約 1,425,805 件
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/750.html
PREV:意外なライバル 中編 NEXT:野獣モード 前編 ストーリー な……どうしてオレとデュエマできないんだ!? コジロー だってカレーパン食べに来ただけだし 切札勝太 アルバーノさんがオレの為だけに作ってくれた手作りカレーパンが完成したから来たんだよ! 切札勝太 だからさ、もしデュエマしたいならカレーパン食べてからでもいい? 切札勝太 ふっ……相変わらずのカレーパン馬鹿め コジロー はあ!?そういうお前だってすぐ騙されるじゃねぇか!? 切札勝太 誰が聞いてもすぐ分かる嘘に簡単に乗っかっちまってさ! 切札勝太 そういうお前こそ、カレーパンに釣られて色んなことに巻き込まれてるだろ! コジロー す、すごい言い合いですね……仲が良いのか悪いのかよく分かりませんが…… ルピコ あー! もう分かったよ!【プレイヤー】に勝てたらデュエマしてやるよ! 切札勝太 おい! 話はまだ―― コジロー オレにはカレーパンが待ってるんだ! じゃあな! 切札勝太 ……………………クソッ! コジロー コジローさん大丈夫ですか?勝太さんのことですし、きっとすぐに―― ルピコ カレーパンに流される奴も誰にでもヘラヘラと話す奴も楽しんでデュエマする奴も…… コジロー テメェらの勝利への飢えってのはその程度なのか!? あぁ!? コジロー どいつもこいつも、飢えが足りてねぇんだよ!!! コジロー コ、コジローさんが……あのモードに!! ルピコ 【プレイヤー】さんこのままだとコジローさんの飢えが……! ルピコ なるほど……!【プレイヤー】!見せてくれるんだな コジロー テメェ自身の勝利への飢えってのを!だったらオレも応えねぇとな!! コジロー その飢え……全部食らい尽くしてやるよ!!! コジロー 勝利時 またオレはお前に負けちまったのか…………………………そうか コジロー アイツやお前のような遊び心のあるデュエマも……案外悪くねぇのかもな コジロー そう思えたのは【プレイヤー】、お前とのデュエマのおかげだ コジロー 楽しそうに闘うお前を見て少し、昔の自分を思い出したぜ コジロー とにかく落ち着いてもらえて良かったです! ルピコ 一時はどうなるかとハラハラしてたんですからね! ルピコ さーってと、カレーパンも受け取ったし、後は食べるだけだな! 切札勝太 おい、切札勝太!!!オレとデュエマで勝負しろ!!! コジロー しつこいヤツだなぁ……で、【プレイヤー】に勝てたのかよ? 切札勝太 ぐっ……そ、それは…… コジロー ……ったく、しゃあねぇな!一回だけだぞ!早くカレーパン食べたいし! 切札勝太 お、おう!今度こそお前を潰す! コジロー 行くぞ、勝太!! コジロー ふふ、言い合いなどがあるのは二人がお互いを認め合っているからこそですね! ルピコ まるでライバル同士って感じがして……なんだか羨ましいです! ルピコ 敗北時 その程度か! テメェ自身の勝利への飢えってのはよぉ!!! コジロー それじゃオレの飢えは全く満たされねぇぞ!! コジロー 【プレイヤー】さん!絶対に勝って、コジローさんの暴走を止めて下さい!! ルピコ PREV:意外なライバル 中編 NEXT:野獣モード 前編
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/35.html
389 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/05(土) 19 32 42 ID n0o0896T コジロー”だけ”のご家庭訪問 ママン「あらーいらっしゃい石田先生、さあどうぞどうぞ」 たっくん「こんちわ!センセーゲーム好きなんでしょ?DSやろーよDS~」 いもーと「やろやろー」 コジロー「いっ、いや俺…ぼくは…」 ママン「まぁまぁ立ったままも何ですからオホホ」 キリノ「ちょ、ちょっとおかーさん?」 ―――どさ。(強引に居間に通され、置かれる大量のメンチカツ) たっくん「おれんちの料理うまいんだぜ!」 いもーと「だぜーだぜー」 ママン「こんなものしかなくてごめんなさいねえ、ささまずは一献」 コジロー「いっ、いや俺このあと他の部員のとこにも寄(ry」 キリノ「ちょーお母さん、なにお酒とか勧めてんの?!」 パパン「ははは、まーいいじゃあないか、キリノ。ねえ先生?」 コジロー「は、はぁ…(キリノ、何だよお前んちの家族?)」 キリノ「うーん…(ごめんねえ…今日先生来るって言ってから変にテンション高くて…)」 家族『あっはっはっは』 きっとこんなだ。 390 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/05(土) 19 41 53 ID NZ6ww2Y/ お泊まりじゃね? 392 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/05(土) 19 58 51 ID A1y2/6ri 390 お前のせいで妄想がとまらん。 コジロー「いかん……飲みすぎた。」 ──タマに電話 コジロー「すまん、タマ。お前んちは明日行くわ。」 タマ「は、はあ」 キリノ母「すいませんねー、コジロー先生。お布団しいときましたからこちらへどうぞ」 キリノ「そうだよー、先生しっかりーって。ここあたしの部屋じゃない!」 キリノ母「ホホホホホホ。ごゆっくり」 キリノ「ちょ、お母さんったら」 たっくん「ねえちゃんDSや、ぐえっ。なにすんだよ母さん。」 キリノ母「邪魔しちゃ駄目よ」 いもうと「だめよー(よくわかってない)」 コジロー「ううー。(ドサリとキリノのベッドに倒れこむ)」 キリノ「先生、そっちはアタシのベッド!」 ──翌朝 コジロー「うう、頭いてぇ。ん?」 ──なぜか隣にはキリノが寝ている。 コジロー「????????????」 キリノ「ほら、アタシのベッドで寝ちゃうから仕方なくってカンジっすよー」 コジロー「いや、下の布団で寝ればいいだろ。じゃなくてだな」 いもうと「ねーちゃん。ご飯できたよー。」 ──いもうといきなり入ってくる いもうと「おかーさーん。先生がねーちゃんと寝てるー」 コジロー「いや、待て違うんだ。待ってくれ!」 その後、何もしてないんです。すいませんと平謝りするコジローの姿があった。 ちなみに翌日、千葉家から出てきた二人の姿が目撃され、 コジローが校長に呼び出しを食らったのは別の話。 ここまで妄想した。
