約 301,161 件
https://w.atwiki.jp/3edk07nt/pages/255.html
ひどい。雪華綺晶の指先を覆う包帯に、血の染みを見て、コリンヌは眉を顰めた。 十指とも――特に、力の掛かる中指や薬指は、両手とも爪が剥がれていたのだ。 コリンヌは訊ねた。どうして、こんな状態になったのか。 なぜ、あんな真夜中に、薄着で山中を彷徨っていたのか。 けれど、雪華綺晶は端麗な表情を歪めて、ただただ頭を横に振るだけ。 解らない。思い出せない。 そう答える雪華綺晶は、ひどく苦しそうに唇を歪めて、今にも泣きそうだった。 これでは、難癖をつけて苛めているみたい。 不憫に思うあまり、胸に痛みを覚えて、コリンヌは溜息まじりに微笑を作った。 「まあ、いいわ。お父様のお許しも頂いたし、当面は、ゆっくり養生してね」 「……はい。ありがとうございます、コリンヌ」 「気にしないで。実を言うと、わたしも雛苺も、新しいお友だちができて嬉しいの。 なんなら、ずっと居てくれてもいいのよ」 「お友だち……? ……出逢ったばかりの、私が?」 きょとんとした面持ちで、雪華綺晶は琥珀色の瞳を、ぱちくりさせた。 よもや、そんな風に想われているとは、夢にも思っていなかったのだろう。 富豪の箱入り娘が、酔狂で、ケガした小汚い野良ネコを保護しただけ…… 傷が癒えれば追い出される運命だと、覚悟すらしていた。 それなのに、まさか―― 呆気にとられている雪華綺晶に、コリンヌはもう一度、揺るぎなく伝えた。 「貴女は、悪い子なんかじゃないわ。だから、わたしたちはお友だちよ」 第三話 『For the moment』 雪華綺晶は、朝日に映える白い頬を弛めて、控えめな笑みを浮かべた。 初めこそ濃かった戸惑いの色も、すぐに、嬉しさ百パーセントの笑顔に変わった。 「ありがとう。私、なんて言ったら――」 極まった感情は、はらはらと雪華綺晶の頬に煌めく軌跡を残し、零れ落ちていく。 コリンヌはハンカチーフを手にして、濡れた白い頬を、そっと拭いてあげた。 「おなか、空いてるんじゃない?」 訊ねた途端、タイミング良く、雪華綺晶のおなかが、くるるる……と鳴いた。 「まあ!」と、コリンヌは口元に手を遣って、鈴ように澄んだ笑いを振りまく。 雪華綺晶は両手で朱に染まる頬を挟み、「やぁん」と顔を背け、恥じらった。 そんな彼女の仕種が愛おしくて、コリンヌは雪華綺晶の髪に、指を滑らせた。 汗や脂で汚れているらしく、がさがさと引っかかってくる感触。 コリンヌは髪を撫でる手を止めずに、雪華綺晶の頭に、鼻先を擦りつけてみた。 やっぱり、少し臭う。お風呂に入れて、きれいに洗ってあげた方が良いだろう。 ケガの治療のためにも、清潔にしておくべきだ。 他人に触れられることが気持ち良いのか、雪華綺晶はウットリと瞼を閉じて、 されるがままになっている。瑞々しい唇には、妖艶な笑みすら浮かんでいた。 (こうしていると……本当に、お人形さんみたいね。可愛いわ、とても――) 昨夜の奇妙な昂りが、また甦ってくる。思う存分、弄くり回したい衝動に駆られる。 しかし、コリンヌは下卑た欲情を強引にねじ伏せて、雪華綺晶の髪から指を離した。 「さあ、雛苺に食事を運んでもらって、三人で朝食にしましょう」 ~ ~ ~ 指に包帯を巻いているせいで、雪華綺晶はスプーンやフォークを、よく落とした。 そのため、コリンヌと雛苺は、かわりばんこで彼女に食べさせてあげた。 「はい、きらきー。あーんしてなのー♪」 雛苺はもう、雪華綺晶のことを『きらきー』だなんて、親しげに呼んでいる。 陽気で人なつっこいところは長所と言えようが、少々、馴れ馴れしすぎはしないか。 どういうカタチであれ、雪華綺晶は赤の他人。いわゆる、お客様なのだ。 ――が、それは建前。いけないと分かっていても、コリンヌの本音は違っていた。 「このビシソワース(ジャガイモの冷製ポタージュ)ね、ヒナが作ったのよ。 ねえねえ、どお? おいしい~?」 「はい。とってもサッパリしていて、まさに滋味ですわ♪」 すっかり打ち解けて、仲睦まじく食事をする二人は、旧知の親友同士みたいだ。 コリンヌは不思議な安らぎを覚えて、柔らかい笑みを浮かべた。 そして、密かな望みを強くした。もっと、雪華綺晶と親しくなりたい……と。 ~ ~ ~ 朝食を済ませてから、コリンヌは雪華綺晶と一緒に、湯浴みをした。 昨夜からの忙しなさで、ずっと入浴していなかったし、 手の不自由な雪華綺晶を洗ってあげるつもりだったから、一石二鳥というものだ。 雛苺も一緒に入るとゴネたが、コリンヌに「お仕事があるでしょ」と諫められ、 「ぶー」と、むくれながら渋々、屋敷の掃除に向かった。 公私の区別を有耶無耶にしがちなところは、雛苺の褒められないところだ。 磨りガラスを抜けた陽光が、広い浴室の隅々まで、明るく照らしている。 コリンヌは、泡立つバスタブに雪華綺晶を浸らせて、首から肩へと洗っていった。 あまり、誰かに身体を流してもらった経験が無いのだろう。 雪華綺晶は、時折くすくす笑って、くすぐったそうに身悶えた。 「ダメよ、じっとしてて。洗いにくいでしょう」 「でもぉ……なにかムズムズして、変な感じが……」 「我慢して。大人しくしてらっしゃい」 「……はぁい」 背中が敏感らしく、雪華綺晶は洗ってもらっている間、弓なりに撓ったまま、 熱っぽく吐息しながら、ふるふると震えていた。 身体に続いて、緩く波打つ長い髪をシャンプーしていく。 これは想像以上の重労働だったが、汚れが溶け込んだ泡をシャワーで流すと、 そんな苦労もいっぺんに消し飛ぶほどの無垢が、コリンヌの前に顕れた。 「まあ、なんてステキなのかしら。見違えるほど綺麗になったわ。本当よ。 乾かせば、きっと、ふわふわの髪になるわね」 「ありがとう。何から何まで、良くして頂いて……なんて感謝したらいいのか」 「さっきも言ったでしょう。気にしなくてもいいのよ、本当に」 そう言われたって、こうも至れり尽くせりでは恐縮してしまう。 まして、居候の分際である雪華綺晶には、息苦しいことこの上なかった。 コリンヌのために、何かしてあげたい。彼女が与えてくれた恩に、酬いたい。 雪華綺晶は、シャワーを浴びているコリンヌの背中に、話しかけた。 「お願いです、コリンヌ。私に、身の回りのお世話をさせてください。 お給金なんて要りませんから……私を、あなたの侍女に召し抱えてください」 第三話 終 【3行予告?!】 この世でたった一度、巡り会える明日。それを信じて―― きらきーがねっ、ヒナと一緒に働いてくれることになったの。嬉しいなっ♪ でも、なんだかヒナの居場所を盗られちゃう気がして……ちょっと複雑なのよ。 次回、第四話 『NECESSARY』
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/335.html
「立花君、ちょっといい?」 三井が声を掛けて来たのは、3時間目が終わった後の休み時間だった。三井とは高校に入学して、 同じクラスメートという以外は、あまり面識がない。ショートボブの髪に赤い眼鏡。クラスの中でも、 目立たない生徒だ。クラスの委員長をやらされているのも、投票でそれっぽいからという理由で三井に なっていた。 「放課後、相談に乗って欲しいんだけど」 俺に相談?意外な申し出だ。もっといい、適任者ならごまんといるぞ。横に座っている 秀才の石井なんかどうだ?俺が答えられるアドバイスの2倍はいい情報を持っていると思うが。 「う~ん、彼じゃちょっと駄目ね。これは立花君じゃないと解決できないことだから」 そうなのか。俺は放課後に用事があるんだがと、やんわりと拒否反応を出す。 「直ぐに終わるわ。そうね。一時間位かしら」 どうしても今日じゃないと駄目なのか? 「お願い。なるべく早く終わらせるから」 「……わかったよ」 俺がそう言うと、本当にありがとうと言い残し、三井は席に戻って行った。どうせ、プリント 運びだのそういった類いの力仕事をしてくれという相談だろう。クラスで一番暇そうにしてたからなぁ。 「祐くん、優しすぎるよ」 やっぱり。予想通りのリアクションが返ってきた。そうは言ってもな、もう引き受けたんだから 仕方ないだろ。忍はほっぺたをぷぅっと膨らませてすねている。月曜日の昼休み。普段は一週間に 一度、水曜日のみ作ってくる手作り弁当を、今日は特別に作って来てくれた。忍が特別に 弁当を作ってきた理由は、今日の午後からの予定にある。屋上で俺は忍の弁当を食べながら、 これまでの経緯を説明していた。 「クラス委員長直々のご指名だからな。ちょっと遅れる」 はぁ……と、わざとらしく大きなため息をついて、忍がこちらを睨んだ。 「テストが終わったら、部活は1日休みになる。そうしたらカラオケに付き合ってもいいって 言ったのは、祐くんの方だよ。もしかして、サッカーのヘディングをやり過ぎたせいで、 若年性痴呆症にかかっちゃったのかなぁ?」 いや、俺、まだ高校生なんですけど。 「午前中からウキウキして、午後のカラオケを楽しみにしていたのに台無しだよ」 だから、悪いって言っているだろ。 「……チョコレートパフェ、3回分」 マジ?それはきついだろ。せめて1回にしろ。 「じゃあ、間を取って4回」 増えてる。よし、俺がいい案を思いついた。これから先、忍とは一生カラオケには行かない。 そうすれば、チョコレートパフェをおごらずにすむ。 「……ずるい。もう……1回でいいよ。その代わり早く来てね」 忍が甘い声を出した。こうなったら、俺の負けだ。 「あぁ……わかった、終わったらダッシュで行く」 照れ臭い。全く、女はこういう時、得に出来ている。 忍とは小学校以来の腐れ縁だ。小学校の時は目立たない眼鏡の女の子って感じだったのに、女って 言うのは恐ろしい。いつの間にやら、美人になっちまった。腰までのサラリとした黒髪。切れ長の目。 眼鏡も外してコンタクトになった。正に、変身前、変身後という感じだ。まぁ、そこまでなら何処に でもいる美人なんだが、問題はその体型だ。 「忍、またでかくなっただろ」 忍はさっと胸を隠す。最近、忍をからかうのは大抵、この話題だ。 「……ううっ」 「何食ったらそこまで大きく育つんだ?」 「……くっ!」 「脳に行く栄養がそこに集まっているとしか思えん」 「……ばっ、馬鹿、エッチ!」 忍が俺から食いかけの弁当箱を取り上げて、走り去った。やべぇ、鳥の唐揚げ、最初に食べて おくんだった。 放課後、掃除が終わった後、俺は三井を待っていた。クラスにいる生徒は、もう数人しかいない。 テストの結果を悲観するもの、好成績に歓喜するもの、どちらもテストという嫌なものから解き 放たれた開放感で足早に学校を後にする生徒が多かった。 「遅いな。三井……」 教室に残っていた最後の生徒がいなくなる頃、三井は教室に入ってきた。 「ごめん。待たせてちゃった」 これでカラオケハウスに行くのは、更に15分は遅れそうだ。こりゃ、今日のカラオケ代も折半って 訳にはいかないだろうな。 「先生がプリントの原本をなかなか用意できなくって」 やっぱり、コピーとそれを運ぶ役目か。 「自分一人じゃちょっと無理だから。立花君、早速お願いね」 やる事さえ分かっていれば、後は簡単だ。それを完遂するために一生懸命働けばいい。 40分程で全ての作業は終わった。こんなに一生懸命動いたのは、サッカー部でもそうはない。 「凄い。もう終わった……」 そりゃそうだ。今月の俺の小遣いが大ピンチだ。カラオケハウスには、こういう時だけ小悪魔になる 忍が手ぐすね引いて待っている。 「本当にお疲れ様。これ、食堂で買ってきたジュース。先生のおごりだから、遠慮しないで」 サンキュ。でも、俺には落ち着いてそれを飲んでいる時間は無いんだ。じゃあな、アディオス、 ごきげんよう。 「では、本題の立花君への相談をするわね」 一瞬、教室の空気が凍りついたように感じた。おい、今、何とおっしゃいました?冗談にしても 笑えないんですけど。 「立花君じゃなきゃ解決出来ない相談をしたいって、言ったはずだけど」 いや、確かにそうだけどさ、これ、普通の流れだと、今までのプリント作業だって思うだろ。 「こんなの勉強だけが取り得の、石井君にだってできるじゃない」 にっこりと微笑んだ三井は、俺の顔を覗き込んでそう言った。それ、ひでえよ……三井。 石井、泣くぞ。 「それで相談って何だ?手っ取り早く頼む。忙しいんだ」 「ねぇ……立花君ってA組の如月さんと付き合っているの?」 はぁ?なんだそりゃ。それの何処が相談だよ。俺に対する質問じゃねえか。 「それはお前に関係ないことだろ」 「大いに関係する事なんだけど。単刀直入に言うわ。私と付き合わない?」 「悪いな。俺、帰るわ」 「如月さんが美人だから?眼鏡ブスには興味が無いって事かな」 三井、女だからって言っていい事と悪い事がある。俺が忍と付き合っているのは、顔とか関係ない。 告白は嬉しいけど、お前とは付き合えない。 「そう。でも、女は変わるの。それが好きな人の為なら」 「……えっ」 目の前にいる少女に、俺は一瞬、息を呑んだ。眼鏡を取り、ボブショートの髪を掻き揚げた三井。 間違いなく、美少女だった。それも、並大抵のレベルじゃねぇ。モデルって言ったって、普通に 納得するレベルだ。 「中学時代からうっとおしい男子を追い払うために、こうやってカモフラージュしてる。わざわざ ソバカスとか描いてるの。さっきはごめん。立花君が女の子を顔で選ぶような人ではないって 知ってて、ワザと言ったの」 なら、俺がその美人の素顔を晒したって、関係ないって知ってるだろ。 「知ってる。立花君には隠し事の無いようにしておきたかっただけ」 その顔なら、俺よりもずっとマシな男が幾らでも見つかるぜ。じゃあな。 「……そう。やっぱりね。どうしても駄目か……」 ちょっと可哀想な気もするが、俺は二股かけられるほど器用じゃない。急いで教室を出ようと すると、三井がまた声を掛けてきた。 「ここで立花君が帰ると、如月さん、学校を辞める事になるわよ」 おい、今、なんて言った? 「この学校のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のコミュニティに、今日如月さんの あるファイルが流れる。そのファイルが流れたら、如月さんは終わり」 いい加減な事言うなよ、忍が学校を辞める事になる?冗談はよせ。 「嘘だと思うのなら、これを聞いてごらんなさい」 三井がイヤホンを差し出した。渋々、そのイヤホンを耳に差し込む。 「!?」 ≪祐くん、テスト勉強って言ったって、真面目にやりすぎじゃないのかなぁ。仮にも彼女が自分の 部屋に来ているっていうのに、3日間手を出さずに終わりって信じられないよ≫ これは……。