約 2,435 件
https://w.atwiki.jp/new_jack/pages/334.html
新ジャンル「爆薬の導火線の火花の精」 113 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 00 25 55.15 ID 1Sn+ZXKdO 文章で笑わせるって難しい気がする 114 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 00 51 18.82 ID iECwUG0u0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ マイク「よし、トム離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 トム 「あ……?」 爆薬「 Hi,Boy! Y A R A N A I K A ? 」 トム 「 ウホッ! いい男・・・ 」 (フラフラ…) マイク「・・・・・・・ Good-bye, トム・・・」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「アッーーーーーーーー!」 115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 00 52 25.28 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「あなたが火をつけた導火線はこちらですか?それともこちらの導火線ですか?」 マイク「…ん~、どっちだったっけ?」 トム 「マイク! 導火線は1本だけだ! いいからはやく離れるんだ!」 マイク「…ど・ち・ら・に・し・よ ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 116 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 01 00 55.48 ID NylN2KgfO 駄目だwwwwwwwwwwはらいてぇwwwwwwwwww 118 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 01 35 31.42 ID NTZc8Wm50 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「こんちわ~!俺の名前はノゾム。隣のクラスなんだけど~知ってる?」 目を合わせる二人 しかしそのまま知らんぷりをして 導火線を見つめ続ける。 高校に入学してからノゾムの噂をたくさん聞いた。 (中略) そこまで悪い噂を聞いていながら関わるつもりなどもちろんない。 二人はノゾムの存在に気付かないフリをしながら、導火線を見続ける。 爆薬「あれ~無視?俺と友達になってよ♪番号交換しようぜ!」 あまりのしつこさに喉が渇き、 イライラしながら近くにあるウイスキーを手に取りごくんと一口飲み込むトム。 マイク「えぇ~どうしよ。まぁいいよ!交換しよ♪」 トム 「マイク!?何してんだ!!???」 マイク「だってあたしイケメン大好きだからぁ!ウフッ♪」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだスイーーーーーーーーーーツ(笑)!!!!!」 127 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 05 59 33.35 ID dfMEcWKEO 導火線ファイヤになぜかふいたwwwww 128 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 06 01 41.57 ID +ec/9SlwO 初恋を大事にするマイトガイ は名言 132 以下、名無しにかわりましてVIPでお送りします。 2007/11/27(火) 07 46 48.29 ID 4UIHcr4zO 電車の中でおもいっきり吹いたwww 133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 07 55 37.03 ID Wut72OatO 朝から素晴らしいものに出会ってしまったwww 135 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 08 09 08.54 ID 1Sn+ZXKdO そもそもまともヒロインがでてこねぇめずらしいスレwww 137 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 08 26 33.04 ID BEh8B+ibO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「え……」 爆薬「…マイク…マイクじゃないか…?」 マイク「…あ、あれは…癌で倒れた親父…」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 爆薬「…最近は連絡も寄越さずどうした…?父さん寂しいぞ…くやしいのうwwwくやしいのうwww」 マイク「…親父済まない!もうこれからは足洗って頑張るから!」 トム 「マイク! 爆薬に抱きつくじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「親孝行だなマーーーーーーーイク!!!!!」 138 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 08 38 06.74 ID xtiC7VX2O 親父wwwwww 139 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 08 49 00.99 ID BEh8B+ibO トム 「…この岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「ぷえ゜←手刀で首を跳ばしてるようにみえる」 マイク「くだらねぇwww」 トム 「見えねぇwwww」 爆薬「ζ┳┻┳°λ ←たっきゅう」 トム「これはすげぇぇぇぇぇww俺も混ぜろw」 マイク「トム! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「俺には見えなかったぞトーーーーーーーム!!!!!」 142 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/27(火) 09 13 16.39 ID ZLc8vf0oO トム 「…この岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「…こっちに来ちゃ駄目…危ないよ…」 マイク「来るなって言われたら余計行きたくなっちまうのが人間ってやつだよなあ?」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーイク!!!!!」 147 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 02 02.96 ID RCms4QUiO アメリカンテイストと新ジャンルの融合wwwwww 148 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 07 12.70 ID 1Sn+ZXKdO ベタなんだけど面白いwww もうこの二人大好きwww 149 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 20 49.72 ID j7J3ndBwO トム 「いいか良く聞け、マイク! 火を点けた爆薬に近づくんじゃないぞ!」 マイク「もちろんだドム、オレはどうやら幻覚癖があったらしい」 トム 「気にしてないさ、ただ、俺はトムだぜマイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「じゃんけんぽん」 爆薬:パー マイク:チョキ マイク「ち・ょ・こ・れ・ぃ・と」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 150 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 33 27.31 ID j7J3ndBwO トム 「知ってるか、マイク! 火を点けた爆薬に近づいたら危ないんだぞ!」 マイク「マジかよトム、オレはどうやら精神的にジャンク寸前だったらしい」 トム 「気にしてないさ、マイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「二人とも早く逃げろ!!」 マイク「あ、あれはまさか!!」 トム 「ジョージ! お前同じ分隊にいたジョージだよな!!?」 爆薬「あばよ……戦友」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム&マイク 「ジョーーーーーーーーージ!!!!!」 154 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 42 50.31 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「ここは俺に任せてはやく逃げるんだ!」 マイク「くっ、見捨てておけない俺はなんてお人よしなん ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 157 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 45 28.51 ID j7J3ndBwO トム 「ジョージの事は気にするな、マイク! だから火を点けた爆薬に近づくんじゃないぞ!」 マイク「分かってるさトム、ただ、ジョージの奴…元気にしてるかな」 ジョージ 「気にしてないさ、マイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「ガッテンだぜ、ト…ム……」 ジョージ「おいっす」 マイク「ジョォオオオオオオジ!!!?」 トム 「ジョージ!? なんでここにいるんだYO!!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! ジョージ 「爆薬の前で何やってんだマーーーーーーーイク&トーーーーーーーーム!!!!!」 158 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 46 47.29 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「動くな、このチキンどもが!」 マイク「なん…だと!?」 トム 「気にするな! はやく離れるんだ!」 マイク「誰がチキンだ! 俺は逃げも隠れもしな ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 159 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 53 01.79 ID QCoc7h1U0 これはどうみても新ジャンル「トムとマイク」じゃねーかwwwwwwwwww 160 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 55 23.12 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「HAHAHA、火薬はいただいたぜ by ル○ン」 マイク「なんてこった…既に盗まれていたとはorz」 トム 「くそっ! 予備の爆薬もないってのに・・・出直しだ!」 爆薬「というのは冗談♪ もうすぐ爆発するぜ」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! マイク「NOぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!! トム 「NOぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!」 161 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 10 56 17.21 ID j7J3ndBwO トム 「まさかジョージがヴェントゥーを届けてくれるとはな!」 マイク「全くだトム、オレらはどうやら奴にバレバレ愉快だったらしい」 トム 「気にしてないさ、マイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「ポテトは英語でポティトゥ。レタスは英語でレィタァスゥ。ならタマゴは英語で!?」 マイク「はっ、こんな子供騙し」 トム 「だよな! 真実はいつも一つ!!」 マイク「エゴゥ」 トム「えっぐ」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何言ってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 163 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 11 02 16.79 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「さて問題ですry」 マイク「・・・う~む、この問題は難しいな」 トム 「マイク! 考え込む暇があったらはやく離れろ!」 ちっちっちっちっ(時計が鳴る音) マイク「わかった! 正解は 爆薬「ブー 時間切れ」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 167 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 正直済まない 2007/11/27(火) 11 20 05.61 ID j7J3ndBwO ジェニファー 「いいかしら、メリッサ 火を点けた鍋には気をつけるのよ?」 メリッサ「もちろんよジェニファー、私はどうやらお腹が空き過ぎてるみたいなの」 ジェニファー 「気にしてないわよ、メリッサ。さあこれをレンジでチンすれば完成よ!」 メリッサ「やっと私たちにも手料理が作れる時が来たのね! それ、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ メリッサ 「いいわ、ジェニファー、離れるのよ! 爆風に巻き込まれるとあの世行きよ!」 ジェニファー「あ……」 レンジ「ガタガタガタガタガタガタ」 メリッサ「レ、レンジの様子が……ま、まさかジェニファー!! ……貴女、レンジに何を入れたの!!?」 ジェニファー 「タァメィゴゥ」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! メリッサ 「何やってんのよジェニーーーーーーーーファアアアアアアアアア!!!!!」 168 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 11 34 33.64 ID j+uQE6aaO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、爆薬ファイア!」 バチッばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「ぶごおおおおおおおおお」 マイク「ぶごおおおおおおおおお」 169 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 11 36 27.26 ID pzSKrHaAO 168 導火線短すぎwwwwwwww 170 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 11 38 30.17 ID j+uQE6aaO 169 え……? 171 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 11 39 51.42 ID j7J3ndBwO トム 「マイク しってるか! 火 を 点けた 爆薬 に 近づくんじゃない ぞ!」 マイク「すまない トム、オレ は どうやら 持病 が 再発 する 寸前 だったらしい」 トム 「気にしてないさ、マイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「さぁ、ピッチャー振りかぶって……」 マイク「ひ、火花に何か……まさかあれは伝説のトルネード投方!!!」 爆薬「飛んだぁあああああ!!!!」 トム 「マイク!? 爆薬がかっ飛んできたぜ!!?」 ぱこおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「ホームランだぜマーーーーーーーイク!!!!!」 172 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 11 42 32.71 ID pzSKrHaAO 170 すまん、爆薬に点けたんだな 文頭が同じだからつい読み飛ばしてしまった 174 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 11 52 15.95 ID j+uQE6aaO トム 「いいか、マイク! 火を点けた爆薬に近づくんじゃないぞ!」 マイク「オーケイ、オーケイだ!」 トム 「わかってくれれば良いのさ、マイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「オーケイ、オー……」 爆薬「赤のマイクさんが12番に飛び込んで、さあ次の問題」 爆薬「陰嚢から肛門へと続く縦筋の名称は、ずばり何でしょう」 マイク「……くそっ、喉まで出てるのに!……ちくしょう!」 爆薬「……お分かりにならなかったか!」 トム 「どうしたマイク、何を急に立ち上がってるんだ!」 爆薬「残念、蟻の戸渡りと答えていただきたかった!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「アターックチャーーーーーーーンス!!!!!」 178 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/27(火) 12 06 58.02 ID DsCKjjBCO テスト中なのにトムとマイクが脳内に住み着いたwww くそぁあああ!wwwwww 179 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 12 10 34.11 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「はっぴばーすでいとぅーゆー」 マイク「・・・そうか、今日は俺の誕生日だったな」 トム 「マイク! お前の誕生日は明日だぞ!」 ふっ トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 180 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 12 11 30.44 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「さあ、ケーキ入刀の時間がやってまいりました」 マイク「よっしゃ、気合入れていくぜ!」 トム 「マイク! お前の誕生日は明日だと言っただろう!」 マイク「ほあたあ!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 181 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 12 23 16.74 ID NylN2KgfO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「………………」 マイク「あ、あれ?……誰もでてこない…何故だ…?」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 爆薬「m9(^Д^)プギャー」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「クマーーーーーーーーーーーッ!!!!!」 182 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 12 25 37.18 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 ぽすっ トム 「おい、火が消えちまったぞ!」 爆薬「あたり、もう一本」 マイク「な、導火線が増えた!?」 トム 「当たりつきだったとはラッキーだぜ! ってんなことあるか!」 マイク「ま・・・もう一回ファイア!」 バチバチバチバチ 爆薬「はずれ、またチャレンジしてね」 マイク「ち、はずれたか くそ!」 ドス(爆弾を蹴るマイク) ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 184 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 12 37 49.07 ID j7J3ndBwO トム 「マイク! 火を点けた爆薬に近づくと残念なことになるぞ!」 マイク「あいよトム、まったく俺らしくないよな」 トム 「気にしてないさ、マイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ…あれは……」 爆薬「ピタッゴラッスイッチ」 マイク「…………お~」 トム 「……お……ほぉ」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム&マイク 「ジョーーーーーーーーージ!!!!!」 187 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/27(火) 13 12 20.54 ID ZLc8vf0oO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 ~□ ヒラヒラ マイク「ん?何だこれは?」 『ちょっと火薬が多すぎるんで私逃げますね。』 ちゅどおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「ぶごおおおおおおお」 マイク 「ぶごおおおおおおお」 188 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 13 24 10.55 ID qGky9on80 トム「この壁の先は女湯だぜ。俺たちのオアシスだ。」 マイク「やっと見れるんだな・・女の裸ってヤツがよぉ!いくぜ!ふぁいああああ」 バチバチバチ マイク「よし、離れるぜ!爆風に巻き込まれたら俺たち童貞のまま終わっちまう!」 爺さん「よっこらしょ」 ザバー 導火線「じゅううぅ・・・・」 トム「ああ・・・・」 マイク「あぁぁ・・・・・オーマイガッ・・・」 189 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 13 45 36.96 ID JT/XjPCyO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 ガッテン! トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「合点承知!」 トム 「どうしたんだマイク?言葉遣いが……っ! お前それ…ガッテンボタンだコレー! 爆薬のスイッチはどこいった!?」 爆薬 「こちらにありますよ?」 マイク「ああ、これはご丁寧にどうも…」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない! そしてガッテンボタンは置いていけ!」 ばごおおおおおおおガッテン!おおおおおおおん! トム 「応えるのが遅いぞマーーーーーーーイク!!!!!」 191 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 14 34 55.04 ID RkyxBLmkO Tom 「…So, here we are. The goodies are just on the other side of the wall waitin for us to pick it up. We ll be goddamn millionaires!」 Mike 「About time the lucks on our side!Alright,Here goes nothin !」 Bzzzzzz... Tom 「Fire in the hole, Mike!We re dead men if we get caught in the explosion!」 Mike 「Yeah yea…Uh…」 TNT 「Uhh……Where m I?It s all dark……and it s kinda smelly……」 Mike 「Holy shit…underaged chick…MY FAVORITE」 Tom 「Godammit!Mike get away from the bomb!」 KABOOOOOOM! Tom 「Miiiiiike!! you crazy bastard!!!!!」 192 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/27(火) 14 38 53.46 ID c+g0bSMo0 89 マイクwwww 自分の名前叫んでどうするんだwwww 193 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 14 39 43.58 ID Mc2AMCAsO 191 英訳吹いたwwwwwwww 194 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/27(火) 15 04 07.28 ID 7sSNrVzL0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ!そら、導火線ファイ…」 トム 「マイク?…どうした?」 マイク「ふぅ…トムよ、俺は疲れちまったぜ」 トム 「な、何を言ってんだ!俺達の目の前には栄光のロードが!!」 マイク「毎回!毎回!爆風に巻き込まれるなんて嫌なんだよ! このままだと俺サンプラザ中野みたいにハゲちゃうよ!」 トム 「what?」 マイク「な、トム、だから爆薬なんか使わずに通販でかったこいつで掘ろうぜ」 トム 「これは!!」 マイク「あのMr.ドリラーやマイケルジャクソンも注文したといわれるアブドリルだ」 バチバチ トム 「マ、マイク!!なんだか聞き慣れた音がするよ!!危険な香りがするよ!!」 マイク「今日から俺はMr.ドリラーだ!!このドリルでドリドリドリラーだぜ!」 バチバチバチバチ トム 「マイク!!わかった!まず落ち着いて、俺の話を聞いてくれ!!」 マイク「じゃあ、早速いってくるぜ!!ドリドリーーーー!!」 トム 「そんな、頭の悪い言葉を最後に逝くな!!マイーーーーーーク!!!!!!」 爆薬「……」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「まさにshit!!」 195 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 15 09 29.96 ID j7J3ndBwO 194 最後にうまいことまとめてんじゃねえよwwwwwwwww 200 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/27(火) 16 40 57.55 ID ZLc8vf0oO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「ジョーーーーーーージ!」 マイク「トーーーーーーーム!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「マーーーーーーーイク!!!!!」 201 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 16 41 24.52 ID O8UesL3F0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「おう」 バチバチバチバチ プ~ ばごおおおおおおおおおおおおおおん! マイク「何やってんだトーーーーーーーム!!!!!」 トム 「すまねえーーーー屁はガマンできなかったんだーーーーー!?」 207 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 18 17 49.22 ID cEnBcr+WO マイク「べ、べつにトムのために保守してるわk ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム「マーーーーイク!ツンデレもほどほどにな!!」 保守 209 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 18 36 54.50 ID 7sSNrVzL0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「今、気がついたんだが。いいニュースと悪いニュースがある、どっちがききたい」 マイク「もちろんいいニュースだ」 トム 「今回の爆薬の量は山を吹っ飛ばすぐらい買ってあるんだ」 マイク「そいつは凄い!よくそんなに買えたな」 トム 「最近、買いまくってるからサービスで半額にしてもらったんだよ」 マイク「へー、当分は爆薬の心配はしなくてもいいってことだな」 トム 「うん、爆薬よりもっと不安なことがあるんだ」 マイク「ん?悪いニュースってやつかい?聞かしてくれ」 トム 「どうやら、俺達の出口を塞いでるのが買いすぎた爆薬らしいんだ」 マイク「HAHAHA!! この買い物上手め!!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「ぶごおおおおおおお」 マイク「ぶごおおおおおおお」 215 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 19 14 05.08 ID hiUf69paO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「……一緒にぃ」 マイク「ぞ、ゾンビの群が俺を呼んでやがる……なっ、従兄弟のハミエルまでいるじゃないかっ!」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 マイク「スリィィラァァア」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「ポォォーーーーーーーォウ!!!!!!」 216 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 19 16 42.16 ID Wi3OIhWF0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「今日の占い血液型選手権」 マイク「お、O型は何位なんだ……クソッ!CMをはさむんじゃねェッ!」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「俺はAB型だマーーーーーーーイク!!!!!」 217 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 19 20 28.38 ID Wi3OIhWF0 トム 「億万長者、か……」 マイク「……そら、導火線ファイア」 バチバチバチバチ 爆薬「……」 マイク「……」 トム 「……」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「…………………………………」 218 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 19 26 27.15 ID 7sSNrVzL0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「YAAAAAAAAA!! HAAAAAAAAA!!! 導火線ファイアァァァーー!!!」 バチバチバチ トム 「や、やけにテンションが高いなマイク」 マイク「トム! 数ヵ月後の俺を楽しみにしておいてくれ」 トム 「ああ、とにかく離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 爆薬 「ブートキャンプへようこそ」 ♪~ ♪~ トム 「なんだこの音楽は!?」 マイク「ワン・ツー・スリー・フォー!」 爆薬 「ワンモセッ!!」 トム 「マイク! どうした! 何をしてる!?」 マイク「ワン・ツー・スリー・フォー!」 爆薬 「GJ!!」 トム 「マイク!? やめろ!! 順調に爆薬に近づいてくんじゃない!!!」 爆薬 「さぁ、両手を広げて」 マイク「飛行機ブンブン!!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「明日は筋肉痛だマーーーーーーーイク!!!!!!」 219 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/27(火) 20 04 22.72 ID ZLc8vf0oO トム 「…寒いな。だがこの岩壁の向こうには金塊だ!これで俺たちも億万長者になれるんだぞ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたな… 導火線ファイア」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れろ!爆風に巻き込まれるとあの世だぜ」 マイク「あ……」 爆薬「凍えたマイクには、実際に鉄のストーブの前に座っているかの様でしたそのストーブは(略)しかし、導火線の小さな火はすぐに消えてしまいました」 マイク「く……導火線ファイア!」 トム 「マイク! いいからはやく爆薬から離れろ!」 爆薬「導火線は明るく燃え、その明かりがあたたった壁は透け(略)なんと胸にナイフとフォークを刺した鳥がよろよ(中略) マイク「導火線ファイア!導火線ファイア!導火線ファイアーー!!」 爆薬「マイクは急いで一束の導火線に火をつけました。おばあさ ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「さすがに長すぎるぞマーーーーーーーイク!!!!!」 225 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/27(火) 22 05 59.29 ID RIF2OVoiO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「悪いな……あがってんだよ」 マイク「ざけんな、天和国士のダブル役満なんて燕返しでもやってんだろ!」 爆薬「おいおいいちゃもんかい?サマやった証拠でもあるっていうのかよ?」 マイク「なんだと!?」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「爆弾に大変な役でハコられたんだマーーーーーーーイク!!!!!」 PREV 新ジャンル「爆薬の導火線の火花の精」01_vol01 NEXT コメント 感想・要望などご自由にどうぞ
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/561.html