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/126.html
109 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 12 35 22 ID f5wsuP9+ 1年男子「すいません、剣道部顧問の石田先生ですよね? 部長さんについて聞きたいんですが」 コジロー「キ…千葉がどうかしたのか?」 一年男子「こないだ剣道部の試合見に行ったんですけど 俺、千葉先輩に憧れちゃって!」 コジロー「…む」 一年男子「彼氏とかいるんですかね?」 コジロー「いや、お前。千葉は…。 そうだ、突きとかしてくるし。においフェチだし。 やめといた方がいいぞ、うん」 一年男子「え~。そうなんですか~?」 コジロー「それに、彼氏はいないが、 多分だが…好きな男はいる…と思う」 ---数分後 キリノ「おはようございまーす! いま剣道場の前で男子とすれ違いましたけど、入部希望ですか?」 コジロー「ん?あ、ああ。政経の質問に来てたんだよ」 キリノ「ふーん」 その日の練習は。やけにつきー、つきー、されまくりましたとさ
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/469.html
――――その竹刀の軌跡は、白く、輝くように。 「面ェェーーーんっ!!!」 コジロー先生の放った竹刀が、小太刀を捨て、上段に構えなおした石橋先生の面を捕らえる。 ユージくんの持つ白旗が勝者を示す―――勝負あり。 礼を終え、あたし達のところへ帰って来る先生。 勝ったのだ―――コジロー先生は。 しかしその余りの激戦の内容に、労う事も出来ず… ただ唖然と、帰って来る先生を見守るしかできないあたし達。 ゼエ、ゼエと息切れしながら先生があたしの横に座り、ゆっくりその面を取ると、開口一番。 「……俺、勝ったん、だよな…?」 その眼は未だに半信半疑といった様子で、宙空をぼんやりとうろついている。 「…ええ、カッコよかったっすよ、先生?」 自分から声は掛けられず、でも確かめるようにこちらに尋ねる先生に… なんとかその質問に答えようと言葉を搾り出す。すると。 「そうか…勝てたのか……俺…」 先生は自分の震える手を見ながら、今更その勝利の喜びを噛み締めているようだった。 つられてこちらもやっと、その喜びの意味を一緒に感じる。 未だに信じられない、と言う様子で固まっている、あたしを含む部員たちを尻目に。 まずタマちゃんがお祝いの言葉を述べると、皆もそれに続く。 「おめでとうございます、先生」 「そうだよ!おめでとー!」 「すごかったです!」 そのまま皆先生の元に集まり、ちょっとした祝勝会のムードだ。 少し乗り遅れたあたしは、特に何を言う事も無くふい、とその場を下がり… 一方の鎌崎高校の方へふと目をやってみると――― タマちゃんに敗れ、「負ける事の悔しさ」を思い出したらしい向こうの部長さんが何かをまくし立てている。 「……おい、オッサン」 「ハァ…ハァ…俺は、オッサンじゃねえ……何だ、岩堀」 「惜しかったんじゃねえか?……紙一重ってとこだろ」 「ふん…負けは負けだろ、お前等も俺も、負けちまった…」 「………」 「…すまねえなあ顧問らしいとこ見せてやれなくてよ」 「教えろよ」 「あん?」 「その紙一重……埋める方法、知ってるんだろ?アンタなら」 「!!!……まぁな、だがその前に……!」 「その口の利き方をまず何とかしろゴルァァァ!!!」 「(―――!!)」 「(――――!!)」 ……そのまま視線を切り、その声を遠くする。 向こうには向こうの事情があるのだろうし。余り聞き耳を立てるのもよくない。 そうこうしてるうちにコジロー先生をとりまくお話は終わり、皆から解放された先生はややグッタリしている。 その隣に屈み込み、まず、さっきは言えなかった一言を。 「おつかれさまでした、センセー」 「キリノか…」 まだ疲れている先生にそれだけ言ってすぐに立とうとすると。 先生の方から待てよ、と言う声がかかる。そして 「キリノ……ありがとうな、応援、くれただろ?」 「(おう…えん?)」 確かに試合中、声は出していたつもりだったが… 先生の言いたい”応援”と言うのはまた違う意味を持っている気がした。 ―――そうそれは、自分の試合中に何度か感じた事のある不思議な感覚。 先生の後押しの言葉が、自分の背中を押してくれるような。 頭の中にハッキリと聞こえるその声が、戦い方を教えてくれるような。 そして今日は、先生の試合中に―――逆に自分がそれを送るのをハッキリと感じた。 先生の目があたしの目で、先生の耳があたしの耳になったような感覚。 ”いつもどおりの先生の剣道をすれば、勝てます――――” なんとか考える事が出来たのは、それだけだった。 でも…その時、先生は……掛け声に混じって、確かに「おう!」と応えてくれた気がする。 それを思い出すと―――ドクン、とひとつ、高鳴る鼓動。 「(……おりょ?)」 考えれば考える程に、急激に心臓の鼓動は早まっていく。 そしてあたしからの返事を待つ先生が、「ん?」という笑顔をこちらに向けると――― その鼓動は更にどうしようもないほどに加速してゆく。 「(……ありゃりゃ、これは…)」 その、やり場のない気持ちの行き場を求め、自分がとった行動は――― 先生に小指をそっと、差し出す事。何故かは分からないが、そうする事で心は僅かばかりの平静を取り戻す。 「……先生、指切りしましょー」 そのあたしの行動に、少し不思議な顔をした先生が… いいけど、何の約束だ、と当たり前の疑問を返す。 「(え、ええっと…)」 あれあれ、と脳内をフル回転させても答えは出るはずもない。 しかしそこに、あたしの後ろから……石橋先生がやって来る。 「…おい、コジロー!」 一瞬あたしから視線を切り、石橋先生の方へとその視線を向ける先生。 先生が面倒臭そうに、何ですか先輩、とあしらおうとすると… その石橋先生の形相に、ややのまれかかる先生。 