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死亡者リスト A-1ルート 第1回放送までの死亡者 第2回放送までの死亡者
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Innocence ◆.WX8NmkbZ6 「なんだ、緋村さんは結局死んじゃったのか」 青を基調にした着物に身を包んだ青年が、柔和な笑みを絶やす事無く呟く。 内容はともかくとしてその口調は柔らかく、『優男』と称された顔には子供らしい幼さが残っていた。 青年、瀬田宗次郎は書き込みを終えた名簿を改めて眺める。 「それに斎藤さんも……。 なんだか拍子抜けだなァ」 放送で呼ばれた知り合い、緋村剣心と斎藤一。 前者は元伝説の人斬りの流浪人、後者は元新撰組の警視庁密偵だ。 志々雄の話と新月村での接触から、両名が実力者だという事を宗次郎は知っている。 その二人が命を落とした事を受けて僅かに驚くが、それ以上の衝撃は無かった。 「でも当然だよね。 緋村さんの不殺なんて殺し合いの場では通じない。 斎藤さんだって、志々雄さんの国盗りに賛同出来ない時点で甘い。 だから生き残れない……僕や志々雄さんにかなわない」 地図と名簿をゆっくりとした動作でデイパックにしまう。 仕草の一つ一つが緩慢で、見る者に緊張感を感じさせない――実際宗次郎は緊張していなかった。 明治という時代、志々雄真実の下で片腕として働いていた身にはこの状況は緊張に値しない。 ――それ以前に、宗次郎の性格は『緊張』という言葉と無縁だった。 突然放り込まれた殺し合いの場。 初めて見る道具、初めて見る建物。 主催者の目的、動機、参加者の人選の意図。 疑問に思うべき事は幾らでもあるが、宗次郎はそれら全てを「ま、いいや」の一言で済ませた。 脇に置いていた剣を拾い上げて一つ伸びをすると、再び歩き出す。 『弱肉強食』。 志々雄が宗次郎に教えたこの世の理だ。 国盗りに反発した剣心と斎藤の死。 そして志々雄と宗次郎の生存によって、それは宗次郎の中でより確固たるものとなった。 強ければ生き、弱ければ死ぬ。 剣心と斎藤は弱く、志々雄と宗次郎は強かった。 予め分かっていた事――それだけの事だと、宗次郎はすぐに考えを打ち切る。 『楽』以外の感情が欠落している宗次郎には喜びも怒りも哀しみも無い。 加えて幼少時に「志々雄が正しい」という考えに行き着いた時点で思考停止していた。 だから深く考えない。 少なくとも、普段は。 「イライラするなァ……」 感情は欠落している――正確には封印しているのだが、今は苛立ちという形で洩れ出していた。 独り言も自然と増える。 「おかしいなァ……緋村さんは死んだのに、どうしてこう……イライラするんだろう」 口元の笑いはそのままだが、眼はそれまでの柔らかさを失くし剣呑な光を帯びていた。 語調の緩さに対して声質には冷たさが混じる。 そもそもの苛立ちの原因は、不殺を掲げる剣心との対峙にあった。 ここに連れて来られた直後の宗次郎なら、剣心が死ねばそれで不機嫌は収まっていたかも知れない。 しかし現在の苛立ちには別の要因が関わっている。 「泉新一、か」 「シンイチ」と、彼の喋る右手は彼自身に呼び掛けていた。 恐らく名簿にある『泉新一』が彼の名なのだろう。 そして放送にその名前は含まれていなかった。 「無理してでもちゃんと殺しておくべきだったかな……」 ラジコンカーによる爆発はそれなりの規模があったが、あくまで自身の逃走の為のものだ。 「縁があったらまた会いましょう」という言葉の通り、本気で殺そうとしていた訳ではない。 だが沸々と湧き上がる不快感は他でもない新一の言葉から来ている。 思い返し、新一の言葉を咀嚼するごとに宗次郎の神経は逆撫でされた。 明確に生存という事実が示された為に、それは余計に助長される。 「意味が分からない事ばかり言ってきて、本当に……イライラする……」 『当たりめぇだろ! 人の命ってのは尊いんだよ!』 ――だったら何であの時、誰も助けてくれなかったんですか? 義理の家族との生活の中で、毎日毎日飽きる事無く続けられる執拗な虐めにずっと耐えていた。 酷い仕打ちを受けるのは自分が妾の子供だから仕方ないと諦めながら。 諦めて、怒る事も泣く事もやめて笑っていた。 政府に追われ全身に火傷を負った志々雄を匿ったのはそんな頃の話だ。 そしてそれが発覚してしまった日、宗次郎は家族に殺されかけた。 政府に楯突いた事に怒り狂って。 政府からの報酬を期待して笑って。 殺人への好奇心に目を輝かせて。 剣を振るう事に興奮して。 家族の中に味方は一人もおらず、宗次郎はただひたすら逃げた。 宗次郎の命を救ったのは、志々雄から貰った言葉と一振りの脇差だった。 その二つで宗次郎は家族を皆殺しにし、志々雄の理念を真に理解する。 強い者が生き、弱い者が死ぬ。 自分が弱かったから虐められた。 彼らが弱かったから殺された。 自分が強くなったから生き残った。 それは分かりやすい、疑いようも抗いようも無い摂理の結果なのだと。 少年は何も知らず、縋るものを何も持たず、無垢だった。 故に志々雄の言葉は容易に「刷り込まれ」る。 しかし剣心も新一もそれを理解しようとはしなかった。 剣心は幕末の動乱を生き抜いた上でなお不殺を唱える。 新一は何も知らない癖に知った風な口を開く。 どちらも宗次郎には理解出来ず考えれば考えるだけ苛立ちが募り、堪らなく不快だった。 ――不殺とか、弱い者を守るとか、そんなものは間違っているんだ。 「助けて」と、心の中であんなに叫んでいたのに誰も助けてくれなかったじゃないか。 縁の下に逃げ込んで、脇差を握ってあんなに震えていたのに誰も助けてくれなかったじゃないか。 下の兄に脇差の鞘を抜かれた時、あんなに怯えていたのに誰も助けてくれなかったじゃないか。 