約 84,464 件
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/1199.html
「いってぇww何すんだデデデwww」 「お前は少し自重するゾイ。喜緑本人がいたらワシの拳骨一発じゃ済まされんゾイ。」 「わかいのはいいのぉ~♪」 「そういや喜緑さんどこよwww」 テラカスは遊戯に質問する 「どこかでゼーレか情報統合思念体と話しているんじゃないか?」 「ゼーレ?情報統合思念体?何それwww」 「ゼーレは国連を裏から操る組織。情報統合思念体は宇宙を統括している存在。 俺らはカオスロワの主催者とはいえ運営しているに過ぎない。 そいつらは何かの目的を持ってカオスロワ5期を開催させたんだ。 言っとくが喜緑さんはバイトとして主催側にいるが、実際は情報統合思念体から派遣されてきたんだよ。 それとカオスロワ参加者の渚カヲルはゼーレから派遣されてるジョーカーだ。 この黒鉄の要塞も奴らが予めつくっていたものだろう。」 「ちょwwwなんという周到さwwww必死だなwwwwwwwwwwwww」 「必死に草生やしてる奴に言われたくないと思うゾイ。」 「まぁ…それほど達成したい目的があるんだろう…。まあ俺たちは俺たちで頑張るだけさ。」 だが、遊戯は内心ゼーレと情報統合思念体の目的がなんなのか気になっていた。 ★ ★ ★ 黒鉄の要塞の暗い一室に喜緑江美里はいた。それらを取り囲むように、複数のモノリスが並んでいる。 そのモノリスから発せられるのは声のみ 「この死者の数…タブリス達ジョーカーは頑張っているようだな。」 「ついに我らの夢が叶う。」 「テラカオスに怨念を取り込みさせ…」 「巨大化させ、世界をカオスに包み込む。そして世界は…人類は終わる。」 「終わる…?それは違うな。」 「左様、始まるのだ。人類は全ての罪を洗い流し新生する。」 「これで我らの人類補完計画は成る…おっと誰かがきたようだ。ちょっと出てくる。」 「ん?外で何か音がしたな?ちょっと見てくる。」 「トイレに行きたくなってきた…行ってくる。」 「…」 「…」 モノリスの声の主が次々と何か用事を思い出してはいったん席を外す。 そしてモノリスから聞こえてくるのは銃声、そしてノイズ音のみだった。 そしてモノリスが消えていく 「…新生したいのなら、一度死んで生まれ変わった方がいいですよ。」 喜緑は笑みを浮かべる。そして、一室に長い金髪の女性を映したモニターが映る。 「…鷹野です。ただいまのクーデターの成功と同時に喜緑様はカオスロワ運営委員から、 ゼーレ最高幹部に昇進されます… 国連の操作及び、自国の軍隊総指揮権力を喜緑江美里様に委ねます。」 そしてモニターは消える。笑みを浮かべていた喜緑は声に出して笑い出す。 「くっ…くくくくくっ…くくくくくくくくくくくくっ… この私が…アニメでは出番が谷口以下のこの私が… 長門や朝倉の影にすっぽり隠れた食いつめものの成れの果てが 最高幹部だと!!軍隊指揮者だと!!くくくくくくくくくくくくくくくくく」 そして喜緑は普段の表情に戻る 「これで、対主催の勝ちは無くなりましたね。 軍…そして最終調整が完了した9体の量産型みなみがあれば、対主催の滅びの時です。 そしてカオスロワは際限ない殺し合いという元の姿に戻る。 殺し合いの中、情報統合思念体は自立進化を得るでしょう…。」 【二日目・9時30分/千葉県主催本拠】 【主催組】 【武藤遊戯@遊☆戯☆王(テレ朝アニメver.)】 [状態]闇遊戯 [装備]千年パズル他 [道具]DMカード他 [思考]基本:主催をする。 1:首輪の爆破は不可能になったが、カオスロワは続行 2:喜緑江美里…何を企む?まぁ別にいいけど 【老賢者@誤爆スレ】 [状態]:健康 [装備]:不明 [道具]:不明 [思考]基本:遊戯に従いカオスロワを面白く主催。 【テラカス@カオスロワ5】 [状態]無気力、ニート、カス [装備]無し [道具]無し [思考]基本:遊戯に従う。 ※遊戯の融合解除によりテラカオスに戻れます 【デデデ大王@星のカービィ】 [状態]健康 [装備]不明 [道具]不明 [思考]基本:遊戯に従う。 【喜緑 江美里@ハルヒシリーズ】 [状態]健康 [装備]不明 [道具]支給品一式 [思考]基本:情報統合思念体の目的に従い、カオスロワを際限なく続く殺し合いの場にする 1:自分より目立つ長門や朝倉は死ね。 2:特に原作で死んでからも人気がある朝倉は死ね。 3:対主催に対し業を煮やした場合、自国の軍隊を派遣させて対主催全滅 【ゼーレ@新世紀エヴァンゲリオン 死亡確認】
https://w.atwiki.jp/blockwakuwakukingdom/pages/63.html
ss ssとは元は総統アドルフ・ヒトラーを護衛する党内組織(親衛隊)として創設されたものである。ヒトラーに憧れ、尊敬し、畏怖し、彼はssに入ることを願った。しかし、時代の悲劇か、それは叶わなかった。それでも諦めきれない彼は、名前と思想を受け継ぎ、BWKに現れた。 同格が同じ部屋に居るのを確認すると、自身以外が降格するまで戦い続ける。独裁的で残虐なそれは、ssという名に相応しいであろう。 スピード:A- テクニック:A- 正確性:A+ 総合:A-
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4192.html
「それでは諸君、今日の生徒会役員会議はこれで……、職員室への報告はいつもどおり私から行っておく」 「「「お疲れ様でした」」」 「会長は職員室へと向かわれました、副会長」 「えぇ、それでは……本日の裏議題『来週に迫った会長の誕生日』に移ります。前回は我々生徒会役員がお金を出し合ってプレゼントを贈る、金額は一人あたり……」 「役員一同からのプレゼントは決まりましたけど喜緑さんはどんなプレンゼントを準備してるんです」 「プレンゼントの準備…ですか」 「あれっ? まだ決めてないんですか、早くしないと誕生日が来ちゃいますよ」 「まぁ喜緑さんの場合はいざとなればリボン一つですむから準備もいらないか」 「そうそう、『プレゼントはあ・た・し』ってね」 「こらっ男子、飛ばしすぎ! いい加減にしなさい」 「気にしないでね喜緑さん」 「えぇ……」 「おや、どうしたい、江美りん」 「……(たしか…彼等の友人の鶴屋さん…でしたね)」 「悩みゴトがあるなら、めがっさ相談に乗るにょろ」 「…実は…」 「お誕生日おめでとうございます、会長」 「……ありがとう、諸君!」 「「「どういたしまして」」」 「いよいよ18歳ですね、会長」 「あぁでも18になったからといって何がかわる訳でもないしな、酒タバコは二十歳からだし、競馬やパチンコのギャンブルは高校生である間はできんしな」 「なにいってるんですか会長、18といえばあれが出来るじゃないですか」 「あれとは?」 「またまたわかってる癖に喜緑さんと一緒に共同事業でしょ」 「まぁそこはいわぬが華でしょ、さぁあとは二人に任せて我々お邪魔虫は退散しましょう、それじゃ喜緑さんあとは宜しく」 「「「ごゆっくり~」」」 「…会長はもう三年生だからもう18歳ですよね」 「あぁさっきも出たが確かに18だ、そういう喜緑君も三年生だから今年18の筈じゃないかな」 「そうなんですか?」 「……違うのか、喜緑君」 「そういわれてみればそうかも知れませんね」 「……」 「まぁ汚い部屋だが上がってくれたまえ、喜緑君」 「おじゃま致します」 「お茶でも用意しよう、今お湯をわかすから待っていたまえ」 「いえ、会長。私からの誕生日プレゼントのジュースがありますのでこちらを…」 「そうか、すまないな。……それで君の相談事というのは……」 『翌朝』 「…えぇと朝か…確か昨日は…そうだ喜緑君が来て話してて……」 「おはようございます、会長」 「喜緑君! これは一体!」 「責任……とってくださいね、会長」 「せ、責任って……昨夜は全く記憶が…そうだ君がプレゼントにと持ってきたジュースを呑んだら急に眠気が」 「往生際がよくないと……情報連結の解除を申請しちゃいますよ」 「……」 「あぁ…責任をとるのは吝かではないんだが、一つ教えてくれないかね喜緑君」 「なんでしょうか、会長」 「我々はお互い昨夜と同じ服を着たままなんだが、責任を取らなければならない事態は生じたのかね」 「もちろんですわ会長、若い男女が一夜を共にする。これで充分でしょう、このような場合は男性の側に一定の責任が発生するのが常識と教えていただいました」 「……具体的にはどんなことが……あぁ起きたのかね。私は眠っていて覚えてないんだ、良ければ教えてくれないか喜緑君」 「昨夜私と話していると会長は急に眠気を催されてテーブルでそのまま眠りはじめました」 「”急に眠気を”ねぇ……」 「えぇ急にです、……それで私は会長をベッドまで運びました」 「あぁすまなかった、ありがとう喜緑君。それでその後は…」 「このような場合は一緒のベッドに入るのがマナーと聞きましたので…私もそうしました」 「マナーねぇ……あぁ、それは制服を着たままかね、つまり我々両方とも…その…」 「えぇ、会長も私もそうです、すると会長は突然獣に……」 「えっ私がケダモノだって? まさかそんなコトが…」 「いえ、獣です、あのイビキは正に獣としかいいようがないものでした」 「……そう、……イビキがか…」 「それで会長はとても良くオヤスミでしたので私も眠ろうとしたんです、でも会長の寝顔を拝見していたら何故か心臓の心拍数が上昇して目が冴えてしまって…」 「目が冴えて……どうしたんだね」 「そのままずっと会長の隣で寝顔を見ていました、なぜか目が離せなくて……」 「あぁ……そのつまり……君は一晩中起きていて私の寝顔を見ていたというわけなのかね……」 「そうです、……いけませんでしたでしょうか?」 「いやいけなくは無いが……、あぁそうだ確かに私は男としての責任を果たさねばならんようだ、すまなかった喜緑君」 「ありがとうございます、会長」 「そうだ、喜緑君眠くはないのかね。昨夜は寝てないんだろう」 「そうですね……、会長のお話を聞いていたらなんだか眠気が」 「ならここで寝ていたまえ、ゆっくり休むといい」 「でも今日は学校が……」 「休みたまえ私も付き合おう」 「えっ、会長ありがとうございます」 「喜緑君、今度は私が君の寝顔を見ていていいかな」 「えぇ、喜んで……zzz…zzz…」 「もうお昼近くなんですね、会長」 「あぁそうだな、それじゃ朝食というよりは昼食だな、おっとパンが焼けたようだ、…ほら君の分だ」 「ありがとうございます、会長はトーストにはバターでしたよね?」 