約 225,585 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2136.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359734281/ 外では氷雨のように冷たい雨が降っている。 雨に濡れて弱った子猫の声が聞こえる。 ミーミーと、か細く弱い声で鳴いている。 その鳴く子猫を抱いた子供が父親に必死に頼み込んでいる。 厳格な父親に対して泣きそうな顔をしながら頼み込んでいる。 『あ、あのこの子を飼っちゃダメですか……』 『……家は飼えない事をわかっているだろう、元居た場所に返してきなさい……』 『で、でも、この子弱っていて放っておいたら死んじゃうかも……』 『…………元気になるまでの間だけだ、そのあとは飼ってくれる人を探そう。』 『はい! ありがとうございますお父さん!』 懐かしい夢だ、今は離れ離れになってしまったがあの子は元気だろうか。 顔を洗い、着替えて、財布と携帯とイニシャルが入ったハンカチを持って部屋をでる。 ホテルの食堂に着くとみんなが待っていた。 優希「犬ー!おそいじぇ!」プンスコ 京太郎「だー! 抱きつくな! あと犬じゃねぇっての!」アタフタ 和「そうですよゆーき、人を犬扱いしては失礼です。」 みんな各々食べたいものを注文をして持ってくる。 席に着いた面々が手を合わせてから食べていた。 優希「やっぱりタコスは出来たてが美味いじぇ~。」 京太郎「ああもう、口の周りに食べかす付いてんぞ。」 京太郎「待ってろ、今ハンカチで……あれ、どこにしまったかな……」 優希「ハンカチなら犬のポケットから出てあるじょ。」ヒョイ 「触んな!!」 優希「ヒッ!?」ビクッ 京太郎「あ……悪ぃ、それすごい大切な物なんだ。」 優希「まったくびっくりしたじぇ……そんなに大切なものってことは誰かに貰ったものなのか?」 京太郎「……ああ、すごく大切な人から貰ったんだ。」 彼は少し安堵したような顔をした後ハンカチをポケットにしまいました。 それを横目に見ながら食事をしていると私に声が掛けられます。 「和ー!」 京太郎「あ……」 和「あれ、穏乃……どうしたんですか?」 穏乃「和をさっき見掛けたから多分ここにいるだろうと思って。」 和「そうだったんですか。」 京太郎「…………」ジー 穏乃「ん? 君、どこかで会いましたっけ?」 京太郎「いえ……」 穏乃「んー? どっかで会ってる気がするんだけどなー……」 憧「ちょっと! シズ!」 京太郎「!?!?」ガタタン 優希「どうしたんだじょ? まるで突然天敵にあった小動物のような反応だじぇ。」 京太郎「い、いや、なんでもないよ?」 優希「声が上擦ってるじょ……」 京太郎「そうか?」オドオド 憧「えっと、どうかしたの?」 京太郎「ななんでもないです!」ジリジリ 憧「なんでもないって感じじゃないわよ……しかもあんたさっきから少しずつあたしから距離取ろうとしてるわよね?」 穏乃「……私の友達がなんかしたの?」 京太郎「アコは関係ないよ!?」 憧「あれ、あたし名乗ったっけ?」 京太郎「え、えっとインターハイの出場選手だから知っててもおかしくないでしょう?」 和「まぁ、確かにそうですが……それにしてもさっきから挙動がおかしいです。」 京太郎「そ、そうかな?」オドオド 和「……今の須賀君、初めて優希と会った時みたいな態度ですよ?」 優希「ああ、そういえばそうだじぇ。」 優希「犬と初めて会った時、鳩が豆鉄砲食らったような顔したあとやたらキョドってたじょ。」 京太郎「あ、いやだって、それは……」 憧「……ま、いいや。」 京太郎「あぶねぇ……」 それからしばらく穏乃や憧と食事をしながら会話をしていました。 須賀君がやたら憧にビクビクしていたように思います。 憧「そろそろあたしたちは行くわね。」 穏乃「じゃあね、和。」 和「ではまた。」 優希「あれ? 咲ちゃんがいないじょ……」 和「確か先ほどお手洗いに立って……」 京太郎「……まさか。」 優希「多分そのまさかだと思うじぇ……」 京太郎「……探しに行って来ます。」 和「私も行きます……」 溜め息混じりに席を立った須賀君に続き、私も咲さん捜索の為に付いていく。 お手洗いに続く道を歩く途中なにやら須賀君が行動を起こしていました。 須賀君は少ししゃがんで頻りに辺りを見回しています。 和「何をしているんですか?」 京太郎「ん? ちょっと咲の痕跡を探しているんだ。」 和「痕跡? そんなものがどこにあるんですか……」 和「それにしても咲さんは一体どこへ……」 京太郎「……こっちだ。」 和「わかるんですか?」 京太郎「ああ、咲はこっちを歩いていった。」 和「一体どうやって……」 京太郎「付き合い長いからな。」 須賀君が辺り見回しながら咲さん歩いた道を辿るように右へ、左へとうねうね曲がりながら進んでいく。 一体こんな事で咲さんが見つかるのでしょうか。 暫く歩くと見覚えのあるシルエットが見えました。 それはこちらに気付くと今にも泣きそうだった顔を明るくさせてこちらに駆け寄ってきました。 咲「京ちゃん! 和ちゃん!」 京太郎「また迷いやがって……世話掛けさせんなよ……」 咲「ごめんね……」 咲さんに悪態を吐きながら頭をぽんぽんと触る須賀君。 そんな素振り見せないですが、心配していたのを隠すようでした。 傍から見れば結構過保護な気がします。 そんな事に気付いたら不思議と口角があがっていました。 和「うふふ、でも見つかってよかったですね。」 咲「うんうん、ちょっと迷った程度で大騒ぎしすぎなんだよ京ちゃんは。」 京太郎「おう、言うねーさっきまで泣きそうな顔をしてたやつが。」 咲「さ、戻ろうか。」 京太郎「迷った奴が仕切るな。」ポンッ 咲「あいた。」 戻る途中、近道に公園を通ると先ほどまで一緒に居た憧が木の前で右往左往していました。 一体憧は何を…… 和「あれは……」 京太郎「げっ!?アコ!……」 憧「ん? 和たちか……『げっ』て、なによ失礼ね……」 咲「どうかしたんですか?」 憧「うん、ちょっと木の上に猫ちゃんがね……」 見上げると確かに木の上に子猫が居ました。 どうやら登ったいいけど降りられなくなったようです。 京太郎「……ん、ちょっと待ってろ。」 京太郎「よっと。」 彼はそういうと木の下に行き、屈んだと思ったら身体を伸ばし、ピョンと跳ねました。 跳躍したと思ったら彼は木に掴まりスイスイと登っていく。 子猫が居る枝まであっさり辿り着き、そして手を差し伸べ子猫に声を掛ける。 京太郎「おいで、怖くないよ。」 子猫「ニャン。」ピョン 憧「猫が素直ね……」 咲「京ちゃんは動物の気持ちがわかるんですよ、カピバラとかも飼ってるからかな?」 憧「へぇ~人は見かけによらないもんね。」 京太郎「よし、降りるぞ。」 枝に手を掛け、そこから着地して子猫を放してあげる。 彼の身軽さを見た憧が感心するように言葉を漏らしていました。 憧「あんたまるで忍者みたいね、木登りも上手いし。」 京太郎「山生まれの山育ちだからな。」 咲「お猿さんみたいだよね。」 京太郎「咲はいつも一言余計だ。」 子猫「にゃん♪」スリスリ 憧「あんたに感謝してるみたいね。」 咲「京ちゃん猫には好かれるよね、猫には。」 京太郎「『には』は余計だ。」 憧「いいな~あたしも動物に好かれたいわよ……」 京太郎「無理に近づかなきゃいいんじゃないですかね。」 憧「……あんた適当に言ってるでしょ?」 京太郎「いーえ、別に。」 憧「まぁいいわ、猫に好かれる秘訣は今度聞くもの。」 憧「それじゃあね、和。」 和「それでは。」 憧と別れたあと、咲さんを無事送り届けました。 そのあと須賀君に今までの不可解な行動について聞こうとしました、買出しがあると言われて上手く逃げられてしまいましたが。 私は子猫で思い出し、エトペンの身体の脇を見る、そこには動物の爪痕を縫ったあとがありました。 外に出て歩く少し気分を変えたくて。 エトペンを抱えたまま昔の事を思い出す。 奈良に居た時の事。 別れ際にとあるものを渡した事。 そんな事を考えていたら人とぶつかってしまいました。 ドンッ 「きゃ!? すみません……」 人とぶつかりふらついてしまう。 その際大事なエトペンを落としてしまった。 「あ、エトペンが……」 転がっていくエトペンを追いかけて拾いに行く。 転がるエトペンを漸く拾えました。 ですがそこは車道、ここで私は周りに碌な注意を払わず飛び出していたことに気付く。 車道に飛び出した私に向かってくる車。 注意を払わなかった代償は身を危険にすることで払ってしまうことになる。 『注意一秒、怪我一生』とはよく言ったものです。 徐々に迫る車に意識を向けた私の視点が傾く。 そしてその少し前には声と衝撃が…… 「のどか! 危ない!」 聞き覚えのある男の人の声が聞こえた瞬間、私の身体は突き飛ばされる。 振り返った時に見たその金色の頭髪が、私が先ほどまで居たところに立っていました。 勿論、その位置に向かって来る車も彼を狙うかのように…… 彼は車に視線を向けた瞬間硬直して動けていなかった。 車は無慈悲にも彼に食らい着こうとしている。 私はその刹那、恐怖で目を瞑ってしまった。 甲高いブレーキの音。 人のざわめき。 車のドアが開く音。 運転手のうろたえる声。 が、いつまで待っても、どこにも人を撥ねた音はしなかった。 「さっき男の子轢いてしまったと思ったのに……!」 「いないんだ、居ないんだよ! さっきの男の子が!」 私は恐る恐る目を開き確かめてみる。 確かに彼は居ませんでした。 ただ、およそ彼がそこに居たであろう場所には制服が落ちていました。 私は、その制服を手に取り、周りを探しました。 明らかに異様な状況にも関わらず、辺りに彼が居るのではないかと思って…… ですが、結論から言うと見つかりませんでした。 私は手に持った制服を見ながら考える。 ポケットには携帯と、財布と、彼の宝物のハンカチが入っていました。 彼の宝物という事が気になってハンカチを調べてみる。 そしてとあることに気付く。 和「これ、は……」 ハンカチにはN.Hと刺繍が入っていました。 これは昔、私があの子に渡したもの…… あの子とはもう数年会っていない。 彼はあの子となにか関わりがあったのでしょうか…… それに関して知っていそうな友人に聞いてみることにしてみました。 それは前に預かっていてくれた友人。 憧「あれ? 和、どうしたの?」 和「すいません、穏乃にどうしても聞きたいことが。」 穏乃「何でも聞いていいよ。」 和「……あの子……穏乃に預かってもらったひょうちゃんに関してです。」 憧「ひょうちゃん? 確か穏乃が預かっていたあのこだよね?」 憧「しかも穏乃が名付け親だったから結構懐いてた。」 和「そうです、そのひょうちゃんです。」 穏乃「……うん、わかった。」 穏乃「あの子を和から預かった日からひょうちゃんはずっと大人しかったんだ。」 穏乃「まさに借りてきた猫状態だったよ……」 穏乃「家のお店においても大人しいし、みんなから愛されてたんだ、みんなに撫でられて、お店の看板招き猫だって。」 穏乃「和から貰ったハンカチ、首に着けて凄く大事そうにしてた。」 穏乃「ひょうちゃんはよく店の窓から外を見てたよ、誰かが道を通るたびに視線をずらしてた。」 穏乃「今思えば和が来るのをずっと待ってたんだね……」 穏乃「気分転換に散歩とか連れて行ったけどよく辺りを気にしていた、というより匂いを嗅いでいたんだ。」 穏乃「それからひょうちゃんはさ、和が引っ越したあともちょくちょく和が居た家に行ってた。」 穏乃「なんどもなんども行くから、その度にかわいそう思えてさ……私、思わず言っちゃったんだ……」 穏乃「『そこにはもう、和はいないんだよ。』って……」 穏乃「それから少ししてひょうちゃんはいなくなった……」 穏乃「最初は散歩にでも行ったのかなって……お腹空いたら戻ってくるかなって……」 穏乃「でも……ひょうちゃんは帰ってこなかった……」 穏乃「私が……和はもういないって言ったから……探しに行っちゃったんだって思って。」 穏乃「きっと、私のせいだって……」 穏乃の声が震えていた、目尻には薄っすらと涙も…… 穏乃はあの子がいなくなったことが気懸かりだったんですね…… 穏乃「もしかしたら無事、和のところに行ったのかもって思ったけど……和の連絡先も知らなかったし……」 和「穏乃、ありがとう、話してくれて……」 穏乃「うん、今までちょっと言いづらくてさ……」 和「そう、ですか。」 穏乃「何でまた今になって?」 和「もしかしたらですが、ひょうちゃんと会えるかもしれないんです。」 憧「嘘!?」 穏乃「ホント!?」 和「もしかしたらですが……」 憧「あ~! あの子もっかいモフモフしたい~!」ワキワキ 穏乃「憧は動物好きだもんね。」 憧「部屋にはぬいぐるみや飼育本があるくらい好きよ。」 和「もし会えたなら憧も触れるかも知れませんね。」 憧「そのときはよろしくね。」 穏乃達と別れてホテルに戻りました。 そして、彼の部屋へと向かい、ドアをノックします。 中から返事を待つとドアが開きました。 彼は私を見ると少しほっとしたような顔をしていました。 京太郎「和……」 和「先ほどは助けていただいてありがとうございました。」 京太郎「いや……それは……」 和「聞きたい事があるので、中に入ってもいいですか?」 京太郎「……ああ。」 中に入ると荷物を整理している様子でした。 多分、服を漁っていたのでしょう。 彼は着ていた物を置いて事故現場から消えたのですから。 和「これをお返しします。」 京太郎「……こりゃ、どうも。」 和「ところでこのハンカチについてお聞きしたいのですが……」 京太郎「ああ、それがどうしたんだ?」 和「優希がこれに触った時、須賀君は大事な宝物だと言いましたよね?」 京太郎「ああ、そうだよ。」 和「実はこれ、私が奈良から引越しする際にある子に渡したものなんです。」 和「貴方が持っていたということは、貴方はひょうちゃんについて知ってますよね?」 京太郎「……もっと直接言ったらどうだ?」 和「……では単刀直入に言います。」 和「須賀君は、ひょうちゃんなんですよね?」 京太郎「……なんでそう思うんだ?」 京太郎「いつもの和なら『そんなオカルトありえません』って否定するだろ?」 和「……そうですね、でも貴方は嘘は吐かないと思います。」 京太郎「人は猫には化けないだろ。」 和「語るに落ちていますよ、『ひょうちゃんが猫』だなんて私は一言も言っていません。」 京太郎「……はぁ。」 京太郎「俺はもう和が知ってる『ひょうちゃん』じゃないぜ?」 京太郎「元の姿が可愛くなくても文句言うなよ。」 和「構いませんよ。」 私がそう言うと須賀君……いえ、"ひょうちゃん"はみるみるサイズを変えて猫に変わっていきました。 体長約90センチの身体に40~50センチはある長い尻尾。 まるでジャガーや豹のような短い毛の文様。 小さい頃の記憶とは違いますが間違いなく"ひょうちゃん"でした。 「びっくりした?」 和「驚いてはいますがそれよりも嬉しいです。」 和「昔はあれだけ小さくて弱々しかったのに……」 「そうか、やっぱり昔からのどかなんだな。」 和「? どういう意味ですか?」 「そのままの意味だよ、昔からその優しさは変わっていない。」 「昔から人間っていうのは匂いが変わらないな。」 和「もしかして憧のことですか?」 「ああ……うん、あいつは無茶苦茶にしてくるから苦手だ。」 和「うふふ、憧は動物が好きですからね。」 「それはわかってはいるんだけどな。」 「一体幾つの仲間が魔王アコの犠牲になったのやら……」 「まぁアコも成長して少しは大人しくなったのかな?」 和「……聞いても良いですか?」 「なんだ?」 和「その……ひょうちゃんが須賀君になった理由とか。」 「……俺さ、のどかが居なくなった日から探していたんだ。」 「家まで匂いを辿って。」 「その時はシズノも一緒にいたけどさ。」 「何度も行くとシズノが寂しそうに教えてくれたよ。」 「『のどかはもういない』って。」 和「ええ、知っています、聞きましたから。」 「でさ、俺さ、思っちまったんだ。」 「捨てられたんじゃないかって。」 和「!……」 「もしかしたら何かの間違いじゃないかとも思ったけど、仲間の猫も捨てられた奴がいたんだ。」 「家猫だったけど、もう飼えなくなったから捨てられたんだって……そいつは言ってた。」 「でも、俺は諦め切れなかった、認めたくなかった。」 「のどかに捨てられた事に、どうしても思い出を忘れられなかった。」 「のどかの匂いも、初めて抱いてもらった時の温かさも、忘れられなかった……」 「だから俺はのどかを追いかけたんだ、シズノや可愛がってもらった周りには申し訳なかったけど。」 「長かったよ、のどかを捜す旅路は……」 「烏や野生動物に襲われたりもした。」 「悪ガキにも追いかけられたこともあった。」 「宛てがわからない旅に疲れて、疲れきって、倒れて、 もう死ぬんだろうなって思ったときさ……俺を助けてくれた老夫婦がいたんだ。」 「倒れてから何時の間にか俺は人っぽいの身体になっていた、 そんな事どうでもよかったけど……須賀さん……俺を拾ってくれた人だが。」 「爺ちゃん婆ちゃんは必死に介抱してくれたんだ、どこの生き物かわからないような俺を。」 「優しい人たちで今でも感謝してるんだ。」 「介抱してもらったときに名乗ったんだけどさ、俺餓死寸前だったし、 なにより人の言葉を喋ったの初めてだったから上手く言えなかったんだ。」 「ちゃんとシズノが付けてくれた『豹太郎』って言う強そうな名前を貰ったのにな……」 「それから京太郎って名前になっちまったよ。」 「そのあと学校にも通わせてもらってさ。」 「咲にあったのもそこらからかな。」 「これが俺が人間っぽくなるまでのそして須賀を名乗る話だ。」 和「そうだったんですか……」 「助けてもらった爺ちゃんや婆ちゃんに恩返ししたかったから、のどかを捜すのを辞めて一緒に住んでたんだ。」 「でも、高校に入ってから懐かしい匂いがしてその匂いを辿っていくと麻雀部に行き着いたんだ。」 「ドアを開けると……のどかがいた。」 「嬉しかったよ、でも俺は名乗れなかった、昔とは違う姿だったから。」 「ついでに小さい頃のアコに似た女が居てびびったぜ?」 和「優希は確かに小さい頃の憧に似ていますからね。」 「まぁ匂いで違う人間だってわかったけど中々なぁ……」 和「そんなに憧が苦手だったんですか?」 「俺を捕まえて無茶苦茶撫でてくるじゃん……」 「禿げるかと思ったよ。」 「あいつは動物好きにも程があるよ。」 和「うふふ、そうですか、憧の猫可愛がり困ったものですね、憧にはちゃんと言っておきますよ。」 「なぁ、のどか。」 和「はい?」 「ちょっとだけ甘えて良いか?」 和「ええ。」 私はベッドに腰掛、ひょうちゃんは私の膝の上に乗ってくる。 撫でて上げるとゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らしています。 スリスリと頭を擦り付ける動作。 まるで昔に戻ったようでした。 「ありがとう、元気が出たよ。」 和「いえお安い御用ですよ。」 「あとさ……のどか、一応言っておきたかったんだけど……」 和「はい?」 「実はさ、前々からこの姿を見せたら俺、姿を消そうと思っていたんだ。」 和「そんな……」 「わかるだろ……俺はのどか達とは違う、人じゃない……かといってただの猫でもないんだ。」 「文字通り住む世界が違う。」 「……それじゃあな。」 和「ひょうちゃん!」 追えば彼は逃げるでしょう。 本気で逃げたら人の足では追いつけない。 それほどに私たちには隔たりがあり、埋められない溝がある。 それでも私は…… 追わなくては……今追わないと一生後悔すると思い、私は部屋を飛び出していた。 公園近くを猫が一匹、色々と思い悩みながらトボトボと歩いている。 (どうすっかな……爺ちゃん婆ちゃんにも会わないといけないし……) 「あ、猫ちゃん!」 (あ!? この声にこの匂いは!?) 憧「あんたあの子に似て可愛いわね~」ワキワキ 憧「ほれほれおいで~」 (猫じゃらしだと? へ、甘く見られたもんだぜ。) 憧「ほらほら~」 (散っていった多くの仲間の為にもこんな奴に屈してたまるか!) (絶対猫じゃらしなんかに負けたりしない!!)キッ 「にゃ~ん♪」 憧「やっぱりこれを使うとイチコロね~。」 (本能には勝てなかったよ……) (てかマタタビは反則だろ!) 憧「もしかして和が言ってたアレってこの子のことかしら?」 (!? まずい!) 憧「ちょっと和に連絡取るから大人しくしててね、猫ちゃん。」 (和に居場所バレるのはまずいって!) (何とか逃げないと……) 憧「うりうり~猫ちゃんは大人しくマタタビを嗅いでなさ~い。」 (くやしい…!でも…嗅いじゃう!)ビクンビクン 和「ありがとうございます。」 憧「いいのいいの、すっかりこっちも楽しませてもらっちゃったし。」ツヤツヤ (お婿にいけない身体にされてしまった……)シクシク 憧「で、やっぱりこの子ってひょうちゃんなの?」 和「ええ、ですから再び会えたのが嬉しいんです。」 和「それなのに逃げ出してしまって……」 和「でも、もう逃がしません。」 和「首に縄を付けてでも一緒に帰ります。」 憧「そう、ならまたあたしにも触らしてよね。」 和「うふふ、ええ構いません、ひょうちゃんが嫌がらない程度でしたら。」 憧「うん、和なら言ってくれると思った……あ、シズにも伝えなきゃ。」 和「きっと喜びます、穏乃もこの子も。」 憧「じゃあ、あたしシズに伝えてくるわね~。」タタタタッ 和「……もう、逃げないでくださいね?」 「でもさ、俺は人間でも猫でもないんだぜ?」 和「そんなのどうでもいいです。」 「……俺の意思は?」 和「そんなの知りません。」 「結構、のどかって頑固だよな……」 和「頑固で結構です。」 「ま、そのおかげで俺は生きてるんだけどさ……」 和「さぁ、帰りましょう、みんなが待ってます。」 和「あと人の姿格好で匂いを嗅がないでくださいよ? 怪しまれますから。」 「え、バレてた? さりげなくやってたつもりなんだけどな……」 和「気付く人は気付きますよ、猫だってバレないのが不思議です。」 「いやいや、目の前で変わらないかぎり大丈夫だろ。」 和「色々猫とバレ無いように特訓しないとですね。」 「麻雀の特訓の方が有意義だと思うんだけどなー……」 和「ほらほら~」 京太郎「…………」 優希「咲ちゃん、犬の奴、のどちゃんと何してるんだじぇ?」 咲「さぁ……猫じゃらしを目の前で揺らして何やってるんだろうね……」 京太郎「……んにゃー。」 優希・咲「え?」 和「ちょっ!?」 京太郎「す、すまん……何とか誤魔化してくれ……」ボソボソ 和「お、お前ネコかよー!?」 京太郎「ん、ンアーッ!」 和「無理矢理すぎませんか……」 京太郎「大丈夫、あの二人ならこれで誤魔化せると思う……そんな気がする……」 咲「京ちゃんがおかしい……」 優希「のどちゃんもおかしいじぇ……」 和「…………」 京太郎「……すまん。」 和「これからも頑張りましょう……」 京太郎「ああ、そうする……」 カンッ!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/727.html
