても、スーツでマイナス評価されることはないと思われるためです。 履歴書は手書きしなければいけませんか? 特に指定がなければパソコンでも問題はないと思います。 一部企業では、手書きを指定される場合もあるようです。 詳細は各企業で電話で聞いてみてください。 【給与について】 契約期間満了後は満了金がありますか? 直接雇用の多くの企業は何らかの手当を支給しているようです。 契約期間も企業ごとに異なりますが3ヶ月や6か月契約の企業が多いようです。 また継続勤務により、満了手当がどんどん上がっていく形態もあります。 【仕事について】 楽な工程はどこですか? 企業によって異なります。 また配属先は基本的に企業から指定されますので選択の余地はありません。 工場勤務経験がないですが大丈夫でしょうか? 体力測定(握力など)を選考の際に見るところもありますが、内定が出ていれば大丈夫です。 最初はきついと思いますが2週間から1か月で慣れることがほとんどです。 【待遇について】 社保完(社会保険完備)とは何を指しますか? 「雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険」の4つがあり、社保完や社会保険完備となっているところは、これら4点セットが完備されているということと意味しています。 雇用保険って何ですか? 失業した時に一定の期間お金がもらえるというものです。 労災保険って何ですか? 労働者災害補償保険の略で、仕事中、仕事に起因するケガや病気をしてしまった時に、国から治療費や治療している間の賃金を補償してもらえる制度です。 健康保険って何ですか? 仕事中以外において病気やケガをしたときに、治療費の補填をしてくれる制度です。病気で会社を休まなければならない時には一定期間賃金の一部を補償してくれたり、出産の時にも賃金の補償や一時金を支給するようなしくみ等も備わっています。 厚生年金保険って何ですか? 加入している人が高齢になったときに、国民年金に上乗せされる形で老齢年金がもらえる他、障害になった時には障害年金が、亡くなったときには遺族年金が支給される制度です。 労災保険では「仕事中」の病気やケガによる障害・死亡に対して保障されるのに対し、厚生年金保険では「仕事中」のみならず、「仕事中以外」の病気やケガに対しても障害年金・遺族年金が支給されます。 【期間満了について】 契約期間を満了したら退職しなければいけないのですか? 企業の生産状況や勤務状況によって契約更新が行われる場合があります。 満期慰労金などの手当の支給は、満了時に払われるパターンと更新時に払われるパターンなど様々です。 各企業ごとに確認してください。
https://w.atwiki.jp/yougosq/pages/6358.html
■黄泉の手招き(よみ-の-てまね-き) 各作品のデータ V 効果:HPが一定割合以下の時ターン終了時、一定確率で死霊を召喚する / 補助説明:自ら死に近づくことで死霊を召喚するスキル 詳細:パッシブ(Lv10) / 依存部位、依存STなし / 前提:なし習得:破霊ネクロ(Master) 世界樹の迷宮5に登場するネクロマンサー(破霊のネクロマンサー)の達人スキル。 HPが一定割合以下の時ターン終了時、一定確率で死霊を召喚。 スキル名を見ると「瀕死のネクロマンサーに黄泉から死霊が手招き」というイメージだが、実際は「瀕死のネクロマンサーが黄泉の死霊に手招き」である。これでホイホイやってくる死霊さんはチョロインやったんや! 複数人が習得していると人数分発動する。 黄泉「(ギルメンに)本日は皆さんをお招きに参りました」 黄泉に手招き 発動条件さえ整えれば毎ターン100%死霊が湧いてくる。ふええ召喚枠いっぱいだよお 生贄→死霊大爆発のコンボ専用スキルと言っても過言ではない。お膳立ての粉骨砕身共々美しく完成されたコンボである。 『憧れの地下探行士になれる!履歴書不要!服装自由!!充実の研修&フォロー体制』と誘われて入社し、迷宮で燃料資源を採掘させられることはない ↑自分が燃料にされて大爆発させられますからね… コメント
