約 2,595,038 件
https://w.atwiki.jp/okieroparo/pages/26.html
903 :小ネタ罰ゲーム3日目 栄口:2007/07/22(日) 01 39 23 ID 6WS49AqS 「おお~い、花井。ちょっといいか~?」 昼休みもあと少しで終わるころ、 机につっぷして寝てた花井を起こして、廊下に連れ出す。 「ど~した?栄口、めずらしいな。」 大口開けてあくびして、頭の後ろをぼりぼり掻く花井。 熟睡してたのか。悪かったな~起こして。 「いや、ちょっと相談があってさ・・はは。」 今から言わなきゃいけないことを思うと、ため息が出るぜ。 「あのさ~・・。今日は最後の罰ゲームあるだろ?」 「ああ、そうだな。一昨日は雨だったし、 昨日はミーティングだったし、まあ・・・・罰ゲーム実行したしな。 今日でやっと終わるかと思うと、せいせいするけど、恐怖のほうがでかいぜ。 そんで、それがどうかしたか?」 オレは深い深呼吸をひとつした。 「皆がさ、今日の最下位を阿部にしようぜって燃えてんだよ。」 「はああ!?」 904 :小ネタ罰ゲーム3日目 栄口:2007/07/22(日) 01 40 20 ID 6WS49AqS 仰天する花井。そりゃ~、びっくりするよな。 なんたって八百長けしかけるようなもんだもんなあ~。 「なんで!?いや~・・しかし、でも・・・気持ちはわからんでもないが・・・。」 キャプテンとしては許せないだろうが、個人的には賛成なんだな~、花井も。 恨みでも溜まってんのかな? 「いや~・・9組の連中がさ・・・もうノリノリなんだよ。 田島が確か言い出したんだけど、 いつもはストップに回る泉が率先して賛成してさ・・・・。 反対する奴が一人もいなくて、もうオレどうしようもないんだよ。」 「でもよ・・・。阿部を最下位にするの・・かなり大変だぞ?」 「そうなんだよ~。阿部、なんだかんだで何でもこなすじゃん。 最下位なったの見たことないもんね~・・・。」 オレと花井は同時に腕を組み、深く悩む。 「でさ、花井はさ、反対かな?賛成かな?」 「ええ!? オレはその・・・・うう・・・うううううう。」 すっごい悩むな~。花井、阿部になんかあんのかな? 「その、栄口はどうなんだ?」 「オレ?オレはそうだな・・・賛成かな?率先して阿部を狙い撃ちには しないだろうけど、皆を止める気には全くならないから。」 そうなんだよな。 オレも阿部が困り果てるのを見てみたいんだな~・・・・。 「問題はさ、阿部がそれに気付いた時なんだよ。 間違いなくバレるだろうし、キレるだろうから、 そんときゃ花井、うまくフォローしてくれよな。」 905 :小ネタ罰ゲーム3日目 栄口:2007/07/22(日) 01 41 14 ID 6WS49AqS 「オレがそんなのできるわけないじゃねーか!!」 花井の顔が恐怖に歪む。 「大丈夫大丈夫。なんだかんだで阿部って花井には一目置いてるからさ。 オレの言うことは聞く気ないだろうけど、花井の言う事は多少は聞くだろ?」 「お前・・多少って・・・・当たってるけど・・・。」 「何してんだ?お前ら。」 低音ボイスが背後から聞こえた。 ぎくっとして振り返ると、案の定阿部だった。 「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、何でもない。」 思わず両手をフリフリしながら、必死でごまかしを試みる。 「いやいや、何でもないぞ、何でも!」 花井もまったく同じリアクションで、流そうと必死だ。 「ふーん?まあ、どうでもいいけど、もう予鈴とっくになったぜ?」 阿部の、タレ目が、今は心底怖い。オレらを怪しみまくってる。 「おお、そうか!栄口、さっさともどれよ。じゃあ、また部活でな!」 花井がオレを必死に逃がそうとする。助かるぜ~さっすがキャプテン。 「おお、じゃあな、阿部、花井!」 二人に無理やり別れを告げ、自分のクラスまで全力疾走した。 後ろを振り返ることは一度もしなかった。 花井、うまく追求逃れたかな~・・・? 考えただけで、腹が痛くなってくるぜ・・・・・。 終わる 934 :小ネタ罰ゲーム 3日目阿部:2007/07/22(日) 21 58 26 ID 6WS49AqS 正直、嫌な予感はしていたんだ。 昼休み、花井と栄口が何か相談していたのを見てから。 部活中、皆、妙に俺を見て、ニヤニヤしていたから。 なにより、三橋が、一度もオレの目を見なかったから。 オレを最下位にする。 みんなの考えることなんてわかってたんだ。 幼稚なあいつらじゃ、そんな考えを隠すことすらしなかったからな。 率先してたのは田島だろう。 泉もなぜか乗ってきていた。 三橋はオレを陥れることは絶対にしなかったが、 庇うことは禁止されたんだろうな。 だから一度も目線あわせなかったんだろうし。 田島一人がどんなにがんばっても、 オレを最下位にすることなんて、できない。 田島だけをあしらえばいいのなら、そんなに難しくはない。 しかし、オレは甘かった。 935 :小ネタ罰ゲーム 3日目阿部:2007/07/22(日) 21 59 23 ID 6WS49AqS まさか、絶対しそうにない巣山や沖まで、 オレを陥れることに参加してくるなんて・・・・・。 水谷はまあ、前回のうらみもあるかもしれないからなぁ・・・。 花井と栄口は敵には回らなかったが、味方にはならなかった。 実質1人対8人だぞ? そりゃ負けるさ。 ちくしょう。 「え~と、じゃあ最終の罰ゲームは阿部って事で。いいな。阿部?」 花井の声が、いやに残酷に聞こえる。 「てめえら、覚えてろよ・・・・・・。」 精一杯の恨みを込めて睨みつけるも、みんなニヤニヤしてやがる。 「がんばれよ! 阿部! ほら三橋も応援してるって!」 「あ、阿部くん。が、がんばって・・。」 「いや~まさか阿倍が罰ゲームなんてな~?」 「お、そういえば阿部、最下位初めてなんじゃねえ?」 「初最下位が最後の罰ゲーム!ついてるんじゃねえ?阿部。」 「おいおい、そのへんにしておけよ。」 「阿部、がんばれ。」 「阿部ならきっとできるぞ。」 皆口々に好き勝手なことをいう。 こないだの水谷の気持ちが、今ならわかるぜ。 一生わかりたくもなかったのによ。 936 :小ネタ罰ゲーム 3日目阿部:2007/07/22(日) 22 00 52 ID 6WS49AqS しかも、今日の罰ゲームはいったいなんだ? 今日だけは、誰も内容しらないからな。 一つ目も二つ目も、篠岡がらみだった。 今回もきっとそうだろう。 おれは一体篠岡に、何をすればいいんだ!? ちっくしょ。とにかくやればいいんだろ!? やってやるよ。なんでもな!! びりびりと封筒を破る運命の音がした。 死刑執行書のように見えるその紙に花井の目が走る。 瞬間、花井の目は驚愕に見開かれ、顔面蒼白なった。 なんだ?なんだってんだ?読めないほどひどい内容なのか? 「栄口・・・・。すまん。代わりに読んでくれ・・・。」 花井が音を上げるほどの罰ゲーム!? おそるおそる栄口がその紙を受け取り、蒼白になりながらも 何とか発表する。 「最下位の人は・・・田島くんと、ところかまず、オ、オナニー発言することを 辞めさせること。期限は一ヶ月。以下略。」 空気が凍りつく。いや、ただ一人、田島だけはわかってない顔してやがる。 「な!? そんなので絶対無理だ!!」 全員が凍りついたその空間で、 オレの声が、むなしく夜空に吸い込まれた・・・・・・・。 終わる 943 :小ネタ罰ゲーム 3日目作戦 阿部 :2007/07/22(日) 23 00 45 ID 6WS49AqS 「オレ、何がそんなに悪いのか、わっかんねえ。」 「いや、だからな、そういうことは人の前で いっちゃだめなんだ。カンタンなことじゃねえか。」 部室で着替えをしてる最中、とりあえず罰ゲームの実行を試みる。 「なんでだよ?阿部だってするだろ?オナニー。」 「だから、その単語を出すなっていってるだよ。」 「なんでだよ?オナニーはオナニーじゃんか。」 「だから・・・・なんていったらお前に通じるんだよ・・・・。」 花井以下、ものすごい同情の目線がオレに刺さってるのを感じるぜ。 「阿部だって毎日オナニー1、2回はすんだろ? あ、でもなんか3回くらいしてそー。」 「毎日するか、アホ。あんなのただの気晴らしじゃねーか。」 「おおおおお!!んで!?どんなの使ってんの?」 「いや、テキトーにネットから拾ってきたやつでって・・ そんなのはどうでもいいんだよ!」 いかん、どーも田島のペースに巻き込まれる。 「だから、お前がその単語使わないって一言言えば この罰ゲームはそれだけで終わるんだよ! たった今!一言!今後それ言わないって約束しろよ!」 「納得いかないことを約束なんてできねーよ。」 田島がケロっと反抗する。 こ、コイツは~!! 思わず握りこぶしつくってうめぼししてやりたくなったが 三橋じゃあるまいし、簡単にさせてくれないだろうから必死でこらえた。 944 :小ネタ罰ゲーム 3日目作戦 阿部 :2007/07/22(日) 23 01 37 ID 6WS49AqS 「ま、まあまあ、阿部。幸い期限は一ヶ月あるんだ・・・。 ボチボチやっていったらどうだ・・・?」 恐る恐る花井がそう助言してきた。 「くそっ!なんだよ!この罰ゲーム!最悪じゃねえか!」 思わずそう愚痴をこぼす。 「え~?そんなこというけど、三橋と水谷はちゃんとやったじゃんか。」 またもやケロ~と田島が抜かす。 「だから!!テメー自覚しろよ!お・ま・え・が罰ゲームの対象にされてるんだぞ!? そこんとこ恥ずかしいとかちっとはおもわねーのか!?」 「にしし、全然。」 田島スマイルでケロっと答える ブッチーンと何かが切れるのがはっきり聞こえた。 ケロケロケロケロ効果音つけやがって!!お前はカエルか!? ピョンピョン跳ねんのか!? 「そもそも!今日の氷オニは一体なんだ!? 皆でオレをカタに嵌めやがって。花井!栄口!お前ら昼なんか話してたよな~? オレを嵌める相談でもしてたのか!?」 「うわあ!阿部がキレた!」 「ちょ、花井なんとかしろよ。」 「栄口、阿部サマのご指名だぞ。」 「おおお、三橋がちっこくなってるぞ。」 「う、ううう、あ、あああ、ううう。」 「おい、三橋、別にお前が怒られてんじゃねーぞ。気をしっかりもて。」 くそ!みんな部室の端で集まりやがって!うっとうしい! 945 :小ネタ罰ゲーム 3日目作戦 阿部 :2007/07/22(日) 23 02 25 ID 6WS49AqS 「花井、栄口。」 ふうっと一つ軽い深呼吸をして、腕組して二人を指名する。 びっくうと二人で体を震わせ、じりじりと一歩前にでてきた。 「い、いやいやいやいや、決してお前をカタにはめてなんていないって!」 「そ、そうそう。阿部だってそりゃ最下位になるときだって、あるだろ!? それが、たまたま今日だったっていう話だって。」 「ああああ!?」 なにふざけたこと抜かしてんだ!コイツラ! 「オレは今まで一度も最下位になってねーんだよ!しかもあれで 狙い撃ちにしてるの、ばれてないのかと思ってたのかよ! あからさまに狙ってきやがってクセによ!」 ううっ!くそ、やべぇ!涙が出てきそうだぜ。 くるっと皆に背中をむけ、ロッカーに手を置き、深く深呼吸する。 「え~とよ、阿部?みんなちょっとムキになっただけなんだって。 ホラ、お前さ、昨日の罰ゲームですごい策を発揮しただろ? だから、ちょっと、みんなさ、お前が華麗に罰ゲームこなすのを 見たくなっただけなんだって。」 何だよ、おだてんのかよ。 「幸い、今回のは期間も長いし、阿部も今日は興奮してるし、 もう、帰ろうぜ?」 確かに、花井の言うことにも一理ある。 今日はもう帰るべきだろう。 「そうだな、今日はとりあえず、帰るか。」 みんなが一斉にほ~とため息をついてるのが気にいらねえが。 コンビニで田島がよくオナニーオナニー叫んでるのが モモカンの耳に入ったのかも知れねえな。 しかし・・・・オレに・・・できるのか? やるしかねえか。 作戦が必要だな。 終わる 962 :小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部 :2007/07/23(月) 20 45 58 ID +sNBsFh3 作戦その1 再び正攻法 「その直接的な単語を出すんじゃなくて、ヌクとか処理するとかいえよ。」 「ヌク~?処理する~?な~んかピンとこねえ。」 「そもそもだな。フツー自分がどれくらい自家発電してるとか 恥ずかしくて人にはいえないもんだぞ?」 「じ・・自家発電?そんないいかたもあんのか?」 「女とヤんのは自慢になるけど、セルフサービスはプライドが邪魔するだろ?」 「わっかんねえ。ぜんっぜん邪魔しねえ。」 「家でやってて、家族に見られたら恥ずかしいだろうが。」 「いや?アニキとかに良く見つかるけど、コレも使えってエロ本くれるから、 恥ずかしいなんて思ったことねえ。」 オレの頭が・・・・おかしくなりそうだ。 常識が崩壊しそうだ。 ありえねえ・・・ありえねえよ・・・・・。 失敗 963 :小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部 :2007/07/23(月) 20 47 04 ID +sNBsFh3 作戦その2 花井を巻き込む 「花井、ちょっと話があるんだ・・」 花井はびっくうと体を震わせ、 オレが言い終わらないうちにあせったように答えた。 「こ、断る。」 「なんだよ。まだ何もいってねえぞ?」 「だ、だが断る。」 「いいから話ぐらい聞けよ。」 「いーや、聞かなくてもわかるから断る。じゃ、じゃあな。」 そういい捨ててどこかに走っていきやがった。 何だよ、アイツ、何だってんだ? 捕獲失敗 964 :小ネタ罰ゲーム 3日目実行 閑話休題 :2007/07/23(月) 20 48 34 ID +sNBsFh3 最後の罰ゲームが阿部になり、その実行に入って数日後、 屋上で、栄口と巣山の1組、3組の沖と西広が 昼食を食べていた。 「他の奴らはこないのか?」 巣山が栄口に問いかける。 「いや~。なんか呼びづかくってさ。だって、当事者がいるクラスだろ? 本人が来たらいやだな~って思ってさ。」 「うう。それは確かに・・・。」 沖が青ざめて答える。 「阿部と田島の対決はけっこう見ものだよね。」 「ええ!?西広、楽しんでるのか!?」 にこにこと笑ってうなずく西広に、沖と栄口は尊敬のまなざしを送る。 「ま、二人は声もでけーから、遠くで見てる分には楽しいが、 部室でやられるとうるさくて仕方ないな。」 巣山も結構楽しんでる様子だ。 「ああ~。ほんとオレ負けなくてよかった~。」 沖がほ~とため息をつく。 「全くだ。9組の策に乗ってみたが見事にはまったな。」 巣山が最後のパンの封を開けながら答えた。 965 :小ネタ罰ゲーム 3日目実行 閑話休題 :2007/07/23(月) 20 49 22 ID +sNBsFh3 「しかし、阿部対田島か~・・・・・・。 どっちが・・勝つかな?」 栄口が、遠慮がちにいう。 「ちょっと反発しあう二人だからね。」 「阿部のあのえらそうな態度は田島の反感を買うだけだろうな。」 「あの上から目線、やめたらいいのにね。」 「・・・・・・賭けるか?」 巣山がにやっと企んだ。 「おお、巣山がそんなこと言うの、珍しいな~。」 「そうだね、面白いかもね。」 西広がのっかる。 「ええ?じゃあ二人はどっちに賭けんのさ?」 沖が不思議そうにたずねる。 「「田島」」 巣山と西広は声をハモらせて答えた。 「そ、それちょっと阿部がかわいそうだよ。」 栄口が慌ててフォローをいれた。 「じゃあ、栄口は阿部にかければいいんじゃない?」 西広がやはりニコニコと答える。 「ううっ!!・・・よし、オレは阿部に期待するよ。 