約 851,321 件
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2632.html
桜 54KB 悲劇 理不尽 差別・格差 群れ 自然界 ドスは登場しません… 『桜』 序、 「ゆゆっ!! ゆっくりできないゆっくりがいるのぜっ!!」 まりさの声を皮きりに数匹のゆっくりが集まってくる。その数は五匹程度のものだったが中央ですすり泣くゆっくりの体の大 きさとは比較にならず、その威圧感たるやまるで襲いかかってくる壁のようにも感じる。 「やめちぇにぇっ!! やめちぇにぇっ!!! こっちこにゃいでにぇっ!!!」 コロシアムの中央で怯える死刑囚のようにキョロキョロと辺りを見回しながら涙声を上げるのは、ピンポン玉サイズよりも少 し大きくなったくらいの赤ちゃんゆっくり。ボロボロの赤いリボンに泥で汚れた顔。赤れいむは警戒しながら同じ場所をくるく ると回転していた。 「おめめがみえないなんて、ぜんぜんゆっくりできてないのぜ!!」 「おお、あわれあわれ」 赤れいむは盲目だった。人間社会であればそれを理由に迫害するなど言語道断であるが、ゆっくりの社会ではありふれた日常 のワンシーンだ。 「やめちぇよぉぉぉ!! いちゃいことしにゃいでぇぇぇ!!!」 草の中に身をうずめてぷるぷると震える赤れいむのリボンをまりさが咥えて持ち上げる。 「ゆんやああああああ!!!!!」 あんよを右に左にくねらせ抵抗するも、まりさの捕縛から逃れることはできない。まりさは赤れいむのリボンを咥えたまま、 「ゆっくりできないゆっくりは……っ!」 「やめちぇえぇぇぇぇぇ!!!!」 「ゆっくりしねっ!!!」 唐突に叫んで赤れいむを草むらに叩きつける。これが都会だったら赤れいむはコンクリートに叩きつけられて致命傷を負うか、 最悪の場合即死していたとしても不思議ではない。 「いちゃいよぉぉぉぉぉ!!!」 柔らかい草むらの上で赤れいむが転がりながら泣き叫ぶ。見た目よりも赤れいむのダメージは大きなものではない。痛いのは 体ではなく心のほうだ。 まだまだ小さな赤れいむに理不尽な暴力を振るうのは事もあろうに群れの成体ゆっくりたちである。飾りを失ったゆっくり。 体になんらかの障害を負ったゆっくり。そういう状況下に置かれてしまったゆっくりは例外なく他のゆっくりから迫害を受ける。 「やめてねっ!! やめてねっ!!! れいむのかわいいちびちゃんをいじめないでねっ!!!」 盲目の子れいむが自身を唯一守ってくれる存在である、母れいむの声を聞きつけて大声で泣き出す。 「おきゃああああしゃああああああん!!!」 「ゆっくりやめてねっ!! ちびちゃんがいやがってるよっ!!! ぷっくうぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」 我が子の痛々しいまでの声に怒りを露わにする母れいむ。一対五であるにも関わらず、母れいむに飛びかかろうとするゆっく りは一匹もいない。母れいむを恐れているわけではなく、“同じゆっくり”に対して攻撃を仕掛けようとするのを躊躇している だけだ。 「れいむ! そんなゆっくりできないちびちゃんはさっさとすてて、まりさたちといっしょにゆっくりくらすのぜ!!」 捨て台詞を吐き、連れだって森の奥へと跳ねていく五匹のゆっくり。母れいむはその後ろ姿が視界から消えるのを確認したの ち、すぐさま赤れいむの元へと駆け寄って頬を舐めてやる。 「ちびちゃん! ぺーろぺーろ……」 「ゆーん……ゆーん……」 「ちびちゃん、もうだいじょうぶだよ! ちびちゃんをいじめるわるいゆっくりは、おかあさんがおいはらったよ」 安心させようと母れいむが声をかけるが赤れいむはなかなか泣き止まない。おろおろとし始める母れいむのいる方向に向かっ て赤れいむが口を開いた。 「おきゃ……しゃん……っ!!!」 「なぁに? ちびちゃん。 こわかったんだね? でも、もうあんしんしていいよっ!!」 「れーみゅを……しゅてにゃいで……」 「…………っ!!」 捨てるわけがない。こんなに可愛くて優しい愛する我が子を捨てたりするものか。母れいむはそれを言葉でなく心で伝えよう と赤れいむに対して力強く頬をすり寄せた。 その少し荒っぽくも温かい母れいむのすーりすーりに赤れいむがようやく涙を止める。まだ、ぐずってはいるものの落ち着い てきたようだ。 「ゆぐっ……ひっく……ゆぇ……」 「ごめんねっ! ごめんねっ! ずっとちびちゃんのそばにいてあげなかった、おかあさんがわるいよ!」 「ゆぅ……れーみゅ……ゆっくち……、ゆっくちしちゃいだけにゃのにぃ……」 先刻の叫び声よりも、その言葉は母れいむの心の奥を深く抉った。 母れいむは赤れいむを器用に頭の上に乗せると、ずりずりとあんよを這わせて森の入り口付近にある巣穴へと向かって行った。 その道中においても森のあちらこちらから他のゆっくりの視線を感じる。赤れいむもそういったものには敏感なのか、身をすく ませている。 (おめめのみえないちびちゃんは、ゆっくりできないよ) (あんなのがむれにいるなんて、ぜんぜんゆっくりしてないのぜ) (とかいはなありすに、いなかものがうつってしまうわ) (むきゅきゅ……はやくむれからでていけばいいのに……) ゆっくり界の差別は激しい。蔑まれる対象に対して感情を露骨にぶつけるため、人間のそれよりもタチが悪い。 このゆっくりの行動理由には諸説ある。“単に弱いものいじめが好き”とされる説などがそれに当たるが詳しいことは分かっ ていない。一説には“群れの秩序と安寧を守るための本能による行動”とするものもあるが、お世辞にもゆっくりがそれほど高 尚な思考を持って動いているとは到底思えない。 そう。到底、思えない。 一、 早朝。 まだ群れのゆっくりがどれ一匹たりとも起きていない森の中、白い息をぽつぽつと吐きながら土の上を這う母れいむの姿があ った。母れいむは余程のことがない限り跳ね回ったりしない。 ゆっくりにとって跳ねるという行為は体内の餡子を多く消費してしまう。そうなれば集める食料を増やさなければならない。 母れいむは効率よく狩りを行うことができなかった。まりさ種は帽子の中に食料を入れることができるし、ありす種は器用な舌 先で草を編んだ籠を作ったりする。ぱちゅりー種は他のゆっくりが知らないような食べ物を選定することができた。 しかし、れいむ種にそう言った類のスキルは皆無である。弁護するならば、れいむ種は“けっかいっ!”と呼ばれる巣穴のカ ムフラージュを得意とするがその力が発揮されるのはパートナーがいてこそである。 母れいむには、まりさ種のつがいがいた。そのまりさは人間によって面白半分で痛めつけられ最後には殺されてしまった。そ れはつい一週間前の出来事である。その時、まだ赤れいむは母れいむの頭から伸びる茎にぶら下がってゆらゆらと揺れていた。 母れいむ、母まりさの両者ともがこれから産まれてくる数匹の赤ちゃんゆっくりと一緒に幸せに暮らす日々を夢見ていた。 そんな儚い夢は本当に一瞬で消えてなくなってしまったのだ。 つがいであるまりさを殺され、茎に実った赤ゆは次々に潰されていった。人間たちは笑っていた。目の前で赤ちゃんを潰され 泣き叫ぶ母れいむを見て。転げ回るぐらいに笑っていたのだ。最後に残った赤れいむはシャーペンの先端を両目に刺されて放置 された。 小学生たちのストレス発散がゆっくりに向けられるような時代である。わざわざ森の中に入ってきてまで野生のゆっくりを潰 して遊ぼうとするのだ。恐ろしい世の中である。 赤れいむの目は生まれながらに見えなかったわけではない。それならば不謹慎ではあるが諦めがついた。何一つとして落ち度 がないにも関わらず奪われた我が子の光を思うと、怒りや悔しさを通り越してただ涙だけが溢れてくる。 「ゆっくり……ごはんさんをあつめるよ……!」 不器用な母れいむが見よう見まねで編んだ草の籠はボロボロである。何度やっても失敗ばかりでようやくそれらしく編むこと ができた籠も、籠と呼ぶにはおこがましいような酷い出来栄えのものばかりであった。 季節は晩秋。 来るべき冬に向けて越冬のための食料を少しでも多く集めなければならないこの状況下で、母れいむの抱えたビハインドはあ まりにも大きく心のどこかでは既に諦めかけてさえいる自分もいた。僅か一週間足らずで激変してしまった生活に慣れるには、 母れいむにとってあまりにも大きな難題だったのである。加えてゆっくりにそれほどの順応性などない。 「れいむ……」 不意に後ろから話しかけられた母れいむがびくん、と体全体を震わせながら恐る恐る振り返る。そこには金髪に赤いカチュー シャをつけた成体のゆっくり―――ありすがいた。母れいむとありすは幼馴染である。あの忌まわしい事件以来、こうして会う のは初めてだ。 「ありす……」 「れいむ! これをつかっても……いいのよ?」 ありすの上から目線はいつものことだ。幼いころからありすがそういう性格だったことを知っている母れいむは、そんなあり すのもの言いに対して腹を立てたりしない。それどころか幼馴染の自分に対する気遣いに心の奥がじんと熱くなるのを感じた。 目の前に置かれた草で編まれた籠は、隙間なく編み込まれている。口で咥えるための取っ手までついていた。 「ふ……ふんっ! そんないなかものな“かごさん”じゃ、あつめられるごはんさんもあつめられないわ!」 普段ならここでそっぽを向いて走り去っていくありすだが、母れいむを見つめたままだ。母れいむがぽろぽろと涙をこぼす。 ありすは泣いていた。母れいむのまりさを失った悲しみを汲んで泣いているのだ。 「ありす……っ!! ありすぅぅぅ!!!!」 「このいなかものっ! れいむがないてばかりいたら、ちびちゃんがかわいそうよ!」 頬をすり寄せながら涙を流す二匹。聞けば、ありすは母れいむのことをずっと心配していたらしい。群れのゆっくりから迫害 を受けていたことも知っていた。なんとか助けてあげたかったが、他のゆっくりにいじめられるのが怖くてあんよが動かなかっ たそうだ。“――――ありすは、とかいはじゃないわね……”と言葉を結び、少しだけ苦笑してみせた。それから一言だけ謝る。 母れいむもありすも、群れがどういう組織でゆっくりがどういう生き物かは十分に理解している。二匹とも、自分と深い間柄 にないゆっくりが群れから迫害されていたら、傍観者に徹していたか一緒になって差別をしていたかも知れない。それを分かっ ているからこそ、母れいむは群れのゆっくりたちに何も言うことができないのだ。 「ありす……ゆっくりありがとう。 でも、はやくおうちにかえったほうがいいよっ」 言葉の意味するところはありすにも理解できた。二匹のやり取りを見ているゆっくりがいれば、ありすまで差別の対象とみな されてしまう危険がある。 「れいむ……! こまったことがあればいつでもいいなさいっ!」 そう言ってぴょんぴょんと跳ねて去っていくありすの後姿を見て、母れいむはまた一筋涙をこぼした。 巣穴に戻ってきた母れいむの視界にまだ眠っている赤れいむの愛らしい寝顔が映る。“ゆぴぃ……ゆぴぃ……”と寝息を立て るその様子は障害なんてどこにもないかのように思えてしまう。母れいむは赤れいむを起こさないようにゆっくりゆっくり巣穴 の中を這って、集めてきた食料を奥に敷いてあった葉っぱの上に並べていった。 芋虫や花、木の実などが備蓄されていく。しかし、冬を越すには到底足りるような量ではない。母れいむと赤れいむの二匹だ けとは言え突き付けられた現実はあまりにも厳しいものであった。 (ゆっくり……どうしよう……) ありすの編んでくれた籠は少し大きめに作ってあった。これで食料集めの効率も少しは上がるだろう。それでも冷たい北風は 冬の足音がもうすぐそこまで来つつあることを告げている。時間的に間に合わない可能性が高いのだ。母れいむが溜め息をつく。 「ゆ……くち……」 赤れいむがもぞもぞと動きだす。瞼を開くと灰白色の瞳が現れた。その目に光は届いていないのだろう。赤れいむは体を一瞬 だけぶるっ、と震わせると、 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!」 元気よく朝の挨拶をした。 「ゆっくりしていってね!!!」 それに応える母れいむ。 「にょーびにょーびしゅりゅよっ!」 そう言ってゆんゆんと体を伸ばし始める。同じ姿勢のままでいると体内の餡子と皮が固まってしまい、動きづらくなってしま う。のーびのーびはそうならないように体を伸縮させて中身を流動させるための、朝の体操のようなものだ。 「ちびちゃん、あさごはんさんをいっしょにむーしゃむーしゃしようね!」 「ゆっくち~~~~♪」 母れいむが赤れいむの頬に自分の揉み上げを当てる。“こっちだよ”という合図だ。ずりずりと懸命に這いながら母れいむの 元へとやってくる。赤れいむの顔に小さな芋虫が触れた。舌を出して器用に芋虫を口に運ぶ。 「むーちゃ、むーちゃ……しあわちぇぇぇ!!!」 屈託のない笑顔。母れいむはこの笑顔を見るためだけに必死で生きていた。せめてもの救いは赤れいむが少食であったことだ ろう。暴飲暴食をしない赤れいむは育てやすいちびちゃんであった。 食事を終えた赤れいむに、母れいむがお歌を歌ってやる。赤れいむはその歌声に頬を緩ませ幸せな気分で満たされていった。 昨日は日向ぼっこをしに外に出たのがまずかったのだろう。母れいむもつい食料集めをしてしまった。反省の意を込めて、今日 は赤れいむとずっと一緒にいてあげるつもりだった。 「ゆゆ~ん♪ おきゃあしゃんのおうたしゃんは、ゆっくちできりゅにぇ」 「ゆゆっ……♪ ゆっくりうれしいよ……っ!!」 互いの頬を寄せ合い仲良く過ごす二匹の巣穴に来客者が訪れる。 「れいむ……はいってもいいかしら?」 突然の声に震えだす赤れいむ。母れいむも赤れいむの前に立ちはだかり警戒心を露わにする。入り口には“けっかいっ!”を 張っているはずである。並みのゆっくりであればそれを見破ることなどできないはずだ。母れいむの頬を冷や汗が伝った。 「むきゅぅ……なかなか、いいおうちね」 巣穴の中に入ってきたのはぱちゅりーだった。最近、群れにやってきたばかりの元・飼いゆっくりである。事情はよくわから ないが飼い主に捨てられ森を彷徨っていたところ、この群れにたどり着いたらしい。人間と関わった時間が長かったのか、ぱち ゅりーの知識は豊富で群れ中のゆっくりに歓迎された。虚勢を施されているため赤ちゃんを産むことはできないが、群れの参謀 としてリーダーまりさと共に暮らしている。 そんな本物の“森の賢者”であるぱちゅりーの前に母れいむの“けっかいっ!”は何の意味も成さなかったのだろう。 「むきゅっ。 ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!!」 穏やかな口調で挨拶をするぱちゅりーに親子ともどもお決まりの挨拶で応える。 「こんなところにおうちがあるなんて、ぜんぜんきづかなかったのぜ……」 そんな事を言いながら巣穴の奥に入ってくる別のゆっくりの這う音が聞こえてくる。母れいむが再び緊張した面持ちになる。 ぱちゅりーは笑って母れいむに“心配はいらない”と呟いた。 れいむ親子の巣穴に入ってきたのは群れを束ねるリーダーまりさだった。体格は並みの成体ゆっくりと変わらないが、群れの ゆっくりを想う行動や姿勢が仲間の信頼を集め、数代に渡って受けつがれてきたゆっくりぷれいすの若きリーダーとなっている。 特に喧嘩が強いわけでもなく、“けっかいっ!”を見破るほどの洞察力もないが、みんなリーダーまりさの事が大好きだった。 「れいむ……ゆっくりごめんなさいなのぜ……」 母れいむの前に現れたリーダーまりさが俯きながら口を開く。母れいむには目の前のリーダーまりさが何を謝っているか皆目 見当がつかなかった。ぱちゅりーがリーダーまりさの横で説明を始める。 ありす同様、リーダーまりさもぱちゅりーもれいむ親子の不幸を知っていたこと。それにより、れいむ親子が群れから迫害を 受けていること。ここまでは先刻のありすの言葉とほぼ同じである。 「むきゅぅ……まりさとぱちゅのふたりで、なんとかしてむれのみんなにやめさせようとしたのだけれど……」 その場では頷いていても、れいむ親子への迫害がなくなることはなかったのだと言う。群れのリーダーと参謀は、その事を謝 罪するためにれいむ親子のおうちへとやってきたのだった。 「それで……れいむはどうなるの……?」 悪い予感を感じる。母れいむは自分が群れから出て行くように言われるのだと思っていた。自然に涙が溢れてくる。泣きじゃ くる母れいむの元にリーダーまりさが跳ね寄る。 「れいむ! かんちがいするんじゃないのぜっ! れいむもそこのちびちゃんも、ぜったいにむれからおいだしたりしないのぜ!」 母れいむが涙を流しながらリーダーまりさに目を向ける。力強い視線が母れいむを捉えて離さない。 群れのリーダーとは言え思考が並みのゆっくりであれば、母れいむはすぐにでも群れを追放されていただろう。しかし、この リーダーまりさは違った。群れの中にいる全員のゆっくりがゆっくりできるようなゆっくりぷれいすを目指しているのだ。当然、 その中には障害を負わされてしまった赤れいむも、それを一生懸命育てようとしている母れいむも含まれている。 「ゆっくち……できりゅ?」 不意に赤れいむが尋ねる。その質問に対してはぱちゅりーが答えた。 「むきゅん! かならず、ゆっくりさせてあげるわ!!」 その一言に表情を輝かせてその場でたむたむと小さく跳ね始める赤れいむ。 「ゆっくち! ゆっくち!!!」 嬉しそうにはしゃぐ赤れいむの頬を母れいむが泣きながらぺーろぺーろしてあげている。 リーダーまりさとぱちゅりーは、当面やがて訪れる冬に向けてれいむ親子の分の食料もなんとか集めてみると約束して巣穴を 出て行った。 「ありがとう……! ありがとう……っ!!!」 感謝の言葉はいくら口に出しても途絶えることはない。母れいむはあの日以来初めて“悔しい”とか“悲しい”以外の感情で 涙を流していた。 二、 ゆっくりぷれいすで最も広い場所。そこに群れ中のゆっくりたちが集められた。円を描くように待機しているゆっくりの数は 百には満たないものの、その数の多さを感じさせるには十分である。 「ゆ……ゆゆゆ……」 その中央でがたがた震えているのは母れいむ。どのゆっくりとも目を合わせないように視線を泳がせている。傍らにはリーダ ーまりさが控えている。 「いったいなんなの……?」 「れいむをいじめているのがばれたのかしら……?」 「むのうなおやこを“せいっさいっ!”するのかもしれないわ……むきゃきゃ!」 ぼそぼそと小声で話をしているのが母れいむにまで届く。何を言っているのかはわからないが、自分たちのことを何か言われ ているのは間違いないようだ。あんよが震える。 「みんなっ!! ゆっくりきくのぜっ!!!」 リーダーまりさが母れいむの一歩前に出て叫ぶように口を開いた。鶴の一声でそれまで口々に騒いでいたゆっくりたちが一斉 に静まり返る。 「ここにいるれいむは、いっしょにくらしていたまりさと……もうすぐうまれるはずだったちびちゃんを“にんげんさん”にこ ろされたかわいそうなゆっくりなのぜ!!!!」 その事を知っているゆっくりもいたが、知らないゆっくりもいた。群れがざわつき始める。 「そんなれいむを……よってたかっていじめて……それでみんなはゆっくりできているのぜッ??!!!」 リーダーまりさが怒鳴りつけるように問いかけた後、反応を示さないゆっくりたちに向かってそのまま言葉をつなぐ。 「まりさには……みんなのほうがよっぽどゆっくりできていないようにみえるのぜ!!!!」 睨みつけるリーダーまりさの目は真剣そのものだ。どのゆっくりも下を向いたまま動かない。リーダーまりさの言葉は群れの ゆっくりたちにとって重くのしかかる。リーダーまりさに全幅の信頼を寄せていればこそだ。一匹一匹がリーダーまりさの問い かけに思考を巡らす。 リーダーまりさが深く呼吸をした。 「れいむのことをほかのゆっくりよりもだいじにあつかえとはいわないのぜ……」 その言葉に母れいむを含めた全てのゆっくりがリーダーまりさに視線を向ける。 「ただ……。 せめて、むれのなかまのゆっくりの、あんよをひっぱるようなまねだけは――――するななのぜ!!!!」 群れ中のゆっくりたちが目を閉じてリーダーまりさの叱責に怯える。母れいむはリーダーまりさに対しても、群れのゆっくり たちに対しても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。