https://w.atwiki.jp/wiki13_mofwiki/pages/584.html
#blognavi ハローワークなどで職探し中の高齢者に、覚醒剤密輸の「運び屋」をさせたとして、東京税関成田税関支署と千葉県警が、男3人を覚醒剤取締法違反(営利目的密輸)などの疑いで逮捕していたことが15日、わかった。 生活に困窮する高齢者を「簡単な仕事がある」と誘っていた。「通関の際の荷物検査率が低い高齢者を利用した」という趣旨の供述をしているという。 3人は、いずれも無職の東京都新宿区、山根裕治(56)、同江戸川区、佐藤聖一郎(53)、松原誠(61)の3被告。既に同法違反などで千葉地裁に起訴されている。 同支署と県警は昨年10月10日、成田空港で覚醒剤約1・5キロが入ったスーツケースをマレーシアから持ち込もうとした同渋谷区、無職斉藤千紗被告(70)(同法違反などで起訴済み)と、斉藤被告を迎えに来ていた佐藤被告を逮捕。その後の捜査で山根、松原両被告が浮上し、松原被告の自宅などから、斉藤被告を含む60~70歳代の男女約10人の履歴書が見つかった。 Medievalist.atwiki - 池上俊一(著)『儀礼と象徴の中世』 カテゴリ [ニュース] - trackback- 2011年02月16日 02 01 31 #blognavi
https://w.atwiki.jp/ja2047_memorial/pages/850.html
とほほは語る ネットを語る 私のパソコン事始 私のパソコン事始re 歴史認識問題を語る 歴史修正主義 歴史修正主義re歴史を正視するということ2002/02/08 とほほ 歴史を正視するということre 歴史修正主義と否定論2002/02/08 とほほ 歴史修正主義と否定論re 歴史修正主義とは何か ベルナール氏 2002/02/13 歴史修正主義とは何かre 歴史修正主義を支えるもの1(何が歴史修正主義を支えているのか?) ベルナール氏2002/09/05 歴史修正主義を支えるもの1(何が歴史修正主義を支えているのか?)re 歴史修正主義を支えるもの2(Re 「中帰連」を挑発の巻) あすか氏2002/09/05 歴史修正主義を支えるもの2(Re 「中帰連」を挑発の巻)re 歴史修正主義を支えるもの3(「歴史修正主義」論 2) ベルナール氏2002/09/05 歴史修正主義を支えるもの3(「歴史修正主義」論 2)re? 歴史修正主義を支えるもの4(Re 「歴史修正主義」論 2) あすか氏2002/09/05 歴史修正主義を支えるもの4(Re 「歴史修正主義」論 2)re? ガス室は確かにそこにあった 自由主義史観 日中戦争開戦前夜 著作権問題を語る 著作権になるのか 棋譜の著作権 著作権について 差別・人権問題を語る 困った人達だ 履歴書の本籍 どれみ氏の愉快なおつむ 都教委の強制 【署名協力願い】小学校6年生の拘禁+送還 日本人のお行儀 トップページ
https://w.atwiki.jp/ebsc/pages/6.html
更新履歴 @wikiのwikiモードでは #recent(数字) と入力することで、wikiのページ更新履歴を表示することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_117_ja.html たとえば、#recent(20)と入力すると以下のように表示されます。 取得中です。
https://w.atwiki.jp/genshikenss/pages/391.html
