約 7,635 件
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/423.html
東方見聞録 動画リンク コメント 東方見聞録 324人目の幻想入り 作者 ひとこと 主人公 稗田 円子(ひえだ えんこ) 能力:想うだけで紙面に記述できる程度の能力 mylist/5932288 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー この作品はもっと評価されていい。 いやマジでさ。 -- (名無しさん) 2008-08-30 12 18 44 321さんおつ -- (名無しさん) 2008-09-02 22 02 00 彼に与えられた力は、見聞を記録する能力。彼に与えられた依頼は、幻想の文屋と出会うこと。 -- (名無しさん) 2008-09-02 22 36 56 1~5話 パチェリーと同行 -- (名無しさん) 2008-09-02 22 37 48 稗田の遠い親戚 -- (名無しさん) 2008-09-02 22 38 09 324ですね -- (名無しさん) 2008-09-03 16 03 02 評価されなくても仕方ない。 11話から本格化し始めた神主の領域を真っ向から侵犯 するテーマが、過激に壮大すぎて困る意欲的問題作。 以上の理由で、別物として楽しむことのできないような 神主原作が大好きな人は避けなければならない。 (注意)荒らしたら、むしろ評価は上がると思う。 個人的には「いいぞ、もっとやれ!」 うp主コメントの言うように、時系列は無視してでも インパクトのある第11話を最初に見てから第一話を見る、 という倒叙な読み方のほうが劇的で面白いかも。 -- (名無しさん) 2008-11-09 13 46 45 ※※※※※ 注意 ※※※※※ 「いいぞ、もっとやれ」は、 内容について言っているだけで、荒らすことを 奨励しているのではないです。 ちなみに、#11の2 30までをプロローグ。 その後、#01から読むと良いと思います。 -- (名無しさん) 2008-11-09 13 54 51 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらをご覧下さい。
https://w.atwiki.jp/oreshikar/pages/156.html
術入手場所 術 入手場所 赤玉 開始時 火連花 鳥居千万宮・前半 火乱花 開始時 七天爆 火車 鳥居千万宮・前半 業の火 鳥居千万宮・前半 火竜 大江山 鳳招来 二つ扇 白骨城・前半 輪の火 開始時 双火竜 凰招来 紅涙弾 大江山 血火弾 鳥居千万宮・前半、大江山 赤地獄 お焔 鳥居千万宮・前半 夏狂乱 鳥居千万宮・前半 不動明 風車 開始時 太刀風 大江山 芭蕉嵐 大江山 ツブテ 九重楼・前半 暴れ石 九重楼・前半 牛頭丸 白浪 相翼院・前半 華厳 真名姫 地鳴り 鳥居千万宮・前半 土々呂 鳥居千万宮・前半、大江山 魔王陣 怒槌丸 相翼院・前半 雷電 相翼院、大江山 印虎姫 雷獅子 蛇麻呂 相翼院・前半 美津乳 白鏡 黒鏡 白骨城・前半 泉源氏 開始時 お雫 相翼院・前半 円子 開始時 壱与姫 お地母 大江山 春菜 卑弥呼 仙酔酒 開始時 魂託し 九重楼・前半 魂寄せ 魂捧げ 清水 くらら 九重楼・前半 寝太郎 光無し 開始時 野分 大江山 速瀬 白骨城・前半 速鳥 みどろ 陽炎 相翼院・前半 幻八 鳥居千万宮・前半 夢子 太招天 常夜見 武人 開始時 萌子 梵ピン 矛錆び 相翼院・前半 矛折り 矛盗み 防人 鳥居千万宮・前半 お甲 石猿 盾削り 白骨城・前半 盾穿ち 盾割り 火祭り 九重楼・前半 水祭り 風祭り 土祭り 鳥居千万宮・前半 火葬 九重楼・前半 水葬 風葬 白骨城・前半 土葬 鳥居千万宮・前半 - 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/80.html
十八条乙 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)西条庄兵衛《さいじょうしょうべえ》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)野|図書《ずしょ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#6字下げ] ------------------------------------------------------- [#6字下げ]一[#「一」は中見出し] その事のおとる五日まえ、西条庄兵衛《さいじょうしょうべえ》は妻のあや[#「あや」に傍点]に火傷《やけど》をさせた。切炉《きりろ》で手がすべって湯釜《ゆがま》を転覆させたとき、ちょうどあや[#「あや」に傍点]が火箸を取ろうとしていて、その右手の先へ熱湯がもろにかぶってしまったのだ。叫び声をあげたのは脇にいた母のたえ[#「たえ」に傍点]であった。あや[#「あや」に傍点]はなにも云わず、庄兵衛は狼狽して、すぐに薬箱を取りに立った。母はあや[#「あや」に傍点]の手にあり合う布を巻き、やけどの手当なら知っているからと、女中を呼びながら台所へいった。そしてうどん粉を酢でこねたものを作り、それをあや[#「あや」に傍点]の手へ塗って、上から晒《さら》し木綿《もめん》を巻いた。 「わるかったね、おれの粗忽《そこつ》だ」と庄兵衛は繰り返し詫びた、「痕《あと》にならなければいいが、大丈夫だろうか」 「大丈夫ですとも」気丈なあや[#「あや」に傍点]は明るく頬笑《ほほえ》んだ、「湯をかぶっただけですもの、そんなにおおげさに仰《おっ》しゃらないで下さい」 結婚して二年、まだ子を産まないせいか、あや[#「あや」に傍点]は二十二歳になるのに娘らしさがぬけていない。実家の安田は三百石の寄合職《よりあいしょく》で、父の勘五左衛門は隠居し、家督した長兄の又次郎には二人の子があった。あや[#「あや」に傍点]は五人きょうだいの三番めであり、唯ひとりの女だったから、きびしい躾《しつけ》とともに、あまやかされて育った明るさと、暢《のん》びりした楽天的なところをもっていた。西条家は二百三十石、亡くなった父の世左衛門は大番がしらで勘定方取締を兼ねていたが、庄兵衛は郡奉行《こおりぶぎょう》が兼務であった。姉がいたのだが生れるとすぐに死んだそうで、彼は一人息子だから、あまり丈夫でない母はあとの子が望めないと思ったのか、特に大切に育てようとし、父は反対に、そんなことでは侍にはなれぬと云って、ことさら手荒い躾をした。そのためか、それとも生れついた性分か、彼はいくぶん神経過敏で、こらえ性のない欠点があり、自分でもそれを撓《た》めようとして、父の死ぬまえには、永平寺へいって百日ほど参禅したこともあったし、いまでも禅に関する書物は熱心に読んだ。 あや[#「あや」に傍点]の手は夜になると痛みだし、庄兵衛はむりに医者へゆかせた。笈川玄智《おいかわげんち》という、祖父の代からかかりつけの名医で、武家町からひとまたぎの松屋町に住んでいた。女中を伴《つ》れていったあや[#「あや」に傍点]は、帰って来ると母のいないところで、手当が間違っていたためひぶくれ[#「ひぶくれ」に傍点]になるそうだと告げた。 「うどん粉を酢で練ったのは、筋の腫《は》れやなにかに使うので、火傷には却《かえ》ってわるいのですって」とあや[#「あや」に傍点]は云った、「油でも塗って布で巻いて、すぐに来ればひぶくれ[#「ひぶくれ」に傍点]にはしないで済んだ、と云っておいででした」 「すると痕になるのか」 「できるだけのことはやってみるそうです、でも先生はね」とあや[#「あや」に傍点]は肩をすくめながら忍び笑いをした、「もう結婚していることだし、片輪になるわけではないから、痕ができるくらいどうでもよかろう、それより早く子を生むように心掛けるがいい、ですって」 「暢気《のんき》なじいさまだ」庄兵衛は笑わなかった、「手の先のことだからな、ひっつれになると困るよ」 五六日はかよって来いと云われたそうで、毎日一度、朝の片づけ物が終ると、あや[#「あや」に傍点]は女中を供に松屋町へかよった。――こうして、五日めになった日の夜、およそ十一時すぎたころに、伊原友三郎が逃げこんで来た。母はもう眠ったあとで、あや[#「あや」に傍点]も寝間《ねま》へはいり、庄兵衛も自分の寝間で夜具にはいったまま、碧巌録《へきがんろく》の一冊を読んでいた。――窓の戸をそっと叩く音を聞き、外で呼びかける囁《ささやき》き声を聞いて、庄兵衛は起きあがっていった。 「誰かいるのか」と彼は云った。 「入れてくれ、伊原だ」と外で答えた、「伊原友三郎だ、人に知れては困る、静かに、早くたのむ」 「緑側へまわってくれ」 「こっちだったな、わかった」 庄兵衛は寝衣《ねまき》の上へ羽折《はおり》をひっかけ、襖をあけて居間から縁側へ出ると、端の雨戸をそっと辷らせた。外は雪で、庭の木も石燈籠《いしどうろう》もまっ白に蔽《おお》われ、なおはげしく降っていた。伊原は戸のあくのを待ちかねたように、雪まみれのまま縁側へ転げこみ、そこに横倒れになって苦しそうに喘《あえ》いだ。 「たいへんな血だぞ」と庄兵衛が息をひいて云った、「どうしたんだ」 「たのむ、庭の血の痕を消してくれ」と伊原は囁いた、「裏の木戸からはいった、川の中をあるいて来たから外はいい、木戸から中には痕があるかもしれない、たのむ」 庄兵衛はそのままとびだした。まもなく戻って来ると、羽折をぬいで足を拭き、躯《からだ》の雪をはらいながら、妻を起こすために寝間へいった。伊原友三郎は妻の従兄《いとこ》に当るし、そうでなくとも、妻の手を借りなくてはどうしようもないと思ったのだ。 [#6字下げ]二[#「二」は中見出し] 傷は脇腹に二カ所、一つは殆んどかすり傷だが、一つは相当な深手で、医者の治療を要することが明らかだった。しかし伊原は朝まで待つと主張した。追手が出ているからいまはだめだという、夜が明けるまで急場の手当だけで辛抱《しんぼう》しようと云い張った。 あや[#「あや」に傍点]は傷を見たときちょっと蒼《あお》くなったが、すぐに気をとり直したようすで、敏捷に立ちまわり、庄兵衛のぶきような手当ぶりをよく助けた。伊原は絶えず戸外の物音に耳をすませていて、なにか聞きとめると、反射的に神経を緊張させ、眼をぎらぎら光らせた。 「御政道のため或る男を斬《き》ろうとして失敗した」と伊原は告げた、「だがなにもきかないでくれ、西条にはかかわりのないことだし、事情を知らなければ紛争にも巻きこまれずに済む、佐野を――いや或る人物を斬ろうとしたと云ったことも、この場かぎり忘れてもらいたい、わかったな」 「しかし、これからどうするつもりだ」 「ようすをみて江戸へゆく、おれはここで捕えられたり死んだりするわけにはいかないんだ、おれは大事なからだなんだ」そう云って彼は庄兵衛を見、あや[#「あや」に傍点]を見た、「おれが江戸へぬけだせればよし、さもなければ取返しのつかないことになるだろう、ことによると、――いや、口でこんなことを云ってもしようがない、ただどうかおれが江戸へ脱出できるように力をかしてくれ」 「傷に障《さわ》るといけません、もうお話はなさいますな」とあや[#「あや」に傍点]が云った、「少しでもお眠りになるほうがようございます、わたくしたちでなにかよい方法を考えますから」 伊原を庄兵衛の寝間に寝かせ、二人はあや[#「あや」に傍点]の寝間へはいった。それから殆んど眠らずに、伊原を脱出させる相談をし、外が白みはじめたのに気づくと、下男の加助を松屋町へやって、笈川老医に往診を頼んだ。母のたえ[#「たえ」に傍点]があやまって手にけが[#「けが」に傍点]をし、出血がひどいからという理由で。玄智老が来るまで、庄兵衛は庭へおりて血痕《けっこん》の始末をした。 母には告げたが、家士や召使たちには、できる限り知れないようにした。伊原は「追手が出ている」と云ったので、街《まち》には騒ぎが弘《ひろ》まっているものと思ったが、玄智老はなにも知らないようすで、――友人と口論のうえ誤ってけが[#「けが」に傍点]をした、ということを疑うようすもなかった。 「刀傷は吟味され、場合によっては私闘のお咎《とが》めを受けます」と庄兵衛が云った、「それで母がけが[#「けが」に傍点]をしたと申したのですが、どうかこのことは内聞に願います」 「御家法二十六条によると、侍の刀傷は大目付へ届け出なければならない」と笈川医師は云った、「それがこの領内の医師の義務になっているが、私はもはや余命いくばくもない老骨だ、どんなことがあっても口外しないから安心するがよい」 そして明日また来るが、縫合した傷口を動かさないよう、特に注意しろと云って帰った。 庄兵衛は定刻に登城し、役所で事務をとりながら、なにか噂が聞けるかと期待していたが、平生どおり変ったこともなく、下城するまでそれらしい話さえ出なかった。伊原にそのことを告げると、却って不安がましたようすで、すぐにもこの城下から出たいと云いだした。 「傷は縫ったから、あとは膏薬《こうやく》とさらし[#「さらし」に傍点]の取替えだけすれば充分だ」と伊原は云った、「そうでなくとも、城下を出てから必要なら医者にかかれる、今夜のうちにぬけだそう」 伊原はそう主張してきかなかった。そこでその夜半、庄兵衛は伊原を背負い、必要な金と品物の包をあや[#「あや」に傍点]が持って、裏木戸から家を出た。夜空は晴れて星がいちめんに見えたが、地面は雪が五寸くらいも積っているため、木戸を出たところで小川にはいり、流れの中を地蔵橋までいった。流れは早いが水は浅く、底は小石まじりの砂だから、あるくのに苦労はなかったが、伊原を背負っている庄兵衛は、重いのと緊張とでへばってしまい、躯じゅうに冷汗をかいた。――その橋には名がない、すぐ傍《かたわ》らに地蔵堂があるので、俗に地蔵橋と呼ばれているのだが、庄兵衛はその地蔵堂で伊原をおろし、納屋《なや》町へ駕籠《かご》をたのみにいった。その駕籠屋の弥右衛門《やえもん》というのは、もと西条家の下僕を勤めていたもので、いま勤めている加助はその伜《せがれ》であった。事情は話せないが極秘でたのむと云うと、この弥右衛門の首でも差上げましょうかと笑い、どんな理由にしろ秘密は守ると誓った。 駕籠屋を伴って戻ると、あや[#「あや」に傍点]はそこから家へ帰らせ、庄兵衛は小楯《こだて》山の上まで、伊原の乗った駕籠を送っていった。 「礼は云わない」と別れるときに伊原友三郎は云った、「西条のしてくれたことはおれのためではなく、藩ぜんたいのためなんだ、まもなくすべてがはっきりするだろう、まもなくな」 [#6字下げ]三[#「三」は中見出し] 五六日のち、あや[#「あや」に傍点]の里の安田で長兄が中老職に呼びだされ、大目付の立会いで吟味を受けた、ということが伝えられた。吟味の内容がどんなことだったか、きびしく口外を禁じられたそうでわからず、次に原田十内と伊原やえ[#「やえ」に傍点]、同じくむすめの七緒《ななお》が呼びだされた。原田十内の妻は安田勘五左衛門の妹で、あや[#「あや」に傍点]の叔母に当り、友三郎は原田十内と叔母とのあいだに生れた二人兄弟の弟であったが、伊原へ婿にいって七緒と結婚した。伊原やえ[#「やえ」に傍点]は友三郎の義母であり、以上の三人は城中とめ置きになった。 