田島のあのこっちが恥ずかしくなる発言は改善するべきなんだし。うん。」 「ええっと。でもおれも、田島だな。」 沖は田島派に回った。 「よっし、じゃあ表作るか。他の連中にも声かけよーぜ。」 「何を賭ける?」 「しゃれにならないのはまずいからアイス一週間分とかどうだ?」 「おお、それ、燃えるね!」 966 :小ネタ罰ゲーム 3日目実行 閑話休題 :2007/07/23(月) 20 50 19 ID +sNBsFh3 カウント結果 田島:巣山・西広・沖・西谷・泉・浜田 阿部:栄口・三橋・花井 「これってさ、煽るのありか?」 当事者二人を抜いた闇会談で泉がふと提案する。 「煽るって、なんだよ?」 「いや、だからさ、田島を矯正させないように仕向ける。」 「煽るまいが煽ろうが、どうせ田島が治るとは思わねーけどよぉ。」 浜田がぼやく。 「こら、お前ら。田島が今のままだと、俺らだってそんな目で見られるんだぞ?」 「どういうことだよ。花井?」 「だからぁ、田島が所かまわず、オ、いや問題発言してるのをオレらが笑ってみてたら、 オレらだって毎日、オ、いやそういう行為をしてるって思われるってことだ。」 「「「「うっ!!!」」」」 全員が言葉を失う中、三橋は一人きょとんとしていた。 「そうだな~。野球部はサル軍団って思われちゃうかもね~・・・・。ははは。」 栄口が力なく同意した。 「だから、本当はみんな阿部を応援するべきなんだぞ?わかってんのか?それ。」 花井がぐるりと全員を見渡した。 「いや~、それでも、オレは田島に賭けるな。」 「そうだな、阿部には無理だよ。多分。」 泉と巣山は田島派であることを肯定する。 「そうだな~。花井が手伝えば、何とかなるかもよ?」 「ダメだ!!賭けはもう成立してんだ!花井、手を出すなよ?」 泉が鋭く栄口の発言をさえぎる。 「確かに、田島の教育は阿部一人には気が重いだろうなあ。」 おれだってむりだけど・・・と沖は続けた。 「罰ゲームが終わってから花井が教育すりゃいいんじゃねえ?」 浜田がまっとうなことを提案した。 「はあああ!?なんで・・・オレが・・?無理だ。そんなの。」 「じゃあ、とりあえず賭けの邪魔、すんなよ? いいな!」 花井は力なくうなずいた。 終わる 967 :小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部:2007/07/23(月) 20 51 52 ID +sNBsFh3 作戦その3 暗号設定 「わかった。なんか新しい言葉を作ろうぜ。」 「はああ?」 「お前が毎日どんなに寂しい行為をしてるのか、正直おれはどうでもいいんだ。 ただ、罰ゲームをクリアしたいだけなんだ。ちょっとは協力してくれよ。」 「寂しい行為ってなんだよ。阿部、オレをバカにしてんのか?」 だって、お前はバカじゃねえか。 「いや、バカになんてしてねえよ。モラルの問題だからな。」 「ほんとか~?」 なんでそんなに単純なんだ。 「そうだな。今度から抜いた報告したいときは、『一仕事した』って言えよ。 それで俺らには通じるからよ。」 「ん~? まあ、いいけど。」 「よし!!じゃあ頼むぜ!」 なんだ、田島もきちんと話せば通じるじゃねえか 泉の報告 「無駄だったぜ。昼休み、また言ってたぜ。」 くそ・・・・。あの鳥頭・・・・・・。 失敗 968 :小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部:2007/07/23(月) 20 54 31 ID +sNBsFh3 ココまで作戦は全部失敗だ。 まったくあのアホは何なんだ!! このままではまたあのプロティンを 取る羽目になってしまう・・・・。 くそ!!絶対に嫌だ! あんなまずいもの、二度と食べたくねえ! 作戦根本的な路線変更が必要か・・・? 阿部悩み中 6 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 42 18 ID AkjtZ6V8 視点を変えて、アプローチを変えてみるべきか。 正攻法は全く通じないことがわかったしな。 どうする・・・・? 作戦その4 彼女を作らせる オンナ作ってサルサルさかられて、野球への熱意が減ったら困る。 無理だ。 破棄 7 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 43 11 ID AkjtZ6V8 作戦その5 篠岡に頼む 無理だ。オレが頼めない。 女と下ネタ話は絶対できない。 しかも篠岡だ。嫌だ。 企画倒れ 8 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 43 55 ID AkjtZ6V8 作戦その6 強制執行 オレの目の前で単語を出せば即殴る方針。 口で言って聞かねえなら、手を出すしかねえな。 「三橋~。オナニーするためのエロ本買いにいこうぜ!」 ブンッ! ヒョイ。 「昨日のエロ本よかったぜ。3回オナニーした。」 ブンッ! ヒョイ。 一発もあたらねえ~・・・・・。 「昨日からよ、阿部何してんだ? オレを殴るなんて無理だぜ?やめとけよ。」 田島の反射神経には追いつけねえ・・・・。 失敗 9 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 44 43 ID AkjtZ6V8 作戦その8 モモカンに頼む いや、罰ゲームの放棄はオレのプライドがゆるさねえ。 作戦にもならず 10 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 45 37 ID AkjtZ6V8 作戦その9 抜くという単語を刷り込む 「よお、田島、昨日は何回抜いたんだ?」 オレはなるべく明るく話しかけた。 「んあ?オナニーのことか?一回だけだぞ。 練習で疲れてたからな~。阿部は4回ぐらいか?」 「あほか、そんなに抜けるか。一回で十分じゃねえか。」 「おお、阿部のオナニーネタって何だよ?」 こいつ、もしかしてわざとその単語連発してんのか? 「だからテキトーにネットから拾ってきたアイコラとかで・・・ いやいや、オレのことはどうでもいいんだよ。 んで?今日も抜くのか?」 「ん~。今もってるエロ本はもうあきちゃっておかずにならねえんだ。 阿部、なんかいいの持ってないか?」 もう、耐えられねえ! 「アホか!!そんなの人にやれるかあ!!大事なコレクションだ!」 はっと周りを見ると、みんな驚愕の顔して見てやがる! ちっくしょ!やってられっか!! これじゃあ自分のダメージの方がでかいじゃねえか!! 失敗 11 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 46 44 ID AkjtZ6V8 この作戦が失敗したら、もう後はねえ。 期限までもう数日もないんだ。 これが、最後のチャンスだ! ちっくしょ、プライドも捨てればいいんだろ!! 最終作戦 おねだり 「なあ、田島。頼むって。」 「何がだよ?」 「オレを助けると思って、協力してくれよ。」 なるべく悲壮感漂うように、声とかも少し震わせてみる。 めったにないオレの弱気な態度に、田島は少しびっくりしたようだ。 「阿部。どっかおかしいのか?なんかヘンだぞ?」 よしよし、食いついてきたぞ。 すこし涙目になってみる。 「田島だって知ってるだろ?あのプロテインの味。 オレにあれまた食べろって、かわいそうだと思わねえか?」 味を思わず思い出したのか、田島の顔がぐにゃりと歪み、涙目になった。 「お、思い出させんなよ。阿部。うっわあ舌が思い出した。まっじぃ!!」 12 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目実行 阿部[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 47 44 ID AkjtZ6V8 いいぞ!ここで一気に決めてやる! そんな田島の顔をぐいっと掴み至近距離まで引き寄せる。 「そうだ、そのまずいものをお前はまたオレに食べさせたいのか!? 同情しないのか!?だから言うこと聞いてくれよ!」 田島がムッとしてオレの腕をばしっと払う。 しまった。ついついおねだりモード解除しちまった。 「うっせーな。オレが食べるんじゃねえんだ。 阿部はオレを納得させることできなかったんだから、もう失敗だろ? あきらめて食べろよ。」 田島の・・・・残酷な台詞が・・・・ 世界が崩壊する音に・・・・聞こえた・・・・・。 期間終了 13 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目終了 モモカン[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 51 58 ID AkjtZ6V8 「さて、罰ゲームの結果を聞こうか!?」 練習後のミーティングでモモカンの言葉が阿部に突き刺さる。 「どう?阿部くん?」 顔面蒼白な阿部が、ふらふらとうつろな目で一歩前へ出る。 「無理でした・・・。」 「そう、残念だったね。千代ちゃん 例のものを。」 「は、はい!」 篠岡が慌てながらあのま○いプロティンを数箱、阿部に差し出す。 力なくそれを受け取った阿部に、周りのあいまいな視線が集中する。 その中でも田島はにしにし笑っていた。 「田島くん。」 笑っていた田島に、モモカンの鋭い声が飛ぶ。 「はいっ!」 その声に、一同は嫌な気配を察したが 田島は全く気付いてないようだ。 にししと笑ってる田島に不意にモモカンの腕が伸び、がっちりと頭を捕らえた。 14 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目終了 モモカン[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 52 56 ID AkjtZ6V8 「阿部くんがココまでやってもあなたに全く通じないって言うのは 一体どういうことかしらねぇええ?」 「ひっひいいいいいいい!?」 「私はこんなこと直接いいたくなんか、なかったよおおお?」 「いやあああ!!いたい!いたいぃいい!!」 「所かまわず問題発言することを今後は控えるって約束しなさい?」 「痛いイタイイタイいたい!!!!わっわかりました!!! 約束します!!ゲンミツに!!」 その言質が取れたところでモモカンはぱっと手を離した。 「破ったらわかってるわよ・・・ねえ?」 蛇に睨まれたカエルのように、田島はコクコクと頷く。 「千代ちゃん。お願い。」 篠岡が再びあのま○いプロティンを持ってきて田島に手渡した。 「い、いやだあああああ!!」 「うるさいよ。田島くん。黙って受け取りなさい。」 阿部と田島はま○いプロティンを手にがっくりうずくまる。 そんな二人に他の部員の同情の目線が向けられるが、 誰も、言葉は、かけない。かけられなかった。 「みんな!これから秋の試合に向けて気合入れてくよ!! また気が抜けたりなんかしたら、また罰ゲームするからね!!」 「はっはい!!」 一同の返事がグラウンドに吸い込まれていった。 15 名前:小ネタ罰ゲーム 3日目終了 モモカン[sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00 54 24 ID AkjtZ6V8 練習後、いつものコンビニで一同は暗い顔をして集まっていた。 だれも、買い食いせず、ただたむろっていた。 「結局、賭けはどっちの勝ちなんだ・・?」 泉がつぶやいたぼやきに、花井が返事をする。 「いや、これ、モモカンの一人勝ちだろ・・・・。」 その言葉は、すべてを物語っていた。 終わった
https://w.atwiki.jp/erayasai/pages/73.html
八坂神奈子は困っていた 今までこういう被害には遭わなかった・・・というか、遭うわけがない。 しかし・・・これが由々しき自体だということは分かる。 「ねぇ諏訪子・・・これはどういうことかしら」 「何って・・・見たままじゃない?」 「じゃなくて!どうしてこんな状況になってるのよ!」 そこには無残にもオンバシラが突き刺さり崩壊した、トイレの変わり果てた姿があった・・・。 「とりあえず・・・どういうことか話してもらいましょうか」 「お茶どうぞ、お二人とも」 「早苗、ありがと」 和室に集まった早苗、諏訪子、神奈子。 深刻な顔の神奈子に対し・・・当事者である諏訪子と早苗はいちゃい・・・のんびりしていた。 「・・・で、諏 訪 子。人の話を聞きなさい」 「えーと、なんだっけ?あのトイレの事?」 そうして諏訪子はあのことを話し始めた・・・。 時間は少し前に遡って、紅魔館。 「・・・んーっ!暇ですねぇ」 門番、紅美鈴は今日もいつも通り仕事に精を出していた。多分。 一応こういう仕事に就いてはいるが、一部の無法者のせいであまり意味をなしてはいない。 (・・・本当に暇だなぁ) 美鈴はその場に座り込むと、いつも通り居眠りをしようとする・・・ が。 「門番さん、こんにちは」 「ひゃあああああうっ!?ごめんなさいごめんなさいっ、つい出来心でっ!」 「・・・あはは、何それ!上司の人かと思ったかな」 「あ、貴方は・・・?」 美鈴の目の前にいきなり現れた金髪の女の子・・・言わずもがな諏訪子である。 もちろん美鈴には面識がないため、これを侵入者と見るのが普通・・・ 「・・・侵入者ですか?もしそうであれば、この私を倒してから進んでください!」 進むのはいいのか。 「あら、私と戦うつもり?別にいいけど・・・」 「私は腐っても門番ですから!」 キラーン 対峙する2人。そしてその2人に近寄る影・・・ 「やめなさい美鈴。その人はお客様よ」 「咲夜さんっ!」 「すみません諏訪子様。美鈴が迷惑をかけました・・・中へお入りください」 「ごめんねー美鈴ちゃん♪」 未だ呆然としたままの美鈴を放置したまま、2人は中へと入っていった。 地下、ヴワル魔法図書館。 その巨大な扉にノックをする咲夜。 トントン 「パチュリー様、諏訪子様がいらっしゃいました」 「入ってもらって。咲夜、ハーブティー2つ。お願いできるかしら?」 「かしこまりました」 扉が開き、中に入って行く諏訪子。 「・・・とっても広いわね。それに、凄い数の本」 誰でも初めてここに入るときは驚くだろう。 やがて奥のデスクに座ったパチュリーに気づき、そちらの方に歩いて行く諏訪子。 パチュリーは読みかけの本を閉じると、体の向きを諏訪子の方に向ける。 「いらっしゃい、蛙の王様」 「・・・なんか気になる呼び方ね」 「とりあえず、私を呼んだのはどういう用件なの?」 諏訪子はカップを置くと、本題に入る。 「実はちょっと蛙の件で困ったことになってね・・・」 「なにそれ」 「この霧の湖に住んでる大蝦蟇がいるんだけれどね。同じ湖に住む氷精が起こした『連続蛙氷結事件』のせいで少々ご立腹なのよ」 「・・・・・・」 一応蛙の王様なんだからそんなこと言ったら氷精シメちゃいそうですけどね。 「大蝦蟇がそのせいで軍隊率いて妖精の里に進軍してるらしくてね・・・」 ぅゎぁ。なんだこの展開 「そこで、支配者である貴方にどうにか抑えてもらえないかと」 「却下」 キッパリと気持ちよく言い切った。 「第一、私もその氷精にはちょっと感心できないわね・・・助ける義理もないわ」 「まぁバカだから仕方ないけれどね」 パチュリーは深くため息をつく。 少しばかり静かになったあと、諏訪子はおもむろに立ち上がる。 「その大蝦蟇のところまで案内してもらえる?」 「そして、私はそのあとパチュリーを連れて大蝦蟇のところまで・・・ 「ストップ!ストップストップストーップ!」 「えー・・・ここからが面白いのにー・・・」 あまりに関係のなさそうな長話に痺れを切らしたのか、神奈子は大声でストップをかける。 諏訪子は自分の話の腰を折られて少し拗ねている・・・。 「大体聞いてたけど、それって今回の話に関係あるの?」 「・・・なに?今回の話って」 忘れた諏訪子に早苗が耳打ちしようとするが、 「早苗は余計なことしなくて言いわ!」 「ひっ、す、すみません神奈子様っ」 思わず声を荒げてそれを止めてしまう。 「とりあえず・・・何がどうなったのかは聞かないわ。で・・・当面トイレのことはどうするの?」 「何言ってるの神奈子?」 顔を寄せ合う三人娘。 「私たちはそういうのどうにかなるのよ・・・漫画と同じね」 「・・・・・・・・・・・・」 それもそうだ、と納得してしまう神奈子。 「なんだ・・・あまり気にすることでもないか」 「幻想郷では常識にとらわれてはいけないのですね!」 笑顔でそう言う早苗に、神奈子は苦笑いを浮かべた・・・。 ごめん。謝る。それだけ。 罰ゲーム・・・お題:トイレ戦争 キャラ:神奈子・めーりん