「―――玉竜だ」 「……はぁ?」 「玉竜旗で、再戦だっつってんだよ!」 その言葉の意味を掴めず、呆けている先生に――― 差し出した小指をパーに変え、背中をばちん、と一発。 「ッ痛ぇーな、キリノ……何するんだよ?」 「玉竜旗!あたし達も出るんですよね!?」 「!!……そう、だな…」 再び先生の目に火が灯る。 「…OKっす!やりましょう先輩!」 「今度は俺とお前の勝負じゃないぞ……俺が育てたこいつらが、お前んとこの部に勝つ!」 気が付くと、石橋先生の後ろには、今日戦った鎌崎高の部員――― 岩堀君や近本ちゃんや皆が揃い踏み、部長の岩堀君は不敵な笑みを浮かべている。 それに、ふ、と少し目をやると、あたしの方をちらと見、それから石橋先生の方へと目線を動かす先生。 「―――次も勝つのは俺らっすけどね!!……なあ、キリノ?」 「はいっす!……負けないっすよ!」 そう、再戦の約束を交わし、去って行く石橋先生と鎌崎高校の部員たち。 ふう、と肩をがっくり落とし、今度こそ疲れた、という様子の先生に――― もう一度、小指を差し出す。 「先生、約束しましょう」 「またか……こっちは何を約束したいんだ?」 「次もあたしらが勝てたら、ごほうびに―――」 ご褒美、という言葉にギクっ、という表情を浮かべる先生。 ひとしきりその反応を楽しむと、おもむろに。 「―――ラーメンおごってくださいね」 緊張と弛緩。なんだそんな事かよ、と退屈げに小指を差し出す先生。 あたしの指と先生の指が絡まる。 「ゆーびきりげんまん!」 「ゆーびきった!」 そのまま、二つの手が離れ… にひひ、と笑顔を浮かべるあたしに、少し不思議そうな顔の先生。 ―――この日交わされた、二つの約束。 ―――そのうちひとつのホントの意味は、まだ内緒。
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/438.html
”44” 116 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 23 13 08 ID rYmJAr/F ところで見落としてたけど何気に 44がスゲー好きだ この路線もっとやれないかな? あんましやり過ぎると最終回の感動が薄らぎそうで怖いけど 118 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 23 19 45 ID nyU2W1d3 116 コジロー「ありがとうございましたー」 キリノ母「すいませんねえ、先生。昼間は人手が足りないもので」 コジロー「いえいえ、俺ももう先生じゃあないですし」 コジロー(ノブちゃん……金になる仕事ってキリノん家じゃねーか!) キリノ母「でも、いいんですか? 昼間だけで」 コジロー「はい、あんまり遅くまでいるとキリノにバレちゃいますから」 キリノ母「1度でいいから、あの子に会ってくれないんですか」 コジロー「俺は……すみません。俺はもう室江の教師じゃありませんから。 それに、いまさら俺があいつらに……」 キリノ母「あの子、いつも先生のことばかり話しているんですよ」 コジロー「すみません」 125 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 23 43 03 ID nyU2W1d3 続き 「ごめんねー、キリノー」 「も、今日は開校記念日で休みだったんじゃない、サヤー」 「おわっ!」 懐かしい2人の少女の声に、コジローは思わず身を隠す。 (しまった、今日は休みだったんじゃないか……しかし、惣菜は売らんといけないし、 ど、どうすれば……) 「先生、早くこちらへ」 キリノの母親が、コジローを2階に促す。 「せんせー、こっちに隠れてて~」 キリノの妹がコジローの腕を引っ張りながら、階段を駆け上がる。 そうざい屋ちばで働き始めてから2週間。 コジローの存在はキリノの家族たちに浸透していた。 当のキリノにとって、あずかり知らぬところで。 「べつに、ばれてもよかったんじゃないの~」 「だ、駄目だ。それだけは!」 いもうとが、このこの~女たらし~と意味がわかってるのかわかってないのか、 よくわからない突っ込みを入れつつコジローを突く。 「あれー、おかーさん。なんかバタバタしてるけどどーしたの?」 「おほほほほほほほ、何でもないのよ、何でも」 階下で聞こえるキリノたちの声。 このまま、出て行けたら……とコジローは考えるが すぐにその考えを振り払う。 「まー、いーや。ちょっと荷物おいてくるね、サヤ」 「あ、キリノ待ちなさい。2階は!」 母親が止めるよりも早く、キリノが階段を上がってくる。 まずい、見つかる! 「ベランダに隠れて」 いもうとが、コジローをベランダへとおいやる。 「助かった……」 そう胸をなでおろし、ベランダから下を見ると…… 「な、何やってるんですか?」 そこには吉河先生の姿があった。 クーラーの排水パイプをつたって、キリノの家の裏手にコジローは降り立った。 ここなら、彼女たちからは見えないはず。 「すいません、じつは……」 観念したコジローは、吉河先生にことの経緯を話した。 「そういうわけで、キリノには……」 「わかりました!」 「へ?」 「私、行動力はあるんです。ところで林先生の電話番号って知ってますか?」 「成明の林先生ですか? え、とここの番号にかければ……」 「うんうん、じゃあ連絡を待っててくださいね!」 「え? あの、吉河先生」 吉河先生は、1人で何かを納得したように、駆け出していってしまった。 「あ、あと私、今は石橋ですから~」 「え、石橋って……え?」 これが、コジローの復職につながる隠されたエピソードである
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/454.html
