約 2,595,010 件
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/2021.html
梓「先輩!そろそろ練習しますよ!」 いつものように美味しい紅茶と甘いお菓子、楽しいおしゃべりでティータイムを満喫した私は、 いつもどおり、先輩方に声をかけた。 というか、私が言わないと練習しようとしないのはどうしたものでしょうか… 最近じゃあ澪先輩もなにも言わないんだよね。 律「え~、もうちょっといいじゃんか~」 これは律先輩。 部長のあなたが率先して練習しようとしないのはいかがなもんでしょうね? 唯「そーだそーだ!」 これは唯先輩。 すぐさま律先輩のノリに悪乗りするのはダメですよ!? 律先輩と唯先輩が駄々をこね出すとやっとここで澪先輩が動き出して一喝。 練習が始まる…と言うのがいつもの流れだ。 梓「もう…練習しないからいつまでたってもミスが多いんですよ!」 ここまでいつも通りなのも逆に癪にさわるので、私は軽く文句を言ってみた。 もちろん本気で愚痴を言ったわけじゃなく、ちょっとしたお小言のノリ。 だけどそれに反応しちゃった先輩がいる。 律「ほほぉ……梓はいっぱい練習してるから、ミスなんてしないんだ~」ニヤリ 梓「うっ… な、なんですか…そのにやけ顔は…」 律先輩がこんな表情をする時はきまって、厄介な事を思いついた時だ。 律「よーし、それなら勝負しようぜ!勝負!」 ほらね… 梓「はい? 勝負って一体何を…?」 律「だからさ、今からみんなで一曲演奏して、誰が一番ミスが少なかったかを勝負するんだよん♪」 梓「えと、意味が良くわかんないんですけど…」 澪「…というか、そんなことしてどうすんだよ?」 律「ふふん…そりゃもちろん! ミスが一番多い奴には罰ゲームを受けてもらうんだよ」 紬「ど、どんな罰ゲームなの?りっちゃん!?」 律「ん~そだな…一番ミスした奴は一番ミスの少ない奴の言う事を 一つ聞かなければいけない ってのはどうだ? 今日はもう時間もすくないから、明日の部活中ってことで。」 唯「おお! それ、いいかも!」 梓「ちょ!そんな罰ゲーム、嫌ですよ!」 澪「そ、そうだぞ 律!」 律「はは~ん…みおしゃんとあずさちゅわんは普段から”練習”してるはずなのに、 自信がないんでちゅね~」 澪「うっ…」 梓「そ、それは…」 なるほど、そうきましたか律先輩。 でも確かに私や澪先輩は普段から家でも練習してるし、部活で合わせるときでもミスは少ない。 負ける要素は特にないからここで怖気づく必要なんて無いはず…なら! 梓「わ、分かりました…受けて立つです!」 澪「ええっ!梓まで?」 梓「私が勝ったら、みなさんには明日、お茶もケーキもせずに練習をしてもいますからね!」 律「いや、みんなじゃなくて誰か一人になんだが…」 梓「え? あ、そっか、すいません……じゃあ、いいですね? 唯先輩っ!」 唯「えっ!なにゆえそこで私っ!?」 梓「え?だって…」 律「まぁ唯だな」アハハ 澪「律も人のこと言えないだろ!」 律「えぇっ?」 まんまとハメられた気がしないでもないけど、仕方ないよね。 唯先輩にはもっともっと練習してもらって上達してもらいたいですから。 せっかく才能あるのに、伸ばさないともったいないですよ。 それに…ギター弾いてる唯先輩、すごくカッコイイし…/// 唯「うう…あずにゃん何気にひどいよぉ~」ヨヨヨ ヨヨヨっと泣き崩れる演技をしている唯先輩にムギ先輩が近付く。 紬「唯ちゃん、唯ちゃん…」チョイチョイ 唯「なにぃ~ ムギちゃん??」 紬「あのね……………」ナイショバナシ 唯「うんうん…」 紬「………………………………………」ナイショバナシ 唯「……ほんと!? 私やるよ!がんばるよムギちゃん!!」ダキッ そう言って満面の笑みでムギ先輩に抱きつく唯先輩。 ムッ…そうやってすぐ誰かれ構わず抱きつくのはどうかと思いますよ? 紬「うふふ、頑張ろうね、唯ちゃん!」 唯「うん!私、負けないよ、あずにゃん!」フンス! ムギ先輩の入れ知恵にすこぶるやる気を出した唯先輩。 あ、なんか嫌な予感がするな… …それに、何か忘れているような気がしたけど…なんだっけ? かくして明日の罰ゲームをかけた演奏勝負が始まる事になった。 お題はふわふわ時間。 無難なチョイスではあるが、演奏しなれた曲だけに油断は禁物。 判定に関しては先ほどから一人ゆったりとお茶を飲み、雑誌を読んでいた さわ子先生にゆだねられた。音楽教師だし適任だ。 …って、さわ子先生居たんだ… 一同定位置に着く。 ライブでもないのにピンと緊張した空気が漂う。 大丈夫…いつも通りやればいいだけなんだから… 律「よ~し、いくぞ!」 澪「おう!」 紬「お~~~っ!」 唯「うん!」フンス! 梓「は、はい!」 律「1、2、3、4!」 ♪ジャジャジャジャジャッジャッ 律先輩のスティックがリズムを刻む! 唯先輩の出だしはスムーズだ。上手ですよ、唯先輩♪ すると、唯先輩はちらっと私を見て、にっこりとほほ笑んでくれた。 その笑顔に私は不覚にもときめいてしまったのだ。 そのため一瞬出遅れてしまう。 梓「あっ!」 いけないいけない、いきなりミスしてしまうなんて… もうこれ以上間違えないように気を引き締めなきゃ。 ふわふわタイムも中盤に差し掛かる。 今のところミスが目立つのは律先輩だ。 澪先輩も緊張しているせいだろうか、いつもよりミスしていた。 ムギ先輩はさすがですね…いつもながらに綺麗な旋律を奏でていた。 この人は緊張する事がないのだろうか… そして唯先輩… 私の予想に反して唯先輩は絶好調。 ギターソロも難なく弾きこなし、ミスらしいミスは私が聴いてる限りでもほとんどなかったのだ。 そこでやっと思い出した。 唯先輩は本番で実力を発揮するタイプという事を。 本気になった唯先輩には私でもかなわないのだ。 いや、でも…なにもこんな時に本気にならないで下さいよ… それにしても唯先輩のギターはすごかった。 演奏中だというのに私は思わず聴き惚れてしまった上に、 唯先輩の演奏に負けまいと余計力がこもった。 それがいけなかったのだろう、更にミスを重ねる結果になってしまったのだ。 ♪ジャジャッジャジャッジャァーーーーンッ!! 唯「ふぅ…っ!」 律「よっしゃーーーっ!!」 澪「よし」 紬「うふふっ」 梓「くっ…」 演奏し終えた五人がそれぞれ違う感嘆を漏らす。 というか律先輩には悪いですけど、その反応はおかしいですって。 律「さわちゃん、どうだった?」 唯「ねぇねぇ、私ぃ~、結構よかったんじゃない?」 さ「そうねぇ、唯ちゃんがんばったわね」 唯「えへへ///」 さわ子先生から褒められ、珍しく唯先輩が照れている。 さ「じゃあ、結果発表するわよ」 そう言うとさわ子先生は、ホワイトボードに結果を書きだしていく。 ☆1位 唯ちゃん ・2位 ムギちゃん そうですよね、唯先輩が一位なのは私も素直に認めます。 すごく上手だったし、それにカッコよかったもん… だけどムギ先輩の2位はアヤシイです。 演奏前の唯先輩とのやり取りもそうですし、わざとミスしましたよね? そのワンツーの二人の先輩は手と手を取り合って飛び跳ねていた。 唯「やった!やったよ、ムギちゃん!!」 紬「よかったね、唯ちゃん!すごく上手だったわよ~」 唯「えへへ、ありがとね、ムギちゃん ムギちゃんのキーボードもすっごく良かったよ?」 紬「わぁ、ありがと~唯ちゃん!」 なんだこのふわふわ空間は… もともとふわふわな二人がじゃれ合うと、このような甘ったるいくすぐったい空気になるのだ。 梓「ゆ、唯先輩、とってもよかったですよ!」 唯「ほんと~!? あずにゃんに褒められるとすっごく嬉しいよぉ~」ギュゥッ 唯先輩はそういうと笑顔全開で私に抱きついてくる。 ”喜びを全身で現す”ってこういう事なのかな?なんて思いながら、 私は唯先輩のされるがままに抱きつかれる。 うん、今日も温かくていい匂いです。 律「あれぇ~、梓が抵抗しないなんて珍しいな」 梓「ゆ、唯先輩の演奏が素晴らしかったので、と、特別にご褒美ですよ!///」 唯「わぁ~い!あずにゃん大好き~!!」ギュゥゥッ 梓「へ! な、何言っちゃってんですか!///」 紬「あらあら梓ちゃん、顔真っ赤よ~?」 梓「うにゃぁぁぁ!!」 澪「はぁ…何やってんだか」 律「こいつらはほっといて…さわちゃん、続き続き!」 さ「わかったわ じゃあ次ね…」 律「ふふっ、澪は結構ミスってたからな!3位はもらった!」 澪「…そんなわけあるか!」 さわ子先生が3位を書き出す。 ・3位 澪ちゃん 律「なっ!」 澪「ふふん!どーだ律、いったとおりだろ~ っていうかお前、ほんとに自分のミスの多さに気づいてないのか?」 律「あ、あの、えっと…」 梓「そうですよ、律先輩! ドラムはリズムの要なんですから、もっとしっかりしてくれないと困ります」 律「くっ…だが梓! 今回はお前も大きな事言えないんじゃないのかな~?」 梓「うっ…そ、それは…」 そうだった。3位に私が入っていないと言うことは、律先輩との最下位争いというわけだ。 確かに今回はミスを連発してしまったため、正直4位も自信がない。 さ「じゃあ、どうしようかしら ん~…最下位発表しちゃいま~す!」 ゴクリ… 息を呑む私と律先輩。 ×5位 梓ちゃん !!!!!!! なんてこと!よりによって私が最下位!? 梓「そんな…」 律「あっぶねぇ~!」 梓「さ、さわ子先生! な、何かのまちがいですよね? 私、そこまでひどかったですか?」 さ「ん~そうねぇ… りっちゃんといい勝負だったけど、りっちゃんは後半持ち直してたのよね? 逆に梓ちゃんは焦ったのかしら? 後半行くほどずれてたわよ?」 梓「ううっ…」 確かにそうなのだ。 唯先輩がありえないほど完ぺきだったのでつい力んでしまい、 そこからは全然自分のギターが出来なかったのを覚えている。 遊びの演奏とはいえ、こんなにもミスしてしまった自分が情けなく、落ち込む。 すると唯先輩が傍に寄ってきて私を優しく抱きしめてくれた。 唯「大丈夫だよ、あずにゃん…今日は緊張しすぎちゃっただけだからね? 普段の演奏なら絶対誰が何と言っても、あずにゃんが一番上手なんだから! だからそんなに落ち込まないで? ね?」 唯先輩が私を慰めてくれる。 温かく腕に包み込むように抱かれ、落ち着かせてくれようと、そっと髪を撫でてくれる。 先輩の温かさ、優しさが全身に伝わり、なんとか私は気持ちを持ち直すことが出来た。 こんな時でも優しくしてくれるんだなって思うと、胸がドキドキする。 梓「唯先輩・・・あ、ありがとうございます もう、平気ですよ?」 唯「ほんと?」 梓「はい! 唯先輩のおかげですよ」 唯「よかった~」 梓「えへへ… でも、私もこんな事で緊張してるようじゃまだまだですね」 さ「…で どうするのりっちゃん? 罰ゲームは?」 