やって参りました、茨城に。 正直姉さんが一番怖い。 何が怖いかって今までの多くは対局の中で記憶の断片を取り出してきたけど(数名は怪しいけど)、相手が姉さんだと洒落にならない。 下手な事をするとレジェンドされちゃう…… しかしあの人はかわいそうだったな、健夜さんに跳満直撃なんてしなければ…… うだうだ考えても仕方ないな、なるようになるだろ。 とりあえず駅の改札口から出て、家までの道を歩いていく。 家までの道程はなにも変わってない、と言うか何も無い…… ……何も無いのは慣れてるけどさ。 しかし辺りがそろそろ暗くなってきた。 やはり岩手から茨城の鈍行は無茶だったか…… 学生の身に金銭関係は結構厳しい。 それでも節約する俺ってやっぱり主夫向きなのだろうか。 そんなバカな事を考えていたら、道端で蹲っている人が居る。 酔っ払いか?と思いつつ声を掛けた、が…… 京太郎「あの、大丈夫ですか?」 健夜「あ~大丈夫です~」 やっぱり酔っ払いだった、しかも身内である。 これは酷いかなりの出来上がり具合だ。 京太郎「帰れますか?送っていきますか?」 健夜「え~おくってくれるんですか~?」 京太郎「はい。」 そう言って俺は健夜さんを背負って家まで『帰る』事にした。 とぼとぼと家までの道を歩き、うんうん唸ってる仕方ないこの人はやっぱり放っておけないオーラがある。 この先、この人に良いお相手が出来るんだろうか? 恒子さんの言葉を思い出して、あんまり深くは考えないようにした。 健夜「う~ん良い背中だ~」 京太郎「吐かないでくださいよー」 健夜「大丈夫だよ~吐かないよ~」 そんな取り止めの無い会話をしながら、背中の温かさを懐かしむ…… ――健夜視点―― こーこちゃんに付き合って相当呑んでしまった。 しかもいつの間にか誰かにおんぶされている。 この子はいつの間にかこんなに大きくなってしまって…… はて、この子とはなんだっけ? まあいいや~何か懐かしい気がするもの。 もうちょっとだけ、このタクシーの乗り心地を楽しんでおこう。 酔いが醒めたら誰だか確かめれば良いし。 京太郎「大丈夫ですか?そろそろ家に着きますよー?」 健夜「あーごめんね、大分お酒が抜けてきたみたいです。」 京太郎「そうですか、お酒は程々にしてくださいね。」 京太郎「……家に着きましたよ。」 健夜「んー?なにしてるの?」 京太郎「え、なにしてるのって……」 健夜「上がっていかないの?」 京太郎「……まだ相当酔ってますね。」 健夜「……お酒はもう抜けたよ。」 京太郎「……健夜さん。」 健夜「……京太郎君、姉さんって呼んでくれないんだー」 自然と名前を呼んでいた。 さもそう呼ぶのが当たり前のように。 「さあ上がって。」 「これから私の自慢の『弟』を両親に紹介しなくちゃいけないんだからさ……」 「……お邪魔します。」 「違うでしょ?こういうときは――」 「ああ、そうでしたね。」 『ただいま、姉さん。』 『おかえり、京太郎君。』 【ただいま・おかえり】 京太郎(小鍛治)・健夜「「最後のいっこカン」」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1826.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341225918/ 咲「ツモ。4000オールです」 久「ふぅ、須賀君のトビで終わりね」 優希「うがー、この馬鹿犬!お前のせいで優希ちゃんの華麗な逆転劇が始まる前に半荘終っちゃったじょ」 京太郎「うっせえ、俺だって好きでとんだ訳じゃないつーの!」 優希「犬の分際で口答えとはなまいきだじぇ」 咲「まあまあ優希ちゃん、抑えて、抑えて」 和「そうですよ優希、今回は須賀君の打ち方が悪かったという訳ではなく単純に宮永さんの調子が良かっただけです。現に部長と優希の点数も残りわずかだったでしょう」 優希「うぐぅ、それを言われると言い返せないじぇ……」 京太郎「和マジ天使」 優希「ぐぬぬ」 久「いやー、それにしても今日の咲にはまいったわー。この調子なら全国も余裕ね」 まこ「まさに鬼神のごとき鬼ヅモだったからのお。咲の後ろに世紀末覇者が見えたわ」 咲「もう二人ともからかうのはやめてくださいよ。今日はたまたまですよー」 京太郎「ちくしょー!久しぶりに卓に座れたっていうのにこんなのあんまりだー!!」 咲「ふふふ、でもわたしは久しぶりに京ちゃんと麻雀できて楽しかったよ!」 京太郎「咲…お前……」ホロリ 咲「だって、京ちゃんが卓に入ったらビリになることはないもん」 京太郎「そんなことだろうと思ったよ!ちくしょう!」 咲「あはは」 久「あら?もういい時間ね、みんなそろそろ帰るわよー」 まこ「暗くなる前に帰らんと」 優希「かわいいのどちゃんはお家に帰る時間だじぇ」 和「どういう意味ですか?」 久「あんまり帰りがおそい時間になると、和みたいなかわいい娘は変質者に襲われちゃうかもしれないから早く家に帰りなさい。てことよ」 和「ななななにを言っているんですか!そんなことあるわけないですよ!!」 久「いやー、そんなことないと思うわよ。あなたも暗い夜道の中、和が一人で歩いてたらついつい襲っちゃうでしょ?須賀君」 京太郎「話題の振り方も内容も最悪ですよ部長!!」 咲「……」 京太郎「咲さん、無言で足を踏むのをやめてください」 和「須賀君……」 京太郎「和、これは誤解だ!だからそんな悲しい目で俺を見ないでくれ!!」 まこ「ここだけ切り取ってみると、本妻に浮気がばれた駄目男みたいでおもしろいのー」ニヤリ 優希「わたしは会社の上司役を希望するじぇ!」 京太郎「お願い!悪乗りしないでこれ以上は収拾つかなくなるから」 ワイワイガヤガヤ 京太郎「部長!さっきの言いがかりを早く訂正してくださいよ!」 久「あはは、ごめんごめん。みんなが面白い反応してくれると思ったからついね」 京太郎「完全に部長は遠巻きに楽しんでましたけどね」 久「うん、意外に思うかもしれないけど私Sなの。だから自分に被害が及ばないところで人が酷い目に合ってるのを見るのが大好きなの!」ニコッ 京太郎「部長、あなたがドSなのは意外でも何でもない周知の事実ですし、なにより後半部分に関してはただの性格の悪い女性みたいになってますよ!」 久「私が性格が悪い女ですって?映画13日の金曜日でジェイソンに感情移入できるこの私が!?」 京太郎「部長!そのフォローは全く意味がないです!逆に先ほどの自分は手を汚さず高みの見物をしている知的な悪党っぽいイメージに猟奇的な殺人鬼までプラスされて、なんかもう知性と力を併せ持つ稀代の殺人鬼みたいなイメージになっちゃってます」 久「そういえば、須賀君て結構かっこいい顔してるわよね。うふふ、食 べ ち ゃ い た い ぐらい」二コリ 京太郎「なんで今のタイミングでそんなこと言うんですか!普通に怖いですから、いつもは素敵な笑顔が逆に怖いですからー!」 久「冗談よ、須賀君があまりにもいいリアクションするからついつい遊びすぎちゃうのよ」 京太郎「さいですか……」ゲッソリ 久「それはそうと、皆の誤解もそろそろ解かないとね」 京太郎「お願いします」 久「オーイ!皆、さっき言ったことは私の冗談だから須賀君のこと誤解しないであげてね!須賀君は夜道で一人歩いてる女の子をどうこうする男の子じゃないわよー」 咲「そ、そうだよね!京ちゃんに限ってそんなことするわけないよねー。わたしも部長の冗談に乗ってみただけだから、京ちゃんがそんなことしないって知ってたよー」 京太郎「おい、咲……俺の眼を見て話せ」 咲「ヒュー、フシュー」 京太郎「お前が口笛のつもりでやっているそれ全然音でてないから、ただ口から息をはいてるだけだからな」 和「須賀君ごめんなさい……、同じ部員である仲間を疑ってしまうなんて私最低です……」ホロリ 京太郎「和……、わかってくれたならいいよ!俺も気にしてないしさ」 和「でも……」 京太郎「いいって誰にだって間違うこと位あるし、今後こうゆうことがないように気をつけていけばいいだけの話じゃないか」 和「須賀君……、そうですね!ありがとうございます須賀君」ニコッ 京太郎「おう!(和ちゃんマジ大天使ミカエル)」 和(チョロイですね)ニヤリ まこ(あまいのー) 優希(チョロアマだじぇ) 京太郎「まあ、なんにせよ皆の誤解が解けてよかったよ」 久「そうね、誤解が解けてよかったわね須賀君」 京太郎「はい、ありがとうございました!(誤解の原因の8割くらいは部長にあると思うが、口に出したら怒られそうだから言わない)」 久「大体普通に考えたらわかるはずじゃない。須賀君が夜道で襲うなんてことするはずないのにねー」 京太郎「全くもってその通りですよ!俺がそんなことする男に見えるのかって話ですよ!」 久「そうよねー、須賀君が女の子を襲っちゃうのはロッカーの中だけだよねー」 京太郎「そうそう、俺が女の子を襲っちゃうのはロッカーのって……あれ?」 久「部室内の狭いロッカーの中で女の子と二人きりで出るに出られない状況になった須賀君は女の子の髪や首筋から香る、女の子のにおいに自分が抑えきれなくなってほとばしる若いパトス(情欲のみ)をそのまま、わた『それ以上いけない!!!』」 京太郎「なんてこと口走ってくれてんだ!!あんたわ!!」 久「あら、事実じゃない?」 京太郎「事実だけれども!!」 咲「京ちゃん……」 京太郎「ひっ」 優希「犬……、今部長が言っていたいやに真実味を帯びた生々しい話しはどうゆうことだじぇ」 京太郎「落ちけつ優希」 まこ「まずはお前が落ち着け」 和「いま、須賀君事実って……」 京太郎「違うんだ和!これは別の世界線の話で」 咲「京ちゃん」クルクル 京太郎「咲、待ってくれ!これは誤解なんだ!」 咲「京ちゃんはエッチだなあ」グルグル 京太郎「咲……、お前の右腕なんか回転してね?」 咲「エッチな京ちゃんはロッカーの中で何しちゃったんだろうね?」ギュルギュル 京太郎「いやいやいや、絶対回転してきてるって!心なしか音も激しくなってきてるし!!」 咲「わたしに教えてよー京ちゃん」ニコッ ギュオーンギュオーン 京太郎「(このままじゃヤバイっ)咲……よく聞いてくれ。部長が言ってたあれは嘘なんだ、作り話なんだ、だから俺が女の子と一緒にロッカーに入った事実なんてない。つまり、ロッカーの件はさっきのと同じく部長の冗談なんだ」 咲「ほんとう?」くるくる 京太郎「あぁ!そうだ!(回転が遅くなっていく)」 咲「ひどいですよー、部長冗談だったんですか?」 京太郎(今だけでいい、部長……空気を読んでください) 久「えっ?事実だけど(そういう物があるのは)」 京太郎「あんたって人はーーーーーーーーーーー!!!!!」 久「言ったでしょ須賀君……」 久「私Sなのよ!」ドヤッ 京太郎「くっ(殴りたいこのドヤ顔……)」 咲「京ちゃん……、なんで嘘ついたの?」ギュオーンギュオーン 京太郎「咲!」 咲「嫌っ!もう聞きたくない!!」ギャレオンギャレオン 京太郎(あっ!これもう助からないわ) 咲「京ちゃんの」バリバリバリ 京太郎「なんか帯電し始めてるぞ!お前の右腕!!」 咲「ばかぁーーーーーーー!!」ドゴォーーーーン 京太郎「8100オール!!!!!!」バタンキュー 優希「親倍だじぇ」 まこ「なぜか一本場ついとるのお」 和「どんな手だったんでしょうか?」 久「あらら、さすがにやりすぎちゃったかしらね」 まこ「からかうのも、ほどほどにしておかないと京太郎の身がもたんぞ」 久「わかっちゃいるんだけどねぇ……。咲の誤解も解かないとね」 説明中 咲「そうだったんですか……」 久「ごめんね、咲のリアクションが面白くてつい羽目を外しすぎちゃったわ」 咲「いえ、それで京ちゃんは大丈夫なんですか!?わたし京ちゃんに酷いことしちゃって」 久「それなら大丈夫よ。気を失ってはいるけど幸い怪我とかはしてないわ」 咲「よかった…。でも、京ちゃんに酷いことしたのは事実だし京ちゃん許してくれるかなあ……」 優希「京太郎ならきっと許してくれるじぇ!」 和「そうですよ宮永さん、須賀君は優しい人ですからきっと許してくれますよ」 まこ「それに責任の大半は部長にあるしのー」 久「うぐっ、反省してるわよ……」 久「それより、あなた達は早く帰りなさい。もう外も真っ暗になってるわよ」 まこ「あなた達はって、部長はどうするつもりなんじゃ?」 久「須賀君が目を覚ますまでここで待ってるわ。もともと私のせいでこんなことになったんだもの、これ位のことはさせてもらうわ」 咲「それならわたしも!」 久「だめよ」 咲「どうしてですか!?」 久「理由は二つあるわ。一つはこれ以上遅くなってしまうと心配してる親御さんに申し訳が立たないとうこと、もう一つはもし教員が見回りに来ても学生議会長である私は色々と言い訳できるけど、咲はそういう訳にもいかないからよ」 久「だから今日は諦めて明日謝りなさい」 和「宮永さん、須賀君が心配なのはわかりますが幸い怪我もないわけですしすぐに目を覚ましますよ。ここは部長の言うとおりにして、明日謝るのが一番いいと思いますよ」 咲「……そうだね原村さん。わかりました、明日謝ることにします。でも部長、京ちゃんが目を覚ましたらわたしにメールください。やっぱり心配なんで……、お願いします!」 久「ええ、お安いご用よ」 優希「それじゃあ、のどちゃんが襲われないように帰るとするかだじぇ」 咲「それでは部長、京ちゃんのことよろしくお願いします。失礼します」 和「失礼します」 まこ「またのー部長」 バタン 久「ふぅ……」 久「ついついやりすぎちゃう。悪い癖ね……」 久「ごめんなさいね、須賀君」 久「うーん、それにしても須賀君が起きるまで何してようかしら」 久「読書でもしようかしら」 久「!」 コソコソ 久(こんな機会じゃないと須賀君の顔をじっと見る機会なんてないし) 久(須賀君が起きるまできれいなお顔を観察してましょうかね)ニヤリ 久(それでは失礼して) 久(ふぅ、やっぱり須賀君ってイケメンよね。ちょっとチャライけど顔立ちはきれいだし) 久(睫毛長いし) 久(肌もきれいだし、お手入れとかしているのかしら?) 久(……実に妬ましいわね) 久(ふふふ、唇の皮がめくれちゃってるわよ) 久(本当、黙ってればかっこいいのに) 久(その気になってちょっと頑張れば、彼女なんてすぐに出来ると思うわ。がんばれ!須賀君)クスクス 久(彼女ねぇ) 久(……) 久(須賀君の彼女ねぇ……、誰がお似合いかしら) 久(やっぱり幼馴染の咲が一番お似合いかしら?) 久(あんまり派手なデートとかはしないでお互いの家を行き来するような家族ぐるみの付き合いが似合いそうね) 久(だけどしっかり咲の尻に敷かれてる。そんな感じがするわ)クスクス 久(和はどうかしら?) 久(……………………) 久(全く思い浮かばないわ) 久(須賀君には悪いけど和と付き合うことになってもあんまり上手くいきそうにないわね) 久(優希は言わずもがなね。きっと毎日が楽しく過ごせると思うわ!(主に優希が)) 久(須賀君がなけなしのお小遣いをはたいて栄養ドリンクを買う姿が目に浮かぶわ……) 久(まこはどうかしら?) 久(うん) 久(いいと思うわよ!以上) 久(結論としては、やっぱり幼馴染の咲が一番相性よさそうね。次点で優希かしら?) 久(…………) 久(ふぅ……) 久(私が頭の悪い女の子だったらよかったのに) 久(どうして気づいちゃうかなあ……) 久(こうやって、自分を除いて考えようとしてたのが何よりの証拠よね……) 久(意識してるのバレバレじゃない) 久(はぁ) 久(恨むわよ須賀君) 久「イケメンになびくような女じゃないつもりだったのになー」 久「咲や優希も絶対須賀君に好意を持ってるわよね……」 わざわざ声に出して言うことじゃない。そんなことはわかっていた 久「だいたいなんでよりによって須賀君なのよ!顔がいい男なんて他にもいくらでもいるじゃない!」 顔だけじゃない。そんなことはわかっていた 久「須賀君なんてただのチャラ男よ。なんでそんな男好きになったの!?」 須賀君がもし起きてたら聞かれてしまう。そんなことわかっていた 久「だいたい私は本当に須賀君のこと好きなの?勘違いっていう場合もあるはずでしょ」 虚勢を張って自我を保とうと必死になっている。そんなことわかっていた 久「嫌いよ……、須賀君なんて」 口に出してしまった言葉が怖かった。本当に須賀君のことが嫌いになってしまいそうで怖かった。 久「今のは嘘よ」 だから 久「私は」 私は 久「須賀君のことが好き」 須賀君のことが好きだ。そう自覚できた。そんなことはとっくにわかっていたけど 久(結局認めたくなかっただけなのよね) 久(普段大人ぶってるけど、私もまだまだ子供ね) 久(好意を自覚してるであろう咲たちの方がよっぽど大人だわ) 久(はぁ、自己嫌悪だわ) 久(須賀君まだ寝てるかしら) 久(今の聞かれたなら聞かれたで別にいいけど(どうせ面と向かって告白なんてできないし)) 久(なんだ、まだ寝てるのね) 久(乙女の情けない告白を聞かれなくてよかったと思うべきか、タイミングを逃して残念と思うべきか) 久(……よかったと思っときましょう。そうでなきゃやってられないわ) 久(そういえば須賀君、ただ寝てるだけみたいだし起こしても大丈夫みたいね) 久(………………) 久(こんな時間まで付きっきりで看病してあげたんだから、報酬はあってしかるべきよね) 久(そうよ!いくら私のせいでこんな状況になってしまったことを差し引いても報酬はあってしかるべきのはずよ!間違いないわ!!) 久(………………) 久(それじゃあ、報酬として何を頂こうかしら) 久(お金とかはさすがにゲスイからなしとして) 久(うーんどうせなら、この状況でしかできないことがいいわね) 久(閃いたわ!この状況のお約束として、寝ている異性にチューしようとし、いざチューしようとしたら抜群のタイミングで寝ていた人が目を覚ますっていうあれをやってみましょう!) 久(須賀君が目を開けてくれたら成功で須賀君が目を瞑ったままなら罰ゲーム!いいわね面白そう) 久「それでは」コホン 久「須賀君起きてー」ゆさゆさ 久(起きるなよー) 久「もう!早く起きてよ」ゆさゆさ 久(起きるな!絶対起きるな!) 久「むぅ、起きないとチューしちゃうぞー」 久(相変わらずかっこいいわね、この男は) 久「須賀君、まだ寝てるの?」ゆさゆさ 久(ごめん咲、優希、私……もぅ) 久「……本当にチューしちゃうわよ?」ゆさゆさ 久(須賀君は私のものよ)キリッ 久「……須賀君が悪いんだからね」ハァハァ 久(近くだと須賀君の匂いがするな……いい匂い)クンカクンカ 久「それじゃあ、失礼して」ハァハァ 久(首筋にキスマーク付けちゃおうかしら)スーハー 京太郎「……部長何やってるんです?」 久「……」 久(オワタ) 京太郎「あのぉ、なんで俺の身体の上に部長が馬乗りになってるんですか?状況が全然分かんないんd「chu」…………えっ?」 久「こういうことよ」 京太郎「」 久「私は須賀君のことが好き。だからキスしたくて寝込みを襲ったのよ」 京太郎「いや、え?部長が俺のことが好き?それに後半は、そんなあけっぴろげに言う内容じゃないでしょ!?」 久「むらむらしてやった反省はしている」 京太郎「あれ、なんでだろう反省しているはずなのに印象は最悪になった」 久「そうよ。こんな女でドン引きしたでしょう。ごめんなさい」 京太郎「はい。ドン引きしました」 久「ドン引きしたんだ……」 京太郎「あっ!でもほら、いい意味でのドン引きですから!!」 久「須賀君て、おそろしくフォロー下手ね」 京太郎「はい、すいません……」 久「謝らなくていいのよ須賀君。私はそんなあなたを好きになったんだから」 京太郎「部長……」 久「ふふふ」 京太郎「いい感じの雰囲気を作って、俺の寝込みを襲った話を逸らそうとしていませんか」 久「そそそそんなことないわよよよぉ」 京太郎「物凄く動揺した!?」 久「ふぅ、冗談はこれくらいにして改めて謝罪するわ須賀君ごめんなさい」 京太郎「正直に話してくれましたし許しますけど……」 久「許してくれるの?やっぱり優しいのね、須賀君」 京太郎「まあ、さっきされたキスだって嫌な気はしませんでしたし」 久「あら?これって、私脈ありと思っていいのかしら」 京太郎「部長は綺麗ですし、キスされたら俺を含めて大抵の男は喜ぶと思います」 久「ありがとう。須賀君、私とってもうれしいわ!」ニコッ 京太郎「かわいいいいいいいいいいいい」 久「そうだ!須賀君、告白の返事のことなんだけど」 京太郎「はい」 久「明日の放課後まで待ってもらえないかしら」 京太郎「それは別にいいですけど……なんでですか?」 久「抜け駆けはいけないでしょ」 京太郎「はぁ?そうですね」 久「という訳で、今日はもう帰りましょうか」 京太郎「そうだ!今何時って……、もうこんな時間!?あれ?そういえば俺なんで寝てたんだっけ……」 久(咲にメールしとかないと)ピロリン 久「須賀君もう部室閉めるわよ」 京太郎「あっ、はい(まあいいか、いいことあったし結果オーライだ)それじゃあ、部長帰りましょうか」 久「こんな時間まで待っていてあげたんだから、私の家までエスコートしてくれるんでしょ須賀君?」 京太郎「そりゃあこんな真っ暗の中、女性を一人で帰らせるなんてことできませんよ。お供します」 久「京ちゃんマジ紳士」 京太郎「茶化すなら、帰りますよ」 久「ごめんごめん須賀君といるとついつい、いじりたくなっちゃうのよ」 京太郎「どうせ俺はいじられ気質ですよ……」 久「違うわよ、そんな理由じゃないわ」 京太郎「ではなんでですか?」 久「好きな子を見るといじめたくなっちゃう。そういうことよ」 翌日の放課後 京太郎「昨日、あんなことがあったから部長と顔を合わせづらい」 京太郎「あっけらかんとした部長のことだ、きっとすでにみんなに公表しているよな……」 京太郎「はぁ、今から盛大にいじられるとなると気が重いな」 京太郎「今日は部活休もうかな……」 京太郎「いやいやいや、それはいかん!こういうことはちゃんとしなきゃ駄目だ」 京太郎「覚悟を決めろ!須賀京太郎、進む道は修羅道なれどここで背を見せれば男が廃る!」 京太郎「いざゆかん」 バタン 京太郎「たのもー!」 優希「遅いじょー犬ー」 和「もうとっくに部活始まってますよ」 まこ「堂々と遅刻するとはいい御身分じゃのー京太郎」 咲「京ちゃん!」 京太郎「すいません、掃除当番で遅れちゃいました」 まこ「なんじゃ、そういう事情があるなら仕方ないの」 優希「犬のことだから、遅刻の言い訳のための嘘かも知れないじょ」 京太郎「そんな嘘つかないっつーの!クラスの中でせっせと机運んでたわ」 咲「そういえば京ちゃん掃除当番だったね、ごめんね、忘れちゃってたよ」 京太郎「いや、こればっかりはしょうがねぇよ。普通他人の掃除当番の日程なんて覚えてるわけないもんな。咲に伝え忘れた俺の落ち度だ」 和「今度から気をつければ問題ないですよ。そうですよね部長!」 久「そうねぇ、事前に連絡がない状況で掃除が長引いてしまったら無断欠席と捉えられてもおかしくないのよ。そういう事態を防ぐために連絡はしっかりしましょうね須賀君」 京太郎「はい!以後気をつけます」 久「うん、いい返事」 咲(自称京ちゃん検定、段位持ちのわたしにとって掃除当番なんて知ってて当然のことなのに……もっと精進しなきゃ) 久「それじゃあ、さっきの続きから再開しましょう。咲、和、まこは卓に戻って」 久「須賀君と優希はひとまず見学、もしくはネット麻雀をやっててもいいけど、どうする?」 京太郎「俺は皆のを見学してます。人が打ってるのを見るのも勉強になりますし」 優希「じゃあ、優希ちゃんは犬をじーっくりみてるじぇ!」 京太郎「……それなんの意味もないだろ」 優希「犬の一挙手一投足を事細かに実況し解説を交えて紹介していく番組だじぇ」 京太郎「そんな番組があってたまるか!!そういうのいいからお前も一緒に見学するぞ」 優希「しょうがないじぇ、飼い犬がキャンキャンうるさいから飼い主様が一緒にいてやるじぇ。感謝するんだじぇーいぬー」 京太郎「はいはい、ありがとうございます」 優希「そうだじぇ!見学する前にタコスを買いに行くじょ!付き合え犬」 京太郎「へいへい、わかりましたー。お供しますよー」 優希「というわけで、行ってくるじょ部長」 久「わかったわ、行ってらっしゃい」 京太郎「はい、行ってきまーす(感じからすると、どうやら部長は昨日のことを皆に言ってないみたいだな……)」 バタン 和「須賀君、優希の扱い方上手になりましたねー」 まこ「優希の言うことに従っても、たずなはしっかり握ってコントロールしているそんな感じかの」 久「あら、そうかしら。もしかしたら、犬根性が身に着いてしまって優希をご主人さまと認識してるのかもしれないわよ」ニヤニヤ 咲「そんなことないですよ部長!京ちゃんは意外と要領いいから、日々の経験の中で優希ちゃんの気持ちを酌みつつ自分の要求も通す。そいうことができるようになっただけですよ」 久「あはは、冗談よ。咲の言う通りだってことは、あの二人を見てたらわかるから心配しないで」 まこ「部長の言うことは無駄に説得力があるから怖い」 和「そうですね……少し考えればそんなことはありえないということがわかるんですけど、それをさせない力がありますね」 まこ「詐欺師のそれと同じじゃな」 和「そうですね」 久「ちょっと二人とも失礼なことを言わないでちょうだい。詐欺師みたいって……、もっと別の言い方があるでしょう」 まこ「部長は嘘つくのが上手い」 久「……なんか余計酷くなった気がする」 和「気のせいではないです。シンプルになったせいで余計酷くなりました部長」 久「はぁ、もうそれでいいわ。いちいち突っ込むのもめんどくさいし」 まこ「えぇー、もっとノってきてくれてもええじゃろー部長」 和「いけずですー部長」 久「あんた達キャラのブレが酷いわよ。