自分のせいでリーダーまりさを怒鳴らせてしまい、群れのゆっくりたちが 怒られてしまう。そう思いながらもどうすることもできない母れいむは唇を噛み締めて俯いているしかない。 「……まりさのはなしはおわりなのぜ。 みんな! もうすぐふゆさんがくるから、たべものをしっかりあつめて“えっとう” にそなえるんだぜ!! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!! ゆっくりりかいしたよ!!!」×87 ぴょんぴょんと散っていくゆっくりたち。 リーダーまりさの心配そうな表情は変わらない。その場の返事だけはいいのがゆっくりだ。自分も含めて群れの仲間もそうい うものだということをリーダーまりさは理解している。 「まりさ……」 不安そうに母れいむが寄ってくる。リーダーまりさも軽率な返事は返さない。今回の一件がある程度の抑止力にはなるだろう。 しかし冬が終わり、やがて春が訪れた時にれいむ親子への迫害が完全に無くなっているかどうか、と問われれば答えはノーだ。 喉元過ぎれば何とやら。それが特に顕著なゆっくりであればなおさらの話である。 「れいむ……。 もしよければ、ちびちゃんをぱちゅりーにあずけるのぜ……?」 これからごく僅かな時間で越冬に備えた食料を蓄えねばならない。盲目の赤れいむの世話をしながらではその作業がままなら ないのではないか。それを懸念しての意見である。当然、母れいむは顔を横に振った。 「そこまでめいわくはかけられないよ……」 「……じゃあ、どうするのぜ? いまのままじゃ――――」 その時。 どこからともなく聞こえてくる優しいメロディが風に運ばれて二匹の元へと届いた。温かく、でもどこか寂しげな……お歌。 「……ちびちゃん……」 母れいむが呟く。その言葉にリーダーまりさは驚きを隠せない。思わず質問する。 「この、おうたは……れいむのちびちゃんがうたっているのぜ……?」 無言で頷く母れいむの姿を見て、リーダーまりさは自分の巣穴を凝視する。確かにお歌はその中から聞こえてきているようだ。 生後一週間とはとても思えない声量と歌唱力。才能の片鱗を見せつけるかのような透き通った歌声に、先ほど散っていったはず のゆっくりが数匹きょろきょろと辺りを見回しながら戻ってくる。 しかし、そのお歌はすぐに終わってしまった。がっかりしたような表情で広場から去っていくゆっくりたち。 「ちびちゃんは……あんまりながくはうたえないんだよ……」 「どうしてなのぜ?」 「うたのつづきが……おもいうかばない、っていってたよ……」 リーダーまりさは驚きを隠せないでいた。あれほどのお歌を即興で歌っていたというのだろうか。思わず身震いしてしまう。 光を奪われたことによって瞼は常に閉ざされたままだが、赤れいむは容姿端麗なゆっくりであった。成長すれば群れの花とし て他のゆっくりたちが放ってはおかなかっただろう。群れ一番の歌姫となれる資質を秘めていたかも知れない。 母れいむとリーダーまりさはずりずりとあんよを這わせながら赤れいむとぱちゅりーの待つ巣穴の奥へと向かった。巣穴の中 で楽しそうにぱちゅりーと遊んでいる赤れいむを見て、母れいむが思わず安堵の溜め息を漏らす。 「むきゅ! とってもきれいで、ゆっくりしているのよ」 「ゆゆーん! れーみゅも、さくらしゃん……みちゃきゃったよ!!」 リーダーまりさが備蓄してあった食料の中からキノコと芋虫を取り出して、れいむ親子に振舞う。その準備をしながら二匹の 会話に混ざる。 「なんのおはなしをしているのぜ?」 「むきゅきゅ……。 れいむとおちびちゃんがすんでいるおうちのちかくに、きれいなさくらがさくのをおしえてあげたのよ」 「さくら……?」 初めて聞く単語に母れいむが顔をかしげる。 ぱちゅりーは飼いゆっくりとして二年間も人間と同じ時を過ごしていた。銀バッジを取得していたぱちゅりーは頭も性格もよ く、厳しく躾けられてもいたため飼い主と仲良く暮らしていたそうだ。ぱちゅりーとその飼い主は群れのある森の近くで暮らし ていたため、一人と一匹でよくこの辺りまで散歩にきていたらしい。 そのとき、満開になった桜を初めて見たのだ。あまりの綺麗さに言葉を失っていたぱちゅりーに飼い主が桜の話をしてくれた。 春になると咲くこと。それを見ながら気の合う仲間と一緒に美味しい物を食べたりするのを“お花見”ということ。 飼い主がぱちゅりーに教えてくれた事はたくさんあったが、桜に心を奪われていたぱちゅりーにとってはこの話が一番記憶に 残っている。 話をするぱちゅりーの表情も、話の内容も楽しそうで母れいむは思わず笑顔になった。久しぶりにゆっくりした時間を過ごし ているように思える。リーダーまりさはそんな母れいむの横顔を見て少しだけ安心した。 まだ“れいむはちゃんと笑えるんだ”と分かっただけでも嬉しくなった。同時に、リーダーとしてこの笑顔を自分が守ってみ せなければならないことを強く決意する。 「それにしてもおちびちゃんは、おうたがじょうずね。 ぱちゅ、びっくりしちゃったわ」 「おきゃあしゃんが、いつもれーみゅにうちゃってきかせちぇくれりゅおうたしゃんのほうがじょうずだよっ」 母れいむが恥ずかしそうに頬を染める。ゆっくりのお歌は一子相伝であり親ゆっくりの歌ったメロディを子ゆっくりが覚えて、 それを自分なりにアレンジしていくことで新しいお歌となる。ゆっくり界において、一つとして同じ歌はないのだ。れいむ親子 のお歌のメロディも、母れいむの母親の。そのまた母親の代からずっと続いてきたものである。余談ではあるが、母れいむをつ がいに選んだ母まりさも、母れいむの歌に聞き惚れて恋に落ちたのであった。 「ゆ! それじゃあ、はるさんがきたらみんなで“おはなみ”をするのぜっ!!」 リーダーまりさの提案に表情を輝かせるのは赤れいむである。ぱちゅりーから聞かされた、とても楽しそうでとてもゆっくり できそうな“お花見”を自分たちもできるかも知れない。それを想像するだけで心が躍り出す。そんな嬉しそうな表情を見せら れては、母れいむもぱちゅりーも承認せざるを得なかった。元より、反対するつもりなどなかったのだが。 三、 ありすから貰ったかごを口に咥えた母れいむがその中に食料を入れていく。ここ数日はぱちゅりーが食料を分けてくれていた ので、狩りに向かう前にしっかりと朝食を食べることができるようになっていた。おかげで狩りの効率も上がり、巣穴の中に貯 められた食料は少しずつではあるが増えてきている。 (さむいけど……ゆっくりがんばるよ!) 冷たい風が容赦なく母れいむの頬を刺す。群れのゆっくりたちは食料集めが終わったのかほとんど外に出ていない。 朝夕は特に冷え込みが激しくなってきた。ゆっくりは皮や中身の餡子が寒さで固まってしまうと動けなくなる。動きが鈍くな ってしまう前に巣穴に戻らねばならないのだ。そのため狩りの時間は限られてしまう。 陽が高いうちに少しでも多くの食料を集めねばならない。母れいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて巣穴まで戻ってきた。かごに 食料が入りきらなくなったのだ。 「ゆあ……」 母れいむが立ち止まる。巣穴の“けっかいっ!”が壊されていた。咥えていたかごを草の上に落とす。 「やめちぇよぉぉ!!! れーみゅたちのごはんしゃんがあぁぁぁぁ!!!」 巣穴の中から赤れいむの悲痛な声が聞こえてきた。母れいむが巣穴の中に飛び込む。そこには数匹のゆっくりがいた。事もあ ろうに母れいむが死ぬ思いで集めた食料を食い散らかしている。 「どぼじでごんな゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ!!!!!!」 母れいむが巣穴の中で叫ぶ。赤れいむは無事のようだった。母れいむの声のした方向に向かって跳ねてくる。 「れいむたちばっかりずるいのぜ!」 「りーだーからたすけてもらってばかりなんて、とかいはじゃないわ」 「やめてえぇえぇえぇえ!!!! ごはんさんをむーしゃむーしゃされたら、ふゆさんをこせなくなっちゃうよぉぉぉ!!!」 「だまるのぜ! ゆっくりできないちびちゃんも、むのうなれいむも、ゆっくりできなくなればいいのぜ!!!」 「わかるよー! れいむたちがいなくなっても、ちぇんはこまらないんだねー!!!」 言葉の暴力によって心が打ちひしがれる。母れいむは悔しさのあまり涙を滝のように流していた。赤れいむも声を上げずに泣 いている。 「ぱちゅりーのあとをついていって、せいかいだったんだねー」 「うっめ! これめっちゃうっめ! ぱねぇ!!」 「あんまりたべてばっかりじゃだめよ。 すこしはもってかえらないと」 必死になって集めた食料がどんどん消えて無くなっていく。狭い巣穴の中で喧嘩をするわけにはいかない。巻き込まれた赤れ いむがケガをしてしまう可能性がある。それ以前に、三匹の成体ゆっくりを相手に喧嘩を挑んでは自分の身すら危うい。目の前 で繰り広げられる略奪行為をただ眺めることしかできなかった。 「ゆ~! いっぱいたべたからうんうんしたくなってきたのぜ! ……すっきりー!!」 「もう! まりさったらとかいはじゃないわ!!」 巣穴の中央でうんうんを捻り出すまりさの顔はあまりにも醜悪なものであった。悪臭が漂い始める。赤れいむは母れいむの髪 の中に隠れた。母れいむは涙を流すのみである。 「こんなくさいおうち、はやくでていくんだねー……」 ちぇんの言葉を皮きりに三匹はぞろぞろと巣穴の入り口へと這って行った。 「ゆふん!」 「……っ!」 すれ違い様、母れいむの顔に唾を吐きかけるまりさ。それを見て三匹はゲラゲラと笑っていた。 巣穴の中を静寂が包む。食い荒らされ、奪われた食料の残りに目を向ける。 「……ゆぐっ……」 思わず唇を噛み締め嗚咽を漏らす。母れいむは悟った。もう絶対に冬を越すことはできない。二匹に春は訪れない。 普段なら赤れいむに心配をかけまいと気丈に振舞うことのできる母れいむだったが、今日に限っては涙が止めどなく溢れてく る。悔しさのあまりに全身の震えが止まらない。それは赤れいむにも伝わっていることだろう。抑えようにも嗚咽を止めること はできない。本来なら赤れいむの前で母親である自分が泣きだすなどあってはならないことだ。赤れいむの不安を取り除いてあ げるのが自分のやるべきことではないのか。自問自答しながら、母れいむはただひたすらに泣いた。自分の無力さを嘆いて。あ まりにも理不尽な仕打ちを呪って。誰にぶつけることもできない冷たく暗い感情を涙に変えて流すことしかできなかった。 「どうして……ッ?! れいむたちなんにもわるいことしてないのにっ!!!! みんなひどいよっ!! どうしてれいむたち ばっかりこんなめにあわないといけないのっ?! ……もうやだぁっ!!! おうちかえる!!!!!」 そんなことを喚き散らしながら泣き狂う母れいむ。赤れいむはそんな母親の悲痛な声を聞いているのが辛くて堪らなかった。 「おきゃーしゃ……。 おきゃーしゃん!! ゆあああん!!! ゆっくち! ゆっくちぃぃぃ!!!!!」 赤れいむは何とかして母れいむに落ち着いてもらいたかった。しかし母れいむの位置を知る手掛かりは泣き声しかない。下手 に近寄れば踏み潰されてしまう危険すらある。ただひたすらにおろおろするばかりだった。そんな赤れいむの姿が母れいむの視 界に入る。小さな体。閉ざされた目尻からは涙が細く伝っている。自分を心配してくれている事が痛いほど理解できた。 (ちびちゃん……っ! ごめんねっ!! ごめんねっ!!! ゆっくりさせてあげられなくてごめんねっ!! ごめんねっ!!!) 赤れいむの姿が滲む。顔全体を左右に振ってきょろきょろと母れいむを探し続ける様子が痛々しい。母れいむの呼吸が少しず つ荒くなっていく。 ――――そんなゆっくりできないちびちゃんはさっさとすてて、まりさたちといっしょにゆっくりくらすのぜ!! いつか聞いた言葉。その言葉がまるで囁かれるかのように母れいむの記憶に蘇る。 「おきゃーしゃあん!! どきょぉ? どきょお?!」 母れいむが泣きじゃくるのをやめたせいか赤れいむには母親がどこにいるかわからないらしい。母れいむは虚ろな視線を赤れ いむにぶつけたまま切れ切れに呼吸をしていた。冷や汗がだらだらと頬を伝う。赤れいむに向けられた慈悲の瞳はまるで無力な 自分自身の姿を覗きこんでいるかのようだ。その瞳が狂気の色に染まってゆく。 泣きじゃくる赤れいむ。自分自身。 何も見えずにその場で右往左往するしかない赤れいむ。自分自身。 それでもなお必死に生きようとする赤れいむ。 ……生きようとした、自分自身。 そこに鏡があるから、映し出された自分の心を見て辛い思いをするのだ。ならば、その鏡を壊してしまえばいい。涙が一粒、 二粒頬を伝い落ちる。 (――――ちびちゃん……。 えいえんに……ゆっくりしていってね……っ!!!!!) あんよに力をかける。 「おきゃああああしゃああああああああん!!!!!!!!!!」 その小さな体のどこから今の声を出したのだろうか。歌姫の資質を持っていた赤れいむは、幼いとはいえ成体ゆっくり顔負け、 あるいはそれ以上の声量を誇る。凄まじい音の衝撃が巣穴の壁に反響して母れいむの体を……いや、心を震わせた。 「れーみゅ……っ!! ごはんしゃん、むーしゃむーしゃできなくちぇもいいきゃらっ!!! おにゃかがすいちぇもがまんで きりゅよっ!!!! もっちょがまんしなきゃいけにゃいなら、もっちょがまんしゅりゅよっ!!!」 母れいむが言葉を失う。今、この赤れいむは何と言ったのだろうか。聞き違いでなければ“もっと我慢しなきゃいけないなら、 もっと我慢する”……そう言ったように聞こえる。文字通り目を丸くした母れいむが赤れいむに尋ねた。 「ちびちゃん……? どういうことなの……?」 赤れいむがその母れいむの声のする方に顔を向ける。 「もっと、むーしゃむーしゃ……したかったの?」 「ゆぐっ……ひっく……、ゆ……ゆんっ……!」 頷く赤れいむ。母れいむは瞼を閉じたまま泣き続ける赤れいむに釘づけである。二の句を継げないでいる母れいむに赤れいむ が恐る恐るといった様子で言葉を続ける。 「おきゃーしゃん……ごはんしゃん……たくしゃんとっちぇくりゅのは……たいへんだちょ……おもっちぇ……しょれで……。 しょれで……っ!! ごめんなしゃい!! れーみゅ……れーみゅ……ほんちょは……もっちょ、むーちゃむーちゃしちゃくて ……っ!!!」 恐らく、赤れいむはこんなことを言うつもりではなかったのだろう。表情の端々から後悔の念が汲み取れる。 少食などではなかったのだ。それは母れいむの“思い込み”だった。しかしそれは仕方のない事でもある。生まれて一カ月も 経たない赤ちゃんゆっくりが母親ゆっくりに対してそんな気遣いをできるわけがないはずだ。母れいむの目から涙が更に溢れて くる。本当に申し訳なさそうに泣いている赤れいむを見ると心がギシギシと音を立てて軋む。気付かなかったのだ。赤れいむの 優しさに。赤れいむを何とかして育てることしか頭になかった……、あるいは考える余裕がなかった母れいむにその健気な姿を 見ることはできなかった。 日々の辛い生活。群れの仲間からの過酷な仕打ち。最愛のまりさの忘れ形見であるたった一匹の我が子。 それらすべてが、母れいむを盲目にさせていた。こんなに近い場所にいる赤れいむの親を想う強い気持ちにさえ、気づいてあ げることができなかった。 「おきゃーしゃ……」 赤れいむの元に駆け寄り頬をすり寄せる。赤れいむがどんな表情をしているかはわからない。わからないが、そうせずにはい られなかった。心の奥から流れ出す数多の想い。感謝と、懺悔と、後悔と……その全てが入り混じったような複雑な気持ち。 「ゆゆーん……しゅーり……しゅーり……」 母れいむのすーりすーりに応えるように頬を動かし始める赤れいむ。母れいむの愛情が赤れいむに浸透していく。その想いが 旋律となって赤れいむの口から流れ出した。 泣きながらその“お歌”を聴いている。親子ともども泣き疲れて眠るまで……赤れいむの優しく儚い……“お歌”は続いた。 四、 「おきゃーしゃあああん!!! おきゃーしゃあああん!!! やじゃ……っ!! れーみゅは……おきゃーしゃんといっちょ にゆっくちしちゃいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」 リーダーまりさの巣穴の奥から赤れいむの叫び声が聞こえる。母れいむは決して良くはない頭で一生懸命考えた。赤れいむを どうするか。もはや自分一人ではどうすることもできなかった。それでも、母れいむは赤れいむと一緒にゆっくりと生きていた かった。どれだけ辛い目に逢おうとも、赤れいむと一緒であれば絶対にゆっくりすることができる。そう信じて、赤れいむをリ ーダーまりさとぱちゅりーに預けたのだ。 「れいむ……はるさんがきたら、ちびちゃんといっしょにむかえにいくのぜ……」 「ゆっくりりかいしたよ……」 振り返らずに答える母れいむの後姿を見てリーダーまりさは何か声をかけようとしたが、言葉にならなかった。ずりずりとあ んよを這わせてその場を去っていく母れいむを見ていることしかできないリーダーまりさは、自分の無力さを呪っていた。 「おきゃーしゃん!! おきゃーしゃん!!! ゆんやあああああ!!!!!」 赤れいむの声が聞こえなくなるまでは絶対に振り返らない。母れいむはそう決めていた。そうしなければ、すぐにでもリーダ ーまりさの巣穴の中に飛び込んで、赤れいむを咥えて自分たちの巣穴に逃げ込んでしまうような気がしていたから。そんな事を 思いながら、泣くのを堪えながらあんよを動かしているのに。赤れいむの悲痛な声はいつまで経っても聞こえなくなることはな かった。 ようやく。赤れいむの声が聞こえなくなったときはもう自分の巣穴の傍まで来ていた。振り返る。ぼろぼろと涙が溢れだす。 (あいたい……っ!! ちびちゃんにあいたい……っ!!!!) 「じぶんでそだてられないからって、りーだーにちびちゃんをあずけるなんて……さいていのげすゆっくりなのぜ」 「?!」 気がつくと数匹のゆっくりに囲まれていた。 「りーだーはみんなをゆっくりさせるためにがんばっているのに、ふたんをふやすなんてとかいはじゃないわ!」 「れいむ! あんなゆっくりできないちびちゃんなんかいらないのぜっ!!! おめめがみえないんじゃなんにもできないのぜ! ごはんさんだってじぶんであつめられないし……そんなやくにたたないゆっくりと、ずっといっしょにゆっくりしたいなんてい うゆっくりもいないのぜ!!」 「むきゅ! もりのけんじゃのぱちゅがおしえてあげるわ! あのちびちゃんには、ゆっくりさせてあげるひつようなんてない のよ! だって、だれもゆっくりさせてあげることができないんだもの!!」 辛辣な言葉が雨のように降り注ぐ。その“雨”に打たれながら体を震わせ涙をこぼす。言いたいことはたくさんあった。たく さんあるのにそれを言葉に出すことはできない。余計な体力を使うのは惜しまれる。そんな言い訳を頭の中で巡らせながら、何 事もなかったかのようにその場を立ち去ろうとする母れいむ。ゆっくりたちはそれを許さなかった。 「むしするななのぜぇぇぇぇぇ!!!!」 一匹のまりさが体当たりで母れいむを弾き飛ばす。ごろごろと転がった母れいむが木にぶつかって止まった時には、ゆっくり たちによるリンチが始まっていた。 「りーだーをゆっくりさせないゆっくりはしねっ!!!!」 ちゃちな大義名分である。本音は抵抗するだけの力もなく、仕返しを企てる仲間もいないゆっくりに対して一方的な暴力を振 るっていたいだけのくせに。それで自分は強いと……正しいと思い込みたいだけのくせに。繰り返される体当たり。それでも致 命傷を与えないようにだけは気をつけているのが理解できる。同族殺しはゆっくりできないのだ。それが“せいっさいっ!”で ないことを窺わせている。弱者を虐げることで、一時の“ゆっくり”に酔っているだけのことなのだ。 母れいむが解放されたときは山の向こうに夕日が沈みかけていた。気温がぐんぐん下がっていく。それに比例するかのように 母れいむの体温も下がっていった。自分の体の内側が……外側が思うように動かなくなっていくのが理解できる。それは恐ろし いことだった。だが同時に安心している自分もいた。このまま目を閉じていれば、永遠にゆっくりすることができるだろうか。 