コジローとキリノ、そしてサヤが帰った後のある日の道場。 残る2年生組に、忍と誠を巻き込んだ”会議”は続いている。 「…ですから、昼食の時に皆で姿を消しちゃえばどうですか…?」 「アンタ…なかなか使えるじゃないの。ダンくんはどう?」 「わかったぞぉ、でも、サヤ先輩はどうすんだぁ~…」 「確かにサヤ先輩は面倒そうですよね…」 「どうしましょう…もし下手に知られて、バラされたりしたら…」 「……じゃあ私がご用事って事で、誘い出しちゃえばOKかしら?」 『よっ、吉河先生?聞いてたんですか?』 「まあ、あの二人放っておいても中々進展なさそうだもんねえ」 『いえ…協力して貰えるのはいいんですけど…』 「あっ、大丈夫大丈夫、私、ノーマルもイケる口だから」 『(あんた…産休じゃなかったんかい…)』 ともあれ、このようにして…… 世話焼き7名+腐女子1名による ”いい加減、白黒ハッキリさせなさい”会議は閉幕の運びとなった。 狙いは明日開かれる、小さな市民大会。 新生・室江高にとっては―――小さいとは言え、鳳凰旗以来の公式戦となる。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 「いやー、午前の個人戦は惜しかったねえ、さっちん?」 「い、いえ…まさかまたタマちゃんと一回戦で当たっちゃうなんて、思いませんでしたけど…」 「…まあでも、今回は一本取ったんだから、大した物じゃないか。タマから一本取ったの、今日はお前だけだぜ?」 約束の、昼食タイム。和やかな会話は続いている。 既にサヤは吉河先生に引き摺られ、どこかへ連れ去られてしまった。 ユージとタマは道場の人が来ているので挨拶に行くといって出払い、 忍と誠はお兄ちゃん達や友達と一緒に食べるといって既に居ない。 よってここで自分とダンくん、そしてサトリが姿を消せば……計画は完成する。 ミヤミヤはそう思い、ひとつ黒い笑顔を浮かべ、半分しか食べてないお弁当箱を畳むと。 「ダンくん、ちょっと私レイミに会わなくちゃいけないの~、怖いから、ついてきて~」 「もちろんさまいすい~とはに~」 一人取り残されようとするサトリに、ギン、と眼光をくれるとサトリも黙ってそれに付き従う。 結局、その場に残るのは―――コジローとキリノの二人のみ。 午後の部までの時間はたっぷりとある。……計画、成功である。ここまでは。 「はー、なんか皆出払っちゃいましたねえ」 「ン…そうだな、何やかや忙しなさそうだったな、あいつ等…どうしたんだ?」 「さあ…まあ、お茶でも淹れましょーか。今日は宇治の玉露ですよ」 「おう、くれくれ。…何やらお前の弁当沢山食ったせいか、今日は眠くてな……渋いのを頼むぜ」 「もー、いつかみたいに眠りこけてちゃダメっすよ?顧問なんだから」 「あ、ああ…あん時ゃ、済まなかったよ……お前にゃ特に、だな…」 「ふふ、いいんですよ。もう過ぎた話です……ハイどうぞ」 「ゴメンな……いただきます」 ずずず、と二つの音が混じり合う背後に…ひとつ、ふたつ、みっつ……合計7つの、目という目。 「―――お茶、飲んでますね…」 「見りゃ分かるわよ…でも、ねえ……」 「ふつー、ですね…」 元祖・普通人のユージに言われずとも… その光景は、部員たちの期待とは裏腹に…余りにも、日常でありすぎた。 そこへ後ろからひょっこり顔を出す、8番目の目―――すなわち、吉河先生。 さも不満気に顔を出した彼女は、開口一番にこう告げる。 「じれったいですねえ……ここで暴漢でも現れると話が進め易いんだけど…」 『(いやいやいやいや、あんた教育者……ですよね?)』 各人が一斉に心の中で突っ込みを入れる中。 じっと二人を見ていたタマがおもむろに宙空を指差すと。 「あ…暴漢、です…」 その指先に見えるは……サヤだ。だが少し様子がおかしい。 彼女を連れ出したはずの吉河先生に一斉に視線が集中する。 しかしサヤはふらふら、と何か呟きながら確実にコジローとキリノの居る方へ近付いていく。 「女の子は…男の子が好きにな~る…ぼぉぉい、みぃぃつ、がぁぁぁる…」 その、余りにも酷い有り様に…… 吉河先生に対する部員たちの視線は、糾弾の性質を強く帯び始める。 「ちょっ、あれは何ですか!?」 「……っていうか、誰?」 「あああれは、サヤ先輩じゃないぞぉ~」 少してへ、と言う具合に自分の頭を軽く小突きながら、吉河先生。 「う~んと、普通の女の子に戻って貰おうと思って、”説得”してみたんだけど…強すぎたかしら…?」 『(あ、あんたなー!!)』 そして一方の、当事者たちは。 ふらふらと寄り付くサヤの様子のおかしさに、心配を隠せないコジローとキリノ。 「だ、大丈夫……サヤ?」 「お、おいおい。無理すんな、よ…?」 そのまま、二人の傍に胡坐をかいて座り込むと… 気遣う二人の顔を見てけらけらけら、と吹き出すように笑い出す。 そしてその大きな笑い声が収まると、途端に真剣な表情を向けるサヤ。 「二人は…そんなにラブラブなのに、ちゅーもしないのって、変じゃない?」 その口調、その表情はまさにいつものサヤなのだが… 言っている内容は完全に呂律が回っておらず、意味をなさない。 が…そんなものでもコジローとキリノには十分にクリティカルな物であったようで。 お互いの顔をひとつ見つめると、途端に顔を赤らめる二人。 「な…何言ってんのよサヤ。私ら別にラブラブじゃないって~」 「そ、そうだぞ。仮にも先生と生徒の関係で……出来るわきゃないだろう、そんな事」 それにぶぅー、と不満な顔を見せると、今度は赤ん坊の様に駄々をこね始めるサヤ。 「ヤダヤダ!二人がちゅーしてるとこが見たいの!……見・せ・て?」 どうにも、収まりのつかないサヤに… まずキリノの方がどうしよう、と言う視線をコジローに向けると。 コジローの方もキリノを見やり、視線がばっちりと鉢合い、互いの目線が釘付けにあう。 そのままゆっくりと、顔を近付けるキリノ。 「……センセー…」 「…おっ、お前までノせられてどうするんだよキリノ!?」 火の出るようなキリノの視線に何とか目を背けながら、必死の抵抗を見せるコジローに… その後頭部を押さえつけようとする、謎の力が働き――― そのまま強引に、二つの唇が重なり合う。 (………!!) そしてひとしきり押さえ付けた後二人の頭から手を離すと、子供のように無邪気に笑い転げるサヤ。 「ニャハハハ!……おめでとーキリノ、せんせぇ……次は――」 ―――しかしそこまでで、サヤの思考は断たれた。 ばちん、という音が一閃すると、背後からタマの放った竹刀の一撃が、彼女の意識を刈り取ったのである。 そのままぞろぞろ、と姿を現す部員たち一同……と、何故か吉河先生。 