特に和」 まこ「京太郎だったらもっとノってきてくれるのにのー」 久「わたしに須賀君ばりの返しを求められても困るわよ」 和「それはそうと、最近の須賀君は優希を甘やかしすぎだと思いませんか?」 まこ「確かにのぉ。もしかして犬根性としてじゃなく、龍門渕の執事みたいに半ば忠義として優希に仕えてるのかもしれないのー」ニヤニヤ 咲「そんなことありえないですって!」ムゥ 久「須賀君が義理立てしようと思うような高尚な行為を優希がするわけないでしょ……」 咲「ですよねー!部長、京ちゃんに限ってそんなことありえませんよね」 久「」ニヤリ 久「そうね、須賀君が優希をご主人様として思っているのかもしれない、そんなことはあり得ないわよ」 久「でもね咲、もしかしたら優希と須賀君が特別な関係になるかもしれない、そういう可能性があることも事実なのよ」 咲「どういうことですか!?」 久「えっとね、優希が須賀君にちょっかいをかけては我儘を言って言うことを聞かせているのは知ってるわよね?」 咲「二人が毎日の様にやってるやり取りですから、もちろん知っていますけど……」 久「実はそれが問題の焦点でね。男女共通の異性に惚れる条件の一つとして、「こいつには自分が付いてないとだめだ」と思うというものがあるのを、咲は知っているかしら?」 咲「はい、雑誌とかにもよく載っている内容のものですし、もちろん知っていますけど、それが関係あるんですか?」 久「そうよ。先に結論を言ってしまうとね、二人がこのような関係を今後も続けていくようなら、須賀君が優希に惚れてしまう可能性があるのよ」 咲「ばかばかばかしいです。SOA!SOA!」 和「……」 まこ「動揺して口からでてしまった言葉じゃ、気にせんでいいじゃろ」 久「咲、落ち着いて今の優希と須賀君の状況をもう一度よく考えてみなさい。日頃から男の子に対してお願いばっかりしているの女の子と、愛想を尽かせず女の子のお願いをきいてあげてる男の子。こういう言い方にしたらわかるんじゃないかしら?」 咲「……!!」 久「気づいたようね」ニヤニヤ 咲「でもでも、京ちゃんに限ってそんなこと……」 久「あの人だけは大丈夫だなんてーうっかり信じたらだめ!」 まこ「だめ!」 和「だめ!」 久・まこ・和「だーめだめよ!」 咲「S O S」 まこ・和「パンパン!」ヒューヒュー 久「みんなノリいいなって……、いったい歳いくつなのよあんた達」 まこ「わしは、カメレオン・アーミーが一番好きだったのお」 和「ジパング以外ありえません!」 咲「ペッパー警部が可愛くて好きです」 久「だからなんで知ってるのよあんた達は!今時のJKがピンクレディの曲で盛り上がるってるこの状況おかしいと思わないの!?」 まこ「別に、知ってたって問題ないじゃろ。誰かに迷惑かけてる訳でもあるまいし、それでそういう部長は何が好きなんじゃ?」 久「……世界英雄史よ」 まこ・和・咲「「「渋ッ!!!」」」 久「ふぅ、落ちもついたし話を戻すわよー」 まこ「まてまてまてー。世界英雄史のインパクトが強すぎてそんな簡単に頭切り替わらんわ」 和「冗談ですよね部長!?仮に本当なら多分、部長しかいませんよ!世界英雄史好きの女子高生なんて」 咲「いい曲なんですけどね……でも、それこそ今時の女子高生の会話には絶対出てこないですよ」 久「もういつまでその話題続けるのよ。それはもう終わった話題だからいいでしょ!咲ー、話を戻すわよ」 咲「は、はい!わかりました」 まこ「うぐぅ、なんじゃこの得も言われぬ感情わーー!!」 和「なんか……、すごくモヤモヤします」 まこ「マネマンされた時のどうしようもないあの感じに似てるわ」 和「やるせないです……」 久「二人ともうるさいわよ!!」 まこ・和「ぐぬぬ」 久「咲もさっき気付いたと思うけど、多分その解釈であってるわ。だけど念のために一応解説しておくと」 久「私は、須賀君が日頃から優希ちゃんの言うことをきき続けてる間に、こいつは俺がいないと駄目だ。と思う様になってしまう可能性があると言っているのよ」 まこ・和「あるある」 咲「いやねぇよ」 久「そんなきっぱりと言い切れるかしら?」 咲「お言葉ですが、あえて先ほど部長がおっしゃっていた意見を真っ向から否定させて頂きます。全地球上の男性の99%が当てはまろうと京ちゃんだけは絶対に当てはまることはありえません」 久「へー、その心は?」 咲「だって京ちゃん鈍感ですし」 まこ・和「そうだった!」 咲「おそらく自分の恋心すら自覚できないと思います」 久「学生議会長の私を論破するなんてやるじゃない(咲や優希からあれだけあからさまな好意を向けられてるのに、全く動じてないてことが何よりの証拠よねー)」 咲「京ちゃんの鈍感さは折り紙つきです。とある少女はその鈍感さの被害にあってしまい東京に引っ越してしまったなんて事実があるくらいですから……」 まこ「京太郎本人に悪気がないと分かっているんじゃがこれはあまりに酷いの……。実害が出ている以上対策の一つでも立てて京太郎に気をつけるよう言ってやらんと」 久「余計なことはしなくていいわ」 咲「そうです!京ちゃんには日頃からわたしが言って聞かせてるので安心してください」 和「須賀君に日頃から言って聞かせてる割には全然治っていませんよね」 咲「うっ、それは……」 まこ「咲、今度はわしが先輩としてガツンと言って京太郎の鈍感をなおしてみせるから安心せぇ」 久「それは駄目よ、まこ」 まこ「なんでじゃ部長?さすがに京太郎も先輩から注意したら自分の鈍感さを見直すじゃろ?」 久「説明が必要みたいだから言っておくけど、鈍感さの改善には他人からの働きかけはあまり効果を持たないの」 久「人がせっかく注意をしても須賀君自身身に覚えがないのだから、その注意はのれんに腕押し状態になってしまう可能性が高いの。だから鈍感さを改善するためには須賀君自身がで色んなことを経験して、自分自身で問題に気づき解決していくのが一番良い方法なのよ」 和「へー、そうなんですか。さすが部長物知りですね」 まこ「そうなんかー、鈍感っていう曖昧な基準にも、きちんとした対処法があるんじゃの。勉強になったわ部長」 久「……まぁね」 咲(GJです部長) ガラガラガラ 優希「今戻ったじょー」 京太郎「ただいま戻りました」 久「おかえりなさい。二人とも」 優希「なんだ、みんなまだ打ってなかったのかだじぇ?」 京太郎「あれ、ほんとだ。もしかして俺と優希のこと待っててくれてたんですか?だとしたら申し訳ありません。結構な時間お待たせしてしまって」 久「イケメンで」 まこ「気遣いできて」 和「腰が低い」 咲「今宵そなたが鳴かすわ誰ぞ」 京太郎「短歌!?どうしたんですかいきなり!!」 久「いいの須賀君あなたは今のままでいてくれたら……」 咲「京ちゃん気にしないで……わたし頑張るから!!」 京太郎「いやいやいや、なんなのこの空気。俺と優希が完璧置いてけぼりなんだけど」 まこ「京太郎、わしからお前に言ってやれることは何一つのない……。しかしな、わしらはみんなお前の味方じゃ!これだけは覚えといてくれ……、頼りない先輩でスマン京太郎」 京太郎「えっ、なんですかこれ!?俺これから戦争にでも行くんです?なんでみんな俺のことをそんな悲しそうな目で俺のこと見てるんですか!?」 和「須賀君気をつけてくださいね(自分の鈍感さに)……。そのせいで不幸になった人がたくさんいるんですから……」 京太郎「マジで!?俺マジで戦争行く感じなの!?」 和「茶化さないで真面目に聴いてください!」 京太郎「えっ、あ、はい」 咲「原村さん落ちついて…」 和「でも、被害にあった人たちのことを考えるとわたし……」グス 京太郎(マジかよ……。やばいこれ……本当に戦争が起こるみたいだ……) 和「須賀君詳しいことは言えませんが、どうか気をつけてください」グス 京太郎「……わかった」コクリ 久「それじゃあ、みんな揃ったし東一局始めるわよー」 まこ「最初の親だけはさっき決めていたから咲が親で始めじゃ」 京太郎「……て!ちょっと待てーい!!おかしいでしょー!そんなのんきに麻雀打ってる場合じゃないでしょ!?今日のところは早く家に帰った方がいいでっすって!」 久「須賀君どうしたのよいきなり大声出してビックリするじゃない」 京太郎「これから戦争が始まるっていうのに、悠長に麻雀やろうとしたら、そら大声も出しますよ!」 まこ「戦争って……、えらい物騒じゃのぉ……」 久「須賀君、冗談にしては面白くないわね」 京太郎「こんな性質の悪い冗談言う訳ないでしょう!!さっきの俺と和の会話聞いてなかったんですか?」 まこ「そりゃあ、バッチリ聞いていたけどのお」 久「それが戦争とどう絡んでくるのかしら、須賀君?」 ワーワーギャーギャー 優希「ねぇねぇ、咲ちゃんさっき馬鹿犬とのどちゃんが話していた内容ってなんだっけ?」 咲「京ちゃんの鈍感さが原因で被害を被る女の子がたくさんいるって話だけど、部長が鈍感な人に自身が鈍感だと伝えるのはよくないって教わったから、京ちゃんにそのことが伝わらないようにし話してたんじゃないかな?」 優希「ふ~ん、なるほどなーだじぇ!」ピコーン 優希「わたしも京太郎と一緒にしばらく部室出てたから、京太郎ほどじゃないにしても、皆が何を言っているのか意味不明だったじぇー」 優希「それにしてもこいつは傑作でじぇ」ゲラゲラゲラ 咲「何か分かったのなら、これ以上変な空気になる前に教えてよ優希ちゃん」 優希「そうするじぇー!みんな話を聞いてほしいじょー!!馬鹿犬は一回廊下で待っててくれだじょ」 京太郎「なんでだよ?」 優希「ちょっと乙女が聞かれたら恥ずかしい話になるじぇ」 京太郎「……なんか腑に落ちないけど分かったよ。しばらく外にいる、話が終わったら呼んでくれ」 ガチャリ 優希「むぅ、最近の犬はやけに聞き分けがいいじょ」 和「クスッ、張り合いがなくてつまらないですか優希?」 優希「そ、そんなことないじょ!あいつもやっと犬としての自覚が出てきて飼い主としては嬉しい限りだじぇ!」 久「面白そうな話だけど、今のところはその話は置いておいて本題に入りましょう。優希どういうことかしら?」 優希「了解だじぇ!」 優希「カクカクシカジカ」 久「須賀君ー!戻ってきてもいいわよー」 ガチャリ 京太郎「失礼しまーす」 和「ごめんなさい須賀君…、私の言い方が悪かったみたいで誤解させちゃいました……」 京太郎「誤解?」 和「はい、安心してください須賀君は戦争に行ったりなんてしませんから」 京太郎「へっ?じゃあ、さっきの話はなんだったんだ?」 和「言えません」 京太郎「なんで!?」 咲「それについては、原村さんの口から答えを聞いても意味ないの。京ちゃん自身が考えて気付かないと意味がないんだよ」 京太郎「和の口から聞いたら意味がない……。俺自身が気付かないと意味がない……」 まこ「少しヒントをやると、京太郎はもう少し自信を持っていいと思うぞ」 京太郎「……自信ですか?」 和「そうですよ、そしていつか気付いてくださいね」 京太郎「…………」 京太郎「!」 京太郎(まさか) 京太郎(でも、そんなことありえるのか?) 京太郎(いや、しかし……他に考えられん) 京太郎(まさか、和が俺のことを好きだったなんて) 京太郎(和の口から聞いても意味はない、俺自身が気付かないとだめ……、これはおそらく、乙女な和のことだから自分から告白するより相手からロマンチックに告白されることを望んでいるはず……、だから俺が和の気持ちを酌んだ上で告白を行えということに間違いないだろう……) 京太郎(ただしこれだけでは単なるこじつけであることも事実だ。そこで生きてくるのが、染谷先輩のヒントだ) 京太郎(俺にもう少し自信を持てとのこと。これは、アニメ・漫画などで用いられる鈍感なキャラへ必死にアピールしているキャラへの粋な手助けとして、主に一線引いた位置にいる双方の友人キャラが使うことが多い、いわばテンプレの台詞である) 京太郎(それをこの場で用いたということは、つまりそういうことででしょう染谷先輩。ただ染谷先輩が誤算だったのは、俺自身が鈍感キャラでは無く、鋭い切れ者だったことだ……。おかげでこんな大変な事実を知ってしまいましたよ)フッ 京太郎(そして極めつけは愁いを帯びた表情で俯く和とその台詞、いじらしい乙女心に違いない!)ムフフ 京太郎(ここまで材料があったら確定してもいいだろう) 京太郎(だとしたら、内心不安がっているであろう和に俺は何をしてあげられるのだろうか?) 京太郎(皆がいる手前、露骨に態度に出すのはまずい) 京太郎(それに部長とのこともあるしな) 京太郎(だからここはアイコンタクトで分かっているから心配しなくていいと言うことだけを伝えよう) 京太郎「和!」ニコッ 和「なんですか!にやけ面でこちらを見ないでください、不快です。死にます」 京太郎「えー……」 部活開始 久「もうすぐ期末ねぇ」ぱち 咲「そうですねー」ぱち まこ「もうそんな時期かー。はやいもんじゃな」 和「そうですね、でも、だからと言っていつもとやることが変わると言ったわけではないんですが、気持ちの持ち様はやはりいつもと変わってきますよね」ぱち 久「まー今回もなんとかなるでしょうね、私のことだし」ぱち 咲「部長は毎回テストの結果上位じゃないですかー」ぱち まこ「そういう咲だって現国で満点を取るような猛者じゃからのー」ぱち 和「染谷先輩だって暗記系科目は満点ですよね」ぱち 久「和は和で数学満点でしょうに、本当、うちの部は学業優秀で素晴らしいわね」ぱち 和「それポンです」ぱち 優希「……犬」 京太郎「なにも言うな……」 久「お腹が空いたわ……」ぱち 咲「そうですね」ぱち まこ「帰り何か食べて帰るかの」ぱち 優希「タコス安定だじぇ!」 和「優希たまには違う物を食べたらどうですか。あんまり同じものばっかり食べてたら体壊しちゃいますよ」ぱち 久「とりあえず優希の意見はスルーして、なんか意見はないかしら?」ぱち 優希「ちょ!?」 咲「駅前に新しくできたケーキバイキングのお店はどうですか?」ぱち まこ「おー、よさそうじゃのー。わしは賛成じゃ」ぱち 和「私も特に問題ありません」ぱち 久「須賀君も、もちろん来るのよ」 京太郎「男子学生がケーキバイキング……、敷居高いな……」 久「確かそこのバイキングに物凄く可愛いバイトの子がいるみたいな話しが」京太郎「お供します」 久「じゃあ、そこで決定でいいかしら?」ぱち 咲「はい」ぱち まこ「はいよー」ぱち 和「分かりました」ぱち 優希「了解だじぇ」 久「そういえば昨日皆が帰った後に、私須賀君に告白しちゃったんだよねー」パチ 咲「へー、そうなんですかー」ぱち まこ「部長も大胆じゃなー」ぱち 和「あ、それチーです。部長を落とすなんて須賀君もやりますねー」ぱち 久「自分が面食いだなんて自覚はなかったのにねえ」ぱち 咲「ははは、でも京ちゃんは性格もいいですから」ぱち まこ「まあ、優良物件じゃろうな」ぱち 和「天然タラシですけどね」ぱち 久「……」ぱち 咲「……」ぱち まこ「……」ぱち 和「……」ぱち 京太郎「あ、俺トイレ行ってきますね」 優希「……」ガシッ 京太郎「離せ!タコス!!後で何でも言うこと聞いてやる!だかr」咲「京ちゃん、どういうことなの?」 京太郎「ひっ」 咲「私の耳がおかしかったのかなー。さっき部長が京ちゃんに告白したって言ってたような気がするんだけど、そんなことありえないよねー、京ちゃん?」メキッ 京太郎「咲さんどうか落ち着いてください。肩が痛いです。離してください!お願いします!!」 咲「ごめんねー京ちゃん、事情を話してくれるまで手は離せないかな」 まこ「……部長さっきのはお得意の冗談じゃないんか?」 和「説明せずにあのままほっとくと、また須賀君が気絶してしまいますよ……」 久「その件の説明はちゃんとするわよ。それにしてもあなた達いやに冷静ね」 まこ「あの状態の咲を見ていたら冷静にもなるじゃろ」 和「誰かが、物凄く動揺しているのを間近で見ると逆に冷静になりますよねー」 久「咲ー、私がさっきのこと説明してあげるから須賀君を離してあげてー」 咲「部長……」 京太郎「」 優希「……虫の息だじぇ」 咲「京ちゃんに告白したのって本当なんですか……部長?」 久「えぇ。本当よ」 まこ「冗談じゃない……だと……」 和「師匠乙」 優希「なんでだじぇ……、今までそんなそぶり全然なかったのに……」 久「そうね、そうだと思うわ。だって、私が須賀君が好きって気持ちを自覚したのは昨日のことだもの。気づかなくて当然よ」 まこ「昨日自覚した想いをすぐさま京太郎に伝えたって訳か」 和「漢らしいです」 久「そんな格好良いものじゃ無かったけどね……」 咲「……部長は京ちゃんのことが本当に好きなんですか?」 久「当たり前でしょ、好きでもない男に告白するほど私も落ちぶれちゃいないわよ」 咲「なんで」 咲「なんで今さら」 久「咲……」 咲「わたしは!ずっと、ずーーっと京ちゃんが好きだった!!なのに!!」 和「宮永さん落ち着いてください!!」 咲「……部長は知っていますか?京ちゃんの好きな食べ物を」 久「知らないわ」 咲「京ちゃんの得意な教科は」 久「知らないわ」 咲「京ちゃんの好きな有名人は」 久「知らないわ」 咲「部長は京ちゃんのこと何にも知らないんですね」 久「そうかもしれないわね」 咲「そうですよ。部長は京ちゃんのこと何にも知らないんです」 まこ「お、おい咲」 久「いいのよ、まこ」 咲「わたしは京ちゃんのこと、たくさん知っています」にこっ 久「そう…」 咲「はい!だから京ちゃんのことを全然知らない部長は勘違いしているんですよ」 久「……どういうことかしら?」 咲「部長は京ちゃんのこと本当は好きじゃないって言っているんですよ」 久「……どうしてそう思うのかしら。理由を聞かせてくれる咲?」 咲「昨日わたし達が帰った後、部長は京ちゃんに告白したんですよね?」 久「えぇ、その通りよ」 咲「昨日、わたしは部長に京ちゃんが目を覚ましたらメールを下さいとお願いしました」 咲「部長から京ちゃんが目を覚ましたというメールが届いたのはわたし達が、部室を離れてから1時間半後でした」 咲「多少前後するかもしませんが、京ちゃんが起きるまでの時間、部長は気絶している京ちゃんと二人きりでした」 咲「寝ている京ちゃんと二人きりというシュチュエーション、好奇心の強い部長のことです、いい機会ですし京ちゃんの顔をじっくり見てやろうと思っても不思議じゃありません」 咲「知っての通り京ちゃんは黙っていればそこらのアイドルに引けを取らないくらいイケメンです。そんな京ちゃんの顔をじっくり見ていればドキドキもするでしょう」 咲「わたしがそのシュチュエーションに遭遇したら、おそらく自制が利かず京ちゃんを襲ってしまうかもしれません」 和「お、襲うって……」 まこ「……恥ずかしいやっちゃのー」 咲「あははは、冗談ですよ京ちゃんのことは大好きですけど、そんな痴女みたいな真似はできませんよ」 久「」 久「そ、それで咲は何を言いたいのかしら、はっきり言ってちょうだい」 咲「部長は京ちゃんと二人っきりというシュチュエーションが作用した結果、その場で恋愛感情に似た感情、具体的にいえばアイドルグループに盲目的に入れ込んでいる人達と同様な感情を持ってしまったため勘違いしてしまったんですよ!」 久「乱暴だけど理論としての筋はちゃんと通っているわね」 咲「早く勘違いに気付いてよかったですね、部長!!ですから京ちゃんへの告白を取り下げましょうよ。今なら京ちゃんも許してくれますから」にこにこ 優希「……」 久「須賀君なら許してれるかもしれないわね」 咲「はい!京ちゃんは優しいですから笑って許してくれますよ!なんなら、わたしも一緒に謝りますから」にこにこ 久「そうね須賀君はきっと許してくれるわ」 咲「なら」 久「でも、私が許せない」 咲「え」 久「須賀君のことが好きだって言うこの気持ちが嘘だなんて、私は思わない!思う訳がない!!」 咲「……」 久「咲、あなたはさっき私にこう言ったわよね?須賀君のこと何にも知らないって」 咲「……事実です」 久「そうね、事実だわ」 久「でも私は今の所はそれでも良いと思っているの」 咲「……どういうことですか」 久「さっき咲が須賀君のことなら、たくさん知っていると言っていたわよね、正直、この話をしている時の咲はすっごく憎たらしかったわ……」 咲「……」 久「でもそれ以上に咲が羨ましかったの」 久「知ってる咲?あなたが須賀君のことをたくさん知っていると言ってた時の表情、すごくいい笑顔だったのよ」 久「今まで怖いぐらい無表情で話していて、内心色んな負の感情でいっぱいだったはず、そんなあなたが一瞬だけいつもの可愛らしい宮永咲に戻ったのよ。これって凄いことだと思わない?」 久「大好きな須賀君のことを考えるだけで、今までの嫌な感情をすべて吹っ飛ばして笑顔にしてくれる。咲にとって須賀君はそういう人なんだって」 久「それを見て私は咲が羨ましくなった。それと同時に須賀君をもっと好きになろうと思ったの」 咲「……」 久「今の私は須賀君のことを何も知らない、だけど須賀君と一緒にいて、須賀君を知ることはきっと良いものだって、咲あなたを見て確信できた」 久「これから時を重ねて、あの時の咲の様に笑えたら……、それはきっと素敵なことだと思うの」 咲「部長……」 久「咲が言った通り、私は本当は須賀君のこと好きじゃないのかもしれない。これは単なる憧れで私がただの面食い女だって可能性もあるわ」 久「だけど、自分の気持ちすら分からないハッキリしない私だからこそ、人を好きになるっていう気持ちを人任にしたくないの」 久「私はこれから全力で須賀君のことを好きになる努力をするつもりよ」 久「私が須賀君を本当に好きじゃなかったら須賀君を好きになる、私が須賀君を好きだったらもっと大好きになる。良いこと尽くめでしょ?」 まこ「そんな強引な……」 和「でしょ?って言われましても……」 咲「そんなのずるいです!!ちゃんと自分の気持ちと向き合って、結論を出してから告白するのが普通ですよ!?」 久「いやよ。そんなのめんどくさい」 咲「えー」 久「それに普通ってのに意味があるのかしら?私が悩んでいる間に他の子に取られてしまう可能性がある以上、即断即決、先手必勝が一番でしょ」 咲「でも、でも!」 優希「いい加減にするじぇ……、咲ちゃん」 咲「……ゆうきちゃん?」 優希「今さら、何を言っても部長の気持ちは変わらないじぇ」 咲「でもわたし……嫌だよ……」ぐすん 和「宮永さん……」 まこ「咲……」 久「……」 優希「甘えんな!」 咲「!」びくっ 和「優希!」 優希「泣くほど悔しいんだろ?なら、なんで行動しなかったんだじぇ」 咲「だって、もし、グスッ、京ちゃんに、振られたら、グス、一緒に入れなくなるかも、ヒグッ、しれないし」えぐっ 咲「そんなの絶対いやだもん!」ぐすっ 優希「咲ちゃんは傷付きたくなかっただけだじょ!だから、居心地の良い今のままの関係で妥協してたんだじょ!」 優希「自分以外の他の誰かが、京太郎と恋仲になる可能性だって理解していたはずだじぇ」 咲「グスッ、エグッ、グスッ、嫌ー、いやっ!!」 優希「雛鳥が口を開けていれば親鳥が餌を運んで来てくれる。そんな関係はありえないんだじぇ!」 優希「ずっと一緒にいれば、いつか自分の気持ちに気づいて京太郎の方から告白してきてくれる。そんなことは、ありえないんだじぇ」ギリッ 優希「自分から行動しなくちゃいけなかった」 優希「でもできなかった」 優希「今の関係を壊す勇気がなかったから」 優希「でも部長は、それができたんだじぇ」 優希「今の関係を失うかもしれないことを理解してなお、一歩進んだんだじぇ」 優希「壊れそうになるくらい京太郎が好きだったのに、行動してこなかった、行動できなかった咲ちゃんが悪いんだじょ……」 和「ゆうき!言いすぎですよ」 咲「……いいの、グスッ、原村さん。きっと、グスッ、優希ちゃんも、辛いはずだから」ひぐっ 優希「咲ちゃんは馬鹿だじぇ!」 優希「でも」 優希「もっと馬鹿なのは私だじぇ」 優希「長い時間、京太郎と一緒にいた咲ちゃんに負けたくなくて、いっぱいアピールしたじぇ」 優希「皆の前でじゃれついたり、京太郎に構って欲しくて意地悪なことを言ったりしたじょ」 優希「咲ちゃんを除いて京太郎と一番仲のいい異性は自分だ、なんて思ってた」 優希「今の関係で満足してた、居心地の良さに甘えてたんだじょ」 優希「さっき咲ちゃんに向けての言葉は全部、自分に跳ね返ってくるんだじょ……」 優希「分かってたのに、ぐすっ、わかってたのにな、ぐすっ」 まこ「優希……」 優希「だから咲ちゃん、私たちは、ぐすっ、ぎょうだろうを、ひっぐ、あきらめなきゃ、だじょ」 咲「グスッ、分かってる!