誰にも迫害されずに、日々を生き抜くためにゆっくりできなくなることもなく、幸せな時を過ごすことができるようになるのだ ろうか。それはあまりにも甘美な誘惑。全てに疲れ果てていた。母れいむのゆん生をまるっきり変えてしまったあの日から時間 は決して経ってはいない。しかし、この過酷な日々はゆっくりにとっては地獄そのものであり、延々と続く迫害は母れいむの居 場所さえも奪っていった。 「れいむ……。 もう、えいえんに……ゆっくりしたいよ……」 願いを呟く。それは誰に対しての願いだったのだろう。殺されたつがいのまりさか、育ててあげられなかった赤れいむか。寒 さは体力を奪い母れいむの意識を徐々に掻き消していく。 「もっと……ゆっくりした、か……――――」 「れいむ!!! れいむ!!! ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!!!」 薄れゆく意識の片隅。懐かしい友の声が聞こえる。夢か現か。今の母れいむにとってそれはどうでもいいことだった。閉ざさ れてしまった瞳には何も映らない。 「れいむ!! とかいはじゃないわっ!!! はやくおめめをあけなさい!!!!」 叫びながら母れいむを揺するありす。返事をしない母れいむの揉み上げを咥えて引っ張る。ありすは独身ゆっくりだ。巣穴の 中に母れいむをかくまっても文句を言うような輩はいない。 「……れいむっ!! れいむっ!!!」 「ゆ……く、り……」 「とかいはだわっ! はやくありすのおうちにきなさいっ! ごはんさんくらいなら、むーしゃむーしゃさせてあげてもいいの よっ?! なにかってにえいえんにゆっくりしようとしてるの?! ばかなの? しぬのっ?! し、しなせたりなんかしない んだからっ!!!!」 矢継ぎ早に激励しているのか罵倒しているのかよく分からない口調でまくし立てる。ありすはべそべそ泣いていた。母れいむ の目から涙がこぼれる。自分のために泣いてくれる相手がいるということがどれほど嬉しくて幸せなことか。視界の中にありす を入れたことで安心したのか、母れいむはそのまま深い眠りに落ちてしまった。ありすは気を失ったかのように眠り続ける母れ いむを自分の巣穴まで運ぶと、頬をすり寄せたりぺーろぺーろと舐めたりしながら看病をした。母れいむが目覚めた後、すぐに 食事を与えることができるように葉っぱの上に芋虫やキノコを並べていく。ありすにとって母れいむは幼馴染だ。他者と付き合 うことが苦手なありすが心を許せる数少ない存在。 「ゆ……ゆ……ゆ……」 苦しそうにうめき声をあげる母れいむ。うなされているのだろう。ありすは何とかしてその苦しみから母れいむを救ってあげ たいと願ったが、夢の中にまで手を差し伸べてあげることはできない。巣穴の中。母れいむの隣。冷や汗をかきながら辛そうに 眠る母れいむを見ていることしかできなかった。 母れいむが目覚めたとき、すぐ傍にありすがいた。泣き疲れて眠ってしまったのか寝息を立てている。ありすの巣穴は入り口 からの距離が比較的短い。月明かりが母れいむの周囲を照らしていた。葉っぱの上に置かれた芋虫やキノコ。ありすが用意して くれたのだろう。母れいむはそれに口をつける気にはなれなかった。不意にこれまで少ない食事を我慢して自分を気遣っていた 赤れいむのことを思い出したからだ。 「ちびちゃん……きづいてあげられなくて、ごめんね……」 「れいむ……?」 母れいむのつぶやきにありすが目を覚ました。ぐいっと顔を近づける。虚ろな眼差しでありすを見つめる母れいむ。ありすが 安堵の表情を浮かべた。疲れ切ってはいるが、母れいむの瞳はまだ生きている。それが嬉しくてまた泣きそうになってしまうが、 それよりも先に言っておきたいことがある。 「れいむ。 ちびちゃんをりーだーにあずけた、っていうのはほんとうなのかしら……?」 「ほんとうだよ……」 「そう……」 「……ありも、れいむのことをゆっくりできないゆっくりだっていいたいんでしょ……?」 「ち、ちが……」 「れいむだって! ちびちゃんといっしょにゆっくりしたいよ!! でももうごはんさんをちびちゃんのぶんまであつめられな いんだよっ!! せっかくあつめたごはんさんもほかのゆっくりにむーしゃむーしゃされてなくなっちゃったよ!!! それな のに、ぜんぶれいむがわるいの?! どうして? どうしてれいむばっかりがこんなめにあわないといけないのっ?!!」 「れいむ! おねがいだからおちついて!!!」 「ゆあああああん!! もうやだ!!! れいむも、ちびちゃんも、えいえんにゆっくりしちゃえばいいんだあああ!!!!」 鋭い音が巣穴の中に響いた。母れいむが自分の身に何が起こったのかを理解するのに一瞬のタイムラグが生じる。頬と後頭部 に鈍い痛みが感じられた。ゆっくりと視線をありすに向ける。ありすは震えながら、泣きながら、母れいむのことを睨みつけて いた。母れいむの顔が青ざめていく。違うのだ。ありすにこんな事を言うつもりはなかった。 「どおしてそんなこというのっ?!」 言葉を失う。ありすの問いかけに対して何も答えることができない。巣穴の中を静寂が包んだ。 「れいむ。 あなたにはきこえないのかしら?」 「……ゆ?」 母れいむが意識を巣穴の外に向ける。静まりかえった森の向こう側。乾いた空気に乗って微かに何かが聞こえてくる。母れい むが巣穴の外に這い出た。夜の風が頬を撫でる。 ……ゆー、ゆー……ゆぅ……♪ 歌声だった。忘れるわけもない透き通った声と聞き慣れたメロディ。この歌を歌っているのは赤れいむだ。リーダーまりさの 巣穴からここまでどれほどの距離があったであろうか。巣穴の外で歌い続けているのかも知れない。まるで、自分の傍から離れ てしまった母れいむに歌で呼びかけているかのように感じた。人間には決して理解することのできないゆっくりのお歌。しかし、 ゆっくりはその歌詞を理解することができる。冷たい草むらに突っ伏し母れいむは声も出さずに泣き続けた。 「れいむ。 おねがいだからもうあんなこといわないで。 あなたがいなくなったら、ありすもちびちゃんも……りーだーだっ てかなしむわ……。 あなたをわるくいうゆっくりもたくさんいるけれど、あなたのことをだいすきなゆっくりもいるっていう ことを……ゆっくりりかいしてね?」 「ゆぐ……ぅ、ゆぇぇ……ゆ……く、り……りかい……したよ……」 ありすは少しだけ口元を緩めると母れいむの頬にすーりすーりをした。 (れいむのちびちゃん……あなたのきもちは、きっとおかあさんにとどいているわ) 次の日も。そのまた次の日も。赤れいむのお歌が聞こえてきた。 ありすづてに聞いた話によると、赤れいむがお歌の練習をしたいと言い出してぱちゅりー監督のもと巣穴のすぐ近くで歌い続 けているらしい。最近では赤れいむの歌声を聴くために姿は見せないものの群れのゆっくりがやって来ているそうだ。そのお歌 は、赤れいむから母れいむへ送るこの世に一曲しかないお歌だった。群れのゆっくりたちもまた、ゆっくりの子である。今はも う永遠にゆっくりしてしまった母親ゆっくりへの思いを馳せてしまうのか、涙するゆっくりが多いと聞く。 真冬になっても赤れいむは歌い続けた。今頃は成長して子ゆっくりぐらいの大きさになっているかも知れない。そんな久しく 会わない愛しの我が子の姿を瞼の裏に浮かべては小さくすすり泣く日々。この地域は冬と言っても昼の間はそれなりに気温が高 くなる。おかげでこのわずかな時間を狙って狩りに出れば、効率は悪いものの一日を何とか生きていくぐらいの食料を集めるこ とはできた。 赤れいむはお歌を歌い続けることで群れのゆっくりたちにその存在を認められつつあった。 毎日、毎日、歌い続けた結果であろう。少しずつ認識が変わっていったのだ。いや、赤れいむ自らが変えていったと言うほう が正しいのかも知れない。自分の力で道を切り開いていこうとする赤れいむに応えるかのように、母れいむもまた一匹だけで冬 を越すことを望んだ。ありすに冬の間だけでも一緒に暮らしてはどうかと誘われたが断った。事情を聞いたありすは少しだけ悲 しそうな顔をして嬉しそうに「れいむはとかいはなゆっくりだわ!」と言ってくれた。 母れいむ。赤れいむ。ありす。リーダーまりさ。ぱちゅりー。 それぞれの思いを乗せて季節は少しずつ巡っていく。春の足音が聞こえてくるようになっても、赤れいむはお歌を歌い続けて いた。暖かくなってきたある日。母れいむの巣穴の前に芋虫や木の実、草やキノコが置いてあった。ころころと笑いながらあり すが説明をする。この食べ物は群れのゆっくりたちが置いていったらしい。母れいむは本当にうっすらと笑みを浮かべた。 (……ちびちゃんの、おかげだね……) 助けなければならない。自分の命に替えてでも。そんなことを思いながら赤れいむと過ごしてきたつもりだったが、助けられ たのは自分のほうだった。群れのゆっくりの心にも届いたのだろう。赤れいむが母れいむを想う気持ちの深さや、強い絆を。母 れいむが一匹だけで冬を越そうとしてる話もまた、リーダーまりさたちの周りにまで届いていた。 (ちびちゃん……) (おかあさん……) ((ゆっくり……あいたいよ)) やがて……森に春が訪れた。 五、 ある日、母れいむの巣穴にぱちゅりーがやってきた。相変わらず母れいむの結界は見破られているようだ。 「れいむ……はるさんがきたら、おはなみをするっていうはなしをおぼえているかしら?」 「ゆっくりおぼえてるよ」 「もう、さくらがさいているわ……ちかいうちにおはなみをしようとおもうのだけれど、そのときあずかっていたちびちゃんを れいむにかえすわね」 「ゆっくり……りかいしたよ」 「むきゅ……もしかして、こわいのかしら?」 「…………」 「だいじょうぶよ。 ちびちゃんはれいむのことをおこったりなんてしてないわ。 はやくおかあさんにあいたい、ってそれば っかりよ」 「ゆぁ……」 「むきゅきゅ……ぱちゅもちびちゃんがいたら、れいむのきもちがわかるようになるかもしれないけれど……」 ぱちゅりーは元飼いゆっくりだ。ペットショップで避妊と去勢を行われているため、赤ちゃんを作ることはできない。ぱちゅ りーは母れいむに向かって「あなたはしあわせなゆっくりだわ」と言っていた。赤れいむにあんなにも愛されて。赤れいむをこ んなにも愛することができて、幸せだと。どんなに離れていてもお互いに親子として生きていけることが羨ましくて仕方がない と。 ゆっくりに暦の概念はないが四月に入った。桜の花が咲き乱れている。母れいむはそれをぼんやりと眺めて「あれがぱちゅり ーのいっていたさくらかな」などと想いを巡らせていた。風が吹くと桜の花びらが宙を舞う。 「ゆっくり……きれいだよ」 リーダーまりさが母れいむの巣穴にやってきた。今日は兼ねてから計画のあった花見の日だ。花見をする予定の場所は比較的 母れいむの巣穴の近くにあったため、先にやってきたリーダーまりさが迎えにきたのだ。母れいむは、まるでマリッジブルーの 花嫁のような面持ちで巣穴の外に出た。春の陽気が母れいむを包む。 「れいむ……ほんとうによくがんばったのぜ」 「……ちびちゃんのほうが、もっとがんばっていたよ」 「それじゃあ、ふたりともがんばっていたのぜ!」 嬉しそうに笑うリーダーまりさにつられて笑ってしまう。一呼吸置いてから、言葉を返す。 「ゆっくり……ありがとう」 連なってぴょんぴょんと飛び跳ねる二匹。花見の会場にはまだ一匹のゆっくりもたどり着いてはいなかった。原っぱの真ん中 で立ち止まった母れいむとリーダーまりさは、澄み切った青空を見上げていた。リーダーまりさが呟く。 「れいむ……いままでつらいおもいをさせてごめんなさいなのぜ……」 「……りーだーはわるくないよ」 「むれのみんなをゆっくりさせてあげるために、りーだーになったのに……まりさひとりじゃなにもできなかったよ……。だか ら……ゆっくりごめんなさいするのぜ」 少し背の高い草が風に揺られて二匹の頬をくすぐる。春が二匹に「もっと笑って」と言っているように聞こえた。しばらくし て、ぽつりぽつりと群れのゆっくりが森の中から出てきた。どのゆっくりも幸せそうな顔をしている。長く辛い冬を乗り越えた 喜びをわかち合っているかのようだ。母れいむは思わず目を背けてしまう。リーダーまりさが力強い声で、 「れいむ。 どうどうとしているのぜ」 「で……でも……」 微かに震える。リーダーまりさが頬を押しつけてそれを阻む。 「ゆわぁ……とってもきれいだね……!」 数匹のゆっくりがはしゃぎながら二匹の元へとやってくる。去年の春も桜を見ていたゆっくりはいたが、今年の桜は格別美し く見えた。きっとぱちゅりーから色々な話を聞かされていたからだろう。少し離れた位置からありすもぴょんぴょんと跳ねてく る。リーダーまりさの指導の賜か群れのゆっくりは全員越冬に成功していた。群れの規模が大きすぎないことも要因の一つとし て挙げられるかも知れない。何ヶ月ぶりかに再会した群れの仲間たちは思い思いにゆっくりしていた。久しぶりに動かした体を 伸ばしてみたり、日差しで暖められた草の上をころころと転がったり。幸せなゆっくりぷれいす、ここにありと言わんばかりの 光景が目の前に広がっている。花見のために群れのゆっくりたちが持ってきたのは越冬時の残りや、ここ数日で集めてきたたく さんの食料。花見の席でミミズを見つけたゆっくりはそれを食べるのに夢中になっていた。 「むきゅ……」 「…………!!」 母れいむの視界の中央。運動は得意でないぱちゅりーがゆっくりとこちらに向かって這ってくる。そのすぐ横。バレーボール ぐらいの大きさに成長した子ゆっくり。まだ成体と呼べるサイズにまでは達していない。 ぼろぼろと涙が溢れてくる。群れのゆっくりたちも無意識のうちに母れいむとぱちゅりーの間に道を空けていく。まるでヴァ ージンロードだ。その道の真ん中。自分の元へと向かってくる子れいむ。体が大きくなっても、あの頃のままだ。ずりずり、ず りずり。あんよを這わせて少しずつ進む。母れいむとの距離が縮まっていく。やがて、子れいむがぴたりとあんよを止めた。 「おかあ……さん?」 舌足らずな口調が抜けた子れいむが口を開く。泣きたくなるのを必死に堪えていた。ぱちゅりーがれいむ親子ににっこりと微 笑んだ。 「ちびちゃん。 おかあさんは、あなたのめのまえにいるわ」 「おかあさん……! おかあさん……っ!! ゆぁ……ゆぅ……っ!!!」 「ち……ちびちゃ……」 言い終えるか終えないかのうちに母れいむが飛び出す。群れのゆっくりたちはその様子を固唾を飲んで見守っていた。ありす は目にうっすらと涙を浮かべていた。リーダーまりさは穏やかな笑みを浮かべていた。ぱちゅりーは三カ月近く一緒にいたちび ちゃんが母れいむの元に帰って少し寂しそうだが、嬉しそうだった。 「おかあさん!!! おかあさん!!! れいむはれいむだよっ!!! ゆっくりしていってねっ!!!!」 「ちびちゃん!! ちびちゃんっ!!!!」 「おかあさん……っ!! れいむ……さびしかったよぅ……っ!!! ゆーん……ゆーん……っ!!!」 子れいむの涙がぼろぼろと頬を伝う。それをぺーろぺーろと舐め取りながら頬をすり寄せる母れいむ。子れいむの涙は懐かし い味がした。本当は群れのゆっくりたちも二匹の再会を祝福してあげたいところだったが、これまで自分たちが行ってきた仕打 ちを思うと素直に駆け寄ることができない。しかし、れいむ親子にとってそんなことはどうでもよかった。長い長いすーりすー り。冬の間中行うことができなかったすーりすーりをただひたすらに繰り返す。二匹の表情はとてもゆっくりしていた。 だが。 「ゆゆっ?! にんげんさんっ!! ここはまりさたちのゆっくりぷれぶりゅびゅあっ!!!!!!」 突然の悲鳴に全てのゆっくりが一斉に振り返る。 「……ゆ? ……ゆゆ?」 一匹のまりさが潰されて死んでいた。そこから視線を少し上にずらすと十数人の人間たちが見える。 「事前調査の報告書よりも多くないか?」 「野生ゆっくりの一斉駆除なら業者に任せて欲しいもんだぜ……」 「業者は手が回らないんだろ。 町の中心部の野良ゆっくり狩りで忙しいだろうからな」 ぱちゅりーが青ざめた表情を浮かべる。リーダーまりさも危険を感じ取っていた。人間たちは市役所の職員である。手にはバ インダーが握られていた。それに挟まれた紙には“桜祭り計画案”との文字が見える。人間たちはこの場所で夜桜を見ながらの 祭りを計画していたのだ。冬の間に計画が固まり、何度か現地に足を運んでいた。まだ群れが本格的に越冬を始める前の話であ る。ゆっくりの群れが付近に棲息していることは調べられていた。 「みんなっ! ゆっくりしないでにげるのぜっ!!!!」 リーダーまりさが声をかけたときにはもう遅かった。数人の男たちが一斉に動きだして巨大なグリーンネットの中にゆっくり たちを閉じ込めたのだ。網のそこかしこから、自由を奪われたゆっくりたちの泣き叫ぶ声が聞こえてくる。 「ゆあああっ!!! やめてねっ!! やめんぎゅびゅぇっ!!!!!!」 そこから一匹一匹丁寧に潰されていく。パニックに陥ったゆっくりたちにこの網から逃れる術はなかった。そんな阿鼻叫喚の 地獄絵図の片隅でれいむ親子はがたがた震えていた。目の見えない子れいむはぴったりと母れいむに寄り添って離れない。次々 と潰されていく群れのゆっくりたちを見て、リーダーまりさとぱちゅりーはおぼろげながらに理解した。もう、この群れは終わ りだ、助からない……と。 「おかあさん……? どうしたの……? ゆっくりできない……?」 「だいじょうぶだよっ!! ちびちゃんっ!!! おかあさんがそばにいるからねっ!!!」 震える子れいむに力強く頬を押し当てて誰へ向けるともなく頬に空気を溜める。既に群れの三分の一ほどのゆっくりが潰され ていた。リーダーまりさが叫ぶ。 「にんげんさあああんっ!!! まりさが、このゆっくりたちのりーだーなのぜぇぇぇぇぇ!!! まりさたちはここでおはな みをしようとしていただけなんだぜぇぇぇぇぇぇッ!!!!」 「こりゃ驚いた。 もともとこの辺にお菓子かなんかをばらまいて集まったところを一網打尽にする計画だったが、お前らの方 から集まってきてくれるとはな。 それはともかくゆっくり如きが花見だとは笑わせる。 お前らなんかに見せる桜なんてねー よ。 一生穴ん中で暮らしてろ」 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ??!!!」 複数のゆっくりたちが人間のもの言いに叫び声を上げるが片っぱしから潰されていく。ゆっくりたちの話を聞くつもりはなさ そうだ。当然だろう。桜祭りの最中に屋台の匂いにつられてふらふらと入り込んでもらっては困る。さすがに会場の中で駆除を 行うわけにはいかない。あくまで、桜祭り当日までに群れを殲滅させる必要があるのだ。また、それが市長からの指示であった。 「あぁ……まりさの……むれが……。 ゆっくりぷれいすが…………っ!!!」 泣き続けるリーダーまりさの前に人間が立ちはだかる。がたがたと震えているリーダーまりさの後ろから優しいメロディが聞 こえてきた。 「ゆ?」 「何だ……?」 ゆー……ゆぅゆーーーゆぅ……ゆうゆゆゆうぅ~~♪ 「ちびちゃん……?」 母れいむの隣で、子れいむがお歌を歌い始めた。目が見えていないので群れがどういう状況にあるかを分かっていないのだろ うか。そんなことはないはずだ。潰されて泣き叫ぶゆっくりたちの悲鳴は聞こえているはずである。 「むきゅっ……ちびちゃん……もしかして……」 ぱちゅりーが呟く。子れいむは自分のお歌を聴いてもらって人間たちにゆっくりしてもらおうと考えていたのかも知れない。 あるいは、既に死を悟り、お歌に込めたメッセージを母れいむに伝えようとしているのだろうか。 「あっははははは!!!! なんだそりゃっ!! これがゆっくりのお歌ってやつかっ! 想像以上に酷いな!!! こんな雑 音聴きながら食べ物食い散らかすのがお前らの花見かっ!!! これだから、ゆっくりってやつは!」 人間たちの言葉は難しくてゆっくりたちにはよく分からない。だけれども、子れいむのお歌を馬鹿にされていることだけは理 解できた。それが悔しくて仕方がない。ゲラゲラと笑い続ける人間たちの雑音で子れいむのお歌がよく聴こえないのも癇に障る。 「ちびちゃんのおうたをばかにするななのぜええええええ!!!!!!!」 リーダーまりさの叫びを号令に群れのゆっくりたちが一斉に反撃を試みた。それでも形勢が逆転するようなことはない。次々 と餡子を飛び散らしていくゆっくりたち。