約 813,614 件
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/1087.html
ポーンと幻想入り 動画リンク コメント・レビュー ポーンと幻想入り 何人目の幻想入りか 作者 ひとこと 主人公 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー た、ただいま鋭意執筆中です・・・ 夏期休暇中にはなんとか上がるかと思います -- (なおふぃ) 2008-07-04 21 38 14 645番さん -- (名無しさん) 2008-09-08 03 45 00 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1813.html
人として終わりを迎えること、それは死ぬこと。 遅かれ早かれ寿命で亡くなることもあれば、他の要因で死ぬこともある。 生まれてから死ぬまで、それが人間の一生であり、始まりから終わりまでそのものだ。 歴史に足跡を残すか、人を残すか、知識を残すか、形となったものを残すか、それとも何も残さないかは人それぞれでもある。 必ず訪れる"死"という現実が来るまでに何が出来るか、時間との勝負だ。死んだら何もかも終わりなのだ。 でも、その続きがあるなんて俺は思いもしなかった。 それが幸福か不幸かなんて分からないし、そんなものは人の価値観によって変わることだ。 ただ、俺にとっては続きがあることで中途半端にしていたことを投げ出せられなくなった、ということは確かだった。 殆ど忘れかけているけれど、"決着をつけなさい"という閻魔様の有難いお言葉は、今も耳に残っている。 「今日もここにいたのかい?」 俺を呼んだであろう声に反応し、視線を上にあげて見れば、赤い髪をツインテールにした女性の姿が見える。 長いスカートの着物、腰巻、そしてサービスのために持っているという大鎌。 髪と同じ色をした赤い瞳は、じっとこちらを見つめている。こちらも少し見つめ返すと、彼女は笑って見せた。 陽気でお喋りな彼女らしい、明るい笑顔を見せられて少し口元が笑う。 彼女の種族にしては似つかわしくない、かなりちぐはぐではあるとは思ってはいるが、今では暗い顔を見ると違和感を覚えるようになった。 今までの俺が持っていた固定概念、真逆のイメージをこれでもかってくらいに叩きつけられたからだろう。 ―――――――――俺としては、この方が好きだけれど。 「ああ。そういう小町こそ、こんな場所に何か用か?」 何もない河原、珍しいものなんて探しても見つかりそうもない場所。 上流から流れる水の音、風が草を揺らす音、それはどれも安らぎを与えるにはいい音だ。そんな場所で寝転んででもみたらどうだろう。 小町がサボるのも仕方ない気もする、自然とそんな考えが浮かぶのは仕方のないことか。ただ、決して褒められることではない。 こうやってここに来たのも、またそうやって"決して褒められることではない"をしに来たのでは?ということが思い浮かんだ。 聞くだけ無駄な気もしたけれど、一応用件を訊ねてみることにした。 「いやー、休憩に来たのさ。ここは休むにはいい場所だからね」 「確かにな」 予想通り。――――――――その休憩は自主的なものか、公的なものかはともかく。 またサボりか、そう聞くのももう面倒くさい。何度も聞いては頷いたことは数知れず。頷かなかったことは数えるほど。 そしてその度に閻魔様にズリズリと子供のように引きずられていき、『助けておくれよ』という声がフェードアウトしていくのだ。 これも最初は驚いたもんだけれど、今じゃ見向きもしない。ごくごく起こる当たり前の事態。 今日も同じ。小野塚小町は河原にやってくるのだ。そして、当たり前のように俺の横に転がるのだ。 「…………それ以外にも理由はあるんだけどね」 「――――――幽霊が喋ってくれないから話し相手が欲しかった………どうだ?」 「はは、やっぱりバレちゃってたか」 やけに神妙にここに来た理由を話す小町。"まさか"という期待と"そうであったらいいな"という想いをスルーして答える。 嘘かもしれない、と思っていても反応してしまうのは仕方ない。そんな声で、そんな顔で言われたら考えてしまうのだ。 馬鹿だなぁと思いつつも、また同じことを言われたら同じように考えてしまうのだろうと、そんなことを考えた。 全く違う回答を出した結果、小町から正解を頂いた。 嬉しいような悲しいような、なんともいえないそんな気分だった。悪気なく笑う小町を見る限り、その言葉の通りなのだと思う。 期待するだけ無駄だと分かっていても、それでもあるんじゃないかと思ってしまうのは、なんとも諦めの悪いことだ。 一度ないものだと思ったはずなのに、それでもどこかで考えてしまうのは歯切れの悪いことだ。 「いつでも話を聞いてくれるのは、あんたくらいしかいないからね」 「それは実に光栄だな」 「あはは……………幽霊相手に一方的に喋っていても反応ないから寂しくてねぇ」 少なくとも俺に会いに来た、ということは間違っていないらしい。自分の予想は外れたものだと思っていたのだが。 正直なところを言えば、そう言われて嬉しい。わざわざここまで来た訳の一つに自分が入っているのだ。 話し上手で場を盛り上げられる存在であり、いると楽しくなると重宝され、死者の中でも人気は高い。 そんな誰からも求められる奴が、自分を求めているというのはなんともくすぐったい。 「他に話を聞いてくれる奴はいないのか?」 「いないねぇ、あんただけさ。こうやって喋っている時が一番楽しいよ」 「………そりゃよかった」 小町も楽しいらしい。ならそれでよかった。 あんまり話すことは得意じゃないけれど、相槌を打ったり意見を言い合ったりは出来る。その程度だけれど、小町はそれで満足だという。 話好きだから、話題は次から次へと飛び交う。時にはマシンガンというかガトリングのように打ち出されることだってある。 その度に答えては、また言い合いをして話を続けていく。そんなことの繰り返しをしてきたのだ。 何も返さないそんな反応とは違う俺が嬉しいのか、だからきっとお喋りを止められないんだろう。 例え仕事をサボってでも、閻魔様に怒られたとしても、自分の目的を果たすために小町はここに来る。きっとそうなのだ。 「――――――それで、何か面白い話でもあるのか?」 「いいのがあるよ、とっておきのやつが」 「へぇ…………ぜひ聞かしてもらいたいものだな」 そう告げると小町は待ってましたと言わんばかりに笑う。つられて俺も笑う。 お喋りな彼女は語るために口を開く。面白い話を俺に伝えるために、二人で共有するために。 今日はどんな話を聞かせてくれるのやら、と考えながら彼女の話を聞くために、俺は耳を傾けた。 「―――――――――――――というわけさ」 「ふぅん、見事外堀を埋められたのか。くっつくのも時間の問題か?」 「だねぇ。あくまで噂の域は出ないけれど、仲睦まじく手を繋いでいるところもあたいも見ているからね」 妖怪の彼女を好きになった大馬鹿野郎が、種族の壁を乗り越えて突っ走った。自分の意志を貫き通した。 結果、相思相愛になった。周りもそうだと認識して、皆がそうだと囃し立てるまでに至るということらしい。 一世一代の博打。勝率の極めて低い賭けに見事勝利した二人。実に見事だと感心せざるを得ない。 これまでに前例がなかったわけじゃない。これが始めてってわけじゃない。 人と妖怪が恋をする。…………その結末の大半は悲しい結果ばかりになっていた。 お互いは争い、恐れ、倒し倒される関係。見た目こそ差はないかもしれないけれど、その中身は決定的に違い過ぎている。 だからこそ、互いに相容れることなく思いは切なくすれ違っていく。一瞬の夢だったのだと涙を流しながら。 「そのまま上手く行って欲しいもんだな」 「全く。こっちもやきもきするから早くして欲しいと願っているよ」 夢は所詮夢なのか。でも夢は叶えてこそだ。希望があるから夢を見て生きていけるのだ。 苦難を乗り越えて欲しいと願う。数々の倒れていった奴らのためにも。 諦めかけている奴らの夢を見せてほしい。その二人は希望の光にもなりえるのだから。 「あたいもさ、見ていたらちょっと当てられたよ。いいなぁって」 「憧れたか?」 「そうかもしれないね。―――――――いつか一緒に手をつないで歩きたい………そうなりたいって願ったよ」 羨ましそうな顔でそう告げる小町は、恋する少女のように見えた気がした。 女性にしては背も高く、プロポーションもいい。そんな小町は時々、大人の女性から少女の顔をすることがある。 見た目は大人の女性にも関わらず、時々見せる少女のあどけなさは非常にアンバランスだ。でもそれが魅力でもある。 それを可愛いと思うのは、俺がそういうことが好きだからってこともあるけれど、一番間近で見たからというのが理由だ。 隣という特等席で体感できるのだ。姿を、声を、仕草を見てみろ。心が揺るがない訳がない。 そして、一つの湧き上がる悪戯心。目的はただ一つ。止めるつもりは毛頭ない。 「じゃあやってみるか?」 「―――――――――――っ!いやいや、何を言っているんだい!?」 俺が考えていた認識の通り、俺の提案に顔を赤くする小町。実にからかい甲斐のある反応をしてくれる。 必死になってこっちを向いて反論するが、その顔は期待しているような、恥ずかしそうな顔をしていた。 少なくともその顔に抵抗や嫌悪といった表情は見られない。そんないっぱいっぱいな反応は俺ならいいというサインだろうか。 だとしたら俺も嬉しいと思う。…………………悪戯心だとしても、それは嘘ではない。 「じょ、冗談にしてももう少し優しくしておくれよ…………」 「嫌か?」 「い、嫌じゃないけどさぁ……………心の準備ってものがあるだろう?」 こっちを見ては目線を逸らし、何でもないかのように誤魔化す姿は実にいじらしい。 普段見せる江戸っ子気質とのギャップ。一言でこうもあっさりと切り替わる辺りが俺を掴んで離さない。 陽気でお喋りないつもは俺をぐいぐいと引っ張るくせに、今はこうやって俺とまともに目すら合わせられないんだ。 いつもの姿もいいけれど、こうやって見せる違う姿もいいものだ。 「繋ぎたいと言ったのは小町だろ、俺じゃ不満か?」 「ふ、不満なわけないって!」 「じゃあ、はい。手を出してくれ」 「………………」 いつまでもこうやって遊んでいてもいいけど、それじゃあいつになったら始まるのか分からない。 だから無理矢理にでも手を差し出させて俺の手と重ねる。その手をゆっくりと握ってみせる。 おずおずと握り返される手、怯えるようにしながらも一つ一つ確かめるように指がゆっくりと俺の手に添えられていく。 終わった後になって小町を見てみれば、未だ顔を赤くしながらも凄く嬉しそうな顔をしていた。 「……………いいものだね、手を繋ぐってのは」 「お気に召して何よりだ」 「―――――――あんただからかな?」 「……………………そんなこと、俺が知るわけないだろ」 今度は俺が反撃される番だった。 今更大人になってから手を繋いだ程度で、こんなことになるなんて思いもしなかった。 でも俺は嬉しい。些細なこと、ごくごくありふれたことなのかもしれないけれど、俺にとってその価値は付けられない。 しかしこれで終わりじゃない、まだやるべきことはあるんだ。本来の目的ための通過点に過ぎない。 だから、それを果たすために次の行動へと移ろうとする。けれど、その前に小町が口を開いた。 「よし、じゃあ歩くよ。こうなったら最後までやるから覚悟しな」 さんざん迷っていたくせに、結局終わらせる気はないみたいだ。単純に踏ん切りがつかなかっただけか。 そんな乗り気な小町は、いつもみたいに俺をぐいぐいと引っ張るのだ。そう、これが普段通り。 勝ち気な顔をしているけれど、少し前はあんなに慌てていたくせしてこの変わりようだ。 そんな小町に負けないように、俺もはっきりと返して見せる。俺もそうなのだと。 「…………当たり前だ。そのために提案したんだ」 「…………そうかい、じゃあ行くよ」 河原から立ち上がってゆっくりと歩き出す。目的地は知らない、そんなものは分からない。 擬似的なもので、それは子供のおままごと、ただの遊び、ちょっとしたお芝居みたいなものかもしれない。 けれど今は、隣にいる小町のことを思いたい。―――――――――それは嘘でも冗談でもない。 見知らぬあの二人のようにからかわれるのかもしれないけれど、俺はそれでもよかった。 「本当に、恋人になったみたいだよ」 こっちを向いて笑う小町を見て、そう思うから。 「――――――――以上です」 「そうですか。………では今日はもう上がってください。お疲れ様でした」 閻魔様へ書類を提出。書かれていないことについては補足説明をした。いくつか質問も出たが、全て答えきって見せた。 納得したのかそれ以上追及してこなかった、そして今日の業務を終了してもよいと言ってきた。 お勤めが終わる、明日まではとりあえず自由になったという解放感。意気揚々と部屋を出ていきたいがそれを表に出さないように努めた。 目の前の机に積み上げられた書類の山。それを見る限りでは閻魔様の仕事はまだまだあるのだろう。 もしそうだとしたら、目の前で喜ぶことはあまり良いことではない。目上の機嫌を損ねる無用な事態は避けるべきだ。 自らサボっては、その度に怒らせて強制送還させられるあの死神から学んだことでもある。 「はい、それではお先に上がらせていただきます」 一礼してその場を立ち去る。それが普段通りであって、数えることも忘れたくらいに繰り返した所作。 もはや自然と口から出る言葉、勝手に動く体。意識することなくそうなることにも疑問にさえ思わない。 手慣れたものだと実感しながらも、特別何か考えることもない。どうせこれからも続くのだ。 閻魔様の机から扉までの短い距離。もう手に扉をかけて開こうとしたその時、後ろから呼び止める声が響いた。 「ああそれと、小町があなたを待っているそうですよ」 「…………そうですか、教えて頂きありがとうございます」 振り返って閻魔様に答え返す。どうやら小町が閻魔様の元にまで来て俺を探しに来たようだ。 先に上がったのだろうか。ここに来る途中に会わなかったことを考えると、すれ違いになったのかもしれない。 わざわざ伝言まで残していなくなるってことはないだろう、多分何処かにいるはずだ。 あまり待たせるものではない、そうと決まれば小町を探しに行こう。 「どこに行ったか聞かないのですか?」 「見当はついているのでご心配なく」 「…………そうですね、小町の行く先には大体あなたがいますから」 頭の中に浮かぶ幾つかの選択肢、それを適当に優先順位をつけていく。そんな巡回ルートを一瞬で考えつく。 小町が行きそうな場所、行った場所、好きな場所、よく通る場所がすぐリストアップされた。 どれもこれも知った場所だし、何度も行ったことがある場所だ。 連れて行かれて、あるいは連れて行って。