約 99,176 件
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1095.html
神の能力だとかその資格だとか回りくどいこと言わないで正攻法で陥落させて欲しい 恋人同然にキョンを引きずり回してハルヒの嫉妬心が爆発寸前になったところに満を持して果たし状ですよ 放送禁止レベルの舌戦をかわきりに壮絶なキャットファイトかと思いきや、一方的にハルヒに叩きのめされるササッキー だが勝ち誇るハルヒの目に入ってきたのは橘さんに連れられて現場へ駆け付けてきたキョンの姿だった・・・ キョン「佐々木!大丈夫か!ハルヒお前、佐々木になんてことをっ」 ハルヒ「ち、違うのよ、これは・・・」 佐々木「う・・・キョン、涼宮さんに呼び出されていきなり・・・」 ハルヒ「ちょ、まてよお前wwwww」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1912.html
「耳許で、アイラブユーと囁くんです。」 こんなバカみたいな話で、それを真に受けた俺も十分にバカなんだがな。 俺は、どうかしちまっていたらしい。 「遂に、おかしくなったのかい?親友。」 「全くだ。」 帰り道にばったり会った、中学時代の同級生、そして親友の佐々木。抱き締めて耳許で囁いてみたのだが……前文の有り様だ。 佐々木は、俺の腕から離れると、少し赤い頬で俺を向いた。 「僕からの返事は、今は、保留だ。」 悪戯めかした告白のつもりだったんだがな。 佐々木は赤い頬をしながら言った。 「僕は、生憎と夏休みは忙しい。その言葉を証明してもらいたいんだが、時間がない以上、どうしようもない。 差し当たっては……9月1日。放課後にデートに誘って貰えるかな?返事はそこでしよう。」 勿論だ。楽しみにしとけ。「くつくつ。楽しみにしているよ。」 佐々木は嬉しそうに微笑むと、去っていった。ああ。二学期が楽しみになってきたぜ。 その頃、長門はマンションの一室で目を見開いた。 「彼が、詳細不明の雌と接触を確認。私という個体の存在にかけてもループを断行する。」 8月31日。また、ループが始まる…………。 END
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1934.html
69-235「僕の勇者と俺の魔王」の続き 勇者と魔王が結ばれる。んなもん他からすりゃ、面白いわけないわなぁ? しかも俺なんて、ただ単にたまたま筆記試験に受かっただけの似非勇者って言われてたのによ。 故郷に佐々木を連れて凱旋したら、案の定拘束されちまった。やれやれ。 「キョン。子どもの名前は何にする?」 「お気楽だな、お前は。」 佐々木は編み物をしている。因みに拘束は1秒で外された。佐々木が焼き切ったそうだ。 「お気楽だよ。僕は一国の元首。そしてキミはその伴侶。それを拘束するなんて、外交問題になるから。普通に。 どこのトンチキが考えたかは知らないけど、戦力差がありすぎる国に対して戦争なんてやるものじゃない。仮に僕達を殺せば、その瞬間がこの国の終焉さ。 それに。見ただろう?あの兵士達の怯えた表情。個体としての能力で、魔王に敵う者はいない。よって殺される事はないよ。」 確かにな。魔王は最強の存在だ。勇者を除けばな。 似非勇者の俺と違い、本物がいるんだよ、伝説の勇者が、この国には! 「キョン……」 階段から音がする。……フリフリのドレスに着せられた、伝説の勇者……涼宮ハルヒ。 「ウェディングドレスじゃないか。上質な絹をふんだんに使った、贅沢品だね。」 や、やめろ、佐々木…… 「お久し振りね、女狐……!」 剣が一閃したかと思えば、牢屋の格子がチーズみたいに切れた。 「ひいいいいいい!」 後退りする俺の前に、佐々木が出る。 「くっくっ。祝福に来てくれたのかい?そのドレスは、私への御祝儀かしら?涼宮さん。」 