導火線に火が灯る ◆DpgFZhamPE ───これは、この聖杯戦争が始まる前のお話。 黒崎一護は、死神代行である。 数々の危機から世界を救った彼は紛れも無い一級の英霊だ。 その刀を抜き、その足で駆け。 ある存在を護り通す。 彼はそんな存在であり、戦力としても申し分ない。 だが、一つの欠点がある───それは『己の魂に誓ったことは曲げないこと』、である 若い彼は、この世の不必要な犠牲を嫌うのだ。 戦う意思が無ければ敵ですら護り、戦う必要が無ければ戦わず、殺生はできる限り避ける。 英雄としては正しい一つの在り方なのだが、この聖杯戦争ではその在り方は不利であった。 人を殺さない武器など必要ない。 だからこそ、聖杯戦争に参加したマスターは彼をサーヴァントとして呼ぼうとはしない。 都合の良い敵を殺す武器として使役できない使い魔(サーヴァント)など、必要ないからだ。 『ま、こっちからもそんな悪趣味な催しモン願い下げだけどな。 計算高い魔術師の剣に、聖杯になんて興味ねェよ』 そして、彼からもそのような狡猾な魔術師の力になるなど御免だった。 そのような者達が多く参加する聖杯戦争にも興味はなかった。 だからこそ。 月の聖杯戦争に続き、方舟の聖杯戦争においても彼はサーヴァントとしては召喚されなかった。 まあ当然だな、と呟き方舟からの作用により座へ戻されようとした彼の耳に───一つの剣戟が聞こえた。 武器と武器がぶつかり合う、その音。 振り返ると彼の視界には、一人の少女が懸命に生きていた。 まるでアニメにでも出てくるような姿とステッキを持ち、サーヴァントの槍の一撃を防いでいた。 気がつけば、彼は立ち止まっていた。 『……あんな小さいのに魔術師なのか』 口から現れた言葉は、小さな驚愕。 あの子の家族は何をしているんだ。 一人で聖杯戦争なんかに臨んだのか。 幼い少女一人で?無謀すぎる。 それとも、不慮の事故で巻き込まれたか。 そして見ている内に、サーヴァントの槍によってステッキは弾かれ、今正に少女の命が奪われようとしていた。 瞬間、一護は既に駆け出していた。 魔術師がどうとか、聖杯戦争がどうとかそんな些細なことは頭の中から消え去っていた。 『助けて───お兄ちゃん』 その少女は小さく、そう呟いたのだ。 助けてと。己の兄へと。 それを聞いて、黒崎一護が少女を見捨てて座へなどと帰ることができようか。 救えなかった、俺を護って死んだ母の代わりに今度は俺が遊子と夏梨を───妹を護ると誓った彼は、妹を失うかもしれない恐怖というものは身に染みて知っていた。 だからこそ、彼は現界する。 『───この場では、俺がお前の妹を護るから。 絶対にお前の妹を助けに来い。どんな状況にあっても迎えに来い。 コイツはお前に助けを求めたんだ。俺じゃない、最後にコイツを救うのはお前なんだ。 それまで護り抜くから───』と。 今際の際に、最後に名前を呼ばれるほど信頼されている少女の兄に、そう叫ぶ。 少女の兄には聞こえてはいないだろう。 少女がこの方舟に存在していることを知っているかどうかすら怪しい。 だが、彼は確信していた。 此れ程までに妹に信頼されている兄が、妹を見捨てるはずがないと。 必ず少女の兄は助けに来ると。 ならばそれまでの間、少女を護ろう。 この剣を振おう。 だが───しかし。 現界の間際に彼は、思考が塗り潰されていくのを感じた。 これは、狂気。狂戦士のクラスに当てはめられたことによる暴走。 かつて制御したはずの虚の力が彼を支配する。 かつて完全なる形になった二刀一対の相棒達が、偽りの黒刀へと変わっていく。 彼が抱いた少女の兄への願いが、怒りに染められていく。 Aランク相当の狂化スキルに呑まれた彼は、全ての思考が破壊衝動と怒りに変えられる。 『あ───ァ、あああああああああ■■■■■■■■■───ッ!!!!』 胸に孔が。顔に仮面が。その精神に狂気が。 英雄としての彼の魂を穢すその狂気に支配されていく。 ───だが。 だが、しかし。 『───俺■、護■から』 その心に抱いた、最後の決意だけは。 決して揺らぐことはなかった。 そして、時間は現在へと巻き戻る。 バーサーカー───黒崎一護は、空を疾走する。 目的地は、B-4。 令呪の縛りにより、サーヴァントを殺害する。 己のマスターを護り通すべく、黒崎一護はB-4へと疾走する。 日は傾き始めている。 一刻も早く帰還するため、彼は戦場へと駆け抜ける。 ◆ ◆ ◆ 《act.1 前兆》 「───♪、♪♪──♪♪♪、♪♪、♪♪」 高く聳え立つ高層マンションの前で竜の少女が高らかに歌い上げる。 NPCの被害を減らすため、キャスターとの戦いのための最初の布石だった。 戦闘でNPCを巻き込んで此方がペナルティ受けて負けましたでは話にならない。 「……」 隣に立っている遠坂凛の肩は気づかれないほど小さく、フルフルと震えていた。 魔術師とは言えまだ幼いのだ───自分の知る、他人にも自分にも厳しい遠坂凛とは経験も技術もまるで違う。 それでも、凛はここに立っている。 自分の心に恐れがないと言ってしまえば嘘になる。 はっきり言って、今迄の戦いも恐ろしい実力を持った人達ばかりだった。 記憶は掠れて、一番力になってくれた───共に戦った仲間は思い出せないけれど、それでも多くの人と出会い戦い抜いた。 その中で生き残れたのも、自分に力を貸してくれた存在がいたからだ。 ならば、この場では。 最後に戦うその日まで、遠坂凛を支える仲間でいよう───自分を支えてくれた自分の仲間のように、と。 自分……岸波白野は、心の中でそう呟く。 「……来たぞマスター、坊主」 すると唐突に凛のサーヴァントの青のランサーが呟く。 それと同時に視界に現れたのは、純白の髪を持った修道女だった。 その姿は、いつものような修道服ではない。 男の情欲を誘うような───不自然に露出した、彼女なりの戦闘服だった。 「準備は整っているようですね」 「貴女こそ整っているようで何よりよ。……あれ、ルーラーは?」 カレンに言葉を返すと、凛はキョロキョロと辺りを見回した。 そういえば、ルーラーの姿が見えない。 直接戦闘には加入しては貰えないだろうけど、それでもルーラーがいるととても心強いんだけど……。 「ルーラーなら先ほど連絡を受け取りました。 この場には現れますが、彼女は単独で行動をする、と連絡が。 彼女がこの場に現れるのはあくまで”裁定者”として。あなた達の戦いを見届けるのであれば私で十分、B-4に巣食う違反を見定めるならばまた別の視点から観察した方が良い───と」 「そう……わかったわ。でもあなたが来てくれただけでも嬉しい」 ルーラーの不在を告げるその言葉に、凛は少し顔に陰りを見せる。 戦闘面でルーラーの協力を得られないことは理解していたが、側にいるのといないのでは大きく差がある。 英霊の戦いは一秒……いや、それ以下の隙でも命取りになる戦いなのだ。 出来れば側で、もしもの時───エリザやランサーがキャスターの重大なルール違反を発見した時など───の対処を速くする対処を行って欲しかったが、いないのならば仕方ない。 すると。 「……貴方も戦場に現れるのですね、岸波白野」 カレンは、此方を見てそう呟いた。 「決してマスターとしての戦闘力が高いとは言えない貴方達ならば、戦場に現れるより何処かに身を隠していた方が安全でしょう?」 カレンの言葉はもっともだった。 凛と自分では一流の魔術師を相手にしては、およそ勝つことは難しいだろう。 なのに、この場に足を運ぶのは愚策としか言いようがない。 当初のランサーの提案通り、陣が敷かれた屋敷の中に潜んでいた方が安全だ。 それでも、自分は。 ───自分だけ隠れるなんて、できない。 ───自分だけ隠れるなんて、できない。 月の聖杯戦争でも、自分は一人なら何も成せずに死んでいた。 戦えたのは「 」がいたからなのだ。 今は名前すら思い出せないけれど───「 」がいたから進むことができた。 その自分が、危険だからと言ってサーヴァントだけを死地に送るようなことは出来ない。 自分の考えをそう伝えると、ならば私だけが残る訳にはいかないと、凛もこのマンションの前で待機することになったのだ。 「……そうですか。まあ、大方そのようなことだと思っていましたけど」 「マスター、坊主。突入する前に一つ言っておく」 そして。 時刻はもうすぐ17時に突入する頃に達した時、ランサーはその声で自分達の会話を断ち切った。 「いくらキャスターの陣地外とは言えな、ここはその目の前だ。 何か合ったらすぐ令呪を使え。俺でも嬢ちゃんでもどっちでもいい、すぐに呼べ」 その口調は何時になく冷静で、正確だった。 それだけ大切な忠告なのだろう。 「魔術師の陣地内はな、簡単に言えば魔術師の体内みたいなモンだ。 何が飛び出してくるかわからねぇ、それは陣地の目の前のここでも同じことだ───マスターも坊主も、俺の陣引いた家の中で待ってろっつっても聞かねぇだろ? そういう馬鹿は嫌いじゃないがな、それなら対策はしておけ」 そう言い放つランサーの横顔は、時折見せる気楽な男としての顔ではなかった。 壮絶な命の奪り合いの生涯を駆け抜けた、戦士の言葉。 「そろそろ嬢ちゃんの歌も終わる、終わったら開戦だ。 陣地に引き篭もってるキャスターの首は獲って帰る───だからよ、マスターも坊主も自分の命の安全だけ考えてろ」 ブォン、と小さな音を立て出現した朱槍が、その強靭な腕に握られる。 その時時を同じくしてエリザの歌も終了する。 コホン、と小さく咳払いしたエリザはこちらに向かい一言。 「まあ、私の輝かしいライブと勝利の瞬間が見せてあげられないのは残念だけど。 帰ったら私の活躍、聴かせてあげるから無事に待っていなさい、子ブタ」 その紅い髪を靡かせ、そう言った。 ……ああ、何と心強い。 「じゃあ行ってくるぜ、マスター。 」 「ええ……ねぇ、ランサー?」 「何だ」 「私、貴方を信用しているわ」 小さい、恐怖もまだ感じているであろうその口から放たれたのは、信頼の言葉だった。 遠坂凛はまだ幼い。 ある程度魔術師として成長した状態だったならこの程度の恐怖なら完全に飲み込めただろう。 しかし、彼女はまだ幼いのだ───本音を言えば、弱音の一つも吐きたいだろう。 だというのに、それを意地とプライドで抑え込みランサーに言い放つ。 「だから、ここでキャスターを倒して───貴方の力、ここで見せて」 それは、どれほどの重さなのだろう。 それは、どれほどの強さなのだろう。 幼い身には重すぎる決意と強すぎる使命感を感じ取り、ランサーは笑う。 (……あーあ、この頃からこんなだったのか、こいつ) 自らの中の記憶に残る10年後の少女の面影と、目の前の幼い少女の姿が。 ランサーには、今重なって見えたのだ。 これだけ信頼されては仕方ない───この槍に賭けて、勝利を持ち帰る。 「おうよ」 返す言葉は、短く。 戦士の出陣に、長ったらしい言葉は要らない。 ◆ ◆ ◆ 「───」 ヒュウウウウ、とアサシン・ニンジャスレイヤーはとあるビルの屋上で風を感じながら、眼下に佇んでいる存在を監視していた。 ランサー=サンともう一人のサーヴァント、そして彼らのマスターだ。 彼らからは、なんともシリアスなアトモスフィアが醸し出されている。 「……突入するべきか」 ニンジャスレイヤーが呟く。 時刻はもうすぐ18時を回る。 あと少し遅ければウェイバー=サンとバーサーカー=サンの協力は得られないところであった。 ここで待機していたが、最悪もう一画の令呪で解呪される危険性もあった。 実際危険な賭けであったと言えるだろう。 『と……ちゃ……』 『と……ちゃ……』 己がマスター、しんのすけの言葉が脳裏を駆け巡る。 消えることはない。呪詛のように延々と、ニンジャスレイヤーの深い部分へと巻きついてくる。 己の愛した息子としんのすけが、重なった。 しかし、冷静さを失うことはない。 「スゥーッ……ハァーッ……」 チャドーの呼吸を忘れるべからず。 この作戦の目的はただ一つ。 キャスター=サンを足立=サンの令呪でスレイするか、それともランサー=サンが勝利をもぎ取るかではぐれマスターとなった足立=サンと契約する。 または、ランサー=サンが負けたのならばそのマスターと契約する。 新しいマスターを確保する。それが目的。 しかし。心の中には、もう一つ理由がある。 (キャスター=サンとアサシン=サンはワタシがスレイする) そうだ。この、誰にも譲れぬただ一つのエゴ。復讐。 豹変した母親に怯え。 理不尽な父親の暴力に翻弄され。 何一つ救われることなく、何が起きたかも理解できず。 ただ偽りの両親への恐怖のみを抱いて死んでいったしんのすけの、弔い合戦。 赦さぬ。 断じて赦さぬ。 赦してなるものか。 「キャスター=サン、殺すべし」 消えてしまったしんのすけの代わりに、このニンジャスレイヤーがキャスター=サンを殺す。 ───この怨み、晴らさでおくべきか。 そして。 また少し離れた場所でニンジャスレイヤーと同じく、ランサー達の姿を見ていた者がいた。 サーヴァント、ルーラー。 キャスターの根城へと突入していく二人のランサーと、そのマスターを見定めている。 視界に入るのは、カレン・遠坂凛そして、岸波白野。 『───あなたは、無理矢理に招かれたマスター達がいることに、悲しみを覚えているのではないか?』 甦るのは、岸波白野が指摘したその言葉。 悲しみはないと言えば、嘘になる。 しかし。 「この身は、ルーラーのサーヴァント。 この目的は、聖杯戦争の恙無い進行を」 ───ただ今は、己の成すべきことだけを。 個人の感情など、私の感情など後回し。 戦場で剣を振るわなかったとは言え、この腕は既に血で濡れている。 今更、躊躇することなど、何もない。 何も、ない───? ◆ ◆ ◆ 「……ああ、うん、わかった。僕たちも行く」 プツン、と通話が切れる音がする。 パチンと閉じた携帯を懐にしまい、ウェイバー・ベルベットは先ほどまで食べていたうどんを下げる。 少しでも魔力を回復するために近くの店で食事を摂っていたのだ。 「バーサーカー、ランサーが突入したって今アサシンから電話があった。 僕たちも行……バーサーカー?聞いてるのか、バーサーカー!」 「おうおう、聞いてる聞いてる……ん、間違ったかな?」 何かを作っているのだろうか、デッドプールは覆面から覗く目を三日月型に歪めて歓喜する。 デッドプールには珍しく、『ソレ』を作っている間は大人しくしていた。 ウェイバーからは、その大きな背が邪魔になって何を作っているのかはわからないが。 「……バーサーカー?お前、何作ってるんだ」 「せっかちだなぁウェイバーちゃん、一人よがりの押し付けは女の子に嫌われちゃうぜ?」 「…………」 「あれ、無視?」 もう、面倒くさいことは無視することにしてしまおうか。 しかし、現実はそう簡単ではない。 仕方なくウェイバーは言葉を返す。 「なあ、バーサーカー。お前は良かったのか?」 「ん?」 「アサシンと、キャスターのことだよ」 語るウェイバーの口調は、暗い。 相手はあの小さな少年を即死に追い込んだ、モンスターの主。 恐らく楽に勝てる相手ではない───最悪、敗北し死亡する可能性だってある。 デッドプールはそんな戦いに身を投じることに拒否感はないのかと。 恐怖感はないのかと───そう聞いているのだ。 「……あーあ、大丈夫大丈夫、俺ちゃん強いから」 そう言い放つデッドプールは、いつもの巫山戯た態度は消え失せていた。 ウェイバーからはデッドプールの顔は見えないが───怒りを抑えているような、悲しんでいるような。 簡単には読み取れない、感情のようなものを感じ取ったのだ。 しかしウェイバーがそれを尋ねる前に、デッドプールは腕に握ったものを軽く放る。 慌ててキャッチするウェイバー。 見る限り───それは硬質の棒のような。 言うならば、バットのようなものだった。 「俺ちゃん特性デップーバットォー!道具作成ない俺ちゃんじゃあ神秘も籠ってないけど、愛なら籠ってるヨ☆ ……まあキャスター=サンのモンスター程度の相手なら防げるだろうから、持っておいた方がいいぜ」 デッドプールはまるで冗談でも語るように、そう言い放つ。 ……バーサーカーがちゃんとしている、とウェイバーが呆気にとられているのを他所に、デッドプールはバラまいた銃をホルスターにしまい刀を鞘に納める。 その他にもナイフ、ハンマーに爆弾等様々な重火器が彼に装備されていく。 『と……ちゃ……』 『と……ちゃ……』 脳裏に、いつか聞いた言葉がリプレイされる。 目の前に、いつか見た風景が再生される。 デッドプールは、狂っている。 側から見てもおかしな妄言を撒き散らし、予測不能な行動で周囲を脅かす。 ある時は大胆不敵の傭兵。 ある時は予測不可能のうつけ者。 ある時は理解不能の極悪人。 だが、しかし。 今この時───今回だけは。 『と……ちゃ……』 『と……ちゃ……』 「───じゃあちょちょいとキャスター=サンをブッ殺しに行こうぜ」 ───この時だけは、デッドプールはヒーローだった。 世界が敵に回っても味方でいてくれる存在のはずの両親に裏切られ。 困惑と恐怖の底で死んでいった少年の為に。 男、デッドプール───出陣。 ◆ ◆ ◆ 《act.2 突入》 コツン、と小石が音を立てて落下する。 小石に刻まれた探索のルーンが役目を終えて消えたのだ。 探し出したのは、キャスターの陣地。 そして陣地を探すために発動した探索のルーンは、一つの部屋の扉を指した。 「ここか」 ガンッ!と、クー・フーリンが部屋の扉を蹴り飛ばす。 遠慮は無い。サーヴァントの脚力で蹴破られた扉はその姿をくの字に曲げ、面白いように飛んでいった。 「……意外と小さい部屋に閉じ籠っているのねキャスターは。ライブどころかカラオケすらも難しそうね」 「いや、陣地はこの奥だ。 ……野郎、面倒な事をしやがって」 「……? どういうこと、わかりやすく説明しなさいよ」 全てを説明しないクー・フーリンに、エリザベートは苛々を募らせる。 エリザベートははクー・フーリンほど魔術に精通していないのだ、陣地作成の理解にも差があるのは当然と言えた。 「キャスターの陣地、この部屋と重なり合うように作られてやがる。 ……要するに、異空間だ。 異空間にある以上、このマンション自体を破壊してもキャスターの陣地は残る。 陣地自体を破壊するなら、陣地の中から破壊するしか方法はねぇ」 「……なら早く済ませて帰りましょ、こんな狭いところは嫌いなの」 「おうよ、行くぞ」 言うと同時に二人のランサーは狭い廊下を駆け抜け、異空間───キャスターの陣地への突入する。 景色が変わる、世界が変わる。 赤い絨毯。石造りの白い壁。細い通路。 内観から把握するに───キャスターのこの陣地は、城を模しているのだろうか。 「へえ、城なんてキャスターもわかってるじゃない。ただの引き篭もりじゃなさそうね」 エリザベートは辺りを見回す。 彼女の趣味ではないが、みすぼらしい小屋なかっただけ良しとしよう。 「……でもこれだけ散らかってちゃ魅力も半減ね。何よこの岩、邪魔なんだけど」 赤い絨毯を歪ませる程の重さの岩が、通路に無造作に放ってあるのだ。 サイズも中々に大きい───これでは進行の邪魔になる。 または、この城の主がその目的で配置したのかもしれないが。 「邪魔なら砕くより退けちまった方が楽だ、無駄に消耗することもねぇ」 そして。 その岩を、クー・フーリンはひょいと持ち上げた。 ───それが、スイッチだった。 『メ』 「……あ?」 何処からか、声がした。 野太く、低く、不快感を増長させる響き。 『ガ』 「え、何それ気持ち悪いわ……!前言撤回よ、ここのキャスター趣味悪いわ!」 ランサーの手に持つ岩を見たエリザベートが、呑気に嫌悪感を示す。 その岩には、顔があった。 濁った目。歪んだ歯。醜悪なその顔面。 ───名を、ばくだんいわという。 『ン』 名は体を表すとはよく言ったものだ───ばくだんいわの最大の仕事は、爆発することである。 接触した者がいれば、それに反応し大爆発。 それは、この聖杯戦争の場でも変わらない。 「うるせぇ」 『デッ……!?』 ───しかし、相手が悪かった。 醜悪な顔面のばくだんいわのその眉間に、クー・フーリンの朱槍が突き刺さる。 ばくだんいわは自爆することすら許されず、まるで最初からいなかったかのように消えていく。 「チッ……面倒なものを置きやがって、これぐらいで倒せるとでも思ったか」 下らぬ雑魚の掃除に機嫌を悪くしたクー・フーリンが適当に吐き捨てる。 雑魚に構う暇はない。 狙うは大将の首、それだけなのだ。 ◆ ◆ ◆ 「……やはり、あの程度では仕留められんか」 炉が魔力の生成を行っている部屋において、キャスター───大魔王バーンはそう呟いた。 元より傷を負わせれば上等程度の理由で配置していたのだ。 軽々しく突破されたとしても、バーンとしては然程損害はない。 「ははは、アイツら必死に登ってきてるよ」 バーンのマスター・足立が声を上げて笑う。 ニヤニヤと歪むその顔には相手を卑下し蔑み嘲笑する、負の感情を詰めたような笑顔が宿っていた。 あくまのめだまにより映し出されている風景は二つある。 一つは赤と青のランサーが疾風の如き速度でバーンの陣地を駆け上がるその姿と。 マンションの外で待機する、そのマスター達だった。 「いやあ、面白くて面白くて───まだ自分達が『攻める側』だと思ってるんだもんな、コイツら」 バーンの目が此方に向いたのを察知したのか、曲がったネクタイを弄りながら足立は言葉を放つ。 何方が攻められ。 何方が罠に嵌っているのか。 それにヤツらは気づいていないのだ───と、無知な子供を見下すように足立は笑う。 「余に牙を向けたが最後……大魔王からは逃げられない。 退避は許さぬ。敗走も許さぬ。出し抜くなど以ての外。 ───凡百の英霊など、余の前では藁に等しい」 「そうそう、勝てる訳がないのに。 キャスター相手に自分のやり方でイケると思うのがそもそもの間違いってことを教えてやってよ」 ズシリ、と。 大魔王バーンは、足立の言葉など意も介さずゆっくりとその足で前進する。 魔力炉が配置されている部屋から、出陣する。 (あーあ、無視、か。大魔王の扱いは面倒だ) 心の中でぼやく足立に対し、バーンは告げる。 「足立よ、貴様はここで待機しておけ」 「はいはい、僕にもちゃんと仕事があるからね。 存分にやらせて貰うよ」 「『ヤツら』には念話での簡単な命令なら従うように命じている。 全てのタイミングは貴様に任せよう。余のマスターとして、存分にその力を発揮せよ」 その言葉を最後に、バーンは姿は虚空に消える。 霊体化、というのだったか、と足立は頭の片隅でそんなどうでも良いことを考えながら、部屋の隅に配置された椅子を移動させ、座る。 「……キャスターも悪趣味だよねぇ? こんなヤツら作ってさ、本当に気味が悪い」 引きつった笑みで足立は掌を空へ掲げ、クイっと手招きのような仕草をする。 すると。 ───ぺったん。 足立の周りから、 ───ぺったん。ぺったん。 嫌な、音がする。 ───ぺったん。ぺったん。ぺったん。 まるで、半流体の物質が蠢いているような、その音。 人間ならば生理的嫌悪感を抱かずにはいられない、その音。 一つや二つではない。 十、二十───いや、それ以上か。 大量の存在が蠢く音が、座っている足立の背後から奏でられる。 「失敗したら何言われるかわからないしねぇ。 ちょっと、ガキに大人のお仕事を見せつけてやるかな───」 ギラリ、と。 足立の背後で、無数の瞳が光を放つ。 ◆ ◆ ◆ 「テメェがキャスターだな」 ばくだんいわの通路を抜け、広間に出たランサーらが見たのは、老いたサーヴァントだった。 皺の寄った皮膚に大きな身体。 そして───溢れ出る膨大な魔力。 「如何にも……余がキャスターだ」 「……残念だけど、お爺ちゃん用の歌は用意してないの。 大人しく座にでも帰って演歌でも聞いてくれる?」 「そう言うな……赤のランサーよ。 余とて今日は上機嫌でな」 バーンの口角がニヤリと上がる。 それと同時に虚空より出現した杖、『光魔の杖』を握り締める。 訪れたのは、無尽蔵に魔力を吸い上げる貪欲なまでのその性能。 吸い上げられた魔力は収束し、研がれ、そして杖の鋒へと集中し『杖』は『槍』としてその姿を変える。 「外で待機しているのは貴様らのマスターだったか……? まだ幼いが、それでも役には立つだろう」 「どういうことよ」 話の意図が読めないエリザベートが、疑問を口にする。 それを待っていたと言わんばかりに、バーンは口角を吊り上げ─── 「───何、幾ら矮小な存在とは言え、今宵の余の配下への魔力源程度にはなるであろうと思ってな」 挑発に返す、挑発。 ランサーらを殺した後に、そのマスターを魔力の素にしてやろうと言っているのだ。 エリザベートの顔が怒りで真っ赤に染め上がる。 しかし、青のランサーの顔面に宿っていたのは───怒りでも絶望でもなく、呆れだった。 「御託はいい。貴様、上級のサーヴァントと見た。 さっさと始めるぞ」 くるくると掌の中で回る朱槍。 それを担ぎ上げ、ランサーの視線はキャスターと交差する。 「───無駄口を叩くのは趣味じゃねぇ、とっととかかってこいよ老耄」 シン、と辺りが鎮まり静寂が訪れる。 ランサーは獰猛な笑みをその顔に貼り付け。 バーンは冷酷な笑みをその顔面に宿し。 エリザベートは、リズムを取る様に体を揺らす。 そして。 ───次の瞬間、二人のランサーとキャスターの姿が掻き消えた。 ギン!、と獲物がぶつかり合う音がする。 互いの得物は槍。 大魔王の戦闘技術は恐ろしいものだった。 魔術師のクラスで召喚されておきながらの、その槍捌き。 無尽蔵に魔力を吸い上げるその槍は、唸りを上げながら空を切り裂き標的を切り捨てる。 薙ぎ払い、振り下ろし、突き、弾き、叩き潰す。 その全てが必殺。 並みのサーヴァントなら、姿形すら残さず塵へと還るだろう。 だが、しかし。 届かない───相対する光の御子の懐に、踏み込めない。 空を駆ける朱槍。 猛獣の如き野性を秘め武人としての正確さも秘めたその槍の軌道に、大魔王の槍は進行を阻まれる。 バーンが大魔王ならば、クー・フーリンは神の息子、クランの猛犬。 いくら相手が強大と言えど、やすやすと翳されるはずもないのだ。 神になろうとした大魔王が神の息子と相見えるとは、何たる運命か。 「たわけ、魔術師風情が槍兵の真似事か───!」 「───ふ、魔術師の真髄が魔だけとでも思ったか?」 クー・フーリンの朱槍を神風とするならば、バーンの槍は暴風。 お互いの槍はお互いの首を狩らんと宙を舞う。 クー・フーリンの朱槍が速度を上げる。 狙うは頭・首・心臓の三箇所。 貫き狙うは全ての急所───! 「ぬぅっ!!」 しかし。 その三連突は、バーンの一振りで防がれる。 防ぐ、というより『弾く』と言った方が正しいか。 何はともあれ、朱槍の一撃はバーンには届かなかった。 両者、傷なし。 しかし。 「私を忘れてもらっちゃ困るわよっ!」 ───その隙に、新たな槍が乱入する。 エリザベート。血の伯爵夫人。その若かりし姿。 槍兵のクラスで現界したエリザベートのその技量はランサー───クー・フーリンやバーンより劣る。 しかし、それを補えるだけの力がある。 クー・フーリンが神風、バーンが暴風だとするならば、エリザベートは突風。 急速な勢いがついたその一撃の威力は、クー・フーリンとバーンすらも凌駕する。 クー・フーリンとエリザベートは、バーンと相対した時から既に作戦など捨てていた。 バーンを見た瞬間から───小手先の作戦で騙せる相手ではないと本能が理解したのだ。 不確かな作戦に何時迄も拘っていては足元を掬われる。 掬われた結果に待つのは、明確な敗北。 ならば、作戦などとっとと捨てて攻勢に周るのみ。 ガギン!と一際大きい剣戟が響く。 エリザベートの重い一撃により、バーンが後退したのだ。 「───バカが」 その後退は、小さな隙。 だがしかし、クー・フーリンを前にしては致命的な程に大きな隙となる。 後退し、開いた距離すらも助走に利用し、更に朱槍の強烈な刺突がバーンを狙う。 既に、その刺突は点の攻撃ではない。 神速に至るほどのその刺突は、既に面の攻撃と言っていいほどに加速していた。 その刺突を、バーンは防ぎきれない。 バーンのその体に小さな裂傷が刻まれていく。 「ぬぅんッ!」 そこで、バーンがその槍を大きく振るう。 クー・フーリンはその直撃を避け、後退する。 両者の間に、距離が生まれる。 再び訪れた沈黙は、そう長くは続かなかった。 「……やはりいくら余でもキャスターのサーヴァントとして現界した以上、ランサーのサーヴァント二体には苦戦するか」 「苦戦だけで済むとお思い?」 バーンの口から漏れたのは、押されている現状。 そこにエリザベートが槍を構え口を挟む。 このままでは、バーンの不利。 元より対魔力を持つ三騎士はキャスターのクラスのバーンにとって天敵なのだ。 まともに戦えば、不利は避けられない。 ……だが。 そんな場面に出会っても、バーンは眉一つ動かさなかった。 「───ならば仕方ない、『キャスター』としての力を魅せてやろう」 そう、キャスターが呟いた瞬間。 ゴバッ!!とキャスターなら大量の魔力が溢れ出した。 「……嬢ちゃん。槍を構えろ、気を抜くな。 ───ここからが本番だ」 「ええ、わかってるわ。 私も丁度温まってきたところだし、さっさと終わらせましょ。 こんなツマラナイ相手のアンコールなんてノーサンキューだし」 二人が静かに槍を構えた。 その、瞬間。 「───『メラ』」 視界を、獄炎が支配する。 紡がれた呪文は最下位のもの。 しかし威力は最高位と同等───いや、それ以上のものだった。 陣地内の床を焼き払いながら、二人のランサーを包む。 「この程度じゃサウナにもならないわ」 「『イオラ』」 獄炎からエリザベートが現れた瞬間───第二の魔術が飛ぶ。 メラは布石。 対魔力で防がれるのはわかっている。 だからこそ、メラで視界を塞いでから、イオラを放ったのだ。 「ッ!!」 エリザベートは、その身で受けることをしなかった。 すんでのところで、槍で受け止めたのだ。 ダメージはない、攻撃は無意味。 だがしかし、バーンは笑っていた。 「……余のメラを防ぐとは中々の対魔力よ。 しかし、イオラは防げんか……貴様の対魔力の程、見定めさせてもらったぞ」 バーンの行動は、対魔力の程を測るためのものだった。 どれほどの魔術は無効化され、どれほどのものなら効くのか。 それを、見定めていたのだ。 「では……次はこれだ、貴様も英霊ならば防いでみよ」 ゴゴゴゴゴ……と、魔力の奔流が渦巻き、バーンの掌に収束されていく。 源は魔力、役目は獄炎。その形は、不死鳥。 「それが貴様の宝具か」 「如何にも……これが余の宝具だ。 その想像を絶する威力と優雅なる姿から、古来から皆こう呼ぶ───」 獄炎で形作られた不死鳥が、鳴く。 目の前のランサーらを焼き払わんと。 その姿を塵に還そうと。 「───『優雅なる皇帝の不死鳥』!!!」 不死鳥が、羽ばたいた。 神々しい───戦いの中でなければ、思わず見惚れていただろう。 しかし、見惚れていては死ぬ。 文字通り塵になる───だからこそ、クー・フーリンは行動を開始する。 「嬢ちゃんッ!下がれ!」 「え、ちょ、あなたはどうするのよ!?」 「黙って、速く───!!」 それより先の言葉は、紡げなかった。 『優雅なる皇帝の不死鳥』が、二人のランサーの目の前まで接近していたからだ。 あらゆるモノを焼き払うその不死鳥。 それを見た瞬間、クー・フーリンとエリザベートは理解した。 『優雅なる皇帝の不死鳥』。城のような陣地。特徴的な呪文の詠唱。数々の魔物。 ああ───わかった、コイツの真名は───!! 響く轟音。撒き散らされる獄炎。 哀れ、二人のランサーは不死鳥に呑み込まれ、その姿を消した。 「───なんてな」 しかし、二人のランサーは生きていた。 所々に焼け跡が刻まれ、息は切れてこそいるが、二人は生きていた。 ───原初のルーンの全使用。 上級宝具すら無傷で防ぎきるその力は、『優雅なる皇帝の不死鳥』の火力を完全にとは行かなかったが、削ぐことに成功していた。 「大魔王バーン……それがアンタの真名ね」 「さすがに宝具を見せては隠し通せぬか。 まあよい……ここで全員消せばよいことよ。 この大魔王、有象無象の英霊にやられるつもりなどないが……不穏分子は消しておかねばな」 再び、バーンの掌に魔力が収束する。 あれほどの宝具を、連発するというのか。 「余の『優雅なる皇帝の不死鳥』でも生き残るか。 しかし なら───二発目はどうする?」 そして。 二度目の不死鳥が飛翔を始めようとした瞬間───バーンが、静止する。 頭上を見上げ、フッと笑う。 「ようやく動いたか、足立よ」 「何……?」 「わかりやすく教えてやろう……お前達は、罠に嵌まったのだ」 クー・フーリンが尋ねると、バーンはその顔面の皺を濃くし、笑みを浮かべる。 その笑みにエリザベートが不快さを露わにするが、眼中にすら入っていない。 「この陣地の中には多数のモンスターが生息している。 それを外の貴様らのマスターに向かって放出したのだ───いくらサーヴァントには劣るとは言え、マスター程度なら一捻り」 「貴様らはこのバーンの城に『攻めてきた』のではない……。 『誘い込まれた』のだ」 バーンの背後から、恐ろしいほどの威圧感が発せられる。 これが、王気というものか。 「嬢ちゃん!今すぐ坊主のもとへ戻れ」 「くっ……わかったわ、すぐに戻るから踏み止まって───」 「この余に背を向けて逃げられると思ったか?」 逃走の準備を整えるエリザベートに、バーンが問いかける。 その手には魔術、役は獄炎。 逃走など許さない。 それが、バーンの意思表示だった。 「余に槍を向け、そう簡単に逃げられると思ったか? 背を向けたが最後、その頭蓋を焼き尽くしてやろう」 エリザベートの、足が止まる。 逃げられない。 バーンははその言葉の通り、背を向けた瞬間エリザベートを狙うだろう。 マスターの元へ辿り着く前に死んでは元も子もない。 願うのは、一つ。 どうかマスターが無事で、令呪を使って呼び戻してくれることを。 「知らなかったのか……? 大魔王からは、逃げられない……!」 そうして。 地獄の第二ラウンドが、始まる。 ◆ ◆ ◆ ───最初にその音に気づいたのは、凛だった。 ぺったん、ぺったんと。 水風船を軽く地面に押し当てたような音が何度も続いたのだ。 そして。 襲撃は、突然だった。 「白野、アレ……ッ!」 現れたのは、スライムだった。 王冠を被っているもの、銀色のもの、触手が生えたもの、騎士が載っているもの───などなど、様々なスライムがマンションの上階から落ちてきたのだ。 十程度ではない、二十匹や三十匹───いや、それ以上か。 困惑している自分や凛を他所に、少しずつスライムはこちらに迫ってくる。 こうなったら、令呪でエリザを……ッ!! 『キッ!!』 すると。令呪を使用しようとした自分に、弾丸のようにスライムが突っ込んできた。 ギリギリのところで回避し、再び令呪を───すると、また弾丸のようにスライムが飛んでくる。 「まさかこいつら、令呪を使わせないつもりなの……!?」 凛が呟く。 スライムらは、こちらが令呪を使用しようとすると速度を上げて襲いかかってくるのだ。 かと言って使用しなければ、じりじりと迫るスライムに殺される。 カレンの方を見てみると……スライムらは、監督役であるカレンは傷つけないように、カレンを避けていた。 カレンもそれがわかっているのか、スライムに手を出そうとはしない。 「きゃっ!」 その時、凛が小さな悲鳴をあげる。 騎士を乗せたスライムの一太刀を、ギリギリ持っていたアゾット剣で防いだのだ。 だが受け止められる筈もなく。 その小さな身体は、弾き飛ばされる。 ───凛! 「だ、大丈夫、まだ戦える……え、ちょっと、白野!?」 無事を確認した凛からアゾット剣を取り、構える。 令呪を使用する隙を掴めないのならば、自分で作るしかない。 安全が確保できるまで令呪は凛も自分も使えない。 その隙を見せた直後───スライムらは迫るのをやめ全員で押し潰しにくるだろう。 今ここで戦えるのは、自分だけなのだ。 諦めて立ち止まって、死を待つだけなどできるはずもない。 ギン!と音がする。 騎士が乗ったスライムの一太刀をアゾット剣で受ける。 アゾット剣に伝わった振動は腕に伝わり痺れを引き起こすが───アゾット剣は、落とさない。 ギン!───二合。 ガン!───三合。 ギン!───四合。 ガン!───五合。 ギン!───六合。 ガン!───七合。 絶え間なく振られるその刃を、アゾット剣で受け続ける。 自分がまだ生きているところを見ると相手のモンスターはそう強い部類ではないらしい。 しかし、弱いといえど人間の程度なら遥かに凌駕している。 現に、数合受け切っただけで自分の腕は既に感覚が消え失せるほどに痺れていた。 そして。 その騎士を乗せたスライムの不甲斐なさに他のスライムが痺れを切らしたのか、数匹が弾丸のように、この身を貫かんと迫ってきた。 回避───無理だ、ここで避ければ後ろの凛が死ぬ。 迎撃───無理だ、人間程度の力で数匹のモンスターなど倒せない。 令呪───それこそ無理だ、使おうと集中した時点で目の前の騎士に腕ごと持っていかれる。 つまり、絶対絶命。 弾丸のようなスライムを防ぐ方法はなく、自分は死ぬ。 胴体など食い千切られて終いだろう。 来る痛みに堪えるべく目を瞑る───が。 痛みは、いつ迄たってもやってこなかった。 恐る恐る目を開ける。 そこには、倒れ伏した数匹のスライムが、溶けるように消滅していくその姿だった。 誰かが、自分の代わりにこのスライムを倒したのだ。 凛か? 違う、未だ凛は自分の後ろにいる。 カレンか? 違う、監督役の彼女が理由なしに特定の参加者を助けることはない。 ならばルーラーか? 違う、彼女の姿は見えないし彼女も監督役だ。 じゃあ一体───誰なんだ? 未だ健在のスライムの群れを見渡すと、色々な色のスライムが存在していた。 基本は青。そしてまばらに存在している銀。 そして。 その大量のスライムの中に、一体だけ赤色のものが見えた。 アレはなんだ……?変わったスライムだ…… 思わず、疑問が口から出てしまった。 すると、大量のスライムの中のただ一つの赤は長い手をパン、と合わせた。 そこで、理解する。 違う、アレはスライムなどではない───! 「ドーモ、ランサーのマスター=サン。アサシンです」 スライムの大群の中に挟まっていたのは───なんと、アサシンだった。 禍々しいその姿は、どのスライムよりも強烈な殺意と意思を滾らせていた。 コワイ! 「イヤーッ!」 投げつけるのは、スリケン。 たった一回の投擲で、スライムは面白いほどにその数を減らしていく。 「イヤーッ!」 放つのは、チョップ。 その威力は、鉄のように堅い銀のスライムを叩き割り、スライムの触手を引き千切っていく。 「イィィィヤァァァーーーッ!!」 そして放たれる、サマーソルト・キック。 王冠を被った巨大なスライムが、その王冠ごと砕かれていく。 「あなた、この前の……何で今更私達を助けるの」 凛が、か細い声で発言する。 その声は、確かにあのアサシンに届いた。 「勘違いをするな。 今ランサー=サンに消えてもらってはワタシが困るのだ」 返す言葉は、短く。 幼い彼女に負い目があるのか……アサシンは、凛と目を合わせようとはしなかった。 アサシンのカラテによりスライムはその量を減らしていく。 ───だが、しかし。 「……おかしいわ。あのアサシン、前に戦った時より弱くなってる……?」 凛が、呟く。 前に戦った時は万全でなく接近戦ではなかったとは言えランサーと渡り合い、出し抜いたほどのサーヴァントだったらしい。 でも今はこの自分の目でもわかるほどにアサシンの攻撃は、サーヴァントとしては遅く───そして、徐々に大量のスライムに押されている。 「ヌゥー!」 アサシンが、悔しげな声をあげる。 これでは、遠くない未来にアサシンですら倒されてしまう可能性もある。 今ならスライムに邪魔されずに令呪を使える───仕方ない、使うべきか。 しかし、結論を言うと使うことはできなかった。 ───新たな乱入者が現れたからだ。 「A───LaLaLaLaLaLaei!!!」 特徴的な、雄叫びをあげながら。 「おいバーサーカー!何だよその変な雄叫びはぁ!?」 「え、知らない?ウェイバーちゃんのために練習したんだけどなー」 「目立ち過ぎてるんだよ、やめろって! 後僕のためを思うならもうちょっと魔力を温存とかだな」 「あ、アサシンいた」 「聞けよ!」 新しい、サーヴァント。 銃弾を撒き散らしながら現れたそのサーヴァント───バーサーカー、と言ったか。 マスターと思われる少年を引き連れて現れたかと思いきや、その銃でスライムを狩り始めたのだ。 「世界一有名な雑魚の皆さんヨロシクゥー! レベル上げには役不足だがまあ俺ちゃん今ちょっととてもムシャクシャしてるから遊ぼうぜ。 ゲームは的当てゲーム!お前ら的な!」 「バーサーカー=サン!」 アサシンがバーサーカーの名を呼ぶ。 知り合い……なのだろうか。 すると。 「行け」 バーサーカーは、短く呟いた。 呟きながらも、スライムを撃ち抜く手は休ませない。 騎士も触手も王冠も銀も───全部等しく、凶弾の餌食になる。 「キャスター=サンがこの中にいるんだろ? スライムは俺ちゃんがやっとくからさっさと行け。 脇役に徹するのも、俺ちゃんディスクウォーズで完璧にマスターしたからな」 その声は、登場とはまた違った声色だった。 あの雄叫びが熱だとするならば、今の声は氷。 「……ありがとう」 アサシンはその場から姿を消した。 それを見届けたのか───バーサーカーの瞳は笑顔を作り上げたのか、三日月型に歪む。 「俺ちゃん知ってるよ?お前らヒキコモリキャスターの手下だって。 ヒキコモリキャスターちゃん、今から優しい優しいデップーがお外に引き摺り出してあげる!」 バーサーカーが声高く叫ぶと、辺りが静寂に包まれる。 すると。 上空から───ルーラーが、降ってきた。 着地は、カレンの目の前に。 「遅かったですね、ルーラー」 「私も見張りをしていましたので」 監督役の会話は、とても簡素なものだった。 今のルーラーは監督役として仕事を全うしている最中───いつもより、その顔は険しかった。 恐らく、言動が不明なバーサーカーを警戒してやってきたのだろう。 高層マンション前、B-4。 そこに、五人のマスターと六人のサーヴァントが、結集した。 ◆ ◆ ◆ 「な───なんなんだよアイツラッ!!」 足立は、魔力炉の部屋にて自らが座っていた椅子を蹴り飛ばした。 後少しでランサーのマスターを殺せた。 なのに、だというのに。 アサシンが攻めてきて、更にバーサーカーまで。 そこまでは良い、予想はできていた。 だが。 「何普通に協力してるんだよ……!」 背を預け、仲間割れ起こすことなく。 彼らの戦闘は円滑に進んでいる。 背中を向けているのに。マスターが野放しなのに。 襲おうとすらせずに、協力している。 あくまのめだまが映した映像の先では、バーサーカーが暴れている。 スライムからその場にいる全員を護り、暴れている。 ガキみたいな仲良しこよしでも披露しているつもりなのか。 「青臭いガキみたいにさ、わらわらわらわら集まって……本当に、ウザいよ」 足立の、仮面が崩れ落ちる。 自己中心的な醜い面が露わになる。 バーンが嫌う、その人間の醜さと救いようのなさが露出する。 「いいさ、マスターを失ったアサシンなんてキャスターの良い餌にしかならないし。 ランサー二人さえ始末すれば、三騎士じゃないバーサーカー一体なんて相手にならないよ」 その声に含まれる感情は、嘲り。 どれだけサーヴァントが集まろうと、此方の方が有利なのだ。 バーンの宝具とやらもまだある。 