向こうから来たこともあるし、こっちがやって来たこともある。 何処だろうとふらっと現れる小町は、いきなり現れてももう驚くこともない。 どうせまたひょっこり現れたりするのだ、遭遇率は限りなく高いし、お喋りの相手を求めて勝手に向こうから来るだろう。 そんな予想は外れることはない。閻魔様の言葉のままなのだ。 「おかげで以前よりは小町を見つけやすくなりました。これもあなたのおかげでもありますね」 「……………いいんですか、問題の解決にはなっていない気がしますが」 そしてセットで閻魔様も後からやってくるのだ。もちろんその表情はお怒りである。 いつも手にしている悔悟棒で小町をペシペシと叩いてお説教、当然如く正座である。 長い長いお説教のあとは、問答無用で仕事場へと戻される。拒否権は認められない。 俺はずっとそれを見続け、最後まで見送るのだ。その度に薄情者だとか見捨てないでとか言われるけど無視。 介入すれば間違いなく俺も同じく正座させられるのだ、ご勘弁願いたい。 しかしそれを毎度毎度行う閻魔様も大変だ。説教好きだとはいえ大変だろう。 散々サボりまくる小町をそれでも見捨てないのは、小町自身が有能でもあるってことも理由の一つだが。 どこかで二人は信頼しているのかもしれない、それ故に目に余る小町にあれこれと手をかけるのか。 もちろんそれだけって訳じゃないだろうが、単なる上司と部下という関係とは違う気がする。 「根本的な解決には至りませんが、それでも充分なのです」 「……………そうですか」 とはいえサボる小町に閻魔様も手を焼いていた所、現れた俺が小町を見つける旗印になった。 俺の行動範囲は広いわけじゃない、そこに集まるもんだから以前より探すのが楽になったということか。それは確かである。 とはいえども、負担が減ったというだけにすぎないのもまた確かだ。 「そう簡単に変わるものではないですから、徐々に変わってくれればいいのですよ」 説得力のあるお言葉で締めくくる閻魔様。慈悲の心が見えるその姿は、今だけは閻魔の顔ではなかった。 でもそれと同時に無言で何かを言われたような気もした。期待されているような気がした。 それは小町だけじゃなくて、俺に向けられた言葉なのだと感じた。 あの日告げられた言葉を思い出す。頭から消えないその言葉は、今だって何度でも再生できる。 焼き付いたが故に分かることなのか。それは早くしろとせかされているようだった。 ―――――――――――――――――――――"決着をつけなさい、それがあなたの使命です" その前後を殆ど覚えていないのに、どうしてかその言葉だけはやけにはっきりと聞こえた。 「そうですね、いつか変わる日が来ることを願いますよ。では失礼します」 「ええ、小町に会えるといいですね」 今はまだ答えられないと、その言葉を受け取らないで部屋を去る。 それは逃げでもある、卑怯者のやることでもある。でもそうせざるを得ないんだ。その選択肢を選ばざるを得ないんだ。 俺は、その決着の意味さえ分からないんだから。 「おーい、こっちだよー!」 聞こえた声の方向に首を回して見れば、元気よく手を振る小町の姿が見える。 そっちに体を向く間、目を瞬いた後、少し遠くにあったはずの小町は目の前にいた。まるで縮地法やテレポートのようなものだ。 三途の川の船頭である彼女が用いる能力で、こうやって一気に近づいてくることは多い。 きっと、俺との距離もこうやって縮めて俺のところまで来ているのだろう。 全くそれを離そうとしないのは、小町に俺が気に入られているからというのに間違いはない。 でなければ、ああも偶然を装って会うわけがないのだ。都合よく見つかったりもしない。 けれどそれは本当かどうか、それは小町だけが知っている。他に知る術は無い。 そして、そんな心の内を知らない小町と俺は並んで歩き出す。いつものように二人で。 どちらかが遅れて歩き出すなんてことはない。そんな確認を取ることもない。 「やっと見つかったよ、何していたんだい?」 「閻魔様に書類の提出と報告をしていた」 「四季様にかい?」 「ついでに小町についてお小言をいくつか貰った」 「ありゃ、そりゃ災難だね」 間違いなく自分の所為にもかかわらず全く悪気を見せない。ちょっとした皮肉を込めたのにまるで意に介さないようだ。 少しだけ、閻魔様の気持ちが分かった気がする。多分この場にいたら、はぁとため息を漏らして頭を抱えるのだろう。 そんな小町を変えて見せろ、なんて簡単な話ではないと思うが。一体どれだけの骨を折れば辿りつけるのか。 全身粉砕骨折くらいならいけるか?なんて思ったが、そもそも人間じゃないので無理だった。 「サボるな、だとさ」 「難しいねぇ、そう思っていても自然と楽な方へと体が動いちまうのさ」 「分からなくもないが、あまり褒められたことじゃないな」 「四季様みたいなこと言わないでおくれよ」 とはいえども、何かしら言いたくなるのだ。無理だと分かっていてもだ。 そんな言葉にちょっとヘソを曲げて不機嫌になりかねない小町を見て、最後に一言だけ言って終わらせることにした。 いつも思っていたこと、たまりにたまった不満、全部その言葉にまとめた。 「俺としては、勝手にいなくなられるのは困るな。―――――あまり邪魔されたくない」 「………………」 話の腰を折られるのもそうだけれど、喋っている途中で帰られると虚しくなる。 サボってまで会いに来てくれたのは嬉しいが、ほぼ毎回のように唐突にいなくなると気分は良くない。 もちろん閻魔様は正当な理由があって来ているのは分かる、でも俺は楽しみにしている所を壊されたくはないんだ。 絶対にそんなことを言わないし、表にも出さない。どちらが悪いかはもう分かり切っていることだ。 だとしても、俺はその悪いことを続けたいと願っている。終わって欲しくないと思っている。 「……………それは、さ。あたいとのお喋りが楽しいってことかい?」 期待されているような目。それが俺に突き刺さる。言葉にしなくても伝わるモノがある。 無視は出来ない。都合よく逸らすことも、分からないフリも出来ない。 何より俺が願っていることを当てられて、何でもないように振る舞うことは出来ない。 嘘だなんて言いたくないんだ、否定することは全く考えてなんかいない。 本当の気持ちを秘密にするのは、今だけは無しだ。 「小町も言っただろう、お喋りしているときが一番楽しいって。………………俺も同じなんだ」 「…………………そう思ってくれているなんて嬉しいよ」 俺の隣で、少しはにかみながら笑顔でそう答える小町。ちょっと躊躇いもあったけれど、しっかり答えてよかった。 紛れもない本心を、誰かに曝け出すなんてことは滅多にしない。例えどんな奴でも、簡単に心を開け渡すことはしない。 でも伝えなければいけないこともある、ならしっかりと伝えなければいけない。後悔はしたくないんだ。 煙に巻いたり、変に捻じ曲げたり、嘘をついたり、思ってもいないことを言ったりはしない。 例え傷つこうとも、出しそびれてしまうくらいならそっちがいい。 ほら、今だってちゃんと言ったからこそ、いいものが見れたじゃないか。 「………………よし。あたい、決めたよ」 まるで俺に宣言するように答える小町。 覚悟を決めたような何か。決意した何か。本気になった小野塚小町が目の前にいる。 その言葉の意味はそれだけでは分からない。勝手に納得されて決められてもこっちは困るばかりだ。 「何をだ?」 「なんでもないよ――――――――――さあ、今日はどこへ行こうか?」 「…………そうだな、屋台で」 問いかけても答えようとはしなかった。とはいえども答える気がないのなら聞いても仕方ない。 それよりも小町が俺を探していた理由、一緒に飯を食いに行くという目的を果たすことの方が今は大事だ。 美味しいモノを食べながら、また長々とお喋りが始まって、くだらないけど楽しい時間が続くんだ。 目の前にそれが待っていると知れば、自然とそちらの方に傾いていく。そして何と比べていたのかを忘れていく。 そもそも何を考えていたのかさえ思い出せなくなっていく、所詮その程度だ。 「いいねぇ、じゃあ鰻でも食べに行くかい?」 「おう、それじゃあ行くとしますか」 これから起こることに比べれば、そんなもの全部放り投げてしまっても構わない。 ……………ああなるほど、小町の気持ちが分かった気がする。サボりたくなる理由も納得がいく。 しかしそれを奨励する気にはならない。そんなことをしてみろ、すぐに閻魔様が飛んできて説教のフルコースだ。 ちゃんと仕事して、休んでもいいときに休めばいい。簡単で当たり前のことだけど、案外難しい。 いつになったら小町のサボり癖は治るのか、いつになるのか教えてほしいもんだ。 けれど、今はこの時を楽しもうか。今日のやるべきことは終わった、明日まで存分に遊びつくすことが出来る。 小町と一緒にやりたいことを制覇していく。スタンプラリーでもなければコレクターでもないけれど、気が付いたらそうなる。 そして次は何をしよう?笑って俺にそう訪ねてくるその顔は、止めるつもりなど微塵もないと伝えてくるのだ。 ――――――――さあ、屋台巡りの時間だ。 「新しいメニューが出来たんだとさ、頼んでみるかい?」 「ほう、それは楽しみだ」 向かうべき先は決まった。 行こう、小町と二人で。楽しいことはすぐそこにある。 あの日…………閻魔様から小町についての現状を聞いた次の日から、最近小町を見かけなくなった。 偶々そういう日だったのだ、来ない日もある。サボる前に閻魔様に見つかって折檻されているのだろうか? だとしても、こうも来ない日ばかりが続くのは珍しい。何日か会わない日がなかったわけじゃないけど、それは何度もあるわけじゃない。 必ず来るという保証はどこにもない、けれど全く来ないというのもまた不思議でもある。 小町と出会う前は、こうして一人で何かを考えながらぼーっとすることが多かった。 頭の中を空にして、俺を取り巻く何もかもを今は忘れ、張った肩肘をほぐすようなことをしていたんだ。 そこに突然死神がやってきて、お喋りな彼女は俺に話しかけてきたんだっけ。 今思えば懐かしい。ずっとずっと遠い昔の話、まだ小町とは敬語で話していた頃のこと。 辿って来た足跡、過去を振り返ってみれば、どこかかしこに小町がいる。まるで腐れ縁だなとそんなことを思う。 「………………一蓮托生か」 実際のところ、向こうがどう思っているのかなんて分からない。同じことを思っているのか、思っていないのかは知らない。 同僚、死神同士の友人、話し相手、一緒に食事に行く間柄とその役割は様々だ。多種多様でその範囲は非常に幅広い。 それが無くなるということは、基本的に一人で何かするということが増えるということだ。 今もこうして一人。ただ空を見上げているだけで時間は過ぎ去っていく。 手の届かないずっと遠い向こう側、青々とした景色に浮かぶ雲のように、ゆっくりと流れていくのだ。 「―――――――――――――――」 そう、それは俺の意識も同じ。ふわふわとどこかへと消えていくように。 瞼を閉じてぼーっとすれば、力が抜けていく―――――――――――――――――― 「―――――――そうか、なら戻って来ないとな」 「………必ずだよ、死神になって……帰ってくるんだよ」 「また会おう、小町」 「……………うん」 「――――――――――――――起きたのかい?」 目を開くと、姿を中々現わさなかった奴が目の前にいた。 未だ晴れ渡る空の景色をバックにして、小町は俺の顔を覗き込んでいる。赤い瞳はこっちを見つめたまま、動くことはなかった。 肉食動物が獲物を捕捉したような目じゃなくて、それは何か大事なものを見つめる優しい目をしていた。 一言で表すならば、慈愛。死神という肩書きから考えると実におかしなことでもある。 甘い囁きと共に冷酷に振るわれる鎌というシチュエーションならまだ分かるが、残念ながら………でもなく今は違う。 小野塚小町は一般的に認知されている死神のイメージとは違う、こういう死神なのだ。 もう何度知ったか分からないことを、もう一度思い知る。 「ああ。おはよう、小町」 「おはよう。…………あんまりいい夢じゃなかったのかい、顔がしかめっ面になってるよ?」 寝顔を見られていたらしい。なんとも恥ずかしい話だ。それが例え知る間柄であっても、無防備な姿は見せたくないものだ。 みっともない姿を見られたくないということもあるが、寝ている間に何をしでかすか覚えのないことはしたくない。 一度だけ、寝ているときに俺の寝言を聞いていた小町が問いかけてきたことがある。 その時は不思議そうな顔をして、『突然、嘘を言うなっ!って言ってたけど、誰かと言い争っていたのかい?』と聞かれた。 何処かで聞いたフレーズでも思い出したのだろう、と適当に返しておいたが、その後も度々寝言を聞かれることがある。 その都度に問いかけられるが、覚えてないのでどうしようもない。小町は面白がっているが、こっちは恥ずかしいのだ。 今日もそんなことがあるのかと思うと、ちょっと考えが頭にも浮かんだりはする。 ……………そして、それは顔にも出るということである。 「いや、何を見ていたのかは覚えてない。忘れたよ――――――――――それよりも小町、一つ聞いていいか?」 「なんだい?」 「やけに近くないか?そして俺は枕を使った覚えはないんだが」 いつもはもう少し向こうに見えているはずの顔が、今日はなんだか近い。決して寝ぼけているからとか、目が悪いからとかではない。 ズームレンズの倍率を上げたような、いつもと同じだけど全く違う。それが今の見える景色だ。 そして、俺の後頭部にある柔らかい何か。ぐにぐにとしていながらも弾力のあるそれは、俺のいつも使っている枕とは違う。 ずっとずっと遠い昔、覚えていないのにこの感触を俺は知っている。これは何だ。どこで売っている? 疑問に思う俺を見てか、ニヤニヤとしながら小町は口を開く。 「そいつはね、あたいが膝枕をしているからさ」 …………………………………………なるほど、そうか膝枕か。 道理でこんなにも距離が近いのか、そしてこんなにも柔らかいのか。それならば全部説明がつく。 ―――――――――――――――――――――いや待て、それはおかしい。どうしてそうなった? 「………………は?――――――――――――どういうことだ意味が分からないぞ説明しろ小町」 「あたいが、あんたのために膝枕してあげたんだよ。どうだい?」 「…………そりゃいいけど」 「気にいってくれて何よりだよ、あんたの寝顔もばっちり見たからね」 勝手に満足されても、こっちは意味不明だ。 誰か説明してくれと頼みたいところだけど、説明してくれるのは多分目の前にいる奴だけだ。しかし説明はしてくれない、どうしたものか。 混乱する俺を見てか、小町は俺の顔に手を添えてきた。 「驚かせちまって悪いね、ちょいと悪戯したくなったのさ」 「……………………そうか」 「期待通りの反応をありがとう、これだからあんたは面白いねぇ」 俺は小町の玩具か?という考えが浮かぶが、こうしてしてやられていた以上玩具にされているのは事実だ。 