あの時すぐ近くにいた志々雄さんだって、助けてくれなかったじゃないか。 結果として宗次郎は今も生きている。 だから志々雄は正しい。 『弱肉強食』こそがこの世の理であり、摂理。 そこで停止した思考のまま、宗次郎は何年も過ごしてきた。 もし考えたら、疑ったら、何かが壊れてしまう事を無意識のうちに理解していたのかも知れない。 『自分を騙して、人を傷つける。それで弱肉強食? 笑わせんなよ』 誰も助けてくれなかったから――僕ハ彼ラヲ全員殺シタ。 デモ―― デモ弱イッテコトハソンナニ悪イコトナノ? ――――雨の中泣いている子供が居た。 ――――子供は泣いているのかと尋ねられる。 ――――でもその子供は笑いながらいいえと答えるんだ。 ――――そうだ……この子供は僕だったんだ。 本当ハ、初メカラ気付イテイル。 アノ時僕ハ志々雄サンニ嘘ヲ吐イタ。 ――やっぱりこれは志々雄さんに返そう ――僕は志々雄さんみたいに強い剣客にはなれないよ ――弱くても僕は今まで通りでいいや 誰モ殺シタクナンテナカッタ。 強クナレナクテモ良カッタ。 『お前は弱肉強食に、本当には納得してないって事だろ?』 本当ハアノ時、アノ雨ノ中、僕ハ泣イテ―― 「……あれ?」 叫び出しそうな程に思考と感情が高ぶった時、宗次郎ははたと立ち止まった。 歩いているうちに橋に辿り着き、そこで道が二つに分かれていたのだ。 「そっか、もうそんなに歩いてたんだ」 地図を思い出しながらポンと手を打つ。 縮地を使えば島の縦断も容易かったが、特に焦る理由も目的地も無く宗次郎は徒歩で進んでいた。 しかしここで選択の必要が生まれる。 現在の差し当たっての目的は、刀。 そして沸騰寸前だった脳は一時的に冷めたが苛立ちは消えていない。 憂さを晴らす為に手頃な相手が必要だった。 様子を見ているうちに橋の向こう――E―2で爆発が起きた。 しかし宗次郎に驚きは無い。 爆発は宗次郎自身も起こしているし、東の方角では複数箇所で黒煙が上がっている。 ただ、この世こそが地獄だと語る志々雄の姿を思い出した。 修羅に慣れ親しんだ男は今頃、この状況を存分に楽しんでいる事だろう。 「さて、どっちに行こうかな……?」 たった今爆発が起きたE―2か、大規模な殺し合いが行われていると思われる東か。 縮地を前にすれば、どちらも距離は同じと言ってもいい。 どちらに進んでも退屈する事は無さそうだと、宗次郎は再び顔に笑みを貼り付ける。 刃を握ったままの両手では、何をも掴めない。 例え縮地で駆けても、何にも届かない。 人に与えられた答えだけでは、本当の自分にはなれない。 それを宗次郎に諭すはずだった男――志々雄の信条を否定した男はもういない。 皮肉にも否定した言葉、『弱肉強食』の文字の通り強者の糧となった。 その皮肉は宗次郎の行く末を如何に変えるのか、今はまだ分からない。 少なくとも。 殴られただけで痛いのだから、刀で斬られて痛いのは当然だと―― 人の痛みを知っていた優しい少年の面影は、今は遠い。 【一日目朝/D-1 道】 【瀬田宗次郎@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】 [装備]黄金の剣(折れている)@ゼロの使い魔 [所持品]ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュ、基本支給品 [状態]全身打撲、精神不安定 [思考・行動] 1:獲物と得物を求めて徘徊。 2:弱肉強食に乗っ取り参加者を殺す。志々雄に関しては保留。 3:どちらに進むか決める。 時系列順で読む Back 嗚呼、青春の日々 Next 次元大介の憂鬱 投下順で読む Back 嗚呼、青春の日々 Next 次元大介の憂鬱 067 無知 瀬田宗次郎 [[]]
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無題 ◆9.99ilhlDA 今、かがみの周囲には建物もなく、木々もなく、ただ夜空が広がっていた。 はるか下に地面、殺戮の舞台となる島が。 つまり彼女は…………空にいた。 強くはためく衣服の音、そして、その身に受ける風により目を覚ましたその時、 彼女は何故か上空にいて、あの世へと直行ダイブの真っ最中という状況であった。 何の手違いで起こってしまったのかは不明だが、現在、猛スピードで落下中なのは間違いのない事実である。 「なああああああああああっ!!」 彼女には悠長に状況を整理している暇などなかった。 リミットはおそらくあと十数秒程度。 このまま地面に激突すれば、目を背けたくなるような悲惨な最期は明らかだ。 かがみは必死に手足をばたつかせるが、もちろん何の効果もなく、無駄な抵抗に終わる。 ふと気付く。この左手に握られているのはなんだろうと。 それは、見た目は何の変哲もないデイパックであった。 「ぱっ、パラシュートとかっ」 わずかな期待を込め、突っ込んだ手で掴んだ『なにか』を引っ張り出す。 だが、期待もむなしく、出て来たのはサーフボードのような板きれであった。 『なんでこんな物が? つーか、どう考えてもデイパックより大きいだろ』 普段の彼女ならそんなつっこみを入れる所だが、今はそれどころではない。 「もう、ダメっ」 もはやこれまで、というその時、ボードの後部、左右についた一対の小さな翼が羽ばたきだした。 錬金術によって生み出されたフライングボード。 その不思議な力が発揮され、地面への激突をギリギリの所で回避。そのまま地上を悠然と滑空する。 「うそ…………助かっ……た?」 だが、九死に一生と気が緩んだ彼女は、バランスを崩してボードから落っこちてしまう。 低空飛行であったため、落下による怪我はなかったが、その場所が傾斜になっている草原であったため、ごろごろと転がり、陸地の終点を越えて海へと落水してしまった。 