これらのほかに、十数人の家臣が吟味を受け、城中とめ置きになった者の中には、重職もいるなどという噂さえあったが、なに一つ公表されないため、どこまでが真実であるか見当もつかなかった。城代家老の布令《ふれ》がしばしば出て、政治に関する批判や論議を禁じ、三人以上の集会を禁じ、日没後は公用以外の外出を禁じ、やがて指名者のほかは登城まで差止めの布令が出た。 月があけて十二月五日、西条家へ大目付の滝沢忠太夫が来て、萩岡左内から出頭せよとの書状を示し、すぐ同行するようにと促された。萩岡は上席中老で、安田又次郎を呼びだしたのも彼であった。――城中へゆくのかと考えていたら、連行されたのは三の丸下にある大目付役宅で、着くとすぐに大小を取られたうえ、火鉢もない狭い部屋へ入れられた。そのまま三日間なんの沙汰《さた》もなく、庄兵衛はその薄暗くて狭い、火の気のない部屋ですごした。朝と夕方の二度、下役の者が食事をはとんで来、片づけに来たが、なにを問いかけても黙ったままで、一と言の返辞もしなかった。そして四日めの、およそ午《うま》の刻かと思われるころ、初めて吟味部屋へ呼びだされた。 そこは二十帖ばかりの広さで、上段があり、その下に滝沢忠太夫と、二人の与力《よりき》がいた。侍の吟味には役支配の列席する規定がある。庄兵衛の正役は大番組だから、寄合がしらが出ていなければならないのだが、そんなようすはみえなかったし、書き役の机さえもなかった。――やがて萩岡中老が、ただ一人あらわれ、上段に坐った。滝沢と与力二人は礼をしたのち、庄兵衛のほうへ向き直り、穏やかな口ぶりで、これは正式ではなく仮の吟味だから、やかましい規則は省略する、そちらも楽にしてよろしいが、言葉だけは改めると云った。 「先月十六日の夜、そのほう居宅に伊原友三郎が逃げこみ、匿《かくま》ってくれと頼まれたそうだが事実であるか」と滝沢が訊問《じんもん》した、「――答えるまえに申し聞かせるが、すでにそのほうの母たえ[#「たえ」に傍点]、並びに妻あや[#「あや」に傍点]の両名を吟味し、口書《こうしょ》爪印《つめいん》が取ってある、これらとそのほうの返答に相違のある場合には、上《かみ》を偽る者として処罰されるだろう、そこをよくよく胸にとめて答えるように」 庄兵衛はためらわずに、その夜のことをすべて答えた。伊原はなにも話さなかったし、西条には関係のないことだと云った。妻の従兄に当る者が負傷して逃げこんだ、理由は云わないからわからないが、縁につながる者として捨ておけず、手当をしてやったうえ、翌日の夜まで自宅に寝かして置いた。とありのままに述べた。 「彼の逃亡にも手を貸したか」 「手を貸しました」と庄兵衛は答えた、「傷が軽いものでなく、自分では充分に動けないようすでしたから」 滝沢は頷《うなず》いて、上段の萩岡中老を見た。庄兵衛は不安になった。本当に母や妻が吟味されたとして、はたして事実を申し述べたであろうか。もしかしてへたにとりつくろって、ありもしないことを云ったのではなかろうか。そう思うと後者の場合のほうがいかにもありそうなことのような気がし、不安のため胸苦しくさえなった。 「次にたずねるが」と滝沢が云った、「伊原友三郎はひごろより御政道を批議し、おのれの意を立てんため御城代佐野|図書《ずしょ》どのを暗殺しようと計った、そのほうこの仔細《しさい》を知っていたかどうか」 「存じません、伊原とは殆んどつきあいがございませんし、十六日の夜も彼はなにも話しませんでした」と庄兵衛が答えた、「そのようなことはいまうかがうのが初めてです」 「誓ってそう申せるか」 「誓ってそう申上げます」 滝沢はまた萩岡左内を見あげ、それから庄兵衛に向って、吟味は済んだと告げた。 元の部屋へ戻るとほどなく、与力の一人が大小を持って来て返し、帰宅していいが、当分は謹慎しているようにと、穏やかな調子で注意した。正式の命令かと、問い返そうと思ったけれど、母や妻のことが気になるので、庄兵衛は温和《おとな》しく役宅を出ていった。 [#6字下げ]四[#「四」は中見出し] 帰ってみると母や妻も家にいた。二人が萩岡中老に呼びだされたのは事実であり、笈川玄智が訴状を出したというので、あったことの始終を語った。二人の吟味はそれぞれべつにおこなわれたが、返答にくいちがいのないのがよかったのだろう、半日ほどで帰宅を許された、ということであった。 「これで済むのでしょうか」とあや[#「あや」に傍点]は心もとなげにきいた、「それともなにかお咎めがあるのでしょうか」 「ここではっきり断わっておくが、この話は口にしないことにしよう」と庄兵衛は自分にはらを立てているように云った、「私はふだんから政治には関心をもたなかった、祖父に壱岐《いき》どの騒動の話を聞いてから、藩内の権力争奪のみにくさといやらしさに、少年ながらうんざりしたものだ、政権の争いはしたいやつがすればいい、私は自分の勤めだけに専念するときめた」 こんどの出来事も好んでしたわけではないし、紛争の内容は知らない。罪に問われるかもしれないしこのままで済むかもしれない。いずれにもせよ西条一家には関係のないことだから、今後どんなことがあってもこの話はしないことにする。もし罪せられるようなことになったら、避けがたい災難だったと諦めるだけだ。庄兵衛は怒りを吐きだすような口ぶりでそう云った。 雪の中で年があけ、正月になった。そのとき藩主|下総守詮芳《しもうさのかみあきよし》は江戸にいたが、藩主不在のときでも、三日には祝儀《しゅうぎ》のため登城しなければならない。謹慎するようにと云われたのが正式の申し渡しなら登城はできないが、内意ぐらいだったとしたら登城しなければ咎められる。現にあれ以来、彼は役所への出仕も控えており、必要な事務があれば下役の者が連絡に来ている状態なので、謹慎はほぼ正式なものだと思われたが、それでも念のために、家士の一人を大目付へやって慥《たし》かめた。大目付では「登城に及ばず」ということであった。その午後、妻のあや[#「あや」に傍点]が里の安田へ年賀にゆき、帰って来るとせきこんで、こんどの事について聞いた話をしようとした。妻のようすで、なにを話しだすかわかったのだろう、庄兵衛はきびしい調子で、約束を忘れたのかときめつけた。あや[#「あや」に傍点]はどきっとし、謝罪するように、そっと眼を伏せて黙った。 「ちょっとその手をおみせ」庄兵衛はすぐに声をやわらげて云い、妻のほうへ手をさし伸ばした、「その火傷をした手だよ」 あや[#「あや」に傍点]は膝の上で、その右の手を左の手で隠した。庄兵衛はすり寄って、押えている手をはなし、右手を取ってみた。拇指《おやゆび》はぜんぶ、他の四本は第二関節以下、そして手の甲から手首まで、みにくいひきつれ[#「ひきつれ」に傍点]になった皮膚が光っていた。 「知らなかった、こんなになってしまったのか」庄兵衛はするどい痛みを感じたように顔をしかめた、「治療にはちゃんとかよったのだろうね」 「もういいと云われるまでかよいました」 「あのごたごたでつい忘れたんだな、私が知っていたら医者を変えるとか、湯治にゆくとかなにか方法を考えたろうのに、どうして私に云わなかったんだ」 「火傷はむずかしい病気ではありませんもの」あや[#「あや」に傍点]は頬笑みながら云った、「なにかいい方法があれば玄智さまがそう仰しゃったでしょう、片手をなくしたわけではないのですから、そんなに大事がらないで下さいまし」 「私の罪だ」庄兵衛はあや[#「あや」に傍点]が放そうとする手をなお握ったままで云った、「こんな手にしてしまって、これではもう嫁にゆけないじゃないか」 あや[#「あや」に傍点]の眼が良人《おっと》の顔へ吸いつくように動いた。庄兵衛は冗談めかして、しかし感情のこもった声で云った。 「もう嫁にゆけないとすると、不都合なことがあっても離縁はできない、これは高価なものについたぞ」 あや[#「あや」に傍点]も冗談のように、「では安心してわがままができますね」と云った。 正月十七日、庄兵衛は城へ呼びだされ、閉門|永蟄居《えいちっきょ》と、家禄《かろく》の内百石の削減を申し渡された。伊原友三郎を匿い、その逃亡を助けたことが重科に当る、というのである。申し渡しは評定所でおこなわれ、城代家老の佐野図書はじめ、中老、年寄の人たちが立会った。 抗弁や異議の申し立てなどはむろんできない。庄兵衛が下城すると、大目付の者がついて来て、裏門を閉め、青竹を打った。閉門蟄居となれば家士も置けないし、西条家の身分では召使も一人ときまっていたから、下僕加助のほかはみな暇をやった。 「さて、島流しになったわけか」庄兵衛は皮肉に笑って云った、「こうなってみると、伊原の無事を祈り、その計画というのが成功するように祈るほかはないな」 [#6字下げ]五[#「五」は中見出し] 日用の買物に下僕が出るだけで、家人は一歩も外出できないし、親の死はべつだが、親族知友との往来も禁じられる。庄兵衛の云った島流しとは少しも誇張ではなく、その字義どおりの生活が続いた。家禄を削られたから実収入は約百石になったが、他家の交際もないし余分の入費は不用なので、家計が苦しいようなことはなく、ただ、なにもしないで閉居していることに慣れるだけが、なんにたとえようもなく苦しかった。 五十日ころがもっともひどかった。神経が苛《いら》だって食欲もなく、夜も眠れず、些細《ささい》なことに怒って妻を叱りつけたり、物を投げたりした。 「伊原はどうしたんだ」と突然どなりだすこともあった、「生きているのか死んだのか、自分で事を起こし、迷惑をかけないと云いながら、その結果はこのありさまじゃないか、これでも迷惑をかけないというのか」 そんなとき母は仏間へこもり、あや[#「あや」に傍点]は黙って忍び泣くばかりであった。五十日が過ぎると少し気がしずまり、彼は禅の書物を読み耽《ふけ》ったり、坐禅をするようになった。巻紙を縦にして「薬病相治」と書き、これを柱に貼ったのに向って坐るのである。どういう意味かとあや[#「あや」に傍点]がたずねたら、なんの意味もないと庄兵衛は答えた。 「永平寺で参禅したとき、これを公案《こうあん》にもらったんだ」と彼は云った、「答案はできずじまいだったがね、こんどはたっぷり暇があるから、なんとか片をつけてみるつもりだ」 百日目ぐらいにまた荒れる時期があり、十日ばかりは側へも寄れないような状態が続いた。 「お父さまがあの世で、それみたことかと仰しゃっているでしょう」と母は泣きながら云った、「そんなにみれんな、とり乱したまねをするのも、みなこの母があまやかして育てたからです、いまになってそれを後悔しようとは思いませんでした」 「永熱居の味がどんなものかわかっても」と庄兵衛は云った、「父上はなお、それみろと仰しゃるとお思いですか」 けれど彼はすぐにあやまり、これからは慎みますと誓った。 日の経《た》つにしたがって、庄兵衛と妻とのあいだに微妙な感情が生れた。あや[#「あや」に傍点]の里である安田から、なにか援助とかちから[#「ちから」に傍点]づけがあっていい筈だ。公式には往来も文通も禁じられているが、そうするつもりがあれば意志を通ずる方法がないわけではない。ことに、伊原友三郎の実母は安田家の出であり、当主の又次郎は伊原と従兄弟なのだ。自分の従兄弟に責任のあることだから、そのためにでもなにかつぐないをする気になるのが当然である。庄兵衛がそう思っていることは、あや[#「あや」に傍点]にもおよそ察しがついた。里の長兄が事なかれ主義の、ひどく気の小さい人柄であることを、あや[#「あや」に傍点]はよく知っていた。友三郎の生家である原田、養家である伊原、両家はもちろん罰せられているだろう。したがって、へたになにかすれば安田にも累が及ぶ、そう考えて息をひそめているに違いない。あや[#「あや」に傍点]にはそれが眼に見えるように思い、けれども口にだしては云えないため、良人に対して絶えずひけめ[#「ひけめ」に傍点]を感ずるのであった。 その年の十一月に、母親たえ[#「たえ」に傍点]が急死した。或る朝、いつまでも起きるようすがないので、あや[#「あや」に傍点]が寝間へみにいったら、仰向きに寝たまま死んでいたのである。平穏な顔で、苦しんだようすはまったくないし、夜具をのけてみると、寝衣の裾《すそ》も乱れてはいなかった。届けによって大目付から、与力が下役人と医師を伴れて来た。医師は「衝心《しょうしん》」と診断した。悪性の脚気によくあることで、これは脚気ではないが心臓に故障がおこり、衝心のため急死したのだと云った。 母の実家である渡井《わたらい》と、安田家とに通知をすることはしたが、弔問は許されず、通夜をした翌日の昏《く》れがたには、葬式を出さなければならなかった。これも寺までゆけたのはあや[#「あや」に傍点]と下僕の二人で、庄兵衛は門の中から見送っただけであった。――母の急死がよほどこたえたのであろう、庄兵衛は人が変ったように温和しく、穏やかになった。彼は生臭物を断ち、朝と夕方には仏壇に向って、半刻《はんとき》あまりも供養をし、殆んどの時間を読書によってすごした。 こうして五年という月日が経った。 [#6字下げ]六[#「六」は中見出し] 伊原友三郎が事を起こしてから六年めに当る、享保《きょうほう》十九年二月に、下総守詮芳が帰国して重職の交代を命じ、藩庁の内外に思いきった粛清をおこなった。城代家老の佐野が家禄没収のうえ一家追放になったのをはじめ、重臣二人が閉門、その他十余人が重科に問われ、軽い咎めや役替えぐらいで済んだ者は、およそ二十余人に及んだ。これは二十年以上もまえ、この藩にあった「壱岐どの騒動」という、領主の継嗣《けいし》をめぐる政争以来の騒ぎで、すべてが落着するまでに一年あまりを要した。 庄兵衛には詳しいことはわからなかった。定期的な見廻りに来る大目付の役人、――それはもう以前の滝沢忠太夫やその部下ではなく、新しく任命された者だったが、かれらが言葉少なに語ることで、およその経過を知るだけであり、また、かれ自身それ以上その紛争の内容などには関心がなかった。騒ぎがおちついてから、伊原友三郎が中老になり、国許《くにもと》留守役を兼務することになった、ということがわかった。彼は三年以上も身を隠したまま、江戸や国許のお為派と連絡を続け、こんどの御改新に多くの功績があったという。庄兵衛はそんな話はどっちでもよかったが、伊原の異例な出世にはよろこんだ。 「永蟄居もこれで終るか」と庄兵衛は太息《といき》をついて云った、「七年、いや、もう八年ちかく経ったな、ひどいもんだ、われながらよくがまんしたものだと思う、いろいろなことがあった中で、いちばんこたえたのは母に死なれたことだ、肩身のせまい日蔭ぐらしのままでね」 あや[#「あや」に傍点]はそっと、良人の手の上へ自分の手をかさねた。 定期的な見廻りはあるが、閉門蟄居についてはなんの沙汰もなかった。騒ぎはおさまり、家中《かちゅう》は平穏になった。見廻りに来る与力の話によると、萩岡左内一派によって処罰された者は許され、放国された者は帰藩した。友三郎の生家である原田では、食禄を加増されたということであった。だが、西条家は忘れられたように、ぜんぜん音も沙汰もないのだ。庄兵衛はおちつかなくなり、怒りっぽくなった。交代した重職たちは気がつかないということもある。だが伊原が忘れるということはない筈だ。 「ことによると忘れたのかな」庄兵衛はなんどもそう云っては首をかしげた、「騒動のあと始末もあるし、新任の役目に追われて、つい忘れているということも考えられる、とにかくいちど手紙をやってみようか」 庄兵衛は伊原に宛てて手紙をやった。