約 20,660 件
https://w.atwiki.jp/azum/pages/53.html
DJはそんな一リスナーの心境などお構い無しに、ハガキを読み続けた。 「ラジオネーム『涙のダイレクトメール』さんですね。今晩は、いつも楽しく聞いております…」 何っ?『涙のダイレクトメール』だと!よみのハガキじゃないじゃん。何だよ、人を期 待させておいて、このオチは…。 智は思わず、がっくりとした表情を浮かべそうになったが、その瞬間、次の企みが脳裏 に浮かんだ。 その間、ラジオからはDJがラジオネーム『涙のダイレクトメール』がハガキにつづっ た小話を紹介していた。 別に読まれた記念じゃなくてもいいや。読まれなくて残念賞として、犯人の名前をバラ してもいいや。名目なんてどうでもいいか。 ラジオが別の話題へと移ると、智はよみと思わず視線が合った。よし、今だ。 「よみ~、残念だったなぁ。で、残念賞って事でさっき言いそびれた犯人の名前を教え てあげよう」 智はよみの顔を指差して宣言した。 「バカ、やめろ」 よみはそう言ったまま、少しうろたえいる様子だった。 ふふーん、そんなうろたえたところで、やめるような智ちゃんではないのだ。かえって、 そんな仕草を見せると余計に言いたくなるんだよな~。 智はよみの仕草などお構い無しといった具合に、笑みを浮かべた。 「犯人は…」 智の口から遂に犯人の名前が出るときが来た。 「犯人は…」 遂に智の口から犯人の名前が出るときが来た…はずだった。 しかし、智はそう言ったまま、黙り込んでしまった。 あれー、誰だったっけ?えーと…。あいつか、いや違うな。誰だっけ、えーと、うーん と、えーと、うーんと…。うそー、思い出せない…。 「犯人は…」 智は指を突き上げたまま、黙り込んでしまった。 よみが、智の顔を覗き込むように見た。その次の瞬間だった。 「へへへ、犯人が誰だったか忘れちゃった」 智は舌をぺろっと出して、あっけらかんと言った。 あれー、おっかしいなー。誰だっけ、うーん、さっきまでは覚えていたのになぁ。 まあいいや、よみに聞くか。 「あれぇ、誰だったっけ?よみ、知ってるか?」 智は何食わぬ顔でよみに訪ねた。その次の瞬間だった。 「ダブルチョーップ!!!」 よみが智の頭めがけて渾身のチョップを繰り出してきた。今日食らった攻撃の中で一番 痛い。思わず涙が出て来そうになった。 「痛ったー」 智はもろにチョップを受けた頭部をなでる様に抑えた。 「そんなこと私に聞くな!」 よみは怒り冷めやらぬ様子で一喝した。 そんなに思い切り叩くなよ。それよりも、今の一撃で完全に忘れちゃったよ。犯人は誰 だっけかなー。うーん、胸の中がモヤモヤする…。何か、こう喉元まで出てるのに…。 必死に思い出そうとしている智に向かって、よみは不敵な笑みを浮かべていた。しかし、 智はそんなよみの笑顔を見る余裕もなく、必死に思い出そうとした。 「犯人の名前を教えてやろうか?本当はもう全部読んだんだ」 「本当か?」 良かった。これで思い出すことができる。こうなったら、よみでもいいや。誰だか思い 出さないと今夜は気分よく眠れそうにない。 頼む、教えてくれ。 智はよみの顔をじっと見つめた。 「泣いて頼むんだったら、教えてやってもいいぞ。今日の宿題と一緒にな」 よみが智を見下すように言った。ついでに鼻であしらうように嘲笑してやがる。 智は急に自分が主導権を握ったかのようなよみの姿が癪に障った。 「けっ、誰がそんなこと!」 智はよみを睨むような表情を浮かべて言った。 「じゃあ、どうやって犯人を思い出すんだ」 よみは更に意地悪い表情を浮かべて、智を見ている。 「それは…」 智の声が途切れた。確かによみの言うとおりだ。今よみに聞かない限り、犯人を思い出 す手段はない。 よみが智の下へとにじり寄った。 今日のところは仕方がない、こうなったら逃げるしかない。 「よーし、今日のところは見逃してやろう。じゃあな!」 智はそう言うと、一目散に窓から飛び出して、自分の家へと逃げ帰った。 くそー、何で肝心なところで忘れるんだ。 智は悔しさのあまり、夜空に向かって叫びだしたくなる衝動を覚えた。 その衝動をかろうじて抑えながら、自分の部屋にもどった智は早速、犯人の名前を思い 出すべく、本を探した。 しかし、本はなかなか見つからなかった。 「あれっ、何でないんだ…。あっ!ブッ○・オフに売っちゃったんだ!くっ、だめじゃ ん。調べられる手段がないじゃないか!くけー!」 智は自分のふがいなさに苛立ちを覚え、思わず叫び声を出してしまった。 智は未だに思い出せない犯人の名前を思い出そうとして、眠れない夜を過ごしたため、 翌朝、寝坊してしまった。 そのため、普段一緒に登校しているよみに先に学校に行ってもらう羽目になった。 うーん、誰だっけ…。本当に思い出せない…。 智は駆け足で学校へと向かいつつも、まだ思い出せない犯人の名前を思い出していた。 走り続けたおかげで、何とか時間前には学校に着き、智は遅刻は免れた。 「ふぅ、間に合ったー。よみ、置いてくなんてひどいじゃないか」 智は教室に入るなり、自分の席よりも先によみの席へと駆け寄った。 「寝坊する奴が悪い。それより、思い出したのか?」 「うっ、それは…」 智はうろたえた表情を浮かべた。 「だから、頼んだら教えてやるってのに、強情なんだからな、智は」 「うるせー、誰がお前なんかの頼りになるか!」 智は両手を上下に振り回して言った。それだけは、それだけは、自分のプライドが許さ ないんだ。よみにだけは教えてもらいたくはない。まぁ、宿題は別だけどな。 「昨日あの本を読み返したんだろ?何で思い出さないんだ」 「あの本はもう読み終えたから、ブッ○・オフに売っちゃんたんだよ。だから、もう持 っていないんだ。だから確かめることができないんだ」 「ったく、ちゃんと読まないから思い出せないんだよ」 よみは智を諭すように言った。その口調の思わず智はカチンと来た。 「なんだよー、お前が早く私に犯人の名前を言わせないからいけないんだぞー」 その言葉に、今度はよみがカチンと来た。 「人のせいにするな!お前ももう一度ちゃんと読め!」 よみがそう言った途端、智とよみの二人の間で小競り合いが始まった。 「あー、また二人のけんかが始まっちゃいました~」 「ほんとに、二人とも元気やなぁ」 よみと智の小競り合いを見ながら、ちよちゃんと大阪はただ唖然としていた。 (完)
