約 99,176 件
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1087.html
「キョン、僕はキョンの鎖骨が好きだ、愛してる」 「俺もだ、最初に会った時からおまえの鎖骨がずっと気になってたんだ」 「キョン、僕嬉しいよ……」 「佐々木……二人で鎖骨にお湯を溜めて遊ばないか。できれば、その、なんだ、一生」 「……うん、いいよ……」
https://w.atwiki.jp/imasss/pages/2847.html
【ミリマス】志保「もう時間がないんです!」 執筆開始日時 2015/02/28 元スレURL http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425122352/ 概要 志保「今プロデューサーさんが迎えに来てくれないと…私仕事に行きませんよ!」 P『あーはいはい、迎えにいってやるから準備して下で待ってろ』 志保「はい、それでは」 タグ ^北沢志保 まとめサイト アイマスSSまとめサイト 456P アムネジアss大全 えすえすゲー速報 エレファント速報 ポチッとSS!! SSまとめ SSびより SSまとめプラス SS 森きのこ! wiki内他頁検索用 Pドル いちゃコメ ミリオンライブ 北沢志保
https://w.atwiki.jp/imasss/pages/2441.html
周防桃子「将棋?」 執筆開始日時 2014/11/06 元スレURL http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415284120/ 概要 グリマスと某将棋バトル漫画のクロスssです 遅まきながら『桃子先輩誕生日おめでとう』の精神で書いていこうと思います。よろしくお願いします 「君 パンケーキ好き?」 「はぁ?」 タグ ^周防桃子 まとめサイト アムネジアss大全 インバリアント -SSまとめサイト えすえす えすえすゲー速報 えすえすMode だる速 にこえす ひとよにちゃんねる ポチッとSS!! SSまとめ SSウィーバー SS2chLog wiki内他頁検索用 クロス ミリオンライブ 周防桃子 誕生日
https://w.atwiki.jp/imasss/pages/2525.html
【ミリマス】プレゼントはうどんで 執筆開始日時 2017/09/14 元スレURL http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1505398643/ 概要 アイドルマスターミリオンライブのSSです。 P視点、地の文が多いSSとなっております。 上記御了承の方は、是非。 タグ ^最上静香 まとめサイト アイマスSSまとめサイト 456P アムネジアss大全 あやめ2nd えすえすゲー速報 エレファント速報 おかしくねーしSSまとめ だる速 ひとよにちゃんねる プロデューサーさんっ!SSですよ、SS! ポチッとSS!! SSまとめ ホライゾン みりえす!-ミリマスSSまとめブログ- SSでレッツゴー SSびより SSまとめプラス SSマンション SS 森きのこ! SS2chLog wiki内他頁検索用 うどん しんみり ほのぼの ミリオンライブ 作者◆xS5JZuNSIIml氏 最上静香 誕生日
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1830.html