「いやそれは喜緑君、君の分なんだが……」 「会長も朝食はまだでいらっしゃいますよね?」 「あぁ……そのなんだ君と…朝食を一緒に食べたかったんでな…」 「はい、どうぞお先にお召し上がりください」 「…ありがとう、次のが焼けたようだな」 「私はこちらを頂かせていただきます」 「ずっと私がおきるのを待っていらっしゃったなんて退屈されませんでしたか?」 「……喜緑君の寝顔をみてると不思議と退屈しなかったな、…おっとお湯が沸いたようだインスタントのコーンスープしかないがのむかね」 「お願いします」 「さてせっかくの休日だ、喜緑君よかったら一緒に映画でもいかないかね」 「えぇでもその前に市役所によらないと……」 「一体市役所へ何しに…」 「これですよ、会長」 「え……と……喜緑君、これは…」 「私達の婚姻届ですよ」 「こ、婚姻届!」 「会長、責任……とっていただけるんですよね」 「いや…その……」 「18歳になれば結婚できるんですよね、そう教えてもらいました」 「…教えてって…その……誰に」 「鶴屋さんにです、会長の事で相談したら…『そんなに好きなら早く結婚しちゃえばいいにょろ』って」 「いや…まだ…私達には早すぎないかね」 「私もそういったんですけど『善は急げっていうにょろ、既成事実つくっちゃえば大丈夫っさ』って鶴屋さんが」 「喜緑君、私達は未成年だから結婚には保護者の承諾がいる筈で……」 「『周囲の説得は全部任せるにょろ、鶴屋家の底力を見せるにょろ』って鶴屋さんが、ほらここに会長のお父さまのサインも」 「き、喜緑君…今日は土曜日だから役所は休みじゃないかな」 「休日窓口があって死亡届や出生届、婚姻届は365日24時間受け付けているそうですよ、会長」 「そ、そうなのかね喜緑君……」 「これも…」 「…鶴屋さんが教えてくれた、そうだね喜緑君」 「そうです、よくわかりましたね、それとこれは鶴屋さんからの手紙です、『引導を渡してあげる』っていったましたが引導って一体なんのことです」 『やぁ会長さんめがっさおめでとう、江美りんはちょっと腹黒いかも知れないけれどそれって仕様だから仕方がないっさ、会長も腹黒いから似たもの同士二人で末永くお幸せにね。おねぇさん応援してるにょろよ。そうそう江美りんを泣かしたりしたら承知しないよ、そんなことしたらあたしんちと機関の全力を使って追い込みかけちゃうからね』 「………、逃げ場無し…か…」 「どうしました、会長」 「…いや…、喜緑君…その、愛してる…私と…結婚してくれないか」 「えぇ喜んで、不束ものですが宜しくお願いします」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1415.html
長門「おかわり」 朝倉「あ、私も」 喜緑「その前に、いつもご飯作ってあげてるのに感想の一つもないの?おいしいとか」 朝倉「そんなこと言ったって今日のカレーってレトルトでしょ?」 喜緑「まあそうなんだけどね…」 長門「……」 朝倉「……」 喜緑「……」 長門「ごちそうさま」 喜緑「ちょっと。食器ぐらい片付けなさいよ」 長門「7時に待ち合わせをしている。あなたに任せる」 喜緑「こら、待ちなs」 バタン 朝倉「……」 喜緑「…男かしらね?」 朝倉「知らないわよそんなこと。ごちそうさま」 喜緑「ちょっと、片付け手伝いなさいよ」 朝倉「いいじゃない、ついでにやってくれたって」 バタン 喜緑「反抗期ね……」 ――次の日 朝・長「ごちそうさま」 喜緑「ちょっと二人とも。昨日は私がやったんだから今日は二人で片付けなさいよ」 長門「……」 朝倉「……」 喜緑「……」 長・朝「皿、スプーン、コップに付着した汚れ、及び食べ残しを敵性と判定。当該対象の有機情報結合を解除する」 喜緑「能力の無駄遣いするんじゃありません!!」 ――次の日 長門「ごちそうさま」 喜緑「ちょっと長門さん、サラダがまだのこっt」 長門「7時に待ち合わせをしている。片付けは任せる」 バタン 喜緑「はぁ……。朝倉さん、長門さんのサラダ食べちゃってくれないかしら?」 朝倉「うん、それ無理。あなたが食べれば?」 喜緑「そう言わないでください。もうお腹いっぱいなんです。」 朝倉「あ~もう……私嫌いなのよね~『り ょ く お う』色野菜」 喜緑「……今のはどういう」 朝倉「別に?ただ、 黄 とか 緑 とかの野菜が好きになれないってことよ。あ~不味かった。ごちそうさま」 バタン 喜緑「反抗期なんですね……グスッ」 喜緑「一つ言わせてもらいたいのですが」 朝・長「なに?」 喜緑「最近ずっと私が食事を作ってますが、料理は日替わりの当番制ではなかったですか?」 朝倉「そうだっけ?」 長門「記憶にない」 喜緑「そうだったの!!とにかく明日は長門さん、明後日は朝倉さんが料理してください!」 朝・長「……はーい」 ――次の日 長門「カレー」 朝倉「カレーね」 喜緑「見事にレトルトですが」 ――次の日 喜緑「朝倉さん」 朝倉「なに?」 喜緑「これは何でしょう」 朝倉「フレンチに挑戦してみたの」 喜緑「フレンチって炭を食べるんですか?」 朝倉「??」 喜緑「……」 朝倉「……食べてくれないの?……グスッ」 喜緑「!!い……いただきまーす!!」朝倉「……フッ」 ――食後 喜緑「アアアアアアッ!舌がっ!!味覚がアアアアッッ!!」 喜緑「ご飯できましたよ」 長門「7時に待ち合わせをしている。ご飯はいらない」 バタン 喜緑「……朝倉さん、ご飯ですよ」 朝倉「ごめんなさい、今から友達と外食するんです。それじゃ」 バタン 喜緑「……」 ……… …… … 喜緑「いただきまーす」 カチャカチャ 喜緑「……あれ、なんでだろ。しょっぱい……グスッ」 喜緑「ちょっと長門さん、今日の洗濯係はあなたですよ?」 長門「7時に待ち合わせをしている。洗濯は任せる」 バタン 喜緑「……朝倉さん、最近ずっと代わってあげてたんだから今日ぐr」 朝倉「うん、それ無理。今日は遊びに行く約束があるの」 バタン 喜緑「………」 ……… …… ジャバジャバ ―――― 喜緑「ちょっと長門さん、今日の掃除当番h」 長門「7時に待ち合わs(ry」 バタン 喜緑「……(まだ正午なんですけどね)」 喜緑「あさくr」 朝倉「うん、それ無r(ry」 バタン 喜緑「……」 ……… …… パタパタ サッサッ ギュイーン フキフキ 喜緑「……何……やってるんでしょうね……私……グスッ」 喜緑「……何で私がこんな主婦みたいなことずっと続けてるんでしょう……」 喜緑「……わたしだって誰かと出掛けたり、遊びに行ったりしたいです」 喜緑「……ちょっと…疲れちゃいました」 ……… …… 喜緑「ん?この雑誌は……?」 絶景温泉特集!!〇〇温泉!! 喜緑「温泉かあ……いいですね。今度みんなd……」 喜緑「……たまには、私だけで楽しんでもいいじゃないですか」 喜緑「思い立ったが吉日です。明日から3連休ですし、早速行っちゃいましょう」 ……… …… … 喜緑「荷物はこれぐらいですね。じゃ、レッツゴーです」 喜緑「……さすがに置き手紙の一つでもないとびっくりしちゃいますよね」 カキカキ 長門「ただいま」 朝倉「ただいま~」 長門「お腹がすいた」 朝倉「ご飯はまだかしら……って喜緑さんいないみたいね……」 長門「置き手紙がある」 朝倉「どれどれ?」 『さようなら。私、ちょっと遠いところに旅に行ってきます』 ………… …… … 朝・長「はやまらないでエエエエェェェ!!!!」 朝倉「まさか喜緑さんが私たちをおいて旅行に行くとはね……まあいいか。ご飯はどうする?」 長門「問題ない。レトルトのカレーがまだあったはz……ぁ」 朝倉「どうしたの?」 長門「今日のお昼に食べたので最後だった」 朝倉「なんてこと……」 長門「どうするの?」 朝倉「仕方ないわね……長門さんはご飯を炊いて。おかずは私がなんとかしてみる」 長門「わかった」 ……… …… … 朝倉「ごめんなさい」 長門「なに?」 朝倉「これ……」 長門「この炭素化合物がどうしたの?」 朝倉「……ハンバーグのつもりだったんだけど。しょうがないわね。卵かけご飯で我慢しましょう」 長門「わかった。そろそろご飯が炊けるはz……ぅぁ」 朝倉「……察しはつくけどどうしたの?」 長門「スイッチを入れ忘れた」 朝倉「……」 長門「……」 朝倉「寝ましょうか」 長門「そうする」 ――次の日 朝倉「喜緑さんが帰ってくる明日までは、私たちで何とかしないとね……」 長門「がんばる」 料理 朝倉「とりあえずおかずはコンビニで調達してくるわ。今度こそちゃんとお米炊いててね」 長門「わかった」 ……… …… … 朝倉「ただいま~」 長門「ちょうどご飯も炊けた。食事にしよう」 朝・長「いただきまーす」 モグモグ 朝・長「ぶっっ!!?」 朝倉「なによこのご飯!?口ざわり、食感、味、最低よ!?ちゃんと研いだの!?」 長門「研ぐって何」 朝倉「そんなバカな……」 洗濯 朝倉「これぐらいなら簡単ね」 長門「そう」 朝倉「じゃあやるわよ。洗濯物投下」 長門「水投下」 朝倉「洗剤投下」 長門「スイッチオン」 朝倉「は、余裕すぎて反吐がでるわ」 長門「そう」 ……… …… … 朝倉「で、その結果がこれね」 長門「私のブラウスが毒々しいマーブル模様に」 朝倉「このセーター、縮みまくって着れないわね」 朝・長「はぁ……」 掃除 朝倉「まあ特にする必要もないと思ったけど、お風呂掃除だけはやらなくちゃね」 長門「そう」 朝倉「洗剤はこれね」 長門「これも使えそう」 朝倉「そうね。じゃあいっそのこと混ぜちゃいましょう」 長門「あ……」 ムワアアアァ 朝倉「ちょ、なによこれ!?」 長門「化学反応が起こり有毒ガスが発生したものと思われる」 朝倉「あ……なんか意識が……」 長門「あおぐぞ、あおぐぞ」 朝倉「あおげあおg……がなくていいから換気を……」 ――― 朝倉「なんだか滅茶苦茶な一日だったわね」 長門「……」 朝倉「私達……喜緑さんがいないと何もできないのね……」 長門「……」 朝倉「それに、いつも叱ってくれる喜緑さんがいないと……寂しいわね……」 長門「……グスッ」 朝倉「こらこら泣かないの」 長門「……グスッ……江美里……ゥェェン」 朝倉「喜緑さんに笑われるわよ?それに、明日には帰ってくるわよ」 長門「……グスッ」 朝倉「よしよし」 ガチャ 喜緑「ただいまー!いやー伊豆っていいところですねー満喫しちゃいました」 朝・長「!?」 朝倉「帰ってくるのは明日じゃなかったの!?」 喜緑「あなた達のことが心配でね。早く帰ってきちゃっt」 長門「江美里ぃ!!」 ガシ! 喜緑「きゃ!どうしたの?いきなり抱きついて」 長門「……あなたがいなくて……グスッ辛くて……グスッ寂しかった……」 喜緑「あらあら」 朝倉「あなたのやってた仕事をやってみて……私達、あなたに頼りすぎだなって……実感したわ」 喜緑「急に家を空けてごめんなさい。でもこれで家事の大変さ、わかってくれたでしょ?」 朝・長「うん……」 喜緑「これからは、少しでもいいから、手伝ってくださいね?」 朝・長「はい……」 喜緑「よし!じゃあ晩ご飯にしましょ。どうせ二人ともまだ食べてないんでしょ?」 朝・長「やったー!!」 エピローグ 一週間語 喜緑「あ、長門さん、ちょっと掃除手伝ってもらえませんか?」 長門「7時に待ち合わs…じゃなかった、今からSOS団の活動がある。あなたの要請には応えられない」 バタン 喜緑「……あ、朝倉さん、少しでいいから手を貸しt」 朝倉「うん、それ無理。今からクラス会があるんです」 バタン 喜緑「……」 ……… …… … 喜緑「……あれ、デジャヴ……」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1459.html
