約 1,992,806 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/44.html
欧州連合・子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに関する枠組決定(2003年) Council framework Decision 2004/68/JHA of 22 December 2003(原文英語、平野裕二仮訳〔原文の注は省略〕) 関連:欧州評議会・性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約(2007年) 欧州連合理事会は、 欧州連合条約ならびにとくにその第29条、第31条第1項(e)および第34条第2項(b)を顧慮し、 〔欧州〕委員会の提案を顧慮し、 欧州議会の意見を顧慮し、 一方、 (1)自由、安全および正義の領域においてアムステルダム条約の規定を実施する最善の方法についての理事会および委員会の行動計画、タンペレ欧州理事会の結論および2000年4月11日の欧州議会決議に、子どもの性的搾取および児童ポルノに対する立法措置(共通の定義、罪状および刑罰を含む)またはその呼びかけが含まれているので、 (2)人身取引および子どもの性的搾取と闘うための行動に関する1997年2月24日の理事会共同行動(97/154/JHA)およびインターネット上の児童ポルノと闘うための2000年5月29日の理事会決定(2000/375/JHA)のフォローアップとして、加盟国の多様な法的アプローチに対応し、かつ子どもの性的搾取および児童ポルノに関する効率的な司法共助および法執行共助の発展に寄与するさらなる立法上の措置が必要であるので、 (3)欧州議会が、児童セックス・ツーリズムと闘うための措置の実施についての委員会報告書に関する2000年3月30日の決議において、児童セックス・ツーリズムは子どもの性的搾取および児童ポルノの犯罪と緊密に関連した犯罪行為であることをあらためて指摘し、かつ、委員会に対し、これらの犯罪行為の構成要件に関して最低限の規則を定める枠組決定の提案を理事会に提出するよう要請しているので、 (4)子どもの性的搾取および児童ポルノは、人権、ならびに調和のとれた養育および発達に対する子どもの基本的権利の重大な侵害であるので、 (5)子どもの性的搾取のとくに重大な形態である児童ポルノが、新たな技術およびインターネットの利用により増加しおよび拡散しつつあるので、 (6)国際機関が行なっている重要な活動を欧州連合の活動によって補完しなければならないので、 (7)子どもの性的搾取および児童ポルノのような重大な犯罪については、すべての加盟国に共通する刑事法上の構成要件(効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁を含む)を可能な最大限の司法共助と並んで不可欠な要素とする、包括的アプローチによって対応することが必要であるので、 (8)補足性および比例制の原則にしたがい、この枠組決定は、欧州レベルでこれらの目的を達成するために必要な最低限の内容に留まるものであって、この目的のために必要な限度を超えるものではないので、 (9)このような犯罪の加害者に対しては、子どもの性的搾取および児童ポルノを、組織犯罪と闘うためにすでに採択されている文書(資金洗浄ならびに犯罪の手段となるものおよび犯罪の収益の特定、追跡、凍結、押収および没収に関する1998年12月3日の理事会共同行動(98/699/JHA)および欧州連合加盟国における犯罪組織への参加の犯罪化に関する1998年12月21日の理事会共同行動(98/699/JHA)等)の適用範囲とするのに十分な厳格性を有する処罰が導入されなければならないので、 (10)子どもの性的搾取との闘いが有する特有の特徴により、加盟国は、国内法において効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁を定めなければならず、かつ当該制裁は法人が行なう活動にも適合するようにされるべきであるので、 (11)この枠組決定の対象となる犯罪の捜査および訴追を目的とする事情聴取は、被害者が子どもであるときはその年齢および発達段階にしたがって行なわれるべきであるので、 (12)この枠組決定は〔欧州〕共同体の権限を損なうものではないので、 (13)この枠組決定は、理事会が採択した諸文書(人身売買および子どもの性的搾取と闘う担当者のインセンティブ提供および交流プログラムを設ける1996年11月29日の共同行動(96/700/JHA)、欧州薬物対策局に与えられた権限を拡大する1996年12月16日の共同行動(96/748/JHA)、欧州司法ネットワークの創設に関する1998年6月29日の共同行動(98/428/JHA)、欧州連合加盟国間の司法共助を向上させるための連絡担当裁判官の交換の枠組に関する1996年4月22日の共同行動(96/277/JHA)、刑事共助の望ましい実践に関する1998年6月29日の共同行動(98/427/JHA)等)ならびに欧州議会および理事会が採択した諸法(地球規模のネットワークにおける違法なおよび有害なコンテンツと闘うことによりインターネットのより安全な利用を促進することについての複数年次共同体行動計画を採択する1999年1月25日の欧州議会および理事会決定(No 276/1999/EC)、子ども、若者および女性に対する暴力と闘うための予防措置についての共同体行動プログラム(ダフネ・プログラム)を採択する2000年1月24日の欧州議会および理事会決定(No 293/2000/EC)等)を補完することによって子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに貢献すべきであるので、 この枠組決定を採択した。 第1条(定義) この枠組決定の適用上、 (a) 「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 (b) 「児童ポルノ」とは、次のいずれかを視覚的に描写しまたは表現したポルノ的資料をいう。(i) 性的にあからさまな行為に関与しもしくは従事する実在の子ども(子どもの性器または陰部をみだらに陳列することも含む)。 (ii) (i)に掲げられた行為に関与しもしくは従事する、子どものように見える実在の者。 (iii) (i)に掲げられた行為に関与しもしくは従事する非実在の子どもの写実的画像。 (c) 「コンピュータ・システム」とは、プログラムにしたがってデータの自動処理を行なう装置、または相互に接続されたもしくは関連する一群の装置であってそのうちの一もしくは二以上の装置がプログラムにしたがってデータの自動処理を行なうものをいう。 (d) 「法人」とは、適用可能な法律に基づき法人格を有するすべての主体であって、国または国の権限を行使する他の公的機関および公的国際機関を除くものをいう。 第2条(子どもの性的搾取に関わる犯罪) 各加盟国は、故意に行なわれた次の行為が処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 子どもを威迫して売春させもしくはポルノ的パフォーマンスに参加させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 (b) 子どもを募集して売春を行なわせまたはポルノ的パフォーマンスに参加させること。 (c) 次のいずれかの場合に子どもとの性的活動に従事すること。(i) 威迫、有形力または脅迫が用いられるとき。 (ii) 性的活動に従事した子どもに対し、引き換えに金銭その他のいずれかの形態の報酬または対価が与えられるとき。 (iii) 子どもとの信頼関係、子どもに対する権威または影響力を有すると認められている立場が濫用されるとき。 第3条(児童ポルノに関わる犯罪) 1.各加盟国は、次の行為(コンピュータ・システムを利用して行なわれるか否かは問わない)が故意におよび権限なしに行なわれたときは処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 児童ポルノを製造すること。 (b) 児童ポルノを頒布し、配布しまたは送信すること。 (c) 児童ポルノを提供し、またはその利用を可能にすること。 (d) 児童ポルノを取得しまたは所持すること。 2.加盟国は、児童ポルノに関わる行為が次の条件を満たすときは、その刑事責任を問わないことができる。 (a) 第1条(b)(ii)について、子どものように見える実在の者が、描写が行なわれた時点で現に18歳以上であったとき。 (b) 第1条(b)(i)および(ii)に関わる製造および所持について、性的同意年齢に達した子どもの画像が、その同意を得ておよび自分たち自身の私的利用のみを目的として製造および所持されるとき。ただし、同意の存在が立証されても、同意を得る際にたとえば年長であること、成熟していること、立場、地位、経験または加害者への被害者の依存が濫用されたときは、当該同意は有効と見なされない。 (c) 第1条(b)(iii)について、当該ポルノ的資料が製造者自身の私的利用のみを目的として製造者によって製造および所持される場合であって、その製造のために第1条(b)(i)および(ii)のポルノ的資料がいっさい用いられていないとき。ただし、当該行為に当該資料の配布のおそれがともなわないことを条件とする。 第4条(扇動、幇助、教唆および未遂) 1.各加盟国は、第2条および第3条に掲げられた犯罪の実行の扇動または幇助もしくは教唆が処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 2.各加盟国は、第2条ならびに第3条第1項(a)および(b)に掲げられた犯罪の未遂が処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 第5条(処罰および加重事由) 1.4の規定にしたがうことを条件として、各加盟国は、第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪が少なくとも長期1年から3年の拘禁刑による処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 2.4の規定にしたがうことを条件として、各加盟国は、次の犯罪が少なくとも長期5年から10年の拘禁刑による処罰対象とされることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 第2条(a)に掲げる犯罪のうち「子どもを威迫して売春させもしくはポルノ的パフォーマンスに参加させること」および第2条(c)(i)に掲げる犯罪。 (b) 第2条(a)に掲げる犯罪のうち「当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること」および第2条(b)に掲げる犯罪のうち売春に関わる行為について、次に掲げる事由の少なくとも一が該当するとき。被害者が国内法上の性的同意年齢に達しない子どもであること。 犯罪者が意図的にまたは無謀な行為により子どもの生命を危うくしたこと。 当該犯罪が重大な暴力をともなっており、または当該犯罪によって子どもに重大な危害が生じたこと。 当該犯罪が、共同行動 98/733/JHA に掲げられた処罰の水準に関わらず、当該共同行動にいう組織犯罪の枠組のなかで行なわれたこと。 (c) 第2条(a)に掲げる犯罪のうち「当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること」および第2条(b)に掲げる犯罪のうちポルノ的パフォーマンスに関わる行為、ならびに、第2条(c)(ii)および(iii)ならびに第3条第1項(a)、(b)および(c)に掲げる犯罪について、被害者が国内法上の性的同意年齢に達しない子どもであり、かつ、この項の(b)の第2、第3および第4インデントに掲げられた事由の少なくとも一が該当するとき。 3.各加盟国は、第2条、第3条または第4条に掲げられた犯罪の一について有罪判決を受けた者に関し、適当なときは、子どもの監督に関わる職業上の活動を行なうことを一時的にまたは恒久的に禁止できることを確保するため、必要な措置をとる。 4.各加盟国は、第1条(b)(iii)に掲げられた児童ポルノに関わる行為について、刑事上の制裁以外の制裁または措置を含むその他の制裁を定めることができる。 第6条(法人の責任) 1.各加盟国は、個人としてまたは法人の機関の一部として行動するいずれかの自然人であって当該法人内部で指導的地位にある者が、次のいずれかの権限に基づき、かつ当該法人の利益のために第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪を行なう場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な措置をとる。 (a) 法人の代表権。 (b) 法人のために決定を行なう権限。 (c) 法人内部で管理を行なう権限。 2.すでに1で規定されている場合とは別に、各加盟国は、1に掲げられた者による監督または管理の欠如により、法人の権限に基づき活動する者が当該法人の利益のために第2条、第3条および第3条に掲げられた犯罪を行なうことが可能になる場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な措置をとる。 3.1および2に基づく法人の責任は、第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪の加害者、扇動者または共犯者である自然人に対する刑事手続を妨げるものではない。 第7条(法人に対する制裁) 1.各加盟国は、第6条第1項の規定にしたがって責任を負うものとされる法人に対し、効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁が科されることを確保するため、必要な措置をとる。当該制裁には、刑罰としてのまたは刑罰以外の金銭的制裁を含むものとし、かつ、次のもののようなその他の制裁を含むことができる。 (a) 公的な給付金または補助金の受給資格を停止すること。 (b) 商業的活動を行なう資格を一時的または恒久的に停止すること。 (c) 司法的監督のもとに置くこと。 (d) 裁判所による解散命令を発すること。 (e) 犯罪を行なうために用いられた施設を一時的にまたは恒久的に閉鎖すること。 2.各加盟国は、第6条第2項の規定にしたがって責任を負うものとされる法人に対し、効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁が科されることを確保するため、必要な措置をとる。 第8条(裁判権および訴追) 1.各加盟国は、次の場合において第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪についての裁判権を設定するため、必要な措置をとる。 (a) 当該犯罪の全部または一部が自国の領域内で行なわれるとき。 (b) 当該犯罪を行なった者が自国の国民であるとき。 (c) 犯罪が、当該加盟国の領域で設立された法人の利益のために行なわれるとき。 2.各加盟国は、犯罪が自国の領域外で行なわれる場合、1(b)および1(c)が定める裁判権の規則を適用しないことまたは特定の事案または状況にかぎって適用することを決定することができる。 3.国内法に基づいて自国民の引渡しを行なわない加盟国は、第2条、第3条および第4条に掲げられた犯罪が自国民のいずれかによって自国の領域外で行なわれる場合に当該犯罪について裁判権を設定し、かつ適当なときは訴追を行なうために、必要な措置をとる。 4.加盟国は、2項の規定を適用すると決定するときは、適当なときは当該決定が適用される特定の事案または状況も明らかにして、理事会および委員会の事務局長に対ししかるべき通告を行なう。 5.各加盟国は、第3条に基づく犯罪および関連するときは第4条に基づく犯罪が自国の領域内からアクセスされたコンピュータ・システムを利用して行なわれる場合に、当該コンピュータ・システムが自国の領域にあるか否かに関わらず、当該状況が自国の裁判権の対象に含まれることを確保する。 6.各加盟国は、第2条に掲げられた犯罪のうち少なくとももっとも重大な犯罪について、国内法にしたがって被害者が成年に達した後に当該犯罪の訴追を可能とするため、必要な措置をとる。 第9条(被害者の保護および被害者への援助) 1.加盟国は、この枠組決定の対象とされる犯罪の捜査または訴追について、少なくとも第8条第1項(a)が該当する場合に、当該犯罪の被害を受けた者による通報または告発が要件とされないことを定める。 2.第2条に掲げられた犯罪の被害者は、刑事手続における被害者の地位に関する2001年3月15日の理事会枠組決定(2001/220/JHA)第2条第2項、第8条第4項および第14条第1項にしたがい、とくに脆弱な状況にある被害者と見なされるべきである。 3.各加盟国は、被害者の家族に対する適切な援助を確保するため、可能なあらゆる措置をとる。各加盟国はとくに、適切かつ可能なときは、前項の枠組決定第4条の規定を当該規定に掲げられた家族に適用する。 第10条(領域的適用範囲) この枠組決定は、ジブラルタルにも適用される。 第11条(共同行動 97/154/JHA の廃止) 共同行動 97/154/JHA はここに廃止する。 第12条(実施) 1.加盟国は、遅くとも2006年1月20日までにこの枠組決定を遵守するために必要な措置をとる。 2.加盟国は、2006年1月20日までに、この枠組決定に基づいて課される義務を自国の国内法に編入する規定の文を、理事会および委員会の事務局長に送付する。理事会は、2008年1月20日までに、この情報を利用して作成された報告書および委員会の報告書に基づき、加盟国がこの枠組決定の規定をどの程度遵守しているかについての評価を行なう。 第13条(発効) この枠組決定は、欧州連合官報に掲載された日に効力を生ずる。 2003年12月22日にブリュッセルで作成した。 更新履歴:ページ作成(2011年8月17日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/22.html
子どもの権利委員会・一般的意見12号:意見を聴かれる子どもの権利(1) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第51会期(2009年5月25日~6月12日)採択 CRC/C/GC/12(原文英語〔ワード〕) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに II.目的 III.意見を聴かれる権利:子ども個人の権利および子ども集団の権利 A.法的分析1.第12条の文理的分析 2.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための段階的措置 3.締約国の義務 → 以下、意見を聴かれる子どもの権利(2) B.意見を聴かれる権利および条約の他の規定との関係1.第12条と第3条 2.第12条、第2条および第6条 3.第12条、第13条および第17条 4.第12条と第5条 5.第12条と子どもの権利一般の実施 C.さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施1.家庭における実施 2.代替的養護における実施 3.保健ケアにおける実施 4.教育および学校における実施 5.遊び、レクリエーション、スポーツおよび文化的活動における実施 6.労働現場における実施 → 以下、意見を聴かれる子どもの権利(3) 7.暴力の状況下における実施 8.防止戦略の策定における実施 9.移住および庇護に関わる手続における実施 10.緊急事態下における実施 11.全国的および国際的場面における実施 D.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための基本的要件 E.結論 意見を聴かれる子どもの権利 子どもの権利条約第12条は次のように規定している。 「1.締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表明する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。 2.この目的のため、子どもは、とくに、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて聴聞される機会を与えられる。」〔国際教育法研究会訳〕 訳者注/政府訳は次のとおり。この日本語訳では国際教育法研究会訳を基本とするが、view(s)は「意見」とするほか、適宜政府訳も参照する。 「1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。 2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」 I.はじめに 1.子どもの権利条約(条約)第12条は、人権条約では他に例を見ない規定である。そこでは、子どもの法的および社会的地位について扱われている。子どもは、一方では成人が有する全面的自律性を有しないが、他方では権利の主体である。第1項は、自己の意見をまとめる力のあるすべての子どもに対し、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明する権利を保障するとともに、子どもの意見がその年齢および成熟度にしたがって正当に重視されるとしている。第2項は、とくに、子どもが、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、意見を聴かれる権利を認められなければならないと述べている。 2.意見を聴かれ、かつ真剣に受けとめられるすべての子どもの権利は、条約の基本的価値観のひとつを構成するものである。子どもの権利委員会(委員会)は、第12条を条約の4つの一般原則のひとつに位置づけてきた(他の一般原則は、差別の禁止に対する権利、生命および発達に対する権利、ならびに、子どもの最善の利益の第一義的考慮である)。これは、同条はそれ自体でひとつの権利を定めているというのみならず、他のあらゆる権利の解釈および実施においても考慮されるべきであることを強調するものである。 3.1989年に条約が採択されて以来、第12条の実施を促進するための立法、政策および方法論の発展という面で、地方、国、地域および国際社会のレベルで相当の進展が達成されてきた。近年、ひとつの広範な実践が行なわれるようになってきており、これは、第12条では用語としては用いられていないものの、広く「参加」として概念化されてきている。この用語は、子どもとおとなの間の、相互の尊重にもとづいた情報共有および対話を含み、かつ、自分の意見とおとなの意見がどのように考慮されてプロセスの結果を左右するのかを子どもたちが学びうる、継続的プロセスを指すものとして発展し、広く用いられるようになったものである。 4.締約国は、子どもに関する〔国連〕総会第27回特別会期において、第12条を実現することに対する決意を再確認した[1]。しかし委員会は、世界中のほとんどの社会で、自己に影響を与える広範な問題について自分の意見を表明し、かつその意見を正当に考慮される子どもの権利の実施が、長年にわたる多くの慣行および態度ならびに政治的および経済的障壁によって阻害され続けていることに留意する。困難は多くの子どもによって経験されているが、委員会は、一部のグループの子ども(より幼い男女の子どもならびに周縁化されたおよび不利な立場に置かれた集団に属する子どもを含む)が、この権利の実現において特段の障壁に直面していることを、とくに認識するものである。委員会はまた、現に行なわれている実践の多くのものの質についても、依然として懸念する。第12条の意味内容、および、すべての子どもを対象として同条を全面的に実施する方法についての理解を深める必要がある。 [1] 総会が2002年に採択した決議S-27/2「子どもにふさわしい世界」(A world fit for children)。 5.2006年、委員会は、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議を開催した。その目的は、第12条の意味および重要性、他の条項との有機的関連、ならびに、間隙、よい実践、および、この権利の享受を前進させるために対応しなければならない優先的問題について模索することにあった[2]。この一般的意見は、その日に行なわれた(子どもとのものを含む)情報交換、締約国報告書の審査における委員会の経験の蓄積、ならびに、政府、非政府組織(NGO)、コミュニティ組織、開発機関および子どもたち自身が行なっている、第12条に定められた権利を現実のものにしようとするきわめて重要な専門的知見および経験から生まれたものである。 [2] 意見を聴かれる子どもの権利に関する一般的討議(2006年)の勧告を参照。入手先:http //www2.ohchr.org/english/bodies/crc/docs/discussion/Final_Recommendations_after_DGD.doc 6.この一般的意見では、まず第12条の2つの項の法的分析を示し、その後、とくに司法上および行政上の手続等においてこの権利を全面的に実現するための要件について説明する(A)。Bでは、第12条が条約の他の3つの一般原則とどのように結びついているか、および、他の条項とはどのような関係にあるかについて取り上げる。さまざまな状況および環境において意見を聴かれる子どもの権利が何を必要とし、かつどのような影響を及ぼすかについては、Cで概観する。Dではこの権利を実施するための基本的要件を掲げ、Eで結論を提示する。 7.委員会は、締約国が、政府および行政機構の部内において、ならびに子どもたち及び市民社会に対して、この一般的意見を広く普及するよう勧告する。そのためには、これを関連の言語に翻訳すること、子どもが理解しやすい版を利用可能とすること、一般的意見の意味合いおよび最善の実施方法について議論するためのワークショップやセミナーを開催すること、および、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家の研修にこれを組みこむことが必要になろう。 II.目的 8.この一般的意見の全般的目的は、第12条の効果的実施に関して締約国を支援することである。これに際し、一般的意見では以下のことを追求する。 第12条の意義ならびにそれが政府、利害当事者、NGOおよび社会一般にとって有する意味合いについての理解を強化すること。 第12条の全面的実施を達成するために必要な立法、政策および実践の範囲について詳細に明らかにすること。 委員会のモニタリングの経験を活用しながら、第12条の実施における積極的アプローチに光を当てること。 自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見を正当に重視するための適切な方法の基本的要件を提案すること。 III.意見を聴かれる権利:子ども個人の権利および子ども集団の権利 9.この一般的意見は、意見を聴かれる子ども個人の権利と、子ども集団(たとえばある学級の学童、近隣地域の子どもたち、ある国の子どもたち、障害のある子どもたちまたは女子)に対して適用される意見を聴かれる権利という、委員会が設けている区分にしたがって構成されている。条約は、締約国は子どもの年齢および成熟度にしたがって意見を聴かれる子どもの権利を確保しなければならないと定めているので、これは妥当な区分である(後掲・第12条第1項および第2項の法的分析を参照)。 10.年齢および成熟度の条件は、子ども個人が意見を聴かれるとき、および、子ども集団が意見表明を選択する際にも評価することが可能である。ある子どもの年齢および成熟度を評価する作業は、当該集団が家族、学童の学級または特定の近隣地域の住民といった持続的社会構造の一構成要素である場合には行ないやすくなるが、子どもたちが集団的に意見を表明する場合にはより困難となる。たとえ年齢および成熟度を評価するにあたって困難に直面したとしても、締約国は、意見を聴かれるべき集団として子どもたちをとらえるべきであり、委員会は、締約国が、集団的に声をあげる子どもたちの意見に耳を傾け、またはこのような意見を求めるためにあらゆる努力を行なうよう強く勧告する。 11.締約国は、子どもが自由な意見をまとめることを奨励すべきであり、かつ子どもが意見を聴かれる権利を行使できるような環境を提供するべきである。 12.子どもたちが表明する意見は妥当な視点および経験を付け加えてくれる可能性があるのであって、意思決定、政策立案および法律および措置の準備ならびに(または)その評価において考慮されるべきである。 13.このようなプロセスは通常、参加と呼ばれている。意見を聴かれる子どもまたは子どもたちの権利の行使は、このようなプロセスに不可欠な要素のひとつである。参加の概念においては、子どもたちを包摂することは一時的行為としてのみ位置づけられるべきではなく、子どもの生活に関連するあらゆる文脈における政策、プログラムおよび措置の発展について子どもたちとおとなたちが熱心な意見交換を行なう出発点となるべきことが重視される。 14.委員会は、この一般的意見のA節(法的分析)で、意見を聴かれる子ども個人の権利について取り上げる。C節(さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施)では、子ども個人および集団としての子どもたち双方の意見を聴かれる権利について検討する。 A.法的分析 15.条約第12条は、自己に影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明するすべての子どもの権利、および、これらの意見をその子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視される二次的権利を定めている。この権利は、この権利を承認し、かつ、子どもの意見に耳を傾けおよびそれを正当に重視することによってその実施を確保する明確な法的義務を、締約国に対して課すものである。この義務により、締約国は、自国の特有の司法制度との関連で、この権利を直接保障し、または子どもがこの権利を全面的に享受できるように法律を採択しもしくは改正することを要求される。 16.しかし、子どもにはこの権利を行使しない権利がある。意見の表明は子どもにとっては選択であり、義務ではない。締約国は、子どもが、その最善の利益にかなう決定を行なうためにあらゆる必要な情報および助言を受けることを確保しなければならない。 17.一般原則のひとつとしての第12条は、締約国が、条約に編入されている他のあらゆる権利の解釈および実施が同条を指針として行なわれることを確保するために努力すべきことを定めている [3]。 [3] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)参照。 18.第12条は、子どもにはその脆弱性(保護)またはおとなへの依存(条件整備)から派生する権利に留まらず、自己の人生に影響を及ぼす権利があることを明らかにしたものである [4]。条約は子どもを権利の主体として承認しているのであり、この国際文書が締約国によってほぼ普遍的に批准されていることは、第12条に明確に表れている子どものこのような地位を強調するものである。 [4] 条約に言及する際には、3つの「P」、すなわち条件整備(provision)、保護(protection)および参加(participation)が用いられることが一般的である。 1.第12条の文理的分析 (a)第12条第1項 (i) 「保障(確保)する」(shall assure) 19.第12条第1項は、締約国が自己の意見を自由に表明する子どもの権利を「保障(確保)する」と定めている。「保障(確保)する」とは特別な強さを有する法的用語であり、締約国の裁量の余地をまったく残さない。したがって締約国は、すべての子どもを対象としてこの権利を全面的に実施するために適切な措置をとる厳格な義務を有する。この義務には、自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見を求め、かつこれらの意見を正当に重視するための機構が設けられることを確保するための、2つの要素が含まれる。 (ii) 「自己の意見をまとめる力(形成する能力)のある」(capable of forming his or her own views) 20.締約国は、「自己の意見をまとめる(形成する)力のある」すべての子どもに対し、意見を聴かれる権利を確保するものとされる。この文言は、制限としてではなく、むしろ自律的見解をまとめる子どもの能力を可能なかぎり最大限に評価する締約国の義務としてとらえられるべきである。すなわち、締約国は、子どもに自己の意見を表明する能力がないとあらかじめ決めてかかることはできない。逆に、締約国は、子どもには自己の意見をまとめる力があると推定し、かつそれを表明する権利があることを認めるべきである。子どもがまず自己の力を証明しなければならないわけではない。 21.委員会は、第12条では子どもの意見表明権に何らの年齢制限も課されていないことを強調するとともに、締約国に対し、法律または実務において、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を聴かれる子どもの権利を制約するような年齢制限を導入しないよう奨励する。これとの関連で、委員会は以下のことを強調するものである。 第一に、乳幼児期における子どもの権利の実施に関する一般的討議後の勧告において、委員会は、権利の保有者としての子どもという考え方が「子どもの日常生活のなかに、もっとも早い段階から、……根づく」べきであると強調した [5]。調査研究の結果、子どもは、たとえ言語で自らを表現できない時期であっても、もっとも幼い年齢のころから意見をまとめられることがわかっている [6]。したがって、第12条を全面的に実施するためには、遊び、身振り、表情およびお絵描きを含む非言語的コミュニケーション形態を認識しかつ尊重することが必要である。非常に幼い子どもたちも、このような手段を通じて理解、選択および好みを明らかにする。 第二に、自己に影響を与える事柄のあらゆる側面について子どもが包括的知識を有している必要はないが、その事柄に関する自己の意見を適切にまとめることができるのに十分な理解力は必要である。 第三に、締約国には、自己の意見を聴いてもらううえで困難を経験している子どもたちを対象としてこの権利の実施を確保する義務もある。たとえば障害のある子どもは、自己の意見の表明を容易にするうえで必要ないかなるコミュニケーション形態も用意されるべきであるし、それを使えるようにされるべきである。マイノリティ、先住民族および移住者の子どもならびにマジョリティ言語を話せないその他の子どもに意見表明権を認めるための努力も行なわれなければならない。 最後に、締約国は、この権利の軽率な実践がもたらす可能性のある否定的結果も認識しておかなければならない。とりわけ、非常に幼い子どもが関与する場合、または子どもが犯罪、性的虐待、暴力その他の形態の不当な取り扱いの被害者である場合にはこれが該当する。締約国は、意見を聴かれる権利が子どもの全面的保護を確保しながら行使されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとらなければならない。 [5] CRC/C/GC/7/Rev.1, para.14.〔一般的討議勧告パラ10〕 [6] Cf. Lansdown, G., “The evolving capacities of the child”, Innocenti Research Centre, UNICEF/Save the Children, Florence (2005). (iii) 「自由に自己の意見を表明する権利」(the right to express those views freely) 22.子どもは「自由に自己の意見を表明する権利」を有する。「自由に」とは、子どもは圧力を受けることなく自己の意見を表明でき、かつ意見を聴かれる権利を行使したいか否か選べるということである。「自由に」とはまた、子どもは操作または不当な影響もしくは圧力の対象にされてはならないということも意味する。「自由に」とはさらに、子ども「自身」の視点と本質的に関連するものである。子どもには、他人の意見ではなく自分自身の意見を表明する権利がある。 23.締約国は、子どもの個人的および社会的状況を考慮した意見表明の条件と、子どもが自己の意見を自由に表明する際に尊重されておりかつ安心できると感じられる環境を、確保しなければならない。 24.委員会は、子どもは必要な回数以上に事情聴取の対象とされるべきではないことを強調する。有害な出来事の究明が行なわれるときはなおさらである。子どもの「聴取」は困難なプロセスであり、子どもに対してトラウマをもたらすような影響を与える可能性がある。 25.自己の意見を表明する子どもの権利を実現するためには、その事柄、選択肢、ならびに、子どもの意見を聴く担当者および子どもの親または保護者が行なう可能性のある決定およびそれがもたらす結果について、子どもに情報が提供される必要がある。子どもにはまた、どのような条件下で意見表明を求められるかについての情報も提供されなければならない。情報に対するこのような権利は、それが子どもが明快な決定を行なうための前提であるだけに、必要不可欠である。 (iv) 「その子どもに影響を与えるすべての事柄について」(in all matters affecting the child) 26.締約国は、子どもが、その子どもに「影響を与えるすべての事柄について」意見を表明できることを確保しなければならない。これが、この権利の第二の限定要件である。子どもは、議論の対象となっている事柄がその子どもに影響を与える場合に意見を聴かれなければならない。この基本的条件は、尊重され、かつ広義に理解されなければならない。 27.〔旧国連〕人権委員会が設置し、条約の規定を起草した、期限および参加資格等のない作業部会は、これらの事柄を定義する手段として子ども(たち)の意見の考慮を制限するリストを掲げようという提案を受け入れなかった。そうではなく、意見を聴かれる子どもの権利は「その子どもに影響を与えるすべての事柄」に及ぶべきであることが決定されたのである。委員会は、検討対象とされている事柄が子どもたちに影響を与えていること、および子どもたちがその事柄について自己の意見を表明できることが明らかである場合でさえ、子どもたちが意見を聴かれる権利をしばしば否定されていることを懸念する。委員会は、「事柄」を幅広く定義し、条約で明示的に言及されていない問題も対象とすることを支持する一方で、「その子どもに影響を与える」という一節が、一般的な政治的議題が意図されているわけではないことを明確にするために付け加えられたことを認識するものである。しかし、子どものための世界サミットを含む実践は、子ども(たち)に影響を与える事柄を広く解釈することが、そのコミュニティおよび社会の社会的プロセスに子どもたちを包摂するうえで役に立つことを実証している。したがって締約国は、子どもたちの視点によって解決策の質が高まりうる場合は常に、その意見に注意深く耳を傾けるべきである。 (v) 「子どもの意見が、その年齢および成熟度に従い、正当に重視〔相応に考慮〕される」(being given due weight in accordance with the age and maturity of the child) 28.子どもの意見は「その年齢および成熟度に従い、正当に重視され」なければならない。この一節は子どもの力に言及したものであり、子どもの意見を正当に重視するため、または子どもの意見がプロセスの結果にどのように影響したのかを子どもに伝えるためには、その子どもの力を評価する必要がある。第12条は、子どもの意見に耳を傾けるだけでは不十分であり、子どもに自己の意見をまとめる力があるときはその意見が真剣に考慮されなければならないと定めているのである。 29.第12条は、年齢および成熟度にしたがって正当に重視することを要求することにより、年齢だけで子どもの意見の重要性を決定することはできないことを明確にしている。子どもの理解力の水準はその生物学的年齢と一律に関連づけられるわけではない。調査研究の示すところによれば、子どもの意見形成能力の発達には、情報、経験、環境、社会的・文化的期待ならびに支援水準のいずれもが寄与している。このような理由から、子どもの意見は事案ごとの検討にもとづいて評価されなければならない。 30.成熟度とは、特定の事柄の意味するところを理解しおよび評価する力を指すものであり、したがって子ども個人の力を判断する際に考慮されなければならない。成熟度を定義するのは困難である。第12条の文脈では、これは諸問題に関する自己の意見を合理的にかつ独立に表明する子どもの力を意味する。その事柄が子どもに及ぼす影響も考慮されなければならない。結果が子どもの人生に及ぼす影響が大きいほど、その子どもの成熟度を適切に評価することは重要性を増す。 31.子どもの発達しつつある能力という概念ならびに親の指示および指導も考慮する必要がある(後掲パラ84およびC参照)。 (b)第12条第2項 (i) 「自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても……聴聞〔聴取〕される」権利(the right “to be heard in any judicial and administrative proceedings affecting the child) 32.第12条2項は、とくに「自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても」聴聞される機会が与えられなければならないと定めている。委員会は、この規定は子どもに影響を与えるあらゆる関連の司法手続に制限なく適用されることを強調するものである。このような手続には、たとえば、親の別居、監護、ケアおよび養子縁組、法律に抵触した子ども、身体的・心理的暴力、性的虐待その他の犯罪の被害を受けた子ども、保健ケア、社会保障、保護者のいない子ども、庇護希望者・難民の子どもならびに武力紛争その他の緊急事態の被害を受けている子どもに関わる手続が含まれる。典型的な行政的手続には、たとえば、子どもの教育、健康、環境、生活条件または保護に関する決定などがある。いずれの種類の手続にも、調停および斡旋のような代替的紛争解決機構が用いられる場合があろう。 33.聴聞される権利は、子どもが開始した手続(不当な取扱いに対する苦情申立ておよび停退学への異議申立てなど)にも、他人が開始した手続であってその子どもに影響を与えるもの(親の別居または養子縁組など)にも適用される。締約国は、司法的または行政的手続で決定を行なう者に対し、子どもの意見がどの程度考慮されるのかおよび子どもにとってどのような結果が生じるのかを説明することを要求する、立法上の措置を導入するよう奨励されるところである。 34.畏縮をもたらすような環境、敵対的な環境、配慮のない環境または子どもの年齢にふさわしくない環境では、子どもから効果的に聴聞することは不可能である。手続は、アクセスしやすく、かつ子どもにとってふさわしいという両方の条件を備えていなければならない。子どもに理解しやすい情報の提供および伝達、子どもがみずから権利擁護を行なうための十分な支援、適切な訓練を受けたスタッフ、法廷の設計、裁判官および弁護士の服装、視覚の遮蔽設備ならびに独立した控え室に対してとくに注意を払う必要がある。 (ii) 「直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて」(either directly, or through a representative or an appropriate body) 35.子どもは、聴聞に応じることを決心した後、どのような方法で――「直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて」――聴聞されるかを決定しなければならない。委員会は、いかなる手続においても、可能な場合には常に、子どもに対して直接に聴聞される機会が与えられなければならないことを勧告するものである。 36.代理人には、(両)親、弁護士またはその他の者(とくにソーシャルワーカー)がなることができる。ただし、多くの(民事、刑事または行政)事案において、子どもとそのもっとも自明な代理人((両)親)との間には利益相反のおそれがあることを強調しなければならない。子どもの聴聞が代理人を通じて行なわれるときにもっとも重要なのは、代理人が、子どもの意見を意思決定担当者に正確に伝達することである。その方法は、子どもが置かれている特定の状況に応じ、子ども(または必要なときは適切な公的機関)によって決定されるべきである。代理人は、意思決定プロセスのさまざまな側面に関する十分な知識および理解ならびに子どもとの活動経験を有していなければならない。 37.代理人は、自分はもっぱら子どもの利益を代弁しているのであって、他人((両)親)、制度または機関(たとえば居住型施設、行政または社会)の利益を代弁しているわけではないことを自覚しなければならない。子どもの意見を代弁するために任命される代理人を対象とした行動規範が策定されるべきである。 (iii) 「国内法の手続規則と一致する方法で」(in a manner consistent with the procedural rules of national law) 38.代理・代弁の機会は「国内法の手続規則と一致する方法で」与えられなければならない。この一節は、この基本的権利の享受を制約しまたは妨げる手続法の使用を認めたものとして解釈されるべきではない。逆に、締約国は、防御権および自分自身に関する書類にアクセスする権利のような、公正な手続の基本的規則を遵守するよう奨励されるところである。 39.手続規則が遵守されないときは、裁判所または行政機関の決定は異議申立ての対象となり、覆され、別段の決定が行なわれ、または裁判所によるさらなる検討のために差し戻される場合がある。 2.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための段階的措置 40.第12条の2つの項を実施する際には、ある事柄が子どもに影響を与えるあらゆる場合に、または子どもが公式の手続その他の場面で意見を述べるよう求められる場合に意見を聴かれる子どもの権利が効果的に実現されるようにするため、5つの段階的措置をとることが必要である。これらの要件は当該文脈にふさわしいやり方で適用されなければならない。 (a) 準備 41.子どもの意見を聴く責任者は、子どもには自己に影響を与えるあらゆる事柄について、および、とくにいかなる司法的および行政的意思決定プロセスにおいても意見を表明する権利があることに関して、および、表明された意見が結果にどのような影響を及ぼすかに関して、当該の子どもが知らされることを確保しなければならない。子どもに対してはさらに、やりとりは直接にまたは代理人を通じて行なう選択肢がある旨の情報も提供されなければならない。意思決定担当者は、聴聞がどのように、いつおよびどこで行なわれるかならびに誰が参加するかについて説明することにより子どもが十分な心構えを持てるようにするとともに、この点に関わる子どもの意見を考慮しなければならない。 (b) 聴聞 42.意見を聴かれる権利を子どもが行使する際には、意見を表明しやすい、励ましに富んだ環境が用意されなければならない。子どもが、聴聞の責任者であるおとなは自分が伝えようと決めたことに耳を傾け、かつそれを真剣に考慮することに対して積極的であると確信できるようにするためである。子どもの意見を聴く者としては、子どもに影響を与える事柄に関与しているおとな(たとえば教員、ソーシャルワーカー、ケアワーカー等)、機関の意思決定担当者(たとえば機関の長、管理職、裁判官等)または専門家(たとえば心理学者や医師)などが考えられる。 43.経験の示すところにより、このような状況においては一方的な吟味よりも談話の形式がとられるべきである。子どもの聴聞は公開の法廷ではなく秘密が守られる条件下で行なわれるのが望ましい。 (c) 子どもの力の評価 44.子どもの意見は、個別事案ごとの分析によりその子どもに自己の意見をまとめる力があることが示されたときは、正当に重視されなければならない。子どもに合理的かつ独立に自己の意見をまとめる力があるときは、意思決定担当者は、問題の解決における重要な要素のひとつとして子どもの意見を考慮しなければならない。子どもの力の評価に関わる望ましい実践を発展させていく必要がある。 (d) 子どもの意見がどの程度重視されたかに関する情報(フィードバック) 45.子どもは自分の意見が正当に重視される権利を享有しているので、意思決定担当者は、子どもに対してプロセスの結果を知らせ、かつ子どもの意見がどのように考慮されたかを説明しなければならない。このようなフィードバックは、子どもの意見が形式的に聴かれるだけではなく真剣に受けとめられることの保障である。このような情報がきっかけとなって、子どもはあくまで自己の意見を主張し、同意しもしくは別の提案を行なうか、司法的・行政的手続の場合には上訴もしくは不服申立てを行なう可能性もある。 (e) 苦情申立て、救済措置および是正措置 46.意見を聴かれ、かつそれを正当に重視される権利がないがしろにされかつ侵害された場合の苦情申立て手続および救済措置を子どもたちに提供するための立法が必要とされる [7]。子どもたちは、苦情の声をあげるため、あらゆる子ども施設、とくに学校および保育所において、オンブズマンまたはこれに相当する役割を果たす者に相談する可能性を保障されるべきである。子どもたちは、これらの者がどういう人であり、かつどうすればこれらの者にアクセスできるかを知っていなければならない。子どもの意見の考慮に関して家庭内で紛争が生じたときは、子どもが地域青少年サービスの関係者に相談できるようにするべきである。 [7] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)、パラ24参照。 47.意見を聴かれる子どもの権利が司法的および行政手続との関連で侵害されたとき(第12条第2項)は、子どもは、権利侵害に対する救済措置を提供してくれる異議申立ておよび苦情申立ての手続にアクセスできなければならない。苦情申立て手続においては、手続を利用しても暴力または処罰のおそれにさらされることはないと子どもが確信を持てるようにするための、信頼のできるしくみが用意されなければならない。 → 意見を聴かれる子どもの権利(2)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年5月2日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/18.html