「キョン、もしかしてキミは、自分は必要とされていない、なんて思っているんじゃないのかい?」 「おいおい、何を漫画やアニメみたいな事言ってんだ佐々木」 いつものように隣の席から俺の顔を覗き込みながら、ふと、思いついたように佐々木が聞いてきた。 だがな。それこそお前が否定したフィクションみたいな質問だと思うぜ。 『キョン、それはエンターテイメント症候群というものだよ』 ほんの一週間くらい前、なんか不思議に面白い事件でも起こらない物かと思っていた俺にこいつは言ったものだ。 リアリストかつ論理的思考を持つ佐々木の前では、俺の幻想願望など実に儚い。そう思い知らされた、数多い一件の一つであり印象深い事件でもある。 いやむしろ、そんな佐々木の存在こそちょっとしたエンターテイメントなのではないかと後に俺は言ってみたが やっぱり完膚なきまでに言葉の嵐に叩きのめされたりもしたものだった。 人が自然災害に無力であるように、俺はこいつに無力である。 まあ頭のいい奴だから仕方ないのではあるがね。 「くく、そうだな。悪かった」 笑いながら、佐々木は自席へと身を引き戻す。 が、その横目の視線が俺に刺さっていることくらいは俺にも解るぞ。 「うん。いや」 「どうした」 妙に歯切れが悪い。無駄に舌が廻るこいつにしては珍しいことだが、さて、つつくべきか。 こいつを下手につつくと蛇が出るからな。 舌の長い奴が。 「……すまない。要らない事を言ってしまったようだ、謝罪させてくれ」 「誰も気にしねえよ。お前こそ気を遣いすぎだ」 「そうかな」 いつものように口の端を釣り上げて笑っているが、若干釣り上げが弱い。 だが、そんなに気にするような事じゃないぞ。 少なくとも俺は自分にたいした力がない事を知っている。 だから必要とされる訳がない。 けどそれは「俺が漫画のヒーロー、特別な存在じゃない」なんて漫画チックな理由だけじゃない。 俺はたいして努力をしていないから、代価を払っていないからだ。代価を払っていないのに何かを欲しがるなんてバカげたことだろ。 けど俺はそれでいいんだ。その代わり俺は俺の日々をそれなりに楽しんでいるからな。 だから俺はちっぽけかもしれんが、それなりに過ごしている。 ……その上で、何か特別な事が起きればいい、そんな非日常の主役になりたい、という都合の良い、虫のいい事を考えていた。 ……お前みたい勤勉な奴と出会って、ちょっと変化が生じた、だなんてのは言えないがな。 お前みたいに代価を払っている奴と俺は違うんだ。 そう、俺は改めて知った……… ……………… ……… 「ねえ、キョン」 「なんだ、佐々木」 隣の席に声をかけると生返事が返ってきた。珍しく思考の海に沈んでいるらしい、そんな声。 キョン、キミにもそんな日があるんだね? ……なんて言ってみようか? いや、さすがに怒るかな。 「いや、別に」 だからそのまま微笑んでみる。 けど、これはあくまで微笑であって、言葉じゃない。言葉じゃないから伝わらないだろう。 けれど伝えるには気恥ずかしい言葉が胸をたゆたっていた。 キョン、キミは自分が無力だと思っているかもしれない。けれど、僕にとっては………… いや、よそう。僕らしくないだろうから。 だから笑っていよう。 僕らしくね。 僕は改めて笑顔になる。笑顔の形をした仮面を被りなおす。 誰に対してもそうしてきたのだから。 笑顔が嫌いな人なんてほとんどいない。だから、私は笑顔でいる。 回りくどい話は敬遠される。だから、私は回りくどい。 無害に、まわりくどく、透明な壁を作って。 私は、今日も教室に居る。 嫌われたくない、けれど、干渉されたくない。 そうやって壁を作ってきたから、私はきっと誰にも必要とされない。されなくて済む。 小学生の終わりに姓が変わったときのような、両親に色々とあった時のような、あんな想いはもうたくさんだから。 あの輝く少女を遠巻きに見ていた日々のような、あんな気持ちには、もうなれないだろうから。 私はひっそりとここに居る。 けれど 「ねえ、キョン」 「なんだ佐々木」 なんとなく隣に声をかける。 何故だか自分でも不思議なくらいに。 いつものように笑みを浮かべ、けれど「敬遠される為」の僕を演じながら、そのくせ彼に語りかけ、距離を縮めようとする。 