五日待ち、十日待ったが、返辞もないしたずねて来るようすもなかった。庄兵衛は自分のもとの上役である城本内蔵助《きもとくらのすけ》に訴状を出した。しかし、訴状は封のまま戻され、戻す理由さえわからなかった。次に与力が見廻りに来たとき、彼は大目付の手から城代家老に渡してくれるようにと、訴状を託した。そのとき知ったのだが、交代した城代家老は安倍頼母《あべたのも》といい、江戸から赴任した人物だそうで、このときの訴状は「閉門蟄居ちゅうの者が訴状を出すことはできない」という理由で、大目付から封のまま返されてしまった。このあいだに年があけて享保二十一年となり、四月には年号を「元文《げんぶん》」と改元された。 庄兵衛は伊原に宛てて、もういちど手紙を書き、こんどはあや[#「あや」に傍点]に持たせてやった。もちろん妻の外出は禁に触れることだが、いまでは監視もゆるんでいるし、庄兵衛には法を守るような気持はなくなっていた。 「実際にあったことを詳しく話せ」と彼は妻に云った、「手紙にも書いたが、文字では実際の気持はとうてい伝えられない、おまえの口からじかに云うんだ、あしかけ九年にも及ぼうとする、このみじめな罪人の生活、その中で母に死なれたことも、なにもかも残らず話して聞かせるんだ、遠慮することはないんだぞ、いいか」 あや[#「あや」に傍点]は眼を伏せたまま頷《うなず》いた。 さすがに世間を憚《はばか》って、日が昏れてのちあや[#「あや」に傍点]をでかけさせた。加助を供に、提灯《ちょうちん》もつけずにいったあや[#「あや」に傍点]は、一刻ばかりして帰って来たが、そのようすを見て、結果のよくなかったことが明らかに推察された。 「伊原は会わなかったのか」 「おめにかかりました」あや[#「あや」に傍点]は眼をあげて良人を見、その眼を伏せながら答えた、「――手紙は見なくともわかっているし、決して忘れているわけでもない、けれども動かしがたい御家法があるので、いますぐにはどうすることもできない、もう暫く辛抱してくれるようにと、仰しゃっておいででした」 「御家法、――」庄兵衛は詰めよるように反問した、「動かせない御家法とはどういうことだ」 あや[#「あや」に傍点]は封書を出して良人に渡した。「伊原さまが写して下すったものです」 庄兵衛はすぐに披《ひら》いてみた。この藩の家法は四十二条ある、それは第十八条の乙項を抜き書きにしたものであった。 [#6字下げ]七[#「七」は中見出し] 要旨は「お為《ため》筋により不埒《ふらち》の行動をした者は、その趣意が藩家お為にかなった場合、不埒の行動による罪を赦免されることがある。これに対し、その筋にもあらず、お為の趣意なくして不埒の行動を助けた者は、お為にかなわざるゆえに、罪もまた赦《ゆる》されることはない」というのであった。――つまり、政権転覆を計った者は、政権の転覆によって罪を赦されるが、その計画に加わらなかった者が、計画者を助けた罪で処罰された場合には、その罪は計画そのものとは無関係だから、政権転覆が成功しても、赦されることはない、というのだ。庄兵衛は怒って、その抜き書きを引き千切った。 「御家法がなんだ」と彼は叫んだ、「あの夜かれはなんと云った、もし自分が江戸へ脱出できなければ、計画のすべてがだめになる、なんとしてでも生きて脱出できるように、方法を考えてくれと云ったではないか」 「おれは政治は嫌いだ」とすぐに彼は続けた、「政治なんぞには爪の先ほども関係したくなかったが、伊原はけが[#「けが」に傍点]をしていたしおまえの従兄だ、妻の縁者であり重傷を負っている者を、いやだと追い払うことができるか、断わると云って、あの雪の中へ追い返せばよかったというのか」 「おれは伊原を背負って、あの川を脛《すね》まで浸してあるいた」庄兵衛はしだいに激昂《げっこう》しながら云った、「そして別れるときに、伊原はなんと云った、――西条のしてくれたことは、おれにしてくれたのではない、この藩ぜんたいのためにしてくれたことになるんだって、おまえも聞いていたろう、伊原はその口でこのとおりのことを云ったんだ、そうではなかったか」 庄兵衛は立ちあがり、刀を持って庭へとびおりた。庭には若木の八重桜が一本、ゆったりとおそ咲きの花をつけていた。彼は刀を抜き、鞘《さや》を縁側に置くと、足袋《たび》はだしのままそっちへいって、絶叫しながら刀を振った。珍しいほどよく晴れた夜で、月の光が明るく、庄兵衛の刀はその光を映してきらめき、若木の八重桜は花をつけたまま、中ほどから切断されて倒れた。 あや[#「あや」に傍点]は袂《たもと》で顔を掩《おお》い、けんめいに泣くのをこらえていたが、桜の切り倒された音を聞くと振返って、立ちあがるなり自分も庭へ走り出ていった。 「あなた、気をおしずめ下さい」 「うるさい寄るな」庄兵衛は妻の手を乱暴に振放した、「おれはこの藩が憎い、伊原友三郎が憎いし伊原と血のつながるおまえも憎い、おれはここを出てゆくぞ」 庄兵衛は泥まみれの足で家の中へとび込んでゆき、金包とみえる物を持って戻った。刀をぬぐいもせずに鞘へおさめ、居間へはいったと思うとすぐに、袴《はかま》をはきながら出て来た。あや[#「あや」に傍点]は庭にはだしで立ったまま、良人のすることを黙って見ていた。十余年もの夫婦ぐらしで、庄兵衛の気質はよくわかっている。いまなにか云えば、却《かえ》って怒りを煽《あお》るだけだろう。そう考えたのであるが、まもなく、縁側へあらわれた庄兵衛が笠《かさ》を持ち、草履《ぞうり》を持っているのを見て「あ」と口を押えた。 「閉門の身だからな」彼は草履をはき、刀を腰に差し、笠を持って庭へおりた、「門からも木戸からも出ない、罪人は罪人らしく、塀を乗り越えてゆくぞ」 「あなた」とあや[#「あや」に傍点]がふるえる声で云った、「それはご本心ですか」 「見ていればわかる」と彼は云った、「他国へいって乞食《こじき》になろうとも、こんなばかげた土地にいるよりはましだ、まっぴらだ」 「待って下さい」あや[#「あや」に傍点]は良人の袖《そで》にすがりついた、「いいえお止めは致しません、あなたが出ていらっしゃるのならわたくしもまいります」 「おれはおまえを憎んでいるんだぞ」 「それでお気が済むなら憎んで下さい、わたくしあなたの妻ですから、あなたが出ていらっしゃるならわたくしもまいります」 「放せ、うるさいぞ」 「放しません、わたくしごいっしょにまいります」 庄兵衛は妻を突きとばした。あや[#「あや」に傍点]はうしろへよろめいて膝を突き、庄兵衛は笠木塀のほうへ歩み寄った。そして、木戸になっている笠木のない部分へ手を掛けると、それを外へ乗り越えようとした。そのときあや[#「あや」に傍点]が走って来、庄兵衛の着物の袖を掴《つか》んだ。力いっぱいな掴みかたで、振放すことができない。庄兵衛も袖のこっちを握り、袖が千切れないようにして塀の外へおりた。すると、その力を利用したのだろう、あや[#「あや」に傍点]ははずみをつけて伸びあがり、塀の上へ両手でしがみついた。 「あなたはあや[#「あや」に傍点]を置いてはゆけない筈です」とあや[#「あや」に傍点]は悲鳴のように叫んだ、「わたくしの、この右の手を見て下さい」 庄兵衛は振向いた。月がま上にあり、塀にしがみついたあや[#「あや」に傍点]の手を照らしていた。あや[#「あや」に傍点]の右手にある大きな火傷の、ひきつれ[#「ひきつれ」に傍点]になった痕が、雲母でも貼ったように光ってみえた。 「あなたはいつか仰しゃいましたわ」とあや[#「あや」に傍点]はふるえる声で云った、「こんな手にしてしまって、もう嫁にはいけないなあって」 庄兵衛の顔がみにくくしかめられた。 「嫁にゆけなくなったとすると」あや[#「あや」に傍点]は続けた、「不都合なことがあっても離縁はできないなあって」 庄兵衛の持っていた笠が、その手から落ちた。 「あなた」とあや[#「あや」に傍点]が叫んだ、「そこにいらっしゃるんですか」 彼は「いる」と答えた。 「御家法も人が定めたものです」あや[#「あや」に傍点]は云った、「御改新があったのですから御家法もやがて変ることでしょう、もう暫く辛抱なすって下さい、それがだめならあや[#「あや」に傍点]を伴れていっていただきます」 庄兵衛はふり仰いで月を見た。 「あなた」とあや[#「あや」に傍点]がまた呼びかけた。 「やめたよ」と庄兵衛が答えた、「――おれの負けだ、その手はやっぱり高くついたな」 高価についたとは、支払いでか、それとも受取りの意味でか。 庄兵衛自身でも、どちらにつくかは知らないようであった。 底本:「山本周五郎全集第二十九巻 おさん・あすなろう」新潮社 1982(昭和57)年6月25日 発行 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/sexyvoice/pages/415.html
アキバのフィギュア屋に赴いた二人。ロボは帰りの電車で上機嫌だった。 「はぁーいい買い物しちゃった♪こんなレアが手に入るナンテー」 今日の収穫である限定フィギュアをマジマジと眺める。 「ほんっとに好きネー」隣に座っているニコは呆れ顔でわざとらしく言った。 「ま、子供にはわからない世界だからねッ」 「(わかりたくないって)あ、もう着くよ」 電車は二人の住む阿佐ヶ谷駅に到着し、ホームに降りる。 日曜の夕方、休日を楽しんだ人たちの群で賑やかだ。 改札を出て駅ビルの中を歩く。テナントには夏物の服や小物がたくさん並 んでいる。不思議とそれらを見ているだけで、開放的な気分になってくる。 「あ、」 ふとニコがショップの前で足を止めた。 「んー?なんかあったの?」 フィギュアの月間雑誌に目を通していたロボが見上げると、 ニコはくるくるした目でカラフルな水着を着たマネキンをじっと見ていた。 「これ、可愛い」 大胆な柄のビキニだった。 「水泳の授業ならスクール水着でいいでしょー」 「夏休みにむーちゃんたちと海行く約束した」 夏休みか・・もうそんな時期なんだなとロボはぼんやり思った。 梅雨が明けたら二人が出会った最初の夏が来る。 「海もスクール水着でいいじゃん、中坊なんだからさ」 「ダサッ今どきそんな奴いないよ・・。そうだ、だったらロボ選んでよ」 「えぇぇぇぇ」 ニコはロボの腕をつかんで店内へ入ろうとひっぱった。 「俺がどうして女の水着なんか選ぶのよぉぉぉ」 「私こういうのセンスないしさー、ロボの買い物つきあってあげたじゃん、 だったら私のもつきあってよ、ね」 ロボは心底後悔した。実は給料日前で金欠だったのだが、どうしても限定フィギュアがほしくて、 ニコからお金を借りて買わせてもらったのだ。 なので今、非常にロボの立場は弱かった。 「うぅぅ・・・わかった・・」 「よしっ♪」 ロボはおどおどしながらニコの後をついて店内に入った。 「いらっしゃいませー」 店員の明るい声、夏を思わせる派手なBGM、店内は若い女性客ばかりだった。 ふと見ればセクシーなマネキンがずらりと、紐同然の水着を着て立っている。 「こんな・・目の毒だぁぁ」 「若いおねーちゃんの水着姿とか好きなんでしょ?」 「もちろんだ。でもこれが全部女性の胸やあそこを隠すものかと思うとー」 「へーけっこうウブなんだね」 ロボはこの空間にクラクラしていた。ニコはそんなロボにはおかまいなく、 早速水着を物色している。 「ねーこれどう?」 ニコは可愛い柄のビキニをロボの前に広げてみた。 「ニコにビキニは早いだろ~」 「なんでよ」 「だってさーニコ、胸ないじゃん子供体型だし」 ばしっ、ロボはニコにひっぱたかれていた。 「なんだよもおー」 「ロボ最ッ低!!」 ニコはうーんと悩むと、なにか決めたように水着をつかみ、あたりを 見回しはじめた。 「これ着てみる。えーと試着室あそこか」 「えーやめなよ~」 ニコのあとをうだうだ言いながらロボはついていく。 「うるさいなーもう」 サンダルを脱ぎ試着室に入るニコ。 「言っとくけどのぞいたらどうなっても知らないからね!!」 「俺は変態じゃないぞー」 まったく・・ 待っているのに暇を持て余したロボはぼんやりと、試着室の隣に立っている白い 水着のマネキンの胸を、つんつんつついてみた。 「あら~この水着のパッドやわらかいわーシリコン樹脂?ポリウレタン樹脂?」 その感触がなんともたまらず、つい夢中になってつついて食いつくように見ていた。 ふっと周囲を見ると、女性客や店員が怪訝な顔でこちらを見ているではないか。 「い、いや僕は変態じゃないですからッオタクだけど変態じゃないですからっ」 慌てたロボの体はマネキンに当たり、倒れてきたもっこりマッチョなマネキンの 下半身を抱きしめたまま、ロボはさらに慌てた。 「へ、変態ッ」 「い、いやちがうー」 「ロボなにやってんのー!?」 試着室からニコの怒った声がする。 「なんでもな~い・・ここは湾曲空間ポッドより恐ろしいところだ・・ブツブツ」 しょんぼりとロボは試着室の前にしゃがみこんだ。 「へへー」 しばらくしてニコが試着室のカーテンから顔だけ出した。 「おい、着れたのかあ?」 興味がなさそうにロボが見上げる。 「うん着れたけど・・見たい?」 少女らしい、はにかんだ顔でニコが言った。 「子供の水着姿なんて見てもなぁ・・・」 「あ、そう。じゃいいわ」 「ちょちょっと待ったッ」 しめようとするカーテンを慌てて立ち上がって制止した。 「やっぱ見たいんだ~エロ親父」 「ち、ちがう。保護者としてだな、監督義務があるからな、うん」 腕を組んで偉そうに頷くロボ。 「ふーん まあいっか」 ニコの冷ややかな目が痛い。 「じゃーん」 カーテンが開いて水着姿のニコが現れた。 「どう?」 ニコはちょっと照れくさそうに、立ってみる。 白くやわらかそうな肌や、可愛らしく丸いおしり、すべすべしそうなふくらはぎと 太ももが、ロボの目に焼きつき、思わず目をそらす。 (お、俺はロリコンではないロリコンではないぞ!!ニコは胸もまだ小さいし、 大きくメリハリがあるわけでもない子供のボデーではないかよくみろ俺、 俺はスラリとしてキュッキュぼーんの大人だけにときめく勇者なのだ) 背はすでに160近くあるので、すらりと手足や体がのびてくれば、将来は期待大 なんだが・・。 「うーむ 努力は認めよう、努力は」 力強く言うロボ。 「なっにそれっ」 ニコはぷっとほほをふくらませると、 「あーもういいですよーだ」 むくれてカーテンをしめてしまった。 結局水着は買ったが、帰り道のニコは機嫌が悪かった。 「ニコ~ごめんよ」 「ハイハイどうせ子供ですよッ」 「いや、まだ背伸びしなくてもいいんじゃないかなーってさ」 慰めになっているかわからない言葉をかけながら、ニコを覗き込む。 「ロボなんか一海ちゃんの水着写真でも見てればいいよ!」 「おおお、それはぜひ見たい!!・・じゃなくて~」 女心がわからないロボに、ニコは心底ガッカリしていた。 いや、ロボにそんなものがないのはわかっている。 自分がまだ色っぽくないのもわかっている。 ただ、言ってほしかったのだ。水着姿が「可愛いよ」と。 (・・・ロボが言うわけないか) 「あ、ねぇニコ、うちでご飯たべる?俺作るからさッ」 「だってロボ給料日前で冷蔵庫なにもないじゃん・・」 一番痛いところを突かれた。 「い、いやほら簡単なのなら材料あるって」 「ふーん・・わかった」 「よっしゃ」 特別断る理由もないので、ロボの家に行くことにした。 ロボの部屋の、いつもの窓辺から見る商店街の風景。 