律「…空気読めよ、さわちゃん…」 あ、そうだった…唯先輩の優しさに浮かれてて、罰ゲームあったの忘れてた… さ「えっと… 1位唯ちゃんで5位が梓ちゃんだから、唯ちゃんが梓ちゃんに何か命令できるのね?」 唯「やった~!! あ、でも…」 唯先輩は素直に喜ぼうとしていたが、あわてて動きを止めて私を見る。 私に気を使ってくれたのだろう。 梓「気を遣わなくてもいいですよ、唯先輩 ミスした自分の為にも、罰は甘んじて受けますから」 唯「そ、そっか~ じゃあね…」 とは言ったものの、唯先輩の事だ。多分私にとってはかなり屈辱的な事を要求してくるに違いない。 ずっと抱きつかせろとか、猫耳と尻尾つけて過ごせとか…はっもしかして…ちゅ…ちゅーしてとか! どどどどどうしよう…もしそんなこと言われたら私… で、でも、そうゆうルールだったら仕方ないよね…でも、でも… 唯「そうだね~ あまりあずにゃんに負担になっちゃうのはかわいそうだから~」 梓「…えと…お手柔らかに…」 紬「唯ちゃん、頑張って!」ツヤツヤ えと…ムギ先輩がなぜそんなにいい笑顔なんでしょうか? 唯「じゃあ…『一週間の間、私のことを ”唯” って呼んで!? あ、お話する時に敬語使っちゃダメだよ!』」 梓「……なんだ、そんな事でいいんで…… …って! ええええーーーーっ!!」 唯「うわっ、驚き過ぎだよ、あずにゃん!」 ええっ? 唯先輩を呼び捨て!? 敬語禁止!? え? え? いやいや、そもそも私、後輩ですよ? 後輩が先輩を呼び捨てっていったいこれ、どんな罰ゲーム!? …って、罰ゲームだった!! 律「へぇ~唯にしちゃ、普通すぎる命令だな」 澪「でも梓は真面目な子だから、いくら唯でも難しいんじゃないかな?」 梓「いや、無理無理、むりですって! 後輩が先輩を呼び捨てにするなんて、 そんな失礼な事出来るわけないじゃないですか!」 律「お、ホントだ! 意外と精神的にきつい罰ゲームかもしれんな」 律先輩と澪先輩は、唯先輩の提案には意外にも高評価らしい。 っていうか、助けてくれる気は無いんですね… 紬「ゆ、唯ちゃん!! ぬるいわ!ぬるすぎるわっ!!」 唯「ふえっ!? ム、ムギちゃん!?」 紬「いい、唯ちゃん! これは唯ちゃんが梓ちゃんに、あ~んな事やこ~んな事を出来」ムグムグムググ 律「はーい、ムギちゃんはすこ~しだまってましょーね~」 律先輩に口を押さえられたムギ先輩はひとまず放って置く事にします。 梓「すいません、唯先輩、ちょっとそれはマナー的にも難しいんで、他のにしてもらえませんか?」 唯「え? これでもあずにゃんが疲れちゃわないようなの選んだんだけどなぁ~」 梓「そ、そうなんですか? あの、参考までに他のってどんなのですか?」 唯「んとね、『一週間、あずにゃんを抱き枕にしたい』 っていうのと…」 梓「…やっぱりそうゆうのもあったんですね…」 唯「あとは、『一週間、あずにゃんから抱きついて来てほしい』 ってのと~」 梓「…ふぇっ! わ、私から抱きつくなんて、そ、そんなのできるわけ無いじゃないですか!」 唯「あとね~、『一週間…』」 ん…あれ? 先ほどからの唯先輩の提案には、どれにも共通した違和感を感じた。 梓「って、ちょ、ちょっと待ってくださいっ! なんでどれも ”一週間” って付いてんですか!?」 唯「え?一生とかのがいいの?」 梓「バカですか!?」 唯「ひ、ひどいっ!」 梓「ひどくないです! っていうか、罰ゲームは”明日の部活中” って約束ですよ?」 唯「え? あ、あれぇ~? ねぇりっちゃん、そうだっけ?」 律「えっ? あ~どうだったっけ?」 澪「なんで言いだしっぺのお前が忘れてるんだ… 確かに明日の部活中って話だったよ、唯」 梓「ほらあっ」 唯「あ、ごめん… じゃあそれでいいけど… でも…他のなんて思いつかないよ~…ねぇあずにゃん…最初のじゃダメなの?」 唯先輩は意見を全部拒否されて困ってしまったようで、私を上目遣いに見上げて来る。 あ~、かわいいなぁ、もう! そんな表情するのは反則ですってば。 梓「うっ……私の分のケーキを貰うとか、そういったのじゃダメなんですか?」 唯「だ、だめだよ! あずにゃんがケーキ食べられないなんて、そんなのかわいそうだよ!」 梓「…えと、ずっと抱きつかれたりする私はかわいそうじゃないんですかぁ?」 唯「え? かわいそうなの?」 梓「…まぁいいです……というか、どうして唯先輩は私に呼び捨てにされたいんですか?」 唯「だ、だって…その…あずにゃんにさ ”唯” って呼んでもらえたら、もっと仲良くなれると思ったんだ」 とたんにもじもじし出す唯先輩。 理由を聞かされた私はとたんに頬が紅潮し、動機が早くなってしまう。 梓「(…そんな風に言われたら断れる訳ないじゃないですか…)」ボソボソ 唯「え? なに?」 梓「な、なんでもないです!……わ、わかりました…そこまで言うのでしたらそれでいいです…」 唯「ほ、ほんと? いいの?」 梓「は、はい! で、でも…あの…… そんなに上手く出来ないかもですから、多少は目をつぶってくださいね?///」 唯「うん、もちろんだよ!」 この日はこれ以上の練習は無理そうだったから、適度にキリをつけて帰ることになった。 律先輩、澪先輩、ムギ先輩と別れ、唯先輩と二人並んで帰路に着く。 梓「それにしても今日の唯先輩のギター、ほんとに上手でした ビックリしましたよ」 唯「えへへ、ありがと♪ ムギちゃんがお話してくれたから、なんか張りきっちゃってね~」 梓「そういえばムギ先輩、唯先輩に何か入れ知恵してましたねぇ… 何言われたんですか?」 私は当然の疑問を唯先輩に訪ねてみた。 唯「えっと…んとね…? ムギちゃんからはね、 一番上手にギター弾けたら、あずにゃんがたくさん誉めてくれる って そういわれたんだ だからがんばったの」 そうだったのか… 私はてっきり、ムギ先輩は唯先輩に ”唯先輩が勝ったら私を好き勝手にできる” 的なことを吹き込んだと思ってたけど どうやら違ったようだ。 そっか…私に誉めてもらいたい一心であんなすごい演奏をしたんだ… やだ私、すごく嬉しいかも。 私は足を止めた。 それに気づいた唯先輩も足を止め、私を振り返る。 唯「どしたの あずにゃん?」 梓「…あの… 唯先輩… 少しだけ屈んで貰えますか?」 唯「へ? あ、いいけど?」 言われたとおり少しだけ膝を曲げる唯先輩。私と同じくらいの高さになる。 私はその唯先輩の頭に手を乗せ、いつも先輩が私にしてくれるように優しくなでた。 唯「あ、あ、あずにゃん?///」 突然頭をなでられて驚いているみたい。 しかも、普段撫でている相手…私からだから、余計にびっくりしちゃったのかも。 唯先輩のふわふわの髪の感触を楽しむように撫で、先輩を誉めてあげる。 梓「唯先輩… とっても素敵な演奏でした やっぱり唯先輩は凄いです」 唯「えへへ… あずにゃんに誉めてもらえるとやっぱり嬉しい♪」 梓「ふふ… でもほんとは、もっと真面目に練習してもらいたいんですよ? せっかくギターの腕、上達してるんですからね?」 唯「うん、あずにゃんが一所懸命教えてくれるからね? ありがとね、あずにゃん」 梓「///いえ…そんなことは…/// あの、明日は罰ゲームではありますけど、唯先輩に喜んでもらえるようにがんばりますから、 その… 楽しみにしててくださいね///」 唯「うん!」 再び家へ向かって歩き出す私達。 さっきより歩く速度をゆっくりにしたことに、先輩は気いてるのかな? To be continued. ②実践編へ
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/521.html
https://w.atwiki.jp/viptndr/pages/197.html
TuQ/LO (3回) 49 名前:新妻みこちんと罰ゲーム 1/3[] 投稿日:2011/05/16(月) 00 02 10.83 ID IS3TuQ/LO [1/3] 「(パチッ)はい、王手。次の手、ある?」 『ぐっ……ま、参り……ました……!』 「よ~し、これで俺の三連勝、尊の罰ゲーム決定だな!」 『ぐぅぅぅ……まさか、一勝もできんとは……!これが、欲望の力か……!(ふるふる)』 「勝ちに対する対する執念が違うんだよ、俺とお前とじゃ!こっちは負けたら死ぬぐらいの覚悟だもん。 ま、次もこれに懲りず挑んで下さいませ別府尊サン♪(ニヤニヤ)」 『く、クソッ、覚えてろよ!?私が勝った時、今までの千倍の屈辱を貴様に味あわせてやるっ!!(ギロリッ)』 「はいはい、ゲームに負けたんだからそんな顔したらダメですよ~。そんじゃ今回の罰ゲームを発表するぞ~」 50 名前:新妻みこちんと罰ゲーム 2/3[] 投稿日:2011/05/16(月) 00 05 16.80 ID IS3TuQ/LO [2/3] 『……ふん、言っておくが、エッチなお願いは死んでも聞かんからな!?それだけは忘れるなよ!?』 「分かってる分かってる!ほら、ちょっと耳かして?」 『……ムッ』 (ごにょごにょ) 「ってな感じで一つよろしく!」 『なっ……ふ、ふざけるな、そんなのできるわけないだろう!!』 「え~今までやらせてきた各種コスプレよりはハードル低いと思うけどなぁ。 これやるのと恥ずかしい格好するの、尊ならどっちがいい?」 『それは……間違いなくこっちの方がマシだが……!』 「うん、それじゃあ決まりだ!よろしく頼むぜ尊!」 『……ううぅ、いつか必ず殺してやる……!』 52 名前:新妻みこちんと罰ゲーム 3/3[] 投稿日:2011/05/16(月) 00 15 14.74 ID IS3TuQ/LO [3/3] ~次の日の夜~ 「くっくっくっ、尊の奴どんな反応するんだろうな~扉開けるの楽しみだぜ」 「……よし!(ガチャッ)ただいま尊~!」 (ててててて…) 『お帰りなさいアナタぁ!今日もお勤めご苦労様でした♪ アナタが中々帰って来ないから、私すごい寂しかったのよ!? ねっ、今日は先にご飯?それともお風呂?もしかして……わ・た・し?(もじもじ)』 「…………」 『…………』 「………ぷっ、くくくっ……あーはっはっはっはっはっwww」 『~~~っ!!///////(かあああぁぁぁ)』 「いや~まさか尊の口からこんな言葉を聞ける日が来るとはw生きてて良かったなぁw」 『お、お前がやれと言ったんだろうがっ!!!! く、クソッ、やっぱりお前なんて大嫌いだ、地獄に堕ちろ、死ね、お前なんか死んでしまえっ!!////////』 「まさか尊にこんな愛されてるなんてなぁwあー腹痛い腹痛いwww」 『だ、だから笑うなぁっ!!!///////』
https://w.atwiki.jp/erayasai/pages/128.html