https://w.atwiki.jp/azum/pages/33.html
「うぁぁ……さ、榊さん、神楽さん、ご、ごめんなさい……その、最初は立ち聞き しようなんて思ってなかったんですけど、そ、そのー……」 「何で謝るんだ?」 弁解するちよに【榊】が尋ねた。 「え? あの……」 ちよが言い淀むと、 「何言ってるんだよちよちゃん、別に聞いてたって謝ることなんかねー くだらねー話だぜ、なあ榊?」 【榊】がごまかしにかかる。ここまでは自然に出来た。 「あ? あ、ああ……その通りだ。べ、別になにも隠してなんかいませんよ……? うん、その通りださか……神楽、あは、あははは……」 【神楽】は自然にできなかった。【榊】は何とかしようと思ったが、 ちよが喋りだす方が早かった。 「で、でも、榊さんが神楽さんみたいに喋ってて、神楽さんが榊さんみたいで、 あの、あの、榊さんが神楽さんのことを榊って……それで、入れ替わったとか元の体とか……」 涙ぐみながらそう言うちよ。 「……」 【榊】は黙って聞いた。 「あ、あの、ごっこなんですよね!? 神楽さんが榊さんごっこやってて、 榊さんが神楽さん……あっ、いえ、その、立ち聞きなんかした私が悪くて、 その……あ! あの、もしかしてどっきりとかそういうのじゃ……」 そこまで聞いて、ちよを遮って【榊】が言う。神楽の口調を必死に作って。 「そうそう、ごっこなんだよちよちゃん。だからそんな泣くことねーって! ちょっと遊んでみただけだ」 「榊さん、本当にそうなんですか?」 ちよが【神楽】に話を振る。 「がっ、が、ごごご、ごっこ遊びなんだ、そうだ、うん。私はその、 神楽じゃなくて、榊! 榊! なあ、そうだろ? 榊にしか見えねーだろ? じゃなくて、見えないでしょ? あれ? 見えないわよ? ……え、えーと榊の言い方は……」 【神楽】はしどろもどろだった。【榊】が【神楽】を黙らせようとしたとき、 ちよが叫んだ。 「あ、あの! お二人とも今日体育の時間に頭を打ったから、 それで具合が悪いんですか?!」 「違うって、私達は大丈夫だから」 「お二人とも、今からでも救急病院に行きましょう!! そこで詳しく 診てもらいましょう! 私も一緒に行きますから!」 「だ、だから、私は神楽じゃなくて榊だぁ、マジで榊だ!」 「救急車! 救急車を呼びますから落ち着いてください!!」 焦りまくるちよと【神楽】。【榊】は考えた。 (病院に連れていかれても私はごまかせそうだが神楽がちょっと怪しいな。 でも救急車を呼ばれたらどっちみち騒ぎになる。それよりちよちゃんが どこまで納得してくれるかだな) 「ちよちゃん」 そう言って【榊】は電話を持つちよの手を押さえた。 「これはごっこ遊び。大したことはないんだ。分かる?」 尋ねた【榊】に、ちよは 「神楽さん……なんですよね? でもごっこ遊びにしてはちょっと変なんじゃ ないかと思うんです……」 と答える。 「じゃあちよちゃんは何だと思う?」 また【榊】は尋ねた。 「それは……やっぱり頭をぶつけてちょっとその……具合が悪くなってるとか…… ストレスでちょっと混乱してるとか……やっぱり病院に行きましょう!」 「そうか……。ごっこ遊びとは思ってくれないか……。でもちよちゃん、 ちよちゃんがこれはごっこ遊びって信じるなら、 私達はごっこ遊びをしてることになるんだよ」 「どういう……ことですか?」 【榊】の言葉がよく分からず困惑するちよ。 「ちよちゃんが今の私達を、ごっこ遊びをしていると思ってくれればいいんだ。 そうすれば、私達の変な行動はちよちゃんには納得できるんじゃないかな。 他に納得できる理由を探してもいいけど……例えばちよちゃんの言う通り 頭を打ったせいだとか。どう?」 「ごっこ遊びとか、頭を打ったせいだってことにして、納得しろってことですか?」 「他の理由でもいいけど、そういうことだ……」 そういうと【榊】は笑顔を作って、ダメ? と声を出さずに口だけを動かした。 「私は……」顔を伏せていたちよは【榊】の顔を見つめ、 「私は、本当のことを知りたいです!」 とハッキリと言った。ちよの真剣なまなざしが【榊】の心に突き刺さった。 (仕方、ないよね。この目に向かって嘘はつけない……) 「分かった……」 【榊】はそう答えると、【神楽】に、 「いいか? 言ってしまって。ちよちゃんなら信用できるし、大丈夫だと思う」 と聞いた。 「ああ、あんたに任せる。そういう説明とか苦手だし」 【神楽】は心なしか疲れた様子で答えた。
https://w.atwiki.jp/azum/pages/13.html
ぼん 大阪は急にプロレスが見たくなった。 「ちよちゃん、猪木見にいこー」 「いいですよー」 猪木は強かった。 「猪木ボンバイエ~~やねん」 「ボンバイエーー」 「ただいまー」 玄関のドアを開くと同時に、カレーの匂いが大阪の鼻腔をくすぐった。 母親が台所から顔を覗かせる。 「歩、今日の夕御飯はおつ――」 「待ってお母ちゃん。まさかお疲れーて言うんちゃう?」 「……なに言っとるねん歩、いくらなんでもそれはないねんよ」 「…………」 「…………」 「お母ちゃん、汗いっぱい出とるで」 「……鋭くなって来たんやなー」 「ふっ、私は猪木を見て感覚が高まったんや。もう無敵やで」 「そう。ところで今日は、ボンカレーやで」 「ぼん?」 「そうや、ボンカレーゴールド、甘口」 「ゴールド! 甘口! ぼん!」 大阪はそわそわを抑えきれず、靴を脱ぎ捨てて台所にかけこむ。 いい香りが部屋に広がっていた。 「ぼん! ぼん……ぼんばいえーごーるど!」 「うふふ、まだまだやね歩」 後方の視線に、大阪は固まった。 「他にもあるで。ほれ、サーターアンダギーに、チャンプル」 「ちゃ、ちゃんぷるー! さーたーあんだぎー!」 「あら歩、どうして涙を流しとるんやー? ふふふ」 「な、なんで口が勝手に……」 「可愛いわね。はい、ボンカレー」 「いのきぼんばいえー!」