長門「おかわり」 朝倉「あ、私も」 喜緑「その前に、いつもご飯作ってあげてるのに感想の一つもないの?おいしいとか」 朝倉「そんなこと言ったって今日のカレーってレトルトでしょ?」 喜緑「まあそうなんだけどね…」 長門「……」 朝倉「……」 喜緑「……」 長門「ごちそうさま」 喜緑「ちょっと。食器ぐらい片付けなさいよ」 長門「7時に待ち合わせをしている。あなたに任せる」 喜緑「こら、待ちなs」 バタン 朝倉「……」 喜緑「…男かしらね?」 朝倉「知らないわよそんなこと。ごちそうさま」 喜緑「ちょっと、片付け手伝いなさいよ」 朝倉「いいじゃない、ついでにやってくれたって」 バタン 喜緑「反抗期ね……」 ――次の日 朝・長「ごちそうさま」 喜緑「ちょっと二人とも。昨日は私がやったんだから今日は二人で片付けなさいよ」 長門「……」 朝倉「……」 喜緑「……」 長・朝「皿、スプーン、コップに付着した汚れ、及び食べ残しを敵性と判定。当該対象の有機情報結合を解除する」 喜緑「能力の無駄遣いするんじゃありません!!」 ――次の日 長門「ごちそうさま」 喜緑「ちょっと長門さん、サラダがまだのこっt」 長門「7時に待ち合わせをしている。片付けは任せる」 バタン 喜緑「はぁ……。朝倉さん、長門さんのサラダ食べちゃってくれないかしら?」 朝倉「うん、それ無理。あなたが食べれば?」 喜緑「そう言わないでください。もうお腹いっぱいなんです。」 朝倉「あ~もう……私嫌いなのよね~『り ょ く お う』色野菜」 喜緑「……今のはどういう」 朝倉「別に?ただ、 黄 とか 緑 とかの野菜が好きになれないってことよ。あ~不味かった。ごちそうさま」 バタン 喜緑「反抗期なんですね……グスッ」 喜緑「一つ言わせてもらいたいのですが」 朝・長「なに?」 喜緑「最近ずっと私が食事を作ってますが、料理は日替わりの当番制ではなかったですか?」 朝倉「そうだっけ?」 長門「記憶にない」 喜緑「そうだったの!!とにかく明日は長門さん、明後日は朝倉さんが料理してください!」 朝・長「……はーい」 ――次の日 長門「カレー」 朝倉「カレーね」 喜緑「見事にレトルトですが」 ――次の日 喜緑「朝倉さん」 朝倉「なに?」 喜緑「これは何でしょう」 朝倉「フレンチに挑戦してみたの」 喜緑「フレンチって炭を食べるんですか?」 朝倉「??」 喜緑「……」 朝倉「……食べてくれないの?……グスッ」 喜緑「!!い……いただきまーす!!」朝倉「……フッ」 ――食後 喜緑「アアアアアアッ!舌がっ!!味覚がアアアアッッ!!」 喜緑「ご飯できましたよ」 長門「7時に待ち合わせをしている。ご飯はいらない」 バタン 喜緑「……朝倉さん、ご飯ですよ」 朝倉「ごめんなさい、今から友達と外食するんです。それじゃ」 バタン 喜緑「……」 ……… …… … 喜緑「いただきまーす」 カチャカチャ 喜緑「……あれ、なんでだろ。しょっぱい……グスッ」 喜緑「ちょっと長門さん、今日の洗濯係はあなたですよ?」 長門「7時に待ち合わせをしている。洗濯は任せる」 バタン 喜緑「……朝倉さん、最近ずっと代わってあげてたんだから今日ぐr」 朝倉「うん、それ無理。今日は遊びに行く約束があるの」 バタン 喜緑「………」 ……… …… ジャバジャバ ―――― 喜緑「ちょっと長門さん、今日の掃除当番h」 長門「7時に待ち合わs(ry」 バタン 喜緑「……(まだ正午なんですけどね)」 喜緑「あさくr」 朝倉「うん、それ無r(ry」 バタン 喜緑「……」 ……… …… パタパタ サッサッ ギュイーン フキフキ 喜緑「……何……やってるんでしょうね……私……グスッ」 喜緑「……何で私がこんな主婦みたいなことずっと続けてるんでしょう……」 喜緑「……わたしだって誰かと出掛けたり、遊びに行ったりしたいです」 喜緑「……ちょっと…疲れちゃいました」 ……… …… 喜緑「ん?この雑誌は……?」 絶景温泉特集!!〇〇温泉!! 喜緑「温泉かあ……いいですね。今度みんなd……」 喜緑「……たまには、私だけで楽しんでもいいじゃないですか」 喜緑「思い立ったが吉日です。明日から3連休ですし、早速行っちゃいましょう」 ……… …… … 喜緑「荷物はこれぐらいですね。じゃ、レッツゴーです」 喜緑「……さすがに置き手紙の一つでもないとびっくりしちゃいますよね」 カキカキ 長門「ただいま」 朝倉「ただいま~」 長門「お腹がすいた」 朝倉「ご飯はまだかしら……って喜緑さんいないみたいね……」 長門「置き手紙がある」 朝倉「どれどれ?」 『さようなら。私、ちょっと遠いところに旅に行ってきます』 ………… …… … 朝・長「はやまらないでエエエエェェェ!!!!」 朝倉「まさか喜緑さんが私たちをおいて旅行に行くとはね……まあいいか。ご飯はどうする?」 長門「問題ない。レトルトのカレーがまだあったはz……ぁ」 朝倉「どうしたの?」 長門「今日のお昼に食べたので最後だった」 朝倉「なんてこと……」 長門「どうするの?」 朝倉「仕方ないわね……長門さんはご飯を炊いて。おかずは私がなんとかしてみる」 長門「わかった」 ……… …… … 朝倉「ごめんなさい」 長門「なに?」 朝倉「これ……」 長門「この炭素化合物がどうしたの?」 朝倉「……ハンバーグのつもりだったんだけど。しょうがないわね。卵かけご飯で我慢しましょう」 長門「わかった。そろそろご飯が炊けるはz……ぅぁ」 朝倉「……察しはつくけどどうしたの?」 長門「スイッチを入れ忘れた」 朝倉「……」 長門「……」 朝倉「寝ましょうか」 長門「そうする」 ――次の日 朝倉「喜緑さんが帰ってくる明日までは、私たちで何とかしないとね……」 長門「がんばる」 料理 朝倉「とりあえずおかずはコンビニで調達してくるわ。今度こそちゃんとお米炊いててね」 長門「わかった」 ……… …… … 朝倉「ただいま~」 長門「ちょうどご飯も炊けた。食事にしよう」 朝・長「いただきまーす」 モグモグ 朝・長「ぶっっ!!?」 朝倉「なによこのご飯!?口ざわり、食感、味、最低よ!?ちゃんと研いだの!?」 長門「研ぐって何」 朝倉「そんなバカな……」 洗濯 朝倉「これぐらいなら簡単ね」 長門「そう」 朝倉「じゃあやるわよ。洗濯物投下」 長門「水投下」 朝倉「洗剤投下」 長門「スイッチオン」 朝倉「は、余裕すぎて反吐がでるわ」 長門「そう」 ……… …… … 朝倉「で、その結果がこれね」 長門「私のブラウスが毒々しいマーブル模様に」 朝倉「このセーター、縮みまくって着れないわね」 朝・長「はぁ……」 掃除 朝倉「まあ特にする必要もないと思ったけど、お風呂掃除だけはやらなくちゃね」 長門「そう」 朝倉「洗剤はこれね」 長門「これも使えそう」 朝倉「そうね。じゃあいっそのこと混ぜちゃいましょう」 長門「あ……」 ムワアアアァ 朝倉「ちょ、なによこれ!?」 長門「化学反応が起こり有毒ガスが発生したものと思われる」 朝倉「あ……なんか意識が……」 長門「あおぐぞ、あおぐぞ」 朝倉「あおげあおg……がなくていいから換気を……」 ――― 朝倉「なんだか滅茶苦茶な一日だったわね」 長門「……」 朝倉「私達……喜緑さんがいないと何もできないのね……」 長門「……」 朝倉「それに、いつも叱ってくれる喜緑さんがいないと……寂しいわね……」 長門「……グスッ」 朝倉「こらこら泣かないの」 長門「……グスッ……江美里……ゥェェン」 朝倉「喜緑さんに笑われるわよ?それに、明日には帰ってくるわよ」 長門「……グスッ」 朝倉「よしよし」 ガチャ 喜緑「ただいまー!いやー伊豆っていいところですねー満喫しちゃいました」 朝・長「!?」 朝倉「帰ってくるのは明日じゃなかったの!?」 喜緑「あなた達のことが心配でね。早く帰ってきちゃっt」 長門「江美里ぃ!!」 ガシ! 喜緑「きゃ!どうしたの?いきなり抱きついて」 長門「……あなたがいなくて……グスッ辛くて……グスッ寂しかった……」 喜緑「あらあら」 朝倉「あなたのやってた仕事をやってみて……私達、あなたに頼りすぎだなって……実感したわ」 喜緑「急に家を空けてごめんなさい。でもこれで家事の大変さ、わかってくれたでしょ?」 朝・長「うん……」 喜緑「これからは、少しでもいいから、手伝ってくださいね?」 朝・長「はい……」 喜緑「よし!じゃあ晩ご飯にしましょ。どうせ二人ともまだ食べてないんでしょ?」 朝・長「やったー!!」 エピローグ 一週間語 喜緑「あ、長門さん、ちょっと掃除手伝ってもらえませんか?」 長門「7時に待ち合わs…じゃなかった、今からSOS団の活動がある。あなたの要請には応えられない」 バタン 喜緑「……あ、朝倉さん、少しでいいから手を貸しt」 朝倉「うん、それ無理。今からクラス会があるんです」 バタン 喜緑「……」 ……… …… … 喜緑「……あれ、デジャヴ……」
https://w.atwiki.jp/tanigawa/pages/58.html
喜緑江美里の校内放送第1回 喜緑江美里の校内放送第2回 喜緑江美里の校内放送第3回 喜緑江美里の校内放送第4回 喜緑江美里の校内放送第5回 校内放送第5回番外編 その頃の長門有希 校内放送第5回番外編 その頃の喜緑江美里 喜緑江美里の校内放送最終回
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1410.html