負けるはずが───ない。 「なのに馬鹿だよねぇアイツら。 必死で集まってきてさ、わざわざ魔力炉の中にでも放り込まれにきたのかな」 「ワタシにはオヌシの方が救いようのない馬鹿に見えるぞ」 「はっ、手厳しいねキャスター、いつの間に帰っ───え?」 あくまのめだまが映し出している、一つの映像。 そこには───キャスターと二人のランサーが未だに戦っている。 キャスターが魔術で押しているが、未だに勝ってはいない。 じゃあ。 今の声がキャスターではないとしたら。 じゃあ一体───誰なんだ? 恐る恐る、足立は振り返る。 顔面から汗が噴き出る。 最初に見えたのは、あの生意気な魔物───ゴロアの死体。 一言も残さず消えていくその姿は、足立に恐怖を植え付けた。 山野真由美を、小西早紀をテレビに突っ込んだ時でも、こんなに汗は噴き出なかった記憶がある。 この異様なプレッシャー。 心の内側に訴えかけてくる恐怖感。 まさか。 まさか───。 「ドーモ、足立=サン。アサシンです」 振り返ると、そこには。 ───アサシンが、足立の蹴り飛ばした椅子に座っていた。 「お、お前、どうやってここに」 「アサシンのサーヴァントを甘く見るな、足立=サンよ」 「そ、そこに居た魔物は」 「キャスター=サンのために忙しく働いていたようなのでな。 スレイしておいた」 アサシンの専売特許───気配遮断。 それにより、キャスターの陣地へ忍び込んだのだ。 キャスターが万全の状態ならばアサシンの潜入にも気づいただろう。 しかし今はランサー二人を相手にしているのだ。 ランサーらが押されているとはいえ───アサシンの侵入を察知するほどの余裕はなかったのだ。 そして。 サーヴァントならば気配遮断解除後の殺意に気づき、アサシンを攻撃できただろう。 だが、しかし。 サーヴァントには遠く及ばないゴロアでは、マスターを失ったアサシンの気配を捉えたものの、反撃する迄はいかなかった。 哀れ魔物は首を切り取られ、死んだ。 「オヌシは後だ……先に、これを破壊させてもらう」 アサシンが見たその先には、魔力炉があった。 その瞬間、足立の影からまおうのかげが出現するが───遅かった。 幾ら弱っているとはいえ、ニンジャの運動性能には届かなかったのだ。 「イィィィヤァァァ───ッ!!」 必殺のチョップ。 ドゴンッ!と音が響く。 しかし、ニンジャのカラテは弱っている……完全には、破壊しきることは不可能だった。 魔力炉に、皹が入る。 魔力を生産する機能が衰える。 ───それが、最悪の結果を齎した。 「───ァ」 サーヴァントとは、かつての英雄を使い魔として使役し聖杯を手に入れるべく覇を競うものである。 しかしサーヴァントが現界し、それを維持するには一定の魔力供給が必要なのだ。 そして、そのサーヴァントが産み出したものも同様に。 魔力が切れれば存在は消えるのみ。 それを防ぐために、バーンは魔力炉を製作したのだ。 そして。魔力炉を作ったからこそ、大量のモンスターを製作することができたのだ マネマネだけでも250匹。そして更にばくだんいわや陣地作成、スライムらなど───とても足立だけの魔力では足りないものを、魔力炉の力を借りて製作していたのだ。 つまり、魔力供給は全て魔力炉に依存していたのだ。 それが、今。 完全に破壊されてはいないものの、アサシンによって皹が入り、魔力生産能力が衰えた。 そして。 モンスターへ供給されていた魔力は魔力炉だけの供給だけでは足りなくなり。 ───足りない量の魔力は足立から、吸い上げられることとなった。 「あ、ああァァァァァァァァ───ッ!!」 息が、できない。 大量の魔力が、生命力がモンスターの維持のために吸われていく。 このままでは、死ぬ。 ふざけるな。 こんな惨めな死に方なんて御免だ。 「キャス、ター……令呪を持って、命じる」 足立は言葉を途切れさせながら呟く。 どうせ、キャスターはこっちが命じても聞き受けはしない。 後から何を言われるかわかったもんじゃないが、このままでは魔力切れで確実に死ぬ。 足立は目の前のアサシンや後のキャスターやルーラーのことなど全く考えず───自身の生存のみを願い、命じた。 「───魔物への魔力供給を、今すぐやめろッ!!」 ◆ ◆ ◆ 「───ヌッ!?」 そして、バーンが呻き声をあげた。 クー・フーリンとエリザベートの猛攻が止まる。 「足立、貴様ァ…余計なことを…ッ!!」 吐き出す言葉は呪詛のように。 だがしかし、令呪の命令は止まらない。 ───そして、この時。 NPCに擬態していたマネマネ総勢250体。 ばくだんいわ、あくまのめだま、その他バーンが産み出した方舟に存在する全てのモンスターが。 魔力供給の中止により跡形も無く、消滅した。 ◆ ◆ ◆ 「ルーラー」 「───ええ、神の御告げにより、確認致しました。 この場におけるルール違反の数々。 あなたの仕業だったのですね」 カレンが呟き、ルーラーが反応する。 ルーラーは、この場より250余りの魔力反応が完全に消え去ったのを、感じ取った。 そして───神の御告げが、鮮明になる。 大量の魂喰い。そしてそれの隠蔽。 どれを取っても、既に警告で済ませる域を超えている。 よって。 ここに、令呪を。 「キャスター。 貴方には後ほど、マスターから二画の令呪の剥奪を。 そして、ルーラーの名において、命じます」 ルーラーに刻まれた令呪の一つが発光する。 そして。 紅蓮の聖女は、高らかに叫ぶ。 「キャスター───現在稼働している陣地の全ての機能を、永久停止せよ」 それは。 キャスターとしての特性を全て殺す、悪魔の命令だった。 ◆ ◆ ◆ カラン、とバーンの腕から槍が落ちる。 魔力を無限に吸い上げる光魔の杖。 しかし今の状態では、完全にデメリットしか残っていない。 「ふ───ハハハハ」 バーンは、怒りに震えていた。 マスター……足立が何かやらかしたのだろう。 これだから人間は役に立たない───足立では、やはりダイの足元にすら及ばない。 それを、実感した。 「今だ嬢ちゃん!」 「わかってるわよ」 そして。 二人のランサーは、その隙を見逃さなかった。 「私も魔力を使い過ぎたから、そこまで大きなライブは開けないけれど。 この一撃で勘弁してよね!」 ドンッ!と。 エリザベートの槍が深々と地面に刺さり、背から立派な翼が生える。 まるで、竜のような。 軽々と飛翔し、彼女は槍の上へと着地する。 すぅぅぅ、とエリザベートが深く息を吸い込む音が響く。 直後。 『Ah─────────────────────ッッッッ!!!』 雷鳴のドラゴンの威風が、炸裂する。 超音波攻撃。『竜鳴雷声』。 ランサー、エリザベート・バートリーの一つの宝具である。 その宝具は、止まらない。 辺りの陣地を破壊しながら、バーンへと突き進む───! ドォォォォォンッッ!と、轟音が響く。 大魔王バーンは、動けなかった。 己のマスターの足立の不甲斐なさと。 少しでも認めかけていた足立への失望と、醜い人間への怒りを前に。 茫然自失とし、動くことすらできず───エリザベートの宝具は、直撃した。 避けることは、不可能だった。 ……その最大の理由は、避ける必要がなかったから、であるが。 「───余としても再びこの姿になるとは思っていなかったぞ」 土煙の中から、声がする。 「ここまで余を追い詰めたこと、褒めてやろう。 さすが英霊だ───余のマスターの腑抜けた人間とは大違いよ」 土煙の中から飛び出した腕に、皺はない。 落とした杖も、もう消えていた。 「テメェ……」 「うそ……」 二人のランサーが驚愕する。 その二人を他所に───バーンは、その姿の全貌を現す。 「改めて名乗ろうか……余こそ大魔王バーン。 その、真の姿だ」 ───真・大魔王降臨。 力の全てを残した、その究極の姿。 そして、無言で差し出した掌から。 黒い霧が、発生する。 「……ミストよ、今一度余の為に働いてもらう」 バーンがそう呟いた瞬間、黒い霧は形を変え……まるで、人のような姿に変化した。 魔力を感じ、声を放つ───魔物だ。 『死して尚バーン様の為に働ける……こんなに嬉しいことはありません、お任せください』 「余のマスターを守れ。多少なら無理をしても構わん」 その言葉を最後に、黒い霧は消滅した。 否、移動したのか。 マスターを護れと命令された魔物に構っている暇はない。 「……嬢ちゃん、逃げろ。ここから出て、坊主と凛連れてな」 「……何でよ」 その姿を見たクー・フーリンがエリザベートに命じたのは、退避だった。 その顔には、冷や汗が浮かんでいる。 「……わかってんだろ。嬢ちゃんじゃアイツには勝てねぇ」 「───それ、は」 その先から、エリザベートは言葉を紡げなかった。 今のバーンからは、先ほどとは比べ物にならないほどの力を感じるのだ。 老人だったバーンにすら技量で劣っていたエリザベートでは、勝てるはずもない。 つまりは、足手纏い。 どう足掻いても勝てないのならば、エリザベートはマスターの守護に回れと。 「アンタはどうするの?」 「決まってんだろ。 ───コイツの首を獲るんだよ」 その状況でも、クー・フーリンは笑っていた。 当たり前だ。生前の彼は一人対軍など日常茶飯事だった。 今更強敵に出会ったところで、恐怖などするものか。 「……わかったわ。逃げ切ったら令呪で呼ぶから、それまで生きなさいよ」 それを最後の言葉に。 エリザベートは戦線を離脱した。 「待ってるとは気楽な野郎だな」 「ふふ、そう言うでない。 陣地も無力化された。魔力と叡智を授けた体も失った。 認めよう───これは余の失敗だ。 だがしかし……敗北ではない。 大魔王として今から貴様を殺し、逃げたあのランサーも殺す。 一人ずつだ。一人ずつ魔力に変換し───余の糧としてやろう」 「やってみろ!」 ドンッ!と。 両者の足元の床が、踏み出した衝撃で破壊される。 再び、光の御子と大魔王の勝負が始まった。 ◆ ◆ ◆ 「もう一度言う、足立=サンよ。 その令呪を用い、キャスター=サンにセプクを命じよ」 「ぁ……」 魔力炉が存在していた部屋にて。 足立は、アサシンにインタビューされていた。 両太腿にはスリケンによる裂傷が。 両膝はカラテにより砕かれている。 操り人形めいたその姿は、一般人なら既に失禁し気絶していることだろう。 足立は実際失禁していた。 辛うじて、意識は保っているが。 「───嫌、だね。どうせお前なんか、キャスターがくれ、ば」 足元が令呪によって命じたのは『魔物への魔力供給の停止』。 それはつまり、足元を護衛していたまおうのかげの消滅にも繋がるのだ。 そんなことすらもはや頭になく、生きる一心で令呪を使った足立は、まおうのかげが消えた瞬間にアサシンに捉えられたのだ。 マガツイザナギを出すことができたなら、マスターを失ったアサシン相手なら防戦程度ならできたかもしれない。 だがしかし、急激な魔力吸い上げにより意識が朦朧としていたのだ───応戦など、できようはずもない。 「そうか。ならば更にこちらも……」 「ガ、アァァァァァァァッ!」 アサシンが、折れている膝を踏みつけた。 喉がはち切れそうなほど絶叫する足立を、アサシンは冷たい瞳で見つめる。 足立が意識を保っているのは、キャスターの絶対的な力故。 キャスターが戻ってくればアサシンなんて瞬殺だ、そう考えているからである。 それが故に、諦めない───または、力に縋り付く。 その時。 シュウシュウと、音がした。 (フジキド……!今すぐ此奴を殺せッ!) 「何だナラ……ッ!?」 反応した時には、遅かった。 何処からともなく現れた黒い霧が───足立を、包み込み始めていた。 「ヌ……!」 すかさず、アサシンは後退する。 足立を殺す訳にはいかない。 マスターが健在の時でさえ魔力不足だったのだ───今足立を殺せば魔力の供給源を新たに探さねばならなくなる。 協力者のいる凛を狙うより、単独の足立を狙った方が早い。 『この者は魔力だけは多いようだ……良い体だ、バーン様のマスターなだけはある』 どこからか、声がする。 その声は禍々しく、低い。 言葉からして───バーンの魔物か。 『今のバーン様は無駄な魔力を使うことを控えている。 だからこそ私だけを産み出したのだ……私を信頼してくださっているのだ、期待に応えねばならない』 足立の肌が、黒く染まる。 苦しそうに唸る声すらも、消えていく。 「オヌシ……キャスター=サンの配下か?」 『忌々しいサーヴァントの制約によりバーン様とパスが繋がっている者にしか憑けないが……魔力の少ない貴様程度なら、コレで十分』 ニヤリ、と足立の顔が歪む。 苦悶ではなく、喜びで。 「さあ───バーン様の勝利のための礎となるがいい」 ここでも、新たな戦いが始まっていた。 ◆ ◆ ◆ 「スライムが……消えた……?」 バーサーカーのマスターがそう呟く。 恐らくルーラーがペナルティを発動したのだ。 バーサーカーのスライムの戦いで良く聞き取れなかったが───直感で、そう理解した。 「マスター!」 すると。エリザが、マンションから飛び出して戻ってくるのが見えた。 所々熱傷はあるが、大事には至ってないらしい。 「うわぁ、見ろよウェイバーちゃんあの服。懐かしい、俺ちゃんもスパイディのためにあんなの着たっけなぁ……」 ぶつぶつと呟いているバーサーカーを無視し、エリザは凛と自分の元へ着地する。 その顔は、酷く焦燥していた。 「ここから逃げるわ」 「え、何で、まだランサーが」 「理由は後!」 問答無用でエリザが凛を抱き抱える。 理由はわからないが、後はこの場から逃げなければいけないらしい───が。 エリザの動きが、止まる。 サーヴァントの聴力が、ある音を捉えたのだ。 まるで戦車が荒れた岩だらけの場所を走行しているような、地響きのような音を。 「……ウェイバーちゃん、下がれ」 バーサーカーが、何かを感じ取ったのか。 そして、数秒後。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────────────!!!!!」 新たな敵の姿が、見えた。 手に持つ黒刀。白い仮面、白い肌。 理性の感じられない雄叫び───間違いなくバーサーカーのクラスだ。 仮面のバーサーカーは恐るべき速さで此方に迫る。 「マスター!」 エリザが叫ぶ。 指示を仰いでいるのだ。 ならば─── ここは、逃げよう。 ここは、戦おう。 ここは、逃げる。 エリザには既にバーサーカーを相手にできる体力は残っていないように見える。 ならばこの場は逃げるしか、ない。 「バーサーカー、お前、戦わなくていいのかよ!?」 「……あー、いい。アイツはこっちには来ねえよ」 「……?」 そして。 一気に距離を詰めた仮面のバーサーカーは───自分たちや監督役、覆面のバーサーカーを、素通りした。 または、無視。 そのまま、仮面のバーサーカーは、あろうことかまだランサーが戦っているキャスターの陣地へと飛び込んでいった。 「───バーサーカー、ですか。 普段は高潔な英霊だったのでしょう」 そして。 ルーラーは、そのバーサーカーを見て一言。 「狂気に染まっても尚、その身は誰かの為にあるのですね」 神の言葉を、嘆きを聞いてそのために戦い続けた英雄、ジャンヌダルク。 彼女は、まるで古来の仲間を見るような瞳で、そう呟いた。 ◆ ◆ ◆ BACK NEXT 115 俺はお前で、私はあなた 投下順 116-b 凛として散る戦士の如く 115 俺はお前で、私はあなた 時系列順 116-b 凛として散る戦士の如く BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT 113-b 角笛(確かに) 遠坂凜&ランサー(クー・フーリン) 116-b 凛として散る戦士の如く 岸波白野&ランサー(エリザベート・バートリー) カレン・オルテンシア 112 スタンド・アップ・フォー・リベンジ ウェイバー・ベルベット&バーサーカー(デッドプール) アサシン(ニンジャスレイヤー) 108 ゼア・イズ・ア・ライト 足立透&キャスター(大魔王バーン) ルーラー(ジャンヌ・ダルク) 110 標的を斬る バーサーカー(黒崎一護) ▲上へ
https://w.atwiki.jp/new_jack/pages/333.html
新ジャンル「爆薬の導火線の火花の精」 1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 22 11.08 ID QBPcb5F10 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「ふえぇ……ここどこぉ? 暗いよぉ……何だかカビ臭いよぉ……」 マイク「べ、べりーキュート……たまんねぇ」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 25 20.09 ID QBPcb5F10 トム 「いいか、マイク! 火を点けた爆薬に近づくんじゃないぞ!」 マイク「すまないトム、オレはどうやら脳みそがイカれる寸前だったらしい」 トム 「気にしてないさ、マイク。さあ今度こそ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「あ、貴方! 私よ! 小さい頃よく一緒に遊んだジェニファーよ!」 マイク「ひ、火花に何か……き、君は幼馴染のジェニファーじゃないか……オレは、オレはずっと前から」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 20 26 33.09 ID vrvS9gjvO なんだこれwww 6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 28 44.67 ID QBPcb5F10 トム 「もう一度言うぞマイク! 火を点けた爆薬に近づくんじゃないぞ!」 マイク「すまないトム、オレはどうやら初恋を大事にするマイトガイらしい」 トム 「気にしてないさ、マイク。さあ今度は導火線を長くしたからな!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「アラ? 久しぶりね、覚えてるかしら。イトコのティファよ」 マイク「ひ、火花に何か……き、君はオレとよくお医者さんごっこしたイトコのティファ!」 トム 「マイク! 何で下半身を立たせるんだ!」 爆薬「ふふ、そうね。貴方ったら何時も患者さんばっかり、本当は私も診てもらいたかったのよ」 マイク「はは、そうだなベイビー今度はオレがじっくりと」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 30 56.29 ID QBPcb5F10 トム 「何度も言わせるなマイク! 火を点けた爆薬に近づくんじゃないぞ!」 マイク「すまないトム、オレはどうやら見られて興奮するピーピングガイらしい」 トム 「意味が判らんぞマイク。さあ今度こそだ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……は?」 爆薬「フリーズ! このブタども! 這い蹲ってアタシのつま先でも舐めるんだな!」 マイク「あ、貴方は兵役時代にお世話になったモリガン教官!」 トム 「マイク! 何でまた下半身を立たせるんだ!」 爆薬「ああん? 貴様、ブタの分際で人の言葉を喋るなんざ100年早いのよ!」 マイク「ブヒィ」 トム 「マイク! 四つんばいで爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 32 14.03 ID QBPcb5F10 トム 「もう一度だけ言うぞマイク! 火を点けた爆薬に近づくんじゃないぞ!」 マイク「すまないトム、オレはどうやら打たれて喜ぶレボリューションガイらしい」 トム 「落ち着くんだマイク。さあ今度こそだ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……は?」 爆薬「ヘイ! ここは少し暑いな! 脱がせて貰ってもいいかい!? ナイスガイ!」 マイク「何だあの暑苦しいガイは、テレビのエアロビナビゲーターじゃないか」 トム 「……OK、そのままだ」 爆薬「ヘイ! 汗を大量にかいてしまったな、そこの君! 背中を拭いてくれないか!」 トム 「ああ、いいぜ……ちょうどこっちにオレのタオルがある……」 マイク「と、トム! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! マイク「何やってんだトーーーーーーーーム!!!!」 9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 33 06.32 ID QBPcb5F10 トム 「……OK、気にするな」 マイク「……」 トム 「気にするな! マイク! さあ今度こそだ!」 マイク「あ、ああ! やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……はぁ?」 爆薬「めぇぇぇ~めぇぇぇぇぇ」 マイク「何だ、ヤギじゃないか。何だこりゃ、まあいい一緒に吹き飛んでしまいな!」 トム 「……OK、そのままだ」 爆薬「めぇぇぇ~めぇぇぇぇぇ」 トム 「へっへっへ、サカってやがるぜ。そらオレのコックでお前を……」 マイク「と、トム! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! マイク「何やってんだトーーーーーーーーム!!!!」 10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 34 21.63 ID QBPcb5F10 トム 「……頼む、こっちを向いてくれ」 マイク「……」 トム 「気にするな! マイク! さあ今度こそだ!」 マイク「あ、ああ! やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……あ、ああ……」 爆薬「おにい、ちゃん? お兄ちゃんなの!?」 トム 「妹の、メルリ、じゃないか」 マイク「妹の、キャサリンじゃないか」 爆薬「お兄ちゃん、あの、ね……私、さっきから何だか……体が熱くって」 トム 「それはいけないな、メルリ。悪い子にはおしおきだな」 マイク「それは風邪かもしれない、さあ! 上着を今すぐ脱ぐんだ」 ばごおおおおおおおおおん!!! トム 「ぶごおおおおおおおおお」 マイク「ぶごおおおおおおおおお」 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 20 34 46.51 ID OTkMJT2JO 不覚にもwwwこれは良いwwwwww 12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 36 48.24 ID vrvS9gjvO トムwww 13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 20 37 28.19 ID l+WmS54C0 おもしろいじゃねーか 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 38 47.46 ID tuiaIbFaO 精「あっぁっ…ダメやだ…こわれちゃぅぅぅぅぅっっっ!」 系だと思ってきたのに 笑った 15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 38 56.16 ID FSIn7oIO0 トキメキの導火線か 17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 20 41 58.93 ID OTkMJT2JO 10 テラロリコンバカスwwwwww 18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 42 15.00 ID TxHisxXY0 新しすぎて笑ったwwwwwwwwww 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 44 09.29 ID QBPcb5F10 トム 「あれは仕方ないな」 マイク「あれは仕方ないな」 トム 「…この岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……あ、ああ……」 爆薬「ん? どうしたの? そんな顔で突っ立って、こっちいらっしゃいな」 トム 「姉のパメラじゃないか」 マイク「姉のヴェネッサじゃないか」 爆薬「ふふ……どうしたの、やぁねぇ、人の胸元じっと見つめて、こっちいらっしゃいな」 トム 「ね、姉さんがわ、悪いんだからな……そんな誘惑するような格好で」 マイク「お、お姉ちゃん」 ばごおおおおおおおおおん!!! トム 「ぶごおおおおおおおおお」 マイク「ぶごおおおおおおおおお」 20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 20 44 10.75 ID lEW1klTlO 悔しいけど……笑っちゃうビクビクッ 21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 44 43.29 ID IlSeMT3I0 これは新しいwwwwwwwww 24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 47 18.42 ID tuiaIbFaO 仕方ないwwwww 25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 49 15.06 ID QBPcb5F10 トム 「あれも仕方ないな」 マイク「ああ、あれも仕方ないな」 トム 「…この岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……あ、ああ……」 爆薬「あ~れぇ? よく来たねぇ~可愛い孫たち」 トム 「お、おばあちゃん」 マイク「キャシーおばあちゃん……」 爆薬 「どうしたんだい? もっと近くに来てその可愛い顔を見せてくれ」 トム 「……これは無いな」 マイク「……ああ、これは無いな」 じゅっ トム 「あ、消えた」 マイク「ホントだ、消えたな」 26 以下、名無しとかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 49 51.19 ID JtusJqXK0 15 ふし遊か 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 50 13.43 ID IlSeMT3I0 初勝利wwwwwwwwwww 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 50 16.66 ID TxHisxXY0 ばあちゃんwwwwwwwwwwww 29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 20 50 37.24 ID pl8G/9R30 よく考えたらなんだかんだで爆発してんだから先進めるだろwwwwwww 31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 51 13.47 ID vrvS9gjvO やべぇwwwこの二人大好きだwww 33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 52 36.51 ID McY6Entt0 おもしろすぎるwwww 34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 52 45.64 ID +FH/WqNc0 なにやってんだまーいく の部分が脳内再生されるから困る 37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 56 28.35 ID c99nzJYx0 あえてトムとマイクを使った発想がすばらしいなww それだけで面白さ2割増しだwwwwwwwwwwwww 39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 57 22.22 ID GfblxvSj0 29 たぶん、マリオ現象か、ひぐらし現象が働いているんだと思うwwwww 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 57 41.22 ID QBPcb5F10 トム 「あれは無理だろ」 マイク「ああ、あれは無理だな」 トム 「…この岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……あ、ああ……」 爆薬「あ! マイク! ああ、私の可愛い坊や……」 トム 「……」 マイク「これも無理だろ、ありえねっつの」 爆薬「あ……トム! ああ、アタシの元に帰ってきてくれたんだね、ああそのコックが恋しいよ」 マイク「…………………………は?」 トム 「ああ、相変わらずマダムティシーは若い男が好きなんだな、今すぐコイツを……」 ばごおおおおおおおおおおおおん! マイク「何やってんだトーーーーーーーーム!!!!」 41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 59 06.87 ID IqyKDohS0 今度はトムがwwwwwwwwwwwww 42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 59 45.08 ID QBPcb5F10 ごめんもうゆるしてwwww脳がwwww 43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 20 59 52.35 ID PFe4RxTRO 2つの意味でナニやってんだトムwwwwwwwww 45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 01 38.57 ID GfblxvSj0 もう、これは友情に亀裂がwwwwwwwwwwww 47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 02 59.56 ID BmUsBh0M0 アホすぎてワロタwwwwwwwwwwwwwwww 48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 03 41.82 ID IlSeMT3I0 マイクの方が正常な件wwwwwwwwww 53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 21 07 43.91 ID cSGRLCNPO これは斬新www 55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 10 25.52 ID QBPcb5F10 トム 「あれは無理だろ」 マイク「いや、やってんじゃん!」 トム 「…………この岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「……やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……あ、ああ……」 保安官「ああん? またお前らか! この糞ガキどもが! ケツの穴からこの銃をぶっ放してやろうか!?」 トム 「火花にまた何か……チッ! またあの糞ポリだぜ! マイク、ぶっ飛ばしてやんな!」 マイク「……」 保安官「ほぉ……おとなしくお縄につく気になったか、殊勝だな」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 マイク「あのトムって奴、ドラッグやってますよ」 ばごおおおおおおおおおん!! トム 「何言ってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 11 22.33 ID IqsqTBNE0 55 ちょwwwwマイクwwwwwwwwwwwwwwおまえもかwwwwwwwwwww 58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 11 34.51 ID onNn96di0 マイクが常識人なのか天然なのかわからなくなってきた 61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 21 12 30.68 ID AZcXakME0 友情に亀裂がwwww 62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 12 31.32 ID GfblxvSj0 マイクちくったwwwwwwwwwwwwwwwww 63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 12 57.40 ID 09C+4tnh0 55 マイクに萌えっぱなしです 64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 13 18.00 ID I4oE64mXO マイク裏切ったwwwww 69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 17 42.27 ID QBPcb5F10 トム 「お前な!」 マイク「いや、やってんじゃん!」 トム 「…………この岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「……やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「……あ、ああ……」 爆薬 「……」 トム 「火花の向こうに……何だ? オレの妹のメルリのタンスじゃねえか!? 何でこんなもんが」 マイク「……」 爆薬 「……」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 マイク「ハァハァ……メルリたんのプリキュアパンツ……」 ばごおおおおおおおおおん!! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 18 17.56 ID IqsqTBNE0 69 ついにマイクおまえもかwwwwwwwwwwwwwwwww 71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 18 24.55 ID QBPcb5F10 もう無理 後は誰か乗っ取ってくれwwww 72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 19 52.32 ID GfblxvSj0 もう、この二人アホ過ぎwwwwwwwwwwwwwwwww 73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 21 05.67 ID t4iwTYlUO 71 とてもかなりGJだったよ乙 78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 22 28.10 ID ZkTrXO8kO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「ふぇ……やだよぅ……燃えたくないよぅ……」 マイク「み、水!!早く水を!!」 トム 「マイク!なにをする!!」 バシャッ じゅゅぅ………… トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 23 41.89 ID tLOllzyW0 78 爆発してねえwwwwwwww 80 以下、名無しとかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 23 59.21 ID JtusJqXK0 さっきから思ってたんだけど爆薬じゃなくて火花じゃないか? 81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/11/26(月) 21 24 48.09 ID pl8G/9R30 ログ墓場までもってくwwwww 83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 30 00.34 ID ZkTrXO8kO 1は才能の無駄遣いしたなwwwwwwwwwww 84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 31 51.97 ID vrvS9gjvO 浅窓みたいな様式美 87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 33 51.48 ID GfblxvSj0 84 この骨組みを考えた 1に嫉妬 88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 39 16.40 ID Znl9Ti/x0 浅窓の怜嬢だっけ?? 男3の存在が良いスレを発揮してた 89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 40 55.38 ID TxHisxXY0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 爆薬「バブゥ」 トム 「娘のジョザンヌ!?」 マイク「トム、君は独身だ」 爆薬「オギャーオギャー」 トム 「あぁ今オムツを替えてあげるよ!」 マイク「と、トム! 爆薬に近づくんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! マイク「だから君は独身だマーーーーーーーイク!!!!!」 91 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 45 16.10 ID PFe4RxTRO 69 トム 「………」 マイク「……そんな目で見ないでっ」 トム 「…………この岩壁の向こうには金塊だ~これで俺たちも億万長者だ~」 マイク「……棒読みすぎるぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ~爆風に巻き込まれるとあの世だぜ~」 マイク「……いい加減許してっ」 爆薬 「ケッ、あのクソアマ…ちょっと殴った位で出ていきやがって!」 トム 「火花の向こうに……飲んだくれのオッサンが…」 マイク「あれは無視だ……ん? 隣に何か……」 爆薬 「ふぎゃ~おぎゃ~」 マイク「赤ん坊だな……」 トム 「ああ、ベイビーだ……」 爆薬 「ケッ……」 マイク&トム「目元がそっくりじゃねーか!」 マイク「どんなダメ親父でも子供には親が必要なんだ!」 トム 「マイク! 爆薬に近づくんじゃない!」 マイク「これが俺のジャスティス!!」 ばごおおおおおおおおおん!! トム 「見直したぞマーーーーーーーイク!!!!!」 92 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 46 46.45 ID D8BGKxYN0 トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「流派!東方不敗は!」 マイク「王者の風よ!」 トム 「全新!」 マイク「系列!」 爆薬 「天破侠乱!」 馬鹿 「見よ! 東方は赤く燃えて」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! ト&マ「師ぃ匠ォオオオォーーーーーーー!!!!!」 トム 「・・・・・・美しいな」 マイク「ああ。美しゅうございましたな・・・」 93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 47 13.89 ID vrvS9gjvO こいつら何処に向かってるんだw 94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 47 40.24 ID TxHisxXY0 92 馬鹿ってダレダwwww 95 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 49 26.88 ID I4oE64mXO Gガンktkrwwwwwww 96 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 21 52 42.14 ID GfblxvSj0 93 ここではないドコか……だろ?wwwwwww 97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 22 04 04.84 ID jB7dY66vO w 106 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 23 01 11.66 ID QbwcyzzOO トム 「…ああこの岩壁の向こうには金塊だ、これで俺たちも億万長者だ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「あ……」 爆薬「ぬるぽ!ぬるぽ!ぬぽ~」 マイク「ガッ」 トム 「ガッガッ!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! 111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/11/26(月) 23 57 05.22 ID 9JVp1uFBO トム 「いいか、マイク! これから火を点けるぜ!」 マイク「いいぜトム、オレがまさか火花恐怖症だったとは思いもしなかったぜ」 トム 「気にしてないさ、マイク。さあいくぞ!」 マイク「やっと俺たちにも運が向いてきたぜ! そら、導火線ファイア! ……してくれ!!」 トム「OK!! ファイアアアアアアアアアアア!!!!!」 バチバチバチバチ トム 「よし、マイク離れるんだ! 爆風に巻き込まれるとあの世だぜ!」 マイク「よし! 離れる…あ……」 爆薬「……………」 マイク「ひ、火花に何か……あ、あれはまさか……」 爆薬「ゲッツ、あ~んど」 マイク「リタァアアアアンズ!!!!」 トム 「マイク!? 爆薬に向かって爆走するんじゃない!」 ばごおおおおおおおおおおおおおおん! トム 「何やってんだマーーーーーーーイク!!!!!」 112 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 age 2007/11/27(火) 00 11 04.50 ID rpH65xPQO 111 ハカロワを思い出してしまった ダンディ元気かなぁ? PREV NEXT 新ジャンル「爆薬の導火線の火花の精」01_vol02
