約 99,176 件
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/923.html
聞け!全ての宇宙人、未来人、超能力者たちよ SOS団はやがて終わる 統合情報思念体、そして未来人…彼等にはもはや、 ハルヒを導くだけの力も権威も残されていない 泥沼と化した神人狩りに機関が苦しんでいるあいだ 佐々木派の勢力は飛躍的な発展を遂げた そして消失長門のバグによって統合思念体にはこれ以上のハルヒの観察に付き合う余力がなくなった だが、神人が大人しくなったからといって平和が訪れるわけではない 主流派、機関、禁則事項の支配から解き放たれ これまで押さえ付けられていた各勢力の佐々木主義、反ハルヒ主義は活発化するだろう そして登場回数の差の拡大が互いの憎しみを煽る 機関の管理から外れて世界中に拡散する閉鎖空間 それらがいつ、どこで発生するかわからない時代が訪れる たとえSOS団団員であろうがいつ敵になってもおかしくない それどころか、同じ勢力の者どうしが殺しあう時代が訪れるだろう 朝倉と長門のように! 昨日まで仲間だった森さんが、喜緑さんが、自分の未来が…おまえに銃を向けるかもしれない キョン「黙れ佐々木!」 おまえをホモと疑っている人間はいないか? おまえのエロ画像を保存している人間はいないか? おまえは本当にキョンに必要とされているのか? おまえを殺してやりたいと思っているSOS団員は本当に誰もいないのか? キョン「やめろ佐々木! 」 僕の部下がお前達の中にまぎれているぞ 僕を裏切ったお前達を殺す為に キョン「嘘だ…騙されるな!」 朝比奈「オカズにされる…」 長門「エラーがたまる…」 古泉「やらないか?」 キョン「おい!しっかりしろ!あいつの声を聞くんじゃない!」 おまえ達の敵は おまえ達のすぐ隣にいる お前か…いやお前だったか… ハルヒは、無数の信管を突き刺した巨大な爆薬のようなものだ 世界は、たやすく壊れてしまう たった一発の騒動で いやただ一発のキョンの言動や行動で いたぞ… 敵だ!
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1763.html
人間ってどんな味がするんだろうな。 「君にカニバリストとしての素質があったとは意外だよ。 少々、友達付き合いを考えさせてもらおうかな」 いや、別に蟹は好きだがなんでそれでお前に全力引かれないといかんのだ。 「カニバリズムというのはつまり食人、人が人を食うことだよ」 ぐえ。 「その様子を見る限り、その不穏当な台詞はどうやら違う意図のようだね。 何やら人を食った話だけど、聞かせてもらえるかな」 うまいこと言ったつもりかよ。 さっき中河と成績の話をしていたんだが、その、なんだ、つまり点数の比較をしていたわけだ。 「ふむ、君がそうやってクラスメイトと張り合いをできるとは、 中間テストの前日に泊まり込みで一緒に勉強した甲斐があったというものだよ。 それについてはもちろん感謝してるぞ。神様仏様佐々木様。 で、中河のやつが少々気分を害してしまってな。 「自分と同様と思っていた君があれだけの成績を取ったのが信じがたかったと」 期末のときはほとんどどっこいどっこいだったからな。 で、あいつが捨て台詞を吐きつつ泣いてどこかへ行ったんだが、 その台詞が「俺を舐めてんなよー!」だったわけだ。 「その台詞から人間の味を考察する君の思考回路がどうなっているのかニューロンを見てみたいね」 そもそもなんで、舐める、なんだろうなと思ったら疑問が深まってしまってな。 「確か、舌で舐めるのとは語源が違ったはずだよ。 古語で平仮名で「なめし」というと「無礼である」という意味があってね。 そこから転じて、なめる、が見くびるとか、ないがしろにするという意味を持つようになったはずだ」 少なくともお前をなめるのは無理だということがよくわかった。 「おや、舐めるつもりはないのかい?」 今お前、漢字の方の意図で喋っただろう。 「なかなか勘が鋭いね、キョン。そもそも人間の味ってどうなのかと考えたのは君じゃないか」 それはそうだが。 「基本的には塩味になるだろうね。人間は塩化ナトリウムで浸透圧を利用して生体を調整している。 汗をかいた後で放っておくと塩を吹いた憶えはないかい?」 じゃあ舐めると塩味になるのか。汗をかいた後でなくても? 「人間は普段から汗をかいているんだよ。はっきりとは見えないけどね」 そうなのか?実感がわかないが。 「試してみるかい?」 誰でだ。俺は妹をぺろぺろする変態にはならんぞ。 「君の目の前にいるのも同じホモ・サピエンスの生体なんだけどね」 同じ変態じゃないか。 「なぜ変態なのかな? 君と僕は同じホモ・サピエンスの雄と雌でありかつ近親関係にはないのだから 身体的接触を行うことは自然ななりゆきであって変態的なものではないと思うよ。 変態というのは異常な性癖や性欲のことであり、生物として当然のことは変態とはいわない」 なんだか騙されたような気がするが、変態じゃないなら試してみるか。 「そうそう、知的好奇心を試すのは悪いことではないよ、キョン」 どこを舐めたらいいんだ? 「露出しているところで汗の味がわかりやすいところというと、そうだね、首筋ではどうだろうか」 なるほど。じゃあ舐めてみるぞ。ちょっと固定のために肩に手を掛けるぞ。 「ご自由に」 ぺろぺろぺろ…… 「ん……っ」 なるほど、確かに塩味だな。くどくなくてあっさりしているというか…… 「……ふぅ。美味しかったのか不味かったのか聞いておきたいね」 ああ。お前の身体、美味しかったぞ、ごちそうさま。 