『はじめてのおつかい』 【投稿日 2006/09/29】 カテゴリー-笹荻 「戦略会議?」 荻上千佳がすっとんきょうな声を上げたのは、目の前の大野加奈子のセリフが一瞬理解できなかったからだった。 「そそ、そーです。会議です」 加奈子は楽しくてしょうがないという表情をしている。 「第二回・荻上さんのコミフェスデビューを現視研で応援しよう会議~!」 「なんでそんなコトしなきゃならないですかっ!」 テンションの上がってくる加奈子の声に負けないように、千佳も声を張り上げた。 「私の個人サークルで参加してるんですからご迷惑はおかけしないって説明したじゃないですか。それになんですか第二回って!」 7月はじめのとある午後。いま現視研部室にいるのは加奈子と千佳、そして二人に背中を向けて履歴書を量産中の笹原完士の3人だけだった。 「なーに言ってるんですか水臭い。荻上さんだって現視研の一員でしょう?メンバーがサークルの趣旨に沿った活動をしてるんですから、手伝わないって手はありません」 加奈子が言葉に力を入れる。 「それに第一回はついこないだやったじゃないですか、荻上さんが当選したの教えてくれた日に」 「う」 千佳の動きが止まる。そのことは……思い出したくなかった。 千佳が夏コミの当選を知ったのは6月のおわりのことだった。冬には覚悟を決めて申し込んだ即売会だったが、数ヶ月を経る間に記憶も覚悟も当時の勢いを失っていた。 いざ当選通知をポストで発見してみると、「自分にできるのだろうか」「漫画なんか描けるのだろうか」などと不安と後悔ばかりが先に立ち、翌日顔を出した部室で千佳は加奈子にぽろりと本心を吐露したのだ。 そんな彼女を加奈子は先輩として友人として励まし力づけ、それに千佳も勇気づけられた。それまでギクシャクしていた二人の仲も、わずかではあったが近づいた日だった……千佳が加奈子にコスプレをさせられたこと以外は。 「あの会議、笹原さんも憶えてますよねー?」 加奈子が笹原の後頭部に話しかけると、彼はこの位置でも判るくらい顔を紅潮させた。 「あー!笹原先輩忘れてくださいってお願いしたじゃないですか!」 「あ、あ、ごっごめん」 真っ赤な顔で振り向いて詫びる。が、千佳の顔を見てあの日のことをさらに思い出し始めたのは明らかだった。頭の上に雲型の吹き出しが見えるようだ。 「えーと、いや、なにも憶えてないよ?ホラあの日俺は部室に顔出さなかったんじゃ……」 「荻上さんのベアトリーチェ、かわいかったですよねー?笹原さん」 「ぶ!?」 「大野先輩~っ!」 笹原先輩に見られた日。あんな恥さらし、一緒の不覚だ、そう思って忘れようとしてるのに。大野先輩のバカ。 「そんなくだらない話ばかりしてるんなら、もう帰りますからね!」 捨てゼリフを投げつけて帰ろうとする。 「荻上さん、からかったのはごめんなさい、でも一人じゃ大変ですよ」 加奈子は立ちあがろうとする千佳を呼び止めた。 「去年の笹原さんたちの話聞いてみて、人手はやっぱり必要だって思ったんです。設営や撤収なんか力仕事もあるし、トイレや食事の間スペース閉めたくないでしょう?せっかく本作るんなら、いっぱい人に見て欲しいんじゃないですか?」 中腰のまま動きを止めて、痛い所を突いてきた加奈子を睨む。 実際、一人で全てをやれなくもないとは思っていた。これまで下調べをして、当日の運営の仕方は頭には入っている。しかし、そもそもサークル参加が初体験の千佳にとっては不安材料も多く、なにより加奈子が言うとおりブースが無人になる時間が惜しかった。 先日の加奈子との話し合いで個人誌を発行する覚悟は決まった。が、どうせ出すなら一人でも多くの人に、自分の作品の出来を見て欲しいのが心情というものだ。 たった数時間の開場時間に、知名度も根回しもない自分の本の前で立ち止まってくれる人が一体どれほどいるというのか、そう思うと、これから制作する作品たちとなるべく一緒に過ごし、目前を通り過ぎる人たちに一言でも自分の漫画をアピールしてやりたいと思った。 食事は最悪、抜いたっていい。だけどトイレは?冬にも思い知ったあの熱気の中で具合が悪くなったら?不測の事態が起こったら? 「わたしたちも荻上さんが頑張ってるの、知ってますよ。だから、ちょっとでいいからお手伝い、させてください。