「そうね、あんたの血にまみれる事になるからね。棺桶で着せておいてやるわ。」 二人の間に火花が散る。 そして。 「エラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラー」 無機質な声が響く。……この声は…… 「長門……!」 機械の町の長門有希。対人無敗の女。仮に1対1なら、その戦闘スキルは勇者をも凌ぐ。 しかし、対モンスターにはあまり強くはない。 「迎えに来た。」 長門はそう言うと、俺に真っ直ぐ向かう。立ちはだかるのは、ハルヒと佐々木。 三竦み。ハルヒを倒せば、長門が佐々木にやられる。 佐々木を倒せば、ハルヒが長門にやられる。 長門を倒せば、佐々木がハルヒにやられる。 羨ましいか?いつでも代わってやるぞ?ただ、死んでも文句言うなよ?流れ弾に直撃しちまい、俺は床に倒れた……。次に気付いた教会でも、三人の争いに再度巻き込まれて殺されたが。 どうやら『平穏』からは程遠いな。やれやれ。 END
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/20.html
町を歩いていると物陰から変な人に呼び止められた。 普段なら華麗にスルーを決め込むところだが今日の俺には時間がある。 少なくともどんな奴に呼び止められたのかは見たい気がした。 一歩進んで路地の裏を見る。 水晶玉にタロットカード、虫眼鏡と節操の無い置き方をした「いかにも占い師」がそこにいた。 その占い師は俺に言った。 「珍しい相が出ているね、いいような悪いような・・・・・・失敗する・・・?でも幸運に会いそうな・・・・・どうだろう、詳しく占わせてくれないか?」 物言いにはすごく興味が引かれる。 しかしこの手の占い師は一件何千円とか取ったりするものだ、俺にそんな金は無い。 「おっと、料金なら要らない。今日はもう店じまいだ、これは僕の純粋な興味だよ」 俺が金が無いという前に占い師は見透かしたかのように発言をかぶせた。 まぁ、俺みたいな何処にでもいる高校生の兄ちゃんが金持ってなさそうだなんてのは誰にだってわかることだ。 しかしそれでも俺はこの発言によってさらに興味を引かれた。 気がついたら占い師の前の椅子に座っていた。 占い師は俺が座ったのを見るとにやりと笑った。 俺は占いなんてさっぱり知らないので何をやっているかはさっぱりわからない。 生年月日と血液型を書かされ、しげしげと手相を見られたと思えば今度はカードをいじっている。 「・・・・・・で、塔か・・・・・ふーん、本当に珍しい」 塔ってのは目の前に出されたカードのことらしいが俺はさっぱりわからん。 「おっと、すまない・・・・・君はね、これから君の最もも得意なことで失敗する」 俺が占いの結果を待っているのを思い出したのか占い師は語りだした。 おいおい悪いじゃねぇか。 「だが、その失敗は君を幸福にする。矛盾するような結果だが・・・・・何か思い当たる特技ってなにかあるかい?」 特技って言われても特にそんなものは無い、強いて言うなら超常のやつらとお友達になりやすいことか。 しかし多分それに失敗したら俺を待っているのはデッドエンドだろう。 俺の人生は意外とタイトロープなのだ。 「ふーん・・・・・・なにかそれっぽいことがわかったら教えてくれるかい?占い師として非常に興味があるんだ、僕は大抵ここにいるから」 適当に占い師に礼と言ってその場を後にする。 例え解っても教えにくるかどうかは気分次第だな。 「あれ?キョンじゃないか」 その後適当にぶらついていると後ろから声をかけられた。 「ん?おお、佐々木か」 声をかけてきたのは親友、佐々木だった。 「キョン、なにをやってるんだい?」 「いや、ただぶらついてるだけさ。佐々木は?」 「僕もそんなところだね、暇をもてあましているところさ」 佐々木が暇とは珍しいな。 ん?佐々木がなんだか目配せをしているような・・・・・・気のせいか。 