「少し、お時間を拝借してもよろしいでしょうか?」 と、昼休みの教室でマンガ雑誌のページを漫然とめくっていたオレに、えらく丁寧な口 調で話しかけてくる声があった。 少なくとも、オレの近しい友人知人関係で「おまえはどこのお嬢様だ?」とツッコミた くなる話し方をするヤツはいない。なので、声を聞いただけでは誰なのかわからなかった。 顔を上げると、そこには……見知った顔ではあるが、友人とは言えない人物が悠然と微 笑んで立っている。声をかける相手を間違えているんじゃないかと思い、周囲をきょろき ょろ見渡したが、間違いなくオレに話しかけているようだ。 「ええっと……オレ、ですよね?」 「左様でございます。大変心苦しいのですが、諸事情に明るく、ご自身の利益抜きに行動 していただけるのはあなただけ……と思い至ったもので」 「はぁ……」 回りくどい物言いは、この人のデフォなんだろう。オレは気が短いわけではないが、ハ ルヒのストレートな物言いに慣れてしまったせいか、どうせならスパーンと話してくれな いもんか、と思ってしまう。 「お話というのは他でもありません、長門さんのことです」 まぁ、そうだろうとは思っていた。オレとこの人で共通できる話題と言えば、長門のこ とをおいて他にない。けれど、そっちから長門の話題を振られると、どーにも古泉から聞 いた話を思い出して居心地の悪さを覚える。 「そういうわけではありません。長門さんの普段の生活がどうなのか、とても気になりま したので」 なるほどなるほど。ひとつだけ分かったのは、ちっとも先が見えない唐突な語り出しだ ってことだな。 「長門さんは、ご存じのようにスレンダーな方でしょう? しっかり食事をしているのか 心配で心配で……」 「はぁ……?」 この人は、そういうところまで気にするのが仕事なのか? それも、長門のお目付役と 言えば仕方のないこと……か? 「それで、どうなのでしょう? あなたは特に長門さんと親しいご友人ですし、プライベ ートなこともご存じなのではないでしょうか?」 「いや、そこまで何でも知ってるわけじゃないですが……でも、そうですね。あいつが食 ってるのはコンビニの弁当かレトルトのカレーくらいじゃないんですかね?」 少なくとも、長門が食材から料理を作る姿は一度たりとも見たことがない。SOS団の 合宿のときだって、ハルヒと朝比奈さんが積極的に動いて料理を作り、オレと古泉、そし て長門は出てきた料理に舌鼓を打つだけだった。 2月に朝比奈さんが8日間だけやってきたときもレトルトだしな。ありゃ料理とは言えないだろ。 「やはりそうなのですね。困ったものです……正しい食生活は、わたくしたちにとっても 重要であるのに」 そうなのか? 最悪、飲まず食わずでも生きていけそうな気がするんだが……まぁ、食 事は摂らないよりはマシだと思うが。 「それで、大変恐縮なのですが……今日の放課後、少しわたくしとお付き合いしていただ けないでしょうか? 少し長門さんに料理の手ほどきをしたいと思いまして」 「それはいいと思いますが……オレが一緒に、ですか?」 「はい。わたくしだけでは長門さんも警戒してしまいますので、あなたがいれば気も紛れ るのではないではないかと」 「それは別に構いませんが……でも、何故に?」 「深い意味はございません。長門さんの健康管理も役割のうちですので」 それが本当かどうかはオレごときが知る術もないが……ともかく、こうしてオレは放課 後に目的不明の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース、喜緑江美 里さんと長門のマンションに行くことになったわけだ。 『喜緑さんのお料理教室』 とは言っても、オレはSOS団の活動が、喜緑さんは生徒会活動があるので、長門のマ ンションに押しかけるにも夕方──それこそ日が暮れた時間になる。 喜緑さんからは「内緒にしていただけると、とても助かります」と言うことなので、オ レは何事もなかったかのように過ごしていたわけだが。 「…………」 心なしか、長門の視線というか気配というか殺気というかなんというか、そんなものが オレに向けられているような気がしてならない。 長門は長門で、いつものようにいつもの如く、いつもの場所でいつものペースを保った まま本を読んでいるだけだ。オレを見ているわけでもない。そしてオレも、いつもと変わ らず、古泉とゲームに興じている。 そうだな、気にしすぎだ。いくら長門だからと、オレが喜緑さんと約束していることに 気づくわけがない。長門に睨まれている気がするのも、喜緑さんとの約束で些細ながら『隠 し事をしている』という、ちょっとした後ろめたさがあるからさ。 パタリと長門が本を閉じる。それでこの日の活動は終了となり、それぞれ帰り支度を済 ませて部室を後にした。 何事もなく一日が終わってホッとする……ところだが、今日の用事はこれからが本番だ。 オレは誰と一緒に帰るわけでもなく、駅前のスーパーまでやってきた。何故スーパーな のか? それは、そこで喜緑さんと待ち合わせをしているからに他ならない。 「急なお願いにもかかわらず、ありがとうございます」 「いえいえ、こちらこそ遅くなりまして」 そんな有り体な挨拶を交わし、そのままスーパーでお買い物になった。 買い物かごを手に、こうやって並んで歩いていると誤解されそうだが仕方あるまい。知 り合いに遭遇しないことを切に願うだけだ。願うだけなのだが……それとは別に、買い物 かごが、どんどん重くなるのはどういうわけだ? 「……えーっと、喜緑さん」 次々とかごの中に食材を詰め込む喜緑さんに、オレは不安になって声をかけた。肉や野 菜のみならず、料理をしないオレには用途不明な調味料まで大量に放り込まれている。 「何を作るつもりなんですか?」 「コスタリカ料理にしようかと考えております」 ああ、なるほど。コスタリカ料理ですか。……コスタリカ? なんでコスタリカ? こ の人はホンジュラスといい、コスタリカといい、中米に何か深い思い入れでもあるんだろ うか? 「なにか?」 ニコニコと微笑む喜緑さんなんだが、ただ……その笑顔、なんかちょっと怖いです……。 そもそも、オレにはコスタリカの料理について知識はまったくない。 当たり前だ。 日本においてかなりマイナーな料理に区分される料理について、多くを語れるのはよっ ぽど雑学に詳しいヤツか、コスタリカに住んでいたヤツのいずれかに違いない。 そしてオレはそのどちらでもなく、某超能力少年に「特別何の力も持たない普通の人間」 と言わしめた男だ。コスタリカ料理について朗々と語れる言葉を持っていないのは当たり 前、さらに超高度な知性を持つ情報生命体から作られたアンドロイドを説得する言葉なん て、即座に口をついて出てくるわけがない。 本当にこれ全部使うのか? という食材を大量に買い込んだ喜緑さんの荷物持ちとし て、オレは黙って後をついていくしかできなかった。 この日ばかりは、自転車を使っていて助かったと心から思いたい。大量に買い込んでる なーと思ったら、調理器具類もいつの間にか買い込んでいた。その量たるや、自転車にく くりつけて運んでもまだ重い。 そんな喜緑さんはオレに先に長門のマンションに行くように言いつけて、どこかへ行っ てしまった。「買えなかった食材を調達してまいります」とのことだが、何故だろう、現 地まで買い付けに行っている姿が脳裏をかすめた。手段や方法は考えたくもないね。 それはともかく。 大量の食材を手に長門の部屋の部屋番号を押してからベルボタンを押した。 『…………』 相変わらずの無言対応で困ったものだが、そういうものだから仕方がない。 「あー……オレd」 『帰って』 おいおい、最後まで喋らせてくれよ。しかも第一声がそれか? まさか長門の口から拒 否のセリフがでるとは……かといって、このまますごすごと引き下がることもできない。 今のオレの状況は、門前の虎に後門の狼って感じだ。下手に引き下がろうものなら、喜 緑さんに怒られてしまう。何故かわからんが、ああいうタイプは怒らせないほうがいい気 がするんだ。 なので、オレは必死になって弁解じみたことをインターフォンに向かって並べ立てた。 「そういうわけにも行かなくてだな。オレもちょっと困ってるわけで、できることなら入 れてもらいたいんだが」 『嫌』 訪問販売でケンモホロロに追い返されるセールスマンの気分がちょいとばかり分かった 気がする。初めて顔を会わせた時だって、愛想こそなかったが、ここまでの拒否反応は示 していなかったじゃないか。 困ったな。これはどうしたもんか……。 「そうおっしゃらずに、中に入れていただけないかしら?」 ぅおぅっ! びっくりするじゃないか。いったい何時の間に現れたんですか、喜緑さん!? 『…………』 しばしの沈黙の後、インターフォンの通話が切れてエントランスの鍵がはずれた。はず れたのはいいんだが、もしかして長門、通話切る前に舌打ちしてなかったか? 「ささ、参りましょう」 オレは別の意味で参りそうですよ。 などとは言えず、オレは喜緑さんを盗み見た。手にはずいぶん薄汚れた袋が握られてい る。その袋に書かれている文字は……すまん、英語の成績さえ危ういオレに、スペイン語 なんて読めるわけがない。 「オレの気のせいかもしれませんが、長門のやつ、嫌がってませんか?」 「それは気のせいですね」 即答ですか。笑顔で即答するとはさすがですね。 廊下を歩き、長門の部屋の前が見えてきたころには、玄関先でドアから右半分だけを見 せている長門の姿があった。 ううむ、なんだろうあの視線は。あいにくオレは悪霊や妖怪の類に知り合いはいないが、 そのときのオレに注がれる長門の視線は、四谷怪談のお岩さんだって可愛く見える代物な んじゃないかと思える、それはそれはステキな恨み節が込められている気がするんだ。 「今晩は、長門さん。その様子だと、わたくしたちが来た理由もわかってるようですね。 お邪魔してもよろしいかしら?」 長門は喜緑さんをちらりと見て、再びオレを見て──気のせいでなければ、長門は今、 初めてため息を漏らした……ような気がする。 部屋の中に引っ込んだ長門に続いて、喜緑さんが部屋の中に入る。そしてオレはそのま まおいとましようかと考えたが、長門がオレのベルトを引っ張って逃がさなかった。せめ て12月に変革した世界でのおまえのように、恥じらいを持って引き留めてくれ。 長門の部屋に、唯一あいつのものだと言えるコタツの前に座るオレの今の気分は、眠っ てる虎の口の中に頭を突っ込んでるようなものだった。落ち着かないのは落ち着かないん だが、その落ち着かない気分をさらにソワソワさせることが、ひとつだけある。 長門、喜緑さんが履いているウサギさんスリッパは、おまえが自分で買ったのか? 「長門さん、彼から話を聞きましたが、あまり食事に気を遣っておられないようですね?」 