耳から聞こえてきたのは、確かに忍の声だ。 ≪今日で祐くんとの勉強も終わり……。はぁ……寂しいよ。う~ん、買出しってどの位かかるんだろうね≫ 明瞭に聞こえる音声が断続的に流れている。 ≪これ、祐くんのシャツかな。……ん~いい匂い。祐くんの匂いがする≫ やめろよ。何でこんなのがあるんだよ。 ≪…………んっ≫ そこから暫く、忍の声は聞こえ無くなった。微妙な衣擦れの音だけが微かに聞こえる。 ≪んっ……あっ、祐くぅん……これ、祐くんが……ぁんっ……使ってたシャーペン……≫ 「消せよ……」 静まり返る音の中に、淫音が聞こえてくる。 ≪ちゅくっ……ぬちゅ……駄目ぇ……祐くんの部屋で……くちゅっ……こんな事……あっ、ぁっ、んっ≫ 「消せって!」 俺は耳からイヤホンを外した。そして、三井を睨みつける。 「お前、俺の部屋に盗聴器仕掛けたのか?」 「知らないわ。ただ、サッカー部のある人が私に面白いファイルがあるって、持ってきてくれたの」 「聞いたらビックリ。オナニー大好き少女の声が延々と続いているじゃない」 俺の家に遊びに来たサッカー部員……何人もいるな……。 「お前、サッカー部員を……誰だそいつは」 「妙な言いがかりだけはやめてね。さて、ここで立花君だけにしか出来ない相談。このファイルを私が 何とかするから、立花君も私のお願い聞いてくれない?」 脅迫するのか?忍の痴態を収めた音声ファイルをチラつかせて。 「何もそんな酷い事言うわけじゃないわ。3日だけ。そう、3日だけ立花君の彼女にしてよ」 そんな気持ちになれる訳無いだろ。お前が女じゃなければ、とっくに殴っているところだ。 「なら、ここで相談は終わり。でも、もっと凄いファイルがあるかも……映像ファイルなんてあったら、 私なら恥ずかしくて死んじゃうかもね」 おい、まさかそんなものまで、あるんじゃないだろうな。 「立花君が3日我慢してくれれば、私が全部何とかする。そうね、でも、立花君も可哀想だから 彼女って言ったって限定でいいわ。3つだけお願いを聞くだけでいい」 そこまで俺だって馬鹿じゃない。そんなやばい事、承諾できるか。 「疑り深いのね。じゃあ、動詞限定ならどう?拾ってとか、そういうのだけ」 「本当にそれだけなのか」 「勿論、私と居ない時は如月さんと会ってもいいわ。私とは1日1時間だけでいいから」 「本当にファイルは何とかするんだな」 「約束は守るわ。私だって立花君が好きなんだし。そこまで嫌われたくない」 「それなら……3日だけなら。お前の要求を飲んでやる。その代わり、3日経ったら、もう2度と 俺に話しかけるな」 「はぁー。私だって大変なのに。ちょっと位は役得が欲しいなぁ」 「用事はそれだけでいいんだろ。俺はもう行く。明日からでいいんだろ」 「今日からでもいいわ。しかも、今日だったら10分だけでいい」 10分だけか?1時間じゃなくて。嘘じゃないのかと、もう一度聞きなおす。 「そう、10分だけ。立花君、とっても忙しそうだし、手伝ってくれたし。でも、約束は守ってね」 「俺はどうすればいいんだ?」 「そうねぇ。じゃあ、そこに立ってて」 「立ってればいいのか?それだけ?」 「そう。その代わり、絶対に動かないでね」 10分立っているだけ。簡単じゃないか。何なんだ。こいつ。 「いいぜ。そのかわり10分きっかりだ」 俺は指定された場所に立った。何だか変な感じだ。悪い事をして教室に立たされているみたいな。 そして、三井が俺の前に立つ。 「立たされているんだから、直立不動でお願いね」 「ああ、わかっている。今ならどんな地震が来ても10分間は動かない自信がある」 「……立花君。私、今日如月さんと一緒の香水つけているって知ってた?」 そう言うと、三井が目の前に立ち、顔を近づける。思わず顔を背けるが、三井の唇が頬に触れた。 「もう、雰囲気も何も無いのね。まぁ、唇は如月さんのものなんだろうから、許してあげる。でも、 今度動いたら、もう本当にこの話は終わりだからね」 くっ、俺としたことが。でも、不幸中の幸いだ。もし、三井にもう一度立っててという要求を されたら絶対拒否だ。 「唇はあげるわ。でも、こっちは……動いちゃ駄目だからね」 三井が両膝をついた。髪の毛の匂いが鼻腔をくすぐった。そういえば、忍と同じ匂いがする。 「後、7分」 突然、三井が俺のチャックを降ろした。馬鹿野朗、何しやがる。 「結構、大きいんだ。立花君……彼氏で、立花君も変か。祐って呼び捨てにしよ」 「くっ、何してる……」 ≪ちゅぷ、ちゅっ、……レロレロ……祐……おっきい≫ 「お前、ふざけるなっ、よ」 ≪後、5分……ちゅっぱ、ちゅっく、……ぴちゃ、ぴちゃぴちゃ≫ 三井がその小さな唇を俺の咽頭に這わす。陰茎と亀頭と尿道に唾液が溢れ、舌先が上下に往復した。 「うっ、っく」 先ほどの忍の声がまだ耳に残っている。それに、三井の香水。まるで忍にやられているような錯覚 に陥りそうだ。 ≪後、3分……んっく、んっく、ちゅっちゅ、んんっ、んく……祐、すっごく大きくなってきた≫ 自分で呼吸を整えようとするが、それが無意味だって悟る。こいつ、凄く上手い。 ≪後、1分……んっんっ、んっんっんっ……ぷはっ、もう、我慢しないでいっちゃっていいのに≫ 後30秒、後15秒、俺は頭で数を連呼して、その刺激に耐える。くそ、絶対、思い通りには させない。 ≪んっんっ……ちゅっ。時間切れか。凄いね、祐≫ 大きくなったそれを名残惜しそうにズボンにしまうと、三井は立ち上がった。 「もう、10分か。早いなぁ」 もう、直立不動は無しだ。いいな。三井。 「祐がそう言うなら、もう無しにしてあげる。じゃあね」 俺はその言葉を聞き終わる前に、その場から全速力で走り出し学校を出た。 「あっ、祐くん。来た来た。もう、始めちゃってるよ」 忍がカラオケハウスでニコニコしながら話しかける。さっきの事は幻だったのか?俺は、生返事を 繰り返していた。 「もう、さっきからわたしばかり歌わせて。喉がカラカラだよ」 とりあえず後2日。俺が我慢すれば、この話は終わる。でも、忍にその事を悟らせては駄目だ。 忍は見た目しっかりとし、強いようだが実は心が脆い部分もある。だから、三井との事は絶対に 悟られないようにしないと。 「なぁ、忍。ちょっと話があるんだ」 「何?チョコパフェおごるの無しっていうのは、駄目だからね。約束なんだから」 ≪あのさ、俺たち少し距離を置いて付き合わないか≫ そうだ。後2日は距離を置こう。なるべく悟られないようにするには、一番いい。 「えっ?あ……うん」 「俺さ、ずっと忍の事大切な友達だと思っているから。それに、忍は美人だし頭もいいしさ。俺も 羨むくらいの女の子だから、大丈夫」 忍は少しショックを受けたようだ。すまん、2日経ったら元に戻る。それまで、我慢してくれ。 俺はその後、悪いと言ってカラオケハウスを出た。忍の笑顔を見ているのが、何より辛かった。 次の日。三井の要求は夕方の1時間だけのデート。携帯電話の電源を切ってくれというもの。 その翌日は昼の1時間、手作り弁当を一緒に食べて欲しいというものだった。ただ、三井は 最終日のこの日、俺が持ってきた忍の弁当を捨ててという願いをした。最後の思い出に弁当を 食べるのに、忍の弁当だけは目の前で見たくないという理由だった。俺は断固抗議をしたが、 最後だからと涙目で訴えられて、渋々要求を呑む事になった。 「今日で終わりだ。例のものはどうなんだ」 「そっか、残念。もう、最終日かぁ。早いね。もうちょっとだけ延長する?」 冗談は顔だけにしろよ。俺は三井を睨みつけた。 「酷いなぁ。祐の盗聴器はもう使えないし、ファイルも全消しして貰った。もし、そのファイルが 出てくるようなら、その人訴えてもいいよ。私も証言してあげる」 そうか。なら、お前とはもう終わりだ。二度と話しかけるな。 「了解……。じゃあね」 俺は何も言わず、足早に校舎に戻る。隠しておいた弁当を抱え、忍に返そうと誓う。そして、たくさん 遊ぼう。友達宣言を撤回して。 「…………恋人ゴッコも終わりね」 中庭に三井が立っている。眼鏡を外し、髪を掻き揚げた。 「ねぇ、いる?」 そう言うと、二人の少女が三井の横に現れた。 「私は祐との約束で何も言えない。でも、あなた達は違うわよね」 「……あの、例の件は……」 「あぁ、貴方達の事?勿論、内緒にしてあげる。私を裏切らない限りはね。そうそう、最後の命令。 如月に弁当の事さりげなく伝えてくれない?あのゴミ箱にあるってね」 「……わかりました」 二人の少女が慌てて、校舎に戻っていく。 「祐。確かに如月のファイルは処分してあげた。約束だからね。でも、あの時、鞄から撮影していた ビデオ。そっちは約束の対象外。有意義に使わしてもらうわ。あの時、気がつかなかった? 中学生の時、祐に告白して無残に振られたあたしの事。折角、本当の顔を出してあげたのにね。 気がついてくれれば、祐のおもちゃを壊すまではしなかったのに……残念ね。本当の地獄は これからよ」 クスクスと笑いながら、三井は嬉しそうに校舎に戻っていった。 【おしまい】
https://w.atwiki.jp/tosyoshitsu/pages/407.html
●防衛戦隊レンレンジャー 『第三話:運命の戦い!! レンレンジャーよ永遠なれ!!』 【~あらすじ~】 時は第七世界歴72508002の夕刻、 早速計上された隊員達の訓練手当てを経理部のインクジェットブラックが処理する一方で、 レンレンジャー一同に、休む間もなく事件が再び降りかかる。 戦うべき本当の敵は誰なのか? 悲しみと共に、今、決戦の幕が上がる!! /*/ 「きっつぅ……」 「教官たち、鬼だろ」 「鬼の方がまだ優しいんじゃないか? 鬼なら瀬戸口先輩だし」 「みんなのお耳の恋人っていうよりは、みんなの地獄の恋人って感じだよな、教官」 「なんで美人なのにうちの上司達は長官といいみんなああなんだろうな」 「なー」 (ヘタレた顔で休憩室のベンチに座り込んでいる面々。ただ1人、ポニーテイルの少女だけが快活である) 「何よ、だらしない。自分を鍛えてお金をもらえるなんて、最高の仕事じゃない!」 「そりゃ、元から体育会系な連中にはいいかも知れんけど……俺なんて前歴証券マンだぞ、おかげで保険も入りなおしになるし」 「ウルトラバイオレットブルーは線、細いもんなー」 「ウルトラバイオレットブルーは紫なのか青なのかはっきりしろよ」 「むしろウルトラバイオレットブルーは顔色が紫から青に変わりつつあるが大丈夫か、無茶しすぎなんじゃないのか」 「ウルトラバイオレットブルー、無理しないで横になったらどうだ」 (仲間達から口々に労われてベンチに横になるウルトラバイオレットブルー。ご愁傷様、といった顔でバーミリオンサンダーレッドはその光景を眺めている) (もりもりと、その手元では食堂直売の牛丼が使われていた) (隣にポニーテイルの少女がどすんと座る。お、とその顔を見るバーミリオンサンダーレッド、にこりと綺麗な笑顔にどきりとする) 「あれだけ訓練しておいて、やるじゃない」 「食べないと保たないからな」 「紅ショウガがないのは画竜点睛を欠くと思うけど……あなた、気に入ったわ!」 「紅ショウガはいらないだろー。男ならネギダクで充分だ」 「あたし、ゴッドレインボースパーク、よろしくね! バーミリオンサンダーレッドさん!」 「よ、よろしく」 (箸をくわえながら、求められて握手を交わすバーミリオンサンダーレッド) (フラグか、フラグなのか!? と、激しくその脳裏で彼女いない歴20年の悲しい思考回路が回転する) (ゴッドレインボースパーク、そんな隣の様子を無視して足をぶらぶら、天井を見上げながら語り出した) 「あたし、さ……」 「う、うん」 「ずっと昔から、戦隊物のリーダーになりたかったんだ。かっこいいじゃない?」 「そりゃーまあ、子供なら、憧れるしな」 (女の子はむしろ『LOVE諸島に代わっておしおきよ!』の、愛と無人島のラブラブ戦士レンジャースターズの方を視聴するもんじゃないかなー、と、バーミリオンサンダーレッド、疑問に思う) 「あたし、どーしてもレンジャースターズが好きになれなくってさ」 「? そりゃまた、どうして」 (タイムリーな話の流れにどきっとするバーミリオンサンダーレッド。注意深くゴッドレインボースパークを見守るが、彼女はきらきら握り拳でやおら力説し出した) 「だって、あの番組に出る美少女戦士って、みんな彼氏いるじゃない!」 (ぶふぉー!! とバーミリオンサンダーレッド、盛大に牛丼を噴く) 「真の正義の味方なら、男なんか作らずに黙って戦うべきだと思うのよ!!」 (最初主人公達4人だけだったのに、結局彼氏達4人まで仲間に加わって、今じゃほとんど8部衆じゃない!! だの、毎回デートスポットが舞台になるのはどうなのよ!? だの、不平不満を漏らし出すゴッドレインボースパーク) (バーミリオンサンダーレッド、隣で、ああ、フラグじゃなさそうでよかった、と、そのたび密かに安堵を深めていく) 「あたしは違うわよ。絶対に男なんて作らないで、レンレンジャーで正義を貫くんだから!!」 「は、はは」 (ひきつれた愛想笑いをしながら、そそくさと牛丼をかきこむバーミリオンサンダーレッド) (ゆらり、と、部屋の奥で、立ち上がる影) 「聞き捨てなりませんね」 「?」 (何よ、とゴッドレインボースパーク、反論に対してきっと睨みを投げつける) (立ち上がったのは髪の長いたおやかな女性。いかにもなでしこと言った感じの、凛々しい顔立ちをしている) 「正義求めしは愛ゆえに。愛求めしは乙女がゆえに。 戦いを通じて育まれる愛情、何と甘美な響きでしょう! 正義を貫く傍らで、彼氏を求める事に、何のためらいがあるでしょう。 レンジャースターズ、わたくしは大好きですよ」 (バーミリオンサンダーレッド、レンレンジャーにまともな人材はいないのかと頭を抱えたそうな表情になる) 「わたくしの名はブリリアントフラワーピンク。ゴッドレインボースパークさん、あなたは間違っています!」 (びしいっ! と、ゴッドレインボースパークを指差すブリリアントフラワーピンク。決然としてその唇から言葉が放たれる) 「戦隊ものでも、ピンクとレッドが結ばれたりする事、珍しくないでしょう!!」 「ああー!?」 (ガーン! と、音も立てそうな勢いで膝をつくゴッドレインボースパーク) (無視して部屋中に呼びかけるブリリアントフラワーピンク) 「さあ皆さん、このブリリアントフラワーピンクと一緒に、もう一汗、愛と正義の訓練で流す気はありませんか?」 (お、俺も俺も! と押し寄せた男子隊員を、なぜかゴッドレインボースパークが薙ぎ倒す) (何をなさいますの、とブリリアントフラワーピンク、ゴッドレインボースパークと取っ組み合いに) (俺は何も見なかったという顔で休憩室から逃げ出すバーミリオンサンダーレッド) /*/ 「職場恋愛、禁止にしようか」 「うーん……一部の不純な面々のやる気にも関わるんじゃない? それにほら、一応うちって、愛を掲げるレンジャー連邦の組織だし」 (休憩室で取っ組み合いが始まったとの報告を受け、教官と長官がしょうもなさそうに額をつきあわせている) (ころん、と壁に立てかけられていた教官の竹刀が床に転がる) 『頑張れレンレンジャー! 負けるなレンレンジャー! 君らの青春はまだ、始まったばかりなのだから!!』 (秘書のナレーションと共に、舞台暗転、了) -続かない方がいいのかもしれない。