距離が縮むことに、ほんの少し心が沸き立つのを感じる。 別に一人でいたい訳じゃない。私はそんなに孤高じゃないから。 ただ、無害なその他大勢の中の一人でいたいんだ。薄いフィルターを張っていたいけど、集団の中には混ざっていたい。それだけなんだ。 それだけだと思っていたのに、やっぱり不意に言葉を口にしたくなる。 敬遠されるような言葉しか言えないのに。 やっぱり口にしてしまう。 言葉でキミとつながりたいと思ってしまうのは、やっぱり私の弱さなのかな。 こんな風に、他人を遠ざけるような「僕」を演じているくせに、こんな日常に喜びを感じてしまうだなんて。 見慣れた風景の中にキミが居ることに、喜びを感じてしまうのは、あなたを必要だと思ってしまうのは、やっぱり私が弱いからなのかな。 隣にいるのに、どこか遠いことを考えてしまう。 そんな中学三年のなんでもない日常。 )終わり 「ねえ、キョン」 「なんだ」 「あの頃、僕らは自分を信じられなかった。そう思わないかい?」 「あの頃ってのがいつ頃かは知らんが、られなかった、って言うくらいなら今は信じられるのか?」 「くく、質問で質問を返すのかい?」 「返して欲しそうにしてたからな」 「そうかい」 「ともあれ、あの頃の僕らはその意味でやっぱり対等だったのだと思う。そして、今は意味が変わったが、やっぱり対等なのさ」 「早口言葉だな」 「遅く言おうか?」 「お心遣いに感謝するぜ」 「くくっ」 「やっぱり良いね。そんなキミだから、僕はその他大勢では居たくないんだと思う」 「お前は昔から自己主張が激しかったと記憶しているが」 「くっくっく、それだけでは終わらないのさ」 「僕にはキミが必要だからね。だからキミのすべてを奪ってやるのさ、僕のキョン」 「物騒だな。それにそれじゃ俺に何も残らんじゃないか」 「まあお前はとっくに俺のものだから、おあいこか?」 「くく、そういうことかな」 「そういうことだ」 )終わり
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1670.html
トップページ >SS > 短編 63-501「キョン浮気疑惑」 63-350「夢想」 佐々木 「どこかボウっとするような」 「夕日」 編集者補足 佐々木 「どこかボウっとするような」は佐々木スレ過去ログ内に掲載元スレッドが見当たりません。 wiki投稿が2011/09/02、part63相当の時期である為、暫定的にこちらにまとめさせて頂きます。 2012-12-01編集者補足 「夕日」は避難所の投稿作品です。 投稿日が2011/08/26でPart63相当であるため、暫定的にこちらにまとめました。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1033.html
俺は、クラスメイトたちが泳ぐプールを見下ろしていた。 女子ならスク水、男子は…海パンとでもいうのだろうか。スクールパンツ? まぁ、どうでもいい。 「やあキョン、また佐々木さんを見ているのかい?」 またってなんだ。そもそも佐々木を見る理由がない。 「そう?じゃあ誰を見ていたのかな」 寄るなよ暑苦しい。ただでさえ蒸し暑い場所にいるんだ、 これ以上夏に嫌な思い出を残させないでくれ。 「それに俺はプールを見ていたんだ。誰を見ていたわけじゃない」 「ふぅん」 今は夏真っ盛り、暑くて堪らない午後の体育の授業。 それに参加していない俺と国木田は、 愚かにも水着セットを忘れた罰として体育館掃除をさせられていた。 誰もが想像つくだろうが、体育館の中は死ぬほど暑くなるものだ。 俺達は汗水垂らしながら延々とモップがけ作業に勤しんでいた。 そんなとき、つまり暑くて堪らないときは、開放されて微かに風の吹く窓際で黄 昏れるといい。 実に風流だと思わないか。 「キョーン、また佐々木さんを見ているのかーい?」 