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/56940.html
【検索用 せかいじゅうになりひびくみみなりのどうかせんにひをつけて 登録タグ 2023年 POPY Synthesizer V THE SPELLBOUND せ 曲 曲さ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:THE SPELLBOUND 作曲:THE SPELLBOUND 唄:POPY(Synthesizer V) 曲紹介 曲名:『世界中に響く耳鳴りの導火線に火をつけて』(せかいじゅうになりひびくみみなりのどうかせんにひをつけて) 中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES/THE SPELLBOUND)と夢ノ結唱POPYのコラボレーション楽曲。 歌詞 はじけとんで全てが止まる きっとこれが最後の言葉 とけてぼやける僕らの時間 放射状の迷路描いていく 今日はどんなふうに踊ってる そこらじゅうに転がる祈り 帽子飛んだビーチファンタジー 越えるフェンス見える全部合図 現れては消えていく 窓の外を流れていく 灰になって舞ってきらめいて 宇宙になったフィルムシンフォニー 現れては消えていく 窓の外を流れていく 灰になって舞ってきらめいて 宇宙になったフィルムシンフォニー 風が吹き抜けていく 僕らは過ぎ去ってく いっぱいになって溢れてる ぐるぐるめくるめく色彩 星くずを散りばめ 溶けて混ざりながら どこまでも昇っていく 裸の僕らの未来が 溶けてったチョコレートアイス 頬張る君の横顔や スケートリンク マグカップ キス 吐息 頬染めた観覧車 目を閉じるたび 世界は遠ざかっていく 光のほうへ 醒めない夢 止まらない列車 僕たちとめどなく もつれて ふくらんで ひきさかれて ほうりだされて またくっついて 終わりのない ハッピーバースデイトゥーユー 永遠のカウントダウンが 一瞬の泡沫 息をしているだけ どこへもいかないさ 息をしているだけ どこへもいかないさ ひとつになっていく ひとつになっていく はじけとんで全てが止まる きっとこれが最後の言葉 僕らのいまを繋ぎ止めて 痛みが光に変わる前に めぐりまわる記憶のかけら そこらじゅうに転がる祈り 越えるフェンス見える全部合図 ハローグッバイ 来たる新世界 現れては消えていく 窓の外を流れていく 灰になって舞ってきらめいて 宇宙になったフィルムシンフォニー 現れては消えていく 窓の外を流れていく 灰になって舞ってきらめいて 宇宙になったフィルムシンフォニー 溶けてったチョコレートアイス 頬張る君の横顔や スケートリンク マグカップ キス 吐息 頬染めた観覧車 目を閉じるたび 世界は遠ざかっていく 光のほうへ 醒めない夢 僕たちとめどなく 言葉にならなくたって 最後の歌を僕は歌うよ 世界中に響く 耳鳴りの導火線に 火をつけて 舞い上がるエンドロール 繰り返すフラッシュバック 光のほうへ 終わらない夜 終わらない映画 僕たちとめどなく もつれて ふくらんで ひきさかれて ほうりだされて またくっついて 終わりのない ハッピーバースデイトゥーユー ひとつになっていく ひとつになっていく ひとつになっていく ひとつになっていく コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/45881.html
《R・E・O・WAGON(レオワゴン)/♪導火線(どうかせん) 一度(いちど)火(ひ)が着(つ)きゃ ダイナマイ》 R・E・O・WAGON C 火文明 (3) クリーチャー:マジック・ビートジョッキー 4000+ ■チェイン・バースト(自分がツインパクトカードではない呪文を唱えた時、このカードの呪文側を、バトルゾーンに置いたままコストを支払わずに唱えてもよい) ♪導火線 一度火が着きゃ ダイナマイ C 火文明 (2) 呪文:マジック・ソング ■このターン、自分のクリーチャー1体のパワーを+4000し、「パワード・ブレイカー」を与える。(「パワード・ブレイカー」を持つクリーチャーは、そのパワー6000ごとにシールドをさらに1つブレイクする) 作者:wha チェイン・バースト カードリスト:wha カードリスト2:wha 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/seiyu-coversong/pages/2294.html
原曲・今野友加里 作詞・里乃塚玲央、作曲・家原正嗣、編曲・山中紀昌 TVアニメ「ふしぎ遊戯」ED曲。 【登録タグ 1995年の楽曲 J-POP ふしぎ遊戯 アニソン 今野友加里】 カバーした声優 今井麻美 桑谷夏子 後藤沙緒里 清水香里 代永翼
https://w.atwiki.jp/kyogokurowa/pages/297.html
(いてぇ) 火傷と打撲を中心としたダメージに苛まれる身体を引きずりながらカナメは歩みを進める。 彼の進む先は、ヴライが向かったと思われる方角。 シュカ、Stork、霊夢、フレンダ。 ここに至るまでカナメは関わった者たちの多くを奪われた。 そして、ほんの少し顔を合わせただけではあるが、佐々木志乃や武蔵坊弁慶も放送で呼ばれている。 ジオルドも呼ばれたことから、もしかして奴が暴れて共倒れになったのか、なんて考えも過ってしまう。 そんな中でいまの自分にできることはもう一つしかない。 ヴライやウィキッドのような連中を一掃することに全力を尽くす。 少しでも早く危険を排除しなければ。 ジオルドのような不穏分子を見逃したから犠牲が増えたなら、自分の身などどうなってもいいから早く奴らを消さなければ。 そんな自暴自棄にも近い強迫観念が彼の身体を突き動かす。 今の彼は誰がどう見ても冷静ではなかった。 まともな応急処置さえ疎かにして、休むことを罪だと捉えて。 (止まれない...俺...は...) だが罪悪感や無力感のような後ろ向きな気持ちでいつまでも支えられる身体があるものか。 己の意思に反し、カナメの意識はプツリと途切れ、傷だらけの身体を地に投げ出す。 限界だ。 もともと、ダーウィンズゲーム参加者とはいえ鍛え上げられた戦士というほどでもない。 耐久力に優れている訳ではない上に、度重なる喪失とストレスで精神も疲労しきっている。 身体が傷と疲労を癒す為に、精神を深く押しとどめたのだ。 倒れ伏すカナメには何もできない。 この場で見つけた者に力を込めて首を踏みしめられればそれだけで死に至る。 「ク、クオンさんっ、あれ...!」 「ッ...早苗、手当するのを手伝ってほしいかな!」 だから彼は幸運だった。 丸一時間は眠っていたというのに、最初に彼を見つけたのが殺し合いに乗っていない二人だったのだから。 『オシュトルを潰す』 それが、早苗から話を聞いたクオンの答えだった。 早苗やマロロの話を照らし合わせ浮かんできたオシュトルという漢の人物像。 自分の知る、ハクの友であり、ヤマトを守護してきた誇り高き武人の影はもうどこにもない。 己の利権を貪る為に周囲を利用し、反する者や利用価値の無くなった者は平然と切り捨てる。 友も。忠誠を誓った少女も。志を共にする同志たちも。全てが奴の成り上がる計略の駒でしかない。 かような鬼畜卑劣漢に、大切な仲間たちを、この狂宴に抗う者たちを率いらせてはならない。 確実に皆は破滅しオシュトル一人が潤う為に泥舟を掴まされることになる。 そのようなこと許せるはずもない。 クオンの決断に、早苗は渋々ながらも同意する。 早苗が『蟲』に増幅された感情はオシュトルへの恐怖であったが、しかし蟲の存在意義はオシュトルという存在を排除すること。 マロロの復讐心とは別の形とはいえ、オシュトルを排除できるのなら拒否することもない。 そんな二人が目下目指したのは、先行して向かったブチャラティ達との合流だ。 まずは彼らに追いつき、オシュトルとの合流を防がなければならない。 隼人達やブチャラティ達からはだいぶ遅れての出発となったが、二人はいそいそと準備を整え出立する。 ほどなくして、二人はボロボロになり倒れている青年・カナメを発見した。 「カナメさん、起きてくださいカナメさん!」 負っている火傷を冷やしながら早苗はカナメに呼びかける。 もうイヤだった。 この殺し合いで知り合って数時間とはいえ、知った仲になった者を失うのが。 咲夜を残して元の世界からの知り合いが全滅したいま、早苗は殊更に知己の死に怯えていた。 「大丈夫...安静にしていれば、命に別状はないかな」 そんな早苗を宥めるように、クオンはカナメの介抱に尽力する。 もとよりクオンは世話焼きの気質のある少女だ。 仲間の死を嘆き悲しむ早苗の姿を見ていれば、彼女をこれ以上悲しませたくないと思わずにはいられなかった。 持ちうる薬草や包帯、水などを使いカナメを治療していくクオンと早苗。 そんな彼らのもとへ新たな来訪者が訪れる。 「ひっ!?あ、あの、大丈夫ですかその人?」 殊更に怯えた声を挙げるのは、制服を着た黒の長髪の少女だった。 ☆ ———爆弾持って立ってた 淡々と黙ってた 流れ始める楽士の曲には何の興味もない。 最初は自分で、二回目はソーン、ときたならば他の連中の曲も流れるだろうと、ただそう思っただけだ。 死者についてもどうでもいい。 知っている名は神崎・H・アリアとジオルド・スティアート。 前者はこの手で嬲り殺し、後者は一時的に協力しただけ。 そんな奴らに思いふけることなどあるはずもない。 BGMの曲を無視して、ウィキッドはこれからの方針について考える。 へんげの杖を手に入れた時は上機嫌になったが、放送を挟んだことで些か冷静さを取り戻せばそうもいられなくなった。 確かにこの杖は集団をかき乱す上では有効な手段だ。 だがその効果の有効性は時間が進むにつれて反比例していく。 この殺し合いが始まって既に18時間が経過している。 よほど運が悪くなければそれなりに参加者同士の交流が交わされているだろう。 彼女が主に貶めたいのは、カナメや無惨のように直接害された連中や、麗奈やヴァイオレットのように反吐の出そうな綺麗ごとを抜かす連中、それに折原臨也だ。 単にこの面々に化けて集団を襲撃したところで不信感を植え付けることはできるだろうか? カナメとは交戦してから6時間以上経過しており、この6時間でどのような行動をしているかもわからない以上、確実とは言えない。彼が接触していた参加者に襲撃をかけたところで、カナメを騙る偽物に襲われたとなるのが関の山だろう。それでは意味がない。 ヴァイオレットや臨也はどうだ?彼らも彼らで、放送で呼ばれていない以上、纏まって行動している可能性が高い。しかも、それに加えてオシュトルもいれば三人だ。あの三人が互いに行動していたことを示せば、やはり彼らに化けての襲撃も効果が薄いだろう。 嘘を織り交ぜ扇動しようにも、自分一人と複数相手では明らかに分が悪い。 それに鬼の体質による飢餓のこともある。 今はまだ耐えられているが、ピークに達した時に衝動に負ければ一気に台無しだ。 普段の学校生活やメビウスとは違い、時間は限られている上に状況は忙しなく動いている。 ただ殺すのではなく、己が愉しめるように振舞うにはただ暴れるだけでは駄目だ。 状況と情報を整理し、その中で勝機を手繰り寄せなければ。 (そうだ。ただ不信感を植え付けるのが難しいなら...) ウィキッドは使う姿を決め、へんげの杖を振るう。 選ばれたのは、黒い長髪と白と水色の制服が特徴な少女、高坂麗奈。 麗奈が遺跡から遠ざかったことは知っている。 あの場にいて麗奈の事情を知っていたのはヴァイオレットのみ。 あの場から二人で逃げるという可能性はあるにはあるが、あの甘ちゃんヴァイオレットがオシュトルや新羅やらを放って遺跡から離れるとは思えない。ならば彼女たちは二手に別れているだろう。 ではなぜあのタイミングで遠ざかったか———恐らく、食人衝動に負けてヴァイオレットを襲ったのだろうと考える。 元々が、麗奈が食人衝動に負けて此方を襲ったことが全ての始まりだった。 腐るほどの虐待経験から多少は耐性がある自分ですら飢餓に苦しんでいるのだから、あの血臭漂う現場で麗奈が我慢できるとは思えない。ヴァイオレットが呼ばれていないことから、恐らく返り討ちなり食ってる最中に我を取り戻すなりして逃げ出したのだろう。 故に、ウィキッドは麗奈は単独行動し、更に錯乱状態にあると推察したうえで彼女に変化した。 この会場に来てからの交友関係が少なく、単独行動しているとなれば此方としても小細工を弄しやすい。 そのうえで彼女は逆に考えた。 『嘘を吐くのが難しいのなら、嘘を吐かなければいい』と。 ☆ 『高坂麗奈』としての接触は功を制した ヴァイオレットや久美子伝いとはいえ、早苗がその存在を知り心配していたのが大きかった。 諍いもなく懐に入り込めたウィキッドは『高坂麗奈』として嘘偽りなく語る。 最初にヴァイオレット・エヴァーガーデン、月彦と名乗る男、ブチャラティの三人と会ったこと。 そこから分かれて、月彦と行動している際に突然『鬼』にされたこと。 彼に率いられるままに遺跡に向かえば、道中で折原臨也と水口茉莉絵、遺跡ではオシュトルと神崎・H・アリアに遭遇したこと。 そして自分は諸々の理由で直接会っていないが、岸谷新羅という男が暴れ出した為にアリア・オシュトル・臨也の三人が一時的に離脱、残された三人で待機していたところ、食人衝動に負け茉莉絵を襲ってしまい、交戦に至ったこと。 ここまではほぼ嘘偽りなく早苗とクオンに伝えた。 ここから先、ウィキッドはほんの少しだけ脚色を加える。 事実はそのままに、しかし聞く者の印象を変えるように。 「途中で月彦さんに茉莉絵さんも鬼にされちゃったみたいで...その、色々あって月彦さんもどこかにいっちゃって、残る私と彼女はボロボロになりながら戦っていたんです。必死だったんです。ただ、我武者羅に、死にたくないからって... そんな時にアリアさんとヴァイオレットさんが来てくれて...これで止まれると思った矢先です。あ、アリアさんが...ッ!」 口元を抑え『麗奈』がガクリと膝を折りぺたりと座り込む。 そんな彼女に慌てて駆け寄る二人から見えぬよう笑みを隠して、涙声で訴えかける。 「ま、茉莉絵さんに飛び掛かったんです。拳銃を握りしめて、殺す気で組み付いて...それだけじゃない、ヴァイオレットさんだって、わ、私の首を締めようとして...だから私はどうにかここまで逃げ出して...!」 「そんな...!お、鬼にされたからって...!」 「でも!あの人たちだってきっと本意じゃなかったんです!あの人たち、怯えてた...誰かに脅されるように...!」 笑みをどうにか隠し、怯えあがる少女の仮面を被り、半狂乱したかのようにガリガリと己の頭を掻きむしる。 いまウィキッドが演じているのは『悲劇に晒されつつも善性を失わない錯乱している少女』だ。 ただ悪評を吹き込むよりも、こういう役を作った方が信ぴょう性が高まり、多少の齟齬も誤魔化せるのはメビウスに来る前からの経験則からだ。 狙うは丸ごと全員ではなく本命から順に。 だから気に喰わない奴にもそれなりのフォローは入れてやるし、仕込みが実を結ぶまではこのまま気に喰わない奴の面の皮を被るのも厭わない。 本命が終わればそちらにも同じく破滅を叩き込んでやる。クオンと早苗の二人の内、一人を生かして徹底的に詰ることで麗奈への憎悪を滾らせてやるとしようか。 そしてウィキッドは本命へと誘導する為に言葉を紡ぐ。 「きっとあの人が命令したんです。おr「オシュトル...!」 折原臨也。そう名指ししようとした言葉は、クオンの憎悪に塗れる言葉にかき消された。 「へ?」 「や、やっぱりあの人が...!」 「この機に及んでこんな蛮行をやらせるなんて...やっぱりあいつだけはこれ以上のさばらせておけないかな...!」 思わず困惑する『麗奈』に構わず、二人の憤怒の念が諸々に増幅していくのが見て取れる。 予想外の食いつきだ。 まずはあのヘラヘラ笑いを浮かべる臨也から貶めてやろうとしていたところ、同行者の中で印象の薄かった男に憎悪が向かうとは。 (真面目そうな顔して結構悪どいことでもしてんのかねえ。そういうのは嫌いじゃないけど...) ハッキリ言って、ウィキッドからしてみれば現状、オシュトルなどどうでもいい。 それほどまでに彼との間柄は希薄そのものだ。 だが、あの苛立つ臨也を潰し、そこから派生してヴァイオレットたちにも害を被らせることができるなら、ノらない手はない。 「そ、その、あなたたちは私を殺さないんですか?オシュトルさんや折原さんみたいに」 「そんなに心配しなくていいかな。貴女が鬼にされてるかもって予想はもうしていたし、それを解決する方法も知ってるもの」 「えっ、本当ですか?」 ウィキッドは思わずキョトンとした表情を浮かべてしまう。 こちらとしてはあくまでもまだ仕込みの段階だったのが、とんとん拍子に話が進んだうえに鬼の体質に関する話まで転がってきたのだから無理もない。 「あまりいい気分はしないかもしれないけど...この地図の病院にね、参加者の身体の予備があるの。それを食べていれば、鬼としての飢餓は防げるんじゃないかな」 「身体の予備?...よくわかりませんが、それを食べればいいんですね?」 「うん。もしも病院で隼人や九朗って漢たちに会ったらクオンと早苗に教えてもらったって言えば話が通ると思うかな」 ウィキッドは思わず破顔しそうになる口元を抑え込み、頭を下げることで誤魔化した。 ツいている。 この空腹感は最大の敵だった。 麗奈のように飢餓に負けてせっかくのパーティの仕込みを自ら台無しにしてしまうのはご免こうむりたかった。 それを解消できる手段があるとは、まさに棚から牡丹餅とはこのことだろう。 それから彼女たちは互いに関わった参加者たちのことを簡潔に共有する。 ウィキッドは、改めて遺跡の面々のことを。特に臨也と無惨、ついでにオシュトルに悪印象を抱かせるように吹き込んで。 クオンと早苗は、ここにはいない隼人、九朗、ブチャラティ、梔子、ライフィセット、久美子、静雄、レイン、竜馬、リュージ、琴子、あかり、ムネチカとここで眠っているカナメは安全とし、ヴライは危険人物、咲夜はわからないといった具合に。 「それじゃあ私は病院に行ってきます。...どうか、ヴァイオレットさんをお願いします」 「はい...わ、私たちが必ず...!」 ぺこりと礼儀正しく頭を下げるウィキッドに答える形で、早苗は身体を震わせながらも力強く返事をする。 挨拶もほどほどにウィキッドは病院へと駆け出す。 空腹に苛まれているのは鬼の性質のせいではあるが、疲れもほとんど残らず瞬く間に傷を治して迅速に行動できるという点だけは評価できる。 まずは病院でサクッと食料もとい人肉を補給したら、急いで遺跡に向かう。 そこで諍いが続いていたらそこからが本番だ。 ウィキッドは敢えてヴァイオレットには悪印象を与えない言い回しをした。 ヴァイオレット本人がクオン達に話した内容を知れば、『麗奈は少し錯乱しているだけだ』と判断するだろう。 そんな時に落ち着いた様子で『麗奈』が帰ってくればどうだ。 ヴァイオレットは喜んで受け入れるだろう。おかえりなさいませとでもいって恭しく迎え入れるだろう。 そこを鬼の力で腹をぶち抜いたらどんな表情を浮かべるだろうか。 裏切られた絶望か、綺麗ごとを抜かして護ろうとしたことへの後悔か。 本物の麗奈が戻ってきたらその時はその時だ。 ヴァイオレットの前でどちらが本物かを当てさせて、外した瞬間に地獄逝き———なんてゲームも面白そうだ。 ヴァイオレットに限った話じゃない。 ここから高坂麗奈の姿で暴れまわれば、罪を被るのは全部高坂麗奈だ。 『高坂麗奈は鬼にされた』という認識が広まりつつある以上、これは有効な手だろう。 自分は違う、そんなことしていないと訴えかけようが、実際に鬼の力がある以上は滑稽な姿にしか見えない。 なんにせよ楽しみで愉しみで仕方ない。 どいつもこいつも踊り狂え。 このイカれた世界の寿命が尽きるまで。 (最期まで嗤い続けるのは———あたしだ) 【D-5/夜/一日目】 【ウィキッド@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】 [状態]:高坂麗奈の姿(へんげのつえで変身済み)、鬼化、食人衝動(小)、疲労(極大)、カナメへの怒り(中)、無惨と麗奈への殺意(極大)、臨也への苛立ち [服装]: [装備]: [道具]:基本支給品一色、不明支給品0~2 、アリアの支給品(不明支給品0~2)、キースの首輪(分解済み)、キースの支給品(不明支給品0~1)、カタリナの布団@乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…、北宇治高等学校職員室の鍵、へんげのつえ@ドラゴンクエスト ビルダーズ2 [思考] 基本:自らの欲望にしたがい、この殺し合いを楽しむ 0:まずは病院に向かって人肉を補給。そのあと遺跡に戻る。 1:無惨と麗奈を探しだして、殺す 2:壊しがいのある参加者を探す。特に『愛』やら『仲間』といった絆を信じる連中。 3:参加者と出会った場合の立ち回りは臨機応変に。 最終的には蹂躙して殺す。 4:舐めた真似してくれたカナメ君には、相応の報いを与えたうえで殺してやる 5:暫くは利用していくつもりだが、臨也はやはり不快。最終的にはあのスカした表情を絶望に染め上げた上で殺す。 6:私を鬼にしただぁ? 元に戻せよ、クソワカメ。 7:アリアの後輩達(あかり、志乃)に出会うことがあれば、アリアの最期を語り聞かせてやる [備考] ※ 王の空間転移能力と空間切断能力に有効範囲があることを理解しました。 ※ 森林地帯に紗季の支給品のデイパックと首輪が転がっております。 ※ 王とウィキッドの戦闘により、大量の爆発音が響きました。 ※ 無惨との情報交換で、第一回放送時の死亡者内容を把握しました。 ※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。 ※ 首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。 ※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読んでおり、覚醒者『006』は麗奈、『007』は無惨が該当すると認識しております。 ※ 麗奈との距離が離れたため、太陽に対する耐性を失いました(認識済み) ☆ クオンと早苗。 カナメの介抱を続けながら、二人の間に黒い感情が渦巻き始める。 オシュトル。やはりあの漢は許せない。 茉莉絵と麗奈、二人が鬼に成ったのを口実に首輪を狙い、あまつさえそれを他者に押し付け責から逃れようとは。 許せない。 あの卑怯卑劣な極悪人を許してなるものか。 互いの目が黒く淀み濁っていくことに気づけない。 ただただ、憎悪に身をやつし、共に口にする。 ———オシュトル、滅すべし 【D-5/夜/一日目】 【カナメ@ダーウィンズゲーム】 [状態]:疲労(大)、王とウィキッドへの怒り、全身打撲(小)、肋骨粉砕骨折(処置済み)、全身火傷(治療済み)、シュカの喪失による悔しさ、虚無感、ダメージ(小) 、胸部に刺傷(回復済み)、霊夢とフレンダの死による失意と罪悪感、精神的疲労(絶大)気絶 [服装]:いつもの服装 [装備]:白楼剣@東方Project [道具]:白楼剣(複製)、機関銃(複製)、拳銃(複製)、基本支給品一式、不明支給品2つ、救急箱(現地調達)、魔理沙の首輪、Storkの首輪、Storkの支給品(×0~2) [思考] 基本:主催は必ず倒す 0:俺は―――。 1:回収した首輪については技術者に解析させたい。 2:【サンセットレーベンズ】のメンバー(レイン、リュージ)を探す。今は初期位置しか分からないリュージよりも近くにいるレイン優先。 3:王の奴は死んだのか……そうか…… 4:ウィキッドのような殺し合いに乗った人間には容赦はしない。 5:無力化されたようだが一応ジオルドを警戒 6:折原を見つけたら護る。 7:絶対にウィキッドを殺す。 8:爆弾に峰があってたまるか! 9:ヴライを警戒。 [備考] ※シノヅカ死亡を知った直後からの参戦です ※早苗、ブチャラティ(ドッピオ)、霊夢、竜馬と情報交換してます。 ※ブチャラティ(真)と梔子達と情報交換をしました。二人のブチャラティ問題に関しては保留にしています。 【クオン@うたわれるもの 二人の白皇】 [状態]:全身にダメージ(絶大)、疲労(大)、出血(絶大)、精神的疲労(絶大)、オシュトルへの怒り及び不信(極大)、ウィツアルネミテアの力の消失 [役職]:ビルダー [服装]:皇女服 [装備]: [道具]:基本支給品一色、薬用の葉っぱ@オリジナル、不明支給品0~2、マロロの支給品3つ [思考] 基本:殺し合いに乗るつもりはない。皆と共に脱出を。 0:まずはカナメを介抱する。その後、遺跡に向かいオシュトルを殺す 1:早苗と共に、次の移動先に向かう。 2:ムーンブルク城を発つ際、静雄達への置き手紙を残す。 3:オシュトルは絶対に許せない。 4:ヴライが近くに…… 5:ムネチカを捕えた連中(ベルベット達)からムネチカを取り戻したい 6:アンジュとミカヅチとマロロを失ったことによる喪失感 7:着替えが欲しいかな……。 8:優勝……ハクを蘇らせることも出来るのかな……ううん、馬鹿なこと考えちゃ駄目! 9:マロロ... [備考] ※ 参戦時期は皇女としてエンナカムイに乗りこみ、ヤマトに対しての宣戦布告後オシュトルに対して激昂した直後からとなります。オシュトルの正体には気付いておりません。 ※マロロと情報交換をして、『いまのオシュトルはハクを守れなかったのではなく保身の為に見捨てた』という結論を出しました。 ※ウィツアルネミテアの力が破壊神に破壊された為に消失しています。今後、休息次第で戻るかは後続の書き手にお任せします。 ※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。 ※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。 ※早苗から、オシュトルに対する悪評を聞きました。 【東風谷早苗@東方Project】 [状態]:全身にダメージ(大)、疲労(大)、精神的疲労(絶大)、臓器損傷、悲しみ(極大)、脳内にウォシスの蟲が寄生、記憶改竄(小)、オシュトルへの不信(大) [役職]:ビルダー [服装]:いつもの服装 [装備]:早苗のお祓い棒@東方Project [道具]:基本支給品一色、不明支給品0~1、早苗の手紙 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。この『異変』を止める 0:まずはカナメを介抱する。その後、遺跡に向かいオシュトルを殺す 1:ブチャラティ(ドッピオ)さん、信じていいんですよね……? 2:幻想郷の知り合いをはじめ、殺し合い脱出のための仲間を探す 3:ゲッターロボ、非常に堪能いたしました。 4:オシュトル対する不信。オシュトルさんは好きではないです……。 5:シミュレータにちょっぴり心残り。でも死ぬリスクを背負ってまでは... 6:魔理沙さん、霊夢さん……。 [備考] ※ 参戦時期は少なくとも東方風神録以降となります。 ※ヴァイオレットに諏訪子と神奈子宛の手紙を代筆してもらいました。 ※オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。 ※霊夢、カナメ、竜馬と情報交換してます。 ※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。 ※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。 ※ウォシスの蟲に寄生されております。その影響で、オシュトルにまつわる記憶が改竄され、オシュトルに対する心情はかなり悪くなっています。今後も、記憶の改竄が行われる可能性は起こりえます。 その他の寄生による影響については、後続書き手様にお任せいたします。 前話 次話 Dread Answer 投下順 その座標に黒を打て(前編) 前話 キャラクター 次話 閉じ込められた方舟の中で クオン 戦々凶々(前編) 閉じ込められた方舟の中で 東風谷早苗 戦々凶々(前編) 眠れる森の魔女 ウィキッド 戦々凶々(前編) 夕暮れのかなたから カナメ 戦々凶々(前編)
https://w.atwiki.jp/alonsodeleyva/pages/50.html
アルマダ海戦でスペインは斬り込み、イングランドは砲撃斬り込みを工夫したスペイン 大砲を工夫したイングランド ついでに武器 大砲ぶつけるタマは「shot」、爆発するタマは「shell」 砲列甲板 大砲の発射 大砲の火薬 射程距離 手投げ弾煙幕弾 マスケット銃マスケット銃の発射 マスケット銃の火薬 火縄、誘火線(Slow match)火起こし 火口箱 軍制改革だー!スペインのテルシオ vs マスケット銃テルシオ(スペイン方陣) 三段撃ち 防具ヘルメット 胸当て 軍服 アルマダ海戦でスペインは斬り込み、イングランドは砲撃 ジェフリーやビセンテがやってる 斬り込み は16世紀ヨーロッパの一般的な海戦術です。大砲で一斉射撃したら敵船に接舷。 戦闘員が敵船に乗り込んで白兵戦。 アルマダ海戦でイングランドは脇役の大砲を主役に軍制改革。大砲を撃ちまくってスペインの斬り込みを阻止します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦.PNG) 左側:1795年 イギリス東インド会社 Triton号に斬り込んだ コルセール (フランスの 私掠船 )。船長は Robert Surcouf 。 斬り込みを工夫したスペイン 1537年スペイン王 カルロス1世 (王フェリペ2世の父親)は海軍歩兵Infantería de Armada(世界最古の 海兵隊 )を設立します。 海戦を重視した王フェリペ2世は 海兵隊テルシオ Tercio de Galerasにバージョンアップ。 砲撃や斬り込みなどの海戦と 上陸戦 の専門部隊です。3,000人の海兵隊テルシオが ガレー船 や ガレオン船 に常駐。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_スペイン.JPG)スポントゥーンの練習(USS コンスティチューション号 ) 斬り込みの武器は 手榴弾 、 マスケット銃 、 ピストル 、レイピア(17世紀から短い カットラス )、…その他アレコレの刃物です。 とっても使えるのは斬り込み斧(boarding axe)。 逆に斬り込まれそうならパイク(17世紀から短い スポントゥーン )で相手をプスプスします。ヤードから手榴弾を投げてもオケ。 大砲を工夫したイングランド アンガス・コンスタム著「図説スペイン無敵艦隊」によると、イングランドはスペインの2~3倍多く発射できたそうです。 海戦は大砲を撃ちまくった方が有利だぜ! こちらは1588年アルマダ海戦で使用した大砲です。なんでイングランドの大砲がオマーンにあるんでしょね? #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_イングランド.JPG) 左:帰還中に Glenagivney Bay (アイルランド)で沈没したLa Trinidad Valencera号のブロンズ製大砲( Ulster Museum )。 右:最高司令官 エフィンガム男爵チャールズ・ハワード が乗船した Ark Royal号 の大砲(オマーン:Barka Castle)。 +スペインは大砲ドーン!イングランドは大砲ドーンドーンドーン! スペインの大砲は16世紀のヨーロッパで一般的な2輪の砲台です。大きいし、船の中だと扱いにくいし、とーっても大変。 担当したのは斬り込みがお仕事の兵士(海兵隊テルシオ?)。 タマの装塡が終わると「よーし!敵に乗り込むぜー!」と砲列甲板から離れちゃいます。砲手長が1人ぼっちで大砲ドーン。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_イングランド(大砲).PNG)スペインの砲台は2輪、イングランドの砲台は4輪 イングランドは4輪の砲台を開発します。大きくないし、船の中でも扱いやすいし、とっても楽チン。 担当したのは砲撃がお仕事の兵士(砲撃手)。 砲撃手は「コイツの癖は知り尽くしてるぜー!」だからタマの装塡も早いです。横列甲板でずっと大砲ドーンドーンドーン。 イングランドは大砲ドーンドーンドーン! 大砲はドーンと撃つとガー!と後退します。砲台が4輪だと後ろにガー!の力が分散するから車輪が小さくてもオケ。 車輪が小さいと大砲を砲門の側まで出せて照準が楽チン。 あとロープを引っ張れば大砲を砲門へ出せる 滑車装置 も開発。楽チンだから撃ちまくるぜー! #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_イングランド(大砲_滑車装置).JPG)こんな感じ? アルマダ海戦でイングランドはタマ不足になるまで撃ちまくります。でもスペイン船を破壊する威力はなかった。あちゃー! 実は扱いが大変な2輪のスペインもあちゃー! 沈没したスペイン船を調べると、扱いが大変な2輪の大型大砲より楽チンな小型( 旋回砲 とか)が多く使われたそうです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_イングランド(大砲_砲撃戦).JPG)イングランドの大砲 左:1587年製造の刻印。 右:テューダー朝の花紋 テューダー・ローズ の刻印かしら? その後、アルマダ海戦に負けちゃったスペインも4輪の砲台や滑車装置を採用します。 アルマダ海戦は海戦のターニングポイント。 だんだんヨーロッパの海戦はお互いに大砲ドーンドーンドーン!の砲撃戦が主流になっていきます。大砲もどんどん進化。 ついでに武器 こちらは ティルベリー (イングランド)でパルマ公 アレッサンドロ・ファルネーゼ の侵攻からロンドンを守る民兵の武器と防具です。 陸軍総司令官 レスター伯ロバート・ダドリー の兵士。 詳細はイギリスの新聞The Telegraphさんの記事「 Inventories of war soldiers kit from 1066 to 2014 」をどうぞ。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_武器と防具.JPG) 1 ウール製 ダブレット 、革製 ジャーキン 2 ベネチアン ホーズ 3 ラフ 、 ペティコート (裾ヒモでホーズを結ぶ) 4 リネン製シャツ 5 カバセット 、羽付きフェルト製Copintank帽子 6 Piece of horn(耳栓?靴べら?) 7 手袋、靴 8 左から:陶器製ポット、 タンカード 、Costrel水筒 9 左から:ボウルとスプーン、ナイフ、千枚通し、楊枝 10 羊毛製バッグ、カード、サイコロ、ポーチ 11 鞘、 ダガー 、 レイピア 12 ポーチ付き鞘ベルト、ピッカーとブラシ(銃の掃除道具) 13 左から:マスケット銃の点火用 火薬筒 、発射用火薬筒 14 上から:鏡、金製 日時計 、ポーチ 15 左から:綱麻、 火口箱 、 火打ち石 、 金属板 16 上から: 発射用火縄 、 マスケット銃 、 さく杖 、Wormer、 火縄 17 鉛製タマ、ポーチ 18 金貨 、 お財布 黒色のダブレットは裕福な兵士のお洋服です。Copintank帽子の羽はアフリカから輸入したダチョウの羽。 フォークがないのはF&B時代マイナーだから。 トランプやチェスは兵士にけっこう人気の持ち物。鏡のストラップに付いてるタマは甘い香りのハーブが入ったクルミです。 +マントもお忘れなく 16世紀末ジェフリーやビセンテのお洋服3大アイテムはダブレット、ホーズ、マント( クローク )のアンサンブルです。 マントは寒さや雨風を防ぐ必須アイテム。 ファッションにも萌えにも欠かせない重要アイテム。18世紀後半になると オーバーコート が軍隊で使われます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_武器と防具(マント).JPG)ひらひらサイコー♥ 右側はコチニールで染めた赤色のサテン製マント(1580-1600年:フランス)です。赤色のマントはとーっても高価。 タッセル や刺繍は銀、銀糸、絹糸。 マントの刺繍は1590年代に流行。雷文模様(fretwork)の刺繍は1530年代フランスで始まってヨーロッパ中に広まります。 ジェフリーの着こなし 16世紀の絵画を眺めてみるとマントを肩に掛ける自画像が少々あります。 こちらは女王エリザベス1世に「カエル」と呼ばれたアンジュー公 フランソワ (1555–1584年:フランス王アンリ3世の弟)。 