そうだ、佐々木ならさっきのアレをうまい事分析してくれるかもしれない。 「そうだ佐々木、暇なら一緒にどっかいかないか?」 「え?・・・・・・あ、うんいいよ。キョンと一緒にいたほうが楽しそうだしね」 「んじゃとりあえず喫茶店でも行くか?」 「そうだね、任せるよキョン」 俺と佐々木は連れ立って歩き始めた。 ん?なんだか違和感がある、えーと・・・・・・なんだろう。 あ、そうか。 「佐々木、髪切ったか?」 「え、ああ。実は美容院の帰りなんだ。・・・・・・それにしてもよく気づいたね、キョンは絶対気づかないと思ってたよ」 む、なかなか心外なことをいわれた気がする。 俺にまったく洞察力が無いみたいではないか。 「おいおい、それじゃ俺がぜんぜんお前のこと見てないみたいじゃないか」 とりあえず抗議はしておかないとな。 あれ、佐々木顔赤くないか? 「・・・・・・キョン、君は恥ずかしいことをいうようになったね」 何のことだかさっぱりわからない。 そうこうしているうちに喫茶店に着いた。 当然最初の話題は例の占い師についてだ。 「得意なことに失敗して幸せに?」 「なんかそんなようなことを言ってたな」 佐々木はしばらく考えてからハッとしたようなしぐさをした。 「あ、なるほど。そういうことか。とすると・・・・・・くっく、キョンの特技はアレか」 「お、解ったのか?」 「うーん、多分だね。今日一日で実験してみることにするよ」 「おう、そうしてくれ」 まぁ別に解らなくてもなんの支障もないだろうが気になるからな。 ん?佐々木がなにか思い立ったような顔をしている。 そうか、それなら・・・・・・とか、今ならもしかしたら・・・・・・・とか言っている。 それから佐々木は何かを決心した顔になってこちらを向いた。 「キョン。実は今日僕の家は誰もいないんだけど・・・・・・」 俺は、俺たちは占いどおり幸せになった。 占いの結果 キョンの最も得意なこと(=フラグクラッシャー)が失敗して幸せ(=フラグが成立)になる。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1612.html
昨今巷で騒がれている地球温暖化の影響による異常気象とやらも 梅雨前線にはあまり関係がなかったようで、つまりここのところ しとしとと雨が降り続ける毎日なのである。 6月も半ばを過ぎ、紫陽花が青に紫にピンクと通学路の彩りを 加えてくれているコトは本来自然に感謝すべきところなのだろうが こうも毎日続くと気が滅入ってしまうのは仕方のない事だった。 「よう、佐々木」 「あぁ、おはようキョン。今日も浮かない顔をしているね」 いつものことだ。気にするな。 「梅雨に敵愾心を抱くのは無理からぬ事かもしれないが、自然には逆らえない。 それに日本から梅雨がなくなっては農家の方々を始め、夏場の水不足が 深刻な地域など、困る人が大勢いる事も忘れてはならないね」 わかってるさ、そんな事は。だがたまにはお天道様の顔を拝みたくなるのが人の性だろ。 「だね。実は僕の母親もこの時期になると、乾燥機の導入を真剣に父と論議し始める。 何事もバランスが大事だと言うところか」 「そうだな」 塾に通うようになり2ヶ月。佐々木と一緒に勉強する事になって1ヶ月。 最近は塾だけでなく、学校において他愛ない会話するようになった。 「あ、佐々木さーん」 「はい、どうしたの?あぁ、またね、キョン」 「おう」 良く話すようになって程なく気づいたが、佐々木は女子相手と男子相手では言葉遣いが異なるらしい。 女子とはフツーの一般的な女子の口調なのだが、男子と話す場合は口調まで男っぽくなるのだ。 「キョン」 「ん、あぁ国木田か。おはようさん」 「うん、おはよう。今日も雨だね」 「全く。この時期はほとんど室内で筋トレに終始せねばならんのが歯がゆい」 国木田と中河。学年トップクラスの秀才と、スポ根バカの2人が揃って教室に入ってきた。 