まるで自分の家のように台所に向かって買い込んだ食材その他を置いて戻ってきた喜緑 さんが、まるで一人暮らしをしている娘の家にやってきた母親の口ぶりでしゃべり出した。 「よろしいですか? 食事というものは、有機体にとって欠かすことのできないものなの です。生命活動を維持するため、他の生物の命を取り込み糧とする行為は、それはそれは 重要なものなのです。ですが、その行為そのものを当たり前のものと割り切り、漫然と食 事をするというのは、我々の糧になるために犠牲となった食材に対して申し訳ないでしょ う? ですからわたくし、有機体の命は極めて短く、刹那的なものであるにもかかわらず、 それを奪ってなお一般的な味覚レベルにおいて劣っている味付けの料理を口にしたとき は、それはそれは悲しくなってしまいます。ですが、食材の味を十二分に引き出した料理 を口にしたときは、自然と笑みがこぼれるステキなものなのです。その喜びを知らずして、 新たな進化の可能性を知ることが我々にできるでしょうか? できるわけがございませ ん。わたくしはそこに、人類が不完全に有機生命体でありながら、急速な自律進化を経て、 保有する情報を拡大させて進化できたのだと考えております。なので長門さん、料理をし ましょう」 あ~……なんと言うか、長門よ。喜緑さんはエラーが蓄積しちまっててバグってるんじ ゃないよな? オレはここまで食事に関して饒舌なヤツは見たことないんだが……喜緑さ んってこんな人だったのか? そもそも、何が「なので」で「料理をしましょう」な話になるのか、誰でもいいから説明して くれないだろうか。 「夕飯は食べた」 喜緑さんの革命家の演説顔負けの言葉とは裏腹に、長門の返事は極めて短い。というか おまえ、喜緑さんがしゃべり出したと同時にカーペットの編み目数えてただろ? そんな長門を見て、喜緑さんはふぅっとため息を吐いた。 「先ほど、お台所を拝見いたしましたが、積み上げられていたのはレトルトカレーの空き 缶とコンビニ弁当の空箱ばかりではないですか。よろしいですか? そもそも食事という のは……」 「ええっと、とりあえず喜緑さん、オレらは長門に食事の大切さを説きに来たわけではな いと思うんですが」 このままだと、再び食に対する熱い思いを語り出すと思ったオレは仕方がないので止め に入った。あんな話を何度も聞かされちゃかなわないからな。 「そうでした。本来の目的を忘れてしまうところでしたわ」 少なくとも9割くらいは本来の目的を忘れていたと思うんだが、これ以上、話をこじら せても仕方がない。オレの胸の内にしまっておこう。 「長門さん、あなたに料理の楽しさを教えてさしあげます。キッチンに参りましょう」 にっこり微笑む喜緑さんと、無表情を貫く長門。その間に挟まれているオレ。 妙な緊張感に包まれている気がするが、それはオレの気のせいだろう。気のせいに違い ない。いやもう、深く考えるのがイヤになってきた。 長門は喜緑さんに向けていた顔をグググと動かしてオレを見て、ギギギと動かして喜緑 さんに視線を戻す。まるでデキの悪いブリキ人形のような動きだ。 そして、さらに時間は流れる。いったいその間に長門と喜緑さんの間でどんなテレパシ ーが交わされていたのか、オレには推し量ることもできない。 しばらくして長門は立ち上がって台所へと無言で向かい、その後に喜緑さんも微笑みな がらついて行った。どうやら交渉が成立したらしい。オレが置いてけぼりを食らっている のは、見ての通りだ。 「そうそう」 と、台所に引っ込んだ喜緑さんがオレのことを思い出してくれたようだ。 「あなたはそこでごゆっくりなさってます? それとも、見学なさいます?」 そりゃもう、ここで暇を持てあますよりは見学でもしてたほうがマシってもんです。そ もそも長門がまともに料理をするところなんて、なかなか見られるもんじゃない。前のと きは、レトルトを温めてキャベツ丸ごと一個を千切りにしただけだしな。 台所へ向かうと、長門がエプロン姿で包丁を握りしめてボーッと立っていた。ああ、こ ういうキラーコックが出てくるC級ホラー映画があった気がするなぁ、などと思ったが、 とてもそんなことは言えやしない。他の言い方をすれば、絵描き歌のかわいいコックさん とでもしておこうか。 見学に来たはいいが、あいにくオレに出来ることは何もない。テーブルに腰を下ろし、 水回りで動き回る2人の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースの 後ろ姿をボーッと眺めることにした。 こういうシチュエーションはあれだ。男にとっては嬉しいシチュエーションなんだろう な。オレのために、というわけじゃないのががっかりだが、それでも目の前で2人の女性 が料理を作っているわけだ。これを眼福と言わず、なんと言おう。 いやはや、微笑ましい……な~んてな。そんな生やさしいもんじゃないのが現実だ。 後ろ姿しか見てないからオレの主観になって申し訳ないが、少なくともオレの目には、 長門は無表情で包丁を振り回して肉や野菜を刻み、喜緑さんはニコニコと笑顔を浮かべな がら鍋の前でぐつぐつと何かを煮込んでいるようにしか見えない。 ……何故だろう、妙な怖さを感じるのはオレの気のせいだろうか? この間、2人の間に会話なし。まぁ、オレには分からないテレパシーで会話してるのか もしれないが、例えそうだとしても、どんな舌戦が繰り広げられているのかなど考えたく もないね。考えるなら、出てくる料理について考えた方が健全そうだ。 なんだっけ? そうそう、コスタリカ料理と喜緑さんは言っていた。ならばコスタリカ ってのはどんな国だっけ? とオレは必死に頭の中で地理の教科書を紐解いていた。 確か……コスタリカと言えば、かつてスペイン領だったとこだ。おまけに世界各地から 移民がやってきて、そこの料理と言われても世界各地の本格的なレストランがあるんじゃ なかったかな。そんなとこの料理と言われても、当然ながらピンとこない。 「…………」 などと考えていると、長門がオレの前に揚げ物を差しだしてきた。 「お待たせして申し訳ありません。まずは前菜でも召し上がっていてください」 とは喜緑さんの弁。前菜ということは、コース料理にするつもりか? まさかこれ、食 べたら虫歯が抜けて健康な歯が生えてきたり、眼球がしわしわになるくらい涙が流れて眠 気スッキリしたりしないよな? そもそも喜緑さん、長門に料理を教えるはずなのに、あなた1人で作ってませんか? 「えーっと、これなんですか?」 「Empanadaです」 日本語でOK。 「エンパナーダと言いまして、トウモロコシの粉や小麦粉で作った皮の中にお肉やお豆を 入れて揚げたものですわ。そちらには煮卵を入れてあります」 なるほど、そういう食べ物ですか。それじゃ、まずは一口……なるほど、近い味として は揚げ餃子みたいな感じだな。ただ、中に煮卵が入っているもんで食感としては新鮮だ。 というか長門、何故オレをそんなに睨む? 「……ああ、食べるか?」 いつもより分かりやすく頷いた。さすが食欲旺盛な宇宙人。食い意地が張ってるのは相 変わらずか。オレ1人でちまちま食うのもつまらんし、食べかけで申し訳ないが箸でつま んで食べさせようとすると、皿の上に乗っかってるものを一瞬で食われた。 ……これは、オレに食べさせられるのが恥ずかしかったから、という照れ隠しというこ とにしておこう。 「お次はサラダですわ。Ensalada de Repolloです」 「えんさ……なんですか?」 「エンサラーダ・デ・レポージョ。キャベツの千切りにサイコロの形にカットしたトマト、 フレッシュコリアンダー、絞りたてのレモンジュース、オリーブオイルを混ぜたもの。冷 やせば日持ちする」 はぁ、なるほど。それでどうして長門がそこまで詳しく解説してくれているんだ? と いうか、もうすでに料理する気ないだろ? こうなってくると、喜緑さんもノッて来たのか長門無視で1人勝手に料理を続けていた。 この人の場合、出来上がった料理を食べるのが目的じゃなくて、作ることの方が重要なの だろう。そういう意味でも、長門とは正反対だ。 そして長門はというと、喜緑さんに代わって出される料理の解説をしつつ、オレと一緒 になって飯を食っている。もはや作ることは放棄したらしい。まるで親鳥がエサを運んで くるのを待つヒナみたいだな。 次から次に出てくる料理をオレ(と長門)は食べ続け、喜緑さんはとにかく作り続ける。 途中から食うことに夢中になって、メニューのことなんて聞かなかったし、長門も黙々と 食っていた。 それだけ美味かったということだ。コスタリカの料理なんて初めて食うが、なかなかマ イルドな味わいで、ついつい箸がのびる。 そして何より特筆すべきことは、喜緑さんの後ろ姿だ。料理の邪魔にならないように髪 を結い上げ、ポニーテールにした上で、鼻歌を口ずさんでいる。 素晴らしい。完璧だ。非の打ち所がないほどにパーフェクト。 当初の理由はどうあれ、ポニーテールの似合う女性で楽しそうに料理を作るような人を 恋人にしたいもんだ。 「ぃっで!」 長門、椅子を引いたときにオレの足を轢いたのは狙ってやったのか? 理由は……まぁ、 聞かないでおこう。 「それにしても喜緑さん、本当に料理上手ですね」 食後となり、お茶をすすりながらオレは素直な感想を述べた。食に対する熱い思いは伊 達じゃないね。 「料理を作るのも楽しいですけれど、そう言っていただけると嬉しいものですね」 うふふと微笑みながら、喜緑さんは満足そうだ。いいね、うん。やはり女性はこういう 一面がないとな、と思うと脳裏にハルヒの顔が浮かんだ。 何故だろう、ちょこっと泣きたくなった。 「今日の調理方法は長門さんも習得されたと思いますので、今後は長門さんに調理してい ただいてはいかがでしょう?」 「長門が? ただ横で食ってただけだと思うんですが……」 オレはちらりと無表情娘に視線を向けた。どこを見るわけでもなく、ずずずとお茶をす すっている。 「有機体である以上、個を尊重するために普段はそのようなことはありませんが、相互の 許可があれば情報共有が可能ですので」 そりゃ便利なもんだなぁ……と思ったが、かといって長門が作ってくれるとはとても思 えないんだが……改めて長門を見ると、今度は目が合った。 よし、無理だ。今日のごちそうは一夜の夢と思おう。それが一番……って長門さん、何 で台所に立ってるんですか? 何を作り出してるんですか。 「はい」 そう言って長門が差しだしてきたのは、ひとつの皿に肉と黒豆入りのご飯とキャベツの サラダとフライドポテトが盛り込まれたものだった。 