わざわざ体育館の端からご苦労なこった。 せっせとモップをかける国木田に、嫌々ながらも答える。 「暑いから涼んでんだよー!」 「どーだーかねー」 …なんて野郎だ。 体育館は以外と広い。 男二人でダラダラとモップをかけおわる頃には 授業も終わりに近付いた時間だった。 「終わったな」 「あぁ、結構頑張ったじゃないかキョン」 「ほっとけ」 俺と国木田は、クラスメイトたちがプールから退散する頃には既にモップを片付 け終わっており、 わざわざ待っていることもないだろうと一足先に教室へ戻ることにした。 「あー、キョン」 「どうした」 「悪いんだけどさ、僕は先に戻るよ」 俺も教室に戻るところなのだが。 「いやぁ、今週は給食当番で」 言って国木田は小走りで駆け出した。やれやれ。 「キョン」 「あ?」 振り向くと佐々木が立っていた。 「よう、早かったじゃないか」 「女子は更衣室が近いからね」 髪の毛をタオルで拭いながら佐々木は近付いて来た。 「乾かしてから来たらどうだ?」 「いや、更衣室は着替え終われば直ぐに退室するのが礼儀だろう?」 「そうかねぇ」 「そうさ」 佐々木はもう気が済んだのか、タオルを水泳バッグに仕舞った。 「それにしても…校舎内は暑いね」 「夏、だからな。っていうか佐々木は泳いで来たばかりだろ?」 「ん、それはそうだけど。やっぱり暑いものは暑いよ」 佐々木はそう言うと、夏祭りとプリントされた団扇を取り出して仰ぎ出した。 いま流行りのマイウチワだ。 「夏祭りか、かき氷でも食えば涼めるだろうなぁ」 「夏祭り…キョンは誰かと行くのかな?」 「そう…だなぁ、予定には無いが」 「成る程、もしよかったら…」 「でも妹を連れていくことになるだろうな」 一応、完。 佐々木と妹の遭遇、ササキョン夏祭りSSは神職人の方々にお願い。っていうかよ ろしく。 番外ネタ 「マズイ」 水着を忘れちまった。 カバンをひっくり返すまでもなく、百パーセント持って来ていなかった。 どうするか。 ちらりと佐々木に視線を送る。 「要るかい」 「着ねえよ」 誰がスク水なんて穿くか。そもそも人に水着をかすもんじゃないぜ。 「なんならブルマはどうだい?これなら…なんとかごまかせるかもしれない」 「ありえん」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/678.html
もしもキョンが博学になったら 「キョン、君は八俣遠呂智を知っているかい?」 (今日の話題はこれだ、このためにここ一週間程殆どの時間を古事記や日本書紀、それに関する本を読む事に費やしてしまったが君の為なら惜しくは無い) 「ああ、知っているぞ、須佐之男命に退治された多頭の大蛇だろ」 (よし、入りはOKだ) 「目は酸漿のような赤い目に八つの頭と尾、血で濡れたような腹部、体は八つの谷と峰に跨がるほど巨大で苔や杉が生い茂っていたんだったな、八って数字は『限り無く大きい』って意味で使われてたから途方もなくでかかったんだろうな」 (む、なかなか詳しいじゃないか、僕が言おうと思っていたのに、まあ本論はこの後だから別に構わないが) 「そう、それだよキョン、実はだね」 「八俣遠呂智の伝説を現実の出来事として考えるとこれって治水の話らしいな」 (ちょっとぉぉぉ! それは僕が言おうとしてたんだってぇぇぇ!) 「八俣遠呂智が河川、須佐之男命がたすけた櫛名田姫は稲田を表していて毎年娘が食われたのは水害を意味、あと神に生贄を捧げる風習が有った事も指しているな、これは櫛名田姫を奇稲田姫とも表記する事から推測可能だな」 (くっ、少々キョンを侮っていたようだ、ここまで知っているとは、だが、僕にはまだ手札が有る!) 「そういう説もあるね、だけど実はもう一つ説が」 「他の説では『出雲風土記』に記された出雲国と越国の交戦を表していて出雲国が勝利した物語ってのもあったな」 (こっちも知ってたぁぁぁ!? くっ、だがまだまだ、こちらにはまだ手が有る!) 