だがここでよく考えてみよう、今の状況は小町に膝枕されているのだ。 その理由が俺をからかうためとはいえ、役得と言わざるを得ない。大事なのは今こうしてある現実だ。 こんな機会はめったにない。次がいつになるか分からないこんな千載一遇のチャンスをみすみす見逃すわけがない。 問い詰めることも止めることもしない。そんなことでこれを失うにはあまりにも馬鹿げているから。 「……………寝ているあんた見ていたら、あたいは頑張っているのにと八つ当たりしたくなっちまったのさ」 「八つ当たり?」 「……………そうさ、あたいは前みたいにサボらないで働いていんのさ。なのに呑気に寝ている姿を見ていたら、体が動いちまったよ」 わざわざその理由を聞くまいとしていたのに、向こうから理由を伝えてきた。 ちょっと反省したような仕草を見せるもんだから、八つ当たりだったと知らされても怒る気にはならなかった。 ……………元々怒るつもりもなかったというのが本音ではあるが。 ついでに今、小町はさらりと言って述べたけれど、俺にとってはかなり重要なことを知らされた。 「サボらないで働いているのか」 「……………あたいはこれから真面目に頑張るんだよ」 過去を振り返って、そして今になってそんな言葉を聞いて本気に出来るほど、信じるにはあまりにも値しない。 そんな言葉を閻魔様が聞いたら嘘でも涙を流すかもしれない。ある意味性質の悪い冗談だ。 幻想郷中に広まっている小町に対する評価。初対面の奴だろうと"仕事をしないことで有名"とまで言われるくらいだ。 誰しもがそうなのだと認識しているモノは、そう簡単に覆りはしない。 しかし、それが本当ならば来なかった理由も全部説明がつく。 俺の来る場所に小町が来なかったのは、休憩と称してサボりにやって来なかったのは、きちんと業務を果たしていたから。 では、何故そうなった?次がそういう考えに行きつくのは、当然の帰結と言っていい。 「どうして急に、サボらないで頑張ろうって思ったんだ?」 「…………………四季様もいい加減にしろって思っているだろうからね、ちょっとはあたいだってやれるとこ見せておきたいのさ」 「………………………」 嘘だ。その理由を告げることを躊躇うかのように視線を逸らした後、告げられた言葉は今考えたようなものだった。 気になる。非常に気になる。小町を変えたのは何だ? 秘密にしなくていけないのは何だ? そこまで隠す必要のあるものとは? 分からないという意味と、どうしてという意味を込めて小町を見つめる。しかし、小町は相変わらず目を合わせる気はないようだ。 露骨に知らない振りをする小町の目は泳いでいる。明らかに動揺しているその姿は、いつもとは遠くかけ離れていた。 「……………………な、何さ?そんなに見つめられても何も出てきやしないよ?」 「……………………」 視線には気が付いているのか返答はあった。しかし、目はこちらに合わせる気は微塵もない。 次第にぷるぷると震え始める唇。まるでこっちが説教しているみたいだ。閻魔様もこうやって見ているのだろうか。 しかしこれ以上聞いても仕方ない。答える気がないのなら続けても無駄だ。 「少し気になっただけだ、すまない」 「――――――――――いやいや、別に問題ないよ」 俺がそう言うと、一瞬だけホッとした表情を浮かべてみせた。そうまでして隠したいのか。 頭に引っ掛かりもしたけれど、もう無駄なのだから諦める他は無い。選択肢は一つしかない。 悔しい話ではある。だが一つ重要な情報を手に入れたのだ。最後まで聞けなかったことが惜しいとはいえども。 何より嘘と分かっていても建前は確かにこの耳で聞いた。伝えれば閻魔様は喜ぶことだろう。 あの厳格な方がどういう反応を見せるか気にはなる。今度報告してみるか。 「今日はさ、もう仕事ないんだ。………だからいつもより長く居られるよ」 「………そうか、それはありがたいな」 「あはは、喜んでくれて何よりだよ。あたいの膝枕から離れるつもりもないしねぇ」 笑いながら俺の頭を撫でる小町。 しょうがないなぁという顔をしながら、案外満更でもないという顔もしていた。それは皮肉ではない。 むしろそれを喜んでいると、言葉にならないモノが俺に届く。なら俺も返すべきだろう。 「好きだからだ」 「…………………へっ?…………………な、何を突然言い出しているんだい!?」 「………?………俺は膝枕が好きと答えたんだが」 俺の返しに固まったかと思えば、その顔が一気に赤く染まっていった。 突然の慌て様に何事かと思うが、言葉が足らなかったかと反省してもう一度返す。 二度も言わなければならないことに少し恥ずかしいと思うが、小町がそれ以上の反応を示すからさほど躊躇わなかった。 あの慌て様は手を繋ごうかと提案したとき以来だ。………………そんなに困ることか? 「な、なんだい………………心臓に悪いねぇ」 「悪い、ちゃんと伝わらなかったようだ」 「全く…………驚かすんじゃないよ、結局仕返しされちまったじゃないか」 そんなつもりはなかったのだが、結果としてそうなってしまった。 少し悪いことをした気にはなるが、そもそもは小町がやったことが元の原因なのであまり気にしないことにした。 因果応報。それは死神とて例外ではなかったということでもある。それを自らの身を持って実証してみせたのだ。 善行を積みますか、とほんの少しだけそう思ったりもしない。 「じゃあ、何かお詫びでもしよう」 「…………うーん、そうだねぇ。―――――――――――今日、あんたを一日自由にさせてもらうよ」 "それって結局いつもと同じだろ?"間髪いれずに思わず突っ込みたくなる。 とはいえどもそれで小町が納得するのなら、それに越したことはない。変なこと要求されたらどうする。 多分しないだろうけど、もしかしたらという例外は存在する。先ほどのように。 まあ、この程度なら何も問題はない。いつもと同じなのだから。 「じゃあ、どうするんだ?」 「暫くこのままで大人しく、あたいにいじくりまわされておくってのはどうだい?」 「………分かった、そうしよう」 もう一度俺を撫でる小町。その顔は笑っていた。 一方俺は大人しく膝枕の感触を味わう。―――――――――実にいいものだ。 「ついにやりましたね、あなたならと期待していました」 「……………ありがとうございます?」 毎度毎度の報告。その時に小町の変わりようについて言おうと思っていたのだが、逆に向こうから言われてしまった。 そして何故か褒められた。意味不明である。俺が何をしたというのか、何を変えたというのか。 前の小町といい分からないことが多いな、と一人振り返りつつも頭を悩ませていると、閻魔様はそれを見てか口を開いた。 「何を不思議にしているのですか?あなたが小町のサボりを止めさせたのですよ?」 「………………何かした、とは自分では思っていないのですが」 「謙遜しなくてもいいのですよ」 いやいや、何もしてないし。そもそも小町と一緒にいただけだし。 手を繋いだりとか膝枕してもらったりとかそんなんです。スキンシップしていただけです、やっぱり何もしていません。 そんな必死の弁解もきっと、謙虚ですねとか言われそうなので止めた。堂々巡りになってしまいそうだった。 閻魔様でも無理だった小町のサボり癖、閻魔様から見たらそりゃ俺は感謝するのは当然なんだろうけど。 なぜサボらなくなったのかを知らない俺にとって、腑に落ちないどころじゃないんだ。 「あなたは自覚していないでしょうが、小町と近いあなたが知らず知らずに影響を与えていることもあるのですよ?」 「…………はぁ、そうですか」 「そうです。今回はいい方向に動きましたが、無自覚なのも問題ではありますね」 そう言われてもいまいちピンとは来ない。 自分の姿を自分で見れないように、どう動くかなんて後になってからじゃないと分からないこともある。 無自覚な部分は誰しもが抱えている。閻魔様の言葉の通りなら、俺も気がつかないうちに小町を変えていたということか。 だが分からないものは分からない。自分の気持ちを小町にぶつけただけだ。本当にただそれだけだったのに。 …………………一旦整理しよう。小町の頑張る原因が俺にあるのだとしたら? 俺は何か大事なことを言ったんじゃないだろうか、もしそうなら小町が変わったのは俺の所為ということになる。 でも俺はそれが何かを知らない。何を変える切欠になったのかを分かっていないんだ。 それが問題でもあるということか。なら、俺は知らなくちゃいけない。小町を変えたモノが何かを。 「その様子だと、恐らく"決着をつけなさい"の意味も分からないのでしょう」 「……………………」 「自分のことをよく把握しておきなさい、それがあなたの務めです」 「…………はい」 そして、俺自身が抱える決着を。 何も進んじゃいない、何も始まっちゃいない。 向き合う時が来たのだ、もう逃げることも、隠れる場所もない。 真新しい手桶と杓子、線香の入った箱と適当に見繕ってもらった花束。 それらをまとめて持ち歩き、坂を上っていく。目指すは一つ。やるべきことも一つ。そして向かう者も一つ。 道中で偶にすれ違う人は誰一人としていない。誰も知らないような道、誰も知らない場所へと向かっているからだ。 坂の途中で川が流れている場所で、新品の手桶に水を入れていく。濁らないここの川は、本当に昔と変わらない。 水面に映る自分を見る。死神装束していない人間の頃の服を着れば、かつてのあの時の姿そのままだ。 死神になったあの時から変化しない体、ずっと望んでいたものは今も手の中にある。 長い長いロスタイム。終わりがいつかは分からないし、終わりなど無いのかもしれない。 「…………よっと」 しかし周りは終わりを迎えていく。時を重ねていくごとに朽ちていく。ゆっくりと、それは確実に死に向かっていく。 俺がそうであったように、いずれこの場所も消えてなくなっていくんだろう。 悲しいことでもあるけれど、それが世の中の常と言うものだ。変えようのない事実だ。 少し重くなった手桶を片手に、更に更に上へと向かっていく。 碌に手入れされたわけでもないその場所は、草と木が隙間無く生えに生えて邪魔だった。 誰も来ないんだから道も出来なくて当たり前か、と考えながら進む。立ち止まることはしない。 そうして歩き続けた先、小さな丘の上にある人が切り開いたであろう場所に辿り着く。 苔が生えた石が積まれたモノが、そこら中に散らばっている。中には砕けたものや風化したものもあるくらいだ。 そんな場所には誰もいないと思っていたのに、先に来ている奴がいるなんて思いもしなかった。 「小町?」 「……………ん?…………あんたか。来ると思ってたよ」 いつものように鎌を抱え、死神装束をした小町は俺の声に振り向く。 変わらないのだ。あの日と同じく小町は変わらない。何一つ姿は変わらない。 あの日の姿形を思い出して移し重ねても、それはピッタリと一致する。恐ろしいくらいに正確に。一切のズレもない。 これまでもそうだった、だからずっと変わることなどない。 「姿が見当たらないと思ったら、ここに来ているとはな」 「そりゃあんた、今日ここに来ない訳にはいかないだろう?」 ごもっともな意見である。反論のしようがない、する気はないが。 今日は特別な日。一年のうちで最も大事な日。正月やお盆や大晦日よりも大切な日だ。 俺が手にしている道具類、そして目の前に広がる字の彫られた石積み。やることはもう決まり切っている。 「墓参り、来ないでどうすんのさ」 そういうことである。 大して綺麗にもならないけれど、適当に墓石を磨いて汚れを落とす。 黒ずんで訳のわからないモノになった水と、枯れた花を捨てて新しく差し替える。 最後に線香に火をつけて備える。それで終わり。 「…………………」 「…………………」 そして手を合わせる。特に何を思うわけでもない、ただの真似事に過ぎない。 ここに眠っている奴に問いかけても返ってくるものなんかない。三途の川を渡ったのだからいるわけがないのだ。 でも、毎年こうしている。こうせざるを得ない理由がある。 「………ありがとう、小町。毎年すまないな」 「いいのさ、あたいも自分から来たくてここに来ているんだよ?」 そう言われると、幾分か救われた気にはなる。 死者は蘇りはしないが、生まれ変わりはするのだ。そうして消えていった者は戻りはしない。 最初は覚えているだろう。でも今を生きる人たちにとって、そいつらを気にしていたら生きていけない。 だから見ないでいるうちに忘れていく。そうして覚えていた奴らも死んでいく。誰がいたのかを忘れていく。 その結果がこれだ。この誰も来ない場所こそがその最たるものだ。 「いつもここに来ると思い出すんだ、自分が人間だった頃のことを」 「懐かしいね、いつのことだろうね?」 「忘れたよ―――――――――随分昔のことだから忘れた」 「そうかい、あたいも同じさ」 こうして来ている俺も小町も忘れてしまうくらいなんだ、だからこれからも同じように増え続けるんだ。 それが人が死ぬってこと、世代が変わるということ、新しくなっていくということ。 何度も積み上げていくのだ。そうして出来た先人たちの上で、更に新しい土台を作るために。 その度に積み上げて、弔って、忘れていって、無くなっていく。 「今はまだ覚えていることもあるさ、でもほとんど忘れてしまったことばかりだ」 「…………もうあんたを覚えている人間は、誰一人いないからねぇ。それだけ時間が経ったってことさ」 俺は違った。積み上げた土台から外れて、その土台を見続けることになった。 確かに俺の人生は終わった、でも始まったのは死神としての続き。タイムリミットの見えない、終わらない続き。 そもそも自分とは何だったのかを忘れるくらいの時間を過ごし、残ったのはごくごく僅かな記憶。 あんなに大事だったのにという記憶も、今はどこかに置いてきてしまった。何もかも遠い彼方だ。 "決着をつけなさい"と言われたそのことも、昔にあるのだ。掘り返して思い出せるのだろうか? そもそも見つけても分からないのかもしれない。どこかで捨ててきてしまったのかもしれない。 だから過去に一番近いこの場所なら、思い出せるんじゃないかと考えて来ている。 でも思い出すのはいつも一つ。無くなりはしない過去を振り返るだけだ。 「でも、思い出せるのは殆ど小町とのことだ。他はもう思い出せないことばかりなのに」 「………………」 ずっとそうだった。何度繰り返しても同じことにしかならない。 最初に会った時のこと、二回目に会った時のこと、閻魔様に連れて帰っていかれた時、日が暮れるまで喋り続けた時。 時にそれらは虫食いのように穴があったり、色褪せてしまったように白黒でおぼろげなこともある。 けれど、例えそうだったとしても。夢で、時に思い出話で、あの日の再現で、瞼を閉じれば思い出すのは、出てくるのは決まっている。 「…………あたいもさ、あんたのことは忘れたことはないよ」 「………………そうか」 「大丈夫、足りない分はあたいが忘れないでおく。