;経験談or妄想 ;俺×キャラ ;2010/09/17 書け ;タイトル未定 朝ー朝だよー飯の匂いでお腹が鳴るよー。 実に平和で正しい朝のありかただがこれはおかしい。 一人暮らしで飯の匂いとかあってはならない、ならないってことはないけどおかしい。 起きる。 狭っ苦しい1Kの間取りで部屋の中央玄関寄りの位置に焦点を結ぶマイ目。 …… 女。 …… 白い、焦点を中心に白い、主に健康的に。 女。 誰、ふーあーゆー、アイアムミー。 「あっご主人様、もうちょっと待っててね? すぐ出来るから☆」 ☆じゃねえ。 鮮やかなブルーのロングヘアに、兎みたいに赤い瞳。 誰。 健康的な白、シンプルな綿の白、健康的な白、肌の白、白、白。 半分裸じゃねえか。 ……っていうかご主人様って何だよ、エロゲのやり過ぎじゃねえのか、コスプレかカラコンか知らんが。 つーか室内で帽子は脱げ。 目に焼き付いた光景、ツッコミで押し流す。 おしりって、ほんとにまるいんだな。 ちげえ。 振り払え、不審者相手に欲情とか身体検査とかそういう場合じゃねえからこれ。 一人煩悶する羽目になったのも、何もかもこの裸エプロン女のせいだ。 苦情確定、いくら俺でも相手が女だろうとひかぬこびぬかえりみぬとか言わないとならん時、今。 そちらを向いて口を開こうとした矢先、目の前に突きつけられる皿。 「ご主人様、冷蔵庫ほとんど空だったから焼き飯よ!」 ぐう。 そうじゃねえだろ、鳴ってんじゃねえ腹。 目が合う。 自信に充ち溢れ、無職の俺と逆の生気をはらんだ、輝く瞳。 本能的に負けを覚ってしまう。 自然、口から出る言葉も弱くなる。 「誰ですか、貴女」 一瞬不思議そうな顔をして、すぐに女は笑う。 かわいい。 一瞬でそう思わされてしまう。 「私はご主人様の奴隷よ、ていうかマゾ豚、むしろファック専用穴」 …… 頼む理解できる言語で喋れそれは日本語だが理解できる言語じゃねえ。 ぐう。 腹がもう一度鳴る。 「ご主人様、まずはご飯よ! 楽しいレイプはカラダが資本!」 …… 頼む、夢なら覚めろ。 伸びやかなソプラノがちょっとだけ舌ったるい響きとか感じさせるな。 控えめなボディラインだけど細くて、手足がすっごく長く感じるとかどうでもいい。 目がぱっちりしてるけど実はちょこっと離れ目なのが愛嬌あるとか、そんなんじゃない。 理解出来ない言語を使う女に振り回されるのは、ゲームの中だけにしてくれ。 俺は理解不能な事象を自分の生活に含ませたくないんだ。 口を開く、ために深呼吸。 「……ご主人様って何、貴女はどうやってここに入って来て、何してるんですか」 それでも強く出られない俺、ざ・女性恐怖。 少女は小さく首を傾げる、畜生なんかかわいい。 頬に指を当てると、すぐに思案顔が弾けて笑顔になる。 花が咲いたみたいに、太陽が顔を出したみたいに、急に雰囲気が変わる。 かわいい。 なのに、どうして頭が常識を三回転半させてダウン追い打ち入れたみたいな言動をしているんだ。 不審者でなければ是非お友達になりたい、むしろこんな女友達がいたら俺勝つるだろってとこなのに。 「ご主人様は私のご主人様、私はご主人様に入れてもらって、朝食を作ってたのよ?」 ……待て。 俺が入れた? 記憶にございません。 「俺が入れたんですか?」 「そうよ、ご主人様が入れたの。酔ってたみたいだったけど」 ……酒の上だ、俺のヤケ酒の所為か。 「で、それで何でご主人様なんですか?」 女は焼き飯の皿を左手に持ったまま、長い髪を右手で掻きあげた。 「助けた鶴も蛤も恩返しはカラダでやるものだからよ」 ふわり、焼き飯の湯気に浮かびながら落ちてくる、青。 俺は、たぶん。 この女を。 「ご主人様、これからよろしくね?」 好きになって、しまった。
https://w.atwiki.jp/ishuma/pages/98.html
恥ずかしながら、最初はテストで _| ̄|○ -- (ふぁいあ) 2006-04-04 20 09 31 やっぱり下着はゾウさんだよね! 謎 -- (エルさんが言ってた) 2006-04-04 20 29 14 今回はギルマスに免じて勘弁してやるぜっ! -- (羽央) 2006-04-05 05 51 21 っていうか、コレ、いじめだと思いますっ! -- (羽央) 2006-04-05 06 05 23 ぴんくだぜ -- (おまえ(偽) 2006-04-06 00 39 10 我々「ぼくら」は愛と平和をモットーに日夜活動し続ける秘密国際組織である!イェイ!皆さん!巷ではドラッグ&セックス&ロックンロールがはびこってますがセックス&ロックンロールで十分です!ロックンロールはもういいです! -- (おまえ(偽) 2006-04-06 00 46 30 屁のつっぱりはいらんですよ -- (おまへ) 2006-04-06 01 40 16
https://w.atwiki.jp/kimootasns/pages/152.html
ヴァレンタインは血祭りでの優勝者ぺむが書いたSSを公開する場所である。 ぺむ作 「わたしと幽々子様はこれから作業があるので旦那様には日が出ている間白玉楼から出て行ってもらいます」 その言葉と同時に俺はまだ日も明けきらないうちから白玉楼を追い出された。 着替えもさえも許されず寝巻のまま2月の寒空の下放り出されるのは貧弱な体にはこたえる。 「せめて朝食くらいは食べさせて欲しかった。お腹がペコちゃんです……」 あまりに理不尽な仕打ちに文句をたれながら時間が潰せそうなところが無いか見て回ることにした。 なければ永遠亭なり紅魔館なりどうにでもなりそうな場所はたくさんあるだろうし。 いつもよりゆっくり歩いたせいか里に付く頃には日も高く昇り寒さも和らいできた。 里の目抜き通りを歩いているといつもは見かけない若い女の子と多くすれ違うことに気づいた。 どの女の子も同じ方向へ向かっている。 どうせ行く当ても無いので女性たちの流れに乗って歩いていくことにした。 歩を進めるうちに女性たちが目的としてるであろう店が見えてきた。 「明○菓子屋」 いつもは人も少なくやっているのかもわからない菓子屋に女性たちは群がっていた。 群れの中には山の上の神社の巫女やら妖精やらスキマ妖怪の式のあの人やらも混ざっている気がするが気のせいだろう。 「そのチョコ寄越しなさいよ!」 「貴方がどきなさい!殺すわよ!」 「橙に手作りチョコを渡すために貴様らには死んでもらう!」 猫にチョコをやるとはなかなかの猛者。化猫はチョコレートは大丈夫なのだろうか。 とても少女とは思えない言葉が飛び交う戦場を遠目に今日が何の日かやっと理解できた。 【バレンタインデー】 年頃の男子がいつもより早く学校に通い、下駄箱の中に甘い褐色の物体が入った箱が無いかを確認し教室に向かう。 そして授業中も落ち着かず、休み時間にはいつもより1.5倍増しの声で自分の存在をアピールし、放課後はいつもより遅く残り悲痛な思いの中下校。 そして自宅で母親や姉妹からの身内チョコを貰い夜中にチョコを頬張りながら「来年こそは」と思い就寝する日である。 また、しっと団の勢力が膨れ上がる日でもある。 モテる男は敵である。SATSUGAIされても文句は言えない。 そんなファッキンガイズはしっとマスクに襲われて死んじまえ! チョコレートと聞いたら食べたくなるのが俺の性だ。 時間も潰せてお腹も満たせると来たら文句のつけようがない。 「焦るんじゃない、俺はただ甘味が食べたいだけなんだ」 そんなセリフを吐きながら足早に行きつけの甘味処に向かう。 甘味処に着くといつもとは違う看板が目に入った。 【本日限りの限定メニュー! チョコレート白玉パフェ】 和風の店構えに不釣合いな派手な飾りで装飾されたそれは大きな存在感と共に店の横に鎮座していた。 「空腹だが朝食にパフェもいいかもしれない……」 そう思った時にはすでに店内でいつもの席に陣取り注文を終えていた。 注文がくるまでお茶をすすりつつ通りの方を眺めていると戦争を終えた山の上の巫女が諏訪子()と歩いて行くのが見えた。 神奈子あたりにでもチョコを渡すのだろうか。男らしいし。 その後も太陽の畑に住んでる優香さんや魔理沙なんかもお菓子屋の袋を抱えて歩いていったのが見えた。 彼女達にも渡す相手がいるんだろうな。ああ妬ましい・・・。 そんなことを思っているうちにパフェが来た。 このパフェ用に誂えたのだろうか。陶器の渋い濃緑色がアイスと白玉の白、パフェの頂上で控えめに映えるミントの鮮やかな緑に映え素晴らしい。 パフェと一緒に来た容器には熱いチョコレートソースが入っている。 店員の説明ではこの熱いソースをパフェにかけて食べるらしい。 早速ソースをかける。熱いソースが冷たいバニラアイスをほんのりと溶かし混じり合う。 ソースが完全に冷める前にスプーンを手にとりアイスを掬い口に運ぶ。 口の中でアイスの冷たさとソースの熱さがまざり実になんとも言えない感覚が広がる。 チョコとアイスの甘みを堪能したあと白玉を1つ頬張る。 プリプリとした白玉の感触を舌や上顎の粘膜で楽しみ歯を立てる。 もっちりした歯ざわりのあと白玉の中から柔らかいチョコレートが現れた。 嬉しい不意打ちに驚かされながらも俺はパフェを食べ進んだ。 あらかた食べ終え、食後の緑茶を楽しんでいたらすでに未の刻を過ぎていた。 食べ物と言うのは恐ろしい。時間ですら忘れてしまう。 支払いを終えて通りに出ると午前にはたくさん行き交っていた女の子たちも疎らになっていた。 「さて……どこで時間を潰したものかな……夜雀の屋台も夕方からしか開かないし……」 「おや、こんな時間に里に出てくるとは珍しいじゃないか西行寺の。どうした?」 日暮れまでの時間潰しを考えて耽っていると後ろから唐突に声をかけられた。 「慧音さんじゃないですか。どうもお久しぶりです」 声の主は上白沢慧音。里で寺子屋をやっており、里の人たちに慕われている。 「お前も元気そうじゃないか。しかし寝巻でなにをやってるんだ」 「朝早くに蹴り出されました。俺には見せられない作業があるそうで」 「あー今日はバレンタインデーだものな……」 「知らない方があとで喜べましたねきっと。慧音さんも菓子屋でチョコ買った帰りですか?」 慧音の手にも○治菓子屋の袋が握られていた。しっかりと2つ。 「い、いやコレはだな……妹紅にあげるとかそんなわけじゃなくてだな!」 「妹紅に渡すんですね。慧音さん」 「なんでそれを……!」 「今自分でいいましたよね」 「あぁ…ううぅ……」 顔を赤くして下を向く慧音さんが非常に面白い。 他愛も無い会話で時間を潰したあと慧音さんと別れた。 「あ、そうだゆきとー!」 「どうしましたー?」 慧音さんは袋から小さい箱を取り出すと俺に渡してきた。 「ほら。私からのチョコだ。当然義理だけどな」 「あ、ありがとうございます」 「ホワイトデーは期待してるぞ?」 「!?」 「ハハハッ。冗談だ。それじゃあ私は行くぞ」 「はい。チョコありがとうございました。