「えーっと……」 「カサード。コスタリカ風の定食」 そ、そうか。おまえが言うならそうなんだろうな。しかしオレ、もう食えないぞ? 「食べて」 「…………」 長門、こわいよ長門。 喜緑さんも見てないで、助けてもらえないですかね? 「せっかく長門さんが作ってくださったのに、箸もつけないのは如何なものかと思います けれど?」 微笑んで、しれっとそんなことを言う。何を楽しそうにしているのか、是非とも聞かせ ていただきたいですね。……この状況からうまく逃げられたらだけどな。 ……ああ、食うよ。食いますとも。経緯はどうあれ、長門が作ってくれたんだからな。 だからそんな、視殺できそうな目つきで睨まないでくれ。 翌日になっても、胃の中に詰め込まれた飯は消化しきれなかった。それでも完食したオ レは、ホットドッグの大食い選手権でそこそこの成績を残せると確信したね。 「どうしたのあんた、臨月間際の妊婦さんみたいな顔してるわね」 いつもオレより先に教室に来ているハルヒが、オレのことをそう表現した。おまえは臨 月間際の妊婦さんをそんなによく見るのか、とか、いつから産婆さんになったんだ、など とツッコミたいところだが、残念ながらそんな余裕はない。 「昨日、食い過ぎて胃もたれ起こしてるんだ」 朝の挨拶代わりに、昨日の出来事をついつい話題に出してしまった。その途端、ハルヒ は時代劇の悪代官顔負けのいやぁ~な笑みを浮かべた。 「へぇ、あんた、そんな楽しそうなことに巻き込まれて、あたしに何の相談もしなかったわけ?」 当たり前だ。おまえに話を振っていれば、長門の家がキッチンスタジアムになっちまう だろうが。これ以上、食い物を詰め込まれたらフォアグラが出来ちまうだろ。 「けどさ、喜緑さんって生徒会の人でしょ? なんで有希に料理なんて教えようって思っ たわけ?」 「ん~……遠い親戚なんだそうだ。なんだっけかな、父親の祖父の弟の妹の旦那さんの娘 ……だったかな?」 「それって全然他人じゃない?」 しまった、もっと近い血縁ってことにしときゃよかったかな。ハルヒに突っ込まれると は、オレも落ちぶれたもんだ。 「でもまぁ、有希もあれよ。料理だったらあたしに任せればいいのに。あんたも大喜びの メニューがあるのにさ」 ハルヒの料理の腕前には疑いもないが、オレが大喜びのメニューには興味がある。 「でもそれには、みくるちゃんの協力が必要なんだけど」 ……何故だろう、オレは予知なんてできないが、ハルヒが次に言いそうなことが、なん となく分かってしまった……が、それを真面目に言うとしたら、こいつは正真正銘のアホ かもしれん。 「……試みに聞くが、どんな料理だ?」 得意満面で胸を張り、ハルヒはビシッとこう言った。 「女体盛りに決まってるじゃない!」 今日の懸案事項は、放課後にどうやって朝比奈さんを守るか? てことにたった今、決 定した。はぁ~……やれやれ。 〆
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1454.html
「少し、お時間を拝借してもよろしいでしょうか?」 と、昼休みの教室でマンガ雑誌のページを漫然とめくっていたオレに、えらく丁寧な口 調で話しかけてくる声があった。 少なくとも、オレの近しい友人知人関係で「おまえはどこのお嬢様だ?」とツッコミた くなる話し方をするヤツはいない。なので、声を聞いただけでは誰なのかわからなかった。 顔を上げると、そこには……見知った顔ではあるが、友人とは言えない人物が悠然と微 笑んで立っている。声をかける相手を間違えているんじゃないかと思い、周囲をきょろき ょろ見渡したが、間違いなくオレに話しかけているようだ。 「ええっと……オレ、ですよね?」 「左様でございます。大変心苦しいのですが、諸事情に明るく、ご自身の利益抜きに行動 していただけるのはあなただけ……と思い至ったもので」 「はぁ……」 回りくどい物言いは、この人のデフォなんだろう。オレは気が短いわけではないが、ハ ルヒのストレートな物言いに慣れてしまったせいか、どうせならスパーンと話してくれな いもんか、と思ってしまう。 「お話というのは他でもありません、長門さんのことです」 まぁ、そうだろうとは思っていた。オレとこの人で共通できる話題と言えば、長門のこ とをおいて他にない。けれど、そっちから長門の話題を振られると、どーにも古泉から聞 いた話を思い出して居心地の悪さを覚える。 「そういうわけではありません。長門さんの普段の生活がどうなのか、とても気になりま したので」 なるほどなるほど。ひとつだけ分かったのは、ちっとも先が見えない唐突な語り出しだ ってことだな。 「長門さんは、ご存じのようにスレンダーな方でしょう? しっかり食事をしているのか 心配で心配で……」 「はぁ……?」 この人は、そういうところまで気にするのが仕事なのか? それも、長門のお目付役と 言えば仕方のないこと……か? 「それで、どうなのでしょう? あなたは特に長門さんと親しいご友人ですし、プライベ ートなこともご存じなのではないでしょうか?」 「いや、そこまで何でも知ってるわけじゃないですが……でも、そうですね。あいつが食 ってるのはコンビニの弁当かレトルトのカレーくらいじゃないんですかね?」 少なくとも、長門が食材から料理を作る姿は一度たりとも見たことがない。SOS団の 合宿のときだって、ハルヒと朝比奈さんが積極的に動いて料理を作り、オレと古泉、そし て長門は出てきた料理に舌鼓を打つだけだった。 2月に朝比奈さんが8日間だけやってきたときもレトルトだしな。ありゃ料理とは言えないだろ。 「やはりそうなのですね。困ったものです……正しい食生活は、わたくしたちにとっても 重要であるのに」 そうなのか? 最悪、飲まず食わずでも生きていけそうな気がするんだが……まぁ、食 事は摂らないよりはマシだと思うが。 「それで、大変恐縮なのですが……今日の放課後、少しわたくしとお付き合いしていただ けないでしょうか? 少し長門さんに料理の手ほどきをしたいと思いまして」 「それはいいと思いますが……オレが一緒に、ですか?」 「はい。わたくしだけでは長門さんも警戒してしまいますので、あなたがいれば気も紛れ るのではないではないかと」 「それは別に構いませんが……でも、何故に?」 「深い意味はございません。長門さんの健康管理も役割のうちですので」 それが本当かどうかはオレごときが知る術もないが……ともかく、こうしてオレは放課 後に目的不明の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース、喜緑江美 里さんと長門のマンションに行くことになったわけだ。 『喜緑さんのお料理教室』 とは言っても、オレはSOS団の活動が、喜緑さんは生徒会活動があるので、長門のマ ンションに押しかけるにも夕方──それこそ日が暮れた時間になる。 喜緑さんからは「内緒にしていただけると、とても助かります」と言うことなので、オ レは何事もなかったかのように過ごしていたわけだが。 「…………」 心なしか、長門の視線というか気配というか殺気というかなんというか、そんなものが オレに向けられているような気がしてならない。 長門は長門で、いつものようにいつもの如く、いつもの場所でいつものペースを保った まま本を読んでいるだけだ。オレを見ているわけでもない。そしてオレも、いつもと変わ らず、古泉とゲームに興じている。 そうだな、気にしすぎだ。いくら長門だからと、オレが喜緑さんと約束していることに 気づくわけがない。長門に睨まれている気がするのも、喜緑さんとの約束で些細ながら『隠 し事をしている』という、ちょっとした後ろめたさがあるからさ。 パタリと長門が本を閉じる。それでこの日の活動は終了となり、それぞれ帰り支度を済 ませて部室を後にした。 何事もなく一日が終わってホッとする……ところだが、今日の用事はこれからが本番だ。 オレは誰と一緒に帰るわけでもなく、駅前のスーパーまでやってきた。何故スーパーな のか? それは、そこで喜緑さんと待ち合わせをしているからに他ならない。 「急なお願いにもかかわらず、ありがとうございます」 「いえいえ、こちらこそ遅くなりまして」 そんな有り体な挨拶を交わし、そのままスーパーでお買い物になった。 買い物かごを手に、こうやって並んで歩いていると誤解されそうだが仕方あるまい。知 り合いに遭遇しないことを切に願うだけだ。願うだけなのだが……それとは別に、買い物 かごが、どんどん重くなるのはどういうわけだ? 「……えーっと、喜緑さん」 次々とかごの中に食材を詰め込む喜緑さんに、オレは不安になって声をかけた。肉や野 菜のみならず、料理をしないオレには用途不明な調味料まで大量に放り込まれている。 「何を作るつもりなんですか?」 「コスタリカ料理にしようかと考えております」 ああ、なるほど。コスタリカ料理ですか。……コスタリカ? なんでコスタリカ? こ の人はホンジュラスといい、コスタリカといい、中米に何か深い思い入れでもあるんだろ うか? 「なにか?」 ニコニコと微笑む喜緑さんなんだが、ただ……その笑顔、なんかちょっと怖いです……。 そもそも、オレにはコスタリカの料理について知識はまったくない。 当たり前だ。 日本においてかなりマイナーな料理に区分される料理について、多くを語れるのはよっ ぽど雑学に詳しいヤツか、コスタリカに住んでいたヤツのいずれかに違いない。 そしてオレはそのどちらでもなく、某超能力少年に「特別何の力も持たない普通の人間」 と言わしめた男だ。コスタリカ料理について朗々と語れる言葉を持っていないのは当たり 前、さらに超高度な知性を持つ情報生命体から作られたアンドロイドを説得する言葉なん て、即座に口をついて出てくるわけがない。 本当にこれ全部使うのか? という食材を大量に買い込んだ喜緑さんの荷物持ちとし て、オレは黙って後をついていくしかできなかった。 この日ばかりは、自転車を使っていて助かったと心から思いたい。大量に買い込んでる なーと思ったら、調理器具類もいつの間にか買い込んでいた。その量たるや、自転車にく くりつけて運んでもまだ重い。 そんな喜緑さんはオレに先に長門のマンションに行くように言いつけて、どこかへ行っ てしまった。「買えなかった食材を調達してまいります」とのことだが、何故だろう、現 地まで買い付けに行っている姿が脳裏をかすめた。手段や方法は考えたくもないね。 それはともかく。 大量の食材を手に長門の部屋の部屋番号を押してからベルボタンを押した。 『…………』 相変わらずの無言対応で困ったものだが、そういうものだから仕方がない。 