https://w.atwiki.jp/kiryugaya/pages/1080.html
■第三話「はっきりと……」 「ねぇ知ってる? この霧生ヶ谷市、怨霊がいるらしいよ」 「え?」 亜紗香がぴくりと、まるで猫が耳をそばだてる様に反応してしまった。 「怨霊」。それは大輔を黒猫へと変身させ、生きながらえさせた。怨霊なら怨霊で、その名の通り悪い事をしでかしそうなものだ。それなのに、怨霊は大輔を蘇らせた。それは一体、何の為であるのか、未だ見当もつかない。 「亜紗香、なんか知ってるの?」 「え、いや。なんにも知らないよ。ってか怨霊ってほんとにいるの?」 高校での昼休み中。天気が良いからと言って、亜紗香は友達数人で屋上へ来ていた。食べ終わったらバレーボールをやろう、などと古い事を考えながら。しかし、亜紗香にははっきりさせたい事があった。怨霊は何を考えているのか……。 「いるらしいよ~。ただ、あんまり良いことはしないみたいね。誰かを呪うとか、誰かを人間以外の生き物に変身させるとか……」 そんな説明を聞きながら、亜紗香は自分の頭の整理をするべく務めた。 ――えっと、怨霊は良い奴じゃなくて……呪ったり、変身させたり…… しかし亜紗香の脳内では全く答えが出ない。 「ちょっと、大丈夫? 亜紗香?」 心配そうに友達が皆こちらを向いている。 「ごめん。ちょっと考え事。気にしないで」 亜紗香の言った言葉に、「そう……」と言いながら、友達は皆亜紗香のことを心配していた。 なにかいつもと様子が違う。それだけは皆わかっている。きっと悩みがあるのだろう。しかしそれを口にするのは至極難しいのかもしれない。友達は誰も悩みの種を聞かずにいてくれていた。 しかし、亜紗香はそれにすら気付いていなかった。 そして、亜紗香ははっと気付いた。 ――……大輔を猫にしてどうするの? 重症で、しかも絶対に死んでしまう事が解っていた大輔を、何故、怨霊は猫に変身できるようにし、助けたのか。 ――……猫? そこではっとした。やっと亜紗香は気付いたのだ。そう。キーワードは「猫」だ。 「ごめん!」 いきなり弁当箱を片付け始めた亜紗香に、皆びっくりしている。 「どしたの?」 「急用思い出した! 早退する!」 「はぁ!?」 「じゃ!」 そう言うと、亜紗香は猛ダッシュで屋上から降りる階段を下っていった。「午後の授業どうすんの~?」という友達の言葉も、聞こえてはいなかった。 ――そうだ。「猫」だ! 「大輔!」 バーンと亜紗香の家のドアが開いたと思うと、亜紗香は必死に靴を脱いだ。キッチンやリビングを見るが、家族の姿は見えない。確か今日も、母はパート。父は残業で遅くなる。だから家のどこでも大輔とは会話できるのだ。 「大輔!」 探しても、いない。恐らく亜紗香の部屋だろう。亜紗香は必死に階段を上っていった。 「大輔っ!」 「うぉ!? なんだ?」 思ったとおり、大輔は亜紗香のベッドの上で丸まって寝ていた。いくらベッドの上に来るなと言っても聞かない大輔なのだった。当然、それを怒られると思っていたのだが……。 「解ったのよ! 怨霊が何故大輔を助けたのか!」 「何だって!?」 To be continue? <<第二話へ 第四話へ>> 感想BBSへ
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/299.html
統合暦329年5月30日 初夏の訪れを予感させるような強い陽射しに辟易しながら これまた一緒に居るのが辟易するようなクラスメイトが、さも当然かのように隣を歩いていた。 「そういや、守屋君って格闘は得意だけどさ、剣とか銃も達者なの?」 「剣は兎も角、銃が得意な高校生って滅多に居ないんじゃないのか?」 守屋が至極、真っ当な返答をするが、少なくとも霧坂にしてみたら守屋は真っ当な高校生では無い。 守屋が紛争地域で重火器を振り回していると言われても、「ああ。そうだろうね。」と簡単に信用するだろう。 「いや、得意そうじゃん?第一、フツーじゃないんだし。」 普通じゃない。その言い方に少し憮然とするが、気持ちは分からんでも無い。 「確かに家はあんなだし、物心が着いた時から色々、叩き込まれたけど 他人を殺傷する目的の道具は持たされた事が無いんだ。 だから、機械術にしたって刃は潰してあったし、銃火器の類だって触れた事が無い。」 「そっか、ゴメンゴメン。じゃあ、守屋君が大会に出るとしたら格闘か自由形かな?」 守屋は聞き慣れない言葉に眉を顰め、霧坂に聞き返した。 「自由形ってなんだ?」 「大会の出場種目だよ。本来なら同じ武器同士で戦うんだけどね。 其々が得意な武器、ギアに最も適切な装備をして戦うんだよ。銃vs剣とかね。 流石にMCIとSCIで区分されるけどね。」 要はギアのバーリ・トゥードか。初めてギア部の見学に行った時の加賀谷と三笠の戦いをふと思い出した。 ソードライフルvsハルバート+ランス。アレも一種の自由形か。 互いに武器を合わせるよりも好き勝手な武器でぶつかり合った方が面白そうだ。 「面白そうだな。早く大会に出場してみたいもんだ。」 「ま、守屋君の場合はアイリス・ジョーカーの再調整からだね。」 前回の戦いで破損した左腕の修理がギア部の整備担当班の手に負えなかった為、工場送りになってしまったのだ。 守屋は自分の操縦技術が未熟だからと破損させてしまったと考えていたが、原因は少し違う。 アイリス・ジョーカーの反応速度を抑えていた為、守屋の動きをトレースする事が出来なかっただけに過ぎず 例え、大会上位の腕を持つ選手であっても、そうと知らなければ守屋と同じく機体を破損させていただろう。 ギアが工場から戻って来たら守屋はアイリス・ジョーカーの反応速度を調整しながら 単純動作を繰り返しながら、最適なパラメーターを設定する事から始めなければならない。 自動設定でも前回よりは比べ物にならないくらい動かし易くなるが、モーショントレースという性質上 MCI搭載機の性能を最大限引き出す為には最適値を見つけるのは必須事項だ。 何よりもMCI部門の大会出場者達は皆通って来た道であり、自動設定で出場するなど言語道断なのだ。 「早く、ジョーカーに慣れたいんだけどな…」 ぼやく守屋を霧坂が珍しく普通に宥める。 「適切な調節をしたギアがどれだけ扱い易いかはシミュレーターでも分かったでしょ? それに変な癖が付くといけないからね。守屋君はレギュラーなんだから、しっかりやらないと。」 霧坂がまともな事を喋るのは初夏の陽射しによる熱射病なのではと 微妙に失礼な事を考えながら、スタジアムに足を踏み入れた。 ギア部の選手陣は加賀谷の前に並び、活動前のミーティングを行っていた。 「よし。全員、集まったな。今日はシミュレーターを使った総当たり戦を行う。 1年…特に守屋は『まだ』対人戦を経験していないからな。」 「ええ。『まだ』未経験ですね。」 実際には宋銭高校の生徒と交戦し撃退しているのだが、そんな事実は無い事になっており 今回のシミュレーター訓練が初めての対人戦という事になっている。 「では、守屋はリヴァイド・ジョーカーのデータ。それ以外の部員はリヴァイドのデータを使え。 使用兵装は各自自由とする。守屋のみMCI搭載機になり、近接系の選手にはかなり大きなハンデを抱える事になるが… ギア選手としてのキャリアは無いも同然だ。つまり、負けたらかなり恥ずかしいぞ?各自、肝に銘じるように。」 シミュレーターに乗り込み、加賀谷の指示通りリヴァイド・ジョーカーのデータをロードし、兵装にナックルガードを選択。 戦闘準備完了。ギアのモニターがスタジアムの映像を映し出す。 既に相手のリヴァイドが待ち構えていた。全員の使用ギアがリヴァイドのせいで誰か全く分からない。 ライフルにショートソードを装備しているのは分かるが…誰がどの武器を得意としているのか守屋は知らない。 ただ、誰が相手であっても全力でぶつかるという気概。勝つにせよ負けるにせよ、得る物があるという思い。 あわよくば全勝したいという、ささやかな欲望を持っている程度だ。 開始の合図を待っていると相手ギアから通信が入る。 「やっほ、一番手は私だから、お手柔らかにね。」 「霧坂はライフルと短剣を使うのか…」 「ま、私も初心者だからね。色んな武器を使って模索中ってわけ。 守屋君は素手でやるの?って言うか、素手の方が強いんだっけ?」 「多分な。やってみれば分かるさ。俺もある意味、模索中だからな。」 そう言って、構えを取る、 「成る程ね。」 守屋が攻撃を仕掛けるには、距離を詰める必要がある。 しかも、SCI機は人間の至らない所をシステムを補ってくれる。例えば、ライフルのロックオン。 単純な命中精度だけなら、アームドギアにも匹敵する。 以前に加賀谷が高速飛来するロケットランスにライフルの砲弾を何発も直撃させる事が出来たのも 加賀谷の腕による所も大きいが、サポートシステムを適切に運用出来たからこそでもある。 特に飛び道具に事関してはSCI機の優位は非常に大きい。 更に守屋が距離を詰めようにも追いかけっこでは霧坂に分がある。 MCI機は総じてブースターや、スラスター等の推進装置が無いからだ。 とは言え、フィールドの広さは無限では無い、一方方向に逃げれば壁に遮られるし、飛べば天井がある。 エネルギーと弾数も当然、無限では無い。延々と機動力任せで後退しつつ、ライフルで狙撃すると言うわけにはいかない。 弾、エネルギーが尽きる前に壁際まで追い詰められる前に守屋を撃破しなければならない。 兎に角、守屋に攻撃をさせてはならない。守屋に格闘戦を挑むのは無謀過ぎる。 遠距離戦闘ならSCI機に分があるが、近接戦闘ならMCI機の独壇場だ。 何よりも、守屋の格闘戦技能ならばギアを通してとは言え、一撃で昏倒しかねない。 戦闘開始の合図と同時にライフルを二発。後方に跳躍し着地と同時に更に一発。 最初の二発を左腕で打ち払い、3発目を身体を逸らし回避。 霧坂が様子見をしている隙に距離を詰めるべく地を蹴った。 霧坂は距離を詰める為に疾走する守屋を見て、思っていた以上に早いなと思った。 だが、足が早い事など如何でも良い。銃弾を打ち払って無効化するなんて、どんな非常識だ。 「あれ…また左腕?」 以前、宋銭高校の生徒と戦った時も飛び蹴りを左腕で打ち払っていたのをふと思い出した。 まさかと思い。霧坂は左腕に一発、後方に飛び退り右腕に一発。 守屋は左腕で銃弾を打ち払い、右腕を狙った一撃を左前方に跳躍し疾走した。 「成る程。左腕は盾で、右腕は剣ってわけね。じゃあ、コレなら如何かな?」 右腕に向けて、マガジン一つを使い切るつもりで発砲する。 守屋は一発も被弾しない。SCI機の射撃精度が非常に高いのは既に聞き及んでいる。 リヴァイド・ジョーカーのモニタを最大望遠でリヴァイドのライフルの向きで着弾位置を マズルフラッシュで発砲のタイミングを計り、回避行動に移る。普通なら出来ない芸当なのだが SCI機に関しては話が違ってくる。攻撃が正確過ぎるが故に予測回避が容易なのだ。 そもそも、MCI機でSCI機に追いつける等と思い上がっていない。 安全に回避行動を取れるように充分な距離を取っている。 本格的に距離を詰めるのは弾が切れてからでも遅くない。 流石に連射されると回避は困難だが、回避だけに意識を集中させれば致命傷だけは避けられる。 現に奇跡的ではあるが、連射されたライフルの砲弾を全て回避した。正直、もう一度やれと言われても出来そうに無い。 「ふーん…やっぱりね。」 左側に攻撃を行うと左腕に打ち払われる。右側に攻撃を行うと、かなりの頻度で左側に飛び退く。 「素人相手に動きを読まれるのは如何なんだろうね?」 独りごちて、ニ発目のマガジンをセットする。 「これで撃ち止めだけど、これで充分かな。」 右腕に向かって、3発発砲。ワンテンポ遅れて何も無いリヴァイド・ジョーカーより遥か左の空間に向けて3発発砲。 霧坂の予測通り、守屋は左前方に向かって機体を跳躍させる。着地点には砲弾が3発。 「此処まで予想通りだとはね。3発と言わずに、もう5~6発くらい撃ち込んでおけば良かったかな?」 霧坂の放った銃弾は守屋機の脚部を撃ち貫こうと襲い掛かる。 「残念。そこはキルゾーンでしたとさ。足を潰されたら、まともな回避運動も取れないよね?」 霧坂は勝利を確信するが…守屋は無造作に左腕を振るった。 三発の砲弾を打ち払うが、度重なる強引な防御のせいで左腕が爆散する。 「これは…大失態だね。」 恐らく、手の内は知られてしまった。しかも、新たな攻撃手段を講じようにも残弾は僅かだ。 「この攻撃で得られたのは守屋君の左腕…うあ、割に合わないわ。」 必勝の策は守屋に通じず戦意喪失から来る痛恨の操縦ミスをやらかしてしまい勝負は一瞬でケリがついた。 「分かっていたけど、本当に強いわ。私の方が一ヶ月も長く乗ってるんだけどなぁ…」 「ま、要模索ってところか?」 悔しがる霧坂を前に軽くおどけて見せるが、霧坂の予測能力に肝を冷やしたのも、また事実だ。 (日常会話でもよく読まれるしな…俺って分かり易いのか?それとも、霧坂が異常なのか?) 強いて言うなら、どちらも正解である。 モニターから霧坂のリヴァイドが姿を消し、大剣を携えたリヴァイドが現れた。 「おー、来た来た。まずは一勝、よく頑張ったな!」 次の対戦相手から快活な声が届けられた。 「回避した先に銃弾ぶち込まれた時は流石に如何しようかと思いましたけどね。」 声の主は2年のレギュラー、阿部辰巳だった。黒髪に黒目、スポーツギア部の中で最も倭国人らしい顔立ちをしている。 「遠距離攻撃に対する防御手段や回避運動が単調過ぎるんだ。ま、気にする事じゃねーよ。 MCI同士の戦いで飛び道具使う奴なんて滅多にいないしな。」 阿部の指摘に、やっぱり分かり易いのかと少し凹む。 「ま、守屋とやる時はコレの方が良いだろ?」 阿部機は携えた大剣を両手で握り、腰溜めに構える。 とは言え、阿部機はMCIでは無くSCI機の為、レバーやペダル、モーションプログラムによって操作を行う。 