「よく知っているねキョン、ところで八俣遠呂智の伝説では天叢雲剣が有名だが」 「あと天叢雲剣は出雲国で栄えた古代製鉄技術の象徴って言われてるな、八俣遠呂智の尾を切り付けて十握剣が欠けて中から天叢雲剣が出て来たってことから十握剣が青銅制で天叢雲剣が当時最先端だった鉄剣だったなんていうふうに。 川が八俣遠呂智の血で染まったっていうのも鉄分の錆で川が赤味がかっていた事を示しているとも推測されるし」 (負けた……遂に何も説明出来ずに終った……こんな僕にいったいなんの価値が……) 「実は佐々木に負けないように色んな本を読むようにしていてな、ってどうした佐々木? 聞いてるか? おーい」 「いやー、佐々木さんの閉鎖空間に八俣遠呂智の形の神人が大量発生ー!」 結論:橘死亡フラグ
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/288.html
『スイッチの入れ方』 我ながらうまい事やったものだと思う。 僕は編集部の自分にあてがわれたデスクで本日分の雑務をこなしながらふとそんなことを思った。 仕事の内容はキョンの書いた今月分の原稿の推敲。 あとはページ数や本の装丁に合わせて改行やらを変化させるだけだ。 ほんの1年前までこの仕事は僕のものではなかった。 僕のデスクから数えて5席分ほど離れた先輩のものだった。 先輩は結構な年だけれどもいまいち押しが弱く、神経質なタチのようだ。 当時先輩は期待の売れっ子を任された重圧やらのせいで胃をやんでしまった。 そのせいで入院とあいなり、同期の中でもそれなりに優秀と評されていた僕がピンチヒッターとして彼の担当をすることになった。 当初の予定では退院まで、せいぜい数ヶ月だ。 その期間までに僕がキョンの担当として相性が抜群であることを見せ付けなければならなかった。 それにばっちり成功したおかげでこうして毎日キョンの家に入り浸っているわけだけどね。 聞くところによるとそのせいで編集部内での僕のあだ名は今や「通い妻」らしい。 そのおかげか初期のころこそうっとうしいほどあったコンパのお誘いももはや無駄ということが知れ渡っているのかほとんど無い。 もちろん人間関係のための飲み会くらいは参加するのだけれどそれもだけだ。 キョンはこのことを素晴らしい偶然くらいに思っているようだけれど僕にしてみれば偶然だったのはピンチヒッターに僕が選ばれるまでだ。 それから後はもはや必然といっていいだろう。 キョンがやる気を出すのはどういう時か? キョンが本気になるのはどういう時か? それを知っている僕ならば経験の差など吹き飛ばしてキョンから原稿を取ってこれるという確信があった。 僕はキョンのスイッチが何か知っているからね。 よし、これで終わり。 「編集長、先生のところに言ってきます」 同僚の女の子達がニヤニヤしているけれど気にしない。 さて、今日のお昼は何にしようかな。 編集部とキョンのマンションまでは車で30分ほどの距離。 その間にあるいつものスーパーで食材を買い込む。 うん、今日はしょうが焼きにしよう。 20分ほどかけて材料を選んだ後キョンのマンションに向かう。 大学のときにとった免許と中古で買った軽はこんなとき役に立つからいい。 そこから10分で到着、時間はいつもどうりだ。 キョンのマンションははっきり言って僕らの年齢にしてみればかなりいいマンションだ。 最初のころこそ自宅で書いていたようだけれど半年も過ぎたころ彼の妹さんが完成しかけのデータを吹き飛ばしてしまったことがあったそうだ。 キョンは妹さんには適当に叱るだけ済ませたようだけれど作家としてはそうはいかない。 徹夜で原稿を打ち直し完成するころには1人暮らしを決意したといっていたね。 そこで買ったのがこのマンション。 実を言うと僕も購入について相談されたので覚えている。 