「中河もおはよう。朝練か?」 「あぁ。と言っても校庭を走り回れる訳ではないからな……フラスコレーションが溜まるというものだ」 「……それは多分フラストレーションだよ」 国木田の冷静な突っ込みを豪快に笑い飛ばす。こら、やめろ。ツバが飛んできた。 それにしてもこの梅雨の時期のジメジメ感はなんとかならんものだろうか。 夏に向けて気温も徐々に上昇し始めると共に、相乗効果で湿気が加速度的に不快になる。 せっかく授業を真面目に受けようとしているのに、端からやる気を削がれてしまうだろう。 俺はこんなにやる気なのに、湿度が高いせいで、授業中に落書きとか始めてしまうじゃないか。 全く困ったもんだぜ。いや、ホントは真面目に受けたいんだからな?本当だ。 そんな俺の背中を指でトントンと叩かれる。 次いで後ろの席のヤツが小さな紙切れを指に挟んで差し出した。 板書している先生に見つからぬよう素早く受け取り、目線で礼を言った。 さてさて、誰からで何と書いてあるものか。 『キョン 今日の授業内容は試験に出そうだから真面目に受けた方が良い 佐々木』 見られていた……だと……。 だがテストに出ると言われては致し方ない。 肌に貼りつくシャツを振り払うように、俺は一心不乱にノートを取り始めるのだった。 放課後。朝から降っている雨は未だに止む気配がない。 いや、朝からというのは語弊があるかもしれないな。 昨夜寝る時も雨は降っていたので、もし夜中の間も人知れず降り続けていたのなら 延々とひたすら降り続けているのかもしれなかった。 なんとまぁ勤勉なこった。俺にゃ真似できん。 「待ったかな?」 「いや、ぼーっとしてたし問題ない」 今日は塾がないので学校の図書室の一角に潜み、塾の課題をやりつつ 佐々木先生より不明な点をお聞きするという算段だ。 「それじゃあ始めようか、キョン」 「ああ。よろしく頼む」 カリカリと鉛筆の走る音が静かな図書室に染み渡っていく。 時折聞こえる運動部の掛け声や、廊下を歩く女生徒たちの声、 そして微かに聞こえるサーという雨音。 図書室はカビ対策のためか校内では職員室と保健室を除いては 唯一空調が効いており、要するに現在除湿作動中のこの空間は 勉強に集中するのに最適な場所なのだ。 塾で配布された問題集は単元ごとに参考時間が設けられているので まずはその時間内に解ける問題から解いていく。 分からないところはとりあえず飛ばすが、時間が余っている限りは 頭をヒネり、考え、悩みぬかなければならない、というのが佐々木先生のお達しだった。 『何でも最初から人に聞いては君のためにならないからね。 自力で解こうとする姿勢にこそ、問題を解く力が宿るものだよ』 本番で他人に質問できる訳など当然ないのだから、至極正論だ。 そういう訳で俺は半年前、いや2ヶ月前ならガラでもないと自分で思うほど 真剣に数学の問題に向き合っている。 それでも対面に座る佐々木をチラリと見ると鉛筆が止まることなく淀むことなく進んでいる。 全くたいしたもんだ。 「ふむ。そろそろ時間かな」 「ん、もうか」 時計を見れば開始してから1時間が経過していた。 「どうかな?」 「うーむ。とりあえずあからさまに不安があるのはこの辺だな……」 「ほう」 「単純な計算問題はなんとかなってると思うんだが……」 黙って佐々木は俺のノートを見ている。 長い睫毛が幾度か瞬きで開閉される度に、パシパシと音を立てていそうだ。 耳を澄ませば聞こえるんじゃなかろうか。 「解き方としては良いんだが……ココとココ。それにココは途中でケアレスミスしているね」 「な、なんだとっ……う、た、確かに……」 「まぁそういう失敗は気をつけて落ち着いてやれば減っていくものさ。 後は見直しを習慣にした方が良いかな」 「わ、わかった」 それから、と佐々木は挟んで 「キョンは文章問題を計算式に置き換えるのがまだ得意じゃないみたいだね」 「そんな事を得意とするヤツがこの世にはいるのか……」 「当然だろう。