「あー……オレd」 『帰って』 おいおい、最後まで喋らせてくれよ。しかも第一声がそれか? まさか長門の口から拒 否のセリフがでるとは……かといって、このまますごすごと引き下がることもできない。 今のオレの状況は、門前の虎に後門の狼って感じだ。下手に引き下がろうものなら、喜 緑さんに怒られてしまう。何故かわからんが、ああいうタイプは怒らせないほうがいい気 がするんだ。 なので、オレは必死になって弁解じみたことをインターフォンに向かって並べ立てた。 「そういうわけにも行かなくてだな。オレもちょっと困ってるわけで、できることなら入 れてもらいたいんだが」 『嫌』 訪問販売でケンモホロロに追い返されるセールスマンの気分がちょいとばかり分かった 気がする。初めて顔を会わせた時だって、愛想こそなかったが、ここまでの拒否反応は示 していなかったじゃないか。 困ったな。これはどうしたもんか……。 「そうおっしゃらずに、中に入れていただけないかしら?」 ぅおぅっ! びっくりするじゃないか。いったい何時の間に現れたんですか、喜緑さん!? 『…………』 しばしの沈黙の後、インターフォンの通話が切れてエントランスの鍵がはずれた。はず れたのはいいんだが、もしかして長門、通話切る前に舌打ちしてなかったか? 「ささ、参りましょう」 オレは別の意味で参りそうですよ。 などとは言えず、オレは喜緑さんを盗み見た。手にはずいぶん薄汚れた袋が握られてい る。その袋に書かれている文字は……すまん、英語の成績さえ危ういオレに、スペイン語 なんて読めるわけがない。 「オレの気のせいかもしれませんが、長門のやつ、嫌がってませんか?」 「それは気のせいですね」 即答ですか。笑顔で即答するとはさすがですね。 廊下を歩き、長門の部屋の前が見えてきたころには、玄関先でドアから右半分だけを見 せている長門の姿があった。 ううむ、なんだろうあの視線は。あいにくオレは悪霊や妖怪の類に知り合いはいないが、 そのときのオレに注がれる長門の視線は、四谷怪談のお岩さんだって可愛く見える代物な んじゃないかと思える、それはそれはステキな恨み節が込められている気がするんだ。 「今晩は、長門さん。その様子だと、わたくしたちが来た理由もわかってるようですね。 お邪魔してもよろしいかしら?」 長門は喜緑さんをちらりと見て、再びオレを見て──気のせいでなければ、長門は今、 初めてため息を漏らした……ような気がする。 部屋の中に引っ込んだ長門に続いて、喜緑さんが部屋の中に入る。そしてオレはそのま まおいとましようかと考えたが、長門がオレのベルトを引っ張って逃がさなかった。せめ て12月に変革した世界でのおまえのように、恥じらいを持って引き留めてくれ。 長門の部屋に、唯一あいつのものだと言えるコタツの前に座るオレの今の気分は、眠っ てる虎の口の中に頭を突っ込んでるようなものだった。落ち着かないのは落ち着かないん だが、その落ち着かない気分をさらにソワソワさせることが、ひとつだけある。 長門、喜緑さんが履いているウサギさんスリッパは、おまえが自分で買ったのか? 「長門さん、彼から話を聞きましたが、あまり食事に気を遣っておられないようですね?」 まるで自分の家のように台所に向かって買い込んだ食材その他を置いて戻ってきた喜緑 さんが、まるで一人暮らしをしている娘の家にやってきた母親の口ぶりでしゃべり出した。 「よろしいですか? 食事というものは、有機体にとって欠かすことのできないものなの です。生命活動を維持するため、他の生物の命を取り込み糧とする行為は、それはそれは 重要なものなのです。ですが、その行為そのものを当たり前のものと割り切り、漫然と食 事をするというのは、我々の糧になるために犠牲となった食材に対して申し訳ないでしょ う? ですからわたくし、有機体の命は極めて短く、刹那的なものであるにもかかわらず、 それを奪ってなお一般的な味覚レベルにおいて劣っている味付けの料理を口にしたとき は、それはそれは悲しくなってしまいます。ですが、食材の味を十二分に引き出した料理 を口にしたときは、自然と笑みがこぼれるステキなものなのです。その喜びを知らずして、 新たな進化の可能性を知ることが我々にできるでしょうか? できるわけがございませ ん。わたくしはそこに、人類が不完全に有機生命体でありながら、急速な自律進化を経て、 保有する情報を拡大させて進化できたのだと考えております。なので長門さん、料理をし ましょう」 あ~……なんと言うか、長門よ。喜緑さんはエラーが蓄積しちまっててバグってるんじ ゃないよな? オレはここまで食事に関して饒舌なヤツは見たことないんだが……喜緑さ んってこんな人だったのか? そもそも、何が「なので」で「料理をしましょう」な話になるのか、誰でもいいから説明して くれないだろうか。 「夕飯は食べた」 喜緑さんの革命家の演説顔負けの言葉とは裏腹に、長門の返事は極めて短い。というか おまえ、喜緑さんがしゃべり出したと同時にカーペットの編み目数えてただろ? そんな長門を見て、喜緑さんはふぅっとため息を吐いた。 「先ほど、お台所を拝見いたしましたが、積み上げられていたのはレトルトカレーの空き 缶とコンビニ弁当の空箱ばかりではないですか。よろしいですか? そもそも食事という のは……」 「ええっと、とりあえず喜緑さん、オレらは長門に食事の大切さを説きに来たわけではな いと思うんですが」 このままだと、再び食に対する熱い思いを語り出すと思ったオレは仕方がないので止め に入った。あんな話を何度も聞かされちゃかなわないからな。 「そうでした。本来の目的を忘れてしまうところでしたわ」 少なくとも9割くらいは本来の目的を忘れていたと思うんだが、これ以上、話をこじら せても仕方がない。オレの胸の内にしまっておこう。 「長門さん、あなたに料理の楽しさを教えてさしあげます。キッチンに参りましょう」 にっこり微笑む喜緑さんと、無表情を貫く長門。その間に挟まれているオレ。 妙な緊張感に包まれている気がするが、それはオレの気のせいだろう。気のせいに違い ない。いやもう、深く考えるのがイヤになってきた。 長門は喜緑さんに向けていた顔をグググと動かしてオレを見て、ギギギと動かして喜緑 さんに視線を戻す。まるでデキの悪いブリキ人形のような動きだ。 そして、さらに時間は流れる。いったいその間に長門と喜緑さんの間でどんなテレパシ ーが交わされていたのか、オレには推し量ることもできない。 しばらくして長門は立ち上がって台所へと無言で向かい、その後に喜緑さんも微笑みな がらついて行った。どうやら交渉が成立したらしい。オレが置いてけぼりを食らっている のは、見ての通りだ。 「そうそう」 と、台所に引っ込んだ喜緑さんがオレのことを思い出してくれたようだ。 「あなたはそこでごゆっくりなさってます? それとも、見学なさいます?」 そりゃもう、ここで暇を持てあますよりは見学でもしてたほうがマシってもんです。そ もそも長門がまともに料理をするところなんて、なかなか見られるもんじゃない。前のと きは、レトルトを温めてキャベツ丸ごと一個を千切りにしただけだしな。 台所へ向かうと、長門がエプロン姿で包丁を握りしめてボーッと立っていた。ああ、こ ういうキラーコックが出てくるC級ホラー映画があった気がするなぁ、などと思ったが、 とてもそんなことは言えやしない。他の言い方をすれば、絵描き歌のかわいいコックさん とでもしておこうか。 見学に来たはいいが、あいにくオレに出来ることは何もない。テーブルに腰を下ろし、 水回りで動き回る2人の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースの 後ろ姿をボーッと眺めることにした。 こういうシチュエーションはあれだ。男にとっては嬉しいシチュエーションなんだろう な。オレのために、というわけじゃないのががっかりだが、それでも目の前で2人の女性 が料理を作っているわけだ。これを眼福と言わず、なんと言おう。 いやはや、微笑ましい……な~んてな。そんな生やさしいもんじゃないのが現実だ。 後ろ姿しか見てないからオレの主観になって申し訳ないが、少なくともオレの目には、 長門は無表情で包丁を振り回して肉や野菜を刻み、喜緑さんはニコニコと笑顔を浮かべな がら鍋の前でぐつぐつと何かを煮込んでいるようにしか見えない。 ……何故だろう、妙な怖さを感じるのはオレの気のせいだろうか? この間、2人の間に会話なし。まぁ、オレには分からないテレパシーで会話してるのか もしれないが、例えそうだとしても、どんな舌戦が繰り広げられているのかなど考えたく もないね。考えるなら、出てくる料理について考えた方が健全そうだ。 なんだっけ? そうそう、コスタリカ料理と喜緑さんは言っていた。ならばコスタリカ ってのはどんな国だっけ? とオレは必死に頭の中で地理の教科書を紐解いていた。 確か……コスタリカと言えば、かつてスペイン領だったとこだ。おまけに世界各地から 移民がやってきて、そこの料理と言われても世界各地の本格的なレストランがあるんじゃ なかったかな。そんなとこの料理と言われても、当然ながらピンとこない。 「…………」 などと考えていると、長門がオレの前に揚げ物を差しだしてきた。 「お待たせして申し訳ありません。まずは前菜でも召し上がっていてください」 とは喜緑さんの弁。前菜ということは、コース料理にするつもりか? まさかこれ、食 べたら虫歯が抜けて健康な歯が生えてきたり、眼球がしわしわになるくらい涙が流れて眠 気スッキリしたりしないよな? そもそも喜緑さん、長門に料理を教えるはずなのに、あなた1人で作ってませんか? 「えーっと、これなんですか?」 「Empanadaです」 日本語でOK。 「エンパナーダと言いまして、トウモロコシの粉や小麦粉で作った皮の中にお肉やお豆を 入れて揚げたものですわ。そちらには煮卵を入れてあります」 なるほど、そういう食べ物ですか。それじゃ、まずは一口……なるほど、近い味として は揚げ餃子みたいな感じだな。ただ、中に煮卵が入っているもんで食感としては新鮮だ。 というか長門、何故オレをそんなに睨む? 「……ああ、食べるか?」 いつもより分かりやすく頷いた。さすが食欲旺盛な宇宙人。食い意地が張ってるのは相 変わらずか。オレ1人でちまちま食うのもつまらんし、食べかけで申し訳ないが箸でつま んで食べさせようとすると、皿の上に乗っかってるものを一瞬で食われた。 ……これは、オレに食べさせられるのが恥ずかしかったから、という照れ隠しというこ とにしておこう。 