呆けるコジローとキリノに、深々と頭を下げる8人。 『……ごめんなさい』 その行動に、始めは呆けていた二人だったが、次第に意味が掴めて来ると。 額に血管を浮かべ、露骨に怒りを顕にするコジロー。 「あのですねえ、吉河先生…」 そのまま、全員に詰問のひとつでも、という勢いのコジローに、しかし隣のキリノは。 「でも…あたしは…良かったっす、よ…?」 コジローはそれに、む、と憮然とした様子を一瞬覗かせると… 急に顔を崩し、いわゆる「デレ」の表情で。 「ま、まぁ…キリノがそう言うなら…」 そう言うなり、矛先を収めるコジローを見た部員たちは… 『絶対尻に敷かれるな、この人…』 と思ったとか思わなかったとか。 そして後にこの日は―――― キリノとコジローにとっては、”ファーストキス記念日”。 部員たちにとっては、”血のブルーサンデー” そしてサヤにとっては、”何かが目覚めた日” ――――として、記録される事になる。 終わり
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/752.html
PREV:野獣モード 前編 NEXT:野獣モード 後編 ストーリー それにしても驚きましたねチロルさん、急に屋敷まで来てほしいだなんて…… ルピコ 何かすごい事件でも起きたのでしょうか?とにかく急いで―― ルピコ 頼む! オレをここで雇ってくれねぇか!? ??? ん? この声ってもしや…… ルピコ ええっと……急に来て雇って欲しいと言われましても…… メイド チロル 頼む! ここで働けば何か掴める気がするんだ! コジロー コジローさん!?こんなところで何してるんです!? ルピコ やはりお二人の知り合いでしたかこの方が急に来て働きたいとおっしゃっていまして…… メイド チロル 今は募集してないからと断ったのですが、何度も頭を下げられてしまって…… メイド チロル 急ぎの用ってコジローさんのことだったんですか…… ルピコ コジローさんどうして急にチロルさんのとこで働きたくなったんですか? ルピコ 使用人として働くことで感情を出さずに済む方法を勉強できると思ってな…… コジロー だから頼む!オレをここで雇ってくれ! コジロー そういわれましても……そもそもどうして感情を隠したいと思っているのですか? メイド チロル それはですね…… ルピコ なるほど……感情を出すことで子ども達に恐れられるのが嫌だから、ですね メイド チロル はい、それでどんな時でも平常心を保てるようになりたいそうで…… ルピコ だからコジローさんも、以前の白凰さんみたいに臨時の使用人として雇ってもらえませんかね? ルピコ う~ん……そういうことでしたら……いいでしょう! メイド チロル コジローさんを臨時の使用人として雇います! メイド チロル ホントか……!?二人とも済まねぇな……オレ一人じゃ―― コジロー いえいえ! チロルさんが決断されたことですし私達は何もしてませんよ! ルピコ ではコジローさん、業務の説明をいたしますので こちらへ来てください メイド チロル ――以上で説明は終わりです何か質問などはありますか? メイド チロル いや、問題なさそうだそれでオレはまず何からすればいいんだ? コジロー コジローさんには力仕事を任せますので、屋敷中の洗い物を集めて洗濯機まで運んで下さい メイド チロル ま、任せておけ! コジロー こ、これでいいか? コジロー それでは駄目です!これから洗濯するとはいえ何事も丁寧にお願いします メイド チロル 運んでいる様まで美しく見えるよう心がけてください メイド チロル ……お、おう……これでいいか? コジロー 向きが逆です!基本的には表向きで畳んでください! メイド チロル だったらこうか? コジロー 畳み方は及第点ですが……重くとも背筋を伸ばして、使用人としての立ち振る舞いを―― メイド チロル (くっ……、細かいことを――……いや、これは修行……平常心を保てオレ……!) コジロー チロルさんいつにも増して厳しいですね ルピコ コジローさんならきっと大丈夫だと思いますけど…… ルピコ ……はい、ひとまず任せられる仕事は片付きました少し休憩にしましょうか メイド チロル コジローさんが私の指導について来てくれたので普段よりも早く終わりました メイド チロル そ、そうか……それは良かった…… コジロー コジローさん、休憩でしたら【プレイヤー】さんとデュエマしませんか? ルピコ 平常心を保てるようになったかも検証できると思いますし ルピコ いいじゃねぇか!!!オレが食い尽くして…………は! コジロー (そうだ……心を落ち着かせるんだ……) コジロー お、おう……デュエマ、しようじゃねぇか!今なら冷静なまま…… コジロー お!ホントにやってるんだなお前! ??? あれ? 勝太さん?今日はどういった用事で…… ルピコ いや~風の噂でさ~ここでコジローが働いてるって聞いちゃったから見に来たんだよ 切札勝太 それにしてもお前が使用人してるって!似合わなさすぎだろ!!! 切札勝太 だーっはっはっは!! 切札勝太 ……そ、そうか?結構板についてきてると思うけどな コジロー ん? コジロー?お前なんかおかしくねえか?普段のお前と違うっていうか…… 切札勝太 実はかくかくしかじかでして―― ルピコ なるほど!子どもに怖いって言われて、気にしてるって訳か!! 切札勝太 だったらもうちょっと……おいコジロー!こんな所で休憩してていいのか? 切札勝太 お前はもっと働いて仕事覚えた方がいいんじゃねぇのか~? 切札勝太 (くっ……仕方ねえ!今は耐えるしか……!) コジロー せっかくだし、ルシファーもここに呼んで今のコジローを見せてやるのも面白そう…… 切札勝太 ………そ、そんな見え見えな挑発じゃオレは怒らねえぜ コジロー ちぇっ!こりゃ相当な覚悟だな 切札勝太 コジローさんその調子ですよ!その感じを保ちながらデュエマ、やってみましょう! ルピコ お、おう!【プレイヤー】!や、やってやるぜ……! コジロー 勝利時 なるほど……これが平常心でのデュエマ…… コジロー コジローさん! やりましたね!