それでは」 慧音さんと別れた俺はとりあえずゆっくりと白玉楼に帰ることにした。 ゆっくり歩けば丁度いい頃合だろう。あと上物のお酒でも買っていこう。 日も暮れ始めた頃に白玉楼の階段に着いた。 酒瓶担いでこのながーい階段を登るのは骨が折れる。階段とか死ねばいい。エスカレータ作れよマジで。 死にかけつつも階段を登りきり、門を潜ると妖夢が掃除をしていた。 妖夢は俺の姿を見つけるとすぐに駆け寄ってきた。 「あ、旦那様お帰りなさい。もう入っても大丈夫ですよ。幽々子様もお待ちです」 「ただいま。だけど幽々子のところに行く前に着替えてきてもいいかな?朝から寝巻のままだし……」 「わかりました!お酒は私が持って行きますので着替えて来て下さい」 妖夢にお酒を任せ自室へ向かいさっさと着替えを済ませ幽々子の待つ居間へと向かう。 居間の障子を開くと幽々子が炬燵に入りながら突っ伏して寝ているのが目に入った。 足音をたてないように近づき後ろに回り込む。そして慧音さんからもらったチョコを一つとりだし半開きの幽々子の口に押し込む。 「んっ…んぁ……モグモグ…甘い……えっ」 ちゃんと1個食べきってから起きた。なにこれかわいい。 「貴方…遅いわよぉ……待ちくたびれて寝ちゃったじゃない」 「日が沈むまで帰って来るなと言ったのはあなた達じゃないですか……」 「でも遅いの~どうせ寝巻から着替えてきたんでしょう?着替える時間をもっと短縮すればいいじゃない」 「無茶ですよそんなの……」 ここは天下の白玉楼、当たり前だが廊下が長い。着替えを早く済ませても歩く時間がかかるからしょうがない。 廊下だし走ってはいけないことくらい小学生時代に嫌と言うほど仕込まれた。押さない駆けない喋らない。これ大事 「まぁいいわ~。それじゃあ……はい、チョコレート」 そう言いながら幽々子は炬燵の脇から大きな箱を取り出し俺に渡してきた。 箱は丁寧に桜色の包装紙とリボンで可愛らしく飾られていた。 「朝からがんばって作ったんだから味わって食べてね?」 箱を開けるとホワイトチョコで相合傘が描かれた大きな四角いチョコが入っていた。 「!! うわぁ…!」 思わず感嘆の声が出る。 「早く食べてみて~」 幽々子に急かされチョコを一口食べる。口に含むとやんわりと溶け出し、市販のものより控えめの甘さが口に広がる。 そして隠し味程度に加えられたオレンジリキュールの香りとほんのりとした苦味があとからやってきて甘ったるくなった舌を引き締める。 「このチョコおいしいです!」 里の甘味処のパフェも素晴らしかったがこのチョコも負けてはいない。 「当たり前じゃない私が作ったんだもの~♪実は紫や妖夢に教えられながら作ったんだけどね?愛情はたっぷりよぉ~」 あの2人が先生ならこの出来も納得できる。しかし幽々子の元々の技術もそれに引けを取らない。 「幽々子も一緒に食べましょうよ。こんなに美味しいもの一人で食べるのは勿体無いですよ。はい、あーんして」 チョコを一欠片つまんで幽々子の口元に持っていく。 「あ~ん。ん~やっぱり美味しいわね~さすが私」 「ありがとうございますね。こんなおいしいチョコを作っていただいて」 「好きな人に渡すのだから美味しく作らないと……ね?ほらチョコ口元に付いてるわよ」 「えっ……どこですか」 必死に口元に付いたチョコを取ろうとしていると、不意に口に暖かく柔らかい感触が。目の前には幽々子の顔。 「ふふっ。これで取れたわよ?」 自分の顔が熱くなるのが分かった。たぶん今顔が真っ赤だろうな……。幽々子もほんのりと顔が赤くなってる。 今まで長い期間一緒に過ごしてきたが、やはりまだこのような事には耐性がつかない。 いや、嫌いではない。むしろもっとして欲しい。 「……ごちそうさまです。そして野暮な話ですが、キスのおかわりはありますかね?」 「たくさんあるわよ?妖夢もチョコを渡しに行って今はいないから好きなだけね」 言うのがはやいか気づいたときには幽々子に押し倒されていた。 「……いつもなら俺から押し倒すのに今日はやけに積極的ですね?」 「バレンタインですもの……今日は女の子が積極的になる日ですわよ?妖夢だって今頃は……」 妖夢も想い人にチョコを渡しに行っている。しどろもどろになる様が目に見えるが、バレンタイン補正でどうにかなるだろう。 いつもなら俺と幽々子が離れた茂みに身を潜めニヨニヨしながら見守る所だが、今日くらいは気をきかせておこう。 「ほら、まだチョコが付いてるわ……」 幽々子はそういいながら顔を近づけ、さっきとは比べものにならないほど長く唇を重ねる。 思う存分唇の感触を堪能していると幽々子の舌が唇を割って入ってくる。 そして俺の口腔の粘膜を蹂躙し俺の舌と絡み合い、唾液と唾液のやり取りが奏でる淫靡な音と激しい息遣いだけが静かな部屋に響き渡る。 唇を離し、上気した顔でお互い向き合う。 「満足しましたか?というかすごく物欲しそうでしたね」 「久しぶりに攻めたら燃えちゃったわぁ……」 「これ以上は駄目ですよ?続きはお預けです」 今、ここで燃えてハッスルしちゃったら妖夢が帰って来たときにいろいろと気まずい。 前にも一度似たような事があり妖夢に怒られた。正座で3時間はキツイ。 「そんなぁ…いいじゃない~生殺しなんて残酷よぉ」 涙目になりながら幽々子が俺を見上げてくる。上目遣いは反則だろう…。 しかしここで理性を保たねば夕食と明日の朝食が無しになる可能性も否めない。 空腹の俺としてはそれは絶対に未然に防がなくてはならない。 だから幽々子とのハッスルもとい子作りは寝る前または入浴中に伸ばさねばならない。 「上目遣いしても駄目です。今日みたいな日こそちゃんとしたところで…ね?幽々子」 「わかったわよぅ……もう…」 「はいはい、いい子いい子。そろそろ妖夢も帰って来るでしょうし近くまで迎えに行きましょうか」 絶対に納得してない幽々子を宥めながら妖夢でも迎えに行くことにする。 外に出れば昼の暖かさが嘘のように冷え、容赦なく体温を奪い取る。 「寒いわね~。はい、貴方マフラー忘れてるわよ」 「あ、ありがとうございます。このマフラー少し長めなんで一緒に巻きます?」 自分の首にマフラーを巻き、長めに残した方を幽々子の首へそっと回す。 「こうすれば暖かいですよね。里でこれしてるカップル結構いましたよ」 「寄り添えるしいいわねぇ~。さ、迎えに行きましょう」 薄暗い足元に気をつけつつ道を進むと声が聞こえた。歩くに連れて声は大きくなり、その声の主が誰であるかを容易に理解させる。 幽々子の表情も今までの温和な物から険しいものへと変わっていった。 「ゆーきさん……ゆーきさん……うわああああああああ!!」 公園までたどり着くと妖夢が泣き崩れていたのが見えた。 「……貴方は先に家に帰っていてください。あとお風呂も入れてもらえるかしら?」 「分かりました……ここは幽々子に任せますね」 そういうと幽々子は自分が巻いていたマフラーを俺に巻き、泣き続ける妖夢の方へと駆けていった。 それを見届けた俺は早足で白玉楼に向かう。 お風呂を沸かせて……あとお酒用意しておこう。 そして帰ってきた妖夢を笑顔で迎えてあげよう。 そんなことを考えながら俺は白玉楼への道を歩き続けた。 おしまいける 裏 生涯千早一筋P作 「ぐすっ・・・・ひぐっ・・・・・」 あたりは暗くなり、街灯がぽつりぽつりと明かりを燈し始める。 時折身を刺すような冷たい風が吹きぬける夕暮れ時。 公園のベンチで一人なきじゃくる女の子が居た。 見た目は中学生か高校正くらいで、白銀のボブカットでややツリ目の目鼻立ちの整った子だ。 必死に嗚咽をかみ殺しながら両手で顔を覆って肩を震わせている。 膝の上には綺麗にラッピングされたハート型の包みがあった。 「結局・・・ぐすっ・・・渡せなかった・・・ゆーきさん・・・・えぐっ・・・」 なきながら想い人名前をつぶやく彼女の名前は魂魄妖夢という。 幻想郷では庭師・剣士として名の通った半人である。 なぜ彼女が泣いているのか、それは数時間前に遡る。 「ゆゆ様!完成しました!!」 妖夢の快活な声が白玉楼に響いた。 「あらー、やっと完成ねー。ふふ、私もがんばったわー」 笑顔で妖夢に接するのは白玉楼の主人西行寺幽々子。 今日は2月14日、妖夢と幽々子はそれぞれ想い人のために手作りチョコレートを作っていたようだ。 「妖夢はこれでゆーき君に喜んでもらえるわねー」 幽々子はにこにこしながら妖夢に問いかける。 「はい!幽々子様もぺむさんに絶対喜ばれますよ!!」 互いの手には作ったばかりの茶色で甘い香りのするお菓子。 そうヴァレンタインのチョコレートである。 妖夢のものはハートの形に『Love Yuki』と入っている。 対する幽々子のものは四角に相合傘。 普段の彼女達とは違い、ヴァレンタインの魔法に肖ってかなり積極的な様子だ。 「ふふ、じゃあそろそろぺむが来るから私は用意するわね~」 そう言いながら幽々子は緑茶の用意を始める。 「私もゆーきさんを探して、渡してきます!幽々子様、頑張りましょう!!」 お互いにもう一度にこっと微笑むと、妖夢は台所からスキップをして出て行った。 「妖夢・・・頑張ってね・・・私も頑張るわぁ・・・////」 「ふふっ、ゆーきさん喜んでくれるかなぁ・・・///」 そういいながら妖夢はチョコレートをいれた紙袋を片手に小道を歩いていた。 「もしかしたら、告白されてしまったりして・・・でもっ心の準備が・・・///」 いつもの黒いカチューシャではなく、明るい黄色の髪留めをつけた妖夢は独り言を言いながら顔を赤らめている。 「今日は格好が違う事気付いてくれるかなぁ・・・ゆーきさんに可愛いって言われたり・・・・あっ!////」 頭の中で今日のシミュレートをしていた妖夢の視線の先には件のゆーきが居た。 それを見つけた妖夢は思わず声を上げ、そっと近づいていく。 「ゆーきさん!こんばん・・・・わ・・・・?」 妖夢が快活に挨拶をしたその視線の先には、女性と仲良く手をつないで歩くゆーきが居た。 「あ、よーむ?やっほー」 ゆーきは臆もせず挨拶を返してきたが隣の女性は明らかに妖夢の事をにらんでいた。 「私、如月千早といいます。ゆーきさんとは結婚を前提としたお付き合いをしています。よろしくお願いします。」 千早は顔では笑顔を浮かべながら冷たい視線を妖夢に送った。 「あ、魂魄妖夢です・・・は・・・はい、よろしくお願いしま・・・す・・・」 妖夢は今にもなきそうな顔をしながら千早の差し出した手をそっと握った。 その瞳には涙がうっすらと浮かび、肩も小刻みに震えていた。 「あ、あの・・・それじゃ・・失礼します!!!!」 妖夢はそう叫ぶと、その場から逃げるように立ち去った。 「あ、おい、よう・・・・行っちゃったな・・・」 そうポツリといったゆーきは不思議そうな顔をしながら、妖夢の去って行った方向を見た。 「きっとこれからチョコを渡しに行くのでは?