「くっくっく、君に喰われたような心境はなかなかよいものだね」 それを人を食った態度というんだ。 「ここでそう言い返してくるとはやるじゃないかキョン。 じゃあ僕も君を喰う、もとい舐めてみようか。甘くないといいのだけどね。 甘いとどうなるんだ? 「糖尿病だと汗に糖分が混じるんだよ」 やめてくれ。この歳で糖尿病になるほど不摂生はしていないはずだ。確認しろ。 「ではお言葉に甘えて、甘くないか確かめてみよう」 む……これは、……くすぐったいな。 「ふぅ……、ごちそうさまキョン。安心したまえ、ちゃんと美味しい塩味だったよ」 ふう、健康を確認できたところでそろそろ帰るか。 「そうだね。みんなが先に帰ってくれていて幸いだったよ」 ところで佐々木よ、人間が塩味なのになんで唾は塩味がせんのだろうな。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1807.html
佐々木「キョン、君はお盆はどういう予定なんだい?」 キョン「ああ、おれの所は田舎の実家n」 佐々木「ではぼくもついていくとしよう、 なにせっかくだから風光明媚な景色を楽しみたいと思ってね、 大丈夫、旅費はぼく持ちだし別便で行くつもりだよ、迷惑は(ry」 キョン「最後まで聞け、おれは留守番なんだ。 向こうで妹の面倒をお前が見てくれるんなら、それはそれはありがたい話だが」 佐々木「ぼくは君の(ハッ!)」 キョン「・・・・・・」 佐々木「・・・・・・」 キョン「暇なら家来てくれるか?」 佐々木「(こくん)」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1663.html
佐々木 「やぁ。こんな時間に町を歩いているなんて、学校はどうしたんだい?」 キョン 「いや、テスト期間中なんだよ。それで暇だったからちょっとぶらついてみようかと考えただけだ。というかお前こそなんでこんな時間にいるんだよ」 佐々木 「くつくつ、僕の方もテスト期間中というわけさ。ところで出来はどうだったんだい?」 キョン 「聞かなくていい。お前とは頭の出来が違うんだ。」 佐々木 「いやいや、馬鹿にする気はさらさらないさ。むしろ本来は賢いのに馬鹿を演じてるようにすら思えるよ。」 キョン 「過大評価しすぎだ。それが現実だったらどれだけ喜ばしいことだろうな。」 佐々木 「そんなことはないだろう。君は賢いさ。ところで今日は梨の日なんだってさ。」 キョン 「7(な)4(し)の日ってか。」 佐々木 「そうそう、なんとも分かりやすい語呂合わせだと思うよ。そこで今日はそれにちなんで梨をたくさん買ってきたんだけど、一人で食べるには少し多くてね。ということで、うちで一緒に食べないかい? 今暇なんだろう?」 キョン 「……あー、暇は暇なんだが腹一杯なんだわ。なんでも今日はホットドッグ早食い選手権の日だそうで、昼にハルヒがSOS団主催でやろうとか言い出してな。今はもうなにも食べ物を見たくないというか。すまんな、佐々木。」 佐々木 「僕の調査不足……だと……。」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1703.html
65-697 同窓会(上)より。 「あ、こんばんは佐々木さん」 国木田は佐々木の姿を確認するとそう言った。 「こんばんは。おや、お酒が入ってるみたいだね。顔が少なからず紅潮しているよ、国木田くん」 「そうかなぁ」 国木田は自分の頬をペタペタと触っている。 佐々木は俺の隣の席に腰を落とした。それはまるで世界の摂理に従うかのような自然さだった。 すると、国木田は思い出したかのように席を立ち上がり、谷口の手を引っ張り出した。 「じゃあキョン、つもる話もあるだろうし、僕たちはちょっと他の所に行ってるよ」 「あぁっ!?何で俺まで連れてくんだよ!」 「谷口、空気を読んで」 谷口は文句が沢山あるようで、何かを俺に言っていたが、まったく聞き取れなかった。 それにしても国木田よ、何の空気を読んだんだ?また余計な勘違いをしているようだが。 2人が去ると、佐々木はグラスにオレンジジュースを入れて、 「とりあえず乾杯するかい?」 「ああ」 俺もグレープフルーツジュースのグラスを持つ。 「何に乾杯だろう、再会記念かな?」 佐々木はくっくっと笑うとグラスを近づけてきた。カチンと乾杯を済ませると、佐々木は半分くらい飲んでグラスを置いた。 「色々と何か聞きたそうだね」 「まぁな」 「可能な限りは答えさせてもらうよ、親友としてね」 「じゃあ早速、何で遅れた?」 佐々木は少し意外だったらしく、目を丸くさせたが、 「塾に行っていた、夏休み中も勉強三昧さ」 よく俺はこいつと同じ塾に通えたな。俺との学力の差は中学時代よりさらに開いてること間違いない。 「キョンはどうだい、涼宮さんと元気にしてるかい」 「相変わらずだ」 俺はグラスのジュースを飲み干した。 「楽しそうで何よりだよ、正直君たちが羨ましい。高校生活を無駄なく消費してるようだしね」 「なら、お前もSOS団の活動に参加してみるか?」 自然に出てきたセリフだった。が、何を言ってるんだ俺は。 佐々木も残りのジュースを飲み干すと、 「気持ちは嬉しいが、残念ながらそれは出来ないよ」 グラスを手でいじくりながら、 「聞くところによると、僕と涼宮さんが会った日から何かがだんだんおかしくなっていたそうじゃないか。 世界が分裂した…だったかな。」 「何故それを知っている」 「橘さんから聞いたのさ。彼女とは友人として今も時々会っている」 そうなのか。 