「まっーくす~まーっくす~」 キッチンではロボが楽しく歌いながら夕飯を作っていて、ネギをきざむ小気味良い 音がする。ニコはこの眺めが好きだった。学校や家でイヤなことがあった日に来る と、なぜかロボが料理をしてくれるのだった。その暖かいにおいや歌声はニコの心 を明るくさせた。(お母さんも毎日料理作ってくれるけど・・なんか違う) 鍋肌をこがす醤油の香ばしい香りがしてきて、アキバでロボが行きたいといっ たので、イヤイヤ入ったメイド喫茶でお茶したきりの、ニコの空腹の胃を刺激した。 「さぁできましたよ~」 ロボは綺麗に中華皿に盛ったチャーハンを二つ、テーブルに並べた。 上に乗ったグリーンピースの緑が、宝石のようだった。 「いただきマックス」 手を合わせて食べ始める。ぱらぱらでふわふわした優しい味が、口に広がった。 「マックスうまぁーーい さすが俺のチャーハン」 「いつも自画自賛じゃん」 肉も具もスズメの涙ほどの金欠チャーハンだが、ニコにはごちそうに思えた。 「んーニコ、さっきはごめんな」 ロボはリモコンをいじり、テレビの番組を変えながら言った。 「なにが」 「その・・うまくほめてあげられなくてごめん、水着」 「・・・いいよ、だって本当に私、まだ子供だもん」 言葉が続かないまま、黙々と二人はチャーハンを食べた。 「でも、俺」 「ん?」 「ニコには可愛い格好してほしいけど、あんまりその・・ 水着姿とか他の男に見られるのは、いやだなと思った」 ロボはそういうと麦茶をぐいっと飲み干した。 「そ、そう」 ニコはうつむいてチャーハンのレンゲでグリーンピースを転がす。 「だってさ」 「う、うん」 「写真とか撮られて*熱写ボーイとかに載せられてたらいやじゃん」*エロ投稿写真雑誌 「はああ?」 「い、いやまあそれもあるんだけど、その」 ロボはカタンと、空になった皿の上にレンゲを置いた。 「怖いんだ」 「?」 「ニコがどんどん色っぽくなっていくとさ・・俺の届かないとこに行きそうで」 ぽちゃん、とキッチンの蛇口から水が落ちた。 「ニコはこれから、高校いったり、大学行ったり、いろんなとこいったり、 いろいろ見たり、食べたり、俺の知らない服着たり、誰かと出会うでしょ。 その時俺は、「そこ」に一緒にいられないからさ。「そこ」に一緒にいない人と いる人では、違うでしょ」 ロボが寂しく笑った。 「そんなことないよ・・こんなことがあった~って、ロボに全部話すもの。 聞いてなくても聞いてよって言うもの」 「そっか。ありがとう」 「ほんとだよロボ!」 ロボはニコのグラスと自分のグラスに麦茶を注ぎながら、にっこり頷いた。 食べ終わったお皿を片付け終わると、二人はぼんやりベッドの上で錆びてきた ベランダのてすりにもたれて、外を見たりした。 涼しい夜風が初夏のにおいを感じさせた。 「夏は、夏の音がする」 「夏の音?」 ベッドの上で今日買ったフィギュアをいじりながら、ロボはニコを見た。 「どこか遠い町の風鈴の音とか、どこかのビアガーデンで乾杯するジョッキのぶ つかりあう音とか、どこかのプールに子供が飛び込む音とか。 昔から、一人でその音を聞くと、なんだかいいなぁって思った」 「ニコは俺が聞けない音をいっぱい感じてるんだな~」 「私」 ニコはロボのほうを向いた。 「そういうこと、全部ロボに伝えたい。私、勝手に大人になったりしない。だから」 ニコはうつむくと言葉につまった。 「ロボ、ずっと私を見ていてくれる?」 その目には少し涙があった。 ロボはフィギュアをいじるのをやめると、そっと大きな手をニコの髪にのばした。 「ニコがもうイヤだこの野郎~っていっても見てる」 「ほんと?」 「ああ」 そのまま手をニコの顔にまわし、優しくなでる。 「・・・もお、ちゅーしたくなっちゃったじゃないかッ」 「いいよ」 「いいよって女の子が言っちゃだめでしょ」 「だって・・」 ロボはニコの顔に自分の顔を近づけると、両手で優しく頬をつつんで、 軽くぎこちなくキスをした。 「・・チャーハンの味がする・・」 ちょっと不満そうにつぶやいたニコの言葉に、 「俺もだ」 クスっとロボは笑ってまた、少し長いキスをした。 顔を離すと、ニコの手がロボの二の腕をつかんだ。 「なーに?」 「・・」 「ちゃんと言ってごらん」 「見てほしい」 「なにを」 「私を・・今見せられる私の全部を・・全部・・」 みるみる真っ赤になっていくニコの顔と、まっすぐな瞳から、ロボはその意味を 読み取って、自分の鼓動が跳ね上がるのを感じた。 「・・・いいの?」 ロボの問いかけにニコが頷く。 「ニコわかってる?簡単にシテいいことじゃないんだよ?」 「わかってる・・ロボは大人で・・私は子供で・・でも」 「俺はね、ちゃんと待てるから。ニコに無理してほしくないんだよ」 ロボの優しさがニコにはわかっていた。でも、不安だったのだ。 ロボが不安なように、ニコもロボが待ってくれるか不安だったのだ。 ロボもそれは理解していた。昭子のこともあったのだから。 「ロボありがと。変なこと言ってごめんね・・」 ポロポロと泣くニコを、ロボは優しく抱きしめてあやすように、撫で続けた。 「謝らないでいいよ。大好きだよニコ」 お互いの気持ちが痛いほど伝わってくる。だが、この気持ちどうしたらいいのか。 「少し寒いね。しめよっか」 ニコが落ち着いてきたのを見計らって、ロボは体をのばすと窓をしめた。 そしてニコを胸に抱くと、やわらかい髪の毛に自分の顔をうずめた。 暖かくて、小さくてやわらかい。 「こうしていると、なんだかとっても安心する」 かすれた声でロボが言った。それが、なんだかとてもせつなくニコには聞こえた。 ニコは手をのばすと、ロボの頬に触れる。 「・・・泣いてるの?」 「わかんない。なんでかな・・」 そのままロボから落ちてくる涙の粒に触れる。 「ごめんねロボ、ごめんね」 「謝るな」 自分よりロボがずっと辛い思いをしていることを、ニコは知った。 それなのに、私ってなんて子供なんだろう、なにも考えてなかった・・。 「ニコは覚悟してくれてるのに、俺、本当は逃げてるんだ ずるいんだよ」 「そんなことないよ」 「俺、本当はニコのこと今すぐ抱きたいよ」 ロボの言葉にニコは心の底がジーンと熱くなるのを感じた。 「誰にも取られたくない。どこにもいかせたくない。ほしい。 安心したい。もう毎晩寂しくて苦しいのはイヤだ、毎日ぎゅってしたい。 でもそれは」 言葉につまった。 「でもそれは、ニコが大人になるまでは・・」 「ロボ」 言葉をさえぎって、ロボの顔を引き寄せると、ニコは自分からキスをした。 「私無理しないから、だから・・ロボ」 「・・・」 「ダメだったら言うから・・今・・したい」 「・・・ニコ、本気?」 ニコは少し震えながら、ロボの胸のシャツをつかんだ。 「やっぱりダメって言われても、俺、やめられるかわからないよ、いいの?」 「それでもいい。ロボならいい」 また泣きそうなニコを撫でて、ロボはもうせきとめられない感情を体に感じていた。 俺はロリコンなのか? 違う・・ 俺は恋愛の意味も手探りの中学2年生を抱きたいと思う変態なのか? 違う・・違う・・俺はニコが好きなだけだ。 ああ、俺、ニコを壊してしまうかもしれない。 「いいんだね?」 それはニコに言ったのか自分に言ったのか、わからなかった。 小さく頷くニコを優しく撫でて、強いキスをする。 そのまま、シーツの上に押し倒した。 「ん・・」 ロボの長い手はニコの髪留めをほどく。バラバラになった髪を撫でながら、 首すじにキスをしていく。そして片手をニコの服のわき腹から中にすべりこませ ると、ブラのホックを外して服をたくしあげて脱がせた。ロボもトランクス以外 の服を全て脱ぐ。ニコは恥ずかしくなり、思わず両手で自分の胸を隠す。 「んっ」 かまわずロボは首すじからまだ発達しきれない鎖骨へと口づけをする。 「我慢しないで声だしてごらん」 そう言われても、ニコは気恥ずかしさと味わったことのない体を走るキスに どうしていいのかわからない。 胸を隠すニコの腕をほどいてつかんだまま、そのまだ成熟してないふくらみに 指を這わせた。ゆっくりともみしだき中心部をつまむ。 「あ、」 ニコの体に細い電流が走るような感覚が襲う。ロボはふくらみに口づける。 「あっ・・や・・」 最初は優しく、そしてだんだん強く。 (な、なんか・・ロボ、赤ちゃんみたい・・可愛い) こんな時に、なぜだか自分の胸を吸うロボを見てそんなことを思った。 ロボの指は胸からニコのおなかへ這っていく。 「あ、あははっ」 思わずくすぐったくて、身をよじらせた。 「こらっ」 「だってーくすぐったいんだもんー」 「我慢しなさい」 必死で指の動きに声をかみ殺すニコだったが、やがて時間をかけたその 愛撫に小さく息が漏れ出した。 「ンッ・・」 ロボはニコがちゃんと感じてくれていることに、愛おしさを感じる。 スカートに手をかけ引きずりおろす。可愛い下着の上からまだ眠る花に触れる。 「や、やだ・・」体がぴくりと反応する。 指を布の上からすべらす。うっすらと濡れているのがわかる。興奮して、 ロボは下着のラインとふとももに指を這わせ、舌を這わせた。 「あっあ、やぁッ」 「あらあら~エッチだなぁ」 たまらなくなり、一気にパンティーを脱がせる。やわらかい恥毛から指をまわり に這わせ、花芯へ滑らせる。びくん、と大きくニコの体が震えた。片手で胸の愛撫 を繰り返す。 「こんなに濡れてるよーニコ。なんでかなぁ?」 「し、しらない~」 真っ赤になりながら、ニコが答えた。 恥ずかしいのか、足を閉じようとするので、ロボの指を自分ではさみこむような形 になっていた。花芯と深部を愛撫する指は、滴りを溢れさせていく。 「!」 「ん、」 ロボはニコの閉じた足を開かせ、花芯に口づけようとしたが、ニコは抵抗した。 「それは・・イヤ」 「恥ずかしいの?」 ロボはニコを見る。ニコは乱れた姿でこくりと頷く。 「でも俺の指は離したくないんだ?ニコはえっちだなあ」 ロボはわざと指を強く動かした。 「いやーあ」 「ほらー観念しなさいもう」 ロボはニコの足を開かせると、頭をすべりこませた。花のにおいがした。 舌を花芯に少し這わせる・・ニコの体がまたぴくりとする。 そのままゆっくり、舌に力をいれていく。 「ぁッ、そんなとこ・・なめたら汚いよ・・ロボ」 電流が集約するような感覚の中で、ニコは声をあげた。 甘い蜜の場所を時々舌でつつきながら、花芯を弱く吸う。 「あッあ、ん・・・」 抵抗していた声が甘く変わっていく。少女と思えないその甘い声にロボは 歯止めがきかなくなっていく。花芯を口づけながら、指はまだ未開通の深部の 入り口に入れられていた。 「あ、ああああっあっ、ダメーッ」 ニコの声は荒くなり、ロボは舌と指の動きを早くする。 「あーッッ」 その動きにびくリとニコの体はのけぞり、指をきつくくわえた綺麗な 深部の入り口はピクピクと痙攣した。 「すっごく可愛かったよ」 ロボは初めての快感に震えるニコを少しの間抱きしめた。 「ロボのも・・」 「ん?」 「ロボのも見たい」 「うん、見て」 ロボは自分の下着を脱いだ。初めて見るそれにニコはやはり戸惑いを感じた。 すでに怒張したロボのものは、別の生き物のように大きくそそりたっている。 ニコはそっと手で触れた。先端の皮がつるつるしているのがなんだかすごい。 もじゃもじゃした毛や、他は幼いころお風呂でみた父親のそれと同じだが、 ロボの丸い二つの双は大きく感じた。 「・・・」 「びっくりした?あ、ちゃんと着けるからね」 ロボは枕もとの小箱の下からスキンを取り出し袋を破くと、すばやく装着した。 (使用可能性頻度0でも、万が一女性が家にきたとき用にちゃんと用意している のか・・さすがスケベ)ニコは変に感心した。 「うん・・でも怖くないロボのなら」 ロボはニコをいとおしくなって抱きしめる。深いキスを交わす。 そのまま、再びロボの手はニコの全身を愛撫する。 「ロボ、きて」 ロボを求めるうるんだ瞳はもう子供ではなかった。 ゆっくりと、堅いものが秘部にあてがわれると、ロボの重みと共に、 それは戸惑いなく、ニコの体を押し開いた。 「!!!ーッ」 閉じていた肉が中からメリメリと裂かれるような痛みだった。 そこに太く堅いものが容赦なくねじりこんでくるのだった。 あまりの痛みに腰が逃げようとするのを、必死で耐える。 力を抜こうとするが、うまくいかない。 「大丈夫か?」 自分の肩にしがみついているニコの様子を見て、ロボは心配した。 髪をなでてやり、キスをする。 そしてある程度まで押し進んだところで、ロボは止まった。 少しそのまま抱きしめて、彼女の痛みが和らぐのを待つ。 (これ・・ひぃばーちゃんもおばーちゃんもお母さんも経験したんだぁ・・) 「俺・・・ニコほしい」 耐え切れなくてロボがすこしづつ、動きを加えていく。やがて激しく動き出した。 「ロボ、ロボッ」 痛みがあるせいもあり、初めてのニコにはまだそこの快感はなかった。 でも、ぴったりと合わさって蜜をからませる二人の一部は、長い間探した パズルのかけらがはまったような喜びを味わっていた。彼の荒い息と、熱い体と 感触を感じながら、しがみついた揺れる大きな肩を抱きしめる。 「あ、・・あっ・・ニコ、ニコ!!」 きつくおしよせる快感に息を洩らす彼の全てがニコには愛しかった。 なにもいらないよ、ロボ。 「ああッニコー!!」 あなたが笑って、私が笑って、泣いて、なにか食べて、体があって、 生きて、そうしてこの世界があれば。涙がでるほど、私あなたとこの世界が好き。 「ロボッ」 激しさが頂点に達した時、ニコの中でロボは大きく痙攣して果てた。 「ごめんねー痛かった?少し血が出ちゃったね」 「うん・・でも平気」 ロボは寝まき代わりにニコに自分の真っ白いワイシャツを着させてあげた。 ダブダブで、ニコの手はすっぽり隠れてしまった。 ベッドの上に座るニコとロボ。 「ね、これってロボが会社に行くのに着ているんでしょ?」 「そーだよー」 「じゃあこれロボの戦闘服だね」 「たまにはニコ君も良いことを言うではないかっ漢はみんな、この白いYシャツを 血と汗で汚して闘ってい」 「ロボ」 「ん?なに」 ニコはロボの唇にそっとキスをした。ロボはぎゅっと腕の中にニコを抱きしめる。 「もおぉぉぉっ可愛いんだからあっ」 「あッ・・」 「?」 「ロボの脇、汗くっさー」 急に色気のないことを言うニコだった。 「しょ、しょーがないでしょっ、いっぱい汗かいたんだからッ そういうこと言う子には、脇毛攻撃お見舞いしてやるッ」 ロボはがばっと腕をあげてニコの顔を自分の脇に 押し付けようとする。 「バカー最低っ」 「馬鹿じゃないですぅーオタクですぅー」 二人の楽しい夜は続くのだった・・。 そして数日後。 「じゃあまた来ます~」 「頼んだわよ、ニコちゃん」 マキの依頼を受けた制服姿のニコが、地蔵堂から出ていった。 「ねぇよっちゃん~」 ニコの姿を見届けて、マキはお茶の片付けをしていたよっちゃんに話し掛けた。 「はい?」 「ニコちゃん、なんだか急に色っぽくなったわよね」 「ああ、まあそういう年頃ですからねー特に女の子は急にほら、綺麗になったり」 マキはほぅっと息をつく。 「若いっていいわねー」 「そうっすか?」 マキははっとした。 「ねぇもしかしたら、ロボとなにか進展があったのかしら?」 「ああ~?いやでもそれはないかとーいくらなんでもまだねぇ中学生ですから」 「よっちゃん聞いてきて」 「は?」 「ロボに聞いてきてッ」 「いや、そんなプライバシーっつぅか、どうでもよくないっすか?」 マキはどんと机を叩いた。 