遂に平常心でデュエマができましたよ! ルピコ そ、そうだな……だが…… コジロー (さっきのデュエマが本当に、オレが求めていたデュエマだったのか?) コジロー おい【プレイヤー】さっきのデュエマ、お前から見てどうだった? コジロー ……そうかやっぱり物足りないか…… コジロー コジローさん、平常心でのデュエマだったのになんだか浮かない顔ですね ルピコ 子どもに怖いって言われたかも知れねぇけどさ思い詰め過ぎなんじゃねぇのか? 切札勝太 お前にはお前だけのデュエマってのがあるわけだしさ 切札勝太 そういえば……ルピコにもこの間、似たようなことを言われたな…… コジロー だが、だとしたら今のオレは…… コジロー コジローさん、そろそろ休憩は終わりですよまだまだ仕事はありますし メイド チロル 雇ったからには今日一日最後までしっかり働いてもらいますからね メイド チロル え?あ、ああ…… コジロー さ、流石はチロルさんでしたね…… ルピコ コジローさん、悩んでましたけど大丈夫でしょうか……? ルピコ ん? あそこにいるのって……? 切札勝太 ………… 少年 勝太さん?どうかしましたか? ルピコ ……なるほどなま、アイツなら放っておいても大丈夫だろ 切札勝太 ちゃんと自分のやるべきことが分かってるはずだからな! 切札勝太 敗北時 手ごたえを感じなかったが【プレイヤー】……もしかしてお前…… コジロー 疲れてると思って手加減したのか? コジロー そんなことで遠慮はいらねぇからお前の全力でかかってこい! コジロー PREV:野獣モード 前編 NEXT:野獣モード 後編
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/18.html
「あぁ俺今日、午後から出張で部活出られんから。 お前が仕切ってちゃんとやるんだぞ」 ―――――へっ?ちょっ、ちょっとお! もうお昼だっていうのにそんな事急に言われても心の準備ってものが。 …あたしらだってこれで結構、色々あるんだよ? 「えー、先生いないんすかぁ…」 「ん、まあ変に意気込まんでいいから、いつも通りにな?」 まぁ、任されたからには頑張ってみますけどぉ… ……ん?これって信用されてる、の、かな? 「しょ、しょうがないなあ… ラジャっす!やってみますっ!」 「おう!頑張ってな、部長さん」 ―――前から、試してみたい事はあったんだし。丁度いいや。 ▽▽▽ 「え~先生来ないのかよ~」 「そうだよー、でも、代わりにあたしがビシビシいくからねっ!」 放課後、取り敢えず皆揃ったのでコジロー先生が来られない事情をあたしから説明。 皆も、別に居ても居なくても変わらなくて、「えー」とか言いながらもいつもと同じみたい。 うん、大丈夫。 「そいじゃあ、今日は折角コジロー先生が留守って事でえ… 軽く素振りと切り返しでアップ済ませたら、実戦形式で紅白戦やってみよう!」 「「「えぇ~」」」 …むぅ、やっぱりちょっと微妙な反応? 先生いなくて、楽できそう~って顔してたサヤも少し訝しげに声をかけてくる。 「…ちょっ、ちょっと、キリノ?いいの?」 「なにが~?」 「コジロー先生居ないからって、無理にいつもと違う事しなくても…」 「えー、だめかなあ。皆もさ、お互いの実力がどれ位なのか知るいい機会じゃない?」 「うーん、でもなぁ…」 「大丈夫大丈夫、ちゃんと考えてあるからさ!」 ――――そう、考えはあるんだから。…5~6限目に、考えたんだけどね… 実力に見合わせてくじびきで3on3になるようにチームを作って、タマちゃんには審判してもらって。 緊張感持ってやる為に、基本的に一本勝負!引き分けはなし。 勝った方のチームにはあたしん家のメンチカツ一個無料券ぷれぜんとっ! 「そんな感じで…どうかなあ?」 あらかた説明し終わるとみんな納得してくれたようで、素振りと切り返し、開始ー。 …あとは続けて、放課後に作った簡単なクジを。 「とゆーわけで、くじびきひいてね~」 「「「はぁーい」」」 ▽▽▽ 滞りなくみんな引き終わると…りざるとっ。 [Aチーム] ユージくん、あたし、ミヤミヤ。 [Bチーム] さとりん、サヤ、ダンくん。 審判、タマちゃん。 ――――まあ、こんなもんかな? みんな大体いつも相手してる人と同じだし。 かたや、なんだか始めてみるとわくわくしてるらしいサヤに話を振ってみる。 「あたしはサヤとかぁ、なんかいつもの練習と変わらないねえ」 「ふっふー、それはどうかな?オーダー変えてもいいんでしょ?…やるからには、勝ちに行くよっ!」 …げ。それは考えてなかったよ… というかそこまでメンチカツが欲しいの?うちに来ればあげるのに~ なんて、言ってる場合じゃなくて。向こうが勝ちに来るっていうなら、こっちも頑張って応えなきゃ、ねえ? 「と言う訳で、オーダーなんだけど…どうしよっかぁ」 「先輩が大将でいいんじゃないっすか?俺、先鋒いきますよ」 「ほっ、ほんとに?いいの?あたしが大賞で?」 「「(やっぱり、字が違う…)」」 とんとん拍子にオーダーが決まり、こっちの先鋒はユージくん。向こうの先鋒は…サヤだ。 ―――――勝負は流石に、ユージくんがあっという間に面を取ってしまって、まずAチーム一勝!幸先いいよぉ。 「んん~くやしぃ~、絶対キリノが一人目だと思ったのに…」 「サヤ先輩は、大振りし過ぎなければもっと強くなれると思いますよ」 …感想戦だっ!うんうん、いいねえ。これこそ、あたしが待ち望んでた物だよ。 続いて中堅戦。こっちはミヤミヤ、向こうは…さとりんかぁ。がんばれ、ミヤミヤ。 「…サトリ…あんた、本気でやろうっての…?」 「ひぃぃぃ…」 ビビっててもやっぱり、剣道の動きが身体に染み付いてるんだねえ。 ―――――返し胴でさとりんが一本取って、これで五分五分。 んじゃ…っと、あたしの番だ。いざ!相手がダンくんでも、手は抜かないよ!ふっふっふ。 「いくよ、ダンくん!」 「勝負だぞぉ~、ぶちょう~」 「がんばって、ダンくぅーん~」 がくっ…ミヤミヤ…あんたどっちの味方じゃ… なんて思ってたら、意外とダンくんの動きが速い。くのぉ! 「こてーっ!(べしっ)」 あれ?入ってないの?…タマちゃんんん? 「ダメ。 …浅い、です…」 ええぇ~って、あれ、マズッ…!! 「どぉぉぉ~!(バシッ!)」 「どうあり!一本!」 ………え、あれ? ……うそ。あたし、負け? …剣道始めてまだ2ヶ月のダンくんに?負け、たの? 