叩き潰され、踏み潰され、ただの一匹たりとも人間に一矢報いることはできなかった。 一番槍を買ってでたリーダーまりさも潰されていた。幼馴染のありすはどこにいるか分からないが既に潰されていることだろう。 半数が壊滅してしまった群れのゆっくりたち。絶叫が響く地獄の中で、子れいむはお歌を歌い続けていた。その傍らでぱちゅ りーが泣き崩れている。嗚咽混じりの涙声で、 「ぱちゅが……ぱちゅが、おはなみのはなしなんてしたから……っ!!!」 人間がれいむ親子の前に現れた。母れいむは泣きながら威嚇をしている。姿形は違えど、目の前にいるのはかつて最愛のまり さと子れいむの姉妹を永遠にゆっくりさせて、子れいむから永遠に光を奪った憎き人間。 「ちびちゃんにはゆびいっぼ――――ッ??!!!!!!」 飛びかかろうとした母れいむの脳天に先の尖ったスコップが振り下ろされ、真っ二つに顔がちぎれ飛ぶ。あまりにも一瞬ので きごとであった。いつのまにか生き残ったゆっくりたちは人間に包囲され、徐々にその数が減っていく。母れいむはぶるぶると 震えながら子れいむの元に這い寄ろうとする。 「ち……びちゃ…………」 切れ切れに呼吸をしてた母れいむも、剣スコで何度も顔を突き刺されてようやく物言わぬ饅頭となった。既にぱちゅりーも殺 されていた。お歌を歌い続ける子れいむに男たちが近寄る。それでも臆することなくお歌を歌い続ける子れいむを見て人間たち が気付いた。このゆっくりは目が見えないのだと。だから、どうだというわけでもなく、ひと思いにスコップを振り下ろす。 子れいむは顔の形を崩されて中身を爆散させる最後の一瞬まで、お歌を歌い続けていた。 ――お母さん、いつもれいむの傍にいてくれてありがとう。 ――ごめんね。 れいむはお母さんのお顔を思い出せないよ。 ゆっくりできないゆっくりて言われるのも仕方がないね。 ――でも、お母さんのお顔を想像することはできるよ! ――れいむが苛められて泣いてるときに柔らかいほっぺたで、すーりすーりしてくれたよね? ――れいむの流した涙を温かい舌でぺーろぺーろしてくれたよね? ――れいむが寒いってわがまま言ったときは髪の毛の中に入れてくれたよね? ――おうちの中でもお外でも、お母さんはずっとれいむに笑いかけてくれてたんだよね? ――お友達は一人もいなかったけど、お母さんがいてくれたから……ちっとも寂しくなんてなかったよ! ――ねぇ、どうして? ――どうしてお母さんはれいむを捨てようとしなかったの? ――お母さん一人だったら群れのみんなだって仲良くしてくれたと思うよ。 ――それでもれいむはお母さんと一緒にいたかったら、“捨てないで”なんて言っちゃったよ。 ――わがままなれいむを許してね? ――お母さん。 ――れいむのことを好きでいてくれてありがとう。 ――れいむはおめめが見えないから、お母さんが永遠にゆっくりしちゃったら生きていけないね。 ――だからそのときは、れいむもお母さんと一緒に永遠にゆっくりするよ。 ――こんなことを言ったら怒られるかな? ――お母さん。 ――れいむの優しいお母さん。 ――れいむを一人で育ててくれた強いお母さん。 ――ゆっくりしていってね……!!! ――お母さん……大好きだよ。 第一回の桜祭りは地元住民の協力もあって大いに盛り上がり、大成功を収めた。その日は夜遅くまで音響設備を使ったカラオ ケ大会や催し物が行われた。発電機の凄まじい音を掻き消すかのように楽しそうにはしゃぐ来場者。飲み、食い、歌い、踊り。 思い思いに花見を楽しんでいた。 その翌朝。 桜祭りの会場に投げ散らかされた数多のゴミを回収する地元住民たちはそれぞれ悪態をついていた。 「まったく……。 昨日はカラオケがうるさくて夜も眠れんかったわい……食べ散らかすだけ食べ散らかしておいて、ろくに片 付けもしやせん……。 これだから最近の連中は……」 おわり 日常おこりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。 余白あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 話自体は面白かったけど最後の取って付けたような人間批判が微妙だった 人間側の醜さを強調することでゆっくり側の美しさを引き立てる演出だとはわかってるけどね -- 2014-03-21 07 23 35 人間がゴミそのもので萎えた -- 2013-08-02 10 49 08 いいね ゆっくりがお花見だとか歌姫だとか、親子愛だとか気持ち悪いとしか思えなかったので そんなの関係ねえって感じでサクサク殺されていく様が爽快だった -- 2013-05-29 03 30 59 救いはないと思ったが、無常にも一気に収束する流れは素晴らしかった ありすも既に叩き潰されているだろう、はゾクっとした -- 2012-10-26 15 11 17 くっそおおおおクズ人間を殺したくなったああああああ -- 2012-07-31 20 31 29 はーいゲスも非常識人間もしまっちゃおうね~ -- 2012-05-05 16 33 24 中盤の親れいむの巣を襲撃したゲス共が制裁されてないのはおかしい。報告せずに泣き寝入りしたのだろうか。最終的に全滅したので良かったが。 -- 2011-09-21 01 20 31 良くも悪くも本能に忠実、か・・・ -- 2011-03-02 01 08 41 ↓なんかすごく真をついた言葉だな・・・そうだよな・・本能ってそうなんだよな・・・うまく言えんがとてもハッとしました。 -- 2010-12-17 22 54 00 本能は思考ではない -- 2010-12-17 08 28 11 子れいむが潰される描写も見たかったな。セリフ付で。 -- 2010-12-12 11 46 41 こんな屑の集まりじゃほっといても簡単に滅びそうなもんだがな -- 2010-09-28 19 23 38 何の前触れも容赦もなく殺されるのがゆっくりの日常。人間登場の結末は良かった -- 2010-09-07 17 30 27 ゆっくり共には幸せになる資格も権利も一切無い。不幸=ゆっくりだ。 -- 2010-09-06 14 21 54 いーや、絶対に糞饅頭共は虐殺!!ハッピーエンドなんてありえない!!でも人間もゴミはきちんともちかえろうよ。マナーは守んなきゃな。 -- 2010-08-31 08 46 16 無理にバッドエンドにすることもないと思うがね -- 2010-08-31 02 16 30 人間の駆除が余計だったという意見が多いようだけど俺はあったほうが断然いいなあ。 -- 2010-08-16 13 05 41 ゴミはきちんとかたずけような。 -- 2010-07-29 21 44 58 所詮野生≒ゲスだな -- 2010-07-27 17 53 25 人間はなかったほうがよかったかもね。 でもおもしろかった -- 2010-07-25 10 36 12
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1388.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 659 よくあるお話/コメントログ」 子供たち、GJ -- 2010-06-17 06 18 50 大柄な男の子かっけえ。 -- 2010-06-21 15 21 47 この少年は見所がある きっと立派な鬼、お兄さんになるだろう -- 2010-06-27 00 52 35 偉そうなガキだ -- 2010-07-26 12 14 32 この子供達がスネ夫、静、ジャイアンに見えちまった ゆっくりのくせに生意気だぞー -- 2010-12-13 10 42 12 出てきた子供が昭和チックに感じた -- 2011-06-08 00 29 48 子供たちは良識があるようだ -- 2014-07-20 10 54 08
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/368.html
まえがきという名の弁解 ゆっくりを全然いじめてない上につまらないです 後半と前半でテンションがまるで違います ゆっくりらしい台詞はほとんど出てきません 一応ドスものです それでも構わんという心の広い人だけ読んでね 見ただけで気が触れそうな満月の夜。 人も近づかない、近づけないような森の奥深くを、ゆっくりと丸い巨体が進んでいく。 そのまん丸い巨体の頭頂部にのった巨大な黒いとんがり帽子。 ドスまりさだ。 しかし彼女はどうやら普通のドスとは様子が違った。まず髪に信頼の証の飾りがなく、 いつでも楽しそうなゆっくりと違い、一言も喋らず、やや物憂げな顔で歩みを進めている。 帽子の中にいくばくかの必需品はあるが、他のゆっくりなど一匹も入っていない。 このドスは他のゆっくりから信頼されていないのか? いや、違う。どのドスよりもこのドスは信頼されていたし、このドスもそれを自覚していた。 だからこそ、権威をふりかざすような真似に必要性を見出せず、飾りをつけようとするゆっくりをやんわりと断っていた。 帽子の中に他のゆっくりを格納しないのも、他のみんなに自分に守られるだけの存在になってほしくなかったからだ。 このドスはかなりの過酷な経験をしてきた。普通のゆっくりの時も、壮絶な生を生き抜き、ドスになれた。 ドスになり、群れを作った。その頃は飾りもつけ、帽子の中にゆっくりを入れて運んだり、遊んでやり、普通の標準的なドスだった。 いつまでも群れの幸せが続くと思っていた。しかし、それは間違いで。 やはり標準的なドスの群れのように、群れはゆっくり崩壊に近づき、やがて自分だけが生き残る。 生き残り、また群れを作った。また崩壊させた。 ある時は人間に騙され、ある時は反乱勢力が台頭し、ある時は自分たちを捕食するものに襲われ、ある時は… そうした繰り返しの中、幾度も守るべきものを奪われ、それでも崩壊しそうな理性をつなぎ留め、歯を食いしばり、目から餡子を流しながらこのドスは生きてきた。 そうしてようやく気づいた、自分がゆっくりを守るだけでは駄目なのだと。 己を己が守れるようにしてやり、自分はそれを精いっぱい手助けする。それこそが崩壊を防ぎ、群れを長続きさせる最善なのだ。 強烈な一つの個ではなく、小さな個を集めて強大な一つとする。それがこのドスのたどり着いた結論。 そのための群れの掟や、制度、システムを、実験を繰り返しながら練り上げた。 その途中で、人間という存在は自分たちと切り離された。彼らとは、出来るだけ関わらない方がいい。 そして、人間も滅多に入り込まぬ森に居住区を移した。 リスクはあった。外敵の存在、人すらあまり手をつけない自然環境。 しかし、それは普通のゆっくりに限った話。このドスになら、人間を含む、大抵の外敵は相手にならなかったし。 多少の危険な場所も、乗り越えていく強靭さがあった。 そしてその場所の下見を存分に終え、普通のゆっくり視点での対処法や生活方法を編み出し。 それを根気よく教育した。教育し、そして多少の手助けはするものの、決して全面的に支援することはなかった。 巣はあくまで自分たちで個別に作らせた。ドスを中心とした一つの巣は、ドスに対する甘えを呼ぶ。 そして自分たちで開拓させることにより、自分たちはこの環境に勝てるという意識を植え付ける。 普通のゆっくりでは無理だろうと思えるようなことだけは手伝ったが、他の事は一切手伝わなかった、指示も出さなかった。 それは普通のゆっくりなら、群れのボスとしての仕事を放棄した怠慢だと思ったかもしれない。 事実そう思ったゆっくりもおり、公然とドスを批判する者もあった。 「ドスはなんでまりさたちをてつだってくれないんだぜ!?みんなでたすけあってこそのむれだぜ!」 だがドスはそんな意見には取り合わず 「不満があるなら出て行っていいよ、ここよりゆっくり出来ると思うところがあるなら」 その言葉に憤慨し、出て行ったゆっくりも少なくない。だがドスは気にしなかった、残ってくれたものがいるのだ。 しかし、中には多くのゆっくりを言葉巧みに扇動し、少しでも大きな群れにして出ていこうとするものもいた。 そういうゆっくりだけは、秘密裏にドスは殺した。 普通のドスは群れのゆっくり、いやすべてのゆっくりの命に対して強い執着と保護心を持つものである。 まれにドゲスという命をなんとも思わないものもいる。 しかしこのドスは、あまりに多くの死に触れたため、すでにこのどちらでもない精神をもっていた。 自分はこの弱きもの達の圧倒的上位にいるのだから、管理せねばならない。 それは、動物の生息地をなるべく自然の状態で保護する研究者や、植物などを植え育て、森などを作る人間のようなそれであった。 管理者。そう、自分は群れのリーダーではない、管理者だ。 群れを崩壊に導きそうな悪い芽は潰す。そこには命を奪う快感も、罪悪感も、後悔も、何もなかった。 慈悲もなく、許容もない。 次に食べられる植物や生物などの教育を終え、ある程度生活環境が整い始めたら、外敵に対する対処を教え始めた。 いや、それは教えなどではなく、訓練であった。 狩りに出向ける個体に、ゆっくりでも協力すれば倒せる外敵に対しての戦闘方法を訓練させた。 チームワークを教え、何度も仮想敵に対する訓練を行う。 そのハードすぎる訓練に、脱落するゆっくりも少なくなかった。 その中で、本当についていけなかったものは訓練をやめさせ、別の仕事につかせることにした。 そういうゆっくりは元来こういう仕事に向いていないものなのだ。なので、子守や安全な地域の植物採取などを行わせる。 中には、ダルイ、ゆっくりできないなどの理由で訓練を放棄するものもいた。 その中で本当に疲れたふりをして訓練を抜けようとするやつは、戻らせて徹底的にしごいた後に、他の狩りゆっくりに命令を下す指揮官の教育を施す。 単純にゆっくりできないから反抗しているものは、大半は軽めの体罰をつけて戻らせた。 中にはそれに対してすら徹底的に反抗するものもおり、そういうものは群れから出てもらった。 ここでの振り分けはこうだった。まず普通に訓練を続けるゆっくり、こいつらは特に問題もない普通の狩りゆっくりになるだろう。 次に騙してサボろうとするゆっくり、こいつらは多少知恵の回る奴らだということで、生き残るためなら存分に知恵をしぼりだすだろう。 次に反抗するゆっくり、体罰を受けて戻るなら、それは自分本位ながらも多少の状況は判断できるということだ、どうにもならない状況なら自分のためにがむしゃらに生き残ろうとするだろう。 そして最後まで反抗したゆっくり、そこまで嫌ならこいつらの性根はそれまでである、頭も回らず自分の嫌なことにただ拒否するだけ。こういうのは危険にあっても状況がわからず、みじめに叫んで死ぬだけだ。 そうしてゆっくりをふるい分け、最終的な訓練卒業として外敵との実戦に移ってもらう。ある数の部隊にわけ、一つずつこれを行った。 この時、ドスは後ろでその光景を眺めていた。 戦闘が始まり、ある部隊は快勝を続けた。ある部隊は窮地におちいる。その中で、自分たちで奮起し、何とか勝利をおさめる部隊もあった。ある部隊は後ろで見ているドスに助けを求めた。 だがドスはどれだけ助けを請われようと、どれだけ惨たらしく群れの仲間が目の前で殺されようと、決して手を出さなかった。 ある部隊はドスが絶対に自分を助けてくれないだろうことに途中で気づき、絶望的ながら辛くも勝利をおさめた。ある部隊は最後までドスに助けを求めながら全滅した。 実戦が終わると、ドスは部隊の成績によって役割を与えた。前線で狩りをする部隊、狩りをしながらその部隊を護衛する部隊、居住区に残り守る部隊。 それはあたかも人間の軍隊のようであった。 中には教育や訓練をドスが任せるゆっくりもいた。いつまでも自分がやるわけにはいかないのだ。 そうして狩りの教育を終え、食糧が潤沢になってきたところで、食糧制度に手をつけた。 本来ゆっくりは冬以外に食べ物をため込むことはない、取ったら取っただけ、食べられるだけ食べる。 そして普通のドスの群れはそういう事態を憂い、食糧を一か所に集め、管理し、食べない分を非常用として保管する。 だが、それが一部のゆっくりの不満や懐疑を招き、結局反発され、群れが崩壊した例も少なくない。 では、どうするか。ドスはこれに大いに悩んだ、何せ食糧管理は反発を招く恐れもあるが、食料供給の安定した維持にこれ以上の手段はない。 そこでドスは食糧管理の仕事をわけることした。 つまり、食糧を集めるゆっくり達、集められた食糧の量を管理するゆっくり達、その食料の量を聞き分配するゆっくり達。 これによって相互をある種の緊張状態にし、互いに監視させ、一部の独走を阻止しようとしたのだ。 すなわち、食糧調達部隊は、その食料を献上しなければ、食糧管理部隊にすぐさま疑われる。 次に食糧管理部隊は、その食料を正確に管理しなければ、分配部隊に疑われる。 そして分配部隊は、それを正確に分配しなければ、たちまち分配される皆から疑われる。 多少の歪みは出るかもしれないが、致命的な崩壊には繋がりにくいとして、ドスはこの方法を選んだ。 そして、管理、分配の仕事はなるべく頭の良く、公平性があって信頼されているゆっくりでなければならない。 故にこの仕事につくゆっくりを、ドスは皆の推薦による選出と投票で選ぶことにし、もし選ばれたゆっくりに不満があるならば、一定数の投票で辞めさせられることにした。 そしてさらに、一定のサイクルで浄化するために、ある期限ごとに管理分配の仕事につくゆっくりを全員一旦やめさせ、もう一度選びなおす制度も導入した。 それはゆっくりによって形成された、未熟な政治制度のようなものであった。 ドスはゆっくりと色んな制度を導入し、根気よく教え込んだ。 そしてドスの手を借りずにそれが運営されていくようになると、後は全てを任せて手を引いた。 群れの運営がスムーズになり始めてから、遠くの地からドスが直接頼み込み、ゆうかりんを連れてきて農耕制度を作った。 さらに月日が流れ、世代交代にさしかかる頃には、教育制度を狩りの教育や、管理分配の教育、農耕の教育などにわけ、色んな仕事を選べるようにした。 すでに自分の手をほぼ離れて歩いて行く群れをゆっくり眺めながら、ドスは満足していた。 ようやく、自分の理想郷を作ることが出来た、と。ゆっくりがゆっくり暮らしていける理想郷を……。 そこはまさにゆっくり郷とも呼べるものであった。 だが最後に一つだけ、ドスは群れの中で自分だけが行う仕事を持っていた。 すなわち、罪を犯したゆっくりに対する、裁きと罰の執行を……。 夜の下を行くドスが、ある巣の前で止まった。 目的地だ。 その巣の中から、悲鳴のような声と耳が腐るような嬌声が聞こえてきている。 ドスがため息をつく、が、それには何の感情もこめられていなかった。 そしてゆっくりと、気づかれないように中を覗き込んだ。 中には一匹のゆっくりまりさとゆっくりアリス、そしてゆっくりれいむの親子がいた。 だがれいむ親子の様子はおかしい、親と比較的大きいれいむは動けないように痛めつけられ。 まだ交尾に耐えられないと思われる小さなれいむは、アリスによる一方的な性的暴行を受けていた。 「いやあああああああやめじぇええええええいじゃいよおおおお!!!」 「はぁっ!はぁっ!いやぁぁぁぁんかわいいいぃぃやっぱり犯すならちっちゃいゆっくりだわぁぁぁ!!」 親や他のれいむは涙を流しながら「やめてぇ…」「こどもだけはたすけて…」などと弱々しい声で呻いている。 「ゆっへへへ、やっぱりアリスのこうびをつまみにたべるのはさいこうだぜ!!」 そしてまりさはその隙に巣にあった食料をむーしゃむーしゃと食べていた。 押し込み強盗である。 実はこの二匹、最近この郷では有名な犯罪ゆっくりであり、すでに二件の被害報告が届けられている。 どの一家も無残に惨殺され、巣を荒らされていた。 さっき言ったように、ドスはゆっくりに対する裁きを行ってはいたが、それは普通のゆっくりには手に負えないと思われるものだけであった。 このドスの郷には、警察のような役割をもつゆっくりも、裁判もちゃんと存在する。 だがそれでは立ち行かないものがある……。法の手をすり抜け、悪事を続けるゆっくりは後を絶たなかった。 そんなゆっくりを、ドスは心底憎んだ。自分の作ったこの郷を、荒らすものだけは絶対に許さなかった。 ギリギリまで事件解決を見守っていたが、一向にゆっくり郷の警察ゆっくりでは犯人が捕まりそうな様子はない。 