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しかし、こんなときに限って、余計にえりかちゃんをへこませてしまうような出来事は続くみたいで・・・ 「はい、では次の質問です!」 ゲストとして参加している千聖に、一問一答の質問をするコーナー。その最終問題が、“愛理ちゃんとえりかちゃん、2人のうちで、お嫁さんになってほしいのは?”というものだった。 千聖は「えー?」なんて言いながら、私とえりかちゃんの顔を見比べている。そんな千聖にえりかちゃんは 「もう決まってるんでしょー?言っちゃいなよ!」と私の方を見ながらちょっと寂しそうにけしかけた。 「え?えー・・・?じゃあ、愛理。」 千聖も少し困惑した様子で、私を選んでくれた。嬉しい、けど・・・何か変な感じだ。 本当はえりかちゃんを選びたかったのかな?とまでは思わないけど・・・ 「ほら、やっぱり愛理だ。千聖は何でも愛理だもん。お嫁さんにしたいのも、ライバルも愛理だし」 えりかちゃんにそう言われて、千聖は困った顔で首をかしげた。 私にはわかる。えりかちゃんは混乱してるし、傷ついてもいる。少なくともお嬢様の千聖はえりかちゃんに恋愛感情まで抱きつつあったはずなのに、よりによって今は変態呼ばわり。 千聖も千聖で、ひどく戸惑っている。ふざけて抱きついたりべたべたするんじゃなくて、いつもとは全然違うえりかちゃんの振る舞いが、本当に怖かったんだと思う。 でも、私だってお嬢様の千聖とは2回ほど過ちをおかしかけた立場なわけで・・・あんまり偉そうに割ってはいるのは気が引けた。 しばらく後のハガキでも、「自分が男の子だったら、℃-uteの中で誰と付き合いたい?」という質問があった。 また少し、えりかちゃんが落ち込んだ顔をした。 「私、このままの性格だったら弱虫で泣き虫だ。一応身長あるけど。・・・千聖は?誰?」 「えー、そうだなあ」 「どうせ愛理でしょ?もう愛理って言っちゃいな。」 えりかちゃんは一応ニコニコしてるけど、何かやけになってる感じがする。 「でもでも、愛理は千聖の相手なんかしてくれなそう。」 「そんなことないよ。私、千聖がいいな。」 私はつないだままの手に力を入れた。 「何か、盛り上げてくれそうだし。」 「へー」 「そうかぁ」 どうやら私は自分で思っていたより、元気な千聖が戻ってきたことが嬉しかったらしい。にこにこ笑う無邪気な顔を見ていたら、つられて笑ってしまった。 その後えりかちゃんは“なっきぃ”(ひどいモノマネ付き!)、千聖は“舞美ちゃん”を選んで、その話題は終了した。 別に嘘をついたわけじゃないけど、私が千聖と答えれば、千聖は私の名前を出さないだろうという考えも少しはあった。 千聖は普段は長女だけれど、キュートでは甘えん坊なとこがあるから、舞ちゃんやイタズラ仲間の栞菜は選ばないで、お姉ちゃんとして慕ってる3人のうちの誰かを選ぶとは思っていた。 でも、舞美ちゃんというのは私的に意外な答えだった。なっきぃはえりかちゃんと被るし、当人のえりかちゃんでは自分が気まずいから?・・・・いや、千聖はそんな風に計算して答えるだろうか?舞美ちゃんと千聖だってじゅうぶん仲のいいコンビだ。 何だか疑り深くなっている自分が少し嫌になった。どっちの千聖の気持ちも、一番フラットな状態で受け止めてあげられる存在でいたいのに。私もまだまだ修行が足りないなあ・・・ 「はい、お疲れ様でしたー。」 「「「ありがとうございましたー!!」」」 2時間ぐらいかけて、2週分の収録が終わった。 「あー・・・食べたかったよぅ・・・・・」 大好きなスイーツをかけてのゲームも大失敗に終わったえりかちゃんは、さらに落ち込んで、机にバタッと伏せてしまった。 「えりかちゃん・・」 さすがにどうにかしたいと思ったのか、千聖はえりかちゃんの横に移動して、投げ出されたその手を軽く握った。 ―あ。 乳白色が指の先に向かって、ピンクに染まっていくグラデーション。先端に大粒のラメ。 2人の指をおそろいで飾っているシロップネイルは、お泊りの日、私が千聖にしてもらったのと一緒だった。 そっか、あれはえりかちゃんに習ってたんだ。 私はもう落としてしまっていたけど、お嬢様の千聖は、今日えりかちゃんと一緒の爪になれたらいいなと思って、塗りなおしてここに来たのかもしれない。 「千聖ぉ」 「へっ?あ、あれ?あれ?一緒だ??」 「キレイだねー。えりかちゃんとおそろいだねー。」 「うん・・・?え、でも何で」 私の目線を辿った千聖は、自分の指とえりかちゃんの指を見比べて、目をぱちくりさせた。 「・・・・・・千聖。」 私達の会話を遮るように、いきなり、えりかちゃんがガバッと顔を上げた。 千聖に握られていた手は、逆に千聖の手をがっしり掴んでいる。 「え、えりかちゃん・・・?」 「千聖、ご飯たべに行くよ。」 「ええ!?なんで、ちょっと待って今日はママのホイコーローが明日菜のチンジャオが」 「行くよ。ごめん、愛理お先!後でメールするね。」 「お疲れ様~・・・?」 火事場の舞美力。とでも言うのか、えりかちゃんは右手に千聖の荷物、左手に千聖の手を掴んだまま、ずるずる引きずるようにブースを出て行った。 「愛理ぃいぃ・・・」 千聖のフカ゛フカ゛声が遠くなっていく。私は頭にクエスチョンマークをいっぱい並べたまま、とりあえず帰る準備を始めた。 “行くよ”だって。もう決定事項じゃん。 千聖はびっくりしてたけど、私はちょっとぐらい強引なえりかちゃんの方が安心する。これで2人が、仲直りっていうか、普通に戻ってくれるといいんだけど・・・ お父さんが迎えに来てくれるというので、駅前の公園のベンチに座って、千聖にメールを打った。そんなに早く返事は来ないだろうけど、一応、どうなってるのか後で簡単にでも聞かせて欲しかったから。 ―結局、就寝時間になっても返事はこなかった。まあ、今の千聖は結構忘れっぽいし、後で手紙で何か教えてくれるかもしれない。そう思ったから、あんまりそのことは気にしなかった。 だけど、私はその時、もう少しよく考えておくべきだった。 “後でメールするね” そう自分から言っていたえりかちゃんからも、メールは来なかったその意味を。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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「いーちゃんに会いたい」 ◆T7dkcxUtJw 千刀『ツルギ』。 戦国時代、四季崎記紀によって作られた十二本の完成形変体刀が内の一本にして、完全なる同一を誇る、千本で一本の刀。 その千刀の内の三本を地に並べ――とがめは熟考していた。 「……三本が三本とも、寸分違わぬ出来。これらはまさしく千刀に相違ない」 そう語るとがめの顔には、明らかに困惑の色が混じっていた。 それも当然のこと、これら三本は先刻宗像形によって突き刺されたものだが――本来ならば、今、この場にあるはずがないものだ。 千刀は――去る弥生、出雲にて、他でもないとがめ自身が蒐集していたのだから。 入手した千刀は、一本残らず尾張城へと移送した。それらが失われたなどという報告は受けていない。 また、尾張城には否定姫がいる。 認めたくはないが、奴がいながら完成形変体刀が奪われるなどという失態は絶対に起こり得ないと、とがめは確信していた。 ならば、ここにある千刀はいったい何なのか。 「贋作、という線は薄いな……出雲では嫌と言うほど千刀を見続けたのだ。今でも形状ははっきりと覚えている。 それに、贋作だとすればこれらがこうも同一である説明がつかない。千刀を完成形変体刀たらしめる理由は、そこにこそあるのだから」 千刀に付着した自分の血液を拭き取りながら、とがめはいくつかの可能性に思いを巡らす。 まず、尾張幕府がこの殺し合いの首謀者である可能性。これならば千刀の存在に説明はつくが――幕府に利点がない、と即座に却下する。 仮に幕府がとがめの素性に感づいたとしても、自分を始末するためにこんな大掛かりな舞台を用意する必要性は皆無だろう。 ならば、尾張幕府をも凌ぐ力を有する何者かが首謀者である可能性ならばどうか。 力づくで尾張幕府が保有する完成形変体刀を奪えるような存在が、この殺し合いを催したのではないか。 「いや……たしかに全盛期と比べれば幕府の力は弱まってはいるが、だとしても未だ絶対的な力を保有しているはずだ。 幕府以上の力となれば、国内にはまずありえぬ。……それこそ、諸外国に目を向けるしかあるまい。 しかし、そのような動きがあれば軍所総監督の私の耳に入らぬはずが――」 と、まあしばらくの間そんな風に悩んでいたとがめだったが。 現状、これ以上悩んでみたところで答えは出ないだろうとしめくくり、地面の千刀を拾う。 二本は背負い袋に入れ、残った一本を左腰に帯びる。 実際にこの刀を振るうつもりはない――とがめは剣士ではないし、刀を使った戦闘の経験もない。 だから、この刀はあくまで今後の他の人間との交渉を優位に進めるための飾りでしかない。 刀を帯びていれば、相手も考えなしにとがめを襲うということはしないだろうし、ならばそこに交渉の余地が生まれるだろう。 それに、下手に扱って千刀を失いでもしたらことだ。 千刀は千本で一本の刀、それゆえに一本でも欠けてしまえば千刀はその価値を失う。 そして、それはすなわち、とがめたちの刀集めの旅の失敗を意味する。 こんなわけのわからない殺し合いで、刀集めを終わらせてなるもるわけにはいかない。 「おそらく残りの九百九十七本はあの男、宗像形が所有しているはず……いずれ回収する必要があるか。 わたしを刺したように、あちこちに千刀を撒き散らされると厄介だが……いや、撒き散らされる程度ならまだいい。 宗像形よ……頼むから、頼むから一本たりとも折ってくれるなよ……。 たしかに使い物にならなくなったら代用できるのが千刀の利点てはあるが、それをされてはわたしが困る」 新たに生まれた心配事に頭を抱えつつ、とがめは再び歩き始めた。 何処へ向かうというわけでもないが、ひとまず山を下りたい。山道は、どうにも苦手だ。 とにかくあちらこちらがでこぼこしていて、よく見て歩かなければ転びそうになる。 宗像の見よう見まねではあるが、支給品の懐中電灯の使い方を理解できたのは幸運だった。 これがなければ、月明かりすらろくに届かない鬱蒼とした森の中だ。何度無様にすっ転ぶはめになっていたかわからない。 文明の利器を片手に、とがめは慎重に山道を進んでいく。 「……む?」 視界に突如出現した、鮮やかなオレンジ。 奇策士が橙なる種と出会ったのは、それから間もなくのことだった。 ■ ■ 「俺様は、想影真心だ」 無防備にも、大木に背を預けて眠っていたその少女は――寝惚け眼を擦りながら、想影真心と名乗った。 話を聞けば、最初の場所で強制的に眠らせられてから、一度はここで目を覚ましたものの、その直後に二度寝を始めたらしい。 悪びれもせず「だって俺様、眠かったし」と、しれっと言い放つ真心に、とがめは心の中で呆れる。 言うまでもなく、今は殺し合いの真っ最中である。斯く言うとがめも、つい先ほど宗像に危うく殺されかけたところだ。 だと言うのに、目の前の少女は寝入っていた。とがめが起こさなければ、そのまま寝続けていただろうことは想像に難くない。 この状況下で、あまりにも危機感が欠如している。 とがめが呆れ返るのも、無理なきことだった。 「まったく……見つけたのが、わたしのような善良かつ清廉潔白な人間でなければ、どうなっていたことか」 「うーん。多分、どうにでもなったと思うけどな。俺様、人よりちょっと強いから」 「たわけ。このわたしよりも、さらにさらに細身なその体で、なにができると言うのだ」 真心の小柄な体躯を指差して、とがめは言う。 とがめも決して背が高い方ではないが、真心はそれに輪をかけて小さい。童女と言っても何ら差し支えないほどだ。 童女でありながら、人並み外れた怪力を有する凍空こなゆきを、そして凍空一族を知っていたものの―― なまじ彼女の力を知っていたがゆえに、あのような規格外な存在がそうそういるはずがないと、とがめは考えてしまう。 目の前の少女が“こなゆき以上に規格外な存在である”という可能性には――至らない。 「まあいいや。えーと……とがめ、だっけ?」 「うむ。尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所――軍所総監督、奇策士とがめだ」 「んー。じゃあ、とがめ。あんた、これからどうするんだ?」 「これから、か。とにかく、なんとしてでもこの忌々しい首輪を外して、ここから脱出したいところだ。 わたしにはやり残したことがある――こんな殺し合いで死ぬわけにはいかないのだ。……それに、待たせている者もいるのでな」 嘘ではない。 最初に“今の段階では”を付けていない以外は、概ねとがめの本心そのままだ。 少なくとも現時点では、それが最も生き残れる可能性が高いと、とがめは踏んでいる。 その答えに、そっか、と真心は呟く。 「俺様もとがめと同じだ。殺し合いとか、実験とか……そんなのはどうでもいいし、面倒臭い。 できるなら、とっととここから抜け出して――いーちゃんに会いたい」 「……それが、おぬしの理由か」 「ああ。俺様は、いーちゃんが好きだ。好きだから、いーちゃんの、いーちゃんたちのいる場所に早く帰りたい」 「では、真心――わたしに協力してはくれぬか」 真っ直ぐに、真心の橙色の瞳を見つめ。 とがめは、少なからず緊張を含んだ表情で、そう言う。 力のない者が、この場で生き延びるには徒党を組むしかない。 身の安全を確保するにしても、脱出のための情報を集めるにしても、協力者は必要不可欠だ。 「別にいいぞ」 とがめの申し出に、真心は二つ返事で応える。 そして続けて、 「どうせ一人でいても、何をすればいいか俺様には判断つかないしな。 それなら、とがめを手伝ってた方が、時間の使い方としては有意義だろうし」 と、屈託のない笑顔を浮かべながら言った。 「これからよろしくな」と、真心が微笑み。 「こちらこそよろしく頼む」と、とがめが頷いた。 こうして―― はからずも、奇策士は最強の手駒を手に入れた。 けれど、奇策士は気付かない。 橙なる種自身も――気付いていない。 橙なる種に仕掛けられた罠――時宮時刻によって施されていた“操想術による解放”、その瞬間が刻一刻と迫っていることに―― 彼女たちはまだ――気付いてはいなかった。 【1日目 深夜 E-8】 【とがめ@刀語】 [状態] 腹部に負傷(止血済み) [装備] 千刀・ツルギ [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) 千刀・ツルギ×2 [思考] 基本:どんな手段を使っても生き残る 1:想影真心と行動しつつ、利用できそうな人間と合流。身を守ってもらう。 2:ひとまずは脱出優先。殺し合いに乗るのは分が悪い [備考] ※千刀・?(ツルギ)についての情報を持つ以降から 【想影真心@戯言シリーズ】 [状態]軽い眠気 [装備] [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:いーちゃんのところに帰りたい。 1:とがめと協力して、脱出の術を探す [備考] ※ネコソギラジカル(中)、十月三十一日から 全てが0になる 時系列順 出陣だ 全てが0になる 投下順 出陣だ 「正義は必ず勝つんだぜ」 とがめ 混沌は始まり、困頓はお終い START 想影真心 混沌は始まり、困頓はお終い