「だめよっニコちゃんはうちの大事なスパイなんだからっ なにかあったなら把握しなくちゃっ」 「は、はあ・・聞けっていうなら言ってきますけど・・」 「早くいってきてッ」 「は、はーい」 頭を抱えながら、よっちゃんは地蔵堂を出ていった。 夕焼けの中、会社から帰ってきたロボはスキップしていた。 「愛と勇気と正義のッ最大マックスパワー!!チャージ完了!!」 町の中で決めセリフとポーズを決めるロボ。 「無敵のエナジーを得た俺をみろ!!ぬっふふふ♪」 「なーにがぬっふふだぼけ」 物陰から現れたよっちゃんがロボのふくらはぎに蹴りをお見舞いした。 「痛ッター」 「おい、おまえニコとナニかあったのか?」 ロボは思い切りぎくっとした。実にわかりやすい男だ。 「ナ、ナニってなにカナー?いつもどうり仲良しさんだけどなにかなー?」 「ふーん」 よっちゃんは全くもってぎこちないロボをぎろりと睨んだ。 「おまえ妙につやつやしてね?」 「や、き、今日お昼休みに、ほら、サ、サバ、サバ食べたから。 もうそれが油がのりすぎてじゅわーじゅわーって」 「ふーんおまえの食ったコンビニのイチゴサンドにはサバが入っていたわけだ?」 「そ、そう。しらない?新発売のサバ入りイチゴサンド」 「そんなものがあるかー!!」 よっちゃんにギリギリ首固めをされるロボ。 「ロボーこんなところにいたのー?あ、よっちゃんも」 「ニ、ニコー」 その時、むこうから二人をみつけたニコが走ってきた。 「二人でどうしたの?」 「い、いやちょっとな」 「首のコリがひどくってよっちゃんに整体してもらってたんだっネッ」 「そうそう」 「ふーん」 ニコは怪訝そうに二人を見た。 「まあいいや。ロボ、私一度家帰るから、あとで家行くね~依頼のこともあるし」 「あ、あいよー」 ニコは走りさっていく。と、振り返った。 「あ、ねぇ~ロボのYシャツを寝巻きにするのいやだから、今度パジャマ買ってく るわ。じゃあねー」 「じゃあねー」 よっちゃんが不気味な笑顔でニコに手をふった。 ロボは冷や汗が全身から噴出すのを感じた。 「ロボのYシャツを寝巻きかー」にっこりするよっちゃん。 「さーて僕は帰りマックス・・」逃げ出そうとしたロボの襟をよっちゃんは つかんでいた。 「Yシャツ寝巻きってこのドスケベ犯罪者がーーーー」 「イヤアアアーーー」END 後日談 喫茶店 「で、ニコのこと食っちまったわけだ?」 さきほどよっちゃんに軽くぼこぼこにされたロボはうなだれていた。 「はい、いただきマシタ・・」 「ふーん 変態もこれで立派な変態だなあ おめでとう!!!」 「僕は変態じゃないです!!」 ロボがきっと顔を上げる。 「どうみても変態だろうが、中学生とやっちまったなんてよ」 「違う、僕たちには愛がある、愛があれば!!!」 ロボは真顔で言った。 「愛があれば・・あっても・・ダメ?」 なぜか気弱になっていく。 「あっても思いっ切り犯罪だな」 よっちゃんはたばこを吸いながら、楽しそうに言った。 「そんなあ~」 ロボがテーブルに崩れる。 「まあ、あれだ」 「・・はい」 「俺や社長からしたら、おまえを利用するためのかっこうのネタができたって わけだ」 「えぇぇぇーそんな~人の恋愛を利用するなんてひどいッ悪だ~邪悪すぎるー」 「あー?いいの?そんな態度でいいの?」 よっちゃんは立ち上がり携帯をとりだすとどこかにかけた。 「あ、もしもし林さん?お宅の中学生の娘さん、須藤威一郎っていう変態が 食っちま」 「わぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「冗談だっつーの」 よっちゃんはロボをいじめるのが楽しくて仕方がないかのように、満面の笑みで 再び座った。 「ま、こうされたくなかったら、俺たちと仲良くするこったな」 「うううう」 「とにかくさ、・・大事にしてやれ」 よっちゃんがぽつりと言った。 「ニコはいい子だからさ。泣かせんじゃねーぞ」 「・・・それは、もちろん」 ロボは右手の親指をびしっと立てた。 プッチーニ騒動の時の、ニコのあの悲しそうな顔や、しょんぼりしていた姿を 思い出す度に胸がしめつけられる。もう二度とあんなニコは見たくないと、 よっちゃんは思った。 ロボがもしニコを不幸にすることがあったら、その時は。 (自分に妹って奴がいたら、こんな気持ちなのか?) 「まっそのうち若くてかっこいい男が現れて~ 変態は捨てられるかもしれないが、なッ」 「よっちゃんの意地悪~~~」
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/1232.html
越後国 魚沼郡 小千谷組 真人(まつと)村 大日本地誌大系第34巻 92コマ目 小千谷陣屋の南に当り行程3里。 家数26軒、東西42間・南北2町16間。 東は信濃川に臨み西は山に傍ふ。 東16町岩沢村の界に至る。その村まで1里。 西1里17町2間、公領本郡仙田村の山に界ふ。 南18町52間十日町組野口村の界に至る。その村まで1里。 北1里42間東西吉谷両村の山に界ふ。 また 寅(東北東)の方1里8町50間塩殿村の界に至る。その村まで1里34町20間余。 枝村 石名坂(いしなさか) 本村の北5町にあり。 家数27軒、東西2町・南北1町20間。 東は信濃川に傍ひ西は山に倚る。 中山(なかやま) 石名坂の丑(北北東)の方1町余にあり。 家数26軒、東西3町・南北1町。 東は信濃川に傍ひ西は山に近し。 芋坂(いもさか) 本村の寅(東北東)の方1里にあり。 家数24軒、東西1町26間・南北3町35間。 南は信濃川に傍ひ北は山に近し。 時島(ときのしま) 芋坂の寅(東北東)の方6町にあり。 家数13軒、東西1町10間・南北1町40間。 東南は信濃川に傍ひ北は山に近し。 三木明(さんきみやう)・干溝(ひみそ) 本村の申(西南西)の方12町にあり。 三木明、家数28軒。 干溝、家数25軒。 東西4町10間・南北2町30間、雑居す。 東は信濃川に傍ひ西は山に近し。 沢口(さはくち) 干溝の申(西南西)の方6町にあり。 家数19軒、東西50間・南北3町。 東は信濃川に近く西は山に傍ふ。 上島(かみのしま) 沢口の巳(南南東)の方1町余にあり。 家数36軒、東西3町・南北5町16間。 東は信濃川に近く西は山に傍ふ。 万年(まんねん) 三木明の西2町余にあり。 家数9軒、東西50間・南北30間、山間に住す。 源藤山(けんとうやま) 本村の戌(西北西)の方17町20間にあり。 家数24軒、東西2町5間・南北2町、山間に住す。 若栃(わかとち) 源藤山の亥(北北西)の方15町30間にあり。 家数45軒、東西2町30間・南北2町45間、山間に住す。 桂平(かつらひら) 源藤山の戌(西北西)の方18町40間にあり。 家数10軒、東西2町5間・南北50間、山の半腹に住す。 北山(きたやま) 桂平の南7町にあり。 家数69軒、東西3町・南北1町40間、山の半腹に住す。 芹久保(せりくほ) 若栃の亥(北北西)の方7町20間にあり。 家数28軒、東西1町5間・南北2町13間、山の半腹に住す。 山新田(やましんでん) 芹久保の寅(東北東)の方12町にあり。 家数14軒、東西1町・南北49間、山間に住す。 一沢(いちさは) 山新田の辰(東南東)の方11町余にあり。 家数24軒、東西2町15間・南北35間、山間に住す。 山川 信濃川 村東にあり。 十日町組上村新田村の境内より来り、東北に流れ東に折れ北に転じ1里13町40間流れ塩殿村の境内に入る。 池2 一は枝村北山の西1町50間、山中にあり。東西50間・南北30間、牛池という。 一は枝村芹久保の北2町10間、山中にあり。東西10間・南北30間、笹池(ささいけ)という。 関梁 船渡場 村東にあり。 信濃川を渡し隣村に通す。 神社 諏訪神社 祭神 諏訪神? 勧請 不明 村中にあり。 鳥居あり。村民の持なり。 八幡宮 祭神 八幡宮? 鎮座 不明 枝村時島にあり。 村民の持なり。 八幡宮 祭神 八幡宮? 鎮座 不明 枝村芹久保にあり。 村民の持なり。 十二神社 祭神 十二神? 草創 不明 枝村若栃にあり。 村民の持なり。 十二神社 祭神 十二神? 勧請 不明 枝村北山にあり。 村民の持なり。 寺院 般若寺 村中にあり。 勢至山と號す。真言宗小千谷村五智院の末寺なり。 建立の年代詳ならず。 本尊大日客殿に安ず。 阿弥陀堂 境内にあり。 圓藏寺 枝村上島より2町30間戌(西北西)の方にあり。 寶慶山と號す。白川領本郡上野村長安寺の末寺曹洞宗なり。 天正中(1573年~1593年)舜理という僧草創すという。 釈迦を本尊とし客殿に安ず。 鐘楼あり。鐘、径2尺3寸、『維時寛政三辛亥年七月七日』と彫付けあり(寛政3年:1791年)。銘あれども煩わしければ載せず。 正應寺 枝村若栃にあり。 山號を白雲山という。曹洞宗東吉谷村圓満寺の末寺なり。 元和中(1615年~1624年)圓満寺第2世文榮という僧開基すという。 本尊釈迦客殿に安ず。 十王堂 村中にあり。 創立の時代を詳にせず。 村民の持なり。 阿弥陀堂 枝村石名坂にあり。 何れの頃の建立ということを伝えず。 般若寺司なり。 地蔵堂 枝村中山にあり。 草創の年月しれず。 村民の持なり。 観音堂 枝村源藤山にあり。 建立の年月をしらず。 村民の持なり。 薬師堂 枝村北山にあり。 創建の年月伝わらず。 村民の持なり。 Google Map真人地区石名坂地区 中山地区 芋坂地区 時之島地区 干三地区(ひみさん-) - 明治の地理院地図を見ると、現在の県道49号線を挟んで東側が三木明で西側が干溝だったようです。後年合併したのでしょうか。 沢口? 上沢地区(上島) - 明治の地理院地図を見ると、現在の上沢の場所には上之島と書かれており、沢口は載っていません。おそらく上島と沢口が合併して上沢と名前を変えたのではないかと。 万年地区 源藤山地区 若栃地区 桂平地区 - 小屋1軒しかない? 北山地区 芹久保地区 - 西の山上に愛宕神社があるようです。 山新田地区 - 昔はもう少し北の山中にあった? 市之沢地区(一沢) 牛池? 笹池? 船渡場跡? 真人神社(旧・諏訪神社?) 時之島神社(旧・時島の八幡宮?) 神社?(芹久保)この神社?の近くにある池が(おそらく)笹池。 若栃十二社神社(若栃)正応寺の南西にも1つ社がありますが何神社か不明です。 北山神社(旧・北山の十二神社?) 般若寺 円蔵寺(上島の北西) 正応寺(若栃) 十王堂? 阿弥陀堂(石名坂)? 延命地蔵尊(中山) 観音堂(源藤山)? 薬師堂(北山)? その他寺社地神樂神社(石名坂) 中山神社(十二社)(中山) 神社(芋坂) - 社名が不明 諏訪神社(三木明) 諏訪神社(干溝) 上沢神社(上島) 八幡神社(万年の南) 上ノ山神社(源藤山) 神社?(若栃、正応寺の西側) 神明神社(山新田) 十二神社(一沢) 能化庵?(中山) 余談:地名・真人(まつと)にまつわる伝承。 小千谷観光協会のHPに真人の地名の由来について書かれた記事がありました。 一部引用します。 八幡太郎義家をご存知ですか。 本当の名前は源義家といい、鎌倉幕府を開いた源頼朝は義家のひ孫にあたるといわれています。平安時代の終わり頃、八幡太郎義家は奥州平定を命ぜられ奥州へ向かう際に兵士を率いて小千谷の地を訪れ、その時桜町にある八幡神社(現伊米神社八幡宮)に立ち寄り戦勝を祈願して奥州へ向かったといわれています。 祈願のかいあって奥州を平定した後、都へ帰還する途中にふたたび小千谷に立ち寄ってお礼のお参りをし、余程感謝していたのか、八幡さまの社を守るため家来の中から阿部氏・永野氏の二人を残して行きました。 (中略) ここで、真人村(まっとむら)の「まっと」も珍しい呼び方の地名だと思いませんか。 この呼び名も何かの因縁か八幡太郎義家(源義家)がこの地を訪れ、当然のごとく蝦夷(えみし)の人間が住む地だと思い込んでいたところ、大和人が住んでいた事にホッとして、真人(まひと)の住むところと言ったことから、真人という地名になったそうです。 記事の全文はこちら→源平にまつわる話し。 平家の落人(羽鳥一族と屋島の戦いで敗れた兵)の話と三木明の地名の由来も載っています。 余談:神社について 神社明細帳(請求記号22-1)にある真人の神社を一覧にします。 No 社名 祭神 旧住所 他 1 八幡神社 誉田別(ほむたわけ)尊 久保田 2 八幡神社 誉田別尊 水上 3 八幡神社(現 時之嶋神社) 誉田別尊 時之島 明治44年12月7日に十二神社を合併し改称 4 神明神社 天照皇大神(あまてらすすめらおおかみ) 大滝 5 神明神社 天照皇大神 中原 6 諏訪神社 健御名方(たけみなかた)命 家ノ前 7 諏訪神社(現 真人神社) 健御名方命 真人 大正13年7月12日に改称 8 諏訪神社 健御名方命 三木明 9 熊野神社(現 中山神社) 伊弉冊尊 中山沢 大正元年12月に農庭の十二神社を合併し改称 10 白山神社 伊弉諾尊・伊弉冊尊 峠 大正5年9月に地神楽十二神社へ合併 11 十二神社(現 若橡(わかとち)(栃)神社) 大山祇(おおやまつみ)命 十二所 大正7年3月8日に改称 12 十二神社(現 北山神社) 大山祇命 宮ノ越 明治3?年7月15日に松尾神社を合併し改称 13 十二神社 大山祇命 市ノ沢 14 十二神社(現 上ノ山神社) 大山祇命 上山 大正2年に秋葉神社を合併し改称 15 十二神社(現 地神楽(ちかぐら)神社) 大山祇命 地神楽 大正5年9月に白山神社を合併し改称 16 十二神社 大山祇命 農庭 大正元年12月3日に中山沢の熊野神社へ合併 17 十二神社 大山祇命 栗山 18 十二神社 大山祇命 桂平 19 十二神社 大山祇命 孫四郎 20 十二神社 大山祇命 時之島 明治44年12月7日に八幡神社へ合併 21 劔(つるぎ)神社 素戔嗚(すさのお)尊 上之島 22 金刀比羅(ことひら)神社 金山彦(かなやまひこ)命 亀山 大正5年9月に羽黒神社へ合併 23 松尾神社 木花開耶姫(このはなのさくやひめ)命 宮ノ越 明治3?年7月15日に十二神社へ合併 24 羽黒神社 倉稲魂(うかのみたま)命 亀山 大正5年9月30日に金刀比羅神社を合併 25 秋葉神社 軻遇突(かぐつち)命 上山 大正2年10月9日に十二神社へ合併 余談:寺院について 寺院明細帳(請求記号55-1、2)にある真人の神社を一覧にします。 No 寺院名 本尊 旧住所 55-1.1 般若寺 大日如来 55-1.2 円蔵寺 釈迦牟尼佛 55-1.3 正應寺 釈迦牟尼佛 若栃 55-2.29 薬師堂 薬師如来 55-2.30 十王堂 地蔵菩薩 真人 55-2.31 観音堂 観世音菩薩 上ノ山
https://w.atwiki.jp/orenoshikabane/pages/47.html