分かってるよ、ヒグッ、でも、ズビッ、頭では理解しているけど、どうしてもダメなの!!」 和「宮永さん……」 優希「私だって諦めたくないじょ、でも!」 久「そんなに須賀君が好きなら今から告白すればいいじゃない」 咲「」ぽかーん 優希「」ぽかーん 咲「へ?」 優希「は?」 久「だから、ここでのびてる須賀君を起こして二人とも告白しなさいて言っているのよ」 まこ「お前さん、自分が何を言っているのか理解しているのか!?」 久「当然でしょ」 和「では、なんで?自分の彼氏に今から告白しろって、そんなオカry」 久「あのねぇ、私は須賀君に告白したとは言ったけど付き合っているなんて一言も言っていないわよ」 優希「まさか、告白したはいいが京太郎に振られたんだじぇ!?」 久「違うわよ……不吉なこと言わないでちょうだい!須賀君に告白の返事を保留にしてもらっているだけよ」 咲「どうして、そのような事を?」 久「フェアじゃないでしょ。ずーと前から須賀君のことが好きな娘が二人もいるのに、その娘達の想いを無視したまま、須賀君と付き合うのは後ろめたさがあるじゃない」ニコッ 咲「部長」うるうる 優希「ありがとうだじぇー」うるうる 久「勘違いしないでよ二人とも。私が敵に手を貸すのはここまでよ。さっきも言ったけど、こっからは全力で須賀君を落としにかかるから」 咲「私も絶対負けません!」 優希「京太郎と一番近い距離感で接している私だじぇ!ゆえに敗北することなどあり得ないじぇ!」 久「それじゃあ須賀君を起こすわよー、心の準備は良い?」 咲「あわわわ、本当に今から告白するんですか……明日じゃダメですか部長?」 優希「そそそそうだじぇ、今日は日が悪いし、明日にしてくれだじぇ部長!」 まこ「怒ったり、泣いたり、焦ったり忙しい奴らじゃのー」 和「この期に及んで、まだへたれますかこの二人は……」 久「別にいいわよー」 咲「ありがとうございます!部長!」 優希「さすが部長、話がわかるじぇ!」 久「いいけど、私、須賀君に告白の返事きいちゃうわよ」 咲「何を言っているんですか、はやく、京ちゃんを起こしましょう。もうこの気持ちは1分1秒止められません」 優希「そうだじぇ、このままじゃ京太郎への熱い思いが暴走して寝ている京太郎をむちゃくちゃにしかねないじょ」 まこ「本当に何なんだこいつら……」 和「優希にいたっては完全にアウトです」 久「そう、じゃあ起こすわねー」 まこ(京太郎の耳元に顔を近づけていったい何をするつもりじゃ) 和「実にラブリーですね」 久「かぷっ」 京太郎「甘がみっ!!!」がばっ まこ「実にテンプレじゃの」 和「フラグ立てましたからね!二重の意味で」ドヤー 久「おはよう、須賀君ご機嫌いかがかしら?」 京太郎「最高ですって……顔近いすっよ!?なんですかいきなり!!」 久「なんか、咲と優希が君に話があるそうよ」 京太郎「話し?なんだ二人して」 咲「京ちゃん」 優希「京太郎」 「「好きです(だじぇ)」」 京太郎「へっ?」 咲「中学の頃、友達がいなかった私に声を掛けてくれた時から、ずっと好き」 優希「私の我儘をなんだかんだ言いながらも聴いてくれる京太郎が好き」 咲「好きじゃない所なんてないくらい好きなの」 優希「京太郎の声を聞くだけで元気になるんだじぇ」 咲「だから、私とずっと一緒にいて京ちゃん」 優希「京太郎とずっと一緒にいたいじょ」 京太郎「咲、優希……」 久「須賀君、わたしの事も忘れないでちょうだいね」 京太郎「部長……」 久「当然、私も大好きよ須賀君」 京太郎「俺は……」 まこ「3人とも真剣に告白してるんじゃ、お前さんはそれに応えなければいけない、そうじゃろ?」 京太郎「はい」 和「須賀君、皆さんは相当の覚悟の下あなたに告白しました。なら、あなたも相応の覚悟を持って応えてあげてください」 京太郎「あぁ、分かっている……、中途半端な返事なんてしないさ」 京太郎「俺は」 全員「」 京太郎「俺は!」 全員「」ごくり 京太郎「俺は 久「いっけなーーーい、もうこんなじかーん」」 京太郎「へ?」 久「やばいわー!こんな時間まで部活やってたら目つけられちゃうわー」 咲「そ、そうですね!もう、部活の時間だいぶ過ぎちゃってますし!」 優希「ほ、ほんとだじぇ!今日の所は残念だけどお開きにしとくかだじぇ!」 久「そうね、ひじょーに残念だけど今日の所は時間もないし、しょうがないわねー」 まこ「……おい」イラッ 久「何かしら、急いで帰らないと帰りがおそくなっちゃうわよ!まこ」 まこ「いやいやいやありえんじゃろ!?この空気で京太郎の返事を聞かずに帰るとか、それにまだいつもの終了時間を5分過ぎただけじゃ!!」 久「それは、ほら、あれよ!えぇーっと、そうよ!昨日も遅くなっちゃたし、毎日遅いとお家の人が心配するでしょ!」あせあせ 咲「そうです!昨日わたしの家の人めっちゃ心配してました!」あせあせ 和「宮永さん気が動転して、あなたが普段絶対使わないであろう表現を使ってますよ」 咲「そんなことないでやんす」あせあせ 和「無理がありすぎる!?」 優希「それに、京太郎にも考える時間は必要だじぇ」あせあせ 久「そうよ!須賀君だって色々あって混乱してるだろうし、返事は明日に回した方がいいわよ!」 まこ・和「このへたれ達は本当に……」 久「べ、別にへたれたとか、そういうんじゃなくて、須賀君も今より明日の方がいいでしょ?」 京太郎「俺は今からでもぜんぜんいい 久「そうでしょ!明日の方がいいわよね!!」……はい」 まこ(京太郎も苦労するの……) 和(3人には悪いですが、須賀君は3人とも振るっていう選択肢が一番良いんじゃないかという気がしてきました……) 久「それじゃあ、みんな帰るよー!」 咲「はーい」 優希「はーい」 まこ「京太郎頑張れ、超頑張れ」 京太郎「ははは……」 和「明日はきっといいことありますよ!」 京太郎「皮肉を言われた!!」 京太郎(でも、まあ) 久「須賀君また明日ー」にこ 京太郎(なんていうか) 優希「またなーダーリン」にこ 京太郎(あの残念な三人に振り回されるのも) 咲「京ちゃんバイバイ」にこ 京太郎(悪くない) 京太郎「あぁ!また明日!」にこ 京太郎(そう思います)
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4418.html
郁乃「今日はごめんねー、部の備品買い込むんに男手ほしかったんよー」(アッチへひょこひょこ 京太郎「い、いえいえ、このぐらいだったら……ええ」 郁乃「やっぱり男の子がおると違うねー、頼りになるわー」(コッチへふららー 京太郎(せわしないっ……翻弄されている……!)(キョロ……キョロ…… 郁乃「えへへー……こーやって並んで歩いてるとー」(ダキー 京太郎「ちょっお……!?」 郁乃「なんやー、仲のええカップルー、って感じやねー」(腕組み 京太郎(二の腕に感じる……この感触、オ、オッパイかっ……!ていうか、なんだ……適度に押しては返す絶妙な力加減はっ……!?)(須賀に電流走る! 郁乃「どしたんー、須賀君。なんやー、歩き方ぎこちなくなってんでー?」(フニフニ 京太郎「い、いいえ、ソンナコトナイデスヨ?」 郁乃「ふーん、じゃあ買い出しは終わったし、今日はこのまんまデートしよなー♪」(キュムキュム 京太郎「ぁ、ヤメテ、それ以上はいけない……!」(ざわ……ざわ…… 京太郎(和や絹恵さんなんかと比べれば取るに足りない、世間的に見ればフツーのオモチだというのにこの威力……だと……!?ややややべえ、落ち着け……麻雀やってる時のリスペクト精神を使えば、たかがオモチの一つや二つ堪えられるっ……!)(ざわ……ざわ……! 郁乃「えー、あかんの?」(フニュー 京太郎「ダ、ダメじゃないけどダメなんですよ……わかってください、それぐらいっ……!」 郁乃「だからー…………あ・か・ん・の?」(囁き艶声 京太郎(ク、クリア・マインドッ…………リミットオーバーアクセルシンクロォォォォォーーーッ……!!)(京太郎、覚醒っ……! 郁乃「もー、つれへんわー…………もしかして、根腐れしとるー?」 京太郎「失敬な!?」(京太郎、愕然っ……! 洋榎「…………買い物してる時に見かけて、うち差し置いてなにおもろそーなことしてんやー、つっこんだろ思ったら……」(ウギギ 絹恵「お姉ちゃーん、これ以上デバガメしててもダメージ負うだけやってー、もう帰ろーよ」 洋榎「オッパイか、しょせん女の器量はオッパイで決まるってか!」 洋榎「うぅぅ……京太郎のアホーっ!」(ウェーン 絹恵「あぁ、お姉ちゃんがグリコの人みたいなカッコで走っていってしもた!?」 絹恵「お、追いかけなデバガメと、その前にメール、メール」(ペコペコポン 京太郎「うわっ……メ、メール?」 郁乃「えー、誰からー?」 京太郎「なにナチュラルに人の携帯覗きこんでるんすか!?」 郁乃「ええやんー、私と須賀君の仲やんー♪」 京太郎「姫松の監督(代行)と他校の生徒の間柄のはずですけど!」 京太郎「ええい、と、とりあえずメールの確認だけは…………?」 郁乃「うーん?」 絹恵『虫酸ダダダッシュ!(゜д゜)、ペッ』 京郁「???」 一度終われ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/436.html
【咲 -Saki-】 須賀京太郎カプ統合スレ 5 h5-1 清澄×京太郎(うpロダ投下) h5-2 桃×京「桃の天然水」 h5-3 京桃?「カクレモモジリ」 h5-4 咲 h5-5 京×久 h5-6 京×桃「桃の特等席」 h5-7 京×透 h5-8 京×清澄「王様ゲーム」(うpロダ投下) h5-9 京×桃「桃の特別映画館(指定席)」 h5-10 京×桃「桃の特別宿泊施設(予約)」 h5-11 京太郎←姉照小(うpロダ投下) h5-12 京×桃 「桃のお料理メニュー」 h5-13 京×シロ h5-14 池田「迷子のご案内」 h5-15 池田「迷子の自己紹介」 h5-16 池田「迷子のお迎え」 h5-17 京×健夜「京健生配信」 h5-18 京×桃「桃の特別食事処(赤面フィーバータイム)」 h5-19 雑用プロ(うpロダ投下) h5-20 京×久(うpロダ投下) h5-21 京×咏 →長そうなの h5-22 京×和 h5-23 照「京ちゃんだと・・・!?」(うpロダ投下) h5-24 京シロ(うpロダ投下) h5-25 縁日にて(龍門渕) h5-26 縁日にて(清澄)
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3307.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1376691479/ モモ「もっと下の方をさわってくれないと痴漢プレイじゃないじゃないっすか!」 京太郎「電車の中でやる度胸はねえよ…」サワサワ モモ「あふんっ…」ビクン 京太郎「普通に二人でやるより感度いいじゃねぇか」 モモ「悔しかったら平凡なシチュエーションでも女の子を感じさせらえれるだけのテクニックを身につけるっすね!」 京太郎「はいはい分かりましたよ」 京太郎「俺だけのお姫様」ボソ クニッ モモ「あふん!」 乗客「AVの撮影かな?」 ************************************************************************** 京太郎「モモのお尻って結構大きいよな」 サスサス 桃子「ああぁんっ……! それ、太いって意味っすか?」 ビビクン 京太郎「いや、安産型って意味で。俺は好きだぞ」サワサワ 桃子「う、うれしいっす! ……あぁっ! パンツの中はダメっす!」 ビビビビクン 京太郎「……濡れすぎだろ…… まるで洪水じゃないか……」 クチュクチュネットリ 桃子「そ、それは…… 京君がネットリいやらしく触るからじゃないっすか……」ビビビビビクン 京太郎「でも、触られて嬉しいんだろ?」グチュグチュ 桃子「……はいっす。もっといやらしく触ってほしいっす……」ウットリ 桃子「ハァハァ…… 京君、もう私我慢できないっす……」クネッ 京太郎「えっ!? でも電車中だし……」 桃子「次に停まる駅のトイレは誰も来ないっすよ」スリスリ 京太郎「はぁ…… わかったよ、遅刻するかもだけど次の駅で降りよう」 ************************************************************************** 京太郎「モモのお尻って結構大きいよな」 サスサス 桃子「ああぁんっ……! や、止めってっす! 警察にいうっすよ!」 ビビクン 京太郎「フフフ…… 良いのかな? あの写真ばらまかれても?」サワサワ 桃子「そ、それだけは! ……あぁっ! パンツの中はダメっす!」 ビビビビクン 京太郎「……濡れすぎだろ…… まるで洪水じゃないか…… まぁ、安心してほしいなモモ。いうこと聞いてればバラしたりはしないから」 クチュクチュネットリ 桃子「くぅ…… な、何でこんなことに……」ビビビビビクン 京太郎「それに、モモが警察に行っても誰も気づいてくれないから無意味だしな」グチュグチュ 桃子「……自分のステルスが憎いっす! ンアァッ! ダメ! 逝っちゃう!!」ビクッビクッン! 桃子「ハァハァ…… なんで京君には私が見えるっすか……」クタァ 京太郎「さぁ? 不思議だな……」 桃子「今日はこれで終わりなってことは……」クタァ 京太郎「ある訳ないだろ、次の駅のトイレに行って本格的に○○虐めるから覚悟しとこうな」 桃子「……はいっす……」 京太郎「……なぁ、こんなプレイもうやめないか? 結構リスキーで毎回ビクビクなんだが……」 桃子「何言ってるんすか。そのビクビクが興奮するんじゃないっすか♥」 京太郎「しかも、トイレでゴム無し……」 桃子「京君~♥」スリスリ ************************************************************************** 桃子「ひゃぁん!!」ビクッ 桃子(な、何すか!? 痴漢!?) 桃子(なんで、モモに痴漢出来るっすか!?) 桃子(最近ステルスが強くなってきていて一般人には大声出しても気付かれないことがほとんどなのに!) 京太郎「東横さんだね? 鶴賀の皆が心配なら抵抗しない方がいいよ」サスサス 桃子「!? どういうことっすか!?」 京太郎「ステルスかなり強くなったみたいだね、これじゃ居ないのと変わらない…… 言葉通りの意味さ」モミモミ 桃子「ちょ! 何処触ってるっすか!?」 京太郎「何処って胸だけど? それと声は上げないこと、ステルスがあるって言っても用心のためにね?」モミモミキュキュ 桃子(じ、直に触ってきているっす! だ、ダメ! 乳首抓らないで!) 京太郎「感じてるのかな? 乳首勃ってきたけど、次は太ももとお尻にご挨拶しようかな?」ソー 桃子「ヒッ!」ビクン 桃子(ふ、太ももの内側撫でられて…… ああっ、直にお尻触られてるっす……)ビク 京太郎「良いお尻だね、安産型だ」サワサワ 桃子「放っといてっす!」ビク 京太郎「じゃぁ、前の方にもご挨拶を……」ソー 桃子「そ、そっちはダメっす!」イヤンイヤン 京太郎「鶴賀のメンバー……」ボソ 桃子「!!」ビクッ 京太郎「…………」クチュクチュ 桃子(あぁ…… ○○弄られてるっす……)ビビク 京太郎「……濡れすぎだろ…… まるで洪水じゃないか…… まぁ、安心してほしいな。いうこと聞いてれば友達に危害は加えないから」 クチュクチュネットリ 京太郎「約束は必ず守るよ」グチュグチュ 桃子(クゥッ……!! な、何か来るっす!! あああぁっ!!)ギュッ 桃子「……ッ!! ……ッッ!!」ビクビクビク 京太郎「逝ったの?」 桃子「ハァハァハァ……」クタァ 乗客A「ん? 何か変なにおいしない?」クンクン 乗客B「そういえばそうだな……… 栗の匂い?」クンクン 桃子「ヒッ!!」ビクッ 京太郎「東横さん、次の駅で降りるよ」ボソッ 桃子「……お願いです、もう解放してっす。誰にも言わないっすから……」グスッ 京太郎「いいね?」 桃子「…………」 桃子「んぁぁぁっ!! そこダメっす!! 感じすぎちゃうぅぅぅ!!」グチュグチュ 桃子「ああ! あああん!! くぅぅっ!!」グチュグチュパンパン 桃子「こ、こんな体勢…… キツ過ぎるっす!」パチュンパチュン 桃子「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあっぁぁぁあ!!!」ビビビビビビクン 京太郎「胎内に射精すよ」グチュグチュ 桃子「な、胎内はダメっす!! お願いですから外に射精してっす!!」パチュンパチュン 京太郎「……もう遅いよ……」ビュルビュル 桃子「ああああああああああああっ!! 中出しされてるっすーーーーっ!!」ビビビビビビクン 京太郎「……まだまだ行くよ」ボソッ 桃子「も、もう許してっす…… お願いっす……」 四時間後 桃子「ハァハァハァハァ……」ベッチョリ 桃子(よ、汚されちゃったっす…… パパ、ママ、皆…… モモ汚されちゃったっすよ……)グシュ…… 桃子「ううっ…… グスッ……」グッタリ 桃子(もう…… お嫁にいけない…… 綺麗なモモじゃ無くなっちゃったっす……)グシュ…… 京太郎「東横さん、聞こえてる?」 桃子「ううっ…… グスッ……」グッタリ 京太郎「俺の名前は須賀京太郎。知ってる高校だと思うけど、清澄の生徒だ」 桃子「……グスッ……」グッタリ 京太郎「自分がなんでこんな目にと思うかもしれない…… でも、今回のことには理由がある」 桃子「……ウウッ……」グシュ…… 京太郎「……心して聞いてほしい……」 京太郎「君のステルスだが…… 強くなり過ぎている」 京太郎「このままだと本当に誰も君を認識出来なくなる。これは宮守の熊倉さんや永水の六仙女の一致した意見だ」 桃子「……ウウッ…… グスッ……」グッタリ 京太郎「原因は世間との縁を君がほぼ完全に絶ってしまったから」 京太郎「この縁を戻すには君の方から世間に歩み寄るしかないが…… 君のご両親の話からそれはかなり難しいだろうな」 京太郎「では如何するべきか…… 結論はすぐ出たさ。子供を産むことだ」 京太郎「しかし、恋人が出来て、結婚して、子供が生まれるまで待つことは出来ない……」 京太郎「それまでに君は世界から完全に認識されなくなってしまう」 桃子「ううっ…… グスッ……」グシュ…… 京太郎「それで、君のご両親とチームメイトが一緒で依頼に来た。『君を孕ませて欲しい』と……」 桃子「!!」 京太郎「君にはショックな話だろう」 京太郎「でも、このままステルスが強くなれば君は本当に世間から弾かれてしまう。チームメイトも君を認識できなくなるんだ」 桃子「そ、そんな……」 京太郎「子供も一人では縁を完全に修復するのは無理だ、何人か産まなければならない…………」 京太郎「最初、その依頼を聞いたときは目を剥いたさ。いくら何でも常識外れも甚だしいからね……」 京太郎「依頼書を君のご両親とチームメイトに叩きつけたっけ……」 京太郎「でも、色々情報を集めるうちに受ける気になった。君のことを憎からず思っていたしね」 桃子「なんで…… 須賀君が……」 京太郎「なんで、俺に依頼が来たかって? ああ、俺は高校生だけどT.C(トラブルコントラクター)をやってるからね」 京太郎「という訳さ、東横さん。俺はこれからも君を犯し続けることになるんだ」 桃子「ア、アハハハハハハ…………」 月日は流れて…… 「「「「「「行ってきまーす!!」」」」」」 桃子「気を付けていってくるっすよーー!!」 京太郎「子供たち、学校行った?」 桃子「ええ、そりゃもう元気に行ったっすよ」 京太郎「それにしても…… 10人か……(遠い目)」 桃子「私のステルス…… 消えるまで10人も産まなきゃってどんだけっすかね……(遠い目)」 京太郎「おっと、そろそろ行かないと…… 依頼人待たせることになるな」 桃子「気を付けていってらっしゃいっす」 京太郎「ははは、それにしてもモモは俺と一緒になって良かったの?」 桃子「それは言わない約束っすよ」 桃子「最初こそ最悪の始まりだったけど、今は優しい旦那と可愛い子供たちに囲まれて、本当に幸せなんすから」 京太郎「ふふふ、それじゃ行って来るよ」チュッ 桃子「改めて、行ってらっしゃい」チュッ カンッ ************************************************************************** モモ「もっと直接的にさわって欲しいって何でわからないんすかねー」プンプン 京太郎「いやお前考えてみろよ…俺触る、お前ステルス、でも俺はステルスじゃない」 モモ「つまり?」 京太郎「俺がエア痴漢してる変態ってことだよ…!」 モモ「あっははははは!」バンバン 京太郎「うるせぇ笑うな!だからそれだけは出来ねぇよ、マジで…」 モモ「ひー、おなか痛い…でもそれじゃ羞恥プレイ全般出来ないんすね…」シュン 京太郎「そこまでして恥ずかしいプレイしたいもんなのかねぇ?」 モモ「そうに決まってるじゃないっすか!羞恥はロマンっすよ!」 京太郎「えぇ…」 モモ「じゃあ想像して欲しいっす。まずはおっぱいさんっすね」 京太郎「和だな。次は?」 モモ「まずはそうっすね…パンツとブラをつけさせずに部活に出すんすよ」 京太郎「ほう。なるほど」 モモ「下着をつけないと乳首が動くたびに擦れちゃいますよね?」 京太郎「あんまよく知らんがそうらしいな」 モモ「そうなんすよ。それで部活中少しは動くのでそのたびに刺激されるんす」 京太郎「ほぉ…」 モモ「それで京さんは付けてないのを知ってるからちょっとぎりぎりのところで刺激を与え続けて」 京太郎「おぉう」 モモ「そのときおっぱいさんがこっちを顔を赤らめながらにらむ感じっす。…どうっすか?」 京太郎「正直たまらないな」 モモ「そうだと思ったっす。じゃあ次にいくっすよ?」 京太郎「ちょっと期待している俺がいる。次は何だ?」 モモ「同じ相手だと飽きるっすから…次は風越のおっぱいさんっすね」 京太郎「もうおっぱいさんとしか言ってねえな。福路さんだろ。」 モモ「確かそうっす。あの人は好きな人が言うなら何でもしそうな感じがあるっすから…ストリップすかね」 京太郎「少したぎったな」 モモ「まずは全面鏡張り、無理なら目の前に鏡を用意して下の感じにするんす」 鏡 自分 福路 京太郎「福路さんと鏡の間に入る感じか」 モモ「そんな感じっすね。それで一枚一枚ゆっくり脱がせる感じっす」 京太郎「見てるだけでも襲っちまいそうだな」 モモ「そこはぐっと我慢して…残りが下着だけになったとき、おっぱいさんはつい自分の痴態に気づくんす」 京太郎「ふむ。言われたこととはいえ自分から脱いで相手を誘ってるわけだからな」 モモ「そこで顔を赤らめて『も、もういいですよね?』なんてもじもじしながらこっちを見るんすよ」 京太郎「もう理性がトぶな」 モモ「そんなおっぱいさんに対し無慈悲に最後まで脱がせるか慈悲の心を持ちつつも」 モモ「鏡をつかって自分のみだらな姿を自覚させるか…そそらないっすか?」 京太郎「正直たまりません」 モモ「前屈みになるほどっすか…とまあ、そんな感じっすね」 京太郎「なるほど…羞恥はロマン。至言だな」 モモ「そうなんす。ロマンなんす。…ところで京さん、ムラっとしたんじゃないっすか?」 京太郎「あ、ああ…恥ずかしながらな」 モモ「ここに程よく発情した女の子がいるわけなんすけど…いかがっすか…?」チラッ 京太郎「…頂こうか」ギュッ 悪 魔 の キ ン ク リ 薫製づくりに徴集されますた ************************************************************************** モモ「いったい何するんすか!もう!」 京太郎「ホント悪かったって」モミモミ モモ「何でまだ揉んでるんすか!止めてくださいっす!」 京太郎「いやでも…」 モモ「でもなんなんすか!」 京太郎「お前すごい凝ってんじゃん、肩」 モモ「そこは胸を揉めよ!」 京太郎「」ビクッ モモ「どうせなら胸じゃないとお話が進まないじゃないっすか!なんなんすか!」 京太郎「でも昨日つらそうにしてたから…」 モモ「優しすぎるっす!京さんは気を使いすぎっす!」 京太郎「いいだろ別に…性分なんだし…」 モモ「惚れちゃうじゃないっすか!」 京太郎「えっ!?」 モモ「やばいっす!なんでもないっす!気にしないで欲しいっす!」 京太郎「そ、そうか?ならいいけど…」 モモ「そこは突っ込めよ!」 