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唯「すー、すー……」 お姉ちゃんは天使です。 いや人間なのはわかってますけど、天使のように美しいんです。 その顔を見るたびに、とても心が清らかになって、元気になる気がします。 起きている時のお姉ちゃんの顔は、そう思います。 だけど、毎朝起こしてあげる時。 お姉ちゃんの寝顔を見ている時は…… まるで悪魔にささやかれているような気持ちになるのです。 憂「……」 いま、私はお姉ちゃんの部屋にいます。 眠っているお姉ちゃんのそばに立って、じっとその寝顔を見おろしています。 すうすう穏やかな寝息を立てているお姉ちゃんは、きっといい夢を見ているのでしょう。 すこしだけ膨らんだ胸は、呼吸にあわせてゆっくりと上下しています。 毎朝見ている光景。 ふだんと違うのは、部屋にはほんの薄明かりしか射していないこと。 つまり、夜なのです。 お姉ちゃんに許しもうけていないのに、 こうして夜中に勝手に忍び込んで、お姉ちゃんの寝顔を見つめているということです。 唯「……ん」 お姉ちゃんがもぞっと動きます。 私は少しだけ気が引けましたが、そのまま動かずとどまります。 もっとお姉ちゃんの寝顔を見ていたかったから。 唯「あ……ふ」 お姉ちゃんの唇が、「あずにゃん」と動いた気がしました。 胸がぎゅうっとしめつけられます。 お姉ちゃんの寝顔はやはり悪魔だと思います。 わたしに悪いことばかりささやきかけてきます。 憂「……かわいいな」 静かに膝をつき、お姉ちゃんの顔にさらに近づきます。 お姉ちゃんの寝息が大きく聞こえます。 胸の高鳴りを抑えられません。 お姉ちゃんはお姉ちゃんだけど、姉妹だっていうのはわかってるけど、 それでも、もう引き返すことはできないように思います。 せめて今、お姉ちゃんが目を覚ましてくれれば…… そんな思いでお姉ちゃんの頬を撫でてみます。 唯「……♪」 憂「っ」 お姉ちゃんは、かわいい寝顔をさらに気持ちよさそうにゆるませただけでした。 憂「……ごめんね、お姉ちゃん」 呟いた唇が、お姉ちゃんのそれに向かっていきます。 憂「んむ……」 薄く開いた唇から漏れ出るような吐息を、私のくちびるで閉じ込めます。 ふわっとしたようなやわらかい感触。 お姉ちゃんはすこし唇をもごつかせた後、 むりやり私たちの唇同士の隙間から呼吸を続けます。 唯「んん、うぅ……」 お姉ちゃんが苦しげな声を上げているように思います。 ですが、お姉ちゃんとのキスが、 お姉ちゃんとキスしているという思いが、 その他一切の考えを遠くへ追いやってしまいます。 唯「ふぅ、ぶ……うぅーっ」 お姉ちゃんが、いちだんと大きく呻いたかと思うと、 ぐいっと右腕で私の顔を押しのけました。 憂「……」 唯「はーっ、はぁー……かはっ」 お姉ちゃんが咳き込みます。 あぁ、起きたろうなあ。 私はまだキスの感覚からぬけきれず、ぼんやりと座りこんだままです。 唯「……うい?」 お姉ちゃんがうっすら目を開けて、私を見ています。 憂「お姉ちゃん、起こしてごめんね」 唯「どうしたの……? なにかあったの?」 ねぼけた声で、お姉ちゃんが見当違いのことを聞いてきます。 お姉ちゃんが何よりの当事者だというのに。 唯「うい……何か言ってよ、ねぇ」 お姉ちゃんの表情が不安そうに歪んできます。 わたしは、できればその不安を払拭してあげたかったけれど、 どうにもうまく説明できそうにありません。 私は悪魔にささやかれた、それだけなのですから。 唯「うい……?」 お姉ちゃんの右腕を、シーツの上にぎゅっと押しつけました。 ふたたび、お姉ちゃんの唇に近づいていきます。 唯「へ? ……ん」 またキスをします。 お姉ちゃんの半分開いた唇が、むにりと私の唇を包みました。 唯「ん、うっ……」 お姉ちゃんは寝ぼけているのか、 私のキスに対して軽く唇を吸って、普通に受け入れてきています。 頭の奥がじいんと痺れてきます。 これが、悪魔の言っていた「幸せ」でしょうか。 唯「んんっ……ういぃ」 憂「はう……」 お姉ちゃんはちゅっちゅっとキスを繰り返します。 私もそれに応じるように、唇を突き出します。 ぶつけあうような、下手っぴのキス。 でもお姉ちゃんにキスされているという感じだけで、 幸福の絶頂に浸れるような気がします。 唯「はっ……うい、ういぃ」 お姉ちゃんは私の名前を呼びながら、両目から涙をぼろぼろ流しています。 どうして泣いているのかわかりませんが、 なぜかお姉ちゃんが悲しんでいるとは思いませんでした。 唯「すきだったよ。んっ、ずっと……」 憂「……ふぁ」 私の耳には、唇をむさぼられる音が響いています。 とぎれとぎれにお姉ちゃんの声が聞こえましたが、何を言っているのかはわかりません。 憂「おねえちゃん、んぅ……」 好きだと伝えたいのに、お姉ちゃんが間髪入れず唇を押しつけてくるので、 私はうまく言葉を紡げません。 むりやりキスをした時点で、お姉ちゃんにもそれはわかっていると思います。 あれ? でも、ということはお姉ちゃんも 私の気持ちが分かっていてキスしてくれているのでしょうか。 キスをしてくれるのは、お姉ちゃんも私のことが好きだから? 憂「……」 そのことに気付いた瞬間、ふと心にあたたかいものがあふれるように流れ込んできました。 憂「おねえちゃんっ」 お姉ちゃんの上に馬乗りになります。 顔を両手でがしっと固定して、ふかく口付けをします。 唯「はぁん……っ、ういっ」 にゅるりと、口の中に何かが押しこまれました。 それがお姉ちゃんの舌だと気付くのに、すこし時間がかかります。 そして、気付いてしまったとたん、私はおかしくなりました。 ほんとうはいつまでも楽しみたいこの感覚を記憶にとどめておく作業すらせず、 ただ触覚を鋭敏にして、舌の触れ合う感触に胸を踊らします。 唯「ん、ちゅ……ぷはぁ……んむ、ふちゅ」 お姉ちゃんの伸ばした舌を吸います。 憂「はっ、おねぇ……んふぃい」 伸ばした舌が、お姉ちゃんに吸われます。 わたしの口か、お姉ちゃんの口か分からない温かみの中で、 私たちの舌がぴちゃぴちゃ唾液をはじけさせながら絡み合います。 ――きもちいい。 唯「んあっ、もぐっ……じゅじゅずう……ん」 憂「ふうぅ……ふぶうぅ、ふぁああ!!」 ――きもちいいっ 手を置いたお姉ちゃんの頬から首筋が、 重ねたお姉ちゃんのくちびるが、 絡めるお姉ちゃんの舌が、熱い。 きっと私も、それ以上に熱くなっていると思います。 溢れ出る性欲は自覚していましたが、 とくべつ自分やお姉ちゃんの秘所に触れたいという気持ちはしませんでした。 憂「ふっ、う、うぅ……」 お姉ちゃんとキスしているだけで、それが満たされている気がします。 だんだん、体がぴくぴく奇妙な反応をかえしているのを感じます。 組み伏せたお姉ちゃんの身体も、軽く痙攣しているような感じです。 唯「はあぁ……あっ、うふぁあぁ……」 喉まで舌で舐め合うような、淫蕩的なキスに酔いしれます。 溶けあって、私たちはひとつになっているような感覚がしてきます。 唯「んんっ……むううぅぅ!!」 お姉ちゃんが大きな声を上げて、体をびくびく震わせます。 舌をちゅううっと強く吸ってあげます。 お姉ちゃんの舌にからみついた私たちの唾液が、口の中に流れ込んできます。 憂「はあ、お姉ちゃん……んむうぅ」 唯「んっ、ふく……ううー!」 ぐいぐい身をよじって、お姉ちゃんはなにかをこらえているみたいでした。 さらに強く舌を吸ってあげます。 お姉ちゃんはこれがけっこう好きみたいで、今度は小刻みに震えはじめます。 吸い上げた舌をくちびるで挟んで、 ふわりとやわらかい舌裏をぺろぺろと舐めてみます。 唯「っ、うぶっ、……きひゅうっっ!!」 びくんっ、とお姉ちゃんが私の下で大きく跳ねました。 唯「ふううぅー、くんんうぅー!!」 暴れるお姉ちゃんの身体をおさえつけて、舌裏を舐め続けます。 お姉ちゃんが感じているのが、上にいる私にダイレクトに伝わってきて、 頭の中がすさまじい充足に包まれていくのを感じます。 お姉ちゃんの痙攣がひとまずおさまっても、ずっとお姉ちゃんの舌を舐め続けます。 それだけでお姉ちゃんは、またびくびく体をふるわせます。唇の間からかわいい声をもらします。 鼻に激しい呼吸をゆだねて、お姉ちゃんの舌を口の中で舐め上げ続けました。 お姉ちゃんが反応するのが、楽しくてうれしくて、 もしかしたらお姉ちゃんよりもきもちよくなっていたかもしれません。 ―――― 永遠のようにも思われた夜は、いつの間にか明けていました。 私はお姉ちゃんの隣で眠っていたみたいです。 憂「……?」 どうしてお姉ちゃんの部屋にいるのでしょうか。 昨日は確か―― 憂「あれ? えっと……」 記憶が飛んでいるかのように、昨晩のことが思い出せません。 経験はありませんが、お酒に酔ってそのまま寝てしまったような感じでしょうか。 私は、となりのお姉ちゃんに目をやります。 お姉ちゃんならなにか知っているかも、とそんな気持ちでした。 そして私は、悪魔の寝顔を目にしてしまいました。 唯「うーい……すや」 なんでしょう。 なにか奇妙に、口寂しい感じです。 憂「……」 やさしい寝息をたてているお姉ちゃんの口元に目がいきます。 私はお姉ちゃんの頬に手を置いて、私のほうに顔を向けさせると、 体をずりっと動かして、お姉ちゃんに近づきました。 憂「……ごめんね、お姉ちゃん」 その口の動き方に、デジャビュを感じます。 ……いまは、そんなことはどうでもよかった。 私は、眠っているお姉ちゃんの乾いた唇に、またそっと口づけるのでした。 おしまい 戻る
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唯「昨日いなくなったりしないって言ってたのに…」 唯「ういぃー!」 唯「……」グスッ 唯「うっ……ううっ」 唯「…あっ」 唯(きっとおかし買いに出かけたんだ…) ガチャ 唯「この近くだときっとあそこのお店だよね…」 唯(ほんとは勉強しなくちゃいけないんだけど…ちょっとくらいいいよね?) 唯(憂見つけたら手つないで帰ろう…) …… 唯「あ、お店見えてきた…」 キキーーッツ ドンッ!!! キャーッ ウワーオンナノコガ キュウキュウシャヨベー! 唯「事故…?」 唯(女の子って…まさか…) 唯「はぁはぁ」タッタッ 唯(でも…そんなこと…あるわけないよ) 唯「はぁはぁ」タッタッタッ 唯(あるわけないよね…) 唯「!うい…?」 唯「うそ…」 唯「やだ…やだよ…」 唯「ういいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!」 ……… 唯「あのっ憂っ!憂はっ!!」 医「妹さんは外傷などは殆どなく出血もそれほど多くはありませんでした」 唯「じゃあ…」 医「しかし…事故の際強く頭を打ったらしく意識が戻りません…」 医「とりあえずは様子をみることになりますが…意識が戻るかは保証できません」 唯「そんな…」 医「もう少しすればご両親も来られるそうですから、詳しい話はまたその時に」 唯(憂…) ……… 憂「……」 唯「憂…」 唯(こうしてると寝てるだけにしか見えないのに…) 唯「…うい…すぐ起きるよね…」 唯「お姉ちゃん、おはよ、って…言って…くれ、るよね…?」グスッ 唯「ういっ…ういぃ…」 唯「やだよぉ…ういと話したいよぉ…」 唯「ういぃい、うわああぁあぁ」 …… 唯「ぐすっ…ぐす…」 唯「うい…もう、目、覚まさないのかな…」 唯「昨日見た夢って…このことだったのかな…?」 