ね?」 火のつきそうな千佳の視線をものともせず、にこにこと笑いながら加奈子が提案する。ようやく汗が引いてこちらを見ている笹原も、千佳を見つめてうなずいた。 「……わかりました。確かに人手があるに越したことはないですから!」 我ながら素直じゃないなと思いながら、根負けした風を装い椅子に座る。加奈子の笑顔が一段と輝いた。 「ありがとうございます!わたし、頑張りますね。笹原さんも頑張りましょうね」 「あ。うん、そうだね」 「いや、お礼言うの、私のほうですし。すいません。ありがとうございます」 詫びるのも感謝するのも慣れていない自分の声が、まるで棒読みのように聞こえる。それでも二人は、にこにことこちらの言葉を聞いている。イヤミでもなんでもないのは、もう解っていた。現視研の人たちというのは、こういう人種なのだ。 「じゃあじゃあ、いつにしましょうか、荻上さんちに行くの」 「え……」 「はあっ?なんで私の家なんですか!」 「いーじゃないですかぁ、リーダーの家に集まるなんて決まりみたいなもんですよ。参加要領とかいろんな資料も荻上さんちなんでしょ?持ち歩くより、自分で保管してるほうが絶対安心ですよ」 「あー。去年やった時にも入場券見当たらなくなって慌てたんだよね、ギリギリで」 「……わかりましたよ!もういいです私の家で」 「荻上さん、そこはもっと明るく『Welcome home,my dear~』って」 「英語なんか喋れません!」 「Oh,no」 「おーのーじゃねっスよ、いっくら大野先輩だからって」 「ぷっ」 笹原が吹き出した。 「?」 「どうしたんですか?笹原さん」 「あー、あ、ごめん」 慌てた様子で謝るが、笑いをこらえているのが明らかだ。 「いや、大野さんと荻上さんの掛け合い、なんかテンポよくなってきたなーって思ってさ」 「あらまあ」 「そっ……!」 まんざらでもない様子の加奈子と、条件反射的に怒り出す千佳。この対比がまた笹原のツボに入って大爆笑する。 「あっはははは!」 こんなことで笑えるなんて、就職活動でそうとう疲れてんだなァ……そんなふうに思っていると、いつのまにか隣に寄ってきた加奈子が紙片を見せた。 「荻上さん、ここだけよろしく」 「は?」 戸惑う暇も与えず千佳を引っ張って立たせ、今度はなんだと興味津々の笹原に視線を送る。 「曜湖と!」 千佳の脇腹をつつく。紙切れに書いてあった文字。『荻上さんのセリフ→』……。 「あ、あっ……鳴雪のっ」 「「げんしけんシスターズでーす!」」 「ってナニやらせんですかーっ!」 セリフを合わせるばかりかうっかりポーズまでとってしまい、慌てて抗議するものの、加奈子はどこ吹く風だ。 「ノリいいじゃないですか荻上さん。ほら笹原さんもたいそうお気に召したようですよ」 悶絶している笹原を指す。笑いすぎで声も出ないらしい。 「笹原さん笹原さん、今度は咲さんに『ミナミハルオでございます』って言ってもらうバージョン、準備しときますから」 「古いっすよ大野先輩」 「も、やめて……死んじゃうよ俺」 「ほら、笹原さん困ってるじゃないスかぁ」 笹原が楽しんでいるらしいのはありがたい。が、あまり恥さらしな真似ばかり彼の前でしたくないのも本音だった。これまでの千佳の記憶でも、笹原の前では自分はまったくいいところを出せていない。 思い起こしてみれば、1年前の夏コミ準備ではみんなが一生懸命なときに勝手に泣き出し、冬コミでは変装までしてやおい同人誌を買いこんでいるのを見つかり、先日はついに恥ずかしいコスプレまで……。 「ふざけてるんなら本当に帰りますよ!」 「あああごめんなさあい~!」 まったく、3人が集まれる日付を確認するだけのことになぜこんなに時間を食わされるのか。結局『第二回ナンタラ会議』は本題3分、雑談27分を費やして終了した。 **** 「それじゃ来週、よろしくお願いします。ご迷惑かけます」 「だから硬いですよ荻上さん、もっと楽に楽に」 いずれにしても気分がそがれた千佳は、テーブルの上の荷物を片付け始めた。