―――――あんたは人間だった、そして変わっちゃいないよ」 「………それを聞いて安心した」 「そいつはよかった。あんたに辛気臭い顔は似合わないよ」 だから笑いなよって、そう言う小町は励ましてくれている。 ……………きっと、こうだから忘れられないんだろう。なんだかんだ言いつつもお節介を焼いてくる小町も昔と同じだ。 そう思うと、口元が自然に笑う。止められない、いつも通りのポーカーフェイスでいるのは無理だ。 「あ、笑ったね。うんうん、そっちの方があたいはいいと思うよ」 「確か初対面の時も同じことを言っていたな」 「あはは、確かにそうだね…………そうやって思い出すこともあるさ、あまり悩むとよくないよ?」 「………分かった、そうしよう」 小町なりの気遣い。優しいのだ、こいつは。 死神に似つかわしくない、陽気でお喋りでお節介、そして江戸っ子気質なのが小野塚小町だ。 うん。何も変わって無い。あの日に会った、あの時に会った、あの場所で会った時と同じ。 「…………ありがとう」 「嫌だねぇ、そんな言葉いらないよ」 小町は一つ前に出て、ポンと目の前の墓石に手を当て、振り返ってこちらを見る。 その墓石に彫られた文字は、風化しかかっていて解読することは難しい。雨風にさらされ続けた結果、当初の原型を大きく崩している。 でもその形を俺は覚えている。そしてその彫られていた、どんな言葉が刻まれていたかを俺は知っている。 忘れもしない。だってそれは―――――――――― 「あんたが死神になったのは、あたいの所為でもあるんだ。だから付き合うのさ」 「……………小町の所為?」 「…………………あ」 はっとした顔をしたかと思えば、頭を掻いてまいったねぇという仕草をする小町。 言ってはいけないことを言ってしまった、口にしてはいけないものを出してしまったという表情。 ………なんだそれは。俺はまだ何か忘れているのか?俺は思い出さなければいけないことがあるのか? 俺が死神になったのは、なったのは……………そうだ、都合よく死神になれる機会があったからだ。 そう、そしてその場には閻魔様しかいなかった。俺の記憶が正しければ、それは間違ってなどいないはずだ。 なら何故、小町が自分の所為だと言い張る?どうしてそんなにも思いつめた顔をする? こっちを見ていると気がついたらしく、今思いついたように、小町は俺に向かって告げた。 「……………あのさ、あたいこれから仕事なんだよ、急いで帰らないといけないんだ」 「……………そうか、じゃあ帰るか」 疑問は尽きない。 俺の知らない過去を小町は知っている。しかしこの反応を見る限りでは、どうやら教える気はないみたいだ。 いつものお喋りが嘘みたいに黙ってしまっている。小町を見れば、目線があったと同時に逸らしてきた。 ……………気まずいのだろう。掘り返されたくない過去、ずっと奥深くにまで隠していたものを開いてしまったような顔だ。 だが、俺はやはり分からない。何も覚えていない。考えても思い出せないままだ。 俺と小町は踵を返してここから去っていく。最後に、振り返ると来る時よりは綺麗になった墓石を見た。 自分のルーツ、形の無いタイムカプセル。自らがリスタートするための場所。そして、何もかもが終わった場所。 また今度な、と魂が入っていないもぬけの殻に向かって、心の中でサヨナラを呟いた。 無音、と例えた方が今は近いのかもしれない。 漕ぐために水をかき分けていく音も、こうして静かすぎるくらいならやっと聞こえるくらいだ。 無論、漕ぐのは俺ではない。水先案内人が櫓を漕いで進む船は、ゆったりとしながらも前へと向かっていっている。 目指す場所へと辿り着くために。俺を目的地へと送り届けるために。 「……………あんた、本当に死んじまったんだね」 そうだ。その言葉の通り。 瞼の裏に見えるのはこれまでの走馬灯、短くもスローモーションで再生されていく数々の思い出。 本当ならばまだ続きがあったんだ、ごくごく普通に生きていくはずだったんだ。 働いて、誰かと一緒になって、子供が出来て、そいつらを見送って、最後に見守られて死んでいく未来があった。 でも、もうそんなものはどこにもありはしないのだ。俺は死んだのだから。 「前々から知っていたことだ、そっちこそ知らなかったわけではないだろう?」 「……………だとしても、認めたく無いものだってあるのさ」 死神は人の寿命を知る。そしてこの水先案内人こと、小野塚小町は正にそうである。 彼女が俺の顔を見るたびに、一瞬だけ悲しそうな顔をしていた。それが少しずつ大きくなっていくことを見て理解した。 もう長くないんだなと、嫌でも分かるその仕草を見ていれば、自然と覚悟も決まっていく。 とはいえ俺も小町の言葉通り認めたくなどない。だが一度ひっくり返ったものを元に戻せはしない。 ただ、それを一番悔しがるのが死神である小町、と言うのがおかしな話でもあったりする。 「もうあんたといつもみたいにお喋りできなくなるんだね…………これが最後だなんて思いたくないよ」 「………そうか」 時計の針は止められない。戻すこともできない。ただあとはゆっくりと朽ちていくのを待つばかりだった。 そしてその時が来た。それだけのこと。何もかもなくなって消えていく、忘れ去られていくのだ。 普通ならありえないこと。これはロスタイムみたいなもんだ。ちょっとしたおまけに過ぎない。 しかし、小町の言葉の通り最後でもある。何もかも出来るのは、残せるのはここまでだ。 本当なら少し前で最後だったのに、小町が死神だからこんなことが出来たんだ。 サボる死神の喋り相手。そんな酔狂な人間は、最後に一番話したい相手に遺言を残せるんだから。 「………死ぬには早いって送り返してやりたいのに」 「そうやっていつまでも三途の川を渡らせないつもりか?」 「………それもいいかもね。そうすりゃあんたとずっとお喋り出来る」 何やら恐ろしいことを考えているようだが、本気ではないことは知っていた。 そもそもそんなことをするくらいなら、最初から渡し賃を受け取らなければよかったんだ。 あんたは渡れない、ずっとここにいるんだよと言えばよかったんだ、なのにそうしなかったんだ。 死神としての責務を果たさない、不真面目だと指を指されるのに、今ばかりは真面目になっている。 それは、俺の最後の願いを律義に叶えるためだ。 ――――――――――――"俺の渡し守は、小町が務めてくれ。" 「こんな酷いことをあたいに向かって最後に願う奴は、そんな奴は地獄にでも落ちればいいんだ」 「………死神様のお墨付きか、これはこれは閻魔様の裁判が恐ろしいな」 閻魔様とは何度か会っている。主に小町がサボることを理由として。 多少なりとも話はしたことがあるし、説教好きだと聞いての通りに受けたことはないわけではない。 だがその説教と言うのは大きなことでもなく、例えばだらしないとか、いい加減だとか、無頓着、無自覚だと言われることが殆どだ。 少なくとも地獄に落ちる、などということは聞いたこともない。もしそうならそれは万が一であり得ない話だ。 そしてそれを小町も知っている。だからこれは俺に対する悪口だ。先に死んでいく俺に対する泣き言だ。 人と異なる奴らが人と相容れないという、そんな現実に対する恨みも込めて。 「それともいっそ、あたいと同じ死神にでもなれりゃよかったんだ。そうすりゃあたいと一緒だ」 叶わない願い。叶わない思い。もう何もかも遅い、取り返しのつかないことばかり。 後悔は先に行かないのと同じで、そんなこともただの夢物語、妄想にしかならない。 でも………ということを期待したくなるのは、どうしようもないことなんだ。 『いつでも話を聞いてくれるのは、あんたくらいしかいないからね』 『それは実に光栄だな』 『あはは……………幽霊相手に一方的に喋っていても反応ないから寂しくてねぇ』 少なくとも俺に会いに来た、ということは間違っていないらしい。自分の予想は外れたものだと思っていたのだが。 正直なところを言えば、そう言われて嬉しい。わざわざここまで来た訳の一つに自分が入っているのだ。 話し上手で場を盛り上げられる存在であり、いると楽しくなると重宝され、死者の中でも人気は高い。 そんな誰からも求められる奴が、自分を求めているというのはなんともくすぐったい。 『他に話を聞いてくれる奴はいないのか?』 『いないねぇ、あんただけさ。こうやって喋っている時が一番楽しいよ』 『………そりゃよかった』 小町も楽しいらしい。ならそれでよかった。 あんまり話すことは得意じゃないけれど、相槌を打ったり意見を言い合ったりは出来る。その程度だけれど、小町はそれで満足だという。 話好きだから、話題は次から次へと飛び交う。時にはマシンガンというかガトリングのように打ち出されることだってある。 その度に答えては、また言い合いをして話を続けていく。そんなことの繰り返しをしてきたのだ。 何も返さないそんな反応とは違う俺が嬉しいのか、だからきっとお喋りを止められないんだろう。 例え仕事をサボってでも、閻魔様に怒られたとしても、自分の目的を果たすために小町はここに来る。きっとそうなのだ。 『――――――それで、何か面白い話でもあるのか?』 『いいのがあるよ、とっておきのやつが』 『へぇ…………ぜひ聞かしてもらいたいものだな』 そう告げると小町は待ってましたと言わんばかりに笑う。つられて俺も笑う。 お喋りな彼女は語るために口を開く。面白い話を俺に伝えるために、二人で共有するために。 今日はどんな話を聞かせてくれるのやら、と考えながら彼女の話を聞くために、俺は耳を傾けた。 ―――――――――――――全部、都合のいいお話だ。 「そうだな………そうなれるならば、死神になろうか」 裁判の前だというのに、俺は嘘をついた。………無理だ。どう頑張ろうと絶対に無理なのに、小町に嘘をついた。 僅かな希望。それは限りなく小さくて、ずっとずっと遠くにある夜空に輝く星のようなものだ。 手を伸ばしても届きはしない。何も無い場所を掴んで終わると知っているのに、それでも俺は言った。 救われないことなのに、それでも救いを与えるために。酷いことを俺は積み重ねていく。 でもそれを悔やんだり、躊躇ったりはしない。嘘が嘘だと理解してしまわないために。 「…………あたいと一緒にお喋りして、いろんな場所を回って、今日もお疲れ様って言うんだ」 「…………………そうか」 夢だ、幻だ、そんなものはありもしないと指摘出来ない。 作った砂の城を壊したくないと思うのと同じだ、無くなってしまうと知っているけど、それでも作りたいんだ。 希望を持ちたいんだ、ほんのわずかな一粒でもいいから光を集めたいんだ。 それをずっと胸に抱いたまま、いつまでも輝いてほしいと。 「それでサヨナラって言って明日を待つんだ。そしてまた、あんたに………会って………おは、よう………って――――――――」 小町は泣く。それを抑えることもなく、隠すこともしないで。 もう言葉は出ない。ひっくひっくと泣いているから、上手く喋ることが出来ないでいる。 充分だった。その続きを言う必要はなかった。言わなくても分かったから、言葉にしなくても良かったから。 どこにでもあるようなそんな当たり前の日常、もう届かない幻想をずっと望んでいる。 いつか壊れて無くなってしまうのだとしても、本気でそれを願っているんだ。 ………………でも、もう終わりだ。 「…………着いたな小町…………ありがとう、お前が船頭でよかった」 「…………っ…………そう、だね…………」 向こう岸に辿り着く。船から降りて、そのまま前へ前へと歩いていく。 夢は所詮夢だ。どんなに願っても求めても探しても、それは夢のまま。夢は成さねば、いつまでも夢のままだ。 だから覚める時が来た。寝ている時間はもう終わった。夜は明けて、また日は昇る。 そうして進むように、人が歩みを止めないのと同じで、俺もまた一つ進む。 振り返ったりしない。振り返ったら多分、進むのを止めてしまうかもしれないから。 でも未だ泣きじゃくることを止めない小町の顔が思い浮かぶのは、きっと俺自身が心残りにしていることがあるからだ。 …………三途の川を渡ったのに、どうして今更になって、こんなことを考えてしまうんだろうな。 「……………」 彼岸へと踏み出すまであと一歩。 しないと決めていたのに、最後の最後に振り返って小町を見つめる。 やっぱり、小町は泣いたままだった。これが最後だから、俺はその姿形をしっかりと頭の中に焼き付けておく。 ……………いつか、いつか俺がまた人になれたら、また小町のことを思い出せるように。 瞼を閉じて、俺はもう一度前を向く。最後に遺言を残して、閻魔様に会いに行こう。 でもそうはならなかった。後ろから聞こえる声、まだ少し泣きじゃくっていながらも耳に届く声。 それに呼び止められるように、また俺は振り返る。 「………帰ってきたら、あんたに………言いたいことが……ある………だから……帰って来ておくれ」 「なんだ、それは?」 「………帰って来た……ときに……教えるよ」 意味のない約束、果たされることのない約束。それはもはや約束ではない。 こうやって最後に置き土産でも残していくのは、俺に対する様々な思いからなのか。 でもその正体を知ることは二度とない、二度と。交わることのない平行線のように。 しかし、嘘は貫き通して見せる。ついた以上は付き合うと決めている。そして墓場まで持っていく。 「そうか、なら戻って来ないとな」 「………必ずだよ、死神になって……帰ってくるんだよ」 釘を刺された。 ―――――もし、もし本当にそんなことがあるなら。夢物語の続きがあるなら聞いておこうか。 夢が現実になるのなら、嘘が本当になるのなら、それは………。 「また会おう、小町」 「……………うん」 この言葉も、今までのやりとりも何もかも。全部、全部無駄じゃなくなるんだ。 そして、サヨナラを言わなくてもいいんだ。次に会う挨拶で済むんだ。 小町にとって、それが僅かな救いになるのなら。遺言は残さないと決めた。 「あなたは―――――――――そうですか。ここに来たということは、そういうことなのですね」 「………………はい」 彼岸へとついた先にいたのは、予想通りというか。知っていたけれど、やっぱり閻魔様がいた。 俺は彼女を知っている。説教好きだけれど、なんだかんだ優しい。厳しくもありながら慈悲も持ち合わせている。 四季映姫、地獄の最高裁判長。小町の上司であり、俺の知り合いでもある。 小町がサボる度に見つけてはお説教、そして連れ帰っていく。それを俺は眺めながら多少話も聞く、そういう間柄だった。 「………小町が悲しみますね」 「………泣いていましたよ」 「………………そうですか」 しかし、今は違う。閻魔様は自分の責務を果たすためにここにいて、そして俺は裁かれるためにここにいる。 彼女は絶対だ。それ故に裁判長になれた訳であり、こうして今目の前にいる。 だから一切の私情を挟んだりしない。淡々と、冷酷に業務を取り行うんだ。ただそれだけのこと。 それは俺とて例外ではない、というごくごく当たり前の話に過ぎない。 だからこれは、小町の友人である俺に対して、四季映姫個人としての最後の言葉なんだろう。 