唯「ねぇ…ういぃ…こたえてよぉ…」 唯「起きてよぉ……」 唯「……わたしにできること…ないのかなぁ…」 唯「……」 唯「……お話なら、キスで目を覚ますよね…」 唯「……」 唯「…うい…おきて…」 チュ 唯「……」 憂「……」 唯「はは…だめかぁ…王子様じゃないもんね…」 唯「ごめんね…うい…」 唯「だめなお姉ちゃんで…」 唯「ういのために何もしてあげられないよ…」 唯「ごめんね…」 唯「ごめん、ね…」 …… 唯「憂ー?どこー?」 唯(あれ…これ…) 憂「ここだよ、お姉ちゃん」 唯「あっ、憂ー」 唯(昨日見た夢だ…) 憂「……」スー 唯「えっ、待ってよういー!」 唯(待ってうい…) 唯「おいてっちゃやだよー」 唯(やだよぉ…) 唯「ういぃー!」 唯(うい…) 唯(追いかけなくちゃ…) 唯「ういぃいい!」 唯(追いかけなくちゃ…!) 唯「待ってえええ」 唯(憂を行かせちゃだめだ!) 唯(憂の手を掴まなくちゃ!!) 唯「ういいいいいぃぃぃぃぃ!!!」 唯(掴んだ!!) 唯「!」 唯「あ…」 唯「寝ちゃってたんだ…」 唯(そうだ…夢を見てて…) 唯(どんな夢だったっけ…?) 唯(そうだ…憂を追いかけて…それで…) 唯(手を…掴んで…) 唯「あ…憂の手…そっか、いつの間にか握ってたんだ」 唯「あったかい…」ギュ ギュ 唯「!憂っ」 憂「……ぁ」 唯「憂っういっ」 憂「…ちゃ、ぉ……」 唯「ういっ…なにっ…なに?」 憂「ぉね…ちゃ…どこ…?…ど…にぃる、の…」 唯「ここだよういぃ、ここにいるよっ!」 憂「…あ」 唯「うい…?」 憂「……」 憂「…おねえちゃん…?」 唯「…うい…ういいいいぃぃぃぃぃ!」ギュー 憂「あ…痛っ」 唯「あっ…」 唯「ごめん…ごめんね…ういぃ…ごめんね…」 憂「…おねえちゃん…気にしないで…ちょっと、痛かっただけだから…」 唯「ううん…ちがうの…わたし…」 唯「お姉ちゃん、なのに…なにも…できな、くてぇ…」グスッ 憂「おねえちゃん…」 憂「おねえちゃん…わたし…夢をみてたの…」 唯「…?」 憂「すごく暗いところにいて…おねえちゃんが、わたしを呼んでるだけど…」 憂「わたしはここだよって言って、おねえちゃんのところに行こうとするんだけど…」 憂「すごくつよいちからで引っぱられて…どんどんおねえちゃんから離れていくの…」 唯「それって…」 憂「わたし…すごくこわいんだけど…なにもできなくて」 憂「そしたらね…おねえちゃんが、わたしのこと追いかけてきてくれて…」 唯「憂の手を…掴んだ…?」 憂「え…?」 憂「おねえちゃん…どうして?」 唯「たぶん…わたしも同じ夢見たよ…」 唯「憂が遠くにいっちゃって…憂がいなくなっちゃう!って思って」 唯「必死に追いかけて…」 憂「わたしの手を…掴んだ…」 唯「うん…」 憂「ふふ…やっぱりおねえちゃんがたすけてくれたんだ…」 唯「…でも…夢、だよ…?」 憂「夢でも…2人で同じ夢見たんだから…きっと特別な夢だったんだよ」 憂「わたしは、おねえちゃんがたすけてくれたって…思うな」 憂「だから…おねえちゃんがなにもできなかったなんて…」 憂「わたしは思わないよ…?」 唯「うい…」 憂「おねえちゃんの手…すごく暖かかった…」 憂「ありがとう…おねえちゃん…」 唯「ういっ…ういいぃ、ういいぃいぃ」ギュー 憂「おねえちゃん…痛いよぉ」 ……… 澪「それでここ最近休んでたのか…」 梓「それでっ憂は大丈夫なんですか!!?」 唯「う、うん、検査があってまだ入院してるけど…もう何日かすれば退院できるって」 紬「よかったぁ…」 律「しかし私たちくらいには連絡してくれても良かったんじゃないか~」 唯「う…ご、ごめん、忘れちゃってた…」 律「しかも、こっちから連絡しても全然返事来ないしさ」 唯「え…?あっ!!携帯の電源切りっぱなしだった…」 律「はぁ…」 和「唯らしいといえばらしいけど…」 梓「まぁ憂が無事なら…いいですけど」 律「じゃあ今日はみんなで憂ちゃんのお見舞いだな」 紬「おいしいケーキ持っていかないとね」 澪「今日行っても大丈夫なのか?」 唯「うん!きっと憂も喜ぶよ~」 律「しかし澪は病院大丈夫なのか~?」ニヤ 澪「な。なんでだよ?」 律「病院といえば~…夜な夜な血まみれの看護婦がひたひた…ひたひた~っと…」 澪「きこえないきこえないきこえない…」 ……… 唯「……」 憂「……」 唯「みんな帰っちゃうと急に静かになっちゃうね…」 憂「うん…」 唯「えへへっ…」グスッ 憂「お姉ちゃん?どうしたの?」 唯「ううん・・・ただね」 唯「…みんなが居て、憂が居て…すごく幸せだな~って」 憂「…うん」 唯「うい…」ギュ 憂「お姉ちゃん…?」 唯「これからもずぅ~っと、ずぅ~~っと一緒だよ」 唯「憂が嫌がっても離れないから…」 憂「お姉ちゃん…」 憂「わたしが嫌がるなんてありえないよ…」 憂「だって…私、お姉ちゃんのこと大好きだもん」ギュ 唯「憂…わたしも、大好き…」ギュー 皆さんこんにちは、平沢憂です あの後お姉ちゃんと私は補修の人達と一緒にテストを受けました お姉ちゃんは軽音部の皆さん(特に澪さん)にずいぶん助けられていたみたいです それと、事故の後からお姉ちゃんは私ともっと一緒にいてくれるようになりました でもなし崩しにお風呂も一緒に入るようになってしまったのは、嬉しいけど…ちょっと恥ずかしいです 唯「うい~あいす~」 憂「もぉ、ごはん食べてから」 他にもいろいろあるけど、とにかく私今すごく幸せです おわり 戻る
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「ほら! ほら! 聞こえるだろ!」 ジーーーーー ウッキウキに声を弾ませた澪ちゃんが、つまみをひねりながら言いました。 ジー、というラジカセの雑音が響く部室内は、窓から降り注ぐ光でオレンジ色に染まっています。 「わたし…ちょっとお手洗いに…」 あずにゃん、5分前におトイレから戻ってきたとこじゃん。 「あ、お、お茶のおかわり淹れてくるねっ」 ムギちゃん、まだなみなみと入ってるよ? ミルクティー。 ただ一人、りっちゃんだけが、なに食わぬ顔で悠然とマドレーヌを頬張っていました。もぐもぐ。 えらいです。さすがは部長です。 やっぱりね。こういうときはりっちゃんの出番ですよね。 頼むよ、りっちゃん隊員! ところがりっちゃんは、ひとつマドレーヌを食べ終えるとふたつ目に手を伸ばし、 さらに三つ四つと次から次へマドレーヌをパクつくばかり。なにも行動を起こそうとしません。 そのあいだ、澪ちゃんは宇宙がどうの、地球がどうの、緑がどうの、イルカがどうの、……etc 目をキラッキラに輝かせながらしゃべり続けていました。 あんまりちゃんと聞いてなかったので詳しくはわかんなかったんだけど。 さっさとなんとかしてよっ! りっちゃん隊員!! すると、わたしの心の声が聞こえたのか、 りっちゃんはわたしに向けて、片目を閉じたり開いたり、合図を送ってきました。 「ああ、スルーしとけ、ってこと?」 「バカ! 口に出していうな!」 「オイ! ちゃんと聞かなきゃダメだろ! 集中しろっ!」 …なんで怒られなきゃいけないんでしょうか。意味不明です。 澪ちゃんの目つきは血走っていました。マジです。マジもんです。 「あ! 忘れてた! そ、そういや今日部長会議だったわ~、じゃ!」 りっちゃんは唐突に立ち上がり、シュパッと飛ぶように駆けて行きました。 期待ハズレの腰抜け隊員め。 ところで。 あずにゃんはお腹の調子が悪いのでしょうか。 ムギちゃんは一体どんなお茶を淹れているのでしょうか。 二人ともちっとも戻ってきません。 ギャラリーが減ったからなのか、澪ちゃんは先ほどまでの大演説をやめ、雑音を聞き入るように目をつむっていました。 意味のわからない演説を聞かされるのも苦痛ですが、静かになったぶん余計にラジカセの雑音が耳ざわりです。 しばらく観察していると、二つの瞳からしずくが流れ始めました。 澪ちゃんはすっかり自分の世界に入り込んでしまっている様子です。 わたしは澪ちゃんのお皿に残ったマドレーヌを手に取りました。 澪ちゃんは全く気づく素振りを見せません。 マドレーヌを口に含み、ゆっくりゆっくりとその甘みを噛み締めながら、 なんでこんなことになってしまったのか、ぼんやり考えてみましたが、わたしにわかるはずもありません。 部室には雑音が流れ続けています。 わたしは両耳を塞ぎ、目を閉じました。 こうすれば今、わたしに感じられるのは口の中に広がるマドレーヌの甘さだけ。 ん~、マドレーヌおいし♪ 現実逃避バンザイ。 ★★ 「ハァ…」 「どうしたの? お姉ちゃん」 「どうしたもこうしたもなくてねぇ…」 「もしかして澪さんのこと?」 我が妹はどうしてこうも察しがいいのでしょう。 お風呂上がりの憂がバスタオルで頭を拭きながら、わたしに向けて微笑みました。 「結構評判になってるよ。二年生の間でも」 澪ちゃんの宇宙の声講座は軽音部やクラス内に収まらず、学年を超えて広がりを見せています。 ある日、宇宙の声が聞こえた、と言いだしてからというもの、 澪ちゃんはいつでもどこでもあの古めかしいラジカセを持ち歩くようになりました。 しかもドヤ顔で。 黒人さんでもないのにヘッドホンを首にかけ、ラジカセを担いでうろうろしているのです。 いいえ、黒人さんでもこんなことしないでしょう。 今の時代、世界のどこを探せば澪ちゃんみたいな人は見つかるのでしょうか。 世紀末からタイムスリップしてきたラッパーでしょうか。 どうやら放課後ティータイムには、いつのまにかベーシストの代わりにラッパーが加入していたようです。 休み時間はみんなと会話もせず、ラジカセにヘッドホンをつないで宇宙の声を聞き、 お昼休みはお弁当を食べ終えるとすぐに屋上へ行き(宇宙の声が入りやすいらしいです)、 放課後は教室や部室で布教活動。 それが澪ちゃんの日課です。 澪ちゃんの奇妙奇天烈摩訶不思議な行動はすぐさま学年中、学校中に広がりました。 そりゃそうです。ファンクラブもある人気者、桜高のアイドル秋山澪ちゃん。 いつでもどこでもファンは彼女の行動に注目しているのです。 今では週に三度、ファンクラブ会員を集めての“宇宙の声を聞く会”が催されています。 『ファンクラブの子達が希望してるし…他ならぬ澪もみんなに聞かせたいって言ってるから…』 ファンクラブ会長である和ちゃんは、真っ赤なメガネを左手の人差し指でクイッと押し上げながら言いました。 困ってるときの和ちゃんはこうしていつも左手の人差し指でクイッとメガネを押し上げる癖があります。 クイッと。右手ではなくて左手です。 幼馴染みのわたしにはわかるんです。 嘘です。 双方の要望が一致している以上、会長としての務めを果たさないわけにはいかないというわけで。 実に立派な会長です。さすがわたしの自慢の幼馴染み。 前ファンクラブ会長の曽我部先輩も草葉の陰で喜んでいることでしょう。 けれどもそのおかげで、もともと少なかった練習の時間が、いままで以上に少なくなりました。 そりゃそうです。 口を開けば練習練習、三四がなくて五に練習。 練習、という言葉以外の日本語を忘れてしまったんじゃないかというくらい練習練習言ってた澪ちゃんがいないのです。 同じく練習練習言ってる練習にゃんも大きな味方を失って、前ほど練習練習言わなくなりました。 それ以前にメンバーが揃っていなければ練習できないんですけど。 ガミガミうるさいことを言われずにお茶やお菓子を飲み食いできるのはありがたいですが、 五人みんな揃っていなければ楽しさもおいしさも半減です。はっきり言うとつまんないのです。 ライブや学祭、今後の軽音部の活動にも支障が出ちゃいますし(すでに出てるけど)、なにより澪ちゃんの将来が心配です。 最近では深夜遅くまで宇宙の声を聞いているらしく、なんと授業中に居眠りしていることすらあるのです。 あの澪ちゃんがです。 真面目とおっぱいと勉強熱心が服着て歩いてる澪ちゃんがです。 りっちゃんやわたしが居眠りしていると情け容赦なくばしばし頭を叩く古典の堀込先生も、 澪ちゃんの頭を叩くわけにもいかず、眉をしかめながらゴホンゴホンとあざとい咳払いを数十回繰り返していました。 (それでも澪ちゃんは起きませんでした。夢の中でも宇宙と交信していたのでしょうか) 「実はわたしも昨日行ってきたんだよね、例の集会」 「え…憂、それホント?」 妹が洗脳されておかしな宗教にハマりでもしたら、留守がちな両親に代わり平沢家を預かる姉として申し訳が立ちません。 「うん。純ちゃんが行きたいって言うから梓ちゃんも誘って三人で」 ホッ。純ちゃんとあずにゃんがいっしょならまだ安心です。 「純ちゃんもあずにゃんも災難だねぇ…」 「でも…ほかのみんなは結構満足そうだったよ」 憂はほのぼのと微笑みました。 …そうかもしれません。 もともとほとんど開かれることのなかったファンクラブの会合が、定期的に開かれるようになったのですから。 澪ちゃんファンの人たちとしては、理由はなんであれ、とにかく澪ちゃんと少しでも接点が持てることがうれしいのです。 澪ちゃん自身も、ファンクラブが存在するおかげでこうして数多くのひとに宇宙の声を聞かせられるわけですから、ハッピーでしょう。 つまりウィンウィン、ってやつです。 でもみんな、聞こえてるのかな。宇宙の声。 みんながちゃんと聞こえていて、澪ちゃんと同じように宇宙の声に感動しているんなら、なにも問題はありません。 けれど。もし。 「憂はさ、聞こえた?」 バスタオルをとるとふわっとシャンプーの香りが漂います。 わたしと同じ香りをまといながら、憂はちょっとだけ口角を上げました。 額に張り付いた半乾きの髪はわたしよりちょっぴり色素が薄くて、 お風呂上がりで赤く上気したほっぺはぷくぷくとやわらかそう。 そんなことをぼんやり考えていると、憂が両手を伸ばし、わたしのほっぺに触れました。 