今日はもう講義もないし、自宅で原稿の続きでもしよう。その前にペン先のストックが切れているし、気分転換に買い物でもしてこようか。 「あれ、荻上さん帰っちゃうんですか?」 「ええ、あとは家帰ってやります」 「それじゃ、俺も出るよ。大野さん4限あるんでしょ」 「あ、すいませえん。履歴書書き、はかどりました?」 「ご覧のとおり。ちょっと失敗しすぎちゃったよ、もう少し買ってこなきゃ」 あ。千佳の頭にセリフがまたたいた。『あ、私も生協寄るんで、一緒に行きませんか?』どうせついでだし、さっきの無愛想な態度を詫びるチャンスもあるかもしれない。 「あ……」 口を開くと同時に、笹原の携帯電話が着信を告げる。聞きなれた着メロではない、普通の呼び出し音だ。 「あ、ちょっとごめん……ハイ笹原です……あ、はいお世話になります。先日はありがとうございました」 彼が一気に緊張したのがわかる。たぶん就職の面接先だろう。これまでにも何度か同じ場面に遭遇していた。 「はい、はい……え、ホントですか?」 口調が明るくなった……いいニュースだろうか。同じように固唾を飲んで見守る加奈子と顔を見合わせる。 「ええ、はい、大丈夫ですよ。お願いします、ありがとうございます。15時半に本社ですよね、はい、行けます」 そのあともしばらく会話が続き、電話は切られた。笹原は時計を確認すると、壁にかけてあったスーツを手にする。加奈子が聞いた。 「笹原さん、いいお話ですか?」 「うん、二次面接やるから来いって。福間書房」 嬉しそうに答える。大手出版社の名前に、千佳も心が浮き立った。 「あ……おめ」 「ええー!すごいじゃないですか笹原さん!」 おずおずと発せられた千佳の声はしかし、アメリカ仕込みの加奈子の大声にかき消された。 「あ、ありがとう、でもこの先が長いからね。それにもう出なきゃ。あ、履歴書どうしよ……ここに置いておいて……いや、明日も朝から出ちゃうし……しょうがないな、持って行くか」 「……ぁ、あのうっ!」 「わっ、え、なに?」 勇気を振り絞って出した声は、今度は少々大きすぎたようだ。笹原も加奈子も、目を丸くしてこちらを見ている。 「あ、すいません……私、帰る前に生協で買い物して行こうと思ってたんですが、その」 笹原に目を合わせられない。余計なお世話じゃあるまいか。断られたらどうしよう。 「履歴書、ついでに買っておきマスよ?……それに、その書きあがった分も、笹原さんの家にお届けするくらい、なら」 言ってしまった。お節介に取られないだろうか。お節介だよなあ。 「あ……ありがとう、荻上さん。でも迷惑じゃ……」 笹原が遠慮しそうだと思ったところまでは予想通りだった。が、その声にかぶせて、加奈子の予想外の大声が響く。 「よかったじゃないですかぁ笹原さあん!」 「え?」 「笹原さん、次の会社の履歴書なんか持って歩いたら面接の気迫に欠けますよ!それになにかの拍子に面接先で見られちゃったら大マイナスじゃないですか」 「あ、なるほど」 「せっかく荻上さんがああ言ってくれてるんです。甘えない手はないですよ!」 加奈子が千佳に目配せを送る。千佳も慌てて言葉を重ねた。 「あっ、ほっ、ホントに大丈夫ですついでですから!笹原さんの家の場所も判りますし、あの、ポストにでも入れておきますから」 笹原は千佳を見つめる。そして、ほっとしたように微笑んだ。 「……ありがとう、荻上さん。それじゃ、お願いしてもいいかな」 笹原の役に立てる。それだけで、なぜかは判らないが安堵感が心に広がった。まあこれで、少しは自分のイメージを挽回できる。それだけでもいいではないか。 封筒に入れた履歴書の束と、今から買う分の代金を受け取る。三人で部室を出て、加奈子がドアに鍵をかけた。 「それじゃあ荻上さん、ごめんね、ありがとう。ポストに放り込んでおいてくれればいいから」 「はい、わかりました」 「笹原さん笹原さん。合鍵渡しちゃったらどうですか?」 「……ナニ言ってんの大野さん。それじゃ行ってくるね」 「頑張ってくださいね!