子どもの権利委員会・一般的意見10号:少年司法における子どもの権利(前編) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第44会期(2007年1月15日~2月2日)採択 CRC/C/GC/10(原文英語〔PDF〕) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに II.この一般的意見の目的 III.少年司法:包括的政策の主導的原則 IV.少年司法:包括的政策の中核的要素 A.少年非行の防止 B.介入/ダイバージョン(後掲Eも参照) C.年齢と、法に抵触した子ども D.公正な審判のための保障 → 中編 E.処分(前掲IV章Bも参照) F.自由の剥奪(審判前の勾留および審判後の収容を含む) → 後編 V.少年司法の組織 VI.意識啓発および訓練 VII.データ収集、評価および調査研究 I.はじめに 1.締約国は、子どもの権利に関する委員会(以下「委員会」)に提出する報告において、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子ども(「法律に抵触した子ども」とも称される)の権利についてかなり詳細な注意を払うことが多い。委員会の定期報告書ガイドラインにしたがい、子どもの権利に関する条約(以下「条約」)第37条および第40条の実施状況が、締約国によって提供される情報の主たる焦点である。委員会は、条約にしたがって少年司法の運営を確立しようとする多くの努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら、たとえば手続的権利、法に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置の開発および実施、ならびに、最後の手段に限られた自由の剥奪の利用等の分野において、多くの締約国が、条約の全面的遵守の達成にはいまなおほど遠い状況にあることもまた明らかである。 2.委員会は同様に、子どもが法律に抵触することを防止するために締約国がとった措置に関する情報が欠けていることを懸念する。これは、少年司法分野で包括的政策が存在しないことによるのかもしれない。このことが、法律に抵触した子どもの取扱いについて多くの締約国が(きわめて)限られた統計的データしか提供しないことの理由である可能性もある。 3.少年司法分野における締約国の履行状況を検討してきた経験こそ、委員会がこのような一般的意見を作成した理由である。委員会は、この一般的意見によって、締約国に対し、条約にしたがって少年司法の運営を確立するための努力に関わるより詳細な指針および勧告を提示したいと考える。このような少年司法においては、とくにダイバージョンおよび修復的司法のような代替的措置の活用が促進されるべきであり、締約国はこれによって、法律に抵触した子どもに、これらの子どもの最善の利益のみならず社会全体の短期的・長期的利益にもかなう、いっそう効果的な方法で対応できるようになろう。 II.この一般的意見の目的 4.委員会は最初に、条約では締約国に対して包括的な少年司法政策の策定および実施が求められていることを強調しておきたい。このような包括的アプローチは、条約第37条および第40条に掲げられた具体的規定の実施に限定されるのではなく、条約第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた一般原則ならびに条約の他のあらゆる関連条項(第4条および第39条等)も考慮に入れたものであるべきである。したがって、この一般的意見の目的は次のとおりとなる。 条約にもとづいて、かつ条約にしたがって少年非行を防止しかつこれに対応するための包括的な少年司法政策を策定および実施するとともに、これに関わって、国連経済社会決議1997/30で設置され、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連児童基金(UNICEF)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)および非政府組織(NGO)の代表が参加する「少年司法に関する機関横断パネル」の助言および支援を得るよう、締約国に対して奨励すること。 少年非行の防止、司法手続によることなく少年非行に対応することを可能にする代替的措置の導入、ならびに、条約第37条および第40条の他のあらゆる規定の解釈および実施にとくに注意を払いながら、このような包括的な少年司法政策の内容について締約国に指針および勧告を提示すること。 他の国際基準、とくに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、自由を奪われた少年の保護に関する国連指針(ハバナ規則)および少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)が、国レベルの包括的な少年司法政策に統合されることを促進すること。 III.少年司法:包括的政策の主導的原則 5.条約の諸要件についてより詳しく展開する前に、委員会は、少年司法に関する包括的政策の主導的原則をまず挙げておきたいと考える。少年司法の運営にあたって、締約国は、条約第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた一般原則、ならびに、条約第37条および第40条に掲げられた少年司法の基本的原則を体系的に適用しなければならない。 差別の禁止(第2条) 6.締約国は、法律に抵触したすべての子どもが平等に取り扱われることを確保するために、あらゆる必要な措置をとらなければならない。事実上の差別および格差に対し、特段の注意を払わなければならない。このような差別および格差は、一貫した政策が存在しないことを理由として、ストリートチルドレン、人種的、民族的、宗教的または言語的マイノリティに属する子ども、先住民族の子ども、女児、障害のある子どもおよび繰り返し法律に抵触する子ども(累犯者)のような、被害を受けやすい立場に置かれた集団の子どもに関わって生じる可能性がある。これとの関連で、少年司法の運営に携わるあらゆる専門家の訓練(後掲パラ97参照)が、罪を犯した子どもの平等な取扱いを増進しかつ是正措置、救済および補償を提供する規則、規定または手順書の確立とともに、重要である。 7.法律に抵触した子どもの多くは、たとえば教育または労働市場へのアクセスを試みたときに、差別の被害者ともなる。とくに、かつて罪を犯した子どもが社会に再統合しようと努力するさいに適切な支援および援助を提供することによって、このような差別を防止し、かつ、社会において建設的な役割を担うこれらの子どもの権利(条約第40条1項)を強調する公的キャンペーンを行なうための措置をとることが必要である。 8.刑法に、浮浪、怠学、家出など、心理的または社会経済的問題の結果であることが多い子どもの行動上の問題を犯罪化する条項が掲げられていることは、きわめてよく見られる。とりわけ、女児およびストリートチルドレンがこのような犯罪化の被害者であることが多いのは懸念の対象である。地位犯罪としても知られるこれらの行為は、成人が行なった場合には犯罪とは見なされない。委員会は、締約国に対し、子どもと成人について法のもとにおける平等な取扱いを確立する目的で、地位犯罪に関する規定を廃止するよう勧告する。これとの関連で、委員会はまた、リャド・ガイドライン第56条も参照するよう求めるものである。そこでは次のように定められている。「青少年がさらなるスティグマ(烙印)、被害および犯罪者扱いの対象となることを防止する目的で、成人が行なった場合には犯罪と見なされないまたは処罰されないいずれかの行為は、青少年が行なった場合にも犯罪と見なされないまたは処罰されないことを確保するため、法律が制定されるべきである」 9.加えて、浮浪、路上徘徊または家出のような行動への対応は、親および(または)その他の養育者への効果的支援を含む子ども保護措置、および、このような行動の根本的原因に対応する措置の実施を通じて、行なわれるべきである。 子どもの最善の利益(第3条) 10.少年司法の運営との関わりで行なわれるすべての決定において、子どもの最善の利益が第一義的に考慮されなければならない。子どもは、その身体的および心理的発達ならびに情緒的および教育的ニーズの面で、成人とは異なる。このような違いが根拠となって、法律に抵触した子どもの有責性は軽減されるのである。これらのものをはじめとする違いこそが独立の少年司法制度を設けなければならない理由であり、そこでは子どもの異なる取扱いが要求される。子どもの最善の利益を保護するとは、たとえば、罪を犯した子どもに対応するさいには刑事司法の伝統的目的(禁圧/応報)に代えて立ち直りおよび修復的司法という目的が追求されなければならないということである。このような対応は、実効的な公共の安全にも注意しながら進めることができる。 生命、生存および発達に対する権利(第6条) 11.すべての子どもが有しているこの固有の権利は、締約国が少年非行の防止のための効果的な国の政策およびプログラムを策定するにあたり、指針および示唆の源とされるべきである。非行が子どもの発達にきわめて否定的な影響を及ぼすことは、言うまでもないからである。さらに、この基本的権利は、子どもの発達を支援するような方法で少年非行に対応するための政策につながらなければならない。死刑および仮釈放の可能性のない終身刑は、条約第37条(a)で明示的に禁じられている(後掲パラ75-77参照)。自由の剥奪の利用は、調和のとれた子どもの発達にとってきわめて重大な帰結をもたらすとともに、社会への子どもの再統合を深刻に阻害する。これとの関連で、条約第37条(b)は、発達に対する子どもの権利が全面的に尊重および確保されるよう、逮捕、拘禁または収監を含む自由の剥奪は最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられるべきことを、明示的に規定しているところである(後掲パラ78-88参照)[1]。 [1] 自由を奪われた子どもに対して条約で認められている諸権利は、法律に抵触した子どもに対しても、ケア、保護もしくは治療(精神保健的治療、教育的治療および薬物治療を含む)のための施設、児童保護施設または出入国管理施設に措置された子どもに対しても適用されることに注意。 意見を聴かれる権利(第12条) 12.子どもに関わるあらゆる事柄について自由に自己の見解を表明する子どもの権利は、少年司法手続のすべての段階を通じて全面的に尊重および実施されるべきである(後掲パラ43-45参照)。委員会は、少年司法制度に関わった子どもたちの声がますます、改善および改革のための、かつ権利の充足のための、強力な原動力になりつつあることに留意する。 尊厳(第40条1項) 13.条約は、法律に抵触した子どもに与えられるべき取扱いについての一連の基本的原則を定めている。 尊厳および価値についての子どもの意識に合致した取扱い。この原則は、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等であると定める世界人権宣言第1条に掲げられた基本的人権を反映するものである。尊厳および価値に対する固有の権利は、条約前文でも明示的に言及されているものであり、法執行機関との最初の接触から子どもに対応するあらゆる措置の実施に至るまでの、子どもに対応する手続全体を通じて尊重および保護されなければならない。 子どもによる、他の者の人権および基本的自由の尊重を強化する取扱い。この原則は、前文において、子どもは国際連合憲章に宣明された理想の精神のもとで育てられるべきであるとされていることと合致するものである。この原則はまた、少年司法制度において、子どもの取扱いおよび教育が人権および自由の尊重を発展させることを目的として行なわれなければならないということも意味する(条約第29条1項(b)および教育の目的に関する一般的意見1号参照)。このような少年司法の原則により、条約第40条2項で認められている公正な裁判のための保障が全面的に尊重されかつ実施されなければならないことは、明らかである(後掲パラ40-67参照)。警察官、検察官、裁判官および保護観察官など、少年司法における重要な主体がこれらの保障を全面的に尊重および保護しようとしなければ、このような貧弱な範しか示されなかった子どもが他の者の人権および基本的自由を尊重するようになることなど、どのようにして期待できるだろうか。 子どもの年齢を考慮に入れた、かつ、子どもが社会復帰しかつ社会において建設的な役割を果たすことを促進する取扱い。この原則は、法執行機関との最初の接触から子どもに対応するあらゆる措置の実施に至るまでの、子どもに対応する手続全体を通じて適用、遵守および尊重されなければならない。この原則により、少年司法の運営に携わるあらゆる専門家は、子どもの発達、子どもの力強くかつ継続的な成長、子どもの福祉にとって適切な対応、および、子どもを対象として蔓延している諸形態の暴力について、知悉していることが求められる。 子どもの尊厳が尊重されるようにするためには、法律に抵触した子どもの取扱いにおけるあらゆる形態の暴力が禁止および防止されなければならない。委員会が受け取ってきた報告によれば、暴力は、警察との最初の接触から、審判前の勾留の最中、および、自由剥奪刑を言い渡された子どものための処遇施設その他の施設での滞在中に至るまでの、少年司法手続のあらゆる段階で発生している。委員会は、締約国に対し、このような暴力を防止し、かつ加害者が裁判にかけられることを確保するために効果的な措置をとるとともに、2006年10月に国連総会に提出された「子どもに対する暴力に関する国連研究」報告書で行なわれている勧告を効果的にフォローアップするよう、促すものである。 14.委員会は、公共の安全の保全が司法制度の正当な目的のひとつであることを認知する。しかし委員会は、この目的の達成にもっとも役立つのは、条約に掲げられた少年司法の主導的かつ総括的な原則を全面的に尊重および実施することであるという見解をとるものである。 IV.少年司法:包括的政策の中核的要素 15.少年司法に関する包括的政策においては、次の中核的要素が取り上げられなければならない。すなわち、少年非行の防止、司法手続によらない介入および司法手続の文脈における介入、刑事責任に関する最低年齢および少年司法の適用年齢の上限、公正な審判のための保障、ならびに、自由の剥奪(審判前の勾留および審判後の収容を含む)である。 A.少年非行の防止 16.条約の実施におけるもっとも重要な目標のひとつは、子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力の完全なかつ調和のとれた発達を促進することである(前文ならびに第6条・第29条)。子どもは、自由な社会において個人として責任のある生活を送るための準備ができるようにされるべきであり(前文・第29条)、そのような社会において、人権および基本的自由に関わって建設的な役割を担うことができなければならない(第29条・第40条)。これとの関連で、親には、条約において認められる権利を子どもが行使するにあたって、子どもの発達しつつある能力と一致する方法で適当な指示および指導を行なう責任がある。これらのものをはじめとする条約の規定に照らせば、犯罪活動に従事するようになるおそれを高めさせ、またはそのような重大なおそれを引き起こす可能性のある環境のもとで子どもが成長することが、子どもの最善の利益にそぐわないことは明らかである。十分な生活水準(第27条)、到達可能な最高水準の健康および保健ケアへのアクセス(第24条)、教育(第28条・第29条)、あらゆる形態の身体的もしくは精神的暴力、傷害または虐待(第19条)および経済的または性的搾取(第32条・第31条)からの保護、ならびに、子どものケアまたは保護のためのその他の適切なサービスに対する諸権利を全面的にかつ平等に実施するために、種々の措置がとられなければならない。 17.上述のように、少年非行の防止を目的とした一連の措置を欠いた少年司法政策には重大な欠陥がある。締約国は、少年司法に関する自国の包括的な国家政策のなかに、1990年12月14日に国連総会(決議45/112)で採択された少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)を全面的に統合するべきである。 18.委員会はリャド・ガイドラインを全面的に支持するとともに、とくに家族、コミュニティ、仲間集団、学校、職業訓練および仕事の世界ならびにボランティア組織を通じて、あらゆる子どもが社会化と統合を果たすことを促進するような防止政策が重視されるべきであるという点について同意するものである。このことはとりわけ、防止政策においては、とくに脆弱な立場に置かれた家族を支援すること、基本的価値観に関する教育(法律にもとづく子どもと親の権利および責任についての情報を含む)に学校が関与すること、および、危険な状態に置かれている若者に特別なケアおよび注意を向けることに焦点が当てられなければならないということを意味する。これとの関連で、学校から脱落した子どもまたはその他の形で教育を修了していない子どもにも、特段の注意が向けられるべきである。仲間集団による支援の活用および親の強力な関与が推奨される。締約国はまた、子ども(とくに繰り返して法律に抵触する子ども)の特別なニーズ、問題、関心事および利益に対応し、かつその家族に適切なカウンセリングおよび指導を提供するような、コミュニティを基盤とするサービスおよびプログラムも発展させるべきである。 19.条約第18条および第27条は子どもの養育に対する親の責任の重要性を確認しているが、条約は同時に、締約国に対し、親(または他の養育者)が親としての責任を果たすにあたって必要な援助を与えることも求めている。援助のための措置は、否定的な状況が生ずることの防止のみならず、親の社会的可能性の促進にもよりいっそうの焦点を当てるようなものであるべきである。親の訓練、親子の相互交流増進プログラムおよび家庭訪問プログラムのような、家庭および家族を基盤とする防止プログラムについては豊富な情報が存在しており、またこれらのプログラムは子どもがごく幼い段階から開始することができる。これに加えて、乳幼児期教育が将来の暴力および犯罪の発生率の低下と相関関係にあることもわかっている。コミュニティ・レベルでは、リスクに焦点を当てた防止戦略である「配慮に満ちたコミュニティ」(CTC)のようなプログラムによって成果が得られてきた。 20.締約国は、防止プログラムの開発および実施に、条約第12条にしたがって子どもが、また親、コミュニティの指導者その他の重要な主体(たとえばNGO、保護観察機関およびソーシャルワーク機関の代表)が参加することを全面的に促進および支援するべきである。このような参加の質こそが、これらのプログラムの成功の鍵となる。 21.委員会は、締約国が、効果的な防止プログラムを開発する取り組みを進めるにあたって「少年司法に関する機関横断パネル」の支援および助言を求めるよう勧告する。 B.介入/ダイバージョン(後掲Eも参照) 22.刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもに対応するにあたって、国の機関は2種類の介入策を用いることができる。司法手続によらない措置と、司法手続の文脈における措置である。委員会は、締約国に対し、これらの措置において子どもの人権および法的保障が全面的に尊重および保護されることを確保するために最大限の配慮がなされなければならないことを、想起するよう求める。 23.法律に抵触した子ども(累犯者である子どもを含む)は、子どもが社会に再統合し、かつ社会において建設的な役割を担うことを促進するような方法で取り扱われる権利を有する(条約第40条1項)。子どもの逮捕、拘禁または収監は、最後の手段としてでなければ用いてはならない(第37条(b))。したがって、子どもがその福祉にとって適切で、かつその状況および行なわれた犯罪のいずれにも見合う方法で取り扱われることを確保するための広範な効果的措置を――少年司法に関する包括的政策の一環として――発展させ、かつ実施することが必要となる。これらの措置には、ケア、指導および監督の命令、カウンセリング、保護観察、里親養護、教育および職業訓練のプログラムならびに施設内処遇に代わる他の代替的措置などの、多様な処分が含まれるべきである(第40条4項)。 司法手続によらない介入 24.条約第40条3項によれば、締約国は、適当かつ望ましいときは常に、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を促進するよう努めなければならない。罪を犯した子どもの大半は軽微な犯罪を行なったにすぎないことを踏まえれば、刑事/少年司法手続による処理からの除外およびこれに代わる(社会)サービスへの付託(すなわちダイバージョン)をともなう一連の措置が、ほとんどの事件において利用可能な、かつ利用されるべき実務として定着することが求められる。 25.委員会の見解では、法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を促進する締約国の義務は、万引きまたは被害が限定されたその他の財産犯罪のような軽微な犯罪を行なった子ども、および初犯の子どもに対して適用される(ただし、もちろんこれに限られるものではない)。多くの締約国の統計が示すところによれば、子どもが行なう犯罪のかなりの部分(しばしば大半)はこれらの範疇に属するものである。このようなあらゆる事件を裁判所における刑事司法手続によらずに取り扱うことは、条約第40条1項に掲げられた諸原則に一致している。このようなアプローチは、スティグマの付与の回避につながるのに加えて、子どもにとっても公共の安全の利益にとっても望ましい結果をもたらすとともに、費用対効果もいっそう高いことが証明されてきた。 26.締約国は、法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を自国の少年司法制度の不可欠な要素として位置づけるとともに、当該措置において子どもの人権および法的保障が全面的に尊重および保護されることを確保するべきである(第40条3項(b))。 27.法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置の正確な性質および内容について決定し、かつその実施のために必要な立法上その他の措置をとることは、締約国の裁量に委ねられている。とはいえ、一部締約国の報告書で提供された情報にもとづき、コミュニティを基盤とする多様なプログラムが開発されてきたことは明らかである。これには、社会奉仕、たとえばソーシャルワーカーまたは保護観察官による監督および指導、ファミリー・コンファランス〔家族集団会議〕ならびにその他の形態の修復的司法措置(被害者に対する原状回復および賠償を含む)などがある。他の締約国はこれらの経験を活用するべきである。人権および法的保障の全面的尊重に関しては、委員会は条約第40条の関連規定を参照するよう求めるとともに、次の点を強調するものである。 ダイバージョン(すなわち、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置)は、申立てられた犯罪を子どもが行なったこと、子どもが自由にかつ自発的に責任を認めており、かつ当該責任を認めさせるためにいかなる脅迫または圧力も用いられなかったこと、ならびに、最後に、子どもが当該責任を認めたことがその後のいかなる法的手続においても子どもの不利になるような形で用いられないことについて確証がある場合にのみ、活用されるべきである。 子どもは、ダイバージョンについて、自由なかつ自発的な同意を書面で与えなければならない。このような同意は、措置の性質、内容および期間、ならびに、措置に協力せず、これを実行せずおよび修了しなかった場合の対応に関する、十分かつ具体的な情報にもとづいて与えられるべきである。締約国は、親の関与を強化する目的で、とくに子どもが16歳未満である場合には、親の同意も要件とすることを考慮してもよい。 法律には、どのような場合にダイバージョンが可能かを明らかにする具体的規定が置かれていなければならず、またこの点に関わる決定を行なう警察、検察官および(または)その他の機関の権限は、とくに子どもを差別から保護する目的で、規制および審査の対象とされるべきである。 子どもに対しては、権限ある機関から提示されたダイバージョンの適切さおよび望ましさならびに当該措置の再審査の可能性について、弁護士その他の適切な援助を行なう者と協議する機会が与えられなければならない。 子どもがダイバージョンを完了したことをもって、事件の確定的および最終的終結とされるべきである。ダイバージョンについての秘密記録を行政上および再審査上の目的で保管することはできるが、当該記録は「犯罪記録」ととらえられるべきではなく、また過去にダイバージョンの対象とされた子どもが前科を有するものと見なされてはならない。ダイバージョンについていずれかの登録が行なわれるときは、当該情報へのアクセス権は、法律に抵触した子どもに対応する権限を認められた機関に対して専権的に、かつ期間を限定して(たとえば最大1年)認められるべきである。 司法手続の文脈における介入 28.権限ある機関(通常は検察官事務所)によって司法手続が開始されるときは、公正な審判の原則が適用されなければならない(後掲D参照)。同時に、少年司法制度においては、社会的および(または)教育的措置を活用することによって法律に抵触した子どもに対応し、かつ、最後の手段としての自由の剥奪(およびとくに審判前の勾留)の使用を厳格に制限するための豊富な機会が用意されるべきである。手続の処分段階においては、自由の剥奪は最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられなければならない(第37条(b))。すなわち締約国は、指導および監督の命令、保護観察、社会内モニタリングまたはデイ・レポート・センター〔通所型保護観察施設〕、ならびに自由の剥奪からの早期釈放の可能性のような措置を最大限にかつ効果的に活用できるように、十分な訓練を受けた職員による保護観察機関を整備することが求められる。 29.委員会は、条約第40条1項にしたがって、再統合のためには、スティグマの付与、社会的孤立または子どもに関する否定的な情報公開といった、コミュニティへの子どもの全面的参加を阻害しうるいかなる行動もとられてはならないことを想起するよう、締約国に求める。法律に抵触した子どもが再統合を促進するような方法で取り扱われるようにするために、子どもが社会の完全かつ建設的な構成員になることが、あらゆる行動によって支援されるべきである。 C.年齢と、法に抵触した子ども 刑事責任に関する最低年齢 30.締約国によって提出された報告書が示すところによれば、刑事責任に関する最低年齢については広範な幅が存在する。7~8歳という非常に低い水準から、14~16歳という、賞賛に値する高い水準までさまざまである。刑事責任に関して2つの最低年齢を用いている国もかなり多い。法律に抵触した子どものうち、犯罪遂行時に低いほうの最低年齢には達しているものの高いほうの最低年齢に達していない者は、この点に関して必要な成熟度を有している場合にのみ、刑事責任を有すると推定されるのである。このような成熟度の評価は、しばしば心理学の専門家の関与を要件としないまま、裁判所/裁判官に委ねられており、そのため重大な犯罪の場合には低いほうの最低年齢を用いるという実務が行なわれている。2つの最低年齢を用いる制度はしばしば混乱を招くのみならず、裁判所/裁判官の裁量に多くが委ねられ、結果として差別的実務が行なわれる可能性が生ずる。刑事責任に関する最低年齢についてこのような広い幅があることに照らし、委員会は、刑事責任に関する最低年齢について明確な指針と勧告を締約国に示す必要があると感ずるものである。 31.条約第40条3項は、締約国に対し、とくに、刑法に違反する能力を有しないと推定される最低年齢の確立の促進に努めるよう求めているが、この点に関わる具体的な最低年齢は挙げていない。委員会は、この規定を、締約国が刑事責任に関する最低年齢(MACR)を設ける義務として理解するものである。このような最低年齢とは、次のことを意味する。 当該最低年齢に達しない年齢のときに罪を犯した子どもは、刑法上の手続において責任を問うことはできない。確かに(きわめて)若年の子どもでさえ刑法に違反する能力は有しているが、その子どもが罪を犯したときにMACRに達していなければ、刑法上の手続において正式に告発し、かつ責任を問うことはできないという反駁不能の推定が成立する。このような子どもについては、その最善の利益のために必要であれば、特別な保護措置をとることができる。 犯罪遂行時に(すなわち刑法に違反したときに)MACRには達していたが18歳未満であった子ども(後掲パラ35-38参照)は、正式に告発し、かつ刑法上の手続の対象とすることができる。ただしこれらの手続(終局的結果を含む)は、この一般的意見で詳しく述べられている条約の原則および規定を全面的に遵守するものでなければならない。 32.北京規則の規則4は、情緒的、精神的および知的成熟に関する事実を念頭に置き、MACRの始期はあまりにも低い年齢に定められてはならないと勧告している。この規則にしたがい、委員会は、締約国に対し、MACRをあまりにも低い水準に設定するべきではないこと、および、現行の低いMACRを国際的に受け入れられている水準まで引き上げることを勧告してきた。これらの勧告から、刑事責任に関する最低年齢が12歳に満たないときには、委員会はこれを国際的に受け入れられるものとは見なさないという結論を導き出すことができる。締約国は、これよりも低いMACRを12歳まで引き上げて絶対的最低年齢とし、かつ、これよりも高い年齢水準への引き上げを継続するよう奨励される。 33.委員会は同時に、締約国に対し、自国のMACRを12歳まで引き下げることがないよう促す。より高い、たとえば14歳または16歳というMACRは、条約第40条3項(b)にしたがい、法律に抵触した子どもを司法的手続によらずに取り扱う少年司法制度(ただし、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されることを条件とする)に貢献するものである。これとの関連で、締約国は、自国の法律で定められたMACRに満たない子どもが刑法に違反したとして認定され、またはそのように申し立てられもしくは罪を問われた場合にどのように取り扱われるか、および、そのような子どもの取扱いがMACR以上の子どもの取扱いと同じぐらい公正かつ正当であることを確保するためにどのような法的保障が設けられているかについて、自国の報告書において、具体的な形で詳しく委員会に情報を提供することが求められる。 34.委員会は、MACRに関する例外を認める慣行について懸念を表明したい。これは、子どもがたとえば重大な犯罪を行なったとして罪に問われている場合、または子どもが刑事責任を問うのに十分な成熟度を有していると見なされる場合に、刑事責任に関するより低い最低年齢を用いてもよいとするものである。委員会は、締約国が、例外としてより低い年齢を用いることを認めないような形でMACRを定めるよう強く勧告する。 35.年齢の証明がなく、かつ子どもがMACRに達していることが立証できないときは、その子どもは刑事責任を有しないものとされなければならない(後掲パラ39参照)。 少年司法に関する年齢の上限 36.委員会はまた、少年司法の諸規則の適用に関する年齢の上限に対しても締約国の注意を促したい。これらの特別規則は――特別な手続規則ならびにダイバージョンおよび特別措置に関する規則のいずれの面でも――、その国で定められたMACRに始まって、犯罪(または刑法で処罰対象とされている行為)を行なったとされた時点で18歳に達していなかったすべての子どもに適用されるべきである。 37.委員会は、締約国が、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われ、または認定された場合に条約第40条の規定にしたがって取り扱われる、すべての子どもの権利を認めたことを想起するよう求めたい。このことは、罪を犯したとされる時点で18歳未満であったすべての者は、少年司法の諸規則にしたがって取り扱われなければならないことを意味する。 38.したがって委員会は、自国の少年司法の諸規則の適用を16歳(またはそれ以下の年齢)未満の子どもに限定している締約国、または16歳ないし17歳の子どもが例外的に成人犯罪者として扱われることを認めている締約国に対し、少年司法の諸規則が18歳未満のすべての者を対象として差別なく全面的に実施されるようにする目的で法律を改正するよう勧告する。委員会は、一部の締約国が、一般的規則としてまたは例外としてのいずれであるかに関わらず、少年司法の諸規則を18歳以上の者に対して(通常は21歳まで)適用することを認めていることについて、評価の意とともに留意するものである。 39.最後に、委員会は、とくにすべての子どもが出生後ただちに登録されることを求めた条約第7条の全面的実施のためには、いずれかの方法で年齢制限を定めることがきわめて重要であることを強調したい。これはあらゆる締約国にとって当てはまることである。生年月日を証明できない子どもは、家族、仕事、教育および労働に関して、とくに少年司法制度内で、あらゆる種類の虐待および不公正な取扱いをきわめて受けやすくなる。すべての子どもは、自分の年齢を証明するために必要なときは常に、出生証明書を無償で提供されなければならない。年齢の証明がない場合、子どもは、年齢を立証できる可能性のある、信頼できる医学的または社会的調査の対象とされる資格を有し、かつ、証拠に矛盾がある場合または決定的な証拠がない場合には、灰色の利益の原則の対象とされる権利を有する。 → 中編に続く 更新履歴:ページ作成(2011年4月24日)。
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/6084.html
autolink() SS/WE15-32 カード名:理屈と気持ち 悠二 カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:1 コスト:1 トリガー:0 パワー:6500 ソウル:1 特徴:《炎》?・《蛇》? 【自】アンコール[手札のキャラを1枚控え室に置く](このカードが舞台から控え室に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、このカードがいた枠にレストして置く) ノーマル:言ったろ、一人じゃなきゃ罰の意味がないって! パラレル:絶対に、嫌だ!! レアリティ:C illust. 全タイトルを通しても初登場となる、青の1/1/6500手札アンコール持ち。 タイトル内では赤にも同スペックのアラストールの契約者 シャナが既に存在する。デッキの色に合ったものを選びたい。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/336.html
欧州評議会・教育現場における子どものデータ保護(ガイドライン) 個人データの自動処理に係る個人の保護に関する条約諮問委員会 条約第108号 2020年11月20日 T-PD(2019)06BISrev5 原文:英語 日本語仮訳:平野裕二(日本語訳PDF) 教育現場における子どものデータ保護(ガイドライン) 目次 1.はじめに 2.適用範囲および目的 3.ガイドラインの適用上の定義 4.データ処理の原則 5.教育現場における子どもの権利の基本的原則5.1 子どもの最善の利益 5・2 子どもの発達しつつある能力 5.3 意見を聴かれる権利 5.4 差別の禁止に対する権利 6.立法者および政策立案者に対する勧告6.1 立法、政策および実務の見直し 6.2 意見を聴かれる子どもの権利のための効果的支援の提供 6.3 子どもの権利の承認および統合 7.データ管理者に対する勧告7.1 正当性および法定根拠 7.2 公正性 7.3 リスク評価 7.4 データ保持 7.5 教育現場における個人データの安全管理 7.6 自動化された意思決定およびプロファイリング 7.7 生体データ 8.業界に対する勧告8.1 基準 8.2 透明性 8.3 データ保護およびプライバシーに関連するデザイン特性 1.はじめに デジタル環境はさまざまな形で子どもたちの生活を形成しており、子どもたちのウェルビーイングおよび人権の享受にとって機会とリスクをつくり出している。デジタルツールのなかには、必要不可欠な情報の提供を可能にし、教室の外で学校コミュニティを結びつけることにつながるものも存在する。また、教育コンテンツの共有手段を提供したり、支援技術および補助コミュニケーションを通じて重要な代替的教育手段および教育様式を提示したりするものもある。 このガイドライン [1] は、現代化された条約第108号(「条約第108号プラス」と称されるのがより一般的である)[2] 第3条の適用範囲内で、かつデジタル環境における子どもに関するガイドライン勧告CM/Rec(2018)7 [3] を含むCoE文書にしたがって、諸機関および個人が教育との関係でデジタル環境における子どものデータ保護権の尊重、保護および充足を図っていく際の支えとなるはずである。 [1] このガイドラインは、Jen Persson(defenddigitalme代表)が起草した報告書 "Children s Data Protection in Education Systems Challenges and Possible Remedies"(https //rm.coe.int/t-pd-2019-06rev-eng-report-children-data-protection-in-educational-sys/168098d309 より参照可能)を踏まえ、その内容を発展させたものである。 [2] 条約第108号プラス:改正議定書CETS 223により現代化された個人データの自動処理に係る個人の保護に関する条約。https //rm.coe.int/convention-108-convention-for-the-protection-of-individuals-with-regar/16808b36f1 より参照可能。 [3] デジタル環境における子どもの権利の尊重、保護および充足のためのガイドライン(デジタル環境における子どもに関する欧州評議会ガイドライン)に関する加盟国への閣僚委員会勧告CM/Rec(2018)7。https //rm.coe.int/guidelines-to-respect-protect-and-fulfil-the-rights-of-the-child-in-th/16808d881a 国連・子どもの権利条約委員会は2001年に次のように述べている。 「子どもは校門をくぐることによって人権を失うわけではない。……教育は子どもの固有の尊厳を尊重し、……子どもの自由な意見表明や学校生活への参加を可能にするような方法で提供されなければならない。……」〔訳者注/「教育の目的」に関する国連・子どもの権利委員会の一般的意見1号、パラ8〕 教室にデジタルツールを導入することは、事実上、子どもたちの日常的活動に関わる広範なかつ多数のステークホルダーに対して校門を開放することになる。教育現場で採用されるデバイスならびにアプリケーション、ソフトウェアおよび学習プラットフォームの大多数は、民間の商業的主体によって開発されたものである。 ステークホルダーは、データ保護との関係で、権利が尊重される環境をつくり出し、欧州人権条約第8条〔訳者注/私生活・家族生活等の尊重〕を擁護し、かつすべての個人の人間の尊厳および基本的自由を保護するために、協働することが求められる。 多くの商業的教育ソフトウェアは「フリーウェア」として知られている。直接の金銭的負担なしに教育現場に提供されるソフトウェアである。EU電子商取引指令(第1条1)にしたがえば、これは一般的に「有償で提供される」情報社会サービス [4] の定義に該当することになろう。教育テクノロジーの拡大は、独立の学校のみならず「公立」または「国(州)立」学校においても、非国家主体が日常的に子どもたちの教育上の記録を管理することを意味しうる。国の教育を提供するデジタルインフラは商業的に所有されていることが多い。このことは、コンテンツの態様および提供のあり方がテクノロジープラットフォームによって定められている場合にカリキュラムの管理権はどこに存するのかという新たな問題や、安全性および持続可能性の問題が生じることにつながりうる。 [4] たとえば、GDPR〔訳注/EU一般データ保護規則〕における「情報社会サービス」という用語の範囲を確定するため、GDPR第4条(25)では指令2015/1535が参照されている。規則2016/679に基づく同意についてのEDPBガイドライン05/2020(パラ128)参照。 したがって、学校をプロプライエタリー(著作権等により保護された)ソフトウェアの提供慣行によってがんじがらめにすることも企業の力で可能となりうるのであり、学校は、相互運用性、データへのアクセスおよびデータの再利用に関して生じる可能性がある結果ならびに撤退(たとえば企業がハードウェアまたはソフトウェアのアップグレードの打ち切りを決定した場合)がもたらす予算面および環境面の影響について認識していなければならない。小規模な企業がエンジェル投資家によるインキュベーション(事業の立ち上げ・初期段階での支援)を受け、その後、他の大企業から株を買い占められることは、このガイドラインの作成時点で当たり前のように生じている。したがって、ある子どもの教育の過程で、個人データの管理者権限および保存先が企業取得によって複数回移転される可能性もある。 教育データシステムでクラウドベースの越境データフローが増加しているということは、条約第108号プラス第7条にしたがい、安全管理実務に特別な注意を向けなければならないということである。 子どもたちは、自分のデジタルフットプリントがどのぐらい大きくなっているか、あるいはそれが生涯を通じてどのぐらい遠くへと広がり、教育領域全体を通じてもしくは教育領域を超えて数千人の第三者に渡るかを把握しまたは理解することができない。子どもたちのエージェンシー(自律性・主体性)はきわめて重要であり、自分自身の個人データがどのように収集・処理されるかについての子どもたちへの情報提供は改善されなければならないものの、同時に、非常に複雑なオンライン環境を理解して単独で責任をとるよう子どもたちに期待することはできないというコンセンサスも存在する。 教育現場で製品またはサービスを調達する前に必要な調査の負担により、大人にとってさえ、ソフトウェアツールおよびその情報処理を完全に理解し(オープンソースの情報通信技術(ICT)もしくは著作権等により保護されたICT、有料サービスまたはフリーウェアを利用することの意味合いを比較して評価することを含む)または十分なリスク評価を実施し、かつ、データ主体に提供しなければならない関連の情報を引き出して提示することは困難なものとなりうる。これにより、ユーザーの権利を満たしかつ擁護する資質を十分に備えることは難しくなる。 教育現場に関する法律ならびに他の国内法および国際法がデータ保護規則(データ主体の権利を含む)の適用のされ方にどのような影響を及ぼすかを認識し、教育機関には、スタッフのエンパワーメントを図るための、また教育活動の文脈で子どもたちのデータを処理する際に許されていることおよび禁じられていることを企業が明確に理解するようにしてすべての者にとって公正な競争環境をつくり出すための、強力な法的枠組みと実務規範が必要である。 政策立案者および実務家(立法者、条約第108号プラス第15条(2)(e)に基づく監督機関、教育当局および業界を含む)は、このガイドラインにしたがいかつその促進を図るとともに、データ保護およびプライバシーに関わる義務の履行のための措置を実施するべきである。 子どもたちは、教育現場で、公的機関との関係においてその力を奪われており、かつ、理解力がないこと、能力が発達途上にあることおよび大人へと成長する過程にあることを理由として脆弱な立場にあるとも認識されている。静態的観点に立てば、子どもはまだ身体的および心理的に成熟していない人間である。動態的観点に立てば、子どもは大人へと成長する過程にある存在である(Working Party 29, 2009)[5]。子どもたちはまた、主体的な権利の保有者でもあり、保護だけではなく情報、訓練および指導の提供も必要とする行為主体である。 [5] Working Party 29 Opinion 2/2009 on the protection of children s personal data (General Guidelines and the special case of schools), https //ec.europa.eu/justice/article-29/documentation/opinion-recommendation/files/2009/wp160_en.pdf 情報ガイドや公正な情報処理に関する文書のような資料も、子どもにやさしくアクセシブルな方法で、子どもたちおよびその代理人に対して利用可能とされるべきである。 処理される可能性がある個人データの幅広さ、その広範な利用(学習上およびそれ以外の目標の達成支援、事務管理、行動管理および教育目的のための利用を含む)、その要配慮性、および、デジタル化されていないものかデジタル化されたものかを問わず教育現場で記録を処理することから生じる可能性がある生涯にわたるプライバシー侵害のリスクが認識されるべきである。 