「お姉ちゃんのほっぺ、相変わらずやわらかいね」 「うい…ちょっと、」 「世界でいちばんやわらかいんじゃないかなー」 わたしは知っています。わたしより、憂のほうが百万倍やわらかいんです。 こんなにやわらかいものは、憂のほっぺ以上にふにふにやわらかいものは、この世に存在しない、ってくらい。 思わず憂のほっぺに触れようと左手が伸びていたことに気がつき慌てて引っ込めると、もう一度憂に尋ねました。 「…で、憂は聞こえた?」 「お姉ちゃんは? 他のみなさんは聞こえたの?」 憂は答えず、反対にわたしに問い返してきました。 わたしは憂にほっぺを触れられたまま、黙って首を横に振りました。 「それを澪さんにちゃんと伝えた?」 わたしはもう一度、首を横に振りました。 「戻ってきてほしいなら、ちゃんと言ったほうがいいんじゃないかな。澪さんに」 「…澪ちゃん、すっごく一生懸命だから」 りっちゃんやムギちゃん、あずにゃん、わたし。 軽音部のみんなはたぶん全員聞こえてないと思います。 では軽音部以外の誰かで、澪ちゃん以外に宇宙の声が聞こえている人はいるんでしょうか。 まわりのみんな、誰にも聞こえてなくて、自分しか聞こえてなくて、誰も澪ちゃんのことを信じてないとしたら。 誰にもわかってもらえないとしたら。 どうしたらいいんでしょう。 わたしが考えごとをしてるうちに、いつの間にか憂の顔がすぐ間近に迫っていました。 じっとわたしの瞳を見つめる憂から目を逸らし、両手で憂の手を掴んでわたしのほっぺから離すと、右手の人差し指で憂の唇を押さえて言いました。 「ダメだよ。そういうのもうしない、って約束したでしょ」 そうしてポンと憂の肩を叩いて距離をとると、まだ半乾きで湿ったままの憂の髪を撫でて、 「髪、乾かしておいで」 そう言って立ち上がり、リビングを出て部屋に戻りました。 ★★ 「おっす」 ある日の放課後、澪ちゃんが部室にひょっこり顔を出しました。 ああ、今日は集会のない日だったっけ。 もはや澪ちゃんの放課後のメイン活動は軽音部ではなく、宇宙集会になっていました。 「ムギ、わたし今日はレモンティー飲みたいな」 「その言い方はないんじゃないか」 食いついたのはりっちゃんでした。 「は? どうしたんだよ、急に」 「あのな。ほとんど顔出さないくせにその言い方はなんだ、って言ってんの」 「律だってお茶、飲んでるだろ」 「そういうことじゃねーよ。ムギがどんな気持ちでお茶とお菓子準備してたか考えたことあるのか、って意味だよ」 集会の日であろうとなかろうと、ムギちゃんはいつだって澪ちゃんの分のお茶とお菓子を用意していました。 気まずい空気が立ち込めています。 いつか起こるんじゃないかと思っていたことが、ついに今日やってきました。 この機会にちゃんと話し合いをするべきです。 けれどそうわかっていても、なにを言うべきかどうやって伝えるべきか、いざとなるとちっともわからなくなってしまい、 わたしはりっちゃんと澪ちゃんを代わる代わる眺めるばかりでした。 「と、とりあえずお茶にしましょうよ…ほら! 今日は澪先輩の大好きなガトーショコラですよ!」 ここのところずっと、ガトーショコラの登場率は以前に増して高くなっていました。わたしでも気がつくくらいですから相当です。 きっと澪ちゃんを喜ばせたいというムギちゃんの想いに違いありません。 「………」 「………」 本当ならとっても美味しいはずのガトーショコラ。それがやたらと苦く感じたのは、きっと気のせいじゃないと思います。 ちょっと前まであんなにわいわいと賑やかだったお茶会は、終始無言でカチャカチャと陶器の音が響くだけの気まずい時間に変わってしまいました。 こんなときこそさわちゃん先生が乱入してきてくれると助かるのですが、 そんなときに限ってさわちゃん先生はやってこないのです。 まったく。役に立たないなぁ。 知ってたけど。 仕方ありません。 「よ~し、みんな! れんしゅう…しようっ……!!」 唐突に立ち上がり、思い切って言ってみました。 澪ちゃんの大好きな“れんしゅう”という言葉を使うことで気を引こうとしたわけです。 まさに切り札。例えればジョーカー、これぞ伝家の宝刀です。 「その前に聞いておきたいことがあるんだけど」 みんながさぁ練習するぞと立ち上がる中、最後まで座ったままの澪ちゃんが力強い声で言いました。 「大きい声出すなよ、びっくりするだろ」 「…大事なことなんだ」 今度は打って変わって弱々しい声。澪ちゃんはまだ座ったまま、少し顔を伏せていました。 「みんな、あのさ…」 澪ちゃんはさらに小さく頼りない声でしゃべりだしましたが、すぐに黙ってしまいました。 傍目に見てりっちゃんがすごくイライラしているのがわかります。 澪ちゃんがこうやって時々暴走してしまいがちなのを一番わかっているのがりっちゃんです。 澪ちゃんの側に一番長くいるのがりっちゃんです。 澪ちゃんのことを一番わかっているのりっちゃんです。 そのはずです。 イライラしていても、澪ちゃんがしゃべりだすまで待っていてあげるのが、きっとりっちゃんのやさしさなんだと、 わたしはそう思います。 「…みんなはさ。聞こえてる?」 ここでごまかしちゃいけない。 わたしは思いました。 きっとみんなもそう思ったんだと思います。 でもみんな、なにも言えませんでした。 ここで本当のことを言えば、澪ちゃんが傷つくってわかっていたから。 けれど曖昧にごまかしてこの場をしのいでも、なんの解決にもならないってこともわかっています。 誰もなにも答えないまま沈黙が続き、しびれを切らした澪ちゃんは椅子から立ち上がるとソファーのところに置いてある愛用のラジカセを手に取り、スイッチを入れました。 相変わらず、ジー、という音だけが響くだけでした。 「…なぁ、聞こえるか? 聞こえるよな? な?」 そうやって縋るような表情でわたし達に訊ねる澪ちゃんには、 初めの頃のちょっと調子に乗りすぎた色は全くありませんでした。 「ごめん」 りっちゃんが小さな声で呟きました。 さっきまでの怒気を孕んだ口調とは全く違っていました。 「…」 澪ちゃんはりっちゃんに答えることなく、ラジカセのつまみをいじっています。 ジー、という雑音がさらに大きくなりました。 「ごめん」 さっきよりも大きく、はっきりした声でりっちゃんが言います。 それでも澪ちゃんはわたし達のほうを見ることなく、一心不乱にラジカセを見つめてつまみをいじっています。 「澪ちゃん」 ムギちゃんが呼びかけました。 澪ちゃんは振り向きません。 「澪先輩」 あずにゃんが声をかけました。 澪ちゃんはラジカセを見つめてブツブツ呟いています。 「澪ちゃん」 わたしが呼んでも、澪ちゃんには聞こえていないようでした。 「みお!!」 りっちゃんが大声で叫びました。 今まで聞いたこともないような大声が部屋中に反響して、思わずビクッと身体が跳ねました。 それは澪ちゃんも同じだったみたいで、ようやくラジカセから視線を外し、おずおずとこちらを向きました。 りっちゃんは、大声とは反対にちっとも怒っているようには見えず、 潤んだ瞳で澪ちゃんをじっと見つめていました。 「…みお。ごめんな。悪いけどわたしは何にも聞こえない。たぶんみんなも一緒だ。 だからもうやめようぜ。みんな心配してるんだ。もういいだろ? 戻ってこいよ。澪がいないとさみしいんだよ。 澪にとって、宇宙とか地球とかイルカとか…大事だってのはわかる。わかる…、けどさ。 わたし達のことは…大事じゃ、ねーのかよ…。わたしは、みおが…、だいじなんだよ…。 まえ…みたいに、お茶、飲んだり…ふざけてあそんだり…えんそう、したりしたいんだよ。 ………なぁ…たのむよ、もどってきてくれよ…」 次第に泣き声が混じって、声を詰まらせながらりっちゃんは言いました。 「ごめん」 澪ちゃんの口から出たのは、さっきのりっちゃんと同じ言葉。 ようやくわかってくれたのか、とホッと胸をなでおろした瞬間、 「大丈夫、きっと聞こえるはずだから。今度こそ…ほら」 「澪のバカ! いい加減にしろっ!」 「あっ、ちょ、りっちゃん!」 「律先輩っ!」 「りっちゃん待って!」 叫びながら飛び出したりっちゃん、 りっちゃんを追いかけてムギちゃんとあずにゃんも飛び出して、 部室にはわたしと澪ちゃん。ふたりだけが取り残されました。 ジー、という耳ざわりなだけの雑音が響く中、澪ちゃんがわたしに振り向きました。 その顔は笑っているわけでも泣いているわけでもなく、きっと最初からわかっていたのかもしれません、 なにも言わず目を伏せるとラジカセのスイッチを切りました。 音が止み、しん、と静まり返った部室はいつもとまるで違う空間みたいに思えて、 澪ちゃんのいる“宇宙”ってこういうところなのかな? …と思いましたが、全然違うかもしれません。わかりません。 澪ちゃんの宇宙は、澪ちゃんの中にしかない。 澪ちゃんにしかわからない。 澪ちゃんのことを一番わかっているはずのりっちゃんにだってわからない。 たぶん澪ちゃんのお父さんお母さんにも。 きっと誰も、澪ちゃんの宇宙のことはわからないのです。 気がつくとラジカセを手に取った澪ちゃんが、スタスタと歩いて部室を出て行こうとするところでした。 慌てて後を追うと、澪ちゃんはポッケから鍵を取り出し、屋上の扉を開けようとしています。 集会で時折屋上を使っていましたから、その関係でうまいこと融通したのかもしれません。 ファンクラブ会長が生徒会長だと、そのあたりとっても便利なんでしょう。 扉が開き、屋内に強く冷たい風が吹き込んできて、わたしは思わず顔を伏せました。 澪ちゃんは平然として長い黒髪をたなびかせながら扉の向こうへ踏み出してゆきます。 わたしも澪ちゃんに続きました。…さぶいです。 空は青く広く晴れ渡っていて、雲ひとつありません。 高く空の向こうに、鳥が飛んでいるのが見えました。 こんな見事な晴天の日は、宇宙との交信もしやすいのではないでしょうか。 「天気がよくて、高い場所のほうが声は聞き取りやすいんだ」 やっぱりそうみたいです。 澪ちゃんがラジカセのスイッチを入れました。 快晴の下にジー、といういつもの雑音が響きます。 澪ちゃんは腰を下ろし膝を抱えて体育座りの格好になると、目をつむって顔を伏せました。 わたしも澪ちゃんの隣に腰を下ろして、同じように体育座りで膝を抱えて目をつむり、顔を伏せました。 しばらくそのまま澪ちゃんの側に寄り添っていました。 風に乗って雑音が空に流れてゆきました。 どれくらい時間がたったのか、「おーい」と扉の向こうであずにゃんの声が聞こえてわたしは顔を上げました。 ちょっぴり寝ちゃってたみたいです。 澪ちゃんは顔を上げていて、群青色に染まっていく空を眺めていました。 ラジカセの雑音はいつのまにか止んでいました。 ★★ “ちょっと今、出てこれる?” 20時14分にきたメールを見て、わたしは靴紐を結びました。 ところがなぜか今日に限ってうまく結べず、なんどやってもほどけてしまいます。 「どこに行くの」 もたもたしているとお風呂上がりの憂がやってきて、 頬を真っ赤に染めながらわたしに訊ねました。 「うんとね、澪ちゃんとこ」 「こんな夜遅くに?」 「夜は空気が澄んでるから、特に声が聞こえやすいんだって」 そっか。と憂はにっこり笑って言いました。 「ねぇ、憂」 「なぁに、お姉ちゃん」 「もう一度聞くね。憂は聞こえた? 宇宙の声」 わたしの問いに対して憂は曖昧な笑顔を浮かべるままで、なにも答えてはくれませんでした。 「…聞こえたのか聞こえてないのか、どっちなの?」 「自分が聞こえた音が、宇宙の声なのかどうかわからないの」 「ってことは憂はなにか聞こえたってこと??」 「お姉ちゃんはなにも聞こえなかったの?」 わたしの耳に聞こえたのは、ジー、という雑音だけです。 「ジー、…っていう音は聞こえたよ」 「わたしも同じ」 「じゃあ聞こえてないってことじゃないの?」 「そうなのかな。でももしかしたらあれが宇宙の声なのかな、って」 「そんなわけないでしょ。だってただの雑音だよ? 壊れたラジカセから聞こえる単なる雑音だよ!」 「わからないよ」 「…わからないってなにが」 わたしには憂の考えていることがわかりません。 「わたしに聞こえてる音とお姉ちゃんに聞こえてる音と、澪さんに聞こえてる音は同じかどうかわからない、ってこと」 「…よくわかんない」 「わたしにもよくわかんない」 「なにそれ。ヘンなの」 「だよね。ヘンだよね」 憂は目尻を下げてにっこりと笑いました。 つられたわたしも思わず笑顔になりました。 「でもね。わたしにもお姉ちゃんにも、軽音部のみなさんにも…他の誰にも聞こえなかったとしても、 宇宙の声が本当に存在しないなんて言えるのか、わからないの。 だって澪さんは聞こえる、って言ってるんでしょ? …本当はね。わかってるよ。 まわりのみんなに理解してもらえなかったり、共有してもらえなかったりすることは、 “ない”ってことにされちゃうんだろーなー…ってこと。 だけどね、わたしはあんまりそういうことしたくない、っていうか…うーん、と…。 あ、わたしね。澪さんのこと好きだから、信じたいな、ってそう思うの」 憂はにこにこ笑いながら言いました。 「お姉ちゃんもわたしとおんなじ気持ちかな、って勝手に思ってた」 「…わたしも澪ちゃんのこと、好きだよ」 「うん。知ってる」 憂の瞳は、まっすぐわたしを見つめていました。 「でもわたし、信じてなかった」 「ううん、そんなことないと思う」 視線をそらして下を向くと、結んだ靴紐がまた縦結びになっていました。 ほどいて結び直しましたが、また縦結びになってしまい、ほどきます。 なにやってんだろ、わたし。 「結ぼうか?」 「…大丈夫、自分でできるから」 「…結ばせて」 憂は三和土に降りて腰をかがめると、簡単にほどけないよう固く強く靴紐を結んでくれました。 「ほら、できた」 「うい…お願いがあるんだけど」 「なに?」 「キス、してくれない?」 憂は目を閉じてすっと顔を寄せ、キスしてくれました。 わたしは黙って立ち上がり、憂に背中を向けるとドアノブをつかみ、扉を押し開けました。 びゅうっと冷たい風が頬を刺し、髪が揺れます。 目を見開いたまま一歩を踏み出し、扉を閉めることも忘れてそのまま、わたしは真冬を駆け出しました。 2