「ぷはっ、げほっ」 しばらく打ち寄せる波と格闘していたが、なんとか無事に岸に上がると、気の抜けたようにその場に突っ伏した。 海水でぬれた制服が、べしゃっ、と音を立てる。 「もう、なにがなんだか」 しばしぐったりしていたが、ふと脳裏にゆたかの姿がフラッシュバックし、閉じかけた目をカッと見開いた。 そして、茫然自失の妹や、叫び声を上げる親友たちの姿が脳裏に映ると、勢いよく上体を起こし、立ち上がった。 (こんなことしてる場合じゃない……私がしっかりしなきゃいけないのに) 「みんな無事でいてよ! すぐ行くから!」 【一日目深夜/F-5 岸辺】 【柊かがみ@らき☆すた】 [装備]なし [支給品]支給品一式 、ランダム支給品0~2 [状態]健康 [思考・行動] 1:つかさ達を捜す。 2:あれ? そう言えばなんか色々不可思議な現象が……。 [備考] ※フライングボード@ヴィオラートのアトリエ、の所在は以降の書き手に任せます。 時系列順で読む Back 光と亀 Next 二人の秘め事 投下順で読む Back 光と亀 Next 水銀燈と奇妙な良子 柊かがみ 040 また逢いましょう
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仮面ライダー龍騎の参加者の支給品の経過と消費 城戸真司 ・龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎 ・不明支給品(未確認)0~1 北岡秀一 ・ゾルダのカードデッキ@仮面ライダー龍騎 →【レイ・ラングレン@ガン×ソード】(デイバックごと) ・デルフリンガー@ゼロの使い魔 →【石川五ェ門@ルパン三世】 浅倉威 ・王蛇のデッキ@仮面ライダー龍騎 ・不明支給品(未確認)0~1 東條悟 ・タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎 ・レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード
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くノ一は見た! ◆KKid85tGwY そのメイド服を着た女は、忍の者としての訓練を修めている。 だから月明かりを通さぬ鬱蒼とした森の中でも、周囲の様子ははっきりと視えていた。 だから人の気配の無い鬱蒼とした森の中でも、草木の擦れる音まで聞こえていた。 だから森の中の匂いに、文明の気配が混じっていないと嗅ぎ分けていた。 そう、ここがまるで見知らぬ森の中だとはっきり認識出来ていたのだ。 (……ここは一体? 私は何故、この様な所に?) 篠崎流37代目を継ぐ彼女――篠崎咲世子は、全くの未知の世界に1人置き去りにされていた。 とりあえず頬を抓ってみる。 痛い。やはり夢では無いらしい。 そして現実ならば、今の状況はそのまま解決すべき問題となる。 まずは現在の状況を整理してみる。 何時の間にか得体の知れない空間に居て、突然殺し合いをしろと命じられ そして次の瞬間にはこの場に居た。 つまりここは殺し合いをする為に招待された会場、と言った所か。 では身の振り方はどうするか? 当然目的となるのは、一刻も早い帰還だ。 自分は反ブリタニア組織『黒の騎士団』の構成員である。 それがこんな所に居ては、自分の任務も遂行出来ない。 殺し合いに勝ち残るなり首輪を外すなり、とにかく最も迅速かつ確実な方法で帰還に臨めば良い。有る意味簡単な話だ。 自分1人の問題だったなら。 この殺し合いには黒の騎士団のリーダーにして咲世子の主であるゼロ、ルルーシュまで参加していた。 ルルーシュが参加しているとなると、まるで話が違って来る。 最優先にすべきはルルーシュの生還だ。それは自分も含めた、あらゆる命にも優先する。 ではルルーシュを除く全員を殺害し、最後に自殺すれば良いのだろうか? 確かにその方法が最も迅速かつ確実に思える。 しかし殺し合いを主催する者が、何処まで信用出来るかと言う問題がある。 何よりそのやり方は強者が弱者を蹂躙する事を良しとしない黒の騎士団、即ちゼロの掲げる理念に反するのではないか? 今はそんな建前を気に掛けている場合では、無いのかも知れないが。 しかしそもそも他の参加者を殺して回っている内に、肝心のルルーシュが殺されていたら目も当てられない。 思案の末に咲世子が出した結論は、見。 先ずはルルーシュと合流して、可能な限りの安全を確保。 その後状況や入手出来た情報を見て、ルルーシュの帰還方法を検討。 大まかな行動方針を決めた所で、先ずは手元から情報収集を始める。 配られたと言う武器とやらも、確かめておきたい。 何しろ今の咲世子は苦内や煙幕弾等の、常から携帯している武器は全て無くなっているのだ。 ルルーシュを捜して動く為にも、支給武器に頼る必要が有る。 支給されたデイパックを開け、中を改める。 折り畳まれた紙片が添えられた、双眼鏡の様な物が見付かった。 どうやら紙は説明書であるらしく、物はそのまま只の双眼鏡。説明書の必要性を疑う。 これも支給武器と言う事なのだろうか? 試しに覗いて見る。 それは本当に偶然だった。 双眼鏡の性能を試す為、深い意味も無く覗いて見たその先。 そこに2人の少女が居た。 1人は10代後半と思しき、緑の長い髪を後ろで結んだ少女。 少女は草葉に潜み、もう1人の少女を観察している。 まだティーンエイジにも満たないと思しき、長い赤髪の少女。 片手に軽々と剣を握り、殺し合いに怖気付く様子は無い。 何気無い、しかし武術の熟練をすら匂わせる自然体の立ち方。 放つ気配は沈着にして、この上なく獰猛。 とても年端もいかない子供の物とは思えない、距離を置いたこの場にさえ届かせる危険な気配。 緑髪の少女の方は、完全に赤髪の少女に呑まれていた。 