おしゃれなカエルさんだったんですね。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_武器と防具(マント_ジェフリー1).JPG) フランソワ・クルーエ 画「François, duc d Alençon」(フランス) こちらはマントの胸元リボンを脇の下で結んでる着こなし。胸元リボンを肩の上で結ぶのもアリ。 ジェフリーは襟下に通したベルト? 映画「 エリザベス:ゴールデン・エイジ 」(2007年)でも ウォルター・ローリー がマントをアレコレ着こなしてます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_武器と防具(マント_ジェフリー2).JPG) コチニール コチニールは アステカ や マヤ (メキシコ)で愛用された染料です。原材料は検索ご注意な コチニールカイガラムシ 。 16世紀初めスペインが アメリカ大陸を植民地化 。 銀と一緒にメキシコからガッポガッポ輸入してヨーロッパ中で珍重されます。でもお高級品。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_武器と防具(マント_コチニール).JPG)コチニールの赤色 イングランドはコチニールをスペインから輸入してます。 英西戦争 (1585–1604年)の間は貿易をほぼ中止。 ってことで、スペイン在住イングランド人がこっそり貿易。 イングランド私掠船もコチニールを運ぶスペイン インディアス艦隊 から略奪してたらしいです。 +帽子はCopintank?カヴァリエ? Copintank帽子はぜーんぜん分かりませんでした。 右側の Caravaggio 画「The Fortune Teller」(1594年:イタリア)がCopintank帽子に似てるっぽい? でもジェフリーやビセンテの帽子はもっとツバが広い感じがします。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_武器と防具(帽子).JPG) ビセンテの帽子はカヴァリエっぽい? カヴァリエ は17世紀に人気のダチョウの羽で飾り付けされたツバが広い帽子です。 ツバの一方をクラウンにピンで留めるのがおしゃれ。 お名前の由来は イングランド内戦 (1642–1651年)で王チャールズ1世を支持する 騎士党(Cavalier) が被ってたからです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (アルマダ海戦_武器と防具(帽子_カヴァリエ).JPG)詳細不明(1630年頃らしい) 大砲 大砲は先っぽの砲口から 砲弾 (鉄の丸いタマ)を入れて、薬包の火薬を爆発させた勢いでドーンと撃ちます。 タマを敵の船にぶつけて破壊。 お名前は陸上では「キャノン」、船上では「ガン( 艦砲 )」と呼び方が違います。数え方は1門、2門、3門…。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲.PNG)32ポンド砲 32ポンド砲(32-pounders)は重さが32ポンド(≒15kg)のタマを撃つ大砲です。 砲撃手って腰痛になりそう…。 あと砲身を樽(バレル)と呼ぶのは、技術や資材のない人々が木で大砲を作ってたから。樽作りの応用で虚弱ながらも撃てます。 +大砲は動かないようにロープで固定 船は波や風でプカプカ揺れます。ってことで、大砲は動かないようにロープで固定。大砲を撃つときは固定ロープをほどく。 ジェフリーが「ロープを解くのは左舷」と命令したアレ。 固定ロープと後退防止ロープは駐退索(breeching)というっぽいです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(ロープ).JPG)普段はロープで固定( 36-pounder long gun ) ロープは大砲を発射するときも大活躍 大砲をドーンと撃った勢いはものすごくて、一発撃つとその反動で大砲がガーっと後退しちゃいます。 巻き込まれたら怪我するくらいハデ。 ってことで、砲台には華麗に後退するようにガン・テークルと、華麗に後退し過ぎないようにロープが付いてます。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(ロープ:発射).JPG)一発撃つと大砲はへ動く たぶん大砲を床に固定すると発射の反動で床がベリベリ壊れます。だからガン・テークルなのね。 +大砲ってけっこう身近!?夏を彩る花火も大砲でドーン なーんと!花火も 迫撃砲 (はくげきほう)という大砲を使ってドーンっと打ち上げるそうです。大砲が身近でビックリ。 迫撃砲は大昔の 投石機 、 射石砲 の進化形。 持ち運びも使い方も簡単だから戦場でも大活躍。お名前の由来は「敵に迫って砲撃する大砲」です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(花火).JPG) 迫撃砲ってなに? 迫撃砲は射程距離(小難しく言うと 砲口初速 )を抑えた大砲です。 火薬バーン!が小さいから大砲の強度も下げられるし、大砲ドーン!の反動が小さいから ガン・テークル も不要。 ってことで、大砲の構造も簡単です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(花火:迫撃砲).JPG) 大砲は構造や用途によって種類がいっぱい。例えば 高射砲 は飛んでる戦闘機、 対戦車砲 は堅い戦車を撃つ大砲です。 迫撃砲は自動車や人を撃つ大砲。 命中率は低いけどドーンドーンドーンと撃ちまくれば敵をノンビリさせません( 制圧射撃 )。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(花火:制圧射撃).JPG)制圧射撃(ロシア: 自走多連装ロケット砲 BM-21 Grad ) 制圧射撃で敵をノンビリさせないことを「 弾幕を張る 」と言います。敵がアワアワしてる間に攻撃や撤退できちゃうの。 歩兵の基本戦術の1つ。 初めてのご使用は 第二次ボーア戦争 (1899–1902年)のイギリス軍です。 +21世紀の大砲 こちらは21世紀イギリス海軍の主力艦 45型駆逐艦 。防空能力(戦闘機やミサイルによる攻撃の防御)に優れてるそうです。 グローリア号やサンティアゴ号もビックリなスゴイ武器っぽそう。 イギリス海軍のサイトには戦艦と位置、戦艦の大砲と性能が紹介されてます。あらま!ナイショじゃないのね。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(21世紀)-1.PNG)#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(21世紀)-2.PNG) 搭載数 射程距離 解説(えーっと、よく分かってないまま書いてます) ③ 4.5Mk8 Gun 1基 22km 穴から113mm口径弾をドンドンドンと毎分25発撃つ大砲。 ④ Sea Viper 6モジュール Aster15:1.7–30kmAster30:3–120km 穴から Aster15/30ミサイル をドーンと発射。② Operations room の人達が① SAMPSONレーダ で行き先を操作。ミサイルは最大8発(1モジュール)を同時に発射、最大16発を同時に操作できる。フランス、イタリアとお揃い。 ⑤ 30mm Gun 2基 穴から 30mm口径弾 をドンドンドンと毎分100-200発撃つ大砲。 ⑥ Phalanx 2基 3.6km 穴から 20mm口径弾 をバババババと毎分4,500発撃つ ガトリング砲 。銃身は6本。これがものすごーい速さでクルクル回転しながら順番に発射する。アメリカ、海上自衛隊…とお揃い。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(21世紀:ガトリング砲).PNG)ガトリング砲を装備したタチコマ♥ ⑦ S1850M - - 400kmの範囲にいる敵を発見できるレーダ。1,000個の目標を同時に対処できる。監視してるのは②Operations roomの人達。 ⑧ Life rafts - - 救命ボート。普段は船内にしまってあるので見た目がスッキリ。 ⑨ Lynx Mk8 - - Sea Sprayレーダ(対潜水艦?)を装備、 Sea Skua ミサイルを搭載したヘリコプター。フランス、ドイツ…とお揃い。 ミサイルによる攻撃ってなに? 21世紀は遠くまであっという間に飛ぶ 弾道ミサイル があります。とーっても遠くまで飛ぶのは 大陸間弾道ミサイル 。 先っぽに核を載せてもオケ。 2015年 アメリカ国防総省 の レポート (pdf)によると中国は全米に届く核ミサイルをいっぱい持ってるそうです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(21世紀:ミサイルによる攻撃).JPG)弾道ミサイルの射程距離(2013年:中国) 弾道ミサイルは潜水艦にも載せられます。ウチの弾道ミサイルはそんなに飛ばないわ…の国は潜水艦で近所へ行ってドーン。 こちらはイギリス海軍の潜水艦 HMS Vanguard の核ミサイル発射テスト(2012年)。 ボタンをポチで発射したミサイルは 誘導 されて標的をドカーン。自分で標的を探すミサイルもあります(自立誘導)。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(21世紀:ミサイルによる攻撃_発射).JPG) この発射テストはイランとアルゼンチンに向けて軍事力の警告(相手をビビらせる)を含んだテストだそうです。 HMS Vanguardは16発の核ミサイルを装備。 ちなみにミサイルには部品や火薬の劣化で有効期限があります。 ミサイルによる攻撃の防御ってなに? 潜水艦発射弾道ミサイル UGM-133 Trident II はマッハ24で飛びます。弾道ミサイルは遠くからあっという間に飛んで来る。 ってことで、迎撃がとーっても難しいの。 皆さん一生懸命 ミサイル防衛 を考えてます。イギリス海軍の主力艦45型駆逐艦の④Sea Viperも 対ミサイル 。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(21世紀:ミサイルによる攻撃_防衛).JPG)ミサイル防衛 あっという間に飛んで来る弾道ミサイルは、一国で対応するより大勢で協力した方が撃墜の可能性が高くなります。 イギリスやスペインはNATOでご一緒にミサイル防衛。 NATOのミサイル防衛は ALTBMD (Active-Layered Theatre Ballistic Missile Defense)というっぽいです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(21世紀:ミサイルによる攻撃_日本).JPG) 日本のミサイル防衛はBMD(Ballistic Missile Defense)というっぽいです。アメリカとご一緒にミサイル防衛? こちらは護衛艦 きりしま の弾道ミサイル迎撃テスト。 飛んできた弾道ミサイルを迎撃したのは艦船発射型弾道弾迎撃ミサイル SM-3 です。ちゃんと当たりました♥ ぶつけるタマは「shot」、爆発するタマは「shell」 大砲で撃つタマは砲弾です。中に火薬が入って無い砲弾は ショット 、火薬が入ってる砲弾は シェル(榴弾) っぽい。 初めて海戦で使われたシェルは1822年 ペクサン砲 (フランス)。 陸戦は16世紀から一般的に迫撃砲などでご使用。19世紀中頃まで 導火線 (slow burning fuse)で爆発します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(タマ).JPG) 左側: Castel Nuovo (イタリア)のブロンズ製ドアにぶつけたスペイン将軍 ゴンサロ・フェルナンデス・デ・コルドバ が撃ったショット(1503年:Siege of Naples) 右側: Keeler Tavern (アメリカ)の木製柱にぶつけたイギリスが撃ったショット(1777年: リッジフィールドの戦い ) +タマはいっぱい種類がある こちらは昔の皆さんがご使用したタマの一部。ジェフリーやビセンテはたぶんIron shotをご使用してます。 Iron shotはぶつけて相手を破壊。 破壊できるのはタマがすごーい速さで飛ぶからです。気が付いたら「あらま!ぶつかってた!」ってくらい速い。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(タマ:種類).PNG) ① 円弾 石弾 石製タマ(gunstone)は17世紀までに鉄製タマに交代。最初の焼玉式焼夷弾は1579年ポーランド王 ステファン・バートリ 。炉で焼いたアツアツの鉄製タマだから相手は火事になる。 ② Iron shot ③ 焼玉式焼夷弾 ④ ぶどう弾 最初のぶどう弾は フス戦争 (1419–1434年)。帆船時代の海戦で活躍。中の鉄球が散乱して相手は広範囲の人や 索具 が被害を受ける。 ⑤ チェーンショット 最初のチェーンショットは1631年 マクデブルクの戦い 。帆船時代の海戦で活躍。相手の索具を斬って船を動かせなくする。 ⑥ バーショット ⑦ カーカス弾 ? 最初のカーカス弾は1672年フランス王 ルイ14世 。中の可燃物が爆発して相手は広範囲の人が死ぬ。火事になる。 ⑧ キャニスター弾 18~19世紀の戦場で活躍。中の鉄球、鉄くず、釘…が散乱して相手は広範囲の人が死ぬ。 ⑨ 榴散弾 1784年 イギリス陸軍砲兵隊 が開発。中の鉄球、鉛球が散乱して相手は広範囲の人が死ぬ。 ぶどう弾ってなに? ぶどう弾は帆布製の袋に鉄球が入ったブドウみたいな形のタマです。大砲ドーンで袋が破れて鉄球がブハーと飛び出す。 18~19世紀に大人気っぽい。 大量の鉄球が散乱して相手の帆、帆を繋ぐロープ、甲板にいる水夫…手前のアレコレを一気に破壊します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(タマ:ぶどう弾).PNG) 逆にぶどう弾を撃たれそうなら舷側に鉄製ハンモック・ネッティング(hammock netting)を張れば鉄球を止められます。 ついでに斬り込みも阻止。 これは18世紀後半からで斬り込み防止網(anti boarding net)というっぽいです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(タマ:ぶどう弾_キャニスター弾).JPG) 19世紀末 ライフリング (砲膣が螺旋状の溝)の大砲が登場します。溝があるとタマが「敵にバッチリ当たる」の。 溝の大砲でぶどう弾は使用不可。 あらま!ってことで、 スズ や 黄銅 の容器を 装弾筒 (たぶん木製)でカバーしたキャニスター弾に代替わりします。 +どうやってシェルは爆発するの? シェルの中には火薬(起爆剤)が入ってます。火薬を爆発させるのは 信管 。爆発のタイミングを調整する時限信管もあります。 F&B時代に大活躍の 火縄 も信管の1つ。 タマの信管構造は複雑でちんぷんかんぷん。ってことで、こちらはシンプルな西洋式花火(aerial shell)の信管構造です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(タマ:爆発).JPG)日本式花火とは構造が違う 榴散弾の爆発 榴散弾は遠くまで飛ぶタマです。信管から火が出て炸薬が爆発。炸薬の爆発で容器が破れて鉄球がブハーと飛び出す。 信管は相手の近所でブハーとなる時限信管。 皆さんいろいろ考えるんだなぁ。逆に榴散弾を撃たれそうなら 有刺鉄線 、 砂袋 、 ヘルメット で鉄球を止められます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲(タマ:榴散弾).JPG) 砲列甲板 砲列甲板は大砲がズラーっと並んでる場所です。撃つときは窓(砲門:Gun port)から先っぽを外に出して、敵船を狙って、ドーン。 ジェフリーが「まだだ…」って覗いてたアレ。 砲門は海水が入らない高さにあるけど、波が荒れると海水が入り込んじゃうから砲門蓋(lid)が付いてます。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_砲列甲板.JPG) +砲列甲板は大混雑 砲列甲板はとっても狭いです。戦闘中は人がいっぱいで大混雑。いろんな道具も置いてあってますます大混雑。 もわもわしてるのは大砲を撃った煙のせい。 上半身裸族の絵画が多かったです。パンパン中の砲列甲板は暑いのかも。それにしても皆さん良い体してますのぉ♥ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_砲列甲板(大混雑).JPG)Robert Sticker画「砲列甲板」(1812年: 米英戦争 ) +砲門と砲門蓋 砲門の起源はハッキリしてないげど15世紀後半には登場。16世紀になると砲列についてアレコレ研究が進みます。 こちらは一般的な帆船時代の砲門サイズ( 36-pounder long gun の場合)と間隔。 船体に穴を開けてもなるべく軟弱にならないような砲門を考えなくちゃいけません。船尾にも砲門があるんですね。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_砲列甲板(砲門と砲門蓋).JPG) ジョン・パイン 画「Armada 1588」(1739年:イギリス) 砲門は大砲の先っぽを外に出すだけじゃない 大砲を撃つときは砲門から先っぽを外に出して、敵船を狙って、ドーンです。火薬のせいで砲列甲板はすさまじい白煙。 何も見えずの手探り状態。 戦闘中にこれはヤバイ!とってもヤバイです!ってことで白煙の換気にも砲門は重要です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_砲列甲板(砲門と砲門蓋:砲門).JPG)砲門から敵船をチェック中 船内は埃っぽいので砲門は普段の換気のためにも使われます。ただし、下層砲列甲板の皆さんは換気にご注意! 突風で砲門から波が入る危険アリ。 とっても運が悪いと船が沈没しちゃいます。ってことで、砲門蓋はちょびっとだけ開けられるように工夫。 砲門蓋の開け方 砲門蓋を開けるには、繋止鏈(けいしれん)をスルスルしてナントカ(名前不明)にグルグルして止めます。 船の外側の壁に引っかける方法もあり。 繋止鏈は「坂の上の雲」に書いてあったんだけど、マイナーな言葉なんでしょか?これ以上は分かりませんでした。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_砲列甲板(砲門と砲門蓋:砲門蓋).JPG)砲列甲板 ちなみにアレコレ図面(?)を見たら、砲列甲板の床は中央から砲門に向かって下ってる船が多かったです。 下ってると大砲を動かしやすいのかも。 何もかもが力仕事の帆船時代はこーゆー工夫がアッチコッチにあるんだと思います。 大砲の発射 大砲は一発撃つと反動で後退しちゃうから「狙い」の修正は不可能です。だからとにかく撃ちまくる。なるべく近付いて撃ちまくる。 っといっても一発のドーンが大仕事。 ポンポン撃てません。砲弾は陸上では「キャノン・ボール」、船上では「ショット」と呼び方が違います。数え方は1発、1個、1弾。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_発射.GIF)一発のドーン 大砲は砲口(Muzzle)、マスケット銃は銃口(Muzzle)から砲弾を入れます(先込め: マズルローダー )。 19世紀 隔螺式ネジ が登場すると砲弾は後ろから( 元込め )。 元込めは火薬が爆発するトコだからネジで尾栓をキッチリ閉じないとキケンなの。14世紀にも爆発が弱い フランキ砲 とかはあります。 +一発のドーンは大仕事 大砲を一発撃つにはこーんなにたくさんの作業が必要です。だからポンポン撃てないの。 あと長時間の御使用もヤバイ。 撃ちまくってると大砲が熱くなって、砲身が火薬の圧力に耐えきれずに破裂(腔発)しちゃいます。火傷もきけん、きけん。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_発射(一発のドーン).JPG) 掃除 1 Wormer(螺旋コイル付きの木の棒)で筒の中のゴミを取り除く。 雑巾がけ 2 空気の出入り防止に 火門/火口 (Vent:火薬に点火する穴)を指で塞ぐ。 洗桿 (Sponge:湿った羊皮で覆われたスポンジ)で前回発射の燃えカスや残り火を完全に取り除く。※とっても重要な作業だから2回やる。ちゃんと掃除しないと↓で火薬ボーン。 火薬のセット 3 さく杖 (Rammer)で薬包(Fabric Bag:火薬の入った袋)を筒の中に込める。奥までビシッと突っ込む。ついでにギューギューして、火薬の粒の間の空気をちゃんと押し出す。残ってると全力で火薬ボーンしない。※さく杖程度の圧力じゃ火薬ボーンしないから大丈夫。 砲弾のセット 4 Scraperで砲弾を筒の中に込める。急いでるときは火薬と一緒に入れる。※火薬と砲弾の間に ワッズ (Wadding:火薬をギュッっと押し込んでおく紙や布)を入れる方法もある。※船は波や風でプカプカ揺れるから砲弾を込めた後、ゴロゴロ転がらないように麦わらを詰め込む方法もある。 発射準備 5 火門から 火門針 (Priming iron:火門を掃除する針)を刺して薬包に穴を開ける。 6 火薬が詰まった 羽ペン を火門にプスッと刺す。刺した人は「PRIMED」と叫ぶ。※ 角製火薬筒 (Powder Horn:角製の火薬入れ)を使って火門に火薬を入れる方法もある。 発射 7 後ろの人(船長とか)の指示で大砲の照準を合わせる。左右の移動はテコ棒(Hand spikes)、角度の調整はクォイン(Quoin)で動かす。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_発射(一発のドーン:クォイン).JPG)クォイン(HMS ヴィクトリー の カロネード砲 ) 8 後ろの人の「GIVE FIRE」で、 導火桿 (Linstock:火縄の付いた棒)を羽ペンに置いて点火する。みんなは大砲から離れる。砲弾ドーン!大砲後ろにガー!白煙ブワー! 21世紀のドーンは楽チン 21世紀は機械がタマを大砲に込めてくれます( 自動装填装置 )。大砲もタマも大きすぎて人間がやるのはムリ。 狙いはコンピューター。発射はボタンをポチ。 こちらはちょびっと昔の自動装填装置。緑色がタマで黄色が薬包です。あっ、21世紀は火薬がタマの中に入ってます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_発射(一発のドーン:21世紀).GIF) BL 15 inch Mk I naval gun (1915-1959年:イギリス) 火薬庫の火薬が爆発するとヤバイ!ってことで、火薬庫は大砲ドーンの火が入らないように自動開閉のドアが付いてます。 自動開閉は大砲ドーンと連動。 ボーっと立ってる方は身長172cmです。大砲の大きさもご堪能下さい。BLって何の略語でしょね? +流れ作業で効率アップ それぞれの作業は担当が決まってるので、流れ作業でパパッとやって大砲を撃つ時間を短縮してます。 こちらは18世紀初めのアメリカ陸軍。 時代や陸海軍でビミョーに違うんだと思います。F&B時代は分かりませんでした。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_発射(流れ作業).JPG) 大砲の火薬 F&B時代の火薬は黒色火薬。一発撃つとすさまじい白煙を出すので、船内は何も見えずの手探り状態です。敵が見えない。 風上に向かって撃つと白煙がなかなか抜けずに危険倍増。 おまけに成分も体に悪い。煙と音の動画はこちらhttp //www.youtube.com/watch?v=L2WdU3Zkeigをどうぞ。 ←曲が終わると突然バンバンなのでご注意! wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_火薬.JPG)ちっちゃい大砲でも煙はスゴイ +火薬を運ぶのは子供達 黒色火薬は簡単に爆発しちゃいます。大砲の横に置いたらヤバイ!ってことで、火薬庫(船庫のどこか)に厳重保存。 パンパン撃ち合うときは一回ごとに火薬庫から火薬を補充。 補充の担当はちっこくて素早く動ける少年達( パウダー・モンキー )。皮製の火薬筒(Cordite Bucket?)に火薬を入れて運びます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_火薬(パウダー・モンキー).JPG)Daniel Maclise画「 The Death of Nelson 」(1859年頃:イングランド) 火薬はとっても取扱注意 黒色火薬を厳重保存する火薬庫はちょっとの火や静電気や衝撃も危険。入る時はなめ皮やフェルト製のスリッパ履きます。 危険なのは21世紀も一緒。 もし爆発したら 90式戦車 (きゅうまるしきせんしゃ)のバナナ砲身みたいになっちゃいます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_火薬(パウダー・モンキー:取扱注意).JPG) えっと…バナナ砲身は戦車が曲がるとき砲身が土手にぶつかって、砲口に土が詰まったまま砲撃したらしいです。 すごい破壊力。 火薬はとっても取扱注意です。こちらは国土交通省の『危険物船舶運送及び貯蔵規則』の一部。 火薬類を積載してある場所においては、防爆型の懐中電灯以外の照明を用いてはならない。(第47条) 火薬類の荷役をする場所又はこれを積載してある場所及びこれらの付近においては、マッチ、むきだしの鉄製工具その他火花を発しやすい物品を所持し、又は鉄びようの付いているくつ類をはいてはならない。(第47条) ←どんな靴? 火薬類を積載する船倉若しくは区画の出入口又は火薬庫の開閉扉は、施錠その他関係者以外の者が立入ることができないような措置を講じなければならない。(第52条) 火薬庫は吃水線の下 もし火薬が爆発したら一緒に船も壊れちゃうかもしれません。ヤバイ!ってことで、火薬庫は吃水線の下(海の中)。 この船はWater line(送水管?)も設置。 スプリンクラーっぽいヤツ?グローリア号やサンティアゴ号にも付いてるのかしら?送水管の詳細は分かりませんでした。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_火薬(パウダー・モンキー:火薬庫).JPG)吃水線はこんな感じ? +21世紀の火薬 21世紀の火薬は煙の少ない 無煙火薬 です。っていうか、煙がどーのこーのってレベルじゃないっっっ!火がー!火がー! こちらはアメリカ海軍の戦艦 アイオワBB-61 (進水:1942-1990年)。 お魚が心配になる威力です。1989年装薬が静電気の引火で爆発( 戦艦アイオワ砲塔爆発事故 )。47名が亡くなりました。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_火薬(21世紀).JPG)50口径40.6cm砲の発射 搭載数 口径(inches) 砲身長(feet) 重量(pounds) 砲弾重量(pounds) 火薬量(pounds) 射程距離(yards) 50口径40.6cm砲 7門 16(40.64cm) 66′8″(20m32cm)50calibers 267,904(122t) AP Mark 8:2,700(1.23t) 660(300kg) 41,622(38km) 射程距離 射程距離が知りたいだけなのに…こんな表になってしまいました。世の中はこのワケ分かんないデータが重要だそうです。ふぇー。 とりあえず大砲って重い。 砲手の皆さんは大変なんですね。詳細は歴史学者 Albert Manucy 著「Artillery Through the Ages」(1949年:アメリカ)をどうぞ。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離.JPG) ゴールデン・ハインド号 の大砲(レプリカ) イングランド(16世紀) 口径(inches) 砲身長(feet) 重量(pounds) 砲弾重量(pounds) 火薬量(pounds) 射程距離(yards) Rabinet 1(2.54cm) ? 300(136kg) 0.3(0.14kg) 0.18(0.08kg) Serpentine 1.5(3.81cm) ? 400(181kg) 0.5(0.23kg) 0.3(0.14kg) ファルコネット砲 2(5.08cm) 3′9″(1m14cm) 500(227kg) 1(0.45kg) 0.4(0.18kg) Falcon 2.5(6.35cm) 6′0″(1m83cm) 680(308kg) 2(0.91kg) 1.2(0.54kg) ミニオン砲 3.5(8.89cm) 6′6″(1m98cm) 1,050(476kg) 5.2(2.36kg) 3(1.36kg) セーカー砲 3.65(9.27cm) 6′11″(2m11cm) 1,400(635kg) 6(2.72kg) 4(1.81kg) デミ・カルバリン砲 4(10.16cm) ? 3,400(1,542kg) 8(3.63kg) 6(2.72kg) Culverin bastard 4.56(11.58cm) 8′6″(2m59cm) 3,000(1,361kg) 11(4.99kg) 5.7(2.59kg) バシリスク砲 5(12.70cm) ? 4,000(1,814kg) 14(6.35kg) 9(4.08kg) カルバリン砲 5.2(13.21cm) 10′11″(3m33cm) 4,840(2,195kg) 18(8.17kg) 12(5.44kg) Pedrero 6(15.24cm) ? 3,800(1,724kg) 26(11.79kg) 14(6.35kg) デミ・カノン砲 6.4(16.26cm) 11′0″(3m35cm) 4,000(1,814kg) 32(14.51kg) 18(8.17kg) Bastard cannon 7(17.78cm) ? 4,500(2,041kg) 42(19.05kg) 20(9.07kg) Cannon serpentine 7(17.78cm) ? 5,500(2,495kg) 42(19.05kg) 25(11.34kg) カノン砲 8(20.32cm) ? 6,000(2,722kg) 60(27.22kg) 27(12.25kg) Cannon royal 8.54(21.69cm) 8′6″(2m59cm) 8,000(3,629kg) 74(33.57kg) 30(13.61kg) スペイン(16世紀)#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(ポイント・ブランク).JPG)射程距離は上段: ポイント・ブランク (大砲を敵船に真っ直ぐに向けた時)、下段:最大(大砲が一番飛ぶ角度の時) 口径(inches) 砲身長( calibers ) 重量(pounds) 砲弾重量(pounds) 火薬量(pounds) 射程距離(yards) Esmeril 1/2 (0.14kg) 208(190m)750(686m) ファルコネット砲 1 (0.45kg) Falcón 3 (1.36kg) 417(381m)2,500(2,286m) Pasavolante 40~44 6 (2.72kg) 500(457m)4,166(3,809m) Media sacre 6 (2.72kg) 417(381m)3,750(3,429m) Sacre 9 (4.08kg) Moyana 9 (4.08kg) Media culebrina 12 (5.44kg) 833(762m)5,000(4,572m) Tercio de culebrina 18 (8.16kg) カルバリン砲 30~32 24 (10.89kg) 1,742 (1,593m)6,666(6,095m) Culebrina real 30~32 32 (14.52kg) Doble culebrina 30~32 48 (21.77kg) +射程距離は口径、砲身長、砲弾重量、火薬量で変わるっぽい(弾道学) もし戦うなら大砲は「遠くまでピューっと飛ぶ」「敵にバッチリ当たる」「敵をドカーンと壊す」がいいですよね。 これを研究したのが 弾道学 。 大砲のタマは地球の重力や空気とかが影響するそうで…とってもムズカシイ学問らしいです。 弾道振り子 なんかも弾道学の1つ。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(弾道学).JPG)砲口初速が分かる弾道振り子(高校物理で習います) 砲身が長いと「遠くまでピューっと飛ぶ」 タマは火薬がバーン!と爆発したエネルギーで前へ進みます。エネルギー満杯の砲身の中でどーんどん加速。 でも長ければオケじゃないのでご注意。 タマが砲口を出たときの速度( 砲口初速 )が絶好調の「きゃー♥」になる長さがちょうど良い砲身長です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(弾道学:ピュー).PNG) 逆に砲身が短いとタマが「きゃー♥」になる前に飛び出しちゃいます。加速が足りないからピューっと飛べない。 そんなときは火薬を増やせばオケ。 絶好調の「きゃー♥」は砲身長、火薬の質(燃焼速度と膨張率)、火薬の量、タマの大きさ(重量)…などなどが影響します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(角度).JPG)Diego Ufano著「Theoretical mechanics(?)」(1628年:ドイツ) 砲身の角度は45度くらいでタマが一番遠くまでピューっと飛ぶそうです。ふぇー。理由は聞かないで…世の中そーゆーもん。 F&B時代はとってもピューでも大丈夫なのかしら? なんか遠くの敵の船が見えなさそう。船がプカプカ揺れるから当てるの大変そう。砲身が砲門にぶつかりそうです。 ~ Yahoo!知恵袋 さんより~ 砲身の中(砲膣)が螺旋状の溝だと「敵にバッチリ当たる」 F&B時代の大砲のタマは丸い形をした 砲丸 ( 弾丸 )です。大砲ドーン!で飛び出したタマはヘロヘロと飛びます。 丸いタマは先っぽが尖ったタマより空気抵抗が大きいの。 弾軸が不安定だからドコへ飛んでいくのかイマイチ分からない。狙った敵に当てるのがとっても大変です。困っちゃうねー。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(弾道学:弾丸).JPG) メアリー・ローズ の砲丸(16世紀:イングランド) 弾軸を安定させるにはタマの先っぽを尖らせて、大砲ドーン!で飛び出すタマをクルクル回転させたらオケです。 クルクルすると弾軸が安定( ジャイロ効果 )。 火薬バーン!で膨張したタマが砲膣の ライフリング (螺旋状の溝)に押し付けられるとクルクル回転します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(弾道学:バッチリ).JPG) ジャイロ効果は 弓矢 の時代から気が付いてました。15世紀末にはドイツでライフリングのライフル砲が登場。 でも爆発した黒色火薬が出す大量のゴミで溝が埋るから掃除が大変。 螺旋状の溝を彫るのも難しい。F&B時代の主流は砲膣がツルツルの 滑腔砲 です。ライフル砲は19世紀までお待ち下さい。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(弾道学:線条痕).JPG) ライフリング(施条)に押し付けられたタマには跡(線条痕)が付きます。線条痕は指紋みたいに撃った大砲で模様が違う。 ドラマで「線条痕が一致した!犯人はお前だ!」のアレ。 21世紀の大砲や銃はライフリングが大活躍。F&B時代は砲膣がツルツルの滑腔砲だから犯人を逮捕できないのね。 口径が大きいと「敵をドカーンと壊す」 タマが砲口を出たときの絶好調の「きゃー♥」が同じ砲口初速なら、小さいタマより大きいタマに当たる方が痛いです。 力士1人より2人に体当たりされる方がダメージ大って感じ。 大きいタマを撃つには大砲の砲身( 口径 )を太くすればオケです。タマの大きさが同じなら、砲口初速が早い方が痛いです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(弾道学:ドカーン).PNG) 運動量 (高校物理で習います) もし戦うなら大砲は太くて長い方が安心♥ ってことで、20世紀初め大砲がどーんどん巨大化します(大艦巨砲主義)。 でも太くて長い大砲を撃つには大量のエネルギーが必要。 ものすごーく丈夫な大砲じゃないと大きな火薬バーン!には耐えられません。耐えられない大砲は爆発しちゃいます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(弾道学:大艦巨砲主義).JPG) BL 18 inch Mk I naval gun (1917年:HMS Furious) こちらはイギリス海軍で最大の砲身長(18.3m)、最大の重量(151t)の大砲です。大砲の下にいる黒いのが人。でか! こんなのに当たったら痛いどころの騒ぎじゃなさそう。 大艦巨砲主義は第一次世界大戦で大人気。その後、戦艦の建造費、維持費が莫大過ぎて終焉を迎えます。 +敵船が見えるのは水平線まで いくら大砲が「遠くまでピューっと飛ぶ」でも敵船は水平線までしか見えません。地球は丸いから水平線の向こうは隠れちゃうの。 身長1.6mで水平線までの距離は約4.5km。 実際は大気の屈折とかアレコレ小難しいことが影響してもっと遠くまで見えます(視地平距離:Distance of Visible Horizon)。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(水平線).JPG)水平線と HMS Bounty ゴールデン・ハインド号から見える水平線(屈折とかいろいろ難しいコトは無視だ) 檣楼手ユアンは「水平線に見え隠れする小さな船影も見逃さない」です。ってことで、萌える勢いでちょびっと計算。 グローリア号のデータが無いからゴールデン・ハインド号で我慢。 吃水線からメイン・マストの高さは28m。メイン・マストから見える水平線は約19km以上先です。ユアンの視力すごーい! #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(水平線:ゴールデン・ハインド号).PNG) 三平方の定理 (中学数学で習います) 見えない敵船には間接射撃 水平線の向こうの敵船は隠れちゃうけど、大砲はどんどん「水平線の向こうまでピューっと飛ぶ」に進化していきます。 見えない敵船には間接射撃でオケ。 観測班(FO)がアレコレ敵船を調べて、射撃指揮所(FDC)がアレコレ計算して大砲ドーン。当たるまで繰り返します。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (大砲_射程距離(水平線:間接射撃).PNG)こんな感じ? 