https://w.atwiki.jp/erayasai/pages/74.html
罰ゲームSS キャラクター指定 霖之助+諏訪子+大妖精 内容指定:脱衣トランプ 目の前には大きな目玉の装飾がついた奇妙な帽子と、下穿きだけを身に着けた童女(少なくとも外見だけは)がいる。 その隣には下半身に何も身に着けておらず、上半身もブラウスだけの妖精。その内側の下着は上下ともそこの童女の帽子の中だ。 かく言う僕も上着はすべてひん剥かれており、残っているのは下着と、あとブーツだけだ。 何故屋内でブーツなのかといえば「全裸にブーツって萌えるよね。今回は脱ぐのは勘弁してあげるからかわりにこれ履いて」などと腐れたことを目の前の祟り神がほざいたからだが…… この状況、他人に踏み込まれたら確定で肉体的にも社会的にも終了だ。無論僕だけが。 かくして僕は頭を抱える。どうしてこうなったのだろうか、と。 ことの起こりは1時間ほど前。僕は普段のように客を待ちながら読書に勤しんでいた。 おっと失礼、申し遅れた。僕の名前は森近霖之助。魔法の森の入り口で香霖堂という古道具屋を営んでいる。 幻想の品物も普通の品も、あまつさえ外の世界の道具までも取り扱う幻想郷でも唯一の店と自負している。 それはさておき、その僕の店の扉が目の前の童女によって開かれたところから話は始まる。 扉のベルが鳴ってもどうせ魔理沙か霊夢だろうと思い、深く注意を向けることもなかったのだが 「ふーん、ここか。随分とゴチャゴチャした店だね」 という甲高いが落ち着いた声は今まで耳にしたことのないものだった。 手元の本から視線を上げて眺めるとそこにいたのは何だかやたらに大きな袋を背負っている、見たことのない子供だった。 頭に被った妙な帽子が真っ先に目を引いたが、奇天烈な格好をした人妖などこの幻想郷では珍しくもない。 それよりもむしろ問題なのは目の前の人物の知能の程度だった。人も妖怪も、だいたいは見た目相応の精神年齢をしている。 しかし紅魔館の吸血鬼や、結界の大妖、神社に居着いた鬼のように外見はどう見ても子供でしかないのに恐ろしい能力の持ち主である者もここには少なくない。 面倒なことに、そういった連中は総じてプライドが高いので子供扱いなどしようものならただでは済まない。さて、この客はどちらなのだろうか。 ……と考えたが判断は保留して、面倒なことにならない道を選ぶことにした。 「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」 とりあえず下手に出ることにした。これなら角は立たないし、相手がそれに値しない相手だとわかったら態度を変えれば良いだけのことだ。 「いやまあ、店に用事というか……あなたが店主でいいのかな?」 帽子のものと合わせて、都合四つの目から見上げられて僕は頷いた。 「ええ。僕がこの香霖堂の店主、森近霖之助です。本日はどのようなご用件でしょうか?」 にこやかに応えた僕だったが、目の前の童女は何だか複雑な表情になった。 「……何だか麓の神社の巫女にきいたのと違うなあ。本当に本物?」 その名を聞いて、今度は僕の表情から笑みが消えた。なんということだ、彼女も霊夢の知り合いか。ということはどちらにしろ碌な者ではないだろう。 こうなったら一刻も早く追い返す算段をしなければなるまい。下手に居つかれて、これ以上代金を払わない常連が増えてはたまらない。 「いきなり失礼だな。僕は間違いなく本物の森近霖之助だよ。用件はそれだけかい、ならとっとと帰ってくれ」 渋面を作り、意図的に低い声で「帰れ」の部分を強調してそう返したのだが、何故か童女は逆にぱっとにこやかになった。 「良かった、霊夢に聞いてたとおりだ。あんまり猫被ってるから何事かと思ったよ」 あの巫女は人のことをどのように吹聴しているのだろうか。若干気にはなったが聞かないほうがよさそうな予感が働いたので、気にしないことにした。 「えっとさ、麓の巫女の腋服は霖之助が作ってるんだよね」 早くも呼び捨てになった。どうやらこいつはただのガキの方にカテゴリー分類して問題はなさそうだ。 「ああ、そうだが」 「あんなのをさ、一つ作ってもらいたいんだ」 「貰えるものさえ貰えるなら別にかまわないが、君にか?」 「ああ、いやいや。私じゃなくってね」 目の前の娘はそう言ってさっきから背負っていた大きな袋をひっくり返した。 その中から出てきたのはロープで縛られた妖精だった。時々湖でチルノ姉さんと遊んでいるのを見かけたことがある、たしか大ちゃんと呼ばれていた子だったろうか。 「な…… なんなんですか? ここ、どこですか? なんで私連れてこられたんですかぁ?」 可哀相に、すっかり混乱している。それはまあ、袋詰めにされて気がついたら見も知らぬ店内だ。こうもなるだろう。 「この娘よ、この娘。この娘にあう大きさで作ってほしいのよ。ああ、色は紅白じゃなくて緑と白でよろしくね」 あまりの衝撃的な光景に一瞬その存在が頭から飛びかけていたが、横から目玉帽子に声をかけられて僕は我に返った。 「この娘にか……? えーと、失礼だが誘拐とかじゃないよな?」 僕の言葉に目の前のカエル帽子はぷくーっと頬を膨らませて言った。 「失礼だなあ、この娘は早苗の妹になるんだから家族みたいなもんだよ」 それを聞いて妖精の子は「ふええ!?」とか「どうしてぇ!?」とか騒いでいるようだが、話が進まなくなるのでとりあえず後回しにする。 早苗、という名前にはどこか聞き覚えがあった。たしか魔理沙か霊夢がその名を口にしていたような……ああ、思い出した。 「早苗さん、というとたしか最近山に出来た神社の巫女だったな。口ぶりからして君はその関係者か?」 「おっと、そう言えばまだ名乗ってなかったね。私は守矢神社の神、洩矢諏訪子だよ。よろしくね」 童女はすっくと立ち上がり、まっ平らな胸を張って朗々と名乗った。悲しいくらいに威厳がなかった。 だがまあ、威厳があろうとなかろうと予想を遥かに超えた大物なのには違いがない。……わけだが、今までの様子を見るに変に畏まる必要もない気がする。 「聞いた話だと、早苗さんとやらは普通の人間だった筈なんだが……妹って妖精だよな、この子?」 「いや、だってさあ。見てよこれ!」 諏訪子が帽子の中から取り出した写真には、博麗神社とは別の神社を背景にして、緑色の腋が開いた巫女装束を着た一人の少女が写っていた。 着ている衣服から判断するとおそらくこの少女が早苗さんであろう。しかしこれがどうしたと言うのだろうか…… そこでふと気づいて縛られていた妖精を見る。なるほど、確かになんとなく写真の少女と似ている。弄られやすそうな雰囲気などそっくりそのままと言ってもいい。ついでにどこか周囲の人間のせいで不幸そうなところも。 「早苗は一人っ子でかわいそうだからね。こっちの世界に来て知り合いもまだ少ないし、妹でもいれば楽しいんじゃないかなあ、ってね」 これも子を思う親心、と言うやつだろうか。色々と間違ってはいるが。 「ふむ……まあそこら辺の話は当事者間でやってもらうとして。作るのはかまわないが料金はちゃんといただくよ、これくらい」 「げ、結構高いね。んー、あんまり持ち合わせないんだけどなあ。早苗の財布の紐けっこう固いし。あ、そーだ」 そう言って帽子の中からトランプを取り出した。 「知ってるかもしれないけど、うちの神社は外の世界から来たのよ。当然、家の中には外の世界の道具なんかも結構ある。そこでだ」 続いて諏訪子は帽子から徳利と枡を取り出した。何に使うのかと思ったが、特に工夫も泣く枡に酒を注いで一気にあおった。単に口を湿らせるためだったようだ。 「こいつで一勝負といこうじゃないか。私が勝ったら代金代わりに家にある道具をいくつか持ってっていい。ただし私が買ったらタダで服を作ってもらう。どう?」 トランプの箱を弄びながら外見に似合わぬ不敵な笑みを浮かべる諏訪子を前に、僕は少し迷った。 普通に考えればそんな話に乗らず、普通に料金を払ってもらうべきだろう。商売人が余計なリスクを追うものではない。 だが外の世界の道具には大いに興味がある。そもそも食事も睡眠もそれほど必要としない僕にとって、金銭とはそれほど重要ではないのだ。 「いいだろう、乗った!」 「ま、待ってくださいよぉ……」 そこへか細い声が割って入る。縛られたままの妖精の発したものだ。 「そろそろ私帰りたいんですけど……」 おずおずと声を発した妖精に、諏訪子はにんまりと笑って言った。 「ちょっと待ってなさいね、プチ早苗。もうちょっとしたら衣装仕立てて貰えるから、それ着て一緒に神社に帰ろうね」 「わ、私の家は山じゃないんですけど……それにプチ早苗って……」 「やれやれ。我儘だなあ、小早苗は」 どう考えてもこの場合横暴なのは目の前のカエル神だと思うが、下手に口を挟んで「じゃあ服いらない」なんてことになっては久方ぶりの商談がパアだ。 「そ、それじゃあ私も勝負します! 私が勝ったら帰らせてもらいますからね!」 妖精は縛られたままそんなことを叫んだが、やはり妖精は妖精だ。頭が足りていない。 力ずくで妖精が神に逆らえるわけがない以上、諏訪子が勝負に乗るメリットは何もない。 「良いよ。んじゃ3人で遊ぼうか!」 ……あれ? 「神遊びは賑やかな方が楽しいからね。人数は多いほうが良い」 楽しいからって、神が損得より感情で動くのか。それとも絶対に負けない自信でもあるのか……? だがその読みは甘い。僕の「道具の名前と用途が判る程度の能力」の前ではたとえ裏向きの札であろうとその正体は明白。彼女らに勝ちの目は万一もないのだ。 さすがに卑怯で少々気が引けるが、これも外界の道具のためだ。悪いが彼女らには泣いてもらおう。 「それじゃ、3人で勝負だね。私が勝ったら霖之助はタダで衣装を提供して、ミニ早苗は私の慰み者になる。 霖之助が勝ったら私の家から道具を持ってってOK、ミクロ早苗は霖之助と私の慰み者になる。 ちい早苗が勝ったら湖でもどこでも帰って良いし、霖之助を慰み者にして良し、と。これで問題ないよね」 「……なんだか初めて聞く条文が追加されてる気がするんだが」 「ななななな、慰み者ってな、何をするんですか!?」 「何って、そりゃナニに決まってるじゃないの」 見た目に似合わぬ諏訪子のいやらしい笑みに、妖精は本気で怯えている。それはまあそうだろう。僕は負けるわけがないからどうでも良いが。 「や、ヤですっ! 拒否しますっ!! 断固拒否しますっ!!」 「ふうん、じゃあ弾幕ごっこで勝負する? こっちだと揉め事はこれで解決するんだよね」 「あうぅ……トランプでいいです……あとせめて呼び名は統一してくださいぃ……」 「はいはい。じゃあ早苗子にでもしとくね」 恐怖を振り払い猛烈に抗議した妖精だったが、諏訪子のほうが上手だった。そりゃまあ2面中ボスとEXボスじゃ結果は火を見るより明らかだよなあ。その場合最弱は間違いなく僕だが。 「種目は……そうだな、ポーカーで良いかな。霖之助、5枚ずつ配ってちょうだい」 諏訪子はそう言って僕にカードを渡してきた。好都合だ、彼女らに何のカードが渡ったか筒抜けである以上僕に負けはない。 「わかった、ジョーカーはどうする?」 「無しで。紛れが少ないほうが実力が出て楽しいでしょ」 表向きでルールの確認をしながら、僕は自らの能力を発動した。まず一番上の札を取る。この札の名称は……!! ――名称はトランプ。用途は遊具。 「どうしたの、霖之助。早く配ってよ」 「あ、ああ。すまない」 あまりの事態に硬直していた僕だったが、諏訪子の声で我に返った。 だがプランは完全に崩壊してしまっている。……まあいい、実力で勝てば良いだけの話だ。 ……我ながらすごく死亡フラグっぽいな。 そんな一戦目の結果だが……結論から言うと勝ってしまった。 僕の手がツーペア、諏訪子はワンペア、妖精は役無し。 「僕の勝ちだな……。と、そう言えば何戦するか決めていなかったな、それともチップでも用意しようか」 今考えればこの時点で多少強引でも僕の勝ちを宣言しておくべきだったのだ。そうすればこのあとに続く事態は未然に防げた。 勝って気が大きくなっていた事実と、ポーカーは一戦で終わるものではないという常識に縛られていたばかりに、僕はこの後に起こる惨劇を防げなかったのだ。 「チップ? いやいや。いらないよ、そんなもん」 諏訪子はそう言うが早いか上着を脱ぎ捨てた。呆然としている僕と妖精の前で、鳥獣戯画が記された衣服が重力に引かれひらひらと舞い落ちる。 「脱ぐ物がなくなったら負けでいいでしょ。わかりやすいし」 この邪神、さらっととんでもない事をぬかしやがった。僕の顔からは血の気が引き、妖精はとうとう顔を紅潮させて卒倒した。 「というわけで早苗子も脱いだ脱いだ……って、あれ、どうしたの?」 どうしたもこうしたもあるか。さすがに抗議しようとしたが 「……まあいっか。かわりに私が脱がしてあげよう」 とかほざきながら妖精のスカートに頭を突っ込んだ疫病神を見て……その、何だ。わかるだろう? まだ枯れきってなかったんだなあ、とか自分に対して妙な感慨を抱いている目の前では諏訪子が大爆走だった。 「はっ! な、なにをしてるんですかあ!?!?」 「うへへへへへ、敗者は失うっ…! それをねじ曲げたら………… なにがなにやらわからない…… 受け入れるべきだっ…!」 「聞いてませんっ、こんなの!!」 「うひひひひ、そりゃまあ言ってなかったからねっ!」 「やあっ! ……ぱ、ぱんつ引っ張らないで!」 「げへへへへへへへ、そおれっ! 上手に剥けました~」 「か、返してくださいよー……」 グッジョブだ、神。略してゴッドGJ! 「さて、それじゃ二戦目行くかな。早苗子、あんた負けだから配りなさい」 妖精から剥ぎ取った下着を帽子の中にしまいつつ言う諏訪子に促され、妖精がカードを配る。 二戦目が始まった。 ……が、冷静さを失っていた僕と妖精が勝てるわけもなく。 僕は何かされる前に自分で上着を脱ぎ捨て、妖精はスカートをひん剥かれていた。 ………… …… とまあ、そんな経緯で冒頭の状況に至ったのだが…… 一瞬とは言え我を失っていた間に事態は取り返しのつかない所まで来ている。 こうなった以上結果などどうでも良い、誰かがやってくる前に一刻も早く勝負を終わらせるしかない。 諏訪子が勝てば妖精はこのまま神社に拉致される。その後にごたごたはあろうが、それに紛れてこの状況が有耶無耶になればそれで良い。ならないかもしれないが、その時はその時だ。 妖精が勝ったときはなんとかして丸め込まねばならないが、相手は妖精だ。そう難しいことはないだろう。 そういう意味では僕が勝った場合が最悪かもしれない。妖精が神社に拉致されるのは変わりないが、この場合諏訪子は僕と二人がかりで妖精を慰み者にすると宣言している。どこまで本気だか知れたものではないが、丸ごと本気だった場合、僕には諏訪子に逆らうだけの力がないのは明白で、そうなった場合は流石に妖精といえど丸め込むのは無理だろう。 