約 419,870 件
https://w.atwiki.jp/suttoko/pages/192.html
【巻数】 2巻 【ページ数】 116ページ 【解説】 妹萌えは「くりいむレモン」の昔からあったが(いや当時萌えって言葉は無かったけど)、現在のような市民権を得た(いや市民権は得てないけど)のは、やはり「シスタープリンセス」の登場以降であろう。 実際に妹がいる方が、妹に萌える可能性は低いが、「妹は妹、妹萌えは妹萌え」と割り切る場合も。でもだいたいにおいては笹原のように妹萌えに反発する。 【コメント】 斑目「血の繋がった妹なんて(ry」
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1574.html
211 名前:妬き妹[sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 13 30.57 ID pGZzCN5o [2/10] 遠く青い空へ、木切れの弾ける焼け音が立ち昇っていた。 冬の訪問を控えた季節、乾季に埃っぽくなった土の上で、枯れた草木に火を灯した庭先。 広げられ、低く燃える炎は代わりに大きく左右に揺れ、 蓄える熱を漏らしては鼻を焙る匂いを振り撒き、気紛れな木爆ぜの音を鼓としている。 盛る赤色は蒼穹の色に逆らうように火勢を得、 見上げれば燻(くゆ)らせたように薄く広がる雲の下、寄る者に程好い暖を供していた。 「ふーっ。ふーーーーーーっ・・・・・・!」 そんな風流な景色の中、幾度も聞こえる吐息の音(ね)。 空の雲から耳の高さに視線を戻せば、 垣根の内に秋を囲った我が家の庭には、腰を曲げた小影が一つ。 背を伸ばしては息を吸い、屈(かが)めてからはふうふうと、 吐息も汗も蒸気させ、先刻から同じ動作の繰り返し。 夏の涼やかさから冬の温もりへと、目的を変えた制服に身を包んだ女子が、 長袖の口の先に吐息を吹き込む筒を握り、 古式ゆかしい風呂釜でも相手取るかの如く、火吹きの番を勤めている。 彼女の手前には、低く盛られた木の葉の上、不揃いな火勢でゆらと揺れては踊る焔。 時折弾ける火の粉の宴に距離を置き、頬を照らされ熱されつつ、 細長の円筒で呼気を吹き込む『妹』の姿は、見ていてなかなか微笑ましい。 事前に掻き集めたらしい枯葉は点(つ)きがよい分だけ燃え尽きも早く、 持続がないため、気付いては後ろ手から、さあ代替と持った紙類を焼(く)べ続けていた。 容易に補充が利かないのは、落ちても枯れても天然資源の故なのか。 帰宅の際に妹の背を庭に見止め、部屋に荷物を置いて来てから、かれこれ数分。 ゆっくりと膨れる熾火に、定期的に呼気を入れては、 「ぃよ、いしょっと」 背後。錆びくすみ、上部を開けられた一斗缶に積んだ紙類を取って放る。 貪欲な火の手は、節約で偶に入る木枝と併せ、人造の燃料も差別しない。 置かれた古新聞や折込チラシ、少し前の雑誌のグラビアや学校のプリント等に触れては端から食み、 印刷や手書き、モノクロとカラーの区別なく黒々と燃やす。 火に浮かぶ、最近めっきり近くなった黄昏時の色彩の中、夜のようにか黒く全てが染まる紙々。 ちりちりと、端から焼けて縮こまっていく。 ふと、その一部が、上へ上へ踊ろうとする火勢の中で、ぽろりと崩れた。 「きゃっ」 ひゅっ、と肌を撫でられる。 乾いた土を踏み、軽快に走り去ってゆく大気。 不意打ちの北風に、焼け焦げた紙片が秋空へ舞った。 肌を抓む寒気が炎を煽ると、揺らめいた丹花は縮こまってから返り咲き、 勢い余った火精が、過ぎた気流の軌跡に乗る。 右手を下に、左手を前に。 咄嗟にスカートの押さえと身を庇うのに両手を振った妹は、短く声を上げ、 硬直と羞恥とを自覚するような間を置いてから、ゆっくりとこちらへ振り返った。 「やっぱり手伝おうか?」 「いいです。兄さんは黙って待っていて下さい」 座っていた縁側から立ち上がって、熱に当たった火照りで緩んでいた表情を、見る間に引き締めた妹へと申し出る。 向き直る動作で流れた黒髪の、長く引かれた幾筋もの隙間から、夕日のように赤色が差した。 スカーフを風で乱された上部に、確りと丈を守った下を組み合わせる学生服。 煤が付かずとも黒い女子用の衣からは対照的に白い手脚が伸び、秋暑も過ぎて長く、 未到の冬にマフラーを控えた首元は、特に真白い素肌を覗かせている。 化粧っ気はあまりなく、塗り足されない頬や眉は薄く細い。 それでいてすっと伸びた鼻梁や顔(かんばせ)の輪郭が造作として類希で、 凛とした眼光を湛えた双眸の下、凡庸な兄としては何時見ても面映ゆいものだった。 212 名前:妬き妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 15 08.41 ID pGZzCN5o [3/10] 遠く青い空へ、木切れの弾ける焼け音が立ち昇っていた。 冬の訪問を控えた季節、乾季に埃っぽくなった土の上で、枯れた草木に火を灯した庭先。 広げられ、低く燃える炎は代わりに大きく左右に揺れ、 蓄える熱を漏らしては鼻を焙る匂いを振り撒き、気紛れな木爆ぜの音を鼓としている。 盛る赤色は蒼穹の色に逆らうように火勢を得、 見上げれば燻(くゆ)らせたように薄く広がる雲の下、寄る者に程好い暖を供していた。 「ふーっ。ふーーーーーーっ・・・・・・!」 そんな風流な景色の中、幾度も聞こえる吐息の音(ね)。 空の雲から耳の高さに視線を戻せば、 垣根の内に秋を囲った我が家の庭には、腰を曲げた小影が一つ。 背を伸ばしては息を吸い、屈(かが)めてからはふうふうと、 吐息も汗も蒸気させ、先刻から同じ動作の繰り返し。 夏の涼やかさから冬の温もりへと、目的を変えた制服に身を包んだ女子が、 長袖の口の先に吐息を吹き込む筒を握り、 古式ゆかしい風呂釜でも相手取るかの如く、火吹きの番を勤めている。 彼女の手前には、低く盛られた木の葉の上、不揃いな火勢でゆらと揺れては踊る焔。 時折弾ける火の粉の宴に距離を置き、頬を照らされ熱されつつ、 細長の円筒で呼気を吹き込む『妹』の姿は、見ていてなかなか微笑ましい。 事前に掻き集めたらしい枯葉は点(つ)きがよい分だけ燃え尽きも早く、 持続がないため、気付いては後ろ手から、さあ代替と持った紙類を焼(く)べ続けていた。 容易に補充が利かないのは、落ちても枯れても天然資源の故なのか。 帰宅の際に妹の背を庭に見止め、部屋に荷物を置いて来てから、かれこれ数分。 ゆっくりと膨れる熾火に、定期的に呼気を入れては、 「ぃよ、いしょっと」 背後。錆びくすみ、上部を開けられた一斗缶に積んだ紙類を取って放る。 貪欲な火の手は、節約で偶に入る木枝と併せ、人造の燃料も差別しない。 置かれた古新聞や折込チラシ、少し前の雑誌のグラビアや学校のプリント等に触れては端から食み、 印刷や手書き、モノクロとカラーの区別なく黒々と燃やす。 火に浮かぶ、最近めっきり近くなった黄昏時の色彩の中、夜のようにか黒く全てが染まる紙々。 ちりちりと、端から焼けて縮こまっていく。 ふと、その一部が、上へ上へ踊ろうとする火勢の中で、ぽろりと崩れた。 「きゃっ」 ひゅっ、と肌を撫でられる。 乾いた土を踏み、軽快に走り去ってゆく大気。 不意打ちの北風に、焼け焦げた紙片が秋空へ舞った。 肌を抓む寒気が炎を煽ると、揺らめいた丹花は縮こまってから返り咲き、 勢い余った火精が、過ぎた気流の軌跡に乗る。 右手を下に、左手を前に。 咄嗟にスカートの押さえと身を庇うのに両手を振った妹は、短く声を上げ、 硬直と羞恥とを自覚するような間を置いてから、ゆっくりとこちらへ振り返った。 「やっぱり手伝おうか?」 「いいです。兄さんは黙って待っていて下さい」 座っていた縁側から立ち上がって、熱に当たった火照りで緩んでいた表情を、見る間に引き締めた妹へと申し出る。 向き直る動作で流れた黒髪の、長く引かれた幾筋もの隙間から、夕日のように赤色が差した。 スカーフを風で乱された上部に、確りと丈を守った下を組み合わせる学生服。 煤が付かずとも黒い女子用の衣からは対照的に白い手脚が伸び、秋暑も過ぎて長く、 未到の冬にマフラーを控えた首元は、特に真白い素肌を覗かせている。 化粧っ気はあまりなく、塗り足されない頬や眉は薄く細い。 それでいてすっと伸びた鼻梁や顔(かんばせ)の輪郭が造作として類希で、 凛とした眼光を湛えた双眸の下、凡庸な兄としては何時見ても面映ゆいものだった。 213 名前:妬き妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 16 35.54 ID pGZzCN5o [4/10] 「・・・・・・冷えますし、出来たら呼びに行きますから。 何なら、兄さんは部屋にいればいいのです」 突き放すような科白(せりふ)は一方で最初に気遣いを置き、 熱を帯びない語調でありながら、寒気にほっこりと温かい。 沈黙に乾燥し始めていた唇が離れ、合わさって潤いを取り戻せば、よく通る声が此方まで届く。 「いいよ。一人だけ温まっているのも悪いし。此処で待つ」 「────────そうですか。わかりました」 ぱちん、と。 遣り取りの間に交えていた視線が、また一つ木切れの弾ける音で離された。 顔を戻した妹が、気を取り直すように持っていた筒を脇に抱え、緩く合わせた両手に吐息を吹く。 紅葉が色褪せ、草花が固くなる土壌に寝始める時節。 肺腑より熱を絞った呼気に擽(くすぐ)られ、悴(かじか)みを解いた指先が、開閉の後に握り込まれた。 「最近はどうですか?」 姿勢を戻し、暫く落とした沈黙の後。 筒をつけた呼吸の合間、火勢を見ながら妹が背で問う。 「ん? 別に、普通だよ。いつも通り平穏無事なスクールライフだ」 応えると、ぱち、と再び木爆ぜが響いた。 「いつも通りって・・・・・・・・・本当にもう。誰のおかげで。 この間も『女の子に呼び出された』って言って、代わりに私に断らせたくせに」 「悪い悪い」 熱を受け、秋芋、ならぬ冬餅のように妹が頬を膨らせて返る。 もっとも、向けられた顔と対称に、その様子は声に真剣味がなく戯れのようで。 僕が頭を下げると、それこそ焼いた餅の萎むように、怒りは空へと抜けていった。 「妹っていう立場で兄の代わりに出てきて、 同性に好意を袖にする言伝を伝えて穏便に済ませるのも、楽ではないんですからね?」 「ごめんって。 その代わり一回毎に買い物に付き合って、荷物を持ったり奢ったりしてるんだからいいじゃないか。 手紙やメールならともかく、向こうから直接呼び出されての告白なんて、 下手に断ったら学校に行き難くなるんだよ」 女心と秋の空。 子女の思考は男子から見て理解に遠く、往々にして荒れ模様。 「女子ってフられたと思ったらこっちの都合も無視して完全に被害者になるし、 周囲が騒いで噂にはなるし、その子と仲のいい子にはずっとちくちく言われるしで大変なんだ。 性別が同じで、向こうにとっては他人のお前が間に入ってくれた方が、相手もやり難くてすんなり行くんだよ」 「それはそれは。私の都合という要素を無視すれば実に素晴らしい対処法ですね。 人が一度手を貸して上手く行ったからって味を占めて・・・・・・・本当にもう、何でそんなにモテるんですか。 『私の』兄さんなのに」 「それはお前」 それこそ妹の兄として、下の子の半分程度は遺伝子の働きに恵まれたからで。 あとは幸運な下地に思春期らしい相応の努力を積めば、 学校────正確には1クラスや1学年────の中でくらいはモテるようになるだろう。 こういう問答の度、妹はもう少し自分の容姿を自覚していいと思う。 その3分の1でも綺麗なら『ちょっとモテる』程度の学生になれる位には、妹は男子の羨望の的なのだから。 214 名前:妬き妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 18 47.20 ID pGZzCN5o [5/10] 「お前が美人だからだからじゃないか」 「え?」 よって、まだ高校1年の頃、ちょっと押しの強い女子のアタックをどうにか断るために妹の手を借りて以来。 