使用出来るモーションプログラムの数にも限りがある。長丁場になればなる程、呼び動作だけで動きを読まれてしまう。 だが、MCIは搭乗者の動きをトレースする操縦システムだ。格闘戦に事関してはSCIのような制限は一切無い。 守屋にとって圧倒的有利な状況。 格闘戦における下地は完成していると言っても良い。だが、ギアの性能を完全に引き出すには至ってはいない。 (ま、後輩のレベルアップに付き合ってやるのも先輩の役目ってな。) 構えを崩さずブースターで距離を詰め、突き、切り上げ、振り落とし、薙ぎ払いの四連撃を放つが軽やかに避けられる。 (格闘戦だと回避運動も変則的になるんだな。) また単調な動きで避けるようなら注意の一つでもしてやらなければなと考えていたが、自分が口出しするまでも無い。 (今度は打たせてみるか。) 大剣を振るいながら、守屋が攻撃に転じ易いように攻撃と攻撃の間に発生するタイムラグを広げてやる。 (ブースターも無いのに早いな。流石に良い踏み込みをする。) 隙ありと守屋機は一瞬で距離を詰め、鋼拳を阿部機の左腕に叩き込む。 両手で持つ事が前提の武器だ。腕の一本でも落とせば攻撃能力は半減どころじゃ済まされない。 (何も教えてねーのに、よく理解している。ガキの時から鍛えたれてた言ってたな?) 確かに守屋の踏み込みは早い。攻撃も理に叶っている。攻撃パターンも多彩だ。 だが、その速さもMCIとしては早いと言うだけに過ぎない。阿部は慌てもせずに、ブースターを一吹かしして、一歩離れる。 (そういや、もう一発来るんだっけな。) 阿部機は大剣を持ち上げ盾の代わりに構え、守屋機の右回し蹴りを防ぐ。モヒカンと戦った時と同じだ。 「きっとそう読んでくれると思いましたよ。」 守屋の挑発気味の発言に阿部が眉を顰めようとするが、それよりも早くコクピットに衝撃が走った。 守屋機の左足刀が阿部機の右足に甚大なダメージを与える。 幸い欠損だけは避けられたが、踏み込みに頼った斬撃は後何発放てるだろうか? (足を潰されたのは初めてだな。よりによって手持ちのモーションパターンの踏み足は右と来たもんだ。 …手詰まりか。つーか、後輩の欠点を気付かされて如何するんだよ、俺。) 手詰まりと言うには若干、語弊がある。阿部の用意したモーションパターンには ブースターを活用した空対地、地対空のブースターを活用した攻撃プログラムがある。 だが、SCI機を使う予定の無い守屋にとって利益をもたらす攻撃では無い。 (やれやれ…後輩を舐め腐った罰だ。此処は花を持たせてやるか。) 満足に攻撃が出来ないまま阿部も守屋に撃墜され、次の対戦相手と相対する。 歳方アリア。阿部と同じく、2年のレギュラーで二丁のハンドガンを装備している。 「守屋、わたしゃ吃驚だよ。まさかギアに乗って一週間の奴が阿部を倒すとは思わなかったよ。」 「阿部さんも、此方に合わせて戦ってくれた上に手加減までされてましたから。」 「でも、余裕ぶっこいて負けるのは先輩としてどうよって感じなんだけどねぇ… まあ、先輩として立つ瀬が無いから、そろそろ負けてもらおうか!」 開始の合図と同時に距離を詰めて来る。 (てっきり、霧坂と同じようにアウトレンジからと思ったんだけどな…) 歳方はブースターの出力を最大値まで引き上げ守屋機に迫りながら、ハンドガンを発砲する。 二丁のハンドガンから吐き出された弾は守屋機に一発も被弾しない。 (当たらない?どうなっている?) SCIの精密射撃能力は人間のそれを大きく上回っている。 なのにも関わらず、歳方機の射撃は出鱈目だ。避けるまでも無く当たらない。 (アレはそもそも狙っていないのか?厄介だな…) こちらを狙っているのか狙っていないのか分からないが、モニタを最大望遠モードにしても見切るのは非常に困難だ。 ライフル程の攻撃力は無いが発射感覚が短い上に高速移動しながらの射撃の為、銃身が激しくぶれている。 これでは攻撃予測なんて出来やしない。 (霧坂みたいな丁寧な攻撃なら見切るのも簡単なんだろうけど、こういった雑な攻撃は見切れないみたいだねぇ。) 漸く、守屋が苦戦らしい苦戦…と言うか随分と戸惑っているようだ。助言くらいはするべきだろうか? 「守屋~。SCIの攻撃は確かに正確だろうけど、常に正確無比で合理的な攻撃をすると思ったら大間違いだよ。 全部が全部、合理的な攻撃なら霧坂の攻撃みたいに読み易い攻撃になっちゃうだろ?」 アドバイスの言葉を銃弾と一緒にプレゼント。牽制弾を数発。そして、本命弾を四発。 非有効射程距離からの、ただ当てるだけの銃弾。有効なダメージでは無いが四肢を捉えていた。 (やろうと思えば、いつでもやれる…ってわけか。) 距離の詰め合いもそろそろ終わりだ。ハンドガンの有効射程距離になると同時に歳方機は発砲を止める。 それどころか、ブースターの勢いを緩めない。 (すれ違い様に背中に攻撃って所か…?正面からぶつかって膝蹴りで打ち落としてやる!) 全身のバネを使って跳躍し歳方機に正面から立ち向かう。 歳方は思わず口を吊り上げ、ニヤリと笑った。 (面白い子だ。MCIでSCIを相手に真正面から空中戦を挑んで来るだなんてね。) 歳方機は空中で一回転、膝蹴りを避け守屋機の背中に二発銃弾を撃ち込む。 「今、撃たれた所にSCIのブースターがあるんだよ。普通なら墜落だねぇ。」 (さて、これは手強いな。いや…) 反転し、再びこちらに高速接近する歳方機に向き直り、跳躍する為、全身のバネを撓ませた。 (また膝蹴りかい?愚直だねぇ…付き合ってやるよ。) 機体を跳躍させ歳方機の両腕を広げ正面に立ちはだかる。勿論、膝蹴りなどするつもりは無い。 先程と同じく回転しつつ逃げようとする歳方機にしがみついた。 「これは…何なんだ?」 「合理的且つ、非合理的な攻撃ですかねぇ…多分。」 「いや、多分って…」 因みにリヴァイドには他のギアにしがみ付かれたまま、高度を維持出来る程のパワーは無い。 更に対戦開始から常時ブースターを最大出力で稼動させていた事もあり… 「嘘っ!?エネルギー切れ!?」 態々、ご丁寧に再現された重力に引き摺り落とされる。 一瞬の油断が敗北に繋がった。それも空中で飛びつかれ地面に引き摺り落とされるという 合理性以前に不条理極まりない攻撃。そもそも、あんな攻撃をする奴なんて見たことが無い。恐るべし素人。 しかし、負けは負けだ。それも一番、不恰好な負け方をしてしまった。 「り~ん~…わたしゃ、もーダメだ。仇を取ってくれ~。無理なら私より情けない負け方してくれ~!」 次の守屋の対戦相手として内田燐が守屋と向かい合っていた。 「同じマニューバを立て続けに二回も使うからだよ。それからエネルギーの無駄遣いが多すぎ。」 守屋と歳方の戦闘記録を流し見しながら、歳方にアドバイスを流す。 「と言うか、子供の頃から戦闘訓練受けてるんだから私達より身体の使い方が巧い事くらい少し考えたら分かるよね?」 「もう良いよ。それ以上言われたら立ち直れそうにない…」 仕方が無いなぁ…と、話を打ち切り、守屋にスナイパーライフルを突きつけた。 「また飛び道具…」 歳方と戦って嫌と言う程に思い知らされた。 (相手が潰す気で来たら、手の打ちようが無い。) 遮蔽物の無いバトルフィールドで真正面で向かい合っている。 スナイパーにとって最悪の条件だが、MCIにブースターもスラスターも無い。 走る以外に高速移動を行う手段を持ち合わせていない。 勿論、ブーストダッシュと比較にならない程遅い。 「弾数はかなり少ないけど、早いし当たると痛いから注意してね?」 内田はその場から動きもせずに守屋に狙いを付ける。 守屋はすぐ様、サブモニタを最大望遠モードに切替、銃向を確認し着弾位置を予測する。 (狙いは胸部装甲…一撃で決める気か。) 左腕を盾代わりに構える。どれ程の威力を持つか分からないが、左腕と引き換えに見切る腹積もりだ。 (また左腕…本当に癖なんだね。) ナックルガードじゃなくて、素直にシールドを装備すれば良いのにと苦笑する。 アドバイスは後からでも出来る。今はやるべき事は守屋にギア戦の経験を積ませる事が最優先だ。 躊躇いも無くトリガーを引く。霧坂のライフルとは違いマズルフラッシュは無い。 突然、襲い掛かる衝撃に守屋は転倒する。幸運にも砲弾は左腕をもぎ取っただけで胸部装甲には届いていない。 (あ、そっか。SCIと違って中の人が驚けば、ギアも驚くんだね。一発目は命拾いしたけど、ニ発目はどうする?) 内田がライフルを構え直すと、守屋は慌てて立ち上がり右腕で胸部装甲を庇った。 あくまで正面から受け止め、攻撃を見切るつもりらしい。取り合えず攻撃力が高い事だけは理解したらしく ギアのつま先を軽く浮かせ、素早く後ろに倒れ込む準備もしている。 「度胸…あるね…」 「割と臆病ですよ?弾速が全然分からない以上、闇雲に突っ込んでも勝ち目無いですからね。 両腕と引き換えに見極めさせてもらいますよ。足が使えれば攻撃は出来ますからね。」 勝負を投げたわけでは無さそうだ。本気で右腕を犠牲にして足技で倒すつもりらしい。 だったら、足を狙えば内田の勝ちは確実になるのだが… (正面対決でそれは無粋だね。アリアちゃんも阿部君も、こういう気分で戦ったのかな?) 歳方と阿部が、守屋のやりたいように戦わせてやっていたのを思い出し納得した。 こうも馬鹿正直に正面から向かって来られるとアレコレ小細工するのも馬鹿馬鹿しくなってくる。 一方、守屋は視覚では内田機の砲弾を見切れないと分かると、集音センサーの感度を上げ 発砲音で着弾のタイミングを計る為に聴覚に意識を集中させていた。 発砲音が鳴り響くと同時に後ろに倒れ込もうとするが、既に遅い。 砲弾はナックルガードを弾き飛ばし、右腕の装甲を削り取っていた。 格闘戦には使えないが、まだ盾代わりにはなる。 再び、立ち上がり右腕を構える。 (発砲音が聞こえてからじゃ遅い。) 発砲音と同時に倒れ込む。受身を取るよりも早く右腕が宙を舞っていた。 右腕は耐え切れなかったが、受けた衝撃その物はかなり軽減されていた。 「距離を離せば大分、安全になると思うよ?」 「内田先輩こそ…足を狙えば、一発でケリが付きますよ?」 守屋機があまりにも凄惨な姿に変わり果ててしまった為、思わず口出しをしてしまったが 無粋な事を言ってしまったと後悔する。改めて、これはそういう勝負なのだと思い知らされる。 内田がトリガーを引いたと同時に守屋が右肩を前にして前に踏み込んだ。 前のめりに崩れ落ちる守屋機を内田は固唾を飲んで見守った。 「これで…防ぐ物が一個も無くなってしまいました。」 思いの他、余裕そうな口ぶりで立ち上がる守屋機を見て何故か、安堵した。 「こっちも残り一発。次が最後だよ。」 3回攻撃を受けて理解した。SCI機のようにブースターやスラスターがあるならいざ知らず この距離ではMCI機にスナイパーライフルの一撃を代償無しに無力化する手段は無い。 だからこそ、4発目の攻撃を右上腕部に被弾させ弾を消耗させる事に集中した。 どうせ避けられないのなら後ろに下がるよりも前に進む方が良い。それに内田から嬉しい報告も聞けた。 残りの弾数は一発。ならば、取るべき選択はこれだ。内田機を目指して真っ直ぐに駆ける。 (本気?自暴自棄になっているわけでは無いみたいだけど…こっちも追い詰められているのは同じだしね。) 気を取り直し、トリガーを引く。音に合わせて守屋機が身を沈め…地に伏した。 「直撃…守屋君、私の勝ちだね。」 少し不満だった。馬鹿正直に正面から突っ込んで来るくらいだから、 想像だに出来ないような奇策があるとか、こちらの攻撃を完全に見切ったのではと 変な話だが、自分を倒す下準備が整ったのではと期待していたからだ。 「いてて…先輩、ちょっとばかり気が早いですよ?」 戦闘情報を確認すると確かに守屋機のコンディションは最悪だが、撃破扱いにはなっていない。 「そっか、最後の最後でちゃんと回避出来たんだね!」 「いや…その…そうじゃなくてですね…」 やけに守屋の歯切れが悪い。 「どうしたの?」 「えーと、身を沈めてやり過ごそうとしたのですが…両腕が無いせいでバランスが取れず先輩が撃つよりも早く…こう、ガッシャーンと…」 運も実力の内とは言うが内田は開いた口が塞がらなかった。 間抜けな幕切れではあったが主兵装を無力化された事は事実だ。 「もう少し良いところまで行けると思ったんだけどなぁ…」 特に悔しそうには全く見えない。寧ろ、喜色混じりのぼやき声がスピーカー越しに鳴り響いた。 「ほんの少しでも行かせてしまうと負けかねないので…すいません。」 確かに守屋機は両腕が欠落し、度重なる転倒で薄汚れていた。 それに引換え、内田機はスナイパーライフルの弾が尽きただけで機体その物の コンディションは良好…開始位置からライフルを5発撃っただけで終わったのだから当然だ。 「大丈夫。良く頑張ったね!」 守屋が正式に入部する前、内田は守屋について噂を鵜呑みにしていたせいで 否定的な物の見方をしていたが、行動を共にするようになり一方的な確執は既に無くなっている。 当然だが、守屋は横暴な人間では無いし、無闇に暴力を振るうような人間でも無い。 力を誇示する事も無く、ただ一心で部活に精を出す普通の男子生徒と何ら違いは無い。 何よりも内田は歳方に、守屋は霧坂に事ある毎に振り回され厄介事を押し付けられる。 そんな受難体質という共通点もあってか二人の関係は他の部員と同様良好である。 さて、様々な思惑がありもしたが2年生レギュラー陣全員に勝利するという快挙を成し遂げしてしまった。 残るは3年生レギュラー。副部長、三笠慶。そして、部長、加賀谷望との対戦である。 この二人の戦いは入部前に一度見ている。自分の心をいとも容易く奪い取るような戦いをした二人と戦う事が出来る。 正直、勝算など全く無い。更に加賀谷に至っては三笠を一撃で落としている。 だが、守屋は意気軒昂。身近な所に自分を圧倒的な実力差で叩き潰してくれるような相手が居る方が強くなり甲斐があると言うものだ。 「此処まで負け知らずか。素質はあると思っていたが、大したもんだ。」 三笠は賛辞の言葉と共にハルバードを構え、背面ブースターを起動させる。 「だけど、此処まで来たら負けられないよな?」 まるで自分を倒してくれる事を期待するような口振りだと感じた。 実際、三笠は守屋の勝利を期待している。勿論、手加減は一切しないし自分も負けるつもりは無い。 だが、SCIとMCIが格闘戦で戦った場合、SCIの優位は機械制御された正確無比な攻撃のみである。 機体の仕様上、守屋が勝って当然の戦いである。 (MCI部門の個人戦…出場する以上、俺程度に負けるなよ…俺より強い奴なんてゴロゴロしているんだからな) 昨日今日、初めてギアを触ったような1年をレギュラーにするくらいだ。守屋にかける期待は非常に大きい。 (とは言え…負けるのも癪なんだよなぁ…) コンソールパネルを手馴れた手つきで操作し、背中のランスを消失させる。 (負けた時の言い訳用にな…) 「それじゃ、全員に勝つつもりで行きますよ!」 「上等だッ!!」 三笠機はブースターの出力を最大値まで引き上げ、守屋機目掛けて突撃。最初の一撃は小細工無しの渾身の一撃だ。 守屋もそれを察し、カウンター狙いで拳を構えた。力任せに攻めてくれるのなら、機体性能の差でまだ勝機がある。 (カウンターで頭部を潰す。巧くいけば一撃で三笠先輩を倒せる!) それで、倒せるような相手では無い。避けようともせずに、この場に留まっているのだ。カウンター狙いな事くらい見抜かれて当然だ。 カウンターは十中八九不発に終わる。問題は不発に終わった後、三笠は如何動く? 自分は如何動けば良い?カウンターを諦めて、接触される直前に跳躍し背後を取る? 論外だ。相手は性能差の不利を承知した上に力攻めを選んだというのに自分は逃げに転じるだと? それは逃げと変わらない。攻撃だろうが回避だろうが、真正面からだ。改めて、拳を握り直し、迫り来る三笠機を睨み付けた。 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