というかキョンも得意になってくれないと僕が困る」 今日の勉強会も不甲斐ない散々な事になりそうだ。 まぁ、だからこそ佐々木に協力してもらっている訳だが。 かきかき。カリカリ。けしけし。ペラペラ。 目の前で勉強に没頭している人間がいるせいか 自分まで勉強に集中できていたようで佐々木から声をかけられる頃には 校内に下校を促がすチャイムメロディが響き渡り、外はすっかり暗くなっていた。 「キョン。そろそろ帰らないとまずいね」 「……あ、あぁ、もうそんな時間か」 「随分集中できていたようだね」 「まぁな」 その大半はお前のおかげだが、その事が俺の口をついて出る事はなかった。 「まだ雨降ってるんだな」 「うむ、そのようだ」 言いながら俺たちはカバンに勉強道具をしまい込んだ。 「佐々木は傘持ってきたのか?」 「……キョン、今朝登校する時にも雨は降っていたんだが……」 「……」 「君にとって僕のイメージとは雨が降っているのに傘を持たずに家を出て さらに雨に濡れながらそのまま学校まで来るような人間なのかい」 「……すまんかった」 そんな他愛もない話をしながら、誰もいなくなった廊下を、佐々木と肩を並べて歩く。 「明日は晴れるかねぇ」 「梅雨の中休みに期待したいところだね」 「だな」 校門前。佐々木はアッチ。俺はコッチ。 「じゃあまた明日。授業の復習は忘れずにやりたまえよ」 「面倒だがまぁやるさ。また明日な」 そうして佐々木は手を振って俺と逆方向へ歩き出した。 男言葉で話す佐々木の傘は淡い薄桃色で、ほの暗い梅雨の景色の中に一際明るく見える。 佐々木の姿が遠く見えなくなる前に、俺は自分の家へと足を向けるのだった。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1741.html
「春だねキョン」 「そうだな佐々木」 大学の帰り道、キョンの自転車の荷台で揺られながら桜を見上げ、桜並木に立ち止まる。 「生憎と先日の爆弾低気圧とやらで随分散ってしまったようだが……」 「まるで雪でも降ったみたいになってるな」 「おや、誌的な表現をするじゃないか」 喉奥で笑ってみせる。……ふむ。 「ふむ。忘れめや都のたぎつ白河の名にふりつみし雪の明ぼの、だったかな」 「あー。どっかで聞いた事があるような」 「キョン。南北朝時代は知ってるね? 鎌倉幕府を倒した原動力の一つにして南朝の初代天皇、後醍醐天皇……」 「ああ後醍醐天皇の」 「その皇子、息子にあたる宗良親王の遺した歌さ」 「また随分だなそれ」 「そうかい?」 「後醍醐天皇の勢力が鎌倉幕府打倒後に分裂したのは覚えているね?」 「さすがにそのくらいは覚えてるぞ」 「それが南北朝時代だね」 大覚寺統と持明院統はまあ置いておこうか。 「その息子、宗良親王は元は僧だったんだが、父の為に還俗し、武人として漂泊の日々を送った」 「元お坊さんで天皇の息子か。そら風趣な趣味を持ってる訳だな」 「征夷大将軍に補せられたこともあるよ」 「すげえな。世が世なら将軍様か」 「武家のそれとはまた違うだろうけどね。ただ南朝側はやや劣勢だった」 「武士勢力の室町幕府と北朝、貴族勢力の南朝って図式だもんな。おおざっぱに言えば」 軍事的には劣勢と言っていい。それでも南朝は幾度か反撃・侵攻を繰り返したが、1367年頃を機に弱体化していった。 「そこでさっきの歌という訳さ」 「忘れめや都のたぎつ白河の名にふりつみし雪の明ぼの」 通釈、忘れたりするだろうか。都を奔り流れる白川の我が住まい――その名にふさわしく降り積もった雪の曙を。 「都が懐かしいなってか?」 「まあそんなとこさ。白く染まった景色を見て彼は思いを馳せたんだね。雪に染まったかつての自邸に」 「だから僕も思うのさ。この桜吹雪に、あの卒業式の想いを忘れたくないな、とね」 「……そうかい」 「いつの卒業式の話か聞かないのかい?」 