文句を言いながらも同じことを手伝ってくれていれば、 『綺麗』『面倒見がいい』『ブラコン』な妹という要素が噂を呼び、その兄であるこちらにも注目が向くことになる。 その上でほんの少し容姿に恵まれていれば、注目が興味に、好奇が好意になり易いのも無理からぬことだ。 責任と自覚のない原因としてそもそもの事態に妹も一役買っているのに、本人だけが気付いてないのは、さてどのような悲喜劇か。 「なんですか藪から棒に。 言っておきますけど誤魔化されませんからね? 事実なんですから。 ────────嬉しいですけど」 「『お前の兄』なのに、もとい、お前の兄だからというのも本当にただの事実だけどね」 「・・・・・・兄さんの言うことは、たまによく分かりません」 すっとして綺麗な妹の眉が緩み、かと思うと溜息と共に寄せられる。 近付いた双眉の間を人差し指で押しながら、 その下の唇からは、甘く噛んだ後の秋思が空へと零れた。 お互いに、どこか噛み合わない気鬱を吐いて風に流す。 「構いませんけれど。 兄さんが心に決めた相手以外と付き合う人でもないのは知っていますし、 あくまでその相手が出来た時のためにモテる努力とやらをしてるのも、 結果、それで意に沿わない相手を招いているのも分かりますから。 ────────チャラいですし、死ねばいいと思いますけど。相手」 「相手の方なのかよ」 「兄の不幸を願うほど、不出来な妹ではありません」 心外、と尖らせた唇が向けられた。 本人は肩を怒らせるようにして、その実、少し胸を張るように伸ばしただけの背から兄を見詰める。 これでも年下の家族に拗ねるような反応を見せられ、 おかげで慌てて取り繕うとするよりも、むしろ緊張を削がれてしまった。 「そうだね。・・・・・・知ってる」 「なら問題ありませんね。 私としては働きの分、相応に私と付き合ってくれればいいので。 文句はありますけれど」 間に、一度だけくすりと笑いを入れた頷きを見せると、 何とか心中で研いでいただろう牙を引っ込め、背を向けてくれる妹。 くるりと、回された体に従って後ろ髪が引かれ、向こうに見える火の赤色を切って咲かせた。 辺りにはしんとして乾いた、だが冷たくはない沈黙が戻り、 たまに木の枝を入れられて弾ける炎が、適度な音と緊張を混ぜる。 ゆるゆると燃える火炎と、熱くも冷たくも、重くも軽くもない庭先の空気。 火を見る作業に戻った妹の背には会話を打ち切った風はなく、 声をかければ応えてはくれるだろうが、とは言え邪魔になるのも躊躇われる。 なので会話の始まる前に戻った雰囲気に身を任せ、しばらく、静かに見守るとした。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 燃え続ける炎も秋空の下、昼の太陽を上に置いては放つ熱も光も及ばず、 周囲にいささかの匂いと風流を香らすに過ぎない。 また妹も火勢の調節に息を吹いたりする以外にはぴたりとして動じず、向けられた背は沈黙していた。 あるいは今が黄昏時なら佇む後姿も映えて、何かの色を浮かべただろうか。 映えるのは、あくまでより一層、という意味だが。 215 名前:妬き妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 20 15.48 ID pGZzCN5o [6/10] 「────────」 そんな思考の雲を空に投げては流しながら、すっかり体温の移った縁側で腰を据え直す。 ついでに軽く伸びなどをしつつ座りっぱなしの体をほぐしにかかると、途端にバサバサという音が耳目を引いた。 「?」 見れば火に焼(く)べる紙類などを入れていた缶を逆さにした妹が、その最後の燃料を火中へと投じたところ。 宙より舞い落ちた紙片の群が炎に被さり、端から朱に交わって食(は)まれていく。 赤く火が点き、次々に黒く燃え尽きていく、白を含んだ紙切れたち。 何気なく三色の変遷を見詰めていると、程なく全体の色は黒へと裏返り、炎の中に取り込まれていった。 「ん・・・・・・?」 ふと。 見詰めていた燃焼が終わってから、そこに見覚えのある何かがあった気がして首を捻る。 特に意識せず手繰った記憶と巻き戻した映像からは、先程の燃える炎の中に、幾つかの封筒の存在が認められた。 よく郵便で使う縦長の封筒、ではない。 きっちりした厚さでかつ折り目正しく、まるで大事な、 それこそネット全盛期の現代で時代錯誤の恋文でも入れるかのような、横向きの真白い長方形。 裏面の中央を書き手の趣味を思わせる可愛らしいシールで留められた、俗に言うラブレターが数枚。 そんな、今しがた焼かれた物の中身が実際に見覚えのある物であること、そして見覚えがある理由に気付いて、意識より先に腰が浮く。 「ちょっと待った」 「はい?」 呼ばれ、何事もなかったのように振り返る妹。 つかつかと歩み寄ってその顔を見下ろしても、浮かんでいる表情は常と同じで、 高温や低温といった「熱」のない、強いて言えば静かなものだった。 ただ、気のせいでなければその手が枯葉と同じ扱いで火の中に撒いたのは、 紛れもない他人の────差出人も受取人も────想いを綴った一葉たちである。 名義としては、己の兄へと宛てられた。 「今、何か大変なものを燃やさなかったかい?」 「・・・・・・・? ああ。 それはもしや、兄さんの部屋で机の引き出しの肥やしになっていた、あの恋文たちのことですか?」 真剣な問いかけに対し、思い出す間を置くように傾げられた妹の首は、 元の位置に戻ってからあっさりと縦に振られた。 「つまらないものですが。肥やしではなく薪(たきぎ)としては役立ちましたね」 「分かってて燃やしたのか・・・・・・・」 贈答の社交辞令より温度の無い常套句に、思わず天を仰ぐ。 顔に当てた手、指の間から見上げた空の青さが、かえって憂鬱を掻き立ててくれた。 「勿論。この際ですから、家にある余分なものは有効に利用したいと思いまして」 「兄の私物だぞ? それもわざわざ取って置いた。 勝手に部屋に入るのはまだしも、捨てていいものじゃないのは見て分かるだろう」 216 名前:妬き妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 21 37.33 ID pGZzCN5o [7/10] 一応の話。 先ほどの遣り取りからして、これでも恋愛事において、自分が酷い人間だという自覚はある。 妹に断らせていることは別にしても、 好意を持ってくれている相手────それも複数────を袖にしてきたのは、 冷血と言われたりからかわれるくらいは仕方がないし、 女と付き合うためではなく、 好きな人ができた時のためにモテる努力をしている、というのが若干歪なのも分かる。 それだけに、今時に手間をかけてわざわざ手紙という形で伝えられた物に関しては、 断るにせよ、せめてゴミのように捨てることはしたくなくて持っていたのに。 「兄さんにはいつまでもあんなものを持って、振った女に未練を抱かれていては困りますから」 しかし。 そもそも兄妹とはいえ他人の部屋に入って私物を漁り、 ましてやそれを燃やすなんて許されないとおそらくは分かった上でなお、妹に悪びれる様子はなかった。 「それで知らずに兄さんが気を見せて、まだ勝機があると勘違いした相手が告白、 また私が断りに行くなんてことは御免ですよ?」 「いや、けどね」 兄の不始末を押し付けられてきた妹がそう言いたくなるのは理解できる。 その都度報酬は払っているにしても、心情的にしこりは残るだろう。 が、それにしたってやり過ぎなのは問題ではないのか。 「言って兄さんの気持ちが変わるなら私としても言葉で済ませます。 ・・・・・・こういったことは言われてどうにかなることではありませんから。 仮に私が捨てろと言ったところで、兄さんはそうしてくれなかったでしょう?」 「それは、そうだろうけど」 「────────」 不意に。 渋るような、納得しきれない反応に、妹が沈黙した。 どうしたのかと見詰めると、さも何でもないという風に笑顔で返され、妹は火の方に向き直る。 「妬けますね。本当に。ふふっ」 そう、無意識にか聞こえるようにか呟いて、すたすたと歩くと玄関の方へと消えた。 かと思うとこちらが困惑している間にバケツと、 何やら棒のような物を携えて戻り、いまだ燃え続けている炎へと歩む。 「それでは、少し下がっていて下さいね」 指示を一つ兄の身に置くと、いくらか重そうにバケツを置き、 火かき棒らしき物体を火中に突きいれ、探るように掻き回し始めた。 右に左にと手に合わせて妹の体が軽く揺れ、先端を幾筋かに分けた黒髪が振られて踊る。 不躾な手入れと流れ混んだ空気に朱の華炎がぱっと種子を散らすと、束の間、その長髪に彩を添えた。 「ん」 やがて赤い燃焼の中より数個ほどの塊が弾き出されると、妹が身を引く。 かと思うと火勢を避けて脇へ進み、表面が真っ黒になった何かしらの包みらしきものを、慎重に横へ横へとずらして行った。 程なく十分な距離に達したのか、代物を棒で転がすのを止めて顔を上げると。 「もういいですよ。兄さん、水をお願いします」 と言って、先ほど自分が置いたバケツを指差した。 217 名前:妬き妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 23 33.47 ID pGZzCN5o [8/10] 中にはなみなみと水道水らしき透明な液体が蓄えられており、とすれば用途は言うに及ばない。 最後くらいは手伝った方が、相伴に与るにも気が咎めないだろうという配慮か。 言われるがままにバケツを傾けて中身を引っ掛けると、 降りかかる一杯の水は瞬く間に消火の用をなし、熱を発していた炎が消え、ぶすぶすとした音と、細い白煙だけが辺りに残った。 その名残までしっかり消えたのを確認すると、何時の間にやら件の物体を縁側に置かれていた盆に載せ、妹がゆっくりと歩んでくる。 「はい、どうぞ。よく焼けています」 盆の上には、既に一つ、包みの解かれたモノが黄金の身を露にしていた。 覆っていた新聞紙は炭化した表層が崩れ、含まされていた水分を残した内側が覗き、 更に巻かれていたアルミホイルの先には黒ずんだ紫色の皮と、それを割った真ん中から出てくる美しい黄色が、凹凸のある断面を見せながら湯気を噴いている。 知らず喉が鳴ったのに、気付くまで一呼吸を置いて。 「美味しそうだね」 「はい」 先ずは素直な感想を述べた。 帰宅してみれば庭先で不審に火を焚き、無表情で何かを焼(く)べている妹にどうしたのかと聞いて、 『焼き芋』、などと返ってきた時にはそれこそどうかしたのかと思ったが。 ゴミを燃やすのにも何かと煩い条例の多い昨今、こうして間近に見て、初めてそれでも、と余人に思わせる誘惑の程が分かる。 この芋のために妹に焼かれた物には思うところがないでもないが、 一時忘れてこちらを優先したくなる程度には、農耕民族たる日本人に、芋の魅力は眩しかった。 ほくほくと香を上げるサツマイモを、盆ごとずいと鼻先に突き出されて、つい手に取る。 「あちちっ」 熱い、と言うのもお約束。 冬も控えた秋空の下で指先から伝わる温もりは、その甘さと並んで季節の味わいだった。 「食べましょうか」 「・・・・・・うん」 芋に目を奪われて手にした以上、最早先程のことを蒸し返せる雰囲気でもなく。 してやられたか、などと思いつつもアルミの包みを握り、 持ち手を入れ替えながら少しずつ熱に慣らして冷まし、妹と2人、縁側に並んで腰掛けた。 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 不意の秋風が、2人の間の沈黙をくすぐって立ち去り。 ガサガサと、空に向け、綺麗に包みを剥く音を兄妹で奏でる。 それから、ほう、と取り上げた秋の味覚を前に、息を吐く間があって。 顔を見合わせてから、同時にほお張った。 「「────────」」 ふっくらと柔らかな芋の食感が、舌を押しながら口一杯に広がって行く。 