https://w.atwiki.jp/ondoluru/pages/135.html
第三話「お前のコトさ」 加賀美「さぁイマジン…殺し合おうか…」 良太郎「加賀美さん!あんまキャラにない事言わない方がいいですよ」 加賀美「舌噛んだ…」 良太郎「ほら言ったじゃないですか」 イマジン(未来)「なぁ…それそろ戦わない?」 良太郎「あっうん。じゃあ行くよ、モモタロス。変身!」 M良太郎「俺…参上!」 電王ソードフォームに変身! まずは、未来イマジンと戦うガタックこと加賀美。 さすがは、ファンガイアと戦った男というべきか、彼は、なんなく未来イマジンを退けた。 加賀美「よっしゃ!今日もおもしろかっこいいぜ!!」 どうやら加賀美は昨日『ワタル』を見たようである。 過去イマジン「ククク、よくやってくれた。仮面ライダーガッタクよ!!ウォォォォ!!」 過去イマジンは、未来イマジンが倒れた瞬間、ひとつになった。 M良太郎「過去と・・・未来のイマジンが・・・ひとつに・・・」 驚きを隠せないM良太郎と加賀美。 真オーガ「俺こそが、真オーガイマジン!!これで武器がなくても負けんぞぉ!! ククク、俺こそが真の鬼だ!!」 M良太郎「ちくしょう・・・。なんか俺に似てやがるから気にくわねえんだよな・・・」 良太郎「(まさに鬼同士だからね)」 M良太郎「うるせぇ!!誰が鬼だ!!行くぜ行くぜいくぜ!!」 デンガッシャーソードモードで真オーガに攻撃するが、デンガッシャーが逆に吹き飛ばされてしまう。 加賀美「良太郎!!モモタロス!!クッ、ライダーキック!!」 加賀美はライダーキックを繰り出すが、真オーガに吹き飛ばされてしまった。 M良太郎「マジかよ・・・あの雑魚が、ここまで強くなるなんて」 真オーガ「貴様もイマジンなら知っているだろう?イマジンとは所詮はイメージで実体を持たぬもの。 故に、イメージ同士が重なり合えば、力が増大され、単体よりも10倍にも20倍にもなる。 そして、それが実体になった時、単体のイマジンとは比べ物にならぬほどの力を発揮するのだ」 M良太郎「なら、俺だって、特異点の力と俺の力が・・・良太郎と俺の力が合わさってんだ。負けるかよ!!」 良太郎「(モモタロス・・・・)」 (挿入歌)二つの声重なるとき誰よりも強くなれる。動き出そうぜDouble-Action、今と未来ひとつになる瞬間~♪ M良太郎「俺の必殺技、キックバージョン!!」 デンガッシャーを吹き飛ばされ、フルチャージの力を足にため、M良太郎は、ライダーキックを繰り出す。しかし 真オーガ「だから、無駄だって!!」 M良太郎「グワァァァァ!!」 挿入歌がかかってようがかかってまいが、負けるときは負ける。 M良太郎「くそ・・・こうなりゃ、クワガタ野郎!!協力しやがれ。」 加賀美「加賀美だ。で、どうするつもりだ?」 M良太郎「俺が奴を押さえ込む。いくぜ!!」 そう言うと、モモタロスは、良太郎から出て、真オーガに突っ込んでいく。 良太郎「モモタロス!!どうするの?」 モモタロス「ウオリャァァ!!」 実体のない姿となったモモタロスは真オーガの中に入っていく。 真オーガ「貴様、なんのつもりだ!!やめろ!!貴様のような不確定要素が入れば・・俺の力が・・・」 モモタロス「へっ、やっぱりな。いまだ!!お前らやれ!!」 良太郎「そんな・・・僕にはできないよ」 モモタロス「バッキャロー!討て、良太郎ーーーーー!!!!」 ドーーン!! 良太郎「えっ?」 真オーガイマジンは消滅した。 加賀美「えっ?駄目だった?」 空気が読めない加賀美のライダーカッティングで。 良太郎「そんな・・・モモタロス・・・モモタロスが・・・開始3話でいなくなるなんて・・」 加賀美「悪い・・・まさか・・・モモタロスごといくなんて思ってなかったから・・」 モモタロス「クソ・・・クソ!!ゆるさねえぜイマジンの野郎!!!で、誰の事でそんな悔やんでるんだ?」 加賀美「お前の事さ」 良太郎「モモタロスおるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!? なんでいるのさ!!」 モモタロス「当たり前だろ、別にあいつの力抑えただけであいつと同化したなんて一言も言ってないぜ」 良太郎「だって、だって!!」 モモタロス「いや、死ぬとか一言も言ってないし、開始3話で俺が死んだら、なんかあれだろ?」 良太郎「・・・・まぁ、いいか。モモタロスが無事なら」 加賀美「すべて俺の計算どおりだ」 良太郎「・・・・いや、いいですけどね、別に。」 その頃、別の場所では カイ「あ~あ。本当、やになっちゃうよな。なんであれ、野上良太郎倒せないんだよ? お前らイマジンが無能なのか?」 ???「なら、次は・・・僕が行こうか?」 カイ「あっ?無理だよ。お前、実体ないじゃん」 ???「千の偽り万の嘘、この状態の僕だからこそ、うまく特異点に入り込めると思うんだけどな」 カイ「まぁいっか。じゃあ、お前行けよ。」 ???「(フフフ、うまくいった。僕はカイになんてつく気はないからね。 電王、野上良太郎か。彼にとりついて、うまくやらせてもらうよ)」 次回、良太郎たちに新たなイマジンが襲い掛かる。 次回オンドゥル星物語! 加賀美「またイマジンか…」 名護「どういう事です?説明しなさい!」 ???「助けてください!お願いします!」 良太郎「君は…」 ???「千の偽り万の嘘…この体はいただくよ」 次回『うそつき亀』
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/2037.html
前回より数日後… 基地司令室にて* ハッキネン「では、後はお任せ下さい」 マスター「ああ。だがよ、一つ聞きたい事がある」 ハッキネン「何か?」 マスター「なぜあいつなんだ?他にも沢山いるだろう」 ハッキネン「……申し訳ありませんが、軍事機密ですので」 マスター「復興支援が軍事機密ね……まあなんにせよだ、あいつを頼む」 ハッキネン「頂いたメモに注意事項が?」 マスター「ああ、それとな、あいつたまに夜泣きするんだ。理由を聞いたって答えやしねえで、ずっと女房に抱きついて泣き続ける。 そんで、翌朝にはケロッとした顔で家の掃除してんだから、よくわかんねえ奴だよまったく」 ハッキネン「……私から言えるのは、これは決して不幸な選択ではないという事くらいです」 マスター「…不幸にしてみろ。常連共連れて、基地を襲撃してやる」 ハッキネン「肝に銘じます。それでは…失礼致します」 基地ゲート前* 俺「わぁ…ここがカウハバ基地…」 衛兵「ん?どうした坊や、何かようかい?」 俺「あ、えっと、今日からここでお世話になります○○と言います!」 衛兵「ああ、君が例の…では司令室に行ってもらえるかな?道案内は…」 エルマ「あれ?俺君?」 俺「あ、エルマ中尉!こんにちわー!」 エルマ「こんにちわ。一体どうしてこんなところに?」 衛兵「聞いてないんですか中尉?ハッキネン少佐が基地に雇ったんですよ」 エルマ「えっ?!そ、そんなこと今初めて知ったんですけど…」 衛兵「ああ…まぁとにかくこの子を司令室に連れて行きたいのですが」 エルマ「あ、じゃ、じゃあ私が連れて行きますね。行こう、俺君?」 俺「ありがとうございます中尉!衛兵さんも!」 衛兵「うんうん。頑張って働いてくれな。では、お任せいたしますエルマ中尉」 基地内* 俺「基地内、初めて入りました…」 エルマ「えへへ、意外とぼろっちいでしょ?」 俺「そんな事ないですよ~スラッセンの仮設テントなんか目じゃないくらいです!」 エルマ「あう…ごめんね…私たちが頼りないばっかりに…」 俺「え?いや、そんなつもりじゃないですよ!ご、ごめんなさいこっちこそバカな事いっちゃって…」 アホネン「あら?エルマ中尉、そのちっこいのはなんですの?」 エルマ「あ、アホネン大尉。えっとこの子は…」 アホネン「ああ、今朝のミーティングで言っていた雑用係さんですわね。私はミカ・アホネン大尉。第一中隊の隊長ですわ。 以後よろしく…といっても、私の部隊は男子禁制ですので、立ち入らないようにお願いしますね」 俺「は、はい!よろしくお願いします…ええと…アホヤネン大尉…?」 アホネン「使い古されたネタありがとうございます」 エルマ「で、ここがトイレで、あそこが倉庫で…」 俺「えっと…エルマ中尉…その、司令室は…」 エルマ「あ…! うぅ…ごめんね、なんか案内するのが楽しくって忘れちゃって…」 俺「あはは…(だ、大丈夫かなこの人…)」 エルマ「ええと…あ、ここが司令室ですよ。一応身だしなみは整えてね?」 俺「は、はい…なんか緊張しますね…」 エルマ「ハッキネン少佐は雪女って言われてるけど…実際はとっても優しい人だから大丈夫だよ!」 俺「そ、そうなんですか?そういえばなんとなくそんな気も…」 エルマ「じゃあいきましょうか。ノックして…」 『どうぞ』 ガチャ エルマ「エルマ中尉です。俺君を連れてまいりました」 ハッキネン「……何時間待たせれば気が済むのですか?」 エルマ/俺(ヒイィィィィ…!)ガタブル 司令室* ハッキネン「そういうわけで、貴方を正式に当基地の第二中隊雑用係に任命します」 俺「は、はい!精一杯がんばります!」 ハッキネン「そんなに固くならなくても大丈夫です。恐らく貴方には第二中隊の身の回りの世話などを頼む事になるでしょう。エルマ中尉?」 エルマ「はい?」 ハッキネン「朝申し付けた通り、全員を営舎に待機させてありますか?」 エルマ「え?あ、はい? そ、そんな命令ありましたっけ…」 ハッキネン「このように、第二中隊副隊長はあまり使い物になりませんので、細かな指示等は穴吹智子中隊長か、ビューリング少尉に仰いでください」 エルマ「う…うぅぅ…ひどい…」 俺「あは…はは… わ、分りました~」 ハッキネン「ではエルマ中尉、彼を"寄り道せず"営舎まで案内を」 エルマ「ふぁぃ…」 ハッキネン「ああ、そうそう、忘れていました俺君」 俺「はい?」 ハッキネン「他にも何名か忘れている者がいるようですが、ここは最前線、かつ軍の施設です。 一歩間違えれば命を落とす事も十分ありえる、死と隣り合わせの場所だという事を忘れないでください」 俺「…はい」 ハッキネン「では、エルマ中尉、お願いします」 エルマ「…了解いたしました」 俺「ふぅ…緊張しました…」 エルマ「ごめんね、私が道草くっちゃったばかりに…」 俺「いえそんな!え、えと、これからよろしくお願いしますね?」 エルマ「あ、うん!こちらこそよろしくね! うちの隊のモットーは『みんな頑張ろう』だから、俺君も頑張ってね」 俺「はい!分りました!」 エルマ「うぅ……まともな子でよかったぁ…」 俺「はい?」 第二中隊詰め所* エルマ「え~…そういうわけで、今日から皆と一緒に働く事になった俺君です!拍手~!」 ぱちぱちぱちぱち… 智子「君が噂の魔力を持った男の子ね?」 ハルカ「なんか…思ってたよりも小さい子で安心しましたね」 オヘア「ハルカのいう事はあまり気にしないでOKねー 久しぶりね、俺君!」 ウルスラ「研究サンプル…」 ビューリング「……」ムスー 俺「み、みなさん!不束者ですが、精一杯がんばりますので、よろしくお願いしますっ!」 オヘア「あはは!そう固くなっちゃ身が持たないねー」 智子「そうそう、まあ見ての通り聞いての通り、いらん子なんて呼ばれてるところだからね…あまり緩すぎるのも問題だけど」 エルマ「で…ビューリング少尉はなんでそんなに渋い顔を…」 ビューリング「……」ムスー ビューリング「…いいのか、お前。ここは戦地だぞ?」 俺「えっと…その…」 ハルカ「まぁまぁまぁまぁ!いいじゃないですか~。 雑用係ということは、つまるところパ・シ・リですよね?!」 智子「あんたって子は…ひぁぅん!き、急に尻を撫でるなぁぁ!!」 ハルカ「え、急じゃなければいいんですか?」 智子「そういう問題じゃなああああいっ!」(抜刀する音) オヘア「わあああ!トモコ!ストップ!ストップねー!俺君がちびっちゃうねー!」 エルマ「う、ウルスラさんもビューリングさんも止めてください!きゃあぁっ!」 ウルスラ「…面倒くさい」 ビューリング「……本当にお前…いいのか?ここは、こんなところだぞ…?」 俺「あは…あははは…」 マテー! アブナイネー! チュウイィィ! アブ!アブナイデスカラ! ザシュッ! アッ… ハルカ「」 智子「えー…とにかく!俺君、少佐から聞いたと思うけど、第二中隊の雑用をお願いする事になるわ」 俺「は、はい…」 オヘア(完璧引いてるねー…)エルマ(ドン引きしてますね…) 智子「貴方に頼みたいのは、掃除に料理に、ええと…掃除に料理にお使いに…」 ハルカ「パシリ…」ボソ 智子「そうそう、要はパシリ、使いっぱ… あんたはまだ伸びてなさい」ゲシ ハルカ「あぁんv」ガク… 智子「まあ、言葉は悪いけど、そういった事をお願いすると思うわ」 エルマ「そうですねー、私の書類整理なんかも手伝ってくれるとありがたいです」 オヘア「あとは、私たちにお茶汲みしてくれたりー」 ウルスラ「…実験の手伝いとかも頼みたいかも」 ビューリング「…まあ、無茶はするなよ?」 俺「わかりました!マスターのとこである程度の事は仕込まれてますので、少しでもお役に立てるように頑張りますね!」 