「――――――――では、裁判を行います。よろしいですね?」 「はい」 しかし、それは長々と続くものではない。彼女も自分の成すべきことをするために、俺を裁く。 今までも、これからも続くただの通過点。しかし、俺にとっては終着駅でもある。 自分の一生の価値を見定めるために、心待ちにしていたことでもある。でも同時に恐ろしくも思っていたことだ。 俺の最後の時間が始まる。天国へ行くか、それとも地獄に落ちるか。 「まずあなた自身についてですが、多少いい加減であったり偶に適当な所を除けば、概ね問題は無いと言っていいでしょう」 それについては何度もお小言を貰っている身だ。性分なので中々直りはしなかったが、それでも言われた直後くらいは直してはいた。 また再発してはその度に言われて、直って、またという繰り返しではあった。 懲りないと言われればそれまでだが、それ以上の奴がいたのであまり強く言われることもなかった。 最後まで直りはしなかったが、それでも少しは変わったんじゃないか………とは思いたい。 「善行もそこそこに積み、悪行はそれほど多くは無い。品行方正とはいきませんが、少なくとも地獄行きということではありません」 口酸っぱく言われれば多少頭には残るし、時に善行を積むような機会があれば、そちらにしようと意見が傾く。 積極的にいいことをしようと思ったわけじゃない、でも全くしなかった訳じゃない。だから悪行よりも上回ったのだろう。 どこかで悪いことをしようとすると躊躇っていたから、そこで歯止めがかかったということもあるのだろうけど。 所詮、俺は悪魔にも英雄にも怪物にもなれない、ただの凡人だったということだ。 「天界や冥界に行くことも出来るでしょう……………しかし」 不穏な空気。持ち上げて落とすという未来が見えた。 何が天国行きを駄目だと言わせるのか。その理由を俺は知らない。考えてみても思いつきもしない。 善行を積み、悪行を殆どしないで来たのに、何故行くべき場所へと行けないのか? やはり、何度思い直しても理解できないままだった。 「あなたは残してきたものがある。それ故にあなたが死んだと認められないのです」 「………………つまり?」 「―――――――――――強い未練を残しているのですよ。このままでは、どこにも行くことは出来ないほどに」 とはいっても、どうすればいい? 天界にも、冥界にも行けない。地獄行きでも無い。ならどこに行けばいい? 今更帰ったところで俺の体は土の下だ。ゾンビやキョンシーの如く蘇りでもすればいいのか。 さらに思い悩む俺に向かって、閻魔様は俺に提案を持ちかけてきた。 「しかし、あなたは人としての一生を終えてしまいました。これでは何も出来ないでしょう。ですが方法が無いわけではありません」 「………その方法、とは?」 「現在地獄の拡張に伴い、欠員補充が最優先事項とされています。つまり、私があなたをスカウトすれば問題は解決する」 口元だけ笑って、閻魔様は俺に向かって告げた。 その言葉の意味を俺は最初、理解できなかった。あまりにもありえないことだったから。 大どんでん返し、起死回生、逆転ホームラン。ありえる訳が無いんだ、でも目の前で起こったことだ。 それは、その意味とは。 「死神として生き、あなたの残してきたものを見つける――――――――決着をつけなさい、それがあなたの使命です」 もう一度、俺は夢の続きが見られるってことなんだ。 「………………夢か」 目を見開くと、いつも知っている天井があった。染みの数も位置も大きさも全部同じ、俺の家だ。 全部昨日と同じだ、何も変わってなどいない。変わるわけがない。 昨日のことがあったからだろうか、自分の死神としてのルーツを夢で見た。人として死に、新しく死神として生まれ変わったあの日。 ターニングポイント、人生の分岐点………もとい死神としての分岐点、如何にしてそこに至ったかを思い出した。 「―――――――――にちは―――――れ、返―――――ねぇ?」 死者の増加。地獄の拡張に伴って不足した死神の補充。それに選ばれた、すぐさま俺はそれを了承した。 都合のいいあまりにも馬鹿げた展開、でも何よりも望んでいたものがあった。それに飛びついたんだ。 帰って来たことがあまりにも嬉しかったから、充分すぎるほどだったから、だからだったからなのか? 終わっていたと諦めていたこと、夢が現実になったから、俺はもう満足してしまっていた。それ以外になかったんだ。 忘れかけていた記憶、無くしかけて色褪せていたものが一気に蘇ったのは、やっぱり小町のあの言葉を聞いたからか? 『あんたが死神になったのは、あたいの所為でもあるんだ。だから付き合うのさ』 ……………………俺にとって死神になるというあの嘘は、本気にしていなかった。 でも小町は、ずっとそれを望み続けていたんだ。願ってやまなかったこと、それは叶ってしまった。本当になってしまったんだ。 しかし、同時に死神になるということは、人の死を見続けると言うこと。人ならざるものとして生きることに、小町は負い目を感じていた。 いいのに。俺にとってみれば続きがあるだけで充分なのに、小町が悩む必要はないのに。 「―――――――――おーい、もう昼だよ!起きているのかい!」 外から聞こえる戸を叩く音、そして俺を呼ぶ声。この声を何度聞いたか、そしてこの声に何度答えたか。 考えなくても分かる。木の板一枚隔てた向こうにいるのは、見飽きる位に見てきたくせに見飽きることの無い奴がいる。 朝から近所迷惑、騒音被害をまき散らすのを止めるために布団から出て、玄関へと向かって行く。 「今開ける。だからそんなに叩くな、また扉を壊す気か」 「早く起きない奴が悪いんだよ、お寝坊さんにはちょうどいいだろう?」 ああ言えばこう言う。反省する気全く無し。 怒る気にも呆れる気にもならない。そんなことを気にしていても仕方ないのだ。 高い高いコール代と思えば多少は許せる…………無理か。 古臭い扉を横に引いて、外にいる奴に顔を合わせる。そう低くは無い位置、目線を動かさないくらいの高さにそいつの顔が見えた。 「おはよう、今日はいい天気だねぇ」 「そうだな。寝るにはいい日だ」 小町の言葉に対して自分の思っていることを素直に話してみれば、馬鹿じゃないのかって顔をされた。 仕方ないだろう。まだ起きてそれほど時間が経っている訳じゃない、頭だって回っていないんだ。 出来れば今も布団の中でゴロゴロしていたいのだ。そして二度寝したいのだ。 「その調子だとまだ朝食も取っていないんじゃないかい?」 「よく分かったな、その通りだ」 「………………」 さらに呆れた表情を見せる小町。そんな顔をしても何も出ないぞ。 だって今日は休みなんだ。何もしなくていい日なんだ、なら休日を満喫してもなんの問題も無いはずだ。 一日中じっとしていても、俺の自由だからいいのだ。だから何を言われようと知ったことではない。 小町は何か考える仕草をしている。何が来る?と身構えていたら、小町は一つ提案をしてきた。 それは、俺にとって考えもしなかったことだった。 「…………あ、あたいが…………昼飯、作ってあげようか?」 炊きたての白米。葱、豆腐やワカメなどが入った味噌汁。青菜のお浸しと焼き鮭。 どこにでもありそうな、一般的な和食らしい和食が目の前にあった。そして、そのテーブルの向かい側にはそれを作った奴がいる。 知らない間にエプロンをつけて、こっちをまじまじと見つめている。期待と興奮、そして不安を入り混ぜたような顔をしていた。 それは、これから起こることに対しての予想。だが、それは俺も同じでもある。 「さあ、召し上がっておくれ」 「………………いただきます」 右手に箸を持ち、とりあえずはと白米に手を伸ばす。湯気の立つ粒達を箸で掴むと、柔らかくもなく硬くもなかった。 ほどよい炊き具合、水分調節もばっちりということらしい。口に運ぶと、やはり見た目通り美味かった。 自分の炊いたものより美味い、という事実に少し悔しくもあったが、これは認めざるを得ないことだった。 次に味噌汁、お浸し、魚と一通り口にしてみた。しかしどれも味がおかしいこともなく、美味い。見た目もよかった。 …………………人の料理に点数をつけるほど偉くなった覚えもないけれど、つけるならどれもこれも蹴散らして一位だ。 「………………っ」 向かい側で息を呑む音が聞こえる。その態度と言ったら、閻魔様のお説教を聞く時よりも緊張している。 いつもとは似つかわしくない、あまりにもクソ真面目な態度。まるで裁判を受ける被告人のような面持ちをしていた。 肩肘を張ったその態度を和らげるため、待ち望んでいるであろう答えを返すために、小町に向かって口を開いた。 「美味いよ」 「……………………そ、そうかい」 そっけない回答だが、その顔は安堵の表情でいっぱいだった。返す言葉さえ碌に思いつかないくらいに思いつめていたということか。 味噌汁を啜りながら眺めつつ、ようやく普段の顔を取り戻しつつある小町を見つめる。 ……………誰かの作ってくれた手料理などいつ振りだろうかと思いながらも、一方で小町は料理が上手いんだなということも考えていた。 二つのことを同時に頭に浮かべながら食べていたもんだから、いきなりの問いかけにもよく考えないで返してしまう。 それがどんな意味を持つのかさえ、少し考えれば分かるようなことをよく分からないままで。 「ど、どうなんだい。あたいの料理はどれくらい美味かったんだい?」 もう少し考えておけばよかったなんてのは、いつも後になってから気がつくものだ。 だけれど、そんな期待に満ちた目で見る小町に対して応えてあげたかった。そう思う本心は嘘じゃない。 でも、いつもみたいに少し捻って返せばよかったものを、俺はそのまま返してしまったんだ。 「そうだな―――――――――――――嫁になってくださいとお願いするくらいか?」 「……………………え?」 「……………………ん?」 俺の回答を聞いて理解できなかったのか、そのまま固まってしまう小町。 何か変なことを言ったのか………………いや、待て。 俺は今何と言った?小町に向かって俺は何を返した?この目の前の料理の評価をどう表したんだ? 毎日食いたいくらい。朝昼夜の三食いつでも――――――――つまりそれは一緒でなければ難しい。 都合のいい時だけ思い出される古い古いあの言葉が頭をよぎる。"俺のために毎日味噌汁を作ってくれ" 今でこそ若者には受け入れられないその言葉。しかしその言葉を置き換えてみれば……………つまり? 「……………あ、あああんたは何を言っているんだい!?」 理解したのは小町も同じ。そして真っ赤になって必死に批判するという結果になった。 何処かで見た顔――――――――ああ、いつかに手を繋ごうと言った時の反応と同じだ。 あの時は狙って小町をからかったのだけれど、今は狙ったわけでもなく生まれた偶然の産物。 というか、知らず知らずのうちに地雷を踏みぬいたのかもしれない。おかげで大惨事だ。 だが、ああも慌てる小町を見ると逆にこっちが冷静になる。どうもありがとう小町。 そんな感謝の意も込めて、小町に向かって俺は口を開く。 「……………………聞こえなかったのなら、もう一度言おうか?」 「い、いやいやいや!もういいよ!もう分かったから言わなくていいよ!」 オーバーリアクション。今度は手を必死にこっちに向けて否定の意を示している。 …………可愛い、と思ったのは本心だ。それは間違えようのない現実だ。 そして、こんなやり取りもできるのも変えようのない現実だ。 いつも現実は残酷だ。それ故に受け入れ難くもあるときもある。 だが向き合わなければいけないこともあるんだ、それは。 俺が小野塚小町を好きだということ。 目を開けて受け入れろ、心を開いて認めろ。それは、変えようのない現実だ。 だから、俺は白黒つけるんだ。答えを求めに行く。 昼食を作ってくれたお礼、として小町として外に出ることになった。 突然の来訪、突然の予定に何も用意などしていなかった。それは仕方のないことだった。 でもだから何だと言うのか。では何もできないと言うのか、違う。結局いつもと同じなのだ。 巡回と称してあちこちを見回る。休憩と称してそこらで腰を下ろす。調査と称して目についたものを買う。 ただそれは今回に限っては、途中で打ち切られることも無ければ、わざわざお題目も前置きも建前もない。 「んー、やっぱりここはいいねぇ。気分が落ち着くよ」 「そうだな」 となれば今のこの状態はなんだ?まさか分からないという訳でもあるまい。 しかし、それを口に出すとなると多少恥ずかしい。いや、そもそも向こうも今の状況がなんなのか理解しているのか。 いつもと同じだと思っているのか。ならば少し悲しくもある。なんとも自分勝手なことだ。 誰もいない特等席、今日も変わりはしない場所で座り込む。 「………なぁ、小町」 「ん?なんだい?」 こちらを振り向く小町に少し胸の鼓動を抑えながら、俺は用意していたモノを問う。 なあなあにするのも、煙に巻いて適当にごまかすのも止めだ。閻魔様みたいに白黒はっきりせねばなるまい。 ずっと疑問に抱いていたこと、一度は諦めたことをもう一度やり直すために。 「どうして、サボることを止めたんだ?」 小野塚小町は、俺と話す目的がほとんどでサボりに来ていた。…………という話を閻魔様から聞いた。 元々そうじゃないかということは考えてはいたが、周りから見てもそうなのだということは、多分それで間違いはない。 だがなぜ今になってそれを諦めるのか、小町自身が一番楽しいということをなぜしないのかが気になった。 「…………言わなきゃダメかい?」 「教えてくれ、俺は小町が何を思っているのか知りたい。知らないままじゃいられない」 「………………そうかい、じゃあ話さないといけないね」 困った顔をして小町は俺に尋ねたが、俺は貫き通した。それを聞いてか小町は少し顔を赤くしながらも答えてくれた。 俺は知りたいんだ。知らなくちゃいけないんだ。閻魔様の言う通りならば、小町に影響したのは俺なんだ。 だからこそ本当のことを知りたい。一番関係しているのに、何も知らないではいられないんだ。 「あんたが、あたいとお喋りするのが楽しいって言ってくれて嬉しかったんだ、でもあんたは言ったはずだ」 「……………邪魔されたくない、か?」 「そうだね、だからあたいは決めたんだ」 少し前に話した自分の思い、素直な気持ちを小町にぶつけたときのことを思い出す。 そう思ってくれて嬉しい、と小町もそう返したはずだ。だがまだ続きがあるらしい。それで終わりじゃなかったんだ。 その一言が、小町を変えたんだ。やっぱり俺の考えていた通りで、閻魔様の言葉の通りだった。 「あんたと少しでも長く居られるように、あたいは真面目に働くって決めたのさ。全部、あんたのためだよ」 「……………そうか、じゃあ嘘をついたのは」 「……………察しておくれ、あたいだって言葉にするのが恥ずかしいことだってあるんだ」 首を向こうに向けて顔を合わせない小町。しかしその頬は赤かった。 だってそうだろう?