間接射撃は「Livre de Canonerie」(1561年:本かなあ?)で報告されてるらしいです。詳細は分かりませんでした。 とりあえず19世紀後半からは皆さんご使用。 見えない敵船に照準(間接照準)して大砲ドーンだと当たっても見えないから、砲撃手は「やったー♥」って喜べないですね。 手投げ弾 こちらは1685年沈没した La Belle号 (フランス)から発見された手投げ弾です。火薬が詰まった陶器で、取っ手に火縄を結んでご使用。 火縄に火を点けて敵の船に投げると陶器が割れてボーン。 火薬の代わりにウニャニャ油(分かりませんでした)を入れたら 煙幕弾 に変身。敵に投げれば煙で何も見えずの手探り状態です。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (手投げ弾.JPG) 煙幕弾 煙幕弾は 煙幕 をブハーっとだして部隊の活動や位置を隠蔽するタマ。上陸戦で煙モクモクにして敵の視界を遮断します。 軍艦が 蒸気船 の時代はボイラーを不完全燃焼(空気の供給を制限)にした黒い煙幕。 黒色だと煙幕が太陽の熱を吸収して水温が上げるからマズイそうです。ってことで、21世紀は白色…理由は分かりませんでした。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (手投げ弾_煙幕.JPG) 左側:上陸が丸見えの1944年6月6日 オマハ・ビーチ作戦 (1998年:映画プライベート・ライアン) 右側:煙幕を使った1941年10月9日イギリス陸軍兵 ジャック・チャーチル の上陸訓練 煙幕がないと上陸が丸見えで映画 プライベート・ライアン みたいに敵の機関銃でバババババっと撃たれちゃいます(左側)。 そんなときは煙幕を使えば安心(右側)。 別名「Bloody Omaha:血のオマハ」のオマハ・ビーチ作戦も煙幕を使ってたら戦死者がぐっと減ったのかもしれません。 +煙幕弾は海から、空から、地上から 煙幕弾は海から、空から、地上から撒きます。地上のSmoke pot(発煙筒?)は船の船尾に置いてもオケ。 使うときは風向きと風力にご注意。 撒き終わったら皆さん上陸だー!もしアルマダ海戦でスペインがイングランドに上陸したら煙幕を撒くのかしら? #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (手投げ弾_煙幕(煙幕弾).JPG) 実はオマハ・ビーチ作戦も煙幕を使ってます 海上は 自由フランス軍 飛行隊Lorraine(イギリス空軍 第342航空隊 所属)の戦闘機 Boston IIIA が弾幕を撒いてます。 飛行隊のお仕事は「海岸へ上陸する 上陸用舟艇 (兵士を運ぶ船)と兵士を守る」。 海面に弾幕を撒いてドイツ戦闘機の攻撃から上陸用舟艇を守りました。ドイツ戦闘機と戦いながら煙幕も撒くから大忙し! ~ RAF (French Participation- D-Day role)さんより~ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (手投げ弾_煙幕(煙幕弾_オマハ・ビーチ作戦).JPG)こんな感じ?(航空母艦 USSラングレー に煙幕を撒く戦闘機 F4U ) 21世紀の上陸作戦 こちらの画は装甲兵員輸送車 LVT-7 (兵士を運ぶ車)が煙幕をブハーっとだしながら海から海岸へそのまま上陸してます。 装甲兵員輸送車LVT-7は水陸両用車。 うーん、この画だけじゃちんぷんかんぷん…詳細はhttps //www.youtube.com/watch?v=5Nz_V3UQxJUをどうぞ。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (手投げ弾_煙幕(煙幕弾_21世紀).JPG)South Korea marks 60th anniversary(2010年) マスケット銃 マスケット銃は先っぽの銃口からタマを込める銃です。F&B時代は マッチロック式 (火縄で点火)の アルケブス銃 。 1543年種子島(日本)に来た 火縄銃 もコレ。 初めての登場は15世紀 フス戦争 (中央ヨーロッパ)らしい。大量のご使用は15世紀ハンガリー王 マーチャーシュ1世 の 黒軍 からです。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃.JPG) ヤコブ・ド・ギュイエン 画「Wapenhandelingen van Roers, Musquetten ende Spiesen」(1608年:ネーデルラント) +マッチロック式ってなに? マッチロック式は火縄で火薬に点火してバーンと撃つ銃です。雨の日は火縄の火が消えたり、火薬が湿ったりでほぼ使用不可。 火縄を使わない ホイールロック式 ( 黄鉄鉱 で点火)もあったけど故障が多くて不人気。 1610年フランスで故障しない フリントロック式 ( 火打ち石 で点火)が誕生します。1630年頃にはヨーロッパ中で大人気。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃(マッチロック式).GIF)マッチロック式 発射準備 1 火縄に火を点ける。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃(マッチロック式:火縄).PNG) 2 火蓋(火薬を盛った 火皿 のカバー)を開く。これが「火蓋を切る」ってやつ。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃(マッチロック式:火皿).JPG)火皿(17世紀:イングランド) 発射 3 トリガー (引き金)を引く。サーペンタイン(Serpentine: 撃鉄 っぽいやつ)が火皿の方へ下がる。 4 火薬(火皿)に火縄が接触してボーン!火穴経由で火薬(銃身)もボーン!この勢いで銃弾がバーンと発射する。 故障が多かったホイールロック式 ホイールロック式の発明者はハッキリしないけど、1517年 Johann Kiefuss (ドイツ)が発明したという説があります。 1530年スペイン王カルロス1世(王フェリペ2世の父親)はKiefussをスペインに呼び寄せたらしい。 F&B時代のホイールロック式に故障が多かったのは、歯車(ホイール)やバネやネジがアレコレで構造が複雑だったから。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃(マッチロック式:ホイールロック式).JPG)ホイールロック式(16世紀:ドイツ) たぶん引き金を引くとホイールがグルリと廻ってサーペインタインが降りると火縄の火が火皿の火薬に接触する仕組みです。 部品は50個以上。 何はともあれ、こんな技術があったことがスゴイです。 日本に火縄銃「種子島」がやって来た! 1543年ポルトガル宣教師が種子島(鹿児島県)に漂着。種子島島主は宣教師が所有するアルケブス銃を2挺購入します。 もっちろんコピーするぜ! 種子島に伝来したので火縄銃は別名「種子島」「種子島銃」です。あっ、鉄砲伝来は諸説あり。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃(マッチロック式:種子島).JPG)種子島伝来火縄銃馬上長筒(21世紀:レプリカ) コピーを担当したのは刀鍛冶の八板金兵衛さん。とりあえずコピーできたけど、発射の衝撃に耐える強度が作れません。 なぜかしら?なぜかしら? ってことで、娘をポルトガル人に嫁がせて秘密をゲトしたという伝説があります。答えは「 ネジ 」。 +マッチロック式ピストル マッチロック式ピストル(短銃)も16世紀から使われています。マッチロック式の詳細は分かりませんでした。 とりあえずフリントロック式ピストルは射程距離が短い。 ってことで、剣の付属品としてご使用。18世紀後半になるとイギリスの 決闘 はレイピアから 決闘ピストル になります。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃(ピストル).JPG) Cornelis Ketel 画「 マーティン・フロビッシャー 」(1577年:イングランド) +21世紀のマスケット銃 イギリス海兵隊 はイギリス海軍の歩兵部隊。マスケット銃とは全く違う感じの銃をアレコレいっぱい使ってます。 ってことで、形が似てるっぽい銃をご紹介。 こちらは 7.62x51mm NATO弾 (ベルギー製)をバババババと毎分650–1,000発撃つ 機関銃 。いろんな国が使ってます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃_21世紀.JPG)バババババ中のイギリス海兵隊(タマは ベルト給弾式 ) 口径 全長/銃身長 重量 銃弾重量 火薬量 射程距離 7.62mm General Purpose Machine Gun 7.62mm 126.3/63cm 11.79kg イギリス海兵隊はマッスル♥マッスル♥ あらあら、銃の重さがお米級…海兵隊は女性不可侵の過酷なお仕事だそうです。そのせいなのか皆さんマッスル♥マッスル♥ こちらはイギリス海兵隊の公式カレンダー。 水陸両用作戦のエキスパートだけあって鍛えた体を惜しみなくお披露目してます。お腹がシーチキン過ぎる。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃_21世紀(イギリス海兵隊).JPG)Go Commando 2013 Calendar(£9.99) 指が痒くなってもても大丈夫 銃は引き金を引いてもタマが出ない 切換レバー が付いてます。「指掻いたら出ちゃいましたー!」になっちゃうもんね。 海上自衛隊の 89式5.56mm 小銃は、ア(安全)・レ(連射)・3(3点制限点射)・タ(単射)の4種類。 連射はバババババのフルオート、3点制限点射はバンバンバンの3ショット・バースト、単射はバンのセミオートです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃_21世紀(切換レバー).JPG)別名「当たれサン:アタレ3」 バババババは目詰まりしないの?薬莢は顔に当たらないの?銃身は熱くならないの?などなど疑問いっぱいでござる。 でもF&Bに登場しないと調べる意欲に萌えませんのよ。 マスケット銃の発射 マスケット銃も大砲と同じでバンバン撃てません。大砲と同じでメンドクサイです。大砲と同じで命中率低いです。 火縄は「両方に種火」「片方に種火」の2タイプ。 銃身がとーっても長い、とーっても重い(F&B時代は9kg?)ので、撃つときは先っぽが二股の支え棒(名称不明)で支えます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃の発射.JPG) +ペーパーカートリッジで効率アップ ペーパーカートリッジは銃弾と火薬を包んだ紙製・布製の弾薬包。火薬はキッチリ計量してます。 包は 蜜蝋 ・ ラード ・ 獣脂 でコーティング。 防水もバッチリだし、弾を込めるときの潤滑剤にもなります。登場は14世紀後半頃で、17世紀になるとアッチコッチでご使用。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃の発射(ペーパーカートリッジ).JPG) 一発のバーンが楽チン♥ ペーパーカートリッジを使えばいちいち火薬を計らなくていいし、包が火薬の燃えカスと混ざってお掃除が楽チンです。 包のお尻は食いちぎってもオケ。 日本も 安土桃山時代 (1573–1603年:織田信長~豊臣秀吉)に銃弾と火薬を包んだ早合(はやごう)が登場します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃の発射(ペーパーカートリッジ:一発のバーン).GIF) #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃の発射(ペーパーカートリッジ:実弾).JPG) 21世紀は火皿・火薬・火縄・弾丸が1つになった 実弾(実包) です。 撃鉄が雷管(これは センターファイア型 )を叩くと発火して、火薬(これは黒色火薬)がボーン!弾丸がバーン! 撃ったときに出てくるゴミは 薬莢 。映画で使うのは弾丸が付いてない 空砲 です。 ペーパーカートリッジでインド大反乱 17世紀になると イギリス東インド会社 (設立:1600年)は植民地インドから紅茶を輸入します。インド人の傭兵も編成。 インド人の宗教はヒンドゥー教徒(牛ダメ)やイスラム教徒(豚ダメ)。 配給されたペーパーカートリッジに傭兵は「これって牛や豚の獣脂でコーティングされてるじゃない?」と疑問を抱きます。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃の発射(ペーパーカートリッジ:インド大反乱).JPG)紅茶の積送品に張られるラベル(1870年) 東インド会社は「獣脂は使ってない」と噂を否定。でもアレコレ酷い目にあってる傭兵はイギリス人を信じられません。 そして1857年インドの反乱が勃発。 インド人は命中率の低い旧式の滑腔銃、イギリス人は命中率の高い新式のライフル銃を使用。反乱は失敗します。 マスケット銃の火薬 F&B時代のマスケット銃も大砲と同じ黒色火薬です。撃つとやっぱり白煙ブワ-。 銃も先っぽから火がー!火がー! 煙と音の動画はこちらhttp //www.youtube.com/watch?v=9i2UknmFbqM(17世紀: イングランド内戦 )をどうぞ。←いきなりバーン。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マスケット銃の火薬.JPG)マッチロック式ズール銃(レプリカ) 口径 全長/銃身長 重量 銃弾重量 火薬量 射程距離 マッチロック式ズール銃(1630年頃:ドイツ) 19.7mm 142/102.5cm 4.6kg 火縄、誘火線(Slow match) 火縄は火をキープしておくロープです。硝酸カリウムが混ざった 麻 や アマ のロープで、1時間に30cmくらいジワジワ燃える。 映画でフーフーしてるアレ。 大砲に点火するときは火縄を巻いた 導火桿 を使います。爆弾でお馴染みの元気に燃える導火線は黒色火薬が混ざった別物。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マッチ_火縄と導火桿.JPG) Agostino Ramelli 著「Le diverse et artificiose machine」(1588年:イタリア) 火起こし マッチは19世紀になってから。ライターなんてドラえもんくらい未来のお話しです。 F&B時代の火起こしはこんな感じっぽい? とりあえず チューダー朝 の動画はhttp //www.youtube.com/watch?v=uTytLaLL5lsこちらをどうぞ。意外と簡単でビックリ! wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マッチ_火起こし道具.PNG)道具 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マッチ_火起こし.PNG) Judgement Day (15世紀) +火起こしのやり方 いっぱいある火起こしサイトは、皆さん広大な大地で大らかにカンカンしてます。 でも船でやる時はご注意!とってもご注意! たぶんバケツの様な燃えにくい入れ物の中でチンマリやるんだと思うけど、ビシッとは分かりませんでした。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マッチ_火起こし方法.PNG) 1 火打ち石 と 金属板 をカンカンする。※火打ち石と 炭布 (低温でも発火する布)を一緒に持つ場合もあります。 2 カンカンで出た火花を炭布に飛ばす。炭布にジワジワ燃える火種ができるまでカンカンする。※綱麻、 キノコの消し炭 …燃えやすいモノならなんでもオケです。 3 火種の点いた炭布を 綱麻 (綱麻を解いてモシャモシャにしたもの)に合体。フーフーして火を大きくする。 4 火縄に火を点けてキープ。※火縄持ってウロウロは危なくない?『ホーンブロワー・シリーズ』には火縄桶が登場します。んが、正体不明orz※戦国時代の日本には火縄持ってウロウロできる胴火があります。 +ファイヤー! 火縄に火を点けるにはローソクくらいの火が必要です。モシャモシャの綱麻じゃすぐ燃えちゃうよなぁ…。 ってことで、火を大きくする方法も。 こちらは船でも安心っぽそうなチンマリした方法です。ここまでやれば確実に火縄にも火が点くんじゃないかしら? #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マッチ_火起こし(ファイヤー).PNG) 火口箱 火口箱(ティンダーボックス)は火打ち石とかを入れとく道具ケース。このタイプは金属板をチェーンにぶら下げておきます。 お出かけ先でカンカン火起し。 火の点いた火縄を入れておくと説明してる人もいるけど、詳しいことはぜーんぜん分からなかったです。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (マッチ_導火線ケース.JPG)真鍮ケースと木製蓋の火口箱(時代不明) 軍制改革だー!スペインのテルシオ vs マスケット銃 スペインのテルシオ(Tercio:スペイン方陣)は鉄壁の守りの常備軍。訓練バッチリな最精鋭で誰も勝てません。とにかく強かった。 負け続けのネーデルラントはマスケット銃に注目。 ネーデルラント軍を「マスケット銃兵>パイク兵」に変更(軍制改革)。スペインのテルシオを打ち破ります。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革.JPG)ネーデルラントが勝利した ニーウポールトの戦い (1600年) テルシオ(スペイン方陣) テルシオ(英語:Third)はパイク方陣、銃兵(マスケット銃兵やアルケブス銃兵)、剣兵で構成された部隊です。 お名前の由来は「パイク兵、銃兵、剣兵の3部隊」や「Tercio di Lombardia、di Napoli、di Siciliaの1/3部隊(1534年編成)」らしい。 16世紀のマスケット銃は「大きくて威力の高いアルケブス銃」17世紀から「先込め銃」って分類になります。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ.JPG)ニーウポールトの戦い(1600年) +軍制改革だー!パイク方陣の誕生(残酷な画があるのでご注意下さい) パイクは中世~1700年頃に使われた両手で持つ 長柄武器 です。長さ3~7.5m(16世紀後半:4.5~6.5m)、重さ2.5~6kg。 長さ分の距離を保って相手をプスプス。 でも運悪く敵が突破して接近戦になるとパイクはぜーんぜん役に立ちません。接近戦に備えて必ず剣も装備しましょう。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(パイク方陣).JPG)八十年戦争の映画 アラトリステ (2006年:スペイン) パイクの構え 相手をプスプスするときは「Charge」の構え。戦闘中は前の3~5列が「Charge」の構えをします。 後列のパイク兵は前列を怪我させない「Port」の構え。 交代したら「Charge」の構えになります。「Charge for horse」の構えは分かりませんでした。騎兵をプスプス? #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(パイク方陣:構え).JPG) パイクはベランダの物干し竿みたいに長いから相手が近づく前にプスッと倒せます。でも長くて重いから扱いづらい。 どっちかっていうとディフェンスの武器。 1人ぼっちで戦かったらあっという間にヤられちゃいます。ってことで、パイク兵は パイク方陣 を組んで防護力アップ。 パイク方陣で防護力アップ パイク方陣は15世紀 スイス誓約同盟 で誕生した10×10のパイク兵で構成された方陣です。前列のパイク兵が相手をプスプス。 方向転換するだけで四方八方の相手をプスプス。 良く訓練された規律ある部隊だから、命令に合わせて前進や方向転換がとーっても速い。ヤマアラシみたいですね。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(パイク方陣:スイス).JPG) ドルナッハの戦い (1499年) パイク方陣は1477年 ナンシーの戦い で ブルゴーニュ公国 の 勅令部隊 (騎兵、槍兵、弓兵、砲兵の混合部隊)を破ります。 方向転換しながら騎兵をプスプス、前進しながら相手をプスプス。 超強い勅令部隊に勝ったパイク方陣すげー!その後も勝ち続けるパイク方陣すげー!ってことで、他の国も模倣します。 プスプスするとどうなるの? 敵味方の 縦隊 (縦列に並んだ部隊)が衝突すると、パイク兵はChargeの構えで前進しながら相手をプスプスします。 前列が倒れたら次列のパイク兵と交代。 どちらかのパイク方陣が崩れて道を譲るまでプスプス。ってことで、膨大な犠牲者が出ます。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(パイク方陣:プスプス).JPG) ハンス・ホルバイン 画「Battle Scene」(16世紀:神聖ローマ帝国) +軍制改革だー!テルシオ(スペイン方陣)の誕生(残酷な画があるのでご注意下さい) テルシオは16世紀スペインで誕生した「パイク方陣を銃兵(マスケット銃やアルケブス銃)で守る」の方陣です。 スペインのテルシオは鉄壁の守りの常備軍。 初期のテルシオには剣兵もいたけど銃の性能が上がるにつれ減少していきます。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣).JPG)テルシオ断面図(17世紀) テルシオ(コロネリア) の誕生 ハプスブルク家 (スペイン)はナポリやミラノの王位継承を巡ってフランスと イタリア戦争 (1494–1559年)します。 スペインは剣と円盾を装備する 歩兵ロデレロ と 軽騎兵 。 でも超強いフランスの スイス槍兵のパイク方陣 と 重騎兵ジャンダルメ に勝てません。このままじゃダメだ…。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:誕生_セミナラ).JPG)フランスに負けたセミナラの戦い ってことで、 セミナラの戦い (1495年)に負けた将軍 ゴンサロ・フェルナンデス・デ・コルドバ は軍制改革します。 歩兵は剣と円盾を捨ててパイクを装備。 当時の先端技術「銃」を採用してパイク方陣を守ります。テルシオは チェリニョーラの戦い (1503年)でフランスに勝利。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:誕生_チェリニョーラ ).JPG)フランスに勝ったチェリニョーラの戦い パイク方陣と銃兵のテルシオは鉄壁の守り。フランスのパイク方陣と重騎兵はテルシオを破れません。 スペインはイタリア戦争に勝利。 超強いフランスに勝ったテルシオすげー!その後も勝ち続けるテルシオすげー!ってことで、他の国も模倣します。 将軍コルドバのテルシオ(コロネリア) コロネリアは「防護力のパイク方陣」と「攻撃力の銃兵」の混合部隊です。パイク方陣の両サイドにユルっと銃兵を配置。 最初に銃兵が離れてる敵をバーン、敵が近づいたらパイク方陣がプスプス。 こちらは Olicanalad s Games (Cerignola 28th April 1503)さん考察のチェリニョーラの戦い。配置は資料によってびみょーに違います。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:コロネリア).JPG)コロネリア(この部隊は前面にユルっと銃兵を配置) コロネリアのもう1つの特徴は士官を増やしたこと。それぞれの部隊はa~eの指揮官 コロネル(大佐) が指揮します。 指揮官ごとに動くから部隊の柔軟性が高まる。 スペインを超強くした将軍コルドバは「偉大なカピタン(El Gran Capitán)」「 塹壕 の父」と呼ばれてます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:コロネリア_配置).PNG)配置 フランス 1 重騎兵(ジャンダルメ) 5部隊×8人 スペイン 1 パイク方陣( ランツクネヒト ) 1部隊×54人 2 投射騎兵( クロスボウ ) 2部隊×8人 2 テルシオ( コロネリア ) 4部隊×36人 3 軽騎兵( ストラティオティス ) 1部隊×8人 3 重騎兵 2部隊×8人 4 パイク方陣(スイス槍兵) 1部隊×108人 4 軽騎兵( ジネテ/Genitor ) 2部隊×8人 5 パイク方陣(フランス槍兵) 1部隊×54人 5 投射騎兵(クロスボウ) 1部隊×8人 6 投射兵(クロスボウ) 4部隊×48人 6 大砲(Light gun) 2部隊×1門 7 大砲(Medium gun) 3部隊×1門 小規模なテルシオ(コロネリア)から大規模なテルシオ(スペイン方陣)へ コロネリアは1534年までにパイク方陣の周囲にビシっと銃兵を配置するスペイン方陣になります。四隅にも配置の場合あり。 四方八方どこから見ても隙のない鉄壁の守り。 指揮官1人が最大3,000人(1,500人が一般的)を担当。大規模だから敵にいくら倒されても崩れない「要塞の方陣」です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:大規模).JPG)神聖ローマ帝国のスペイン方陣(1632年: リュッツェンの戦い ) ただしスペイン方陣は大規模過ぎて移動や方向転換がとーっても大変です。う、動けない…敵を迎え撃つしかない。 敵を追撃は不可能。 あと21世紀の視点から見ると「敵をビビらせるためには必要だろうけど、戦う機会がない余分な兵士」もいます。 テルシオ(スペイン方陣)の終焉 16世紀後半戦場に銃や大砲が増えてくると、大規模過ぎるテルシオは「狙いやすい的」になっちゃいます。あちゃー。 これはヤバイ! ってことで、テルシオは「狙われにくい小さな方陣」に縮小化していきます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:終焉).JPG)ロクロワの戦い 1643年 ロクロワの戦い でスペイン方陣は劣勢フランス軍の戦術 カラコール (騎兵が射撃)に大敗します。 スペイン軍が誇る「無敵のテルシオ」のターニングポイント。 映画 アラトリステ のラストシーンもこの戦い。テルシオの戦い方がよく分かるけど…スペイン組には悲し過ぎてツライです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:終焉_銃剣).JPG)イギリス兵の銃剣(1746年: カロデンの戦い ) 17世紀末になると 銃剣 (先っぽにナイフを刺した銃)が誕生。銃剣はパイクみたいに相手をプスプス刺せます。 もうパイク兵がいなくてもへーきへーき! ってことで、テルシオは終焉します。ちなみにイギリスは1697年 レイスウェイク条約 の後にパイクを廃止して銃剣を採用。 海兵隊テルシオはスペイン海兵隊へ スペインのテルシオは1704年陸軍の 連隊 (陸軍の部隊編制上の一単位。詳細は 軍隊の編制 をどうぞ)になります。 でもアルマダ(スペイン海軍)の海兵隊テルシオはそのまま続行。 なんやかんやで21世紀の スペイン海兵隊 です。 水陸両用作戦 するんだって…ふぇー、ちんぷんかんぷん。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(スペイン方陣:スペイン海兵隊).JPG) 三段撃ち 三段撃ちは 銃兵 がn列×3段(準備・待つ・撃つ)の配置です。 一斉射撃 でバーンと撃ったら最後尾に移動。 バンバン撃てない銃でバンバン連続発射。 火縄銃がいっぱい必要ですね。1575年 織田信長 が 長篠の戦い で武田軍を殲滅した新戦法です。実は作り話かもしれないって噂有り。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_三段撃ち.JPG) 左側:「長篠合戦図屏風/長久手合戦屏風絵8枚」の下絵または模本(19世紀:東京国立博物館) 右側:1634年 ネルトリンゲンの戦い +ネーデルラントの三段撃ちは反転行進射撃(Counter-march) 反転行進射撃は 八十年戦争 (1568–1648年)でスペインと戦うオラニエ公 マウリッツ (ネーデルラント)が考えた新戦法です。 銃兵が12列×6段(または8段)で連続発射。 他に兵士を歩兵・騎兵・砲兵の3つに区分してお互いに援護する三兵戦術(スペインの テルシオ に対抗する戦法)も考えてます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_三段撃ち(反転行進射撃).JPG)反転行進射撃 3人ご一緒に一斉射撃 三兵戦術は1632年神聖ローマ帝国と戦うスウェーデン王 グスタフ2世アドルフ が リュッツェンの戦い で更に発展させます。 銃兵は膝立ち・中腰・立ちの3段で一斉射撃。 3段だと…えーっと、きっと1段より火力が強力になってすごいんです。これは銃が軽量化したから可能だそうです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_三段撃ち(反転行進射撃:一斉射撃).JPG)これは2段の一斉射撃(1642–1649年: イングランド内戦 のショー) +軍制改革だー!テルシオと銃兵の進化 スペインのテルシオ 将軍ゴンサロが誕生させたテルシオはその後どーんどん巨大化。最大6,000人の巨大テルシオに成長します。 四方に隙のない守りで防御力バッチリ。 ただ巨大過ぎて移動や方向転換がとーっても大変。機動力ダメダメだから動かずに敵を迎え撃ちます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(誕生と進化:スペイン).JPG) 機動力ダメダメな巨大テルシオは敵が来ないと攻撃できません。防御力バッチリでも機動力ダメダメはヤバイ! ってことで、1534年までに最大3,000人に縮小。 その後もどーんどん縮小化。 ネーデルラントのオランダ式テルシオ ネーデルラントはスペインからの独立を目指して 八十年戦争 (1568–1648年)します。スペインのテルシオを模倣して戦う。 でもスペインのテルシオは超強い。 このままじゃダメだ…。ってことで、ネーデルラント総督オラニエ公 マウリッツ は軍制改革します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(誕生と進化:ネーデルラント).JPG) 機動力ダメダメなスペインのテルシオはマスケット銃でバンバン撃っちゃえばいいんです(反転行進射撃)。 命中率が低くても的が巨大だからオケ。 ついでにネーデルラントのテルシオを縮小化で機動力バッチリ。 ニーウポールトの戦い (1600年)でスペインに勝利します。 スウェーデンのスウェーデン式テルシオ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (軍制改革_テルシオ(誕生と進化:スウェーデン).JPG) 防具 防具は武器などの攻撃から人体へのダメージを防ぐヘルメット、鎧、楯、服…などなどの道具です。 武器が進化すると防具も進化。 すごーい種類があるのでF&Bに登場する防具だけざっくり調べました。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具.JPG)武器と防具(1608年) +21世紀の防具 こちらはイギリス軍が Operation Herrick (2002–2014年)から採用してる防弾ベスト Osprey body armour (Mk 4)です。 イギリスのCQC社が提供。 生地は ナイロン6 か ナイロン66 。それ以外は「当社はイギリス軍の標準仕様に沿った防具を提供しております」だそうです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具(21世紀).JPG) 防弾ベストは砂漠、森、…戦地の色に合わせた迷彩色パターンがあります。ヘルメット Mk 7 helmet もお揃いの色。 イギリスのNP Aerospace社が提供。 寝そべって銃を撃ちやすいように後部の縁ナシ。逆に撃たれても時速650m/sのタマには負けません。それ以外は…やっぱり不明。 防弾ベストはポケットがいっぱい 必要に応じてヘルメットMk7には マスク 、耳覆い 、 ゴーグル 、ラジオ、 暗視装置 を装備できます。 防弾ベストOspreyもアレコレ脱着が可能。 ポケット、ポーチ型ポケット、…などなどを自分のお好みで装着可能です(モジュラー ・システム:Modular system)。 ~ The British Army (Combat body armour)さんより~ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具(21世紀_ポケット).JPG)Osprey(レプリカ) イギリス陸軍の皆さんは防弾ベストOspreyと一緒に23個のポケットを支給さるそうです。入れるモノが決まってるのね。 弾倉はバババババっと撃ってタマが無くなったら入れ替えるタマ。 数え方が分からなかったのでとりあえず「本」で。あと「round」はちんぷんかんぷんでした。 3本× SA80 のsingle 弾倉 4本×SA80のdouble弾倉 3本×single SA80の弾倉 with elastic pull-cord 2本× 発煙弾 2個× 手榴弾 sharpshooterの弾倉 軽機関銃 の弾倉 - 100 round 2本×9mm pistolの弾倉 underslung grenade launcher - 8 round 水筒 救命キット commander s pouch(ペン、ノート、懐中電灯が入ってるポーチ。指揮官がアレコレ指示するのにご使用) イロイロと進化したけどお荷物がスゴイことに! 夏になると50℃を超える アフガニスタン紛争 (2001年-)に参加したイギリス海兵隊のお荷物は66kgもあるそうです。 それに加えて防弾ベストOsprey(9kg)、通信機器、機関銃、お水…。 2009年The US Armed Forces Health Surveillance(米軍健康監視?)の報告によると怪我のほとんどは椎間板疾患です。 ~ Daily Express (British soldiers suffer injuries from too-heavy weights)さんより~ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具(21世紀_お荷物).JPG) 左側:イギリス海兵隊(2015年:Operation Silica) 左側: イギリス陸軍工兵隊 (2014年) これで何キロも歩くなんて信じられません。バックパッカーさんならピンとくると思うけど66kgを背負ったら死ぬ。 っていうか、立ち上がるのもムリ。 ちなみに私の場合は10Kgでもヤバイから旅立つ前に荷物を測りまくって1gでも減らします。それくらい重いのは大変なの。 ヘルメット 戦闘用ヘルメットは頭を防護する最古で最小の防具。紀元前23世紀 シュメール人 の頃からご使用してます。 16中頃~17世紀ヨーロッパの主流はスペインで誕生した モリオン 。 やかん帽子 の進化形で上部が強化さたデザイン。士官達は富と威厳を示すために精巧な彫刻や装飾で差別化してます。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_ヘルメット.JPG)カバセットはモリオンの進化形 低コストのモリオンはヨーロッパで大流行。イングランドも 王エドワード6世 (女王エリザベス1世の異母弟)が採用してます。 16世紀はカバセット(イタリア式モリオン)。 その後the pikeman s pot(パイク兵のポット)に進化します。バチカン スイス衛兵隊 は21世紀もモリオンをご使用。 +モリオンの重量 こちらは ミラノ公国 で作られた鉄製モリオン(1570年頃:スペイン)です。彫刻と金メッキで装飾。後ろに真鍮製の 羽根 差し。 重量は約1.3Kg。 オートバイのフルフェイスくらいの重量です。うーん、モリオンとカバセットの違いが分からない…。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_ヘルメット(重量).JPG)大英博物館 固いヘルメットを被ったら頭痛くないの? こちらは現役時代のままっぽい鋼製ヘルメット(1575年頃:アントワープ)です。 重量は1.695Kg。 固いヘルメットの内側にビロードやウールの中敷が入ってるから激しい運動でガコガコしても頭痛くないです。ほー! #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_ヘルメット(重量_頭痛).JPG)メトロポリタン美術館 胸当て 胸当ては胴を防護する防具。大昔からご使用(ただし10~13世紀ヨーロッパは胸当ての代わりに 鎖帷子 が主流)してます。 21世紀の胸当ては 防弾ベスト 。 F&B時代の主流は分かりませんでした。 ジェームズタウン (アメリカ)は1607年イングランド初の北アメリカ植民地です。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_胸当て.JPG) 左側:カバセットと胸当て(16世紀: ジェームスタウン島 で発見) 右側: Peter Paul Rubens 画「Portrait of Ambrogio Spinola, 1st Marquis of the Balbases 」(1630年頃:ネーデルラント) +胸当ての重量 こちらは鋼製ヘルメットと鋼製胸当て(1575年頃:アントワープ)です。ヒモの部分はビロードやウール。 ヘルメットと胸当ての総重量は約5.5Kg。 バックプレート(胸当ての背中側)には製造者のお名前「D.G.V.Lochorst」が彫刻されてます。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_胸当て(重量).JPG) ヘルメット サイズ 高さ39.37cm 重量 1.695Kg 胸当て サイズ 高さ46.99cm×幅30.48cm 重量 2.073Kg バックプレート サイズ 高さ38.1cm×幅30.48cm 重量 1.765Kg 胸当てはバックプレートとご一緒に? たぶん上の画のようにバックプレートとご一緒に装着する胸当てを クィラス といいます。14~17世紀にご使用。 1550年頃から真ん中が縦に尖った「the tapul」のデザイン。 重騎兵の1つ 胸甲騎兵 (馬に乗った兵士)のクィラスは歩兵より頑丈で重い造りです。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_胸当て(重量_バックプレート).JPG) +士官は胸当て以外にもイロイロ装備するっぽい? いくつかの絵画をチェックしたら馬に乗った士官(指揮官)や兵士は胸当て以外にもイロイロ装備してました。 