「あの一連の事件は、思えば僕が涼宮さんと再会した時から始まっていた気がするんだ。だから不用意に涼宮さんに近づいたら、 彼女はまた何か起こしてしまうかもしれない」 確かにその通りだった。いつもの日常に突如として現れたイレギュラー因子が佐々木だった。 佐々木の登場により、ハルヒは安定させていた閉鎖空間をまた大量発生させ、古泉を過労死させる勢いで働かせたのだ。 今思えば、限りない可能性を秘めたハルヒと佐々木が握手をしていた瞬間は奇跡だったのかもしれない。 「個人的には涼宮さんとはまたお話がしたいが、そのせいでまた世界がこんがらがるのは勘弁さ」 佐々木はまたオレンジジュースを注いでいる。すると、声のトーンを下げて、 「だから、僕は多分二度と涼宮さんとは会わないのだろう」 と、相変わらず微笑顔だがどことなく寂しそうに言った。 しばらくお互いに黙っていたが、思い出したので聞くことにした。 「お前に告白した奴とは結局どうなったんだ」 佐々木はポテトをつまんで口に運ぶと、それをゆっくり噛みながら飲み込んだ。 「未だに保留のままさ。だが実際勉強に勤しむ毎日でまともに付き合えそうもないがね」 「お前はどうなんだ」 佐々木は顔を上げて俺を見る。 「お前の気持ちはどうなんだ」 「……。」 「僕は…」 「…僕…が…」 俺は後悔した。こんなに言葉につまる佐々木を初めて見た。 考えるより先に言葉が出た。 「いや、今のはナシだ。すまん。」 「……。」 少し離れていても、佐々木の身体から体温が伝わってきた。 佐々木は微笑を取り戻し、 「まったく、最近の自分にはほとほと呆れてしまう。もはや病気だ。」 どんな所に呆れて、何が病気なのだろう。 「ちょっと涼んでくるよ」 そう言って佐々木は店の外に出て行った。 よく考えたら、この時俺は外のほうが暑いということに気付いてなかった。 俺の席に戻ってきた国木田と谷口は、より一層顔を赤くさせていて、俺は谷口の冷やかしをひたすらスルーし続けた。 同窓会もいよいよ終わりを迎え、須藤が締めの挨拶を交わしている時、やっと佐々木は帰ってきた。 「何してた」 「涼んでいたよ」 「それだけか?」 「星を見ていた」 メルヘンチックな奴だ。願い事でもしてたのだろうか。 俺は国木田に少しカンパしてもらい、代金を須藤に提出し、外へ出た。 辺りはすっかり暗くなっていて、ショボいネオンがそこら中でさんざめいていた。 「キョン、今日は会えて良かったよ」 いつもの駅前で佐々木は言った。 「やっぱり不思議なことに、キミと話していると心にゆとりが出来る」 「そりゃよかったな。勉強ばかりでは身も心も辛かろう」 「まぁね。それでは、涼宮さんによろしく」 そう言って、佐々木は改札口へ歩いていく。 まただ。 また世界の中で、佐々木だけがセピア色に染まり、虚ろになっていた。 俺は今日一番の大声を出した。 「佐々木!」 足を止めた佐々木に一気にあらゆる色が付着した。 「また話したくなったら、いつでも連絡しろよ!内容は何でもアリだ!哲学でも、自然科学でも、経済学でも、何か思ったことがあったら、一緒に暴いてやろうぜ!」 佐々木は遠くでゆっくり振り返ると、俺が見たことのない笑みを浮かべて、「ありがとう」と口を動かした。 もしかしたら違ったかもしれないが。 そして駅へ姿を消していった。 遠巻きから国木田と谷口がニヤニヤとこっちを見ていたことに気付いたのはその直後だった。 数週間が過ぎ、二学期が始まる。 今は放課後、俺は旧館の階段を上っている。 宿題は大体半分くらい終わらせてあり、残りは古泉あたりに手伝ってもらう予定だ。そして夏休み明け一回目の団会議が行われようとしている。 また今学期には新たな事件が起こるのではないかと俺の危険察知アンテナが警告を出している。 ふん。来るなら来やがれ。 何だって乗り越えてやるさ。 SOS団と、佐々木がいる限りな。 俺は部室の扉を開けた。(完)
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1525.html
あれは誰だ誰だ誰だ あれはクヨウまーんクヨウまーん 初めて知った人の愛 その優しさに目覚めた女 クヨウパンチは破壊力 クヨウキックも破壊力 クヨウアイなら透視力 クヨウカッターは岩砕き てーんがいの力身に付けた 正義のヒーロー クヨウマーン、クヨウマーン .
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/2126.html
翌日。晴れ渡る空。 公園で試合。この公園は、テニスコート、グラウンド、野球場、遊具施設があり、休みの日は家族連れや草野球、早朝テニスや部活で大にぎわいだ。 野球場には外野席が無く、外野はフェンスだ。席はキャッチャー側後ろのバックスクリーンしかない。 当然ながらフェンスは福岡ドーム並に高い。 女子がこの球場でホームランをぶちこめるならば、怪物といっていいだろう。 「中学の時、佐々木さんから打ったっけ?」 「あれだけ綺麗に打たれたら、くやしくもないわ。」 怪物その1。涼宮ハルヒ。そして。 「有希が完全試合目前にキョン子に打たれたのも、ここよね。」 「……そう。」 怪物その2。キョン子。 「中学でも有名だったわよね、アダム・ダンとか、ランスとか、ブライアントとか言われてたし。」 朝倉がキョン子をからかい、皆が笑う。 「うっさいな。」 キョン子が溜め息混じりに答え、佐々木とハルヒが合いの手を入れる。 「公式戦通算60打数ヒット6本、打率1割、ホームラン3本、10打点。三塁打1、二塁打2。OPS600。」 「三振54。三振率9割。ユニーク。」 「うるさい、黙れ!」 キョン子の叫びに、全員が爆笑した。 