そんなことを言われたらいろいろ考えてしまうだろう、いろいろ思うことがあるだろう? 言葉にしなくても分かることを、言葉にされたら恥ずかしい。裏を返せば分かるものがある。 見られたくないんだ、自分の本心を。おいそれと見せられるものじゃないから。 どういう反応をされるか怖いんだ、明日からが変わってしまうことが怖いんだ。 「……………もういいかい?これで納得できただろう?」 「……………」 小町はもうそれを終わらせる気でいた。いや、終わらせようと必死だった。 だって、そうしなければ自分が追い詰められる。だから逃げ場に向かって走り出した。 苦しい言い訳、でも分からない訳じゃない。言葉にするのは簡単じゃないから。 でも、だからと言って逃がすわけじゃない。俺は白黒つけるって決めたから、逃げ道を断ちに行く。 「……………俺が帰ってきたら伝えたいことも、それと同じで言葉にするのが恥ずかしいのか?」 「―――――――――――――!」 ずっと前に約束したこと、覚えているはずのことを口にしないのも同じだ。 俺の思い出を覚えていると言ったんだ、今更都合よく忘れたなどとは言わせない。 そして何より、自分の所為で死神になったと言ったあの言葉。あの言葉が約束を覚えているという証明に他ならない。 俺の逃げ場がどこにもないのと同じで、小町も同じく逃げ場はどこにもない。 「どうなんだ、小町?」 「………あんたの言うとおりさ、あたいは言うのが恥ずかしいんだ。もう忘れちまっているもんだと思ってたよ」 「………思い出したんだ。俺が死ぬ直前、最後に泣きながら約束したことを」 「……………そうかい」 認めた。 未だに向こうを向いたまま、赤い頬を見せたままで、俺の言葉を認めた。 認めるしかないんだ、だってそうしないと何もかもおかしいから。これまでのことも全部崩れていくんだ。 自分で作った救いを、自分の手で壊すなんてことはしない。 「…………………」 「…………………」 沈黙は続く。どっちも何も言わないから、言い出さないから続く。 その長さの分、どれだけの思いを秘めているのかということだ。その分の長さだけ比例しているのだ。 でも結局、ぐるぐると回る頭の中を整理しようとしても、思い浮かぶのは一つ。 「………何が言いたいのか知っているんじゃないのかい?」 「………だが、それでも言うつもりは無しか」 「………すまないね、あたいには勇気が無いんだ」 前を向いたかと思えば、俯いて表情を見せない小町。 …………本当は言いたいんだろう、でも言えないんだ。恥ずかしいから。 なら俺がその踏み出す一歩を示そう。躊躇うな。迷うな。悩むな。 紛れもない確かな現実なんだ、だからそれを形にするだけだ。 それは一世一代の賭けを挑むようなものでもあり、生涯をかけた難問に立ち向かうようなものでもある。 ずっとずっと抱えてきたものを今になってようやく、決着をつけんとしている…………… ……………決着?何にだ?小町が真面目になった理由、約束に対しての答えを――――― ――――――………帰ってきたら、あんたに………言いたいことが……ある………だから……帰って来ておくれ…… ――――――――――――………必ずだよ、死神になって……帰ってくるんだよ……… 「……………!」 散々悩んできたのは、過去に置いてきたのは、これのことなのかもしれない。 もし、それがそうだというならば。死神になる切欠をくれたのは、この横にいる奴以外他ならない。 俺に夢の続きを見させてくれたのは、俺に未練を残させたのは、他でもない小野塚小町だということ。 心のどこかで俺は願ってたんだ。"小町に会いに行く、死神になって帰ってくる"って。 そして、"小町との約束を果たす"こと。それが"決着をつける"ことの正体だったんだ。 今更になって、本当に今更になって、やっと気がつくなんて。無自覚だと怒られても仕方ない。 だからこそ、それは自らの手で果たさせて貰う。譲れない、この気持ちは譲れはしない。それは俺の役目だ。 「なら俺は言おう―――――――――――俺は、小町が好きだ」 「――――――――――――――――――っ!……………か、からかっているつもりかい!?」 慌ててこっちを向く小町。やっぱりまだ顔は赤いままというか、さっきよりも赤くなっている。 だが俺を見て、慌てることを止めた。見えているはずだ、じっとこちらを見つめているのならば。 どんな顔を俺がしているのかが分かるだろう、どうだ?俺はどんな顔をしている?答えてくれ。 「……………あんた、顔赤いね」 「……………本気だからだ」 その通りだ。 何もかもその通り。俺が言ったことも、小町が言ったことも、こうして恥ずかしくても一歩踏み出したことも本当のことだ。 勇気が足りないのならいくらでも後押ししてやる。一度は死んだこの身だ、悔やむことは殆ど過ぎ去ったんだ。 見逃すわけにはいかない、何故目の前にしておきながら取り逃がす? 「俺は小町と決着をつけなければいけない、白黒をつけるときが来たんだ。そして、約束を果たすときが来たんだ」 「…………………………」 「覚悟を決めてくれ小町。―――――――――俺にあの時の答えを聞かせて欲しい」 小町と過ごす日々は楽しい。でもその間柄に名前を付けることをしなかった。 向こうも同じだった。いや、向こうはそれを付けることを恐れていた。負い目を感じていた。 だから終わらせるんだ、何もかも。新しいスタートを切るために。ここからリスタートするために。 「………………あ、あたいは………………」 小町はその一歩を踏み出そうとしている。 俺は待っている。ゴールの先に、そして新しいスタート地点に。次は二人で進むために、俺は待ち続ける。 向こうに待たせ続けてしまったんだ、だからこれくらいは安い。もっと高くても良かったくらいなんだ。 でも小町はそんなことはしない。だって待ち望んだのは他ならない小町なんだから。 「………………あんたが、好き………………だよ」 最後の方は消え入りそうだったけれど、ちゃんと俺は聞こえていた。 その直後にすぐにまた俯いて、俺の顔を見ないようにしてしまった。自分のやったことを思い出しているのだろう。 だがそれをすることによってまた恥ずかしくなる、ハウリングするように大きくなるそれは、そう簡単に抑えられるものじゃない。 いろいろと理由とつけて、あれこれと抑えてきたものを一気に解き放つ。どうなるかなんて誰でも分かる。 もしそんな簡単に上手く行くのなら、こうも遠回りなどしない。捻じれに捻じれて、解き方さえ分からなくなっているのだ。 「…………ありがとう、俺も好きだ」 「……………………………」 返答はない。元から期待はしていなかったし、予想していた事だから別に構わない。 でも言いたくなるんだ、どうしようもないことだ。今まで積み重ねてきた分だけ、どこまでも高くなったものなんだから。 これは頑張った小町の対価、報酬でもある。それはきちんと支払われるべきだから。 ツケにして溜まりに溜まった利息の分だけ、少しずつでも返していかなければならない。 でも意外だったのは、それに対する返答がちゃんと返って来たことだった。 「…………あたいは、あんたが消える前に言おうと思っていたんだ。でも言えなかった、あたいに勇気が無かったから」 「…………そうか」 「戻ってきてくれて本当に嬉しかったんだ、言えなかったのは恥ずかしかったこともある。でも同時にあたいは怖くもあったんだ」 「…………怖い?」 もう逃げない、という決意が見え隠れしている。 まだ平常心じゃない、いつもどおりじゃないけれど、小町は前を向いていた。 揺れる赤い瞳。遠くを見つめる目は言葉を裏付ける証明であって、紛れもない本心なのだと知った。 「嘘が本当になっても、まだ夢を見ているだけ。夢が覚めたらあんたが消えているかもしれない。 そう考えたら何も言えなかった。約束を覚えてない、知らないフリをしていこうと思った。 あんたが死神になればいいと願った代償だ、そういうものなんだって自分で区切りをつけたのさ………」 現実には起こり得ないこと、嘘が本当になってしまうこと。でもそれは実際に起こってしまった。 一番信じた、一番願った、一番涙を流した小町でも、それには疑問を持っていた。それくらいにありえないことだったんだ。 だがそれ故に、またありえないことが起こりうるのではないか。あるいは都合のいい夢じゃないかと誰しもが思う。 俺を繋ぎとめたのが、あの約束だとしたら。ならば、叶ってしまった瞬間に約束は終わる。夢が叶ったら夢じゃなくなるのと同じ。 だからこそ、それを言うことが何より怖かった。自らの手で、望んだものを壊すわけにはいかなかったから。 小町は口を開くことを止めた、そうしていれば何も変わらないから。それが自分自身が起こした報いなんだと。 ずっとそう小町は思っていたんだ。言おうと思っても、言えなかったのは全部、そういうことだ。 「………………大丈夫。俺は死神、死ぬことは無い。夢や幻じゃない。ほら、俺はここにいる」 小町の手を、俺の両手で包み込む。約束を果たしても、俺は消えないと証明してみせる。 そうすると小町も同じようにしてくる。この温かさは、嘘でも幻想でも虚構でもない、現実なんだって。 何度もそれを伝えたくて、その手を離すことを止めない。向こうも止めるつもりはない。 遠い昔に届かなかったものが目の前にある。手を伸ばせば届くんだ。だから俺も小町も手を伸ばす。 「小町が俺に負い目を負う必要ももう無い。俺は自分から死神になったんだ、だからここにいるんだ」 「………………そうだね、そうだって分かっていたのに………」 「ああ。………でもやっと言える。遠回りしすぎたけれど、長い間待たせてしまったけれど―――――――」 人として死ぬよりも、もっと大事なものがあるから。 強く強く願ったのは一つ、だからこそ今ここにいて、こうしてまた夢のような続きがある。 本当にそれだけだったんだ。それ以外に何もなかったんだ。どんなものを天秤にかけても気にしなかったんだ。 全ては、この時の為に。 「会いに来たんだ。約束を果たす為に―――――――――俺は帰って来たぞ」 こちらを向いて見つめるその顔は、そりゃもう最高だった。 「なんか、小っ恥ずかしいことをしちまったもんだねぇ」 「だが、悪くなかっただろう?」 「…………そうだね、その通りさ。いつもの通りにあんたの家に押しかける前は、こんなことになるとは思っても無かったけどね」 夕暮れ。光に照らされながら、俺と小町は歩いている。 もう太陽はその姿を隠しつつ、また明日へと向かって昇るために今は消えようとしていた。 青い空は赤くなり、刻々とその姿を変えながら、月が昇るまで赤い空はあり続けている。 灯り無しで見られるのも今のうち。こうして照らされる小町の顔を見るのも今のうちだ。 「なんだか照れるねぇ」 「手を繋いだ時もそうだったな」 「そりゃあんただからさ。そうじゃなきゃ、今みたいに手を繋ぐことを許しはしないよ」 「…………………そうか」 「あんたも照れたね」 小町の所為で夕焼けと同じにされた。 昼の攻勢から一転して、その後は小町の反撃が続く。何か吹っ切れたのか、もはや体裁を気にしなくなったのか。 どっちでもいいけれど、今もこうして常にやられっぱなしである。どうしてこうなった? …………………俺の所為か。 「もっとくっついたらどうなるんだろうね?」 そう言うと、小町はさらに俺との距離を詰めてくる。 繋いだ手を手放して、俺の腕と小町の腕を絡ませた。一般的に知られている言葉、表すなら腕を組むというものだった。 手のひらから感じられた温かさ、それとは比べ物にならないほどに触れる面積は大きい。いつもよりもずっとずっと、小町の顔が近くにある。 もう少しで胸が当たるか当たらないか。そんなギリギリまで迫られた。 …………いや、もう当たっている。 「………やった後で聞くのか?」 「いいじゃないか、あたいはこうしたいんだよ。ずっとこうしたいって思ってたんだよ」 そう言うならば、仕方がない。 多分目的はそれだけじゃないんだろうが、小町が望んでいるなら叶えようと思ってはいるから。 今までやってこれなかった分だけ、その分だけ今があるなら、拒否する気にはなれないから。 何より、俺もそうされることに対して、嫌だとは言うつもりもないから。 「だが、あと少しで夜になる………こうしていられるのも今のうちだな」 「そうだね、もう日は暮れる――――――でも明日がある。また、あんたにおはようって言うんだ」 はにかみながらそう答える小町。その顔は楽しそうで、明日を期待する子供の顔だった。 何よりも待ち望んだことがある、ならばそうなるのはなんら不思議なことでもない。 小町自身がそうしたいのならば、止める必要はない。そして俺も答えるべきだろう。 もちろん、湧き上がる悪戯心は抑えることはないままで、横にいる小町に向かって口を開いた。 「そうか、じゃあ頼むぞ。俺の可愛い彼女さん」 やっと一撃。 俺の言葉に見事撃沈する小町を横目に思う。さて、これからどうなることやら。 待ち望んだ未来はすぐ向こうにある。でもその先は一寸闇。何があるか分からない。 でも小町となら――――――――終わりから始まっていく今、それを乗り越えていけるから。 Megalith 2013/07/10 ────────────────────── 暗い夜空の上に、地上から一つ光が打ち上げられていく。 それは音を響かせながら高く高く舞い上がり、山よりも上へ上へと昇り続ける。 だが数秒後、突然花が開いたかのように散っていく。 赤、青、黄といろいろな色が混ざった火花を残して、後は始めからなかったかのように消えていく。 そして、風船を割った時の音をさらに大きくしたような、何かが爆発したような音が耳に届く。 綺麗だ。 そう思うのは本当にいつになっても変わらない。何度見ても綺麗なものは綺麗なままだ。 しかし、俺がそんなことを考えている間にも、光が空へと上がっていく。また花開いて夜空へと消えていく。 「今日が晴れてよかったねぇ」 「そうだな、雨だったら中止になるところだった」 昼頃から道行く奴らは浮かれ、次は今かとその瞬間を心待ちにしているようだった。 いつも閑古鳥なはずの神社には、見知った出店や屋台がここぞとばかりに立ち並んでいたり。 人里でも同じように、今日は早めに切り上げて仕事を終わらせている人も珍しくはなかった。 今日がどんな日か知っているからだ、夏の風物詩ともいえるイベントが起こる日だと知っているからだ。 そして、俺たちも例外ではない。今という時を楽しみにしていたんだ。 誰も見ていない場所、誰も来ない場所。そんな場所で二人空を見上げている。 「本当だね。今年も花火が見ることが出来る」 「夏が来たと実感する日だからな、これがないと始まらない」 「全くその通りだよ」 花火大会。何日も前から予告されていた、今日がついにその日になったということだ。 中には地底の底から来た奴もいれば、空から舞い降りてきた奴もいる。人や妖怪、神様だって関係無い。 