京太郎「」ビクッ モモ「なんなんすかその気遣い!そこはいらなかったっす!この鈍感!」 京太郎「えぇ…じゃあいったい何なんだよ?」 モモ「………なんでもないっす!」 京太郎「やっぱ何でもないんだろ?ならいいじゃねえか」 モモ「何でもないんすけど何でもあるんす!わかってくださいよ!」 京太郎「わけがわからないよ」 モモ(駄目っす…このままじゃいつもみたいに素直になれないままっす…) 京太郎「…」ナデナデ モモ「ふぉうっ!?いきなり何するんすか!?」 京太郎「頭撫でてる。嫌か?」ナデナデ モモ「嫌じゃないっす!全然嫌じゃないっす!」ニコニコ 京太郎「知ってた」ナデナデ モモ(もう今日は終わりにしよう…) 京太郎「なあモモ」ナデナデ モモ「何すかぁ?」フニャー 京太郎「好きだ」ナデナデ モモ「」 モモ「へ?…ふへぇっ!?」 京太郎「ずっと好きだったんだ。一目惚れみたいなもんなのかな…いつもつい目で追ってた」 モモ「うぇぇ!?本当なんすか!?マジの、マジに、マジなんすか!?」 京太郎「お、おう…まだ言わないつもりだったけど何か今日のモモを見てたら言わないとって思ってな」 モモ「うぇぇぇぇ」ポロポロ 京太郎「おわっ!?変なこと言っちまったか!?謝るから泣きやんでくれ!」オロオロ モモ「馬鹿っ!京さん馬鹿っす!鈍感っす!」ポロポロ 京太郎「すまん、だから泣きやんでくれ、な?」オロオロ モモ「うぅ~…好きっす…そんな京さんが好きっす…大好きっすよぉ~!」ビエー 京太郎「わー!もう勘弁してくれー!」 happy end? ************************************************************************** ゆみ「ほう。言うじゃないかモモ」 モモ「加治木先輩!?どうしてここに!?」 ゆみ「私の指示だからな。ふふ…」サワッ モモ「うひゃっ!?」ビクッ 京太郎「ゆみさんだけじゃ満足できなかったんですよね…というのは建て前で」モミモミ ゆみ「だから私がモモも一緒に愛してくれと言ったんだ…」ハムハム モモ「だ、だからってぇ…んぅ…私の意志はどうなるんすか…ぁっ」ビクン ゆみ「京太郎くんが好きなんだろう…?知っているさ」クリクリ モモ「んひゃあんっ!」ビクビク ゆみ「私に譲ろうとしたこともな…」ペロッ 京太郎「不誠実どころじゃないんですけどね…」クチュッ ゆみ「全員幸せなら良いじゃないか…だろう?」 モモ「私は…私だって…京さんに愛されたいっす…」カァ ゆみ「ふふ、よく言ったぞモモ」チュ モモ「加治木先輩…」トロン ゆみ「だからモモ…一緒に…な?」ボソッ モモ「はい…京さん…」 京太郎「なんだ?」 ゆみ「私達のココを…」クパァ モモ「いっぱい…可愛がってくださいっす…」トロォ 京太郎「二人とも…愛してますよ」チュッ メイドインヘブン!時は加速する! ゆみ「ハァ…ハァ…」ビクッビクッ モモ「京さんケダモノ過ぎっす…あ、垂れて…」ドロッ 京太郎「」ゴクッ 京太郎「もう一回…するか…」 カンッ ************************************************************************** 桃子「どこ触ってるんすか!!」 京太郎「わ、悪い」モミモミ 桃子「いや悪いと思うなら辞めるっす!」 京太郎「あんまりにもいいお尻だから…」モミモミ 桃子「そ、そう言われると悪い気はしないっすね…」 京太郎「だろ」モミモミ 桃子「いやいやいや、ノせられそうになったっすけどダメっすダメっす」 京太郎「わ、わかったよ…流石に嫌がってるのを無理やりは気が引けるしな」モミモミ 桃子「とか言いながら何で触ってるっすか!?その手を離すっす!」 京太郎「ああ、悪かったな」モミモミ 桃子「口ばっかりじゃないっすか!ちょっと須賀さん!」 京太郎「な、何だ?」モミモミ 桃子「何だじゃないっすよ!早くお尻から手を離すっすー!」ガシッ 京太郎「す、すまんつい…」グググワキワキ 桃子「フン!」ドカッ 京太郎「ああ…椅子に座ってしまった…」 桃子「これでお尻は触らせないっす!」ドヤガオォ 京太郎「…」モミモミ 桃子「きゃあぁ!何おっぱい揉んでるんすか!!」 京太郎「す、すまん…形も大きさも完璧だったから…」モミモミ 桃子「えっ…ホントっすか…」 京太郎「ああ」モミモミ 桃子「そっすか…じゃなくて!ええい手を離すっす」ガシッ 京太郎「ああそんな殺生な」ワキワキワキワキワキ 桃子「ヒィィィィ!手の動きがキモいっす!違う生き物みたいっす!」 京太郎「いやれっきとした俺の両手だ」ワキワキワキグググググ 桃子「そんなら自分で制御するっすー!」 京太郎「す、すまんつい…」モミモミモミモミ 桃子「ひゃあああああ!」 京太郎「うーん。マンダム」 桃子「そろそろホントにやめるっす!服がヨレちゃうっす!」 京太郎「お、おお…すまん」スッ 桃子「はぁ…はぁ…何で服のシワの話になると…あっさりやめるっすか…」 京太郎「…」ゴソゴソッ 桃子「!?やあああああああ」 京太郎「どうしたモモ!?」モミモミ 桃子「どうしたもこうしたもないっす!何服の中に手入れてるっすか!?」 京太郎「す、すまん…服にシワ付けずに揉むとなるとこれ以外に…」モミモミ 桃子「違うっす!大事なのは服じゃないっす!そこはどうでもいいんす!」 京太郎「そ、そうなのか…」ヌガシヌガシ 桃子「!?ちょっとおおおおおお」 京太郎「な、なんだ!?どうした!大丈夫か!」 桃子「大丈夫じゃないっす!寧ろ須賀さんの脳味噌が大丈夫か聞きたいっす!」 京太郎「綺麗だ…」 桃子「えっ…それはありがとう…じゃなくて!」 桃子「とにかく、服を返すっすぅ」 京太郎「待ってくれ!!」 桃子「!…な、なんすか」ビクッ 京太郎「…」モミモミ 桃子「やあああああ!直は辞めるっす!」 京太郎「モモ」モミモミモミ 桃子「ななななんすか!まず揉むのを辞めてから話すっす!」 京太郎「ちょーすべすべだ、毎日お肌の手入れを欠かしていないな」モミモミ 桃子「そりゃーそっすよ、スキンケアは女子の嗜みっすからね」ドヤガオォ 京太郎「やっぱそうか、びっくりするほどツルツルでシミひとつないな」サワサワ 桃子「そーでしょーとも、あはは、須賀さんくすぐったいっすよー」キャッキャッ 桃子「ちがーーーーーーーーーーーーーーーうっす!」 京太郎「うわわ」 桃子「何!いい感じに!もっていってんすか!」ドスンドスン 京太郎「まあまあ落ち着けよ」 桃子「ええいしゃらくさいっす!誰のせいだと思ってるっすか!服返すっす!」バサッ 京太郎「ああん」 桃子「須賀さんなんか嫌いっす!」プン 京太郎「…」 桃子「…」 京太郎「…」 桃子「…」チラッ 京太郎「…」 桃子「ちょ、ちょっと言い過ぎたっす…」 京太郎「あ、そこに居たのか、黙っちゃうと何処にいるのかわかんなくてさーていうか嫌いとか言ってまだ居るのな」 桃子「むぅーぐぎぎぎ」 桃子「とにかく揉むの禁止!きんしぃぃぃぃ!っす」ドッカンドッカン 京太郎「おお、怒り狂っている」 桃子「当然っす!帰るっすよ!」ガシッ 京太郎「あ、ああ」 桃子「何すか…?」 京太郎「いや、服まだ着ないのかなって…」 桃子「!?そういう事は早く言うっす!」ゴソゴソ 桃子「これでオッケーっす、待たせたっすね…帰るっすよ」キュッ 京太郎(怒りが続かないなあ…) 桃子「何ニヤついてるんすか」ジトォ 京太郎(明日も堪能しよ) 終わりっす ************************************************************************** ゆみ「モモかと思ったか?残念!私だ!」ドヤァ 京太郎「…」ムニュ ゆみ「んっ」ピクン 京太郎「…これはこれで」モミモミモミ ゆみ「ああんっ!」ビビクン カンッ モモ「私はガチのステルスっすか…いいもんいいもん…」ぐすっ ************************************************************************** モモ「どこ触ってるんすか」 京太郎「わ、悪い」モミモミ モモ「服の上からじゃなく直接触ってほしいっす」 京太郎「おいおい、周りに結構人がいるとはいえ電車の中でそれは…」モミモミ モモ「ステルスだからばれないっすよ。それにそう言いながらもやめる気はないっすね」 京太郎「こんなにもやわらかいのがいけない」キリッ モモ「なんでそんな顔と行動が合ってないっすかねえ…」ハァ 京太郎「それより…いつまでこんなことするんだ?」モミモミ モモ「まだするっすよ。一度痴女プレイってのをしてみたかったっすから」 京太郎「という割にはモモの方から…はぅ!」 モモ「んふふ、大きいっすね~。制服の上からでもまるわかりっす」スリスリ 京太郎「ちょ…っ!モモ…いきなり……!」ビクッ モモ「きゅうくつなのはイヤっすもんね、すぐに楽にしてあげるっす」ハァハァ 京太郎「さすがにそれはダメ……くっ!」 モモ「じゃあジッパーをおろしてからいただき…」 智美「何をいただこうとしてるんだー?」ワハハ 京モ「!」ビクッ 智美「仲がいいのと趣向については問わないが公共機関でそんなことするのはいただけないぞー」 京モ「せ、先輩…」 智美「あと二人ともかなり目立ってたからなー」ワハハ 京モ「」 智美「気を付けて帰るんだぞーじゃあなー」 京太郎「もう……」ナミダメ モモ「イヤっす……」カオマッカ カンっす ************************************************************************** モモ「いきなり胸を触るなんて痴漢っすよ痴漢!」チュッ チュッ 京太郎「ん…だから謝ってるだろ?」 モモ「謝ったぐらいで許されるなら警察はいらないっす!」スリスリ 京太郎「そこまで言うならこれからはもう近づかないようにするよ」ナデナデ モモ「そう言うことを言ってるんじゃ無いんす!」ギュー 京太郎「じゃあどうしろって言うんだよ?」ポンポン モモ「触った責任をとれと言ってるんす!」スンスン 京太郎「どういう風に?」モミモミ モモ「慰謝料を払うか、私は嫌っすけど、本当に嫌っすけど一緒になって一生償うという形もあるっすねぇ」トロン 京太郎「一緒になってもいいのか?」クリクリ モモ「そうっ、すね…世間にぃっ…性欲魔神を放たないためにもぉ…嫌っすけど私が犠牲になればいいんすよね…はぁっ…」ピクンピクン 京太郎「じゃあそうしていいか?」ギュッ モモ「どうせ嫌って言っても聞かないんすよね…この醜悪なもので私を蹂躙して私の中にたっぷり出すんすよね…?」サワサワ 京太郎「…ああ、出すな。嫌と言っても止めずに注いでやる」グイッ モモ「ああ、こんなクズな人に私は強姦されるんすね…?無理矢理孕まされるんすよね」トローン 京太郎「その通りだ。もう止まんねえぞ」チュッ モモ「はぁぁ…」ゾクゾク カンッ ************************************************************************** 京太郎「ど、どこ触ってるんだ!!」 桃子「わ、悪いっす」サワサワ 京太郎「まあ狭いから仕方ないけどさ…」サワサワ 桃子「そっちこそなに胸もんでるんっすか!!」 京太郎「元はといえばお前がロッカーに連れ込んだのが原因だろ!」 桃子「いや!そっちが人が着替えてるときに入ってくるのが悪いっす!」 京太郎「仕方ないだろ!部室で着替えているほうが悪い!」 桃子「女子ばっかの部活なんっすからそっちが注意するべきっす!」 京太郎「もうそのときたまたま来た加治木先輩が悪いってことで…」 桃子「加治木先輩が悪いとか殺すっす!!」 京太郎「うっせぇ!ならお前が悪いってことにしとけ!」 桃子「ばーか!京太郎が悪いに決まってるっす!」 京太郎「もうわかった…」スルッ 桃子「ちょっ!また胸もんで…下着の中にっ!」 京太郎「外には加治木先輩いるしなーもし見つかったら軽蔑されちゃうだろうなー」 桃子「お前に連れ込まれたって言えば信じてくれるっす!」 京太郎「でも先輩来てから結構時間経ってるし…すぐに助け呼ばなかったんだってなるよな…」 桃子「くっ…それは…」 京太郎「信じてもらえないってわかってるだろ…だから抵抗せずおとなしくしとけって…」 桃子「あっ…んんっ!」 京太郎「ほら…胸もまれてどうだよ?」モミモミ 桃子「そんなん気持ち悪いに決まってるっす…」 京太郎「ならさ…なんでこんな濡れてるんだろうな?」クチュ 桃子「うきゅうぅぅぅっ!」 京太郎「ステルス解けてきてるぞ…これだと先輩に見つかっちゃうなぁ…」 桃子「んあっ…あとで…こっ…殺すっ…くうぅうぅぅっ!」 京太郎「ぐちゃぐちゃだから…指もスムーズに入ったぞ?」 桃子「あっ…だめっ…動かすなっす…ふぁあっ!」 京太郎「これならもう大丈夫だよな…入れるぞ?」 桃子「えっ!やめっ…んくうぅぅぅううっっ!!」ズブッ 京太郎「だから声だすとばれるぞ…ほら動くから我慢しろよ?」ズッ 桃子「あっ…ちょっ…激しいっす…」 京太郎「あぁ~きっつくてよく絞まって気持ちいい…」パンパン 桃子「んなっ…うれしく…ない…っす…」 京太郎「そんなこと言ってロッカー連れ込んでたんだし期待してたんだろ?」 桃子「きょう…たろ…殺す…ぜった…い…殺すっす…」 京太郎「なあ…そろそろ1発目出すぞ」 桃子「なっ!膣内だけはやめるっす!」 京太郎「おら!1発目の濃いの出すぞっ!」ビュルルッ 桃子「ああっ…膣内で…妊娠しちゃうっす…」 京太郎「じゃあまだ加治木先輩もいるし2回戦いくか!」 桃子「えっ…少し休ませて…んぐっ!」グジュ 京太郎「いやぁ…まだまだ元気だから抜かずにいけるって…うれしいだろ?」パンパン 桃子「せん…ぱい…たすけ…」 京太郎「いやー桃子のは名器だな…ほんと何発でもいけるわ…」ビュルッ 桃子「また膣内で…もうだめっす…」 桃子「いやー!今日も京太郎のHは最高だったっす!」 京太郎「部室のロッカーでレイプのシチュとかマニアックすぎるだろ…」 桃子「そんなこと言ってるけど…ノリノリだったじゃないっすか?」 京太郎「まあ桃子とできるなら俺もうれしいし…」 桃子「なら次のシチュは…」 カン! ************************************************************************** 京太郎「…」ボケー サワサワ 京太郎(…!?…まさか痴漢?いや、姿が見えないからモモだな) 桃子「んふー」サワサワスリスリ 京太郎(…このやろう、ステルスだからっていつもやりたい放題やりやがって) 桃子「えへー」スリスリモミモミ 京太郎(確かにモモの豊満な体を押しつけてからのスベスベした手で触られると気持ちいいが) 桃子「うひひー」モミモミシュッシュ 京太郎(そろそろやりすぎだ。ここらで耐え切って後でモモに説教だ!) 桃子「ほっひひ」シュッシュヌチャヌチャ 京太郎(モモの痴漢になんか絶対に負けない!) ~その後~ 京太郎「やっぱりモモのいやらしい体に勝てなかったよ!勝てなかったよ!」パンパン 桃子「アンッ、そこぉ♪アンッ、やっ♪」 カン ************************************************************************** モモ「触るならせめてキスしてからにして欲しいっす」スリスリ 京太郎「すまんすまん。ちょっと手持ちぶさたになってな」ナデナデ モモ「まったくもー。京さんがケダモノだなんて思わなかったすよ…あんなに激しく襲うなんて…」ポッ 京太郎「お前が薬を毎回仕込むからだろ?知ってんだぞ…」ハァ モモ「強い薬なのに効かなくて不安だったんすよね」 京太郎「…」 モモ「最後の方にはその貯めた分一気に出されましたけど」 京太郎「しょうがないだろ…ずっと我慢してたんだから…」 モモ「あとにも先にも気絶したのはあの一回だけっすよ…」 京太郎「ま、今日もしっとりと愛してやるさ」チュッ モモ「ねっとり愛されてやるっす♪」ムチュッ カンッ ************************************************************************** 桃子「…須賀君」 京太郎「ん?」 桃子「手、離してもらってもいいですか?」 京太郎「嫌です」 桃子「何でですか?こうして手を繋いでいるのって、結構恥ずかしいっすよ」 京太郎「…嫌なんです」 桃子「?」 京太郎「この手を離したら、もう二度と…東横さんに会えなくなるような気がして」 桃子「…気のせいっすよ。私は突然居なくなったりしません」 京太郎「そちらが離れていかなくても、俺の方から離れてしまう可能性はあるんです」 桃子「どうして?」 京太郎「俺は、何時消え失せてもおかしくない存在ですから」 桃子「そんな事…」 京太郎「…俺の事、もう東横さんしか知覚出来てないんですよ」 桃子「!?」 京太郎「清澄の皆や家族でさえも、もう俺の事は居なくなってしまったものだと思っている」 京太郎「…俺は、俺はここに居るのに」 桃子(…私は、加治木先輩のようにはなれない) 京太郎「まるで、自分が世界でたった一人になってしまったようなあの感覚が…辛いです」 桃子(私は、縋られる側ではなく縋る側の人間だから) 京太郎「だからせめて…東横さんと一緒に居る時だけは、独りになりたくない」 桃子(けれど) 京太郎「東横さん…っ!?」 桃子「貴方は一人ぼっちじゃなんか無いですよ」 京太郎「その、胸とか当たってますから!当たってますから!」 桃子「今更気にする事っすか?よく私の胸に視線を向けているのに」 京太郎「うっ!」 桃子「貴方が独りぼっちにならないように、私がついていてあげますから。貴方が望む限り…ね」 おしまい ************************************************************************** 佳織「んんっ!あんっ!あっ!」 ゆみ「まだ私の番は来ないのか…」 桃子「お前は最後って言われたっす…」 佳織「ああぁあぁっ!くりゅうぅう!」 京太郎「ふぅ…次は…」 桃子「次は先輩っすね…」 京太郎「なあモモ…最後に犯すと約束したな…」 桃子「確かにそう言ってたっす」 京太郎「あれは嘘だ」ガバッ 桃子「きゃあぁぁああぁっ!」 ゆみ「うぅぅ…須賀のいじわる…」クチュクチュ… 桃子「あれから3人とも…」 佳織「妊娠しました…」 ゆみ「これ検査の結果だ…」 京太郎「あはは…そんな馬鹿な…」フラッ ゆみ「私達3人とも堕ろしたくないんだ…」 佳織「いつもゴムしてって言ったのにしてくれないから…」 京太郎「そんな…取り返しの付かないことを…」 桃子「反省してるっすか?」 京太郎「ああ…」 佳織「じゃあどっきりもここまでです!」 京太郎「検査薬は!陽性だったはずじゃあ…」 桃子「残念っすね、トリックっす」 京太郎「いやー練習疲れましたねー」 佳織「そろそろ晩御飯だね」 ゆみ「夕食までどれくらいかかるかな?」 久「1時間って予定してるわね」 智美「わははー合宿の気分転換にドライブでもいくかー!」 桃子「おりゃあ!」ドゴッ! 智美「わはっ!」ガクッ 桃子「頼みがあるんすけど」 ゆみ「連れを起こさないでくれ、死ぬほど疲れている」 京太郎「じゃあそれまでいちゃいちゃしてますか!」モニュッ 桃子「もう!いきなり胸もまないで欲しいっす!」 ゆみ「そうだぞ、女の気持ちを考えろ」サワサワ 佳織「自分もいきなり男の子のあそこ触るのは…」 久「あんた達お盛んね…」 桃子「卓が壊れたっす…」 睦月「練習ができないですね…」 智美「わははー京太郎はどうしたんだー?」 桃子「先輩とお楽しみ中っすね」 佳織「ふぇぇ…いつ終わるかわかんないよぉ…」 桃子「こういうときは…」 智美「わははーなにか方法でもあるのかー」 桃子「動けっす!このポンコツが!動けっ言ってるっす!」ドガッ! 睦月「……卓が動いた!」 桃子「この手に限るっす」 佳織「そっかぁ!勃たなくなった京太郎くんにもこうすればいいんだ!」 桃子「やめるっす!京太郎が不能になるっす!」 咲「どっちが京ちゃんを気持ちよくできるか!」 桃子「勝負っすよ!」 咲「私が先に行くよ!ぺろっ…ちゅっ…れろれろっ…」 京太郎「そこおおぉ!やばいって!」 咲「京ちゃんって先っぽ舐められるの好きだったよね…」 桃子「京ちゃんの体を知っているっすね…」 咲「怖いでしょ桃子ちゃん!当然だよ、元セフレの私に勝てるもんか!」 桃子「試してみるっすか?私だって京太郎の元カノっす!ほらほら~」 京太郎「うああっ!やめろっ!もうでるっ!」 桃子「ぬふっ…まったく早いっすね?」 咲「あの京ちゃんをあっという間にイカせるなんて!」 桃子「だって今は夫婦っすから…気持ちいいところは知り尽くしてるっす!」 咲「完敗だよ桃子ちゃん…」 桃子「ロッカーでのHは鶴賀で生まれたっす、清澄の発明じゃないっす!」 佳織「ちょっと遅れをとったけど今は巻き返しの時だよ!」 京太郎「ロッカーは好きですよ…」 桃子「ロッカーが好き?結構っす、ますますロッカーが好きになるっす、さあ入るっす!新しいロッカーっす!」 佳織「ああ!言わなくてもわかるよ!3人だときつい、でも2人だとフェラしながらおしり舐めたり、ダブルパイズリもできないよ?」 桃子「コンドームもたっぷりあるっす!どんなに絶倫な京太郎でもだいじょうぶっす!」 佳織「ちょっと試してみようか…じゅるるっ…んぐっ…」 桃子「気持ちいいっすよね?…エッチな音っす…カウパーの量が違うっすね…」 京太郎「一番気持ち良いのは…」 佳織「何かな?」 京太郎「桃子のまんこだよ!」 桃子「何をっ!いきなり激しく…駄目っす!待って!んきゅうぅぅぅぅうぅっ!」 ************************************************************************** 桃子「やぁん、もうそれ以上揉みながら突いちゃダメっすー!」トローン 京太郎「顔は全然嫌がってないぞ! そらもっと揉んで突いてやる!」モミモミュンパンパンッ 桃子「ふにゃぁ、京さんちょっとイタズラで誘惑しただけでこんなケダモノにぃ……」ビクビク 和「ハァ、ハァ、本当に、須賀君のケダモノォ……でも、もっとして欲しいです。エッチ気持ちいいの」アヘアヘ 春「ダメ。次は私……」ハァハァ 由暉子「須賀さんの精子を頂戴するのは神のお告げを受けた私だけです」ムチムチ 桃子「ダ、ダメっすー。今はぁ、私がたくさんどびゅどびゅして貰うっすぅ」ウットリ 京太郎「えぇい! まどろっこしい! このまま全員相手してやらぁ!」 桃和春由「あーーーーんっ♪」 ************************************************************************** モモ「須賀さん?」 モモ「須賀さーん!」 モモ「須…京太郎…さん///」 モモ「きょ…京太郎さん」 モモ「うーん…京太郎…京…」 モモ「あっ!京さん!」 モモ「京さーん!」 モモ「京さん♪」 モモ「京…さん」 モモ「はぁっ…んっ…きょぉ、さぁん…」 モモ「京さん!京さん!あぁっ!はぁんっ!」 モモ「はぁぁ…きょぉさん…」 モモ「ふふっ///京さん」 「大好き、っすよ♪」 カンッ ************************************************************************** モモ「そんなとこ触ったらアレになるっすよ!」 京太郎「マジかよ…それは本当にすまんかった…」サワサワ モモ「だから何でまだ触るんすか!そんなにアレが見たいんすか!」ウガー 京太郎「いや、にわかには信じがたくて…ちょっと見てみたい気もするけど…」 やえ「にわかと聞いて!」バン! 京太郎・モモ「帰れ!」 やえ「にわかは私だったか…」トボトボ モモ「ほんとにあの人はあれっすよね…」 京太郎「ホントにな…で、お前は本当にアレになるのか?」 モモ「も、もういいじゃないっすかその話は!」 京太郎「いや、意地でもお前のアレが見たくなった」ジリジリ モモ「いやっす!見せたくないっす!」 京太郎「お前のアレは絶対に色っぽくて興奮するだろうな…」ズイッ モモ「ひっ…」 カンッ ************************************************************************** モモ「謝るくらいなら私にも揉ませろっす!」フンフン 京太郎「なっ!?お前変態か!?」 モモ「変態じゃないっす!でも京さんのを触れるなら変態でもいいっす!」ハァハァ 京太郎「この変態!」 モモ「あぁんっ!もっとぉ!」ビクン 京太郎「呆れかえるほどの変態だな…俺が教育してやらないと…」ゴクッ モモ「ふふ、私のココを教育してくれるんすかぁ…?」トロォ 京太郎「修正してやるぅ!」ガバァ モモ「やぁん♪」ビビクン カンッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6058.html