長く生きた知恵か、この二匹が次にどこで犯行をするかを予測したドスは、自分だけで制裁を加えるために動いた。 ドスは中の様子を確認した後、そこに向かって「出て来い」とだけ、ただ一言だけ言った。 それだけで十分だった。 色の変わらない体表が本当に青くなるんじゃないかというような顔をして出てきた二匹は、 ドスにすがりつき、必死に言い訳を始め、媚びへつらった。 「ゆるしてほしいんだぜ!まりさたちのいえにはたべものがたりなかったんだぜ!」 「そうなのよ!ついでにすっきりできるゆっくりもたりなかったわ!」 「ゆっ!これはきっとかんりふやぶんぱいふのやつらがわるいんだぜ!」 「そうよ!そうよ!それにどすといえどもむれのゆっくりをころしたりはしないわよね?」 「そうだぜまりさたちはなかまのはずだぜ!ゆるすべきなんだぜ!」 それは聴くに堪えない理屈だったが、ドスはしゃべり終えるまでじっと押し黙ったままであった。 そして何の反応も返さないドスに二人が不思議がっていると、ドスがようやく口を開いた。 「死ね」 そのまま開いた口から溢れる光が、二匹の見た最後の光景だった。 その二匹だけを焼き尽くすために威力を調節したドスパークの照射が終わると、ドスは巣の中に話しかけた。 「大丈夫、れいむ?動ける?」 「ゆぅ…なんとかうごけるよ…」 弱々しいながらも返事が返ってきて、しばらくしてから親れいむの三匹の子供がよろよろと這い出てきた。 「今から病院の方に行って、治療を受けるといいよ。まだ開けとくように言っておいたし、警察もそこに待機させてあるから、事情を説明して」 ドスがそう言うと、口の中に弱った子供を入れているのか、親れいむ達はうなずいてずりずりと這って行った。 れいむ達が行ってから、ドスは大きくため息をついた。 あきれしか出てこない。悪事を犯して、悪びれもせず許しを乞うあの二人。 驚くことにあれが普通のゆっくりなのだ。 わかっている、この郷のゆっくりは、もはや普通ではない。 人間のまねごとのようなものだが、決まり事を順守して生活を営むなど、昔では考えられなかった。 いや、今でも普通のゆっくりには考えられないだろう……。 何で自分たちはこうなんだ。なぜゆっくりは……。 知らず、月を眺める。 最近月を眺めていると、なんだか体の底から力が湧いてくるのだ。 これを活力にして、明日からも頑張ろう。 そう思っていた矢先である。 「はぁい」 それは、何もない空間を割いて、ぬるりと現れた。 妖しく光る髪と、鮮やかな紫の衣装艶めかしく。 「こんばんわ」 絡みつくような声を発し、出てきた裂け目に腰かけていた。 ドスは一瞬で敵だと判断した、それも自分でしか対応できないような。 「あんた誰だ?」 警戒しか含まない問いに、女は目をにこやかに細めると、 「やだ怖い」 口も吊り上げ、 「怖いから」 細めた目を開いて、 「私も怖くなっちゃおうかしら」 その場の何もかもが一変する。 肌を刺した空気で、一瞬で支配された場の雰囲気で、勝てない相手だとわかった。 ドスはため息をついた。このような相手がいつか来ることは、前々から何となくわかっていた。 自分が作った郷は、異常だ。考えの回るこのドスの目は、他の視点から自分達を見ることもできた。 こんなものは、人間からしたら恐怖でしかない。 わかっていた、でもやらずにはおれなかった。なぜ人間に許されることが、ゆっくりには許されないのか。 だから、それでも。 「ここを……潰しにきた?」 ほぼ諦観と、疑問を少しだけ含ませて問う。 人間の上位の存在、人を守るもの、調停者。この郷に対する自分のようなものが人間にも存在すること、それは容易に想像できる。 それが目の前のこの女なのだろう。 女は少しだけ意外そうな顔をすると、すぐに首を横にふった。 「まさか」 そして片手に持った扇子で口を隠し、 「でも、予想以上。そんな考えもできるのね」 そこから出る感情を見せないように呟いた。 「なら何を?」 今度は疑問だけで問うと、 「話をしに」 そう言って、今度は優しく微笑んだ。少し、安心できる笑顔だった。 女は隙間から地面に降り立つと、ドスと向かい合うように座り込む。 「そうね、じゃあまず最初、あなたはゆっくりって何だと思う?」 ようやく話し合いの場が整って、女は最初にそう問うた。 「……」 ドスは難しいと感じた。自分の存在は何だと問われているのだ、何と答えるか……。 「まぁ、難しいわよね。逆の立場なら私も言葉を濁す……一般的な定義を私が言いますわ」 女は返答を待たずつらつらと、 「そうね、饅頭の体を持ち、人語を操り、畑や民家を荒らす頭の悪い汚い野生生物……これが一般的なゆっくり」 挑発するようなその物言いだが、ドスは何も言い返さなかった。 「あら、怒らないのね」 「大方その通りではあるよ」 そう、と女は呟き、 「でも、それは悪いことではないわ。むしろ野生生物の本懐。これより傲慢で、危険で、自分本位な生き物はたくさんいるわ。人間だってそう」 そして、 「普通のゆっくりなら、先の発言には醜く憤慨すべき。それがゆっくりの在り方」 ドスは驚いて女を見つめた。この女は人間に嫌われるゆっくりの性質を何と言った? 「そう在るべきと言いました。多少の程度はあれど、ゆっくりがゆっくりらしく生きること、それこそがゆっくりの在るべき理由」 謳うように続ける、 「憎まれることも、慈しまれることも、虐められることも、世話されることも、全てがこの世界におけるゆっくりの在り方」 理解できない、いや、理解したくない。この女が真顔で今述べていること、それは。 「じゃあ、いつもどこかで繰り返されている、ゆっくりの悲劇……その全てが」 「そう、ゆっくりの生きる理由」 そのためにゆっくりは生きている。 「人間の……ために……」 女はふう、と息をつくと、 「ゆっくりの理由……ここまではいいかしら?」 衝撃から、ドスはまだ立ち直れなかった。 自分たちは言うなれば、人間のおもちゃとして生まれてきたのだ。それが自分たちの本来の在り方なのだと。 「あなた達はおよそ自然環境のどの役割も担っていないのですもの、そうとしか言えないわ……まぁ、これ以上ゆっくりについて議論する気はございません」 女はまだ話を続ける、 「そして次、次はあなた。あなたは果たして……」 あなたは、ゆっくり? 「!?」 問われた。自分はゆっくりか?当然だ、でなければ自分はなんなんだ。 「当たり前だ!」 声が荒れる。 「……あなた、自分を何て呼ぶ?」 女は少し息をついて、 「私……」 「その呼び方はいつから?なぜ?」 「いつからかは覚えていない。何故かは……この方が、らしいと思った」 「普通のゆっくりは、絶対に自分をそんな呼び方はしない」 心にザクリと矢が撃たれた、 「普通のゆっくりは、そんな言葉づかいもしない」 二発目。 「あなた、ゆっくり出来てる?」 「出来てるよ。毎日、郷の管理で、みんなの生活を見守るのが私のゆっくりだ」 「それはゆっくりじゃないわね」 「違う!それが……!」 「他人のための行為はゆっくりではない、ゆっくりの価値観に照らし合わせるならね」 三発目。 「御希望なら、この他にも理由を計上してあげましょうか?子供でも指摘できるものがまだまだあるわ」 荒々しく首を振った。三発。たった三発で、ドスの脳は理解した。 「……私を否定して、何が楽しいの?」 問いは、悲しみと怒り。 「……そうねぇ。あなたはゆっくりの在り方を外れている、ここまではいい?じゃあ次は、人間とゆっくり以外のもう一つの種族の話」 答えず、女は話を進める。 「妖怪の話」 「あなたは妖怪を知ってる?」 「……とても強い生き物。ゆっくりよりも、人間よりも」 投げやり気味にドスは答えた。 「正解。じゃあ、妖怪の種類。そこまではあなたも知らないわよね」 「……?」 女は師が生徒に教えを説くように話し始めた。 「まず、私は妖怪。わかるわね?」 「へぇ……」 ここに来て初めて女の正体が明かされたが、別段驚かなかった。 「私は同族もない、どうやって生まれたかも秘密のワンオフ妖怪よ。こういうのはそれほど数もいないの、さびしいわ」 女は泣き真似の仕草をしたが、ドスは冷やかな視線でそれを見ていた。 「いやん、ツッコミが欲しかったのに……まぁ、気を取り直して次」 女は小芝居をやめると話を再開する。 「次はメジャーな種族に属する妖怪。鬼、天狗、河童、吸血鬼……こういうのは結構な同族がいて、蛮行が広く知られているからカテゴライズされている」 「名前だけは何となく聞いたことあるよ。湖の館……妖怪の山……」 「大正解。ゆっくりにまで知れ渡っているなんて、中々……いや、あなただけでしょうねきっと」 「?」 「なんでもないわ、続けましょ」 女はコホンと小さな咳をすると、 「次は妖獣、これは強大な力を持った獣が、それ故にその生き物の枠を離れて妖怪になってしまったもの」 「動物が?」 「私の式達もこれね、竹林の兎達もそう。これが幻想郷には中々多い……自然が残ったままだからかしら」 ここで女は教鞭を振るう笑顔から、真顔に戻った。 「そう、人間を超える力を持って、その生物の寿命を超えた長い時間を生き、ついにはその定義から弾かれる……」 ドスも気づいた。いや、それはかつて、ドスだったもの。 「まるであなたのことね」 「違う……」 否定する声は、聞き取りがたいくらいにか細い。 「あなたはもう普通の人間より遥かに強いわね」 「違う……」 「あなたは今で何年生きた?普通のゆっくりの寿命は平均五年、巨大種なら十年ってとこかしら」 女は辺りを見回し、 「この郷、ここまでするのに少なくとも十年以上はいるわよね」 「違う……」 「定義から外れる、これはさっき散々説明したから言うまでもないわね」 「違う!!」 違う、違う。私は、私は…… 「あなたは、妖怪よ」 「正確にはゆっくりと妖怪の境界線……その上に今のあなたはいるわ」 その言葉に、うつむいていたドスは少しだけ期待をこめて見上げた。 「でも、その境界がゆっくりに傾くことは決してない」 絶望を、女は吐く。 「これからあなたは、ゆっくりと妖怪になっていく……いや、今でも弱い妖怪程度ならいい勝負をするでしょうね」 「……」 妖怪は応えなかった。もう何も応える気もなかった。 「ゆっくりが、この幻想郷に誕生してもう何年経ったのかしら……そろそろだとは思っていたけれど、私が見つけたのはあなたが初めてよ」 女は、満月の空を見上げ、 「永琳に改造されたわけでもなく、自然に生まれ、自然に生きてきたあなた。ここまでの生、私は敬意を表します」 そして、再びその妖怪へ視線を向けると、 「そして、幻想郷はあなたを受け入れます」 「……そう」 妖怪も女を見つめ、ただそれだけを呟いた。 女が軽く扇子を振ると、空間の隙間は再び開いた。ゆったりと浮き上がりその中に下半身を入れる。 「では、ごきげんよう。これからあなたがどんな選択をして、どう生きるのか。少しだけ楽しみにしてますわ」 上半身だけを出してそう言った後、女は隙間に消え、何事もなかったかのように閉じて元に戻った。 後には月を見つめる妖怪だけが残された。 それから、ゆっくりの郷からドスは姿を消した。 ゆっくり達は思った、ドスがついにすべてを自分たちに任せてくれたのだ、と。 ドスが、自分たちで何かが成せるようになると、必ず身を引いたのをゆっくり達は世代が代わっても覚えていた。 その郷の歴史に、偉大なるドスの名が刻まれ。 後にはゆっくりと続いていくだろう、理想郷だけが残された。 あとがきという名の言い訳 今回はゆっくりいじめ作品としては駄作極まりないと思われる本作を読んでいただきありがとうございます。 ゆっくりいじめに憧れていました。色んな作品を読み、深く感銘を受けました。 自分もこんな作品を書いてみたい、彼の憎き饅頭を虐め抜きたい、そう強く願い、ようやく実行に移った次第ではありますが 出来上がったのはこんなものでした。皆さんのような、加虐心に油をドンドコ注ぐゆっくり語や、醜い物言い、くさった饅頭心。 何もかも自分の実力では描けない、難しいものでした。才能のなさが恥ずかしいです。修行の足りなさを実感しました。 まあ自虐はこれまでにして、本編の補足です。 今回のゆっくりの生活制度はまったく人間のそれのパクリです、そして世界はこんなに簡単ではありません。多分。 本当はドスに反発して「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙い゙い゙い゙!!」と叫ぶゆっくりの描写をふんだんに取り入れてみたかったのですが、どうにも力不足でした。 後半の会話にいたっては雰囲気がまったく前半と違ってしまい申し訳ないです。これではただの東方SSです。本当に(ry それにしても、ドスはこれほどまでにならなくても、人間を殺せる時点で十分妖怪だと僕は思いました。 最後に、こんな作品とやたら長い言い訳を最後まで読んでくれた方にもう一度お礼を。また修行して今度は上手く書けるように目指したいです。それでは。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/234.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 45 かってます?/コメントログ」 1200℃って大抵のものが炭になる温度だよな -- 2010-08-01 19 08 05 ダイヤモンドですら、燃えるくらいじゃなかったっけ? -- 2010-09-04 20 02 48 まにあってますっつっといて、しっかり利用してんじゃねえか -- 2011-01-17 18 04 22 らんしゃまぁぁぁぁぁ!!!!!! -- 2011-03-09 22 22 23 1200℃だと瞬間的に焦げるのでは? -- 2011-10-23 19 11 08 いくら卵黄塗っていても12時間はもたんだろw -- 2011-12-21 19 32 18 1200℃www -- 2012-03-26 17 08 51 1200度というと、身近にある金属で言えば、アルミニウム・銅・銀・金などが溶ける温度だな -- 2012-12-11 13 03 13 あれ?らんって希少種だよねどうせならちぇんをらんの前でゆっくり殺しちぇんを売買すれば一石二鳥だねーわかるよー すんまへん -- 2013-04-01 04 47 15 ↓ちぇんを売買ではなくてらんを売買ではなくて? -- 2018-09-27 17 08 41
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1757.html
プラネット・ゆース ~ドスまりさ~ 12KB 観察 パロディ ドスまりさ 自然界 独自設定 環境番組風 二行作 ゆっくりの知られざる生態に迫る『YHKスペシャル プラネット・ゆース』。 本日は、その第三夜です。 第一夜は、wiki 594。第二夜は、wiki 675にて公開致しました。 一話完結ものに付き、未読でも、支障はありません。 内容には、『独自設定』『ネタ被りの可能性』『虐描写の物足りなさ』が含まれています。 ご容赦下さいますよう、よろしくお願い致します。 当局は、ゆ虐専門チャンネルではありません。 ゆ虐専門は『ゆナッフTV』を、すっきりーに関しては『パラダイゆch』をご利用下さい。 『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第三夜 ~ドスまりさ たったひとつのゆっくりプレイス~』 広い岸壁。遥か上空からの映像です。 灰色の岩々に紛れるように、2つの黒い何かが見えます。 それは、まりさのお帽子。 ドスまりさの親子が、海を見ています。 何も、美しい景色に酔いしれているわけではありません。 親ドスが天気を読み、それを子ドスに教えているのです。 雨に弱いゆっくりにとって、天候はまさに死活問題。 群れを治めるドスまりさにとって、天気予報は必修科目です。 これから、このドス親子は旅に出ます。 一見地味な、天候の予測。 実はそれこそ、大冒険の始まりでもあるのです。 ドスまりさ。 ゆっくりの長となる生き物です。 近年、人里に下りてきては被害をもたらす、ドゲスや無能ドス。 これらは、正確には、ドスまりさではありません。 ドゲス等は、生物学的には、変異型大まりさ種と呼ばれます。 環境の変化等による突然変異によって、ドス化するので、こう呼ばれます。 変異は、身体能力の大幅な向上を促します。 しかし、思考能力の向上には、教育や経験が必要となります。 経験を伴わない肉体の躍進は、当然、慢心を呼び起こします。 これが、ドゲスに到るメカニズムなのです。 対して、先祖代々の餡統により、ドスとなるものがいます。 これが、本来のドスまりさです。 変異型と区別して、純ドスとも呼ばれます。 純ドスは総じて聡明です。 群れを正しく導き、特に天敵や脅威には敏感に反応します。 そのため、人間の前に姿を現すことは、ありません。 森の奥深くや、険しい山々に身を潜め、群れと共に生活しています。 こちらから、純ドスに接触を試みる研究者もいます。 しかし直接、コンタクトに成功したものは、いません。 これほどまでに警戒心の強い、純ドス。 カメラでの撮影は、不可能とされてきました。 それを可能にしたのは、人工衛星。 ゆーグル社の協力を得て、最新の超高感度カメラによる撮影を行いました。 人工物には繊細に反応する、純ドス。 そんな彼らでも、上空500kmからの視線を、感じることはできません。 最先端技術を投入して行われた、純ドス撮影計画。 しかし、実際にその姿をとらえるまでに、3年の歳月を要しました。 海にたたずむ、純ドスの親子。 この何気ない映像こそ、世界初の快挙なのです。 翌日。 ドスの親子が、驚くべき行動に出ます。 少し低くなっている岸辺に、2匹のドスが移動しました。 波しぶきがかかっていますが、お構いなしです。 なんと、親子は、大事なはずのお帽子を、海に降ろしました。 大小の帽子が、仲良く波間に浮かんでいます。 長い棒を、2つの口がくわえました。 そして、海へ向かって、飛びます。 一家心中ではありません。 驚くべきことに、2匹のドスまりさは、お帽子の上に下り立ちます。 そのまま、口から伸びる棒をオールとして、沖へ漕ぎ出すのです。 まるで、水上まりさのように。 ドスまりさ親子の旅。 それは、航海です。 あなたはきっと、こう思ったことでしょう。 ドスまりさの巨体を、あんなお帽子程度の浮力で、支えられるのか、と。 水上まりさとお帽子の関係は、ゆっくりの謎として、よく語られます。 明らかに、質量と浮力がつりあっていないからです。 ここに未検証ながら、ある仮説があります。 お帽子内部にはガスが溜まっている、という説です。 密封されたペットボトルは、見た目以上の浮力を持ちます。 水難事故の際、浮き輪の代わりに使用されるほどです。 そして、水上まりさとお帽子は、ぴったりと密着しています。 頭からお帽子を離さない時と、同じような接着作用が働いているのです。 つまり、水上まりさは、ちょっとした浮き輪の上に乗っていることになります。 気体である以上、空気が抜けて帽子が萎んでいくことも、考えられます。 そのため、まりさのあにゃる部分から、ガスが補充され続けているのではないか。 研究者の中には、そんな考えを持つ者もいます。 お帽子内部のガスの成分に、着目する人もいます。 驚くべき性質を持つ、未知のガスであるという、期待です。 しかし、水上まりさの脆弱さ故、調査は難航しています。 ドスまりささえ支える、お帽子の謎。 ゆっくりはまだまだ、ミステリーに包まれた存在なのです。 ドスまりさ親子の旅は、続きます。 沿岸部から出た彼らは、外洋に到り、さらに沖を目指します。 その時速は約4km。 人間の散歩と同じ速度です。 空は快晴。波は穏か。ドスにとっては、絶好の航海日和。 恐らくは、そんな天候を選んでいたのでしょう。 このような環境は、旅の終わりまで、続きました。 時折、海水が跳ねて、ドスゆっくりの皮膚にかかります。 しかし陽光が、あっという間に、それを乾かしていきます。 海の色が、深くなりました。 ここまで来ると、海の生き物の姿が、消え始めます。 シャチも出ません。 外洋は、まさに、海の砂漠。 2匹のドスは、オールを漕ぎ続けます。 休みなく続くその行為は、激しい疲労を伴うことでしょう。 しかし、親子の表情は、意外にゆっくりしています。 夜になりました。 2匹のドスは身を寄せ合います。 不思議にも、饅頭の塊は、少しづつ、沖へ沖へと流れていきます。 彼らは海流さえ、味方にしているのでしょうか。 