https://w.atwiki.jp/azum/pages/61.html
どこかの子供がそんな言葉を言っていた。かなりうろ覚えだが。 小説かなにかの一文らしいが、まぁ、実際、それは嘘だ。いくら野良猫といえど、 名前くらいは持っている。もちろん人間につけられた名前ではない名前が。 よく俺を触りに来る女―――榊といったか―――は、俺のことを勝手にかみネコと呼びやがる。 どうやら人間に対して、俺たちの言葉は通じないらしい。あいつらの言葉は 俺たちネコにはわかるのに・・・不便なもんだ。 もちろん、俺の名前はかみネコなどでは断じてない。 俺は仲間内からはグレーと呼ばれていた。毛の色がグレーだかららしい。月並みだが、 なかなかいい名前だと自分では思っている。それをかみネコなどと呼びやがって、 あの女め。 そう考えていた刹那、人間の気配と匂い。嗅覚は犬のほうが遥かにいいと聞くが、 ネコだって悪くは無い。人間の匂いくらいは楽に判別できる。 かすかに殺気に似たものも感じられる。結論は一つ、榊だ。 逃げようと思えば簡単に逃げられる。だが、できるだけ近くまでおびき寄せ、 噛み付く。神楽だか言う女が一緒にいるとひどい目にあったことがあるが、 今日は運良くいないらしかった。 いまだ! 心の中でそう叫び、女が伸ばした手に噛み付く。歯が女の手に食い込み、 少しばかり血の味がした。 苦痛に顔をゆがませながらも、女は俺の頭をなでようとしてくる。いろいろな意味で、 すごい執念とは思うが・・・。 もう片方の手が近寄ってきたのを確認すると、きびすを返して塀の上を走り去る。 遥か後方には女の姿があった。 「なんでいっつも噛み付くんですか?」 今の出来事を見ていたのだろう。黒いネコが声をかけてきた。見覚えがある顔。 名前は確か・・・クロといったか。 こちらも俺と同じような名前のつき方なのだと、ふと思う。 「何のことだ?」 即答し、はぐらかす。 「とぼけないで下さい。あの髪の長い女性のことですよ」 厳しい追及の言葉がクロの口から発せられる。 「・・・それなら、お前は憎くないのか?」 無意識だった。無意識に出た言葉が、それだった。 「俺は人間の都合で、生まれてすぐに捨てられた。お前だって、色が黒いってだけで、 忌み嫌われてきたじゃねぇか。それで、人間を憎まずにいられるのか?」 自分自身では全くといっていいほどわからなかったが、このときの口調は、 とても憎憎しげな口調で今の言葉を言ったのだろう。クロの表情から。 それとなく感じた。 「そりゃあ、人間を心の底から好き、全く憎んでいないって言ったらウソになる。 それでもグレーは、あの人に強く当たりすぎだよ!あの人は何もしてないでしょ?」 クロが、訴えるように言ってきた。一歩も引き下がるつもりなどないらしい。 俺とクロとの間に、火花が散ったように見えた。 「俺を飼ってた奴らと、同じ臭いがするんだよ。魚みたいな臭いが、な」 少し自虐的に笑い、塀の上に上った。下でクロがなにか言ってくるが、 気にしない。 「人間なんか、大嫌いだ」 俺はそういっていた。 それから数週間が過ぎた。 いなくなったボスの変わりに、俺がボスになった。 いつものように、いつもの道路を渡る。ボスになったことで浮かれていたのだろうか、 それともいつも渡っているので安心しきっていたのか。右から来る車に、 気がつかないままだった。 車はスピードを落とそうとはしない。俺の姿が見えないからか、 はたまた俺のような野良猫の命など、どうなってもいいと思っているのだろうか。 反射的に体が動く。が、間に合わない。 次の瞬間、感じたものは痛み。体中が軋むような痛み。 周りの人間が、俺を囲んでみている。だが、助けようとはとはだれもしない。 わかり切っていたことだ。 類先日起こった出来事が、走馬灯のように思い出される。 下校途中のあの女と、そのクラスメートのちよだかいう女を、 部下と一緒に追い詰めたときだ。 いきなり、目の前に何かが立ちはだかった。自分たちの似たような外見だったが、 全てが少し違っていた。 「お前ら、この人に手ぇ出したら、承知しねぇぞ!」 体中の毛を逆立てて、敵意をむき出しにしている自分たちの前にいる動物、 イリオモテヤマネコはそういった。 思わずひるみそうになったが、こらえて言い返す。 「お前みたいな種族が、なんでこんなところにいる?それに、 お前らだって人間のせいで絶滅しそうなんだろ?なんで人間を庇う?」 警戒しつつ、俺は尋ねた。俺が話している最中も、 相手の雰囲気は変わらなかった。 「そんなこと関係ない。この人は、誰よりもやさしい。それだけで十分だ。 さぁ、早くこの場から消えろ!」 敵意にくわえて、殺意が言葉に混じってくる。 「ちっ。おい!逃げるぞ!」 大声を上げると、部下はいっせいにばらばらになる。 すぐに俺の視界から、女達とイリオモテヤマネコは消え去った。 最後の最後まで、あのイリオモテヤマネコは敵意を消さなかったな。 それほどまでにあの女たちを護りたいのだろう。 『この人は誰よりもやさしい』か。いいモンだな。 視界がぼやけていく。体中が痛い。 「大丈夫か!?」 聞きなれた声が聞こえた。 聞きなれた声の主である榊の姿が、かすんだ視界の向こうにわずかばかり見える。 だが、姿がはっきりと定まらない。隣に誰かがいる。ツインテールで、 小さい・・・・。ちよ、か・・・。 榊はおもむろに俺の体を持ち上げ、走り出す。 くそっ!俺に触るんじゃねぇ! いつものように噛み付こうとするが、体が動かない。代わりに、 痛みだけが体中を貫く。 