朱点の髪の毛を6本倒してから選考試合に登場する。 大抵のボスを凌ぐ強さで、舐めてかかると全滅の恐れすらある。 阿部晴明社中 選考試合最強のチーム。選考試合を舐めきった数多のプレイヤーを沈めてきた。 晴明の鳳招来と乙の七天爆に耐える必要があるので、安全に挑むなら最低でも全員の体力700は必要。 阿部晴明 体力 攻撃力 敏速 技力 防御力 戦勝点 技火 技水 技風 技土 1100 740 850 55 860 900 700 600 500 600 技 攻撃範囲 その他 通常攻撃 単体 鳳招来 全体 全体に200程度 夢子 単体 太天照 味方単体 通常攻撃 集中攻撃指示 阿部甲 体力 攻撃力 敏速 技力 防御力 戦勝点 技火 技水 技風 技土 940 750 790 28 830 500 600 400 500 600 技 攻撃範囲 その他 通常攻撃 単体 凡ピン 味方全体 石猿 味方全体 阿部乙 体力 攻撃力 敏速 技力 防御力 戦勝点 技火 技水 技風 技土 960 780 800 100 790 500 400 600 300 500 技 攻撃範囲 その他 通常攻撃 単体 七天爆 単体 春菜 味方全体 魂託し 単体 阿部丙 体力 攻撃力 敏速 技力 防御力 戦勝点 技火 技水 技風 技土 900 750 760 18 830 450 400 400 400 200 技 攻撃範囲 その他 通常攻撃 単体 頼満一党 選考試合最強のチーム。選考試合を舐めきった数多のプレイヤーを沈めてきた。 晴明の鳳招来と乙の七天爆に耐える必要があるので、安全に挑むなら最低でも全員の体力700は必要。 頼満大将 体力 攻撃力 敏速 技力 防御力 戦勝点 技火 技水 技風 技土 1000 780 760 23 850 800 400 700 650 100 技 攻撃範囲 その他 通常攻撃 単体 円子 味方単体 光無し 単体 萌子 味方単体
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/926.html
陸奥国 耶麻郡 小沼組 大塩(おほしほ)村 大日本地誌大系第32巻 55コマ目 ※国立公文書館『新編会津風土記56』より 村中に塩井ある故(ゆえ)名くという。 府城の北に当り行程6里。 家数88軒、東西6町・南北35間。 大塩川を挟み山間に住す。 米沢街道駅所にて、村中に官より令せらるる掟条目の制札あり。 熊倉組熊倉村駅より1里12町ここに継ぎ、ここより2里9町檜原村駅に継ぐ。 東1里26町・北1里20町計、共に檜原村の山界に至る。その村は丑寅(北東)に当り2里4町余。 西17町5間下川前村の界に至る。その村まで18町30間余。 南1里関屋村の山に界ふ。 また 未申(南西)の方27町樟村の界に至る。その村まで29町。 戌亥(北西)の方上川前村に接し田畠相雑て地界なし。その村まで18町。 この村三面に山連なり西に田圃(たんぼ)あり。 小名 二沢(にのさは) 本村より未(南南西)の方35町にあり。 家数2軒、東西2町・南北20間。 山中に住す。 遅沢(おそさは) 本村の東11町にあり。 家数7軒、東西30間・南北40間。 山中に住す。 端村 大窪(おほくほ) 本村より未(南南西)の方17町にあり。 家数24軒、東西2町・南北2町10間。 山間に住す。 木地小屋 原(はら) 本村の東1里余、山中にあり。 家数14軒、東西1町10間・南北40間。 明暦中(1655年~1658年)五目組日中村の木地小屋より移る。 山川 高曽祢山(かうそねやま) 村北1里25町余にあり。 高120丈計。 檜原村と小田付組入田付村と峯を界とす。 楢・橡・ふな・雑木あり。 八森山(はちもりやま) 村より丑(北北東)の方1里15町にあり。 高曽祢山に連なる。檜原村と峯を界ふ。 高70丈計。 萱峠(かやとうげ) 村より丑寅(北東)の方28町、米沢に通る街道なり。 旧多く萱を産せし故名くという。今は雑木多し。 ここを下ること2、3町計、鹿垣(ししかき)という字あり。天正13年(1585年)5月葦名氏の臣松本備中というもの、心替えして入田付越の山道を闢き伊達勢を引入る。この時政宗は檜原村に陣取て新田・原田などいえる郎等に軍勢をつけ入田付越に向わしめ、その身は大塩・柏木等の塁を攻落し共に北方に乱入すべき謀あり。葦名の臣穴澤・中島が一党その外三瓶・伊東などいう者力を勠(あわ)せこの所に柵をつけ防守しり所故(ゆえ)その名残れり。然るに田付の軍伊達方利なかりしかば、政宗も軍するに及ばす檜原に引入しという。 亀甲坂(きつかふさか) 村より未申(南西)の方5町にあり。 米沢に通る街道なり。 この地1町余の中に石理坼(さけ)て亀甲の如き文をなすもの多し。故名くという。 大塩川 上流を小塩川という。檜原村の境内より来り、北より南に注ぎ西に折れ、村中を経て未申(南西)の方に流るること凡2里20町計上川前村の南を過ぎ樟村の界に入る。 怪石きそひ秀て水勢湍急(たんきゅう)なり。 大滝 村東1里、大塩川にあり。 高10丈。 松手沼(まつてぬま) 村北18町にあり。 周360間。 寶暦7年(1757年)霖雨の時山抜て増沢という沢の流を塞ぎ、ついに沼となる。 塩井2 村中大塩川の北、大橋の東西にあり。 東の井筒、周1丈3尺。 西の井筒、周1丈5尺。 共に深1丈余、梁益塩井の類なり。 相伝て、弘仁中(810年~824年)空海この村に来て老嫗の家に止宿し、塩の乏しきを患るを見てこれが為に護摩を修すること17日塩水岩中より湧き出すという。今も塩を焼いて業をするものあり。 西行が詠なりとて2首の歌を伝う。 海士もなく浦ならすして陸奥の山かつのくむ大塩のさと 浦遠きこの山里にいつよりかたえす今まて塩やみちのく 清水3 一は村より未(南南西)の方17町にあり。周11間。 一は村南20町にあり。周14間。 共に田地の養水とす。 一は萱峠を下り檜原村の道左の山根よりもれ出る清水なり。樋を以てこれをひき行人の渇を療す。清冽ならびなし。 関梁 境橋(さかひはし) 村より丑寅(北東)の方1里にあり。 長5間・幅5尺、大塩川に架す。 この村と檜原村との界にあり、因て名とす。 米沢に通る街道なり。 大橋 村中にあり。 石を以て作る。長4間・幅2間、大塩川に架す。 米沢に通る街道なり。 一渡戸橋(いちのわたとはし) 村東16町にあり。 長5間・幅4尺、大塩川に架す。 檜原村の内、雄子沢に通る経路なり。 土橋3 共に村中にあり。 二は長7間、一は長8間、大塩川に架す。 神社 山神社 祭神 山神? 相殿 山神 3座 伊勢宮 熊野宮 諏訪神 羽黒神 麓山神 今神 草創 不明 村北より登ること1町20間、山上にあり。 鳥居拝殿あり。高柳村山本源之進これを司る。 温泉神社 祭神 温泉神? 勧請 不明 村中、塩井の傍にあり。 西福寺これを司る。 稲荷神社 祭神 稲荷神? 相殿 伊勢宮 山神 草創 不明 端村大窪より未申(南西)の方1町、山麓にあり。 鳥居拝殿あり。山本源之進が司なり。 寺院 長泉寺 村中にあり。 山號を石用山という。会津郡南青木組北青木村恵倫寺の末山なり。 縁起に、弘仁中(810年~824年)空海老嫗のために護摩を修し、手づから薬師地蔵の像を刻みこの寺に安ず。天正の兵乱に薬師の像を盗のために奪われ地蔵のみ存す。 旧真言宗にて空海の法流を酌しが、萬治中(1658年~1661年)恵倫寺尖英が弟子尖太来り住し尖英を請て中興とし曹洞宗となる。即空海作の地蔵を本尊とす。座像、長1尺3寸5分、客殿に安ず。 西福寺 村中にあり。 山號を鹽澤山と称す。曹洞宗恵倫寺の末山なり。開基詳ならず。 慶長中(1596年~1615年)休庵という僧再興す。 本尊薬師客殿に安ず。 地蔵堂 境内にあり。 正福寺 端村大窪にあり。 山號を金傳山と称す。真言宗府下道場小路観音寺の末山なり。 開基詳ならず。 天正の兵火に罹り殿宇悉(ことごと)く燒亡し、地蔵の木像のみ存す。同19年(1591年)に至て順教という僧再興す。これを中興とす。 本尊不動客殿に安ず。 虚空蔵堂 村より丑寅(北東)の方8町、山の半腹にあり。 4間四面なり。 虚空蔵座像、長3尺。立岩虚空蔵という。 開基の年月詳ならず。 堂の西北に立岩とて10丈余の岩山あり。蒼松争秀て奇観なり。 下に岩穴あり。辰巳(南東)に向い、口の広2間計。もとは本尊をこの岩屋の中に安じ拝殿をも桟閣(さんかく)にせしという。 修験喜福院これを司る。 古蹟 柏木城跡 村南5町、山上にあり。 東西125間・南北35間。 南の麓に長90間・幅4間の馬場跡あり。 その南に東西130間余・南北25間の空壕あり。 本丸・二、三ノ丸の形・堀切の跡残れり。 天正12年(1584年)葦名義廣これを築き、三瓶大蔵を城番としてこの辺の武士150騎をそえ米沢の押えとし檜原村の繋とせし所なり。今はみな田圃となる。 館跡 村中にあり。 地字を中島という。今民家となり堀土居の形なし。 天正の頃(1573年~1593年)葦名の臣中島美濃某というものこれに居るという。 老嫗屋敷蹟 村中大橋の南側にあり。 農夫これに居る。 その家に空海ならび嫗が像を安ず。嫗が像は空海の作といい伝う。 屋敷の中に護摩石という岩あり。高5尺計、石面平にして6尺に4尺計。空海の手形なりとてその趾あり。 腰掛石(こしかけいし) 村西1町、米沢街道の側にあり。 高2尺、石面4尺に3尺計。空海腰を掛し石なりとて名く。 旧家 穴澤源吉 この村の検断にて中島美濃某が後なりという。系図によるに美濃はその先和田義盛に出、建保年中(1213年~1219年)新左衛門尉常盛が子幸若なるを、乳母抱いて家難をさけ会津に来り、成長して中島靭負義仲と称し大塩村の地頭となる。美濃はその8世の孫なりとぞ。子なかりしゆえ檜原の穴澤加賀信徳5男左馬信清というものを養子とす。左馬後に源左衛門貞利と称し、伊達氏ここを襲いしとき穴澤等と力を勠(あわ)せ防守す。このほとりその遺蹤(いしょう)多し(檜原村の条下を照らし見るべし)。葦名氏滅んで後源左衛門上杉氏に仕え、氏を穴澤と称す。源吉貞英に至るまで9代なりという。 Google Map大塩地区 上二ノ澤 遅沢地区 大久保地区 滝ノ原地区(原) 高曽根山 八森山 大塩峠(萱峠。茶屋峠とも)旧米沢街道。山形側からは会津街道と呼ばれていました。上の位置近くに「会津街道」と書かれた案内柱があります。 亀甲坂(?) 大滝(大塩川上流) 沼(松手沼?ちょっと変わった地形) 会津の山塩(会津山塩企業組合)会社の通り向いにある井は虚空蔵様の御水屋だそうです。 大塩の塩井跡 旧塩井跡地(現・道路)東側を翁湯、西側を媼湯といい、昭和42年5月26日の大火事を契機に道路拡張工事が行われ、平成6年に大塩川の護岸工事の際に塩井跡は移転・復元されたそうです。 温泉神社「湯前神」「湯権現(ゆのごんげん)」とも。明治の廃仏棄釈の際に山神社の位置に温泉神社を合祀しし昇格したそうです。 稲荷神社(大窪) 長泉寺昭和42の大火事で郵便局や旅館の他この寺も焼け落ちたそうです。 西福寺 跡地 正福寺(大窪) 虚空蔵堂 - 地図に2ヶ所候補があり、どちらが正しいかわかりません。大塩虚空蔵さま 大塩虚空菩薩堂 柏木城跡 中島道北(館跡?) 老嫗屋敷跡地 神楽岩洞門 柏木城(さくらとおしろ) 追記:木地小屋・原(現滝ノ原)について コメント欄にてとんりすんがりより情報頂きました。旧村跡の現状について詳しい情報が記載されていたました。その内容を引用したいと思います。 木地小屋の原と言うのは現在の滝ノ原の事で間違いないです(少なくとも明治期には現在の名前になっています)。 滝ノ原は昭和60年代に全住民が集落を離れ廃村になってしまったそうです。数年前まで遅沢集落から車で訪れる事ができたようですが、今年探索を試みたところ、途中で路盤が徒歩でも無理なレベルで崩落しており断念しました。 滝ノ原から雄子沢を通って猪苗代へ下る道が昔あり、猪苗代道と言っていたようで(取上峠はその鞍部だったようです)、このあたりから旧道に入れるのですが、ほぼ藪化しており、こちらも一旦引き返しました。滝ノ原に電気を通していたと思しき電線がだるだるに垂れ下がっていました。 滝ノ原集落の名前の由来になったと思しき大滝(江戸時代に滝ノ原心中という心中騒ぎもあったと伝わります)も道の駅の観光案内板で名所として掲載している割に、細野峠の自動車道が廃道化しているせいで訪れるのが難しくなっているようです。せめてこちらは何とか手を打って頂きたいものです。 追記2:西福寺について コメント欄にて情報頂きました。 明治の始め位まではあったそうですが、衰退して同じ宗派の長泉寺に吸収されてしまい跡地は民家になっています。 西福寺は伊達政宗の謀略で檜原を追われた穴沢一族の残党が菩提を弔うために開基した、ということです。 追記3:神楽岩洞門と亀甲坂 コメント欄にてとんりすんがりさんより情報を頂きました。 神楽岩の下、岩を掘ったトンネル(洞門)は亀甲坂とは関係ないとのご指摘を受けました。コメント欄から引用します。 この洞門の上に昔は道が通っており、神楽の一団が尾谷新田村から下川前村に向かう途中、あまりの険しさに神楽道具を谷底に落としてしまったという言い伝えから神楽岩と言われているようです(この話からすると風土記で既に廃村とされている遅谷新田村は洞門裏の山手にあったようです)。 ただし本来の神楽岩は洞門よりやや東の山肌にあるそうで(樹木が生い茂っており目視できませんでした)、洞門が穿たれている岩壁は本来無関係なのだそうですが、今や混同されているようです。神楽岩洞門の道は昔は県道で、路線バスも走っていたそうですが、今の国道459号線が出来てから管理が放棄され、そのうち土砂崩れなどで通れなくなったそうです。 また亀甲坂についても調べて頂いたようで、下記のような伝承が残っているそうです。 大塩から大久保に向かう途中の道にあったようで、グダ沼という沼に住んでいた人食い亀を弘法大師が退治しその死体をを埋めた場所という説、グダ沼がが干上がった際にに住んでいた亀たちが亀甲石になった説と云われが複数あるようです。 追記4:塩井・温泉神社・老嫗屋敷跡地について とんりすんがりさんより情報を頂きリンクの文を修正しました。 また老嫗屋敷について下記のような伝承が残っているそうです。 ここで祀られていた嫗は小萬という女性で、若く美しい山伏に化けた大蛇に魅入られて蛇の子を産み落とし、悲嘆のあまり自害しようとした所を弘法大師に諭され、生きながらにして像を作られお産の神様として祀られるようになったとの事です。小萬はその後も長生きし、大塩で初めて伊勢神宮に参拝したり、塔寺の恵隆寺にはじめて戸帳を奉納するなどしたそうです。弘法大師の像と嫗像も現存しているそうですが、昭和10年頃に道路拡張のため長泉寺に遷され今はそちらでお祀りされているとの事です。
https://w.atwiki.jp/oreshika_psp/pages/97.html