言葉もなく、また一度に含んだ大きさに息が詰まり、冷め切らない熱さと相まって浅く喘いだ。 口に替わって呼気を抜く鼻からは喉を伝った甘い香が温かに通り去り、 美味しさに肯きながらようやっと噛み締めた実が崩れると、途端に芳醇な味と匂いとが更に鼻口へ伝播する。 甘く、美味く、そして何処となく優しい、西洋の甘さとは違う日本の味わい。 濡れ新聞を用いて蒸すように熱された実はしっとりとして口当たりがよく、 噛めば抵抗なく歯が通り、舌を触れさせれば溶けるように形を変えて喉に進む。 咀嚼を終えても、今度はごくりと音を立てて飲み込まれては腹の中、胃から上へとゆっくりじっくり、熱を上げて温めてくれる。 「んっ、ほふ・・・・・・はふはふ」 可愛らしく吐息を上げる妹を隣に、無言で堪能する。 脳裏に浮かぶのは、よく言われる黄金の稲穂の群ともまた違う、土臭い畑の幻風景。 収穫物として成った物が熱せられて甘さを帯び、土の中で精一杯に育った皮の中身が隙間なく美味しさを詰めている。 218 名前:妬き妹 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/09/02(日) 21 25 29.87 ID pGZzCN5o [9/10] 「お茶を用意しておくべきでしたね」 と、横合いから感想の声。 ここで水や他の飲料物を挙げないのが、妹の渋さであり味でもあった。 「そうだね」 ジャガイモでも何でも、芋の類はとかく口内を渇かす。 食べ始めはまだしも、一つ二つと片付けていけば何かしら飲みたくなるだろう。 それが緑茶であれば一層甘さが引き立ち、 今よりもなお美味しくいただけることには肯くが、既に言っても仕方がない。 おまけに、そう零す妹の方にも飲み物の準備に立つ気配は感じられず、2人、 しばらくは食い気を優先するのに不満はなかった。 「ふふ。美味しいですか? 兄さん」 「ああ。 ありがとう。お芋も、すっかり美味しい季節だね」 焼き芋自体は本来冬の風物詩であり季語らしいのだが、お芋なんて秋にも冬にも美味しいし、 普通に秋の味覚っぽかったり、 場所によって『いーしやぁーきいもー』の声を晩秋に聞いて違和感を覚えないのは、 日本人特有の情熱的な魔改造もとい品種改良や技術開発のためか。 「・・・・・・これから冷えるなぁ」 理由は定かではないけれど、それにしても春や夏に芋を焼いても風情がなく、寒さこそが情感を生むのもまた自然だ。 お芋の美味さは季節の寒さ。 デンプンをブドウ糖に変える傍ら、焚き火の色と熱が伝える温もりこそが、また焼き芋の味わいだろう。 ならばお芋の美味しくなる程に寒さも増して行くのが道理で、ついこれからの季節に思いを馳せる。 「寒い中で食べるから乙なんだけど」 「そうですね。寒くなった頃が、お芋の食べ頃です」 適当な言葉を続けてから焼き芋の続きを押し込むと、独り言と聞いていた妹が手を止め、 頬を膨らまさぬように少しずつ噛んでいたのを飲み込んでから、兄の意見に追従した。 「────ええ。本当に」 何故か、意味と感慨も深く肯く。 「最近はすっかり冷え込んでしまって。 私の16歳の誕生日・・・・・・・・・12月も近いですし」 落ちた視線は戻るやいなや日を眺め、やがて兄へと据えられる。 「そのうちに、また焼くくらいしかないような、余分なゴミを集めて。 焼いて。 焼いて、焼いて、燃やして燃やして燃やし尽くして・・・・・・兄さんと暖を取りながら・・・・・・」 途中、言葉を切って閉ざした双眸は、開かれると陽光に光り。 ほんの一瞬、反射の中で言い知れぬ感情を瞳に焼(く)べて。 「ええ、本当に。いい加減に」 薄く薄く。 側に寄った妹が、笑った。 「お妹(いも)も────────食べ頃ですよね、兄さん?」
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/3200.html
妹とは、本人から見て二親等に当たる年下の女性のことである。 ①本人から見て二親等に当たる年下の女性のこと。これは法律上での話であって、実際には以下のようなパターンが考えられる。 ・親が同じで家族も同じくする関係 ・親が違うが家族を同じくする関係(親の再婚相手の連れ子など) ・親も家族も違うが法律上の二親等の関係(結婚相手の兄弟姉妹。妹なら「義妹」という) ②本人から見て、法律上は妹とは言えないが、血の繋がりで妹に当たる女性。以下のパターンが考えられる。 ・他の家の養子などになって、戸籍上は無関係になっている関係 ・離婚して家を出た親が再婚した相手と作った子供 ・親が不倫などをして作った子供 ③法律上も血縁上も関係はなく、本来の妹に当たる存在ではないが、擬似的な兄妹関係にある存在。 概要 少年が主人公になることが多いガンダムシリーズでは、戦う力を持たない妹は、主人公にとって守るべき存在として戦う理由の一つとなっている。主人公にとって最も近い存在。 しかし、原作の兄弟関係が基本的にリセットされている兄弟スレでは、最も縁の遠い存在。ジュドーの妹のリィナ・アーシタも、シーブックの妹のリィズ・アノーも、シンの妹のマユ・アスカも、シュウトの妹のナナも、アセムの妹のユノア・アスノも、ガンダム兄弟一家には加えられず、登場する機会は限定的。 (ただし、番外編的に原作の兄弟関係もそのままのエピソードが作られる例もある) そして逆に、原作では一人っ子だったアムロが妹を持つというねじれが生じている。 兄弟一家以外のキャラクターについては、兄弟関係がいじられていることはないはず。 たまにどう見ても「妹」の方が身も心も年上に見えるパターンもあるが、気にしてはいけない。 関連項目 (原作での主人公の「妹」) リィナ・アーシタ リィズ・アノー マユ・アスカ ナナ ユノア・アスノ (ガンダム兄弟一家での「妹」) セレーネ・マクグリフ・ガンダム (ガンダム兄弟一家以外の「妹」) 略 バーニィのミンチ仲間のマユ・アスカ(原作でシンの妹)を忘れてるぞ -- (名無しさん) 2014-03-30 17 33 11 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/kamesiba_sisters/pages/34.html
誰かの日記 用語解説 妹 妹 曖昧さ回避 同じ親を持つ複数の子供のうち、年下の女性のこと 迷宮キングダムのワー妹 elonaに登場する妹 ここでは2と3について扱う。 ワー妹 迷宮キングダムに登場する、異形のモンスター。 異形モンスターは、この世界で生まれた存在でないとも言われている。(新迷宮ブックp.56より) 可愛らしい妹に変化することができ、その際にお兄ちゃん(お姉ちゃん)として選ばれたキャラクターは、ワー妹を庇わさせられることになる。 しかしこの妹変化、もっとも恐ろしいのは効果時間に制限がないことである。 一度お兄ちゃんorお姉ちゃん認定されてしまえば、効果範囲にワー妹がいる限り有無を言わさず才覚判定に持ち込まれる。 そんな特殊能力に目が行きがちだが、素のステータスも高い。素の打力でも2D6ある、紛れもなく強力なモンスター。 どう考えても《人類の敵》のような生物だが、普通に話が通じる=国民に勧誘もできる。 迷キンの奇妙なモンスターの中でも、かなり特徴的なモンスターである。 余談だが、GM向けに「シリアスな雰囲気を壊す可能性があるため注意」と書いてあった。 GMからすれば、逆にこのモンスターを出した瞬間に、シリアスな空気になった気がするのだが。 公式が言うのならば気のせいなのであろう。 妹(elona) フリーゲーム「elona」に登場する、少女型のキャラクター、または種族。 濃いめの緑の髪と、真っ赤なワンピースの対象的な色合いが目につく少女たちを指す言葉である。 多くの場合、片手もしくは両手に握った包丁から、ワンピースとは違う真っ赤な液体を滴らせている姿で描かれる。 また、妹でありながら年上であったり、エイリアンから生まれたり、畑から生まれたり木に生ってたりする。 このように外見の可愛らしさとは別次元な特徴があり、この妹に関わるとリアルであっても本当に正気度が下がる。 その特徴から目を背けさえできれば可愛らしい妹である。 逆に、その特徴を愛してしまうと、もはや可愛すぎる生物である。 そんなキャラクターが、kamesibaの卓には大量に登場する。 前作《誰かの日記》で日記と並んでのキーとなる種族であり、本作にも少々ながら絡んでくるようだ。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/464.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1301391825/409-419 「では、講習を始めるぞ!」 そのかけ声に、クラス全員の目が担任に集まった。 我が校にAEDが配備されたのでそれの使い方を教育するんだと。 AEDってのは、心臓の動きがおかしくなった人に電気ショックを与えて 救命措置をするアレだ。 それと併せて、人工呼吸とか骨折とかの応急措置の講習もある。 ま、確かに勉強しておけば誰かを助けることが出来るかも知れねえし、 俺自身が助けられるかも知れない。 もっとも、こういうモノが役に立つシチュエーションなど有って欲しくないが。 ところでAEDってのは、電気ショックが必要かどうかを機械の方で診断して ほぼ自動で動くらしい。健康な人に電気ショックを与えることは無いそうだ。 よくできているモンだぜ。 人工呼吸の方は、人形の口にキスをして空気を吹き込む、よくあるパターン。 おっと、俺の順番が来たようだ。 「顎を上げて、鼻を塞いで、息を吹く込むように」 インストラクターの指示に従い、人形の鼻を塞ぎ、口にキスをして息を吹き込むと 人形の胸がわずかに膨らんだ。どうやら上手くできたらしい。 その時、嫌な感じの視線を感じた。 視線の主を捜すと、髪の赤い巨乳の眼鏡女がドアの窓越しに俺を見ていた。 「うへへへ」と笑っているように見えたのは気のせいじゃあるまい。 それもこれも、この人工呼吸人形が男っぽく見えるせいだ。 リリエント工業さん、新しいビジネスチャンスだと思いますよ! そして最後に、骨折時の副え木のやり方をして、講習は終わった。 せっかく受講したのだから、やってみたい気がする。 おっと、それは不謹慎だよな! 「今日はお風呂の時間の頃に停電があるらしいわよ」 家に帰り、四人揃って晩飯を食っていると、お袋からの言葉。 へいへい、気をつけますよ、などとお袋の言葉を軽く流し気味に、 俺は停電までの時間を勉強に費やすことにした。 『桐乃~、お風呂に入りなさい』 『は~い』 桐乃のヤツ、風呂に入るのか。じゃあ俺はその後だな。 この時間だと‥‥‥俺は停電の中、風呂に入ることになるな。 暫く机に向かっていると、 フッ――― あ、消えた。ほぼ時間通り。しゃあねえ。勉強は止めだ! 俺はベッドに身を投げ、目を閉じた。 ‥‥‥‥‥‥ どれだけ時間が経っただろう。携帯を見ると停電からほぼ1時間が経過。 さて、俺も風呂に入りますか。 真っ暗の中、辿り着いた脱衣所で服を脱ぎ、浴室のドアを開けて中を覗く。 やはり真っ暗。 窓から月明かりくらい入ると思ったが、生憎月の位置が悪いようだ。 ドアを閉めて手探りで浴槽の位置を確認すると‥‥‥ん? 湯船のフタが開いているぞ。桐乃のヤツ‥‥‥閉めとけよ。 俺は体を軽く流し、湯船に浸かろうと片足を入れた。 俺は自分に問うたね。「やあ、地雷を踏んだ気分はどうだい?」って。 「ちょ!」 何かが足に触れたぞ? なんだこれ? そして今の音、いや、声は? ま、まさか‥‥‥ 「ちょっと、アンタ! ナニやってんよ!?」 「桐乃!? オマエ、風呂に入っていたのか?」 「入っているわよ! 何で気づかないのよ?」 「真っ暗だからだよ! オマエこそ何で気づかないんだよ?」 「アンタ! アタシが音楽に夢中になっていると思って‥‥‥!!」 げ、コイツ、プレーヤーで音楽聞きながら風呂に浸かっていたのかよ。 最近、防水のヤツを買ったと言っていたが、ヘッドホンで気づかなかったのか!? 