智子「そういえば、俺君何か特技とか趣味とかないの?」 俺「へ?ううーん…得意なのは…家事とかです。趣味は…ううーん…?」 ビューリング「コーヒーは美味かったな」 俺「あ、コーヒーは大好きですから、美味しく淹れるように勉強したりしました!」 智子「へ~…なんでビューリングがそんな事しってるの?」 ビューリング「色々あってな…疲れるからあまり聞かないでくれ」 オヘア「掃除に料理に、使いっぱ…お茶汲み…まるでメイドさんねー」 ハルカ「でも助かりますね。食事は基地食堂でしたけど、お夜食やおやつは自分で作ってましたし」 エルマ「そもそも、材料があまりないですからね(復活した…)」 ビューリング「なんにせよ、こうなった以上は仕方がないか(復活した…)」 オヘア「みんな料理下手くそだから、期待しちゃうねー(復活した…)」 ウルスラ「私、ケーキが食べたい(復活…)」 智子「さすがに、ズボンの洗濯だけはさせられないけどね(復活したか…)」 俺「はいっ!みなさん、よろしくお願いしますね!」ペコリ その夜 営舎外* ビューリング(表向きは復興支援の一環…建前としては立派だが…) ビューリング(他勢力から隠蔽するために、基地で保護する…か) ビューリング(…あんな子供に、それだけの価値があるのか?) ビューリング(単純に、スオムス軍部が独り占めしたいだけのように見えるが…) 俺「あ、ビューリングさ…少尉!」 ビューリング「ん…ああ、階級はいらない。お前は軍人じゃないからな」 俺「えへへ…ありがとうございます カハヴィを淹れたので持ってきました!」 ビューリング「そうか、ありがとう」 俺「あの、嬉しかったです。褒めていただいて」 ビューリング「なんの話…あぁ、コーヒーか。いや、私はタバコを吸うからな。紅茶よりコーヒーの方が味が単純で分りやすいんだ」 俺「それでも、やっぱり褒めてもらって嬉しかったですよ…」 ビューリング「…そう、か」 俺「それに…憧れのウィッチさん達と、それもビューリングさんと一緒に暮らせるなんて、夢みたいです!」 ビューリング「……マスターや酒場はいいのか?」 俺「あ…… マスターは、最初出て行けって急に怒り出して…でもその後お上さんが本当のこと話してくれて……その…もう、お金がないから、一緒に…すめなくなる…って…」グス ビューリング「…なあ、俺」 俺「は、はい…なんですか?」 ビューリング「きっとマスターやおかみさんは、お前のこと本当の家族だと思ってる」 俺「……うん」 ビューリング「今は…戦争中だ。平和な時なら、きっとお前を基地によこしたりなんかしない」 俺「……」 ビューリング「だから…その…少しでも早く平和を取り戻す。絶対にだ。だから、あの人達を恨んだりは…」 俺「恨むだなんて…っ おかみさんも、マスターも…風邪だけは引くなって…抱きしめて…うぅ…」 ビューリング「…はぁ……ほら、背中を貸してやる」 俺「う…ビュー…リングさ…ん……ごめん、ごめんなさ…うぅぅぅ…」グジグジ ビューリング(まったく…なにをやってるんだかな、私は) 一方その頃 司令室* 智子「男性の魔力保持者…数は少なく目撃例も最近では殆どない…」 ハッキネン「そうです 故に彼は余計な争いの種になりかねません」 智子「だから、基地で保護する?」 ハッキネン「そういうことです 何しろ今は戦時ですから…」 智子「なるほどね… まあ確かに上の人達がこの事をしったら五月蝿いでしょうね」 ハッキネン「実を言うとそれだけではありません。彼の魔力がどんな性質の物なのか、見極めたいのです。」 智子「…どういうこと?」 ハッキネン「ウィッチには固有魔法がある。あなた方にもあるのでしょう?」 智子「……ん、まあね まだここでは使ってないけど…」 ハッキネン「もちろん彼を戦場に出すつもりはありません。ですが、固有魔法がどのようなものかによっては…」 智子「十分利用価値がある、って事ね」 ハッキネン「…あまり、良くはない事だとはわかっていますが」 智子「いいわよ、なにせ今は戦時ですもの。使える物は親でも使え。私たちもそんな感じで集められたようなものだしね」 ハッキネン「あなた方には心から感謝していますよ。 ともかく、あらゆる国の軍上層部から、彼を隠蔽しなくてはなりません」 智子「他の国は分るけど、なんでスオムスにまで警戒する必要が?」 ハッキネン「……それについて詳しく話す事は出来ません。 ともかく、彼には普通の人間として存在してもらわなくてはならないのです」 智子「木を隠すなら森の中…ね なんだか釈然としないけど、まあいいわ。秘密任務ってわけですよね?」 ハッキネン「はい。あなた方第二中隊は、彼を雑用係として匿いつつ、極めて消極的で構いませんので、彼のウィッチとしての素質や魔力の性質を監視・調査してもらいます。」 智子「了解いたしました、ハッキネン基地司令殿」 ハッキネン「よろしくお願いいたします…… 出来れば、彼とは仲良くしてあげて下さいね」 智子「ええ、まあうちの部隊の子は、皆いい子ですから」 ハッキネン「……ええと、一応彼は思春期の子供だという事をお忘れなく」 智子「…ハルカ一飛曹は、まあ…そこまで馬鹿だとは思いませんが…」 ハッキネン「行為に及ぶ際は、彼のいない所でこっそりと、あまり大きな声を出さないようにお願いします。 なにせ、ここの壁は薄いので」 智子「なっ…わ、私はそのべつにそんな趣味を持ってるわけではなくあの子が無理やりにですねその、って聞いてますか少佐ほんとですからね誤解しないで(ry」 いらん子中隊雑用係の俺君はビューリングお姉ちゃんが気になるから頑張るよ 第三話 おわり
https://w.atwiki.jp/animeyoutube/pages/1272.html
千鶴ちゃんかわいそう。 - 舞っち。 2011-01-09 17 32 51 龍・・・かっこいい!!!風早くんはもっとかっこいい☆ - saki 2011-03-24 20 34 35
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/341.html
第三話 火星軍ベルゼリーン地球侵攻部隊副隊長ビーク・トライバには故郷に待つ恋人がいる。地球に来て早五年。一度たりとも忘れた事はない。 「エリーゼ…」 銀色のロケットペンダントにはブロンドの綺麗な女性が写っていた。年齢は自分より一つ年下である。軍学校で知り合い恋人となったが、すぐ地球へと行くことになってしまった。だが彼女はそれでも待つ、と言ってくれたのだ。 『トライバ』 隊長の声だ。 「はい!?何でありますか」 『また見てたのか?今は作戦中だ、山にぶつかってもしらんぞ』 現在、我々は編隊を組みガードナー隊を追い西へ山岳地帯を移動中。下方を見ると荒れた岩肌がこちらを覗いているようだった。 「…すまない」 『副隊長だろうが、いつもの調子はどうした?』 いかん、つい感傷にひたってしまった。顔をはたき気合い入れる。 「私はいつもの調子だ。隊長殿こそ突撃癖を直さないと早死にしますぜ?」 『その意気だ。我々は火星の独立の為なんとしても地球軍に勝たなければならない。それもあと少しだ気を引き締めていけ』 隊長の激が飛ぶ。そうだ、何の為に遙々こんな所にやって来たと思ってるんだ。すべては、 「烈火なる母星の為に」 久しぶりに乗った01に違和感はなかった。整備はちゃんとなされてる。一年前に演習で乗ったきり以来だった。 <誰かがピンチなら助けなくちゃ> ふと、兄の言葉がよぎった。何故? 自分は何から逃げているのだろう。 小さい頃のビジョンが見える。 「兄ちゃん…眼が痛いようぅ」 兄と同じ眼の手術を受けた。軍が開発した義眼。それが何かは幼い自分には分からなかったが、すんなりと手術を受けさせてくれた。何でも兄と一緒がよかったのだ。 そしてあの日、見えてしまった。兄が死ぬビジョンを。 夢なんかじゃない。警告するように何度も繰り返し映し出される。 兄にもこの事を伝えた。しかし泣きじゃくる自分をなだめるだけ。父にも伝えた。怪訝な顔をされた。 そして、起こってしまった。 兄の葬儀に父は出席しなかった。それからあってない。 だからだろうか、兄を助けなかった父に、なにより予言していた自分に苛立っている。 「…痛ゥ」 ビジョンが見える。あの日以来、先に起こる事が分かるようになった。それで逃げ延びてきた。 「四機のマシン…火星の侵攻軍か?」 レーダーに機影は無い。だが分かる。必ず来る。 「…来た!」 「量産のギルガが三機に指揮官用のドライドか…クッ」 敵機のライフルから放たれる弾丸が01に向かう。 「逃げられないか、ならッ!」 反撃に出ようとする01。だが手持ちの武器は無い。手近にいるギルガに殴りかかる。 「こいつもくらぇーッ!」 頭が吹っ飛ぶ。右腕の装甲が開き銃身が現れた。次に胸部を殴打しつつ射撃する。ギルガは煙を上げて谷底に墜落した。 次にもう一機のギルガが01を襲う。光の槍の矛先が肩装甲をかすめた。 01は下降してギルガの股間接を殴り上げる。 「まだ終わりじゃない!」 腰からレーザーブレードを取り出す。蹴りを入れてよろけさせ、光の束をコックピットに向け振り下ろす。爆散。 『よくも部下達を、ゆるさん!』 指揮官機のドライドが突貫する。 『隊長、うかつ過ぎます!此処は一旦引いた方が』 副隊長ビークを無視して01へと向かう。相手は後ろを向いていた。 『もらったぁ!』 大型の剣が襲う。だが、空間が湾曲し剣を弾いた。 『な、バリアだと?!』 隙が出きた。全体を覆っていたバリアが左手に収束していく。そして、 『イリュージョンウォール・パァァァンチッ!』 01の拳が隊長のドライドを貫いた。 大破したドライドを持ち帰り残ったギルガは退いていった。危機は去ったのだ。 「エネルギーが少ない…バリアにパワーを使いすぎたな」 乗り捨てるにしてもこんな山奥じゃ飢え死にしてしまう。元より帰る場所など無いのだが。 『…0…1…01、応答して下さい』 そんな時、ガードナー隊の戦艦エホバ・バイシクルからの通信だ。朱に染る空を白銀の巨城が飛行する。 「俺の帰る場所は…」 -ここなのだろうか そう思うにはまだシュートは決心が付かなかった。 少ない残量でカタパルトに飛び込む。すぐさま整備員達が機体に群がる。 コクピットから出る。もうどこでもいい寝たい、フラフラとした足取りで格納庫を出ようとした時、衝撃が襲う。視線には天井と馬乗りしている少女が見えた。 「重い…ルーナ、太ったか?」 「失礼!寧ろ痩せました…お帰り」 「あぁ…しばらく厄介になる」 しばらくの沈黙。 「艦長が格納庫でやる事じゃねぇな?」 ライド・デンサーが作業しながら茶々を入れる。ルーナは慌ててシュートから降りる。立ち上がり改めて、 「ようこそXガードナーへ」 互いに笑い会う。 そんな二人を余所に、青色の機体は冷たい目で見つめていた。 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) + ... 名前
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/579.html
こんばんは、俺です。 大野啓介です。 実は俺は今、驚愕の事実というのを妹より聞いています。 妹といっても妹を自称する生体アンドロイドだったのです。 それでドタバタ騒ぎがあって、単位を落とした哀れな俺。 自分の所に来た理由をその妹(アンドロイド)に問いただした所で別世界では約半年の時が流れましたという電波が自分の中に響きました。 母さん、意味がわかりません。 この世界では、まだあれから1分もたっていません。 つーか覚えている人いるのか、俺の事!! あ、あれですよ!トラウマ抱えて諦められない人とか妹殺そうとしてる人と違って俺は妹を名乗る人型アンドロイドに殺されかけた人ですよ!! わ、忘れてないですよね!え、言われてそんな話があったなーと思いだした? ありがとう、本当にありがとう。 記憶の片隅にでも残っていたのならば、俺は嬉しくてたまりません。 残っていなかった…? し、仕方ないですよ、半年前の話ですし…うん!! ちょっとそこの部屋の隅で体育座りで咽び泣いてきます、5分ぐらい探さないでください。 というわけでザ・シスターズ第三話始まります。 今回の話はオチ無しヤマ無し谷無し萌え無し変態ありのようです。 ザ・シスターズ 第三話「そろそろ超変態のお季節です。」 高嶺町3丁目 大野家。 2×××年8月1日。 四畳半の一室。 そこには二人の人間がいた。 一人は、俺、大野啓介。 もう一人はミナと名乗る人型アンドロイドだ。 「ずずずっ。」 ミナは目の前にある椀を両手でもって中に入っている淹れたてのお茶を飲んでいる。 テーブルを間に挟んで二人は向き合っている。ミナがこの家に来た理由を彼女自身が説明するというのだ。 「―――ぽっ。」 椀を口から離し、息を吐いて幸せそうな顔をする。 こうしてみていると人間と何も変わらなく見える、一体どんな技術で作られているのだろう…とちょっと興味が沸いた。 「んで、えーと約束通り、話をしてもらいたいんだけれど、知っておいた方が良い事って何なんだ。」 本題に入る。 とりあえずそこから聞かないと…。 そう聞かれたミナはマジマジと俺の顔を見る。 真剣な話ですよ~という意思表示だろうか…。 「実はパパが発案した一つのプロジェクトがNASAの支援を受けて始まったの。外宇宙探査用アンドロイド設計プロジェクト、通称『Project Sisters』。」 NASAと来たか…そういや、半年前、もといさっきもそんな事言ってたような気がする…また、やたらスケールが大きい話だな。 しかし、まあ、ありえない話では無いのが恐ろしい。 ああ見えて俺の父親はロボット工学の権威である。それを宇宙開発のプロジェクトに利用するという事が起こりうる可能性はゼロでは無い。 しかし、問題はだ、その外宇宙探査用アンドロイドの設計プロジェクトに関係しているアンドロイドがなんで俺の目の前にいるかという点じゃないだろうか? 「お兄ちゃん、Project Sistersはね、より人間に近い感情を持つアンドロイドを製作する事を目的にしているの、外宇宙でなんらかの知的生命体と出会った時、臨機応変に対話が出来るようにね。 そしてミナもその試作品の一つなの、今ミナがお兄ちゃんの家にいるのは私が一般的な家庭に溶け込む事が出来るかというのを見て、その完成具合を今、確かめてる状態ということらしいよ。」 へぇーと頷きながら、絶対それ無理だよと俺は思った。 ついさっき、自分が指きり拳万をしようとした時、本当に指を切られそうになったのを思い出したからだ。 「そ、それでお前がここにいる事情は何故なんだ?」 