「………」 「…あの、キリノ部長?」 「うわっ!…あ、タマちゃん、ごめんね。」 ぶんぶんぶんぶんぶん。 ええい、しっかりしろ自分!…大体ダンくんに失礼過ぎるでしょが。 「ええいっ、しょうがないね、Bチーム、持ってけ、ドロボーっ!」 「「「わぁーい」」」 ――――トホホ、あたしゃ何の為に大賞までやっておきながらこんな。 ▽▽▽ 「キリノ先輩…ダンくん、強くなったでしょ?」 試合が終わって小休止。いつものようにお茶をすするあたしに、 ユージくんは…まるで自分の事みたいに嬉しそうに話し掛けてくれる。 うん、確かにダンくんは強くなってる…でも。 ああ、ダメだ。まだ吹っ切れないみたい。 「ほんとにねぇ…久々に、ナメクジの気分になっちゃったよぉ」 「そんな…次の試合は、やらないんですか?」 「そうだねぇ…でも、ちょっと待って…もうちょっとだけ、休憩…」 「そうですか…じゃっ、早く元気出してくださいね!」 「うん…ありがとね、ユージくん」 ふぅ。…ユージくんが行った後、ふと道場を見渡してみると。 …………遠くで、サヤがダンくんを竹内でつついてる。 ………ミヤミヤは、それを嫌そうに…ああ、ブラックが出そうだよ? ……さとりんは、ミヤミヤからはみ出てるブラックオーラに怯えてる。 …ユージくんは、素振りしてるタマちゃんとおしゃべり。 その隅っこで、いつまでもウジウジしてる、あたし。 休憩時間も、もう終わってるのに。 ……いつもよりも、ずーっとまとまりのない、部活。 「こんなはずじゃ、なかったのになあ…?」 なんだか…弱い考えしか浮かばないよ、コジローせんせぇ。 思い出してみると、「いつも通りにな?」と念を押す先生の言葉がやけに重い。 知らなかったけど…コジロー先生って、実は、すごい仕事してたんだねえ。 居なくなって、”いつも通り”じゃなくなって、初めて実感する、先生の…偉大さ? ……たくもぉ、早く帰って来てよ!!なんて、八つ当たりで思った――――――そんな時に。 「ただいまーっ」 聞き慣れた声が道場に響く。 明るくて能天気な… でも、今、一番聞きたかった声。 あたしが思わずあわてて駆け寄ると、皆もコジロー先生の所に集まる。 「せ、せんせぇ~、早いじゃないですか?どうしたの? まさかもう、要らないって言われちゃったとか…」 「ば、ばっかやろぉ!!会議が意外と早く終わったんだよ。 んでホラ、ついでにミ○ドのドーナツ買って来てやったぞ? おら食え、食えー」 「「「「「うわぁーい」」」」」 (……ちょっと、お腹より先に胸が一杯になっちゃうなぁ、あはは。) みんながミ○ドの箱からドーナツを奪い合ってる様子を横目に見ながら。 そんなふうに思い、距離を置こうとすると。コジロー先生の方からお声がかかる。 「おいキリノ、ごくろーさん」 「せ、先生の方こそ、お疲れ様ですっ」 「俺がいなくても、ちゃんと部活できてただろうな?」 その言葉を告げられると、時間が止まる。信用…してくれてたのに。なのに。 …自分がどういう表情なのか、よく分からないままに。ただ、乾いた言葉を返す。 「あ、いやぁ…やっぱり、あたしじゃダメみたいで、あはは」 「おっ?どうした?なんか暗いな?…何があった?」 …ちょっと、この気持ちを、どう伝えたものだろう?言葉に詰まるあたしを尻目に、 口一杯にドーナツを頬張ったサヤが、みんなが、開口一番に喋りだす。 「えーっ?キリノの考えた紅白戦、面白かったじゃん!」 「そうっすよ!もう一回!今度は俺らが勝ちますよ!」 「何度やっても俺が勝つけどなぁ~ふっふっふ~」 「私、今度はダンくんと同じチームになりたいです」 「あの…あの…じゃぁ、私も、もういっかい…」 「…次は、あたしも出たいんですけど…」 そんな、皆の言葉と共に…混乱と歓喜が同時にどっと押し寄せる。え?え?えー? 勝手に考えて、勝手に落ち込んで…空回りで、なんかバカみたいで、本当にカッコ悪い自分。 でも…皆は。コジロー先生は。 「紅白戦かぁ。面白い事やってたんだな、キリノ。おつかれさん。」 短い言葉に込められた、今日のあたしを全部肯定してくれる、やさしい声。 そして… 「「「もう一回!もう一回!」」」 ――――…もぉっ、しょうがないなあ!! 「……ダンくん!?(びしっ!)」 「なっ、なんだよぉ~ぶちょぉ~」 「次は部長のメンツにかけて絶対、負けないからね!ふっふっふ」 「…おぉ!俺も負けねぇぞぉ~」 ………うん!あたしは、こうでなくっちゃね! 気が付くと、あたしの中で何かモヤモヤしてた物は…もう遥か遠くだった。 「おっしっ!んじゃ、食い終わってちょっと休んだら、紅白戦第二弾、行くぞぉ!」 「「「はい!」」」 コジロー先生が号令をくだすと、 試合に備えて腹ごなしに素振りをと、散って行くみんな。 あたしは… コジロー先生の方を、ちらと見ると。視線が重なる。 「ん…なんだよ、キリノ?」 「ちょっと見直しましたよ、コジローせんせえ?」 「だから、何をだよ!?」 「内緒です、ふっふっふ」 ―――――「先生ってすごいんだね」なんて、さすがに恥ずかしくて、今は言えないけどね。ふふふ。 [おわり]
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/751.html
PREV:意外なライバル 後編 NEXT:野獣モード 中編 ストーリー コジローさん、お待たせしました今日はどういったご用件でしょうか? ルピコ ああ、実はお前らに少し相談があってな…… コジロー オレのデュエマについての話なんだが…… コジロー コジローさんのデュエマと言えば”野獣モード”ですよね ルピコ もしかして……相談というのもそのことについてでしょうか? ルピコ ああ……この前、子どもの前でデュエマをする機会があってな コジロー それでオレがデュエマをする姿を子ども達に見せたんだが…… コジロー 一部の子ども達から”怖い”と言われてしまってな…… コジロー 終いには泣き出す子まで出しちまって…… コジロー それでお前らに相談することにしたんだ コジロー 子どもを泣かせちまうようなデュエマをしていてもいいのかってな…… コジロー ……なるほどそういうことでしたか ルピコ 事情はわかりましたですけど、私はあまり気にせずプレイされたらいいと思いますよ ルピコ デュエマのプレイスタイルは人それぞれですからね! ルピコ ……誰彼構わずすぐにデッキを出すような方もいますし…… ルピコ そういうもんか…………でもな、オレとしてはショックだったんだ…… コジロー オレのデュエマが、弟達と同じ年齢くらいの奴らから恐怖の対象になっていることがな…… コジロー それで何か方法を考えオレのデュエマを変えようという考えにまとまったんだ コジロー だからデュエマ中でも平常心を保てるようになりたいんだ コジロー それなら子ども達から怖いと言われることはないはずだからな…… コジロー なるほど……、それなら【プレイヤー】さんに相手してもらうのはどうですか? ルピコ 【プレイヤー】さんでしたら、いくらでも付き合ってくれると思いますし ルピコ ……そうかおい【プレイヤー】! コジロー オレの新しいデュエマに付き合ってもらうぜ! コジロー 勝利時 こ、これが……平常心でのデュエマか……はぁ……! はぁ……! コジロー コジローさん!?大丈夫ですか?やっぱり今のデュエマよりも―― ルピコ あ、ああ……オレは、大丈夫だ……!だがこれは…… コジロー ……すまんが、少し用ができた相談、乗ってくれて助かったぜ コジロー あ! もう少し休んだ方が……!……行っちゃいましたね ルピコ コジローさんかなり無理してましたけど、大丈夫でしょうか……? ルピコ 敗北時 平常心でのデュエマだったが……手ごたえを感じないなお前のデュエマはそんなものか? コジロー 【プレイヤー】さん!普段とは違うコジローさんに少しだけ戸惑っただけですよね? ルピコ だったら次は、コジローさんの期待に応えるようなデュエマで勝っちゃいましょう! ルピコ PREV:意外なライバル 後編 NEXT:野獣モード 中編
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/753.html
PREV:野獣モード 中編 NEXT:コジローの弱点 前編 ストーリー 勝太さんに呼ばれて来てみましたけど……あ!あの人は……! ルピコ 君の旋律は何度も聞いたけど、今の君のデュエマからは何も聞こえてこないよ ルシファー くっ……! コジロー どうしてここでコジローさんとルシファーさんがデュエマをしてるのでしょうか? ルピコ お!二人とも来てくれたか! 切札勝太 あ! 勝太さん!どうしてお二人はここでデュエマを……? ルピコ 野獣モードを封印したコジローがルシファーに挑んだらしいんだけど 切札勝太 コジローがコテンパンにやられちまってな…… 切札勝太 ……まあアイツのことだし、何か考えがあってのことだと思うけどな 切札勝太 コジローさん、デュエマのことで悩んでいましたけど大丈夫だったんでしょうか……? ルピコ 私達も何か助けになれればいいんですけど、勝太さん、何か私達にできる―― ルピコ ……ちょっと待て!誰か来るぞ……!そこの陰に隠れろ! 切札勝太 あ、あの…… 少年 ん? どうかしたのか――って!? お前は…… コジロー おや?コジロー君の知り合いなら僕は少し外そうかな…… ルシファー ……オレに何の用だ? コジロー この前は怖がっちゃって……ご、ごめんなさい 少年 僕、コジローが優しいことも強いことも知ってて大好きで憧れだったから…… 少年 この前初めて生で見に行ったんだそ、それで思ってるよりも怖かったから……、つい…… 少年 そうか、ありがとな……だがもう大丈夫―― コジロー で、でも僕は前みたいに闘うコジローがいい!力強くて格好いいコジローが! 少年 さっきのコジローはいつもの……僕が憧れたコジローのデュエマじゃなかったから……! 少年 ……!!! コジロー はぁ……そうか……オレは一体今まで何を気にして…… コジロー ありがとな……お前のおかげでオレのやるべきことが分かったよ コジロー う、うん! コジロー!これからも僕、コジローのこと応援してるからね! 少年 ああ! お前がいつかオレの飢えを満たしてくれると信じてるからな……! コジロー (平常心でのデュエマより、やっぱりオレにはこっちの方が性に合ってるな……) コジロー おや? コジロー君、何か掴んだみたいだね……! ルシファー ああ! やっぱりオレのデュエマに必要なのは飢えだ! コジロー 自分の飢えと向き合い勝利を……飢えを満たすそれがオレ自身だ!!! コジロー ……なるほど……それにしても、勝太君達はいつまで隠れてるつもりだい? ルシファー いや~、隠れてるうちに入るタイミングを逃しちまったぜそうだよな? 切札勝太 はい! コジローさんの悩みが無事、解決してよかったです! ルピコ ああ!特にお前ら二人には世話をかけちまったからな……! コジロー その礼も兼ねてだがな……おい【プレイヤー】! コジロー 世話になったお前にオレ本来のいや、進化したオレのデュエマをぶつけてやる! コジロー 準備はいいか?研ぎ澄まされたこのオレの餌食となるんだな!!! コジロー 勝利時 くそっ……!進化したオレでもお前には勝てねぇのか…… コジロー 今回は負けちゃったけどコジローは前よりももっと怖くてもっとずっと格好良かったよ! 少年 ……そうか コジロー やはり君にはその旋律こそ相応しい…… ルシファー 君が奏でるその旋律を、僕にもう一度聞かせてくれないかな? ルシファー まさか獲物自らがオレの元に来るとはなあ!!!いいじゃねぇか!! コジロー コジロー! 頑張ってね!! 少年 やれやれ……、結局いつもの調子に戻っただけかまあアイツらしいけどな! 切札勝太 おいコジロー!ルシファーの次はオレともデュエマだからな~!! 切札勝太 【プレイヤー】さん!コジローさんの悩みが無事に解決してよかったですね! ルピコ コジローさんもあの少年も楽しそうですし――……え? ルピコ まだまだコジローさんと闘い足りない……?相変わらずですね~! ルピコ それなら一緒にルシファーさんや勝太さんともデュエマしちゃいましょう!!! ルピコ 敗北時 おい!! お前の実力はこんなもんじゃねぇだろ!? コジロー オレの標的になった以上こんなデュエマじゃ認めねぇからな! コジロー 【プレイヤー】さん!コジローさんに認められるようなデュエマで勝っちゃいましょう! ルピコ PREV:野獣モード 中編 NEXT:コジローの弱点 前編