「変態! シスコン!! 強姦魔!!!」 恒例の罵倒三連コンボを食らった俺は暗闇の中、必死にドアを開けようとした。 開かない‥‥‥ ウソみたいだろ? この非常時にドアが開かないんだぜ? エロゲみたいだろ? 「は、ははは、ドア、開かねえ」 「ハァ~~~~? ナニ笑ってんのよ?」 真っ暗のハズなのに、桐乃の突き刺さるような視線を感じた。とても痛い。 「あ、あのさ、説明させてくれ!」 「こっち見んな! 変態!!」 「いや、真っ暗でマジ見えねえんだけど。オマエだってわかるだろ!?」 「‥‥‥ま、まさか、アンタ、裸なワケ?」 「当たり前だろ! 風呂なんだからな」 ザバン 何やら水の音がした。 「桐乃?」 「イヤッ! 見んなっつってんでしょ!!」 オイ、『イヤッ!』だとよ。あり得ねえ。コイツがこんな台詞を吐くとは。 何度も言うが、マジ見えないんですけどねえ? つーか、裸だからちょっと寒い。 「オイ、俺も湯船に浸からせろよ」 「ハァ? ナニ言ってんの? 一緒に風呂に入りたいなんて、このシスコン!」 「シスコンじゃねえ! 普通に寒いんだよ!」 俺が桐乃の反論を無視して湯船に浸かると、お湯が湯船から溢れ出た。 「ちょっと、お湯勿体ないじゃん! アンタ立ってなさいよ!」 「‥‥‥勃ってねえよ」 「だから立ちなさいよ!」 「オマエ、エロゲのやり過ぎ」 「は‥‥‥‥‥‥?」 「あ、そういう意味じゃないのか?」 「ブッ殺す! ブッ殺す!! ブッ殺す!!!」 ガボッ この暗闇の中、桐乃は両手で俺の頭を掴み、湯船に沈めた。 「ねえ、アンタ知ってる? お風呂での事故って多いらしいよ?」 何やら物騒な言葉を吐く桐乃の声は、死神のそれにしか聞こえなかった。 「き、きびの、グボゥ やめで‥‥‥くでっ! ガボッ」 ‥‥‥‥‥‥ 「仕方ないわね。我慢してあげる」 俺の必死の抵抗が功を奏したのかは知らないが、桐乃様のお怒りは鎮まり、 何とか落ち着きを取り戻したようだ。マジ、死ぬかと思ったぜ。 「その代わり触ったりしたらマジ殺す!」 「触るかよ!」 「アタシ、向こう向いているかんね! アンタはあっち向いてなさいよね」 というわけで、俺たちは背中合わせに湯船に浸かった状態となった。 当然、気まずい。 ふたりきりで密室にいること自体、慣れてないのに、今はお互い素っ裸なんだぞ。 ドアは開かねえし、どうすりゃいいんだよ? 「‥‥‥‥‥‥」 桐乃がすっかり無口になった。まあ当然か、と思ったら、 「なんか熱い。水入れるよ」 「そんな熱くないだろ? 停電で追い焚きできねーんだぞ!?」 「うっさい! 熱いんだから仕方ないじゃん!」 「やめろコラ!」 どん 俺は桐乃ともつれ合った。 桐乃を壁に押しつけ、桐乃の体温を感じるほどに密着した体勢に。 「なっ、な、な‥‥‥!」 「違う! コレは事故―――」 「離れてよ! あっち行け!」 これ以上暗闇で暴れられたら危なくて仕方ない。大人しくするか。 黒い静寂がふたりの空間を支配していた。 桐乃のヤツもすっかり大人しくなったようだ。 でも、静か過ぎるな‥‥‥? 「オイ、桐乃」 「‥‥‥‥‥‥」 「桐乃? どうした?」 俺は振り返ると手探りで桐乃を探した。 お湯に顔を浸けたままの桐乃の存在に気づくのに時間はかからなかった。 「桐乃! 大丈夫か!? 桐乃!!」 返事がない。そして何よりも息をしていない。 ―――『ねえ、アンタ知ってる? お風呂での事故って多いらしいよ?』 さっきの桐乃の言葉が頭の中を駆け巡る。 冗談じゃねえ! こんなことで桐乃を! 桐乃を! ―――『顎を上げて、鼻を塞いで、息を吹く込むように』 昼間のインストラクターの言葉が浮かんできた。躊躇している時間など無い。 俺は講習の通りに桐乃にキス、いや人工呼吸を施した。 1回、2回、3回、クソッ! 戻れ! 戻ってきてくれ! 俺がガサツなばっかりに、妹をこんな目に合わせるなんて。畜生! 7回、8回、9回‥‥‥ 「グゥッ ボフォ ゲホッ! ゲホッ!」 桐乃が水を吐いたようだ。戻ったか!? 桐乃!! ‥‥‥‥‥‥ 「桐乃! 桐乃! しっかりしろ!!」 「あ、兄貴‥‥‥? アタシ‥‥‥どうしたの?」 「上せて、溺れかけたんだよ!」 「溺れ‥‥‥? マジ?」 「悪かった! 俺のせいで‥‥‥済まん!」 俺は桐乃を抱きしめると、桐乃も俺の背中に腕を回してきた。 そのままの体勢でどれだけの時間が経っただろう。 桐乃の躯がいきなり熱くなった。 「ちょ、アンタ、一体、ナニを‥‥‥してんのよ!?」 みんな覚えておけよ。これが、ヴェローナの毒気の解けた瞬間だ。 冷静に考えると、俺は素っ裸で、同じく素っ裸の妹と抱き合っていたワケよ。 事情はどうあれ、どう考えてもエロゲもしくは鬼畜変態兄貴です。うん。 「アタシが溺れたことをいいことに、キス‥‥‥して、抱きしめて‥‥‥!!」 「落ち着け、桐乃!」 「他にナニしたの? まさか、アタシを‥‥アタシに‥‥アタシの‥‥!」 「オマエ、すげーエッチなことを想像しているだろ?」 「うっさい! 無理矢理キスしたくせに!」 「キスじゃねえ! 人工呼吸だ!」 ぱぁ――――ん 「ブッ!」 桐乃のビンタが正確に俺の頬を捉えた。 なんでコイツは暗闇の中、正確に俺を殴れるんだよ? ‥‥‥‥‥‥ 俺は頬に鈍痛を感じながら、完全復活した桐乃様の説教を拝聴していた。 「アンタがアタシにキスした事実は消えないから グスッ」 「オマエ、泣いてんのか?」 「泣いてない!」 「悪かった。済まなかった」 「そんなの、アタシが許さない」 「オマエの好きな相手との?‥‥‥キスじゃなくて悪かったよ」 「違う!! 問題なのは―――」 「え?」 「アンタがキスしたことじゃなくて、アタシがワケわかんない間にキスを‥‥!」 「え? 何だって?」 「何でもない‥‥‥」 何だよ。言いかけたことを引っ込めるなよ。気持ち悪いじゃねーか。 「でも‥‥‥ありがとね。助けてくれて」 「うん? あ、ああ」 暗闇の中でもコイツの口調から感謝の“表情”を読み取れた。 「でも、久しぶりだよね? こんな風に‥‥‥ふたりで‥‥‥入るなんてさ」 「そうだな。いつ以来だろ?」 「う~ん、小学校1年の時にはもう入らなくなったカモ」 「随分、入ってなかったんだな」 さっきは背中合わせで顔も合わせてなかったのに、今この瞬間は向き合って 普通に話している。真っ暗とはいえ、俺たち裸なのにな。異常だぜ。 「ねえ‥‥‥窓、開けてみる?」 「何言ってんだオマエ? 外から見えちまうだろ」 「そっか。じゃ、ブラインドだけ」 シャッ 「ここからじゃ、月、見えないんだね」 「オマエ、それでも月明かり入るんだぞ。その‥‥‥み、見えるぞ?」 「あんまよく見えないじゃん」 そんなことはない。 どこかで反射した月明かりが、ガラス越しにわずかに射し込む。 表情は伺えないが、ブラインドを開けるために立ち上がった桐乃の躯が わずかな月明かりに照らされて‥‥‥ ヤバい。 「星がきれい‥‥‥」 「‥‥‥あ、ああ。キレイ‥‥‥だな」 窓の外側にあるものではなく、窓の内側にあるものを見た感想だ。 マジ、ヤバい。 「もう閉めるぞ!」 「ちょ、何すんのよ?」 俺は無理矢理ブラインドを閉めた。目の毒だ。 再び真っ暗になった浴室の中、俺は短い静寂を破った。 「悪かったな、桐乃」 「ううん、いいの。ありがと、兄貴」 随分久しぶりとなった、ふたりでの風呂イベントで起こったことを思い返し、 俺たちが向き合って囁いていると、 パッ 停電が終わった。『ああよかった』と安堵したのもほんのつかの間。 「きゃあああああああああああああああああああ―――ッ!!!」 「ぬああああああああああああああああああああ―――ッ!!!」 ふたりで一緒に風呂に入っているという現実に戻された俺たち。 「出てけッ! 出てけッ!! 出てけッ―――!!!」 桐乃が烈火の如く喚き散らし、俺は這々の体でドアを開けて出て行った‥‥‥ ん? ドアは壊れていたんじゃないのかって? それが違うんだな。 暗闇の中で、しかも桐乃と鉢合わせしたせいで前後不覚になり、 浴室に向かって内開きのドアを必死に押していたんだよ、あの時の俺は。 いずれにしろ、このままでは俺は ”妹と風呂に入りたいがために、ドアが壊れたフリをした変態鬼畜兄貴” のポジション確定だ。俺は自分の部屋に戻って服を着て出かける用意をした。 外に逃げて少し時間をつぶせば何とかなるだろう。 よし、着替え完了! 俺はドアを開けて階段に駆け下りようとした‥‥‥が、 はははは、やっぱり手遅れだった。 「やあ、桐乃! 濡れた髪が色っぽくて素敵だ! とても可愛い!」 取り繕い丸出しの俺の甘言に無反応のまま、服を着た桐乃が階段を昇ってくる。 俺が踵を返して部屋に逃げ込もうとすると、桐乃が俺の服を掴んでこう言った。 「ねえ、アンタ知ってる? 階段での事故って多いらしいよ?」 『月と星と妹』 【了】
https://w.atwiki.jp/medleybattle/pages/18.html
進化直後のキャラクターの初期能力値は、 +…無進化の1.2倍 ++…無進化の1.5倍 +++…無進化の2.0倍、レアリティ1段階上昇 といった感じで計算できるため割愛します。 部員名 レアリティ 攻 守 コスト 1コスト攻 1コスト守 特技 効果 備考 ユイ ノーマル 220 180 2 110 90 アミナ ノーマル 360 440 4 90 110 カオリ ノーマル 600 600 6 100 100 ミサキ ノーマル 880 720 8 110 90 ナナミ ノーマル 900 1100 10 90 110 ノゾミ ノーマル 1200 1200 12 100 100 サトコ レア 1125 1375 10 112.5 137.5 プチバックアップ 味方妹タイプの攻撃力+10% サヤ レア 1500 1500 12 125 125 ミニバックアップ 味方妹タイプの守備力+10% ユウキ レア 1925 1575 14 137.5 112.5 プチバックダウン 敵妹タイプの攻撃力-10% ヒカリ レア 1800 2200 16 112.5 137.5 ミニバックダウン 敵妹タイプの守備力-10% アユミ レア 2250 2250 18 125 125 プチストロークダウン 敵優等生タイプの攻撃力-10% ミノリ Hレア 2800 2800 20 140 140 バックアップ 味方妹タイプの攻撃力+15% ユウコ Hレア 3450 2550 20 172.5 127.5 オールアップ 味方全員の攻撃力+10% *0 ミユキ レア 1012 1237 10 101.2 123.7 ミニバックアップ 味方妹タイプの守備力+10% モミジ レア 1265 1265 12 105.4 105.4 ミニストロークアップ 味方優等生タイプの守備力+10% ナツキ レア 1732 1418 14 123.7 101.2 プチバックアップ 味方妹タイプの攻撃力+10% ユメ レア 1417 1281 12 118.08 106.75 *1 ユイ【黒】 ノーマル 568 692 6 94.66 115.33 *1 アミナ【黒】 ノーマル 924 756 8 115.5 94.5 *1 アヤコ ノーマル 1430 1170 13 110 90 チカ レア 2612 2138 19 137.4 112.5 プチバックアップ 味方妹タイプの攻撃力+10% ミキ レア 1732 1418 14 123.71 101.28 プチバックダウン 敵妹タイプの攻撃力-10% *2 サオリ ノーマル 968 1232 11 88 112 *2 アヤナ Hレア 2926 3234 22 133 147 *2 アヤメ レア 1610 1610 マドカ Hレア 【博】ミサキ ノーマル 1155 945 【博】ノゾミ ノーマル 1365 1365 備考一覧 *0 招待特典(2012/12/2~12/19) *1 黒水着大会(12/26〜1/10) *2 2013年1月追加?(1/??)
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/244.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/625-635 俺と妹の近親相姦は文学4:俺と妹の蜜室 おかしいなぁ…どうしちゃったのかな 愛し合っているのわかるけど、実妹じゃ結婚できないんだよ エロゲのことだけ言うこと聞いてもらうふりで、本番まで無茶するなら エロゲ黙認の意味、ないじゃない。ちゃんと、常識の通りやろうよ ねぇ、私の言ってること 私の主張、そんなに間違ってます? 少し、土に埋まりましょうか……お兄さん がばっ 「っはぁーー、夢か……」 高坂京介は顔に浮いた汗をぬぐった。 自分にエグい得物を突きつけてなじるメルルの姿が、いつのまにかあやせに変わっていた。 メルルの抱き枕を前にして妹と情事にふけり、あやせには日頃から近親相姦を疑われていることが こんな夢を見てしまった原因かもしれない。 「どうしろってんだ……」 身体を丸めて、すやすや寝息を立てる桐乃を横目で愛でながら、京介はつぶやいた。 「ぅ……あにき」 眠り姫の口から甘ったるい寝言が漏れる。兄は妹を、ぎゅっと優しく抱き締めてあげた。 親の目を盗んだ兄妹の関係は続いていた。 人前では互いに気持ちをセーブしている反動で、深夜に互いの部屋を行き来しては 兄妹じゃなくても人様に見せられないレベルでイチャついた。 変なタイミングでキスをして相手の機嫌をそこねたら、キスで機嫌をなおすような真似が、 二人の間では横行していた。 偽装を意識しすぎた口論――そこに半分は本心が混じってしまうのが高坂兄妹クオリティ――があった日の夜には しおらしく昼のことを謝る妹の姿と、思わず口付けで慰めてしまう兄の姿があった。 そこまでがお約束の流れなので、最近では罵倒の最中に唇の感触を思い出す始末。 性的興奮を覚えるまでになったら、性癖的な意味でも末期である。 自宅で、ラフな格好でいるときほどコンドームを手放せない男子高校生、 こんなに贅沢で罪深いヤツは自分だけかもしれない。 京介はそう思うことがあった。 高坂兄妹の変化について、付き合いの深い沙織と黒猫は流石におぼろげながら勘付いている様だった。 あえて何も言わないのは「紳士協定」というヤツなのだろう。 京介は内心感謝しつつ、彼女たちとの付き合いを続けていた。 もうひとり、妹を持ち仲間である赤城浩平にもヒントを与えてしまっているはずだ。 こんな一幕があったから。 「やっぱ、俺の妹は天使だわー」 「……じゃあ俺の妹は大天使だな」 「なら、私の妹は熾天使と言わざるをえないわ」 「おわっ!?いつからいたんだ、黒猫!!」 ……黒猫にはバレているのは絶対か。 このときは後輩をハンドルネームで呼んだことに男友達が食いついたおかげで追求を受けずにすんだが、 ベルフェゴールの続編がでた日には自分たちの本当の仲が赤裸々に描かれるのではないかと、 京介は戦々恐々としていた。 ――戦々恐々とすることばかりだった。 今だって何かの間違いで母親が息子の部屋に突撃してくれば悲惨な事態になるのは確定的に明らか。 早朝には起きるようにしているからそんな事態はありえない、と常識を頼るには、 自分たちのやっていることは非常識にすぎた。 思わず妹を抱く腕にも力がこもってしまう。桐乃はむずがると、目をこすった。 「ん……おはよ、兄貴」 その微笑みに胸を締めつけられつつ、シスコンは呟いた。 「俺の部屋にも鍵がいるな……」 「?」 そんなのさっさとやっておけ、というのも尤もな意見だが、 嘘を見抜くのが得意な親父が相手では下手に言いだすと藪蛇になりかねなかった。 鍵の掛かる桐乃の部屋だけを使えばいいのだけど、後ろめたいことをしているせいか、 最近の京介は視線恐怖症気味で妹の部屋のぬいぐるみに情事を毎晩見られるのは落ち着かない。 (ま、鍵が付くまでは我慢して桐乃の部屋で寝かせてもらうか) それぞれ自分の部屋で寝るという考えは彼の脳裏に存在しない。 イルカでもないかぎり、右脳と左脳は別々に眠らないものだ。 桐乃と打ち合わせた京介は夕食の席でそろそろと切り出した。 「あのさ……俺の部屋にも鍵がほしいんだけど」 両親の顔は(もっともだけど、めんどくせー)と語っていた。 「ほら、最近は桐乃も友達を連れてきたりして、人の出入りが激しいじゃん? 間違って着替えを見せたりしちゃうかもしれないしさ――」 「アンタの友達が来ているときに鍵を使われる方が、私は心配だけど~?」 友達にアクセントを置いて母が冷やかした。 妹は黙々とカレーを口に運びながら机の下で思いっきり足を踏みつけてくる。 眉の動きを精神力で制御している兄に、父は重ねて言う。 「突然ドアを開けられても、恥ずかしくない生活をしろ」 京介は天井をあおいだ。素敵に理不尽である。 留学中の桐乃だって2人部屋で暮らしていたのだから、と言われると一理は認めざるをえないが。 助け船は――両親にとっては――意外なところから出た。 「いいんじゃない。鍵を付けてあげても」 上から目線で妹様がつぶやいたのだ。 「兄貴も年頃だしさー。あたしがドアを開けたときに、その、変なコトしてたら……困るじゃん」 「それは、ノックしろ!!」 打ち合わせ通りの言い草なのに、京介は心の底から突っ込んでしまった。 驚いた桐乃はアクシデントに弱いせいもあって、必要以上にもじもじしている。 そんな二人を見て、母は何かを悟ったように声を挙げる。 「アンタ達、まさか……!」 『!?』 「既にそういう事があったのね!?」 「ちげーよ!」 そう、違うのである。兄は叫び、妹はぷいっと顔をそむけた。親父の目が怖い。マジで怖い。 こうして本人のためというより妹のために、突貫工事で京介の部屋にも鍵がつくことになったのであった。 めでたしめでたし。 「はぁ~親父に一時間も説教されちまったぜ……」 妙にさばさばとした口調で愚痴りながら、京介は妹の部屋に入った。 親に叱られて当然の生活を毎日つづけているせいか、 別件とはいえ叱られたことでかえって罪悪感が和らいだ心境になっている。 同時に、また一つ嘘を重ねてしまったことは、チクチクと彼の良心を責め苛んでいたけれど……。 そんな兄が鍵を掛けて視線を室内に向けると、ベッドの上でえろかわいい部屋着を乱し、 手を股間に持っていっている妹と目が合った。 「え……?」 「……ッ!!?」 京介は混乱しつつも、あわてて目を逸らす。 互いの性器をドアップで見合った仲だから、もはや見られて恥ずかしいことなどあるまい。 そんな考えが勘違いだったことを彼は知った。 「……ノックしてよ」 「すまん!」 散々ノックしろと繰り返してきた自分が、逆にノックを忘れてしまうとは…… 京介は恥じ入りつつも言い訳がましく思う。 「こういう時くらいは、鍵を使えばいいじゃねーか……」 妹は兄が男として部屋に来るのを拒まない意思表示として、部屋に鍵を掛けないと一方的に約束していた。 しかし、これはいくらなんでも律義すぎた。 「それは!……その」 京介が横目でみると桐乃は真っ赤になって俯いていた。 着衣は乱れたままで、健康的な白いブラジャーが目に眩しい。 「ぁにきが、来るかもって……想像して、してたの……」 消え入りそうな言葉に、京介は耳を疑った。 しかし、どんなに小さくても妹が発する「あにき」の三音を自分が聴き逃すわけがない。 (マジか……) 妄想していた通りに兄が来てしまう巡り合わせの悪さ(良さ?)が実に桐乃らしかった。 それとも、見つかるくらい毎日していたのか。そして、見つかったらどうなることを―― 京介はそこで妄想を打ち切って、変な空気を打破することにした。 ベッドに乗り込み、改心の笑顔をつくって妹に語りかける。嘘から出た誠メッタ刺しとはこのことか。 「桐乃、俺のも見せてやろうか?」 「…………キモ」 口では貶しつつも桐乃は京介がパンツを脱ぐのを止めなかった。 ただただ熱い視線を彼の股間にそそいでいる。 手を要所を隠すのに使っていなければ、顔を覆って指の隙間からしっかり見ていた。そんな様子だ。 兄は兄で理想のオカズが目の前にあることに気付き、リヴァイアサンを猛らせていた。 取りだしたるそれをまずは二度、シュッシュとしごいてみせる。 「……っ!」 妹の目に瞬間的にあらわれた嫌悪に、京介の興奮はもっとも煮えた。 一世一代の物凄いオナニーを見せてやろうと、亀頭が踊るように激しく手を上下させる。 「すごっ……」 それを見た桐乃は、胸と股間を隠す手に、知らず知らずのうちに力を込めていた。 「んくっ」 上気したマル顔が、皿をつつかれたプリンのように震えて見える。 (うおお!あの頬っぺたに押しつけてえ!!) 京介はそう望み、実際にその感触を味わっていることを思い出す。 妹の各所にも視線を走らすたびに、恐ろしい勢いで快感が蘇ってきた。 いつもより距離を取ったことで、桐乃の全身を一望できる。それゆえの愉しみだった。 そして、見た中にはまだ知らない場所、知ってはいけない場所があって―― 京介は狂おしく肉棒をしごいた。 そのころには桐乃も淫靡な雰囲気に呑まれていた。 振り子のように動く先端ばかり凝視していたものだから、軽い催眠状態に陥ったのかもしれない。 隠すのに使っていたはずの手を、そのまま自分を慰めるのに用いてしまう。 「ふぁ……っ」 浮遊感を口から漏らして、兄の来室で中断していた行為に没頭していく。 その姿が京介を興奮させ、興奮した京介の動作が、今度は桐乃を興奮させる。 合わせ鏡の恐るべき連鎖反応によって、粘液が奏でるエロティックなカノンが、 たちまちのうちに少女趣味的な部屋を満たした。 ふたりの耳の中で血液が脈打つ音が轟く。 「ハァ……ハァ。兄貴、ここイイっ。イイ――!」 ぐちゅぐちゅと淫らな音を立て桐乃は、第一関節を曲げた指をパンツの隙間から、 スリットに差し入れていた。 「!……うぉっ、桐乃ぉ!!桐乃っ!!」 妹の痴態を前に京介の目は釘付けになってしまう。 視覚と聴覚から得た情報を触覚に変換しようと、脳のエロゲ野がフル稼働する。 事情は桐乃も似たようなもので――もっと発達したそれを持っている分、タチが悪かった。 兄妹は非常に良く訓練されたオタクが二次元にダイブするように、 目前の立体を意識の中で自分自身に組み込んでみせる! 「あああっ来る!来ちゃうぅ!!」 親が起きている時間だからというよりは、いつもの癖で桐乃は絞った悲鳴をあげた。 「ぐっ、俺も゛っ!」 遅れじと兄も射精感をトップギアにぶち込む。 膝歩きで間合いを詰め、一足先にエクスタシーを迎えた妹の腹部に―― 「うは、ぁああっ、熱ぃい……」 桐乃は今宵はじめて兄の実体を感じて、うっとりと呻く。 二度目の絶頂が余震のように彼女の身体を駆け巡った。 もっと激しい揺れはこれから訪れるのだから、二つとも予震と捉えた方がいいのかもしれない。 京介が快感の余波と挿入の欲望に狂った罪悪感にさいなまれている間に、 桐乃はお腹に掛かった精液を指ですくい取り、黙々と口に運んでいった。 「……お前、俺の飲むの好きだな」 ちょっと呆れた感じで言われて、妹は気分を害した。 「――ふんっ」 睨まれた兄は大急ぎで頬を膨らます頭を撫でてやった。 「変なティッシュを残すわけにもいかないんもんな。