だんだんと意識が暗闇に落ちていく中で、『絶対に助けてやる』という言葉だけが 俺の耳に届いていた。 気がつくと、そこは柔らかい布の上だった。 体中はまだ痛い。それこそ動かせないくらいに。視界が霞んでいないということは、 体調が少しは回復したということだろうか。 キィ・・・。 ドアが開いた。このとき初めて俺はここがどこかの一室ということに気がついた。 「ほれ、起きたみたいじゃ」 白髪白ヒゲの白衣を着たじいさんが顔を出し、俺を指差した。続いて、 榊とちよがこちらを覗き込む。 二人はなにか礼をいい、俺の体を抱き上げる。 必死に名手抵抗しようとするが、体中が痛くてそれどころではない。 榊は俺を抱きかかえたまま、ちよと一緒に歩く。二人は並びながら、 俺の体調や怪我などについて話し合っていた。 「大丈夫ですかねぇ?かみネコさん。」 「・・・大丈夫。絶対に、大丈夫。」 榊は俺の顔を見ながら言った。 気がつけば、俺の目の前には大きな家があった。とても大きな家。 豪邸である。 表札には『美浜』と書かれている。どうやらここがちよの家らしい。 これには流石の俺も驚きを隠せなかった。 そのまま、門を空けて家の中へ入っていく。途中では大きな白い犬が、 こちらをじっと見ていたことが気がかりだった。 榊は俺をタオルを敷いたダンボールの中へ置き、 ちよと一緒にどこか―――まぁたぶん台所だろう―――に消えた。 「ザマァねぇな。」 聞き覚えのある声。そう、忘れもしない、あのイリオモテヤマネコの声だった。 はっとして振り向くと、矢張りそこにはイリオモテヤマネコがいた。 「お前、どうしたんだ?」 答えない。無視して体を丸くする。 榊とちよが、こちらの部屋に戻ってくる。 「マヤー、今日は榊さんが泊まりますからね。かみネコさん、怪我してますから 仲良くしてくださいよ?」 ちよの口から出た言葉に、思わず自分の耳を疑う。 冗談じゃねぇ!榊と、さらにあのイリオモテヤマネコの野郎と一晩一緒だって!? イリオモテヤマネコ―――マヤーという名前らしい―――は、 とても嬉しそうな表情をしていた。それほどまでにあの榊と一緒にいたいのだろう。 「ま、そういうことらしい。お前も怪我してるんだから、 少しは養生したほうがいいんじゃねぇか?もう気がついているとは思うが、 お前を助けたのは俺の主人の榊さんと、友達のちよちゃんだ。一度礼くらい、 言っておきな。」 顔は榊のほうに向けたまま、マヤーが言った。言い返そうとは思ったが、 全てがあいつのいうとおりなので、何も言うことが出来ない。第一、 怪我のせいで満足に動くこともできないので、養生しているしかないというのも また事実である。 俺は観念し、目を瞑った。病院で寝てはいたが、詳しく言うと、 あれは寝ていたではなく気絶していただ。それに疲れもたまっていたので、 大分眠かった。 ゆっくりと、俺はまどろみの中へ落ちていった。 夜中に、目が覚めた。あたりは真っ暗だったが、 ネコにはそんなこと関係ないのでよく見通すことが出来る。 ふと、体が動くことに気がついた。体力が回復すると共に傷も癒えたのだろうか。 まぁ理由などはどうでもよかった。ただ、体が動くのであれば、 この家からさっさとオサラバすることができるのだ。 俺はダンボールの中から飛び出す。 「行くのか?」 不意に声がかかった。マヤーだ。 「ああ。これ以上人間なんかと一緒にいたくないんでな。」 振り向かずに答える。相手が今どんな表情をしているのか、全くわからない。 「そうか。俺には野良猫の気持ちなど分からないが・・・ 人間というのはいいものだぞ。少なくとも、榊さんとちよちゃんは、な。」 マヤーが発した言葉を、一つ一つ吟味していく。 「そうか。俺には飼い猫の気持ちなど分からないが・・・ 少なくとも、お前は幸せそうだな。」 言葉を真似て、言い返す。多分、このとき、おれは笑っていたのだと思う。 俺は空いている小窓を見つけると、真夜中の外へと飛び出していった。 数週間後。 俺の目の前には、矢張りとでも言うべきなのだろうか、榊がいる。ゆっくりと、 毎度おなじみの行動で、俺の頭をなでようとしてくる。 俺は榊の手に噛み付―――かなかった。 榊の手が俺の頭に触れ、恐る恐るなでていく。嬉しさのあまりか、 少しばかり呆けているように思えた。 「ったく・・・助けてもらった礼だ」 言葉が通じないのを承知でいう。この言葉は、本当に榊に対して言った言葉か、 それとも、自分自身に言った言葉か。 答えは、わからなかった。 マヤーが、「ほら、人間っていいもんだろ?」と笑っているような、 そんな気がした。 END
https://w.atwiki.jp/azum/pages/6.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
https://w.atwiki.jp/azum/pages/15.html
大阪
https://w.atwiki.jp/azum/pages/52.html
夜になり、智はよみの部屋の明かりがついているのを確認し、家を出た。 よーし、今度はよみの部屋へ直撃だ。奇襲をかけて、そのまま犯人の名前を暴いてやる。 あっ、それと、宿題も見せてもらってやる。ふふふ、今に見ていろ。 智はよみの家のインターホンを押さずに、庭先を周ってよみの部屋の窓に立つと、よみ の部屋の窓ガラスをノックした。 少しして、よみがカーテンを開けた。智は窓ガラス越しに映るよみの顔を見て、思わず ニヤニヤと笑みを浮かべた。 もう少しで犯人の名前を教えてやるからな、と思うと思わず頬が緩んだのである。 よみが何も言わずに、窓のロックを外すと、智はひょいと飛び上がり、窓からよみの部 屋へと入った。 おっと、目的をちゃんと言わないと追い返されるかもしれないな。 「よみー、宿題教えてくれー」 智は一点の曇りもない笑顔で言った。ただ、これは嘘ではない。宿題を見せてもらうの も目的の一つだ。ただ、真の目的は別のところにあるんだけどな。 