暗くなると、ドスまりさの姿が、闇に溶けてしまいます。 衛星に取り付けられた赤外線カメラが、僅かにその輪郭を写すのみです。 オールだけは、離していないようです。 ゆっくりの歯は、意外に強いものです。 根野菜を噛み、棒を口でつかみ、オールにしたり、敵と戦ったりもします。 しかし、ゆっくりの顎に当たる部分には、骨がありません。 これでは、噛む力に負けて、歯がポロポロと抜け落ちそうなものです。 ドスまりさが眠りに付いている間に、その秘密を解き明かすことにしましょう。 ゆっくりの口の中にある白いものを、私達もゆっくりも、『歯』と読んでいます。 饅頭生物はそれを使い、咀嚼だけではなく、手の代わりに色々なものを扱います。 ですが、ゆっくりを研究する人々は、それが歯ではないことを、知っています。 実際には、爪に近いものです。 ゆっくりの『歯』は奥に行くにつれ、丸い曲線を描き、根元は外皮に直結しています。 他の動物と違い、口の中の皮から直接、生えてきているのです。 『歯』自体の強度は弱いものの、緩やかに湾曲した形状がバネとなり、衝撃を和らげています。 この弓なりの形は、グリップを強める効果もあるのです。 下の『歯』を支える皮膚は、あんよ周辺のもので、ゆっくりの中では一番頑丈な部分です。 この下顎ともいえる部位が、ゆっくりの噛む力の源となります。 いわゆるテコの原理を応用し、時には『歯』の強度をはるかに越えるものさえ、噛み切ります。 栓抜きを思い浮かべれば、分かりやすいかもしれません。 野生ゆに、硬いダイコンなどが食べられてしまうのは、このせいです。 ドス種のあんよは、巨大な重量を引き受けるほどの、頑丈さを誇っています。 それに連なる『歯』もまた、連日のオール漕ぎを苦にしない、強さを持っているのです。 外皮部分に深刻なダメージを受けると、『歯』も同時に機能を失います。 しかも抜け落ちる時は根元から剥離してしまうので、再生することもできません。 口からポロポロとこぼれ落ちる白いものを見て、誰もが『歯』だと思ってしまいがちです。 あらゆる常識に囚われないことが、ゆっくり研究の基本なのです。 ドス親子の旅は、2日間に及びました。 その行程はおよそ100km。 フェリーなら2時間程度の道のりですが、ゆっくりにとっては、命がけの航海です。 ある場所で、2匹のドスまりさは静止します。 おさげにオールを絡ませ固定し、留まる体勢に入りました。 そこは一見、何もない、単なる海のど真ん中に見えます。 解析の結果、ここはあらゆる水の流れが及ばない位置だということが分かりました。 波さえ穏かであれば、いつまでもそこで漂っていられる場所です。 ここに来て、彼らがまず行ったこと。 それは、平凡な、すーりすーりでした。 暖かな日差しの中、ゆっくりと、愛情を確かめ合っています。 それが一段落すると、口をパクパクと開き合います。 おうたを歌っているようです。 衛星カメラからの映像のため、音声は取れていません。 しかし、そのゆっくりとした表情は、俯瞰視点にも関わらず、鮮明に分かります。 ゆーグル社クルーの、技術の賜物です。 この光景だけ切り取れば、水上まりさ親子の、何でもないスキンシップに見えます。 実はこれこそが、危険を冒してまで旅をしてきた、ドス親子の目的なのです。 純ドスは、ゆっくりの長です。 それは、ゆん生の全てを、他のゆっくりに捧げることを意味します。 ドスとなったが最後、自分がゆっくりすることは、叶わないのです。 ドスはその巨体故、自然の驚異に、最もさらされます。 それにも増して恐ろしいのは、人間です。 発見次第、駆除されてしまうことを、純ドスのまりさは知っているのです。 これらの危機から群れと自分を守るため、純ドスは絶えず緊張していなければなりません。 どこかでこっそりゆっくりしようにも、特性が邪魔をします。 ドスのゆっくりオーラが、他のゆっくりを呼び寄せてしまうのです。 純ドスがゆっくりできる条件とは、ゆっくりにも、人間にも、天候にも邪魔をされないこと。 そんな条件を満たした数少ない場所が、ここ、外洋のど真ん中なのです。 大海原は砂漠や極北ほど過酷ではなく、遥か沖に到れば、生き物の数も少なくなります。 しかも今、ドス親子がいる周辺は、船舶の航行ルート等からも外れています。 母なる海。 それこそが、ドスまりさの、たったひとつのゆっくりプレイスなのです。 一昼夜かけて、他愛もない行為は繰り返されました。 変化は、翌朝、やってきました。 親ドスが、穏かな笑みを浮かべ、空を見ています。 子ドスは、泣いていました。 大きな方のドスが、おさげを振り上げました。 今まで旅を共にしてきた、ひとつのオールが、あらぬ方向へ飛ばされ、流されます。 親まりさが、目を閉じました。 金髪が風になびき、笑顔が、より鮮やかになります。 子ドスが、驚くべき行動に出ます。 そよぐ金髪ごと、親の頭部を、かじりました。 止めどなく涙を流しながら、まりさは、咀嚼します。 子は親を、食べ続けました。 時折、嗚咽しているのでしょう。 口の中の餡子が、ポロポロと海の中へ落ちていきます。 どんなに自分が減っていっても、苦悶ひとつ、親まりさは表しません。 笑み結ばれたままの口元が、人間の目には、より凄惨なものに見えてしまいます。 恐らく、親ドスは幸せなのでしょう。 それは同時に、中身がパサパサしておいしくないことも意味します。 この共食い行為には、どんな意味があるのでしょう。 世話品大学の滋賀博士は、こう分析しました。 「この一連の行為は、親ドスから子ドスへの、継承の儀式のようなものです。 子が親を生きたまま食べることにより、記憶餡を直接取り込むことができます。 経験と記憶が、完璧に受け継がれるのです。 純ドスが、ゆっくり種としては考えれないほど賢いことも、これで説明が付きます。 もうひとつ、考えられることがあります。 それは、食べることそのものを、忌避させることです。 純ドスには、あらゆるゆっくりが許されず、食事も例外ではありません。 第一、あれだけの巨体です。 無計画に食事すれば、あっというまに群れ全体が飢えるでしょう。 だからこそ、ここで食事そのものへの、トラウマを植えつけているのです。 もしかしたら、このたった一回の食事が、ドス一生分のカロリーとなるのかもしれません」 遂に親ドスの体が、半分以下になりました。 残された口元は未だ笑っています。 もう、生きてはいないでしょう。 子ドスは、泣き止んでいます。 記憶餡が、吸収・継承されたようです。 たったひとつになったドスが、再びオールをくわえます。 棒の先で、半分になった饅頭を突き、海へ落としました。 深い深い海底へ沈んでいく、親まりさ。 もしかしたら、たくさんのドスが、こうやって溶けていったのかもしれません。 新しいドスが、器用に親のお帽子をオールにひっかけて、被ります。 もし不意に雨が襲ってきたとしても、多少は防ぐことができるでしょう。 やや小ぶりだった子ドスの体は、一回り大きくなっていました。 その表皮も海と潮風にさらされて、厚く丈夫になっています。 ドスは、来た道を戻っていきます。 群れに、帰るのです。 陸にあんよを付き、群れへ入った瞬間から、ドスとしての生活が始まります。 とても、過酷なものです。 それでもドスまりさは、耐え続けることでしょう。 いつの日か、愛する我が子と共に、再びゆっくりプレイスを訪れる時まで。 偉大なる親と同じ場所に、還る日を夢見ながら。 『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第三夜 ~ドスまりさ たったひとつのゆっくりプレイス~』 製作: YHK(ゆっくり放送協会) カメラ: 脳内 音楽: 脳内 特殊: 脳内 協力: ゆーグル 世話品大学 脚本・語り: 二行 収録: 餡小話 ふたばSS@WIKI 『プラネット・ゆース』第三夜、いかがでしたでしょうか。 次回の放送は、未定です。 取材が進み次第、公開して参ります。 リクエスト等ありましたら、是非、お寄せ下さい。 ありがとうございました。 (終) 【過去作】 ふたば系ゆっくりいじめ 833 俺持ってんの1円じゃなくて・・・ ふたば系ゆっくりいじめ 796 Detroit Yugyaku City 2 ふたば系ゆっくりいじめ 675 プラネット・ゆース ~きめぇ丸~ ふたば系ゆっくりいじめ 666 チューチューラブリームニムニムラムラプリンプリンボロンあにゃるぺーろぺーろ ふたば系ゆっくりいじめ 658 緊急特別SS ゆっくり割れる窓ガラスさんの謎 ふたば系ゆっくりいじめ 629 極上のすっきりプレイス(餡子ンペ09) ふたば系ゆっくりいじめ 594 プラネット・ゆース ふたば系ゆっくりいじめ 560 なずーりんに祝福を(餡子ンペ09) ふたば系ゆっくりいじめ 497 DYC ふたば系ゆっくりいじめ 453 空から降る100万のぷくー ふたば系ゆっくりいじめ 428 はげの行進 ふたば系ゆっくりいじめ 402 れいむ・マスト・ダイ(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 379 れいむ・マスト・ダイ(前編) nue059 「スキャット・ゆん・ジョン」 nue022 「ゆナッフTV」 nue009 「ブラックペーパー・チャイルド」 二行の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る よく考えられた話だなぁ とてもゆっくりできました -- 2012-06-23 20 36 26 最初に書いてたけど、ほんとにゆ虐成分薄いなぁ。 まさにゆっくりを生き物としてとらえてるのが良い。 けどもう少し苦行がほしかった・・・そんな風に思うのは俺が末期だからですね、わかります 最近はゆっくりが幸せそうにしているだけで潰したくなるorz -- 2011-10-29 01 20 07 おお、こういうドスは良いなぁ… 親の深い愛情を感じるよ。 ドスがゆっくりするのは本当に大変何だなぁ -- 2010-11-12 18 47 39 面白かった -- 2010-06-14 00 27 30 いいなぁ、好きだ、こういうの -- 2010-04-07 14 46 59
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1291.html
博麗神社にお参りに行った帰り、林道を歩いていると妙な祠を発見した。 太い木の枝や葉っぱを組み合わせて作った小屋に、ゆっくりれいむが一匹収まっている。 そしてその前には、格子状の蓋のついた木箱。 ゆっくりに複雑な工作など出来るわけないから、人間の作り損じでも拾ってきたのだろうか。 手前には枝を組んで作られた小さな鳥居?があり、ゆっくりがくぐれる程度の大きさだ。 祠に収まっているれいむと目が合うと、得意げな笑みを浮かべながら話しかけてきた。 「おにいさん!!とってもありがたいゆっくりじんじゃだよ!! ゆっくりしていってね!!おさいせんをゆっくりちょうだいね!!」 こんなことを言い出す。神社の巫女さんを模したゆっくりであることは解っていたが、 本物の真似事まで始めるとは。しかしゆっくりを崇めてもありがたいどころか、運気を吸われそうな気がするぞ。 でもまあ、ゆっくりがこんなことをしているのは何だか珍しかったので、 少しぐらいお賽銭をやっても良いだろう。人間に奪われそうな気もするが。 狭い鳥居をくぐろうとすると体がぶつかり、固定の甘かった鳥居はあっさり崩れてしまった。 れいむは「なにするの!!」と言って少し悲しそうな顔をしたが、それほど怒った様子も無いので気にしないでおいた。 そしてお賽銭箱に面白半分に木箱に小銭を入れてやる。さっき本物の博麗神社に投じた額の1/10ほどだが。 「ゆゆ~!!おにいさんありがとう!!おねがいごとをしてね!!」 うるさい巫女だな……いや、神主なのか? よく解らない。でもお参りは静かにさせてほしい。 作法に則り、手を叩いて願い事を念じる。それが済んで立ち去ろうとすると、 れいむは膨れっ面でこっちをにらんでいた。 「おにいさん!!おねがいごとをゆっくりいってね!!だまってちゃわからないよ!!」 え~……そういうもんなの? というか、お前が願い事を知ったところでどうする。 まあもう少し付き合ってやるか。 「今度資格試験を受けるんだよね。それで仕事がもらえるかどうか決まる大事なやつでさ。 もちろん勉強も頑張ってるけど、一応ゲンかつぎに神頼みもしとこうかな~ってことで。 勉強がうまくいって、試験に合格できますよーに!」 もう一度手を合わせて祈る格好をする。ゆっくりに祈るのも何かムカつくけど、まあごっこ遊びだし。 「ゆっ!ゆっくりききとどけたよ!!おにいさんはきっとごうかくできるよ!!」 お前が聞き届けるのかよ。こいつは神主兼巫女兼神様なのか? しかしたとえゆっくり相手と言えど、励ましの言葉をもらえるのは悪いものではない。 俺は少しだけ機嫌を良くすると、れいむに手を振って帰路についた。 その夜。寝る前に机に向かって勉強をしていると、窓をドンドンと叩くものがあった。 何だろうと思って開けてみると、そこには一匹のゆっくりぱちゅりーが。 「むきゅ~!!おにいさんがべんきょうのことでこまっていそうなけはいがしたから、おしえにきてあげたわ」 ……何だこいつ。あ、もしかしてゆっくり神社の差し金か? 学問成就を願った俺のところにゆっくりの中では頭の良いぱちゅりーを派遣し、勉強を手伝わせる。 それによって願いを叶えさせ、ご利益の評判を高めてお賽銭をもっと集める……と。 「お前、ゆっくり神社から来たのか?」 「むきゅ!?な、なんのことかしら?ぱちゅりーはそんなれいむ、ぜんぜんしらないわね!」 れいむなんて一言も言ってないのに……まあこれで間違い無さそうだ。 しかし人を助けて対価を貰おうというのは、ゆっくりにしてはなんとも殊勝な考えだ。 「むきゅ!とってもかしこいぱちゅりーがばかなおにいさんをかしこくしてあげるわ!ゆっくりなんでもきいてね!」 しかしもうちょっと口の悪くない奴を派遣出来なかったものか…… ぱちゅりーは文房具に混じって、机の上に鎮座している。気が散って邪魔だ。 ぱちゅりーの頭が実のところそんなに良くないことは知っているので、追い返しても良い。 しかし受験勉強でストレスの溜まっていた俺は、ちょっとだけ悪戯をしてみた。 「ふーん、じゃあここの問題がちょっと解らないんだけど。答え教えてくれないかな?」 「むきゅ!ぱちゅにおまかせよ!」 俺は使っていた問題集の中で一番簡単な問題をぱちゅりーに見せてみた。 五秒後 「むっきゅー!!むじゅむじゅーー!!」 何か変な声を出し始めた。それでも問題集にかじりつくように向き合うぱちゅりー。 しかし人間様の問題をゆっくりに解けというのは難儀な話だ。 「むっきゅーー!!むじゅむじゅーーー!!」 ぱちゅりーはそのまま溶けていった。知恵熱でも起こしたんだろうか。 机の一角に広がったぱちゅりー液を指ですくって舐める。甘い。 これは勉強で疲れた頭を癒すには良いかも知れない。少しは役に立ったな。 ◇ 後日、試験に無事合格した俺は、息抜きに林道を散歩していた。 博麗神社に学問成就のお礼をしにいったのだが、ゆっくりの方にもついでに寄ってやることにする。 ゆっくり神社にさしかかると、おばあさんがお賽銭を入れていた。遠くから様子を見てみる。 「おばあさん!!おねがいごとをいってね!!」 「そうねぇ……うちの畑が今年も豊作で、おいしい野菜が沢山売れますように」 「ゆっくりききとどけたよ!!おばあさんはおいしいおやさいをいっぱいとれるよ!!」 「あらあら、嬉しいねぇ」 おばあさんは朗らかに微笑みながら、れいむに手を振ってゆっくり神社を後にする。 ゆっくりは子供っぽいところがあるから、ああいうのは年寄りに受けが良いのかもな。 おばあさんの姿が見えなくなると、れいむの仲間らしきゆっくりが数匹周りから飛び出て来た。 「みんなおばあさんのおねがいきいた?」 「はたけをてつだうんだねー!!わかるよー!!」 「きっとちからしごとだからまりさがてきにんね!」 「ゆっ!ゆっくりまかせるんだぜ!!」 「ちーんぽ!!」 この件を一任されたまりさは、おばあさんの帰っていった方角に向けて走っていった。 ああやって参拝者の住居を特定してるんだな。 その仕事ぶりを見るため、俺はまりさに二重尾行を仕掛ける。 やがて林を抜け、まりさはおばあさんの家に着いた。おじいさんと二人暮らしをしているらしい。 二人とも家の中にいるのを確認すると、まりさはさっそく畑に侵入する。青々と茂った根菜はもう収穫寸前らしい。 しばらくゆーゆー言いながら物色するまりさ。農作業のやり方なんて知ってるのだろうか。 そう思ってみていると、突然大根を掘り返して食べ始めた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 何してんだ、あいつは……初めからこれが目的だったのか? いや、おそらく神社のれいむの目的は、こらしめられるリスクを負わずに人間の食べ物を手に入れること。 お賽銭を使って経済に参加することで、人間に疎外されない社会性を獲得しようとしたのだ。 まあ、現実的に可能かどうかは別として。 しかしアホのまりさには、そんな(ゆっくり的に)遠大な計画は理解出来ないし、面倒臭い。 それより目の前に広がるごちそうの山を目の前にして、今すぐしあわせになることを選んだのだろう。 「ゆっゆっ!これめっちゃうめ!さいしょからこうすればてっとりばやいんだぜ!!れいむはばかだぜ!!」 バカがどちらかは一目瞭然だが。 俺は畑の被害が大きくならない内に現場に踏み込み、まりさを取り押さえた。 「ゆっ!?おにいさんなんなんだぜ!?ゆっくりはなすんだぜ!!」 「人の野菜を食う悪いゆっくりを見過ごすわけにはいかないな」 「ゆべえぇっ!しらないんだぜ!ここはまりさがみつけたからおやさいはまりさのなんだぜ!!」 ぎゅうぎゅうと両手で地面に押さえつける。 跳ねようとするまりさの力が伝わって来るが、人間の腕力からすれば大したものではない。 餡子を口からぶりぶりと吐き出し、悲鳴を上げながらしなびていく。 あんまりまりさがうるさかったからか、住居からおじいさんが出てきた。 「コラーッ、わしの畑で何の騒ぎだ!?」 「あ、すいません。害獣が畑を荒らしていたものですから、咄嗟に……」 「ああ、ゆっくりか。すまんね兄ちゃん、うちも畑の周りに柵を作らないといかんのぉ。 そのゆっくりはうちが引き取るから置いていってくれ。良い肥料になるんじゃよ」 ほう、それは知らなかった。最近の農家はゆっくりを肥料にしているのか。 潰れて動けなくなったまりさをおじいさんに引渡し、俺は林道へと引き返す。 まりさの餡子によって畑の土壌は更に充実し、立派な野菜が収穫されることだろう。 ◇ 引き返した俺は、再びゆっくり神社へと赴く。 れいむが「ゆっくりしていってね!!」と言うので、「はいはいゆっくりゆっくり」と返す。 「ゆっ!!このあいだのおにいさん!!」 「やあ。おかげさまで試験にも合格出来たよ」 「よかったね!おともだちにもゆっくりじんじゃをしょうかいしていいよ!! ところでおにいさん、とってもかしこいぱちゅりーをみかけなかった?」 「ん? いや、見てないな。見てたとしても、見ただけじゃ賢いかどうかなんて解らないよ」 「ゆー、そうなの・・・」 まさかぱちゅりーは家で死にましたとも言えまい。余計な誤解と揉め事が起きそうだ。 しかしれいむもこっそりと仲間を派遣している手前、大っぴらに「お前の家に行ったはず」などとは聞けないらしい。 ご利益要員が欠けたのは痛いだろうが、またどっかから補充すれば良いだろう。ゆっくりなんて幾らでも沸いて出る。 「おにいさんきょうもおさいせんちょうだいね!!」 「いや、今日は良いよ。特に願い事も無いし」 「そんなことないでしょ!!なにかあるはずだよ!!おさいせんいれてね!!」 「醜い神社だなぁ……ん?」 傷付いた顔の子供がとぼとぼと歩いてきた。俺は道を開けてやる。 れいむが子供に「ゆっくりじんじゃだよ!!ゆっくりしていってね!!」と声をかける。 子供は賽銭箱に小銭を投げ入れ、手を叩いて願い事を言った。 「村のいじめっこがぶっ倒れますよーに!!」 どうやら虐められて怪我をしてるらしい。身体も大きくないし喧嘩では勝てないんだろう。 賽銭入れて祈るなら博麗神社の方が……と思ったが、確かに博麗神社までの道のりは少し険しくて子供の足では辛い。 