このガイドラインはまた、子どもがいずれかの教育現場に編入した結果として、家庭学習または遠隔学習といった遠隔的eラーニングの解決策およびサービスが導入されかつ当該教育現場の外で利用される場合にも、常に適用されるべきである。遠隔学習のためのツールおよびリソースは、教育的質、安全性およびデータ保護基準(たとえばデフォルト設定に関する基準)に関して同じように厳格なデューディリジェンス(相当の注意・配慮)の対象とし、アプリケーションやソフトウェアの利用によってデータ主体の権利が侵害されないようにすることが求められる(バイ・デフォルトによるデータ保護)。データ処理の際には、正当な目的を達成するために必要とされるもの以上のデータが用いられてはならない。このことは、製品を利用して遠隔指導を受けるか、利用を拒否して指導を受けられないかのいずれかしか選択肢がないために自由な同意を与えることのできない場合には、とりわけ重要である。 学校がeラーニングツールの利用を要求する場合、学校または第三者たる処理者による個人データの処理に同意したという根拠は有効とはみなされない。同意は曖昧さを残す余地なく自由に与えられなければならず [6]、かつ不利益を受けることなく拒否できなければならない [7] ためである。 [6] 条約第108号プラス第5条(2)にしたがい、かつこのような文脈においては、GDPRの前文第43段落で「同意が自由に与えられることを確保するために、データ主体と管理者との間に明確な不均衡が存在する特別な場合、特に、管理者が公的機関である場合で、それゆえに、当該状況の全体からみて、同意が自由に与えられる可能性が低いようなときには、その同意は、個人データを取扱うための有効な法的根拠を提供するものとはならない」と述べられており、かつ、教育現場における子どもは、データ主体と管理者との間に不均衡が存在し、むしろ他の法的根拠が適用されるべき状況の典型例であることも考慮されるべきである。〔訳者注/GDPRの日本語訳は個人情報保護委員会の仮訳による。〕 [7] 条約第108号プラスの説明報告書パラ42に掲げられているように、データ主体に対しては、直接的なものか間接的なものかにかかわらず、いかなる不当な影響力または圧力(経済的その他の性質のものである場合もある)も行使されてはならず、データ主体が真正なもしくは自由な選択を行なえない場合または不利益を受けることなく同意を拒否しもしくは撤回することができない場合には、同意は自由に与えられたものとみなすべきではない。 データ保護規則は、教育現場に関する法律または平等、雇用、通信のプライバシーに関する法律その他の関連法および国内法と無関係に適用されるものではないことを念頭に置いておくことが重要である。 このガイドラインは、セクション4で取り上げる現行のデータ保護原則(データ最小化の原則を含む)とあわせて適用することが求められる。 大人は、子どもたちに提供される保護が子どもである間だけ適切であることを確保するのみならず、子どもたちの将来の利益も考慮するべきである。私たちには、子どもたちが妨げられることなく成熟できること、および、子どもたちが全面的かつ自由に発達し、その可能性を十全に発揮し、かつ人類の繁栄に貢献できることを促進する義務がある。 2.適用範囲および目的 2.1 このガイドラインは、新たなテクノロジーおよび慣行によってもたらされる個人データ保護上の課題に対処するための条約第108号プラスのデータ保護原則について、技術的に中立的な規定を維持しながら説明することを援助しようとするものである。 2.2 このガイドラインは、教育現場との相互作用の結果として必要となるデータ保護との関連で、子どものさまざまな権利(とくに情報、代理、参加およびプライバシーに対する権利)が遺漏なく守られるようにすることを目的とする。これらの権利は全面的に尊重されるべきであり、かつ、子どもの成熟度および理解水準に応じて正当に考慮されるべきである。 2.3 このガイドラインのいかなる記述も、欧州人権条約および条約第108号 [8] の規定の適用を排除しまたは制限するものとして解釈されてはならない。このガイドラインでは、条約第108号プラスの新たな保障措置も考慮されている。 [8] 個人データの自動処理に係る個人の保護に関する条約(ETS 108)。https //www.coe.int/en/web/conventions/full-list/-/conventions/treaty/108 より参照可能。 2.4 このガイドラインは抽象的かつ一般的なものに留まる。監督機関は、締約国の法律に特化した国内的実務規範および実務的ガイダンスの一部として、自分たちが進めるプロセスにデジタル技術を統合したいと考える人々を対象とする、教育現場のための実際的提案(チェックリスト)を取り上げることも考えてよい。実務規範を(権限ある機関の中でも特に)監督機関に提出する(そして承認を求める)ことも考えられる。各国は、学校ならびに教育テクノロジー・資料の調達および使用に責任を負うその他の機関を対象として、すでに証明されている教育上の利益がこれらのテクノロジー等によってもたらされることおよびこれらのテクノロジーにおいて子どものさまざまな権利が遺漏なく擁護されることを確保するための、エビデンスに基づく基準およびガイダンスを策定するべきである。 3.ガイドラインの適用上の定義 a.「子ども」(child)とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、国内法に基づきより早く成年に達する場合にはこの限りではない。 b.「データ分析」(data analytics)とは、隠れたパターン、傾向および相関を明らかにする目的で大量のデータを分析する計算テクノロジーにおいて使用される個人データを指し、かつ、パターンの発見、状況または状態の推測、予測および行動理解を目的としてデータの収集、整理および分析を行なうデータ管理のライフサイクル全体を指す。 c.「デジタル環境」(digital environment)とは、インターネット、モバイルおよび関連のテクノロジーおよびデバイスならびにデジタルネットワーク、データベース、アプリケーションおよびサービスを含む情報通信技術(ICT)を包含するものとして理解される。 d.「直接のケアおよび教育」(direct care and education)とは、教育の直接的提供およびその運営に関連する学習ケア、管理上のケアもしくは社会的ケアの活動または特定された個人の直接的ケアであって、学校に通うことの一環として子どもおよび法定保護者が合理的に期待するであろう、法律で定められた教育の公的任務およびデータ処理に一般的に該当するものを意味する。直接のケアと対比されるのはデータの二次的再利用であり、これは、教育現場で「親代わり」(in loco parentis)の監督を受けながら時間を過ごす際に収集されまたは推論される個人データの、他のあらゆる間接的利用をいう。非網羅的な例には、学習分析、リスク予測、公益調査、報道またはソーシャルメディアによる処理のための利用およびマーケティング目的での利用が含まれる。 e.「教育現場」(educational setting)とは、締約国の管轄下にある子どもに対し、民間部門および公共部門において教育が提供される環境をいう。ただし、純粋な家庭内活動の過程で個人が行なう教育は含まれない。 f.「eラーニング」(e-learning)には、とくにコンテンツの提供もしくはコンテンツへのアクセス、遠隔学習またはウェブベースの学習を目的とした情報通信技術(ICT)(オンラインモードおよびオフラインモードで使用されるツールを含む)に支えられた学習が広く含まれうる。eラーニングは、ネットワークに直接つながっていない状態またはインターネットに接続されていない場合でも行なわれうるが、サービスの一環としてそのようなアクセスが必要になることが多い。 g.「法定保護者」(legal guardians)とは、国内法にしたがって子どもに対する親としての責任を有しているとみなされ、かつ、子どもの発達しつつある能力にしたがってその権利および福祉を促進しかつ保護するための一連の義務、権利および権限を有している者をいう。 h.「学習分析」(learning analytics)は、学習および学習環境を理解しかつ最適化する目的で行なわれる、学習者および学習者が置かれている状況に関するデータの測定、収集、分析および報告と説明することができる [9]。 i.「(データ)処理」(processing)とは、個人データに対して行なわれるすべての作業または一連の作業(当該データを収集し、保存し、保全し、改変し、検索し、開示し、利用可能とし、消去しもしくは破棄することまたは当該データに対して論理演算および/または四則演算を実行することなどだが、これに限られない)をいう。 j.「プロファイル」(profile)とは、個人に帰属される一連の特性であって、ある類型に属する個人を特徴づけるものまたは個人への適用が意図されたものをいう。 k.「プロファイリング」(profiling)とは、あらゆる形態の個人データの自動処理(ある個人に関わる特定の個人的側面の評価を目的として個人データまたは非個人データを利用することから構成される、機械学習システムを含む)であって、とくに対象者の業務遂行能力、経済的状況、健康、個人的選好、興味関心、信頼性、行動、位置または移動に関わる側面の分析または予測を目的とするものをいう。 l.「特別類型データ」(special category of data)は、条約第108号プラス第6条と同じ意味を有する。 m.「監督機関」(Supervisory Authorities)とは、条約第108号プラス第4章の規定の遵守を確保することに責任を負う機関として指定された機関をいう。 [9] Learning and Academic Analytics, Siemens, G., 5 August 2011 https //www.researchgate.net/publication/254462827_Learning_analytics_and_educational_data_mining_Towards_communication_and_collaboration 4.データ処理の原則 条約第108号プラスは、あらゆる個人データ処理に適用される原則、義務および権利を定めており、したがって教育現場においての適用が不可欠である。 4.1 処理の正当性と、適法性、公正性、必要性、比例性、目的の限定、正確性、識別可能な形式による保持期間の限定、透明性およびデータの最小化の原則、ならびに、個人データが、処理の目的との関連で十分であり、関連性があり、かつ必要であることの確保(条約第108号プラス第5条)。 4.2 子どもがいっそう脆弱な状況に置かれていることの認識を踏まえた、配慮を要する特別類型データ(遺伝子データおよび生体データならびに民族的出身または性的指向もしくは犯罪に関連するデータを含む)に対する予防原則アプローチおよび保護の強化。 4.3 適切なときには明確な言葉遣い、子どもにやさしい用語および形式を使用することによるアクセシビリティの重要性についての認識を踏まえた、意味のある形でのデータ処理の透明性(条約第108号プラス第8条)。 4.4 いかなる契約上の取り決めにおいても、処理の性質によって決定されるデータ管理者およびデータ処理者のアカウンタビリティ(責任)が明確に定められなければならないこと(条約第108号プラス第10条(1))。 4.5 バイ・デザインによるプライバシー確保およびデータ保護の原則ならびに適切な組織上および技術上の措置が、実務において適用されるべきであること(条約第108号プラス第10条(2))。 4.6 いかなるデータ処理についても、その開始の時点において、かつ当該処理のライフサイクル全体を通じて、意図された処理がデータ主体の権利および自由に及ぼす可能性のある影響についての評価が行なわれるべきこと。子どもが教育現場を離れた後に、データ管理者と子どもまたはその法定保護者との間でデータ処理に関するやりとりがどのように維持されるかについて、早い段階から特段の注意が払われなければならない。 4.7 個人データへの偶発的なもしくは無権限のアクセス、個人データの破棄、喪失、濫用、修正、個人データに対する金銭目的の攻撃または個人データの開示などのリスクを防止しかつこれらのリスクからの保護を図るための、安全管理措置 [10] が必要であること。 [10] 遠隔学習時の個人データの安全管理については UODO s guide for schools が推奨される。https //uodo.gov.pl/en/553/1118 4.8 とくに教育の文脈に関して言えば、データ管理者は、国内法および国際法にしたがい、子どもに代わっておよび子どもの最善の利益にのっとって行動する法定保護者の権利を認識しなければならない(条約第108号プラス第9条)。子どもに関する決定に際して子どもの関与を得るために、また適切なときは家族に適正な情報を提供するために、最善の努力が行なわれるべきである。 5.教育現場における子どもの権利の基本的原則 このガイドラインは、条約第108号プラス、欧州評議会子どもの権利戦略(2016~2021年)[11] および欧州人権裁判所に掲げられた現行の原則を踏まえ、これを発展させたものである。すべての子どもは、欧州人権条約、国連・子どもの権利条約(UNCRC)およびその他の国際人権文書で保障されている諸権利を遺漏なく享受する権利を有する。このガイドラインは、条約第108号の締約国に対し、教育における子どものデータ保護との関連でこれらの権利を認識するよう奨励するものである。子どもに影響を与えるすべての措置において子どもの最善の利益を保障するため、締約国は、欧州評議会子どもの権利戦略(2016~2021年)にしたがって子ども影響評価を導入し、かつその質および効果を高めることを検討してもよい。 [11] The Council of Europe Strategy for the Rights of the Child (2016-2021) https //rm.coe.int/CoERMPublicCommonSearchServices/DisplayDCTMContent?documentId=090000168066cff8 5.1 子どもの最善の利益 5.1.1 デジタル環境における子どもに関わるすべての行動において、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される。 5.1.2 国は、子どもの最善の利益を評価するにあたり、保護に対する子どもの権利とその他の権利(とくに表現・情報の自由および参加に対する権利ならびに意見を聴かれる権利)との均衡および調和を図るためにあらゆる努力を行なうべきである。 5.1.3 教育においてより脆弱な立場に置かれている子どもの場合、最善の利益の定義について特有の考慮をしなければならない場合がある。このような子どもとしては、親のいない子ども、移住者である子ども、難民・庇護希望者である子ども、保護・養育者をともなわずに入国してきた子ども、障害のある子ども、ホームレスの子ども、ロマの子どもおよび入所施設、医療施設または若年犯罪者施設に措置されている子どもなどが挙げられる。 5・2 子どもの発達しつつある能力 5.2.1 子どもの能力は出生から18歳に達するまで発達していく。個々の子どもがさまざまな成熟度に達する年齢は同一ではない。 5.2.2 デジタル環境における子どもの権利の尊重、保護および充足のためのガイドライン [12] で定められているように、すべての関係者は、子どもの発達しつつある能力(障害のある子どもまたは脆弱な状況に置かれた子どもの発達しつつある能力を含む)を認識し、かつ、デジタル環境との関連でそれぞれのニーズに応えるための政策および実務が採用されることを確保するべきである。 [12] Council of Europe Guidelines on Children in the Digital Environment Recommendation CM/Rec(2018)7 https //rm.coe.int/guidelines-to-respect-protect-and-fulfil-the-rights-of-the-child-in-th/16808d881a 5.3 意見を聴かれる権利 5.3.1 子どもは自己に影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明する権利を有しており、その意見は子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に考慮されるべきである。国は、子どもたちがデジタル環境における自己の権利について理解することを、子どもにやさしく、透明な、包括的かつアクセシブルな方法で確保するよう求められる。教育制度に関わるすべての者は、子どもたちが自己の権利を守らせるようにするための仕組みにアクセスできるようにするべきである。 5.3.2 教育現場のスタッフは、条約第108号プラス第5条(1)にのっとって関係するあらゆる利益の公正なバランスを確保する目的で、子どもの個人データの処理を生じさせる新たなテクノロジーを採用するための決定に関する協議に、法定保護者およびその能力にしたがって子どもたちの関与を得るという望ましい実務のあり方を標準的立場として確立するべきである。国はまた、協議のプロセスが、自宅でテクノロジーにアクセスできない子どもたちを包摂するものであることも確保するよう求められる [13]。 [13] 国連・子どもの権利委員会、デジタル環境との環境における子どもの権利についての一般的意見草案(2020年8月) https //tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CRC/C/GC/25 Lang=en 〔訳者注/一般的意見25号、パラ18〕 5.3.3 条約第108号プラス第5条(4)(a)にしたがい、法定保護者および子どもの双方に対し、データ処理に関する情報が公正に提供されるべきである。ただし、条約第11条(b)を正当に考慮したうえでそのような情報を共有することが子どもの最善の利益を危険にさらす場合、または能力のある子どもが1人または複数の法定保護者の関与に異議を申し立てる場合、この限りではない。 5.3.4 締約国の法律にしたがい(情報社会サービス(ISS)の定義が教育現場において適用される場合に、ISSによるデータ処理への同意に関して法律で年齢制限が定められている場合には当該年齢制限を考慮することを含む)、かつデータ主体としての子どもを支援するため、法定保護者は、子どもが異議を申し立てない場合に、子どもの能力水準および最善の利益を考慮しながら、教育において子どもに代わって条約第108号プラス第9条(1)(b)に基づく権利〔訳者注/データ処理の状況等について情報を取得する権利〕を行使することを認められるべきである。 5.3.5 同意に基づくデータ処理は、同意が自由に与えられることを損なう、とくに公的機関と個人との間の力の不均衡が存在するときは、有効ではない場合がある。このような不均衡は、データ主体が子どもである場合にはいっそう顕著である。したがって、恒常的データ処理活動については他の根拠のほうが有効である可能性が高く、またそのようなデータ処理は法律に基づくものであるべきである。 5.3.6 子どもは、データ処理に関して子どもにやさしく、透明、包括的かつアクセシブルな情報の提供を受けることにより、子どもがデータ処理の意味することを理解する能力を有しており、かつ当該処理が子どもの最善の利益にかなうものである場合に、年齢に基づく国内法および国際法があるときは当該法律に一致する形で、同意を与えることも撤回することもできるようにされるべきである。 5.3.7 子どもに対し、適切な、包括的な、独立のかつ効果的な苦情申立ての仕組みにアクセスし、かつ自己の権利を行使する権利が認められるべきである。 5.4 差別の禁止に対する権利 5.4.1 子どもの権利は、いかなる事由に基づく差別もなく、すべての子どもに適用される。教育現場において1人ひとりの子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足するための努力が行なわれるべきであるが、その一方で、デジタル環境には子どもの脆弱性を高める可能性も子どものエンパワーメント、保護および支援につながる可能性もあることを認識し、特有のニーズに対処するための焦点化された措置が必要になる場合もある。 6.立法者および政策立案者に対する勧告 教育目的でデジタル技術を利用することは、国の政府ならびに公的および民間の教育現場から民間の主体(製品またはサービスの提供者およびソフトウェア開発者など)および個人(教員、法定保護者および他の子どもなど)に至るさまざまな主体が子どもの個人データを処理することにつながる。処理されるデータには、子ども、親または教育者から提供されるものだけではなく、ユーザーの関与の副産物として生み出されるデータまたは(たとえばプロファイリングに基づいた)推論の結果としてのデータもある。高度な配慮を要するデータ(生体データなど)が教育機関によって収集されることも増えている。このようなデータ収集は、子どもにとって生涯にわたる影響をもたらす可能性もある。異なる機関に法的な協力義務が課される状況が生じるときは、データの最小化を確保するため、かつ、いかなる利用も、子どもの合理的期待に応え、かつ目的の限定の原則ならびに保存および保持に関する制限を満たすようなものであることを確保するため、あらゆる個人データの収集前に必要性および比例性に関する厳格な基準が適用されるべきである。教育とデジタル技術に関して影響を受けるのはデータ保護に対する子どもの権利だけではないこと、またプライバシーおよびデータ保護に対する権利はさらなる権利および子どもの保護につながる権利であることを認識することも不可欠となる。差別の禁止に対する権利、発達に対する権利、兵家の事由に対する権利、遊びに対する権利および経済的搾取から保護される権利も関係してくる場合がある。立法者および政策立案者は、教育の場面における子どものデータ処理の影響について検討する際、さまざまな権利がその他の文書、標準業務手順およびガイドラインによって遺漏なく確保されるようにするべきである。 6.1 立法、政策および実務の見直し 6.1.1 これらの原則およびガイダンスとの一致を確保するとともに、すべてのデータ処理におけるその実施を、教育現場において、教育現場全体で、かつ教育現場を離れた後にも、データのライフサイクル全体を通じて促進する。 6.1.2 サービス調達の技術的要件に関する基準において、プライバシー・バイ・デザイン構造に対する高い期待を定める。 6.1.3 自国の教育制度、監督制度および行政制度にしたがい、このガイドラインの促進およびモニタリングのための枠組み(適切なときは独立の機構を含む)を維持しまたは設置する。 6.2 意見を聴かれる子どもの権利のための効果的支援の提供 6.2.1 データ保護法が教育現場において十分に適用され、かつ関連のテクノロジーが一貫した形で利用されることを確保するための十分な資源を監督機関に提供する。 6.2.2 子どものデータ主体が監督機関に申立てを行なう際の第三者による代理(第18条)は、アクセスしやすいものであるべきであり、かつ強化されるべきである。締約国は、第13条に基づき、自国の国内法でいっそうの保護を定めることもできる。いかなる機関、組織または団体も、あるデータ主体の権利がデータ処理の結果として侵害されたと考えるときには、法律で認められている場合、当該締約国において権限のある監督機関に対し、当該データ主体の委任の有無とは無関係に苦情を申し立てる権利が持てるようにするべきである。 6.2.3 教育現場におけるプライバシー権の行使に関して子どもが意見を表明しかつその意見を聴かれ、かつその意見が考慮されることを確保するための手続を定める。 6.2.4 子どもが条約の規定の違反について第12条に基づく救済に容易にアクセスできるようにするとともに、子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針 [14] の精神にのっとり、必要な協力のための事由を定め、かつ監督機関が相互に協力しながら(第15条、第16条および第17条(3))、教育現場でのデータ保護に関わる問題について子どもが裁判所にアクセスすることを妨げるすべての障壁を取り除く。 [14] Guidelines on child friendly justice adopted by the Committee of Ministers of the Council of Europe on 17 November 2010. また、Parliamentary Assembly Resolution 2010(2014) "Child-friendly juvenile justice from rhetoric to reality", and the orientations on promoting and supporting the implementing of the Guidelines on child-friendly justice by the European Committee on Legal Co-operation (CDCJ (2014)15) も参照。 6.2.5 子どもおよび脆弱な立場に置かれたその他の個人のデータ保護関連の権利に具体的注意が向けられなければならないことを認識し、教育現場は、スタッフが、デューディリジェンス(相当の注意・配慮)に関わる自己の役割を理解する十分な能力を確保するための訓練を受け、かつ意見を聴かれる子どもの権利を具体化できることを確保する。 6.3 子どもの権利の承認および統合 6.3.1 子どもの権利についての現行の欧州評議会基準および国連基準における義務およびコミットメントを尊重しかつ充足する [15]。このガイドラインは、差別なくかつ機会の平等を基礎として教育に対するこのような権利を実現する目的で、すべての子どもに適用される。 [15] UNCRC第29条1項:「締約国は、子どもの教育が次の目的で行なわれることに同意する。(a) 子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力を最大限可能なまで発達させること。(b) 人権および基本的自由の尊重ならびに国際連合憲章に定める諸原則の尊重を発展させること」(https //www.ohchr.org/en/professionalinterest/pages/crc.aspx)および子どもの権利宣言(1959年)(国連総会決議1386 (XIV)、A/RES/14/1386、1959年11月20日)の原則7。 6.3.2 デジタル環境における子どもに関するガイドライン [16] にしたがい、教育現場で、デジタル環境における子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する。 [16] Council of Europe Guidelines on Children in the Digital Environment Recommendation CM/Rec(2018)7 https //rm.coe.int/guidelines-to-respect-protect-and-fulfil-the-rights-of-the-child-in-th/16808d881a 6.3.3 企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての国連・一般的意見16号(2013年)[17] を尊重する。国は、子どもの権利の尊重に対するコミットメントを示している入札者に対して公共調達契約の機会が与えられることを確保するための措置をとらなければならず、また子どもの権利を侵害する事業活動に公的資金その他の資源を投資するべきではない。国は、教育現場およびデジタル環境で企業が行なう人権侵害を防止し、モニターしかつ調査するための適切な措置をとるべきである。 [17] 子どもの権利委員会「企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号」(2013年)https //www.unicef.org/csr/css/CRC_General_Comment_ENGLISH_26112013.pdf 子どもによっては、適応テクノロジーの利用が、自分の障害を明らかにするものとして歓迎されないこともありうる。〔訳者注/この1文は6.3.4に関する注ではないかと思われる〕 6.3.4 障害のある人の権利に関する条約第24条に掲げられた教育についての義務ならびにテクノロジーの採用に関する意思決定への包摂および関与に関わる義務を認識し、ユニバーサルなアクセシビリティ・バイ・デザインを確保し、かつ公正な供給を促進する。 7.データ管理者に対する勧告 データ処理の流れのなかでは、多くの主体がデータ管理者となりうる。教育機関および政府機関のみならず、プラットフォーム、デバイス、プログラムおよびアプリケーションの提供者もそうである。後者の商業的主体はまた、条約第108号プラス第2条で定義されたデータ処理の性質を単独でまたは他の主体と共同で決定する場合、それ自体としてもデータ管理者となりうるのであり、それぞれの役割を決定するのはデータ処理の性質であって契約条項に書かれていることだけではないことを理解するため、慎重な注意が必要である。したがって、データ管理者に課される義務を負うのが常に教育現場だけであるとは限られない場合もある。関連するすべてのデータ保護原則(データの正確性、必要性および安全性を含む)を履行するため、教育現場は、包括的でコンプライアンスの精神を備えたデータ管理文化を奨励しなければならない。これは、リスク評価において、データ処理または調達のためのすべてのプロセスの一環として権利および自由が積極的に考慮されるとともに、データの質が、スキル訓練および方針に裏づけられた形で、記録の管理を通じて積極的にモニターされかつ効果的に管理されるような文化である。 7.1 正当性および法定根拠 7.1.1 条約第108号プラス第10条第1項にしたがい、十分なデータ保護を確保し、かつ、データ処理が適用される法律を遵守して行なわれていることを示せるようにする義務は、管理者に存する。 7.1.2 教育現場におけるデータ処理に関与するすべての関係者は、データ処理に関わる法的権限および自己の義務を確証する目的で、かつサービス提供者および第三者たるデータ処理者と契約する際に、諸役割間の責任およびアカウンタビリティを明確にするべきである。 7.1.3 第6条で定義されている子どもの特別類型データは、処理の際、処理のための適切な法的根拠に始まるいっそうの保護を必要とする。健康データその他の特別類型データの処理に関して他の法定根拠が存在しない場合であって、当該処理が子どもの最善の利益にかなうものであるときは、当該処理に関して十分な情報に基づいて自由に与えられる同意を法定保護者から取得し、かつ第6条(1)に基づく子どものための適切な保護措置として記録するべきである。このような特別類型データは、データ主体またはその法定保護者が自由に与えた、具体的な、十分な情報に基づく、かつ明示的な同意があるときでなければ、当該子どもの直接のケアおよび教育の範囲を超える目的で共有することができない。 7.1.4 いかなるデータ処理(子どもの特別類型データの処理を含むが、これに限られない)についても、法定保護者または子どもに代わって同意があると推定することにより、第三者のサービス提供者によるデータ処理を正当化することはけっしてできない。 7.1.5 データ管理者は、自由にかつ不利益を受けることなく同意を拒否できない場合には、第三者たるデータ処理者によるデータの利用に対して子どもおよび法定保護者が有効な同意を与えることはできないことを、認識するべきである。 7.1.6 データ主体としての子どもに代わって権利を行使する法定保護者の権限は、能力のある子どもが法律で定められた成熟年齢に達したときに終了する。データ主体(子ども)に対しては、成人したときにデータ主体の権利を行使できるよう、当該子どもに関するデータ処理であって法定保護者が同意したものが継続している場合、当該データ処理についての情報が提供されるべきである。 7.1.7 子どもに対し、第三者(たとえば教育現場の委任を受けたeラーニングの提供者またはアプリケーション)との契約締結を期待することはできない。教育現場は、子どものデータを、当該現場と第三者との書面による契約に基づいて処理するべきである。このようなサービスによる個人データの処理は、法律で定められた正当な根拠に基づいて行なわれるべきである。 7.1.8 第三者と教育提供機関との契約においては、データ主体の基本的権利および自由に影響を与えるいかなる条件変更も防止されるべきである。第三者と教育提供機関との契約のいかなる変更においても、契約書の改訂と、提案されている変更について簡潔明瞭に説明するデータ主体(または適切なときはその法定保護者)への通知が、標準的手順として必要となろう。 7.1.9 教育に対する子どもの権利についての義務を履行するため、教育現場は、条約第108号プラス第9条(1)(f)にのっとった救済措置として家族または子どもがデジタルツールにおけるデータ処理への異議申し立て権を行使する場合に、子どもに対して不利益を与えることなく、適正な水準の代替的教育を提供するべきである。 7.1.10 第9条(1)(d)にのっとり、広告は、第5条(4)(b)に基づく、子どもの最善の利益またはその基本的権利および自由に優越する正当事由または適合的目的とみなされるべきではない。 7.1.11 個人データを利用したデータ分析および製品開発は、子どもの最善の利益もしくは権利および基本的自由または条約第108号プラスの説明報告書パラ49にのっとったデータ主体の合理的期待に優越する、データの追加的処理のための正当な適合的利用とみなされるべきではない。 7.1.12 管理者および処理者は、子どもの教育の過程で収集された子どもの個人データを、他者の収益化のために譲渡し、または匿名化もしくは識別不能化されたデータとして(たとえばデータブローカーに)販売する目的で再処理してはならない。 7.1.13 第5条(4)(b)にいう、公共の利益にのっとったアーカイブ作成の目的、科学的研究もしくは歴史的研究の目的または統計の目的のために行なわれる個人データの追加的処理は、当該目的が条約第108号プラスの説明報告書パラ50で定義されているようなものであるときは、適合性を有する。 7.1.14 締約国の国内法にしたがい、スタッフまたは子どもが。教育上のソフトウェアシステム、データベースその他の第三者製品に個人の電子機器を通じてまたは自宅からアクセスすることにより、私生活および家族生活から生じる個人データ(メタデータを含む)が職業上または教育上の記録と混ざりあってしまう状況についてのガイダンスが、実務規範に掲げられるべきである。 7.2 公正性 7.2.1 第5条(4)(a)にしたがい、データは公正に、かつ透明なやり方で処理されるものとする。条約第108号プラス第8条(a)~(e)には、データ処理が透明かつ完全でなければならないという要件を満たすために期待されることが掲げられている。条約の説明報告書パラ68にしたがい、形式は、データ主体に公正かつ効果的に情報を提供するいかなるやり方をとってもよい。すなわち、たとえば、子どもの発達しつつある能力にしたがっており、子どもにやさしい包括的な言葉遣いを用いた、アクセシブルな代替的形式から、適切な場合にはテキストだけのものでもよいということである。この点については、教育的文脈において、必要に応じ、能力のある子どももしくは(低年齢の子どもについては)その法定保護者によって理解されるよう、または適切なときは子どもの発達しつつある能力に応じて、解釈されるべきである。 7.2.2 透明性に関する義務を履行するためには、データ主体が有するすべての権利についてのアクセシブルな情報を、データ収集プロセスの開始前に、子どもおよびその法定保護者に対して積極的に提供することが必要となる。原則として、子どもおよび法定保護者の双方が直接情報を受け取るべきである。法定保護者への情報提供が、子どもに対し、その発達しつつある能力にふさわしい形で情報を伝達することの代替措置とされるべきではない。 7.2.3 教育現場は、データ処理活動の登録簿の作成、提携事業者(販売事業者および外注事業者など)リストの作成、データ保護影響評価、プライバシー通知の作成および経時的な契約条件の改訂を、機関レベルで実行しかつ公表するべきである。 7.2.4 教育現場は、第7条(2)にしたがい、侵害があった場合は条約第108号プラスが定める監督機関およびデータ主体本人に報告するとともに、自らのアカウンタビリティおよび第三者とのデータ処理の透明性を実証するため監査報告書を共有するべきである。 7.2.5 データ主体のアクセス権の一環として、処理された個人データに関するステートメントが請求に応じて提供されるべきである。データ主体としての子どもに対し、セルフサービスツールを通じてそのような情報を無償で提供することについて、望ましい実務として認めることも考えられる。 7.2.6 個人データが、第14条(3)および(4)にしたがった適切な水準の保護が確保されることを条件として国境を越えて移転される場合、事前にデータ主体および法定保護者への通知が行なわれるべきである。 7.3 リスク評価 7.3.1 管理者は、条約第108号プラス第10条(2)にしたがい、予定されているデータ処理が子どもの権利および基本的自由に与える可能性のある影響をデータ処理の開始前に評価しなければならず、かつ、条約第108号プラスの第10条(3)および他のすべての原則を顧慮し、これらの権利および基本的自由への干渉のリスクを防止しまたは最小化するようなやり方で、データ処理のあり方を定めるものとする。 7.3.2 子どものデータを処理するツールおよびサービスの調達においては、購入するものかいわゆるフリーウェアであるかを問わず、すべての製品の導入に関する意思決定の一環として、データ主体としての子どもの尊重、その法定保護者の権利の尊重およびこれらの者の合理的期待の尊重が確保されるものとする。 7.3.3 情報の自由法が公的機関に適用される場合、幅広い透明性およびアカウンタビリティを促進するため、定期的公表制度の一環としてデータ保護影響評価にアクセスできるようにする旨の提案を、最善の実務のあり方として実務規範に記載することも考えられる。 7.3.4 最善の実務のあり方として、かつ国内法および国際法にしたがい、実施されるいかなる子どもの権利影響評価においても、自己のデータの処理に関する子どもの視点を包摂するため、子どもたちの声がその一環として位置づけられるべきである。 7.4 データ保持 7.4.1 子どもが教育を離れる際には、到達度の証明、将来のアクセス権の保障および制定法上の義務の履行を目的とする、かつ子どもの最善の利益にのっとった、必要最小限の量の識別可能データのみが保持されるべきである。 7.4.2 教育現場を離れた者の個人データは、第5条(4)(e)にしたがい、識別を可能とする方式で、必要な期間を超えて維持されるべきではない。 7.4.3 教育現場は、条約第108号プラス第5条(4)、第7条(2)、第8条(1)および第9条の規定を正当に顧慮し、個人データを、識別を可能とする方式で、必要な期間を超えて保持するべきではない。例外は、それが子どもの基本的権利および自由の本質的部分を尊重し、かつ、条約第108号プラス第11条の適用上、民主的社会のために必要な比例的措置である場合に、認められることがある。 7.4.4 子どもが義務教育の各段階を離れたときまたはその教育現場が(年齢を問わず、幼稚園教育、初等教育、中等教育、継続教育および高等教育において)変更されたときに、子どもに対し、当該子どもに関する記録の完全な写しを提供すること(個人データの保持および破棄に関する情報、すなわち、子どもが教育現場を離れた後、どのような個人データが、誰によって、どのような目的で引き続き保持されかつ処理されるかについて通知することを含む)が最善の実務のあり方とされるべきであり、データ管理者は、いずれにせよ、データ主体に対するすべての継続的義務を履行できるようにするための仕組みを維持しなければならない。 7.4.5 データの十分な識別不能化は非常に困難であるため、最善の実務のあり方として、再特定化は禁止されるべきであり、かつ、第三者に対しては、いかなる再特定化も試みないこと、または識別不能化されたデータを受領した他の者による再特定化の試みを認めないことが要求されるべきである。一部の締約国で国内法にしたがって適用がある場合、そのような再特定化は犯罪となりうることを、認識する必要がある。 7.5 教育現場における個人データの安全管理 教育現場が、長期にわたって大規模に子どもたちのデータの処理に関与することもありうる。このようなデータならびに通常時および移転時双方の処理環境に適切な安全管理措置を適用することは、子どもたちのデータが最高の水準で保護されることを確保するためにきわめて重要である。条約に掲げられているように、安全管理措置では、データ処理分野におけるデータの安全管理手法・技法の最新状況を考慮することが求められる。そのコストは、潜在的リスクの重大性および蓋然性に相応したものであるべきである。データの安全管理には追加的義務が包含され、以下に列挙する管理措置は教育現場におけるデータ処理にとりわけ関連するものである。 7.5.1 個人データに適用される保護措置は、業界の基準および最善の実務のあり方にしたがって、かつ確立された技術的ガイダンス(ISO 27000シリーズその他の適切なガイダンス等)を活用して実施されたリスク評価に基づくものであるべきである。 7.5.2 措置は、処理の状況および当事者である子どもにとってのリスクに特化しており、かつ、処理がどのような文脈で行なわれるかにかかわらず子どものデータの機密性、完全性、可用性および真正性を確保することならびに処理システムおよび処理サービスの回復性を確保することを目的とするものであるべきである。 7.5.3 したがって、リスク評価においては、データ処理の性質、範囲、状況および目的ならびに処理によって生じるリスクを考慮しながら、処理全体を通じて高水準の安全管理がしっかりと行なわれるような成果の達成が追求されるべきである。このような評価は、必要性および比例性の考慮ならびに基本的なデータ保護原則を踏まえ、次の点も考慮して行なわれなければならない。 物理的アクセス可能性を含むさまざまなリスク。 ネットワークを通じたデバイスおよびデータへのアクセス。 データのバックアップおよびアーカイブ化。 7.5.4 物理的アクセス可能性(たとえば教育現場でのデバイスおよびデータへのアクセス)には、少なくとも次の状況において収集されまたは保管されるデータが含まれる。 教室/eラーニング(学校の施設外で行なわれる遠隔学習を含む)。 学校経営。 諸施設(物理的アクセス、スクールバスにおけるものを含むCCTV〔閉回路テレビ〕、生体認証リーダー)。 7.5.5 子どものユーザーがシステムに対して行なう認証の方法(データ処理の文脈においてこのような認証が必要か否かを含む)が検討されなければならない。リスク評価においては、配置されたシステムで要求される認証方法について、代替的アプローチが利用可能であってユーザーのプライバシーの保全につながる場合には当該アプローチを正当に考慮しながら、検討を行なうべきである(たとえば、完全に識別可能なIDとパスワードを利用するシステムか、トークン認証および属性レベルのアクセス許可か)。認証は、堅固で、データの保護を確保できるものであることが求められる。目的の限定およびデータの最小化の原則も、あらゆる認証システムの評価の一環に位置づけられるべきである。 7.5.6 ネットワークを通じたデータへのアクセスについては、無権限のアクセスを防止するため、認証がほぼ確実に必要とされ、かつ望ましい。検討しなければならない問題は現場でのアクセスの場合と同様であり、もっとも適切な認証テクノロジーは何か、および、アクセスは個人の身元(氏名)または属性(「本校の児童生徒」)のどちらに基づいて認めるかが問題となる。 7.5.7 データ処理の間に実施するリスク評価では、無権限のアクセス、修正および消去/破棄からデータが保護されているかどうかも評価されなければならない。データの処理が現場以外で(たとえば第三者たるサービス提供者により)行なわれる場合でも、教育提供機関は、データ管理者としての継続的責任を引き続く自覚しなければならない。個人データの適切な保護(機密性、完全性および可用性を含む)を行なう第三者の能力を確証するため、デューディリジェンスが実行されなければならない。 7.5.8 バックアップおよび/またはアーカイブ化のために保存されるデジタルデータとの関連でも、とくにこれらのサービスが、eラーニング運営サービスにより提供されるデータの可用性の保護の一環として、明示的(契約上のアーカイブ化サービスのためなど)か黙示的かは問わず第三者によって提供される場合には、同様の問題が検討されるべきである。 7.5.9 締約国は、法律上または実際上、子どもを対象として暗号化技術の利用を禁止するべきではない [18]。アプリケーションまたはサービスに暗号化が統合されていない場合、独立した保護措置としてデータを「手動で」暗号化することが望ましいこともある。 [18] デジタル環境における子どもの権利の尊重、保護および充足のためのガイドラインに関する加盟国への閣僚委員会勧告CM/Rec(2018)7。〔訳者注/パラ39〕 7.5.10 適用可能な保護の水準は多数にのぼる(それらを組み合わせることさえできる)。暗号化されたデータは、バックアップデータ/アーカイブデータと同様に管理されるべきである。すなわち、データを(暗号化された状態から、またはバックアップもしくはアーカイブから)復旧するプロセスは、定期的に検証することが求められる。主たる責任者がこの業務を行なえない場合の予備手続についても、検討しておくべきである。 7.5.11 実施されるいかなる措置についても、条約第108号プラス第7条に掲げられているように定期的な検証が行なわれるべきであるとともに、データの安全管理手法・技法およびリスクの変化を考慮し、かつ定期的な見直しおよび必要な場合のアップデートが常に行なわれるべきである。 7.6 自動化された意思決定およびプロファイリング 7.6.1 すべての個人は、条約第108号プラス第9条(1)(a)および第9条(1)(c)にしたがい、自己の意見を考慮されることなく、もっぱらデータの自動化された処理に基づく自己に著しい影響を及ぼす決定の対象とされない権利を有する。データ処理の結果がデータ主体に適用されるときは、当該データ処理の背景にある推論方法についての知識が容易に利用可能とされるべきである。 7.6.2 子どものプロファイリングは、法律で禁じられるべきである。例外的事情があるときは、国は、(デジタル環境における子どもに関するガイドラインのパラ37にしたがい)解除が子どもの最善の利益に合致する場合または優先されるべき公共の利益がある場合に、法律で適切な保護措置が定められていることを条件として、このような制限を解除することができる。 7.6.3 システムの評価を目的とする(たとえば学校または教員の業績管理のための)子どもの到達度および達成度の恒常的プロファイリングは、優先されるべき公共の利益として正当化されないため、行なわれるべきではない。 7.6.4 すべての子ども(子ども個人か共同体としての子どもかは問わない)の人間の尊厳、人権および基本的自由がとくに差別の禁止に対する権利との関連でAIアプリケーションによって阻害されないことを確保するため、教育現場では、個人データの自動化された処理に関して、人工知能とデータ保護に関するガイドライン [19] にしたがうべきである。 [19] Guidelines on Artificial Intelligence and Data Protection, document T-PD(2019)01, available at https //rm.coe.int/2018-lignes-directrices-sur-l-intelligence-artificielle-et-la-protecti/168098e1b7 7.6.5 データ主体としての子どもおよびその法定保護者双方の権利を認識することが、人工知能を利用した個人データの処理および十分な情報に基づくデータ処理と関連する、アルゴリズムによる意思決定の文脈において必要である [20]。 [20] 前掲。〔原文には脚注番号なし〕 7.6.6 データ管理者は、データ保護・プライバシー影響評価を実施する責任を有する。これらの評価においては、子どもの権利に与える具体的影響が顧慮されるべきである [21] とともに、アルゴリズムを利用したアプリケーションのアウトカムが子どもの最善の利益にのっとったものであることが実証され、かつ、子どもの発達に不明瞭な形で不当な影響が生じないことが確保されるべきである。 [21] 子どもの権利委員会、企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)、パラ77-81。 https //www.unicef.org/csr/css/CRC_General_Comment_ENGLISH_26112013.pdf 7.6.7 コンテンツの個別化(personalisation)は、一部のオンラインサービスにおいては本来的かつ所期の要素であることがあり(ただし常にそうであるとは限らない)、したがって場合によってはサービス提供者と教育現場との契約の履行において必要とみなされることがあるものの、子どもとの関係では、たとえ教育現場が強く主張したとしても、そうではない。子どもは契約を締結することができないからである [22]。 [22] コンテンツの個別化(personalisation)は、一部のオンラインサービスにおいては本来的かつ所期の要素であることがあり(ただし常にそうであるとは限らない)、したがって場合によってはサービス利用者との契約の履行において必要とみなされることがある。(EPDB, Guidelines 2/2019) 7.6.8 大規模な個人データのセットの分析に基づく、属性を共有する集団または個人についての予測は、たとえそれに基づいて個人への介入が生じることを意図したものではないとしても、なお個人データの処理とみなされるものとする。 7.6.9 ターミナル上または通信ネットワーク上で利用者のアクティビティの観察およびモニタリングを行ない、行動プロファイルを構築することを目的とするソフトウェアの配布および利用またはそのようなサービスの利用は、認められるべきではない。ただし、国内法に明示的定めがあり、かつ、プロファイリングの文脈で行なわれる自動化された個人データ処理に関わる個人の保護についての欧州評議会勧告CM/Rec(2010)13の原則3.8および説明覚書 [23] に掲げられた適切な保護措置をともなっている場合は、この限りではない。 [23] Council of Europe recommendation CM/Rec(2010)13 and explanatory memorandum (2011) https //rm.coe.int/16807096c3 7.7 生体データ 7.7.1 生体データは、教育現場で日常的な処理の対象とされるべきではない。例外的状況(遠隔試験監督などで身元確認が必要な場合など)での教育現場における生体認証の利用が認められるのは、厳格な必要性の原則にしたがい、データ保護影響評価を実施した後に、より侵襲度の低い手法では同じ目的を達成できないことが明らかになった場合であって、かつ、条約第108号プラス第6条(1)にしたがい、法律に掲げられた適切な保護措置がとられる場合に限られる。これには、要配慮データの処理が子どもの権利および基本的自由にもたらす可能性のあるリスク(生涯にわたる差別のリスクを含む)を正当に顧慮することが含まれるべきである。代替的手法が、不利益を与えることなく提示されるべきである。 7.7.2 アクセシビリティ上のニーズを有している子どもおよび教育スタッフの支援を目的とする利用(たとえばスクリーン上の視線追跡)について、当該利用がこれらの者の直接の利益となりかつ差別なく適用される場合 [24] に認められる例外が、法律に掲げられた適切な保護措置とともに定められるべきである。 [24] Report on children with disabilities in the digital environment Two clicks forward, and one click back (2019) The Council of Europe (page 5) 「子どもによっては、適応テクノロジーの利用が、自分の障害を明らかにするものとして歓迎されないこともありうる」 https //rm.coe.int/two-clicks-forward-and-one-click-back-report-on-children-with-disabili/168098bd0f 7.7.3 条約第6条における生体データの定義では、ある者を一意に識別することが目的とされていることを認識しつつ、公的機関は、子どもから取得した身体データおよび行動データであって身元確認を目的としていない可能性があるものについても、その要配慮性に対して注意を払うべきである。そのようなデータ処理は、身元確認に代えて、没入型バーチャルリアリティなどにおける子どもの身体的または精神的経験に影響を及ぼすことを目的としている場合がある。子どもの行動に影響を及ぼすことまたは子どもの行動をモニタリングすることを目的とする、声・眼球運動・歩様、社会的・情緒的・精神的健康および気分ならびに神経刺激反応に関する特徴のデータ処理は、予防原則に基づいて行なわれるべきであり、かつ、たとえ対象者を一意に識別することが目的でない場合でも、条約第108号プラス上の生体データとして扱われるべきである。 7.7.4 教育現場は、サービスの利用(たとえば、遠隔学習プログラムを実施できるようにするためのビデオ会議ソフトウェアの利用)が契約上の取決めであって、その際、子どもの画像および音声データを含むコンテンツの処理および記録を含むサービスの契約条件にスタッフが同意する可能性がある状況に、特段の注意を払うべきである。スタッフは、データ処理が同意に基づいて行なわれる場合に、そのような同意が存在すると教育現場が推定することおよび子どもに代わってそのような同意が与えられることが生じないようにするとともに、そのような同意が、データ主体である子ども(その発達しつつある能力にしたがって)またはその法定保護者により、十分な情報に基づき、曖昧さを残す余地なく自由に、かつ他のすべてのデータ保護原則(目的の限定を含む)にしたがって与えられなければならないことを確保するよう求められる。 8.業界に対する勧告 このガイドラインを実務規範へと発展させる監督機関は、開発者および業界、教育実践者、学界、教員および家族を代表する団体、市民社会ならびに子どもたち自身との幅広い協力に基づいて、その作業を進めるべきである。基準には、子どものデータの処理に関わる製品またはサービス(無償または低価格で提供される製品またはサービスを含む)に関連した調達ならびに製品試用および調査目的の試用に関する最低基準または明確なガイドラインを含めることも考えられる。 8.1 基準 8.1.1 子どもは特別な保護を受けるにふさわしい存在であるので、教育部門における子どものデータの処理に関して期待される基準は、質および法の支配に関する適切な基準を満たすためにバイ・デザインによって高く設定されるべきであり、かつバイ・デザインおよびバイ・デフォルトによるデータ保護を掲げるべきである。 8.1.2 基準は、実務および認可に関する基準に掲げることもできる。このような基準は、開発者および業界、教育実践者、学界、教員、家族および子どもを代表する団体、市民社会ならびに子どもたち自身との幅広い協力に基づいて起草されるべきである。 8.1.3 調達時に合意された適法なデータ処理契約の規定は、他の主体による買収、合併またはその他の形態の取得後も引き続き適用されるべきである。条件のいかなる変更についても十分に公正な通知期間が設けられなければならず、かつ、新たな条件を修正しまたはそれに反対する権利、契約を終了する権利および要請に応じて生徒のデータを回収する権利が認められなければならない。 8.2 透明性 8.2.1 開発者は、自らがデザインした製品のすべての機能に関する自らの理解を、規制上および法律上の要件を満たすために十分に説明できるようにしなければならず、教育現場のスタッフおよび子どもたちにとって不適切な、デザインによる重い調査の負担をつくり出さないようにしなければならない。 8.2.2 プライバシー情報ならびに公表されているその他の規約、ポリシーおよびコミュニティ基準は、簡明で、子どもにふさわしい明確な言葉遣いで書かれていなければならない。子どもにやさしい伝達手法は、公正な処理のために必要な説明を薄める必要はないものの、過剰であるべきではなく、また法定保護者および教育者向けの法律上・契約上の条項とは別に提示されるべきである。プライバシー通知の階層化は、完全ではあるが同時に効率的な情報提供を行なう必要性を同時に満たすうえで役に立ちうる。 8.3 データ保護およびプライバシーに関連するデザイン特性 8.3.1 バイ・デザインおよびバイ・デフォルトによるデータ保護の原則の尊重に対する期待により、子どもに不必要な個人データの提供またはプライバシー設定の緩和を奨励する可能性のある特性を含むデザインが防止されるべきである。 8.3.2 サービス向上およびセキュリティ強化を目的とする個人データの処理は、厳格に必要なものでなければならず、かつ、中核的サービスの提供ならびに契約サービスに対する合理的な期待および利用者への当該サービスの提供の範囲内に留められなければならない。 8.3.3 個人データおよびユーザートラッキングに基づくデータ分析 [25] は、サービス向上およびセキュリティ強化の一形態であるとみなされるべきではなく、契約の履行のために必要とされるべきではない。 [25] Guidelines on the protection of individuals on the processing of person data in a world of Big Data (2017) T-PD(2017)01 8.3.4 製品の改善(たとえばアプリケーションへの新たな特性の追加またはパフォーマンス向上を意図したもの)の際は、新たな受諾または同意およびインストール前のオプトインが求められるべきである。契約以外の法定根拠に依拠している場合、データ主体に対し、アップグレードの前に、かつ当該法定根拠にしたがって、通知が行なわれなければならない。 8.3.5 教育目的による個人データの越境移転に際して条約第14条の条件が満たされるようにし、教育目的による個人データの越境移転を限定し、かつ越境移転が承認されたデータ保護の枠組みのなかで行なわれることを確保するため、条約第14条に対して具体的に注意が向けられるべきである。 8.3.6 利用場所・利用者の特定、アプリ内機能の対象設定またはプロファイリングを目的とする位置情報の追跡は、必要な場合に限り、適切な法的根拠にしたがって実行されるべきである。サービスは、位置情報追跡がアクティブであるときにはそのことを表示するべきであり、かつ、必須機能を使用不能にすることなく容易に無効化できるようにすることが求められる。このようなプロファイルおよび履歴は、セッション終了時に容易に削除できるべきである。 8.3.7 教育ソフトウェアツールによって収集された子どものデータは、行動ターゲティング広告の掲出もしくはターゲティング、リアルタイム入札広告もしくはアプリ内広告、子どももしくは家族を対象とするマーケティング、製品のアップグレードまたは供給側主導の製品の追加を目的として処理されるべきではない。 更新履歴:ページ作成(2022年2月9日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/15.html
子どもの権利員会:総括所見:日本(子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書) 第1回(1998年)/第2回(2004年)/第3回(2010年)/第4-5回(2019年)OPAC(2010年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/JPN/CO/1 配布:一般 2010年6月11日 原文:英語(PDFファイル) 【日本語仮訳:子どもの権利条約NGOレポート連絡会議】】(注:リンクは訳者による補足である。また、原文では勧告部分が太字になっているが、ここではパラグラフ番号のみを太字とした。) 子どもの権利委員会 第54会期 2010年5月25日~6月11日 子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書第12条第1項に基づいて締約国が提出した報告書の検討 総括所見:日本 1.委員会は、2010年5月28日に開かれた第1513回会合(CRC/C/SR.1513参照)において日本の第1回報告書(CRC/C/OPSC/JPN/1)を検討し、2010年6月11日に開かれた第1541回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項(CRC/C/OPSC/JPN/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、部門を横断した代表団との建設的対話に謝意を表する。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2010年6月11日に採択された、条約に基づく締約国の第3回定期報告書についての総括所見(CRC/C/ JPN/CO/3)および武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/C/OPAC/JPN/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、以下の点に評価の意とともに留意する。 (a)インターネット上の出会い系サイトを通じた子どもの性的搾取と闘うため、2003年6月に出会い系サイト規制法が制定されたこと。 (b)人身取引被害者が退去強制の対象とされないことを確保するため、2005年6月に出入国管理及び難民認定法が改正されたこと。 (c)「人身取引対策行動計画2009」が策定されたこと。 (d)国連児童基金が推進する「旅行および観光における性的搾取から子どもを保護するための行動規範」(2005年)に旅行・観光業界の代表が署名したこと。 II.データ データ収集 5.選択議定書違反を構成する行為に関連した検挙件数についての締約国の情報は認知しながらも、委員会は、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーの発生状況を被害児の人数の観点から明らかにしたデータ(年齢、性別、民族的集団および所在ごとに細分化されたもの)が存在しないこと、および、選択議定書が対象としている特定の分野に関する調査研究が行なわれていないことを懸念する。 6.委員会は、締約国が、議定書が対象とする犯罪に関する調査研究を実施し、かつこれらの犯罪を登録する中央データベースを設けるとともに、このようなデータが体系的に収集され、かつとくに被害者の年齢、性別、民族的集団および所在ごとに細分化されることを確保するよう勧告する。このようなデータは政策の実施状況を測定するために必要不可欠な手段だからである。また、罪種別に細分化された、訴追および有罪判決の件数に関するデータも収集されるべきである。 III.実施に関する一般的措置 立法 7.委員会は、この分野における現行法の多さにも関わらず、国内法と選択議定書の規定との調和が限定されたままであり、かつ子どもの売買が具体的罪名に含まれていないことを懸念する。 8.委員会は、締約国が、国内法を選択議定書と調和させるプロセスを引き続き進め、かつ完了させるよう勧告する。 9.委員会は、締約国に対し、議定書に掲げられた子どもの売買に関する規定を十分に実施するためには、立法において子どもの売買(この概念は人身取引に似てはいるものの同一ではない)に関わる義務が充足されていなければならないことを想起するよう求める。 国家的行動計画 10.2001年に「児童の商業的性的搾取に対する国内行動計画」が採択されたことおよび「人身取引対策行動計画」(2009年)が存在することには留意しながらも、委員会は、2つの行動計画の関係、その効果、および、これらの行動計画において選択議定書のすべての分野が対象とされているか否かに関する情報が存在しないことに留意する。 11.(a)委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (i)選択議定書のあらゆる規定を考慮しながら、これらの行動計画の実施の調和を図り、かつすべての子どもの包括的保護を確保する目的で、これらの行動計画を見直し、かつ必要な場合には改訂すること。 (ii)子どもおよび市民社会を含む関係当事者と協議しながらこれらの行動計画を実施すること。 (iii)これらの行動計画を広く普及し、かつその実施状況を監視すること。 (b)これとの関連で、締約国は、それぞれ1996年、2001年および2008年にストックホルム、横浜およびリオデジャネイロで開催された第1回、第2回および第3回子どもの〔商業的〕性的搾取に反対する世界会議で採択された、宣言および行動アジェンダならびにグローバル・コミットメントを考慮に入れるよう促される。 調整および評価 12.委員会は、選択議定書の実施および関連の活動の調整を担当する機構が存在しないことに懸念を表明する。 13.委員会は、締約国が、選択議定書の効果的実施および国と地方の公的機関間の調整の強化を確保するための十分な財源および人的資源を備えた調整機関を設置するよう勧告する。 普及および研修 14.委員会は、選択議定書の規定に関する意識啓発活動が不十分であることに、懸念とともに留意する。 15.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)選択議定書の規定が、とくに学校カリキュラムおよびキャンペーンを含む長期的な意識啓発プログラムを通じ、とくに子ども、その家族およびコミュニティを対象として広く普及されることを確保すること。 (b)議定書第9条第2項にしたがい、議定書に掲げられた犯罪の有害な影響および被害者が利用可能な救済手段についての意識を、研修および教育キャンペーンを通じ、子どもを含む公衆の間で促進すること。 (c)選択議定書に関連する諸問題についての意識啓発活動および研修活動を支援するため、市民社会組織およびメディアとの協力を発展させること。 16.委員会は、法執行機関および矯正機関を除き、選択議定書に関する専門家の研修が不十分であることを懸念する。 17.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とする犯罪の被害を受けた子どもとともに活動するあらゆる専門家集団を対象とした、選択議定書の規定に関する体系的なかつジェンダーに配慮した教育および研修を強化するよう勧告する。 資源配分 18.委員会は、締約国報告書に、とくに犯罪捜査、法的援助ならびに被害者のための身体的および心理的回復措置との関係で、選択議定書を実施するための資源の配分に関する情報が記載されていないことを懸念する。 19.委員会は、締約国に対し、調整、防止、促進、保護、ケア、捜査および選択議定書が対象とする行為の抑止のため、関連の公的機関および市民社会組織に対する十分な予算配分を確保するよう奨励する。そのための手段には、議定書の規定に関わるプログラムの実施、とくに犯罪捜査、法的援助ならびに被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に使途を指定した上で人的資源および財源を配分することも含まれる。 独立の監視 20.委員会は、国レベルで選択議定書の実施を監視する独立機構が存在しないことに懸念を表明する。これとの関連で、委員会は、5つの自治体で子どもオンブズパーソンが任命されているという締約国の情報に留意するものである。しかしながら委員会は、これらのオンブズパーソンの権限および職務、その独立性および効果的活動を確保するために利用可能な財源その他の資源、ならびに、2002年の人権擁護法案に基づいて設置予定の人権委員会との関係のあり方の構想に関する情報が存在しないことを遺憾に思う。 21.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)早期に人権擁護法案を通過させ、かつ国内機関の地位に関するパリ原則(国連総会決議48/134)にしたがった国家人権委員会を設置できるようにするとともに、同委員会に対し、条約の実施を監視し、苦情を受け付けてそのフォローアップを行ない、かつ子どもの権利の組織的侵害を調査する権限を与えること。 (b)次回の報告書において、子どもオンブズパーソンに与えられた権限、職務および資源についての情報を提供すること。 (c)独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を考慮すること。 22.5つの自治体で子どもオンブズパーソンが任命されているという締約国の情報に評価の意とともに留意しながらも、委員会は、選択議定書の実施を監視する国の機構が存在しないこと、および、それ以外の自治体ではオンブズパーソンが活動していないことを懸念する。 23.委員会は、締約国が、選択議定書の実施を監視するための国レベルの機構が国内機関の地位に関するパリ原則(国連総会決議48/134)にしたがって設置されること、および、現在オンブズパーソン事務所が活動していない自治体においてオンブズパーソンが任命されることを確保するよう勧告する。 市民社会 24.委員会は、選択議定書の実施に関わるあらゆる分野で、締約国による市民社会との協力および連携の水準が低いことを遺憾に思う。 25.委員会は、締約国に対し、選択議定書が対象とするあらゆる事柄について市民社会との連携を強化するよう奨励する。そのための手段には、選択議定書違反の被害を受けた子どもに十分なサービスを提供しようとしている非政府組織を支援すること、および、政策およびサービスの発展および監視における非政府組織の役割を促進することなどが含まれる。 IV.子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーの防止(第9条第1項および第2項) 選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置 26.委員会は、子どもポルノグラフィーおよび子ども買春と闘うために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、これらの犯罪が蔓延していることに鑑み、防止措置が依然として不十分であることを懸念するものである。さらに委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪をともなう組織犯罪と闘うためにとられた措置についての詳しい情報が存在しないことに留意する。 27.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう奨励する。 (a)近隣諸国との連携および2国間協定等も通じ、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーを防止するための努力を強化すること。 (b)これらの犯罪を、とくに国境を越えて遂行することを容易にしている技術的進歩を考慮に入れながら、組織犯罪と闘うための行動計画の採択を検討すること。 (c)国連・国際組織犯罪防止条約(2000年)の批准を検討すること。 28.子どもポルノグラフィーの所持が必然的に子どもの性的搾取の帰結であることに鑑み、委員会は、児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第2項において児童ポルノを「特定少数の者に提供する目的で」所持することが犯罪化されているとはいえ、子どもポルノグラフィーの所持が依然として合法であることに懸念を表明する。 29.委員会は、締約国に対し、選択議定書第3条第1項(c)にしたがって子どもポルノグラフィーの所持を犯罪に含めるために法律を改正するよう、強く促す。 V.子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーならびに関連する事項の禁止(第3条、第4条第2項および第3項、第5条、第6条および第7条) 現行刑事法令 30.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪が、選択議定書第2条および第3条にしたがって締約国の刑事法で全面的に網羅されていないこと、および、とくに子どもの売買の定義が定められていないことを懸念する。 31.委員会は、締約国が、刑法を改正して選択議定書第2条および第3条と全面的に一致するようにするとともに、刑法が実際に執行されること、および、不処罰を防止するために加害者を裁判にかけることを確保するよう勧告する。とくに、締約国は以下の行為を犯罪化するべきである。 (a)性的搾取、営利目的の子どもの臓器移植もしくは強制労働に子どもを従事させることを目的として、いかなる手段によるかは問わず、子どもを提供し、引き渡しまたは受け取ること、または、養子縁組に関する適用可能な国際法文書に違反し、仲介者として不適切な形で子どもの養子縁組への同意を引き出すことによる、子どもの売買。 (b)子ども買春の目的で子どもを提供し、入手し、周旋しまたは供給すること。 (c)子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売しまたは所持すること。 (d)これらのいずれかの行為の未遂および共謀またはこれらのいずれかの行為への参加。 (e)これらのいずれかの行為を広告する資料の製造および配布。 32.委員会は、出会い系サイト規制法の目的は子ども買春を容易にする出会い系サイトの利用を根絶するところにあるとはいえ、他のタイプのウェブサイトが法律で同様の規制対象とされていないことを懸念する。 33.委員会は、締約国が、あらゆるインターネット・サイトを通じた子ども買春の勧誘を禁止する目的で、出会い系サイト規制法を改正するよう勧告する。 34.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪のさまざまな要素に対応するための措置を歓迎しながらも、子ども買春の被害者が犯罪者として扱われる可能性があることを懸念する。 35.委員会は、締約国が、法律を適切な形で改正することにより、選択議定書違反の被害者であるすべての子どもが犯罪者ではなく被害者として扱われることを確保するよう勧告する。 公訴時効 36.委員会は、刑事訴訟法において、選択議定書が対象とする犯罪の一部が短い時効期間の対象とされていることに、懸念とともに留意する。これらの犯罪の性質および被害者が申告をためらうことに鑑み、委員会は、刑事訴訟法で定められた時効期間のために不処罰が生じる可能性があることを懸念する。 37.委員会は、締約国に対し、選択議定書に基づき犯罪を構成する行為についてすべての加害者が責任を問われることを確保する目的で、この〔時効に関わる〕規定の削除を検討し、またはこれに代えて時効期間の延長を検討するよう促す。 VI.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条第3項および第4項) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 刑事司法制度上の保護措置 38.委員会は、事情聴取のための別室が用意されていることおよび聴聞を非公開で行なえることを含め、刑事司法手続において子どもの被害者および証人の権利および利益を保護するためにとられている措置を歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書に基づく犯罪の被害者であって刑事手続で証人となる者が、刑事手続および司法手続全体を通じて十分な支援および援助を受けているわけではないことを懸念する。委員会はとくに、子どもが証言を要求される回数を制限するための公式な取り決めが不十分であること、および、口頭での証言に代えて録画による証言を使用することが刑事手続において認められていないことに、懸念を表明する。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)繰り返し証言するよう求められることによって子どもがさらなるトラウマを受けることがないようにするため、この分野の専門家と協議しながら、証人となる被害者の子どもに支援および援助を提供するための手続を緊急に見直すとともに、その目的のため、当該手続において口頭での証言ではなく録画による証言を活用することを検討すること。 (b)選択議定書第8条第1項および「子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針」(国連経済社会理事会決議2005/20)にしたがい、18歳未満のすべての子どもを対象として、被害を受けた子どもの権利および利益を保護するための措置を、刑事訴訟法改正等も通じて強化すること。 (c)裁判官、検察官、警察官、および子どもの証人とともに活動するその他の専門家が、刑事手続および司法手続のあらゆる段階における、子どもにやさしい、被害者および証人とのやりとりに関する研修を受けることを確保すること。 回復および再統合 40.委員会は、カウンセリング・サービスの提供など締約国がこの点に関してとってきた措置にも関わらず、選択議定書に基づく犯罪の被害者を対象とした身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置が依然として不十分であることを懸念する。 41.委員会は、選択議定書第9条第3項にしたがい、とくに被害を受けた子どもに分野横断型の援助を提供することにより、かつ、適切な場合には被害者の出身国との連携および2国間協定を通じて身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置を強化するため、締約国が、使途指定による資源配分が行なわれることを確保するよう勧告する。 VII.国際的援助および協力 国際協力 42.委員会は、選択議定書で禁じられた性的その他の形態の搾取から子どもを保護することを目的とした多国間および2国間の活動およびプログラムに対し、締約国が財政的支援(バリ・プロセスへの支援および国際移住機関への財政援助を含む)を行なってきたことを称賛する。しかしながら委員会は、捜査ならびに刑事手続および犯罪人引渡手続との関係で締約国と他の関係諸国との間で結ばれている法的共助(手続のために必要な証拠の入手に関する援助を含む)についての取り決めが十分ではないことを懸念する。 43.委員会は、締約国が、選択議定書の規定に反して搾取された子どもの権利に、とくに防止措置ならびに被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進することによって対応する活動への財政的支援を継続するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、法的共助に関して定められている条約その他の取り決めにしたがい、締約国と他の国々との調整を強化するようにも勧告する。 VIII.フォローアップおよび普及 フォローアップ 44.委員会は、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国会議員その他の関連の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 総括所見の普及 45.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する意識を喚起する目的で、報告書および締約国が提出した文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、公衆、市民社会組織、メディア、若者グループおよび専門家グループが広く入手できるようにすることを勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、選択議定書を子どもたちに周知させるよう勧告する。 日本政府のコメント 第1回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答は、委員会への提出後直ちに、英語および日本語により、インターネットを通じて公衆に提供された。したがって、日本政府はすでに必要な措置をとっている。 IX.次回報告書 46.第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約に基づく第4回・第5回統合報告書(提出期限は2016年5月21日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2010年6月17日)。/パラ45に日本政府のコメントを追加(2011年10月4日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/24.html
子どもの権利委員会・一般的意見12号:意見を聴かれる子どもの権利(3) 意見を聴かれる子どもの権利(2)より続く C.さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施(続き) 6.労働現場における実施 116.法律ならびに国際労働機関第138号条約(1973年)および第182号条約(1999年)が認める年齢未満で働いている子どもたちは、当該状況および自分の最善の利益に関するその意見を理解するため、子どもに配慮した環境で意見を聴かれなければならない。このような子どもたちは、経済的および社会構造的制約ならびにこれらの子どもたちが働く文化的文脈を尊重する解決策の追求に包摂されるべきである。子どもたちはまた、児童労働の根本的原因を解消する目的で政策、とくに教育に関わる政策が立案されるときにも、意見を聴かれるべきである。 117.働く子どもたちは法律によって搾取から保護される権利を有しているのであり、労働法の実施状況を調査する査察官が就業場所および労働条件を検査するときに意見を聴かれるべきである。子どもたち、および存在するのであれば働く子どもたちの団体の代表は、労働法が起草される際または法律の執行状況が検討および評価される際にも意見を聴かれるべきである。 7.暴力の状況下における実施 118.条約は、あらゆる形態の暴力から保護される子どもの権利、および、この権利をいかなる差別もなくすべての子どもに対して確保する締約国の責任を定めている。委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の暴力に対処することを目的とする立法上、政策上、教育上その他の措置の立案および実施において、子どもたちと協議するよう奨励するものである。搾取されている子どもたち、ストリートチルドレンまたは難民である子どもたちのような周縁化されかつ不利な立場に置かれた子どもたちが、関連の立法および政策プロセスに関する意見を募るための協議プロセスから排除されないことを確保することに対し、特段の注意が払われなければならない。 119.これとの関連で、委員会は「子どもに対する暴力に関する事務総長研究」の知見を歓迎し、締約国に対し、その勧告を全面的に実施するよう促す(子どもに対する暴力の防止、報告および監視のあらゆる側面について、子どもたちがその意見を自由に表明できる場を提供し、かつ表明された意見を正当に重視するよう求める勧告を含む)。 [18] [18] 「子どもに対する暴力に関する国際連合研究」のための独立専門家の報告書(A/61/229)。 120.子どもたちに対して振るわれる暴力の多くは異議申し立てを受けることがない。これは、一部の形態の虐待的行動は受け入れられた慣行であると子どもたちから理解されているためでも、子どもにやさしい通報機構が存在しないためでもある。たとえば、体罰、女性器切除または早期婚のような不当な取扱いを経験してもそれを秘密にかつ安全に通報できる相手がおらず、また子どもの権利を実施する責任者に全般的見方を伝える回路もない。そのため、子どもたちを効果的に保護措置の対象とするためには、子どもたちが、意見を聴かれる自分たちの権利およびあらゆる形態の身体的・心理的暴力を受けずに成長する権利について十分な情報を得ていることが必要とされる。締約国は、あらゆる子ども施設に対し、子どもたちが秘密にかつ安全に通報できる個人または組織に容易にアクセスできるようにすること(電話のヘルプラインを通じてのアクセスも含む)、および、子どもに対する暴力との闘いについて子どもたちが自分の経験および意見を寄せられる場を提供することを、義務づけるべきである。 121.委員会はまた、子どもたちが自分自身の保護に関して中心的役割を果たせるよう、暴力に対応するための子どもたちの団体および子どもが主導する取り組みを支援および奨励し、かつ暴力に対抗するためのプログラムおよび措置の立案、確立および評価にこれらの団体を包摂するべきであるという、「子どもに対する暴力に関する事務総長研究」に掲げられた勧告に対しても、締約国の注意を喚起するものである。 8.防止戦略の策定における実施 122.委員会は、子どもの権利侵害の防止において子どもたちの声がますます力を増していることに留意する。望ましい実践例は、とくに学校における暴力防止、危険かつ厳しい労働を通じた搾取との闘い、ストリートチルドレンへの保健サービスおよび教育の提供ならびに少年司法制度の分野で見出すことができる。子どもたちは、これらの問題その他の問題領域に関する立法および政策の立案に際して協議の対象とされるべきであり、かつ、関連する計画およびプログラムの起案、策定および実施への参加を促されるべきである。 9.移住および庇護に関わる手続における実施 123.仕事を求める親に連れられてまたは難民としてある国にやってきた子どもたちは、とりわけ脆弱な状況に置かれる。そのため、移住および庇護に関わる手続のあらゆる側面について自己の意見を表明するこのような子どもたちの権利を全面的に実施することが緊急に必要である。移住の場合、学校および保健サービスへの子どもの統合を図るため、教育上の期待および健康状態について子どもの意見を聴かなければならない。庇護申請の場合、これに加えて、庇護申請に至った理由を提示する機会が与えられなければならない。 124.委員会は、手続においてこれらの子どもたちの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、これらの子どもたちに対し、その権利、利用可能なサービス(連絡および意思疎通の手段を含む)ならびに移住・庇護手続に関するあらゆる関連の情報が子どもたち自身の言語で提供されなければならないことを強調する。後見人または助言者が無償で任命されるべきである。庇護希望者である子どもたちには、その最善の利益について判断するため、家族の効果的な追跡、および、出身国の状況に関する関連情報も必要になる場合がある。かつて武力紛争に関与していた子どもたちには、自己のニーズをはっきりと表明できるようにするため、特段の援助が必要になるかもしれない。さらに、無国籍の子どもたちが、居住領域内で進められる意思決定プロセスに包摂されることを確保するための注意も必要である。[19] [19] 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/C/2005/6)参照。 10.緊急事態下における実施 125.委員会は、第12条に掲げられた権利は危機状況またはその直後の時期においても停止しないことを強調する。紛争状況、紛争後の解決、および緊急事態後の復興において子どもたちが重要な貢献を行なえることを示す証拠はますます蓄積されつつある [20]。そこで委員会は、2008年の一般的討議後の勧告で、緊急事態の影響を受けた子どもたちが、自分たちの状況および将来展望の分析への参加を奨励され、かつ参加できるようにされるべきことを強調した。子ども参加は、子どもたちが自分たちの生活をふたたびコントロールできるようにするうえで役立ち、立ち直りに寄与し、組織的スキルを発展させ、かつアイデンティティの感覚を強化する。しかし、トラウマにつながるまたは有害である可能性が高い状況を目の当たりにすることから子どもたちを保護するための配慮は必要である。 [20] “The participation of children and young people in emergencies a guide for relief agencies”, UNICEF, Bangkok (2007). 126.したがって委員会は、締約国に対し、子どもたち、とくに思春期の子どもたちが、緊急事態後の復興プロセスおよび紛争後の解決プロセスの双方で積極的役割を果たせるようにする機構を支援するよう奨励する。プログラムの事前評価、立案、実施、モニタリングおよび事後評価において子どもたちの意見が募られるべきである。たとえば、難民キャンプの子どもたちに対し、子どもフォーラムの設置を通じて自分たち自身の安全およびウェルビーイングに貢献するよう奨励することが考えられよう。子どもたちがそのようなフォーラムを設置できるようにするための支援が与えられなければならない。他方、その運営が子どもたちの最善の利益および有害な経験から保護される権利と合致することを確保することも必要である。 11.全国的および国際的場面における実施 127.子ども参加の機会の多くはコミュニティ・レベルで生じている。委員会は、地方若者議会、自治体子ども評議会、および、意思決定プロセスにおいて子どもたちが自分たちの意見を表明することのできる特別協議の数が増えていることを歓迎するものである。しかし、このような正式な代表制に基づく地方政府への参加体制は、地方レベルでの第12条の実施への数あるアプローチのひとつに過ぎないものと位置づけることが求められる。このような体制を通じて地域コミュニティに関与できるのは、相対的に少人数の子どもたちに留まるためである。政治家および官吏が時間を決めて協議に応じること、オープンハウスを実施することならびに学校や幼稚園を訪問することによって、コミュニケーションのための追加的機会をつくり出すことができる。 128.子どもたちは、意味のある参加および集団的表現の空間を生み出すことにつながる子ども主導型の団体および取り組みを自分たち自身で形成するよう、支援および奨励されるべきである。加えて、子どもたちは、より適切なサービスを確保する目的で、たとえば学校、遊び場、公園、余暇施設および文化施設、公共図書館、保健施設ならびに地域輸送システムの設計に関する自分たちなりの見方を提供することができる。公衆との協議を呼びかけるコミュニティ開発計画においては、子どもたちの意見が明示的に包摂されるべきである。 129.一方、このような参加の機会が、行政区、広域行政圏、連邦州および国のレベルでも設けられている国も多い。そこでは、若者の議会、評議会および会議を通じて、子どもたちが自分たちの意見を発表し、かつ関連の聴き手に知らせる場が提供されている。NGOおよび市民社会組織は、代表の選ばれ方の透明性を守り、かつ操作または形式主義の危険に対抗する子ども支援実践を発展させてきた。 130.委員会は、意見を聴かれる子どもたちの権利およびあらゆる分野における子ども参加についての意識を促進するうえでユニセフおよびNGOが重要な貢献を行なってきたことを歓迎するとともに、子どもに影響を与えるあらゆる事柄についての子ども参加を(草の根レベル、コミュニティ・レベル、国レベルまたは国際レベル等で)さらに促進し、かつ模範的実践の交流を推進するよう奨励する。集団的アドボカシーの共同学習の機会および実践の場を増やすため、子ども主導型団体のネットワーク化が積極的に奨励されるべきである。 131.国際的レベルでは、国連総会が主催した「子どものための世界サミット」(1990年および2002年)における子ども参加、ならびに、子どもの権利委員会への報告プロセスへの子どもたちの関与が特段の関連性を有する。委員会は、締約国による子どもの権利の実施状況を監視するプロセスにおいて、子ども団体および子どもたちの代表から提出される文書による報告および口頭による追加情報を歓迎し、締約国およびNGOに対し、子どもたちが委員会に意見を提供することを支援するよう奨励するものである。 D.意見を聴かれる子どもの権利を実施するための基本的要件 132.委員会は、締約国に対し、子どもたちの意見表明を制約し、または子どもたちが意見を聴いてもらえるようにはするものの表明された意見を正当に重視しない、形式主義的アプローチを避けるよう促す。委員会は、何を言ってもよいか告げられるような状況に子どもたちを置き、または参加を通じた危害のおそれに子どもたちをさらすような、おとなによる子どもたちの操作は、倫理的実践ではなく、かつ第12条を実施しているとは理解できないことを強調するものである。 133.参加が効果的かつ意味のあるものとなるためには、一度きりの個別的イベントではなくプロセスとして理解される必要がある。子どもの権利条約が1989年に採択されて以降の経験を通じ、第12条の効果的、倫理的かつ意味のある実施のために達成されなければならない基本的要件について幅広い合意が形成されてきた。委員会は、締約国が、第12条を実施するためのあらゆる立法上その他の措置にこれらの要件を統合するよう勧告する。 134.子どもまたは子どもたちが意見を聴かれかつ参加するあらゆるプロセスは、以下のようなものでなければならない。 (a) 透明かつ情報が豊かである――子どもたちは、自己の意見を表明し、かつその意見を正当に重視される権利ならびにこのような参加が行なわれる方法、その範囲、目的および潜在的影響についての、十分な、アクセスしやすい、多様性に配慮した、かつ年齢にふさわしい情報を提供されなければならない。 (b) 任意である――子どもたちが意思に反して意見表明を強要されることはけっしてあるべきではなく、また子どもたちにはどの段階でも関与をやめてよいことが知らされるべきである。 (c) 尊重される――子どもたちの意見は敬意をもって扱われなければならず、また子どもたちにはアイデアおよび活動を主導する機会が提供されるべきである。子どもたちとともに活動しているおとなは、たとえば家族、学校、文化および労働環境に対する貢献における子ども参加の好例を認知し、尊重し、かつ発展させていくことが求められる。子どもたちの生活の社会経済的、環境的および文化的文脈についての理解も必要である。子どもたちのためにおよび子どもたちとともに活動している者および組織も、公的イベントへの参加に関して子どもたちの意見を尊重するべきである。 (d) 子どもたちの生活に関連している――子どもたちが意見表明権を有する問題は、その生活に真に関連しており、かつ子どもたちが自分の知識、スキルおよび能力を活用できるようなものでなければならない。加えて、子どもたち自身が関連性および重要性を有すると考える問題に光を当て、かつ対処できるようにする余地も設けられる必要がある。 (e) 子どもにやさしい――環境および作業方法は子どもたちの力量に合わせて修正されるべきである。子どもたちが十分に準備を整え、かつ意見を表明する自信および機会を持てることを確保するため、十分な時間および資源を利用可能とすることが求められる。子どもたちは、その年齢および発達しつつある能力にしたがって異なる水準の支援および関与形態を必要とすることが考慮されなければならない。 (f) インクルーシブである――参加はインクルーシブであり、現存する差別のパターンを避け、かつ周縁化された子どもたち(女子と男子の双方を含む)が関与する機会を奨励するようなものでなければならない(前掲パラ88も参照)。子どもたちは均質的集団ではなく、参加は、いかなる事由に基づく差別もなく、すべての子どもたちに対して均等な機会を提供するようなものである必要がある。プログラムにおいては、あらゆるコミュニティ出身の子どもたちに対して文化的配慮を行なうことも確保されなければならない。 (g) 訓練による支援がある――おとなには、子ども参加を効果的に促進するための、たとえば耳を傾けること、子どもたちと共同作業を行なうことおよび発達しつつある能力にしたがって効果的に子どもたちの参加を得ることに関わるスキルを身につけるための、準備、スキルおよび支援が必要である。子どもたち自身が、効果的参加を促進する方法についてのトレーナーおよびファシリテーターとして関与することもできよう。子どもたちには、たとえば効果的参加に関わるスキル〔および〕権利意識を高めるための能力構築、ならびに、会議の組織、資金集め、メディア対応、公の場での話およびアドボカシーに関する訓練が必要である。 (h) 安全であり、かつリスクに配慮している――一定の状況では意見表明がリスクをともなう可能性もある。おとなはともに活動する子どもたちに対して責任を負っているのであり、子どもたちに対する、暴力、搾取、または参加にともなう他のいずれかの否定的結果のリスクを最小限に留めるために、あらゆる予防措置をとらなければならない。適切な保護を提供するために必要な措置には、一部のグループの子どもたちが直面する特別なリスク、および、このような子どもたちが援助を得る際に直面する追加的障壁を認識した、明確な子ども保護戦略を策定することが含まれよう。子どもたちは、危害から保護される権利を認識し、かつ必要な場合にどこに行けば援助を得られるか承知していなければならない。参加の価値および意味合いに関する理解を構築し、かつしかるべき対応がとられない場合に子どもがさらされる可能性のあるリスクを最小限に留めるため、家族およびコミュニティとの協働に投資することが重要である。 (i) 説明責任が果たされる――フォローアップおよび評価に対するコミットメントが必要不可欠である。たとえば、いかなる調査研究および協議のプロセスにおいても、子どもたちは、その意見がどのように解釈および活用されるかについて情報を知らされ、かつ、必要なときは、知見の分析に異議を申し立てかつ影響を及ぼす機会を提供されなければならない。子どもたちはまた、自分たちの参加がいずれかの結果にどのような影響を及ぼしたのかについても、明確なフィードバックを提供される資格を有する。子どもたちは、適切な場合には常に、フォローアップのプロセスまたは活動に参加する機会を与えられるべきである。子ども参加のモニタリングおよび評価は、可能な場合には子どもたち自身とともに行なわれなければならない。 E.結論 135.自己にとってのあらゆる関心事について意見を聴かれ、かつその意見を正当に考慮される子どもの権利の実現に投資することは、締約国が条約上負っている明確かつ即時的な法的義務である。これはいかなる差別もなくすべての子どもが有する権利である。第12条を実施するための意味のある機会を達成するには、子どもたちが意見を聴かれる機会および自己に影響を与えるすべての事柄についての参加へのアクセスを現在妨げている法的、政治的、経済的、社会的および文化的障壁を解体することが必要になろう。そのためには、子どもたちの能力に関する常識を問い直し、かつ、子どもたちが能力を構築および実証できる環境の発展を奨励するための態勢が必要である。資源および訓練に対するコミットメントも必要になる。 136.これらの義務を履行することは、締約国にとって課題を突きつけられることである。しかしそれは、この一般的意見に掲げられた戦略が体系的に実施され、かつ子どもたちおよびその意見を尊重する文化が構築されれば、達成可能な目標なのである。 更新履歴:ページ作成(2011年5月2日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/315.html