ほら荻上さんも!」 「あ、頑張って……クダサイ」 スーツの上着を肩にかけて駅へ急ぐ笹原の背中に、やっとの思いで声をかける。片手を挙げて振り向き、笑ってくれた笹原に、もっと大きな声で言えたらいいのにと思った。 「荻上さん」 もう見えなくなった廊下の先をぼんやり見ていると、加奈子に声をかけられた。 「あ、はい」 「荻上さんも頑張りましょうね!」 顔中に力を込めて自分に笑いかける加奈子に、そこまで気合を入れなくても、と思う。とはいえ、この雰囲気に慣れてきている自分がいるのも確かだった。 「ありがとうございます。原稿描き、頑張りますね」 今のセリフは自然に言えた。自分としては満足だが、……なぜか加奈子の表情は微妙だった。 「……あれ?私なにか変なこと言いましたか?」 「いっいえいえ、なんでもありませんよ。じゃ、わたし講義あるんで失礼しますね」 「はい。じゃ、また」 「さよなら。……荻上さん」 きびすを返して歩き出すが、数歩で加奈子から呼びかけられた。歩きながら振り返る。 「はい?」 「頑張ってください、ね!」 「だーから頑張りますって!」 まったくおかしな人だ。原稿頑張るって言ってるでねェか。 自分の頬が熱くなっているのはあえて無視して、千佳は売店へ急ぎ足で向かった。 **** そして……そして数時間後。 千佳は現視研の名簿から書き写した笹原の住所を見つめながら、夕焼けの住宅街を歩いていた。顔には妙な疲労感が見て取れる。 「……なんだってこんなことになっちまったのか」 もう何回繰り返したか判らない呟きをもらし、ため息をつく。 つまづき始めは生協の売店だった。 文具売り場へ行くなり、学生と店員との話し声が聞こえてきたのだ。 「ええ~?おばちゃんそりゃないよォ!」 「ごめんねー、さっき来た学生さんが残ってた履歴書根こそぎ買ってっちゃって」 耳を疑い近づいた千佳に、続いて言葉が聞こえてくる。 「明日の朝イチで入るから、それ待ってね、すいません」 「もー。いいよ、コンビニ行ってくるから」 「ほんとごめんねー」 事情は飲み込めた。学内の売店はここしかなく、ようするに手近に履歴書用紙を買う場所がない、ということだった。 「(困ったな。……買っておくって言っちまったし、これで手ブラはねえよなー)」 千佳は立ち止まって考えた。 「(コンビニは……なんか間に合わせっぽくて印象良くねえな……『え?わざわざ街まで出て買ってきてくれたの?荻上さん、俺嬉しいよ(感涙)』……ちょっと行ってくっかな、どうせヒマだし)」 降ってわいたイメージアップのチャンス。それに、言いつけられた買い物くらいこなせないでどうする。モノレールで10分のターミナル駅には大きなショッピングセンターがあるし、行って帰ったって小一時間の散歩だ。 ……そう思ってたどり着いた文具店が、なんと改装工事中だった。 「(あー、あー、えーと、町ん中の文房具屋……場所も知らねしこれでまた定休日とかいうオチがついてたら目も当てられねし、そっそうだ、絶対あるトコ!)」 もうこの段階でテンパった千佳の脳には、はるばる特急に乗って新宿に出るしか選択肢がなくなっていた。途中にもターミナル駅や大きなデパートのある街もあるのだが、不運が重なってくると悪魔にでも魅入られたような気分になってしまう。 「(時間がかかるって言ったってここまで来てれば片道30分だし、ほら大きな画材屋だってあるでねェか、そーだそーだちょうど絵の具なんかも見ときたかったんだ、ええい行っちまえ)」 ……と、いったことがあって、千佳の帰還がこんな時間になってしまったのだ。 実際買物はスムースに済んだし、ペン先のほかにも以前から使ってみたかった彩色具も買うことができた。さらにせっかく新宿まで来たんだしとばかりにいろいろ他の買い物までしてしまった千佳がようやく笹原の家を探し当てたときには、もう日が暮れようとしていた。 アパートのドアをノックしてみるが返事がない。彼はまだ帰宅していないようだ。 