助かるぜ」 むすっと首を縦に振りながら彼女は精液をこくりと呑み込んだ。 ここで兄は話題を変えて、セクハラを続けることにした。優しく問いかける。 「ところで、桐乃が想像した俺は……オナニーしているお前を見つけた後、どうしたんだ?」 ザーメン気管支入った。 撫でる場所が頭から背中に移動する。その手になだめられて機嫌を持ちなおしたらしい。 「そりゃあ……」 妹は真っ赤になりながら、言葉を選ぶ。 「……ルパンダイブじゃん?」 「ルパ……」 想定外の単語がでてきて京介は混乱した。様々な考えが浮かんできて最後に収斂したセリフは、 「桐乃お前……レイプ願望あるだろ」 ザーメン肺胞犯した。 見ている兄さえ余裕を無くすほど悶絶する。それでも、彼女はあまり声を出さなかった。 京介はティッシュを取ってようやっと落ち着いた妹の鼻をちーんさせてやる。 「大丈夫か?」 「ん……」 2枚目のティッシュで涙を拭わせて、桐乃は頷いた。ポツリと零す。 「あたしが想像するの――兄貴だけだし」 今度は京介が顔から火を吹く番だった。 「あああ、当たり前だっ!!」 常軌を逸したアタリマエに桐乃は笑ってしまう。 思わぬところで主導権が転がり込んできたのを幸い、照れ顔で反撃に出た。 「うん。普通、妹って兄でオナニーするものだからね?」 非常識がこの密室にかぎっては常識。狂気の波状攻撃に京介は頭をかきむしる。 「ああもう!お前みたいな妹を持って俺は!……とんだ幸せ者だ!!」 ルパンダイブ そのダイブは瞬間的に脱ぐのではなく、装着しているところが本家とは違っていた。 押し倒された桐乃は不安と期待の入り混じった目で、兄の顔を見上げる。 その顔に一度しっかりとキスをして身を起こすと、京介は妹に下をみるようにうながした。 「……ッ」 純潔に突きつけられた凶器に目を見開き、息を震わせる桐乃。 京介自身はその恥丘にむけて、ゆっくりと胴体着陸を―― 『つあッ!!!』 接触の瞬間、二人の間に甘いパルスが通電し、兄妹はそろって歓喜の悲鳴をあげた。 それから京介は禁断のタッチアンドゴーを何度か繰り返す。 「ああっ、あああああンッ!」 肉柱が全長を使って、滑水面を何度も擦っていく。 ついには先端が肉芽を押しつぶし、 「きゃふッ!?」 反応の良さに手ごたえを覚えた京介は、そこに集中攻撃をはじめた。 「やっ、だめ……そこばっか、ぐりぐり……しちゃっ!らめ!!」 非弾性衝突が起こるたびに桐乃は悩ましげな表情と声を披露して、兄を愉しませた。 妹の美貌はどんな角度からどんな表情で何度見ても飽きない。 感覚的には接触と同じ回数だけ射精しているはずなのに、まだ勃起が維持されていることが彼には不思議だった。 妹も似た感覚で――こちらは実際に何度かイっていた――声がどんどん大きく高くなっていく。 流石にマズいと判断した兄は、妹の身体に再度覆いかぶさり、自らの口で嬌声の出口を塞いだ。 その体勢のまま、ピンポイント攻撃を放棄して、乱雑に腰を振りはじめる。 「ん゛っ!ぐ……う゛ッ!!」 反射的に生じた悲鳴も動きも京介はすべて身体の下に封じ込めた。 愛する女性を屈服させている実感に彼は雄たけびをあげそうになる。 それすら二人の間に圧縮して、性器同士の摩擦熱に変換していった。 桐乃は半分パニックに囚われ、我が身を組み敷く兄の身体という現実だけにすがった。 すがることで、溺れていた。必死になって京介の腰に華奢な腕をまわす。 そして、いまにも事故が起こって最後の一線を超えてしまいそうな状況が兄妹の興奮に拍車をかけた。 ペニスがクリストスを軸に円を描くように動き、最大の圧力を中心にかけた瞬間、 二人は上の口で繋がり合って果てた。 けだるくベッドに身体を投げ出し、横に抱きあう余韻の時間。 しばらくして彼女は囁いた。 「どうして……?」 それだけで、挿入しなかったワケを尋ねられていることを、彼は理解した。 頭をガシガシしたくなるが、それもだるい。感覚的なものを一度に説明できる言葉を探した。 「なんというか……けじめみたいなもんだな」 「けじめ……」 神託を受ける巫女のように真剣なまなざしで桐乃は繰り返した。 「やっぱり家にいる間はできねえよ……」 「…………じゃ、じゃあ、またラブホ行く?」 「そうじゃなくて……行くけど……自立もできない内か―― 突如! ドアをノックする音が室内に響いた!! 兄妹は探信音を浴びたUボートクルーのように目を白黒させ、あわてふためく。 「桐乃ー。京介知らない?コンビニまでおつかい頼みたいんだけど~(ガチャ)あら?鍵が掛かっているわ」 (うわー!うわー!うわー!) (う…うろたえるんじゃあないッ!クンカーはうろたえないッ) どたた、ばさばさ、ぎしぎしあんあん 内部でひととおりの擬音が立った後に、妹部屋のドアは開かれた。 顔に汗を張りつかせながら桐乃が応対する。 「し、知らないにょ?」 「そぉ?」 いぶかしげに小首をかしげた母は視界の端に、極彩色に染まったバベルの塔を発見してしまった。 硬直した母に、娘は追って聞く。 「あ、あたしが行ってこよっか?」 「い、いや、いいわ……アンタは勉強大変だろうし」 むしろ母の方が会話を切りあげたがっていた。 訓練された主婦として、息子の現場をおさえたなら、ひそみ笑いのひとつもできるのだが、 優秀な娘のゴッドハンドさえ召喚しかねない暗黒行為に遭遇したと感じれば話は別だ。 「どこ行ったのかしらね、あの子――いっつも暇そうにしているのに」 あくまでもエロゲタワーには触れず、きびすを返そうとした。 しかし、妹からは逃げられない。所定の戦果をあげたのに、彼女は母を呼びとめる。 「あ、あッ!兄貴もがんばっていると思う!!」 そんなことを叫んでしまっていた。母は少し驚いたような顔をしてから、慈愛のある笑みを浮かべた。 「そうね……。買い物は私が行ってくるわ」 タンタンタンッとリズミカルにスリッパが階段を打つ音。それが小さくなって行くのを確認して桐乃はドアを閉めた。 鍵を掛け、その場にへたり込む。心臓に悪いなんてもんじゃない。いっそ一階と二階の間に鍵がほしかった。 妹は呼吸を整えてから秘密の収納スペースをこじ開ける。 「よ!親愛なる兄貴をコレクションに加えた気分はどうだ?」 「はーーっ。バカ……」 押し入れの中から緊張感なく手を挙げる兄に、力なく悪態をつく。 すぐに目を伏せたせいで彼女は、兄の手が小刻みに震えていることに気付かなかった。 肌を往復する戦慄の伝播を抑えるため、京介は無駄に大きな箱を手に取る。 まったくエロゲー様々だった。 桐乃のいかがわしい趣味を薄々知っている母親は、その気配を感じて踏み込むのを止めた。 娘たちが遥かにいかがわしく危険なことをしていたとも知らず、違和感に一人合点を与えて。 そして、兄は母が部屋に踏み込んできた場合に備え、エロゲーが収納されていた空間に タヌキ型ロボットよろしく潜んだのだ。 こんな誤魔化しが、いつまで続くことやら……。 もし母ではなく父が来襲したら、アクシデントに弱い桐乃に任せるには及ばず、 鍵を掛けて一緒にエロゲーをやっていたと開き直るしかなかっただろう。 先行きへの不安と、親をあざむく罪悪感に、京介は陰鬱な溜息を吐いた(その横顔を妹は惚れ惚れと見つめていた)。 今の生活は良心にできた塞がらない傷口から、血を垂れ流しつづけているようなものだ。 酷く消耗する。 この感覚を分かってくれるのは同じ境遇の妹だけなのではないか。 そう思って同意を求めた兄だが、意外にもかぶりを振られてしまった。 「そうか……桐乃はずっと前から家族に趣味を隠していたもんな」 寂しげな声に、妹は真剣な面持ちで答えた。 「それもあるけど……あたしは、ずっと自分の気持ちに嘘をついていたから……」 好きな人に好きと言える今が幸せ。 そう告げて、高坂京介の恋人は微笑んだ。
https://w.atwiki.jp/yukue/pages/310.html
「使えないやつはいらないんだよな」 お決まりのセリフを言ってめんどくさそうに大量のポケモンを捨てるマスター。 あろうことか今回は今まで生き残っていた僕まで捨てられてしまった。 どうやら僕よりも才能のある妹が生まれたらしい。 マスターは嬉しそうに妹を見つめている。悲しいなあ。 あーあ、僕、これでもけっこう才能あると思ってたんだけどな。 地道にたくさんのポケモンを孵していたマスターも、僕を見る目だけは優しかったのに。 ところで僕が捨てられる数日前、マスターは新しいことを始めた。 僕の妹はまだ生まれていない。 作 4代目スレ 215
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/232.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/177-181 口淫の上、お互いに夜這いウェルカムと受け取れる発言をしてしまって以来、 当然のことながら高坂兄妹の関係はふたたびギクシャクしはじめた。 以前の不仲と異なるのは、他に人間がいる状況ではともすれば今まで以上に親密なのに、 二人っきりになると、途端に相手の出方をうかがいあってバトル漫画の対面状態になってしまうことだ。 冷戦状態というよりは開戦前夜といった方が近い。 そして、開戦すれば破滅を避けられないことは、火を見るより明らかなのであった。 それでも、きたる日に備えずにいられないのが人の悲しいさが。 兄から見て桐乃の入浴時間ははっきりと伸びていた。 そんなことを気にしてしまう京介の入浴時間もまた、統計学的に有意な増加を示していることを 妹に秒単位で把握されていた。 二人の風呂がそろって長引いたものだから――家でゆっくりできる数少ない場所という理由もある―― 高坂母などは「あんたたち二人で入れば?」などと冗談めかして言ったものだ。 これに過剰反応した京介は「それ、絶対桐乃に言うなよ!!」と赤くなって叫んでしまった。 「言わないわよ~」と手を振る何も知らない母がうらめしい。 ちょっといいかもと思ってしまった自分はもっとうらめしい……。 また、ふとしたきっかけで妹にムラムラしてしまわないように、京介は性欲処理をマメにするようになった。 問題はどんなオカズを使っていても、最終的には桐乃の顔を思い出し、フィニッシュしてしまうことだ。 妹への欲情を避けるための行為が、妹への劣情を高めていく。 絶望的なループに囚われた兄は、おもむろに雑誌を手に取り―― わずか数日で、ファッション誌にボールペンで眼鏡を描き込む技術に習熟し、 世界選手権があろうものなら出場資格を有する域に達した! 今日も親父の秘蔵コレクションを持ちだし、保存用と観賞用と眼鏡描き込み用とラミネート加工用の4枚を 写真画質でカラーコピーしたいわくつきのヘビーローテーション品を厳重にしまい込み、呟く。 「アハッ☆……死ねよ、俺」 射精後の無気力と罪悪感がからみ合い、酷く憂鬱な気分だった。 (俺がテクノブレイクで死んだら、即部屋が全焼するピタゴラスイッチを作っておきてぇ……!) ちなみに夜神月がデスノートを隠した仕掛けは既に試作済みである。 奇遇なことに新世界の神も、父親が警察官なのであった。 こうして長い夜が来る。 あの時、桐乃は部屋の鍵をかけないと兄を夜這いに誘うようなことを言った。 京介は京介で不用意にも、自分の部屋に鍵はないと、意味深に受け取れる発言をしてしまった。 