不意に赤髪の少女の身体が揺らいだ。 次の瞬間には、緑髪の少女の首から上はまるで玩具のそれの如く 呆気無く零れ落ちていた。 赤髪の少女が首を刎ねた。 咲世子だからこそ、ようやくそう認識出来た早業。 否、そんな表現では足りない人間の速さを超えた業。斬られた当の少女と同じく、常人には知覚すら及ばないであろう。 咲世子とて篠崎流を修めた、一流の武人。 同じ人間と言う枠組みの中なら、トップレベルの戦力を持っている。 そんな咲世子だからこそ、赤髪の少女のたった一閃で見抜いた。 あの赤髪の少女は、明らかに人類を逸脱した存在だと。 衝撃と、それに付随する恐怖を覚える。 確かに先程までも、ここに来るまでの瞬間移動等の超常現象を体験して来た。 しかし赤髪の少女は、無抵抗な他者をあっさり殺害した事からも完全に殺し合いに乗っている。 つまりは咲世子にとって、そしてルルーシュにとっても極めて危険な存在。 赤髪の少女が、首を刎ねられた少女の下に屈み込み 血塗れた首輪を回収する。 そして体を起こした瞬間に――咲世子と視線が交差した。 見付かった!? どうすればいい? 敵は完全に身体を隠していた、緑髪の少女を見付け出せる程の策敵能力を持つ。 身体能力は敵が上、逃げる事すら容易ではない。 そして戦いになれば、絶対に敵わない! 全てを考え終えるか終えないかの刹那、咲世子は赤髪の少女に背を向け走り出していた。 足跡、足音、呼吸、木の枝葉に擦れる音等を極力殺して咲世子は森の中を駆け抜けていた。 どれ程慌てても、身に付いた忍の走りは意識せずにこなせる。 しばらく走っている内に追ってくる気配が無い事に気付き、足を止めた。 どうやら、少なくとも敵が追跡して来る事は無い様だ。 最も油断は出来ないので、周囲への警戒は怠らないが。 一息入れる内に、少しは冷静に先程の出来事を振り返れる様になる。 思い返せば、敵がこちらの存在を察知していたか否かも確認していなかった。 何しろこちらからは、双眼鏡が無ければ視覚が届かない距離だ。 敵が如何な怪物とは言え、こちらに気付いていない可能性の方が高い。 それを確認せずに逃げたのは、些か早計だった様に思われる。 結論を言えば赤髪の少女――シャナは、咲世子の存在に気付いていない。 咲世子にその事実を確かめる術は無いのだが。 何れにしろ今のは慎重を期すのでは無く、怯えから来る短慮な行動。 殺し合いと言う状況と得体の知れない怪物を敵に回す事実は、これ程平静を欠くとは。 最早ここが一刻の猶予も持てない環境だと分かった。 早急にルルーシュと合流し、安全を確保しなければならない。 そして如何なる手段を持ってしても、ルルーシュを守らなければならない。 無駄な殺生は避けたいが、ルルーシュの為と有れば話は別だ。 それは決して『無駄な殺生』では無いのだから。 手に持っていた双眼鏡を仕舞い、咲世子は再び闇を駆け抜けていく。 全ては主、ルルーシュの為に。 【一日目深夜/C-2 北東部】 【篠崎咲世子@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】 [装備]無し [支給品]支給品一式 双眼鏡@現実、未確認(0〜2) [状態]健康 [思考・行動] 1 ルルーシュと合流する。 2 ルルーシュが殺し合いから脱出する方法を探す。 3 赤い髪の少女(シャナ)を警戒。 [備考] ※参戦時期は未定。 ※赤い髪の少女(シャナ)が殺し合いに乗っていると思っています。 時系列順で読む Back 未知との遭遇 Next ルイズに届けこの想い! 才人ザオリクを唱える。の巻 投下順で読む Back 未知との遭遇 Next Be Cool! 篠崎咲世子 054 真実の果てに
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◆STLknvzn3M 氏 氏が執筆した作品 004 AFTERN∞N 氏が執筆したキャラ 一回 泉新一 名前 コメント
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また逢いましょう(前編) ◆KKid85tGwY 柊かがみは海岸線の波打ち際から島の景色を眺めながら、地図と見比べていた。 とりあえずの行動方針をつかさ達を捜すと定めたのはいいが、自分の居る位置も分からないのが現状だ。 目前には木々に囲まれた空間に、暗闇の中に薄っすらと大型の公園遊具が幾つか見受けられる所から そこは地図中央部の島にある、公園だと推測された。 現在位置を割り出した、かがみの次の思考は……。 (…………寒い!!) 海から上がってまだ幾許も過ぎていないかがみは、当然全身が濡れた状態のままだ。 濡れ鼠の身体が夜の冷気に晒され、全身が震える。 こんな状態のまま動いては、とても体力が持ちそうに無い。 せめて何か身体を拭く物か着替えになる物はないかと、その場でデイパックを漁った。 (そう都合良くタオルや着替えが入ってるとは思えないけど、空飛ぶサーフィンボードが入ってた位だから 意外と何か役に立つ物でも…………あった?) デイパックの中に差し入れた手が、布地の感触を探り当てる。 期待感を高まらせながら、それを勢い良く取り出す。 確かにそれは服だった。 しかしそれがどういった用途の服なのかは、かがみには分からなかった。 胸元から上が無いレオタードに、ひらひらと布が幾つも付いている。 困惑するかがみは服を抜き取る際に落ちた、1枚の紙片を拾い上げる。 服の説明書みたいだ。 そこには 『ファミリーレストラン・エンジェルモートでウェイトレスが着用している制服』 とあった。 (こんなもん着るファミレスが在るか!!!) 今日もかがみのツッコミのキレは良好だ。 流石に殺し合いの場なので、声に出すのは控えているが。 