「聞きしに勝る成績なのです……」 「ホームラン率5割、長打率10割って、バケモノなのね……」 橘達は、短打。シェアなバッティングといえば聞こえはいいが、単に非力であるだけだ。 「あー眠い……」 キョン子が目をこする。 「キョン子、目真っ赤じゃない。どうしたの?」 ハルヒ達が心配そうにキョン子を見る。 「いや……愚弟を締め上げてたら、完徹寸前になって……。 石門に行った岡本さん、須藤に連絡したりして、割と寝てないんだよ……。」 「キョンを締め上げた?何でまた?」 佐々木の言葉に、キョン子が溜め息をつく。 「昨日サボった理由聞いたんだよ。……そしたら、またくだらない理由でな。 喜緑さんの彼氏……生徒会長な。あいつを締め上げて喜緑さんに仕置きされたんだと。」 本当に下らない。全員が下を見る。 「古泉、国木田、谷口、藤原も同様に仕置きされて、尻が腫れ上がっていたから、動けなくて休んだんだと。」 「谷口はわかるとして、何でまた古泉くんまで……」 「さぁな。朱に交われば赤くなるっていうし、大方愚弟や谷口あたりが何かそそのかしたんだろ。」 仲良いからな、あいつら。キョン子はそう言うと、芝生に寝転がる。 「あたしゃ少し寝とく。皆が来たら起こしてくれ。」 キョン子の言葉に、長門が口角を上げて言った。 「了解した。」 朝倉、ハルヒが天を仰ぐ。……キョン子の運命は、推して知るべし。 持参していたMP3プレイヤーを、インピーダンスの強いイヤホンに繋ぎ、耳許で『HELLOWEEN』の『The game is on』を流し…… キョン子に爽快な目覚めをプレゼントしたのであった。 「鼓膜を破る気か!」 「The game is on.(ゲームの始まり)皆が揃った。早く行くべき。」 「うまいこと言ったつもりか!」 キョン子が長門に手を引かれ、ミーティングルームに入る。そこには……ユニフォームの背番号に憮然とした朝倉がいた。 「私が控えというのは、納得いきません。」 朝倉が森に問う。森はどこ吹く風といった表情で言った。 「そうね。……朝倉さん、あなたがキョン子ちゃんに劣っているからではない。それは確かよ。」 「では何故……」 「キョンくんが調査したけど、皆が丸裸にされている可能性が高いそうよ。 となれば、朝倉さんの配球パターンも読まれている可能性が高い。 となれば、高校では投げてない佐々木さん、そして彼女と相性の良いキョン子ちゃんのバッテリーが良い。そう判断した。」 「…………」 森の言う事に納得は出来る。しかし。尚も食い下がろうとする朝倉に、古泉が言った。 「朝倉さん。朝倉さんは本格派の長門さんしかリードした事はありませんよね。 ……技巧派である佐々木さんのリードの仕方を、少し学んでみるのはどうでしょうか?」 「…………」 朝倉にしてみると、ピッチャーが多少荒れていようが、それを乗りこなすのがキャッチャーであり、ホームを守る事こそがキャッチャーの仕事。それが朝倉のキャッチャー像だ。 キョン子は、ピッチャーの良さを引き出し、気持ちよく投げさせて実力以上を出させる事を命題にしている。 なので長門はキョン子とバッテリーを組みたがる。 キョン子と朝倉に差があるとするならば、朝倉はピッチャーの能力依存型、キョン子は能力+α型である。 これは善し悪しあり、ピッチャーが自分に酔いやすいタイプならば、キョン子のリードでは滅多打ちに遭う場合もある。 佐々木、長門共に自制心の強いタイプだけにキョン子が上に見られる、という事も付け加えておく。 朝倉は引き下がったが……キョン子は冷や汗をかいていた。 「(あ、あたしゃ長門の球なんか受けたくないぞ……)」 キョン子が長門とバッテリーを組みたがらない理由。それは。長門からホームランを打った後に、何気無くバットを見たら……金属バットが凹んでいたのだ。 球速もさる事ながら、球威の凄まじさにキョン子は震えた。 「(でも、相性の問題ってだから、佐々木だよな。)」 楽観視したキョン子に、森は言った。 「佐々木さんが悪ければ、長門さんにスイッチするから。そん時はキョン子ちゃん、宜しくね。」 長門の目が輝き、キョン子の目が失望に歪む。 「佐々木○○。安心して打たれて。後ろには私がいる。」 「ありがとう長門さん。絶対打たれたくなくなってきたよ。」 女の戦いである。ハルヒは関われず退屈そうだ。 「あたしもピッチャーやろうかしら。キョン子に投げるの楽しそう。」 「才能の無駄遣いはやめろ、マルチプレーヤー。」 キョンが、やれやれと溜め息をついた。 外野は二年生ズ。 「佐々にゃん、気楽にいくんだよ?」 センターは鶴屋。4番はハルヒに譲っているが、元々は4番。ハルヒに劣っていたというよりは、本人から4番を降りた。曰く。 「ハルにゃんなら、4番でもプレッシャーないっさ!あたしはプレッシャーあってねぇ。」 である。 「全力で盛り立てていきますよ!」 レフトはみくる。守備に少し不安はあるが…… 「やるだけやりましょう。」 ライトは喜緑。……キョン、古泉をにらんでいるが…… 内野。ファースト長門、セカンド橘、サードハルヒ、ショート周防。 「セカンドに打たせて下さい!絶対カバーするのですよ!」 気合い十分の橘。 「――――」 周防も佐々木に手を置く。この二遊間は、『タチクヨ』とまで言われる名コンビだ。 派手な守備の周防が目を引くが、橘の堅実な守備は二塁手ならば唸らざるを得ない。 阪中は控えだが……キャッチャー、センター、セカンドとどこでも守れ、足ならば誰にも負けない。 俊足が自慢のハルヒ、橘よりも早く、鉄砲肩のキョン子ばりに肩も強い、アスリートだ。 「橘さん、頑張るのね。」 