その目的はそれぞれなのかもしれないけれど、でも皆がこの場所に集まってきている。 騒ぎ、眺め、踊り、食い、楽しみながら今を充分満喫している。それは間違いないことだ。 「そういえば、四季様がこの日のために仕事を調整したらしいね」 「ああ。小町と楽しんできなさい、だとさ」 閻魔様も今日という日を知っていたようだ。だから気を利かせて俺たち二人を仕事から切り上げさせた。 この日くらいはという温情だろうか。ならば、閻魔様に感謝せねばなるまい。 彼岸で業務に勤しむ閻魔様に対して、心の中で拝んでおく。 ありがとうございました。 「そっか…………あはは」 「どうした?」 「四季様もあたいたちのことを認めてくれてるんだね、ってそう思っただけだよ」 こっちを向いて笑う小町は、どこか恥ずかしそうにそう答えた。 閻魔様はこれまで俺に対して決着をつけろ、と言い続けてきた。その言葉の意味を知っていた。 俺たちの仲を知っていた。でもそれを直接、俺たちに何か言うことはなかった。 自分たちで気が付けということなのか、それとも敢えて特に何も言わないでおいたのかは知らない。 ただ、こうして今も後押ししてくれるということ。このことが小町の言葉を確かなものだと証明することになる。 閻魔様もそう願っているのだろうか。だとしたら、俺に小町を預けてもいいって思われたんだ。 「閻魔様のお墨付きとは嬉しいことだな」 「そうだね。あたいは、あんたと一緒にいてもいいってことなんだ」 こっちに寄りかかる小町。 触れるか触れないかの距離、それを詰めてきた。心も体も、そうしたいと思ったから俺に近づいた。 誰も咎める者はいない。あの四季映姫が認めた奴らなんだ。だから誰も止めることはない。 俺自身が手を振り解くことをしなければ、ということを除けばなのだが。 でもどうするかなんて分かりきっているから、その前提すら意味はない。 「………………そうか」 「うん」 横で多分、小町は笑っているんだろう。 でも俺はそっちを向くことは出来ない。向いてしまったら最後だから。 ずっとからかわれ続けるんだ。いつもみたいに小町のペースに引きずり込まれるのは目に見えている。 調子に乗ってさらに体を押し付けてくるんだろう。そんな未来が思い浮かぶんだ。 でも、そんな手のひらで踊らされ続けるようなのは癪だ。だから俺が流れを引き戻す。 「…………あ」 小町の肩に手を当てて、何も言わないで更にこっちに引き寄せた。 言葉にするのは止めだ。今回は行動で示して見せようか。 いつもとは趣向が違ったことをしてみたい。どうせ誰も見ていないんだ。そんな思いが俺を動かした。 悪戯心かと聞かれればそうなのかもしれない。ただ、それは決して小町をからかう為だけじゃない。 「………あんたがこういうことをするなんて、珍しいね」 「そういう日もあるさ、たまにはいいだろう」 俺がそうしたいと思ったからだ。 考えに行きつくまでの過程は様々なものがあるけれど、でも小町を引き寄せたいと思ったのは本当だ。 躊躇いもしなかった。そんなものはとうの昔に過ぎ去ったことなんだ、だから手を伸ばした。 それだけのことだ。 「嬉しいよ、たまにじゃなくてもやって欲しいけどね」 「―――――じゃあ、これからそうしようか」 「………………え?…………い、いやいや何言ってんのさ!」 俺があっさりと応えてくれることが意外だったのか、やけに慌てる小町。 一瞬だけ迷ったが、結局のところ悪戯心が勝った結果がこれだ。 期待通りの反応を頂いたので、お返しに本当のことを白状することにする。 「冗談だ」 「………」 俺の返答に押し黙りながらも、小町は左手で俺の服を握った。 そして、頭をさらにこちらに寄りかけて、俺が小町の方を向いても表情が見えないように隠れてしまった。 一連の仕草で何もかも理解した。問いかける必要も、わざわざ考える必要も無い。 暗闇で小町の姿はよく見えない。でも、それは空に上がって散らす花火の明るさで一瞬だけ見ることが出来る。 完全に隠れることのなかった顔の一部から察するに、その表情は不満げだということをこの目で確かめた。 もはや見ないでも分かることだったが、当然の如く頬は赤くなりかけている。 「いじわるだよ、あんた」 「許してくれ、いつでもは流石に俺も恥ずかしいんだ」 「………そうかい」 そう言ったきり、お互いに黙ってしまう。 ポロリと本音が漏れてしまったけれど、でも本当のことだから嘘をついても仕方がないんだ。 そう自分に納得して、俺も少し頬の体温が上がったことに対する言い訳を考えた。 「………あのさ」 「なんだ?」 未だ俺にしがみついたまま、くぐもった声で問いかける小町。 それが妙にくすぐったい。小動物が俺にすり寄ってくるような感覚だけど、今いるのは小動物とは程遠い。 じゃあここにいる小町はなんなんだろうな、とそんなことを考えつつも、小町の次の言葉を待った。 「時々でいいからさ、またやってくれると嬉しいよ」 俯いていた顔を上げて俺を見つめ、はっきりと言ってみせた。 赤い瞳に映るそれには、嘘や冗談でもなく本気でそう言っているのだということが伝わった。 俺が先ほどみたいに、行動に移してくれるんじゃないかって期待しているんだ。 有耶無耶にして誤魔化しても、適当なことを言って煙に巻いてもいい。でも今は誰もいない、誰も見ていない。 普段なら自然と傾くはずの天秤は、いつもとは違う方へと傾いていく。 「………そうだな。人の見ていない所ならしてもいい」 「言ったね、じゃあ今度からやっておくれよ?」 「ああ」 場に流されているのかもしれない、とは思う。 でも、それで小町の笑顔が見れるなら。小町が喜んでくれるならそれに越したことはないんだ。 その選択肢をやり直そうとは考えない。自分の選んだことだから振り返りもしない。 今も昔もそれは変わらない。どんなに時が経っても自分の中にあるモノはブレることはない。 「可愛い彼女のお願いだから、聞かない訳にはいかないな」 そう言うと、また先ほどみたいに顔を隠して黙ってしまう小町。 握る手も強くなる。その強さの分だけどれだけ恥ずかしいのか、俺のことを考えているのかが分かった。 普段なら顔全体を赤くするだけなのだが、今や耳まで真っ赤にしている。やかんを置いたら即沸騰するんじゃないだろうか。 今まで見せた赤さとは違う。その赤い髪と同じくらいにまで迫ろうとする勢いで赤くしている。 かつて、同じ言葉を言った時も見事撃沈した。今もなお全くもって免疫が無いということなのか。 自分で行動に移したりするのは良いのに、逆にやられると全く駄目とはどういうことだろう。 ………そういえば、小町に好きと言う前からそうだったか。なら、いつになっても治らないのかもしれない。 名医も匙を投げるのかもな、と一人そんなことを考える。 「……………」 小町は未だ答えることはない。 隠した顔から見える目、それに合うとすぐにまた目を背けてしまう。 俺から視線を逸らすくせに、またこっちに目を合わせる。そしてまた逸らす。その繰り返しだ。 しかし、いつになってもそんなことをしていても変わらない。時間は刻々と過ぎ去っていく。 ……………俺は花火を見に来たんだ、だから目的を果たそう。思いついた建前を自分に言い聞かせた。 先ほどの発言をなんでもないかのようにして、もう一度俺は夜空へと目を向ける。 またひとつ、花火が上がる音が聞こえる。 「なあ、小町」 呼びかけても、それでも小町は応えることはない。 分かってはいた。でも次の言葉を聞いたら応えてくれると信じている。 きっと、という期待を胸にしながら、じっとしたまま動かない小町に向かって口を開いた。 「また来年も来ような」 特大の花火が打ち上がる。真っ暗な空にデカデカと花開いて散っていく。 それに比例した爆音。耳を塞ぐほどじゃないけれど、突然鳴り響いたら驚きかねないくらいの音量だ。 花開く瞬間に合わせて、小町はボソリと呟く。 わざと聞こえないようにしてそう言ったのか。照れ隠しか。言うタイミングを間違えたからか。 でも、それはちゃんと俺に耳に届いた。かすかに聞こえたその声を聞き逃さなかった。 「………………当たり前じゃないか」 少しだけ、小町を引き寄せる手に力を込めた。 Megalith 2013/07/24 ──────────────────────
https://w.atwiki.jp/inousha/pages/15.html
『現代の異能者たち』について 現代日本の、とある地方都市、N市が舞台に、人知を超えた『力』を持つ異能者たちによる、 バトルあり、笑いあり、涙あり、恋愛ありのなりきりチャットです。 詳しい設定は、現段階では何も決まっておりません。 参加者のみなさんで、自由に世界を1から作り上げていけることを目標としています。 舞台 現代日本の、とある地方都市、N市が舞台です。 異能の力を持つ者たちがいます。 現在,決まっている世界観はこれだけです。 謎の組織や、隠れた脅威があるかもしれませんが、全ては何も決まっていません。 みなさんで楽しみながら、設定や世界観を作っていきましょう。 異能の力について 普通の人々に紛れて、異能の力を持つ者たちがこの世界には存在します。 キャラクターに異能の力を持たせる事が可能です。 参加してみよう なりチャ未経験者、初心者ともに大歓迎です。 「敷居が高そうだし…」とためらっている方、安心してください。みなさんで手取り足取り教えます。 「あー俺に超能力が使えたらなー…」なんて鬱憤がたまってる方々、別世界の住民になりきって発散してみませんか? まずは参加をして、キャラクターを作ってみて、みんなでワイワイ楽しみましょう。 キャラクター作成の前に、ルールの項を一読していただくよう、お願いいたします。
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/346.html
※ゆっくりが現代入りしています。死にはしませんがゆっくりが他種から虐められたり人によって怪我を負ったりします。 川原で1匹の子供のゆっくりが5匹のゆっくりに囲まれていた 「どうしてしゃべらないの?ばかなの?しぬの?」 「ほら、なにかしゃべってみてね!!」 「とかいはのありすからみればぐずめーりんはじょうぶなだけのいなかものね!」 「むきゅ。しゃべれないなんてぜんぜんゆっくりできないのね」 「わかる、わかるよ~!めーりんはあたまわるいんだよね!」 上からそれぞれ、まりさ、れいむ、ありす、ぱちゅりー、ちぇんである。5匹が子めーりんを罵り終えると今度はまりさが体当たりを仕掛けた。 「これでもゆっくりくらうんだぜ!!」 ドスン!! 「―――――!!!…」 子めーりんはこれ程の言葉の暴力、物理的暴力を受けながらも何の仕返しもしないし言い返しもしない。ただ、ただ身体を縮こませ、うずくまり耐えてるだけだ。 そう、めーりん種は言葉を話すことができないのだ。だが、そうだからと言って頭が悪い訳ではない。寧ろ、ゆっくりの中では知能は高い部類に入る。そして、何より体(皮)が他のゆっくりと比べ異常に硬く丈夫で更に再生力も高い。 しかし、『言葉を喋れない』―――この事実は言語を操るゆっくりの中ではゆっくりできない存在として排斥されやいということを物語っている。この子めーりんのように。 この光景はめーりん種にとって日常茶飯事なのだ。 ゆちゅりーが優越感に浸るようにめーりんを見下す。 「むきゅー。ほら、いつもみたいに変な鳴き声出しなさいよ、ほら!」 「JA…JAOOOOOOOO!!」 この鳴き声がめーりん種に許された唯一の声だ。…だが、それだけ鳴けても全く意味を成さない。むしろ、虐めがエスカレートする火種となるだけだ。 「JAOOOOOOO!!だって(わら)!!」 「わからない、わからないよー!」 「まさにいなかもののなきごえね!」 ゆっくり達の攻撃は容赦なく続く。罵倒、暴言、暴力…いくら丈夫なめーりん種であってもこれだけ小さな子供では再生も追いつかず、力尽きるまでそう長くはないだろう。 ―――突然、声が響き渡る――― 「お、おい、お前等、そ…そ、その子が可哀相じゃないか!やめろよ!」 ゆっくり達が声のした方を向くと、そこには小学生高学年位の少年が一人立っていた。人間が現れたことに一瞬うろたえたゆっくり達であったが、相手が子供だと認識するとすぐに余裕の表情を浮かべた。 「なによ!じゃましないでよね!!」 れいむが頬を膨らませ少年を威嚇する。 「そ、その子が可哀相だろ!何でいじめてるんだよ!」 少年の額にはうっすらと汗が浮かんでいる。 「ゆっ!ぐずめーりんはしゃべれないばかだからいじめられてとうぜんなんだぜ!」 「そうよ、そうよ!わたしたちはとかいはのゆっくりなのにいなかものの、めーりんのあいてをしてあげてるのよ。むしろかんしゃされるべきだわ!!」 少年はうろたえていた。ゆっくり達がこんな風に言い返してくるとは思ってもみなかったのだ。 「う、うるさい!どんな理由があろうとも弱いものいじめはやっちゃいけないんだぞ!!」 「むきゅー。ばかなにんげんね。まりさ、こんなやつやっつけちゃって!」 「りょーかいだぜ!ゆっくりできないこどもはゆっくりしね!!」 まりさが少年に体当たりを仕掛け、少年のすねに当たった。思いのほか威力があったのか少年がよろめく。歯を喰いしばりながら耐え、倒れるのだけは防いだ。だが、、まりさはすぐに2撃目を繰り出す。今度は腹にヒットした。完璧に攻撃を喰らった少年は尻餅をついてしまう。 「みんな、いまよ!!」 ぱちゅりーの声で他の4匹は一斉に攻撃を開始する。体当たりに、のしかかり…容赦なく攻め続ける。 少年は…悔しさのあまり今にも泣きそうだった。だが、決してたかがゆっくりに一方的に負けているからではない。 (いじめられいた子を…守って…あげられなかっ…た…) このままゆっくりにやられてしまおうかと諦めかけた時、少年の目にめーりんが映る。 傷でボロボロで…今にも命が尽きそうな体。弱々しい息を途切れ途切れに吐く姿。 (このままじゃ…僕が助けてあげなきゃ…あの子が…死んじゃう…!!!) 少年は一欠片の勇気を奮い立たせた―――刹那、雄たけびが上がる――― 「うおおおおおおおおおおおおお!!!」 「な、なによ!?こいつ、めーりんみたいに叫んじゃって」 一瞬ひるんだゆっくり達であったが、少年の様子がさっきのめーりんと重なった。叫んだって別に何も怖くない。それが彼(女?)等の誤算であった。 立ち上がった少年はそばにいたちぇんを踏み潰した。 「ぐぅ…わ”がだだい”を…」 ちぇんは餡子(ねこまんま?)を吐き出し痙攣し始めた。 「ちえええええええええん!!」 「むきゅー!!よくもちぇんを!!」 ちぇんはまだ死んではいなかったが虫の息であった。ちぇんの下に駆け寄り怒り狂う4匹だったが少年はすぐに次の行動に移した。今度はれいむを掴み上げる。 「ゆっ!!な、なにするの!?ゆっくりはなしてね!」 ちぇんに気を取られていたまりさ、ありす、ぱちゅりーの3匹はその声でようやくれいむの状況に気づいた。 「れいむをどうするつもりなの!?