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●皆さんに問いたい 総文の実行委員会で被災者支援をしたいと考えていますが、被災者のニーズは何だと思いますか -- 長(総務) (2011-04-17 15 28 01) ●外国からの訪問は4ヶ国全てないらしいです; 今回アンケート書きましたが みんなの思いで 総文開催したいですね;; -- 紺野(国際交流) (2011-04-17 16 54 53) ●避難所の子供たちのためにぺしゅ。登場したら、楽しんでもらえないですかね? -- 田母神(パレード) (2011-04-17 17 25 27) ●@田母神 いいね! -- 大玉村民(パレード) (2011-04-17 17 35 27) ●Wikiぃぃ考え! やっぱり総文やりたいね!後3ヶ月半、どこまで福島が復旧したか全国に総文を通して伝えたいね。 -田母神さんー それかなりぃぃアイディアだと思います◎ -- ひろみ(総務) (2011-04-17 17 46 52) ●@田母神さん 賛成。ぺしゅ。って子供たちの気持ちに応えられるよね。各委員会のとこも、ちろっと覗いてみてくださいな。 -- 季(総務) (2011-04-17 19 28 55) ●私の今の気持ち 学校の現場では教職員(総文担当以外)たちが「総文は難しい」だの「風評で人が来ないだろう」だの ふくしま総文開催に消極的な意見が上がっている。 そんな中、終息の見えない原発問題やフクシマに対する過剰な風評もある。 だが私はふくしま総文を開催したい。こんな状況下であるからこそ「文化部のチカラ」「高校生のチカラ」を発揮しようではありませんか!! 風評被害も福島県に住む我々高校生から撲滅させていこうではありませんか! 私たち総文関係者が出来る事は探せばたくさんあるはずです。 ふくしま総文を開催して、福島県の復興への架け橋になればという思いで ぜひ、開催を断念するのではなく、全国のふくしま総文参加者のためにも開催するよう(出来るように)声を上げていきましょう! 震災後の総文に対する私の個人的な心境です。 -- 田村(広報デザイン) (2011-04-17 23 58 25) ●製作お疲れ様です!個人の意見ですが書かせていただきます(長文失礼 まず総文の開催は物理的な問題によって難しいと考えています。情熱だけでは解決できない問題もたくさんあります。 それでも私は総文を開催したい! そこでまずは問題点の整理と総文の本質的意味を確認することを強く勧めます。 私が見たところ ●問題点 ・開催地が足りない。(避難所になっている、津波被害など ・安全性 (放射能 ・役員会議の不足 ・風評被害 ↑が大きな問題点だと思います。次に総文の本質的意味ですが、 「各活動を通しての意見交換や交流」 だと考えました。これらをカバーする解決案として 「ネット上での総文開催」を提案します。 具体的にはまず総合的な総文HP(現在の物で十分かと)を作り、参加予定だった各学校の部活 の活動状況や内容、特色などを 写真や文書にまとめて送ってもらい、それをHP内でブログの様に展示していくという形です。 これなら問題点がキレイにクリアされます。それどころか様々なメリットがあります。 ・風評被害対策 メディアを通さない生の農家の意見を総文に関心を持つ皆様に見ていただけます。 このブログ型の利点は福島の現状を簡単に配信できることです。 ・他活動の見学 先ほども書いたように私は総文は「活動を通して交流」が意味だと思います。この形なら自分の 部活以外も簡単に見学できます。 他部活のことを知ることで「交流」という点で本質的意味に近づくのではないでしょうか? この様に全国の高校生の活動状況をネットを介して紹介し、そこに今苦しんでる福島農家の声、 被災地である私達の現在の活動、 なにより復興を願う熱い気持ちを乗せて、ここ福島から全国へ情報を発信し続けることが今現実的に可能な福島総文の姿だと思います! 技術面での問題等は後回しに、これが私の考える総文の可能性です あくまで個人意見です。指摘等ございましたら是非よろしくお願いします。 以上参考程度にご覧ください。 -- 柳沼(書道部会長 (2011-04-18 05 57 12) ●@柳沼さん 長文ありがとうです。どの問題についても先が見えないところが一番厳しいですね。 -- 季(総務) (2011-04-18 07 10 39) ●私も会津をメインに開催が良いと思います! ほとんど無害ですしね。 後、1つの提案としてyoutubeやニコニコ動画に「ふくしま総文のPR」や「福島の復興応援メッセージ」のようなものを作って投稿してみませんか? 各部門ごとにというのは無理かもしれませんが、地域とか地方同士でなら集まって出来ると思うんです。 動画だってデジカメとパソコンがあれば十分に出来ますし。 それにネットでなら全国の方が見てくれますから、風評被害撲滅にもつながると思います。 まずは簡単な一歩から、という形でどうでしょう? 意見お願いします。-- 東海林(開会式) (2011-04-18 21 58 36) ●会津開催ってどうなの? というのも、開催場所は確保できるのかなあ・・・。 よく分からないけど、ああいうのってかなり前から予定を入れるんじゃないかな。 あと、このサイトってどこまでの人が知ってるの? 推進室の人は知ってるみたい・・・? 各学校の先生は? 一集団だけでどんどん話を進めるのはよくないと個人的に思う。 -- あおい (2011-04-18 23 01 18) ●確かに一集団だけでネットが使える人たちだけで会議していくのもよくないですよね・・・ でも集まれる機会がないですし・・・ 1度、ふくしま総文の開催に関する会議でどこかに集まれるといいんですが・・・ 会津開催についてですが会津だけでキャパが足りるかどうか・・・ 中通りも使っていくべきです 動画投稿サイトに応援メッセージ案は賛成です!総文CHに載せましょう -- 田村(広報デザイン) (2011-04-18 23 20 01) ●福島県のみなさんの熱意に涙が出る思いです。 福島県で開催できると最高だと思います。 しかし、いくつかの部門では、参加者が全国優勝をめざして3年間努力を続けています。 実施されないことはもちろんですが、コンクール・コンテスト形式でなくなることも、 被災地の方々の苦労に比べれば微々たるものですが、非常に辛いものとなります。 実施延期なら、3年生の出場は事実上不可能になります。 演劇の場合、会場が決まらないと、大道具や照明の計画も立てられませんし、3年生の出場が不可能なら、脚本も配役も変更しなければなりません。 実行委員会には、できるだけ早く方向性を出してほしいと思います。 -- 演劇関係者 (2011-04-19 12 01 34) ●やっぱり問題ゎ多いですね... もし総文として開催できなかったら、ふくしま総文の関係者でボランティアをしたらぃぃのかな? 各避難所や被害のある場所でゎ、これから復興に向けてのボランティアが必要になると思います。 開催できなくても福島を想う気持ちゎ無くならないし、出来ることを今するべきなら、ボランティアで活動することがベストなのかな? みなさんゎどぉ思いますか? -- ひろみ (2011-04-19 23 04 39) ●顧問の先生に聞いた話だと、会津にある宿泊所はほとんどガラガラに空いてるらしいです。 被災者の方々はそれぞれプライバシーが守られる場所に移動しているらしいですよ。 -- 堀底(写真) (2011-04-20 07 26 44) ●今までやってきた形の 総文を行えなくても, 福島を代表とする 私たち全員で 総文の看板背負って 支援などを行うのも いいのではないかなぁと思います。-- 紺野(国際交流) (2011-04-20 21 36 26) ●ボランティアのことで、話し合いたい方は 「被災地ボランティア」 のページへ -- 長 (2011-04-20 22 00 01) ●北陸の放送部員です。 やっぱり自分たちも心配なのは放射能です。 大丈夫なのは分かっているんだけど・・・ できれば、公式HPに各会場の放射線の値を載せてみては? 正直、他地域からみると、郡山や会津と、双葉町などの違いがわからないんです。 まぁ、一番怖いのは内部被ばくなんだけど。 あと、総務委員会のほうにも投稿させてもらいましたが、 放送部員はNHKと関係が深いです。時には番組にも出たりしますし。 だから放送部を伝って、NHKにお願いしてみては? 「生徒たち自らwikiで総文を計画している」ッて言うのは。 いいニュースになると思いますよ。生徒代表の方が 取材を頼んでみたり。宿泊など協力してくださる方も出てくれるのでは? 偉そうですいません。自分は3年で総文が最後になります。 楽しみにしています。 -- 北陸の人 (2011-04-21 00 43 08) ●ふくしま総文に参加予定の高校生の母です。 私も「関西の人」さんの意見に同意です。 今は地震にしても原発事故にしても、実測のデータが普通ではない状況を示しています。 関係各所がどんなに「ただちに影響は無い」とは言っても、 それは『安全』を意味しているわけではないはずです。 しかし、この大会は全国から将来の日本の文化を担う高校生たちが一同に集まる大会です。 その場所は絶対に「安全な場所」であるべきです。 今、ふくしま総文に参加予定の全国各地の高校生や保護者、先生方や関係者の方々の中には『参加が怖い』という言葉を言いたくても言えない人達が沢山いるはずです。 主催、運営に関わる方々の正しい判断を祈っています。 -- 九州の南 (2011-04-21 15 02 40) ●一保護者の意見として聞いていただければ、と思います。 子どもたちは、ふくしま総文が開催されることを信じて、今日も練習に励んでいます。8月に福島に行くつもりでいます。 他県でも、ふくしま総文に向けて前向きにがんばっている高校生もいる、ということを知っていただきたくて・・。 原発や余震の不安もありますが、それも含めて、福島が総文を、総文に参加する高校生や先生方、関係者の方々を受け入れられる状況にあるのか、ということが一番心配です。 正しい情報をえて、検討していただければと思います。 -- 東海の人 (2011-04-21 17 12 23) ●こんばんわ。佐賀県から総文に参加する人間です。 今我々に出来ることは、本当に少ないです。むしろ何もできないと言っていいと思います。 しかし、こうやって情報交換の場を設けて頂いて、その中で、その何も出来ない生徒が集まって行けば、私はきっと何か、大きな風が起こると感じます。可能性は絶対にあります。 今私たちにできることは、それを考える為にも「この場を広めること」ではないでしょうか。 どんなに有益な情報があっても、限られた人しかここを知らないのでは効果が薄いです。 このような場が「生徒から自発的に」出て来て、そこに「生徒が自発的に参加している」ということは重要です。 我々個人は、高校生ですので本当に力がない。ですが、それを数でカバーできるはずです。 意見が集まれば、それを嘆願書にするなりできるはず。 ここでの行動を通して、実際に大きな、現実としての動きにしていきましょうよ! その為の第一歩が、まずここ、皆さんが作って下さったwikiの周知徹底だと考えます。 -- 雨 (2011-04-21 23 19 06) ●長々とすみません。 ですが、一歩間違えると迷惑行為にもなるので、最初は関係者間で回して行くのがいいかなぁと。 とにかく、私はここを広めて、生徒さん、関係者さんたちが事前交流していくことが重要だと思っています。-- 雨 (2011-04-21 23 22 42) ●議論する気はないのでこれで沈黙します。 福島県には今もたくさんの方が生活しておられます。 3日とかではなく、これからもずっと。 それなのに外の我々が、そこへ行っては危ないと騒ぐというのはどうなのかなと。 もちろん、問題は放射線だけではなく 大会が出来る状況かというと、厳しい部門が多いはずです。 私たちが参加する予定の部門の会場も避難所になっています。 そういった総合的なことから、中止とか縮小とか県外開催とかになってもやむを得ないと思いますけれど、 「福島県に行くと放射線が危ない」という理由で行かせたくないとか、県外でやるべきだとか はおかしいと申し上げているだけなのです。-- コン (2011-04-22 07 33 22) ●私の参加する部門の会場も今は使用禁止だと聞きました。 まずは開催できる状況を作らないといけないですよね。 放射線に関してはあまり知られていないことも多いので難しいですね。。 他県の保護者の方もいらっしゃるようなので一言だけ言わせてください。 心配ならば調べてほしい。 調べもせずに心配だから嫌だ、というのは危険回避の面からしても決して好ましくありません。 福島市で観測される放射線量というのが身体にどれほどの影響を与えるのかをきちんと調べた上で発言して頂きたいです。 それが人間を育てる人としての責務ではないかと思います。 偉そうにすみません。ただ福島県民として、放射線を多少にしろ学んでいる者として言わせて頂きました。 -- 瑠花 (2011-04-22 23 04 04) ●こんばんは。 総合文化祭の全体のようすを伝える壁新聞"そうぶんニュース"の編集関係の者です。 たとえ開催できないとしても、そうぶんニュースでは、長い時間をかけて準備してくださった実行委員会を始めとする高校生の想いを発信したいと思っております。 もちろん、例年通りの"そうぶんニュース"の制作を行えることを願っています。 -- そうぶんニュース編集関係(新聞) (2011-04-23 01 11 34) ●福島県内大規模ホールの被災状況、 自分たちの発表すら出来ない各校文化部の現状、 何年も準備してこられた関係の方々のお気持ち、 今も頑張っておられる生徒実行委員のみなさんの想い、 …どれも辛いです。 実施について決断される立場のみなさんにお願いです。 一刻も早く方向性を出してください。 できれば、何らかの形で「ふくしま総文」が実現できるよう、 心からお願いします。 でもそういう立場の人にこのwikiの想いを伝えるには、どうすればよいのでしょう? -- 演劇関係者 (2011-04-23 10 18 30) ●少なくとも、ふくしま総文推進室には伝わっていますよ。 様々な思いを受けて、新たな一歩を踏み出すために、ふくしま総文のかたちを模索中です。 みなさまご意見ありがとうございます。 私個人としては、「完全中止」は避けられるように努力しております。 かといって、被災して毎日の生活が大変な方々の心を、 踏みにじるような事態にはならないようにもしたい。 もう少し、お待ち下さい。-- higessk (2011-04-23 14 33 30) なまえ コメント