馬に乗ってれば防具が重くてもへーきへーき。 ちなみにオッサン(左側)が右手に持ってる棒は王様や上級士官の地位・名誉を表章する 元帥杖(Baton) です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_胸当て(士官).JPG) Battle of Fleurus (1622年) イロイロな装備 左側は16世紀後半の有名な兵器製造者 Pompeo della Cesa (ミラノ公国)の1/2甲冑(1587年頃)です。 総重量は約17.56Kg。 ミラノ公国を支配するスペイン王フェリペ2世やパルマ公 アレッサンドロ・ファルネーゼ はPompeoの後援者です。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_胸当て(士官_装備).JPG) 右側は21世紀の防弾ベストDanish body armour(これもCQC社だけどOsprey body armourとは違うタイプっぽい)です。 どちらも即死しそうな 人体の急所 を防御? もし急に指揮官がいなくなったら現場の皆さんは大混乱しちゃいます。イロイロ装備は重くて大変だけど我慢だ! 軍服 戦場で皆さん同じ防具だと敵味方の区別がつきません。ゴチャゴチャしてるテルシオでは間違って味方にヤられちゃう悲劇も…。 軍服が登場する前は飾り帯で区別。 イギリス初の軍服は1645年 レッド・コート (海軍は1748年から)です。スペインは分かりませんでした。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服.JPG)軍服がないと敵も味方も分かりにくい(1634年: ネルトリンゲンの戦い ) +飾り帯とバフコート 飾り帯は14世紀頃から使われてる幅広の帯です。肩から掛けたり、腰や首に巻いたり装いはイロイロ。 敵味方だけじゃなく所属の区別もオケ。 たとえば 南北戦争 (1861–65年:アメリカ)では将官(灰色/クリーム)、軍曹(赤)、騎兵隊(金)、歩兵連隊(ワインレッド)、従軍牧師(黒)、医者(緑/青)です。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服(飾り帯).JPG) フランス・ハルス 画「Meeting of the officers of the Kloveniersschutterij in Haarlem」(1633年:ネーデルラント) 戦うときはお洋服も頑丈じゃないとね♥ 油を塗った皮製 ジャーキン は16~17世紀ヨーロッパの兵士や猟師のお洋服です。 ダブレット の上に着用。 16世紀は首もとだけボタンを留める。 逆に17世紀になると腰をスッキリ見せるように下のボタンを留めて胸元を開ける着こなしになります。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服(飾り帯_お洋服).JPG) ジャーキンを厚く頑丈にしたのが牛革製 バフコート 。17世紀ヨーロッパの士官、一部の歩兵、騎兵隊のお洋服です。 丈夫で柔軟で雨風に強い。 袖があるときは肘から手首までの革は薄めにして動きやすくしてます。もっちろん士官の皆さんは金や銀のモールで差別化。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服(飾り帯_F&B).JPG)ナイジェル…首だけでゴメンなさい!(F&B13巻カラーページ) ジェフリーが着てる上着をジーっと見た感じだと肩先辺りに革のカッリチ感があるようなないような。 これもジャーキンでしょか? もしそうならジャーキンやバフコートの基本色は薄黄色なので、わざわざ染めたのねー♥ 刺繍もハンパない凝りまくりねー♥ +イングランドのレッド・コート レッド・コートは 王チャールズ1世 を処刑した 議会派 の ニュー・モデル軍 (1645-1660年)の軍服が始まりです。 ベネチアンレッドに白の襟章。 1660年 イングランド王政復古 の後もレッド・コートを継続。これは赤の染料が安かったからだそうです。なんて夢のない…。 wikipedia #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服(レッド・コート).JPG)パイク兵(1642–1651年: イングランド内戦 ) 武器が進化すると軍服も進化しなくちゃいけません 戦場がマスケット銃と黒色火薬の時代は煙モクモク。見通しが悪いから敵味方の区別がつきません。 モクモクでも赤色は目立つ。 目立てば敵味方の区別もバッチリ。もし敵に発見されてもマスケット銃の射程距離と命中率が低いから危険じゃないです。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服(レッド・コート_進化).JPG)赤色は目立ちすぎ(1745年: フォントノワの戦い ) 戦場が ライフル銃 と 無煙火薬 の時代になると赤色は目立ちすぎの的になります。戦場で目立つとヤバイ!とってもヤバイ! ってことで、1902年イギリスの軍服はカーキ色の Service Dress に変更。 1938年にはもっと目立たない Battle Dress を開発。おー!Battle Dressってイイね!っと皆さんも採用してます。 コチニールで染めたレッド・コート 18世紀上級士官のレッド・コートは コチニール で染められた「完璧な スカーレットレッド 」です。 とーってもお高級。 下士官はコチニールと Rose madder が混合の「劣ったスカーレットレッド(The warrant of 1768)」で経費節減します。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服(レッド・コート_コチニール).JPG) Joseph Wright of Derby 画「Fleetwood Hesketh」(1769年:イギリス) 19世紀後半になるとレッド・コートはとーってもお手頃な化学染料を使います。 21世紀のレッド・コート 戦場ではちょっと…のレッド・コートだけど、21世紀もwalking out dress(儀礼服?)としてちゃんと残ってます。 生地は ワーテルローの戦い (1815年)の頃からAbimelech Hainsworth社が提供。 横隊防御で有名な シン・レッド・ライン もこの会社の赤色です。こちらはThe Queen s Diamond Jubilee 2015の儀礼服。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (防具_軍服(レッド・コート_21世紀).JPG)海軍はRNです♥ 上段(左から) RM Captain PWRR soldier WG soldier COLDM GDS soldier WG Corporal RAF Regiment Aircraftman RAF Regiment Officer 中段(左から) RM Bandmaster RN Warrant Officer RN Lt Commander RN rating from HMS Dauntless GREN GDS guardsman SG guardsman WG guardsman IG guardsman COLDM GDS guardsman TA soldier of HAC 下段(左から) RM band drummers×2人 GREN GDS drum major SG officer COLDM GDS bandsman with tuba PWRR pipes and drums King s Troop RHA Sergeant RAF band musicians×2人 RAF regiment aircraftman ちなみに下段のPWRRやRMの ドラム隊 は軍服の上にヒョウ毛皮(21世紀はフェイクファー )を羽織ってます。 軍服の擦り切れ&軍服のボタンで楽器の傷つき防止。 なぜヒョウなのかは分かりませんでした。他の連隊は普通の革やエプロンを羽織ってます。 ※ものすごーくお世話になったサイト。詳細はこちらをご覧下さい。 金獅子亭 Kinjishi-Tei
https://w.atwiki.jp/sakiyuriyuri/pages/433.html
その導火線に気づかない01 02 Fire !103 04 Fire ! 205 夕焼けに続く導火線06 EP その導火線に気づかない 01 「あれ?」 麻雀教室のドアに手を触れようとして、ちょっと首をかしげる。 そばにある、ちょっと小さな用具室なんだけど……何だか聞き覚えがある声がしたような。 「んん?」 土曜だからあまり人もいないし、でも今日は麻雀部も終わったから…… 少し空いてた部屋のドアを、ゆっくりあけて、そーっと入ってみた。 「おじゃましまーす……?」 うーん、やっぱりちょっと埃っぽい…… 「あ、玄さん」 夕焼けで真っ赤な、小さな部屋の中で、きょろきょろしてる穏乃ちゃんが、 振り向いて、 「……穏乃ちゃん」 開けたばかりのドアの端っこをぎゅっと持ったまま、私は、 あの日教室に入るときにも、考えてた、 いくつかね、いくつか考えてたんだけど、 あれ、なんだか暑い……。 ううん、お姉ちゃんじゃないんだから、春先からこんなこと言ってちゃダメだよね。 ぶんぶん首を振って、穏乃ちゃんに声をかけた。 「どうしたの? 先帰ったはずじゃ」 「あー、そうなんですけど」 穏乃ちゃんは頭をかきながら、 「今日練習でやったやつ、ずっと考えてて……でもちょっと分かんないですよね。玄さんか赤土さんに聞いとこうかなって」 「おお?」 今日は朝からずーっと打ってて、穏乃ちゃんも目、くるくる回しながら「しぬ……」とか言ってたのに。 「いやー、頑張るね、穏乃ちゃん」 「ふ、当然だ!」 でも、胸をはる穏乃ちゃんには悪いけど、私が教えたりするところってもうあまりないよね……。 どっちかっていうと、憧ちゃんとかのほうが良かったんじゃないかな。 「まあとにかく、玄さんのこと、探してたんですけど……。そしたら部室に何か、水入ったバケツがあって」 穏乃ちゃんは、そう言って、ちょっと口をとがらせた。 図書室に寄ってくだけだって言ってたじゃん、って呟くのも聞こえた。 穏乃ちゃん、私が一人で掃除してたのがちょっと気に入らないみたい。……可愛いなぁ。 「うーん、あのね、返してない本があったのはホントなんだよ?」 それで、ついでにちょっとだけ、あの……掃除でも、なんて。 「ま、部活の先パイが掃除してるんだもん。手伝ってもいいですよね」 穏乃ちゃんは少し笑って、持ってる雑巾をひらひらさせた。 「あはは、先パイって、もう、穏乃ちゃんてば」 でも、うれしいな。 先輩とかいっても、まだ穏乃ちゃん中学生なのに……うーん、でもそうだね、先輩後輩といえばそうなんだけど、 そう、なんだけど……先パイ…… 「先パイかぁ……」 ちょっとぼーっとしちゃった私を心配してくれたのかな、ととと、と穏乃ちゃんが寄ってくる。 ひょい、と私の顔をのぞき込んで、 「どしたの、玄さん」 「なんだか、先パイって、ちょっと良いかも」 少し、どきどきする感じ……って、いうのかな。 「え?」 穏乃ちゃんの手を取って、引き寄せた。 「ね、もう一回言ってみてくれないかなっ」 「へっ?」 穏乃ちゃんは、目を大きく見開いて、手もびく、ってさせて、 「な、なにそれ?」 「おねがいっ!」 何だか、すごく呼ばれてみたい! 穏乃ちゃんは、困った顔してしばらく黙ってたけど、 「別に、そのくらいいいですけど」 「ほんとにっ!?」 「そ、そんな大したことじゃないじゃん……」 穏乃ちゃんはそう言って、こほん、と一つ咳をした。 「ちょっと先パイって呼ぶだけでしょ、ええと、」 「うんうん」 「く、玄先ぱ……」 ご、ごくり。 ぎゅっと穏乃ちゃんの手を握る。穏乃ちゃんもチラッと私の目を見て、 「う……」 パッと顔を赤らめてうつむいた。……あれ? 「あー、もう!」 「あっ」 恥ずかしそうに私の手を振り払う穏乃ちゃん、 「え、えええ、どうしてっ?」 な、何かヘンなことしちゃった? すがるみたいに手を伸ばしたけど、ひょい、って避け、 避けられた……! 「し、穏乃ちゃん、」 「やっぱ、何か恥ずいっ」 ふいっ、と顔を背けると、そのまま大股で部屋を出ていってしまった……あーあ…… 「呼んでくれるって言ったのにー」 がっくり……もう少しだったのになー。 そうだなあ、穏乃ちゃんだから、手をハイって挙げて、『玄先パイ、私も掃除手伝いますっ』って感じで……えへへ…… 「先、教室行ってますっ」 外から、ちょっと怒ってるような声、 「はい……」 とぼとぼ、穏乃ちゃんを追っかけて部屋を出た。 まあね、私、先輩なんて柄じゃないよね、というか、先輩っぽいことした覚えがあんまり……ううん、そ、そんなことない…… 例えば、えーとほら、例えば……くるくる考えながら麻雀部のドアを開けて、 ――ひょい、と目の前にモップが差し出された。 「わ?」 びっくりして顔を上げる。穏乃ちゃんが、 「あー」 照れくさそうにふらふら視線を揺らして、ため息をついてから……ぶっきらぼうに言った。 「私も、そーじ手伝いますっ、玄せ、せんぱい」 「あ、そう、それだよっ、ありがとう穏乃ちゃん!」 ぱん、と両手を合わせて、笑っ、 ……。 「き、聞こえてた?」 「……まあその、耳には自信があって」 02 掃除っていっても、今はみんなでやってるし、やることなんてほとんどないんだよね。 また付き合わせちゃったりして、悪かったかも……。 横目でこっそり、穏乃ちゃんの小さな背中を見つめてみる。 教室のサッシをせっせと拭いてる穏乃ちゃん。 ……この前の、どう思ってるのかな。 全然いつもと同じに見えるけど、気にしてないのなら、いい、のかな。 何だかふらふら揺れる視界のなかで、穏乃ちゃんの背中が大きくなってるのに気づいた。 ううん、もちろん、ふらふら近づいてるのは私のほうなんだけど。 何だか、吸い寄せられてるみたい。さわりたいなぁって……思って―― いくつか――いくつか、考えてた、と思う。 例えば…そう、穏乃ちゃんや憧ちゃんが友達と打ちたいってなったらここ便利だろうな、とか。 ここで、また、みんなと麻雀できたらなぁ、とか。 そしたら、私も……また…… あの日も、そんな風に考えながら、教室の―― 真っ赤に染まった麻雀部屋の中で、穏乃ちゃんの背中にそっと指を伸ばす。 とん、と触ってみた。 「ひっ!?」 そんな声が上がって、背中がぴん、と伸びる。 そのまま、つつーっと指でなぞって、 「ひああああぁあああっ!?」 「わあっ!?」 わ、わ、穏乃ちゃん、しりもちついちゃった……! 「飛び上がるのと振り向くのと、いっぺんにやろうとするから……!」 うずくまった穏乃ちゃんは、いたた……って呟いてから、ぱっと顔を上げた。 「って、玄さん、いきなり何すんの!」 キッと涙目で睨まれて、可愛いだけで全然怖くないけど…… えーと、えーと……何であんな事したんだろ、私。 穏乃ちゃんに触りたくて、それで…… 「な、なんとなく……?」 「……へー」 穏乃ちゃんがゆらり、と立ち上がる。 あ、ちょっと危ない感じ……。 「何となくなんだ、そーなんだ」 なん、なんで両手わきわきさせてるの、かなぁ……? 「私、背中弱いんですけど……玄さんは?」 あ、あう…… 「ええと、ええと……わざとじゃ、」 穏乃ちゃんの顔、影になって見えない……やっぱりちょっと怖いかも……! 「玄さんの、弱いとこは、どこ?」 うう、ちょっと泣きそう…… 「お、おなかと胸の間くらい、とか、です……」 「そうなんだ。じゃ、」 穏乃ちゃんの手がぴとって触れて、 「ひ、」 「この辺?」 「そ、」 そこダメ、そこダメ、ほんとダメ、 ぶんぶん首振ったけど、ああでもダメだ穏乃ちゃん笑ってるもん―― 「うりゃ」 穏乃ちゃんの指が、くりっと動いて、 ――ぁ、 ぶわ、ってしたよ、ぶわって! 身体中から鳥肌が立ったみたいなあの感じ。 よく分からないうちにかくん、と身体が折れ曲がって、穏乃ちゃんの首筋に顔が埋まって、 「では行きます」 「や、」 どき、とするヒマもなかった。 穏乃ちゃんが、指を立ててぐりぐりーってしてくるのが、分かっ、分か――ひ、 ひえ、 「ま、待って穏乃、穏乃ちゃんちょっ――」 身体ひねって、いや勝手によじれたっていうか、逃げようとしたけど穏乃ちゃん、あああああああ、 「ぐりぐりぐりぐりぐり」 「ひあ、あははははっははは、ごめんごめんなさ、ししし穏乃ちゃんおねがいおねがいおねがい許して許してーーーー!」 穏乃ちゃん、目、目がきらっきらしてる、楽しんでる、楽しんでるよ! 「まあまあ、もうちょっと、もうちょっとだけ」 「もうちょっとってな、何、あは、あはは、」 ろっ骨のまわりをわきわきされたり、 脇の下をつんつんされたり、 首筋をかりかりされたり、 し、穏乃ちゃんが楽しそうにし、してるからいい、いいんだけど、あ、あはははは、 ひ、い、息、できなくなってきた、よー? 「も、もうやめ、やめ、やめてへええあ、あはははははっは、ひ、ひあ」 いつのまにコろんでたのかわか、んないけど、しず、穏乃ちゃんが乗っかってて逃げられな、に、あ、あはは、あ、 「反省しました?」 「したしたしたしたしたよーーーーーー!」 脇腹のあたりでぐりぐり動いてた指が、や、やっと止まっ……。 「じゃ、こんなとこで許してあげます」 穏乃ちゃんがそう言って、いたずらっぽく笑ってくれた、 って、し、死ぬかと思ったよ…… 「は、はぁ、はぁ」 まだ、なんだか脇腹のあたりにくすぐられた感触が残ってる、ような。 「うう、やりすぎだよ、穏乃ちゃん」 私、かるく背中つつーってしただけなのにー。 ちょっと睨んでみると、穏乃ちゃんも苦笑いしながら頭をかいた。 「あ、あはは、すみません、なんか、途中から楽しくなっちゃって」 だと思ったよ…… 「でも、玄さんが、いきなりヘンなことするから」 「わ、私、別にくすぐったりするつもりじゃなかったんだよ」 私に馬乗りになった穏乃ちゃんが、ちょこん、と首をかしげた。 「そうなんですか?」 そう、穏乃ちゃんに触ってみたくなって、それで……ああそうだ、 「その…背中にね、ちょっとこう、書いてみようかな、って」 「あー、何て書いたか当てるやつ……うう、私、背中はムリだー」 穏乃ちゃんは、首を傾けたまま、 「でも、なんて書こうとしたの、玄さん」 「ええと……」 あんまり考えてなかったけど……でもあの時の気持ち的に、 「そうだね、やっぱり、す、」 ……。 こ、この体勢でいうの、ちょっと恥ずかしいかも。でも。 大丈夫、だよね。この前のも、穏乃ちゃん、忘れて……ううん、気にしてないみたいだし。 もう一回、もう一回だけ。 「その、好き、とかそういう感じのやつ、かな」 「う」 ――穏乃ちゃんは、顔を赤くして固まった。 「す、好き……」 あ、これ。 これ、やっぱりだめかも――何か言おうとして、口を開いて、でも何も出てこない、 「そ……掃除、します」 「う、うん、そうだね」 穏乃ちゃんは、のろのろと私の上から降りて、ほっぽり出されてた雑巾を拾い上げて、てくてくバケツまで歩いていって、そのまま、ぽちゃん、と雑巾を投げ込んで、 ほら何か、いわないと、 「し、穏乃ちゃん、私、」 「……玄さん、この前ここに来たときさ」 心臓が、どくんって鳴った。 「ほら、二人で忘れ物しちゃって、それで、ここに取りに来たとき」 「……穏乃ちゃん」 穏乃ちゃんが、あ、と小さく呟いて、両手の指をくるくる絡めながら、 「えと、すみません、別に忘れてたわけじゃないんだけど」 そう、そうだよね。あんなの忘れるわけ、ないよね。 穏乃ちゃん、どうすればいいのか、分からなかったんだ。 「あ、あれはね、穏乃ちゃん」 今とおんなじ感じで、夕焼けの中で、あの日の麻雀教室で、穏乃ちゃんといたから、 二人きりだったから、 「何というか、その、ぽろっと出ちゃっただけ、っていうか」 「そう、なんだ」 開け放った窓、風でカーテンか少しこすれる音とか。 遠くで、カラスみたいなのが鳴いてる声がする。 こんなのが聞こえるのは、 あんまり、よくない、と思う。 「ほ、ほら、掃除しよ、掃除。もうちょっとだよっ」 なんとか唇の端っこを持ち上げて、なるべく明るく言ってみる。ちょ、ちょっと無理矢理だけど…… 「そ、そうですね」 穏乃ちゃんも慌てたようにいって、雑巾を乱暴に絞った。そのまま、近くの棚に走って行って、 ふと立ち止まって、こっちにちら、と振り返った。 「玄さんはさ……」 「穏乃ちゃん?」 首をかしげて、私も穏乃ちゃんの方を見た。 穏乃ちゃんはぶんぶん首を振って、 「な、なんでもない!」 えええ、なんだろ、気になるけど、 「そ、そっか」 気になるけど、ムリに聞くわけにもいかないし……。 うん、私も、掃除にもどろ。もう少しだし……モップ濡らして、床に付けて、 やっぱり、失敗しちゃったかな、って。 じわ、と、ちょっと視界がゆがんで、慌てて目をこすった。 仕方ないよね。言っちゃったんだもん。それにほら、あまり意識しないようにできてたよ。 でも、 ときどき気まずくなっちゃうのは、やっぱり……。 昔だって普通に可愛いなーって思ってたけど、楽しかったのにとか、 なんであんな事言っちゃったのかなぁ、とか、 思って、 し、 「穏乃ちゃん!」 穏乃ちゃんが、びく、と肩をふるわせて振り向いて――思わず叫んじゃったんだ、って気づいた。 ど、どうしよう穏乃ちゃん驚いてる――何か、何か、ええと、 「きょ、今日って、」 何言ってるのかも分からない、 「きょ、今日って、いいいい、いい天、き……」 「……ええと」 な、何言ってるんだろ、そんなのみんな知ってるよっ、 「ご、ごめん穏乃ちゃん間違えちゃった、そうじゃなくってあの、」 もう、もう泣きそう……! 穏乃ちゃん、うつむいちゃってるし、肩もちょっと震えてるし、何も言ってくれないし―― あ、あれ? 「……穏乃ちゃん?」 おそるおそる近づいて、横からそっと、顔をのぞきこんでみる。 小さな口が、少し動くのが見えた。 「……だ」 だ? 「だーーーっ! だめだ私こーいうの!」 え、ええええ!? そう突然叫んで、雑巾も放り投げて、 「し、穏乃ちゃ、」 「玄さん!」 「は、はい!?」 勢いよく振り向いた穏乃ちゃんに、思わず背筋がぴん、と伸びて、 「あのっ……やっぱり、つきあいたい、ってことでいいんだよね!」 からん、って音がした。多分私の手からモップが滑り落ちたんだと思うんだけど、あの、 「えと、え、」 あれ、あれ、えええ!? つ、つきあ…… 「そ、そこまではっ! で、できたらいいなってくらいでっ!」 嘘だけど、穏乃ちゃんは気にも留めない、 「でも私、つきあうってどういうのか、よく分かんないんです!」 「は、はい……」 穏乃ちゃんは、ふぅ、って一息吐いて、ちょっとだけ肩を落とした。 「あの、穏乃ちゃん、私ね、」 何か言おうとしたんだけど、あ、頭がぐるぐるしちゃって……。 穏乃ちゃんは、ほっぺたをかきながら、 「なんていうか、私、そういうの、やってみないとよく分かんない」 「そうだ、ね、……え?」 「だから、あの……まずは、つきあうっていうの、やってみたいな、って」 ふ、ふむふむ、なるほど、なる、な……? 「し、しず、穏乃ちゃん?」 さっきからいっぱいいっぱいで、もう、もう何がなんだか、 「あの、あの、穏乃ちゃん、何を、」 「ごめん、やっぱダメかな? こういうの」 穏乃ちゃんは、そう言って不安そうに首をかしげた。 そん―― 「そんなわけないよっ!!」 あ、 「じゃ、じゃあ玄さん――」 ううん、違う、違うよ、反射的に言っちゃったけどそうじゃなくって! 胸に手を当てて、一回深呼吸した。 ここは、ここは先パイとして、よく考えさせないと。 穏乃ちゃんの肩に、手を載せる。穏乃ちゃん、顔真っ赤にしちゃって可愛いなって、 ぶんぶん首を振って、何とか、声を絞り出した。 「でもね、だってそんな……ほ、ほんとにいいの? こういうのは、」 「私、玄さんのこと、好きだよ」 はぅ!? 頭をバットで思いっきり殴られたみたいな、 そんなことされたことないけど、だって何だかくらくらするし……! 「それ以上うだうだ考えても、私、わっかんないよ」 で、でも―― 「こ、恋人になるって、ことなんだよ?」 「――っ、そう、ですけど」 じゃあ、じゃあ…… だっ……だめっ! だめだってばっ、絶対、穏乃ちゃんよく分かってないもん! 私はぎゅっと穏乃ちゃんの両手を握りしめて、さらに言いつのった。 「ちゅ、ちゅーとか、してもいい……の、かな」 ――あれ、 「いっ」 ぼっ、と穏乃ちゃんの顔から火が噴いて、そのまま、うつむいちゃって、 「し、穏乃ちゃん」 違うの穏乃ちゃん、な、何で!? 何だかぜんぜん、考えたとおりにならない、 「え、と、それは、」 そっと、穏乃ちゃんの様子をうかがう……や、やっぱりちゅーはムリかな……? 「……いいよ」 「え?」 穏乃ちゃんは、腰に手を当てて、むん、と胸をはって言った。 「いいよ! 当たり前じゃん!」 ……顔は真っ赤なままだけど。 今だって、今だってちゃんと、頭の中で色んなセリフが流れたりしてるの、 穏乃ちゃんの初めてなんだから、ちゃんと考えてあげないと、とか、ムリヤリお願いしたみたいでちょっとずるいとか、せめて明日くらいまで考えさせてあげたら、とか、 ――早くキスしたい、 「じゃ、じゃあ……」 穏乃ちゃんの腰に手をまわして、引き寄せる。 向かい合わせでぴったりくっつくと、なんていうか……ホントに、 「ち、小さい、ね、穏乃ちゃんて」 「ああ…うん、まあ」 唇も、小さい感じ。 「あ、あ、あの、穏乃ちゃん、ホントにするよ? 冗談とかじゃないよ?」 「わ、分かってる……」 穏乃ちゃんはそういって、ぎゅっと目を閉じた。 い……いいのかな、ホントに。 穏乃ちゃんに、そっと顔を近づけながら、すぐ目の前にある唇を見ながら、もし穏乃ちゃんが身を引いたらやめようとか、思って、思っ、あ、ごめんね穏乃ちゃんやっぱり止めるとか絶対ムリ、 「んぅ」 穏乃ちゃんの唇を、そっとふさいだ。 んー、あのね、穏乃ちゃん。私、よく覚えてないんだけど…… 窓の風が、ちょっとだけ暖かくなってたこととか、だいぶ深くなってた夕暮れの色とか。 私の背中で、ぎゅっと服を握りしめてた穏乃ちゃんの手とか、遠くで鳴いてた鳥の声とか。 覚えてるのって、そんなのばっかりで、あ、あれ、穏乃ちゃん、顔赤いけど大丈―― Fire !1 03 「おかしいな……最初は結構、ロマンチックな感じだったはずなんだけど」 しずが、雀卓で難しそうな顔をして、ついでに首をひねりながらそんなことを言った。 「マジで」 持ってきた袋をごそごそ探りながら答える。 今日は、気分転換にちょっとだけお遊びいれてみようってことになったんだけど…… 「ええ!? 今も私、凄くどきどきしてるよ?」 「ねえ玄さん、さっきからずーっと私の胸突っついてるのは何で?」 あー見えない聞こえない……ええと、巫女服、と……うん、特に忘れたものもないか。 「……大きくならないかなーって」 「いい加減、あきらめてよ、それ」 うう……とうめいて、玄がすごすご指を引っ込めた。 ――もう高校生になったのに何でかなぁ、おかしいなぁ、私毎日毎日ちゃんと……おもち…おもち…… 何かぶつぶつ言ってるけどあーあー聞こえない、聞こえないってば。 「っていうか、しずの胸が膨らんだらキモくない?」 ちら、としずの方に目を向けてみる。 紙パックの牛乳をちゅーちゅー吸いながら手元の牌をイジッてて、 ……いつものことだから気にしてないな、これもう。 「そんなことないよ! しずちゃんの胸が大きくなったら私、私――」 「あーーーごめんストップストップ、別に聞きたくない」 ぱたぱた手を振って、玄を遮った。 そんなグイグイ迫ってこられても、そもそも想像がつかないし。 しずが牌を指できゅっきゅ拭いながら、ぼそっと、 「別に胸とかどうでもよかったけど、毎日つつかれてため息吐かれると大きい方が良いのかな、って気分になるよね」 ――背はもうちょっと欲しいけど。 何か呟いてるけど……あんたも大概あきらめが悪いと思う。 しずが、くるっとあたしに向き直って首をかしげた。 「どうすればいいの?」 「知らんがな」 あーあ、灼さんたち、まだかなー。 「ごめん、ちょっと遅れた」 「あ、おはよー灼ちゃん」「おはようございます!」 少し息を切らせながら入ってきた灼さんに、笑いながら手を振った。 「おはよ、灼さん。珍しいじゃん」 いや、別に、言うほど遅れてるわけでもないんだけどね。 「そうかな……えっと、あと宥さんだけ?」 「お姉ちゃんはお手洗いに行ってて……でも、もうちょっとしたら戻ってくるんじゃないかな」 宥姉は玄と一緒に来てたんだけど、あんまり、というか全然頼りにならないし、むしろ三人であたしの血糖値をどうするつもりだって、 「憧、どした、頭押さえて……頭痛?」 「うん。それにお肌もカサカサになるっていうし、困ったもんねって」 しずのほっぺたをつまんで、思いっきり引っ張ってやった。 「な、なんひゃそれ……いひゃい、いひゃいって……あれ、」 あたしの手を払いのけて、しずが、きょろきょろ周りを見回した。首をかしげる。 「灼さん、赤土先生は?」 「なんで私に聞くの。……試験問題作るのに死にそうになってて、遅れるみたいだけど」 「ちっ、それは残念ね」 ハルエに学校の制服とか着せてやったら面白いって思ったのに。 まあ、めったに勝てないんだけど。 「ん、そういえば、昨日椅子かたづけちゃったっけ」 「あっ、すみません灼さん、いま持ってきます」 「あ、う、うん。ありがと。じゃあ宥さんが戻ってきたら始めようか」 しずが、とてとて、向こうに転がってる椅子の方に走っていって、 ふと立ち止まった。 「あ、宥さん、戻ってきたかな」 「え?」 言われて、教室のドアに目を向ける。 しばらくすると、ドアがそろそろ開いていって、宥姉がちょこんと顔を出した。 「ごめんね、おまたせ……あ、灼ちゃんだ。おはよ」 「うん、おはよ」 しずって、ほんと無駄に目とか耳とかいいよね……。 「別に無駄じゃないし」 「ちょっと、頭の中のぞくの止めてよ」 「中じゃなくて、顔に書いてるの見ただけ」 からから椅子を引きずりながら、しずが口をとがらせた。 「で、私はまあ、これ持ってきたんだけど」 あたしが一位になったら、最下位の人にこの巫女服を着せられる……って感じでいいのかな。 適当なお遊びだし大してルールなんて決めてないけど。 「あ、やっぱりそうなんだ」 玄が、うれしそうに笑った。頭の中でしずに着せてるのは間違いないと思う。 「まったく、憧はひねりが足りないなーもっとこう、面白いのをだなあ、」 「うっさいっての」 それならタコ糸にしてやってもいいんだけど? すっごい狙われてるとこ悪いけど。 いや、ネタでね。ネタで持ってきたんだけど……ハコにされたくないから止めとくけど。 「私、仲居の服……」「私も玄ちゃんと一緒……あ、マフラーもつけようかな」 でも、うーん。 「分かってたけど、あんまり緊張感出ないね」 「この前、さんざん着たしね」 灼さんがそう言って肩をすくめた。 しずも足下の紙袋をぽんぽん蹴りながら、 「あはは、私もいつものジャージしかないや」 「ア・ン・タ・だって、何のひねりもないじゃないのよ!」 だから今日制服だったんだ……休みなのに珍しいな、とは思ってた。 「いや、だって面白い服なんて持ってないしさ」 「あーあー、そうよね……せめて水着縛りとかにしとくべきだったかな」 「み、水着……」 玄が赤くなってうつむいた。恥ずかしいとかじゃなくて、頭の中でしずに着せてるのは間違いないと思う。 灼さんがため息をついて、 「クロ、自分が着ることとか考えなよ、やだよ、教室で一人水着とか」 「まあね……確かにあんまり危な、い、の……」 ん? 危ない……あれ、何か、いつも危ない危ないって思ってたのがあったような…… 「し、穏乃ちゃん」 「はい、なんですか?」 あ、そうだ、しずのジャージだ。 って、え、ジャージって、いつもの? しずサイズの? 宥姉が真っ青になりながら、多分寒い寒くないの心配してるんだと思うけど、いやそれ以前に、 「あの、あの、穏乃ちゃん、その、下は……持ってきた?」 しずは、首をかしげて、不思議そうに言った。 「下」 ちょっと、何その、きょとんとした顔……。 「だからほら、しず、ジャージの下よ。ズボン。あるよね」 「いや、もうどこいったか分かんないし」 ……へぇ、そうですか。 「はい、じゃあ穏乃、これ」 灼さんが、ひょい、とエプロンをしずの首にかけた。 「うぅ……ありがとうございます」 しずが肩を落としながら、後ろ手でごそごそエプロンを留める。 なんか、台所とかでこういうのやりそうだよね。 ま、エプロンっていってもでっかいボーリング場のロゴがついてるし、そもそもしずが台所で料理なんて…… 「……なんか、悪くないかも」 「え、憧ちゃん?」 あ、あれ? いや、 「な、何となく、何となくね、しずなんて一生エプロンなんか着ないだろうし、たまにはね……!」 って、玄に詰め寄ったって仕方ないでしょ、あたし! 「え、え、あの、よく聞こえなかっただけで、その」 あたしたちの不毛な会話を聞いてたのか聞いてないのか、しずは……ふと、卓の上に目を落として言った。 「ねえ灼さん、あの二萬さ……」 お。 「ん、どうかした、穏乃」 「んー、んー?」 しばらく、卓上を見ながら首をひねってたけど、結局、 「いや、なんでもないです」 そう言って、ぽとんと椅子におしりを落とした。 「……それでオリたりするっけ、憧って」 「んー、まあ別におかしくないんじゃない?」 目を疑り深そうに細めて、しずがブツブツ言う。 「玄さんだって、あそこで振り込むかな…いつもなら……」 その玄は、しずの後ろにくっついて何か肩をもみもみしてるけど……。 「玄ちゃん、何してるの?」 仲居服を抱えて二人の側に立ってる宥姉が、首をかしげた。 「え? えと……そうだ、ケアだよっ、しずちゃんが肩こりになったら困るから……!」 「しずはいろんな意味で肩こりとは無縁だと思うけど」 どーいういみだー、とふにゃふにゃした声で呟いてから、手をひらひら振った。 「玄さんは最近触りたがりなだけです」 「う……」 宥姉があはは、と笑って、しずに服を渡した。ついでに、マフラーもくるくる巻き始めた。 「暑い……」 「穏乃ちゃん、その服、ちゃんと着れる? 手伝うよ?」 「だいじょーぶですって、宥さん。バイトのとき教えてもらったし……ありがとうございます」 そういうと、仲居服を抱えてひょい、と椅子から立ち上がった。玄がちょっとびっくりして、しずから手を離す。 「じゃあ準備室行って着替えてきます……」 「別に、ここで着りゃいいじゃない」 「いや、一人だけ脱ぐのって、何か微妙に恥ずいだろ」 まあ、そうかもしれないけどね。って、玄、なんで付いていってんの。 しずが振り向いて、とん、と玄のそばに寄った。 「玄さん、どうかしました?」 そう上目遣いで言って……えーと、そんな近く寄る必要あるの、それ? 「あ、あのね。何というか、ほらしずちゃん、途中で着方わからなくなるかも……?」 しずはとたんにジト目になって、 「……だから?」 着付けなら、あたしももう知ってるから手伝えるよね、とか言ってやろっかなー。 宥姉が、手を口にあてて、ちょっと笑いながら、 「玄ちゃん、ちょっと無理があると思うな」 「ええっ、そうかな? じゃあ……」 玄は、こほんと咳払いをして、それからグッとこぶしを握って言い放った。 「いっしょに着替えたいです!」 ……知ってるって。 うぐ、と喉の奥でうめいて、しずが仲居服をギュッと抱きしめた。 「こ、これでどうかな?」 「これから先、正直こそ美徳、みたいな言葉聞くたびにさっきの玄思い出すだろうなって」 宥姉が玄の頭をぽんぽん撫でながら、ええと、どこに褒める要素があったのか全然分かんないんだけど、 「でもやっぱり、そんな感じがいいよ、玄ちゃん」 「いや、よくないって」 ため息をついて、宥姉の肩をはたいた。 「えと、まあどうしても分からなかったら呼ぶかもしれないですけど」 しず、目ちょっと泳いでるけど……。 「それなら最初から一緒に、」 「いいってっ!」 少し顔を赤くして、玄の手を振り払った。 ほら、だめじゃん。 04 「じゃ……じゃあ、これで……」 「あ、ごめんそれロン」 しずは、とうとう牌を放り投げて叫んだ。 「いやもうおかしいだろ! なんでわざわざ山越しなんだよ!」 う、やっぱりしず、結構怒ってるか……まあ、朝から仲居さんにされたり巫女にされたり、仕方ないけど。 「ええと、合わせて捨ててくるかなーって思って」 「そうじゃなくって、まだ東場始まったばっかりじゃん」 ちなみに、今は巫女さん。 玄の顔がどんどん赤くなってってるのが気になるんだけど……微妙に頭がふらふら揺れてるし……。 「っていうか、みんな私ばっか狙ってない?」 狙ったっていうか……。 「あんまり穏乃に勝たせたくない空気があったことは否定できない」 「そうそう、そんな感じ」 しずは、目を白黒させながら、ふるふるあたしを指さして、 「なな、何で……」 ええと、何かヘンなスイッチが入りそうだから、その顔やめてほしいなー、なんて…… 「ご、ごめんね、穏乃ちゃん……」 「いや、宥姉はそういうけどね」 あたしはため息をついて、 「あんなジャージ着たら宥姉、死んじゃうでしょ」 仲居服着せられて歯をがちがち合わせてる宥姉を見ながら、肩をすくめた。 「そ、そういうのはもっと早く言ってよ、もう昼過ぎじゃん……うう、玄さぁん」 よろよろ玄んとこに寄っていって、その膝に崩れ落ち……っていやちょっと待、 「~~!」 ぎゅーっと目を瞑って手をぐっぱぐっぱしてるのは……耐えてるんだろうな、いろいろと……。 「というかさ、さっきまでアンタのこと一番毟ってたの玄だった気がす」 「で、でもねしずちゃん! 私とか憧ちゃんとかお姉ちゃんとか、あの……やっぱりしずちゃんの服は、」 灼さんが、すかさずボソっと付け加えた。 「いや、私だってちょっとハミでる」 「灼さんなら大丈夫ですよ! いやそうじゃなくて、別に羽織るだけだっていいよ」 しずが、玄の膝から顔をあげて口をとがらせた。 「ま、そうなんだけど。つまんないじゃない。しずが皆の猛攻をばっさばっさとなぎ払ってれば、」 「むちゃゆーな」 半眼でそんなこと言ってくる。いや、そろそろ玄の膝から離れなさいよ……。 しかも何か、玄の膝の上でブツクサ言いながらごろごろしだして、 「し、しかたないな、もう……」 しずの着せ替えも楽しんだことだし、ここはあたしが一肌脱いでやるか。そろそろ玄が溶けそうだし。 ええと、例のブツは……お、あったあった。 「はいはい、皆ちゅうもーく」 「あー?」 しずが、目を細めて顔を上げる。他のみんなも、 「って憧、何持ってるの、それ」 「いや、見たら分かるでしょ。タコ糸」 「タ、」 宥姉がぶんぶん首振ってるのはこの際無視! 「あたし、やっぱこれにするわ」 「……」 遠くから吹奏楽部の演奏が聞こえる……あー、なかなか上手ね、まあ頑張って、 ってみんな、そんないっぺんに黙り込まなくてもいいんじゃないの? 「えーと、憧、質問だけど」 「はいどうぞ、灼さん」 「何をどれにするって?」 「だから、私が勝ったら、負けた人にコレ着てもらうってことだけど」 灼さんは、目を閉じて額をぐりぐりし始めた。なんか、ぽくぽく、って音が聞こえてきそう。 「どうやって着るの」 「……巻き付けて?」 ――ふ、ふふふ…… 地の底から響くような昏い笑い声、 「おもしろいじゃん」 「し、しずちゃん」 玄の膝からゆらり、と身を起こしたしずに、あたしもフッと笑ってやった。 「どーよ、あんたもこのままじゃ収まらないんじゃないの」 「ああ、そーだよ」 しずは、ぶんぶん腕を振って、 「もう絶対、みんなにジャージ着せてやるっ!」 そうそう、やっぱりしずはこれくらい負けん気がないとね。 あたしだって、 「――と」 ん? 「しず、何か言った?」 「え、いや、ありがとって」 「え……」 動きを止めて、拳を唇にあてて首をかしげる、しずが、 「あれ、気使ってくれたんじゃないの?」 ど、 「どーだかねー? しずのその巫女服がタコ糸にならなきゃいいけど」 しずは、ふん、と鼻から息を吐いて、 「そう簡単にいくか。