《星は儚く輝く》 私は強い。同年代で私に勝てる人なんていない。 皆皆、私の前では無力。他の人が手を揃える前に私がアガる。 そうだったはずなのに。 そんな私の前に二人、トクベツな人が現れた。 最初は部活の先輩、宮永照。 場の支配をものともせず、ばしばしアガられて負けた。 悔しい。ほんとに悔しかった。 なにより澄ました顔がよりいっそうむかつかせた。 二人目は喫茶店の店員、須賀京太郎。 テルにリベンジしようと思って、つけた先の喫茶店で四人目として卓に入ってきたのだけど、安々と私の支配を抜けてきた。 テルにも負けたし本当に最悪だった。 むかつく……けど…… 私よりも強い人が同年代でもいる。 そう思うと、世界が少し開けた気がした。 テルは凄い。 強いのにそれを変に誇るわけでもない。 格好いいというのが相応しいのかもしれない。 なのに私達、身内の前ではお菓子が大好きな一面を晒してて、ちょっと可愛いかも。 きょーたろーは話してて凄く楽しい。 私と話をする時、時折嫌な顔をする人が多いけど、きょーたろーは全くそんなこと無い。 しかも色んな話題を振ってくれて飽きることもない。 麻雀の腕はそんなにだけど、何故か負ける。きょーたろーも私と同じだ。 だからかな?ちょっと親近感。 そんな二人が大好きだ。 きょーたろーが真剣に麻雀を練習し始めた。全国を目指すみたい。 確かに私との勝率は悪くないけど、私が抜けた途端がくっと勝率が下がる。 色々と試行錯誤しながら勉強してるきょーたろーの顔はちょっとだけカッコイイ……のかも。 でもちょっとムカつくことがある。 野依プロに頭を撫でられたときはあんまり抵抗しないのに、私が撫でると凄く嫌がる。 生意気。 そういう態度はちょっとカワイイけど、もうちょっと撫でられてもいいじゃん。 もしかして……そんなわけない。なんにもない。 顧問の先生からきょーたろーと練習してもいいって許可をもらってから一ヶ月。 きょーたろーのおかげでプロの人たちからの指導を受けられ、私はかなり上手くなった。 高校に上がった頃の気持ちなんて欠片も残ってない。 他の人に負けるわけない、なんて思いもしないけど、私は強い。自信を持ってそう言える。 きょーたろーもかなり上手くなった。もしかしたら、本当に全国にいっちゃうかも。 でも、きょーたろーはきょーたろーだ。 たくさん下らない話をするし、悪ノリにも付き合ってくれるし、軽口も叩き合える。 今の私ならちゃんと言えるよ。自分の気持ちをちゃんと言えるよ。 きょーたろーのこと好きだって。 でも、聞いちゃった。聞こえちゃった。 きょーたろー、野依プロのことが好きだって、だから少しでも近づきたくて真剣に麻雀やり始めたって…… 私は応援するよ。 好きな人には幸せになって欲しいもん。 それからテルも。 妹が全国に来るみたい。 どこであたるかなんてわからないから決勝までいって闘わないとね。 ごめんね、きょーたろー。 テルのことは手伝ってあげられるけど、きょーたろーは手伝ってあげられない。 だから応援。 なんて声かけたらいいかわかんないけど、応援してるから。 きょーたろーはすごく頑張ってた。怖いぐらいに。 休憩時間、自分達の試合もあったけど、きょーたろーの試合見てた。 最後の試合はこっちの結果発表もあって見れなかったけど、ぎりぎりの逆転で、あぶなっかしいけど一位の人に勝ってたみたい。 でも……個人戦はその一戦で決まるわけじゃない。 たったの二。それだけの差をつけて、五位の人がきょーたろーを抜いて三位になった。 私は急いできょーたろーを探した。 スミレが電話をいっぱいかけたのに出なかったし…… 会場内で見つからなかったから外まで行って探した。 見つけた時、きょーたろーは魂が抜けたようだった。 目は斜め下を彷徨わせ、足取りはまるで重りでもついてるようにほとんど引きずった歩き方。 声をかけても反応しなかったから思わず手を掴んで振り向かせた。 ようやくこちらを向いた目はこっちを見ているはずなのに見てなかった。 普段有り余ってる元気は欠片も感じられない。 違う…… 私の知ってる京太郎と違う。 元気を出して「よぉ、淡!」って言ってよ。 元に戻って欲しい…… でも声のかけ方なんてわからなかった。 あんなに頑張ってたきょーたろーが三位に入れないなんておかしい。 だから慰めようとして難癖をつけてしまった。 結果は逆効果。 私、駄目だよ。 慰めたいなんて思ったの初めてだもん。 こんなに親しくなったの初めてだもん。 こんなに好きになったの初めてだもん。 スミレに叩かれて、きょーたろーが去っていって、きょーたろーのこと苦しみから助けてあげられなかったとわかったら悲しさが、自分の無力さが、それに対する悔しさが、涙になってこぼれた。 ごめんね。ごめんね、きょーたろー…… きょーたろーから連絡があった。 少し疲れた声してたけど、それでも元気な声だった。 ごめんって言ってきたけど、バカって返した。 バカってなんだよバーカって、冗談交じりな声で返してくれた。 自分がバカなんて知ってるよ。 もう聞いたもん、自分から。 そう、こんなんでいいんだよ。 私達の関係なんて。 バカって言ってバカって言われる、こんなやり取りをしながら笑いあって、ずっと友達でいられたらいい。 でも、ちょっと待ってよ。 もうすぐ雨はあがるから、そしたら星が輝いてるから――― カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1109.html
前話 京太郎「え? 今日、居ないんですか?」 『どうしても外せない私用でして。とは言え、居なくなると言っても一日空けるだけですよ。明日の午後には帰ります』 京太郎「そんな……久々にご指導いただけると思ってたのに……」 『なに、私から京太郎君に教えられることなんてもう殆どありませんでしょうに』 京太郎「でも……」 『……では、一つ頼まれてくれますか?』 京太郎「?」 『私の居ない間、皆様と共に仕事に勤しむこと。これだけです』 京太郎「えっ、そんな普通のことでいいんですか?」 『当たり前の事を当たり前に。執事の教えの基本でしょう?』 京太郎「あっ……」 『できますね? 京太郎くん』 京太郎「……はいっ! 任せてください!」 京太郎「ハギヨシさんの分まで俺、頑張ります!!」 ハギヨシ『ええ、良い返事です』 ハギヨシ『仕事の内容について、大方のことは国広君に言ってあります』 ハギヨシ『ですので、京太郎君にはお嬢様達が危険に晒されないよう注意して仕事に取り掛かっていただければ結構です』 京太郎「わかりましたっ」 ハギヨシ『……今日一日はあなたが私の代わりです。一人の執事として、気を引き締めてくださいね』 京太郎「……俺なんかがハギヨシさんの代わりになるだなんて思っちゃいませんけど……」 京太郎「俺なりに精一杯、ハギヨシさんに教えられたことを忠実に守っていくつもりです!」 ハギヨシ『ふふっ、それは心強い限りですね』 ハギヨシ『では京太郎君。お嬢様方のこと、頼みましたよ』 京太郎「はいッ!!」 ピッ 京太郎「ふぅ」 京太郎「…………」 京太郎「……はぁぁぁ~……」ガクリ ―8 00 旅館庭先 パチッ...パチッ.... 京太郎「……長電話してすいませんでした、玄さん」 玄「そんなに待ってないから大丈夫だよ~。 ……ん~、そろそろかな~」スッ 京太郎「……」 玄「……どうかしたの? なんか目に見えて落ち込んでるようだけど」 京太郎「ん……。今日行く予定の龍門渕なんですけど……会いたかった人が居ないようでして……」 玄「電話で喋ってた、ハギヨシさんって人?」 京太郎「はい。龍門渕専属のお手伝いさん。炊事、洗濯、掃除、その他何から何まで出来てしまう超万能な人でして」 玄「ほぉ」 京太郎「俺の雑用スキルもハギヨシさんから教わったものなんですよ。一時期龍門渕でバイトしてましてね」 玄「ほほぉ~」 京太郎「俺が一番尊敬する人なんです。 あの人程素晴らしい人、見たことがない」 京太郎「それだけに……はぁぁ……」ガクリ 玄「………」スッ 玄(……龍門渕高校。 その名前は、私でもよく知っている)ススッ 玄(県大会団体戦優勝の最有力候補と目されていた強豪私立校。前年度はメンバー全員が一年生でありながら優勝した実績を持つ)スッ 玄(今年度は惜しくも京太郎くんの所属する清澄高校に敗退。しかし、その実力はプロですら慄く程と聞く)ハムッ 玄(……それにしても……)モグッ 京太郎「はぁぁぁ……」 玄(……京太郎くんがこんなに落ち込む程会いたかったお手伝いさん……)モッキュモッキュ 玄(ハギヨシさん……かぁ……)モッキュモッキュ 玄( ……萩原ヨシエ? 萩原ヨシコさんかな?)モッキュモッキュ 玄(まぁなんにせよ……) ゴクンッ 玄「ふぅ」 玄(凄い【メイドさん】なんだろうなぁ……) 京太郎「……切り餅、一つ貰ってもいいですか?」 玄「あ、いいよいいよー。はいっ」スッ 京太郎「……しかしまぁ、よく七輪なんて持ってましたね玄さん」モグモグ 京太郎(泊まり先の庭で餅焼いてるかはこの際置いといて) 玄「えへへ。七輪はね、いっつも持ってるんだ」 京太郎「はぁ……。 何故に?」 玄「おねーちゃんが極度の寒がりだからねぇ~。出かけ先で凍えないようにしなきゃでしょ?」 京太郎「ですか」 京太郎「……カイロじゃダメなんですか?」 玄「カイロだと1パック使わなきゃでしょ?」 京太郎「はあ。ですか」 玄「ですッ」ドヤッ 京太郎「……最初七輪と一緒に練炭取り出したの見た時は死ぬ気なのかと思いましたよ」 玄「ちなみに、隙間風対策にガムテープも常備してるよっ」ドヤヤッ 京太郎「マジで死ぬ気かよ」 京太郎(さて、いつまでもクヨクヨしていられない。今日のことを考えなきゃな) 京太郎「というわけで玄さん。なんと今日のお仕事は龍門渕に泊まり込みです」 玄「えッ! ホントッ!?」 京太郎「そんで、仕事先がなんと龍門渕本邸だそうで」 玄「本邸……って、お家!?」 京太郎「龍門渕の部長さん……お嬢さんの祖父が龍門渕高校の理事長なんです。麻雀を打つ時は本邸で打っているんだとか」 玄「ほぇぇ……お嬢様だねぇ……」 京太郎「しかも宿泊費は全額あちらで負担してくれるそうです。ありがたい事この上ないですね」 玄「至れり尽くせり、ってやつだねっ」 京太郎「ちなみに、卓球台は無いそうです」 玄「……ウッ」ジワ... 京太郎「あっ……つ、次! 次行く所で必ず見つけますから!」 玄「グスッ……約束……だからね……?」 京太郎「は、はいッ」 京太郎「そういえば玄さん。和と知り合いでしたっけか」 玄「うんっ。 随分むか~しのことだけどね。……懐かしいなぁ」 京太郎「……清澄、寄ってきます? 寄るほどの時間はありますよ?」 玄「むっ。……む~……」 京太郎「和も昔と比べ随分成長してるでしょうし」 玄「むむっ」 京太郎「おもちも大きくなってますし」 玄「むむむむむっ!!!」 京太郎「ちなみに、これが今の和の写メです」ピッ 玄「ふぉ、ふぉおおおおおおおおお!!!!すっごぉおおおおおおおおお!!!」 玄「おおぉ……こんなに……素晴らしく実られて……オオオォ……」 京太郎「どうします?」 玄「むぅ……むむむむむむむむむむむ~~~~!!!」 玄「…………い……いいいい……」 玄「……行か……ない…………!」 京太郎「おぉ」 玄「全国大会で必ず会うって約束だもん……!」グッ 玄「そのために皆頑張ってきてるんだもん……!!ググッ 玄「今破るわけには……いけないもん……!!!」グググッ 京太郎「玄さん……」 京太郎「……」チラッ 玄「ふぉおおおおおおおおおお」 京太郎「……」サッ 玄「い……行かない……!」 京太郎「……」チラッ 玄「ふぁああああああああああ」 京太郎「……」サッ 玄「いい、行かないもん!」 京太郎(…………) チラッ ハウッ! サッ チラッ ウヒィ! サッ ――― ―― ― 玄「エグッ……グスッ……い゛、い゛がないも゛ん……グスッ」 京太郎「ご、ごめんなさい……どうか泣き止んで……」 玄「うぅ……うぁあああああん…………いかないったら行かないもぉぉぉぁぁああああんッ!」グスグス 京太郎「……やり過ぎた…………」 ― 9 00 玄「なんて泣いてたらもう時間」 京太郎「……すいませんでした」 玄「そんな謝らないで! むしろ泣いたおかげで吹っ切れた気がするし!」グッ 京太郎「おお、流石」 玄「炭捨てて七輪片付けてー。 これで綺麗サッパリ! 龍門渕に夢を持っていける!」 京太郎「………」 玄「頑張るぞー!!」オー 京太郎「……」 京太郎(玄さん……ペタンコばっかってこと知ったら悲しむかなぁ……) 京太郎「…………」 京太郎「龍門渕、ペタンコさんばっかなんですけどね」 玄「ゴハァッ」 玄「(´・ω・`)……」 京太郎「……そんなしょぼくれないでくださいよ……」 京太郎「…………あ、そうだ。 昨日淡にイタズラで送られてきたんですけど……これっ」スッ 玄「……?」 京太郎「弘世さんと渋谷さんの貴重なブルマシーンの写メ……」 玄「……」 京太郎「首筋見てくださいよ。汗で濡れててポイント高いですよね」 玄「…………」 京太郎「この二人が馬跳びしてるとこってのがまた最高ですよね。おもちがより強調されてますし」 玄「………………………」 玄「京太郎くん」 京太郎「はい」 京太郎「こちら、淡のメアドになります」スッ 玄「(`・ω・´)」シャキーン ―道中 ミーンミンミン 玄「……んあー……」 京太郎「……あー……」 玄「……あっついねぇ……」 京太郎「気温30度ですって……」 玄「うへぇ…………」 京太郎「しかしまぁ……こうも暑いと……」 玄「脱ぎたくなる」 京太郎「冷たい物が欲しい」 玄「利害が一致したね」キリッ 京太郎「どこがだ」 玄「んふふ……別に恥ずかしがらなくても……」グイッ 京太郎「おいこら脱ごうとするな」 玄「あーうー……」フラフラ 京太郎「……龍門渕までもうちょっとだから頑張ってください」 玄「大丈夫大丈夫……玄さんは滅多なことじゃへこたれないから……」 玄「……なんか……見る人みんな脱いでるように見えるけどぉ……」 京太郎「重症じゃないですか……」 玄「ホラ……あそこの人なんてハダカと一緒……」 京太郎「暑さでやられすぎですよ……そんなわけ……」チラッ 「~♪」 京太郎「……あれ?」 「あっ」 京太郎「おお!」 京太郎「国広さん!」 一「須賀くん! 久しぶりだねー!」 一「やだなぁ国広なんて。ハジメでいいってば!」 京太郎「そうですか? まぁ、お変わりないようでなによりです」 一「前会ってから3週間ちょっとだよ? そう変わんないってー」 京太郎「いや、そっちじゃなくて……(服装……前より薄着になってる……)」 一「あ、そういえば今日ウチにバイトしに来るんだっけ? 萩原さんから聞いたよ」 京太郎「ああ、そうでした。ちょうどいいですし、紹介しますね」 京太郎「こちら同じバイト仲間の松実玄さ……」クルッ 玄「すごいよぉ……おもちがお空にたくさぁんあるぅうぅぅ……」フラフラ 一「………」 京太郎「………」 玄「えっ……今日はおもち、食べてイイの……?」 一「……ウチ、行こうか」 京太郎「……お願いします」 玄「うえへへ……おかわりもいいんだぁ……」 ―龍門渕邸 一「ハイ、お水」スッ 京太郎「頂きます」 玄「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク」 一「態々ここまでご苦労様。ゆっくり休んでてよ」 玄「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク」 京太郎「どうも、恩に着ます」 玄「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク」 一「とりあえず、ボクは皆を呼んでくるね。冷房寒かったら言ってねー」スッ 玄「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク」 京太郎「はい、ありがとうございますッ」 玄「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク」 玄「ブっはぁああ!!」 玄「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ……」グッタリ 京太郎「玄さん。グダってる所悪いですけど、仕事はこれからですよ?」 玄「でもこの暑さじゃ誰でも弱るよぉ……」 京太郎「東京の満員電車の時はそうでもなかったじゃないですか」 玄「あーあれねー。 ……えへへへ……」 京太郎「?」 玄「……後ろから押される度にお姉さん達のおもちが当たってて……」ニヤニヤ 京太郎「……」 玄「あれは良かったなぁ……うえへへ……へへへへへ」ニヤニヤリ 京太郎「……今朝だって餅焼いてたじゃないですか」 玄「おもちの為ならしねる」キリッ 京太郎「 」 玄「る~る、る~る、るるるるる~♪」 京太郎(……案外この人すごいのかもしれない) 玄「ラヴィ!」 一「お待たせっ」 純「おーっ、久しぶりだな須賀ー」 智紀「……お久しぶり……」 京太郎「井上さんと沢村さん! お久しぶりですッ」 純「おうおう。 そんで、そっちがお連れさんね」 玄「奈良の阿知賀女子学院から来ました、松実玄ですっ。 よろしくお願いします!」 純「おう。龍門渕専属メイド、井上純。 よろしくッ」 智紀「同じく、沢村智紀」 玄「どーもどーもっ」 京太郎「天江さんと龍門渕さんは?」 一「衣はお昼寝中。透華は多分そろそろ……」 ...タッタッタッダッダッ! バンッ! 透華「お久しぶりですわ!同志須賀!!」 玄「えっ?」 京太郎「お久しぶりです。龍門渕さんも相変わらず、お変わりないそうで」 透華「世間話は結構! 積もる話もあることですし、さあこちらへ!」グイッ 京太郎「うおっ」 一「ちょ、ちょっと透華!」 透華「ハジメ! 後のことはお任せしましたわー! さあさあさあ!!」グイイ 京太郎「うおぉっ」 ホーホホホホッ ウォォォォォ 一「……全く……」 玄「……」 一「ごめんね松実さん。あんなんでも一応ボクらのリーダーなんだ。……もうちょっとシャキっとして欲しいけどさ……」 玄「…………」 玄(い、今あの人……京太郎くんのこと……『同志』って……) 一「……さて、透華から任されたもんだし。とりあえず軽く始めよっか」 純「なぁおいハジメ、いいのか? 須賀の奴あのまんまで」 一「大丈夫でしょ。透華のアレは今に始まったことじゃないし」 一「気の済むまでさせりゃいいでしょ。須賀くんも付き合える仲らしいし」 純「……イマイチオレには理解出来ねェわ……」 一「そんなのボクもだよ。それよりホラ、ジュン君は倉庫整理。行った行った」 純「あいあい。……あーめんどくせェー」 一「トモキーは階段の方お願い。キリいい所で休憩してね」 智紀「了解……」 一「さて、松実さん。松実さんはボクと……」 一「? 松実さん?」 玄「え? ……あ、すいません!聞いてませんでした!」 一「ううん、気にしないで。 松実さんはボクに着いて来てよ。邸内をグルっと案内してあげる」 玄「は、はい……」 玄(………) ――― ―― ― ガチャッ 一「んで、ここがボクら龍門渕麻雀部部員の麻雀部室っ」 玄「ふぉぉ……広いですねぇ……」 一「まぁ、広さくらいしか取り柄が無いんだけどね」テヘヘ 玄「……」 一「………」 一「そんなに気になる? 須賀くんのこと」 玄「うぇっ!? そ、そんなこと……!」 一「わかりやすいなぁ。 案内中もダンマリだったし」 玄「う、うぅ~……」 玄「あの……国広さん。龍門渕……お嬢さん? と京太郎くんはいったいどんな……」 一「あー……、そのー……。……退かないでもらえるといいんだけどさ……」 玄「?」 一「透華……好きなんだよ。 ……その……」 一「……女の子の胸が」 玄「!?」 玄(まさか……本当に同志!? 旅行先で!? こ、こんなことって……!) 玄(す、すばら……っ!)キラキラ 一「特に小さい胸が」 玄「じゃなああああい!!!」バンッ 一「」ビクッ 一「きゅ、急にどうしたのさ松実さん……」 玄「なんで選りに選ってペタンコさんなんですか!! 大っきいおもちの方がいいに決まってるじゃないですかぁ!」 一「……え。まさか松実さんもそっちの人……」 玄「ええ!好きですとも! 私も女の子の胸!大好きですとも!」 玄「でも私が好きなのは大きな胸です! おもちな胸です!ペタンコなんて邪道ですよ邪道!」 一「……」 玄「いいですか!? そもそもおもちというのは―――」 ――― ―― ― ―20分後。 玄「――以上。 全日本おもち同盟代表、松実玄」 玄「っと……いやぁ、すいません。少し熱くなっちゃいましたね……」テヘヘ 一「うん……まぁ、夏だもんね……」 玄「そうですね!夏ですもんね! あはははー!」 一「………」 玄「ハッ!」 玄「そ、それで!龍門渕さんのペタンコ好きと京太郎くんが連れ去られるのとどんな関係があるんですくぁ!」クワッ 一「あ、ああ……そういう話だったね」 一「須賀くんが三週間程前にウチに来たこと、知ってる?」 玄「あ、はい。京太郎くんから聞きました」 一「その時に透華がさ、なんの間違いがあったかしらないけど……須賀くんのことを貧乳好きだと思っちゃったらしくって……」 玄「 」 一「それ以来須賀くんに親近感が湧いちゃったみたいでさ。 一「今じゃ見ての通り、 『同志』 だってさ」 一「まぁ、須賀くん本人は否定してるみたいだけど。……当たり前か」 玄「 」 一「……松実さん? ……え、ちょっと……」 玄「 」 一「き、気を失ってる……」 ―龍門渕邸 透華の部屋 透華「同志っ同志っ。 このペタも素晴らしいと思いませんことっ?」 京太郎「ハハ……い、いいと思いますよ……」 透華「でしょう!この無乳! この板具合!! 最高ですわぁ!!!」 京太郎「……あの……龍門渕さん。前々から言おうと思ってたんですけど……俺、別に貧乳が好きってわけじゃ……」 透華「同志、言わずともわかっていますわ。健全な男子たるもの、女子の胸に興味を持つのは当然のこと」 透華「公言できるようなことでは無いことは百も承知ですわ」 京太郎「いや、だから……」 透華「ですが同志! 今はわたくしとアナタ二人! 何も恥ずることはありません!」 透華「さあ、語り合いましょう! 同志の会ってきたペタンコさん達のことを!! 包み隠さず!!!」 京太郎「…………」 透華「ね?」 京太郎「………」 京太郎「はい……」 透華「よろしい♪」 透華「それと同志! 『龍門渕』だなんて他人行儀に呼ばないでくださいな!」 透華「親愛を込めて、『透華』と呼んでくださいましっ」 京太郎「え、流石にそりゃ無理ですよ」 透華「んなっ!? な、なぜ!?」 京太郎「一つ上の人に対して呼び捨てするだなんて失礼なこと、俺にはできませんよ」 透華「わ、わたくしは許可してるんですのよ!?」 京太郎「すいません……それでも……」 京太郎(『目上の者に尽くせ』……それが『執事道』の心構え) 京太郎(……ハギヨシさんが教えてくれた、な……) 透華「ぐ、ぐぬぬぬぅ……。あ!なら『さん』付けでは!?」 京太郎「さん付けですか? それなら……まぁ」 透華「なら是非! 是非!」 京太郎「はぁ……ゴホンッ」 京太郎「透華さん」 透華「 」 京太郎「……? 透華さん?」 透華「ほぉぉぉ……」キュゥゥン 京太郎「……どうかしました?」 透華「い、いえ別に……。それより、もう一度……」 京太郎「はぁ。 透華さん」 透華「はぅぅぅ……」ホッコリ 京太郎「?」 透華「ま、まあ……改めて私達の熱い友情が確かめられたところで!」 透華「続いてはこの娘!」バンッ 京太郎「ええぇ……まだやるんすか……」 透華「当然! あと100人分はありますわ!」 京太郎「……」 透華「同志! ホラ、見てくださいこのペッタンコ! ペタンコ過ぎてむしろ抉れてますわ!!」 京太郎(うわ、こりゃひでぇ……)ボソッ 透華「な に か ?」 京太郎「あ、いや。素晴らしいペタンコですね」 透華「でしょう!!?」 