https://w.atwiki.jp/seigeki/pages/1022.html
『ナナせんせいのしゅうまつ』 奈々(なな) 絵描きの姉さん。言葉遣いが中性的。 耕太(こうた) 学生。軽く方言混じり。 有紗(ありさ) タバコ片手のけだるい姉さん。 ※百合オチです。 奈々(M)「暑い夏の日、こんな夢を見た。」 暑い日差しの照る土手。帽子をかぶった女がスケッチブックを抱えている。そこに、涼しい格好の学生が通りがかる。 耕太「ナナせんせい。今日も書いてンですか」 奈々「やあ。うん…今日も天気が良いね」 耕太「暑いのに よくやりますね」 奈々「若いのに老人のような事を言う。君、時間は大丈夫? よけりゃ隣、お座ンなさい」 土手に座る二人 奈々「しかし君もあれだ、暑いのによく来るね」 耕太「はあ、まあ暇ですから」 奈々「そうか、今は夏か」 耕太「ええ、夏のお休みなんです」 奈々「けれど君、男で絵に興味があるとは、珍しいんじゃないか」 耕太「はあ。先生の絵は、俺の母ちゃの書く絵によく似ておられるのですよ」 奈々「はあ、君の母さは、絵描きか」 耕太「らしいです。物置の奥に、古ィカンバスがいっぱいこう立てかけてありましてね、もうせん埃被ってますが その絵がね、似てるんです、とても。色遣いなんか、すごく」 奈々「うん、うん…君は、いくつになる」 耕太「十と二です、もうすぐ三」 奈々「三か……うん、そんなら、君の母さんと私は、きっと同じ頃の生まれだ。その頃ね、こんなのが流行ったのだよ」 耕太「そうなんですか、それで。失礼ながら俺はナナせんせいはもっとお若いと思っていました」 奈々「そうか、そうか……若くみられるのは、嬉しいな」 耕太「そうですか? 俺なんか、『まだ小学生?』なんて言われると腹ァ立って仕方ありませんが」 奈々「は、は、はは……」 アパートの一室 奈々「ただいま」 有紗「奈々ちゃんなの?」 奈々「ええ、今戻りました」 有紗「お帰りなさい、どこに行ってたの?」 奈々「ちょっと、色々あって遅くなりました」 有紗「あら真っ黒。ずいぶん日焼けして来たのね。また外で延々と描いてたんでしょう」 奈々「はあ。夕焼けをスケッチしてたんです。 そしたら、なんだか変な所に出てしまいまして、帰るまでだいぶ時間がかかってしまいました」 有紗「そうだと思った。今日も帰って来ないようだったら警察にお願いしようかとも考えたのよ。帰って来てくれてよかった」 奈々「御迷惑をおかけします、ヒモの分際で」 有紗「(笑い)…やめてよ。それで、何の絵を書こうとしてたの?」 奈々「終末の絵です」 有紗「…それって怖い絵なの?」 奈々「どうでしょうね」 有紗「なに、秘密なの?」 奈々「ええ」 有紗「ま、見せてもらってもわかんないか。奈々ちゃん、いつも何書いてるかわかんないの書くんだもん。」 奈々「わたしのは抽象画ですよ」 有紗「奈々ちゃん上手いんだから、きちんとした絵を見たいなあ」 奈々「エー…」 奈々「ねえ有紗さん。愛していますよ」 有紗「ぷっ…なぁに、どうしたの?」 奈々「言いたくなったから言ったまでです。愛してますよ」 有紗「…おかしな人」 奈々M「彼と語らった年月まで、あと11年。 わたしはその11年で、愛しい人に愛想を尽かし、愛を知り、彼を設けるまでに至るのだろうか。 そんな事を考えた。」 お題:初恋 メドゥーサ 来週
https://w.atwiki.jp/leaguebattle/pages/76.html
トレーナー情報 シジミ りっしゅう 使用ポケモン シジミ ラグラージ@リンドの実 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 100 110 90 85 90 60 技 地震 カウンター 冷凍パンチ 半角空けて選択理由など ラプラス@ソクノの実 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 130 85 80 85 95 60 技 ? ? ? ? 半角空けて選択理由など ヘラクロス@拘りスカーフ HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 80 125 75 40 95 85 技 インファイト ? ? ? 半角空けて選択理由など 使用ポケモン りっしゅう バシャーモ@拘りスカーフ HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 80 120 70 110 70 80 技 地震 ストーンエッジ スカイアッパー フレアドライブ サンダースに先手を取るのが目的だった。 また、地震読みギャラ無償光臨も恐れて、エッジも搭載!威嚇喰らいながらもそれなりのダメが期待できる。 状況に応じて読んでいくつもりだったけど… 失敗しちゃいましたw カビゴン@食べ残し HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 160 110 65 65 110 30 技 恩返し 雷 寝言 守る 完全に受け目的。ハピナスの歌うの保険として寝言。雷はギャラ対策専用。 オオスバメ@気合の襷 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 種族値 60 85 60 50 50 125 技 恩返し がむしゃら 電光石火 ツバメ返し わがパートナーの変態(?)型。最初のターンは守るor身代りだろうと油断させて、恩返しorツバメ返し。 わざと自分よりすばやい敵に出してがむしゃら→電光石火で落として、あとは適当暴れてもらう。 ゴーストはらめぇぇぇぇぇぇ。 シジミVSりっしゅう バトルスタート! ■ りっしゅうはバシャーモを繰りだした! □ シジミはラグラージを繰り出した! 第1ターン ラグラージ - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ りっしゅうはバシャーモを引っ込めカビゴンを繰り出した! □ラグラージの冷凍パンチ!カビゴンに少しのダメージ ★カビゴンは食べ残しでほぼ全回復 名前 コメント 第2ターン ラグラージ - カビゴン シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ ラグラージ地震!急所でカビゴンHP4割まで減る □カビゴン恩返し!ラグラージHP残り7割 ★カビゴン残り物を食す。 名前 コメント 第3ターン ラグラージ - カビゴン シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ カビゴンの守る! □ラグラージのカウンター!しかし失敗 ★カビゴン残飯を喰らう 名前 コメント 第4ターン ラグラージ - カビゴン シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ ラグラージの地震!急所でカビゴン倒れる! ★りっしゅうはオオスバメを繰り出した! 名前 コメント 第5ターン ラグラージ - オオスバメ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ オオスバメの恩返し!急所に当たってラグラージ赤ゲージ! □ラグラージの冷凍パンチ!オオスバメも赤ゲージ!お互いボコボコ! 名前 コメント 第6ターン ラグラージ - オオスバメ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■オオスバメの恩返し!ラグラージは倒れた! ★シジミはラプラスを繰り出した! 名前 コメント 第7ターン ラプラス - オオスバメ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ りっしゅうはオオスバメを引っ込めてバシャーモ! □ラプラスの氷の礫!少しダメージ 名前 コメント 第8ターン ラプラス - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ シジミはラプラスを引っ込めてヘラクロス! □バシャーモのスカイアッパー!ヘラクロス残りHP7割 名前 コメント 第⑨ターン ヘラクロス - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角(ry ■ りっしゅうはバシャーモを引っ込めてオオスバメを繰り出した! □ ヘラクロスのインファイト!オオスバメは倒れた! ★りっしゅうはバシャーモを繰り出した! 名前 コメント 第10ターン ヘラクロス - バシャーモ シジミの思考 半角空けてからコメント りっしゅうの思考 半角空けてからコメント ■ヘラクロスのインファイト!バシャーモは倒れた! 書写;シジーミ 感想など
https://w.atwiki.jp/83452/pages/1560.html
律「そうなんだよ、ただそれに自分で気づいてないだけさ。 だからもう少し素直になれよ」 梓「……」 律「…はぁ、頑固だねぇ」 紬「梓ちゃん…」 律「とりあえず今日はもう帰った方がいい、大分日も落ちてきたことだしな」 紬「…そうね、それじゃ梓ちゃん、もう帰りましょう」 梓「…はい」 律「…ま、梓自身のことだ。私達がとやかく言ったって、お前がそう思わないんじゃどうしようもない。 ただ私達みたいに性別も関係なく愛し合っている奴等がいるってことだけ覚えといてくれ」 梓「…わかりました」 律「ありがとう、それじゃまた明日」 紬「ばいばいりっちゃん」 梓「……」 紬「…それじゃ私達も帰ろっか?」 梓「…はい」 ―次の日 学校 梓「ふあああ…結局昨日は全然眠れなかったな…」 昨日寝る前に考えた結果、やっぱり私は唯先輩が好き…なんだと思う。 でも、律先輩やムギ先輩はその気持ちを隠すことなんかないって言ったたけど… やっぱり私は同性同士の恋愛に、偏見を拭いきれない。 これは私がおかしいのだろうか? …いや、きっと誰もおかしくなんかないんだ。 偏見を持っているのは、きっと私だけじゃない筈。 他にももっと、私よりも強い偏見を持っている人だっていっぱいいるだろう。 特に世間がそうだ。 最近はよくテレビなんかで同性同士の恋愛を許そうなんて謳ってるけど、 それでも世間一般化から見れば、まだまだ同性愛が受け入れられていないのは事実だ。 その証拠に、私は同性愛を快く思わないから。 なのに、自分は同性が好きだと堂々と言える律先輩やムギ先輩が、実は少しだけ羨ましく思える。 私も周りの目や風当たりを気にしないで、堂々と同性が好きだと宣言できれば、こんなにウジウジ悩む必要もないのだろう。 でもそれが出来ない私には、唯先輩を好きだと言う資格すらないのだ。 梓「はぁ…自己嫌悪…」 憂「おはよう梓ちゃん」 梓「あ、憂…」 憂「どうしたの? なんだか元気ないね」 梓「そ…そうかな…?」 憂「うん、眼の下に隈ができてるし…もしかして寝不足?」 梓「そ、そんなところかな…あはは…」 憂「そうなんだ…実は私も寝不足でさ…」 梓「え? 憂も?」 憂「うん、実は昨日の夜、お姉ちゃんと色々あってね…」 梓「色々?…!ま、まさか…! 唯先輩とにゃんにゃんしたの!?」 憂「えっ?…う、うん///」 梓「!!!」 梓「ど、どうして…?嫌じゃなかったの!?」 憂「うーん…まぁ最初は確かに嫌だったけどさ、お姉ちゃんがどうしてもっていうから、その…」 憂「…にゃんにゃんしちゃった///」 梓「そ…そんな…!」 唯『憂は優しいし、私のことをいつも大好きって言ってくれるから、きっとにゃんにゃんさせてくれるよ』 梓「…おかしいよ、こんなの絶対おかしい!!!」 