「俺は鈍重な感性の持ち主だからな」 皮肉とは趣味が悪いね。 「自嘲だよ」 そうかい。 「笑うな」 やだね。 「ときにキョン、思ひきや手もふれざりし梓弓おきふし我が身なれむものとは、なら知ってるかい?」 通釈、思いもしなかった。昔は手さえ触れなかった弓矢や武具を、起きても寝てもそばに置き、 これほど我が身に馴らそうものとは。 「もう勘弁してくれ」 やだね。聞いて考えたまえ。 「元が貴族でお坊様、それが武人となり転戦を重ねて詠んだ歌だよ」 「人間の適応能力ってスゲーなってか?」 「ほう」 「昔は触る事さえなかった武具に、今はこんなに慣れ親しんでる、こんな自分になるなんてなって自嘲してんだろ」 「いい解釈だ。ではこれを僕に当てはめるとどうなるかな?」 「知るか。そろそろ脳のCPUが焼ききれそうだ」 「では空冷ファンを足さなきゃならないね」 「耳に息を吹きかけるんじゃありません!」 「そうかい?」 「いいから帰るぞ。日が暮れる」 「はいはい」 昔、僕は恋愛感情なんてノイズだと思っていた。 けれど、キョンに出会って、今はこの感情に慣れ親しんでいるどころか楽しくて嬉しくてしょうがないんだよ。 まったく。こんな自分になるなんてさ。中学二年以前の僕に伝えてあげたいね。 中学三年の時、あの雨の日に変な意地で壁を作ってしまった僕にも 中学卒業の時、意地っぱりのままキョンとの関係を断った僕にも 高校二年以降の僕にもだ。 ああ高校二年時代の僕は別かもしれないね。 好きだとも、好きだったとも、さよならとさえ伝えなかったのは、ちょっとした貪欲さだと思うから。 成就しないからと振り切るのでもなく、いつか素直になる為にとっておいたのだと。 さよならは言わない。別れなんて言わない。また、出会いたいから。 いつか自分を克服して、素直になる為にね。 諦観に沈むだけじゃなく、挑戦も必要なんだよ。 何かの為に、誰かの為に諦めるより、自分に素直に行動してみたらどうだい? きっと思いもしない自分が見えるよ。 苦しくても切なくても醜くても、そんなの蹴っ飛ばして自分に素直になってごらん。 素直になれないなら、その自分を克服して新しい自分になってごらん。 そうさ「すべてを諦める」事なんてないよってね。 僕らの青春はこれからなのだから。 自転車の荷台に乗って、彼の背中に身を預ける。 「さ、いくよキョン」 「佐々木、解ったから背中に張り付くな!」 やぁだね。 「もうここから離れる気はないよ。ここは僕の特等席なのだからね」 筆者注 佐々木さんが「思ひきや手もふれざりし……」と語る同人誌の四コマに影響されたお話です。 元ネタありとご了承下さい。なお「天勾践を空しゅうする莫れ」及び、総集編「volunteers #19 異装奇歌学」収録分です。 同サークルvolunteersでは分裂本が複数出ています。が、後発の本になるほど(ご当人も言っておられますが) 解釈がこじつけ、トンデモになり、読者を選ぶタイプとなっているようです。 ルームシェア佐々木さんシリーズ 66-25 ルームシェア佐々木さんとホワイトデー 66-67 ルームシェア佐々木さんと意思疎通 66-86 ルームシェア佐々木さんとハードル 66-100 ルームシェア佐々木さんが止まらない 66-126 ルームシェア佐々木さんと春 66-332 ルームシェア佐々木さんと毛布 66-387 ルームシェア佐々木さんと桜吹雪の日 66-427 ルームシェア佐々木さんと希薄な欲望 66-545 ルームシェア佐々木さんとキミの耳(完結)。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/855.html