五七のガマ目当てに真名姫を倒す際、計三回倒すと解放されるので属性武器の回収は忘れないように… -- (名無しさん) 2011-11-16 20 01 24 ↑3回倒すと解放条件を満たして、4回目に首輪がスロットに止まる。だと思う -- (名無しさん) 2011-11-18 10 50 35 ↑指摘どうもですorz -- (名無しさん) 2011-11-19 20 29 25 五ツ髪は印虎姫も使ってくる模様 魂寄せで減らすと切り替えてきた -- (名無しさん) 2011-11-20 11 30 21 氷ノ皇子及び五ツ髪。 くらら効果あり。 風技は584.540.446.458 確立としてはかなり低い。 氷の皇子で20回中成功2回 髪は27回中成功2回 だが、氷の皇子に関しては特殊攻撃コンボを防げるので、攻撃2ターンで4000削りガ可能な構成なら試してみる価値あり。 -- (名無しさん) 2011-11-27 02 07 03 真名姫にはくららが結構聞くので、属性武器目当てにバクチをすることも可能。 技風400前後でも4人でやれば結構決まります。 この場合、500以上の体力があれば勝てる。 眠りがとけてもあらかじめ全員が円子を使っておけば、もう1撃を耐えられる。 -- (名無しさん) 2011-11-27 18 13 13 ↑2そこまで確率悪いのに狙う価値あるかな。 2ターンで4000削る力あるなら、回復しながら4ターンで倒せるだろうし。 石猿重ねて体力満タンなら即死はしないだろ。即死するなら力不足。 -- (名無しさん) 2011-11-27 18 33 36 まあ、それはいえてる。 けど結局皇子挑戦は1回だけなうえにまったく育っていない幼少を3名つれての戦闘だったので実際信頼性は低いです。 今は青年期なので今度挑戦してみてどれくらいかを比較してみます。 それでもここまで確率が悪いのは単純にリアルラックっぽいですが。 -- (名無しさん) 2011-11-29 08 27 31 氷刃の鉾なら金トラ大将が落とす 真名姫から奪わなくても問題はないが、出現率自体が少ないので気をつけて -- (名無しさん) 2011-11-30 06 08 32 2回目の結果・・・やはりリアルラックのせいっぽいですw 2回目は600.782.500.380 全員くらら1ターンで回避2ターン目600.380が使用し効果あり。 その後総攻撃1ターンごくらら1ターンで3回避1的中。 ノーダメでクリア。 -- (名無しさん) 2011-12-01 01 32 44 ↑ステ高いですね。そこまで育ってたら普通に倒せそう。 というかそのステで3/10の確率って。 -- (名無しさん) 2011-12-01 11 44 18 奥津の薙刀、B2Fおどろ大将(ササガニx4)で確認。 -- (名無しさん) 2011-12-09 01 13 47 上流で寝太郎手に入りました ただ金トラ組か尻小玉組か忘れた申し訳ない -- (名無しさん) 2011-12-09 07 39 49 氷の皇子3ターンで倒せた。 必要な条件〇〇金剛変&〇〇飛天脚を覚えた拳法家二人(奥義の伝承でいけます)&残り(何でも良い) 二人 1、拳法家二人が金剛変を使います。2、残りの二人が強い術の併せをします。3、拳法家二人が飛天脚の併せをする。4、拳法家二人二人で自分の場合約3000ダメージ!5、残り二人が攻撃。もしその二人が攻撃の奥義を持っているならそれで。6、氷の皇子打倒。 ポイント氷の皇子は1ターン目何もしないですが、2ターン目か3ターン目に冷凍催眠をしてくるはずです。もし、ここで拳法家を狙っていたら、眠り状態になるかもしれません。でも、拳法家なら回避できるでしょう。もし食らっても、残りの二人が石猿や春菜、円子などを使って回復したり、仙酔酒で眠りから回復しましょう。 -- (氷の皇子) 2011-12-09 18 54 47 さすがは木霊の弓、真名姫に技風384で寝てくれました。 -- (名無しさん) 2012-01-05 20 57 55 技の土を上げる装飾品を装備していると、真名姫と髪が少し楽になるよ -- (名無しさん) 2012-10-22 20 18 35 地下二階のおどろ大将にもあやかし婆出ますね -- (名無しさん) 2013-03-08 17 04 37 ↑勘違いですすみません -- (名無しさん) 2013-03-08 17 06 12 五ツ髪に木霊の弓の眠りが効きました。技の風が429。3ターンくらい眠ってくれました。 -- (名無しさん) 2013-09-23 17 47 19 殴ればそれほどでもないけど、殴るためには耐久力がないと駄目な印象 今やってる一族は体水も技も引きが弱くて真名姫すら突破できてない -- (名無しさん) 2023-08-19 00 16 10
https://w.atwiki.jp/sexyvoice/pages/204.html
『どうしてここにいるんだろう?』 とニコは込み上げてくる吐き気と戦いながら思っていた。 下っ腹から突いて出てくるような不快感。 とても苦しかった。 『なんでこんな目に遭っているんだろう?私は。』 ニコは高校三年生になっていた。 ある晴天の休日の朝、 ニコは三日坊主と始めて話した公園を思い出に浸りながら歩いていた。 ロボとはあれから約3年会っていなかった。 あの時声を掛けそびれてからなんとなく会わなくなってしまった。 「ロボいるぅ?」 と尋ねれば、ロボは「ようニコぉ。」と普通に迎え入れてくれるだろう。 でも、日々の忙しさにかまけてなんとなく行かなくなってしまった。 一度切っ掛けを失うと明確な理由がないとなかなか会えないものだと始めて知った。 時が経つと「私のことなんか忘れちゃったかも?」という不安が益々足を遠のけた。 それでも心のどこかでロボのことは気にしていた。 『会いたいなぁ。』と思う時があった。 だから月に一度は必ず例の美容院に行っている。 偶然再会できればまた何かが変わってくるだろうと期待して。 そして丁度一年前だった。 美容院の扉の前に向かうと突然扉が開いた。 背が高く体格も良く緑のペイントをした白い服を着た男性が目の前に現れた。 ロボだった。 3年ぶりの出会いがあまりにも唐突だったので二人とも言葉を失っていた。 最初に口を開いたのはロボの方だった。 「ようニコぉ。久しぶりぃ。元気だった?」 成長して少しは女らしくなった私を見て驚いているようでもあった。 思い過ごしかもしれないけど…。 私は再びあえたことを喜びながらもそれを顔には出さず 「うん、勿論。ロボは相変わらずロボットを弄っているの?」 と聞いた。 ロボは「俺からロボットを取ったらなにもなぁい!」といつものガッツポーズを決めた。そして私たちは 3年間のブランクを埋めるかのように時が経つのも忘れて話した。 嬉しかったのは、私たちの話が思い出話だけではなかったこと。 未来に繋がる今の話が中心だったこと。 以来私たちは事ある毎に会うようになり、 時折面白い事件や話題があると二人で独自に調査するようになった。 さほど大きな手柄というわけではないが、いくつかの事件を未然に防いだこともあった。 こうして私たちの信頼関係は益々増していた。 相変わらずロボはドジで間抜けではあったが、ここ一番という時に必ず助けてくれた。 それは以前と全く変わっていなかった。 あの頃の私はまだ子供でロボのことを一人の男性というよりは、 一人の頼れる…違うな…最も信頼のおける大人として見ていた。 私は漠然だけど「きっと頼れる男性に惹かれるんだろうなぁ」と考えていた。 あの間違い電話の男性のように優しく且つ自信に満ちた声の持ち主に。 ロボは明らかにそういうタイプではなかった。 私がいないと頼りなげでいつも「ニコぉ、助けてぇ。」と甘えてくる。 でも時折ハッとさせるような冷静な意見を言う。 中学生だった私は、それは大人の目線の考えと捕らえ深く心に刻んでいた。 しかし、今改めて聞くと、それは大人の男性の考えだと気が付いた。 しかもロボはどんな状況でもロボのままでいた。 それは昔も今も変わらない。 そして、それがどんなに大変な事なのか今の私には分かる。 頼りにされているようで、実は頼りにしているのは私の方だった。 それに気が付くと信頼のおける大人というだけではなく、 一人の男性としてロボを意識するようになっていた。 『いつまでも一緒に居たい。』 まさか私がそんなことを思うようになるとは考えもしなかった。 しかも相手がロボなんて…。 でもロボはいつの間にか私にとって取り替えることのできない大切な人になっていた。 肝心のロボの方はというと。 私のことをどう思っているのか全然分からない。 それでも以前の様に私の方からジャレたりすると 「もうニコはぁ!女性はむやみにそんなことはしないの!」 と叱ってくれる。 その度に私は「少しは女として見ているんだぁ」と嬉しく思っていた。 私と再会してからはテレクラにも行かなくなったようである。 でも時々そのハッキリしない関係に苛突くことがあり ロボにきつく当たる事もあった。 そして約3ヶ月前の春の事だった。 その日の私は、ロボに対する想いで押し潰されそうになるのを苛々することで必死に堪えていた。 「どうして今日はそんなに苛々しているのぉ?」 と言いながら能天気にロボットを弄っているロボをみていると無性に腹が立った。 ついに私は我慢できずに 「ロボは私のことをどう思っているの!?」 私は言ったあと後悔した。 ロボの返答次第ではもう二度と会えなくなってしまう。 『他には取替えのきかない人なのに…。』 私は不安げに目に涙を浮かべながらロボの顔を真っ直ぐに見つめていた。 手にしたMAXロボを置いたロボは暫く私の顔を見て話し始めた。 「とても大切な人。他には取替えのきかない人。」 頬に涙が一滴流れた。 ロボは続けた。 「久しぶりに会ったニコはとても魅力的になっていたよ。勿論外見だけなく中身もね。 俺も男だから一人の女性として惹かれたよ。 でもね昔から知っているし、それにニコは俺のことを信じてくれているから、 それを裏切っちゃいけないと思って必死に自分の感情を抑えていた。 もし俺が変ことをしたらニコを一生失ってしまうでしょ? それにオタクの俺のことなんか好きになってくれる筈ないって思っていたし。 だてにテレクラ通っていたわけじゃないからね。 世間一般的にどんな風に思われているかぐらい分かっているよ。これでも。 だからニコが普通の頼れる素敵な男性に出会うまで、こうして側にいたいなと思っていた。 ニコのことが好きで堪らない。ゴメンね。」 ロボの言葉を聞きながら私の目からは涙があふれ出た。 私は涙をぬぐうこともしないでロボに抱きついて 「好き。好き!大好き!」 とロボの胸の中で泣き叫んでいた。 そして自然の流れで私たちはキスを交わした。 その後、私たちは時々喧嘩をしながら…と言っても怒っているのはいつも私の方だけど… ちょっとした事件の捜査をしたり、普通の恋人のように遊園地などでデートをした。 流石にこの歳で子供たちに混じってロボット大会に行くのは気が引けるけど…。 「やっぱMAXロボは最強だぁ!」 と満面の笑みを浮かべているロボを見るのが好きだった。 そして昨夜、私たちは結ばれた。 多少酔ったロボは、キスをした後も私をなかなか解放してくれなかった。 少し抵抗したものの私もそれが心地よく暫くロボの腕の中に身を任せていた。 「『ニコを傷つけたくない。大切にしたい。』と思いながらも 『ニコを抱きたい』と考えている。俺は最低だ。」 と言いながらロボは泣いていた。 暫くして 「いいよ、ロボだったら。」 と言い出していた。 自分でも驚いたと同時に顔が赤くなった。 ロボは驚きと動揺した顔で私を見つめていた。 「だって一生私を大切にしてくれるんでしょ?」 私は言った。 「私もロボだけでいい。ロボのそばに居たい。」 「勿論だ。全宇宙が敵になっても俺はニコのそばに居て味方する!」 ロボの言葉を聞きながら頷いて目を閉じた。 今朝目が覚めた時ロボはまだ寝ていた。 私は急に恥ずかしくなり急いでシャワーを浴びてロボの家を出た。 歩く度に痛みが少し走る。 でも嬉しかった。 これでロボと私の絆が深まり益々ロボがいとおしくなった。 きっとロボもそうだと思う。 全てはここの公園から始まった。 いや、あの目撃から始まったのかもしれない。 そして、ここで私が世の中に深く関わっていることを知らされた。 すると横に黒塗りの車が通りかかった。 軽くクラクションを鳴らすと同時に 「ニコちゃぁん。」 と呼ぶ声が聞こえた。 地蔵堂の社長だった。 しかも社長が運転していて、助手席によっちゃんが座っていた。 よっちゃんは「よぉ!」と言いながら顔面蒼白だった。 「私ね、戻ってきちゃったの。」 と社長は言いながら私に車に乗るように目で合図した。 後部座席に座ると社長が昨日免許を取ったばかりだと知った。 妙に柔らかいサスペンションと乱暴…というよりは下手な運転のため私は気持ち悪くなった。 「あら、ニコちゃん。顔色悪いわね?」 とミラー越しに私を見た社長は言った。 「なになに、ニコぉ。悪阻か?」 とよっちゃんがニヤけながら聞いてきた。 「し、失礼な!ちゃんとひにn…」 『あ!』と思い慌てて口を噤んだ。 「うお!まじかよ!相手は誰よ?」 よっちゃんは更に続けた。 「ニコを落とすなんて凄いスケコマシだな。騙されてんじゃないの?それに淫行だぜ!」 「ロボはそんな人じゃな…」 『しまったぁ!』 顔が赤くなるのが自分でも分かる。 「あら、あの坊やなの?良かったじゃなぁい。」 「やるなロボの奴。ニコを落すなんてプロフェッショナルだねぇ。」 私は先程から感じていた不快感も忘れ恥ずかしくなった。 でも二人が私たちを祝福してくれているようで嬉しくもあった。 「そうだ!よっちゃん。例の件二人に頼みましょ。」 「そうっすね!丁度いいや!」 「え?なんですか?」 「実はね。帝都大学でねカップルをターゲットにした些細な事件が起きているのよ。」 「ま、それで目出度くカップルになったお二人に潜入捜査して欲しいってことよ。」 よっちゃんはまだニヤけていた。 「む、無理です!」 「あら?どうして?」 「え、えーと、私、高校生だし、受験とかあるし。」 「大丈夫よぉ。報酬は帝都大学無試験入学なんだから。」 「むちゃくちゃだ…。」 こうして私とロボの新たな冒険が始まった。 2-69様 潜伏捜査編 へ続く 2-87様 無題 のロボ視点へ続く
https://w.atwiki.jp/sexyvoice/pages/92.html