憂「きゃっ!?急に大きな声出して、どうしたの梓ちゃん?」 梓「だって…唯先輩と憂は姉妹で女の子同士なんだよ!? そんなのおかしいじゃん常識的に考えて!異常だよ!」 憂「異常って…こんなこと女の子同士でしか出来ないよ! なら梓ちゃんは男の人とにゃんにゃんするっていうの!?」 梓「それは…わからないよ…いつかするのかもしれないし…」 憂「ふ~ん…私からしてみればそっちの方が異常だと思うけどね」 梓「私が…異常…?」 梓「私は…異常なんかじゃない!」 憂「異常だよそんなの!おかしいよ!」 梓「違う…異常じゃ…ない…」 憂「異常だよ!…気持ち悪い」 梓「!」 私は…気持ち悪いの…? 異常なのは私の方? 何が常識で、何が非常識なの? わからない…私にはわからない… わからない…わからない… 私には…わからない… 梓「う…うぅ…」ポロポロ 憂「あ、梓ちゃん…言いすぎたよ、ごめんなさい…」 唯「あずにゃんとにゃんにゃんしたいにゃん」 梓「唯先輩のことは好きだけど、女同士は気持ち悪いからいやにゃん」 紬「でも唯ちゃんが好きなのよね?」 梓「そうだけど…にゃん」 律「ならにゃんにゃんしちまえよ、私と澪はしてるぞ。なんたって愛し合ってるんだからな!」 澪「り、律…///」 梓「で、でもでも…同性愛者は異常だにゃん」 紬「そんなことないわ、異常だと思うから異常なのよ、自分の本当の気持ちに自信を持ちなさい」 梓「わかったにゃん…では、唯先輩…好きですにゃん!」 唯「嬉しいなぁ、ならにゃんにゃんしよう」 梓「はい」 紬「キマシタワー━━( ゜∀゜ )━(∀゜ )━(゜ )━( )━( ゜)━( ゜∀)━( ゜∀゜ )━!」←今ここ 梓「それじゃ唯先輩…眼を閉じてください」 唯「? こう?」 唯先輩がすっと眼を閉じた。 私はそんな無防備な顔をめがけ、ゆっくりと自分の顔を近づけていく。 勿論、目指すは唯先輩の唇だ。 とくん…とくん… 緊張のせいで、心臓の音がさっきから五月蠅い。 だってファーストキスなんだよ?緊張するに決まってるじゃん。 3cm、2cm、1cm、 徐々に私の唇は、ぷるんとした唯先輩の唇へと近づいていく。 そして、距離はミリ単位まで近づき、 梓「……ん…」 とうとう、お互いの唇が重なり合った。 瞬間、 どんっ! 梓「痛っ!」 急に唯先輩に突き飛ばされた私は、尻もちをついた。 何事かと思い、眼の前の唯先輩を見上げると、そこには涙目になった唯先輩が。 唯「あずにゃん…酷いよ…」 唯先輩はわなわなと震えている。 にゃんにゃんせずに、先にキスをしてしまったことを怒っているのだろうか? 梓「あ、安心して下さい!今からちゃんとにゃんにゃんしますから…」 唯「もういいよ!あずにゃんの馬鹿!知らない!」 そう吐き捨てた唯先輩は、走って部室を飛び出していった。 梓「…え? どういうこと?」 紬「梓ちゃん!唯ちゃんに何か酷いことを言ったの!?」 梓「い、いやいや!私は何も…」 律「ならどうして唯の奴泣いてたんだよ!?」 梓「わからないですよ!私はただキスをしただけです!」 紬「キスをしただけで泣く訳ないでしょ!?」 梓「本当なんです!信じて下さい!」 律「…わかった、とりあえずその話を信じるとしよう。 ならどうして唯は泣いてたんだ? 無理やりキスしたんじゃないのか?」 梓「無理やり…確かに無理やりかもしれません…」 紬「なんてことを…唯ちゃんの気持ちもお構いなしに…!」 梓「で、でもでも…私達はお互いに好きあってたんですよ!?ならキスなんて暗黙の了解みたいなものじゃないですか!」 律「まぁ…確かにそうかもな…」 紬「なら唯ちゃんはどうして…?」 澪「…なぁ、もしかして唯の言う好きと梓の言う好きは違ったんじゃないのか?」 紬「そ、そんな馬鹿な…なら唯ちゃんはどうして梓ちゃんとにゃんにゃんしたがってたの?」 律「そうだよ、それは梓のことが好きだからだろ?」 澪「うーん…まぁ確かにそうだけどさ…ならこういう考えはどうだ? 実はにゃんにゃん自体の意味も違ってたとか」 梓「にゃんにゃん自体の意味…?にゃんにゃんという言葉に複数の意味なんてあるんですか?」 澪「それはわからない、もしかしたら唯が何かのことをそう呼んでいるだけかもしれないしな」 紬「そんな…だとしたら…」 律「にゃんにゃんの本当の意味って…」 梓「一体…なんですか…?」 澪「さぁ…とりあえず唯に聞いてみたらどうだ?」 梓「それは出来ないですよ…唯先輩、かなり怒ってましたし」 澪「そうか…なら他ににゃんにゃんの意味を知ってる奴はいないのか?」 梓「うーん……あっ!一人いました!憂です!」 … がちゃっ 憂「失礼します」 梓「憂!ごめんね突然呼び出して…まだ学校に残ってくれていてよかったよ」 憂「梓ちゃん元気出たみたいだね、そういえばさっきは本当にごめんなさい…」 梓「あ、こちらこそごめんね…異常だなんて言ったりしてさ…」 憂「ううん、私のことはいいの。あんまり気にしてないからさ」 梓「憂…」 憂「梓ちゃん…」 紬「いいわねぇ…すごくいいわぁ…はぁはぁ……さて、仲直りも済んだことだしそろそろ本題に入ったらどう?」 梓「あ、そうですね…憂、実は聞きたいことがあるんだけど…」 憂「なーに?なんでも聞いて♪」 梓「それじゃ遠慮なく…にゃんにゃんについて教えてほしいんだけど…」 憂「!!ど、どうして…?」 梓「えっ?そ、それはその…憂が今朝言ってたのを聞いて気になったからだよ!」 憂「…あれ? 確かあの時は梓ちゃんから話を振ってきたんだよね? 私はてっきり、梓ちゃんは知ってるものだと思ってたよ」 梓「それは…ごめん!実は昨日、唯先輩ににゃんにゃんしてほしいって言われて、断ったら憂とやるって言ってたから、それで気になってさ…」 憂「あぁ…そうだったんだ。なら梓ちゃんが断らなければ、私はあんな恥ずかしいことをしないで済んだんだね…」 梓「は、恥ずかしいこと…?それって…どんなこと…?」 憂「それは…すごく恥ずかしいことだよ…///」 紬「まぁ…是非ともそれを見てみたいものだわ」 律「そうだな、見ないことには私達は何とも言えない訳だし」 憂「えっ!?あ、あれをやるんですか…? 今ここで…?」 律「そうだよ、早く早く~」 憂「うぅ…///」 澪「こら律、憂ちゃんが困ってるじゃないか。憂ちゃんも無理にやらなくたっていいぞ」 紬「でもそれを見ないことには、唯ちゃんの怒っている理由がわからないままよ?」 澪「うっ…確かにそうかも…でも流石に無理にやらせるのは…」 憂「…わかりました。私、にゃんにゃんさせていただきます!」 律「さっすが憂ちゃん!話がわかるねー!」 紬「よく決心してくれたわ♪」 澪「憂ちゃん…本当にいいのか?」 憂「はい…恥ずかしいですけど頑張ります!」 憂「……それじゃ、いきます!」 梓澪律紬「……ゴクリ」 憂「………あのー、決して笑わないでくださいね?」 梓澪律紬「……コクリ」 憂「それじゃ今度こそ…いきます!」 憂「ワンツースリー…にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 梓澪律紬「………」 憂「…終わりです」 梓澪律紬「………え?」 紬「…もう一度、いいかしら?」 憂「えっ!?…わかりました、では…」 憂「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 律「…もっと」 憂「…はい、にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 律「もっと!」 憂「はい!にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃんにゃにゃん↑♪」 律「もっとー!!!」 憂「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃにゃん♪にゃにゃんにゃにゃんにゃんにゃん…」 律「にゃんにゃんうるせーよ!!!」 憂「にゃっ!?」ビクッ 梓「…え?これがにゃんにゃんの正体なの?」 憂「…うん、恥ずかしいでしょ…」 梓「あ、あはは…そうだね…」 私達が知りたがっていたにゃんにゃんの正体。 それは頭の上で、手で猫耳を作り、ひたすらにゃんにゃんと言いながら左右にステップを踏むという、 ただの恥ずかしい踊りだったのだ。 大体、急ににゃんにゃんしようとか言われたら、誰だって普通はあっちのにゃんにゃんを思い浮かべるだろう。 こんな踊り、誰だって知ってる訳ないじゃん。 憂「お姉ちゃんは…少し変わってるから。でもにゃんにゃんする時のお姉ちゃん、すごく可愛いの♪」 …あぁそうか。異常なのは私でもなく、律先輩やムギ先輩でもない。 …唯先輩だったんだ。 おしまい ――エピローグ? 唯「はぁ…」 私は部室の前でため息をついた。 あずにゃんに私のファーストキスを奪われてから早数日、 私はあずにゃんと顔を合わせるのが気まずくて、ずっと部活を無断欠席していた。 唯「…でも、いつまでも休んでいる訳にはいかないよね」 これからも、あずにゃんとは同じギター同士として、色々と力を合わせなくてはいけないこともあるだろう。 その時の為にも、いつまでもこんな状態じゃいけない。早く仲直りしなくては。 そう決心した私は今、こうして部室の前に立っているという訳だ。 唯「みんな無断欠席したこと怒ってるかな…?」 特にりっちゃん、彼女は部長だし、いい加減な所はとことんいい加減だが、しっかりしている所は嫌にしっかりしている。 それに澪ちゃん、彼女こそ秩序や規制の塊みたいなものだから、きっと入ったらすぐにげんこつをされるんだろうな。 あとムギちゃん、彼女は笑って許してくれそう。 最後に一番問題なのがあずにゃん。 私は彼女ににゃんにゃんしようと誘っただけなのに、まさか唇を奪われるとは思っていなかった。 そのことはすごいショックだったが、何よりも一番ショックだったのは、彼女は私に惚れていたということだ。 私は普段から、スキンシップのつもりで抱きついていたのに、あずにゃんにとってそれは、スキンシップ以上のものだと思っていたんだろうか。 だから彼女に私が惚れていると、勘違いさせるようになってしまったんだろう。 そう思うと、今までの彼女に対する自分の行動を全て否定したくなる。 だって私は、同性愛というものが世界で一番醜くて、汚らわしいものだと思っているからだ。 わいわいきゃっきゃっ ドアの向こうから部員達の楽しそうな声が聞こえる。 何も知らなかったあの頃、私もあの声に交じって楽しく騒いだものだ。 だがきっと、これからの部活動であの声達に私の声が混ざることはないだろう。 それは、全てを知ってしまった今、私はこの部を素直に楽しむことなど出来ないからだ。 あぁ…出来ることなら、何も知らなかったあの頃に戻りたい。 そしてあずにゃんに抱きつくという馬鹿な行為を二度と繰り返さず、 笑顔のまま楽しい三年間を送りたい。 でも歴史は変えられない、これは成るべくしてなったことだから。 もう悔やんだところで全てが遅いのだ。 唯「…なら変えてやればいい」 私の過ごしやすいように、また笑顔で部室に通えるように、 …私は中野梓を退部させる。 to be continued! 戻る
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●というか総文開催出来んのか…? 9か月で原発なんとかするとか政府言ってるけど… そういう風評被害の対策もしなきゃだよね -- けん (2011-04-17 16 43 20) ●総文開催できるの? 他の県の人で「福島は安全って言ってても、やっぱり行きたくない」 って人が絶対いると思うけど。 学校の先生もぶっちゃけ総文どころじゃない気がする・・・ -- あおい(広・デザ) (2011-04-17 20 55 49) ●私の今の気持ち 学校の現場では教職員(総文担当以外)たちが「総文は難しい」だの「風評で人が来ないだろう」だの ふくしま総文開催に消極的な意見が上がっている。 そんな中、終息の見えない原発問題やフクシマに対する過剰な風評もある。 だが私はふくしま総文を開催したい。こんな状況下であるからこそ「文化部のチカラ」「高校生のチカラ」を発揮しようではありませんか!! 風評被害も福島県に住む我々高校生から撲滅させていこうではありませんか! 私たち総文関係者が出来る事は探せばたくさんあるはずです。 ふくしま総文を開催して、福島県の復興への架け橋になればという思いで ぜひ、開催を断念するのではなく、全国のふくしま総文参加者のためにも開催するよう(出来るように)声を上げていきましょう! 震災後の総文に対する私の個人的な心境です。 -- 田村(広報デザイン) (2011-04-17 23 58 25) ●製作お疲れ様です!個人の意見ですが書かせていただきます(長文失礼 まず総文の開催は物理的な問題によって難しいと考えています。情熱だけでは解決できない問題もたくさんあります。 それでも私は総文を開催したい! そこでまずは問題点の整理と総文の本質的意味を確認することを強く勧めます。 私が見たところ ●問題点 ・開催地が足りない。(避難所になっている、津波被害など ・安全性 (放射能 ・役員会議の不足 ・風評被害 ↑が大きな問題点だと思います。次に総文の本質的意味ですが、 「各活動を通しての意見交換や交流」 だと考えました。これらをカバーする解決案として 「ネット上での総文開催」を提案します。 具体的にはまず総合的な総文HP(現在の物で十分かと)を作り、参加予定だった各学校の部活 の活動状況や内容、特色などを 写真や文書にまとめて送ってもらい、それをHP内でブログの様に展示していくという形です。 