智はよみがどことなくよそよそしい態度をとっているように思えた。やっぱり警戒して いるのか。まぁいい。すぐには言わないでやる。その方が盛り上がるからな。 「今、宿題解いているところだから、もう少し待っててくれ」 何だ、まだ終わってなかったのか。じゃあ、待たせてもらうとするか。 「んじゃ、そうする。お前、あの雑誌の今週号買ったか?」 「あぁ。その辺にあるだろう」 智はよみが勉強している机の後ろにあるベッドに横たわり、ベッドの横においてあった ファッション雑誌を読み始めた。 よみは宿題を解きながら、自分の好きなラジオ番組を聴いていたため、しばらくは二人 の間に会話がなく、ラジオのDJの軽快なトークが部屋中に響いていた。 また、こいつはこのラジオ番組を聴いてるのか。本当に好きだね。 智はそう思いながらも、ファッション雑誌を何気なしに眺めていた。それから、少しし て、ラジオから最近のヒット曲がかかったとき、智はふとある疑問が頭をもたげ、沈黙を 破るように口を開いた。 「なぁ、今日の放課後どこに行ってたんだ?すぐいなくなったろ」 「ん?本屋に行ってた。欲しい参考書があってな」 よみが智のほうを振り向かず、勉強机に向かったまま、ぶっきらぼうに答えた。 何ぃ?本屋だって。それは気付かなかった。何で気付かなかったんだ。くそー、よく考 えたら本屋って選択肢ぐらい思いつきそうだったのに…。 智は唇を噛み締めながら、 「何だ、本屋だったのか?あー、それは盲点だったなぁ」 と、心から悔しそうな声を出した。 ん、待てよ…。本屋にいたって事はあの本を立ち読みすることもできたってことじゃな いのか?もしかしたら、もう全部読んじゃったんじゃ…。聞いてみる必要がありそうだな。 智はベッドから体を起こし、 「ところで、話は変わるけどさ。あの本どこまで読んだ?」 と、尋ねた。起き上がったときにギィとベッドがきしんだ音がした。 「まだだ」 よみが智の顔を振り返ることなく、それだけ言った。 「まだ読んでないのか」 智の嬉しそうな様子で言った。思わず、声が弾んでしまった。 ふぅ、良かった。まだチャンスはあるみたいだな。しかし、バカ正直な奴だ。嘘でも読 んだって言えばいいのに。そうすれば、バラされないかもしれないのにな。まぁ、仮にそ うだとしても、答えあわせのつもりで言っちゃうけどね。 智は読みが自分に背中を向けていることをいい事に、意地の悪い笑みを浮かべた。 「そうか。じゃあ、宿題を教えてくれるお礼に犯人の名前を教えてあげよう」 智はさっきと同じようなトーンで言った。しかし、普段ならツッコミが入るところなの に、よみからは何のリアクションもなかった。 ん、言っちゃっていいのか?言っちゃうぞ。それでいいんだな。まぁ止めても言うけど な。もう観念したのか? 「あれ?何だ、止めないのか。言ってもいいのかぁ?言っちゃうぞ?」 智は早く言いたくてたまらなかった。よみが苦悩する瞬間を目の当たりにしたい、そう 思うと胸の中がウズウズして止まらなかった。 「犯人は…」 「ちょっと待て!」 よみがそう叫んで、智のほうをキッと睨むように見た。 うおっ!そんな睨まなくても。 智は思わずその気迫に押されてか黙り込んでしまった。再び、DJの軽快なトークが部 屋中に流れた。 「それでは、ここでおハガキを一通。ラジオネームが『涙のダイ…」 ん?ラジオネーム『涙の…』だって。よみの奴、また『涙のダイエット少女』として、 ハガキを出していたのか。あはははは。こいつはお笑いだ。こうなったら読まれた記念 に、犯人の名前をバラしてやる。 よみは視線を智からラジオへとずらした。智もそんなよみの動作に合わせるようにラジ オへと視線をずらした。 よみのハガキよ、電波に乗って読まれろ。その瞬間、私はよみに犯人の名前をバラすの だ。ハガキを読み終えた瞬間が、よみにバラす号令となるのだ。 智の視線はラジオへと釘付けになった。 (後編へ続く)
https://w.atwiki.jp/azum/pages/46.html
結末の行方‐sight of Tomo‐ 第1章 結末の行方‐sight of Tomo‐ 第2章 結末の行方‐sight of Tomo‐ 第3章 結末の行方‐sight of Tomo‐ 第4章 結末の行方‐sight of Tomo‐ 最終章(前編) 結末の行方‐sight of Tomo‐ 最終章(後編)
https://w.atwiki.jp/azum/pages/4.html
ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【まおりゅう】八星之紋章交換のおすすめ交換キャラ - AppMedia(アップメディア) Among Us攻略Wiki【アマングアス・アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」:時事ドットコム - 時事通信 マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 - PR TIMES 【Apex Legends】ヴァルキリーの能力と評価【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) モンハンライズ攻略Wiki|MHRise - AppMedia(アップメディア) 【ウインドボーイズ】リセマラ当たりランキング(最新版) - ウインドボーイズ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ポケモンBDSP(ダイパリメイク)攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 【テイルズオブルミナリア】リセマラ当たりランキング - TOルミナリア攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】チャンピオンズミーティングの攻略まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】フジキセキの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) サモンズボード攻略wiki - GameWith 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】サーナイトの評価と性能詳細【UNITE】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ガーディアンテイルズ】ギルドレイド戦(秘密の研究所)の攻略とおすすめキャラ【ガデテル】 - Gamerch(ゲーマチ) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ” - 沖縄タイムス 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】アップデート情報・キャラ調整まとめ - ポケモンユナイト攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【Apex】シーズン11の新要素と最新情報まとめ【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) ロストジャッジメント攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【Among us】新マップThe Airship(エアシップ)の解説【アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) ハーネスについて小児科医の立場から考える(坂本昌彦) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ゼルダ無双攻略Wiki|厄災の黙示録 - AppMedia(アップメディア) ウマ娘攻略Wiki - AppMedia(アップメディア) ゲトメア(ゲートオブナイトメア)攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【白夜極光】リセマラ当たりランキング - 白夜 極光 wiki - Gamerch(ゲーマチ) お蔵入りとなった幻の『スーパーマリオ』 オランダの博物館でプレイ可能?(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」が「ITreview Best Software in Japan 2021」のTOP50に選出 - PR TIMES 真女神転生5攻略Wiki|メガテン5 - AppMedia(アップメディア) 【B4B】近接ビルドデッキにおすすめのカード【back4blood】 - Gamerch(ゲーマチ) ポケモンスナップ攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 富野由悠季「ブレンパワード」作り直したい!ファンを前に意欲(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ウマ娘】査定効率から見た取るべきスキルとおすすめキャラ【プリティーダービー】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】カズヤの評価とコンボ【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) ナレッジ共有・社内wiki「NotePM」が「ITreview Grid Award 2021 Fall」で、チームコラボレーションとマニュアル作成部門において「Leader」を5期連続でW受賞! - PR TIMES メモ・ドキュメント・wiki・プロジェクト管理などオールインワンのワークスペース「Notion」が日本語ベータ版提供開始 - TechCrunch Japan 【ギアジェネ】リセマラ当たりランキング【コードギアス】 - ギアジェネ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) モンスターファーム2(MF2)攻略wiki|アプリ・Switch移植版 - AppMedia(アップメディア) 文芸誌『早稲田文学』のホラー特集号が発売開始。ガッチマン氏とVTuberらとの「ホラーゲーム実況対談」のほかSCP財団やChilla s Artも(電ファミニコゲーマー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ブラサジ】最強キャラTierランキング【ブラックサージナイト】 - Gamerch(ゲーマチ) 【パワプロ】鬼滅の刃コラボ情報まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【SPAJAM2021】第3回予選大会は「クイズ!WIKIにゃんず!」を開発したチーム「かよちゃんず」が最優秀賞! | gamebiz - SocialGameInfo 検索結果における「ナレッジパネル」の役割とは・・・ウィキメディア財団とDuckDuckGoの共同調査 - Media Innovation ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」が「BOXIL SaaS AWARD 2021 Autumn」にて「コラボレーション部門」を受賞! - PR TIMES Wikipediaが「中国人編集者の身の安全を守るため」に一部の編集者アカウントをBANに - GIGAZINE 【ドッカンバトル】3.5億ダウンロードキャンペーン最新情報 - ドッカンバトル攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) BTS(防弾少年団)のV、8月のWikipedia閲覧数が韓国アーティストで1位!