そう言いながら、ちゃっかり古泉の横をキープしている。橘は全力で阪中を睨んでいるが……阪中はどこ吹く風といった表情だ。 「古泉。谷口が言っていたが、今日は実況がつくらしいぜ。」 古泉の横にキョンが行く。橘は笑顔、阪中は苦虫を潰した顔だ。ふ、とハルヒ達を見ると…… 「「「…………」」」 絶対零度の視線に、荒れ狂う嵐のような視線に、破裂寸前の爆弾のような視線が阪中を襲い……そそくさ、と阪中は古泉とキョンの横を引いた。 「実況ですか?確か今売り出し中の小神あきらさんと谷口くんでしたね。 彼らだと……アメプロの実況しか思い浮かびませんねぇ。」 「JBLが小神あきらか。」 「試合そっちのけ聞きたくなりますね。」 あはは、と二人が笑う。 「藤原に国木田も来るみたいだし、試合終わったらまた皆でメシ食うか。」 「いいですねぇ。今日はせっかくですし、誰かの家に集まってお菓子持ち寄りましょうか。」 「いいなぁ。また皆で桃鉄やるか?」 「いたストや、Wiiパーティーもいいですよね。それは後程、皆で決めましょう。さて、今日も頑張りますか。」 フラグが折れる音が、鐘の如く鳴り響く。 佐々木、ハルヒ、キョン子、長門、橘、阪中、鶴屋が大地に手をつき……森が盛大に溜め息をついた。そして。 THE GAME IS ON. 試合開始となる。 To Be continued
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/2043.html
※キョン子注意。キョンとは双子設定。 県立北高校女子ソフトボール部。同校史上最強と誉れ高いチーム。 これは、そのチームにいる控えピッチャーと、控えキャッチャー。そして控えキャッチャーの双子であるマネージャーの物語。 剛球投手、長門有希。その女房役、朝倉涼子。意外性のファースト、朝比奈みくる。守備職人のセカンド、橘京子。恵体剛打のスラッガー、サード鶴屋。鉄壁のショート、周防九曜。レフトに俊足阪中、センターには5ツールプレーヤー、涼宮ハルヒ。ライトに巧打の喜緑江美里。 「中学でソフトボールは辞めるはずだったのに、どうしてこうなった。」 ポニーテールの少女…キョン子はレガースをつけながら溜め息をついた。 「俺が知るか。というよりは、俺を巻き込むな。」 キョン子の双子であるキョンは、盛大に溜め息をつく。 「愚弟が。どうせハルヒか長門に鼻の下伸ばして入部したんでしょ。」 「それは違うぞ、愚妹。」 この二人。お互いに自分が兄姉といって譲らないのであるが、そこはどうでもいい話だ。 「キョン子、用意はいいかい?」 「ああ、佐々木。今行く。」 レガースをガチャガチャ鳴らし、キョン子がブルペンに走っていく。その後ろ姿を見守りつつ…… 「はぁ……仕事すっか。」 キョンは大量にある洗濯物を見て溜め息をついた。 汗まみれのシャツに、靴下。中には下着を出すバカもいる(確信犯だが)中、キョンは洗濯物を洗濯機にぶちこむ。 谷口あたりは「あの美人達の汗にまみれたものを触れるなんて」と羨ましがっていたが、キョンにしてみると代わってやりたかった。 汗や匂いに男女差はあまりない。感覚の違いだ。 「うおっ…!くせぇ!」 匂いフェチには天国だろうが、キョンには地獄以外何物でもない。 さっさと洗い乾かし、とっとと帰りたいキョンであった。 投球練習をする佐々木。 それを受けるキョン子。 中学からの恋女房。 この二人がスタメンになれない理由は、長門、朝倉の実力もさることながら、二人の欠点にある。 佐々木は、イップス。 キョン子は、打撃が下手すぎる。 この欠点は、とりわけキョン子が重症だ。 中学時代、通算打率は1割、ホームラン3本。ヒットの半分がホームランという、当たれば飛ぶバッター。因みに他は全て三振。ゴロひとつない。おお、もう……。 キョンが皮肉で 『振り回~せ キョン子 キョン~子~♪ 確かに三振多いけれど♪ 振り回~せ キョン子 キョン~子~♪ 当たればホームラン♪』 と、生稲晃子の『麦わらでダンス』調にうたったところ、それが彼女のヒッティングマーチとして定着。試合で打席に立てば、ベンチからまで歌われるというネタキャラぶりである。 キョン子の名誉の為に言っておくと、キャッチャーとしてであれば、朝倉よりも上手い。 インサイドワーク、リード、どれを取っても非凡であり、手首が強く、肩も強い。ただ打てなく、性格的に扱いづらいだけだ。 「ソフトなんて辞めたいんだが……」 それがキョン子の口癖だ。 佐々木もまた、高校時代は勉強に集中しようと考え、ソフトボールを辞めようとしていたが…… 「頼む!佐々木、あたしとバッテリーを組んでくれ!あたしゃ長門の球を受けるのは嫌だ!」 というキョン子の泣きつきに遭った。 「長門さん?ああ、あの有名な剛球ピッチャーか。彼女も北高なのかい?」 キョン子は入学初日に長門に捕まり、長門のマンションで長門に一晩説得されたのだという。 「あなたは私とバッテリーを組むべき。……許可を。」 と、長門に無表情に迫られ、朝倉のにこやかな笑顔に隠れた殺意を向けられ、泣きながら承諾したのだという。 「……どうしようもない奴だね、キミは……。でも、イップスを抱えたピッチャーが、使い物になるのかね?」 「あたしのリードなら、佐々木のイップスだって最小限に抑えきれる!あたしゃあんな球を受けて指を折りたくない!」 と泣き落とされ、渋々承諾し、入ったソフトボール部。入った先は…… 「「なんだ、ただの最強チームか。」」 という、何のために自分がソフトボールなんかやるのか、理解出来ない位のチームである。 「いつ辞めてもいい」 という条件を取り付け、二人は入部したが…… 「監督ー!