これなら問題点がキレイにクリアされます。それどころか様々なメリットがあります。 ・風評被害対策 メディアを通さない生の農家の意見を総文に関心を持つ皆様に見ていただけます。 このブログ型の利点は福島の現状を簡単に配信できることです。 ・他活動の見学 先ほども書いたように私は総文は「活動を通して交流」が意味だと思います。この形なら自分の 部活以外も簡単に見学できます。 他部活のことを知ることで「交流」という点で本質的意味に近づくのではないでしょうか? この様に全国の高校生の活動状況をネットを介して紹介し、そこに今苦しんでる福島農家の声、 被災地である私達の現在の活動、 なにより復興を願う熱い気持ちを乗せて、ここ福島から全国へ情報を発信し続けることが今現実的に可能な福島総文の姿だと思います! 技術面での問題等は後回しに、これが私の考える総文の可能性です あくまで個人意見です。指摘等ございましたら是非よろしくお願いします。 以上参考程度にご覧ください。 -- 柳沼(書道部会長 (2011-04-18 05 57 12) ●あたし個人の考えでゎ... 総文を会津で開いたらぃぃと思う。 会津なら原発からも遠いので。 規模は初めより、かなり小さくなってしまうけど、やらないより全然ぃぃと思う! やる前から「無理」じゃなくて、どぉゆう形でも「やる」のが実行委員にとってもぃぃことだと思うし、福島の復興の為にもぃぃことだと思う。 -- ひろみ (総務) (2011-04-18 14 13 48) ●編集担当してます。 コメントの連続投稿での長文を避けるために、コメントの制限文字数を300字に増やしました。 週末にはまとめページつくる予定です。なにか編集について希望があればいってください。 @ひろみちゃん 会津でやるのいいとおもう。来る人も行く人もやる人も納得が行く場所に近いとおもわれます。 -- 季 (2011-04-18 20 56 25) ●私も会津をメインに開催が良いと思います! ほとんど無害ですしね。 後、1つの提案としてyoutubeやニコニコ動画に「ふくしま総文のPR」や「福島の復興応援メッセージ」のようなものを作って投稿してみませんか? 各部門ごとにというのは無理かもしれませんが、地域とか地方同士でなら集まって出来ると思うんです。 動画だってデジカメとパソコンがあれば十分に出来ますし。 それにネットでなら全国の方が見てくれますから、風評被害撲滅にもつながると思います。 まずは簡単な一歩から、という形でどうでしょう? 意見お願いします。-- 東海林(開会式) (2011-04-18 21 58 36) ●会津開催ってどうなの? というのも、開催場所は確保できるのかなあ・・・。 よく分からないけど、ああいうのってかなり前から予定を入れるんじゃないかな。 あと、このサイトってどこまでの人が知ってるの? 推進室の人は知ってるみたい・・・? 各学校の先生は? 一集団だけでどんどん話を進めるのはよくないと個人的に思う。 -- あおい (2011-04-18 23 01 18) ●確かに一集団だけでネットが使える人たちだけで会議していくのもよくないですよね・・・ でも集まれる機会がないですし・・・ 1度、ふくしま総文の開催に関する会議でどこかに集まれるといいんですが・・・ 会津開催についてですが会津だけでキャパが足りるかどうか・・・ 中通りも使っていくべきです 動画投稿サイトに応援メッセージ案は賛成です!総文CHに載せましょう -- 田村(広報デザイン) (2011-04-18 23 20 01) ●だからこそ、始めに県民の皆さんの意見を聞いてみたい。 会津開催の一番の問題点は、宿泊施設がうまっていること。 -- 長 (2011-04-19 06 31 12) ●会津の高校生です。 確かに宿泊施設は埋まってますけどね… 吟詠剣詩舞部門の行われる風雅堂も使用禁止とか。 宮崎まで行って準備したのにできないのは悲しく辛いです。 被災者を想えば大会なんて、という声もありますがあたしは逆に被災された方が見にこられたら嬉しいですね。 -- 瑠花 (2011-04-19 10 39 53) ●やっぱり問題ゎ多いですね... もし総文として開催できなかったら、ふくしま総文の関係者でボランティアをしたらぃぃのかな? 各避難所や被害のある場所でゎ、これから復興に向けてのボランティアが必要になると思います。 開催できなくても福島を想う気持ちゎ無くならないし、出来ることを今するべきなら、ボランティアで活動することがベストなのかな? みなさんゎどぉ思いますか? -- ひろみ (2011-04-19 23 04 39) ●顧問の先生に聞いた話だと、会津にある宿泊所はほとんどガラガラに空いてるらしいです。 被災者の方々はそれぞれプライバシーが守られる場所に移動しているらしいですよ。 -- 堀底(写真) (2011-04-20 07 26 44) ●愛知、長野、福岡の友達にアンケートしてもらいました。 あっちの方だと「会津だから安全!」と言ってもまったく効果は無いそうです;; 福島全体が危ないと思ってる人が結構いるそうです 会津等の安全性の証明を行い、情報の発信が必要なようです; -- 柳沼(書道) (2011-04-20 21 01 58) ●ふくしま総文に参加予定の高校生の母です。 私も「関西の人」さんの意見に同意です。 今は地震にしても原発事故にしても、実測のデータが普通ではない状況を示しています。 関係各所がどんなに「ただちに影響は無い」とは言っても、 それは『安全』を意味しているわけではないはずです。 しかし、この大会は全国から将来の日本の文化を担う高校生たちが一同に集まる大会です。 その場所は絶対に「安全な場所」であるべきです。 今、ふくしま総文に参加予定の全国各地の高校生や保護者、先生方や関係者の方々の中には『参加が怖い』という言葉を言いたくても言えない人達が沢山いるはずです。 主催、運営に関わる方々の正しい判断を祈っています。 -- 九州の南 (2011-04-21 15 02 40) ●昨日、スポ日さんから取材を受けました。実際に話してみると、マスコミの方々も総文を開催できるように頑張っているようでした。 -- 長 (2011-04-21 16 20 23) ●一保護者の意見として聞いていただければ、と思います。 子どもたちは、ふくしま総文が開催されることを信じて、今日も練習に励んでいます。8月に福島に行くつもりでいます。 他県でも、ふくしま総文に向けて前向きにがんばっている高校生もいる、ということを知っていただきたくて・・。 原発や余震の不安もありますが、それも含めて、福島が総文を、総文に参加する高校生や先生方、関係者の方々を受け入れられる状況にあるのか、ということが一番心配です。 正しい情報をえて、検討していただければと思います。 -- 東海の人 (2011-04-21 17 12 23) ●ふくしま総文、ぜひ開催してほしいです!今日の夕刊に、「夏の高校野球福島県大会開催!」とありました。 安全面で心配な事もまだ多いかもしれません。しかし、この総文のために動いてくださっている実行委員さん、そして参加予定の高校生達・・・ ぜひ、この想いと被災地へのエールを総文で伝えましょう。 開催される事を心待ちにしています。もちろん、応援に行きますよォ~! -- 愛知の母Y (2011-04-21 22 59 37) ●あまりここで激論になってもどうかと思うので、原発関連のページができたらまた書きます。とりあえず、コンさんへ レントゲンは病気を発見できるというメリットがあります。病気を発見できない のだったら、誰もレントゲンなんかとらないでしょう。 それに原発問題はニュースで見る限り、解決はおろか今の状況さえよくわかってない状態ですから、8月の福島市が1.9である保証はありませんよね。 それ以下かもしれませんし、それ以上かもしれません。 一つの大きな案は、お隣の新潟県や山形県の助けを借りることです。 ホテルにしても会場にしても地元だけでは厳しい状況にあると思います。 場所はどこであっても福島の人が企画したのなら、それは「ふくしま総文」と言えると思います。それには、大人の人の協力が不可欠だし、リーダーシップをとる人が必要です。実際に総文を開くには、困難は多くあると思います。 それでも応援しています。 -- 関西の人 (2011-04-21 23 09 44) ●議論する気はないのでこれで沈黙します。 福島県には今もたくさんの方が生活しておられます。 3日とかではなく、これからもずっと。 それなのに外の我々が、そこへ行っては危ないと騒ぐというのはどうなのかなと。 もちろん、問題は放射線だけではなく 大会が出来る状況かというと、厳しい部門が多いはずです。 私たちが参加する予定の部門の会場も避難所になっています。 そういった総合的なことから、中止とか縮小とか県外開催とかになってもやむを得ないと思いますけれど、 「福島県に行くと放射線が危ない」という理由で行かせたくないとか、県外でやるべきだとか はおかしいと申し上げているだけなのです。-- コン (2011-04-22 07 33 22) ●放射線量関係での議論がありますが、私はまず、「物理的に可能なのか」を確定させてほしいと思っています。 物理的に、つまり「会場使用」、「宿泊地提供」、そして「移動手段の確保」が可能かどうかを判断していただいた上で、「では放射線量はどうなのか」という議論をすべきです。 例えば演劇の場合、会場の復旧見通しが立っていないと聞いています。 また演劇に参加する高校生と引率教員、応援に来る保護者と学校関係者、大会を見に来る全国のファンのみなさんが宿泊する場所の被災状況は分かりません。 それらの問題が解決して初めて、次の「では放射線量は」になると思うのですが、みなさんどう思われますか? -- 演劇関係者 (2011-04-22 08 25 44) ●私の参加する部門の会場も今は使用禁止だと聞きました。 まずは開催できる状況を作らないといけないですよね。 放射線に関してはあまり知られていないことも多いので難しいですね。。 他県の保護者の方もいらっしゃるようなので一言だけ言わせてください。 心配ならば調べてほしい。 調べもせずに心配だから嫌だ、というのは危険回避の面からしても決して好ましくありません。 福島市で観測される放射線量というのが身体にどれほどの影響を与えるのかをきちんと調べた上で発言して頂きたいです。 それが人間を育てる人としての責務ではないかと思います。 偉そうにすみません。ただ福島県民として、放射線を多少にしろ学んでいる者として言わせて頂きました。 -- 瑠花 (2011-04-22 23 04 04) ●少しだけコメントを。 今,福島県の主要なホールは使用不可の状態,または避難所として機能している状況です。 それにより,文化系の部活の催し(演奏会など)が中止となっている現状があります。自分 たちの催しさえできないのに,総文だけはやってほしいなんて…,という思いもあることは 知っていて欲しいと思います。規模の違いはあるのかもしれませんが,中止という判断は 準備をしてきた者にとってつらいです。でも,すでにそのつらい思いをしている文化系の 団体があり,総文どころではない,という思いが実際にあるという事実を知ってもらいたい と思いコメントしました。 なお現在,県内の大規模ホールである,福島県文化センター,郡山市民文化センター,いわき アリオスがすべて使用できないということを付け加えておきます。 -- 福島県関係者 (2011-04-23 00 25 21) ●こんばんは。 総合文化祭の全体のようすを伝える壁新聞"そうぶんニュース"の編集関係の者です。 たとえ開催できないとしても、そうぶんニュースでは、長い時間をかけて準備してくださった実行委員会を始めとする高校生の想いを発信したいと思っております。 もちろん、例年通りの"そうぶんニュース"の制作を行えることを願っています。 -- そうぶんニュース編集関係(新聞) (2011-04-23 01 11 34) ●福島県内大規模ホールの被災状況、 自分たちの発表すら出来ない各校文化部の現状、 何年も準備してこられた関係の方々のお気持ち、 今も頑張っておられる生徒実行委員のみなさんの想い、 …どれも辛いです。 実施について決断される立場のみなさんにお願いです。 一刻も早く方向性を出してください。 できれば、何らかの形で「ふくしま総文」が実現できるよう、 心からお願いします。 でもそういう立場の人にこのwikiの想いを伝えるには、どうすればよいのでしょう? -- 演劇関係者 (2011-04-23 10 18 30) ●少なくとも、ふくしま総文推進室には伝わっていますよ。 様々な思いを受けて、新たな一歩を踏み出すために、ふくしま総文のかたちを模索中です。 みなさまご意見ありがとうございます。 私個人としては、「完全中止」は避けられるように努力しております。 かといって、被災して毎日の生活が大変な方々の心を、 踏みにじるような事態にはならないようにもしたい。 もう少し、お待ち下さい。-- higessk (2011-04-23 14 33 30) 情報筋によると、ふくしま総文の開催については5月24日(火)までに判断が下るらしい。 もう判断まで1ヶ月きりました。 -- 某県の関係者 (2011-04-26 17 16 20) なまえ コメント