最善は妖精が勝つことだが、ここ一番に弱そうなこの妖精の実力にはあまり期待できない。僕が勝つわけには行かない以上、僕に出来ることは……諏訪子にプレッシャーをかけて潰すしかない。 そして最終戦の札が配られた…… 手札はダイヤの10、ダイヤのJ、ハートのQ、ダイヤのQ、クラブのQ。スリーカード確定、悪くはない。 妖精のほうを眺めると右手と左手でカードを二つに分け、右手の2枚を穴が開くほど眺めている。ワンペアだけと見て間違いないだろう。 問題の諏訪子だが、相変わらずのにやにや笑いのせいで札を推測することは出来ない。だが自身ありげな様子からして油断は出来ない。 最初の手番の妖精が左手に握っていた3枚の札を捨てる。スペードの4、スペードの5、ダイヤの7。やはりワンペアだったようだ。 祈るように目を閉じて山札から3枚引き、そしてその顔が絶望に変わる。どうやら駄目だったようだ。だがまあ、無理もない。何しろ相手はその祈るべき神なのだから。「邪」とか「疫病」とか「破壊」とか頭についてるけど。 「ケロケロケロケロ、駄目だったみたいだねえ、残念でした。まあ私に勝ちたきゃ紅魔館の妹様でも連れてくるんだね」 絶望にくれた表情の妖精を見て諏訪子が笑う。その瞬間僕の脳裏に稲妻が走った。 「さて僕の番だね。そうだな、何枚替えるとしよ……おっと!」 僕の手許からカードが滑り落ち、5枚の札はその姿を白日の下にさらす。それらを見て妖精はとうとう顔面蒼白になる。 「わざとだな、霖之助。どういうつもりだ?」 一方の諏訪子はぎろりと僕を睨めつける。勝負の興に水を差されて怒りはしているが、そこにスリーカードを見た焦りのようなものは感じられない。まあ焦ったとしても表に出すような相手ではないだけかもしれないが、普通に考えれば手札がそれ以上なのだろう。 「とんでもない。大勝負で緊張して手が震えただけさ……と言いたいところだが」 そう言って僕は無造作に手許から二枚の札を捨てる。スペードのQとクラブのQを。 そして残った3枚のカードを裏向きに床に伏せ、新たに引いてきた2枚も見ずにその上に重ねた。 「……わざわざスリーカードを崩してまで、何のつもりだ霖之助?」 なんだか怖いオーラが押し寄せてくる諏訪子の方を見ずに、僕は答えた。 「仕方ないだろ、このままじゃ勝てないんだから。君のその手役、フルハウスだろ」 諏訪子の右眉が一瞬だけ軽く跳ね上がった……気がする。ちょっと怖くてそっちを直視できる状況じゃない。正直言うとチビりそうだ。 「紅魔館の妹君、フランドール・スカーレット。彼女の代名詞たるスペルカードが禁忌「フォーオブアカインド」。たしかポーカーにも同じ名前の役があったね、フォー・オブ・ア・カインド。またの名をフォーカード」 「……」 諏訪子は恐ろしいほど無言だが、その圧力だけは遥かに増している。呼吸すらままならないような錯覚に陥るほどに。 「さっき君が妹君を引き合いに出したときに閃いたんだよ。フォーカードがあれば勝てる役といえばフルハウスだ。その娘の手がワンペアだったのは明らかだったから、そこで3枚替えた場合作れるのはスリーカード、フォーカード、フルハウスのみ。もっともどれも出来なかったようだがね」 「な、何でわかったんですか!?」 ……妖精ということを差し引いても、少し素直すぎるなこの子は。 「彼女の勝ちがなくなった時点で、君にとっては勝負などどうでも良くなったから思わず口をついた軽口なのだろうが、あれが致命打だったね。うまいこと言ってやった、くらいのつもりだったのかもしれないが」 「……その深読みを狙ったミスリードというのは考えなかったの?」 静かに、だが圧力はそのままに諏訪子が言う。 「その時はそこまで読めなかった僕が甘かっただけのこと。まあ今のこの雰囲気を考えればその判断は間違っていないと思うけどね」 ぎり……と小さく歯軋りの音が聞こえた。 「ああ、そうだ。先に言っておくが僕が勝った場合彼女を慰み者は遠慮させてもらうよ。よって君が混ざることも不可能だ」 「えええええ!? どうしてええ!?!?」 さっきまでの圧力は一瞬で弾け飛んだ。勝負よりそっちのほうが大事だったのか、このカエル。 「今の状況ですら人に見られたら言い訳が効かないってのに、傷口をさらに広げてどうする。ついでに言うなら勝者の権利で彼女は解放させてもらうよ」 「ちょ、ちょっと待ってよ! そうしたら巫女服必要なくなるから外の道具も無しだよ!?」 「構わないさ。商売人としてもっとも大切な信用という財産を失うよりはマシだ。つまり君が彼女を連れて帰りたいなら自力で勝つしかないということだ」 「……あーうー」 さて、少し状況を整理しよう。 今回の勝負が始まる前に山札に残っていたカードは、スペードがA、2、4、5、6、10、J、Q、K。ハートが2、10、J、Q、K。ダイヤがA、2、7、10、J、Q、K。クラブが2、7、J、Q。 ここから僕が公開した5枚と妖精が捨てた3枚を除くと残りは、スペードがA、2、6、10、J、K。ハートが2、10、J、K。ダイヤがA、2、K。クラブが2、7、J。 ここまでは諏訪子も記憶しているだろう。彼女の場合はそれに加えて自身の手札5枚も判断基準となる。 だがここまでくればその5枚の推察もそう難しくはない。彼女の手持ちは2とJとKいずれかの組み合わせで作ったフルハウスだろう。 そしておそらくその中に2は含まれておらず、JとKでのフルハウスだ。根拠はさきほどの諏訪子の悪魔の妹に関する発言。 残ったカードの中にフォーカードが可能な組み合わせは、2のフォーカードしかないのだ。彼女の手札に1枚でも2があればあのようなことは言うまい。 つまり諏訪子の手札はスペードとハートとクラブのJ、スペードとハートとダイヤのKの合計6枚の中から、5枚の組み合わせということになる。 そして諏訪子の手にダイヤのKがなければ、そして妖精がダイヤのAとKを引いていないのならば僕にはダイヤのロイヤルストレートフラッシュの目がある。 7枚のうちから狙った2枚。確率は良いとはいえないが、他に手はないのだ。 「霖之助、ダイヤのKの所在が気になってるみたいね。安心して良いよ、そこはあんたの勝ちだから」 小さく息をついて諏訪子は自らの手札を表にした。スペードのJ、ハートのJ、クラブのJ、スペードのK、ハートのK。 「これであんたのその5枚の札がダイヤのロイヤルストレートフラッシュの可能性もあるわけだよね。山にダイヤのAとKが残っていたとして確率は1/21だけど」 諏訪子はそう言って、手許の5枚を2つに分けた。スペードのJとKを1つ、それ以外を1つ。 「でもね、スペードのAと2、そしてKもまだ確認されてないんだよ?」 「わかっている。同じ役だったならばスペードがダイヤに勝つ、言うまでもないだろう」 「んー、それがわかってるならいいよ。私としても負けられない勝負だからね」 そして諏訪子の左手がスペードの2枚を掴み、右手が残り3枚を掴み、そして……それらは微動だにしなかった。 「どうしたんだ、引かないのか?」 「はは、馬鹿だね霖之助。普通手札を公開するのは勝負のときだけだろう」 能天気に笑う諏訪子の声に、場が凍りつくのを確かに感じた。 「そ、そのままで勝負するのか?」 「とーぜんだよ。フルハウスできてるのにわざわざ崩す馬鹿がいるわけないでしょ」 「僕の手がロイヤルストレートフラッシュだった場合、君の負けだぞ! 負けられない勝負なんじゃなかったのか?」 「負けられないよ。負けられない勝負だからこそ手を崩すわけないでしょ。霖之助の手が成る確率は4.6%ってとこ。早苗子がそこらを引いてる可能性まで考慮すればもっと減る。なのにそんな薄い確率を恐れて、山に残っているかもわからない札を3枚引くなんてありえないでしょ」 「だが……」 「くどい! 幻影を恐れて一か八かの勝負に出て、約束されていた勝利を投げ打つほど私は愚かじゃないよ」 万事休す、諏訪子の自爆を誘うという僕の戦略は完全に破綻した。 「さあ。ショウダウンと行こうよ、霖之助。私は見せてるんだから、霖之助も見せてよ」 こうなった以上、1/21の奇跡を信じるしかない。促されるままに僕はカードを1枚ずつめくっていく。ダイヤの10、J、Q。ここまでは予定調和、問題はここからだ。 4枚目をめくる。ダイヤのK! 「へえ、こりゃビックリだ。でももう一枚はどうだろうね」 言われるまでもない。僕は最後の一枚を表にした。 ……が、それはスペードのAだった。 「あはははは、残念でした。まあ、そうゲームや小説みたいにうまくはいかないってことね。私の勝ちぃ!」 勝ち誇る諏訪子。終わった、明日からはこの店は変態の片棒を担いだ店主のいる店として忌み嫌われるのだろう。いや、その前に魔理沙あたりに焼き尽くされるかな…… 呆然とする僕の視界の隅を、その時1枚のカードがよぎった。 それは求めていたダイヤのA。それに続くように目の前を4枚のカードが舞い落ちた。 「残念、勝ったのは私ですよ」 そこには傲然と笑みを浮かべる妖精が、そしてその足元にはダイヤのAと2のカードが……4枚。 「……引いてたの、あんた?」 さすがに諏訪子の顔からも笑みが消えていた。それはそうだろう、さっきの様子はとても演技には見えなかった。 「ええ。お二人の会話、なかなか滑稽で楽しかったですよ。それでは私の勝ちみたいなので失礼しますね」 目の前の現実が理解できず唖然としている僕たちに一礼し、妖精はまっすぐ湖の方へと飛んでいった。 「あーーっ!? やられた!!」 それから2、3分経った頃だろうか。突然諏訪子が大声で叫んだ。 「ど、どうしたんだ?」 「見てよこれ!」 「いったいどうしたと……あ」 妖精の残していった5枚のカード、だがその5枚は僕たちの使っていたカードとは明らかに裏の模様が違っていた。 あたりを見回すと、商品として置いてあったトランプが一つ開封されている。 「やれやれ、私たちが目の前の相手しか見ていなかった間にこんな仕掛けを打つとはねえ。妖精の分際で神をハメるとは、やってくれる」 悔しそうに、だがどこか楽しそうにも見える表情で諏訪子が言った。おおむね僕も同じ感想だ。 しょせん妖精、程度は知れたもの? ここ一番では何も出来そうにない? そうやって侮ってかかった挙句がこのザマだ。彼女の度胸と機転は認めざるを得ないだろう。 やはり慌てていたのか、衣服を回収することは忘れていたようだが。彼女の上着とスカートがまだそこらに散らばっているし、下着は目の前のカエル帽子のなかに仕舞われたままだ。 しかし徳利は出るわ、トランプは出るわ、この帽子の中はどうなっているのだろうか…… 「ところで店主。巫女服の作成を、改めて依頼していいかな。もちろん代金は払わせて貰うよ」 しばらく妖精の飛んでいったほうを眺めていた諏訪子だったが、振り返ってそう言った。 「僕としては有難いんだが、良いのかい? あの子は帰ってしまったのに」 「良いんだよ。早苗が寂しそうだからって、他所の子を連れて帰って妹だよ、なんて言ったところで早苗も納得しないだろうし」 それとこれとがどう繋がるのかと口を挟もうとしたその時、諏訪子に突き飛ばされた。何事かと文句を言おうとした僕に諏訪子はそのまま圧し掛かってきた。 「なに、つまりは他所の子じゃなきゃ良いのよ。ふふ、子供サイズの巫女衣装の用意をよろしくね、お父さん」 そう言って諏訪子はぺろりと自身の唇の端を舐めあげた。見た目に似合わぬその淫靡な仕草に、背筋がぞくりとする。 「ちょうどお誂え向きに二人揃って裸みたいな格好だしね。大丈夫、天井の染みでも数えてりゃ直ぐに終わるサ」 「ちょ、ちょっと待ってくれ! いきなりこんな……おかしいだろ!!」 「あの娘も悪くはなかったけど、この土壇場で勝負を仕掛けられるあんたも気に入ったのさ」 「こ、こういうことはもう少し互いを知りあってからだな」 「往生際が悪いね。据え膳食わぬは男の恥だよ?」 「そういう問題でなくて! と言うかそもそも人間の子の妹に妖怪の血を混ぜてどうするんだ! そもそも巫女だっていうなら、あの子は君の娘じゃないだろうに!」 我ながら台詞が支離滅裂なのは理解しているが、さすがにこれを簡単に許容できるほど終わってはいないと思う。 「早苗は私の子孫だから、つまり娘みたいなもの、問題ないよ。それに人と神と妖怪の血が混じったらどんな子ができるのか、霖之助は興味ないの?」 「こ、子供をなんだと思ってる! この邪神!」 「霖之助こそ祟り神に向かって今更何を言ってるんだか。大丈夫よ、どんな子だろうと私が責任もって立派に育てるから。悪党は身内には甘いのよ。……で、オンナにここまで言わせておいてまだ何か抵抗する?」 「たしかに抵抗する理由はない。理由はないが、だからと言ってはいそうですかと簡単にするようなことじゃないだろう!」 「やれやれ、この石頭め。……ははーん、さては誰かに操でも立ててるな。誰だい?」 馬鹿なことを言うなと否定しようとしたが、一瞬脳裏を一人の少女の姿がよぎる。それは自分でも予想していなかった相手だったが、気のせいだとそれを強引に捻じ伏せる。 「……そ、そんな相手なんかは別にいないが」 「嘘だね。一瞬間があった。なに、大丈夫だよ、誰にもこの事は言ったりしないから。……それに他人のものを奪うのも嫌いじゃないし」 呟いて諏訪子が僕の上に両手をつく。押された床がきしりと小さな音を立てるのを背中で聞く。 ……どうする。後腐れもなさそうだし身を任せてしまうか? 勝負の熱で忘れかけていたが、諏訪子と妖精の子の肢体は数十年そっち方面を禁欲していた身には刺激が強かった。その時の滾りはまだ体内で燻っている。 諏訪子に不満があるわけもない。むしろ一介の半妖には望外に過ぎると言っても過言ではない相手だ。 少し考えて、僕は口を開いた。 「そうだな、神への供物になるのも悪くはないか……だが一年経ったら殺すなんてのは勘弁してくれよ、諏訪の神」 「ふふ、やっと素直になったね。心配するな、死ぬまで私のそばで仕えさせる相手を殺すわけがないでしょ」 「それで最後の不安の種がなくなったよ。それじゃ……」 そこまで言ったその時、再び脳裏にあの少女の姿が浮かぶ。少女は悲しげな顔でこちらを見ているような気がした。 僕はわけもなく湧き上がる罪悪感を振り払うため視線を諏訪子から外し、妖精が開け放ったままの入り口へと向けた。 すると、そこにはミニ八卦炉を構えた魔理沙がいたわけで。 なんだか顔を紅潮させて、涙目でこっちを見ているわけで。 その周囲に目視できるほどの膨大な魔力が渦巻いていたわけで。 「……やっぱりこういうオチか」 真っ白い魔力の奔流に吹き飛ばされながら、それでも僕は何処か安堵していたのだった。 終わっちゃえ 一人称だと書きやすくていいなあ。 あ、諏訪子様はマスパ到達前に帽子の中に隠れたので無傷です。万能だなZUN帽。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chronocrossrta/pages/27.html
【罰ゲーム内容】 1位(たまさん)→6位(丸さん) 盗めない宝石を熱唱+ボーカロイドの曲を2曲コミュ動画としてうp 2位(カルビ(アルビレオ)さん)→5位(無人島(平和島)さん) 30分間ゴミぶくろを褒めちぎる。 3位(ゴミぶくろさん)→4位(ろりえん(そうえん)さん) 納豆バニラアイス(醤油・ラズベリー)を食べる。
https://w.atwiki.jp/chronocrossrta/pages/35.html
【罰ゲーム内容】 1位 るべ→5位 みねこ 主催者ビレオに感謝と思いを語る(ニコ生で) 2位 ねーろ→3位 こんびゅ 走者ねーろとスラッシュを褒めちぎりながらクロノクロスRTA(スラッシュを仲間にする、仲間にいる間はPTに入れる)しつつ1時間ごとにクロノクロスに関連したギャグを言う→完走!!