今日はヴァレンタインですし・・・もちろんゆーきさんに用意してありますよ///」 ゆーきにそういうと、千早は微笑みながらいっそう強く手を握るのだった。 (妖夢Side) 「ぐすっ・・・・ひぐっ・・・・・」 もう何も考えられない・・・私は・・・なんて愚かなんだろう・・・・ ゆーきさんにはもう将来を誓った彼女さんがいて・・・ 私はそんな事は知らずに一人で舞い上がってチョコなんて作って・・・ もしかしたらゆーきさんが振り向いてくれるとか・・・馬鹿な事を考えて・・・ 思い返すだけで・・・嫌になる・・・ ゆーきさんが私の事を好いてくれてるなんて・・・勘違いをして・・・・ 本当にみっともない・・・・でも・・・ 「ゆーきさん・・・ゆーきさん・・・うわああああああああ」 私は自分の涙を抑える事ができなかった。 悲しくて、つらくて、胸が張り裂けそうで、自分の気持ちを伝える前に恋が終わって・・・ その事が悔しくて、でもゆーきさんが愛しくて いろいろな感情が一気に溢れて、涙がとめどなく溢れてきた。 もしもゆーきさんににめぐり逢えなかったらこんな気持ちになることはなくて この胸に今も優しく息衝いてるゆーきさんとの思い出が苦しくて ゆーきさんと出逢った奇跡が全部否定されるようで 絶えられなくて・・・ただ痛くて・・・・ 「うわああああああああ・・・・うぐっ・・・えぐっ・・・ううぅ・・・」 ただひたすら哭き通した・・・・ 「よう・・・む・・・・?」 後ろから聞こえた覚えのある声に私は思わず振り向いた。 そこには、幽々子様が優しげな表情で立っていた。 「どうしたの妖夢・・・そんなに泣いて・・・・あっ!」 幽々子様の視線が私の膝元に向いた。 「ゴメンなざい・・・作るの手伝ってもらっだのに・・・・」 私は何を言えばいいのかわからなくなっていた。 「大丈夫よ妖夢・・・・大丈夫・・・ね?」 幽々子様はそういうと私をそっと抱き寄せてくれた。 その温もりが暖かくて、優しくて、私は幽々子様の前では我慢していた涙が再びせりあがってきた。 「ゆゆござまぁ・・・・わだじ・・・わだじ・・・うわあああ」 そういいながら泣き始めた私を幽々子様はそっと抱きしめてくれた。 「ほら、寒いでしょ?帰るわよ」 そう言いながら優しく背中をさすってくれる幽々子様の暖かさとさっきの切なさが私の心から涙となってとまらない。 「妖夢・・・泣きたいときは泣きなさい・・・・ね?」 幽々子様に抱きとめられた私は雪が振っているのに気付いた。 その雪はまるで花弁のように空を舞っていた。 私の初恋が散ったのを表すように・・・・ 終
https://w.atwiki.jp/erayasai/pages/93.html
;花見 ;ヤマメメイン ;2009/04/09 書け ;タイトル未定 ;序章? 幾度目になるだろうか、桜が咲いて散るのは。 有史以前から繰り返される自然の移ろいに、そんな問いかけなど意味を成さない。 桜は春になれば咲くし、咲けば散るし、葉が芽吹き、やがて実をつける。 そのサイクルをいち個人――妖怪が気に留めたところで、特になんら変わりは無い。 尤も、変えてしまえばそれは立派に“異変”として扱われ、解決――退治されてしまうだろう。 桜が咲く。桜が散る。今年もまた、儚く。 ;第一章? 地底に繋がる洞窟、その入り口。 春のうららかな陽射しに伸びる、丸っこいフォルムの影。 釣瓶落としのキスメと、その釣瓶桶のものだ。 普段内気で人見知りするこの娘が、わざわざ風呂敷包みなど持って来るというのは滅多に無い事である。 中身は見るまでもなく手作りのお弁当。 それもそのはず、この娘は花見に私を誘おうというのだ。 本来この娘は地底に属する者でも無いし、その気になれば宴席に紛れ込むことも難しくない。 それでも気にかけてくれているのだ――封じられた妖怪の事も。 期待混じりの視線を笑顔で受け止めつつ、頭を優しく撫でてあげる。 柔らかな髪に指を通して梳るように、私の嬉しさを伝えるように。 曇りのない、穢れのない笑顔。 向けられるだけで心がじんわりと温まるような気さえする。 桶の取っ手に手を掛け、ひょいと持ち上げる――慣れた行為。 洞窟の奥へと向かうのに、少女からの一切の抵抗は無かった…… ;第二章? 地底と地上を結ぶ場所は幻想郷では数少ない。 その中で比較的安全かつ確実なルートが、橋姫の守る縦穴だ。 「これ見よがしに花見だなんて、自由に出歩ける奴が妬ましいわ。」 大体の用向きを察してか、開口早々嫉妬するのが守護神でもある橋姫だ。 「一日くらいサボったって罰は当たらないさ。何なら私らを嫉妬して付け回すかい?」 「……誰が。生憎私は仕事熱心なのよ。」 そう、彼女――水橋パルスィは仕事熱心だ。 冬の一件以来交流が増えた分だけ、番人としての仕事に更に身を入れている。 一途で、細かいところに気が利く、優しい側面が彼女を守護神たらしめているのだ。 尤も、変わり者である事だけは間違い無い。 「まあ、また後で誘いに来るよ。どうしても誘っておきたい人がいるんでね。」 「私より大事な人って意味かしら。聞き捨てならないわね?」 「あんたもどうしても誘っておくべき側だよ。ただ二度手間を省いてるだけさ。」 刺すような視線を投げ掛けておきながら、それでもパルスィは縦穴を通してくれた。 「帰りに誘ってくれなかったら、呪うわよ?」 炯々と輝くエメラルドの瞳は半分以上本気で呪うつもりにしか見えなかったが。 ;第三章 旧地獄街道はほどほどに栄えている。 旧都は地上とは隔絶されていても、独自に社会として発展してきたのだ。 その中心であり原動力でもあるのは、やはり鬼であった。 人間に愛想を尽かしたという理由が全てとは限らないのだろうが、地上との交流を鬼はよしとしなかったらしい。 旧地獄に大々的な都市を造り上げたのも、怨霊を管理するかわり地上の妖怪の進入を拒んだのも、鬼である。 とはいえ、地上に居づらい――忌み嫌われた妖怪、能力故に白眼視された妖怪を積極的に受け入れたのも鬼なのだ。 だからこそ、鬼の事を根っから嫌いな妖怪なんて地底には存在しない。 多かれ少なかれ好意的な感情を持つのが常である。 私もその例には漏れない類で、だからこそ旧都の方まで足を伸ばしたのだ。 ……探していた人物は簡単に見つかった。 というより、いつだって都合よくそこらで呑んだくれている。 彼女の不思議さぶりは地底の存在の中でも群を抜いていて、首をひねることばかり経験させてくれるのだ。 探そうとして居酒屋の暖簾をくぐると偶然居合わすのが偶然でなく必然である、そんな不可思議な人物。 山の四天王、力の勇儀こと星熊勇儀と言えば、地底で知らぬ者はない。 堂々とした佇まいで杯をゆっくりと空けると、私たちに鷹揚に声をかけてくる。 「おお、今日は何だい、お弁当持ってお出かけかい?」 「ああ、お弁当持った釣瓶落とし連れて、今から鬼も連れて花見さ。あんたは花見酒に嫌だなんて言いやしないんだろう?」 額に立派な角を生やした鬼――星熊勇儀は、大きく口を開けて笑った。 「あっはっは、当然よ。倒れるまで付き合ってやるさ。」 大きな杯を手にしたままで、軽々と片手にキスメの桶を握って掲げる。 この鬼なりの愛情表現なのだろう、釣瓶桶を揺らさぬようにしながら駆けてゆく。 その後姿を眺めてから、私はもう一人を探しに旧地獄街道を更に進むのだった…… ;第四章 ステンドグラスが色とりどりの影を映す、美しい建物が旧地獄にはある。 人呼んで地霊殿、怨霊をも恐れ怯ませる地底の代表者が住まう場所だ。 心ある妖怪、記憶持つ妖怪、どちらかであれば少なくとも彼女には引け目を感じざるを得ない。 嘘を嫌う鬼が彼女を祀り上げたのも納得いく存在――さとり。 その彼女を前に、私は今日の事を告げた。 「そうですか……宴は楽しいものですが、私を無理に誘う気はないのですね。」 彼女の言う通り、私は彼女を誘うつもりこそあれ、無理をさせる気は欠片もない。 だからこそ、代わりにこう持ち掛ける。 「あんたの場合、気を遣い過ぎるからね。私じゃ不足かもしれないが、後で二人きりでささやかながら桜を愛でようじゃないか。夜桜なんて如何だい?」 私の言葉を聞きながら、この妖怪は自然に心を読む。 それでいて、どれだけ非常識な事を考えていたとしても、それを普通に受け止めてしまう。 その度量の広さや器の大きさこそ彼女に風格を持たせているのだろう。 形の整った薄めの唇を僅かに緩め、さとりはそっと言葉を紡ぐ。 「夜桜の下で見れば一層美人だろうね、ですか。貴方は相変わらず私への評価が過大に思えますが。」 「なに、そう思ってしまうものは仕方ないのさ。で、如何するんだい? やんややんやの宴に混じるか、夜桜でも二人きりでゆっくり眺めるか。」 すぅっと細められた目が私の目を見つめ、そして静かに瞼が閉じられる。 僅かな時間、一呼吸の間。 「……夜桜にしましょう。お気遣い感謝します。それと、皆様方にも宜しくお伝え下さい。」 「……あと、夜桜を見るのにわざわざ水着は着ませんよ。」 しっかり私の妄想に釘を刺すさとりに軽く舌を出してみせ、私は地霊殿を後にした…… ;第五章 橋姫の縦穴まで戻ると、人影が幾つも見えた。 一際大きな影には角があり、尖った耳の人影もある。 待っていたのだろうは思うが如何にも雰囲気がおかしい。 というより明らかに人影が多い、具体的には三つほど。 「つまり、あくまでも花見と言い張るのですね?」 「花見は花見だろう、それとも鬼が信じられないって言うのかい?」 「いえ信じないなんて事はありませんよ、ただ問題なのはその他の面々でして……」 「全員私の知り合いだ、それでも不満なんだね?」 「ええとその……」 よく通る声は勇儀のもの、そしてそれに答えているのはいつか聞いた声。 「誰かと思えば、いつぞやの天狗だね。如何したんだいこんな所で。」 私が尋ねてみると、渡りに船とばかりにこちらに鴉天狗が泣きついてくる。 「うぅっ、通りすがりの土蜘蛛さんじゃないですかぁ……どうしても鬼の方を誑かして地上侵略を試みる巨悪が諦めてくれないんですよぉ……」 「誰が巨悪よ、私はただ究極なだけじゃない!」 裏地が宇宙の――どうやってそんな構造になってるのかはもう理解の外だけど――マントを翻し、鴉天狗を威嚇する地獄鴉。 鴉同士の近親憎悪か何だか知らないが、いつの間にやら一触即発の気配。 「何よ私をさておいて盛り上がるだなんて、私を気にも留めないその暢気さが妬ましい……」 便乗する一人はまあ放っておくとして、取り敢えずのところは誤解を解いてやらないと話が進まないだろう。 「いいかいブン屋、特ダネってのはもっと確実なものじゃないと評価されないんだよ。」 「知ってますよ、“文々。新聞”は真実を皆様にお届けするものですから。」 「それなら食ってかかるのを止めればいいじゃないか。」 「いえ、ですが……」 どうやら鬼との友好関係やネタの楽しさとの間で、にっちもさっちもいかないらしい。 