一般的意見22(2017年):国際的移住の文脈にある子どもの人権についての一般的原則 一般的意見一覧 CMW/C/GC/3-CRC/C/GC/22 配布:一般(2017年11月16日)〔注1〕 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 国際移住の文脈にある子どもの人権についての一般的原則に関する合同一般的意見: すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見3号(2017年) および子どもの権利委員会の一般的意見22号(2017年)〔注2〕 注1/技術的理由により2017年11月24日に発行し直されたもの。 注2/この合同一般的意見は、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)とあわせて参照されるべきである。 【訳者注】煩雑さを避けるため、以下の訳では、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約」は移住労働者権利条約、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会」は移住労働者権利委員会と略称する。/なお、以下の目次は訳者が付け加えたものである。 I.はじめに(パラ1-10)A.背景(パラ5-6) B.合同一般的意見の目的および適用範囲(パラ7-10) II.国際的移住の文脈にある子どもを保護するための、移住労働者権利条約および子どもの権利条約の実施のための一般的措置(パラ11-18) III.国際的移住の文脈における子どもの権利に関わる両条約の基本的原則(パラ19-47)A.差別の禁止(移住労働者権利条約第1条および第7条;子どもの権利条約第2条)(パラ21-26) B.子どもの最善の利益(子どもの権利条約第3条)(パラ27-33) C.意見を聴かれる権利、自己の意見を表明する権利および参加の権利(子どもの権利条約第12条)(パラ34-39) D.生命、生存および発達に対する権利(移住労働者権利条約第9条;子どもの権利条約第6条)(パラ40-44) E.ノンルフールマン/集団的追放の禁止(移住労働者権利条約第9条、第10条および第22条;子どもの権利条約第6条、第22条および第37条)(パラ45-47) IV.国際協力(パラ48-51) V.合同一般的意見の普及および活用ならびに報告(パラ52-54) VI.条約の批准または条約への加入および留保(パラ55-56) I.はじめに 1.この合同一般的意見は、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(移住労働者権利委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)と同時に採択されたものである。同一般的意見とこの一般的意見はいずれもそれ自体で独立した文書ではあるが、両者は相互に補完しあうものであり、あわせて参照しかつ実施することが求められる。これらの文書の起草過程では、2017年5月から7月にかけて、バンコク、ベイルート、ベルリン、ダカール、ジュネーブ、マドリードおよびメキシコシティにおいて、主要な関係者および専門家(子どもたちおよび移住者団体を含む)の代表の参加を得て一連の国際的・地域的協議も行なわれた。加えて、委員会のもとには、2015年11月から2017年8月にかけて、世界のあらゆる地域の国々、国際連合機関および関係組織、市民社会組織、国内人権機関ならびにその他の関係者から80件以上の意見書が寄せられた。 2.移住労働者権利条約と子どもの権利に関する条約には、国際的移住の文脈における子どもの権利の保護に一般的にも具体的にも関連する、法的拘束力のある一定の義務が掲げられている。 3.子どもは、国際的移住の文脈において、子どもであることで、かつ移住の影響を受けている子ども((a) 単身であるか家族とともにいるかにかかわらず、自らも移住者である子ども、(b) 目的地国において移住者の両親から生まれた子どもまたは (c) 親の一方もしくは双方が他国に移住しているあいだ出身国に残っている子ども)であることで、二重に脆弱な状況に置かれる場合がある。これに加えて、子どもの国民的、民族的または社会的出身、ジェンダー、性的指向もしくはジェンダーアイデンティティ、宗教、障害、移住者資格もしくは在留資格、国籍上の地位、年齢、経済的地位、政治的その他の意見またはその他の地位に関連する脆弱性が生じることもある。 4.両委員会は、相互に補完しあう任務を有しており、かつ国際的移住の文脈におけるすべての子どもの保護の強化に対するコミットメントを共有していることから、これらの合同一般的意見の作成を決定した。この一般的意見は両条約の規定に基づくものであるが、重要な点として、ここで明らかにされている人権規範は子どもの権利条約の規定および原則に立脚したものだということを強調しておかなければならない。したがって、この合同一般的意見に掲げられた有権的指針は、子どもの権利条約および(または)移住労働者権利条約のすべての締約国に平等に適用される。 A.背景 5.この合同一般的意見は、両委員会が多くの取り組みを通じて高めてきた、国際的移住の文脈における子どもの権利への関心に立脚するものである。このような取り組みには以下のものが含まれる。 (a) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての、子どもの権利委員会の一般的意見6号(2005年)。ここには、出身国外にある移住者であって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもをとくに対象とする一連の勧告が掲げられている。 (b) 子どもの権利委員会が2012年9月にジュネーブで開催した、国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利に関する一般的討議。委員会は同一般的討議のためのバックグラウンドペーパーを起草し、かつ結論および勧告を付した報告 [1] を採択した。 (c) 移住労働者権利委員会が2016年に行なった、「移動する子どもおよび移住の影響を受けているその他の子どもに関する行動の指針とされるべき勧告的原則」[2] への支持表明。加えて、両委員会は「子どもの入管収容を終わらせるための機関間作業部会」のメンバーである。 (d) 国際的移住の文脈における子どもの権利に影響を及ぼすさまざまな人権問題に関して、近年、それぞれの条約の締約国に対して両委員会が行なってきたますます多くの勧告。 [1] www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRC/Pages/Discussion2012.aspx 参照。 [2] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CMW/Recommended-principle_EN.pdf より入手可能。 6.この合同一般的意見はまた、国際的移住の文脈にある子どもに関連する国際連合の他の決議および報告、国際連合人権機構のさまざまなアウトプットならびに国際連合、政府間機関および市民社会の取り組みにも立脚するものである。これには以下のものが含まれる。 (a) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約に基づいて各国が難民および移住者に対して負う義務についての、経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の声明(E/C.12/2017/1)。そのなかで同委員会は、とくに「差別からの保護について、ある個人が受入国で正規の在留資格を有していることを条件とすることはできない」ことを想起するとともに、「国内にいるすべての子ども(在留資格を有していない子どもを含む)は、教育を受け、かつ十分な食料および負担可能な保健ケアにアクセスする権利を有する」ことも想起している。 (b) 難民および移民のためのニューヨーク宣言。そのなかで、国家元首および政府の長は、難民および移住者であるすべての子どもの人権および基本的自由を、その地位にかかわらず、かつ子どもの最善の利益を常に第一次的に考慮しながら保護すること、および、子どもの権利条約に基づく自国の義務を遵守することを約束している [3]。 [3] 総会決議71/1、パラ32。 B.合同一般的意見の目的および適用範囲 7.この合同一般的意見の目的は、国際的移住の文脈にある子どもの権利を全面的に保護する両条約上の義務の全面的遵守を確保するためにとられるべき、立法上、政策上その他の適切な措置についての有権的指針を示すところにある。 8.両委員会は、国際的移住の現象が世界のあらゆる地域およびあらゆる社会に影響を与えており、かつ数百万人の子どもにますます大きな影響を及ぼしていることを認知する。移住は出身国、通過国、目的地国および帰還先の国の個人、家族およびより幅広いコミュニティに肯定的成果をもたらしうる一方、移住、とくに安全ではない移住および(または)非正規な移住のきっかけが人権(複数の人権条約、とくに子どもの権利条約で認められている子どもの権利を含む)の侵害と直接関連していることも多い。 9.この合同一般的意見では、子どもが親もしく主たる養育者とともに移住しているか、保護者がいないもしくは養育者から分離された状態にあるか、出身国に帰還しているか、通過国もしくは目的地国において移住者である親から生まれたか、または親の一方もしくは双方が他国に移住しているあいだ出身国に残っているかにかかわらず、かつ子ども自身またはその親の移住者資格または在留資格(移住者資格)にかかわりなく、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの人権について取り上げている。子どもの権利条約の差別の禁止の原則は、締約国に対し、子どもがとくに正規のもしくは非正規な状況にある移住者、庇護希望者、難民、無国籍者および(または)人身取引被害者であると考えられる(出身国への帰還または送還の状況にある場合を含む)か否かにかかわらず、また子どもまたは親もしくは法定後見人の国籍、移住者資格または無国籍にかかわりなく、すべての子どもに対して条約に掲げられた権利を尊重しかつ確保する義務を課すものである [4]。 [4] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ12参照。 10.この合同一般的意見は、両委員会が公にしてきた他の関連の一般的意見とあわせて参照されるべきである。この合同一般的意見はまた、これらの一般的意見および国際的移住の文脈において子どもたちが直面している課題の変遷に立脚したものとして、国際的移住の文脈にある子どもの権利に関して両委員会が示した有権的指針としても参照されるべきである。 II.国際的移住の文脈にある子どもを保護するための、移住労働者権利条約および子どもの権利条約の実施のための一般的措置 11.各国は、国際的移住の文脈にある子どもが何よりもまず子どもとして扱われることを確保するべきである。両条約の締約国には、子どもまたはその親もしくは法定後見人の移住者資格にかかわらず国際的移住の文脈にある子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する、両条約に掲げられた義務を遵守する責務がある。 12.両条約に基づく締約国の義務は、その管轄(国家が国境外で実効的支配権を行使することから生じる管轄を含む)の内にある子ども1人ひとりに適用される。これらの義務は、国家の領域から区域または地域を除外することによっても、特定の区域または地域(国際水域の区域または国が移住管理機構を設けているその他の通過区域を含む)について自国の管轄下にないまたは自国の管轄権は部分的なものでしかないと定めることによっても、恣意的かつ一方的に縮小することができない。これらの義務は国の国境内で適用されるのであり、これは当該国への入域を試みた際にその管轄下に入るに至った子どもについても当てはまる。 13.両委員会は、国際的移住の文脈においては子どもの権利が優越するのであり、したがって各国は移住関連の枠組み、政策、実務および(または)その他の措置に両条約を統合する必要があることを強調する。 14.両委員会は、締約国に対し、国際的移住の文脈にある子どもの権利に影響を及ぼす政策、実務および決定については、子どもの権利を担当する公的機関が、明確な決定権限を持って主導的役割を果たすことを確保するよう、奨励する。出身国、通過国、目的地国および帰還先の国も含め、国および地方のレベルに設置されている包括的な子ども保護制度においては、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの状況がプログラムの主流に位置づけられるべきである。子ども保護機関が有する任務に加え、移住担当および子どもの権利に影響を及ぼす他の関連の政策担当の公的機関も、政策の立案および実施のあらゆる段階で、国際的移住の文脈にある子どもへの影響およびこれらの子どものニーズについて体系的な評価および対応を行なうことが求められる。 15.締約国は、とくに移住管理の目的または他の行政上もしくは政治上の考慮事項に関わって、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の充足を目的とする政策を策定するべきである。 16.締約国は、国際的移住の文脈にある子どもの保護を目的とする包括的政策の参考に供するため、このようなすべての子どもに関する質的・量的データの収集および公的普及に関する、権利を基盤とする体系的な政策を策定するべきである。このようなデータは、交差的差別を監視するため、国籍、移住者資格、ジェンダー、年齢、民族、障害および他の関連するあらゆる地位別に細分化することが求められる。両委員会は、安全性を欠いた子どもおよび(または)その家族の移住の原因に関するデータ収集および分析に対して人権を基盤とするアプローチをとること等も通じ、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の実施状況を評価するための指標を開発することの重要性を強調する。このような情報は、プライバシー権および個人情報保護の基準を全面的に尊重したうえで子どもを含むすべての関係者に対して利用可能とされるべきである。市民社会組織および他の関係者がデータの収集・評価プロセスに参加できるようにすることが求められる。 17.子どもの個人情報(生体データを含む)は子どもの保護の目的のみに用いられるべきであり、そのためデータの収集、利用および保存ならびにデータへのアクセスに関する適切な規則が厳格に執行されるべきである。両委員会は、データシステムの開発および運用ならびに当局間および(または)国家間のデータ共有におけるセーフガードに関して相当な注意を払うよう促す。締約国は「ファイアウォール」を運用するとともに、他の目的(保護、救済、民事登録およびサービスへのアクセスなど)で収集された個人情報を出入国管理措置の執行のために共有・利用することを禁止するべきである。このことは、個人情報保護の原則を維持し、かつ子どもの権利条約に定められた子どもの権利を保護するために必要となる。 18.両委員会は、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利を充足するため、以下の要素が、策定されかつ実行に移される政策および実務の一部とされるべきであるとの見解に立つ。その要素とは、(a) 子どもの保護および福祉を担当している機関とその他の主要な機関(社会的保護、保健、教育、司法、移住およびジェンダーの問題に関わる機関を含む)とのあいだならびに地域政府、国の政府および地方政府のあいだで定められる包括的かつ機関横断的な政策、(b) 政策およびプログラムの効果的実施の確保を目的とする十分な資源(予算資源を含む)、および、(c) 子どもの保護、移住および関連の問題に従事する職員を対象とする、子ども、移住者および難民の権利ならびに無国籍(交差的差別を含む)についての継続的かつ定期的な研修である。 III.国際的移住の文脈における子どもの権利に関わる両条約の基本的原則 19.子どもの権利条約の締約国は、そこに掲げられた原則および規定が関連の国内法、政策および実務において全面的に反映されかつ法的効力を有することを確保する義務を負う(第4条)。国は、子どもに関わるすべての行動において、総括的原則である差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)、生命、生存および発達に対する権利(第6条)、ならびに、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を表明し、かつその権利を考慮される子どもの権利(第12条)の原則を指針とするべきである。国は、これらの原則が実務上も維持され、かつ国際的移住の文脈にある子どもに影響を及ぼすすべての政策の主流に位置づけられること、および、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(移住労働者権利委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)で明らかにされた具体的義務の解釈および分析においてもこれらの原則が維持されることを確保するための措置(立法措置およびその他の政策手段を含む)をとるよう求められる。 20.両委員会は、子どもの権利条約第41条および移住労働者権利条約第81条の規定が適用されることを再確認するとともに、基準が異なる場合には、国内法および国際法の規定のうち国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の実現にもっとも資する規定が適用されることをあらためて指摘する。さらに、両条約の効果的な実施、ならびに、移住によって子どもたちに突きつけられる課題がますます増える状況下でのすべての子どもの権利の尊重、保護および充足を確保するためには、子ども中心のアプローチを基盤として両条約をダイナミックに解釈することが必要である。 A.差別の禁止(移住労働者権利条約第1条および第7条;子どもの権利条約第2条) 21.差別の禁止の原則は、基本的な、かつ国際的移住の文脈にある子どもとの関連でそのあらゆる相において適用される原則である [5]。国際的移住に関与しまたはその影響を受けているすべての子どもは、子どもまたはその親、法定保護者もしくは家族構成員の年齢、ジェンダー、ジェンダーアイデンティティもしくは性的指向、民族的もしくは国民的出身、障害、宗教、経済的地位、移住者/在留資格、無国籍、人種、皮膚の色、婚姻もしくは家族に関わる地位、健康状態もしくは他の社会的条件、活動、表明された意見または信条にかかわらず、自己の権利を享受する資格を有する。この原則は、どのような理由で移動しているか、子どもに保護者が付き添っているか否か、移動中かもしくはその他の形で定住しているか、在留資格または他のいずれかの資格を有しているか否かにかかわらず、すべての子どもおよびその親に全面的に適用される。 [5] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ18参照。 22.差別の禁止の原則は、移住に関連するすべての政策および手続(国境管理措置を含む)の中心に、子どもまたはその親の移住者資格にかかわらず、位置づけられる。移住者の異なる取扱いは、いかなるものであっても、適法性および比例性を備え、正当な目的を追求し、かつ子どもの最善の利益ならびに国際人権法上の規範および基準に一致していなければならない。同様に、締約国は、移住者である子どもおよびその家族が、その人権の効果的実現および国民と平等なやり方によるサービスへのアクセスを通じ、受入れ社会に統合されることを確保するべきである。 23.両委員会は、締約国が、いかなる事由による差別とも闘い、かつ、移住プロセス全体を通じて複合的かつ交差的形態の差別(出身国における差別および出身国に帰還した後の差別ならびに(または)子どもの移住資格の結果として生じる差別を含む)から子どもを保護するための、十分な措置をとるよう勧告する。このような目標を達成するため、締約国は、排外主義、人種主義および差別と闘うための努力を強化し、かつこのような態度および慣行と闘うためにあらゆる適切な措置をとるとともに、この点に関わる正確な、信頼でき、かつ最新のデータおよび情報を収集しかつ普及するべきである。各国はまた、国際的移住の影響を受けている家族の、受入れ社会への社会的包摂および全面的統合を促進するとともに、国際的移住の影響を受けている子どもおよびその家族を暴力、差別、いやがらせおよびいじめから保護し、かつ両条約および各国が批准している他の条約に掲げられた権利へのこれらの子どもおよび家族によるアクセス [6] を充足する目的で、移住に関する知識を向上させるためのプログラムおよび移住者に関わるいかなる否定的な見方にも対応するためのプログラムを実施することも求められる。その際、交差的に生ずる可能性があるジェンダー特有の課題および脆弱性ならびに他のいずれかの課題および脆弱性に特段の注意が払われるべきである。 [6] 前掲、パラ70。〔訳者注/パラ76-78の誤りか〕 24.締約国は、移住政策および移住プログラムがすべてのジェンダーの子どもに及ぼす具体的影響について、確固たるジェンダー分析を実施するべきである。締約国は、法律上および実際上の移住制限であって、女子にとっての機会を限定し、または自分自身で決定を行なう女子の能力および自律性を認めないジェンダー差別的な制限がある場合には、これを見直しかつ改めることが求められる。 25.両委員会は、締約国が、移住者および難民である障害のある子どもへの差別的慣行の防止に関する政策および関連の規則、ならびに、移住者および難民である障害のある子どもが当該国の国民である子どもと平等な立場ですべての人権および基本的自由を全面的に享受することを、障害のある人の権利に関する条約に掲げられた規定を考慮しながら確保するための必要な政策およびプログラムの実施を、とくに重視するよう勧告する。 26.両委員会は、法律上の差別に対処するだけでは必ずしも事実上の平等が確保されるとはかぎらないとの見解に立つ。したがって締約国は、国際的移住の文脈にある子どもに対する事実上の差別を引き起こしまたは固定化する条件および態度を防止し、減殺しかつ解消するための積極的措置をとることにより、これらの子どもを対象として両条約に基づく権利を充足しなければならない。締約国は、国際的移住の文脈にある子どもおよび(または)その家族に対する差別事件を体系的に記録するとともに、そのような行為について適切かつ効果的な調査および制裁を行なうべきである。 B.子どもの最善の利益(子どもの権利条約第3条) 27.子どもの権利条約第3条(1)は、官民双方の領域、裁判所、行政機関および立法機関に対し、子どもに関わるすべての行動において子どもの最善の利益が評価されかつ第一次的に考慮されることを確保する義務を課している。子どもの権利委員会が一般的意見14号のパラ6で述べているように、自己の権利を第一次的に考慮される子どもの権利は実体的権利であり、基本的な法的解釈原理であり、かつ手続規則であって、個人としての子どもおよび集団としての子どもの双方に適用される。それ以降、締約国にとってこの問題に関する主要な指針と捉えられてきた同一般的意見において、委員会は子どもの最善の利益の原則の実施についても詳しく述べている。 28.委員会は、子どもの最善の利益が――いったん評価・判定された後に――他の(たとえば他の子ども、公衆および親等の)利益または権利と相反するおそれもあること、および、生じる可能性のある潜在的相反は、すべての当事者の利益を慎重に比較衡量し、かつ適切な折衷策を見出すことによって、事案ごとの状況に応じて解決が図られなければならないことを認め、一般的意見14号のパラ39において、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利とは、子どもの利益が高い優先順位を与えられるということであって、単に複数の考慮事項のひとつとして扱われるということではないと強調している。したがって、子どもにとって最善である対応がより重視されなければならない。委員会はさらに、パラ82において、子どもの最善の利益の評価および判定を行なう目的は、子どもの権利条約で認められた諸権利の全面的かつ効果的な享受および子どものホリスティックな発達を確保するところにあると指摘している。 29.締約国は、出入国関連法、移住政策の計画、実施および評価ならびに個別事案に関する決定において子どもの最善の利益が全面的に考慮されることを確保しなければならない。このような決定には、子どもの最善の利益が第一次的に考慮され、したがって高い優先順位を与えられなければならない、入国もしくは在留に関する申請の認容もしくは棄却、移住関連措置の執行に関する決定、子どもおよび(または)その親もしくは法定後見人による社会的権利へのアクセスの制限に関する決定ならびに家族の結合および子どもの監護に関する決定が含まれる。 30.とりわけ、子どもの最善の利益は、子どもの入国、在留もしくは送還、子どもの措置もしくはケア、または子ども自身の移住者資格と関連した親の拘禁もしくは追放に関わるいかなる行政上または司法上の決定においても、その不可欠な一部として、個別の手続を通じて明示的に確保されなければならない。 31.両委員会は、子どもに影響を及ぼす可能性のある移住関連の手続または決定において子どもの最善の利益の原則を実施するため、移住者である子どもに影響を及ぼす移住関連の決定その他の決定の一環としてまたはそのような決定の参考とする目的で、最善の利益評価・判定手続を制度的に実施する必要があることを強調する。子どもの権利委員会が一般的意見14号で説明しているように、決定が行なわれる際には子どもの最善の利益の評価および判定が実施されるべきである。「最善の利益評価」は、特定の子ども個人または特定の子ども集団について、特定の状況において決定を行なうために必要なあらゆる要素を評価しかつ比較衡量することから構成される。「最善の利益判定」とは、最善の利益評価に基づいて子どもの最善の利益を判定するために行なわれる、厳格な手続上の保障をともなう正式な手続をいう。加えて、子どもの最善の利益の評価は、個別の事案ごとに、かつそれぞれの子どもまたは子どもたちの集団の特有の事情に照らして行なわれるべき、独自の活動である。これらの事情には、年齢、性別、成熟度、マイノリティ集団への所属の有無ならびに子ども(たち)が置かれている社会的および文化的文脈が含まれる。 32.両委員会は、締約国が以下の措置をとるべきであることを強調する。 (a) 自国の立法、政策および実務において子どもの最善の利益に高い優先順位を与えること。 (b) 子どもの最善の利益の原則が、子どもに関連するおよび子どもに影響を与える立法上、行政上および司法上の手続および決定においては個別化された確固たる手続を通じて、かつ子どもに関連するおよび子どもに影響を与えるすべての移住政策および移住プログラム(領事保護に関わる政策およびサービスを含む)において、適切に統合され、一貫して解釈されかつ適用されることを確保すること。この原則が実際に適用されることを確保するため、十分な資源が用意されるべきである。 (c) 開発されかつ実施されるすべての最善の利益評価・判定において、子どもに影響を与える意思決定プロセスに際し、子どもの権利の――短期的および長期的な――充足が適切に重視されることを確保するとともに、適正手続の保障措置(無償の、有資格のかつ独立した代理人弁護士の選任権を含む)が確立されることを確保すること。最善の利益評価は、移住当局から独立した主体によって、子どもの保護・福祉の担当機関および他の関係者(親、保護者および弁護士代理人など)ならびに子ども自身の意味のある参加を含む学際的な方法で実施されるべきである。 (d) 移住関連の手続に関与するすべての関係者を対象として、入国、在留、第三国定住および送還に関する手続等において子どもの最善の利益を判定することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することに関する指針を示すための手続の策定および基準の定義を図るとともに、実務における当該指針の適正な実施を監視するための機構を発展させること。 (e) 移住資格を理由とする親の拘禁または退去強制につながる可能性がある移住・庇護手続の諸段階で、子どもの最善の利益評価・判定を実施すること [7]。最善の利益判定手続は、家族からの子どもの分離につながるいかなる決定においても実施するものとされるべきであり、かつ、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるべき子どもの監護の場合と同じ基準が適用されるべきである。養子縁組の場合、子どもの最善の利益が最高の考慮事項とされなければならない。 (f) 保護者のいない子どももしくは養育者から分離された子どもまたは親とともにいる子どものためのもっとも適切な居住形態を、必要な場合に、かつ子どもの代替的養護に関する指針 [8] にしたがって決定する目的で、個別事案ごとに最善の利益評価を実施すること。その過程では、コミュニティを基盤とするケアが優先されるべきである。子どもを保護する目的で子どもの自由を制限するいかなる措置(たとえば閉鎖型施設への措置)も、子ども保護制度の枠内で同一の基準および保障措置によって実施されるべきであり、厳格な必要性、正当性、および子ども個人を自傷他害から保護するという目的との比例性の基準を満たしているべきであり、ホリスティックなケア計画の一環であるべきであり、かつ、移住関連措置の執行に関する政策、実務および当局から切り離されているべきである。 (g) 移住者資格を理由とする移住者家族の追放につながりうる事案においては、退去強制が子どもの権利および発達(子どものメンタルヘルスを含む)に及ぼす影響を評価するため、最善の利益判定を実施すること。 (h) 国の管轄内にある国境管理所およびその他の出入国管理手続において子どもが速やかに特定され、かつ子どもであると主張するいかなる者も子どもとして取り扱われることを確保するとともに、これらの者が子ども保護機関その他の関連の機関に速やかに付託され、かつ、保護者がおらずまたは養育者から分離されている場合は後見人を任命されることを確保すること。 (i) 移住者である子ども(国内通過中の子どもを含む)を対象とする子どもの最善の利益の原則の運用に関する指針をすべての関連機関に示し、かつ、実務における当該指針の適正な実施を監視するための機構を発展させること。 (j) 保護者のいない子どもおよび家族とともにいる子どもとの関連で、包括的な、安定したかつ持続可能な解決策 [9](現在の在留国におけるさらなる統合および定着、出身国への帰還または第三国定住を含む)を特定しかつ適用することを目的とした最善の利益判定手続を開発しかつ実践すること。このような解決策には、中期的な選択肢、ならびに、子どもおよび家族が子どもの最善の利益にかなう安定した在留資格を取得できることの確保も含まれる場合があろう。最善の利益判定手続は、子ども保護制度の枠内において子ども保護担当機関が進行するべきである。考えられる解決策および計画は、意見を聴かれる子どもの権利についての子どもの権利委員会の一般的意見12号(2009年)にしたがい、子どもにやさしくかつ子どもに配慮したやり方で、子どもとともに議論しかつ策定することが求められる。 (k) 帰還が子どもの最善の利益にかなうと判定される場合、可能であれば当該子どもとともに、その持続可能な再統合のための個別計画が作成されるべきである。両委員会は、出身国、通過国、目的地国および帰還先の国が、政策実施のための専用の資源および包括的な機関間調整機構を備えた、包括的な枠組みを策定するべきであることを強調する。このような枠組みにおいては、子どもがその出身国または第三国に帰還する場合に、権利を基盤とするアプローチを通じた子どもの効果的な再統合が確保されるべきである。これには、即時的な保護措置および長期的解決策(とくに教育、保健、心理社会的支援、家族生活、社会的包摂、司法へのアクセスおよびあらゆる形態の暴力からの保護へのアクセス)が含まれる。このようなあらゆる状況において、すべての関係機関による、権利を基盤とする質の高いフォローアップ(独立した立場からの監視および評価を含む)が確保されるべきである。両委員会は、帰還および再統合の措置が、生命、生存および発達に対する子どもの権利の観点から持続可能なものであるべきことを強調する。 [7] 子どもの権利委員会「国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利についての一般的討議(2012年)の報告」、パラ73-74参照。www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2012/DGD2012ReportAndRecommendations.pdf より入手可。 [8] 国連総会決議64/142付属文書。 [9] 包括的な、安定したかつ持続可能な解決策とは、子どもの長期的な最善の利益および福祉に可能なかぎり合致し、かつそのような視点から見て持続可能でありかつ安定している解決策をいう。その成果として、子どもが、そのニーズを満たし、かつ子どもの権利条約で定められた権利を充足する環境下で大人へと成長していけることを確保することが目指されるべきである。 33.締約国は、子どもの権利条約第3条にのっとり、子どもをその出身国に送還する旨のいかなる決定も、個別事案ごとに証拠に基づいて行なわれた検討を基礎として、かつ適切な適正手続の保障措置をともなった手続(子どもの最善の利益の確固たる個別的評価・判定を含む)にしたがって行なわれることを確保する義務を負う。この手続においては、とくに、子どもが帰還後ただちに安全を確保され、しかるべきケアを提供され、かつ諸権利を享受できるようにされることが確保されるべきである。一般的な移住管理に関連するもののような考慮事項が最善の利益に関わる考慮事項よりも優先されてはならない。両委員会は、帰還が、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに家族とともにいる子どもにとって、さまざまな持続可能な解決策のひとつに過ぎないことを強調する。帰還以外の解決策としては、在留国における、個々の子どもに事情に応じた――一時的または恒久的――統合、第三国定住(たとえば家族再統合を根拠とするもの)、または協力のための現行の機構(親責任および子どもの保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する条約など)を参照することによって個別事案ごとに特定できる可能性があるその他の解決策などがある。 C.意見を聴かれる権利、自己の意見を表明する権利および参加の権利(子どもの権利条約第12条) 34.子どもの権利条約第12条は、子ども参加の重要性を強調して、子どもが自己の意見を自由に表明できるべきこと、および、子どもの年齢、成熟度および発達しつつある能力にしたがってその意見が正当に重視されるべきことを規定している。 35.子どもの権利委員会は、一般的意見12号において、意見を聴かれる権利を保障するための十分な措置が国際的移住の文脈においてとられるべきであると強調している。ある国にやってきた子どもは、とりわけ脆弱な状況または不利な立場に置かれる可能性があるためである [10]。そのため、自己の生活に影響を与えるあらゆる側面について意見を表明し(移住・庇護手続の不可欠な一環としての意見表明を含む)、かつその意見を正当に重視されるこれらの子どもの権利を全面的に実施することがきわめて重要となる。子どもには、移住に関する独自の企図および移住のきっかけとなった独自の要因がある場合もあり、これらの子どもの参加がなければ、政策および決定は効果的または適切なものとなりえない。委員会はまた、手続においてこれらの子どもの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、これらの子どもに対し、とくにその権利、利用可能なサービス、連絡および意思疎通の手段、苦情申立て機構、移住・庇護手続ならびにその結果に関するあらゆる関連の情報が提供されるべきであるとも強調している。情報は、手続においてこれらの子どもの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、子ども自身の言語で、適切な時期に、子どもに配慮した年齢相応のやり方で提供されるべきである [11]。 [10] 子どもの権利委員会・一般的意見12号、パラ123。 [11] 前掲パラ124。 36.締約国は、すべての子ども(親のケアを受けていない子どもを含む)に対して有資格の代理人弁護士を、また保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもに対しては訓練を受けた後見人を、到着後可能なかぎり早期に、無償で任命するべきである [12]。子どものための、アクセスしやすい苦情申立て機構を確保することが求められる。一連のプロセス全体を通じ、子どもが自己の母語で全面的に意見を述べられるようにするために通訳者を利用できるようにするべきであり、かつ(または)子どもの民族的、宗教的および文化的背景に通じた者による支援が受けられるようにするべきである。これらの専門家は、国際的移住の文脈にある子どもの特有のニーズ(ジェンダー、文化および宗教の側面ならびに他の交差的側面を含む)に関する訓練を受けていることが求められる。 [12] 前掲パラ123-124。 37.締約国は、自己またはその家族の事案に関連するいかなる行政上または司法上の手続(ケア、保護の場所または移住者資格に関するすべての決定を含む)において意見を聴かれる機会を提供することを含め、子どもの参加を全面的に促進しかつその便宜を図るために適切なあらゆる措置をとるべきである。子どもはその親とは別に意見を聴かれるべきであり、また家族の事案を検討する際には子どもの個人的事情もあわせて検討することが求められる。これらの手続においては最善の利益評価が別途実施されるべきであり、また移住に関する子ども特有の理由が考慮されるべきである。意見を聴かれる権利と子どもの最善の利益との重要な関係について、子どもの権利委員会はすでに、第12条の要素が尊重されなければ第3条の正しい適用はありえないと指摘している。同様に、第3条は、自己の生活に影響を与えるすべての決定における子どもの必要不可欠な役割を促進することにより、第12条の機能性を強化している [13]。 [13] 前掲パラ74。 38.締約国は、親に関わる出入国管理手続において、とくにその決定が子どもの権利(分離が子どもの最善の利益にかなう場合を除いて親から分離されない権利など。子どもの権利条約第9条参照)に影響を及ぼす場合に意見を聴かれる子どもの権利を確保するための、あらゆる適切な措置をとるべきである。 39.締約国は、国際的移住の文脈にある個人または集団としての子どもに直接間接に影響を及ぼしうる政策(社会政策・社会サービス分野の政策を含む)の立案、実施、監視および評価に、このようなすべての子どもが参加するための便宜を図ることに向けた措置をとるべきである。女子およびトランスジェンダーの子どもが、社会的、経済的、政治的および文化的リーダシップのあらゆるレベルで積極的に、効果的にかつ男子と平等に参加できるようにするための取り組みを進めることが求められる。出身国においては、子どもおよび(または)その親を移住に駆り立てる要因への対処およびこの点に関する政策の策定についての政策の策定〔原文ママ〕における、かつこのような対処および政策策定のためのプロセスにおける子ども参加がこのうえなく重要である。加えて、国は、国際的移住の影響を受けている子どもが、協議、協働および子ども主導の取り組みを通じてさまざまなレベルで参加できるようエンパワーメントを図ること、および、市民社会組織(子ども団体および子どもが主導する団体を含む)が、地方、国、地域および国際社会のレベルで、国際的移住の文脈にある子どもに関する政策対話および政策プロセスに効果的に参加できるようにすることを目的とした措置をとることが求められる。子どもの結社の自由(合法的に設置された結社を通じて行使される自由を含む)に対するいかなる制限も廃止されるべきである。 D.生命、生存および発達に対する権利(移住労働者権利条約第9条;子どもの権利条約第6条) 40.子どもの権利条約第6条は、子どもの生命、生存および発達(子どもの発達の身体的、精神的、道徳的、霊的および社会的側面を含む)に対する権利を確保する締約国の義務を強調している [14]。移住プロセスのいかなる時点においても、とくに組織犯罪の結果としての暴力、収容キャンプでの暴力、移住者を押し戻すこともしくは先に進ませないことを目的とする公的活動、国境管理機関による有形力の過度な使用、船舶による救援拒否、または極度に厳しい渡航状態および基礎的サービスへのアクセス制限を理由として、生命および生存に対する子どもの権利が危うくなる場合がある。保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもはさらに脆弱な状況に直面する場合があり、ジェンダーを理由とする暴力、性暴力その他の形態の暴力および性的搾取または労働搾取目的の人身取引のようなリスクにいっそうさらされる可能性がある。家族とともに渡航する子どもも、暴力を目撃しかつ経験することが多い。移住によって生活条件を向上させかつ人権侵害から逃れる機会が得られる可能性もある一方で、移住の過程で、身体的危害、心理的トラウマ、周縁化、差別、排外主義、性的搾取および経済的搾取、家族の別離ならびに入国管理当局による摘発および収容を含むリスクも生じうる [15]。同時に、教育、質的に十分な住居、十分な量の安全な食料および水または保健サービスへのアクセスに関して子どもが直面しうる障壁によって、移住者である子どもおよび移住者の子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達に悪影響が生じる可能性がある。 [14] 子どもの権利委員会・一般的意見5号(条約の実施に関する一般的措置、2003年)、パラ12参照。 [15] 子どもの権利委員会・一般的意見20号(思春期における子どもの権利の実施、2016年)、パラ76。 41.両委員会は、子どもおよび家族が移住する正規のかつ安全な経路がないために、生命が脅かされかつ著しく危険な移住の途に子どもが就くことが助長されていることを認知する。移動の促進、調整および統制ではなく抑制に焦点を当てた国境管理・監視措置(収容および退去強制が実行されていること、時宜を得た家族再統合の機会がないことならびに正規化の経路が存在しないことを含む)についても同様である。 42.両委員会の見解では、子どもの権利条約第6条および移住労働者権利条約第9条に基づく締約国の義務には、生命、生存および発達に対する子どもの権利を危うくする可能性がある、子どもが直面する移住関連のリスクを――可能なかぎり最大限に――防止しかつ低減させることが含まれる。国、とくに通過国および目的地国は、在留資格を有していない子ども(保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもであるか、家族とともにいる子どもであるかを問わない)の保護、ならびに、庇護希望者である子ども、無国籍の子どもおよび越境組織犯罪(人身取引、子どもの売買、子どもの商業的性的搾取および児童婚を含む)の被害者である子どもの保護に特別な注意を向けるべきである。国はまた、移住のプロセス全体を通じ、移住者である子どもがそのジェンダーおよびその他の要因(貧困、民族、障害、宗教、性的指向、ジェンダーアイデンティティなど)を理由として直面する可能性があり、種々の人権侵害のなかでもとくに性的虐待、搾取、暴力に対する子どもの脆弱性を悪化させるおそれのある、特有の脆弱な事情も考慮することが求められる。