団長殿が冬休みのスケジュールを発表した。 何何?不自然探索、団長様による俺の教育的指導の日、クリスマス会、合宿、大晦日の除夜の鐘、初日の出、初詣、コミケ、不自然探索、不自然探索、不自然探索。 教育的指導って一体何だよ。いい加減にしろ 「あのー、団長様。オフの日が無いのですけども」 「何言っているのよ、あんたがそんな不真面目だから不自然が逃げるのよ。 あんた少しは真面目にやりなさい。不自然探索はデートじゃないと何度言ったらわかるのよ」 そんなの判っているぞ 「すまんが、1月2日か3日のどっちかくらいはゆっくりさせてくれ。先約あるし」 毎日毎日そんなハードスケジュールなら、俺死んでしまう。少しは休ませてくれよ。俺は団長と違って普通の人間なんだよ。 「先約?休んで何するの?佐々木さんとデート?それともミヨキチちゃんとデート?」 「そんなんじゃない。佐々木と一日寝て過ごす約束なんだよ」 佐々木も勉強勉強で疲れていたから、一日くらいは、まったり寝正月を過ごそうということで話がまとまった。 え?皆さん目がいってますよ。Why? 「あんた、さっき何って言ったの?よく聞こえなかったけど」ビキビキ 「中学時代みたいに佐々木と一日寝て過ごす約束なんだよ。だから一日休ませてくれ」 永い沈黙が流れた。 「・・あなたはもう。私の部室に立ち入ることは許さない」 長門さん。何を怒っているのですか?すごく怖いです。 「あんた首。もう来なくて良いわ。そんなに佐々木さんと寝て過ごしたいなら、一生ずーっとそうしてなさい」 団長様がそう言うのならば、お言葉に甘えて・・・え?首? 「キョン君の不潔」 何で不潔なんですか?朝比奈さん 「佐々木さんを選ぶにしても、言い方というものが・・・」 「なあ、佐々木。ハルヒ達は何を怒っていたのか判るか?」 「僕と絶交して、永久に会わないと約束すれば、涼宮さんの機嫌が直るかもしれないよ。やってみるかい? もちろん僕は、君と絶交されて生きていけるか自信が無いけど」 佐々木に会えないのは嫌だな。 佐々木との寝正月は途中から質が変わり、、、 あの時できた子供が男とだけ言っておこう。もちろん責任は取ったぞ。 (おしまい)
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1569.html
720 : この名無しがすごい! :2009/07/20(月) 20 38 32 ID mv+xkFW/ 佐々木かわいいよ佐々木 721 : この名無しがすごい! :2009/07/20(月) 20 48 18 ID gSsT7jOA 720 佐々木「何か言った? 橘さん」 橘「いえっ、独りごとなのです!!」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/131.html
「キョン、キミの子供を産みたい」 「ぶ。急に何を言い出すか!それにまだ十代だというのに落ち着く気もさらさらないぞ」 「産みたいと思ったけど考え直すことにした、という話なのに」 くっくっくっ……… 「………あ、そ」 「たぶん僕とキョンとの子供はこんな顔になるね。目は僕。鼻がキョン」カキカキ 「俺の鼻はこんなじゃない。もっとこんな感じ」 「えー全然違うよ。口は僕、耳は」 「いやこれはまずいってもっとかわいくならんのか。こうだろ」 「違うって何だよこの福笑い」 「こうだろ!」 「こうだって!」 ワーワー キャーキャー 「あのふたり何を騒いでいるのかしらね?」 「ふん、現地民の考えることはわからん」 「――――」 「違う!お前の目はもっとかわいい!」 「どさくさにまぎれてなにをwww/////」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1087.html
「キョン、僕はキョンの鎖骨が好きだ、愛してる」 「俺もだ、最初に会った時からおまえの鎖骨がずっと気になってたんだ」 「キョン、僕嬉しいよ……」 「佐々木……二人で鎖骨にお湯を溜めて遊ばないか。できれば、その、なんだ、一生」 「……うん、いいよ……」