「お次はサラダですわ。Ensalada de Repolloです」 「えんさ……なんですか?」 「エンサラーダ・デ・レポージョ。キャベツの千切りにサイコロの形にカットしたトマト、 フレッシュコリアンダー、絞りたてのレモンジュース、オリーブオイルを混ぜたもの。冷 やせば日持ちする」 はぁ、なるほど。それでどうして長門がそこまで詳しく解説してくれているんだ? と いうか、もうすでに料理する気ないだろ? こうなってくると、喜緑さんもノッて来たのか長門無視で1人勝手に料理を続けていた。 この人の場合、出来上がった料理を食べるのが目的じゃなくて、作ることの方が重要なの だろう。そういう意味でも、長門とは正反対だ。 そして長門はというと、喜緑さんに代わって出される料理の解説をしつつ、オレと一緒 になって飯を食っている。もはや作ることは放棄したらしい。まるで親鳥がエサを運んで くるのを待つヒナみたいだな。 次から次に出てくる料理をオレ(と長門)は食べ続け、喜緑さんはとにかく作り続ける。 途中から食うことに夢中になって、メニューのことなんて聞かなかったし、長門も黙々と 食っていた。 それだけ美味かったということだ。コスタリカの料理なんて初めて食うが、なかなかマ イルドな味わいで、ついつい箸がのびる。 そして何より特筆すべきことは、喜緑さんの後ろ姿だ。料理の邪魔にならないように髪 を結い上げ、ポニーテールにした上で、鼻歌を口ずさんでいる。 素晴らしい。完璧だ。非の打ち所がないほどにパーフェクト。 当初の理由はどうあれ、ポニーテールの似合う女性で楽しそうに料理を作るような人を 恋人にしたいもんだ。 「ぃっで!」 長門、椅子を引いたときにオレの足を轢いたのは狙ってやったのか? 理由は……まぁ、 聞かないでおこう。 「それにしても喜緑さん、本当に料理上手ですね」 食後となり、お茶をすすりながらオレは素直な感想を述べた。食に対する熱い思いは伊 達じゃないね。 「料理を作るのも楽しいですけれど、そう言っていただけると嬉しいものですね」 うふふと微笑みながら、喜緑さんは満足そうだ。いいね、うん。やはり女性はこういう 一面がないとな、と思うと脳裏にハルヒの顔が浮かんだ。 何故だろう、ちょこっと泣きたくなった。 「今日の調理方法は長門さんも習得されたと思いますので、今後は長門さんに調理してい ただいてはいかがでしょう?」 「長門が? ただ横で食ってただけだと思うんですが……」 オレはちらりと無表情娘に視線を向けた。どこを見るわけでもなく、ずずずとお茶をす すっている。 「有機体である以上、個を尊重するために普段はそのようなことはありませんが、相互の 許可があれば情報共有が可能ですので」 そりゃ便利なもんだなぁ……と思ったが、かといって長門が作ってくれるとはとても思 えないんだが……改めて長門を見ると、今度は目が合った。 よし、無理だ。今日のごちそうは一夜の夢と思おう。それが一番……って長門さん、何 で台所に立ってるんですか? 何を作り出してるんですか。 「はい」 そう言って長門が差しだしてきたのは、ひとつの皿に肉と黒豆入りのご飯とキャベツの サラダとフライドポテトが盛り込まれたものだった。 「えーっと……」 「カサード。コスタリカ風の定食」 そ、そうか。おまえが言うならそうなんだろうな。しかしオレ、もう食えないぞ? 「食べて」 「…………」 長門、こわいよ長門。 喜緑さんも見てないで、助けてもらえないですかね? 「せっかく長門さんが作ってくださったのに、箸もつけないのは如何なものかと思います けれど?」 微笑んで、しれっとそんなことを言う。何を楽しそうにしているのか、是非とも聞かせ ていただきたいですね。……この状況からうまく逃げられたらだけどな。 ……ああ、食うよ。食いますとも。経緯はどうあれ、長門が作ってくれたんだからな。 だからそんな、視殺できそうな目つきで睨まないでくれ。 翌日になっても、胃の中に詰め込まれた飯は消化しきれなかった。それでも完食したオ レは、ホットドッグの大食い選手権でそこそこの成績を残せると確信したね。 「どうしたのあんた、臨月間際の妊婦さんみたいな顔してるわね」 いつもオレより先に教室に来ているハルヒが、オレのことをそう表現した。おまえは臨 月間際の妊婦さんをそんなによく見るのか、とか、いつから産婆さんになったんだ、など とツッコミたいところだが、残念ながらそんな余裕はない。 「昨日、食い過ぎて胃もたれ起こしてるんだ」 朝の挨拶代わりに、昨日の出来事をついつい話題に出してしまった。その途端、ハルヒ は時代劇の悪代官顔負けのいやぁ~な笑みを浮かべた。 「へぇ、あんた、そんな楽しそうなことに巻き込まれて、あたしに何の相談もしなかったわけ?」 当たり前だ。おまえに話を振っていれば、長門の家がキッチンスタジアムになっちまう だろうが。これ以上、食い物を詰め込まれたらフォアグラが出来ちまうだろ。 「けどさ、喜緑さんって生徒会の人でしょ? なんで有希に料理なんて教えようって思っ たわけ?」 「ん~……遠い親戚なんだそうだ。なんだっけかな、父親の祖父の弟の妹の旦那さんの娘 ……だったかな?」 「それって全然他人じゃない?」 しまった、もっと近い血縁ってことにしときゃよかったかな。ハルヒに突っ込まれると は、オレも落ちぶれたもんだ。 「でもまぁ、有希もあれよ。料理だったらあたしに任せればいいのに。あんたも大喜びの メニューがあるのにさ」 ハルヒの料理の腕前には疑いもないが、オレが大喜びのメニューには興味がある。 「でもそれには、みくるちゃんの協力が必要なんだけど」 ……何故だろう、オレは予知なんてできないが、ハルヒが次に言いそうなことが、なん となく分かってしまった……が、それを真面目に言うとしたら、こいつは正真正銘のアホ かもしれん。 「……試みに聞くが、どんな料理だ?」 得意満面で胸を張り、ハルヒはビシッとこう言った。 「女体盛りに決まってるじゃない!」 今日の懸案事項は、放課後にどうやって朝比奈さんを守るか? てことにたった今、決 定した。はぁ~……やれやれ。 〆
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2859.html
喜緑「はぁ」 会長「どうした?」 喜緑「昨日捨て犬を拾ったんですけどうちのマンションペット禁止なんです」 会長「ほう・・・うちで飼おうか?」 喜緑「いいんですか?」 会長「ああ、ちなみに種類は?」 喜緑「ボルゾイです」 会長「で、でかいな・・・」 喜緑「だめなんですか?」 会長「いや・・・一つ条件がある」 喜緑「なんでしょう」 会長「週に一回でいいから一緒に散歩にいこう」 喜緑「・・・・仕方ないですね」 喜緑(今日はプー(犬の名前)の散歩のために会長の家にきました・・・まったく人間の分際でわたしを呼び出すとはいい度胸です) [ピンポーン] 会長「おおいらっしゃい、さあ上がりたまえ」 喜緑「今日はプーの散歩に行くために来ただけですから」 会長「そのプーなんだがまだ寝ているんだ。寝顔を見たくはないか?」 喜緑「・・・見たいです」 会長「どうだ?可愛いだろう」 喜緑「わぁ、可愛いですね」 会長「こら、あまり大きな声をだすんじゃない、プーが起きるだろ」 喜緑(会長のくせにやさしいところあるんですね) 会長「それじゃあお茶でも煎れるから、待っててくれ」 喜緑(・・・随分何もない部屋ですね・・・あれ?あの写真たてなんで倒れてるんでしょう) 会長「ちょ、なにしてる!それに触るな!」 喜緑「会長がわたしに命令ですか?10億年早いです」 会長「ああ!!」 喜緑「・・・・・わたし?」 会長「べ、べつに喜緑くんの写真にこだわってるわけじゃなくてただ綺麗な人の写真部屋に飾りたかっただけで、あの・・・その・・」 喜緑「いきなりツンデレですか?言ってくれたらもっといい写真あげたのに」 会長「ほんとうか?」 喜緑「勘違いしないでください。プーのお礼にあげるだけなんですからね」 会長「まさかのツンデレ返し・・・最高 喜緑「あ、プー起きたの?」 プー「クゥーン」 会長「犬を飼うのは初めてだがとってもいいものだな」 喜緑「ふふふ、お腹すいたの?ほらスモークチーズ食べる?」 会長「犬にスモークチーズはどうだろうな、それにどこから出したんだ?」 プー「ハムハム・・・」 喜緑「か、可愛すぎ・・・」 会長「なあさっきからわたしと会話成立してないぞ」 喜緑「ミルクのむ?」 プー「ピチャピチャ」 会長「だからどこから出しているんだ・・・マジシャン?」 喜緑「今日は一日遊びましょうね」 会長「まじで?」 喜緑「さあ散歩にいきましょ」 会長「ずっと無視か・・・・だが可愛いから許す!!」 プー「・・・くぅ・・・くぅ・・・」 喜緑「なんかわたしも眠くなっちゃいました・・・・」 会長「おぅ、そ、それはどういう意味かな?」 喜緑「・・・・・すぅ・・・・すぅ・・・」 会長(・・・・てホントに寝とるがな、まあ今日はいつもとキャラ違くない?ってくらいハシャいでたからな・・・ 毒舌だけど寝顔は天使だ、プーといい勝負だぜ・・・今ならキスしても起きないんじゃないか? ・・・いやだめだ、男としてそんなことは、いやでもちょっとくらいなら・・・・・) [パサ・・・ガチャ] 会長「これ以上あの寝顔を見てたら自分を抑えられないからな) 喜緑(・・・あれ?いつの間にか眠っちゃったみたいですね・・・会長は?) [ガチャ] 喜緑「会長?どこですか?」 会長「ああ、起きたのか喜緑君」 喜緑「すいません、こんな時間まで寝ちゃって、そろそろ帰りますね」 会長「そうか、送っていこう」 喜緑「一人で帰れますから」 会長「まあいいじゃないか、それにちょっとコンビニで買いたいものもあるのでな」 喜緑「そうですか、それじゃあ」 [ガチャ] 会長「端から見たらカップルに見えるのか」 喜緑「馬鹿言わないでください」 会長「馬鹿か?」 喜緑「今度プーに会えるのは一週間後ですか」 会長「明日も来たらどうだ」 喜緑「え?」 会長「プーも喜緑くんに会いたいだろうからな」 喜緑「プーも?」 会長「嫌か?」 喜緑「・・・・それじゃ、明日も来ますから」 会長「そうか」 喜緑「プーに会いにですよ?」 会長「そうか」 喜緑「明後日も来ていいですか?」 会長「喜んで」 喜緑「・・・・あ、ここでいいんで」 会長「そうか・・・それじゃまた明日」
https://w.atwiki.jp/monchatosougou/pages/30.html
面白いssを紹介していきます。 因みに現在ss投票大会というのを実施しています。 もし選ばれたかたは ここに記載するので、お願いします。