グループでは4ヶ月連続トップ - Kstyle 【イース6オンライン】リセマラ当たりランキング|召喚ガチャの開放条件は? - Gamerch(ゲーマチ) BacklogからNotePMへwiki情報を自動API連携する「Backlog to NotePM」をSaaStainerに掲載開始 - PR TIMES ライザのアトリエ2攻略Wiki - AppMedia(アップメディア) 真女神転生3リマスター攻略Wiki|メガテン3 - AppMedia(アップメディア) タスクも文書もWikiもデータベースもまとめて管理できる「Notion」とは? - ASCII.jp ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」が、見るだけ専用ユーザー『無料』の新プランを発表! - PR TIMES 【かのぱず】リセマラ当たりランキング【彼女お借りします】 - Gamerch(ゲーマチ) 【乃木フラ】リセマラの必要はある?【乃木坂的フラクタル】 - Gamerch(ゲーマチ) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【パワプロ】生放送まとめ|パワフェス2021 - パワプロ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】サーナイトのおすすめビルド(わざ・持ち物) - Gamerch(ゲーマチ) ルーンファクトリー5攻略wiki|ルンファク5 - AppMedia(アップメディア) シャーマンキングふんばりクロニクル攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 簡単操作で自分専用Wikiを構築できるMarkdownエディタ「Obsidian」のモバイル版を使ってみた - GIGAZINE ディーサイドトロイメライ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 情報マネジメントツール「Huddler」がwiki機能を刷新 - PR TIMES シェアエコ配送アプリ「DIAq(ダイヤク)」のアンカーアプリで、高層ビル・商業施設の入館方法などお役立ち情報をまとめた「DIAqwiki」を公開 - アットプレス(プレスリリース) 異常熱波のカナダで49.6度、いま北米で起きていること(森さやか) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ツイステ】マスターシェフの攻略~辛味のふるさと~【料理イベント】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ラグナロクオリジン】リセマラは不要?おすすめ職業は?【ラグオリ】 - Gamerch(ゲーマチ) 白夜極光攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 【バイオミュータント】2.02アプデ|アップデート1.4情報 - バイオミュータント攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ニーアレプリカントリメイク攻略wiki|ver.1.22 - AppMedia(アップメディア) 【ウマ娘】ゴルシウィークはいつから?キャンペーン情報まとめ - Gamerch(ゲーマチ) シーズン66 - 【超速GP】ミニ四駆 超速グランプリ攻略まとめwiki - 電撃オンライン 乃木坂的フラクタル攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 「こんなことになるとは…」13年前のエイプリルフールについた“嘘”がネットで… ある男の告白(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 整理不要の情報共有ツール(社内Wiki)「Nerve」シードラウンドで総額約3500万円の資金調達を実施 - PR TIMES Nerve - 整理不要の情報共有ツール(社内Wiki) ローンチカスタマー募集開始のお知らせ - PR TIMES パニシンググレイレイヴン(パニグレ)攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ひなこい】最強ひな写ランキング - ひなこい攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 稲作アクションRPG『天穂のサクナヒメ』における「農林水産省攻略wiki説」は本当なのか? - AUTOMATON スタスマ攻略Wiki【スタースマッシュ】 - Gamerch(ゲーマチ) 無料とは思えない多機能っぷりなWikiインフラ「Wiki.js」レビュー、自前でホスト&外部サービスと連携可能 - GIGAZINE Microsoft Teamsの基本と活用(24) TeamsのWikiを使う - マイナビニュース 『ゲーミングお嬢様』での提起が話題に “企業系wiki”に横たわる問題点とは - リアルサウンド 「エイリアンのたまご」,自動周回機能と公式wikiが登場 - 4Gamer.net 【リゼロス】Re ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories攻略まとめwiki - 電撃オンライン 【世界初!】