「(まだ帰ってねェのか、まあでも余計な心配させずにすんでよかった)」 紆余曲折はあったがきっちり用事を果たせることにほっとしながら、バッグから文具店の紙袋を取り出す。ドアノブの下の郵便受けを見つめる。 「(コレだけ放り込んで帰ったら、そっけなさ過ぎるかな?手紙かなんか、つけた方がいいだろか……いやいや、頼まれたモン買って来ただけなんだから……でもなにもナシだと、迷惑してたみたいに取られるかな)」 紙袋を見つめながらまた堂々めぐりを始める。知らず知らず、思考が声に出ていた。 「電話かメールでもしとくか……『いま着きました。履歴書、ポストに入れておきますね』……用件伝えるためだけにメールすんのもなァ」 仮想メールの文面を読み上げる声が乙女モードになっているが、これも本人は気付いていない。 「……『面接お疲れさま!頼まれたものと一緒に栄養ドリンクも買ってきました。これで元気だして下さいね』いや買ってねェし……あ、でも今から買ってきて」 振り向いた千佳の目の前に、人の影。 「荻上さん?」 「ひゃあッ!」 そこには笹原が……ちょうど帰って来た彼が、目を丸くして立っていた。 「さ……」 「え、荻上さん、こんな時間にどうしたの?」 「あ……っ、あの、頼まれものを」 狼狽しながら、とにかく手に持っていた用紙を手渡す。笹原は受け取ったものの、新宿のデパートの紙袋に首をひねっている。 「え、あ、ありがとう……って、えっ生協で買うって言ってなかった?」 「それが……売り切れで」 「それでわざわざ新宿まで行ったの?」 「や、ちょ、ちょっと買い物もありましたし」 「それにしたって……」 こちらを見る笹原の目つきが『それにしたってこんな無駄なことを』と言っているようで、いたたまれなくなる。 「あっ、す……すいません、それじゃこれで」 感情が爆発しそうになるのを感じて、笹原の脇をすり抜けようとする。と、笹原がその手を掴んだ。 「荻上さん、待って!」 「は……っ」 「あ……びっくりした?ごめん」 よほど驚いた表情をしてしまったのか、手を離して詫びる。 「……荻上さん、とんだ手間かけさせちゃったね。ごめんね、ありがとう」 「いっいえ……さっきも言ったとおり、ついでですから」 「あの……せっかくだし、お茶でも飲んでく?」 「……え?えええ?」 「あ、あー、いや、きたない部屋だけどまあ掃除くらいしてるし、その……なんだ、お礼……ってほどにもなんないか、えーっと」 目の前の人物が動揺しているのを見て、千佳はようやく我に返ることができた。 「あ、あの、ありがとうございます。でも今日は帰ります。笹原さん、お疲れだと思いますし、明日も朝から面接ですよね」 「え……あ、うん」 「お使い、こんな時間になってかえってご迷惑おかけしました。でも、また何かあったら気にせず言ってください。それじゃ失礼します」 一気に喋って、くるりと体を回転させて歩きだす。今度は笹原は引き止めなかった。 「……あのっ」 その代わりに、こう話し掛けてきた。 「来週、打ち合わせ、よろしくね。楽しみにしてるから」 千佳は体をわずかに回し、顔を彼に向ける。笑えればいいのに、と思うが、今の自分には無理そうだ。 「はい、よろしくお願いします……私も」 せめて、できるだけ普通の顔をして、彼に答える。 「私も、楽しみですから」 「うん。じゃあね」 「はい、おやすみなさい」 彼の視線を感じながらアパートを出て、自宅に向かって歩きだす。笹原のアパートは通路の蛍光灯も暗く、これなら赤くほてった顔は彼に知られずにすんだだろう。 『楽しみにしてるから』笹原の言葉が脳内にリフレインする。とっさに握ってきた手の温もりを思いだす。どうしたことかそれに重なって、加奈子の『頑張って下さいね』という言葉も浮かんできた。 一心不乱に歩く耳に、ようやく笹原が部屋に入る音が聞こえた。充分タイミングを測って、立ち止まり、振り返る。 遠くに見えるアパートのドア。あの奥に、笹原さんがいる。今日は、ちょっとは役に立てたろうか。 ふと、さっきの自分を思い返す。