これらの子どもが子どもとしての権利を全面的に尊重され、保護されかつ充足された状態で生活を再開できることの促進を目指しながらこれらの子どもを全面的に保護しかつ援助するために、具体的な政策および措置(子どもにやさしく、かつジェンダーに配慮した安全な司法的および非司法的救済措置を含む)が整備されるべきである。 43.両委員会は、子どもの権利条約第2条、第6条および第27条(1)の相互関連性を強調する。締約国は、国際的移住の文脈にある子どもが、子ども自身の地位または親の地位にかかわらず、その身体的、精神的、霊的および道徳的発達のために十分な生活水準を享受することを確保するべきである。 44.両委員会は、成人である移住者に対し、その国籍、無国籍、民族的出身または移住者資格を理由として基本的権利(労働権およびその他の社会的権利を含む)を否定しまたは制限する政策または実務により、生命、生存および発達に対する子どもの権利に直接間接の影響が生じうる可能性があることを懸念する。このような政策は、包括的な移住政策の立案および移住を開発政策の主流に位置づけようとする努力も阻害することにつながろう。したがって、子どもの権利条約第18条にのっとり、締約国は、子どもの親による社会的権利へのアクセスを規制するための政策および決定に関して、その移住者資格にかかわらず、子どもの発達および最善の利益が全面的に考慮されることを確保するべきである。同様に、非正規に在留している移住者の状況について国が一般的にまたは個別に対応する際にも(移住者である子どもおよびその家族の統合を促進し、かつその搾取および周縁化を防止する手段としての正規化手続の実施によるものを含む)、発達に対する子どもの権利および子どもの最善の利益を考慮することが求められる。 E.ノンルフールマン/集団的追放の禁止(移住労働者権利条約第9条、第10条および第22条;子どもの権利条約第6条、第22条および第37条) 45.締約国は、国際人権法、国際人道法、国際難民法および慣習国際法から派生するノンルフールマンの義務 [16] を尊重するべきである。両委員会は、ノンルフールマンの原則が、国際人権機関、地域人権裁判所および国内裁判所によって、人権を尊重し、保護しかつ充足する義務から生じる暗黙の保障として解釈されてきたことを強調する。この原則は、個人が帰還と同時に回復不能な被害(迫害、拷問、重大な人権侵害またはその他の回復不能な被害)を受けるおそれがある場合に、国が当該個人を(その移住者資格、国籍上の地位、庇護資格その他の地位にかかわらず)自国の領域から退去させることを禁じたものである。 [16] 難民の地位に関する1951年の条約第33条、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約第3条および強制失踪からのすべての人の保護に関する国際条約第16条。 46.両委員会は、ノンルフールマンの原則についてあえて狭い定義を承認する締約国があることを懸念する。両委員会がすでに指摘したように [17]、子どもが、送還先である国またはその後送還される可能性があるいずれかの国において、子どもの権利条約第6条(1)および第37条で想定されているもの(ただしこれに限定されるものではけっしてない)のような回復不能な被害を受ける現実のおそれがあると考えるに足る実質的理由がある場合には、国は、国境で子どもの入国を拒否しまたは子どもをいずれかの国に送還してはならない。このようなノンルフールマンの義務は、条約に基づいて保障されているこれらの権利の重大な侵害が非国家的主体によるものであるか否か、またはこのような侵害が直接意図されたものであるかもしくは締約国の作為もしくは不作為の間接的結果であるかにかかわらず、適用される。 [17] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ27および移住労働者権利委員会・一般的意見2号(非正規な状態にある移住労働者およびその家族構成員の権利、2013年)、パラ50。 47.両委員会は、移住労働者権利条約第22条(1)ならびに他の国際人権文書および地域人権文書が集団的追放を禁じるとともに、最終的に追放につながりうる各事案を、適正手続に関わるすべての保障および司法にアクセスする権利の実効的充足を確保しながら、個別に審査しかつ決定しなければならないと定めていることを想起する。締約国は、移住者である子どもおよび家族の集団的追放を防止するために必要なあらゆる措置をとるべきである。 IV.国際協力 48.両委員会は、両条約を包括的に解釈すれば、締約国は、この合同一般的意見で展開されている指針を考慮に入れながら国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利を確保する目的で、二国間協力、地域的協力よび国際協力を発展させなければならないことを強調する。 49.両委員会は、出身国、通過国、目的地国および帰還先の国のあいだで取り組みの調整を図ることの重要性、ならびに、子どもの最善の利益を第一次的に考慮しながら国際的移住の文脈にある子どものニーズに対応しかつこれらの子どもの権利を保障していく際の、これらの国々の役割および責任を認識する。 50.両委員会は、国境管理および移住対応に関するすべての国際的、地域的および二国間協力協定において、そのような取り組みが子どもの権利に及ぼす影響を正当に考慮し、かつ子どもの権利を擁護するために必要な修正を図るべきであることを再確認する。両委員会は、移住制限に焦点を当てた二国間または多国間協力が増加しており、そのために子どもの権利に明らかに悪影響が生じていることを懸念するとともに、このような対応に代えて、人権が全面的に尊重される、安全な、秩序だったかつ正規の移住を促進するような協力を促すものである。 51.締約国はまた、この合同一般的意見にのっとって子どもに関わる移住政策を実施していくため、国際連合機関および地域機関によるものを含む国際社会の技術的協力も活用するべきである。 V.合同一般的意見の普及および活用ならびに報告 52.締約国は、この合同一般的意見を、国、広域行政圏および地方のあらゆるレベルすべての関係者、とくに議会、政府機関(子どもの保護および移住を担当している機関および職員を含む)および司法機関に対して広く普及するべきである。この合同一般的意見は、すべての子ども、ならびに、子どものためにおよび子どもとともに働く者(すなわち裁判官、弁護士、警察その他の法執行機関、教員、保護者、ソーシャルワーカー、公立または私立の福祉施設およびシェルターの職員ならびに保健ケア提供者)を含むすべての関連の専門家および関係者、メディアならびに市民社会一般に対して周知することが求められる。 53.この合同一般的意見は関連の言語に翻訳されるべきであり、また子どもにやさしい/適切な版および障害のある人がアクセス可能な形式でも利用可能とされるべきである。この合同一般的意見を実施する最善の方法に関する優れた実践を共有するため、会議、セミナー、ワークショップその他のイベントを開催することが求められる。この合同一般的意見はまた、あらゆる関連の専門家およびとくに専門職員ならびに子どもの保護および移住を担当する機関および職員を対象とする正式な就任前研修および現職者研修にも編入されるべきであり、かつ、国および地方のあらゆる人権機関ならびに人権問題に取り組む他の市民社会組織に対しても利用可能とされるべきである。 54.締約国は、移住労働者権利条約第73条および子どもの権利条約第44条に基づく定期報告書に、この合同一般的意見を指針として実施した措置およびその結果に関する情報を記載するべきである。 VI.条約の批准または条約への加入および留保 55.次の条約の批准またはこれへの加入をまだ行なっていない国は、批准または加入を行なうよう奨励される。 (a) 移住労働者権利条約(第76条および第77条に基づく拘束力のある宣言を行なうことも含む) (b) 子どもの権利条約 (c) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書 (d) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書 (e) 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書 56.締約国は、国際的移住の文脈にある子どもが両条約に基づくすべての権利を全面的に享受できることを確保する目的で、批准または加入の際に行なった留保を再検討し、修正しかつ(または)撤回するよう奨励される。 更新履歴:ページ作成(2018年4月8日)。/目次を追加(5月11日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/324.html
子どもの権利委員会・一般的意見24号:子ども司法制度における子どもの権利 一般的意見一覧 参考:子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針(2010年) CRC/C/GC/24 配布:一般(2019年9月18日)[注] 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) [注] 技術的理由により2019年11月11日に再発行されたもの。 子どもの権利委員会 子ども司法制度における子どもの権利についての一般的意見24号(2019年) I.はじめに 1.この一般的意見は、少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)にとって代わるものである。そこには、国際的および地域的基準、委員会の先例、子どもおよび青少年の発達に関する新たな知識ならびに効果的実践(修復的司法に関連するものを含む)に関するエビデンスの普及の結果として生じた、2007年以降の進展が反映されている。また、最低刑事責任年齢についての傾向および自由の剥奪の根強い利用などの懸念も反映されている。この一般的意見では、非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による徴募および使用の対象とされている子どもならびに慣習的司法制度、先住民族司法制度またはその他の非国家的司法制度における子どもに関連する諸問題のような、特定の問題も取り上げている。 2.子どもは、その身体的および心理的発達の面で、大人とは異なる。このような違いが、より低い有責性の認識、および、差異化された個別的アプローチをともなう独立の制度の根拠となる。刑事司法制度との接触が子どもにとって害となり、子どもが責任ある大人となる可能性を制約することは実証されてきた。 3.委員会は、公共の安全の保全が、子ども司法制度を含む司法制度の正当な目的のひとつであることを認知する。しかしながら、締約国は、子どもの権利条約に掲げられた子ども司法の原則を尊重しかつ実施する自国の義務を前提として、この目的を追求するべきである。条約が第40条ではっきりと述べているように、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもは、常に、尊厳および価値についての子どもの意識を促進するのにふさわしい方法で取り扱われることが求められる。エビデンスの示すところによれば、子どもが行なう犯罪の発生件数は、これらの原則にのっとった制度が採択された後に減少する傾向にある。 4.委員会は、条約に合致した子ども司法制度を確立するために行なわれてきた多くの努力を歓迎する。条約およびこの一般的意見に掲げられた規定よりもいっそう子どもの権利に資する規定を有している国は称賛の対象であり、かつ、条約第41条にしたがい、いかなる後退的措置もとるべきではないことを想起するよう求められる。締約国報告書が示すところによれば、多くの締約国はいまなお条約の全面的遵守を達成するために相当の投資を行なう必要があり、このことはとくに防止、早期介入、ダイバージョン措置の開発および実施、多職種連携アプローチ、最低刑事責任年齢ならびに自由の剥奪の削減との関連で顕著である。委員会は、自由を奪われている子どもに関する国連国際研究を主導した独立専門家の報告書(A/74/136)に対し、各国の注意を喚起する(この報告書は、委員会が端緒となった国連総会決議69/157にしたがって提出されたものである)。 5.この10年の間に、司法へのアクセスおよび子どもにやさしい司法を促進するいくつかの宣言・指針が国際機関および地域機関によって採択されてきた。これらの枠組みは、犯罪の被害者および証人である子ども、福祉手続における子どもならびに行政審判所の審理の対象とされる子どもを含む、司法制度のあらゆる側面における子どもを対象とするものである。これらの進展は、貴重ではあるものの、この一般的意見の範囲には入らない。この一般的意見では、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもに焦点を当てている。 II.目的および適用範囲 6.この一般的意見の目的および適用範囲は次のとおりである。 (a) 子どもの権利条約の関連の規定および原則に関する現代的なとらえ方を示すとともに、各国に対し、子どもの権利の促進および保護につながる子ども司法制度のホリスティックな実施に向けた指針を提供すること。 (b) 防止および早期介入の重要性ならびに制度のあらゆる段階における子どもの保護の重要性をあらためて指摘すること。 (c) 子どもの発達に関する知識の増進にのっとって、刑事司法制度との接触がもたらすとりわけ有害な影響を低減させるための主要な戦略、とくに次に掲げる戦略を促進すること。(i) 刑事責任に関する適切な最低年齢を定め、かつ子どもが当該年齢に達しているか否かにかかわらず適切に取り扱われることを確保すること。 (ii) 公式な司法手続からの子どものダイバージョンおよび効果的プログラムへの付託の規模を拡大すること。 (iii) 子どもの拘禁が最後の手段であることを確保するため、社会内処遇措置の利用を拡大すること。 (iv) 体刑、死刑および終身刑の使用をなくすこと。 (v) 自由の剥奪が最後の手段として正当とされる数少ない状況において、当該措置が年長の子どものみを対象として適用され、厳格な期間制限に服し、かつ定期的再審査の対象とされることを確保すること。 (d) 組織、能力構築、データ収集、評価および調査研究の向上を通じた制度の強化を促進すること。 (e) この分野における新たな進展、とくに非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による子どもの徴募および使用ならびに慣習的司法制度、先住民族司法制度および〔その他の〕非国家的司法制度と接触する子どもについての指針を示すこと。 III.用語法 7.委員会は、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもに関連して、スティグマにつながらない言葉の使用を奨励する。 8.この一般的意見で使用されている重要な用語を以下に列挙する。 適切な大人(appropriate adult):子どもを援助できる親または法定保護者がいない状況においては、締約国は、適切な大人が子どもを援助することを認めるべきである。適切な大人としては、子どもおよび(または)権限ある機関によって指名された者も考えられる。 子ども司法制度(child justice system)[1]:罪を犯したとみなされる子どもにとくに適用される法律、規範および基準、手続、機構ならびに規定、ならびに、このような子どもに対応するために設置された制度および機関。 自由の剥奪(deprivation of liberty):いずれかの司法機関、行政機関その他の公的機関の命令によるあらゆる形態の拘禁もしくは収監または公的もしくは私的な身柄拘束環境への措置であって、対象とされた者がみずからの意思で離れることを許されないもの [2]。 ダイバージョン(diversion):関連の手続の開始前または進行中のいずれの時点であるかにかかわらず、子どもを司法制度から切り離して他の対応に委ねるための措置。 最低刑事責任年齢(minimum age of criminal responsibility):法律により、当該年齢に達していない子どもは刑法に違反する能力がないと判断される最低年齢。 未決拘禁(pretrial detention):逮捕の時点から処分または刑の言い渡しの段階までに至る拘禁(審理の全期間を通じて行なわれる拘禁を含む)。 修復的司法(restorative justice):被害者、罪を犯した者および(または)犯罪活動の影響を受けた他のいずれかの個人もしくはコミュニティ構成員が、しばしば公正かつ中立な第三者の援助を受けながら、犯罪から生じた問題の解決にともに参加するすべてのプロセス。修復的プロセスの例としては、仲裁、会議、調停および量刑サークルなどがある [3]。 [1] この一般的意見の英語版では、「少年司法」(juvenile justice)に代えて「子ども司法制度」という用語を用いる。 [2] 自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)、第11条(b)。 [3] 刑事事案における修復的司法プログラムの利用に関する基本原則、パラ2。 IV.包括的な子ども司法政策の中核的要素 A.子どもの犯罪の防止(最低刑事責任年齢に達していない子どもを対象とする早期介入を含む) 9.締約国は、「犯罪防止および刑事司法の分野における子どもに対する暴力の解消に関する国連モデル戦略および実務措置」ならびに刑事司法制度への子どもの関与の根本的原因に関する国内的および国際的比較研究を参照するとともに、防止戦略の策定の参考とするために独自の調査研究を行なうべきである。調査研究の結果、さまざまな社会制度(家庭、学校、コミュニティ、仲間関係)に存在する、子どもが示す深刻な行動上の困難を助長する側面に肯定的変化をもたらすことを目的とした、家庭およびコミュニティを基盤とする集中的な処遇プログラムにより、子どもが刑事司法制度に関与するようになるおそれの低減につながることが実証されている。防止および早期介入のプログラムにおいては、家族、とくに脆弱な状況にある家族または暴力が生じている家族への支援に焦点が当てられるべきである。危険な状況にある子ども、とくに通学しなくなった子ども、退学させられた子どもまたはその他の形で教育を修了していない子どもに対して支援を提供することが求められる。仲間集団による支援および親の強力な関与が推奨されるところである。締約国はまた、子どもの特有のニーズ、問題、悩みおよび関心に対応し、かつその家族に適切なカウンセリングおよび指導を提供するような、コミュニティを基盤とするサービスおよびプログラムも発展させることが求められる。 10.条約第18条および第27条は子どもの養育に対する親の責任の重要性を確認しているが、条約は同時に、締約国に対し、親(または他の養育者)が親としての責任を果たすにあたって必要な援助を与えることも求めている。乳幼児期のケアおよび教育への投資は、将来の暴力および犯罪の発生率の低下と相関関係にある。このような援助は、たとえば親としての能力増進を目的とする家庭訪問プログラムなどによって、子どもがごく幼い時期から始めることが可能である。援助のための措置は、コミュニティおよび家族を基盤とする防止プログラム(親子の相互交流向上プログラム、学校とのパートナーシップ、肯定的な仲間関係ならびに文化的活動および余暇活動など)に関する豊富な情報を活用することが求められる。 11.最低刑事責任年齢に満たない子どものための早期介入においては、子どもが最低刑事責任年齢に達している場合には犯罪とみなされるであろう行動の最初の兆候に対し、子どもにやさしい多職種連携型の対応をとることが必要となる。このような行動の背後にある複合的な心理社会的原因のみならず、レジリエンス(回復力)を強化する可能性がある保護的要因も反映した、エビデンスに基づく介入プログラムを発展させるべきである。介入に先立って、子どものニーズの包括的かつ学際的アセスメントが行なわれなければならない。絶対的優先事項として、子どもは家庭およびコミュニティにおいて支援されるべきである。家庭外への措置が必要となる例外的事案においては、そのような代替的養護はなるべく家庭的環境のもとで行なうことが求められる。ただし、必要とされる一連の専門家によるサービスを提供するため、一部の事案においては施設養護への措置が適切である場合もありうる。施設養護への措置は、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられるべきものであり、また司法審査の対象とされるべきである。 12.防止に対する組織的アプローチには、貧困、ホームレス状態または家族間暴力の結果であることが多い微罪(学校の欠席、家出、物乞いまたは住居侵入など)の非犯罪化を通じ、子ども司法制度への経路を閉ざすことも含まれる。性的搾取の被害を受けた子どもおよび同意に基づく性的行為を行なう青少年も犯罪者として扱われることがある。地位犯罪としても知られるこれらの行為は、成人が行なう場合には犯罪とみなされない。委員会は、締約国に対し、自国の法令から地位犯罪を削除するよう促す。 B.最低刑事責任年齢に達している子どもを対象とする介入 [4] [4] 後掲IV.Eも参照。 13.条約第40条(3)に基づき、締約国は、適切な場合には常に司法手続によらずに子どもに対応するための措置の確立を促進しなければならない。実務上、このような措置は一般的に2つのカテゴリーに分類される。 (a) 関連の手続の開始前または進行中のいずれの時点であるかにかかわらず、子どもを司法制度から切り離して他の対応に委ねるための措置(ダイバージョン)。 (b) 司法手続の文脈でとられる措置。 14.委員会は、締約国に対し、双方のカテゴリーの介入に基づく措置を適用するにあたって、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されかつ保護されることを確保するために最大限の配慮がなされるべきであることを想起するよう求める。 司法手続の利用を回避する介入 15.司法手続の利用を回避しながら子どもに対応する措置は、世界中の多くの法体系に導入されてきており、一般的にダイバージョンと呼ばれている。ダイバージョンにおいては、事案が公式な刑事司法制度から切り離されて他の対応(通常はプログラムまたは活動)に委ねられる。このようなアプローチは、スティグマが付与されることおよび前科がつくことを回避できることに加え、子どもにとって望ましい結果をもたらし、かつ公共の安全に適合するとともに、費用対効果も高いことが証明されてきた。 16.ダイバージョンは、事案の大多数において、子どもに対応する望ましいやり方とみなされるべきである。締約国は、ダイバージョンが可能な犯罪(適切な場合には重大犯罪を含む)の範囲を継続的に拡大するよう求められる。ダイバージョンの機会は、制度への接触後の可能なかぎり早い段階から、かつ手続全体を通じたさまざまな段階で、利用可能とされるべきである。ダイバージョンは子ども司法制度の不可欠な一部とされるべきであり、かつ、条約第40条(3)にしたがい、あらゆるダイバージョンの手続およびプログラムにおいては子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されかつ保護されなければならない。 17.ダイバージョンの正確な性質および内容について決定し、かつその実施のために必要な立法上その他の措置をとることは、締約国の裁量に委ねられている。委員会は、社会奉仕、指定された職員による監督および指導、家族集団会議ならびにその他の修復的司法措置(被害者に対する原状回復および賠償を含む)など、コミュニティを基盤とする多様なプログラムが開発されてきたことに留意するものである。 18.委員会は次の点を強調する。 (a) ダイバージョンは、申し立てられている犯罪をその子どもが行なったこと、子どもが脅迫または圧力を受けることなく自由かつ自発的に責任を認めていること、および、子どもが当該責任を認めたことがその後のいかなる法的手続においても子どもの不利になるような形で用いられないことについて確証がある場合でなければ、利用されるべきではない。 (b) ダイバージョンに対する子どもの自由かつ自発的な同意は、措置の性質、内容および期間ならびに措置に協力せずまたは措置を修了しなかった場合の結果に関する、十分かつ具体的な情報に基づいたものであるべきである。 (c) 法律においてどのような場合にダイバージョンが可能かが明らかにされるべきであり、かつ、警察、検察官および(または)その他の機関による関連の決定は規制および審査の対象とされるべきである。ダイバージョンのプロセスに参加するすべての国の職員および関係者に対し、必要な研修および支援を提供することが求められる。 (d) 子どもに対しては、権限ある機関から提示されたダイバージョンに関連する法的その他の適切な援助を求める機会および措置の再審査の可能性が認められなければならない。 (e) ダイバージョンの措置に自由の剥奪が含まれるべきではない。 (f) ダイバージョンの修了をもって、当該事案は確定的かつ最終的に終結したものとされるべきである。ダイバージョンの記録は、行政上、再審査上、捜査上および研究上の目的で秘密が守られる形で保存することができるものの、当該記録は刑事上の有罪判決とみなされるべきではなく、または犯罪歴の記録とされるべきではない。 司法手続の文脈における介入(処分) 19.権限ある機関によって司法手続が開始されるときは、公正かつ適正な審判の原則が適用される(後掲D参照)。子ども司法制度においては、社会的および教育的措置を活用する機会、ならびに、逮捕の時点から、手続全体を通じ、かつ量刑において自由の剥奪の使用を厳格に制限するための機会が豊富に用意されるべきである。締約国は、指導および監督の命令、保護観察、コミュニティモニタリングまたはデイレポートセンター〔通所型保護観察施設〕ならびに拘禁からの早期釈放の可能性のような措置が最大限かつ効果的に活用されることを確保するため、十分な訓練を受けた職員による保護観察機関または同様の機関を整備することが求められる。 C.年齢と子ども司法制度 最低刑事責任年齢 20.犯行時に最低刑事責任年齢に満たなかった子どもは、刑法上の手続において責任を問うことはできない。犯行時に当該最低年齢に達していたが18歳未満であった子どもは、条約を全面的に遵守したうえで、正式な告発および刑法上の手続の対象とすることができる。ただしこれらの手続(終局的結果を含む)は、この一般的意見で詳しく述べられている条約の原則および規定を全面的に遵守するものでなければならない。委員会は、締約国に対し、適用される年齢は犯行時の年齢であることを想起するよう求める。 21.条約第40条(3)に基づいて締約国は最低刑事責任年齢を定めなければならないが、同条は具体的な年齢を明らかにしていない。50以上の締約国が条約批准後に当該最低年齢を引き上げており、国際的にもっとも一般的な最低刑事責任年齢は14歳である。にもかかわらず、締約国が提出する報告書によれば、受け入れられないほど低い最低刑事責任年齢を維持している国があることが明らかになっている。 22.子どもの発達および神経科学の分野で記録されてきたエビデンスが示すところによれば、12歳から13歳の子どもはその前頭皮質がいまなお発達中であるため、その成熟度および抽象的推論能力もなお発達途上にある。したがって、この年齢層の子どもが自己の行動の影響または刑事手続について理解できる可能性は低い。これらの子どもは、思春期に達しようとしていることからも影響を受けている。思春期における子どもの権利の実施についての一般的意見20号(2016年)で委員会が指摘しているように、思春期は、急速な脳の発達によって特徴づけられ、その後の人生のあり方を左右する人間発達上の特有の段階であって、このことがリスクをともなう行動、ある種の意思決定および衝動制御能力に影響を及ぼしているのである。締約国は、最近の科学的知見に留意するとともに、自国の最低年齢をしかるべき形で、少なくとも14歳まで、引き上げるよう奨励される。さらに、発達および神経科学に関わる証拠は、青少年の脳が10代を終えてもなお成熟し続けており、ある種の意思決定に影響を及ぼしていることを明らかにしている。したがって委員会は、より高い最低年齢(たとえば15歳または16歳)を定めている国を称賛するとともに、締約国に対し、条約第41条にしたがって、いかなる場合にも最低刑事責任年齢の引き下げを行なわないよう促すものである。 23.委員会は、最低刑事責任年齢を合理的に高い水準に設定することは重要であるものの、アプローチが効果的なものとなるかどうかは、当該年齢以上および当該年齢未満の子どもに国がどのように対応するか次第でもあることを認識する。委員会は、締約国報告書の審査においてこの点を引き続き吟味していく。最低刑事責任年齢に達していない子どもは、そのニーズに応じた援助およびサービスを提供されなければならず、刑法上の犯罪を行なった子どもと捉えられるべきではない。 24.年齢の証明がなく、かつ子どもが最低刑事責任年齢未満であるか否かが立証できないときは、その子どもは灰色の利益を認められなければならず、刑事責任を有しないものとされなければならない。 最低年齢の例外を設けている制度 25.委員会は、たとえば子どもが重大な犯罪を行なったとして申し立てられている事件において、より低い最低刑事責任年齢の適用を認める慣行があることについて懸念を覚える。このような慣行は、通常は公衆の圧力に対応するために設けられたものであり、子どもの発達に関する理性的理解に基づいたものではない。委員会は、締約国がこのような慣行を廃止し、その年齢に達していない場合には例外なく子どもの刑法上の責任を問うことができない、統一された単一の年齢を定めるよう強く勧告する。 2つの最低年齢を設けている制度 26.締約国のなかには、2つの最低刑事責任年齢(たとえば7歳と14歳)を適用し、低いほうの年齢には達しているものの高いほうの最低年齢には満たない子どもについて、十分に成熟していることが実証されないかぎり刑事責任を欠くという推定を設けている国がある。当初は保護のための制度として設けられたものだが、これが実際には保護につながらなかったことは証明済みである。刑事責任の個別鑑定という考え方を支持する声もあるものの、委員会の見るところ、これは裁判所の裁量に多くを委ねることになり、結果として差別的実務につながっている。 27.締約国は、単一の適切な最低年齢を定めるとともに、このような法改正が最低刑事責任年齢に関する立場の後退につながらないことを確保するよう、促される。 発達の遅れまたは神経発達障害に関連する理由で刑事責任を欠く子ども 28.発達の遅れまたは神経発達障害(たとえば自閉症スペクトラム障害、胎児性アルコール・スペクトラムまたは後天性脳損傷)がある子どもは、たとえ最低刑事責任年齢に達していたとしても、けっして子ども司法制度の対象とされるべきではない。このような子どもは、自動的に除外されない場合、個別鑑定の対象とされるべきである。 子ども司法制度の適用 29.子ども司法制度は、犯行時に最低刑事責任年齢に達していたものの18歳には満たなかったすべての子どもに適用されるべきである。 30.委員会は、自国の子ども司法制度の適用を16歳(またはそれ以下の年齢)未満の子どもに限定している締約国、または16歳ないし17歳の子どもが例外的に(たとえば罪種を理由として)成人犯罪者として扱われることを認めている締約国に対し、自国の子ども司法制度が犯行時に18歳未満であったすべての者に差別なく全面的に適用されることを確保するために法律を改正するよう勧告する(一般的意見20号、パラ88も参照)。 31.子ども司法制度は、犯行時に18歳未満であったものの審判または量刑言い渡し手続の間に18歳に達した子どもに対しても保護を提供するべきである。 32.委員会は、一般的規則としてまたは例外としてのいずれであるかにかかわらず、18歳以上の者に対する子ども司法制度の適用を認めている締約国を称賛する。このアプローチは、脳の発達は20代前半まで続くことを示す発達学上および神経科学上のエビデンスにのっとったものである。 出生証明書および年齢鑑別 33.出生証明書を持たない子どもに対しては、年齢証明のために必要とされるときは常に、国によって速やかにかつ無償で当該証明書が提供されるべきである。出生証明書による年齢の証明ができない場合、当局は、年齢を証明しうるすべての書類(出生届、出生登録抄本、洗礼証明書もしくはそれに類する書類または学校成績表など)を受理するよう求められる。書類は、別段の証明がないかぎり真正なものとみなされなければならない。当局は、年齢についての親の事情聴取もしくは親による証言を認め、または子どもの年齢を知っている教員もしくは宗教的指導者もしくはコミュニティの指導者による宣誓書の提出を認められるようにするべきである。 34.これらの措置が功を奏さないことが証明される場合にかぎり、専門の小児科医または発達のさまざまな側面の評価に熟達した他の専門家によって実施される、子どもの身体的および心理的発達の鑑別を行なうことができる。このような鑑別は、迅速な、子どもおよびジェンダーに配慮した、文化的に適切なやり方(子どもが理解できる言語による、子どもおよび親または養育者の事情聴取を含む)で実施されるべきである。国は、とくに骨および歯の分析に基づく医学的手法(これらの手法は、誤差が大きいために不正確であることが多く、かつトラウマにもつながりうる)のみを用いることがないようにするよう求められる。もっとも侵襲性の低い鑑別手法が適用されるべきである。決定的証拠がないときは、子どもまたは若者に対して灰色の利益が認められなければならない。 子ども司法措置の継続 35.委員会は、ダイバージョン・プログラムまたは社会内処遇措置もしくは施設内処遇措置を修了する前に18歳に達した子どもが、成人向け施設に送致されるのではなく、当該プログラム、措置または刑の修了を認められるべきであることを勧告する。 18歳を前後して行なわれた犯罪および成人とともに行なわれた犯罪 36.若者が複数の犯罪を行ない、その一部は18歳前に、一部は18歳に達した後に行なわれた場合について、締約国は、合理的理由があるときはすべての犯罪について子ども司法制度を適用できるようにするための手続規則の制定を検討するべきである。 37.子どもが1人または複数の成人とともに犯罪を行なった場合、審理が併合されるか分離されるかにかかわらず、子どもに対しては子ども司法制度の規則が適用される。 D.公正な審判のための保障 38.条約第40条(2)には、すべての子どもが公正な取扱いおよび審判を受けられるようにすることを目的とした一連の権利および保障が掲げられている(市民的および政治的権利に関する国際規約第14条も参照)。これらの権利および保障は最低基準であることに留意するべきである。締約国は、より高い基準を設けかつ遵守することが可能であるし、そのように努めることが求められる。 39.委員会は、これらの保障を維持するために、子ども司法制度に関与する専門家の継続的かつ体系的訓練が欠かせないことを強調する。このような専門家は、学際的なチームを組んで働くことができるべきであり、かつ、子どもおよび思春期の青少年の身体的、心理的、精神的および社会的発達ならびにもっとも周縁化された子どもの特別なニーズに精通しているべきである。 40.差別を防止するための保障措置が刑事司法制度との接触の最初期から審判全体を通じて必要であり、かつ、いかなる集団の子どもに対する差別についても積極的是正が要求される。とくに、女子に対しておよび性的指向またはジェンダーアイデンティティを理由に差別されている子どもに対して、ジェンダーに配慮した注意が払われるべきである。障害のある子どもに対する配慮も行なわれるべきであり、このような配慮としては法廷その他の建物への物理的アクセス、心理社会障害のある子どもへの支援、意思疎通の援助および文書の読み上げならびに証言のための手続的調整などが考えられる。 41.締約国は、制度との接触(職務質問、警告または逮捕の段階を含む)の時点から、警察その他の法執行機関による拘禁中、警察署、拘禁場所および裁判所間の移送中ならびに尋問、捜索および証拠物の収集の際において子どもの権利を保障する法律の制定および実務の確保を図るべきである。あらゆる段階および手続において、子どもの所在および状態に関する記録を保管することが求められる。 子ども司法の遡及的適用の禁止(第40条(2)(a)) 42.いかなる子どもも、実行のときに国内法または国際法によって犯罪とされていなかったいかなる犯罪についても、有罪とされない。テロリズムを防止しかつこれと闘うために刑法の規定を拡大する締約国は、これらの変更によって子どもの遡及的処罰または意図せざる処罰が行なわれないことを確保するよう求められる。いかなる子どもも犯行時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されるべきではないが、犯罪後の法改正でより軽い刑罰が定められた場合、子どもは当該改正の利益を受けられるべきである。 無罪の推定(第40条(2)(b)(i)) 43.無罪の推定により、どのような性質の犯罪であるかにかかわらず、被疑事実の立証責任は検察側に課されなければならない。子どもには灰色の利益が認められ、これらの被疑事実が合理的な疑いを超えて立証された場合にのみ有罪とされる。子どもの疑わしい言動は、手続に関する無理解、未成熟、恐怖心その他の理由によるものである可能性があるため、当該言動を理由として有罪の推定が行なわれるべきではない。 意見を聴かれる権利(第12条) 44.委員会は、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)のパラ57~64において、子ども司法の文脈で意見を聴かれる子どもの基本的権利について説明を行なった。 45.子どもは、最初の接触の時点から始まる手続のすべての段階において、代理人を通じてのみならず、直接意見を聴かれる権利を有する。子どもには黙秘権があり、子どもが陳述を行なわないことを選択した場合に、いかなる不利な推論も行なわれるべきではない。 手続への実効的参加(第40条(2)(b)(iv)) 46.最低刑事責任年齢に達している子どもは、子ども司法の手続全体を通じて参加する能力を有しているとみなされるべきである。実効的に参加するために、子どもは、代理人弁護士に指示を与える目的で被疑事実ならびに考えられる結果および選択肢について理解し、証人に異議を申立て、出来事について陳述し、かつ、証拠、証言および科されるべき措置について適切な決定を行なうための支援を、すべての実務家から提供されなければならない。手続は子どもが完全に理解できる言語で進められるべきであり、また通訳者が無償で提供されなければならない。手続は、子どもの全面的参加を可能とする、理解に満ちた雰囲気のなかで進められるべきである。子どもにやさしい司法に関わる進展は、あらゆる段階における子どもにやさしい言葉遣い、子どもにやさしい面接空間および法廷の配置、適切な大人による支援、委縮につながる法服の廃止ならびに手続の修正(障害のある子どものための配慮を含む)を促進するきっかけを提供している。 被疑事実に関する迅速なかつ直接の情報(第40条(2)(b)(ii)) 47.すべての子どもは、自己に対する被疑事実を迅速かつ直接に(または適切なときは親または保護者を通じて)告知される権利を有する。迅速にとは、子どもが司法制度と最初に接触してから可能なかぎり早期にという意味である。親に対する告知を便宜上または資源上の理由で怠るべきではない。被疑段階でダイバージョンの対象とされる子どもは自己の法律上の選択肢を理解できるべきであり、また法的保障が全面的に尊重されるべきである。 48.当局は、子どもが被疑事実、選択肢および手続について理解することを確保するべきである。子どもに公式書類を提供するだけでは不十分であり、口頭による説明が必要となる。子どもは、いかなる書類についてもそれを理解するために親または適切な大人の援助を受けるべきであるが、当局は、被疑事実の説明をこれらの者に委ねるべきではない。 弁護人その他の適切な者による援助(第40条(2)(b)(ii)) 49.国は、手続の最初の段階から、防御の準備および提出において、かつすべての不服申立ておよび(または)再審査が尽くされるまで、子どもに対して弁護人その他の適切な者による援助が保障されることを確保するべきである。委員会は、締約国に対し、第40条(2)(b)(ii)に関して行なったいかなる留保も撤回することを要請する。 50.委員会は、多くの子どもが、弁護士による代理の利益を受けることなく、司法機関、行政機関その他の公的機関において刑事告発の対象とされ、かつ自由を奪われていることを、依然として懸念する。委員会は、市民的および政治的権利に関する国際規約第14条(3)(d)において、弁護士による代理を受ける権利はすべての者にとって刑事司法制度における最低限の保障であるとされており、これが子どもに対しても平等に適用されるべきであることに留意するものである。同条では自ら防御することが認められているものの、司法の利益のために必要とされるときは弁護士代理人が選任されなければならない。 51.以上のことに照らし、委員会は、子どもが成人を対象とする国際法上の保障よりも弱い保護しか提供されていないことを懸念する。委員会は、各国が、司法機関、行政機関その他の公的機関において刑事告発の対象とされているすべての子どもに対し、効果的な弁護士代理人を無償で提供するよう勧告する。子ども司法制度においては、放棄の決定が自発的に、かつ公平な司法的監督のもとで行なわれる場合を除き、子どもが弁護士による代理を放棄することが認められるべきではない。 52.子どもがプログラムへのダイバージョンの対象または有罪判決、前科もしくは自由の剥奪に至らない制度の対象とされているときは、十分な訓練を受けた職員による「その他の適切な者による援助」が援助の形態として容認される場合もある。ただし、すべての手続において子どもに弁護士代理人を提供できる国は、第41条にしたがってそのようにするべきである。その他の適切な者による援助が認められている場合、当該援助を提供する者は、子ども司法手続の法的側面について十分な知識を有しており、かつ適切な訓練を受けていなければならない。 53.市民的および政治的権利に関する国際規約第14条(3)(b)で求められているとおり、防御の準備のために十分な時間および便益が保障されなければならない。子どもの権利条約に基づき、子どもとその弁護士代理人またはその他の援助者との通信の秘密が保障されなければならず(第40条(2)(b)(ii))、またプライバシーおよび通信への干渉から保護される子どもの権利(条約第16条)が尊重されなければならない。 遅滞なく、かつ親または保護者の関与を得たうえで行なわれる決定(第40条(2)(b)(iii)) 54.委員会は、犯罪の遂行から手続の終結までの期間は可能なかぎり短いべきであることをあらためて指摘する。この期間が長くなるほど、対応によって所期の成果を得られない可能性が高まる。 55.委員会は、締約国が、犯罪の遂行から警察による捜査の完了、子どもを告発する旨の検察官(または他の権限ある機関)の決定ならびに裁判所または他の司法機関による終局決定までの期間について期限を定め、かつ当該期限を実施するよう勧告する。当該期限は、成人について定められたものよりもはるかに短いものであるべきであるが、それでも法的保障を全面的に尊重できるものであるべきである。ダイバージョン措置に対しても同様の迅速な期限を適用することが求められる。 56.手続全体を通じ、親または法定保護者が立ち会うべきである。ただし、裁判官または権限ある当局は、子どもまたはその弁護人その他の適切な援助者の求めにより、または子どもの最善の利益にかなわないという理由で、手続における親の立会いを制限し、制約しまたは排除する旨の決定をすることができる。 57.委員会は、締約国が、親または法定保護者が手続に最大限可能なまで関与する旨を法律で明示的に定めるよう勧告する。このような関与は、子どもに対する全般的な心理的および情緒的援助を提供し、かつ実効的成果に寄与する可能性があるためである。委員会は、親でも法定保護者でもない親族と非公式に暮らしている子どもも多いこと、および、親の援助が得られない場合には本当の養育者が手続において子どもを援助できるようにするために法律を修正すべきであることも、認識する。 自己負罪の強制からの自由(第40条(2)(b)(iv)) 58.締約国は、子どもが証言することまたは罪を自白しもしくは認めることを強制されないことを確保しなければならない。自認または自白を引き出すために拷問または残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いを行なうことは、子どもの権利の重大な侵害である(子どもの権利条約第37条(a))。このようないかなる自認または自白も、証拠として認容することはできない(拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約第15条)。 59.子どもに自白または自己負罪的証言を強要することは容認されない。「強制され」という文言は広く解釈されるべきであり、有形力に限定されるべきではない。虚偽の自白のおそれは、子どもの年齢および発達、理解の欠如ならびにどうなるかわからないという恐怖(収監の可能性を示唆されることによる恐怖も含む)ならびに尋問の期間および状況によって、高まる。 60.子どもは、弁護人その他の適切な援助者にアクセスできなければならず、かつ尋問の際には親、保護者または他の適切な大人による支援を受けられるべきである。裁判所その他の司法機関は、子どもによる自認または自白の任意性および信頼性を検討するにあたり、その子どもの年齢および成熟度、尋問または勾留の期間、ならびに、弁護人または他の独立の援助者および親、保護者または適切な大人の立会いの有無を含む、あらゆる要素を考慮に入れるよう求められる。警察官その他の捜査機関は、強要されたまたは信頼性を欠く自白または証言につながる尋問の技法および実務を回避するための十分な訓練を受けているべきであり、また可能な場合には視聴覚技術が利用されるべきである。 証人の出廷および尋問(第40条(2)(b)(iv)) 61.子どもは、自己に不利な証言を行なう証人を尋問し、かつ自己の防御を支援する証人の関与を得る権利を有しており、子ども司法手続においては、平等な条件のもと、弁護人による援助を受けた子どもの参加が望ましいものとみなされるべきである。 再審査または上訴の権利(第40条(2)(b)(v)) 62.子どもは、あらゆる有罪の認定または科される措置について、上級の、権限ある、独立のかつ公平な機関または司法機関による再審査を受ける権利を有する。この再審査の権利はもっとも重大な犯罪に限定されるものではない。締約国は、とくに前科または自由の剥奪に至る事件において再審査が自動的に行なわれる措置の導入を検討するべきである。さらに、司法へのアクセスはより幅広い解釈を要求するものであって、あらゆる手続的または実体的誤謬に基づく再審査または上訴が認められ、かつ実効的救済が利用できることが確保されなければならない [5]。 [5] 人権理事会決議25/6。 63.委員会は、締約国が、第40条(2)(b)(iv))についてのいかなる留保も撤回するよう勧告する。 通訳者による無償の援助(第40条(2)(b)(vi)) 64.子ども司法制度で用いられる言語を理解できずまたは話せない子どもは、手続のあらゆる段階において、通訳者による無償の援助を受ける権利を有する。当該通訳者は子どもとともに活動するための訓練を受けているべきである。 65.締約国は、意思疎通上の障壁を経験している子どもに対し、十分な訓練を受けた専門家による十分かつ効果的な援助を提供するべきである。 プライバシーの全面的尊重(第16条および第40条(2)(b)(vii)) 66.手続のすべての段階においてプライバシーを全面的に尊重される子どもの権利(第40条(2)(b)(vii))は、第16条および第40条(1)とあわせて解釈されるべきである。 67.締約国は、子ども司法の審判は非公開で実施されるという原則を尊重するべきである。この規則に対する例外は、きわめて限定された、かつ法律で明確に定められたものであることが求められる。評決および(または)量刑が法廷において公開で宣告される場合、子どもの身元が明らかにされるべきではない。