紹介したのも僕だしね。 キョンは「広すぎないか?」なんて言っていたけれど「どうせ家に居る職業なんだからいいところにしたほうがいい」と丸め込んだんだっけ。 広い家を勧めたのにはまた別の思惑があるのだけれど……まぁそれは割愛しよう。 キョンのデビュー作、キョンはそこそこなんて言うけど実は結構な売り上げを誇っている。 それによってキョンが得た印税は僕のような新入社員では到底届かない額だ。 そして彼は基本的に無趣味だからお金も使うことが無い。 だからちょっとばかりいいマンションでも買うだけの余裕があった。 今では僕も1日の半分はそこにいるんだけれどね。 車を来客用の駐車場に止めた後エレベーターに向かう。 エレベーターが来ると9と1しか使うことの無いスイッチの内迷わず9を押す。 キョンの部屋は925号室。 もう何度も通った通路を歩く。 キョンの部屋に向かう途中キョンのご近所さんに出会ったので軽く挨拶を交わす。 彼女が僕のことをどう認識しているのかは知らないが恐らく会社の同僚と似たり寄ったりなのだろう。 きっと僕の指紋が一番着いているであろうインターフォンを鳴らして数秒、キョンが出てきた。 「やぁキョン。調子はどうだい?」 「よぉ佐々木、良くはないな」 どうやら余りはかどっていないらしい。 仕方ないな、今日もスイッチを入れてあげようじゃないか。 「今日はしょうが焼きだよ。30分ほどで出来るからね」 「何時も悪いな」 「いいさ、それで原稿が出来るならね」 「ぐっ……もうちょっと待ってくれ」 なんてやり取りはもう何度目かな? さて、それでは料理に取り掛かろうかな。 僕はこれ以降キョンに対して原稿を催促するようなことは決して言わない。 ただ料理を作って、一緒にお昼を食べて、その後は軽くキョンの部屋を掃除する。 それがすんだらお茶でも淹れてゆっくりと待つだけだ。 キョンのスイッチというのは催促されることでは絶対に入らない。 昔からそうなのだけど、彼が最も力を出すのはそういう空気になった時だ。 だから僕はそういう空気を作るために彼の胃袋を満たしまわりを整え、しかる後に彼の後姿をお茶でも飲みながら見つめる。 そうすれば彼の指先の速度は徐々に速くなっていくんだ。 「いつも美味いな、佐々木」 「そういってもらえると嬉しいよ」 食事中は原稿の話しもするけど基本的には四方山話。 それで彼が展開を思いつくこともあるので意外と馬鹿には出来ない時間だ。 もちろん僕自身が楽しんでいないなんて事はないのだけれどね。 僕もボキャブラリーにはそれなりに自信が有るけれど、それに新解釈を加えて面白くする能力はキョンに遠く及ばない。 僕のした話を元に僕には考え付かない展開を作ってくれるのは中々どうして編集者冥利に尽きるというものだ。 昼食を終えたキョンは再びパソコンに向かう。 指の速度は……うん、順調に速くなっているようだ。 この感じならば今度の締め切りも大丈夫かな? ……時間が空いたらまたどこかへ連れて行ってくれないだろうか。 この間は本当に楽しかったな……。 あのシリーズはとんでもなく恥ずかしいけれどこういう利点を考えれば我慢してもいいかもしれないな。 「なぁ佐々木よ」 「うん?どうしたねキョン」 「百人一首の編纂って誰だったっけか?」 「小倉百人一首のことなら藤原定家だね。鎌倉時代に天智天皇の命で編纂した」 「そっか、サンキュ」 時々キョンはこういう質問をする。 恐らく作中の人物に何か言わせようとして微妙に不安だったんだろう。 今のところ答えられなかったことは無いのでなかなか役に立っているようだね。 ……うん、掃除はこんなものでいいかな。 お茶でも淹れよう。 「はい、キョン」 「お、サンキュ」 キョンの家に常備してあるお互いの専用湯のみにお茶を入れると片方をキョンのところにおく。 そういえばこの仕事は高校時代はあの先輩のものだったんだっけ。 ふふ、ごめんなさいね。