笑顔こそ見せられなかったが、一生懸命、自然な会話をしようとした自分。うん、あの自分は悪くなかったんじゃないかな。けっこういいんじゃないだろうか。あれなら、……ええと、そう、信頼できる後輩。信頼される後輩になれてると思う。 「……あ。あれ?」 ふと気付いて頬に手を当てる。緊張のせいかなんのせいか顔が赤くなっているのは感じていたが、……あれ。笑ってる。 「ふ……ふふっ。うはー、なんだコレ。うふふっ」 頬の筋肉がひきつれて戻らない。えーと、そか、おつかい無事に終えて安心してんだな、私。 笑いかけてくれた笹原の顔が脳内によみがえる。かつて、落書きノートに描いたみたいな強気の、包み込むような笑顔を見せる彼。 ああ、私は笹原さんのことを……ええっと……うん、『尊敬』、してんだなァ。 家路をたどるステップも軽い。大荷物の重さも感じない。時々軽くスキップしているのも、本人は気付いていない。 この先、まだまだ暑くなる初夏の夜を、千佳は踊るような足どりで帰っていった。 おわり
https://w.atwiki.jp/lightnovelcharacters/pages/263.html
ここは学園近くの喫茶店。 「1230円」 机に並べられた千円札一枚、百円玉一枚、五十円玉一枚、十円玉八枚を前に、菊名隆生はうなっていた。 これが彼の全財産である。 退魔師を辞めて、まともな職に就こうとしたが、学歴や資格がないので上手くいっていないのである。 そんな彼に、 「まったく、駄目なやつだねぇ」や「自衛隊に入って国のために戦ったらどうだ若人よ」 などと言ってくるのは、理由あって彼に憑いてる幽霊たちである。 「だぁー、うるせいぞ、お前ら」と怒鳴って隆生は後悔した。 彼以外には幽霊は見えていないにのだ。 見えるようにも出来るのだが、突然大勢の人間が姿を現しても騒ぎになるのでやめておく。 と、その時、掲示板に張ってある一枚のチラシが隆生の目にとまった。 【ラノベ学園公務員募集。経験不問、霊能力者優遇、再生能力等の保有者には 追加給金あり】 この条件は、隆生にとってぴったりと当てはまるものだった。 彼は、現に幽霊憑きの霊能力者であり、更には創造神と同等の力を持っているので、 再生も出来ないことはない。 はっきりいって、おいしすぎて胡散臭い話ではあるが、この際贅沢は言ってられない。 彼は、チラシの内容をメモすると履歴書片手にラノベ学園に向かっていった。 CAST 月と闇の戦記 菊名隆生
https://w.atwiki.jp/kingsviking/pages/9.html
表紙 カバー下に是枝の履歴書 P.7 是枝の初仕事成功祝いの焼肉屋? P.16 256が着ている体操服 「2-1」は高校中退で必要なくなったもの? P.68 坂井がポールボキューズではネクタイを替えている P.102 坂井の眼鏡についての公式回答 https //twitter.com/sakaiin/status/385069019327246337 P.114 タトゥーの文字「you only live once」意味は「人生は一度きり/一度きりの人生」 映画のタイトルや曲名にもなっている P.133 裕助の服が PINK FLOYD のTシャツ P.140 「武器商人」の家が、映画「ソーシャル・ネットワーク」に出ている P.141 ニーチェの「人間的な、あまりにも人間的な」の一節 「あらゆる人間は、いかなる時代におけるのと同じく、現在でも奴隷と自由人に分かれる。自分の一日の三分の二を自己のために持っていない者は奴隷である。」より P.143 ヘッジホッグ社員のフルネーム P.146 0 と 1 の羅列をアルファベットに変換すると「Schrodinger」になる P.171 ヘッジホッグの壁掛け時計 ジョージネルソン サンバーストクロック P.188 「deadbeef」は16進数の表記に使用されるアルファベット「A~F」で表現される文のひとつ Google社の入社問題にも使われた