でもほら、嬉しかったしさー」 はぁ、もう。 「あんた単純すぎ」 とか言いつつ、頭をなでてみたり。 「……何すんの」 「いや、なんとなくね」 ん、あれ、何か顔が熱いような、 「じゃ、」 ガタン、って思いっきり椅子を蹴ったてる音がして、 「じゃあ私も服変えるよっ!」 「玄さん?」 玄は、さっきから震えたまま一言も喋らない宥姉をちら、と見て、 「私ね、お姉ちゃんの付けてるみたいなマフラー、しずちゃんに似合うんじゃないかな、ってずっと思ってて……」 マフラー、うーん、マフラーか…… 「あー、でも確かに、似合うかもね」 「そ、そう? へへ……」 しずが、てれてれ頭かいてるけど……いや、いいんだけど、あのさ、 「穏乃、この流れだとマフラーだけ着ることになるんだけど分かってる?」 「あ、灼ちゃんっ、しーっ、しーっ」 しかもさっきの玄、やっぱりしず狙いますって言ったようなもんよね。 じーっと玄を見つめるしず。 玄は一通りおろおろしたあと、何故かしずを抱き寄せた。 ……テンパってる、テンパってる。 「まあ、玄さんだし、こんなもんだと……」 「いや、うん。穏乃がいいならいいんだけど」 「あ、あのぉー、みんな」 宥姉が手を挙げて、……手、かたかた震えてるけど…… 「じょ、じょ、冗談だよね? ね? 穏乃ちゃんも羽織るだけでいいって、」 「宥姉……」 ぽん、と肩を叩いて言ってやった。 「ドベにならなきゃいいのよ」 「……あう」 宥姉は、かっくんかっくん揺れながらしず(と玄)のほうに寄っていって、 「穏乃ちゃん、は、羽織るだけでいいって、」 「宥さんも、さっきまでずーっと黙って私のこと削ってましたよね」 「く、玄ちゃんが喜ぶかと思って……」 しずは思いっきり息を吸い込んで、 「知るかーーーーー!」 「ま、まあまあ、しずちゃん」 玄の腕の中でばたばた暴れるしず、今から思うと、 うん、玄にエサ与えすぎてたな、と思わなくもないのよね。 Fire ! 2 05 現実は非情である、とかなんとか。 いや、あんまりにあんまりだったし、一応それなりに手は尽くしてみたんだけど。 なんというか…… しずの後ろで、手牌をのぞき込んでる灼さんの顔をちょっと確かめてみる。 「結構、ポーカーフェイスうまいよね、灼さん」 「まあね」 「ちょい黙って」 しずが、ぷるぷる震える指で、手牌をつまみ上げた。 今度玄に振り込んだら、飛んで終わるなコレ。 というか玄がツモっても飛ぶけどね。玄、また真っ赤っかの7とか8とかワケ分かんないこと言うと思うから。 もう手が付けられないです、はい。 「こ、」 しずが、玄をキッとにらんで、手に持った牌を、 「これだぁ!」 ……。 「あ……」 「ここで、豆腐デスカ」 「まあ、もうそれくらいしか」 しずは、引きつった顔でギギギとこっちを向いて、 「遠慮せず合わせてくれていいよ、憧」 あたしは、肩をすくめて言った。 「残念」 「あはは……♪」 く、玄? おそるおそる玄の様子をうかがう。しずもびくっと体を揺らして玄を見る。 玄は、となりの宥姉にくっついて……静かに、マフラーをくるくる取り始めた。 「玄ちゃぁん、寒いぃ」 「ごめんね、お姉ちゃん。一つだけ、一つだけだから、お願い。ね?」 ……一つだけね。 「うん、玄ちゃんのためならガマンする……」 ぎゅっと身を縮こまらせる宥姉に、ちょっとクスリとしてしまった。 「ほのぼのとする姉妹の会話ね」 灼さんも、腕を組んで言う。 「なごむね」 「なごまないよ! 憧、憧、早くツモ、」 しずにガクガク体揺すられながら……あー、うん、マフラー… マフラーね。マフラーだけ付けたしず…… 「ちょ、聞いてよ憧、なんで赤くなってんの!?」 「しずちゃん」 しずは、かきん、と固まってから……玄のほうにゆっくり振り向いて、 「く、玄さん、その」 玄は、マフラーを胸に抱いて、照れたように笑った。 「ごめんね、ロンだよ」 「ねえ穏乃、ほんとにやるの」 「お……女に二言はないです!」 とか言いつつ、さっきから巫女服に手をかけたままなんだけど。 「ほらほら、手、止まってるじゃない」 「う、うっさいな、分かってるよ、ちょっと玄さん邪魔です」 しずにぴったりくっついて、きらきらした目で凝視してる玄はともかく…… こんだけみんなに注目されてると、やっぱりこいつも恥ずかしいのかな。 「でもさ、しずっていつも裸みたいなもんじゃない」 「なんでだよ、ちゃんとジャージ着てるだろ」 「ちゃんと」 ってどんな意味の日本語だっけ? 首をひねってる間に、しずが巫女服をぐい、っと引っ張って…… って玄、そんな前に出たら、 「だ、か、ら、邪魔だって! 玄さん、ちょっと向こう向いてて」 「なっ、なんで私だけっ!?」 「がっつきすぎだってば」 まったく、今さらしずの着替えなんかによくそこまで熱心になれるもんよね。 ちょっと思い出してみればいいのに、玄だって昔からざんざんしずの見てるくせして、 ああほら、最近だってバイトの時にさあ……あれは結構、 「憧」 ぽかーんとしてこっちを見てるしずと目が合った。 「な、なによ」 なんなの、その微妙な表情。 「……ちょい目つぶってて」 「え、あたしもっ!?」 頭にふわふわした感触、振り向くと、宥姉が困った顔であたしの頭を撫でてて、 耳元で小さく、 「憧ちゃん、あの、すごい目してるよ?」 「うえっ!?」 な、なに、すごい目って……って、あれ? えと、目の前が真っ暗なんだけど、あれれ? ふーっ、後ろからため息が聞こえた。 「ま、ちょっとガマンね」 「あ、灼さん、ちょっと離して、あたしは別に……!」 「くそー、どいつもこいつも……絶対後でからかうつもりだ……」 しずのぶつくさ言う声と、服を脱ぐ音が、 「いやいやいやいや、どうせ素っ裸になるのに、脱ぐとこだけ隠してどうすんの!?」 「そ、そうだよっ、ぜんぜん意味ないよっ」 「いーから、黙っててってば! つーか、玄さんは向こう向いててって言ったじゃん!」 「うわ、玄ズルいっ!」 「だって、だってぇ……」 ま、まあ別にどうでもいいんだけど、スル……って服がすれる音が聞こえて、 ていうか、こっちのほうがヘンな気分になるような、 「ええと、脱いだけど。んで、マフラーだっけ……すみません宥さん、クリーニング出して返すから……」 「えええ? 何言ってるの、そんなの全然いいよ、ほらほら、くるくるー」 「あ、あはは、マフラーくらい自分で巻けますって」 しずの声が照れたように上ずって、下の方から玄の、うう…といううめき声が聞こえた。 「え、玄どこにいるの」 「憧ちゃんの足下でうずくまってるよ……」 はぁ。それは残念だね。 「よし、できたっ ……どうですか」 「いや、見えないんだけど」 「憧には聞いてないし」 んだとー。 「まあ、なんというか」 耳元で、灼さんが静かに言うには。 「普通にヤバい。18禁」 ……へぇ。 「私は、可愛いと思うけど。で、でもちょっと寒そうかなぁ」 宥姉の可愛いってあんまり当てにならない気がするけど。 「ていうか、終わったなら離してよ、灼さん」 「ああ、そうか、ごめん」 目を押さえてた手がそっと離れて、目の前がちょっとひやっとした。 そっと薄目をあける。っと、まぶしいな……ええと、しずは……し、 「あ……」 「ス、ストップ。憧待って……笑わないでよ、頼むから」 あ、あれ…… 何だか脚に力がはいらな、 「ってちょっと、どうしたんだよ、いきなり座りこんで……大丈夫?」 「い……いや大丈夫、大丈夫だから来なくていいから」 灼さんの手を借りて、何とか立ち上がった。 「ね、18禁でしょ」 「な、何のことか分かんない」 しずの裸なんていくらでも見たことあるし、マフラーだけって何か間抜けっぽい感じ? だいたい、だいたいね、 「しず、着替えの時とか、ほとんど身体隠さないよね? 何で隠すの?」 「……お前、教室で裸になるのと更衣室とかで裸になるのと、一緒だと思ってんの?」 モゾモゾしながらマフラーで何とか前隠そうとしてるけど、あんまり隠せてない。 「うん、隠せてない……ちょっと、マフラー貸してみなさいよ」 「は、は!?」 しずがびく、と後ずさったのを見て、ふらふら近寄りかけてたことに気づいた。 って、そうじゃない! 「じょ、冗談だってば。ほら、も、もういいんじゃない? さすがにこのカッコで打つのはまずいでしょ」 うん、まずい。まずいまずい、これはちょっと、あの、ほんと、ダメだと思う。 「そ、そうだよ! そうそう、ほらまあ、その後ろとか何もないし」 「まあね、危険すぎるね」「可愛いと思うけど……」 宥姉は置いといて、まあうん、そう、いうことで…… 「ちょ、ちょっと待って、私まだしずちゃん見てないよ!」 「……玄、まだうずくまってたの?」 ヘンなとこで律儀なんだから……。 しずは、赤い顔のまま地団駄を踏んで叫んだ。 「んじゃもう、とっとと見てよ! んで終わりで!」 「よ、よしっ。じゃあ……」 「いや、クロは止めといたほうが」 灼さんが声をかけたときには、もう玄は立ち上がっていた。 しずの方を向いて、 「えーと、ど、どうかな、玄さん」 「……」 ちりちり、ちりちり、って。 導火線が焼きつぶれていくような音が、 「あ、あ、うん。なかなか、なかなかの……」 玄は、なんだかぶつぶつ言いながら、あたしと同じようにふらふら、しずのほうに寄っていく。 「え、ちょっと、玄さん?」 逃げる間もなかったと思う、そのまま、しずをギュッと抱きしめ、 「って、玄!?」 「いいいっ!?」 ぼっと火が噴いたみたいに真っ赤になるしず。 そ、そりゃそうだよね、ほとんど素っ裸なのに抱きしめられたら……! 「く、く、玄さんっ、はなはなはな、離して、離して!」 手を振ってばたばた暴れながら、しずがわめいてるけど、玄はびくともしない。 どころか、もそもそ、しずのこと胸に抱え込みにかかってる……。 「む、むーっ」 「ちょ、ちょっと玄、しず息止まる、止まるから、おーい」 玄の顔をのぞき込んでみた。ぎゅっと目をつぶって、なんかぶつぶつ言ってる、 「あ、あう。あうう……しずちゃん、しずちゃん……」 ……もう玄がダメだ。 宥姉が、玄のそばに寄って、くす、と笑った。 「ね、玄ちゃん、もう穏乃ちゃん離してあげないと。着替えられないよ?」 玄は、潤んだ目で宥姉のほうに振り向いて、 「で、でも。でも。お姉ちゃんだってずっと仲居さんの服で打ってるし、しし、しずちゃんもこのままじゃないと」 玄が抱え込んでるしずの頭が、びくん、と揺れるのが見えた。 「玄あんた鬼か」 「だって、だって可愛いんだもんんん!」 「ま、穏乃とふたりのときにでも、またやってもらえばいいでしょ、クロなら」 「う、うう……でも…」 玄は、ふるふる首を振りながら、しずを抱え直した。 しずの頭と肩を抱える手に、ぎゅーっと力が入ってくのが分かる。 「穏乃、あとどれくらい持つかな」 あー、さっきからばんばん玄の腕とか背中とか叩いてるけど、何かちょっと元気なくなってきてる気がするんだよね……。 「でも、そ、う、だよね。しずちゃんだって、恥ずかしいもん、ね」 ――がまんがまんがまんがまん、後でまた着てもらうから、がまんがまんがまん…… しずの頭を撫でながら、必死に呟いてた玄だけど。 「そうだよ……せ、先パイなんだから……」 お、ちょっと手の力緩んだ。ぷは、と息を吐いて、しずが玄の胸から顔を出した。 玄は、いろいろぎりぎりの笑顔で、腕の中のしずに何か言おうとした。 多分なんだけど、ほらもう良いから着替えよ、とか、そんなことを言おうとしたんだと思う。 頑張った。うん、玄にしては頑張ったよ。 しずは、 朦朧としてて、へろへろな感じで、 口は半開きで、もちろん顔は真っ赤っかで、 髪がちょっと乱れたまま、涙目で玄にすがりついて、ホントにこう言った。 「く、玄さん…も、も……ゆる、して…よっ……」 あ。 ぶヅっ!! ……。 「え、え?」 静まりかえる教室の中、玄にぴったりくっついたしずが、きょろきょろしながら、 「な、何かすごい音がしなかった……?」 灼さんは、首を振って肩をすくめると、椅子に戻って牌を崩しはじめた。 宥姉は、困ったように笑って、しばらく三人かなぁ、と呟いた。 「いや、玄はほんと、頑張ったと思うよ。しずがちょっとバカだっだだけでさ」 「は?」 玄、うつむいてて良く顔見えないけど……もう耳まで真っ赤っかで、 「し、し、し、しず…しずちゃ……」 玄は、しずの腕をひっつかんで、ずるずると教室の外に引っ張っていく。 「え、え、玄さん、どこ行くの、ま、待って、」 目をぐるんぐるん回した玄が、明らかに音程のおかしい声で、 「だだ大丈夫、ちょっとだっこして、なでなでするだけ……な、なんでそんな怯えるのかなぁ」 「息が荒いからだよッ!」 しずは一応抵抗してたけど、格好が格好だし、あんまり暴れられないんだよね…… 何とか雀卓のカバーだけひったくってたけど、教室から消える頃には、もう大体あきらめた感じだった。 「どこ行くつもりだろ、玄」 ……トイ、 「いや、ほら、横の準備室? かな、あそこじゃないの」 ああ、あの物置みたいな。あそこって麻雀部のだっけ? 「まあ、いいか。えーと。どうする?」 椅子に座りながら、まだ出番のないタコ糸をくるくる指でいじってみたり。 「も、もうソレはいいよ……待ってても仕方ないし、休憩がてら三人でやろう」 「はぁ……そーね、灼さん」 何か、いつの間にか山もできてるしね。 「すみませんねえ、先輩方に働いてもらっちゃって」 「いえいえ~はい憧ちゃん、どうぞ」 「お、いいの? じゃあ」 牌をこつこつ叩いていた宥姉が、二つに減ったマフラーを押さえながら笑った。 「玄ちゃんたち、しばらくかかっちゃうかもしれないから」 「あーうん。でもまあ、ちょっとなでなでするだけって言ってたし」 うわー、こんな棒読みっぽい声だしたの初めてじゃない? ま、ツモツモ…… 『や、やだ玄さんちょ、あ、ああああぁっ』 がしょん。 牌をつまみ上げようとした指が、そのまま山に突っ込んだ。 「あ。憧ちゃん、チョンボ……」 えーと。崩しちゃった牌を、ぽちぽち元の場所に、戻、す…… 「これは、仕方なくない……?」 「そ、そーだね」 か、壁薄すぎでしょ……!? 他に聞こえてないよね、休みだとあんまり人いないけど……。 灼さんが、ちょっと頬を染めて呟いた。 「何処なでなでしてるんだろうね」 知るかっ。 夕焼けに続く導火線 06 「やっぱサンマじゃ調子くるうなー灼さん、ハルエまだ?」 「先生、今来たらまずいんじゃ……」 「いや、というか、なんで私に聞くの」 灼さんが、ポケットから携帯を出して開いた。 「……あとちょっとかかるって」 「ええと、先生来たらどうしたら……」 ――ん、しずと玄、どこ行った? ――ああ、しずなら、向こうの部屋で玄にめちゃくちゃにされてるよ。 「ごほっ」 お、思わずお茶吹きかけたじゃん……ない、ないわー。勝手に想像しといて何だけど。 さすがに、あんな声はもう聞こえないし、今も耳をすませば何か聞こえる気がするけど……まあ、大丈夫…… いや、しずは少しも大丈夫じゃないだろうけど、ハルエには聞こえないって意味で大丈夫。 「そーね、トイレ行ってたとか言えばいいんじゃない」 「結構適当言うね……」 「玄さん、あの、もうおしり痛くなってきたんですけど」 素っ裸だし、ずーっと床にぺったり座ってたせいで、足もちょっとぴりぴりする。 「あ、うん……」 隣の玄さんは、さっきからぼんやり私の胸にもたれかかったまま動かない。 ……何してるんだろう、 「私の心臓って、何か面白い音したり?」 「うん……しずちゃんの音は、何でも可愛いから」 な、何だそれ。可愛くないし。 「だ、大体さ、」 私だけ裸なんてずるい、 思わず言いかけて、飲み込んだ。 ……ずるいってことはないよな……私、負けちゃったわけで。 「しずちゃん」 「く、玄さん、くすぐったいって」 胸のとこに息がかかって……ていうか、汗臭くないのかな。だってさっきまであんな、 あ、だ、 ……そっ、それはもういい、けどっ。 でも……。 めちゃくちゃ恥ずかしいけど、はだかの身体にこすれる制服の袖とか、 そういうのは、ちょっと気持ちいい、ような気もする。 胸の中の、玄さんの頭をちょっとなでてみた。 「は、はう……」 「玄さん、もう行こうよ」 向こう、三人で打ってるんだし。まだそんな時間経ってないと思うけど……。 「うん……そうだね」 玄さんが、のろのろと身を離した。なんか、まだボーッとしてる。 「玄さん?」 「あの、あと……ちょっと、だけ、」 そう言って私の胸に顔を寄せて、 「え……ひゃ、」 ぴと、と胸の真ん中に、玄さんの舌が触れた。 胸の先が、軽く、かりって、引っかかれて、あ、 ま、また……? 「く、玄さんっ!」 「え、……あっ」 玄さんの頭が、びくっと揺れて離れる。でも、でも…… 「ご、ごめんねっ、私また……」 慌てたような玄さんの声がする、なかなか頭に入ってこない、けど、 「あう……」 あんな、またあんなの……絶対向こうに声聞かれたし、 でも、玄さんが、したいなら仕方ないんじゃ、だって、 「私はっ、……負けちゃったんだし、玄さんの好きにしたらいいよっ」 「ち、違うのっ! もう大丈夫だよ、ね、ね?」 ほ、ほんとに……? おそるおそる、玄さんの様子をうかがう。真っ赤になって、ぶんぶん首を振って、 「ほ、ほんとにっ。というかそんな勝負じゃなかったし、皆待ってるし、ここ、が、学校だもんね」 「そ、それなら、いいんですけど」 バカみたいに暴れ回る心臓を何とか押さえて、息を吐いた。 あ。 「べ、別にイヤってわけじゃないんですけど、でもやっぱり、」 慌てて玄さんの手を握ってみたけど、意外に顔が近くてびっくりしたのか、玄さんは何だかわたわたしながら逃げるみたいに立ち上がって、 「う、うん、分かってる、大丈夫だよ。ほら早く向こう戻ろ、しずちゃん」 そういって、私の方に手を差し出してくれた。 「すみません……」 玄さんの手を取って、ゆっくり立ち上がっ、っと、と……? 「うわ、」 かく、と脚が折れそうになって、あわてて玄さんにしがみついた。 「わ、ご、ごめんね……まだ、痛いかな」 「いた、くは……ないです、けど……」 う……ちょっと脚、がくがくする。 「ええっと、私の制服は……」 「そうだ、置いてきちゃったんだ……私、取ってくるね」 「え、あ……すみません、お願いします」 ぱたぱた手を振りながら部屋を出て行く玄さん。 「……」 手持ちぶさたになって、その辺の棚にもたれた。胸を押さえてみる。 ――ああ、びっくりした。 何か最近、玄さんに押されっぱなしだ。麻雀も負けちゃったし! 「む……」 やっぱりこのままじゃ、ちょっと悔しいなあ。 まあ、どっちも少しずつ頑張るしかないんだろうけど……ん? ふと、棚のガラス戸に、私が映ってるのが見えた。 ……そういえば、あれ、結局どんな感じだったんだろう。 なんとなく気になって、机の上に畳んでおいたマフラーを巻いてみた。 どれどれ……ガラスをのぞき込む、中に映った裸マフラーが、 裸マフラー、が…… 「まあ、そうだよね……」 ズルズルと、その場にうずくまった。とりあえずこのガラスは叩き壊したい。 く、玄さんはこんなのの何がいいんだ……? すっごいバカっぽいんだけど……。 ばさ、と音がした。のろのろ立ち上がって振り向く、 「玄さん」 早いなあ。 玄さんは足下に紙袋を落としてて、口元に手当ててふるふる震えてて、 「しず、ちゃん、それ、そのカッコ、」 だ、だからさ…… 「玄さんって、なんていうか……そうだ、導火線だらけなんだよね」 「ええ……?」 真っ赤な顔で部屋のドアを閉めている玄さんを眺めていると、その、何か恥ずかしくなってきて……思わず顔を伏せる。 「こんなんでドカンなんだもん。ぜんっぜん分かんないよ、もう」 「だって、だって、しずちゃんがいろいろと無防備だから……」 玄さんは、うう、とうめいて肩を落とした。む、無防備って何……? 「そ、そうだ、制服、着せてあげるね」 そのくらい自分でできる……と言おうと思ったけど。 ……こういうのはちょっと嬉しいから、甘えちゃってもいいかもしれない。 「ええと、じゃあお願いしてもいいですか」 「ほらぁ……」 はい? ――服に袖を通してもらって。 ――ぽつぽつと、ブラウスのボタンを留めてもらって。 結構スピードが遅いのは、なんとなく予想してたから突っ込まないけど。 部屋の中を、ゆっくり見回してみる。いくつかの棚、用具入れ、カーテンの閉まった窓。 まだ日が沈むまではちょっとあるけど、あの時は真っ赤な夕焼けで……あの時…… そうそう、二人して忘れ物しちゃったんだよね。なに忘れたんだっけ? ――私、穏乃ちゃんのこと、好きなんじゃないかなあって。 うつむいた玄さんの赤い顔、少し怯えたみたいに目に涙を溜めてたこと、ぎゅっと握りしめた手が震えてて、 「あ……」 ネクタイを結んでくれてる、玄さんの手にそっと触れてみた。 「……? しずちゃん?」 うん、もう手、震えてない。 照れたようにほっぺたを染める玄さんが、ちょっと嬉しいなって、思った。 ごめんね、忘れ物なんてしてなかったの。 何でか、とっさに私も忘れ物したって言っちゃって……しずちゃんに付いていっただけ。 「赤土先生、こっちの棚に置いといたって言ってましたよね」 「そう、だね……携帯は、ちゃんと携帯しとかないと……」 ああそうだ、携帯だったっけ、しずちゃんの忘れ物。 でも、しずちゃんには悪いけど、そんなのもうどうでもよくなってて……適当な相づちばっかり打ってた気がする。 あの麻雀教室で、二人きりだった。 しずちゃんが棚を探ってる音くらいしか聞こえなくて、夕焼けの中で。夕焼け…… いろいろと、いろいろと……思い出して、それで……え、と…… ――好きって、言いたいな。 「……え?」 ぽろっと口から出ちゃった、なんて言ったけど。 ああもう、嘘ばっかりだよ、そんなこと、ホントは全然なかったと思う。 「何か言いました?」 だって、覚えてることがたくさん――例えば、胸の中がぐるぐるして、息が苦しかったこととか…… 振り向いたしずちゃんの不思議そうな顔や、高いところから下を見下ろしたときみたいなドキドキ、手の中の汗を握りしめてたこと、 三回くらい心の中で深呼吸した、わたし、 「私、穏乃ちゃんのこと、好きなんじゃないかなあ、って……」 しずちゃんだったら、ひょっとしたら、意味よく分からないかもしれないし、それなら一回くらい言ってみても、 もちろん、しずちゃんは一発で意味を理解して、すぐに真っ赤っかになっちゃったんだけど。 「じゃあちょっと手、あげてくれるかな」「はい」 教室で泣きそうになりながら告白して意味が分からないなんて、いくらしずちゃんでもあり得ないよ。 伸ばした袖に、しずちゃんの手を通しながら、ため息を吐いた。 思えば最初っからダメダメだったけど……最近は特にひどい。 今日だって、しずちゃんのこといっぱいいじめちゃったし。 ブラウスのボタンをぼちぽち留めながら、またため息を吐いた。 もう、しずちゃんがちょっと可愛い感じになったら、すぐかーっとなっちゃって…… 今だって何だかいろいろ考えてる気がするけど、これたぶん頭の端っこの端っこの端っこだけで……だってしずちゃんブラウスだけだし、私もうほとんど頭いっぱいだから、抱きしめたいって、しずちゃんのこと抱きしめたいって、衝動を、必死で必死で抑えてるんだけど…… でもちょっとギュッてするだけなら良いん 「――ごめんしずちゃん、ちょっと休憩してもいい?」 「え、休憩って何の?」 「わ……分からないけど、何かの」 しずちゃんは、はぁ、と生返事して、いいですけど、って呟いた。 くる、と後ろを向いて、胸に手を当てる。お、落ち着かないとっ。 ちょっと、ちょっとギュッとするくらい、しずちゃんは何も言わない、よね。 ううん、ちょっと触るくらいなら別に……あ、キスだって、しずちゃん裸んぼなんだし、せっかくだからいろんなとこに、 ――だんだんものすごいことになって、さっきなんてが、学校なのに、しずちゃんのことムリヤリ……っ 「し、しずちゃん、あのね、」 しずちゃんは全然聞こえなかったみたいで、スカートをパタパタはたきながら、ときどき部屋の中を見回している。 うん、蚊が鳴いても、もうちょっと大きな声が出るんじゃないかなって……。 ため息を吐いた。百ぺん目くらいかも。 前はいくら何でもこんなじゃなかったのに、しずちゃんのせいだ……。 「うん、もう、大丈夫。ごめんね」「あ、ううん別に……」 しずちゃんのとこに戻って、ネクタイを、 「……? しずちゃん?」 しずちゃんが、私の手にそっと触れてきた。 「うん、もう手、震えてない」 て、手? 「お、怒ってない?」 「? 何がですか?」 「ほ、ホントはねっ」 しずちゃんにあんな恥ずかしいカッコさせるつもりは、 あああ、つもりはあったけど、ちょっとだけ見たらちゃんと服着せてあげて、 とか、今言ったって、仕方ないんだけど……。 「な、何でもない。ほらしずちゃん、できたよ」 「えへへ、ありがとうございます……あ、そうだ、玄さん」 いつの間にかうつむいてたみたいで、私の顔をのぞき込んできたしずちゃんと目が合った。 「な、なにかなっ」 「今日、部活終わったら、玄さん家、行っていいですか?」 「え、も、もちろんいい、けど……」 しずちゃんは、ぴょん、と一歩下がって、 「よっしゃ。いや、今日、負けっぱなしだしさー。やっぱり、このままじゃ気が済まないっていうか」 びしっと私のことを指さして、 「覚悟してよ、今日は玄さんをこてんぱんにするまで打つから!」 しずちゃん、 「あ、あはは……私だってそう簡単には負けな」 ――私、穏乃ちゃんのこと、好きなんじゃないかなあ、って…… 「玄さん?」 「しずちゃん、好きだよ」 ぽろっと、口からこぼれた。――これは、ホントにそう。 「わ、わ……」 慌てて口を覆った。い、いつも好き好き大好きって言ってるくせに、こういうのは何か、恥ずかしいな。 「それは、」 しずちゃんは、びっくりした様子で、指した指をびく、って引っ込めて、 「それは知ってるんだけど、んー、玄さんは……」 「え、私……?」 ちょっと困ったような顔をして、 「ま、いっか。みんな待ってるし、早く行こうよ」 「な、なになに、気になるよっ」 「いーから、早く」 しずちゃんが、ちょちょい、と手招きする。 「えええ、なんで……」 私は、しずちゃんのほうに歩い、 「あ、と……?」 くい、って腕を引っ張られた。 「わ、」 思わずバランスを崩して、しずちゃんの肩にしがみついた。 ほっぺたに、柔らかくてしめった感触、……え、 「しずちゃん、あの」 しばらくほっぺたにくっついてたしずちゃんの唇が離れて、 「んっぅ」 もう一回、抱き寄せられて、唇をふさがれた。 あ、あああ、う? 「よしっ、とりあえず一回反撃」 いつキスが終わったのか分からなかったけど、気がついたらしずちゃんが、目の前で照れたように笑って、 「私だって、玄さんのことすっごく好きなんだけど、あまり分かってくれてない気がするんだよね」 ――。 あの、あの、どうしよう。 「こ、こ、こ、この辺で、ごろごろごろーって転がりたいよ……!」 しずちゃんは、少し身を離すと、 「それも玄さん家で」 そういって、恥ずかしそうに笑った。 EP 昇降口から出て、空を見上げてみる。 しずがひょいひょい歩いてきて、のんびり身体を伸ばし始めた。 「だいぶ暗くなっちゃったね」 「そうだなー、あーもー、つっかれた!」 「しず、最後の方は結構良い感じだったじゃん」 「そうかぁ?」 つまらなそうな顔で、しずがくるくる回る。 あれ? 「しず、ちょっと歩き方変じゃない? どっかひねった?」 「こっ……!」 しずは、何か、いきなり真っ赤になった。 へ……? 「な、何?」 「そ、その……ずっと、力入れてたから……」 え……、あ。 「あれ、どうかしたの」 慌てて昇降口の方に振り向いた。不思議そうな顔の灼さんと……後ろから、玄や宥姉、ハルエも、あくびなんかしながら歩いてくる。 「玄、あんたね……」 「え、え、な、なにかなっ」 あー、もういいか。着せ替え麻雀なんて、絶対、もう二度としないっ! 「で、なんだっけ、玄ん家行くって?」 「うん、麻雀教えてもらおうと思ってさ。明日も休みだし、泊まりで。プチ合宿って感じで」 「正気ですか」 「どういう意味だよ」 どういうって…… 「あ、何か、ヘンなこと考えてるだろ」 「いや、そりゃ考えるでしょ。さっきの今じゃ」 「ちゃんとしっかり教えてくれるっていうし、宥さんもいるし、へーきへーき」 まあ…そうだったらいいね。そんなこと絶対ないってあたしは思うけどね。 だいたい、玄に教えてもらうことなんてある? 多分あたしのほうが ――な、なんでだよっ、別にこんなのダマってたっていいじゃんっ、 ……。 そういえば、昔しずに、麻雀教えてたりもしてたっけ。 教えるっていうか、しず、ときどきワケ分かんない打ち方することあったから、突っ込んでただけだけど。 玄は困ったように笑ってて、和は呆れてため息ついてた…… 「憧? どした?」 「え、あ……ううん、なんでもない」 首を振りかけて……ふと考え直す。 いや……、 ちら、と隣の玄を見て、 「でもさ、教えるだけなら、あたしのほうが上手なんじゃない? ウチにくればいいじゃん」 ちょっとくらい、イジメる権利があるような気もした。 ぴしっと音を立てて固まる玄、 「えええ……うーん、憧に教わるって癪だけど……でも今日もあんまり勝てなかったしなぁ」 「だ、」「うわっ?」 玄は大慌てでしずの腕を掴んで抱き寄せて、 「だだだ、ダメダメダメー! 大丈夫私だってちゃ、ちゃんと、」 ……泣きそうやん。 「あーはいはい、わかった、わーかりましたって、冗談だから安心してよ」 最初の方はそうでもなかったんだけど、最近はこういうことでしずを譲ってくれることはまずないんだよね。 ま、ちょっとスッとしたから、このくらいで許してやるか。 ひらひら手を振って言った。 「ほどほどにしときなさいよね」 「だっ、だから、ちゃんと麻雀するから!」 玄は、真っ赤な顔でそう言って、目を白黒させてるしずを引きずっていった。 灼さんが、かるくため息を吐いて、 「イジワルだなぁ」 「ふん、これくらいいいでしょ」 頭をカリカリかきながら答える。 「明日も朝から部活なんだけど。元気なもんねー。ま、いいことか」 「ハルエ……」 「憧だって油断してると、ってあれ、なんで睨んでるの」 「べっつにぃ」 ハルエがあんなに遅れてこなければとか、今更そんなこと言わないけどね。 「朝ってハルちゃん、ちゃんと来れるの」 「いや、大丈夫だって。今日はほんと、たまたまなんだ」 「たまたまって……ま、ハルエは大丈夫だろうけどさ」 玄をくっつけて、よたよた宥姉と歩いてるしずを眺める。 「そうなんだ。穏乃ちゃん、あったかそうだし、楽しみだなぁ」 「あはは、何がですかー?」 「ちょっと、お、お姉ちゃん!?」 ……玄も大変だな、ほんと。 「穏乃たち、ちゃんと来れるのかな」 「さーねー。ちゃんと足腰立てば大丈夫なんじゃないの」 あたしはそういって、軽く肩をすくめた。
https://w.atwiki.jp/222seihaisensou/pages/93.html
(なんだ。この感覚は。) それが、バーサーカー・ヒロが店から出て覚えた感想だ。 約四時間、彼女とアーチャー・クロエの主従の同盟は店内にいた。 不毛な時間であった。 彼女は同盟の名称からそれぞれの情報開示の範囲や、果てはいつ店から出るかすら、ことあるごとにアーチャー達と衝突した。そのせいで無為な時間を過ごすことになったが、しかしそれは同時に有意義な時間でもあった。 バーサーカーは、ずっとアーチャーとそのマスター・切嗣を見ていた。 どのようなクセがあるか、どのような話の進め方をするか、どのような個とに関心があるか、それを知るために。そして一応いくらかの知ることがあった。たいしたことかどうかは、今はまだわからない。それでも、成果がゼロでないのならば、取り敢えず彼女は自分をよしとした。 一、衛宮切嗣は油断すべきでなくとも信頼すべき同盟相手であること。 言動だけを考慮すれば、彼は軽く見れる相手ではなかった。相応の警戒心をこちらに持ち、イニシアチブを隙あらば伺っている、そのような相手だ。 故に、バーサーカーは彼を信頼すべきと思う。 本当に手強い相手は、白痴であったり、又はそれを装ったり、そもそもまともな会話が不可能であったりする。魔族であることや年若いこと、女性であることや人間とのハーフであることなどあげればきりがないことで文字通りの門前払いを幾度となく受けた彼女からすると、交渉のテーブルに曲がりなりにも着けただけで御の字だ。今後このような交渉相手が見つかるかわからない以上、こちらからも胸襟を開いて応じるのが得策であろう。 二、アーチャーは衛宮切嗣を強く信頼し、また信頼されていること。 数時間に渡ってプレッシャーのかかる環境下であったはずなのに、両者の間の空気が悪化する様子はなかった。 これはバーサーカーからすると驚きである。何せこの二人は、たった一月の間にそれほど迄に信頼を深めたというわけであるからだ。それは彼女の感覚ではあり得ないことのように思う。言ってしまえば、サーヴァントとマスターは赤の他人、聖杯という目的の為に共闘している武将と傭兵の関係に他ならない。ならば、その目的から逸れたことでまで二人の思考が一致する保証はない。むしろ共通の目的が一時的にでもなくなれば反感が表に出るのが自然である。そうであるはずなのに、この主従にはそれがない。それがバーサーカーにはなによりの驚異に写る。アーチャーをルナに寝返らせる、バーサーカーが切嗣に取り入るなどの行為は厳に謹むべきであろう。 三、衛宮切嗣とアーチャーは、こちらが接触した以外の情報を持たない。 実はバーサーカーにとってこれが一番の懸案事項であった。バーサーカーの頭にあるのは、予選での行動である。半月程度の間召喚されてから本選が始まるまでに猶予があったが、その猶予を危険視していた。この間にバーサーカー達の情報が渡っている可能性があるからだ。特に、バーサーカーの真名が割れれば弱点を突かれかねず、またルナの能力は切り札となりえる。予選の間、致命的なまでに情報を流出させるような真似はしなかったが魔法を使われた可能性も考えれば警戒しておくことに越したことはない。アーチャーのサーヴァントであろうとも何をしてくるかはわからず、簡単な暗示などならマスターでもできるかもしれないのだから。 この三点が、彼女、バーサーカーが知り得た情報の中で特にあげるべきものだ。 本選の一日目、始まって半日の内の数時間を割いてまで得る価値があったかはわからないが、少なくともアーチャー主従の離間工作は避けるべきだということがわかったのはある程度これからの身の振り方を左右するであろう。これを生かすも殺すもバーサーカー次第といったところか。 「バーサーカーさん、どうしたの?」 「ふぅん……少し、面倒なことになったかもな。」 「?」 一つ問題があるとすれば、この「投資」によって「機会損失」が生まれたかもしれないということか。 バーサーカーは、北東を見た。それほど離れていないであろう場所から、空へ熱線が伸びていた。明らかに、サーヴァントによる戦闘が起きている。そしてあの光。炎を操るものならば、それが太陽が具現化したかのような印象を受けずにはいられまい。 (気に入らないな。) バーサーカーの目が鋭くなる。 彼女にはわかる。あれは、紛れもなく神の力だ。彼女の不倶戴天の敵たる、天から見下ろす不遜にて尊大なものの力だ。 どんな者があの力を振るっているのかはわからない。ただ一つ、彼女の本能とでもいうべき部分が、彼女に告げる。 「あれは打ち倒すべき敵である」と。 服の下に隠した左腕に火が灯る。熱を持つ。彼女は人間を嫌うが、それ以上にその人間を駒として使う神を嫌う。神にとって人間とは替えのきく傭兵でしかない。魔族魔王という、共通の敵を屠るための。あるいは人間は魔族と戦う必要はないのかも知れない。神の与えた教えがなければ戦わずにすむのかも知れない。それを考えても、神は紛れもなく打ち破らねばならない。その尽くを殲滅せねばならないのだ。 バーサーカーは心で憎悪と義憤の炎を燃やしながら、冷徹に姿も見えぬ相手を殺しきる算段を考える。 あれは敵ではあるが、情報がない。真名はおろか宝具もスキルも、それどころかクラスもわからない。闇雲に突撃をかけても犬死にするだけだ。 よってバーサーカーはまずは手持ちの戦力を考える。自分はどれだけ戦えるか、ルナはどの程度魔力を寄越せるか、伏兵として運用できるか、アーチャー達はどうか、交渉によりあのサーヴァント相手に共同戦線は引けないだろうか、その場合アーチャーはどれほどまで手の内を晒せるだろうか、あるいは戦力の分散を覚悟の上で単独で行動を起こすべきか。 バーサーカーは傭兵で終わる気はない。将だ。バーサーカーは将であるのだ。駒ではなく、彼女はプレイヤーとして聖杯戦争に挑む。 「なあ、マスター。」 「なに?」 「一つ聞きたいことがある。」 バーサーカーは、ルナに向き直る。ルナとは彼女のマスターだ。しかし、ただ言いなりになる気は毛頭ない。 「マスターは、私が死んだらどうする?」 「冗談だ、私は死ぬ気はない。」 「……!う、うん。て、バーサーカーさん!笑えないよ!!」 「おや、そうか、あまりこういうのは得意でなくてな。」 バーサーカーはくつくつと笑う。なにかを嘲るように笑う。 彼女は理解した。彼女の小さなマスターが彼女の死を想像した時の絶望的な顔の、その意味を。実感を持って。 「安心しろ、ルナ。」 バーサーカーは膝をおる。目線はルナに合わせると、染み込ませるように言った。 「私とルナは二人とも聖杯をほしい。」 「二人は一緒なんだ。」 「私の願いが、ルナの願いだ。」 【新都・未遠川東岸付近ガスト店外/2014年8月1日(金)1007】 【竜堂ルナ@妖界ナビ・ルナ】 [状態] 封印、肉体的疲労(大、回復中)、妖力消費(中)、信じられないぐらい満腹だ!、靴がボロボロ、服に傷み。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 みんなを生き返らせて、元の世界に帰る。 1.バーサーカーさんを失いたくない。 2.食べ過ぎて…… 3.同盟を結んだ?らしい。 4.学校の保健室を基地にする‥‥いいのかな‥‥ 5.誰かを傷つけたくない、けど‥‥ [備考] ●約一ヶ月の予選期間でバーサーカーを信頼(依存)したようです。 ●修行して回避能力が上がりました。ステータスは変わりませんが経験は積んだようです。 ●新都を偵察した後修行しました。感知能力はそこそこありますが、特に引っ掛からなかったようです。なお、屋上での訓練は目視の発見は難しいです。 ●第三の目を封印したため、令呪の反応がおきにくくなります。また動物などに警戒されるようになることが減り、魔力探知にもかかりにくくなります。この状態で休息をとっている間妖力は回復します。 ●身分証明書の類いは何も持っていません。また彼女の記録は、行方不明者や死亡者といった扱いを受けている可能性があります。 ●食いしん坊です。 ●店の空気に気づきませんでした。 ●バーサーカーの【カリスマ D-】の影響下に入りました。本来の彼女は直接的な攻撃を通常しませんが、バーサーカーの指示があった場合それに従う可能性があります。 【バーサーカー(ヒロ)@スペクトラルフォースシリーズ】 [状態] 筋力(20)/D+、 耐久(30)/C+、 敏捷(20)/D+、 魔力(40)/B++、 幸運(20)/D、 宝具(40)/B+ 精神的疲労(小)、満腹。 [思考・状況] 基本行動方針 拠点を構築し、最大三組の主従と同盟を結んで安全を確保。その後に漁夫の利狙いで出撃。 1.あの光のサーヴァント(カルナ)が気に入らない。 2.ルナは大事なさそうだな。 3.ルナがいろいろ心配。他の奴等に利用されないようにしないと。 4.切嗣は油断できない相手ではあるが、関係を改善させたほうが良いか? 5.冬木大橋が落ちたことに興味。学校を拠点にするのはひとまず先送り。 [備考] ●新都を偵察しましたが、拠点になりそうな場所は見つからなかったようです。 ●同盟の優先順位はキャスター セイバー アーチャー アサシン バーサーカー ライダー ランサーです。とりあえず不可侵結んだら衣食住を提供させるつもりですが、そんなことはおくびにも出しません。 ●衛宮切嗣 アーチャーと同盟を組みました。切嗣への好感度が下がりました。 ●衛宮切嗣が苦手です。 ●狂化の幸運判定に成功しました。今回は狂化しませんでした。 ●神を相手にした場合は神性が高いほど凶化しずらくなります。