おかげで親が寝静まる時間になると、今にも禁断の扉が開かれるのではないかと気が気ではない。 結果は深刻な睡眠不足。これは桐乃も同じで、最近は学校で寝ているらしい。 あやせから掛かってきた相談の電話には、新しいゲームにハマっていると答えておいたが…… そろそろ気力が限界だった。 気力が尽きれば理性も飛んで、とんでもないところで妹に襲いかかってしまう可能性さえある。 そうなる前にいっそ――そんなことしていいわけがない――だが…… 京介の意識は堂々巡りする。この壁の向こうで妹も同じように悩んでいるのだろうか? 妹をふるという最も賢明で議論の必要すらないはずの選択肢をなぜか選べない苦しみを抱えたまま、 なんとかしてやりたいと切実に思った。 やがて京介は疲労困憊した頭で、ひとつの解決策をひねり出した、つもりになった (いける。これなら確実にいけるぞ!) 目が血走っている。 思いついたままの勢いで、ろくに検討もせず実行に移してしまうのが、寝不足テンションの怖いところ。 枕を持つと、自分の部屋を出る。 人が1階に水を飲みに行く音がやたら大きく響くようになった廊下を桐乃の部屋へ向かった。 ノックをしてドアノブを回すと…… ガチャリ 鍵は本当に掛かっていなかった!もうずいぶんと遅い時間なのに光が廊下にさっと走る。 「桐乃、起きてるか?」 目をすがめながら入室する。寝不足に痛めた目にピンクがきつい。 妹は何をするでもなくぼんやりとベッドに腰掛けていた。弱々しく身構える。 「なに……?」 京介は後ろ手にドアを閉め、鍵を掛けた。その音に桐乃の肩がびくんと震え、瞳が揺れる。 少し前までこれは趣味の話をするために必要なごく普通の手続きだったというのに……。 皆の前では太陽のごとく生気を周囲に発散している妹がみせる儚げなパジャマ姿。 当初の目的を忘れそうになるのを必死でこらえながら兄は切り出した。小脇に抱えた枕を持ちなおす。 「頼みがあるんだが……この部屋で寝かせてくれないか?」 「?」 微妙なニュアンスを感じとって、桐乃は髪を揺らした。透き通った目で先をうながす。 何を求められても受け容れる覚悟ができていることを、その目は物語っていた。 動揺を押し殺し「俺ってシスコンだからさ」と極力軽めに前置きして京介は述べた。 「アレ以来、お前の動きが気になって眠れなくてしかたねえんだ。 だからいっそ、この部屋でお前の動きを見守りながら寝た方が休めるかと思って……」 自分で口にしているうちに、無茶苦茶な構想だったことに気付く。 思いついたときは我ながら名案だと感じていたのは一体なんだったのか。 もはや、憧れの子を前にしてしどろもどろになっている中学生の気分だった。 だが、ここで口をつぐむわけにもいかない。 「手足を縛って転がしてくれてもいいからさ――」 「なにそれ?キモ!どんだけドMなの?」 いきなり投げかけられたいつもの調子に、だんだん下がりめになっていた京介の目線が跳ね上がる。 言葉の刺々しさとは裏腹に桐乃の顔は笑っていた。 しょうがないわね、とアメリカ帰りのオーバーアクションで肩をすくめる。 「いいわよ、あたしの部屋で寝てっても……」 「電気消すぞ」 「うん……」 「………………」 「キモ」 「心を読むな!」 本当は心を読んだのではなく、まったく同じことを考えてしまったのであった。 彼女の辛辣な言葉は、兄に対して妖しい感情を抱く、自分にも向けられていた。 そうとは知らず京介は床に枕を放る。敷物のおかげで、そこそこ寝やすそうだった。 さあ寝転がろうかとしゃがみかけた彼に、少女は意を決して声を掛ける。 「ねぇ、兄貴」 「うん?」 「お、おやすみのキスをして……」 妹は消え入りそうな声でねだった。 ベッドに誘われるかと身構えた京介は、なーんだキスかアメリカ帰りめ、と拍子抜けしたあとに衝撃を受ける。 今そんなことをしたら確実にそのまま押し倒してしまう! というか、自分の言葉に恥じらう声を聞いただけで、抱きしめたい衝動を抑えるのに必死だった。 しかし、勇気を出した女の子に恥をかかせるわけにはいかない。 「わかった……」 顔をこわばらせながら京介はベッドのシルエットに歩み寄ると、そっと手を取った。 うやうやしく甲に唇をおしあてる。細かく震える手はとてもなめらかで、しっとりしていた。 頬にほしかったのか、唇にほしかったのか、手へのキスが期待に沿うものでなかったのは間違いないが、 桐乃は不満を訴えず、ただキスされた甲を自分の口元にそっと寄せた。 その仕草に京介の血液が逆流する。 「お、おやすみっ」 あわてて首を巡らせ、床に身を投げ出す。 頭の中では、眠れぬ幼児が羊を数えるように、魔法の言葉を唱えていた。 (俺の妹がこんなに可愛いわけがない) (俺の妹がこんなに可愛いわけがない) チュンチュン…… まるでドラマ。窓の外、鳥の鳴き声がして、目が覚める。 時計の針が奏でる音だけが倍々ゲームで大きくなっていく部屋で、 まんじりともできない夜を過ごしていたはずなのに、いつのまにか眠りに落ちていた。 妹の動きが分かる方が休めるという自己暗示に成功したのかもしれない。 京介の身体には知らないうちに毛布が掛けられていた。 妹のものかと思い、すんすんと嗅いでみたりする。 「朝っぱらから何やってんの。キモ」 辛辣なお言葉が上から降ってきた。言い訳を考えながら、そちらに目を向けた兄は息を呑む。 軽く開いたカーテンの隙間から射し込む光を背景に、妹が上半身を起こして佇んでいた。 茶髪が朝日に透き通り、白磁の肌がきらめく。その顔に微笑みが浮かんだ。 「おはよ」 ――もう認めるしかない。 高坂京介は妹に恋をしている。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/241.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/492-501 俺と妹の近親相姦は文学3:俺と妹と抱き枕で川の字 高坂京介は今宵何度目になるか分からない寝返りを打った。 「うーん……」 恋しい妹の部屋にいつお邪魔させてもらうべきか悩んでいる。胸を焦がしている。 (親父たちが寝てすぐ行ったら、まるで逢いたくてしかたなかったみたいで兄の威厳が……) いまさら気にしても詮ないことを気にしている。自覚はあるのに抜け出せない。 妹を想って胸を苦しませることを愉しんでいる部分すらあった。 そんなとき、隣の部屋で物音がして、兄は耳を澄ました。 ガタゴト物を動かす音に、ドアを開閉する音が続く。下に用を足しに行くのだろうか? 否定的に想定して、期待に胸を膨らませる。 とんとん 控えめなノック音が自室のドアから聞こえたときは、小躍りしたい気分だった。 急いで咳払いをひとつすると、できるだけ面倒そうな顔をつくってドアに向かう。 右手と右足を同時に出して―― はたして、廊下に立っていたのは、どこか心細そうな表情の妹だった。 「昨日のあんたと同じ」 切るような口調と、もじもじした動きがまるで一致していない。 枕を持ってやってくる妹……ずっと昔にも似たシチュエーションがあった気がした。 だが、もうあの頃の二人ではない。 何よりそれを雄弁に物語っているのは、既視感のなかで強烈な違和感を放っているデカイ枕の存在だ。 そのカバーにはピンクの髪をもった魔法少女のイラストが等身大でプリントされている。 突っ込むべきかスルーすべきか、頭を悩ませつつ兄は妹を自室に招き入れた。 ブラウンの髪がふわりと空気をはらんで、心地よい匂いが京介の鼻腔をくすぐる。 咄嗟にドアを両手で閉めることにしたのは、実に賢明な判断だった。 この腕を遊ばせたら最後、後ろから桐乃を抱きすくめてしまうに違いない。 「……そろそろ寝るか?」 ベッドに並んで腰かけ、ろくに進展しないことが妙に甘い気持ちにさせる会話をしばし交えた後で、 京介はポツリと呟いた。スプリングを利かせて立ちあがり、付け加える。 「お、俺は床でいいからさ!」 その裾をぐいっと掴まれた。不機嫌そうに俯いたまま妹は口走った。 「じゃ、邪魔してるあたしが、アンタのベッドを取っていいわけないでしょ? ……3分の1くらい使わせてあげるから、ベッドで寝なさいよ」 妹君はまことに寛大であらせられる!! もみじ色の耳に免じて、兄はありがたく自分のベッドで眠らせてもらうことにした。 そして、彼女は平等ですらあったことを京介は知ることになる。 なぜなら、桐乃が使うのもベッドの3分の1で、残った3分の1は抱き枕が占拠していたからだ。 (どうしてこうなった) 豆電球の光に照らされた萌え絵と睨めっこしながら、京介はうめき声を呑みこんだ。 よりにもよって“裏面”が向けられているのは拷問以外のなにものでもない。 桐乃と見つめ合うのも拷問には違いないが、それとこれでは意味が違いすぎる。 かといって、目をつぶったり抱き枕に背を向けるのも癪だった。 寝る直前に見るものは、可愛い妹にしておきたい。 枕を抱きしめる作り物めいた手をしばし見つめたあと、京介は声を掛けた。 「なあ……その枕って、抱き心地いいのか?」 布の地平線から突き出した髪が大きく揺れて、お日様みたいに片目が昇る。 まるで電柱の影から様子をうかがうかのようだ。差し入れはアンパンと牛乳がいいだろう。 「はぁ?わざわざ抱き心地悪いものを抱くワケないじゃん」 とりつく島を艦砲射撃で吹き飛ばすような言葉が返ってくる。京介は慣れたもので構わず手を伸ばす。 「ちょっと俺にも抱かせてくれねえ?」 枕を一時的に奪えば、桐乃の顔がはっきり見える。だが、彼女は目を大きく見開き、強い語調で罵倒した。 「何言ってんの?妹の前で抱き枕を抱きたがるとか!キモッ。抱くなら……っっ」 兄の前で抱き枕を抱きしめる妹はそこで絶句、腕に力を込める。 「と、とにかくダメ!」 器用に寝返りを打った。寝姿を見られるのが恥ずかしいから抱き枕を持ちこんだのも忘れて。 このとき“盾”が死角になって彼女からは枕に伸ばされた手がよく見えていなかった。 ために枕に伸ばされていた京介の手は、桐乃の脇腹に掛かることになった。 『あ』 ふたりの声が重なって、時間が止まる。 (……マズい!) 強まっていく鼓動に胸が爆ぜる前に、京介は思い切って行動を起こした。 彼は危うい方向に突っ走りそうな空気を混ぜ返すため、触ったのが脇腹だったのをこれ幸い、 こちょこちょ 妹をくすぐる作戦に出たのだ。 「!!?」 予想外の反応に、華奢な身体が小さく跳ねる――予想通りでも跳ねていただろうけど。 くすぐり倒す決意を固めた兄は容赦なく肋骨の鍵盤に指を走らせた。 「ちょ……!!バカ、やめてよっ。ぁはっ」 最初の一音が漏れたのを確認して、京介の指は的確にその点を攻め立てた。 もう一方の手も動員して弱そうな部分を次々なぶっていく。 「あはっ。あ~はっははははははははははははっ!!ダメだってば!」 「静かにしろ。……いま何時だと思ってるんだ?声を出さすに、笑え」 不条理な要求を突きつけつつ、手の動きは止まらない。止められない。 「っひぃ……!」 健気にも桐乃は音が出ないように息を連続で吐き出し、身体をくの字に折って痙攣した。 腰が股間に押しつけられるが、今のノリならリヴァイアサンも大人しい。 距離が近づいたのをいいことに腕をまわして反対側の脇腹を攻める余裕すらあった。 「っ――もう!