https://w.atwiki.jp/erayasai/pages/130.html
書け麻雀罰ゲーム お題:ほんわか エロあり キャラ:小悪魔+オリキャラ(男) 発注日:2010/11/28 ※言い訳その他 舞台はera紅魔館を参考にしつつ、適当な設定を加えてあります。 主人公の名前は era紅あなた → えらこうあなた → えらこうた → 江良コウタ プロットは最後まで用意してみたけど、書いてたら思ったより量が増えたので分割投下。 続きはまた来週?それとも明日頑張る? 「おめでとうございます!あなたが1人目の当選者です!」 ある日いつものようにパソコンを利用していたら、 突然画面にそんな文章が表示された。 何かの広告か、はたまたウィルスにでも感染したか……。 そんなことを考えていると突然目の前の空間が『裂け』、 一瞬にして僕はそこに吸い込まれてしまった。 吸い込まれた先は何とも奇妙な所だった。 全体的に紫色をした空間で、無数の『眼』がこちらを見つめている。 お世辞にも居心地が良いとは言えないけれど、どこかで見た事がある所だ。 「江良コウタさん、で合っていますよね?人違いでしたらごめんなさい」 空間の中心に居た、金髪の女性が話しかけてきた。 これもどこかで見たことがある服装だ。……コスプレでもしているのかな。 「ええ、それで合ってますよ。……それで、何が起きたのか、あなたが誰なのか説明してもらえると助かるんですけど」 僕の名前を知ってる知り合いに、こんな空間に人を引っ張ってこれる人は居ない。 いや、世界中探したってこんな事ができる人は居ないだろう。 目の前の女性の格好から想像できなくはないけど、ちょっと信じられない考えだ。 「人選も間違っていなかったようね。この状況でそれだけ冷静で居られるなら大丈夫だわ」 「…あのー、自分だけ話を進めないで欲しいんですけどー?」 「あら、説明しなくても分かるでしょう?そういう人を選んだのだから」 つまり、目の前の女性はコスプレ好きで頭が春な女性ではなく、八雲紫本人ということなのか。 幻想郷が実在すればなーとか、二次元の世界に行けたらなーとか考えたことはあるけれど、 誰もが妄想するそんな現象が本当に起きるわけが… 「心配しなくてもあなたの考えている通りよ」 …あるらしい。 つまり僕は、八雲紫の神隠しにあってしまったという事か。 「……とりあえず分かったということにしておきます。 それじゃ僕がここに呼ばれた理由は何なんです? 人肉食べたくなったから適当に攫ってみましたとかだと笑えないんですけど」 「それも最初に説明したじゃない。あなたは1人目の当選者」 まるで説明になっていない。というかアレもこの人の仕業だったのか。 「……仕方ないわね、ちょっとだけ説明するわ。 今の幻想郷は男性が全然足りないの。全く居ないわけじゃないけど、増えるのは女性ばかり。 流石にこのままでは拙いという事で、外の世界から都合の良い男性を輸入することにしたわけ」 「女性ばかりというのは本当だったんだ……都合が良いっていうのは?」 「私たちの事を知っていて、目の前の事実をすぐ受け入れられる人。 他にも色々あるけど、面倒だし説明は省くわ」 『輸入』とか完全に物扱いされているのは無視する。 言っても無視されるだけだろうし、実際この人から見れば僕なんて物同然だろう。 「ちなみに弄ったのは二次元と三次元の境界じゃないわ。 幻想郷は実在していて、ここはあなたの世界と幻想郷の境目。 これからあなたの常識と非常識の境界を操作して、幻想郷に入れるようにするの」 「常識と非常識の境界って……早苗さんみたいにはっちゃけた人になるってこと?」 横から見ている分には楽しいんだけど、自分が常識を捨てているところは……ちょっと、見たくない。 「少し違うわね。あなたも最初、『こんな事本当にあるわけがない』と思っていたでしょう? そこの基準を少し変えるのよ。つまり、幻想郷はあるに決まっている、こんな事も起きて当然だと思うようになるの」 「それはそれで頭がおかしい人な気もしますけど……」 「あなたの世界ではそうかもしれないけど、幻想郷ではそれが普通よ。 あなたはこれから幻想郷の住人になるのだから……」 今更だけど、拒否権は無いらしい。 まぁ今の世界にあまり執着する気はないし、向こうの方が面白そうだから拒否はしないけど。 こんな風に考えられるという事も、さっき言っていた『都合が良い』人選に関わっているんだろうか。 「それじゃ、時間も勿体ないし急いでやってしまうわね」 そう言うと、紫さんは僕の頭に手を当てて、何やら念を込め始めた。 途端、頭の中がぐちゃぐちゃになって、僕はその場に倒れ込んだ。 「はいお終い。これであなたも幻想の世界の住人よ。ようこそ幻想郷へ」 まだ頭がクラクラするけど、すぐに終わってくれて助かった。 あれが長時間続いたら、それだけで発狂してしまいそうだ。 「……特に何かが目に見えて変わるわけじゃないんですね。 さっきの話だと人格完全に変えられてもおかしくない感じでしたけど」 「元々境界が曖昧な人を選んでいますから。それと、目に見える違いという事なら あなたも何かの能力を得ているはずよ。すぐに『思い出す』わ」 ……あぁ、そういえば僕はあんな能力を持っているんだった。 「確かに、何の違和感もなく『思い出し』ましたね。これがさっき境界を弄った結果ですか?」 「そういうこと。そのうち慣れてくると思うわ。 折角だからあなたの能力を聞かせてもらっても良いかしら?」 「……多分聞いても面白くないですよ?『お茶を出す程度の能力』です。 というわけではいどうぞ」 ちょっと念を込めて、左手にカップを出現させ、右手から紅茶を出して注ぐ。 一瞬で用意したお茶を、折角なので紫さんに差し出す。 「あら、面白い能力じゃない。……味も良いし、私の家に呼びたくなってきたわ」 「申し訳ないですけど、紫さんの相手をするのは色々と疲れそうなので遠慮させていただきます。 そういえば、僕はこの後どうすれば良いんでしょうか?」 いきなり幻想郷のど真ん中に放り出されても、割と困る。 残念ながら戦闘向きの能力ではないので、気が付いたら妖怪のお腹の中なんてことになりかねない。 「残念、本当に美味しいのに。主だった所に話は通してあるから、言えばそこに住ませて貰えるはずよ。 どこか希望の場所はあるかしら?あなたは1人目だから、どこでも大丈夫よ」 「僕みたいな人がこれから沢山増えるということですか。 それじゃ紅魔館でいいですか?僕の一番好きな子が居ますし」 「えぇ、それじゃ紅魔館まで送るわね。……『好きな子』ってあの吸血鬼? 話を通してあるとは言え、些か難易度が高いと思うけれど」 「残念ながらと言うか幸いにというか、レミリアさんでもフランドールさんでもないですよ」 「あらそう、それはそれで面白くないわね。それじゃ行ってらっしゃい」 そうして僕は、ここに来た時と同じように裂けた空間に吸い込まれた。 スキマから吐き出された先は湖の畔だった。辺りは暗く、今は夜らしい。 パソコンの前に居たのは20時くらいだったから、とりあえずそれと同じくらいの時間だと思うことにする。 夜の幻想郷を歩き回るのは危険だけど、これから行く場所を考えると、 むしろ夜で都合が良かったのかもしれない。 少し離れた所に明かりと大きな建物が見えたので、そこに向かって歩き出す。 さて、これから僕は本当に紅魔館で、幻想郷で生きていけるんだろうか? 門の前まで来ると、近くに中華風の格好をした女性が立っていた。 まず間違いなく美鈴さんだろう。流石にこの時間は昼寝もせず、しっかり起きているらしい。 「こんばんは。すいません、紅魔館はこちらでよろしいでしょうか?」 「こんばんは。ええ、紅魔館はここですが……何かご用でしょうか?」 「えっと……八雲紫さんにここまで連れてこられたんですが。 話は既に通してあると聞いているんですが、ご存じないですか?」 「あぁ、あなたが例の……分かりました、それではお嬢様の所までご案内しますね」 ……良かった。いきなり門前払いされて路頭に迷うなんていうことはなさそうだ。 「ありがとうございます。……あぁ、それとすみません、一つお願いが」 「はい?何でしょう?」 「履物、貸していただけませんか?」 さっきまで部屋の中に居たわけで、今の僕は裸足である。 その様子を見て、美鈴さんは快く靴を1つ貸してくれた。やっぱりこの人は良い人らしい。 コンコン 「お嬢様、お客人です」 「分かったわ、入っていいわよ」 2階の一番奥にある大きな扉まで来ると、美鈴さんは中に向かって声をかけた。 ここがお嬢様の部屋なんだろうか。 扉を開けると、中は物凄く広い部屋だった。 明らかに建物に収まらないように感じるが、これが咲夜さんの能力ということか。 そんな部屋の一番奥、これまた巨大な豪華な椅子に、水色の髪をした少女が座っていた。 「……あんたがスキマ妖怪の言ってた男ね。美鈴、下がって良いわよ」 「はい、それでは失礼します」 そう言って、美鈴さんは門の方へ戻って行った。 割と緊張するので、できれば横に居て欲しかったけど仕方ない。 「ほら、そんな遠くに居たら話しづらいでしょ。さっさとこっちに来なさい」 「あ、はい!」 それじゃなんでこんなに部屋を広くしてるんですかと言いたくなったけど、 絶対に機嫌を悪くするだろうから、胸の内に留めておく。 「……ふーん、何だか普通の奴っぽくて面白くないわね。 私たちの事知ってるって聞いてるけど本当なの?」 「えっと、貴方はレミリア・スカーレットお嬢様ですよね。 運命を操る程度の能力をもった吸血鬼。 異名は紅い悪魔。由来は飲みきれない血をこぼして服が真っ赤になるから。 好物はB型の血液。ただし自分の事を恐れる人間の血しか飲まない。 他には……」 「あぁ、もういいわ。名前ならともかく、そんな細かいことまで知ってるなら本物ね。 何だか気持ち悪いわねぇ……会ったこともない人間が自分の事をよく知ってるというのは」 「確かに気持ち悪いですけど……八雲紫さんもそんな感じでしたし、 古明地さとりさんなら心を読んだりできるし、幻想郷では割と普通なんじゃないですか?」 「別に普通じゃないし、気持ち悪いものは気持ち悪いわよ。 さて、これからのあなたの処遇なんだけど……あのスキマからはどこまで聞いているの?」 「連れてこられた理由は幻想郷に男性が足りていないからで、これから紅魔館に住ませてもらえる、というくらいですね」 良く考えたら殆ど何も聞いていない気がする。 「それだけ聞いていれば十分ね。と言うか、あんたが実験対象第一号だから、細かい事は何も決まってないのよ」 「実験……ですか。具体的にどういう実験なのか聞いても良いですか?」 「ん?男が増えたら子供が増えるのかっていう実験」 予想はできていたけどまぁそういうことになるよね……。 「えーっと……それじゃ僕はこれから幻想郷中の女性を口説いて回るのが仕事になるんでしょうか?」 「そんな奴をうちに住ませても私に何のメリットも無いじゃない。 あんたはここで住み込みで働くの。女性を口説くとかそんなの一切意識しなくて良いわ」 違うらしい。まぁ女性を口説くなんてできるわけがないので、とても助かる。 けど…… 「それじゃさっきの実験ができないんじゃないですか?」 「できるわよ。普通に生活させてても、単に男が増えるだけで状況が変わるのかっていう実験だから。 この結果次第で今後の動きが変わるらしいけれど、私は関係ないから良く知らない。 ちゃんと人間のご飯は出してあげるから、まぁ精々私の役に立つことね」 つまり紫さんが色々と試そうとしていて、お嬢様はそれに協力しているという形か。 見返りは労働力の確保。……うわぁ、これ僕に人権なさそうだぞ。 「それで、あんたの仕事だけど……男なんだから力あるわよね。フランの相手でもしてもらおうかしら」 「いやいやいやいや無理です!絶対無理です!1秒で死んじゃいますよ!」 確かにそれなりの腕力はあると思うけど、あくまで人間レベルでの話だ。 吸血鬼の相手なんてまともにできるはずが無い。 「そうなの?まぁ死なれるのは勿体ないし、それはやめておくわ。 それじゃ何か得意なことは?……そういえばまだ能力聞いてなかったわね」 「能力ですか……『お茶を出す程度の能力』です。いつでもどこでもお茶を出せます」 「咲夜が居れば基本的に不要ね。参ったわ、ハズレ引かされたかしら……」 酷い言い様だ。まぁ確かに自分でもどうでも良い能力だとは思うけど……。 あぁでも紫さんは案外気に入っていたな。霊夢さんとかにも受けが良さそうな気がする。 「うーん……それじゃパチェも人手を欲しがっていたから、そっちに行ってもらおうかしら」 「……詳細聞いても良いですか?魔術の人体実験とかはちょっと怖いんですが」 「さぁ?それは本人に聞かないと分からないわね。仮にそういう内容だったとしてもそれくらい我慢しなさい。 死にはしないわ。と言うか死なない程度にしてくれるはずだわ」 本当に酷い扱いだ……。 可愛い女の子に囲まれて夢のような生活とか、ちょっと期待していただけに落胆も酷い。 でも図書館で働けるなら、わざわざ紅魔館を選んだ目的に近づける。そこは素直に喜ぶべきだろう。 「それじゃとりあえず決定ね。咲夜、こいつをパチェのところまで案内してあげて」 「かしこまりましたお嬢様。……それでは私についてきてください」 一瞬にして咲夜さんがお嬢様の横に現れる。 時間停止……初めて見たけど本当に凄い能力だ。 「あ、はい、わかりました。それではお嬢様、失礼します」 「ん。まぁ頑張んなさい」 もうどうでも良いからさっさと行け、と言う感じだ。 興味が無い相手には凄く適当になるっていうのは本当なんだなぁ……。 そう言えば最後まで僕の名前言わなかったな。 こっちは向こうを知ってるからついそのまま話を続けてしまったけど、 もっとちゃんと自己紹介するべきだったかな。次は気を付けないと。 「自己紹介……は必要ないんですね。お嬢様も仰っていましたが、確かに奇妙な感覚ですわ」 図書館に向かう途中、咲夜さんが声をかけてきてくれた。 「うーん、皆からそう言われると、色々と知っていて申し訳ない気がしてきますね。 あ、僕は江良コウタです。これからよろしくお願いします。 咲夜さん……って呼んで良いんでしょうか」 「えぇ、構いませんよ。最初のうちは貴方の面倒を見るようにと言われていますので、 困ったことがあれば呼んでください」 「はい。ありがとうございます」 自分の仕事も沢山あるだろうに、僕の面倒まで見てくれるのか……。 流石パーフェクトメイドっていう所なんだろうけど、実質紅魔館を一人で管理しているという苦労を知ってると あんまり気軽に頼るのは迷惑をかけそうで戸惑うなぁ……。 「こちらが大図書館兼パチュリー様の書斎です。屋敷の中は広いですけど、 これから貴方が働く場所になりますから、しっかり覚えてくださいね」 「はい。頑張ります」 地下に下りてすぐ目の前に図書館はあった。 地下には妹様の部屋もあったはずだけど、これから先図書館まで通っている途中で会うこともあるのかな。 今は大分大人しくなったらしいし、そこまで警戒する必要はないのかもしれないけど、 仕事として提案された最初の選択肢が妹様の相手だったくらいだから、やっぱり油断はしない方が良さそうだ。 「パチュリー様、件の男性をお連れしました。お嬢様から、パチュリー様の元で働かせるように、と」 「あら、私のところに来たのね。分かったわ、良い実験台をありがとうとレミィに伝えておいて」 「かしこまりました。それでは失礼いたします」 そう言って、咲夜さんはスッと消えてしまった。 というか本当に実験台なのか。僕泣いていいですか。 「江良コウタと申します。特技はお茶を淹れることです。これからよろしくお願いいたします!」 「へぇ、そんな特技があるのね。それじゃあ早速一杯貰おうかしら」 「あ、はい!………どうぞ」 良かった、パチュリー様はこの能力を気に入ってくれる側の人らしい。 張り切って美味しい紅茶を用意し、差し出す。 「……驚いた、淹れるのが得意なくらいかと思ったら、咲夜みたいにその場で出せるのね。 あなたも時間が止められるとか?」 「いえ、そんなことは無いですよ。お茶を淹れるだけに特化した能力なので、 残念ながらお茶とカップしか出すことはできません」 できればお茶菓子くらいも出せるようになりたいなぁ。 鍛えれば何とかなるのかな……とりあえず当面の間は常に何か持ち歩くようにしよう。 「うん、味も良いわね。ハーブの香りも良い感じ」 「あ、気に入っていただけましたか?パチュリー様のお好みに合いそうなのを選んだつもりでしたが」 僕の能力で出せるのはお茶に限るが、逆にいうとお茶なら緑茶でも紅茶でも出せるし、 僕がお茶だと認識できる範囲ならミルク入りだろうがハーブ入りだろうが出すことができる。 ちなみにカップの方は飲み終われば消えるので洗い物も出ない。 簡単に能力について説明すると、パチュリー様はすっかり気に入ってくれたようだった。 「いつでも好きなお茶が、しかも美味しいものが飲めるなんて素敵な能力じゃない。 もっと自信を持って良いと思うわよ?戦闘に役立つだけが能力じゃないわ。 自分の下につけるならむしろこういう能力を持った人の方が嬉しいわね」 なんだかここまで褒められると背中がむず痒くなってくる。 まぁ自分の上司に気に入って貰えたのだから、何も問題はないのだけれど。 「ふふっ、これは良い人を貰っちゃったわね。後でレミィが文句言ってきても返してあげないんだから……」 本当にお嬢様と全然違う評価をしているみたいで、何だかどんどんテンションが上がっている。 「そう言っていただけると幸いです。……ところで、僕の仕事は一体どういう内容になるんでしょうか? お嬢様からは直接パチュリー様に聞くようにと言われているのですが」 この調子なら、実験台の仕事なんてやらなくても済むんじゃないのかな? という淡い期待を込めて聞いてみる。 「ん?あ、そう…お仕事ね……えっと…………うん。図書館の本の管理を手伝って貰おうかしら。 それから、今みたいに美味しいお茶を淹れてくれたら良いわ」 「はい、分かりました。……本の管理という事は小悪魔さんのお手伝いのような感じでしょうか?」 妙に間があったのは、当初の予定と違う仕事を考えていたから……ではないことを祈ろう。 それにしても、提示された内容はこれ以上ないくらい理想的な仕事だった。 紫さんに言っていた『紅魔館に居る僕の好きな子』というのは、小悪魔さんの事なのだから。 「あぁそうか、こぁの事も知ってるのね。説明が省けて助かるわ。 彼女一人では最近手が回らなくなってきてるみたいだったから、手伝ってあげて。 扱いは私の部下扱いで、彼女の後輩ってことになるのかしらね」 「分かりました。それでは細かいことは小悪魔さんに聞いておけば良いですかね。 ……彼女は今どちらに?」 「えっと……この時間は自室で一休みしてるんじゃないかしら。 この奥に行って、左手の部屋だから、勝手に入っちゃって良いわよ」 「……勝手に入っちゃって良いんですか?」 「良いのよ。私が言ってるんだから」 「……分かりました。それではちょっと行ってきますね」 願ってもいない展開だけど、いきなり部屋に入って嫌われたりしないかな。 着替え目撃!なんてことになったら嬉しいのは嬉しいけどこれから先が終わってしまうし……。 ……ちゃんとノックして入れば大丈夫だよね。 そんな事を考えながら、僕は小悪魔さんの部屋に向かうのだった。 (今日はここまで)