「んー、それは当然にお兄ちゃんがパパの息子だからだよ、パパはね『ふふふ、ミナは私の一番の自信作なんだ、きっとあのバカも気に行ってくれるに違いない!!』と言って私を送りだしたんだよ。」 理由になってない気がするんだが…笑顔で言ってるあいつの顔が思い浮かぶなぁ。 「あー、あいつの顔面にボディーブローをぶちかましてやりたくなってきた。」 「お兄ちゃん、パパは暗黒大将軍じゃないよ!!」 「お前、よくそんなネタを知ってるな…。」 「パパから日本の文化だって色々先に教えて貰ってたからね…。」 「あ、ああ、そう…。」 俺は頭を抱えたい衝動に駆られる。 日本の文化としてそんな事を教えてる自分の父親という存在を考えて死にたくなる。 そもそも文化なのか? 本当なに教えてんだよ、あいつ…。 「あのな、それは文化でも何でもないよ…。」 「え、そうなの?」 と驚くような仕草をミナは取る。 「あのな、○年前のゲームのネタを文化なんて言っちゃうのはとてもダメな事だ、文化というのは――」 そうやって解説しようとする俺の肩に手を当てて優しく、ミナは言う。 「お兄ちゃん、文化っていうのはね、そういうのも全部ひっくるめて文化っていうんだよ。」 笑顔で俺にそう主張する幼女がそこにいた。 親父並みの屁理屈だ、こいつ親父が作ったんだなーとその時初めて思わされた…。 「そういう発言してると親父思い出してお前を壊しかねなくなるから、そういう発言禁止な。」 「ぐすっ、お兄ちゃんが怖いよ~。」 そうして涙ぐむミナ。 その時、大きな音がなった。なにかがバタンと倒れる音。 音の発生源は玄関だ。 そして、玄関から何かが飛び出るようにやってきて、ジャンプ、そして、ひねりを加えた蹴りを俺の顔面に叩きこんだ。 俺の体はその衝撃で宙に浮く。 母さん、見てますか、人間って羽が無くても飛べるんですよ。 そんな事を思っている間もなく、俺の体はドロップキックの衝撃で壁際に飛ばされた。 「大丈夫か!!君!!!こいつに何かされなかったか!!!」 玄関からやってきた謎の襲撃者は、俺を無視してミナを抱え込むようにして抱きしめる。 その声の主に俺は心辺りがあった。 しかし、マジで痛い、とっさに軸を会わせて首の骨、折れないようにしたけれど、当たり方によっては最悪命に関わったぞ、この馬鹿が…。 そして馬鹿はミナを背に俺の前に腕組みして立つ。 「俺は幼女の味方だ、君の涙声を聞いて、扉を蹴り破ってやってきた!!今からそこにいる暗黒代将軍をやっつけるから、君はそこで――」 「お兄ちゃんに、酷い事したな…許せない、惨めな事この上ない死に様晒せ、この下種。」 その瞬間、襲撃者の股間にミナの強烈な蹴りが炸裂した。 「え、お兄ちゃんのお友達なの?」 はれた頬を氷で冷やす俺にそう尋ねるミナの驚きの目が少し痛い。 「平野幸平って言ってな、いわゆる幼馴染というか腐れ緑というか…。」 それからミナは考えるような仕草を取った後、 「あのね、ミナが言うのもなんだけれど、お兄ちゃん、お友達は選んだほうが良いよ。」 そう深刻そうな顔でミナが言った。 正論過ぎて、俺はグーの根も出なかった。 それに反論するように暴れる馬鹿が一名。 「何をいう、明智くん、ロリコンは世界共通の正義だよ」 「お前の脳内だけだ!!」 「ふっ、友は悲しいな、そもそも何を恐れているのかね、ロリコンであることか?」 「俺はロリコンになったつもりは無い!」 「いやはや、まあ、それは仕方のないことだ、そりゃあ、誰だって熟女のかさぶれた肌なんかより幼い娘の軟肌の方がいい。 自分よりちっちゃい子の方が頭なでられて可愛い、何より自分についてきてくれる、ああ、成熟しきってない乳もまた魅力だ。そしてあの小動物顔、ほっぺたをぽにゅぽにゅしたくなる~。」 「何でロリコンがあんなに危険視されてるのかよくわかる発言だなぁ・・・つーか、肌の手入れ頑張ってる熟女の方々に失礼な発言だろ!」 「ロリ…コン?」 ミナは知らない言葉を聴いたという風な顔をする。 「知らんでいい。」 「調べてみるね。」 「調べなくてもいい!!」 「ちなみに熟女は熟女でいいぞ、俺はこう見えても全属性持ちでな、ぺドから婆までなんでも来いだ。」 「いや、お前の変態性をここで露出しなくてもいいから、頼むから黙っててくれ、てか帰れ、何しに来たんだボケ。」 そう言う俺に、幸助は涙を浮かべて言った。 「何しに来たって、大好きな啓介をいじりに来たに決まってるじゃないか…。」 「帰れ、つか一回三途の川、渡って来い!!!そこから帰ってこなくていいから!!!」 「ミナがやろうか?」 そう腕まくりをしてミナが言う。 こいつまた俺の言ったことを字面通りの意味で受け取ってやがる…。 「ひぃーあ、まさかあのロリっ子が、俺を殺そうとしてるの?いや、それはそれでときめきに見たものを感じるが…。」 そしてこいつは何か感激して、痺れてるし。 「ミナもやめろ、こんな奴の為に手を汚しちゃ駄目だ。」 「ああ、友よ、この俺を助けてくれるのか…やっぱりお前は心の友だべさぁ。」 「俺が殺す、この役目、誰かに譲れるものかよ…。」 結構マジで言ってた。 「うっきぃぃぃぃ!!!一瞬でも信じた俺が馬鹿だった!!!ねぇ、君、ミナちゃんだったよね、こんなお兄ちゃんは酷いと思わない?」 そう涙を流して同情を誘おうとミナを見る幸平。 だが、ミナはそれを気にも留めず無視した。 「ねぇねぇ、啓介、あの子冷たいよ、心がまるで機械みたいだよ…。」 そりゃまあ、ロボットなんだしなぁー。 「んで、そろそろいい加減に出てって欲しいんだが、なんか用事あるのならば、ここで言わないとガチに公園の砂浜に埋めるぞ。」 それなりに殺気をこめて言った。 流石の幸平も危険を感じたのか…少しせき払いをして、 「いや、あのな、今日、ブレイク・ザ・ワールドの大会なの覚えてるか?」 あーそういえばそうだったなーと俺は思う。 ブレイク・ザ・ワールド、略称:BW。現在巷で人気のハイスピードロボット対戦ゲーム、有名デザイナーのデザインの機体と練りこまれた設定、奥が深い操作性は多量の人間を魅了させ、 いまや、三大アーケードとして人気が非常に高いゲームだ。 かくいう俺もこのゲームのプレイヤーで既にこのゲームに投資した額はPCを一つ買えるぐらいの金額であった。 「あーでも、今回はパスかな、見ての通りごたついてるし…。」 「えー、来ないのかよ、今回の優勝者にはあの幻のBW初期設定資料が贈呈されるらしいぜ…。」 BW初期設定資料!!!! 「あれか、あの、イチ・過渡期とか、ようじ・ニューリバーとかが書いた初回限定イラストが載っているあのBW初期設定資料の事か!?」 欲しくて夢にまで見たBW初期設定資料。だが、あまりの在庫の無さと値段の高さに諦めた代物だった。 それを探して、ネットのオークションに1カ月貼りついていた時期もあったほどだ。オークションで出品されていたどれもが即決で売れてしまい、手に入れる事が出来なかった。 「そうよ、それよ、そのBW初期設定資料よ、もはやマニアの中では10万の価値がついちゃってるアレよ。あれを今回の優勝者には贈呈してくれるんだぜ?出ない手は無いだろ?」 そう甘い声で俺を誘惑する。そして俺は2秒で折れた。弱いなぁ、俺…。 ゲームセンター『ヘブンワンダー』、ここら一帯では最も大規模なゲームセンターだ。 ここには全国区といわれているBWプレイヤーが8人ほど常連している事でも有名でBWの聖地などと言われる事もある。 「あ、アカハナさんだ、アカハナさんも今日の大会でるんですか?最近見なかったから何処言ったのかと皆で言ってたんですよ?」 ヘブンワンダーの入り口で一人の顔見知りと会った。このゲーセンの常連組の一人だ。ちなみにアカハナっていうのは俺のエントリーネーム。 「まあ、色々とあってね。」 そう頷く。 実際の所は単位たりなくて勉強漬けだったというだけだ。 「あ、あれ後ろにいるロリ神さんはともかくもう一人の女の子は誰ですか?彼女…というには若すぎるし…もしかして彼女もBWを?」 常連が俺や幸平の後ろにいる、ミナに気づいた。まあ、気づくよなぁー。 「こいつは…まぁ俺の親戚みたいな奴。一人で家に置いておくと色々心配なんで、連れてきたけだ。ゲームはやらないよ。」 本当に心配だった。いや、半年ま…いやいや、さっきの奇行を思い出すとね。 「えーマジッすか?女性プレイヤーが来てくれるってだけでも皆大喜びなのに…。」 ゲーセンつーのは基本的に男のたまり場だ。こういう対戦ゲームは特に女性人口が少ないのが特徴で、とにかく女性プレイヤーが来たというだけで男衆は大盛り上がりする。 「BWって面白いの?」 そうミナは俺の袖を掴んで聞いてくた。 どう答えていいものか迷った俺を押しのけて答えたのは俺じゃなくて幸平だった。 「ああ、面白いぞ、ここらじゃBWやらねーゲーマーなぞいねーからな。ここでミナちゃんにカミングアウトすると俺、実は全国大会準優勝チームの一員なのよ…。」 事実である、まあ、全国大会は3on3のチーム戦であり、こいつはその全国大会で一勝もしてなかったりするのだけれど…。 そんな幸平の話を聞いた後、何かに頷くようにしてミナは俺に向けて口を開いた。 ああ、この口を開く瞬間に俺は凄く嫌な予感がしたのは特筆するまでもない出来事だ。 「お兄ちゃん、わたしもこのゲームやってみたい。」 つづく!!!! 次回予告 幸平「ふふ、ははは、ハーハッハッハッ!!ついについについに登場したぞ、俺が!!公式設定『変態』それだけしか設定がなかったこの俺が!!!」 啓介「設定できてから1年たっての登場だっけ、長かったなぁー。」 ミナ「正直、出なくてよかった気もするね!」 幸平「いや、そんな事は無い、俺はついにロボスレに降臨したのだ、これからはロボスレのありとあらゆる作品にレスを返し、ヒロインを俺の嫁俺の嫁と認知させる計画が…。」 啓介「確実にスレ住人から総スカンどころか死ねっていわれるだろうな。」 ミナ「むしろ死んだ方が世のため人の為だよね、お兄ちゃん。」 幸平「ふっ、俺が生きていてはいけない人間だなんて事は知っていたさ。」 啓介「じゃあ、なんで死なないの?」 幸平「ああ、でも世界のどこかには俺という存在を必要としているロ…いやいや女の人が、俺の助けを待っている、ロ…いやいや女の人がいる筈なんだ。」 ミナ「ミナがNASAのシステムで調べたところによるとそんな人はいないよー。」 啓介「………だそうだ。」 幸平「何が、『だそうだ』だ!!なんでNASAにそんな事わかるんだよ!!あ、あれか、NASAってとりえあず付けとけばなんとかなるとか思ってたりしないよな?この話!!」 啓介「とりあえず、今回は俺たちがだべってるより重要な予告事項があるらしいから、とりあえずそっちを先に片づけようか…。」 ミナ「お兄ちゃんに賛成~。」 幸平「とほほ、つまりは俺の扱いってこういう事なのね…。」 ミナ「それじゃ重要告知始めるよ~。」 ブレイク・ザ・ワールド 予告編 西暦3000年。 第三次世界大戦による核兵器の汚染で地上が人間の住む世界では無くなってからはや500年の月日が流れていた。 戦争で生き残った人々は地下に移り住み、過ごしている。 今や人間たちは地底で統制管理局の治安の元に過ごしている。 既に長きの間、地におしこめられた人々には地上というのは地獄の世界であり、悪鬼たちが跳梁跋扈する世界だと伝えられている。 統制管理局もまた、それを肯定するような情報操作をし、人が地上に出ようとしているのを極端に拒んでいた。 だが、それと別にもう一つの伝説が存在する。 空の存在だ。 地底世界には無い天井の無い天井。 果ての無い、永遠。この世で最も美しき青が存在する世界。 それが地上だというのだ。 もはや地底世界が当たり前になっているこの世界では人々は天井の無い世界など無いとその伝説を嘲笑ったが、その伝説を夢見て、今もなお空を目指そうとしている人間たちがいる。 地上は既に人が住める実りある世界なのだと信じてやまない人たちがいる。 人はそれをグロウズ(愚か者)と呼んだ。 グロウズ達は徒党を組み、自分たちの手で空のある世界を目指そうとする。 だが、統制管理局はそれを頑なに拒み、グロウズ達と統制管理局は戦いの火蓋を切る事になった。 何故そこまでして、統制管理局は人が地上に出る事を拒むのか? 地上には何が隠されているのか? 第三次世界大戦に秘められた真実とは? これはその戦いの物語である。 この閉鎖された世界を壊すのも守るのもあなたしだい。 このゲームは3Dハイスピード対戦ロボットアクションとなっております。 あなたはグローバー、もしくは統制管理局のどちらかのパイロットとなって、世界をかけた覇権争いに身を投じる事になります。 あなたに与えられるのはディベンダーと呼ばれる人型機械兵器です。 各機それぞれに違った特性がありますので、あなた好みの機体をチョイスされる事をオススメします。 操作方式は2ペダル、2レバー。 アクセルペダルとブレーキペダルにより加速と停止を行い。 レバーで方向制御、レバー対応武器と照準、ブーストを行います。 武器によってはロック機能があるものと無いモノがありますので注意してください。 用語集 【ディベンダー】 地下世界で使われている10m程度の人型機械ロボット。 兵器タイプから作業用タイプまで種類は豊富である。 複座式になっており、あなた以外にあなたをサポートするキャラクターが一人搭乗します。 概念系ギミックは禁止という設定の縛りを設けている。 ちなみにグロウズ側は全てワンオフで、統制管理局側は全て量産機ベースのカスタム機。 【次元歪曲システム(システムメビウス)】 空間をねじる事により、天井と床を繋げるという驚異のシステム。 このシステムにより人は地下に閉じ込められている。 一定以上の高度に達すると次元の歪みに捕えられ、地下に戻されてしまう。 この為、この世界はでは一定以上の高度を取る事が出来ない。 ようは空中戦駄目よという為のシステム。 【兵装に関しての基本設定】 武器によってはロック機能があるものと無いモノが存在しています。 ロック機能が無いモノはアサルトライフルのような連射性が高い兵器 ロック機能があるものはミサイルポットのような銃火力系の兵器(弾数が少なくリロードが非常に遅い) 前者はリロードも早いが後者はリロードが遅い。 【ブースト】 ゲージを使用した高速移動。 ゲージは時間経過で自動回復する。 また、ゲージが0になるとオーバーヒートを起こし、一定時間ブーストが使えなくなる 【ルール】 3ラウンド2本先取で1ラウンド90秒のバトル。 ステージは平地ステージ、都市ステージ、地下水道ステージの三つ。 【BC】 ブーストキャンセル。 