とりあえず、ネタを否定するよりも言い分を少しだけ認める方向で話を進めてやる。 「で、真実を伝えるなら、だよ? 巨悪の地上侵略って一面の見方に固執するのは如何かと思わないかい? なぁに、真実を書けば良いだけさ。」 私が自信たっぷりに――無論演技だが――言うと、天狗は食いつくように顔を寄せる。 「で、そんな手があるのですか?」 「簡単さ。地獄鴉も地上に出るほど今年の桜は見事だろう、で良いんじゃないかい?」 「さっすが土蜘蛛のお姉さん、あたいその簡潔さに参っちゃったよ。」 猫車を押したまま器用にポンと手を打つのは、増えていた影その3こと火車お燐。 呆気に取られているのは、地獄鴉の霊烏路空。 決めかねている鴉天狗の射命丸には、そっと後押しをしてやる。 「ほら、白玉楼の西行妖も見頃を迎えて、事件の予感がするんじゃないかい?」 決心がついたのか、幻想郷最速で鴉天狗が踵を返す。 「西行妖が!? あやややや、こうしてはいられません、ネタは鮮度が命ですよ! では失礼します!」 ……そして去って行くその様、嵐の如し。 私が地上で得た知識の中には“あの妖怪桜が見ごろになる”だなんて例は無い。 それ故に事件なのだとしても“何故私が桜の見ごろ、それも冥界のもの”まで知っているのかというのにまでは考えが回っていないのだ。 射命丸文、自称幻想郷最速のブン屋。 最速を自負するからこそ、行動は迅速だが私なんかの虚言に引っかかりもするのだ。 一番槍は退いていては取れないし、その生き様は彼女に似合うので別に私からとやかく言う気は無いのだが。 「……巨悪……」 地底育ちの箱入りの地獄鴉が、なんだかしょげている。 その様子に気づいたらしく、釣瓶桶から手を伸ばしてキスメが慰めていた。 「うにゅ……」 空は唇を尖らせてこそいるが、先程までのぴりぴりとした刺々しさは取れているようだ。 そして、撫でる側撫でられる側を見つめて瞳をきらきらさせている猫耳娘。 多分放っておいて良さそうだ、むしろ積極的に関わると危ない気すらする。 「萌える……あたいは今、最高に萌えてるわぁっ……」 いや、多分あれは別世界に意識が飛んでる、むしろ関わると飛ばされる。 「とにかく。」 空気を察してか単に自分の性分なのか、勇儀が大きな声で音頭を取った。 「細かい事はいいんだ、今日は花見て騒いで思いっきり飲むよー!」 「おー!」 一致団結した地上の桜観賞ツアー一行は、当初の目的地である博麗神社を目指す。 白玉楼の桜は確かに見事だそうだが、知った顔を見たり騒いだりするのも目的のうちなのだ。 それに、地上では何かあるとすぐに博麗神社で宴会をするという。 そのしきたりに慣れておくのも決して悪いことではないだろう。 今までの年月を埋めるには、一日でさえ早過ぎるということは無いのだから…… ;第六章 女三人寄れば姦しいというが、女三人が二つの六人寄ればどれだけ控えめだろうと大騒ぎだ。 地上に出るのは久し振りの面々は久し振りなりに、温泉事件で初めて地上に出たのは不慣れなりに、あれやこれやと物珍しさで騒ぎまくる。 その勢いたるや、花見で飲む分の酒が気付けば一割減っている程だ。 その主犯曰く、「酒は飲まれる為にある、足りなければ現地で調達すればいい」との事。 言っている事はともかく上機嫌なのは良い事だ。 「どうした水橋ぃ、私はここにいるよぉ!」 「きゃ、どこ掴んでるのよ、何押し付けてるのよ、意図的なら自慢ね妬ましいったらありゃしない!」 「ほーれほれそんな事言ってぇ、美人が台無しだぁ。」 「や、やめ、そんなとこくりくりしないでぇ……」 まあ、うん……上機嫌なのは良い事だ。 何をどうしたものか、こんな一行が混じっていても花見の季節には不自然でないらしい。 時々同様の集団が居たりするがまあ似たようなものだろう。 春は目覚めの季節、万物陽気に満ちて浮かれ騒ぐものだ。 そんな時に、窘めたりするのも野暮であろう。 「ああっ、あたい見てるだけで心がほえほえするよぅ、萌えるぅ……」 いや、下手に意見すると単に自身が危険にさらされかねないという側面もある。 「そうだな、草木萌え出る春だ。私のものだが。」 「あ、魔理沙! あれから私もっと究極になったのよ! せっかくだからフュージョンしましょ?」 「せっかくだから遠慮しておくぜ。今日は弾幕ごっこって感じじゃないだろうからな。」 さりげなく同行していたのは、特徴的な言葉遣いの黒白魔法使い。 春の陽気の中だからか前に見た時のショールはしていないようだ。 魔理沙はんーっと声を上げながら腕を上げ背伸びをし、それから私に視線を向けて尋ねる。 「ところで、何でまたお前達がこんなところにいるんだ? まあ花見なのは見ればわかるが。」 「ああ、今から神社で花見さ。あんただってその心算で酒甕抱える手伝いしてるんだろう?」 「ばれてしまっては仕方がないな、地底の酒を見過ごせるほど私は下戸じゃないぜ。」 まったく悪びれる様子もなく、そして自らを律する様子もない。 彼女をず太く無神経で傲慢と断じるのは簡単だが、そんな彼女と接しているのも悪くないものだ。 「あんたに飲ませる酒はあんまりない、イベントで貰えるのは一回程度のものじゃない。」 パルスィが得意げな笑顔で魔理沙を挑発する。 「それなら大丈夫だぜ、萃香がいるからな。それに霊夢だって貴重な参拝者を無碍にしたりなんかしない筈だ。」 ……本当、ここまで開き直られると清々しくもある。 「ところで強い死体のお姉さん、神社までってまだ遠いんだね?」 「私は生憎死体じゃないぜ、だが神社まではもうすぐだ。」 「もうすぐってどのくらい?」 お空が首を傾げながら尋ねると、魔理沙はふふんと鼻で笑ってから答える。 「そこに見えるのが神社の石段だ――つまりもう着いてるみたいなものだな。」 一同揃って石段に視線を移すと、小さな人影がそこにあった。 尤も、頭に生えた角は大きいのだが。 「遅いじゃない、待ちくたびれてここで飲み始めてたよー。」 「萃香じゃないか! いやあ、久々だねぇ……」 地上に居る唯一の鬼という伊吹萃香の姿に、万感の思いとでも言わんばかりに勇儀が駆け寄る。 そしてそのまま――釣瓶桶を持ったまま――小鬼を豊かな胸に抱き留める。 半端な姿勢で抱かれた事に困惑を見せつつも、今は旧友との再会に萃香は喜びを隠してなどいなかった。 そんな二人の幸せムードを間近で受けたキスメも輝くような笑顔を見せている。 「ああっ、そんな、ダブルだなんて……」 そしてその様子をこれまた瞳輝かせて見つめる危険人物。 「私だって久々なのに……鬼同士でばかり楽しんでないで少しは歓迎する必要が、貴方にはある!」 こちらの要注意人物は日常的な発作なので、別段誰も気に留めていない。 「騒ぐにしろ花見するにしろ参道でやらないでよ。境内に場所とってあるから、そっちでやって。」 博麗神社の巫女、霊夢が歩きながらそう言ってまた来た道を戻っていく。 花見客団体は、親鴨を追う子鴨よろしくその後姿についていくのだった…… ;第七章 藁の莚を並べた席に、それぞれが思い思いに着く。 誰からとなくお弁当を並べ、酒を注いでは杯を渡す。 そんな折にまた一人、荷物と共に現れる人影――と数多の小さな影。 「なんだ、アリスか。しかもやけに準備がいいじゃないか。酒に肴に、いったいどんな風の吹き回しだ?」 アリスと呼ばれた少女は金髪を指で梳りながら、簡単に答える。 「花見って言っても、宴会でしょ。」 「便利だから萃めておいたんだよー。」 萃香が寝転がって瓢箪を呷りながら、どこか間の抜けた声で言う。 アリスは便利屋扱いされても顔色一つ変えず淡々と人形を使って準備をこなしていく。 程好く取り分けられ小皿に盛られる酒肴の数々。 既に酒を呷っている鬼と鬼はさておき、霊夢も酒をちびりちびりと舐めている。 「賑やかなくらいは構わないけど、あんた達が幾ら来たところで参拝客は増えないのよ。」 「まったくだな、賽銭も入れずに神社に来るなんて信じられないぜ。」 「あんたがその最たるものじゃないか、霊夢がかわいそうだよー。」 萃香に指摘されると、魔理沙は不思議そうな顔をする。 「おや、そうだったか? 私は善良な客だぜ。」 「贔屓目に見ても盗賊は善良とは言えないわ。」 アリスにまで指摘され、魔理沙は腕を組んでしかめっ面になり、はぁとため息をつく。 「わかった、参拝する時には賽銭を入れる。」 「じゃあ私もー!」 お空が声を発したところで、霊夢がため息をついて空の杯をお燐に差し出す。 「光ってればいいってものじゃないんだけど、ビー玉とか入れないでよね……」 「うにゅ……キラキラしてて綺麗なのにー。」 「まあまあ、お姉さんもくーっといって嫌な事忘れて、今日は花見なんだからさあ。」 注がれた酒を瞬く間に干し、霊夢はまた杯をお燐に向けてみせる。 「そうね、今日くらい楽しまないと損だわ。」 「そうそう、その意気だぜ。楽しまなくちゃ嘘だからな。」 盛り上がる一同に、酒も肴も準備完了。 広げられた色とりどりのお弁当も、早く食べてとばかりに目に腹に訴え掛ける。 「それでは皆様、乾杯しましょう。」 一同杯を掲げ、とりどりの声で唱和する。 「かんぱーい!」 ……ん? 乾杯の音頭を取ったのは、何故か耳慣れない声だ。 そちらに訝しむ視線を投げ掛けると、羽衣を纏った長身の女が目で会釈する。 「まあ誰だか知らんが、駆けつけ三杯だ。干してもらうよ。」 そして眩しいくらいの笑顔の勇儀に大杯を手渡され、酒を勧められている。 実に自然な酒宴の光景。 それぞれが桜を愛で、話に花を咲かせ、酒を呷る。 発案者の頭を優しく撫でてあげると、桜に負けない程咲き誇る笑顔がその顔に浮かんだ…… ;第八章 飲めや騒げやの宴会は、夜に入っても終わる兆しを見せない。 先ほどの鴉天狗だとか連れて来られた河童だとか、挙句の果てには楽団だとか。 騒ぎは騒ぎを、宴は宴を呼び、いつしか大宴会になってしまっている。 名の知れた妖怪も多く、実に綺羅星の如くである。 私は釣瓶落としの頭を一度撫でると耳元で暇を告げ、席を立つ。 この賑わいでは気に留める者もない。 私は大宴会場と化した博麗神社から一人地底へと向かう。 待つのは性分でも、待たせるのはあまり性に合わない。 それに、こんな宴の賑わいの中に居れば、彼女の孤独こそ早くどうにかしたくなってしまうから…… ;第九章 慣れた道を行き、訪れるのは地霊殿。 先程までの喧騒に比べれば静寂そのものとも言えよう。 持ち主の心を映すようにも見える、色とりどりなのに物悲しく煌くステンドグラス。 彼女に来意を知らせるのはさして難しくない。 彼女とすれば否応無しに知ってしまう、それが“さとり”の習性。 今回もそう、近付きゆくだけで彼女に私の考えている事が伝わる。 そしてそれが故に彼女の方から姿を現す事になる。 「別に待ってはいませんよ、むしろ早いとすら思っていました。」 薄く透ける紫色の髪を軽くふわりと掻き上げながら、私の言葉を待つでもなく扉を開いたさとりが告げる。 