さらに、プライバシーについての権利とは、子どもに関する裁判書類および記録は厳重に秘密とされるべきであり、かつ、事件の捜査および裁定ならびに事件についての判決言渡しに直接携わる者を除き、第三者に対して非開示とされるべきであることも意味する。 68.子どもに関連する判例報告は匿名で行なわれるべきであり、また判例報告がネット上に掲載される場合にもこの原則が順守されるべきである。 69.委員会は、締約国が、いかなる子ども(または犯行時に子どもであった者)についても、いかなる公的な犯罪者登録簿にもその詳細を掲載しないよう勧告する。非公開ではあるが再統合の機会へのアクセスを妨げる他の登録簿にそのような詳細を記載することも回避されるべきである。 70.委員会の見解では、子どもが行なった犯罪については生涯にわたって公表からの保護が保障されるべきである。公表を禁止する規則を設け、かつ子どもが18歳に達した後も禁止を継続しなければならない根拠は、公表が継続的なスティグマの原因となり、教育、仕事、住居または安全へのアクセスに悪影響を及ぼす可能性が高いところにある。これにより、子どもが再統合し、かつ社会において建設的役割を果たすことが阻害される。したがって締約国は、あらゆるタイプの媒体(ソーシャルメディアを含む)について、生涯にわたるプライバシーの保護が一般的規則とされることを確保するべきである。 71.さらに委員会は、締約国が、子どもが18歳に達したときにその犯罪記録を自動的に(または例外的場合においては独立の審査を経たうえで)削除することを認める規則を導入するよう勧告する。 E.措置 [6] [6] 前掲IV.Bも参照。 手続全体を通じたダイバージョン 72.子どもを司法制度の対象にする旨の決定がなされたからといって、その子どもが正式な裁判手続を経なければならないというわけではない。前掲IV.Bで述べた所見にしたがい、委員会は、権限ある機関――ほとんどの国では検察官――はダイバージョンその他の措置を通じて裁判手続または有罪判決を回避する可能性を継続的に模索するべきであることを強調する。換言すれば、ダイバージョンの選択肢が、最初期の接触の時点から審判が開始されるまでの間に提示されるべきであり、かつ手続全体を通じて利用可能とされるべきである。ダイバージョンを提示する過程においては、ダイバージョン措置の性質および期間は要求水準の高いものとなる可能性があり、したがって弁護士その他の適切な者による援助が必要であることを念頭に置きながら、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重することが求められる。ダイバージョンは、公式な裁判手続を一時的に停止するための手段であり、ダイバージョン・プログラムが満足のいく形で履行されれば当該手続も終了するものとして、子どもに提示されるべきである。 子ども司法裁判所による処分 73.条約第40条を全面的に遵守した手続が行なわれた後(前掲IV.D参照)は、処分についての決定が行なわれる。法律は、幅広い社会内処遇措置を掲げるとともに、自由の剥奪が最後の手段としてかつもっとも短い適切な期間でのみ用いられることを確保するため、社会内処遇措置が優先されることを明示的に定めておくべきである。 74.社会内処遇措置(修復的司法措置を含む)の利用および実施については幅広い経験が存在する。締約国は、このような経験を役立てるとともに、これらの措置を自国の文化および伝統にあわせて修正することによってその発展および実施を進めるべきである。強制労働または拷問もしくは非人道的なおよび品位を傷つける取扱いに相当するような措置は明示的に禁じられ、かつ処罰の対象とされなければならない。 75.委員会は、制裁としての体罰はあらゆる形態の残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける取扱いおよび処罰を禁じた条約第37条(a)違反であることをあらためて指摘する(体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての委員会の一般的意見8号(2006年)も参照)。 76.委員会は、犯罪への対応は常に、犯罪の状況および重大性のみならず、個人的状況(子どもの年齢、有責性の低さ、状況、および、適切な場合には子どもの精神保健上のニーズを含むニーズ)ならびに社会の種々のニーズおよびとくに長期的ニーズにも比例したものであるべきであることを強調する。厳格に懲罰的なアプローチは、条約第40条(1)に掲げられた子ども司法の原則にしたがうものではない。子どもが重大犯罪を行なった場合、罪を犯した者の状況および犯罪の重大性に比例する措置を、公共の安全および制裁の必要性に関する考慮を含む形で検討することができる。第一次的考慮事項としての子どもの最善の利益および社会への子どもの再統合を促進する必要性が重視されるべきである。 77.委員会は、自由の剥奪が子どもおよび青少年に引き起こす害およびそれが再統合の成功の展望に及ぼす悪影響を認識し、締約国が、犯罪を行なったとして申し立てられた子どもを対象として、「もっとも短い適切な期間」の原則(子どもの権利条約第37条(b)を反映した刑の上限を定めるよう勧告する。 78.一定以上の量刑を義務づけることは、子ども司法における比例性の原則、および、拘禁は最後の手段でありかつもっとも短い適切な期間でなければならないという要件と両立しない。子どもに刑を言い渡す裁判所は白紙の状態から出発するべきである。裁量に基づく最低量刑制度でさえ、国際基準の適正な適用を阻害する。 死刑の禁止 79.条約第37条(a)は、18歳未満の者が行なった犯罪に対して死刑を科すことを禁じた慣習国際法を反映したものである。いくつかの締約国は、この規則は執行時に18歳未満である者の死刑執行を禁じているにすぎないと考えている。18歳まで執行を延期する国もある。委員会は、明示的かつ決定的な基準が犯罪遂行時の年齢であることをあらためて指摘するものである。ある者が犯行時に18歳未満であったという信頼できる決定的証拠がないときは、当該者には灰色の利益が認められるべきであり、死刑を科すことはできない。 80.委員会は、18歳未満の者が行なったすべての犯罪に関する死刑の言い渡しをまだ廃止していない少数の締約国に対し、緊急にかつ例外なく廃止の対応をとるよう求める。犯行時に18歳未満であった者に対して言い渡されたいかなる死刑も、条約に全面的に一致する制裁へと減じられるべきである。 仮釈放のない終身刑の禁止 81.犯行時に18歳未満であったいかなる子どもも、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を言い渡されるべきではない。仮釈放の検討までに経なければならない期間は成人よりも相当に短くかつ現実的なものであるべきであり、かつ仮釈放の可能性が定期的に再検討されるべきである。委員会は、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を実際に子どもに言い渡している締約国に対し、このような制裁を科すにあたっては条約第40条(1)の実現に向けて全力を尽くさなければならないことを想起するよう求める。このことは、とくに、終身刑を言い渡された子どもに対し、その釈放、再統合、および社会において建設的な役割を果たす能力の構築を目的とした教育、処遇およびケアが提供されるべきであることを意味するものである。また、釈放の可能性について決定するために子どもの発達および進歩を定期的に審査することも求められる。終身刑は、再統合という目的の達成を、不可能ではないにせよ非常に困難にするものである。委員会は、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰に関する特別報告者が、2015年の報告書において、終身刑および長期刑(累積刑など)は、子どもに対して科されたときは著しく比例性を欠いており、したがって残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける処罰にあたると認定していること(A/HRC/28/68、パラ74)に留意する。委員会は、締約国が、犯行時に18歳未満であった者が行なったすべての犯罪について、あらゆる形態の終身刑(無期刑を含む)を廃止するよう強く勧告するものである。 F.自由の剥奪(未決拘禁および審判後の収容を含む) 82.条約第37条には、自由の剥奪の利用に関する重要な原則、自由を奪われたすべての子どもの手続的権利ならびに自由を奪われた子どもの取扱いおよび環境に関する規定が掲げられている。委員会は、到達可能な最高水準の身体的および精神的健康を享受するすべての者の権利に関する特別報告者の、2018年の報告書に対して締約国の注意を喚起するものである。特別報告者は、同報告書において、拘禁および監禁の対象とされている子どもの苦痛の規模および甚大さに鑑み、コミュニティを基盤とするサービスへの投資の拡大と並んで、子どもを対象とする刑務所および大規模養護施設の廃止に対する世界的コミットメントが必要であると指摘している(A/HRC/38/36、パラ53)。 84.この一般的意見のいかなる記述も、自由の剥奪の利用を促進しまたは支持するものとして解釈されるべきではなく、自由の剥奪が必要と判断される少数の事案における正しい手続および環境を示したものとして解釈されるべきである。 主導的原則 85.自由の剥奪の利用に関する主導的原則は次のとおりである。(a) 子どもの逮捕、拘禁または収監は、法律にしたがって行なうものとし、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられる。(b) いかなる子どもも、不法にまたは恣意的にその自由を奪われない。逮捕が未決拘禁の出発点となることは多く、各国は、逮捕の文脈において第37条を適用する明確な義務が法律で法執行官に課されることを確保するよう求められる。各国はさらに、子どもが移送留置または警察における留置の対象とされず(最後の手段としてかつもっとも短い適切な期間である場合を除く)、かつ成人とともに収容されないこと(そのような収容が子どもの最善の利益にかなう場合を除く)を確保するべきである。親または適切な大人のもとに速やかに釈放する手続を優先させることが求められる。 86.委員会は、多くの国で、子どもが数か月の未決拘禁に苦しんでおり、その期間が数年間に及ぶことさえあることに、懸念とともに留意する。これは条約第37条(b)の重大な違反である。未決拘禁はもっとも深刻な事案を除いて利用されるべきではなく、もっとも深刻な事案においても、コミュニティへの措置について慎重に検討した後でなければ利用されるべきではない。未決段階でのダイバージョンは拘禁の利用を少なくすることにつながり、たとえ子どもが子ども司法制度における審判の対象とされる場合でも、未決拘禁の利用を制限するために社会内処遇措置が注意深く目指されるべきである。 87.法律で未決拘禁の利用の基準について明確に定めておくべきであり、その利用は主として裁判所における手続への出頭を確保することを目的とする場合および子どもが他の者に差し迫った危険を及ぼす場合に限られるべきである。子どもが(自分自身または他の者にとって)危険を及ぼしていると考えられるときは、子ども保護措置を適用することが求められる。未決拘禁は定期的再審査の対象とされるべきであり、かつその期間は法律で制限されるべきである。子ども司法制度に携わるすべての者は、未決拘禁下にある子どもの事案に優先的に対応することが求められる。 88.自由の剥奪はもっとも短い適切な期間でのみ科されるべきであるという原則を適用するにあたり、締約国は、勾留(警察留置を含む)から早期に解放して親または他の適切な大人のケアに委ねられるようにする恒常的機会を提供するべきである。権限を認められた者または場所に出頭することのような条件を付したうえで釈放するか否かについては、裁量の余地を認めることが求められる。保釈金の支払いについては、ほとんどの子どもにとっては支払い不可能であり、かつ貧しい家族および周縁化された家族を差別することになるため、要件とされるべきではない。さらに、保釈について定められている場合には、子どもは釈放されるべきであるという裁判所の原則的認識が存在することを意味するのであって、他の手続を活用して出廷を確保することが可能である。 手続的権利(第37条(d)) 89.自由を奪われたすべての子どもは、弁護人その他の適切な者による援助に速やかにアクセスする権利、および、その自由の剥奪の合法性について裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関において争い、かつ当該訴えに対する迅速な決定を受ける権利を有する。委員会は、公共の安全または公衆衛生に関わる真正の懸念が存在する場合を除いていかなる子どもも自由を奪われないようにすることを勧告するとともに、締約国に対し、子どもの自由を合法的に剥奪することの年齢制限(16歳など)を定めるよう奨励する。 90.逮捕されて自由を奪われたすべての子どもは、当該自由の剥奪(またはその継続)の合法性について審査するため、24時間以内に権限ある機関に引致されるべきである。委員会はまた、締約国が、未決拘禁を終わらせることを目的とした定期的再審査が行なわれることを確保するようにも勧告する。最初の引見(24時間以内)のときまたはその前に子どもを条件付きで釈放することが不可能なときは、当該子どもは、可能なかぎり早期に、かつ未決拘禁が実行されるようになってから30日以内に、申し立てられている犯罪について正式に審判開始請求の対象とされ、かつ、当該事案の処理のため裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関の前に引致されるべきである。委員会は、裁判所による審理がしばしば複数回、かつ(または)長期にわたって行なわれる慣行があることを認識し、締約国に対し、審理継続の回数および期間の上限を定めるとともに、裁判所または他の権限ある機関が当該請求についての最終的決定を拘禁の開始日から起算して6か月以内に行なうことを確保するために必要な法律上または行政上の規定を導入するよう、促す。当該期限が守られなかった場合には。子どもは釈放されるべきである。 91.自由の剥奪の合法性について争う権利には、裁判所の決定に不服を申し立てる権利のみならず、行政決定(たとえば警察、検察官その他の権限ある機関によるもの)について再審査を求めるために裁判所にアクセスする権利も含まれる。締約国は、条約で要求されているように、迅速な決定を確保するため、不服申立ておよび再審査の終了に関する短期の期間制限を定めるべきである。 処遇および環境(第37条(c)) 92.自由を奪われたすべての子どもは、警察の留置房における場合も含めて、成人から分離されなければならない。自由を奪われた子どもは、成人用の施設または刑務所に措置されてはならない。成人用施設に子どもを措置することが、子どもの健康および基本的安全ならびに犯罪とは無縁の生活を維持しかつ再統合する将来の能力を損なうことについては、豊富な証拠があるためである。成人からの子どもの分離について条約第37条(c)で認められている例外――「子どもの最善の利益にしたがえば成人から分離すべきではないと判断される場合を除き」――は狭義に解されるべきであり、締約国の都合が最善の利益よりも優先されるべきではない。締約国は、自由を奪われた子どもを対象として、適切な訓練を受けた者が職員として配置され、かつ子どもにやさしい方針および実務にしたがって運営される、独立の施設を設置するべきである。 93.このような規則があるからといって、子どもを対象とする施設に措置された子どもが、18歳に達したらただちに成人用施設に移送されなければならないというわけではない。子どもを対象とする施設に引き続き留まることも、それがその子どもの最善の利益にかなっており、かつ当該施設の子どもの最善の利益に反しない場合には、可能とされるべきである。 94.自由を奪われたすべての子どもは、通信および面会を通じて家族との接触を保つ権利を有する。面会の便宜を図るため、子どもは家族の居住地から可能なかぎり近い施設に措置されるべきである。このような接触の制限につながりうる例外的事情は、法律で明確に定められるべきであり、当局の裁量に委ねられるべきではない。 95.委員会は、とくに、自由の剥奪のあらゆる事案において次の原則および規則が遵守されなければならないことを強調する。 (a) 隔離拘禁は、18歳未満の者については認められない。 (b) 子どもに対し、入所措置の目的である再統合に資する物理的環境および居住環境が提供されるべきである。プライバシー、感覚刺激、仲間と交流する機会ならびにスポーツ、身体運動、芸術および余暇時間活動に参加する機会に対する子どものニーズについて、正当な配慮を行なうことが求められる。 (c) すべての子どもは、そのニーズおよび能力(受験に関連するものを含む)に適合し、かつ社会復帰の準備を目的とした教育に対する権利を有する。加えて、すべての子どもは、適切な場合には、将来の就労の備えになると思われる職種についての職業訓練を提供されるべきである。 (d) すべての子どもは、拘禁施設または矯正施設への入所と同時に医師または保健従事者による診断を受ける権利を有し、かつ、施設に滞在する全期間を通じて十分な身体的および精神的保健ケアを提供されなければならない。当該保健ケアは、可能な場合には地域の保健施設および保健サービス機関によって提供されるべきである。 (e) 施設職員は、子どもがより幅広いコミュニティと頻繁に接触することを促進し、かつそのための便宜を図るべきである。このような接触には、家族、友人その他の者(定評のある外部の団体の代表を含む)との通信ならびに自宅および家族を訪問する機会が含まれる。子どもが、弁護士または他の援助者と、秘密が守られる形でかついかなるときにも通信できることについては、いかなる制限も課されてはならない。 (f) 抑制または有形力は、子どもが自分自身または他者に対する切迫した脅威となっている場合に限って、他のあらゆる統制手段が尽くされた場合にのみ用いることができる。抑制は従わせるために用いられるべきではなく、また意図的に苦痛を加えることはけっしてあってはならない。処罰の手段として用いられることもけっしてあってはならない。身体的、機械的、医学的および薬理学的抑制を含む抑制または有形力の使用は、医学および(または)心理学の専門家による緊密な、直接のかつ継続的な管理下に置かれるべきである。施設職員は適用される基準についての研修を受けるべきであり、また規則および基準に違反して抑制または有形力を用いた職員は適切な処罰の対象とされるべきである。国は、抑制が行なわれまたは有形力が用いられたすべての案件の記録、監視および評価を行ない、かつ抑制または有形力の使用が最低限に留められることを確保するよう求められる。 (g) 規律の維持のためのいかなる措置も、少年の固有の尊厳の擁護および施設ケアの基本的目的に合致したものでなければならない。規律の維持のための措置のうち条約第37条に違反するもの(体罰、暗室への収容、独居拘禁、または対象者である子どもの身体的もしくは精神的健康またはウェルビーイングを害するおそれがある他のあらゆる処罰を含む)は厳格に禁止されなければならず、かつ、規律の維持のための措置において子どもの基本的権利(弁護士代理人による面会、家族との接触、食料、水、衣服、寝具、教育、運動または他者との意味がある日常的接触など)が奪われるべきではない。 (h) 独居拘禁は子どもを対象として用いられるべきではない。子どもを他の者から分離するいかなる措置も、可能なもっとも短い期間で、かつ子どもまたは他の者を保護するための最後の手段としてのみ、用いられるべきである。子どもを分離して収容することが必要であると判断される場合、適切な訓練を受けた職員の立ち会いまたは緊密な監督のもとで行なわれるべきであり、かつ理由および期間を記録することが求められる。 (i) すべての子どもに対し、内容について検閲を受けることなく、中央行政機関、司法機関または他の適切な独立機関に要請または苦情申立てを行ない、かつその返答について遅滞なく知らされる権利が認められるべきである。子どもは、自己の権利について知るとともに、要請および苦情申立てのための機構について知り、かつこれらの機構に容易にアクセスできなければならない。 (j) 独立のかつ資格を有する査察官に対し、定期的に査察を実施し、かつ職権で事前通告なしの査察を行なう権限が与えられるべきである。査察官は、施設に措置されている子どもと秘密が守られる環境下で話をすることをとくに重視するよう求められる。 (k) 締約国は、子どもの自由の剥奪を促進する誘因、および、措置に関する腐敗または物品およびサービスの提供もしくは家族との接触に関する腐敗の機会が存在しないことを確保するべきである。 G.特定の問題 軍事裁判所および国家安全保障裁判所 96.軍事裁判所および国家安全保障裁判所による文民の裁判は、権限ある、独立のかつ公平な裁判所による公正な裁判を受ける逸脱不可能な権利の侵害であるという見方が広がりつつある。このような裁判は、常に専門の子ども司法制度によって対応されるべき子どもの場合、さらに懸念される権利侵害である。委員会は、いくつかの総括所見においてこの点に関する懸念を提起してきた。 非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による徴募および使用の対象とされている子どもならびにテロ対策の文脈で罪を問われている子ども 97.国際連合は、非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による子どもの徴募および搾取が行なわれた無数の事案を確認してきた。このような事案は、紛争地域のみならず非紛争地域(子どもの出身国および通過国または帰還先の国を含む)でも発生している。 98.子どもは、そのような集団の支配下にあるとき、複合的形態の人権侵害の被害を受ける可能性がある。強制的徴募、軍事訓練、敵対行為および(もしくは)テロ行為(自殺攻撃を含む)における使用、処刑の強要、人間の盾としての使用、誘拐、売買、取引、性的搾取、児童婚、薬物の輸送または売買における使用、または危険な任務(スパイ行為、見張り、検問所の警備、見回りまたは軍備の輸送など)を遂行させるための利用などである。非国家武装集団およびテログループとして指定されている集団が、忠誠心を示させることおよび将来の逃亡を抑止することを目的として、自分の家族に対してまたは自分のコミュニティのなかで暴力行為を行なうことを子どもに強制しているという報告も行なわれてきた。 99.締約国当局は、このような子どもに対応する際、多くの課題に直面する。締約国のなかには、子どもの権利をまったくまたはほとんど考慮しない懲罰的アプローチをとってきた国もあり、その結果、子どもの発達にとっての永続的影響および社会的再統合の機会への悪影響が生じ、ひいてはより幅広い社会にとって深刻な影響が及ぶ可能性も出ている。このような子どもは、紛争地域における行動、および、それほどの規模ではないものの、出身国または帰還先の国における行動を理由に、しばしば逮捕、拘禁、訴追および裁判の対象とされている。 100.委員会は、安全保障理事会決議2427 (2018)に対して締約国の注意を喚起するものである。理事会は、同決議において、あらゆる非国家武装集団(テロ行為を行なった集団を含む)と関係を有する子どもまたは関係があると主張されている子どもを子どもの保護に携わる関連の文民関係者に迅速に引き渡すための標準運用手続を確立する必要性を強調した。理事会は、軍隊および武装集団によって適用可能な国際法に違反して徴募されてきた子どもおよび武力紛争中に犯罪を行なったとして申し立てられている子どもについて、第一義的には国際法違反の被害者として主に扱われるべきであると強調している。理事会はまた、加盟国に対し、訴追および拘禁に代わる選択肢として再統合に焦点を当てた非司法的措置を検討することも促すとともに、軍隊および武装集団との関係を理由として拘禁されたすべての子どもを対象として適正手続を適用することも求めた。 101.締約国は、犯罪を理由に告発されたすべての子どもが、犯罪の重大性または文脈にかかわらず、条約第37条および第40条の規定にしたがって対応されることを確保するとともに、意見の表明したことを理由にまたは非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)と関係があることのみを理由に子どもの告発および訴追を行なわないようにするべきである。一般的意見20号のパラ88にのっとり、委員会はさらに、締約国が、テロ対策関連の安全保障理事会決議(決議1373 (2001)、2178 (2014)、2396 (2017)および2427 (2018)など)および総会決議72/284(とくにパラ18に掲げられた勧告)を実施する際にも、社会的要因および根本的原因に対処するための予防的介入ならびに社会的再統合措置を採用するよう勧告する。 慣習的司法、先住民族司法および非国家的司法 102.公式な司法制度と並行してまたはその周縁で運用される複数の司法制度と接触を持つことになる子どもは多い。このような制度には、慣習的司法制度、部族司法制度、先住民族司法制度その他の司法制度が含まれる場合がある。これらの制度は、公式な機構よりもアクセスしやすく、かつ、文化的特性に適合した対応を迅速に、かつ相対的に費用のかからない形で提案できる利点を有することがある。このような制度は、子どもに対する公的手続に代わる手段となりうるものであり、子どもと司法に関する文化的態度の変化に好ましい形で貢献する可能性が高い。 103.司法部門のプログラムの改革においてこのような制度に注意を向けるべきであるという合意が形成されつつある。手続的権利に関する懸念および差別または周縁化の危険性に関する懸念に加え、国家の司法および非国家的司法との間に生じうる緊張関係も考慮し、改革は、関係する比較可能な諸制度についての全面的な理解を踏まえた、かつすべての関係者が受け入れることのできる手法により、段階的に進められるべきである。慣習的司法の手続および結果については、憲法ならびに法的および手続的保障との一致を図ることが求められる。同じような犯罪を行なった子どもが並行的な制度または場において異なる形で対応される場合、不公正な差別が生じないようにすることが重要である。 104.子どもに対応するすべての司法機構に条約の原則が浸透させられるべきであり、締約国は条約が知られかつ実施されることを確保するべきである。修復的司法に基づく対応は、慣習的司法制度、先住民族司法制度または他の非国家的司法制度を通じて達成できることが多く、かつ公式な子ども司法制度にとって学びの機会を提供してくれる可能性もある。さらに、このような司法制度を認知することは先住民族社会の伝統の尊重を高めることにも貢献しうるのであり、そのことが先住民族の子どもにとって利益となりうる。介入、戦略および改革は特定の文脈に応じて立案されるべきであり、プロセスは国内の関係者によって主導されるべきである。 V.子ども司法制度の組織 105.これまでのパラグラフで述べてきた原則および権利の全面的実施を確保するためには、子ども司法を運営するための実効的組織の確立が必要である。 106.包括的な子ども司法制度においては、警察、司法機関、裁判制度、検察官事務所内に専門部署を設けること、ならびに、専門の弁護人その他の代理人が子どもに法律上その他の適切な援助を提供することが必要となる。 107.委員会は、締約国が、独立の部局としてまたは既存の裁判所の一部としてのいずれであれ、子ども司法裁判所を設置するよう勧告する。実際上の理由からこれが実現可能でないときは、締約国は、子ども司法関連の事件を取り扱う専門の裁判官が任命されることを確保するべきである。 108.保護観察、カウンセリングまたは監督のような専門のサービスが、専門の施設(たとえば通所型処遇センター、ならびに、必要な場合には子ども司法制度から付託された子どもの入所型ケアおよび処遇のための小規模施設)とあわせて設けられるべきである。これらのあらゆる専門的な部局、サービスおよび施設による諸活動の効果的な機関間調整を継続的に促進することが求められる。 109.加えて、子どもの個別鑑別および多職種連携アプローチが奨励される。最低刑事責任年齢に達していないものの支援が必要であると鑑別された子どもを対象とする、コミュニティを基盤とする専門のサービスに対して特段の注意が払われるべきである。 110.非政府組織は子ども司法制度において重要な役割を果たすことができ、かつ現に果たしている。したがって委員会は、締約国が、自国の包括的な子ども司法政策の策定および実施においてこれらの組織の積極的関与を求めるとともに、これらの組織に対し、このような関与のために必要な資源を提供するよう勧告する。 VI.意識啓発および訓練 111.犯罪を行なった子どもはメディアで否定的な取り上げ方をされることが多く、これがこうした子どもたちに対する差別的および否定的なステレオタイプの形成を助長している。このように子どもを否定的に取り上げまたは犯罪者扱いすることは、しばしば犯罪の原因に関する不正確な説明および(または)誤解にもとづいており、かつ、より厳しいアプローチ(ゼロトレランスおよび「3ストライク・アウト」アプローチ、義務的量刑、成人裁判所における裁判および第一義的には懲罰的性質を有するその他の措置)を求める声に帰結するのが常となっている。締約国は、子ども司法制度の対象とされている子どもについて条約のあらゆる側面が擁護されることを確保するための教育およびその他のキャンペーンを促進しかつ支援する目的で、議会議員、非政府組織およびメディアの積極的かつ前向きな関与を求めるべきである。子ども、とくに子ども司法制度に関わった経験を有する子どもがこれらの意識啓発の努力に関与することがきわめて重要となる。 112.子ども司法の運営の質にとって、関連するすべての専門家が条約の内容および意味について適切かつ学際的な訓練を受けることは不可欠である。このような訓練は体系的かつ継続的であるべきであり、関連する国内法および国際法の規定についての情報に限定されるべきではない。このような訓練には、とくに、犯罪の社会的その他の原因、子どもの社会的および心理的発達(現在の神経科学上の知見を含む)、一部の周縁化された集団(マイノリティまたは先住民族に属する子どもなど)への差別に相当する可能性がある格差、若者の世界の文化および傾向、集団活動の力学ならびに利用可能なダイバージョン措置および社会内処遇刑(とくに司法手続に訴えることを回避するための措置)に関してさまざまな分野から得られる、確立された情報および明らかになりつつある情報が含まれるべきである。ビデオによる「出廷」のような新たな技術の利用の可能性についても、DNAプロファイリングのような他の新技術のリスクに留意しつつ、検討することが求められる。機能するやり方に関する継続的再評価が行なわれるべきである。 VII.データ収集、評価および調査研究 113.委員会は、締約国に対し、子どもが行なった犯罪の件数および性質、未決拘禁の利用および平均期間、司法手続以外の措置(ダイバージョン)により対応された子どもの人数、有罪判決を受けた子どもの人数ならびにこれらの子どもに科された制裁の性質および自由を奪われた子どもの人数に関するものを含む細分化されたデータを体系的に収集するよう促す。 114.委員会は、締約国が、子ども司法制度の定期的評価が、とくにとられた措置の実効性について、かつ差別、再統合および再犯パターンとの関連で、実施されることを確保するよう勧告する。このような評価は独立の学術機関によって行なわれるのが望ましい。 115.子ども(とくに現に制度と接触している子どもまたはかつて制度と接触したことのある子ども)がこのような評価および調査研究に関与すること、ならびに、評価および調査研究が、調査研究への子どもの関与に関する既存の国際的指針にのっとって行なわれることは重要である。 更新履歴:ページ作成(2020年2月18日)。/パラ75「制裁としての制裁」を「制裁としての体罰」に修正(9月9日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/327.html
国連・子どもの権利委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する声明 関連ページ:新型コロナウィルス感染症と人権/CESCR 新型コロナ感染症と社会権 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックが子どもたちに及ぼす重大な身体的、情緒的および心理的影響について警告するとともに、各国に対し、子どもたちの権利を保護するよう求める。 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックの影響による世界中の子どもたち(とくに、脆弱な状況に置かれている子どもたち)の状況について懸念を表明する。とくに緊急事態および義務的ロックダウンを宣言した国々において、多くの子どもたちが身体的、情緒的および心理的に重大な影響を受けている。 10の人権条約機関が発した宣言に加えて、委員会はさらに、各国に対し、COVID-19パンデミックが突きつける公衆衛生上の脅威に対処するための措置をとるうえで子どもの権利を尊重するよう促すものである。とくに委員会は、各国に対し、以下の措置をとるよう求める。 1.今回のパンデミックが子どもの権利に及ぼす健康面、社会面、情緒面、経済面およびレクリエーション面の影響を考慮すること。当初は短期のものとして宣言されたとはいえ、各国の緊急事態宣言および(または)災害宣言がより長期間維持され、人権の享受に対するさらに長期間の制限につながる可能性があることは明らかになっている。委員会は、危機の状況にあっては、公衆衛生を保護するため、一部の人権の享受の制限につながる可能性がある措置が国際人権法において例外的に許容されていることを認識するものである。しかしながら、このような制限は必要な場合にのみ課され、比例性を有しており、かつ最小限のものに限られなければならない。加えて、COVID-19パンデミックのために財源の利用可能性に相当の悪影響が生じる可能性があることは認知しながらも、これらの困難は条約実施を阻害するものとみなされるべきではない。このような困難にもかかわらず、各国は、パンデミックへの対応(資源の配分の制約および資源の配分に関する決定を含む)が子どもの最善の利益の原則を反映したものになることを確保するべきである。 2.子どもたちが休息、余暇、レクリエーションおよび文化的・芸術的活動に対する権利を享受できるようにするための、オルタナティブかつ創造的な解決策を模索すること。このような解決策には、社会的距離を保つための要領およびその他の衛生基準を尊重する監督下での野外活動(少なくとも1日1回)、ならびに、テレビ、ラジオおよびオンラインにおける子どもにやさしい文化的・芸術的活動が含まれるべきである。 3.オンライン学習が、すでに存在する不平等を悪化させ、または生徒・教員間の相互交流に置き換わることがないようにすること。オンライン学習は、教室における学習に代わる創造的な手段ではあるが、テクノロジーもしくはインターネットへのアクセスが限られているもしくはまったくない子ども、または親による十分な支援が得られない子どもにとっては、課題を突きつけるものでもある。このような子どもたちが教員による指導および支援を享受できるようにするための、オルタナティブな解決策が利用可能とされるべきである。 4.緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、子どもたちに栄養のある食事が提供されるようにするための即時的措置を起動させること。学校給食制度を通じてしか栄養のある食事を得られない子どもたちも多いためである。 5.子どもたちへの、保健ケア、水、衛生および出生登録を含む基礎的サービスの提供を維持すること。保健制度への圧力の高まりおよび資源の欠乏にもかかわらず、子どもたちは保健ケアへのアクセス(検査および将来開発される可能性があるワクチン、COVID-19関連の治療およびCOVID-19とは関係のない治療、精神保健サービスならびに既存疾患の治療へのアクセスを含む)を否定されるべきではない。子どもたちはまた、緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、清潔な水および衛生設備にもアクセスできるべきである。出生登録サービスは停止されるべきではない。 6.子どもの保護のための中核的サービスを必須サービスに位置づけ、これらのサービス(必要な場合の家庭訪問を含む)が機能し続けかつ利用可能とされ続けることを確保するとともに、ロックダウン下で暮らしている子どもたちに対し、専門家による精神保健サービスを提供すること。子どもたちは、外出制限により、家庭におけるいっそうの身体的および心理的暴力にさらされ、または過密でありかつ最低限の居住適正条件を欠いた家庭で過ごすことを余儀なくされる可能性がある。障害および行動上の問題がある子どもたちおよびその家族は、密室においてさらなる困難に直面しかねない。各国は、電話およびオンラインによる通報・付託制度ならびにテレビ、ラジオおよびオンライン経路を通じた注意喚起・意識啓発活動を強化するべきである。COVID-19パンデミックの経済的および社会的影響を緩和するための戦略にも、子どもたち(とくに貧困下で暮らしている子どもおよび十分な住居にアクセスできていない子ども)を保護するための具体的措置を含めることが求められる。 7.パンデミックが引き起こす例外的状況によって脆弱性がいっそう高まる子どもたちを保護すること。これには、障害のある子ども、貧困下で暮らしている子ども、路上の状況にある子ども、移住者・庇護申請者・難民・国内避難民である子ども、マイノリティおよび先住民族の子ども、HIV/AIDSを含む基礎疾患がある子ども、自由を奪われている子どもまたは警察の留置場、刑事施設、閉鎖養護施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもならびに施設で暮らしている子どもが含まれる。各国は、COVID-19パンデミックに対処するための措置において差別を受けないすべての子どもの権利を尊重するとともに、脆弱な状況に置かれている子どもたちを保護するための焦点化された措置をとるべきである。 8.あらゆる形態の拘禁下に置かれている子どもたちを可能な場合には常に解放するとともに、解放することのできない子どもたちに対し、家族との定期的接触を維持するための手段を提供すること。多くの国は、施設で暮らしている子どもまたは自由を奪われている子ども(警察施設、刑事施設、閉鎖施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもを含む)との面会および接触の機会を制限する措置をとっている。これらの制限は短期的には必要な措置とみなされうるものの、長期に及べば子どもたちに著しい悪影響をもたらすことになろう。子どもたちは常に、家族との定期的接触を、直接ではないにせよ電子的通信または電話を通じて維持することを認められるべきである。緊急事態、災害宣言または国の命令による外出制限の期間が延長される場合、このような面会を禁止する措置の再評価を考慮することが求められる。移住の状況下にある子どもたちは拘禁されるべきではなく、また親がいっしょにいる場合には親から引き離されるべきでもない。 9.COVID-19に関連する国の指導および指示に違反したことを理由とする子どもの逮捕または拘禁を行なわないようにするとともに、逮捕または拘禁されたいかなる子どもも直ちに家族のもとに帰されるようにすること。 10.COVID-19および感染予防法に関する正確な情報を、子どもにやさしく、かつすべての子ども(障害のある子ども、移住者である子どもおよびインターネットへのアクセスが限られている子どもを含む)にとってアクセス可能な言語および形式で普及すること。 11.今回のパンデミックに関する意思決定プロセスにおいて子どもたちの意見が聴かれかつ考慮される機会を提供すること。子どもたちは、現在起きていることを理解し、かつパンデミックへの対応の際に行なわれる決定に参加していると感じることができるべきである。 2020年4月8日 主な参考資料(訳者による) 声明のチャイルドフレンドリー版:子どもの権利と新型コロナウィルス感染症 かんたんな日本語訳(PDF、長瀬正子・畠山由佳子作成)【5月5日追加】 CRIN:Policy responses to Covid-19【7月9日追加】 国連事務総長:"Protect our children"(日本語による概要)【4月17日追加】 国連人権高等弁務官:Child Rights Connect - General Assembly 2020 Speech by Michelle Bachelet, UN High Commissioner for Human Rights【6月29日追加】 国連・子どもの権利委員会委員長:2020-11-16 Chair of the Committee on the Rights of the Child, Mr. Luis Pedernera Reyna(英語字幕日本語訳)【11月21日追加】 EU(欧州連合)・GRULAC(中南米諸国グループ)・子どもとSDGs関心国グループ(Group of Friends of Children and the SDGs):"Protect our Children" - Response to the UN Secretary-General’s Call on Countries to Prioritize Children's Education, Food, Health and Safety amid the COVID-19 Pandemic【5月9日追加】日本ユニセフ協会:新型コロナウイルス感染症 「子どもたちを守る」共同声明 169の国と地域が賛同【5月9日追加】 ユニセフ新型コロナウイルス 子どもの権利の危機を防ぐために 最も弱い立場の子どもを守り世界で連携して行動を【4月9日追加】 新型コロナウイルス 増加するネット利用時間とリスク ユニセフ、ネット上で子どもを守る指針作成【4月17日追加】 新型コロナが世界をどう変えたか~最貧困層の子どもに壊滅的な影響【5月20日追加】CCSA(統計活動調整委員会):How Covid-19 is changing the world a statistical perspective【5月20日追加】 新型コロナウイルス 貧困層の子ども8,600万人増加のおそれ ユニセフなど、家庭への支援訴え【6月2日追加】 ユニセフ/ILO:COVID-19 and Child Labour A time of crisis, a time to act【6月12日追加】(日本語による概要)ILO/UNICEF発表:新型コロナウイルスの影響によって児童労働に陥る子どもたちが数百万人増える可能(プレスリリース日本語抄訳)【6月12日追加】 WHO/ユニセフ:WHO and UNICEF warn of a decline in vaccinations during COVID-19【7月17日追加】予防接種率最新データ 三種混合(DTP)の接種率が初めて低下 パンデミックによるさらなる低下に警鐘【7月17日追加】 Immunization coverage Are we losing ground?【7月17日追加】 #後戻りさせない 新型コロナウイルス後により良い未来を築くために ユニセフ 東アジア・太平洋地域事務所 報告書発表【8月28日追加】Recover, Rebound, Reimagine - Building a better future for every child in East Asia and the Pacific, post COVID-19(PDF)【8月28日追加】(日本語による概要) 2019年の5歳未満児死亡数、過去最少520万人~COVID-19による今後の増加に強い懸念【プレスリリース】 世界で保健サービスが停滞【9月9日追加】(世界銀行):New child and youth mortality estimates show dramatic reductions, but progress is threatened by impact of COVID-19【9月18日追加】 ユニセフ/セーブ・ザ・チルドレン:Impact of COVID-19 on multidimensional child poverty【9月18日追加】新型コロナウイルス感染症 1億5,000万人の子どもたちが貧困状態に-セーブ・ザ・チルドレンとユニセフの共同分析【9月24日追加】 女性と子どもの健康を脅かす新型コロナ、紛争、気候危機 「Every Woman Every Child」新報告書【9月25日追加】 「子どものための世界サミット」30周年 30年の成果と新たに生じた課題 ユニセフ事務局長声明【10月1日追加】 From COVID-19 response to recovery What role for universal child benefits?【10月16日追加】 ユニセフ/世界銀行:子ども6人に1人が極度の貧困で暮らす ユニセフと世界銀行による分析【10月20日追加】 A six-point plan to protect our children【11月19日追加】 新型コロナ感染、9人に1人が子ども 失われた世代を生まないために ユニセフ、報告書発表【11月19日追加】Averting a lost COVID generation A six-point plan to respond, recover and reimagine a post-pandemic world for every child【11月19日追加】 12月1日は「世界エイズデー」 2019年、100秒に1人未成年が感染 新型コロナによるHIV治療中断も懸念【12月2日追加】 移民・難民の子ども 新型コロナ対応、対象から除外 不十分な遠隔学習環境など【12月22日追加】 2月9日はセーファーインターネットデー 子どものスクリーンタイム増加のリスクを指摘 より安全なオンラインの世界を【2021年2月9日追加】 子どものための世界の再構築を メンタルヘルス支援、情報格差の解消 ユニセフ事務局長による公開書簡【2021年2月17日追加】 新型コロナウイルス 7人に1人の子どもが外出制限下 深刻化するメンタルヘルス【2021年3月4日追加】 新型コロナウイルス パンデミックから1年、子どもへの影響 最新データ発表【2021年3月11日追加】 南アジア 母子の死亡数が23万9,000人増加 COVID-19で保健サービス減少【2021年3月19日追加】 新型コロナウイルス 子どもや若者のメンタルヘルス すべての国で支援が不足【2021年5月11日追加】 ユニセフ/ILO:ユニセフ・ILO報告書 児童労働、世界で1億6,000万人 過去20年で初の増加、新型コロナ影響でさらに増加予測【2021年6月12日追加】児童労働反対世界デー 世界の児童労働者数1億6,000万人に、20年ぶりに増加【2021年6月12日追加】 子どもの予防接種率低下 2,300万人がワクチン接種できず 2019年から370万人増加【2021年7月16日追加】 3 critical actions to finance an inclusive recovery for children【2021年7月19日追加】 新型コロナウイルス 親を亡くした子どもへのケアに懸念 事務局長声明【2021年7月20日追加】 世界子供白書2021 子どもたちのメンタルヘルス 10代の若者7人に1人が心に病かかえ【2021年10月5日追加】The State of the World's Children 2021 - On My Mind Promoting, protecting and caring for children’s mental health.