ジャーマネ連れて来たんだから!」 「離せコラァーッ!涼宮ぁーッ!」 「ぐ、愚弟……!」 「キョン……!」 ……と、退部しようにも出来ない状況になり、今日に至る。 ほっとくと、涼宮ハルヒか長門有希に、キョンが喰われる。それが二人の共通認識だ。 戦略や技術指導などは、監督である森と、もう一人のマネージャーである古泉一樹の仕事だ。 橘京子は古泉を見て一目惚れしてしまい、諸先輩方を押し退けレギュラーに定着した。呆れた努力家である。 キョンは雑用。お茶汲みから始まり、事務処理や洗濯などを一手に引き受けている。ブツブツ文句言いながらもきちんと役割をこなすのが彼らしい。 フラグ建築士、フラグクラッシャーの技量は健在のようで、ハルヒ、長門のアプローチに対するスルースキルは、最早芸術の領域である。 「ハルヒ、お前動き悪いぞ。あ?筋肉痛?……ったく。横になれ。マッサージしてやる。」 「長門、肩を痛めてないか?アイシングしてやるから、こっちに来い。」 これに味をしめた二人だったが、二匹目のドジョウは無かった。 「キョン!腰揉んで!」 「肩を痛めた。冷やして欲しい。」 「丁度良かった。ほれ、部費でマッサージの機械とアイシングのマットが落ちたんだよ。」 「」 などなど。 こきつかわれるので、後任のマネージャーが入ればすぐにでも辞めたいキョンである。 因みに古泉とは仲が良く、仕事がない時は二人で盛り上がっている。 「今度、谷口、国木田、藤原と遊びに行こうぜ。」 「んっふ。また全敗ナンパですか。そういえば田丸さんに彼女が出来たみたいですよ?」 「マジかよ!はぁーあ、彼女欲しいなぁ。」 「全くです。僕はあなたほどモテませんし。」 「ほざけ、橘や阪中さんなんかお前にベタボレじゃねぇか。モテる奴は言うことが違うぜ。」 「それはないですよ。涼宮さん、長門さん、佐々木さんの三人に好かれているあなたこそモテモテでしょう。」 「ねーよ、馬鹿。」 「こっちも同様ですよ。」 フラグをバッキバキにへし折られた五人が、大地に膝と手をつく。 「ぜ、前途多難っさね!ハルにゃん、ゆきっこ、佐々にゃん、阪中っち、きょこたん!」 「……鈍いって罪よね。あのマネージャー二人、頭かち割って中身覗いてやろうかしら?」 「ふええ!朝倉さん、ナイフはだめです!」 「愚弟が。あたしゃあの中なら藤原がいいかな?古泉じゃ阪中さんと橘に殺されそうだし、国木田だとガキ臭いし。愚弟と谷口は論外で。」 「――面食い――――」 なんだかんだと仲の良いソフトボール部であった。 ※クロスオーバー注意 練習が早めに終わり、キョンと古泉は谷口、国木田、藤原と合流した。ファミレスでだべり、そこはかとない非リア臭と童貞臭さを漂わせる集団。 ザ・男子高校生の集団である。 ソフトボール部の試合が迫り、相手は石門高校という新設高校らしい。 エースの牧瀬が中心のチームのようだ。データの委細は不明。ただ、微に入り細に入ったデータを駆使しながら戦うらしい。 らしい、というのは、確定したデータが何も無いからである。 いやらしい戦略を立て、勝利を貪欲に目指してくる。それだけが確かな情報だ。何かと顔の広い谷口曰く、この石門高校のマネージャーは男であり、この男が戦略、戦術を組み立てているのだという。 「フゥーハハハって笑い方をするらしいな。確か名前が鳳凰院凶真、だったはずだな。」 高校生にもなって厨二はやばかろう。そう考えるキョンと古泉。 「あー、彼女欲しいよなぁ。」 藤原が机に突っ伏す。 「全くだよ。」 国木田が溜め息をつく。因みにこの二人。見事なハチクロ状態。 キョン子→藤原→鶴屋→国木田→キョン子 どこに手をつけていいのかわからない状態である。 国木田は、キョン子の為だけに北高を受験。中学時代からキョン子を追っている。 高校で藤原と出会ったキョン子は、藤原に恋をした。イケメン、ヘタレ、Sっぽいのに実はどMという、彼女の好みのどストライクだったようだ。 藤原はキョンと古泉と親しくなり、両親の離婚から離れていたみくると再会し、たまたま近くにいた鶴屋に一目惚れ。性格を知り、ますます熱を上げる。 鶴屋は、昔から国木田が好きだという。 では反対は。 キョン子は国木田については、ただの弟の友達。 国木田は鶴屋については、ただの幼なじみ。 藤原はキョン子については、ただの友人の妹。 鶴屋についても同様だ。 谷口?アルバイト先のあきら様と周囲から公認状態だとでも。周防には三日でふられたようだが。 皆が幸せに気付いていないパターン。そして次点を選べば最高の幸せを掴めるというおまけ付きである。 「はぁ……周防……」 「お前、まだ未練あるのかよ……」 「全く……。困ったものです。」 こいつらに関しては、似た者のフラクラ同士だとでも。手遅れになって刺されても知らんぞ、というのが三人の見解だ。 古泉に関しては森、キョンに関しては親戚のお姉さんからの失恋の痛手がまだ残っている、と言い訳をしておこう。 キョンが自宅に帰ると、ローファーが二つ並んでいた。 「あ、キョンくん。キョンちゃんの部屋に佐々木お姉ちゃん来てるよ。」 「佐々木が?……はぁ。あの愚妹、また俺に送って行かせるつもりだな。」 中学時代から、キョン子は佐々木をキョンに送らせる。キョンにしても特に断わる理由もなく、佐々木と会話するのは楽しいので、それはそれで一向に構わない。 佐々木を送るようにキョン子から言われ、キョンが自転車を用意する。 「そろそろ試合だな。……イップス、克服出来そうか?」 「わからない。」 佐々木は首を振る。 「ゆっくり克服していけ。あいつらは、中学の時の連中じゃないんだ。」 「……すまない、心配をかけて。」 佐々木が寂しそうに笑う。