彼女としっかり話をするには、若干の慣れが必要だ。 私自身が口にする事と、考える事思う事の乖離は可能な限り避ける事。 そして、彼女が話しやすいペースで話させる事が大事となる。 それでも口さがないのが人情というもの、自然言葉は出てしまうのだけれど。 「それじゃあ、お色直しでも待った方が良いかい?」 「その必要はありませんよ。準備は出来ていますから。」 薄めの、それでいて瑞々しい唇が言葉を紡ぎ出す。 考えるより先にそこを軽く指先で撫でると、さとりは甘い声を漏らした。 「ん、ぅ……いきなり唇なんて撫でないでください。驚いてしまいますから。」 「あんたは驚いたくらいが丁度いいんだよ、どうにも普段から張り詰めてるからね。」 さとりは私の軽口に口角を僅かに持ち上げ、優しい眼差しで微笑む。 「そう言いながら、心は素直ですよ。役得だなんて、そう素直に思うものですかね。」 窘めるような言葉を投げ掛けるその顔には、むしろ慈母のような寛大さが浮かんでいる。 「ふふ、ばれちゃあ仕方がないね。この唇が好きなんだよ。」 もう一度、今度は軽く指先で唇の形をなぞる。 目蓋を閉じて、私の指を受け入れるさとり。 心に一度思い描いてから、人差し指をそっと唇の隙間に差し入れてあげる。 さとりは静かに指を唇で食み、舌の先でちょんと私に触れて来る。 軽くその舌先を撫でてやるとさとりの頬が僅かに染まり、小さな鼻息が漏れ出た。 左手で頭を撫でてやりながら、心で労い、口でちゃんと告げる。 「ありがとう、可愛いよ、さとり。」 指を咥えたままのさとりが目蓋を開き、微かな恥じらいの色を浮かべた。 かわいらしいおでこにそっと口付け、私はもう放してくれていいよと囁く。 小さな水音を立てて唇を離したさとりは、私に視線で抱擁をねだる。 一度軽く掻き抱いてあげると、満足げな猫のように咽喉を鳴らして。 そっと唇を触れ合わせるだけの口付けを交わし、そろそろ行こうかと囁く。 さとりは何も言わずに、こくりと頷いた…… ;第十章 私とさとりが向かったのは、洞窟のそばの人気のない林。 その縁のあたりに数本、まばらに桜の姿があった。 「はあ、出来るだけ他人に見つからない場所を選んだ結果、ですか。」 「まさかとは思うが、見られた方が良かったかい?」 意地悪く問い掛けてあげると、さとりは私の腕に縋り付いて震える。 「わかってるさ、わざわざ他の奴に見せやしないよ。安心して良いからね。」 怨霊も恐れ怯む少女らしからぬ、心細げな様子。 本当は彼女だってか弱い少女でもあるのだ。 優しくその背を左手で撫でてあげ、右手を腰に回し抱き寄せ、柔らかな頬に頬擦りしてあげる。 右耳に感じる、湿った呼気。 頬擦りを続けたまま、心と言葉で優しくさとりに伝えてゆく。 「精一杯の勇気を振り絞って来てくれたんだ、本当に嬉しいよ。ありがとう。」 言葉に詰まっているのか、ただ熱と吐息だけが温かく伝わる。 左手でそっと首筋を撫でて後頭部を支えてあげながら、八分咲きの桜の下で唇を啄ばむ。 ちゅ、ちゅ、何度も何度も、さとりと口付けを交わす。 私にしがみ付くように、さとりの腕が私に回される。 目蓋を閉じ、私の為すがままに任せた少女。 軽く腰を撫でてから、唇をしっかり押し付け、柔らかな感触を楽しむ。 「ん、んん……」 「んむ、んふ……」 さとりの雪のように白い肌が桜のように色づき、次第に呼気が乱れてくる。 ちゅぅっと音を立てて吸ってから唇を離すと、さとりは大きな息を吐く。 熱く、湿った、明らかに普段と異なる息。 腰に回していた右手で、ツンと上向きの引き締まったお尻を撫でてあげると、さとりは小さく身じろぎした。 そして、私は心に今日二度目の、さとりの水着姿を思い描く。 こういう時に、言葉にするのは短くていいのだ。 「見せてくれるね?」 スカートをわざと指先でお尻に擦り付けると、木綿や絹とは少し違う音が小さく立つ。 さとりは顔を桜よりも紅に染めて、消え入りそうな声で返事をする。 「……はい……」 私はさとりの項を左手でそっと愛撫し、その身体を放してあげる。 もじもじと恥じらいを見せながら、さとりは細身の身体を包む淡藤色のチュニックにまず手をかけて、私に伏し目がちの視線を送る。 私はなるだけ優しく表情を作り、さとりの目――顔の目、そして第三の目――と視線を交わす。 さとりは小さくこくりと頷き、チュニックのボタンを一つ一つ丁寧に外し始めた。 ボタンの意匠に似た触手の先端のハート型が、チュニックから離れて空を泳ぐ。 桜より薄いピンクのワンピース一枚になったさとりは、私に視線でその先を尋ねる。 「ううん、無理しないでいいんだよ。ずっと地底(あそこ)に居たあんたには、地上の風は冷た過ぎるからね。」 そう言って優しく頭を撫でてやると、さとりはふるふると首を横に振って唇を開いた。 「それでも……貴方が望んだ事ですから……できるだけ、応えたいんですよ?」 健気で、いじらしい答え。 たまらず唇を奪い、一度ぎゅっと抱きすくめる。 先程より一枚分、体温が近い。 細い身体をまた放しさとりに懇願するように先をせがむ。 「見せて、欲しい……」 「……はい……」 小さく、それでも確りとさとりは肯く。 触手と第三の目を頭の傍へと動かす様子などは、いつ見ても身体の一部ながら器用だとしか言えない不思議なもので、私はその様子をじっと見つめていた。 さとりと目が合う――第三の目となので、顔だけに慣れているとこんな表現はおかしいのだろうけれど――と、首を引き抜こうとする手が一層先を急ぐようにして素早く動く。 「焦らないで、ちゃんと待ってるよ?」 「はい……もう、すぐですから。」 ワンピースの下の方はずり上がり、既に下着とは違う布地を覗かせている。 陽光を久しく知らない雪白の肌が顕わになり、鮮やかなピンク色の水着との対比が私に生唾を飲ませる。 セパレートで二段のフリルを纏うモノカラーの水着だけが、私とさとりの秘部を隔てている。 そう実感すると、さとりが恥ずかしげに私に告げた。 「あの、できれば全体も見てくれませんか?」 そう言われてから、改めてさとりの全身を眺める。 薄い紫の髪、私とお揃いの赤い瞳、抜けるように白い肌、鮮やかな水着。 夜闇の中に浮かび上がるような、幻想的な美しさ。 夜桜に負けない、それでいてどこか控え目な姿。 表情は頼りなさげで素肌を曝す事にどこか気後れした様子が窺える。 私は左手を伸ばし、僅かな膨らみを包むトップの水着に触れて、そのまま可愛らしい乳房を包み込む。 「恥じる事はあるかも知れないけど、私が見たいのはあんたなんだよ。私の大親友で、私に一番可愛いところ見せてくれる古明地さとり。私ばっかり楽しませて貰ってて申し訳ないね、こんな格好までさせてさ。」 そのまま左手をさとりの肋骨に押し付けるようにして、小振りな胸をくにくにと愛してあげる。 羞恥にすっかり上気した肌が、多分露出の異常さに興奮してるさとりが、私の愛撫ひとつで敏感に反応する。 軽く舌を出して虚空をちろちろと舐めるのを見せ付け、さとりの左手に右手を絡めてあげると、おずおずとさとりの唇から桃色の舌が現れる。 軽く舌先で舌先をつつき、お互いに舌をそよがせながら少しずつ距離を近付けてゆき、互いに唇を重ねて、唇に舌を滑り込ませる。 「ん、ふぅっ……」 「んむぅ、んんっ……」 私はさとりの舌をしゃぶりながら、唾液を流し込む。 さとりは私の口腔を探りながら、流し込まれる唾液をこくこくと嚥下する。 さとりの手が、私の胸に伸ばされ、様子を窺うように静かに触れてくる。 私はそんなさとりに。 恋愛とは違う、でも友達関係とも違う、自分勝手な欲望をぶつける。 さとりはそんな私に。 他では多分見せないような、少女の反応を見せてくれる。 私はさとりを手ごろな桜の幹に押し付け、唇を離した。 私の唾液がさとりの唾液と混ざり合った白糸が、二人の間をつっと伸び、風に切れ落ちる。 さとりの右手を左手に捕らえると、私は目尻を下げて微笑んでみせる。 さとりの白い咽喉が僅かに上下する。 「犯したい、ですか……」 「犯されたい、かい?」 さとりは答えず、視線を私から外す。 第三の目は、私の答えを見逃さないようにしっかりと私を見据える。 さとりの手の感触を一度楽しんでから離し、私は答えを待たずに私のワンピースに手を掛ける。 さとりは答えない。 でも、応える。 「そう、私が脱ぎ終わるまで。」 私はワンピースを脱ぎ捨て、黒いブラウスのボタンを外しながら。 「おあずけ、だよ。」 目の前の少女の盗み見るような視線を、喜びとともに受け止めていた…… ;第十一章 春の空には霞か雲か見紛うばかりの星達が煌き、二人の素肌を照らしてくれる。 月明かりよりも儚いからこそ一層夜闇と私達の境界はぼやけ、二人の距離を近付けてくれる。 素肌で抱き締めると、さとりの体温が心地良い。 私の腕の中にいるさとりはかわいい。 手弱女らしさをこう直球で表現されると、私は時々自分の事が物足りなくなる。 けどこれでいい。 きっと女同士って気楽さが私達の関係を許してくれている面もあるのだろうから。 さとりの背中に沿って中指をゆっくりと這わせて下へ下へと辿ってゆく。 私の耳に届くのは、押し殺したような甘い声。 「もっと直接がいいのかい?」 わかっておいて聞く。 きっと意地悪なんだろう。 「……はい……お願い、します……」 さとりの声は艶掛かって、上擦ってしまっている。 私の指は水着の上からさとりのお尻の谷間をなぞり、不意にその奥へと割り込んでゆく。 「ひゃぁっ!?」 「相変わらず敏感だね。」 布地を押し付けるようにぐりぐりとさとりの窄まりを楽しんでから、ゆっくりと唇を重ねる。 「んちゅ……」 「ちゅ、ぴちゃ……れろ……」 さとりから快感を求めて舌を伸ばしてくる。 拒む理由なんて何処にも無い。 唾液を混ぜ合い、水音を立て、舌を絡め合う。 私の右手はさとりの引き締まったヒップの感触を楽しみ、水着の向こうの陰間を時々つつく。 敏感なさとりはこんな行為でも拒まない。 それでも、そろそろ切ないだろうから切欠を作ってあげる。 唇をそっと離し、呼吸を整える間を与えてあげる。 さとりは可愛らしい、悩ましい吐息を私に掛ける。 「脱ぐね?」 確認の意思表示なんかじゃない、これはさとりにとっては“命令”だろう。 人気はないとしても、野外で裸を曝すように私は言っているのだ。 それでも、さとりは小さく頷く。 その手が動く前に。 「きゃぁんっ!」 私の右手が後ろから布越しに秘部を捉える。 柔らかな肉と、むんと蒸れた熱気を手に感じる。 そして、一線を越えてしまった身体の素直な反応を、さとりの愛液の水気を指先に覚えて私は微笑む。 「下だけ脱げば十分だよ。」 何も言わずにさとりはピンク色の布地をずり下げた。 膝に引っ掛かったボトムの股のところに染みが出来ていて、そこから一筋の粘液がさとりの秘所に繋がっている。 さとりの身体を軽く横に向けると、改めて舌を絡め合う。 