https://w.atwiki.jp/chronocrossrta/pages/42.html
走者 罰ゲーム内容 済 るべ→みねこ 運営のねーろさんにむけて感謝の言葉を枠内で言う 済 ギル→しもつき 海月海RTA(5周)をノーエンカでやる。かつ10分切り 済
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/532.html
(嘘だ・・・嘘だうそだウソダ!) すべてのカードが場に出終わった瞬間、心の中で繰り返す。 俺が負けることなんてない。まして相手がこいつらときたら、そんなことなおさらである。 ただ漠然とカードを出しているあいつらに・・・負けるはずがないんだ・・・! だが現実はどうだ。 俺は負けた。 言い逃れなんてできるわけがない。 体を小刻みに震わせながら、4人の顔を見る。 ・・・っ!こいつら、笑ってやがる・・・! 「まったく、お前は本当にアホだな。」 正面にいる東海林が、不敵な笑みを浮かべながら言う。 先ほどとは一変、手のひらを返したような態度をとっている。 俺は少しばかりカチンときたが、ここで怒っても仕方ない。 立ち上がろうとする自分を抑え、彼の話を黙って聞く。 「少しいい気にさせりゃ、お前を負かせることなんて簡単なんだよ。」 「な・・・なんだと・・・」 「もうね、配られてたカードに何かが仕組まれていないかって考えなかったお前の負けだよ。」 「あの時点で・・・俺が負けてたとでも言うのか?」 「当たり前じゃん。お前が負けるようにカードを仕組んだんだからな。」 「くっ・・・!」 「それじゃあ、罰ゲームを受けてもらおうかな?」 俺を見下すように言う。これから罰ゲーム・・・いや、報復でもするかのような雰囲気だ。 周りの4人も、東海林と同じような表情で俺のことをみつめていた。 床に散らばっていたトランプを俺が片付け、お待ちかねの罰ゲームのお時間がやってきた。 俺は不貞腐れて、床にごろんと寝転がる。 他の4人は俺のことをみて、これから起こることを想像しながら笑っていた。 「よし、それじゃ俺が引くね。」 妙に上機嫌な河原辺が、一枚目の紙を引く。いつもはそんな表情見せないやつだ。 いつもはヘラヘラと低い腰で俺に接してきているのに、まったく真逆の態度になってやがる。 そんなに俺に罰ゲームを受けさせるのが楽しみなのだろうか。 「一枚目はっと・・・『一週間後』か。」 なんだか不満そうな表情。 一週間後で不満なら、いつがいいんだ。明日か?それとも来年か? 「よし、続けて二枚目!高野が引けよ!」 「オッケ、面白いの引いてやるぜ。」 高野、お前も嬉しそうな表情してやがるな。 俺のケツをホイホイとついてきてるだけのヤツなのに、よくもまぁそんな態度で。 高野は「どれにしようかな」と口ずさみながら二枚目の紙を引く。 「二枚目はっと・・・『コンビニで』か・・・つまらんな。」 嬉々とした表情から一転、口を尖がらせて「おもしろくねぇ」と一蹴。 引いたのはてめぇだろ、と突っ込みたくなったが、立場上何も言えない。 4人を睨みつけながらただただ待つばかりである。 「よし、三枚目は峠が引け!」 「あいよう。」 今までの三人に比べて、こいつ(峠)は少し雰囲気が違う。あまり乗り気でない感じだ。 さすが俺の右腕に立つくらいの力を持つ男。こいつだけ可愛がってた甲斐があったぜ。 ※ちなみに、三枚目は本来であると「誰が」にあたるが、ここでの場合は大貧民が「誰が」にあたるので、自動的に「芋野」が「誰が」の部分になります というわけで、三枚目は「何を」ということになります 「えっと・・・三枚目は・・・プププッ!」 大人しそうな顔をしていた峠が突然、口に手を当て笑い出す。 いつもポーカーフェイスのこいつがこんな風に笑うとは、俺にも想像がつかなかった。 彼は必死に笑いをこらえ、三枚目の紙をみんなに見せる。 「なになに・・・『エロ本を立ち読み』wwww」 プギャーと指を指して笑う。別にエロ本読むくらいで騒ぐことないだろう・・・常考。 馬鹿みたいに笑う4人を見て、俺はダンマリ。早く終わらせろよとイライラとする。 エロ本如きで騒ぐ奴らを今まで手下に連れていたと思うと、なんだか自分自身が嫌になってくる。 「よっしゃ、最後は東海林だな。」 「面白いの引いてやるぜ!」 指をパキパキとならしながら気合いを入れる。 なんかいつも以上に張り切っているのは気のせいとしておこう。 「何が出るかな?何が出るかな?それは右手に任せようっ!」 右手で素早く四枚目の紙をつかみとり、高らかに掲げる。 「おい・・・これは・・・芋野捕まるなwwwwww」 「さすがにやばいかもな。」 「これは捕まるかもわからんね。」 先ほどのハイテンションの三人はどこへやら、少し俺を心配してくれている。 心配してくれているのかどうかはわからないが、犯罪だ逮捕だ何やら気にかかることを言っている。 少しばかり気にかかった俺は上を向き、東海林の引いた四枚目の紙に目をやる。 そこには、実行するには危険すぎる内容が書かれていた。 「『オナニーする』って・・・オイ、できるわけねぇだろが!」 内容を見た俺は激怒する。どう考えてもできるわけがない。 安価は絶対だ、的な空気の中、俺は荒げた声で言う。 「いや、別にまだやるって決まったわけじゃねぇだろ。そうカッカするなよ、馬鹿。」 見下すように河原辺が言う。単調なしゃべり方が一層頭に来る。 「でもやってもらいたいな。俺達の恨みもあるし。」 高野がにやにやしながら言う。俺達って、お前個人の恨みが大きいんだろうが。 余程俺が捕まってほいいのだろうか。何のためらいもなくそういうことを平気で言う。 ま、俺もこいつらにはそういうようなことをやってきたんだからな。しっぺ返しがここで来たんだろう。 「でもよ高野。さすがにこれはまずいだろ。」 水を差すように峠が一言。その言葉に、高野がぴくんと反応する。 「あぁ?こいつ(芋野)にはどんだけやられてきたと思ってんだよ?今こんなことでもしなきゃ、いつやるんだ?あぁ?」 「お前はそう言ってるが、芋野のお陰で俺達はここまでいい思いもできたんだぜ?」 「う・・・まあ・・・そうだけど・・・」 峠のその言葉に、高野は一気にしゅんと萎えてしまった。つつかれた団子虫のように、顔をうずめて丸まってしまった。 (峠は俺のことを理解してくれているんだ・・・。少しばかり気が楽になるな。) 「それじゃあよ、どうすればいいんだ?」 少しお怒り気味の河原辺。ふてくされた顔で峠に問いかける。 「VIPで安価でも出すか。」 「VIP?なんだそれ?」 「同士の集まる場所だよ。」 「同市・・・?」 「お前にゃ分らん世界だ。」 「芋野、パソコ借りるぜ。」 「あ、あぁ・・・」 ぎしっと事務用椅子に腰掛け、パソコンを操作する峠。 キーボードの小気味よい音が俺の部屋に響く。 こいつのいつもの姿からは想像できないほど、タイピングが早い。 恐らくワープロ検定1級レベルは優に超えているだろう。 「それじゃ、安価で決めるけどいいよな?」 「お前に任せるけど・・・安価って何だ?」 「安価は安価だ。お前らに言った時点でわかりっこないだろ。」 ―――――――――――――――――――――――― 「変な安価こなけりゃいいんだけどな・・・」 ぼそっと一言。地獄耳の河原辺には聞こえていたようだ。 「峠、何か言った?」 「いや、別に。」 「お、安価番号に達したな。」 「なんて書いてある?」 「ええっと・・・『朗読』って書いてある。」 「優しい人でよかったね。」 峠が俺のほうを見て言う。残念そうな表情をしていたように思えたが、別段気に掛けるほどでもなかった。 確かに、先ほどよりは多少はマシになっているからよしとしよう。 「ついでに、読む本も決めとくか。」 「いや、読む本は俺が・・・」 「お前に決める権利はない。俺の同士が決めるんだ。」 峠に一喝。今この場で一番力があるとすれば、峠良太だろう。 地に落ちた俺の権力。 たかが大富豪でこうなるとは、夢にまで思ってもいなかった。 ◆安価『罰ゲーム』終章
https://w.atwiki.jp/tomusanti/pages/130.html
●ミツさんがうささんに3タテされたらメガマリ配信:現在罰ゲーム期間中第一弾動画(ニコ動) ●ミツさんが○○さんに3タテされたら
https://w.atwiki.jp/when_they_cry/pages/245.html
「じゃ、じゃあ始めようか……みんな」 「はぅ……しょ、しょうがないよね……」 「みぃ……」 「屈辱ですわ……こんな茶番……」 放課後の教室。 外ではうるさいほどにひぐらしが鳴いている夕刻、彼女達四人は教室に居残っていた。 窓から差し込んでくる夕日に部屋がオレンジ色に染まる中……。 少女達は自分の机とイスを持ち寄り、ある『ゲーム』をしようとしていた。 そしてそれはもちろん、放課後恒例の『部活』としてであった。 もはや日課となっているこの行事に、魅音、レナ、梨花、沙都子の四人は、今日もさぞ楽しい時間を過ごすのだろう……。 と思いきや、なぜか彼女達の表情はみな一様に暗かった。 「魅ぃちゃん……あの……そのトランプ、よかったらレナが配ろうか?」 魅音の机の上には、これからするある『ゲーム』に必要なトランプが置かれていた。 それ自体は何の変哲もない、いたって普通のトランプである。 だがこれこそがじつは、これから四人の運命を大きく決める大事な遊び道具であったのだ。 そんな重要な物とあっては、レナも持ち前の優しさを出さずにいられず……つい魅音にそんなことを申し出たのだった。 「いや……いいよ、レナ。 ここは部長であるおじさんが、しっかりと配るから……さ」 レナのそんな気遣いをきっぱりと断わると、魅音は目の前に置かれているトランプをいさぎよく掴んだ。 だがそんないさぎよさとは対照的に……その手はかすかに震えている。 普段のあの強気な魅音とは別人ではないかというほどに、じつに弱々しい手つきだったのである。 「魅音さん、かわいそうですわ……こんな時まで部長として、気丈に振舞わなければならないなんて……」 「魅ぃは立派な部長さんなのです……これぐらいで負けないのですよ……」 そうして震えながらトランプを配っていく魅音の様子を、沙都子、梨花、も机の反対側から見守っていた。 彼女達二人もその表情はどんよりと暗く、いつもの元気な子供らしいエネルギーの微塵も感じられなかった……。 親しい友人同士であり、最高の仲間でもある彼女達がこうして集まって『部活』をしようとしている。 だがなぜ、こんなにもこの場のテンションは低いのだろうか? そのすべての理由は、これから彼女達がしようとしているその『ゲームの内容』にあったのだ。 彼女達がこれからやろうとしているゲーム。 それはずばり、『ババ抜き』である。 魅音、レナ、沙都子、梨花の四名は、これからこの机の上でトランプの『ババ抜き』をやろうとしていたのである。 だがそうなると、もう一つの疑問が新たに湧き出してくる。 たかがババ抜きをやるのに、どうして少女達はこんなにも嫌そうにしているのか? ということである。 その答えは、このババ抜きは正確には『部活』などではなく……。 「……全員、配り終わったね。 じゃあ、もう揃っちゃってるペアを机の上に出していって? それが終わったら、始めるからさ……」 魅音があいかわらずの暗い表情でつぶやくと、三人は手元からペアのカードを抜き出していった。 「うう、嫌ですわこんなの。 なんでこんな暗い気持ちで、ババ抜きなんてしなきゃいけませんの……」 「ガマンして、沙都子ちゃん。 罰ゲームなんだからしかたないよ……ね?」 「みぃ……みんな、ファイト、おーなのです」 そう。 今レナが言ったとおり、じつは『このババ抜き自体が罰ゲーム』だったのである。 雛見沢を代表するとびっきりの美少女達が、みなこんなにも暗い表情をして恐れる『罰ゲーム』。 たんたんと手元からペアのカードが抜き出されていくさまは、一種異様ともいえる光景だったが……。 ただ一人、これを楽しそうに眺めている人物がいた。 (へっへっへ……そろいも揃って泣きそうな顔しやがって……たまんねえぜ……) その男は、彼女達が怯えるさまをサドッ気たっぷりの目で見つめていた。 部活メンバー唯一の男である、前原圭一その人である。 彼だけはなぜかこの『ババ抜き』に参加せず、少女達がペアを抜き出していく光景を楽しくてしかたないとばかりに見守っていたのであった。 四人の机が真ん中で寄り合い、ちょうど正方形の形になっているその机の周りを……彼は今グルグルと回るように歩き回っている。 時計回りに、魅音、レナ、反対側にまわり、沙都子、梨花。 という配置になって座っている彼女達を、圭一はまるで肉食獣が獲物を見るような目で見つめていたのである。 「う……な、なんか背中に嫌な視線を感じますわ……。 まるで獣に見られているような視線を……」 「見ちゃダメなのです、沙都子……。 目が合ったら食べられてしまうのですよ……がおー」 こんなにも幼い少女達にでさえわかるほどの殺気。 いや、性気ともいえるものを放ちながら、圭一はイスに座っている少女達の体をジロジロと観察していた。 これからする『罰ゲーム』を考案した男。 前原圭一は、目の前の女共の体をじっくりと品定めしていたのである。 (どいつもこいつも、美味そうな体しやがって……さぁ、誰が最初の獲物かなぁ?) 魅音のこんもりと盛りあがっているバストを。 レナのどっしりとボリュームのあるヒップを。 沙都子のピッチリとタイツに包まれている脚を。 梨花のサラサラと流れている黒髪を……。 舐めるようにいやらしく眺めながら、圭一はそれらがすでに『自分の物』であるかのように舌なめずりをした。 そうして彼は一通り、彼女達の体を視姦すると……ある少女の背後でピタリと立ち止まったのである。 「えっと……みんなもう、ペアは出し終わったみたいだよ?……み、魅ぃちゃん?」 「……あ、ああ、ごめんレナ。 じゃ、じゃあ、始めようか?」 いつまでたっても場を取り仕切る魅音が何も言わなかったため、しょうがなくレナが全員のペア切りを確認したようである。 そう。 圭一が立ち止まったというのは、他でもない、魅音の背後なのであった。 彼女は自分の背後に圭一が立ったことを確認したため、それで一瞬言葉を失ってしまったのである。 ならばなぜ、圭一が背後に立っただけで魅音はそんなにも動揺したのか? ここで最後に、この『罰ゲーム』の究極ともいえる『あるルール』を紹介しておかなければならない。 この『罰ゲーム』。 『ババ抜き』では、当然ジョーカーがたった一枚だけ含まれている。 そしてそれを持っている人物こそ、その時点で最も敗者に近い存在であるといえるわけだが……そこでくるのが、前原圭一の発案したあるオリジナルルールである。 ジョーカーを持っている人物は敗者に近しい。 という以外に、あるもう一つのとてつもないデメリットを抱えながらゲームをするはめになるのだ。 それはずばり。 『ジョーカーを持っているあいだ、その人物は前原圭一に何をされても決して拒んではいけない』 という、ルールであった。 もちろん、彼の性的な要求にもすべて答えなければいけないのだ。 決して拒まずに。 そもそも老獪なひぐらしファンである諸君らならすぐに気づいたであろうが、こういう時に部活メンバーがやるゲームは実際には『ババ抜き』ではなく、『ジジ抜き』である。 なのになぜ今回、前原圭一がこのゲームを選んだのか。 