何れにしろ、誰も聞く者が居ないツッコミ程空しい物は無い。 一呼吸入れた後、かがみはこの服を着てみるか真面目に思案する。 かがみにとってこの服を着るのは、はっきり言って場違いなコスプレでもする様で恥ずかしい。 しかしデイパックの中を探って見ても、他に着る服も無いようだ。 見た所、サイズもかがみが着るにちょうど良い物である。 逡巡している間にも、濡れた服は少しずつでも確実に体力を奪っていく。 (……やっぱり、これ着るしかないようね) 着替えの為、公園を囲む様に在る茂みに入る。 周囲に人が居ないとは確認したが、やはり視界が開けている所での着替えは落ち着かない。 濡れた服を靴と靴下以外は下着まで全て脱いで、エンジェルモートの制服を着込む。 やはり恥ずかしい事この上ないが、先程までの濡れた服による不快感と寒さは大分軽減された。 茂みに隠れたついでに、そこでまだ見ていない支給品を確認する。 食料や水、地図にコンパス、筆記用具やランタンなどサバイバルに必要とされそうな物と そして説明されていた、武器と思しき物も見付かった。 それは野球に使われる、金属製のバット。 金属の硬さと重みを持ったこの鈍器なら、殴打して人を殺傷する事も可能だろう。 (本当に殺し合いをさせるつもりみたい…………って、私がこんな物を支給されたからって人を殺して回れる訳無いじゃない!!) かがみは運動が苦手ではないが、野球部員でも無い平均を大きく逸脱する事も無い普通の女子高生だ。 そんなかがみにこのバットは、武器として使いこなすには些か重過ぎる。 最もどんな使い勝手の良い、例えば拳銃やナイフの様な武器を支給されたとしても殺し合いに乗るつもり等無かったが。 (……全く何考えてんのよ。…………まあ、護身用には使えるかもしれないわよね) 身を守る為には、唯一の武器を遊ばせる訳にはいかない。 金属バットを手に握りしめ、脱いだ服を含めた他の荷物をデイパックに仕舞う。 (そうだ、携帯使えるかな?) かがみは学生服のポケットに入っていた携帯電話の存在を思い出し、それを取り出す。 もし携帯電話が使えれば、警察や家族に助けを呼ぶ事も可能だ。 携帯電話を開き、液晶から漏れる光を慌てて手で被いながら画面を確認した。 そこには『圏外』の文字。 (はあ…………駄目か。まあ、あんまり期待はしてなかったけど) これだけ大規模な殺し合いを仕組んだ主催者だ。 携帯電話で外と連絡が取れるようにして置く筈が無いと、予想はしていた為 かがみは取り立てて落胆した様子も無く、再び携帯電話を仕舞い込んだ。 (……………………泣き声?) 殺し合いの緊張ゆえ、かがみは物音に敏感になっていたのだろう。 常ならば聞こえない様なか細い声。 しかし誰かの嗚咽の声を、かがみの耳は確かに捉えた。 かがみの脳裏に、泣いている妹や級友の姿が浮かび 危険も省みず、嗚咽の声を追う事にした。 公園は遊具や砂場が設置された空間を、樹木や植え込みで覆う形になっている。 樹木や植え込みが上手く視界の通らない茂みを作り、先程の着替えもそこで行った。 その茂みを隠れながら、かがみは公園を散策する。 明かりも無いのでかなり暗いが、目が慣れれば障害物の有無位は問題無く把握出来る。 だから見付かってしまう危険を憂慮し、ランタンは使わないでおく。 声の主は、公園のベンチ近くで見付かった。 かがみと同年代か少し下位の少年が、ベンチに座りもせず地に膝を着いている。 茂みに身を隠しながら様子を窺うかがみは、知人では無かった事に僅かに落胆を覚えるが気を取り直し少年を観察する。 少年は手の部分が大きなカギ爪となった義手の様な物を握り締めたまま、俯いて泣いていた。 殺し合いの渦中で見知らぬ人間に出会ったのに、何故か不思議と警戒心は感じない。 少年の持つ、まるで親に縋り付く子供の様な雰囲気がそうさせているのだろうか? (あの人、外国人かな? 殺し合いには乗っていないみたいだけど……) 危険が無い様だから、接触すれば何か情報を得るなりメリットがあるかも知れない。 それに泣いている人間を放置していくのも気が引ける。 何より、かがみ自身が1人で居る事に心細さを感じていた。 話によっては、自分の人捜しに同行して貰えるかも知れない。 かがみは少年への接触を決意する。 ゴクンと、音が鳴りそうなほど大きく唾を飲み込む。 安全だと踏んではいても、緊張は拭えない。 意を決して、茂みから姿を現そうとした瞬間。 「…………誰か居るんですか?」 少年から声を掛けられ、かがみは思わずビクッと身体を震わせた。 少年はゆっくりと、かがみの居る茂みに顔を向ける。 涙で目を腫らしてはいてもなお、端正な顔立ちだと窺える。 「私は、殺し合いには乗っていません。どうですか、良ければ私とお話しませんか?」 少年は先程まで泣きはらしていたとは思えない程、澄んだ声でかがみに語り掛ける。 (この人……泣いていた割に、変に落ち着いてるよね……) かがみは少年の様子に、僅かな違和感を覚える。 (でも、どう見ても悪い人じゃないみたいだし……とにかくここは話をしてみた方が早いか) しかしそれ以上に、最初に会った人間が殺し合いに乗っていない事に安心を感じた。 やがて、おずおずと茂みから姿を現す。 「えーっと、……初めまして…………」 「初めまして。私はミハエル・ギャレットと言います。……貴方は?」 「あ、私は……柊かがみ」 ◇ ◇ ◇ かがみとミハエルは並んでベンチに座り、互いの情報を交換した。 ミハエルはかがみの思っていた以上に落ち着いていた為、2人の情報交換は滞り無く進んだ。 2人とも殺し合いに乗っていない事。 2人とも殺し合いが始まってから誰にも会ってない事。 2人とも知人が殺し合いに参加している事。 お互いがそれらを確認し終える頃には、2人の雰囲気も幾分打ち解けたものになっていた。 「そうですか。