くちゅくちゅと水音がする。 右手を前からさとりの両脚の間に差し入れて、ぷっくりと充血したラビアに沿って指を前後させてやる。 止め処なく溢れる蜜が私の指を滑らせ、いやらしい音を立てる。 中指の先だけを軽く押し込むと、さとりの膣口はきゅんと締まって私を引き込もうとする。 抗うように指先を曲げ、内側からさとりを擽る。 我慢できずにさとりは唇を離し、脱力して私に寄り掛かった。 「ヤマ、メぇ……イっちゃいそう……」 震える声に左手であやすように背を撫でて応え、訴える快感には右手の親指がクリの包皮を剥いてあげてその先を促す。 「気を遣ってしまうんだね、どうぞご遠慮なく。」 中指をもう僅かに潜らせてさとりの敏感なところを擦り上げ、親指で剥き出しのクリを軽く撫でてあげる。 「ひ、あ、あぁぁぁ、あああああああっ……」 私の中指を痛いくらいに締め付けながら、さとりは震えながら絶頂に達してしまった…… ;第十二章 まだ息が荒いさとりを腕の中に収め、私はそっとうなじに口付ける。 包み込んだついでに控えめの胸を優しく撫で、頂を指先で軽くつつく。 小さく可愛らしい声を上げるさとりのうなじにもう一度唇を押し当て、私は囁き掛ける。 「少しは落ち着いたかい?」 「……はい。」 「じゃあ、上をごらん。」 「……あ……」 幹に背を預けた私のその腕の中で、さとりは桜を見上げる。 睦み合う間に東の空から昇った下弦の月に照らされ、桜の花びらが淡く輝いていた。 「一人で見るには勿体無くてね。私はあんたとこれが見たかったんだよ。」 「……綺麗ですね。」 「美人と見ると一層だよ。」 「戯言ですか?」 「本気さ。分かってる癖に。」 「……長生きしますよ、貴方は。」 嘆息交じりに言うさとりの胸をふにりと揉んであげると、すぐに可愛らしい喘ぎ声を上げて楽しませてくれる。 手を止めてからさとりの肩に顎を乗せて、無理に頬擦りする。 「好きだよ。」 「……ありがとうございます。」 少し離れた位置から訝しげに二人を見守っているような第三の目に手を伸ばすと、そちらも優しく撫でてあげる。 気の早い桜の花びらが数枚、さぁっと吹き渡った風に流れて行った。 素肌を冷やすようなその風に、私はさとりを抱き締める。 「着ても良いよ。風邪見舞いなんか御免だからね。」 「……え、あ、はい。」 「それとも、もっとしたかった?」 「……痴れ者。」 頬を薄紅に染めて押し黙ってしまったさとりを正面から抱きなおし、唇同士を触れ合わせる。 ……そしてそれからさもありなん、春の夜の朧霞に私達は優しく包まれていた。とある春の日の、とある幻想のお話。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/1666.html
音楽室 律「やっと終わったー!もう絶対にこんなことやらにゃいぞ!」 唯「あーあ、面白かったのに。まあ、また律にゃんをビリにすればいいか」 澪「唯、私は全面的に協力するぞ」 律「てめえら…見てろよ、私が勝ったらとんでもない罰ゲームを与えてやるにゃ」 梓(もう罰ゲームは終わってるのに、律先輩の語尾がウザいなぁ) ~ババ抜き中~ 梓「あ、私一番です」 律「ちっ、二番にゃ」 唯「三ばーん。残念」 紬「あら、上がりだわ」 澪「罰ゲームは私か…」 唯「あずにゃんが罰ゲーム決めるんだよ」 梓「あ、はい。…どうしよう」 律「エグい奴頼むにゃ。ひひひ」 紬「百合展開を所望するわ」 澪「うぅ…梓ぁ。怖いのはやめてくれよ」ウルウル 梓「こういうの苦手なんですが…」 唯「みんな!好き勝手言わないで!あずにゃんが困ってるよ!さああずにゃん、早く罰ゲームの発表を!」 梓「えっと、それじゃあ」 梓「今日と明日、澪先輩が私のお姉ちゃんになること!」 澪「…」 澪「えっ」 梓「えっ」 澪「なにそれこわい」 紬「うむ、いい罰ゲームだわ」 梓「わ、私一人っ子なのでお姉ちゃんがいたらどんな感じなのかなぁって…」 梓「べ、別に澪先輩だからこの罰ゲームにしたわけじゃないです!」 律「じゃあ私がビリだったら?」 梓「さあ?なんでもいいんじゃないですか?まあ、適当にゴミ拾いでもさせますよ」 律「ひどい扱いにゃ…」ポロポロ 澪「とにかく私は、明日の部活まで梓の姉になればいいんだな」 澪(簡単そうで良かった…) 唯「具体的には何を?」 梓「一緒に買い物したりご飯食べたり…おおおおふおふ…ろ…入ったり、一緒に寝た…り」ボソボソ 澪「え?最後の方がよく聞こえなかったんだけど」 梓「ととととにかく澪先輩は私のお姉ちゃんにならなきゃダメですー!」ジタバタ 澪「あ、ああ。わかったよ。そんなジタバタしなくても…」 ……… 唯「あずにゃんは絶対に姉妹関係を勘違いしてると思う」 律「お前と憂ちゃんのせいじゃないのか?」 律「じゃあ今日の部活はここまでにゃ」 唯「りっちゃんもうやめていいんだけど…まあ、いいか」 梓「じゃあ、帰ろうっか。お姉ちゃん」 澪「…」 梓「お姉ちゃん?」 澪「えっ?私?ああ、もう姉妹モードなのね」 梓「もう!真面目にやってよお姉ちゃん!」 澪(くっ…律にゃんも良かったが妹梓も捨てがたい…!) 帰路 梓「お姉ちゃん、アイス食べていかない?」 澪「いいよ。今日は特別にお姉ちゃんがおごってやろう」 梓「本当?お姉ちゃん大好き!」ダキッ 澪(うはwww) ……… 唯「もはや梓という名前の妹キャラじゃん」 紬「だがそれがいい」 アイス屋 梓「ちょこみんとください」 澪「じゃあ私も同じので」 梓「ダメ!別々のアイス買って半分こするの!」 澪「お、おぉ…なるほど」 澪(妹心って難しいな…) 店員「ふふ、仲のいい姉妹ですね」 梓「えへへ///」 梓「パクパク」 澪「ペロペロ」 梓「おいしいねっ、お姉ちゃん!」 澪「本当だな」 梓「お姉ちゃんのも~らい」パクッ 澪「あ、こら!はしたないぞ梓!」 梓「えへへ、お姉ちゃんも口の周りにアイスついててはしたないぞ」フキフキ 澪「ふふ、ありがと」 律『秋山、アウトー』 梓澪「えっ」 ダダダ 澪「え、ちょ何?意味わかんない意味わかんないってー!」 スパーン! 澪「ダアアアアアア! 澪「」 梓「い、一体これは…」 律『これじゃあ澪が姉じゃなくて梓が妹ににゃってます。今後澪が姉らしからぬ行動をとったらお尻スパーンにゃ』 澪梓(うぜぇ) 梓「すみません澪先輩…私ったら調子にのって…」 澪「いや、いいんだよ梓。私ももっと姉らしくしないとな」ナデナデ 梓「ゴロニャーン」 澪「今日と明日はいっぱい甘えていいからなっ」 梓「お姉ちゃん大好き!」ダキッ ……… 律「唯も憂ちゃんにあれくらい言ってやれよ」 唯「いやあ、私があんなこと言ったら憂に病院送りにされちゃうよ」 梓の家 澪「それじゃあ今日一日よろしくな、梓」 梓「はい、澪せんぱ…お姉ちゃん。私もあまり調子に乗らないようにしますね」 澪「ああ、頼むよ。ふふ」ナデナデ 梓「えへへ」 澪「それじゃあ、ゲームでもして遊ぼっか」 梓「もぅ!遊ぶ前に手洗いうがい着替えを済ませないとダメだよ!お姉ちゃん!」 澪「…」 律『秋山、アウトー』 澪「梓…」ポロポロ 梓「すいません…気を抜くとつい妹キャラに…」 スパーン! 澪「キューーーン!」 澪「」 梓「ごめんなさい…」 澪「いや、いいんだよ…外から帰ったら手洗いウガイだよな。うんうん」 ……… 律「ぷっ、澪は人が見てないと案外だらしないところがあるからにゃ」 唯「そうなの?」 律「あいつ、部屋にパンツやブラを脱ぎ散らかしてるんにゃぜ」 唯(いい加減りっちゃんの喋り方ウザったいなぁ) 澪「夕飯はカレーにしようか」 梓「いいですね。私もカレー大好きです」 澪「梓、今私達は姉妹なんだから敬語で話さなくていいんだよ」 梓「でも私、すぐ調子に乗っちゃうから…」 澪「大丈夫だって。お姉ちゃんに任せておけ」ダキッ 梓「お…お姉ちゃん!」ギュウッ 澪「あんまりくっつくなよ梓。歩きにくいだろ」 梓「だってお姉ちゃんプニプニしてて気持ちいいんだもん」 澪「困った子だな。まっそんなところが可愛いんだけど」 梓「へへ、私はお姉ちゃんのクールで優しいところが好き」 澪「ふふ、こいつぅ」ツンツン 梓澪「キャッキャウフフ」 未完 戻る
https://w.atwiki.jp/furudesanchi/pages/59.html
#blognavi 6月5日午前2時・・・。 チャット部屋にてあるゲームをしました。 みんなで文字をうっていって文章を完成させる。 この単純なゲームで魅音(三毛猫)が3回みすったので罰ゲームをおなじルールのもとみんなで作成しました。 ①・・・罰ゲームは語無(ゴム)パッキンでおしとやかかつエロく叩いて罵って言って欲しいから、おとこに攻められアーッ! ②・・・罰ゲームはさとしが魅惑のゴムパッキンでエロく儚く散って愉しいと思思(重々)しい雰囲気が漂う力を解き放つ! ③・・・罰ゲームはシラタマが三毛猫とゴムパッキンでエロさを解放 爆烈(爆裂) 龍虎さながらの戦いを妄想しつつ、実はREDがカブトムシを食べたくなくはないけど飲みこまされたと思った。 テラカオス!!(ぁ カテゴリ [日記] - trackback- 2007年06月05日 02 40 00 #blognavi
https://w.atwiki.jp/mustnotsearch/pages/2363.html
登録タグ ホラー 危険度1 心霊写真 ある物件の紹介画像がヒットする。 だがその中に謎の女性の影が…。 関連項目:アステカの祭壇 分類:ホラー 危険度:1 コメント おもんないなあ -- 名無しさん (2018-07-29 10 52 41) ・・・こんなとこ、絶対住みたくねぇ -- れいやん (2019-03-07 18 40 38) ここ昔墓地があったとか言う話絶対出てきそう -- メタトンNEO (2020-06-25 16 25 40) どこにおるん(・・? -- 🤪🤪🤪🤪🤪🤪🤪🤪 (2020-09-10 17 23 15) でも見方を変えたら覗いてるからただのへんた…うわなにをするやめ(2回目) -- 海草ライト君 (2021-02-21 15 26 02) 意外と有名だよね -- ゲーム太郎 (2021-04-26 18 02 46) 押入れのやつか -- 名無しさん (2022-06-13 20 38 22) 押し入れの冒険 -- ヘンリー (2023-04-04 05 04 03) いやでも覗き方とか顔を特定されない為の長い髪とか、色々「変態的」要素が・・・うっ!やめて!石投げないで!!! -- めろん (2023-10-19 00 10 12) これ危険度2か3はあるくらい怖いと思うんだが… -- 名無しさん (2024-01-28 08 38 23) 住みたくねぇ... -- いちご (2024-07-26 22 06 35) 名前 コメント