私がいただいちゃいました。 なんてね。 さて、一通りのことはしたので後はお茶を飲みながら飲んでキョンの背中を眺めるだけ。 退屈そうに聞こえるかもしれないけれど中々有意義な時間だ。 ………… ………… ………… …………あ、手が止まってる。 「ねぇキョン。こうしている時間とは中々素晴らしいものだね」 「おいおい、俺は締め切りに追われて必死こいてるんだぜ?」 「それでも時間は穏やかじゃないか、喧騒もないし。こうして君のご飯を作って掃除して、お茶を飲みながらこうしているのは 何者にも変えがたい時間だと思うよ。……ずっと続けばいいのにね」 「ん、心配しなくても続くだろ?」 「ど、どういう事かな?キョン」 「俺が編集部から干されない限りはな、お前とは相性いいんだし……よし、これで行くか」 「…………」 やれやれ、やっぱりそう来るのかい。 まぁ何か思いついて手は動き出したようだしよしとしようか………。 「よっしゃ、出来た」 この彼の声が聞こえたのは夏の長い日照時間もそろそろ終わりを告げようというころ。 ふむ、今日は結構かかったね。 「どれどれ、じゃ見せてもらえるかい?」 「おう、プリントアウトするから少し待ってろ」 しばらくするとプリントアウトが完了し僕に原稿が手渡される。 1ページ目からゆっくりと文字を追う。 ………… ………… うん、今回も面白い。 キョンは何時も自分がいつか干される可能性があるようなことを言うがこの原稿の出来が続く限りそんなことはありえないだろう。 まぁ、キョンは昔から自分を一段低く見る傾向があったけれどね。 さて、原稿を受け取ったからにはそろそろお暇しなくては。 編集部で行わなきゃならない仕事も有るしね。 「うん、大丈夫。面白いよ。」 「そうか、ダメだしが出なくて良かったぜ」 「じゃ、そろそろ失礼しようかな」 「……あ、そうだ忘れてた。佐々木、これ持っててくれ」 そういってキョンは何かを持ってきた。 ……鍵? ってまさか!? 「この部屋の合鍵、この間時間が空いたとき作ってきたんだ」 「キョ、キョン?これを僕が持ってても言いのかい?」 「インターフォンにいちいち出るのも面倒だし、お前なら絶対悪用しないからな。持っててくれよ」 「う、うん、わかった。じゃあ明日からは直接上がらせてもらうよ」 「おう、そうしてくれ。それじゃぁな」 「うん、また明日」 そういって私は……僕はキョンの家を後にした。 ……解っている。 仕事上の都合なんだろう。 キョンにそれ以上の意図なんか無いんだろう。 ……でも、嬉しい。 僕は車のエンジンをかけるまえにキーホルダーに鍵をつけるとしばらくそれを眺めていた。 あのインターフォンにもう僕の指紋がつくことはないんだな……。 ……今度何か理由をつけて僕の部屋の鍵もキョンにあげようかな。 そんなことを思いながら僕はキョンのマンションを後にした。 15-845「作家のキョンと編集者佐々木」 15-866「編集者佐々木外伝」 15-895「モデル付き恋愛小説」 16-69「新人の宿命」 17-404「作家のキョンと編集者佐々木~調子のいい日」 17-718「『スイッチの入れ方』」
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/688.html
戦わなければフラグが立たない! 「私、有機体の生理現象はよくわからないけど、イライラするのよ」 「私はただ、佐々木さんとラブラブになりたかっただけなのです……」ショワショワ 「会長は、私の大切な人だから……」 「--人間は、みな、らーいだVすりゃあ?……」 「……私の占いはあたる」 「ご、吾郎ちゃんて誰ですかぁ?」 「止めてやるわ!(私がメインじゃない)こんな戦い!」 「私は、キョンに命を与えるために戦っている!」 仮面ライダー涼木(りょうき)! 日曜の朝からやってたりしたらいいな。 佐々木さん、仮面ライダー涼木の巻