最初の会場で殺されたのが貴方の友人で、他に友人や妹さんまでこんな殺し合いに巻き込まれるなんて……」 「……………………」 「……私も妹が居るんだ。今では唯一の肉親で、とても大切にしている。 だから貴方の気持ちが分かるとは言えないけど、貴方が妹を心配しているのは分かるよ」 ミハエルと話す内に、かがみは意識の奥に封印していた小早川ゆたかが殺された記憶を思い出す。 殺し合いが始まった直後は、高空からの落下でそれ所ではなく それからもつかさ達を捜す事ばかり考え、あえて目を逸らしていた過去。 思い出しただけで、胃の中の物が込み上げそうになる。 自分でさえこうなのだ。こなたやみなみは、どんな気持ちで居るのだろうか? 止そう、これ以上気持ちが沈む事を考えるのは。 今はそんな事をしている場合じゃない。 幾らそう考えても、かがみにこれまで何処か曖昧だった殺し合いの実感が増していく。 かがみは何時の間にか自分の肩が、寒さとは違う理由で震えていた事に気づいた。 その肩に、ミハエルは自分へ抱き寄せる様に手が被せる。 「ちょ、ちょっと何すんのよ!?」 突然の事にかがみは取り乱すが、ミハエルは落ち着いた様子のまま話し続けた。 「動揺してるんだね、無理も無い。こんな狂った殺し合いに巻き込まれて、平静で居られる方がおかしい位だ。 でも大丈夫。私が貴方を……いや、貴方だけじゃない。貴方の家族も友人も、殺し合いに巻き込まれた全ての人を救ってみせる!」 かがみはすぐには、ミハエルの言っている意味が飲み込めない。 「す、救うって……?」 ミハエルはかがみの目を、まっすぐ射抜く様に見つめる。 「ああ、私はこんな愚かな殺し合いは絶対に認めない。そして殺し合いを望まない人が犠牲になる様な悲劇を防ぎ、殺し合いそのものを止めてみせる!」 ミハエルはそう言いながら、今度は思いを馳せる様に遠くへ視線を移す 殺し合いそのものを止めると言う話に、かがみは少なからず衝撃を受けた。 かがみとて殺し合いを肯定するつもりは無かったが、それを打破しようと言う発想は無かった。 何しろ普通の高校生なのだ。具体的な策は勿論、漠然としたアイデアすら浮かばない。 そもそも今の今までつかさ達の事を考えるのに精一杯で、そこまでの展望は無かった。 しかし少しでも考えてみれば、自分がつかさ達と共に生還する為には 殺し合いの打破か、少なくともその枠外への脱出が不可欠だと理解出来る。 そして自分と同年代か年少にしか見えないミハエルが、始まって間もない時間に殺し合い全体を視野に入れ解決しようとしている。 かがみはミハエルに対し、素直に感心した。 もっとも、その事と具体的な策が有るかどうかは当然別問題だが。 「…………そうね、落ち込んでないでここからどうやって帰るかを考えないとね」 ミハエルは慈しむ様な表情で、再びかがみを見つめた。 「落ち込んだり立ち止まったりする事は悪い事じゃない。人は1人では弱い生き物だ。 私も……同志が居なければ、こんなに落ち着いて貴方と話は出来なかったでしょう」 「どうし?」 「私に、世界で自分の果たすべき役割を教えて下さった方だ。あの人のおかげで、今の私がある ……そう。人は自らの為すべき使命を為せば、それだけで世界は良くなると教えてくれた。 …………そして今この場での私の使命は、あなた達の様な人を救う事だ。同志なら、きっとそう仰ったに違いない」 同志と言う人物の事を話すミハエルは、先程までの落ち着き振りと打って変わりまるで自慢をする子供の様に高揚していた。 その様子に見とれていた自分に気付き、かがみは慌てて顔を背け口を挟む。 「と、とにかく励ましてくれてありがとう。貴方の言う通り、早くこんな殺し合いから抜け出す方法を見付けないとね」 「大丈夫、方法ならもう見当が付いてるよ。後は実行するだけだ」 かがみは信じられないと言った表情で、目を見開いた。 「本当なの、それ!!? 」 「ハハハ。こんな嘘を付いたって、しょうがないじゃないか?」 具体的な方法が有る。 余りの話の展開に、かがみは喜ぶよりも先に混乱を覚える。 いきなり殺し合いに巻き込まれた事もそうだが、今度はそれがもう解決すると言うのだ。 まるで夢想に浸っている様な心地だった。 かがみを見つめるミハエルの眼の輝きから、迷いや誤魔化しは見られない。 ミハエルの話には何か根拠が有ると思える。 (帰れるの!? 皆で? 本当に!!?) まだ詳しい話も聞いていないのに、かがみは気の高揚を抑えられない。 まさか、こんなに早くこの悪夢から抜け出す糸口を掴めたなんて! かがみは逸る気持ちも抑え切れず、ミハエルに問い質す。 「そ、それはどんな方法なのよ!?」 ミハエルは少し考え込む様な素振りを見せた後 「……そうだね。こうしている間にも貴方の知人をはじめ、多くの人が危険に晒されている事になる。 もう、今からでも動き出すべきだ」 ベンチから立ち上がった。 動き出すって、どういう意味? かがみがそう聞こうとした矢先、ミハエルがかがみに話し掛ける。 「かがみさん。貴方にも協力して欲しい」 「きょ、協力?」 思わず間の抜けた声を上げるかがみ。 「駄目かな?」 「え、いや…………私に出来る事が有るならいいんだけど。……でも、どうすればの?」 まさか自分が協力を請われるとは思わなかった為、少なからず狼狽するが かがみに断る理由も無いので、それを了承した。 ミハエルはそんなかがみの様子を見ながら、穏やかに笑みを浮かべる。 「では、まず私が貴方を殺します」 (…………?) 思考が空白で埋まる。 ミハエルが何を言ったのか、上手く理解出来ない。 「私は一応強力な武器を持っているけど、1撃で貴方を殺し損ねたら貴方を苦しめる結果になってしまう。 それに、出来れば貴方を傷つけたくない。だからここは首を絞めて殺す事にしよう」 近付くミハエルの両手を、かがみは他人事の様に目で追っていた。 「大丈夫。最初は苦しいかもしれないけど、すぐに楽になるから……」 ミハエルの指が、ゆっくりとかがみの首に絡まる。 