行動による硬直をブーストゲージの50%を消費する事で、解除しブーストするシステム。 【FW】 ファイナルウェポン。 一機につき1度だけ使える超必殺兵装。 使用後はブーストが使えなくなるリスクがあるが、その威力は強力無比。 バトル開始の30秒後から使用可能になる。 機体紹介 【その1】 グロウズ所属。 近接特化タイプのディベンダー。 武器は振動により高い切れ味を持つ太刀の二本と、腕にしこまれたワイヤーアンカー(ロックオンあり)。 全機体中最大の機動性と旋回性を持つが、その反面、中距離までの範囲の武器しか持たない為、攻撃を行うには近づく必要がある。 ロックオン無効という機体特性があり、ロックオン系の兵装がこの機体をホーミングする事はありません。 遠距離や中距離があまり得意ではないがスピード感ある操作性が印象的で人気の高い機体。 コンボも結構お手軽かつ高火力の為、いかにして近づくかという辺りにプレイヤーの技量を問う機体となっている。 グロウズが統制管理局で作られていた新型を奪取したという設定になっている。 機体色は青で背部に二つあるブーストユニットが特徴的。 この作品の顔となる機体。 FWはハイアクセルブースト。 20秒間ブーストが無限に使用できるようになり、ブーストの移動速度も2倍になります。 サポートキャラはメグミ・サカキ。 16歳、黒髪ロングヘアーの少女。基本的に人付き合いが苦手で感情を表に出す事がないが、本人もそれを駄目だと感じており、時折らしくない発言を繰り返す。 ボイス例 勝利時 パターン1「目標を制圧、お見事です。」 パターン2「えっと、こういう時は、やったーって言えばいいのかな?」 敗北時 パターン1「嘘っ…。」 パターン2「戦闘の続行は不可能、すぐに退避を…。」 FW使用時 パターン1「ハイ・アクセル・・・・ブースト!!!!」 パターン2「超高速戦闘モードに移行。」 S~D式五段階評価 スピード A 火力 A 装甲 B 射程 C 【その2】 統制管理局所属。 バランス重視のディベンダー。 近接用のバイブレーションナイフとアサルトライフル(ロック無し)にフラッシュボム、背部にミサイルポット(ロックあり)を装備したハイスタンダードタイプ。 また、電磁地雷により、それを踏んだ敵機体の動きを3秒ほど止める事が出来る。 近中遠のどれもにも対応した高い汎用性が特徴だが、大きな火力になる武装がミサイルポット以外なく、火力不足な側面がある。 BCを利用した高火力コンボも存在するが安定度が低い為、会得が大変。 だが、非常に操作がしやすく武器バランスも良い為、初心者に好まれる機体。 機体カラーは黒。 FWはプラズマエフェクト。 周囲に広大な電磁場を発生させ、範囲内の敵機の動きを止める。 サポートキャラはレイナ・レイティケイア。 17歳、名門の出であり高飛車な金髪ツインテール貧乳な女性。貧乳なのがコンプレックス。 勝利時 パターン1「おーほっほっほ、このレイナ・レイティケイアと同じ機体にのっているのですから当たり前の事ですわ!」 パターン2「べ、別にあなたの腕前に関心なんてしてないんですからね!!!」 敗北時 パターン1「い、いやぁぁぁぁぁあああ!!!!」 パターン2「この愚図!鈍間!!退却しますわよ。」 FW パターン1「プラズマエフェクト起動!」 パターン2「磔にして差し上げますわ!!」 スピード B 火力 C 装甲 B 射程A 【その3】 情報管理局所属。 その象徴たる身の丈ほどのブースター付き大剣が印象的なパワー型ディベンダー。 武装は象徴たる大剣『鉄断』とガンビット、バイブレーションナイフのみである。 ガンビットは相手を追跡し、搭載された機関砲で射撃するビットであるが、威力は低めに設定されていて、これを火力として使うには心もとない。 このビットを上手く使い、いかに相手の動きを止め、大剣をぶち込むか、それだけに特化した立ち回り重視の中級者向け機体である。 ビットの数も限られており、使いどころが非常に難しい。 見た目通り、動きが重めに設定されているが大剣を抜刀している状態と納刀している状態では動きの速さが違う。 抜刀時はスピードDとなるが納刀時は大剣のブースターを推力として加える為、スピードBとなる。 FWは大回転風車。 抜刀時に大剣のブースターを使って独楽のようにまわって回転しながら相手の方に突撃していく回転斬り。 発生が少々遅いが範囲が広く使用時にはアーマーが付く為、トドメによく使われる。 機体カラーは白色、西洋甲冑に大剣持たせたようなイメージの機体。 サポートキャラは若干12歳にして機械工学の天才と呼ばれるショートーヘアー少女、ミミ・アイバック。プレイヤーの事をお兄ちゃんと呼ぶ。 勝利時 パターン1「この鉄断に立てぬもの無し!!なんつて・・・」 パターン2「やったー、お兄ちゃんとミミの勝利だよ!!」 敗因 パターン1「お、お兄ちゃぁぁぁぁん!!」 パターン2「うぅ、ボロボロだよぉ…。」 PW パターン1「今こそ、見せよう必殺奥義『大回転風車』!!!」 パターン2「いつもより、多く回しております~」 火力 S スピード C 装甲 A 射程 B 【その4】 グロウズ所属。 元々は作業用のディベンダーを戦闘用に改造した代物であるパワー型ディベンダー。 武装は右腕の大型ドリル、左腕に付いたオオバサミのみ、胸部の射出型ワイヤークロー。 単筒型の大型ブースターを背中に背負っているのが特徴で前方ブーストの速度は全機体随一であるが、その反面、横ブーストの性能は低い。 オオバサミからの派生である掴み潰し投げは射程こそ短いものの全機体最高の威力を持つ技であり、これに浪漫を感じて使うものは多い。 だが、中距離用の装備である射出型ワイヤークローは連射も効かずダメージ源にもならない、その代り、当てた相手をこちらに引き寄せる事が出来る。 相手が動けば拘束が解けてしまうので長時間拘束する事は出来ないし、引き寄せられる距離も限られている。 また、基本的な機体移動速度も遅めに設定されており、ブーストを使っていない時の速度は全機体でも二番目に遅い。 その為、ブーストのゲージ管理が大変な機体であり、玄人向け。 BCを絡めることで1コンボで相手の機体の装甲B以下の機体のライフの6割を削り取る驚異の火力が特徴であるが、そこまでブースト管理が出来るかという辺りにプレイヤーの技量が問われている。 色は黄色で無骨なつくり、複眼。 FWはカットエンドクラッシャー。 ハサミで掴み、ドリルで相手の装甲を貫く。 密着時のみ命中の浪漫溢れる技、当てると相手のライフのB装甲以下の機体ならばライフを10割を減らす事が可能。 まさに最高の浪漫であるが、高速機動する相手に当てる事が困難であり、完全な先読み入力が必要になる。 基本的に立ち回りが有利になる機体がおらず、相手の隙や甘えた行動を探して、ブーストを上手く使って割りこんで一撃必殺を決めて行く機体である。 サポートキャラはレイチェル・ドゥクス。 白地のTシャツに作業衣を着こんだ、19歳のポニーテールの姉御キャラ。 勝利時 パターン1「はは、やるじゃん、あんた。」 パターン2「この鋏で、あたしたちは空への道を切り開く!!!!」 敗因 パターン1「くっ、今は退却だよ。」 パターン2「ちくしょぉぉぉ。」 PW パターン1「武器っていうのは一撃必殺であるべきなのさ。カットエンドクラッシャー、決めさせてもらうよ!!」 パターン2「貫き通せ!!カットエンドクラッシャー!!!!!!」 火力 S スピード D 装甲 S 射程 D 【その5】 統制管理局所属。 射撃戦特化ディベンダー。 右腕にアサルトライフル(ロック不可)に左腕にグレネードランチャー(ロック不可)、肩に背負ったリニアレールガン(ロック可)とミサイルポット(ロック可)が特徴。 とにかく遠距離からの射撃に特化した機体であり、両腕に射撃武器を装備している為、近接武器を装備する事が出来ないという欠点を持つ。 射撃武器による格闘モーションはあるが、ダメージは低く、モーションも遅いと、正直、使い物になるものではない。 よっていかに距離を保って、中遠距離から射撃するかが勝負になっている。 弾幕を張り、いかに相手を近づけずにライフを削り切るかが勝負になっている。 リニアレールガンは一発ごとにリロードにはなるものの長射程高威力の武装であり、この機体を象徴する武装の一つ。 リロードなどの問題から弾数管理も大変な機体であり、中級者向けと呼べる機体になっている。 FWはフェニックスブレイク、エネルギーフィールド発生させ突撃する武装。 発生から終了まで全身無敵の攻撃であり、近接能力が低いこの機体の近付かれた際の、緊急脱出と弱点を逆手にとった切り札といえる。 サポートキャラはDと言うコードを持つ女性型アンドロイド。外見上は15歳程度。 勝利時 パターン1「敵機の撃墜を確認、これより帰還します。」 パターン2「ミッションコンプリート、お疲れさまでした。」 敗北時 パターン1「戦闘続行不可能、ただちにここから退却を…」 パターン2「駄目…でしたか…。」 FW パターン1「全リミッタ―解除、フェニクッスブレイク起動。」 パターン2「この機体に近接武器がないとお考えのようですが…これはどうですか?」 火力 B 装甲 C スピード A 射程 S 【その6】 グロウズ所属。 超軽量装備のディベンダー。 その軽量さを活かした全ディベンダー中最速の動きが特徴だが、重量の大きい武器は持てず、装甲も最も薄い。 武装は6連式リボルバーにサブマシンガンとバイブレーションナイフ。 リボルバーの弾は切り替える事が出来、2種の弾を打ち分ける事が出来る。 通常弾とウィルス弾の2種であり、通常弾は威力を高めに設定された弾丸で、メイン火力となる弾。 ウィルス弾は命中すると、相手の機体の画面から5秒間、機体の姿が映らなくなるという補助効果を持つ。 これらを上手く使い荒らしていくのがこの機体の基本的な戦い方、ウィルス弾は特に強力な武装であるが最低ランクの装甲ゆえに1度のミスが敗北に繋がる事も意味しておりミスが許されないのが特徴。 また、基礎火力もかなり低めに設定されている。 FWはポイズンバレット。 特殊弾をリボルバーに装填し連射する。 当たると、弾丸に内蔵されたナノマシンが機体の体内で暴れまわり少しずつライフが減らしていく。 また、ダメージ計算ではなく、パーセンテージでのダメージになるので全機体に共通のダメージを与えられるのが特徴。 10秒ごとに10%のダメージを受け、最大40%のダメージになる。 なお、この機体のみFWを使用してもブーストゲージは使用不可にならない。(ただしFWは一回のみという原則は変わらず) サポートキャラはナノマシン工学の権威、リース・エメラルド。 眼鏡にみつあみが特徴でいつも白衣を着ている。 勝利時 「お疲れ様~、スクラップはリサイクルするんで、回収お願いします~。」 「お見事、これからもよろしくね。」 敗北時 「次は無いと思ってくださいね(微笑みながら)」 「はぁー、あとで反省会ね。」 FW 「これはあなたの機体をじわじわ~っとダメにしていく私の特別製ですよ~。」 「機械毒。その力、ゆっくり味わってくださいね。」 火力 C スピード S 装甲 D 射程 B 【その7】 統制管理局所属。 重装備、重装甲が特徴の重量級。 重い機体を動かす為に体の各所にスラスターが埋め込まれており、そのガタイに似合わず高い機動力を持つのが特徴の紅いディベンダー。 武装は大型アックスとガトリング砲、胸部と腕部にバルカン砲内蔵。 全体的に非常に高いレベルでまとまっているが、燃費が悪いという設定から、ブーストの消費率が1.5倍に設定されている。 その為、他の機体以上にブースト管理が難しくガタイの大きさもあり、回避能力はあまり高くない。 また、ガトリング砲はブースト中には発射出来ないという制約がある。 FWはレインフォール。 背部バックパックにあるミサイルを全て放つことで広範囲の制圧を行う。 回避は困難であるが単純に威力比較すると攻撃系FWでは最弱クラスではある。 サポートキャラはセレーヌ・クロケット。 黒髪長髪の八方美人だがドS。手にいつも鞭を持っている。 勝利時 パターン1「何を喜んでいる?当たり前の事だ。(ゲシッと頭を蹴る音)」 パターン2「ふん、ウジ虫どもが、身の程をわきまえるがいい。」 敗北 パターン1「貴様、帰還したらどうなるか、覚悟しておけ!!!」 パターン2「こんな結果…認めるか!!!」 FW パターン1「ミサイルの雨だ。ふふふ、たんまり喰わせてやろう。」 パターン2「害虫は駆除するものだろう?」 火力 A 装甲 A スピード A 射程 A E 啓介「………。」 幸平「………。」 ミナ「………。」 啓介「………今回の次回予告は長いよとか予告してたけれど、実質的にこれ単なる設定解説だよな…。」 ミナ「作者曰く「せっかくゲーセン的なゲームだしたんだし、それなりに遊べるように設定は作ってみよー」と設定作ってたらこんな事になっちゃったらしいよ、お兄ちゃん。書き出してあるシスターズの設定全部より長いらしいよ!!」 幸平「ちなみに世界観は丸ごとBOF5のパロディだそうな。あとやったことないけれどPVとかから、バーチャロンとかAC的なものを想像してぬるい格ゲー知識でバランスを考えたらしい。とりあえず動かしてて楽しいをモットーに設定作りに励んだんだとか…。」 ミナ「ちなみに、機体名決まって無いので、募集するらしいです。避難所で許可も取れたしね!出来ればグロウズ側と統制管理局側の双方に統一性があるのが良いとか…。出た奴を作者の独断と偏見で決めるそうです。」 啓介「下手に投票したらなんか大変な事になりそうだから、この辺りは許して欲しいとか言ってたな…。」 幸平「ちなみに皆の意見は出来る限り取り入れるつもりだとか、ちなみに8機はいないと対戦ゲーにならないよなーとか思って8機用意したけれど、8機も裁けるか!!とか自爆してもいるので、空気る機体もいるかもしれません。 その辺りは本当に申し訳ないのですが、ご了承くださいとのことだ。」 啓介「また、無茶苦茶な…てか7機までしか公開されてないような…。」 ミナ「一応、頭の中で設定出来てるけれど間に合わなかっただそうです、なんかこういう機体が欲しいとかイメージ出しておくと採用されるかもしれないよ!」 啓介「他人任せにしてるようでなんかおいしい所だけとろうとしている腹黒い側面が見えるな…。」 ミナ「では、次回、ブレイク・ザ・ワールド第一話『閉鎖された棺の中で…』お楽しみにね!!!22スレ後の未来でまた会おう!!!」 啓介「22スレ後って…それ、あんまり冗談になってないのが怖いんだが…てか、もう、シスターズですら無いのかよ!!!」