とはいえゆっくりにも縋る気持ちなのだろうか。 「ゆっくりききとどけたよ!!あくはせいぎにやっつけられるうんめいなんだよ!!」 「うん……ありがとう……」 れいむの言葉を気休めと受け取って力なく笑うと、少年はトボトボと村に帰っていった。 助けてやりたい気もするが、子供の喧嘩に大人が出て行くってのもね。 周囲の茂みがガサガサと揺れた。仲間ゆっくり登場かと思ったが、出てこない。俺がいるからか。 「おにいさん!!ようがないならさっさとどっかいってね!!」 れいむが体を膨らませて怒鳴ってくる。俺ははいはいと答えてれいむの視界から消え、近くの茂みに隠れて様子を見る。 俺の姿が見えなくなったのを確認すると、何匹かのゆっくりが茂みから出てきた。 「こんかいはわるものたいじだよ!!」 「わかるよー!みょんとちぇんがいくんだねー!」 「ちーんぽ!ちーんぽ!」 「ふたりにかかればにんげんなんていちころね!!」 「ゆっくりいってらっしゃい!!」 子供の帰っていった方に走っていくみょんとちぇん。 俺も気付かれないようにその後ろをこっそりついていく。暇な奴だな、俺も。 結構歩いて村に辿り着く。こそこそと住人の様子を見て回っているゆっくり二匹。 やがて、いかにもいじめっ子ですといった風貌の、体格の大きな子供を見つける。 「あいつなんだねー!わかるよー!」 「ちーんぽ!」 「ちぇんがうしろからきしゅうするから、みょんがとどめだよ!」 「でかまら!」 気合の掛け声だろうか。 打ち合わせをするやいなや、ボサっと道を歩いていたいじめっ子の後頭部に向けてちぇんが苛烈な体当たり。 「いだっ」と呻いたいじめっ子は軽い脳震盪でも起こしたのか、その場に手をついてしまう。 そしてみょんが追撃。背中の上でぼふぼふ跳ね始める。 「ちーんぽ!ちーんぽ!」 「痛いっ、痛い! な、何なんだお前ら!?」 「ゆっくりしぬんだねー!わかるよー!!」 ゆっくり達の猛攻は続く……が、最初の一撃以外はあんまり効いてるとは思えない。 肩甲骨の間あたりで飛び跳ね攻撃を繰り返していたちぇんが、しっぽを掴まれて地面に叩きつけられる。 「ゆべっ!!なにずるのー!!ゆっくりやめてよー!!」 「はぁ? お前らが先に喧嘩売ってきたんだろうが。何やったってセイトーボーエイだぜ」 「ち、ちーんぽ!?」 みょんを払いのけ、立ち上がる少年。その瞳には苛立ちと、面白いおもちゃを手に入れたという好奇の光が輝いている。 ちぇんはしっぽを掴まれたまま、「ぎにゃあああああああ!!」と叫びながら振り回されている。 目からあふれ出る涙が周囲に飛散する。隠れているこっちにも飛んで来たので、顔についたのを指で取って舐める。甘い。 その勢いでびたーんびたーんと地面に叩きつけられるちぇん。その度に餡子を吐き出し、地面に放射状の餡痕が残る。 少年は鞭のようにちぇんを振ると、近くでおろおろしていたみょんを横に薙ぎ払った。 「ぺにずっ!?」 「ぎゃはははは! 弱っちいゆっくりごときがおれさまに勝とうなんて、百年早いんだよ!」 「やめでねー!!たずげでねー!!わからないよーー!!!」 吹っ飛ばされたみょんが、俺の隠れている近くの茂みに突っ込む。ギクッとしたが、何とかばれなかったようだ。 ちぇんは餡子を吐き出して少し軽くなり、速度を増して引き続きひゅんひゅんと振り回されている。 「やめてねええええーーー!!わからないよぉぉぉぉーーー!!!」 「あははは、これ面白いな。そうだ、お前うちの飼い猫の遊び相手にしてやろうか。 何か見た目も猫っぽいことだし、あいつもきっと喜ぶぞ。楽しみだな!」 「ゆぅぅぅうーーー!ちぇんおうちかえりたいよーーー!!!」 言葉とは裏腹に残酷そうに笑う少年の顔を見て、飼い猫もきっと彼に似て大きくて乱暴なんだろうなと思った。 その時、茂みに埋まっていたみょんが颯爽と飛び出す。その口には折れた枝がくわえられている。 ちぇんを振り回して遊ぶ少年の足元に、あっという間に駆けていき……そのまま枝の尖った折れ口で、少年の足を突き刺した。 「ちぃーーーーんぽ!!」 「い゛っ……痛っでえぇぇぇぇぇーー!!」 「みょーん!たすけてくれたんだね!!わかるよーー!!」 「ちんぽちんぽちーんぽ!」 足の痛みに、思わずちぇんを離してしまう少年。地面に落ちたちぇんは、嬉しそうにみょんの元に擦り寄る。 少年の足を見てみると、結構傷が深いみたいで血がどくどく溢れ出ている。あれは跡が残りそうだな。 ……っていうか、ちょっと洒落にならなくなってないか? 見てていいんだろうか? 血まみれの枝をくわえてなおも戦闘態勢のみょんを、泣きそうな顔で見ている少年。 やがて足を引きずりつつも、全速力で泣きながら逃げていく。 「いでぇ、いでぇよぉぉぉぉーーー!! お父ちゃーーーん!!」 「やったねーー!!ちぇんたちがかったんだよ!!わかるよーーー!!」 「ちーんぽ!!」 手負いの二匹はぴょんぴょん跳ねて勝ち鬨を上げている。 確かにあの怪我では、いじめっ子もしばらくは他の子供達に乱暴など出来ないだろう。 だがしばらくもしない内に、先ほどのいじめっ子など比べるべくもない屈強な男が現れる。 「てめえらか、うちの坊主に怪我させたゆっくりは!!」 「ちんぽ?」 「またわるものとうじょうなんだねー!わかるよー!でもちぇんとみょんならまけないんだよーー!!」 いじめっ子を撃退して自信をつけたのか、勢いよく突進していく二匹。 しかし大人の男に勝てるはずもなく、木の枝を突き刺す前に順々に蹴り飛ばされてしまう。 「ぢんっ!?」 「ゆびゅっ!なんでえええーーー!わからないよぉーーー!!」 「饅頭ふぜいが、人間様を傷付けやがって……あの世で後悔しやがれ!!」 男は少年のように甚振ることなどなく、躊躇せず二匹のゆっくりを確実に踏み潰していく。 始末を終えた男は、村の広場に大人たちを集め、何やら話し合いをしていた。 「ゆっくりが人間を襲っただって? 信じられないなあ」 「しかし現に、うちの坊主が木の枝で足を刺されてるんだ。あれじゃ当分は田んぼにも入れねえ」 「うーん、確かに子供や年寄りなら怪我をさせられることもあるかもな」 「どうする? 人間に勝てると思い込んだゆっくりが人を襲い始めたら……」 「そんな危険な饅頭がいたんじゃ、弱い者はおちおち村を出歩けもしない!」 「仕方ない、このあたりのゆっくり一斉駆除しよう。決行は明日の午後、子供や老人には外出を控えさせよう」 さあ、大事になってまいりました。まあ当然の成り行きですけどね。 ゆっくり神社のおかげで大量のゆっくりが死ぬことになってしまった。 まあ神社自体はこの村から離れた所にあるから、そこまで駆除の手が及ぶことはないだろうが。 しかし酷い話だ。俺は家に帰った。 ◇ 数日後。ゆっくり神社は人員の欠損と補充を繰り返しながら、 俺のような珍しいもの好きの人間相手にそこそこ繁盛してるみたいだった。 何度か様子を伺ってみたが、神社の運営を担当するれいむに、周囲の仲間がごはんを運んでくるらしい。 その見返りに、お賽銭が溜まった暁にはれいむがおいしいお菓子を振る舞うという筋書きだろう。 そしてついに、充分なお賽銭が溜まったとれいむが判断したらしい。 れいむは達成感に満ちた笑顔で、お堂から出てきて賽銭箱にすりすりしている。 「おかしをかいにいくよ!!ゆっくりはこをあけるよ!!」 ゆっゆっと言いながら、箱の周りを何週かするれいむ。何をやっているのか。 「どうやっであげるのおぉぉぉおおおぉぉぉぉ!?」 考えてなかったんかい。神社の巫女さんがやってるんだから何とかなるだろうぐらいの気持ちだったんだろうな。 引っ繰り返そうと体当たりをするが、元々が高さがなく横に広い形状であった上、 皮肉にも小銭が溜まって重量を増した箱はそう簡単に倒れない。 ゆぐゆぐと泣いているれいむ。開けてやろうかしらと思い始めた頃、性悪そうな一人の青年が参拝にやってきた。 れいむを無視して賽銭箱に小銭を投げ入れると、ぱんぱんと手を叩く。 「もっといっぱい虐待できますよーに!!」 「ゆ!?おにいざん!このはこをあげでね!!!」 巫女としての務めも忘れ、泣き声で参拝客に懇願するれいむ。 青年はにっこりとれいむに微笑みかける。 「いいよ、お安い御用さ。でもタダでは引き受けられないなあ」 「ゆ゛!?」 「お願い事をする時は何が必要なんだっけ?」 「ゆ・・・おさいせん・・・でもおさいせんはそのなかだよ」 「じゃあ僕が箱を開けたら、僕にお賽銭をくれるのかい?」 「いいよ゛!!はやぐゆっぐりあげでねぇ!!!」 箱を開けることしか考えていないれいむ。青年は手に力を込め、固く閉められていた箱の蓋を外す。 れいむは感激の涙を流す。 「ゆぅ~~!!おにいさんありがとう!!」 「じゃあ約束どおり、お賽銭はもらっていくね」 「ゆ?」 持参した袋に箱の中身の小銭をじゃらじゃら流し込んでいく青年。 感激の表情のまま、呆然と眺めているれいむ。 「じゃあね!」 「ゆ゛う゛ぅぅぅぅぅ!!おにいざんなにずるの゛おおぉぉぉぉぉ!!! れいぶのあづめだおざいぜんがああぁぁぁぁぁ!!」 「大丈夫、これはちゃんと里の自然保護基金に寄付しておくよ。 買い物しようなんてらしくないこと考えず、森の中でゆっくりしていってね!」 疾風のように去っていく青年を、れいむは追いかけることも出来ない。 俺が捕まえるべき? いや、別にれいむの肩持つ気無いし。 それにあの青年は、本当に森のためにお金を使うことだろう。私利私欲のためではなく、 ただゆっくりを絶望に突き落とすことだけを目的に行動する人種のようだから。 まあ自然保護活動にとっちゃ、微々たるものだろうけどね。あんなはした金。 「ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・なんでぇ・・・れいぶのおさいせん・・・」 ゆっくり神社の境内でれいむが泣いていると、周囲から仲間のゆっくりが怒った表情で飛び出して来た。 れいむだけのお賽銭じゃないんだよね。 「ちょっと!どういうことなのれいむ!!」 「はこをあけるためにおさいせんをあげちゃうなんてばかなの?しぬの?」 「ゆ゛っ!?ちがうよ、れいむは・・・」 「ちがわないんだねー!わかるよー!」 「にんげんのたべものをいっぱいくれるってやくそくはうそだったんだね!!」 「いままでまりさたちをだましてごはんをはこばせてたんだぜ!!ゆるせないんだぜ!!」 「にんげんのおねがいにつきあわされてゆっくりできなかったわ!」 「れいむはぜんぜんゆっくりできないゆっくりだね!!」 「このうすぎたないばかゆっくり!!いきてるかちないよ!!」 「「「「「「ゆっくりしね!!!」」」」」 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!」 何匹ものゆっくりから袋叩きに遭うれいむ。 参拝客に気に入ってもらうために綺麗にしていた髪や肌もボロボロになっていく。 暴行に参加していないゆっくりは、れいむの収まっていた手作り小屋に体当たりして破壊し、 屋根に使われていた葉っぱや草をむーしゃむーしゃとやっている。 やめでぇぇぇというれいむの声も、罵声と悲鳴の中に掻き消える。 十数分に渡る暴行が続いた後、完全に神社を破壊しつくしたゆっくり達は、それぞれ周囲に散っていった。 残ったのはゆっくり神社本堂のわずかな建材(食べられない部分)と空っぽの賽銭箱、 ボロ雑巾のようになった虫の息のれいむだけだった。 リボンも解けていてかわいそうだったので、俺は出て行って結んでやった。めんどくさいから固結びだけど。 「ゆ・・・・おにいさん・・・・・・」 「やあれいむ。お賽銭いるかい?」 「いらないよ・・・・・もうおかねはいやだよ・・・・・」 「あ、そう」 清貧ってやつかな。本物の方の巫女にも見せてやりたいぜ。 俺はれいむの前に立って、手をパンパンと叩く。 「早いとこ給料上がりますよーに!」 そして一礼すると、ゆっくり神社跡に背を向け、家に帰る。 饅頭には神も仏もいないよね。 おしまい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1133.html
ゆんごく 18KB 虐待 制裁 愛護 飾り 野良ゆ 都会 現代 作者迷走中 ※オレ設定 ゆんごく とある街角、一人の人間が道を歩いていた。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 と、泣き声が聞こえてきた。 人間は、鳴き声の方を向いた。 そこには、ピンポン玉サイズの赤れいむがいた。 この赤れいむ、どうやら飾りとなっているリボンがないようだ。 「おきゃあしゃん・・・どきょなにょ・・・・」 「おとうしゃん・・・れいみゅはきょきょにいりゅよ・・・」 「おねえしゃんたち・・・きゃくれちぇないででちぇきちぇね・・・」 どうやら、家族とはぐれた野良ゆっくりの子供のようだ。 『おい、どうしたんだ?』 人間は、飾りのない赤れいむに話しかけた。 「にんげんしゃん!!!れいみゅのかじょきゅがいにゃくにゃっちゃにょ!!!」 「いっしょにさがちてにぇ!!!」 と、人間に馴れ馴れしく返すれいむ。 『う~ん、どこにも家族はいないようだぞ・・・どうやら・・・探すのはムリかもな。』 野良ゆっくりは、駆除対象になるため、 害虫扱いしている人間が多数いるこの世界で、 野良ゆっくりに、自ら話しかけるところを見ると、奇特な性格であるだろう。 人間は、辺りを見回した。 この街には、数え切れないほどの野良ゆっくりがいる。 その中で、この赤れいむの家族を探すなんて、まず不可能である。 『おい、お前、家はどこだ?もしかすると、お前の家族は家に帰っているかもしれないぞ?』 人間は、優しく赤れいむに話しかける。 「おうちにゃんちぇ・・・にゃいよ・・・れいみゅたちはゆっくちぷれいしゅをさがちてちゃんだきゃら・・・」 どうやら、住む場所を探しに移動していた野良ゆっくりらしく、 その間に、はぐれたようだ。 『とりあえず、あれだ。もう見つからないだろうな。お前の家族は。』 「しょんにゃあぁっぁぁぁああああ!!!!ゆんやぁっぁぁあぁぁあ!!!!」 赤れいむは、激しく泣き続けた。 人間は困った顔をした後、赤れいむに話しかけた。 『仕方がない、俺のウチに来るか?』 「ゆっ!?」 どうやら、人間の話すことを理解できないようだ。 しばらくして、人間に連れられて、飾りのない赤れいむは、 人間の家にやってきた。 「ひりょいよ~!!!ゆっくちできりゅよ!!!」 先ほどまで家族とはぐれ、ゆんゆんと泣いていたれいむであったが、 家に入ると、ピョンピョンと飛び跳ねて、喜んでいた。 『なんか食うか?』 「ゆぅ・・・あみゃあみゃしゃんがたべちゃいよ・・・」 人間は、赤れいむの前に板チョコを置いた。 「あみゃあみゃしゃん!!!!」 目をキラキラとさせて、涎を垂らす赤れいむ。 『食べていいぞ。』 「む~ちゃむ~ちゃ、しあわちぇ!!!!!!」 張り裂けんばかりの声で叫ぶ赤れいむ。 『そうか、それはよかった。』 人間は、ニッコリと笑い、赤れいむを見つめた。 「にんげんしゃん!!!ありがちょう!!!!」 赤れいむは、腰(があるのかわからないが)をくの字に曲げ、 丁寧にお辞儀をした。 それから一週間、人間と飾りのない赤れいむは、 とてもゆっくりした日々を過ごした。 毎日、板チョコを人間からもらう赤れいむ。 赤れいむは、人間にお礼をするため、とてもゆっくりした歌を歌った。 『れいむ、お前、歌が上手いな。』 「にんげんしゃん!!!ゆっくちちちぇいっちぇね!!!!」 れいむもまた、満面の笑みで、人間を見つめる。 れいむは、すごくゆっくりした日々を過ごし、 野良生活をしていたあの頃のことは、忘れたかのように見えた。 事実、れいむは、忘れていた。 人間と暮らすうちに、自分がとてもゆっくりできる天国、 ゆんごくにいるのだと、錯覚していた。 そんなある日・・・ 「おちびちゃん!!!さがしたんだぜ!!!」 泥にまみれた汚いまりさがベランダにいた。 何か腐ったような匂いがする。 さらに、見れば見るほど、悪人面のニヤケ顔。 醜悪すぎる。 「れいむのかわいいおちびちゃんんん!!!ゆっくりしていってね!!!」 同じく薄汚れたれいむが、涙と涎を撒き散らして、ゆひぃゆひぃと叫んでいる。 その様は、糞が小便をブチ撒いている。そんな表現が最も似合うといっても過言ではない。 「ゆー!!!きょきょがまりちゃのゆっくちぷれいしゅになるんだじぇ!!!」 「れいみゅもあみゃあみゃしゃんがたべちゃいよ!!!」 「おい!!!くしょどりぇい!!!きゃわいいまりしゃにあみゃあみゃしゃんをもっちぇこい!!!」 「れいみゅにももっちぇこい!!!くじゅはきりゃいだよ!!!」 赤れいむ2匹に赤まりさ2匹。 どうやら、人間のことを奴隷か何かと勘違いしている子供たち。 こいつらは、まさにゲスだろう。 「みんにゃぁぁぁあ!!!ゆっくちちちぇいっちぇね!!!!」 飾りのない赤れいむは、涙を流しながら、家族と思われるゆっくりたちに挨拶をした。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 親と思われるれいむとまりさは、歯茎を露出し、意地汚なそうな笑顔で、挨拶し返した。 「ゆゆっ!!!きょきょにゆっくちできにゃいゆっくちがいるんだじぇ!!!」 「ゆひゅん!!!れいみゅがしぇーしゃいしゅるよ!!!」 「ゆゆゆっ!!!きょのゆっくちできにゃゆっくちはきょのみゃえまでまりしゃたちといっしょにいちゃよ?」 「ゆぅぅうう!!!ちねぇぇぇええ!!!ゆっくちできにゃいゆっくちはちねぇえええ!!!」 子供たちは、飾りのない赤れいむに威嚇している。 「ゆぅ・・・みんにゃ・・・どぼちで・・・じょんにゃごちょ・・・いうにょ・・・」 赤れいむは、涙を浮かべて、哀しそうな表情を浮かべた。 『何か用か?』 人間は、ベランダにいる汚い異臭を放つ野良ゆっくりたちに話しかけた。 「にんげんさん!!!そのおちびちゃんはれいむとまりさのおちびちゃんなんだぜ!!!」 「たすけてくれてありがとう!!!にんげんさん!!!」 れいむとまりさは、出来の悪い営業スマイルで、相も変わらず、歯茎を露出して、 体をクネクネとさせて、気持ちが悪い。 「ちゃまちゃまとおりきゃきゃっちゃらみちゅけちゃのじぇ!!!」 「ゆっくちできにゃいゆっくちのくちぇにゆっくちちてるのをみちゃときにはれいみゅはおこっちゃよ!!!」 「でも!!!まりしゃたちがゆっくちできにゃいゆっくちのかじょくだっちぇいえばゆっくちさせちぇくれるよ!!!」 「おきゃあしゃんとおとうしゃんはてんしゃいだね!!!こんにゃあいでぃあをおもいちゅくにゃんちぇ!!!」 ピョンピョンと飛び跳ねる子供たち。 口々に、心で思っていることを暴露する。 『で?』 呆れた顔をした人間。 「おれいにれいむとまりさとここにいるおちびちゃんたちをかうぎむをあたえるんだぜ!!!」 「にんげんさん!!!ゆっくりしないではやくれいむたちをゆっくりぷれいすにいれてね!!!」 してやったり、という表情の二匹。 もはや、醜悪を通り越して、ある意味、美しすぎるほどの愚かさと汚さ。 「あにょゆっくちできにゃいゆっくちははやきゅでていくのじぇ!!!」 「きょきょはれいみゅのゆっくちぷれいしゅだよ!!!」 「ゆっくちできにゃいゆっくちはゆっくちちね!!!」 「♪ゆゆゆ~ゆっくちちね~」 この親あれば、この子ありか。 1000回は殺しておかないと気がすまないほどのゲス加減。 『断る。』 人間は無表情で言った。 「どぼぢでことわるんだぜぇぇぇえええ!!!まりさたちをゆっくりさせろ!!!」 「じねぇぇぇぇええ!!!ぐずはじねぇぇぇええ!!!いまずぐじねぇぇぇえ!!!」 れいむとまりさは、さきほどの営業スマイルから、一転、怒声を喚き散らした。 『お前らは、この飾りのないれいむがゆっくりできないからと言って、 捨てたが、たまたま通りかかったオレの家を見た時、ゆっくりしている姿を見て、 一瞬、ムカついたが、よく考えると、家族と名乗りだして、お礼に自分たちも、 飼ってもらおうとした意地汚いクソ袋だ。 そんなヤツらは、加工所に送ってやる。』 人間は、野良ゆっくりたちをにらみ付けた。 「どぼぢでばでぃざのがんがえがばれでるのぉぉおぉおぉ!!」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁああ!!!!にんげんざんばでいぶだじのげいがぐをどうじでじっでるのぉぉぉお!!!」 さも、驚いたかのような顔をするれいむとまりさ。 