モノの背景を全方位で執筆できるVintage Wiki「VOV」を正式リリース - PR TIMES 足もとのベストアンサーを“編集”! Wikiペディキュア! - ビューティ特集 | SPUR - SPUR.JP パワプロ2021/2020攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ヌーラボ、「Backlog」の絵文字入力の補完機能やWiki編集の自動マージ機能を改善 - CodeZine(コードジン) ヌーラボ、プロジェクト管理ツール「Backlog」の絵文字入力の補完機能・Wiki編集の自動マージ機能を修正改善 - PR TIMES Backlog、Wikiにファイル添付が容易にできる機能をリリース -- グローバルバーの視認性改善なども実施 - PR TIMES GK川島、パンチング失点でWiki書き換え炎上 「セネガル代表」「プロボクサー」... - J-CASTニュース Wikipediaで「ヒト」を象徴する画像が、タイの男女に決まるまで 5年の激論を経て選ばれた「1枚」の物語 - WIRED.jp
https://w.atwiki.jp/azum/pages/32.html
変化に富んだ日々。 高校生になってからというものの、いつも私の周りでは楽しい友人達が 学園生活というものの楽しさ、素敵さというものを教えてくれる。 元々人付き合いのうまくない私がこんなに積極的になれるのも、彼女達のおかげだ。 今日は皆で音楽室に来ている。音楽の新田先生が私達に嬉しそうな顔で説明している。 新田先生はこの学校の非常勤で、ジャズをやっているらしい。 先生が言うには、この学校は男子生徒がかなり少ない為、 軽音楽部が無い事。また、軽音楽をやろうと言う人がいないとの事である。 そのため楽器室にある軽音楽用の楽器たちが埃をかぶっていたのだ。 そこで私達がこうやってきたので、先生は非常に喜んでいるらしい。 協力もしてくれるようで、非常にありがたい。 「それでですね、楽器を持っていないので借していただけませんか?」 もうすっかりちよちゃんが交渉役だ。リーダーは…? …いない、どこに行ったのだろう… 「是非使ってちょうだい!楽器は使わないと死んでしまうから!」 やった。これで問題のひとつ、「楽器が無い」が解決した。 「ありがとうございます、新田先生!」 ちよちゃんがめいっぱいの笑顔でお礼をしている。ちよちゃんは可愛いな… 「おーい、こっち来てみなー。」 音楽室の奥の部屋から、リーダーである智の声がした。 あそこは楽器室… 楽器室を覗くと、吹奏楽で使われる管楽器や木琴などの奥に、 未だ使われた事の無いギターとベース、ドラムセットなどがほとんど 新品に近い状態で保管されていた。 智が皆に出すのを手伝うよう命じたが、私が体が大きく、 狭い楽器室の中で身動きが取れなくなるのを恐れて外に出る事にした。 表で運び出されたドラムなどを受け取る途中、智が 「ほら、これは榊ちゃんのだぞ」 と私に渡した黒い皮のケース。 意外にずしりと腕に堪えたそれを、私は開けずにはいられなかった。 考えていたよりも早く来たこの瞬間… 手をファスナーにかける。大きな鼓動、震える手。 そんな中私は、昨日見た夢を思い出していた。 * 私は部屋で動物専門のの雑誌を読んでいた。 気に入ったページは角を折る癖があるので、ほとんどのページの角が折れている。 ページの角を折る事を、ドッグイヤーと言うらしい。 何てかわいい表現なんだろうか… あ、このページ、一合升に入ったハムスターがとてもかわいい。 よしここのページも… 「やあ、おはよう」 …! いきなり肩を叩かれたので驚いてしまった。 私は慌てて雑誌を隠すと、恐る恐る後ろを振り向いた。 「やあ、また合ったね。」 「…うわっ!」 私の後ろにいたのは…そう、ちよちゃんのお父さんだった。 「元気にしてたかなー?」 私の肩に置いていた手をふっと上げて、お父さんは言った。 「ええ…まあ、それなりに。」 私が答えるとお父さんは、どこから出したのか黒いケースに入った ギターのような物を差し出した。 「ベースがやりたいと…そう言っていたんだよねぇ?」 落ちついていて、それでいて凄みのある声で言う。 「はい…そうです。」 動揺している私に、お父さんはそれを渡す。 受け取ったそれはずしりと重く私の腕へとのしかかってきた。 「これは本当のベースだ。これを君にあげよう。」 お父さんは私に背中を向けて言った。 「え…何故?」 ベースを抱いたまま私が尋ねると、 「腕を磨くのだよ~?」 お父さんは何も言わずに去っていってしまった…。 * 「榊ちゃん何してんのさ、早く開けなよ」 私がファスナーに手をかけたまま思い耽っている間に、 楽器はすべて音楽室に運び込まれていた。 そこに並べられた楽器は本当に綺麗で、本当に長い間放置されていた物には見えなかった。 「誰も使わないから、私がいつも手入れしてたのよ。 新田先生が得意げに言う。 よみは黒地に白の変な模様のギターを抱えていた。 彼女は背があるからとても様になる。 大阪は昨日智が言ったようにブラスだったが、ブラストは全然違う形で そもそも金属製では無いようだ。 それからはコードが出ているし、私にはよくわからない。 彼女は懸命に息を吹き込んでいるが、それから音はしない。 「音せえへん、この笛壊れてるんちゃうん~?」 ちよちゃんはキーボード。 背が低いので、教卓の下にある台を使ってやっと届く高さだ。 ちよちゃんはとても嬉しそうだ。 「榊さん!」 「…ん?」 「榊さんもほら、早く!」 そうか、私がまだだったな。 「…うん。」 私はファスナーにかけた手を、一息に引きおろした。 中から現れたのは想像もしていなかったほど赤く赤く、 そして触れる者を全て破壊してしまうようなフォルムと存在感を持ったベースだった。 「わ・・・」 私は恐ろしさよりも、早くそのベースを抱いて 全力で弾いてみたい感覚に襲われた。