キョンは佐々木の頭を撫でた。 佐々木のイップス。それは、内角球である。 クローズドスタンスのバッターの足に速球をぶつけ、膝を砕いて以来、佐々木はクローズドスタンスのバッターの内角に投げきれなくなった。 キョン子のリードでだましだまし投げてきたが、限界を迎え、キョン子以外の選手達から総すかんを受けた。 これもまたイップスに拍車をかけ、佐々木はついに速球すら投げれなくなってしまい、最後はハルヒ、長門、朝倉を擁する東中を相手に大炎上。コールドゲームで幕を下ろす。 試合は長門の一人舞台であり、完全試合達成直前に、キョン子が長門の剛速球をレフトスタンドに豪快に叩き込み、完全試合を意地で阻止。焼け石に水ではあったが、ほんの僅かに溜飲を下げた。 責任を感じて泣く佐々木をキョン子が慰めるが、他の選手達は白けた雰囲気。 ソフトボールなんか二度とやるもんか。佐々木にも絶対させない。そうキョン子は心に決めていた。が。 長門はキョン子のリードを絶賛し、キョン子とバッテリーを組む為に北高への進学を決めた。朝倉には想定外もいいところだ。 長門に口説かれ(脅迫ともいう)、無理矢理ソフトボールをさせられ佐々木を巻き込み、今日に至る。 イップスの要因である精神的な負荷。これが取り除かれない限り、イップスは治らない。 またはイップスが出ないようなやり方をするか。 後者は、キョン子がやっている。配球を工夫し、イップスが出やすくなる内角を使わないで済むよう、最大限に気を回している。 前者はキョンが協力し、完全防備でクローズドスタンスで打席に立ったりしている。 因みに選手達には協力させない。理由?佐々木がコントロールを乱してどこに球が来るか分からず、物凄く危ないからだ。 「そうだ、佐々木。少し涼んでいかないか?」 「涼む?お茶でもしていくのかい?」 佐々木の目が輝く。 「ああ。喜緑さんから美味しいコーヒーの店を聞いてだな。」 「くっくっ。それは楽しみだね。」 ソフトボール部不動のライト、喜緑江美里。コーヒーには一家言あり、彼女の紹介するお店にハズレはない。 久々にキョンとゆっくり話せる。佐々木は思わぬ僥幸に微笑んだ。が。 喫茶店に入ると、そこには……非好意的な視線がいくつかあり、助けを求める視線もあった。 「……なんであんた達が二人で来るのよ。」 「私という個体は、佐々木○○の抜け駆けに対して深い憤りを感じている。」 「(キョンくん、助けて……)」 ハルヒ、長門の険しい視線に、朝倉の崩壊しつつある胃の粘膜。 「空気読むのね。」 「全くなのです。」 「(助けて下さい!お願いしますよ!)」 泣きそうな表情を浮かべた古泉と、険悪な橘と阪中……。 「こ、古泉、朝倉、どうだ?お茶を一緒にしないか?」 「そ、そうですね!朝倉さん、ご一緒しましょうか!」 「え、ええ!古泉くん、キョンくん、お茶しましょう!」 慌てふためいた三人が、同じテーブルに固まる。佐々木もキョンのテーブルに移ろうとしたが……長門に引き寄せられ、ハルヒのテーブルに座る破目になった。 結果的に怨みを一身に買う破目になった朝倉は涙目である。 確かにコーヒーは美味しかった。だが、ブラック好きを公言する朝倉、古泉、キョンにしては珍しく、ミルクたっぷりのカフェオレにして飲んでいたが。 乳脂肪は胃の粘膜に優しい。 こうして、ソフトボール部の一日は過ぎていった……。 To Be continued
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/200.html
『ゲーセン佐々木団』 俺は今ゲーセンに来ている。 とは言っても一人で暇つぶしに来たわけではない。 谷口や国木田と遊びに来たわけでもないしSOS団で不思議探索をしているわけでもない。 しかしまぁ、お前らとゲーセンに来ることになるとはな。 「くっくっ、中学のときは時々来ていたじゃないか」 お前はそうだがこいつらまで来るとは。 今回の面子は佐々木団の面々+俺だ。 でも藤原は欠席、集合写真を撮れば右上のほうに丸く映っているかもしれない。 「私は佐々木さんの行くところなら何処にでも行くのです」 「此処は───何処──音が──多い──ところね」 というかお前らゲームなんかするのか? 「私だって能力身につける前は普通の女の子でしたから、プリクラくらいは撮りますよ」 写真を残すと新世界の神に裁かれるぞ犯罪者。 「んん…もう!私の神は佐々木さんだけです!」 まぁいい、なんかやるか。 「キョン、久しぶりに君がアレをやるところを見てみたいな」 あれ?ああ、あれか? 結構昔のゲームだから今でも置いてあるのか?ここ。 あ、あった。 「あ、これなら知ってます!」 なんだ橘、やったことあるのか? 「原作が好きなんです、キョン君勝負です!」 まぁいいけどさ。 対戦台の両側に俺と橘が座ってコインを投入。 佐々木と九曜は俺の後ろでゲームを観戦している、橘は1人で反対側だ。 「佐々木さんの前でボコボコにしてやります!」 ……なんとなくむかついたのでペットショップを使ってボコボコにしておいた。 「んん…!もうっ!」 橘を瞬殺した俺はとりあえずストーリーモードを勧めておく。 橘は端っこのほうでベコベコに凹んでいる。 何十回もクリアしたストーリーモードなどワンコインで楽に攻略だ。 数分後にはジョースター家一行は全滅していた。 君は相変わらずうまいね」 やりこんだからな。 「興味のあることには物凄い才能を発揮する……キョン、君は将来年収なんかよりも興味を優先して就職すべきだね」 遠まわしに馬鹿にしてないか、それ。 「そんなこと無いさ、僕はキョンのこと結構尊敬してるんだよ」 ゲームで尊敬されても嬉かねぇな。 ……九曜、それはデモムービーだ、いつまで眺めてるんだ。 「ザ───ワールド───時よ───止まれ───」 止まらん……いや、出来てもやるな。 「昆布に───して───くれるぜ──」 もう訳がわからん。 というかそんなマニアックなところから持ってくるな。 「佐々木さん!プリクラ取りましょう!」 もう惨敗の凹みから回復したのか橘。 「んん…!もうっ!次までにボコボコにしてやります!」 多分無理だ。 だって橘だから。 「プリクラか、いいね。キョンもどうだい?久しぶりに」 ん、いいぜ。 「えー、じゃ三人ですか?」 「嫌ならキョンと二人で撮ることにするよ」 「あ、いや三人でいいです、三人で」 おいおい九曜はどうした。 「さっきのアレをまだ眺めてます」 「新しい───ページが───現れた───」 聞き様によっては不思議なことが起こる複線みたいなセリフだな。 テコでも動かない九曜を放置して三人でプリクラに向かう。 並び準は外側から橘、佐々木、俺。 電子音が写真の撮り方を説明する。 もうジャックフロストのやつは無いんだろうか。 『じゃあ撮るよ!3・・・2・・・1・・・』 「え?きゃ!?」 シャッターが切れる直前に橘が素っ頓狂な声を上げる。 『0! コレでいいかな?』 画面には俺と佐々木しかいない。 もともと三人で撮るつもりだったので俺と佐々木は少し中心からずれた感じでかなりくっついて映っている。 おいおい何やってんだ橘。 橘は横ですっころんでいた。 「いたたた、一体何が……?佐々木さん?」 「橘さん大丈夫かい?……撮り直そう」 佐々木が橘の手をつかんで嫌にゆっくりと起き上がらせる。 「あ、時間切れになってしまっているね」 画面内では既に今のプリクラの印刷が開始されていた。 「ええ!?じゃあ私映っていないんですか!?」 そうだな。 「んん…!もうっ!もう一回撮りましょう!」 もう一回か?プリクラって無駄に高いから勘弁して欲しいんだが……。 「わ、私が出しますから!!」 それからはまぁ普通だ。 それならとなんとかして九曜を引っ張ってきて四人でプリクラを撮る。 「三万円───カメラ───壊す?」 とか言ってたがもう突っ込まない。 あとはまぁ適当にゲームを回った。 佐々木とコンビでガンシューティングをやったり。 九曜に音ゲーをやらせてみたらリズムはまったく会っていないのにありえないスコアでランク1位になったり。 橘が全てのゲームで全員に負けたりした。 「どうだい、キョン。彼女らも悪い子じゃないだろう?」 ……なんだ佐々木、今日のも勧誘だったのか? ゲーセンからの帰り、橘と九曜は方向が違うとかで今は佐々木と二人だった。 「違うよ、純粋に遊ぼうと思っただけさ。大体僕は神になんかなりたくないしね」 じゃあ何だ? 「そりゃ、親友と友達が仲良ければ言うことは無いからさ」 ……そうだな、多少は見方を変えてやってもいいかもな。 「くっくっ……なんだかんだ言っても君は他人を完全に嫌いになるなんて出来ない人間だからね」 何だそりゃ。 「いい奴だって事だよ」 ……あいつらにまたどっか行こうと伝えといてくれ。 「くっくっ……任されたよ」 そういえば佐々木よ。 「ん?なんだい?」 お前が携帯にプリクラ貼るタイプだとは知らなかったな。 「……そりゃ僕だってそれぐらいはするさ」 あんまりそういうイメージ無かったからな。 お、此処でお別れだな。じゃあな、気をつけて帰れよ。 「ああ、またね」 「張ったのは今日が初めてだし、一枚しか張ってないんだけどね」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1981.html
佐々木から貰ったチョコレート。あの悪夢のリップスティックチョコレートだったわけだが…… SOS団の団室。俺はハルヒ達と『お返し』について話していた。 「受けた恩は、倍返し。受けた仇は三倍返しだよな。」 俺から相談を受けたハルヒ達は、興味津々といった感じだ。 「男の夢を叶えた、出来た彼女じゃない。」 「叶えたというよりは、はめられたというべきか。」 長門がポツリと言う。 「ナニを?」 「いや、そりゃハメ……って、やかましい!」 全員が、手を叩いて笑う。 「ま、製菓会社の陰謀に乗るなら、キャンディやマシュマロがお返しとしては適当じゃない?」 「捻りがないな。」 「ジュエルリングとかはどうですかぁ?あの指輪飴。可愛いですよ?」 ハルヒが朝比奈さんの手を取る。 「みくるちゃん、給料三ヶ月分です、受け取ってください……」 「やっすッ!給料安ッ!仕入値なら月給12円かよ!」 思わず突っ込み、全員が笑う。 「古泉くんは、お返し決めたの?」 「ええ。……ホワイトデーですし、ね?」 ニヤリと笑う古泉。 「「「「うわぁ……」」」」 皆が引く。エロ笑いはやめろ、古泉。 「こんな鬼畜エロは放っておくとして、キョンくんどうします?手作りするなら手伝いますよぉ?」 ありがとうございます、朝比奈さん。 「手作りするなら呼んで欲しい。失敗作は私が食べる。」 そっちかい、長門! 「なら、あたし達へのお返しはあんたの手作り!で、あたし達が有希の家で手伝う、と。 佐々木さんには、別口で作ってあげなさい。」 なるほど。お前にしては名案だな、ハルヒ。 「では僕は皆さんに……」 「あ、ルイヴィトンのスハリのお財布がいいですぅ。」 「あたしエルメスのトートバッグ!ガーデンファイル!あれ便利だし!」 「……昔の学術書……」 ……PCで調べると、全てとんでもない額だ。古泉が唖然としている……。すまん。力にはなれん。頑張れ、古泉。 今日もまたSOS団は平和だ。 「あなたはね!」 END