なんでっ、こんなこと、するのよ!?」 「お前の笑った顔が見たいからだよ!!」 京介は深い考えもなしに思ったままのことを口にした。のしかかるように妹の顔を覗きこもうとする。 彼女は驚き、恥ずかしそうに顔を抱き枕にうずめた。 その様子に嗜虐心をそそられた兄はなんとか抱き枕を放り出させてやろうと、 無茶苦茶にくすぐりまくった。 本人は自覚していないが、抱き枕に嫉妬すら覚えていた。 ――十分後 かなりいかがわしい箇所も含め、ありとあらゆるくすぐりどころを攻められた桐乃は、 見事なマグロ状態になっていた。ビクンビクンと周期的に身体を痙攣させている。 目からは光彩が失われ、よだれが口の端から真横に垂れていた。 (しまった!やりすぎちまったーーっ) やっと我を回復した京介はあわてて妹の介抱にいそしむ。 蛍光灯を点け、深夜に部屋を出にくくなってから常備しているスポーツドリンクを取ると、 脱力した身体を抱き起こし、背中をさすりながら、飲ませてやる。 桐乃は乳飲み子のように諾々と兄のかいがいしい世話を受け容れた。 「っはぁ――」 3分の1ほど残っていた液体を飲み切り、彼女はやっと人心地ついたようで、 ペッドボトルから口を離し、視線を京介に向けた。 陸上部の瞬発力と体力で、くすぐり返されることを予期して兄の背筋が伸びる。 しかし、予想外にも桐乃はボトルを持つ手をつねって、こう言った。 「これ、間接キスなんだけど……」 まぶたを伏せることで目をすがめながら、口元を心なしか吊り上げている。 その表情には兄に現状を再認識させる魔力があった。 すなわち、ベッドの上で好きな女の子を自分の腕におさめている。顔が、とても近い。 兄妹なんだから間接キスなんて……と返せないのが、最大の泣き所。 いつのまにか視線が濡れた唇に凝固して――したいと思ったときには既に口付けてしまっていた。 「ん、ふ……」 桐乃の鼻から甘い息が漏れる。まったく抵抗されないことに励まされて、京介はさらに強く唇を押し付けた。 腕を肩と腰にまわして、そっと抱き締める。妹が胸に当ててきた掌が妙に熱く感じられる。 暴走機関車もかくやと化した心拍を読みとられてしまいそうで気が気ではない。 『…………』 そっと顔を離して表情をうかがってみれば、はにかみ返されてますます血が暴れる事態に陥る。 と、桐乃が視線を横に向けた。京介がその先を追うと、抱き枕が空しく宙を仰いでいた。 「ヤ……めるちゃんに見られちゃってる」 恥じらいに妹の整った睫毛が垂れる。 しょうじき兄には理解しがたい感覚であったが、小さな子が寝ている隣で男女が、 こっそり睦み合っているシチュエーションだと考えれば、確かに滾ってくるものがあった。 「桐乃」 「んっ」 京介は、腕に力を込めて妹を引きよせ、出るところの出た身体をゆっくり撫でた。 くすぐったのと同じ場所を触っても、意味がまったく違ってしまっていた。 どこもかしこも熱く柔らかで、自分の手が溶けかけているのでは、と疑うほどだった。 桐乃も笑い声の代わりに、陶然とした溜息を吐く。 やがて、彼女は兄の胸にすがりつき、うるんだ目を上に向けた。 「あ、あたしも兄貴のカラダ触っていい?」 「……お、おう」 せめてこの辺りで止めておくべきだったのだが、自分は触っておいて拒否できるはずもなく…… 身体の上下を変えて、万が一にも挿入してしまうことがないようにはからうのが、京介の精一杯だった。 「ぺろ、れろん、む、ちゅ……っ」 「……くっ」 桐乃は京介のズボンとパンツをまとめて引きずり降ろすと、いきなりペニスを舐めはじめた。 いちど経験しているだけに、なかなか手際がいい。 逆にいえば、それしか知らないからフェラチオに走ったわけだったりする。 一方の兄は一枚脱がしたところで、妹の華美な下着に対面し、手が止まってしまった。 兄の部屋を訪れるときに勝負下着をはく妹。 京介は自分たちが狂気の世界にいることを実感した。 「桐乃……」 「ぅむぐっ――なに?」 「中学生で黒はどうかと思うぞ」 「うっさい!」 照れと怒りにまかせて下半身への口撃が強化される。兄は眉をしかめて快楽の嵐に耐えた。 それでも言葉を交わしたことで精神的な余裕が生まれたのか、 彼の興味は黒のレースと見事なコントラストをなす太股の方に向かった。 ぺちぺちと手に吸いつく感触を確かめ、爪先までじっくりと仰ぎ見る。 陸上競技で鍛えられた少女の足は、すばらしく均整が取れていて、 まるで大理石から削り出された一個の芸術品のようだった。 (この足になら踏まれても……) ふと湧き上がった妄念に兄が囚われた時間は短かった。海綿体が大変なことになっていたからだ。 「うぉ……」 いつのまにか桐乃は口だけではなく、両手も動員して、兄への奉仕に執心していた。 しかも両手を唾液と先走りでドロドロにして使っている。 睾丸をもみくちゃにされて、京介は思わず熱い息を桐乃の股に吹きかけた。 「んなろっ!」 視野狭窄気味の彼は目の前の白い壁に顔を押し付け、舌を這わせることでお返しする。 「あんっ!?」 妹の動きがいったん止まったのをいいことに、右足を舐めては左足に頬ずり、左足を舐めては右足に頬ずり。 張りのある肌を存分に愉しんだ。 それでも満足できず、脚のオーナーが反撃に出る前に内股に熱いキスを見舞いはじめた。 股間に頭を突っ込んだために、彼を包んだ桐乃自身の濃厚な匂いが京介は狂わせていた。 「やんっ!あ、兄貴……そこ、キスマーク付けちゃ嫌……んっ!ミニスカはけなくなっちゃう」 「そんなもんはくな!桐乃のここを見るのは、俺だけでいい!!」 「ああっ!!だからぁ……撮影、がぁ」 知ったことではないと兄が手を緩めないのを感じて、桐乃はフェラチオに全力を傾けることにした。 独占欲を向けられたことに、胸が熱くなってもいる。 できるだけ多くの摩擦が与えられるように注意して、逸物を口腔に深く押し込み、吐き出し、押し込む。 彼女は自分の愛する人を悦ばせることに瞬く間に没頭した。 「んぐ……むぐぅ……」 ずるずるずちゃずちゃ猥雑な音が、頭蓋の内側から桐乃の耳を犯す。 「ぐぅぅ!!桐乃!もうっ」 そこに極まった兄の声が外から響いて、ラストスパート! 常軌を逸して激しいおしゃぶりが彼を絶頂に導いた。 「はーーー」 煩悩を強制的に排出させられた京介は、深く息をついた。冷静さを取り戻しかけた彼に下から妹の声が掛かる。 「んく……兄貴、前の時より少ないんだけど」 「………………」(それは毎日お前で抜いているからだよ) などと思ったまま答えるわけにもいかず、 「その……桐乃は量が多い方が、良かったりするのか?」 品のない質問をしてしまう。 妹は軽く首をかしげて、 「あたしは、兄貴があたしで感じてくれたら嬉しい、かな……」 なんて答えを返した。 その文句は字義通り京介の急所を突いていた。 しおれていたリヴァイアサンが、じりじりと鎌首をもたげはじめる。 (二回も抜いておいたのにっ!?) 兄の焦燥も知らず、妹はあらためて「こんばんは」したリヴァイアサンに挑みかかっていった。 さきほど語った通り、嬉々として。 高坂兄妹の夜は、まだ終わらない。 自分の業深さにショックを受けた京介は、妹の奉仕を受けつつ、ぼんやり彼女の股に視線を走らせた。 (ん?) 彼は、勝負下着に不審な反射のムラがあることに気付いた。 その部分をつまんで引っ張ってみたのは、布越しに妹のあそこに触ってしまうよりは抵抗がなかったからだ。 「濡れてる……」 ただ感じたままを述べた兄の言葉を耳にして、桐乃は小さく呟いた。 「っ……だから、黒にしたのに」 パブロフの犬的理由でお兄ちゃんのニオイだけで濡れる身体になってしまった彼女は、 それをやたら気にしていた。 既にいろいろ愛撫を受けているので濡れていても不自然ではないのだが。 京介の関心はむしろパンツの中身の方に傾いていた。それがいけなかったのかもしれない。 「あ」 つまむ指が滑って、黒い布がいきおいよく元の位置に戻っていく。 ぴしんっ 「っぅん!!?」 思いがけない刺激を受けて、桐乃の背筋に電気が走った。抗議の声を挙げようとする。 「ちょっと、なにす――ん゛んん゛っ!!!?」 もちろん、二度目はわざとである。 「くぁっ」三度目もわざとである。 「ひぅっ」四度目も、 「あぁん」五度目、 「ぁ…っ」六度、 「~~~」七、 回を重ねるごとに下着は水分を増し、立てる音が重くなっていく。 生意気な妹の甘い悲鳴が、京介を単純作業の虜にした。そして、ついに 「……も、もう!止ぁ、あ~~~~っっ!!!!」 「お前、いま……」 「イってないっ!イってないから!!」 あわてて否定することで、肯定する。可愛い言動に兄は苦笑した。 一仕事終えたいもぱんをうやうやしく剥ぎ取り、ずいぶん久しぶりに再会した秘裂に優しく舌を這わせる。 「あ……っ」 「桐乃……最後は一緒にいこうぜ」 言葉にならない言葉を漏らすと、桐乃は再びペニスを口にふくんで返答とした。 京介も、妹の大事な部分を丹念に舌でなぞり、愛液を一滴一滴すくいとっていく。 彼女の全てが愛おしい。 その想いに支配され、互いの体液を循環させ合っている状況に感動を覚える。 この時点における兄の狂気は妹のそれに優っていたかもしれない。 オーガズムの余韻さめやらぬ桐乃の柔肉は、優しい愛撫からも必要十分な快感を交感神経に伝えた。 結果、くぐもった嬌声が断続的に、京介の陰茎を音叉にする。 いっぽうの兄も、甘美な刺激から妹の崩れた表情を想像して、興奮を最高潮にもっていった。 淫らな水音のテンポが加速する。 ふたりは灼けた頭で、快楽の波を懸命にはかり合い――ほぼ同時に最後のひと押しを放った! 身体と意識がバラバラになりそうでも、このまま就寝するわけにはいかないのが兄のツライところ。 このまま意識を失って親に目撃されようものなら全てが終わるのだ。 京介は意志を固めて、後始末をはじめた。 とはいえ、精液は桐乃がことごとく飲み干してくれたので半分の手間で済む。 朦朧とした妹の股間を濡らす、唾液と愛液をティッシュでぬぐって、 そのままパジャマのズボンをはかせてやる。乱れた布団を簡単に整えた。 非常に始末に困るのが、迫力たっぷりに愛液を含んだ黒い下着の存在だ。 両手につかみ、洗濯機に放り込んでこようかと悩んでいる兄に、 それまでうっとり意識をさまよわせていた妹が声を掛けた。 「それ、あげよっか?」 「ブハッ!?っっっこ、こんなもん、お袋に見つかったら即死するだろ!」 兄の反応をみて、桐乃は面白そうに鼻を鳴らす。 「つまり、見つからなければ欲しいんだ?」 「チッ……欲しいよ」 反撃したい気持ちが半分に、素直になりたい気持ちが半分で、大胆なことを言ってしまう。 いつものごとく妹も兄と似た気持ちになっていた。頬を染めながらか細い声で、 「中身だって兄貴のものなんだけどな――」 「…………ッ!?」 京介はなんとか息をのみ込み、ベッドにどかっと腰かける。 真っ赤になった顔を向けずに片手で妹の髪を梳いた。 「……言っとくけど、本番は絶対にしないからな」 その言葉は、精一杯突き放すつもりで、次があることを保証してしまっていた。 だから、桐乃は夢見心地の口調でまぜっかえす。 「それって、本番以外は全部しちゃうってコト?」 京介は咄嗟に否定できなかった。 それどころか(本当にそれで済めばいいが……)という思いに囚われていたからだ。