京太郎「ええ。こんなペタンコさんを見つけられる透華さんは素晴らしい素質がありますよ」 透華「ホーホッホッホ!! そんなわかりきってること、皆まで言うなですわぁ!!」 京太郎「ははは」 京太郎「…………はぁ」 ―10 30 京太郎「あ゛ー……やっと解放された……」 一「ああ、来たきた。遅いよー須賀くん」 京太郎「すいません……透華さん、随分と熱くなってて……」 玄「……ッ」 京太郎「玄さん、お待たせしました。 ……玄さん?」 玄「ぎょ…………ッ」 玄「ぎょうだろうぐんのうらぎりものぉおおおお!!!」 グワシッ 京太郎「うわぁ、なんだなんだ」 玄「おっきいほうが!!おっぎいほうがずきっでいっだじゃないですかぁあああああ!!!」ポカポカポカ 京太郎「……は?」 一「あー……ハハハ……」 玄「うええええええええあああああああん!!!!」ポカポカポカ ガチャッ 純「ふーいっ、あっちぃあっちぃ。流石に一人じゃ辛いぜー……」 智紀「……ただいま」 一「ん、おつかれジュン君。トモキー」 玄「信じてたのにー!! うわぁああああああん!!!」ポカポカポカ 京太郎「何がなんやら……。どうどう……」 玄「ばかぁ! まな板ぁ! 腹筋割れぇ! 高身長の金髪イケメンー!!」ポカポカポカ 京太郎「貶してるのか褒めてるのかわかりませんって」 ギャー ギャー 純「……なんだありゃ」 一「んー……。……夫婦漫才?」 純「夫婦って言うよりは姉弟じゃねェ?」 智紀「……むしろ兄妹」 一・純「「納得」」 ―そんなこんなで 一「それじゃあ、本格的にお掃除にとりかかろうか」 一「須賀くんと松実さん二人にはこれからジュン君とトモキーのお手伝いをしてもらうよ」 玄・京太郎「「はいっ」」 一「須賀くんはジュン君と倉庫整理の続きをお願いね」 純「おうおう、気張って行こうぜ。須賀っ」 京太郎「はいっ。よろしくお願いします、井上さんっ」 一「松実さんはトモキーと一緒に階段のお掃除をお願いー」 智紀「……」コクリ 玄「よ、よろしくお願いしますっ」 京太郎「さて、それじゃやりますか」 純「と、言いたい所だが……ちょい待ち二人共。こっち来な」スッ 純「気合い入れさせてやんよ」ニヤリ 玄・京太郎「「?」」 ―更衣室 玄「ふわぁ……可愛い……」キラキラ 玄「うわぁ……うわぁ……!」フリッ フリッ 玄「ど、どうかな?京太郎くんっ! 変じゃないかなっ?」 京太郎「いいえ。とっても似合ってますよ」 京太郎「メイド服」 玄「ほんと!? わーい!」クルクル 玄「京太郎くんの執事服も似合ってますねぇ!」 京太郎「そうですか? 久々に着たんですけど……」 玄「馬子にも衣装って感じ!」 京太郎「なんだと」 玄「あ、ネクタイ曲がってるよ。 直してあーげるっ」スッ 京太郎「ん、どうも」 玄「…………」スッスッスッ 京太郎「…………」ジー 玄「………」スッスッ 京太郎「………」ジー 玄「……」スッ... 京太郎「……」ジー 玄「……あぅ……」 玄「きょ、京太郎くん……その……あんまり見ないでもらえると……」 玄「……なんか恥ずかしいよ……」 京太郎「? す、すいません」 玄「……うぅ……」ギュッ 京太郎「ぐっ……絞まってます絞まってますって……玄さん……っ」 玄「ああ! ご、ごめん!」 玄「これでよーし!」キュッ 京太郎「どうもありがとうござ……おいコラ。なんで蝶ネクタイにした」 玄「あはははは!! 似合うー!!」 京太郎「……」 ポコンッ 玄「あうっ」 純「おー、似合う似合う」 京太郎「前も着ましたしね。なんだかんだでしっくり来ます」 一「松実さんも似合ってるねー」 玄「ホントですかっ?」 一「うんうん」 一「特に、そのちょっと主張の強い胸の部分とか透華辺りから反感買いそうだねー」 玄「えっ!?」 一「あ、そうだ須賀くん。 コレ、萩原さんからプレゼントだよ」スッ 京太郎「こ、コレは……!! ハギヨシさんが、これを俺に!? いいんですか!?」 一「うんっ。これ読んでしっかり頑張れってさ」 京太郎「ハ……ハギヨシさん……ッ」ギュウッ 玄「……」 モヤッ 玄「……むぅ……」 一「今が11 00だから2時間くらいかな。 キリのいい所で上がってね。昼食を用意しておくよ」 京太郎「わかりました! よっーし、それじゃあちゃっちゃとやっちゃいましょう! 玄さん!」 玄「……」 京太郎「……玄さん?」 玄「……」プイッ 京太郎「……あれ?」 ― ―― ――― ―龍門渕邸 倉庫 京太郎「ぃよっと。 井上さーん! これはどっちですかー!?」 純「あー、確かそれは透華のナイチチブロマイド集だったなァ」 純「んー……じゃ、そこら一体のは全部外出しといてくれ! あとでオークションにでも出すわー!」 京太郎「はーい! わかりましたー!!」グッ ドスンッ 京太郎「ふぅ……」 京太郎「……」 玄『……』プイッ 京太郎「俺……なんかやっちまったかなぁ……」 京太郎「ハァァ……」 純「おーおー、随分暇そうじゃねえかよ須賀ァ」 京太郎「おわっ! すっ、すいません! 今――」 純「冗談だって。ある程度は終わってンだ、休憩しようぜ。ペプシは好きか?」スッ 京太郎「あ、どうも……」 プシュッ 純「……で?」 京太郎「え?」 純「え? じゃねェだろ。相方さんとなんかあったんだろ?」 京太郎「あぁ。……わかりますか、やっぱり」 純「こちとら万年脳内春なじゃじゃ馬お嬢のお守りやってるもんだからなァ。毎日顔色見て生きるのが染み付いちまってよ」 純「ま、その点須賀はアイツよか面倒じゃないからマシだけどな」 京太郎「いいんすかそんなこと言っちゃって……」 純「いいのいいの。そういう所も含めて透華だからな」 京太郎「透華さんのこと……なんでもわかってるって感じですね」 純「オレが透華を? ハハッ。馬鹿言うなよ、あんなじゃじゃ馬さっぱりわかんねえって」 京太郎「はあ」 純「……でもまぁ、ダチのわからねえことがあるってそう悪いことでもねえと思うぜ?」 純「わかった瞬間、その分嬉しくなるんだからよ」 京太郎「……」 京太郎「…………そんなもんすかね……」ボソッ 純「あー……なんか柄でもないこと言っちまったなっ……」タハハ 京太郎「……いや……そんなことないですよ。感動しました」 純「そ、そうか?」 京太郎「すげえカッコ良いですッ。正にアニキって感じでッ。男前ッスよ」 純「よ、止せよ……オレは女だっつーの……」 京太郎「純ニキッ」 純「ばっ!?そ、その呼び方は止めろッ! なんか嫌だッ!!」 ― ―― ――― ―龍門渕邸 西階段 サッサッサッ 玄「…………」 サッサッ 玄「………」 サッ... 玄「……」 玄「はぁぁぁぁぁぁぁ……」ズーン 玄(京太郎くんに嫌なことしちゃった……別に何も悪くないのに……) 玄「はぁぁぁぁぁぁぁ……」 智紀「……大丈夫?」 玄「んぁ……沢村さん……」 智紀「喧嘩?」 玄「いえいえとんでもない!私が一方的に避けちゃっただけで……ははっ」 玄「……はぁ……」 智紀「……」 智紀「黙っていたら何も意味がない。大事なのは、行動に起こすこと」 玄「えっ?」 智紀「……昔、引っ込み思案気味だった私に……透華が言ってくれた」 智紀「何か聞きたいことがあるのか。したいことがあるのか」 智紀「ならば言え、と。……黙っていたら解決しない、と」 玄「……」 智紀「……あなたはどうなの?」 玄(黙っていたら何も意味が無い……大事なのは……行動に起こすこと……) 玄「そう……ですよね……!」 玄「変にモヤモヤするくらいなら、しっかり聞いてサッパリした方がマシですね!」 智紀「……」 玄「ありがとうございます、沢村さん! なんだかスッキリしました!」 智紀「……そう……」 玄「ぃよーっし! 元気湧いてきました!」 玄「沢村さん! バケツの水、交換してきますね!!」 智紀「……」 智紀「……松実さん」 玄「はい?」 智紀「がんばれ」 玄「……」 玄「はい!!」ダッ ジャボジャボ 玄「んよっし。さー掃除掃除っ」グッ ガサッ 玄「ん?」 玄「………………」 玄「……気のせいか……」 玄「なんて言うと思ったか! そこぉッ!!」ガッ 「ひゃあ!!」 玄「フフッ……今朝食べた切り餅のお陰で今の私はちょっとしたおもちにすら敏感になっているのだ……!」グイグイ 「ひゃはあ!ふやあっ!!はなせぇ!!」ジタバタ 玄「おっ……もっ……」 玄「チィ!!!」グイッ! 衣「ふぇっ……」 玄「……えっ」 玄「子供?」 衣「こ、子供じゃない!ころもだ!」ジタバタ 玄「ころ……も?」 玄(ころも……ってまさか天江衣さん!? このちっちゃい子が!?) 玄(名前は聞いたことあったけど……まさかこんな絶壁な子だったなんて……) 玄「もっとボインでバインなダイナマイトさんかとおもってたのに……うぅ……」 衣「? よ、よく分からんがはーなーせー!!」ジタバタ 玄「わ、わあっ」 玄「あれ………」 衣「うーうーうー!!」 玄(でも……よく見たらこの子……) 衣「う?」 玄(……むっちゃ可愛い……!) ナデ... 衣「んっ……」 玄「……」 ナデナデ... 衣「や、やめっ……」 玄「…………」 ナデナデナデナデ! 衣「ひゃぁぁぁ……っ」 玄「……っ!」 ――― ―― ― 京太郎「っし……。これで全部っと」ドスッ 純「おーお疲れさん。ハジメが昼飯作って待ってる。行こうぜ」 京太郎「そっすね」 京太郎「……んっ?」 玄「うおおおおおおお!!! ころもッ!! ころもおおおおッ!!」ダッ 衣「ひゃあああああ!!! くるなぁああああああ!!!」トテトテッ 純・京太郎「「…………」」 \ \ 玄の両腕に冷たい鉄の輪がはめられた \ \ \ _ヽ __ _ 外界との連絡を断ち切る契約の印だ。 ヽ/, /_ ヽ/、 ヽ_ // / __) l -,|__) 「京太郎くん……、私、どうして…… || | __)_ゝJ_)_ こんなこと……しちゃったのかな?」 \ ||.| ___)_(_)_ \| | ____ノ_(_)_ ) とめどなく大粒の涙がこぼれ落ち ヾヽニニ/ー-- / 震える彼女の掌を濡らした。 |_|_t_|_♀__| 9 ∂ 「その答えを見つけるのは、あなた自身です。」 6 ∂ (9_∂ 玄は声をあげて泣いた。 純「……冗談は置いといて。なにしてんだアンタ」 玄「いやぁそのぉ……。大事なことは行動に起こすこと、とでも言いますか……」 純「は?」 衣「うー……うぅー……おとろしぃ……」ギュゥゥゥ 京太郎「よーしよしよし、怖かったですねー。もう大丈夫ですよ―」ナデナデ 衣「久しいな、キョータロー! 意気軒高そうで何より!」 京太郎「お久しぶりです。せっかくの再会がこんな形で申し訳ありません」 衣「だ、だいじょーぶ! 衣はおとなだからな! 些細なことに頓着するようなことはない!」ドヤッ 純「へーへー」 京太郎「こちら同じバイト仲間の松実玄さん」 玄「エヘヘエエヘヘヘヘッヘエヘヘエヘッヘエヘヘヘヘ」 衣「ひぃっ」ビクッ 京太郎「やめなさい」ポコンッ 玄「あうっ」 ―13 30 京太郎「あー腹減ったー」 衣「たー!」 玄「あれ……沢村さん、先にいる……」 智紀「……大事なことは……行動に起こすこと……」クゥゥ 純「素直に腹減ったって言えよ」 透華「みなご苦労様。昼食の用意ができてますわよ」 智紀「お疲れ様……」 衣「ハジメー。今日の昼餐はー?」 一「冷やし中華を作ったよ。味が薄くなる前に食べてね」 衣「わー!ハジメのひやしちゅーか! 大好きだっ!」 一「ふふっ。ありがと」 一「しかしまぁ、思ってたより時間がかかったようだね」 京太郎「ああ、それがですね――」 京太郎「――ってことでして」 一「ハハッ! それはいい! 透華と気が合うんじゃないかな?」 透華「な! ハジメ!こんな野蛮で無駄な脂肪ぶら下げた方と一緒にしないでくださる!?」 玄「むっ」 純「何言ってんだよ。ツルペタを見かけたらこれ見よがしに手をワキワキするお前が言えたことか」 透華「そ、それは……。あ、あのような脂肪の何処に価値があるというんですの? だらし無くぶら下げていて、みっともないですわ!」 玄「な、なんですとー! おもちは無駄なんかじゃありません! むしろ宝ですよ宝!! 訂正してください!!」 透華「なにをー!!」グワッ 玄「ですかー!!」グワッ ギャーギャー 智紀「……賑々しい」 京太郎「す、すいません。 今、黙らせますんで……」 一「大丈夫、任せて。透華、はいっ」スッ 透華「なんですのハジメ! 今ちょっと――」 一「冷やし中華だよ、透華」 透華「…………」 シーン.... 玄「えっ」 純「ああ、なるほど」 衣「目には目を。冷やし中華には冷やし透華を、か」 智紀「納得」 京太郎「なんて冷静で的確な判断力なんだっ」 玄「えっ」 透華「では、皆様。 頂きます」スッ 「「まーすっ」」スッ 玄「……」 玄「ま、まーす……」スッ 京太郎「さて。昼飯も終えたことですし、さっさと仕事終わらせちゃいましょうか」 玄「おー!」 ― ―― ――― 衣「キョータロー。なにか手伝うことあるかー?」 京太郎「ん。 それじゃあ窓にスプレーかけていってくれますか?」 衣「任せろー!」グッ 衣「……キョータロー……上の窓……届かなかった……」 京太郎「あ、そっか。 ……んじゃあ」スッ 衣「キョータロー!この窓は終わったぞ! 次の窓だ!」 衣「ん!」ギュッ 京太郎「はい。 よっと」グイッ 衣「はっはっはー! これならどんな高所でも届くぞー!」シュッシュッ 京太郎「たかーいたかーい」 玄「はひっ……はひっ……」 智紀「……」サッサッ 純「……あ゛ー……あっちぃ……」 一「暑いって言うと余計熱くなるよ、ジュン君」 純「んなこと言ったって暑いもんは暑い……」 純「……ていうか、約一名、この炎天下にも関わらず全身黒ずくめの格好してる奴がいるからよぉ……」ジッ 智紀「……?」サッサッ 一「ああ。 まぁ、確かに」 玄「はひぃ……あふいぃ……」 一「……」 一(あっ)ピコーンッ 一「……ねートモキー、流石に脱ぎなよ。暑いでしょー? ジュン君そっち掴んで」グッ 智紀「えっ。……そんな、別に……」 純「うるせえ脱げ。 見てるとこっちまで暑くなる。どうせ厚着してんのは知ってんだよ……!」グイッ 智紀「えっ、やっ……!」 玄「ちょ、ちょっと二人共……そんな無理矢理は……」 一「いいからいいからー。ほーら、ヌギヌギしようねトモキー」グイッ 智紀「やっ……だ、駄目っ……!」 ググググッ.... 純「オラオラオラオラ」グイッ 智紀「や……やぁ……っ!」 グイッ ブルンッ 玄「!!?」 智紀「あ、ああぁ……み、見ないで……////」 純「ちょっと薄着になっただけだろ? 恥ずかしがることねえよっ」 一「うんうん。ボクなんかそれでも薄着とは呼べないと思うし」 純「お前は異常」 智紀「あ……うぅ……」ギュゥ 純「さて、それじゃあ掃除の再開……」 玄「フィイイイバァアアアアアアアアアアアアア!!!!!」 ―別邸 衣の部屋 京太郎「ッ!」ガタッ 衣「? どうしたキョウタロー?」 京太郎「あ……いや。 すいません、なんでもないです」 京太郎(この反応……遂に見つけたのですね……玄さん……ッ)プシュー 衣「おぉスゴイスゴイ! 壁の落書きが瞬く間に颯と落ちるぞー!」キャッキャッ 玄「この世には3種類の人間がいる……」 玄「一つはおもちをお持ちの人、一つはおもちをお持ちでない人」 玄「そしてもう一人は……おもちをお持ちであると自覚してない人……!」 玄「……こんな……こんなサプライズがあっただなんて……」 玄「おもちの神よ……感謝します……ウッ……」 純「……奴さんなに泣いてんだ……」 一「トモキーの胸に感動してるんでしょ。透華だって衣に会った時こんなんだったらしいじゃん」 純「……あぁ……」 一「益々透華に似てるよ。扱いやすくていいね」 純「……つくづく思うが、お前ワルだなぁ」 一「ふふっ。手品好きは悪戯好きが多いんだよ♪ 知らなかった?」 ――― ―― ― ―17 00 大浴場 ガチャッ 玄「ふぉ、ふぉおおおおお……!!」 一「どうだい? 我が龍門渕自慢の大浴場は」 玄「なんて……なんて広い……!! まるで温泉!!!」 玄「こんな所、本当に入っていいんですか!?」 一「大浴場は透華や衣は勿論、来客の方やボクら使用人まで誰でも使っていいんだ」 一「松実さんは今日、(色んな意味で)よく働いてくれたからね。ここはボクらにとってのご褒美みたいなものなんだよ」 玄「うわぁっ、うわぁっ! すごいすごいすごいー!! ウチのより広いよこれー!!」ダッ 一「あっ、ちょっと。危ないって……」 ザプーンッ 玄「ふひょおおおおお!!! おんせんー!!!」ザパザパッ 玄「お風呂の中で泳ぐなんて夢みたーい!! わぁああい!!」ザパザパザパッ 一「………」 玄(むふ……むふふふ……) 玄(温泉規模の大浴場にまさかの『おもち持ち』発見!) 玄(かねてから夢だった『炎の湯煙おもち祭り』がついに……!!) 玄(さぁ……! さぁさぁカマン沢村さん!! 私と共にフィーバータイムへ……!) 一「あ、ちなみに。ジュン君とトモキーは夕食作るために先にあがったよ」 玄「モルスァッ!」ザパーンッ 玄「のぉぉぉぉぉぉぉ……」 ブクブクブク 一「……」 一(この人……ホント面白い……) 玄「ふひぃ……気持よかったぁ……」 一「でしょー」 玄「あ、男湯もあるんですね」 一「そっちはハギヨシさんとか男性の来客の方用。ちょうど今須賀くんが使ってるだろうね」 玄「ふ、ふーん……」 ヌッ 京太郎「あ、玄さん」 衣「善き哉……善き哉……」ホッコホッコ 京太郎「天江さん。牛乳とコーヒー牛乳、どっちがいいです?」 衣「牛乳!」 玄「え゛っ」 玄「ちょ、ちょっと京太郎くん! 今男湯から出て来なかった!?」 京太郎「えっ。 そうですけど……おかしいですか?」 玄「あ、いや……おかしくないか……」 衣「キョータロー。フタ取ってフタ」クイッ 京太郎「あ、はい。このフタ取りづらいですよね」 衣「楊枝でもあればいいんだが……」 玄「……ぃぃぃいいいいイヤイヤイヤイヤ!! おかしいでしょ!!? なんで天江さんと一緒に出てきてるの!!?」 一「?」 衣「?」 京太郎「?」キュポンッ 玄「なんで皆疑問形なのぉおおおおおおおお!!!」 玄「と、年頃の男の子と女の子が一緒にお風呂入るだなんて不健全だよぉ!!」 京太郎「背中流し合うだけですよ?」 衣「キョータローのシャンプー、心地いいんだぞ? 牛乳飲むか?」スッ 玄「知りませんよ!! 要りませんよ可愛いなぁ!!」 一「それじゃあまた明日ねー。おやすみー」 京太郎「はい、おやすみなさい」 透華「同志! 今日は一晩語り明かして……!」 衣「キョータロー。一緒に……」ギュウッ 京太郎「すいません。明日に備えるんで語り明かしも添い寝もできません」 透華「そう……ですの……」 衣「……ぶー……」 玄「……」 ―20 00 来賓室 玄「全くもう……京太郎くんは……もう……!」プンスカ 京太郎「まだ怒ってるんですか?」 玄「怒るよそりゃあ! いくら慣れてるからって、この歳で一緒にお風呂とか……! そ、添い寝とか……」 京太郎「さっきも言いましたけど……俺、天江さんのことは妹とかそういう風にしか見えないんで別に変な間違いはありませんって」 玄「じゃ、じゃあ……透華さんとはお風呂一緒に入れる?」 京太郎「入れませんよ勿論」 玄「井上さん」 京太郎「入れません」 玄「さ、沢村さん」 京太郎「とんでもない」 玄「……国広さん」 京太郎「んー……。ギリギリ無理ですね」 玄「じゃ、じゃあ……私……」 京太郎「ハハッ、ご冗談を」 玄「うぐ……だ、だよねー……」 玄「……あっ!」 玄「じゃ、じゃあハギヨシさんとは!?」 京太郎「ハギヨシさんと? 入れますけど……」 玄「!!?」 玄「やっぱり京太郎くんはハギヨシさんのことが……」ブツブツ 京太郎「……あの……なんか勘違いしてません?」 玄「な、何を?」 京太郎「ハギヨシさんのこと……」 玄「え?」 玄「は、ハギヨシさんは京太郎の一番尊敬する人なんでしょ?」 京太郎「はい」 玄「炊事、洗濯、掃除、その他何から何まで出来てしまう超万能な【メイドさん】だって……」 京太郎「ストップ。そこか」 玄「?」 京太郎「……あの」 京太郎「ハギヨシさんは男性ですよ?」 玄「えっ」 京太郎「俺の理想とする男性像なんです」 玄「 」 玄「本当にすいませんでした……」 京太郎「い、いえいえ。俺の方こそ紛らわしい言い方しちゃって……」 玄「……」 玄(そっかぁ……ハギヨシさんは執事さんだったんだ……通りで……) 玄「あ、そうだ京太郎くん。……お昼前のこと……ごめんね?」 京太郎「? 何のことですか?」 玄「ほら、その……京太郎くんのこと無視しちゃったこと……」 京太郎「あぁ。別に気にしてませんよ」 京太郎(嘘だけど……) 玄「そ、そう?」 玄(気にしてもらえないのはそれはそれでなんかなぁ……) 京太郎(でも気にしてくれてたってことは……心配してくれてたんだな) 玄(……でも心配してないってことはそれだけ私のこと信用してくれてるってことだよね……) 京太郎・玄(*1)ホッ 京太郎「ところで玄さん。掃除中におもち波を感じましたがあれは……」 玄「あっ、そうそう! 見つけたんだよ……この龍門渕に潜むおもちを……!」 京太郎「沢村さんでしょう?」 玄「あれ?知ってたの?」 京太郎「井上さんは薄着だから分かりますし、天江さんと国広さんは見た目からしてですし、透華さんはアレですし」 京太郎「残ってるのは外見だけじゃ判断できない沢村さんだけですからね」 玄「……ふふ、いい推理です……流石ですね……『同志』」 京太郎「ふっ……。沢村さんのおもち力は?」 玄「ざっと見たところ……おもち力70という所かな……」 京太郎「そんなに……!」 玄「明日にでもスカウターを通して正確に調査する方針です。なにか異議は」 京太郎「ありません」 玄「はい。では、以上をもって第……第六回のおもち談義を終了します!」 京太郎「お疲れ様でした。……ちなみに、第五回です」 玄「はぅっ」 ―翌日 11 00 サッサッサッ 京太郎「……こんなもんかな。 あまり掃除する機会のない屋根裏なのに、案外綺麗ですね」 一「そりゃね、出かける前に萩原さんがざっと掃除していったもの」 京太郎「ざっとでこのレベル、ですか……流石はハギヨシさん……」 玄「むっ……」 玄(っと。ハギヨシさんは男の人。 なんでもないなんでもない……) 智紀「ポカリ……」スッ 玄「あ、どうも」 純「あー……あちぃあちぃ。 んぐっんぐっ……」 衣「うぁー……」ダラー 京太郎「あ、天江さん。 上脱げてますよ」クイッ 衣「ぉー……感謝感激……」 玄「はぁ……しっかしまぁ……」 京太郎「こうも暑いと……」 玄・京太郎「「水浴びでもしたくなる」」 玄「おっ」 京太郎「意見が合いましたね」 玄「でも……合ったところでそんなこと……」 一「水浴び! いいね」 玄・京太郎「「えっ」」 智紀「……屋内プール……」 純「あ、そっかぁ。そういやそんなんあったな」 衣「ぷーる! 泳ぎたい!」 玄「……ブルジョワってすごいね……」 京太郎「普通忘れませんよね……屋内プールがあることなんか……」 ―屋内プール 京太郎「水着すら取り揃えている、ホント龍門渕ってすごい」 衣「キョータロー!」トテトテ ギュッ 京太郎「おお、天江さ……うわぁ」 衣「似合うかー?」 京太郎「ええ、まぁ。 容姿相応……ですよ」 京太郎(……スク水て) 純「あー。涼しいー!」 京太郎(おお、競泳水着……らしいなぁ……) 智紀「……恥ずかしい……」 京太郎(沢村さんのパレオ! こりゃ似合う!) 一「なーんでプールのこと忘れてたんだろうねぇ」 京太郎「す、スリングショット!?」 玄「水着着たの今年初めてかも……」 京太郎「あ、玄さん」 玄「きょ、京太郎くん! ど、どう?似合うかな?」 京太郎「ああ、赤ビキニですか。まさにピッタリですね」 玄「ほ……ホント?」 京太郎「ええ。とても似合ってますよ」 玄「……」 玄「ふへへ」 京太郎「俺のほうはどうですか? 所謂普通のショートボクサーですけど」 玄「ふむふむ……。……う゛っ」 ―― ――― ―――― 玄(きょ……京太郎くんの……!) 玄(マッパ!!!)パオーン ―――― ――― ―― 玄「……うぁ……」カァァ 京太郎「……?」 玄「……ッ」 プイッ 京太郎「あ、あれっ?」 透華「ちょ、ちょっとちょっとハジメ!! どうしてわたくしをプールに誘わないんです!!?」 一「ああ、来たんだ透華」 透華「わたくしだけ除け者扱いしないで頂けません!?」 