そこで思考が追い付いた。 「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 ミハエルの手を振り払い、 かがみはベンチから飛び退いた。 その拍子に足がもつれて転ぶが、それに構わずミハエルと距離を取ろうと後ずさる。 「どうしたんだ? 何かあったのか!?」 かがみの取り乱し様に、ミハエルは心配し声を掛ける。 しかし殺そうとした当人にそんな事を言われても、かがみは素直には聞けなかった。 「ど、ど、どうしたんだじゃ無いわよー!! あんた、殺し合いに乗っていたなかったんじゃなかったの!!?」 ミハエルの表情に浮かぶのは、純粋な疑問の色のみ。 かがみが狼狽する理由に、全く思い至らない様子だ。 「乗っていないけど?」 そして再び慈しむ表情に戻り、教え諭す様に語り掛ける。 「そうか、怖いんだね……。大丈夫。怖いのも苦しいのもすぐに終わらせるから、私に任せて」 「任せられるか!!」 「……もしかして、自殺をしたいのか? 確かに、それなら手間が省けるけど……」 「何でそうなる!!?」 分からない。 ミハエルの言い分が、まるで理解出来ない。 さっきまで仲良く話していた相手が、何時の間にか得体の知れない怪物に変わっていた。 今まで経験した事も無い恐怖が、かがみを襲う。 ミハエルはかがみの混乱に構わず、その首に手を伸ばす。 かがみは手に持っていたバットの存在をやっと思い出し それを横薙ぎに振るって、ミハエルの手を退けた。 「かがみさん。抵抗されると、貴方を上手く殺せなくなる」 「だ、だから乗ってない奴が、何で殺そうとするんだ!!」 「だから、貴方を殺し合いから救い出す為だ」 「ふざけんな!! あ、あんたが殺そうとしといて、何が殺し合いから救い出すよ!!」 「ああ、私の言い方が悪かったんだね。貴方はここで息絶えるけど、それは決して死ぬ訳ではない」 思わずかがみの手が止まった。 「私は貴方を、決して忘れない。貴方は私の胸の中で、生き続ける。 つまり私が殺し合いに優勝する事で、貴方は私と共に殺し合いから生還する事が出来るんだ。これで納得してくれた?」 「納得するかー!」 やはりまともに聞くべきではなかったと、後悔する。 ミハエルの雰囲気から、かがみを騙そうとか弄ぼうとかいう悪意は一切感じ取れない。 それどころか、心からかがみを案じてくれているのが見て取れる。 それがかがみには、どうしょうも無く恐ろしい。 善意を持って、自分を殺そうとしてくる者。 まるで出来の悪い冗談みたいだが、目前に実在するとこれほどおぞましい存在になるとは。 ミハエルが近付こうとすると、かがみはバットを振るい牽制する。 しかしやはりかがみには、金属バットは少し荷が重い。 かがみはバットを振る度に、その重量に僅かだが身体毎振られる。 「では聞こう。貴方は、何か他に殺し合いからの脱出法に心当たりが有るのか?」 「え!? な、無いわよ。そんなの……」 「代案も出さずに、非難だけされても困るよ。かがみさん……今大事なのは一刻も早く、皆を救い出す為に動く事だ」 振り終わりで身体が泳いだ所で、ミハエルにバットの持ち手を捕まれた。 「かがみさん。貴方には分からないだろうけど、私は世界を救う重大な使命を帯びているんだ」 そして反対の手がかがみの首を捕らえ、地面に押し倒す。 「それは『生誕祭』を行い『幸せの時』を迎えるとても重要な、意義深い使命だ」 かがみの首に体重が乗り、呼吸が困難な状態になる。 「かがみさん。ここで死ぬ事で、貴方は私が使命を果たす為の礎になるんだ。 つまり貴方の命は、多くの人を救う為に使われるんだ。これは素晴らしい事なんだよ」 そんなもん、知るか!! バカ!!! そう叫びたくても、もう声も出ない。 酸欠で、かがみの顔色は青く変わっていく。 バットを持つ左腕も抑え付けられ、ビクともしない。 苦しみの余り、残った右手が砂利を強く掴む。 視界のミハエルの慈しむ様な顔が、見る見るぼやけていく。 そのミハエルの顔に、砂利を思い切り投げ付けた。 「……っ!」 ミハエルが一瞬怯む。 その左腕を力任せに振って自由にし、ミハエルの脇腹をバットで叩く。 当たったのはバットの真ん中辺りだったが、ダメージは充分に有った様で ミハエルは後ろに転がりながら、かがみから離れていった。 それを最後まで見届けず、かがみはミハエルに背を向け駆け出した。 ◇ ◇ ◇ ミハエルは目を擦りながら、ベンチ近くで存在を確認していた水道の蛇口を探し当てた。 水で目を洗いながら、ミハエルはデイパックから青いカードデッキを取り出す。 (本当は武器に頼りたくなかったけど…………もう、手段を選んではいられない) 目を洗い終えたミハエルは、締めた金属製の蛇口に 『ナイト』のカードデッキを映した。 ◇ ◇ ◇ 呼吸を整えながら恐怖に駆られ、遊歩道を必死に走る。 今のかがみに、後ろを振り返る余裕すらない。 今にも自分に追い縋ろうとするミハエルの幻影に追い立てられ、無我夢中で走る。 しかし目前に海が広がり、流石に足が止めざるを得なかった。 (ど、どっちに逃げれば良いのよ!? ……………………ひっ!!) かがみの前を巨大な蝙蝠の様な怪物が、風をまいて横切った。 そのまま怪物はかがみの周りを、旋回し続けている。 (何? 何なのこいつ!?) 「かがみさん。どうやら貴方には、私の夢が理解して貰えない様だ」 かがみは自分が息を飲むのが分かった。 最も聞きたくない声が、背後から聞こえて来る。 「……本当に哀しい事だ。でも私は決して、貴方を救うのを諦めはしない。 人が夢に向かって諦めずに努力する事がどれほど大事かを、私は同志に学んだから…………」 振り返ると、銀色を基調にした西洋風の鎧が立っていた。声はそこから聞こえる。 逃げられない。 ならばと、バットを両手で構える。 