ゆっくりはなしてあげてね!!」 まりさが喚くが少年の耳には届いていない。どうやら我を失っているようだ。 少年は掴んだれいむを思い切りありすに投げつける。 「「ぐばぁああああああ!!」」 れいむは餡子、ありすはカスタードをそれぞれ吐き出し痙攣し始める。あまりの衝撃に2匹は気を失ってしまった。 「よ”ぐも”れ”ゐ”む”と”あ”り”ずを”!!!!」 まりさは怒り狂った。目の前で次々に仲間をやられ。 だが、それに対しぱちゅりーは青ざめてビクビク震えていた。 「むきゅ…ま、まりさ、みんなはまだいきてるよ!ここはみんなをつれてにげよましょ!!」 ゆちゅりーは冷静だった。この選択肢は実は正しいものである。5匹の内すでに3匹はやられている。2匹では勝ち目は薄い。単純な計算ではあるが、闘うよりも仲間を助けて逃げる方が賢明であろう。 「く…ひとまず…ゆっくりはやく逃げるんだぜ!!」 まりさは少々渋ったが仲間の方が大切だと判断したのだろう。逃げることを決断した。そして2匹で他の3匹をひきずって逃げていった。 少年はハッと我に返る。興奮が冷めるとすぐにめーりんの下に寄った。 「大丈夫!?もう、悪いやつらはいないよ!」 声を掛けながら揺すってみる。が、弱々しい声しか聞こえてこない。 「JA…JAOOO…」 続いていた攻撃が無くなった為か多少は皮が再生しているがひどく傷ついている。少年はめーりんを抱えると優しい声色で話し掛ける。 「傷…酷いね…可哀相に…すぐ僕の家に連れてくから、それまでの辛抱だよ。」 「JAOOO…」 めーりんは少年の瞳を見つめ弱々しく鳴いた。 どうして助けてくれたんだろう? 私はもう無事なんだろうか? そんな疑問が浮かぶがまどろみでかき消される。 ~続く~ 初めまして。私、『ひもなし』と申す者です。処女作となります。 駄作だと思われる方も多いことでしょうがここまで御覧になって頂き嬉しく存じます。 投下してくれてありがとう、続きが楽しみです -- 名無しさん (2008-09-27 01 18 01) 乙です。これからの1人と一匹の交流に期待します。悪役のゆっくり達が仲間を見捨てずに、引きずって逃げるところが地味に好きです。重そうなのに。 -- 名無しさん (2008-09-27 01 19 30) 悪役のゆっくり登場でヒヤヒヤでしたが、このSSに必要悪でしたね。続きがとても気になりました。 -- ine (2008-09-27 01 55 45) ひもなしさんはじめまして。少年、なにか事情がありそうですね。続きが気になります。 -- 名無しさん (2008-09-27 06 49 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/651.html
バナナで幻想入り 動画リンク コメント バナナで幻想入り 482人目の幻想入りか 作者 ルークっぽい人 ひとこと ルークを選んだ理由はED時のルークがどことなく自分と重ねられたからで す。それ以上の理由はないです、御免なさい。 ルークっぽい人ってタグが付いていたので作者はそう名乗らさせてもらいます。 主人公 幻想郷に落ちた拍子にTOAのルークになったUP主 動画リンク 新作 閑話休題 ↑テイルズオブジアビスの用語(私の動画で使用した用語中心、戦闘に直結するものがほとんどですが)解説です。もとよりTOAの用語をご存知の方は見なくても多分大丈夫です。 一話 コメント・レビュー 版権物の幻想入りタイプでサムネから察するとおりノベルタイプ ルーク(某有名RPG主人公)が のんびりまったりちょっと戦闘も交えつつ幻想郷を旅する動画 正直言うと展開がダレやすいけど それものんびりまったりの結果でもある。 妖精密度が高くて戦闘メンバーもできるだけ本家のゲームに 近づけようと努力しているせいか引き連れているメンバーが 途中の動画からわんさか増えてくるので そういうのが好きな人にはお勧めかもしれない。 (とにかくにぎやかです) -- (名無しさん) 2008-07-10 22 17 54 一言で表現するなら文字通り誰得動画。 TOAのルークが主人公かと思いきや、外見だけがそっくりというオチ。 版権キャラファン向けなのか、オリジナル作品向けなのか作者の意図がわからん。 -- (名無しさん) 2009-04-08 22 27 30 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらをご覧下さい。
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/1604.html
番号リスト 無職が幻想入り 動画リンク コメント・レビュー 無職が幻想入り 860人目の幻想入りか 作者 とんがりコーンの人 ひとこと 最後に作者がどこから出てくるのか予想しよう 主人公 とんがり mylist/9357002 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー 派手さは無いが本気絵はかなりしっかり描けている。個人的にはネタの方にもう一味欲しい。 -- (名無しさん) 2008-11-28 23 32 10 新作見てきました。ほのぼのした雰囲気と可愛らしい姫様が魅力ですね 。あとエーリンが気づくと・・・ 次も楽しみにしてます -- (A2) 2009-05-29 21 12 19 見させていただきました。 この動画のおかげで姫様好きになりましたよ。 一体どうしてくれるんですか・・・w それと、新作の18話で気づいたのですが、 C21やってらしたんですね・・・。 もし機会があれば一緒にやってみたいものです。 ちなみにですが、 元祖擬人東方スキナーと言えば・・・わかるかな・・・?w さて、次を楽しみに待たせていただきますよ。 -- (MM) 2009-05-31 11 00 19 これ終わりじゃないだろwラストで伏線出てるぞw -- (名無しさん) 2009-08-22 10 44 59 1話から最終話まで、一定のクオリティを維持しつつ、 しかも一定の間隔(一ヶ月に二回程)で更新したのは見事。 しかも終盤になるにつれて絵の上達も。 ストーリーにそこまで起伏は無いものの、見ていて飽きは全く来なかった。 最後はニヤニヤしっぱなし。 楽しい幻想入り、ありがとう、お疲れ様でしたと言いたい。 -- (名無しさん) 2009-08-23 22 43 10 とにかく感動しました、次回作に期待したいです。 -- (名無しさん) 2009-08-27 01 28 14 本気絵がうまい。ネタもおもしろい。これはいい作品! -- (名無しさん) 2009-11-11 00 20 41 最終回は皆で祝おう。ハッピーエンド!!必見だ。 -- (名無しさん) 2010-09-11 02 56 04 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/114.html
菌だって幻想入り 動画リンク コメント 菌だって幻想入り うp主 オリゼーの人 ひとこと 79人目の幻想入り。 オリゼーキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! !!この発想はなかった! もやしもん好きにはたまらないこのゆるさ! (゚∀゚)o彡゜おりぜー!おりぜー! 現在地:状況:オリゼーがスキマ入り!博麗神社にて霊夢と魔理沙にあう。 14話までUP済み。 主人公 なぜか握り拳大の大きさを誇る謎のコウジカビ。名前はまだ無い。 菌と交渉する程度の能力を持つ(断られることも多々あり) 分裂もできるが、増えすぎると駆逐される気がして自重してたり。 只今博麗神社にてかもし中。 分裂体…大福(永遠亭)・ポテト(紅魔館) 近況報告(Last up 7/14) 製作ブログ始めました。今後新作の話とかはこちらでしたいと思います(`・ω・)ノ http //oryzae79.blog.shinobi.jp/ 動画リンク 新作 近状報告 番外 一話 コメント・レビュー 全幻想入りメンバー中でも多分最弱にして、もしかしたら最強に近いかもしれない微生物。とにかく和む、ほのぼの、そしてその親和性からあらゆる場所とお話に潜り込む!? -- 名無しさん (2008-02-22 00 24 32) オリゼーかわいいよオリゼー 大福かわいいよ大福 -- 名無しさん (2008-03-03 17 09 34) この和み具合は最強w 疲れた時にどうぞw -- 名無しさん (2008-03-28 19 15 26) 同情するなら金をくれって銘柄がwwwwシュールすぐる -- (名無しさん) 2008-07-05 14 59 06 もうすぐ17話が見られるのかぁ…楽しみだなぁ… -- (名無しさん) 2010-02-07 15 52 03 名前 コメント すべてのコメントを見る ※レビューについては、こちらもご覧下さい。
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/1882.html
占い師が幻想入り 動画リンク コメント・レビュー 占い師が幻想入り 1024人目の幻想入り 作者 涼白与一 ひとこと またの名を東方想天歌。動きの少ないしっとりとした大人の雰囲気のノベル物。 それ以外も大人向けの表現があるのでお子様は注意。 更新が遅いがクオリティは高め。気長に待ちましょう。 主人公 名前:天音さん 性別:女性 職業:占い師 性癖:ノーマル(自己申告) 動画リンク mylist/13387995 ルートB最終話 ルートA最終話 一話 コメント・レビュー
https://w.atwiki.jp/tohorpg/pages/762.html
[部分編集] 東方紅物語コンテンツ一覧 東方紅物語TOP キャラクター ストーリー攻略 武器・防具・装飾品 アイテム ラーニング技一覧 FAQ・[[小ネタ]] FAQ・小ネタ FAQQ.てぬが4ターンくらいで逃げるんだけど、どうしたら倒せる? Q.太陽の畑で緑の草っぽいグラの障害物を枯らすための花が見つからないよ? Q.妖怪図鑑の完成度に応じて阿求から貰えるアイテムは何? Q.小町と戦えないんだけど? 小ネタ 情報募集中です。 FAQ Q.てぬが4ターンくらいで逃げるんだけど、どうしたら倒せる? A.てゐに与えたダメージは蓄積されるから何度か戦えばそのうち倒せる。 Q.太陽の畑で緑の草っぽいグラの障害物を枯らすための花が見つからないよ? A.地面の他の花と混ざってて判りにくいけど、黄色の花がソレ。 Q.妖怪図鑑の完成度に応じて阿求から貰えるアイテムは何? A.以下の通り。 15% 『総合上昇LV1』 30% デスティニープリン 50% 『ステータスガード』 75% 『妖怪博士』 100% 幻想の勲章(※小ネタ参照) Q.小町と戦えないんだけど? A.本編で戦闘はない。EXで小町と戦いたい場合は、フランドール撃破までに2つのフラグを立てておく必要がある。 1度目→守矢神社で早苗が仮加入後~穣子戦開始までの間に華扇の家前へ行き、小町と会話する。 2度目→1度目の会話をした後、穣子戦後~フランドール撃破までの間に博麗神社にいる小町と会話する。 これでEXに入った後、華扇の家に行って5つの試練を乗り越え、華扇との戦闘に勝つと小町が出てくる。 小ネタ ※周回プレイ時、普通なら既に持っている場合は入手できないが、パーティにいないキャラに幻想の勲章を装備させている時に図鑑完成度を聞くと複数個所持可能になる。人里襲撃イベント時にレミリア 橙 ミスティア以外に装備させた状態で藍撃破前or神綺戦時にアリスに装備させておき神綺戦直後のパーティ加入を断りアリスが加入してない時のどちらかのタイミングで阿求と会話することで2個以上所持できる。 ▲ページ上部へジャンプ
https://w.atwiki.jp/wiki11_row/pages/38.html
現代格闘漫画キャラバトルロワイアルについて テンプレ 特に無し 通称 現格、幻覚 スレ所在 2ch漫画板(のち漫画サロンに移転) 投稿形態 リレー参加型、トリップ推奨 登場人物 格闘漫画(現代もの)の登場人物 主催者 徳川光成、範馬勇次郎 舞台会場 軍艦島 作中時間 一日目 参加人数 17作品から68名予定 状況 未完終了? 【解説】 文字通り、舞台が現代(?)の 「格闘漫画のキャラによるバトルロワイアルが起こったら?」というリレー小説企画。 まず参加者に「(戦闘経験が無いという意味での)一般人」がいない、さらに銃火器などの武器は原則として支給されない、といった特色が見られる。題材の性質上、バトル要素を前面に押し出した仕様ともいえる。 2スレ目に入って書き手不足に陥り、リレーの体裁をなすのもままならない状況になる。しばらくは1~2人の作者で持ち堪えていたが、新規の書き手は現れず、そのまま過疎化。 2006/06/19 スレッドのDAT落ちを確認。新スレが建つかどうかは不明。 【参加者一覧】 7/7名 【グラップラー刃牙】範馬刃牙/花山薫/烈海王/渋川剛気/愚地独歩/ジャック範馬 7/7名 【エアマスター】相川マキ/坂本ジュリエッタ/時田慎之介/ 佐伯四郎/十五漢渺茫/ジョンスリー/北枝金次郎 3/7名 【高校鉄拳伝タフ】宮沢熹一/宮沢静虎/朝田昇 7/7名 【史上最強の弟子ケンイチ】白浜兼一/風林寺美羽/逆鬼至緒/ アパチャイ/谷本夏/朝宮龍斗/九弦院響 4/4名 【真島くんすっとばす!!】真島零/碇正吾/観月裕紀/月形錯羅 4/4名 【修羅の門】陸奥九十九/片山右京/イグナシオ・ダ・シルバ/ヴラッド・ウェガリー 3/4名 【餓狼伝】丹波文七/松尾象山/グレート巽 3/3名 【コータローまかりとおる!】新堂功太郎/天光寺輝彦/鹿斗典善 3/3名 【はじめの一歩】幕之内一歩/鷹村守/間柴了 3/3名 【空手小公子 小日向海流】小日向海流/武藤竜二/濱田カオル 2/3名 【ああ播磨灘】播磨灘/紫電海 1/3名 【軍鶏】成嶋亮 3/3名 【破壊王ノリタカ】沢村典隆/ケン・ジャクソン/チャンプア 3/3名 【ホーリーランド】神代ユウ/伊沢マサキ/緑川ショウゴ 3/3名 【タカヤ】火叢タカヤ/白川渚/花房春歌 2/2名 【殺し屋1】城石一/垣原雅雄 2/2名 【益荒王】大和武士/成瀬ユキヤ 補欠組み 5/4名 【高校鉄拳伝タフ】ゴードン・クランシー/高石義生/鈴木ミノル/帯刀右近/ジェット 2/1名 【餓狼伝】堤城平/藤巻十三 2/1名 【ああ播磨灘】大江川/雷光 3/2名 【軍鶏】菅原直人/トーマ/トーキチ 補欠組みは投票時に同票で定員漏れした人達。 第一放送までに描写があれば参加。 外部リンク ■スレッド(DAT落ち) 現代格闘漫画キャラバトルロワイアル 現代格闘漫画キャラバトルロワイアル Part.2