それは『ジョーカーというわかりやすい目印』があったからなのである。 ジョーカーを持っている女は、俺の獲物、ということである。 そしてこのルールを当てはめていくと、魅音がなぜ圭一の存在に恐れをなしたかも透けてくるだろう。 そう。 彼女の手に握られているトランプの中には、はっきりとJOKERの五文字が記されたカードが含まれていたのであった……。 「はぅ……魅ぃちゃんがんばって……」 「魅音さん……ご愁傷様ですわ……」 「み~……かわいそかわいそなのです」 「………………うっ……」 三人に慰めの言葉をかけられ、魅音はおもわず弱音を吐きそうになった。 このゲームのおもしろいところは、誰がジョーカーを持っているのかが一目瞭然なところである。 圭一が背後にいる=ババ持ちなので、その人物はこうして他の三人から慰めと同情の言葉をもらうのである。 それは、彼のセクハラ行為に負けないで……という、女同士の涙ぐましい友情でもあった。 「だいじょうぶだよ魅ぃちゃん、すぐにレナが取ってあげるからね……? それまでがんばって耐えて?」 「…………レナ……」 レナの天使のような囁きに、魅音はすぐにでもすがりたい心境だった。 だが、それを素直にうんと受け止めるのは少しだけためらわれる理由があった。 その理由もまたこのゲームの恐ろしいところなのだが、今はまず誰が誰のカードを引くかを確認しておくとしよう。 さきほどの机の配置の通りであるが、魅音→レナ→沙都子→梨花。 そして一周し、魅音が梨花のを引く、という順番である。 つまりいま魅音がジョーカーを持っているため、次にそれが渡る可能性があるのはとりあえずレナだけというわけだ。 かくして、前原圭一考案による罰ゲーム。 『セクハラババ抜き』が始まったのであった。 (さーて……まずは魅音、か……) まず圭一はイスに座っている魅音に重なるように、ピッタリと彼女の背中に寄り添った。 するとちょうど彼女の髪が真下にくるようになり、そこから流れてくるシャンプーの香りがなんともいえず圭一を興奮させた。 そのまま視線を下に向けていくと、あきらかに前にこんもりと盛り上がっている大きなバストが目に入っていった。 (あいかわらず、たまんねぇデカ乳してやがるぜ……こいつは……) そんな卑下たことを思いながら、圭一は自分の両手を魅音のわきに降ろしていった。 そのたまらない胸を触るため、わきの下から手を入れようとしたのだが……いかんせん、魅音は手にトランプを持っているためそこがピッチリと閉じていた。 『おい魅音、わきを少し開けろよ。 そのでかいおっぱいが触れねえだろ?』 「う…………で、でかいって……」 圭一の嫌味な言葉に傷つきながら、魅音はしかたなくわきの下を開いていった。 するとそこからシュルリと手が入り込み、ついに彼女の豊満な乳房が彼の手のひらの餌食となった。 『おおう……やっぱすげえでけえなぁ。 俺の手におさまりきらないぜぇ? なあ?』 「う……け、圭ちゃん……そ、そんなこと言わないでよ……」 魅音が嫌がるのも無視しながら、圭一はそのまま服の上からサワサワと彼女の乳房を撫で回していった。 まだ揉んだりはせずに、あくまでも柔らかそうなその膨らみを手のひらで堪能するように撫でていったのである。 『すげえ……たまんねえぜ……。 なあ魅音、おまえはなんでこんなにデカイおっぱいしてんだ? 誰か男に揉まれてるのか~?』 「!? ち、ちがう……だ、誰かに触らせてなんかないよ……」 大好きな、圭ちゃんだけだよ……とその後に続けたい気持ちを、魅音は必死に抑えた。 こんなにも卑猥なことを言われているというのに、彼女はまだ圭一への想いはしっかりと持っていたのである。 彼が胸を触りたいなら触らせてあげてもいい。 だがこんな罰ゲームの一つとしてではなく、ちゃんと恋人どうしとして触って欲しかったな……と、魅音は乙女チックに思っていた。 「魅ぃちゃん……そんなに圭一くんのこと……」 胸を揉まれながらも健気に耐える魅音を、隣にいたレナが悲しそうな目で見ていた。 圭一が魅音にセクハラをするのはわかっていたことだが、彼女がこんなにも気丈に耐えるとはレナも予想していなかったのだ。 そしてだからこそ、レナはこれ以上圭一のセクハラ行為を許せないと思い、魅音の持っているトランプへ自らの手を伸ばしていった。 ここで自分がジョーカーを取れば、すぐに魅音は解放される。 その想いを胸に秘めて……。 「魅ぃちゃん……ほら、どれ? どれがジョーカーなの? レナに教えて……?」 「レ、レナ……でも、でもそれじゃあ……」 あいかわらず圭一に胸を撫で回されながらの魅音は、おもわずレナに助けを求めるような目を向けた。 それにレナの方も答えようとカードを引こうとするが……なぜか魅音は、どれがジョーカーなのか合図を出さないのである。 「み、魅ぃちゃん、どれ? どれがそうなの? は、早く教えてよ……?」 レナの問いに、魅音はただ首をふるふると振るのみであった。 助けたいのに。 早く大好きな魅ぃちゃんを助けてあげたいのに、レナはそのカードをいつまでも引けなかったのであった。 「ど、どうして……? どうしてなの魅ぃちゃん! ね、ねぇ! ねぇってば!」 納得できないと叫ぶレナに、圭一はおもわずニヤリとした。 これこそがこの罰ゲーム。 『セクハラババ抜き』の恐ろしいところであった。 たしかに魅音は今レナに手元のどれがジョーカーであるかを教えれば、この悪夢から逃れることが出来る。 それを特に圭一は禁じていないし、あとは魅音がこれがそうだと合図すればいいだけである。 だが、それができないのだ。 もしそれをすれば、今度は親友であるレナがセクハラの対象となってしまうからだ。 「いいから……レナはこのまま、おじさんのカードを好きに選んで……」 「な、何言ってるの魅ぃちゃん! だ、だってそれじゃあ……それじゃあ魅ぃちゃんがっ!」 こんなにも自分を想ってくれる、自分を助けようとしてくれるレナを、『生贄』に捧げるような真似……魅音ができるわけがなかった。 それは部長として、メンバーを罰ゲームから守ってやろうという想いからか。 あるいは、最年長としての責任感もあったか らかもしれない。 ともかく、園崎魅音には竜宮レナにジョーカーを引かせることなどできなかったのであった。 「魅ぃちゃん……はやく……はやくレナに教えてよぉぉっっ!!!」 「だめ……だめだよ、レナ……そんなのだめ……」 二人の悲痛なやりとりに、圭一はふたたびニヤリと笑った。 普通のババ抜きなら、いかに相手に自分のジョーカーを引かせるかが肝となる。 だがこの場合、それを持っている魅音は『引いて欲しくない』。 レナはそれを『引きたい』。 と、まったく逆の心理になるのである。 全てはこの『仲間を想う気持ち』が、かならずジョーカーをその人間に長く留まらせる=長く楽しめる。 と計算した、前原圭一の恐るべき作戦なのであった。 『くっくっく……。 さあ、どうするレナぁ~? このままじゃお前の大好きな魅ぃちゃんが、おっぱい揉みくちゃにされちまうぜ~?』 「く…………ぐぅ……」 あまりに卑怯な圭一の作戦に、レナはただ唇を噛みしめるしかなかった。 ここでいつものオヤシロモードで怒れば、その矛先は間違いなく魅音の体に向かってしまうだろう。 何よりもこれは『罰ゲーム』なのだから、彼女達は黙ってこれに従うしかないのである。 そうなるとレナにできることは一つだけであった。 ルール上問題なく、かつ魅音を助けることのできる、唯一の方法……。 「……引いてやるっ!」 自らの決意を口にしながら、レナは魅音のトランプに手を伸ばした。 そう。 レナが自力で、魅音の手からジョーカーを選びぬけばいいのである。 「引いてやる……絶対引いてやる……引いてやるっ!」 魅音の手にしているトランプの枚数は多い。 まだゲームは始まったばかりで、おまけに魅音はあまり最初のペアが多くなかったようで、四人の中で一番といえるほどの枚数を抱えていたのである。 確率的に見れば、あきらかに分の悪い賭け……。 だがレナのカンのよさは、部活メンバーの中でピカイチである。 人の嘘を簡単に見抜き、見破るその能力があれば、それを引くことも不可能ではない……冷静になれれば。 「できる、できる……レナならできる……魅ぃちゃんを助けられるっ! 絶対にっっ!!!」 意を決して、ついにレナは一枚のカードをグっと掴んだ。 類まれなるカンの良さか、それとも魅音を助けたいという想いの強さか……彼女の掴んだカードは、見事にジョーカーだった。 レナ自身はまだそれに気づいていないが、あとはこれを上に引き抜くだけで魅音は救われるのである。 ……だが、その時。 悪魔のような男、前原圭一が信じられないことをしたのだ。 『おお~っと! 手が滑ったぁぁ~~~っ!』 グニュウウゥゥゥ!!! 「!? や、やあぁぁぁぁっっ!?」 教室に響きわたる、魅音の悲鳴。 圭一はレナがそのカードを引く瞬間、なんと魅音の胸に指をおもいきり食い込ませたのである。 大きな膨らみを揉みこむように、グニュリグニャリと……力いっぱい。 「い、痛いっ! 痛いよ圭ちゃん! や、やめ、やめてよぉぉ……」 「……み、魅ぃちゃんっ!?」 レナの目の前で、大好きな魅音の乳房がいびつに歪んでいく。 女の目から見てもあきらかに痛そうに食い込む指に、レナも自分の胸をおもいきり揉まれたような痛みがした。 そしてその時、レナはトランプを手にしている指先を見ていなかったのである。 目の前で魅音が悲鳴をあげ、乳房を揉まれていくのをおもわず見てしまい……そのショックの中で、カードを抜いてしまったのである。 そしてそれを見た圭一は、ようやく魅音の胸から指を離していった。 『お~っとっと、ごめんなぁ魅音。 ちょっと手が滑って、うっかりおっぱい揉みしだいちまったぜぇ』 「う……ひ、ひどい……こんなのひどいよ、圭ちゃん……」 圭一の指が離れても、魅音の乳房にはズキズキとした痛みが残っていた。 そして皮肉にもその『痛み』は、隣にいるレナにも届いていたようで。 彼女は自分の手に持たれているカードを見て、絶句していた。 『お、引いたのかレナ。 で、どうだった? 魅音は助けられたのか~?』 「……………………ス」 『え、なんだって? うまく聞こえないぜレナぁ? なに引いたって~?』 「スペードのエースっ!」 ダンっ!と大きな音をさせて、レナはカードを持っている手を机におもいきり叩き付けた。 まるでこの手が悪いとばかりに、何度も何度も何度も、木製の硬い机に自分の手を叩きつける。 「ちくしょうっ! ちくしょうっっ!! 魅ぃちゃんがっっ!!! 魅ぃちゃんがぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」 さっきまで冷静だったレナが、急に何かが乗り移ったように怒り出した。 その手を叩きつける音と叫び声に、向かいにいた梨花や沙都子もビクっと体をすくませる。 「みぃ……レナ、怖いのです……オヤシロモードなのです……」 「レナさん、あ、あの、どうか落ち着いて……暴力はいけませんわ……」 凌辱される魅音をただ見ていることしかできなかった二人には、レナを本気で止めることはためらわれているようだ。 口では止めに入っているが、どこか申し訳なさそうにオドオドする仕草が圭一の萌えポイントにちょこっと引っかかるだけだった。 それを見て仕方なく、このゲームを仕切っている彼はその怒り狂うレナ様を抑えることにしたのだった。 「魅ぃちゃんを助けられなかったっ! 魅ぃちゃんのおっぱいがっ!!! 魅ぃちゃんのおっぱいがぁぁぁっ!!!」 『まあまあ、落ち着けよレナ。 たしかに魅音のおっぱいは俺が頂いたけど、これはおまえが招いた結果だぜ?』 「!?……………ぅっっっ!!!!!」 この卑怯者!と怒鳴りそうなのを、レナは必死でこらえた。 元々魅音があんなことをされなければ、レナは今ごろ冷静にジョーカーを選び取っていただろう。 それが圭一のせいで……。 この男のせいで、全て台無しになってしまったのである。 レナは目の前でニヤニヤと笑う圭一を、鷹のような目でギラっと睨みつけた。 「圭一くん……次、行っていいかな? ……かな?」 だがそんな睨みつけるような目をするわりには、レナの口調は意外と冷静だった。 本当はこの場で圭一を怒鳴りつけたいところだが、そんなことをしても彼は魅音の体を貪り続けるだろう。 ならばいっそ早く次の子に自分のカードを取らせ、もう一巡させて魅音のジョーカーを引く方が得策であると考えたのだ。 目の前で親友が辱められたというのに、レナの頭はCOOLな状態に戻っていたのだ。 「圭一くん……いいよね、次にいっちゃっても。 次は沙都子ちゃんだよね? ……ね?」 『ん~……俺はもっとゆっくりやりたいんだがなぁ。 せっかくの罰ゲームだろ? 少しは楽しませてくれよ……』 レナの冷静でいて凍るような声にも、圭一はまるで動じなかった。 自分にはこのゲームを仕切る権利があり、それにはレナですら逆らえないと確信していたからである。 そんな余裕を見せ付けるように、圭一は魅音の胸をまたもみもみと揉みはじめたのだ。 「うっ! や、や……け、圭ちゃん……」 魅音はそれに一瞬ビクっと肩をすくませたが、圭一の手つきがさきほどの乱暴なものよりも優しかったため、なんとか悲鳴をこらえた。 そして圭一は魅音の耳元にすっと口を寄せると、何とも甘い声で囁きはじめたのである。 『さっきはごめんな、魅音。 あんな乱暴にしちまって……今度は優しくしてやるからな……?』 「……圭ちゃん。 そんなこといきなり言われたって……もう、だめだよ……」 『いや、ほんとにごめん。 魅音だって女の子だもんな? それなのにあんなひどいことを……ほんとにわるい』 「!?………な、何言ってんのさ、い、いきなり……」 圭一の口から出た『女の子』、という言葉に魅音はおもわず反応してしまった。 さっきあれほどに乱暴だった男が、急に紳士な態度で囁きだしたことも驚きだが、その言葉は魅音にとって特別なものだったのだ。 彼女はまだどこか怯えた表情を引きずっていたが……正直、その言葉に悪い気はしなかった。 「さ、さっきはあんなに……おじさんの胸、めちゃくちゃにしたくせに……」 『ああ、だって罰ゲームだろ? そうしなきゃ意味ないと思ってさ……それに……』 魅音の反応が少し変わったのをいいことに、圭一はそのまま優しく、あくまでも優しくその乳房を揉んでいった。 親指と人差し指を突起があるだろう場所に持っていき、そこはほんの少しだけ、摘んでいく。 「ひゃうっ!? あ、け、圭ちゃん……そこはダ、ダメだって……」 『それにさ、大好きな魅音のおっぱいが触れるんだぜ? ちょっとは俺の気持ちもわかってくれよ。 な?』 「!? だ、だだだ、大好きってっ! な、何言ってんのさ、い、いきなりぃぃっ!」 圭一の愛の言葉に、魅音は耳まで真っ赤になって慌てふためいた。 今も胸を好き勝手に揉まれているというのに、乳首までコリコリと指で摘まれているというのに、彼女はもうすっかりいつもの調子で酔っていた。 その大好きという言葉が、『魅音』にかかるのか、それとも『おっぱい』の方にかかっているのかも考えずに……。 『な? だから許してくれよ。 魅音だって、いつも罰ゲームで俺に好き勝手やってるじゃないか……』 「………うん。 そ、そうだね。 おじさんもいつも好きにやってる……よね」 『だろ? だからいいだろ? このまま……大好きな魅音のおっぱい、揉みまくっても……』 ふたたび告げられた愛の言葉に、ついに魅音は……コクンと頷いてしまった。 元々圭一のことが大好きな彼女にとって、優しくしてさえくれるなら特に問題はなかったようだった。 『あ~すげえ柔らかい……。 めちゃくちゃきもちいいぜ、魅音。 おまえのおっぱいは最高だぜ……』 「ん、そ、そんなこと言わないでよ……は、恥ずかしいってば……」 『いいんだよ、それで。 魅音は可愛い女の子なんだから、おっぱい揉まれて恥ずかしがっていいんだ……』 「圭ちゃん……」 もはやガードの甘くなった魅音は、圭一の囁きの虜になっていた。 そしてそれをいいことに、圭一はその豊満な乳をブルンブルンと揺らしてみたり、上下左右にグニャグニャと揉みしだいたりとやりたい放題だったのである。 そんな女の体を食い物にするような男を……彼女が許すはずがなかった。 「……ねぇ圭一くん。 もうそろそろいいよね? 次、いっても」 『ん~? ああ、いいぜ。 じゃあ沙都子、次はお前がレナのカードを引くんだ。 ああ、きもちいい~おっぱいおっぱい……』 「………………っ」 魅音の乳房を食い物にしている圭一に、さきほどからレナは心底腹が立っていた。 口から出されている言葉だって、なんて薄っぺらいんだろう、と聞くたびに吐き気がしていた。 そもそも口先の魔術師である圭一にとって、そんな愛の言葉を言うのはたやすいことだ。 レナはいますぐ圭一に殴りかかりたい衝動を抑えながら、ようやく向かいにいる沙都子に自分のカードを差し出すのだった。 「ほら、沙都子ちゃん早く取って? ……どれでもいいから」 お互いジョーカーがないのなら、このやり取りにあまり深い意味はない。 せいぜい早く上がれるかどうかで、レナは早く魅音のカードを引きたくてウズウズしていた。 沙都子もそれをわかっているようで、彼女はレナのトランプにすぐに手を出していった。 「レナさん……あの、さ、さっきから魅音さん……なんていうか……」 「うん。 