君の心が消えてしまったら、僕の心の世界は色を無くしてしまった 君の世界に僕は……もう生きてはいないのかい? ****** 今日は朝からツイてない。チカンに間違われるし、おまけに遅刻した上書類 をなくして上司に大目玉。悪い事は重なるもんである。 だが、心に重くのし掛かっている影はそれらのせいではなかった。 「俺の事、忘れちゃったのかな……」 …………『ニコ』 お前は変わってしまったのかな。 一度絶えてしまったつながりは、もう戻る事はないのだろうか。 外回りの途中でニコを見掛けた。以前のツインテールにセーラー服ではなく、 ブレザー姿に肩までの黒くまっすぐな髪を下ろしていた。 久々に見たニコの様子に見とれていたロボは、持っていたハンバーガーを うっかり落としてしまった。 「うわっ!も、勿体ない。俺の昼飯~」 周りの視線がチラチラと間抜けな男に注がれる中、当の相手はというと……。 『ロボ!?もう何してんのー。相変わらずドン臭いなあ』 きっと一言そう言ってティッシュの1つも差し出してくれるだろうな。 そう思っていた。 だが、 ニコは、チラッと一度だけ視線を向けただけでまたそっぽを向いた。 その様子に何故か釈然としないものを感じながら落とした昼食を拾っていると、 「待った?」 と若い男が手を振りながら側を通り過ぎて行った。 ロボが顔を上げてその目に入ったものは、 「ううん。今来た所だから」 そう言って立ち去っていくニコ(と思われる女子高生)の姿だった。 久々に思い切って掛けてみた携帯は繋がらなかった。 「番号までかえちゃったのか……」 自分に何の連絡もなく。……いや、そう思っていたのは自分だけだったのか。 友達ならいつでも会えるから。変らずに笑えるから大丈夫と。それは自分の 思い上がりだったのだろうか。 どこでどんな風に出会っても、自分はニコを見間違える筈はないという自信は、 どこから来たものだったんだろう。 急に寂しさが込み上げて来たような気がした。ケロ山と別れた時のものとは違う、 近くて遠いさようなら。 「知らない人みたいだ」 その小さな独り言が、突然鳴った電話によって現実にロボを直面させる事になろうとは。 電話の主は彼の名を親しみを込めて呼んだ。 **翌日** 「一海ちゃん?久しぶり~」 聞き覚えのある声にギョッとして振向くと、冴えないオタク男の姿があった。 「あなた……何しに来たの?あたし忙しいからっ」 慌てて家に入ろうとする彼女をロボも必死で呼び止める。 「ち、違う。今日は聞きたい事があって。お願い!少し時間ちょうだい」 一海が避けるのも無理はない。1度だけ妹の顔を立ててデートしてやったが、 それでハッキリ振ってやったんだから。 「あのね、ニコ……何かあった?いや、俺随分会ってなかったんだけど……」 それを告げると、一海の足は止まった。ホッとしたロボだが、振り向いた顔を 見て息を呑んだ。 一海の表情は哀しげにロボを見つめていた。 「一海ちゃん?」 「あのね……言いにくいんだけど」 一海が何か言いかけたとき、玄関のドアが開いた。 「あ、やっぱりー。声がしたから」 笑顔で出て来たのはニコだった。 数十分後、ロボはただ走っていた。走って走って、気付いた時にはニコと 最後に別れた場所へ辿り着いていた。 「嘘だろ……」 息を切らしながらロボは呻いた。 一海と話した内容は信じられないものだった。 「あの子はね、ニコであってニコじゃないの」 その言葉に前日の電話のやりとりを思い出す。 『おう、ロボ!久しぶりだな。元気だったか?』 懐かしい声にはしゃぐ間もなくその声の主はこう言ったのだ。 『ニコ、あいつ何かヤバいことになってんじゃね?』 一海は更に続けた。その声と昨日の声が頭の中で交互に響き渡る。 「ニコは変わってしまった」 『久々に驚かしてやろうとしてやったのによ』 「さっき私の事何て呼んだか聞いたでしょう?」 『俺を見て何て言ったと思う?』 「お姉ちゃんって呼ぶの。私を」 『よっちゃんて言うんですか?だぜ』 ロボは目を覆った。 「無理もないわよ。両親だって今だに信じられないもの。あの子はね」 『アイツの目みてわかったよ。俺も伊達に長いこと色んな物見ちゃいねえよ』 2人の声が同時にロボの耳に響き渡った気がした。 二 コ は 記 憶 を 失 く し て い る 両手で耳を覆いながらロボは膝から崩れ落ちた。 『あなた誰ですか?』 ニコの自分に対する再会の言葉を思い出しながら。 ニコの制服から探し当てた学校の前で待ち伏せていた。 「あなた、昨日の」 「うん。ちょっと時間あるかな?」 久しぶりに並んで並木の歩道を歩いた。あくまで「ロボにとっては」だったのだが。 「私の事、お姉ちゃんから聞いたんですか?」 「えー、何の事かなあ」 「とぼけなくてもいいですよ。私、何故か自分の事も家族や友達の事もよく わからないみたいだから」 「そうなんだ……」 「生活に関しては、身に着いた事は覚えてるみたいで不自由はしてないんだけど、 ……変ですよね?」 ロボはそんな事ないよ、と言いかけて口をつぐんだ。何を言っても慰めにしか ならない気がして。 「3日で全て忘れちゃう人がいたんだ。でもその人は1日1日を大切に生きてた。 今までの自分も大切かもしれないけど、これからの毎日を大事に生きることで それ以上のものを取り戻せるんじゃないかな」 ニコはその言葉に俯いていた顔を上げ、ロボをまじまじと見た。 「何?」 「その人って私の知ってる人?」 「うん。……俺が君を知ったのはその人のおかげなんだよ」 「その人には会えますか?」 哀しそうに目を伏せたロボにニコはそれを悟った。 「じゃあまたお話聞かせて貰えませんか?」 そう言ってニコ可愛いピンクの携帯を取り出した。 「あなたは私の事を知ってるんでしょう」 ロボも自分の携帯を出した。新たに登録されたニコの番号は以前と違うものだった。 「須藤さんですね」 「あのこれ、見た事ないかな?」 ロボは鞄からマックスロボを出して渡した。 「何ですか?522……」 ニコがロボットを眺めていると 「何してるんだ」 と先日ニコと一緒にいた男がやって来た。 「あんた何だ?彼女に何の用だ」 「いや、俺は……」 「二度とニコに近付くな!」 ロボに容赦ない視線を向て来る男をニコがなだめる。 「やめて!……ごめんなさい。彼のことは気にしないで。私を心配してるだけだから」 「いいよ、気にしない!それ少し預かっておいてくれないかな」 ロボはそう言うと男に 「ニコの事よろしくね」 と告げてその場から去っていった。 『ロボ』 そう呼んでくれる日はもうこないのだろうか。 滲む視界を振り切る様に足速に歩いて行った。 「何だよあいつ……。それ何だよ。そんな変なのほっとけよ」 「うん、でも」 なぜだろう?何か気になる。ニコは鞄にマックスロボをしまい込んだ。 「今日も大学はもう終わりなの?」 「あ、ああ。大丈夫だよ」 「毎日会いに来てくれるのね」 「そりゃ、心配だからさ」 2人はさっきロボとニコが歩いた様に並んで歩き出す。 「まだ思い出せないの?」 「うん。……やっぱり早く記憶が戻った方がいいよね?」 「そりゃね。俺の事まで忘れちゃったんじゃ、やっぱりツライじゃない」 心なしか目を伏せながら歩くニコを、切れ長の涼しげな男の瞳が見つめていた。 数日後ロボは外回りの途中である場所に差し掛かった。 「ここ……」 初めてニコに呼び出された時に来た場所だった。 角を曲がると人が殴られていた、と訴えて来た女の子に期待して会いに行ったら、 やって来たのは中学生だった。 あの角を曲がったら……。何となくロボは足を向けた。 雑草が生えた狭い路地。面白いものなんか何もなかった。 「そうそう発見なんかあるもんじゃないよな」 ふーと溜息をついて回れ右をしたら、足下の石に躓いてひっくり返った。 「いって~……ツイてない、とことん神に見放されたあ~~~!」 半泣きになりながら体を起こそうとした時、あるものが目に飛込んで来た。 手すりの下の草むらに埋もれる様にして何やら青い色の小さな塊が見える。 それに手を伸ばして取り出すと、ロボは目を見開いた。 「これ、って……」 見覚えのある携帯。それは間違いなくニコのものだった。 持ち帰り何とか充電をさせてみて電源をいれて見る。しかしロックが掛って いるため中身はわからない。 「人の携帯見ちゃいけないよね~、でも何かさぁ」 気になるのだ。ニコはこの前違う携帯を持っていた。なくしたのだろうか? だったらなぜあんな所に……。 「まだ使ってたんだな~」 ニコに聞いてみても多分覚えていないだろう。懐かしさに目を細めながらも、 慎重にキーを押してゆく。 「ここに何かヒントがある気がするんだよな」 ロボと携帯の格闘が始まった。 「はあーだめだあ!」 色々と入力してみたが一向に中身は見られなかった。そのうちふとカレンダーに目を留めた。 「これだ!」 両手で携帯を掲げて意気揚々とキーを押す。しかし 「だめ、かあ」 ガックリ肩を落とすとそのまま大の字になってひっくり返った。 『0・5・2・2』 2人にとって記念すべき筈のその日はあと2日に迫っていた。 「ニコの誕生日あさってだね」 一海が背後から覗き込んで来た。 「ああ、そうなんだ……じゃあこれって偶然なのかな」 小さく笑いながら答えるニコ。 「あの人も同じ誕生日なんだってね」 「え?」 「あっ、そうか……あのね、そのなんとかロボットの持ち主もニコと同じ日に 生まれたんだって。前にニコが話してた」 「あたし、あの人と仲良かったのかな?」 「そうねえ。不思議だったけどよく一緒にいたよね。私があの変態!って言ったら あんた良くかばってたもの」 「そうなんだ……」 マックスロボのNo.522を眺めながらニコはあの不思議な人を思い出す。 何故か優しく懐かしい気がした。そんな大切な人を忘れてしまったのかと、 ニコは胸のどこかが切なく締付けられるような気がした。 翌日ロボはマズいラーメンを食べながら顔をしかめていた。 「で何?よっちゃん」 「おう、それがな……ホント久しぶりに来たけど、変らない味だな」 久々の再会に互いに顔を歪めながらロボと名梨は向かい合っていた。 「社長の知合いに仕事頼まれちまってよ、また地蔵堂に帰って来てんだよ。で、 またお前らに一仕事頼みたかったんだけど」 あー、と名梨は箸を置いて水を飲み一息つく。 「ニコに会いに行ったらあの状態だろ?お前らマジ解散しちゃったのかよ」 ロボは電話で段々遠くなっていった2人の距離を話していた。 「まあ……中坊とリーマンオタクじゃ仕方ないのかもな」 それが現実ならやはり最初から相容れないものだったのだろうか。自分とニコは。 「依頼っつーのがさ、ある組織の下っ端が大事な金とチャカ持ち逃げしたらしいんだわ」 名梨がピストルを真似た指をロボに向ける。 「そんなの警察に任せりゃいーじゃない」 「バカか!言えねえような金だから社長に頼んだんだろうが!まあ金とチャカ さえ戻ってくりゃいいらしいからよ」 お金よりも大切な物、自分にはあるのだろうか。ロボは残りの麺を一気にすすった。 「まあ、今回は俺らが何とかするしかないな。ワリいな、呼び出しといて」 「こっちこそゴメンね」 「いいって。……しかしお前まだその車乗ってんのな」 「よっちゃんも相変わらず……」 言いかけてハッとして携帯を出した。慌てて番号を入力する。 「これだ……!」 データを探るとある物が目についた。 「おう、あったあった。これがそいつなんだけどよ、もし見たら連絡くれよな」 名梨が目の前に差し出した写真を見てロボは愕然とした。 「よっちゃん!」 名梨はロボの剣幕に加えかけていたタバコを落とした。 「もしもし?あ、はい私です。こんにちは」 表のカフェでニコは携帯を手に話していた。 「……えっ、わかりました」 立ち上がった所に彼がやって来る。 「ごめん友達に急に呼び出されて……今日はこれで」 「仕方ないなぁ……じゃまたね」 手を振りながら掛けて行くニコを、静かに眺めながら男は自分も席を立った。 ゆっくりと道に沿って歩きながら、自分はこの道を知っている、と感じていた。 初めて見た気がしない家や公園、そして…… 「あの角かな」 ニコはゆっくりと足を向けた。 顔を出して、恐る恐る覗いて見ると誰かがしゃがんでいる。その誰かはニコの 気配に気付くとパッと振り返った。 「あ、来た来た」 両手を泥だらけにしてロボが何かを探していたようだった。 「何してるんですか?」 ニコは驚いて訪ねた。 「誰にも見られなかった?」 「はい……どうかしたんですか?」 「これ見てごらん」 ニコを呼び寄せ足下を見せた。 「これ……!?」 ビニール袋に包まれた鞄に札束がぎっしり詰まっていた。 「これがここに写ってたんだよ」 手にしているのは青い携帯だった。 「それは?」 ニコにはそれが何を意味する物なのかわからなかった。 「うん、ゆっくり説明するよ。あのね……」 その時ガサッと足音がして2人は振り返った。 「あ、あ、あ~」 ロボは驚いてまともに声が出ない。 「どうしてここにいるの?」 ニコの問いに 「それはこっちが聞きたいね」 さっきまで一緒にいた恋人だったはずの男は銃を向けていた。 「なんだよ、思い出したのかと思ったらそんな所からアシがつくとはな」 男は冷たい目でロボの手にした携帯を見た。 「何?ねえどういう事なの」 「ニコ」 ロボはニコの手を掴みながら囁いた。 「こいつはこのお金を持って逃げたんだ。それをここに隠してあったんだよ」 「でも、どうして?」 ニコは目の前に突き付けられた銃口に信じられない想いで問い掛けた。 「思い出したって何?……私、何かを知ってるの?」 しばらくじっと構えたまま動かずにいたが、やがて男は肩を震わせ笑い出した。 「ハッハ!なんだよ、まだわかってねえのか?まあその方が都合がいいんだ けどなー。……そうだよ、その金を持ち逃げしてそこへ隠したんだよ」 じわじわと一歩また一歩男が踏み出す度に、ロボ達も下がり出す。 「お前に見つかってちょっと脅すつもりがやりすぎちまってさ、でも記憶がねえって わかってこれはチャンスだって彼氏のフリして出てったら、お前の家族誰も疑わ ないんだぜ?めでたいよなあ」 ロボは男を睨み付ける。 「なんだよその目?心配しなくても2人まとめて始末してやるよ。全く、いつ記憶が 戻るかヒヤヒヤしたぜ」 「やめて!」 「うるせえ!死ねよ」 ニコに向けて乾いた音が響いた。 バン! だが、痛みはどこにも感じない。思わず瞑った目を開けると、ゆっくり崩れ落ちる ロボの後ろ姿があった。 ニコの脳裏に何かが浮んだ。 乾いた銃声。それを運良く避けたものの、側の柵に頭をぶつけた事。 倒れ込む自分と逃げてゆく足音。 ふらつく足で通りまで歩いたが、そこで記憶が途絶えていた。 自分に銃を向けたのは……。 この男!!!! 「いや、いや、嫌あぁぁーーーーー!!!」 ニコは絶叫しながらしゃがみ込んだ。 「……ロボ、ロボ、ロボ!」 自分の盾になって倒れた人。 「嫌あぁ!ロボーーーー!!!」 自分にとってかけがえのない人。 ロボにしがみついて悲鳴のような声を上げるニコに次は狙いを定める。 「次はお前だな」 引き金を引く瞬間、ニコはロボを抱き締め目を閉じた。が同時に 「うわっ!」 と声を上げて男が膝をついていた。 「悪い、遅れた!」 その声はサッと表れると男の足下に落とした拳銃を拾った。 「下手くそのど素人が。パンパンうるせーんだよ」 「よっちゃん!」 名梨が男の襟首を掴んで立たせると数台の車の音が聞こえた。 「ほら、ぼっちゃまお迎えですよ!と」 そのまま男を引きずって去ってゆく。 「待って、ロボが!」 「あ~……キスでもすりゃ治るんじゃねえの?」 「はあ!?」 ニコの止めるのも聞かず行ってしまった。 「ロボ……」 いつもあたしの後ろに隠れてビクビクしてた怖がりのロボ。 「なのに……あたしを守ってくれたんだ」 目を閉じたまま動かない。 「起きて、起きてよ、ねえってば」 ニコの瞳から涙がとめどなく溢れては流れ落ちてゆく。しばらくの間そうして ロボの体を抱き締めながらニコはただ泣いていた。 「ロボ」 ゆっくり顔を上げると、そっと頬を撫でる。それから自分の顔を近付けながら ニコは目を閉じた。 もう少しで唇が触れ合いそうになった時、ピクリとロボの体が動いたのに気付いた。 ニコが目を開けると、必死で唇を突き出しているロボと目が合った。 「きゃあぁぁぁーーーーっ!!!!」 本日何度目かの悲鳴が響き渡った。 ****** 「でもさ、なんですぐ俺に連絡くれなかったの?」 ほっぺに手形を付けられたロボが防弾チョッキを脱ぎながら言う。 「間に合わなかったんだもん」 あの日は卒業式で、帰りに何となくあそこを通ったのだ。新しい生活が始まったら、 また何かがあるような気がして。 偶然埋めた現場を見掛けて、こっそり掘り出して写メを撮った所をやられた。 携帯はその時落としたのだ。 「でも良かった。こうしてまた会えたじゃん俺達」 「うん、そうだね」 と言いながらニコはハッとした。 「ロボ、中身見たってことは番号もわかったの!?」 「ん?さあねぇ」 ニヤニヤするロボに顔を歪めてそっぽ向く。 「明日誕生日だね」 「それが何?」 「その、一緒にお祝いしない?ここで」 久しぶりに来たロボの部屋。 「……うん」 あの後ロボは真木名から報酬を渡されたが断った。もっと大切な物を 取り戻したのだから。 「ねえいつからあの番号なの?」 「うるさいな!ほっといて」 マックスロボは元の場所で新たな2人を見守っていた。 シークレットは『0・1・1・6』 ****** 「終り」 1-628様 5・22の賭け へ続く