「ゆんやぁぁぁぁあ!!!かきょうじょいやぁぁぁぁああ!!!」 「ゆっくちできにゃいぃいいぃい!!!きょきょはゆっくちできにゃいいぃいい!!」 「もうやじゃぁぁぁぁぁああ!!!ぉうちきゃえるぅううぅうう!!!」 「ゆぴぃいぃいいぃいい!!!ゆっくぃいぃい!!!!」 子供たちは、加工所という言葉に反応したのか、 体中から、体液を分泌させて、ブルンブルンと体を震わせて、 喚きだした。 『そこのちび共が勝手に話した。』 人間は、4匹の汚い赤ゆっくりを指差した。 「どぼぢでぞんなごどいうのぉぉぉおっぉぉお!!!!」 「うまぐいぐまでだまっでるっでいうやぐぞぐだっだでじょぉぉぉぉお!!!」 れいむとまりさは、赤ゆっくりたちを睨み付けた。 横で、ずっと、話しているのに、全然気づかないなんて、 ある意味、素晴らしい。 「うるしゃいのじぇ!!!はやきゅあみゃあみゃしゃんをもっちぇこい!!」 「しょうだよ!!!れいみゅはおにゃかがすいちゃんだよ!!!」 「きゃわいいまりしゃにがみゃんしゃせるくしょおやはゆっくちちね!!!」 「げしゅなくじゅおやはれいみゅがちぇーしゃいしゅるよ!!!!」 親と子が、罵り合いを始めた。 人間は、何事もなかったかのように、携帯電話を取り出し、加工所の番号をかけようとした。 「にんげんしゃん・・・」 飾りのない赤れいむが人間に話しかける。 「みんにゃをかっちぇね・・・・」 赤れいむは、涙を溜め、ウルウルとしている。 『おい、あのクズどもを助けるつもりはない。』 冷たく言い放つ人間。 「にんげんしゃん!!!れいみゅのかじょくをたしゅけちぇね!!!ゆっくちたしゅけちぇね!!!」 大きな声を上げて、叫ぶれいむ。 『家族か・・・お前、まだあいつらを家族だと思うのか?』 溜息をつきながら、人間は問う。 「しょうだよ!!!れいみゅのかじょくなんだよ!!!ゆっくちりきゃいしちぇね!!!」 赤れいむは人間を睨み付けた。 『そうか・・・じゃあ・・・どうしても、あいつらと一緒に暮らしたいか?』 人間はれいむに再び、問う。 「しょうだよ!!!れいみゅのかじょくとゆっくちくりゃしちゃいよ!!!」 れいむが満面の笑みで答えた。 今まで苛められてきただろう家族との絆というのは、簡単に切れると思っていたが、 ゆっくりにとって、餡子の絆というのは、情よりも深いモノだと、人間は悟った。 『そうか、じゃあ、この家から出て行け。』 人間は冷たく言い放った。 「どぼぢでじょんな」 『うるさいクソ饅頭』 飾りのない赤れいむを人間は野良ゆっくりたちの方へ蹴った。 「ゆびぃ!!!」 地面に叩きつけられて、餡子を吐き出す。 「おい!!!くそどれい!!!はやくまりささまをいえにいれるんだぜ!!!」 まりさが、頬をプクーと膨らましていた。 横で餡子を吐き、苦しんでいる赤れいむのことなど、一切気にしていなかった。 「ゆっくりさせろ!!!れいむをはやくゆっくりさせろ!!!」 目が血走っているれいむ。もうその表情はゆっくりとはかけ離れた形相になっていた。 「ちねっぇえええ!!!ゆっくちでしゃせにゃいくしょどりぇいはちねぇぇえ!!!」 「しぇーしゃいしゅるよ!!!れいみゅはちゅよいんだよ!!!」 「まりしゃがころちちぇやるんだじぇ!!!ちねぇええ!!!」 「ぷくー!!!れいみゅのうんうんしゃんでもたべりょ!!!」 子供たちもまた、親同様、威嚇していた。 「ゆっくりざぜないにんげんばじねぇぇぇっぇえ!!!!」 まりさが、ポヨンポヨンと体を弾ませて、人間に襲いかかっていった。 と、同時に、人間は、右手の人差し指と中指を突き出し、まりさの右目を突いた。 ザシュ!!! 「ゆびぃいいぃいい!!!いじゃいぃいいぃいいぃい!!!!」 まりさの悲鳴が響き渡る。 それを聞いて、顔面蒼白になるれいむと子供たち。 ブチン!!! そのまま、右目を抉り取る人間。 まりさは、人間に背を向けて、家族の方へ逃げようとする。 「いじゃいいいいぃいぃい!!!いじゃいいぃいいいよぉおぉおぉ!!!」 残された左目から、涙を滝のように流し、 抉られた右目辺りからは、餡子が漏れていた。 ずりずりと、体を引きずり、顔をクシャクシャにして、苦悶しているまりさ。 さきほどまでの強気な態度は一切見る影がなかった。 「ゆわわわわ・・・」 目の前にあるまりさの惨状を見て、目を点にして何か口走るれいむ。 ガチィ!!! 人間は、まりさの頭をつかみ、ねりわさびのチューブを取り出して、 抉り取った右目あたりに、わさびを念入りに塗りだした。 「ゆびびびびびびびびびびびびびっぃいいいいいぃいいいいいぃい!!!」 口をへの字に曲げ、痛がるまりさ。 さらに、人間は、ライターを取り出し、まりさの髪の毛に火をつけた。 「あじゅぃいいぃいぃいぃい!!!ばでぃざのがみがぁぁぁぁ!!!あじゅぃいいいぃいい!!!」 ひたすら叫び続けるまりさ。 炎に包まれても、なお、最期の瞬間まで、叫び続けていた。 残されていたれいむと子供たちは、呆然としていた。 目の前に起きたことを理解するのに時間がかかったのだ。 「ば、ば、ばばでぃ」 『うるさい』 れいむが泣き叫ぼうと思った矢先、人間が割って入った。 『お前らは助けてやる。そこのれいむに今までゆっくりしてもらった例だ。』 「うるざいぃいい!!!ばでぃざをごろじだにんげんばゆっぐり」 『それ以上言うと・・・お前もこうするから。』 人間は、炭と化したまりさの体を持ち上げて、その苦悶の表情を見せた。 それを見て、顔面蒼白のれいむ。 「にんげんしゃん・・・」 飾りのない赤れいむが、力なく、弱った声で、人間に話しかけた。 『れいむ。今までゆっくりさせてもらった最後のお礼だ。』 と、言うと、人間は・・・ 「ゆぶぅ!!!」 飾りのついた赤れいむを踏み潰した。 「おちびじゃんんんんんん!!!!!」 れいむの悲鳴が辺りを木霊した。 『これで苛められはしなくなるだろう。』 人間は、潰した赤れいむの飾りを、飾りのないれいむに着けた。 「ゆぅ!?くちゃいのじぇぇぇぇええ!!!」 「ゆっくちできにゃいいいい!!!ゆっくちでにゃいよぉ!!!」 「おりぼんしゃんきゃらくちゃいにおいがぁぁぁぁあ!!!」 ゆっくりの死臭が付いたリボンである。 ゆっくりたちが臭がって当然である。 『おい、くそ饅頭。』 と、人間はれいむに話しかけた。 「れいむはくそまん、ゆぶっ!」 パン!!! 人間はれいむに平手打ちをした。 れいむの頬は真っ赤に腫上がった。 人間は何度も何度も平手打ちを繰り返した。 数分後、顔が2倍くらいにパンパンに張ったれいむがいた。 『このれいむを苛めたら、次はもっと叩くからな。 絶対に苛めるなよ?』 人間は、れいむに問いかけた。 「ばばびばじだ・・・」 歯がボロボロになり、もはや見る影もないれいむであった。 『そして・・・ちびたち。お前らも苛めたらこうするからな。』 と、れいむの腫上がった顔を見せる人間。 「ゆ、ゆくちりきゃいしちゃのじぇぇぇぇええ!!!」 「もういじめまちぇんんんん!!!」 「ゆりゅちちぇぇぇぇぇええ!!!」 あまりの恐怖に、しーしーを漏らしながら、泣き喚く子供たち。 額をこすり付けて、擦り切れて、餡子が薄く見えるくらい、 腰(なのか?)を曲げ、土下座をし続ける。 「にんげんしゃん・・・」 死臭の付いた飾りのれいむは、人間を哀しそうな目で見つめた。 さっきまで、ゆんごくにいたのに・・・。 どうしてこんなことに・・・。 そんな風に思い出したれいむ。 『二度とオレの前に顔を出すな。次、見たら、こうするからな。』 クシャ!! まりさの炭となった死体を地面に叩きつける人間。 「ゆぶじびばいじばじばぁぁぁぁあ!!!」 腫上がっているため、どこに眼があるのかわからないれいむが、 涙を流しながら、謝ると、子供たちを連れて、どこかへ消えていった。 数日後・・・とある街角。 人通りの激しい大通りの道の傍らで、れいむとその子供たちは、 座り込んでいた。 れいむの顔の腫れは、まだ治ってなく、まともにしゃべることはできなかった。 子供たちも、ここ数日、何も食べていなかったため、 ゲッソリとやせ細っていた。 死臭のついたリボンのれいむも同じだった。 れいむは、思い出した。 人間から、歌が上手いと言われたことを。 「ゆゆゆ~ゆっくちちちぇいっちぇね~・・・」 か細い声で、歌い始めた。 すると、他の子供たちも・・・ 「ゆっくちちちぇるのじぇぇ~」 「ゆゆゆっくちにゃんだよぉぉお~」 「ゆゆゆん!!!ゆゆっくち!!!」 と、力ない声で歌いだした。 それを聞いたれいむもまた、 「ぶぶぶぼぬ~ぶぶぶりぶりりでべぇっぇええ!!!」 と、ブタの声の方が100億倍綺麗な声で歌い始めた。 彼らはゆっくりしたかった。 このゆっくりできない状況から抜け出したかった。 だから、ゆっくりできる歌を歌ってゆっくりしようと、 いつしか、それは大合唱になっていた。 だが、それは通りかかる人間からすれば、雑音、騒音の類。 みな、顔をしかめて、通り過ぎていく。 「ゆゆっくちち、ゆぶっ!!!」 赤まりさが通りかかった人間に踏み潰された。 「ゆんあやぁぁぁああ!!!れいみゅのいもうちょがぁぁぁああ!!!」 死臭が付いていないれいむは、泣き叫んだ。 次の瞬間、 「ゆぶぅ!!!」 赤れいむが、通りかかった人間に蹴られた。 「ゆぅ・・・おしょらを・・・ゆべぇぇ!!!」 宙を舞い、地面に叩き付けられるれいむ。 「ゆべぇ!!」 再び、他の人間に蹴られた。 「ゆびぃ!!」 「ゆぶぅ!!!」 「ゆげぇぇぇえ!!!」 いろんな人間に蹴られ続けて、いつの間にか、人ごみの中に消えていった。 残されたれいむと、子供たちは、歌うのをやめ、 死んだ魚のような、覇気のない目をして、その光景をずっと見ていた。 「きょんにゃゆっくちできにゃいゆっくちとはいっちょにいりゃれにゃいんだじぇ!!!」 赤まりさは、叫んだ。 「まりしゃはひちょりでゆっくちしゅるよ!!! ゆっくちしゃせないくしょおやとくしゃいれいみゅはゆっくちちね!!!」 赤まりさは、そう言った後、ピョンピョンと飛び跳ねて、その場から離れていった。 「ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!」 顔の腫上がったれいむは、体をブルンブルンを揺さぶりながら、涙を流していた。 「おきゃあしゃん・・・」 赤れいむは母の名を呼んだ。 「ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!」 れいむは、ただ、それしか言わなくなった。何を話しかけても、 体を揺らしながら、叫び続けるだけだった。 赤れいむもまた、その場を無言で離れていった。 「ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!ぱぴぺぽぉぉおぉ!!!」 遠くから聞こえてくるのは、母親だったモノの音。 母親の声が聞こえなくなった辺りに、丁度、さきほど出て行った赤まりさがいた。 よく見ると、目がなくなっていた。 「くりゃいよぉおぉおぉ!!!どぼぢでよるしゃんにゃんだじぇぇぇぇえ!!!」 「にんげんしゃん!!!まりしゃのおめめしゃんをかえちちぇねぇぇぇえ!!!」 「ゆっくちしゃせにゃいにんげんしゃんはしぇーしゃいするのじぇぇぇええ!!!」 パッチリと目のあった部分には、空洞ができた赤まりさが、そこにはいた。 「ゆぅ!?くちゃいいぃいぃい!!しょこにいるのはくしゃいれいみゅなのじぇ!!!」 赤まりさは、赤れいむを呼んだ。 「れいみゅぅうぅう!!いままでいじめちぇことをあやみゃるきゃらおめめしゃんをさがしゅのじぇええ!!」 「きゃわいいまりしゃがゆっくちできにゃいのじぇぇええ!!!」 「はやきゅさがしゅのじぇえええ!!!じゃないとまちゃいじめりゅのじぇええ!!!」 大きな声で叫び続けるまりさ。 赤れいむは、赤まりさを何か汚いモノを見るかのような目で、見つめた後、 その場から無言で立ち去った。 赤れいむは、かつて、住んでいた人間の家に辿り着いた。 「にんげんしゃん・・・」 れいむは人間を呼んだ。 『お前か。』 人間はれいむの呼びかけに応じた。 「れいみゅ、まちがえちぇたよ・・・・にんげんしゃん・・・れいみゅをたしゅけちぇね・・・」 れいむは、どんなに嫌われていても家族との絆を選んだ。 本能なのか?宿命なのか?それとも情けなのか? それは人間には理解できない何かなのだろう。 その結果、とてもゆっくりした天国、ゆんごくだった生活と引き換えに、 とてもゆっくりできないつらさを味わった。 今、その過ちに気づき、再び、かつて暮らしていた人間の前に姿を現した。 ビュ!!! れいむの左目に、人間のデコピンが炸裂する。 れいむは耐え切れず、大きな声で叫んだ。 それから、人間は、わさびチューブを取り出し、れいむの左目に塗りだした。 激しい痛みがれいむを襲う。 その後・・・れいむは・・・真っ赤な炎に包まれて・・・ 死の間際、れいむは思った。 ここは、ゆっくりできない地獄、ゆんごく 終わり 飾りのないれいむが野良ゆっくりだったら・・・ ゆっくり道に出会わなければ・・・ ユグルイの平行世界 いともたやすく行われる えげつない行為 ってか、ユグルイ、かなり長くなる。 最低、30話くらいになりそう。 てか、いる?ユグルイ? 他の作品 ユグルイとか ユグルイあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 「、」が多すぎ -- 2016-10-08 16 26 15 普通につまんなかった -- 2015-10-20 19 42 46 赤まりさが一番うざかった 親と一緒に精神崩壊して死ね -- 2014-01-04 00 05 39 やっぱ落とす話はいいねぇ -- 2012-02-22 18 09 05 あぁ、ゴミを拾っていくあたりこの人間もゴミなのかと思ったが、変わり者なだけで普通の人間だったね。 -- 2011-11-09 22 53 52 とてもすっきりー!な結末で大変ゆっくりできました!! ただお兄さんが両親ゆっくりを痛めつけ過ぎで 既に詰んでる状態の親子に飾り無しれいむを戻したのが少しアンフェアな感じがしました 普通の野良生活に戻し、そのうえで飼いゆ生活を捨てた事を後悔させた方が もっとゆっくりできたかも -- 2010-12-19 07 52 32 お兄さんにお礼が言えた辺り割と善良かなとも思ったが 結局、自分がゆっくりする事しか考えて無いただの馬鹿だったな>赤れいむ -- 2010-10-15 04 13 29 赤れいむ、せっかくの幸運を溝に捨てるとはなw 助けてくれた青年にあんな酷い事を言う饅頭どもを養えとか、恩を仇で返しすぎだろ… -- 2010-10-14 21 12 55 私ユグルイ大好きですよ -- 2010-09-13 14 41 49 つか赤まりさ死亡フラグ建てすぎだろww -- 2010-09-09 22 54 53 ゆんごく?煉獄のことかな?と思ったら天国で、天国かと思ったら地獄とか、、 まあ、饅頭はつぶれたら汚いだけですけどねww -- 2010-08-12 04 14 56 通常種の「不幸になる才能」は都城王土もびっくりな異常性 -- 2010-07-01 23 35 47 なるほど -- 2010-06-29 17 45 20 もちろんいります!! 是非書いてください ユグルイ -- 2010-05-20 15 47 37
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1954.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 935 底辺ゆっくり/コメントログ」 ゆっくりはゴミ以下だ -- 2010-07-05 01 41 01 足りない子や未熟児描写が上手い。ゆっくりはやっぱり馬鹿なほうがいい。 キモあきやゲスあきの歯茎をむき出しにしたゆっくりは、とってもゆっくりできる。 -- 2010-08-07 23 21 32 ごみとゆっくりを同等に扱うなんて、ごみに失礼だよ! -- 2010-09-30 19 06 25 ゴミはリサイクルできるけどゆっくりはねぇ・・・ -- 2010-10-02 02 38 16 ゴミ捨て場がゴミ処理場になったかw -- 2010-11-26 22 05 56 自然な群れの掟としては間違っていないかもしれないけど自分たちのゲスさを際立たせただけだったな。 -- 2011-10-03 14 07 12 餡子って何かに転用できないのかな? バイオエタノール的な利用法とか -- 2011-11-08 10 32 14 やっぱりゴミ処理はゆっくりできるね!! -- 2012-02-08 18 48 38 殺すのはでいぶ、ゲスまりさ、レイパー、森の賢者(笑)、 だけでヨロシ。 -- 2012-03-19 21 42 55 未熟児をいじめた結果がこれだよ!! -- 2012-09-15 22 47 55 ゆっくり共は未熟児を食べるという発想にはならなかったのか? -- 2013-02-08 07 51 30 下等生物のゆっくりは焼却処分しましょうね~ いっぱいでいいよ -- 2014-08-08 17 26 56 ゆっくりの子供まで殺すとか殺人鬼だよ 4444444番目の憲法で逮捕する(www) -- 2015-12-23 14 01 01 ゆっくりは理由なしで全員死刑。 -- 2016-02-14 23 38 27 うわ〜このゆっくり捨てられる前に欲しかったわ〜。 -- 2016-11-22 06 14 43 ゆっくりなんて元から出来損ないみたいなもんなのにね -- 2017-06-05 16 58 10 ゆっくりが死んでいくなんてのは最高にハイって奴だあああははははははー -- 2019-07-19 03 46 09 未熟児ゆっくりにゆっくり死ねで発狂したまりさは最高にハイって奴だああはははははー! -- 2019-07-19 03 51 07 これをビデオに撮って愛誤共「とっても優しい、人間のパートナー。ゆっくりも生きている。」「エ?これみろよwww」」 -- 2019-10-24 09 51 08 未熟児ゆっくりが流暢にしゃべったのはびっくりした -- 2021-03-17 19 35 00
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/517.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 233 どすらりー/コメントログ」 面白かった。 実際に見れたら良いのに・・・。 -- 2010-06-30 07 30 27 アマギリ選手権がすげえ気になるんだけど書いてくんないかなあ・・・ -- 2010-09-02 08 38 53 でもドスってどのくらいの速度で移動するんだろう? 見た目が異常(サイズ的な意味で)すぎてイマイチ予想がつかない -- 2010-09-12 17 07 46 坂口智隆 -- 2010-10-17 00 13 37 全く、下等生物が・・・帽子を被るなんざおごがましいんだよ!! -- 2014-07-31 15 07 54 ドスじゃなくて、普通のまりさならこうならなかったのに。 -- 2014-11-23 09 12 34
https://w.atwiki.jp/th_izime/pages/716.html
202 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 07 09 ID 6R9aOelEO 「私は何度も転生してるんだから大人と同じ、子供が大人を殴るなんて世の中狂っていますね」 と人里の子供たちにいじめられながらも精神的勝利を収める阿求 203 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 26 26 ID OgifHcHQ0 202 ハカセタイプのこましゃっくれたガキに 「子供相手にムキになる大人がいる方が世の中狂ってるってものですよ」 と言われてプルプルするあっきゅんが可愛くてもう 204 名前:名前が無い程度の能力[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 34 53 ID nysOOk2Q0 203 後日、人里近くの川の下流でちゆりの遺体が発見されたとかなんとか