魅ぃちゃん、圭一くんに騙されてる……あんなのただおっぱいを好きに触るための口実だよ。 ほんと最低な男!」 圭一には聞こえないように、レナと沙都子はヒソヒソと話をしながらカードのやり取りをしているようだ。 沙都子も魅音を助けたいようで、何か打つ手はないかと必死に考えていたのだ。 「なんなら、わたくしのトラップで圭一さんにお灸をすえてさしあげましょうか? それなら魅音さんも……」 「それは絶対ダメ。 だってこれは罰ゲームだもん。 圭一くんは別にルール違反をしているわけじゃないんだし、むしろそれをやったら沙都子ちゃんが何をされるかわからない……だからダメ」 もし誰かがセクハラされている人物を助ける行動をした場合、『その人物』と『助けられた人物』の二人は更に別の罰ゲームが科せられることになっている。 この『助けられた人物』も、というのがミソで、このルールがあるからこそ、さきほどからレナは直接的に魅音を助けることができないのである。 もちろんこれも、スケベ男前原圭一考案による補足ルールであった。 「じゃ、じゃあどうすればいいんですの? きっと魅音さん、次もジョーカーをレナさんに引かせませんわよ!」 「だろうね……。 しかも今度は、違う意味で……ね」 何か含みのある言い方をすると、レナは魅音の方を見た。 あいかわらず圭一に好き勝手にされているのは変わらないが、その『されている』ことのレベルがワンランク上がっていた。 なんと魅音はその制服の前を開かれて、直接圭一に乳房を揉まれていたのである。 白い大きなブラジャーもズルンと上に剥かれ、綺麗なピンク色の乳首がコリコリと彼の指に弄ばれていた。 「はぁ……だ、だめだよ圭ちゃん。 こんな……み、みんな見てるよぉ……あ、あはぁぁぁ♪」 『いいじゃないか。 見せつけてやろうぜ、魅音。 俺達がどんなにラブラブなのか……愛し合っているのかを、さ』 「そ、そんな……あ、愛し合ってるだなんて……あ、あはぁ♪ そ、そこだめだよぉぉぉそんなに弄っちゃあぁぁ♪」 すっかり『女』の表情をしながら、魅音はもはや圭一の手つきにあえぎ声まであげていた。 この前原圭一の始末の悪いところは、本気になれば女体を感じさせられるほどに卓越したテクニックを持っているところなのである。 さきほどレナが言った、違う意味でジョーカーを引かせてもらえない。 とはつまり、魅音が圭一にこのまま堕とされてしまう。『レナに圭一を取られたくない』と魅音が思ってしまう可能性があったからであった。 「あはぁ♪ はぁぁ、け、圭ちゃん……圭ちゃんきもちいい……あ、あ、ああぁぁぁぁ♪」 「魅音さん……あ、あれじゃあもう……」 「ダメだね。 魅ぃちゃんはもう……無理だよ」 もはやレナ達に聞かれることも忘れて、魅音は教室中に響き渡るほどの声をあげていた それはつまり、圭一への屈服を表していた。 もう罰ゲームとかも関係なく、少なくともこのババ抜きが終わるまでは彼女はリタイヤだろう。 それを見た沙都子とレナは、圭一にとてつもない敵対心を燃やすのだった。 「許せませんわ……。 あの気丈な魅音さんを、あんなふうにして!」 「落ち着いて沙都子ちゃん。 興奮しちゃダメ。 レナはさっきそれでやられたんだから……あくまでクールに、クールになるんだよ」 一度圭一に追い落とされたレナは学習していた。 冷静さを失うことが、圭一の思うツボになることを。 もちろんさきほどから彼を殴り倒したい衝動はおさまってないが、レナはそれを胸の中で『青い炎』にし、冷静でかつメラメラとした燃える感情に変えていたのだ。 「沙都子ちゃん。 とりあえずこのままもう一度、レナの番に回して? そうすればきっとレナがなんとかするから……」 「で、でも、魅音さんは引かせませんわよ? 一体どんな方法が……」 「だいじょうぶ。 魅ぃちゃんがダメなら、『もう一人のそのカードの中身を知ってる人』に聞けばいいんだから……」 「?……も、もう一人?」 レナの意味深な言葉の意味が、沙都子にはよくわからなかったが……。 とりあえず今とてもクールである彼女を信頼し、沙都子は目の前のトランプのカードを一枚抜き取った。 それによってペアができ自分の枚数が減ったが、沙都子はそんなこともかまわずすぐに隣の梨花に自分の手を差し出した。 「ほら梨花。 さっさと引いてレナさんに回すんですのよ。 モタモタするんじゃありませんの!」 「みぃ。 あ、あの沙都子……さっきからボク、思っていることがあるのですけど……」 沙都子はさっさとカードを引いて欲しかったが、梨花がなにやらモジモジとしながらその流れを止めた。 なにか言いたいことがあるようにして、沙都子、そしてレナの方にも自分の顔を向けていく。 「魅ぃを助けたいのはボクも同じなのです……。 でも、このゲーム自体を止めさせる方が……ボクはいいと思うのですよ」 「…………はぁ? そ、それはそうですけれど! そんなこと、できるはずないではございませんの!」 梨花の言うことはもっともではあった。 魅音をなんらかの方法で助けられても、次はレナが。 そして沙都子、梨花が圭一の毒牙にかかるかもしれないのである。 ならばいっそ、このゲーム自体を失くしたい。 と、この場の誰もが願ったであろう。 だがそれはそもそも無理なのである。 そんなことができるなら、初めに誰かがやっている。 スケベ大王前原圭一の欲望を誰も止められないからこそ、この罰ゲームが行われているのであった。 「そ、そんな馬鹿なこと言ってないで、早くわたくしのカードをお取りなさいませ! まったくもう!」 「みぃ…………」 呆れる顔をする沙都子の手から、しょうがなく梨花が一枚のカードを抜き取った。 それを見ながらレナは、梨花の言ったことがなんとなく気にかかり……その意見を聞いてみようと思った。 「どういうこと、梨花ちゃん? 何か圭一くんを止められる秘策でも……持ってるの?」 「そんな大げさなものではないのです……ただ……」 「ただ……?」 梨花はそれを言うのが本当は嫌だという風にモジモジしながら、その幼い口をゆっくりと開いていった。 「ボクが……ボクが圭一に『お願い』するのです。 もうこんなことはやめてって……こんなかわいそうな『罰ゲーム』、もうやめてあげてって……」 梨花がその言葉を言った途端、呆れる顔をしていた沙都子がハっと気づくような素振りを見せた。 そしてそれを聞いたレナも、冷静に彼女が言った言葉の意味を反芻していった。 「ボクが言えば……ボクが『お願い』すれば、もしかしたら圭一はもうこんなことやめてくれるかもしれないのです……たぶん、なのですけど……」 「それは……で、でもまさかあの圭一さんに……? ……梨花が……」 「……………梨花ちゃんが『お願い』、か……」 梨花の一見普通な言葉に、沙都子とレナは何か考え込むように呻いた。 どうやら彼女達にしかわからない、何か『特別な意味』がある言葉だったようだ。 そもそも梨花が圭一にお願いをするだけで、どうしてこの惨劇を止められる可能性があるのだろうか? まさか梨花が圭一のオットセイを咥えながら、おねがいなのです……。 などと『お願い』するわけではあるまい。 それはつまり、『お願い』の方が重要なのではなく、それを『梨花がする』からこそ意味のあることなのかもしれない。 「どう思いますですか、レナ? ボクが言えば……もしかしたら圭一は……」 「……………………」 梨花に設問され、レナはとても深く悩んだ。 もし成功すればいいが、失敗したら、梨花の体は……。 そして罰ゲームが続いたら、魅音はもちろん、自分や沙都子もお終いだろう。 冷静な頭で深く深く考えながら、レナはついに決断を下した。 「…………それはダメ」 「!?……みぃ……ダメなのですか……」 「少なくとも、今はまだ、ダメ。 せめてそれは、レナの作戦が終わるまで待って……? 梨花ちゃん」 レナがそう判断したならと、梨花はしぶしぶコクリと首を頷けた。 どのみち今の圭一は、魅音の乳を揉んでいることによって性欲の権化と化している。 こんな状態の男に、こんなにもかぁいい梨花がお願いなんてしたらそれだけでも押し倒される危険性があるのだ。 レナはまず自分の策を講じてから、と考えた。 あくまでもクールに……。 「じゃ、じゃあ梨花? 早く……今度は魅音さんに、梨花のカードを引いてもらうんですのよ!」 沙都子の言葉にコクリとうなずくと、梨花は向かいにいる魅音に手を差し出した。 だが魅音はもう圭一の性技の虜になっていて……。 剥きだしになった乳首はもうピンピンに勃起し、口からはだらだらとよだれまで流していた。 もはや自分がババ抜きをしていることを覚えているかも怪しい、そんなただれた表情をしていたのである。 「はぁ、はぁ♪……ん、な、なに……梨花ちゃん……は、は、はぁ♪」 「ひ、引くのです魅ぃ! は、早く! ボクの持っているカードを引くのですよ!」 「へ?……カ、カード……あ、ああ、カードね……んぅ……♪」 あいかわらず圭一の指は的確に魅音の乳を責めていて、なんと気づけばもう片方の手はスカートの中でモゾモゾと動きまわっていた。 もうちょっと時間がたてば、そのまま本番を始めてしまうんじゃないかという状態で、魅音はようやくうつろな瞳で梨花のカードに手を伸ばしていった。 「え、えーと……ど、どれがいいかな?……んー……あ♪ け、圭ちゃんそこ……そこすっごくいい♪……も、もっとぉ♪」 「み……魅ぃ! 早く! 早く引くのです! みぃ、魅ぃ! 魅ぃ……」 初潮も迎えていない幼女の前で、自らの体をもっと気持ちよくしてと要求する淫らな魅音。 さっきまで気丈にレナをかばい、部長として責任感のある顔をしていた彼女が……すっかり堕ちてしまっている。 そのただれた様子に、梨花はとても悲しくなった。 今すぐ助けてあげたいと思ったが、梨花に出来ることはせいぜいその短い腕を出来るだけ前に伸ばし、魅音にカードを取りやすくさせることぐらいであった。 『ほら魅音。 梨花ちゃんがあんなにがんばってくれてるだろ? いい加減引いてやれよ……ほら』 「ん、圭ちゃん……圭ちゃんがそう言うなら、引く♪ んふふふふ……♪」 「…………魅ぃ……」 皮肉にも圭一に命令され、ようやく魅音は梨花の手からカードを引いた。 もはやペアがどうとかそんなことはどうでもよく、あきらかに魅音だけはこれが罰ゲームでなくなっていた。 そして魅音の手に引いたカードがおさまったのを見た途端、レナの目つきがギラリと鋭くなったのだった。 「ようやく来たね……レナの番が。 待ちわびたよ」 レナはイスをズズズっと魅音の方に向け、体ごと魅音に……いや、圭一に対峙した。 もはや魅音は魅音自身ではない。 『圭一に身も心も支配された魅音』がそこにいたからであった。 『よぉレナ、ひさしぶりじゃんか。 魅音を助ける良い秘策は思いついたかぁ? くっくっく』 「………………」 圭一の挑発する言葉にも、レナはまるで動じなかった。 一度ハメられている彼女にとって、彼の『口先の魔術』に動揺することがもっとも危険だとわかっていたからだ。 ましてやこれからレナがしようとしている作戦は、魅音ではなくその圭一に対して行うものなのだ。 この程度の挑発、受け流すのが当然であった。 『ん~どうしたレナ? 魅音のおっぱい、すっげえきもちいいんだぜぇ? 生乳がこんなプルプルしててよぉ……』 いやらしく笑いながら、圭一はその言葉どおり魅音の乳房を上下にブルンブルンと揺らした。 そのたびに魅音は、あっ、あっとあえぎ声をあげるが、それにもレナは動じない。 魅音には少しガマンしてもらうことになるが、むしろそうして圭一が性的なことをする方がレナにとっては都合が良かったのだ。 「圭一くん。 魅ぃちゃんのおっぱい、きもちいいの?」 『ん? ああ、最高だぜ。 もう魅音も体は俺の物だしな……くやしいか、レナぁ?』 わざと彼女の神経を刺激するような言い方をするが、レナはまったくもって微動だにしなかった。 この時になると圭一にも、レナが何か企んでいるのが薄々とわかっていた。 そしてとりあえず彼は口を閉じ、レナの出方を待ってみることにした。 「……圭一くんさ。 そんなに魅ぃちゃんのおっぱいがきもちいいなら……今、とっても興奮してる?」 『……ああ、してるぜ。 それがどうかしたか?』 「そう……圭一くん、興奮してるんだ。 ……そう」 そう静かに言うと、レナは座った状態のままスっと少しだけお尻を浮かし、そのスカートの中に両手を差し入れた。 そしてその中でモゾモゾと、『何かを脱ぐような仕草』をし出したのである。 「興奮してるんだよね、圭一くんは。 じゃあ今の圭一くんのおちんちんは……ひょっとしてビンビンなのかな? ……かな?」 わざと卑猥な言葉を使いながら、レナはそのままシュルシュルと自分のショーツを脱いでしまった。 ムッチリとしたふとももを通し、セーラー服のスカートの中からその白い布を脱ぎ捨ててしまったのである。 そしてそれを完全に足の先から脱ぐと、『脱いだ』ということを見せ付けるように、そのショーツを机の上に置いたのである。 「圭一くん、レナ脱いじゃったよ? スカートの中から……これが出てきちゃったの、見たよね?」 もちろん圭一は、それをすぐ目の前で見ていた。 レナがその下半身から脱いだのをたしかに確認した。 間違いなく今のレナのスカートの中は、ノーパンなのである。 その事実に圭一はおもわずゴクっと生つばを飲んだ。 「圭一くんさ。 魅ぃちゃんのおっぱいとかお股とか、触ってるだけで満足できるの? 勃起してビンビンのおちんちん、女の子に触ってもらいたいとか……思わないのかなぁ?」 レナはとても圭一と同い年と思えないほど色っぽい声を出しながら、そのままちょっとずつ自分のスカートをめくっていった。 ただでさえ短いセーラー服のスカートが、徐々に徐々にめくれあがっていく……。 しかもその中に、彼女は何も穿いていないのだ。 その結果がどうなるか、圭一はおろか、向かいにいた梨花や沙都子にもすぐに予想できた。 「レナさん……まさか、そ、そこまでするなんて……」 「みぃ、レナの色仕掛けなのです……ちょっとだけよなのです……」 二人の言う通り、レナは圭一を『誘惑』していた。 たしかに魅音の体を弄べるのは魅力ではあるが、基本的に彼女は『受けるだけ』である。 されるがまま、ともいえる。 そして今レナがしているのは、自分から誘う行為なのである。 まるで痴女のように彼を誘い、彼のその勃起したものを満足させてあげるとばかりに誘惑しているのであった。 「ほら、圭一くん。 早くレナのところにおいでよ? もうおちんちんガマンできないんでしょ……? レナが『抜いてあげる』……♪」 抜いてあげる、というなんとも卑猥な言葉に圭一は興奮した。 あのプライドの高いレナが、自分からスケベなことをしてあげると言っているのだ。 もう魅音の体で硬くなったペニスは、そのままズボンの中で限界までビキビキに張り詰めていった。 『抜いてあげるって……意味、わかって言ってんのか? レナ……』 「もちろんだよ。 レナのお手てでどう? 圭一くんのカタイの、手でおもいっきりシコシコしてあげようか……?」 そうしてレナは、空中で何か棒のようなものをシゴくような仕草をした。 それは間違いなく、その行為を知っているなによりの証拠であった。 そのレナの手の動きに、圭一は更にドクドクと興奮していった。 「それとも、レナのお口がいい? レナのだ液でヌトヌトしたお口で、おちんちんジュポジュポしてあげようか? 圭一くん……?」 そしてレナは、今度はその口をポッカリと開け、その口内に棒を入れて前後に動かすような仕草をした。 それもまさしく、男なら誰でもしてもらいたい……フェラチオをあらわす動きだった。 『…………………………………』 「くすくす♪ どうしたの、圭一くん。 黙っちゃって……レナのカラダに、もうたまらなくなっちゃったのかな? かなぁ?」 ここまでくると、もはや圭一の心は完全にレナに捕獲されていた。 もちろん圭一自身もこれは罠だとわかっている。 わかってはいるのだが……いかんせん、男の素直な欲求には逆らえないものなのである。 彼はもう一度ゴクリと生つばを飲み込むと、魅音の体からようやくその魔の手を離していったのであった。 『……レナ。 おまえの要求は……これだろ?』 そうして圭一は、魅音が手に持っているトランプのある一枚のカードを指差した。 そしてレナはそれをなんの躊躇もなく、あっけなく抜き取ったのだった。 「『ありがとう』、圭一くん。 さあ、レナのところにおいで……?」 ジョーカーを表す悪魔の絵をひらひらさせながら、レナは圭一のことをクイクイと指で誘った。 そうして離れていく圭一に魅音はとても寂しそうな顔をしたが……。 『少しだけお別れだ、魅音。 すぐに一周して、またそのデカパイを揉みに来てやるからな……』 「け、圭ちゃん……んん……♪」 そう耳元で囁かれると、魅音はブルブルと体を震わせてある種放置プレイのような快感を味わうのだった……。 かくしてレナは、見事に魅音を圭一の手から解放することに成功したのであった。 とはいっても『罰ゲーム』自体が終わったわけではなく、ただその対象がレナに向いたというだけの話である。 自分、ひいては沙都子、梨花、の圧倒的不利はまるでくつがえっていないことは、彼女自身もよくわかっていた。 しかも今の圭一の言葉を聞くに、誘惑されこそすれ、彼はまだ余裕のあるような態度を存分に示している。 これからただレナが圭一を堕として終わり……とはいかないのが、その場の全員が感じたのであった……。 レナ編へ続く……。