【2021年10月5日追加】 子どもの拘留 拘留されている子ども、26万1,000人 子どもたちに優しい司法制度の実現を【2021年11月16日追加】 ユニセフ創設75周年 新型コロナ禍は子どもへの最悪の脅威 子ども最優先の行動を呼びかけ【2021年12月9日追加】 ユニセフ/世界銀行:新型コロナウイルス 子どもがいる家庭に広がる収入減少 ユニセフ・世界銀行報告書【2022年3月10日追加】 ユニセフ・イノチェンティ研究所:Children and COVID-19 Research LibraryEthical Considerations for Evidence Generation Involving Children on the COVID-19 Pandemic【6月9日追加】 COVID-19 and children, in the North and in the South【6月9日追加】 A rapid review of economic policy and social protection responses to health and economic crises and their effects on children Lessons for the COVID-19 pandemic response(PDF)【6月2日追加】 Digital contact tracing and surveillance during COVID-19. General and child-specific ethical issues【6月9日追加】 Does COVID-19 Affect the Health of Children and Young People More Than We Thought?(PDF)【7月16日追加】COVID-19 may pose greater risk to children than originally thought【7月16日追加】 The Evolving Epidemiologic and Clinical Picture of SARS-CoV-2 and COVID-19 Disease in Children and Young People【7月20日追加】 Impacts of Pandemics and Epidemics on Child Protection Lessons learned from a rapid review in the context of COVID-19【7月17日追加】 5 Questions on the Impact of Pandemics and Epidemics on Child Protection Unpacking new research synthesizing available evidence【7月23日追加】 Addressing the Multiple Impacts of COVID-19 on Children Beyond Masks【11月20日追加】 先進国の子どもの貧困 今後5年間はコロナ前を上回るレベル ユニセフ新報告書【12月11日追加】 The power of play in the pandemic【2021年7月16日追加】 Mind Matters Lessons from past crises for child and adolescent mental health during COVID-19【2021年8月2日追加】 人道行動における子どもの保護のための連合(Alliance for Child Protection in Humanitarian Action)などTechnical Note Protection of Children during the Coronavirus Pandemic (v.1)(PDF)/日本語訳:ガイダンス・ノート:新型コロナウイルス下での子どもの保護(PDF) Technical Note COVID-19 and Children Deprived of their Liberty 【4月13日追加】 Guidance Note Protection of Children during Infectious Disease Outbreaks(PDF)【4月26日追加】 COVID-19 Protecting Children from Violence, Abuse and Neglect in the Home v.1(PDF)【5月5日追加】(日本語による概要) COVID-19パンデミック中の子どもの保護 子どもと代替養育 緊急対応の方法(PDF)(原文PDF)【5月31日追加/9月5日・日本語訳と差替え】SOS子どもの村インターナショナル:A Call to Action Protecting Children wihtout or at Risk of Losing Parental Care(PDF)【5月31日追加】 子どもに対する暴力関係子どもの売買・性的搾取に関する特別報告者/子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表ほか:UN experts call for urgent action to mitigate heightened risks of violence against children(日本語による概要)【4月8日追加】 子どもに対する暴力に関する国連機関間作業部会:Agenda for Action 8 United Nations entities launch roadmap to protect children from violence in response to COVID-19【4月28日追加】(日本語による概要) WHOAddressing violence against children, women and older people during the covid-19 pandemic Key actions【6月24日追加】 COVID-19 response measures and violence against children【9月1日追加】 子どもの売買・性的搾取に関する国連特別報告者COVID-19 Urgent need for child protection services to mitigate the risk of child sexual abuse and exploitation worldwide【5月6日追加】 Impact of coronavirus disease on different manifestations of sale and sexual exploitation of children【2021年3月29日追加】 COVID-19 pandemic has amplified the risks of vulnerable children to trafficking and sexual exploitation, Special Rapporteur on the sale of children tells Human Rights Council【2021年4月8日追加】 World Tourism Day - 27 September 2021 Protect children from exploitation as tourism resumes - UN expert【2021年9月25日追加】 UNODC(国連薬物犯罪事務所):COVID-19 UNODC warns of increased risks to human trafficking victims【5月7日追加】 Safe to Learn:Reopening Schools Safely Recommendations for building back better to end violence against children in and through schools(PDF)【6月17日追加】 Europol:Exploiting isolation Offenders and victims of online child sexual abuse during the COVID-19 pandemic【6月22日追加】 OECD:Preventing a child marriage pandemic【11月6日追加】 Joining Forces:Policy Brief Ending Violence Against Children and COVID-19【7月6日追加】 セーブ・ザ・チルドレン/プラン・インターナショナル:Because We Matter Addressing COVID-19 And Violence Against Girls in Asia-Pacific(PDF/日本語による概要)【8月6日追加】 ユニセフ:新型コロナウイルス 子どもへの暴力、防止や対応の中断 南アジアなど104カ国で【8月18日追加】Protecting children from violence in the time of COVID-19 Disruptions in prevention and response services【8月18日追加】 ユニセフ・イノチェンティ研究所:5 Questions on Research on Violence against Children during the COVID-19 Pandemi【10月15日追加】Research on violence against children during the COVID-19 pandemic【10月15日追加】 ユニセフ:UNICEF and Microsoft launch improved, scalable technology to protect vulnerable children and women amid rise in domestic and gender-based violence due to COVID-19【2021年1月21日】 ユニセフ/UNFPA:2月6日は女性性器切除(FGM)根絶の日 新型コロナによりFGM増加のおそれ UNFPAとの共同声明【2021年2月5日追加】 ユニセフ:3月8日は国際女性デー COVID-19による児童婚増、10年で1千万件 休校や貧困増大で加速【2021年3月8日追加】 EU上級代表/子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表:International Day against the Use of Child Soldiers Joint statement by EU High Representative Josep Borrell SRSG for Children Armed Conflict Virginia Gamba【2021年2月12日追加】 ニューサウスウェールズ大学:The impact of COVID-19 on the risk of online child sexual exploitation and the implications for child protection and policing【2021年5月29日追加】 Amiya Bhatia et. al:Violence against children during the COVID-19 pandemic【2021年10月21日追加】 女子に対する暴力の問題については、新型コロナウィルス感染症と人権 参考資料のジェンダーの項も参照。 教育関係ユネスコEducation From disruption to recovery【7月15日追加】 COVID-19 What you need to know about refugees' education【7月13日追加】 COVID-19 threatens to set aid to education back by six years, warns UNESCO【7月17日追加】 Education in a post-COVID world Nine ideas for public action【7月20日追加】(日本語による概要) COVID-19 and Higher Education The Path Forward After the Pandemic【8月17日追加】 As a new academic year begins, UNESCO warns that only one third of students will return to school【9月2日追加】 Act now reduce the impact of COVID-19 on the cost of achieving SDG 4【9月5日追加】 Why the world must urgently strengthen learning and protect finance for education【10月20日追加】 UNESCO and Education International call on governments to consider teachers and school personnel as a priority group in COVID-19 vaccination efforts【12月15日追加】ユニセフ:新型コロナ教育危機 教師のワクチン接種が学校を守る 5人に1人が学校に通えず【12月16日追加】 On International Day of Education, UNESCO promotes learning recovery for students affected by COVID-19【2021年1月27日追加】Message from Ms Audrey Azoulay, Director-General of UNESCO, on the occasion of the International Day of Education, 24 January 2021【2021年1月27日追加】 UNESCO calls for investment in quality physical education to support COVID-19 recovery【2021年2月7日追加】 100 million more children under the minimum reading proficiency level due to COVID-19 - UNESCO convenes world education ministers【2021年3月29日追加】Pandemic-related disruptions to schooling and impacts on learning proficiency indicators A focus on the early grades【2021年3月29日追加】 Pandemic-related disruptions to schooling and impacts on learning proficiency indicators a focus on the early grades【2021年6月18日追加】 ユニセフ/WHO/国際赤十字赤新月社連盟:学校におけるCOVID-19予防と制御のための重要なメッセージと行動(PDF)【4月26日追加】 INNE(緊急時の教育に関する機関間ネットワーク)Learning Must Go On COVID-19 Advocacy Brief【5月2日追加】 INEE Technical Note on Education During the COVID-19 Pandemic【5月5日追加】 Quality ECE fosters stronger links with families and communities while setting young children on the path to lifelong success.【6月12日追加】 Call for action to address the threat by the COVID-19 pandemic to the education of those left furthest behind【6月19日追加】 COVID-19 Gender and EiE - Key Points to Consider【6月26日追加】 COVID-19 and school closures What can countries learn from past emergencies?【6月29日追加】 Weighing up the risks School closure and reopening under COVID-19【7月16日追加】 INEE Technical Note on Measurement for Education during the COVID-19 Pandemic【11月20日追加】 New Report - Refugee education during COVID-19 Crisis and opportunity【2021年1月23日追加】 OECDOECD 2020年 新型コロナウイルス感染症パンデミックへの教育における対策をガイドするフレームワーク(仮訳)【6月14日追加】 コロナウイルス・パンデミックに教育が対応するためのチェックリスト【4月15日追加】 Early childhood education and care in the face of coronavirus【7月27日追加】 It takes a village How coronavirus can strengthen partnerships between parents and schools【7月28日追加】 The shadows of the coronavirus education crisis【9月11日追加】 Teacher collaboration in challenging learning environments【9月25日追加】 Advancing schooling beyond coronavirus - new insights from PISA【9月30日追加】 How regional collaboration can help improve education outcomes during coronavirus【10月16日追加】 学校閉鎖期間中のオンライン学習の拡充:新型コロナウイルス感染症危機時の生徒支援における家族と教員の役割【11月4日追加】 Learning about a pandemic - and for a more uncertain world【11月11日追加】 Lessons for education from PISA for Development during the coronavirus crisis【12月2日追加】 Education funding and COVID-19 what does the future hold?【12月3日追加】 Acting on lessons from COVID to bring about deeper change in education【12月16日追加】Lessons for Education from COVID-19 A Policy Maker's Handbook for More Resilient Systems【12月16日追加】 COVID has worsened student adversity and trauma - how can schools help?【12月21日追加】 The role of school heads and why they matter during the COVID pandemic【2021年2月10日追加】 Ten Principles for Effective and Equitable Educational Recovery from COVID【2021年9月8日追加】 A long road to recovery National education responses to COVID reveal key equity concerns【2021年7月14日追加】 What's Next? Lessons on Education Recovery Findings from a Survey of Ministries of Education amid the COVID-19 Pandemic【2021年9月7日追加】 ユネスコ/ユニセフほか学校の再開に向けた新ガイドライン発表 ユニセフ、ユネスコ、WFP、世銀共同で【5月1日追加】(日本語訳PDF) Building Back Equal Girls Back to School Guide【8月26日追加】(日本語による概要) Considerations for school-related public health measures in the context of COVID-19 Annex to Considerations in adjusting public health and social measures in the context of COVID-19【9月16日追加】 (WHO):More research needed into COVID-19 effects on children, says WHO head【9月18日追加】WHO Director-General's introductory remarks at the press briefing with UNESCO and UNICEF【9月18日追加】 (ユニセフ/EU):新型コロナウイルス 子どもの半数がいまだ学校に通えず 学校の再開優先を【9月24日追加】 World Teachers' Day Joint Statement fromAudrey Azoulay, Director-General of UNESCOGuy Ryder, Director-General, International Labour OrganizationHenrietta H. Fore, Executive Director, UNICEF David Edwards, General Secretary, Education Internationalon【10月6日追加】 新型コロナウイルス 学校再開や遠隔授業に格差 ユニセフなど報告書発表【10月29日追加】Children in the poorest countries have lost nearly four months of schooling since start of pandemic – UNESCO, UNICEF and World Bank report finds【10月29日追加】 What have we learnt? - Findings from a survey of ministries of education on national responses to COVID-19【10月29日追加】 (ユニセフ/WHO):All schools in Europe Central Asia should remain open and made safer from COVID-19, say WHO and UNICEF【2021年8月30日追加】(日本語による概要) Save Our Future Averting an Education Catastrophe for the World's Children【10月26日追加】(日本語による概要) ILO:ILO産業別概況:COVID-19と教育セクター【7月18日追加】 TTF(国際教職員タスクフォース)Response to the COVID-19 Outbreak Call for Action on Teachers(PDF)【10月5日追加】 Supporting teachers in back-to-school efforts - Guidance for policy-makers【6月23日追加】(日本語による概要) Supporting teachers in back-to-school efforts A toolkit for school leaders【6月23日追加】 ユニセフ/WFP(世界食糧計画):新型コロナウイルス 休校で給食を得られぬ子ども3億7,000万人 「学校は子どもたちの生命線」と警鐘【4月30日追加】新型コロナウイルス 休校で40%の給食を逃す 子どもたちに迫る栄養危機【2021年1月28日追加】 WFP:State of School Feeding Worldwide 2020【2021年2月25日追加】(UN News):COVID-19 imperils 'historic advances' in children's access to school meals UN report【2021年2月25日追加】 ユニセフ新型コロナウイルス 子どもたちを分断する教育危機 遠隔教育の環境に格差【6月5日追加】 Guidance on Distance Learning Modalities to Reach all children and Youth during School Closures【7月3日追加】 ユニセフ事務局長:It's time to reopen schools【6月21日追加】 Ensuring an inclusive return to school for children with disabilities UNICEF East Asia and Pacific Region COVID-19 technical guidance【7月6日追加】 新型コロナウイルスの影響 就学前教育を逃す子ども、4,000万人 ユニセフ調査レポート発表【7月22日追加】 ユニセフ/WHO:水と衛生 43%の学校で、石けんと水で手洗いできず ユニセフとWHO共同監査報告書発表【8月13日追加】 COVID-19 At least a third of the world's schoolchildren unable to access remote learning during school closures, new report says【8月28日追加】COVID-19 Are children able to continue learning during school closures?【8月28日追加】 ユニセフ/ITU:教育危機 自宅でネット使えない子ども、13億人 デジタル格差が引き起こす教育格差【12月2日追加】 新型コロナ教育危機 世界の休校、11月に再び急増 5人に1人が学校に通えず【12月8日追加】 教育危機 休校が子どもに及ぼす深刻な影響 事務局長声明【2021年1月12日追加】 教育危機 世界の休校 1年続く 1億6,800万人の子どもが学校に通えず【2021年3月3日追加】 世界の学校教育状況を追跡 ユニセフ、ジョンズ・ホプキンス大、世界銀行 新ツールを共同発表【2021年3月30日追加】 新型コロナウイルスと教育 現在も19カ国で学校閉鎖 早期再開訴え共同声明【2021年7月13日追加】 新型コロナウイルスと教育 3分の1の国が補習教育未実施 2020年、平均で授業日数の40%を喪失【2021年7月15日追加】 (UN News)COVID-19 Education replaced by shuttered schools, violence, teenage pregnancy【2021年7月28日追加】教育危機 学校閉鎖、いまも6億人に影響 アジアでも8,000万人が遠隔教育受けられず【2021年7月31日追加】 教育危機 1億4,000万人の初登校日が延期 対面授業を1年以上待つ子どもも【2021年8月25日追加】 教育危機 失われた18カ月の学び 今も一部で続く学校閉鎖に警鐘【2021年9月16日追加】 教育危機:1兆8,000億時間の学習損失を表す時計~国連総会期間中、ニューヨークに設置【2021年9月18日追加】 教育危機 2億人が遠隔学習の体制整わず 将来の学校閉鎖に備え、高まる必要性【2021年10月29日追加】 Situation Analysis - COVID-19 and Education Effects of and responses to COVID-19 on the education sector in Asia【2021年11月12日追加】 教育危機 生涯年収17兆米ドルを失う危険性 深刻な新型コロナによる学習損失【2021年12月10日追加】 (ユニセフ事務局長)Even as Omicron variant takes hold, school closures must be a measure of last resort【2021年12月18日追加】COVID-19 オミクロン株が猛威ふるうも学校閉鎖は最終手段であるべき【2021年12月20日追加】 (ユニセフ事務局長/世界銀行総裁)Reversing the Pandemic's Education Losses【2021年12月18日追加】 1月24日は教育の国際デー COVID-19による教育危機は悪化の一途 学習損失は取り戻せない程に【2022年1月24日追加】 新型コロナ禍の教育危機 子どもの学習崩壊を防ぐ対策を ワクチン接種を対面授業の参加条件にしないよう呼びかけ【2022年1月31日追加】 (ユニセフ・ユネスコ・世界銀行):Less than half of countries are implementing learning recovery strategies at scale to help children catch up【2022年3月31日追加】 COVID-19 教育危機 いまだ23カ国で学校閉鎖続く 教育が不平等化の最大要因に【2022年3月31日追加】 ユニセフ・イノチェンティ研究所Promising practices for equitable remote learning Emerging lessons from COVID-19 education responses in 127 countries【6月9日追加】 Parental Engagement in Children’s Learning Insights for remote learning response during COVID-19【6月9日追加】 Digital Connectivity during COVID-19 Access to vital information for every child【6月11日追加】 COVID-19 How are Countries Preparing to Mitigate the Learning Loss as They Reopen Schools? Trends and emerging good practices to support the most vulnerable children【8月12日追加】 COVID-19 How prepared are global education systems for future crises?【8月21日追加】 COVID-19 A reason to double down on investments in pre-primary education【9月17日追加】 COVID-19 Effects of school closures on foundational skills and promising practices for monitoring and mitigating learning loss【10月8日追加】 In-person Schooling and COVID-19 Transmission【12月11日追加】 Reopening with Resilience Lessons from Remote Learning during COVID-19【2021年9月21日追加】 教育に対する権利に関する国連特別報告者:Impact of the COVID-19 crisis on the right to education; concerns, challenges and opportunities(Word)【6月16日追加】(日本語による概要)Expert COVID-19 has caused an "education crisis"【7月10日追加】 国連事務総長"The future of education is here"【8月4日追加】 「教育とCOVID-19に関する政策概要」の発表に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ(ニューヨーク、2020年8月4日)【8月7日追加】Policy Brief Education during COVID-19 and beyond(PDF)【8月4日追加】(日本語による概要) Classroom crisis Avert a 'generational catastrophe', urges UN chief【10月23日追加】 教育の国際デー(1月24日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ【2022年1月24日追加】 国連人権高等弁務官:Leadership Dialogue Series of the Brookings Center for Universal Education and the World Bank Education during the COVID-19 pandemic Statement by Michelle Bachelet, UN High Commissioner for Human Rights, 21 September 2020【9月22日追加】 世界銀行Simulating the Potential Impacts of the COVID-19 School Closures on Schooling and Learning Outcomes A set of Global Estimates【6月26日追加】 Realizing the Future of Learning From Learning Poverty to Learning for Everyone, Everywhere【12月3日追加】 Urgent, Effective Action Required to Quell the Impact of COVID-19 on Education Worldwide【2021年2月1日追加】 We are losing a generation The devastating impacts of COVID-19【2022年2月4日追加】 Lancet:Generation coronavirus?【6月26日追加】 UNHCRUNHCR報告書:コロナ禍で難民の教育に深刻な脅威~世界の難民の子どもの半数が学校に通えず【9月3日追加】 COVID-19 Refugees Return to Schooling Guidelines【12月29日追加】 難民の中等教育、学校に行けない3分の2の子どもたちに平等なアクセスを【2021年9月7日追加】 大谷美紀子弁護士(国連・子どもの権利委員会委員):学校再開にあたり、日本の先生方へのメッセージ【5月27日追加】 ワールド・ビジョン:Policy Brief COVID-19 Disruptions to Education【7月6日追加】 セーブ・ザ・チルドレンSave Our Education【7月15日追加】Save Our Education Protect every child’s right to learn in the COVID-19 response and recovery【7月15日追加】(日本語による概要) The Hidden Impact of Covid-19 on Child Education(PDF)【12月3日追加】 最貧国の子どもたちに安全な復学を 生徒1人あたり370米ドルの投資が必要【2021年2月4日追加】 ヒューマン・ライツ・ウォッチImpact of Covid-19 on Children's Education in Africa【8月29日追加】 新型コロナパンデミックが教育に及ぼす深刻な影響【2021年5月17日追加】 A Generation of Children Impacted by Covid-19 School Closures【2022年3月10日追加】 UN News:The virus that shut down the world Education in crisis【12月29日追加】 WHO(世界保健機関)Health experts concerned about indirect effects of COVID-19 on women and youth【6月14日追加】 Breastfeeding and COVID-19 scientific brief, 23 June 2020【7月9日追加】 FAO(国連食糧農業機関)・ユニセフほかThe State of Food Security and Nutrition in the World 2020【7月17日追加】 Child malnutrition and COVID-19 the time to act is now(The Lancet)【7月29日追加】Impacts of COVID-19 on childhood malnutrition and nutrition-related mortality(PDF)【7月29日追加】 ユニセフ:新型コロナウイルス 消耗症の子ども、670万人増加のおそれ ユニセフなど国連4機関が新報告書【7月30日追加】 国連グローバル・コミュニケーション局:子どもたちと家族、COVID-19の最中にグローバルな視野を広げる【6月26日追加】 OECD新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が子供に与える影響に対処する【11月26日追加】 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが移民とその子どもたちに与える影響【2021年2月25日追加】 欧州評議会人権コミッショナー:Member states must give renewed impetus to children's rights【11月20日追加】 EU基本権庁:Pandemic underscores why child protection is critical for our future【11月20日追加】 ENOC(European Network of Ombudspersons for Children):ENOC Bureau Statement on Children's Rights in the context of the COVID-19 outbreak(PDF)【2021年2月7日追加】ENOC/ユニセフ:ENOC-UNICEF Report on Ombudspersons and Commissioners for Children's Challenges and Responses to COVID-19(PDF)【2021年2月7日追加】 ヒューマン・ライツ・ウォッチ新型コロナウイルス感染症で大打撃を受ける子どもたち【4月13日追加】 COVID-19 and Children's Rights【4月16日追加】 セーブ・ザ・チルドレン【新型コロナウイルス感染症】報告書『Protect A Generation』発表 パンデミックが子どもたちやその家族に及ぼす影響が明らかに【9月10日追加】 新型コロナウイルス感染症への対応-すべての子どもの社会的保護の権利の実現に向けて【9月24日追加】 新型コロナウイルス感染症 さらに50万人の少女が児童婚の恐れ-報告書『世界ガールフットレポート2020:新型コロナウイルス感染症が世界中の少女に及ぼす影響』発表【10月1日追加】 新型コロナウイルス感染症 経済的支援を受けられていない子どもは約6億人―報告書『子どもの貧困を終わらせるための基盤』を発表【10月15日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children A Global Research Series【12月3日追加】The Hidden Impact of Covid-19 on Child Poverty(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Child Protection and Wellbeing(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Child Rights(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children's Health and Nutrition(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Child Education(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Gender Equality(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children Research design and methods(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children Study sample numbers and characteristics(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children and Families with Disabilities(PDF)【12月3日追加】 新型コロナウイルス感染症の影響で今後2年間、毎日153人の子どもたちが栄養不良で亡くなる可能性 -報告書『栄養の危機』を発表【12月17日追加】Nutrition Critical Why we must act now to tackle child malnutrition【12月17日追加】 DCI (Defence for Children International)Child rights violations in the context of the quarantine to contain the COVID-19 outbreak【4月30日追加】 Spotlight on Covid-19 and children deprived of liberty(子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表)【12月22日追加】 IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会):危機的状況における遊び:子どものくらしに関わる人のガイド(IPA日本支部訳)【4月30日追加】 Centre for Sport and Human Rights:An Overview of the Sport-Related Impacts of the COVID-19 Pandemic on Children(PDF)【6月25日追加】 ノーベル賞受賞者等(Laureates and Leaders for Children)Joint Statement by Laureates Leaders for Children(PDF)【5月20日追加】 A Fair Share for Children Preventing the loss of a generation to COVID-19【9月13日追加】 ワールド・ビジョンCash and Voucher Programming during COVID-19【7月6日追加】 COVID-19 Risks to children's health and nutrition【7月6日追加】 Policy Brief COVID-19 Child Protection in Fragile and Humanitarian Contexts【7月6日追加】 ワールド・ビジョンほか:Policy Brief COVID-19 Conflict Sensitivity【7月6日追加】 コロナ禍で児童婚が2倍以上に増加、さらに400万人の少女に危機が迫っています ~国際NGOワールド・ビジョンが報告書を発表~【2021年5月21日追加】 EurochildほかTime to re-think our societies and economies - Why we need to prioritise early childhood【5月27日追加】 Call to action to protect vulnerable families and children in alternative care【5月29日追加】(日本語による概要) RAY (Research-based analysis of European youth programmes):The impact of the Corona pandemic on youth work in Europe【9月9日追加】 Terre des hommes:#CovidUnder19 Life Under Coronavirus - results of the survey【12月21日追加】(日本語による概要)子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表:SRSG Maalla M’jid highlights the importance of protecting children’s mental health and wellbeing during the recovery from the COVID-19 pandemic at launch of #CovidUnder19 initiative【12月29日追加】 International Journal of Children s RightsLaura Lundyほか:Life Under Coronavirus Children's Views on their Experiences of their Human Rights【2021年6月18日追加】 ※その他の参考資料は新型コロナウィルス感染症と人権参照。 更新履歴:ページ作成(2020年4月10日)。/~/第1文の「重大な身体的、情緒的および身体的影響」を「~および心理的影響」に修正し、日本語訳PDFも差し替え(5月29日)。/~/主な参考資料にユニセフの資料を追加(2021年12月9日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(12月10日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(12月18日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフと国連事務総長の資料を追加(2022年1月24日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(1月31日)。/主な参考資料(教育関係)に世界銀行の資料を追加(2月4日)。/主な参考資料にユニセフ(ユニセフ/世界銀行)の資料を、主な参考資料(教育関係)にヒューマン・ライツ・ウォッチの資料を追加(3月10日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(3月31日)。