かがみとしては、戦う覚悟を決めた。と言うより、ほとんど破れかぶれの心境だ。 袋小路に追い詰められれば、鼠でも猫に立ち向かう他無い。 ゆっくりと歩み寄って来るミハエルの肩口に、バットを振り下ろした。 まるで巨大な岩でも叩いた様な堅い手応えの後、衝撃で両腕が痺れた。 しかしそれ以上にかがみを驚かせたのは、バットで思い切り殴られたにも拘らずミハエルが小揺るぎもしていない事だ。 「…………かがみさん。これ以上貴方の個人的な我が侭で時間を浪費するのは、もう止めにしないか?」 今度は横からミハエルの頭を殴る。 やはりミハエルは、微動だにしない。 「大丈夫。貴方は私の中で生きるんだ。そうすれば私達は、永遠に『幸せの時』を生きられるのだから…………」 上段から振り下ろそうとしたバットを、ミハエルは片手で苦も無く受け止めた。 そして先刻と同じく、もう片方の手でかがみの首を絞める。 但しその力は、先刻の比では無い。 急激に意識が遠のいていく。 「さよならは言わないよ、かがみさん。これからは私と同じ夢の為に、共に生きていこう…………」 ◇ ◇ ◇ 「衝撃のぉ――――」 仮面ライダーに変身したミハエルは、以前よりも遥かに鋭敏な聴覚を発揮出来る。 その聴覚が捉えた。遠方から近付く声を。 それは足音を伴って、凄まじい速さで近付いて来る。 まさか人間か? いや、有り得ない。 人間の脚で出せる速度ではない筈だ。 ではこの足音は何だ? 足音は、轟音へと変化していく。 ミハエルは思わずかがみを放し、振り向いた。 「――――ファーストブリットォォォ!!!」 次の瞬間ミハエルは重力を見失い、視界の天地が逆転していた。 ◇ ◇ ◇ 時系列順で読む Back うには美味いな、美味しいな Next また逢いましょう(後編) 投下順で読む Back うには美味いな、美味しいな Next また逢いましょう(後編) ストレイト・クーガー 040 また逢いましょう(後編) 023 無題 柊かがみ ミハエル・ギャレット
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【緋村剣心】 1 007 最初の晩餐 ◆kT8UNglHGg 深夜 【斎藤一】 3 028 ルイズに届けこの想い! 才人ザオリクを唱える。の巻 ◆xmy4xBA4UI 黎明 066 お前の姿はあいつに似ている ◆U1w5FvVRgk 早朝 072 Ultimate thing ◆EboujAWlRA 早朝 【志々雄真実】 3 033 弱肉強食の理 ◆KKid85tGwY 深夜 058 カッキーン☆ 悪魔の怪人軍団! ◆EboujAWlRA 黎明 074 悪徳の栄え ◆y6S7Lth9N6 早朝 【瀬田宗次郎】 4 029 乱(みだれ)後… ◆KKid85tGwY 深夜 061 フレイムヘイズ×矛盾×雌伏 ◆U1w5FvVRgk 黎明 067 無知 ◆YYVYMNVZTk 早朝 090 Innocence ◆.WX8NmkbZ6 朝 【雪代縁】 4 027 ねぇ、教えて、どうしたらいいの? ◆xmy4xBA4UI 深夜 051 LOST COLORS ◆ew5bR2RQj. 黎明 075 二人の超人 女の意地 ◆6tU9OIbT/c 早朝 086 夢と現と幻 ◆.WX8NmkbZ6 朝
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◆KKid85tGwY氏 氏が執筆した作品 009 月の光に映る影 029 乱(みだれ)後… 031 ”The third man” in the game to try again 033 弱肉強食の理 040 また逢いましょう 042 くノ一は見た! 070 Blood bath 078 果てしない炎の中へ 092 次元大介の憂鬱 氏が執筆したキャラ 二回 シャドームーン、ミハエル・ギャレット、泉新一 一回 銭形警部、瀬田宗次朗、三村信史、志々雄真実、タバサ、ストレイト・クーガー、柊かがみ、篠崎咲世子、上田次郎、由詑かなみ、東條悟、亀山薫、稲田瑞穂、シャナ、城戸真司、翠星石、次元大介 シャドームーンを書くことに定評のある人。Blood bathではシャドームーンの圧倒的な実力を示し、同時に亀山の奮闘でも魅せた。 -- 名無しさん (2010-03-14 18 02 48) 名前 コメント
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★キャラクター能力制限★ シャナ(@灼眼のシャナ)、C.C.(@コードギアス)は再生能力を落とす&急所(頭)ぶち抜かれたら即死。 ルルーシュ・ランペルージ(@コードギアス)のギアス能力は、「死ね」「殺せ」など、 直接相手や自分の生死に関わる命令は無効。 (「死ぬ気で頑張れ」とかならあり) らき☆すたキャラのオタ知識、ラノベ知識は制限。 仮面ライダー龍騎キャラのミラーワールドへの侵入禁止。 ローゼンメイデンキャラのnのフィールドへの侵入は禁止。 泉新一(@寄生獣)はミギー付き。 COMP(@真女神転生)は禁止。 シャナ(@灼眼のシャナ)の「封絶」は禁止。 ★支給品としてのアイテム制限★ KMF(@コードギアス)などのロボ系は禁止。 仮面ライダー龍騎キャラには、自分のカードデッキを支給品枠2つ分としてカウントして支給。それ以外のキャラに支給される場合は支給品1つの扱い。 デスノート(@DEATH NOTE)は禁止。 サタンサーベル(@仮面ライダーBLACK)はシャドームーンから没収&世紀王の呼び寄せ禁止。 カードデッキの変身は10分で解除。 カードデッキは変身すれば1時間、ファイナルベントを使えば更に1時間使用不可となる。 ★その他★ ひぐらしのなく頃にの雛見沢症候群は、まあ、空気読む方向で。