一「いや、そういうつもりじゃなくて」 純「透華、お前泳げねえだろ」 透華「う゛っ……」 透華「う、海は泳ぐだけが楽しみじゃないですわ!!」 純「これプールだから」 透華「ぐぬぅ……」 玄「さーわーむーらーさんっ」ヌッ 智紀「ひっ……な、何……そのメガネ……」 玄「気にせず気にせず。 ……ところでぇ……むふっ……ひ、日焼け止めでも塗りましょうかぁ?」ワキワキワキワキ 智紀「え、遠慮する……。 ……いや……来ないで……!」 キャー 衣「旅?」チャポチャポ 京太郎「はい。玄さんと一緒に全国を回ってるんです」 衣「旅か……。衣も行ってみたい……」 京太郎「疲れますよ? 朝はやくに支度して、長い時間歩いて、長い時間電車に乗って、その間に一日の予定と泊まり先を決定して。てんてこ舞いです」 衣「それでも、キョータローとクロは続けているのだろう? それは何故だ?」 京太郎「んっ……。 ……そりゃまあ、やっぱ楽しいからですかね」 衣「……そっかぁ……楽しいのかぁ……」 衣「なあ……キョータロー……」 京太郎「はい?」 衣「……衣も……キョータローと一緒に……」 京太郎「……」 衣「……」 京太郎「……」 衣「すぅ……」 京太郎「疲れちゃったか。 ……よっと」グイッ 一「あれ? 衣は?」ズイッ 京太郎「うわっ……あ、はい。疲れて眠ってしまったようなので部屋の方に」 一「ん、ありがと」 純「おーい須賀ー! 100mで勝負しようぜー!」 智紀「……ッ……ッ」ブルブル 透華「ですから!!アナタはツルペタというものを最初から否定しているから!!」 玄「それはそちらもそうじゃないですか! 大体ツルペタっていうのは未成熟な証拠でして!!」 透華「なんですってぇ!!? 無駄に垂れ落ちる皮下脂肪の何がいいのやら!!!」 玄「ムキー!」 透華「ウキャー!」 京太郎「……」 京太郎「……ハハッ」 純「おーい!須賀ー!」 京太郎「あ、はーい! ただいまー!!」 ――― ―― ― ―15 00 京太郎「っと、もうこんな時間か。そろそろ御暇します、透華さん」 透華「えっ……ま、まだお昼ですわよ?」 京太郎「次の目的地が大阪なんですよ。そろそろ出ないと今日中にあっちに着きませんので」 透華「そう……ですか……。でしたら……ハジメッ」 一「うんっ。 二人共今日までお疲れ様っ。 はいっ、バイト代だよ」スッ ドスッ 玄・京太郎「「 」」 京太郎「……これ……バイト代ですか? 一桁違くありません?」 玄「何この厚み……私のおサイフより厚い……」 一「? ちゃんと萩原さんから受け取ったものだけど?」 京太郎「は、ハギヨシさん……」 京太郎(今日知った……あの人の唯一の弱点……) 京太郎(万能な執事に見えるハギヨシさんでも……) 京太郎(『金銭感覚が無い』……のか……っ!) 京太郎「くっ……!」ブルブル 透華「ど、どうなされましたの? もしかしてこれでは足りませんか!?」 玄「いやいやいや!! 逆です! 足り過ぎですよ!」 京太郎「……これの1/8で結構です……」スッ 純「あ? こんなんでいいのか? もっと持ってっていいんだぜ?」 智紀「……」コクリ 玄・京太郎(*2) 一「……結局、萩原さんとは会えなかったね」 京太郎「別にいいですよ。この旅が終わったら挨拶に来ますし」 透華「衣は? 起こさなくていいんですの?」 玄「寝てる子を起こすだなんて野暮なことしませんよ。寝る子は育つって言いますし」 純「同い年だけどな。アンタと」 京太郎「……それでは」 玄「皆さん!」 玄・京太郎「「お世話になりました!!」」 智紀「……お、お気をつけて……」 透華「今度こそ語り明かしましょう! 同志ー!!」 純「怪我すんなよー」 一「寒い格好して風邪引かないようにねー」 玄・京太郎「「さよーならー!!」」 ――― ―― ― 京太郎「奈良のお嬢様校、龍門渕……のお宅」 玄「広くて豪華で……色んな意味で圧倒されちゃったね」 京太郎「ホント。何度来ても新鮮でしょうねきっと」 玄「それにしても……今回は色々と勉強になったなぁ」 京太郎「何がですか?」 玄「…………」 玄「……京太郎くん」 玄「ちっちゃい胸も……意外と……悪くないかもね」 京太郎「ほぅ?」 京太郎「玄さん、あれだけツルペタは悪だーって言ってたじゃないですか」 玄「ん……ま、まぁね……」 京太郎(透華さんにあてられたか……) 京太郎「まぁ、視野が広がることはプラスにはなってもマイナスじゃないですからね。いいと思いますよ」 玄「そ、そう? あっ、でも私が本当に好きなのはおもちだよ! それだけは絶対変わらないからね!!」 京太郎「わかってますって。 さぁ、ちょうど電車も来ましたし。 行きましょう、玄さん」 玄「うん!」 衣「zzz……」 京太郎「……」 玄「……」 京太郎「………」 玄「………………」 玄・京太郎「「何故居る!?」」 京太郎「ちょ、玄さん! 指定席会ってますよね!?」 玄「ま、間違いないよ! 私たちの席……この子の真向かい……だよ……」 京太郎「ど、どうして天江さんがここに……。 あ、天江さん! 天江さん!」ユサユサ 衣「んぅ……。 ふぁ……?」 衣「あぁ……キョータロー……クロ……!」 京太郎「あ、天江さん……どうしてここに?」 衣「ん……あ……。 あの……」モジモジ 衣「キョータロー、クロ。これ……ハギヨシから……」スッ 玄「手紙……?」スッ ―松実さん、京太郎君へ 可愛い子には旅をさせよ。 ―ハギヨシ 玄「こ、これだけ!?」 衣「それと……これ……透華から」ズシッ 京太郎「こ……これ……俺達が貰うの拒否したバイト代……」ズシッ 京太郎「つ、つまり……」 玄「まさか……!」 衣「あぅ……その……」モジモジ 衣「こ……衣を旅に同伴させて!!」 衣「……くだ……さい……」モジモジ 京太郎「!!」ガビーン 玄「!!」キラキラ ――― ―― ― ――― 関東最後のバイト先、龍門渕を去ったおもちマイスター玄と弟子の京太郎――― ――― 新たな旅仲間。衣が増え、新鮮な気持ちで関西へ向かう ――― ――― 物語も次で半分に差し掛かろうという所。 この先3人に、一体どんなおもちが待っているのか――― ―― 続く 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6222.html
特別編 side阿知賀 ※日記発見から中身拝見までの流れは省略します 現在の阿知賀編とはまた別の世界とかそういうのです 時期は秋頃のイメージ ■月▽日 今日は穏乃に誘われて山に出掛けた この時期は綺麗なんだと楽しそうに案内する穏乃といるのは、実際楽しかった しかし、山の天気は変わりやすいからか、急に強めの雨が降り出した 穏乃の案内で慌てて雨宿りができそうな山小屋へと駆け込んだ そこは雨こそ凌げるが、やや古い作りだった 俺達はとりあえず濡れた服を脱いで少しでも乾くように室内に干した 着替えも無いが、濡れた服をそのまま着ているよりは、ということでお互いにかろうじて濡れていなかった下着姿だった とりあえず雨さえ止めば、と思っていたが穏乃が結構寒そうにしていた 小柄で身体の肉も薄い穏乃をそのままにしておくのはと思い、一応断ってから穏乃を抱き締めて暖めた 俺より薄着だった分、穏乃の体は冷たかった が、俺の体温で暖まったのか、気付くと穏乃は眠っていた 雪山でもないし、そのまま雨がやむまでしばらく寝かせてやった その後、雨が止み、日も差していたので穏乃を起こし、多少湿ったままの服を着て山を下りた 下りた後、穏乃から「今日はごめん、それとありがと……あったかかった」そう言われ、穏乃は走り去って行った 風邪引かなきゃいいんだがなー 俺も今日はあったかくして早く寝よう 玄「わー、下着姿で抱き締めてもらうなんて、穏乃ちゃん大胆だね!」 穏乃「ち、ちがっ……別に変なことはやってませんよ!」 晴絵「ほーう……まぁ深くは追及しないでおくけど、よく抱き締めてもらうこと許したわね」 穏乃「あー……それはそのー……」 宥「どうしたの?」 穏乃「許したっていうか……寒いかって聞かれて、寒いって返したら……いきなり抱き締められまして……」 憧「い、いきなり!?」 灼「京太郎……」 穏乃「あ!そんな無理矢理とかじゃないですよ!私も嫌じゃなかったし……あっためようって、必死だったとかで……」 晴絵「おー、あの穏乃が完っ全に乙女の顔だわー」 憧「くっ……やっぱり穏乃だからって言っても油断できないか」 灼「強敵ばっかり……」 玄「おもちあるからって油断できないな……」 宥「私も頑張ろう」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2117.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346479251/ 優希「はぁ・・・」 咲「どしたの?」 優希「今月も赤字だじぇ」 和「またですか。そもそも一個数百円するタコスを毎日食べてるんですから当たり前です」 咲「一個300円だとして一日5個。それを一週間に五日で一ヶ月だと考えると・・・」 咲「嘘!?一ヶ月に30000円!?」 優希「休日にも食べるし300円より高いのだって食べるからもっといくじぇ」 和「いばらないで下さい」 優希「でも困ったじぇ・・・。このままじゃ借金が膨れ上がって体を売る破目になるかもしれないじょ・・・」 咲「えっ・・・優希ちゃん借金してるの!?」 和「バカなんじゃないですか。繰り返しますけど、優希はバカなんじゃないですか」 優希「てへ☆」 和「お茶目に舌を出してる場合じゃないでしょうに」 咲「アルバイトしたらどうかな、優希ちゃん」 優希「全国大会を控えたこの時期にバイトなんてできるわけないじぇ。常識で考えてよ咲ちゃん」 咲「ごめん・・・」 和「バカ優希。タコスで借金作ってる貴女が咲さんをどうこう言う資格はありません」 優希「はぁ・・・」 優希「おい京太郎。さっきから黙ってるけど、何してるんだじょ?」 京太郎「ああ。俺は県予選でも敗退しちゃったからな。バイトでも始めようと思って求人見てたんだよ」 優希「ほう、見上げた犬だじぇ」 京太郎「そうか?高校生なんだし別に普通だと思うけどな」 優希「京太郎に命じる。バイトをして私の借金を返済するんだじょ」 京太郎「は?やだよ。そんなのお前がなんとかしろよ」 和「優希は甘え過ぎなんですよ。この際、少し痛い目見た方がいいです」 咲「でも京ちゃん、借金が返せなかったら優希ちゃんは体を 売らなきゃなんないんだって。ねぇ、なんとかならないかなぁ・・・」ウルウル 優希「私が風俗で働いて変な病気で死ぬことになったら京太郎のせいだじぇ。お前は一生後悔するからな」 京太郎「咲・・・」 和「咲さんがそこまで言うのなら私が立て替えても・・・」ゴニョゴニョ 京太郎「わかったよ。優希がそんな目に遭うのを見過ごしても寝覚めが悪いもんな。 でも今回だけだぞ。あと、ちゃんと後で返してくれよな」 優希「やった~。お前はできる犬だと思ってたんだじぇ」 咲「よかったね、優希ちゃん」 和「死ねばいいのにこのタコス・・・」ボソッ 染谷「話は聞かせてもらったぞ、京太郎」 京太郎「染谷先輩!?」 染谷「優希の借金を返済するためにバイトするんじゃろ?よかったらわしの家でやっとる麻雀喫茶で働かんか?」 京太郎「いいんですか?」 染谷「おう、もちろんじゃ。その頭じゃバイト探すんも難儀するじゃろ」 咲「確かに金髪だとどこも雇ってくれるのためらっちゃうよね」 和「田舎ですしね」 京太郎「すみません染谷先輩」 染谷「何、困ったときはお互い様じゃあ」 優希「ねえねえ染谷先輩・・・」 染谷「なんじゃ?」 優希「先輩のお店になんだけど、京太郎のツケってことにしてタコス食いに行ってもいいか?」 京太郎「お前はまた借金を増やすつもりか!?」 咲「あ、あはは・・・」 和「ほんと、死ねばいいのに」ボソッ 京太郎(こうして俺は染谷先輩の麻雀メイド喫茶、Roof-topで働くこととなった) 染谷「こん店じゃあ広島弁ができんと話にならんけぇね」 京太郎「はぁ・・・」 染谷「まあおいおい慣れるじゃろ」 蒲原『すみませーん』 染谷「お客さんじゃ。よし、京太郎。注文をとってくるんじゃ」 京太郎「わかりました」 蒲原「ワハハー、メニューをもらおうか」 京太郎「はい、こちらになります」 衣「おい」 京太郎「はい、何でしょうか?」 衣「見ない顔だな。新顔か?」 京太郎「ええ。数日前から見習いという形でこの店に 衣「そうか。智美、もう決まったか?」 蒲原「うん。衣はメニュー見ないでいいのか?」 衣「衣の頼むメニューは決まってるからな」 蒲原「それじゃあ私は、このライトニングサンダータルタルエビフライ定食ランチをお願いしようかな」 衣「衣もそれで」 京太郎「えっ・・・」 京太郎(どうしよう・・・。マズイぞ・・・。ランチタイムはもう終わってるから、このランチタイム限定メニューは断らないと・・・) 京太郎「お、お客様・・・。失礼ですが当店のランチタイムは既に過ぎておりますのでそのメニューはちょっと・・・」 蒲原「ワハハ、そうなのか・・・。せっかく楽しみにしてたのにな・・・」 衣「なんとかならないのか?金ならあるぞ」 ドン! 京太郎(すごい札束だ!!ど、どうしたらいいんだ・・・!?染谷先輩・・・、俺は・・・) 京太郎(ざっと見て数十万以上はあるだろうな・・・。優希は月に数万単位でタコスを食ってる。 清澄に入学した4月からだからあれだけあれば優希の借金を払っておつりが出る・・・) 京太郎(まだこの店でお世話になって数日だから、知らないふりしてオーダー取っちまうか?作るのは厨房だしな・・・) 京太郎(で、でも俺にはそんなこと・・・) 京太郎「私の一存では・・・。上の者に聞いてきますので少々お待ち下さい」 蒲原「そうかー、わかったぞー」 衣「色よい返事を期待している」 染谷「あー、わかっとるわかっとる」 京太郎「えっ?」 染谷「よう頑張ったのう。たまに来るんじゃよ。ああいうの0が」 京太郎「そうなんですか?」 染谷「ああ。ランチタイム限定メニューをランチタイム外に出せっちゅうたり、 ディナー限定メニューを昼間に出せっちゅうばかたれがな」 京太郎「俺、どうしたらいいかわからなくて・・・」 染谷「今回はわしの対応をよく見て、次からはそれを見習った対応をするんじゃ」 京太郎「はい、わかりました!」 京太郎「すごいです先輩!まさかあんな強気な対応で断るなんて!」 染谷「ああいう客にいちいち付き合っとったらいくら時間があっても足りんけぇね。ああいうんをくれーまーいうんよ」 京太郎「でも、俺、自信ないっす・・・。もし変な接客してこの店の評判を落としたらって思うと・・・」 染谷「ふむ・・・。そんじゃあキッチンで働いてみるか?」 京太郎「俺がキッチンで!?」 蒲原「食べれなかったな・・・」 衣「うん・・・。衣、Roof-topのあの有名なライトニングサンダータルタルエビフライ定食ランチを楽しみにしてたのに・・・」 蒲原「学校終わってすぐ来たんだけど、ランチタイムには間に合わなかったからなー・・・」 衣「悔しくて衣は・・・衣は・・・」 蒲原「そういえば衣はなんでエビフライが好きなんだー?」 衣「話せば長くなるがいいか?」 蒲原「ワハハー、それじゃあ手短に頼む」 衣「あれは衣が中学に通っていたときのことだ・・・」 蒲原(何だか長くなりそうな気がするぞー) 衣「その頃、透華の父上も母上もお盛んで、衣は龍門渕の家に邪魔だったから東京の蒼山☆学院☆中等部に通ってたんだ」 蒲原「この長野からかー?」 衣「いや、衣は東京で独りで過ごさせられた」 衣「そこで衣は最初は普通の学校生活を送っていたのだが、ある一人の生徒に目をつけられたことから生活は一変する・・・」 蒲原「ある一人の生徒?」 衣「芸能人の黒鬼瞳の娘、伊知地萌子というんだ」 蒲原「黒鬼瞳っていったら超有名女優じゃないか!そんな大女優の娘に目をかけてもらったなんてすごいじゃないか!」 衣「・・・・・・・・・」 衣「その伊知地萌子は大女優の娘というだけあって親が学校に たくさんの寄付をしていたんだ。だから、どんな勝手も許された・・・」 蒲原「まあ大金持ちだし、名前も売れてるしな。学校も特別扱いしたくもなるさー」 衣「そうだな・・・。それで、その伊知地萌子なんだが、女優の娘というわりにはパッとしない容姿だった」 蒲原「地味なのか?」 衣「いや、こういうとき純ならなんというだろう・・・?ぶっちゃけ醜女だ、とでもいえばいいのだろうか?」 蒲原「つまりブスなのか・・・」 衣「うむ・・・。母に似ず、伊知地萌子は父に似たのかもしれない。 とにかく外見にコンプレックスを持っていたのか、衣を目の仇にし出したのだ・・・」 蒲原「そうだったのか・・・」 衣「伊知地萌子は卑劣な女だった・・・。小さくて抵抗できない衣をいいことに、暴虐の限りを尽くした・・・」 蒲原「酷い女だな、そのゴリラ」 衣「影ではそのあまりの傍若無人なわがままっぷりから、伊知地萌子を暴王の月(メルゼズ・ドア)と呼ぶ生徒もいたらしい」 蒲原「まあ、逆らえないなら陰でそう言う子が出るのもわからなくもないなー」 衣「最初はまだ可愛い方だった・・・。授業中にケシゴムの破片やカスを飛ばしてきたり、メカニカルペンシルで刺してきたり」 蒲原「いやいや、刺すのは可愛いなんてものじゃないだろ」 衣「いや、それ以上のことを衣はされてきたからな。列挙すると一時間では語り尽くせぬ」 蒲原「そんなに酷い奴なのか、その黒鬼瞳の娘の伊知地萌子って女は・・・」 衣「体育の授業の際、体操着への着替えは男女別々なのだが、 衣は伊知地萌子とその取り巻きに押さえつけられて男子の前で着替えさせられたことだって何度もある・・・」 蒲原「酷いな・・・」 衣「それだけじゃない・・・。立場の弱い男子生徒に無理矢理射精させて、 衣にその体液をかけさせたこともあるんだ・・・。伊知地萌子は笑ってたよ・・・。 いい笑顔だった・・・。母親である大女優、黒鬼瞳顔負けのな・・・」 蒲原「衣・・・」 衣「学校になんか通いたくないと衣はいつも思っていた・・・。 でも、不登校なんてしたら龍門渕の家の名前に傷をつけることになる・・・」 衣「そうなれば衣は龍門渕から追放されて行き場をなくすかもしれない・・・。 それに透華にも迷惑をかけたくなかったしな・・・。衣には逃げ場なんてなかったんだ・・・」 蒲原「・・・・・・・・・」 衣「それでも、衣は頑張って学校に通った。でも、伊知地萌子はそれを許さなかった・・・」 衣「小さくて可愛いって言われる衣が、あのゴリラみたいな顔のゴリラみたいな娘には気に入らなかったんだ・・・」 衣「親の金や権力でバレエの発表会の主役をしたり、 劇団したりしているあのゴリラには、小さくて可愛い衣が何よりも憎い存在に見えていたんだ・・・」 衣「そして大事となる事態が・・・起きたんだ・・・」 蒲原「衣、辛いなら無理に話さなくたっていいんbんだぞ?」 衣「いや、智美に隠し事はしたくない・・・。だから話させてくれ・・・」 蒲原「うん・・・わかったよ・・・」 衣「あろうことか、あの大女優である黒鬼瞳(くろきひとみ)の娘、 伊知地萌子はクラスメイトの男子に金を握らせて教室で公開レイプショーなどということを始めようとしたのだ・・・」 蒲原「何だって!?」 衣「教室にはたくさんの男子が詰めかけ、伊知地萌子はその男子たちから見物料としてたくさんのお金を巻き上げていた・・・」 蒲原「最低だな、黒鬼瞳(くろきひとみ)が38歳で高齢出産してできた娘、伊知地萌子っていう父親似のゴリラ女は・・・」 衣「伊知地萌子はその公開レイプシーンを撮影して、それを元にさらにお金を儲けようとしていた・・・」 衣「今までにも無理矢理脱がされて携帯で撮影されたりしたことは 日常茶飯事だった・・・。しかし、強姦されてるところを撮影しようだなんて常軌を逸している・・・。衣は逃げた・・・」 蒲原「でも、逃げ切れるものなのか・・・?」 衣「いや、衣は小さくて非力だ・・・。体力もない・・・。だから、女子トイレに逃げ込んだんだ・・・」 蒲原「なるほど、頭を使ったな。女子トイレになら男子は入ってこられない」 衣「その考えは甘かった・・・。逆に、密室は逃げ場がないということでもあったんだ・・・」 蒲原「そんな・・・まさか・・・」 衣「衣はトイレの中に鍵をかけて閉じこもった・・・。 だけど、伊知地萌子とその取り巻きはお金を握らせた男子共々入ってきたんだ・・・」 衣「鍵をかけたトイレなんて役に立たなかった・・・。あいつらは上から よじ登って衣の入るトイレに来て、中から鍵を開け衣を引き摺り出した・・・」 蒲原「衣・・・」 衣「そんなとき、トイレに間に合わない上級生が衣の学年のトイレに来たんだ・・・」 小走『おっと、そこのここは女性用トイレだぞ。何故男子がここにいるんだ?』 衣「上級生がトイレに来て、衣は一瞬助かることを期待した・・・。 だが、現実は衣に厳しかった・・・。衣は伊知地萌子とその仲間たちに、 人も来なくて逃げられないように別な階のトイレに連れ込まれたんだ・・・」 蒲原「・・・・・・・・・」 衣「抵抗は許されなかった・・・。衣は何度も泣いて許して欲しいと嘆願した・・・。 だが、大女優でる黒鬼瞳(黒木瞳)の娘である伊知地萌子は ニヤニヤしながらずっと衣にカメラのレンズを向けていたんだ・・・」 衣「男子生徒に何度も乱暴に犯され、射精され、衣は死にたいとずっと思ってた・・・。 逃げることも、抵抗することもできず、衣はただずっと犯されつづけた・・・」 蒲原「・・・・・・・・・」 衣「そして、伊知地萌子とその取り巻きはそれをニヤニヤしながら眺め、 男子生徒にもっと激しくするよう言い、衣は悪魔のようだと思った・・・」 衣「その事件は当然学校にも発覚した・・・。だけど、黒鬼瞳(くろきひとみ)の娘が 首謀者ということで隠蔽されることになったんだ・・・。学校も見てみぬふりなんだ・・・」 蒲原「そんな・・・」 衣「だけど、黒鬼瞳(くろきひとみ)に反感を持つ者たちが各所にリークしたんだ・・・。衣が犯されたその事件を・・・」 衣「衣はそんなのは無駄だと思って諦めてたし、衣が犯されて撮影され、 その動画を伊知地萌子に公開されたなんて知られるのは嫌だった・・・」 衣「龍門渕の名前に泥を塗ることにもなるし、衣は・・・衣は・・・」 蒲原「もういい、もういいんだ、衣・・・」 衣「結局、衣は停学処分を受けた・・・」 蒲原「えっ・・・!?なんで被害者の衣が停学になるんだ・・・!?」 衣「加害者である伊知地萌子とその取り巻きも、名目上停学処分となった・・・。 でも、親バカで知られる黒鬼瞳(くろきひとみ)は、学校への莫大な寄付金や知名度を盾に、 うちの子だけ処分されるのはおかしい!される方が悪いんだって口を出して・・・」 蒲原「あの娘あってあの親あり・・・か・・・」 衣「それで、学校は衣に厳しい処分を下したんだ・・・」 蒲原「そっか・・・」 衣「衣はもらわれた子だからな・・・。龍門渕が助けてくれるなんてことはなかった・・・」 衣「そんな事件があったことで、衣はもう蒼山☆学院☆中等部には いられなくなって、透華に連れられて長野にまた戻ってきたんだ・・・」 蒲原「学校の上層部ももみ消しに協力してるんじゃな・・・。 そして、黒鬼瞳(くろきひとみ)親娘に媚を売って被害者に停学処分を下すくらいだし・・・」 衣「傷付いた衣を優しく慰めてくれたのが透華だった・・・。透華は衣が東京を去るとき、エビフライをご馳走してくれたんだ・・・」 衣「その時衣は久しぶりに人の心の優しさに触れたような、そんな安堵感を感じたんだ・・・」 衣「衣はレストランの中だというのに泣いた・・・。泣きながら透華がご馳走してくれたエビフライを食べた・・・」 衣「正直、泣いていて味はよくわからなかったかもすれない・・・。 でも、間違いなくあれは天上たる美味であったと断言できる・・・。透華の優しさの味だったのだから・・・」 蒲原「それで衣はエビフライが好きになったのか・・・」 蒲原と衣がライトニングサンダータルタルエビフライ定食ランチを食べられることはなかった・・・ 京太郎はその後、Roof-topで頑張って一人前と認められるようになり、片岡優希の借金を完済した・・・ そして伊知地萌子は中学時代の恨みを晴らすべく、衣と共に居た蒲原もろとも衣を始末する・・・ しかし、黒鬼瞳(くろきひとみ)が各所に手を回し表沙汰になることもなく、伊知地萌子が罪に問われることもなかった・・・ 大女優でる黒鬼瞳(黒木瞳)とその娘である伊知地萌子は今日も笑っている・・・ 我々特権階級は何をしても許されるのだと・・・ 完